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ガルパン みほルートGOODエンド

519名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/03/21(火) 00:28:18 ID:BzcJkhRc
 「痛っ……」

 自身の手のひらを見るみほ。そこからは赤い液体が滲み出ていた。

 そんな姿に先ほどのやりとりも忘れて近づこうとして、その異変に気づいた。

 「───ふふっ、ふふふっ」

 笑っていた。自身の手のひらについた傷を、そこから湧き出す血を見て。 

 「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」

 心底嬉しそうに、肩を震わせて笑っていた。

 「はじめて、だね。貴方が私に怪我をさせたの」

 満面の笑みでこちらに顔を上げた。この笑顔、どこかで───。

 「小さい頃ね、お母さん……いや、お父さんかな?それともお姉ちゃんだっけ?まあいいや。とにかく言われたの。『人をボコにしちゃいけない』って」

 笑顔のまま立ち上がり、みほは語り続ける。

 「大きくなるにつれて、その言葉の意味もわかるようになった。当たり前だよね、ボコにされるのは痛いし誰だって嫌に決まってるもん」

 一歩、こちらに彼女は歩み寄る。

 「でも、ボコを大好きだって気持ちは変わらなかった。だからいつもモヤモヤしてたの。誰かをボコにしたい。でもしちゃいけない。……特に好きな人は」

 また一歩、近付く。

 「貴方と出会って、恋人になって……どんどんそのモヤモヤは大きくなったの。自分が普通の人とは違う感覚を持ってる、おかしい子だっていう悲しさ含めて。でも、あの時、それが少し治まったんだ」

 さらに一歩。手からポタポタと垂れる血が、床を汚す。

 「ほら、貴方が事故にあった時。幸い軽い怪我で済んだけど、私は貴方が怪我をするのが、痛そうにするのがたまらなく嫌だった」

 思わず後ずさる。聞こえるのは彼女と自分の足音、そしてバッグから漏れるくぐもった声にならない声。

 「そのあとからだよ。貴方を傷つけたり、傷つけようとした人にこうして『オシオキ』するようになったのは」

 いっそのこと駆け出し、全力で逃げるべきか。しかし彼女の視線はそれを許さない。


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