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ガルパン みほルートGOODエンド
392
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/25(日) 00:01:16 ID:ZIwmvIb.
<西住みほ クリスマス>
ごめんね、待たせちゃって。寒かったでしょ?さ、早く行こう?
ああ、あの人なら来ませんよ。どうしても都合が付かないんだって、伝言を頼まれたの。
だから今日は私が代わりに……ダメ?あの人じゃないと意味がない?
そっか……でも、私が帰っちゃうと貴方ひとりになっちゃうよ?せっかくのクリスマスなんだし、一緒に楽しく過ごした方が良いと思うな。
他の人?うーん……多分来られないと思う。少なくとも私が思い当たる人はみんな。沙織さんも華さんも優花里さんも麻子さんも会長も小山副会長も河嶋先輩もカエサルさんもエルヴィンさんも左衛門佐さんもおりょうさんも磯部さんも近藤さんも佐々木さんも河西さんも澤さんも山郷さんも丸山さんも阪口さんも宇津木さんも大野さんも園さんも後藤さんも金春さんもナカジマさんもスズキさんもホシノさんもツチヤさんも猫田さんもももがーさんもぴよたんさんもダージリンさんもオレンジもアッサムさんもローズヒップさんもルクリリさんもケイさんもアリサさんもナオミさんもアンチョビさんもペパロ二さんもカルパッチョさんもカチューシャさんもノンナさんもニーナさんもアリーナさんもクラーラさんもエリカさんも赤星さんも西さんも福田さんも玉田さんも細見さんもミカさんもアキさんもミッコさんも愛里寿ちゃんも愛里寿ちゃんのお母さんも優花里さんのお母さんも私の母さんも蝶野さんも―――お姉ちゃんも、誰も。
393
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/25(日) 00:02:11 ID:ZIwmvIb.
だから、ね?私と過ごそう?それが一番いいよ。私なら貴方が今夜したいこと、全部してあげられるよ?経験はないけど、きっと満足してもらえるように頑張るから。
ふふふ、隠さなくったっていいよ?あの人とそういうこと、するつもりだったんでしょ?恥ずかしがらなくったって大丈夫。男の子だもんね。
―――ねえ、なんで逃げようとするんですか?おかしいよね?だって私、貴方を傷つけるようなこと、何もしてないよ?理不尽に話も聞かずに行動や考えを否定したりしてないし、嫌がることを脅してやらせようとしたりしてないし、居場所を奪おうとしたりしてないし。
ねえ、どうして?説明してください。ねえねえねえねえねえねえ。
……はあ、しょうがない、か。じゃあ、私から貴方へこのクリスマスプレゼントをあげます!さ、遠慮せずに開けてみて。ね、素敵なマフラーでしょ?付けて見せて?―――わあ、思った通り、すごく良く似合ってるよ!
―――ああ、それ?ごめんね、ちょっと汚れちゃってて。あの人、最後までそれを離してくれなかったから。
なにもおかしくないよ。全部普通で当たり前。貴方を喜ばせるのは私だけ、だなんて、すごく普通のことだよ。だからそれを渡すのが私なのも、今夜一緒に過ごすのが私なのも、全部当たり前。
貴方は今夜当たり前に私を好きになって、当たり前に私と幸せになるの。―――それが、それだけが私たちのクリスマスだよ。
394
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/25(日) 00:05:15 ID:ZIwmvIb.
というわけでクリスマスネタ(?)でした
これもうわかんねえな
あ、ちなみに自分は麻子SSの人ではないです
ぶっちゃけあの作品に触発されて書き始めたのでパチもんくさくなってるのは仕様です
(紛らわしくて)すまんな
395
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/25(日) 00:19:57 ID:kScTPmDM
いいっすね^〜
もっと病んだクリスマスネタ書いてくれよオラァン!
396
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/25(日) 07:27:45 ID:Z0E.qwZU
あんこうチーム残りみんなのぶんも見たいけどな〜俺もな〜
年末年始版も期待してますんで!(無茶ぶり
397
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/26(月) 23:15:23 ID:KhUcp46A
【柚子ルート BADエンド】
「これ、どういうことかな」
ある日、小山副会長から大洗女子学園の生徒会室へと呼び出された。
『明日の夜9時に来て。大事な話があるの』
指定された時間が日も落ちた頃だというのもそうだが、それ以上に電話越しの声が恐ろしく無機質であったことが不安を煽った。そしてそれは見事に的中した。
机を挟んだ向かい側の小山副会長が示したのは、数枚の写真。そこには、自分と女性―――恋人である河嶋 桃さんが唇を重ねる姿が写っていた。血の気が一気に引くのを感じる。
「この場所、うちの艦にある公園だよね?学園のすぐ近く、他の生徒もよく使う公園」
淡々と、しかし明確にこちらを責める意図が見える口調で小山副会長は言う。言い訳のしようもないくらいに鮮明なその写真を出されては、ただ頷くことしかできなかった。
「困るなぁ、こういうの」
はぁ、とわざとらしくため息をついてから、今度は呆れを含んだ物言いになった。どこかこの部屋の本来の主―――角谷会長を彷彿とさせる言い方により恐怖が増す。
「うちの学校が不純異性交遊禁止って知ってるよね?まあ貴方たちがお付き合いしてるのはなんとなく察してたけど……。節度は持ってくれてると思ってたんだけどなぁ」
さらに声に失望の色まで交えつつ、小山副会長は写真とこちらを交互に見た。その視線に普段の柔和さは微塵もなく、ただひたすらに暗かった。
「しかもこんな場所で。人に見られたらどうなるか、とか考えなかったのかな?仮にも桃ちゃんはこの学園の広報なんだよ?変な噂が流れればそのまま会長や学園の名前に傷がつく、って普通わかるよね?」
トントンと、小山副会長が机の端を指で叩く音が部屋に響く。それすらもこちらへのある種の威嚇に感じられた。
そして、ついにその言葉が告げられる。
「悪いけど、二人には別れてもらわないと。あと、桃ちゃんには責任を取るってことで生徒会を辞めてもらうから」
398
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/26(月) 23:16:02 ID:KhUcp46A
写真を片付けながらあっさりと言うと、小山副会長は席を立った。話はこれで終わりだと言わんばかりだ。あわててその行く手を遮り、ためらいなく土下座をした。恥も外聞もなく、それだけは勘弁してください、と必死に頭を床に打ち付ける。彼女の提示した二つのものが、いかにこの場にいない恋人を傷つけるか、想像に難くない。
「やめてよ、そんなことしてほしくてやってるんじゃないんだから」
こちらの肩に手を置き、動きを制する小山副会長。顔を上げると、困ったような表情が見えた。
「ごめんね、追い詰めちゃって。意地悪で言ってるわけじゃないんだよ?」
普段のものに近い、先ほどより柔らかい声が聞こえた。
「でも、いきなり別れろだとか、生徒会を辞めろ、だとかは酷だよね」
交渉の余地が出てきたと感じ、すぐさま何か別の方法で自分に責任を取らせてください、と訴える。
「そうだねぇ……。まあ、この写真に関しては私が見なかったことにすればいいし、二人には今後自重してもらうってことにすればいいのかな」
口元に指を当て、思案するように言う。ようやく希望が出てきた。一転して小山副会長が女神か天使にも見えたのだが。
「でも、ただってわけにはいかないよね。悪いことをしたんだから罰は受けてもらわないと」
もとよりこちらはそのつもりだ。なんでも言ってください、と覚悟を決めて言う。桃さんと別れたり、彼女の生きがいである生徒会を辞めさせること以上に最悪なものなんてない。それ以外の罰で済むのなら喜んで受け入れよう。
「本当?じゃあ」
不意に小山副会長は距離を詰めこちらとの―――唇を重ねてきた。
さらに彼女の右手がこちらの股間をズボン越しにまさぐってきた。突然のことに呆然としてしまったが、なんとか正気を取り戻し、その体を突き放した。どういうことですか、と問うたが、小山副会長は動揺した様子もなくあっさりと言った。
「だからこれが罰だよ。罰なんだから貴方が嫌がることじゃないと意味がないでしょ?」
当然のように、まるで母親が子供に1+1=2と教えているかのように言う。
「だから、抵抗したり拒絶したりしたら―――どうなるかわかるよね?」
ここでようやく気付いた。彼女の目つきに。それは被告を弾劾する裁判官でも、刑を執行する刑務官でもなく―――獲物を狙う獣の目そのものだった。
399
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/26(月) 23:16:31 ID:KhUcp46A
もはや抵抗は無意味どころか逆効果だと悟り、彼女の要求を受け入れる。言われるままに愛撫し愛撫され、唇を何度も重ねた。その度脳裏には愛しい恋人の笑顔が浮かんだが、その笑顔を守るため、と言い訳して行為に没頭した。体に走る快感に耐えることは、もはや不可能であった。唯一、不幸中の幸いと言っていいのかわからないが、小山副会長が避妊具を使ってくれたのは助かった。もちろんそれが不貞をごまかすことにはならないが。―――それを彼女の良心からの行い、と考えた自分は本当に馬鹿としか言い様がない。
「はい、笑ってー。チーズ!」
行為がひとしきり終わり、そのまま床で呆然としていたら、突如としてシャッター音が聞こえた。目線を上げると、そこにははだけた服装のまま、携帯のカメラをこちらに向けている小山副会長の姿があった。そう、撮影されたのだ。裸で床に横たわり、性器に避妊具をつけた姿を。
「うん、良く撮れてるね。全身しっかりと」
携帯を操作しながら彼女は言う。起き上がりその手を止めさせようとしたが、
「もう遅いよ。データは私の部屋のPCに送っちゃった。これを壊しても解決しないよ?」
その宣告に、がくりと肩を落とした。行為の疲れと相まって、もはや動くことすら億劫だった。
「さて、と。私の言いたいことはわかるよね?この画像と、さっきの写真。この二つが同時に流出しちゃったら、責められるのは誰かな?」
もはや自分と桃さんの社会的生殺与奪権は、目の前の女性に完全に握られた。少なくとも今の働かない頭ではどうにもできず、絶望するくらいには。
「貴方が私の言うことを聞いてくれてれば、誰にも言わないし見せないって約束するよ。だから」
こちらの耳元に口を近づけ、囁くように彼女は告げた。
「これからよろしく。末永く、ね」
400
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/26(月) 23:17:19 ID:KhUcp46A
「さて、と」
―――がチャリ。
「桃ちゃん、大丈夫?生きてる?」
「―――ッ!!―――ッ!!!」
「ああ、どうどう。今解いてあげるから。とりあえず口だけね」
「プハッ……!!柚子……!お前、どういうつもりだッ!!なんで……なんでこんなひどいことをッ!!」
「あーあ、本当に泣き虫だね、桃ちゃんは。そんなにベソかいちゃって」
「巫山戯るなッ!!」
「巫山戯てなんてないよぉ。それにどういうつもり、って。さっき彼に言った通り、『罰』だよ」
「……ッ!確かに我々のしたことは不用意だった!それは認める!でも……だからってここまでする必要があるのか!?お前がただ欲求を満たしたくてやったことなんじゃないのか!?」
「そうだよ?」
「なッ……!」
「ああ、あとひとつ訂正ね。さっき彼に言った通りって言ったけど、本当は嘘が一個混ざってるの」
「嘘……?」
「うん。それはね、この『罰』はふたりの行いへのものじゃない、ってこと」
「……どういう意味だ」
「つまり、この『罰』は―――」
401
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/26(月) 23:17:50 ID:KhUcp46A
「私から大切な人を奪って、でもそんなことも知らずにのうのうと幸せそうな間抜け面をさらしてた『誰かさん』への『罰』、なんだよ」
402
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/26(月) 23:19:07 ID:KhUcp46A
というわけで柚子ちゃんルートBADでした
エロシーンは童貞なのでキャンセルだ
403
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/26(月) 23:24:13 ID:P.4I.7A2
犯りますねぇ!
404
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/27(火) 00:21:06 ID:ZUKTZTDY
なんで・・・?(キャンセル
でも柚子ちゃんBADあぁ^〜いいっすねぇ〜書いてくれてありがとナス!
普段おとなしい子ほど振り切れた時はやはりヤバイ(確信
405
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/27(火) 01:14:34 ID:HxRjDots
柚子ちゃんみたいな人ほど怒らせると本当に怖いって、はっきりわかんだね。
406
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/27(火) 03:05:51 ID:HHLEtkRw
なんでもすると言ってはいけない
407
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/27(火) 06:09:06 ID:hEn/8JvA
やべぇよやべぇよ…
408
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/27(火) 23:47:05 ID:MjmlH9BQ
<そど子>
好感度10%(顔見知り程度):「はい、おはよう。……ちょっと貴方、ネクタイはしっかり締めなさい。校則以前の常識でしょう?」
好感度50%(仲の良い友人):「おはよう。……はぁ、ちょっと貴方、寝癖がついてるわよ、ほらここ。まったく、服装はちゃんとしてても、それじゃあ台無しよ」
好感度100%(恋人) :「遅いわ!女性を待たせるのはマナー違反よ!まったく、身だしなみは合格だけど30分も待たせてたら意味が……な、なによ。そりゃあ確かに私も早く来すぎたこともなくもないこともないかもしないけど……う、うるさいわね!楽しみにしてたとかそういうことじゃないんだから!本当よ!」
好感度444%(???) :「他の異性との会話、他の異性への笑顔、他の異性への気遣い……全部規則違反よ。覚悟はできてるんでしょうね?とりあえず勝手な外出は禁止、どうしても必要な場合は必ず私が同行するから。あと、携帯も没収ね。……学校?ダメに決まってるでしょ。貴方まだわかってないの?この規則がある意味を。……そう、ならもういいわ。説明しても意味ないんでしょ?じゃあ、黙って従いなさい。逆らわず、考えず、ただ従ってればいいの。それが貴方のためなのよ」
409
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/27(火) 23:48:54 ID:MjmlH9BQ
というわけでそど子小ネタでした
そろそろレオポンも考えなきゃ(使命感)
410
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/27(火) 23:57:35 ID:zT3iRxZ2
そど子すこ
411
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/27(火) 23:59:48 ID:lJvvoDLU
ああ^〜
412
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/28(水) 00:58:17 ID:P2qVje/2
バミューダ娘オナシャス
バミューダ娘ってショタコンっぽい
413
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/28(水) 01:47:10 ID:q.LS4sP2
バミューダ三人も見た〜い見た〜い
ショタとは言わないまでも年下のほうが好きそう感ありますねぇ!
414
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/29(木) 22:42:03 ID:q0IQ08tg
<アズミ>
好感度10%(顔見知り程度):「んー……?あー……おはよう……。ゴメン、大きい声出さないでくれる?昨日ちょっと飲み過ぎちゃったから……」
好感度50%(仲の良い後輩):「あ、おはよう。……あー、昨日はごめんなさいね?巻き込んじゃって。勝手だけど、できればアレは忘れてくれると嬉しいかな。一応私たちも嫁入り前の女だから、ね?」
好感度100%(恋人) :「おはよ。ん?ふふ、さすがに昨日は飲んでないわよ。せっかくのデートですもの、体調はバッチリ。そのかわり、今日はしっかりエスコートしてよね?お酒を飲んでいるよりも素敵な時間にしてくれないと、お姉さん怒るわよ?」
好感度444%(???) :「おはよう。昨日はどうも。……あら?覚えてない?じゃあほら、これ観て?よく映ってるでしょ。もう、お酒の勢いとは言えあんなに激しくして……お姉さん驚いちゃった。彼女持ちなのにこんなことしちゃ、イケナイぞ?ああでも、私も謝らないとね。さっきの動画、あの娘に間違えて送っちゃったの。え?人聞きが悪いわね、わざとじゃないのよ?でも、ちゃんとそのことの責任は取るから、ね?」
415
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/29(木) 22:44:10 ID:q0IQ08tg
というわjけでアズミさん小ネタでした
長めのはどうしようかと思ってます
やるとしてもバミューダまとめてとかになるけど絶対スマブラみたいになる(確信)
416
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/29(木) 23:59:57 ID:sMVmyiKQ
GAMESET
417
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/29(木) 23:59:58 ID:sMVmyiKQ
GAMESET
418
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/30(金) 05:46:29 ID:qI6OYlF2
アズミさんいいゾ〜これ
大学生なのに色っぽくてすき
419
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/30(金) 07:32:17 ID:e16Y6xLE
(スマブラみたいでも)なんの問題ですか?(レ
444%も計算ずくと考えるとぞくぞくしますね(興奮
420
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/30(金) 23:10:58 ID:Ed0zVixY
クラーラオナシャス
421
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/12/31(土) 23:52:18 ID:AmFpebyg
【年越し】
「……そろそろいいかな?蓋、外すね」
12月31日の夜。みほの自宅のマンションでふたりで鍋を囲むことになった。普段なら一緒に過ごす旧大洗女子あんこうチームはそれぞれ帰省などの予定が入り、自分と同じく特に予定のなかったみほの提案でこうなった次第である。ひとりで年越しというのも味気ないので、彼女の誘いは正直ありがたかった。
「本当は実家に帰ってもよかったんだけどね。お姉ちゃんが『この時期は色々忙しいからそれにお前を巻き込むのは悪い』、て。だからお正月が終わった頃に顔を出すことにしたの」
ひょいひょいと箸で鍋の具を取りつつ、みほが語った。なるほど、妹想いのあの人らしい。こちらとしても結果的にこうしてみほとこの時間を過ごせるのだから、感謝しなければ。……まあ直接言うと話がややこしくなるだろうから心の中だけにしておくが。
「それじゃあ、改めて……。今年一年、お世話になりました。来年もよろしくお願います」
こちらこそ、と返し、彼女に倣って頭を下げる。顔を上げると、みほの少し照れたような笑顔があった。
「あはは、改まって挨拶するとなんだか恥ずかしいね。さ、冷めちゃう前に食べよう?……あ、その前に乾杯だね。今持ってくるから」
そういうと立ち上がり、冷蔵庫から缶ビールを持ってきた。みほは普段飲み会(大半があんこうチームとのものだが)に顔は出しても酒はほとんど飲まない。当人曰くあまりアルコールの味は得意ではないから、らしい。しかし今日はふたりで行った買い出しの際に、
『私もそろそろ慣れないとね。こういう時に練習しておかないと』
ということで、珍しくビールを数本購入した。まあ場所は彼女の自宅だし、こちらも酒はそれほど飲まないのでいざとなれば自分が介抱すれば良いだろう、と考え、それを止めなかったのだが……。
「うふふ〜……。なんだかふわふわします〜……」
乾杯して数十分後。まだ缶の中身は半分も減っていないはずなのに、みほはすでに出来上がっていた。紅潮した顔は妙に色っぽいが、頭を左右にメトロノームのように揺らしている姿のコミカルさが勝ってしまっている。
「酔ってないよ〜。いつも通りだよぉ〜……。うふへへへへ」
普段からそんな不気味な笑い方をしていたらおそらく友達にはなっていない。とりあえず口の端から垂れている涎を拭ってやりつつ、どうしたものかと考える。とりあえずベッドに一旦寝かしつけてしまおうか……。
「でも今年は助かったなぁ〜。実家にはあんまり帰りたくなかったから〜」
……これは……。もしやと思い、試しにみほに質問をしてみる。
422
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 00:08:24 ID:5dGHLCB6
あんこうチームをどう思う?
「え〜?う〜ん……。沙織さんはぁ、私が大洗に転校したとき最初に話しかけてくれた恩人で〜……。だけど大学に入ってからますます彼氏が欲しい彼氏が欲しいっていうのはちょっとアレかな〜。華さんはさりげない気遣いができる人だけど、消化器官どうなってるのって思う時がありますね〜。優花里さんも色々なことができる人だから助かるけど、パンツァー・ハイはそろそろどうにかしてほしいよ。麻子さんはいざという時頼りになるんだけど、いまだに朝起こさないといけないからね〜」
……やはり。どうにも酒の入っている現在の彼女は、普段表に出さない本音がダダ漏れになるようである。幸いこの場には自分とみほの二人だけだ、せっかくの機会なので色々聞いてみることにする。
旧大洗生徒会のカメさんチームはどう思っている?
「角谷元会長はね〜、すごい人だと思うけど最初の時に私を脅したのはね〜。小山元副会長も優しいけど怒るとなにするかわからない感じがするし〜、河嶋先輩は一生懸命だけど肝心な時に外すから〜……」
姉のまほさんは?
「優しくて自慢のお姉ちゃんだけど〜……。いい加減過保護すぎるんだよね〜。私も20歳過ぎてるってわかってるのかな〜?」
元黒森峰の……えーと、逸見?さん?については?
「う〜ん……いい人だと思うよ?うん。ちょっと面倒くさい時があるけど」
―――さて、予想以上に本音が聞けた。しかしこれ以上は何か人間関係の闇が浮き彫りになりそうなので自重しておこう。そう思ったのだが。
「あと、貴方のことはね〜」
聞いてもいないのに話し始めるみほ。本格的に酔いが回ったのかすっかりテーブルに突っ伏していた。まあ確かにここまで聞いておいて自分のことは聞かない、というのは卑怯かもしれないので、そのまま彼女の言葉に耳を傾ける。
「戦車道以外に取り柄のない私に優しくしてくれて、家のこととかで偏見も持たずに接してくれて、いざという時に頼りなって……」
……思った以上のベタ褒めに顔が赤くなるのを感じた。普段はこんなことを思っていたのか。
「あ〜、でもひとつだけ」
みほが付け加えるように言う。相変わらず顔を伏せたままなので表情はわからない。
「私の気持ちに気付いてくれないのは困るかなぁ」
―――思わず息を飲んでしまった。この場合の気持ち、というのは間違いなく……。
「……」
それきり黙ってしまったみほ。―――これ以上はさすがになにも聞けない。いや、先ほどの時点でアウトだろうが。
とりあえずみほを抱えてベッドに運ぶことにする。残った鍋もすっかり冷めてしまったし(ある程度は酔いみほ問答の間に食べてはいたが)、このまま彼女を寝かしつけてお開きにするべきかと考えながらベッドにみほを寝かせ離れようとすると。
423
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 00:09:08 ID:5dGHLCB6
「どこに行くの?」
いきなりみほの両手がガシリとこちらの首を掴み、ベッドに横たわる彼女の上に引き倒される。間近に迫ったみほの顔は、先程までとは違う笑みに満ちていた。
「酷いよ、私にあれだけ言わせておいて自分は何もなし、なんて」
しっかりとした口調、目線で言う。これはつまり……。
「うん。酔ってないよ、最初から。そもそも私、お酒は好きじゃないとは言ったけど弱いとは言ってないし」
最初から計算ずくだったということか。今日誘ってきた時からずっと。
「違うよ」
みほは笑顔のままで言う。
「最初の飲み会の時からだよ。まあ貴方を好きになったのは高校の時だから、その頃からって言ってもいいのかもね」
ならおおよそ3年越し、ということになる。それだけの間、彼女は―――。
「……あ。年、明けちゃったね」
低音量で点けていたテレビから新年の挨拶の声が聞こえるた。しかしすぐにみほがこちらから目線を外さないまま、リモコンで消してしまう。部屋は彼女と自分の呼吸と鼓動の音のみで満たされた。
「今度は貴方の『本音』、聞きたいな。貴方は私をどう思ってるの?」
―――こうして1月1日、間違いなく誰よりも可愛らしいが、もしかしたら誰よりも恐ろしい恋人ができたのだった。
424
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 00:10:30 ID:b.IgrAxM
あっ(勃起)
425
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 00:12:40 ID:5dGHLCB6
というわけであけましておめでとナス!
せっかくなので病んでないみぽりんで行きました
クラーラはロシア語がね…
426
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 00:46:51 ID:.hPX4jB2
やっぱ
>>1
の…SSを…最高やな!
427
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 01:04:02 ID:qhi6/mNU
いいゾ〜
428
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 08:04:31 ID:sVxjoGwg
あぁ^〜やっぱり可愛いんじゃあ〜
あけましておめでとナス!
>>1
くんのSS、今後も期待してますんで!
429
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 21:29:54 ID:5dGHLCB6
【年の初めの誕生日】
「いやー、ごめんごめん。待たせちゃった?」
1月1日の午前9時頃、待ち合わせ場所である駅前に待ち人である彼女―――角谷 杏さんが現れた。彼女の言葉に、ほとんど待ってないですよ、と答える。
「本当はもうちょっと早く着くつもりだったんだけどねぇ。服選びに手間取っちゃってさ」
そう言う杏さんの服装は、随分可愛らしいものだった。コートにマフラー、スカートにブーツというオーソドックスなスタイルではあるが、少しサイズが大きいからかコートに半分着られている、といった感じがあった。しかしそれがかえって彼女のもつ容姿の愛らしさを引き立てていた。彼女を知らない人が見れば女子大生と見抜くことはできないだろう。……まあ杏さんの内面のしたたかさを知っている身からすれば、その辺も計算ずくなんだろうな、と感じてしまうが。
「何言ってんの、服装なんてほとんどの人が計算ずくでやってるよ。相手によく見られたい、っていうね。特に女の子はなおさら。よっぽど近しくなければ何も考えてない格好なんて見せないよ」
なるほど、言われてみれば当たり前だ。しかしなんとなくそのまま納得するのは癪なので、つまり杏さんにとって自分はまだ考えた格好を見せるくらい距離が離れてるんですね、と言い返してみた。
「そりゃそうでしょ。私にとってキミはまだ『常に考えに考えた服で一番可愛く見られたい』相手だからね。気を抜いた姿を見せられるのは『どんな私でも絶対に好きでいてくれる』って確信が持ててからかな。だからもうちょっと先」
ニッ、と笑ってそういう杏さん。ストレートな言葉にこっちの顔が熱くなってしまった。やはりまだまだこの人にはかなわないらしい。
430
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 21:30:27 ID:lL01i1BE
もう始まってる!
431
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 21:30:28 ID:5dGHLCB6
「あー、やっぱりすごい人だねぇ」
目的地である神社に着くと、そこは大勢の人でごった返していた。まあ元旦なのだから当たり前だが、境内にたどり着けるのは随分先になりそうだ。
「ま、しょうがないね。のんびり並んで待とうか。……っと」
不意に人波に押され、杏さんがよろけた。あわてて彼女の小柄な身体を支える。この人混みではふとした拍子にはぐれてしまいかねないと思い、袖からちょこんと出た彼女の手を握った。
「おー、気がきくねえ。なかなかポイント高いよこれ」
神社の混み様を見て苦笑気味だった表情が晴れやかな笑顔になった。
「これなら人混みも悪くないかな、なんてね」
そう言いながら身体を寄せてくる杏さんに、まったく同じ感想を抱いたのは言うまでもない。
432
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 21:30:58 ID:5dGHLCB6
「ふー、結局2時間くらいかかっちゃったね」
参拝を終え、再び神社の前の大通りまで戻ってきた頃には、すでに時刻は11時半を回っていた。途中おみくじで杏さんが大吉、自分が凶を引くということがあり、それを杏さんが『一緒に結んでおけばちょうどいい感じになるよ、きっと』と言って二枚のおみくじを重ねて結びつける、なんてことがあったりしたが、それはさておき。
「んー……、そろそろあっちに行かないとまずいかな」
携帯を見ながら杏さんが言った。なんでも誕生日会としておから友人たちと一緒に過ごす約束をしているらしい。
「一応女子会だからね。申し訳ないけどキミは参加できないかな」
彼女の交友関係は学内外男女問わず広がっているが、元が女子校育ちということもあり比率としては女子の方が多く、本人的にもそちらの方が気楽らしかった。参加できないのは残念ではあるが、無理に行って空気を壊すのも本意ではない。
しかし、それならばここで渡しておかなければならないだろう。鞄から用意していた誕生日プレゼントを取り出そうとしたが
「あ、ちなみに今日は遅くとも9時には解散、ってことになってるから。明日朝から実家に帰らなきゃいけないって言ってあるんだ」
それは初耳だ。酒を嗜みイベントごとも好きな彼女のことだから、てっきりオールするのかと思っていたが……。まあ家のことなら仕方ないのだろう。
「……こういう察しは悪いんだねぇ。私は『夜は空いてる』って言いたいんだよ。もっと言えば実家に帰る予定も本当はないよ」
……さすがにそこまで言われれば自分でも理解できる。出しかけたプレゼントをしまい直す。
「小山もかーしまも今日は実家から参加してそっちに帰るから、夜は家に私だけだよ」
ルームメイトが不在、となれば、か弱い女性を守るために部屋に行くのもやむなしだろう。
「あ。ところで朝の話の続きなんだけどさ」
「女の子が一番考えに考えて気合を入れる格好は、裸なんだよ。そこのところを今夜キミには身を持って知ってもらうから、そのつもりで」
433
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 21:33:02 ID:5dGHLCB6
というわけで会長お誕生日おめでとうございます
考えてみたら会長はBADしか書いてなかったからね
明日は来れないので明後日以降に何か書きたいね(適当)
434
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 21:33:53 ID:5QvCQuqg
いいゾ〜これ
435
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 21:35:12 ID:b.IgrAxM
セックス!SEX!正月から会長とSEX!あーサイコ
436
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/01(日) 21:46:17 ID:wExSEt1A
ヌッ!
437
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/02(月) 03:00:41 ID:ozCMr3Yo
ねこにゃーオナシャス
438
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/03(火) 22:32:39 ID:lVZeoIOE
<ねこにゃー>
好感度10%(顔見知り程度):「うひゃあっ!?……お、オハヨウ……あ、えーとあーと……や、約束があるのでこれにて!」
好感度50%(仲の良い友人):「おお、昨夜はどうも!おかげで大勝利だったにゃー!ただボクとしてはあそこは包囲を崩してでも突撃した方がよかったんじゃないかといやあくまで個人的なアレなんだけど何故かというと」
好感度100%(恋人) :「あ、おは……あっ!ちょ、ちょっと待つにゃー!い、今眼鏡かけるから……どうでもよくない!眼鏡は体の一部だから……っていうか恥ずかしいから!いや、昨日全部見られたけど……ううぅぅ、とにかく向こうを向くにゃー!」
好感度444%(???) :『おはよう。メールの返事くれなから電話しちゃったんだけど……え?送りすぎ?たった92通なのに?……それはともかく、ドアを開けて欲しいにゃー。外は寒くて……。開けられない?部屋が散らかってるから?あは、そんなの気にしないよ。だから開けて?そっちが開けなくても自力で開けられるけど、修理費がすごいことになると思うよ?だから開けて?』
439
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/03(火) 22:40:24 ID:lVZeoIOE
というわけでねこにゃー小ネタでした
キャラがイマイチつかめないゾ……
440
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/03(火) 22:51:02 ID:Z9J8sTtk
50%のめっちゃ早口で言ってそうな感じすき
441
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/04(水) 13:50:41 ID:B8vdk0Fo
ねこにゃーほんとすき
442
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/05(木) 05:26:44 ID:/qjB0CdU
毎日見てるからマイペースに頑張って、どうぞ
443
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/05(木) 16:03:16 ID:K0dVRnoI
クラーラはパパの怖い部下たちが来そう
444
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/06(金) 00:06:02 ID:0lGiCq2s
<カチューシャ>
好感度10%(顔見知り程度):「ふわぁぁ……ん〜?なによ。カチューシャは眠いんだから用があるなら後にして……ふわぁ……」
好感度50%(仲の良い後輩):「ああ、ちょうど良かったわ。ちょった貴方、今日のお昼は予定を開けておきなさい。ノンナが用があっていないから、特別に子守唄を歌うことを許してあげるわ。光栄に思いなさい!」
好感度100%(恋人) :「もう!いつまで待たせるの!?あと1分遅かったらシベリア送り25ルーブルにしてたところよ!ほら、早くしなさい!遊園地は時間との勝負なの!このカチューシャとその恋人が敗北なんて、絶対に許されないんだから!今日はめいっぱい楽しんで勝利するのよ!」
好感度444%(???) :「ようやくお目覚め?いいご身分ね。……ああ、何も喋らなくていいわ。貴方は言う通りにしていればいいの。カチューシャが欲しいのは、カチューシャが必要と思う貴方だけ。それ以外の貴方はいらないから、全部捨てなさい。カチューシャのために」
445
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/06(金) 00:14:14 ID:0lGiCq2s
というわけでカチューシャ小ネタでした
不定期になると思いますが思いついたものから書いていきたいです
446
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/08(日) 01:28:10 ID:fLAa6mYk
【まほルート BADエンド】
始まりは……そうだな。多分みほと再会したとき―――そう、あの戦車喫茶で会ったときなんだろう。当時は自覚していなかったがな。
あいつは友人たちと楽しそうに談笑していた。我々、というかエリカが話しかけた途端に気まずそうな顔になったが。
あいつが戦車道を続けていたことはその前の抽選会で知っていた。それは私にとって純粋に嬉しいことだった。なにせあいつを追い詰めた一因に私の存在があったからな。
そして話してみれば、みほの友人たちはあいつを責めるエリカから庇った。それを見て言葉には出さなかったが、いい友人を持てたようでよかった、と思ったものだ。だからこそあの後、その内のひとりである……冷泉さん、だったか。彼女を助けたんだ。
大会の試合を見ていても、みほは追い詰められることはあっても、屈せずに最終的には勝利をもぎ取っていた。私の―――西住流とは大きく違うやり方でな。これも私は喜ばしく感じた。みほがみほだけの戦車道を見つけられた、と思ったからだ。
だから全力で迎え撃った決勝戦で敗れた時も、その結果に不満はなかった。みほから聞きたい言葉も聞けたしな。試合後に選手以外の学園の生徒やOGから色々と言われたが、気にもならなかった。
大学選抜との試合にしてもそうだ。純粋にみほを助けてやりたいと思い、ダージリンの話に乗った。結果、試合に勝った。ハッピーエンド、というやつだな。
447
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/08(日) 01:28:50 ID:fLAa6mYk
ターニングポイントは―――言わずともわかるだろう?お前だよ。
みほとは件の大学選抜との試合の後から連絡を取るようになっていたが、ある時相談を受けた。『実は今付き合っている人がいて、将来的なことも考えてお母様に認めてもらいたいから協力してほしい』、とな。
そこでお前たち二人と改めて会った。そう、先日のあれだ。お前もみほも、お母様への不安以上に心底幸せそうだったな。ああ、あの時言った通り私も嬉しかった―――そして憎らしかった。
自覚したのはその時だよ。自分がいかに醜い感情を内に溜め込んでいたのかをな。言葉にするなら―――一嫉妬、が一番近いだろう。ずっと私の後をついてきていたみほが、私以外に―――私以上に大切な存在を得たこと。それがたまらなく妬ましかった。
どちらが、だと?両方だよ。そんな存在を得ることができたみほも、みほにとってそんな存在になったお前も。等しく妬ましかったんだ。
448
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/08(日) 01:29:56 ID:fLAa6mYk
私はこれまでの人生を戦車道に捧げてきた。それは西住の長子として生まれた私にとって当然のことだった。だからお母様の厳しい指導にも、周囲からのプレッシャーにも耐えた。
だが、みほはどうだ?小さい頃からあいつが何かすれば姉である私が怒られた。あいつが黒森峰の連覇を途絶えさせたとき、そのことを隊長だった私が責められた。私が敗北を許されない状況になったとき、あいつは新しい友人と居場所を得ていた。私にとって高校の全国大会機最後の試合で、まだ2年のあいつは私を倒した。そして、周囲は当然私を責めた。そして今―――あいつは最大の幸せを得ている。
どうだ、理不尽だろう?同じ家に生まれながら、たった1年の違いでこの差だ。私は何も悪いことをしていないのに、いつも私ばかりが背負わされる。逃げ出したあいつが幸せを手にしている。
ああ、矛盾しているのはわかっている。私はそれを最初に望んだ。私がどんなに辛い思いをしようとも、みほには幸せになってほしい、と。それは間違いでも嘘でもない。あいつが笑顔になれたから、周りの責めも気にならなかった。
でも―――でも、こうしてみほが私の手から穏当に離れていこうとして。私ではなく、お前を人生の拠り所にしようとして。私の心はそれを認めなかった。なぜ私ではなくあいつが幸せになる?なぜ私のもとにはなにも残らない?
みほがこの先、仮に戦車道を完全に捨て去ってもお前や友人が残るだろう。だが私には戦車道しかない。戦車道以外に何もない。もう―――みほもいないから。それに気付いてしまった。
449
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/08(日) 01:30:32 ID:fLAa6mYk
そして今日、お前たちはここに―――お母様に交際を認めてもらうためにやって来た。みほはまだ自室にいるだろう。お母様が帰ってくるまでまだ1時間以上あるからな。しかしあいつも馬鹿正直だ。『彼とふたりで話しておきたいことがある』なんて言葉を信じるのだから。
さて―――前置きが長くなってしまったな。私がお前を誘い出したのは他でもない、お前に穢れてもらうためだ。私のこの心と同じように。
そう怯えるな。何も怪我をさせたり、命を取ろうというわけじゃない。むしろ男であるお前が味わうのは快感のみだろう。
……察したか?そうだ、私はお前をこれから犯す。みほの生まれ、今みほもいるこの家で。みほとの交際を認めてもらうために来たこの家で、お前は私に犯される。
私がみほを思い遣りながらもそれとは矛盾する憎悪に流されてあいつを裏切ったように。お前はみほへの愛情と矛盾する快楽に流されてあいつを裏切る。お前は私と同類になるんだ。
ああ、心配しなくてもいい。このことを誰かに話すつもりも、お前への脅しに使うつもりもない。ただ―――背負ってくれればいい。お前は穢れた身でみほを愛しているのだということを。みほが何も知らずに穢れたお前を愛しているのだということを。
ハハ、ハハハハハハッ!!たった十数分の行為で、全てが台無しになる!まるであの試合のようじゃないか!!
さぁ、楽しもうじゃないか。思う存分私の身体に―――いや、私の『泥』に溺れるといい。
450
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/08(日) 01:31:56 ID:fLAa6mYk
というわけでまほさんBADでした
これもうヤンデレかどうかわかんねぇな
451
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/08(日) 01:41:13 ID:uqGSao1Q
救いのない
452
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/08(日) 03:51:49 ID:AWCrKcE.
しかし主人公である男はあまり喋らず、幾多もの女性を虜にしているとかどこぞの屋根ゴミを思い出しますね。
453
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/08(日) 04:16:39 ID:DwcG8nfc
興奮する
454
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/08(日) 08:44:09 ID:bmbVxfeQ
>>271
と同じ展開になりそうな辺りやっぱり姉妹ですね・・・
455
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/08(日) 11:53:53 ID:si.UkIqM
姉妹特有のドロドロやめろ
やめて…
456
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 00:23:36 ID:91cLRn82
【まほルート BADエンド Another】
―――これは、何? 私は一体、何を見ているの?
一向に戻ってこないふたりが心配になって、お姉ちゃんの部屋にやって来て。どんなことを話しているか気になって聞き耳を立てて。その内容に驚いて、ドアの隙間から中を覗いて。
―――そこでは、私の大好きなお姉ちゃんが、私の大好きな恋人を犯していた。
お姉ちゃんの口から出た私への恨み言も驚いたけど、目の前で実際に繰り広げられるその光景はその比じゃなくショッキングだった。
私と彼は交際しているけど、いまだにそういった行為には至っていなかった。これは大洗女子学園の戦車道の隊長という私の立場によるものだ。全国優勝と大学選抜への勝利というジャイアント・キリングを成し遂げたことで、大洗女子、とりわけ戦車道関係者は注目を集めている。おこがましくもその中心人物となっている私にスキャンダルの類が発覚すれば、賞賛の声は簡単に非難の怒号に変わってしまう。
彼も幸いそんな私の事情を理解してくれて、清い交際を続けられた。聞けば彼も恋人ができるのは初めてらしく、そういった行為の経験がないらしい。感じ方は人それぞれだろうけど、少なくとも私はこの事実が少し嬉しかった。初めて好きになった人の初めてになれる、ということが。
でもどうだろう。今、目の前でそんな彼の初めては奪われてしまった。わずかな隙間から見えるのは、手足を拘束され、目尻にはわずかに涙さえこぼしながらも必死で抵抗しようとする彼の姿。そしてそんな彼に跨り、服をはだけさせて淫らに腰を振るお姉ちゃん。
―――どうしようか。
不思議と、そんな光景を見ているとむしろ頭が冷え、冴えてくるのを感じた。予想外の状況でも動じず、適切な対処をする。それは戦車道の基本だ。私の思考は戦車道の試合の時と同じものになってきていた。
バレないよう足音を殺しつつ、自室に戻ってカバンの中からひとつのものを取り出す。優花里さんに借りたデジタルカメラだ。うまく今日お母さんに交際を認めてもらえたら、彼と帰る前に観光をしようと思ってその時用に借りてきたんだけど、こんな形で使うことになるなんて。優花里さん曰く、潜入調査用のものだからほとんど音が鳴らないように改造してあるとのこと。これも今はこの上なく都合がいい。
457
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 00:24:26 ID:91cLRn82
カメラを携えつつ、再びお姉ちゃんの部屋へ向かう。この時、頭の中では冷静な思考の傍ら、良心がこれからよるとしていることを止めようとしていた。
―――今ならまだ間に合うんじゃないか。部屋に入っていって、お姉ちゃんと話し合えばもっと丸く収まるんじゃないか。
しかし、そんな案を悪意が即座に却下する。
―――もうお姉ちゃんは彼に手を出した。だからこれは正当な復讐。それにそもそも、お姉ちゃんの言い分だって自分勝手だ。
私だって小さい頃からお姉ちゃんと比較されてきた。あの試合のことだって、お姉ちゃんは口先の擁護だけだった。私が転校した後に連絡もしてこなかった。私は学園を守るために絶対に負けられないのに、お姉ちゃんは私を本気で倒そうとした。大学選抜との試合だって、私はお姉ちゃんに助けて、なんて言った覚えはない。
全部、お姉ちゃんの勝手だ。勝手にやって、勝手に恨んで。しかも私じゃなく、わざわざ彼を傷つけた。もう無理だ。和解なんてありえない。
わずかに残った良心が軒並み駆逐された頃、お姉ちゃんの部屋の前に到着した。無言でカメラを起動し、ドアの隙間から中の忌々しい惨状を撮影する。
行為はクライマックスを迎えようとしていた。前に沙織さんから『勉強』ということで観せられた動画と同じように、上に乗るお姉ちゃんの腰の動きが速くなっている。今お姉ちゃんの頭にあるのは悪意か、快楽か。今彼の頭の中になるのは苦しみか、快楽か。
いや、少なくとも彼の方はわかる。彼は私を想って、必死に耐えているのだ。間違いない。そんな彼をレンズ越しに捉えつつ、
―――ごめんね。でももう少しだよ、頑張って。
と、心中で声をかける。私のこの策が成功すれば、彼は今受けている苦しみからも解放される。
458
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 00:25:01 ID:91cLRn82
それから間もなく、お姉ちゃんは甲高い声を上げて身体を震わせた。彼もまたわずかにうめき声を上げている。お姉ちゃんはすぐに脱力したように彼に覆いかぶさった。吐き気がするけど、それを必死にこらえつつ、カメラの録画を停止し、自室へと向かった。その後カメラを置き、今度はあえて大きめに足音を立てつつ、またお姉ちゃんの部屋へ向かい、扉をノックし声をかけた。
「お姉ちゃん?」
「ッ……みほか。どうかしたか?」
「いや、なかなかふたりとも戻ってこないから……大丈夫?何かあった?」
なるべく自然に話す。向こうも向こうで私と同じように、平静を装っている。―――全部筒抜けなのに。
「ああ……問題ない。話ももうすぐ終わるから、部屋で待ってていてくれ」
おそらくだけど、今お姉ちゃんはとても邪悪な笑みを浮かべているのだろう。憎い妹が何も知らずにいる、と思い込んで。
「そっか。じゃ、待ってるね。お母さんももうすぐ帰ってくると思うし」
そう言って自室へ向かう。おそらくだけど、今私はとても邪悪な笑みを浮かべているのだろう。憎い姉が何も知らずにいる、と確信して。
ほどなくして、お姉ちゃんが彼を伴って部屋に入ってきた。表向きはいつも通りの表情だけど、その裏にあるもののどす黒さを私はもう知っている。
彼の方は私と微妙に目を合わせないようにしている。表情もどこか気まずそうなものだ。ああ、大丈夫だよ。もうすぐ助けてあげられるから。
459
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 00:26:07 ID:91cLRn82
「待たせたな。おかげで有意義な話ができた。これでお母様の説得もうまくやれそうだ」
白々しくそう言うお姉ちゃん。まあさっき言っていたことが本当なら説得自体はちゃんとするつもりなのだろう。
「ありがとう。お姉ちゃんには助けられてばかりだね」
笑顔を作ってそう答える。ピクリ、とお姉ちゃんの眉がわずかに動いた。私の今の言葉が気に食わなかったのだろう。―――もちろんわざとだけど。
「気にするな。……ああ、ちょうどお母様も帰ってきたみたいだな。出迎えないと」
外から聞こえてきた車の音に気付き、お姉ちゃんと一緒に玄関へ移動する。
「「おかえりなさい」」
私とお姉ちゃんが頭を下げてお母さんを出迎える。お母さんはそれにええ、と短く答えた。すぐに私の隣に立っていた彼が自己紹介をしようとすると、
「話は居間で聞きます」
と遮り、さっさと廊下を進んでいってしまった。
「居間で待っていよう」
お姉ちゃんの言葉に従い、三人で居間でお母さんが来るのを待つことにした。間もなく、書斎に荷物を置いてきたのだろうお母さんがやって来た。後から入ってきた菊代さんがお茶を出してすぐに下がる。
お母さんはお茶を一口飲むと、口を開いた。
「今日は常夫さんは仕事の都合でここには来られません。なので話の一切の判断は私が行います」
もしも交際を認めてもらうだけなら、お父さんがいた方が話は上手くいきやすかったかもしれない。でも今日は目的が変わっている。むしろ好都合だった。
460
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 00:27:29 ID:91cLRn82
「みほ。前置きは必要ありません。貴女が話すべきことを簡潔に話しなさい」
お母さんの鋭い眼光が私を射抜く。いつも怖かったそれも、今は何の脅威も感じない。
「はい。……実は、話すつもりだったこととは別に、まずお母さんに伝えたいことが」
「……?」
私の発言が予想外だったのか、怪訝そうに眉をひそめるお母さん。
「……みほ?」
お姉ちゃんも同様に困惑しているようだ。大丈夫、すぐにわかるよ。―――あなたがどういう末路をたどるのか。
「まず、これを見てください」
「これは……?」
カメラを取り出し、お母さんに差し出す。カメラの中にあるデータは『あれ』だけだから、すぐにわかるはず。
「再生してみてください」
「……」
お母さんが無言でカメラを操作する。音声は流れないけど、その反応ですぐにわかった。―――私の勝利が。
「……!これは……!まほ、どういうことです!」
「は……?」
困惑するお姉ちゃんに、お母さんが映像が流れているだろう画面を突きつける。
「なっ……!」
お姉ちゃんの目が先ほどのお母さんと同じように見開かれた。そんな姿に笑いがこみ上げてくるのを必死で我慢する。
461
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 00:28:15 ID:91cLRn82
「ここに映っているのは貴女と―――そこの彼ね?今すぐどういうことか説明なさい!」
「あっ……あの……」
顔を青ざめさせながら口をパクパクさせている姿は、まるで陸に打ち上げられた魚のようだった。
「くっ……みほ!お前……!」
「お母さん」
お姉ちゃんがこちらを睨んできたのを無視し、お母さんに話しかける。いまだに状況が分からず困惑している彼には安心させるように一瞬だけ笑顔を向けておく。大丈夫、もうすぐ済むから。
「その映像は先ほど、お母さんが帰ってくるまでの間に撮ったものです。お姉ちゃんは彼を話がある、と連れ出しました。そしてそこに映っている通り、嫌がる彼を拘束して性的暴行を加えたんです」
淡々と感情を込めず、ニュースを読むキャスターのように話す。あくまで事実を伝えている、とわかるように。試合で作戦を他のメンバーに伝える時と同じように。
「本当は、彼との交際を認めてもらうために今日ここに来ました。でも……」
一瞬お姉ちゃんへ目線を向けてから、お母さんへ向き直る。
「結果として、こういうことが起きてしまいました。……私はとても許せません。ましてこんな人が私の姉で、栄誉ある黒森峰の隊長で、由緒ある西住流をいずれ継ぐ人だなんて」
一度息を大きく吸ってから、最後の言葉を紡ぐ。―――さあ、仕上げだよ。
「お姉ちゃん―――いえ、まほさんはこの家にふさわしくありません。破門・勘当すべきです」
462
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 00:28:57 ID:91cLRn82
「……」
お母さんは私の言葉に目を瞑り、しばらく沈黙した。そして目を開けると、わずかに嘆息してから立ち上がると、私の隣でいまだ混乱から脱せずにいた彼に近づき、腰を下ろして―――頭を下げた。つまり土下座の格好だ。
「この度は娘が大変なご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません。すべては親である私の不徳の致すところです」
慌てた様子で、頭を上げてください、と彼が言った。その言葉を受けてもお母さんはしばらくそのまま頭を下げ続けた。たっぷり1分以上経った後、お母さんは再び立ち上がると、今度はお姉ちゃんに声をかける。
「まほ」
「……っ」
それまで苦虫を噛み潰したような顔で震えながら俯いていたお姉ちゃんの肩がビクリと跳ねた。
「一週間与えます。その間に自分のすべての荷物をこの家から撤収しなさい。また、今後この家の一員と名乗ることも、戦車道に関わることも許しません。―――失望しました」
「お母様!!」
お姉ちゃんの必死な声を無視して部屋を出ようとするお母さん。しかし途中で立ち止まり、こちらに声をかけてきた。―――お姉ちゃんを一切視界に入れずに。
「みほ。交際の件はまた日を改めて話を聞きます。彼も気持ちの整理が必要でしょうし」
「わかりました」
私の返答を聞くと、今度こそお母さんは部屋を去った。残されたのは私と彼とお姉ちゃん―――だった人。
「さ、私たちも帰ろう?ごめんね、色々。しかもまたここまで来ることになっちゃったけど、次は話もスムーズに行くと思うから」
彼の手を取って立ち上がる。観光は次の機会にして今日は帰らないと。今夜は汚れてしまった彼の体を時間をかけてキレイにしないといけないし。―――と、その前に。
私は放心した様子で俯いたままの彼女の耳元まで近づき、声をかけた。
「これまで助けてくれてありがとう。大好きだったよ―――今は大嫌いだけど」
虚ろな眼でこちらを見てきた。もはや睨む力も残ってないらしい。
「お待たせ。さあ、行こう」
再び彼の手を取ると、それはわずかに震えていた。
ああ、かわいそう。怖かったよね。でも、もう大丈夫。あの人にも、誰にも、貴方を傷つけさせないから。私が守るから。
463
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 00:29:58 ID:91cLRn82
というわけでなんとなく思いついた何かでした
みぽりん好きな人ごめんなさい
464
:
名前なんか必要ねぇんだよ!2PutaGbC
:2017/01/11(水) 01:54:57 ID:???
いい…凄くいい(クソザコ語彙力)
465
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 02:01:04 ID:31itmS6U
このドロドロした感じいいゾ〜コレ
466
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 02:02:29 ID:wAyUqmAA
いくあてもなくさ迷うまほさんをも匿ってあげたい
467
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 02:04:40 ID:XVClRJG.
いいゾ〜これ
468
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 07:15:20 ID:ddhPk5i6
姉妹だからか方向性が似てる・・・似てない?
まほさんに手を差し伸べたいですねぇ!
469
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 07:18:18 ID:rkvVTMp.
戦車道に関われなくなって、昼は強襲戦車競技(タンカスロン)の野良賭け試合、夜は吉野屋で日銭を稼ぐ死んだ目の西住まほさん
470
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 07:31:30 ID:ai.fXCSU
逸見と地獄姉妹を結成しそう
471
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 16:38:02 ID:3/QQsx5s
>>470
一時的に三女ダージリンが加わりそう
472
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 17:00:38 ID:DLlsi83k
(どのみち西住姉妹からは)ああ逃れられない!
473
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 17:10:27 ID:gak1v6LE
やべぇよやべぇよ…
474
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 17:26:04 ID:CsAL2YR.
数年後にまほが西住家に復讐する姿が見える見える
(どっちにしてもバッドエンドからは)ああ逃れられない!
475
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/11(水) 17:29:45 ID:Fe7FHmjo
強い絆で結ばれた者同士がドロドロするのはいいっすねぇ^〜
カチューシャノンナコンビが蹴落とし合うのも見たいけどな〜俺もな〜
476
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/13(金) 23:54:50 ID:2zvEeoLA
明後日あたりに投稿できたらいいと思ってます(適当)
多分まほさんのほどじゃないけどドロドロしたやつになるかなぁ
477
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/14(土) 05:38:46 ID:7qn7eR3.
待ってるんでオナシャス!
478
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/14(土) 16:00:14 ID:UIz.5YRI
乙 しばらく見ないうちに良作が出てきてすごくうれしい
479
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/16(月) 00:06:19 ID:yR3JAIq2
2日連続で飲み会とかそんなん考慮しとらんよ・・・
というわけでまだ書けてないんです
楽しみにしてくれてる方すみません
なんとか早く投稿できるよう頑張ります
480
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/16(月) 00:29:04 ID:2XsEfNQs
>>479
まあそう焦んないで
(読者は待ってるから)大丈夫大丈夫ヘーキヘーキ
481
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/16(月) 06:08:25 ID:8ZplbynE
そうだよ(便乗)
482
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/16(月) 07:27:21 ID:V0x1rykQ
あくしろよ(ホせ)
483
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/16(月) 23:35:37 ID:yR3JAIq2
【柚子ルート BADエンド Another】
『ちょっと大事な話があるから、明日生徒会長室に来るように。ただし彼や小山には気付かれないように』
あの忌々しい一件から数日後。会長から一通のメールが届いた。……このタイミングでの、しかも私一人への呼び出し。要件は間違いなくあのことについて、だろう。
柚子が会長に全てをバラした、という最悪の事態が脳裏をよぎる。会長はその権力に加え、広い交友関係を持つ。下手をすれば私も彼もどこからどうなるかわかったものではない。
───だが、会長の命令は絶対だ。なんであれ逆らう事など許されない。否、そもそもそんな選択肢自体がない。どんな処分を言い渡されるにしろ、私には指示通りにあの人の元へ行くしかないのだ。
そして翌日。緊張で卒倒しそうになるのをなんとか耐えて、生徒会長室のドアをノックし、声をかける。
「河嶋です」
「開いてるよ。どうぞ」
会長の声の調子はいつも通り───ではなかった。平時の飄々とした雰囲気は消えており、それだけで足が竦みそうだったが、それでも私は部屋に入った。
「失礼します」
「ん。とりあえずそこに座ってよ」
私が部屋に足を踏み入れるとすぐに会長は自分の椅子から立ち上がると、部屋の端にある長机やソファの置かれている、戦車道の試合前の会議にも使われる一角へ私を導いた。
ソファに座った私の対面……ではなく、すぐ隣に会長は腰かけた。予想外の距離の近さに冷や汗の量が増大するのを感じる。
「……まあ、今日呼んだ理由はわかってると思うけど」
座って間もなく、会長が口を開いた。……やはり、私への処分の言い渡しか。死刑執行を待つ受刑者のような気持ちで次の言葉を待ったが、それは完全に予想外のものだった。
484
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/16(月) 23:36:42 ID:yR3JAIq2
「───ごめん」
会長は椅子から立ち上がると、深々と私に向かって頭を下げてきた。その事態に思わず呆然としている私に構わず、会長は言葉を続けた。
「こんなことに……小山があんなことをやったのは私の責任だよ。本当に申し訳ない」
「あ、頭を上げてください会長!今回のことは私の不用意さが招いたことで」
我に返ると同時に慌てて会長に訴える。しかし、
「いや、私はきっと止められたんだよ。でも『みんなならきっと大丈夫だろう』って思っちゃったんだ。それが間違いだった。読みが甘すぎたんだよ、私の」
今まで見たことのないほど暗い表情の会長。私の心からは先程までの不安と恐怖は失せ、代わりに申し訳なさばかりが募った。
「会長!私は大丈夫ですから!どうか頭を上げてください!」
「……ありがとう」
必死の説得が功を奏したか、ようやく頭を上げ、再び私の隣に腰を下ろす会長。安心して思わずふぅ、と息をつく。
「こんな立場で言うのも……いや、こんな立場だからこそ、かな。───今回の件、私に任せてくれないかな」
「……え?」
またも予想外の言葉に、間抜けな声がでてしまった。こんな展開が待っていると誰が予想できるだろうか。
「任せる……というのは……?」
「そのままの意味だよ。小山のことと彼のこと。私ならなんとか出来ると思うんだ」
真剣な表情で会長が言う。……確かに私ではもうどうしようもない状態だ。柚子には弱みを握られているし、彼のこともある。迂闊に動けばどうなるかわかったものではない。
485
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/16(月) 23:37:30 ID:yR3JAIq2
「なんとか……なるのでしょうか……」
「大丈夫。今までだって何とかなったんだ、今回もきっとうまくいくよ」
力強く笑みを浮かべながら言う会長。ああ、そうだ。この方がこんな表情をするとき、失敗したことはなかった。この方ならきっと───。
「会長……お願いします……!」
「うん、わかった」
短く、だがはっきりと返事をしてくださる会長。その心強さに思わず緊張の糸が切れ、涙が溢れてきた。
「会長……!会長……!」
気付けば泣きじゃくりながら会長の体に縋っていた。
「うん、辛かったね、頑張ったね。あとは全部私に任せてくれればいいから」
会長は優しく私の頭を撫でてくれる。その小さいが温かい手のひらに、より一層感情が溢れてきた。ああ、もう大丈夫だ。私も彼も、そして小山も。きっとすぐにまたみんなで笑い合えるようになる───。
486
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/16(月) 23:39:49 ID:yR3JAIq2
というわけで柚子ちゃんルートBADアナザー前半でした
後半で若干ドロドロするからもうちょっと待っててね
(明日書けるかどうかはわから)ないです
487
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/17(火) 00:59:25 ID://oHxQiY
(ドロドロな終わり方が)見える見える、ヤバイぜ
488
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/17(火) 07:53:40 ID:pRbDzgNA
会長が全権を握る…?あっ(察し)
489
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/21(土) 00:30:36 ID:2eJOUVsg
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
いや、どうしようもない。あんなことをしたんだから、もうどうにもならない。
頭に血が上ったから、なんてことで許されるわけもない。それくらい私のしたことは重大だ。
会長にあの写真を見せられた時、目の前が真っ暗になるのを感じた。それまで我慢してきたものが一気に破裂したみたいだった。
そして気が付くと、桃ちゃんを生徒会長室に呼び出し、拘束して部屋の奥に閉じ込めた。その上で彼を呼び出して───。
最低だ。最悪だ。まともな人間のすることじゃない。それでもその時の私は、自分の行動を疑わなかった。
だって桃ちゃんが悪いから。私の気持ちも知らないで、彼を奪って。それでも周りが気を使って気づかないフリをしていてあげたのに、まんまと写真に撮られて。
だって彼が悪いから。私の想いに気づかないで桃ちゃんを選んで。私が全部我慢してたのに、結局ボロを出して。
全部、全部。あのふたりが悪くいから。だから私は悪くない、と。何をしても許される、と。本気でそう思ってしまった。
彼はショックを受けていた。当然だ。桃ちゃんは怒っていた。当然だ。私は後悔している。───当然だ。
あのふたりだけじゃなく、私は会長も裏切ってしまった。会長があの写真を私に見せたのは、ふたりにそれとなく注意をさせるためだった。
『私から言うとかえって話が大きくなっちゃうからねぇ。小山ならいい感じにしてくれると思ってさ』
いつものどこか適当な調子だったけど、会長がこういう大事な時にふざけることはないと私は知っていた。本当に私を信頼してん頼んでくれた。なのに。
ああ、消えてしまいたい。すべてをなかったことにしたい。そしてそんな自分の無責任さがさらに嫌になる。私は、もう───。
490
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/21(土) 00:32:30 ID:2eJOUVsg
とりあえず柚子ちゃんサイド
待っててくれてた方、お待たせした上にオチまで行ってなくて申し訳ない
明日にはケリをつけたいです
491
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/21(土) 00:38:33 ID:Tz1oESMo
>>490
乙
オチは気長に待ってるから
>>1
のペースで書いてほしいゾ
492
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/22(日) 00:25:00 ID:66FeLixk
すみません
オチが思ったよりドロドロできなくて苦戦中です
中途半端にはしたくないのでもう少し考えさせてください
493
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/22(日) 00:25:01 ID:66FeLixk
すみません
オチが思ったよりドロドロできなくて苦戦中です
中途半端にはしたくないのでもう少し考えさせてください
494
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/23(月) 00:13:27 ID:H8BzucYM
つい最近見つけたけどこのスレ最高やな
更新待ってます
495
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/29(日) 22:53:44 ID:xhDOdguw
あくしろよ
496
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/29(日) 22:55:22 ID:/XkRgK26
続き楽しみにしてるゾ
497
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/01/31(火) 14:07:03 ID:J9H3egoY
そろそろ続きを…病み成分が足りない…
498
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/02/01(水) 23:25:32 ID:5XPu/tds
お待たせして申し訳ありません……
今週中にはなんとかオチをつけたい……多分
499
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/02/04(土) 23:29:58 ID:wX9eDWcc
プルルルルル……プルルルルル……ガチャ。
あ、小山?やー、いきなりで悪いんだけどさぁ、このあと生徒会長室に来てくれないかな?……うん、例の件で。もちろん一人でね。ああ、いや大丈夫。全部わかってるよ。その上で、だから。
……いや、責めようってわけじゃないんだ。大丈夫。私が何とかするからさ。そのための話し合いをしたいんだよ。うん、うん……。いや、いいっていいって。うん、それじゃ、また後でね。
……ふぅ。しかし揃いも揃って人が良いねぇ。結局は互いが互いを思いやって。 まあそのせいでどうしようもなくなってるわけだけど。
やっぱり欲張りはよくない。結局思いやりも、恋人や友達を全部手に入れてかつそれを丸く収めようとする、なんていう欲でしかないんだ。
大事なもののためなら、何かを捨てる覚悟を持たないと。人がその手に持てるものなんてたかが知れてるんだからさ。その辺をわかってないんだよねぇ、みんな。
500
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/02/04(土) 23:30:29 ID:wX9eDWcc
私は机に置いてあったフォトスタンドから、写真を取り出した。この前の大学選抜の試合のあとでみんなで撮ったものだ。みんな幸せそうな表情で写っている。
キュポッ、と小気味いい音とともに、もう片方の手にあったサインペンのキャップを外した。そしてそのまま、写真にペン先を突き立てる。頭の中で、彼と私が結ばれ、笑顔で幸せを感じる姿を思い浮かべながら。
そのハッピーエンドのためには何が必要か。何が必要ないか。───何が邪魔なのか。よーく考えないと。
まずは河嶋。その次は小山。その姿を、黒いインクが塗りつぶしていく。次は……西住ちゃんかな。彼と仲良く話してるところを見たことがあるし。
キュッキュッ、キュッキュッと写真とペン先が擦れる音だけが部屋に響き続ける。
501
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/02/04(土) 23:31:24 ID:wX9eDWcc
写真は私以外、真っ黒に染まっていた。
うん、やっぱりいらないよね。
全員。
502
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/02/04(土) 23:32:53 ID:wX9eDWcc
というわけで柚子ちゃんBAD Anotherでした
お待たせした割にこんなんですみません
まだもうちょっと何か書きたいけど考え中
写真は私以外、真っ黒に染まっていた。
うん、やっぱりいらないよね。
全員。
503
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/02/04(土) 23:39:39 ID:KLCha3MU
ひぇつ
504
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/02/04(土) 23:47:15 ID:C6RpQSkM
会長こわいなーとづまりすとこ
505
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/02/04(土) 23:50:55 ID:KFk6ySdo
ファッ!?
506
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/02/05(日) 01:57:24 ID:dOOrpq/2
いざ行動に移すと現実にしそうだから怖い
次もまた、期待してますんで・・・!
507
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/02/18(土) 23:45:43 ID:uRDQI8Q.
続き楽しみにしてる
508
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/02/24(金) 22:30:02 ID:MWKj6BWg
新作はまーだ時間かかりそうですかねぇ?
509
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/02/24(金) 22:44:59 ID:VCVF5k4A
まあ気長に待つさ
510
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/07(火) 22:08:03 ID:fVdDf2PU
あくしろよ
511
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/07(火) 22:10:03 ID:hF8qZ1IQ
パソコンが逝っちゃってね・・・
直り次第何かしら書くつもりでスゥゥゥ・・・
512
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/07(火) 22:12:44 ID:iI.pEg9k
>>511
お待ちしてナス!
513
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/07(火) 22:14:20 ID:fVdDf2PU
がんばれvがんばれv
514
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/07(火) 22:18:09 ID:clz1g5Vo
怖いのきらい
でも好き
515
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/07(火) 22:31:25 ID:ACacp7pY
どっちだよ
516
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/21(火) 00:26:08 ID:BzcJkhRc
西住みほと交際して間もなく1年になろうとしている。きっかけは偶然の重なりとも言うべきものだったが、順調に仲を深めていけていると思う。
恋人として過ごす中で、彼女に関するいろいろなことを知った。
どちらかというと奥手で引っ込み思案なこと。
戦車道に関しては冷静で優れた能力を発揮すること。
それ以外では意外とおっちょこちょいなこと。
友人はあまり多い方ではないが、その分一人ひとりとの関係を大事にしていること。
ボコられぐまのボコが好きなこと。
熊本の出身で、かつては名門・黒森峰に通っていたこと。
戦車道に関することでいまだに実家と完全な和解に至っていないこと。
みほ自身から聞いたこともあれば、彼女の友人たちからアドバイスとして聞いた話もある。もちろんこれらが西住みほという少女のすべてではないだろうが、すべてを知る必要なんてない。誰しも知られたくないのが普通だろう。───そう思っていた。
だが、それは間違いだった。少なくとも西住みほという少女に関しては、彼女が知られたがらないことであっても、友人たちが知らないことであっても、知らなければいけないことがあったのだ。
なぜ彼女が、月に1回程度でこちらの誘いを断るのか。
なぜ誘いを断った日からしばらくやけに機嫌がいいのか。
知らなければならなかった。あるいは、最後まで知るべきではなかった。すべては、あの日───。
517
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/21(火) 00:26:46 ID:BzcJkhRc
なぜ遠方に用事があると言っていた彼女を近所で見つけたのか。
なぜ彼女が作業着のような地味で動きやすい服を着ているのか。
なぜ彼女が大きなバッグを運んでいるのか。
なぜ彼女が危ない輩のたまり場としてこのあたりでは有名な廃工場へ入っていったのか。
なぜ彼女が床に下ろしたバッグがもぞもぞと動き、中から呻き声のようなものが聞こえるのか。
なぜ彼女がそのバッグに向かって、近くに転がっていた鉄パイプを振り上げているのか。
なぜ自分はそんな彼女の後をつけ、それらを目撃し、それを止めようとしたのか。
518
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/21(火) 00:27:20 ID:BzcJkhRc
「わっ!びっくりしたぁ……。どうしてここに?」
咄嗟に背後から羽交い締めにしたのに、みほはほとんどいつもの調子のまま言った。聞きたいことがあるのはこちらの方だ。
「ああ、これのこと?うーん……できれば話したくない、かな」
言いよどむも、そこに後ろめたさのようなものは感じられなかった。本当に、いつものような困った笑顔だ。
「あ、貴方が悪いと思ったり、気を遣う必要はないんだよ?これは私が好きでやってることなんだから。なんたって私は貴方の彼女なんだから」
ニッコリと微笑むみほ。……言葉から察するに、この狂気じみた行動は自分のためにやっているらしい。それがさらに恐怖を掻き立てる。
「〜〜〜ッ! 〜〜〜ッ!」
そんな中、バッグからまた呻き声が聞こえた。助けを求めるようなそれに、思わず駆け寄ろうとした。───が。
「ダメだよ」
がっしりと、その華奢な手のどこにそんな力があるのかというぐらいに、みほがこちらの腕を掴んで制止した。───まるで能面のような無表情になって。
「触っちゃダメ。穢れちゃうよ」
そんな彼女への恐怖がついに臨界に達し、思わず全力で手をを振りほどいた。
「ひゃっ!」
みほはその勢いで床へ倒れ込んだ。気づくと、彼女が手を付いた場所には、割れたガラスが散乱していた。
519
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/21(火) 00:28:18 ID:BzcJkhRc
「痛っ……」
自身の手のひらを見るみほ。そこからは赤い液体が滲み出ていた。
そんな姿に先ほどのやりとりも忘れて近づこうとして、その異変に気づいた。
「───ふふっ、ふふふっ」
笑っていた。自身の手のひらについた傷を、そこから湧き出す血を見て。
「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
心底嬉しそうに、肩を震わせて笑っていた。
「はじめて、だね。貴方が私に怪我をさせたの」
満面の笑みでこちらに顔を上げた。この笑顔、どこかで───。
「小さい頃ね、お母さん……いや、お父さんかな?それともお姉ちゃんだっけ?まあいいや。とにかく言われたの。『人をボコにしちゃいけない』って」
笑顔のまま立ち上がり、みほは語り続ける。
「大きくなるにつれて、その言葉の意味もわかるようになった。当たり前だよね、ボコにされるのは痛いし誰だって嫌に決まってるもん」
一歩、こちらに彼女は歩み寄る。
「でも、ボコを大好きだって気持ちは変わらなかった。だからいつもモヤモヤしてたの。誰かをボコにしたい。でもしちゃいけない。……特に好きな人は」
また一歩、近付く。
「貴方と出会って、恋人になって……どんどんそのモヤモヤは大きくなったの。自分が普通の人とは違う感覚を持ってる、おかしい子だっていう悲しさ含めて。でも、あの時、それが少し治まったんだ」
さらに一歩。手からポタポタと垂れる血が、床を汚す。
「ほら、貴方が事故にあった時。幸い軽い怪我で済んだけど、私は貴方が怪我をするのが、痛そうにするのがたまらなく嫌だった」
思わず後ずさる。聞こえるのは彼女と自分の足音、そしてバッグから漏れるくぐもった声にならない声。
「そのあとからだよ。貴方を傷つけたり、傷つけようとした人にこうして『オシオキ』するようになったのは」
いっそのこと駆け出し、全力で逃げるべきか。しかし彼女の視線はそれを許さない。
520
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/21(火) 00:29:05 ID:BzcJkhRc
「気分がスッとしたの。ああ、私は普通なんだ、って。好きな人が傷つくのは嫌で、傷つけた悪い人を傷つけるのは嬉しい。そんな普通の感覚を持ってるんだって」
何かが背中に当たる感触があった。おそらく壁だろう。もう、後ろには下がれない。
「でもね、やっぱり違った。今わかったの。ほら」
みほは怪我をした方の手をこちらの目の前にかざした。ガラスによって思いのほか深く切れてしまったらしい痛々しい傷口から、鮮血が流れ出ている。
「貴方がはじめてくれた傷。貴方がはじめてくれた痛み」
うっとりとした口調でみほは言う。
「私は最初からおかしくなんてなかった。だって、好きな人につけられた傷は、こんなにも素敵なものなんだから」
彼女はその手で自身の頬を撫でる。べっとりと血がその白い肌を染めた。
「ありがとう。私、目が覚めたよ」
今度はそのまま、こちらの頬へ触れた。生暖かい感触に思わずひっ、と情けない声が出た。
「ボコになるのも、ボコにするのも。どっちも好きな人でなくちゃいけなかったんだね」
みほの顔が、互いの息が当たるほどに近付く。
「私があの事故の時に感じたのは、嫉妬だったの。私以外の人が貴方を傷つけたことへの。だから犯人があんなにも許せなかった」
間近に迫るその瞳は。
「ごめんね、貴方も嫌だったよね?私が他の人を───貴方以外を傷つけようとしたこと」
───どうしようもないほど、美しく澄んでいた。
「でも、もう大丈夫。私たちの傷はもう、私たちだけのものだよ」
みほの手には、いつの間にか鈍く光るナイフが握られていた。
「さぁ、今度は私が『愛して』あげる番だね」
521
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/21(火) 00:30:59 ID:BzcJkhRc
というわけでみぽりんのBAD別ルート的ななにかでした
散々お待たせしておいてこんな感じで申し訳ない
またちょっとずつ書いていきたいと思います
522
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/21(火) 00:35:06 ID:6Bcz6pc6
ダークボコ怖いな〜…とじまりすとこ
523
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/21(火) 00:45:49 ID:0ip5Eykc
お前の書き込みを待ってたんだよ!
524
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/21(火) 01:30:42 ID:N0yOSTHM
おー、ええやん
525
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/21(火) 02:21:35 ID:mQv4CVUc
やったぜ。
みほにはどうしてこう闇が似合ってしまうのか
526
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/21(火) 13:54:45 ID:zXRG7jGw
新作ウレシイ…ウレシイ…
海楽フェスタでガルパン熱上がってるからたまらんな
527
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/03/21(火) 20:45:40 ID:X82zvgMk
よくもお前は長い間待たせてくれたなぁ全く・・・
(これからも色んな子のSSを)もっとちょうだい・・・!
明日からまた、期待してますんで!
528
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/04/21(金) 23:38:15 ID:DlHXquMM
新作はまーだ時間かかりそうですかねー
529
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/04/25(火) 22:53:47 ID:kjsa.ad2
「久しぶり。元気だった?」
大学に入学して1週間ほど過ぎた頃、構内を歩いていると後ろから不意に声をかけられた。
そこにいたのは黒髪の女性だった。艶やかな髪と膝丈くらいのスカートがふわりと風に揺れるその様に一瞬目を奪われる。……しかし。
「あれ?もしかしてわからない?」
先ほどの相手方のセリフからして知り合いのはずだが、どうにも思い当たらない。こんな美人を忘れることはないと思うのだが……。
「ほら、私。アンツィオのペパロニだよ」
───っ。
思わず息を呑む。それは目の前にいる女性が自分の記憶にある『彼女』とあまりにも雰囲気が違うから───だけではない。
元々ペパロニと知り合ったのは高校生の頃だ。男っぽくサバサバとした性格の彼女とはすぐに気のおけない友人となれたが、あるときその関係は崩れた。
530
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/04/25(火) 22:54:46 ID:kjsa.ad2
「カルパッチョは元気にしてる?」
───そう。自分が彼女の友人でもあるカルパッチョに告白し、交際を始めたときだ。その事実を伝えてから間もなく彼女は様子が変わっていった。
学校が違うのでカルパッチョから聞いた話だが、あれほど熱心に打ち込んでいた戦車道や屋台での料理へのやる気を失い、次第に学校にも来なくなってしまったらしい。
心底慕っていたはずのアンチョビさんの説得にも耳を貸さず、結局彼女は卒業を待たずにアンツィオを去ってしまった。
タイミング的にも、自惚れでないなら彼女は自分のせいで───。そう考え悩んだこともあったが、
『お前はお前が好きな相手に告白して恋人になったんだ、何も後ろめたく感じることはない。……ペパロニを止められなかったのは私が不甲斐なかったせいだ』
アンチョビさんにそう諭され、カルパッチョとの関係を続けてきた。……ただ、口には出さずともお互いペパロニのことはモヤモヤと常に心の隅にあった。
そんな彼女が、今こうして目の前にいる。この事実をいまだ飲み込めないでいると、ペパロニが再び口を開く。
「あのあと高卒資格を取って、そこから必死で勉強したの。でもまさかあなたと同じ大学だなんてね」
照れたように微笑む。その仕草も、口調も。どれもが自分の知っている彼女とは違っていた。戸惑いながらも、そうだったんだ、と返事を返す。
「ねぇ、今夜は空いてる?せっかくだから色々と話したいの」
その誘いに一瞬躊躇した。アンチョビさんにああ言われたとはいえ、やはり彼女の人生を大きく変えてしまったのは自分だ、という思いはある。
「カルパッチョも一緒に、昔みたいに三人で楽しく過ごしましょう?」
───しかし、ここで彼女の誘いを断るのはそれこそ逃げだろう。愛情からの、そして友情から。過去からの、そして未来からの。
意を決し、大丈夫だと答える。カルパッチョも今日は特に予定がなかったはずだ。
「よかった。じゃ、場所は私の家で。住所は後でメールしておくね」
それじゃあまた後で、と言って彼女は去っていった。その後ろ姿が見えなくなるのを確認してから、携帯電話を取り出した。
『ペパロニが!?』
電話口でカルパッチョが驚愕の声を上げる。
『今夜は空いてるけど……大丈夫かしら』
その“大丈夫”には様々な想いが込められているようだった。ペパロニとの友人としての付き合いは彼女のほうが長いのだ、自分よりその心中は複雑であるのも当然である。
『でも……ええ、わかったわ。あとで住所を私の方にも送っておいて』
カルパッチョは今日こちらよりも遅い時間帯の授業があるので、ペパロ二の家にはバラバラに行くこととなった。……本音を言えば心細いので彼女と一緒に向かいたかったのだが、わがままは言えない。
それから3つ授業を受けたのだが、内容はまったく頭に入ってこなかった。
531
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/04/25(火) 22:55:27 ID:kjsa.ad2
「いらっしゃい!待ってたよ」
アパートのインターホンを押すと、すぐに笑顔のペパロニが出迎えてくれた。部屋の中はいたってシンプルで、そこにかつての彼女との共通項を見出したような気分になり、妙な安心感を覚えた。
テーブルにはすでに美味しそうな料理が並べられていた。てっきりカルパッチョも来てから食事になると思っていたが、正直空腹だったのでありがたかった。
「カルパッチョの分は別に用意してあるから。先に少しお腹に入れておいた方がいいと思って」
そう言いながら飲み物を注いでくれるペパロニ。不意に近づいたその端正な顔立ちに少しドキリとした。
「じゃ、一足先に───乾杯」
チン、とグラスを鳴らす。緊張していたせいか自分でも気づかないうちにかなり喉が渇いていたようで、一気に中身を飲み干した。
すかさずおかわりを入れてくれた彼女に礼を言いつつ、料理に手をつけた。一口含んだ途端に旨みが口中に広がった。料理の腕は相変わらず、否、さらに腕を上げているようだった。
「遠慮せずにどんどんどうぞ」
その言葉に従い、片端から腹に収めていく。ペパロニはニコニコ笑いながらそんなこちらの様子を眺めていた。
ものの20分程度で、すっかり出された料理を平らげてしまった。満腹感に思わず気と顔が緩んでしまう。
「お粗末さまでした。喜んでくれて嬉しいな」
皿やグラスを片付けながらペパロニが言う。手伝おうかと思ったが、「お客様は座ってて」と制されてしまったので、おとなしく好意に甘えることにする。
すぐに片付けを終えた彼女がテーブルを挟んで対面に座った。───不意に、自分の中に緊張感が戻るのを感じた。食事という間を埋めてくれるものがなくなり、いよいよ本格的な『会話』に移る時が来たからだ。
意を決して問いかける。『あの時』のこと、それから後のことを。
「うーん、そうだなぁ……」
目を伏せて考えるような素振りを見せたが、すぐにこちらに視線を戻すと、
「辛かった、かな。すごく」
その彼女の言葉を聞いて一瞬心臓が跳ねた。なにか返事をしようとするが、あの、だのえっと、だのといった意味のない言葉が出るばかりだった。
「でもいいの、気にしないで」
ニコリと微笑むペパロニ。一瞬だが安堵を覚える。───本当に一瞬だけ。
「その分、今返してもらうからよ」
532
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/04/25(火) 22:56:00 ID:kjsa.ad2
目を細め、ナイフで切り裂いたかのような鋭い笑みを口元に浮かべながら、これまでと一転して低い声で彼女は言った。
状況の変化に戸惑うよりも先に本能的な恐怖を感じた。───逃げなくては。
こちら側へとやってくるペパロ二を避けて玄関へと急ぐ。───だが、その逃走は叶わなかった。
急に全身が痺れるような感覚に襲われ、力が入らずその場に倒れ伏してしまう。
「あー、無理無理。諦めなって」
そう言いながら彼女はこちらを見下ろす。相変わらずその顔には猛禽類のような獰猛な笑みを浮かべている。
「さっきの料理にいろいろ仕込んであったから。まあ普通に睡眠薬とかでもよかったんだけどさ」
しゃがんで、こちらに顔を近づけて彼女は言う。
「意識なくちゃ、つまんないだろ?」
咄嗟にかろうじて力の入る腕で彼女を突き飛ばす。もはやなりふり構ってはいられない。
「うおっと!」
驚きの声を上げつつ、ペパロニが尻餅をついた。その隙になんとか携帯を取り出し、最もかけなれた番号───カルパッチョの連絡先を電話帳から探し出し、発信ボタンを押した。
───あるいはこの時、警察か親にでも電話をしていれば、結果は変わっていたのだろうか。
プルル、プルルと呼び出し音が聞こえる。早く、早く出てくれ……!
533
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/04/25(火) 22:56:50 ID:kjsa.ad2
しかし一向に着信に応じる気配はない。と、ここで違和感に気づいた。
ヴーン、ヴーンと。携帯から聞こえる呼び出し音と重なるように、バイブレーションのような音が部屋に響いているのだ。
ガチャッ、と。携帯の呼出音が途絶えると同時に声が聞こえた。───両方の耳で。
「『あー、こちらの番号は現在使われておりませーん。諦めてくださーい』」
ブチリと通話が切れる。なんとか視線を向けた先では、ペパロ二が携帯を床に放り捨てていた。とても見覚えのある携帯を。
しかし、記憶の中のそれと目の前に落ちてきたものには違いがあった。覚えている限り、ディスプレイはこんなにひび割れてはいなかったし、こんな赤黒い───まるで乾いた血飛沫のような装飾はなかったはずだ。
「諦めなって。もう本格的に動けねえだろ?」
そう言いながら彼女は馬乗りになってくる。恐怖と、混乱と。いっそのこと失神でもしてしまいたかったが、むしろ意識ははっきりしていくばかりだった。
「結局最後にものを言うのは、ココの使いようってワケだ」
自身の頭を指さしながら嘲笑うように言うと、そのままこちらのシャツに手をかけ、一気に引き裂いた。胸板を這う彼女の舌のぬめりとした感触に、快感とも嫌悪感ともつかないものが全身を駆け巡る。
「さってと。そんじゃあお楽しみの時間だ。お前は天井のシミでも数えながら何も考えないで───いや、せっかくだ。アイツのことでも思い浮かべとけ」
どうしてこんなことになてしまったのか。悪いのは自分か、それとも───。
問いかけようにももはや口も痺れ、喋ることは叶わなかった。否、仮に万全の状態でも何も言うことはできなかったのだろう。この心と頭を支配する絶望感の前では。
534
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/04/25(火) 22:57:28 ID:kjsa.ad2
「Buon appetito(いただきます)」
535
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/04/25(火) 22:59:05 ID:kjsa.ad2
というわけでペパロニのBAD的ななにかでした
毎度毎度お待たせして申し訳ない
また思いつけたら(主にBAD系を)書きたいと思いまスゥゥゥ……
536
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/04/25(火) 22:59:18 ID:yHphhn/o
久しぶりの投稿いいゾ��これ
537
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/04/25(火) 23:00:17 ID:JgenqiiI
お前のSSが好きだったんだよ!
538
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/04/26(水) 19:00:10 ID:y68QpYT2
はぁぁあああっ…!!(畏怖)
BAD系多めになっていくのか、次は誰が来るのやら
539
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/05/21(日) 22:35:14 ID:txy2gVXU
あくしろよ
540
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/06/06(火) 19:17:46 ID:dSUdGJgs
「欲しいもの、ですか?」
洗濯物を畳みながらこちらの問いかけに妻───優花里が答える。
視線を壁掛けカレンダーに向けると、「ああ」と納得が言ったように声を出した。こちらの意図は無事伝わったようだ。
「もうそんな時期なんですね。早いなぁ」
まるで他人事のように優花里は言うが、今は他ならぬ彼女の誕生日プレゼントについての話をしているのだが。基本的に欲が薄い彼女はこういったことに割と無頓着であったりする。
「ふふ、ごめんなさい。でも欲しいもの……うーん」
手は止めないまま思案するような表情になる。これも毎年のお約束だ。
ちなみに本人に聞かずにサプライズプレゼントを用意する、というプランは最初からない。まだ結婚する前、戦車道グッズをいくつかセットで贈ったら見事に彼女のコレクションとモロ被りしたという前科があるからだ。
「うーん……毎年のことながら難しいですね。贅沢な悩みですけど」
ニコニコ笑いながら優花里が言う。こういう時に幸せそうに微笑んでくれるのは旦那冥利につきるが、しっかり答えを出してもらわなければ困るのも事実である。
「それでは……」
541
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/06/06(火) 19:18:56 ID:dSUdGJgs
たっぷり2分ほど考えてから、彼女が口にしたのは───。
1週間後、優花里の誕生日当日。
目的地に向かって車を走らせる途中、赤信号で停車した際に、助手席に座る優花里に「本当にこれがプレゼントでいいのか」と聞いてみた。
「もちろんです。これが私にとっての一番の幸せですから」
花が咲いたような満面の笑顔を見せられてしまっては、もう何も言えない。ちょうど信号も青に変わったので、おとなしく正面を見て運転に集中することにした。
「ねー、おかーさーん。今日行くところってどんなところ?」
後部座席にいる娘から優花里へと声がかけられた。いかにもワクワクしている、といった様子だ。
「今日行くのはね、戦車道の博物館だよ。いろんな戦車があってとっても楽しいところなの」
「へぇー!」
────彼女の誕生日のリクエストは、『家族3人で遊びに行く』というものだった。付け加えるなら、”今年も”。
そう、彼女は結婚して娘が生まれてからは、もっぱら毎年同じプレゼントを望む。まあ結婚前も『2人で出かけたい』というものばかりだったのでその頃から変わらないと言えるが。
結婚前は理容師の資格取得のため、結婚後は店の切り盛りでなにかと忙しく、出かける機会はかなり限られていた。そういう意味では、まさに『贅沢』といえるものなのかもしれない。
しかしこれは旦那として父として、平時の解消のなさの証拠なのではないか、と思わなくもない。
「そんなことありませんよ」
どうやら口に出てしまっていたらしい。再び信号で停まったので隣を見ると、とても穏やかな笑顔がそこにあった。
「私は毎日大好きな貴方とあの子と。大好きな人に囲まれて過ごしているんです。そんなただでさえ最高の幸せに、さらに今日みたいな贅沢をおねだりするとなっては、それは年1回くらいにしないとバチが当たっちゃいます」
「わたしもおとーさんだいすきだよー!」
……。思わず目頭が熱くなりそうだった。ごまかすように「ありがとう」と少し大きい声で言って、また正面を見る。
こうなっては仕方ない。元々そのつもりではあったが、より一層全力で今日という日を最高のものにしなくては。
最愛の妻の誕生日、そしてミリタリーバーバーアキヤマの休日は、まだまだ始まったばかりだ。
542
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/06/06(火) 19:20:31 ID:dSUdGJgs
超久しぶり&超短めですみません、秋山殿誕生日ネタでした
本当はまほさんの話考えてたけどそれは次に(すぐとは言っていない)
543
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/06/06(火) 19:21:21 ID:nJypQqxs
お前の投稿を待ってたんだよ!
544
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/06/06(火) 20:03:29 ID:4ZfQb/WA
おー、ええやん
545
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/06/06(火) 20:28:10 ID:NBVAa.iM
投稿ウレシイ...ウレシイ...
546
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/06/06(火) 20:40:28 ID:aSH0n2ZE
好評、絶賛!
547
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/06/18(日) 12:53:40 ID:ij//ikwA
アンチョビ「え?この鞭か?」
「これを持ってると威厳が出るからな!みんなの気を引き締めるためにも重要なものなのだ」
「へ?い、いやいや!人に向かって振るわけないだろ!ケガしたらどうするんだ!」
「無自覚な趣味、って……そんなのないぞ!ホントだからな!」
「え?試すって……お前を打てっていうのか!?」
「アホなのか!?ケガしちゃうって言ってるだろ!」
「彼氏として受け入れる、って……いやいや!だから私にそんな趣味はないんだ!」
「……ああもう!わかったわかった!一回だけ!一回だけだからな!」
「よ、よし……行くぞ……ていっ!」
「ああっ!思ったより強くなってしまった!ご、ごめん!大丈夫か!?痛くないか!?」
「そ、そうか。よかった……ふぅ」
「……やっぱり私にそういう趣味はないみたいだ。全然いい気分じゃなかったよ」
「逆も試す?わ、私を打とうっていうのか!?」
「はぁ……わかった。どうせ言っても聞かないんだろ?でも一回だけだぞ!?おしりに一回軽くだけ!」
「よ、よし!来い!」
「〜〜〜〜〜!!!??ぁっ……!!」
「っ……はぁっ……はぁっ……」
「い、いや、大丈夫……大丈夫だ」
「……」
「い、今のだと少し弱すぎてわからなかったな」
「だから……特別にもう一回だけ試して、いいぞ?」
「今度はもう少し強く……」
「〜〜〜〜〜っっっ!!」
「はぁ……はぁ……い、今のでもわからなかったから……もう一回だ……」
「彼氏として……受け入れてくれるんだろ……?」
548
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/06/18(日) 12:55:03 ID:ij//ikwA
なんとなく思いついた小ネタ
なるべく近いうちにまほさん(?)のやつを投稿したい(願望)
549
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/06/18(日) 12:55:03 ID:ij//ikwA
なんとなく思いついた小ネタ
なるべく近いうちにまほさん(?)のやつを投稿したい(願望)
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:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/06/18(日) 12:55:47 ID:9HFwV8zE
あくしろよ
551
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/06/18(日) 12:56:44 ID:NoSWNcK2
興奮する
552
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/07/30(日) 00:03:48 ID:p2cFGABI
まぁ〜だ時間かかりそうですかねぇ〜?
553
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/09/11(月) 13:50:18 ID:Y8y87FbQ
あくしろよ
554
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/09/18(月) 22:04:54 ID:rGP0HzD6
ピンポーン、と小気味いい音をチャイムが鳴らしたが、中からのリアクションは案の定なかった。
いつものことなのでこちらも全く同動揺せずに合鍵でアパートの扉を開けた。無論本人(と友人兼保護者のS・Tさん)の許可を得て作ったものである。
学生向けのワンルームの中心には布団が鎮座していた。こんもりと膨らんだ状態で。
「……」
スゥスゥと一定のリズムの呼吸音、というか寝息が聞こえる。壁にかけられた時計を見ると時刻はすでに10時近かった。
これが大学の講義がある日ならば全力で叩き起こすところだが、今日はお互い1コマも入ってない。そのままキッチンに向かい、あり合わせの食材で朝食を作ることにした。
「んぅ……むぅ」
鮭を焼き終わったと同時くらいに部屋から声が聞こえてきた。匂いに釣られて目を覚ましたのだろう。これもいつものことだ。
お盆に朝食───今日はご飯と焼き鮭、わかめの味噌汁だ───とお茶を載せて部屋に持っていくと、恋人である冷泉麻子がむっくりと体を起こしていた。
「……おー」
おはよう、と声をかけると気の抜けた返事が返ってきた。まだ脳が覚醒しきっていないらしい。端に追いやられたテーブルにお盆を載せて麻子に布団を片付けるように言う。
「んー……」
もそもそのろのろと布団を畳む麻子。自発的に起きて、かつ食事の用意がしてある時の寝起きの麻子は割と素直に言う事を聞くので助かる。ほどなくしてその作業も終わり、朝食の時間となった。
「いただきます」
言うなりパクパクと食事を口に運ぶ。こちらは食事を済ませてから来たのでただその様を眺めているだけだが、この食いっぷりは作った者として気持ちがいい。
555
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/09/18(月) 22:05:24 ID:rGP0HzD6
「ふー……ごちそうさま」
ものの10分ほどで完食した麻子は満足げな息をついた。
「今日も美味しかった」
微笑みながら言う彼女にお粗末さま、と返す。こと食べ物に対する麻子の感想は率直である。思わずこちらが照れくさくなってしまうほどに。
「片付けくらいは私がやる」
そう言って食器を流しへと運んで洗い始めた。お言葉に甘えてテレビでも見て待っていようか思ったが、ふと先ほど見たとき冷蔵庫の中が大分寂しくなってきていたことを思い出した。
幸いスーパーはここから徒歩圏内にあるので、今のうちに買い出しを済ませてしまうのもアリだろう。という訳で立ち上がってドアへと向かおうとしたのだが。
「どこへ行く」
洗い物をちょうど終えたらしい麻子に腕をがっしりと掴まれた。食材の買出しに、と素直に答えると、
「そんなのいつでもいいだろう。ほら、戻れ」
ぐいぐいとリビングに押し戻されてしまった。彼女は戦車道で操縦手を担当しており、華奢な見た目に反して腕力はかなり強い。
窓際の日当たりのいい位置に置いてある座椅子に座らせられ、麻子は流れるような動作でそんなこちらの膝の上に座ってきた。こちらの両手は彼女のお腹のあたりに持ってこられる。まるでシートベルトだ。
「うん。これでいい」
表情は見えないが、声はまさにご満悦、といった調子だった。
ポカポカとした太陽の光と彼女の体温が急激に眠気を増進させる。気づくと当の麻子は既に寝息を立てはじめていた。
……今日は本当は大学で出された課題について少し彼女の知恵を借りようかと思っていたのだが。しかし、この状況で眠るな、というのは土台無理な話である。
買い出しも課題も後回しでいいだろう。夜の方が麻子も元気になるしそちらの方が理にかなっている。
そう自分に言い訳しつつ、麻子の艶やかな黒髪に顔を埋める。特別な手入れはしていない、とは本人の弁だが、優しい肌触りと香りのそれは、こちらの意識を穏やかな眠りへと誘うには十分だった。
「ん……ふふっ……」
くすぐったかったのか、はたまたよほど良い夢を見ているのか。笑うような彼女の寝言を聞きつつ、ささやかで贅沢なふたりきりの休日を満喫するのだった。
556
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/09/18(月) 22:06:24 ID:ZXB.eMfY
良い!良い!良い!良いよ!
557
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/09/18(月) 22:06:58 ID:rGP0HzD6
というわけで思いつき
3ヶ月ぶりとかすごいですねこれ(白目)
またなんかBAD的なもの思いついたら書きたい(小並)
558
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/09/18(月) 22:13:10 ID:6XiyhzI.
お前のSSが好きだったんだよ!
559
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/11/24(金) 19:32:31 ID:MInU.mjg
とりあえずアドレスを貼るのみで、当スレからは立ち去りますが、
もし興味ある方は読まれて下さい。
いずれ誰もが直面する「死の絶望」の唯一の緩和・解決方法として。
(万人にとってプラスになる知識)
《神・転生の存在の科学的証明》
http://message21.web.fc2.com/index.htm
560
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/06(水) 23:13:55 ID:ybdK7Ick
まだ落ちてないとか勲章ですよぉ?
また続きオナシャス(乞食)
561
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/23(土) 14:19:33 ID:aSV0OK/Y
クリスマスSSを一つだけ、ください!
562
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/30(土) 01:01:40 ID:kswcSn3U
クリスマスみぽりん
「……」
現在午後11時。
先ほどまで行われていたクリスマスパーティーの熱気と喧騒はすっかり消え失せ、部屋の中には男女二人の呼吸と時計の針の音が聞こえるばかりだ。
目の前に座る恋人───西住みほは、ひたすら無言、そして無表情のまま正座の姿勢を崩さずこちらを見つめてくる。10分ほど前からプレッシャーに耐えかねてこちらも正座しているが、足のしびれも精神も限界が近かった。
事の起こりは数時間前。
ここ、みほの住む部屋で大洗女子あんこうチーム+自分のクリスマスパーティーが催されていた。
旧友同士、さらに女子同士の集まりに混ざるのは正直気が引けたものの、誘いを断れば大変わびしい聖夜を過ごすことになりそうだったので甘んじて参加を承諾した。
パーティーは和気藹々とした空気の中つづが無く進行していった。……のだが、少し調子に乗りすぎた。自分が。おそらく原因はアレだろう。
『ほらほら、私特製ローストチキン!どんどん食べて!……おお、さすが男の子!いい食べっぷりだね!』
『次はこっちのビーフストロガノフをどうぞ!たくさんあるよー!』
『いいお嫁さんになれるって……やだもー!褒め方がベタすぎるってー!でも嬉しいー!』
……このようなやり取りを参加者のTさんと繰り広げたことがみほの逆鱗に触れたらしい。この会話のみならず物理的な距離感が近すぎたのもまずかった。
『…………』
───周りが見ていない瞬間、みほと目があったのだが……目からはハイライトが消え失せ、表情も皆無の能面のごとき状態で彼女はそこにいた。一瞬で高揚していた気分がなべ底景気へ転じたのは言うまでもない。
皆が帰った後で片づけを手伝おうとしたのだが、
『いいです。座っててください』
とにべもなく断られてしまった。この場合、そこに込められているのは『遠慮』ではなく言葉通りの『命令』のみである。すごすごと引きさがりおとなしくリビングで待つことにした。
『…………』
片づけを終えたみほは無言でリビングに入ってくると、そのまま正座しこちらを見つめてきた。所作が美しいこともあってこの間聞こえてきたのはわずかな衣ずれの音のみであった。
563
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/30(土) 01:02:23 ID:kswcSn3U
「……」
そして現在に至る。
選択肢をひとつ謝ればどんな恐ろしい展開が待っていることか。さすがに命は取られない……はず。視界の端に映るボコのぬいぐるみがその希望を揺るがせつつあるが。
いや、こちらがやるべきことなどひとつしかない。あとは覚悟を決めるだけ。───よし。
正座の姿勢から上半身を前へ倒し、両手を床に突く。こちらの頭頂部はそのまま彼女の方へ向けられる。───早い話が土下座である。
「……!」
そのまま矢継ぎ早に謝罪の言葉を並べたてる。
せっかくのクリスマスに不安にさせるような振る舞いをさせて申し訳なかった。武部さんは実際魅力的な女性だとは思うがあくまで友人としての話であって他意はひとかけらもない。自分が好きなのは誓ってみほだけだ。
「……」
言うべきことを言ったあとはひたすら土下座の姿勢を維持して判決を待つ。
「顔を上げて」
いつもの温かみのこもった声で語りかけてくる。言葉に従い顔を上げると、そこにはもはや随分久しぶりにすら感じる困ったようなかわいらしい笑顔があった。……どうやら難を逃れたらしい。
「ごめんね?私の方こそ嫌な思いをさせちゃって」
そっと優しい手つきでこちらの肩に触れる。
「沙織さんが素敵な人だって私もよく知ってるから……そしたらなんだかすごく心がモヤモヤして」
視線を伏せ気味にみほは語る。
「ダメだね、私って。お付き合いするのなんてはじめてだから……」
そう言いながら彼女は立ち上がると部屋の一角へと歩いていく。緊張感から解放され思わずふぅ、と息をついた。
564
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/30(土) 01:03:07 ID:kswcSn3U
「自分でもこんなにヤキモチ焼きだなんて思ってなかったなぁ……」
ひょい、ひょいと手を動かしながら言葉を続ける。───いや待て、彼女は何をしている?あそこにあるのは……。
「それだけ貴方のことが好きだってことだよね、えへへ」
彼女の手元では次々にぬいぐるみ───ボコがその向きを変えられていく。普通に正面を向いて並べられていたそれらは、半回転しどんどん壁向きにされる。
「……うん。でもだからこそ、言葉や態度だけだとまた不安になっちゃうかも。だから……」
そして最後の2体───交際開始記念に二人で買っ、た他のものより大きなボコが壁に向けられる。
「行動で示してほしいかな。貴方の気持ち」
まっすぐにこちらの目を見つめながら歩み寄って来たみほに、ゆっくりと押し倒される。大した力でないはずのそれに、全く抵抗できない。
「アレって、6時間じゃないといけないワケじゃないよね?」
そして、視界のすべてが彼女で覆い尽くされ───。
565
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/30(土) 01:04:06 ID:kswcSn3U
というわけでクリスマスのみぽりんの話でした
まだ年は明けてないからセーフ理論
566
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/30(土) 01:04:08 ID:kswcSn3U
というわけでクリスマスのみぽりんの話でした
まだ年は明けてないからセーフ理論
567
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朝飯食わなかったから…
:2017/12/30(土) 01:04:30 ID:???
おファッ!?
ありがとナス!
568
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/30(土) 01:04:36 ID:jTJ5mW/o
やりますねぇ!
569
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/30(土) 01:14:44 ID:kswcSn3U
<生しらす丼のカトラス>
好感度10%:「ん……?男の客なんて珍しい。とりあえず何か注文したら?周りのは気にしなくていいから」
好感度50%:「あ、また来たの。いつものでいい?」
好感度100%:「はいはい、いつものね……はい、どうぞ。あとこれもね……貴方、私の名前聞いておいて全然これ注文しないから。お代はいいから感想を聞かせて」
好感度444%:「はい、いつもの。……一口飲んだだけで随分眠そうね。奥の部屋で横になったら?心配しなくても大丈夫。鍵は私しか持ってないから。誰にも邪魔はさせないから」
570
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/30(土) 01:15:38 ID:kswcSn3U
最終章面白かった記念オマケ
他のメンツはもう少しキャラがわかればそのうちに……
571
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/30(土) 01:45:32 ID:o8gSPmU2
良さヤバい
572
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/30(土) 13:02:28 ID:IMoMqNKA
いいゾ〜
573
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/31(日) 17:20:28 ID:sTseySHg
秋山殿と年越し
「楽しみですねぇ!『戦車道年越し大特集!』まさか地上波でこんな番組が観れる日が来るなんて……!」
満面の笑みでテレビの前で正座する彼女───秋山優花里のハイテンションっぷりに苦笑しつつ隣に座る。
「あっ!す、すみません!また私ひとりで……」
恥ずかしそうな、気まずそうな表情になる彼女に気にしなくていい、と声をかける。戦車好きの優花里にとっては最高の年越しだというのは想像に難くない。それをどうこういうのは無粋極まりないだろう。
「えっと……もちろん番組自体もそうなんですが……」
モジモジと指を動かしつつ恥ずかしげに目線をそらしつつ彼女は言う。
「こんな素晴らしい番組を貴方と……お付き合いしている男性と一緒に観ながら年越しできるなんて、夢みたいで……えへへ」
そこまで言った優花里だったが、すぐに表情を変えてこちらを見た。
「あのっ!退屈なら言って下さい!私ちゃんと録画もしてますし……貴方が他のを観たいって言うなら私は」
574
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/31(日) 17:21:28 ID:sTseySHg
最後まで言わせず彼女のモフモフとした癖っ毛をわしゃわしゃと撫でまわす。
「はわっ!?な、何をするんですか〜!?」
ひとしきりその感触を堪能した後、彼女の目をしっかりと見て伝える。
自分にとって一番大事なのは優花里が一緒で、そして笑顔を見せてくれることだ。だから何も遠慮なんてする必要はない。
「……!」
一瞬ポカンとした表情を見せた彼女だが、すぐに赤くなったままの顔で一瞬涙をぬぐうと、最高の笑顔を見せてくれた。
「了解です!不肖、秋山優花里!大好きな貴方のため、最高の年越しをさせていただきます!」
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/31(日) 17:22:31 ID:sTseySHg
短いけど書き納めということで
みなさん良いお年を。
576
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/31(日) 17:37:46 ID:ywQNjLhQ
いい!いい!
577
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/31(日) 17:38:23 ID:h4q0TBso
あぁ^〜
578
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2017/12/31(日) 20:20:08 ID:aMPyEv4M
ヤンデレはいいぞ
579
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/01(月) 13:59:15 ID:E6f.CdDs
冷泉さんのお正月
「明けまして寝正月おめでとう」
……新年第一声がそれか。
1月1日、元旦の午後。ピンポーンという新年初チャイムに応えて玄関のドアを開けると、恋人である少女───冷泉麻子が立っていた。
「寒い。早く中に入れてくれ」
こちらの答えも待たずさっさと玄関に上がりこんできた。まあ拒否する理由もないのだが相変わらずのマイペースっぷりである。
彼女が適当に脱ぎ捨てたブーツを並べ直してからリビングに行くと麻子はすでにコートとマフラーを脱いでベッドに潜り込むところだった。
580
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/01(月) 14:01:53 ID:E6f.CdDs
「私は午前中おばあの相手をして疲れた。冬休みなのに早起きさせられて……」
聞いてもいないのに説明してくる彼女の言葉に相槌を打ちつつコートとマフラーをハンガーで壁にかける。まったく、何を着ても似合って可愛いのにどうしてこう色々と無頓着なのか。
「……新年早々そういうことを言うな。それよりほら」
こちらの言葉に照れたのか顔をわずかに赤らめつつ、ポンポンと自身のすぐ横───ベッドに空いたスペースを叩いてみせる。ベッド自体は一人用だが麻子が小柄なため二人で入ることは可能ではある。
本当は初詣に行こうとも考えていたのだが……こうなると彼女は絶対にそこから動かないだろう。
581
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/01(月) 14:02:38 ID:E6f.CdDs
「当たり前だ。大体今日はどこに行っても混んでるだろう。適当に空いてるときにすればいい」
まあ麻子の言うことももっともである。実際自分も彼女も人混みは苦手だ……というわけで早々に元旦初詣プランを破棄し、麻子の隣にお邪魔することにした。自分のベッドだが。
「それでいい」
満足気にそう言うと、麻子はすぐにこちらの腕の中に潜り込んで胸に顔を埋めた。片手で艶やかな黒髪を撫でつつ、もう片方の手で背中をポンポンと優しく叩く。
「スゥ……スゥ……」
ほどなくして安らかな寝息が聞こえてきた。寝顔が見えないのは残念ではあるが……その柔らかな感触と心地いい体温にこちらも眠気に襲われてきた。
「んぅ……」
瞼の重さに抗わず、麻子のすべてを感じつつ眠りに落ちていく。
────今年も、いい一年になりそうだ。
582
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/01(月) 14:03:36 ID:E6f.CdDs
新年初書きってことで短いですが
今年も宜しくお願いします
583
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/01(月) 14:53:25 ID:9ZpgSFb2
ああ^〜いいっすねぇ^〜
584
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/04(木) 14:21:21 ID:yv0mhQPw
いいゾ〜これ
585
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/10(水) 22:35:01 ID:XyfpEEJI
心配性な冷泉さん
「そういえばさ、麻子。彼のケガは大丈夫だったの?」
大学で講義の開始を待っていると、隣に座った沙織がこう言ってきた。……怪我?
「えっ!?聞いてなかったの!?あちゃー……悪いことしちゃったかな」
しまった、という顔をする幼馴染に私は詰め寄る。
どういうことだ。何の話だ。私は何も聞いていない。あいつに何があった。なんでお前が知っている。
「ちょ、ちょっと待ってって!順番に話すから!」
こちらを手で制しながら沙織は一度咳払いし、話を始めた。
「私も昨日たまたま帰りに会って話しただけだけど……バイトの帰りに車とぶつかっちゃったんだって」
その言葉に血の気が引くのを感じた。事故。交通事故。私の見ていないところで。
「まあ車は全然スピード出てなくて、彼も当たった拍子に転んで手首とか足を痛めただけって言ってたけど……」
怪我。あいつが。私の知らないところで。
「たぶん麻子に心配かけたくなくて黙ってたんじゃないかな。それに今日は彼、ちょうど講義ないから……ねぇ聞いてる?」
あいつは本当に大丈夫なのか。あいつは今どこにいるんだ。あいつは、あいつは、あいつは。
586
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/10(水) 22:36:35 ID:XyfpEEJI
「麻子!?どこ行くの!?もう講義始まるよ!?」
沙織の声を無視して私は駆け出した。鞄へ適当に突っ込んだ筆箱やノートが音を立てるが知ったことじゃない。
教室を飛び出して廊下を走る。すれ違う他の学生が驚き、奇異の視線を向けてくるが知ったことじゃない。
エレベーターを待たずに階段を駆け下りる。すれ違いざまにぶつかりそうになった女子生徒が文句の声をあげるが知ったことじゃない。
とにかく死に物狂いで走り続ける。日頃使わない筋肉が悲鳴を上げるが知ったことじゃない。
速く、速く、少しでも速くあいつのところへ。行く手を遮るすべてが忌々しい。
「はぁっ……はぁっ……!」
走りながら思考が勝手に回りだす。
私が傍にいれば事故を防げたんじゃないか。私が一緒にいればあいつは怪我をしなかったんじゃないか。私がいなかったから───。
フラッシュバックする、まだ小さかった頃の『あの記憶』。後悔と、悲しみと、そして───。
何が天才だ。私はまた同じ過ちを繰り返そうとしている。こんなことも防げない頭脳なんかに意味なんてないじゃないか。
「はぁっ、はぁっ……!うぅっ……!」
胸が締め付けられる。この痛みの原因は走っているせいか、それとも。
間もなく、あいつの住むアパートが見えてきた。
ここまでどうやって来たか覚えていないが、どうでもいい。そんなことはどうでもいい。今考えるべきはあいつの今の状態。
「ふぅっ……ふぅっ……!」
階段を上りながらも思考は止めない。
私はどうすればいい?まずは怪我の具合を見て必要なら病院に連れて行かないと。あとはバイトも大学もしばらく休ませないと。
「ふぅ……」
部屋の前までたどり着いた。思考は止まらない。
もうこんなことが起きないようにするにはどうしたらいい?もし次に事故が起きたら今度こそ取り返しがつかなくなるかもしれない。それを防ぐためには。
「……」
ドアノブに手をかける。鍵はかかっていなかった。思考は───。
事故が起こったのは私がいなかったからだとしたら。ずっと私が一緒にいれるなら。そのためには。
587
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/10(水) 22:37:33 ID:XyfpEEJI
「……」
声もかけずにドアを開け、部屋に上がる。
中ではベッドに寝転び携帯を見ているあいつがいた。部屋に入って来た私の存在に気付くとさすがに驚いた様子だった。
私にどうしたんだ、と声をかけながら立ち上がろうとしたその時、あいつの顔が苦痛に歪んでバランスを崩した。足の痛みのせいか。
「!!」
そのまま私に向かって倒れこんでくる。咄嗟に受け止めようとするが体格差のせいもあって受け止められず、後ろにもろとも倒れてしまった。
「……大丈夫か?」
背中に鈍い痛みを感じるが、もうどうでもいい。
思考は、止まった。
なるべく優しく頭をなでてやる。簡単なことだった。考えるまでもないことだった。
「もう平気だ。ああ、もう全部……」
理屈もなにもない。ただ、二人で部屋に、あるいは金庫に、あるいは檻に。入って錠をかけてしまえばいい。
そして、それを開ける鍵を捨ててしまえばいい。
ただ、永遠にふたりで一緒に───。
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/10(水) 22:38:34 ID:XyfpEEJI
というわけで麻子の何かでした
たまにはBAD風なのもいいよね
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/10(水) 22:41:23 ID:sMP8rQGU
あぁ^〜
590
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/11(木) 00:31:00 ID:iThzONeA
やりますねぇ!
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/11(木) 00:35:48 ID:mjXCgZ7Y
麻子が安心するには換金されるかシュワちゃん並のボディを手に入るしかなさそう
592
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2018/01/16(火) 20:32:21 ID:/j6z/aXk
乙シャス!
みぽりんといい麻子といいガルパンのキャラってほんへのほのぼのっぷりに比べて闇が深いですよね
593
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名前なんか必要ねぇんだよ!
:2021/03/26(金) 05:49:18 ID:GIWqLIGc
カトラス初登場が2017年!?うせやろ(驚愕)
最終章3話ようやく公開されたし続きが欲しくて狂いそう…!
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