したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

川 ゚ -゚)普通の恋の物語のようです

1 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:20:11 ID:nh13zq7M0


アノヒトノスベテヲテニイレタイ

3 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:21:16 ID:nh13zq7M0







おっと……自己紹介が遅れたな。

私の名前は素直空。
あだ名はクーだよろしく頼む。まあ、何をよろしく頼むのかはよくわからないがな。
それで私はヴィップ大学に通う学生だ。
今は親元を離れ一人暮らしをしているのだが、これが中々大変でな……
今までは家事などは分担してやっていたのだが、一人になると全て自分でやらなければならない。
つい億劫になっても誰もやってはくれないのだ………

ただ私も女だ。
身だしなみは気を付けるし、第一自分の部屋が汚いというのはどうにも許せない。
別に誰かを家に呼ぶわけでは無いが、その辺りはしっかりしておきたいのだ。

そして……もし………もしもだが、彼を私の家に連れて来る事が出来た時、部屋が汚くて失望されるのだけはゴメンだからな。







彼に、私の全てを………

4 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:23:05 ID:nh13zq7M0
おっとまた話しが逸れたな…まあ、あれだ。部屋を綺麗に保っておけば気分も晴れやかになるのではないのだろうかって事だ。
それに物が散乱していたら、必要な物をすぐに使えない可能性もあるだろう?
必要な物は何処に置いてあるのかをちゃんと把握しておく。これは結構重要な事だ。実践しておいて損はないぞ?

そう…必要なモノはな………

さて、私だけの話をしていても話が進まないな。
それじゃあ、君達にも彼の事を教えてあげよう。
……間違っても彼の事を………いや。なんでも無いんだ。気にしないでくれ。


彼の名前は欝田毒男。
私と同じ大学で同じ学年だ。
一応ヴィップ大学はそれなりの所ではあるから頭はそれなりに良い。
顔は人によると覇気がないだの元気が足りないだの言われてるが……そんな事は無いだろう?






なあ?

そうだろう?

5 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:23:33 ID:nh13zq7M0
……まあ、彼の事はまだよくわからないだろうからもう少し詳しく説明していこう。
そうすれば、なぜ私が彼が気になるのかを理解して貰えるだろうからな。

身長は私よりやや大きいぐらいだな。ヒールを履けば同じ位になるだろうな。
体重は大分やせ型なんだよな……私がちゃんと栄養がある物を食べさせてやりたいものだが……
別に私はがっしりした男が好みなわけでは無いので気にはしないがな。
趣味はゲームとかなのだろうな。彼と友人…勿論男だ。と一緒に携帯型のゲーム機を持って遊んでいるのを目にする事が多い。
後、スマホで何かをしている姿をよく目にする。

ゲーム好きの彼だが、講義は真面目に受けているのだ。
…当り前だろうって?
それがな…昔はどうかはわからないが最近は大学生となると講義は出るだけで何とかなる物もあるのだ。
講義に出れば卒業に必要な単位が貰える。だから出るだけ出て、後は知った事じゃない。って奴も多いんだ。
まあ…全ての講義がそう言う訳でも無いんだけどな。

だが、彼はどんなつまらない講義だろうと決してサボろうとはしなかった。
一度気になって彼に聞いたことがあるんだ。
そしたら彼は

('A`)「だって、折角大変な思いをしてまでここに入って、それなのにわざわざ高い学費まで払わされてるんだよ?
   だったらサボろうなんて考えは思い浮かばないと思うんだ。
   俺達は何かを学ぼうと思ってここに入って来たんだから。」

6 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:23:56 ID:nh13zq7M0
……わかっている。
わかっているさ。こんな人はそうそういないだろうと。
そう。彼はくそ真面目なんだ。
確か言い分は分かるが……大学生になったら羽目を外したくなるだろう?
今まで大変な思いをして合格して入ったのだ、遊びたくもなるだろう?
しかし彼はそんな風に気を緩めず今でも頑張っているんだ。
尊敬に値するだろう?

何?
真面目過ぎる男はつまらなくないかだと?

……わかってないな。
確かにつまらなく感じる人もいるのだろうが、彼は違う。

自慢じゃないが私は容姿は悪いとは一度たりとも言われた事は無い。
告白も何度もされた事がある。
しかし、どうにも付き合おうという気持ちが起こらなかったのだ。
どいつもこいつも私の顔や体目当ての奴しか来ないし、罰ゲームだか何だか知らないがヘラヘラ笑ってた奴もいた。
そんな奴と何が悲しくて恋人同士なってやろうと思えるのだろうか……
体から始まる恋もあるとか言うが、興味もない奴に体を開く気にもならん。
そのせいで同性愛者ではないのかと言う噂が流れていたようだが、私は男に興味が無い訳では無い。
私にだって選ぶ権利はあると思うんだ。
そのせいで誰とも付き合えず一人寂しく生きて行ってしまったのなら自分のせいだと諦めるさ。

しかし、私は出会ったのだ!
自分の全てを捧げても良いと思える相手に!!

7 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:24:29 ID:nh13zq7M0
それが彼…ドクオと言ったわけだ。

ドクオとの出会いは、入学時のガイダンスの時だった。
たまたま隣の席に座っていて最初は私も冴えない顔の男がいるな程度の印象だった。
わざわざ話しかけようとも思わなかったしな。
ドクオの方からも私に話しかけようとはしてこなかったさ。
まあ、入学そうそう異性に話しかけるよりは同姓に話しかけた方が気が楽だろうからな。
私には一緒に入った友人がいなく一人だったからな、どうしたものかと考えていたのさ。
その点彼は、友人がいたらしくガイダンスが終わったら友人がやって来て楽しく話していた。
一人でいてもしょうがないのでその日はさっさと家に帰る事にして、その場を去ったんだ。

そしたら次の日、結構厄介な事になってしまってな……
何故だか知らないが、私達の大学はグループワークに力を入れるとか言い出して、
社会に出れば初対面の人とも一緒に仕事をしなくちゃならないから、勝手に決めておいたから課題に取り組めとか言い出してな……
本当に困ったものさ。
残念な事に私は愛想が良い方じゃあないからな、初対面の人には大抵冷たく思われてしまうらしい。
それでも決まってしまった事だからやるしかないと思ってな、自己紹介を始めたんだ。

('A`)「鬱田毒男です。よろしくお願いします」

川 ゚ -゚)「素直空です。よろしくお願いします」

8 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:24:55 ID:nh13zq7M0
……自己紹介なのに随分味気無いって?
仕方ないだろう……こう言うのは苦手なんだ。
いきなり色々言ったって覚えきれないんだから、名前だけ覚えてもらえばいいんだ。
他にも四人程いたが特に仲良くなったわけでもないし、今でも親交があるわけではないから省略だ。
ドクオと私が出会った。
それを覚えてくれればいい。

それでグループワークだがな……それは酷いものだったさ。
大学に入ったばかりだから調子に乗った奴がいてな……
早々に口説かれたものさ。
鬱陶しいから適当にあしらってやったらへそを曲げてな。
手伝わないとか言い出してな、相手にする時間も惜しいから無視して進めていたら、
他の女がリーダーになったつもりだか何だか知らないが謝れだの一緒にやらなきゃ意味ないだの綺麗事ばかり言って来てな、腹が立ったものさ。
ああいう自分が全て正しいと思い込んでる奴は本当に迷惑だ。

そんな事があったから雰囲気は最悪でな、
各自バラバラにやる事にしたのさ。
それでも一人では出来ない事があったから誰かに声をかけなければと思いかけたのが……

そうドクオだったという訳さ。

9 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:25:23 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「あ〜えっと……鬱田君………だったかな?」

('A`)「あ……ハイ。鬱田です。素直さんでしたよね? どうしました?」

うむ。彼は最初は私に敬語を使って来たのだ。
何? 私がドクオの事を苗字で呼んでるだと?
……初対面の相手を名前で呼ぶほどフレンドリーな女では無いのだ私は。

川 ゚ -゚)「すまないが、少し手伝ってくれないか? 他の奴は私を目の敵にしていてな。手伝ってはくれないだろうからな」

(;'A`)「ああ…確かにあの人達、素直さんにだけ冷たいですね……」

('A`)「分かりました。自分でよければお手伝いしましょう」

この時彼と話していて気になったのだが、私と目を合わせようとしなかったのだ。
彼も私の事を避けているのかと思ったのだが……しばらく話していて分かったんだ
女慣れをしていないのだろうと言う事が。
正直に言うとその方が楽ではあったんだ。また調子に乗って勘違いして口説かれるよりもよっぽどな。
そうして二人だけでやる事にしたのだが、なかなか彼も頭が良くてな
私が手こずっていた物をスラスラ解いて行ったのさ。

…………流石に私もこんな程度では好意を持たんぞ?
ただ、覚えておいて損は無いだろうと思っただけだ。

………本当だぞ?
私はそんなに軽い女ではない。
むしろ身持ちは固いんだぞ?

10 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:25:57 ID:nh13zq7M0
話しがズレたな………まあいい。
それで彼と一緒に課題に取り組んで行き、発表まで何とか漕ぎつけられたんだ。
まあ、発表と言っても大した事はしていない。
流石に大学入ってすぐの私達に難し過ぎる事はさせなかったさ。

そして発表になったのだが、まあ酷い出来だったよ。
内容は私達二人は一緒にしておいたが、他の四人はバラバラ
結局何を発表しているのか訳が解らないと言った所さ。

発表が終わったらいきなり説教と来たものさ……
ちゃんと話し合ったのかだの、これじゃあ社会に出れないだの。
私としては知った事では無かったのだが、わざわざ前に立たせて説教するなんて、
小学生じゃあ無いんだからとは思ったがな。
私に敵意を向けていたその他の四人はどうでも良かったのだが、ドクオには悪いとは思ったさ。

川 ゚ -゚)「すまないな。鬱田君。私のせいで君まで下らない晒し物にしてしまって」

(;'A`)「いや。あの四人を上手く宥めて協力させられなかった自分も悪いんで……」

川 ;゚ -゚)「しかしだな……」

と押し問答を続けていると、いつの間にか他の人達……と言っても私達は最後から二番目だったがな、
の発表が終わったらしく講義の終わりを告げる鐘の音が鳴っていた。
最後にもう一度だけ詫びを入れようとドクオに声をかけようとしたのだが、
私よりも先に声をかけていた人物がいた。

11 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:26:40 ID:nh13zq7M0
( ^ω^)「おいす〜ドクオ。随分と怒られていたおね〜」

(´・ω・`)「まさか前に立ったまま説教するなんてね。大学生になったのに子供みたいな事をさせるんだね」

ちょっとデ……ゲフンゲフン! ちょっとふくよかな男性と垂れた眉が特徴的な男性がドクオに話しかけていた。

(;'A`)「全く……茶化すなよ。」

( ^ω^)「でも、どうしたんだお? この位の発表で躓くドクオじゃないお?」

(;'A`)「まあ…ちょっとな……」

この二人はドクオの友達なのだろうと思い、他人の私がいても仕方が無いだろうと思い席を立ち離れようとすると

(´・ω・`)「あっ! すいません。ちょっといいですか?」

川 ゚ -゚)「……私を呼んでいると受け取っていいのだろうか?」

(´・ω・`)「はい。あなたです」

川 ゚ -゚)「何だろうか?」

別にわざわざ話しかけられるとは思っていなかったので少々驚いたが、
警戒する相手でもないし話位は聞いても良いかなと思ったのだ。

(;´・ω・`)「あ…っとその……」

何故か言葉を選んでいるようだが、さっきまでの話の流れ的に、
私達の発表があそこまで酷かった理由でも聞きたいのだろうな。

川 ゚ -゚)「さっきの発表の事だろうか?」

(;´・ω・`)「はい。そうです」

やはり予想した通りだったか。
まあ、確かにちゃんとしていれば大して躓くようなものでは無かったし、疑問に思うのも当然だろうな。

( ^ω^)「君もドクオと一緒のグループだったお? だから、どうしてああなったのか知ってるかお?」

別に隠す必要もないし、正直に全てを話してしまおう。
彼らに嫌われようとも知った事でもないしな。

12 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:27:13 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「ああ。知っている」

( ^ω^)「良かったら教えてくれないかお?」

川 ゚ -゚)「簡単な話だ。私が原因でこうなった。ただそれだけの事だ」

(;'A`)「素直さん!?」

(´・ω・`)「……詳しく教えてもらっても?」

鬱田君は驚き、垂れた眉の男性はただの興味本位で聞いて来てはいないような真剣な顔をしていた。
だから私は全てを包み隠さず話した。
下らない男が口説いて来た事、リーダー気取りの女が騒ぎ立てた事、そのせいでグループ内の空気が悪くなった事。

(;´・ω・`)「それって……ξ#゚⊿゚)ξ「ちょっとあんた達! 何寄ってたかってその人を囲んでるのよ!」」

垂れた眉の男性が何かを言おうとしたらそんな威勢の良い声が聞こえて来た。
何事かと思ってそちらを向いてみると、
金色に染めた髪を縦に巻いた、ツリ目の女性がこちらを見ていた。
女の私から見てもなかなかの美人だと思ったよ。

ξ#゚⊿゚)ξ「ちょっとブーン! いないと思ったら三人してその女の人に何してんのよ!?」

(; ^ω^)「お…お…ちょっと待つおツン……別に話を聞かせて貰っているだけだお………」

この怒鳴り込んできた女性はツンと言う名前…なのか?
そしてこのぽっちゃりした男性はブーンと言う名前…か?
それとも二人共あだ名か?

从'ー'从「ふぇぇ〜ツンちゃん。その人が困ってるからまずはお話を聞こうよ〜」

なんかまた増えた。
今度はフワフワした感じの茶髪の女性が来た。
……一部分が私よりもデカいとわかるぐらいデカい。
……………クソウ

ξ;゚⊿゚)ξ「そ……それもそうね」

ξ゚⊿゚)ξ「コホン。失礼したわ。大丈夫? こいつらに何かされてない?」

ふむ? 彼女は私を心配して来てくれたのか?
別にこの位なんでも無いのだが、正義感が強いのか?

13 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:27:45 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「うむ。別に何もされてはいないぞ」

(; ^ω^)「そ…そうだお。ツン。ボク達はちょっとこの人にさっきの発表について聞いていたんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「さっきのって…」

ξ;゚⊿゚)ξ「あっ! あなたドクオと一緒に発表していた人ね!」

このツンと呼ばれた女性は鬱田君と知り合いなんだな。
と言う事は他の四人とも面識はあるのか?

川 ゚ -゚)「ああ。素直空と言う」

取りあえず名乗っておいた。
別に仲良くしよとは思ってなかったのだが名前がわからないと面倒だからな。

ξ;゚⊿゚)ξ「あ…ああ。ごめんなさい。名前を言ってなかったわね」

ξ゚⊿゚)ξ「あたしは津出麗華って言うの」

从'ー'从「ワタシは渡辺綾香って言うのよろしくね〜」

( ^ω^)「ボクは内藤ホライゾンだお。よろしくだお」

(´・ω・`)「僕は垂眉諸歩って言う者です。よかったらよろしくお願いします」

それぞれ名前を名乗ってくれたのだが、
ツンと言うのはあだ名だろうと言うのはわかったが……
ホライゾンと言う名前は彼はハーフなのか?

川 ゚ -゚)「よろしく。しかし、内藤君の名はホライゾンと言のか。ハーフなのか?」

私の言葉で内藤君と私以外がドッと笑い出した。
何かおかしな事を言ってしまっただろうか?

ξ゚ー゚)ξ「違う違う。ブーンの名前は地平線って書いてホライゾンって読むの。ハーフじゃないわよ」

( ^ω^)「よく間違えられるお」

何と随分と珍しい名前を付けられたものだな。
…しかし何故それがブーンと言うあだ名になるんだ?
気になって聞いてみたところ……

ξ゚ー゚)ξ「昔、こいつがブーンって両手を広げながら走ってたからそんなあだ名が付けられたのよ」

子供のころのあだ名は適当な物が多いからな。
それを大人になってまで呼ばれるのはそれ程仲が良いという事だな。

14 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:28:39 ID:nh13zq7M0
(´・ω・`)「悪いんだけど、話を戻させてもらっても良いかな?」

おっと随分と脱線してしまった。
彼が何かを言おうとして津出さんが乱入して来たからな。

ξ゚⊿゚)ξ「そうだった! それで、素直さんを囲って何やってたのよ!?」

(´・ω・`)「さっきも言ったけど、ドクオ達の発表があまりにも酷かったから理由を聞いていたんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「それで理由は何だったのよ?」

さっき説明した事を新しく来た二人にも同じようにした。
そしたら津出さんがもの凄く激怒した。

ξ#゚⊿゚)ξ「はぁ!? 何その下らない理由!! 巻き込まれた二人が迷惑なだけじゃないの!!」

(;'A`)「いや…纏められなかった俺も悪いわけで……」

さっきまでずっと黙っていた鬱田君がおずおずと自分が悪いみたいな事を言うと、
四人が別に悪くない。
と言い切ってくれていた。

……いい友達なんだな。

そんな仲の良い五人の輪を乱すのも悪いなと思い話を切り上げ帰ろうとしたら

从'ー'从「あれれ〜もう帰っちゃうの〜?」

川 ゚ -゚)「うむ」

ξ゚⊿゚)ξ「素直さん。この後予定ある?」

別に予定があって帰ろうとした訳では無く、
ただ仲の良い彼らの間に他人の私がいるのもどうかと思っただけなのがな……

15 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:29:11 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「いや、特には……」

ξ゚⊿゚)ξ「だったら、この後みんなで何処かに行かない?」

川 ;゚ -゚)「しかしだな……」

ξ゚⊿゚)ξ「いいじゃない。別に予定は無いんでしょ?」

う〜む…思っていたよりも強引な性格をしているんだな……
気が強い事は最初から分かってはいたが……
さて、誘ってくれるのは嬉しいがどうしたものかな?

(;'A`)「つ…ツン。素直さんが困ってるじゃないか。」

ξ;゚⊿゚)ξ「あれ? 困らせちゃった?」

川 ;゚ -゚)「困った……という訳では無いのだが……」

(´・ω・`)「ん…あれかな? 僕達に遠慮してるのかな?」

垂眉君に考えていた事を当てられ少なからず動揺してしまった。
…これでもポーカーフェイスには自信があるのだが、そんなに分かりやすい態度をとっていただろうか?

ξ;゚⊿゚)ξ「なんで遠慮なんかするのよ?」

(´・ω・`)「そりゃあいきなり仲良し五人組が現れて一緒に行きましょ。
     なんて言われても遠慮するでしょ普通」

ξ゚⊿゚)ξ「なんだ。そんな事気にしてたの。素直さんと仲良くなりたいのよ」

(;'A`)「いきなり言われても困ると思うんだけど……」

('A`)「後、多分だけど、大学に入ってすぐに口説かれたものだから、男の俺達がいると警戒しちゃうんじゃないか?」

別に最初からみんなに対しては特に警戒はしていないのだが、
口を出すとまた話が脱線しそうだから黙っていよう。

从'ー'从「ふぇぇ〜大丈夫だよ〜」

从'ー'从「ドクオ君以外はみんな恋人がいるから〜」

川 ゚ -゚)「そうなのか?」

(;'A`)「残念ながら……」

ふむ。だとしたら、女性としての危険は減ったと考えても良いのかな?

16 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:29:45 ID:nh13zq7M0
…そうだな。折角誘ってくれているんだ。断るのも失礼だ。
学生の内の友人は大切にしろとよく聞くからな。
仲良くしておいてもいいだろう。
寂しい大学生活を送りたくはないしな。

川 ゚ -゚)「有り難い事に、熱心に誘ってくれているんだ。私も一緒に連れて行って貰おうかな」

ξ*゚⊿゚)ξ「そう来なくっちゃ!」

川 ゚ -゚)「まあ、つまらない女かもしれないが、よろしく頼む津出さん」

ξ゚⊿゚)ξ「ううん。あたしの事はツンって呼んで。友達にはそう呼んで貰ってるから」

川 ゚ ー゚)「そうか。よろしくツン」

ξ゚ー゚)ξ「こっちこそ」

( ^ω^)「ボクはブーンって呼んでくれお!」

(´・ω・`)「じゃあ、僕はショボンで」

从'ー'从「ワタシは好きに呼んでね〜」

(;'A`)「お…俺も好きに呼んでください」

ふむ? 鬱田君だけは距離があるのか?
一番最初に知り合ったから、少しは距離を縮んでるとは思ったのだが。

( ^ω^)「ドクオの事はドクオって呼んであげてお」

川 ゚ -゚)「よろしく頼むドクオ君」

(´・ω・`)「別に君付けしなくていいよ。ドクオはただ女性にあんまり免疫がなくて上がってるだけだから」

从'ー'从「ワタシと初めて会った時もこんな感じだったもんね〜」

(´・ω・`)「まあ、素直さん美人だもんね」

ξ゚⊿゚)ξ「全くよね。女のあたしから見てもかなりの美人だわ」

川 ゚ ー゚)「ありがとう。二人だって美人だけどな」

ξ*゚⊿゚)ξ「あ…ありがと」

从^ー^从「ありがとね〜」

皆して容姿を褒めるという変な状況になってしまったが、悪い気はしないので良しとしよう。

17 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:31:26 ID:nh13zq7M0
( ^ω^)「ドクオも美人と一緒のグループになったって喜んでたおね」

(;*'A`)「ぶ…ブーン!」

川 ゚ ー゚)「ふふ。まあ、容姿を褒められて悪い気はしないさ」

まあ、人を見た眼でしか判断しない奴には興味はないがな。

ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、素直さんにも何かあだ名とかないの?」

川 ゚ -゚)「別に特にこれと言ったものはないな」

( ^ω^)「それじゃあ、空って名前でクールな美人さんだから、略してクーって呼ぶお!」

クールね…
昔はよく冷めただの無表情だの言われていたからそんな風に言われるとはな。

ξ゚⊿゚)ξ「いいじゃない。じゃあ、今からクーって呼ばせてもらうわね!」

川 ゚ ー゚)「ああ。よろしく」

ξ゚⊿゚)ξ「それじゃ、そろそろ移動しましょ!」

(* ^ω^)「最初はみんなでご飯を食べようお! 仲良くなるには一緒に食べるのが一番だお!」

(´・ω・`)「いいね。それじゃ近くをちょっと探してみようか」

从;'ー'从「あれれ〜学食に行かないのかな〜?」

発表は散々だったが、それはむしろ良かったのかもしれないな。
失敗したおかげで彼女らと出会えたのだから。
怪我の功名とはよく言ったものだ。

18 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:32:11 ID:nh13zq7M0
(;'A`)「す…素直さん」

川 ゚ -゚)「クーでいいぞ」

(;'A`)「クー……さん」

川 ゚ -゚)「さんもいらないよ」

(;'A`)「良かったの? 迷惑じゃないかな?」

川 ゚ ー゚)「大丈夫さ。むしろ助かっているくらいさ」

('A`)「どうして?」

川 ゚ -゚)「入ってすぐに素敵な友人が五人も出来たんだ。
     大学には一人で入ったから正直心細い所もあったからな」

('A`)「そうだったんだ…」

川 ゚ ー゚)「ああ。だから、これからよろしく頼むよドクオ」

('∀`)「こちらこそよろしく……クー」

これが私とドクオ、そしてツン達との出会いだった。

ドクオも最初はこんな感じでな、私に遠慮していると言うか、気を使ってる感じだったんだ。
私もこの時は別にドクオの事を特にどうとは思ってはいなかったのさ。
ただ、グループが一緒だっただけ。
そして少し頭が良い真面目な人と言う印象しかなかったのさ。

しかし、これが運命と言うものだったのだな。
私が彼と出会う。
これこそが、私にとって最高の運命と言う事だったのだ!

残念ながらこの時の私はそんな事は知りもしなかったがな。

19 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:32:36 ID:nh13zq7M0















ドクオ達と仲良くなりしばらく経った。
彼らがいつ知り合ったのか聞いてみたところ、
ツンとブーンが幼馴染で子供の頃からの関係で、
そこからショボンとワタナベが中学の時に知り合い、
最後に高校でドクオと出会ったという訳だ。

20 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:33:06 ID:nh13zq7M0
因みに今は実家暮らしなのか一人暮らしなのか聞いたら、
ツンとワタナベとブーンが実家暮らしでショボンとドクオが一人暮らしと言う事だった。

実家暮らしの三人は近くに家があるわけでは無いのだが、女の一人暮らしは危険だからと親に反対されたらしく渋々実家から通っているらしい。
私は別に危険だのなんだので反対はされなかったのだがな………
まあいい。
それでブーンはツンが実家から通うなら自分も一緒に通うという事で実家にしたらしい。
まあ、私にはわからなかったが、恋人とはなるべく一緒にいたいものなのだろうな。

…ん? 言ってなかったか?
ブーンとツンは恋人同士だぞ。
ショボンとワタナベにもそれぞれ違う大学に行った恋人がいるらしい。
因みにドクオはいないらしい。
勿体無いと思わないか?

私?
私の事は前に言っただろう?

……うるさいな。どうせ私は恋人いない歴=年齢だよ。
いいんだよ。
素敵な人に出会ったのだから気にする事は無いんだよ。

正直に言えば最初は、ドクオの事なんて別に何とも思っていなかったんだ。
ただ、今まで会った男とは違うような気がした。
私に近寄って来る男なんて外面だけ取り繕った中身のない男ばかりだったからな。

……もしかしたら違う奴もいたのかもしれないが、そんな事はもうどうでいい。
過ぎ去った事を振り返ってもきりがないからな。

だがまあ、そう言った奴は大学に行っても沸くものでな。
結構また変な男が近寄ってくるものだからどう対応しようか迷っていたんだ。

あいにく今までは頼れる男友達というものが存在しなくてな、誰かに恋人のフリをしてくれなんて事は頼めなかったんだ。
大学に入ってやっと出来たあの三人が初めての男友達という訳さ。
彼らに頼んでもよかったのだが、仲の良い彼らに亀裂が入ってしまう可能性もあったから、遠慮していたんだ。

21 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:33:30 ID:nh13zq7M0
よく言うだろう?
恋人が他の異性と仲良くしているのを見て勘違いして仲が悪くなってしまうと言う事を。
恋は盲目とはよく言ったものでな、自分の恋人には異性とは仲良くして欲しくないのだよ自分だけを見て欲しいものなのだよ。

私は知らなかったがな!

しかしまあ、中にはしつこい男もいてだな……あんまりにもしつこいものだからキツイ言葉をおみまいしてやった訳だ。

そしたらそいつが激高してしまってな、掴みかかられて殴られそうになった訳だ。
全く下らない男だ、顔が良いだけで女がついて行くと勘違いしている典型的な男だったよ。
私も黙って殴られてやる性格じゃあないんでね、抵抗しようとしたら救世主が現れたってわけだ。
まさかそんなドラマチックな展開が私に起こるとは思わなかったよ。

「その手を放せ!!」

誰が来たって?

……そんなの分かり切っているだろう?

「なんだてめえは?」

(#'A`)「その人の友人だ!!」

22 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:34:25 ID:nh13zq7M0
そう、ドクオさ。
正直意外だったよ。
私が出会った男はこういう場面に出くわすと見て見ぬふりをして関わろうとしなかったからな。
だから誰かが止めに入るなんて毛ほども思っていなかったのさ。

「はぁ? 友人つってもただの他人だろ。わざわざ痛い目にあいたいのかよ」

(#'A`)「他人じゃない! 友人だって言ってるだろ!!」

ドクオは決して体格がいい方では無い。
多分喧嘩もほとんどした事が無いのだろう。
だから本当は怖かったんじゃなかったのかな。

「はん。女の前だからってかっこつけてんじゃねぇよ!」

私の胸倉から手を放し、ドクオの元へ歩いて行く。
ドクオはそいつから目を逸らさずに真っすぐ見据えていた。

しかし、よく見ると少し震えているようだった。

「おいおい。ビビってんのか? 勇ましく出て来た割には情けない奴だ…な!」

(;゚A゚)「がっ!」

川 ;゚ -゚)「ドクオ!!」

その糞野郎が私のドクオの顔面を殴り付けやがったんだ!

…え? 私のじゃないって?

……話を続けるぞ!!

その時の私は色々な感情が湧き出て来た。
ドクオが殴られた事への驚き、殴った野郎への怒り、私のせいでドクオが殴られてしまった事への悲しみ。
だが、一番大きくなったのは怒りだった。

川 #゚ -゚)「お前!!!!」

「なんだ怒ったのか? こんな情けない奴のどこが良いんだ? 俺だったらお前を満足させてやれるぜ?」

私の体をなめまわすように見てくる。
こんな屑なんかに私の友人が殴られたというのか?
私がさっさとしていれば殴られる必要なんてなかったんじゃないか?

「なんだ? 友達が殴られるのを見てビビっちまったか?
 だったら俺が優しく慰めてやるよ」

23 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:35:11 ID:nh13zq7M0
下種な顔をしながら私に近づいてくる。
この時私は初めての感情に驚いていた。
友人とは言え他人の為にここまで怒りを覚えたのは初めてだったからだ。
だから、思わず口を開いていた。

川 #゚ -゚)「女を暴力で支配出来ると思っているとか哀れな男だな」

「ああ!?」

私の言葉で怒ったのか顔を真っ赤にして醜く歪ませる。

川 ゚ -゚)「暴力に頼らなければ女を手にする事が出来ないなんて浅ましい男だな」

「殴られなきゃわかんねえのか!!?」

川 ゚ -゚)「何をだ?」

川 ゚ -゚)「自分が情けない男だという事か?
それとも女を性処理の道具にしか見ていないという猿みたいな男だという事か?
     色んな女がいつでも自分の傍にいるって事を見せびらかしたい下らないプライドを持っている事か?
     それに……」

怒りのままにこいつへの暴言を言い続けていると、ドクオが止めに入った。

(;'A`)「止めるんだクー!」

私のせいで理不尽に殴られたというのに私を心配してくれるのか。
君は優しいんだな。

川 ゚ -゚)「心配するなドクオ。私はこんな男なんかに屈するつもりは無い」

それにこいつにもう触れてやられる気もない。
さっき触られた事だって非常に不愉快だ。

「だったらお望み通り殴ってやるよ!!」

今までだってこんな男に出会った事はよくある。
だから、こいつに殴られてやる道理はない。

逆に私がこいつを殴ってやろうとしたその時

(#´・ω・`)「そこで何をしている!」

(; ^ω^)「ドクオ! 大丈夫かお!?」

私達の友人がやって来た。

24 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:36:07 ID:nh13zq7M0
「ちっ!」

人が来た事で不利になったと思ったのか、逃げ出そうと私を突き飛ばし走り出そうとした。

だが、私はこいつを逃がすつもりは無い。

突き飛ばそうとした手を避け、走り出そうとした足を払う

「うわっ!?」

情けない声をあげ、転ぶ。

倒れた男のその頭にむかって思いっきり踏みつける。

「てめえ何すんだ!!」

私に踏みつけられた事がプライドが許せなかったのか怒声をあげる。
しかし、そんな程度に驚く事も怯える事も無い私は無言でもう一度その出来の悪い頭を踏みつける。

「てめえはぜってえ許さねえ!!」

許さない?
許さないだって?

川 - )「それは、こっちのセリフだ」

自分でも驚く程冷たい声を発していた。
頭の冷静な部分で私はこんな声を出せるのかと思ってたりした。

川 - )「お前は私の大事な友人を傷つけた。それが許される事だと思っているのか?」

川 - )「お前がどうなろうが知った事ではないが、ドクオを殴った事、必ず後悔させてやる…」

(;´・ω・`)「ちょ…ちょっとクー……」

こんな頭もう必要ないだろうと、このまま潰してしまった方が世の為だろうと思い段々と体重をかけていたらショボンに止められた。

(;´・ω・`)「これ以上やると大怪我じゃすまないからやめなって」

川 ゚ -゚)「こんな奴が大怪我しようが知った事ではない」

(; ^ω^)「クー! ダメだお!!」

ショボンとブーンが二人掛かりで止めてくるが足に込める力を緩めるつもりは無い。
二人だって大事な友人を傷つられたんだ。怒っているだろう。

そのまま怒りに身を任せているともう一人止めに入って来た人がいた。

25 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:36:38 ID:nh13zq7M0
('A`)「クー。もうやめなって」

その言葉で力を抜いてしまう。

その隙に糞野郎が立ち上がり逃げ出してしまった。

「絶対にてめえら許さないからな!!!」

そんな捨て台詞を残しながら。

だが、そんな事はどうでもいい。
今はドクオが殴られた傷の具合が心配だ!

川 ;゚ -゚)「大丈夫かドクオ! 殴られた場所は痛むか!?」

顔に手を当て傷の具合を確かめる。

(;'A`)「だ…大丈夫だって。そんなに痛まないし…」

川 ;゚ -゚)「何!? 痛むのか!?」

何という事だ!!
あの野郎……許すわけにはいかないようだな……!!

(;´・ω・`)「ま…まあまあ、クー。殴られた場所を触ったら余計痛むから取りあえず手を放しなって」

川 ;゚ -゚)「あ…」

ショボンの言葉で冷静になり、手を放す。

川 ;゚ -゚)「すまない…冷静さを失っていたようだ…」

('A`)「心配してくれてるのがよく分かったから気にしてないよ」

一旦落ち着く為に深呼吸をする。

…ふぅ。落ち着いた……

(; ^ω^)「それにしてもクーがあそこまで怒るなんて驚いたお」

川 ゚ -゚)「うむ……私も驚きだ」

今までは誰かの為……と言うよりも自分の為にもあそこまで怒った事は無かった。
何故だろうか?
……その時はわからなかった。

26 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:37:46 ID:nh13zq7M0
(´・ω・`)「それで、どうしてこんな事になったの?」

取りあえず一番冷静なショボンが場を纏める為に私に事情を聞いて来た。
簡単に今まで起こった事を説明し、疑問に思った事を聞いてみた。

川 ゚ -゚)「なあ、なんでドクオはここに来たんだ?」

(;'A`)「え…いや…それは……」

何故か、しどろもどろになり答え難そうな顔をしていた。
…なにか聞いてはいけない事を聞いてしまったのだろうか?

( ^ω^)「簡単だお。ドクオがトイレに行ったらたまたま出くわしただけだお」

川 ゚ -゚)「そうなのか?」

('A`)「うん…三人でいた時にちょっとトイレに行きたくなってね、トイレから出て来た所でクーが変なのにからまれてるから何とかしようとしたんだけど……」

(´・ω・`)「殴られちゃったと?」

(;'A`)「まあ……」

別に恥ずかしがる事では無いと思うがな。
トイレなんて誰だって行くんだし。

川 ゚ -゚)「それにしてもよく私を助ける気になんてなったな。
     私が出会った男なんて大抵こういう場合助けようなんてしなかったぞ?」

その言葉にドクオはしばらく考え込んでしまった。
助けた理由を纏めているのだろう。
ショボンとブーンは自分達は何も言う事は無い。と言った感じにドクオが喋るのを待っている。
私も急かさず黙って待っている。

('A`)「……俺はクーだから助けに行ったんだ」

嬉しい事を言ってくれる。
だが口に出すと茶化しているように感じさせてしまうだろうから黙っている。

('A`)「俺は、別に正義感が強いわけじゃないけど、友達が困ってたら助けてあげたいんだ」

他人が困ってたら助けるかどうかはわからないけど……
と小さく呟いていた。

(;'A`)「でも、勇ましく出て行ったけど何にも出来なくて殴られて終わっちゃったけどな……」

(;'∀`)「クーにはカッコ悪いとこ見せちゃったな……」

そう言って自嘲気味に笑う。

しかし、その言葉は流す事は出来ないな。

27 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:38:12 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「何がカッコ悪いものか」

川 ゚ ー゚)「君は私を助けに来てくれた。そんな姿がカッコ悪い訳が無いだろう?」

自然と笑みが零れていた。
異性にこんな顔をするなんて初めてだったんだ。
そしたらドクオが顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。
…何かまずかっただろうか?

(;*'A`)「で…でも、結果的にクーだけで何とか出来たんじゃないかな?」

川 ゚ -゚)「何を言っている」

川 ゚ ー゚)「確かに何とか出来ただろうが、私だって女だ。誰かに守って貰って嬉しくない訳が無いだろう?」

('A`)「そうなんだ……」

川 ゚ -゚)「なんだ? 私は男を目の敵にしているめんどくさい女だとでも思ってたのか?」

(;'A`)「いやいや……そんな事!」

何故だか彼をからかうのが楽しくてついイジワルな言葉が口から出てしまったのだ。
そんな事をしていると蚊帳の外にいた二人が

(´・ω・`)「……二人の世界に入るのも良いけど、まずは移動しよう」

( ^ω^)「そうだお。ここにいるとまた変な奴が寄ってくるかもしれないお」

移動を持ちかけられたのでまずはこの場を離れる事にする。

……それにしても誰かが私を助けてくれるのがこんなにうれしい事だったなんて、知らなかった。
いつも一人で何とかしてきてたから、初めての経験だったんだ。


この時から私はドクオの事が気になりだしたんだ。
簡単な女と思われるかもしれないが、私にはこういう男と出会うのは初めてだったから気になってしまったんだ。
だから、つい彼を目で追ってしまったり、彼の事を知ろうとあれこれ手を尽くしたものさ。
それが恋と呼ばれるモノだと気が付くのはもう少し先の話だがな。


ドクオを殴った男はどうなったかだって?
………世の中には知る必要が無い事が沢山あるんだ。
だがあえて言うとすれば、もう二度と私達の前に現れる事は無いだろうな。

28 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:38:52 ID:nh13zq7M0





















.

29 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:39:17 ID:nh13zq7M0
ξ゚⊿゚)ξ「へぇ。そんな事があったの」

从;'ー'从「ふぇぇ〜大変だったんだね〜」

川 ゚ -゚)「ああ。いい迷惑だったよ」

今、私達は大学の近くにあるファミレスにいる。
女子三人で仲良く話をしている、所謂女子会と言うものだ。

それで、折角だから大学に入ってからの事を話題にしているところだ。
ツンとワタナベの話が終わり、何か話題はないかなと考えてたところ前のドクオの雄姿を思い出したので二人にも知ってもらおうと思ったのだ。

ξ-⊿-)ξ=3「あんたもよく変な男がよりついてくるわね」

川 ゚ -゚)「何故だか知らんが、な」

川 - -)=3「私は男運が無いのだろうかな?」

从'ー'从「そんな事は無いよ〜だってドクオ君は違ったんでしょ?」

そう。ドクオは今まで会った男とは全く違う。
最初は何とも思っていなかったが、仲良くなってみればなかなかいい男じゃないか。
他人の為に体を張る人なんてそうはいない。
漫画やアニメの世界だったら主人公がカッコつけて弱者を助けるなんて事はよくあるが、現実はそうはいかない。
誰しも自分が一番かわいいものさ。
だからドクオの行動には本当に驚かされた。
彼だって怖かっただろうに私の為に体を張って守ってくれたんだ。

そう私の為にな!

物語のヒロインが守ってくれる男に簡単に好意を抱く理由が少しわかったような気がする。
だが、これはまだ恋ではない……と思う。
ただ今まで出会った事の無い男に出会ったから気になっているんだ。

彼の事をもっと知りたいと、そう思い始めたんだ。
どんな些細な事でも良い。
彼につながる事ならなんだっていい。

30 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:40:03 ID:nh13zq7M0
……気になる人を知りたいなんて普通の感情だろう?
よく知りもしない人をいきなり好きです。だなんて思わないからな私は
やはり深く知ってから、もしも私が彼の事を……になったら、彼の好みの女になる為に努力しなくてはならないからな。

……それこそ他の女に目がいかなくなるぐらい夢中になるぐらいのな。

そして、もしも…もしもだが、私が恋人になったのなら全てを受け入れてあげたい。
どんな事だろうと全てを。

だから、私に全てをさらけ出せるように、相手の事を深く…深く知る必要があるのだ。

……まあ、それは私にもしも恋人が出来たらの話だがな。

…………まずは知ろう。彼がどんな男なのかを。
そして考えよう。私の全てを捧げてもいいのかを。

だからまずはこの二人から聞き出そう。

彼の事を

川 ゚ -゚)「それで、疑問に思ったんだが、ドクオは昔からそんな事をする男だったのか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「う〜ん……昔って言っても、あたし達がドクオに会ったの高校に入ってからだからね〜」

从'ー'从「初めて会った時は頼りなさそうな感じだったよね〜」

確かにがっしりした体系ではなくひょろひょろした体系だから、第一印象で頼りになるとは思えないな。
別におどおどしているわけでは無いのだがな。
背はそれなりにあるのに筋肉があまり無いのだろうか?

ふむ……

31 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:40:34 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「じゃあ、高校の時は何か面倒事に首を突っ込みたがる性格だったのか?」

二人はしばらく黙って考えこんでいる。
そこまで遠い過去という訳でもないが、三年間もあったのだ思い出すにも少し時間が掛かるのだろう。

待ってる間、急かす事をせずゆっくりと飲み物を口にする。

二人はうんうん唸りながら必死で思い出そうとしてくれている。

ξ゚⊿゚)ξ「そんな事はなかったわね」

从'ー'从「だね〜むしろ目立たない感じだったと思うよ」

川 ゚ -゚)「ふむ…」

じゃあ、やはりあの時言った言葉は嘘ではなかったという事だな。

…………私だから助けに来てくれた、か。

私だからか。

ふふふふふ……まさかそんな言葉を聞くことになるなんて思ってもみなかったな。
いざ言われてみるとなかなか嬉しいじゃないか。
ついつい何度も思い返してしまうな。

惜しむべきなのは、その時録音する機械を持っていなかったのと、そんな事を思いもしなかった自分自身だな。
ああいう下らない男に出会うのはただ迷惑なだけだが、守ってくれる人が来るのなら悪くないと思える……か?
いや…やはり、ダメだな。うむ。
また殴られでもしたら、彼が傷ついてしまう。
それは非常によろしくない。

だが、今度はさりげなく頼ってみるのもいいかもしれないな。ふふ…

ξ*゚⊿゚)ξ「それにしてもドクオが一人で助けに来てくれたんでしょ〜」

川 ゚ ー゚)「そうだな」

从*'ー'从「素敵だよね〜」

やはり二人も女子という訳だ。
そう言う事には憧れがあるのだろう。

私は別に憧れては無かったがな。
男なんて大体似たようなものだと思ってたしな。

川 ゚ -゚)「それで他にも聞きたい事があるのだが……」

と言った所で二人が何故かニヤニヤしている事に気が付いた。

…私が何かやらかしてしまったのだろうか?

32 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:41:17 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「どうした? 二人共ニヤニヤして」

从*'ー'从「クーちゃんさ〜」

川 ゚ -゚)「うん?」

ξ*゚ー゚)ξ「ドクオに惚れちゃった?」

……これは答えにくい質問が来てしまったな。
惚れた…とまでは行かないが、気になっているのは確かだ。
まあ、普通あんなドラマチックに誰かが助けに来るなんて無いからな、
それでドクオの事を聞こうとすればそう思われても当然か。

だから私はこう言おう

川 ゚ -゚)「まだ…惚れれはいない…が、気になってはいる」

これが今の私の本心だ。
決して誤魔化しているわけでは無く、嘘をついているわけでも無い。

从^ー^从「そっか〜」

川 ゚ -゚)「だから、悪いんだがドクオについて教えてくれないかな?
     どういう人なのか、私は異性をそんな風に気になるのは初めての経験なのでな……
     いまいちどうすればいいのかよくわからないのだ」

ξ゚ー゚)ξ「じゃあ、クーに協力してあげないとね。もしもどうすればいいか分かったら、あたしも協力してあげる」

从^ー^从「ワタシも頑張るよ〜!」

川 ゚ ー゚)「ありがとう。その時はよろしく頼む」

33 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:42:00 ID:nh13zq7M0
こうして私は二人にドクオの事を少しだけ教えて貰ったのだ。
基本的には私が知らない彼の高校時代の事、
私がいなかった時はどこに遊びに行っていたのか、
得意科目はどうだったのか、
どういった女に目を奪われていたのか、
どんな所に住んでいたのか……

まずは知らなければならない。
本人ではないから知らない事も沢山あるだろう。
しかし、他人だからこそ知っている部分もある。
だからまずは私と彼の友人達から話を聞いて、もっと気になるようだったら彼にも少しづつ聞いて行こう。

そして、さり気なく私の事も知って行って貰おう。
そうして私が彼をそう言う目で見るようになってしまったならその時は………

ああ…なんてもどかしいのだろうな、
自分の気持ちがよくわからないなんて…

……いや、もうわかっているのだろうか。

しかし、こんな気持ちは初めてだから大事にしていきたいんだ。
もしも実らなかったとしたらその時は………

我ながら支離滅裂な考えをしているな、少し落ち着くとしよう……























.

34 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:42:41 ID:nh13zq7M0
それからと言うもの私はさり気なくドクオの傍にいるようになった。
偶然にも彼と同じ講義を取り、彼の横の席に座り声をかける。
そしてたまたま食事の時間が被ったので二人で一緒に食べに行ったり、
二人以上いなければならない課題の時はドクオをまず誘っていたな。

何?
そんな偶然があり得るのかだと?

…そうだな。偶然がいくつも重なれば必然になるという言葉もある。
だからこれは必然だったのだな。

……何もおかしな事は無いだろう?

たまたま偶然が重なり必然になってしまった。
これは運命と言う可能性も出てくるのではなかろうか。

私がドクオの傍にいなくてはならないという運命と

そして、ドクオが私の傍にいなくてはならない運命だという事が。

そう。私は彼に惹かれていたのだ。
彼の事を知れば知るほど惹かれていき、
もっともっと彼を知りたくなっていったのだ。

だが、一方的に知って行っても意味が無い。意味が無いのだ。
互いの事を深く、より深く知って行かなければ、な。

一方的な思いはダメなんだ。
互いを思うからこそ美しく、長く続くんだ。
片方が思い続けてたって、ダメなんだ。
それじゃあ気が付かれない場合もあるし、気づいたとしても他の人を思ってしまっている可能性もあるのだから……

だから、他の人に奪われないためにもその人の好みを知り、そして好かれるように努力するのさ。

…何? それじゃあ相手を騙しているのではないのかだと?

人は演じながら生きていく生物だ。
誰にだって見せたくない自分があるだろう?

まあ、そんなに演じなければならない相手なら疲れてしまうかもな……

別にありのままの自分でいれる相手を探せとまでは言わないが、一緒にいて疲れないぐらいの相手が一番だろうな。

うん? 力説している私は彼と一緒にいて演じているか、もしくは疲れないのかだと?

………馬鹿な事を言う。
私は彼の前では素直な自分でいる…つもりだ。

35 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:43:20 ID:nh13zq7M0
そう。だからこそ彼と一緒にいたり、彼と一緒に食事をしたり………
嫌いな相手には絶対にそんな事はしない。
彼だってそうだと思う。
……少なくとも嫌われてはいないはずだ………

しかし、彼は優しいからな………ううむ……………

ええい! 考えていても埒が明かん!!
もしも彼が優しいから私と一緒にいるのなら、
彼も私と一緒にいたいと思わせればいいだけだ!!

その為にはどんな事だってして見せよう!

そうどんな事だってな………


だが、一つここで問題が出来てしまったのだ。

それはな……さっきも言ったが彼は優しいのでな、もし……もしもだが、私から一緒になって欲しいと言ったら彼は受け入れてくれるだろうという事だ。
しかし、それではダメなんだ……
何故かって?
もしも……もしも彼が私を悲しませたくないと思って同情で一緒になっても良いと考えていたらアウトなんだ。
同情で一緒になったって長続きしないだろうな。

……いや、まあ、私が経験した訳では無いのだがな………

私としては、同情ではイヤなんだ。
だからこそ考えた。どうすればいいのかを

そして私が出した答えは彼の方から一緒になって欲しいと言わせることだった。

誰だって自分から思いを伝えるのは難しいと思う。
もし、受け入れて貰えなかったら?
もし、他に想い人がいたのなら?

誰だって人の心の中は分からないものさ。
だからこそリスクを冒してでもやらなければならない時がある。
しかし、リスクを小さくする方法がある。

そう。自分がその人の事を好んでいるとアピールすればいいのだ。
そうすれば互いの思いが一致した時、リスクが小さくなる場合もある。

36 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:43:44 ID:nh13zq7M0
しかし、アピールにも色々あるからな、私の場合はあまりガツガツせずにさり気なくやって行っているのだ。
さり気なくさり気なく、気づいたら私が傍にいる。
私が傍にいて当り前だと。
周りから見ればあの二人っていつも一緒にいるなと思わせる程にな。

そう。外堀を埋めていけばいいのさ。
そして誰かがドクオに私と付き合っているのかと聞き、その時は否定しながらも、

そう言えばいつも一緒にいるよな……当り前だと思ってた。でもそれって大学にいる間だけなんじゃないかな……
もしも卒業したら会えなくなってしまうかも……そしたら…寂しいな…………
と思わせれば後一押しだ。
そこで私がさり気なく卒業したらこうして一緒にいられなくなるなと言い寂しそうな顔をすれば、
ドクオも私と同じ気持ちだと気が付く。
そして自分には私以外の女がよりつかなかったと思わせ、ここで別れたらもうチャンスは無いかもと思い、
私に告白する。

と言った流れだ。
どうだ完璧だろう?

……何? 穴だらけだって?
そもそもアピールが細かすぎてわからないだろって?
第一女性とは社会に出てからも出会おうと思えば出会えるだと?

……だったら、私がドクオにとってかけがえのない最高の女だとわからせればいいだけだ!
そして、ドクオから私にプロポーズをさせる!!

………さっきより飛躍しているのではないかだと?

いいんだ。目標は高い方がやる気か出るんだ私は

まあ、見ていろ。
私はドクオを誰にも渡すつもりは無い。

37 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:44:39 ID:nh13zq7M0














カレハワタシダケノモノダ






















.

38 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:45:10 ID:nh13zq7M0
今日は晴れの予報だったのに大雨が降ってるではないか。
う〜む…物凄いどしゃ降りだな……
いくら梅雨の時期とはいえ、これは傘を差しても足元がかなり濡れそうだな。

まあ、文句言っても仕方ない、か
帰るとしよう。
今日の講義は友人内で取ってるのは私一人だけだから、待っていても誰も来ないしな。







…ん? あの後ろ姿は……

川 ゚ -゚)「どうしたドクオ? 入口に突っ立ていて」

('A`)「あ、クー。今から帰り?」

川 ;゚ -゚)「ああ。だが、これは凄い雨だな…」

そうやって二人で眺めていたのだが、流石にこのままでいると体が冷えてしまいそうだ。
だが、いくら待ってもドクオが傘を取り出し歩き出そうとしないのだが……
どうしたのだろうか?
何か不都合な事でもあるのだろうか?
まあ、聞いてみよう

川 ゚ -゚)「それで、帰らないのか?」

(;'A`)「うん…それが、今日は傘持って来てなくって……」

なるほど。だから何もせずにただ立っていたという訳か。
そして、今の言い方的に置き傘も無く、折り畳み傘も持って来てはいないという事か。

………何と言う事だろう。

私はちょうど一つだけ折り畳み傘が持っているのだ。

39 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:45:59 ID:nh13zq7M0
そう……これはチャンスではないか?
二人で一つの傘の下に入れという…!
そう!! 相合傘のチャンスだ!!!!
そしてゆくゆくは愛々傘なんて事も……!!

これは私達の愛を育むいい機会なのだ!!!
ならば話は簡単だ。
私が傘を持っているから入って行けばいいと言えば始まる!

川 ゚ -゚)「なんだ、そうだったのか」

そこで、カバンの中から折り畳み傘を取り出す。

川 ゚ -゚)「折り畳みなら一つあるんだが、どうだ?」

(;'A`)「どうって何が?」

言葉が足りなさ過ぎたか……
しかし、こういうのは女の私から誘うものなのか?

いや! 人として当り前の事だ!!
下心はちょっとしかない!!!

と言うか、ドクオは傘を持ってないから私から誘うのが当り前だろうが!
何もおかしい事は無い!!!

川 ;゚ -゚)「すまない言葉が足りなかったな……」

川 ゚ -゚)「君がイヤでは無いなら、私の傘に一緒に入らないか?」

(;゚A゚)「へ!?」

…固まってしまったな。
う〜む…そんなに意外だっただろうか?
それとも……やっぱりイヤなのだろうか…?
しかしもう言ってしまったのだ。
吐いた唾はのめ無いのだ。
やるしかない……!

40 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:47:27 ID:nh13zq7M0
川 - )「……私みたいな女なんかとは一緒に入るのはイヤか?」

ワザとらしくならないぐらいに顔を俯かせいかにもショックを受けているような雰囲気を醸し出す。
まだ、本当にはショックを受けてる訳では無いぞ?
断られたら、雨の中、傘を差さずに肩を落として一人寂しく濡れながら帰るさ…

(;'A`)「そんな! イヤだなんて!!」

焦っているというのは作戦は成功しているようだな。
ならばこのまま畳みかける!!

川 ゚ ー゚)「ならば構わないだろう?」

(;'A`)「いや…でも……」

う〜む…私と出会って一年以上に経ったのだが、まだ慣れてくれていないのだろうか……
こういう反応を見るのも楽しいのだが、友人なのだから遠慮しなくても良いのだな………
このままではなかなか進展しないではないか。

それは非常に困るのだがな……

川 ゚ -゚)「何を遠慮する必要がある? このまま待っていても止むとは限らんぞ?」

(;'A`)「だね…じゃあ、お願いしようかな」

よしよし。上手くいった。

さて…ここからが問題だ。
ドクオの家は歩いて帰れる距離だが、私は電車に乗らなければならない。
駅はそこまで遠く無いのだが、ドクオの家は駅からは遠いのだ。
先に私が駅に行ってしまってはドクオが濡れて帰る事になってしまう。
それはよろしくない。

……え? コンビニでも何処でもに寄ってビニール傘でも買えばいいだろうって?

………聞こえんな

仕方ない。私がドクオの家まで一緒に行くしか無い様だな。
別にみんなで一緒に行った事があるし、場所を知らない訳では無い。
ただ、二人だけで行った事は無いがな。
非常に残念な事に!

まあ、今そんな事を考えていても仕方あるまい。
まずは移動を開始しなくては

カバンから折り畳み出し広げる。

折り畳み傘だからなあまり大きくは無いのが難点だ。
しかし、今は小さい方が好都合だ。

41 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:48:14 ID:nh13zq7M0
何故かって?

……これならば自然に密着出来るではないか!!
腕を絡ませても良いのだが、流石にいきなりすぎるからやめておくべきだな……
今は肩と肩が触れ合う程度に、そして互いに濡れないように気を使いながら歩く。
何だか互いを意識してるけど一歩踏み出せない初々しい関係に見えるだろう?

川 ゚ ー゚)「さて、行こうか」

(;'A`)「お…お邪魔します」

川 ゚ ー゚)「いらっしゃい」

右手に傘を持ち、ドクオも右に入ってもらう。
だが、まだ遠慮しているのか、恥ずかしのか少し私から距離を取っている。

川 ゚ -゚)「ほら、ドクオ。それでは肩が濡れてしまうぞ。もっとこっちに来い」

(;'A`)「う…うん」

少しだけ…ほんの少しだけ私に近づいたが、これではさっきとあまり変わっていない。
だが、それでは私が満足出来ないのでさり気なくドクオに近づき傘にいれる。

川 ゚ -゚)「こんな雨なんだ、遠慮する事は無い。こんな事で風邪を引いても馬鹿らしいだろう?」

(;'A`)「そ…そうだね…」

そして、二人の距離が縮まり密着するような形になる。

ここでドクオが私に傘を持たせている事に気が付き自分が持つと言ってくれた。
うむうむ。ちゃんと気遣いが出来るではないか。
二人で他愛のない雑談をしながら歩いて行く。

これはさっきは初々しい関係に見えると思ったが、
どう見ても仲睦まじい恋人同士にしか見えないな。

…おっと。いかんいかん。頬が緩む所だった。
こう見えてもポーカーフェイスには自信があるんだ。表情を出し過ぎないようにしないとな。

さて、駅への分かれ道に来たがここでドクオを一人で返すつもりは無い。
このままドクオの家まで直行するんだ。

('A`)「それじゃ、俺こっちだから」

そう言って傘から出ようとするドクオの腕を掴む。

42 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:48:40 ID:nh13zq7M0
(;'A`)「どうしたの?」

川 ゚ -゚)「ドクオ…こんな雨の中に連れ出して私はこっちだからって放り出すほど冷たい女ではないぞ」

('A`)「と言うと?」

川 ゚ -゚)「このままドクオの家まで一緒に行こう」

(;'A`)「ええ!? いいって! そこまで付き合ってくれなくたって。
    それじゃあクーが帰るの遅くなっちゃうだろ」

川 ゚ -゚)「気にするな。大事な友人を私のせいで風邪を引かせるよりはよっぽどマシだ」

……いや、待てよ?
ドクオが風邪を引けば、お見舞いに行き私のせいなのだからと言ってそのまま看病の流れにする事も出来る?
そしてご飯を食べさせたり、体を拭くといった事も……!?

……待て待て。落ち着くんだ私!
確かにそれも捨てがたいが、ドクオが苦しむのは良くないな。
今回はそれはやめておこう……
普通にドクオが体調を崩したら、そうすればいいんだ。
わざわざ辛い目に遭わせる必要は無いだろう。

今は遠慮しているドクオを説き伏せてさっさと行くとしよう。

川 ゚ ー゚)「それにだ。人の好意は素直に受け取るものだろう?」

(;'A`)「そうだけどさ…」

川 ゚ ー゚)「なら決まりだ」

腕を引っ張り傘の中に入れてしまい歩き始める。
多少強引だが、ドクオは遠慮がちだからな。この位で丁度いいのだ。

43 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:50:37 ID:nh13zq7M0
(;'A`)「どうしたの?」

川 ゚ -゚)「ドクオ…こんな雨の中に連れ出して私はこっちだからって放り出すほど冷たい女ではないぞ」

('A`)「と言うと?」

川 ゚ -゚)「このままドクオの家まで一緒に行こう」

(;'A`)「ええ!? いいって! そこまで付き合ってくれなくたって。
    それじゃあクーが帰るの遅くなっちゃうだろ」

川 ゚ -゚)「気にするな。大事な友人を私のせいで風邪を引かせるよりはよっぽどマシだ」

……いや、待てよ?
ドクオが風邪を引けば、お見舞いに行き私のせいなのだからと言ってそのまま看病の流れにする事も出来る?
そしてご飯を食べさせたり、体を拭くといった事も……!?

……待て待て。落ち着くんだ私!
確かにそれも捨てがたいが、ドクオが苦しむのは良くないな。
今回はそれはやめておこう……
普通にドクオが体調を崩したら、そうすればいいんだ。
わざわざ辛い目に遭わせる必要は無いだろう。

今は遠慮しているドクオを説き伏せてさっさと行くとしよう。

川 ゚ ー゚)「それにだ。人の好意は素直に受け取るものだろう?」

(;'A`)「そうだけどさ…」

川 ゚ ー゚)「なら決まりだ」

腕を引っ張り傘の中に入れてしまい歩き始める。
多少強引だが、ドクオは遠慮がちだからな。この位で丁度いいのだ。

そして二人で一緒に歩いていると後ろから何かが近づいて来ていた。
あまり広い道ではなかったので邪魔にならないように軽く避けたのだが…

川 ;゚ -゚)「うわっ!?」

後ろから来ていたのは自転車だったのだが、そいつが水たまりに突っ込んで私に水を跳ねて来たのだ。
そのせいでズボンは濡れ、靴もビショビショ。おまけに驚いた際に傘から出てしまい雨に打たれるという三重苦……
はぁ……折角いい気分だったのに最悪だ……

(;'A`)「クー! 大丈夫!?」

私の代わりに傘を持ってくれていたドクオが濡れないようにと入れてくれ雨は何とかなったのだが、これでは流石に困ってしまう……

44 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:51:14 ID:nh13zq7M0
川 ;゚ -゚)「大丈夫……ではないな。これでは濡れ鼠だ……」

(;'A`)「タオル……は、持ってないし………ハンカチは使っちゃってるし………」

川 ゚ -゚)「大丈夫だ…自分のハンカチで顔位は拭く」

しかし顔を拭いたところではあまり意味が無いな。
何処かで乾かせる場所があればいいのだがな。

('A`)「クー。ここまで来ればもう俺の家が近いから、クーがよかったらでいいけどそこで乾かして行きなよ」

まさか、こんな形で家に誘われるとは……
確かに家に入れればとは思っていたが、な。
ならばさっきの自転車の奴は許してやろう。
むしろ感謝するべきかもしれない。

川 ゚ -゚)「そうか。すまないな。ならばちょっと寄らせて貰うか」

('A`)「よし! じゃあ、早く行こう! そのままだとクーが風邪を引いちゃうからな!」

ここで下心が見えないのがドクオらしいとも言えるな。
単純に私を心配してくれている。
それが伝わってくる……が私は下心があっても………
そうだな。ドクオなら構わないかもしれない。


そしてドクオの家に到着した。
家に着くなりまず私にタオルを手渡して来た。

('A`)「取りあえずこれで体を拭いて」

川 - )「すまな…クシュッ!」

思っていたよりも体が冷えてたようで思わずくしゃみが出てしまった。

(;'A`)「あ〜マジか……かなり冷えちゃったか……」

そこで少し何かを考えるように口に手を当てる。
ドクオが考え事をする時の癖のようだった。
そして何かを思いついたのか、おずおずと遠慮するように口を開く

(;'A`)「クーがイヤじゃなかったら、俺の家ので悪いんだけど……風呂に入って行かない?」

……ほう。なかなか大胆な案を出して来たではないか。
確かにこのままでは私は風邪を引く可能性が高いだろう。
しかし、私とて女。そしてドクオは男。
異性を風呂に誘うとは、下心があると思われても知らんぞ?

45 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:52:22 ID:nh13zq7M0
そんな考えをくみ取ったのか、焦ったように言葉を続ける。

(;'A`)「い…いや! あの…下心があるとか、そう言うのじゃなくてね!!
    単純にクーの体が冷えちゃったら体調崩すとか、そうなったら傘忘れた俺のせいだから、クーに悪いって言うか、
    申し訳ないって言うか!!
    本当に覗こうとか、クーの風呂上がりの姿が見たいとか、そういう気持ちがあるわけじゃなくてね!!」

あまりにも必死で弁明するものだから思わず噴き出してしまった。
ふふ…やはり彼は私が出会った中で一番いい男ではないか。
他の男なら断ってただろうが、ここは彼の好意に甘えようではないか。

川 ゚ ー゚)「そうか。分かったよ。じゃあ、お風呂を借りさせてもらうよ」

('A`)「そっか! じゃあ、こっちが風呂場だから」

風呂場に案内され、服の状態を確認したのだが……これは酷い。
かなり、濡れてしまっているな…流石に着替えを持って歩いているわけでは無いので替えの服が無い。

……さてどうしたものかな?

川 ゚ -゚)「ドクオ。聞こえるか?」

「どうかした?」

川 ゚ -゚)「すまないが、何か着るものを貸してくれないだろうか? 思ったより服が濡れていてな、乾くまで着なおす訳に行きそうにないでな」

「あ…ああ……そっか。服……服ね……俺の服でいい?」

川 ゚ -゚)「………君以外の服があるのか?」

ここで女物の服があったら………………………

「……あるわけなかった………ちょっと待ってて。探してくるから、先に入ってて」

川 ゚ -゚)「分かったよ」

下着は………そこまで濡れて無い様だな。
ここまで濡れていたら、流石に困るからな……

さて、さっさと風呂に入るとしよう。
このままでは風邪を引いてしまう……

当り前だが、お湯は張っていないのでまずはさっさとシャワーを浴びる。

そうしているとドクオの声が聞こえて来た。

「ここに着替えを置いておくから、これを着てくれ。なるべく新しいのを選んでおいたから」

川 ゚ -゚)「すまないな」

46 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:54:23 ID:nh13zq7M0
漫画とかならここで風呂場の扉が開きドクオが入って来てラッキースケベとなるのだろう。
そして、私が顔を真っ赤にして変態!! とか言うのだろうが、残念な事にこれは現実。
そんな事は起こらない。

……ドクオなら乱入して貰っても良いのだがな。
まあいい。
私だけが体を冷やしているわけでは無い。
妄想も程々にしてさっさと出てしまおう。




残念な事に何もなかったのでさっさと出て着替えてしまう。
ドクオに借りた服を着させて貰ったのだが……
何と言うか胸がキツイ
ワタナベ程ではないが、私だってそこそこあるんだ。
あいつがデカすぎるだけで……

う〜む。これでは強調されてるみたいだが、まあドクオだけにしか見られないからいいか。

川 ゚ -゚)「ドクオ。出たぞ」

………なんで部屋の真ん中で正座をしているんだ?
おまけに目をつぶってるし。

出て来た私に気が付き慌てたように立ちあがる。

(;'A`)「あ…出た? だったら俺も入ってくるかな……」

川 ゚ -゚)「その前にすまないが、乾燥機とかはあるのか?」

(;'A`)「あ〜ゴメン。そう言うのは無いんだ。俺一人だから物干し竿か部屋干し竿にかけてるんだ」

川 ゚ -゚)「そうなのか。だったら部屋干し竿を借りてもいいか?」

(;'A`)「いいけど……いいの?」

川 ゚ -゚)「何がだ?」

(;'A`)「俺に見られるの嫌じゃない?」

川 ゚ -゚)「別に下着を干すわけでもないし気にする事は無い」

(;'A`)「だったらいいか……」

折り畳み式の部屋干し竿を貸してもらいそこにかける。
時期が時期だし、薄着だったから其処まで場所を取ってはいないな。

47 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:54:48 ID:nh13zq7M0
('A`)「それじゃ、俺、入ってくるから。そなへんに座ってて」

川 ゚ -゚)「ああ」

さて、ドクオは風呂に入って行った。
さっきは私の方をなるべく見ないように努めていたようだが、
これは私を意識しているとみても良いだろう。
ドクオは初めてかどうかは知らないが、異性と二人だけ。それに互いに風呂に入ると言うなんて意識しないわけがない!

ここで、私にはある選択肢が発生した。
それは…ドクオの風呂を覗くか否かだ!!
正直に言えばメッチャ見たい!!!
薄着はしているが、その下を見たことは無いんだ。
去年はプールとかは行かなかったから水着を拝むことも出来なかったし……

しかし! 今ここで覗いてもしもバレたら非常に気まずい……と言うか、そのまま仲が悪くなりそのままなんて事も………
それはいかん!!
しかし見たい!!!
何という生殺し…手を伸ばせばそこにあるのに、伸ばしてはいけないという悲劇!
どうすればいいのだ!!?

………チラッと下の方の確認をだな……………

いやいやいや!! ダメだダメだ!!!
落ち着け! 落ち着くんだ私!!
冷静になれ! クールなのが私の持ち味だろう!? 欲望のまま行動するのはまだ早い!!!

クソウ!! 彼が私だけのものになる時まで我慢するんだ!!!!!







一人で悶々としているといつの間にかドクオが出てきていた。

48 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:55:18 ID:nh13zq7M0
(;'A`)「……どうかした?」

川 ゚ -゚)「いや…この雨はどの位降り続くのかなと考えていてな」

咄嗟に出た言葉にしては上手く誤魔化せたと思う。

……危なかった。

('A`)「ニュースで天気予報やってるかもしれないし、見てみるか」

テレビの電源を入れ、チャンネルを回してみると丁度天気予報がやっていたので二人して黙って見る。

「……今日はこの後さらに強くなる予報です。雷も落ちる可能性がありますので移動の際はご注意ください」

川 ゚ -゚)「なんと」

(;'A`)「マジかよ……」

これは喜ばしい…じゃなかった。困った事になったな。
この姿のまま電車に乗るわけにもいかないし、傘を借りるにしても危険だしな。
このままだと服も乾かないし、車やバイクで送って貰うにしても互いにそんな物は持ってないし、
タクシーは高いし……
う〜んどうしたものかな? チラッチラッ

川 ;゚ -゚)「これは困ったな…」

(;'A`)「どうする?」

川 ;゚ -゚)「どうしたものか……」

あえて困ったような顔をして不安を煽る。
ここで出て行けという男ではないだろ君は?
でも、異性である私を泊めていいのかと考えているのだろう?
あくまで私達は友人だ。
だから、どういうべきか悩んでいるのだろうな。
恋人だったら今日は危ないから泊まっていきなよ。とか軽く言ってくれるのだろうが、残念な事にまだ違うからな……
でも、女である私をこんな雨の中帰すわけにもいかないと思ってくれているのだろう?
しかし、私から泊まっていいかなんて聞くと、何だか恥ずかしいじゃないか。
こういうのは男の君から言ってくれないとな。

しかしここでしばらくの間沈黙が流れてしまう。
やはり彼は女慣れしていないな。
いや、まあ、慣れてたとしても簡単に泊まってけよと言われたら警戒するがな。

何かを思い立ったのか立ち上がり窓から外を見る。

49 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:55:45 ID:nh13zq7M0
(;'A`)「うわ…凄いな……」

一緒になって私も外を見てみる。

……確かに凄い事になってるな。
滝のようにとかバケツをひっくり返したみたいとかの表現が正しいとよくわかるぐらいだ。

('A`)「クーってさ、一人暮らしなんだよね?」

川 ゚ -゚)「ああ。実家もここからでは大分遠いから迎えも頼めないな」

家族の誰かに迎えに来てもらおうという案は却下だ。
そして、他の四人に迎えに来てもらおうという案も却下してやる。

(;'A`)「あ〜〜〜う〜〜〜〜〜〜ん………………」

物凄い悩んでいるな。
これは期待通りの展開が起こるとみても良いのだろうか。

だが、他に選択肢があるまい?
いいんだぞ? イッて楽になってしまって。
私はそれ以外の案は受け入れないつもりだからな。

最悪寝れないのなら、朝まで二人で過ごしてもいいのだぞ?

私は何も言わず唸っているドクオをただ見守っている。

しばらくすると意を決したのか、私をしっかりと見据えて口を開いた。

(;'A`)「もし……もし……だけど……」

川 ゚ -゚)「うん?」

(;'A`)「クーがよかったらでいいんだけど…………」

川 ゚ -゚)「何がだ?」

(;'A`)「今日は止まなそうだから…………泊まって行く?」

川 ゚ -゚)「…………………」

50 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:56:32 ID:nh13zq7M0
即答はしない。
ここですぐ答えてしまうと、いかにも待っていたと取られてしまうからな。
あえて悩むふりをして時間を稼ぐ。
ドクオは私が今まで男にいい印象を持っていなかった事を良く知っているから、警戒しているように思われているだろう。
だが、それでいい。
ここで断らずに受け入れるという選択をし、私が彼を信頼しているという事を理解して貰えるだろう。

(;'A`)「あ……いや!! やましい意味は無いよ!!! イヤだったら断ってくれていいし、強制はしないから!!
    クーは俺が使ってるベッドを使っていいから………ってそれはイヤか? まあ、それは後にして………クーには指一本触れないから!!
    もし触れたら、警察に突き出してくれていいから! 何ならクーが寝た後、俺はどこかに出かけるからさ!
    ………ってこんなに必死だと逆に怪しくないか?
    いや! 本当に大丈夫だから!!」

ふふ…必死じゃないか。
本当に君は愛おしいよ。
私の為を思ってくれているというのがよくわかる。

あまりいじめてやるのはかわいそうだ。
ここは優しい笑みを浮かべながら、答えてあげよう。

川 ゚ ー゚)「ふふ。だったらお願いしようか。すまないが、今日は君の家に泊めてもらえないだろうか?」

(;'A`)「う…うん。俺はクーからある程度距離を取っておくよ」

じりじりと私から逃げるように距離を取ってしまう。
そんな事をされると逆に傷つくんだがな…

川 ゚ -゚)「気にしなくてもいい。むしろそこまで意識されるとこっちも困る……」

(;'A`)「あ…ゴメン」

川 ゚ -゚)「いいんだ。君の事はよくわかっている。」

川 ゚ ー゚)「君が善意で言ってくれている事も、下心が無い事も」

本当はあるのかもしれないがな。
こう言えば私が信頼していることがわかるだろう?

51 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:56:58 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「だから、いつも通りでいてくれ。君の家なのだ。気を遣うのは私の方だ」

(;'A`)「う…うん」

大きく深呼吸をして落ち着きを取り戻してもらう。


まだ、緊張自体はしているようだが大分落ち着いたようだ。

川 ゚ -゚)「さて……お腹が空いてきたな。図々しくてすまないが、何か食べる物はあるか?」

('A`)「ちょっと冷蔵庫見てくる」

ここでドクオ一人に行かせず私も一緒について行く。
冷蔵庫の中身を見れば、大体何を食べているのかが分かるからな。

さてさてどうなっているのかなっと……

(;'A`)「何もねぇ……」

川 ;゚ -゚)「空っぽだな……」

これではわからないではないか!!
いや…しかし、これは彼に普段家でどんなものを食べているのかを聞くチャンスでもあるのか……

川 ゚ -゚)「ドクオは普段は自炊をするのか?」

(;'A`)「いや……あんまり……めんどいから出来合いの物を買ってくるのが多い。それを冷蔵庫に突っ込んで何回かに分けて食べてる」

確かに最近は結構美味しいものが多いからな。
わざわざ作るのもめんどくさい人にはありがたいだろうな。

だが、これはいい事を聞いた!

ならば暖かい食事はあまりとっていないのだろう?
だったら今度お礼に作ってあげよう。
と言えるではないか!

だがそれは今言わなくてもいい。
今度タイミングを見計らって言うとしよう。

52 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:57:26 ID:nh13zq7M0
……しかし、腹は減っているのは事実だ。何か食べるものはないだろうか…?
今から外に出て買いに行けなんて言える訳がないしな……

(;'A`)「う〜ん……」

冷蔵庫には何も無い事が判明したので、ドクオが何やら棚を漁っている。

(;'A`)「あ〜カップしかないか……」

('A`)「ゴメンクー。こんなのしかないけどいいかな?」

川 ゚ -゚)「気にするな。こちらがいきなり押しかけて来たんだ。我がままを言うつもりなんてない」

川 ゚ ー゚)「そして私はカップ麺は結構好きなんだ」

('A`)「それならよかった」

こうして二人きりの夕食を取ることになったのだが、
何か手伝おうにしてもただお湯を入れて待つだけなので、特にやる事が無い。
まだ、ドクオの家で何処に何があるのかを把握出来ていないから大人しく頼むしかないし……
これでは私の家庭的な一面を見せれないが、我慢するしかない……か

何でも私がやるやる言って、やっぱり出来ない〜
なんて言われたら私だったら怒りが沸く。
まあ人によってはそう言うのが好みな男もいるのだろうが、そう言うのは子供だけで十分だ。

そして二人でカップ麺を食べるだけと言う何とも色気のない食事になってしまったが、今回は仕方ないな。

53 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:58:01 ID:nh13zq7M0
食後にちょっと困った事になった。
歯磨きをしたいのだが、当り前だが私の歯ブラシはある訳がない。
そして持って来てる訳も無い。

どうしたものか……このまま帰るのなら別に気にしないのだが、このまま泊まるからしない訳にはいかない。
二人っきりで口臭がひどいとなったら、幻滅されるのは間違いなし…!
どうしたらいい!?

と悩んでいたらドクオが救いの手を差し伸べてくれた。

('A`)「そうだクー歯、磨くでしょ? 新しいのおろすからそれ使ってよ」

川 ゚ -゚)「助かる」

わざわざ私の為に新しい歯ブラシを出してくれた。
こういう気遣いは本当に有難い。
このままでは私は口が臭い女としてドクオに認識されてしまうからな。

ドクオの新しい歯ブラシを貰いさっさと磨いてしまう。






川 ゚ -゚)「すまない助かったよ」

('A`)「いいって」

('A`)「その使った歯ブラシどうする?」

さて、どうしたものかな?
別に持って帰る程の物ではないが、捨ててくれなんていうのも何だしな……
う〜む………そうだ!

54 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:58:57 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「すまないが、そのままにしておいてくれないか?
     また遊びに来た時に食事でもしたら使えるからな」

これで再びここに来る口実が出来る!
そして、これを見るたびドクオはそういや前にクーが俺の家に泊まったんだよな……
とか思い出すに違いない! そうに決まってる!!

('A`)「そっかそれじゃあ置いとく」

やけにあっさりと返されたな……
今は慌てないように冷静でいるようにしているのだろうか?
あまりからかい過ぎても仕方ないし、そのまま流してしまおう。





さて、まだ寝るには早すぎる。
だが何をするべきなのだろうか?
恋人同士なら語らったり色々するのだろうが、
今の私達にそんな事を望んでもな……
しかしこのまま黙っているのも辛い。
何か無いだろうか?

う〜む……ドクオと共通の話題を何か引き出すべきか、
それとも何か、無理矢理話題を作るべきか……

……普段はどうしてるかって?
別に特に意識していないな。
ただダラダラと他愛の無い事を話したり講義の事や教授の事を話したりもするが。

……だったら今もそうしろって?

…………私だって緊張してるんだよ。言わせんな

しかし、折角二人きり。
そしてドクオの家に泊まるという事態。
このまま黙っていると警戒しているか機嫌が悪いかと思われてしまう……
何か…何かないのか……!?

55 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 20:59:44 ID:nh13zq7M0
その時ふと、テレビの近くを見てみると何か見慣れないものが置いてあった。

川 ゚ -゚)「ドクオ。あれは何だ?」

('A`)「ん? ああゲーム機だよ。普段皆で遊んでるやつと違ってこれは大人数で出来ないから、見たことなかったか」

川 ゚ -゚)「ほう……なんのゲームが出来るんだ?」

('A`)「え〜っと……」

これ幸いに話題になるのならと興味を示す。
ゲームを全くしない訳でもないが、今の家には無いからな、
折角だからやってみたいではないか。

(;'A`)「対戦系は…クーが出来ないから……協力プレイ出来る奴ってあったかな……?」

何やらゲームの箱を見ながらブツブツと言っているが……

(;'A`)「あ〜これか……」

何かを見つけたようだな。
ドクオのおススメらしいゲームをやって見るか。

川 ゚ -゚)「いいのが見つかったか?」

(;'A`)「う〜ん……クーって、ホラー系って大丈夫?」

……そう来たか。
別に極端に苦手ってわけでもないが、
わざわざやった事は無いな……
だがしかし、この時期にはピッタリか……?

川 ゚ -゚)「う…む…やった事が無いから何とも言えんな」

('A`)「じゃあ、折角だからやって見よっか?」

川 ゚ -゚)「面白そうだ。寝るにはまだ早い。こういうのは夜にやるからこそ面白いんだ」

('A`)「頼もしいね。じゃあやってみよ」

ゲームを起動させ、ドクオに操作方法を教えて貰う。

56 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:00:33 ID:nh13zq7M0
……なかなかややこしいな。
ドクオ曰くやればすぐ覚えられるというが…どうだろうな?

それにしてもなかなか迫力があるではないか。
この怪物だかゾンビだかがうじゃうじゃいるが、
かなり実写に見えるぞ。
これでCGなのだから驚きだ。

……しかし、このゲーム男性と女性ともにスタイルがよすぎないか?
そりゃ、ブサイクを操作するよりはましだが……
ゾンビになった人も相当スタイルがいいぞ?
私よりも綺麗な人も多いし……

……何? ゲームと言うのはそういうものなのか?
なら仕方ない、か……?

まあいい。取りあえずゲームスタートだ。














川 ;゚ -゚)「ドクオドクオドクオ!! なんかこっちに来てる!!」

(;'A`)「そいつにはショットガンが有効だから!」

57 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:00:57 ID:nh13zq7M0
川 ;゚ -゚)「これか!?」

(;'A`)「それはハンドガン! 武器を変えて!!」

川 ;゚ -゚)「どうすればいいのだ!!?」

(;'A`)「左か右にボタンを押して!」

川 ;゚ -゚)「こうか!? ……変わらんぞ!?」

(;'A`)「そっちはスティック! その左上にある十字みたいなボタンがあるからそっち!!」

川 ゚ -゚)「よし! ……あ」

(;'A`)「ゲームオーバーだね……」

私があわあわしていると私の操作していたキャラクターがやられてしまった…
……難しいではないか。
別に怖いわけでは無いが……あんな風に襲ってくると焦ってしまうな………

……本当に焦っただけだぞ?
別に怖くて操作を間違えた訳では無いぞ?

しかし、これでは進まないな……協力プレイとは名ばかりで、私は足を引っ張っているだけではないか……

川 ;゚ -゚)「すまない……」

('A`)「いいって。クーはこういうの初めてなんでしょ?」

川 ;゚ -゚)「うむ…ゲーム自体は初めてでは無いのだが…難しいな……」

(;'A`)「う〜ん……他のにする?」

川 ゚ -゚)「いや、なかなか楽しいではないか。このまま続けよう」

('A`)「それじゃ、コンティニュー」

58 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:01:23 ID:nh13zq7M0



その後二人で騒がしくやり続けた。
私がミスをすればドクオが助けに来てくれて、
一人でやらなければならないところは横から色々とアドバイスをくれて何とかクリアしていった。

そうしていると、結構いい時間になっていた。

('A`)「おっと…もうこんな時間だ。それじゃ、今日はここまで」

川 ゚ ー゚)「楽しかったな。かなり燃えたよ」

('∀`)「楽しんでくれたのなら何より」

川 ゚ -゚)「またやりに来ていいか?」

('∀`)「勿論! このデータは取っとくから、また二人でやろうか!」

川 ゚ ー゚)「ああ! よろしく頼む」

最初はホラーなら映画だったら恐怖演出の時に抱き着けるから、そっちの方がいいかと思ったが、
ゲームもゲームでいいじゃないか。
二人でやれば助けあえるし、演出中にはただ見ているだけじゃなくて操作しなければならない緊張感がある。
いつもは和気あいあいと遊んでいるが、こういうのも悪くない。

それに二人で……二人きりで、再び一緒にやる約束も取り付けられたんだ。さらによし!

そしてやはりドクオはゲームが好きなようで、やってる時は生き生きいていた。
楽しんでいる彼の横顔を見るのが結構好きなんだ。

さり気なく写真を撮っておきたいけど、今はこの顔を独占出来るからいいか。

片付けを終わらせ、寝る事にしたが…どうしたものか。

普通にドクオには自分のベッドで寝て貰うべきかな。
私は床にでも寝るか。

59 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:01:58 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「じゃあ私はそこの床にでも寝るから、ドクオは自分のベッドで寝てくれ」

(;'A`)「いやいやいいって!! クーがベッドに寝てよ!!」

川 ゚ -゚)「しかし、家主は君だろう?」

(;'A`)「家主の俺がいいって言ってるからいいよ!」

川 ゚ -゚)「そうか……」

ここで、ある事を思いついてしまう。
思いついてしまったから仕方がない。言うしかないな!

川 ゚ -゚)「しかし君もなかなか大胆だな。異性である私を自分のベッドに誘うなんて」

(;゚A゚)「ち…ちが!? 別にそう言う意味じゃ!!?」

川 ゚ ー゚)「はっはっは。分かってるさ。じゃあ、お言葉に甘えてベッドを使わせて貰おう」

ドクオが普段使っているベッドに入り込む。
ふふ。ドクオの匂いがする。
今、私はドクオの匂いに包まれているんだ。
自分では気が付かないだろうが、人には意外とわかるものさ。

あ〜もう。ばれないように深呼吸しちゃおう。

体の中にドクオ(の匂い)が入ってくる……
これはさっさと寝たふりをしないと、まずいなばれてしまう。

川 ゚ -゚)「それじゃあ、お休み。今日は本当にありがとう。助かったよ」

('A`)「俺もクーが来てくれなかったら雨の中濡れて帰らなきゃならなかったから、感謝するのはこっちだよ」

川 ゚ -゚)「そうか。じゃあ、今日は互いによかったという事にしよう」

('A`)「うん。お休み……」

ドクオは床に横たわり、眠る為に目をつぶったようだった。

……最後にドクオに聞こえるか聞こえないかぐらいの声でつぶやく

60 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:02:32 ID:nh13zq7M0
川 - )「私はいくら濡れていたって信頼していない男の家になんかに簡単に泊まるほど軽い女ではない。
     多分ブーンやショボン相手でも断っていただろうな。彼らには恋人もいるし……
     でも、君の家にはいつだって泊まっても良いと思っている。
     理由は言わなくても分かってくれるかな……?
     私は君になら………いや。なんでもない。忘れてくれ………」

これは聞こえても聞こえなくてもいい。
ただ私が口に出して言いたかっただけなのだから……

川 - )「それじゃあ今度こそお休みだ」

私も寝る為に布団を深くかぶる。
ドクオ(の布団)に包まれながら寝れるのだ。
今日はいい夢が見れそうだ…………


















.

61 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:03:17 ID:nh13zq7M0
結局この初お泊まり会にはこれ以上何も起こらなかった。
寝る前の言葉は聞こえてなかったのだろうな。
まあ、それならそれでいい。
朝になったら、普通に起きて顔を洗って着て来た服に着替え家に帰る事にした。
でも、これでいいんだ。
彼は泊めたからお礼は体で払えだのなんだの言ってこなかったしな。
もしも言って来たら……どうしてたかな?
それはそれでよかったかもしれなかったけどな……
だが、彼は短絡的な行動を起こさないという事が分かったので収穫があったとしよう。
私から襲ってもよかったのだが……そうなると、それが目当てで送ったみたいに思われるから却下
時間は多いとは言えないが、まだ焦って行動する必要は無いと思う。
別に経験豊富って訳では無いが…むしろ経験無しだが、彼も一緒だと信じている。
だけど、今回の件で大分私を意識してくれたのではないかと思っている。

今までろくな男に会った事が無いと話していて、それでも異性である自分を信頼して泊まって行ったのだ、
少なくとも今までの男とは違った感情を向けているという事をなんとなくでも理解してくれているだろうか……?
理解してくれているのなら、自分がどういった感情を向けられているか考えていて欲しいな。

そして、私にある感情を向けて欲しいな……
出来る事なら、私以外にはそんな感情を向けずに、ただ私だけに…………

ああ……もどかしいな………






















.

62 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:03:46 ID:nh13zq7M0
ξ゚⊿゚)ξ「そう言えばそろそろドクオの誕生日ね」

从'ー'从「今回はどうしよっか〜?」

いつもの三人でいつものファミレスに来ている。
例の如く女子会をしているのだ。
今回の話題はドクオの誕生日についてだ。
ツン達は各々の誕生日になると、何かしらプレゼントやらイベントやらを企画するらしい。
まあ、イベントと言ってもどこかに遊びに行ったりするだけだがな。
去年は私も祝ってもらい初めてだったから、ツンの家で食事を作ったり、
皆で遊園地にまで遊びに行ったんだ。
友人に口では祝われた事はあったのだが、こういう風にちゃんと祝われた事は無かったので本当に嬉しかった。
だから、他の人の時もちゃんと喜んでもらえるように私もかなり頑張って祝ってるのだ。

川 ゚ -゚)「私達はもう祝ってもらったが……流石に誕生日祝いで潰しにかかられるとは思わなかったな」

ξ゚⊿゚)ξ「もうお酒が飲める年齢だからね。学生の内は全力でふざけるのよ!」

从'ー'从「ツンちゃんも酔いつぶれてブーン君に甘えてたもんね〜」

川 ゚ ー゚)「普段は二人っきりで見せる姿だろうに、皆の前でイチャイチャするものだから思わず爆発物を探してしまったよ」

ξ;*゚⊿゚)ξ「お……お酒が入ってたから仕方無いじゃない!! クーだって祝った時はずっと笑いっぱなしだったじゃない!!」

从'ー'从「クーちゃんも凄かったよね〜ずっと笑ってるからいつ息ができなくて倒れちゃうか心配だったよ〜」

川 ;゚ -゚)「そのせいで次の日は頬が筋肉痛だったよ……」

63 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:04:10 ID:nh13zq7M0
川 ;゚ -゚)「そう言えばワタナベは強かったな……」

ξ;゚⊿゚)ξ「ホント……いくら飲んでもケロッとしてるんだもんこっちが先に潰れたわよ……」

从^ー^从「えへへ〜」

そう。今回は二十歳になったという事で、皆で遊びに行った後にそれぞれ誕生日だった人の家に突撃して酒を飲むという傍迷惑な事をしてたのだ。
ワタナベの誕生日の時は恋人も呼ぼうとしたんだが、予定が合わなかったらしく合流は出来なかった。
まあ、後日デートしたらしいので許したらしい。
しかしまあ、いくら学生とはいえ無茶な飲み方をしたものだ……
ツンとワタナベの家は実家だから、他にも家族がいたのだがむしろ喜んで参加して来て私達もかなり飲まされたのだ……
次の日二日酔いになったのは言わずとも分かってくれるだろう……

次の犠牲者はドクオなのだが、今回はまた同じパターンで行くべきだろうか?
しかしドクオの家で騒ぐとなると、かなりの近所迷惑になりそうなんだよな……
普段遊んでいる時は殆ど出かけているから大丈夫だが、夜に騒ぐと疲れて帰って来てるからうるさいと迷惑だしな………

川 ゚ -゚)「どうする? ドクオの家はダメだろうから店で騒ぐか?」

ξ゚ー゚)ξ「う〜ん……それもいいけど……ねぇ?」

从^ー^从「ね〜?」

二人が何か示し合せたように笑い合っている。
何かいい案があるのだろうか?

64 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:04:37 ID:nh13zq7M0
ξ゚ー゚)ξ「クーもさ、ここで一気に行っちゃった方がいいんじゃないの?」

川 ゚ -゚)「何をだ?」

从^ー^从「ドクオ君との仲だよ〜」

川 ゚ -゚)「というと?」

ξ゚⊿゚)ξ「最近さらに距離が近くなったじゃない? 後は切っ掛けよ!!」

川 ;゚ -゚)「う〜ん………」

それってつまり酒の勢いでヤッてしまえってことだろう?
……あんまりそう言うの好きじゃあ無いんだよな。
いや、夢見がちだって言われるかもしれないど、
ちゃんと意識がはっきりした状態で言って欲しいんだそう言う事は。
だって酔って告白されてその気になって、寝て起きたら忘れてましたとか許さんぞ? 私は
だからちゃんと酔ってたからなんて逃げ場を作らず、ちゃんとした状態で言ってくれないとむしろ振るぞ?
しかしこれは互いに思っている場合であって私の独りよがりだった場合、ただの妄想に終わる……

相手がどう思ってるかなんてわからないし……どうしたものかな………?

ξ゚⊿゚)ξ「まあ、二人の事だからね。あたし達がゴチャゴチャ言うのも、ね」

从'ー'从「そうそう。アドバイスぐらいにしておくのが一番だよ」

川 ゚ -゚)「二人共……」

嬉しい事を言ってくれるが、これは二人が恋人がいる余裕から来るものなのかも知れない。
……いや。そんな事を考えるのは止そう。
二人は単純に善意から言ってくれているんだ。
今までだって色々相談に乗ってくれたし、二人が良い人だって言うのはよくわかっているじゃないか。
というかいい女だから恋人がいるのだろう?
……じゃあ私はいい女じゃなかったのか?
まあ……そうかもしれないな。
しかし今はどうでもいい。今は彼にさえ振り向いてくれればそれでいいんだ。
その為にも色々策を考えなくては……!!

65 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:05:25 ID:nh13zq7M0
前のお泊まり事件……事件か? まあいい。
お泊まりによって私をかなり意識してくれているはずだ……!
だから、後はツンが言ってた通り切っ掛け……切っ掛けがあればいける……のか?

ええい!! どうでもいい男からの告白経験はあるが、自分から告白した事は無いし、
第一本命な男なんて存在しなかったからな!
今回が初めてだから経験値がなさすぎるんだ。
だから二人の協力は嬉しいのだが……
結果的には自分達がやらなければならないから頼りすぎても意味が無いともいえるな……
まあ、やれる事はやろう。
それが一番だ。



その後、ブーンとショボンも合流し、ドクオを除いた五人で会議をし
ドクオの家では騒ぐ訳にはいかないとなり、宅飲みは却下という事になり、
だったら店で飲むことにした。

う〜む……こいつらには二十歳の誕生日は酒を飲むという選択肢しか無い様だ……

まあ、皆一緒に飲むのがイヤなわけでは無いからよしとしよう。

だが、他の奴らと飲む場合はそんなふざけた飲み方は絶対にしないだろうな。
ツン達だからこそこんな馬鹿みたいな飲み方が出来るんだ。

私も随分信頼したものだな。










という事でドクオの誕生日となった。
丁度いい事に平日なのにみんな講義を取っていなかったので朝から遊びに出かける。
今回はドクオが主役という事で、ブーンとショボンが率先して彼が好きな場所に連れて行く。
私達はそれについて行き横槍を入れたり、からかったりして楽しんでいた。

66 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:05:55 ID:nh13zq7M0
そして、結構いい時間になったので予約していた店に行くことにした。
流石に高い店にはいけないので、飲み放題が出来る大衆居酒屋にしておいた。
ドクオは主役なので、彼の分は私達全員から出しあい彼には払わせないという事に決まっていた。
そして、かなり騒ぐ予定なので怒られないようにちゃんと小部屋にしておいた。
いくら酒が入っているとしても騒ぎ過ぎたら他の客に迷惑が掛かるからな。

案内された部屋に入り各自好きな酒を選ぶ。
だが、その前に確認しておくべき物が一つある。
何かって?
トイレの場所さ。
やばくなったらさっさと駆け込めるように確認しておかないと、な。

そして全員トイレの場所をちゃんと確認したのでこの店を探してくれたショボンが音頭を取る。

(´・ω・`)「さて、今日は宅飲みじゃあないから羽目を外し過ぎないように! 特に一人暮らし組は注意してね」

( ^ω^)「わかってるお〜! ショボン早くするお〜!!」

(´・ω・`)「それじゃあブーンが待ちきれないようだから。
     ドクオの二十歳の誕生日を祝って……乾杯!!!」

「「「「「乾杯〜〜〜〜!!!」」」」」

こうしてドクオの誕生日を盛り上げる飲み会が始まった。
主役はドクオだが、騒ぐのは私達全員だ。
誰一人として黙ってる奴はいない。
好きなように騒いではしゃいで飲んで食べる。
気の合う友人たちだからこそ見せる姿というものだ。
……他人には絶対に見せるつもりは無い姿ともいう。

67 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:07:41 ID:nh13zq7M0



(* ^ω^)「まだまだ飲み足りないお〜!」

ξ*゚⊿゚)ξ「あらブーン。また勝負する?」

从*'ー'从「いいぞ〜やっちゃえ〜!!」

(´・ω・`)「こら、二人共…家が近いわけじゃないんだからあまり無茶しないの」

(;´・ω・`)「ってかワタナベさんも煽らないの」

从*^ー^从「も〜ショボン君は固いんだから〜そんな人にはワタシと勝負する権利を与えてあげよ〜」

(;´-ω-`)=3「いらないから……」

川 *゚ -゚)「何だショボン。勝負を断るとは男らしくないな。仕方ない、ワタナベ私が相手をしてやろう」

川 *゚ -゚)「おいドクオ! こっちに来い!! 私が勝ったら今日はドクオの誕生日だからな、キスしてやる!!!」

(;゚A゚)「ええ!?」

从*^ー^从「お〜! クーちゃんたら大胆!! でも負けないよ〜!」

68 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:08:21 ID:nh13zq7M0
(;'A`)「お…俺はどっちを応援したら…!?」

ξ*゚⊿゚)ξ「何よドクオ! クーのキスが欲しくないの!!?」

(* ^ω^)「何だお!? 勝ったらドクオにチュ〜かお? 仕方いおね〜ボクも参加してやるお!!」

ξ*゚⊿゚)ξ「ちょっとブーン!! ドクオにキスするなんて許さないわよ!」

(* ^ω^)「だったらツンも参加するお!」

ξ*゚∀゚)ξ「いいわね! あたしがみんな潰してあげる!!」

从*'ー'从「ワタシが勝っちゃうよ〜!」

川 *゚ -゚)「私が負けるわけがないだろう!!」

(;´・ω・`)「ドクオ…僕達は注文係をしながら、絡まれないように大人しくしてよう…」

(;'A`)「だな……流石に全員潰れるのはやばい……」

('A`)「だが、これだけは言っておく」

(#゚A゚)「ブーンは負けろ!!!」

69 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:08:46 ID:nh13zq7M0























.

70 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:09:18 ID:nh13zq7M0
从*^ー^从「はい残念〜! またまたワタシの大勝〜利〜!!」

負けた……
本当に同じ人間か?って思えるぐらい強いのだが……
これで何回目だ? ワタナベに負けたのは……
いや、別に勝ったら本当にキスする訳では無かったぞ?
あれは場を盛り上げる為に言っただけであって、本心では……

……キスしてもよかったかなぁ?

まあ、それはいつかの機会に
やっぱ酔った勢いではなくちゃんとした状態でしたいからな。

そして時間になったのでお開きにし、
取りあえず店から出たのだが……

(;*  ω )「ツン……ボクはもうダメだお………ボクはここで脱落みたいだお……」

ξ*;⊿;)ξ「ダメよブーン!! こんな所で倒れちゃダメ!!!」

なんか二人の茶番が始まっていた。
私は最初に脱落したから少しは酔いは醒めているが二人は結構粘ってたから悪酔いしてるなあれ……

71 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:09:42 ID:nh13zq7M0
(;´・ω・`)「全く…だから言ったのに……」

从^ー^从「二人共まだまだだね〜」

(;´・ω・`)「なんで一番飲んだのにケロッとしてんの?」

从^ー^从「鍛え方が違うからね〜」

(;´・ω・`)「鍛えられるもんなの…?」

それにいやぁはしゃいだはしゃいだ。
酒というのは本当に恐ろしいな。
気分が高揚してついつい騒ぎ過ぎてしまう。
こんな姿ある意味家族にも見せたくないかもしれんな……
だが、今はこれで良いと思う。馬鹿な事をやれるのも若い今の内だけだしな。
学生の内は全力で楽しもう。

……彼らに会うまではそんな事は全く思っても無かったがな。
私も変わったのだろうな。
良い方に変わったのか悪い方に変わったのかはわからないけどな。
でも、出会ってよかったとは思っている。

……頭はそれなりに動くのだが、さっきから足元がおぼつかなくて、実はさっきからフラフラしてたりする。

川 ;゚ -゚)「おっとっと……」

これはまずい。
少しは醒めたかと思ったが、思ったよりも酔いが回ってるぞ……
抑えたつもりだったが……そんな事は無かったのか?
仕方ない……何かにつかまらなくては……

72 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:10:08 ID:nh13zq7M0
(;'A`)「クー大丈夫?」

川 ;゚ -゚)「ダメだ…悪いがちょっとつかまらせてくれ……」

心配そうに近寄って来たドクオの腕ににこれ幸いとつかまってしまう。
……これはちょっといい雰囲気に出来るのではないか?
………もっと酔ったフリをしてそのまま…………ふふ

(´・ω・`)「ドクオ〜クーはどう?」

('A`)「う〜ん……さっきまでは大丈夫そうだったけど、動いたら回って来たのか、辛そう」

(;´・ω・`)「そっか……どうするかな……?」

ブーンとツンはどう見てもほっとくける訳にはいかないので誰かが付いて行かないとならないだろう。
ワタナベはケロッとしてるので余裕なのだろう。
ドクオとショボンはこうなるのを見越してあまり飲んでいないらしいから大丈夫だろう。
私は……まあ、ちょっと辛い。
一人で帰れるかと聞かれると………なあ?

从'ー'从「じゃあ、ワタシとショボン君がツンちゃんとブーン君を送るから、ドクオ君はクーちゃんをお願いね〜」

(;'A`)「ええ!? 同姓のワタナベさんがやらないの?」

从'ー'从「ダメだよ〜ショボン君にこんな状態の二人を頼めないし、クーちゃんの家はワタシ達の家と方向が全然違うからワタシが帰れなくなっちゃうよ〜」

从^ー^从「それにドクオ君の家ならここから近いし、そこまでならクーちゃんも頑張れるはずだよ〜」

(;'A`)「なんで俺んちまで?」

(´・ω・`)「今からドクオがクーの家まで送って帰ってこようとすると、終電が間に合わなくなっちゃうし、
     タクシーなんて頼もうにも、深夜料金で高いなんてもんじゃないよ。捕まえられるかも分からないし」

私はいかにも辛いといった感じにドクオにつかまったまま俯いている。
頑張れ!! ワタナベ、ショボン!!
私がドクオにお持ち帰りされるか否かの瀬戸際だぞ!!!
手は出されないかもしれないが、何かあったかもと誤解される可能性はある!!

73 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:10:41 ID:nh13zq7M0
……しかしただ立っているのも地味に辛い。
どっちにしろ早く決めてほしい……

思わずドクオの腕を握ってる手に力を入れてしまう。

これで、私の意志はなんとなく伝わるはずだ…

('A`)「分かった。クーも結構辛そうだから、もう移動しよう。
   取りあえずクーは俺んちに連れてって、大丈夫そうだったら家に帰すよ」

(´・ω・`)「そうだね。じゃあ、こっちはこのお騒がせカップルを連れて行くよ」

从'ー'从「ドクオ君。この時間は変な人がいるかもしれないから、ちゃんとクーちゃんを守ってあげてね?
     クーちゃん美人さんだから襲われちゃうかもしれないから」

('A`)「任せろ。責任もって守って見せる」

たまに男らしい所を見せてくれるんだよな。
こういうのが正直……なあ!?

从*^ー^从「ねえショボン君!! ドクオ君がクーちゃんの責任を持つって〜!!」

(´・ω・`)「ハイハイ。からかわないの。それじゃあ気を付けてね」

('A`)「そっちもな」

こうしてショボンとワタナベがツンとブーンを連れて行ってしまったが、
ワタナベが一度だけ振り返ってウィンクしてきた。

……今度何か奢ってやろう。

74 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:11:26 ID:nh13zq7M0
(;'A`)「ほら。クー歩ける?」

川 * - )「あ〜ああ」

(;'A`)「そんなになるまで飲むから……」

川 * - )「いや〜そこまで飲んだつもりは無いんだがな〜」

(;'A`)「口調が少し変わってるんだけど……」

酔ってるアピールをするためにわざと変えてるからな。
これでシャキッとしてたら大丈夫そうだから家まで帰れと言われかねん!!
ここはドクオがいなければだめと思わせるのが一番大事だ。

少し頭を持ち上げて、ドクオの腕をこちらに引き寄せてガッチリつかむ。
もう体の真ん中あたりにまで引き寄せて腕にあてる。
何を当ててるかって?
私のはそれなりに主張してるのだよ。分かるだろう?
ドクオ以外には触らせる気はないが……いやでも意識してしまうだろう。男のサガだな。

(;'A`)「く…クー? ちょっと腕、寄せすぎじゃない?」

川 *゚ -゚)「この位しないとちゃんと立てないんだ。我慢してくれないか〜?」

(;*'A`)「う……うん」

チラッと横顔を見るが赤くなってる赤くなってる。
ふふふ……意識してるな?
こういう風に歩いていると傍から見れば恋人同士に見えるだろうな!

まあ、今回は信頼している相手だからやっているが、
ふざけた男相手だったら絶対にやらん。

75 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:12:03 ID:nh13zq7M0
女である私達は酔って潰れた後、被害が男より多い理由というのは、
男は深く酔うと立たないんだよ。
何が立たないかだって?
……ナニが立たないんだろうなぁ?
いや、まあ、男同士で襲う方が立てばいいんだが、それは女である私には関係ないので流すぞ。
基本女は入れられる方だからさ、男なんて突っ込んで出せばそれで満足なんだよ。
だから、人の気持ちも考えずにさ勝手に立てて無理矢理やるやつがいるんだよ。
出せば満足かもしれないが、こっちはいつだってリスクが付きまとってくるんだぞ?
襲う奴にそんな事を考える頭なんざ無いだろうが、知っておいてくれ。

……まあ、私は経験はないがな!
いつも通りの妄想だがな!!

だが、実際そう言う目で見られてる事はある。
大学にいようが、通学の時だろうが、わかるんだよそう言う目線ってのは。
結構イライラするものさ。

まあ、体から始まる関係とかもあるらしいが、
よく知りもしない酔った女を連れ込んで無理矢理ヤッて君が好きだって言われても、
好きなのは体がだろう? って私だったらそう思うぞ。

……じゃあ、今ドクオが襲ってきたらどうするかって?
そりゃ受け入れるだろ。
ん? さっきの話と矛盾してるんじゃないかって?
さっきのは良く知りもしない相手の場合だ。
ドクオは大事な友人だ。よく知っている。
男女の関係には体の相性もそれなりに関係あるのだよ。
互いに満足出来ないとな。
それに体も女の武器の一つさ。使うときはちゃんと使わないとな!

76 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:13:07 ID:nh13zq7M0
川 *゚ -゚)「ドクオ〜すまないな〜」

('A`)「全く…俺が女好きな男だったら、クー襲われてるよ?」

川 *゚ ー゚)「何だ〜? 襲う気なのか〜?」

('A`)「襲わないって…俺は無理矢理は嫌いなの。合意の上でって……」

(;'A`)「何言ってんだ俺は………」

川 *゚ ー゚)「だったら構わないじゃないか〜」

(;'A`)「全く…」

川 *゚ ー゚)「私だってな〜ドクオ以外にこんな事をするつもりは無いぞ〜?」

川 *゚ ー゚)「軽い女だと思ってくれるなよ〜?」

いかにも酔っているという事にして君が特別だって事を思わずポロっと言ってしまう。
まあ、計算しているだがな。
だが、ドクオから見れば私は相当酔っている。
だから隠してた本音をつい言ってしまったように見えるだろう。
これでさらに私を意識せざるを得ない…!

77 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:13:35 ID:nh13zq7M0
('A`)「ハイハイ。ほら。俺の家についたから入って入って」

……動じないだと!?
これは酔っ払いの戯言と思われているのか、それとも何も思っていないフリをしているのか!?
今の私では判断が付かない…!

('A`)「ほら、水持ってくるからそこに座って待ってて」

川 *゚ -゚)「うい〜」

持って来て貰った水を飲み干す。

('A`)「どう? 帰れる?」

川 *゚ -゚)「今日はもう寝る〜」

(;'A`)「えぇ……」

川 *゚ -゚)「ドクオのベッドまた借りるね〜」

('A`)「まあ、いいけど……」

その言葉を聞くや否やドクオベッドの中に潜り込んでしまう。

(;'A`)「あ…! 服皺になるよ」

川 *゚ -゚)「別にいい〜」

川 *゚ -゚)「このベッド、ドクオの匂いがする〜」

(;゚A゚)「臭かった!?」

川 *゚ ー゚)「ううん〜好きだよこの匂い〜」

(;'A`)「……やべぇクーのキャラが完全に崩壊してる………
    途中から変だなとは思ってたが、これはやばい……」

どういう意味でやばいと思われているのだろうか?
……失礼な意味ではないと助かるな。

78 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:14:00 ID:nh13zq7M0
(;'A`)「も……もう寝なクー! 疲れてんだよきっと!!」

川 *゚ ー゚)「仕方ないな〜お休み〜」

(;'A`)「お…お休み……」

あ〜恥ずかしかった……
いくら酔ったフリとは言えこれは無いな。
恥ずかしくて顔が真っ赤だ。
だが、これで普段の私とは違う一面を見れたと思ってくれるだろう。
演技とはいえ、これは二度とやりたくない。
……でもドクオに甘えるのも悪くないかもな。
う〜む………これは一考の余地ありかもしれないな……!
取りあえずもう寝よう。
明日の反応が楽しみだ。









.

79 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:15:19 ID:nh13zq7M0
目が覚めて体を起き上がらせるとドクオの姿がない。
先に起きてるのか?
それとも何処かに行ってしまったのか?
しばらく待っているとドアが開きドクオが現れた。

('A`)「あっ起きた?」

川 ゚ -゚)「うむ……何故私はここにいるんだ?」

別に全てを覚えているんだが、いかにも記憶がないフリをして様子を伺おう。
さて、どう来るかな?
昨日あった全て言ってくるだろうか?

(;'A`)「あ〜えっと……まず聞きたいんだけど……クーはどこまで覚えてる?」

そう来たか。
そうだな。まずは何を覚えてるか確認してから話した方が私を傷つけないと思ったのか。
なかなか気遣ってくれてるではないか。
だったら、あえて途中からの事を全く覚えてないことにしよう。

80 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:15:44 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「え〜っとだな……ショボンとワタナベがブーンとツンを送って行って………
     そうか、私は最初ドクオの家に行く事にしたんだったな」

川 ;゚ -゚)「それで……どうなったんだ?」

(;'A`)「いや!! 何もなかったよ!! クーが自分の家まで帰るのは辛いって言って、そのまま俺の家で寝ちゃったんだよ!!」

川 ;゚ -゚)「そうか……?」

(;'A`)「そうそう!! そう言えば二日酔いとかは大丈夫?」

川 ゚ -゚)「う…む。少し頭が痛むが、大丈夫だ」

('A`)「そっかよかった」

その後、まずは朝ご飯を食べようとなり、
互いに朝はあまり食べない派だったので、というか流石に酒飲んだ次の日の朝はあまり食欲はわかん。
ので、軽く済ませ、少しグダグダした後帰る事にしたのだが……

('A`)「大丈夫? まだ、酒が残ってるだろうし送ってこうか?」

川 ゚ -゚)「……じゃあ、頼めるか? 正直一人で帰るのはちょっと心細かったんだ」

('A`)「よし! じゃあ、俺も一緒に行くよ」

何だ。最近積極的になって来たな。
これは、私の日々の努力が実を結び始めたようだな?
いい傾向だ。昨日のあれがどうなったかは分からないが、
ある意味心配されているのかもしれない。
だが、心配されるという事は私を気に掛けるという事。
決して悪い意味だけではない!!

81 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:16:08 ID:nh13zq7M0





二人で家を出て私の家へと向かう。
幸いな事に今日は休日なので大学は休みだ。というか休みじゃなかったらあんなになるまでは飲まん。
そして家にまで送って貰ってありがとう。ハイさようならなんてことをするほど冷たい女ではないぞ私は!!
このまま、ドクオを家に連れ込む!!!
いや、別に何をするって訳じゃあ無いぞ?
ただ前に泊めて貰ったお礼と、今回の詫びをしようとするだけだぞ?

('A`)「さて、ここまで来れば大丈夫でしょ?」

川 ゚ -゚)「ドクオはこの後、何か用事はあるか?」

このまま帰ってしまおうとするドクオを引き留める。
用事は無いよ…な?

('A`)「いや、別に特には」

よしよし!
これならいける!!

川 ゚ -゚)「だったら私の家に寄ってくれ。
     前回泊めてくれたお礼と今回の詫びをさせて欲しいんだ」

(;'A`)「そんな事をして貰う為に泊めたわけじゃあ無いんだけど……」

川 ゚ -゚)「それじゃあ私の気が収まらないんだ。大した事は出来ないが、せめて料理位は振る舞わせてくれ。
     普段から温かいご飯をあまり食べていないのだろう? 口に合うかはわからないが、頑張るからさ」

('A`)「うん……じゃあそこまで言ってくれるなら」

川 *゚ ー゚)「よし! 決まりだ!」

82 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:16:32 ID:nh13zq7M0
これでドクオを連れ込む口実も、手料理を振る舞う口実が出来た。
料理がかなりうまいという訳ではないが、それでも人並みには出来る自信がある。
だが、ここであまりにも凝った料理を作るよりもそれなりであまり嫌いな人が多くない料理を作ろう。
物によっては時間が掛かるし、失敗する可能性が高いからな。
気張りすぎず、出来るものを作ればいい。
そして、反応を見ながら味付けを変えていけばいい。
そうすれば段々とその人の好みの味が解って行くのだから。

家の前につきドクオを迎え入れる。
全員を入れた事はあるが、ドクオ一人だけを入れたのは初めてだ。
というか異性を一人でいれたこと自体初めてだ。

私はドクオに初めてを奪われっぱなしだな。ふふ

川 ゚ -゚)「さあ、入ってくれ。まあ前に来た時と全く代わり映えはしないけどな」

(;'A`)「お…お邪魔します」

最初に二人して手を洗い、ドクオには私の部屋に入って貰い、私は冷蔵庫の中を確認。
う〜む……それなりにはあるが………どうするべきか?
ドクオに聞いても多分なんでもいいという一番困る答えをされるだろうから、
何か案を出さなければ……

川 ゚ -゚)「ドクオ〜ちょっといいか?」

('A`)「どうしたの?」

川 ゚ -゚)「今回作るのオムライスでいいか?」

('A`)「何でもいいよ。俺は料理はあまり分からないから、クーが作りやすいので」

川 ゚ ー゚)「なら決まりだ。楽しみにしててくれよ?」

83 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:17:56 ID:nh13zq7M0
家族には作った事はあるが、異性に作るのは初めてだ。
…………私としたことが中々緊張しているではないか。
……大丈夫。いつも通りやればいい。

手順を一つ一つ確認しながら丁寧に作っていると、ドクオが部屋から出てきたのでどうしたのかと聞いてみると

(;'A`)「何か手伝えることはないかな? ただ待ってるのもなんか悪いし……」

私一人で全部やってもいいのだが、ドクオの好意を無下にしたくない。
しかし……包丁を使わせるのは何だか危なさそうだし………
う〜む……どの位出来るかがわからないから、簡単なのを頼むか。

川 ゚ -゚)「じゃあ、そこのフライパンにある作りかけのチキンライスを炒めてくれ」

('A`)「あいよ〜」

上手にやれているわけでは無いが、一生懸命やってくれているのがよくわかる。
本当にあんまり自炊をしてはいないんだな。

しかし……これは、傍から見れば新婚の夫婦に見えるのではないか!?
夫の為に料理を作っていると、自分も手伝うと言って台所まで出てくるが、
普段あまり料理をしないから、慣れない手つきで必死でやる夫を横で妻が微笑ましく見守っているという風に見えなくもないはずだ!!
そうここは二人だけの空間なんだ!
誰も邪魔する者はいない!!

とは言っても今はそんな妄想を繰り広げている場合ではない。
折角二人で作っているのに、考え事をしていて失敗してしまったなんて事になったら笑えない。
自分だけの時は失敗しても仕方ないかと諦めもつくが、ドクオも食べるのだからちゃんとしないとな!

84 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:18:21 ID:nh13zq7M0




最後に卵を整えて……これで終わりっと!
よしよし! なかなかいい出来ではないか?
だが、オムライスには最後にケチャップで何か描くことが出来る。
あまり難しいのは出来ないが、やはり遊び心は必要だからな!

川 ゚ -゚)「さて、ドクオ。君が手伝ってくれたおかげで美味しそうなのが出来た。ありがとう」

(;'A`)「いやいや…俺なんて大した事は出来なかったよ。クーが上手だから美味しく出来たんだよ」

川 ゚ -゚)「嬉しい事を言ってくれる。だが、最後の仕上げが残っている」

('A`)「仕上げって?」

川 ゚ -゚)「ここにケチャップがあるだろう?」

('A`)「うん」

川 ゚ ー゚)「これで互いの食べる方に何か描こうではないか!」

(;'A`)「ええ!? 無理無理!! 俺には絵心なんてないって!」

川 ゚ -゚)「そうか? じゃあ、お題をあげよう。互いの似顔絵を顔文字みたいにしてみるのはどうだ?」

(;'A`)「難しくない?」

川 ゚ ー゚)「大丈夫。案外何とかなるものさ」

(;'A`)「わかったよ…」

85 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:18:53 ID:nh13zq7M0
ドクオの顔文字は…もうわかるだろう?
いつものあれだ。
だからこそ選んだのさ。あれなら簡単に描けるというもの。
私の顔文字はドクオに描いて貰えるからちょっと楽しみだったりする。
家族に作って貰った時は波か適当にギザギザにしているだけからつまらないのだ。
私はこういうのが好きだというのに………

おっと出来たようだな?
互いに描いたのを見せずにテーブルに運ぶ。
そして同時に出来たのを見せる!




ほう。私は顔文字にするとこんな風になるのか。
なかなか似ているのではないか?

(;'A`)「ど…どうかな?」

川 ゚ ー゚)「うむ。気に入ったぞ。食べるのはちょっと待ってくれ」

スマホを取り出し写真モードに変更する。

まずはドクオが描いてくれたものを撮り、次に私とドクオ描いたのを撮る。
うむうむ。これはちゃんと保存しておかなければ!
二人の初めての共同作業によってつくられたものなのだ! いつでも見れるようにしっかりとな!!

86 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:19:21 ID:nh13zq7M0
(;'A`)「そ…そんなに気に入ったの?」

川 *゚ ー゚)「ああ! 嬉しいぞ!! こんな事をしてくれたのはドクオが初めてだからな!!」

私がやらせたのではないのかだと?
……結果的にやったのはドクオだからいいんだよ。

川 *゚ -゚)「さて、写真も撮ったし満足したから食べるとしよう」

('A`)「俺…こんなにちゃんと料理を作ったの、高校の調理実習以来かも……」

川 ゚ -゚)「そうなのか? だったら私でよければいつだって教えるが?」

(;'A`)「う〜ん…料理って難しくない?」

川 ゚ -゚)「手間のかかる物を作ろうとすればかなり難しいが、簡単なのは簡単だ。段階を踏んで慣れていけばいいのさ」

('A`)「そんなもんなの?」

川 ゚ -゚)「そんなもんさ」

('A`)「だったら……クーがイヤじゃなかったら、お願いしていい?」

川 ゚ ー゚)「イヤだなんてとんでもない! 私でよければいつだって教えよう」

(*'A`)「やった! じゃあお願い!!」

川 ゚ ー゚)「うむ。ではまずはこのオムライスを食べるとしよう」

(*'A`)「よっしゃ! いただきます!!」

川 ゚ ー゚)「召し上がれ」

87 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:19:47 ID:nh13zq7M0
ふふふ。召し上がれだとさ!
まさかこんな言葉を異性に言う日がこようとは!!
今まで料理で食べさせたのなんて家族以外にいなかったから、まさか誰かに食べて貰える日が来るとはな……
感慨深いものがあるな……

この作ったオムライスだが、なかなか美味しく出来たようだな。
普段は一人で寂しく食べているが、今日は目の前にドクオがいるから、
誰かと一緒に食べているというのもおいしく感じる要因の一つなんだろうな。
ああ…いつもこんな風に一緒に食べられればいいのに……
でも、さっき私に料理を習いたいなんて言ってくれたから、一緒に食べる可能性は一気に上がっただろう!
ドクオは包丁とかもあまり使えなさそうだから、まず使うときに後ろに立って、そして包丁を持ってる手に
これはこう握って、そしてこう切るんだぞなんて私の手を添えるなんて事もしてもいいかもしれないな!!

いやいや…今から楽しみでしょうがないな!!

そう言えばこのオムライスはドクオにとってどうなのだろうか?
さっきから何も言ってこないのだが……?
仕方ない……聞いてみるか。

川 ;゚ -゚)「ドクオ…どうだろうか? 口にあったかな……?」

どうしても不安そうに聞いてしまうな……
でも、さっきから無言で食べ続けているからどっちなのか気になるじゃないか……
不味くて言葉も出ないのだったら目も当てられん……

だが、私の言葉を聞いたら食べる手を止めた。
これは……どういう反応だ?

88 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:20:15 ID:nh13zq7M0
( A )「クー……」

川 ;゚ -゚)「うん?」

(*'∀`)「これ……メッチャ美味い!!!」

よかった……本当によかった……
これで作った笑顔で美味しいとか言われたら、気を使わせてるってわかってショックだし、
普通って言われれてもそれはそれでショックだからな……

こんな満面の笑みで美味しいって言ってくれるってことは、本当に美味しいって思ってくれているって事だ!
私が美味しいと思っても相手の好みじゃない場合だってあるから、不安だったんだ……
実は内心物凄い緊張していたからやっと気が抜ける……
ふぅ………

(*'∀`)「俺も親が作ってくれた事があるけど、それよりもっと美味しい!!」

川 ゚ ー゚)「そんなのでよければいつだって作ってあげるよ」

(*'∀`)「マジ!?」

思ったよりも食いつきがよくて驚いた。
普段のドクオならまずは遠慮するだろうに、今回は一気に来たな。

川 ゚ ー゚)「マジマジ。料理を教えるんだ。いつだって作れるタイミングはあるさ」

(*'∀`)「やった!! じゃあクー!! またよろしくね!!!」

川 *゚ ー゚)「任せろ!」

今までにない位のいい笑顔を私に向けてくれる。
こんな顔を見せてくれたのは初めてだ。
ツン達にも見せた事はないのではなかろうか?
私にだけ見せてくれる最高の笑顔だったらいいな……
胃袋をつかめという言葉が分かったかもしれない。
人間の三大欲求の一つが食欲なんだから、やはり美味しい物を食べたいものな。
私だってこんなドクオの顔を見る事が出来るなら頑張ろうって気持ちにもなるからな。

ああ……いつまでもこの顔を見ていたい………

そして、私だけにこの顔を向けていて欲しい………

89 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:21:37 ID:nh13zq7M0





















.

90 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:22:04 ID:nh13zq7M0
(*'∀`)(^、^*トソン













何故だ?














.

91 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:22:33 ID:nh13zq7M0





何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?
何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?
何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?
何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?
何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?
何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?
何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?
何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?
何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?
何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?何故だ?




.

92 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:23:17 ID:nh13zq7M0
何故彼は私以外に簡単にあの笑顔を向けているのだ?
まだ私達友人にあの笑顔を向けているのなら許す事は出来る。
……が、誰だあの女は?
どうしてドクオはあの女に笑顔を向けているのだ?
あんな女はドクオの交友関係にいなかった。
誰なんだ? 私のドクオを誑かそうとするあの女は?
あの女にドクオは渡さない。

そうだ…………














ドクオハダレニモワタサナイ












.

93 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:24:38 ID:nh13zq7M0
しかし……どうする?
物理的に排除したら私が捕まってしまう……
ドクオの悪い噂を流すのは彼にかなりの負担をかけてしまう……
彼女がいるという噂を流してもあの女がそうと取られてしまう可能性があるからこれもダメ……
だからと言って手をこまねいている訳にはいかない……!
何か……何かいい案は無いのか!?

………糞ッ!
ダメだ…! 今は何も思いつかない!!
あの女はドクオのなんなのか、情報が欲しいが誰に聞けばいい?
張本人達に直接聞いてもいいのだが…それは最後の手段にしたい。


…………仕方ない。今日は一旦帰るとしよう。
家で考えれば何かいい案が思いつくかもしれない。

94 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:25:36 ID:nh13zq7M0








さて、家についたわけだが……どうするか………

うん? 何だ。もうそれなりの時間だったのか…
この時間だったら日課をやるのもいいな。
そうだな。まずはこれをやってから落ち着くとしよう。
これをすれば何かいい方向に転がるかもしれないしな……

いつものように電源をつけ、ヘッドホンを付ける。
よし。これで準備万端だ。

しかし、これは運も結構必要だからな……
今日はどうだろうか?

95 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:26:30 ID:nh13zq7M0

「お邪魔しますお〜」

「お邪魔するよ」

「いらっしゃい」

おっと丁度いいタイミングではないか。
今帰って来たところか。
だったら今日は待ちぼうけは食わなくて済んだな。
流石にいつ帰ってくるかまでは今の私では把握しきれないから運がよかったな。
そしたら、あの女の話題になってくれないだろうか?
この二人相手なら、ドクオも色々話してくれるだろうし、二人からも聞いてはくれないだろうか?

……さっきからなんでドクオ達の声が聞こえてくるかだって?
何、気にするな。
ちょっとドクオの家に忘れて来たものが、彼らの声を私に届けてくれる物だっただけさ。
…………犯罪では無いのかだと?
世の中にはこんな言葉がある。
それは……………バレなければ罪ではない!!

………大丈夫だ。別に彼を害する為に使ってるわけでは無いし、個人が楽しむ為に使ってるからセーフセーフ
証拠は残すつもりは無いからいいんだよ。

そんな事よりあの女の話題になったぞ!!
黙って耳を傾けなくては!!!

96 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:27:25 ID:nh13zq7M0
「それでさ、今日は何か知らない女の人と話してたけど、知り合い?」

「知り合いってか、講義が同じ人」

「へぇ〜それにしては何か仲良さげに話してたおね?」

「仲良さげって……」

よしよしいいぞ二人共!
このまま全部聞き出すんだ!!
遠慮する事は無い!! 容赦はするな!!!

「だってドクオ、凄いいい笑顔だったよ?」

「うんうん。満面の笑みだったおね〜」

「僕達もあんな顔見たことなかったな〜」

やはりあの笑顔はこの二人でも見たことがなかったのか…!
だとしたら……あの女は何なんだ!?
何故そんなに簡単にあの顔を引き出す事が出来たんだ!?
あいつはドクオの何なのだ!!?

97 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:27:51 ID:nh13zq7M0
「いや……まあ、だったら白状すっけど昔の知り合い。友達だったってわけじゃあ無いけど、
 小学生の時にクラスが一緒だったから久々に会って懐かしいなって話してたわけ」

なるほど……あの女は昔馴染みだったのか。
確かに昔の知り合いに会えばそれなりに嬉しくて、つい顔が綻んでしまうのは分かる。
しかし、それだけではない可能性が…?
……例えば、だが…初恋の相手だったとか……!?

……だが今は私が問いただす事が出来ん!
ショボン! ブーン! 頼んだぞ!!

「……それだけ?」

「それだけだけど?」

「嘘だぁ〜それだけであんな顔はしないお」

「実は初恋の人だったとか?」

「いやいや…そんな事は無いって。俺は小学生の時そんな風に誰かを見たことなかったもん。
 ただ、一緒に遊んで楽しいか楽しくないかだけだったし……」

「でも、何も思ってなかった人が大人になって成長した姿を見てドキッとしたりとかしたんじゃないの?」

「ないない。第一あの人彼氏いるし、恋人がいる人をそう言う目で見る気はないさ」

よかった……ドクオはあの女に対して何の感情も抱いていないのだな……
よしよし。まずはそれが分かっただけ良しとしよう。
ショボン。ブーン。よくやった!!
だが、昔のドクオを知っているのか……
ううむ……それはそれで気になるが………それは直接本人に聞くとしよう。

98 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:28:30 ID:nh13zq7M0
「へぇ〜じゃあ、恋人がいない人にはそう言う目で見るのかお?」

「……………相手によりけり」

「じゃあ、クーはどう見てるんだお?」

ブーン!! よく聞いた!!!!
君のそのズバズバ聞いて行く所は厄介な時もあるが、今この時は最高だ!!

……だが、いいのか? このまま聞いていて……
もし……もしもだが、特に何も思って無いとか、むしろ嫌っているって言われたら………私は……………

いや!! ここは聞いておくべきだ!! 女は度胸! 何でもやってみるべきだ!!!!!

という事で早くゲロッて楽になるんだ!

「……良い人だと思うよ」

そうじゃない!!
もっと具体的に私に対しての感想を言うのだ!!
好きとか! 愛してるとか!!
そう言うのが聞きたいんだ私は!!!

99 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:29:00 ID:nh13zq7M0
「じゃあ、女性として見てるんだおね?」

「いや、まあ、クーは美人だしスタイルいいし…女性としては意識してると言えばしてるけどさ……」

「何だか煮え切らないね」

「それよりなんでいきなりそんな事聞くんだよ?」

「だってさ、最近さドクオとクーってかなり仲いいじゃない?
 だから、そろそろくっつくのかな?って」

「はぁ!? いやいや………クーが俺みたいな男を好きになってくれるわけないって!!」

「そんなの分からないお? ドクオにクーの考えてる事がわかるって言うのかお?」

「そんなの……わからないけどさ………」

「だったら可能性はあるじゃないか」

「でも、さ……俺みたいな男に好かれたって迷惑なだけじゃないか……?」

「なんでだお?」

「だって俺、別に顔がいいわけでもないし、かと言ってガタイもよくない。
 別にモテる要素なんて何にもないと思うんだけど?」

そんな事を気にしていたのか……
確かに見た目も重要な要素かもしれないが、それだけでは長続きはしないだろう。
外面だけでなく内面を知るからこそ互いを深く理解できるんだ。
それで互いに嫌いな部分我慢できない部分を改善していけば、私達はもっと深い関係になって行けるだろう。
だから、これは必要な行為なんだ。

100 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:29:26 ID:nh13zq7M0
「そんなの関係ないでしょ。
 他人にどう見られるか、じゃなくて互いをどう思ってるか、が重要なんだよ」

「第一クーは見た目でボク達と仲良くしてるわけでもないお」

「そうそう。見た目だけで判断してたら、クーはかなりモテるんだから適当に顔のいい奴を捕まえてるって」

「……そう言えばクーって、外面だけいい奴ってむしろ嫌いだって言ってた。
 なんか、この俺が付き合ってやるからお前は幸せだろ? みたいな感じで来るから腹立つんだって」

「へぇ。やっぱクーって少し男嫌いなとこあったんだ」

「ああ。なんか、体や顔目当てで近寄ってくる男しかいなかったらしいよ」

「そう言えば去年大学でクーが変な男に絡まれてたことがあったおね?」

そう言えばそんな事もあったな。
あの時はまさかドクオに助けられるとは思ってもみなかったな……

それから、ドクオの事を意識し始めたんだよな。
他の男とは違うかもって。

「ああ。ドクオが助けに行った奴ね」

「あの時は情けないとこ見せちゃったけどな………」

「いやいやそんな事ないお。クーも言ってたけど情けなくなんかなかったお」

「そうだよ。それに、その時からクーのドクオの見る目が変わった気がするんだよね」

……ショボンはよく見ているな。
流石私達の中でも常識人。というかストッパー役というか。

101 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:30:13 ID:nh13zq7M0
「見る目が変わったって?」

「ドクオの時だけ、優しい目つきをするっていうか……雰囲気が優しくなるって言うか……」

「あっ! 分かるお! なんか、ドクオにだけはかなり心を許してる感じがするお!」

「そうだったの?」

「うんうん。おまけにさドクオの誕生日の飲み会あったじゃない?
 あの時、クーが酔いつぶれて立つのもやっとって時にしがみついたのが、同姓のワタナベさんじゃなくてドクオだったんだよ。
 クーの性格を考えると、そこまで酔うまで飲まないか酔ったとしても同姓に助けて貰うと思うんだよね。
 でも、クーはドクオにしがみついた。それにドクオの家までついて行った。
 それは相当に気を許してなきゃ絶対にやらないよ。クーは女性でドクオは男なんだから、襲われる可能性だってあったんだから」

「じゃあ、ドクオには襲われてもいいって思ってたのかお?」

「さあ? そこまでは分かんないよ」

………思ってました。
実はあの時プレゼントはワ・タ・シとか言おうかなって思ってたりしたんだが……
恥ずかしいので自主的に却下してたりする。
だってさ、酔ってて変な事を言ってるだけってとられると思ったんだよ……

102 ◆bEtoll2Vds:2017/08/22(火) 21:30:44 ID:nh13zq7M0
「だからさ、クーは結構ドクオの事は信頼しているってか、むしろ好意を抱いてるんじゃないかなって思うんだ」

「そんな事…!」

「無いって言いきれないよ。というか、好意を抱いてるかもって事を否定してちゃ先には進めないよ?」

「でも……それは……」

「うん。僕の勘違いかもしれないね。この考えが間違ってたら、自分が好かれてるって勘違いしてる恥ずかしい男ってなるね」

「それは……」

「うん。相当恥ずかしいね。勘違いして告白してダメでしたとかなったら、クーの前に立てなくなっちゃうかもしれない」

確かにいたなあそんな奴。
たまたま席が隣で落し物拾ってやったら、何を勘違いしたのか自分が好かれてるとか思いこんで色々話しかけて来て告白してきた奴が。
断ったらその気にさせる素振りをするなとか泣きながら言われたっけな。
それ以来興味のない男とは必要最低限しか接触しなくなったんだよな……

「だったら……」

「だったら? このまま、何もしないで卒業するのかい? 僕達が学生でいられる時間は有限なんだよ?
 就職したらこんなにいつも一緒にいられるとは限らないし、第一クーにも他にいい男が現れるかもしれない。
 後になって、あの時想いを伝えていればって事になっても遅いんだよ?」

「おっおっおっ。ショボン落ち着くお。まだ、ドクオがクーをどう思ってるかをちゃんと聞いてないお。
 まずはドクオの意見を聞くお。それからどうしたいのかを考えるお」

「………ゴメン。熱くなり過ぎてた。そうだね。これは当人達の問題なんだから、僕が口を出し過ぎる訳にはいかなかったね……」

「そうそう。ちょっとこれでも飲んで頭を冷やすお」

「うん。ありがと……」

う〜む……意外だ………ショボンがあそこまであつくなるとはな。
何かあったのか?
それとも、ただ私達をくっつけたいだけか?
何か理由があるにしても、それはショボン本人しか分からない事だ。
考えても仕方ないだろうな。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板