したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

お気に入りのローマ皇帝

1カイザー:2002/06/13(木) 23:16
人気投票にも、『ごく稀に』参加して頂いてる方もいらっしゃるようで
すので、ここでもカキコしてくれたら嬉しいです。

好き嫌いはともかく、オクタヴィアヌスはやっぱり偉大です。
アントニウスじゃ、どう考えてもライバルとしては役不足。いっそのこ
と、カエサルが暗殺されずに2人が天下を巡って争うという歴史IFの
方が面白そうです。

279カイザー:2002/11/06(水) 23:41
軍人皇帝以降がおざなりなのは、どの本も共通ですね。
四分統治制→コンスタンティヌス1世の統一戦争前後とユリアヌスの宗教改革に若
干の記述があって、残りは手抜きという本の何と多いことか(涙)。
テオドシウス1世以降は教会関係に偏ってるけどそれなりに史料もあるらしいので
すが、普通に売ってる本ではいいのがないんですよね。

ヴァレンティニアヌス家の怒りんぼうは家系だと思います。
 ヴァレンティニアヌス1世:アレマンニ族の使者に激怒して憤死
 ヴァレンティニアヌス2世:側近のアルボガストの専横に怒って殺害を実行した
              ら返り討ち
 ヴァレンティニアヌス3世:功臣アエティウスの野心を疑って自ら惨殺、後に残
              党によって殺される

 みたいな感じです。
 ちなみに、血縁関係は2世は1世の息子で3世は1世の曾孫です。
(1世の娘ガッラがテオドシウス1世の後妻となって3世の母親ガッラ・プラキ
ディアを産んでいます)

280マッティアス:2002/11/07(木) 21:46
なんか素敵ですね、その一族。脳みそと筋肉直結してそうだ。ぱちぱちぱち☆
ガッラ・プラキディアもキレやすい女性だったのでしょうか?どきどきです。
しかし、怒りっぽいけど仲良し兄弟の喧嘩と仲直り、日活ドラマ並に激しそうで、
ゼッタイ家族や主君にはいてほしくないです。

今日、なにげに買ったダンテの「神曲」を読み、ルカヌスやらキケロがキリスト教
信仰がないゆえに天国にいけなかった高潔な人々に入っているのがどうにも合点が
行きません。セネカやカエサルもいましたが。彼らは果たして廉潔と言えるのか?

281カイザー:2002/11/08(金) 20:20
ヴァレンティニアヌス1世はしばしば気にくわない家臣を処刑してしまうという、
気性の激しさもあったようですね。ぶるぶる・・・(笑)。

ダンテや中世西欧の知識人がどの程度正確な歴史を知っていたのかは怪しいところ。
歴史学の確立なんてされてなかったでしょうし、ヘロドトス(読んでないんでイメー
ジですが)の物語的な歴史観の延長じゃないかなと思います。
史料の正当性を検証するなんて作業が行われたのは、ルネサンス以降の話かなと想像
しているのですが、私にも良く分からないです。
ちなみにE・ギボンが「ローマ帝国衰亡史」を執筆していたのはフランス革命直前で
す。

ちなみに、ちょっと前にも書きましたがセネカやカエサルはエセ善人という評価をさ
せていただきます。オクタヴィアヌスもその延長ですね。
案外、小カトーとかブルートゥス辺りが本当の善人かもしれません。
塩野七生とは相容れない価値観かな?(笑)

282マッティアス:2002/11/09(土) 00:16
ヴァレンティニアヌス、ほんとに同じ国にいたくない人だなあ(笑)。
そういう君主(無能ではないけど暴君)を見ると庶民でよかったよ、と思いますね。

ブルートゥスも属州民からは相当搾取してますから、善人とは言い難いと思います。
サラディンがそこにいるのは良いんです(えこひいき)。
ダンテは詩人として、ウェルギリウス、ホメロス、オウィディウス、ホラティウス、
ルカヌス(順番どおりに登場)を尊敬していたのと、キケロやセネカの文章に影響を
受けていたらしいです。まだ第3の地獄までしか読んでいないのですが。
トラヤヌスが天界にいるらしい、というのは有名な話ですよね。

カエサルは、そうですね。偽善者というか、多分、他人を自分より下に位置付けて
いたから、寛容になれたんだと思います。そういう意味でとても傲慢。
オクタウィアヌスは、第一人者の地位になるまでは結構冷酷。余裕があれば、人間、
寛大になれるものです。
セネカだって貧乏だったら、あんなに悠長に哲学してないんじゃないの?と思うのは
貧乏人のひがみ根性です(笑)。

283カイザー:2002/11/09(土) 23:46
カエサルは金持ち喧嘩せずの典型ですね。
塩野七生さんのルビコン以前・ルビコン以後を見るまでは、いわゆる英雄タイプの
イメージだったのですが、今では三国志演義の口先ではキレイ事を言うけど腹の中
はドス黒い劉備玄徳の悪い部分を抽出した人物(でも有能)を想像してしまいます。
カエサルが他人を見下してるっていうのは、本当にその通りでしょうね。

哲学者が必ずしも金持ちということもないでしょうが、キケロもセネカも超金持ち
だったというのは注目すべき部分ですね。軍人皇帝時代ならともかく古代世界で貧
乏人が知識人になるなんてありえないでしょう。
豚飼いから皇帝の登り詰めたユスティヌス1世なんかも死ぬまで無学文盲だったそ
うで、自身が援助して教育を受けさせた甥のユスティニアヌス1世が補佐役でした。

284マッティアス:2002/11/10(日) 11:06
ユスティヌスって豚飼いだったんですか。オペラ「ジュスティーノ」では羊飼いだった
から、そう思い込んでいました。(粗筋読んだだけですけどね)
無学文盲だろうと、名君になれる人は結構いますよね。学があっても理想家で終わる人
と対照的に。

カエサルは何故か、声と雰囲気がシャアなんです。私の中で。好きになれない部分が。
劉備ってよりも、人当たりがよく如才ない曹操ってカンジです。
オクタウィアヌスはガンダムで言えばカミーユ(笑)のイメージ。
カエサルが寛容に振舞えなかった相手、ラビエヌスがちょっと気になっています。

285カイザー:2002/11/10(日) 15:17
ユスティヌス1世やユスティニアヌス1世の士官する前の職業が何かなんていうの
は、はっきり証明はされてないと思います。豚飼いでも羊飼いでも、歴史を学ぶ上
では大差はないのですが。
テオドラのサーカスの踊り子兼娼婦時代の記述が「ローマ帝国衰亡史」にちょっと
ありましたが、これもどこまで本当のことやら。ベリサリウスの太鼓持ちプロコビ
ウスの「秘史」辺りが原典なのかもしれませんね。

ちなみに、ユスティニアヌス1世と皇后テオドラとの間に子供がいなかったので、
クーデター的に大帝の妹ウィギランティアの息子ユスティヌス2世が帝位を掴むこ
とが可能になっています。

286マッティアス:2002/11/10(日) 22:25
この辺りの皇帝の話をしていると、何だかイスタンブールに行きたくなって仕方ないです。
ブルーモスク、綺麗やったなあ。地下宮殿の柱の土台にされたメデューサとか。
はっ!つい脱線。
テオドラ様は踊り子でいいです。ロマンです。肝がすわったゴージャス美女です。
はい、決定!(ゴーイン)そういえば、姉さん女房なのかしら、やっぱり。

ある意味、皇后と相撲部屋のおかみさんは、適性が似通っている気がします。

287カイザー:2002/11/11(月) 01:22
イスタンブルいいですよね。
でも、私はイスタンブルに何だかんだで10日以上も滞在してたのにアヤ・ソフィア
に入場していなかったりします。確か入場料金が高かったから、ケチって外からの写
真だけでOKということにした筈。今なら絶対に中に入ってますが。
トプカプ宮殿は見に行きました。そこの換金所が円→トルコ・リラの換金レートが一
番良かったのが印象的でしたね。

その内、ローマのページに写真の追加をUPしようと思いつつ軽く1年以上が過ぎて
いるのは多分気のせいです。ティトゥスの凱旋門とかもあったりします。

288マッティアス:2002/11/11(月) 11:04
うわ〜ん☆アップしてください。遊んでくれなくてもいいですから。
ティトゥスの凱旋門、ちゃんとデジカメで撮ってね、と親父に言ったら、お約束で、
コンスタンティヌスの凱旋門を一生懸命撮って来やがったんですよ。もう!

ティトゥス…ヨセフスに書かせた(語弊)「ユダヤ戦記」の素敵すぎる姿はかなり嘘だと
思います。あんなに良く描かれれば、「この戦争についての記述は君の独壇場サ☆」
くらい言うでしょうね。なかなか良い性格です。
この間まで読んでいたヨセフス研究の本に、ドミティアヌス時代、宮廷でもてはやされる
ようになったタキトゥスが、ヨセフスをいびっていた、という推測が書かれていて、
大変面白かったです。ユダヤ人に関する悪意ある説を喜んで採用、とか。

289カイザー:2002/11/11(月) 23:23
リクエストにお答えして、ティトゥスの凱旋門だけローマのコンテンツのTOPに
追加しておきました。
ついでに使っていたのに追加してなかった参考文献を載せておきました。実際には
他にもいっぱいあるのですが、年号を調べただけとか人物名を確認しただけとかの
しょうもない使い方なんで載せていません。

ヨセフスの「ユダヤ戦記」はそんなに偏っているんですか?そりゃ、ユダヤ教徒に
裏切り者扱いされますよね(笑)。
タキトゥスいじめっこ説というのは、私初めて聞きました。
タキトゥスってどことなく人を見下してそうなイメージがあったのですが、気のせ
いではなかったのですね。スエトニウスが好奇心だけで好き勝手書いてるのと凄く
対照的。

290マッティアス:2002/11/12(火) 00:27
見ましたよ〜♪ありがとうございますvカイザーさん大好き☆

タキトゥスはヨセフスの著作に目を通しながら、ユダヤ教への弁明を気に入らず、
ギリシア人が悪意を持って書いた嘘記述を採用したそうです。多分、ユダヤ人嫌いを
ストレートに出していたんじゃないか、と推測されるらしい(笑)。
ヨセフスの著作は、同時代のユダヤ人にはほとんど手にもしてもらえなかったようです。
しかし、ティトゥスはとっても高潔な人物だし、ウェスパシアヌスがやった悪どい
好意も、誤魔化して書いている、とか。実際には降伏したユダヤ人を、街から追放する
フリして途中で虐殺、とか結構えげつないことしてるんですよ、おっさん。
ティトゥスだって、イェルサレムの神殿が崩れた時、そんなに心を痛めたと思えないし、
部下の略奪・残虐行為を悲しんだりたしなめたりしたとは考えづらいっす。
『戦記』の最終巻にいたっては、ローマでの若きドミティアヌスの勇敢さ、(明らかに
失敗だったはずの)ゲルマニアでの武勲などが語られる始末です。
いや、それはそれでヨセフスの立場がわかろう、ってものですが。

291カイザー:2002/11/14(木) 01:19
大好きなんて言われると、こっぱずかしいですね(笑)。
昔撮った写真を更にデジカメで撮影という、作業は微妙にめんどくさいもんです(笑)。

ヨセフスも外様ですから、フラウィウス家へのおべんちゃらは欠かすわけにはいか
ないですよね。生きるための処世術ということでしょう。でも、それではヨセフス
は永遠にユダヤ教徒に赦して貰えそうにないですね。

292マッティアス:2002/11/14(木) 13:03
けれども、ヨセフスの著書なくして、旧約聖書以後の時代のユダヤ史はわからないのが、
またジレンマですよね。第2次ユダヤ戦争(バル・コホバの反乱)は叙述残ってないし。
上で、ヨセフスの著作を同時代のユダヤ人は、ほとんど読まなかったと書きましたが、
アグリッパ2世とか、まあそれなりの知識人は読んだみたいです。
彼の著作への反論として(?)ティベリアスのユストスというアグリッパ2世の元祐筆が
ユダヤ戦争の歴史を書いたそうです。彼のがギリシア語に堪能だったから、実はヨセフス
かなり売上にダメージを受けたとか。ドミティアヌスに年金打ち切られてるし。

あと、ヨセフス自身は信仰を捨てたわけじゃないので、ギリシア人の著作家に対抗する
ために、ユダヤ教の歴史の古さや、教えの素晴らしさを説く著作をしました。
大体、著作を捧げている相手がエパフロディトゥスなんですよね。
そういうこと考えてくと、彼の生涯を追うのはフラウィウス朝ファンの義務ではないか
ちょっと悩みます。『古代誌』文庫12冊読むのはめんどくさい(暴言)。

293カイザー:2002/11/16(土) 03:03
古代人の翻訳本を12冊も読むなんて、誰でもめんどくさいでしょう(笑)。

読んでみたいのがキリスト教史家オロシウスの「異教徒を駁する七巻の史書」。
よく、ゲルマン人のローマへの考えを代表する意見として紹介される西ゴート王ア
タウルフのセリフが載っています。(ローマのコンテンツの名言集にUPしてます)
アタウルフとガッラ・プラキディアの結婚の前後にアタウルフ、オロシウス、ヒエ
ロニムス(教科書にも出てくる聖人)の3人が語り合ったという、歴史的一夜が
あったというのは、マイナー系ローマ史ファンの私の憧れ。
翻訳本があれば買うと思うのですが、多分挫折してしまいそう(笑)。

294マッティアス:2002/11/16(土) 23:08
翻訳家にもよりますね。ヨセフスは現在(というか文庫版)中心に訳されている秦剛平氏が
読みやすくてオススメです。彼自身の研究本『ヨセフス』(ちくま学芸文庫)も面白い。
あと、ガリア戦記を岩波のほうで読んで、あ!と思ったのは、ローマ共和政末期〜帝政初期の
歴史記述は、どうも国原文体に慣れると、他の人の文体に違和感を感じてしまうようです。
『指輪物語』ファンが『ホビット』の新訳よりも瀬田文体のが、読みやすいのと同じです。
でも、人によって合う文体合わない文体、ってありますからね。

とりあえず、日本人の作家で文章力が無い人の本を読むより、よい翻訳家による、海外の
著作を読むほうが私的には気分がラクです。
ユルスナール『ハドリアヌス帝の回想』やアントナン・アルトー『ヘリオガバルス』の訳を
やった多田満智子さん、ご本人も詩人なだけあって、結構好きなんですよね。

思いっきり脱線しました(汗)。

295カイザー:2002/11/17(日) 12:36
アルトーの「ヘリオガバルス」の名前はよく聞きますけど、まだ未読なんですね。
売ってるのも見たことないんですが、どこの出版社が発行してるんですか?やっぱ
り、岩波とか筑摩かな?

つん読状態の本を全部読み切ろうと思ってるのに、欲しい本があればすぐに買って
しまうという悪循環に苦しむ今日この頃。学生の頃はお金がなかったから欲しくて
も買えなかったけど、今は中途半端にお金だけはあるんで衝動会の誘惑に負けてし
まうんですよね。
1万円ぐらいした「欧州共通教科書」とかも、ローマの関連ページだけに目を通し
て、残りはほったらかしというのは超もったいない!!

296マッティアス:2002/11/17(日) 21:10
なんですと〜?もったいなかとですよ!>「欧州共通教科書」
十字軍とかイスラムの扱いも気になりますだよ、旦那!(←ていうかどこの人だよ)

アルトーのは別に、読まなくても良いのではないでしょうか(爆)。謎の哲学書というか、
アンダーグラウンド系っぽいです。幻想小説といったほうが近いかも。
ちなみに、出しているのは白水社uブックスだったと思います。新書版です。
置いてあるのも、海外文学とか幻想文学の棚です。シェークスピアとかと並んでる事も。

つん読状態の本の多さでは、多分負けてないと思います。たまにそのまま古書店行きとか。
手に入れちゃうと妙な安心感があって、人に借りてるとか、人に貸す、とかないと、
なかなか読まないですよね。
あと、買ったときはものすごく欲しかったのに、実際中見ると、ふ〜ってなっちゃうのが
洋書。中世西欧とかイスラム関連、何冊か綺麗なまま書棚に並んでます。

297カイザー:2002/11/18(月) 00:03
つん読よりも、つんゲーの方がやばいような気がします。
何本あるんだろうって思っても数えたりしないようにしています(笑)。

「欧州共通教科書」読み応えありますよ〜。
私が印象的だったのはコンスタンティウス1世時代のローマ領内のゲルマン人共同
体の資料が掲載されていたこと。別に大したことは書かれてなかったのですが、ゲ
ルマン関係のことを調べてる時だったので妙に嬉しかったです。

298マッティアス:2002/11/18(月) 15:43
なるほどね〜、ゲームですか。CDやビデオ、DVDならそういうの結構ありますが。
オペラとか、買ったはいいが、気が乗らないとかリブレットが読めないとか、様々な
障害が待ち構えています。で、しばらくすると飽きていたり(爆)。

「欧州共通教科書」周辺というか、ギリシア・ローマ以外を調べたい時、良さそうですね。
そういえば、結構分厚い本で「東欧の歴史」という本がありますが、それもつん読に
入っているのですか?本屋でパラっと見たら、オスマン朝出現以前に80頁くらい
費やしていましたが。
プリニウス「博物誌」も分厚い訳本が出ていて、大変気になるのですが、金銭的にも
精神的にも追い込まれそうな本なので、手が出せません。

299カイザー:2002/11/18(月) 21:20
「東欧の歴史」なんて本あるんですか?それは持ってないですね。
すごく読んでみたいけど高そうですね。80ページという分量も多いような少ない
ような微妙さですね。いや、中世以降も読みたかったらそれでもいいんでしょうけ
ど。私が見たいのは中世とそれ以前ですからねえ。
クルム・ハン、シメオン・ハンといったブルガリアの英雄達の活躍が断片的にしか
分からないというのは、何とも切ないものです。

300マッティアス:2002/11/18(月) 21:38
あ、このスレッドもとうとう300ですよ!カイザーさんと私の愛の歴史(笑)です。

それにしてもブルガリアって、ほんとわからないですね。そもそも東欧の地理自体、
相当うといのですが。
「ハン」という称号があるあたり、なんだかトルコやモンゴルの系列っぽいですね。
でもシメオンは聖書の名前。
クルム・ハンとクリミア・ハン国は関係あるのでしょうか?(無知)
イスラムの諸王朝についても、おそろしくわからないですし。
何だかんだで、大きい帝国作らないと、なかなか史書に残らないものですね。

301カイザー:2002/11/19(火) 21:30
2人しか書き込まないで300って、本家2ちゃんねるでは絶対にありえない(笑)。
愛の営み(?)を邪魔するとか思わず、見ておられる方がおられればたまにはカキコ
して下さい〜(笑)。

ブルガール族はもともとはトルコ系です。
フン族(も系統が不明なんですが)とか、エフタル、アヴァール辺りと一緒にヨー
ロッパへは移住して来たみたいです。
アヴァール族がランゴバルド族のイタリア侵入により、その故地をランゴバルド王
アルボインから譲り受けることによってパンノニアへ移動すると、ブルガール人が
その空白地に住むスラブ人を支配する形でブルガリア連合国家的な組織を形成した
ようです。ブルガール族は少数派だったので、次第にスラブに同化してしまって、
現在に至るということのようです。
クルム・ハンはバルカン半島の過半を支配し、東ローマ皇帝ニケフォロス1世を戦
死させています。
ブルガリア最盛期の王シメオンはキリスト教系の名前なんですね。シメオンは異教
よりの前王から王位を簒奪してキリスト教化政策を進めた人物なんで、もしかした
ら洗礼名なのかもしれませんね。
この人もローマと戦って支配地を広げて、皇帝を名乗ってる英雄です。

この辺が現在も続くバルカンの不安定要素で、ギリシアはバルカン中南部と小アジア
を、ブルガリアはペロポネソス半島を除くバルカン全土を民族固有の領土と認識して
いるようで、第一次大戦直前のバルカン戦争とかの原因になっていたりします。
もちろん、それが全ての原因ではないですが。

302マッティアス:2002/11/19(火) 21:42
トルコ系なんですか、ブルガリア。トルコ系グズ(部族集団)の建国というと、オスマン
やセルジュクと近いカンジですね。混血も進んでるし。
キリスト教を選ぶにせよ、イスラム教を選ぶにせよ、だいぶ名前が聖書系というかセム
起源になってしまいますね。トルコ系の人名って、あからさまにトルコ(アルタイ)起源
のものと、セム起源のものと入り混じっていて面白いです。
ミーハイールとかムーサーとかスライマーンなんて、モロですよね。
トルコ系じゃなくてクルドですが、サラディンの個人名ユースフもヨセフですからね。

303カイザー:2002/11/20(水) 23:25
蛮族の固有名っていつの間にかキリスト教系の名前に淘汰されちゃうんですよね。
オドアケルとかテオドリック大王の時代の東ローマ皇帝ゼノンはイサウリア人なの
で、蛮族としての本名はタラコシデッサなんですよね。
ゼノンという名の起源が聖書にあるのかどうかは知らないのですが。

弓削さんの本とかには、当たり前のようにゲルマン人は皇帝になれなかったとか書
いてますが、東ローマではマルキアヌス帝の死後にゴート人のアスパルが帝位候補
に上がったりしてるんですよね。
アスパルが帝位に就けなかったのはアリウス派信徒だったことが原因のようです。
そのアスパルの代わりに帝位についたのが名君レオ1世で、アスパルの傀儡の筈が
ゲルマン人に対抗する為にゼノンを初めとするイサウリア系の傭兵を登用して、ア
スパルの誅殺に成功するという経緯があるのです。

304マッティアス:2002/11/21(木) 12:55
正統派を自認するキリスト教徒ほど、他者に不寛容な人々はなかなかいませんよね。
何度か繰り返して言っているけれど。異端っていってもとっても素朴な信仰もあるのに。
なかにはグノーシスのようないっちゃってるのもありますけどね。
実は教父作家のなかにも後に、極端にストイックな路線に走りすぎて、破門された人も
結構いるんですよね。純潔を保つ為に自ら去勢したオリゲネスなんか有名。

質実剛健とか清貧って、思想としては良いと思うんですけど、技術や生活レベルの発展
には却ってマイナスに働く事も多いですね。貧しい一般大衆と金持ちの差も実は開く
ことのが多い気がします。信仰につけこんで、聖職者が暴利を貪るパターン。

305カイザー:2002/11/22(金) 19:56
別にアスパルはアリウス派という異端が理由で殺されたわけではないですけどね。
ヴァンダル王ガイセリックと密約を結んだという利敵行為(があっただろうという
推測)とレオ1世がアスパルから自立したいという野心を持ったことが問題なので
す。
ゼノンの後を継いだアナスタシウスが単性論者だったり、この時期はまだ正統派の
優位は完全には確立されていないのです。まあ、単性論とかネストリウス派の聖職
者自身は、自分たちこそがニケーア信条を守る正統派だと認識してたことでしょう
が。

306マッティアス:2002/11/22(金) 20:19
レオン、なかなか野心的で素敵ですね。権力さえ握ってしまえばこっちのものですね。
ていうか、最高権力者にとって後ろ盾を自認する存在なんて、うざいことこの上ない
でしょうからね。(悪オーラ発動中)
オスマン朝初期のオルハンだったかな、叔父さんを会議の時に射殺したりしてるし。
オクタウィアヌスだって、法定年齢よりだいぶ若くして執政官になる手助けをしてくれた
キケロを涼しい顔して見殺しですもの。(※非難ではなく、むしろ褒めてます)
そうでなくっちゃあ、乱世の英雄になんて到底、なれやしませんよ!

307カイザー:2002/11/22(金) 23:14
レオ1世は末期ローマ帝国時代の東ローマ皇帝としては特別な存在です。
アルカディウス、テオドシウス2世、マルキアヌスといったテオドシウス朝の皇帝達
が西ローマ帝国の衰退を放置していたのに対し、自身の縁故者とはいえ西皇帝を支援
しヴァンダル族と一戦交えたりもしています。
この対ヴァンダル戦に勝利していれば、もしかしたら西ローマ帝国の滅亡は防げたの
かもしれないという、重大なイベントなのです。まあ、普通の人は知らないでしょう
が。
逆にヴァンダル族にとっては起死回生の大逆転で、東ローマ帝国の後ろ盾を失った西
ローマ帝国の実力者リキメールを脅迫してレオ1世の送り込んだ西皇帝アンテミウス
を殺害させ、自身の縁故者オリュブリウス(64のカキコ参照)を西皇帝に擁立して
います。
この辺のアンテミウス帝の悲劇的な死をギボンはちょっと重要視しています。
その後もレオ1世は西方世界の領土維持を諦めておらず、リキメールの死に動揺する
イタリアに新皇帝として皇后ウェリナの親族ユリウス・ネポスを派遣したりもしてい
ます。

308マッティアス:2002/11/23(土) 21:53
ごめんなさい、女性達の名前があんまり一致してないのですが、オリュブリウスと
結婚したプラキディアって、ガッラと同一人物ですか?
時代とか全然違うかしら。頭悪いんです。似た名前はすぐごっちゃになるし。

リキメールの人生も波乱に満ちてますね。オリュブリウスは、リキメールより先に
亡くなったのですか?それともリキメールの死を契機に、レオがオリュブリウスを
廃し、新皇帝をたてようとしたのでしょうか?
すみません、ほんとにうとくて。ギボン、1巻買ってそのままながってます。

309カイザー:2002/11/23(土) 23:06
ガッラ・プラキディアの孫がオリュブリウスと結婚したプラキディアです。
系図でも書けばよく分かるでしょうが、主要王朝の系図ぐらいなら書いてみようと
思いつつ、パソコンで表現するのがめんどくさくいんで、多分永遠に作らないでしょ
う(笑)。手書きでもいいんでしょうが、私の字は汚いんであんまり公開したくな
いし。

リキメールもオリュブリウスも疫病で死んだのですが、順番で言えばリキメールが先
の筈。オリュブリウスは半年ぐらい後に死んでます。
で、この2人の死後に権力を握ったのがブルグントの王族グントバトで、グリュケリ
ウスを新皇帝に擁立するのですが、レオ1世がダルマティア領主のユリウス・ネポス
を新皇帝として派遣すると、グントバトはあっさりとグリュケリウスを見捨ててガリ
アへ逃亡するのです。

この辺の歴史は超マイナーでギボンぐらいでしか内容が分からないんで、普通の人は
皇帝名さえ知らないことと思います。イコン破壊運動で有名な(?)イサウリア朝は
もっとマイナーな気がしますが(笑)。

310マッティアス:2002/11/23(土) 23:41
すんません、おもいっきしパンピーです(苦笑)。
この時代っていうか、ブルグントとかヴァンダルとか聞いて「ニーベルング」?とか
思ってしまう(しかもウロオボエ)くらい知識ナイです(爆)。

ギボンって、もっと最近の人かと思ってました、ってあたりで終わってるなあ。
文庫に写真ではなく肖像画、しかもウィッグ付き!を見て、かなり驚きました。

イサウリア朝だったんですね。初期ビザンツの、一連の偶像破壊活動を推進したのは。
十字軍のおかげ(?)でコムネノス朝とかパレオロゴス朝は、全然メジャーなんですね。

311カイザー:2002/11/24(日) 00:17
コムネノス朝やパレオロゴス朝がメジャーかどうかは微妙な所ですが(笑)。ヘラ
クレイオス朝も朝マイナー王朝の一つに数えてもいいかと思います(笑)。

クリス・スカーには是非とも末期ローマ皇帝歴代誌とビザンツ皇帝歴代誌を作って
欲しいもんです。
そこそこ売れると思うけどなあ。作るのにかかる手間と費用に見合うかは分かりま
せんが(笑)。

「ローマ帝国衰亡史」を読み始めているのですね。
ギボンはルイ16世とかと同時代人なんですよね。だから、内容的には見直しが必
要な所が山盛りだと思うのですが、基礎知識がない日本人素人の私では注を見るぐ
らいしか出来ないのです。

312マッティアス:2002/11/24(日) 00:57
あ、いや、ちょっとばかし待っててください。まだ読み始めてません(汗)。
持ち歩き用の小説が終わったら取り掛かります。>ギボン

ビザンツ皇帝歴代誌は、マヤの王より売れそうですよね。そんなこともないか?
アンナ・コムネナ小説『緋色の皇女アンナ』は、ティーンズとかヤングアダルトでは
なく、一般の海外小説コーナーに並べた方が売れそうですね。いっそ歴史のトコに
塩野さんの著作のように、中世史とかビザンツ史と並べておくとか。
十字軍関連はまったく割愛されてたりと、いろいろ問題はありますが。

そうやって、ビザンツに対する国内の知名度をあげれば、もっと研究資料の邦訳も
されるかなあと。ダメすかね?
あと、ビザンツ美術というか、イコン展みたいのが開催されれば、いろいろ本も出る
んですけどね〜。

313カイザー:2002/11/24(日) 10:37
いくらなんでも、マヤよりはビザンツに関心を持ってる人の方が多いのでは?
でも、マヤとかアステカなんて本当に限られた情報しか世間ではないでしょうから、
ファンの方は飛びついてしまうでしょうね。

結構、十字軍の本も見ないような気がしますね。
第1回〜3回は比較的情報が溢れてますが、それ以降の十字軍って大ざっぱにしか
私は知らないです。マムルーク朝のバイバルスがクローズアップされていた「物語
中東の歴史」で簡単に説明してあったぐらいのような。あと、塩野七生の「海の都
の物語」でも、ちょっと載ってました。

314マッティアス:2002/11/24(日) 13:26
やっぱり、サラディンやらリチャードやらがいる第三回と、ものすごく残虐な行為を
続けながらキリスト教側が進軍していく第一回くらいしか、メジャーじゃないのか、
十字軍ですら。卒論書くとき、資料少ねぇ〜、と思ったのは気のせいじゃないのか。

ビザンツはやっぱし美術とか、正教会というものに関する興味もあるでしょうから、
それなりにユーザーいるんですね。おっけーです。
マヤ、アステカなど中南米の西欧との出会い以前の、歴史や民族に興味をもたれている
方は、大変アツイ方が多いし資料も限られているので、多少高くても買うでしょうね。

西欧の人間はどの程度、ビザンティンをローマだという認識を持っていたのか気に
なります。中世辺りだとフランク人から見てビザンツ人は、どうもギリシア人、って
いうか別世界な感触を持ってそうなカンジです。
逆に、ムスリムから見たら、コンスタンティノープルの皇帝こそがローマ皇帝なので、
小アジアに開いたトルコ王朝がルーム(ローマ)・セルジュクと呼ばれたり、バルカン側の
オスマン領がルームとかルメリとか呼ばれてるんですけどね。

315カイザー:2002/11/24(日) 19:05
初期のイスラム世界では、カロリング朝の西ローマ帝国とローマ教皇なんてどうでも
いい存在だったんでしょうね。
だから、何度もコンスタンティノポリスを占領しようと大軍を差し向けはしても、イ
タリア半島には見向きもしなかったんでしょう。

コンスタンティヌス4世とレオ3世のウマイヤ朝遠征軍の撃退は、ヨーロッパのイス
ラム化を阻止した歴史的偉業なんですが、イベリア方面軍との遭遇戦に過ぎないフラ
ンク王国とのトゥール・ポワティエ間の戦いの方が遙かに有名なんですよね。

316マッティアス:2002/11/24(日) 20:24
やっぱり、コンスタンティノープルは壮麗で豊かな街だし、交易という観点からも
欲しい場所ですよね。ムスリムから見て、領土を接してるのも大きい。
所詮、トゥール・ポワティエなんて中国史における元寇みたいなもので、来られた側には
大事件でも、遠征した側は、勢いっていうかノリで、そんなに国に影響はないって
カンジですかね。
けれども今、中心の視座が当時は(ビザンツやムスリムからみて)後進だったフランク側
だから、そっちのほうがメジャーになってしまう。

317カイザー:2002/11/26(火) 00:02
ウマイヤ朝のムアーウィア1世やスレイマーンのコンスタンティノポリス攻略戦は
主力を投入した本気の戦争でしたからね。よくローマが勝てたもんです。
敢えてイスラム側の敗因を上げるとすれば、一気に勝負を決めることが出来るコン
スタンティノポリスに固執しすぎて小アジアを完全占領しようとしなかったという
辺りでしょうか。教科書なんかにも出てくるギリシア火の発明もポイントなんで
しょうけどね。

ちなみにカリフ・スレイマーンの遠征軍を撃退したレオ3世はイサウリア朝の創始
者ですが、実際は本人が自称していたイサウリア人ではなくウマイヤ朝統治下のシ
リア出身だったりします。

318マッティアス:2002/11/26(火) 00:34
レオ3世って、そういう経歴だったんだ〜(爆)。教科書で必死に暗記した記憶しか、
残ってなかったです。教皇を破門した人でしたっけ?
ウマイヤ朝下だと、まだアラブ人以外の改宗者も差別されてた時代、ですよね?
で、ムスリムっちゅうかアラブ人がのさばる社会がイヤで、コンスタンティノープル
に仕官したんですか?それとも傭兵とかだったのかしら?
カッコイイわあ。

ムアーウィアも実はちょっとカッコイイかも☆とか思っています。
でも、確かにコンスタンティノープルだけ攻撃じゃ、ダメですよね。
サラディンがイェルサレムを落とす前に、周りの領土を(ザンギーあたりからだけど)
削りまくったのは、正しいですね。
ちょっと脱線しました。

319カイザー:2002/11/26(火) 22:59
私もイサウリア朝は不勉強で大まかにしか知らないのですが、レオはシリアからト
ラキアに移住し軍隊に入隊しています。で、そこで立身出世して小アジアの軍管区
(テマ)の長官に成り上がって、テオドシウス3世(実はゴート人説あり)から帝
位を簒奪したという経歴なのです。
ちょっと、レオ3世自身の思惑とか人物像とかは良く理解できていないので、ちゃ
んと勉強しておくようにします。レオがイコン破壊運動の実施者なのは、イスラム
教の洗礼を受けたシリア出身ということとも関係あるんじゃないかなとは思います。

そういえば、シーア派はムハンマドはアリーを後継者(カリフ?)に指名していた
と主張してるんですよね。ムアーウィア自身はアリーの権威を全然認めてなかった
ようだから、シーア派の主張にはあんまり根拠がないんでしょうか?

320マッティアス:2002/11/27(水) 00:36
宗教にはとっても疎いので(汗)。でも、ムハンマドがアリーを指名してたなら、間
3人のカリフは不当なもの、ってことでしょう?大勢は彼ら3人を支持していたわけ
だし、それなりにうまく行っていたのだから、ムハンマドが死んでから30年以上
経ってそんなこと言われてもさあ、ってカンジ?
それにムアーウィア自身もムハンマドが属していたクライシュ氏族の出身で、家柄は
アリーに優るとも劣らないわけですよね。政治力もあったみたいだし。そこそこ支持
基盤もあったようです。
アリーは確かにムハンマドの娘ファティマを娶っているのだから、後継ぎと見なされ
ていた、って考え方もできるけど、ウンマの中じゃ若僧で、ムハンマドの死の直後は
皆に指導者と認められなかったわけですよね。
そんなこんなで、娘むこが正統か皆の支持を得て指導者となった方が正統か、っての
がシーア(・アリー。「アリー派」)とスンニー(慣習派)の考え方の根本的な違いでは
ないでしょうか。
すみません、いささか不勉強で。

レオ3世のイコン破壊活動がイスラムの影響というのは、何となく思っていましたが、
実際にウマイヤ朝領の出身だというのは、とても参考(何の?)になりました。
テマの長官から皇帝というレオ3世の経歴と、総督からカリフになったムアーウィア
の経歴はちょっとだけ似てませんか?

321カイザー:2002/11/27(水) 21:34
シーア派では当然アブー・バクル、ウマル、ウスマーンの正統カリフ時代の3人の
カリフ位は無効の筈です。
まあ、この3人よりもアリーと戦ってカリフ位を簒奪したムアーウィアや、アリー
の子フサインを殺害したムアーウィアの子ヤジードあたりのカリフ位は全く認めて
なさそうですけど。
ちなみに、ムアーウィア1世時代にコンスタンティノポリスを包囲して、コンスタ
ンティヌス4世のギリジア火で撃退されたのは、皇太子時代のヤジードです。

322マッティアス:2002/11/27(水) 22:13
アブー・バクルはムハンマドよりおっさんだったような。いちばんメジャーなのが
征服王ウマルですね。ウスマーンもコーランやら何やら編纂した、と憶えさせられ
ましたねえ。

ギリシア火。後でイスラム側にも取り入れられませんでしたっけ?
確かビジュアル世界史イスラム世界にそんなことが書いてあった気がします。
ビチュメン(瀝青)がよく取れるんですよ、ジャズィーラ地方。
十字軍が来た頃、ムスリム軍がギリシア火を使っていたっていうのは、気のせい?
こういう敵方のやってた手段をどんどん吸収していくカンジ、初期のイスラム帝国
って、カルタゴ戦争までのローマのようですよね。
そういう勢いと柔軟性のある時代とか国って好きなんですよね。

323カイザー:2002/11/27(水) 23:06
そうなんですか?ギリシア火って、ビザンツ帝国の衰退と共に永遠に失われた技術
かと思っていたんで、イスラム世界に火薬があったのは中国経由かと思うのですが
どうなんでしょうか?

アッバース朝初期までのイスラム世界は、本当に敵ナシですよね。
そういえば、アラリックに率いられてローマを占領したという栄光の歴史を誇る西
ゴート王国はいとも簡単にウマイヤ朝のアフリカ方面軍に滅ぼされてますね。何だ
かんだ言ってもビザンツはカルタゴを巡ってムスリムと紛争を繰り返してたりする
だけに、不甲斐ない・・・。

324マッティアス:2002/11/28(木) 12:18
シーア派は、アッバース朝成立時に利用されるだけ利用されて、可哀想ですね。
ギリシア火は銃とか大砲とちょっと違って、ビチュメンをつめた樽を相手の船に投げつけ、
火を放つんだったか、火を点けてから投げ込むんだったか忘れましたが。
そんなカンジで使っていたような。燃え盛るタールだから、簡単には消せないという。
イスラムではそんな使い方をしていたようです。

そういえば、伝書鳩を使う情報網は十字軍時代はもっぱらムスリム(ヌール・アッディン
あたりはこれで大分優勢になった)側が使用しています。これ、ビザンツでも使って
ませんでしたっけ?気のせいかも。
イスラムの教えって、かなり大まかに把握すると、一般庶民には受け入れ易いでしょうね。
キリスト教やユダヤ教よりも、入りやすい。改宗しなくても一神教信者なら生活はできる
わけだし、ユダヤ人がいちばん生活し易かったのはムスリム庇護下の中世〜近代だった
というのはうなづけます。

325カイザー:2002/11/28(木) 21:56
タールと言えば、以前NHKスペシャルでシリアだかレバノンだかイラクだかで、
タールを素手で集めて船倉に塗りつけて防水処理をするという風景が放送されてた
覚えがあります。
仮にギリシア火にタールが使われてたとすると、一体どこからギリシアに輸入して
たのかとか色々想像する余地はありそうですね。

伝書鳩って、最近めっきり聞かなくなった単語ですねえ(笑)。伝書鳩はネタを仕
込むのに死ぬほど時間がかかりそうですねえ。拠点防衛には威力を発揮しそうだけ
ど、逆に攻め込む側なんかは使いづらそうな気が。
伝書鳩ってどこで初めて実用化したんでしょうね。私も良く知らないです。

イスラム教徒はキリスト教やユダヤ教の信者は教典の民として存在を認めてました
からねえ。ユダヤ教徒なんかは、下手に軟弱な形で独立してたヘレニズム時代より
も、安定した生活が遅れてたかもしれませんね。こんなこと言ってたら、殺される
かもしれませんが(笑)。

326マッティアス:2002/11/28(木) 23:51
リチャード1世時代物小説「アイヴァンホー」では、ヒロインでユダヤ人の美少女が、
父とともにイスラム圏のアンダルシアに去るのがラストですしね。
ムスリムの成人男子はちゃんと割礼しているので、他の宗教の人よりは(ユダヤ人から
見て)穢れてないでしょうしね。ってそういう問題じゃない?
ともかくセルジュクやオスマン時代(もっと前からも)が、神殿を失ったとか何とか
あるにしても、ユダヤ教徒がいちばん安全に暮らせたのではないかなと。
それにしても、ラシードアッディンがユダヤ人だというのは本当ですか?

ギリシア火にほんとにタールが使われたかどうか、自信はないんですけどね。
輸入元はヘレニズム時代ならセレウコス朝とか、シリア・小アジア方面ではないかな
と勝手に推測していました。
ギリシアにしろローマにしろ、属州としての小アジアは重要だと思います。
何だかんだで豊かだし。結構著名人を輩出していますよね。
属州アシア総督は執政官クラスの人しかなれない、アフリカ総督とならんでオイシイ
役職だったようですね。タキトゥスの最終職歴もアシア総督(たしか112年)だし。

327カイザー:2002/11/30(土) 00:15
統一時代はともかく、分裂期以降のアナトリアはローマの最重要属州ですね。
ゲルマン人の対抗勢力となり、最終的にゲルマン人を帝国運営が排除する要因と
もなりレオ3世も自称したというイサウリア人を排出した土地でウマイヤ朝やア
ッバース朝の度重なる侵攻を食い止めたのは小アジアでの軍管区(テマ)独自の
抵抗運動があったからだというのが、近頃の通説になりつつありますよね。
セルジュク朝とのマンジケルト戦いの敗戦により、小アジアの領土を保つことが出
来なくなったのがビザンツ衰退のきっかけの一つにもなってます。

逆にオスマン朝が小アジアを制したことが東方世界の覇者となる第一歩となった訳
ですし、世界史の授業では全くといっていいほど注目されないけど本当に重要な地
域と言えそうですね。

でも、エジプトって重要な属州の筈なのに、全然ローマ統治下では光ってないよう
に見えて仕方ないです。私の考え違いでなければビザンツ時代を通してもただ1人
の皇帝も輩出してないし。

328マッティアス:2002/11/30(土) 08:53
属州エジプトは特殊だったようですね。普通なら奴隷と見なされる遺棄された嬰児を
自由身分の人間が養子にすることが認められてたり、前にもお話したように、近親婚
が(統一帝国の)帝政半ばまで続いたし。法はその地域のもともとの慣習に、ある程度
あわすのがローマ式統治ですが。
国際都市アレクサンドリア以外は、ものすごく変わった土地だったと思います。まだ
パルティア人のほうが違和感無かったのではないでしょうか。それに、王家による
統治がものすごく長く続き、王は神の子だとか何とか、ほんとに異質。残虐行為を
したわけでもないから、宗教弾圧もできないし。
思い切りローマ文化になじむ地盤が薄いのだと思います。だから皇帝も出ないのでは
ないでしょうか。かなり強引な解釈ですが。

アナトリアに関しては、ほんとに東西の交差点というか、重要な土地ですよね。
ヒッタイトだってアナトリアに興った国だし。自然環境・文化環境双方から、非常に
豊かでもあり、古来から(領土)戦争も絶えないところだと思うのですが。

329カイザー:2002/12/01(日) 11:44
エジプトはギリシア・ローマ文化には全然馴染まなかったということなんでしょう
ね。その代わり支配者には従順で生産力も高く統治するだけなら申し分ない属州だっ
たということかもしれませんね。

そういえば、アレキサンドリアはウェスパシアヌスが第二次ベドリアクムの戦いの
時に滞在してましたよね。
もし、ベドリアクム戦でアントニウス・プリムスが敗退してムキアヌスがローマへ
入場できなかったら、エジプト・ユダヤのウェスパシアヌス・ティトゥス父子とウ
ィテリウスの間で内乱が長引いたかもしれないですね。
まあ、ウィテリウスがトチ狂った元老議員にでも暗殺されてオシマイというシナリ
オに落ち着きそうな気もしますが(笑)。

330マッティアス:2002/12/01(日) 20:45
ムキアヌスやケリアリスって、なにげにスエトニウスに悪く書かれてますね。久々に
流し読みしてびっくり。この文章読む限りでは、よくウェスパシアヌスを支持する気に
なったものだと思ってしまいます。

ウィテリウスは議員よりも結局は軍隊に殺されそうですね。行き詰まった挙げ句に。
で、そのあとは?共和政万歳?…ありえねえ〜。

エジプトに関しては、ほんとそんなかんじです。よくイスラム化したものです。
コプト派など東方教会もかなり、幅を利かせていた気もしますが。

331カイザー:2002/12/02(月) 00:28
ムキアヌスは金の亡者だみたいな記述はあったような気がしますが、あんまり覚え
てないですねえ。皇帝になるより、皇室に忠実な元老院議員という立場の方を選ん
だということでしょうね。不勉強で全然知らないのですが、ムキアヌスの家系って
五賢帝時代の時とかにも活躍してるんでしょうか?

イスラム支配直前のエジプトはコプト派とか単性論が多数派を絞めていて、カルケ
ドン公会議によって単性論をも異端視するようになった正統派の迫害の対象になっ
ていたという辺りが、異教に寛容なイスラム教を受け入れた契機になっているよう
ですね。
今でもコプト派の教団がエジプトやエチオピアにはあるみたいですし。
そういえば、ファーティマ朝が支配していた頃のエジプトって、シーア派が多数派
だったんでしょうか?それとも、単に支配層がシーア派なだけで住民はスンナ派ばっ
かりということですかね?

332マッティアス:2002/12/02(月) 11:11
>ファーティマ朝時代のエジプト
多分、サラディン政権をあっさり受け入れいてたことから、シーア派は軍隊を含む、
支配層がほとんどで、住民はスンニーか東方教会系キリスト教徒、ディアスポラ・
ユダヤ人などが大半だったと思います。
アル・ハーキムとか、狂人扱いされるか一部の熱狂的シンパに神格化される極端な
イマームとかいましたけど。エジプトの住民って支配層の交代にあまり関心が無かっ
たのではないかとさえ、思う事があります。少なくとも、一般書を読んでる限りでは
住民が支配者に対して反抗する、ってケースをほとんど見かけない気がします。
まったくもって従順かつ豊かな、支配者に都合の良い土地だと思います。

ムキアヌスはウェスパシアヌスのことを、当初は自分より格下に見ていたため、軍隊が
そっちを支持する動きが無ければ、ウェスパシアヌスにつく気が無かった、みたいな
記述をされていました。まあ、シリア総督といえば、それなりのキャリアだし。
ケスティウス敗走後に任ぜられたとなれば、それなりに能力がある人なわけで。
せっかくその後執政官に就いたり、権力を欲したりしないで頑張ったのに、スエトニウス
にはそれが偽善に映ったようです。

333カイザー:2002/12/02(月) 22:44
エジプトってそんなもんなんでしょうね。
それにしてもシーア派ってあんまり布教に熱心じゃないんでしょうか?支配層が百
年以上シーア派だったのに、今のエジプトやチュニジアではシーア派って全然耳に
しないですもんね。そういや、ファーティマ朝ってシーア派最大の帝国なんですよ
ね。
今、アラブ人でシーア派なんていてるんでしょうかね?私は完全にイラン系の宗派
というイメージを持ってしまってます。

ムキアヌスがウェスパシアヌスよりも格上なのは、事実でしょうね。事実かどうか
はともかく、ドナウ軍団はウェスパシアヌスではなくムキアヌスを擁立したかった
らしいですしね。
もしムキアヌスに野心があれば、ウェスパシアヌスがムキアヌスの簒奪劇に協力さ
せられたであろうとは思いますね。そうなってれば、ウィテリウスがフラウィウス・
サビヌスやドミティアヌスを人質に取る意味は薄かったでしょうから、サビヌスと
してはそっちの方が良かったかも(笑)。

334マッティアス:2002/12/02(月) 23:35
シーア派は確かに、いまではイラン以外思いつかないですよね。
もともと少数派の上に、細かく思想の異なる宗派がいっぱいあるので、なかなか国家
建設もムツカシイのではないかとも思いますよ。
スンニーはハナフィー派やら何やらあっても、比較的穏健で深く対立してないので、
どうしてもそっちが多数派になるし、まとまりやすいですからね。

ムキアヌスとウェスパシアヌスもそうなんですけど、基本的にその戦争のための特別
司令官と、その土地にいちばん近い軍団付きの属州総督って、揉めやすいですよね。
コルブロがパルティアに行った時もそうじゃないですか。コルブロはしょっちゅう、
他の司令官と揉めて、ひとりで見せ場作ってますけど。
実際の所、どちらも前執政官の資格で複数軍団の最高司令官なわけで、どちらが上か
決まってないのでしょうね。だから、野心家同士だとうまくいかない。

ムキアヌスに野心があったとしても、シリアの軍団がウェスパシアヌス支持だったと
なると、立てないでしょうね。遠くの属州の支持より、枕もとにいる軍団のほうが、
格段に怖いですもの。

335カイザー:2002/12/04(水) 22:10
実際はそうはなってないんで意味のない妄想ですが、ベドリアクム戦のどさくさに
紛れてムキアヌスがローマ市で元老院を脅迫して皇帝即位宣言とかしてたらえらい
ことになってたんじゃ。
ローマを占領したのはドナウ軍団ですからね。
逆に言えばウェスパシアヌスはそこまでムキアヌスを信用していたということなん
でしょう。

三国志の初期の頃なんかだと、刺史と太守が対立してたりしますよね。あんまり混
乱が激しいので、この両者を統合した牧という地位が成立して、強力な権力を持つ
牧となった曹操や袁紹らが軍閥化していくことに繋がっていくのです。

336マッティアス:2002/12/04(水) 23:39
ムキアヌスとウェスパシアヌスが両方皇帝を名乗る事になり、尚且つウィテリウスが
存命という状況が出てくるわけですね。すごい。ますます混乱が深まりますね。
でもなあ、最終的にはウェスパシアヌスが勝つんじゃないかなあ、とか。
オトでさえ、市民同士の戦争に心を痛めて自害したのだから、ムキアヌスがある程度、
まともな思考の持ち主ならば、さらなる混乱と破壊を招こうとは思わなかったのでは
ないでしょうか。

ローマでは中国のように、その土地に長期間(っていうか終身だったり世襲だったり)
封ぜられなかった……属州総督の任期は複数年に亘るといっても、あくまで仕事で、
皇帝の代理人だったことが、軍閥を生まなかった原因ですかね。
属州民が皇帝に訴えるチャンスもあったわけですし。少なくとも帝政前期はとっても
中央集権がうまく行ってますよね。

337カイザー:2002/12/07(土) 01:27
ユリウス・クラウディウス朝〜五賢帝の頃までは、プロ・コンスル資格者で属州総
督をたらい回しにするというローマ独自のシステムはいい感じで機能してますよね。
ペルディナクスやディディウス・ユリアヌスはこのシステムの中で最大の成功を収
めた元老院議員と言えるでしょうね。
まあ、末路は哀れ極まりないのですが(笑)

でも、セヴェルス朝の崩壊と共に当然の如く中国後漢末期のように属州の軍閥化が
進みパルミュラのオダイナトゥス(ゼノビアの夫)やガリアのポストゥムスという
独立勢力によって、辺境防衛がなされるとうになってしまいます。
あくまで中央政府が安泰でなおかつ周辺地域に対して軍事的に優位な状態でなけれ
ば、プロ・コンスル資格者に属州総督を歴任させるというのは、困難なシステムで
はないかと思います。

軍人皇帝時代に破綻してしまったこのシステムを再構築しようとしたのが、ディオ
クレティアヌスの四分統治制だと思うのですが、不勉強な私は後期帝政の属州総督
選出のシステムがいまいち分かってなかったりします。(←あかんやん)

338マッティアス:2002/12/07(土) 07:13
ああ、なるほど。隣国に対して優勢だから、中央がやりやすいカタチを採れてるんだ。
確かに、総督を入替えてる間、敵は待ってくれませんからね。
それに、マルクス・アウレリウスのときもすでにそんなだったらしいですが、周辺国
がしょっちゅう攻め入ってきたり、疫病があったり反乱があったりすると、始終、
人材不足なんですよね。だから、どうしても執政官クラスの人どころか議員も不足して、
騎士階級をがんがん投入する必要にせまられるし、なかなか配置換えできないのかも
知れません。

339カイザー:2002/12/07(土) 17:41
昔のローマの属州総督選出方法って、今の日本外務省の各国大使の任命方法とよく
似てるように思えますね。キャリアを持つ人物で主要ポストをたらい回しにすると
いうのは、一長一短あることでしょう。
まあ、軍権や徴税権を持つローマの総督と限られた権限しか持たない日本の外国大
使を比べても意味はあまりないんですが。

全然時代は違いますが、ユスティニアヌス1世の懐刀の宦官ナルセスは名将ベリサ
リウスの後任として対東ゴート戦を引き継いでからイタリア総督となっており、ユ
スティヌス2世時代に解任されるまでの20年以上その地位を保っていたりします。
重税を課して住民からは嫌われまくっていたそうで、ランゴバルド王アルボインの
侵攻にあっさり領土を奪われたのはこの辺も原因なのかもしれません。

340マッティアス:2002/12/07(土) 20:56
重税ってゼッタイ破綻しますよね。シュミレーションゲームでも。
宦官が結構高官になれるのも、ビザンツの面白い所ですよね。宦官のくせに後宮にいる
わけじゃないし。(もっともイスラムには武人宦官もいますが)
そういえば、ビザンツでの宦官の法的身分、ってどうだったんでしょう?結婚はできない
とか、何か規制はあったのですか?皇帝にはなれないのは、自明の理ですが。

341カイザー:2002/12/07(土) 21:13
ナルセスは元々糸紡ぎを生業にしていたそうですが、宦官になった理由とかは良く知
らないです。ナルセスは宮廷でユスティニアヌス1世の侍従となり、ユスティニアヌ
スにおべっかが気に入られて外交交渉などを任されて軍事方面への才能を認められて
ベリサリウスの配下として初期のイタリアでの対東ゴート戦にも参加しています。

ナルセスはベリサリウスに敵愾心を持っていたようで、「ローマ帝国衰亡史」の中で
はベリサリウスの作戦を無視するかのような行動に出ることもあったみたいです。

ユスティニアヌス1世がベリサリウスをイタリアから左遷したのは、ベリサリウスが
ローマ元老院と共謀して西皇帝即位宣言をてししまうのではという猜疑心が原因とも
言われてたりします。
ナルセスは宦官だから(おそらくは当時でもあったであろう偏見から)皇帝にはなり
得ない存在として、イタリア総督に任命したのかもしれませんね。
でも、ナルセスが解任されたのは、イタリアへの過酷な統治が原因ではなく、先帝時
代の派閥に属するナルセスを疎ましく思ったユスティヌス2世の皇后ソフィアの陰謀
だというのが一般的な見解かと思います。
この直後にランゴバルド族のイタリア侵攻が起こるのですが、新総督のロンギヌスは
ランゴバルド族とまともに戦いさえしてなかったりします。
自身の栄光が失われていくのを聞きながらナルセスは、ナポリで憤死したと言われま
す。

342マッティアス:2002/12/07(土) 21:56
う〜ん…世阿弥の失脚みたい。前の主君が死んだ途端、次代に疎まれるの。
ていうか、父なり前任者が偉大で、つねに劣等感を持っていた相続人の場合、大概は
前任者の側近を粛清なり解任なりしますよね。
>ナルセスの解任

宦官に対する偏見=子をなしえない、半男性、もありますが、五体満足でないと王座に
就けない、というキリスト教=ユダヤ的思想の影響もありますよね。ナルセスが帝位を
奪う危険性がないと見られたのには。
しかし、おべっかで外交戦術の素養を認められるのはわかりますが、軍事的才能はどう
やって見抜いたのでしょう?何か差し出がましいご意見でもしたのでしょうか(笑)?

343カイザー:2002/12/07(土) 23:09
どうなんでしょうね、まだユスティニアヌス1世の時代では目潰しや鼻削ぎで皇帝へ
の復活の芽を摘むという習慣はなかったですからねえ。

ちなみに鼻削ぎの第一号はユスティニアヌス2世リノトメトス(鼻削がれ帝)です。
反乱によって鼻を削がれてハザールへ追放となったユスティニアヌスは、不屈の精神
でハザールを脱出して、ブルガリアのテルベリス・ハンと同盟を結びブルガリアの軍
勢を率いてコンスタンティノポリスを包囲して、帝位を奪回しています。
復讐の鬼と化した復位後のユスティニアヌスは、簒奪者のレオンティウス(ちなみに
鼻削がれ2号)とさらにレオンティウスから帝位を簒奪したティベリウス3世を血祭
りにし、これでもかというぐらいの恐怖政治を行って、破滅してしまうことになりま
す。
一応、このユスティニアヌス2世がヘラクレイオス朝最後の皇帝だったりします。

344マッティアス:2002/12/08(日) 20:38
ひいい〜、「鼻削がれ」ってなんか嫌だ〜(ToT)!!怖いよぉ、助けてお兄ちゃあん。
目潰し鼻削ぎ耳削ぎ禁止〜。痛いじゃないか〜(涙)。ざっくり殺すより、読んでいて痛い感
強いんだってば。ぜえぜえ。

気を取り戻して。ハザールも変わった国ですよね。アジア系なのに、ユダヤ教に改宗した
謎の王国ハザール。ゼミ友が卒論テーマにしたら、邦語文献が(文学作品しか)ない!
と大騒ぎだったハザール。ヘタするとブルガリアより資料無いんじゃないですか?

345カイザー:2002/12/08(日) 20:50
ハザールの資料なんて見たことないですね。結構、興味はあるんで見れば絶対に覚え
てると思います。ユスティニアヌス2世はハンの妹を嫁にしてテオドラという洗礼名
を与えたりしたみたいです。

現在のユダヤ人は従来のパレスチナ系と突然変異的に改宗したこのハザール系との二
派があって、ヨーロッパにいたのは後者だとする説があるようです。でもユダヤ人的
にはハザール系を自称するのが不味いようで、この説は至って不評のようです、とい
うかなかったことにされてるみたいです。

346マッティアス:2002/12/08(日) 21:31
「ハザール」というタイトルの女性用・男性用分かれた謎の本が、6〜7年前に出た
みたいです。ジャンルは、ここいら(東京)では歴史に分類されたようですが、内容は
どうみても幻想文学系だったと友人は語っていました。自分では読んでいないので、
何とも言えませんが、「暗殺教国」や「ヘリオガバルス」並みにジャンルが謎の書物
なようです。

そうですか、いまのユダヤ人にはハザール系が実は多いかも知れないのですね。
ユダヤ人て、妙に整った深刻そうな顔立ち、ってイメージが勝手にあったのですが、
フラウィウス・ヨセフスのといわれている肖像が、なんか普通にヘレニストっぽくて
妙にがっかりしたんですよね〜。あまり関係ないですが。
人は自分の起源を古いものとみなしたがりますからね。ユダヤ人として何千年も遡れ
る先祖がいる〜、ってのとキリスト教以後に突然改宗した民族の子孫、てのとでは、
なんて言うか全然威厳というかありがたみが違いますものね〜。

347カイザー:2002/12/08(日) 23:13
ハザールがあっさりと滅んでなかったら色々と空想でない説が出て来るんでしょう
が、ローマ側の間接的な2次資料しかないようでは難しいでしょうね。
なおかつ、ヘラクレイオス朝〜イサウリア朝にかけてのローマはイスラムの侵攻と
ブルガリアの圧迫によって滅亡寸前に追い込まれてて資料の数が極端に少ないと来
てるから尚更ですよね。

まあ、エフタルにしろアヴァールにしろ、まともな日本語資料が見あたらないけど
重要な民族って色々ありますよね。ブルガリアやハンガリーなんかは、後継国家が
今でも存在してる分だけまだ扱いはマシな方なんでしょう。

348マッティアス:2002/12/08(日) 23:30
そうですね。後継国家って大きいですよね〜。例えば、歴史記述を始めてない段階の
強国に滅ぼされた弱小民族、なんてもう、神話伝承文学の類になって、資料が残らない
でしょうね。
ヒッタイトも、エジプトとか隣国との関連でしか、よくわかってないのではなかった
でしょうか?とりあえず「おけもん」(王家の紋章のことをギャルはこう呼ぶ)での
キャロルの名台詞「ヒッタイトが鉄を発明した頃だわ!」は読者以外にも有名(?)
ですね。カデシュの碑文はアンカラの考古学博物館で見ました。

349カイザー:2002/12/09(月) 21:02
アンカラは行っただけど何処を観光したのかあんまり覚えてないですね。とりあえずは
ローマの浴場跡に行ったのは間違いないですね。それと博物館みたいな所にも行って
るんですが、そこが考古学博物館だったかはもう記憶の彼方に失われてしまってます。
確か死ぬほど長い階段を昇らないといけなかった覚えがあります。
でも、トロイとイスタンブルでトロイの木馬の模型は見物しましたよ。トロイのは実
際に上れて面白かったです。

エジプトの新王国時代って言っても相当ながいスパンな訳だから、下手したら江戸時
代と太平洋戦争ぐらいの時代の誤差はあり得そうですよね。
「王家の紋章」のキャロルにしても「天は赤い河のほとり」のユーリにしろ、全然普
通の女の子じゃないですよね。二人とも方向性は違っても凄まじい才能の持ち主だと
思います(笑)。

350マッティアス:2002/12/10(火) 22:17
>「王家の紋章」のキャロルにしても「天は赤い河のほとり」のユーリにしろ
すごいですよね、って、実はどっちも読んでいないのですが(爆)。
トロイの木馬は、1度目暴風雨の中よじ登りましたよ。TMRのように髪がなびきました。
アンカラといえば、アタテュルク記念館というか陵墓?も印象的でした。これが、ケマル
の着ていた軍服〜、みたいな大興奮でした。記憶飛んでますが(苦笑)。

今日、やっと「痛快!ローマ学」を購入してみたものの、すでに挫けかける情けない私。
「ローマ人」も出てましたね。来年に入ったら図書館で借ります。←やる気ねえ〜☆
塩野さん、中世イスラムの王国(特にオスマンとか)に対してはどう思ってるんでしょう。

とりあえずネット古書でようやくゲットしたSPQRは、考証とか人物描写とか、半端
なくしっかりしているなあ、と感心させられました。面白かったですよ。
主人公が約50年後(40年かも)に、共和政末期のローマを回想している設定のミステリ
なのですが。「第一の市民の時代においては」などと、苦々しげに語られると、かなり
入ります。カティリナとかアントニウスが、結構好きなんですけど。

351カイザー:2002/12/12(木) 00:53
「SPQR」って本、私は知らなかったですね。なかなか面白そうですね。私は「背
教者ユリアヌス」の上巻を紛失したのにショックを受けて、めっきりやる気がなくな
りつつあります(笑)。

カティリナとアントニウスが好きなローマ人というのも今ひとつピンとこないですね
え。ポンペイウスなんかは帝政時代にも地味に人気者だったそうですが、カティリナ
がどういう評価を受けていたのかというのは、ちょっと聞いたことないですね。
カティリナの陰謀もどこからどこまでが本当なのか・・・。キケロが胡散臭く思える
のは私の見方が歪んでるんでしょうか?

352マッティアス:2002/12/12(木) 09:36
主人公D.カエキリウス・メテルスが彼らを好き、というよりは読んでる私が好きなん
です(爆)。2作目、邦題はピンと来ないけど、原題を見るとカティリナ事件とすぐわか
るんですよね。アントニウスはちょっと出てくるだけですが、2作目で初登場。超美形。
彼らふたりの類似性、を主人公が語った時、なるほど!と。カエサルやクローディウス
もなかなか素敵です。キャラ立ってる、というイミで。キケロも素晴らしいです(笑)。
SPQRシリーズは、アメリカ本国では結構人気でペーパーバック賞にノミネートされ
たりして、現在7作目まで出ているのですが、日本では2作目まで出て、廃刊です。
ローマファンじゃなきゃ、ちょっとツライかも、です。Book Offとamazonでゲットし
ました。

昨日、友人から受け取ったフラウィウス関連の論文を2冊読んで、新発見というか、
新事実を知りました。父トラヤヌスの妻って、ティトゥスの2番目の妻(フラウィア・
ユリアの母)の姉妹なんですって。あらあら。

353カイザー:2002/12/13(金) 20:10
「SPQR」暇なときに、古本屋でも探してみます。文庫本なんですか?
もう、普通の本屋さんで探すのは無理なんですよね。

トラヤヌスってフラウィウス朝と血縁関係あるんですね。それだけが理由でもないと
は思っていますが、トラヤヌスがドミティアヌスに比較的好意的だったのも納得です
ね。
それにしてもドミティアヌスって、帝政時代を通して評価が悪かったんでしょうかね
え。ネロなんかにも言えることですが、一度固まったイメージを再検証するという習
慣なんて、なかったんでしょうねえ。
今の日本でも似たようなもんですが。

354マッティアス:2002/12/14(土) 21:09
そうですよね。でも、ネロのがまだ人気あるでしょう。愛嬌あるから。ドミティアヌス、
ちょっと暗いし真面目すぎて、もとの田沼のにごり恋しきってヤツですよ。
しかし、フラウィウス時代に関する論文を何本か書かれている桑山由文先生、ファン的
には嬉しいんだけど、彼らを持ち上げすぎと言うか、重要性を訴えすぎ。
トラヤヌスは血のつながりこそ無いが、フラウィウス朝最後の皇帝であった!みたいな
ことを力説されると、笑ってしまいます。私、性格悪いですね(汗)。

SPQRシリーズは文庫です。ハヤカワミステリアスプレスだったと思います。
『古代都市ローマの殺人』『青年貴族デキウスの捜査』の2作のみ邦訳されてます。
作者はジョン・マドックス・ロバーツです。SF作家としてのが有名です(笑)。

塩野さん、「ローマ人」シリーズ読む限りではフラウィウス朝の評価高いんだと思って
いました。なんか、「痛快!ローマ学」の皇帝成績表、気分でつけた?ってくらい、
納得いかない部分があります(苦笑)。そもそもカエサルって全部100かなあ?

355カイザー:2002/12/15(日) 01:09
トラヤヌスの父親がフラウィス朝の女性と結婚してたぐらいじゃねえ。
男女差別と言われるかもしれませんが、普通は母系の繋がり(しかも遠縁)だけでは
同王朝とは言わないでしょう。

「痛快ローマ学」は今日本屋さんで購入してきましたが、まだ1ページも読んでいま
せん。塩野先生のカエサル贔屓はネタなのか、脳内妄想(←ひでえ)なのか、多分後
者なんだろうなと思いいつもうんざりしています(笑)。
塩野さん、本気でカエサルをALL100点だと思ってるんでしょうね。

私ならディオクテティアヌスや腹黒いコンスタンティヌス1世辺りに高得点をつけた
くなりそうですが、本編で未登場の彼らには一切言及してないんでしょうね。

356マッティアス:2002/12/15(日) 22:49
うん。五賢帝までしか載ってなかった。別にイイんだけど、カエサルの説得力が100だったら
暗殺なんてチョ〜有り得なくない?(ギャル風に読むべし)
ナナミ的にはカエサルほどすごい人って、どう考えてもありえないっていうか〜、って
カンジですかね。恋は盲目になりきれない私は、ときに彼女が羨ましくなります。

桑山先生がトラヤヌスを「フラウィウス朝最後の皇帝」、と言ったのはむしろ、彼までが
ウェスパシアヌスからの政策(主に当方関連)の流れを汲んでいる、という点です。
人材登用に関して、初めて東方属州出身のコンスルを出したのがウェスパシアヌス。
複数のコンスルや軍隊付属州総督を出したのがドミティアヌス。東方出身者の議員や
高位の人の数が圧倒的に増えたのがトラヤヌス、なのだそうです。

357カイザー:2002/12/19(木) 00:17
「痛快!ローマ学」通信簿の所だけ流し読みしました。
塩野先生の妄想ぶりは相変わらずで、いい加減あの人のFanを止めるときが来たの
かなと自分自身を見つめ直したくなる今日この頃です(笑)。

ペリクレスとカエサルだけが100点満点て・・・。どう考えても塩野女史の好みで
点数つけてますね。依怙贔屓ならそれはそれでいいのですが、何でしょうもない理論
武装をしようとするのかなと。
「カエサル萌え〜」とか書いてくれたら、個人的には塩野先生の評価は格段に上がる
のですが・・・。そしたらエセ歴史ファンの政治家や経営者達はあっという間に塩野
先生の周りから離れていきそうで、私的にはこれでオールOKです(笑)。

桑山先生の著書を読んでないんで何とも言えないのですが、東方出身者の登用が行っ
たのはフラウィウス朝に限ったことでなく、五賢帝時代以降も西ローマ帝国の滅亡に
至るまで一貫した傾向だったんじゃないかなという気がします。アウレリアヌス〜デ
ィオクレティアヌスの軍人皇帝時代を収拾した皇帝達は東方のイリリクム出身ですし
ね。
もしかしたら、ハドリアヌスやアントニヌス・ピウスの時代には反動で西方出身者が
優遇されたりしてるのでしょうか?

358マッティアス:2002/12/19(木) 11:26
桑山先生は東方出身者登用に関して、ユリウス・クラウディウス朝からの転換期としての
フラウィウス時代、と考えているようです。トラヤヌスはフラウィウス時代からの変革の
完成または頂点として位置付けられているようです。
ユリウス・クラウディウス時代には東方に対する抜きがたい偏見があって、高級官職には
東方出身者がなかなかなれる状態じゃなかった、と。
トラヤヌスの政策(完成型)が五賢帝時代の統治の、基本形となったのではないでしょうか。
キリスト教問題に関しては、トラヤヌスのプリニウスへの勅答が基本だし。
とはいえ、桑山氏はフラウィウス朝がほぼ専門のようなので、多少偏りはありますね。
「五賢帝」び南川先生は実はマルクス・アウレリウスとセウェルス朝が、もともとの研究
対象のようですが。

塩野さんの通信簿の強引な理論武装に関しては…笑うしかないですよね。ホント。
贔屓ですよ、って言ってくれれば、どんなにか共感できることでしょう。ところで、実は
文章読んでいないので、どういう基準なのかわからないのですが、説得力ってのは後世の
人から見て、ってことなのでしょうか?相手が同時代人ならば、カエサルのそれは下がる
はずだし、逆にアントニウスはそこそこ高いはず。ピウスなんか100でも良いのでは
ないかと思ったんですよ。

359カイザー:2002/12/21(土) 18:37
ユリウス朝の頃は東方出身者というより、非イタリア以外のローマ人への偏見かとい
う気もしますが、ユリウス朝時代でもガリアやイスパニア出身者もそれなりには出世
してたのでしょうか?
確かトラヤヌスはイスパニア出身でしたよね?

「痛快!ローマ学」は今日から読み始めました。ローマ史を学ぶことの意義をあれこ
れ書いてたのはまあいいのですが、それと併せて日本史も勉強するべきだとの言葉が
なかったのがどうにも納得できません。
当然だから書いてないだけなんだろうか。

360マッティアス:2002/12/22(日) 21:06
どうでしょう?塩野さん、イタリア人ですから(笑)。←かつてゼミの先生が言ってた言葉。
「男の肖像」読んだ限りでは、日本史もお好きだったようですがね。それとも人物萌え?

帝政時代でガリア出身で最初に出世した有名人は、やはり初代エジプト代官のコルネリウス・
ガルスでしょう。BC26には早くも失脚して自害してますが。
それに、クラウディウスの演説で、ガリア(特にナルボネンシスやキサルピーナ)は早い頃から
議員を出せるようになっていましたよね。ウインデクスやウェルギニウス・ルフスも確か、
ガリア出身じゃなかったかな?
ヒスパニアは、トラヤヌス父くらいしか知らないのですが(爆)。西方の属州にはわりと早く
から門戸が開かれていたような気がします。

361カイザー:2002/12/23(月) 21:41
ガリアやイスパニア出身者は比較的早い段階から政権の中枢を担っていたのですね。
東方といってもギリシア人なんかはそうでもないでしょうが、後期帝政で活躍するイ
リリクムの出身者なんかは完全に蛮族扱いだったんでしょうね。

蛮族といえば、「痛快!ローマ学」塩野先生の妄想の中のサッカーチームにスティリ
コが出てて、不覚にもちょっと嬉しいとか思ってしまいました(笑)。密かに終盤で
はスティリコが活躍するお話にしようと構想を練っているのかもしれません。

で、そのサッカーチームを評して
「いやはや、我ながらすごい布陣が出来てしまったものである。はたして、この古代
版ドリーム・チームと21世紀のスター選手を配したドリームチームが戦ったら、ど
ちらが勝つだろうか・・・・・その予想は、あえて言うまでもない気がするのですが。」
とのドリーミーなコメントが・・・。
いや言うまでもないって、その書き方じゃ現代サッカー選手が負けるみたいじゃない
ですか!?
政治や軍事ならともかく(というかそれこそ勝負になんないでしょうが)ことサッカ
ーでの勝負なら、ロナウドやデルピエロやカーン様の現代チームが負ける可能性なん
てありえない。
これは、塩野先生の妄想ネタですよね?

362マッティアス:2002/12/24(火) 12:01
え?それは古代チームが負けるってコトじゃなくって?(←オニ。)
だって、オクタウィアヌスとかドミティアヌスなんて、出るだけで足引っ張りますよ。
ヤツら運動神経どころか体力が無いんだから。45分もフィールド走れません。
それより私は前半攻撃主体チームと後半バランス型チームの対戦が気になる。
塩野さんから見れば後半チームがあからさまに好みっぽいので、そっちが勝つのでしょうが。

スティリコ、活躍して欲しいと思う反面、塩野さんが気に入ったり贔屓にすると、ドリーム
すぎてうそくさい(私には愛せない)キャラ造形になるので、考えちゃいます。
カエサルはもとより、ティトゥスとかトラヤヌスがね、何て言うか物足りないの。ドミティも。

363カイザー:2002/12/25(水) 01:20
そうなんですよね。塩野七生さんがヨイショすると、嫌なところをなかったことに
して誉め殺しにしちゃうんで却って嫌な奴に思えてしまうんですよね。
スティリコもそういう描かれ方になりそうで、今から不安になってきました。サッ
カーチームに名前が挙がってるのを見て喜んでるようではダメダメですね(笑)。
コンスタンティヌス1世もユリアヌスも飛ばして唐突にスティリコなんていう微妙
なポジションの人物名があがってるという辺りがマジやばそうです(笑)。

個人的にはコンステンティウス3世とかリキメールに塩野先生が萌えてくれれば、
私のお気に入りの末期帝国時代をちゃんと記述してくれそうで凄く嬉しいのですが、
多分それは無理でしょうねえ。

364マッティアス:2002/12/25(水) 12:01
いや、私もサッカーにドミティとティトゥスが入っていたので、一瞬♪状態でした。
私見ですが、塩野さんはきっとユリアヌス嫌いですよ。現実を見てない夢想家だから。
スティリコは心配ですよね。「ローマ人」最新巻は来年2月頃読むのではないかと思う
のですが、セウェルスがどういう扱いになっているのか、気になっています。

光ばかりで影というか闇を見据えないと、すごく人物造形が薄っぺらになるんですよね。
まあ、たしかにダメな男ではあるのですが、クレオパトラ小説アントニウスが、軽薄に
見えるのと同じ理論ですかね。そうね、魅力的なのはよくわかったわ、ってカンジで。
たまに闇のない人間もいますが、そういう人って結構面白くなかったりしますしね。

365カイザー:2002/12/27(金) 23:27
スティリコって実は功績だけの人物でもなかったりするんですよね。
ミラノを包囲する西ゴート王アラリックを撃退する為にガリアやイスパニアのローマ
軍を投入するという選択をスティリコはするのですが、このことによって手薄になっ
たライン国境を越えてヴァンダル族、スウェビ族、アラン族がローマ領に侵入すると
いう決定的ともいえる問題を引き起こしてたりします。
イタリアの軍勢は弱体でアフリカは内乱の最中、東ローマの皇帝アルカディウスとは
仲違いしててスティリコ暗殺計画を企てているという状態では止むを得ない事態だった
とも言えるのですけどね。

対東ローマの外交も考えればスティリコの死はデメリットだけでもなかったのかなとも
思ってたりします。

366マッティアス:2002/12/30(月) 22:04
本体が弱っていると、ハッキリ言って打つ手ないですよね。何かを失ってもデメリットも
メリットもそんなにないか、両方そこそこ、ってカンジで。
正規軍がアテにならず、傭兵にだけ頼るようになると、大体弱体化が早いですしね。
それにしてもそうか、スティリコの死で対ビザンツにはメリット(というか光明)もある
可能性があったのか。
塩野さん、その辺は書いてくれるのかなあ?

367カイザー:2002/12/31(火) 22:49
スティリコが死んでたからかどうかまでは私も断言できないのですが、アラリックが
ローマを包囲してホノリウスの政府と交渉している時に、雀の涙程度とはいえアルカ
ディウスが援軍を派遣してるんですよね。もちろんマッティアスさんもご存じの通り、
ローマ市は西ゴート族に占領&略奪されてしまったので結局役には立ってないんです
が。

これ以降の西ローマは打つ手がハズレばかりでもないんですが、ヴァンダル族のアフ
リカ占領→完全なる独立王国の建設という、致命的すぎるダメージを最後までどうす
ることも出来ずに滅んでしまいます。
あんまり一般的な認識はされてないのですが、ローマを滅ぼしたのはアラリックでも
アッティラでもオドアケルでもなく、このヴァンダル族を率いたガイセリックだと言
いたいのですが、理解して貰える知識がある人が身の回りに誰一人居なくて寂しいで
す(笑)。

368マッティアス:2003/01/01(水) 01:15
そういえば、世界史の授業の時「ガイセリックという名前は受験にはでないけれども、
憶えておいてね」みたいなことを、大嫌いな先生が言っていました。
カノジョがギリシア(&ローマ?)萌えでなければ、もう少し早くローマ史も勉強した
でしょうに。悔やまれます(笑)。
ごめんなさい、今年こそギボン読みます。まだ1巻前書き部分(著者の、訳者の)に捕まっ
ております。もうちょっと先の帝国までの通史も勉強するのが今年の課題ですね。
というわけで、元旦らしくカイザーさんの今年の抱負は?

369カイザー:2003/01/01(水) 07:42
ギボンをイッキ読みするのは、流石のマッティアスさんでも無理なようですね(笑)。
私は学生時代に2年ぐらいかけて読んでは戻っての繰り返しで読み切った・・・と
当時は思ってましたが、全然内容を覚えてないし今でも死ぬほど見直してるのに理解
が深まっていきません。

上記の私のカキコ少し間違ってますね。スティリコの死の直前にアルカディウス帝は
病死しており、ホノリウス帝に援軍を派遣したのはテオドシウス2世時代でした。だ
から、スティリコの死と東ローマとの対外関係はあんまり関係なかったのかもしれま
せんね。アルカディウスと共に反スティリコの筆頭だったゴート人部将のガイナスも
戦死してた筈ですからね。

370マッティアス:2003/01/01(水) 21:27
う〜ん…じゃあ、どっちもタカ派が同じ頃死んだので、うやむやに解決したカンジですか?
なんだかそれもビミョ〜ですねえ(笑)。現実なんて、そんなものなのかも。

ちなみに私は、本を読むスピードがとんでもなく遅いです。キッパリ!
音読するようなペースで、ときどき頭がほかの事考えたりしてるので、コバルト1冊読む
のと、岩波文庫1冊読むのがほぼ同ペースという、不思議な脳内構造してます。
いちばん早く読めるのは、海外もの児童文学(歴史物かファンタジー)ですが。
昔はスエトニウスですら上巻読むのに1ヶ月かかった。下巻は3日でしたが(爆)。

371カイザー:2003/01/02(木) 18:32
日記の方で書いた「拳闘暗黒伝セスタス」のネロはいい感じですよ。世間知らずの
ボンボンが人間不信から徐々に暴君化していく過程がマッティアスさん好みなので
はと思います。アグリッピナともちゃんとやってるし(笑)。

そういえば「ローマ人の物語」の最新刊はまだ購入すらしてないですねえ。あの分
厚い本を見ると昔は嬉しかったものですが、最近は何か読むのが大変だなあという
後ろ向きな気持ちが強くなってる気がします(笑)。ローマファンの義務として、
早く買わないといけませんね。

372まってぃあす@携帯:2003/01/03(金) 16:24
『セスタス』気になってはいるのですが、未読です。
そうですか、アグリッピナともちゃんとヤってるんですね。
超おっけーです(^_^)v。

塩野さん最新巻は、彼女の萌えポイントがないらしく、テンション低いと聞いてます。
痛快!すら読むのに苦労している私には、ツラそうです。

373カイザー:2003/01/05(日) 15:19
「拳闘暗黒伝セスタス」はアグリッピナが大活躍してますよ。色んな意味で(笑)。
ちゃんとブリタニクスとかウィンデクスまで出て来るんで、枝来先生はしっかり勉
強してマンガを書いているようでローマファンという偏った嗜好のマンガ読みはの
私も好印象を持っています。
フィクションだからハッタリが多いのも私的にはOKです。
そういえば、コロッセオでは剣闘士ではなく徒手格闘技の見せ物もあったんでしょ
うか?「拳闘暗黒伝セスタス」の中で剣闘士と拳闘士は違うものとして描かれてい
ます。

そうかアグリッピナとネロの肉体関係はやっぱり史実だったんだなと、私の歴史認
識に影響を与えつつある作品です(笑)。

374マッティアス:2003/01/06(月) 12:37
すばらしい!(川平兄弟声希望) ていうか、地元のヘボい書店では見かけないんです
けれども。>『拳闘暗黒伝セスタス』

コロッセオでかどうかよくわかりませんが、闘技場での拳闘競技があったのは、確か
だと思います。アウグストゥスは剣闘よりも拳闘を好んだと、スエトニウスあたりに
あったはず。クラウディウスといい、アウグストゥスといい、自分が格闘向きでない
人間ほど、格闘技に夢中になるという良い例だと思います。ドミティアヌスもか?

アグリッピナとネロはデキてて欲しいなあ、というよくわからない希望があります。
アグリッピナには、息子から見た母親への恐怖と憧憬と愛憎の集大成を見るような気が
します。美人で暴君な母親。あらゆる意味で乗り越えなければならない障壁。

375カイザー:2003/01/07(火) 00:39
そちらではセスタス見かけませんか?
大阪のそれなりの規模の書店では、「ベルセルク」や「ふたりえっち」と一緒に並ん
で普通に売ってますよ。古本屋だと少々厳しいかもしれませんが。

アグリッピナは猛女ですよね。ネロが越えるべき父親がこの世になく、アグリッピナ
の呪縛に捕らわれていたというのが不幸の原因の一つですよね。オクタヴィアやアリ
ッピナという自身の帝位の正当性の拠り所となるべき存在を殺してしまったネロの失
態はどうしようもない。ブリタニクスを利用して、元老院を押さえるぐらいの芸当が
出来ないと帝位は保持できないんでしょうね。

376マッティアス:2003/01/07(火) 11:19
そんな芸当ができるくらい大人だったら、そもそもアグリッピナの強烈な呪縛にかかったり、
オクタウィアを殺したりはしないんでしょうけどね。ネロもかわいそうなコです。

セスタス、買おうと思ってない頃、都市部の書店では見ましたよ。うちから都市部まで大体、
電車で1時間かかるので、なにかのついでじゃないとなかなか買いに行けなくって。
いっそamazon.comで頼むってテもありますが。
地方では、はじめの一歩ですら全巻そろってないような書店が大半ですからね。
わりに品揃えの良かった近所の書店が、ダイエーができてすぐに潰れてしまって、かなり
困ったことになっています。

377カイザー:2003/01/08(水) 23:37
ネロも嘘でいいからブリタニクスに
「父クラウディウスは私に敬愛する兄ネロへ仕えるように言い残した」
とか元老院で演説させるぐらいはして欲しかった所です。直後に影で涙を流すブリタ
ニクス&オクタヴィア姉弟とか、マンガとかなら面白そうですね。もう、そんなの史
実でも何でもない只の妄想なんですが(笑)。

そういえば、コンモドゥスって以外と普通の皇帝かなとか認識が変わりつつあります。
バカだけど(笑)。

378マッティアス:2003/01/08(水) 23:46
うん。馬鹿ですけど、マトモですかも。って、↑それは塩野さんの最新刊を読まれた感想
ですか?私は図書館に入ってから読むので、春頃になると思いますが。
古代西洋史料集とかで、自分で文章書いてないにせよ、属州に対してマトモな判断を下し
てたりしたのみて、あら、と思いました。>コンモドゥス

コンモドゥスは競技場に出ちゃう辺りで、ちょいヤバですが、肉体派なドミティアヌスか、
被害妄想壁のあるアントニウスが皇帝になったくらいのものではないかと、最近思います。
充分、マズイですけど。エラガバルスやカリグラよりは全然電波じゃないかも。
カラカラもそういう意味では、私の中では電波度低めなんですが、どうでしょう?




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板