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ガルパン みほルートGOODエンド

1名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/10/25(火) 21:51:24 ID:g.8oTIO2
「おかーさん!おとーさん!はやくはやくー!」


「慌てると危ないよー」


 日曜日。
 休日と澄み渡る晴天が重なった絶好の外出日和ということもあって、家族三人で訪れた遊園地はまだ早い時間にも関わらず大勢の人で賑わっていた。
 そんな中、ひとり目当ての乗り物に向かって駆け出す娘に隣のみほが声をかける。といっても、普段からあの子は活発なタイプだ。みほも口で言うほど心配はしていない様子だ。むしろ元気にはしゃぐ姿を嬉しそうに見ている。
 
 「……それにしても、私もあなたももあまり活発な方じゃないのに、いったい誰に似たんだろう?」

 ふとそんなことを呟いた彼女に、小さい頃のみほにそっくりじゃないか、と答えた。

 「小さい頃?……あぁ、確かに戦車道を本格的に始める前は結構やんちゃなタイプだったかも……あれ?でもそんな昔のこと、あなたに話したことあったっけ?」

 納得したような表情を浮かべたかと思ったら、すぐに怪訝そうにこちらを見てきた彼女の視線を受け、思わずしまった、とつぶやいてしまう。

 「誰かに聞いたの?お姉ちゃん?もしかしてこの間実家に帰ったとき?」

 彼女には珍しいじとっ、という擬音がつきそうな視線と矢継早な質問に早々に白旗を上げ、その推理が正しいことを認める。本人がいると恥ずかしがって止めに入るだろうから、という理由で、まほさんがわざわざみほが席を外している時に教えてくれたのだ。

 「自分の知らないところで話される方がもっと恥ずかしいよ」

 ごもっとも。しかしせっかくの家族水入らずの外出だ。夫としてすっかりむくれてしまった妻をこのままにしておくわけにはいかないだろう。

 「小さい頃のみほも、あの子に負けず劣らず可愛かったよ」

 そう言いながら、軽く彼女の頭を撫でる。サラサラとして心地よいその髪の感触を味わいながら、我ながらキザすぎるな、と呆れる。知人がいたらとてもじゃないができなかっただろう。
 もしもみほにまで同じ感想を抱かれていたら、と不安になり彼女の顔を覗き込むと、少し頬を赤らめながらも、クスクスと手で口元を隠しながら笑っている。

 「もう、格好つけすぎだよ?今恥ずかしいでしょ」

 ばっちりとこちらの予想が的中したらしい。自分の顔まで熱くなるのを感じるが、どうやらみほの機嫌が直ったらしいことに安堵する。

 「ふたりともー!イチャイチャしてないではやくー!」

 「い、イチャイチャなんてしてません!……さ、私たちも行こう?」

 そういって差し出された彼女の手を握り、娘のもとへふたりで歩き出す。もうひとりのお姫様にまでへそを曲げられたらたまらない。

 「今日は頑張ってね?あの子への家族サービスと、私へのお詫びのために♪」

 ……どうやらこちらの姫にもまだ奉仕が必要なようだ。世界で一番贅沢なため息をつきつつ、このあとのプランを脳内で練り始める。まったく、夫と父という役割は、幸せすぎて楽じゃない―――。

544名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 20:03:29 ID:4ZfQb/WA
おー、ええやん

545名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 20:28:10 ID:NBVAa.iM
投稿ウレシイ...ウレシイ...

546名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/06(火) 20:40:28 ID:aSH0n2ZE
好評、絶賛!

547名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/18(日) 12:53:40 ID:ij//ikwA
アンチョビ「え?この鞭か?」

      「これを持ってると威厳が出るからな!みんなの気を引き締めるためにも重要なものなのだ」

      「へ?い、いやいや!人に向かって振るわけないだろ!ケガしたらどうするんだ!」

      「無自覚な趣味、って……そんなのないぞ!ホントだからな!」

      「え?試すって……お前を打てっていうのか!?」

      「アホなのか!?ケガしちゃうって言ってるだろ!」

      「彼氏として受け入れる、って……いやいや!だから私にそんな趣味はないんだ!」

      「……ああもう!わかったわかった!一回だけ!一回だけだからな!」

      「よ、よし……行くぞ……ていっ!」
 
      「ああっ!思ったより強くなってしまった!ご、ごめん!大丈夫か!?痛くないか!?」

      「そ、そうか。よかった……ふぅ」

      「……やっぱり私にそういう趣味はないみたいだ。全然いい気分じゃなかったよ」

      「逆も試す?わ、私を打とうっていうのか!?」

      「はぁ……わかった。どうせ言っても聞かないんだろ?でも一回だけだぞ!?おしりに一回軽くだけ!」

      「よ、よし!来い!」

      「〜〜〜〜〜!!!??ぁっ……!!」

      「っ……はぁっ……はぁっ……」

      「い、いや、大丈夫……大丈夫だ」

      「……」

      「い、今のだと少し弱すぎてわからなかったな」

      「だから……特別にもう一回だけ試して、いいぞ?」

      「今度はもう少し強く……」

      「〜〜〜〜〜っっっ!!」

      「はぁ……はぁ……い、今のでもわからなかったから……もう一回だ……」

      「彼氏として……受け入れてくれるんだろ……?」

548名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/18(日) 12:55:03 ID:ij//ikwA
なんとなく思いついた小ネタ
なるべく近いうちにまほさん(?)のやつを投稿したい(願望)

549名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/18(日) 12:55:03 ID:ij//ikwA
なんとなく思いついた小ネタ
なるべく近いうちにまほさん(?)のやつを投稿したい(願望)

550名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/18(日) 12:55:47 ID:9HFwV8zE
あくしろよ

551名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/06/18(日) 12:56:44 ID:NoSWNcK2
興奮する

552名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/07/30(日) 00:03:48 ID:p2cFGABI
まぁ〜だ時間かかりそうですかねぇ〜?

553名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/09/11(月) 13:50:18 ID:Y8y87FbQ
あくしろよ

554名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/09/18(月) 22:04:54 ID:rGP0HzD6
ピンポーン、と小気味いい音をチャイムが鳴らしたが、中からのリアクションは案の定なかった。

いつものことなのでこちらも全く同動揺せずに合鍵でアパートの扉を開けた。無論本人(と友人兼保護者のS・Tさん)の許可を得て作ったものである。

学生向けのワンルームの中心には布団が鎮座していた。こんもりと膨らんだ状態で。

「……」

スゥスゥと一定のリズムの呼吸音、というか寝息が聞こえる。壁にかけられた時計を見ると時刻はすでに10時近かった。

これが大学の講義がある日ならば全力で叩き起こすところだが、今日はお互い1コマも入ってない。そのままキッチンに向かい、あり合わせの食材で朝食を作ることにした。

「んぅ……むぅ」

鮭を焼き終わったと同時くらいに部屋から声が聞こえてきた。匂いに釣られて目を覚ましたのだろう。これもいつものことだ。

お盆に朝食───今日はご飯と焼き鮭、わかめの味噌汁だ───とお茶を載せて部屋に持っていくと、恋人である冷泉麻子がむっくりと体を起こしていた。

「……おー」

おはよう、と声をかけると気の抜けた返事が返ってきた。まだ脳が覚醒しきっていないらしい。端に追いやられたテーブルにお盆を載せて麻子に布団を片付けるように言う。

「んー……」

もそもそのろのろと布団を畳む麻子。自発的に起きて、かつ食事の用意がしてある時の寝起きの麻子は割と素直に言う事を聞くので助かる。ほどなくしてその作業も終わり、朝食の時間となった。

「いただきます」

言うなりパクパクと食事を口に運ぶ。こちらは食事を済ませてから来たのでただその様を眺めているだけだが、この食いっぷりは作った者として気持ちがいい。

555名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/09/18(月) 22:05:24 ID:rGP0HzD6

「ふー……ごちそうさま」

ものの10分ほどで完食した麻子は満足げな息をついた。

「今日も美味しかった」

微笑みながら言う彼女にお粗末さま、と返す。こと食べ物に対する麻子の感想は率直である。思わずこちらが照れくさくなってしまうほどに。

「片付けくらいは私がやる」

そう言って食器を流しへと運んで洗い始めた。お言葉に甘えてテレビでも見て待っていようか思ったが、ふと先ほど見たとき冷蔵庫の中が大分寂しくなってきていたことを思い出した。

幸いスーパーはここから徒歩圏内にあるので、今のうちに買い出しを済ませてしまうのもアリだろう。という訳で立ち上がってドアへと向かおうとしたのだが。

「どこへ行く」

洗い物をちょうど終えたらしい麻子に腕をがっしりと掴まれた。食材の買出しに、と素直に答えると、

「そんなのいつでもいいだろう。ほら、戻れ」

ぐいぐいとリビングに押し戻されてしまった。彼女は戦車道で操縦手を担当しており、華奢な見た目に反して腕力はかなり強い。

窓際の日当たりのいい位置に置いてある座椅子に座らせられ、麻子は流れるような動作でそんなこちらの膝の上に座ってきた。こちらの両手は彼女のお腹のあたりに持ってこられる。まるでシートベルトだ。

「うん。これでいい」

表情は見えないが、声はまさにご満悦、といった調子だった。

ポカポカとした太陽の光と彼女の体温が急激に眠気を増進させる。気づくと当の麻子は既に寝息を立てはじめていた。

……今日は本当は大学で出された課題について少し彼女の知恵を借りようかと思っていたのだが。しかし、この状況で眠るな、というのは土台無理な話である。

買い出しも課題も後回しでいいだろう。夜の方が麻子も元気になるしそちらの方が理にかなっている。

そう自分に言い訳しつつ、麻子の艶やかな黒髪に顔を埋める。特別な手入れはしていない、とは本人の弁だが、優しい肌触りと香りのそれは、こちらの意識を穏やかな眠りへと誘うには十分だった。

「ん……ふふっ……」

くすぐったかったのか、はたまたよほど良い夢を見ているのか。笑うような彼女の寝言を聞きつつ、ささやかで贅沢なふたりきりの休日を満喫するのだった。

556名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/09/18(月) 22:06:24 ID:ZXB.eMfY
良い!良い!良い!良いよ!

557名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/09/18(月) 22:06:58 ID:rGP0HzD6
というわけで思いつき
3ヶ月ぶりとかすごいですねこれ(白目)
またなんかBAD的なもの思いついたら書きたい(小並)

558名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/09/18(月) 22:13:10 ID:6XiyhzI.
お前のSSが好きだったんだよ!

559名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/11/24(金) 19:32:31 ID:MInU.mjg
とりあえずアドレスを貼るのみで、当スレからは立ち去りますが、
もし興味ある方は読まれて下さい。

いずれ誰もが直面する「死の絶望」の唯一の緩和・解決方法として。

(万人にとってプラスになる知識)
《神・転生の存在の科学的証明》
http://message21.web.fc2.com/index.htm

560名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/06(水) 23:13:55 ID:ybdK7Ick
まだ落ちてないとか勲章ですよぉ?
また続きオナシャス(乞食)

561名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/23(土) 14:19:33 ID:aSV0OK/Y
クリスマスSSを一つだけ、ください!

562名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/30(土) 01:01:40 ID:kswcSn3U
クリスマスみぽりん


「……」

現在午後11時。

先ほどまで行われていたクリスマスパーティーの熱気と喧騒はすっかり消え失せ、部屋の中には男女二人の呼吸と時計の針の音が聞こえるばかりだ。

目の前に座る恋人───西住みほは、ひたすら無言、そして無表情のまま正座の姿勢を崩さずこちらを見つめてくる。10分ほど前からプレッシャーに耐えかねてこちらも正座しているが、足のしびれも精神も限界が近かった。

事の起こりは数時間前。

ここ、みほの住む部屋で大洗女子あんこうチーム+自分のクリスマスパーティーが催されていた。

旧友同士、さらに女子同士の集まりに混ざるのは正直気が引けたものの、誘いを断れば大変わびしい聖夜を過ごすことになりそうだったので甘んじて参加を承諾した。

パーティーは和気藹々とした空気の中つづが無く進行していった。……のだが、少し調子に乗りすぎた。自分が。おそらく原因はアレだろう。

『ほらほら、私特製ローストチキン!どんどん食べて!……おお、さすが男の子!いい食べっぷりだね!』

『次はこっちのビーフストロガノフをどうぞ!たくさんあるよー!』

『いいお嫁さんになれるって……やだもー!褒め方がベタすぎるってー!でも嬉しいー!』

……このようなやり取りを参加者のTさんと繰り広げたことがみほの逆鱗に触れたらしい。この会話のみならず物理的な距離感が近すぎたのもまずかった。

『…………』

───周りが見ていない瞬間、みほと目があったのだが……目からはハイライトが消え失せ、表情も皆無の能面のごとき状態で彼女はそこにいた。一瞬で高揚していた気分がなべ底景気へ転じたのは言うまでもない。

皆が帰った後で片づけを手伝おうとしたのだが、

『いいです。座っててください』

とにべもなく断られてしまった。この場合、そこに込められているのは『遠慮』ではなく言葉通りの『命令』のみである。すごすごと引きさがりおとなしくリビングで待つことにした。

『…………』

片づけを終えたみほは無言でリビングに入ってくると、そのまま正座しこちらを見つめてきた。所作が美しいこともあってこの間聞こえてきたのはわずかな衣ずれの音のみであった。

563名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/30(土) 01:02:23 ID:kswcSn3U
「……」

そして現在に至る。

選択肢をひとつ謝ればどんな恐ろしい展開が待っていることか。さすがに命は取られない……はず。視界の端に映るボコのぬいぐるみがその希望を揺るがせつつあるが。

いや、こちらがやるべきことなどひとつしかない。あとは覚悟を決めるだけ。───よし。

正座の姿勢から上半身を前へ倒し、両手を床に突く。こちらの頭頂部はそのまま彼女の方へ向けられる。───早い話が土下座である。

「……!」

そのまま矢継ぎ早に謝罪の言葉を並べたてる。

せっかくのクリスマスに不安にさせるような振る舞いをさせて申し訳なかった。武部さんは実際魅力的な女性だとは思うがあくまで友人としての話であって他意はひとかけらもない。自分が好きなのは誓ってみほだけだ。

「……」

言うべきことを言ったあとはひたすら土下座の姿勢を維持して判決を待つ。

「顔を上げて」

いつもの温かみのこもった声で語りかけてくる。言葉に従い顔を上げると、そこにはもはや随分久しぶりにすら感じる困ったようなかわいらしい笑顔があった。……どうやら難を逃れたらしい。

「ごめんね?私の方こそ嫌な思いをさせちゃって」

そっと優しい手つきでこちらの肩に触れる。

「沙織さんが素敵な人だって私もよく知ってるから……そしたらなんだかすごく心がモヤモヤして」

視線を伏せ気味にみほは語る。

「ダメだね、私って。お付き合いするのなんてはじめてだから……」

そう言いながら彼女は立ち上がると部屋の一角へと歩いていく。緊張感から解放され思わずふぅ、と息をついた。

564名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/30(土) 01:03:07 ID:kswcSn3U
「自分でもこんなにヤキモチ焼きだなんて思ってなかったなぁ……」

ひょい、ひょいと手を動かしながら言葉を続ける。───いや待て、彼女は何をしている?あそこにあるのは……。

「それだけ貴方のことが好きだってことだよね、えへへ」

彼女の手元では次々にぬいぐるみ───ボコがその向きを変えられていく。普通に正面を向いて並べられていたそれらは、半回転しどんどん壁向きにされる。

「……うん。でもだからこそ、言葉や態度だけだとまた不安になっちゃうかも。だから……」

そして最後の2体───交際開始記念に二人で買っ、た他のものより大きなボコが壁に向けられる。

「行動で示してほしいかな。貴方の気持ち」

まっすぐにこちらの目を見つめながら歩み寄って来たみほに、ゆっくりと押し倒される。大した力でないはずのそれに、全く抵抗できない。

「アレって、6時間じゃないといけないワケじゃないよね?」

そして、視界のすべてが彼女で覆い尽くされ───。

565名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/30(土) 01:04:06 ID:kswcSn3U
というわけでクリスマスのみぽりんの話でした
まだ年は明けてないからセーフ理論

566名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/30(土) 01:04:08 ID:kswcSn3U
というわけでクリスマスのみぽりんの話でした
まだ年は明けてないからセーフ理論

567朝飯食わなかったから…:2017/12/30(土) 01:04:30 ID:???
おファッ!?
ありがとナス!

568名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/30(土) 01:04:36 ID:jTJ5mW/o
やりますねぇ!

569名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/30(土) 01:14:44 ID:kswcSn3U
<生しらす丼のカトラス>

好感度10%:「ん……?男の客なんて珍しい。とりあえず何か注文したら?周りのは気にしなくていいから」

好感度50%:「あ、また来たの。いつものでいい?」

好感度100%:「はいはい、いつものね……はい、どうぞ。あとこれもね……貴方、私の名前聞いておいて全然これ注文しないから。お代はいいから感想を聞かせて」

好感度444%:「はい、いつもの。……一口飲んだだけで随分眠そうね。奥の部屋で横になったら?心配しなくても大丈夫。鍵は私しか持ってないから。誰にも邪魔はさせないから」

570名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/30(土) 01:15:38 ID:kswcSn3U
最終章面白かった記念オマケ
他のメンツはもう少しキャラがわかればそのうちに……

571名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/30(土) 01:45:32 ID:o8gSPmU2
良さヤバい

572名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/30(土) 13:02:28 ID:IMoMqNKA
いいゾ〜

573名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/31(日) 17:20:28 ID:sTseySHg

秋山殿と年越し



「楽しみですねぇ!『戦車道年越し大特集!』まさか地上波でこんな番組が観れる日が来るなんて……!」


満面の笑みでテレビの前で正座する彼女───秋山優花里のハイテンションっぷりに苦笑しつつ隣に座る。


「あっ!す、すみません!また私ひとりで……」


恥ずかしそうな、気まずそうな表情になる彼女に気にしなくていい、と声をかける。戦車好きの優花里にとっては最高の年越しだというのは想像に難くない。それをどうこういうのは無粋極まりないだろう。


「えっと……もちろん番組自体もそうなんですが……」


モジモジと指を動かしつつ恥ずかしげに目線をそらしつつ彼女は言う。


「こんな素晴らしい番組を貴方と……お付き合いしている男性と一緒に観ながら年越しできるなんて、夢みたいで……えへへ」


そこまで言った優花里だったが、すぐに表情を変えてこちらを見た。


「あのっ!退屈なら言って下さい!私ちゃんと録画もしてますし……貴方が他のを観たいって言うなら私は」

574名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/31(日) 17:21:28 ID:sTseySHg
最後まで言わせず彼女のモフモフとした癖っ毛をわしゃわしゃと撫でまわす。


「はわっ!?な、何をするんですか〜!?」


ひとしきりその感触を堪能した後、彼女の目をしっかりと見て伝える。

自分にとって一番大事なのは優花里が一緒で、そして笑顔を見せてくれることだ。だから何も遠慮なんてする必要はない。


「……!」


一瞬ポカンとした表情を見せた彼女だが、すぐに赤くなったままの顔で一瞬涙をぬぐうと、最高の笑顔を見せてくれた。



「了解です!不肖、秋山優花里!大好きな貴方のため、最高の年越しをさせていただきます!」

575名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/31(日) 17:22:31 ID:sTseySHg
短いけど書き納めということで

みなさん良いお年を。

576名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/31(日) 17:37:46 ID:ywQNjLhQ
いい!いい!

577名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/31(日) 17:38:23 ID:h4q0TBso
あぁ^〜

578名前なんか必要ねぇんだよ!:2017/12/31(日) 20:20:08 ID:aMPyEv4M
ヤンデレはいいぞ

579名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/01(月) 13:59:15 ID:E6f.CdDs
冷泉さんのお正月


「明けまして寝正月おめでとう」


……新年第一声がそれか。

1月1日、元旦の午後。ピンポーンという新年初チャイムに応えて玄関のドアを開けると、恋人である少女───冷泉麻子が立っていた。


「寒い。早く中に入れてくれ」


こちらの答えも待たずさっさと玄関に上がりこんできた。まあ拒否する理由もないのだが相変わらずのマイペースっぷりである。

彼女が適当に脱ぎ捨てたブーツを並べ直してからリビングに行くと麻子はすでにコートとマフラーを脱いでベッドに潜り込むところだった。

580名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/01(月) 14:01:53 ID:E6f.CdDs
「私は午前中おばあの相手をして疲れた。冬休みなのに早起きさせられて……」


聞いてもいないのに説明してくる彼女の言葉に相槌を打ちつつコートとマフラーをハンガーで壁にかける。まったく、何を着ても似合って可愛いのにどうしてこう色々と無頓着なのか。


「……新年早々そういうことを言うな。それよりほら」


こちらの言葉に照れたのか顔をわずかに赤らめつつ、ポンポンと自身のすぐ横───ベッドに空いたスペースを叩いてみせる。ベッド自体は一人用だが麻子が小柄なため二人で入ることは可能ではある。

本当は初詣に行こうとも考えていたのだが……こうなると彼女は絶対にそこから動かないだろう。

581名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/01(月) 14:02:38 ID:E6f.CdDs
「当たり前だ。大体今日はどこに行っても混んでるだろう。適当に空いてるときにすればいい」


まあ麻子の言うことももっともである。実際自分も彼女も人混みは苦手だ……というわけで早々に元旦初詣プランを破棄し、麻子の隣にお邪魔することにした。自分のベッドだが。


「それでいい」


満足気にそう言うと、麻子はすぐにこちらの腕の中に潜り込んで胸に顔を埋めた。片手で艶やかな黒髪を撫でつつ、もう片方の手で背中をポンポンと優しく叩く。


「スゥ……スゥ……」


ほどなくして安らかな寝息が聞こえてきた。寝顔が見えないのは残念ではあるが……その柔らかな感触と心地いい体温にこちらも眠気に襲われてきた。


「んぅ……」


瞼の重さに抗わず、麻子のすべてを感じつつ眠りに落ちていく。



────今年も、いい一年になりそうだ。

582名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/01(月) 14:03:36 ID:E6f.CdDs
新年初書きってことで短いですが

今年も宜しくお願いします

583名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/01(月) 14:53:25 ID:9ZpgSFb2
ああ^〜いいっすねぇ^〜

584名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/04(木) 14:21:21 ID:yv0mhQPw
いいゾ〜これ

585名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/10(水) 22:35:01 ID:XyfpEEJI
心配性な冷泉さん




「そういえばさ、麻子。彼のケガは大丈夫だったの?」


大学で講義の開始を待っていると、隣に座った沙織がこう言ってきた。……怪我?


「えっ!?聞いてなかったの!?あちゃー……悪いことしちゃったかな」


しまった、という顔をする幼馴染に私は詰め寄る。

どういうことだ。何の話だ。私は何も聞いていない。あいつに何があった。なんでお前が知っている。


「ちょ、ちょっと待ってって!順番に話すから!」


こちらを手で制しながら沙織は一度咳払いし、話を始めた。


「私も昨日たまたま帰りに会って話しただけだけど……バイトの帰りに車とぶつかっちゃったんだって」


その言葉に血の気が引くのを感じた。事故。交通事故。私の見ていないところで。


「まあ車は全然スピード出てなくて、彼も当たった拍子に転んで手首とか足を痛めただけって言ってたけど……」


怪我。あいつが。私の知らないところで。


「たぶん麻子に心配かけたくなくて黙ってたんじゃないかな。それに今日は彼、ちょうど講義ないから……ねぇ聞いてる?」


あいつは本当に大丈夫なのか。あいつは今どこにいるんだ。あいつは、あいつは、あいつは。

586名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/10(水) 22:36:35 ID:XyfpEEJI


「麻子!?どこ行くの!?もう講義始まるよ!?」


沙織の声を無視して私は駆け出した。鞄へ適当に突っ込んだ筆箱やノートが音を立てるが知ったことじゃない。

教室を飛び出して廊下を走る。すれ違う他の学生が驚き、奇異の視線を向けてくるが知ったことじゃない。

エレベーターを待たずに階段を駆け下りる。すれ違いざまにぶつかりそうになった女子生徒が文句の声をあげるが知ったことじゃない。

とにかく死に物狂いで走り続ける。日頃使わない筋肉が悲鳴を上げるが知ったことじゃない。

速く、速く、少しでも速くあいつのところへ。行く手を遮るすべてが忌々しい。


「はぁっ……はぁっ……!」


走りながら思考が勝手に回りだす。

私が傍にいれば事故を防げたんじゃないか。私が一緒にいればあいつは怪我をしなかったんじゃないか。私がいなかったから───。

フラッシュバックする、まだ小さかった頃の『あの記憶』。後悔と、悲しみと、そして───。

何が天才だ。私はまた同じ過ちを繰り返そうとしている。こんなことも防げない頭脳なんかに意味なんてないじゃないか。


「はぁっ、はぁっ……!うぅっ……!」


胸が締め付けられる。この痛みの原因は走っているせいか、それとも。

間もなく、あいつの住むアパートが見えてきた。

ここまでどうやって来たか覚えていないが、どうでもいい。そんなことはどうでもいい。今考えるべきはあいつの今の状態。


「ふぅっ……ふぅっ……!」


階段を上りながらも思考は止めない。

私はどうすればいい?まずは怪我の具合を見て必要なら病院に連れて行かないと。あとはバイトも大学もしばらく休ませないと。


「ふぅ……」


部屋の前までたどり着いた。思考は止まらない。

もうこんなことが起きないようにするにはどうしたらいい?もし次に事故が起きたら今度こそ取り返しがつかなくなるかもしれない。それを防ぐためには。


「……」


ドアノブに手をかける。鍵はかかっていなかった。思考は───。

事故が起こったのは私がいなかったからだとしたら。ずっと私が一緒にいれるなら。そのためには。

587名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/10(水) 22:37:33 ID:XyfpEEJI


「……」


声もかけずにドアを開け、部屋に上がる。

中ではベッドに寝転び携帯を見ているあいつがいた。部屋に入って来た私の存在に気付くとさすがに驚いた様子だった。

私にどうしたんだ、と声をかけながら立ち上がろうとしたその時、あいつの顔が苦痛に歪んでバランスを崩した。足の痛みのせいか。


「!!」


そのまま私に向かって倒れこんでくる。咄嗟に受け止めようとするが体格差のせいもあって受け止められず、後ろにもろとも倒れてしまった。


「……大丈夫か?」


背中に鈍い痛みを感じるが、もうどうでもいい。

思考は、止まった。

なるべく優しく頭をなでてやる。簡単なことだった。考えるまでもないことだった。


「もう平気だ。ああ、もう全部……」


理屈もなにもない。ただ、二人で部屋に、あるいは金庫に、あるいは檻に。入って錠をかけてしまえばいい。

そして、それを開ける鍵を捨ててしまえばいい。

ただ、永遠にふたりで一緒に───。

588名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/10(水) 22:38:34 ID:XyfpEEJI
というわけで麻子の何かでした
たまにはBAD風なのもいいよね

589名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/10(水) 22:41:23 ID:sMP8rQGU
あぁ^〜

590名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/11(木) 00:31:00 ID:iThzONeA
やりますねぇ!

591名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/11(木) 00:35:48 ID:mjXCgZ7Y
麻子が安心するには換金されるかシュワちゃん並のボディを手に入るしかなさそう

592名前なんか必要ねぇんだよ!:2018/01/16(火) 20:32:21 ID:/j6z/aXk
乙シャス!
みぽりんといい麻子といいガルパンのキャラってほんへのほのぼのっぷりに比べて闇が深いですよね

593名前なんか必要ねぇんだよ!:2021/03/26(金) 05:49:18 ID:GIWqLIGc
カトラス初登場が2017年!?うせやろ(驚愕)
最終章3話ようやく公開されたし続きが欲しくて狂いそう…!


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