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貧困スレ

1チバQ:2009/10/21(水) 21:46:08
労働運動スレより独立
非正規雇用・母子家族などなど貧困にかかわるさまざまな話題を収集するスレ
主にルポ系の記事がメインになりそうな予感

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009102002000236.html
日本の貧困率15・7% 07年 98年以降で最悪
2009年10月20日 夕刊
 厚生労働省は二十日、全国民の中で生活に苦しむ人の割合を示す「相対的貧困率」を初めて発表した。二〇〇七年は15・7%で、七人に一人以上が貧困状態ということになる。十八歳未満の子どもの貧困率は14・2%だった。
 厚労省は国民生活基礎調査の既存データを使い、一九九八、〇一、〇四、〇七の各年にさかのぼり、経済協力開発機構(OECD)が採用している計算方式で算出。〇七年の全体の貧困率は九八年以降で最悪、子どもは〇一年に次ぐ水準だった。
 長妻昭厚労相は同日の会見で「子ども手当などの政策を実行し、数値を改善していきたい」と述べ、同手当を導入した場合に貧困率がどう変化するかの試算も今後公表することを明らかにした。
 政府は六〇年代前半まで、消費水準が生活保護世帯の平均額を下回る層を「低消費水準世帯」と位置付け増減などを調べていたが、その後は貧困に関する調査はしていなかった。相対的貧困率は、全人口の可処分所得の中央値(〇七年は一人当たり年間二百二十八万円)の半分未満しか所得がない人の割合。
 全体の貧困率は九八年が14・6%、〇一年が15・3%、〇四年が14・9%。〇七年は15・7%と急上昇しており、非正規労働の広がりなどが背景にあるとみられる。


関連しそうなスレ
労働運動
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1114776863/l50
社会福祉総合スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1225898224/l50
農業総合スレ(限界集落もこのスレの対象かも・・・)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1060165378/l50
人口問題・少子化・家族の経済学 (母子家庭など)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1148427444/l50
文部スレ (新卒採用問題なども・・・)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1116734086/l50

244チバQ:2012/04/20(金) 22:40:03
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120419/dms1204191601016-n1.htm
「数々の特典がつく生活保護は働くより得」という若者増加中2012.04.19
 現在、生活保護受給者は210万人に迫る勢いで増加の一途を辿っている。全国で最も生活保護受給者が多いのは大阪市で、18人に1人が生活保護受給者だ。

 この増加傾向はもちろん、昨今の不況の影響はあるだろうが、それだけが問題ではない。まず原因として挙げられるのが、高齢者の増加だ。基礎年金だけでは生活していけない高齢者の受給が年々増え続けているのだ。生活保護を受けている被保護世帯の約半分近い数が高齢者世帯となっている。

 そして、もうひとつの要因として挙げられるのが、本来なら「働ける」世代であるはずの20代、30代の若者の受給者が増えている点だ。あるケースワーカーはこう話す。

 「派遣労働の拡大や非正規雇用の増大が原因ですが、若い世代の人たちのなかに、生活保護への抵抗感が薄れていることがいちばん大きいのかもしれません。昔は生活保護を受けずに頑張りたいという気持ちがあったものですが、いまは当然の権利として主張する人が増えていますから」

 若者の間では、生活保護はネット上で「ナマポ(生保)」と呼ばれ、どうすれば申請が通るかなどの情報交換が当たり前のように行われている。

 彼らが生活保護を受けたがるのには、実は理由がある。それは、生活保護受給者には、数々の“特典”があるからだ。生活保護受給者の相談に乗ったり、援助するケースワーカーを10年以上務め、著書に『野たれ死にするくらいならどんどん生活保護』を持つ多村寿理さんは、こう説明する。

 「生活保護受給中は、原則として医療費や介護費、家賃(地域ごとに上限あり。最大5万3700円)は無料。さらにNHKの受信料、住民税、国民年金なども免除されます。またJRの運賃や光熱水費の減額もあります」

 定職がありながら年収200万円以下の「ワーキングプア層」と呼ばれる人々は月収約17万円。一方の生活保護受給者は地域によって受給額の差はあるが、10万〜15万円ほど。ワーキングプア層が家賃、税金、社会保険料などを支払えば、“特典”を手にした生活保護受給者に比べて可処分所得(=自由に使えるお金)が下回ってしまうケースも出てくる。

 これでは、「生活保護のほうが得」と、多くの低所得者層の若者が生活保護を受けようとするのも、もっともな話だ。

 また、年金を受け取るよりも生活保護のほうが得というのも問題となっている。40年間、真面目に働いて、真面目に国民年金を納めてきた人の月々の受給額は約6万6000円。前述したとおり、生活保護受給者は10万〜15万円。若いころに年金保険や健康保険料も払わずにきた人間が、最後に行政に泣きついて、生活保護をもらい、年金を納めてきた人の2倍以上の収入を得ているのだから、あまりにバカげた話である。

 「いまの制度が続くとすれば厚生年金などがあるサラリーマンは別ですが、年金も納めないで、老後は生活保護をもらったほうが得であるなどという風潮が出てくるのも否定できません。

 いずれにせよ、稼働年齢層の就労収入が減り、年金もあてにできなくなって、生活保護に対する風当たりが厳しくなっている昨今ですが、簡単に保護にならないためのセーフティーネットをきっちり完備することなど、社会保障制度の全般的な見直しが必要であると思います」(前出・多村氏)

 ※女性セブン2012年4月26日号

245チバQ:2012/04/20(金) 22:41:15
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004985652.shtml
未払い残業代求めたら…会社解散、全員解雇 
 高齢者介護施設などで職員と事業者の間で賃金や休暇など労働条件をめぐるトラブルが絶えない。尼崎市の訪問介護施設では未払いの残業代を職員が求めたところ、事業者が「経営が成り立たない」と赤字を理由に5月末での閉鎖を決めた。全職員を解雇するといい、この職員は「正当な賃金を要求したら会社がつぶれてしまうのか」と困惑している。(中部 剛)

 施設は同市稲葉元町、クローバー訪問介護センター。高齢者専用賃貸住宅「ハート・ピア尼崎」内にあり、主にこの住宅内の高齢者を訪問介護している。昨年、夜間勤務の職員2人が、残業代や割増賃金に未払いがあり、休憩も十分に取れていないと訴え、同センターの運営会社「バックオフィス」(大阪府豊中市)と労使交渉を始めた。

 同社は、尼崎労働基準監督署から改善を指導されたが、労働条件はその後も変わらなかった。2人は労働基準法に反しているとし、昨年12月、同労基署に告訴した。

 労使交渉でバックオフィスは一定の責任を認めたが、未払い分の額について2人と折り合わず、労働審判に持ち込まれた。神戸地裁で調停があり、今年3月、同社が2009〜11年の未払い分計約300万円を2人に支払うことでまとまった。

 その後、同社は2人に賃金カットを提案。2人が拒否すると、3月末、債務超過を理由に「自社の解散手続きに入る」と連絡してきた。

 センターには正規、非正規20+ 件の介護職員、ケアマネジャーら18人がいるが、会社解散に伴っていずれも解雇。同社は訪問介護を引き継ぐ事業者を探しており、「次の事業者に雇用してもらえるよう働き掛ける」と職員に説明し、高齢者専用賃貸住宅の利用者や家族にも通知した。

 バックオフィスの男性部長は「このまま続けても赤字が広がる。引き継ぐ事業者のめどもついた。スムーズに引き継ぎたい」と話すが、未払いの残業代を求めた職員は「私たちのせいで会社をつぶすといっている。求めたのは正当な賃金だ。あまりにも乱暴な話で納得できない」と憤っている。

(2012/04/19 16:00

246名無しさん:2012/04/23(月) 23:56:35
http://www.asahi.com/job/news/TKY201204200844.html
NTT、30代半ば以降の賃下げ計画 再雇用費に充当2012年4月22日


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 NTTグループの主要各社が来年度から、30代半ば以降の社員の賃下げを計画していることがわかった。浮いた人件費を、新たに導入する65歳までの再雇用制度に回す。政府は来年度から、企業に60歳以降も働き続けたい人の再雇用を義務づける方針で、人件費の総額を抑えるために追随する動きが広がりそうだ。

 各社が今月上旬、来年度からの新しい賃金制度への移行を労働組合に提案した。朝日新聞が入手した資料によると、入社から10〜15年ごろまでは今の制度とほぼ変わらないが、それ以降は60歳の定年まで賃金の上がり具合を従来より抑える。30代半ばからの賃下げには「働き盛りには異例の措置で、転職を誘発するおそれがある」(別の労組関係者)との声もある。あわせて65歳までの再雇用を制度化する。

 具体的な賃下げ幅は示していない。人件費総額が変わらない場合、50代では今より年収が100万円ほど減る例もあるとみられる。

 NTT東日本や西日本など主要各社は2002年度に、51歳以上の社員の多くを子会社に転籍させて、賃金を最大30%下げる制度を導入した。今回の計画は、それ以来の大がかりな賃金制度の見直しになる。

 厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢は今、60歳だが、来年度から男性は61歳になり、その後も段階的に上がって2025年度から65歳になる。このため政府は今国会に高年齢者雇用安定法の改正案を提出しており、成立すれば65歳までの希望者全員の再雇用が義務づけられる。(内藤尚志)

247チバQ:2012/05/14(月) 21:58:14
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kyoto/news/20120513-OYT8T01097.htm
[京の深層]宇治市生活保護 申請者に誓約書強要「違法」


「心を圧迫」府が特別監査
 宇治市の生活支援課のケースワーカーが生活保護の申請者に対して法的根拠のない誓約書を強要していた問題が広がりをみせている。生活保護を受給している世帯からも誓約書を取っていたことが判明。市は「組織的な関与はない」としているが、誓約書を取っていたケースワーカーは計19人に上り、府は市に対して特別監査に乗り出した。(倉岡明菜)

 「異性と同居しない」「生活保護費削減のため、(男性側に)子どもの養育費を請求することを誓う」。生活保護の申請に訪れた女性が3月1日、市役所の相談室で男性ケースワーカーから示された〈誓約書〉。65歳未満や母子世帯などに分けて、数多い制限が書き込まれ、職員が守られていないと判断した場合には保護を廃止し、異議は申し立てないなどとされていた。

 女性は約4時間にわたって説明を受けた後、署名・押印を求められた。後日、女性が別の職員に話したことから、問題が発覚した。

 そこで、市は全ケースワーカー(24人)に聞き取り調査を実施。新たに2人が申請者に対して、別の誓約書を取っていたことがわかった。3人は「不正受給を防ぎたかった」「制度について知ってもらいたかった」と理由を説明したという。

 生活保護の申請権を侵害している恐れがあると判断した市は、誓約書を取った6世帯を訪問するなどして誓約書に効力のないことを告げ、「不適切だった」と謝罪。市民団体などの抗議に対し、市は「誓約書を求めた職員が誤った認識を持ち、管理も不十分だった」として、職員個人の問題だけではなく、市の指導不足もあったとの認識を示した。

■  □

 しかし、誓約書問題は申請者だけにとどまらなかった。市内の生活保護の受給1822世帯(3月21日現在)全件を調べた結果、38世帯から39枚の誓約書を提出させたことも明らかになった。収入の申告や車の使用禁止などを求めており、市は「個別具体的な援助の中で、自立を助長するためだった」とするが、「もう2度と引っ越しはしない」などとするものもあった。

 ある自治体の担当者は「生活保護制度の説明について『言った』『言わない』となるのは誰しも避けたいこと。そうしたことを防ぐために誓約書という形を取ったのでは」と推し量る。

 19人ものケースワーカーが誓約書を取っていた事実を府は重く受け止めており、担当者は「受給者への誓約書については直ちに違法とは言えないが、保護費を止められるのではないかと心理的な圧迫を加えるものは不適当」とし、中身を詳しく精査している。

□  ■

 長引く景気の低迷などにより、市では2006年度1504世帯だった受給世帯が09年には1697世帯、11年度は1826世帯と、全国同様に増加し、財政上大きな負担になっているのは事実だ。生活保護法では、自治体は生活保護受給者に対して必要な指示、指導ができ、受給者が従わない場合は保護を廃止・停止できるとしている。

 しかし、吉永純・花園大教授(公的扶助論)は「申請者にまで誓約書を書かせる権限は行政にはなく、明らかに違法」と指摘。「1枚の誓約書だけで自立を促すほど、受給者の抱える生活問題は甘くはない。受給者の状況を分析し、対等な立場で自立への展望を共に認識し、意欲を引き出す支援が、ケースワーカーには求められている」と話す。

 市は職員の研修や管理体制の見直しなどに乗り出した。再発防止のためには、より一層の取り組みが求められる。

(2012年5月14日 読売新聞)

248とはずがたり:2012/05/16(水) 13:34:04
>>247
偽装離婚して母子家庭に成ったりするケースもあるみたいだし,そういうのには夫側に自治体が訴訟で財産差し押さえたり出来るないのでしょうかね?
ややこしいケースも多いだけに,誓約書くらい書かせても何の問題ないだろうに,偉そうに問題だとか云ってる奴は現場しらないんちゃうか。
まあこういう圧迫で心折れちゃうのが本当に必要な弱っている人達で,厚顔無恥の平然と公費にたかっている連中には何の効果もないのかもしれないけど。。

249とはずがたり:2012/05/16(水) 17:11:59

生活保護、209万7400人=8カ月連続で最多更新―厚労省
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120516-00000069-jij-soci
時事通信 5月16日(水)12時33分配信

 厚生労働省は16日、今年2月に全国で生活保護を受けた人が前月比5499人増の209万7401人になったと発表した。昨年7月にそれまで過去最多だった1951年度を上回って以降、8カ月連続で最多を更新している。受給世帯も152万1484世帯と過去最多。
 同省は、リーマン・ショック以降の経済低迷などが増加の原因と分析。「伸び率は徐々に落ち着いてきているが、今後東日本大震災の被災者の受給開始も想定されるため、しっかり対策を打っていきたい」としている。

250とはずがたり:2012/05/17(木) 03:21:34

<農地再生>就労支援しながら耕作放棄地で野菜作り
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120516-00000050-mai-soci
毎日新聞 5月16日(水)16時5分配信

農園でゼンマイ採りをする「土と緑の谷 未来農園」のメンバーら=大阪府柏原市で、鈴木英生撮影

 失業中の若者やホームレスの就労を支援しながら、高齢化で放棄された農地の再生を目指す珍しい取り組みが大阪府柏原市の元棚田で進んでいる。耕作放棄地について調査する神戸大研究機関研究員の綱島洋之さん(36)らによるプロジェクト「土と緑の谷 未来農園」だ。20代から60代の十数人がそれぞれの自立生活に向けて、野菜作りに汗を流している。

 きっかけは、元棚田の地主の坊下(ぼうした)明信さん(63)が一昨年10月に綱島さんに持ちかけた相談だ。約20年前から耕作放棄地になっていた元棚田約60アールを「遊ばせておくのはもったいない」と声をかけたところ、2人を中心に「未来農園」づくりを進めることになった。関西で以前から野宿者らの支援を続けている中桐康介さん(35)=大阪市住吉区=の協力も得ることができ、文部科学省の研究事業として認められ、2年間の事業費約340万円を確保できた。

 昨年7月から始まり、ジャガイモやキャベツなど約15種類を育てる。メンバーは週1、2回、農園に通っている。ここでの農作業は、職業訓練に近く、仕事への自信を取り戻して就労を目指す。堺市北区の小林誠さん(29)は「目立たないが人の役に立つ仕事の大切さを農業で知った」。大阪市西成区で野宿をする津山泰則さん(60)は「故郷に似た環境で働けて幸せ」と話した。

 行政も注目する。大阪府雇用対策課の船岡敏和課長補佐は「将来性のある試みとして応援したい」と話している。【鈴木英生】

251チバQ:2012/05/17(木) 22:31:14
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/120517/ecd1205171825001-n1.htm
ワタミ、労基法抵触か 労使協定結ばず残業2012.5.17 18:24
 居酒屋チェーンのワタミフードサービス(東京)の一部の店舗で、労働基準法に定められた労使間の正式な手続きを経ずに、従業員に残業をさせていたことが17日、同社への取材で分かった。

 時間外労働をさせるには、労働組合か、挙手や投票によって従業員の過半数の支持を得た労働者代表が「時間外労働・休日労働に関する協定(三六協定)」を企業側と結ぶ必要がある。しかし労組がない同社では、店長がアルバイトの中から代表者を指名し、協定を結んでいた店舗があった。

 厚生労働省は「労基法に抵触する可能性が高い」としている。同社では入社2カ月後の平成20年6月に自殺した女性社員=当時(26)=が「長時間労働による精神障害が原因」として、今年2月に労災認定されている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012051702000093.html
労働条件 言うがまま 協定 店長指示でバイトが署名
2012年5月17日 朝刊

「挙手による選出」と明記されたワタミフードサービスの不正な三六協定届


 あらかじめ時間外労働の上限時間が書き込まれた三六協定届に、店長の指示でアルバイトが署名する−。新入社員森美菜さんが過労自殺したワタミフードサービスでは、違法な手続きで、従業員に時間外労働させていた。会社から一方的に提示された労働条件を、受け入れるしかない従業員。労使対等とは名ばかりの実態が浮き彫りになった。 (中沢誠、皆川剛)

 森さんが働いていた「和民京急久里浜駅前店」(神奈川県横須賀市)。この店の三六協定届には、労使協定を結ぶ労働者側の代表は、「挙手による選出」と印字されていた。しかし、男性アルバイトは「協定届を見たことはないし、挙手で代表を選んだこともない」と打ち明ける。

 「会社側から三六協定の説明を受けたことはない」。首都圏で店長や副店長を務めた男性(30)も、そう証言する。男性は同意した覚えのない協定届を根拠に、毎月三百時間ほど働いていた。

 ある現役店長は「全従業員の意思を確認する時間もない」と明かす。自分の店の時間外労働の上限を知らない店長までいた。

 ワタミによると、毎年の協定更新の際、店長が経験の長いアルバイトの中から代表を指名。すでに時間外労働の上限時間が記載された協定届を印刷し、アルバイトが署名をして本社に返送するやり方が常態化していた。

 ワタミの辰巳正吉・ビジネスサービスグループ長は「大きな不都合やクレームは起こらなかったので、踏襲してきてしまった」と話している。

 <三六協定> 時間外労働を例外的に認めた労働基準法36条の規定から取った通称。同法で定める労働時間は1日8時間、週40時間。この時間を超えて働かせるには、労使合意に基づき書面で上限時間などを定めた協定を結び、労働基準監督署に届け出ることを36条で義務付けている。協定にも月45時間の上限はあるが、上限を超えて働かせられる「特別条項」もあり、労使の力関係で時間外労働は青天井になりうる。

◆労働者の声反映を

 労働問題に詳しい鵜飼良昭弁護士の話 三六協定を結ぶ際に、「百二十時間も働けない」という労働者の声が反映される適切な運用ならば、過労死は防げただろう。労使協定は労働時間や賃金控除など、さまざまな労働条件に影響する問題で、組合のない企業でも、労働者が声を上げられる法制度や環境づくりが大切だ。

252とはずがたり:2012/05/25(金) 16:29:22

一度認められるとその後の状況の変化があっても行政には判らないかね?

次長課長:河本準一さん母の生活保護、「返納したい」
http://mainichi.jp/select/news/20120525k0000e040240000c.html
毎日新聞 2012年05月25日 12時21分(最終更新 05月25日 13時08分)

 人気お笑いコンビ、「次長課長」の河本準一さん(37)が25日、東京都新宿区の吉本興業東京本部で会見し、母親の生活保護受給について適切でなかったと明らかにし「むちゃくちゃ甘い考えだった。5、6年前の分から返納したい」と謝罪した。

 河本さんによると岡山市在住の母親は14、15年前、病気で仕事を辞め、生活保護受給を申請。河本さんは福祉事務所から、面倒を見られないかと問い合わせがあったことを明らかにし、「2、3年前に芸人になったばかりで当時の年収は100万円を切っていた。できないと書いて送り返した」と説明。テレビ出演などの仕事が増えた5、6年前からは「福祉事務所と相談して母への援助額を増やし、問題ないと思っていた。来年の保証もない不安定な仕事だが、それでも親の面倒をみておられる人はたくさんいる。収入が増えてからも受給を続けたことは考えが甘かった」と認めた。仕送り額や受給額については一切明らかにしなかった。返還方法は弁護士と相談して決めるという。母親は今年4月、受給を辞退している。

253チバQ:2012/05/26(土) 00:04:01
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120525-00000108-mai-pol
<生活保護費>支給水準引き下げを検討 小宮山厚労相
毎日新聞 5月25日(金)21時17分配信

 小宮山洋子厚生労働相は25日の衆院社会保障と税の一体改革特別委員会で、生活保護費の支給水準引き下げを検討する考えを示した。また、生活保護受給者の親族らが受給者を扶養できる場合、親族らに保護費の返還を求める考えも示した。

 生活保護をめぐっては、人気お笑いコンビ、「次長課長」の河本準一さんが同日の記者会見で、自分の母親の受給について「適切でなかった」と謝罪した。生活保護受給者は209万人(今年2月時点)と過去最多を更新し続けているが、親族の扶養義務が徹底されていない点も一因とされており、永岡桂子氏(自民)が小宮山氏の見解をただした。

 厚労相の諮問機関、社会保障審議会は現在、生活保護費の支給水準を検証中。都市部では保護費の方が基礎年金より高く、自民党は「生活保護の給付水準の10%引き下げ」を掲げている。保護費カットへの対応について小宮山氏は「御党の提案も参考にしながら検討したい」と述べた。

 また、受給者の親族に一定の所得などがある場合について「一般的には、高額収入があり十分扶養できるのに仕送りしないケースは制度の信頼を失う」と批判し、「明らかに扶養可能と思われる場合は家庭裁判所への調停手続きを積極活用する」と語った。【坂口裕彦】

254チバQ:2012/05/29(火) 20:29:58
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012052602000099.html
過労社会 防げなかった死<上> 急成長ワタミ「労使一体」
2012年5月26日 朝刊

 ワタミフードサービス(東京)に入社して二カ月で自殺した森美菜さん=当時(26)=の同僚だった元男性社員(26)は、入社時の本社研修を忘れない。

 同期の一人が会場で「労働組合はあるんですか」と尋ねると、人材開発部の社員が即座に答えた。「うちにそんなものはないし、必要ありません。問題が起これば迷わず相談してください」。会場がざわめいた。

 四年たった今も、ワタミグループに労働組合はない。「創業者の渡辺美樹氏は社員を家族と言ってはばからない。その思想が背景にある」と元幹部は説明する。だが、“娘”だった森さんの葬儀に渡辺氏の姿はなかった。

 ワタミの法令順守担当の塚田武グループ長は「わが社は労使対等というより労使一体。問題があれば内部通報制度もあり、従業員の意見を集約する機能を十分果たしている」と話す。

 親会社のワタミは創業十四年で東証一部に上場。〇五年にはチェーン店が五百を超えた。社長だった渡辺氏の「二〇〇八年千店舗達成」の大号令に加え、介護分野など事業の多角化にも乗り出す。

 ある店長経験者は「むちゃな拡大路線で現場にひずみが生まれていた」という。元取締役も「会社の急成長の裏でコンプライアンスが追いついていなかった」と語る。

 森さんが自殺した〇八年前後は、ワタミフードサービスで労務管理の問題が噴出した時期だった。三十分単位で勤務時間の端数を切り捨てていた残業代の未払いが発覚し、アルバイトの解雇をめぐる訴訟も起きた。

 ワタミフードサービスは、この年を境に時間外労働の上限を全店一斉に短縮。店舗のパソコンで一分単位で出退勤時間が記録できるシステムに改めた。

 塚田氏は「いけいけドンドンの創業時と違い、会社が大きくなると法令順守が求められるようになり、企業として成熟していった」と説明した。

 ワタミの中堅幹部によると、今年二月、森さんの労災認定を、会社は驚きを持って受け止めたという。中堅幹部は「労働基準監督署は不認定だったし、労務管理も改善が進んだ。森さんの件は社内的には終わった話で、青天の霹靂(へきれき)だった」と明かした。

 森さんの労災認定の際、神奈川労働者災害補償保険審査官が指摘した、森さんの月百四十時間の時間外労働について塚田氏は「当時から異例だった」と言い切る。

 だがワタミフードサービスでは今も、従業員の意思が反映されないやり方で三六協定が結ばれ、労働基準法に抵触する状態が続く。従業員は、経営側の言うがままの労働条件を受け入れるしかない。

 渡辺氏は森さんの労災認定後、短文投稿サイト「ツイッター」に「労務管理ができていなかったとの認識はない」と書き込み、批判にさらされた。

 今月、渡辺氏に三六協定の手続きが適正かなどについて取材を申し込んだが、回答は「遺族と協議中のためコメントは控えさせていただきます」だけだった。

   ×  ×

 手帳に「誰か助けて」と書き残し、新入社員の森さんは自ら命を絶った。「過労死」という言葉が生まれて、今年で三十年。過労死はなくなるどころか、年々増え続けている。会社の利益を追求するあまり、人命が軽視されていく。彼女らの悲鳴はなぜ届かなかったのか。過労死を生む背景に迫る。

255チバQ:2012/05/29(火) 20:30:48
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012052702000161.html
過労社会 防げなかった死<中> 外食大手「うちだけじゃない」
2012年5月27日 朝刊

吹上元康さんがレシピなどを勉強したノートを読み返す父親の了さん=京都市北区で


 「『過労死ライン』を超える時間外労働を認めているのは、うちだけではない」

 二〇一〇年八月の大阪高裁。大手居酒屋チェーン「大庄」(東京)が提出した資料には、他の外食大手十三社十八店で会社側が労働者と合意したとされる残業時間が列挙されていた。月百三十五時間、百二十時間、百時間…。厚生労働省が過労死と関連が強いとする八十時間を上回る数字が並ぶ。

 吹上元康さん=当時(24)=は〇七年四月に同社に入った四カ月後、心機能不全のため死亡した。労働基準監督署の労災認定は下りたが、両親は会社と取締役個人を相手取り裁判に持ち込んだ。過剰な長時間労働を認めていた経営者の姿勢を正したかった。

 吹上さんは大津市の「日本海庄や石山駅店」に配属され、午前九時に出勤し午後十一時すぎまで働くのが常だった。高裁は吹上さんの残業時間を、月七十八〜百二十九時間と認定した。

 自分より経験のあるアルバイトにも気を使い仕込み作業を率先してこなしていたと、同僚は法廷で証言した。「八歳の時の作文で、『食堂屋になりたい』と書いた。自分の店を持つ夢を抱いて入社したが、調理師免許を取る前に倒れてしまった」と、父了(さとる)さん(63)は悔やむ。

 吹上さんの店では当時、時間外労働の上限は百時間とされていた。長時間労働を認めてきた責任を問われた大庄側の反論は率直だった。

 「外食産業界では、上限百時間の時間外労働を労使間で合意するのは一般的だ。他の業界でも、日本を代表する企業でも同様だ」

 過当競争の業界で、自社だけが「健康第一」でやっていては生き残れない。経営側の論理が透けて見えた。

 昨年五月の判決で、坂本倫城(みちき)裁判長は「長時間労働を認識できたのに放置し、改善策を何ら取らなかった」と、社長以下取締役四人に計約一億円の賠償を命じた一審判決を支持。経営者個人の責任をあらためて認めた。

 大庄の主張は日本の働き方を象徴している。総務省の昨年の「労働力調査」によると、二十〜五十九歳の男女の一割強に当たる約五百三万人が「過労死ライン」を超えて働いている。坂本裁判長は判決で「労働者の健康は何よりも守らなければならない」と繰り返し、警鐘を鳴らした。

 厳しい就職戦線をくぐり抜け、やっと内定をつかんだ若者が毎年、過労で倒れていく。「判決は画期的だが、経営者が労働者の命と健康を守る自覚を持たなければ、事態は良くならない」。三十七年にわたり過労死遺族からの相談を受けている水野幹男弁護士は、こう話す。

 吹上さんの裁判で大庄側は、判決を不服として上告した。

256チバQ:2012/05/29(火) 20:31:15
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012052802000082.html
過労社会 防げなかった死<下> 命より大切な仕事って
2012年5月28日 朝刊

過労死防止基本法の制定を目指し議論を重ねる寺西さん(右)と岩城弁護士=大阪市阿倍野区で(提供写真)


 働き過ぎから心身ともに追い詰められる「過労社会」をつぶさに目撃してきたのは、女性たちだ。ある日突然倒れた夫や子どもを日々、会社に送り出してきた。

 「国に要請しても裁判に訴えても過労死は減らない」

 約二百五十人の過労死遺族でつくる「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子(えみこ)さん(63)=京都市=は昨年十一月、衆院議員会館でマイクを握った。議員らを前に「過労死防止基本法(仮称)」の制定を訴えた。

 寺西さんは一九九六年、そば店で働く夫を過労自殺で失った。労災申請しようと、新聞に載っていた電話相談「過労死一一〇番」にかけた。

 応対したのが現在、「過労死弁護団全国連絡会議」事務局次長を務める岩城穣(ゆたか)弁護士(55)だった。「まだ自殺の認定基準はなく、現状では認定は難しい」と寺西さんに告げた後、こう持ち掛けた。「新たな基準を作るために僕も頑張っている。一緒に頑張りませんか」。以来、寺西さんは岩城弁護士と行動を共にしてきた。

 「過労死」という言葉は、三人の医師が八二年に出版した書籍に初めて登場する。当時は、労働者の急死の原因を解明し、労災認定を求めようと、一部の弁護士や医師らが活動を始めたばかり。岩城弁護士は「会社の責任を問う発想はなかった」と振り返る。

 八八年に大阪の弁護士らが始めた過労死一一〇番をきっかけに、遺族が立ち上がる。各地で家族の会が設立され、九一年に全国組織となった。遺族は弁護団と連携し、労災申請や企業の責任を問う裁判を次々と起こした。

 労災認定に数年、裁判ならばさらに数年。会社から協力は得られず、遺族自身が過労を示す内部資料や同僚の証言を集めて回った。勝訴すれば、成功例として会員の中でノウハウを情報交換した。会員の裁判が先駆けとなって判例も生まれ、過労死への社会的関心も高まっていった。


 寺西さんも十年かけて会社側に責任を認めさせ、裁判で和解。家族の会は、労災認定の基準を緩和させる原動力となった。過労死の主因である「脳・心臓疾患」と「精神障害」の労災認定率は、九七年に約13%だったのが、二〇一〇年には約30%にまで伸びた。

 「日本人は身を粉にして働くことを美徳としてきた。法律を作り、こうした働き方を考えるきっかけにしたい」と寺西さん。基本法に、国や企業の責任を明確にし、政府の重点施策に過労死防止を盛り込むことなどを求めている。

 家族の会などは現在、全国で署名活動を行っており、すでに十六万人分が集まった。六月六日に再び、議員会館で集会を開く。

 「命より大切な仕事って何ですか」。家族を奪われた女性たちの訴えから、過労死根絶へ大きなうねりが起きつつある。

  (中沢誠と皆川剛が担当しました)

257チバQ:2012/06/02(土) 19:55:49
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012060102000216.html
<過労社会>和民に労基署勧告 不正な残業是正を
2012年6月1日 朝刊

 居酒屋「和民」などをチェーン展開するワタミフードサービス(東京)が不正な手続きで従業員に時間外労働させていた問題で、労働基準法に抵触すると判断した労働基準監督署が五月下旬、関東地方の和民など三店舗に是正勧告したことが分かった。

 親会社のワタミによると、是正勧告を受けたのは、二〇〇八年に過労自殺した森美菜さん=当時(26)=が働いていた神奈川県横須賀市の店舗も含まれている。ワタミフードサービスは既に改善報告書を労基署に提出した。

 企業が従業員に時間外労働をさせるには、労働基準法三六条に基づき、労使間で労働時間の上限などについて合意した「三六(さぶろく)協定届」を労基署に提出しなければならない。ワタミフードサービスの場合、店舗ごとに従業員の過半数の同意で選ばれた従業員の代表が、会社側と三六協定を結ぶ必要がある。

 同社の三六協定届には、従業員の代表者について「挙手で選出」と記載されていたが、実際は店長がアルバイトの中から代表を指名する不正なやり方が常態化していた。

 ワタミの担当者は本紙の取材に「今後は、店長が従業員の中から代表を推薦し、書面で過半数の従業員から同意を得る選出方法に改める」と説明した。ワタミフードサービスは六月末までに全店の協定届を出し直す方針。

 ワタミフードサービスの不正な手続きを指摘した本紙の報道を受け、厚生労働省は五月十八日付で全国の労働局に、労基署で三六協定届を受け付ける際、労働者側代表の選出方法について不正な疑いがあれば、窓口で確認を取ることを徹底するよう通達を出した。

258とはずがたり:2012/06/04(月) 09:40:07

朝日新聞デジタル
2012年6月1日17時30分
西成版「戦略会議」、大阪市が構想 特区実現へ原案作り
http://www.asahi.com/politics/update/0601/OSK201206010003.html

 大阪市は6月、西成区で医療や雇用、高齢化などの抜本対策を進める「特区構想」の実現に向け、労働者の街・あいりん地区に詳しい学識者やホームレスらの支援活動に携わるメンバーを集めた専門チームを立ち上げる。今秋までに構想原案をまとめ、橋下徹市長に提案する。

 座長に就く予定の鈴木亘学習院大教授(社会保障論)は、大学院生の時から西成でホームレスの健康問題などを研究し、橋下氏の要請で市特別顧問に就任。すでに関係団体との調整や情報収集を進めている。

 メンバーはほかに、水内俊雄大阪市立大教授(都市社会地理学)や松村嘉久阪南大教授(観光地理学)ら観光政策やあいりん地区に詳しい研究者のほか、地元住民らと街づくりを進める「萩之茶屋まちづくり拡大会議」事務局長の寺川政司近畿大准教授や、「釜ケ崎のまち再生フォーラム」事務局長のありむら潜氏も参加。

259チバQ:2012/06/11(月) 22:03:43
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120428/waf12042807000004-n1.htm
【自殺考 被災地から(1)】
津波で助かった命 妻はなぜ、闇の海へ
2012.4.28 07:00 (1/3ページ)[自殺問題]

震災から1年の今年3月11日。岩手・大槌湾に「3」「11」の数字をかたどった船が浮かべられた
 岩手県釜石市。未曾有の大津波から1年がたった。三陸のリアス式海岸特有の入り組んだ湾は、波も立てず穏やかな表情を見せていた。あの日から5カ月あまりが過ぎた昨年8月、この海へ一人の女性が身を沈めた。当時54歳だったその女性は、震災後、避難所の運営にも携わるほど快活な人だったという。津波で助かった命が、なぜ海へ向かわなければならなかったのだろう。

 女性の夫(64)が暮らす仮設住宅は、自宅からほど近い学校のグラウンドにあった。あたりは春を前に、最後の雪が積もっていた。

 2DKの仮設住宅には、妻が自宅から持ち込んだという家財道具があふれていた。生花が供えられた仮の仏壇には満面の笑みをたたえる女性の遺影があった。「お見合いで結婚したんだけど、もう30年も一緒だったんだなあ」。夫は写真に目をやりながら笑った。

 震災まで、家族は夫婦と長男(27)、そして夫の両親の5人暮らしだった。漁業関係の仕事につく夫を支え、自らも積極的に近所付き合いを行う、明るい女性だったという。

 3月11日。自宅にいた女性は間一髪で高台に逃れたが、自宅で横になっていた当時97歳の義父は、黒い津波にのまれ、自宅近くで冷たくなって発見された。

 遠く離れた内陸部の体育館で始まった避難生活で、女性は当初、避難所の運営に携わり、食事の配布などを手伝っていた。しかし、次第に「眠れない」などと、体の不調を訴えるようになったという。


「助けてあげられなかった」自責の念と喪失感


 「おとうさんを助けてあげられなかった」。よくそう言って自分を責めていたという。しかも、亡くなったのは義父だけではなかった。女性の親友や、幼い頃から親しかったいとこまでもが津波で命を落とした。

 「津波で話し相手が一気にいなくなってしまったんですよ」。夫は大きな支えを失った妻の気持ちを思いやった。

 7月、仮設住宅が建って、遠い避難所から地元に戻れることになった。多くの被災者が喜ぶ中で、女性は暮らしていた町へ戻ることを嫌がった。「帰りたくない。海を見たくない」。海辺の町は、忌まわしい記憶と直結していたのだ。ようやく家族だけの生活が始まっても、彼女の不調が改善されることはなかった。


長男の結婚待たずに


 8月20日午前4時ごろに目を覚ました夫は、隣で寝ていたはずの妻の姿がないことに気付いた。散歩にでも行ったのかと、しばらく待ってみたが戻ってくる様子はない。不安になって、心当たりを探し回った。

 海辺で妻のバッグが見つかった。亡くなった親友からもらったものだった。知人が船を出し、波間を漂う妻を見つけてくれた。

 長男の結婚が年内に決まっていた。7月に行った両家同士でのささやかな会食では笑顔で、結婚する日を楽しみにしていたという。「なんでなのかなあ。そのうち孫も生まれるだろうし、これから楽しいこと、いっぱいあるのに」。夫はうつむいた。


生と死の境界、曖昧に


 震災から5カ月を経てもたらされたひとつの訃報。

 「なぜ」。遺族はもとより、被災者を支援してきた周囲の人々もショックを隠せない。

 女性が自ら死を選んだ本当の理由は誰にも分からない。ただ、被災地で聞いた50代の女性の言葉が耳に残っている。

 「釜石では震災で1000人以上の命が失われたんです。奥さんと息子さん夫婦を亡くした方や、80歳のおじいちゃんと孫2人だけ残った家庭もある。ここでは生と死の境界があいまいになっているんですよ」

(文化部・佐々木詩)






 内閣府と警察庁が先週公表した統計によると、日本では14年連続で3万人以上の人が自殺によって亡くなっている。なぜ自ら命を絶たなければならないのか。第1部では、被災地の自殺と心のケアについてリポートする。

260チバQ:2012/06/11(月) 22:04:31
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120428/waf12042812000013-n1.htm
【自殺考 被災地から(2)】
折れる心 自殺を決める「使命の有無」
2012.4.28 12:00 (1/3ページ)[自殺問題]

東日本大震災から1年を迎えた今年3月11日、思い思いのメッセージが書かれたキャンドルライトが灯された=岩手県釜石市(頼光和弘撮影)

家計簿に記されていた“絶望”


 震災から5カ月あまりたった8月20日。海に身を沈めた女性は、日記代わりにしていた家計簿に、こんな言葉を書き付けていた。

 「子供の能力しかなくなった。本当に長い間お世話になりました。ごめんなさい。片付けもできなくなり 子供になりました」

 妻の行方が分からなくなって心配した夫が、妻の枕元に置かれていた家計簿で、この走り書きを見つけた。その文字は震えるようなつたない筆跡で、家計簿の上下を逆さにして書かれていた。

 自宅にいた義父を津波で亡くし、親友やいとこも失いながら、避難所でも仮設住宅に移ってからも、忙しく動き回っていた女性。とくにお盆は自宅に訪ねてくる親類のための応対に追われ、多忙を極めた。

 その反動か、お盆が過ぎると、夕食を作る気力もなくなっていたという。そんな妻に夫は「適当に食べるから気にするな」と声をかけていた。

 「彼女はまじめで責任感があり、家事などを忠実にこなしてきたタイプでしょう」。精神科医の片田珠美さんはこう分析する。

 「お世話をしていた義父を失い、助けられなかったことに罪悪感を感じていたのでしょう。また主婦として、料理や掃除の役目をきちんと果たせなくなったことで、『自分は存在価値がない』と思うようになってしまったのではないでしょうか」


「眠れない…」それは前兆だった


 避難所で「眠れない」などと体調の不良を訴えた女性に対し、看護師や医師は、女性を別のスペースで生活させるなどの措置をとり、女性は一時的に回復した。仮設住宅に移ってからも、避難所にいるときからみてもらっていた看護師が定期的に訪問していた。亡くなる2日前にも、看護師が面談に訪れ、様子を確認していた。

 しかし、夫には今も心に引っかかる出来事がある。仮設住宅に移ってから妻の状態が再び悪化した際、精神的な治療を受けようと、避難所で受診した医師のもとへ妻を連れて行った。ところが−。

 「『熱があるからうちでは診られない』と言われたんです。ほかの病院に連れて行っても同じこと言われて、仕方ないから内科で熱冷ましもらって帰った。もっとちゃんと心のケアが受けられていたらなあ。『ストレス病』なんて、おれは知らないもの」


混乱収まるにつれ増す危険


 大津波を生き延びた被災者に襲いかかるさまざまなストレス。とくに大事な人を失った被災者の心の負担は計り知れない。

 「ただ、意外に思われるかもしれませんが、震災から1年、少なくとも岩手県では、自殺は前年に比べて減少しています」

 そう話すのは、岩手県障がい保健福祉課で自殺総合対策にあたる小川修特命課長。県が公表した昨年3月から今年1月までの自殺者数は、大船渡、釜石、宮古、岩泉、久慈の沿岸5署管内で83人。前年同期と比べると15人少なかったという。内閣府の統計では、福島、宮城両県でも、自殺者は前年を下回っている。

 片田さんによると、大規模災害の発生直後は、命が助かったことへの感謝や生きることへの使命感から、自殺は減少する傾向にあるのだそうだ。

 「ですが、災害発生後の混乱が落ち着いてくると、気分の落ち込みから鬱状態になる人も増えてくる。がれきの処理も進まず、目に見える形で復興が進まない状況では今後、傾向が悪化する恐れがある」と片田さんは警告する。

 震災から1年が過ぎた被災地。長引く仮設住宅での暮らしは、新たに孤独死やアルコール依存の問題を増加させるおそれがある。これらを「消極的な自殺」と表現する精神科医もいる。長期的な継続性が必要といわれる心のサポートは、まだ始まったばかりだ。

(佐々木詩)

261チバQ:2012/06/11(月) 22:05:06
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120429/wlf12042907000000-n1.htm
【自殺考 被災地から(3)】
心の防波堤 津波の経験でも「話す」重要性
2012.4.29 07:00 (1/4ページ)[自殺問題]

雨がやみ、雲の切れ間から太陽がのぞく。被災した建物やがれきの向こうに虹がかかった=昨年10月、岩手・釜石市の大槌湾(大里直也撮影)
 岩手県釜石市の小佐野地区。釜石から内陸の遠野方面へのびるJR釜石線沿いにある仮設住宅には、約50世帯が住んでいる。

 訪問したのは3月3日。仮設住宅の談話室として使われている一室には、支援物資として送られた豪華なひな人形が飾られ、女性たちがいなり寿司を作っていた。時折男性がのぞいては目を細める。

 ひとときの華やいだ雰囲気のなかで、相談員の菊池美奈子さん(44)は住民に声をかけた。

 「これからも楽しいイベントをやっていきましょうね」


心の相談員 自らも傷抱え


 釜石市の社会福祉協議会が中心になって行っている被災者の相談事業。相談員が被災者を訪ね、生活に対する不満や心身の相談を聞き、行政や医療機関に橋渡しをする。

 昨年8月にスタートし、23人の相談者が自宅や仮設住宅、「みなし仮設」と呼ばれる賃貸住宅で暮らす被災者を訪問している。市内を8地区に分け、地区担当の相談員を固定したことで、住民と相談員の間には信頼関係がうまれているという。

 「今でも3月11日当日の話をする方が多い。すぐに泣きだす人もいれば、1時間とか2時間とか、ずいぶん長いこと話してくれる人もいます」

 「でも、話してくれる人はまだいい」と菊池さん。「私は大丈夫」という人や、仕事などで家を留守にしがちでなかなか会うことができない若い世代のストレスが気になっている。「なかなか会えない住人に会えたときは、本当にほっとします」


「あなたの被災は…」に声を詰まらせ


 「高熱が出たのでお医者さんに診てもらったけど、インフルエンザじゃなかった。これから仕事にいってもいいですか」

 2月中旬、ある女性の相談員から事務所に電話があった。

 相談員をとりまとめる高田健二さん(61)は、「お医者さんの言うとおりにした方がいいけれど、大丈夫なら出てきてもらえるかな。ここで何かしていた方が気が晴れるかもしれないよ」と指示した。

 相談事業のスタートから半年あまりが過ぎ、相談員にも疲れが出てきている。相談員は30人くらい必要だが、現状では23人しかいない。当然、相談員一人ひとりの負担が大きい。

 「熱が出たのもきっと疲れのせいだろう。みんな被災者だからな」と高田さんは言う。

 被災地で相談にあたる相談員がつらいのは、相談員自身もほとんどが津波で自宅や肉親を失っていることだ。電話をかけてきた女性相談員も自宅が流されて、狭い仮設住宅での生活を余儀なくされている。一緒に暮らす高齢の親類にも気を遣う。

262チバQ:2012/06/11(月) 22:05:33
 菊池さんも実家が津波で流された。見回りをする中で、津波の経験を聞くとつらくなり、どう対応していいのかわからなくなることもある。「訪問した人に、逆に『あなたはどうだったの』と聞かれ、つい自分のことも話してしまう。私も話す機会があるだけいい方です」と声を詰まらせた。


“ご用聞き”の精神で寄り添う


 高田さんは、相談業務は“ご用聞き”のようなものだという。

 「人の心はうかがい知れない。活発な人でも命を絶ってしまう。原因がわからないから、残された人びとは思い悩む。見回りをすることがどこまで人の命を守れるのかわからないけれど、私たちは訪問を通じて『いつも見守っていますよ』というメッセージを発信していくしかない」

 震災から1年。「一周忌を迎えて、故人への思いを新たにすることで、心の症状が出てくる人が増加することもありえます。見回りにはいっそう神経を使います」と高田さん。

 被災者の心に寄り添う人びとは、自らも心の傷を抱えながら、手探りで見回りを続けている。

263チバQ:2012/06/11(月) 22:06:26
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120429/wlf12042912010013-n1.htm
【自殺考 被災地から(4)】
七回忌までは癒えぬ傷 「黙々と耳を傾ける」支援を
2012.4.29 12:00 (1/3ページ)[自殺問題]

高台の津波避難所に向かう急坂に掲げられた「津波避難所」の案内板。何気ない風景も生々しい記憶を呼び起こす=岩手県釜石市(松本健吾撮影)

動き出したネットワーク


 震災直後、さまざまな団体が心のケア支援に被災地に入っていたが、長期的・継続的なケアを行うため、自治体はそれぞれ、県や医師会などと連携したネットワーク作りに奔走している。

 釜石市では昨年5月ごろから、全国心理業組合(東京都港区)や、自治医大の同窓会有志などの団体が、それぞれ現地に入り、被災者の心のケアを支援していた。市はこれらの団体との連携を進め、「釜石市こころのケア対策関係者連絡会議」を立ち上げ、1月から実質の運用を開始している。

 ネットワークでは市内を8つに分け、それぞれに「生活応援センター」を設置。1人ずつ保健師を配置した。さらにセンターを3つに分けて全心連が2カ所、岩手県臨床心理士会が1カ所を担当。相談を受け付け、必要に応じて訪問やカウンセリングを行う。また、釜石保健所などを通じて、医師との橋渡しも行う。

 自殺対策を担当する健康推進課は、市役所本庁舎にほど近い、釜石のぞみ病院の2階の保健福祉センター内にある。午後6時すぎ、夕食をはこぶカートの音だけが響く病院で、このフロアにだけはこうこうと明かりがともり、職員たちが忙しそうに動き回っていた。

 保健師の洞口祐子さんはこの日、ネットワークに関する会議に立て続けに出席し、ようやく本来の保健師としての業務に手をつけようとしていた。家には寝に帰るだけ。それでも、睡眠時間が取れなかった震災当初に比べれば、よくなった。

 動き出したネットワークを周知したい。軌道に乗せて被災した人みんなに目を向け、心や体の不調を発見したい、という強い思いが彼女を突き動かす。


ボランティアはありがたい ありがたいけれど…


 洞口さんには、悔しい思いがある。

 昨年秋ごろ、病を抱える被災者の対応した。入院治療が必要だが、仮設住宅を離れることをなかなか了承しない。職員らは日に何度も訪問し、住人を説得して入院の段取りを決めた。

 その直後に、看護師資格を持つボランティアがこの被災者を訪問した。ボランティアは市の対応状況を知らず、「なぜこのような状態でここにおいておくのか」と叱責の電話をかけてきたという。

 「住人の方も混乱しました。入院当日の交通手段の確保まで、念入りに段取りを考えたのに、また一から始めないといけなくなるところだった」と洞口さん。住人は無事に入院することができたが、後日、ボランティアが所属していたNPOの代表らが市の仮庁舎を訪れ謝罪したという。

 市の対応を知らないボランティアがそれぞれ活動し、統率がとれない現状はいまもある。受け入れる行政には歓迎したいと思う半面、困惑を抱えていることの事実だ。生活応援センターで活動する保健師らには「違う人が来て、毎回同じようなことを聞かれる」という苦情も寄せられているという。心のケアが心の負担になりかねない。

 「心のケアの支援で活動したいと電話してくださる団体は、お断りすることもあります。でも、私たちの知らないところで活動している団体に関しては把握すら難しい」

ただ「聞いてくれる」だけでいい


 被災した人のなかには話したいことをたくさん抱えている人がいる。被災者が語る話に、ただ耳を傾けるという「傾聴」は、心のケアにとってとても大切なことだ。「被災者の話を聞いてくれるボランティアは来てほしい。でも、傾聴に徹してほしい」。それが洞口さんの本音だ。

 震災から1年が過ぎたが、心のサポートは7回忌を迎えるまで必要といわれる。心折れそうな人びとに対して、何を、どこまで行えば必要十分な支援となるのか。答えが出ない問いの中で、心のケアに携わる人間たちは動いている。

(佐々木詩)

264チバQ:2012/06/11(月) 22:07:08
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120430/wlf12043007000002-n1.htm
【自殺考 被災地から(5完)】
5月に増える自殺 「働く喜び」が支える心の安定
2012.4.30 07:00 (1/3ページ)[自殺問題]

魚市場が再開し、イカやサバなどが水揚げされる。漁師たちはこの光景が早く日常になることを願っている=岩手県釜石市
 大津波は漁業にも大きな打撃を与えた。北海道から千葉県まで、漁船や加工施設など漁業関連の損失は約1兆2千億円にものぼるという。復興に向けて漁を再開した関係者もいれば、いまも職を失ったままの人も少なくない。


津波への恐怖か 生活への不安か


 住み慣れた海辺の集落を離れ、岩手県釜石市内の山間の仮設住宅で一人暮らしをする女性(60)は、震災前まで同県大槌町の冷蔵施設で働いていた。沿岸部の工場はほとんどが流されたため、同じような仕事はない。60歳という年齢と、自動車の免許を持っていないことがハンディとなり、新しい仕事を見つけられずにいる。

 「震災直後は津波を思い出して眠れず、薬をもらったりしていたけれど、先月失業手当が切れてからは、仕事が見つかるか心配で眠れない」。心配し訪ねてくれる友人の姿を見ると、涙がこぼれるという。

 被災した人たちが「心配で夜も眠れない」というとき、それが災害の恐怖によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)なのか、生活再建のめどが立たないために希望が見いだせないのか、という点は見極めが必要だ。前者に必要なのは心のケアだが、後者に必要なのは就労支援だ。

 釜石市の心のケアを担当する健康福祉課の保健師、洞口祐子さん(53)も「精神的なケアだけでは限界がある。就労支援が心のケアにつながることを感じます」と話す。

 内閣府と警察庁が発表した昨年の全国自殺者数は、5月に急増。震災を受け、4、5月に企業倒産が増加したことなどから、「震災をきっかけに経済リスクが広がり、自殺に影響した可能性がある」と指摘した。経済不安は自殺と密接に関わっている。


もともと仕事のない地域…


 釜石市の国道283号沿いに、「ハローワーク釜石」がある。釜石市と隣接する大槌町などの求職者が仕事を探しにやってくる。30台ちょっとの来館者用駐車場には午前中からひっきりなしに車が出入りし、ほとんどのスペースが埋まっている。

 ハローワーク入り口付近の掲示板に貼られた求人情報に熱心に目をやっていた、市内に住む女性(42)は、働いていた水産加工会社が津波で流されて職を失った。国の求職者支援制度を利用し介護の資格を取得したが、なかなか求人がないという。「もともと仕事がないところに震災だもの。いっときよりは増えたけど、難しいね」とため息をついた。

 岩手労働局によると、岩手県沿岸部の雇用保険受給資格の決定者数は、1万2546人(1月22日現在)で、前年の3倍近くに膨れあがっている。昨年10月から、雇用保険の給付期間を最大210日延期する措置が取られたが、条件に満たなかった被災者から、給付期限がきている。


海の仕事で食べていきたい


 岩手労働局では昨年4月から、車を流され移動が制限される被災者らのため、臨時に採用した就職支援ナビゲーター30人を避難所や仮設住宅に派遣する出張相談会を実施している。雇用保険の給付に関する質問を受けるほか、端末を利用してリアルタイムで求人情報を提供している。

 当初からナビゲーターとして活動している田中寿さんによると、釜石市の求人はほぼ震災前の水準まで回復しているという。しかし、その多くが雇用期間限定の非正規雇用。もちろん被災者には、突然奪われた仕事への愛着がある。田中さんは「被災者の多くは一つのところに長年勤めてきた。職選びにも葛藤を抱えています」と分析する。

 漁業関係者が住民の3分の2を占める釜石市箱崎町では、残った船などを使って共同で漁を再開した。しかし漁獲は震災前の3割ほど。60代の漁師は「今年、海で食べられないと貯金を切り崩して生活することになる、そうなればもう漁業に戻れなくなる」と危機感をつのらせる。

 心の安定のためには、生活の安定が必要だ。なすべき支援は、まだまだ多い。

(佐々木詩)


=第1部おわり

265チバQ:2012/06/11(月) 22:45:32
http://jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012060800182
昨年5月、自殺者2割増=震災後の社会不安遠因か−政府白書
 政府は8日午前の閣議で、2012年版自殺対策白書を決定した。11年の自殺者数は前年比1039人減の3万651人と14年連続で3万人を超えた。月別では東日本大震災後の4月から6月までの3カ月間は前年を上回り、特に5月は3375人と前年同月比21.3%の大幅増だった。
 自殺者は10年から2年連続で減少し、11年は14年ぶりに3万1000人を下回った。こうした中、震災後に一時増加した理由として、生活苦や家庭内不和、健康問題などを挙げた。ただ、地域的な偏りはみられないことから、内閣府は「大震災で全国的に社会不安が広がり、増加につながったのではないか」と分析している。(2012/06/08-09:47)

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266チバQ:2012/06/12(火) 20:15:03
http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000001206120001
男性「パワハラだ」会社「適切な指示」
2012年06月12日


2008年度上期業務計画で、男性は「再就職探索活動に専念し、それに見合った行動を起こす」と、会社側から方針を示された。

 「あなたの仕事は転職活動」。職場でこうした指示を受けたとして、明和町の50代の男性が「退職を迫るパワーハラスメントだ」と訴えている。転職できずにいると、細々と与えられていた業務も一時はすべて取り上げられた。一般労働組合に加入し、団体交渉をしたものの、会社側はパワハラなどの事実を否定。約5年間、問題が解決していない。


 男性が働いているのは、県内のメーカー子会社。


 男性の説明によると、勤続25年近くで管理職だった5年前、社長から転職活動を勧められた。「従わないのならば降格する、などと言われ、怖くなって同意してしまった」


 納得できないまま、出勤後にハローワークに通う日々が始まった。


 男性の勤務先の会社は取材に、「社内規定に基づいた再就職活動支援で、本人の同意もある」と説明。社長は「男性は一度も拒否していない」と主張する。


 一方、男性は「普通の仕事がしたいと伝えたが、『新天地を探すことが仕事だ』と言われた」と話す。会社によると、制度を使い転職した社員はいない。約1年半に及んだ転職活動を取りやめたところ、「すべての仕事を取り上げられた」と訴える。


 それでも会社にとどまる意思を示した男性に対し、会社が与えたのは、所属部署内のごみ箱の中にあるごみの重さを一つずつ量り、それぞれパソコン上に記録を残す仕事だった。男性は「ごみ箱の配置図も作るように命じられた」。使う人の都合で位置が変わるたびに作り直したという。


 会社は「ごみとごみ箱の削減に役立った。ほかの社員がごみ捨てに行く数分を節約できるようになり、その分を作業に充てられた」として、適切な指示だったと主張する。男性は「意味のない作業だった」と訴えており、説明が食い違う。


 男性はこれまで、胃潰瘍(かいよう)やストレス性のうつ病を患い、2度休職した。食べ物の味がしなくなったり、眠れなくなったりした。収入を断つわけにもいかず、うつ病の再発を防ぐために、精神安定剤を服用して働いている。


 現在も監督責任のある職級なのに、段ボールなどを片づける仕事しか与えられていない。


 男性は、一般労働組合に加入し、会社側と17回の団体交渉をしたが、解決には至らなかった。


 社長は、男性に仕事の能力はあるとしながらも「監督職としての適性に乏しい。周りの人ともうまくやれない」と話している。


■職場のパワハラ 無料で電話相談


 三重一般労働組合(ユニオンみえ)は23、24の両日、職場でのパワハラの相談に無料で応じる「パワハラ・ホットライン」(059・225・4088)を開設する。


 ホットラインは、午前9時半〜正午。秘密厳守。津市桜橋3丁目のユニオンみえ事務所でも面談できる。


 24日には、午後1時から津市桜橋2丁目の三重教育文化会館で、パワハラ問題に詳しいジャーナリストの金子雅臣さんによる講演会もある。入場無料。


■立証難しいケース多い


 厚生労働省が設置した有識者会議は今年3月、パワハラの典型例として、身体的な攻撃▽精神的な攻撃▽人間関係からの切り離し▽過大な要求▽過小な要求▽個の侵害――の6類型にまとめた。しかし、これは法律ではないため、改善するかどうかはあくまでも職場の努力という見解だ。


 パワハラ裁判の経験がある津市の加藤寛崇弁護士は「客観的証拠が少なく、立証と違法性の判断が難しいケースが多い」と指摘する。「仮に裁判所がパワハラを認定しても刑事罰はなく、慰謝料も安いため、泣き寝入りも多いだろう。企業にとってパワハラのリスクが低いので、抑止が働きにくい」(保坂知晃)

270とはずがたり:2012/06/14(木) 13:39:11

厚労省、困窮者貸し付け拡大へ 生協などの支援を検討
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012061301001852.html
2012年6月13日 19時34分

 厚生労働省は13日、消費生活協同組合の一部で実施している家計指導をセットにした生活困窮者向け貸し付けを、全国の生協や地域金融機関に拡大するため、支援態勢を整備する検討に入った。

 お金の管理方法や家計の問題点をアドバイスする「家計指導員」を同省が養成し、困窮家庭に派遣。きちんと返済できるよう指導し、生協などが無担保で少額のお金を貸し出ししやすくする。

 生活に困っている人の支援策として、月内に策定する「生活支援戦略」の中間まとめに方針を盛り込む。モデル事業を2013年度にも始め、15年度からの本格実施を目指す。
(共同)

271チバQ:2012/06/17(日) 12:37:46
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120609/wlf12060908010001-n1.htm
【自殺考 不況の中で(1)】
心のケアでは救えない 格差、無職、独り者
2012.6.9 08:00 (1/3ページ)[自殺問題]

炊き出しを受ける日雇い労働者たち。「あいりん地区」では、自ら死を選ぶ人も後を絶たない=大阪市西成区(土井繁孝撮影)

“自殺の街”大阪市。西成区は常に最悪レベル


 「ここに暮らしている人は、大なり小なりみんな死について思っているのではないでしょうか」

 日本最大の日雇い労働者の街、大阪市西成区のあいりん地区で、路上生活者らの支援を行うNPO法人釜ヶ崎支援機構の山田實理事長(61)が言う。

 同機構では、仕事に就けなかった人を対象に道路清掃などの仕事を低賃金で斡旋(あっせん)している。なぜか。

 「人はパンのみに生きるにあらず、です。仕事から得るのはお金だけでない。低賃金でも仕事をしているという誇りを得ることができる。働きたくても求人がなく、働くことができない労働者は『必要とされる誇り』を失うんです」と山田さん。

 高度経済成長期、あいりん地区には全国から日雇いの職を求める人々が集まった。バブル景気の時代には、鉄道の線路に囲まれたわずか約20ヘクタールほどの地域に2万とも3万ともいわれる人々が暮らしていた。

 しかし平成初頭のバブル崩壊、近年のリーマンショックなど不景気の波を最初にかぶり、最後まで上向かないこの街では、自ら死を選ぶ者も後を絶たない。建設工事は減少し続け、現場は自動化が進んで特殊な技能が必要とされることも多くなった。

 大阪万博(昭和45(1970)年)の会場や高速道路建設を下支えした、力と経験が自慢の労働者らの誇りは風化してしまった。この地区に暮らす60歳代の男性は「自殺したら周りに迷惑をかける。でも、いつも明日は目を覚ますことなく死んでいたらいいなあ、と思います」とつぶやく。

 生きる使命を失った時、人は死を身近に感じてしまうのだ。





 自殺者が毎年3万人を超えるわが国。中でも大阪市は人口10万人あたりの自殺死亡率が極めて高く、市内24区の中でも、西成区は常に自殺者数は最悪レベル。同市によると、平成22(2010)年の自殺死亡率は西成区が68・9人、次いで浪速区が43・7人、平野区が32人。2番目や3番目は入れ替わるが、西成区の多さは変わらない。

 あいりん地区に限らず同区では、自殺者に多い境遇として近年問題視されている生活保護受給と高齢者の独居率が高い。出口の見えない不況に洗われる現代の格差・高齢社会の縮図だ。

 大阪市では、平成18年に施行された国の自殺対策基本法を受けて市内の状況を調査、21年に「大阪市自殺対策基本指針」を策定した。精神科救急医療体制の強化や自殺未遂者に対する支援の充実などを図ってきた。しかし、思うように効果は上がっていない。

 この対策の重要な柱である「こころの健康センター」(大阪市都島区)精神保健医療担当課の永井照佳さんは、一般的に自殺者が減らない要因は景気悪化による雇用問題が大きいと指摘する。その上で「景気が回復してくれれば自殺者は減ると思います。でも何もせず、回復するかどうかわからないものを待っているだけでは仕方がない。今、救える命を救いたいんです」と話す。

 しかし、同センターのある職員は本音を吐露した。

 「景気が悪く職に就けない。その問題を解決せずに、心のケアをしているだけでは、人は救えない」




 

 釜ヶ崎支援機構の山田さんが、死への願望が底辺に流れると語るあいりんの街で、生きることをやめてしまった男性がいた。

=次回「あえて孤独死」は9日夕に掲載

272チバQ:2012/06/17(日) 12:39:00
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120609/wlf12060918010022-n1.htm
【自殺考 不況の中で(2)】
3万人に含まれない 自ら食断ち「孤独死」
2012.6.9 18:00 (1/3ページ)[自殺問題]

「ドヤ」と呼ばれる簡易宿泊所=大阪市西成区(大塚聡彦撮影)

日雇い肉体労働も求人が半減 若者にも影


 昨年11月20日、“とっつぁん”は死んだ。75歳だった。

 大阪市西成区萩之茶屋のマンションの一室で、介護のケアマネジャーが発見した。とっつぁんは床に足を投げ出して座った状態で、ベッドにもたれかかるように死んでいた。自ら食べることをやめた結果だった。





 とっつぁんの本当の素性を知る人はほとんどいない。この街では、過去を語る人はほとんどいないからだ。少なくとも10年前にはあいりん地区にきていたという。

 わずかにとっつぁんを知り、亡くなるまで交流があったという男性(69)は、「政治や社会問題の話題ができるのはあの人だけだった」と振り返る。

 資産家の家に生まれ、東京の大学を卒業したが家の金を使い込んだ、と話していたという。亡くなった部屋から広辞苑と源氏物語が見つかったというから、大卒は嘘ではなかったかもしれない。

 とっつぁんと男性は約5年前に簡易宿泊施設から単身向けのマンションに移り住んだ。男性が受け取っていた年金は月6万円ほど。最低限の生活費で無くなる額だ。当初はパートの仕事で食費を工面していたが、その職もなくなった。

 仕事をして食べていきたい。でも仕事がない。実際、あいりん地区の求人数はこのところ、激減している。西成労働福祉センターによると、リーマン・ショック前の平成19(2007)年と比べると約4割減少している。

 ためらい悩んだすえ、男性は生活保護を申請した。「とっつぁんも同じような生活をしていた。足りない分は生活保護を受けていた」という。

 長期の失業とマンションでの独居、生活保護の受給。年を重ねていくさなか、ケガが拍車をかけた。

 自転車で転倒して足を骨折し、松葉づえが必要な体になったのだ。

 このころから、とっつぁんは死を口にするようになった。「(自分の部屋がある)10階から飛び降りたら楽になれるのにな」。男性は「最初は冗談だと思っていました」と振り返る。しかし日増しに酒量が増え、食が細っていった。

 アルコール依存症の治療のため入院した病院からも、すぐに「脱走した」と戻ってきたという。

 亡くなる約1カ月前、男性はとっつぁんの部屋を訪ねた。男性がちゃんと食べるよう促すと、「『もういい。医者にもかからず自然に死ねるのがありがたい』と言うんです」。

 その後、とっつぁんは一切の食を断ったようだ。

 警察によると、こうした死は通常「衰弱死」とされ、毎年3万人を超える自殺統計にはカウントされない。近年は「孤独死」と呼ばれるようになった。自殺と他の死の境界は限りなくあいまいになっている。

 とっつぁんを死に追いやった状況は、実はそんなに特殊なことではない。

 こころの健康センター(大阪市都島区)の精神保健医療担当課の松本孝博課長は、「この人には全てが集約されています。独居や生活保護受給に加え、長期の失業、アルコール依存の問題もある。しかしすでにこうした状況にある高齢者は、全国に数多くいらっしゃるはずです」と言う。

 そしてその危機は高齢者だけの問題ではない。不況は、すでに若者にも黒々と影を落としている。

=次回「若者の自殺」は10日朝に掲載

273チバQ:2012/06/17(日) 12:39:59
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120610/wlf12061008010003-n1.htm
【自殺考 不況の中で(3)】
倍増…若者の死因、半数は自殺 「就職失敗」心壊す
2012.6.10 08:00 (1/3ページ)[自殺問題]

就職セミナーで、真剣なまなざしで基本マナーを学ぶ学生=大阪市中央区の「大阪学生職業センター」
 「自分は(世の中から)必要とされていない。それならいっそ、これで終わりにしたいとずっと自殺のことを考えていました」

 現在NPO法人のスタッフとして働く男性(25)が重い口を開いた。男性は2年前に大学を卒業したが、就職先は見つからなかった。「何社にエントリーしても、その都度だめで、だんだん気分がめいってしまった」と振り返る。

 大学を卒業してからもアルバイトに出かけていたが、“普通の会社員”が働いている時間に出歩くと「あの子、就職できなかったんじゃないの」という目で、周囲から見られているような気がしてきた。世間の目が煩わしくなり、「ほぼ引きこもり状態だった」という。親の言うことにもいらだちを感じ、もやもやした思いを相談する相手はいなかった。「自殺」の文字が絶えず頭をかすめた。





 長引く景気の低迷による就職難が、若者の命を脅かしている。「健康問題」や「家庭問題」など、複数の要因が重なり自殺に至るとされるが、若年層のなかで顕著に増加している動機がある。

 「就職の失敗」だ。

 自殺対策基本法(平成18(2006)年施行)を受け、自殺の動機を調査する警察庁によると、平成23年の自殺理由の中で「就職の失敗」は10歳代が9人、20歳代は141人。統計を取り始めた19年には10代が0人、20代が60人だったことから、この5年間で2・5倍に増加したことになる。

 厚生労働省の人口動態調査(22年)によると、15歳から39歳までの死因は「不慮の事故」やがんなどを抜いて自殺がもっとも多い。20〜24歳では約5割にもなる。

 こうした現状に国や自治体の機関などでは自殺防止対策が行われるが、思い詰める若者は減らない。せっかく就職した会社を簡単に辞め、アルバイトで食いつなぐ独居の若者。自殺を勧め、呼びかけるような内容の「自殺サイト」の存在。社会問題化している練炭による集団自殺は、若者にとって自殺が身近なものになる要因が存在し続けていることを明瞭に示している。





 新卒者を専門に受け付けるハローワーク「大阪学生職業センター」(大阪市北区)には毎日たくさんの学生が訪れる。端末で求人情報を閲覧できるほか、ジョブサポーターと呼ばれる就職活動専門の支援員が面接の練習や提出書類の添削などに無料で応じている。

 上席職業指導官の小阪博さんは「面接が思うようにできなかったと泣き出す学生や、威圧的な面接を受けその後の面接に臨めなくなった学生もいます」と話す。サポーターはこうした学生を根気強く励まし、面接の練習を繰り返す。センターでは週2回、臨床心理士が駐在しており、相談を受ける前にカウンセリングを勧めたのは昨年延べ140件だった。

 この傾向は同センターと同じフロアにある既卒者向けの「大阪キャリアアップハローワーク」ではさらに顕著だ。臨床心理士の相談室は常に予約が入っている。週2回の相談で年間で延べ約400件のカウンセリングを行っているという。「状況をみて、精神科の受診を勧めることもあります。相談にこなくなった人のなかには自殺した人もいるかもしれません」とキャリアアップハローワークの藤本博一室長は厳しい表情を見せた。

 NPOのスタッフ男性も述懐する。

 「自分の人生、これではいけないとカウンセリングに通い出してから道が開けた。でも、もしかすると自分も自殺していたかもしれないんです」

=次回「飛び降り前の電話」は10日夕に掲載

274チバQ:2012/06/17(日) 12:41:04
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120610/wlf12061018000018-n1.htm
【自殺考 不況の中で(4)】
飛び降り直前の電話 相談1割に満たぬ背景
2012.6.10 18:00 (1/3ページ)[自殺問題]

平成23(2011)年は3万651人。就職活動の失敗を苦に若者が自殺するケースが目立つ。各地で防止のための啓発・講演活動、電話相談が行われている=奈良市(山本考志撮影)

月600件「まず、その場から離れて!」


 小さな部屋に置かれた机の上にある一台の電話が鳴る。受話器から聞こえてきたのは「いま、ビルの屋上にいる」という言葉だ。

 大阪市内で活動する「大阪自殺防止センター」にかかってくる相談の電話はときに一刻を争う状況の場合がある。相談員は「とにかく、その場から離れて」と促し、話を聞く。しかし、電話を切ったあとどうなったのか知るすべはない。

 「電話相談は1カ月で600件受けています。でも、電話の受信記録をみると取れなかった電話が6千件もあるんです」。同センターの深尾泰所長(61)は、今年5月にスタートした相談員の養成講座で受講生に訴えた。

 話をしたい人はたくさんいる。でも相談員の数が足りない。同センターは平成22年(2010)、ボランティア相談員の減少から、24時間対応だった電話相談を金曜日から日曜日の57時間に短縮した。最大約120人いた相談員は今は約30人だ。

 減少の理由は分からないという。もともと主力だった40〜50歳代の主婦層が介護など身の回りの重大事に時間を取られるなどしているのでは、と深尾さんは推測する。そして、受ける相談の内容は重い。

 同センターは、昭和53(1978)年に発足。その後、英国で始まった自殺防止活動に賛同して国際組織に加盟した。いまでは活動は東京や宮崎にも広がっている。活動目的は相談者の言葉に寄り添うこと。他の相談窓口を紹介したり、アドバイスしたりすることはない。心情の吐露を受け止めることで、相談者が自ら次の一歩を踏み出す手助けをしている。

 バブル景気の崩壊後続く不況下においてもこの姿勢は一貫している。「ただ実感として3、4年前から失業や就職難に悩み、電話をかけてくるケースが増えています」と深尾さんは語る。

 相談員は「気持ちが楽になった」という言葉を励みに活動を続けるが、全員がそう言って電話を切るわけではない。「話を聞いてくれてありがとう。でも自分の考えは変わらない」と電話が切れることもあり、相談員は自分の対応は間違っていたのかと悩む。

 一方、センターで実施した講座を含む研修には初日に、20歳代から60歳代の男女16人が参加した。

 しかし研修が進むと実際に電話を取ることもあり、自分には荷が重いと辞退する参加者もいる。

 電話には、遺族からの相談も多い。同センターでは平成12(2000)年から「遺族の会」を開催している。

 センター側は会場を設定し、場所を提供するだけ。数人から十数人の遺族が集まり、話したいタイミングで話す。

 会の数は少しずつ増えている。センターから独立して活動している会もある。大阪市と堺市で遺族の会を開く「ぬくもりの会」だ。

 設立に携わった田内誉広さん(43)は心理カウンセラー。仕事を始めて間もなく、3歳下の弟が自ら命を絶った。遺書はなく、原因がわからない。「心のケアを仕事としていながら、命を助けられなかった」と自責の念に駆られた。

 「弟に胸を張れるよう、自殺から目を背けてはいけないと思うようになり」遺族同士が思いを分かち合える場を作った。自殺者の何倍も遺族がいる。多くの遺族が自殺を公表せず、誰にも胸の内を伝えられずに苦しんでいるからだ。

 田内さんは言う。「会のなかで『自分も死にたい』と言えるのがいい。否定も肯定もせず『わかる』とうなずいてくれる。みんな気持ちをはき出したい。大阪は遺族の会が多い方ですが、もっとたくさんあっていいと思います」

 大切な人を失った遺族まで孤立させてはならない。

275チバQ:2012/06/17(日) 12:42:08
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120611/wlf12061108010000-n1.htm
【自殺考 不況の中で(5)】
普通の人3割「考えた」 未遂30万人…社会復帰の重圧
2012.6.11 08:00 (1/3ページ)[自殺問題]

世界自殺予防デー(9月10日)にあわせた「自殺予防週間」では、「心の健康管理」メンタルヘルスに関する啓発にも注力=大阪市中央区の大阪商工会議所国際会議ホール

鬱病で休職50万人…社会の損失2・7兆円


 大阪市内に住む30歳代の女性は、26歳のころに自殺を意識していたという。就職を機に親元を離れ1人暮らしを始めたが、会社から帰宅しても「お帰り」の声がない。そのとき、ふと寂しさを感じた。

 「仕事でつらいときも親に迷惑をかけたくないので相談できなかった。本当のことを話せる相手がいなく、どんどん孤独感が深まりました」

 何年もそうした状況を過ごすうち、女性は衝動的なリストカットを繰り返すようになった。

 幸い、痕に気付いた友人の存在で立ち直ることができたという。ささいな愚痴にも寄り添い、話を聞いてくれる友人が、女性を孤独から救い上げた。





 自殺者が3万人を超えたのは平成10(1998)年。その前年まで2万4391人だったのが、3万2863人と急増した。統計が始まった昭和53(1978)年以降、3万人を超えるのは初めてだった。以降、14年間自殺者数が3万人を切ることはない。こうした状況のもと、「死にたい」という感情は、社会の中に広がっている。

 今年1月に内閣府が成人男女3千人を対象に行った意識調査で、4人に1人が「自殺したいと思ったことがある」と回答した。

 むろん若者の自殺の大きな要因となっている就職の問題に関しては、好材料もある。「大阪学生職業センター」の小阪博上席職業指導官によれば、若年層の雇用を制限していた会社が、将来の経営維持のため採用を再開するケースも増え、求人数も増加傾向にあるというのだ。

 しかし、平成9(1997)年に起こった北海道拓殖銀行や山一証券など、大手金融機関の破綻後、銀行の貸し渋りなどの影響は全国に広がり、40〜50歳代の男性が自殺者数を押し上げた。自殺者3万人の時代は経済問題が招いたともいえる。

 以降、自殺は身近な問題となってしまった。死への意識は知らないうちに社会全体に広がり、今回の調査で「死にたい」と考えたことがあると答えた年代層は20歳代がもっとも多い(28・4%)という結果が現れている。





 自殺の衝動に駆られる背景には、鬱(うつ)病が関わるケースも多い。

 「現在、鬱病で休職している人は推計で50万人を超えます。自殺と鬱による社会的損失は2・7兆円にもなるとされています」。そう話すのは企業に対するメンタルヘルス支援を行う「フェアワーク・ソリューションズ」(東京都中央区)の事業本部長で精神科医の吉田健一さん(39)。精神疾患からの職場復帰支援は緊急の課題だと訴える。

 こうした状況を受け、国も労働安全衛生法を改正して今年度中にも企業におけるメンタルヘルス対策の義務化を予定しているという。

 しかし、うつ病での休職以上に自殺未遂者の職場復帰は困難なものになる。

 大阪自殺防止センター所長の深尾泰さん(61)も「自殺未遂者は自殺者の10倍いるといわれています。既遂でなくても周囲には大きなショックを与える。しかし、上司や同僚に対するケアや復帰までの支援体制は確立されていません」と話す。職場復帰の重圧が自殺未遂を繰り返すことにつながりかねない。

 「がむしゃらに働くことがよしとされ、それができなかったり、はずれてしまった人が再びチャンスを得られる社会ではない。自殺が社会全体の問題だというのは、こういう点にもあるのかもしれません」

 経済成長を最優先する中で起こった核家族化や地域のつながりの希薄化に加え、不況下では企業内でさえ安定的な人間関係の形成が難しい。失われた「人とのつながり」に、もう一度目を向けることが自ら命を絶とうとする人を救うことにつながるように思う。

=第2部おわり

276チバQ:2012/06/20(水) 23:30:43
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120620-00000553-san-bus_all
NTT、新卒者の昇給率抑制 来年度から雇用延長制度導入で
産経新聞 6月20日(水)14時37分配信

【中小企業アンケート】65歳再雇用義務化(135社回答)に関するアンケートでは賛成が47%と反対の40%を上回った(写真:産経新聞)

 NTTは雇用制度を抜本的に見直し、来年度から65歳までの雇用延長制度を導入する。来年度以降の新卒者の昇給率を低く抑える一方、現在の選択制による退職・再雇用制度を廃止し、希望者は65歳まで雇用契約を延長できるようにする。雇用延長を求めていた労組も基本的に受け入れる方針で、7月中にも労使で詳細を詰める見通しだ。

[愛社ランキング・ベスト50]NTTは? ワースト1には意外な名前

 政府は3月に高年齢者雇用安定法改正案を国会に提出しており、成立すれば、企業は平成25年度から希望者全員の65歳までの雇用延長が義務付けられる。NTTは改正案の成否にかかわらず、独自に雇用制度を改正する。

 同社がいち早く雇用延長制度の導入を打ち出したのは、東日本大震災後の通信回線の復旧作業などで、ベテラン技術者の不足が問題になったためだ。雇用安定によって、グループの求心力を高める狙いもある。

 経営側が労組に提案した「新たな60歳超継続雇用スキーム(枠組み)」は50歳と60歳で選択する退職・再雇用制度を廃止。60歳で210万円だった年収を300万円程度(標準)、400万円程度(熟練技能者)にそれぞれ引き上げる。高齢者雇用給付金制度など100万円弱の公的助成の終了を見込み、増額する。

 一方、初任給は現在と同じ水準を維持するが、昇給度合いは緩やかになる。関係者によると、50代では年収で100万円以上減る可能性があるが、65歳まで働く場合は増加が見込まれるという。

 労組は7月11〜12日に開く全国大会で雇用延長制度について議論し、7月中にも具体的な賃金体系などについて労使で協議する。

 厚生労働省が昨年行った調査では、希望者全員が65歳まで働ける企業(従業員301人以上)は23・8%にとどまっている。

277チバQ:2012/06/24(日) 14:30:41
http://mytown.asahi.com/miyagi/news.php?k_id=04000001206200002
「復興過労死」が相次ぐ
2012年06月20日

 東日本大震災の復興工事などで仕事が急増し、過労死したり休職に追い込まれたりする事例が相次いでいると、過労死問題に取り組む弁護士らが19日、発表した。


 発表した土井浩之弁護士によると、県内に住む技術職の50代男性は、通常業務に加えて復興関連業務に携わった。昨年3月から9月まで1日も休みがなく、自殺に追い込まれたという。また、仙台市の研究開発職の50代男性は、開発施設が取り壊されたため作業が遅れていた。社内の対立する部署から批判を受け、退職後に自殺したとされる。


 いずれも過労が原因だとして、労働基準監督署に労災申請をしたり申請の準備をしたりしている。土井弁護士は「休まず復興に従事する『空気』が生まれ、注意を呼びかけても聞き入れられない状態になっている。今年になって色々な相談が寄せられているので、今後『復興過労死』が増える可能性がある」と言う。

278名無しさん:2012/07/22(日) 16:40:00
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120722-00000016-mai-bus_all
<最低賃金>引き上げ議論大詰め 労働者から切実な声
毎日新聞 7月22日(日)13時1分配信

「少しでも条件のいい仕事を」と、パソコン端末で情報を探す求職者たち=札幌市のハローワーク札幌北で2012年7月18日、市川明代撮影

 今年度の最低賃金引き上げの目安額を決める国の中央最低賃金審議会の議論が大詰めを迎え、来週中にも決定する。焦点となるのは、最低賃金が生活保護の給付水準を下回る北海道など11都道府県と、震災による経済的ダメージへの配慮で昨年度は1円アップにとどまった被災地をどうするかだ。ぎりぎりの低賃金で働く人たちから、引き上げを求める切実な声が上がる。

【最低賃金:11都道府県で生活保護給付水準下回る】

 ◇11都道府県で生活保護費下回る

 バブル崩壊後の不況が今なお続く北海道。札幌市東区のハローワーク札幌北には「時給705〜705円」の求人票が目立つ。705円は北海道の最低賃金。「『昇給あり』と書いてある職場で働いても、上がったためしがない」。東区の独身女性(46)が顔をしかめた。

 現在フルタイムのパート勤めをする小売店の時給は最低賃金で、週休1日でサービス残業もあり、体がきつく転職を考え始めた。北海道の最低賃金は、札幌の生活保護費を時給に換算した額を30円下回る。女性の収入は甲状腺を患い生活保護を受けている友人とほぼ同額だが、友人の暮らしも同じくらい厳しい。「生活保護を下げるべきだとは思えない。これだけ働いて生活が楽にならないのがおかしい」と憤る。

 最低賃金ぎりぎりの仕事は若年層にも広がる。西区の男性(19)は高校を出て就職した食品加工会社が月収12万円弱。人員削減の対象となり、職を探し始めて3カ月。8月で失業手当が切れるが、時給のいい仕事はほとんどが3〜4時間の短時間雇用で、ダブルワークになるしかない。男性は「結婚はとてもできない。せめて時給800円の仕事があれば」と肩を落とす。

 2児を育てる北区のシングルマザーの女性(31)も、最低賃金のNPO法人で働く。母の年金、児童扶養手当、児童手当を合わせても、月の収入は19万円。4人で暮らすには到底足りず、生活保護で補う。「ケースワーカーから『もっと賃金のいい仕事を探すように』とプレッシャーを受ける。世間の目も気になり、早く自立したい。でも、今の札幌では特別な資格の要る仕事以外、ほとんどが最低賃金レベルの仕事なんです」

 ◇被災地は待遇改善ほど遠く

 被災地の雇用状況も依然、深刻だ。中小零細企業が多い三陸沿岸では、まだようやく事業を再開した段階で、従業員の待遇改善にはほど遠い職場も多い。

 沖縄県や高知県と並び、最低賃金が全国最低(645円)の岩手県。震災後に再開した水産加工会社の下請け工場に勤める陸前高田市の女性(58)は、時給650円で月収は10万円に満たない。夫は体調を崩して休職中。短大に進んだ長女と次女の教育ローンが家計を圧迫し、高校生の長男のバス代を節約するため、学校まで車で送迎している。「家を流されなかっただけいい」と自分に言い聞かせているという。

 シイタケなどを栽培・販売する同市の「きのこのSATO販売」の佐藤博文社長は震災後に約20人を新規採用し事業拡大を目指すが、賃金は最低賃金からのスタートだ。佐藤社長は「地域経済の活性化にはまず、会社を再生させることが大事。いま最低賃金を上げられても困る。体力をつけ、従業員に還元できるようになるまで待ってほしい」と訴える。【市川明代、遠藤拓】

 ◇一刻も早く是正を

 橘木俊詔・同志社大教授(労働経済学)の話 今の最低賃金の水準は低すぎて、とても生活が成りたたない。賃金が生活保護を下回っていると、働く意欲が失われかねず、一刻も早く是正されるべきだ。ただし、重要なのは生活保護の引き下げではなく、最低賃金のアップだ。経営側は、引き上げが企業を潰すと主張してきたが、従業員を養えない企業に存在意義があるのだろうか。また、被災地の企業には、別の枠組みでの支援が必要だろう。

279チバQ:2012/07/28(土) 00:13:06
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012072502000256.html
過労社会 止まらぬ長時間労働<上> 「夫の死 何だった」トヨタ 緩む残業制限
2012年7月25日 朝刊


 かつて日本の高度経済成長を支えたサラリーマンたちは「企業戦士」と呼ばれた。家庭を顧みず会社に尽くす働き方は、いのちを削り、「過労死」という言葉を生んだ。ちょうど三十年前のことだ。だが、今なお働く人たちは、長時間の残業を強いられ、企業は企業戦士の残像を求めているかのようだ。なぜ過労死はなくならないのか。背景を探った。 

 「車を造り上げる喜びで、仕事が止まらなくなるんです」

 トヨタ自動車の技術者だった亡き夫の同僚が、仏前で妻の山本令子さん(48)=仮名=にこう告げた。

 三万人以上の技術者が働くといわれるトヨタ本社(愛知県豊田市)の一角にあるテクニカルセンター。その七階にある通称「Z」と呼ばれる新車開発部門が、夫の職場だった。

 夫は「カムリ」のハイブリッド車開発の全工程に関わる責任者だった。久々の家族だんらんのときを過ごした二〇〇六年正月、午前十時になっても起きてこない夫を長女が起こしに行くと、布団の中で冷たくなっていた。四十五歳、虚血性心疾患。米国での完成発表に出発する前日だった。

 Zは花形の部署で、責任は重い。各部署との折衝に、分刻みの会議。納期に追われ、一円単位で原価を切り詰める。手付かずの弁当を持ち帰ってくることもたびたびあった。

 「今日もアドレナリンが出っぱなしだった」。帰宅するなり夫はそう笑っていた。やりたい仕事、男の生きがい。本人は本望だったかもしれない。だが、労災保険の補償給付が認められた今も、家族にはやりきれなさが残る。「職場は常に興奮状態で、自らを追い込んでいく。だからこそ会社がストップをかけないと」と訴える。

 夫の死から六年。山本さんの思いとは裏腹に、トヨタは今、残業規制を緩める流れにある。

 昨年八月のトヨタの四半期決算の会見。伊地知隆彦専務から「若い人たちに時間を気にせず働けるような制度を早く入れてもらわないと、日本の物づくりは大変なことになる」との発言があった。

 円高や電力不足など国内企業を取り巻く状況は厳しさを増す。トヨタも単体では四年連続赤字。トヨタの危機感は「残業時間の制限など労働規制が成長の足かせ」という日本産業界の本音の表れでもある。

 本紙の調査では、トヨタの残業の上限は過労死ライン上の月八十時間。しかし、上限近くまで働かせようにも、労使の取り決めから制約は多かった。それが、昨年十月から今年一月にかけ、技術者ら事務系労働者(ホワイトカラー)の働き方に関する労使協定を次々に見直した。

 協定で定めた年間の残業の上限三百六十時間を超えて働かせる場合に必要だった労使間の事前協議を事後協議とし、忙しいときには集中的に働けるよう残業の延長手続きを簡素化した。

 トヨタの広報担当者は「働きたいときや働く必要があるときに、生産需要に応じて働けるような、柔軟な働き方を進めないと世界で戦えない。残業時間については事後検証している」と説明する。

 徹底的に無駄を排除する「トヨタ生産方式」。技術者にもさらなる開発期間の短縮、コスト削減を求める。年三百六十時間を超えて残業した社員数は一〇年度から再び増加に転じた。その大半がホワイトカラーだ。

 この十年間で少なくとも三人の社員が過労死や過労自殺し、労災認定された。トヨタの労働問題に詳しい中京大経営学部・猿田正機教授は「国際競争にさらされ、労働の密度、量とも負荷は高まっている。利益追求のあまり社員の健康管理がおざなりにならないか」と懸念する。

 山本さんは悲しそうにつぶやく。「夫の死は何だったんでしょうね。会社は何も学んでない」

280チバQ:2012/07/28(土) 00:13:51
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012072602000106.html
過労社会 止まらぬ長時間労働<中> 月200時間招いた死 残業規制「例外」で骨抜き
2012年7月26日 朝刊


 長男に先立たれた主婦加藤久恵さん=仮名=は、息子の死後、給与明細を手にして、月二百時間近くも残業していたことを初めて知った。「入社して間もないのに、会社に休ませてなんて言えない」。休養を勧めてもかたくなに拒んだ長男の姿がよみがえった。

 法律や労働基準監督署があるのに、こんな長時間労働がなぜ許されるのか−。わが子の死を受け入れることができなかった。

 長男は二〇〇七年、プラント保守大手「新興プランテック」(横浜市)に入社し、千葉県市原市でプラント工事の現場監督を任された。うつ病を発症し、翌年十一月に自殺。二十四歳だった。労基署は、過労が原因の労働災害と認めた。

 亡くなる三カ月前のことだ。土日も出勤していた長男が急に無断欠勤したと連絡が入った。加藤さんが長男宅を訪れると、久々に再会した息子は別人のようにやせ細っていた。いったん事務職に配置換えとなり、二カ月余り病院に通う日々が続いた。

 現場復帰が決まり、実家に戻ってきた長男は「また休みがなくなるな」とこぼした。心配する加藤さんに「人手が足りないから」と気丈に答えた二日後、命を絶った。

 遺族は長時間労働を課した会社の違法性を訴訟で訴えるだけでなく、適正な指導を怠ったとして国も相手取り東京地裁で争っている。

 国は「監督する義務はなく責任はない」と主張している。新興プランテックのような建設業は労基法の長時間労働規制の対象外とする「例外規定」があるからだ。

 トラックやタクシーの運転手も同様で、労使の合意があれば何時間でも働かせることが可能だ。そのせいか過労が原因とされる脳・心臓疾患の労災認定数は、運輸業と建設業が毎年上位を占める。

 例外規定を設けている理由を厚生労働省は「納期前などに仕事が急増する可能性がある業種だから」と説明する。遺族代理人の川人博弁護士は「どんな仕事にも繁忙期はあり、一部の業種のみ特別扱いする理由はない」と反論する。

 業種による例外だけではない。

 そもそも労基法は残業を認めていない。だが労使合意に基づく協定を結べば、月四十五時間までの残業が認められる。さらに、特別な事情があれば半年間は残業を無制限に延長できる「特別条項」も存在する。

 この協定に関する本紙の調査では、国内の大手百社のうち、いわゆる過労死ラインとされる月八十時間以上の残業を認めている企業は七割に上った。例外に例外を重ねた制度が当たり前となり、「残業は例外」という意識は薄れている。

 新興プランテックも裁判で「法律で残業の上限規制を除外されており、月二百時間の協定を結んでも違法ではない」と主張している。

 加藤さんは制度の不備を問う。「月二百時間残業しないと回らない仕事なんて、『死んでもいい』と言われているようなものです」

 業種による残業規制の適用除外 厚労省は残業について、労使協定を結んでも原則として上限は月45時間、年360時間との基準を定めている。しかし、(1)建設業(2)運輸業務(3)研究開発業務(4)季節的要因などで業務量の変動が著しい業種−については、上限の規制はないとする例外を設けている。

 ご意見や過労死問題の情報をお寄せください。

281チバQ:2012/07/28(土) 00:14:18
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012072702000182.html
過労社会 止まらぬ長時間労働<下> 休憩重視 効率アップ 心の健康、介護…調和を
2012年7月27日 朝刊


 「ここまでひどかったのか」。昨年五月、三菱重工労働組合の村元隆書記長は、社内の会議で、会社側から示された前年の社員健康調査の資料を見て驚いた。

 全十三の事業所で、「精神面の不調」が会社を休んだ理由の上位を占めていた。休んだ日数を見ても全体の六割近くに上った。ただでさえ、二〇〇一年以降、一人当たりの年間の総労働時間は、国が目標とした千八百時間を大幅に上回る二千時間を超える高止まり。長時間労働が常態化し、社員の健康が危ぶまれていた。

 想像を超える過酷な実態を目の当たりにし、村元書記長は「だからこそ『インターバル休息』は必要だ」との思いを強くした。

 欧州連合(EU)で導入されているインターバル休息制度は、一日の生活のうち、まず休息時間を確保する考え方。EUでは、仕事を終えてから翌日の仕事を始めるまでに十一時間以上の休息を義務付けている。

 三菱重工業でも、村元書記長が先頭に立ち、昨年四月に国内メーカーで初めて全職種一斉に導入された。今は最低七時間の休息が努力義務だが、より長い休息時間も検討している。

 製造業だけに突発の発注もあり、会社側からは生産性への影響を心配する意見もあった。しかし、導入してみると、業務に支障が出たことはなく、一年が過ぎ、逆に社員の働き方に対する意識が変わりつつあるという。

 村元書記長は「残業が減れば、社員は家庭のだんらんが増えて癒やしになり、健康維持にもつながる。仕事の効率化が図られ、生産性も上がる」と導入の意義を強調する。

    ◇    

 長時間労働を抑えるために「ワークライフバランス」(仕事と生活の調和)という考え方にも注目が集まっている。政府も〇七年十二月、指針などをつくり、官民挙げた取り組みが進みつつある。

 仕事と家庭の両立というと、育休を連想しがちだ。しかし、企業向けに働き方のコンサルティングを手掛ける会社「ワーク・ライフバランス」(東京)には、昨年ごろから、介護との両立に関する相談が増えているという。

 団塊世代は現在六十五歳前後。高齢化に伴い、要介護の親を抱える団塊ジュニアは今後、一気に増えてくる。しかも、介護を担う世代は男女を問わず、会社の主力社員たちだ。

 厚生労働省の雇用動向調査によると、一〇年に介護を理由に仕事を辞めた人は約五万人に上る。多くの働き盛りの社員が、仕事との両立がかなわず辞めざるをえないとなれば、企業ばかりか社会にとってもマイナスだ。

 同社の小室淑恵社長は「今や会社と家庭の両立は切迫した問題。長時間労働に頼った働き方の限界は近い。これ以上、経営者は現実に目を背けるべきではない」と話す。

 働く人たちの命と健康の問題だけではない。ライフスタイルの多様な変化からも、「脱長時間労働」は待ったなしだ。

282チバQ:2012/07/28(土) 00:14:44
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012072702000095.html
福島第一元作業員「賃金、手当ピンハネ」 労働局に訴え「多重派遣」も
2012年7月27日 朝刊


 東京電力福島第一原発事故の収束作業に携わった長崎県出身の元作業員男性(45)が二十六日、下請け上位の日栄動力工業(東京都港区)が職業安定法と労働者派遣法に違反する多重派遣をしていたとして東京労働局に訴え出た。二十七日には、多重派遣のほか約束された賃金が支払われていないとして、長崎県内の下請け会社四社を長崎労働局などに訴え出る。

 男性は昨年七月一日〜八月九日、福島第一で事故収束作業に従事していた。弁護団などによると、男性に仕事を紹介し、給料を支払っていたのは前田工業(長崎県松浦市)だが、放射線管理手帳上の所属会社は、大和エンジニアリングサービス(同県佐世保市)になっていた。

 両社の間には、佐世保市の創和工業と福田工業が介在し、上には、日栄動力工業がある複雑な下請けの流れになっていた。

 下請けを繰り返す中で、大和エンジニアリングは日当と危険手当の計二万四千〜二万五千円を下請けに支払ったが、男性には一万千円しか支払われていなかったという。

 男性は「何重もの下請け構造は不当だ。約束された日当も支払われず、危険手当もピンハネされた」と訴えている。

 本紙の取材に対し、大和エンジニアリングは「請負契約であり、多重派遣ではない。下請け会社には危険手当を含めた金額を支払った」と説明。前田工業は「上にたくさんの会社があるとは知らなかった」と話している。

◆建屋外と事前説明/実は高線量要員
 福島第一原発の収束作業で危険手当の未払いなどを申し立てる元作業員の男性は、本紙の取材に、原発の建屋外の作業だと説明されていたことや、被ばくの恐怖と闘いながらの作業だったのに正当な手当が支払われない怒りを語った。

 二十キロの鉛板を入れたリュックサックを背負い、防護服に全面マスクを着け、1号機原子炉建屋の急階段をビル六階の高さまで駆け上がる。線量計の警報は鳴りっぱなし。緊張と息苦しさで心臓が破裂しそうになる。「早く終われ、早く終われ」。男性は心の中でつぶやき続けた。

 昨年七月に携わった作業を男性が振り返った。建屋内にいたのは十分弱だったのに、二・四ミリシーベルトも被ばくした。一般人の年間被ばく上限の二倍以上もの線量だ。建屋内に局所的に線量が極めて高い場所があることなどが影響したとみられる。このほか男性は高濃度汚染水を処理するための配管作業など、被ばく線量の高い作業に当たった。福島第一での作業は一カ月あまりだったが、この間に計約一二・三ミリシーベルトも被ばくした。

 原発作業員の被ばく上限は五年間で一〇〇ミリシーベルト。年平均二〇ミリシーベルトが作業員の手持ち線量だ。男性の場合、わずか一カ月で半年分を使ったことになる。

 下請け会社も自社の社員が線量を使い切ってしまうと、次の仕事を取りにくい。そこで男性のように臨時の作業員を雇うケースが出てくる。男性は「自分が(被ばく線量の高い作業を短期で担う)高線量要員だったことを後で知った」と話し、「約束した賃金は少なくとも払ってほしい」と訴えた。 (片山夏子)

283チバQ:2012/07/28(土) 12:21:58
http://mainichi.jp/select/news/20120728k0000m040123000c.html
福井男性自殺:上司パワハラが原因 労災認定
毎日新聞 2012年07月27日 21時36分

 福井市の消防設備関連会社の男性社員(当時19歳)が自殺したのは上司のパワーハラスメントが原因として、福井労働基準監督署が労災認定していたことが27日、分かった。男性の遺族の弁護士が明らかにした。弁護士によると、未成年者のパワハラによる自殺が労災認定されるのは全国でも珍しい。

 男性は高校卒業後の10年4月、同市大手3の「暁産業」に入社し、防災設備のメンテナンスを担当した。日常的に上司2人から人格を否定され続け、同年12月、首をつって自殺した。

 上司から、指導内容を全て手帳にメモするよう指示され、手帳2冊に上司の言葉として「死んでしまえばいい」「この世から消えてしまえ」などと書かれていた。遺書で上司の名前を挙げ、「大嫌い」と記されていたという。

 同労基署は精神障害に関する判断指針「ひどい嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」に該当するとして労災認定した。同社は「社長が不在のためコメントできない」としている。【山衛守剛】

284チバQ:2012/08/09(木) 23:02:54
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012080901166
若年層対策を強化=自殺大綱見直し案−政府
 政府は9日、自殺総合対策会議(会長・藤村修官房長官)を持ち回りで開き、対策の指針となる大綱の改定素案を決めた。学生・生徒の自殺が増加傾向にあることを踏まえ、若年層の対策を強化する。パブリックコメント(意見公募)や有識者会議を経て、今月下旬にも閣議決定する。
 自殺対策基本法に基づき2007年に策定した現大綱を5年ぶりに見直す。素案には、若年層の自殺対策として、(1)ストレスへの対処方法を身に付ける教育を推進する(2)自殺の恐れがある人の周囲の危機意識を高めるため、スマートフォンなどインターネットを活用し、対処方法などの情報を積極的に発信する−ことなどを盛り込んだ。(2012/08/09-22:45)

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285チバQ:2012/08/25(土) 21:28:36
http://mainichi.jp/feature/news/20120731dde012040005000c.html
特集ワイド:「中流」が消える日 非正規増加で「生活苦」6割超
毎日新聞 2012年07月31日 東京夕刊


昨年10月15日、東京・新宿で行われた格差社会に抗議するデモ。生活苦はじわじわと広がっている=森田剛史撮影 ◇低成長下、強まる格差容認論/中高年パラサイト急増
 「はたらけど猶 わが生活楽にならざり」(一握の砂)と詠んだ石川啄木が逝ってから100年。今、同じような境遇の人が増えている。しかもグローバル経済下、生活苦はより厳しくなりそうだ。日本から「中流」が消える日が来るかもしれない。【内野雅一】

 首都圏に住む40代半ばの彼女は今年、生活保護を受け始めた。働く気持ちはある。だが、応募したコンビニのアルバイトは、幼い子供を抱えていることを理由に断られた。夫とは離婚調停中。不仲の実家に生活費を頼るわけにもいかなかった。

 皮肉にも「(生活保護で)やっと生活が楽になった」と言う。

 専門学校を出て85年、ゲームソフトメーカーに正社員として就職。10年ほど勤め、体を壊して退職した。30歳だった。その後、派遣社員に。バブル経済崩壊後とはいえ、時給は2000円近くだったという。01年、年下の恋人の子供を宿した。彼は無職だったが、自分が養えると出産を決意、結婚した。

 だが、派遣先に妊娠を伝えると、契約期間が残っているにもかかわらず契約を解除された。夫のアルバイト収入と貯金で食いつなぐ日々。出産後、派遣の仕事を続けたが、08年のリーマン・ショックで派遣切りに。中小企業などの経理でパートとして働き、生命保険の営業もした。夫とは気持ちがすれ違い始め……。

 正社員から非正規雇用の身になって、そこから抜け出せなくなる。取材をきっかけに、彼女の相談に乗っている労働経済ジャーナリストの小林美希さん(36)は生活苦の行き着く先を次のように話す。

 「お金がなく、妊婦検診を受けないで、産む直前に病院に駆け込む『飛び込み出産』が増えています。出産後も子供の失明や半身まひなどで、病院に戻ってくるという話を聞くようになりました」。なぜ? 「親の雇用が不安定だと、子供の虐待につながることが多いんです」という。

  ■

 厚生労働省の国民生活基礎調査(11年)によると、「生活が苦しい」という人は61・5%にのぼる。86年の調査開始以来、初めて6割を超える最悪の数字だ。子供がいる世帯ではもっと多く、7割近い。また、世帯の平均年間所得(10年)は538万円で、前年より約13万円減。ピーク(94年)の664万円から約120万円も少ない。これは、80年代後半の水準に当たる。

 平均所得自体はそう低いとは思えないが、所得の分布を見ると「年収300万円時代」が浮かび上がる。もっとも多いのが300万〜400万円未満。全体の13・6%だ。次いで、200万〜300万円未満、100万〜200万円未満となり、これらの合計で、全体の4割を占める。所得が低いとされる非正規雇用者の比率とほぼ符合する。

 98年の著書「日本の経済格差」で格差論議に火を付けた同志社大学教授の橘木俊詔さん(68)は「当時より相対的貧困率が悪化している」と話す。相対的貧困率とは、国民の所得中心値の半分に満たない所得の人の比率で、日本は16%(年収112万円未満)と、こちらも過去最悪(10年、厚労省)だ。「低成長でパイが増えないうえに、競争の結果としての格差は仕方ないとする新自由主義的な考えが広がって格差容認論が強まっている」と橘木さん。

 その格差容認論が言い立てられるようになったのはいつか。著書「機会不平等」(00年)で格差固定化を指摘したジャーナリストの斎藤貴男さん(54)は「転機は、95年に日経連(現在の経団連)が出した提言だった。バブル崩壊による経済の低迷から脱却するためにどうするかという視点でまとめたもの。その意図は理解できるが、問題は中身。放漫経営の反省や責任への言及はなく、人件費だけに目を向けた」と話す。

286チバQ:2012/08/25(土) 21:29:07
 提言の名は「新時代の『日本的経営』」。そのなかで日経連は「雇用ポートフォリオ」の導入を勧め、人材を将来の経営幹部、専門職、そして非正規雇用の人に明確に分けた。企業が非正規雇用を拡大させることにお墨付きを与えたのだ。国は日経連を後押しし、99年に労働者派遣法を改正して派遣を原則自由とした。04年には製造業への派遣も可能になった。一方で、起業家育成や自営業の支援など、企業に勤める以外の選択肢の整備は不十分だった。その結果、正社員の門を通ることができなかった人は、非正規雇用に流れ込んでいった。

 「20代なら、そこから抜け出せるかもしれないが、40、50代になるときつい」。斎藤さんは今後、生活苦が社会不安につながっていくと断言する。

  ■

 ここに、その将来不安を示唆する数字がある。

 35〜44歳で親と同居する未婚者が295万人に達したというのだ(10年、総務省)。00年の159万人のほぼ倍。90年代、親と同居して生活費を頼り、気ままな日々を送る若者がパラサイトシングルと呼ばれたが、そんなのんきなものではない。彼らの完全失業率(11・5%)は同世代全体(4・8%)の倍以上。親の貯蓄や年金が頼みの綱になっている層が増えている。

 親はいつか死ぬ。そのとき、彼ら中高年パラサイトの多くが生活保護を受給するようになるかもしれない。斎藤さんは「生活苦の問題はまだ一軒一軒の家の中にとどまっている。いつの日か、それが表に出る。犯罪も増えるだろう」と話す。都心などの街角の風景に、生活苦の影は薄い。それは中高年パラサイトの急増が、生活苦を顕在化させないでいるにすぎない。冒頭の彼女は、パラサイトではないゆえに生活保護を頼った一人ともいえる。日本社会は、彼らを支えきれるのか。

 経済のグローバル化の波も生活苦を増幅していきそうだ。高成長を続ける中国など新興国の一部では、先進国と同じ水準の生活が始まっている。それは、穀物と原油の価格高騰(資源インフレ)に結びつき、生活必需品である食料品とエネルギーの価格を押し上げる。低所得者層や中間層の生活が一段と苦しくなる−−こう解説する第一生命経済研究所主席エコノミストの永浜利広さん(40)は「アメリカでこの現象が顕著で、生活水準の低い人のさらなる貧困化が進んでいる。日本も同じだ」と話す。

 高度経済成長で、日本は「1億総中流」の社会を実現した。その崩壊が、音をたて加速し始めている。

287チバQ:2012/08/28(火) 21:00:41
http://mainichi.jp/opinion/news/20120828ddm003100091000c.html
クローズアップ2012:「大卒」急増、求人しのぐ 4人に1人、安定職なし
毎日新聞 2012年08月28日 東京朝刊


キャリア支援センターに置かれた、生涯賃金の差を示す模造の札束。左が正社員のもので右はフリーター=福岡市東区の九州産業大学で2012年8月27日、三村政司撮影
拡大写真 文部科学省が27日発表した今年度の学校基本調査では、大学卒の4人に1人が安定した仕事に就いていないことが分かった。同省は「学生が望まぬ形で社会に出ている。改善すべき状況」とする。真面目に勉強しても「将来」が保証されない現実に、若者の苦悩は深い。「非正規」に踏み入れば「正規」への転身は容易ではなく、大学は就職活動への意識付けや離職に走らぬよう、学生啓発に懸命だ。

 ◇派遣三つ掛け持ちで生計−−国立卒25歳
 「結婚とか出産とか全然考えられない。未来の話より今日明日の暮らし。年金払えてないし増税されるし、将来不安です」

 10年に山口大人文学部を卒業した萬葉有紀さん(25)=大分県由布市出身=は今、東京都内で派遣の仕事を三つ掛け持ちする。結婚式場の配膳会社で時給1300〜1600円、単発の事務・雑務を請け負う会社で時給1000円、そして最近、デパートなどで試飲・試食カードを勧誘する時給1300円の仕事に登録した。収入は月12万〜15万円。国民年金の支払いを一時免除してもらっている。

 学費の安い国立大に入り、勉強とアルバイトに明け暮れ、真面目に生きてきた。大学3年の夏、出版や印刷業界を目指し就職活動に臨んだが「国立大なら大丈夫かも」という楽観気分は消えた。

 結局、就職は決まらずより良い職を求め上京したが、募集は非正規ばかり。今は仕事があるだけありがたい、一生懸命やれば理不尽に切られることはないだろうと信じている。

 「ぜいたくをしたいわけじゃない。若者に働く機会をください」

 ◇高卒就職の仲間うらやみ−−私立卒23歳
 今春、埼玉県内の私立大を卒業し、群馬県内の結婚式場で働く男性(23)は、時給850円で手取り月12万〜13万円。ずっと正社員だと思っていたが、最近給与明細に「アルバイト」と記されていることに気づいた。時々昇格をほのめかされることもあり、上司に嫌われたくなくてきちんと聞けないでいる。

 就活はブライダル関連の5社しか受けず全敗。焦っていた時、友人に今の職場を紹介された。「結婚式場で働けると飛びついたが、この給料。結婚とか無理」。高卒で就職した同級生がうらやましい。「お金をかけて大学に行った意味がなかった。リーマン・ショックがなければ違ったかもしれないが」

    ◇

 「大卒」の持つ意味は変容した。学校基本調査によると、バブル期の90年度の大学進学率は24・6%だったが、11年度は51%。大学進学者は単純計算で10万人以上増え、大学数も507校から780校に激増した。不況や企業の厳選採用で求人は減り「大学を出れば職がある」という親世代の常識は通用しない。

288チバQ:2012/08/28(火) 21:01:50
 法政大キャリアデザイン学部の児美川孝一郎学部長によると、就職してもリストラされたり、サービス残業や過労死ライン寸前の長時間労働が常態化している「ブラック企業」を辞め、その後非正規雇用を繰り返す人も多い。大卒でも企業が求める能力に達しない学生も少なくない。「使い捨てにされないようスキル向上を目指してほしい。労働に関わる仕組みを社会が抜本的に見直す時期だ」と児美川学部長は指摘する。【戸嶋誠司、鈴木敦子】

 ◇意欲アップに大学躍起
 九州産業大(福岡市)のキャリア支援センターの入り口に並んだ、大小二つの模造1万円札の山。それぞれに「正社員2億3100万円」「フリーター7600万円」と掲示がある。正規・非正規雇用を生涯賃金で比較した“シューカツ教材”だ。

 同センターの田中勝彦事務部長は「安定的な雇用の職に就くことを啓発するのが狙い」と説明する。九産大の就職率は約65%で全国平均よりやや高いが、危機感は強い。学校基本調査について「毎年10万人以上が安定的な雇用に就いておらず、深刻だ」と受け止めた。

 就職意識の問題を指摘する声もある。東洋大就職キャリア支援部の深野弘美部長は「社会で働く意識が弱い。やりたいことが見つからない学生が多い」と話す。

 個別支援に力を入れる東洋大では、非正規雇用を選ばせないために、学生の意識改革に懸命だ。雇用条件による生涯賃金の差や非正規の場合は昇進できないケースが多いことも伝える。正規採用されたものの、残業が多いとか、仕事が思ったものではなかったなどの理由で退職し、相談に訪れる卒業生も。深野部長は「もう少し粘ればと思う理由で辞めるケースもあり、繰り返さぬように指導している」という。

 一方で、大学と学生が危機感を共有し、悪条件を克服しつつある大学もある。

 東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市にある石巻専修大。例年90%台の就職率を保ってきたが、震災直後の昨春、約80%に落ち込んだ。地元企業の採用枠が激減する中、“原則正規雇用”を貫いた。専修大(東京)を支援拠点とし、就職活動のバスツアーを行うなど首都圏での就職支援に力を入れ、学生も就職先の希望を地元から首都圏まで広げた結果、今春は90・7%まで回復した。石巻専修大は「非正規雇用には就かせないよう指導している」という。

       ◇

 総務省の07年就業構造基本調査によると、正規からの転職先は正規が63・4%、非正規が36・6%だが、非正規からの転職先では正規が26・5%、非正規が73・5%。非正規から正規採用へのキャリアアップがいかに難しいかを示す。

 就職情報大手「マイナビ」の栗田卓也HRリサーチセンター長は「正社員の方が、研修を受けたり、職務経験も豊富と判断され、一般的に転職には有利」と話す。12万8000人余りの「不安定層」の中で約2万2000人が「非正規」であることについて「大企業が契約社員を正社員枠に切り替えている中で、この人数は多い印象だ。実態の分析が必要だろう」としている。【三木陽介、苅田伸宏、須藤唯哉、福田隆】

289チバQ:2012/08/29(水) 23:56:05
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012082800817
65歳まで継続義務化=高齢者雇用法改正案、29日成立
 参院厚生労働委員会は28日、60歳などで定年を迎えた社員のうち、働きたい社員全員の65歳までの継続雇用制度の導入を企業に義務付ける高年齢者雇用安定法の改正案を民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決した。29日の参院本会議で可決、成立する見通し。2013年4月に施行する。
 改正案は、企業が継続雇用者を労使協定で定めた基準で選別できる現行の仕組みを廃止。現在60歳の厚生年金の支給開始年齢が、13〜25年度に段階的に65歳まで引き上げられることを踏まえ、年金も仕事の収入もない状況が生じるのを防ぐ。
 ただ、企業の負担軽減に向け年金支給開始年齢の移行期間中は、65歳より前に年金を受け取れる場合は、現行の仕組みを引き続き適用することを容認。継続雇用先の範囲は、現行の定年を迎えた会社と子会社から、グループ会社全体に広げる。(2012/08/28-18:37)

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290チバQ:2012/08/30(木) 01:51:17
http://mainichi.jp/feature/news/20120828ddm013100022000c.html
生きられる社会へ:生活保護の今 最低生活費知り相談を 病気、リストラ……所持金ゼロになる前に
毎日新聞 2012年08月28日 東京朝刊

 国が定める「最低生活費」を知っている人はどれぐらいいるだろうか。収入が最低生活費を下回る場合は生活保護を受給できる。さいたま市で生活困窮者の支援をするNPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典代表理事に、最近目立つ相談事例と、最低生活費の計算例を聞いた。【山寺香】

 ◇ケース1 職場のうつ
 30代の女性は事務職の正社員として働いていた。独身で月収は手取り約22万円。数年前にローンを組んでマンションを買ったが、その後上司のパワハラを受けてうつ病になった。出社できずに死を思い詰めるまでになり、退職せざるを得なくなった。

 退職金をローンの返済にあてたものの、約3000万円のローンが残った。返済が滞ってマンションは競売にかけられた。生活費も底を突いた。売却が決まるまでの間、生活保護を申請した。両親に虐待を受け、頼れる親族もいない。

 藤田さんは「3〜4年前から、若い世代で精神疾患を抱える人の相談が増えている。住宅ローンを抱えた人の相談も目立つ」と話す。

 この女性が月どのぐらい受給できるか、保護基準に基づいて最低生活費を試算した。地域で基準が違うので、ここでは最も物価が高い地域「1級地−1」(東京都の区市部、さいたま市など)の基準を用いた。

 (1)生活扶助【1類】(主に食費や衣料費)4万270円+【2類】(光熱水費、家具、家事用品など)4万3430円=8万3700円(2)マンションを売却して賃貸住宅に移った場合の住宅扶助(家賃の実費相当)4万5000円。保護費の月額は(1)+(2)で計12万8700円になる。マンションが売れてもローンを完済できない場合は、自己破産の可能性もある。

 ◇ケース2 リストラ
 大手企業の管理職だった50代男性は1000万円以上の年収があったが、ある日会社から「子会社に出てくれ」と言われた。事実上のリストラだった。収入は半減し、妻との関係が悪化して離婚。自宅や貯金は慰謝料として妻に渡し、1人でアパートに転居した。2人の大学生の息子の学費も負担した。職場に居場所がなく退職。ストレスからアルコール依存になった。

 その後アパートの家賃を滞納して追い出され、ネットカフェ暮らしに。日雇いのアルバイトで半年ほど過ごしたが肺炎で働けなくなり、路上生活をしていた。肺炎が悪化してほっとプラスに相談に訪れ、すぐ入院した。藤田さんは「もっと早い段階で受給が可能だったが、『若いから生活保護は受けられない』と思い込んで相談が遅れた。まじめな中高年男性ほど自分を責め、プライドが邪魔して助けを求められない人が多い」と話す。

 この男性の受給額は(1)生活扶助【1類】3万8180円+【2類】4万3430円=8万1610円(2)住宅扶助4万7000円(実費)。(1)+(2)=12万8610円。

 男性は、生活保護を受け1年療養、マンションの管理人の職を得て自立した。

291チバQ:2012/08/30(木) 01:52:05
 ◇ケース3 母子家庭
 40代後半の女性は、専業主婦として2人の子どもを育ててきた。しかし夫婦仲が悪化して離婚し、子ども2人を引き取った。夫から数百万円の慰謝料が支払われたものの養育費の約束は守られず、夫の行方も分からなくなった。障害を持つ10代の娘は高校には行かず、自宅で介助が必要だ。その合間を縫って清掃のパートに週3日通ったが収入は手取り約10万円だった。生活をぎりぎりまで切り詰めたが、所持金が2000円を切り、一家心中まで考えたところでほっとプラスに相談した。

 「少しでも収入があると生活保護を申請できないと思い込んでいる人が多いが、そんなことはない」と藤田さん。この女性の場合、収入約10万円から勤労控除約2万3000円を除き、最低生活費から引いた額が支給される。

 (1)生活扶助【1類】3万8180円(母親分)+4万2080円×2(子ども2人分)+【2類】5万3290円(3人世帯)=17万5630円(2)住宅扶助5万5000円(実費)(3)教育扶助(中学生の長男分8510円+実費)(4)障害者加算2万6850円(5)母子加算2万5100円(6)児童養育加算1万円。

 教育扶助の実費支給分を除いた(1)〜(6)の合計は計30万1090円。ここから収入を差し引いた額が支給される。

 藤田さんは「所持金がゼロになるまで我慢し、相談に来た時はすでに生きる気力を失っている人も多い。そうなる前に申請した方が、再出発しやすい。申請がうまくいかない時は弁護士や司法書士、社会福祉士、支援団体に相談してほしい」と話す。

 ◇要件満たせば、原因問わず
 「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定する憲法25条の理念に基づき、要件さえ満たせば、すべての国民は無差別平等に保護を受けることができる。困窮の原因は問われない。

 申請は全国の福祉事務所で受け付けている。市役所や分庁舎内にあることが多い。担当部署は「福祉課」「保護課」「社会福祉課」などの名称だ。

 申請すると14日間の調査期間が設けられ、ケースワーカーによる家庭訪問▽預貯金、保険、不動産などの資産調査▽扶養義務者に扶養が可能かどうかを確認する通知の送付(DV被害者など特別な理由は除く)▽年金や収入などの調査▽就労できるかどうかの調査−−などが実施される。申請から原則2週間以内に受給の可否を決定する。

 生活保護法24条は「申請があったときは保護の要否、種類、程度と方法を決め、申請者に書面で通知する」と定めているので申請を受理しないのは「保護申請権」の侵害とみなされる。しかし実際、申請の意思を持つ人を窓口で追い返したり相談扱いにして受理しなかったりと「水際作戦」が多く報告されている。

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 ■生活保護の8種類の扶助

(1)生活扶助

  1類=食費、衣料費など

  2類=光熱水費、家具、家事用品など

(2)住宅扶助 家賃、補修費など

(3)教育扶助 義務教育で必要な学用品など

(4)医療扶助 医療費、通院費など

(5)介護扶助 在宅介護費用、介護施設入所費用など

(6)出産扶助 出産のための費用

(7)生業扶助 就労に必要な費用、高校就学費など

(8)葬祭扶助 葬儀に必要な費用

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 ◇最低生活費
 憲法25条で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を営むのに必要な費用。生活保護はこれを下回る収入の世帯に支給される。生活保護法で定める8種類の扶助を組み合わせて計算する。

292チバQ:2012/09/07(金) 23:18:26
http://mainichi.jp/feature/news/20111231mog00m100009000c.html
リアル30’s:働いてる?(1)歯車には ならない
2011年12月31日
平日の夜、ポルトガル語を教える美晴さん。「今この瞬間こそが幸せ」=東京都千代田区のブラジルレストランで、木葉健二撮影
拡大写真 ◇仕事はする。自分のために 
 「キ・オーラス・サォン?」(何時ですか)。東京・有楽町のブラジルレストラン。都内の大手企業に勤める美晴さん(33)が声を上げる。男女の生徒10人が一斉に時刻を答えると、「イッソ!」(その通り)。週に1度のポルトガル語教室。ここでは会社員ではなく講師だ。

 ボサノバから入り、ブラジル好きが高じてポルトガル語にはまった。日系ブラジル人が多い群馬県大泉町に住んで働いたこともある。日本とブラジルの交流団体「キモビッグ」を作り、昨年6月から語学教室を始めた。講師は無償だ。

 昼間の仕事はブラジルにすべてをつぎ込むための手段。だが、手は抜かない。猛烈に働いて5時半には会社を出る。「早く帰りたいから、すんげえがんばる。トイレに行くヒマも惜しい」

 でも9時から5時、私は「死んでる」し、ブラジルにかかわる時間以外は、私は私じゃない。「私のアイデンティティーはキモビッグ。少なくとも会社の仕事じゃない」

     ◇  ◇ 

 社内政治に興味はない。でも「フェイスブック」で必要な友だちとはつながっている。

 都内の広告代理店で働く32歳のサトルさん(仮名)は、昼が近付くと資料を広げて忙しさを演出する。そろそろ先輩が誘ってくるころだ。

 「ご飯行く?」「すみません、手が離せなくて」。先輩を嫌いなわけじゃない。行けばたわいのない話で盛り上がる。でも、意味を感じない。「社内でコネ作って、何のメリットがある?」

 大卒で東証1部上場のITサービス会社に入った。「歯車として働き、歯車として終わりたくない」と4年で退職。次のコンサルタント会社も「寝る間を惜しんで働くほどの仕事か」と、4年で辞めた。

 思春期直前にバブル経済が終わった。それから日本はずっと不況。いい思いをしたことはない。仕事を始めて、ベテラン世代があっさりクビを切られる姿も見てきた。

 「『継続は力なり』って言われても、力になってないじゃんって。会社を出た時にどうやって食っていくか、いつも考えてる」

 200社受けて、今の会社に契約社員として採用された。仕事は面白くやりがいもある。望めば正社員登用試験も受けられる。だが、この会社で自分は満足か。2年目に入ったが、10年後、20年後をイメージできない。居場所としての「職場」は要らない。「夢は在宅勤務。今の仕事なら、全然できると思うんだけどね」

     ◇  ◇ 

 マークシートの(2)をひたすら塗りつぶす。会社に受けろと言われたTOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)。解答づくりの単純作業が恨めしい。海外勤務に興味はない。

 メガバンク総合職、29歳のマキコさん(仮名)は都内の支店で法人営業をしている。私立大経済学部を07年に卒業、入行した。

 仕事は忙しい。午前7時半に出勤。外回りを終えて午後5時に職場に戻り、遅くまで書類を作る。家に帰ると日付が変わっていることも。営業成績は上位だ。「仕事は好き。ちゃんとやりたい。若手でも社長に会えるし、業界を広く見られるし」−−ただし、会社の評価が自分のすべての価値とは思わない。

 どう働くか自分のルールがある。仕事に本気なのに、そう見られたくないので格好はわざとちゃらく、髪は明るい茶色。仕事がやりやすくなるなら上司と酒を飲み、たばこを吸って距離を縮める。「私はガチで生きてる。かなり不器用に、したたかに」

 ここ数年、摂食障害で体調が悪く、一時休職。昨秋に復職し、病気も公表した。病気を治して同じ場所に戻ることが自分なりのけじめ。「病気は悪いことじゃないでしょ。『こういう病気を公表して、堂々と成績上げてやればいいんだ』と思ってる」

 自分なりにがんばるが、「無理しろ」と言われてもしない。そう言った人はたぶん責任を取ってくれない。「がんばる」と「無理する」は絶対、別と思う。

293チバQ:2012/09/07(金) 23:18:57
 今の時代は生きづらい? 「すごくそう思う。年間自殺者3万人って、未遂はもっといるってこと。ちょっとした戦争状態。私もみんなも、その時代を必死に生きてて。それを人ごとと思って漫然と生きてる人たちの想像力のなさは、超つまんない」

 会社の目標より、自分のペース。TOEICは990点満点で190点だった。

【鈴木敦子、水戸健一】

     ◇  ◇ 

 「失われた20年」に青春期を過ごした世代が今、30代を迎えている。仕事、結婚と岐路に立たされる年齢だが、社会は閉塞(へいそく)感に覆われ、どんどん生きづらくなっている。誰のために、何のために働き、生きるのか−−懸命に考え、悩み、迷う30’sを追う。=つづく

 ◇「生きづらさ」最も感じる世代
 30代(30〜39歳)の人口は約1800万人。総人口の約14%を占める(2010年国勢調査)。思春期〜青年期がバブル崩壊以降の「失われた20年」と重なり、「生きづらさ」を最も感じている世代とも言われる。

 その大きな理由が「仕事」。1993〜2005年は就職氷河期とされ、不況で企業が新規採用を抑え、労働市場からはじかれる若者が急増した。00年代前半には派遣労働規制が大幅に緩和され、正規雇用の職に就けなかった現在の30代前半の若者の多くが、低賃金で不安定な非正規の職に就かざるを得なくなった。その後も、経済のグローバル化や円高などが進み、従業員を正社員から非正規に置き換えたり、非正規雇用労働者の雇い止めや解雇が起きた。

294チバQ:2012/09/07(金) 23:20:38
http://mainichi.jp/feature/news/20120102mog00m100002000c.html
リアル30’s:働いてる?(2)会社員になりたくない
2012年01月02日


思い思いの服装で働く社員たちを見守る丸幸弘社長(手前)。「うちの会社は理系のオタクばかり」=東京都新宿区で2011年12月21日、岩下幸一郎撮影
拡大写真 ◇「面白いこと」求めて起業 
 毎朝7時に家を出て、帰宅は深夜。土曜日は一日中眠り続け、日曜の夜に深いため息をつく−−。科学教育事業のベンチャー会社「リバネス」(東京都新宿区)社長の丸幸弘さん(33)が見てきたサラリーマンの父の姿だ。「会社員にはなりたくない」と思った。

 薬科系大学で学んだ。在学中はバンドの活動に熱中。3年の秋、仲間のリクルートスーツ姿に怒った。「お前ら、ロックに生きるって約束はどうなったんだよ」「そうは言ってもよ、働かなきゃいけないんだぜ」

 周囲は製薬会社に就職を決めていく。それでも一人動き出せなかった。人事担当者にペコペコして「御社で一生働きたい」なんてウソでも言えない。結局大学院に進み、寝る間も惜しんで顕微鏡をのぞき続けた。

 2000年代初め、学生ベンチャーブームが起きた。博士課程在籍中。「何か面白いことをしたいよね」と他大学にも声をかけ、15人が集まった。02年、「リバネス」を設立し、代表に就いた。「ソニーもホンダも、最初は気の合う仲間で始めた。なら、おれにもできるじゃん」

 バブルを知らない自分たちは景気が良かったことを知らない。1世代上の「先輩」経営者はIT景気の波に乗り、バブルを再現しようとしていた。でも、「僕たちは金もうけに興味がなかった。夢を仕事にしたいだけ」。

 看板事業は中学や高校への出前科学教室。地道に全国の学校を回った。紫キャベツを使った太陽電池、ホタルの光の再現、遺伝子組み換え実験……手作りのキットで科学の面白さを伝えた。07年には「宇宙教育プロジェクト」を開始。植物の種をスペースシャトルで国際宇宙ステーション(ISS)に運び、帰還後に小中学生と育てている。種が戻る前に紛失し、ニュースになったことも。

 今も「会社サークル」のようだ。社員は平気で社長に盾突く。社長は社員をニックネームで呼ぶ。でも創業から10年、右肩上がりで成長し、15人だった社員も約40人になった。

 社内で決めていることがある。「がんばってるね」と絶対に言わない。「がんばって一生食っていけるならがんばりますよ。でも今は、がんばってもメリットはない。そもそも、僕らの世代は食うことが目標じゃない。自分が面白がって、オタク的にやったことに対して『へえ、おもしれえじゃん』と言われたいだけ」

 がんばらないが猛烈に働く。徹夜もするし、休みなしで1カ月働くこともある。「オタクですよ僕らは。好きなことだから、働かされていると思ってない」

295チバQ:2012/09/07(金) 23:20:49
     ◇  ◇

 入社式の前日、内定していた大手旅行代理店に辞退を告げた。決意は固かった。

 都内のウェブ制作会社社長、33歳のケンジさん(仮名)は学生時代、バックパックを背負ってアジア各地を旅した。大学4年の時はタイに留学。1年後に帰国し、遅れた就職活動でも人気企業をあっさり射止めた。

 数年働いて独立するつもりだった。会社は腰掛け。その間に海外赴任を−−。だが、入社前の研修で「簡単に海外には行けないよ」と言われ、萎えた。

 職場を見学した。社員はずっと電話に張り付き、航空券の予約に追われていた。延々と同じ作業。疲れた表情が印象に残った。下積みの時間がもったいないと感じた。

 「うまくやってはいけそうだったが、歯車になりそうで。いったい何を学べるのか見えなかった」

 小さな広告代理店に入って仕事を覚え、4年後に中学の同級生と2人で会社を起こした。場所は秋葉原。ウェブ制作を請け負いながら、萌(も)え系カフェも経営する。08年の無差別殺傷事件で業績は一時落ち込んだが、今は持ち直した。

 もしタイに行かなければ、素直に会社員になっていたと思う。活気に満ちたアジアを見た後、みんなと同じ流れに乗れなくなっていた。よく、タイ人の妻が言う。「日本はどんよりしてる。みんな楽しそうじゃないね」。自分もそう思う。「会社員、しんどそうですもん。心も体も病気になるまでがんばるって何だろうって」

 ディスコ、キャバクラで遊んで、何でも買えた世代に比べて、地味に生きていると思う。家でフェイスブックをして友だちと遊んで、それで十分。「いい車に乗りたいとかも思うけど、今の働き方を変えてまで手に入れたいものじゃない」【鈴木敦子、戸嶋誠司】

=つづく

 ◇「定年まで勤めたい」 時代で差
 「定年まで勤めたい」時代で差 財団法人・日本生産性本部は1969年から、企業の新入社員を対象に「働くことの意識調査」を実施し、「同じ会社でずっと働きたいか」という質問を設けている。新人が「定年まで勤めたい」と答えた割合から、時代性をうかがうことができる。

 今の30代が新人だった90年代と00年代前半は、10〜20%台と低い水準。一方、11年春入社の新人は過去最高の34%だった。93〜05年は有効求人倍率が1を切る「就職氷河期」。雇用状況は厳しかったが、それが長く続くとは思われていなかった。新人が「会社に縛られたくない」という意識を、まだ持つことができた時代だったと見ることができる。

296チバQ:2012/09/07(金) 23:21:27
http://mainichi.jp/feature/news/20120103mog00m100006000c.html
リアル30’s:働いてる?(3)使い捨ていつまで
2012年01月03日


失業中の32歳の男性。ストレスから左耳が難聴になった。歩道橋から見える団地の明かりがまぶしい=東京都内で、戸嶋誠司撮影
拡大写真◇派遣転々…身も心もボロボロ

 「何とか就職できたよ」−−昨年秋の高校の同窓会。近況報告でとっさにうそが出た。同級生は働き盛りの会社員や公務員。仕事の苦労も楽しそうに語り合っていた。

 横浜市で1人暮らしの31歳のダイスケさん(仮名)は今、生活保護を受けている。派遣切りに遭い、仕事が見つからないままもう2年がたった。

 埼玉県の私立高を99年に卒業。家計が苦しく進学できなかった。フリーターになり、ファミレスで週5日のアルバイト、うち2日はコンビニと掛け持ちした。多い日は1日14時間働いた。それでも月収約13万円。

 8年目、長時間労働がたたって体を壊し、アルバイト生活をやめた。だが、正社員の面接を受けても不採用が続く。履歴書の資格欄はいつも「なし」。運転免許すら持っていない。

 専門学校に行く学費を稼ごうと、派遣労働者になった。製造業派遣が解禁された頃。フリーペーパーの求人に「月収30万円!」「入社祝い金もあり」と景気のいい文字が躍っていた。

 初めての派遣先は自動車組み立て工場。1週間で後悔した。諸経費と寮費を引かれて手取りはわずか月10万円。学費などたまらない。自分が何の部品を組み立てているかも分からず、やりがいを持ちようがなかった。

 働く仲間は40〜50代の元正社員。「バブルの頃はよかった」「パチンコ行くから残業代わって」と、だらしなく映った。「俺が正社員だったらまじめに働いていたぞ」。生まれた時代を呪った。

 リーマン・ショック翌年の09年秋、派遣先を解雇された。年始に寮を追い出され、とうとう生活保護を申請した。月13万円を受け取る。

 ハローワークで職を探す毎日。履歴書の写真代や面接の交通費が響き、月に3、4日は3食を抜く。面接までたどり着ける会社は多くて月に5社。「また『ご縁がなかった』という言葉を聞かされるのかと思うと緊張して眠れない。心はとっくに折れた」。唯一の楽しみは子どもの頃から買い続ける「少年ジャンプ」。1週間、繰り返し読む。

◇  ◇ 

高速道路の中央分離帯に激突しそうになり、あわててハンドルを切る。心臓がバクバクし、冷や汗が流れた。しばらくするとまた、まぶたが重くなる。

 09年までの約3年間、関東地方の運送会社でトラック運転手として働いた31歳のコージさん(仮名)は「1日の睡眠は2、3時間。いつ大事故を起こしてもおかしくなかった」と振り返る。

 午前5時出社。7時に東京都内の配送センターで荷物を受け取り、午後9時ごろまで関東一円の工場に部品を運ぶ。月収は手取り約20万円。残業代もボーナスもなかった。友人の葬儀のため休みを申し出ると、上司から「サボりたいだけだろ。嫌なら辞めろ」と言われた。

 高校卒業後、都内の職業訓練校に通った。金属加工会社に就職したが、「違う仕事も経験したい」と再び職業訓練校に。ところが体調を崩して中退。約1年半の休養後は、建設作業や警備員、引っ越し、代行運転手、日雇い仕事で食いつないだ。

 プリンター工場や自動車部品工場の派遣も経験したが、休日出勤を断ると嫌がられ、半年で契約を切られた。26歳で飛び込んだトラック業界は、ようやく見つけた正社員の職だった。

 だが不況で業界はコスト削減に追われ、ドライバーにしわ寄せがきた。「高速道路は使うな」と指示され、荷待ちや車両点検の時間は勤務外と見なされた。得意先の配送センター社員は王様みたいに振る舞った。それでも愛想良くしないと、会社が契約を切られる。

297チバQ:2012/09/07(金) 23:21:52
 一般道を時速100キロで飛ばし、食事やトイレもがまんした。事故より、遅配による上司のしっ責におびえた。居眠り運転は日常茶飯事、信号無視もした。

 大学を出ていればと何度思ったか。でも「自分みたいに選択肢がない人間は、クズみたいな使われ方でも続けるしかない」。運転中に追突され、持病の腰痛が悪化して退職した。傷病手当ももらえなかった。

 運送会社の次に就いた仕事も長時間残業が当たり前。昨年夏、うつ病と診断されて辞めた。失業保険は1月半ばに切れる。

 いつまで使い捨てなんだろう。「もうすぐ自分もああなるのかな」−−視線の先には、寒風が吹く公園で背を丸めるホームレスがいる。真冬の路上生活は死と隣り合わせだ。「普通に働いて、普通に眠って、普通に食べられる生活をしたい」。途切れがちの声が冬空に吸い込まれていく。【水戸健一、鈴木敦子】

=つづく

◇非正規雇用25〜34歳の4人に1人

 25〜34歳の非正規雇用率は、1991年は約10人に1人(10.9%)だったが、2010年は約4人に1人(25.9%)となった。男性の非正規雇用労働者(全年齢)の6割は年収200万円未満で、生活保護の受給水準よりも低い「ワーキングプア」になっている(総務省調べ)。

 一方、生活保護の受給者は11年9月時点で過去最高の206万人。09年のデータでは、働き盛りの30代の受給者が約11万2000人と00年の約1.9倍になり、全体の伸び率(約1.6倍)を上回った(厚生労働省調べ)。

298チバQ:2012/09/07(金) 23:23:25
http://mainichi.jp/feature/news/20120104mog00m100021000c.html
リアル30’s:働いてる?(4)入社2カ月解雇通告
2012年01月04日


30代が多く参加した反貧困イベント。「いつか私もそうなるかも」−−同世代の苦境はひとごとではない=東京都港区で2011年12月9日午後8時20分、三浦博之撮影
拡大写真 昨年の秋も深まったころ、突然、上司に呼ばれた。「余裕があるみたいだね。今年は大きな仕事をしてないよ」−−穏やかな口調が不気味だった。小さな出版社に入社して2年目の30歳のマコトさん(仮名)。繁忙期に定時で帰ったのが気に障ったようだ。「またクビになるかも」と不安がよぎる。 

 早稲田大在学中に演劇にのめり込み、就職活動をしなかった。04年に卒業後は飲食店のアルバイトで食いつなぎ、しばらくしてコールセンターの仕事を始めた。時給制のアルバイトで手取り月16万〜17万円。その後、契約社員になったものの、不安定な仕事から逃れようと初めて就職活動に臨んだ。

 就職あっせん会社に登録した。だが、50社申し込んで面接にたどり着けるのは半分。「演劇に打ち込んだので就職活動をしませんでした」と話すと、面接官は冷ややかにほほ笑んだ。好きなことやって就職の機会を捨て、調子のいいこと言ってるねえ−−そんな声が聞こえた気がした。

 結局、正社員をあきらめ、06年に派遣会社に登録。ところが、派遣切りが始まった。09年夏に派遣先の契約が前倒しで打ち切られ、派遣会社の支店待機に。会議室に派遣30人が集められ、パソコンに向かって自習を命じられた。外出も居眠りもだめ。このまま会社に残っても給与は出ないと言われ、退職した。身勝手なのは自分か会社か、分からなくなった。

 両親はバブルのころ、関東近郊に家を買って多額のローンを抱えた。都心から遠くて住みにくく、借り手も見つからず、結局手放した。年金から今もローンを返済する。親子でマンションに暮らすが、余裕のない両親に代わってマコトさんが家賃を払う。「何で俺がバブルのツケを払うのか」

 今の出版社では正社員。最近は進んで残業もする。休日出勤も多い。「いつクビになるか不安。また惨めな就職活動はしたくない」−−向かいの席に座る上司の一挙手一投足が気になる。

◇  ◇ フリーターやネットカフェ難民に比べたら「自分はまだまし」と思っていた。

 01年3月、34歳のケンジさん(仮名)は学習院大を卒業した。就職先は従業員約500人の自動車部品メーカー。経理部で働いた。

 08年、リーマン・ショック直後に年齢を問わないリストラが始まった。数年前、元請け会社の業績悪化のあおりを受け、中高年は一掃されたあと。31歳だったケンジさんにも希望退職の声がかかった。

 会社に残りたいと言ったら、工場に異動させられた。塗装ラインでひたすらバンパーを上げ下ろしする肉体作業。強硬な説得に負けて、結局退職した。8年勤めた退職金は100万円。東京・日比谷公園に派遣村ができてしばらくたった頃。若手の正社員ですら簡単に職を失う時代が来たと思った。

 再就職を目指し、失業給付を受けながら簿記2級の資格を取った。「当時はまだ大丈夫と思ってた。大学を出て、正社員を8年して、簿記を持ってて、何とかなると」−−現実は甘くなかった。

 転職サイトに「製造業・正社員・事務職」で登録したが、応募しても書類ではねられる。100社に応募し面接に進めたのは10社。転職サイト担当者は「年齢の割に薄い職務経歴、1年のブランク、職務経歴のアンマッチ」を理由に挙げた。

 ようやく内定をもらった都内の食品会社。年収は約400万円。一生懸命働こうと思った。しかし、入社1カ月後に採用担当者に呼び出された。「こんな好待遇なのにさ、あなたそれに見合う能力がないよ。会社が求める10分の1も働いてないじゃないか」

 2カ月目、別室で「解雇します」と通告された。離職票には「能力不足」の文字。何が足りなかったのか、今も分からない。現在は関東地方で団体職員として働いている。

299チバQ:2012/09/07(金) 23:23:38
◇  ◇ 昨年12月9日夜。勝ち組の象徴と呼ばれた六本木ヒルズそばの雑居ビル地下に、20〜30代の若者が次々集まった。若者の労働・貧困問題に取り組む「反貧困たすけあいネットワーク」がクラブを借り切って開いたイベント。代表で、首都圏青年ユニオン書記長でもある河添誠さんは「もう8回目。あえて六本木でやるのがおもしろいでしょ」と笑う。

 専門家のトークと、食事や酒を楽しむ。厳しい日常の中のささやかな息抜き。過労死寸前の働き方や貧困にあえぐ若者への共感が会場を包む。「いつ自分がそうなるか分からない」−−30代の実感だ。

【水戸健一、戸嶋誠司】=つづく

 ◇バブル崩壊若手の雇用直撃
 総務省の労働力調査によると、11年1月の25〜34歳の完全失業率は6.4%。全年齢の平均値(4.9%)と比べても厳しい。就職氷河期(93〜05年)が始まる直前の92年1月では、25〜34歳が2.4%、全年齢の平均値が2.1%とほとんど差はなかった。バブル崩壊以降、働き盛りの25〜34歳を取り巻く雇用状況は激変した。

 また、10年の同調査によると、勤め先や事業の都合で職を失い、求職中の人は102万人。07年の59万人から急増している。

300チバQ:2012/09/22(土) 10:57:26
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120915/trd12091522510014-n1.htm
生活ギリギリ、母子家庭の年収291万円 「正社員なんて無理」非正規増加
2012.9.15 22:50 (1/2ページ)
 厚生労働省が5年に1回行っている全国母子世帯等調査の最新結果で、母子家庭の平均年間収入は291万円と、子供のいる世帯の平均所得(658万円)の44・2%にとどまることが判明した。前回調査に比べ、非正規雇用の割合が増加しており、ひとり親への経済支援や就業促進策充実を求める声が上がっている。

 4年前に夫と離婚した埼玉県の女性(42)は、3歳の娘を1人で育てながら都内で事務職の派遣社員として働いている。

 夫との約10年間の結婚生活で埋められない溝ができ、離婚を話し合い始めた直後に妊娠が判明した。

 「38歳という自分の年齢を考え、離婚しても産みたいと思った」

 決意が揺らがないよう、安定期に入った後に夫へ妊娠を告げ、その後、離婚が成立した。

 派遣先には産後2カ月で復帰した。「それが限界と言われた」。月々の収入は給与や児童扶養手当などで約20万円。家賃、保育園料、職場への交通費などを払うと手元にはほとんど残らない。「面接に行くと『子供はどうするのか』と聞かれ、正社員の仕事なんて特殊技能でもない限り無理」。子供をきちんと進学させられるか、不安は尽きない。

 「厳しい経済状況下、ひとり親として一人二役を担うことが就労面に大きな影響を与えている」。調査を行った厚労省は分析する。

 今回調査によると、平成23年11月1日時点で母子家庭は推計123万8千世帯、父子家庭は22万3千世帯。職を持つ母子家庭は80・6%と、前回調査の18年度に比べ3・9ポイント減少した。

 形態別では、正規雇用が前回比3・1ポイント減の39・4%だった一方、パートやアルバイトなど非正規雇用は同3・8ポイント増の47・4%と半数近くを占めている。

 父子家庭も平均年間収入は455万円と平均的世帯の7割弱だ。生活保護や各種手当、元配偶者からの養育費などをのぞいた就労だけになると、母子家庭が181万円、父子家庭が360万円にまで減少する。

 NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の大矢さよ子理事は「少子高齢化社会で、1人で子供を育てている親を支えることは日本の将来にとっても大事なこと」と指摘。「資格取得のサポートなど、収入があがるような支援策を国はもっと手厚く行うべきだ」と話している。

301チバQ:2012/09/29(土) 17:48:16
http://mainichi.jp/select/news/20120929k0000m010100000c.html
生活保護:「アメとムチ」 厚労省案、安全網後退の懸念も
毎日新聞 2012年09月28日 22時56分(最終更新 09月29日 00時09分)
 厚生労働省が28日公表した生活保護制度の見直し素案は、就労意欲を促すための加算金創設など「アメ」の部分と、審査の厳格化という「ムチ」の両面で従来より踏み込んだ。ただ、就労促進の実を上げるにはきめ細かい支援が不可欠だ。この前提が崩れれば厳格化だけが強調され、「最後のセーフティーネット」としての機能が後退しかねない。

 働く意欲がある人への加算、賃金を得れば保護費が減額される仕組みの緩和−−。受給者に働くことを強く促す素案に対し、実務を担う自治体側の委員は28日の社会保障審議会の部会で方向性に賛意を示した。ただ、実効性には疑問も残る。

 例えば今回の目玉、加算金創設も、何をもって「働く意欲がある」と評価するかは示していない。厚労省は採用面接を受けた回数などを想定しているが、あるケースワーカーは「外形的なアリバイはいくらでも作れる」と打ち明ける。

 厚労省が就労支援に力を入れるのは、保護費を減らせると踏むからだ。同省は、保護を受けずに正社員となり納税する側に回れば、1人当たり生涯で9000万〜1億6000万円が浮くと試算している。それでも09年に就労支援を強化した大阪市では、支援を受けた受給者の2%程度が保護から抜けただけ。同日の部会で高知市長の岡崎誠也委員は「相当な財源と人員が必要だ」と指摘した。

 一方、審査の厳格化には、現場を知る人たちから批判が上がる。象徴的なのは、働かない人への支給を厳しくする案だ。「労働意欲がない」と一律に判断するのは難しく、同部会委員でNPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典代表理事は「生活保護法が掲げる『無差別平等の原理』に反する恐れがある。ゆがんだ解釈をするケースワーカーが横行するのではないか」と懸念する。

 実際、自治体の現場担当者は「国が『厳格化』にお墨付きを与えた意味は大きい。餓死者が出ても自治体が矢面に立たず、国の責任にできる」と話し、これを機に生活保護を絞る自治体が出てくる可能性を指摘する。【鈴木直、遠藤拓】

302チバQ:2012/10/09(火) 22:38:48
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121008-00000002-fsi-bus_all
希望退職者に厳しい現実「まさかこの歳で…」 製造業の雇用受け皿喪失
SankeiBiz 10月9日(火)8時15分配信

主な国内工場の閉鎖・縮小の動き(写真:フジサンケイビジネスアイ)

 半導体や電機など、かつて日本経済を牽引(けんいん)した製造業で国内工場の閉鎖や縮小が相次いでいる。円高や海外メーカーの台頭などの理由から収益が圧迫され、経営再建中の半導体大手ルネサスエレクトロニクスとシャープだけでも国内の早期希望退職者数は1万人規模に達する。さらに工場縮小の動きが他の製造業に広がれば、日本経済への打撃はかつてない規模となろう。不安を隠しきれない各地の表情を追った。

 「まさかこの歳で就職活動をするとは…」。9月25日、山口県宇部市のアシストハローワーク(臨時就職相談所)を訪れた46歳の男性はため息混じりに話した。

 男性は高校を卒業後、NEC山口(現ルネサス)に入社。以来、同社の山口工場(宇部市)一筋で働いてきたが、2013年度に工場が大幅に縮小されることになり、退職を決断した。妻と3人の子供、住宅ローンを抱えての再就職活動。簡単にはいかないと覚悟はしていたものの、男性は「なかなか次の仕事が決まらない」と予想以上の厳しい現実に戸惑う。

 ルネサスは経営再建に向け、グループの国内18拠点のうち10工場を3年内に売却または閉鎖する。9月まで募集した早期退職には全従業員の約2割に当たる7511人が応募した。しかし、ハローワーク宇部の勝本由紀雇用指導官は「労働市場は厳しく、新しい雇用は少ない」と話す。展望は容易に開けそうにない。大手企業の工場閉鎖や生産縮小は、部品を納入する中小企業にも影響を与えている。取引量が細り、社員の削減を余儀なくされる企業も少なくない。

 「今後は受注がゼロになると覚悟している」。シャープに液晶テレビの部品などを納入する大阪府内の中小企業経営者は、落胆した表情で話す。同社は昨年、シャープの経営悪化に伴い受注が半減。大幅な人員削減に踏み切っただけに、「シャープには何も期待できない」と肩を落とす。シャープは今年度、液晶テレビの販売台数を前年度比35%減の800万台に減らす計画。11月には国内で約2000人の早期退職を募集する。東京商工リサーチによると、国内でシャープグループと直接取引のある企業は2000社以上、総従業員は54万人超。シャープの生産縮小の影響は、こうした企業にも広く及ぶ。

 半導体や家電製品をめぐる日本の競争力の低下は、時代の変化を如実に映し出している。製造装置を導入すれば比較的簡単に生産することが可能となる時代が到来し、韓国や中国メーカーが相次ぎ参入した。価格競争が激化したところに円高という逆風が吹き、国内の競争力が低下した。その結果、半導体や電機で国内工場の閉鎖や縮小が進む。政府が7月に決めた「日本再生戦略」では、医療・介護、環境など新しい分野を掘り起こし、20年度までに480万人以上の新たな雇用を生み出す計画だ。だが、雇用の移転は進まない。

 パナソニックなど複数の大手企業が撤退した千葉県茂原市。ハローワーク茂原によると、11年11月から12年9月までに合計で1900人の離職者が発生したという。ハローワークには介護などの求人が多く、職業訓練の紹介なども行う。だが「製造ラインで働く人は黙々と作業するのが得意で、介護や営業などには移りたがらない」(ハローワーク茂原の熱田家喜所長)。8月の茂原の有効求人倍率は前月比0.07ポイント低い0.39まで落ち込んだ。

 日本総研の山田久チーフエコノミストは「正社員と終身雇用を前提とする日本企業はコストが高い。自動車など他の製造業にも国内生産縮小の動きが広がる懸念もある」と指摘する。製造業という雇用の受け皿を失えば、日本経済への影響は計り知れない。だが、対策は限られているのが現状だ。(大柳聡庸)

303チバQ:2012/10/11(木) 00:05:00
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121010-00000007-jct-soci
NECのリストラ面談やり取り生々しく再現 「会社って、ここまでするのか…」
J-CASTニュース 10月10日(水)20時22分配信

 NECが募った1万人規模の希望退職について、しんぶん赤旗が面談の「一問一答」をリアルに紹介して反響を呼んでいる。これでは、面談する側もつらいのではないかというのだ。

  「今の職場で今のまま業務を続けてもらうのは難しい」
  「残って今の仕事を続けたい」

 赤旗の2012年10月9日付記事では、100回ほども繰り返されたというこのやり取りなどが、禅問答のように続いていく。

■計11回の面談で「辞めた方が得」などと迫る

 面談は、NECが5月16日に希望退職募集を発表してから、携帯電話事業などの職場で行われた。対象は、勤続5年以上となる40歳以上の社員で、希望退職は「特別転進」の名で呼ばれていた。

 その結果、8月28日に2393人が応募したことが発表された。海外や派遣などで8000人ほどが削減されることから、これで1万人のめどが立ったことになる。

 とはいえ、その後、面談に事実上の退職強要があったのではないかと、国会や週刊誌で取り上げられた。赤旗の記事は、その様子を詳しく報じたものだ。

 記事によると、40代の男性社員は、5月下旬から7月末にかけて計11回も、15〜90分間の面談を受けた。男性がやる気をアピールしても、上司は「自己研さんの場ではない」「一般的にいうリストラだ」と強調した。苦痛なので面談を止めてと男性が訴えると、上司は業務拒否だと主張した。3回目の翌日に、男性は不安や不眠から心療内科にかかり、適応障害と診断されたという。

 しかし、上司は、「法的に問題ない」として面談を続行した。指名解雇などになる可能性から辞めた方が得だとし、今のままでは会社や男性にとっても不幸だと指摘した。11回目になって上司の上役も面談に加わり、「残れないよ」と諭した。これに対し、男性が「もう自殺するしかないじゃないですか」と漏らすと、上役は、自殺は止めるようにと言って面談終了を告げた。男性は、現在も職場に残っているという。

 男性のメモを元にしたという生々しい赤旗の記事だけに、ネット上では、大きな反響を呼んだ。

■NEC広報「退職を強要したことはありません」

 記事は2000件以上もツイートされており、「凄まじいな」「会社って、ここまでするのか…」と驚きの声が相次いでいる。一方で、「上司だって苦痛だろうこれ」といった指摘は多く、「無駄なことに日々労力使ってる」「自由に解雇出来るようにしないと」との意見も出ていた。

 人事コンサルタントの城繁幸さんは、ツイッターで、「この会話の不毛っぷりが日本の停滞を象徴しているように見える」と嘆いた。そして、「『辞めろ』って言わずに追い込むのって、やる方も精神的に来るんだよね」として、リストラした大手企業で転職する人事担当者がかなりいると指摘した。「圧迫面接とかやってて終身雇用の現実が虚しくなるんだろう」と分析している。

 男性が加入したという労組の電機・情報ユニオンでは、米田徳治執行委員長が、10回以上の面談も珍しくないと取材に答え、「制度上は退職支援になっていますが、実際は退職強要ですね」と会社側を批判した。会社側は「日航の判決を見ろ」と、機長らが敗訴したケースを挙げて脅しをかけているともした。ただ、人事担当者にも辞めた人がかなりいるとし、「上役からやるように言われ、『こんな会社でいいのか』とイヤになるのでしょう」としている。

 NECの広報担当者は、取材に対し、男性が社員にいるかについて、「対象者は全員が面接を受けており、面接回数や年齢・性別、面談の様子など、この記事だけでは、登場している人物の特定、内容の確認はできません」と回答した。10回以上の面談もあるのかについては明言せず、「対象者1人1人の今後の役割や担当業務が変わって行く可能性があることを十分に理解いただき、本人の今後のキャリアの方向性を真剣に考えるよう気づきを与えることは、会社としての責任でもあり、面談で十分理解されていないと判断した場合は、面談が複数回になったケースがあります」とした。

 ただし、退職強要があったことは明確に否定し、「個々人が自らの将来・キャリアの方向性を熟慮した結果として、本人の自由意志に基づき選択したものと認識しています」と言っている。面談した人事担当者が辞めているかについては、特に聞いていないという。

304名無しさん:2012/10/11(木) 14:40:51
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121011/plc12101112470012-n1.htm
キム世銀総裁「日本と良い協力関係」と評価 貧困途上国など支援で
2012.10.11 12:45
 東京で開かれているIMF・世界銀行年次総会の開幕に当たり、世銀のキム総裁は11日記者会見し、「今回の総会は、効果的な協力が世銀と日本との間でできている好例」と指摘した。

 総裁は「日本は(震災で)大変な悲劇を経験したが、日本政府からは、今回の悲劇を通じてできる限りのことをして他国を支援したい。とりわけ貧困途上国の状態を良くし、リスク管理の支援をしたいというコミット(約束)を聞いた」などと語った。

305バーバリー 通販:2012/10/27(土) 03:23:46
こんにちは、またブログ覗かせていただきました。また、遊びに来ま〜す。よろしくお願いします
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306バーバリー 財布 レディース:2012/11/03(土) 01:13:22
お世話になります。とても良い記事ですね。
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307チバQ:2012/11/07(水) 01:51:18
http://www.asahi.com/job/news/TKY201210290393.html
自治体職員、3人に1人「非正規」 低賃金労働広がる2012年10月31日
 【山本知弘】自治体で働く職員の3分の1を非正規が占めることが労働組合「自治労」の調査でわかった。1割の自治体では半数を超えた。総人数は4年前より2割増え、70万人に達する見込み。組合側は「財政規模の小さな自治体を中心に、低賃金労働が広がっている」と指摘している。

 全国の47.2%にあたる845自治体の6月1日時点での状況を集約した。29日に発表した。

 警察や消防、教員などを除く臨時・非常勤職員の数は30万5896人。正規職員は61万9542人で、全体に対する非正規率は33.1%だった。調査からもれた自治体を含めると、全国の「非正規公務員」は70万人と見込まれるという。前回の2008年調査では非正規率は27.6%、人数は約60万人だった。

 非正規率は小さな自治体ほど高い。都道府県の16.6%に対し、町村は38.0%。5割を超えるところもあった。財政がより厳しい自治体で正規の採用を抑え、非正規に置き換えていることが原因と考えられるという。

 勤務時間が正規の4分の3以上ある非正規は6割を超え、職場に欠かせない働き手になっている。ただ、労働条件は厳しく、時給制では900円未満、月給制では16万円未満の労働者が半数以上いた。フルタイムで働いても年収200万円に届かない計算だ。

 職種別にみると、生活保護にかかわるケースワーカーでも非正規率は1割に達した。

 保育士や図書館職員を含む代表的な6職種では、昇給がない自治体が7割超、期末手当なしは6割前後、通勤費なしは2割超あった。契約は大半が1年以内で、不安定な立場だ。

 来年4月に、正規と非正規の待遇の不合理な格差を禁じる改正労働契約法が施行されるが、公務員は対象外。自治労幹部は「弱い働き手へのしわ寄せが、さらに強まる。処遇改善を求めていきたい」としている。

 自治労の全国調査は08年に続き2回目。全自治体を対象にした前回と異なり、今回は加盟組織のある自治体に対象を限った。

     ◇

 〈自治体の非正規公務員〉 地方公務員法22条による「臨時職員」が最も多く、緊急の場合や臨時の仕事があった場合、最長1年の約束で働くことができる。地公法は元々、非正規公務員が長期間働くことは想定していないが、更新が繰り返される例が多い。予算の都合で年度末の3月でいったん雇い止めになることもある。

308今だけ:2012/11/07(水) 07:55:45
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309モンクレール:2012/11/15(木) 22:33:49
今日は〜^^またブログ覗かせていただきました。よろしくお願いします。
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310チバQ:2012/11/18(日) 11:52:41
うらやましい半面、欧州の高失業率だしなあ
http://www.cnn.co.jp/business/35024516.html
日本は有給未消化が突出、欧州はほぼ完全消化 休暇実態調査
2012.11.16 Fri posted at 10:47 JST

(CNN) 米国人は与えられた有給休暇のうち2日間を未消化のまま残し、日本人は半分も消化できていない――。ネット旅行会社のエクスペディアが15日に発表した2012年の休暇取得に関する年次調査でそんな実態が明らかになった。

調査は22カ国の会社員などを対象に実施し、8687人から回答を得た。

それによると、有給休暇の消化日数は、米国が12日のうち10日、日本が13日のうち5日、韓国は10日のうち7日だった。米国で与えられた有給休暇の日数は、前年の14日より2日減っている。

有給休暇に加えて長期休暇を取るのが一般的な欧州では、フランスとスペインが30日の有給休暇を使い切り、ドイツは30日のうち28日を消化。英国、スウェーデン、ノルウェーも25日の有給を使い切っていた。

有給休暇を消化できない理由として、米国、英国、カナダ、日本、アイルランドの回答者は、金銭面の不安を筆頭に挙げている。

ノルウェーとスウェーデン、ブラジルでは上司が部下の有給休暇取得を支持しているのに対し、イタリアと韓国の上司は有給休暇を取らせることにあまり積極的でない傾向があることも分かった。

週の平均労働時間はアジア諸国が約44時間、米国は40時間、22カ国の中で最も短いオランダは35時間だった。

エクスペディアは「ワークライフバランスの実現によって従業員の満足度は増し、生産性も向上する。有給休暇は特典でもぜいたくでもなく、使うためにある」と指摘している。

311チバQ:2012/11/18(日) 11:53:48
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20121115/ecn1211150712003-n1.htm
外資の2週間連休、背景に“従業員性悪説”2012.11.15
連載:グローバル時代 営業の極意

 近頃は日本企業でも「有給休暇消化」を義務付けているところも少なくないが、1990年代前半、私が勤めていた邦銀は有給休暇の取得は容易ではなかった。一方、外資では、90年代半ば、従業員に2週間連休の取得を義務付ける制度が導入された。

 「外資はいいよね、2週間も休めて」という声を当時よく聞いた。

 しかし、これは従業員をねぎらうために導入されたものではない。

 95年2月、英国の名門投資銀行だったベアリングス銀行がシンガポール支店の一従業員による不正取引で破綻したことに起因していた。伝票などによって事態が発覚しないよう、その従業員は休みを取らず、何とかつじつまを合わせていたのだ。そして事態は一層深刻化し、ついには銀行本体が倒れるに至る。

 この時の教訓から、多くの金融機関がこの2週間連休取得制度を導入した。2週間連続して休暇を取らせれば、仮に不正な行いをしていても、その間に発覚するだろうとの会社側の考えからだ。取得しなければ、何か休めない理由でもあるのかと勘繰られてしまうこととなった。

 つまり従業員性悪説を基本とした制度なのだ。しかも従業員側にとっては、普段から忙しい仕事を2週間連続して休むことは決して楽ではない。1週間連休を2回取れたら、どんなに楽かと何度思ったことか。

 ある年、私は何とか2週間連休を取得するよう試みたが、取得できないまま12月を迎えた。年内取得が義務付けられており、何としても12月中に取得するよう上司から言われていた。しかし、その時期、私は多忙を極めていた。

 「すみません。どうしても今月休みを取ることができません…」

 「う〜ん、福留さん、今回は特別に許可をもらえるようニューヨークと掛け合いますが、もし来年も取得できない場合、米国の当局担当者との面接を受けてもらいます」

 「えっ、ええ〜?!」

 これが単なる脅しだったのか、本当にそうだったのか、今となっては知る由もない。

 最近は、業界全体の業績が芳しくないためか、時代の変化か、割り切って休暇を取得する人が増えているらしい。

 ■福留浩太郎(ふくどめ・こうたろう) 株式会社グローバル・リーチ代表。邦銀勤務の後、15年超を欧米金融機関に勤務し、経営幹部として活躍。昨年3月に慶應義塾大学大学院修了、経営学修士号(MBA)を取得。その後、新たに教育事業を立ち上げ、現在に至る。

312チバQ:2012/11/20(火) 21:45:02
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ibaraki/news/20121120-OYT8T00018.htm
実習生過労死和解、原告側「制度を廃止すべき」



和解後、蒋さんの遺影を掲げて会見に臨む指宿弁護士(右)ら原告側弁護団(19日、水戸市の県弁護士会館で)  「二度とこのようなことが起きないよう、制度を廃止すべきだ」。2008年、潮来市のメッキ加工会社で起きた中国人実習生蒋暁東さん(当時31歳)の過労死を巡る裁判。和解後、水戸市内で会見した原告側弁護団は、外国人実習制度そのものを強く批判した。

 「過労死が起きた時、現場の事業所だけではなく、1次受け入れ機関(監理団体)にも責任があると認めさせたかった」。蒋さんの遺影とともに記者会見した原告側の指宿昭一弁護士は裁判の意義を強調した。

 裁判では、過労死の責任の所在が争われ、原告側は雇用主の「フジ電化工業」だけでなく、実習生を受け入れ、監理する立場にあった「白帆協同組合」の責任も追及した。

 和解では、企業と監理団体の双方が遺憾の意を表明し、和解金の支払いに応じるなど、事実上責任を認めた形だ。指宿弁護士は「昨年度も20人の実習生が死亡し、過労死という情報が入っても遺族と連絡が取れないケースばかり。遺族の納得する形で解決したことに意義がある」と述べ、「制度が技能実習のためというのはまやかし。出稼ぎであり、そのためのシステムを作るべきだ」とトラブルが起こりやすい制度の問題点を指摘した。

 一方、白帆協同組合代表の男性は「出稼ぎで来ている実習生と企業の両者が残業を求める中、働く現場を確認することは難しい」と語った。

 代表によると、組合で実習生を受け入れ始めたのは2005年頃。最盛期は80人近く受け入れ、トラブル防止のため各企業への指導も行っていたというが、「(受け入れ企業が集まり)仲間内で始めただけに、厳しく言えなかった」と振りかえった。

 蒋さんの死後、新規受け入れは中止し、倒産に追い込まれた受け入れ企業もあったという。代表は「蒋さんが死亡したのは本当に残念。だが、企業の中には、実習生のために利益にならない残業をわざわざさせるところもあり、突然、逃亡する実習生もいる。この制度で問題が起きないようにするのは難しい」と話した。

 埼玉工業大の依光正哲非常勤講師(労働政策)は「零細企業の経営者が組合を作り、実習生を受け入れて監理するのは負担が大きい。派遣会社のように営利で活動する受け入れ機関も存在しており、そもそもこの制度自体に問題がある」と話した。

◇企業への監理徹底を

 訴訟は、過労死の現場となった企業だけでなく、実習生の受け入れ機関(監理団体)も遺族に和解金を支払うことで和解に至った。「技能や技術、知識を習得させる」という制度本来の目的から外れ、実習生を単なる労働力として扱ってきた企業は、その姿勢を改め、監理団体も実習生の労働実態を把握し、企業への監理を徹底していく必要がある。

 実習生の労働条件を巡っては、全国で賃金未払いや不当解雇で訴訟に発展している。厚生労働省によると、昨年1年間で実習生を受け入れている2748事業所に監督指導を行い、82%に当たる2252事業所で労働時間や安全衛生関係などで違反行為があった。

 制度は受け入れ機関の管理、監督責任を強化し、労働関係法令の適用など法的保護も強化する内容で2010年に改正された。

 だが、制度の運営に関わる国際研修協力機構(東京)の調査では、実習生の「脳、心臓疾患」による死亡が昨年度も6件確認されており、原告側代理人の指宿昭一弁護士は「蒋さんの死は氷山の一角だ」と指摘している。(建石剛)

(2012年11月20日 読売新聞)

313名無しさん:2012/11/21(水) 04:15:33
消費増税断固反対

314とはずがたり:2012/11/21(水) 22:50:21

大阪・西成区で“DASH村”!? 生活保護受給者らが栽培
2012年11月21日(水)15:05
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20121121134.html?fr=rk
(産経新聞)
 生活保護受給率の高さなど多くの課題を抱える大阪市西成区を活性化させる「特区構想」の一環として、未利用の市有地を転用した畑で生活保護受給者が野菜作りに取り組む計画が、公募で8月に就任した臣永(とみなが)正広区長の発案で進行している。近隣の市立天王寺動物園(天王寺区)がゾウの糞(ふん)から作った堆肥を提供。生活保護受給者の生きがいづくりや空き地の有効活用、収穫物の給食利用など一石何鳥もの効果を狙う。将来は農園化して牛やヤギなどを飼い、大阪の街中で「日本の原風景」を復活させる構想も描いている。

 ◆空き地に着目

 民間出身で町長経験もある臣永区長の発案は、フリーライター時代、同動物園のゾウの糞から作った堆肥が人気で、週末に市民が行列を作るという話題を取材したのがきっかけだった。

 区長就任後、西成特区構想の具体策を模索する中で、区内に広がる空き地に着目。「栄養分豊富なゾウの糞の堆肥で空き地を土壌改良し、生活保護受給者の生きがいづくりに役立てられないか」と思いついた。区の支援要請に動物園側も快諾し、堆肥の無償提供を申し出た。

 ◆橋下市長も興味

 臣永区長は、西成特区構想有識者座談会のメンバーで「釜ケ崎のまち再生フォーラム」事務局長のありむら潜(せん)さん(61)に相談を持ちかけた。ありむらさんは以前、生活保護受給者による野菜作りに取り組んだが、菜園が遠くて頓挫した経験があった。

 ありむらさんは「わずかな投資で大きな効果が期待できる。畑が近ければ参加者も増えて長続きもする」と賛同。9月の有識者座談会で、菜園作りプロジェクトを提案した。

 報告を受けた橋下徹市長は「空き地やゾウの糞など身近なものをいろいろ活用していて面白い」と興味を示したという。

 ◆「DASH村」に

 来年度から、西成区のあいりん地区にある萩之茶屋南公園(通称・三角公園)南側に広がる南海電鉄の線路跡地(約500平方メートル)を使って試行し、少しずつ畑を広げていく予定。初年度は特区構想の予算から数十万円を充てる方針だ。

 業務委託する地元NPOが人選した生活保護受給者20〜30人が野菜作りに取り組み、幼稚園児らをイモ掘りに招いて交流を深めるほか、収穫野菜を区内の小学校などの給食に提供することも検討中だ。

 当初は無給だが、いずれは同区発祥のなにわ伝統野菜「勝間南瓜(こつまなんきん)」やハーブ、薬草など換金性の高い作物を生産して雇用創出につなげられたらと夢は広がる。

 読売テレビ系のバラエティー番組『ザ!鉄腕!DASH!!』で、人気タレントのTOKIOが農作物の栽培などを通じて古き良き山村を再現する企画「DASH村」のように、区内に1500平方メートル以上ある空き地を農園化。将来は、牛やヤギ、ニワトリなどを飼って日本の原風景づくりに取り組む「西成版DASH村」構想も温めている。

 臣永区長は「心豊かな環境づくりに励むことで若者世代を呼び込み、子供の歓声がこだまする元気な街に復活させたい」と意気込んでいる。

315チバQ:2012/12/10(月) 21:05:37
http://mainichi.jp/select/news/20121204k0000m040051000c.html
福島原発:下請け作業員の半数、偽装請負の疑い 東電調査
毎日新聞 2012年12月03日 21時13分(最終更新 12月04日 11時20分)

 東京電力は3日、福島第1原発の下請け作業員のうち、約半数が実際の雇用主とは異なる会社の指示で働く「偽装請負」の疑いがあるとするアンケート結果を発表した。自分の労働条件を書面で明示されていない作業員も約3分の1いた。偽装請負は職業安定法で禁止されているほか、労働基準法では、労働条件を書面で明示するよう義務付けている。第1原発の廃炉作業を管理する経済産業省資源エネルギー庁は同日、東電に口頭で改善を指示した。

 アンケートは、第1原発の元請け企業27社の下請け企業に勤務する作業員3974人を対象に、9月20日〜10月18日まで実施。3186人が回答した(回答率80.2%)。

 作業の管理員を除く2423人に、現場で作業を指示する会社と給料を支払う会社が同じか聞いたところ、「同じ」と答えたのは1173人(48.4%)だったのに対し、「違う」は1160人(47.9%)で、半数が偽装請負の可能性があった。

 また、雇用主から強要・指示された内容について複数回答で聞いたところ、「現場では別会社の指示通りに働け」と言われたのは158人。「東電や元請けへの提出書類に、別会社の名前を書け」と指示された人も125人いた。

 仕事内容や場所、賃金などの労働条件について、雇用主から書面で明示されなかったのは全回答者のうち1146人(36%)。198人(6.2%)は、口頭説明もなかった。

 時給は、837円以上(71.8%)▽658円以上837円未満(2.8%)▽645円以上658円未満(1%)▽645円未満(1.1%)−−だった。

 東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は3日の記者会見で「現時点で、偽装請負などの法令違反に当たるかは判断できないが、改善すべき状況は現実に存在すると認識している。元請け企業と協力して改善する」と述べた。【中西拓司、西川拓】

316チバQ:2013/01/06(日) 19:43:35
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20130106-OYT8T00088.htm
「今後もホームレスでいい」35%…厚労省調査

長期化・高齢化進む
 都心のホームレスには「現状維持派」が多く、高齢化、長期化が進んでいる――。厚生労働省の検討会がまとめたホームレスの実態に関する調査報告書から、そんな実態が浮かび上がった。

 調査は2012年1月、全国の大都市を中心に計1326人のホームレス(23区内は348人)から個別に聞き取って実施。学識経験者らが結果を分析し、同年12月に報告書をまとめた。

 23区内のホームレスは60歳以上が58・3%で、全国を3・8ポイント上回った。ホームレスの高齢化は全国的な傾向だが、70歳以上に限ると、23区内は17・5%で、全国の12・5%を5ポイント上回り、高齢化が顕著だった。

 一方、路上生活の期間について、23区内では55・5%が5年以上と回答。全国を8・5ポイント上回り、長期化の傾向も強まっている。

 「今後の希望」では、35・1%が「路上生活のままでいい」と回答し、全国を4・6ポイント上回り、その理由として、40・2%が「アルミ缶や雑誌集めの仕事で暮らしていける」と回答した。

 23区内のホームレスは、1999年度の約5800人をピークに年々減り、2011年度は約1600人。都福祉保健局は「人数が減った一方、相対的に路上生活を続けている人の高齢化、長期化が目立ってきている。粘り強く、自立を支援したり、福祉制度の利用を呼びかけたりしていくほかない」としている。

(2013年1月6日 読売新聞)

317チバQ:2013/01/06(日) 22:18:08
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130106/waf13010618010012-n1.htm
【関西の議論】
社員の命か、企業の信用か 裁判所はどちらを向く…過労死公開訴訟
2013.1.6 18:00 (1/4ページ)[景気・労働・雇用]

過労死があった会社などが記載された資料は企業名や事業所名がすべて黒塗りになっていた(寺西笑子さん提供)
 「悲惨な過労死を少しでも減らしたい」「ブラック企業と評価される」−。社員が過労死した企業名の開示をめぐり、大阪地・高裁で判断が分かれた。「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さん(63)が、社員が過労死の認定を受けた企業名を大阪労働局が開示しなかったのは違法として、国に対して不開示決定の取り消しを求めた訴訟。1審大阪地裁は企業名の開示を命じたが、2審大阪高裁は原告側の請求を棄却する逆転敗訴の判決を出した。寺西さんは「企業名が開示されるようになれば過労死に歯止めがかかる」と訴えており、最高裁に上告。最後まで戦い抜く決意を固めている。


黒塗りの企業名


 「真面目に働く人が過労死で亡くなっていく。命がいくつあっても使い捨てにされるばかりだ」

 昨年11月29日、高裁判決を受けて大阪市内で記者会見した寺西さんは、悔しさをあらわにした。

 寺西さんは、平成21年3月、脳や心臓の疾患などによる過労死があった複数の企業名について大阪労働局に情報公開を請求した。しかし、労働局は個人情報が明らかになることなどを理由として文書の企業名を黒塗りに。これを不服とした寺西さんは同年11月、不開示とした決定を取り消すよう求めて地裁に提訴した。

 労働局の上位機関である国側は「企業名が開示されれば、取引先から不利な扱いを受けるほか、人材確保でも影響が出る」などと主張。寺西さんは「開示は再発防止の第一歩。労働者を過労死から守る利益の方が大きい」と訴えた。その結果、地裁は23年11月、「個人や法人の利益を害する不開示情報にはあたらない」として、労働局の不開示決定を取り消す判決を言い渡した。「企業評価に直結する情報ではなく、企業名だけで過労死した社員を特定することもできない」という判断だった。

 原告側弁護団によると、過労死のあった企業名の開示を命じる判決は全国で初めて。寺西さんは「過労死を繰り返さない社会へ向けた大きな前進だ」と評価した。


「ブラック企業と評価される」と逆転敗訴


 しかし、国側の控訴を受けた高裁は昨年11月、「会社に過失や違法行為がない事案でも、一般には否定的に受け止められ、ブラック企業との評価を受けて信用が低下することもある」として1審判決を取り消し、原告側の訴えを棄却する判決を言い渡した。

 高裁判決は、1審と異なり、「規模の小さい会社では、同僚や取引先などに過労死した個人が特定されうる」と認定したほか、「開示されることになれば、企業側が労災の調査に協力しなくなり、(調査を行う)労働基準監督署の業務に支障が出るおそれがある」とも述べた。

 寺西さんは「高裁判決は大切な人の命が失われたことに何も触れていない。もっと働く人の命を大切にしてほしい」と憤る。原告側弁護団も「過労死を出さないことは、企業にとって基本的なコンプライアンスだ」と指摘。「企業の姿勢はもちろんだが、労働行政をつかさどる国の責任も問われている」と述べた。


夫を過労による自殺で失い「最後まで戦う」


 寺西さん自身、過労死で家族を失った遺族だ。17年前、飲食店チェーンで店長を務めていた夫=当時(49)=を過労による自殺で亡くしている。夫は、売り上げのノルマに追われ、上司からの叱責を浴び、ストレスに苦しむ中、毎月の時間外労働が100時間を超える状態が長く続いていたという。

 そして、8年2月15日未明、夫は自宅近くのマンション4階から飛び降りて亡くなった。直前は食欲がないなど明らかに普段と違う様子だったが、当時は自殺が労災と認定されることの壁が高く、相談した弁護士からも「裁判をやっても勝訴するのは難しい」と言われた。

 それでも、寺西さんは諦めきれずに労災を申請。5年後の13年3月にようやく労災が認められると、民事訴訟でも夫の勤務先だった会社にも責任を認めさせ、謝罪を勝ち取った。

 こうした経験を元に、寺西さんは「家族の会」代表に就任。シンポジウムなどに参加して積極的に発言するほか、行政や企業の責任を明記する「過労死防止基本法」の制定を求めて署名活動に取り組むなど、過労死の撲滅を目指す運動を続けていた。今回の訴訟もその一環だ。

 寺西さんは「固い扉をこじ開ける難しさは分かっている。それでも命に関わることだから最後まで戦う」と話しており、最高裁でも徹底抗戦する構えだ。

318チバQ:2013/01/06(日) 22:18:28
「過労死自殺」も深刻化


 厚生労働省の統計によると、23年度に脳や心臓の疾患などで死亡し、過労死として労災認定されたのは121件。発症の直前6カ月間で過労死認定の基準となる月平均の時間外労働が80時間を超えたのは93件となっている。厚労省は「過労死の数は依然として高水準で推移している」とした上で、「多くのケースで重い労働を課されている実態を示している」と警戒を強めている。

 過労死の問題に詳しい関西大の森岡孝二教授(企業社会論)は「近年は、長引く景気低迷の影響で厳しい労働環境を強いられるケースが多い」と指摘。「最近では特に20〜30代の若い世代で過労による自殺などが目立つ。この状況は何とか改善しなければならない」と危機感を抱く。

 実際、同年に精神障害による自殺が労災と認定されたのは66件あった。労災補償の請求件数も1272件で、3年連続で過去最多を記録。このうち相当数が過労によるものが背景にあるとみられる。

 森岡教授は今回の訴訟について「基準に基づいて労災を認定している以上、労働局は企業名を開示すべきだ。また、企業は対策を講じる義務がある」と強調。「過労死は絶対にあってはならないということを出発点にしてほしい。その点は国も企業も異論はないはずだ」と述べ、過労死をなくすために国や企業側も相応の努力をすべきだと提言している。

319チバQ:2013/01/31(木) 00:41:46
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20130130/CK2013013002000100.html?ref=rank
生活保護費の削減 貧困格差 拡大・固定化を懸念
2013年1月30日

生活保護を受ける長沢浩一さんは、労災事故に遭い「所属先の会社を解雇される前に辞めるつもり」と話す=中区で


 政府が二十九日の臨時閣議で決めた二〇一三年度予算案では、生活保護費の削減が盛り込まれた。高齢者の受給額はあまり変わらないものの、子育て世帯を中心に減額になる。受給者や支援者らは「貧困の固定化につながる」などと、安易な減額に疑問を投げかける。(志村彰太)

 生活保護の削減案は、一三年度から三年間で計七百四十億円の削減を見込む。生活保護費のうち、生活費に当たる生活扶助が減額され、医療扶助では安価な後発薬を使用することも決めた。背景には、増え続ける保護費が財政を圧迫していることや、支給額が低所得世帯の手取り収入より高いとの不公平感がある。

◆受給者
 「頑張って立ち直ろうとしている受給者も、減額されれば貧困から抜け出しにくくなる」と危惧するのは、横浜市中区で生活保護を受ける長沢浩一さん(52)。長沢さんは月十四万円の生活保護を受給しているが、生活費や住居費のほか、再就職のための準備にお金を使うと、手元にはほとんど残らない。

 病気を抱え、再就職には治療が先決。長沢さんは「後発薬は、効果が不明な点もあると聞く。それを受給者に強制するのは、人権上の問題がある」と、不満を口にした。

 長沢さんは東京都大田区出身。自営業でビルメンテナンスを請け負っていたが十四年前、「知らないうちに」二千万円近い借金をつかまされて倒産。工事現場で休みなく働き、十年かけて返済したが、高血圧と腎臓の機能障害で仕事を続けられなくなった。貯金も底をついたとき、簡易宿泊所の集まる中区の寿地区に流れついた。

 二年前、治療しながらアルバイトとして再就職したものの、半年後に労災事故に遭った。「右手中指を切断し、接合したが、指先の感覚がない」。再び生活保護に。三月には会社を解雇されるという。

 貧困な人は孤独に陥りがちで、「本当は人間関係の維持にもお金を使いたい」。しかし、減額されればその余裕は全くなくなる。「機械的な引き下げではなく、最低限の生活とは何か、再チャレンジできる世の中とは何か。そこから議論してほしい」と、長沢さんは望んでいる。

◆支援者
 「寿支援者交流会」の高沢幸男事務局長(42)は「本来は最低賃金を上げるべきなのに、最低生活を保障する生活保護を削るのは、やり方がおかしい」と疑問を呈す。「生活保護は本来、苦労した人を助けるもの。なのに、受給者は怠け者という偏見がある」

 高沢さんには連日、さまざまな理由で生活に困っている人が訪れる。ギャンブルやアルコールの依存症、うつ病など精神的に問題を抱えた人は、まずは治療が必要。「就職が難しい受給者もいる。きめ細かな支援の仕組みがないまま減額だけすれば、行き着く先は自殺か犯罪」と、治安の悪化を危惧する。

 その上で「政府には『損して得を取れ』という発想がない」と批判する。学習支援や人付き合いの維持・改善が貧困を抜け出すカギといい、就職できるまで時間をかけて支援する必要があるという。

 「安易に保護費を削れば、貧困は世代を超えて連鎖する。追い詰められた人に死ぬ気で働けと言えば、自暴自棄な行動につながる」と、警鐘を鳴らしている。

◆根本的解決にならず
 子育て世帯を中心にした生活保護の減額が貧困の連鎖をつくる懸念は、専門家も指摘している。

 厚生労働省生活保護基準部会委員の山田篤裕・慶応大教授(社会保障)は「貧困の連鎖を防ぐには、子育て世帯に配慮が必要だ」と指摘する。

 また、「引き下げが前提のように語られているが、部会としては(引き下げありきとは)ひと言も言っていない」と、政府内の議論を批判した。

 山田教授は生活保護基準の決め方にも課題があるという。現在は、中間所得層の消費水準の六割程度になるように基準が設定されているが「中間層の所得が下がっているので、その基準でいいのか考える余地がある」。

 さらに「一人の学者としての意見」と断った上で「雇用、最低賃金の問題が改善しないと、生活保護受給者はどんどん増え、根本的な解決にならない」と話した。

320チバQ:2013/02/12(火) 00:44:39
http://mainichi.jp/select/news/20130123k0000m040085000c.html
生活保護見直し:母子家庭不安 実感ない「もらい過ぎ」
毎日新聞 2013年01月22日 21時42分(最終更新 01月23日 08時05分)

 13年度予算編成に伴い大詰めを迎えた生活保護の見直し議論に、シングルマザーの受給者たちが不安を募らせている。社会保障審議会特別部会の報告書案が「子供への貧困の連鎖防止」をうたう一方で、厚生労働省が保護費を「もらい過ぎ」との試算を出したためだ。「国は本当に私たちを応援しているのか」。嘆きの声が上がる。

 試算では、子供1人の母子世帯の保護費は低所得世帯(年収120万円程度)の生活費を月額約7200円上回り、子供が増えると「もらい過ぎ」はさらに増えるという。一方、報告書案は親の困窮が子の将来に及ぼす影響を懸念し「学習支援を行う必要がある」とした。

 首都圏の30代女性は「小さなエサ(学習支援)で大きな獲物(保護費切り下げ)を捕まえようとしている。これでは何も変わらない」と声を震わせる。中学生の娘と小学生の男児2人の4人暮らし。元夫のDV(ドメスティックバイオレンス)から逃げて精神科に通院している。

 服や家具は知人にもらい、壊れかけた洗濯機や掃除機を使う。子供を塾に行かせる余裕はない。「せめて高校には行かせたい」と願うが、保護費が減れば今以上に難しくなる。

 子供2人と暮らす札幌市の40代女性は「『もらい過ぎ』という実感はない。減額されたら、何をどうすればよいのか……」。重い障害のある20歳の息子の世話に精いっぱいで、仕事に就けずにいる。「中卒で苦労したから、娘には手に職をつけてほしかった」。月1万円超の学習塾代を捻出し、娘は昨年春に公立高校に合格した。今の悩みは、修学旅行の費用をどう工面するかだ。

 厚労省によると、生活保護を受けている母子世帯は、昨年10月時点で約11万5000世帯。NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子(あかいし・ちえこ)理事長は「当事者の状況を見ずに困窮者同士を比べて、『もらい過ぎ』という試算を出すのはおかしい」と話す。【遠藤拓】

321チバQ:2013/02/12(火) 00:45:28
http://mainichi.jp/area/news/20130106sog00m040002000c.html
現場発:生活保護費 車所有で減額 大分市の独自方式 厚労省「望ましくない」
2013年01月06日

 大分市の大工の男性(56)が12年12月、「生活保護費の算定が違法だ」として市に244万円の損害賠償を求める訴訟を大分地裁に起こした。生活保護は国の基準額(最低生活費)に満たない収入との差額を支給するのが原則だが、市は車を所有の場合に独自に別の収入算定方法を設け支給を減額していた。厚生労働省は大分市の独自方式を「望ましくない」とし、実態把握を進める方針だ。【田中理知】

 訴状によると、男性は乗用車を所有していたが、体が丈夫でなく、景気悪化で仕事も減り、99〜12年に生活保護を受給。一方、市は受給者が車を所有している場合、実収入と独自算定額を比較して多い方を月収とみなすとの方式を93年に設定。男性の実収入が市の算定額を下回った03年に初適用し、12年2月に男性が病気で働けなくなって収入がなくなり車を廃車して全額支給されるまで続いた。

 市に資料の残る07年3月〜12年1月に大工の仕事で稼いだ総収入(諸経費控除後)は約210万円だった。しかし、市は「最低賃金×7時間×25日」の算定方式で出た月収額から交通費などの経費を控除した計404万円を国の最低生活費から差し引いていた。このため男性は03年以降で資料が残っていない期間を含め、244万円の損害を受けたと主張している。

 同市の保護率は1・84%(12年9月末現在)と増加傾向だが、男性に適用された市独自方式の適用者は他にいないという。

 男性は「大工道具は重い。現場で仕事するには車が不可欠」と主張。市は「車がある以上、一定収入があるとみなさないと、他の受給者との整合性がとれない」とし、男性に「大工で稼げないのなら他の仕事を」と転職も勧めたが応じず、独自方式を適用したという。

 保護受給者のマイカー所有を巡っては、公共交通機関の利用が著しく困難な地域などで認められる一方、自治体によっては給付のために廃車を求める例があるなど判断が分かれる。厚生労働省保護課は「大枠は国で決め、車の保有も自立して働くのに必要ならば局長通知で認めているが、個人の現状によって判断するよう各自治体に委ねている」との見解だ。

 市生活福祉課は「生活保護費の25%は市費で賄われている。国の基準で機械的に支給するのが正しいのか。今後も同様のケースには適用する」としている。

 これに対し厚労省は「独自基準で給付額に差をつけるのは望ましくない。収入認定は実際の収入ですべきだ」としている。

 毎日新聞が九州山口の県庁所在・政令市計9市に取材したところ、独自方式を設けているのは大分市のみ。山口市社会課は「法には『地域の実情に合わせて』とも書かれているが、収入認定は国の基準に従うべきだと思う」と疑問を示した。北九州市保護課は「本来は就労日数を増やしてくださいと文書通知し、守れなければ他の人と均衡が取れないので保護廃止も一考すべきではないか」と指摘する。

 全国最高レベルの生活保護率5・71%(12年8月現在)の大阪市保護課は「働き始めに見込みで収入を算定することはあるが、実態を無視してそれを適用し続けることはありえない」と話した。

 貧困問題に詳しい佐賀大の丸谷浩介教授(社会保障法)も「市費で25%出しているからといって、恣意(しい)的な基準で差別するのはおかしい。大分市は法律の解釈を誤っている」と指摘している。

322チバQ:2013/02/17(日) 14:12:30
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130216-OYT1T00033.htm?from=ylist
南京虫だらけ、ドアなし…保護費着服の施設

生活保護受給者らの入居施設を捜索する捜査員(1月31日、さいたま市見沼区で) 生活保護受給者の入居施設を無届けで運営する会社社長らが入居者の保護費を着服していた事件で、施設に住んでいた男性らが読売新聞の取材に応じ、施設での過酷な生活実態について証言した。

 男性らは、さいたま市の福祉事務所のケースワーカーの職員に施設の劣悪な環境を訴えたが、福祉事務所側は対策をとることはなかったという。

 摘発された施設に約3年間住んでいた男性(78)は2009年頃、上野で路上生活をしていた時に「お金がもらえるし、ご飯も食べられる」と声をかけられた。翌日には見沼区役所に車で連れて行かれ、生活保護費の申請をした。施設と契約を交わしたことはなく、運営費などの説明もないまま部屋に入った。

 すぐに生活保護費が支給されたが、通帳は施設が管理し、いくら受給しているかはわからなかった。非喫煙者だったため、毎月7000円が手渡された。昨年2月頃に1万5000円に変わった。食事は1食あたり500円。朝食は食パン2枚だけだった。

 施設を出るまでの約1年半は、ホームレスを施設に誘うため、週に2回、新宿や日比谷公園に車で連れて行かれた。1人入居させると2000円の報酬が出た。

 この男性は「雨風はしのげたが、(施設の運営は)あまりにもひどかった。若い入居者は自立する気もなくなっていた。役所がもっと早く気づいてくれたら」と話した。

 別の元入居者の男性(63)が暮らした部屋は3畳ほど。部屋の入り口にドアはなく、カーテンのみで、ベニヤ板で仕切られていただけだった。大量のトコジラミ(南京虫)がわいていたため、夏でも長袖のシャツを着ていたという。寝たばこは常習化しており、火災の危険性もあった。

 ケースワーカーは施設を訪れ、生活保護受給者の部屋を回った。さいたま市は、契約なしに入居者の金銭を管理するなど「自立した生活を妨げる」と福祉事務所長が認めた場合、転居を指導するように福祉事務所に通達を出していたが、劣悪な環境を問題視することはなかった。

 見沼区福祉事務所の高山充係長は「快適な施設ではないが、劣悪かどうかは(入居者)本人のとらえ方。本人が契約しているのだから仕方がなかった」と主張する。

 生活困窮者を支援するNPO法人「ほっとプラス」(さいたま市)は11年からの約2年間で、この施設から約10人を転居させていた。藤田孝典代表理事は「人が生活できるような環境ではないと何度も訴えた。(見沼区福祉事務所が)施設のひどい状況を知らないはずはない」と訴えている。

(2013年2月17日09時50分 読売新聞)

323チバQ:2013/02/21(木) 00:11:49
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013022002000121.html
非正規35%高止まり 12年 福祉分野で増える
2013年2月20日 朝刊

 総務省が十九日発表した二〇一二年平均の労働力調査の詳細集計によると、役員以外の雇用者のうち、アルバイトなどの非正規労働者の割合は前年より0・1ポイント増の35・2%と三年連続で過去最高を更新した。同省は「医療・福祉を中心としたサービス分野で、非正規の仕事が増えたため」と説明している。

 パートや契約社員、派遣社員などの非正規労働者は千八百十三万人で、二万人増えた。男女別の非正規割合は、男性が0・2ポイント減の19・7%で三年ぶりに低下。景気の回復や、退職年齢の引き上げが影響した。一方、女性は54・5%と0・1ポイント増えた。

 一二年平均の完全失業者数は二百八十五万人。このうち過去一年間に離職した人は百九万人で、前職を産業別にみると、製造業が二十万人と前年比で二万人増えた。総務省は「海外経済の減速などに伴う製造業の不振で、大企業を中心にリストラを加速させたことが響いた」としている。

 総務省は、一一年平均の非正規労働者の割合を昨年発表の35・2%から、35・1%に修正した。当初は東日本大震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島三県を除いて集計したが、三県の推計値を入れて計算し直したところ、小幅修正が必要になったという。

324チバQ:2013/02/21(木) 23:02:36
http://news24.jp/nnn/news8633645.html
北陸新幹線の駅がない鯖江に「危機感」
(福井県)北陸新幹線の沿線では、将来の町づくりや観光をめぐり危機感を募らせている。

新幹線は通るものの、駅はできない鯖江市で経済団体の議論を取材した。

北陸新幹線の県内開業に備えた議論をスタートしたのは、鯖江商工会議所内の10の部会の代表で立ち上げた協議会。

「新幹線も特急も止まらないのではイメージダウンは免れない」として21日、初めての会合を開き、南越駅の名称についてや並行在来線問題、それにJR鯖江駅からの交通の接続など、8つのテーマについて議論を深めた。

このうち南越駅の名称については「越前鯖江駅」とするよう求めることで合意した。

またJRから経営が切り離される並行在来線で快速電車を増やすことや、JR鯖江駅と小松空港をバスで繋ぐよう求めることにした。

このほか会員からは「観光の魅力アップや地場産業の強化を図らなければ鯖江は新幹線開業の恩恵を受けることができない」といった危機感を込めた意見が目立った。

協議会では来月中に提言をまとめ、新年度に県や鯖江市に要望書を提出する予定。
[ 2/21 21:03 福井放送]

325チバQ:2013/03/19(火) 23:16:54
http://mainichi.jp/select/news/20130319k0000e040191000c.html
人身取引:スリランカ人が提訴 1日2000円、半年労働
毎日新聞 2013年03月19日 11時56分(最終更新 03月19日 12時17分)

 静岡県磐田市に住むスリランカ人男性2人が19日、働き先のリサイクル業「アシストネットワーク」(事業所・袋井市)と横浜市青葉区の人材あっせん会社代表の男性(61)に未払い賃金など総額計約294万円を求める訴えを静岡地裁浜松支部に起こした。代理人によると、2人は約半年間働いたが「食事代1日2000円」以外に支払われなかったと主張している。

 訴状によると、37歳と43歳の同国の男性は人材あっせん会社に約260万円を支払い「3年間の在留資格があり、1日計8000円もらえる」という条件で入国した。11年1月から入管の立ち入り調査があった同年7月26日まで、屋外でエアコンやテレビの解体作業をしたが、支給されたのは「食事代」だけだったという。

 記者会見した代理人の指宿昭一弁護士は「国際組織犯罪防止条約人身取引議定書の人身取引に該当する」と話している。一方、アシストネットワークの男性社長(63)は「観光ビザしかないのにブローカーが2人をホテルに残していった。気の毒なので食事代を渡して仕事を手伝ってもらったが労働という認識はなかった。いくらかでも支払うつもりはある」としている。【高橋龍介】

326チバQ:2013/03/24(日) 20:27:17
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2013032202000174.html
<はたらく>非正規職員の相談員ら ハローワークで大量雇い止め
2013年3月22日

 雇用の安定を目指すはずのハローワーク(公共職業安定所)で、相談員などとして全国で働く非正規職員のうち、約一割に当たる二千二百人が、この三月末で職を失う。突然「雇い止め」を告げられた職員たちは、業務で失業者の相談に乗りつつ、自らも勤務時間外や休暇に職を探す事態となっている。四月以降、窓口が混乱しないか懸念する声も上がる。 (稲田雅文)

 「窓口を訪れた人の中には、雇用保険や職業紹介以外の福祉サービスが必要な場合も。制度の知識と経験が求められる職場なんです」。東海地方のハローワークで、受け付け業務を担う非正規職員の五十代女性は訴える。二月下旬に突然、上司から「任期の更新はしない」と言われた。

 職に就いて三年半。雇用保険の給付や職業紹介、訓練など、多種多様な制度への理解をようやく深めたところだった。案内をした人が帰り際に会釈をしてくれると「人の役に立てた」と感じる。退職金や賞与、夏季休暇もなくてもやりがいのある仕事だっただけに、雇い止めを告げられたときは「涙が出た」。

 一年単位で任用される職員は、更新されない可能性があると頭では理解していた。だが「仕事も忙しいし、働き続けられると思っていた」という。今は土曜日に開いているハローワークの窓口で、仕事を探している。

 東京の非正規職員たちは昨年九月、待遇改善などを求めようと労働組合を結成した。書記長の戸田輝美さん(57)は「雇い止めにされる人と働き続けられる人をどう決めているのか、基準はあいまい。再任用する際のルールの確立と透明化が必要だ」と訴える。

 同じく雇い止めとなる四十代の女性は「行政として、雇用の安定や正社員化を促す施策を進めているのに、自分は説明もなく、雇い止めにしているのは横暴」と批判する。四月からは職業訓練を受けるつもりだ。「不安定な非正規はこりごり。じっくりと正社員の仕事を探したい」

 今回は更新となった別の四十代女性は「民間企業で働く人は法律で守られているのに、非正規の国家公務員は法の隙間にいて守られていない」と訴える。民間企業が非正規労働者を採用する際は、労働契約法やパート労働法で規制され、雇い止めには歯止めがかかっている。一方で公務職場の非正規職員の場合は、国家公務員法などに基づいて「任用」される。一年単位で任用する非正規職員を保護する規定はないため、法的に守られていない。「毎年、一月、二月になると更新されないのではないかと、びくびくしています」

     ◇

 厚生労働省によると、二〇一二年度の全国のハローワークの職員は三万一千七百六十五人。うち、非正規職員が二万百七十六人と全体の63・5%を占める。部署によっては、正規職員の十倍以上の非正規職員がおり、主なサービスの担い手となっている。

 〇八年度は一万二百二十一人だった非正規職員は、リーマン・ショック後の〇九年度に一気に一万七千八百七十人にまで増員。一一年の東日本大震災後も増やされた=グラフ。

 一三年度は約二千二百人減の一万八千人程度に絞り込まれる見込みだ。同省の担当者は「リーマン・ショックと東日本大震災で増えた業務量も落ち着いてきており、財務省の査定も厳しくなっている」と説明。減員分は業務の簡素化などで対応するという。

 減らされる現場からは不安の声も。ある正規職員は「職場が回るかどうか。利用者に迷惑を掛けるかもしれない」と話す。

 非正規職員千三百人が加入する全労働省労働組合は「被災地などでは、まだ多くの業務がある。大幅に減らしていいのか」と批判。雇い止めになる職員に労働行政にふさわしい、きめ細かな対応を取るよう求めている。

327チバQ:2013/03/24(日) 20:28:26
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130314/dms1303141535014-n1.htm
【編集局から】ハローワークに見た日本経済の縮図2013.03.14
 所用で、東京・東池袋のサンシャイン60にあるハローワークにしばらく通いました。現役サラリーマンの読者の皆さんもいずれ世話になるかもしれませんが、聞くと見るとでは大違い。実際に行ってみると、戸惑うことだらけの世界でした。明日の分からない時代ですから、何か機会があれば行ってみることをお勧めします。

 日本の現状を肌で知らされたのは、次から次へとやってくる失業者の大群でした。しかも、若い人たちが圧倒的に多いのには驚かされました。

 毎日、最新の求人情報が張り出される掲示板を食い入るように見つめる人たち。数十台並ぶ求人情報提供端末のコーナーは朝から鈴なり。鬼気迫る表情で求職者たちが端末機にかじりつく光景も印象的でした。

 相談コーナーで目についたのは、外国人とおぼしき人たちが意外に多いこと。詳しい事情は分かりませんが、これも最近の労働事情を反映しているのでしょう。

 今後、景気は上向くとみられていますが、雇用の改善にはまだ時間がかかりそう。ハローワークはまさに、いまの日本経済の縮図といえそうです。(I)

328チバQ:2013/03/24(日) 21:05:33
http://mainichi.jp/feature/news/20130310mog00m040013000c.html
リアル30’s:始めてる?(1) 普通に働き、ちゃんと休む
2013年03月10日


小菅では各業務に必ずグループで取り組む。仕事の進み具合が互いに一目で分かるため、急に休む人がいてもスムーズに引き継げる。社員は穏やかな雰囲気で働いていた=東京都墨田区、矢頭智剛撮影
拡大写真
単行本「リアル30’s」(毎日新聞社刊)
拡大写真 ◇残業無し。時間は家族、自分のため
 東京スカイツリーのお膝元、東京都墨田区のゴム製品専門商社「小菅(こすげ)」。午後5時半、終業チャイムが鳴ると社員が筆記用具やゴム印を引き出しにしまい、パソコンの電源を切って先を競うように帰っていく。職場に遅くまで居残る文化はない。定時退社するのが暗黙のルールだ。

 営業本部のグループ係長、浅原美紀さん(34)は高卒で入社し、2年前に同僚と結婚した。夫は午前8時から午後4時半の勤務で、将来子どもができたら保育園に送るのは自分、迎えに行くのは夫の担当になるだろう。入社当時は残業があり、今より給料が高かった。「体は今の方が楽。仕事に見合った給料なので満足です。ただ子どもがいないので、がっつり働いて残業代をもらえるのもいいかな。難しいですね」

 別のグループの係長、鳥谷部君江さん(52)は「毎月の手取り額は減ったが断然今の方がいい」と話す。一人娘が3歳の時に夫と死別し、実家の助けを借りて仕事と家庭を両立させてきた。残業ゼロはありがたい。「賞与も出るし、ぜいたくをしなければ生活には困らない。着付けを習い、区の勉強会にも参加していますよ」

 小菅の社員は全員正社員。年齢も18歳から70代半ばまで幅広い。年齢・学歴不問、未経験者中途採用、出産退職者の再雇用もある。

 会長の小菅崇行さん(62)が約20年かけて働き方を変えた。入社した70年代は連日夜9〜10時まで残業し、休日は接待ゴルフ。そこに違和感を抱いた。「人生働くだけ?」

 45歳で社長を継ぎ、拡大路線から「身の丈の経営」にかじを切った。残業をさせて売り上げを伸ばすより、社内の無駄をなくし、長時間労働をしなくても利益が出る仕組みを作った。すると、社員が時間内に仕事に集中し、結果的に収益が上がった。

 勤務時間内でも資格取得のための通学やセミナー参加を認める。「過去に求人もしたが、中小企業は見向きもされなかった。それに、数回の面接や筆記試験で人物は分からない。舞台を用意し、入社してから能力を伸ばしてもらう」と小菅さん。

 それでも経営が傾けば社員に無理を強いるのでは? 「収益を確保しながら社員に気分良く働いてもらうのが経営者の知恵。会社だから利益は確保するが、お金もうけは目的ではなく手段でしょう? 大切なのは社員や関係者が幸せになることで、従業員を『コスト』と捉える今の風潮は好みません」

◇ ソフトウエア開発会社の「アルス」(東京都目黒区)は「1カ月の夏休みと2週間の冬休みを取れる」をうたう。88年、日本IBMから独立した児玉民行(こだまたみゆき)社長(69)が「働きやすさ」を柱に設立。目玉は年間30日の有給休暇と勤続5年で半年間、10年で1年間取れるリフレッシュ休暇だ。最大5年の育児休業もある。

 公休と合わせて夏20日、冬10日の有休を取得すれば「1カ月の夏休みと2週間の冬休み」が実現する。ただし実践しているのは児玉社長1人。社員の例年の平均有休取得日数は20日前後という。

 社員の遊佐尚美(ゆさなおみ)さん(28)=千葉県柏市=の有休消化率はほぼ100%。夏と冬は10日ほど連休を取り、娘の予防接種や平日休みの夫と予定を合わせるのに有休を充てる。娘の病気の時には、有給とは別に年20日ある看護休暇を使う。「有休を夏と冬に使い切るのは勇気がいる。休んでも家族や友人と休みが合わない。今の休み方が一番便利です」

 児玉社長は「『働きやすさ』が僕の大きな夢だった」という。IBM時代にイギリスで働いた時、病気や家探しに有休を充てようとして「それは休暇ではない。社会生活のために必要な時間だ」と怒られた。「休むためには上手な働き方と自己管理力が必要。決して『休む=仕事をしない』ではないんです」

 いろいろな生き方と働き方があり、それぞれに合わせて「休む仕組み」を用意した結果、社員は「働きやすい」と感じてくれた。「ようやく時代が(僕の考えに)追いついてきた」

◇ 懸命に生きる30歳世代を追う「リアル30’s」。第4部のテーマは「新しい仕組み」です。どうすれば生きやすく働きやすい社会になるか、小さな試みを紹介しながらみなさんと一緒に考えます。【鈴木敦子、中村かさね】=つづく

329チバQ:2013/03/24(日) 21:06:48
http://mainichi.jp/feature/news/20130311mog00m040005000c.html
リアル30’s:始めてる?(2) 「仕事力」で決まる賃金
2013年03月11日


休憩中に卓球を楽しむクラスメソッドの社員たち。横田社長は「社員が人生を楽しまないと、お客さんに提供するサービスの質も落ちます」=東京都千代田区で、中村藍撮影
 ◇新しい能力主義探して
 データ入力会社「エス・アイ」(兵庫県姫路市)は15年前、正社員とパートの枠組みをなくし、給与体系を時給制に一本化した。今本茂男社長(68)は「優秀な女性が集まる仕組みだ」と話す。

 「長時間労働はデメリットが大きい」という信条から91年の創業時、パート従業員に「会社が開いている時間内ならいつ来て帰ってもいい」という自由出勤制を導入した。しかし、能力が高いパートからは「社員と同じ仕事をしているのに」と身分への不満が漏れ、社員からは自由な勤務体系をうらやむ声が出た。「それなら」と全員を自由出勤制に変え、給与も分かりやすい時給制にした。

 時給は750〜2350円。半年ごとに実績を評価し、1円単位で昇給、降給する。データ入力、ホームページ作成、ソフト開発など業務を118に分け、難易度や責任の重さに応じて基準点を設ける。点数と実際の成果、作業にかかった時間、リーダーや同僚による評価も加える。

 子どもの病気などで急に休んでもよい。データ入力の場合、資料の上に納期や進み具合を示す「進行表」を付け、誰でも作業を肩代わりできるよう工夫している。月の平均勤務時間は約110時間。最大168時間まで働ける。月10時間程度しか出社しない従業員もいるが、今本社長は「雇用期間は定めていない。『短時間社員』と認識しています」。

 64人の従業員の9割が女性、3割が20〜30代だ。求人誌の営業、自治体の非正規職員を経て3年前に入社した女性(30)は「いるだけでお金をもらえる人がいないのがいい」と、働きやすさを実感している。実績が認められて時給は入社時から約500円上がった。

 同じ仕事に同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金」、残業させない代わりに雇用を増やす「ワークシェアリング」。今本社長は「会社にも労働者にもいいことずくめ。もっと広がってほしい」。

◇ システム開発会社「クラスメソッド」(東京都千代田区)は契約社員と正社員の処遇を公平にしている。正社員37人と契約社員2人がいるが、基本給は全社員一律で昇進・昇給の評価基準も同じ。役職給と職能給で差をつける「同一能力同一賃金」の仕組みだ。

 創業からしばらくは正社員の賞与2.5カ月分に対し契約社員は1カ月だった。しかし社員から「不公平じゃない?」と声が上がり、10年に正社員と同じにした。契約社員から正社員になった渡辺豪さん(34)は「処遇が同じなのですごく働きやすい。正社員になって良かったのは『響き』かな」と話す。

 面接で能力を測れなければ最初は契約社員で採用し、能力を認めれば半年から1年で正社員にする。能力が開花しないと契約終了。横田聡社長(35)は「社員が最大限能力を発揮できる環境を提供する。求めるのは仕事の成果だけです」。

 とはいえ、簡単にクビは切らない。技術進化に追いつけるよう、社外セミナーへの参加費を会社が負担するなど、社員の能力を伸ばす仕組みも用意している。

 「目指すのは日本型雇用でも欧米型成果主義でもない新しい能力主義。非正規社員を雇用の調整弁と見なければ、処遇に差をつける意味はない」

330チバQ:2013/03/24(日) 21:07:13
◇ 「会社は社員のもの。だから絶対クビは切らない。その分能力を細かく評価して手当に反映させる。フェアですよ」。−−レーザー専門商社「日本レーザー」(東京都新宿区、社員60人)の近藤宣之社長(69)はこう話す。

 モチベーションを高めるため、基本給を保障した上で能力に応じて手当を付ける。手当は英語力、ITスキル、対人対応能力など。例えば英語力では年1回のTOEIC受験を義務づけ、得点に応じて支給する。500点未満はゼロ、100点アップするごとに5000円を加算する5段階評価。900点以上なら月2万5000円だ。対人対応能力は「いつも笑顔でいる」「他人のために働く」など20項目を評価する。

 月ごとの営業成績を全社員に公表し、粗利益の3%を賞与で支給する。厳しい成果主義にも見えるが、配分は、仕事ごとに誰がどれだけ貢献したかをアナログ作業で評価して決める。縁の下の力持ちの努力も見過ごされない仕組みだ。

 大手メーカーから2年前に転職した営業職の谷口透さん(27)は「評価の透明性が高いので不満はない。実績と性格の両面で評価してくれることでモチベーションも上がります」と話す。

 近藤社長は大手企業勤務時代に何度もリストラにかかわった。ずっと、社員が幸せになる会社を作ろうと思っていたという。「社員の能力を引き上げる努力は惜しまない。貢献できない人もいるが、それを切って入れ替える手法は間違いです」【反橋希美、中村かさね、山寺香】=つづく

331チバQ:2013/03/24(日) 21:08:16
http://mainichi.jp/feature/news/20130312mog00m040005000c.html
リアル30’s:始めてる?(3)ワークとライフのミックス
2013年03月12日

 広々としたオフィス。商談テーブルの横を買い物バッグを提げた近所の女性が横切る。フロアでは子どもたちがゴロゴロと転がって遊ぶ。あれ、ここは会社では?

 千葉県大網白里市の不動産管理会社「大里綜合管理」(社員約25人)。本業は土地・建物の管理だが、それ以外に多くの地域活動にかかわっている。駅や海岸の清掃、地産地消レストランの運営、会社の空きスペースを地域住民にギャラリーとして貸し出すなどその数は250。買い物バッグの女性はギャラリーを訪ねてきたところだった。

 社員の中村彰宏さん(34)が4歳と1歳の娘をあやしながらパソコンに向かっていた。専業主婦の妻が会社主催の英会話教室に出席する間の1時間、娘たちを預かった。

 「2人一緒に預かると正直仕事ははかどりません。でも、いざという時に子連れ出勤を受け入れてくれる空気はありがたい」、妻の真紀さん(38)も「父親が働く姿を子どもに見せられるのはいいこと」と話す。

 配偶者が病気や用事で子どもの面倒をみられない時、子どもを連れて出社できる。授業参観のために仕事を抜け出してもいい。一見自由すぎる働き方に思えるが、始めたのは野老(ところ)真理子社長(53)。94年、当時小学生だった長男を夏休みに預ける場所に困り、社内に学童保育を開いたことがきっかけだった。地域の子どもも受け入れ、今も夏休みには約50人の子どもが集まる。

 中村さんは地域活動に興味を持って09年、少年自然の家の指導員から転職した。パソコンのシステム管理と地域活動の事務局を担当する。忙しい時は帰宅が深夜になることもあるという。

 「30代は責任ある仕事を任される年代。でも家庭も大事。バランスは難しいですが何かあったら助けてもらえるので安心できます」

 野老社長は「効率を求めて行き着いたのは人を使い潰し、子どもも産めず育てられない社会。誰も幸せにならない選択はすべきではないと思う。『どうせ分かってくれない』なんて言わず、若い人たちにはどんな働き方を望むのか言ってほしい。私たちも乗り越えてきたのだからきっと分かり合えますよ」。

◇ 「春は子どもの入学式。有休のオンパレードです」−−。17人の塗装職人が働く松江市の長岡塗装店。常務の古志野純子(すみこ)さん(51)が笑う。休み予定を書き込むホワイトボードには「病院」「10〜12時歯医者」の文字が並ぶ。近く結婚する職人の岸直哉さん(24)は式の打ち合わせのため平日に3回有給休暇を取った。「取りづらい雰囲気はないですよ。先輩も取っているので」

 武田佳教(よしのり)さん(35)は子どもが入院した時、有休とは別の看護休暇を取った。急だったがためらわずに申請できた。社員が少ないから誰かが休めば誰かにしわ寄せはいくが、でも引き継ぎをきちんとするとか、他の人が休みたい時に代わりにがんばるとか、周りへの気遣いで迷惑を小さくできるという。

 育児や介護中の社員に給料そのままで最長1時間の時短勤務を認め、保育料や介護サービス利用料を補助する。塗装技能士などの資格を取る費用や資格手当を出し、スキルアップも手伝う。難病の夫(52)を介護する事務員の景山玲子さん(45)は時短や補助金を利用し、介護と子育てと仕事を続けてきた。「精神的にも経済的にも、追い詰められずに済んでいます」

 90年代、若い職人が定着せず、現場の高齢化が進んだ。「きつい、汚い、危険の3K職場。学校を出た人がわざわざ塗装をやりたいと思わなくなった」と古志野さんは振り返る。屋外に足場を組んだ高所作業。夏は暑く冬は寒く、服はペンキまみれ。ベテランの中には「技は盗んで覚えろ」と、若手に厳しいだけで教えない人もいた。見かねた社員が古志野さんに直談判した。「このままでは会社はダメになる。辞めさせない環境を作るのが経営者の責任だろう」

 幸か不幸か、塗装は人の手仕事で機械に取って代わられない。人を大切に育てれば仕事は続く。とはいえ若手優遇だけでは公平じゃない。まずベテランの定年を延ばし、60歳を過ぎても働ける制度を作った。その際に「若手の育成」という役割を担ってもらった。

 古志野さんの発想はシンプルだ。「公共工事が減り、経営は正直厳しい。でも国が悪い、仕事がないと周りのせいにしても楽になれない。世の中全部を一気にバラ色に変えることは無理でも、自分の周りから良くすることはできる。『いい人材』は探すものではなく、育てるものです」

【山寺香、鈴木敦子】=つづく

332チバQ:2013/03/24(日) 21:08:56
http://mainichi.jp/feature/news/20130313mog00m040015000c.html
リアル30’s:始めてる?(4) 新しいコミュニティー
2013年03月13日
 ◇つながり求め 空間、時間シェア
 京都・西陣に30代までの男4人、女3人計5世帯が暮らすシェアハウス町家「お結び庵」がある。最年少は2歳の優結(ゆうゆ)ちゃん。会社員の国定直樹さん(26)、若菜さん(26)夫婦の長女だ。

 直樹さんと若菜さんは5年前、前身のシェアハウスで出会い、結婚。その後妊娠が分かって迷った。「子どもがいると迷惑がかかるかな」。ところが住人会議で「一緒に住んでいいと思うよ。何かあったらみんなで話せばいいんじゃない?」と予期せぬ答え。そのまま住み続け、翌年1月には全員が木造2階建て、家賃10万円の細長い京町家に引っ越した。

 元々学生時代の仲間2人でシェアを始めた。誰かが優結ちゃんの遊び相手をしたり、熱を出した時は保育園にお迎えに行ったりもする。約束事は一つ。「気になることはとことん話し合う」

 つながりはハウス内にとどまらない。月1回ほど、近所の人や友人を招いて食事会「京都西陣のご近所10ミニッツの会」を開く。住人の浅田雅人さん(32)が企画した。フェイスブック上にグループを作り、近所の人に参加を呼びかけた。今、30代を中心にメンバーは約40人。「縁日ご一緒しませんか?」「料理教室開きます」−−。さまざまなイベントや交流が生まれる。

 3日の食事会には2歳から82歳まで30人が集まった。松尾瞳さん(33)は昨年2月、近所に食堂を開いたばかり。普段1人で店に立つため同世代との交流がなかった。「お年寄りが多い街だと思っていたけど、こんなに若い人が住んでいるなんて」。食事会で出会った人が店に来てくれるようにもなった。

 町内会的なご近所付き合いと、ソーシャルメディアを使った新しくてゆるやかなコミュニティーのいいとこ取り。浅田さんは「仕組みはすごく簡単。21世紀型の新しい町内会を作った感じです」。

 ◇
 古い長屋や路地が残る大阪市中央区の空堀(からほり)地区に、異業種の人たちが集う「コワーキングスペース往来」(昨年9月オープン)がある。コワーキングは「共働」という意味だ。

 改装長屋の一角に約8畳の畳敷きスペース。靴を脱いで上がり、中央の大きな木製机を囲んで過ごす。パソコンに向かう人、手芸をする人、お弁当を食べて帰る人……。2時間以内525円、1日1050円と安い。

 店長でA’ワーク創造館(大阪地域職業訓練センター)職員の梅山晃佑さん(31)は「単なるシェアオフィスでなく、いろんな人がふらっと立ち寄ってゆるく交差できる場にしたい」と話す。

 梅山さんは空堀地区に住み始めた08年から月数回、自宅の2畳部屋を学び合いの場「2畳大学」として開放した。おいしいカレーの秘訣(ひけつ)を探る「カレー学科」や知人を講師に絵本を手作りする「ワークショップ学科」、知人を紹介し合う「オープンキャンパス」などを開いてきた。

 こうしたスタイルは「住み開き」として注目され始めている。コワーキングも住み開きも、空間や時間を共にする「シェア(共有)」の考え方だ。梅山さんは「本来は町内会もつながりの場だった。今若い世代は新しいつながりを求めている。ソーシャルネットワークを使えばお金をかけなくてもいろいろ工夫できます」と語る。

◇ 「ゆっくりしておいで」「何かあったら電話ちょうだいね」。神奈川県藤沢市のマンションで、主婦の松永愛実(あいみ)さん(28)が門岡真衣さん(30)を笑顔で見送った。部屋では松永さんの子ども2人と門岡さんの長男治希(はるき)君(3)が遊んでいる。

 松永さんは子育て支援に取り組む会社「AsMama(アズママ)」(横浜市)が認定した「ママサポーター」。門岡さんは1時間500円の託児サービスを2時間使い、久しぶりに書店に向かった。

 同社は子育てを支援してほしい人とできる人をつなぐネット上の会員制コミュニティーを運営する。首都圏や中部地方、関西、九州の17都府県に約2000人の会員がいる。各地のママサポーターは200人超。会員が託児や送り迎えをネット上で頼み、ママサポーターが引き受ける仕組みだ。働くお母さんでも専業主婦でも利用できる。保育中のけがなどは同社が加入する保険で対応する。

 会社が地域イベントなどを開いて利用希望者とママサポ候補者に参加を呼びかける。この時点でお互いが顔見知りになるので、登録後、ネット上で託児を頼みやすい。ここが民間や自治体の託児サービスと違う。甲田恵子代表(37)は「ちょっと困った時、近くに『助けて』と頼れる人がいれば親も子も肩の力が抜ける。そんな仕組みを作りたかった」。【細川貴代、大道寺峰子、鈴木敦子】=つづく

333チバQ:2013/03/24(日) 21:09:54
http://mainichi.jp/feature/news/20130314mog00m040008000c.html
リアル30’s:始めてる?(5)生きやすい社会 自分たちで
2013年03月14日


 ◇遅咲き若者を支援、社会の課題を仕事に
 「働き始めて約半年、嫌と思ったことがない」。関西国際空港に近い大阪府南部の貝塚市。住宅街5・5キロを走る水間(みずま)鉄道の嘱託職員、高田祐作さん(25)は笑顔で話す。職員約70人のアットホームな会社。技術者として線路や信号の点検などの作業をこなし、駅のごみ箱清掃やイベントで着ぐるみをかぶることもある。正社員への道も開かれている。

 工学系の大学を20歳で中退。昨年まで福岡の祖母の家で農業を手伝っていた。昨年9月、大阪府とNPO法人スマイルスタイル(スマスタ)などが企画したイベント「大阪レイブル超就活」で水間鉄道と出合い、1カ月間の職場体験を経て採用が決まった。

 レイブルは「レイト・ブルーマー=遅咲き」の略語。働いていないが働く意思を持ち、行動を起こし始めた若者を指す言葉だ。「引きこもりや怠け者」というイメージを刷新するため大阪府などが提唱している。

 超就活には高田さんを含め10〜30代の男女約80人が参加した。レイブルの趣旨に賛同した水間鉄道やお好み焼きチェーン「千房」など10社で雇用継続を前提とした1カ月のインターンシップを経験する。これが超就活の特徴だ。受け入れ企業は多くないがスマスタが100社以上を独自に回って見つけた。

 研修中、本人の苦手なことを企業側に伝え、週1回各職場を訪問し、様子を見て勤務を減らすなど細かくケアする。その結果約25人が引き続き働いている。代表の塩山諒さん(28)自身が小学3年から不登校になり、通信制高校に進学しながら中退した経験が生かされている。

 「不登校などの問題を減らすには社会を変えないと」と07年夏、仲間2人とスマスタを作った。今では大手美容室の依頼で離職率の高い理美容業界の職場環境を良くするプロジェクト「ロイヤルオモテナシー」を進めたり、ケーブルインターネット会社から地域活性コンテンツ「ユメコラボ」の企画・製作を任されたりと、活動の幅を広げている。「政治家でもなく企業でもないNPOだからこそ、仕組みを変える調整役としての可能性がある。社会が変わるのを待つより自分たちが少しずつ変えたい」

◇ 社会の課題をビジネスの手法で解決したい若者を応援するNPO法人「edge(  エッジ  )」(大阪市、田村太郎代表理事)は04年から「ビジネスプランコンペ」を開いている。

 1次から最終まで4回の審査で最優秀賞1組を選ぶ。事業計画の立て方を学ぶ合宿をして解決したい社会課題のプランを練り直したり、人材マネジメントや経営の専門家、先輩社会起業家がメンター(助言者)として参加者と面談したりする。最終審査は公開だ。

 専務理事の河内崇典さん(36)もコンペ出場経験者。大学時代にボランティア活動にかかわり、01年にNPO法人「み・らいず」(大阪市)を作った。障害のある人や子どもの支援に取り組んでいる。「若手は先輩起業家から実践的アドバイスを受ける機会がほとんどない。コンペは参加者同士のネットワーク作りの意義が大きい」と話す。

 経済的理由で進学をあきらめた高校生のための奨学金作り、ホームレスの人たちの仕事作りなど、プランを事業化したエッジ出身者も多い。病児保育のNPO法人「ノーベル」(大阪市)もその一つ。病児の預け先に困る働く親のニーズをすくい取り、会員は240世帯。代表の高亜希さん(33)は「仕組みを変えるのは簡単ではないけれど、行動することで変わると信じてます」。

334チバQ:2013/03/24(日) 21:10:13
◇ 昨年12月のある朝、熊本市の広告企画会社「ミューズプランニング」の社員、内田美香さん(37)は会社に「今日は夕方まで自宅でテレワーク予定です」とメールを送った。

 テレワークは情報技術(IT)を使った時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のこと。内田さんは自宅で仕事を始め、途中30分間、小学4年の長男(10)のマラソン大会の応援へ。帰宅後パソコンで報告書や原稿を作り、長男の授業参観を挟んで午後7時半に仕事を終えた。在宅勤務とフレックスタイム制を組み合わせた形だ。

 同社は昨年4月にテレワークを導入した。「お母さんが働きやすい会社にしたい」と考えていたのに、受注が増える中でママ社員が心の余裕を失ったり、夜遅い仕事をカバーする独身社員が体調を崩したりした。藤井宥貴子代表(48)は「うちの働き方にできると感じた」と話す。

 全社員16人のうち新入社員と出先勤務者を除く11人が使える。朝7時から夜9時までで8時間勤務の始業終業を自分が決められる。自宅に会社支給のパソコンとPHSを配備し、朝夜の連絡メールで勤務を申告する。この春育休復帰の女性が完全テレワークに入るため、ウェブ会議も導入する予定だ。

 総務省の通信利用動向調査(09年)によると、企業がテレワーク導入をためらう理由のトップは「適した仕事がないから」(72・6%)。在宅勤務コンサルティング会社「テレワークマネジメント」(東京都千代田区)の田沢由利代表(50)は「今の働き方では企業は回らない。営業職でも顧客訪問以外の打ち合わせや資料作成は社外で可能」という。

 藤井さんは「必要な人が必要な時に使える仕組み。オフィスに来るのが当たり前という意識を崩したいですね」。【大道寺峰子、細川貴代、青木絵美】=おわり

335チバQ:2013/04/06(土) 17:24:14
2077 名前:チバQ 投稿日: 2013/04/06(土) 17:23:26
http://mainichi.jp/feature/news/20130406ddm041100088000c.html
仕送り:私大生、8万9500円 家賃引くと、1日923円生活 首都圏調査、過去最低
毎日新聞 2013年04月06日 東京朝刊

 首都圏の私立大・短大に昨年入学した自宅外通学生への仕送り額は月平均8万9500円で、12年連続で過去最低を更新したことが5日、東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)の調査で分かった。仕送りだけで生活した場合、家賃を引いた残りの生活費は初めて1日1000円を切った。東京私大教連は保護者の収入減の影響とみており、「安心して学べるように、政府は私大生の学費負担軽減策を新設してほしい」と話している。【福田隆、三木陽介】

 調査は昨年5〜7月、早稲田大や明治大など首都圏の17大学・短大の新入生の保護者を対象に実施し、5349人から回答があった。うち自宅通学生は3221人、自宅外は2128人だった。

 自宅外通学生の保護者世帯の税込み平均年収は860万円で前年比約40万円減。月平均仕送り額(6月以降)はピークだった94年(12万4900円)から3割減った。一方、平均家賃は6万1800円で前年から微増。仕送りに占める家賃の割合は69・1%で、前年から2・3ポイント上がった。仕送りから家賃を除いた生活費は2万7700円、1日当たり換算で923円と、いずれも過去最低を記録した。

 仕送りの減少に伴い、学生はアルバイトの掛け持ちが目立ち、深夜勤務のため翌日の講義中に居眠りする学生もいる。食費を切り詰める傾向も見られ、ある学生の場合、朝食はおにぎり3個、昼食はカップ麺、夕食は牛丼屋に行ければ良い方だという。東京私大教連の柿崎敦・中央執行委員は「親の年収減少の影響が大きく、学生はアルバイトに追われて勉強どころではない」と訴えている。

 ◇バイトで疲れ授業行けず ごはん、牛丼ばかり
 福井県鯖江市出身の早稲田大法学部4年の男子学生(22)は、自営業の親からの仕送りは月4万円。1年生の時はキャンパスから電車で約20分の家賃2万5000円の学生寮に入っていたが、通学費と時間がかかるため2年生から大学近くのアパートへ引っ越した。しかし、家賃は7万4000円。日本学生支援機構からの奨学金(月約10万円)ではとても生活できず、2日に1回はアルバイトに明け暮れ、疲れて授業に行けないこともある。「友人からは『社畜』とからかわれています」と苦笑する。

 同大4年の男子学生(21)は広島市の親元からの仕送りはゼロ。父親は地方公務員。入学時、姉が地元の私大に通っていたので「仕送りは無理」と言われた。家賃7万5000円、就職活動に不可欠の携帯電話代月1万円−−。月の半分はバイトを入れている。「ごはんはほとんど牛丼。いつもお金のことを考えています」。今は就職活動中。地元企業を希望しているため、新幹線代がさらに重くのしかかっている。

336チバQ:2013/04/20(土) 10:53:00
http://mainichi.jp/feature/news/20130419dde012100056000c.html
特集ワイド:続報真相 若者つぶす奨学金
毎日新聞 2013年04月19日 東京夕刊

 ◇回収強化する学生支援機構/返済延滞で年10%の“罰則”/「貧困ビジネス」との批判も
 「奨学金は、貧困ビジネスになっている」。先月31日、この問題で初の全国組織となる「奨学金問題対策全国会議」が設立された。共同代表になった大内裕和・中京大教授は冒頭のように語り、社会的な救済が必要だと訴えた。今、非正規雇用の広がりなどで奨学金の返済延滞が急増し、独立行政法人・日本学生支援機構(旧日本育英会)が回収強化に乗り出している。その実態を追った。

 「寒い日でした。高校3年の冬、自転車の荷台にこたつを縛り付けて看護専門学校の寮に向かいました。車の多い環状7号線を通って東京・多摩地区の自宅から北区の寮まで。何時間かかったでしょうか。ようやく到着した時には排ガスで全身真っ黒でした」

 東京都内で看護師として働く恵子さん(33)=仮名=は、18歳の門出をそう振り返る。病院でアルバイトして自活した。所持品はこたつの他にインスタントラーメン3個とお年玉の現金2万円。日本育英会(当時)の奨学金制度を恵子さんは知らなかった。

 それから12年後。

 「突然、裁判所から奨学金の支払い督促が届きました。不思議に思って母に聞いたところ、父の借金返済のために私名義で母が借りていたことを知りました」

 実は恵子さんのような例は決して少なくないという。

 奨学金は、消費者金融のように貸金業法の規制を受けない。有利子タイプはほぼ無審査、無担保で利用できる。現在、大学生の半数以上が奨学金を利用しており、日本最大の奨学金事業者、日本学生支援機構の貸付残高は7兆円を超えている。

 同機構は小泉政権時代の2004年に独立法人化され、国から「延滞額を5年で半減」などのノルマを課せられた。しかし、若者層を中心に非正規雇用が広がり、逆に延滞額は増加。11年度末の延滞者数は33万人、延滞額は876億円に上っている。

 同機構の申し立てで東京簡易裁判所が恵子さんに支払い督促を出したのは10年11月8日。財務省の指導を受けた同機構が、滞納者を個人信用情報機関に登録(ブラックリスト化)するなど回収強化に乗り出した時期にあたる。12年5月までに滞納3カ月以上の1万2281人を登録。支払い督促は00年度の338件から11年度に1万5件と約30倍になった。

 恵子さんが督促されたのは156万円。高校3年間に貸与された元金に、延滞金62万4000円が加えられていた。同機構では毎月の返済が遅れると、割賦金(元金)に対して年10%もの延滞金が課せられるのだ。

 「大金を一括請求されてただ驚き、途方に暮れました。でもこれまでに一度の連絡もなく、ペナルティーの延滞金まで支払えという態度は納得できなかった」と東京簡裁に異議を申し立てた。

 11年12月の簡裁判決は、恵子さんが母親から説明を受けていなかったとして延滞金と時効分の支払いを免除した。同機構は控訴し、東京地裁は今年2月に一転して延滞金の支払いを命じた。奨学生には返済義務を明記した書類を渡していたという高校担当者の証言を証拠採用したのだ。同機構のずさんな住所調査から督促状が届かなかった事情は考慮されなかった。恵子さんは東京高裁に上告している。

 訴訟を支援する首都圏なかまユニオンの伴幸生副委員長は「書類が本人に渡っていたという確かな証拠がないのに、延滞金まで認めた不当判決です。若者を支える奨学金に年10%もの延滞金というペナルティーがあるのがおかしい。負けられない裁判だと思っています」と強調する。

337チバQ:2013/04/20(土) 10:53:29
  ■  ■

 より典型的なのは、九州在住の事務職パート、紀子さん(30)=仮名=のケースだ。高校2年間と大学4年間で利用した同機構の奨学金元本と利子は計800万円以上。紀子さんは「借りたお金を返すのは当然ですが、債務に縛られた一生だと思うと落ち込みます」とため息をつく。

 毎月3万2000円で20年返済。救済がないわけではない。同機構には年収300万円以下なら最長5年の返済猶予がある。総額は減らないが、毎月の返済額を減らせる最長10年間の減額返済もある。ただ、いずれも延滞金があると申請できない。

 紀子さんは返済猶予の5年を使い切り、今年から減額制度を利用する。最長10年間の減額(半額)を毎年申請して認められたとして、54歳になるまで返済に追われる。

 「パートの手取りは残業代を含めて9万〜10万円。減額後の返済額は1万6000円ですが、延滞すると減額が認められなくなり、返済も延滞金にあてられる。とても結婚や出産は考えられない」という。

 実家の家計は苦しかった。高校を出たら就職するつもりだったが、地元の求人は遊技場店員など不安定なものばかり。「大学さえ出れば」と地元の私立大学に進学した。無利子と有利子(最高3%)を合わせて月15万円を借りた。一部を親の借金返済と妹と弟の学費に回した。

 卒業後、IT企業に正社員として就職したが、うつ病になって2年で退社。満額返済できたのは1年半だけで、約750万円の債務が残る。実家に戻って両親と弟妹の5人で暮らすが、父親は障害基礎年金、母親は月5万円のパート収入だ。弟と妹も奨学金返済に追われる。

 相談した弁護士には自己破産を勧められた。「考えてみましたが、父親と叔父が連帯保証人になっているので、自宅を売却しなければならないのです」。奨学金以外に道はなかったか? 「一度就職して学費をためて進学する道はあったが、高校時代には知るすべがなかった。もう少し学費が安かったらよかった」

 文部科学省によると、12年の初年度納付金は国立大学で入学金28万2000円と授業料53万5800円。私立大学の平均は入学金、授業料と施設設備費で131万5882円。不況、デフレなのに右肩上がりだ。

  ■  ■

 冒頭に登場した恵子さん。「内緒で奨学金を借りた母を恨んではいません。私が中学生のころ、父が事業に失敗して多額の借金を抱えました。母はパートで働きましたが、子ども3人を抱えて本当に大変だったと思います」

 取り立てから逃れる父親から時々、母に電話が入った。「大きな仕事をしている。もうすぐ現金が入るから振り込む」。約束の日、うなだれて銀行から帰ってくる母親の姿が忘れられない。当時、自宅に上がって酒を飲むようになった消費者金融担当者の会社名を覚えている。

 「実録『取り立て屋』稼業」を書いた元武富士社員の杉本哲之さん(34)に、その会社名を告げると「いわゆる中小規模の悪徳街金融業者です。自宅に上がり込むのは相手に恐怖心を植え付けて心を支配するため。洗脳です。多重債務者に無理やり奨学金や児童扶養手当、生活保護などを申請させて、その金で返済させるのが常とう手段です」と証言する。さらに「奨学金はほぼ無審査、無担保で月十数万円も借りられる。貸金業者にとって、親が返せなくなった借金を子どもに背負わせる都合のいい制度なのです」と話す。

  ■  ■

 奨学金が金融事業化しているとの批判について、同機構を所管する文科省学生・留学生課長の松尾泰樹さんは「奨学金は学生支援を目的として、与信審査をせず、担保も取らずに貸与しており、金融事業とは異なる。回収は強化しているが、返済猶予もあり、返せない人から無理やり返してもらうようなことはしていない」と話す。ただ、その猶予は5年だけだ。

338チバQ:2013/04/20(土) 10:53:45
 2月に全国44の弁護士会が一斉実施した相談会には「生活が苦しく返済できない」などの相談が453件寄せられた。奨学金問題対策全国会議の大内共同代表は「高卒の求人は激減しています。このため、親の経済力によって進学できない子どもは非正規、無業になる可能性が高いという『貧困の連鎖』が起きている。それを避けようとすれば無理な金額を借りてでも進学するしかない。なのに返済が遅れたら年10%の延滞金が課せられる。奨学金は貧困者を対象にもうける金融ビジネスになっている」と指摘する。

 高校新卒者向け求人はバブル末期・92年の167万人をピークに、12年には20万人と87%も激減した。奨学金で進学しても就職難。自分の奨学金を完済する前に、子どもが借りるケースも出始めた。

 対策会議事務局長の岩重佳治弁護士が訴える。「学生の立場に立った奨学金が今ほど求められる時代はない。真の学びを社会全体で支えていく仕組みが必要です」【浦松丈二】

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 ■4年制大学の初年度納付金の推移

      国立       私立         大卒初任給(参考)

1979年 22万4000円  64万8637円  10万9000円 

1989年 52万5000円 103万5116円  16万円   

1999年 75万3800円 127万3095円  19万6000円 

2012年 81万7800円 131万5882円  20万1000円

※国立と私立の初年度納付金は文部科学省調べ。大卒初任給は男子平均、厚生労働省調べ

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339チバQ:2013/05/23(木) 23:20:59
http://mainichi.jp/select/news/20130523k0000m040106000c.html
脱法ハウス:1.7畳、手届く四方の壁 住民同士会話なく
毎日新聞 2013年05月23日 02時32分(最終更新 05月23日 02時53分)
 そこは人の住む場所なのか、そうではないのか−−。消防法違反を指摘された東京都中野区の「シェアハウス」。貸事務所だとする運営会社に対し、東京消防庁は「共同住宅」と認定した。住宅だとすれば建築基準法に違反するが、同法を所管する中野区は「住宅かどうか定かではない」と、手をこまねいていたのが実情だ。火災や地震が起きた時、命を守れるのか。関連法令の隙間(すきま)をぬうような「脱法ハウス」が増殖している。【加藤隆寛】

 利用者らによると、中野のハウスの居室部分は2.7平方メートル(1.7畳)で、中央に立てば四方の壁に手が届くほどの広さ。窓はなく、昼も暗い室内を備え付けの電灯がほのかに照らす。ほかには旧型テレビ、小さな机があるだけ。寝台部分は2部屋で上下を分け合い、寝そべると間近に天井が迫る。部屋を仕切る壁は薄く、せき払いや寝返り、鼻をかむ音が聞こえる。

 キッチン、トイレは共同でシャワーとランドリーは有料。シェアハウスと言えば、顔見知りの住人たちによる共同生活を想像する。だが、30代の男性は「ここでは住人同士の会話はほとんどない。ネットカフェと同じで、周りにどんな人が住んでいるかは分からない」と話す。

 消防法違反発覚の端緒は偶然だった。昨年初め、救急車の出動要請でハウス内に立ち入った消防隊員が「おかしい」と感じ、査察部門に連絡した。もとは一般住宅で改築届は出されていない。端緒がなければ存在すらつかめず、危険な状態のまま存続していた恐れが強い。

 自動火災報知設備の設置などで消防法令はクリアされたが、「共同住宅」としては、建築基準法に違反する。同法は居住者の生命や健康、財産を守るために住居に最低限必要な基準を定めており、そもそも「窓のない居室」を認めない。

 さらに、同法を補う東京都建築安全条例は共同住宅の居室の最低面積を7平方メートル(約4・3畳)と定める。また、火災時に窓から避難できるよう居室の外に十分な空き地(窓先空地(まどさきくうち))を設けることも義務付ける。中野のハウスはこうした規定にも抵触する。

 建物の構造を規定する建築基準法は、防災設備面に重点を置く消防法と補完し合い、居住者の安全を確保する。だが、中野区都市基盤部は「建物が住宅、オフィス、宿泊施設のどれに当たるかはっきりしない」として、これまで指導してこなかった。

 運営会社マンボーの主張通り貸事務所だとすれば、建築基準法は満たす。だが、一帯は住宅地で、用途地域を定めた都市計画法に違反する。宿泊施設だとしても、旅館業法の客室規定を満たさない。

 中野区の担当者は取材に「消防は権限が強く、実態を元に判断できるが、我々は法文解釈が基本。何にどう違反しているかはっきりしなければ動けない。現行法令は隙間だらけ」と釈明する。

 日本シェアハウス・ゲストハウス連盟の高橋圭一専務理事は「定義もあいまいで、何をシェアハウスとするかは『言った者勝ち』の状態。多くはまじめにやっているが、モラルや順法意識に欠ける業者が少なからず出てきているのも事実だ。業界として統一的な安全基準を作ることも考えるべき時期に来ている」と話す。

340チバQ:2013/05/23(木) 23:22:35
http://mainichi.jp/select/news/20130523k0000m040105000c.html
脱法ハウス:都内で増加 消防法違反で危険
毎日新聞 2013年05月23日 02時30分(最終更新 05月23日 02時50分)


 新たな居住スタイルとして住居の「シェアリング」(共有)が注目される中、ネットカフェ大手「マンボー」(東京都新宿区)が「シェアハウス」などとうたって運営する中野区の施設が、東京消防庁から消防法違反を指摘されていたことが分かった。狭い個室が多数並ぶ構造で、自動火災報知設備などがなく危険な施設と判断された。シェアハウスには法令上の定義がなく、脱法的な類似施設が近年増加しており、専門家は「火災が起きれば多数の犠牲者が出る」と警鐘を鳴らしている。

 東京消防庁や利用者によると、問題のハウスは中野区上高田3にあり、木造2階建て(延べ床面積約250平方メートル)に37の個室を設けている。各室とも窓がないか、あってもふさがれ、広さ約1.7畳の居室と約1畳の寝台からなる。

 共同住宅は消防法で一般住宅より厳しい防火対策を課される。さらに東京都は木造など耐火建築でない場合、床面積200平方メートル以上で自動火災報知設備の設置を条例で義務付けている。共同住宅ではなく事務所の場合は1000平方メートル以上と規制が緩い。

 マンボーは消防などに対し、「住居ではなく、24時間利用可能なレンタルオフィス(貸事務所)だ」と主張する一方、ホームページや看板で「話題沸騰中のシェアハウス」などと宣伝。利用者の多くが「住んでいる」と話し、半数以上が住民登録していたことも踏まえ消防は昨年7月、共同住宅と認定した。出入りできる窓もないため救助が難しいとして避難誘導灯の設置も要請した。同社は昨年末までに改善した。

 同社は5年ほど前からこの事業を始め、中野や新宿など都内約10カ所に展開する。実質的な経営者とされるのは元社長で大株主の森下景一氏(62)で、中野のハウスは同氏の自宅を改築したもの。

 森下氏は風俗産業で成功し「日本の風俗王」と呼ばれ、2004年分の所得税額が中野税務署管内で2位の高額納税者。だが、創業した会社が運営するテレホンクラブ「リンリンハウス」の神戸市内2店舗で00年、連続放火事件が発生し、4人が焼死。大阪高裁は03年、安全設備が不十分だったとして同社に対し、遺族への1億円超の賠償を命じた。

 毎日新聞が取材を申し入れたところ、マンボーは今月21日、「諸般の理由により中野(のハウス)は利用者の合意をいただき、1カ月以内に廃止する」と回答した。森下氏自身にも20日に直接取材したが、「やめて」と繰り返し、応じなかった。【加藤隆寛】

 ◇ネットカフェが運営 光熱費込み月5万円
 マンボーの約10カ所の「シェアハウス」は、毎月の利用料が光熱費込み5万〜6万5000円で、どこもほぼ満室だ。1晩1700円前後のネットカフェに居続けるのと大差ない値段設定だが、都内の不動産業関係者は「借り手のない大型物件を細かく仕切って貸せば、総額として高い賃料を得られる。極めて利益率の高い業態だ」と事業のうまみを指摘する。

 同社はハウスの一室を貸す際、一般的な賃貸借契約と異なる利用権契約を相手と結び、「当社が妥当と判断すれば即時解約できる」という規約を設ける。

 利用料の納付が遅れて連絡がつかない場合、個室の電子キーの暗証番号を変え所持品は警察に渡すという。通常の賃貸借では借り手は借地借家法で守られ、3カ月以上の滞納がないと解約されない。ただし、利用料以外にかかる初期費用は保証金2万円のみで、保証人は不要。借り手にとっては、危険性や弱い立場に目をつぶれば「都合の良い物件」とも言える。

341チバQ:2013/05/24(金) 23:02:32
http://mainichi.jp/select/news/20130525k0000m040091000c.html
脱法ハウス:「網の目」住宅で2010年に火災
毎日新聞 2013年05月24日 22時24分(最終更新 05月24日 22時50分)


火災を起こしたハウス2階の間取り。右上の外階段につながる出入り口脇のトイレが出火場所となった=東京消防庁の資料から
拡大写真 極端に狭い居室が密集し、火災時の危険性が指摘されている「脱法ハウス」を巡り、「シェアハウス」をうたう東京都練馬区の施設で2010年末、2階トイレの棚や壁が焼ける火災が起きていたことが分かった。直前に査察した東京消防庁の資料によれば、ビルのフロアは網の目のように約60室に区切られ、入り組んだ廊下の幅は最大で1メートルだった。トイレは外部とつながる出入り口脇で大惨事につながった可能性があり、消防当局は「おしゃれな名前で入居者を募っているが、大変危険な施設」と指摘している。

 この施設は、同区中心部の鉄骨3階建て事務所・店舗用ビル(延べ1067平方メートル)の2、3階を活用する形で、複数のラブホテルなどを展開する会社(新宿区)が09年に開設。1階は24時間営業のスーパーだった。

 東京消防庁練馬消防署員が、「シェアハウス」としてインターネットで紹介されているのを発見。共同住宅としての各種届け出はなかったが現場で住民を確認した。さらに外観上、2階部分に窓など開口部がほとんどなく危険性が非常に高いとみて10年11月、練馬区建築課と合同で査察に入った。

 査察結果などをまとめた消防の資料によると、3階は5室のほか炊事場やコインランドリー。2階は58室でいずれも空き部屋のない満室状態で、個々の部屋への立ち入りは拒否されたという。図面上は各部屋に感知器はあるが、窓はほとんどなかった。

 また、各部屋のドア上部には換気扇を設置し廊下のエアコンの冷暖気を室内に取り込む仕組みだったが、火災時には廊下の煙が部屋に流れ込む恐れがあった。同署と区は消防法や建築基準法に違反しているとして指導に乗り出した。

 トイレ火災が発生したのはその直後の同年12月17日。けが人はなかったが、施設からの消防通報はなく、翌日になって利用者の男性から119番があったという。同署は「放火の可能性が高い」とみるが詳しい原因は今も判明していない。

 同署は11年1月に再度の査察を実施。早急な是正を求めて警告書を交付したところ、運営会社は4月にビルから退去し、今は空室になっている。消防資料では、運営会社について「利益追求のみの姿勢が見られ、署の係員に対して、時には恫愒(どうかつ)めいた言動があった」などと指摘する。同社は取材に「シェアハウス事業からは既に撤退しており当時を知る者もいない」と答えた。

 東京消防庁査察課は「署員が『シェアハウス』と称する施設への問題意識を持って査察し、区役所との連携もうまくいった」と評価する。一方で、別の課の担当者は「庁全体でシェアハウスを重視して立ち入りできているわけではない。今は高齢者のグループホームや雑居ビルの優先順位が高い」と明かし、人数や予算の限界で「脱法ハウス」把握に手が回らない実情を打ち明けた。【加藤隆寛】

342チバQ:2013/05/26(日) 12:37:43
http://mainichi.jp/select/news/20130526k0000e040132000c.html
脱法ハウス:「2割がブラック」 シェアハウス年3割増
毎日新聞 2013年05月26日 12時08分

 新たな居住スタイルとして注目される一方、明確な定義がない「シェアハウス」。どれだけ危険物件が広がっているのかは見えにくい。

 「シェアハウス」の名前は2008年の人気テレビドラマで使われたのを機に広まった。一般的には、運営業者が介在し、他人同士がキッチンなどを共有しながら一緒に暮らす住居を指し、物件を紹介するポータルサイト業者によると、07年末には全国に400軒7000床あったが、今年3月末には1700軒1万9000床に達し、年3割のペースで増えている。

 一軒家などを共同住宅に用途変更する場合、防災対策や申請が必要になる。だが、ある自治体の建築指導担当者は「気の合う人たちが集まって暮らす住居と、大家族が暮らす住居はどう違うのか。線引きは難しい」と明かす。また「貸事務所だ」と業者が主張した場合、言い分をくつがえす証明が必要なケースもある。この担当者は「どう見ても共同住宅というものや危険なものは是正していく」と強調した上で、「規則が実態に追いついていない」と法令の不備を訴えた。

 40業者が加盟する一般社団法人「シェアハウス振興会」の山本久雄代表理事は、「厳密には法令違反でも、可能な限り安全性を保とうとしている『薄いグレー』の業者を除いたとして、私の感覚では4割がグレー、2割がブラックだ」と見る。

http://mainichi.jp/select/news/20130526k0000e040130000c.html
脱法ハウス:国の実態調査 業者7割答えず
毎日新聞 2013年05月26日 12時04分(最終更新 05月26日 12時30分)


「お蔵入り」となった国土交通省の調査報告書。「安全性確保の観点からも、シェア住居の定義を整理することが望ましい」と結論付けている=2013年5月24日撮影
拡大写真 極端に狭い部屋が密集し、危険性の高い「脱法ハウス」が広がっている問題で、国土交通省が昨年、シェアハウスなどの実態調査のため三百数十の運営業者にアンケートをしたところ、91業者しか回答しなかったことが分かった。同省は結果を公表予定だったが、「優良業者に偏っており、全体像を反映していない。誤解される」として見送った。法律上のグレーゾーンで運営している業者が回答しなかった可能性が高く、明確な指針がない新興業界の把握の難しさが浮かんだ。【加藤隆寛】

 アンケートは、賃料や施設概要を尋ねるもので、昨年1〜3月に実施。インターネット上の情報を中心に運営業者をピックアップし、郵送やメールなどで回答を求めた。

 しかし、回答したのは3割弱。平均賃料は5万7049円だったが、シェアハウス居住経験者を対象にネット上で行った別の調査(同年3月)では「5万円未満」が78%に上ったため、同省は「回答は付加価値の高いシェアハウスを提供する業者に偏っている」と判断。80ページにわたる報告書をまとめたものの、公表を見送った。

 報告書によると、1人当たりの専用スペース(個室面積)に関しては「4.5〜6畳未満」の個室を設ける業者が82.4%と最多。「6〜7.5畳未満」も76.9%と多く、「3〜4.5畳未満」は19.8%だった。

 一方、ネットのシェアハウス専用ポータルサイトでは、賃料3万円台で3畳未満などの個室が多数紹介されており、窓なし物件の図面が載っているケースも多い。これらは建築基準法や自治体の条例が定めた「居室」の基準を満たしていないが、アンケートには反映されていない恐れが強い。

 東京23区のある自治体の建築指導担当者は「アンケートを呼び掛けても多くは回答しないだろうということは、指導の現場を経験していれば、すぐ分かる」と冷ややかに見る。

 国交省住宅総合整備課の担当者は、「法令違反を捕捉しきれていない可能性がある」と業界の全体像がつかめないことへの焦りを募らせる一方、「狭くても安さに納得して入居している人もいる。業者がやっていいライン、いけないラインを引くのは難しい」とジレンマも語った。

343とはずがたり:2013/05/26(日) 20:31:58
>>337
>文部科学省によると、12年の初年度納付金は国立大学で入学金28万2000円と授業料53万5800円。私立大学の平均は入学金、授業料と施設設備費で131万5882円。不況、デフレなのに右肩上がりだ。
大学は無闇矢鱈と増えてるのにどうしてそんなに強気の価格設定!?


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