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文章鍛練企画【三語即興文in鍛練場】3/15〜

37こん:2004/04/07(水) 05:22
(上の続きです)

お題は「回転寿司、爪、アミノ酸」魅力的な女性を登場させる。

 レールの上に乗せられた皿がカシャカシャと耳障りな音を立てて流れていく。
「回転寿司なんて、ヤだ。貧乏臭い。本当のお寿司屋さんが良いっ」
 回転寿司だとしても寿司屋には間違いないのに、女はわざわざ本当のっと言う。まったく寿司を握る人間に対して失礼な話だ。
「ただいま、金欠病につきこれ以上の出費は控えたく思います」
 感情を表に出さない平たんな声音でわざとらしく寛司は告げた。たちまち渋面になり女は「さよなら」っと一言残し、踵を返しすと回転寿司屋をさっさと出ていく。
 出ていく女を追う素振りも見せず寛司は大きく溜息を吐き出すして、うんざりだと言わんばかりに肩を落とした。
「今回も長くは続かなかったわね」
 呆れた声で現われたのは頼子だった。
「何で、いんだよっ」
「私だってたまにはお寿司を食べたいと思うんじゃない?」
 しれっとして頼子は店内に入り、空いているカウンターに当然のように座る。その後を追うように寛司も隣に腰掛けた。
「……おごらねえぞ。俺は金欠なんだ」
「知ってる。さっき、赤い爪のお姉ちゃんにふられた原因でしょ。そんなに金欠なら寿司屋なんってやめれば良いのに。わざわざ女の人を怒らせるようなことを言う寛司が悪いと思うわよ」
 一利ある話だ。わざわざ自分から怒らせるようなことをしなくても良いだろうと寛司は思っている。だが、どうしても自然にしていると女の方が怒ってしまうのだ。いつしか仕方がないと諦めるようになっているのも事実だった。
 半眼で頼子を見つめ、寛司はぽつりと呟く。
「俺は金欠でも卵が食べたかったんだ」
「ああ、良質のタンパク質補給ね。アメフリヒトイロバスがちゃんと入ってるから身体に良いわよね。卵はっ」
「あん?」
 顔をしかめて寛司は隣に腰掛ける頼子を覗き込む。
「必須アノミ酸よ。メチオニンとか、フェニルアラニンとか、ヒスチジンとかね。それらを、もっともバランス良く含んでいるのが卵なのよ。だから、昔は万能の食品みたいに言われてたのね。今はコレステロールの悪玉みたいにいわれてるけど、実際、コレステロールは肝臓でコントロールされるから、正常な人は多く摂取しても体外に出される仕組みなのよ。だけど、日常的に肉なんかを多く食べてたりするからコントロールできなくなるんじゃない。別に卵が悪いわけじゃないわ。食べる側の認識が問題なのよ」
 あんぐりと間抜けに口を開け、寛司は両手をあげると降参の意思表示をした。
「……ごめん。半分くらいわからない」
「でしょうね。いいのよ。自己満足の世界なんだから」
 にっこりと口唇をあげて頼子は微笑んでから、卵を口にほうり込んだ。
 いつも頼子は自分が真ん中にいる。自分の信じる道を真直ぐに進んでいるのだ。そして、そんな頼子と一緒にいる時、寛司は自分らしさを失わずいつも自然体でいられた。


           END
_______________________
魅力的かな……頼子ちゃん。我が道を行く女性に知らないうちに惹かれる人間を書こうかと……。無理か……。
……わ、悪い癖が……。長い……すみません。対象外ですね……。
いつものこととは言えダメだな……。悩。
__________________________
(下に続きます)


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