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文章鍛練企画【三語即興文in鍛練場】3/15〜

3瀬山:2004/04/07(水) 04:05
お久しぶりです。というかこの企画では初めましてです。
恐れ多くも楽しそうな企画に参加せずにいられませんでした。

>のりのり子さん
おちは少しパンチにかけている気がしました。文章が楽しくてすらすらと読めました。見習いたいです。
>風杜みことさん
お題が多いです。かつ面白い。雰囲気が素敵です。脱帽しました。
>柿美さん
落ちが楽しかったです。というか笑いました。SSてやっぱり構成が大切なんだな、とか実感します。
で、それで自分の作はどうか、と言われると……こういうのはSSとは呼ばないのかも。

お題は「仕事の上司」「納豆」「地平線」、追加ルールは「天気の描写を入れる」


 地平線のその先に、まさに天を衝くといった風情で、荒野の中心、どかりと根を下ろすルオの大樹。東京が消えた――日本が滅び世界が震えたその爆心地に、小惑星に乗って飛来した宇宙樹はちゃっかりと根を下ろした。
「ナトウ? なんだそれ」先輩(彼女は僕の仕事の上司だ)は不思議そうに首をひねる。「おいしいのか?」
「納豆、です。ここ――と言っても今は何もありませんが――日本独特の――」生前はイギリス国籍だった先輩は納豆を知らないらしい。「とにかく、僕は昔を懐かしんでいる、と。そういうことです」
 見上げれば低く立ち込める暗雲。それこそ地獄とはかくありなんとばかり。小惑星はルオの大樹を僕ら人間に授け、太陽光を奪った。
「でもまさか先輩が本気で移住を決心するとは思いませんでしたよ。仕事、楽しかったんじゃないんですか?」生きている人間を僕らの側に引き込む仕事。「先輩の仕事熱心は僕らの間でも有名だったんですよ」
 先輩は思案げひとつ頷き、「なんというか、生きたい奴は生かしとけばいいかな、って、思い始めた」
「こんな絶望色一色の世界で、ですか?」
「ルオの大樹が魂を運ぶのは私ら死人ばかりとは限らんさ」先輩はくふふと笑う。「実際、向こう側にいくのは楽しみでもある。私らが殺した奴らとばったり鉢合わせたりして」
「恨まれても、それが幽霊の正しいあり方ですよ」
「私はそれが、疲れた」
 先輩は息をつき、それから、なんだか遠くをみるような目をする。
「ルオの大樹の死後の世界。生きた亡者のうごめく地球、顕現した地獄。どちらを選ぶべきかは、推して知るべし。ってな」そして、先輩はくふふと笑う。「死後の世界なんて行ったことない」
「まぁ、それはそうです」
 頷き、つられ僕も笑う。先輩と一緒なら、という一言はそれに消えた。

うわー長いです、ごめんなさい。
お題は「ぬいぐるみ」「休日」「殺人」追加は「主人公が男の子」でお願いします。
++2004/03/16(火) 16:40


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