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文章鍛練企画【三語即興文in鍛練場】3/15〜
23
:
風杜みこと★
:2004/04/07(水) 04:50
>謎サン
「三語の、漢字(平仮名、片仮名)と音を変えず、そのまま使用する」という原則をクリアしているかどうか、ちょっと疑問です。
あ、大河ドラマの『新撰組』は私も好きですよ!
――お題:「セドナ」「小唄」「陽炎」
――追加ルール:「江戸時代または、それ以前の武家時代にすること」――
ちんてんしゃん、と三味線を爪弾きながら掘をそぞろ歩いていた女は、ふと足を止めた。宿の方から小唄が流れてくる。女は弾く手をとめず、声に誘われるまま角を曲がり、上を見上げた。
男が窓に腰かけ、低く艶のある声で歌っていた。片足を桟にあずけ、水辺を思わし気に眺めてる。
女の手が止まったのは、柳の枝を揺らした風のせいでも、曲に飽いたわけでもなかった。男の水際だった容貌につい我を忘れてしまった為だった。抜けるように白い肌、切れ長の瞳に赤い唇。化粧をしているわけでもない。陰間にしては大柄で、そこはかとない気品がある。
「おや、止めちまうのかい?」
女が見惚れていると、男が声をかけてきた。
「いいえ、旦那。言ってくだされば、お好きな曲をお弾き致しましょう」女は慌てて応えた。町人風ではあるが、声に威勢がありすぎる。何者だろうと女がいぶかっていると、男がいった。
「じゃあ、一つ頼むよ」
男が口にした曲を弾き始めると、さきほどよりも朗々と男は唄いはじめた。三味線の音と男の声は夜気を震わせ、不思議な調和をみせ、しばし異界へと聴く者の心を誘った。
唄が終わると男は満足気に笑った。
「姉さん、ありがとよ。あー、来たかいがあった。やっぱり休暇はここじゃなくちゃ。……さて、そろそろセドナに帰るか」
男はそう言うと陽炎のように立ち消えた。
「あっ……!」
後にはお代を貰い損ねた流しが一人、柳の下で風に吹かれるばかり。
後日、台帳を踏み倒した男の似顔絵が作られ、配られたものの、男のその後を知る者は誰一人とていなかったという。
(チャンチャン☆)
――お題「犬」「ウィンタースポーツ」「血」、追加「ホラー物はやめてください」――
三月ともなるとウィンタースポーツのメッカである雪山も、ところどころ地肌をさらして寂しくなる。
僕は愛犬のマリを連れて、ペンションに泊まっているのだが、シーズンも終わりかけなのか客は少ない。
実はこのペンションにはいわくがあった。なぜか鎌井という人が泊まると血が流されるというのである。
僕の名前は一字違いの鎌居。だが、ネットでみつけた、この噂の真偽を確かめる為にわざわざ大学の友人をここに呼びだしていた。
その友人の名は……。
「よっ、ご無沙汰。元気してたかー?」
「鎌井、よく来てくれたな」僕は立ち上がって彼を迎えた。さりげなくテーブルの向かい側の席をすすめる。
「去年以来だな。で、はるばる俺の地元まで来て、用ってなんだ?」
「いや、ちょっと立ち寄ったもんで。卒業したら別々だろ? こんな機会でもないとお前とは酒を飲む機会もないだろうし……今夜は泊まっていくだろ?」
「えっ……。じゃー、ウチに電話入れておくか」
友人は目の前で携帯をかけはじめた。
僕はマリの毛を左手で撫でながら、水割りを右手で掲げた。
「君の瞳に乾杯!」
――了――
次のお題は「土俵」「間一髪」「児雷也」
追加ルール「美味しそうにものを食べるシーンを入れてください」でお願いします。
++2004/03/18(木) 21:17
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