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川 ゚ -゚)普通の恋の物語のようです
1
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 20:20:11 ID:nh13zq7M0
アノヒトノスベテヲテニイレタイ
104
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:31:39 ID:nh13zq7M0
「それでもクーは俺達と結構仲良くなっていったじゃないか?
だから、嫌われてはいないのかなって思ったんだ。んで、あの事件が起こっただろ?」
「ああ……ドクオを殴ったナンパ野郎の事かお」
「そうそう。あの時さクーが殴られそうになった時、普段だったらって言うか他人だったら多分見て見ぬふりをしてたと思うんだ。
でも、クーが殴られるかもって思った時、思わず声が出たんだ。
……まあ、助けに行った俺が殴られるだけっていう情けないオチになっちゃったんだけどね………
実はクーだけでも何とかなったのかもしれないから、殴られ損かもな」
「いや。そんな事は無かったよ。クーも言ってたけど誰かが助けに来てくれるって実は相当嬉しい事なんだよ」
「そうそう。多分あの場に他にも人がいただろうけど、助けたのはドクオだけだったお」
「そうだよ。だから情けなくなんかないさ」
「でも、それからだおね〜クーとドクオが一緒にいる時間が多くなったのは」
そうなんだよ。それからドクオについて色々と聞いて回って見たり、
たまたま同じ講義を取るようになったりしたのは。
あの時は本当に大変だったな。自分の気持ちを確かめてみたり、二人に相談に乗って貰ったり。
そして、自分の気持ちが軽いものではないと、ちゃんとしたものであると確信してから
私のさり気ないアピールが始まったりしたのが。
105
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:32:50 ID:nh13zq7M0
「そうそう。なんかそれからクーからよく話しかけて来てくれるようになってさ、二人で食事に行ったりするようになったんだ」
「気を許してくれたんだろうね」
「かなぁ? そうして一年がたったとさ」
「大分端折ったおね……」
「そう言われても、ただ一緒にいる時間が増えただけで特に何もなかったし………」
「まあいいよ。それで僕達がお酒を飲めるようになってから急接近した印象があるんだよね」
「う…ん……まあ……クーが俺の誕生日の時に俺の部屋に泊まる事になった時は驚いた」
その前にも泊まったことはあるんだが、二人には話して無い様だな。
そうだな、ドクオの性格的にわざわざそんな事を言いふらしはしないだろう。
……というか、あいつと俺は自分の部屋に泊まるほどの深い関係だから他の奴は手を出すな!
とか言ってくれればそれはそれでよかったんだがな……
「まあね〜後から聞いた時は驚いたお」
「年頃の男女をあんな状況で二人にするのも正直どうかと思ったけど、よくよく考えたらドクオヘタレだし大丈夫かなって」
「ドクオに襲う度胸なんて無いお」
なるほど……だから、二回とも何もされていなかったのか。
もっと無防備な姿をさらすべきだっただろうか?
106
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:33:20 ID:nh13zq7M0
「うるさいな……酔って抵抗できない相手を襲ったら犯罪だろうが。
おまけに友達にそんな事出来るかっての」
「まあドクオらしいね」
「ヘタレだお」
「うるさいっての」
「さて、ここまでドクオがクーと一緒に色々あった事を再確認出来たけど、今どう思ってるかを最後に確認しようか。
それで、自分の気持ち向き合えるって言うのかな? まあそんな感じの事が出来ると思うよ」
「要は今、クーをどう思ってるかだお」
「どう…って……」
「クーはいい人だよ。それは間違いない。俺達はよく集まってゲームをするじゃないか。
普段はあまりやらないって言ってたけど、皆でやるって言えば文句を言わず一緒にやってくれてるし、一緒に楽しんでくれてるとも思う。
それに一緒にいてわかったんだけど、意外とお茶目な一面もあってさ、気を許した人には冗談言ったり、世話を焼いたりしてくれるんだよね。
俺なんて最近料理を教えて貰ってるし……」
「へぇ〜じゃあ何か作って貰ったのかお?」
「うん。俺の誕生日の次の日にお詫びだって言ってオムライスを作って貰ったけど、メッチャ美味しかった!
それで、つい教えてくれってな」
ふふふ。そんなに美味しかったのか。あの時は心配だったのだが、そんなに印象に残ってくれていたとはな。
「今じゃあ少しだけだけど、簡単な物なら作れるようになったし……」
「じゃあ、後で作ってみてよ」
「簡単やつだけだぞ?」
「いいお。ドクオがクーに教えて貰ってどの位出来るようになったか知りたいお」
何だと!? 私はまだ一緒に作った料理を食べるだけで、ドクオが一人で作った料理を食べた事が無いんだぞ!!
なんて……なんて羨ましい事を!!!
「そうそう。クーに作ってあげる場合は凝った料理を出したいとかって思うもんね。
やっぱ教えて貰った人にはちゃんとした失敗してないものを出したいからね。実験体にはなってあげよう」
………そう言う事なら仕方あるまい。
その時を楽しみに待ってるとしよう。
107
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:33:56 ID:nh13zq7M0
「まあ、それは後にして……そうそう。なんかさ、俺とクーって殆ど一緒の講義を取ってるじゃないか?
だから課題があったら一緒にやるし、グループ組めって言われたら必ず同じグループになってるからさ、一緒にいて当り前ってとこがあったかも…
そんなだからさ、なんかクーがいないとあれって思うってか、一緒にいて当り前って思ってたんだよな………
でもさ、ショボンも言ってたけどそんな事は無いんだよな………
変な言い方だけど、卒業しちゃったら一緒にいる理由が無いんだよな。
今までだったら、課題がわからないから手伝ってとかでも理由になるんだけど、そうは言ってられなくなるんだよな。
そんなのってさ………」
「寂しいよな」
「そうだな。寂しいって思うんだ俺は。クーがいて当り前って思ってるから、いなくなる事なんて思っても無かったんだ…」
「でも、別れはいつか来るんだよな」
「それで何もしないで諦めてしまうのかい?」
「俺なんかとクーじゃ釣り合わないじゃないか」
「さっきも言ったかもだけど、他人の評価なんて気にするなよ。君がクーが好きならそんなどうでもいい事なんて気にしなくていい。
ドクオがクーと釣り合わない? そんなの誰が決めるって言うの? ただ自分が選ばれなかった、選ばれようと努力しなかった奴の言い分なんて気にする事は無いよ」
「そうだお。それを言うならボクとツンだってよく言われてたお。
でも、ボク達は気にして無いお。それに今、ボク達は幸せだお!」
「ショボン…ブーン…」
108
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:34:21 ID:nh13zq7M0
「恋人がいる僕が言うのもどうかと思うけど、クーはいい女だよ。他人の趣味に合わせてくれて一緒に楽しむ。
いくら友人の趣味とは言え興味ないものは興味ないしつまらなくも感じるさ。
でも、いつもクーはイヤな顔をしないで付き合ってくれてただろ?
それに料理を教えてくれてるって話しだけど、失敗したらその料理を処理しなきゃいけないし、何より材料費水道光熱費、いろいろ掛かるんだ。
ただじゃないんだよ。
それでも教えてくれてるんだ。有り難い事なんだよ。
美人で性格もよくて料理も出来る。こんないい女そんなにいないよ?」
「ショボンの恋人が聞いたら怒るおね」
「……そこはここだけの秘密にしておいて」
やけに私を持ち上げてくれるな。
ショボンはそれほどまでに私とドクオにくっついて欲しいのか?
それとも何か企んでいるのか…?
……いや。友人の好意は素直に受け取ろう。
裏なんて無いと。
「そっかそうだよな。クーはいい女なんだよな」
「ただ優しいってだけじゃあそんな事はしない。そこには少しでも好意はあるはずさ」
「クーが俺に好意を……?」
「うん。言い方が悪いんだけど、人は何にも見返りを求めず与える事なんてそうは無い。
今回の場合はドクオの好意をクーは求めてるんだと思う」
「クーが俺に……?」
「だから、言ってみるといいよ。ドクオの素直な気持ちをクーに」
「俺は……クーの事が………」
私の事が?
109
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:35:06 ID:nh13zq7M0
「好きだ」
.
110
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:35:41 ID:nh13zq7M0
「そっか」
「じゃあ、クーに言う為に準備をするお! 善は急げだお!!」
「言うったて…どうやって?」
「勿論デートに誘うんだお!」
「デートって……」
「普段だって二人でよく遊びに行ってたんでしょ? だったらいつも通りに誘えばいいのさ。
それで、最後に帰る時にクーに自分の想いを言っちゃえばいいんだよ」
「……もしダメだったら?」
「僕の家で潰れるまで飲もう。でも、やる前から失敗した時の事を考えちゃ駄目さ。
悪い考えってのは考えれば考える程深みにはまって行くからさ」
「そうそう。ボク達が練習に付き合うから頑張るんだお!!」
「わ…わかった…! それじゃあ、いつ誘えばいい?」
「今から」
「はぁ!?」
「今からクーに電話して次の日曜日に二人だけで遊びに行かない? ってっ聞いて大丈夫だったらその日に告白」
「急すぎない!?」
「ドクオはヘタレだからそのくらい一気に行かなきゃ途中でしり込みするから仕方ないお!」
「でもこういうのってもっとお互いをよく知ってから……」
111
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:36:06 ID:nh13zq7M0
「大丈夫。もう知り合って一年以上経ってるからよく知ってるって。
それにクーならもしもダメだとしても露骨に避けるようなことはしないから大丈夫さ」
「う〜」
「じゃあ電話するお!」
「よ……よっしゃ!!」
おっと……私に電話をかけてくる気だな?
ついにドクオが私の事を好きになってくれたんだな……!
だが、まだ本人から私に直接言ってきたわけでは無いからまだ喜んではいけない……ふふふ
ダメだ…口元が緩んで仕方ない。
このまま電話に出るわけにはいかないからちょっと深呼吸をしよう……
……ふぅ。
しかし、まさかショボンがあそこまでドクオの背中を押してくれるとは……
全てが終わったら、何か感謝の品を送らなければならないな!
……おっ! 電話が来たようだ。
ここでは私は何も知らない事になっているからな……
余計な事を言わないようにしなくては。
一コールで出ると、待っていたと思われるから、普段から三コール目まで待っている。
……さて、出るとしよう。
112
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:36:30 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「はい。もしもし」
「あっ……クー? 俺…ドクオだけど……」
川 ゚ -゚)「ああドクオか。どうした?」
電話してきた理由は知っているが、いかにも知らないフリをする。
……というか知ってたら思いっきり怪しいだろ。
「あのさ……今度の日曜日って空いてる?」
川 ゚ -゚)「今度の日曜日か? ちょっと待ってろ今確認するから…」
まあ、空いてるんだが、すぐに予定はないなんていうとなんか嫌だからあえて確認するふりをする。
これで空いて無かったらどうしよう…と焦らすのが目的だ。
……こんな聞きかじっただけの駆け引きをする時が来るとは思わなかったな。
川 ゚ -゚)「大丈夫だ。特に予定はない、が……何かあるのか?」
「あのさ……二人でちょっと遊びに行かない? 最近課題が多くて、遊んでる時間がなかったから気分転換にさ」
ふふ。本当に成長したな。
最初の方は私と二人きりになると何を話そうかってまごまごしてた君が、背中を押されたとは言え私と二人だけで遊びに行こうなんて言うんだから。
川 ゚ ー゚)「なかなか素敵な案じゃないか。行く場所は決めているのか?」
「あ……えっと………」
こっちで決めるからクーは楽しみにしててって言うんだ!!
というショボンの小声が聞こえてくる。
ふふ。聞こえなかった事にしてあげよう。
113
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:37:49 ID:nh13zq7M0
「こ……こっちで決めるからクーは楽しみにしてて! 絶対に楽しくして見せるから!!」
川 ゚ ー゚)「それは楽しみだ。期待しておくとしよう」
「うん! じゃあ、詳しい事は今度言うから楽しみにしててね!」
川 ゚ -゚)「ああ。分かったよ。それじゃあまた」
「うん。それじゃあまた」
電話の時間は短かったが、これで満足さ。
ドクオからちゃんとデートの誘いが来たんだ。この後三人で作戦会議をするだろうからあまり引き留めても悪いからな。
……さて、しばらくはこれを使うのも控えておくか。
折角のデートなんだ。先にどこに行くのか聞いてしまってもつまらないからな。
「よし!! クーをデートに誘ったぞ!!」
「直接デートしようって言ったわけじゃあないけどまあ、二人だけで遊びに行くって言ったから大丈夫でしょ」
「おっおっ。これで第一関門突破だお」
「なんか安心したらちょっとお腹が減ったお……ドクオ〜なんか作ってお〜」
「あんまり期待すんなよ?」
もうちょっと……もうちょっとだけ聞いておこう。
せめてドクオが何を作るか迄は……
「じゃあ、何があるか探してくるからくつろいでて」
「あいお〜」
114
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:38:57 ID:nh13zq7M0
「行った?」
「行ったお」
うん? 何だ? ドクオを追い出したかったのか?
何か内緒話でもしようというのか?
「ふ〜やっとここまで行けたね……」
「長かったおね〜」
「二人共なかった動こうとしないから見てるこっちがモヤモヤしてたよ」
「だおね〜」
「でも……どうして、あんな強行策を取ったんだお? もうちょっとゆっくりでもよかったじゃないのかお?」
「いや……そう言う訳にもいかなくてね……」
「何かあったのかお?」
何かあったのか?
別にかなりまずい事態は起こっては無いはずだが……?
115
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:39:34 ID:nh13zq7M0
「いや…さ……最初に話題にしたけどさ、ドクオが僕らが知らない女の人と楽しく話してたじゃない?」
「それは昔の知り合いってオチだったお」
「それについては僕らは今聞いて知ったでしょ? ……でもさ、実はクーもその場にいたんだよ」
「ドクオが楽しく話してる場にかお?」
ショボンもあの場にいたのか。全く気がつかなかったな。
………というよりも気が付く余裕もなかった、か。
ドクオが私以外にあんな顔を見せるものだから…………………
「その時のクーなんだけどさ…………」
「クーがどうかしたのかお?」
「…………物凄い寂しそうな顔をしてたんだよ」
「あのクーがかお?」
見られてたのか……
流石の私でも表情を隠しきれていなかったのか……
……仕方あるまい。それ程衝撃だったのだから。
「そう。あのクーが。それで何かあったのかと周りを見てみたら、ドクオがやらかしてたってわけ。
おまけにドクオに何も声を掛けずに無言で立ち去っちゃうしさ……」
「確かにやらかしたおね〜クーがドクオの事を好きなのはボク達じゃあ周知の事実だからおね〜」
「そうそう。それでクーがふさぎ込んじゃうんじゃないかと心配してさ、こんなことをしたってのさ」
「全く………相変わらずお節介焼きおね〜」
「なんかさ、あの二人は放って置けなくってさ……互いに想い合ってるのに些細な事ですれ違うより先に既成事実を作っっちゃった方が早いって思ったんだ」
116
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:40:04 ID:nh13zq7M0
「あんまりやり過ぎは良くないお?」
「分かってるよ。だから僕がやるのはここまで。僕達は背中を押す事は出来るけど覚悟を決めるのは本人次第。
他人が代わってあげられる問題では無いからね」
「後はドクオが最後にヘタレないように祈るだけおね」
「そうだね。ヘタレたらみんなでお説教コースだね」
「おっおっおっ! それはそれで楽しみだお」
ショボンが私達の事をそこまで思ってくれていたなんて知らなかった……
私達の中で一番しっかりしているというか、大人というか……世話焼きな部分があったが、
あくまで一歩引いて自分から何かしようとする性格では無いと思ってたんだけどな。
私達の為にやってくれたんだな……何かを企んでいるのではないかと疑ってしまってすまない……そして本当にありがとう。
友人であるショボン達から見てもしっかり私がドクオに好意を持っていると分かっていたのに本人には気がつかれてなったのは………
まあ、ドクオだししょうがない、か。
だが二人の協力もあって理解してくれたようだからよしとするべきだな。
ドクオは少し自分に自信がない部分があるから、何となくはわかってたのかもしれないが信じられなかったのだろう。
私としてはもう少しだけ自信を持って貰いたいが、それで他の女が寄って来たらかなり嫌だからそれはそれでいいのかもしれない。
彼はいい男だからな、彼の魅力に気が付いてくだらない女が近寄ってくるかもしれない。そしたらちゃんと排除しないとな。正式な恋人として。
まだ妻とは言えないのがもどかしいが仕方ない。それはまだまだ気が早い。
だが、ショボンは既成事実を作って欲しいみたいな事を言っていた。
これはもしやそう言う事か!?
いやいや……まだ私は学生だぞ。まずはしっかりと生活の基盤を作ってから、将来の事を考えてだな………
しかし……学生結婚というのも………
いや、ダメだダメだ。落ち着け私! 行為に及ぶまではいい! むしろ早くそこまで行きたい!!
……では無くて!! 学生の内に結婚などしてしまったら、何か事情があるのかといらぬ探りを入れられてしまう。
そしたらくだらない他人の言葉にドクオが傷ついてしまうかもしれない。
私は戯言なぞ聞き飽きているが、言われるのは私だけではない。あれだ、もう一人の体では無いというやつだ。
だからゆっくり一緒に歩んで行こう。
二人を阻むものは私が消し去ってしまうから。
ああ………こんなにも日曜日が早く来てほしいなんて思ったのは初めてだ。
117
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:40:53 ID:nh13zq7M0
.
118
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:41:32 ID:nh13zq7M0
………朝か。
何だかドクオとの出会いを最初から誰かに語りかけるような夢を見ていたような気がするが……まあいい。
今日は待ちに待った日曜日なのだから!
時間はまだ余裕はあるとはいえ油断は禁物!
準備で手間取って遅刻しましたなんて事になったら、初デートの最初から不安になってしまうではないか!
まずは服だが……確かツンが
ξ゚⊿゚)ξ「別に気合い入れて選ばなくてもいいのよ。いつも通りにしなさい。変に気合い入れると凄い意識してるって思われるから、
ドクオの場合は良く無いと思うからね。いつもよりちょっとオシャレ程度でいいのよ」
とか言ってたから、外行きのちょっと綺麗な服にしておけばいいか。
髪は……いつも通りでいいか。
それなりに長いが気に入ってるんでなこの髪型は。
まあ、枝毛とかにならないように注意しているのだがな。やはり髪は女の命というからな。大事にしているんだ。
さて……化粧だが、ワタナベが
从'ー'从「化粧は難しいよね〜凄い人はかなり時間をかけて別人になっちゃうからね〜
でもクーちゃんはいつもの化粧で大丈夫だよ〜やり過ぎちゃうとドクオ君にクーちゃんだって気が付かれないかもしれないし、
ドキドキしちゃってまともに顔を見てくれないかもしれないからね〜」
119
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:42:04 ID:nh13zq7M0
う〜む……個人的には気合いを入れたメイクをしたいんだが、ここは先人の助言に従おう。
二人共私とは経験が違うからな。折角の好意を無駄にしたくないし、気が付かれないのはそれはそれでイヤだ。
いつも通り……いつも通りでいいんだ。
私はドクオが今日何の為に遊びに誘ったのか知らない事になっているのだから。
ただ、二人だけで遊びに行こうと言われただけで、それに乗っただけという体なのだから。
さて化粧の前に朝食を済ませ、その後その他諸々の確認。
準備を済ませ待ち合わせ場所に行くとしよう。
私の友人の助言を再確認もしておかなければ………
.
120
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:42:39 ID:nh13zq7M0
さて、といい時間だそろそろ行くとしよう。
忘れ物は無し。戸締りもよし。
さあ! 行こう!!
今の時間は……十時五分前か。
待ち合わせの時間まであと少しだけあるが……あそこにいるのは………ドクオだな。
うむうむ。いい事だ。私は実は時間を守らない奴は嫌いなのだ。ちゃんとした理由があるのなら少しぐらいは許してやるが、基本は許さん。
その点ドクオはちゃんと時間を守ってくれる。
今回は自分が誘った側だから待たせるのも悪いと思っているのだろうか?
だが、今回みたいなデートの場合は待ってる時間も楽しいとか聞いたことがある……が、
待ってる間、やっぱり来ないかな……? 約束忘れちゃったのかな……? 連絡して大丈夫かな……? 迷惑じゃないかな……?
とか考えてしまいそうでイヤだがな私は。
今日は私はそんな思いをしなくて済んだが、ドクオはどう思っているのだろうな?
……しかし今回はそれよりも私もちょっとだけだが緊張している。
ドクオの性格的にアウトドアなデートにはしないだろうと踏んで滅多に着ないスカートで来ているのだ。
何が悲しくてこの暑い中外で汗水流しながら初デートをしなければならないのだ。と私は思うがな。
まあ、デートコースはドクオ側で決めているのだろうから、文句を言わずに楽しもう。
わざわざドクオが私の為だけに考えてくれたんだ。楽しくないわけがない!!
……よし! 声をかけよう! デートの始まりだ!!
121
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:43:35 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「おはようドクオ。先に来ていたのか。すまない待たせてしまったかな?」
('A`)「あ…おはようクー。ううん今来たところだから」
これは定番のお待たせ待った? 今来たところという奴だな!?
まさかこの私がやるとは思わなかったな。
('A`)「あれ? 今日はスカートにしたんだ?」
川 ゚ ー゚)「ああ。似合ってるかな?」
その場クルッと一回転。
こんな姿は君にしか見せないんだ。なんて言ってくれるかな?
('A`)「うん。似合ってる。今日は結構かわいい感じだね」
かわいい……だと!?
そんな言葉は子供の頃以来だ……
かっこいいとかなら言われたことはあるが、かわいいとは………ふふふふふふ…………
おっと…口元が緩んでしまう。何とか誤魔化さなくては
122
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:44:02 ID:nh13zq7M0
川 ゚ ー゚)「そう言うドクオも今日はまた違った雰囲気だ。今日はまた一段とカッコよく見えるよ」
(*'A`)「あ……ありがと」
ここで一段とという言葉を入れないと、普段はカッコよく無いと言ってるようなものだから、注意が必要だと二人に言われていたからな。
相手の容姿を褒めるのも重要だって言っていたからな。
川 ゚ -゚)「それで、今日はどこに行くんだ?」
二人で外に突っ立っていてもしょうがない。
まずは移動を開始しなくては。
('A`)「今日は水族館に行こうって思ってるんだけど、どうかな?」
川 ゚ -゚)「ほう……いいんじゃないか? もう随分と行ってないから楽しそうじゃないか」
(;'A`)「よかった…実はもうチケットも確保してあるから断られたらどうしようかと思ってたよ……」
ふふ。君が誘ってくれる場所なら何処にだってついて行くさ。
君の実家だってよかったのだぞ?
川 ゚ -゚)「なんだチケットをもう確保しているとは………お金はいったいどうしたのだ? 決して安い物では無いだろう?」
('A`)「ああそれは大丈夫。ショボンがなんか前々から懸賞で当てて彼女さんを連れて行きたかったみたいなんだけど、
予定が合わないうちに期限が近づいて来たからこれで遊んで来いって貰ったんだ」
川 ゚ -゚)「じゃあチケット代は特にはかからなかったと」
('A`)「そう言う事。ただペアチケットだから俺達しか行けなかったって訳」
川 ゚ ー゚)「なるほど。そう言う事ならショボンに感謝しながら行くとしよう。礼は土産話でもしてやるか」
(*'A`)「そりゃいいや! ショボンには感謝しながら呆れるぐらい話してあげよう!」
123
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:44:27 ID:nh13zq7M0
それにしても……この水族館かなり有名なところじゃないか。
本当に懸賞で当てたかはさておきよく手に入ったな……かなり苦労しただろう。
この時期はまだ夏休みに入る一歩手前とは言えそれでも競争率は高かったろうに……
……それ程今回の初デートが気合いが入っていると取っていいのだな?
男の誘いなど乗ったことが無いからわからないが、ドクオに全てを任せてしまおう。
大丈夫。お節介焼きの私達の友人達が色々と考えてアドバイスしてくれているだろうから。
('∀`)「じゃあ、電車に乗って行こうか。今日はイベントもやってるらしいから楽しんで貰えると思うよ!」
川 ゚ ー゚)「それは楽しみだな!」
合流した駅からまた電車に乗り三十分程経つ場所に目的の場所はあった。
意外と近いものなのだな……と思ったが、移動にあまり時間が掛かる場所を選んでも移動で疲れてしまうからわざわざそう言う場所を選んだのだろう。
移動もある意味待ち時間のようなもの。普段から一緒にいるとはいえ話題が尽きないという訳でもない。
ふとした会話の切れ間に気まずい沈黙が流れる事だってある。
……が、今回はそれが起こってしまうと気まずい事この上ない。まあ、私はちょっと緊張しているわけだが、ドクオもそれなりに……いや、私以上にしているかもしれない。
私はいつも通りの感じでリードしながら、肝心なところはドクオに頼むとしよう。
いつも通りいつも通り………私はただ遊びに誘われただけだと…………
川 ゚ -゚)「さて、着いたが……何処から回ろうか?」
('A`)「イベントは午後からだからまずは順路があるからまずはそれに沿って行こう。
その後ここで食事をとってイベントを見に行こう。ここは結構広いからただグルっと回るだけでもかなり時間が掛かるんだ」
あ〜しまった……食事の事を忘れていた………
私とした事が、弁当を作り忘れてしまうとは…………
まあ、仕方ない……か。水族館の中は飲食禁止だし諦めとするか…………
私の手料理はドクオに料理を教えてる時に色々食べさせてるから、今回は…な。
124
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:44:54 ID:nh13zq7M0
それにしても水族館とはなかなかいいところを選んでくれた。
この時期の動物園だとどうしても屋外が多いから暑いんだよな。
それに動物達の臭いも……な。いや、職員達も頑張ってくれてるのはわかる。わかる…が、今日は室内の水族館で大満足だ。
同じ室内の映画館という選択肢もあるのだが、これは互いに見たいのが一致しないと色々と大変な目に遭う。
興味のないものを暗い室内で延々と流されても、どうしても睡魔が、な。
もしも自分ではお金を払ってなかった場合は相手の気分を害してしまうし、起きてたとしても後の感想を互いにいう部分で興味がなかったことがばれる可能性もあるしな……
さらに私の個人的な趣味でも水族館は嫌いではない。
確かに自分では最近行ってはいないが、テレビなどで見ていると色々と洒落ているし、面白そうではないか。
まあ……自分一人だけでわざわざ行く気にはならなかったがな……
だから丁度いいんだ。誘われたのがこの場所で、初めてのデートの場所がここで。
川 *゚ ー゚)「おお! 見てみろドクオ! なんか面白いのがいるぞ!!」
(;'A`)「うわっ!? 何だこれ!?」
('∀`)「でっけ〜!!」
川 ;゚ -゚)「あれはサメか?」
125
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:45:52 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「ここは……深海ゾーンか」
('A`)「面白いね。こんな生物が海にいるんだから」
川 *゚ -゚)「上を見ても下を見ても魚がいるぞ!!」
(*'A`)「海のトンネルみたいだね」
いやぁ広いなここは、まだまだ色々とあるではないか!
全部見て行ったら日が暮れてしまうかもな!
……しかしそろそろ腹が空いて来た。ドクオにどうしようか聞いてみるか。
川 ゚ -゚)「さて…そろそろ食事の時間だが、どうする?」
('A`)「俺も結構お腹が空いて来たし食事にしよっか。ここのフードコートって結構美味しいって有名らしいんだ。そこに行ってみよう」
川 ゚ -゚)「それじゃあ早く行くとしよう」
流石に私の腹の音を聞かれるのは非常に恥ずかしい!
まだ鳴りはしないだろうが、万が一という可能性だってあるからな…
食事にするにこした事はない!!
126
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:46:29 ID:nh13zq7M0
('A`)「どれにする?」
川 ;゚ -゚)「う〜む……やはりここは海鮮丼か………? ここまで来てファーストフードは勘弁願う」
('A`)「そうだね。ここは海鮮丼が人気らしいからそれにしようか?」
川 ゚ -゚)「よし! 決まりだ!! じゃあ並ぶとしようか」
せっかくだからドクオがおススメしているのを選ぶことにした。
会計の時私達が同時に注文したので一つにまとめていいかと聞かれたので、別々にしてくれと頼んだのだが……ドクオが自分が奢ると言って支払ってしまったのだが……
これは良くない。
……というよりも私が気に入らない。
これはドクオにしっかりと言っておいた方がいいだろう。
川 ゚ -゚)「ドクオ……別に男女が二人で遊びに行く時に、男が全て負担しなくてもいいのだぞ?」
(;'A`)「でも……今日は誘ったのは俺からだし……」
川 ゚ -゚)「私達はまだ学生で、金銭的な余裕があるとは言えない。それに遊びに誘った方がいつでも支払いを負担しなければならないなんて、気軽に誘いにくいじゃないか。」
川 ゚ ー゚)「私は君の誘いなら何処へだろうとついて行くさ」
('A`)「クー……」
川 ゚ -゚)「まあ、今回は君の好意に甘えさせて貰うよ。わざわざ支払ってくれたのに突き返すような真似は君にはしたくないからな」
(;'A`)「う……うん」
127
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:47:01 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「私は君に気を使い過ぎて欲しく無いんだ。一緒にいて疲れる事の無い。そんな関係でいたいんだ」
(;'A`)「ゴメン……なんか逆に気を遣わせちゃったかな?」
川 ゚ ー゚)「いいんだ。君の好意だって事はよくわかっている。だから次は君に何か送るとしよう」
川 ゚ ー゚)「楽しみにしててくれよ?」
('∀`)「はは。それじゃあ、期待してるよ!」
ふぅ良かった……
私は別に貢いでほしい訳じゃあ無いんだ。
ただ君が傍にいてくれれでそれでいいんだ。
いつでも君の隣にいるのが私だけでありたいんだ。
('A`)「さて、そろそろ行こっか? イベントの開始時間も近づいて来てるし」
川 ゚ ー゚)「ああ。そうしよう。美味しかったよ。ご馳走様」
しかし、水族館で海鮮丼、か……
新鮮な素材を使ってますと書いてあったが、その素材というのはもしや………
いや、そんなわけないか……まさかこの魚がそんな事はありはしないだろう。
もしそうだったら都市伝説になっているだろうからな…………
さて、そんな馬鹿な事をドクオに話してみようか?
結構面白い反応を返してくれるかもしれないが、水族館の魚をそう言う目で見ていたのではないのかと思われても困る。
のでこの話題は却下だ。
128
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:47:32 ID:nh13zq7M0
イベント会場に着いたが広いな……
今回の目玉はイルカショーらしいが、最初にアシカショーもやるらしい。
流石は人気がある場所なだけはあるといった所か。
両方とも楽しそうだから楽しみだ!
川 ゚ ー゚)「ほう……なかなか器用な物だな!」
('A`)「あれって飼育員さんの頑張りもあるよね」
川 ゚ ー゚)「ああ。互いに信頼関係を築けてなければ出来ないだろうな」
やはりこういうショーは見ごたえがあるな!
彼らの言葉を理解できないのが残念だが、鳴き声が可愛らしいから良しとしよう。
川 *゚ ー゚)ノシ「おっ! こっちに手を振ってるぞ!!」
(*'∀`)ノシ「アシカショーはお終いで次はイルカショーだってさ!」
川 *゚ ー゚)「次も楽しそうではないか!」
随分と長い時間拘束されてしまうが、構わない!
こういうショーは本当に見ていて飽きないものだ。
だからこそ人気が出るのだろがな。
129
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:48:00 ID:nh13zq7M0
川 *゚ ー゚)「ふぅ…かなりはしゃいでしまったが、楽しかったな!」
(*'∀`)「いや〜やっぱここのショーは最高だったね!!」
川 ゚ -゚)「さて…この後はどうする?」
(*'∀`)「まだ見てないところがあるからそっちに行ってみよう!」
川 *゚ ー゚)「まだまだ楽しめそうだな!!」
その後、残った場所を全部回って行ったのだが色々あったな……
水族館は魚がメインかと思っていたが、そんな事は無く
虫みたいな変な生物がいたり、顔を地面から少しだけ出しているのがいたり、どう見ても水中に住むには不便だろうという生物がいたりもした。
その度に私が驚いたり、ドクオが笑ったりとなかなかいい雰囲気だったと思う。
大体見終わったので最後にここに来た記念に何か土産を買おうという事になり売店までやって来たのだ。
さて、と何を買おうかな?
130
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:48:42 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「ドクオは何を買うか決めたか?」
(;'A`)「う〜ん……みんなで分けられる物がいいとは思うんだけど………」
川 ゚ -゚)「だったら無難に食べ物にしようか? それならみんなで集まった時に食べれるし」
(;'A`)「やっぱそれが無難かな? それじゃあ、あっちに色々あったから見てみようよ」
川 ゚ -゚)「すまないが先に見ていてくれないか? 私はちょっと気になる物があるのでな」
('A`)「そうなの? じゃあ何か選んでおくよ」
川 ゚ -゚)「頼んだ」
………よし行ったな?
さっきはドクオにご馳走になってしまったからな、お礼の品をと考えてたんだが……いいのがあった。
これなら邪魔にはならないし何よりここに来たという思いでが形になる!
そして二人が一緒に行ったのだろうというアピールにも出来るはずだ!
だが種類が多い……が、折角ださっきのショーに出て来た彼らの物を選ぶとしよう。
先にドクオに気が付かれないように会計だけ済ませ、贈り物だからと二つに分けて袋に入れて貰う。
………バレてないな? よしよし。大丈夫なようだ。
後は何事もなかったように合流すればこれで大丈夫だ。
131
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:49:15 ID:nh13zq7M0
川 ゚ -゚)「ドクオ、何かいいのはあったか?」
(;'A`)「う〜ん……いざ選ぶとなると結構迷うね………」
川 ゚ ー゚)「ふふ。何、気ごころが知れた相手に渡すんだ。いかにもな物でいいんだよ」
私は水族館の名前が大きく書いてある箱を手にしドクオに渡す。
川 ゚ -゚)「これとこれにしよう。値段は一緒だからそれぞれ私達で会計すればいいだろう」
(;'A`)「うわぁ……ホントいかにも行って来ましたよって奴だけど、まあ分かりやすくていいか」
('A`)「それじゃあ並ぼっか」
川 ゚ -゚)「ああ」
二度目の会計だが関係ない。
あれは私達用に買ったものでこっちはツン達用に買ったもの。
ちょっと値段が違うが、それはご愛敬って事にしておいてくれ。
そして会計が終わり出口から外に出た後、これを渡すことにした。
本当は最後の別れる時に渡せばいいのかもしれないけど、その時は一大イベントが待ち受けているかもしれないから早めに私の用は済ませておかなければな。
川 ゚ -゚)「ドクオ。さっきのショーはどっちの方が気に入った?」
(;'A`)「え? う〜ん……イルカの方かな? やっぱあっちの方が迫力があったし」
川 ゚ ー゚)「そうかそうか。じゃあこっちだな」
隠し持っていた二つの袋の内一つを手渡す。
何が何だか分からないといった顔をしているが……まあ、しょうがないか
(;'A`)「これは…?」
川 ゚ ー゚)「開けてみてくれ」
('A`)「うん」
私が渡した袋に入っていたのはイルカの形をした可愛らしいキーホルダーが入っていた。
132
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:49:57 ID:nh13zq7M0
('A`)「これは……?」
川 ゚ -゚)「気に入ってくれるかはわからなかったのだが、今日のお礼にと君に何かを渡したくてな、さっき買っておいたんだ。
因みに私のは君の持っている物のアシカの種類だ」
('A`)「クーが俺に?」
川 ゚ ー゚)「ああ。かわいいだろ? それにお揃いなんだぞ?」
(*'∀`)「あ…ありがとう!! これ………大切にするよ!!」
川 ゚ ー゚)「よかった。気に入ってくれたんだな」
大事そうにキーホルダーを袋にしまい直し自分のバッグに入れる。
よし…これでドクオがあれを見るたびに私とここに来た事が思い返されるだろう。
私達の大切な思い出という訳だ!
これで今日のデートはお終いだ………ああ……本当に楽しかったな……
もう日が暮れてしまう。子供では無いから遅くなっても構わないのだが、今日は引くとしよう。
また誘ってくれると信じているからな!
お開きにしようと言ったら今日はドクオが送ってくれるというのでお言葉に甘える事にした。
帰りの電車に乗ってる時ドクオの口数が目に見えて減っていたので何かあるのだろうなとは感じていた。
私の最寄りの駅に着きここまで来たら家まで送ってくれるといってくれたのだが……いつになく真剣な顔をしていたのだ。
これは……期待してもいいのだろうか!?
別に私はいつでもいいがドクオは今日もう言って来てくれるのか!!?
.
133
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:50:21 ID:nh13zq7M0
……………おかしい。
さっきから私達は何もしゃべっていない。
ただ無言で一緒に歩ているだけだ。
これでは喧嘩をしたが、いつも送っているから仕方なく送ってやっているみたいな雰囲気になってしまっている。
途中まで最高に楽しかったのに、最後の最後でやらかしてしまって大失敗とかはいやだぞ!?
じゃあ、クー……今日は楽しかったよ。お休み……とかなったら流石の私でもかなりくるものがあるぞ!!
ここまで期待を持たせて寸止めされたら私は…………ハッ!? まさかこれはドクオの策!?
いかにもな雰囲気を出しておきながら実は何もしないことで私に意識させるという策なのか!!?
何という策士……! 私はまんまと罠にかかってしまったというのか………!?
………ああもう私の家がすぐそばだ!
言わなければ…! ここまで来たらもう大丈夫だ。今日はありがとう。本当に楽しかったよ。また誘ってくれと………!
川 ;゚ -゚)「ど…ドクオ……」
振り返って今日のお礼を言う為に立ち止まる。
さあ……楽しい時間はもう終わりだ………
('A`)「なあ。クー。最後にもうちょっとだけ、時間をくれないか?」
川 ;゚ -゚)「あ……ああ。構わないが?」
('A`)「よかった。じゃあ、あっちに公園があるからそっちに行って話そうか」
近くにあるのを知っていたらしく私は促されるまま公園に足を運ぶ。
延長戦とは……やるではないか!
さて、ここはドクオから話すのを待つとしよう…
丁度ベンチあるから腰かけていられるからな。
134
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:51:06 ID:nh13zq7M0
('A`)「クー」
川 ゚ -゚)「うむ?」
('A`)「ちょっとさ、俺の話を聞いてくれないかな?」
川 ゚ -゚)「構わないぞ」
('A`)「そっか」
そうして大きく深呼吸をする。
という事は何か緊張する何かをするという事。
そして落ち着くためにする行為。
何回か深呼吸をした後、ゆっくりと口を開く
('A`)「俺、さ。今までこんなにも女性と仲良くなった事って無いんだ。そりゃあツンやワタナベさんとは仲はいいけど、それとは違った意味でさ」
川 ゚ -゚)「うん」
('A`)「最初、さクーに会った時綺麗な人だなって思ってその後、冷たそうな人だなって思ったんだ」
(;'A`)「勿論今はそんな事思って無いよ? むしろ感情豊かで楽しい人だって思ってるから!」
川 ゚ -゚)「私はあまり感情が表に出ないと言われてきたんだがな」
('A`)「それはクーの表面しか見てないからでしょ。よく見てると結構顔に出てるよ」
川 ゚ -゚)「そうかな?」
('A`)「うん。口元がよく緩んでたりするし、お酒なんて飲んだ時は口開いて笑ってるしね」
川 ゚ -゚)「酒……か。君の誕生日の時はよく覚えてはいないのだが大分迷惑をかけてしまったようだな」
(;'A`)「いやいや…そんな事………まあ確かに酔ってたクーは普段とちょっと違ってたけど」
川 ゚ -゚)「良ければ教えてくれないか? 迷惑をかけてたら謝りたいのでな」
(;'A`)「迷惑なんてかかってないよ! むしろ………」
川 ゚ -゚)「むしろ?」
135
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:51:35 ID:nh13zq7M0
(*'A`)「その…………可愛かった……………」
そう思われていたのか!!!
キャラが崩壊しているなんて言われたから正直言って失敗したかなと思っていたが、好評だったとは!
恥ずかしさに耐えて頑張った甲斐があるというものだ!
川 *゚ -゚)「なんだ……その………君にそんな事を言われると照れるな」
川 *゚ -゚)「そんなに普段の私と違っていたのか?」
(;*'A`)「お……覚えてないならその方がいいと思う……けど、クーって意外と甘えん坊なのかなって思って………」
川 ゚ -゚)「私が、か? う〜む……余計に気になるではないか」
(;*'A`)「あ………あれだ! ほら! 酔うと隠れた一面が出るって事で!!」
川 ゚ -゚)「隠れた一面か? じゃあ私は内心ドクオに甘えたいって思ってたんだなきっと」
(;*'A`)「そ……そいつは光栄です………」
おっと、いけない。いつもの癖でからかってしまった。
ドクオが意を決して話してくれているのだ。余計な事を言うのを控えなくては…
話を元に戻そう。
136
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:52:03 ID:nh13zq7M0
川 ゚ ー゚)「それはまた今度聞かせてくれ、二人だけの秘密というやつだな」
(;'A`)「機会があったらね………」
('A`)「コホン! それでね、クーって結構俺達に合わせてくれてるでしょ?
今までゲームとかはあまりやった事ないって言ってたけど、みんなで遊ぶ時は一緒に付き合ってくれるし、
文句も言わずにやってくれてるし……」
川 ゚ -゚)「まあ、友人達と遊ぶ場合は多少は合わせるさ」
(;'A`)「それで無理に合わせてくれてるんじゃないかなって思ってさ……」
川 ゚ -゚)「そんな事は無い。私はイヤならはっきり言ってしまう性格だ」
(;'A`)「よかった…俺達に遠慮して疲れさせてたらイヤだからさ……」
川 ゚ ー゚)「大丈夫だ。君達とは良い関係を築けているって思ってるさ」
('A`)「俺もクーとは仲良くなれているって思ってるよ」
(;'A`)「それで、さ……ショボンにも言われたんだけど、こんな風にみんなで一緒にいられるのって実は残り少ないって訳でもないけど、多いって訳でも無いと思うんだ。
今はまだ遊んでられるけど、もうしばらくしたら就活もしなきゃならないし、卒論とかもやらなきゃならないだろうし……」
川 ゚ -゚)「ああ。みんなといられる時間は少なくなってしまうかもしれないな」
('A`)「そしたら段々と疎遠になってちゃうかもしれないし、クーともこんな風に一緒に何処かに遊びに行けなくなってしまうかもしれない」
川 ゚ -゚)「そうだな……」
(;'A`)「でもさ、俺……そんなの嫌なんだ!!」
川 ゚ -゚)「みんなで遊びに行けない事が、か?」
137
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:52:39 ID:nh13zq7M0
(;'A`)「それもあるけど、それだけじゃない! 俺はクーと一緒にいられる理由が欲しいんだ!!」
川 ゚ -゚)「友達だからではダメなのか?」
(;'A`)「それじゃあ、クーに恋人が出来た時俺と二人だけで何処かに行かないかって誘ったら迷惑が掛かるし、恋人とも仲が悪くなるかもしれない」
川 ゚ -゚)「別に私に恋人が出来るとは限らんぞ?」
(#'A`)「そんなの分からないじゃないか! クーは見た目で判断されるのは嫌だって言ってても美人でスタイルが良いし、料理だって旨い! それに頭だっていい!!
そんな良い人を普通男は放っておかないって!!
今は良い縁がないかもしれないけど、いつかは現れるかもしれないだろ!!?」
川 ゚ -゚)「そうかな?」
( A )「だから……だから………俺は…………!」
( A )「クーに比べれば大した男でもないかもしれない………釣り合うなんて言えないかもしれない………」
(# A )「でも! 俺はクーと一緒にいたいんだ!! 他の男なんかに渡したくない!!!」
( A )「本当は……本当は今日みたいな日をもっと重ねてからこういう事を言った方が良いのかもしれないけれど……
俺は、度胸が無いから……みんなに背中を押してもらってやっとここまで出来たんだ………!
次があるから今日はいいやなんて出来ない!! だから……今言う!!!」
138
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:53:22 ID:nh13zq7M0
( A )「クー!」
( A )「俺は……!」
( A )「君の事が………!」
('A`)「好きだ!!!!!!!!!」
.
139
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:54:02 ID:nh13zq7M0
ついに…ついに言って貰えた……
ああ………長かった………私が自分の気持ち自覚してからこんなにももどかしい日々が長いとは思わなかった。
君が私を助けに来た時から私は君の事が好きだったのだろう。
君はいつから私の事を好きになってくれたのだろうか……?
いや……今はどうでもいいか。
重要なのは今、ドクオが私を好きと言ってくれたという事。
それに対しての私の答えを言わなければならない。
いつの間にかドクオはベンチから立ち上がっていて、私の目の前に立っていた。
座ったままの私を真っすぐ見つめ、再び口を開く
(;'A`)「だから……だから……!」
(;'A`)「俺の…………」
140
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:54:27 ID:nh13zq7M0
('A`)「恋人になって下さい!!!!!!!!!」
.
141
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:54:53 ID:nh13zq7M0
付き合ってくれという誤魔化しの効く言葉ではなく逃げる事の出来ない真っすぐな言葉で勝負してきた。
考える時間をくれ、という逃げ道もある。
しかし最初から答えは決まっているのに何を逃げる必要がある?
ドクオは私を求めてくれた。
私もドクオを求めている。
答えはわかり切っているだろう?
……だがあえて私は顔を俯かせる。
今の私の表情を見せたくないからだ。
だから私はドクオに質問を投げかける。
142
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:55:20 ID:nh13zq7M0
川 - )「一つ……一つだけ、私は許せない事があるんだ」
(;'A`)「それは……?」
川 - )「私は絶対に浮気だけは許せないんだ。私だけを見ていてくれるか?」
('A`)「勿論だ!! 俺はクー以上の良い女を知らないし、他の女になびくつもりは無い!!」
川 - )「本当か……?」
('A`)「勿論!!!」
川 ー )「約束してくれるか……?」
('A`)「約束する!!!!!」
川 ー )「だったら…………」
143
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:56:12 ID:nh13zq7M0
そう言って私は顔をあげる。
目の前にはいつになく真剣な表情をしているドクオの顔がある。
私は立ち上がり彼の首の後ろに手を回す。
そして、私達の顔の距離が近づいて行く
144
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:56:41 ID:nh13zq7M0
私と彼の唇がそっと触れる。
ただそれだけの短い……とても短いキス
これは愛を誓うキスではない。
これから一緒になる為の契約のキス
裏切る事を許さない私達の誓い
これで……これが…………私の答えだ。
145
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:57:05 ID:nh13zq7M0
川 ゚ ー゚)「これで私は君だけのモノだ」
川 ゚ -゚)「そして……」
川 ー )「君は…………」
.
146
:
◆bEtoll2Vds
:2017/08/22(火) 21:57:49 ID:nh13zq7M0
川 ∀ )「ワ タ シ ダ ケ ノ モ ノ ダ」
終
147
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 22:08:43 ID:fflO2aR60
ホラーじゃねーか乙
148
:
名無しさん
:2017/08/23(水) 17:44:04 ID:91E8SE2E0
乙
クーかわいい
149
:
名無しさん
:2017/08/24(木) 18:01:48 ID:ETwwkXNI0
よし!ハッピーエンドだな!
乙
150
:
◆TflJu3mvXc
:2017/08/27(日) 00:59:18 ID:0WOwGXjQ0
【業務連絡】
主催より業務連絡です。
只今をもって、こちらの作品の投下を締め切ります。
このレス以降に続きを書いた場合
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◆投票期間中の場合:失格(全票が0点)
となるのでご注意ください。
(投票期間後に続きを投下するのは、問題ありません)
詳細は、こちら
【
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1500044449/257
】
【
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1500044449/295
】
151
:
名無しさん
:2017/08/28(月) 02:35:40 ID:ELq95TOk0
乙乙
病んでても可愛ければ問題ないよね
152
:
名無しさん
:2017/09/01(金) 22:37:57 ID:hRz0yUkI0
よしっ
次は既成事実作って、結婚だな
153
:
名無しさん
:2017/09/08(金) 08:01:56 ID:dkyjwHmg0
表面化してないから問題ないな!乙
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