文句も以前より長くなり、一瞬では読めないものもある。こんなのもあった。「I want to find a way for me to...(○○のやり方を知りたい)」。彼女のウエストにある続きの文字は読めなかった。「I'll become the all-over girl who will...(100%の女の子になって○○するつもり)」。彼女が一体何をするつもりか、続きを知りたいものだ。
この夏のお気に入りはこれ。「Karma, knowledge and recommendations my ass, try to make the best of a bad situation.(運命、知識、忠告なんてクソ食らえ。苦しい状況でもベストを尽くせ)」。なるほど。死ぬほど暑い日には役に立つアドバイスだ。
モデルのような美人が着ていた高級そうなTシャツにはこうあった。「Call my Agent(エージェントに電話して)」。別の魅力的な女性のはこうだ。「Open key, come to my room(鍵は開いてるから、部屋に来て)」。本気かどうかはともかく、せっかく誘ってもらっても、返事をする前に彼女は通り過ぎてしまう。
Tシャツの字は大急ぎで読まなければならないから、シンプルさが大事だ。うまいのは動詞を省略してある。例えば「Online always(いつでもオンライン)」とか、「No more and no less(ちょうどぴったり)」のように。
とはいえ動詞があれば、より複雑なコメントが可能だ。例えば「Am free at last(ついに自由だ)」がそう。「私もそうなりたい!」と、思わず心の中でつぶやいた。「It's all about me (自分がすべて)」は利己主義を批判しているのだろうと思うが、もしかしたら着ている本人が自己中心的なのかもしれない。
東京では街の注意書きも意図が不明確なものが多いが、Tシャツも同様だ。私は同じ日にこういう2着のTシャツを見た。「The most important things aren't things(重要なものは物ではない)」と「Shopping makes me happy(ショッピング大好き)」。東京は矛盾するものが仲良く同居する街。この2枚も同じ店で売っていたのかもしれない。
ところで、日本語のTシャツが少ないのはなぜだろう。「This is my way of doing it(これが私の生きる道)」と英語で宣言するのは平気でも、日本語だと恥ずかしいのか。日本語なら、みんなは胸の「掲示板」に何と書くのだろう。
私が欲しいと思ったのはこれ。「Just say no to everything(何にでも『ノー』と言え)」。じゃあ試しに「ノー。読みたくない」と言ってみる? 既に読んでしまった後では手遅れだけど。