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ガルパン みほルートGOODエンド

541名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 19:18:56 ID:dSUdGJgs
たっぷり2分ほど考えてから、彼女が口にしたのは───。





1週間後、優花里の誕生日当日。

目的地に向かって車を走らせる途中、赤信号で停車した際に、助手席に座る優花里に「本当にこれがプレゼントでいいのか」と聞いてみた。

「もちろんです。これが私にとっての一番の幸せですから」

花が咲いたような満面の笑顔を見せられてしまっては、もう何も言えない。ちょうど信号も青に変わったので、おとなしく正面を見て運転に集中することにした。

「ねー、おかーさーん。今日行くところってどんなところ?」

後部座席にいる娘から優花里へと声がかけられた。いかにもワクワクしている、といった様子だ。

「今日行くのはね、戦車道の博物館だよ。いろんな戦車があってとっても楽しいところなの」

「へぇー!」

────彼女の誕生日のリクエストは、『家族3人で遊びに行く』というものだった。付け加えるなら、”今年も”。

そう、彼女は結婚して娘が生まれてからは、もっぱら毎年同じプレゼントを望む。まあ結婚前も『2人で出かけたい』というものばかりだったのでその頃から変わらないと言えるが。

結婚前は理容師の資格取得のため、結婚後は店の切り盛りでなにかと忙しく、出かける機会はかなり限られていた。そういう意味では、まさに『贅沢』といえるものなのかもしれない。

しかしこれは旦那として父として、平時の解消のなさの証拠なのではないか、と思わなくもない。

「そんなことありませんよ」

どうやら口に出てしまっていたらしい。再び信号で停まったので隣を見ると、とても穏やかな笑顔がそこにあった。

「私は毎日大好きな貴方とあの子と。大好きな人に囲まれて過ごしているんです。そんなただでさえ最高の幸せに、さらに今日みたいな贅沢をおねだりするとなっては、それは年1回くらいにしないとバチが当たっちゃいます」

「わたしもおとーさんだいすきだよー!」

……。思わず目頭が熱くなりそうだった。ごまかすように「ありがとう」と少し大きい声で言って、また正面を見る。

こうなっては仕方ない。元々そのつもりではあったが、より一層全力で今日という日を最高のものにしなくては。

最愛の妻の誕生日、そしてミリタリーバーバーアキヤマの休日は、まだまだ始まったばかりだ。


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