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繊維スレッド

1荷主研究者:2003/09/24(水) 00:11
繊維関係の話題を今だからこそ熱く語り明かすスレッド。

日本化学繊維協会
http://www.fcc.co.jp/JCFA/index_j.html

信州大学繊維学部 繊維関係のリンク集
http://coe.shinshu-u.ac.jp/links/industry_j.html

2荷主研究者:2003/09/24(水) 00:14

2003年3月14日 日経産業新聞 26面
三菱レイヨン 見切り経営 高収益生む 「アクリル帝国」へポリエステル脱却 再編の「風雲児」に

「アクリル帝国」へひた走る−−。中国などからの安価な流入品に四苦八苦する合繊業界の中で、世界を相手に成長軌道を描いている企業がある。三菱レイヨンだ。アクリル事業への特化戦略が功を奏し、連結売上高営業利益率は東レと帝人の二大メーカーをしのぐ。合繊産業の花形といえばポリエステル繊維産業。だが、大手に完全に出遅れた三菱レイヨンは同事業を見切って経営資源を集中し、高収益体質を実現した。

中国・江蘇省南通市。三菱レイヨンは今秋、日本の大手繊維各社の生産基地が集中するこの地域に、外資として初めてアクリル樹脂の成形材料の新工場を稼動させる。皇芳之社長は「アクリル事業でアジア最強の地位を固める一環」とその狙いを説明する。

5年で生産1.8倍

樹脂の女王と呼ばれるアクリル樹脂。その成形材料などは高い透明度などの素材特性が注目を集め始めており、雑貨や家電、液晶ディスプレーの導光板向けなど幅広い分野で需要が拡大している。

三菱レイヨンは経済成長を続ける中国のアクリル樹脂市場では年率10%の伸びが見込めると判断し、新工場には年産4万トンの世界最大規模の設備を導入する計画だ。

海外でのアクリル事業への投資活動はこれにとどまらない。2年後には原料となるメチルメタクリレート(MMA)モノマーの生産拠点を中国に設けるなど、2007年度末までに5つの新規生産プロジェクトを立ち上げる。合計投資額は450億円に達する予定だ。

計画終了時には国内外を合わせたアクリル製品の生産能力は約87万4千トンと、現在に比べ約1.8倍拡大する見通し。

その結果、アクリル製品の原料の分野では世界1位の大手化学品メーカー、英ルーサントグループ(サウサンプトン市)と生産能力でほぼ肩を並べる規模になる。

他の繊維各社が疲弊するなか、三菱レイヨンは水面下で世界最大のアクリルメーカーに生まれ変わる戦略を着々と進めている。

世界のアクリル関連の製造業の中で、三菱レイヨンは原料から成形材料・シート・塗料用樹脂など多品種にわたる加工品の生産を手がける唯一のメーカー。ここに利益を稼ぎ出す仕組みが隠されている。

素材の原料は市況の変動に大きく左右される。原料を外販するだけでなく、自社でも成形材料など様々な製品向けに使う一貫生産体制を敷くことで市場変動リスクを回避する。

もちろん一貫生産のメリットを享受するには、他社に負けない低コストの生産体制を整えておくことが前提になる。同社は樹脂シートの連続生産技術を世界で初めて開発するなど、この分野で最先端の技術を駆使し続ける。

3荷主研究者:2003/09/24(水) 00:15
>>2 続き。

営業利益の7割

三菱レイヨンの売上高は化成品・樹脂事業が4割、繊維と機能製品・エンジニアリング事業がそれぞれ3割を占めるが、アクリルへの特化戦略を柱とした化成品・樹脂事業で営業利益の7割を稼ぐ。

2003年3月期の連結売上高営業利益率は前期比0.4ポイント増の6.7%になる見込み。利益率では2、3%台の東レや帝人を大きく上回る。

「自社のコア事業との関連が認められないではないか。」2001年9月。皇社長はそれまで70億円ほどの売り上げを記録してきたドライアイスと液化炭酸ガスの両事業の売却を決断した。「アクリル製品のチェーンを目指す」(皇社長)という経営方針を貫くためだ。

三菱レイヨンがこうしたアクリル事業に特化する布石を打ち始めたのは10年ほど前のこと。1993年に社長に就任した田口栄一現会長は「経営ががけっぷちに追い込まれていたことが引き金になった」と明かす。

93年度の決算は5億円の黒字を確保したが、実態は25億円の赤字に陥っていた。バブル崩壊の影響で繊維や樹脂の需要が急速に落ち込んだことで、数百億円に上る積極投資が裏目に出る。

設備稼働率が3割程度に落ち込んだ工場もあった。「他社に比べ技術力で優位に立つアクリル事業に特化するしか、生き残る道はなかった」と田口会長は当時を振り返る。

合併進めやすい

合繊メーカーにとって最大の事業は汎用性の高いポリエステル繊維だ。三菱レイヨンも69年に生産を開始し事業に参入した。だが、その時点で東レや帝人に比べ12年遅れのスタートだった。「東レや帝人の10分の1の生産規模ではとても太刀打ちできなかった」と当時を知る業界関係者は指摘する。

東レや帝人は繊維王国の代名詞とも呼べるポリエステル繊維で培った技術力を生かし、異分野に手を広げて巨大企業に変身した。

だが、USBウォーバーグ証券の村松高明アナリストは「多くの繊維メーカーは多角化が進み過ぎているために、各事業の相乗効果が見えない」と指摘する。

これとは対照的に、アクリル事業に特化する三菱レイヨンについては「事業単位の買収戦略ではなく、企業同士の合併などが進めやすい」(村松アナリスト)。国内の繊維産業が低迷する中、これまで大型の再編劇なしに持ちこたえてきた合繊業界。三菱レイヨンが業界の風雲児になる公算は大きい。

(田中良喜)

4荷主研究者:2003/09/24(水) 00:16

2003年4月18日 日経産業新聞 12面
ポリプロピレン繊維 増産 三菱レイヨン 産業資材向け開拓

三菱レイヨンはオフィスのカーペットなどに使うポリプロピレン繊維を増産する。豊橋事業所(愛知県豊橋市)の年産能力を2004年度に現在より13%増やし8500トンにし、2006年度には委託生産の拡大により1万トンの販売を目指す。従来の難燃剤を添加せずに焼却処分が容易な製品も開発し、産業資材向けなど新たな需要を掘り起こす。

ポリプロピレン繊維はポリエステルなど他の化学繊維に比べ最も比重が軽く、水を吸収しない。オフィス・ホテルのカーペット、自動車のマット、かばんのひも、船舶用ロープなどの素材として使われている。三菱レイヨンはポリプロピレン長繊維では国内最大の生産規模を持つ。

繊維製品を燃えにくくするため塩素などの物質を含むハロゲン系の難燃剤を添加するのが生産の一般的な手法だ。同社は繊維に特殊な樹脂を入れ、ハロゲン系の難燃剤を使わずに高い難燃性と耐候性を持つポリプロピレン繊維の開発に2年前に成功。この製造技術により焼却処分しても有毒なガスの発生の恐れがなく、紫外線でも色が落ちにくい点などを前面に打ち出し、本格的な市場開拓に踏み切る。

今後、屋外のテントやイス張り向けなど様々な需要を新規に開拓していく考え。その一環として、キャンバス製造会社のカンボウプラスと建築工事用シートの共同開発にも着手した。

委託生産の拡大とともに、将来はさらに豊橋事業所の設備増強も検討する。国内の繊維需要が低迷する中、新たな繊維事業の柱に育てる。

▼ポリプロピレン(PP)繊維
日本では三井化学が1962年に生産を始め、東洋紡や三菱レイヨン、日東紡など繊維・化学メーカー数社が参入した。原料となるプロピレンが安い価格で調達できることから、当時は「夢の繊維」と呼ばれた。
ただ、PP繊維は染色することが難しく衣料用には適さないことが判明し、大半のメーカーが撤退した。その後、カーペットなど産業・生活資材向けの需要が拡大したが、大手合繊メーカーでPP長繊維を生産するのは現在、三菱レイヨン1社だけになっている。
紙おむつ向けなどの不織布の材料としても使われ、不織布は三井化学や旭化成などが製造している。

5荷主研究者:2003/09/24(水) 00:18

2003年5月6日 化学工業日報 2面
旭化成のアクリル繊維事業 三菱レイヨンが買収

三菱レイヨンは、旭化成が持つアクリル長繊維の技術などを買収する。すでに4月に技術と扁平糸にする一部の後加工設備を譲り受けているほか、一部の商標権(ピューロン、タクタス、リーカス)についても今年7月に譲り受ける。買収額は明らかにしていない。繊維事業の構造改革を急ぐ旭化成ではアクリル繊維事業からの撤退を決め、すでに3月末に生産を終了、6月末には販売も終了する予定。三菱レイヨンでは今回の買収により現状8割稼動にとどまっている生産設備をフル稼働に持っていく。

アクリル繊維は発色性や堅牢性に優れ、軽く柔らかい特徴を持つ。長繊維は鮮やかな色合いに加え、独特のシルキー感を持つ素材として婦人向けセーターなどに使用されている。長繊維の世界市場は年4千トン。旭化成の撤退でメーカーは世界的に三菱レイヨンのみとなる。三菱レイヨンの長繊維事業の売上高は20億円。

三菱レイヨンのアクリル長繊維「シルパロン」の生産能力(大竹事業所)は年2千4百−2千5百トン。内需低迷でこれまで8割稼動の同2千トン規模にとどまっていたが、1社供給となるためフル稼働とする。市場維持が可能と判断できた段階で同3千トン能力まで増設することも検討していく。大竹への旭化成の後加工設備移設は6月までに終え、シーズンインする秋までに生産体制を整える計画。

同社はアクリル短繊維でも中国・浙江省寧波市に同5万トンのプラントを2005年7月に稼動させる計画を持つなど、アクリル繊維の総合メーカーとして事業拡大を目指している。

今回、旭化成の長繊維技術などを買収することで、複合品などの高機能品開発や高品質化を進めていく方針。

6荷主研究者:2003/09/25(木) 00:40

http://www.hokkoku.co.jp/_keizai/K20030924002.htm
2003年9月24日更新 北國新聞
合繊メーカー7社と石川産地8社 系列の枠超え新素材 生地から服まで

 石川産地の繊維企業八社と石川県工業試験場が、大手合繊メーカー七社の糸を組み合わ せて新しい生地をつくった。メーカー系列を超えた製品開発は全国でも初めてとなる。す でに婦人服などの最終製品にまで仕上げた生地もあり、高い機能を打ち出して販路開拓に 乗り出す。

 東レや帝人ファイバー、東洋紡、カネボウ合繊、ユニチカファイバーなどの合繊メーカ ーと連携し、最新の原糸をそれぞれの機能に応じて複合させた。他の系列の糸の使用に難 しい面もあったが、糸の新たな組み合わせによってこれまでにない生地が出来上がった。

 開発した製品は、形状を保持する布=写真=▽吸汗速乾性を持つ婦人服向け織物▽介護 用の衣料▽環境に優しいロールカーテン▽吸水性に優れた生地―など十八点。中でも婦人 服向けの揚柳(ようりゅう)織物は、「完成度が高い」(県工試)という。

 日本化学繊維協会の協力を得て、昨年十一月に商品開発を目指した研究会が発足。こと し三月に製品を試作し、改良を重ねていた。新製品は二十六日からJR金沢駅構内の金沢 ステーションギャラリーで展示される。

7荷主研究者:2003/09/28(日) 02:33

http://www.chemicaldaily.co.jp/news/200209/02/01201_0000.html
2002年9月2日(月)化学工業日報
ユニチカ、岡崎のスパンポンド50%増強へ

 ユニチカは、総額30億円強を投資し国内のスパンボンド(長繊維不織布)の生産能力を50%増強する。まず来年後半に数億円を投資、岡崎工場(愛知県)の設備をボトルネック解消により年産200トン増強する。さらに早ければ2005年に30億円を投資し、スクラップ・アンド・ビルド(S&B)により7500トン増強する。これにより3万トン体制を整える。

8荷主研究者:2003/10/18(土) 17:19

2002年12月12日 日経産業新聞 17面
ユニチカ 合繊生産を削減・集約 ナイロンなど 子会社再建急ぐ

ユニチカは2004年までに合成繊維の生産体制を見直す。ナイロンとポリエステルの長繊維を減産し、ナイロン短繊維の生産を宇治工場(京都府宇治市)から岡崎工場(愛知県岡崎市)に移管する。余剰人員が生じるため、合繊事業に携わる従業員も自然減を除き60人強削減する。

ナイロン長繊維の生産能力を月産1300−1400トンと、現在に比べ3割減少させる。宇治工場内で2ヵ所に分かれている生産を1ヵ所に集約し、設備稼働率を高める。ナイロン短繊維の生産は、宇治工場からポリエステル短繊維を手掛ける岡崎工場に移管する。生産を集約して、エネルギーコストや在庫の管理を効率化できる見込み。

ナイロン繊維の産業資材向け比率も2004年までに現在の45%から55%に高める。衣料用でポリエステル繊維への代替が進み需要が減少していることや、帝人のナイロン撤退によるカーペット向けの需要獲得が見込めるため。

岡崎で手掛けるポリエステル長繊維も、生産量で2割削減の年1万3千トンに縮小する。定番品を減らし、ポリマー段階から改質した高付加価値糸を増やす。既に同糸の割合が9割を超えるポリエステル短繊維は、現状の年4万トンの生産能力を維持する方針だ。

ユニチカは1999年に化合繊事業を分社し、ユニチカファイバー(大阪市)を設立。分社効果で当初は黒字だったが、海外からの安価な輸入製品の増加などで収益が悪化、2001年度は経常赤字に転落した。今年度も赤字が継続する見込みで、採算改善を急ぐ。

9荷主研究者:2003/10/20(月) 01:12

2003年8月11日 化学工業日報 1面
カネボウも撤退 アクリル繊維

カネボウは8日、100%子会社のカネボウ合繊で展開しているアクリル繊維事業から撤退すると発表した。今年12月末に生産を終了、販売も2004年3月末に終了し完全撤退する。中国品の流入増、原料アクリルニトリル(AN)の市況変動の大きさ、約8割の輸出依存による為替変動リスクなどを背景に、同社のアクリル繊維事業は1998年度から5期連続の連結営業赤字を計上。今年4−6月の設備稼働率も57%にとどまり、将来的に回復の見込みが無いことから撤退せざるを得ないと判断した。工場人員122人については今後、労働組合と協議する。

アクリル繊維では旭化成が今年6月末で完全撤退しており、国内メーカーで残るのは三菱レイヨン、東洋紡、鐘淵化学工業、東レ、東邦テナックスの5社となる。

カネボウは1972年にアクリル短繊維の生産を開始した。昨年秋には防府合繊工場(山口県防府市)の3系列・年3万トン設備のうち6千トン設備を停止し、2002年度生産量は21,823トン。ただ前期は売上高74億円、営業赤字となり、今期も売上高54億円、営業赤字を見込むなど、再投資できる事業採算性を見出せないことから撤退を決めた。今期の繊維セグメントの連結業績は売上高1,505億円、営業利益1億円を見込んでいる。

工場は彦根工場(滋賀県彦根市)に紡績2,003トン、編立326万8千メートル(2002年度実績)を持つほか、マレーシアにも三井物産及び現地との3社合弁を持つ。マレーシア拠点は、同社としては売却の方向で検討する。

10とはずがたり:2003/10/22(水) 11:33
http://www.asahi.com/business/update/1022/058.html
水着キャンペーンガール使命終えた? 「撤退」相次ぐ

 繊維メーカーで、人気女優への登竜門でもあったキャンペーンガールの募集をやめる動きが相次いでいる。帝人、カネボウが撤退を決め、旭化成も検討中。継続は東レとユニチカだけだ。女性用水着市場の低迷に加え、経営多角化で衣料分野に特化した宣伝の意義が薄れたことが背景にある。

 帝人は21日、70年から続けてきたイメージガールの募集をやめる、と発表した。水着のPRから始め、初代は秋川リサさんだった。01年の募集からグループ全体のPRに目的を変えて続けてきたが、化成品や医薬品など事業が多様化し、「水着のイメージが強すぎて、グループ全体のPRを担うのは難しい」と判断した。

 カネボウも68年に始めた水着キャンペーンガールの募集を今年度から中止した。飯島直子さんや鈴木京香さんを採用した実績を持つが、「繊維事業も産業向けが重要になりつつあり、水着に特化したPRは役割を終えた」と話す。

 かつては大手7社が高級ホテルを舞台にキャンペーンガールを大々的に発表し、翌夏の水着の流行をPRした。「10月初旬の一番乗りの発表を競ったものです」と担当者は振り返る。

 しかし、女性用水着市場は94年をピークに年々縮小。今年も冷夏の影響を受け、売り上げは前年比で1割以上減ったとみられている。 (10/22 10:15)

「夏の水着」が売れない
http://www.be.asahi.com/20030712/W13/0041.html

12荷主研究者:2003/11/16(日) 04:11

2003年10月1日 日経産業新聞 18面
王子キノクロス 不織布、吸水力3倍に パルプに合成繊維配合

王子製紙の不織布生産子会社、王子キノクロス(静岡県富士市、荒木宏社長)はパルプ繊維にポリエステルなど合成繊維を加えた不織布を開発した。以前から生産するパルプ繊維のみの不織布に比べ、様々な素材の重ね合わせができる。一般的な合成繊維だけの不織布より吸水力が3倍高いのを特徴に、生理用品やおむつなど生活用品向けに売り込む。

開発した「ハイクロス」はパルプ繊維と合成繊維の原料の配合方法を工夫。パルプ繊維で作った不織布の表層と中層に、ポリエステルやポリプロピレンの合成繊維を結合材料に使って付加した。1グラムの重さで約20グラムの水を吸収し、水に浸しても破れにくい。さらに様々な合成繊維を加えることもできるという。

王子キノクロスの富士工場(静岡県富士市)で当面、年間約200トン生産する。需要動向を見ながら1、2年後に生産量を年400-600トンに引き上げることも検討する。

生理用品などに一般的に使われる不織布は合成繊維だけでできているが、同社は吸水力の高いパルプ繊維のみを使った不織布などを製品化してきた。だが、プレス加工する際にフィルムなど他の素材との接着機能が無いため、様々な素材を何層にも重ね合わせる製品には不向きで、用途はおしぼりなどに限定されていた。

合成繊維を加えることで接着機能を持たせ、市場の大きいおむつなどの市場を開拓するほか、花柄模様などのデザインも可能になったという。

2003年3月期の売上高は約90億円。新しい不織布を収益の柱に育て、2年後には同100億円にする計画だ。

13荷主研究者:2003/11/25(火) 00:48

Rail Magazine誌2004年1月号のトワイライトゾ〜ンによると、石山駅の東レ専用線が廃止されたとのこと。

をれの目撃では、98年3月関ヶ原駅でタキ45000形2両による塩浜(昭和四日市石油)→石山(東レ)の重油輸送を目撃している。
今年4月の守山駅の上原成商事の廃止も記憶に新しく、滋賀県内の鉄道による石油輸送の廃止が続き残念。
工場の燃料が重油から例えばLNGに変更されたという可能性もあるのだろうか。

尚、石山のもう一つの専用線、関西日本電気の専用線は残っているとのことで、こちらの重油輸送はまだ存続しているのだろう。
しかし高月の日本電気硝子向け重油輸送も含め、今後の輸送継続が気がかりなところである。

14とはずがたり:2003/11/25(火) 01:07
>>13
工業用燃料でLNGを使うとかあるのかね?

15荷主研究者:2003/11/25(火) 01:20
>>14
新潟〜仙台のLNGパイプラインは、東北電力新仙台火力発電所以外にはサッポロビールや自動車部品メーカーにもLNGを供給している。
LNGが工業用重油の代替なのかは不明だが。

16とはずがたり:2003/11/25(火) 01:21
>>15
情報サンクス。
重油の代替かは兎も角,良く工場のすみにLPGの小さなタンクがあったりするがLPGの代替の可能性は十分にあるな。

17荷主研究者:2003/12/07(日) 23:56

【クラレ】2002年10月10日 日経産業新聞 16面
クラレ 世界で競う 特殊化学品で飛躍狙う 合繊出遅れ 逆手に活路

アジアを中心に海外勢の厳しい攻勢にさらされている合繊業界の中でクラレの業績が堅調だ。ここ数年、営業利益率でトップクラスを維持。高収益を支えるのは、化学分野を軸に世界規模で競争できる事業の存在だ。クラレの戦略を追った。

「これで米国での事業が一段と飛躍する」−−。10月8日。米国テキサス州パサデナで開かれた現地法人セプトンカンパニー・オブ・アメリカ(セプカ)の工場完成式に出席したクラレ幹部は期待で胸を膨らませた。

生産するには熱可塑性エラストマー。ゴムの様な弾性とプラスチックの成型性を併せ持つ素材だ。塩化ビニール樹脂などの代替品として、使い捨てかみそりの柄やボールペンの滑り止めなど「何に使われているか把握しきれない」(松澤晰クラレ常務)というほど用途は多種多様。

これまで鹿島事業所(茨城県神栖町)で製造していたが、需要拡大をにらみ米に初の拠点を設けた。新工場稼動で年産能力は計3万1千トンと一挙に6割以上増える。日本の工場分だけでクラレは世界の生産能力シェアの25%程度を占め第2位。新工場の稼動でトップの米クレイトンポリマーを追撃する。

熱可塑性エラストマーはクラレが化学メーカーとして舵を切った原点。きっかけは天然ゴム代替イソプレンだった。ポリエステル繊維メーカーとして最後発だった同社は30年前、新事業としてイソプレンに着目。自動車部品として市場拡大すると期待して参入したが、事業化直後に襲った石油ショックで赤字続きに陥る。

イソプレンを重合ポリマーにした熱可塑性エラストマーをようやく事業化したのが1990年。独自技術で開発した素材の需要をねばり強く掘り起こしてきたことが、世界で通用する高付加価値製品に結びついている。

「20年の雌伏」を経てクラレの特殊化学品は1990年代以降、一気に開花する。エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂「エバール」では米合弁製造会社を1991年に単独出資に切り替え、99年には欧州でも生産を開始した。繊維の加工剤として使うポバール(ポリビニルアルコール)樹脂では91年にシンガポールに拠点を設け、2001年にはスイスメーカーのドイツ工場を買収している。

ビニロンの原料遡及から派生した両事業は現在、いずれも世界シェア(生産能力比較)トップで、2001年度の連結売上高(約3千億円)の3割、営業利益の6割を稼ぐ。2004年までには両事業とも欧州で相次いで増産。グループ全体で生産能力に余裕が生じた分をアジアなど未開拓の地域に振り向け、すそ野の拡大も狙う。

来秋には米国にエバールと熱可塑性エラストマーの共同研究拠点も開設する。「海外は技術力さえあればすぐ認めてもらえる」と和久井康明社長は一段と海外シフトを進める姿勢を強調する。クラレの連結売上高のうち海外は約900億円で約3割。2005年度には全体を4600億円、うち海外を2300億円に引き上げるのが目標。ポリエステル繊維という合繊最大の事業で出遅れたクラレだが、これを逆手に取った経営資源の選択と集中で特殊化学品の世界企業として飛躍を目指す。

合繊大手6社の連結売上高営業利益率の推移(単位:%)
     99/3 00/3  01/3 02/3 03/3
クラレ  8.1  6.4  6.4  6.2 7.3
東レ   4.8  3.3  4.8  1.9 2.1
帝人   5.2  4.4  5.7  3.2 3.7
東洋紡  1.6  3.8  5.0  4.3 5.5
三菱レイヨン 6.3  6.0  6.3  6.3 7.3
ユニチカ 1.4  4.3  4.9  3.7 3.7
(注)2003/3は会社側予想

18荷主研究者:2003/12/08(月) 02:01

>>17 【クラレ】
http://www.jij.co.jp/news/chemical/art-20031203202903-WFNVXHGTFS.nwc
クラレ、柔軟・弾力性備えた新ポリマーを開発(日本工業新聞 2003/12/4)

 クラレは3日、既存の樹脂ポリマー「エバール」をベースにした新ポリマーの開発に成功したと発表した。エバールの高いガスバリア性に加え、柔軟性や弾力性を備えた。すでに岡山事業所(岡山市)で生産設備建設に着手、フル稼働する2005年度に50億円、07年度には100億円の売り上げを見込んでいる。

 エバールはエチレンと酢酸ビニールのポリマーで、プラスチックとしては最高レベルのガスバリア性があり、食品保存用の包装材料や各種工業材料に使われている。しかし、プラスチックとしては比較的硬く、柔軟性が要求される用途分野へは参入が難しかった。

 新ポリマーはエバールをベースにしながら独自開発の反応技術で結晶特性をコントロールし柔軟性・弾力性を持たせた。これまで困難だった食品用シュリンクフィルムや深絞りカップなどの食品包装や、ガソリンタンク周辺部材などの工業材料での用途展開が可能になる。

 岡山事業所の生産設備は04年9月の稼働予定で、設備投資額は約10億円。生産能力は年産5000トン。

19とはずがたり:2003/12/10(水) 19:03
富山だけ?

http://mytown.asahi.com/toyama/news02.asp?kiji=4063
赤いショーツ人気 来年の申年に縁起

  来年の干支(えと)の申(さる)年にちなんだ「赤い下着」が県内で人気を呼んでいる。申年に赤い下着を身につけると、1年間無病息災でいられるなどの言い伝えがあるためらしい。家族や友人への贈り物にまとめて買っていく人もいて、限定商品は完売状態となっている店もある。

  下着メーカーのトリンプ(東京)によると、申は「去る」とも意味がとれるため、「悪いことが去る」「世話にならずにあの世に去る」などの言い伝えがある。

  赤は、還暦祝いで赤いちゃんちゃんこを贈る習慣があるように、昔から縁起のいい色とされている。猿の尻も赤いことにちなみ、12年前に赤い下着が注目を集めたため、今回も限定商品を出した。

  富山市の大和富山店では、トリンプと、ワコール(京都)の専門店がそれぞれ特別コーナーを設け、11月中旬から赤い下着を販売している。

  ワコールでは、ショーツ(650円〜1200円の3タイプ)を始め、丈の長さが違う長袖シャツやアンダーウェアなどをそろえた。大阪支店によると、赤い下着の取り扱いによって各店舗で売り上げは2割弱伸びており、地域による大きな違いはみられないという。

  トリンプは、巾着(きんちゃく)に入った赤いショーツ(1600円と1800円の2タイプ)を約50枚用意したが、ほぼ完売状態。富山西武のトリンプでも品切れ状態だが、限定販売のため新たな仕入れはないという。

  トリンプ本社の広報は「クリスマス後の年末が最も売れる時期なので、完売していない地域もある」としている。

  大和富山店のトリンプ販売員の石井末子さんは「願いをこめて贈り物用にする人が多い。8枚まとめて買っていく人もいました」。別の販売員によると、「死(4)が去る(猿)」との縁起担ぎで、4枚単位で買う人もいるという。

  大和富山店の中村泰司・営業第三部婦人服飾第一、第二課長は「北陸地域は特に、昔からの言い伝えを信じる傾向が強いため、赤い下着に人気が集まる」と話す。

  イオン高岡ショッピングセンター(高岡市下伏間江)のジャスコ高岡南店でも、赤い下着をとりそろえている。「還暦祝いなどで必要なので」という客の要望を受け、申年とは関係なく、9月に売り場の一角に特別コーナーを設けたという。


(12/10)

20荷主研究者:2003/12/13(土) 03:32

【東洋紡】
http://www.jij.co.jp/news/chemical/art-20031208213955-QEHASQLKOC.nwc
東洋紡が熱収縮フィルム事業を強化、ペットボトル用開拓(日本工業新聞 2003/12/9)

 東洋紡は、熱収縮ポリエステルフィルム「スペースクリーン」事業を強化する。同フィルムの約7割を占めるペットボトル用ラベル需要を掘り起こす。保温用ペットボトルや軽量型ペットボトルなどの機能性ペットボトル用ラベル向けに改良したスペースクリーンを積極供給していく考えで、2004年度の出荷量は前年度比10%以上のアップを目指す。
 
 スペースクリーンは、ポリエステルフィルムに低温高収縮性を付与した収縮フィルム。透明性や光沢に優れ、剛性も高いので薄肉化にも柔軟に対応する。焼却時の発熱量が小さいことから有毒ガスの発生がなく、環境への負荷も低減できる。

 同フィルムは犬山工場(愛知県犬山市)と敦賀工場(福井県敦賀市)で生産しており、両工場合わせて生産能力は年間1万トン弱。ペットボトルのラベル以外にコンビニエンスストア商品用のラップ材などとしても使われている。

 同社は既存のスペースクリーンを改良し、近年、市場に出回り始めた機能性ペットボトル用ラベル対応のフィルムの供給で需要増をねらう。保温用ペットボトル対応としては長時間高温下に置かれる自動販売機内の厳しい状況にも耐え得るフィルムに改良し、ユーザーに提供する。

 また、軽量型ペットボトル向けには、フィルムそのものの剛性をさらに高めることで、ペットボトルの強度維持に寄与するフィルムを作り込みユーザーニーズに対応する考えだ。

21荷主研究者:2003/12/14(日) 23:22

【東レ、ユニチカ、東洋紡、帝人】2001年8月26日 日本経済新聞 7面
合繊生産 産業資材向け拡大 東レやユニチカ 1−2割増産

合繊繊維メーカーが産業資材用繊維事業の拡大を急いでいる。東レは自動車のエアバッグ向けナイロンなどを増産、2003年度までに国内繊維生産に占める産業資材向けの比率を5割に高める計画。衣料用繊維がアジアからの輸入品との競合で低迷しているため、競争力のある産業資材向けに生産をシフトする。

東レはエアバックとシートベルト向けナイロンなどの生産を増強し、2003年度までに国内の産業資材用繊維の生産を1割増やす。逆に国内の衣料用繊維の生産は1割削減する。この結果、国内の繊維生産は両分野が半々となる。

ユニチカは衣料用の生産を2年間で3割削減する一方、産業資材用を2割増産する。化学合繊部門の子会社、ユニチカファイバーが岡崎工場(愛知県岡崎市)で生産するポリエステルを中心に婦人医療向けを減産。今後は研磨材向け繊維など情報技術(IT)関連に生産の重点を移す。

東洋紡はつるが工場(福井県敦賀市)の衣料用ポリエステル長繊維の生産設備の3割を2002年3月期中にも、タイヤコード向けの設備などに切り替える。

東レ、帝人は衣料用の生産は、汎用品を中心に中国などコストの安い海外拠点に移していく方針。

日本化学繊維協会によると、ポリエステルなど化合繊の輸入浸透率(国内需要に占める輸入品の比率)は2000年度に約58%に達し、10年間で30ポイント以上上昇した。輸入品の大半は衣料用繊維として使われている。

◆合繊各社の国内生産体制の変化
<衣料用繊維>
ユニチカファイバー 29,000トン→19,000トン強
東レ 165,000トン→150,000トン
東洋紡 ポリエステル長繊維 15,000トン→10,000トン
帝人  ポリエステル長繊維 135,000トン→85,000トン

<産業資材用繊維>
ユニチカファイバー 68,000トン→80,000トン
東レ 135,000トン→150,000トン
東洋紡 ポリエステル長繊維 30,000トン→35,000トン

(注)年産ベース。東レの産業資材用繊維はカーテン・カーペットなどインテリア用を含む

23荷主研究者:2004/01/12(月) 23:45

【クラレがレーヨン撤退】2000年5月23日 河北新報 8面
レーヨン事業 クラレが撤退 72年の歴史に幕

合繊大手のクラレは22日、72年間続けてきたレーヨン事業から撤退することを決めた。来年3月に玉島工場(岡山県倉敷市)の生産設備を停止し、来年秋までに販売もやめる。

レーヨン事業の赤字が続いており将来も収益の改善が見込めないため。同事業部門の従業員約200人の雇用は、グループ内で吸収する。松尾博人社長は会見で「レーヨン事業は当社の原点で、長い歴史に幕を下ろすのは残念」と述べた。

レーヨンは再生セルロースを主成分とする人工絹糸で、光沢があり、吸湿性に優れている。しかし、ポリエステルなど合成繊維の品質が向上、価格も安くなり需要が減少している。

クラレの旧社名は「倉敷レイヨン」。1926年(昭和元年)に倉敷絹織の社名で設立され、28年から倉敷工場(倉敷市)でレーヨンの生産を開始。その後、西条(愛媛県西条市)、玉島の両工場でも作られ、ピークの73年度には2万6千トンを生産した。

倉敷、西条工場では既に生産をやめており、99年度の生産量は7千トン。同事業部門は数億円の赤字となっている。今後、玉島工場ではポリエステル短繊維の生産を続ける。

24荷主研究者:2004/01/12(月) 23:45

【レーヨン衰退】2000年7月12日 河北新報 8面
レーヨン衰退の一途 クラレは来年撤退 採算悪化で生産減

かつては大手繊維メーカーの主力製品だったレーヨン長繊維の生産の減少が続いている。クラレは生産停止を決め、国内唯一のレーヨン長繊維メーカーとなる旭化成工業は2000年度(平成12年度)から生産を半減、レーヨンの衰退に歯止めがかからない。

レーヨンは再生セルロースを主成分とする繊維。糸状で人造絹糸とも呼ばれる長繊維と、スフとも呼ばれる短繊維がある。光沢があり、吸湿性に優れ、婦人服やカーテンなどに使われている。

しかしポリエステルやアクリルなどの合成繊維の品質が向上、価格も低下したため、特に長繊維の競争力が弱まった。

クラレは5月に、レーヨン事業からの撤退を決め、来年3月に玉島工場(岡山県倉敷市)の生産設備を停止する。ピーク時の1973年度には生産量2万6千トンを記録したが、99年度は7千トンに落ち込み、数億円の赤字が出ていた。

クラレからレーヨンの供給を受けて販売しているユニチカも、来年3月に販売を停止する。旭化成工業は宮崎県延岡市の工場でレーヨンを生産しているが、生産量は前年度比半減の約1万トンの見込みだ。

国内全体の99年度のレーヨン長繊維生産量は、前年度比35.9%減の1万3千107トン。日本化学繊維協会は「吸湿性が良いので、合繊や天然繊維と複合する形で使われるのでは」とし、他製品の補完製品として生き残るとみている。

25荷主研究者:2004/01/12(月) 23:46

【東洋紡がレーヨン撤退】2000年8月23日 河北新報 8面
レーヨン生産を東洋紡完全停止 来年3月

繊維大手の東洋紡は22日、綿状の特殊レーヨン素材であるポリノジック繊維の生産を来年3月をめどに打ち切ると発表した。ポリエステルなどと競合し黒字化が見込めないため。

東洋紡は通常のレーヨン生産から既に撤退しており、岩国工場(山口県岩国市)で特殊レーヨンの生産を続けてきたが、この打ち切りでレーヨンの生産から完全に撤退することになる。

ポリノジック繊維は、レーヨンを改良し、吸湿性を高めた綿状の短繊維。婦人服やジーンズ、下着などの生地に使われている。海外では生産されておらず、東洋紡の撤退で富士紡績の子会社のフジボウ愛媛(愛媛県東予市)が唯一のメーカーとなる。

東洋紡は生産打ち切り後、フジボウ愛媛への生産委託を検討、販売部門は維持する考え。また関連従業員28人は、岩国工場内の他分野への配転などで吸収する。

東洋紡は1961年(昭和36年)に岩国工場でポリノジック繊維の生産を始め、ピークの86年度には1万7千トンを生産した。その後、生産の減少傾向が続き、99年度の生産は3950トン。売上高は約19億円で、数億円の赤字が出ていた。

26荷主研究者:2004/01/12(月) 23:47

【旭化成がレーヨン撤退】2000年10月25日 河北新報 8面
旭化成、レーヨン撤退 来年9月

旭化成工業は24日、宮崎県延岡市の工場で生産している糸状のレーヨン長繊維を来年9月に生産停止すると発表した。2002年(平成14年)3月で販売も終える。年間約10億円の赤字が出ており、今後も収益改善の見込みがないと判断した。

レーヨン長繊維は同社とクラレが生産していたが、クラレは来年3月に生産停止し、9月には販売も中止する。旭化成の撤退で国産のレーヨン長繊維は姿を消すことになる。

工場の従業員234人については同市内にある工場を中心に雇用する。

レーヨンは再生セルロースを主成分とする繊維。光沢と吸湿性に優れ、婦人服やカーテンなどが主な用途だが、最近は価格が約四分の一のポリエステルなどにシェアを奪われ、需要が減少している。

同社は1924年に大津市でレーヨンの操業を始め、延岡市では33年に開始。ピーク時の72年度には年間約3万トン(売上高約180億円)を生産したが、97年度から赤字続きで、昨年度には約1万トン(70億円)に落ち込んだ。

27荷主研究者:2004/01/13(火) 00:26

【東洋紡】
http://www.jij.co.jp/news/chemical/art-20040107214713-GPZGRPWGBO.nwc
東洋紡、エアバッグ用ナイロン原糸を年8000トンへ増産(日本工業新聞 2004/1/8)

 東洋紡は、エアバッグ基布用ナイロン原糸の生産能力を増強する。敦賀繊維工場(福井県敦賀市)の年産能力を現在の約6000トンから、今年前半をめどに33%増の約8000トンに引き上げる計画だ。国内自動車メーカーの好調さに支えられ、同ナイロンの需要は順調に増加しており、早急に生産能力の増強に着手し、需要増に対応する。

 同社がエアバッグの基布用に生産しているナイロン原糸は「ナイロン66」。従来品より細い繊維ながら強度に優れ、さらに軽くて薄いことからパネルに収納しやすいなど、エアバッグ基布に求められる機能を備えている。同ナイロンで国内シェアの約50%を占めている。

 ナイロン66を使ったエアバッグ基布は国内数カ所で生産し、エアバッグメーカーに商品を供給している。また、海外ではタイのバンコクからエアバッグメーカーの海外進出に対応している。

 東洋紡の津村準二社長は、「能力を増強しても需要の伸びにすぐに対応できなくなる。今後、さらに増強も必要になるだろう」と話しており、積極的な増強を続ける考えだ。

28荷主研究者:2004/01/19(月) 01:42

【旭化成:レオナ工場】2001年6月19日 日経産業新聞 18面
製造・開発ズームイン 旭化成・レオナ工場 「ナイロン66」設備増強 高機能樹脂シフト加速

日向灘を望む宮崎県北部の中核都市、延岡市。旭化成が会社発祥地の延岡で、ナイロン66「レオナ」(商品名)の生産増強工事を急ピッチで進めている。ナイロン66の用途は繊維中心だったが、今では自動車、電機向けなどのエンジニアリング樹脂として世界的に需要が拡大している。旭化成は能力増強をバネにナイロン66樹脂でアジア首位の地位を固め、高機能樹脂への転換を加速する構えだ。

▽生産能力4割増強

「ボトルネック解消による能力増強はこれまでも進めてきたが、大型投資は久しぶりだ」。レオナ工場の入江洋司工場次長は完成間近の新設備についてこう話す。増強するのはナイロン66の重合設備。年産能力3万トンで、投資額は約30億円。10月に稼動予定で、繊維を含めた工場全体の年産能力は現在より40%弱増えて約11万トンとなる。新設にあたっては「初期投資を抑えるために知恵を絞った」(入江次長)。会社全体のコスト削減策の一環だが、設置する機械類の仕様、高温状態の樹脂を乾燥する工程などに工夫を凝らすことで、従来のやり方に比べて投資額を四分の三程度に抑制できた。

ナイロン66は強度、耐熱性、耐薬品性に優れる素材。もともとパンティストッキングなど繊維向けが主体だったが、繊維向けの需要が頭打ちになる一方で、エンジニアリング樹脂としての用途が拡大。旭化成も増強分はすべて成長性の高い樹脂に振り向ける。

旭化成のナイロン66樹脂は現在、60%が自動車向け、残りの40%が電機や工業材料向け。自動車向けではエンジンカバー、ラジエーターのカバーなど金属代替で需要が伸びているという。レオナ工場の隣接地では、子会社がガラス繊維など他の素材を混ぜるコンパウンド工場を運営しており、より付加価値の高い製品を生み出す体制を構築している。

▽アジアで一貫生産

ナイロン66樹脂で旭化成は米デュポンに次ぐ世界2位グループだが、旭化成の強みはアジアで唯一、原料から製品までの一貫生産体制を確立している点だ。基礎化学品の生産拠点である岡山県水島地区でアクリロニトリルやシクロヘキサノールを生産、延岡で製品に仕上げる。このためコスト競争力で優位に立つことが可能になった。

さらに、原料、繊維、樹脂と別々だったレオナ工場の運営も一体化した。ナイロン66の生産工程には、繊維を中心にした多品種少量生産に適したバッチ式と、大量生産に向いた連続式の2種類がある。従来はこうした枠組みにとらわれていたが、「一本化することで繊維、樹脂に関係なく、製品ごとに最適な生産運営が可能になった」(入江次長)。

▽海外での立地も検討

旭化成は延岡での重合設備増強に加えて、今後は需要が拡大している海外での工場立地も検討していく考えだ。ナイロン66は「生産しているメーカーが少なく、価格も安定している」(荒浪淳専務)。競争が激しい汎用樹脂から高機能樹脂へのシフトを急ぐ旭化成にとって、レオナ工場の位置付けは今後も高まりそうだ。(大野哲也)

29荷主研究者:2004/01/19(月) 01:57
>>28

貼り忘れ。本文によると水島から延岡にアクリロニトリルやシクロヘキサノールを輸送しているようだ。どのように輸送しているか気になるなぁ。

<旭化成・レオナ工場の概要>
▽住所 宮崎県延岡市長浜町4丁目
▽従業員数 約650人
▽敷地面積 約42万平方メートル
▽操業開始 1970年6月
▽生産品目 ナイロン66原料、繊維、樹脂
▽生産能力 繊維・樹脂合計で年産7万7000トン

32荷主研究者:2004/02/02(月) 01:33

【東レ:中国事業】
http://www.jij.co.jp/news/chemical/art-20040127215949-MAWCUINDXC.nwc
東レ、2010年に中国事業で売上高6倍の3000億円(日本工業新聞 2004/1/28)

 東レは、2010年をめどに中国事業の売上高を03年度見込み比で6倍に当たる3000億円に引き上げる。中国事業の03年度の営業損益は赤字の見通しだが、04年度に黒字化を実現し、10年度に200億円の営業黒字を目指す。このため、合成樹脂のコンパウンド(成形前材料)拠点の拡充や、樹脂の重合設備、ポリプロピレン(PP)不織布の現地生産も検討する。成長が続く中国で、積極的に投資を増やし、収益の拡大につなげる。

 東レは現在、17社の現地法人で中国事業を展開している。03年度の中国売上高は約500億円の見込みだ。04年度に売上高で700億円、営業損益は黒字化する見通しだ。

 中国の樹脂コンパウンドは、現地子会社の麗碧複合塑料(深せん)など2拠点で生産している。コンパウンドは合成樹脂をベースに着色したり添加剤を混ぜて部品に成形する前の樹脂材料で、この生産拠点を中国で6カ所に拡大する計画だ。家電の外枠や電機・電子部品などに使用するABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂やナイロン樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂のコンパウンドを生産しており、日系の電機・電子部品メーカーの現地生産の拡大に対応するため、生産拠点を増やす。

 また、子供用紙オムツの素材として使用され、中国でも普及が進むPP不織布の現地生産を検討する。さらに、コンパウンド生産に使用するABS、ナイロンといった樹脂の重合設備の現地化についても、需要動向を見極めながら検討する。

 東レは、すでに、ポリエステル長繊維を生産する東麗合成繊維(南通)や、ポリエステルフィルムを生産する儀化東レポリエステルフィルムなど17社の現地法人で中国事業を展開している。このなかで、東麗合成繊維(南通)は05年1月から、江蘇省南通市でナイロン長繊維の生産を決めるなど、中国投資を加速している。

35荷主研究者:2004/02/16(月) 01:31

【繊維大手6社の2003年度見通し】
http://www.jij.co.jp/news/chemical/art-20040211195710-MKWPGZGWUO.nwc
繊維大手6社の今期見通しは軒並み最終増益(日本工業新聞 2004/2/12)

 繊維各社が、PDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)やDVD(デジタル多用途ディスク)といったデジタル家電の拡大を追い風に業績を伸ばしている。東レがLCD(液晶ディスプレー)用カラーフィルターの伸長などを理由に通期の業績予想を上方修正したのをはじめ、IT(情報技術)関連製品の好調を背景に、全社がそろって今期の最終増益を見込んでいる。需要の低迷や輸入品の拡大で苦戦する主力の繊維事業を横目に、IT関連がしばらく業績の牽引(けんいん)役となりそうだ。

 東レは、通期の経常利益見通しを昨年11月に発表した従来予想から10億円上乗せし、前期比2.1倍の510億円に上方修正した。「デジタル家電の拡大で情報・通信機材部門が伸びている」(葛馬正男・東レ専務)からだ。情報・通信機材部門は、電子回路用材料や半導体材料などを手掛け、今期の部門営業利益は72.1%増の160億円となる見込み。とくにLCD用カラーフィルターは、携帯電話向けを中心に売り上げを伸ばし、第3・四半期(10−12月期)から黒字化、通期でも黒字に転じる見通しだ。

 クラレは、LCDの主要材料である偏光フィルムに使用されるポバール(PVA)フィルムが拡大、同フィルムの増産を決めた。三菱レイヨンも、アクリル樹脂シートが、液晶バックライトに使用する導光板や、携帯電話用途で堅調に推移している。

 このほか、帝人が国内の液晶関連PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが堅調なほか、東洋紡もDVDやPDPに使用されるフレキシブルプリント基板の販売を伸ばしている。ユニチカも精密部品に使用するポリアリレート樹脂など高分子事業の収益が拡大する。

 デジタル家電向け素材の拡販で業績を伸ばしている繊維各社。ただ、IT関連は商品の新陳代謝が激しいのも事実だ。素材供給の拡大がいつまで続くか定かでないだけに、主力の繊維事業でも収益の改善が急がれる。

36荷主研究者:2004/03/17(水) 01:17

【東北大と新日鐵化学:ナイロン原料の低コスト製造法開発】
http://www.business-i.jp/news/chemical/art-20040305214017-LOFDESRNNO.nwc
FujiSankei Business i. 2004/3/6
東北大と新日鉄化学、ナイロン原料の低コスト製造法開発

 東北大学と新日鉄化学は5日、常温に近い50度の温度下で、ナイロンの原料となるカプロラクタムの製造プロセスを開発した、と発表した。従来法よりも300度以上低い温度で精製できるため、繊維やプラスチック原料になるナイロンの製造コストを引き下げられるという。

 低温下でも化学反応を仲介する触媒と、触媒とカプロラクタムを分離させる溶媒を開発することに成功した。特許を出願中で、合成経路などを解明することで早期の実用化を目指す。

 開発した触媒は、常温で液体の状態にある塩。従来の触媒は、400度程度の高温下で化学反応させていた。新触媒は、50度の温度下で、シクロヘキサノンオキシムと呼ぶ化学品からカプロラクタムを合成する化学反応を仲介する。

 さらに、従来の有機溶媒では、新触媒とカプロラクタムの抽出分離が困難だったが、超臨界二酸化炭素(CO2)を用いることで抽出分離を可能にした。

 超臨界CO2とは、高圧力の環境下で、液体と気体の区別がなくなる中間の物質状態のCO2。気体分子と同等の大きな運動エネルギー、液体並みの高い分子密度という、気体と液体の両方の性質を持っている。分子密度が高く、分子運動が活発なため、他の成分との混合性が高く溶媒に適している。

 常温で液体の塩を触媒とした場合のカプロラクタム合成経路は明らかになっていないが、この反応メカニズムの解明と、反応装置・分離装置の最適化を図ることで、製造プロセスの早期実用化を目指していく。

38とはずがたり:2004/03/21(日) 23:15
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20040322k0000m040049002c.html
タンク爆発:日清紡績の工場で 従業員ら重軽傷 愛知

 21日午前10時5分ごろ、愛知県岡崎市美合(みあい)町の日清紡績美合工場(内村文夫工場長)で、溶接作業中の廃液タンクが爆発、タンクの天井が吹き飛んだ。タンクの上にいた同社社員、伊坂昭彦さん(36)=同市上和田町=が地上に落下し、胸などの骨を折り重傷。タンクのそばで、作業を下請けしていた山崎工業所(同市)社員、森田優一さん(53)=同市六名4=が軽傷を負った。県警岡崎署は、業務上過失致傷の疑いで溶接作業などが安全に進められたかどうかを調べている。

 調べなどでは、タンクは、高さ6メートル、直径4.85メートルの円筒形。布を作る時に糸の強度を増すために使うのり「ポリビニルアルコール(PVA)」を、湯(温度約80度)で洗い落とした廃液を一時貯蔵するタンクで、容量100キロリットルのうち、約20キロリットルが入っていた。

 伊坂さんや森田さんら3人はこの日午前9時半ごろから、タンクの高さ約3メートルのところにあいた穴を鉄板でふさぐ作業をしていた。

 内村工場長などによると、廃液はPVA約2%、水約98%で、PVAに揮発性はないという。

[毎日新聞3月21日] ( 2004-03-21-21:29 )

39荷主研究者:2004/04/19(月) 00:12

【東レ・東洋紡:エアバック用繊維快走】2003年12月30日 日経産業新聞 8面
東レ・東洋紡 エアバック用繊維 快走 アジア生産相次ぎ前倒し

東レと東洋紡の自動車用エアバック向けナイロン繊維事業が快走している。中国市場の拡大やエアバック設置箇所の増加を背景に原糸生産を増やし、中国やタイで基布の増産も進める。高機能化による特徴を出しにくくなった衣料向けが落ち込む中、台湾、韓国などのメーカーが入りにくい分野を先行して伸ばす狙いだ。

 ◇ ◇

「とても全部の引き合いに応じきれない」。東レの森本和雄産業資材事業部長はうれしい悲鳴を上げる。エアバック向けナイロン66繊維を生産する岡崎工場(愛知県岡崎市)の能力を、計画を3ヶ月前倒しして8月に年産6千トンから8千4百トンに増強したが、それでもすでにフル生産となっている。

東レは来年6月をめどにタイで原糸生産を年産約3千トンで始める。性能試験を加速させて計画を6カ月早めた。東南アジアや中国に進出する日系部品メーカーの需要を取り込むため、第二工場も1年前倒しし2005年3月に稼動する予定だ。

2003年のエアバック原糸需要は約7万3千トン。世界的に需給は逼迫し、2010年には少なくとも10万トン強に増えるとみられる。中国などの自動車生産台数の増加に加え、側面に設置して頭や肩を保護するカーテンエアバックなどの装着率が高まるためだ。

東レとシェアを競う東洋紡も敦賀事業所(福井県敦賀市)のエアバック原糸生産量を2004年に現在の年6千5百トンから8千トンに増やす。衣料向けの設備を転用し、2005年には年1万トンにする計画だ。

東洋紡は付加価値の高いエアバック用の布地(基布)に強く、国内で年約1,440万メートル(幅は1.5メートル。基布100万メートルは原糸約400トンに相当)、タイで450万メートル生産する。来年末をメドに中国でも年600万メートルで生産を始める。

中国には豊田合成や日本プラストなど日系の自動車部品メーカーや、スウェーデンのオートリブなど欧州系が相次ぎ進出している。オランダのアコーディスから技術供与を受けた東洋紡は欧米での原糸・基布の販売はできないが、アジアに進出する欧州系への販売は「交渉次第」(東洋紡の辻井大二郎常務・繊維事業本部長)。それだけに需要の取り込みに熱が入る。

 ◇ ◇

ナイロン生産を再開した旭化成もエアバック再参入を検討しているが、日本では東レと東洋紡がシェアを二分し圧倒的に強いため、「同じ土俵では勝ち目は薄い」(旭化成幹部)。高強度の細いナイロン繊維の開発を進め、収納スペースの縮小が求められているカーテンエアバックなどに的を絞り、活路を見いだす考えだ。

東レ、東洋紡も世界シェアでは米デュポン、アコーディスに及ばない。ただ、合理化に手間取るデュポンや、投資会社傘下で売却先を検討中のアコーディスは積極的な投資の動きは鈍い。手間取る二大メーカーを前に需要拡大が著しいアジア地域で完成車や部品メーカーと連携すれば、一気にシェアを伸ばすことも可能だ。(大阪経済部 会田義孝)

<エアバック用ナイロン繊維の世界シェア>
米デュポン 44%
蘭アコーディス 36%
東レ 10%
東洋紡 7%
その他 3%
(2003年、日経推定)

40荷主研究者:2004/05/01(土) 03:53

【繊維大手:ダイエットストッキングに注力】
http://www.business-i.jp/news/chemical/art-20040402224227-GPDBSNHFZG.nwc
FujiSankei Business i. 2004/4/3
繊維大手、「ダイエットストッキング」に注力 バリエーションも豊富になったダイエットストッキング

 ダイエット願望の強い女性を狙え−。カネボウ、アツギ、グンゼなど大手繊維メーカーが「ダイエットストッキング」の販売に力を入れている。繊維に配合した果物や植物由来の成分が脂肪を燃焼させるという触れ込みだが、最近ではこうした機能性だけでなく、柄ものなどバリエーションを充実させ売り込みに懸命だ。中国からの廉価品攻勢や、若い女性の生足ブームでストッキングの需要はこのところ低迷気味。ダイエットをキーワードに「復権」をめざす。

 繊維にラズベリーの成分を配合しているのはカネボウの子会社、カネボウストッキング(大阪市淀川区)。成分の「ラズベリーケトン」は脂肪を燃焼させるといわれ、ストッキングを履けばその成分が足に染み込む仕掛け。生地本来の風合いや物性を損なわないような加工法も開発し、ラズベリー特有の甘酸っぱい香りも楽しめるという。「近くファッション性の高い“柄モノ”商品も売り出し、ヤング向けに普及させたい」(藤井正美カネボウストッキング営業グループマネジャー)という。

 業界最大手のアツギは「コンフォート」シリーズに“痩脚(そうきゃく)ストッキング”を追加した。中性脂肪を分解する機能があるといわれるカフェインや、ユリ科植物から抽出した天然成分を編生地に付着させ、「コンフォート デイリーダイエット」として売り込んでいる。

 「燃焼系ストッキング」と名付けた「VIFA(ヴィファ)」を昨年1月から発売したのがグンゼ。カフェインと、香りをかぐことで交感神経を活性化させる働きがあるグレープフルーツの有効成分を繊維に付着させ、相乗効果で中性脂肪を燃焼させるのがポイントだ。今後、着用時の快適性を向上させた新デザインの投入や、新パッケージに切り替えて訴求力を高めるなど「ヴィファ」ブランドを強化する方針で、同社レディス&レッグカンパニーの高尾茂樹氏は「2004年度は前年度実績を約100万足上回る600万足の販売をめざす」と腕まくりする。

◇ ◇ ◇

 ダイエットストッキングは1足500円前後で、他の製品と価格は変わらない。高額商品だと敬遠されるため、各社とも戦略的に割安感を出している。

 ストッキングの国内需要は1989年(約11億足)をピークに年々減少し、2003年は約4億足と半分以下まで落ち込んでいる。半面、中国を中心に安価な輸入品が流れ込み、03年は1億足を突破。国内メーカーには逆風が吹いている。

 ところが、ダイエットストッキングなどの機能性商品は「中国でも簡単には、まねができない」(藤井氏)ことから、差別化商品として力を入れることにした。

 繊維メーカーの関係者によると、ダイエット効果をうたった下着や靴下は増加傾向にあり、ストッキングのほか、パンツやキャミソール、ソックス、腹巻きなど品ぞろえは豊富。統計がないため市場規模はつかみにくいが、スーパーなど量販店をはじめ、最近ではドラッグストアや百貨店でも販売されており、「売れ行きは順調」(業界関係者)という。

 ただ、こうしたダイエット衣料品は医薬品ではないため、商品パッケージに「やせる効果がある」といった表現が使えないのが弱み。このため、各社は「(ダイエットの)効果が期待できる」「気になる部分をすっきり」などといった苦心の表現で女性にアピールしている。

41荷主研究者:2004/05/01(土) 04:23

【繊維変貌(上)衣料より産業資材】2003年10月27日 日経産業新聞 17面
繊維変貌(上) 衣料より産業資材 「炭素」巡り 東レなど火花

大手繊維メーカーの事業内容が大きく変貌している。産業用繊維や樹脂などが主力となり、衣料用も高機能路線へのシフトが急速に進む。老舗のカネボウが中核の化粧品事業を切り離し繊維部門の一層のリストラを迫られるなど縮小が続く繊維産業だが、一方で大手の生き残りへの道筋も見え始めた。

「スペックインを勝ち取れ」。自動車用エアバック向けナイロン大手の東レと東洋紡が、トップの号令以下しのぎを削っている。

▽日本勢が先行

安全部品のエアバックは今後、1台当たり使用量の増加や小型車への普及が見込まれる。同ナイロンの世界需要も2002年度の約7万トンから2005年ごろには10万トンに増える見通し。主要車種の仕様(スペック)に採用されれば、次のモデルチェンジまで長期の需要が確保できる。

しかも品質や信頼性などは日本メーカーが先行し、「韓国や台湾メーカーが参入してくるのは3、4年以上先」(丸山和博東レ取締役)。現在の年間生産能力は東レが7,500トン、東洋紡が5,500トン。タイなど海外での生地加工も進めており、2005年に自動車の年間生産台数が500万−600万台に伸びるとされる中国でも原糸の生産まで乗り出すことを検討しているという。

繊維大手各社は今、衣料品向けではなく、新市場である産業資材向け繊維に最も力点を置いている。車用でもエアバックのほか、東洋紡や旭化成がタイヤコード、帝人はシートベルトなどを拡大している。

建設・土木資材の開発も進む。東洋紡の高強力繊維「ザイロン」や帝人のアラミド繊維などは光ファイバー向けや石綿代替として使われ、ビルや橋梁補強材としての拡大も見込む。「帝人にとって重要な成長事業」と帝人テクノプロダクツの唐沢佳長社長は自信を見せる。

産業資材の成長の柱と期待されるのが、東レ、帝人グループの東邦テナックス、三菱レイヨンの日本3社で世界市場の約7割を占める「日の丸繊維」、炭素繊維だ。炭素繊維はアルミなどに比べ重量が約半分、強度は2、3倍高いのが特徴。これまでは釣ざおやゴルフクラブのシャフトといったスポーツ用途などが主だったが、航空機や自動車の部材として追い風が吹いている。

欧州エアバスが2006年に就航予定の収容555席と世界最大の旅客機「A380」。東レはその需要をにらみ、2004年8月からフランスで炭素繊維を約3割増産する。他の2社も生産増強に動く見通し。現在の主翼や尾翼の一部から、骨材や胴体など大型部品への利用が今後進み、「航空機向けは2倍以上に拡大する」と業界幹部は強気だ。

自動車向けも、東レは炭素繊維の内部に樹脂を注入した複合材料を開発、プロペラシャフトなどを日産自動車などに納入を開始した。東邦テナックスも社内に検討チームを設け、車向け素材ではまだ割高な炭素繊維の生産コスト削減に取り組む。

▽合繊撤退相次ぐ

炭素繊維の世界需要は約1万8千トン。今後年6−10%ずつ増加する見通しだ。繊維の中で日本メーカーが主導権を握っている数少ない有望素材だけに、「炭素繊維事業では負けるわけにいかない」(東レの榊原定征社長)と3社が火花を散らす。

衰退産業といわれて久しい繊維は最近も、衣料用の長期低迷を背景に、帝人のナイロン撤退・ポリエステル縮小、旭化成のアクリル撤退など合繊メーカーのリストラが相次いでいる。花王との化粧品事業統合を決めたカネボウは、アクリル事業の撤退に伴う除却損などで2003年9月中間期に約630億円の債務超過になる見通し。合成繊維だけでなく綿加工や紡績など天然繊維事業のリストラも本格化し、不採算事業からの撤退を検討する。

「独自品に特化して利益を出せる体制にしていくしかない」と合繊子会社、カネボウ合繊の菊池香一副社長は淡々と語る。だがこれに対しある繊維大手幹部は「さらに撤退が進めばカネボウの繊維事業に存在意義はない」と言い放つ。

往年の繊維大国の技術蓄積などを生かすすべはないのか。大手各社の産業繊維への傾斜は、カネボウなどの事例を教訓とした、生き残りへ向けた解答でもある。

▼炭素繊維の出荷額とシェア
国内出荷額 460億2000万円
東レ 60%
三菱レイヨン 27%
東邦テナックス 13%
(PAN系、2002年度。数字は日経推定)

42荷主研究者:2004/05/01(土) 04:24

【繊維変貌(中)樹脂に特化し高収益】2003年10月28日 日経産業新聞 13面
繊維変貌(中) 樹脂に特化し高収益 三菱レイヨン クラレ 合繊出遅れ逆手に

「世界一のアクリルメーカーになるための一歩だ」。今月初め、中国・江蘇省南通市でアクリル樹脂成型材料の新工場を稼動した三菱レイヨンの皇芳之社長は力を込める。

同工場の生産規模は年4万トンと世界規模。2年後には原料のメチルメタクリレート(MMA)モノマーの生産拠点も中国に設ける。2007年度末までにアクリル事業に総額約450億円を投じ、製品の生産能力を現在の1.8倍の87万4千トンに拡大、アクリル事業で世界一に躍り出る構想だ。

原料から成型材料・シートなど幅広く加工品を手掛け、主力の自動車のランプカバーなどに次ぎ、液晶テレビの導光板や看板なども伸ばす戦略。アクリルを含む化成品・樹脂事業の売上高は三菱レイヨン全体の約4割にすぎないが、営業利益の7割強に当たる154億円を稼ぎ出す。

クラレも世界で競争する事業は化学分野だ。食品包装や自動車の燃料タンクに使うガス遮断性樹脂、エチレンビニルアルコール重合体(EVOH)樹脂は約7割の世界シェアを持つ。接着剤副原料などのポバール(ポリビニルアルコール)樹脂もトップ。化成品・樹脂の営業利益は全社の79%に達する。

「独自性のある製品を出し続けるため、M&A(企業の買収・合併)もどんどんやる」と和久井康明社長。2005年までにポバールをドイツで2万トン増強。ゴムの弾性とプラスチックの成型性を併せ持つ熱可塑性エラストマーも鹿島事業所(茨城県神栖町)で2005年をメドに4千トン増産、自動車内装材向けなどを伸ばす考えだ。

両社には共通点がある。世界の合成繊維生産の半分以上を占める「花形」事業のポリエステルで大きく出遅れたことだ。東レと帝人が1958年に事業化したのに対し、クラレは64年、三菱レイヨンは69年の参入。

事業規模で追いつけない両社は90年代初めから、同事業を縮小し、「合繊も化学の一分野」(和久井社長)として樹脂分野へ資源を集中した。結果的にその後のポリエステル市場低迷の影響を免れ、売上高営業利益率の今期見通しはそれぞれ8.0%と8.2%と、業界最大手の東レと帝人の4%台を大きく上回る。

クラレの繊維事業売上高の比率は前期34%で、今期は3割を切る見込み。東京証券取引所の規約では3割未満の状態が3年間続けば証券分類は「繊維」から「化学」へ移る。名実ともに脱繊維が実現する。

ポリエステル繊維出遅れで辛酸をなめた経験を化学では生かし、「独自分野に特化し、群雄割拠の化学業界で小さくても"異能力士”になる」(和久井社長)。生き残りへの戦略は明確だ。

43荷主研究者:2004/05/01(土) 04:25

【繊維変貌(下)衣料用、新付加価値で勝負】2003年10月31日 日経産業新聞 19面
繊維変貌(下) 衣料用、新付加価値で勝負 複雑な流通にもメス

「着る化粧品」。富士紡績はこんなブランド名の女性向け衣料製品を来年2月から、全国百貨店などで本格発売する。

衣服から出るアセロラなどの香りで疲労を和らげたり、繊維に銀イオンを含ませ菌類を寄せ付けない製品など4種類を新たに発売。既存品を含め18種類の商品を1ブランドにまとめた。いずれも衣服を着ると人体に何らかの効果があるとして、新製品だけで初年度5億円の販売を見込む。

衣料用繊維の開発は汗の吸収や肌触りの良さといった着心地の向上など、繊維本来の機能の改善に重点を置いてきた。富士紡績は美肌効果など化粧品の機能を持つ繊維の開発に成功。梅本茂夫社長は「新たな付加価値があれば国内市場もまだ開拓できる」と強調する。

ポリエステル、ナイロン、アクリルの三大合成繊維が大きな比重を占めてきた衣料用で最近、次世代商品として期待されるポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維。肌になじみやすいポリエステルと強度が高いナイロンの特性を併せ持ち、伸縮性がある。染色しやすく、天然繊維と一緒に織ったり編んだりの加工もしやすい。

現在は価格がポリエステルの汎用品と比べて約5倍と高いが、他の繊維と合わせれば新たな高機能製品作りに役立つ。東レは米デュポンと共同で事業化し、来春をめどに三島工場(静岡県三島市)のPTT繊維の年産能力を3倍の1,500トンに増やす。旭化成と帝人は折半出資子会社のソロテックスを設立、「2005年をめどに海外生産も検討している」(ソロテックスの松浦哲也社長)。

国内製品の競争力を低下させる要因の一つだった、多段階かつ複雑な流通経路にも大きな波が起きようとしている。繊維は現在店頭に並ぶまでメーカーや商社などおおむね8つの段階を経る。東レはアパレルメーカーに生地のデザインなどを直接提案するなど、メスを入れ始めた。着用すると涼しさを感じる繊維やマイナスイオン繊維など高機能の生地を活用した共同企画の商品づくりも進める。

アパレルメーカーとの共同化で流通コストは3割安くなるという。今後改革を本格化し、「中間流通マージンを取り込むことで将来、繊維事業の売上高を3、4割伸ばしたい」と東レ幹部は戦略を打ち明ける。

「カネボウは技術力は高いが経営で失敗した」。ある大手繊維メーカー首脳は、繊維事業の不振を背景に主力の化粧品事業で花王と統合するカネボウについてこう分析する。子会社のカネボウ合繊(大阪市)は世界最軽量のポリエステル繊維も開発したが、「ポリエステルはしょせん汎用品。もっと高付加価値化に力を注ぐべきだった」との指摘だった。

すき間市場の開拓も流通改革も、メーカーが蓄積した得意技術を事業拡大に結び付けるためには必要な手段。過去の慣習にとらわれない発想が繊維業界に求められている。(この連載は合田義孝、田中良喜が担当した)

▼東レの繊維事業の流通構造改革イメージ図
・従来のサプライチェーン
 繊維メーカー⇒商社(糸商)⇒テキスタイルメーカー⇒商社(生地商)⇒縫製メーカー⇒商社(卸商)⇒アパレル⇒問屋⇒小売店

・新商流
 東レグループ(製糸⇒編立・職布⇒縫製⇒アパレル)⇒アパレル⇒小売店


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