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( ^ω^)百物語のようです2013( ω )
500
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 22:37:51 ID:ld6kgv1U0
最近ツンはとても怖い目にあった。それが幽霊に関係するものだったから、そんな噂がたっているクールに相談してみたのだった。
「最近、シャワーを浴びてると後ろに気配を感じるのよ。」
ツンがそう話を切り出した途端、さっきの言葉を突きつけられたのだった。
ξ; ゚⊿゚)ξ「やめてよ……これからシャワー浴びるとき上見れないじゃない…」
川 ゚ -゚)「まぁ、有名な話なんだけどね。それで?まさかそれだけじゃないよね?」
501
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 22:38:50 ID:ld6kgv1U0
ξ; ゚⊿゚)ξ「う、うん……、本題はここからなんだけどね」
そうしてツンは先週起きた事をクールに話し始めた。
1人暮らしの狭い部屋にはシャワーの音が響きやすい。一人である事を認識させるかのようだ。
502
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 22:39:37 ID:ld6kgv1U0
しかしツンは後ろに何者かの気配を感じていた。
ξ; ゚⊿゚)ξ「………だれ?」
振り向いても勿論誰もいない。
よくある話だ。
ξ ゚⊿゚)ξ「…早く寝よ」
シャワーから上がって、着替えていたらまた気配を感じた。
ξ; ゚⊿゚)ξ「………」
今度は無言で振り返る。
誰もいない。
ξ; ゚⊿゚)ξ「……疲れてるのよね」
そう自分に言い聞かせる事にした。
503
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 22:41:24 ID:ld6kgv1U0
TVを見ながら、ドライヤーで髪を乾かしていると
バヅンッ
ξ; ゚⊿゚)ξ「うあ〝っ!?何々?ブレーカー!!?」
ツンは真っ暗な部屋の中を、テレビの明かりを頼りにブレーカーを上げに行った。
ξ; ゚⊿゚)ξ「ドライヤー使ってるときは、他の電気を使わないようにしなきゃね…」
ブレーカーの下に椅子を立て、そこに上がり、ブレーカーに手を伸ばした。
ξ; ゚⊿゚)ξ「………なに…これ…」
髪の毛だ。
ブレーカーには大量の髪の毛が絡みついている。
504
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 22:42:34 ID:ld6kgv1U0
ゴリュッ、ガリガリ…ゴリュッ…
ξ; ゚⊿゚)ξ「ひっ!?」
シャワールームの方から骨と骨がこすれ合っているような音が聞こえる。
シャワールームを見ても誰もいない。
しかし音は止まない。
ぼどっ
なにかおちてきた
「ひぁ…あ……いやぁあああああああああああああああっっ」
ツンはその場で腰が抜けてしまった。
505
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 22:43:50 ID:ld6kgv1U0
首だ。
手もある。
まるで体はあるのに、首と手だけが姿を現しているかのような動きで、タイルを這って近づいてくる。
『ぎ…ぁが………』
ξ; ⊿ )ξ「ひぃ〝っ…!」
両手が前に出たら、今度は首がごきゃり、という音を発しながら前進してくる。
逃げなきゃ。
でも足が震えて…
腰も…
506
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 22:44:38 ID:ld6kgv1U0
水に濡れた手がツンの顔を乱暴に掴む。
大きく裂けた口が目の前でぱっくり開いたとき。
目の前が真っ暗になった。
507
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 22:45:56 ID:ld6kgv1U0
川 ゚ -゚)「んで…そこで気絶しちゃって、気が付いたらベットの上で、夢だったってオチ?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「うん、まぁ、ただの夢なんだけどね…怖くて……。」
ただの夢だと今でも本気で思っている。
自分に言い聞かしているだけかもしれないが、自分が気を失ったのは脱衣所だ。ベットの上じゃない。夢でしかありえないのだ。
508
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 22:46:38 ID:ld6kgv1U0
ξ ゚⊿゚)ξ「クーはどう思う?」
川 ゚ -゚)「うーん…本当に起きたことなんじゃないかな?」
ξ ゚⊿゚)ξ「え」
川 ゚ -゚)「首と手だけの幽霊なら、ツンの後ろにずっといるじゃないか。」
509
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 22:48:56 ID:ld6kgv1U0
おわり
(
)
i フッ
|_|
一応補足、テレビがついてるのはわざとです。
最初のろうそくのAAずれてすまなんだ・・・
510
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 22:52:07 ID:h.GZwhnY0
単純だけど怖い……乙
511
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:13:53 ID:d3t9MV8U0
19本目をいただきます。
.,、
(i,)
|_|
512
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )1/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:15:35 ID:d3t9MV8U0
自室の布団の上で目を覚ました。
暑そうな夏の日差しが部屋に入り込んでいたが、特に何も感じなかった。
私は身体を起こして部屋を見回した。
物が散乱しているのが見受けられる。長いこと放置していたのだろうか。
久しぶりに来たのだっけなと思い、記憶を辿ろうとしても何も思いだせなかった。
身体の動きは頗る鈍い。自分の身体が老体なので仕方ない面もあるが、それにしても辛い。
まるで外から糸か何かで操っているようだ。
ふと思い立って、自分の左腕を右手でつねってみた。やはり痛みは感じない。
暑さも痛みも感じない。なんということだ、これでは生きている心地がしない。
ひょっとしたら私の身体は既に死んでいるのではないか。
何かの拍子で霊魂だけが残り、腐った身体を操っているだけなのではないか。
だとしたら、さしずめ私はゾンビのようだ。
しかしいったいどうしてこのような状態で、私の霊魂はここに残ってしまったのだろう。
突然、手に何か触れた。
しかし見てみても何も無かった。
513
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )2/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:17:06 ID:d3t9MV8U0
幸い部屋の中で杖を見つけたので、それを支えにドアまで向い、階下へと向かった。
家の間取りはなんとなく憶えていた。ずっと昔に来たかのような遠い記憶として残っている。
そして私には妻と双子の息子がいたことも、徐々に思いだしてきていた。
階下には双子がいた。二人ともいる。
(;´_ゝ`)「……!」
兄者の方が私をみて目を見開いていた。なんだ、何をそんなに驚いているのだ。
私が死んでいることに気付いているのか。
もし何か知っているなら詳しく話を聞こうと思い、私は兄者の反応を待った。
(;´_ゝ`)「あ、あんた歩けたのか」
私は眉を顰めた。何を言っているのだろう。歩けなくなった覚えなどない。
だいたい歩けないならなんで二階で寝ていたんだ。降りれないだろう。
それに目の前でそんなことを言うなんて失礼じゃないか。
私は兄者がこれから何を言うのかを待った。
しかし結局兄者はそれっきり、台所の方へと帰って行ってしまった。
拍子抜けした私は次に弟者の方に顔を向けた。
彼はこちらを見ずに雑誌を読んでいる。
私は声を掛けてみようと思った。
514
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )3/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:18:28 ID:d3t9MV8U0
しかし、うまくいかない。
言葉にもならない音を出したところで、私は話すことの難しさに気付いた。
いったいどうしたというのだろう。身体の構造的に問題があるのか。
そういえば死体は内部から腐っていくと聞いたことがある。声帯がもう使い物にならないのかもしれない。
(´<_` )「……兄者、どうやらだめだったみたいだな」
弟者は雑誌を読みながらそう言っていた。台所の方から大きなため息が聞こえてくる。
私には意味のわからない会話であった。
食事の席へは弟者が案内してくれた。介護慣れした人の手つきだ。どこかで実践しているのかも知れない。
私もこう動きが悪いと要介護者と変わらないのだろう。とにかく援助があるのは助かる。
(´<_` )スンスン
弟者がしきりに鼻をひくつかせているのに気付いた。
私は顔をしかめた。匂いでも気になるのだろうか。嗅がれる側は決していい気持ではない。
しかし身体が腐っていれば当然か。
今は夏場だし、私がゾンビであることに双子が気付くのもそう遠い話ではないだろう。
椅子に座っていたら兄者の作った食事が運ばれてきた。
弟者と自分には質素な朝食が、そして私の前にはおかゆが運ばれてきた。
515
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )4/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:20:05 ID:d3t9MV8U0
私には食欲が無くなっていた。それにもし身体の内部が機能していないならば消化もできないだろう。
だからスプーンにさえも手をつけずにいた。
(´<_` )「さすがに食べないみたいだな」
( ´_ゝ`)チッ
舌打ち?
なんで舌打ちなどされなきゃならんのだ。
( ´_ゝ`)「……なあ弟者、母さんの命日って明日だよな」
(´<_` )「ああそうだ。ちゃんとお供えしないとな」
母さん、つまり私の妻のことだろう。
しかしいつの間に死んだというのか、私は全く知らなかった。
あれほど私のために尽くしてくれた良妻にはなかなか出会えないと思っていたのに、なんと惜しい。
それにしても、そんな妻の死のことも忘れているなんて。
私はよほどひどい記憶障害に陥っているのかもしれない。
(´<_` )「しかし兄者、父さんの前であんまり母さんの話はしてくれるな」
(;´_ゝ`)「ああ……悪い」
それは私に気を使ってということだろうか。
それにしては妙に違和感が残った。
516
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )5/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:21:17 ID:d3t9MV8U0
ややあって、兄者が新聞を広げてくれた。
私は目を細めて日付を確認した。
私の憶えている時とどれほどのずれがあるのか検証したかったのである。
そして驚愕した。
そこにある年号は、私の記憶にあるものより五年は先のものであった。
どうやら私にはここ五年の記憶がすっぽりと抜け落ちているみたいだ。
( ´_ゝ`)「それじゃあ弟者、じいさんの世話は頼んだ」
それから兄者は仕事へ向かった。
弟者は家に残っている。はて、二人とも職についていたはずだが。
妻が死んでから私の介護のため、会社を休んでいるのか。
弟者は私を自室へと案内した。
私は既に弟者の心の内が冷え切っていることを感じていた。
介護の腕はあってもこの態度ではあまり好ましく思えない。
いつからこんな子になってしまったのだろう。
昔は弟者も兄者ももっと快活で騒がしいほどの兄弟だったのに。
自室で私は横になった。
どうにも疲れる。本来動くべきでない身体を動かしているのだから当然か。
517
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )6/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:23:08 ID:d3t9MV8U0
双子のことが気にかかった。
あの二人は私が死体だと気付いていはいない。
しかし私の家族であるのだから、何かしら私について知っているはずだ。
五年間という長期の記憶が無い私だが、あの双子はその期間についても知っているだろう。
口でそれを聞きだすことができないのがもどかしい。紙に書こうともしたが、思うように手が動かなかった。
そのうち、視界がぶれ、全てが真っ暗になった。
気がつけば寝ていたらしい。すでに日が暮れていた。
私はゆっくりと起きた。身体の鈍さは変わらない。
昼食も省いてしまったが、特に問題はないだろう。
どうも視野が不安定だ。右目が開いていない気がする。
身体が不自由なのはしかたない。このままで耐えよう。
それにしても、弟者は昼食のために私を呼ばなかったのだろうか。
それに他の、排泄とか着替えとかもなされた様子はない。記憶もない。
これではあまりにも淡白じゃないか。老人に対してこの仕打ちはいかがなものか。
私の憤りは募っていった。
そのときまた腕に何か触れた。
できる限り急いで振り返ってもやはり何も見受けられなかった。
518
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )7/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:24:27 ID:d3t9MV8U0
私は再び階下に降りた。
すると、なんと弟者と兄者がそろって夕食を食べていた。
二人とも私を見て呆然としている。
(;´_ゝ`)「う、うわああああああ!!!!」
兄者が弾けるように叫んで立ちあがる。
そのまま台所まで行ってしまう。
壁の隅からこっそりとこちらの様子を伺っていた。
弟者も冷や汗を流しながら身構えている。
座りながら、その右手には強く橋が握られていた。
(´<_`;)「どうしてだ……」
弟者が恐ろしく低い声で呟いた。
どうしてだと?
食事のために決まっているだろう。自分たちだけで食べておいて私に出し忘れたなどとは言えまい。
519
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 23:25:37 ID:68AY/e1M0
橋握る弟者
ゾンビものか…
支援
520
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )8/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:26:04 ID:d3t9MV8U0
(;´_ゝ`)「……ど、どうやら危害はないみたいだな」
兄者がほっとした様子で言った。
(´<_`;)「ああ、やっぱり普通じゃないみたいだけど」
弟者は私を見つめながら苦々しそうな顔をしていた。
私がゾンビであることにようやく気付いたということだろうか。
それならそれで好都合だ。私の身に何があったのかわかるかもしれない。
それにしても、先程の態度はなんだ。
およそ親に向けていいものではないだろう。
人を珍獣か何かのように扱いおって。
(´<_`;)「まああの身体じゃどうせ動いたところで大したことないさ」
弟者の冷たい言葉。なんでこんなこと言われなくちゃならないんだ。
二人ともどうしてこんなになってしまったのだろう。育て方に不備でもあったのか。
私は沸々とした怒りのままに、弟者の頭部を睨みつけた。
521
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )9/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:27:44 ID:d3t9MV8U0
(;´_ゝ`)「弟者、父さん怒ってるみたいだぞ」
兄者がおずおずと言った。
弟者が鼻で笑う。
(´<_`;)「そんなはずあるか。もう何年も前からボケてるんだぜ?」
(;´_ゝ`)「確かに五年前からそうだけど……怒ったりは普通にするんじゃないのか」
(´<_`;)「そんな怒ったりする動機なんて、その場限りしか持ち合わせていられないさ」
ボケてる? 痴呆症ということか。
五年前からということは、私の記憶が無い時期と一致している。
なるほど、私は病気のために記憶を保持できない身体になっていたのだな。
だからゾンビとなった今思い返しても、思いだすことができずにいたのか。
合点がいくと同時に、兄弟への不信感が募っていった。
冷めた口調に対する苛立ちばかりではない。
522
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )10/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:29:07 ID:d3t9MV8U0
きっと私は生前痴呆症で、足腰も悪くなっていたのだろう。
それにもかかわらず部屋は二階である。私は閉じ込められていたんじゃないか。
階下にも降りれず、一緒に食事をとることもせず、いやひょっとしたら何日も放置されていたのかもしれない。
朝弟者が言っていたことを思い出す。
何かに失敗した。ひょっとして私を餓死にでもさせようとしたのか。
そして私の魂が双子を憎み、恨むためのこの世に留まったと。
あいにくその恨みを私がすっかり忘れていたから何をする気にもなれなかった。
しかし今なら気持が形成されてきている。
自然と杖を持つ手が震えてくる。
腕が何かに握られる感触があった。
先程から私に触れてくるやつか。
私は苛立って手を振り拒んだ。
なんださっきから、うっとおしい。
何かは知らないが私の邪魔はしてくれるな。
そう念じると感触は消えた。それっきり。
523
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )11/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:30:34 ID:d3t9MV8U0
(;´_ゝ`)「弟者、俺仏壇の方へ行ってくるよ」
(´<_`;)「命日は明日だぞ?」
(;´_ゝ`)「なんかいやな予感がするからさ」
それから兄者は席を立ち、食器を片付け始めた。終わってから仏壇へ行くということなのだろう。
私はふっと怒りが抜けた。そうだ、妻の仏壇をまだ見ていない。
この双子をどうにかしてやる前に挨拶くらいしておきたいものだ。そう思うと怒りは一応おさまった。
兄者が片づけを終え、奥座敷へと歩んでいく。
私もそれについていこうとした。
(´<_`#)「おい!」
弟者が突然叫ぶ。
驚いて弟者を見ると、これまで見たことないほど鋭い目で私を睨みつけていた。
524
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )12/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:32:07 ID:d3t9MV8U0
私は訝しんだ。弟者は私を止めようとしているのか。
なんでそんなことをする必要がある。私はただ妻の位牌を見たいだけだ。
それが夫と言うものだろう。どうして邪魔をする。
抑えていた怒りが瞬時に湧いてきた。
杖を握る手に力が込められる。
(´<_`;)「……っ、うう」
私の顔に恐れをなしたのか、弟者が呻いた。
心の隅に優越感が現れた。所詮わが子だ、父親には逆らえまい。
遠い昔に置いてきた純粋な支配欲。
時代錯誤と言われようとも私はその気持ちを根源に抱えて育ってきていた。
世の中を渡る上でひた隠しにしてきたが、もう限界が近い。
このように虐げられる現状があれば、その気持ちが湧いてくるのも無理はない。
私は杖をゆっくりと持ち上げようとした。
525
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )13/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:33:29 ID:d3t9MV8U0
( ´_ゝ`)「やめろ、弟者」
兄者が静かに言う。
私は腕を動かすのをやめた。杖の先だけが宙に浮く。
(´<_`;)「け、けど兄者!」
弟者は必死の形相で兄者に訴えかけていた。
兄者は首を横に振る。
( ´_ゝ`)「いいじゃないか。母さんくらいみせてやろう。
何かあったら弟者、お前が止めてくれ。俺も手伝うから」
弟者は何事か言いたそうに口を震わせていたが、反論はしなかった。
結局そのままテーブルに向き直った。食器を片づけるためだ。
私の杖を持つ手と背中を支える。介護の姿勢だ。
そのまま三人は奥座敷へと向かっていった。
526
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )14/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:35:13 ID:d3t9MV8U0
仏間に黒檀の仏壇があった。私も憶えている。先祖の位牌はそこに置かれていた。
そして記憶にない新しい位牌があった。それが妻のものなのだろう。
兄者が先頭に立ち、鈴を鳴らして、手を合わせる。
( ´_ゝ`)「……母さんが死んでから、もう一年になるよ。
母さんが服毒自殺したって連絡を受けて、急いでこの家に来た。
介護をまかせっきりにしていたのが悪かったんだと反省して、弟者と協力してじいさんを支えようと思った」
( ´_ゝ`)「でもすぐに、母さんが自殺した理由は別のところにあるとわかった。
父さんはすっかり変わってた。ボケが始まってて、いつも何かに憤ってて、ものすごくわがままな人になってた。
俺らは大人になってからの父さんしか知らなかったからさ、父さんがそうなっちゃうのを見ててショックだった。
そしてそんな父さんと結婚した母さんの受けたショックはもっとひどかったと思う」
( ´_ゝ`)「一年間耐えてみて、やっぱり俺らも限界が来た。
何を言っても父さんはすぐに忘れてしまうんだ、どんなに恨み事を言ってもけろっとしちまう。
それが一番つらかった。母さんが死んでいることさえ覚えてられないなんて」
527
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )15/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:36:16 ID:d3t9MV8U0
( ´_ゝ`)「だからかつて母さんが使った毒を食事に混ぜたんだ。それが昨日の話。
そしたらさ……なんでかわかんないけど、父さん元気になってやんの。もう意味分かんなくてさ。
急に歩けるようにもなってるし、毒なんて全然意味無かったし。嫌になるよ」
( ´_ゝ`)「でさ、昼間弟者が油断しているところを鈍器で殴って殺そうとしたらしい。
でもまだ生きてる。いや、たぶんあれはもう普通じゃない。だって、頭の右側が抉れてるんだもの。
きっと呪いとかそういう、人知の及ばないものだよ。俺たちじゃどうしようもない」
間をおいてから、兄者は嗚咽を漏らしだした。
苦しみに満ちた声が少しずつ発せられていく。
悲しみも怒りも、全てが混ぜ合わさった、ひどく聴き取りづらい声だった。
(#´_ゝ`)「どうして……どうして俺らはこんな目にあわなくちゃならないんだ!
俺らや母さんが何をしたっていうんだ! どうしてあいつを殺せない!!
どうして……どうして……ああ、せめてあいつにわかってほしい。忘れないように、その魂に、俺ら家族の恨みを刻みつけたい」
528
:
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )16/16
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:38:05 ID:d3t9MV8U0
兄者は仏壇の前に崩れ落ちた。
大人げない嘆きが仏間に響き渡っている。
その声が嗄れ、喉が腐り落ちようとも、彼は泣き続けるだろう。
私は腕が掴まれるのを感じた。
今までにないほどはっきりとした感触だった。
私はようやく理解した。
この光景を見ることこそが私の今いる理由なのだと。
そしてこの触れてくる者が誰なのかも、わかった。
私はもう、触れてくる手に刃向おうとはしなかった。
〜〜おわり〜〜
529
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:40:46 ID:d3t9MV8U0
(
)
i フッ
|_|
>>518
の13行目の弟者さんが橋握っちゃってる……指摘されて気付きました。
握ったのは箸でした。
530
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 23:42:39 ID:h.GZwhnY0
乙乙。可哀想なのは母か父か兄弟か……
しかし自殺したのが母者だと思うと違和感が拭いされないwwww
531
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 23:48:44 ID:NE1qcFrg0
おつ
ゾンビになったのが一番あかんかったのかな…
>>530
同じこと考えたわww母者と思ってしまうとどうしてもなww
532
:
名も無きAAのようです
:2013/08/11(日) 23:51:02 ID:4ajtcZlE0
父者の腕を握ったのは死神かなんかか?
うちの婆様もそうなっちまうんかなあ…
つ!
533
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/11(日) 23:55:07 ID:d3t9MV8U0
>>532
書いてるときは妻を想定していたけど、受け手次第かなとも思ってみたり。
母者のAAなんて使ってたらそれこそ別の意味での恐怖になりますね……ww
534
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:11:56 ID:AdtwW4/A0
二十本目いきます
.,、
(i,)
|_|
535
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:12:53 ID:AdtwW4/A0
lw´‐ _‐ノv「やぁ、ひさしぶりだね」
( ФωФ)「全くであるな」
白いワンピース、大きい麦わら帽子。
風になびく豊かな黒髪と、赤いリボン。
彼女に足は、ない。向日葵畑が彼女を透けて見えて、彼女は輪郭を取り戻す。
自分が目を細めると、彼女も目を細め唇で弧を描いた。
lw´‐ _‐ノv「こうしてまともに君と話せるようになって嬉しいよ」
( ФωФ)「それは吾輩の台詞である」
自分が言うと彼女は鈴を転がすような声で笑った。
そうだね、そうだねとひとしきり笑って空を仰ぐ。
lw´‐ _‐ノv「私は結局自分の足で立つことなく逝ってしまったね」
( ФωФ)「……致し方なかろう」
lw´‐ _‐ノv「今更身体について文句をいうつもりはないさ、こうして立つという視界を手に入れたことだし」
( ФωФ)「立っていると言っていいものかわからないが」
lw´‐ _‐ノv「浮いている、と言う方が正しいかな?
どちらでもいいだろう、私は今こうしているのだから」
彼女が生前こうして清々しい笑みを浮かべたことはあったのだろうか。
自身の記憶に問いかけるが思い当たらない。
記憶にある彼女は白い顔で俯いて、諦めの表情を浮かべているばかりだった。
唯一、双子の姉といる時は薄く笑っていたけれど。
536
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:13:58 ID:AdtwW4/A0
lw´‐ _‐ノv「……謝っておいてくれたかい?」
脳内に赤髪の、健康的な女性の姿が映る。
目の前の彼女が同じ顔を思い浮かべたのだと悟って、何をだと聞いた。
lw´‐ _‐ノv「これ、借りっぱなしだから。もう返せないけど」
帽子のつばを右手で握って、眉を下げる。
赤いリボンはお前の姉によく似合っていた。
そう言うとわかってるよ、と少し頬を膨らませた。
lw´‐ _‐ノv「すこし、憧れてただけ」
( ФωФ)「健康な姉に?」
lw´‐ _‐ノv「なんで私だけ、って思ったよ。
私が寝てても彼女は立って、走って、私が見れない景色を見てた。君もね」
( ФωФ)「……」
lw´‐ _‐ノv「ああ、恨み言を言いたいわけじゃないんだ。
私の身体がどうしようもないことなんてわかってたし。
君達は動けない私に世界を見せようとしてくれた。だから嫌いになんてなれなかった」
( ФωФ)「嫌いになっていた方がよかった、とでも言いたげだな」
lw´‐ _‐ノv「……その方が、楽だったのかもしれないと思わないでもないよ。
でも君達を羨ましいと思いこそすれ、憎めはしなかった。やっぱり、好きだったんだよ」
( +ω+)「……そうか」
お前の姉は、お前を亡くして以来泣いているのだと。
自分がお前の分の健康をうばってしまったのだと。
恨んでいるに違いないと、自責の念に駆られていることをお前は知らない。
知らせてどうなる。自分だから彼女に会えるのであって、彼女は姉には会えないというのに。
537
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:15:17 ID:AdtwW4/A0
lw´‐ _‐ノv「ねぇ、ここは綺麗なままだね」
彼女は振り返って言う。
向日葵が風に揺れて、黄色い花びらが舞った。
帽子のつばを抑えたまま、彼女は笑う。
lw´‐ _‐ノv「ここが好きだったんだ、ずっと来てみたかった」
( ФωФ)「綺麗だろう、吾輩が埋めたのだ」
lw´‐ _‐ノv「彼女と、でしょう。妙に見栄っ張りだね君は」
( ФωФ)「実質吾輩は手伝っただけなのだがな」
lw´‐ _‐ノv「だろうね。でも、綺麗だよここは」
彼女の人生の大半を過ごした部屋が見えた。
たった数メートル、彼女が移動しただけでとても珍しく見えるのはなぜなのだろう。
今そこでは姉が泣いているのだろう。白いシーツを握りしめて、肩を震わせているのだろう。
lw´‐ _‐ノv「向日葵が好きなんだ、彼女が初めてくれた花だから」
( ФωФ)「吾輩も渡したはずだが?」
lw´‐ _‐ノv「彼女の方がはやかった。初めて咲いたんだって、笑顔で持ってきてくれた。
私の髪に挿して似合うと言ってくれたよ」
( ФωФ)「結局二人で髪に飾ったまま寝たのだったか」
lw´‐ _‐ノv「そうそう、起きたら花びらが落ちちゃってて泣いたんだ」
彼女の手は向日葵を通り過ぎた。触れることが叶わなくなった身体に、溜息を吐いた。
これが見れるから夏は好きだったんだけどな。呟いた言葉は地に落ちた。
自分の方を向いて、彼女は笑う。
538
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:16:27 ID:AdtwW4/A0
lw´‐ _‐ノv「彼女は元気かい?」
本題に入ったと、思った。
彼女の癖は知っていた。言いにくい話題に入るとき、妙に話を変える。
そして自分は本題から逃げてはいけないともわかっていた。
( ФωФ)「……沈んでいる。お前が逝ってから、ずっと」
lw´‐ _‐ノv「笑っては、いないのかい?」
( ФωФ)「笑えるはずなかろう。彼女はお前に逝ってほしくなかった」
lw´‐ _‐ノv「無理だとも知っていたろうに」
( ФωФ)「……わかっていても、心が追いつかないのだろう。
吾輩は寄り添うことしかできん」
lw´‐ _‐ノv「笑顔が好きなんだけどね。沈んでいる顔なんて似合わないよ」
( ФωФ)「……そこには、同意しよう」
lw´‐ _‐ノv「……ああそうだ、この手があるじゃないか」
ひらめいた、という顔をして彼女は麦わら帽子からリボンを外す。
姉の髪に似た赤布を吾輩の首にかけて、よし、と笑った。
lw´‐ _‐ノv「伝えておいてよ、私は恨んでなんかないって。
これ持って行っちゃってごめんって。返すね、」
( ФωФ)「……名を、呼ばないのか?」
lw´‐ _‐ノv「嫌だなぁ、呼んだらこっちに来ちゃうかもしれないよ?
それに、そろそろ時間切れだ」
彼女が吾輩の頭を撫でて、感触が消えた。
目を開けると既に彼女の姿はなかった。首にかかる布だけが彼女のいた印だった。
向日葵畑に背を向けて、室内にはいる。
目指すは彼女のいた部屋、姉のいる部屋。
539
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:17:12 ID:AdtwW4/A0
:ノハ ⊿ ):
やはり泣いているのだな。
でも泣いてほしくなどないのだ。お前には笑顔が似合うと、妹の願いなのだ。
吾輩も、そうなのだ。寄り添うしかできない吾輩でもお前に笑ってほしいのだ。
呼びかける。少しの間を置いて彼女が振り返る。
泣きはらした目が吾輩を見る。見つめる。目を見開く。
少し痩せた手が伸びる。赤いリボンに触れる。握りしめる。
声にならない声が、喉から漏れる。嗚咽。また新たな涙が浮かんで落ちる。
不器用な刺繍を指でたどる。白糸のそれは、彼女の置き土産なんだろう。
それを読んで、また泣くのだ。それが後悔ではなく懺悔でなく、救われた涙であればいいと思う。
そしていつか、またお前と向日葵を笑って見ることができたのなら。
流れるはずのない涙が、流れた気がした。
( ФωФ)君へ、のようですlw´‐ _‐ノv
540
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:17:54 ID:AdtwW4/A0
(
)
i フッ
|_|
自分で思ったんだがこんなのシュールじゃねぇ
541
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:19:54 ID:ldzJ7e1g0
乙
悲しいな…
542
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:24:08 ID:q3OOcQ860
乙!
哀愁のあるかんじがシューさん似合うよねえ
543
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:25:24 ID:qi5H0aiEO
乙乙
テンポいい文章で読みやすくて切なくていいな
21本目いきまっす
.,、
(i,)
|_|
(´・ω・`)滴るようです
544
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:26:57 ID:qi5H0aiEO
ヴィップ川には子供の幽霊がいるんだよ──
ショボンの通う小学校で、そんな噂が流行った。
(´・ω・`)「幽霊?」
( ・∀・)「おう。20年……30年だったっけ?
そんぐらい昔に、あの川で死んじゃった子がいるんだって」
(´・ω・`)「溺れたの」
( ・∀・)「そうだろうね。それ以来、その子の霊がヴィップ川に出るとか何とか」
昼休み。5年生の教室。
ショボンは友人から、件の噂話を聞かされた。
5時間目の算数の宿題をすっかり忘れてきてしまったショボンとしては、
休み時間の内に宿題をでかしてしまいたい。
だから本当は、友人の話を聞いている暇もないのだけれど。
身を乗り出させ、友人はにんまり笑った。
面白いのはここからだ、と言わんばかりに。
545
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:27:54 ID:qi5H0aiEO
( ・∀・)「でさ、でさ、その幽霊な、たまに『ついてくる』んだって」
(´・ω・`)「?」
ショボンは、鉛筆を走らせる手を止めた。
嫌いな算数のプリントよりは、やはり、怖い話の方が気になる。
( ・∀・)「えっとな、ほら、ヴィップ川ってすぐそこじゃん。
だから登下校で川の前を通るやつ多いだろ?」
(´・ω・`)「うん」
( ・∀・)「夕方、1人で下校してる奴の後をな、幽霊がついてくるんだってさ」
(´・ω・`)「……うん?」
( ・∀・)「このとき、振り返っちゃいけないらしい」
(´・ω・`)「なんで?」
( ・∀・)「振り返らずに歩いてれば、家に着くまでの間に幽霊はいなくなる。
でも途中で振り返れば──」
546
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:28:33 ID:qi5H0aiEO
( ・∀・)「……わーっ!!」
(;´・ω・`)「わあっ!!」
突然大声で掴みかかられ、ショボンは後ろへ倒れそうになってしまった。
友人がげらげら笑う。
睨むショボンに、友人は笑いながら謝った。
と、そのとき。
( ・∀・)「あ」
(´・ω・`)「あ……」
予鈴が鳴り響き、午後の授業開始の5分前を告げた。
*****
547
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:29:56 ID:qi5H0aiEO
5分で宿題は完成させられず。
しかも他の授業で提出しなければならなかった漢字ドリルも忘れていたため、
罰として、居残りでプリントをやる羽目になってしまった。
(;´・ω・`)(うう……モララーのせい……じゃないか……。自分が悪い……)
ショボンはあまり頭が良くない。
プリント3枚を解くのにもだいぶ時間が掛かってしまい、
ようやく帰れるようになったのは、生徒のほとんどが下校した後であった。
夕日が照らす通学路。
ショボンは1人、とぼとぼと歩いた。
たまに自転車に乗った大人などとはすれ違うが、
ショボン以外の子供は見当たらない。
(´・ω・`)(……川)
ヴィップ川の前に差し掛かる。
昼休みに聞いた話を思い出し、自然と足が速まった。
──噂は噂。信じる必要はない。
そう自分に言い聞かせても、怖いものは怖い。
背中のランドセルがずっしり重くなったような心持ちに、溜め息が漏れる。
早く帰ろう。
俯きながら歩く。
548
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:31:13 ID:qi5H0aiEO
さらさら。川の流れる音。
かたかた。ランドセルが揺れる音。
ごとごと。線路を踏みつける電車の音。
──ひたり。
水が地面を叩くような音が混じった。
ショボンの足が止まる。
ひた、ひた。
背後から聞こえる。
ショボンの脳裏に過ぎるのは、やはり怪談。
( ・∀・)『夕方、1人で下校してる奴の後をな、幽霊がついてくるんだってさ』
ショボンはそろそろと歩いてみた。
それに合わせて背後の音も近付く。
鼓動が激しくなり、勝手に呼吸が乱れた。
顔を後ろに傾けかけて、何とか思い留まる。
549
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:32:38 ID:qi5H0aiEO
( ・∀・)『振り返らずに歩いてれば、家に着くまでの間に幽霊はいなくなる。
でも途中で振り返れば──』
振り返ってはならない。
ランドセルの肩ベルトを握りしめ、ショボンは歩き続けた。
音はついてくる。
徐々に、徐々にではあるが、近付いてきているようにも思えた。
ひたひた。
ぺた。ぺた。
まだ消えない。
どこまでだ。
どこまで歩けば消える?
そろそろ家が近い。
このまま家に着いたらどうなる?
550
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:34:40 ID:qi5H0aiEO
(;´・ω・`)(──本当に……)
本当に、いずれ消えるのだろうか。
放っておいて、いいのだろうか。
ひたり。
ぴちゃん。
ああ、また近付いた。
もし、家に到着するまでに、すぐ後ろにまで迫ってきたら。
呼吸が一層荒くなる。苦しい。
怖い。
怖い。
そうだ。
勘違いかもしれない。
幽霊ではないのかもしれない。
幽霊かもしれない。
見れば分かる。
見てはいけない。見なければいけない。
怖い。どうしよう。振り返ろうか。駄目だ。けれども。
足を止める。
一呼吸。
ショボンは、体ごと後ろを向いた。
551
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:35:42 ID:qi5H0aiEO
子供が立っている。
夕日を背にしているため、シルエットしか分からない。ショボンよりは背が低い。
そのシルエットから、ぽたぽたと水が滴り落ちていく。
〈……おにいちゃん……〉
声。
ごぽり、あぶくが立つような音と共に、小さな子供の声がした。
その瞬間だけ、滴る水の量が増えた。
すぐさまショボンは駆け出した。
必死に走っていたため、例の音が後をついてきていたかどうかは覚えていない。
丁度帰宅したところだった父と玄関先で顔を合わせたとき、安堵で少し涙が出た。
*****
552
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:36:40 ID:qi5H0aiEO
夜になり、日付が変わってもショボンは眠れなかった。
夕方に見たものの正体を考えては、全身が恐怖に包まれ、足元と背中が冷える。
(;´・ω・`)(振り返ったら……どうなるんだろう……)
振り返ってしまった。
何が起きるのだろう。
しかし、もしかしたら、逃げたおかげで助かったかもしれない。
そう。きっと自分は逃げられたのだ。
大丈夫。怖くない。大丈夫。大丈夫。
布団の中で丸まり、自身に言い聞かせる。
それでも胸はどきどきするし、眠気も来ない。
しばらくして、尿意を覚えた。
迷う。そうこうする内に我慢出来なくなり、ショボンはベッドから下りた。
部屋を出て、廊下や階段の明かりを全て灯しながら1階のトイレへ向かう。
両親は既に眠っているようだった。
553
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:37:46 ID:qi5H0aiEO
(;´・ω・`)(早く戻ろう)
さっと用を済ませたショボンは、手を軽く洗い、水気を拭いもせずに廊下へ出た。
1階の廊下の電気を消す。
階段を上ろうとしたとき、ひたり、音がした。
体が固まる。
それは背後──玄関から聞こえた。
〈……おにいちゃん……おうち入れて……〉
ドアを挟んだ向こうから、か細い声。
ショボンは階段を駆け上り、明かりを消さないまま部屋に飛び込んだ。
布団に包まり、がたがた震える体を抱き締める。
〈おにいちゃん、おにいちゃん……〉
部屋の窓の外から声がしても、窓を叩く音がしても、ショボンは動かなかった。
窓の外に、人が立てるような足場など無いと分かっていた。
*****
554
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:39:39 ID:qi5H0aiEO
朝、母が起こしに来るまでショボンは眠らなかった。
急かされるまま服を着替え、ランドセルに教科書を詰め、1階のリビングで朝食をとった。
昨夜のことを母に話すかどうか悩み、諦めた。
夢だと一蹴されて終わるだろう。
トーストを齧りながら、ショボンは何気なく庭へ続く掃き出し窓を見た。
口からトーストが落ちる。
庭の片隅に少年がいた。
全身ずぶ濡れで、水気をたっぷり含んだ青白い体は一部が崩れている。
膨れた瞼で半分隠れた目が、ショボンを見つめていた。
悲鳴をあげ、ショボンは台所の母のもとへ駆け寄った。
('、`*川「どうしたの」
問い掛ける母に答える余裕もない。
窓の方を指差しても、母は「外に何かあった?」と訊ねるだけ。
恐る恐るショボンも見てみたが、あの少年はいなくなっていた。
ごみを出しに行くという母と共に家を出て、ごみ捨て場で母と別れたショボンは
近所に住むクラスメートと登校した。
びくびくしながら何度も振り返ったが、少年はついてきていなかった。
555
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:40:55 ID:qi5H0aiEO
(´・ω・`)「──モララー」
( ・∀・)「おはようショボン。どうした?」
学校に着き、ショボンはいの一番に友人へ声をかけた。
逡巡し、自分の身に起きたことは隠して「噂」の話題を振る。
(´・ω・`)「昨日の……ヴィップ川の幽霊の話。
あれって、振り返っちゃったらどうなるの?」
( ・∀・)「あれか? ううん……ごめん、分かんない。
俺は、振り返っちゃいけないとしか聞いてないや。──貞子!」
友人が、少し離れた席に座る女子生徒の名を呼んだ。
女子生徒は立ち上がり、ショボン達の方へやって来る。
川д川「なあに?」
( ・∀・)「おまえ怖い話好きだろ?
あのヴィップ川のやつってさあ、何で振り返っちゃ駄目なの?」
顎に手をやり、女子生徒が唸る。
「たしか」、と前置きをして、口を開いた。
川д川「振り向けば、家にまでついてきちゃうんだったかな……」
( ・∀・)「そんだけ?」
556
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:42:41 ID:qi5H0aiEO
川д川「幽霊を連れ帰っちゃった子は、自分で家の窓や玄関を開けちゃいけないんだって。
幽霊を招き入れちゃうから。
家族が開けてくれるなら大丈夫らしいよ」
( ・∀・)「幽霊が家に入ったらどうなるんだ? そのあと殺されちゃったり?」
川д川「さあ。でも良くないことは起きるんじゃない?」
はっきりしねえなあ。友人が口を尖らせる。
女子生徒は僅かに楽しそうな顔をして、「そもそも」と話を続けた。
川д川「昔ね、この学校に通う兄弟が
大雨の日、下校のときに喧嘩しちゃったんだって」
川д川「それでお兄さんが弟を河川敷に置いて『絶対ついてくるな』って言って、
お兄さんだけ1人で帰ろうとしたんだけど……」
川д川「何度も弟がついてくるから、その度にお兄さんが弟を河原に戻して、
またついてきたら怒って河原に戻すっていうのを繰り返して──」
川д川「ついにお兄さんが弟を川に突き飛ばして、走って家に帰っちゃったの」
( ・∀・)「ひでえなあ。俺は弟にそこまで出来ないや」
557
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:44:13 ID:qi5H0aiEO
川д川「それから夜になっても弟が帰ってこなくて……
結局、川をずっと下ったところで弟の死体が見付かったんだって」
川д川「大雨だったから、川の水が増えて流れも速くなってたみたい」
( ・∀・)「それから幽霊が出るようになったのか?」
川д川「って聞いた。
だから幽霊は、お兄さんを追ってるつもりでついてくるんじゃないかなあ」
( ・∀・)「ふうん……。でも何で振り返ったときだけ、家までついてくるんだろ」
川д川「私はお姉ちゃんからこの話を聞いたんだけど、お姉ちゃんが言うには──
弟がついてくる度にお兄さんは怒って河原に戻してたってことだから、
『ついていく→振り返る』っていうのが、幽霊にとっては『お兄さん』の行動にあたるんじゃないかって」
( ・∀・)「あ、じゃあ、振り返らずに無視し続けてりゃ、幽霊は
これは兄ちゃんじゃないなって思って諦めるわけだ! なるほどな」
558
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:44:45 ID:qi5H0aiEO
川д川「本当だか分かんないけどね……。
……ショボン君、顔色悪いよ? 具合悪い?」
(;´・ω・`)「え……。……う、ううん、何でもない……」
始業のベルが鳴り、各自が席に着く。
ショボンは机の上を見つめたまま、ぐちゃぐちゃに絡まる思考を整理した。
整っていく度に、背筋が凍る。
少年は「おにいちゃん」と言った。
「おうちに入れて」と言った。
昨日は父、今朝は母がたまたま玄関のドアを開けてくれたが、
もしもショボンが開けていたら──
*****
559
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:46:26 ID:qi5H0aiEO
その日帰宅したショボンは、玄関のチャイムを鳴らして母にドアを開けてもらった。
家に入る間際、庭の隅で何かが動いたのが見えた。
そうして、夜。
部屋の電気をつけたままベッドに入ったショボンは、
ぎゅっと目を閉じ眠りにつくのを待った。
昨夜寝られなかった分、眠気は充分にあった。
それでも、どうしても意識が深いところまで落ちていかない。
やがて、また水音が聞こえ始めた。
ひた。
ひたひた。ぴち。ぴちゃ。
ぽたり。
滴る音は家の周りを回っている。
布団を頭まで被っても、しっかり聞こえてくる。
〈おにいちゃん〉
ああ。声が。
布団の端を握り締めるショボンの手に、いっそう力が篭る。
指先が痛むほどだった。
560
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:47:49 ID:qi5H0aiEO
〈おにいちゃん……おうち入れて……〉
枕カバーを噛み、耐える。
あちこちで聞く怖い話だと、みんな、気絶して朝を迎える。
なのにどうして自分は気絶出来ないのだろう。こんなに怖いのに。ずるい。酷い。
〈……おにいちゃん……〉
(´;ω;`)「──あっち行け!!」
布団の中から、ショボンは叫んだ。
窓の外の声が止む。
(´;ω;`)「か、か、川に戻れよお!! ついてくるな! 家に入るな!
お前なんかずっと川にいろ!!」
それが精一杯だった。
もう威勢のいい言葉が出てこなくて、声を殺して泣いた。
外からは、声も音もしない。
そうして──いつの間にか眠っていたショボンは、母によって目を覚ました。
561
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:48:52 ID:qi5H0aiEO
以来、少年を見たり、音を聞いたりすることはなかった。
本当に川へ戻ったのかもしれない。
それでもショボンは用心して、自分でドアや窓を開けないようにした。
帰宅が遅れたときにはヴィップ川の傍を通らないようにも心掛ける。
そうして1ヶ月ほども経てば、恐怖心は薄らいでいった。
562
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:51:13 ID:qi5H0aiEO
ある休日。
1人で留守番をしていたショボンに、母から電話があった。
『雨が降ってきたから、庭の洗濯物、取り込んでおいてくれる?』
(´・ω・`)「はーい」
掃き出し窓から庭に出て、物干し竿から衣類を外して籠に入れる。
全て取り終えたショボンは、ふと、怪談を思い出した。
窓を開けてしまった。
慌てて辺りを見渡す。誰も、何もいない。
ほっとしながらリビングに上がった。
窓を閉めると同時に、雨の勢いが増した。
ざあざあと激しく降る雨。
庇から滴る水が、ぽたぽた落ちて弾けていく。
ひたり。
背後から、雨とは違う音がした。
563
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:52:19 ID:qi5H0aiEO
〈オニイチャン〉
.
564
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:52:20 ID:O97Yz4QY0
うぎゃぁぁぁぁ
565
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:53:37 ID:qi5H0aiEO
おわり
(
)
i フッ
|_|
まぜこぜブーンの以下略その3
566
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:55:53 ID:pkNmYIL60
幽霊相手に気を抜くのはもう死亡フラグだな
567
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:56:28 ID:NHi49Axs0
あぁ
568
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:57:48 ID:ldzJ7e1g0
乙
振り返るなと言われたら振り返りたくなるよね
.,、
(i,)
|_|
22本目行きます
569
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 00:59:23 ID:ldzJ7e1g0
今は昔、今より400年くらい前の昔。
日本によく似た国の
江戸時代によく似た江江時代。
小さな村の小さな家の話。
(´<_` )「おはよう妹者、兄者は?」
l从う∀・ノ!リ人「…うーん、お布団にはいなかったのじゃ」
(´<_` )「また書庫に篭ってんのか…あんな古書ばかりのところに何故…」
l从・∀・ノ!リ人「きっと涼しいからなのじゃ」
妹者は寺子屋へ行く準備をする。
(´<_` )「さ、今朝は豪華だぞ、妹者。港町に嫁いだ姉者から新鮮な魚を届けてもらったからな」
l从・∀・*ノ!リ人「わーい!」
妹者が魚の乗ったちゃぶ台の前に座る。
見たことも無い珍しい魚、イカ、ウナギ…たくさんの海の幸が並んでいた。
570
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:00:29 ID:ldzJ7e1g0
(´<_` )「あ、妹者。起きてたら兄者呼んで来い」
l从・∀・ノ!リ人「寝てたら?」
(´<_` )「…あいつ人に起こされると機嫌悪くなるからいいや、寝てたらほっとけ」
l从・∀・ノ!リ人「りょーかいなのじゃ!」
妹者は土間の床の扉を開き、書庫へ向かう。
l从・∀・ノ!リ人「兄者ー」
妹者は慎重に書庫への梯子を降りる。
書庫の中心に兄者はいた。
( -_ゝ-)zzz
l从・∀・;ノ!リ人「……ありゃりゃなのじゃ」
l从・∀・ノ!リ人o0(確かに書庫は涼しいのじゃ…)
妹者は周囲を見回し古びた猫の毛まみれの着物を見つける。
l从・∀・ノ!リ人o0(風邪ひかないように…)
妹者は寝てる間に布団を蹴飛ばした時に弟者がしてくれたように兄者に着物をかけた。
l从^∀^ノ!リ人「よし!」
( -_ゝ-)zzz
571
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:01:21 ID:ldzJ7e1g0
(´<_`;)「やっぱ寝てたか、じゃあ後で用意するか」
l从・∀・ノ!リ人「お先にいただきます、なのじゃ!」
(´<_` )「そうだ、姉者から手紙もあったぞ。向こうで嫁姑問題も無く、夫婦仲良くしてるから心配ないってさ。後で返事書こうな」
l从・∀・ノ!リ人「はーいなのじゃ!!」
l从・∀・ノ!リ人「…久々に姉者に…会いたいのじゃ…」
(´<_` )「……」
(´<_` )「…あ、あと…掲示板によるとまた化け猫が現れたそうだ」
572
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:01:57 ID:KqyVfKiY0
どんどん本数増えるな…どれも面白くてF5連打が止まらんぜ
573
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:03:27 ID:ldzJ7e1g0
化け猫。
それは長く生きた猫がなると言われ、この村の家に勝手に忍び込み、魚を食い荒らし、鼠の死骸を置いて行く害獣。
被害者の一部は障子に影に猫の耳や尻尾が写り込むのを見ているので発覚した。
最近そんな事件が村の唯一の情報源である掲示板を毎日のように賑わせた。
(´<_` )「化け猫が出てから長く生きた猫は殺生する村のおきてが出来たのは覚えてるか?」
l从・∀・ノ!リ人「…覚えているのじゃ…しぃちゃんとこのでぃちゃんも…」
(´<_` )「特にうちみたいに拾ってきた猫は拾う前にもう長く生きてるかもしれないってことで問答無用で殺されるからな。
あんまりうちが猫飼ってることは外で言うなよ」
l从・∀・ノ!リ人「わかってるのじゃー!!」
l从・へ・ノ!リ人「でも酷い話なのじゃ!流石家の躾を受けた猫がそんな悪さなんかするわけないのじゃ!!」
(´<_` )「ははは、そうだな」
(´<_` )「じゃ、食い終わったらすぐ寺子屋行けよ、遅刻するぞ」
l从・∀・;ノ!リ人「あ!!」
574
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:04:26 ID:ldzJ7e1g0
寺子屋にて。
( ^Д^) 「皆さんおはようございます」
(*゚ー゚) l从・∀・ノ!リ人*(‘‘)*「「「おはようございます!!」」」
( ^Д^) 「早速、教科書を読みましょう、流石さん」
l从・∀・ノ!リ人「はーい!!」
575
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:05:05 ID:qi5H0aiEO
妹者かわいい支援
576
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:05:19 ID:ldzJ7e1g0
( ^Д^) 「今日は以上です。あ、流石さんは残ってください」
l从・∀・ノ!リ人「?はーい!!」
(*゚ー゚) 「……」
577
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:06:15 ID:ldzJ7e1g0
l从・∀・ノ!リ人「先生まだかなー?」
(*゚ー゚) 「妹者ちゃん?」
l从・∀・ノ!リ人「あれ?しぃちゃんどうしたのじゃ?今日は居残りだから一緒に帰れないのじゃよ?」
(*゚ー゚) 「……タカラ先生には気をつけてね」
l从・∀・ノ!リ人「へ?」
(*゚ー゚) 「じゃあね」
l从・∀・ノ!リ人「???」
( ^Д^) 「さあ、妹者ちゃん行こうか」
l从・∀・ノ!リ人「あ、はい!なのじゃ!!」
578
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:07:12 ID:ldzJ7e1g0
l从・∀・ノ!リ人「先生、いいのじゃ?妹者だけ特別にあんみつなんか奢っちゃって」
( ^Д^) 「いいんだよ、別に…それより妹者ちゃん、先生の家に来ないかい?」
l从・∀・ノ!リ人「あ、ごめんなさいなのじゃ。弟者に知らない人の家に行かないって言われてるのじゃ」
( ^Д^) 「先生は知らない人かい?」
l从・∀・ノ!リ人「…あ!知ってる人なのじゃ!」
( ^Д^) 「じゃ、行くよ?」
579
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:08:21 ID:ldzJ7e1g0
l从・∀・ノ!リ人「お邪魔しまーすなのじゃ…」
( ^Д^) 「じゃ、お茶淹れてくるね」
l从・∀・ノ!リ人o0(お布団とタンスと襖だけなのじゃ…)
l从・∀・ノ!リ人o0(今朝見たイカと同じ匂いがするのじゃ…)
l从・∀・ノ!リ人「…座布団無いからお布団に座らせてもらうのじゃ」
ぽふん
l从・∀・ノ!リ人「?布団の下が固いのじゃ?」
l从・∀・ノ!リ人「布団の下に何かあるのじゃ!」
l从・∀・ノ!リ人「…本?」
ペラリ
l从・∀・;ノ!リ人「!?」
さっ
l从・∀・;ノ!リ人o0(とりあえず元に戻して…)
l从>へ<;ノ!リ人o0(早く帰るのじゃ!!)タッ
ドン
580
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:09:12 ID:ldzJ7e1g0
(;^Д^) 「あれ、妹者ちゃん?!」
l从・へ・;ノ!リ人「ごめんなさいなのじゃ!!やっぱり早く帰らなきゃなのじゃ!!」
( ^Д^) 「……」
チッ
581
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:10:02 ID:ldzJ7e1g0
l从・∀・;ノ!リ人「ハァ、ハァ、ハァ…」
l从>へ<;ノ!リ人「ただいまなのじゃ!!」
(´<_`;)「お、おかえり…どうしたんだよ…そんなに急いで…」
( ´_ゝ`)モグモグ
妹者が家に帰ると弟者が洗濯、兄者が遅い朝食を食べていた。
l从・∀・;ノ!リ人「な、なんでもないのじゃ!!」
l从・∀・;ノ!リ人「ちょ、ちょっと走ったら疲れたから夕ご飯まで寝てるのじゃ…夕ご飯に起こして欲しいのじゃ…」
(´<_` )「わかった。お勉強疲れたのか?ゆっくり休めよ。布団敷くか?」
l从・∀・;ノ!リ人「そ、それくらい自分でできるのじゃー!!じゃ、おやすみなさいなのじゃ!!」
妹者が寝室の障子を閉め、布団を敷く。
l从-∀-;ノ!リ人「…はぁ」
そして眠りについた。
582
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:10:14 ID:AdtwW4/A0
タカラてめぇってやつは
583
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:11:05 ID:ldzJ7e1g0
夜。
l从・∀・ノ!リ人o0(……昼間寝ちゃったから眠れないのじゃ)
l从-∀-;ノ!リ人o0(しかも…暑くて寝苦しいのじゃ…)
l从・∀・ノ!リ人チラリ(-<_- )zzz
妹者は弟者が寝ているのを確認するとこっそり部屋を出た。
584
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:11:59 ID:ldzJ7e1g0
l从・∀・ノ!リ人「…やっぱりここは涼しいのじゃ」
妹者は書庫に来た。
( -_ゝ-)zzz
l从・∀・ノ!リ人=3「……もー、しょーがないのじゃ!」
妹者は朝の様に兄者に着物をかける。
l从・∀・ノ!リ人「…眠っている兄者になら…話してもいいはずなのじゃ…」
l从・∀・ノ!リ人「あのね、兄者。今日タカラ先生の家に行ったのじゃ」
l从・∀・ノ!リ人「行ったら…先生の布団の下に本があったから開いてみたら…」
l从 ∀ ノ!リ人「…小さな女の子の裸の…浮世絵があって…」
l从;∀;ノ!リ人「そ、それが…グスッ…しぃちゃんに似てて……グスッ」
( -_ゝ-)zzz
l从;へ;ノ!リ人「ヒック…ヒック…」
暫く妹者は人の居ない書庫で静かに泣いた。
585
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:13:12 ID:ldzJ7e1g0
l从・∀・。ノ!リ人「…泣いたら…少し楽になったのじゃ……グスッ」
l从-∀-ノ!リ人「…疲れた…のじゃ…」
l从-∀-ノ!リ人「……スー…スー…」
妹者が泣き疲れて書庫で寝てしまった。
( -_ゝ-)
( ´_ゝ`)パチッ
( ´_ゝ`)「フーン、なるほど。タカラ先生、ねぇ」
( ´_ゝ`)「よいしょ」
兄者は妹者を抱きかかえ、書庫の梯子に向かう。
586
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:14:13 ID:ldzJ7e1g0
l从-∀-ノ!リ人zzz
「妹者、起きなさい」
l从う∀・ノ!リ人「ん…んーん?」
l从・∀・ノ!リ人o0(あれ…妹者…いつ布団に戻ったっけ…?)
(´<_` )「仕事休みとれたから妹者も寺子屋休むぞ」
l从・∀・ノ!リ人「え、ど、どうして休みなんかとったんじゃ?」
(´<_` )「…姉者に会いたいんだろ?」
l从・∀・*ノ!リ人「!!うん!!」
(´<_` )「さ、お返事のお手紙持って行くぞ」
l从・∀・ノ!リ人「はーいなのじゃ!!!」
587
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:15:16 ID:ldzJ7e1g0
l从・∀・ノ!リ人「あれ、兄者はー?」
(´<_` )「寝てるからいいよ、どうせ顔見たらすぐ帰るし。ご飯置いとけば大丈夫」
l从・∀・ノ!リ人「じゃ、兄者が起きてる時にまた行くのじゃ!」
(´<_` )「ああ、そうだな」
l从・∀・ノ!リ人「兄者ー、お家ー、いってきますなのじゃー!」
(´<_` )「いってきます」
二人が家と兄者に出発の挨拶をする。
588
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:16:11 ID:ldzJ7e1g0
( ^Д^) 「…行ったか」
その様子を一人の男が影で見ていたのを知らずに。
589
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:17:21 ID:ldzJ7e1g0
( ^Д^) 「こんな村外れに住んでて良かったよ、あの子が。一々夜に身を潜めて忍び込むの辛いんだよなぁ」
タカラが鍵をこじ開ける。
( ^Д^) 「開いた、開いた」
膨らんだ風呂敷を慎重に持ち、忍び込む。
( ^Д^) 「よし、入口に早速ばら撒くか」
風呂敷の中には鼠の死骸で溢れていた。
タカラはそれを入口に撒く。
( ^Д^) 「よし」
そしてタカラは台所を物色する。
( *^Д^) 「お!ウナギみっけ!!イカもあるぜ…なんだ?!この魚!!めっちゃ高級そう…台所にあるくらいだから食えるよな…貰おう」
タカラは先程とは別の風呂敷を広げ、海の幸を包む。
すると、
シャン
(;^Д^) 「!?す、鈴の音?!誰かいるのか?」
( ´_ゝ`)「はい、おりますが」
(;^Д^) そ「うわあああ?!」
( ´_ゝ`)「うっさ…」
590
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:18:19 ID:ldzJ7e1g0
(;^Д^) 「あ、失礼しました…妹者ちゃんの保護者様でしたか…」
(;^Д^) o0(しかし…足音が一切しなかった…いつの間に…)
( ´_ゝ`)「…逆かな」
( ^Д^) 「しかし…先程出かけたのでは?」
( ´_ゝ`)「よく知ってんな」
(;^Д^) ドキッ
( ´_ゝ`)「俺は留守番だから」
( ^Д^) 「はぁ…そうですか…滅多に妹者ちゃんが休むことなんて無いので驚きました」
( ´_ゝ`)「タカラせーんせ、今日はお仕事は?」
( ^Д^) 「あ、うちの寺子屋はうちの寺の僧が交代で先生やってるんで今日はボク、休みで…」
( ^Д^)
( ^Д^) 「なんで俺がタカラってわかった?」
兄者がにいっと笑う。
( ´,_ゝ`)
591
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:19:18 ID:ldzJ7e1g0
( ´,_ゝ`)「昨日、慌てて帰ってきた妹者の汗の匂いに混じってあんたのイカくさい匂いがしたんでね」
( *^Д^) 「い、妹者ちゃんの汗の匂い…」
( ´_ゝ`)シラー (^Д^;) ハッ
( #^Д^) 「ち、あの娘話しやがったな…折角俺が見染めてやったのに!!」
( ´_ゝ`)「ま、いらないお世話ってことだな」
( #^Д^) 「クソ!!見られたからには殺…」
「え?なんだって?!」
(;^Д^) 「?!」
目の前にいた男が、消えた。
タカラはそう感じた。
しかし兄者にしてみれば普通に動いたつもりだったらしい。
( ´_ゝ`)もぐもぐ
(;^Д^) 「は?!お前何食ってんだよ」
( ´_ゝ`)「え、何ってお前の置き土産だけど…」
(;^Д^) 「…なんだよ…お前…なんだよ…お前…」
タカラは腰を抜かす。
592
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:20:45 ID:ldzJ7e1g0
ゴクリと最後の一口を飲み込んだ兄者はタカラを見て言う。
( ´_ゝ`)「お前は俺が許すには罪を犯しすぎたな」
兄者はタカラに拳を突き出す。
( ´_ゝ`)「ひとつ、俺の臨界距離内にふみこんだ」
人差し指を伸ばす。
( ´_ゝ`)「ふたつ、俺の飯候補を盗むつもりだった」
中指を伸ばす。
( ´_ゝ`)「みっつ、我が家の可愛い姫君、妹者を傷つけた」
薬指を伸ばす。
( ´_ゝ`)「よっつ、俺の少ない友達が死んだ原因である」
小指を伸ばす。
( ´_ゝ`)「いつつ、ウチに悪戯したな。お前」
親指を伸ばした。
( ´_ゝ`)「残念だったな。ウチにイタズラする権利は俺にしかないんだ」
( ,,^Д^;) 「だ、だからなんなんだよ?!」
タカラは開き直ったように兄者の顔に近づき大声で言う。
( ´_ゝ`)「こんなんで人騙そうってのがまず可笑しいよな…ま、騙されるのもどうかとも思うけどさ……人助けるべき僧が、魚まで食ってよ」
兄者は伸ばした手でタカラの頭の猫耳を取る。
和紙を固めた様なちゃちなものだった。
593
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:22:12 ID:ldzJ7e1g0
( #^Д^) 「うるせぇ!お前だって似たような格好じゃねぇか!!この野郎!!目ん玉緑ってこたぁ野蛮人じゃねぇか!!
国に帰れ!!オンボロ服着てだっせーの!!」
( ´_ゝ`)「むっつ」
兄者は人差し指でタカラの頬を引っ掻く。
( ,^Д^;) 「?!!っつ!!」
( ´_ゝ`)「主人とウチの姫君が好きだと言った俺の目をバカにした」
( ´_ゝ`)「ななつ、」
そのまま中指でまた頬を引っ掻く。
( ´_ゝ`)「俺の嫌いな場所に行く様に勧めた」
( ,,;Д;) 「ひいっ!!」
( ´_ゝ`)「やっつ、」
ついでに腰についた猫の尾を取る。
( ´_ゝ`)「主人のくれた着物をボロだとバカにした」
こちらも針金に麻を巻きつけた様なボロだった。
タカラは這って逃げようとする。
594
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:23:10 ID:ldzJ7e1g0
( ,,;Д;) 「た、だれか…」
しかし兄者はタカラの頭をぐいと床に押さえつける。
( ´_ゝ`)「酷いよな。こんな高級そうな僧衣ただでもらっといて悪いことするわ俺の服バカにするわ」
兄者はタカラの僧衣をペラペラと弄りながら言う。
( ´_ゝ`)「覚悟は出来てるかな?」
( ,,;Д;) 「!!」
595
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:26:13 ID:ldzJ7e1g0
翌日の掲示板。
主な記事は昨日の騒動。
それは、犯人の傷ついた似顔絵と共にあった。
『化け猫の正体見ればバカ坊主』
『昨日、被害者の流石弟者氏、妹者ちゃんが帰宅すると僧のタカラが流石兄者君に引っ掻かれているのを発見した』
『床に散らばる鼠の死骸とタカラ氏の風呂敷に流石氏の魚が入っていること、
こじ開けられた鍵と落ちている猫耳を思わせる和紙や猫の尾を連想させる麻の巻かれた針金から
昨今の「化け猫騒動」の真犯人と気づき弟者氏が取り押さえ、妹者ちゃんの同心への通報により事件が発覚した』
『タカラ氏は「化け物」と連呼し、精神に異常を来たしてると判断され遠方の山の頂上にある寺で療養することとなった』
隅にあるのは、兄者のお手柄。
それは掲示板の脇に怠そうな兄者と笑顔の妹者、弟者の絵と共にあった。
『お手柄、流石兄者君。連日の「化け猫騒動」の真犯人を見事成敗!』
『横の記事にもあるように犯人に見事一矢報いた流石兄者君。
同居人の流石弟者氏によると「いつも寝てばっかりいるので驚きました。でも、やる時はやるって信じてましたよ?」と笑顔で答えてくれた。
同じく同居人の流石妹者ちゃんは「流石兄者!我が流石家の立派な自宅警備員なのじゃ!!」とのことで取材陣は失笑した』
そして最後に総評として一記事。
『今回の「化け猫騒動」により大変な数の無実の猫が殺された。
この惨劇を決して風化させない為にも、タカラ氏の悪行を忘れぬ為にも、
犯人確保とこの惨劇の繰り返しを止めてくれた流石家の感謝の為に関係者の名前をここに記す』
…そしてこの記事の後には殺された猫と飼い主一家、タカラ氏や流石家の似顔絵と名前が記されていた。
そして彼らの顔と名前はこの事件を風化させぬ為に現在もどこかの掲示板の隅に残っているとかどうとか。
596
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:27:17 ID:ldzJ7e1g0
(´<_` )「おーい、妹者。起きてたら兄者呼んでくれ。夕飯だ」
l从・∀・ノ!リ人「寝てたら?」
(´<_` )「あー、寝てたらそのままにしとけ。あいつ人に起こされるの嫌いだし、昨日も表彰式やら村の名誉賞の受賞だので疲れてるだろうしな」
l从・∀・ノ!リ人「はーいなのじゃ!!!」
597
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:28:39 ID:ldzJ7e1g0
妹者は梯子を降りて古書室を見る。
見れば珍しく兄者が起きているだけでなく、いつもの着物を体にかけていた。
妹者は体にかかった着物を見て少し前を思い出す。
自分の古くなった着物を捨てようとした弟者から無理矢理奪い取って新しいのを買ってやるという声も聞かずに自分の物にした兄者を。
( ´_ゝ`)ペラペラ
よく見れば本をパラパラと捲っている、と妹者は気づいた。
l从・∀・ノ!リ人「…クスクス」
妹者は、寺子屋にも行ったことがない兄者に本なんて読めるはずないのに、と笑った。
598
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:29:57 ID:ldzJ7e1g0
すると兄者が妹者の方を見た。
l从・∀・ノ!リ人「あーにじゃ、ご飯なーのじゃ!」
( ´_ゝ`)「ニャー」
兄者は梯子を駆け上った。
兄者は梯子の下から「呼んであげたのに先に行くとは無礼なのじゃ!!」と妹者が言っているのを聞いてにぃっと笑った。
バケネコアーカイブのようです
おわり
599
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:31:05 ID:ldzJ7e1g0
(
)
i フッ
|_|
600
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:31:16 ID:NHi49Axs0
化け猫だからかぁ
601
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:32:59 ID:AdtwW4/A0
おつ
本パラパラめくる猫考えたらめっちゃ可愛いぞおい
602
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:33:27 ID:7Pu794tE0
乙
騙されたわ
603
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:36:07 ID:CnZNpl2EO
お疲れさまでした
23本目
「ヤマノケ」
.,、
(i,)
|_|
604
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:38:11 ID:CnZNpl2EO
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230921.jpg
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230028.jpg
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230111.jpg
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230208.jpg
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230298.jpg
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230399.jpg
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230496.jpg
http://vippic.mine.nu/upm/data/1376230590.jpg
605
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:38:54 ID:CnZNpl2EO
(
)
i フッ
|_|
606
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:40:43 ID:AdtwW4/A0
いつものお前で安心したよ
おつ
607
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:40:58 ID:byT4/RW20
おつ!
24本目
「こっちを見ているようです」
.,、
(i,)
|_|
608
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:41:38 ID:byT4/RW20
川д川 (今日は初めて人間界に行く日……)
川*д川(……頑張るぞー)
こっちを見ているようです
.
609
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:42:24 ID:byT4/RW20
( ゚д゚ )「ただいまー」
( ゚д゚ )「誰もいないけど」
( ゚д゚ )「飯食って風呂入ってさっさとn」
(;゚д゚)「…………借りたDVDの期限が明日までだった気がする」
( ゚д゚ )
( ゚д゚ )
( ゚д゚ )「……風呂入ったら見るか」
610
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:42:45 ID:KqyVfKiY0
乙
猫で和んでたら不覚にもTUNさんで笑っちまったちくしょう…!
611
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:43:19 ID:byT4/RW20
川д川(まずはどのお家に……)
川д川(あっ)
川д川(あの家から微かにホラー臭がする)
川д川(……でーぶいでー?)
川д川(ビデオじゃないけど入れるかな……) スルッ
川*д川(いけた)
川д川(あとは再生されるのを待つだけ……)
612
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:44:10 ID:byT4/RW20
( ゚д゚ )+「さっぱり」
( ゚д゚ )「さて、DVD見るか」 ガサガサ
(*゚д゚ )「夏はやっぱりホラー……」
( ゚д゚ )「ということで、定番のリング!」
( ゚д゚ )「雰囲気作りに電気も消して」
(*゚д゚ )「再生……」
613
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:45:04 ID:byT4/RW20
川д川(あっ、再生された!)
川*д川(しかもリング!)
川*д川(よーし、はりきっちゃうぞー)
川д川「もしもし、映画の中の貞子さん」
川 ゚ -゚)「む、その声は本物の貞子さん?」
川д川「そうですそうです。ちょっとお願いがあるんですが……」
川 ゚ -゚)「なんでしょう。私にできることならなんなりと」
川д川「今日だけ、貞子役を譲ってくれませんか? テレビの前のあの人を驚かせたいのです」
川 ゚ -゚)「どうぞご自由に。最近たくさん再生されるので、私も少し休憩したいのです」
川*д川「ありがとうございます。お体にお気をつけくださいね」
川 ゚ -゚)「はい。では、頑張ってください」
614
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:46:05 ID:byT4/RW20
( ゚д゚ )「なんか……絶世の黒髪美女と貞子……? が仲良くお喋りしてんだけど」
( ゚д゚ )「だが背景がものすごく井戸」
( ゚д゚ )「あっ、美女が井戸に入ってった」
( ゚д゚ )「…………」
( ゚д゚ )「怖い方がこっち来る」
( ゚д゚ )「画面から出るっぽいんですけど」
( ゚д゚ )「…………」
( ゚д゚ )「上半身出た」
615
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:46:23 ID:ldzJ7e1g0
本家貞子に役譲るDVD貞子クールまじクール
616
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:47:02 ID:byT4/RW20
川*д川(あっ、あの人ポカンとしてる)
川*д川(上半身出たし、あの言葉、言ってみようかな)
川д川
川д川 ノロマース
川*д川(きゃー、言っちゃった!)
川д川
川д川 ノロマース
川*д川(うふふー)
617
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:47:26 ID:ldzJ7e1g0
貞子かわえええ
618
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:47:49 ID:KqyVfKiY0
こんな貞子ならリング見るわ
619
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:48:03 ID:byT4/RW20
( ゚д゚ )(……なんか言ってる?)
( ゚д゚ )
( ゚д゚ )
( ゚д゚ )(あっ、「呪います」か)
( ゚д゚ )
( ゚д゚ )(そして冷静な俺)
620
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:49:02 ID:byT4/RW20
川*д川(うふふ、怖くて固まっちゃってる)
川д川(もう1回だけ……)
川д川 ノロマース
川д川(…………)
川;д川(あれっ?)
川д川(そろそろ叫ぶか逃げるかのどっちかしても、おかしくないと思うんだけど……)
川;д川(ここまで動かないって、逆に怖くない? 生きてるよね?)
川;д川(ていうか、固まってるっていうよりすごいこっち見てる?)
川;д川
621
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:50:04 ID:byT4/RW20
( ゚д゚ )(「呪います」って言ったきり、喋りもしないし動きもしない)
( ゚д゚ )(壊れた……?)
( ゚д゚ )(まあボロいとこで借りたし、そうかもな)
( ゚д゚ )
( ゚д゚ )
( ゚д゚ )(やっぱもう少しだけ見てよう)
622
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:51:11 ID:byT4/RW20
川д川
川д川(……よく見たら、目がギョロギョロしてるなぁ)
川д川(ちょっと……いや、結構プレッシャーになるわこれ)
川д川
川д川(じゃあ「先に目を逸らした方が負けゲーム」やってよ)
川д川 ジーッ
川д川 ジーッ
川д川 ジーッ
川д川(引いてくれない)
川д川(あと5分待つ)
623
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:52:34 ID:byT4/RW20
〜5分後〜
( ゚д゚ )(どうしよう、貞子? がこっちを見始めてから結構時間経ってるよな)
( ゚д゚ )(俺、現在進行形で呪い殺されてるのかも)
( ゚д゚ )(でも目を逸らしたら負けな気がする)
( ゚д゚ )
( ゚д゚ )
( ゚д゚ )(眠くなってきた)
_,
( -д゚ )。o(くぁ……)
624
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:53:17 ID:byT4/RW20
川;д川(5分経っちゃったんですけどー!?)
川;д川
川;д川(あ、あと10数えたら諦める……)
川д川(いーち)
川д川(にーぃ)
川д川(さーん)
川д川(しーぃ)
川;д川そ(!?)
川;д川(あくび!? 貞子目の前にしてあくびしちゃうのこの人!?)
川д川
川д川(あっ、でも)
川*д川(向こうが先に目を逸らした)
625
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:54:19 ID:aC/XD4BE0
何なのこいつら
626
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:54:32 ID:byT4/RW20
(;゚д゚)(目ぇ逸らしちゃったー!)
(;゚д゚)(なんかすげえ悔しい! 勝負してた訳じゃないけど超悔しい!)
(;゚д゚)(心なしか優越感浸ってる気がするあいつ!)
(;゚д゚)
( ゚д゚ )
( ゚д゚ )「寝るか」
627
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:55:32 ID:byT4/RW20
川*д川「うふふ」
川 ゚ -゚)「おや貞子さん。おかえりなさい」
川д川「あっ、映画の貞子さん」
川 ゚ -゚)「どうでした?」
川д川「……えっと」
川д川「…………」
川*д川「ちょっと楽しかったです」
628
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:56:33 ID:byT4/RW20
「……まあ、詳しいお話はうちでお茶でも飲みながら」
「えっ、お邪魔していいんですか?」
「そこの井戸なんですけどねw」
「わー、私、1回井戸に入ってみたかったんです!」
「良いとは言いがたいですけど……」
「大丈夫です! あっ、そういえばお名前は――」
終わり
629
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:57:18 ID:byT4/RW20
(
)
i フッ
|_|
630
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 01:57:55 ID:KqyVfKiY0
おつww3人とも可愛かったwww
631
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:01:24 ID:AdtwW4/A0
おつ!
ノロマースかわいいwwww
632
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:03:34 ID:NHi49Axs0
ノロマース...
633
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:04:26 ID:byT4/RW20
投下する人いないならもう一個行くけどいないよな?
634
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:05:10 ID:AdtwW4/A0
25本目!いきます!
.,、
(i,)
|_|
635
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:06:02 ID:AdtwW4/A0
蝉が鳴いている。
ジーワジーワ、ミーンミーン、カナカナカナカナ。
畳の匂い。縁側で揺れる風鈴が鳴って、すぐ蝉にかき消された。
( ´_ゝ`)「……あっづい」
(´<_` )「うるさい」
横たわる俺の腹を踏みつけて、弟が言う。
ぐぇとカエルが潰されたような声をあげて俺は体を折り曲げた。
( ´_ゝ`)「なんでガチモードなんだ弟者……」
(´<_` )「うるさい黙れ苛々する」
( ´_ゝ`)「八つ当たりしてんだろてめぇ」
(´<_` )
( ´_ゝ`)「黙秘か……ここ一番風通しがいいんだからお前どっかいけ、しっしっ」
手を払う動作をして、俺はまた横たわる。
ばあちゃんの田舎に久々に来たはいいものの、暑い。
俺は寒さに強いが暑さにはめっぽう弱い。だからこそ冷房のないこの家で風通しがいい場所を探したと言うのに。
636
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:07:00 ID:AdtwW4/A0
(´<_` )「兄者が動けばいいだろ」
( ´_ゝ`)「先にいたのは俺だぞ」
(´<_` )グイグイ
( ´_ゝ`)「てめっ都合悪くなったら黙るのやめろ!
押すな! 触んなあっついんだから!」
(´<_` )「俺だって暑い」
( ´_ゝ`)「台所が二番目に涼しいぞ」
(´<_` )「台所だと寝れないだろ」
( ´_ゝ`)「廊下もどうかと思う」
(´<_` )「自分ばかりずるいと、思わないの、か、」
( ´_ゝ`)「だから、押すなと、ここは俺が、見つけたんだから」
動かないように踏ん張っているとばあちゃんが呼ぶ声がする。
とうもろこしを茹でたらしい。ばあちゃんが作る茹でとうもろこしは甘くて、好きだ。
ゆでたては熱々だからこそ美味しい。俺はすぐ立ち上がった。
637
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:08:00 ID:AdtwW4/A0
(´<_` )
( ´_ゝ`)「ばあちゃん呼んでるぞ」
(´<_` )「ちょっと涼んでから行く。暑い」
そういって寝ころんだ弟に背を向けた。
にこやかに笑うばあちゃんからラップに包まれたとうもろこしを受け取って廊下に戻る。
仰向けになって目を閉じている弟の腹に一本落とした。
(゚<_゚ )「あっぢぃ!!」
( ´_ゝ`)「お返しー」
こみ上げる笑いを押し込んで弟を見下ろす。
Tシャツ越しでも結構熱かったようだ。それを両手で持ってきた自分を褒めてほしいものである。
恨みがましく見上げる弟の横に座ってラップを剥がす。
とうもろこしはまだ少し湯気がたっていて物凄く熱い。
黄色に、時々白が混じった粒はとても綺麗だ。ばあちゃん曰く今年のは出来がいいらしい。
何度か手の上で跳ねさせながらかぶりつく。粒がはじけて、汁が広がった。甘い。確かに当たりのようだ。
( ´_ゝ`)「あーうめぇー」
(´<_` )「よくそう食えるな……熱いだろ」
( ´_ゝ`)「ゆでたてが一番うまいに決まってんだろ」
かじりつく俺と対照的に弟はちまちまと粒をとっていく。
三つから六つほどに連なった粒を溜めて、一気に口に入れる。
なにやらコツがあるようで俺にはできない。だがどう考えてもおかしい食べ方だと思う。
( ´_ゝ`)「めんどくさくねーのそれ」
(´<_` )「食べ終わった時綺麗だろ」
やっぱりよくわからない。確かに綺麗だとは思うけれど。
誰が見ているわけでもないのだからかじりつけばいいのに、と思う。
蝉の声がする。蝉の声って暑さを増す気がするのは気のせいだろうか。
638
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:08:17 ID:byT4/RW20
あぶねえ
wktk
639
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:09:03 ID:AdtwW4/A0
( ´_ゝ`)「あ"ーあっづい」
(´<_` )「言うなまた暑くなる」
( ´_ゝ`)「弟よ、なんか暑さへの打開策をだな」
(´<_` )「んなもんない。あったら試してる」
( ´_ゝ`)「……弟者の態度が冷たいけど一向に身体は冷えないな」
(´<_` )「当たり前だ何言ってんだ暑さで頭やられたんじゃないのか」
( ´_ゝ`)「そういう弟者は暑さで不機嫌ですね」
(´<_` )「不機嫌にもなる」
眉間にしわを寄せたまま弟は粒を口に投げ込む。
涼しさ。涼しくなるもの。あーあー
( ´_ゝ`)「じゃあ怪談しよ」
(´<_` )「真昼間からか。雰囲気もない」
( ´_ゝ`)「喋ったら涼しくなるかもしれないだろ」
(´<_` )「……じゃあ怪談のネタとかあんの?」
( ´_ゝ`)「ない」
(´<_` )「なら振るなよ。俺だってないぞ」
( ´_ゝ`)「ええー」
めんどくさそうに言い切る弟に不満の声をあげると、可哀想なものを見る目をされた。
下手な罵倒より心に刺さるそれに俺は言葉を押し込めてとうもろこしをかじる。
甘さがすこし和らいだ。舌が慣れたのかもしれない。
640
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:09:57 ID:AdtwW4/A0
( ´_ゝ`)「なんかないのかなんか」
(´<_` )「しつこいな……あぁ、最近見る夢ならあるぞ」
( ´_ゝ`)「おっ、怖い夢か?」
(´<_` )「怖いと言えば怖いかもな」
( ´_ゝ`)「よし話したまえ」
(´<_` )「なんで上から目線なんだ……まぁいいか」
弟が姿勢を正したのにつられて俺も姿勢を正す。
真剣な弟の目に少し雰囲気がでてきたのを感じて頬が上がる。
641
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:10:58 ID:AdtwW4/A0
(´<_` )「夢の中でな、俺と兄者が立ってるんだ」
( ´_ゝ`)「ふんふん」
(´<_` )「それでな、周りには人が横たわってるんだ。
たくさんな、クラスの奴がいれば知らない奴もいる。
全員血まみれで確実に死んでるんだ」
( ´_ゝ`)「お、おおう」
(´<_` )「それで兄者が手を真っ赤に染めて泣いてるんだ。
で、俺はそれを見てる。俺の手の平も真っ赤なんだ。
兄者は泣きながら笑ってて、俺の方を見て駆け寄ってくる。
俺の首めがけて全速力だ」
(;´_ゝ`)「……」
(´<_` )「なんだかんだともみ合って、最後は俺が兄者の首を絞めて目が覚める」
(;´_ゝ`)「……えぇ俺お前に殺されてんの?」
(´<_` )「殺したくないけど兄者が殺そうとして来るんだから仕方ないだろ。
現実でやったわけじゃないし」
(;´_ゝ`)「現実だったらお前殺人罪だよ」
642
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:11:44 ID:AdtwW4/A0
(´<_` )「でも殺されそうになる俺の気持ち考えろよ。
起きる度に冷や汗でシャツぐっちょりだぞ」
( ´_ゝ`)「夢とはいえすまんかった。
……でもちょっと鳥肌たったわ」
(´<_` )「怪談的には成功ってことか」
( ´_ゝ`)「実は作り話とかいわない?」
(´<_` )「真相は夢の中だな」
薄く笑う弟に、本当なのだと察する。
本当に弟は夢の中で俺を殺しているのだ。
そう思うとさらに肝が冷えた。殺されたことではない。
俺が同じ夢を見ていることだ。
俺の夢は弟とは違う。
始まりは、同じ。俺と弟が立っている。
周りにはたくさんの人がいる。死んでなんかいない、生きた人が周りを歩いたり走ったり、何かしらの動作をしている。
そして弟が動く。手にナイフを持って、手当たり次第に人を殺し始める。
俺はそれを必死に止める。止める過程で俺の手も血まみれになって、それでも弟は止まらなくて。
最後は泣く俺と、呆然とした弟が残される。
そして俺は殺人者となった弟を生かしてはおけないと、掴みかかる。
自分で思うが確実に平常心はない。俺は笑っているのかも泣いているのかもわからない。
そして弟の言う通り、首を絞めて殺される。その時の弟の顔はわかる。
酷く歪んだ笑みを浮かべた、片割れに殺される。
643
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:12:38 ID:AdtwW4/A0
( ´_ゝ`)「……弟者さ」
(´<_` )「なんだ」
( ´_ゝ`)「実は殺人衝動もってるとかある?」
(´<_` )「……何言ってんだ、兄者」
その顔が呆れた様子だったら。
馬鹿にするような、そんなものであったのならよかったのに。
何故お前はそんな警戒した顔で俺を見たんだ。
何故今無理に柔和な顔を作ったんだ。俺がわからないとでも、思っているのか。
( ´_ゝ`)「馬鹿なこと聞いた。忘れてくれ」
(´<_` )「……仮に、俺がもしそういう衝動があるとしたら、どうする?」
俺が打ち切ろうとしたのに、弟が無理矢理繋いだ。
ここで無理にはぐらかすのはよくない。勘が働いて、俺は真剣に言葉を返す。
( ´_ゝ`)「……止める」
(´<_` )「夢みたく、俺は兄者を殺すかもしれないぞ」
( ´_ゝ`)「それでも止めるさ。俺は兄貴だからな」
(´<_` )「……ま、そんなわけないんだけどな。俺は人殺しなんかしないよ」
粒をかじって、弟が笑う。
憑きものがおちたような顔に、本当に弟にそんなものはなかったのだと思わされる。
そうであったらいいのに、信じるには不信感が高まりすぎていた。
( ´_ゝ`)「……あ、もろこしなくなった。もう一本もらってくるわ」
(´<_` )「俺にもくれ」
( ´_ゝ`)「おー」
俺はなんとなく気まずい雰囲気から逃げ出した。
少しだけ離れれば信じられるようになる。世界に一人の片割れなのだ。
自分の夢と、弟の言葉。どちらを信じるかは決まりきっている。
( ´_ゝ`)「……信じてるからな、弟者」
決意を口にして、猜疑心を押し込んだ。
644
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:13:28 ID:AdtwW4/A0
(´<_` )「……」
兄は憶測から物を述べる人間でない事くらいわかっていた。
だからこそ、なにかしらの根拠をもって自身に問うたのだとわかっていた。
そしてそれが的を射ていると、兄に気付かれたかはわからなかった。
表情を繕う前に兄はこちらを見ていただろうか。気付く余裕がないほど、俺は動揺した。
何故俺の中の衝動に気付いたのだろう?
双子だからといって心の中までわかるわけではない。
自分は兄の心はわからない。ある程度察することはできても確証は得られない。
俺は衝動を外にだしたことはない。小動物を痛めつけてもいない。ずっと押しこめているのに。
何故、気付かれたのだろう。答えは出てきそうになかった。
今わかっているのは兄が何故か俺の衝動に気付いたということだ。
そして俺が何かで衝動を出したとしたら、兄が真っ先に止めに来るということ。
つまり、自分の衝動に立ちはだかる壁であるということ。
自分だって兄を殺したくなんかない。
嘘ではない。片割れを殺したいなどと思う人間がどこにいるのだろうか。
だけどもし、もしも俺が衝動を抑えきれなくなったその時は、
(´<_` )「……最初は、兄者だなぁ」
俺の声は蝉にかき消された。
( ´_ゝ`)夢≒現実のようです(´<_` )
645
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:14:19 ID:AdtwW4/A0
(
)
i フッ
|_|
総合でもらったお題
・畳
・蝉の声
・田舎
珍しくまともなお題が揃ったにも関わらずホラーと呼んでいいのかわからない
夢も人知を超えたものであるということで、ひとつ
そして
>>633
ほんとごめん。
気付かなかった。本当ごめん。wktk体制にうつる
646
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:16:24 ID:NHi49Axs0
乙ー
647
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:16:52 ID:byT4/RW20
いやいや俺こそすまん
じゃあ投下する
26本目
「ひとりかくれんぼのようです」
.,、
(i,)
|_|
648
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:17:40 ID:NHi49Axs0
お、ひとりかくれんぼ
649
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:17:42 ID:byT4/RW20
从 ゚∀从「ひとりかくれんぼやろうぜ」
( ゚∀゚)「……は?」
从 ゚∀从「?」
(;゚∀゚)「あのなぁ、お前ひとりかくれんぼのルール知ってんの?」
从 ゚∀从「知らん」
( ゚∀゚)「……」
从 ゚∀从「あれだろ? どうせ一人でかくれんぼするんだろ?」
( ゚∀゚)「そうと分かってなぜ俺を誘う」
从 ゚∀从「お前一人でかくれんぼできると思ってんのか」
( ゚∀゚)「ごめん聞いた俺が馬鹿だった」
650
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:18:42 ID:byT4/RW20
从 ゚∀从「産業で説明しろ」
( ゚∀゚)「深夜に
一人でかくれんぼ
超怖い」
从 ゚∀从「分かった。ジョルジュ、今夜やr(;゚∀゚)「やだよ!」
_,
从 ゚∀从
(;゚∀゚)「ちゃんと聞いてた? ひとりでやるの。あと怖い」
从 ゚∀从「あたしルール知らねーもん。だから一緒にやろうぜ」
(;゚∀゚)「……」
从 ゚∀从「だいじょーぶだって。あたしら双子だから、一人も二人も変わんねーよ」
(;゚∀゚) (そういう問題じゃないんだけどなぁ……)
651
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:19:37 ID:byT4/RW20
深夜1時半
( ゚∀゚)「結局参加することになりました」
从 ゚∀从「わーい」
从 ゚∀从「……で、何すんの?」
( ゚∀゚)「ぬいぐるみ使うから探してこい」
从 ゚∀从「おk待ってろ」
( ゚∀゚) ポツーン
( ゚∀゚)「待って怖いから待って」
652
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:20:35 ID:byT4/RW20
从 ゚∀从「ていうかさ」
从 ゚∀从「あたしぬいぐるみで遊んだ記憶がない」
( ゚∀゚)「奇遇だな、俺もだ。お前とヴィプレンジャーの巨大ロボで遊んだ記憶しかない」
从 ゚∀从「じゃあそれでいいじゃん」
( ゚∀゚)「いいのか」
从 ゚∀从「呪われないならいいよ」
( ゚∀゚)
( ゚∀゚)「やだ怖いやめて」
653
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:21:42 ID:byT4/RW20
从 ゚∀从「風呂場に連れてきた」
つ□ ←巨大ロボ
( ゚∀゚)「本来なら、綿の代わりに爪と米詰めて赤い糸で縫うけど、こいつはぬいぐるみじゃないからそこは飛ばす」
( ゚∀゚)「次何だっけ。隠れ場所か」
从 ゚∀从「押入れで。塩水置いといたぜ」
( ゚∀゚)「やり方知ってんじゃん」
从 ゚∀从「さっきググった」
从 ゚∀从「はい次ー」
( ゚∀゚)σ「そいつに名前をつける」
从 ゚∀从「……」
从 ゚∀从「エリザベート」
( ゚∀゚)「つっこまないぞ」
654
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:22:37 ID:byT4/RW20
数分後
( ゚∀゚)「なんやかんやで押入れです」
从 ゚∀从「テレビは砂嵐になってる?」
( ゚∀゚)「なにそれ都市伝説?」
从 ゚∀从「じゃあ消音?」
( ゚∀゚)「音量1にしてる」
从 ゚∀从「音消してこい」
( ゚∀゚)「怖い」
从 ゚∀从「じゃあ、しばらく隠れてる?」
(;゚∀゚)「ちょwwwwwww無理wwww怖いwwwwwwエリザベート来ちゃうwwwww」
从 ゚∀从「えー、面白そうだから別nガタガタガタ!!
从 ゚∀从「…………は?」
655
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:23:44 ID:byT4/RW20
( ;∀;)「ぎゃあああ!!」ガタガタ! ガタッ!
カサカサカサ…
从;゚∀从「何だこの音……。ジョルジュ! 大丈夫か!?」
( ;∀;)「コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ」
从;゚∀从「お前が怖……ひぃぃいいい、いつの間にかゴキが足元にいるうぅぅぅ!!」ドスンバタンズルゴヅッ
从 ;∀从「頭ぶつけた! ジョルジュー! 助けてこっち来るいやああああ!!」
( ;∀;)「ハイン助けて怖い怖いやめたい出たい」ブチッ
( ;∀;)「……?」
从 ;∀从「ジョルジュがゴキ踏んだ……グスッ」
656
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:24:21 ID:KqyVfKiY0
oh....
657
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:24:34 ID:byT4/RW20
一方その頃風呂場では
エリザベート(隠れに行ったと思ったら、何かどたばたやってるなぁ……)
エリザベート(まだ何もしてないんだけど……)
ギャアアア
ゴキクル! コワイ!
エリザベート(あぁ、ゴキちゃんね。おもちゃ箱で何度か遭遇したわ)
シーン…
エリザベート(……?)
…ヒィィイイイタマゴォォォオオ!!
ギャーッ!
エリザベート(うわぁ……)
658
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:25:11 ID:NHi49Axs0
エリザベート
659
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:25:22 ID:byT4/RW20
ドタドタ…ガラッ
从;゚〜从
( ;〜;)
エリザベート(来るのはやっ)
从;゚〜从つ∩゛ ダバー
从;゚3从 プッ
( ;∀;) ペッ
从;゚∀从「あたしの勝ちあたしの勝ちあたしの勝ち!」
从 ゚∀从「はい終わり! ジョルジュ泣き顔キモい!」
( う∀と)゛ゴシゴシ
( ゚∀゚) ペカー
660
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:25:42 ID:aC/XD4BE0
うわぁ…
661
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:26:37 ID:byT4/RW20
( ゚∀゚)「……終わったの?」
从 ゚∀从「ジョルジュがゴキ踏んで卵出てきて終わった」
(;つ∀゚)「やめてそういうのマジで無理だからねぇゴキ汁ついてないよね? ね?」
从 ゚∀从「あとはエリザベート捨てたら、ゴミ処理場で燃やしてくれるな」
( ゚∀゚)「無視かよ……」
从 -∀从「あー、疲れた。とっとと寝よ。おやすみー」
( ゚∀゚)「……おやすみー」
( -∀-) (俺も寝よ……)
662
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:27:24 ID:LSP19ieE0
エリザベート
663
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:27:36 ID:byT4/RW20
数分後
( ;∀;)「ハインー! 助けてゴキ出たあああああ!!」
終わり
664
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:28:10 ID:NHi49Axs0
乙
時としてゴキブリの方が恐い
665
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:28:18 ID:byT4/RW20
(
)
i フッ
|_|
666
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:29:00 ID:KqyVfKiY0
エリザベート放置wwwかわいそすwwwwおつwww
667
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:30:12 ID:AdtwW4/A0
おつ
ほんとにゴキはあかん…虫系はダメだ怖すぎる
668
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:30:22 ID:byT4/RW20
これ書いてる時ゴキ出てビビったのはいい思い出
じゃあ明日早いから寝る
おまいら頑張れよ
669
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:32:27 ID:qi5H0aiEO
ちょっと目を離した隙に随分投下来てて嬉しい
みんな乙乙
670
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:38:26 ID:PQkSo0LE0
27本目です
.,、
(i,)
|_|
【ζ(゚ー゚*ζそれいけデレちゃん!巫女さんは妖魔バスターのようです】
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1097.png
671
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:39:40 ID:PQkSo0LE0
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1098.png
〜おわり〜
[登場人物紹介]
ζ(゚ー゚*ζ
巫女のデレちゃんはとっても健気で元気な妖怪バスターだよ!
だが死んだ
('A`)
トラブルメイカーなドライバーさんだ!
コイツは社会的に死んだ
(
)
i フッ
|_|
672
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:42:13 ID:duOyUdY.0
夜中にここぞとばかりに投下しやがって
皆まとめて乙 どれもこれも怖いわ
673
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 02:52:25 ID:jy5h0JIw0
どの話も面白いな。深夜までみんな乙
674
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 03:08:09 ID:qi5H0aiEO
触手と戦うデレちゃん早kうわあああああ死んだあああああああああああああああ
675
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 05:31:03 ID:4d/uZCxsO
妖怪関係なく死におった……
676
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 06:10:59 ID:LjS8jxjY0
>>670-671
おい久しぶりじゃねーかイリュミナシオン
相変わらずのひどさで安心すら覚えたわ
677
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 19:01:17 ID:LjbnN/ZM0
次の週末までここも静かかな
678
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 20:56:48 ID:OCTPQRjA0
感想とか、ここにどさっと書くと迷惑だろうか?
679
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 21:01:46 ID:ldzJ7e1g0
迷惑なことあろうか、いや、無い(反語)
投下期間以外は感想もいいって書いてあるし
680
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 21:13:48 ID:OCTPQRjA0
ほほー、把握した
681
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 21:19:12 ID:LjbnN/ZM0
自分が書いた奴の感想が書かれないかワクテカしながら待ってる
682
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 23:25:38 ID:OiXbMey2O
支援!!
(´・ω・`)滴るようです
http://imepic.jp/20130812/841660
683
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 23:30:40 ID:LjbnN/ZM0
きゃああああああああ!!!!
684
:
名も無きAAのようです
:2013/08/12(月) 23:42:04 ID:Ta4.wKW20
怖い
685
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 00:34:14 ID:qOFlefvoO
こっそり投下…
27本目
.,、
(i,)
|_|
彼女はゴスロリで徐霊師で…
http://imepic.jp/20130813/009390
http://imepic.jp/20130813/012600
http://imepic.jp/20130813/012870
('A`)は静かに去るようです(´・ω・`)
(
)
i フッ
|_|
686
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 00:51:41 ID:qur6WJCU0
今日ってだめじゃね?
去年の感想とかって、ここにあげない方がいい?
祭り始まる前にあげようとか思ってたらもう始まってしまったでござる
687
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 00:58:13 ID:qOFlefvoO
うわあぁぁ!!!
すみません素で間違えました…
688
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 00:58:35 ID:qOFlefvoO
うわあぁぁ!!!
すみません素で間違えました…
689
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 01:00:40 ID:qOFlefvoO
しかも誤爆orz
本当にすみませんorz
690
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 01:02:30 ID:4AsEseZ.0
去年のか…去年のスレに書くとかは?今更だが…
691
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 01:45:53 ID:VJLHdl0.0
感想をどさっと投下、それに際してここまでの投下作品のまとめ
>>184
1 (,,゚Д゚)道しるべのようです
>>204
2 仕事が終わるようです
>>210
3 ( ^ω^)猫又のようです
>>228
4 ゾンビ从'ー'从
>>234
5 (・∀ ・)タタリのようです
>>244
6 lw´‐ _‐ノvバイト先で起こった出来事のようです
>>264
7 ξ ⊿ )ξ枕元に佇むようです and
>>444
支援絵
>>286
8 ξ゚⊿゚)ξ人と鬼の異文化交流のようです(^ω^ )
>>327
9 少女たちの談話のようです
>>346
10 彼は帰りたいようです
>>359
11 川゚ -゚)の初恋のようです
>>375
12( ^ω^)カウントダウンのようです
>>407
13 ( ^ω^)少年、のようです
>>426
14 でぃのお鍋の代わりのようです
>>441
15 ジェイソン・クールのようです
>>449
16 ばんぶぅーぱにっくのようです
>>467
17 桜の樹の下には、のようです
>>498
18 ξ ⊿ )ξ夢で終わらせてくれないようです
>>511
19 ( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )
>>534
20 ( ФωФ)君へ、のようですlw´‐ _‐ノv
>>534
21 (´・ω・`)滴るようです
>>568
22 バケネコアーカイブのようです
>>603
23 ヤマノケ
>>607
24 こっちを見ているようです
>>634
25 ( ´_ゝ`)夢≒現実のようです(´<_` )
>>647
26 ひとりかくれんぼのようです
>>670
27 ζ(゚ー゚*ζそれいけデレちゃん!巫女さんは妖魔バスターのようです
>>685
彼女はゴスロリで徐霊師で…
692
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 01:50:28 ID:VJLHdl0.0
注意、以降の感想にはネタバレ含む
693
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 01:51:42 ID:VJLHdl0.0
1.(,,゚Д゚)道しるべのようです
なんというか、こういう二段落ちみたいなのはやっぱり来るものがある。
自分も最初は死体が動いたのかと早合点した。
ある人間の死が、なんやかんやでそこに来た別の人間をそこで死なせる事になった。
それに自分が関わってしまった、あまつさえ自分も巻き込まれる可能性があった。
そういうのを自分に置き換えて考えると、なんとも背筋が寒くなる。
その悪寒を、警官の意地の悪い笑いが引き立てている。
2. 仕事が終わるようです
勘の良い人以外、一読しただけではわからないかもしれない。
最初は少なくとも自分は幽霊が、仕事帰りのドクオに声をかけているのかと思ってた。
でも気がついたでぇ……へへへ。ヒントはドクオのカギ括弧2つ目。
気がつくと、最初の印象と違った感想を抱くかもしれない、一粒で二度おいしい話。
3.( ^ω^)猫又のようです
ちょっと講談風味の一作。
そういえば、昔は猫又は今のイメージと違って結構恐ろしい化け物だったのだとか。
そのイメージで現れた猫又が、逆に取って食われるというのに意表を突かれた。
ほんとうに恐ろしいのは、人間の食欲なのであろうか……。
4.ゾンビ从'ー'从
いやあ、怖いけど可愛いよね。
そして、黒い背景の中に浮かび上がるって構図はやっぱりかっこいい。
ダ・ヴィンチの「洗礼者ヨハネ」の頃からそういうのって変わらんよね。
彼女の手首から先をもらってソテーにしたらきっとおいしい。
694
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 01:53:12 ID:VJLHdl0.0
5.(・∀ ・)タタリのようです
幼いゆえの残酷さってあるよね。トンボをひたすら棒で叩き落としたり、
それでその死骸を集めてお団子にしたり。誰しもそういうのはあると思う。
その残酷さ、悪意が人間に向けられた時、どうなるのかが描かれている。
今回の祭りで現在までで唯一のVIP投下作品。
ガ板のまたんきの雰囲気を生かしているところに好感が持てる。
きっちり伏線・ミスリードを張って、がっちりビビらせてくれる良作。
6. lw´‐ _‐ノvバイト先で起こった出来事のようです
幽霊というのは、どんな世界に生きているんだろうかという疑問への一つの回答がこの作品かもしれない。
死んだことに気が付かず、あるいは目を背けて一種ごっこ遊び的な生者の振りをするという、
幽霊たちの行動は幽霊でありながらなんとも人間臭い。
最後の壁を抜けるシーンを読んだあと、なんか無性に寂しい気分にさせられた。
7. ξ ⊿ )ξ枕元に佇むようです
ホラーに登場するモンスターの造形には、作者としては悩まされるところ。
その点、このツン?はとても良くできていると思う。
最後のシーンにくるまで、割とゆるい雰囲気だったのに一気に来たのでうっ、と思った。
それで粘液、というとクトゥルフ的ななにかを想像してしまってさらにゾッとする。
ブーンが最後のレスのあと、あのツン?と濃厚なディープキスをしたのではないかと想像すると、
ブーンには同情の念を抱かざるをえない。
詳しくは
>>444
参照。
レス番といい絵といい、めちゃ怖い。
8. ξ゚⊿゚)ξ人と鬼の異文化交流のようです(^ω^ )
鬼のブーンとツンのハートフルコメディであったら良かったけど、そうは行かなかった。
結局、ブーンは人間を食料としてしか見做していないし、ツンの「友情」を弄びさえする。
相手に対する無理解が残酷な結果を生むのは道理であるとしても、なんと理不尽な結末だろうか。
読んでからしばらく、ガチで落ち込まされた。
695
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 01:54:33 ID:VJLHdl0.0
9. 少女たちの談話のようです
なんだぁ、ほのぼのかあ。と思わせて裏切られた。
きっと、百物語後半戦でもこういう嬉しい裏切りが続くのではないかと予感させる一品。
幽霊三人娘のおしゃべりが、誰もいない教室から聞こえてきたら……人間からすれば結構恐ろしい。
でも、死んでしまったあとも友達と楽しくおしゃべりできるならまだ救われてるよなぁとも思う。
残酷な裏切りがテーマの八本目を読んだ直後に読んだこの九本目は、自分にとっては一服の清涼剤だった。
10. 彼は帰りたいようです
ついつい、彼=ブーンというミスリードに引っかかってしまった。
本当に帰りたかったのは、きっと無名の圧死者の方だったのだろう。
そこへ面白半分で行ってしまったブーンに、帰りたかった彼はしがみつく他なかったに違いない。
やはり、巨大かつ黒ぐろとしたAAは破壊力がある。
どうしても、ヒェッてなるよなぁ。
11. 川゚ -゚)の初恋のようです
元ネタは洒落怖が初出の「八尺様」。
元ネタのおどろおどろしさに対比するように、この作品は淡い恋心が漂う切ない一篇に仕上がっている。
彼女の初恋の人を求める旅路に幸あれ、とさえ思わされる。
でも、元ネタ通りなら追いつかれたら死んじゃうんですよねえ……。
12. ( ^ω^)カウントダウンのようです
「十死」が念頭にあるブーン系読者なら、
このカウントダウンが死の宣告であろうと絶対に勘違いするに違いない。
実のところは、真綿で首を絞めるよりドえげつないカウントダウンであった……。
ドクオ・ツンのくだりや、何気ない日常描写がのちの恐怖をより引き立たせる。
13. ( ^ω^)少年、のようです
閲覧注意。猟奇好きのブーン系民なら、むしろこれは甘美な響きであろう。
普通の和風ホラーかと思わせておきながら、カニバリスティックな話だった。
人肉、それも少年を食べることに執着するようになったブーンの内面を丁寧かつ耽美に描いていて個人的に好き。
ワカッテマスの「憑かれている」発言にゾクッとさせられた。グロと幽霊的な怖さの合わせ技といったところか。
696
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 01:55:40 ID:VJLHdl0.0
14. でぃのお鍋の代わりのようです
三人の女の子が鍋を囲んで怖い話をするのだが……。
ガチホラー、鬱ホラーひしめく今回の百物語の中で比較的珍しいほのぼのした話。
ふっと笑わせてくれるオチに隠れがちだが、この話の中でさえ結構な怪奇現象が起きているというのは、
ちょっと薄ら寒い思いがする。
15. ジェイソン・クールのようです
アメリカンホラーというと、アジアンホラーに比較して価値の低いものにされがちだが、
理不尽にメタメタにされる恐怖・不条理というのは自分に引き付けて考えてみると、
それはとても恐ろしいものではないだろうか。
今回、そのことをこの作品でレザーフェイスさんが我々に叩きこんでくれる。
劇中で残虐に殺される被害者、演じられる愚かで悲しい怪物たちの死闘は、
まさしく80`sB級ホラー映画が与えてくれた、あの素晴らしい娯楽そのもの。大好きだ。
16. ばんぶぅーぱにっくのようです
>かっこん
>
>(,,゚Д゚) ミ,,゚Д゚彡
このオチの二人がツボ。
たまにはこういう話がないと神経がつかれてしまうよね。
大昔のお坊さんにとっては、全くとばっちりもいい所である。
17. 桜の樹の下には、のようです
この世との別れに際しては、世界というものはこの上なく美しく目に映るのだろうか。
デレの話からとても綺麗な光景を瞼の裏に浮かべていたが、
その後の日報の事務的な内容でがくっと現実に引き戻される。
また、ラストにちゃんとドクオがデレの話を聞いていたことが分かってからだと、
デレとドクオの一方通行の会話にどうしようもない切なさを掻き立てられた。
18. ξ ⊿ )ξ夢で終わらせてくれないようです
定番の筋ではあるが、丁寧にそれを魅せることに成功している作品の一つだと思う。
音、視覚から揺さぶりをかけ、最後にあのオチにきちんと落としこむのはなかなか難しい。
いい意味で、嫌な感じになった。
697
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 01:56:49 ID:VJLHdl0.0
19. ( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )
俺もきゃー誤嚥でお母さんが死んじゃった―!私も死ぬぅみたいな話を書くときに
老人介護に関する本を読んだが、介護の過程で親を恨んだり不幸になるケースは特に珍しくない。
だが、毒殺された父親がゾンビとして復活するという発想には驚かされた。
そして起き上がってなお、息子たちに妻の自殺の責任を負わされ、疎まれ続ける「父」が哀れでならない。
この中の誰が悪いと、決して言えない。そうした後味の悪さがピリリと効いた良作である。
20. ( ФωФ)君へ、のようですlw´‐ _‐ノv
ロマネスクとシュールの会話、それに続くラストがなんとも言えず切ない。
彼らについては作品の中で語られるところは少ないが、二人ともヒートを残して旅立っているのだろうか。
残していく者への、別れを惜しむ気持ちや哀切の念が胸に突き刺さる。
21. (´・ω・`)滴るようです
正統派学校の怪談という感じで、最後までダレることなく読み通せた。
水の滴る擬音が駆使されていて感覚的に怖さが伝わってくる。
オチの油断したところに……というのもいい。
もし、怪談の中の「やってはいけないこと」をしてしまったら?
という、小・中学生にとって絶望的な状況が思い出されて、その時の恐怖が蘇ってくる作品だった。
22. バケネコアーカイブのようです
江江時代の情景を想像するのが楽しい作品。
ぷりちーな妹者を守るために暗躍する兄者の活躍が爽やかである。
また、オチを知ってから読み返してみると、最初とは違った楽しみが味わえる。
23. ヤマノケ
あの、洒落怖の殿堂入り怪談がブーン系に乗り込んできたっ!
ヤマノケに取り憑かれた娘の顔がめちゃくちゃ怖い。
そして、安定のTさんオチ。もう大好き。
698
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 01:59:57 ID:VJLHdl0.0
24. こっちを見ているようです
貞子ファンのブーン系民ならば一度は画面から貞子がでてこないかと、
リングの映画を何度も視聴し、一週間待ち続けた事があるだろう。
それはそれとして、新旧貞子の仲の良さと、ミルナと貞子の睨めっこには癒された。
25. ( ´_ゝ`)夢≒現実のようです(´<_` )
誰しも、押し隠している衝動というものはあるだろう。
しかし、この話で怖いのは夢を介して徐々にその衝動が抑えがたくなり、
兄者という蓋を破らんとしている所ではないだろうか。
平和な田舎の風景を背景に、仲の良い兄弟の交わすのんびりとした会話のなかで、
それが進行しているというギャップが、妙に印象に残った。
26. ひとりかくれんぼのようです
時にGのもたらす恐怖は、怪奇現象のそれを軽く超える。
その陰に隠れてしまったエリザベートがかわいそうで仕方ない。
良作ホラー揃いのなか、きっちりとほのぼのさせてくれた一品。
27. ζ(゚ー゚*ζそれいけデレちゃん!巫女さんは妖魔バスターのようです
あーん!デレちゃんが死んだ!
28? 彼女はゴスロリで徐霊師で…
くそっ……(´・ω・`)に変なかっこさせるのは卑怯だろ。
でも、ドクオは成仏したところを見るとこれはこれでいいのかもしれない。
699
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 02:08:13 ID:4AsEseZ.0
乙
全部とかすごいな
700
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 02:14:19 ID:X6WZFREc0
おお、おつ
感想読むとまた読み返したくなるな
701
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 05:18:17 ID:59f4kZ/EO
感想乙!
こんなに書くのは大変だったでしょうに
702
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 08:51:44 ID:0PRHDFKU0
>>685
は数に入れていいだろうよ
金土日のみの投下ってルールはあくまでダレるのを防ぐためだし、次から皆気を付けましょうってことで
703
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 11:33:24 ID:hf.aT.7.0
15日は投下ありにしても良かった気がするな盆だし
704
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 11:57:05 ID:FseeADqI0
>>1
がいいって言うなら俺は賛成
705
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/13(火) 11:59:30 ID:K5KBjVm.0
ほいほい呼ばれてやってきましたよー
皆さんが投下するなら1としてはオールオケよー
みんなの意見聞きたいよー
706
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 12:42:16 ID:FseeADqI0
俺みたいにこのままじゃ投下機会が足りなくなるって人がいるかもしれない
707
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 13:14:18 ID:FkUeYCRs0
このままやってて百越えるとも思えんしな
708
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 13:30:28 ID:kCYppg5Y0
まだいくつかあるが、次の週末は来れない俺がいる
709
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 13:42:42 ID:vYkjQqFg0
どうしても都合が合わないようならルールとかガン無視してでも投下すればいいよ
遅刻ならともかく、期間内だし
710
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 14:35:22 ID:v8AWWmtQ0
>>690
亀だがサンクス
だめじゃねとか言っておきながらアレだが沢山読めるに越したことないしな
711
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/13(火) 14:45:08 ID:K5KBjVm.0
投下したい人多いみたいね
よーしじゃあ木金土日投下オッケーにしましょうか
これでいいかな?
712
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 15:54:09 ID:ayRunD52O
主宰さんに、質問〜
投下可能日、拡大案は了解したけど、その場合投下可能な時間はどうするの?
雰囲気出すために、18時〜翌朝までは固定?
それとも、投下時間制限はなしにする?
713
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 16:01:26 ID:o2ZnBits0
あんまり自由にしすぎるのも雰囲気なくなるし投下可能時間はそのままがいいな個人的には
714
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/13(火) 17:05:48 ID:K5KBjVm.0
うん
投下日のみ拡大でそれ以外の投下時間などはそのままでお願いしますー
715
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 17:30:32 ID:7YJaH66Q0
了解ー
知らない人も多いだろうから、総合スレとかでも宣伝するといいかも
716
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 18:11:59 ID:iNUTz9w20
総合に告知乙です
こっちにもコピペしていいかな
717
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 18:37:56 ID:VJLHdl0.0
いいと思うよ
合わせてまぜこぜさんに連絡しておいたほうがいいな
718
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 20:30:11 ID:i5CS70HU0
あれ、今投下して大丈夫?
719
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 20:31:45 ID:i5CS70HU0
あ、金土日だけだったか
読み忘れすまん
720
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 20:38:51 ID:7YJaH66Q0
投下が可能なのは、木金土日だな
木曜日が今回増えた
721
:
名も無きAAのようです
:2013/08/13(火) 21:42:45 ID:N1Xpzm3cC
>>693
の感想みて読み直してるんだけど道しるべの二段落ちがさっぱり分からない・・・
普通に死体が動いた怖い以外に落ちあるのか?
2本目もヒントのおかげで何となく理解できたけど自信ない
無粋だと分かってるけどホラーは解説が欲しい・・・
722
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 01:16:48 ID:uVtBxa8c0
待つ日数が少し減って嬉しいな
皆の力作楽しみにしてるよ
723
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 04:13:53 ID:k84Gd8XM0
>>721
それを知っているということは…?
いや、自信ないけど。
724
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 06:31:47 ID:jazxlJFgO
道しるべ書いた奴だけど、好きなように解釈してくれ
ただの死体動いてる系の話を書いたつもりだったけど、
書いた本人が気付かなかったような読み方があって、しかもそのおかげで恐怖が増すのなら願ったり叶ったりだ
もともと怪談は全て明確にはっきりさせるより少し曖昧で色々解釈出来る方が好きだし
だから描写不足なだけとか言うなよばーかばーかお前の母ちゃん経産婦
>>721
二本目は
・「仕事が終わった」というか「一仕事終えた」
> ('A`)「服汚れたし、
・何のせいで服が汚れたか
> 早くいけ
> 早くいかなきゃな
・「行け」「行かなきゃ」じゃなく「逝け」「逝かなきゃ」
> 次の日の朝、男が死体となって発見された。
・「男」は('A`)ではなく……
と考えると、まあ多分そういうことだよな
俺も確信は出来てないけど
自分なりの解説とかってがっつり書いていいか悩むのでこんなことしか書けない
725
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 10:34:05 ID:wH1UYk0k0
二本目は逆読みしてみたんだが
あれ?逆読みしてたの俺だけ?
726
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 11:30:58 ID:Ifpu.QAQ0
>>725
おお…おおお…逆読みかなるほど
727
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 13:18:39 ID:9ekxQQ5c0
逆読みの発想はなかった
これはすごい
728
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 14:35:24 ID:JgiDJQs60
おおおおおおおお、逆読みか!!
729
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 15:28:52 ID:Citpydo60
逆読み気づかんかった
730
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 15:30:28 ID:n9X2ib9I0
ああーそういうことだったのか……すげえな
731
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 18:14:08 ID:jazxlJFgO
たしかに逆読みの方が自然に感じられるな
すげえ
732
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 20:52:01 ID:Ip9XxCJg0
え、どういうことまだわからん
733
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 20:54:31 ID:FJl8TdCY0
>>732
一番下の行から上に向かって読んでみ
734
:
名も無きAAのようです
:2013/08/14(水) 21:05:32 ID:RN85R2RI0
去年の感想書くって人wktk
こっちのスレでもいいと思うけどな俺は
735
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 01:04:23 ID:.88FuADA0
ワシもええと思うで!
736
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/15(木) 01:08:16 ID:2cf1SXow0
ワイもいいと思うで!
737
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 07:47:10 ID:BedaMfJ60
今日は投下あるかな
738
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 11:43:03 ID:2adOIj820
去年の感想って言っても一個だけなんだけどいいだろうか……
去年の中で一番すきな作品
読み返すとなにげにここ怖いと思うんだよ
きちんとたいらげたのかなーと思うと……
( ´_ゝ`)「あっ…」
男がちょっと目を瞑るはずが3時間。時計はAM5時を指す。
目の前にあるラップが捲られた皿々、男の肩に掛けられた毛布が弟者の帰りを知らせていた。
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1101.jpg
(擬人化注意、背景は写真)
739
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 17:56:14 ID:X1OBwq2o0
次って28本目でおk?
740
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 17:59:35 ID:2fTnC5RcO
29本目じゃないか?
>>685
が28本目で
>>738
乙乙
読み返したくなった
741
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:02:58 ID:X1OBwq2o0
さんくす。じゃあ18時なったから投下させてもらいます。
29本目。
金縛りのようです。
.,、
(i,)
|_|
これは、私の実体験です。
あれは8月も中頃、寝苦しい夜だった。
ふ、と目が醒める。
背中が汗でじっとりと濡れているのがわかる。
徐々に意識がはっきりしてきたら徐に喉が乾いてきた、起きるのは面倒くさいが水を取りに行こう。
だが、身体が動かない。
(-、-;トソン(ああ、また金縛りか…)
私はよく金縛りにあってた。
金縛りなんて霊的なものは関係なく、ただの脳のうんたらかんたらと言われている。
霊自体も見たことなく、金縛りをあまり怖いと思ったことはなかった。
(-、゚トソン(早く動くようにならないかしら…)
金縛りになったらいつも瞳だけしか動かせないから暇になる。
キョロキョロと瞳だけ動かし真っ暗の部屋の中を探る。
そういえば何時だろうか、時計を探しあっちこっちに視線を動かす。
742
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:03:40 ID:X1OBwq2o0
( ω )
(゚、゚;トソン(!?)
天井、自分の真上に人がいた。
暗くて顔はわからない。
男…?しかしなんであんなところに…?
何かわからない恐怖を感じ、嫌な汗が一気に吹き出た。
(゚、゚;トソン(め、目がとじれな…)
恐怖から目を閉じようと試みるが、私の意思とは正反対に瞳はしっかりと何かを捕らえて逃がさない。
何かは私が見ているのに気づいたのか、じりじりと顔をこちらに近づけてきた。
病院臭い、消毒液の臭いがする。
( 、 ;トソン(やだ、こわい、たすけて、だれか、だれか…)
あまりの恐怖に、私はいつの間にか意識を手放していた。
743
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:04:20 ID:X1OBwq2o0
翌朝、目を覚ましたら天井には何もいなかった。
(゚、゚トソン(もしかしたら夢だったのかも)
そう思い新聞を取りに玄関へ向かう。
すると、玄関先に謎の染みができていた。
水だ。水溜まりが何故か玄関にできている。
(゚、゚;トソン(雨なんかここ数日降っていないのに…)
君が悪い、そうとしか言いようがなかった。
突然ポケットが震える、どうやら着信らしい。
慌てて出てみると母からの電話のようだった。
744
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:05:02 ID:X1OBwq2o0
祖父が急死したらしい。
数年前から病を患い祖父は入院していたようだ。
大学、就職と長いこと地元に帰らなかった私はその事実を始めて知った。
祖父は肺に水が溜まる病気だったらしいのだが、死後調べたところ何故か前日にあった水がすっかり消えていたらしい。
もしかしたら、あの晩現れたのは…。
水溜まりを作っていったのは…。
私は毎年祖父の墓参りする度、そんなことを思うのです。
(
)
i フッ
|_|
745
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:05:58 ID:X1OBwq2o0
短い上に怖くないですがお粗末様でした。
たまには文章書くのもたのしいね。
746
:
◆WX8wcWYomk
:2013/08/15(木) 18:06:41 ID:uBXZcgJ20
お疲れ様です
ではそれがしも30本目を頂きます
( ^ω^)大塚係長の陰謀のようです
〜百物語特別仕様〜
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1370050226/l50
.,、
(i,)
|_|
747
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:08:30 ID:2fTnC5RcO
乙乙
じいちゃん……
748
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:16:13 ID:uBXZcgJ20
( ^ω^)大塚係長の陰謀のようです
〜百物語特別仕様〜
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1370050226/109-117
30本目、投下終了です
(
)
i フッ
|_|
749
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:16:36 ID:2fTnC5RcO
三十一本目
.,、
(i,)
|_|
(,,゚Д゚)書きためが消えるようです
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1102.jpg
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1103.jpg
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1104.jpg
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1105.jpg
貞子はこの後モララーと付き合いました
(
)
i フッ
|_|
まぜこぜブーンの仮タイトルその4でした
750
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:20:55 ID:2cf1SXow0
十物語のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376558035/
投下開始しました
.,、
(i,)
|_|
751
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:26:49 ID:nQUWkTsY0
>>749
クッソワロタ
しかも貞子はモララーと付き合ったってギコ踏んだり蹴ったりww
752
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:27:44 ID:.05/kBZY0
>>749
最後の躍動感やべぇ
753
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:47:46 ID:apKHnwqk0
>>749
ギコつれぇwwグズだからってそりゃねーわwwww
つかこの絵はお前…穴本の人か…
754
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:48:50 ID:0OIhKpFgO
乙、悪霊とかでなくじいちゃんでよかったね
それとこのあと別の誰かが指摘するだろうかから今書いとく
28本目のほうが正解だと思うよ
27本目はゴスロリに除霊されて('A`)が消えるまでで1作品だと思う
755
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:51:03 ID:IpPUIiRg0
川 ゚ -゚)お迎えのようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376560156/
蝋燭お借りする
756
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 18:51:54 ID:2cf1SXow0
>>754
いやゴスロリは数え間違いして27っていってるだけで本当は28だから本数はあってるよ
というわけで三十二本目いただきまし
十物語のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376558035/
(
)
i フッ
|_|
757
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 19:22:33 ID:GRBf0qeY0
支援絵描いたお
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1108.jpg
三本目( ^ω^)猫又のようです
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1107.jpg
二十二本目バケネコアーカイブのようです
ブーンがちょっとうほっな人に見えなくもない構図になってしまったごめん
758
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 19:24:12 ID:0OIhKpFgO
>>756
おまいよく見てるな、27本目が2作品あるな
759
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/15(木) 19:34:30 ID:2cf1SXow0
>>758
(一応こういう者ですし)
760
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 19:40:18 ID:ckX67nQ.0
>>757
可愛すぎワロタ
761
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 19:44:55 ID:2fTnC5RcO
>>757
うほっ 猫又の尻尾が二本あって芸が細かいな
バケネコかわいい
762
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:16:04 ID:XO268j/o0
三十三本目、いきます
.,、
(i,)
|_|
逃げてなどいないようです
763
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:18:19 ID:XO268j/o0
なあ兄者、知っているか。
カッターを持った女の子の話だ。
もう十年は前の話だったかな。
今も昔もやることは同じらしくてな。一人の女の子が、クラスの女子からいじめを受けていたらしい。
朝来れば下駄箱はゴミだらけ、机の上に仏花、教科書やノートは落書きだらけ、休み時間にはトイレで水をぶっかけられる。
清々しいほどわかりやすい行為だな。
そんな行為が一年くらい続いた頃か。
いじめられた女の子は、とうとう自殺を決意したらしい。
だが、自殺っていうのは逃げることだ。いじめっ子から逃げる為に、自分を殺すんだ。
女の子は、その「逃げる」って行為が、負けたような気がして嫌だったんだな。
764
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:20:06 ID:XO268j/o0
女の子は家にあったカッターナイフで手首を切って死んだ。
一度では死ねなかったんだろう。何度も何度も切り付けて、女の子は死んだ。
いじめっ子は、女の子が死んだと聞いても特に何も思うことは無かった。
朝死んだ猫を見かけたと聞いて、ああそう、と相槌を打つ程度と言えば分かりやすいかな。
彼女の訃報を聞いた日の晩、いじめっ子達は揃って死んでいた。
全員自宅で、全身をめった刺しにされて死んでいた。
一つ一つの傷は、言うほど深くは無かった。だが顔の原型が分からなくなるまで刺されていれば、まあ死ぬのも納得できるだろう。
一晩に五人もの女子中学生が死んだこの怪事件は、凶器が発見されないままだった。
結局事件は犯人も見つからず、永遠に迷宮入りだ。
( ´_ゝ`)「なあ、弟者」
765
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:21:21 ID:XO268j/o0
なんだ、兄者。
( ´_ゝ`)「その事件の犯人ってのは、自殺した女の子なんだろう」
どうしてそう思う?
( ´_ゝ`)「人の怨念ってのは案外強く残るらしくてな。
それだけ強い想いを持っていたんなら、死んだ後復讐しに化けて出てもおかしくない」
非科学的なことを嫌う兄者がそんなことを言うなんて珍しいな。
( ´_ゝ`)「今回だけは特別だ。ところで弟者、」
766
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:22:30 ID:XO268j/o0
( ´_ゝ`)「そろそろ、頸動脈をぶっ刺してくれないか。痛くて痛くてもう嫌になるんだ、さっさと殺してくれ」
兄者がそう言うなら。
767
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:23:36 ID:XO268j/o0
ぶつっ
768
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:25:25 ID:XO268j/o0
『――昨夜、17歳の男子高校生が、双子の弟に数十か所を刃物で刺されて死亡する事件が起きました。
弟の流石弟者容疑者は、遺体と共にその場に気絶しており、目が覚めると錯乱状態になったそうです。
「俺が殺した」「殺したくなかったのに、体が勝手に動いた」との供述を繰り返し、精神面に異常があると見て精神病院へ入院しているとのことです。
被害者と容疑者を知る人々からは「本当に仲が良かった」「信じられない」などと、
常より目立った喧嘩も無く、本当に仲が良い兄弟という認識であったが故に、驚きを隠せないという声が多く上がりました。
なお凶器に使ったというカッターナイフは未だ見つかっておらず、
警察は「本人の精神状態が安定するまで真実の解明は難航するだろう」と意見を示しています。
では、次のニュースです――』
769
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:28:29 ID:XO268j/o0
許さない。
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
わ たし は に げ てな ん か な い
770
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:29:39 ID:XO268j/o0
つ は ま の
ぎ
え
お
(
)
i フッ
|_|
771
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:33:47 ID:IpPUIiRg0
おつ いつまで経っても満足しないんだろうな、怖い
三十四本目頂いた
川 ゚ -゚)お迎えのようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376560156/
772
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:38:33 ID:Mv.L0B1s0
弟者は自殺した女の子について「逃げた」つったから取り憑かれたのか…
女の子の「逃げ」に対する妄執を思うとぞっとするな
乙
773
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:41:55 ID:bzN4gqik0
お前らの解説でようやく理解したわ……
774
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:50:33 ID:uf2s4vaE0
よーしじゃあお兄さん三十五本目もらっちゃうぞー
.,、
(i,)
|_|
ノパ⊿゚)の本当にあった田舎の怖い話のようです
775
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:52:09 ID:uf2s4vaE0
これは私が本当に体験したお話です。
それは太陽が本格的に熱波で日本を滅ぼそうとしているとしか思えない、
あるクッッソ暑いお盆の日の夕方のことでした。
ノパ⊿゚)〜♪ テクテク
周囲を山に囲まれた農村地帯にある親戚宅に遊びに来た私は、
夕飯までの時間つぶしに暗くなり始めたその辺をぶらぶら歩いていました。
いくら猛暑とはいってもヒートアイランド現象などとは無縁の自然にあふれたこの地域では、
夕方にもなれば暑さもやわらいで、時折心地良い風が辺りを吹き抜けていくので、とても快適な夕暮れどきの散歩でした。
地方都市の割と都市部に住んでいる私には、農村ののどかな風景は心弾むものなのです。
昼間は軽く殺意さえ湧いた蝉の声も、こうなると夏の夕闇を飾るアクセントに感じられるのだから不思議です。
('、`*川 サクサク
ノパ⊿゚)(おー、ホントに頭に手ぬぐい巻きつけてる。あれ名前なんていったっけな)
ふと横を見れば、道の脇の畑では、ほっかむりをしたおばあさんが何やら畑仕事をなさっているところでした。
顔には深くシワが刻まれているものの足腰はしっかりしており、いかにも健康的といった様子でした。
776
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:53:49 ID:uf2s4vaE0
/ ,' 3 スタスタ
すると、道の向こうの方からひとりのおじいさんが歩いてきました。
そのおじいさんも目元や表情はやわらかく優しげでしたが、
これまた見た目の歳の割には堂々とした足取りで、お年寄りの力強さを表しているかのようでした。
/ ,' 3「おーい、トソンさんや」
('、`*川「ほいほい、なんですね?」
おじいさんはおばあさんのいる畑ばたで立ち止まると、おばあさんに声をかけました。
/ ,' 3「へぇ(もう)墓行ったっけ、死んでいいでよ」
ノパД゚)
.
777
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:54:40 ID:uf2s4vaE0
('、`*川「おや、そかね」
ノパД゚)
(゚Д゚ノハ
ノパД゚ノハ
.
778
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:55:22 ID:uf2s4vaE0
後で聞いてみると、アレはこの辺りの方言だったそうです。
「はかいった」=「捗った」、「しんでいい」=「しなくてもいい」、みたいな意味になるそうです。
つまり
/ ,' 3「へぇ(もう)墓行ったっけ、死んでいいでよ」
を標準語に直すと、
/ ,' 3「もうかなり作業が進んだので、今日のところはもう作業をしなくてもいいよ」
という感じのセリフになるみたいです。
ノパ⊿゚)「いやまったく、日本語というのは奥が深いですね!」
(
)
i フッ
|_|
ノパ⊿゚)「実際に体験した話なんてこんなもんだよ!!」
779
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 20:58:07 ID:V0h7Eisw0
オチwwwwww
780
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 21:01:25 ID:V0h7Eisw0
てっきりじいさんが死んだことに気付いてないばあさんに
とっくに死んでるって事実を告げたのかと思ったらこれだよww
不覚にも笑ったわw
乙ー
781
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:04:57 ID:TB6qx7aU0
乙乙
方言って面白い。
36本目、いただきます。
.,、
(i,)
|_|
782
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 1/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:06:30 ID:TB6qx7aU0
海の上に夕日が浮かんでいる。
(*゚∀゚)「きれいだねー」
横で小さな女の子が言う。
名前はつー。見た目は小学校の中学年くらいか。
(,,゚Д゚)「……」
俺はつーの横顔をずっと見ていた。
背丈のために、見下ろす形になっていたが。
頬が赤く火照っているのは、夕日のせいでもあり、
そもそもつーの頬がやや赤みを帯びているからでもあった。
彼女は顔が丸く、背の小さな女の子だった。
どこにでもいる女の子。
ただ、足の先がぼやけて消えているだけ。
(*゚∀゚)「おじさん、おじさん」
つーが俺に声をかける。
783
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 2/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:08:01 ID:TB6qx7aU0
(*゚∀゚)「今度は何して遊ぶ? お石で遊ぶ?」
(,,゚Д゚)「元気がいいな」
(*゚∀゚)「うん! 久しぶりに人と会ったから!」
無邪気な笑顔を見る。
この笑顔を見てどうして、この子が自殺を促しているなどと思えるのだろうか。
★ ★ ★
(,,゚Д゚)「自殺の名所?」
あの日、俺は旧友であるフサから唐突にその話を聞いた。
ミ,,゚Д゚彡「そうらしいんだ。俺らが良く遊んでいたあの海岸、少し小高い場所があっただろ?」
(,,゚Д゚)「ああ、あったな。ネズミ落としって言うんだっけ。落ちたらもう登れなさそうなところ」
ミ,,゚Д゚彡「あそこで自殺が多発したらしい」
そうか、前から危ないって言われていたものな、そう言おうとして、俺は違和感に気付いた。
(,,゚Д゚)「自殺?」
784
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 3/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:09:33 ID:TB6qx7aU0
ミ,,゚Д゚彡「そう、自殺」
どういうことだろう。
俺が学校に通っていたころは、少なくともまだ自殺者などいなかったはず。
せいぜいひとつの事故があっただけだ。
俺の怪訝そうな顔をみたからか、フサは軽く頷いた。
ミ,,゚Д゚彡「俺らのいた頃のじゃないよ。俺らがいなくなってから、自殺者が現れたらしい。
で、すっかり不気味な場所として有名になっちゃったんだとさ」
(,,゚Д゚)「そうか……あのあとまたあったのか。
学校も潰れているしな。廃校と自殺の名所、そりゃあ有名になるわけだ。
しかし廃校したのならとっとと撤去すればいいのにな」
俺がぼやくと、フサもまったくだと言うように顔を顰めてくれた。
ミ,,゚Д゚彡「その事情もまあわかっている。あの頃は不景気だったし、それに……
こういっちゃなんだけど、撤去しない方がいいこともある」
フサの言い淀み方で、俺はすぐに察した。
(,,゚Д゚)「……金か」
ミ,,゚Д゚彡「そうだと思うよ。実際全国的に有名になってきているわけだし」
人の死が金を呼ぶ、それで地元が潤う。嫌な話だ。
785
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 4/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:11:03 ID:TB6qx7aU0
ミ,,゚Д゚彡「そこで今回の依頼だ」
フサは煙草を灰皿にこすりつける。
煙が一瞬広がり、細い線となって消えた。
ミ,,゚Д゚彡「自殺の名所になっている原因を探れと」
(,,゚Д゚)「……いったい誰がそんな依頼を?」
俺は興味本位から質問した。
フサは時折依頼を受けて、霊現象の調査・解決をしている。
多少霊感があるだけなのだが、どうもこの仕事はお金になるらしく、長々とゴーストバスターズの真似ごとをしているとのことだ。
別に何か衝撃波でも出してお化けを吹きとばしたり、そういうことはできない。
できるのはお化けの悩みを聴く、それだけ。
ミ,,゚Д゚彡「依頼をしてきたのは新しい村長だよ。前まであそこを牛耳っていた地主の一族が絶えたから、村長が変わったんだ」
それで、村をもっと発展させたい、もっと明るく、ぱーっと。古いものもぶっ壊したい」
廃校も壊したいけど既得権益がある。だからまず霊現象から解決したい。こういうわけさ」
786
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 5/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:12:42 ID:TB6qx7aU0
(,,゚Д゚)「はー、なるほどね。良いんじゃないの、俺も辛気臭いよりその方がいいや」
ミ,,゚Д゚彡「じゃあ協力してくれるよな?」
(,,゚Д゚)「ああ、そういうことか。またか」
俺には別に霊感は無い。でも腐れ縁ということもあり、フサの携わった依頼の手伝いを良くしていた。
まったく霊感が無いからこそ、下手に反抗もされずに無事でいるらしい。
☆ ☆ ☆
俺の前にいるつーには足は無い。どうみても、幽霊だ。
俺のことを霊感なしと判断したのフサである。あいつの読みは違ったんだろうか。
(*゚∀゚)「おじさん、あそこ言ってみようよ」
つーはそう声を上げると、指を指した。件の崖がある。
(,,゚Д゚)「……」
俺は自分の顔がこわばるのを感じた。
まさか自分をつれていこうとしているのか。
787
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 6/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:14:36 ID:TB6qx7aU0
(*゚∀゚)「どうしたの?」
つーいつの間にか足元に来ていた。さっきまで岩場の方でしゃがんでいたのに。
やはりこの子は幽霊なのだと感じ、微かに寒気を感じた。
★ ★ ★
俺の仕事は某情報誌のライターだった。
いまどきは情報誌だけで生きていけるわけではない。ネットに記事を書いていたりもする。
政治や社会問題を扱う仕事は競争が激しい。
しかしライターになりたいやつは誰だって、そのような問題に接し、世の中の役に立つような情報を発信したいと思うはずだ。
もちろん俺だってその一人だった。
でも時期も機会も悪く、与えられたのは胡散臭い会社の胡散臭い記事の仕事だった。
配属された時、ちょうど幽霊特集を組む仕事に回された。
心の中では嘲っていたものの、仕事とあらば仕方が無い。
お化けの話のネタのために、小学校時代からの旧友だったフサに相談した。
本当は余計に借りをつくりたくはなかったのだが。
788
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 7/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:15:36 ID:TB6qx7aU0
崖の話を聞いてから、俺はフサに言われた通り、まずは村長と接触した。
村長は若く、力に満ち溢れた青年だった。
古い因習をたたき壊すにはこれくらいやる気に満ちていないとならないのだろう。
(`・ω・´)「それで、ギコさん。聴きたいこととは?」
ちなみにフサは俺のことを自分の調査の部下などと紹介していたらしい。
話はスムーズにいくが、あまり気持ちのいい身分ではなかった。
(,,゚Д゚)「心霊調査のためにはまず、その心霊が現れる理由を知らなくてはなりません。
幽霊というのは何かこの世に未練があるから現れるんです。ですので、その未練とは何なのか知りたい」
全てフサの受け売りである。
(,,゚Д゚)「何か昔、幽霊と関係あるような事件とか、ありませんでしたか」
(`・ω・´)「事件、ですか……自殺がまず最初に騒がれたのが15年前なんですよね。
15年前、あの近くの小学校がまだやってましてね、そこにいたつーという女の子が身を投げて」
☆ ☆ ☆
(*゚∀゚)「あの丘の下にね、ほら穴があるの」
つーは説明してくれた。
789
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 8/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:17:08 ID:TB6qx7aU0
(,,゚Д゚)「そこに俺を連れていくのか?」
(*゚∀゚)「うん。連れていったほうがいいって」
(,,゚Д゚)「いい?」
(*゚∀゚)「きこえるの」
誰かが呼んでいるのか。
岩場が歩きにくかったが、足のないつーは空中に浮かんで、すーっと進んでいく。
俺もなんとかついていく。
革靴にはつらい。
★ ★ ★
(`・ω・´)「15年前に、心当たりでもあるんですか」
(,,;゚Д゚)「いえ……実は私もそこの小学校にいたのですが」
(`・ω・´)「なんと、ではまさかあの自殺も」
(,,;゚Д゚)「いいえ、その頃は高校生でしたし、もう引っ越していました」
790
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 9/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:18:35 ID:TB6qx7aU0
(`・ω・´)「引っ越し……?」
村長が首を傾げた。
自殺があってから離れるのはわかる、その前に引っ越すのはどういうことなのだ。
そう疑問を抱いた顔だった。
(,,゚Д゚)「実は、仲の良かった子が亡くなったんです」
そういえば、俺はふと思い出した。
むしろどうして今まで忘れていたのだろう。
(,,゚Д゚)「その子、あの岩場で発見されたんです」
気付いたことを言いながら、俺は自分の心臓が少しだけ鼓動を速めるのを感じた。
まさか彼女が関係あるというのか。
(`・ω・´)「気になりますね。いったいどうして岩場で発見されたんですか?」
(,,゚Д゚)「改修中の川に、落ちたんですよ……それで海まで流れていって」
海流に乗って偶然岩場へ。沖にいってしまわなくてよかった」
ギコくん……
はっとして、振り返る。
村役場の応接室、何もない。何も聞こえるはずない。
791
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 10/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:20:02 ID:TB6qx7aU0
(`・ω・´)「大丈夫ですか?」
村長が心配そうに声をかけてくれた。
(,,;゚Д゚)「え、ええ。ちょっと。こんな話題をするもんですから」
自分には霊感は無いはず。危険なこともないはず。
あのとき死んだ、しぃになんて会わないはず。
☆ ☆ ☆
ほら穴は薄暗かった。
ぎりぎり差し込んでいる太陽の光も、もうじき消えてしまう。
深い青に入口は閉ざされてしまうだろう。
彼女はいた。
あの頃と変わらない、小学生の姿のまま。
「ギコくん」
声は確かに聞こえた。あの応接室のときよりもはっきりと。
暗いせいだろうか、青白く見えるのは。
もともと肌の白い子どもであったが、殊更にそう見える。
792
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 21:21:01 ID:IpPUIiRg0
ぞくぞくしてきた
793
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 11/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:21:32 ID:TB6qx7aU0
(,,゚Д゚)「しぃ」
俺はあのときと同じように名前を呼んだ。
★ ★ ★
俺は役場の外に出て電話をかけた。相手はフサだ。
電話には出ない。あいつはいったい何を考えているんだ。
俺は焦った。嫌な予感がした。
もし岩場にいる幽霊がしぃだというのなら、彼女は自分を狙っているに違いないのだから。
二回目、三回目、連続してコールする。
舌打ちして、それからはっとして、あたりを見回す。
すると時代錯誤のような公衆電話がひとつ見つかった。
一回目のコールでけりがついた。
ミ,,゚Д゚彡「……あ、ギコか」
しまったーとでもいうような冗談めいた声がする。
(,,゚Д゚)「なんで俺の電話にでねえんだよ」
ミ,,゚Д゚彡「いやー、びびってるかなーって思って」
フサの口調からよくわかる。あいつはわかっていたのだ。
この事件の裏側にしぃがいることを。
794
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 12/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:23:01 ID:TB6qx7aU0
(,,#゚Д゚)「ふざけんなよこら」
ミ,,゚Д゚彡「いやいや、別にふざけているわけじゃないよ」
逆に、正直に言ったところで君はそこにいかないでしょ」
俺は黙った。
ミ,,゚Д゚彡「心当たり、あるんでしょ」
図星だった。
何も言い返すことは無い。
ミ,,゚Д゚彡「だから、行きなって。大丈夫、君の体力なら生きていけるはず」
(,,゚Д゚)「なんでそう言えるんだよ」
ミ,,゚Д゚彡「100%見た目だけで判断してるよ」
(,,#゚Д゚)「てめえ」
何を言う前に、電話は切られてしまい、もう二度と繋がることはなかった。
☆ ☆ ☆
しぃ。
あの日、俺は彼女に会っていた。まだ雨が降り出す前だ。
795
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 13/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:24:33 ID:TB6qx7aU0
俺たちは小学校三年生だったか、それくらいだった。
川で遊んでいたんだ。暑かったから。
それで、雲行きが怪しかったから、陸に上がろうとしたんだ。
でも、そこで風が吹いて、しぃの帽子が飛んでいった。
しぃはそれを追って、また川に入って、そして突然転んだ。
それっきり、浮かんでこなかった。
(,, Д )「俺は、すぐあがるだろうと思って、一回だけ名前を呼んで、みていた。
でもお前は出てこなかった。もう、俺は怖くて怖くて」
(,, Д )「すぐに大人でもなんでも呼べばよかったんだ。そうすれば助かったかもしれない。
だけど俺は足がすくんで動けなくて。たまたま自転車で通りかかったおっちゃんに、あぶねえぞーって声を掛けられて」
(,, Д )「それでタガが外れたように、駆け出した。聴いたことない大きな音も鳴ってて、怖くて逃げた。
家に帰って、布団にこもって、ガタガタ震えていた。
きっと助かる、きっと、俺は悪くない、そう言って」
(*゚ー゚)「見捨てたんだ」
最後の言葉はしぃが紡いだ。薄暗くてよく見えないが、口元が微笑んでいるように見えた。
796
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 14/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:26:02 ID:TB6qx7aU0
(,, Д )「しぃ……」
俺は今、目の前でまた彼女を見ている。
彼女もまた足が無い。
★ ★ ★
フサとしぃは家が近所だったはずだ。
それでずいぶんと仲良かったのを覚えている。
しぃが死んで、葬式場でずっとフサは泣いていた。
俺はその姿を見て、居た堪れなくなって、中学生になったころになって、ようやくフサに打ち明けた。
ミ,,゚Д゚彡「見殺しにしたのか。臆病者め」
フサは俺のことをそう評していた。
でも、そこで猛り狂うにはもう時間が経ち過ぎていたようだ。
ミ,,゚Д゚彡「おまけに行動も遅い、どんくさい、面倒な奴め」
俺はその言葉を悔しく聴いていたことを覚えている。
ミ,,゚Д゚彡「それじゃあ約束してくれ、これからはなんでも俺の言うことを聴くって」
それがフサとの腐れ縁だった。
797
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 15/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:27:32 ID:TB6qx7aU0
そうだ、そのはずだ。まさかフサが俺を自殺に追い込もうなどとするはずはない。
俺は一瞬頭に浮かんだ疑問を、そうして理屈で跳ね返した。
あいつにはきっと、俺としぃが会った方がいいと考えたんだ。
それはたぶん、しぃを供養するため。
☆ ☆ ☆
しぃがすーっと、近づいてくる。
岩場も水辺も関係ない。宙を浮いてくる。
すでに日は沈んでいる。
あたりは暗く、星の光はほら穴を照らすには明らかに弱かった。
しぃは、髪が少しだけ長いようだ。濡れていて、ふわりと浮かない分、伸びているように見えた。
(*゚ー゚)「ギコくん」
もう一度、しぃが言う。徐々に俺に近づきながら。
俺は眼を開いていた。
何があろうとも閉じるつもりはない。だってあのとき見捨ててしまったのは本当なのだから。
しぃの体が後数十センチ、数センチ、数ミリ……
798
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 16/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:29:02 ID:TB6qx7aU0
背筋に悪寒が走る。
いったいどうして、しぃが自分を殺さないと断言できる。どこにそんな確証がある。
フサを信じるのか。でも、俺は。
感触はなかった。
でもしぃの体はもう、俺の体に触れていた。見た目では、そうだ。感覚がないだけなのだ。
★ ★ ★
岩場についた。すでに夕暮になろうとしている。
波の音が静かだ。今日の天気は穏やか。雨は降らないで済むだろう。
岩場に女の子が見えた。
今は夏休みだ。子どもがいても不思議ではない。
でも、どうしてこんなに不安になるのだろう。
女の子がこちらを向いた。手を振っている。
(*゚∀゚)「待ってたよ、おじさん」
女の子の名前はつーと言った。
☆ ☆ ☆
799
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 17/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:30:42 ID:TB6qx7aU0
(*゚ー゚)「間違ってるよ」
しぃはあまりにも小さかった。
当時でも小さかったのだから、今ではなおさら。
俺のお腹のあたりから、しぃの声がした。
消え入るような、か細い声。
俺はしぃの頭の上だけを見ていた。
つむじが見える。濡れ髪なので、はっきりと。
(*゚ー゚)「私はギコくんをびっくりさせようとしていたの」
しぃは静かに話しだした。
(*゚ー゚)「転んだのは本当だけど、あのあとすぐに起き上がったら恥ずかしいだけだった。
だから、ちょっと我慢して、それでギコくんが近づいてきたらびっくりさせようと思ったの」
しぃが淡々と話を続けていく。
(*゚ー゚)「だけど来なくて、しょうがないなあって思って、顔を上げようとしたら、急にすごい力がかかって」
800
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 18/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:32:28 ID:TB6qx7aU0
(,,゚Д゚)「鉄砲水っていうんだ」
あの時のことを俺は思い出した。
聴いたことのない大きな音が鳴っていた。
あれが鉄砲水が来ることのサインだと知った時、すでに俺はこの村にはいなかった。
(,,゚Д゚)「そのときは、知らなかった」
(*゚ー゚)「いいよ」
顔は見えないが、しぃの声は笑っているように感じた。
(*゚ー゚)「死んじゃうとね、だんだんと難しいこと考えられなくなるの。
寂しいって感じたら、ほんとにそれしか考えられなくなって」
(*゚∀゚)「あたしはそれで、姉ちゃんに呼ばれたんだ」
つーが横から言う。
ギコはそちらを見やる。
相変わらず、つーは笑っていた。
しかしその体はずいぶんと薄くなっている。
(,,゚Д゚)「妹、いたんだな」
少しだけ似ている。頬の赤いところとか。
(*゚ー゚)「うん」
801
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 19/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:34:25 ID:TB6qx7aU0
(*゚∀゚)「あたしが死んじゃってから、なんだかやたらと飛び込む奴がいたけど、
姉ちゃんに呼ばれたのはあたしだけだよ」
これだけ明るいつーが自殺すれば、何か怪しいものがこの丘にあると思われたのだろう。
真相はそんなところなのだろう。
(*゚∀゚)「姉ちゃん。あたしこそ姉ちゃんが心配で、それだけが気がかりでここにいたんだ。
でももう大丈夫みたいだな」
その言葉が聞こえた。
そしていつの間にか、霧が晴れるようにして、つーはいなくなっていた。
未練がなくなれば幽霊は消える。いつぞやのフサの言葉を思い出した。
(*゚ー゚)「ギコくん」
しぃの声。
(*゚ー゚)「ありがとう」
それが最期の言葉だった。
顔を向けた時には、もうしぃの姿も無くなっていた。
最初からいなかったようでもあった。
波の音だけが静かに、ほら穴に響いていた。
802
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 20/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:35:33 ID:TB6qx7aU0
後日、フサに会った。
ミ,,゚Д゚彡「ありがとー」
ずいぶんと調子のよさそうな声で礼を言われた。
俺からはとても話す気になれない。
ミ,,゚Д゚彡「しぃの幽霊が人を呼ばないようにしているのはなんとなく感じたんだ。
それでも人が来ちゃう。いったん名所と名付けられたら、なかなか払拭できないんだから困るよ」
(,,゚Д゚)「……本当にな」
ミ,,゚Д゚彡「お、ようやくしゃべったね。ひどい声だね」
(,,゚Д゚)「うるせえな」
ミ,,゚Д゚彡「その歳になって喉をからすほどなんて、よっぽど」
俺は手振りだけでフサを止めた。
もういい。反論するのも疲れた。喉も痛い。
俺とフサはあのほら穴に来ていた。
花を供えるためだ。
これからは自殺者が来ないように、村が盛り上がってくれればいい。
波の音がまた聞える。
昔と変わらない。人の思いをすべて包み込むように、音を響かせて。
余談だが、事故現場に献花をするのは、まだ自覚のない霊魂に死んでいることを自覚させるためらしい。
もう未練など断ち切ってしまえと伝えるために。
〜おわり〜
803
:
(,,゚Д゚)心霊調査のようです 20/20
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 21:36:23 ID:TB6qx7aU0
(
)
i フッ
|_|
804
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 21:41:30 ID:IpPUIiRg0
おつ
恨んでなくてよかった
805
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 21:46:27 ID:bzN4gqik0
切なぁ……乙。
806
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:18:00 ID:IpPUIiRg0
三十七本目、頂こう
807
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:18:56 ID:IpPUIiRg0
.,、
(i,)
|_|
808
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:19:55 ID:IpPUIiRg0
ζ(゚ー゚*ζ引っぱるようです
.
809
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:20:51 ID:IpPUIiRg0
『それ』を初めて認識したのは、ひと月ほど前だろうか。
っζ(゚ー゚*ζ
ζ(゚ー゚*ζ「……ん?」
最初は視界の隅に何かがよぎる、というものだった。
だから本当のところは、いつ頃からあったのか分からない。
次に気付いたのは、通学途中。
ζ(゚ー゚*ζc
゛
ζ(゚ー゚*ζ「?」
後ろから髪を引っ張られ、振り向いた。
誰も、いない。
ζ(゚ー゚*ζ(……気のせい?)
次はカバン。
ζ(゚д゚;ζ「きゃっ!」
从 ゚∀从「どした?」
ζ(゚、゚;ζ「誰かが手を掴んだの!」
从 ゚∀从「はあ? カバンの中でどーやって掴むってんだよ」
ζ(゚、゚*ζ「……」
ζ(゚、゚*ζ(でも、本当に誰かが掴んだんだもの)
.
810
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:21:45 ID:IpPUIiRg0
家で、学校で、道で、段々と『それ』は場所も頻度も増えていく。
授業中も、掃除をしている時も、ご飯の時も。
引っ張るだけ、撫でるだけだが、気味が悪い。
暫くして、休みの日に友人と遊ぶ約束をして、待ち合わせ場所に向かっている時だった。
信号が青になる。
ζ(゚ー゚*ζ....
!?ζ(゚ー゚;ζヾ⊂
横断歩道の途中で、強く髪を引っ張られた。
ζ(゚、゚;ζ「いっ、」
あまりの勢いに、耐え切れず尻餅をつく。
――その目の前、ほんの数センチ先を、車が走り抜けた。
ζ(゚- ゚;ζ「……うぇ」
ぞっとした。もし、引っ張られてなかったら。
ぱぱ、と短くクラクションが鳴る。
慌てて立ち上がり、横断歩道を渡りきった。
.
811
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:22:38 ID:IpPUIiRg0
ζ(゚ー゚*ζ(もしかして、助けてくれたのかな)
そう思うと、何だかほっとした。
『あれ』は自分を守る為に、傍に居てくれるのかもしれない。
気味悪く思っていたのが申し訳ないくらいだ。
相変わらず髪を引っ張られながら(手や足を掴まれたりもするけど、これがダントツで多い)
『それ』と共に生活を送っていた。
最近は頻度はあがっていない。ただちょっと、力が強くなってきた気がするけど。
.
812
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:23:59 ID:IpPUIiRg0
ζ(゚ー゚*ζ「ふう」
お風呂からあがって、髪にドライヤーをかける。
終ったら保湿とブラシ。
明日は何だったかな、そうだ数学の宿題あったんだ。
П〜♪
ケータイが鳴る。
ドライヤー片手に、もう片方の手を伸ばして、
ζ(゚ー゚*ζ「あっ」
ベッドからケータイが転がり落ちる。
滑るようにベッドの端から降りて、ケータイに手を伸ばす。
瞬間。
風が頭の上を薙いだ気がした。
首を捻ってみると。
大きな手が、あった。
ぎらりと輝く鋭い爪。
『それ』は中途半端に開いていた。
まるで何かを握り損ねた、とでもいうように。
.
813
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:25:01 ID:IpPUIiRg0
ζ(゚- ゚;ζ
ち、と確かな舌打ちを残して(そうとしか聞こえなかった)、手は消えた。
けむくじゃらで、爪が尖ってて、そして、指と指の間には。
あれは、ああ、
――髪に繋がった、しゃれこうべ、だった。
.
814
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:25:44 ID:IpPUIiRg0
(
)
i フッ
|_|
815
:
名も無きAAのようです
:2013/08/15(木) 22:27:58 ID:bzN4gqik0
おうふ……結局しゃれこうべはデレを連れてこうとしてたのか
乙乙
816
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:42:19 ID:TB6qx7aU0
乙
38本目、いただきます。
.,、
(i,)
|_|
817
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです1/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:43:30 ID:TB6qx7aU0
乳の親(ちーのうや)
外見は優しい顔立ちの女性で、洗いざらしのような黒髪を長く垂らしており、乳房が非常に大きい。
国頭村や大宜味村には、小児を葬るための童墓(わらべばか)という墓があるが、
ここには乳の親がいて、葬られた子供に乳を飲ませて養うと信じられている。
そのために6歳以下の子供が死ぬと、乳の親に頼むために重箱を盛って祀るという。
一方で今帰仁村などでは、童墓や水中にいる乳の親が、まだ生きている子供を奪い去るといわれる。
幼児に鏡を見せると、水面を鏡と思って水面に行きたがり、
その挙句に乳の親に引きずり込まれるので、鏡を見せるべきではないとされている。
( ・∀・)「こんな妖怪もいるんだって、じいちゃんが教えてくれたんだ」
( ゚∋゚)「へー、なんか良い奴なのか悪い奴なのかよくわからんな」
( ・∀・)「沖縄の妖怪は特にそういうのが多いよ。人の善悪では判断しきれないようなの。
諸島だしいろんな文化とも触れていたから、独特な話が派生したんだろうな」
( ゚∋゚)「なるほどね。ん? どうしたジョルジュ」
_
( ゚∀゚)「いや……誤解じゃなければ乳房が大きいと聞えたような」
818
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです2/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:44:27 ID:TB6qx7aU0
( ・∀・)「ああ、特別に大きいと伝えられているらしいけど」
_
( ゚∀゚)「ほほう」
(;・∀・)「……」
(;゚∋゚)「おい、落ちつけよジョルジュ。妖怪だぞ?」
_
( ゚∀゚)「ふふ、私は紳士なのでな。形さえ良ければ差別はしない」
大学一年の夏休み、三人は沖縄に旅行に来ていた。
高校生活では味わえなかった長期の暇な時間、有意義に使わなければもったいない。
そういう意気込みで唐突に旅行に来たものの、現実には男三人のむさいものとなっていた。
沖縄についたのはお昼過ぎ。それから軽く食事して、ホテルに移動し、荷物を下ろした。
そこでこれからどうするか話し合っていたのだが、妙に疲れていて乗り気になれず、
お寺出身のモララーが中心となり、いつの間にか妖怪談義に興ずるようになっていたのである。
_
( ゚∀゚)「あー、お墓に行けば見えないかな」
(;゚∋゚)「なんという罰当たりな」
_
( ゚∀゚)「いいじゃん、女っ気のない旅なんだし、肝試しみたいで夏っぽいだろ?
でも簡単には会えないだろうなー子どもとか連れてないし」
(;゚∋゚)「目的が不純過ぎてなんも言えねえ……」
( ・∀・)「あ、妖怪に会いやすくなる方法ならあるよ」
819
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです3/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:45:27 ID:TB6qx7aU0
モララーは自分の鞄の中からお札を取り出した。
( ・∀・)「じいちゃん特製の呪いのお札だ。妖怪を呼び寄せる力があるらしい。
とはいえ本気で呪い殺すものでもなく、旅行が盛り上がるかなーってことで持たされたんだけど」
_
( ゚∀゚)「おおー! なんてぴったりな! これ持ってれば飛び出してくるに違いない」
(;゚∋゚)「モンスターじゃないんだぞ」
( ・∀・)「まあまあ、本人楽しそうなんだから、いいじゃない」
気分を良くしたジョルジュは寝ていた身体を弾ませて立ちあがる。
_
( ゚∀゚)「じゃ、ちょっと墓探してくるわ」
( ・∀・)「夜までには戻れよー」
( ゚∋゚)「こっちは明日以降の予定組んでおくから」
_
( ゚∀゚)「おー」
ジョルジュは元気に返事をして、煙草とライターをポケットに入れた。
呪いのお札も折り曲げていいとのことだったので、ポケットに詰め込んだ。ご利益が薄れるものでもないしいいのだろう。
それからサンダルに履き替えて、部屋の外へ出ていく。
夏の暑さと潮の香りが、南国らしい空気を醸し出していた。
820
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです4/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:46:27 ID:TB6qx7aU0
ホテルの入り口の傍に枝を広げた大きな木があった。ぱっと見ではいくつもの細い木が絡まっているようにも見える。
ガジュマルの木という名前ということをホテルに到着したばかりの頃モララーに教えてもらっていた。
熱帯地方に生息する樹木であり、幸せを運ぶと言われているそうだ。
お墓探しは適当に道行く人に聞いた。やはり最初は不思議がられたが、観光客慣れしているのか気軽に教えてくれた。
もっともさすがにそこまで熱心に妖怪に会おうとしているわけでもなかった。
お墓への散歩がてら、沖縄の雰囲気を浴びて楽しみたいというのがジョルジュの本音であった。
養鶏場の角を曲がったところで潮の香りが一層強くなった。
ここが海沿いの街であることを自覚する。ここは岩場だが、海水浴場も近くにあったはずだ。
あまりにも混んでいて味気なければ、車を借りて沖縄を回ればいい。
どうにしたって、観光シーズンなんだから女子と触れ合える機会はあるだろう。
だいたい元々は大学で知り合いたての女子も連れてこられるはずだったのだ。
それが急用で来れなくなり、しかたないから高校時代の友人を連れてきた。部屋で待っている二人には悪い話だ。
しかし、だからといってずっと悶々としているわけにもいかない。
この散歩が終わったらさっさと気持ちを切り替えて楽しまなきゃなあと、ジョルジュはぼんやり考えていた。
たまには真面目に考えるのも悪くない。
もちろんこの状況に大きな乳房が加われば文句なしなのだけど。
そんなわけで足取りは軽い。
821
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです5/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:47:41 ID:TB6qx7aU0
海からかなり近い場所に、お寺と墓地があった。
海難事故等で亡くなった名前知れずな方々のお墓もあるらしい。
そういや水に子どもを誘いこんだりするんだっけかなと思いだし、期待を込めてお札をひらひらさせてみる。
そのままお墓をぐるっと回ってみたものの、何かが起こる気配も無い。
モララーは境内の椅子に腰を下ろした。呪いのお札はすでにいくつも折り目があり、虚しさを感じさせた。
良く見れば文字の並びが綺麗すぎる気がする。もしかしてプリンターを使ったんじゃないだろうか。
異様に薄っぺらいのも単なるコピー用紙だからか。
ジョルジュは弱々しく息を吐いた。本当に軽く吐いたのに、そのお札は手元を離れて飛ばされてしまった。
これじゃ妖怪も出てこないだろうなと、頼りなさげに空中を漂うそれを目で追いかけながら思う。
すると、お札が人の前に落ちるのが見えた。
自分以外に境内に誰かいたかなと首を傾げた。
ノパ⊿゚)「にーにー、落ちたよー!」
見知らぬ少女はさっと屈んでお札を取ると、ジョルジュに元気よく声を掛けた。
ぼさぼさの赤い髪型が象徴的な、肌の浅黒い子どもだった。
822
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです6/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:48:27 ID:TB6qx7aU0
ジョルジュはつい本能的に、少女のボディラインをチェックした。
が、すぐに目を閉じて頭を振る。さすがに子ども相手にはまずい。ロリに走るつもりはない。
目を開けたらいつの間にか子どもが目の前に来ていて驚いた。
緑色の衣服が目に映る。
ノパ⊿゚)「一緒に魚を捕ろうよー!」
_
( ゚∀゚)「へ?」
言葉を前に、小さな手によって袖が握られ、ぐいぐいと引っ張られた。
境内を後にして、道を進んでいく。
少女は海へと向かっていった。
_
( ゚∀゚)「岩場で魚捕るの? 危ないぞー」
ジョルジュの声にも子どもはまったく関心を示さなかった。
岩場について、海へと出っ張ったところで立ち止まる。
少女は目を輝かせてジョルジュを振り返った。
ノパ⊿゚)「わーがとってくるから、やーは見ててねー」
そう言うと間髪いれずに、少女は走り出してしまう。
転んだら危ない、そうジョルジュが思う前に、さっさと少女は服を着たまま、姿勢正しく海へと飛び込んでしまった。
_
(;゚∀゚)「……え、素潜りなの?」
823
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです7/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:49:26 ID:TB6qx7aU0
唖然としていること、数秒。
今度は海からしぶきがあがって、何かが飛び出してきた。
それは空中を回転しながら弧を描いてくる。
びたーんっと気持ちのいい音を響かせてジョルジュの横に叩きつけられたそれは、まぎれもなく魚であった。
_
(;゚∀゚)「……捕ったのね」
海水を滴らせながら跳ねている、腹の赤い不思議な魚を眺めつつ、ジョルジュは呟いた。
そしてこうも思う。これはどう考えても普通じゃない。
あの子もまた妖怪の類なのではないだろうか。
そうか、きっと呪いのお札の効力であの子が出てきてしまったんだ。
だったらあれがちーのうや? でも乳房は別に大きくないよな。
子どもだしな、成長でもするのかな。あれ、妖怪って成長するの?
わからないことだらけである。
とにかくすぐに殺しにかかってくるような妖怪ではないことだけは確かだ。
今も海の上に上半身を出して、ジョルジュに向けて手を振っていた。
とりあえず妖怪と会えたのならば好都合だ。ジョルジュはポジティブに考えることにした。
上手くいえばちーのうやと会わせてくれるかもなあと思いながら。
日が傾くまで時間が過ぎた。
よほど魚が好きなのだろう。
モララーに聞けばどんな妖怪か教えてくれるだろうな。
824
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです8/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:50:27 ID:TB6qx7aU0
しかし時間がかかり過ぎだ。
ジョルジュは既にわずらわしさを感じていた。
そろそろこの場から退却したいのだが、どうしたものか。
ノパ⊿゚)「はー、疲れたー!」
少女は岩を上ってジョルジュの元へと歩いてきた。
全身水浸しのまま、にーっと楽しそうに笑っている。
その足取りは元気であり、跳ねているようにも見え、とても疲れたようには見えなかった。
少女はジョルジュの隣であぐらをかいた。
良く見れば衣服は葉っぱを重ね合わせて作られているようだ。
小さな艶やかな葉であり、どうもどこかで見たような気がした。
ノパ⊿゚)「食べよー」
少女はさっと魚に手を出した。
未だに跳ねまわろうとする魚を強引に手で抑え込む。
随分と力があるように見て取れた。
しかし食べるということは、そのままかじりつきでもするんだろうか。
うろことか痛くないのかなと思いつつ、ジョルジュは眺めていた。
ノパ⊿゚)「ではー」
少女は魚の左側面を上にする。
片手で魚を抑え、もう片方の手を高く上に伸ばす。
人差し指がぴんと伸ばされ、一瞬それが一本の棒のように見えて、そして……
振り下ろされた指の先が勢いよく魚の左目に差し込まれた。
825
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです9/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:51:27 ID:TB6qx7aU0
骨の砕ける音がした。
流体物が噴き出すのが見てもわかるし、音も聞こえてくる。
少女は肩から下の部分を熱心に動かしていた。
その激しい動きに連動するように、魚も痙攣を始めている。
さっきまでの跳ね方とは種類が違う。もっと荒々しく、最期の力を振り絞る跳ね方。
きっと魚に発声器官があれば耳を劈く悲鳴が聞えたことだろう。
ノパ⊿゚)「できたー!」
少女は魚の左目に手を突っ込んだ。もはや原型は無い。大きな穴ができている。
魚はもはや生きてはいなかった。
少女の手が思いっきり引かれ、魚の左目が取り出された。神経が何本も切れる音がする。
少女は魚の左目を自分の前に持っていき、口を開けた。
ゆっくりと口の中に、大きな目を入れていく。
少女の口は小さく、一定限度に達すると歯で目を噛みちぎった。
水晶体が陽光を反射して綺麗に光っていた。
少女は口の中でじっくりと目を咀嚼していた。表情はとても恍惚としている。
ふと、ジョルジュと目があった。少女はきょとんとして、それからはっとして、目をジョルジュの前に持っていった。
ひび割れて、崩壊を始めようとしている目玉がジョルジュに向けられた。
輝きのないそれがさっきまで生物の中にあって機能していたなんて、にわかには信じ難かった。
ようやくジョルジュの痺れた思考が戻ってきた。
少女の手を払いのけると、喚きつつ猛然とジョルジュは駆け出した。
826
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです10/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:52:26 ID:TB6qx7aU0
普通じゃないにも程がある。
吐き気がこみ上げてくるのを必死に堪えた。
見た目が子どもだから油断していた。そんな自分を後悔した。
ノパ⊿゚)「おじさんー」
後ろから声が聞えてくる。
振り返るわけにもいかない。あの手で掴まれたら最期、どうなることか。
さっきの魚の姿が頭に何度も蘇る。
岩場に足を取られそうになりながら、階段を上り、道路へと戻った。
無理をして走ったため、サンダルが切れかかっている。
大丈夫かなと心配になり、足元に目をやった。
鶏がいた。
(;´∀`)「あ、ちょっと! 捕まえてくれモナ!」
養鶏場から声がする。
鶏が逃げ出したのだろう。周りにはもう二、三匹鶏が歩いていた。
時間があれば拾ったかもしれない。でも今はそれどころじゃない。
ノパ⊿゚)「どこー」
背後から声がする。
彼女が階段を上ってきているのか。
827
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです11/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:53:26 ID:TB6qx7aU0
ジョルジュは咄嗟に足元にいた鶏を階段に向けて投げ込んだ。
(;´∀`)「あ! お前、何をするモナ!」
養鶏場の人が怒鳴ってきたが、耳には入らなかった。
それと同時に悲鳴が聞こえてくる。少女の悲鳴だ。
上手いこと鶏に襲われでもしてくれたのか。よかった。
ジョルジュはサンダルを放りだした。
もう頼りない状態になっていたからだ。
アスファルトの上を裸足で走りだす。
ホテルを目指す。部屋に入ってしまえば大丈夫だろう。
まさかこんなに夏らしい経験をするなんて思いもよらなかった。
モララーやクックルたちに話してやろう。あいつらどうせ暇しているから。
坂道を駆けのぼり、曲がり道を抜けていく。
道行く人はきっと怪訝そうな顔を向けているだろう。
よくは見えないけど。
ようやくガジュマルの木が見えてきて、ジョルジュは速度を緩めた。
すでに息切れをしていた。煙草を吸いすぎたからか、体力は随分と落ちたようだ。
後ろを恐る恐る振り返る。坂道の上には誰もいない。
上手く少女を撒けたようだ。
828
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです12/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:54:27 ID:TB6qx7aU0
荒い息づらいのまま、ゆっくりとガジュマルの木に近づく。
とにかく日陰に入りたくなった。あの大きな枝の下ならば涼しいだろう。
根元に辿りついて、木を背にして座りこむ。
坂から上り切ったところがちょうど見える。
ここからなら少女が現れても、急いでホテルのロビーに逃げ込めるだろう。
ポケットから煙草を取り出し、火を付けた。
煙が立ち上る。
ロビーにはきっと誰かいるだろうし、妖怪だって簡単には人を襲えないはず。
頭では無理やり結論付けているが、実際はここで休みたいだけだった。
やれやれ、酷いことに巻き込まれた。
ただ俺はただ乳房を見たいだけだったのに。
☆ ☆ ☆
( ゚∋゚)「なあモララー、ジョルジュ遅いなー」
( ・∀・)「あいつのことだし、女の子でも追いかけまわしてるんじゃないの?」
( ゚∋゚)「ありえる。なあ、もっと別の妖怪の話ないか?」
( ・∀・)「うーん、それじゃ、有名どころでいくか」
829
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです13/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:55:27 ID:TB6qx7aU0
キジムナー(キジムン)
沖縄諸島周辺で伝承されてきた伝説上の生物、
妖怪で、樹木(一般的にガジュマルの古木であることが多い)の精霊。
多くの妖怪伝承と異なり、極めて人間らしい生活スタイルを持ち、
人間と共存するタイプの妖怪として伝えられることが多いのが特徴。
「体中が真っ赤な子ども」あるいは「赤髪の子ども」「赤い顔の子ども」の姿で現れると言われることが多いが、
また、手は木の枝のように伸びている、一見老人のようだがよく見ると木そのものである、などともいう。
跳びはねるように歩く。 男女の性別があり、
大人になって結婚もすれば、子どもを生んで家族連れで現れる、あるいは人間の家に嫁ぐこともあるなどとされる。
魚介類を主食とする。
とくに魚の目玉(左目)が大好きで、目玉だけがない魚の死骸があったら、それはキジムナーの食べ残しと伝えられる。
また、グルクンの頭が好物だともいう。 自ら海に潜って漁をする。
( ゚∋゚)「グルクンてなに?」
( ・∀・)「タカサゴっていって、沖縄の県魚なんだ」
( ゚∋゚)「へえ。てか、話長いな」
( ・∀・)「もうちょっと掻い摘んで話そう。
基本的には人間と共存して暮らしている。漁師には大量をもたらす嬉しい妖怪でもある。
その他にも人々に良いことをもたらす面もあったりするんだ」
830
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです14/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:56:27 ID:TB6qx7aU0
( ・∀・)「言ってみれば沖縄版の座敷わらし」
( ゚∋゚)「ほー、島国でも似たような伝説があるってのは面白いな。
でも良いことをもたらすってことは、例えばジョルジュがおっぱい欲しいって思っていたら叶えてあげたりするのか」
( ・∀・)「あー……ある意味正しい」
( ゚∋゚)「ある意味?」
( ・∀・)「まあまあ、まだ続きがあるんだ」
☆ ☆ ☆
横にサンダルが落ちてきた。
すぐには頭が働かなかった。ずっと坂の方に目を向けていたからだ。
ジョルジュはそのサンダルが自分のであることを確認した。
背筋が凍る。歯が震えだす。
時間をかけて、顔を真上へと向けた。
赤い髪が見えた。
木の洞から、例の少女が顔を出して、ジョルジュを見下ろしていた。
無表情で。
ジョルジュは思わず煙草をそのまま木に投げた。
少女はさっと木から下りる。
ジョルジュは立ちあがって、身構え、少女と向かい合った。
831
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです15/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:57:28 ID:TB6qx7aU0
ノパ⊿゚)「ここ、わんぬやー」
_
(;゚∀゚)「……家ってこと?」
少女はこくこくと頷く。
ノパ⊿゚)「にーにー、ゆくさー」
_
(;゚∀゚)「? な、なんのこと?」
ジョルジュにとってわけのわからないまま、少女は首を横に振った。
相変わらず冷たい目線が突き刺さってくる。
もう彼女に何を言っても無駄なことは明白だった。
と、焦げ臭いにおいがするのに気付いた。
_
(;゚∀゚)「あ」
少女の後ろで火が見えた。
先程投げた煙草の残り火のために、ガジュマルの木が燃えはじめたのだ。
逆光のため、少女の顔はわかりにくくなった。
眼だけが赤く光っている。
ふと、少女は自分の脇に手を伸ばして、もぞもぞと動かした。
葉っぱでできた衣服が肌蹴る。ちゃんとした陽光の下ならば少女の素肌が見えただろう。
ジョルジュはうっかりその上半身を凝視してしまっていた。
832
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです16/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:58:27 ID:TB6qx7aU0
すると、異変が生じた。
少女の上半身の、ちょうど胸のあたりがみるみるうちに膨張し始めたのである。
_
(;゚∀゚)「お、おお……」
ジョルジュは呆気にとられ、言葉にならない声を発した。
小難しい思考はかき消される。二つの目線が目の前の二つの膨らみに集中する。
光の加減をこれほどに憎んだことがかつてあっただろうか。
少女にとって不釣り合いなそれは、まさしく自分の追い求めていたものであった。
容姿とのバランスなど大した問題ではない。
ジョルジュにとってはその膨らみだけが判断対象であり、自分を満たす存在だったからだ。
そのもののみの張り、色艶、弾力、可動域、大きさ、硬さ、力強さ、膨らみ具合、垂れ具合などなど
各要素の組み合わせた総合評価によってその神聖さは図られる。
容姿を蔑にしても膨らみによりその女性全てを愛するという度量、気概、そして信仰心が彼にはあった。
敬虔な信者が神と対峙するが如く、腕を広げ、全身をわなわなと震わせる。
_
(;゚∀゚)「おっぱいだ……」
ジョルジュにとっては偉大なるその名前を口に出す。
恍惚とした、あるいは赤子のような無邪気な表情を浮かべた。
833
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです17/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/15(木) 23:59:26 ID:TB6qx7aU0
もはや他の俗な考えはいらなかった。
少女が歩み寄ってくる。それに伴って豊満な幸せの塊が上下に揺れる。
ああ、私の元に来てくれるというのか。
ジョルジュはもう逃げるという選択肢を打ち消していた。
そうだ、どうして私はこの妖怪から逃げたのだろう。
本当はとても心優しい良い妖怪かもしれないじゃないか。
たまたま魚の目玉が大好きな妖怪だっているかもしれないのに、ちょっとグロかったからって逃げていいはずがない。
人間だって千差万別なのだ、偏見は良くない。
現に彼女は私に対して裸体を晒し対峙してくれているのだ。あまつさえ近づいてきている。
つまり彼女は、あのおっぱいは、私を許してくれているのだ。なんと慈悲深いことか。
ジョルジュは身をかがめ、少女を受け止める体勢へと移った。
乳房の膨張は拡大の一途を辿っており、ジョルジュの全身を包み込むには十分すぎる大きさへと変貌していた。
これぞ人間には真似できない妖怪ならではの技巧ではないかと、ジョルジュは感心し垂涎する。
褐色の肌が顔に触れ、温もりがジョルジュを包み込んでいった。
息もできないほどの昂揚感が頭の中でスパークする。
流れ出るアドレナリンを堰き止められない。目の前が真っ暗になり、そして……
☆ ☆ ☆
( ・∀・)「一度キジムナーに好かれるとうっとおしいほどについてこられてしまう。
物語の多くの主人公はそのうっとおしさから、キジムナーと縁を切ろうと画策するんだ」
( ゚∋゚)「なんだか勝手な話だな。それで、どうするんだ?」
834
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです18/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 00:01:22 ID:YdZR4Pzo0
( ・∀・)「キジムナーと縁を切るには、そいつらが嫌いな蛸や鶏、鍋蓋、放屁などをぶつけなくちゃならない。
でもキジムナーと仲良くなってからこれらのものを使うと逆にキジムナーを騙したことになって恨まれてしまう。
それと、住処を燃やすこともやっちゃいけない。これがもっとも恨まれる。
一度キジムナーに恨まれた人には大きな復讐が待っている」
( ゚∋゚)「復讐?」
( ・∀・)「そう。なんだか人間臭いやつだろ。しかもそんじょそこらの妖怪よりよっぽどえげつないやつ」
( ゚∋゚)「なんだよ、もったいぶらずに教えろよ」
( ・∀・)「まあそう急ぐなって。そもそもやり方は一つじゃない。
ただ不運が続くように呪われることもあれば、人に化けて隙を見て目玉を焼きつぶしに襲いかかることもある。
海沿いにいりゃ引きずり込んで怖い目にあわせたりするよ」
( ・∀・)「それと、他にも言い伝えがあるんだ。
お話の種類によるけど、雄のキジムナーにはその体格に不釣り合いな睾丸が、
そして雌のキジムナーには不釣り合いな乳房がある場合もある」
( ・∀・)「その場合、キジムナーはそれぞれの膨んだものを利用して、裏切り者の人間の顔面に押し当てるんだ。
そのままものすごい力でそいつを窒息死させるんだとさ」
835
:
( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです19/19
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 00:02:27 ID:YdZR4Pzo0
( ゚∋゚)「なーるほど、雌のキジムナーに絡まれていれば、どっちにしろジョルジュには幸せだというわけか」
( ・∀・)「そういうこと。あの呪いのお札もキジムナーにはぴったりな意味だと思うし」
( ゚∋゚)「なんて書いてあったんだ?」
( ・∀・)「妖怪さん、お友達になりましょう」
( ゚∋゚)「呪いっぽくないな」
( ・∀・)「そんな本気で呪われるようなこと書かないさ。でも人間と遊びたいキジムナーはよってくるかも」
( ゚∋゚)「そしたら今頃ジョルジュは楽しんでいるかもなー。
あれ、なんか窓の外明るくないか?」
( ・∀・)「あれ、なんだろ……うわ、ホテルの前の木が燃えてる!」
(;゚∋゚)「ええ!? ここ大丈夫か?」
(;・∀・)「さすがに何かあったら連絡が来るだろうし、もう消防隊来てるみたいだから大丈夫だろうけど。
誰だろう、煙草とかの残り火かな。危ないことしやがるぜ」
「まったくなー」
最後に誰の言葉が聞えたのか、結局二人はわからないままだった。
〜おわり〜
836
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 00:05:10 ID:9OyKUJDU0
くそううらやましい
837
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 00:05:38 ID:YdZR4Pzo0
(
)
i フッ
|_|
なんかムラムラして勢いで書いた。
きっと明日には羞恥心で消してしまうから今のうちに投下する。
ゆくさー=うそつき
838
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 00:06:30 ID:HotGtFBA0
沖縄の妖怪は本土と一味違って危ないのが多いよな、乙
839
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 00:06:34 ID:54Y4jdIk0
間髪いれないようで悪いけど39本目いく
.,、
(i,)
|_|
840
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 00:09:07 ID:54Y4jdIk0
某日、地元の夏祭りにて。
ナンパ目的で祭りに臨んだジョルジュは、さっそく好みの女の子を見つけた。
(゚、゚;トソン「で、デート?」
_
( ゚∀゚)「ここで会ったが何かの縁! たのんます、名も知らぬ可愛い人!」
(゚、゚;トソン「え、えぇぇ……?」
_
( ゚∀゚)「! じゃ、じゃあ、せめて写真だけでも!」
_
( ゚∀゚)「花火を背景に! あ、きた! じゃー撮るから!」
(゚、゚;トソン「え、あ、ちょ……」
_
( ゚∀゚)「はいしゃがんで、笑ってー!」
(゚、゚;トソン「あ、え……、……こ、こう?」
カシャッ
http://imepic.jp/20130815/860640
.
841
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 00:10:11 ID:54Y4jdIk0
_
( ゚∀゚)「やっべ、花火撮り逃した」
(゚、゚トソン「え、ええと…?」
_
( *゚∀゚)「いやあ、ひと夏の思い出をありがとうございます!」
(゚、゚トソン「あ、その……はい」
_
( ゚∀゚)「じゃ、縁があったらまた会いましょう! そんときはデートでも!」
(゚、゚トソン「………」
_
( ゚∀゚)「…?」
(゚、゚トソン「そ、その……」
_
( ゚∀゚)「あ、はい」
(゚、゚;トソン「え、えっと、い、いまから………、……その。」
(、 ;トソン「暇だったり……ゴニョゴニョ」
_
( *゚∀゚)「!!! 暇!! 暇ですとも!!」
(゚、゚;トソン「よっ、よかったら、ちょっと山道でも散歩したいなー、って……」
_
( ゚∀゚)「ここら、祭りで騒がしいすもんね。 俺でよかったら、喜んで!」
(、 *トソン「………!」
.
842
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 00:11:03 ID:54Y4jdIk0
――― 初見で、いや、せめて写真の時点で気づくべきだったのになあ。
のちにジョルジュがのこした、誰にも聞かれることのない言葉である。
.
843
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 00:12:26 ID:54Y4jdIk0
(
)
i フッ
|_|
※
顔がでかく四肢がちいさいのは、不気味さを演出してるんじゃなくてただの画力不足です。
女子中学生が描きそうな絵だけど、まあわかる人にだけでもわかってもらえたら幸いです。
844
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 00:27:19 ID:JCijkI5w0
死装束ってことか
乙
845
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 00:31:31 ID:54Y4jdIk0
もうひとつ
細かいからこっちはどうでもいいんだが
846
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:16:06 ID:D1A5bmlw0
投下してもいいのかな……
847
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:19:18 ID:NLn1zrRs0
こいや
848
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:19:28 ID:Ql9jkjn2O
いいんじゃないかな
849
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:24:05 ID:pSzcEu2I0
おいまだか
850
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:24:53 ID:D1A5bmlw0
おk、じゃ投下します40本目!
.,、
(i,)
|_|
851
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:25:39 ID:D1A5bmlw0
( ><)「ある朝のことなんです!」
( ><)「僕が中学校に入学して二年目の夏休み!」
( ><)「その初日に友達と遊ぶために起きたら」
((●))
( ><)「ちっこい目玉のお化けが僕の前にいたんです!」
((●))「おい若太郎!やっと見つけたぞい!」
( ><)「彼……かれ?が言うには、僕はこの目玉の息子だというんです!」
( ><)「しかし!しかしですよ!?」
( ><)「『若手 若太郎』14歳!僕には父と母がいます!こんな奴が僕の父親!?」
( ><)「ありえないんです!」
( ´ー`)「え?若太郎は僕らの息子じゃネーヨ?そこらへんに落ちてたから拾ったヨ」
( ><)「これから宜しくなんです目玉の……いや、『父さん』!」
852
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:26:23 ID:D1A5bmlw0
( ><)ビビビの若太郎のようです
.
853
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:27:10 ID:D1A5bmlw0
( ><)「前々から変だなぁとは思ってたんです!」
( ><)「なんか皆には見えないものが見えていたり!」
( ><)「たまたま抜け落ちた髪の毛が妙にトゲトゲしくて、床に突き刺さったり!」
( ><)「聞けば僕は、ナントカ族の生き残りなんだそうです!」
( ><)「で、なんの生き残りでしたっけ父さん」
((●))「ビビスカテルソ=霊長=ソネスベルグ=幽霊族じゃ!」
( ><)
( ><)「幽霊族の生き残りなんだそうです!」
((●))「略すな若太郎!!」
( ><)「うっせー!!長ったらしいのは大っ嫌いなんです!!!!!!」
854
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:28:12 ID:D1A5bmlw0
( ><)「そんな父さんが、僕に使命を言いました!」
((●))「お主はここらで悪さをしている妖怪を退治できるほどに成長したようじゃ!」
((●))「じゃから、妖怪がらみで困った人がいたら、助けてやってほしいのじゃ!」
( ><)「今までさんざ放っておいた人げ……妖怪が何をとも思いましたが……」
( ><)「その言葉を聞いた僕は、その言葉に打ち震えました!」
( ><)「なんか力が有り余ってたので!」
( ><)「日頃のうっぷんやストレスを妖怪にぶつけるには絶好だったので!」
( ><)「僕は快く了解したんです!」
( ><)「でもそんなことよりまずは遊びに行かなきゃなんです!」
( ><)「もう待ち合わせ時間が予定より30分も過ぎてるんです!」
855
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:28:53 ID:iMXVWuVI0
おいなんか始まったぞ……
856
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:28:55 ID:D1A5bmlw0
公園
( ><)「僕は公園へとやってきました!」
( ><)「公園では友達がイライラしながら僕を待っててくれたのですが」
∧_∧
(*‘ω‘ *)「遅いっぽ!ビロード!」
∧_∧
( <●><●>)「もう時間が間もなく1時間になることはワカッテマス」
((●))「こ、こやつら……妖怪じゃ!!」
( ><)
( ><)「何言ってんだこいつ!」
857
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:29:58 ID:D1A5bmlw0
( ><)「こちらも前々から違和感を感じてましたが!」
( ><)「なんか猫耳付けてるなーとは思ってましたが!」
( ><)「僕と同級生の椿歩(ツバキ アユム)ちゃん!」
( ><)「通称ちんぽちゃん!」
( ><)「同じく同級生で苗字が同じの若手升(ワカテ マス)くん!」
( ><)「通称マスかくん!」
( ><)「僕の友達が妖怪だなんて、信じられるわけがないじゃないですか!」
((●))「何を言っておる!こやつ等は凶悪な妖気を放っておる!」
((●))「ここいらの人間たちが『よくタンスの角に足の小指をぶつけている』のも、こやつらの仕業じゃ!」
( ><)「凶悪だとのたまっている割には、凄く地味なことしかやってない気がするんです!」
858
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:30:53 ID:D1A5bmlw0
((●))「こんなことをするのは奴らしかおらん!妖怪……」
((●))「妖怪……妖怪……」
((●))
((●))「妖怪『よくタンスの角に足ぶつけるようになる』じゃと思うな!」
( ><)「こいつ、絶対分かんなかったから適当に言ったんです!」
( ><)「そして、即席で作ったネーミングにしてはクソが付くほど悪いんです!」
(*‘ω‘ *)「ふふふ、よもやバレちゃ仕方ないっぽ!」
( <●><●>)「いかにも!私たちが妖怪『よくタンスの角に足ぶつけるようになる』……」
バアアーーーーーーーーーーーーーアアン!!!!!
(*‘ω‘ *)「「通称妖怪『タン足』!!」」(<●><●> )
( ><)「名前が当たっててしかもこのネーミングの悪さ!」
( ><)「もう救いようがないんです!!」
859
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:31:49 ID:D1A5bmlw0
(*‘ω‘ *)「それで?」
( ><)「え?」
( <●><●>)「私たちが『タン足』だから、どうしようっていうんです?」
( <●><●>)「『タン足』でも、侮れないですからね!?」ゴオォォ
( ><)「うわっ!なんかマスかくんから黒い煙が!これが妖気というものなんですか!?」
( ><)「でも『タン足』って言うだけで威圧感が無くなるんです!クソネーミングに感謝なんです!」
(*゚ω゚ *)「短足の何が悪いってんだああああああああああああああ!!!!」ゴォォオォ!!
( ><)「うわぁ!なんか勝手にちんぽちゃんが怒り始めたんです!ならどうしてそう略した!」
((●))「彼奴等を放ってはおけん!今こそお主に宿る力を発揮するんじゃ!」
( ><)「僕に宿る力!?それはいったい何なんです!?」
((●))「知らん!なんか内側に潜んでるっぽいのを外に出すイメージをすれば出るはずじゃ!」
( ><)「こいつクソほども使えない親父なんです!もう勝手にやるから黙ってろなんです!」
860
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:33:02 ID:D1A5bmlw0
( ><)「う……う……」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
\ ヽ ! | /
\ ヽ ヽ / / /
\ | / /
ゴワァァァァ!!! ,イ
 ̄ -- = _ / | --'''''''
,,, ,r‐、λノ ゙i、_,、ノゝ -  ̄
゙l ゙、_
.j´ . . . . (. ゴワァァァァァ!!!
─ _ ─ { (><#) /─ _ ─
). c/ ,つ ,l~
´y { ,、 { <
ゝ lノ ヽ,) ,
(*‘ω‘ *)「なっ……!」
( <●><●>)「これは!強大な妖気が発せられている!」
(#><)「くらえぇぇぇ!!!必ィィィィ殺ッッッッ!!!」
パァァン!!
(#><) 「レイガン!!」
⊂彡☆))゚ω゚ *) 「なんでっぽべらっ!?」
パァァン!!
(#><) 「体内電気!!」
⊂彡☆))0><●>)「関係ねぇべふ!!」
861
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:35:40 ID:D1A5bmlw0
( ><)「はぁ……はぁ……」
(#)ω; *)「痛いっぽ……」
( #)><●>)「な、なぜ!私たちに手加減をしたんですか!貴方なら私たちを……!」
( ><)「それは!しょうもないからに決まってるじゃないですか!」
((●))「どストレートに言うのぉ若太郎」
( ><)「それに!今までずっと遊んできた人間……じゃないけど!」
( ><)「『友達』を!消せるわけが無いんです!」
(#)ω; *)
( #)><●>)
( #)><―>)「……まったく、あなたという人は」
(*><)「……えへへ」
「さ、遊びに行くんです!」
「痛いっぽ、これは弁償を要求するイタァ!!」パァン!!
「全くもう……」
862
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:38:09 ID:D1A5bmlw0
( ><)「その一件以来、僕たち三人は『若太郎ファミリー』として活躍を始めました!」
( ><)「今日も今日とて、妖怪に困ってる人間のために学校に通いつつ頑張ってるんです!」
( ><)「クソほども使えない目玉の親父!」
( ><)「同じくちんぽちゃん!」
( ><)「同じくマスかくん!」
( ><)「戦闘要員は僕しかいないけど、相手にストレスぶつけてるので気にしてないんです!」
( ><)「ちなみに、ビンタでどんな妖怪も張り倒すので、こんな名前で人間には伝わってるそうです!」
( ><)「『ビビビの若太郎』」
( ><)「夜中に乾いた張り倒した音が鳴り響いたら、それは僕かもしれないんです!」
( ><)「それでは!またどこかでなんです!」
( ><) ビビビの若太郎のようです
(
)
i フッ
|_|
ギャグパクリスペクトしました鬼太郎さんごめんね
863
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:40:23 ID:Uvn0Cjjk0
綺麗にまとめやがったwwww乙!
864
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:40:23 ID:E7uFVXSk0
くそわろたwwww
意外と言う子なビロードも可愛いなprpr
865
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:40:59 ID:u5jfw6AE0
乙
テンポが良かったと思う
866
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:45:37 ID:NLn1zrRs0
そういや本家鬼太郎のビンタの擬音はビビビだなwww
乙乙
867
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:51:39 ID:tghfWQP.0
乙
ワカッテマスのあだ名がひでぇ
868
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 01:54:21 ID:E7uFVXSk0
>>440
間違ってからすまん
左胸のとこに血みたいなの着いてないか?
単に浴衣の模様かも分からんが
869
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:10:53 ID:NLn1zrRs0
>>868
俺はトソンに影が無いのが気になったな
あと、背後のサンドワームみたいなトゲトゲしたの何だろうかと
870
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:14:51 ID:rA6TgEHU0
乙! ネーミングセンスに吹いたwww
次、投下しても大丈夫かな……?
871
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:22:17 ID:NLn1zrRs0
こいやこいや
872
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:22:55 ID:rA6TgEHU0
では、41本目……いただきます。
.,、
(i,)
|_|
('A`)はしあわせな村の一員になるようです
873
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:24:34 ID:rA6TgEHU0
行方不明になったはずの親戚から手紙が来た。
内容はとても簡素なもので、家族に対する謝罪もなければ安否を確信できる言葉もない。
あったのは記録――日記だけだった。
('A`)「このあたりのはずなんだが」
手紙には村の場所と、その村での出来事が記されていた。それだけだ。
まあ、親戚の行方を知る手掛かりになる何かがないかと、ダメもとで来てみたってわけだ。
家族の中で一番暇だった俺が。うるさいニートで何が悪い。
('A`)「帰りたい」
見渡す限り木。右も木。左も木。上も木。
生き物の姿はどこにもなく、背の高い針葉樹林が静かに立ち並んでいる。
足元はぬかるんでいて歩くたびにピシャピシャ音を立てる。
道中で拾った緑の実をかじる。独特の甘さが口の中に広がった。首筋を掻く。
('A`)「何もなさそうだし……帰ろうかな」
874
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:25:35 ID:rA6TgEHU0
森は静かに葉を揺らすばかりで、村のむの字はどこにも見当たらない。
そもそも手紙の内容だっておかしかったのだ。きっとだれかのいたずらだったに違いない。
んで、俺はありのままを伝えればいいんだ。責められはしないだろう。手掛かりは何もなかったと。
さて、日が落ちる前に森を抜けなければ。木の実を口の中に詰め込む。
針葉樹林は日中でも薄暗い。日が暮れてしまえば帰れなくなってしまうだろう。
180度回転して来た道を戻る。
足が止まる。
('A`)
……グス……ッウ……ッ……
(;'A`)
人の声が聞こえた。子どもの泣き声、のようだ。
放置して帰るのも良心がいたむので、とりあえず声の方を覗いてみる。
(;<;*)「いたい、あつい。あついよ」
いたのは男の子だった。
膝に顔をうずめて泣きじゃくっている。
875
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:26:44 ID:rA6TgEHU0
('A`)「お前、迷子なのか?」
(;<;*)「うぇ……ぅ……あ、れ?」
男の子が立ち上がる。
どうしてここにいるのか分からないようで、あたりをきょろきょろ見渡している。
('A`)「……俺はドクオ。お前は?」
とりあえず自己紹介をする。幹の陰から。
びくりと身体が揺れる。初めて俺のことを認識ようだった。
男の子は涙でいっぱいの目をこする。ちらりと見えた目は森を映したような深緑をしていた。
(う<‐*)「おとじゃ。…………どっくん。どっくん」
('A`)「どっくん……まあいいけど。お前このままじゃこの森で凍死すっぞ。ほら、ついてこい」
伸ばした手を弟者の手が握る。
じめっとした感触に手を引きそうになる。さっき涙を拭っていたから当然だろう。深呼吸する。
ブチ。弟者が一歩進むと同時に何かが抜ける音。
(・<・*)「どっくん、いっしょ。いく」
876
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:27:39 ID:rA6TgEHU0
俺の手をぎゅっと握り、満面の笑みを浮かべる。
それは年相応のもので、不思議と安心感がある。
怖さなんてどこかに飛んで行ってしまった。
('A`)「まったく、お前のせいで道忘れるところだったじゃねえか」
目印を幹に貼る。
ここを左にまっすぐ進めば森の外に出られる。
(・<・*)「おなかすいた」
('A`)「とりあえず出てからな」
(;<;*)「おなか、すいた」
(;'A`)「あーもう。分かったから泣くな、頼むから泣くな」
子どもに泣かれるとどうしたらいいか分からない。
首筋を引っ掻く。
(・<・*)「ごはん、ごはん」
('A`)「今これしかねえぞ」
リュックの中からおにぎりを出す。ここに来る前コンビニで買ってきたものだ。
弟者は渡されたおにぎりを見て首をかしげている。
877
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:28:41 ID:rA6TgEHU0
(・<・*)?
('A`)「どうした」
(・<・*)「これ、なぁに?」
('A`)「おにぎり、だ」
(・<・*)「おにぎり?」
弟者はおそるおそる、おにぎりのにおいを嗅ぐ。
それでもよく分からなかったようで耳をぴくぴくさせていた。
('A`)「米で作ったボールって言ったらいいのかな……
なんだお前おにぎりも食べたことないのか?」
(・<・*)「うー、だって、これ、はじめてみる、もん。
これ、あにじゃに、わたしてくる!」
そう言い残して弟者は森の奥に消える。変な子どもだ。
急に現れたと思ったら消えた。第一あいつは迷子じゃなかったのか。
まあ……道を知っているみたいだし大丈夫そうだ。
878
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:29:56 ID:rA6TgEHU0
かといって、このまま放っておいてしまうのもなんだか気が引ける。
追いかけようとしたら今度は背後から荒い呼吸が聞こえた。
慌てて振り返ると眉の垂れたおっさんがこちらを見ていた。
ハァハァ(;´・ω・`)「おや、鬱田さんじゃないですか」
(;'A`)
顔面汗だくの変なおっさんだった。やけに息が荒いのも気持ちが悪い。
ここに住んでる人たちは急に現れるのがマナーなのだろうか。
というか、なぜ俺の名前を知っているんだこいつは。
(;´・ω・`)「ああ、驚かせてしまってすまないね。僕はショボン。
君のおじいさんの友人で、君のおじいさんも昔はここの村の人だったんだ。
君も小学校に上がるまではここの村に住んでいたんだよ?」
('A`)「え……そうなのか?」
(;´・ω・`)「ハァハァ覚えていないのも無理はないよ。ここはすっかり寂れてしまったからね」
('A`)「それはそうだとしても……なんでそんなに汗だくなんだ」
(;´・ω・`)「さっきあそこで薪を割っていたんだ。
どうせ宿もないんだろう、僕の宿にくるといいハァハァハァ」
なぜだろう、身の危険を感じる。
(;'A`)「い、いや、それは悪いよ流石に」
(;´・ω・`)「遠慮しなくてもいいのに。君のおじいさんと僕はとっても仲がよかったんだよ。
来てくれたら村の超極秘の秘密も見せてあげるよ? ハァハァハァ」
879
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:30:56 ID:rA6TgEHU0
半ば強制的に連れられた建物は、それはそれは大きな宿だった。
弟者とは宿の案内が終わってからまた合流することにした。
(´・ω・`)「まだ近い昔の話、この村に双子が生まれたんだ。
しかし不幸なことにこの村では双子というのは忌み嫌われる存在だった。
双子は村から追放され、なすすべもなく死んでしまった」
案内された地下に降りると、長い廊下が出現する。その両脇には蔦が絡んだ扉が何枚も並んでいた。
(;'A`)
不気味だ。薄暗いから、という理由だけでない。
壁や扉、床、天井、ところどころに植物の根っこや蔦が張り巡らされている。
今にも何かが襲い掛かってきそうなほどこの場の空気はどんよりしていた。少し、息苦しい。
(´・ω・`)「この蔦は――ああ、いや、中で話そうか」
ショボンさんが近くのドアノブをひねる。
重い音を立てて、ゆっくりと部屋の中に廊下の光が差し込む。
(´・ω・`)「どうぞ」
まるでお茶を出すような声色だった。
880
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:31:58 ID:rA6TgEHU0
(;'A`)
部屋いっぱいに広がる植物の根。そして部屋の中心におかれた寝台には人――らしきもの。
蔦と根っこでがんじがらめにされていて、人間らしい原型はほとんどなかった。
ほとんど骨と皮であるせいだろうか。
近づいて顔を見てみると、それとどことなく探している親戚に似ているような気がした。
(´・ω・`)「これこそが呪いさ」
('A`)「のろ、い?」
(´・ω・`)「そう。呪われた村人はこうやってヤドリギのご飯にされてしまうんだ。
でも、不思議なことに幸せな顔をしているだろう」
蔦から垣間見える顔は確かに笑顔だった。
同時に感じる強烈な違和感。首筋をひっかく。
('A`)「ああ……どうしてこの人は笑ってるんだ。
普通は歪んでてもおかしくないのに」
死因は知らないが、笑いながら死ねるなんてことはほとんどないはずだ。
納棺前に穏やかだったりするのは、だいたいが手を加えて表情を整えているからだ。
(´・ω・`)「至極簡単なことさ。幸せだからだよ」
ショボンさんは当たり前であるように断言した。
881
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:32:47 ID:rA6TgEHU0
(´・ω・`)「双子はね、みんな幸せになってほしいと願う優しい子たちだったよ。
だから呪いと言っても恐ろしいものではないんだ。
幸せになるおまじない。永遠に幸せになるための手段とも言える。
ほらごらん、幸せな顔を見れると幸せな気持ちになれるだろう?」
有無を言わさないような雰囲気に言葉を呑み込む。
ショボンさんってこんな人だったか? 昔の記憶を手繰るが何も思い出せなかった。
心の中で親戚に別れを告げ、部屋を出る。
廊下に連なるたくさんのドアの向こう側にも、きっと同じしあわせな光景が広がっているのだろう。
('A`)(あれ……端っこのドアだけ蔦で埋め尽くされてる)
(´・ω・`)「ちなみに廊下の端に見えるあの蔦のドアのなかはね、ついさっき亡くなった人の部屋なんだ」
痒い部分が痛む。ガリガリ。
('A`)「その部屋にも――あるのか」
(´・ω・`)「うん。見るかい?」
('A`)「……いや、いい」
(´・ω・`)「まあ、見せられないんだけどね」
('A`)「なら聞くなよ」
ショボンさんはくすくす笑うと、次は一階に案内してくれた。
882
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:33:42 ID:rA6TgEHU0
こちらは先ほどと雰囲気が変わり、テレビにソファ、生け花、と落ち着ける空間だった。
ただし、人は俺たち以外にだれもいない。
(´・ω・`)「部屋の準備をするからちょっと待っててね」
ショボンさんを見送ってからソファに座る。
思っていたよりも疲れていたようで足が石のように重かった。
('A`)「……気味悪ぃ」
一番驚きなのは、あんな光景を見たにもかかわらず平然としている自分である。
仮にも、この宿の地下には死体があるのだ。それなのに、どうでもないことのように受け入れてしまっている。
変なこと続きで心身ともにもう限界なのかもしれない。親戚も――あんな形で発見することができたしな。
('A`)「やっぱり圏外かよ……お決まりだな」
気分転換に誰かの声が聴きたくてスマホを取り出すが、このザマだ。
充電が勿体ないので電源を落とす。
( _ゝ )
刹那、暗くなった画面に映る顔。
反射的にふり返るとそこにはショボンさんがいた。
スマホをポケットの中にしまう。しん、こきゅう。
(´・ω・`)「おまたせ、部屋の準備ができましたよ」
('A`)「ありがとう」
883
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:34:47 ID:rA6TgEHU0
案内された部屋は、ごく普通の部屋だった。窓からは外の森がよく見える。
部屋の中には鉢がいくつか置いてあって、どれも念入りに手入れされているのか青々と茂っていた。
ショボンさんが入口付近の苗木に笑いかける。幹に巻きついた蔦を撫でる手つきが優しい。
(´・ω・`)「さっきはありがとうな。
でも、もっとおいしいものがいいなァ」
('A`)「……木の実か何かのことか?」
(´・ω・`)「あ、ああ。こいつはとっても美味しい実をつけるんだ。
君もここに来る途中で食べただろう?」
(;'A`)「えっ。どうしてそれを知ってるんだ」
(´・ω・`)「簡単な事さ。ここに来る人は必ず食べてるからね。
お礼を言ってあげるとすごく喜んでくれるよ」
ショボンさんは最後ににこりと笑う。
(´・ω・`)「鬱田さん、ずっとここにいてもいいんですよ?」
('A`)「いや……俺には家があるし、無理だよ」
(´・ω・`)「そう。とりあえず、今晩はどうぞごゆっくり」
884
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:35:45 ID:rA6TgEHU0
* * *
タダで泊まれるということで、結局ショボンさんの好意に甘えさせてもらった。
気味悪いことには気味悪いが、このまま家に帰る元気がないのも事実だった。
引き出しにあったライターをポケットに入れる。何かあったときのためだ。
('A`)「おっとと」
つまずいて転ぶ。その拍子に机の上の荷物を床にばらまいてしまった。
(;'A`)「っち、ついてねえな」
適当に拾い上げカバンに詰めなおす。
入口付近にまで転がったティッシュを拾ったとき、少しだけ湿っていることに気が付いた。
('A`)「……なんか零したっけか?」
手さぐりで湿っているところをたどるとどうやら部屋の外に続いているようだった。
カツンカツン。音は窓の方からだ。カツンカツン。あーはいはい急かすなって。
振り返ると窓の外で黄緑色の耳がぴょこぴょこ動いていた。
(・<・*)「どっくん!」
カツカツと窓を叩いていたのは弟者だった。
ぴょんぴょん跳んでいるからか顔が引っ込んだり出てきたりしている。
('A`)「そっち行くからちょっと待ってろ」
(・<・*)「うん、まつ! やくそく!」
満面の笑みが見えて、消えた。
885
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:36:36 ID:rA6TgEHU0
外に出て弟者の姿を探す。嵐のような子だからな、もしかしたら森の中に隠れているかもしれない。
自室の窓の下に姿がないことを確認して森の中に一歩踏み込む。
後ろから何かに抱き着かれた――黄緑色の耳がぴこぴこ動いている。
(*'A`)「おまたせ」
(・<・*)「えへへ、どっくんだぁ」
ぎゅっと手を握られる。
(*'A`)「これからどうするんだ?」
少しの間でも、あの場所から離れられることが嬉しかった。
それに、この無邪気な笑顔を見ているとなぜか安心する。
(・<・*)「うーん……」
弟者が首をかしげる。何も考えていないあたり本当に子どもなんだなとほっこりする。
唇をへの字にまげて悩んでいる弟者の目を見ていると――ショボンさんが言っていた言葉が浮かんだ。
(*'A`)「木の実美味しかったぞ……ありがとな」
近くの木を撫でるとなぜか弟者が笑顔になった。
(・<・*)「ありがとうー」
(*'A`)「なんでお前が礼言うんだよ」
(・<・*)?
886
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:37:16 ID:rA6TgEHU0
(・<・*)「そうだ! いっしょに、いこ!」
ぐいっと森の中へ引っ張られる。
思っていたより力が強く、抵抗も虚しく引きずられてしまう。
(;'A`)「ど、どこにっ!?」
(・<・*)「ごはん、おいしかった! あにじゃも、ありがとういってた!
あいたいって! どっくんと、なかよしに、なりたいって!」
弟者はぴょんぴょん跳ねながら兄者という人物について説明しだす。
進んでいる森の先には人の住めそうな場所があるなんて想像ができない。
(;'A`)「あにじゃって?」
(・<・*)「さすがなきょうだい、だよ!」
周りの景色に蔦が増える。それと地面はだんだんぬかるんできて進みにくい。
きょうだい、という言葉に思考が止まる。可能性がないわけじゃない。
弟者は、もしかするとショボンさんの言っていた――「ここだよ!」
(・<・*)「ここ。ぼくと、あにじゃの、おうち!!」
887
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:38:28 ID:rA6TgEHU0
たどり着いたその空間は少し開けた場所だった。
周りを背の低い木に囲まれ、蔦がそれぞれの木をつなぐように伸びている。
中でも大きな木が一本。その木の根の半分は湖に浸っている。
それは綺麗な湖だった。限りなく透明で、手にすくうと薄水色をしていることが分かる。
底を覗く。思ったより深かった。
('A`)(吸い込まれそうだ)
水面に手を入れる。ぴちゃぴちゃと掻き回せば波紋が暴れる。
身体が前に傾く――落ちる、そう思った瞬間、手首を捕まれた。
( ´_ゝ`)「やだっ、そんなまじまじと見ないでどっくん」
Σ(;'A`)ビクゥ!!
湖の中から男が出てきた。正しく言えば水が男の形になった。
どことなく弟者にそっくりな容貌。にっこり笑みを浮かべるところは特にそっくりだ。
( ´_ゝ`)「こんにちはどっくん。俺はァ弟者のお兄ちゃんです。
湖に住んでるよ! つかもう湖is俺って感じなんだけどね。
綺麗って思ったでしょ、ね、綺麗でしょわたしっ」
言っていることはただの変態のそれだが。
おかげで、というかそのせいで、というべきか。目の前の事実にたいした驚きを感じない。
888
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:39:11 ID:rA6TgEHU0
('A`)(こんな幽霊嫌だな……)
( ´_ゝ`)「あふん」
('A`)(なにこいつきめぇ」
( ´_ゝ`)「どっくんとやら、本音が見え」
('A`)「ドクオです」
( ´_ゝ`)「ドクオくん、本音が見え」
(・<・*)「なになにー?
あにじゃ、きもいの?」
('A`)「うん、弟者くんはあんなふうになっちゃダメだよってことだよ」
( ´_ゝ`)「登場してからわずか数秒でこの仕打ち!
ドクオくんったら辛辣なんだからっビクンビクン」
(・<・*)「あにじゃ、うるさい」
( ´_ゝ`)「いやん、実の弟まで冷たい!ハァハァ」
('A`)
( ´_ゝ`)「ああ、ごめんなドクオくん。そしておかえりこの村へ。
俺、お前に聞きたいことがあって、それで弟者に連れてきてもらったんだよ。
俺は水がないと動けないからなァ、ほんとめんどくさい身体」
889
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:40:01 ID:rA6TgEHU0
( ´_ゝ`)「ドクオくん、幸福とはなんだと思う?」
('A`)(急に真面目な話になったな)
ショボンさんと蔦に絡まれた人の表情が頭に浮かぶ。
幸せ、とはなんだろう。
('A`)「……」
答えることができなかった。
( ´_ゝ`)「幸福っつうのはなァ、実はとても単純なものなのだ」
(・<・*)「みんな、なかよし!」
( ´_ゝ`)「例外の俺たちにはそれが許されなかった。
双子だからって理由だけで、村中から石を投げられたよ」
('A`)(双子……やっぱり弟者は……)
(・<・*)「んー!! いたいの、だめ! しない! かなしい」
( ´_ゝ`)「ははは、弟者は優しいな。酷いことたくさんされたのにな。
そんで、森に追放された俺たちは、残念ながらただの子供だった。
何もできるはずがなかったんだ」
(・<・*)「なか、みずのなか。あにじゃ、みずのなか」
( ´_ゝ`)「ふふふ、生憎俺は泳げなくてな。
そして弟者は餓死して木の養分になったんだよな。
ちなみに弟者が小さいままなのは弟者の“ヤドリギ”の成長に関連してるっぽい」
890
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:41:11 ID:rA6TgEHU0
(う<⊂*)「しくしく。さみしい。かなしい」
( ´_ゝ`)「悔しいことにな。なぜみんな仲良くなれないんだろうな。
先入観ですべてを決めてしまうんだろうな」
(・<・*)「ね。なんでなんで?」
( ´_ゝ`)「知るすべなど俺たちになかったが、一つだけわかったことがある」
(・<・*)「きらきら! あにじゃとまた、いっしょ!」
( ´_ゝ`)「優秀だからな俺らは、やっと気付けたのだ。
不幸者が率先して幸せな世界を作ることが、しあわせになる一歩なのだとな」
(・<・*)「らっき、はっぴ! みんな、なかよし、しあわせ!」
( ´_ゝ`)「うぬ。簡単に言うとそういうことだ」
(・<・*)「いいでしょ!」
( ´_ゝ`)「どうだドクオくん。俺たちの理想のために、お前の力を貸してくれないか」
(;'A`)「……具体的には何したらいいんだよ」
( ´_ゝ`)「んーそうだなァ。ずぅっとしあわせになってくれるだけでいいわ。
村人みんなと仲良しこよししててくれ」
891
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:42:41 ID:rA6TgEHU0
(・<・*)「でも、このままだと、けんかするよね?
だから、おてつだい、する!」
見てるだけで幸せになれるしな、と兄者は付け足す。
それは要するに、俺にあの寝台の人間のようになれと言っているのだろう。
蔦の餌食になれと――おまじないをかけられろと。
(;'A`)「……断ると言ったら?」
( ´_ゝ`)「そいつァ聞けないな。ドクオくんもこの村の住人だったわけだし」
(・<・*)「だめだよ。どっくんは、いっしょ! やくそく、した!」
( ´_ゝ`)「というわけだドクオくん。悪い話ではないと思うぞ?」
(・<・*)「ね、どっくんもしあわせになろう?
おいしいきのみ、たくさん。ずうと、あそべる。いっぱいいっぱいたのしいよ!」
弟者が俺の首筋に手を添える。
何かが巻き付くような感覚に近いそれに、ぞわりと全身に鳥肌が立つ。
(;'A`)
とっさにはねのける。
しかし弟者はあの笑顔のまま、また俺に手を伸ばしてきた。
892
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:43:31 ID:rA6TgEHU0
このままじゃやられる。
何かないかとポケットを探る。あった。ライターだ。
ライターで紙に火をつけて弟者に突き出す。
(;'A`)「いくらお前でも、これ以上近づいたら燃やすぞ」
(・<・;)「ど、どっくん! あぶない、やめて?」
弟者が後ずさる。ばかめ、子供とはいえ油断しすぎだ。
弟者だけではない。兄者は俺に情報を流しすぎた。
弟者の正体が分かってしまうぐらいに。
(;'A`)「じゃあな!」
一番大きい木の幹に燃えた紙を投げる。
火はすぐに木に移り、木を――弟者を燃やし始めた。
(;<;*)「あ゛………ああ、っ……あああああ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁあああ」
兄者はあっけにとられているのかじっと俺と弟者を見ているだけだった。
(;<;*)「あつい! あついよ! あ、づぃいいい゛い゛い゛いいいい!!!!」
( ´_ゝ`)「……」
金切り声をあげて弟者が地面に崩れ落ちる。
やはりあれが“宿り木”だったようだ。木はものすごい勢いで燃え始める。
ライターをしっかり握りしめ走る。
893
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:44:34 ID:rA6TgEHU0
(;'A`)ハァハァ
方向感覚が分からないがとどまっているよりマシだろう。
やはり兄者は湖から動けないようだった。しかし問題は弟者だ。
ここは森の中。言わば弟者の中でもある。宿り木を燃やしたとはいえ、油断はできない。
数十歩先の草むらが揺れる。弟者の上半身が見えた。
(;'A`)「くっそ、ついてくんなよ!!」
半分ただれた身体。手で草をつかんで這いながら追いかけてくる。
走る。蔦につまずき転ぶ。痛み。
(;<.:#_「どっく……あづ……ぃ、」
苦しそうに弟者の手が伸ばされる。
(;'A`)「そ、りゃっ、燃えてるから、なぁ!」
捕まったら終わりだ。反射的に立ち上がり駆ける。
しかし、これ以上走り続けるのも限界だった。
不幸か幸いか来るときに残した目印が目に入った。
この目印を左にまっすぐ抜けるだけだ――行ける、逃げ切れる。
894
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:45:22 ID:rA6TgEHU0
木の根っこを蹴り、蔦を千切り、がむしゃらに走る。
(;<.:#_「いだぃ……ぁ、い……あづ………」
聞こえてくる弟者の声はほとんど虫の息だった。
ライタ−を点ける。ポケットに残っていた紙を燃やす。後ろに投げる。
(;'A`)「じゃあな、可哀相な双子さん!」
薄暗い空間に強い光が差し込み、その光は辺りに広がり、俺自身を包む。
森を抜けたのだ――逃げ切ったんだ。
俺は、怪物から逃げ切った。生きている。
(;'A`)「ははは……案外あっけないものなんだな」
静まりかえった森を眺める。怪物は、もういない。きっと焼け死んだのだろう。
安心したせいか、首筋が猛烈に痒くなり爪を立てる。チクリと神経に染みるような痛み。
変な虫にでも噛まれてしまったのだろうか、帰ってから病院に行くとする。ガリガリ。
895
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:46:02 ID:rA6TgEHU0
家に帰ろうと歩きだした瞬間、足先に何かがぶつかった。
それは俺が食べていた木の実だった。ガリ……ガリガリ。
(*'A`)「……」
弟者とガリ同じ色をした、木の実。ガリガリ。
蹴り飛ばす。ガリガリガリガリ。いきのびた、うれしい。
(*'A`)「かゆい」
首がカリカリ痒いガリガリミチミチ痒いガリガリなんだろうこれ。
ぽちゃん。遠くでガリガリ何かがミズの中におちるおと。
ガリガリガリガリガリガリせかいがガリガリガリガリぐるりとマワって、
896
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:46:50 ID:rA6TgEHU0
じぶんのせなかがみえた。
もっとおいしいもの、でーきたっ( < *┃
897
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:47:34 ID:rA6TgEHU0
* * *
蔦で埋め尽くされた扉が開かれ、暗い部屋に光が差し込む。
男は寝台の上のヒト――ドクオの首に手を伸ばす。
(´・ω `)「弟者」
男はドクオの首から生えた蔦を愛おしそうに撫でる。
まるで小さな子供の頭を撫でるように、優しく、何度も。
その蔦はドクオの身体に細かい根をゆっくりと張りつけていく。
( _ )「よく頑張ったな」
その声に答えるように“寄生木”は葉を揺らす。
男はドクオの上に土をかぶせる。
顔だけ出ているせいでドクオの表情はありありと見ることができる。
何かに勝ったような――幸せそうな顔を。
( ´_ゝ`)「可哀相に。どっくんも最後まで気が付けなかったんだなァ」
ドクオから生える蔦の果実を手に取ると、男は楽しそうに微笑んだ。
まだ実ったばかりのその果実は、森と同じ深緑色をしている。
898
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:48:53 ID:rA6TgEHU0
風も振動も、何もない部屋で葉が揺れる。男はそれを見て幸せそうにケタケタ笑う。
( ´_ゝ`)「まったく食いしん坊だな弟者は。
そうだなァ、そろそろ次の人を呼ばなければな」
( ´_ゝ`)ガリガリ
男は果実をかじる。
緑色の果汁が床に滴る。
( ´_ゝ`)「なァ弟者よ、お前の言うとおりしあわせの味はたまらなく美味しいな。
しかし俺はこうやって、ずっと幸せでいる皆の顔を見るだけでも幸せだよ。
どんな世界でどんなことやってるのかなぁってサ、考えるだけで」
( ´_ゝ`)ガリガリガリガリガリ
( ´_ゝ`)「むらのみんなでしあわせになるために。
ふたりのしあわせなむらを、つくるために
これからもがんばろう、さすがなきょうだい」
しばらくの沈黙の後、まるで頷くようにしてドクオの首が転がり落ちていった。
899
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:49:42 ID:rA6TgEHU0
(
)
i フッ
|_|
おそまつさまでした。
900
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 02:53:03 ID:NLn1zrRs0
無邪気な弟者が怖いぜ……
乙乙
901
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 09:35:41 ID:peuP/VV20
>>840
胸がない…つまり…
902
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 11:30:31 ID:Uvn0Cjjk0
>>901
わろた
903
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 18:34:37 ID:QEDEh49o0
あれ、きょうって投下していいよな・・・?
間違ってたら悪いがスルーしてくれ、投下します
904
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/16(金) 18:36:00 ID:9knS33ZI0
投下オーケーだよ!
どんどん投下してよ!
支援するよ!
905
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 18:36:40 ID:QEDEh49o0
たぶん42本目もらいます
.,、
(i,)
|_|
906
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 18:38:48 ID:QEDEh49o0
('A`)「ふえー外あっちー」
( ´ω`)「疲れたおーアイス食べたいおー」
('A`)「夏休みまで部活あるとか聞いてねーよ……」
( ^ω^)「それ毎日言ってるおwwwwwwwwww」
('A`)「はー、しっかし……どうせ大したことしねーんだからサボればよかったかな……」
( ^ω^)「〆切近いしちょうど良かったお?
みんなやばいから静かだしはかどったお」
('A`)「ざんねーん俺もう書き終えてまーすwww
……なー、そういえば最近モララー見なくね?」
( ^ω^)「あー、そういえば見ないおねー。
サボりかお?」
('A`)「俺らはちゃんと来てんのに……アイツちょっとイケメンだからって調子に乗って……ヤリチン野郎……。
あ」
((( ´∀`)テクテク
( ^ω^)「モナーだお」
('A`)「おーい、モナー!」
907
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 18:40:41 ID:QEDEh49o0
( ´∀`)「おっ、ドクオ、ブーン。
今日は部活モナ?」
( ^ω^)「そうだお〜夏休みまで部活あるとか聞いてないおw
〆切近いしまじつらw」
('A`)「お前も部活?」
( ´∀`)「そうモナ、秋のコンクールに向けて描き始めてるモナよ。
今から帰りモナ?
一緒に帰ってもいいモナ?」
( ^ω^)「もちろんだお!」
((( ^ω^)
((( 'A`) テクテク
((( ´∀`)
('A`)「あ、そういえば、モナーってヤリチン野郎の幼馴染みだったよな?」
( ´∀`)「ヤリチン……ああ、モララーのことモナ?
そうモナ」
( ^ω^)「ヤリチンで通じるモララー乙wwwwwwwwww」
('A`)「最近部活来ねーんだよアイツ」
( ´∀`)「モララーの親御さんに聞いたんだけど、モララー、家に帰ってないみたいモナ」
908
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 18:42:20 ID:QEDEh49o0
(;^ω^)そ「えっ、それやばくないかお?」
( ´∀`)「代わりにメールは来たらしいモナ。
夏休みだし彼女のとこ泊まるって」
('A`)「死ね。氏ねじゃなくて死ね」
( ^ω^)「えっ、彼女?
でもモララーこないだ……」
(*'A`)「おっ、おいおい噂をすればだぜ」
ζ(゚ー゚*ζ))テクテク
(*'A`)「はー可愛いなデレたんデレたんも部活帰りかな。
なんであんな可愛いのにモララーなんてクソ野郎の彼女なんだ……」
( ^ω^)「確かに可愛いんだけど……」
(*'A`)「ちょっくらデレたんに真実を聞きに行くという口実のもとお喋りしちゃおうぜ」
( ^ω^)「ドッくん話聞いてお。
夏休み入る前にヤリチン氏がデレ嬢をフッたらしいお?」
(;'A`)「えっ、はあ!?!?」
( ´∀`)「それモナーも聞いたモナ」
(;'A`)「はああ!?!?!?」
(;^ω^)「声でかいお」
909
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 18:43:25 ID:9knS33ZI0
これはモララー死んでてほしい支援
910
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 18:43:59 ID:QEDEh49o0
ζ(゚ー゚*ζ「あれっ、こんにちは、鬱田くん、内藤くん、大前くん。
もうこんばんはかな、部活帰り?
なんのお話ししてるの?」
(;'A`)「えっ、えっと……」
( ´∀`)「モララーの話モナ」
(;^ω^)そ
ζ(゚ー゚*ζ「そうなの?」
(;'A`)「えっえっえっと、だ、大丈夫だよデレたん!
デレたんならもっといい男捕まえられるから!!!
例えば目の前の誰かとか!!!!!!」
ζ(゚ー゚*ζ「……?」
( ´∀`)「モララーと別れたって聞いたモナ」
(;^ω^)そ「んなあっさり」
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、そういうこと!」
(;^ω^)そ
911
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 18:45:11 ID:QEDEh49o0
ζ(^ー^*ζ「ふふ、ありがとう、鬱田くん。
でも大丈夫だよ、戻ってきてくれたから」
(*'A`)「女神……」
( ^ω^)「戻ってきた?」
ζ(^ー^*ζ「うん、モララーくんがね、やっぱりデレじゃなきゃダメだって気づいてくれたの。
だから今はモララーくん、デレのお家にいるよ」
('A`)「さよか……」
ζ(゚ー゚*ζ「うん、だから大丈夫だよ、ありがとう。
じゃあ、またね!」
ζ(゚ー゚*ζ))テクテク…
('A`)「行っちゃった……」
912
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 18:47:11 ID:QEDEh49o0
( ^ω^)「そう気を落とすなお。
どっちみちドクオに振り向いたりはしないと思うおwwwwwwwwww」
( ´∀`)「どんまいけるwwwwwwwwww」
('A`)「お前ら覚えてろよ。
モララーは氏ね」
( ´∀`)「wwwwwwwwww」
チャッチャカチャカチャカ チャッチャン\パフッ/
( ´∀`)「おっ、噂のモララーくんからメール来たモナ」
( ^ω^)「笑点wwwwwwwwww」
Sent 2013/8/16 18:47
From もら
To もな
SUB 無題
たいへんだ!
すっかり部活に行
けてない(笑)
てか、宿題多くね?
間に合うかな〜
金曜までだっけ?
さっぱり分かんないし
レベル高すぎじゃね(笑)
たぶんヤバイわ(笑)
913
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 18:49:06 ID:QEDEh49o0
( ^ω^)「夏休みの宿題かお?」
('A`)「金曜までのとかあったっけ?」
( ´∀`)「部活サボってるわりに宿題やる気はあるモナねwww」
ブーン、メールヨ!ブーン、メールヨ!
( ^ω^)「あ、僕にもメール来たお」
('A`)「ツンの受信ボイス……だと……」
( ´∀`)「まず爆発すべきはブーンじゃないモナか?」
Sent 2013/8/16 18:49
From モララー
To ( ^ω^)
SUB 無題
デレの作る料理は
レベル高いんだ(笑)
くださいって言われ
ると困る
って言うか(笑)
手加減して作って
るらしいけどな(笑)
914
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 18:51:18 ID:QEDEh49o0
( ^ω^)「ノロケかおwwwwwwwwww」
( ´∀`)「ムカつくモナwwwwwwwwww」
('A`)「爆発しろ」
ブーッ ブーッ
('A`)「うわ俺にもメール来た」
( ^ω^)「普通にバイブだお」
( ´∀`)「面白味もなにもないモナ」
('A`)「うるせえマナーをわきまえてんだよ俺は!」
Sent 2013/8/16 18:51
From 爆発しろモララー
To 鬱田ドクオ
SUB 無題
こんど遊びに行こうな!
ろっぽんぎとか
さ来週くらいに!
レンタルビデオを見
るのは飽きたんだよ(笑)
915
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 18:52:17 ID:QEDEh49o0
( ^ω^)「デートのお誘いだおwwwwwwwwww」
( ´∀`)「なぜドクオにwwwwwwwwwwなぜ六本木wwwwwwwwww」
('A`)「デレちゃんと行けよクソ」
( ´∀`)「てか登録『爆発しろモララー』ってwwwwwwwwww」
('A`)「爆発しろ」
( ´∀`)「……ま、元気そうでよかったモナね」
( ^ω^)「心配して損したお」
('A`)「爆発しろ」
( ´∀`)「モララーの親御さんに彼女と仲良くしてるみたいですwって伝えとくモナ」
(;A;)「爆発しろ……クソ……」
( ^ω^)「ついに泣いたwwwwwwwwww」
これ以降、モララーからメールは来なかった。
916
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 18:54:21 ID:QEDEh49o0
(
)
i フッ
|_|
おわり!支援ありがとう
どうしてもモララーを葬らねばと思って書いた
917
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 19:02:33 ID:9knS33ZI0
乙ー
モララー死亡確認
これはスッキリ
918
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 19:06:17 ID:MtocwBUc0
一本目のメールやっと読めた
監禁かい、ざまぁ
919
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 19:09:07 ID:b5BlkvGw0
いいじゃん、ヤンデレ。 乙
920
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 19:09:25 ID:tghfWQP.0
乙
よく殺った
921
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 19:58:03 ID:kz.EQHHQ0
あれ…モララーの扱い、酷すぎ…?
922
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 21:00:57 ID:YdZR4Pzo0
43本目をいただきます。
.,、
(i,)
|_|
923
:
証言のようです 1/10
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 21:02:19 ID:YdZR4Pzo0
ギコの証言
――発見時の状況を教えてください。
(,,゚Д゚)「ああ、俺はタクシーの運転手でよ、その日もいつものように客をせっせと運んでいたんだ。
駅でひどく酔っ払った客を拾っちまってさ、家はどこだって聞いたら、郊外の方だったのよ。
一部だけど山道も通らなきゃでさ、なんとなく嫌な予感がしてたわけよ」
(,,゚Д゚)「とはいえせっかくのお客だし、もちろん運ぶ。
国道を進んで、山の方へ。街灯の間隔がだんだん離れていってさ、見えにくいったらしかたない。
山道だしもっと配慮してくれとは思ったね。まあそんなところ夜中に走る奴ほとんどいないからかもしれないけど」
(,,゚Д゚)「で、山道をとろとろ走ってた。落っこちたりしたら洒落にならないし。
そしたら後ろで客がわめきだすのよ。どうしたーって聞いたら、なんかもごもご言いだす。
ああ吐きたいんだなって思ってさ、しかたないから止めたんよ」
(,,゚Д゚)「その客すごい速さで車出ちゃってさ、道を逸れて山の方へ行っちゃったのな。
おいおい逃げられたか? とも思ったけど、それ以前にあんな酔ってちゃ危ないだろうと。
それで、俺も仕方ないから車降りて、その客を追った」
(,,゚Д゚)「おーいって言いながらススキの中を進んでいく。なんかびちゃびちゃ聞こえるしさ、居る方向はだいたいわかったんだ。
それで近づいているうちにさ、ふっと横目で何か見えた気がしたのね。それでつい見ちゃった。
右にあった木陰にさ、何か黒いものがあってさ。よく見たらビニール袋がこう、どさって置いてあって」
(,,゚Д゚)「興味本位っていうのかな、なんだろなーって思って近寄って、袋の入口が緩んでるのに気付いた。
何かやばいものでも誰か隠したのかなって、思っちゃった。それで見た、わけですよ。
まさか本当に死体が入ってるなんてなあ……もう、あんまり思い出したくもないよ」
(,,゚Д゚)「そっからは怖いからもう車入って警察呼んで震えてたよ。
え、客? さあ、置いてきちまったからわからねえな」
924
:
証言のようです 2/10
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 21:03:24 ID:YdZR4Pzo0
ツンの証言
ξ゚⊿゚)ξ「あら、刑事さん。お久しぶりです」
――お久しぶりです。
ξ゚⊿゚)ξ「ああ、待ってください。壇にのった方がいいみたい。
背が低めなもので……これでよし、と」
ξ゚⊿゚)ξ「あれ、もう一人の方は?
え!……そうなんですか、お気の毒に」
――被害者と出会った経緯を教えてください。
ξ゚⊿゚)ξ「ちょうど一年前の子どもの日です。
山の方にあるお寺で、小さなお祭りがあったんですね。
こいのぼりをあげたり、柏餅を食べたり、ちょっとした出店も並んだり」
ξ゚⊿゚)ξ「その中で、ぽつんといるのを見かけて。
随分と寂しそうだったから、わたあめを買ってあげたんです。
そしたら、あの、良い方は悪いんですが、懐いちゃったんですよね、きっと」
ξ゚⊿゚)ξ「それから街でたまに見かけて。
向こうも嬉しそうにするから、つい返事もしちゃいました。
でも正直そこまで親交があったわけでは……はい、すいません、期待に添えなくて」
925
:
証言のようです 3/10
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 21:04:37 ID:YdZR4Pzo0
ドクオの証言
――被害者と出会った経緯を教えてください。
('A`)「理由……理由か。
特にないって言ったら、刑事さん怒るかな。
いや、別にないってこともないと思う、うん」
('A`)「なんかさあ、俺、仕事なくしたばっかりでさ。
次の仕事探すのもだるくて、街をさまよっていたのね。
そして空き家があることに気付いて、不思議と親しみを感じたんだ」
('A`)「ああ、見捨てられたんだな、俺と同じだなって、つい思っちゃってさ。
そしたらさ、裏庭の方から鳴き声が聞こえたんだ。弱弱しい、犬だったかな。
それでさ、見に行ったら、これくらいの小さい女の子がしゃがみこんでるの」
('A`)「よくよく見てみると手にパンのかけらとか、牛乳とか持ってた。
ああ、きっと給食の残り物を集めてあげてるんだなって、気付いた。
大したことないんだけどさ、すごく優しいなって思って、思って……」
――どうしました?
('A`)「あ、いや、なんでも。
それでしぃちゃんに話しかけて、犬の世話を一緒にするようになった。
だから一緒に街を歩くこともあったんだ」
('A`)「別にやましいことは何もないだろ? ほんとだぞ。
だからほら、早く」
926
:
証言のようです 4/10
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 21:05:38 ID:YdZR4Pzo0
モナーの証言
――被害者のことを聞かせてください。
( ´∀`)「しぃちゃん……亡くなったモナね。なんだかあまり実感がないんだモナ。
夏休み頃まで普通に遊んでいたんだモナ。私のお寺に遊びに来たりしていたモナ。
ちょっと小柄だったけど、元気で優しくて、かわいい子だったモナ」
( ´∀`)「あなたはどうしてしぃちゃんのことを……
いや、そういう仕事モナね。仕方ないモナ」
――事件のあった日やその直近では、何か変化はありましたか?
( ´∀`)「特には……夏祭りもお盆も終わっていたから、見かける用事もなかったんだモナ。
強いて言うなら街で、しぃちゃんと会ったくらいだモナ。
しぃちゃん、何か少し挙動がおかしくて、気になったんだモナ」
( ´∀`)「それで話しかけてみたモナ。でも、何でもないよというばかりだったモナ。
じゃあ何をそんなにおびえているの? ときいても、そんなことないって。
妙に強気だから変だとは思ったモナ。でもそれっきり、しぃちゃんはどこかに行っちゃったモナ」
( ´∀`)「今思えばあの会話が、しぃちゃんとの最後の会話になっちゃったんだモナ……」
927
:
証言のようです 5/10
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 21:06:39 ID:YdZR4Pzo0
スカルチノフの証言
――意識はあるのでしょうか。
ミセ*゚ー゚)リ「ええ、目は覚めているはずなんです。
ただやはり、事件のとき同じ家の中にいたことがショックだったようで、精神的におかしくなっていて。
今でもたまに、はっと目覚めては、その、喚いたりいろいろ」
ミセ*゚ー゚)リ「もちろん、以前までがいい生活だったわけでもないでしょう。
同居人はあまりこの人の世話をしていなかったようですし、だから新年早々この施設に送られて」
ミセ*゚ー゚)リ「聞きたいことがあれば言ってください。たとえ今聞こえなくても、私の方から後で伝えます」
――事件があったとき、何か目撃しましたか?
/ ,' 3「……お、おにじゃ」
ミセ*゚ー゚)リ「やっぱり起きて……スカルチノフさん?」
/ o゚ 3「鬼じゃああ、鬼があおるぅぅぅぅ」
ミセ*;゚ー゚)リ「スカルチノフさん!?」
/ o゚ 3「うわぁああああぁあぁ、鬼じゃあ、鬼があぁあ」
ミセ*;゚ー゚)リ「すいません、今日は無理みたいです。
まさかこんなに取りみだすなんて……」
928
:
証言のようです 6/10
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 21:07:39 ID:YdZR4Pzo0
モララーの証言
( ・∀・)「正直に話すと、俺はあいつ、いつかやらかすと思っていたね」
――と、言いますと?
( ・∀・)「古い付き合いだからわかるんだよ。
あいつは、ドクオは筋金入りのロリコンだってな」
( ・∀・)「例えばさ、あいつは馬鹿みたいに甘えん坊なわけよ。もう甘えたくてしかたがない。
それでいて馬頭されるのは気に食わない。自分で抑え込める相手じゃなきゃ気が済まない。
だから普通の女じゃ満足できない。アニメにいるような、小さくて大人びた子どもみたいな女が好み」
( ・∀・)「死んじゃった女の子も、どことなくそんな雰囲気があったんじゃないの。
もうだいぶ前の話だから、よく覚えてないけど」
――他に気になることはありましたか。
( ・∀・)「最近連絡取ってなかったからなあ。
やっぱさ、社会人になると友達と遊んでる暇もないわけですよ。
まあ、ドクオは仕事が無くなっていたらしいけど、少なくとも俺は暇じゃない」
――ずいぶん嫌っていたんですね。
( ・∀・)「いや……嫌いというわけじゃないよ。そりゃあ、あんなことになったのはショックだったし。
でも率先して会いたいやつかと言われればちょっと、うん、いいかなって」
( ・∀・)「あ、宅急便? いや、いいんだ。きっとチョコかな。まったくいまだに送ってくるんだから」
929
:
証言のようです 7/10
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 21:08:39 ID:YdZR4Pzo0
ショボンの証言
(´・ω・`)「このバーはお客さんがほどほどで、話が聞き取りにくいからね。漏れる心配もないだろう。
だいたい今の時期は花見で外に行ってるものさ。と、まずは薬を飲むか」
(´・ω・`)「さて、まずは僕の考えをお話しさせてくれ」
(´・ω・`)「去年の夏、一人の女の子が亡くなった。
そしてその犯人と思しき人物が、去年の暮れに亡くなった。
その人のそばには遺書が置かれていた」
(´・ω・`)「その記述から、死亡したドクオがしぃちゃん殺しの犯人だとわかった」
(´・ω・`)「確かに悔恨からの自殺は考えられないことじゃない。でも気になることはある。
一つはドクオの腕と足に若干の縄の後があったことだ。
どうしてそういう痕がついたんだろうな。そのような趣味があったとすればまだ可能性はあるが」
(´・ω・`)「もう一つ、当時ドクオと同居していたスカルチノフという老人だ。
先日老人ホームから精神病棟に移されたそうだ」
(´・ω・`)「人が殺される現場を目撃したというなら、トラウマをかかえるのも納得できる。
しかしどうしてこんな時期に移されたんだろうか。
何かしらきっかけがあったと考えるべきじゃないかな」
――これからどうするつもりですか。
(´・ω・`)「まずはドクオの近隣住民と接してみよう。
私の疑問は証拠に欠ける。もっと有力な情報があれば良いのだが」
930
:
証言のようです 8/10
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 21:09:38 ID:YdZR4Pzo0
ロマネスクの証言
――被害者の死亡した状況を教えてください。
( ФωФ)「ええ、私が経営しているバーにはテーブルがいくつかあるんです。二人用の小さいのが。
ショボンさんは特にあの窓際のテーブルがお気に入りのようでした。
お店に来るといつもあそこに腰掛けて、煙草に火をつけるんです」
( ФωФ)「窓際に座ったのはきっと、私たちに煙をなるべく吸わせないようにしていたからなんでしょうね。
そういう心配りがとても御上手な方でした」
( ФωФ)「そのショボンさんが唐突に苦しみだした。
私もはっきりと見ていたわけじゃないんですが、カクテルにはまだ手をつけていませんでした。
その前の、水を少し飲んでいただけで」
――水をですか。
( ФωФ)「ええ、どうも彼はお酒を飲む前に薬を飲まないといけなかったみたいで、お酒を飲む前にそれを飲んでいたんです。
そうまでしてお酒を飲むとは、よっぽど日々心労が溜まっていたんじゃないんでしょうかね。
しかしなんでも死亡した原因はそのクスリに何か仕込まれていたからだというじゃありませんか。なんとも、辛い話です」
――他に気付いたことはありましたか。
( ФωФ)「そういえば、何ヶ月か前に、ショボンさんは誰かと来ていたような。
お連れさんマスクをしていたし、うつむいていたし、それに私は何度も来ない限りお客さんをじろじろ見ない主義ですので
その人がどんな人かまでは記憶していないんですけどね」
――日付はわかりますか。
( ФωФ)「ええと、確か3月の……」
931
:
証言のようです 9/10
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 21:10:39 ID:YdZR4Pzo0
ワカッテマスの証言
――この状況を説明してください。
( <●><●>)「自分で覚えていないんですか?
あなたはバーの店主、ロマネスクさんを殺そうとしたところを取り押さえられ、ここに拘禁されているんです」
( <●><●>)「あなたの手記、読ませていただきました。これですよね。
手記を取ることが癖なんですか? 今もまるで何かに書きつけるような手つきですね。
そこには何もありませんよ?」
( <●><●>)「あなたは自分の娘のしぃさんが亡くなってから、関係者の話を一年間収集していましたね。
収集する中で、犯人であるドクオを殺し、またそれが見破られそうになると上司であるショボンを殺した」
( <●><●>)「それで、今度は覚えている可能性のあるロマネスクを殺そうと、あ、おいよせ!!」
(;<●><●>)「誰か! 誰かこいつを抑えつけてください!!」
(;<●><●>)「ああ、手記がばらばらに。復元する必要がありますね……」
(;<●><●>)「それにしてもあなたはずいぶん変わってしまった」
( <●><●>)「見た目のことじゃないですよ。むしろ春先まではもう少し長めの髪型をしていましたので、若干変わりましたが。
それだけじゃなくてですよ、今手記を取ろうとしたときは相当怖い顔つきでした。
娘を殺されてからよほど精神的に参ってしまったようですね」
( <●><●>)「さっきのあなたの形相は、それこそまるで、鬼みたいでしたよ」
932
:
証言のようです 10/10
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 21:11:56 ID:YdZR4Pzo0
時系列(上から下へ)
8月 しぃ殺害事件
9月 ギコの証言
10月 モナーの証言
11月 ドクオの証言
12月 ドクオ監禁殺害事件
1月 スカルチノフの証言
2月 モララーの証言
3月 ショボンの証言
4月 ショボン毒殺事件
5月 ツンの証言
6月 ロマネスクの証言
7月 ワカッテマスの証言
〜おわり〜
933
:
◆MgfCBKfMmo
:2013/08/16(金) 21:13:51 ID:YdZR4Pzo0
(
)
i フッ
|_|
お化けとかじゃないけど、良かったのかな。
934
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 21:16:19 ID:eD6uAaO.0
乙乙。ミステリーっぽくて良いね
935
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:17:36 ID:6SsLGCtkO
ちょっと不吉な数字の四十四本目もらうぞー
.,、
(i,)
|_|
夜の校舎のようです
936
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:19:10 ID:6SsLGCtkO
放課後、野球部の掛け声を聞きながら屋上で横になったところまでは覚えている。
( ^ω^)(やらかした……)
頭を掻きながら携帯電話を開き、内藤ホライゾンは溜め息をついた。
午後10時。
とっくに日は落ち、辺りは暗い。こんな時間の中学校の屋上なんかに、当然ほかの人間はいない。
実に5時間ほど眠っていたことになる。
有り得ない。とも言い切れない、自分の寝汚さに嫌気が差す。
ここ最近は両親のせいでよく眠れなかった。
毎日のように深夜まで離婚の話し合いをしていて、大体喧嘩に発展するからだ。
それが息子──自分の押し付け合いだというのも分かっているので、知らないふりも出来ない。
中学2年生など、まだまだ子供である。
両親の不仲、秒読み段階の離婚、厄介者として扱われる自分。
これで不安になるなと言う方が無茶だ。
おかげで寝不足が続き、家に帰るのも億劫になり──こんなところでぐっすり寝入ってしまった。
937
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:20:14 ID:6SsLGCtkO
( ^ω^)(……あ)
時間を確認するためだけに開いた携帯電話。
画面を見ている内、両親から電話もメールも来ていないことに気付いた。気付いてしまった。
この時間になっても帰宅していない自分に、両親は何も訊いてこなかった。
( ;ω;)「……おー」
勝手に涙が落ちた。
両親のことは好きだ。
まったくの優等生とは言えないが、親や目上の者の言うことはそれなりに聞いて、
これといった悪さもせずに──立入禁止の屋上に忍び込んでいるのはともかく──生きてきた。
それでも親は自分を煙たがる。
2人とも、仕事こそが我が人生だと言い張るような人間だ。
離婚後に子供を引き取って、仕事に何らかの支障を来すのを嫌っているのだろう。
彼らにとって、息子は既に人生の障害となっていた。
( ;ω;)「うー、……っ、ううう……」
自分以外に誰もいないと分かっていても、内藤は声を殺して泣いた。
家で泣くときと同じように。
938
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:21:10 ID:6SsLGCtkO
──帰らないと。
一頻り泣いた後、内藤は顔を上げた。
さすがに朝までここにいるわけにもいかない。
携帯電話をポケットに突っ込み、枕にしたせいで少し潰れた鞄を拾う。
( ^ω^)(先生達、帰る前に屋上の見回りとかしなかったのかお……)
右手でフェンスに掴まりながら立ち上がる。
視界の端にちらつくものがあって、何気なくそちらを見た。
ここからは校庭が見下ろせる。
いくつか設置されている外灯が、淡く運動場を照らしていた。
その中央に、人がいた。
真っ赤な──コートかワンピースか、とにかく赤い服を着た女性が、
こちらに背を向けるようにして立っている。
ゆらゆらと左右に揺れているのが不気味だった。
939
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:22:19 ID:6SsLGCtkO
( ^ω^)(……変質者?)
嫌だなあ。
真っ先に思ったのは、そんな感想。
学校から出るには、校庭の傍を通らなければならない。
あの変質者(と決まったわけでもないが)に近付くのは、なるべく避けたいところ。
内藤はその場に留まり、赤い服の女が立ち去るのを待った。
しかし待てども待てども、女はそこで揺れ続けていた。
仕方ない。昇降口で靴を履き替えてから、どこか適当な窓から外に出るか。
そう結論を出し、内藤はフェンスから手を離した。
不意に、鼻にむず痒さを覚える。
夏といえど、夜中に屋上に居続ければ体も冷える。
鼻と口を押さえ、内藤は控えめなくしゃみをした。
その瞬間。
校庭の女が、ぐるりと勢いよく振り返った。
940
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:23:22 ID:6SsLGCtkO
子供の落書きのような顔をしていた。
比喩でも何でもない。
凹凸の無い、のっぺりとした白い顔に、
ぐしゃぐしゃと乱雑に塗り潰されたような左右非対称の目と、大きく開いた赤い口だけがあった。
内藤の思考が止まる。鞄を取り落とす。
女は顔を内藤に向けたまま、よたよたと歩き出した。
校舎へ向かってくる。
内藤から見て斜め下の辺りで校舎にぶつかった女は、
やはり内藤を見上げたまま壁に手をついた。
そして──壁を、よじ上ってきた。
素手と素足をぴったりと壁にくっつけて、女は慎重に登っていく。
有り得ない。
あの顔は何だ。お面をつけているようには見えない。
人間が何も使わずに手のひらと足の裏だけで壁を登れるわけがない。
そもそも──大して視力の良くない自分が、何故この距離とこの時間で、相手の姿をこうもはっきり把握出来るのだ。
内藤の脳は、ようやく事の異常性を理解した。
回り出した頭が警告する。
941
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:24:39 ID:NdsF8Rds0
ひえええこわい
私怨
942
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:25:21 ID:6SsLGCtkO
(;^ω^)(──こっちに来てる!)
内藤は落とした鞄を拾いもせずに、屋上の入口へ駆けた。
ドアを開け、暗い階段を一段飛ばしで下りていく。
とにかく、早く昇降口へ──それだけを考えていた内藤だったが、
3階と2階の踊り場に着いた瞬間、足を止めた。
窓の向こうに女がへばりついている。
内藤を凝視し、
〈ぎゃはっははははははははははひひひははははぁああはははははぁはあひひあはあひひひひひひぃいぃいぃいいいぃい〉
狂ったように笑って、右手で窓を叩き始めた。
足から力が抜けかける。
内藤は手すりに掴まり、2階へ下りた。
それに合わせて声も下がってくる。
階段から離れ、廊下を走った。
このまま昇降口へ向かえば、間違いなくあの女も来る。
玄関以外から逃げるとしても、まずは撒かなければならなかった。
943
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:26:20 ID:6SsLGCtkO
(;^ω^)(ど、どうしよう、どうしよう、どこに行けば──)
からから、遠くで音が鳴った。
聞き馴染みのある音だった。
窓を開けるときの。
また、笑い声。
屋内にいるかのような反響の仕方。
どんどん大きくなる。
それの意味するところを察し、内藤の心臓が潰れそうなほど痛んだ。
(;^ω^)(入ってきた……!?)
どこかの窓の鍵が開いていたのか。
いや、そんなことはどうでもいい。
内藤は左手を見た。男子トイレ。
こんな場所は嫌だ。しかし、ここしかない。
振り返って、まだ女が視界に入らないことを確認してから、男子トイレに飛び込んだ。
944
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:27:26 ID:6SsLGCtkO
いざというときのため、一番入口に近い個室に入る。
震える手で鍵を閉めかけて、思い直した。
代わりに、いつでも飛び出せるように把っ手を握る。
トイレに逃げ込むなんて、あまりにもお約束だ。
けれど、他の隠れ場所を探す余裕などなかった。
乱れる呼吸を必死に抑える。
笑い声と、ぺたぺた響く足音が異様な速さで近付いてくる。
それはすぐに男子トイレの前までやって来て、そして通り過ぎた。
遠ざかる。
内藤は長く息を吐き出し、ずるずると座り込んだ。
.
945
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:28:20 ID:6SsLGCtkO
どれほど経ったか。
内藤は恐る恐る、扉を開いた。
いつまでも隠れているわけにもいかない。
顔だけを出し、辺りを確かめる。
声は聞こえてこない。
今、どこにいるのだろうか。
いなくなってくれれば、それが一番いいのだが。
(;^ω^)(……階段下りて……窓から出て、走る)
頭の中でシミュレーションを行う。
途中で女に会ったらどうしよう。逃げるしかない。
深呼吸。
隠れていたい気持ちと、いずれここで見付かったら危険だという気持ちが混じり合う。
決心し、一歩、個室を出る。
男子トイレを後にして、内藤は階段の方へ目を向けた。
946
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:28:59 ID:6SsLGCtkO
(;^ω^)「──……あ……」
壁の向こうから顔が覗いていた。
床に側頭部をつけるようにして、顔の上半分だけを出した女がこちらを見ていた。
女が身じろぎする。
内藤は後ろを向き、駆け出した。
少し進んだところで、廊下は左手に折れていた。
行くしかない。角を曲がる。
理科室や家庭科室のプレートが下がっている。特別教室棟だ。
一番近くにあった理科室の引き戸へ手をかけたが、鍵が掛かっていた。
他の教室も同じだろう。
後方から足音が聞こえる。心臓が跳ねる。
泣きそうになりながら再び走ると、一つだけ、教室の入口が僅かに開いているのを発見した。
被服室。
迷いながら振り返る。
女はまだ曲がり角まで来ていない。だが、足音の近さからして、もうそこまで迫っている。
考える暇はなかった。
947
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:30:30 ID:6SsLGCtkO
被服室に入って、内藤は教卓の下に潜り込んだ。
縮こまり、早く通り過ぎろと祈る。
ああ、こんなことなら、屋上など行かず、さっさと家に帰っておけば良かった。
そうすれば、きっと今頃、両親の険悪な雰囲気から逃れるために友人と下らないメールなんかして──
(;^ω^)(メール……携帯!)
そこでようやく、彼はポケットの中、携帯電話の存在を思い出した。
両親に、いや、いっそ警察にでも電話すれば、きっと学校に来てくれる。
多少怒られることなど、今の恐怖に比べれば何ともない。
内藤は携帯電話を取り出し、開いた。
足音が大きくなる。
はっとして、携帯電話を胸元に押しつけた。
大丈夫だ。トイレに隠れたときも、奴は廊下を過ぎ去っていくだけだった。
いま数秒間だけやり過ごせば、あとは電話をして、助けを待てばいい。
汗がこめかみを伝って落ちる。
家庭科室の前で、足音が止まった。
948
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:31:49 ID:6SsLGCtkO
(;゚ω゚)(……何で止まるんだお……)
足音が室内に入り込む。
女は机や戸棚を叩いて回っているようだった。
〈……うー、ん、んー……んー……んー……〉
先程の笑い声とは正反対の、低く静かな唸り声が漏れている。
内藤は口を押さえ、体を一層縮めた。
来るな。来るな。出ていけ。早く。
一際大きな物音。
続けて、かちかちと軽やかな音が鳴った。
──金属が擦れる音だ。
鼓動が激しさを増す。
戸棚に並べられた裁縫道具の数々を思い浮かべ、指先が震えた。
949
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:33:06 ID:6SsLGCtkO
そのとき。
内藤の携帯電話が鳴り響いた。
唸り声が止まる。
体が動かない。ああ。今さら腰が抜けるなんて。
呆然としながら、携帯電話の画面を見る。
父の名前と番号が表示されていた。
950
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:35:27 ID:6SsLGCtkO
( ;ω;)「……父さ、ん」
こんなときなのに──嬉しかった。
現実逃避としての感情だったのかもしれないが、それでも。
父が電話をくれた。
夜中になっても帰らない自分を心配して。
電話を。
内藤は泣いていた。身に迫る恐怖から。
口元だけは笑っていた。正しい理由など分からないけれど。
通話ボタンを押し、携帯電話を耳に当てた。
( ;ω;)「と、父さ、父さん、助け……」
『──……ホライゾンか?』
( ;ω;)「うん、うん……」
最近、父と会話らしい会話をしていなかった。
家に帰って、たくさん話をしたい。
両親が自分を嫌っていても、自分は2人が大好きなんだと伝えたい──
『……番号を間違えたな。お前に掛けるつもりじゃなかったんだ』
それだけ言って、電話は切れた。
951
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:37:14 ID:6SsLGCtkO
教卓の上から、逆さまの顔と手が下りてくる。
右手に大きな針。
内藤は、それを眺めることしか出来なかった。
夜の校舎の片隅で、笑い声とも泣き声ともつかぬ声があがって、消えた。
952
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:39:19 ID:6SsLGCtkO
(
)
i フッ
|_|
おわり
まぜこぜブーンの仮タイトルその5
あと3つ、期間中に書き上げられるかどうかどきどきしている
953
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:43:06 ID:NdsF8Rds0
乙
ブーンかわいそうに…
すんげえ怖かった吐き気する
質問なんだけどスレ立てして投下したいんだけど、蝋燭を2レス目に置いても平気かな
954
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:46:27 ID:cFCJkVMo0
一番重い
乙
955
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:46:36 ID:6SsLGCtkO
>>953
大丈夫だと思うぜ
956
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 22:54:46 ID:NdsF8Rds0
>>955
ありがとう
蝋燭戴きました
出張版白澤図のようです
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/lite/read.cgi/internet/13029/1376661049/l30
957
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/16(金) 23:08:55 ID:9knS33ZI0
そろそろ次スレかな?
958
:
名も無きAAのようです
:2013/08/16(金) 23:45:06 ID:NdsF8Rds0
>>956
45本目いただきましたー
(
)
i フッ
|_|
959
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 00:10:21 ID:adaBwzoE0
>>958
明日もあるし早めにスレを立てるにこしたことはないと思う
960
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/17(土) 00:13:11 ID:z2vK43pU0
>>959
オケ
では建ててこよう
建て終わったらこっちの残りは......まあ雑談ででも埋めますかな
961
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/17(土) 00:18:56 ID:z2vK43pU0
('A`)百物語のようです2013( )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376666266/
次スレですよ次スレ
そして区別つけやすいようにと思ってAA変えたら被った......だと?
962
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 00:22:06 ID:adaBwzoE0
スレ立て乙!
まさか、スレタイ被るとは思ってなかった・・・・・・
963
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 00:24:02 ID:L3Cn/5uk0
わらた
すごい偶然だな
964
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 00:25:30 ID:adaBwzoE0
スレタイが絶賛かぶったけれど、蝋燭いただきました
本数は数日後、投下が終了してから報告に来ます
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376666020/
('A`)百物語、のようです
965
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 00:43:06 ID:qSKF/Y560
あっちのスレに投下したらいいのかな
966
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 00:45:28 ID:cFWX8/8Y0
短いならこちらでも……
と言いたいが蝋燭の本数が混乱するかもしれないので次スレオススメ
967
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 01:10:57 ID:qSKF/Y560
>>966
把握。ありがとう
968
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 01:27:57 ID:cfzxS0Fk0
44本目夜の校舎読んでから胃が痛い
969
:
名も無きAAのようです
:2013/08/17(土) 18:40:21 ID:FhzumnpM0
この調子だと百超えはちょっと難しそうだな……
今日と明日合わせて七十行くか行かないかくらいか?
970
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/17(土) 18:59:00 ID:hD8NOr4s0
今49本
残り二日
ま、まだ最終日の滑り込み組がいるから......うん......
971
:
◆mzkz/7EEZc
:2013/08/18(日) 17:59:56 ID:/Dc6L.Ck0
本数は減ってるがレス数は大して変わらない気が。読み応えある。
簡単に連絡。
誤字脱字や蝋燭AAズレは気づいた範囲で勝手に直してます。
三十九本目や四十二本目は無題にしていまってるけど、タイトルこれが良いというのがあれば言ってもらえると。
最終日も読むの楽しみにしてんよー
972
:
名も無きAAのようです
:2013/08/18(日) 22:53:48 ID:d2aVlMrMO
まとめ作業お疲れ様です
もう最終日か……
973
:
名も無きAAのようです
:2013/08/18(日) 23:47:15 ID:v1eOSk.g0
百に届かなかったって考えたらあれかもしれないが
単純に考えて六十を超える短編が一週間で投下されたって考えたらそれだけで充分すごいぞ
974
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/19(月) 00:12:50 ID:8w2TZKmM0
そういや締めの挨拶しようか悩んでたけどするとしたら朝七時か......
975
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 00:26:07 ID:ZHgI82JMO
目覚まし時計を10分前に5つくらいかけとけよ
976
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/19(月) 00:45:42 ID:8w2TZKmM0
作品まとめ
>>184
1 (,,゚Д゚)道しるべのようです
>>204
2 仕事が終わるようです
>>210
3 ( ^ω^)猫又のようです
>>228
4 ゾンビ从'ー'从
>>234
5 (・∀ ・)タタリのようです
>>244
6 lw´‐ _‐ノvバイト先で起こった出来事のようです
>>264
7 ξ⊿)ξ枕元に佇むようです and
>>444
支援絵
>>286
8 ξ゚⊿゚)ξ人と鬼の異文化交流のようです(^ω^ )
>>327
9 少女たちの談話のようです
>>346
10 彼は帰りたいようです
>>359
11 川゚ -゚)の初恋のようです
>>375
12( ^ω^)カウントダウンのようです
>>407
13 ( ^ω^)少年、のようです
>>426
14 でぃのお鍋の代わりのようです
>>441
15 ジェイソン・クールのようです
>>449
16 ばんぶぅーぱにっくのようです
>>467
17 桜の樹の下には、のようです
>>498
18 ξ⊿)ξ夢で終わらせてくれないようです
>>511
19 ( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )
>>534
20 ( ФωФ)君へ、のようですlw´‐ _‐ノv
>>534
21 (´・ω・`)滴るようです
>>568
22 バケネコアーカイブのようです
>>603
23 ヤマノケ
>>607
24 こっちを見ているようです
>>634
25 ( ´_ゝ`)夢≒現実のようです(´<_` )
>>647
26 ひとりかくれんぼのようです
>>670
27 ζ(゚ー゚*ζそれいけデレちゃん!巫女さんは妖魔バスターのようです
>>685
28 彼女はゴスロリで徐霊師で…
>>741
29 金縛りのようです。
>>746
30 大塚係長の陰謀のようです(百物語特別仕様)
>>749
31 (,,゚Д゚)書き溜めが消えるようです
>>756
32 十物語のようです
>>762
33 逃げてなどいないようです
>>771
34 川 ゚ -゚)お迎えのようです
>>774
35 ノパ⊿゚)の本当にあった田舎の怖い話のようです
>>781
36 (,,゚Д゚)心霊調査のようです
>>807
37 ζ(゚ー゚*ζ引っ張るようです
>>816
38 ( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです
>>839
39 ( ゚∀゚)(゚、゚トソン 祭り 無題
>>850
40 ( ><)ビビビの若太郎のようです
>>872
41 ('A`)はしあわせな村人の一員になるようです
>>905
42 ( ・∀・)メール 無題
>>922
43 証言のようです
>>935
44 夜の校舎のようです
>>956
45 出張版白澤図のようです
977
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/19(月) 00:46:35 ID:8w2TZKmM0
>>975
うへぇ......
勘弁してくれぇ......頑張るけどさ
978
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/19(月) 00:55:42 ID:8w2TZKmM0
作品まとめ訂正版
>>184
1 (,,゚Д゚)道しるべのようです
>>204
2 仕事が終わるようです
>>210
3 ( ^ω^)猫又のようです and
>>757
支援絵
>>228
4 ゾンビ从'ー'从
>>234
5 (・∀ ・)タタリのようです
>>244
6 lw´‐ _‐ノvバイト先で起こった出来事のようです
>>264
7 ξ撿)ξ枕元に佇むようです and
>>444
支援絵
>>286
8 ξ゚撿゚)ξ人と鬼の異文化交流のようです(^ω^ )
>>327
9 少女たちの談話のようです
>>346
10 彼は帰りたいようです
>>359
11 川゚ -゚)の初恋のようです
>>375
12( ^ω^)カウントダウンのようです
>>407
13 ( ^ω^)少年、のようです
>>426
14 でぃのお鍋の代わりのようです
>>441
15 ジェイソン・クールのようです
>>449
16 ばんぶぅーぱにっくのようです
>>467
17 桜の樹の下には、のようです
>>498
18 ξ撿)ξ夢で終わらせてくれないようです
>>511
19 ( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )
>>534
20 ( ФωФ)君へ、のようですlw´‐ _‐ノv
>>534
21 (´・ω・`)滴るようです and
>>682
支援絵
>>568
22 バケネコアーカイブのようです and
>>757
支援絵
>>603
23 ヤマノケ
>>607
24 こっちを見ているようです
>>634
25 ( ´_ゝ`)夢≒現実のようです(´<_` )
>>647
26 ひとりかくれんぼのようです
>>670
27 ζ(゚ー゚*ζそれいけデレちゃん!巫女さんは妖魔バスターのようです
>>685
28 彼女はゴスロリで徐霊師で…
>>741
29 金縛りのようです。
>>746
30 大塚係長の陰謀のようです(百物語特別仕様)
>>749
31 (,,゚Д゚)書き溜めが消えるようです
>>756
32 十物語のようです
>>762
33 逃げてなどいないようです
>>771
34 川 ゚ -゚)お迎えのようです
>>774
35 ノパ撿゚)の本当にあった田舎の怖い話のようです
>>781
36 (,,゚Д゚)心霊調査のようです
>>807
37 ζ(゚ー゚*ζ引っ張るようです
>>816
38 ( ゚∀゚)o彡゜沖縄旅行のようです
>>839
39 ( ゚∀゚)(゚、゚トソン 祭り 無題
>>850
40 ( ><)ビビビの若太郎のようです
>>872
41 ('A`)はしあわせな村人の一員になるようです
>>905
42 ( ・∀・)メール 無題
>>922
43 証言のようです
>>935
44 夜の校舎のようです
>>956
45 出張版白澤図のようです
979
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 01:18:55 ID:ucLaDKns0
まぜこぜさん見てるかわからんが42本目だよ
もしよければそのまま( ・∀・)メールのようですとかにしといてくれれば嬉しいです
まとめおつかれさまです!
980
:
◆953BOunJPk
:2013/08/19(月) 06:47:40 ID:Ck9IqzEc0
ギリギリ滑り込みですが、短い短いお話を投下させて頂きたく思います。
短いのですぐ終わります。では、朝の46本目を。
.,、
(i,)
|_|
981
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 06:50:04 ID:FaRalWggO
>>980
次スレあるぞ
982
:
◆953BOunJPk
:2013/08/19(月) 06:51:46 ID:Ck9IqzEc0
僕の部屋に数日前から君が澄んでいる。
君は部屋の片隅、ベッドの上に縮こまって座る。
lw´‐ _‐ノv「ご迷惑はお掛けしませんから」
電話越しに住んだ声が僕に云う。
983
:
◆953BOunJPk
:2013/08/19(月) 06:53:16 ID:Ck9IqzEc0
>>980
おや、しまった。
1000まではいかないと思いますが、移動した方が良いのでしょうか。
984
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 06:56:47 ID:FaRalWggO
>>983
移動したほうが蝋燭のカウント楽じゃね?
985
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 06:56:47 ID:NYxUas4g0
混乱するし向こうに書けばいいんじゃないかな
986
:
◆953BOunJPk
:2013/08/19(月) 06:58:00 ID:Ck9IqzEc0
了解です。失礼しました。
ですが、もう間に合わなさそうですねぇ。
987
:
名も無きAAのようです
:2013/08/19(月) 06:59:35 ID:NYxUas4g0
蝋燭立てとけば時間オーバーしても良かったはず
988
:
◆953BOunJPk
:2013/08/19(月) 07:00:48 ID:Ck9IqzEc0
蝋燭頂きました。
皆様、ありがとうございます。失礼しました。
989
:
名も無きAAのようです
:2013/08/25(日) 21:58:50 ID:J85SBWFg0
感想、結構数があるので申し訳ないのですが、
余裕があれば配達をお願いします
(,,゚Д゚)道しるべのようです
怪奇現象そのものもそうだが、
得体の知れない出来事をあっさりと受け入れてしまう大人たちに、いい知れない恐怖を感じた。
自分の常識が通用しない世界は、一体どこからはじまっているのだろう。
すぐ目の前の親戚さえ不気味に思えたんじゃないか。
ギコの戸惑いに深く共感する。
( ^ω^)猫又のようです
猫又AAのかわいらしさ、志村後ろ的な古典的でコミカルな展開と、
オチとのギャップに惹かれた。
ブーン系のホラーとはこういう作品を言うんじゃないだろうか。
ばんぶぅーぱにっくのようです
軽いノリに反して、かっこんかっこんの様子を想像すると結構ゾクッとくる。
音で攻められるのに弱いので印象に残った作品。
990
:
名も無きAAのようです
:2013/08/25(日) 21:59:28 ID:ccZPtwc20
はいたつはまかせろー
991
:
名も無きAAのようです
:2013/08/25(日) 22:00:10 ID:J85SBWFg0
( ´_ゝ`)ゾンビがいるようです(´<_` )
理解が及ぶまでなかなか時間がかかったが、
自覚のないままいなくなるよりもずっと良かったと個人的には思う。
最後に詫びる気持ちを持って、逝けたんじゃないかな。
遺す者たちを想って、出来ることがあった、というハッピーエンド。
自己満足といえばそれまでなんだけど。
(´・ω・`)滴るようです
ちょっとどんくさく子供っぽいショボンをブーン系では久々に見た気がする。
あのラストの後に、あの支援絵!
本当に引き立ちました。イラストまで含めて良い恐怖を味わえる作品でした。
ヤマノケ
ヤマノケと娘の不気味さはなかなかのモノだが、
あの人の体格の良さはそれ以上の存在感を放ってる。
……そろそろ性別とか超越した存在になりつつあるね。
992
:
名も無きAAのようです
:2013/08/25(日) 22:01:03 ID:QmNEnQvI0
>>991
いってくる
993
:
名も無きAAのようです
:2013/08/25(日) 22:01:32 ID:J85SBWFg0
こっちを見ているようです
終始ウキウキの川д川と冷静すぎる( ゚д゚ )のおかげで
まるで緊張感を感じないけど、状況的には相当怖いはずなんだけど。
川д川入りDVDはどこで手に入りますか。
ζ(゚ー゚*ζそれいけデレちゃん!巫女さんは妖魔バスターのようです
意図はしてないんだろうけど、ζ(゚ー゚*ζ「かなりエロい」の後、
('A`)が社会的に死んだと書いてあるのを先に読んでしまって、
ドクオてめーデレに何したんだよ、と期待を胸に画像開いたらこれだ
何作品かはこういうのが読みたい。
('A`)は静かに去るようです(´・ω・`)
完全に出オチwwww完全に出オチwwwwwww
タイトル通りでそれ以上何もないww
強いて言うならこういう(´・ω・`)も大好きです。
994
:
名も無きAAのようです
:2013/08/25(日) 22:02:34 ID:J85SBWFg0
川 ゚ -゚)お迎えのようです
決意だけを話し、不安を表に出さないクールであり、
クールの決断を受け止め、ただ後押しできる家族であり、
いたずらに感情をぶつけず、互いを理解し、笑って送り出そうと努める各々の強さを感じた。
だからこそ、本心を押し殺せなかったドクオが、
悟られてしまってもまだ取り繕おうとするドクオが、たまらなく愛おしい。
想うが故、気丈に振る舞おうとする彼らに、幸せになってもらいたいと素直に願えた。
祭りの後に降る雨は、きっとやさしくあたたかかったのだろうと思う。
夜の校舎のようです
百物語と聞いて読みたいと真っ先に思うのはこういう作品。
恐怖と絶望による諦観から笑いさえ生じるこの感覚を求めてるんです。
読後しばらく胸の奥に残る重みがとてもとても心地よい。
他に良い作品ないものですかね。もっと味わいたい。
鬼の話のようです
とても綺麗にまとまっている。
序盤の少しだけ気にかかっていた一言が意味を持ったときの快感。
さらっと読んだときに気持ちよく騙してくれる作品は良い。面白かった。
995
:
名も無きAAのようです
:2013/08/25(日) 22:03:15 ID:J85SBWFg0
川д川家事は割と得意なようです
イラスト特有の力強い恐怖だけじゃない。
貞子のしたことをしっかり想像してしまうと、もう。
描いてくれてしまった方が楽になれるのに。くそう。
('A`)百物語、のようです おまじないのはなし
落差。やりきれなさ。
短編としては今回で一番長いかな。
じっくりと、しっかりと浮かれさせてくれたお陰で、後に来る反動がキツイ。
誰を恨めるわけでもなく、ただただ悲しい。
発散するアテがない、抱えることしかできない辛さを経験できる。
ただ、乱暴に傷つけには来ていないと思った。
優しいというか、嫌らしいというか。
暴力的に抉りにくるのも好きだけど、
こう、程ほどで止まってくれるのもまた良い。
そんなにビクビクしなくて済む、読みやすい作品ではないかなと思う。
996
:
名も無きAAのようです
:2013/08/25(日) 22:04:13 ID:J85SBWFg0
( ´_ゝ`)赤珊瑚、呪術、忘れた言葉のようです
物語と関連性があると思えない単語の羅列に
頭の中の引き出しを片っ端から開けられ、ひっくり返されるような感覚に陥った。
しかし、それにしてはひどくあっさりとした読後感で、
冒頭の異常な空間・状況など、本来気にすべき事を押し流されてしまったようだった。
何が言いたいかというと読んでいて楽しい。してやられた感じ。
( ゚∀゚)o彡゜徳島旅行のようです
愛すべき馬鹿。くっだらないオチが素晴らしい。
笑わせに来た作品では一番好き。
ドキッとさせるような地の文書けるからこそ映えるんだろうな。
997
:
名も無きAAのようです
:2013/08/25(日) 22:05:49 ID:J85SBWFg0
( ^ω^)百物語のボーナスタイム、のようです
リアタイで読んでて思わず吹いたwww
蝋燭消せばいいってもんじゃねえよと思ったものの、
本数を気にしている方々もいたようなので、ちょっと良いアイデアかもと感心もした
この換算でいくと、今回は120を超える蝋燭を消せたみたいだから企画大成功だよ
運命の女性のようです
言葉ではダメだったんだろうと思う。
亡くなってしまっても向き合いすぎてしまうくらい想っていたのに。
なぜあの時出来なかったのだろうという後悔に飲み込まれてしまった。
こうすることでしか、もういない彼女に向けての贖罪を表現できなかったんでしょうね。
何より自分のために、そうするしかなかったんでしょう。
不器用で、切ない。
以上ここまで。配達ありがとうございます。
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