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1とはずがたり:2008/03/24(月) 21:48:24
Lv:36
しょくぎょう:かんりにん

262とはずがたり:2014/11/18(火) 09:10:08
ネットラジオ BS@もてもてラジ袋 IT時代をサバイブする新型教養番組
『ハイスコアガール』にSNKプレイモアがキビシイ理由
http://moteradi.com/hsg

 押切蓮介の人気漫画『ハイスコアガール』が全巻回収ということらしい。電子書籍も削除。おどろいた。個人的には1巻以降の話には興味をなくしてしまったけど、人気漫画であるしアニメ化も控えているし、今後もしつこく続いていくと思っていた。もちろん連載が停止したとかではないが単行本全巻回収は尋常ではない。

 単行本回収の理由は漫画内に登場する『キング・オブ・ファイターズ』や『サムライスピリッツ』など旧SNK社のゲームキャラを無断で使用していたことにたいして、現権利者のSNKプレイモア社からクレームがついたことによる。

 『ハイスコアガール』はストリートファイターなどが全盛だった90年代のゲーセンを舞台にしたラブ・コメ漫画だ。そうであれば、ストリートファイターで有名なカプコンと並び、当時から大人気だったSNKの一連のゲームの描写は絶対に外せないところだ。

 単行本の巻末には各ゲームメーカーの著作権一覧の表示があったが、実はSNKプレイモアには一切の連絡がいっていなかったようだ。それが、アニメ化に際して制作会社から連絡がはいって発覚した。アニメと漫画では権利関係が違うので別個に対応することになる。原作漫画でOKだったキャラクターや名前が、アニメではベツモノに変更されていたりということがままあるが、そういうのは権利が違うことによるのだ。

一巻の終わりの著作権表示。たしかにデカデカとSNKプレイモアの名前が。まさか無許可とは思うまい。
一巻の終わりの著作権表示。たしかにデカデカとSNKプレイモアの名前が。まさか無許可とは思うまい。

 しかし今回はもっとキツイ。アニメの内容変更どころか、原作漫画そのものの販売差し止めを要求されたうえに、告訴されてしまったのだから。

 そもそも『ハイスコアガール』を発行しているのはスクウェア・エニックス。ファイナルファンタジーとかドラクエの大手ゲームメーカー。それがライバル会社ともいえる他者ゲームメーカーのキャラクターたちを、漫画内で無断で使用しているんだから必要以上に恨まれても仕方がないが、ニュースの続報により、もっと根が深い事情が見えてきた。

「ハイスコアガール」問題、カプコン・ナムコ・セガはキャラクター使用を許諾済み

 そりゃそうだろうと思う。スクウェア・エニックスは、『ハイスコアガール』とカプコンやナムコやセガのキャラクターとのコラボレーションのグッズ販売などを行っている。さすがにそれらを無断で販売するほどの根性は無い。あったら凄かったが。とにかく、しっかりと、たしかに、著作権表示にあったように、これらのメーカーのキャラは漫画に使用する権利を得ていたというわけだ。

 ということはSNKプレイモアだけがハブられていたのか!?

 それか、いくつかのメーカーがハブられていて、その中にSNKプレイモアがあっただけということもある。そうだとしたら、他にどこがハブられていたのか気になるが、それは今後に続報があるかもしれない。ないかもしれない。

同じく一巻の中では、まさかの『キングオブモンスターズ』のコレくらいしかSNKプレイモアの版権にひっかかりそうなぶつは無いような?これだけだったら訴えられ無かった?
同じく一巻の中では、まさかの『キングオブモンスターズ』のコレくらいしかSNKプレイモアの版権にひっかかりそうなぶつは無いような?これだけだったら訴えられ無かった?

263とはずがたり:2014/11/18(火) 09:10:27
>>262-263
 スクウェア・エニックスにしてみれば、カプコンやナムコやセガは現行バリバリの大手ゲームメーカーだけど(ただし、ほぼ当時のままなのはカプコンだけで、あとの両社はそれぞれバンダイナムコゲームス、セガサミーになっているけど。そもそもスクウェア・エニックス自体が合併会社だけど。)、当時のゲームを作っていたSNKというのはとっくに消滅していて、SNKプレイモアというところが昔の権利を管理しているだけであり、取るに足らない存在であると認識していたのかもしれない。

 実に正しい。

 正しいというのは、SNKプレイモアが権利管理会社であるというところだ。そもそもプレイモアという版権管理会社が、系列会社のSNKの版権を買い取って発足したのが現在のSNKプレイモアなのだ。もういちどいうけど、版権管理会社なのだ。専門家なのだ。

 SNKの倒産に先立ってアルぜ(現ユニバーサルエンターテインメント。どこもかしこもころころ社名が変わってしょうがない。1980年代にユニバーサルという社名でアーケードゲームの『Mr.DO!』を作っていたあそこだ!)というパチンコメーカーがSNKを子会社化していたことがあったが、最終的に作品の権利を落札したのはプレイモアだった。その後もSNKキャラをパチスロなどに不法使用続けるアルゼとバチバチに裁判を繰り広げて、最終的に4億で和解するも、今現在も非常に仲が悪い。

 とにかくSNKプレイモアは、そういった経緯もあり、ややこしい版権を手に入れて管理してきた会社なので、ものすごい気が立っているところもあるし、敵に回してこれほどやっかいなところもないのだ。スクウェア・エニックスは軽い気持ちで、えらいところを敵に回してしまったといえよう。

 アニメ化が中止なんてことになったら、とんでもない違約金が発生するということにもなりかねないので、スクウェア・エニックスも、どこかで落とし所を見つけるとは思う。

 ドラクエとかのソシャゲーでアコギに稼いで好決算に湧くスクエニであるので、少々の出費は覚悟しても良いんんじゃなかろうか。

 とすると、他に連絡がいっていなかったメーカーが食いついてきたりして。データイースト(の権利者)とか、ニチブツ(の権利者)とか、そのあたりがハブられ仲間だったりしたら面白いかもしれない。ハドソンはコナミが権利者なのでハブられてないかな。いずれにしてもSNKプレイモアほどウルサイところは無いかとも思う。しらんけど。

 その後の報道で、セガについても事後承諾でスゴく怒ったが結局許したというのが発覚した。とすると他のメーカーにはほとんどそういうなあなあな態度だったのがわかる。商業的コラボの可能性のあるバンナムやカプコンには真っ先に声をかけたが、その他は出してやるだけでもありがたいと思えという態度だったのだろう。(本来はマンガに登場するだけで既に商業的コラボなんだけど…)

 スクエニも近年はお家騒動もあり、分割もウワサされているくらいイイカゲンな経営になってきているようだが、かわいそうのはこの適当な経営のとばっちりをくった作者である。


 ちなみに、SNKプレイモアは権利管理するだけではなくて、今も元気にゲームの制作をやっております。とはいっても、餓狼 マーク・オブ・ザ・ウルブズの続編は出ないだろうけど…。

264いぬのたまご:2014/11/24(月) 17:48:13
まとまったお金が欲しい人はこちらへ

http://www.fc-business.net/qgesw/

265とはずがたり:2015/01/13(火) 18:05:36
なんで掛川で?!

<王将戦>2日目の対局始まる 掛川城二の丸茶室で
毎日新聞社 2015年1月12日 09時06分 (2015年1月12日 19時18分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20150112/Mainichi_20150112k0000e040134000c.html

 渡辺明王将(30)に郷田真隆九段(43)が挑戦する、第64期王将戦七番勝負第1局(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催、掛川信用金庫、ゼロの会、囲碁将棋チャンネル協賛、掛川市、静岡新聞社、静岡放送後援)の2日目の対局が12日午前9時から、静岡県掛川市の掛川城二の丸茶室で始まった。

 持ち時間各8時間のうち消費時間は渡辺2時間半、郷田4時間54分。

266とはずがたり:2015/02/13(金) 09:12:07
こんなもん有ってええやろ。批判する方が可怪しいやん。
うちはノーユーチューデーつくらねば。。携帯ゲームやってるからノーゲームデーは本当は困るんだけどw

<ノーゲームデー>北海道教委が設定 「短絡的だ」批判続出
毎日新聞社 2015年2月12日 12時39分 (2015年2月12日 17時12分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20150212/Mainichi_20150212k0000e040172000c.html

 北海道教委やPTAなどが昨年末から設定した「ノーゲームデー」が波紋を広げている。子どものネット依存を減らすのが目的だが、ゲームで遊ぶ子どもたちに×印をしたイラストをチラシやホームページに載せて呼び掛けたこともあり、「ゲームを否定しているのか」などと批判が続出。道教委は急きょイラストを差し替え、弁明に追われている。【小川祐希】

 道教委が昨年、中高生約4700人を対象にインターネットの利用実態を調査したところ、半数以上が「1日に2時間以上使用」と回答。犠牲にしている時間(複数回答可)は勉強(38%)▽睡眠(32%)▽家族と話す時間(13%)が多く、約2割がネット依存を自覚していた。

 ネットやゲームの利用時間が短いほど学力が高いとの文部科学省の調査結果もあり、道教委やPTAなどで作った「子どもの生活習慣づくり実行委員会」は昨年12月下旬から毎月第1、第3日曜日を「ノーゲームデー」と設定。体を動かす遊びや読書、家族だんらんの時間を大切にし、家庭でネット利用のルール作りをするよう促した。

 ところが、短文投稿サイト「ツイッター」で「ゲームをしている人でも頭がいい人はいる。子どもの自由を奪う活動はよくない」(大学生)、「必要なのはゲームを通じて親子が触れ合う機会」(2児の父)、「『なぜ子どもはゲームをやりたがって、勉強はやりたがらないのか』を分析すればいい。単に排除するだけでいいのか」(別の2児の父)などと話題になった。道教委には批判の電話やメールも十数件寄せられたという。

 道教委は「『ゲーム禁止』という印象が独り歩きした。インターネットやスマートフォンも含め、あらゆる電子メディアとの付き合い方を見直そうとの取り組みの趣旨が十分に伝わらなかった」と困惑。チラシやホームページのイラストについては「ゲームを否定しているとの誤解を招く」と、家族だんらんの絵柄などに変更した。

 メディアと教育に詳しい藤川大祐・千葉大教授(教育方法学)は「『ノーゲームデー』という名称はゲームを目の敵にしていると誤解されやすい。『体験活動の日』など前向きな名称にすべきだった」と指摘。土井隆義・筑波大教授(社会学)は「1人で楽しむためのゲームなら『しない日』を設けるのも有効だが、友達とのつながりを求めてするゲームや『LINE』などの無料通信アプリの場合は簡単に制限できるものではない」と話す。

 ノーゲームデーは、さいたま市教委や東京都葛飾区教委なども設定しているが、批判的な意見は寄せられていないという。奈良県教委は2011年度から実施していたが、「ゲームをする時間を決めるのは本来は家庭の役目」として、13年度限りでやめた。

267とはずがたり:2015/02/13(金) 10:56:15

2015.02.12
山田修「展望!ビジネス戦略」
任天堂、もう沈みゆくしか道はない スマホゲーム制覇戦略を採用できない構造的欠陥
http://biz-journal.jp/2015/02/post_8907.html
文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

 任天堂が1月28日に2014年度第3四半期(4-12月)の決算を発表した。営業利益が316億円と黒字を計上したのは、実に4年ぶりのことだという。しかし、同社の事業が実質的に改善したというわけではない。というのは、今期の損益改善は、13年度に据え置き型ゲーム機「Wii U」の在庫損を一括処理した恩恵によるところが大きいからである。

 14年度(15年3月期)通期決算予想としては、営業利益を400億円程度の見込みから200億円へと下方修正したが、果たして通期での黒字達成は可能なのだろうか。

『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』(山田修/ぱる出版)

 今回の決算発表を受けて、年末商戦での不調などと関連して任天堂ゲーム機個別製品の競争力分析が数多くなされているが、同社の不調は構造的なものであり、経営者が変わらない限り状況は変えられないと考えられる。また、経営者が変わったとしても、実は同社の構造的問題から状況改善が難しいといえる。

 11年に任天堂が上場後初の赤字決算見通しを発表した際、筆者はブログ記事『任天堂 岩田聡社長 潮目の会見』(11年10月28日)で 「大きな時代の、終わりの始まり」「任天堂のような専用ゲーム機の時代は終わりはじめた、と思う。時代はスマートフォン(スマホ)でのゲーム提供となっていくだろう」と分析した。専用ゲーム機とスマホゲームの関係は、米ハーバードビジネススクール元教授クレイトン・クリステンセン氏の著書『イノベーションのジレンマ』に載るべき典型的な事例なのだ。

 任天堂は専用ゲーム機というセグメントの中で、ひたすら勝者になるべく、使い勝手や魅力的なゲームソフトの開発、見やすい画面などの改良に励んできた。つまり同書でいう「持続的イノベーション」(よりよい製品を既存市場にもたらす)だ。ここでの競合はソニーのプレイステーションや以前のセガのゲーム機などだった。

 ところが、各社が既存市場で「持続的イノベーション」でしのぎを削っている間に、消費者をスマホ向けゲームに奪われていったのである。同書で、スマホ向けゲームは「ローエンド型破壊的イノベーション」とされる。任天堂の専用機ほどの使い勝手はないけれど、価格は安く手軽に使える。「持続的イノベーション」に励んでいるそのセグメントでの勝者、あるいは有力者は、「ローエンド型セグメント」には目をくれようともしない。実際、1月28日の会見で任天堂の岩田聡社長は、「スマートデバイスには物理的なボタンがない。『スーパーマリオ』などを楽しく遊べない」と語っている。

●組織全体に刷り込まれた「価値基準」
 任天堂は、スマホゲームに参入できる、そして制覇できるすべての経営資源を有しているにもかかわらず、なぜ参入しないのか。

 岩田社長の言動は「成功の復讐」的に解説することもできるが、「イノベーションのジレンマ」的には同社の組織全体に刷り込まれた「価値基準」がローエンドへの参入意思決定を阻止していると説明できる。デジタル・カメラを発明したのはコダックだったが、銀塩フィルムのトップメーカーだったコダックはデジタル・カメラに力を入れることなく倒産してしまったのと同じだ。

 このような構造の中で、任天堂が選択できる企業戦略としてはM&Aである。同社の財務諸表を見ると、現金と有価証券でなんと約9000億円も保有している。これを有効活用して、世界中のゲーム開発会社や関連するIT企業を早期に10社以上買収することだ。そして同社に統合することなく、それらの会社を活性化させてローエンド・セグメントを席巻する。人事交流は行わないほうがいい。任天堂本社の現在の「持続的イノベーション」のモメンタム(惰性)が、それらの「破壊的イノベーション」を担当すべき企業の風土を阻害してしまうからだ。

 だが、このような戦略的な打開策を任天堂は採用することができない。なぜなら、岩田社長自身が現在の同社の「価値基準」の創出者であり、専用ゲーム機ビジネスのアイコンだからだ。経営者が替わらなければ新しい戦略を選択できない典型的な事例でもある。「大きな時代の終わりは加速している」のである。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)

268名無しさん:2015/02/15(日) 21:56:18
マリオってそんなストーリーだったの!? マリオシリーズのストーリーを時系列に並べたら意外な結果が判明
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150213-00000086-it_nlab-sci

The Super Mario Timeline
https://www.youtube.com/watch?v=UGTddc62fXc

269名無しさん:2015/03/08(日) 11:21:41
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150304-00000036-asahi-soci
渋すぎるボードゲーム「枯山水」、ヒット 開発者も驚く
朝日新聞デジタル 3月4日(水)16時51分配信

 渋すぎるパッケージ。庭づくりで「わびさび」を競うコンセプト――。スマホゲーム全盛のいま、ヒットを飛ばすボードゲームがある。その名も「枯山水」。どんなものなのか。

 「面白さには自信があったが、まさかここまで受けるとは」。発売元のボードゲーム輸入卸会社「ニューゲームズオーダー」(東京都立川市)の開発責任者、吉田恒平さん(35)がうれしい悲鳴を上げる。

 昨年11月に発売。価格は8100円とやや高めながら、2月末までに860セットを売り上げた。石の色塗りなどは手作業のため月産150セットがやっと。「2月は社員休みなしだった」(吉田さん)が、生産が追いつかない状態だ。

 ゲームは2〜4人で対戦する。各自が庭師となり、庭園ボード(縦21センチ、横約30センチ)に砂紋やコケが描かれたタイルを並べたり、石膏(せっこう)製の庭石を置いたりして庭をつくる。「座禅」で稼いだ「徳」ポイントなどに応じて好きなアイテムを選べる。持ち時間は60〜90分。出来た庭はデザインの規則性などで採点し、最高得点の人が、最もわびさびを表現できたとして勝利する。

 枯山水とは、水を用いずに石や砂などで風景を表現する作庭の一様式。「日本独特の美学、やや高尚と思われているものがゲームになったギャップがあるのかも」。枯山水の作者、ゲームデザイナー山田空太さん(34)=兵庫県宝塚市=が話す。

朝日新聞社

270名無しさん:2015/03/14(土) 16:16:16
イノベーションスレかもしれませんが。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150312-00000088-it_nlab-sci
将棋電王戦FINAL 第1局――プロの意地、ソフトの歴史 斎藤慎太郎五段 VS. Aperyの見どころは
ねとらぼ 3月12日(木)20時6分配信

 プロの将棋棋士とコンピュータソフトが対決する「将棋電王戦」が、今年もいよいよ開幕する。今週末に迫った第1局の見どころと、対局者のこれまでについてをまとめてみた。

●まずは将棋電王戦についておさらい

 2012年に始まった電王戦は今年で4回目。当初は人間の棋士とコンピュータソフトが1対1で戦うエキシビションマッチとして実施されたが、翌年の第2回からは将棋連盟が選んだ棋士5人と、ソフト同士で行われる大会を勝ち抜いた精鋭ソフト5つがぶつかり合う団体戦となった。

 戦績は第2回、第3回ともにソフト側が勝ち越しており、団体戦形式が最後となる今回は「電王戦FINAL」と銘打たれている(来年以降の、団体戦形式を取らない形での開催は現時点で未定)。

 過去の戦績を受け、出場棋士については羽生善治名人をはじめとする「人類の頂点」=タイトルホルダーの登場を待ち望む声も大きかったが、今回のFINALでも選出は見送られた。

 代わって出場する棋士たちは、団体戦としての最終局面で人類に残された最後の意地を見せるべく、大きな使命と期待とを背負っている。

●斎藤慎太郎――静かにたぎる若き俊英

 第1局に登場する斎藤慎太郎五段(21)は、天才集団である棋士たちの中でも若くして将来を嘱望された逸材だ。プロになるための最終関門である「奨励会三段リーグ」に弱冠14歳にして到達。4年後に18歳でプロ入りした。

 多くの棋士がトレーニングとして行う詰将棋を「趣味」と公言し、問題を解くまでの早さと正確さを競う詰将棋解答選手権では第8〜第9回と連続優勝。プロになって初年度の順位戦(※)では、いきなり46人中3位の成績をあげて上位クラスに昇級(俗に言う“1期抜け”)した。

※毎年1年間を掛けて行われる、プロ棋士の活動中最も基本となる対局。上からA級〜C級2組までの5クラスがあり、在籍クラスが収入その他に直結する

 容姿端麗なことでも知られ、女性ファンの数は全棋士中(おそらく)屈指。普段の話し口調はおだやかで、関西出身らしい柔らかなトーンで将棋を解説している印象が強いが、将棋に対して極めて真摯な姿勢を貫く畠山鎮七段を師匠とするだけあって、対局時には師匠譲りの熱さを見せることも少なくない。

 ニコニコ動画で公開中の「電王戦FINALへの道」#60では、電王戦本番を目前にして師匠と交わした会話の一部が確認できる。3:30付近から見られる、「師匠がスタッフにインタビューされているときにはそわそわ、にこにこしていた斎藤五段」が、徐々に真顔へと変わっていき、最後にはそれまで揺らしていた身体をぴたりと止めて師匠の言葉に聞き入るシーンは、見ている者に強い印象を残す。

まあ少し待っていてください。近い将来、私達ルーキー世代の時代をお見せできると思います。「プロは期待されてるより上の結果を出さなきゃいけない」 by畠山師匠

(斎藤慎太郎――2013年5月5日、Twitter上で自身の将棋歴を振り返って)

271名無しさん:2015/03/14(土) 16:16:25
>>270

●Apery――“猿真似”から始めて世界選手権優勝

 対するコンピュータソフト陣営の先鋒は、Apery(エイプリー)。もともと平岡拓也さんが個人で開発していたソフトで、世界コンピュータ将棋選手権には2012年の第22回大会から参加。その後、大阪市立大学数理工学研究室の杉田歩さん、山本修平さんが加わり、現在はチームで開発を進めている。

 昨年の第3回電王戦の出場ソフトを決めるために行われた「将棋電王トーナメント」では、5位までのソフトが出場権を獲得できるところ、惜しくも6位。あと一歩のところで大舞台への切符を逃した(5位を争ったソフト・習甦は、その後第3回電王戦でMVPを獲得している)。

 しかし、その半年後に行われた世界コンピュータ将棋選手権では、2次予選を8位とぎりぎりの成績で勝ち上がりながらも、決勝リーグではPonanzaやNineDayFeverといった前評判の高かった強豪ソフトを押しのけて優勝。コンピュータ将棋ソフト世界一の座に輝いた。続く第2回電王トーナメントでは、昨年敗れた習甦に一年越しのリベンジを果たし、総合5位で電王戦FINALへの出場を決めた。

 このように高い実力を備えながらも、これまで多くの舞台で「当確ライン上」での戦いを余儀なくされ、「敗れ去った側」としての立場も味わってきたApery。ソフト名の由来は「猿真似」で、当初は(技術的に)「独自性があまり無いことへの戒めとして」名付けたが、「最近はやっと色々やっていると言えなくも無い感じ」とのこと。

 開発者の平岡さんのコンピュータ将棋開発にかける情熱や人となりは、ブログやTwitter、前述の「電王戦FINALへの道」でも知ることができる。また、「手に入る斎藤五段の棋譜はすべて並べた」「著書もすべて読んだ」などの発言の端々から、対戦相手への敬意と、だからこそ絶対に負けたくないという自負がうかがえる。

(開発者として電王戦に出場するモチベーションは、という問いに)

電王戦はやっぱり勝たないと。FINALで変な負け方をして「コンピュータ将棋ってやっぱり弱いんじゃないか」と、そういう風に思われてはいけないと思っています。これまでに、電王戦に出られなかった他のソフトの開発者や、過去に強かった強豪ソフトの製作者などいろんな方がいて、それらがつながって今のソフトがあるので。最先端のコンピュータ将棋として、良い将棋が指せればうれしいなと思っています。

(平岡拓也――2014年11月26日、電王戦FINAL記者発表会の質疑応答にて)

●第1局の見どころは

 3月14日土曜日、ついに第1局が始まる。

 コンピュータソフトとの対局というのは、通常の人間同士との戦いとはまったく異なるものだ。人間には予想しづらい手が次々に飛んでくることや、ソフトごとにそれぞれの“くせ”のようなものがあることから、単純に「人間の中で強い棋士」がソフト相手にも強いとは限らない。過去の数少ない人間側の勝利者を見ても、ソフトの特徴を徹底的に研究し、最も勝率の高いパターンを見出して躊躇なくそこに踏み込めた棋士だけが、結果的に勝利をもぎとっている。

 以前はこうした「ソフト退治を最優先に置いた戦い方」(ときに否定的な意味合いを持って「アンチコンピュータ戦略」と呼ばれた)を好ましく思わない棋士も多かったが、今回登場する5人はそうではない。記者会見の場で全員が「内容よりも結果」と言い切ったことの重みを、まずは第1局で見せられるか。

 斎藤五段は「電王戦FINALへの道」#67の中で、「ようやく道筋というか、いくつか戦いたい形は見つかった」と話している。具体的には「居飛車でいく」「作戦で使いそうな戦型は4種類」という旨の発言をしており、「有利で終盤に持ち込めば十分勝機はある」という認識のようだ。過去に公開されている斎藤-Apery戦では、1分将棋で斎藤五段の勝ち、30分切れ負け将棋でAperyの勝ち。いずれも斎藤五段が居飛車でAperyが振り飛車の対抗形となっている。

 将棋に限らず、番勝負における“初戦”というのはいかなるときでも特別な意味を持つ。一昨年の第2回電王戦では人間側が、昨年の第3回ではコンピュータ側が第1局を制したが、まずは今回の5番勝負全体の雲行きを占う意味で、繰り返しになるが内容よりも先に勝敗の行方に注目したい。

 近年急速に盛り上がりを見せているロボットや人工知能といった最新技術の“現在地”を、目に見える形で実感できる場。「人間対コンピュータ」という、古くからSFの世界などで描かれてきた階級闘争の一端を目撃できる場。そしてもう一つ、この戦いは棋士と開発者という「人間対人間」の戦いでもあるのだという事実を再確認できる場。さまざまな文脈から眺めることのできる電王戦の開幕が、本当に待ち遠しい。

273名無しさん:2015/03/21(土) 22:47:38
http://news.livedoor.com/article/detail/9916326/
将棋ソフト、反則負け…「成らず」に対応できず
2015年3月21日 21時14分 読売新聞

 プロ棋士とコンピューターソフトによる5対5の対抗戦「将棋電王戦FINAL」の第2局が21日、高知市の高知城で行われ、「Selene(セレネ)」が89手で反則負けし、永瀬拓矢六段(22)の勝利となった。

 これでプロ側の2連勝。第3局は28日、北海道函館市の五稜郭で行われる。

 ハプニングが起きたのは終盤戦の88手目。永瀬六段は、成れる角をあえて成らずに△2七角不成という奇手で王手した。ソフトは「成らず」に対応していない欠陥があり、この手を認識できず、王手を放置する別の手を示して反則となった。

 成らずはルール上は問題のない手で、永瀬六段は事前の練習でソフトの欠陥を承知していた。ただ、立会人の三浦弘行九段は「局面自体も永瀬六段の勝ち」と説明した。

274名無しさん:2015/04/05(日) 23:27:58
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150403-00000088-mycomj-ent
稲葉七段の自信はどこで崩れたか「将棋電王戦FINAL」第3局 - 入玉も届かず、対ソフト戦の心理
マイナビニュース 4月3日(金)13時50分配信

●「勝てると思っていなかった」磯崎氏の真意
3月28日にプロ将棋棋士とコンピュータソフトによる5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」の第3局、稲葉陽七段対やねうら王(開発者:磯崎元洋氏)の対局が北海道・五稜郭で行われ、やねうら王が勝利。3局目でソフトが初白星を挙げ、プロ棋士側の団体戦勝利は第4局以降へ持ち越しとなった。

局後に行われた記者会見で磯崎氏は「勝てると思っていなかったので、まだ実感はありません」と正直な心境を吐露した。やねうら王は昨年の第3回にも出場し、佐藤紳哉六段を破っている。そして佐藤六段と対戦した昨年のソフトと今回のものを対戦させると6〜7割は最新版が勝つという。にもかかわらず「勝てると思っていなかった」と振り返った磯崎氏の真意はどこにあったのだろうか。

「ソフトの貸し出しにより事前に研究されることはわかっていた、それなのにその対策をほとんどやっていなかった」

昨年の第3回より、ソフト側は本番と全く同じバージョンのソフトを事前に棋士側に貸し出すルールが設けられた。本番用として主催者のドワンゴに提出した後のソフトはプログラムの変更を認められていない。この事実は棋士が事前に研究を行えばソフトの指し手傾向をつかむことができる、極論を言えばプログラムの穴を突くことができることを意味している。

事実、今回の第2局で生じたSeleneの反則負けは永瀬拓矢六段が「Seleneは飛・角・歩の不成に対応していない」というプログラムの不具合を発見したことによる。また第1局でも斎藤慎太郎五段は、ある展開に誘導すればソフトが疑問手を指すことを発見していた。

図Aからの△4四角がその一着である。直前の▲2一飛成を「長考してから」指せば、Aperyがかなりの高確率で疑問手△4四角を打ってくるという。長考してから、というのがポイントで、その間にソフトにも考えさせ▲2一飛成に対する△2四角をソフト側の第一感とすることに成功したのだ。斎藤五段は研究通りに進んで「ホッとした」と述懐している。

事前の貸し出しにより研究されることはわかっていた。対策の一つとしてはソフトが常に最善手を指さず、時折次善手を交えることでランダム性を高くするという手法はある。しかし、プロ棋士相手に次善手を指して勝てるほど甘くはない。結局、プロの事前研究に対する有効な策を取れないまま、磯崎氏は本番へ臨むことになった。

筆者には対局開始後の磯崎氏がしばらく渋めの表情をしていたように見えた。局後にそのことを伝えると「そうですか、研究にハマる心配をずっとしていたので、そのせいでしょうね」という返事があった。

稲葉七段は1988年8月生まれの26歳。兵庫県西宮市出身で2008年4月に19歳で四段に昇段しプロ入りしている。前々回に出場した船江恒平五段、前回出場の菅井竜也六段ともども井上慶太九段門下の俊英だ。

プロ棋士としての経歴は、初参加の第80期棋聖戦で郷田真隆王将、谷川浩司九段、藤井猛九段らの強豪を破っていきなり挑戦者決定戦進出を果たす。木村一基八段に敗れて挑戦こそならなかったものの、関西期待の新鋭として大きくアピールした。以下の棋歴もまずは順調といってよいだろう、竜王戦では2組、順位戦ではB級1組と、ともにトップクラスまであと一歩に迫っている。また13年度には銀河戦で優勝し、自身初の全棋士参加棋戦優勝を果たした。今回の5名で全棋士参加棋戦優勝を成しているのは稲葉七段と阿久津主税八段の2人だけだ。

タイトル獲得こそ同世代の糸谷哲郎竜王に先を越されたが「悔しいです」とライバルへの闘志をあらわにする。次の有力なタイトル候補と言ってよいだろう。棋界の次代を担う俊英はやねうら王をどのように見ていたのだろうか。

275名無しさん:2015/04/05(日) 23:28:39
>>274

●稲葉七段の自信に綻びを与えた可能性がある局面
「今回の5ソフトでは最も対策が立てやすいソフトだと思いました」

対局者5名を始めとするメンバーで行われている電王戦研究会における情報交換の結果、稲葉七段はこのように振り返っている。

例えば図1。横歩取りの序盤だが、ここでやねうら王はほぼ△3三桂と指してくるという。この指し方は文字通り「横歩取り△3三桂戦法」と呼ばれるもので脇謙二八段が得意とする指し方だ。

しかし、プロ公式戦における図1の局面では△3三角と指された数が圧倒的に多い。過去の実戦例で△3三角は4500局近くあるのに対し、△3三桂は450局ほどしかない。実に10倍の差である。

この差は無論、△3三角の形が△3三桂のそれと比較して10倍も後手が指しやすくなるということではない。序盤の定跡はわずかな良さを求めての試行錯誤を繰り返してきた歴史がある。ほんの些細な差であっても△3三桂より△3三角が勝るとされた見解があり、多くのプロ棋士が追随した結果がこうなったのである。

逆に先手から見れば横歩取り△3三桂は△3三角よりもありがたい進行ということになる。そしてソフトがその順をほぼ間違いなく選ぶのであれば稲葉七段も対策を立てやすい。「一番やってくる確率が高い戦型において、優勢になるパターンを幾つか用意してきました」と稲葉七段は語った。用意周到に準備して臨んだという自信が感じられる。

だが、稲葉七段の自信にわずかな綻びを与えた可能性があるのが図2の局面だ。この△7二玉では△7二銀のほうが、わずかながら出現確率が高かった。「確率の低い形になったことは多少なりとも尾を引いた」と稲葉七段は明かす。

大きな違いはないように見えるが、△7二銀ならば▲9七角という手がある。△8九飛成と竜を作られてひどそうに見えるが、▲8八角とふたをしてしまえばこの竜は身動きが取れない。以下△7一玉▲8六飛△8三歩▲6八金と進めて次に▲6九金〜▲7八銀と竜角交換を強要してしまえば先手が指しやすくなる。この竜角交換を後手は防ぎようがない。

▲9七角は今年の2月に95歳で大往生された丸田祐三九段が創案した指し方だ。対して△8九飛成が成立しないのはプロ棋士にとって常識以前の知識である。しかし、やねうら王は高確率で飛車を成ってくる。これも稲葉七段は事前研究で突きとめていた。

では△7二玉に▲9七角だとどうなのか。△8九飛成▲8八角までは同様だが、次が違う。仮に後手の指し手を△5四歩とする。先手はやはり▲8六飛だが、この時に△8三歩を打つ必要がない。7一玉・7二銀の形では△8三歩を打たないと先手から▲8三歩と打たれてしまい、次の▲8二歩成が受からずひどいことになるが、7一銀・7二玉の形では▲8三歩と打たれても8二の地点には玉と銀の二枚が利いているのでどうということはない。

8筋に受けの歩を打つ必要がないというのは、この筋に攻めの歩を使えるということを意味している。△7二玉型でも竜角交換の順は実現するが、8筋に攻めの歩が使えることの危険性は見た目以上に大きいのだ。

276名無しさん:2015/04/05(日) 23:29:07
>>275

●稲葉七段「早く優勢になりたいという心理面の弱さがあった」
本局の稲葉七段はこれを懸念して実戦では▲6八銀と穏やかな順を選んだ。また局後に「持ち時間が5時間の練習対局では飛の捕獲手順はほとんど成功しませんでした」とも振り返っている。

本局の会場である五稜郭は幕末に建造された西洋式の城塞。星形五角形の形状から名前がついた。明治維新における戊辰戦争、その最後の戦いとなった函館戦争の舞台として有名である。すぐそばに建造された五稜郭タワーでは、その展望階から星形城郭や函館市内を一望できる。また函館戦争ゆかりの人物についても説明されている。

函館戦争における著名人を1人挙げるとすれば土方歳三だろう。幕末の京都を震撼させた「新選組」の副長として有名だ。戊辰戦争で旧幕府軍側として戦った新選組は京都、江戸、東北といった各地の戦線を転戦し、函館へたどり着いた。このとき、局長として新選組のトップにあった近藤勇はすでに亡い。近藤と共に草創期から新選組を率いていた土方は、函館にてその幕引き役を務めることになる。

「鬼副長」と呼ばれた京都時代と戊辰戦争における悲愴さのギャップ、それに加えて現在に伝わる肖像写真のイケメンなマスク。前局の舞台、高知の英雄である坂本竜馬と対になる形で幕末の1番人気を争っていると言ってよい存在ではないだろうか。

稲葉七段は本局の敗因に「早く優勢になりたいという心理面の弱さがあった」ということを挙げている。酷な言い方をすればそれが如実に表れたのが図3の局面かもしれない。稲葉七段はここで▲2七歩と突いた。検討陣一同が驚かされた一着である。

図3の局面における2七への利きは先手が金と歩の2枚、後手が飛と銀の2枚で全く同じ。これを打開するには後手から△2七歩と打ち、▲同歩と釣り上げることで利きの数を1つ減らす手段がある。つまり図3では後手から△2七歩と打ちたいくらいの局面なのに、先手が自ら▲2七歩とやってきたのだ。対して△同銀成▲同金△同飛成ならば後手万歳の局面だが、当然そうはならない。

△2七同銀成に▲2五歩が受けの手筋である。△同桂と取らせることで飛の利きが塞がれた。よって先手は▲2七金と成銀を取ることができる。以下△3七桂成▲同金△2九飛成と竜を作った後手がうまそうに見える局面だが「銀得なので何とかなると思いました」と稲葉七段。確かにこの瞬間は後手の銀が1枚なのに、先手の銀は3枚。この差は大きい。

銀の枚数の差だけ見れば稲葉七段がしてやったりの局面と見えるが、それほど甘いものではない。稲葉七段も「何とかなると思った」と言っているのであって「必勝」などとは間違っても思っていない。それはなぜか、後手の竜の存在が大きいからである。

この竜によって次に1九の香を取られることは確定しているし、敵玉(稲葉七段から見れば自玉)近くに迫る竜の威力というのは見た目以上なのである。確認したわけではないが、人間同士の戦いで図3の先手を持って▲2七歩と指す棋士はほとんどいないと思う。では、なぜ稲葉七段はこの順を選んだのか。それは本局がソフトとの戦いだからと思われる。

277名無しさん:2015/04/05(日) 23:29:27
>>276

●最後の望みは入玉
将棋の進行は大まかに分けて序盤、中盤、終盤の3つに分類される。序盤はそれぞれが攻撃態勢、防御態勢を作る段階。その態勢を整えた中盤は双方の駒があちこちでぶつかり戦いが始まる段階。そして終盤は戦いの結果、双方の玉に手が届く形となり、最後の詰みに直結する段階といえる。

ソフトが最も力を発揮するのは中盤戦ではないかと言われている。手が広い局面で、人間が最初から読みもしない箇所にて思わぬ指し手を繰り出すこともあるからだ。逆に言うと人間は早く終盤戦に持ち込みたい。読む箇所が限定されてしまえば、幅広く読むソフトよりは、狭く深く読む人間のほうが勝る可能性が大きくなる。

△2九飛成以下の進行は▲7四歩△同歩▲8五桂△2二角▲同角成△同金▲4九桂△1九竜▲7三歩(図4)。これはすでに終盤の局面と言ってよい。

「何とかなると思った」という銀得に加えて早く終盤に持ち込みたいという対ソフト戦ならではの心理。その2つが図3からの▲2七歩を稲葉七段に選ばせたのではないか。早く優勢になりたかったはずなのに「案外、後手玉が寄らず、こちらの玉も思った以上に不安定でしたね」という展開は誤算だったに違いない。戻って▲2七歩では▲6七銀と穏やかに指しても先手持ちではありそうと稲葉七段は明かした。

さらに稲葉七段にとって重大な蹉跌は図4からの△8二玉にあった。人間ならば△7三同桂や、あるいは玉を逃げるにしても広い側の△6一玉を選びそうである。

「△8二玉には▲5五角が利くと思っていました」と稲葉七段。▲5五角以下△7五香▲同飛△同歩▲7四香で良いと考えていたが、△8九飛と打たれる形がものすごく厳しいことに気づいた。本局では▲7四飛と△7五香の順を避けたが、飛の横利きがなくなったので△6六桂が猛烈に厳しい。以下▲6七玉に金を取らず△5八角と追撃をかけて▲6六玉△8五角成と進んだ局面は「これは先手が相当に辛そうです」と控室の空気も重くなった。

筆者は「第2回将棋電王戦」以降、全ての対局を現場で取材しているが、人間が勝ちのと負けのときの空気の違いは実に大きなものがあると思う。ましてや今回は前2局がいずれもプロ棋士の勝利だったため、よりその差を感じるのだ。

敗勢の稲葉七段にとって最後の望みは入玉。入玉を果たしてしまえば自玉を寄せられる心配がほとんどなくなる。となると後は駒数勝負だ。ここまでかなりの犠牲を払っているが、コンピュータ将棋は入玉の駒取り合戦にそれほど強くない。「玉を詰ます」という目的を「駒を取る」というものに切り替えることが難しいからだ。第2回第4局で塚田泰明九段が必敗の将棋をなりふり構わぬ指し方で持将棋に持ち込んだことを思い出される方もいるだろう。

ただ、相入玉の将棋は苦手でも、その前に玉を捕まえてしまえば別だ。稲葉七段は敗戦について、前記の心理要因に加えて「相手の方が読みが上回っていたので完全に力負けです」としている。

278名無しさん:2015/04/05(日) 23:29:42
>>277

●磯崎氏は今後の目的に「事前研究をされてもそれを打ち破る対策」の開発
やねうら王の読みが稲葉七段を上回ったのが図5の局面。稲葉七段はここからの△3三歩を「うっかりしていました」と明かす。この歩の直接的な狙いは△3四金から馬を消すこと。▲3三同馬で難なく防げるが、馬の筋をずらすと直前の▲5四歩が無意味となってしまう。▲3三同馬△4八成香に▲4五桂と指した稲葉の手つきを見て「ああ、これは負けをハッキリ意識したんだなと思いました」と語るのは、稲葉七段の兄弟子にして本局の主催観戦記を担当する船江恒平五段だ。以降は、入玉を阻止したやねうら王が稲葉七段の玉を捕まえて本局は終わった。

戻って図5の▲5四歩と打つ手に代えて▲2三歩成ならば、入玉を実現できる可能性はわずかに高かった。しかしそれで先手が勝つ可能性は1%あるかないかだという。少しでも敵玉にアヤをつけなければ見込みがなくなる。直後の見落としはとにかく、わずかな逆転の可能性に賭けた▲5四歩は人間ならではの指し手とも言える。

五稜郭という場所にかこつけるわけではないが、入玉に一縷の望みを託して中空を漂う稲葉玉を京都〜江戸〜函館と流転する土方歳三のように思えなくもなかった。事実、新政府軍との圧倒的戦力差を知りつつも微かな可能性に懸けたのが土方を始めとする函館政府の一員である。

その望みが完全に潰えたのが本局では△3三歩の瞬間であり、函館戦争では軍艦「開陽丸」の沈没であろうか。戦力に劣る函館政府の切り札が当時の最新鋭艦・開陽丸であり、事実この存在が海上戦力においては函館政府>新政府の構図を作っていた。五稜郭タワーには開陽丸の沈没を呆然と見守る土方のジオラマが展示されている。戦いの終焉を感じ取る稲葉七段もあるいはこうだったのかもしれない。

かくして団体戦はプロ棋士の2勝1敗という状況に。本人の実力に加えて事前研究の深さからも「まさか稲葉七段が負けるとは」という思いに包まれたことは想像に難くない。逆に言うとやねうら王の実力を改めて世間に知らしめた一局ということになる。

磯崎氏は今後の目的として「事前研究をされてもそれを打ち破る対策」の開発を挙げた。そして、終局後に公開された第4局のプロモーションビデオでは「最新のponanzaはすでに羽生さん(善治名人)を超えていると思いますけどね」と語っている。

やねうら王の1勝でプロ棋士の勝ち越しに待ったがかかり、さらに磯崎氏の言葉を真に受ければ残る第4局、第5局はプロ側にとってかなり厳しいものとなるに違いない。

事実、今回の参加ソフトではponanzaとAWAKEが2強とされ、他の3ソフトとの実力差がかなり大きいという。磯崎氏の言葉はfloodgate(インターネット上でソフト同士を戦わせるプログラム)や将棋倶楽部24(インターネット上の将棋対戦サイト)などのレーティングを比較してのものだ。

「レーティングの数字遊びに意味はない」と主張される方もいるだろう。実際に超えているかどうかは数多くの対局を繰り返さないことにはわからない。「(羽生とソフトの)どちらが強いか、ということに関してだけなら興味はありますけどね」と言ったのは第4局でponanzaと戦う村山慈明七段である。

だが「羽生対ソフトの実現を許してはならない」と最も強く考えているのも今回の5人かもしれない。事実、第2局を戦った永瀬は「羽生先生が指すほどの相手ではないと思います。指せば勝つでしょう。しかし羽生先生が出るしかないという状況になるのは不名誉なことだと思います」と語っている。

人間の真価が問われる第4局、第5局。対局の内容は楽しみだが、「プロ棋士に勝ってほしい」とこれほどまでに望まれそうな対局は電王戦史上でも稀であると思う。中立の立場にあるべき取材者としてこのようなことを主張するのがタブーであるのは百も承知だが、それでもあえて言いたい。

「村山七段、阿久津八段、勝ってくれ」
と。

(高田雄樹)

279名無しさん:2015/04/05(日) 23:33:00
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150404-00000027-mycomj-ent
「将棋電王戦FINAL」第4局村山七段が敗れ2勝2敗に並ぶ、決着は最終局へ
マイナビニュース 4月4日(土)21時35分配信

5人のプロ将棋棋士がコンピュータ将棋ソフトと団体戦で戦う「将棋電王戦FINAL」の第4局・村山慈明七段 対 ponanzaの対局が4日、奈良県・薬師寺にて行われた。

第4局は、4日20時48分、「第2回将棋電王トーナメント」第2位の将棋ソフト・ponanzaが村山七段を破り、コンピュータ側が2連勝。全5局のうちプロ棋士側が2勝、コンピュータ側が2勝と並び、両陣営勝ち越しをかけて第5局が行われることになる。将棋は、村山七段が相横歩取りと呼ばれる作戦で決戦を挑んだが、ponanzaはこれを拒否して穏やかな流れに持ち込んだ。ponanzaは序盤の駒組みで一歩リードすると、徐々に優位を拡大。劣勢の村山七段は勝負に出たが、ponanzaが冷静に対応して押し切った。手数は97手で、消費時間は村山七段が4時間56分(残り4分)、ponanzaが3時間57分(残り1時間3分)。なおponanzaは、団体戦の「第2回将棋電王戦」「第3回将棋電王戦」「将棋電王戦FINAL」と3大会連続で出場している唯一の将棋ソフトで、3戦全勝となる。

終局後の会見で村山七段は「相横歩取りは、練習では激しい将棋になることが多かった。本譜は練習でほとんど指されず、研究していない形になってしまった。いい将棋が指せなくて残念です」と肩を落とし、ponanzaの開発者・山本一成氏は「力が出やすい展開になって、序盤の分かれは悪くないのではと思っていた。両者勝ち越しをかけて第5局を戦うのは初めて。つなげることができたと思う」と語っていた。

4月11日まで開催される「将棋電王戦FINAL」は、「第2回将棋電王トーナメント」上位5つのソフトと現役のプロ棋士5人による団体戦で、これまで開催された前3回はすべて総合成績でコンピュータが勝利。今回は「FINAL」と銘打ったとおり、人間対コンピュータの最後の団体戦となり、プロ棋士側は若手中心の対コンピューター適性が高いと思われる棋士で構成されている。持ち時間は人間側、コンピュータ側ともに5時間。プロ棋士側には前回大会同様、対局するソフトが事前提供された。また、対局におけるソフト側の指し手は、デンソーの子会社であるデンソーウェーブの新たなロボットアーム「電王手さん」が導入されている。

最終局となる第5局の阿久津主税八段 対 AWAKEの対局は、4月11日東京・将棋会館で行われる。

280名無しさん:2015/04/05(日) 23:33:59
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150402-00000065-dal-ent
電王戦には「美学がない」 将棋界の“名手”内藤九段が苦言
デイリースポーツ 4月2日(木)17時46分配信

 人間の頭脳はどこまでコンピューターに伍(ご)することができるのか、コンピューターの計算力は人間の研究と経験を上回れるのか-。将棋のプロ棋士とコンピューターソフトとの対戦「電王戦」は、将棋ファン以外のさまざまな層からも関心を集めている。

 第1回の電王戦は2012年、日本将棋連盟の米長邦雄会長(当時)が、将棋ソフト「ボンクラーズ」との間で行われ、「ボンクラーズ」が圧勝した。それから1年に1回、5対5の団体戦の形で行われ、第2回、3回はいずれもコンピューターが勝ち越し。第4回となる現在進行中の「電王戦FINAL」は、ここまで2勝1敗で棋士がリードしており、初勝利に王手をかけている状態だ。

 今や、将棋界最大の話題となった感すらある電王戦。だがこの対局に、真っ向から苦言を呈したのが、今年3月をもって現役を引退した内藤國雄九段(75)だ。内藤九段は、3月20日に関西将棋会館で行った引退会見で、コンピューターとの対局について「私はよくないと思っています。私の周りも、ほとんどの人が『やめさせろ』と言っている」と口にした。

 会見終了後、内藤九段に真意を問うと、「コンピューターの将棋には、美学がない。もちろん勝ち負けは大事だけど、人間同士が戦うから、想像を超えるドラマも生まれると思うんです」との答えが返ってきた。

 歴代6位の通算1132勝という実績もさることながら、華麗で伸びやかな手を連発し「自在流」の異名をとった内藤九段。将棋には同名のタイトルがあるため「名人」と呼ぶことはできないが、将棋界きっての「名手」として、盤上で数多くのドラマを演出してきた。だからこそ、その言葉には重みがある。

 実際、コンピューター将棋の差し回しに関して、課題が指摘されてはいる。3月14日に行われた電王戦FINAL第1局では、将棋ソフト「Apery」が、ほぼ敗北が決定し、人間同士なら確実に投了する状況から、無駄に王手を連発。いたずらに対局を長引かせた。とりわけ、棋譜を1つの作品とも考えているプロ棋士にとっては、苦々しい思いはあるだろう。

 また、コンピューターにはないミスやアクシデント、そしてそれを誘う心理戦などは、将棋の魅力の1つとも言える。3月8日に放送されたNHK杯戦では、橋本崇載八段(32)が二歩(縦の列に歩を2枚並べる)の反則を犯し、大きな話題となった。

 心理戦と言えば、歴代1位の通算1433勝、名人在位18期を誇った大山康晴十五世名人が、劣勢に陥った際に仕掛ける“盤外戦”は、今も伝説として残っている。いずれも人間同士の対局でしか生まれない“味”だ。

 もちろん内藤九段も、コンピューター将棋自体を否定しているわけではない。「詰め将棋の検討をしたんですが、プロのトップクラスでも数時間かかるチェックを1秒ぐらいでやってしまう。あれで嫌気が差しましてね」と、強さは十分に認めている。さらに、多種多様なゲームが開発されている現状から、将棋界の未来に「ただ黙々と棋譜を作っているだけでは、将来が非常に寂しいものがある。棋士が必要なくなってくるんじゃないか」と危機感も持っている。

 ただ、その“解決方法”として、人間と機械を同じ土俵で戦わせることは、やはりそぐわないということだろう。例えば速さを競う勝負なら、人間は車にはかなわない。それでも100メートル走は、今でも五輪の華だ。極限状態に追い込まれた人間の脳が、肉体が発揮する、奇跡的な能力。その魅力は、どれだけデジタル時代になったとしても、色あせることはない。(デイリースポーツ・福島大輔)

281とはずがたり:2015/05/08(金) 20:23:42
往復機能の付いた黄色い電気機関車とこのセットの鍵となる自動シーサククロッシングは確かに記憶にある。
機関車の記憶にあるのはもう壊れた後だけど子どもの頃の8ミリにもしっかりと壊れる前の機関車が写っていた。機関車以外が写ってないけど,その8ミリの撮影年月日がこのセットの1970年代半ばってのには大体符合する。親父がこの渋さを解して2,3才の俺に買い与えるという名目で遊んでいたに違いない(笑)

2014年02月14日
【実物鉄道】憧れの「おうふくプラレール りったいつみおろしセット」を考察する
http://legotrain.seesaa.net/article/388558432.html#comment

 1970年代半ばのプラレールの話です。
 自分のリアルタイム経験(持ってた。おねだりした。友人が持ってた……等)のない玩具であり、後日(1990年代後半)に本などで知る機会のあった製品です。

<画像は過去のヤフオクからの拾い物です。以下同じ>

 箱写真見れば内容は一発。

 往復機能のついた電気機関車が貨車を牽いたり推したり。
 坂を登って鉱石(ボール)をホッパーに入れる。
 引上線に入って折り返す。
 ホッパーの下で鉱石を積み込む。
 坂を登って……。の繰り返しを無限に、電池切れるまで行うセット。

 この渋さには、惚れます。
 「安全第一」と記された玩具にしてはえらくリアルなホッパー。エンドマークの記された車止め。

 機関車は渋い箱型電機。ED-70とありますが、交流電機ED70というよりは秩父鉄道辺りの私鉄箱型電機のイメージ? 或いは青梅線のED16辺りか。貨車が玩具的なのも気にはなりません。
 デザインのモチーフは、秩父やら奥多摩の産業鉄道?

 何より、この種のレール玩具としてエンドレスではなく、ポイントtoポイントの直線的レイアウトなのが余りに異例異色です。おうふくプラレールのセットものは他にもありましたが、ほとんどはエンドレス+側線というレイアウトでしたから。

 それにしても、セット全体の雰囲気が想像してたよりも更に渋い、渋すぎる!
 2本もある引上線を相互に出入りし、シーサスクロッシングを渡っていく。電気機関車+貨車が行ったり来たり。赤い架線柱と信号機というアクセサリも堪りません。架線柱の無骨さが産業鉄道っぽさを引き立てるのですね。

 箱横の小さな製品画像だけで、やっぱり気分は武甲山辺りにトリップしてしまいそう。今のプラレを見慣れた目で見ると拙い玩具のはずなのに、異様なまでに想像力を掻き立てられてしまう。

 朝もやの中を坂を降りてくる電機。
 草生した引上げ線に入って、休む間もなく折り返して、推進運転でシーサスクロス渡ってく。
 行く先にはホッパーが見える。鉱石(石灰石)積んで、さっきとは違った引上線に入る。
 また、推進運転でシーサス渡って、坂を登ってく……。

 玩具にしては、機能も世界観も「高度」過ぎます。
 流石にヴィンテージのプラレールに手を出す度胸はありませんが……。タカラトミーさん、「おうふくプラレール」復活させて、電機を秩父鉄道デキ200辺りで、貨車をヲキ100あたりで復刻しませんか(笑)。

 最後にもう一度。
 4個も入った車止めであるとか、でっかいホッパーであるとか小規模な割に密度があります。積荷の「玉」は白であり、セットのデザイナーはやはり「石灰石」をイメージしてたのかなと感じる次第で。

282とはずがたり:2015/05/08(金) 20:24:05
>>281-282

2014年02月21日
【実物鉄道】続:プラレールの無限積み下ろし「森林鉄道積み下ろしセット」「立体積み降ろしセット」
http://legotrain.seesaa.net/article/389382514.html

 「憧れの『おうふくプラレール りったいつみおろしセット』を考察する」の反響が意外と大きかったので、補足をば。

 プラレール史において、積荷の無限的積み下ろしを行うセットは先の「おうふくプラレール りったいつみおろしセット」の他、他に2つあるのは知られているところです

「森林鉄道積み下ろしセット」(1979年ころ)
 エンドレス+側線1本。但し、エンドレス途中にリターンレールがあり、ポイントtoポイントの運転もできます。荒く言えば「Q形」。普通の循環運転も勿論可能。
 積荷は原木になりました。貨車は2両に。

「立体積み降ろしセット」(1985年)
 「プラレールセット品展示室その8:ひかり号マーク後期その2」。
 エンドレスが無くなり、リバース線+側線という構成に。荒く言えば「P」形。循環運転はできません。なお、リバースを経由するためホッパーへの出入りは毎度向きが変わります。

 ただ、個人的にはどちらも初代セットほど尖ってないなぁ……とおもいます。「エンドレスなし直線のみ! 行き止まりの線路が4箇所」という葛生の専用線辺りを思わせる思い切りのよい配線はやはり伝説でしょう。
(あのへんもデッキ付箱型電機が貨車1-2両を牽いたり推したりしてた筈です)

 ただ、個人的にはどちらも初代セットほど尖ってないなぁ……とおもいます。「エンドレスなし直線のみ! 行き止まりの線路が4箇所」という葛生の専用線辺りを思わせる思い切りのよい配線はやはり伝説でしょう。
(あのへんもデッキ付箱型電機が貨車1-2両を牽いたり推したりしてた筈です)

 まぁ、玩具商品としてはエンドレスもあって、循環運転も折り返し運転もどちらも出来る方が一段上なのでしょうけど。リバース線はその中間かも。

 あと……機関車がEF66で原木輸送というのも何か違うなって感じが。
 EF66は飽くまで本線区の高速貨物専用機であり、原木積んだチキとか牽いてると多分似合わない。
 まぁこの世代の「おうふくプラレール」動力車がEF66しかなかったので、仕方ないといえば仕方ないのですけども。でも動力車がせめてDD51だったらなぁと思うのですが。
 そもそも、積荷も原木よりは鉱石(それも石灰石)の方が大人っぽい?感じしますよね。

 無論、貨車が2両になったりボリューム感ではどちらも「初代」より上ですし、原木の積み下ろし・積み込み設備もなかなか立派なストラクチャーであるわけですが。

284名無しさん:2015/05/10(日) 16:28:54
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150421-00000012-asciiplus-sci
たった21手で終局した将棋電王戦FINALの第5局顛末とFINAL総括|将棋電王戦FINAL
週アスPLUS 4月21日(火)17時15分配信

  将棋電王戦FINAL第5局は4月11日に東京・千駄ヶ谷にある将棋会館に行なわれた。結果は御存知のとおり、AWAKE開発者・巨瀬亮一氏が21手で投了を宣言し、阿久津主税八段が勝利。団体戦として初めてプロ棋士が3勝2敗で勝ち越しを決めた。あれから大分日がたってしまったが、第5局の顛末とFINALの総括を書きとどめておきたい。会見が長かったので、かなりの長文になっている。

 なお、第5局の対局はタイムシフト(要有料会員)で見られる。記事中のタイム表記は、この動画で見られるおよその時間だ。
 
 第5局は、これまでと同様に将棋会館で行なわれた。ただ、これまでは特別対局室で行なわれていたが、電王戦では控室として使われていた通常の対局室での対局となった。このため、今までなら、終局すればすぐに隣にある対局室へ入れたが、今回の控室は、隣のビルにあったため、終局してもなかなかインタビューが行なえなかった。加えて、対局開始から49分という短時間で終局してしまい、関係者も大混乱。終局後に行なう記者会見も、出席者が全員揃っておらず、結局6時スタートとなった。
 
 第5局のポイントは、なんといっても△2八角だ。1:18:00ぐらいの出来事である。
 
 この戦法(?)は、いかにして△2八角を打たせるかである。打たなかった場合の対処などについては、観戦記を書かれた野月浩貴七段の記事に詳しく書かれているのでぜひ読んでもらいたい。簡単にいうと、この戦法は対コンピューターに対して有効な手段であり、人間相手ではまったく通用しない手だ。スマホ用のゲーム『将棋ウォーズ』でこの戦法がユーザーたちによってponanza(将棋ウォーズのバックで動いている)相手に編み出されたもので、2月に行なわれたイベント『電王AWAKEに勝てたら100万円!』でアマチュア棋士が指したことでAWAKEにも有効だと知らしめたものだ。阿久津八段は、ソフトの貸し出し(昨年12月)を受けてから3日後ぐらいには、この△2八角を打つことを確認したという。ただ、全ての対局で△2八角を打つわけではない。打たせるように差し向けるが、そうならなかった場合でも優位に立てるような指し手の研究をかなり行なっている。十分研究して勝つ可能性を高めた上での、今回の作戦決行なのである。
 
 今回、練習では出なかった手順で進んだようだが、△2八角を20手目に打ち、▲1六香とした時点で巨瀬氏が投了した。△2八角と打っても角が詰まされて先手が有利になるだけで、もし進めていったら逆転して先手プロ棋士側が負ける可能性もある。ただ、プロ棋士レベルでは相当なミスを犯さない限り勝つ可能性が高いそうだ。
 
 ちなみに、ほかのソフトでもこの△2八角を打つ可能性がある。当日控室でApery開発者・平岡拓也氏がAperyを使って検討していたが、この△2八角が読み筋として浮上していた。ただ、読む時間によってこの手が悪手だと判断される可能性は高い。今回のFINALで序盤に結構時間を掛けて指すソフトが多かったが、そういう意味では序盤に時間を掛けて読ませるというのは最良な時間配分なのかもしれない。
 
 対局終了直後のインタビューは1:40:40ぐらいから。
 
 11時前に終局してしまい、運営もてんやわんやである。これまでのことを考えれば、終局は夕方以降だったので、それぐらいに記者会見の出席者が集まる手はずになっていたようだ。そこで、午後に電王戦FINALの振り返りと、急遽永瀬拓矢六段と阿久津八段が持ち時間1時間で、本対局の△2八角を打つ前から始めるというエキシビジョンマッチを行なった。
 
  エキシビジョンマッチの始まりは5:28:00ぐらいから。
 
 結果は阿久津八段の勝利で、永瀬拓矢六段とAWAKEとの違いはあるが、△2八角と打たなかったとしても、勝っていたかもしれない。投了は8:05:40ごろだ。
 
記者会見は大体1時間半ぐらい行なわれた。場所はけんぽ施設の会議室だ。8:40:00から見られる。

285名無しさん:2015/05/10(日) 16:29:28
>>284
■第5局の記者会見
 
――第5局の感想をお願いします。
 
阿久津主税八段
「電王戦に出ることが決まってから、半年以上の時間を掛けてやってきたので、無事に対局を終えることができたのでホッとしています。この半年間、はじめのうちはそんなにすごいゆっくリという感じではなかったのですが、ソフトを貸し出していただいてからは、ふだんの時間より長く感じました」
 
AWAKE開発者・巨瀬亮一氏
「今日の将棋に関しては、勝ったら100万円の企画で、事前に同じ形でアマチュア相手にハメられた形でしたので、そういう将棋をプロの方がされるのは残念です」
 
立会人・桜井昇八段
「21手という短い手で終わったことは誠に残念ですが、次の阿久津八段と永瀬六段の戦いは最後までスリリングでどちらが勝つか分からなかったので、2局ぶん立ち会わせていただき、よかったと思います」
 
日本将棋連盟・谷川浩司会長
「今日は驚きの結果となりました。阿久津八段もソフトの弱点を自力で発見したとはいえ、その形にするかどうかはずいぶんと葛藤があったと思います。△2八角と指されなくても、五分以上の戦いができることは、その後の(エキシビションマッチで)永瀬六段との一局で証明してくれたと思います。AWAKEの巨瀬さんは、力を出しきれずに残念だったとは思いますが、プロ棋士もソフトの開発者もプロレベルになると、これからどれだけ強くできるか、いろいろと試行錯誤しています。長所と短所は紙一重といいますか表裏一体でもありますので、1つの短所を克服すると別の短所が出てくることもあるのではないかと思います。プロ棋士もソフト開発者も同じ悩みを抱えながら日々研鑽していることを実感した一局でした」

286名無しさん:2015/05/10(日) 16:30:23
>>285
 
■電王戦FINALの記者会見
 
――将棋電王戦FINALの感想をお願いします。
 
Apery開発者・平岡拓也氏
「私は、Aperyが斎藤慎太郎五段と対局させていただいて、Aperyが勝手に転んだ感じもしますが、斎藤慎太郎五段が非常にうまく指されて完敗でした。練習でも真っ向から勝負していただいていたようですし、私は斎藤慎太郎五段と対局できてすごく幸運だったと思います。読みでも棋士に負けることが見えましたし、今回結構コンピューター側が勝つと予想されていた方が多かったかと思いますが、棋士がしっかり対策したら、コンピューターにとっても厳しい戦いになることがわかりました。これからも、同じルールであれば戦える状態なのかなと思います」
 
斎藤慎太郎五段
「今回電王戦に出るにあたって、コンピューター将棋について理解を深めなければ、出る資格はないと思い、開発の方がいかに苦労されて、強くすることがいかに大変だということも理解して、自分としてはすごい意義のある日々でありました。いろいろな電王戦は結果が出て衝撃も大きかったと思いますが、自分の対局だけで言うと、自分の欠点、もしくはAperyに少しミスが出てしまったという、その2つとも意義を感じております。結果だけを見れば、自分はやるべきことはやり、そして大一番でも恐れない自分というのを見つけることができました。このことは、自分が電王戦を通じて感じたことですので、自分の中だけで消化しております」
 
Selene開発者・西海枝昌彦氏
「まず、やっちゃったなっというのがありまして、みなさんも「あぁこの人はやっちゃった人だな」と思われていると思いますが、将棋でこれだけのことをやっちゃったのは、橋本崇載八段と私ぐらいではないかと(笑)。ちょっと名前出しちゃダメかもしれませんが。対局の方は、初めて、間接的ですが棋士の向かいに座らせていただき、ずっと観させていただきましたが、今思い返しても永瀬六段が悩んでいる姿がとても印象に残っています。あとから聞いた話ですが、練習対局ではseleneのほうが分が良く、今回の戦型もseleneの得意な戦型だったと伺いました。しかし、実際の対局では悩まれながらも、ジワリジワリともっていかれる棋譜で、完敗でした。勝負師の力といいますか、人間としての力を感じました。そのような部分は決してプログラミングではできないと思います。そういった部分が棋士の方々の魅力につながるのかなと思いました。今回、いろいろとご迷惑をお掛けしたことをお詫びし、これからも開発は続けさせていただきますので、あたたかい目で見守ってください」
 
永瀬拓矢六段
「対seleneとの練習対局は、かなり厳しい数字で、やればやるほど負ける感じでした。最初はseleneの序盤がかなり特異な形だと感じていまして、ありがたいと周囲に漏らしていたのですが。しかし、やればやった分だけ負けるので、これは自分が序盤が弱すぎるということに気が付きました。ですので、本番では序盤で悪くならないよう気をつけていたのですが、本番では悪くなってしまいました。最後は賛否があると思いますが、自分なりに決断できる局面、勝てるかなという局面でそういう手(角不成り)を指せたので、自分としては悔いがないですし、うまく仕事ができたのではないかと思います。記者会見では、少し暗くなるかと思いましたが、西海枝さんの人柄で明るくしていただき、今後も友好関係を築いていけると思っています」

287名無しさん:2015/05/10(日) 16:31:01
>>286
 
稲葉陽七段
「やねうら王は昨年のバージョンもたくさん指しましたが、今年のバージョンのほうがかなり強くなっている印象で、最初は厳しいという印象でした。いろいろとやっていくうちに作戦としては絞りやすくはなりましたが、戦っているうちにかなり激しくなってもランダムに指してきますし、人間だったらこう指すしかないというところでも3、4通り指してきて、どうやっても難しいというか、将棋の奥深さというものを知ることができました。ただ、自分の中では1局でしか評価されないので、勝つことにこだわり、戦型や指し方にもこだわっていましたが、その中で勝てなかったのは自分の力不足だったと思います」
 
やねうら王開発者・磯崎元洋氏
「やねうら王は事前貸し出しのときに、だいぶ対策されていました。電王戦への道という動画で飛車を詰まされる変化がありまして、これを本番でやられたら、クマのぬいぐるみを置いて投了しようと思っていたので、今日の第5局は、それに通ずるものがあり私の代わりに投了してくれたのかと思いました。将棋の内容に関しては、47手目▲2七歩とつっかけて飛車を成りこませる手がありましたが、第3局の記者会見で私がその手から評価値がプラスに転じたと言ったので、あの手が悪手ではないかと思われていると思います。しかしやねうら王的にはまだ形勢は五分の評価でした。成りこませるまではまだ成立していたと思うので、あの時点ではまだまだだったのかなと思いますし、棋士の強さを実感しました。今後の開発のモチベーションとしては、ドワンゴさんのことなので電王戦FINAL2というのをやってくださると思っていますが、FINAL2があれば、ニコファーレ出入り禁止になるまで頑張ってまいります」
 
村山慈明七段
「半年間ponanzaの対策をしてまいりました。しかし、みなさん承知の通りponanzaはとても強いソフトで、普通にやっては本番では勝てないと思い、横歩取りという作戦を取らせていただきました。結果的にはその作戦もあまりうまくいかなかったのですが、その作戦を選んだことは後悔しておりません。1週間たち、いろいろと対局を振り返ってみても、この手がまずかったという具体的な手が見つからないので、ponanzaにうまく指されて、序盤から終盤まで隙のない指し回しで、力負けだったと思っております。自分が自信をもてる変化はそれほど多くなかったので、完全解明といいますが、どんな変化でも自信がもてるぐらいになるには、数年かけて研究しなければならないと思っています。それぐらい自分としてはかなり研究して臨んだつもりでしたが、それでもいたすことができなかったので、今回将棋の奥深さというものを改めて感じました」
 
ponanza開発者・山本一成氏
「ponanzaがすごい強くて私はとても満足です。具体的には、いろいろと研究されたかと思いますが、あとで伺ったところあまりメインではない手を選んだようです。20手目△7四飛車と飛車をぶつけたところでは、自分では▲3六飛車以外、▲2三角とか▲同飛車とかいろいろありますが、たまたま▲3六飛車を選んで運を感じました。今回の電王戦では、とりわけ投了に関して波乱があったので、コンピューターがどういうものか、人間がどういうものかということが、極めてよく出てとても良かったと思うので、いち観戦者としてゲームとしては今回は非常に楽しめました」

288名無しさん:2015/05/10(日) 16:31:59
>>287
 
AWAKE開発者・巨瀬亮一氏
「今回はちょっとアマチュアの方が指した、既知のハメ手だったので、それをプロ棋士が指してしまうのは、プロの存在を脅かしてしまうと思っています。(プロ棋士のレベルを上げるのに貢献したいという発言について)コンピューターのよい部分を参考にするというのが一番いいと思います。今回のようにコンピューターのいちばん悪い手を引き出して勝つというのは、ソフトを使う上で何の意味もない使い方だなと思いました」
 
阿久津主税八段
「半年間、AWAKEとかなり指させていただいて、いろいろな形を指しましたが、普段通りの居飛車戦で行ったときに、角換わりとか、相掛かり系統とか非常に撃っても撃っても倒れないという手厚い将棋だという印象を受けていました。本局で言い方を悪くすると相手に悪手を誘うという、それを含みにした指し方をしましたが、自分が勝つために最善を尽くしてやらなくてはならないと思い、四間飛車という作戦を選びました。もちろん、その後の選択肢で相振り飛車でしたり、角を打ってこない変化も多くあったので、そういった本局で指した手もそうですが、普段の対局もAWAKEを検討で使わせていただいたり、自分の将棋でも中盤や終盤でいかにミスが多いか、さんざん教えられ、鍛えられてきました。半年間1つ相手にこれだけか研究することは今後無いだろうと思うので、ドワンゴさんには非常にいい経験をさせていただいたと思っています。(最初の電王戦の大盤解説を担当してましたが、このように大将として出場するとは?)そのときは、コンピューター将棋に関してそんなに知識があったわけではないですし、まさか自分が出るとは思っていませんでした。ただ、こうして(電王戦が)続いてきている中で、声をかけていただき、興味もあったのでやらせてもらおうと思いました」

289名無しさん:2015/05/10(日) 16:32:14
>>288
 
日本将棋連盟・谷川浩司会長
「5対5の団体戦は今回で3度目で、毎回第5局には記者会見に立ち会っておりますが、初めて勝ち越しという結果で終えて、その点ではホッとしております。ただ、今回ほど予想外の出来事が多かった電王戦はなかったと思います。それぞれの対局の中で、プロ側で一番印象に残っているのが、第2局の永瀬六段の将棋で、角成らずのことばかりが話題になってしまっていますが、永瀬六段はしっかりと勝ちを読みきっての一手ですので、素晴らしい終盤の切れ味だったと思います。またコンピューターソフト側では、第4局のponanzaですね。先ほど山本さんもおっしゃってましたが、▲7七歩と打ってから▲3六飛車と引くというのは、プロ棋士では気がつきにくい組み合わせであり、指されてみると対策に村山七段も苦慮したということで、ひょっとすると相横歩取りの決定版になるかもしれないぐらいの一手で、序盤の定跡の進歩に貢献されたのではないかと思います。第1局、第2局ではプロから見ると違和感のある手でも、実際に指されたら有力な手というのがいくつか見られ、私自身新しい発見がありました。みなさまどうもお疲れ様でした」
 
ドワンゴ・川上量生会長
「主催者としましては、全ての対局を無事に終えられてホッとしています。無事ということに、若干いろんなことがあると思われる方もいると思いますが、私としましては以前より、電王戦とはコンピューターと人間との関係を世の中に問うということが、非常に大きなテーマだと思っています。今回の電王戦FINALは今までの中でいちばん人間とコンピューターが性能を競うということは一体どういうことなのか、ということをいろいろと投げかけていたのではないかと思います。ですので非常に満足しております。そして、いつもは主催者は参加できないのですが、今回は我々も戦いに参加したような気になった対局があり、やりがいがありました。今回も対局を盛り上げてくれた会場を提供していただきました二条城、高知城、五稜郭、薬師寺の皆様にはほんとに感謝しております。これからも同じように、いろんな場所へ会場のお願いをするかもしれませんので、心当たりの方がご覧になっておりましたら、ドワンゴの人間が伺いましたら温かい対応をお願いしたいと思います。また、真剣勝負というと何かと殺伐としがちなのですが、今回もデンソーさまが電王手さんを提供いただきましたが、機械というのは、本質的には人間のために働くということを電王手さんに教えられたように思います。最後に、電王戦ファンの皆様へ。電王戦の大きな意義というのは、ふだん将棋を指さないような方、将棋に興味のない方にも、将棋の楽しさ、対戦の素晴らしさを教えてくれたことだと思います。これを機会に将棋に興味をもってくれた方は、ぜひこれからも将棋を応援していただけたら、主催者としてこれ以上の幸せはありません」
「今後の電王戦についてですが、以前タッグマッチを大きな棋戦にし、後継として考えていると一旦発表はしましたが、現在タッグマッチに関しては白紙状態にあります。そしてそれに変わる新しい電王戦の棋戦を本日発表する予定でしたが、諸事情により現段階では発表できません。しかしドワンゴとしましては、これからも何らかな形で続けていきたいと思っておりまして、日本将棋連盟と協議していきたいと思っております」
 
谷川会長
「さきほど川上会長からお話されたとおりですが、昨年の8月に一旦発表したタッグマッチの棋戦化に関しましては、将棋ファンのみなさんのご意見もいただき、一旦白紙とさせていただきました。今後どのような新しい展開があるかということをドワンゴさんと鋭意協議中でございます。関係各社様とも調整している最中です。本日発表できないことをご了承願います」

290名無しさん:2015/05/10(日) 16:32:37
>>289
 
■質疑応答
 
――21手という早い段階での投了したのは、この後指し進めても良くならないからなのか、意味が無いからなのか。
 
巨瀬氏
「どちらの意味もあります。あの局面ではハメられる形の中でも特に損をしているので、あのまま指し進めてもまったく勝てる見込みが無いと思います。なので投了しました」
 
――団体戦としては今回で終わりですが、その理由と一区切りついた感想を。
 
川上会長
「今回で団体戦の形式終えるのは、ある程度は団体戦の形式で出てくるテーマというものが出尽くしたのではないかと思い決断しました。実際には電王戦というのは主催者として非常に厄介なものでして、必ず想定外のことが起こるんです。今回の電王戦FINALは、いちばん想定外のことが多かったのですが、今回最後にしようとした理由は、だいぶその時点(決断をしたとき)では出尽くしたのではないかと思っていたことです」
 
――仕事ではなく報酬もなくソフトを開発してきた思いとは?
 
平岡氏
「私は趣味でつくってますので、強くしたいというのがいちばんで、これからもそれは変わらないですし、すべての手において人間よりもいい手を指せるぐらいになればいいな、という漠然とした思いはもっています。コードやバイナリーを公開しましたが、それがプロやアマチュア棋士の棋力の向上に役立てはいいと思いますし、プログラムに興味をもってくれたらいいと思います」
 
西海枝氏
「私は自分自身の技術力の向上のためにやっています。いろんなアルゴリズムからノウハウを学んだり、実際の仕事には役に立たないというところはありますが、問題解決能力とかを鍛えたいとは思っています。今回のことでコンピューター将棋に対する姿勢が、辛辣に勝負にきちんと向きあおうと思いましたので、技術力向上だけでなく、頑張りたいというふうになりました」
 
磯崎氏
「私はたぶん開発者の中ではいちばんやる気のない将棋ソフトの開発者だと思うのですが、将棋ソフトの開発者の方って、昔から卒業といいますか辞めていく方が多いと思います。つくりはじめて1年ぐらいはどんどん強くなって、自分の棋力を追い抜くのでやっていて楽しいのですが、2年目ぐらいからやってもあまり強くならないという状況になりまして、飽きが来るのかと思います。そういうことが分かっているので私の場合は、あまり打ち込まないようにして、毎年2週間ずつぐらい開発していくようにして、モチベーションを保つようにしています」
 
山本氏
「私はもう7年目ぐらいで、この中ではいちばんのベテランです。ずっと将棋プログラムをつくってきて、ほかのどのプログラムより強く、そしてどの人間、羽生四冠より強くしたいと思って、だだそれだけを求めてやってきています。いろいろ波乱がありますが、みんなが笑えるような未来になればうれしいなと常々思っています」
 
巨瀬氏
「私がコンピューター将棋をやるというのは、強くなった時が喜びを感じる瞬間なんです。まだ、ずっとソフトを改良し続けていて、強くなる可能性が残っている限りは続けていくと思います」

291名無しさん:2015/05/10(日) 16:32:53
>>290
 
――プロは盤上最善手を指すものであり、アマチュアが指した手であれ、コンピューターが指した手であれ、最善手を追求していく姿がプロとしての尊さであり、なぜそれが残念だと感じたのか。
 
巨瀬氏
「まず、今日の将棋を見ておもしろいのかというのが1つあります。プロは勝たなければならないのは確かですが、やっぱりおもしろいと思ってもらわないと、今後将棋界が生き残っていくのが大変なのではないかと思っています。今日の指し方はそれを否定するようなものだと思いました」
 
――魅せる将棋を指すことと勝負に勝つということと、どのように判断して今回の手を選んだのか。
 
阿久津八段
「いろいろな意見があるとは思いますが、将棋は楽しいものですので、見ている方が楽しいと思う手を指すことがプロとしての定義の1つだと思います。ただ今回は、電王戦に戦うにあたり、本番と同じソフトを事前に貸し出していただけるということなので、できる限りやれる範囲の中で勝率が上がっていくような形を検証して、その中でもちろん選択肢的にも違う戦型になる可能性はあったので、ほかの形でも中盤戦まで互角に戦える手順を考えてきて、自分ができる最善を尽くそうと思い今回はこの作戦をとりました」
 
――コンピューターと指されて研究し、将棋観は変わりましたか?
 
阿久津八段
「自分でやるより、今までは外から観戦しているだけだったのですが、開発者の方の努力がすごいと思いますが、年々コンピューターソフトが強くなっているように感じています。自分の方でもふだんの公式戦の振り返りだったり反省の意味を込めて検討で使わせていただき、自分にも思いもよらない手を指摘してくれることもあり、自分がダメだと思っていた将棋でも、起死回生の一手があったりしました。将棋の可能性といいますか、諦めてはいけないということを感じさせてもらういい機会でした」
 
――今回の作戦を決めたのはいつなのか?
 
阿久津八段
「本局のような四間飛車で行こうと思ったのは2週間ぐらい前です。ふだん電王戦に向けてやって来ましたが、公式戦の合間でもあったため、どうなのか試行錯誤をしていたのですが、自分にとって最善をつくすのがいちばんだと思い決断しました。投了図以下の局面ですが、練習でも何度か似たような形をやってはいますが、あの形になったのは今日が初めてでした。角を交換するタイミングの違いで多少ズレが出てくるので。感じとしてはこちらが間違えなければかなり優勢になる局面ですが、それでも練習の段階ではそこから私が間違えて食いつかれて逆転負けしたことも何局かありました」
 
川上会長
「貸し出しありのルールについてですが、これを決めたのは主催者であるドワンゴです。日本将棋連盟の反対のもと、ドワンゴが押し切って決めたルールであります。なぜこのようなルールにしたかというと、世の中の皆さんが考えられている人間とコンピューターと五分五分の戦いをするということは、人間のルールでやることだと思いますが、実はこのこと自体が実際のところフェアではないということで、ドワンゴが決断したことです。人間のプロ棋士は、勝負としておもしろい将棋を指すことが非常に大きな命題になっています。そのため、持ち時間が切れたら1分将棋になるのも、人間がミスをして長引かせずにおもしろい形で勝負が決着するというルールになっている。このような人間どうしのルールにおいて、コンピューターはそんなことを考えませんから、そのようなコンピューターと戦うことに不利があるということを知ってもらうべく、このようなルールにしています」

292名無しさん:2015/05/10(日) 16:33:31
>>291
 
――こういう時代にプロとして将棋を指すという意味とご自身が将棋を指す意味についての考えは。
 
斎藤五段
「今回の電王戦でその答えが出たかどうか私自身はわかりません。いろいろな考えが巡って難しいと思います。プロとしておもしろい将棋を指さなければならないという面と、勝負師という面を見せなかければならないことはわかっていますし、その中でいろいろな結果が生まれたと思います。どちらを選ぶかは難しいことですが、当然見ている方はおもしろい将棋を望んでいる人もいるでしょうし、いろんな見方があると思うので、今回の電王戦がその問題提起の意義もあったのではないかと思います。個人的には結果に対して思うこともあり、コンピューター対人間の難しさを理解することがあり、すごく思うところの多かった1ヵ月だったと思います」
 
永瀬六段
「常々思っていることは、将棋をやってもやっても解明できなくて、すごいおもしろいものです。おもしろいということは、それと通じるところがあり、見ていておもしろいということは将棋の可能性を見せることがおもしろく、よって強さこそがおもしろいのです。技術を披露することは力が必要で、まだ自分にはできないことですが、将棋をやってもやっても解明されず謎が深まるばかりで、どんどん課題ができておもしろい戦法が出てきたりして、強さこそがプロ棋士だと思います。私も含め賛否はあるかと思いますが、プロとしては最高のパフォーマンスを見せられましたし、存在意義も十分あると思います」
 
稲葉七段
「コンピューターソフトは年々強くなっていて、数年先なのか数十年先なのかわかりませんが、プロがまったく勝てないことが起こるかもしれません。将棋は奥深くて、どれだけ進歩してもコンピューターはミスしますし、将棋の完全解明はできないと思います。人間が真理を追求していく姿は大事なことだとおもいます。自分自身は、トップどうしが指しても、強くなれば強くなるほど1手のミスで勝負が決まってしまうことがあり、ホントに強くなってしまうと見ていておもしろいのか正直わかませんが、それでも最善を尽くしてトップどうしの戦いでもおもしろい将棋になりますし真理を追求して、その上でおもしろい将棋を指そうと思っています」
 
村山七段
「本日の将棋は賛否あると思いますが、結果を残すこととみなさんに喜んでもらえるおもしろい将棋を見ていただくことを両立することは結構難しいことだと思います。それができればプロ棋士としていちばんいいとは思いますが、対戦相手がいままでとは違うコンピューターということで、なかなか今までと同じような考え方では難しい。今後私が存在意義をアピールするかは、序盤の定跡の進歩に貢献していきたいと思っています。第4局のponanzaとの戦いは、これまでの歴史を塗り替えるような将棋でしたので、結果は残念でしたが、そのような将棋を見ていただいたことは意義があったかなと思います」

293名無しさん:2015/05/10(日) 16:33:52
>>292
 
――事前貸し出しについて開発者はどう思っているのか。
 
平岡氏
「私は反対ですね。勝負を五分五分に近づける上では役立ったのかもしれませんが、公平とは別次元の問題であって、一方は練習ができて、もう一方は穴があっても防げないのはどう見てもおかしい。興行上五分五分に近づけなければいけないこともあるし、それを日本将棋連盟が飲んでしまったことも残念ですし、最後にいちばん最悪の形で表われたかなと思っています。勝負とし成り立たないのであれば続ける必要はないと思っています。コンピューターに掛ける制限はこれ以上は難しいと思います。今日は巨瀬さんがいちばん残念だったのでは。棋力の向上に役立てばと思っているので、こういう結果で裏切られた形になったので何もとくしなかったのかなと思います」
 
川上会長
「まず、興行を重視して貸し出しありにしたわけではありません。もともと異種格闘技戦ですので人間とコンピューターが戦うこと自体がおかしいんです。フェアな戦いはもともと存在しないんです。そのことを1つハッキリさせたいと思っていました。平岡さんがおっしゃっていることは、見せかけのルールはフェアですということを世の中に訴えかけるようなものです。実際には人間とコンピューターの戦いにおいて、そもそも比べるのがおかしいのであり、計算するのは速いですし、記憶容量とかもすべての棋譜が覚えられるので、そういう意味では公平なルールになっていないのです。その中で、公平なルールとはいったい何なのかということを考えることが、この電王戦にとって1つのテーマになっていると思っています。そういった意味で、今回のルールは大成功したと思っています。今日の結果を踏まえてそう認識しています」
 
西海枝氏
「私は対局前に勝つか負けるかと聞かれたときに「ヤバイです。負けちゃいます」と答えていたんですが、それは棋士の方の対応能力が、ハメ手ではなくても対応能力が高くてやっつけられるのではないかと、実際にやっつけられましたが、そう警戒していました。事前貸し出しでいろいろ指したとしても、それがハメ手でも人間なら回避できていると思うんです。今のコンピューター将棋はそうなってしまう。私も以前敗因を調べてそれを直そうとしましたが、うまくいかなくて、そういった方向に技術が発展していけばいいかと思います」
 
磯崎氏
「私は、貸し出しルール賛成派なんです。初めて聞いたかもしれませんが、貸し出しでどれぐらいハンデがあるのかはっきりさせておきたいのですが、プロ棋士が本気で穴を狙うなら、大駒1枚のハンデ(500)だと思っています。それは、ランダム性を入れて回避しないといけないので、Aperyなどはそれで弱くなっていましたが、対策しなければ、たとえば飛車を詰まされたり角を詰まされたりするリスクがありますので。なので、ちゃんとしようと思ったら大駒1枚ぐらいの代償を支払わないといけないのかなとは実感としてあります。そのハンデが大駒半分なのか4分の1なのかは、技術力の差なのかとは思います。事前貸し出しありで、私がプロ棋士ぐらいの棋力があれば、5局とも100%勝てます。そう言うぐらいのハンデかなと思っています。なぜ私が賛成派なのかといいますと、たとえば将棋ウォーズはバックエンドでponanzaなどが戦っているわけですが、毎回同じ棋譜でponanzaが負けたりすると将棋ウォーズとしてこれでいいのかという話になります。人間と末永く対局して遊んでもらえる将棋ソフトとして考えたときに、弱くてもいいんだけど対策されないというのが1つのテーマかなと思うんです。そういう意味で、事前貸し出しの中で開発者が工夫してみるというのは有意義な研究課題なのかなと認識しています」
 
山本氏
「ponanza強いので、なんでも大丈夫です!」
 
巨瀬氏
「私としては、棋力向上に利用していただけるのであれば、貸し出しはあっていいと思います。ただ、今日の将棋からはそれを見せる将棋には思えなかったので、そこは残念です」

294名無しさん:2015/05/10(日) 16:35:29
>>293
 
――昨今コンピューター将棋を人工知能と結びつけて紹介されることがありますが、将棋ソフトはどの程度人工知能だとお考えなのか。また、将棋ソフトで培われてきた技術をどのように応用できるのか。
 
平岡氏
「将棋ソフトは将棋に特化していますし、応用は難しいと思います。人工知能というと人によって定義がバラバラで、これに知性を感じるのであれば人工知能ですし、単に探索して評価しているだけだと思っている人は、電卓の延長線上みたいなものかなと思うでしょう。私個人としては、人工知能として考えたことはあまりないです」
 
西海枝氏
「開発をしていると、プロ棋士の棋譜を利用して学習している段階だと、過去のプロ棋士の棋譜の平均値をとって、素早く探索し、出力するツールのような感じがします。人工知能的な感じはあまりしていないです。いつかは胸を張って人工知能ですと言えるような、プロ棋士の棋譜を使わずに編み出したんですというようなソフトをつくりたいと個人的には思っています」
 
磯崎氏
「機械が人間に近づいていく、と機械学習や人工知能の文脈で、従来人間しかできなかった分野で機械ができるようになったと語られるのですが、もともと人間はそんなに処理はしていなくて、もちろん処理している部分もありますが、私がコンサルでやっているのは、問題が組合せ最適化とか非線形の最適化とか、そういう問題に帰着しており、結局将棋プログラムの探索の処理で解決するみたいなことになっています。そういう意味ではそんなに人間て賢いのかなという視点で捉えています」
 
山本氏
「コンピューター将棋は、基本的には応用が難しいです。コンピューター将棋は、将棋を指すことに特化していて、私のプログラムはほかのことにまったく何もできません。顔文字を出すことはできるんですけど。専門性と汎用性は両立しがたいです。ただ、人工知能が社会に与えるインパクトとしては、将棋プログラムは未来をいっているかなとは強く思います。人工知能が人間を目標に追いつき追い越そうとしていることを社会がどう反応するか、そういったことでは、ものすごい汎用性のあるテーマかと思います。そのとき人間社会はどのように受け止めるかは、いま見ている人たちがまさにその反応なのですが、いかにうまい方向へもっていけるかは、この電王戦の意義かなと思っています」
 
巨瀬氏
「今使われている将棋ソフトの技術が、ほかに役立つとはまったく思っていないです。私自身はそのうち人工知能をつくりたいと思っていまして、それをつくるための土台にはなると思います。そこで成果が出せれば、人工知能の発展に寄与したといえるのではないでしょうか」

295名無しさん:2015/05/10(日) 16:35:54
>>294
 
 ということで、電王戦FINALはこれで全て終了した。プロ棋士の意地を見せた形でなんとか勝ち越せたが、これまでにない展開も多く、見どころはとても多かった。第1局は斎藤慎太郎五段の完勝といっても過言ではない展開。第2局は、角不成がコンピューターにとって想定外というバグによって終了したが、たとえ続いても永瀬拓矢六段が勝利していただろう。第3局は、稲葉陽七段のミスが響きコンピューターの勝利。第4局はponanzaの完勝といえよう。
 
 こうして振り返ってみると、開発者の思いとプロ棋士の思いがこれほど交錯した電王戦はなかった。今回、プロ棋士側はFINALということもあり、背水の陣で臨んできており、どんなことをしてでも勝つという思いが強かったことだろう。逆に開発陣の方々は勝ちたい思いは変わらないにせよ、戦い方にこだわ りを持っている人が多いように見受けられる。
 
 第1局、Aperyの開発者・平岡氏は、どんなことがあっても最後まで指すとして、投 了宣言をせずに最後まで指し続けた。最後は、自玉が即詰みされる状況で王手になる手を指し続けたが、プロ棋士はもちろん、コンピーター側もこれまで負けた 対局はすべて投了を宣言してきた。人間どうしの将棋からすればとても違和感のあることだが、コンピューターどうしでは普通であり、将棋のルール上もまった く問題ない。電王戦を象徴する一局と言えよう。
 
 第2局の永瀬拓矢六段が角不成りを指したことは、時間を稼ぐためであり、人間どうしならありえない手だが、将棋のルール上もまったく問題ない。Seleneのバグによって終局してしまったが、棋力の変わらない致命的なバグは確か修正してもよいは ずなので、このバグの存在は開発者に教えても良かったかもしれない。
 
 そして第5局の△2八角戦法。これも人間どうしなら指さない手だが、コ ンピューターが判断して指した以上、バグでもなんでもなく、将棋のルール上もまったく問題ない。ハメ手などと言われているが、この手が出てしまうのはコン ピューターの評価関数の難しさのひとつであり、研究して弱点をつくというのは人間の知性の高さの表われだと思う。川上会長が会見で“異種格闘戦”と評した が、まさにその通りかもしれない。
 
 もちろん、この△2八角戦法が全ての対局で行なわれたのであれば、見ている側はおもしろくないだろう。す べての対局で違う攻めをし、勝敗が決まった。最後の対局を含め、ワクワクしながら観戦し予想しなかった結果も生まれたことに、電王戦をずっと追ってきた筆者としては、とても満足しおもしろかった。
 
 質問で人工知能の話が最後に出てきたが、現代の将棋ソフトはボナンザの登場以来、合法手を総当り に探索し最善手を見つけ出す手法が主流となっており、人工知能とは言いがたい。以前は、人間が読むであろう手筋を考えて深く読む手法で、強くはならなかっ たが、まだ人工知能的ではあった。ニューロコンピューターのような脳の働きに似たコンピュターによって動作する将棋ソフトが生まれたら、それはより人間に 近い思考で判断するようになる……かもしれない。そこで強い将棋ソフトが誕生しとき、人工知能に負けたということになることだろう。そんな時代がいつかは 訪れるかもしれない。
 
 次回はタッグマッチかと思いきや、違う棋戦を考えているようである。それはそれで楽しみだが、ワクワクドキドキしながら、プロ棋士とコンピューターの戦いが引き続き見られること期待している。

296名無しさん:2015/05/10(日) 16:36:51
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150411-00015001-president-bus_all
41歳オールドルーキー棋士が掴んだ「夢」のつづき
プレジデント 4月11日(土)17時45分配信

■介護士からプロ棋士に

 「どうも、初めまして、こんにちは」

 マンション1階の自動ドアが開いたところで、ややトーンの高い声と共に現れた細身の黒縁眼鏡姿は、少し緊張気味ながら、こちらがはっとするくらい深く、ゆっくりと腰を折り曲げた。

 将棋のアマチュア強豪、今泉健司氏(41歳)は1月、晴れてプロ(四段)の資格を取得した。将棋のプロ棋士養成機関である「奨励会」経由ではなく、編入試験である対プロ棋士五番勝負で3勝(1敗)。2006年の瀬川晶司氏(現五段、45歳)以来の快挙で、戦後3人目、最年長の「突出しプロ」となる。

 かつて奨励会に所属したものの、年齢制限の壁に阻まれ退会、その後新たに設けられた制度を通じて再挑戦するも夢叶わず。しかし介護福祉士として老人介護施設に勤めながら、3度目の挑戦で宿願を果たした。

 3月末に著書(『介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど晩成しました』講談社刊)を上梓、5月に公式戦デビューが見込まれる今泉氏のご自宅にお邪魔した。

 経営コンサルティング業の父親、専業主婦の母親と同居する広島県福山市内のマンション。転居したばかりという真新しいリビングに差し込む日差しが目に優しい。愛用の将棋盤・駒を挟んでのインタビューとなった。

 ――まずは、おめでとうございます。

 今泉(以下、同)「有難うございます。よろしくお願い致します」

 ――プロ入りを決めた一番で勝った瞬間はどんな? 

 「なんか勝てたんだなという思いはありましたけど、でも、以前のインタビューでも話したように、いまだに嘘みたいで」

 快活でテンションが高い、頭の切れるエンジニア、といった風情である。この4月からプロ棋士としての新たな人生をスタートさせたが、まず所属するのはフリークラス。ここで実績を積めば、最も歴史のあるタイトルである名人位に通じるリーグ戦「順位戦」を戦うトーナメント・プロに仲間入りできる。ただし、それも10年以内で果たせなければ引退というタイムリミット付きだ。

 「今、介護士としての給与の額面が18万(円)くらい、手取りで14万くらいですよ。生活するので精いっぱい。介護に就いている人の大半がこんなものだと思います。額面で年約250万円です。もし今、僕が20万、30万もらえる立場にいたら、棋士を目指していたかどうか。介護士さんの大半は、額面で20万もらったら、狂喜するレベル。もっとも、棋士になったら年収は一時的にさらに下がると思います」

 ――下がる? 

 「ある先生からいただいた年賀状に『これからが大変だよ』と書いてありましたが、フリークラスに属するその先生はご自身を引き合いに出されて、『だいたい年200万円くらいじゃないか』と」

 勝ち負けには極端に厳しい世界だけに、そうした棋士もいれば、年に1億円超稼ぐ羽生善治四冠のような存在もいる。

 「ここから先は単純で、勝てばいいんです。自分次第ですから、楽しみですよ」

297名無しさん:2015/05/10(日) 16:37:09
>>296
■まさかの敗戦&年齢オーバーで退会

 今泉氏が将棋を覚えたのは、小学2年生の時だ。

 「2年間は父と縁台将棋レベルの勝負。父もアマチュア5、6級程度ですが、全然手を抜いてくれなくて。成績もこまごまつけていたんですけど、全部バツで97連敗(笑)。それでも止めなかったのは、たぶん負けるのが悔しかったんだと思います。とにかく勝ちたい、1回勝つまで止められないっていう意識が強かったんだと思います」

 将棋ほど負けて腹の立つゲームは、そうあるものではない。

 「小学3年生になって初めて父に勝ったときはもう、小躍りしてガッツポーズですよ」

 小学4年生の時、近所に在住していた将棋連盟福山支部の支部長の自宅兼将棋教室で週1回、基礎からじっくりと教えてもらったことから徐々に腕を上げていった。決して速いペースで強くなったわけではないというが、「中学1年のとき、広島の少年たちで自分より強い人はあまりいないのかなという意識があり、さらに強い人を求めた延長線上にプロがあって」、奨励会の下部組織である関西研修会に入会、14歳で関西奨励会に編入された。

 奨励会は、全国から集まったアマチュア四段・五段クラスの小中学生がふるいにかけられ、プロ6級としてスタート。一人前のプロ棋士である四段に上がるまで切磋琢磨が続くのだが、21歳、26歳の誕生日までに各々初段、四段になれなかった者は退会という厳しい規定がある。制度の変遷による違いはあるが、屋敷伸之九段、羽生善治四冠、村山聖九段(故人)らのような3年前後でスピード卒業する俊英がいる一方で、十数年在籍する会員も珍しくなく、実に7割強が年齢オーバー、もしくは己の才能に見切りをつけて別の人生を歩む。

 今泉氏は月2回、新幹線で大阪の関西将棋連盟に通いながら17歳で初段、20歳で三段リーグの一員に。半年に18戦のリーグ戦を戦い、トップの成績を上げた2人、年に4人だけという狭き門を巡って、それこそ精鋭たちが目を血走らせ、互いを削り合う世界である。

 次点の3位で昇段を逃すこと2回。惜しいところまで行きながら足踏みが続き、とうとう26歳が目前となった99年、引導を渡された相手は、皮肉にも同じ広島県出身の後輩だった。

 「片上先生(大輔、現六段)。片上君には、少年の頃から僕が指導していた感覚があって、負けた記憶がほとんどない。練習対局は腐るほどやりましたが、真っ赤な顔で挑んでくる片上君を『可愛い奴』とあしらうような感じ。多分、勝率は僕が9割を超えていると思うんです。あの対局当時は片上君が三段まで上がってきたばかりで、『負けるわけない』と勝手にタカを括っていました」

 まさか、ですよ――今泉氏の声が少し上ずった。

 「まさか自分が負けて退会するなんて、いざその瞬間を迎えるまで思ってもみなかった。それなりに自負もあるから、実力を変に過信していたところがありました。片山君とはレベルにまだ差があると思っていたこの時点の敗戦は、凄いショックでした」

 ああ、自分はプロになれないんだなと思った、という。次の対局が最終戦。同じく退会の決まっていた相手と深夜に及ぶ大激戦を繰り広げた末、敗れた。三段リーグでの最終的な順位は15位だった。

 「技術的にも低かったし、精神的にも未熟だったと思います。負けた時にその原因を徹底的に突き詰めるとか、そういう強さもなかった。ただ単に将棋に甘えていたんですね。そういったことに気付くまで、随分と時間がかかりました」

298名無しさん:2015/05/10(日) 16:37:29
>>297
■見知らぬ人からの一本の電話

 戻った実家に籠ったまま、「自分の存在が消えてもいいかなと思って」3日間、外に出なかった。

 「でも、残念なことに……というとおかしいけど、自分はまだ生きている。生きている以上は動かなきゃならない。割り切れてはなかったけれど、とにかく止まっているわけにはいかない」

 当時の師匠だった小林健二9段(現師匠は引退した桐谷広人七段)には、「一から出直せ」と諭された。学歴上は中卒。通信制の高校に通い、車の免許を取り、レンタルビデオ店でアルバイト。そんな状態が1年半ほど続いた。

 将棋は、続けていた。

 「やめよう、お休みしようと思った時期もあったんですけど、福山のまったく面識のない方から、唐突に電話がかかってきたんです」

 その相手に、「将棋を捨てるのはもったいないですよ」といわれたという。

 「奨励会を退会した人間って、いってみれば無価値なわけですよ。なのに、少なくとも今までやってきたことを認めていただいた。『もったいない』という言葉はすごく有難かった」

 そうしたよき理解者の存在に加えて、相手がアマ・プロ問わず匿名でいつでも指せるネット将棋の存在も一助となった。

 それまでもその先も、人生の節目節目になぜかこうした“お助け人”が目の前に現れる、と今泉氏はいう。大手レストランチェーンからお呼びが掛かったのも、その一つかもしれない。

 「有難いことに、正社員として4年ほど働かせて頂きました。大手だったので、最初は僕なんかが働けるのかなと思いましたが、大阪・吹田にアパートを借りて、スパゲティ専門店で接客や調理をさせて頂きました。だから、今でも包丁は使えますよ」

 ちょうどその頃、棋界を越えた世間で話題を呼んだのが、サラリーマンからプロ棋士への異例の転進を果たした瀬川晶司氏だった。

 今泉氏と同じく夢破れた元奨励会員ながら、プロ相手に勝率7割という実績を挙げ、アマ強豪らの後押しで2005年、日本将棋連盟にプロ入りの嘆願書を提出。若手プロとの五番勝負を戦って見事、プロ四段編入を果たした。

 同連盟はこれを機に06年、奨励会を経ずとも一定のハードルを越せば三段リーグに編入、もしくはプロ四段になれる制度を設けた。「完全に終わったことだと思っていた」という今泉氏に、もう1度挑戦するチャンスが生まれたのだ。「アマチュアのビッグタイトルで優勝した人が三段リーグ編入の受験資格を貰えるときいて、私も行ける!  と勝手に思って」、今泉氏は衝動的に会社を飛び出した。

 ただ、かつて「プロ・アマの差が最も開いた世界」と言われた将棋界も、近年はアマチュアのレベルアップが著しく、プロがアマに平手で敗れることも珍しくなくなった。元奨励会員といえども、アマ棋戦で勝ち抜くのは難しい。

 しかし、06年に初タイトル「アマチュア竜王位」を獲得していた今泉氏、ここからアマ王将、平成最強と立て続けにビッグタイトルを奪取した。

 「不思議なもので、急に獲れるようになったんです。もちろん技術が急に上がったわけではない。どちらかというと、精神的なことのほうが大きいかな。社会人を何年かやらせてもらって、その中で色んなことを乗り越えてきたから、奨励会を退会した頃の僕とは絶対違っているという思いはありました」

299名無しさん:2015/05/10(日) 16:37:49
>>298
■負けたとき気持ちを立て直せなかった

 ――何が変わったんでしょう? 

 「一般社会でいろいろ揉まれる中で頑張ってきた誇り、みたいなものが……ちっぽけですけどありました。人間として少しずつ成長できた。そうでなかったら、編入試験も通らなかった気がします」

 ――具体的にいうと? 

 「人間関係、でしょうか。例えば接客にしても、いかにお客様の立場に立ってものを考えるか。調理ならどれだけ見た目を美しく、味をよくすればいいか。あるいは人と接するときは自然に笑顔で接する、とか」

 ――でも、将棋は個人競技ですよね? 

 「本当に極端にいえば、将棋は勝っていればいいんです。でも、一般社会は違う。人は他人に助けて貰わないと、本当に生きていけません。職場でも他の人に無言で助けてもらったことなんて、数え切れないほどあります。一流企業で学ばせて頂いたことは大きかった。こんな身勝手な人間をよくぞ使って頂きましたと言いたい。尊敬する上司にも多数出会いましたし、雲の上の人だなと思う方もおられます。畑は違えど、そういう方々を目標にして歩みたいという思いを、今は強く持っています」

 ――将棋の技術が上がったわけではない? 

 「会社員としてガムシャラに働いていたら、将棋の神様が、『わかった。じゃ、もう1回チャンスをあげるから、こっちに来なさい』と引っ張ってくれた、というほうが実感に近いですね」

 将棋という己の力のみが拠り所の世界。ずけずけとものを言う反面、「神様」「運」「流れ」といった言葉を口にするプロ棋士は少なくない。プロ同士の技術的な差は、素人目からはほぼないに等しく、極めて狭いレンジの中に天才・俊英がひしめきあっている。

 それだけに、技術とは違う何かが勝敗を分ける。それがいったい何かということを、彼らは常々肌身で考えている節がある。

 07年、編入試験合格者の第一号として、三段リーグで再挑戦することに。今度は4期2年以内に四段に昇格、という新たなタイムリミットが付く。

 一期目が最大のチャンスだった。2連敗後に9連勝と堂々、首位を快走。が、そこから「怒涛の5連敗」。昇段の圏外に去った。

 「勝っているときはいいんですが、負けたときに気持ちを立て直す術を知らなかった。敗因を突き詰めたり、検証したりもしなかった。どこまでいっても己の才能頼みという部分は、以前と変わってなかったかもしれません。でも、才能だけで勝てるのは、まあ5割程度。昇段となると、また全然違いますから」

 2年間、それ以上のチャンスはついに訪れず。09年、再度の退会。

 「もう1回落ちました、爽やかに(笑)」

 おどける口調に、傷の深さが垣間見える。

 「今だからいえますが、目の前の一歩、一歩は本当に将来に繋がるのだから意味があるんです、絶対に。どれだけ苦しくても、確実にやるしかない。なのに、それが見えていなかった。やらなかった。勝負の世界だから、そういう人間にはさらっと制裁が下ります」

西川修一=文 浮田輝雄=撮影

300名無しさん:2015/05/10(日) 16:42:45
>>299

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150411-00015002-president-bus_all
盤上の人生を支える「介護と将棋」2つの歯車
プレジデント 4月11日(土)18時15分配信

■介護は誰にでもできる仕事ではない

 2度目の挫折。ただ最初の退会よりは、気持ちは割り切れたという。

 「自分には足りないところがあるから、プロとの縁は本当にないんだと思いました」

 2通りある編入制度のもう一方は、規定をクリアすればプロ棋士との五番勝負を戦うことができ、うち3勝すればいきなりプロ四段としてデビューを飾れる。しかし……。

 「尋常な成績じゃ規定はクリアできません。まず、大きなアマ大会で優勝し、プロと公式戦で10勝以上、勝率6割5分以上。アマチュアの大会で勝ち抜くのは容易でないし、ましてプロ相手に1局勝つことがどれだけ大変か。それを10回やって、しかも6割5分以上?  バカ言ってんじゃないよと」

 退会後は上京し、知人に間借りしつつ証券会社でディーラーの見習いを半年ほど務めた。

 「プロ棋士の先生から、懇意にしておられる証券会社の社長さんをご紹介いただきました。証券外務員二種、一種の資格も取って株取引を。ただ、勉強させていただきましたが、自分の甘さとは次元が違いました。だいぶ損したと思います。二度と株はやらないという勉強にはなりました」

 残念ながら本契約には至らず。再び福山に戻って、今度は介護士の資格を取得、地元の老人介護施設で働き始めた。

 「実際にやってみて、誰でもできる仕事ではないと実感しました」

 最初の3カ月は炊事、洗濯、風呂や排せつの介助、いずれも「半分しかできなかった」。職場では氏の雇用の是非を問う意見も出たという。

 「その時に、現場のリーダーさんが『この子は少なくとも利用者さんには全力で接しているのがわかるから、もう少し様子を見よう』と。要は拾っていただいたんですね」

 介護は誰でもできる仕事ではない、という今泉氏。

 「少なくとも、目上の人への敬意がないと絶対無理。認知症だろうが何だろうが目上は目上なんで、小手先ですることは全部見抜かれます。他の感覚が減退した分、『こいつはオレをバカにしている』といったところの感受性のみが尖るので、そういう部分に対してどれだけ誠意を持って接することができるかが大きいと思います」

 なぜ、続けられたのかを問うと、

 「そういえば、長年つきあってる口の悪い友人に『棋士・今泉健司よりも、ヘルパー・今泉健司のほうがこれからきっと価値が出てくるんじゃない? 』と言われたなあ」

 と笑った。

 「奨励会に入ってすぐ、先輩に『まず目の前の人に対してきちんと挨拶するとか、そういう部分だけはしっかりできるようになれ』といわれたんです。お蔭様で、1年経ったら『今泉君、君、挨拶だけはできる。素晴らしい。それ以外のことはダメだけど』といわれるようになりました(笑)。でも、そういう自然に教わったことが、不思議と役に立った気がします」

301名無しさん:2015/05/10(日) 16:43:02
>>300
■Facebookにできた「応援団」

 仕事は徐々に軌道に乗った。「色んなことがうまく噛み合いはじめた」と感じたという。

 「今までは、人生で大切なものは将棋しかなかったんですけど、もう1つ、仕事っていう形で徐々に自分の価値を認めて貰った。介護と将棋という2つがガチャッとうまくこう、噛み合って動き出した感じです」

 12年、アマ王将戦で史上初の2連覇を果たし、公式戦で対プロ9勝3敗に。次の3番で1つでも勝てば、プロとの五番勝負、ひいては四段編入の受験資格を得られる――そこで初めて、プロ再々受験を意識した。次の1番で敗れて一歩後退したものの、昨年11月にアマ王将戦で優勝(3連覇)、さらに12月には朝日アマ名人も奪取しアマ将棋三冠を達成。再び芽が出てきた。

 職場の人々の応援に加えて、新たに生まれた人間関係にも後押しされた。

 「何となくやっていたFacebookで、12月末には初めて知り合った方々ばかりの応援団みたいなのができて、自然と持ち上げる雰囲気をつくって下さいました。『私は将棋5級ですけど、応援します』などといわれれば、それだけで“ありがとう”っていう気持ちになれます」

 自分1人で戦い、敗れ去った過去2回の挑戦時には湧いてこなかった感情だという。

 「介護という仕事が好きだからこそ続けられたし、介護の仕事があったからこそここに立つことができた。小林先生に『介護があなたを棋士にしてくれたんだから、お世話になった人は大事にしなきゃ』と言われましたが、本当にそう思います」

 プロ若手棋士との五番勝負。2連勝後に1敗を喫して迎えた昨年12月8日の4局目、対石井健太郎四段戦をご本人に振り返っていただいた。駒袋から流れ出た駒を盤上にピシリピシリと並べ、最後の局面を素早く再現してみせた(写真)。

 「将棋には指し手それぞれの勝ちパターンがあって、その中で自分の得意な流れに持っていく。そういう点では、将棋ってすごいゲームで、いろんな人の意思を9×9の将棋盤が包み込んでくれる感じなんですね」

 石井四段が投了する(負けを認める)までのじっくり腰を落とした指し回しを、当日解説していた門倉啓太四段は、「今泉さんらしい将棋」と表現した。

 「当初の互いに攻め合う指し方から、途中で相手の攻めの面倒をみる、切らしにいく(=受ける)指し方に替えたんです。そういう自分の得意な方向に持っていけた、自然とそこに徹することができたのは、幸運だったというか、自分の意志とは違う、将棋の神様の導きがあったのかな、と。いやほんと、自分の力じゃないです。自分、そんなに強くないです。なんか、誰かが担いでくれた神輿に上手に載せて貰えて、そのままの流れにうまく乗れたことは、すごく大きかったです」

 終局直後は涙をこらえて「嘘みたい……」を繰り返し、対局後の会見で、編入の先鞭をつけた瀬川五段や日本将棋連盟、応援してくれた人々へのお礼を述べ、「過去の自分ができなかったことを成し遂げることができて、胸を張りたい」とその喜びを語ったという今泉氏。

302名無しさん:2015/05/10(日) 16:43:26
>>301
■合格後も、三段リーグで戦う夢を見る

 改めて、“神輿に乗っかれる人”って、どんな人なんでしょう?  と問い直すと、堰を切ったように言葉があふれた。

 「僕自身もよくわからないですけど、日々のちょっとした事じゃないでしょうか。人に『ありがとう』と言うとか。だって、『ありがとう』と一度思い始めたら、日々『ありがとう』だらけですよ。今、この一瞬お会いしている時ですら、次の瞬間に同じであるかどうかわからない。大袈裟じゃなくて、介護という"濃い"現場で、昨日元気だった人が、朝起きてみるとこの世からいなくなっていて、最後の言葉をきいたのが僕だった……という経験を何度もしているから、新たな人と出会えたということを幸福に感じることができます」

 喜怒哀楽の波が、昔ほど大きくは振れなくなったという。

 「怒っていても泣いても同じ人生。だったら笑っていられるほうがいい。別にきれいごとじゃなくて、今笑ってなかったら、明日怒ったまま死ぬかもしれない。明日が普通にあるなんて保証はない。本当にわからないですよ、人生って。(昨年8月に)広島で土砂災害に遭って亡くなった方々も、そういう目にあうとは夢にも思っていなかったはず。明日死んでも後悔しないよう、少なくとも自分が目の前で接している人たちが笑っていられるような人生を歩みたい。簡単なことじゃないですけど」

 一度きりでも出合った人、今、目の前にいる人を大切にする。きちんとした挨拶や起居動作でその意を示す。その日々の積み重ねが、知らぬところで自分を後押しする力となって返ってくる――夢破れ、放り出された実社会で、身体で悟ったことを糧とし、今泉氏は望み続けたステージにたどり着くことができた。

 編入試験を終えてからも、夜、三段リーグで戦っている夢を見たという。

 「3勝1敗、上々だなーと思いながら、『あれ?  おかしいな……俺、確かもうプロになったような気がするけど……』と思ったところで目が覚めました」

 入学試験の夢を見て冷や汗を流す一般のサラリーマンと比べては、失礼かもしれない。盤上に人生そのものを賭けているシビアさを改めて思い知らされるが、戦後最年長、41歳独身のオールドルーキーの先行きを、ぜひ見届けてみたい。

西川修一=文 浮田輝雄=撮影

303名無しさん:2015/05/10(日) 17:55:33
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150430-00000015-sasahi-sci
電王戦の未来はどうなるのか? 〜ニコニコ超会議2015でのシンポジウムから考える〈ASAhIパソコン〉
dot. 4月30日(木)16時10分配信

 1990年代半ば、将棋ソフトがプロ棋士にまったく歯が立たない時代。「将棋ソフトがプロを負かす日はいつ来るか?」という当時のアンケートに、羽生善治氏は「2015年」、森内俊之氏は「2010年」、谷川 浩司氏は「自分が引退してから」とそれぞれ答えている。

 現実にプロ棋士が敗北したのは、2013年の第2回電王戦だった。1勝3敗1分けという成績。これが、長い持ち時間(各4時間)・公開対局・相手が現役の女流棋士を除いたプロ棋士という条件で、初めてコンピューターが人間に勝利した日だった。

 翌年の「第3回電王戦」でプロが全敗するという事態が発生したが、さらに翌2015年3〜4月にかけて行われた「電王戦FAINAL」では、プロ棋士の3勝2敗となり、人間が意地をみせた形となった。

 しかし、ここで物議をかもす事態が発生する。第2局の指し手と第5局の指し手だ。第2局ではソフトの欠陥を付いた手での勝利、第5局でもソフトのクセを見抜いてハメ手に持ちこむというものだったのだ。

 「ニコニコ超会議2015」の2日目、4月26日15時から超言論エリアで行われたシンポジウム「電王戦から考える、コンピュータと人類の未来」でも、前述の指し手の話から電王戦のルール問題に及んだ。

 出演者である、森内俊之9段(将棋棋士)、平岡拓也氏(将棋ソフト「Apery」開発者)、瀬名秀明氏(SF作家)、山川宏氏(ドワンゴ・人工知能研究所所長)、川上量生氏(KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長)はそれぞれの立場から、ルール問題について意見を交わした。

 ??名氏が「いまは人とコンピューターの立ち位置が変わってきている。かつては、コンピューターは人とは異なる知能だと考えられていたが、今の電王戦はプロVS開発者になっている」と発言した。これに対して、プロ棋士である森内氏も「電王戦が始まったときには、コンピューターが何をしてくるのかまったく予想ができなかった。しかし、いまはある程度読める」と同調した。

 つまり、コンピューター対プロ棋士の戦いにおいて、最初はプロ棋士も手探りだったものが、いまでは変化しているのだ。確かにプロ棋士に勝利することも珍しくはないコンピューター側だが、その限界にも話は及んだ。コンピューターは、1秒の間に数百万もの局面を検索することができる。その中で、「過去の棋譜から、勝率が最も高い手」を選び出すという。つまり、あくまでも過去の棋譜がベースになっているのだ。山川氏は「人工知能は手を読むのは得意だが、新しい手を考え出すことはできない」と述べる一方、「人間は、さまざまな指し手をグループ分けして効率良く考えている。その仕組みはよくわかっていなくて、“直感”と呼ばれることもある」と指摘した。

304名無しさん:2015/05/10(日) 17:55:43
>>303

 ソフトのある種の“バグ”を付くような手については、開発者とプロ棋士で意見が分かれた。コンピューター側の平岡氏が「正直なところ、もっと面白い勝負が見たかった。勝つために最善の手を尽くしたにすぎないけれど、そこは残念だった」と発言すると、これに対して、プロ棋士の森内氏は「プロ棋士の心理として、勝ちたいという気持ちが強い。そこに“こうすれば勝てる”という指し手があれば、それを選ぶことはなにも問題はない」と反論した。

 また、今回の電王戦FAINALが人間に有利ではないかという意見も出た。事前にプロ棋士にソフトを貸出し、事前研究ができる状態であったからだ。

 この点について、??名氏が「1970年代からロボカップと言ってロボットのサッカーも行われているが、毎年のようにルールが変わる。それはロボットが進化するから。電王戦も同じで人はルールと戦う。人工知能にはまだルールは作れない」と、現状のルールに改善点があると指摘した。

 これに対して、川上氏は「公平というなら、消費エネルギーも同じにしないといけない。人間の脳が消費するエネルギーと同じ量なら、コンピューターはまともに動かない」と、公平なルールについて一石を投じた。

 ルールについて、「制限なし、将棋のルールのみ」がベストではないかという意見も出た。2013年の電王戦で勝利した「GPS将棋」は、100台以上のコンピューターを並列処理しており、ハードウエアには制約がかかっていたのだが、それも人間という知性VS人工知能という対決では必要ないという意見も出た。

 山川氏は「人間の脳のように深いプログラムを作る研究は進んでいる」、平岡氏は「ponanza(ポナンザ)は自分で棋譜を作るということもできるようになってきている」とコンピューター側の将来性を強調した。

 自分で新しい指し手を生み出す将棋ソフトは、現状ではまだまだ想像しがたい。しかし、わずか10年前には「ソフトがプロ棋士に勝つのはまだまだ先」と思われていたのだ。人工知能は加速度的に進歩している。山川氏は「電王戦は人工知能の進化のトライアルの一つ。その先には“人と人工知能の共進化”が必要になってくるはずだ」と今後のプロ棋士VSコンピューターの戦いに期待を寄せた。

 これから10年後、どんな人と人工知能の共進化が起こっているのか、非常に興味深い。

(ライター・里田実彦)

305名無しさん:2015/05/10(日) 20:32:45
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150411-00000032-mycomj-ent
定跡とは何か「将棋電王戦FINAL」第4局 - 村山七段の研究不発、ponanzaが示した可能性
マイナビニュース 4月11日(土)14時9分配信

●見慣れた不思議な初手
4月4日、プロ将棋棋士とコンピュータによる5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」の第4局が奈良県・薬師寺で行われ、将棋プログラム・ponanza(ポナンザ)が村山慈明七段に勝利した。コンピュータ側が開幕の連敗から巻き返し、これで両陣営譲らず2勝2敗。団体戦決着の行方は第5局に委ねられた。プロ棋士側にとっては第3局に続く勝ち越しのチャンスだったが、今回の敗戦で逆に後のない状況に追い込まれた。

村山七段は電王戦出場に意欲を示していた棋士のひとり。プロ間でも序盤研究に定評があり、事前研究ができる電王戦のルールとは特に相性のいい棋士と見られていたことは間違いない。ドキュメンタリーでも対コンピュータ戦に自信を持っていた様子がうかがえた。だが、その村山七段が「誤算」と言っていた存在がponanzaである。村山七段は「強さの次元が違う」など、ほとんど賞賛に近い評価をponanzaに向けていた。そして本局はponanzaの完勝といえる内容だった。村山七段の立てた対策は跳ね返されてしまったのだろうか。

○見慣れた不思議な初手

対局場は世界遺産や国宝といった貴重な文化財を擁する薬師寺。境内には桜が咲き、春らしいのどかな空気に満ちている。日差しは暖かく、東京を出るときに着ていたコートは厄介な荷物になった。行き交う観光客の表情も柔らかい。そんな中、真剣勝負が行われる対局室は別世界のように緊張に包まれていた。

ponanzaはトップレベルの実力を持つプログラム。第2回電王トーナメントでは優勝、「第2回将棋電王戦」で佐藤慎一四段(現五段)に勝利、「第2回将棋電王戦」で屋敷伸之九段に勝利といった実績がその強さを示している。開発者の山本一成氏は東京大学将棋部のOBで、自身の将棋の腕も相当なもの。プロ棋士の強さに畏敬の念を抱いているからこそ、ponanzaはある方向性のもとで改良が進められた。その方向性とは「既存の定跡に頼らない」という点だ。

コンピュータ将棋の序盤は、プロ棋士が指した前例を一定手数までなぞることが多い。しかし定跡は確立された手順そのものはもちろんだが、その礎となった失敗例にも価値があるもの。定跡手順のみを記憶しているコンピュータと、定跡を試行錯誤の総体として認識しているプロ棋士とでは、局面に対する理解度に差が出てくる。棋譜に現れない暗黙知を有するプロ棋士に比べ、序盤の精密さではまだ及ばないのが現状だ。

ponanzaはもともと早い段階で前例をなぞることをやめていたが、今回は独自の定跡を搭載して対局に臨んだ。ponanzaが指した初手(図1)もその影響だ。人間の目では作戦を限定して損だが、ponanzaはそう思っていない点が不思議なところ。作戦的に損というのは、たとえば飛車を横に移して戦う「振り飛車」を相手にする時に、守りの形が限定されてしまうことが挙げられる。それゆえ人間はこの手をあまり選ばないのだが、村山七段にとっては練習で見慣れた景色で、特に驚く様子もなく淡々と対局は進んでいった。ちなみに村山七段は局後、「振り飛車も試したが、それだけで勝てるほど甘くなかった」と話している。

今回、村山七段は主流戦型のひとつである横歩取りへ誘導した。練習では別の戦型である角換わりも指していたが、「同時並行して対策を進めるうちに一本に絞った」。その作戦が波乱を呼ぶことになる。

306名無しさん:2015/05/10(日) 20:33:00
>>305

●用意の決戦策、そして村山七段の不運
○用意の決戦策

村山七段といえばファンの間では「序盤は村山に聞け」という言葉が有名だ。これは故・村山聖九段が詰みに強かったことから、「終盤は村山に聞け」と言われていたことにかけている。その研究家が選んだ作戦は「相横歩取り」。横歩取りから、後手も負けじと歩を取るところから始まる戦法だ。早々に大駒が交換になり、いきなり終盤戦になることも多い。

図2はちょうど後手が歩を取ったところ。先手は金当たりになっているので、何かしらそれを防ぐ必要がある。実戦は図2から▲7七歩△7四飛と進んで図3。ponanzaは練習では、金の前に歩を打って飛車から守る傾向にあった。しかしこれは左側に壁を作る意味もあり、激しい戦いになったときに玉の逃げ道がないことが致命的な欠陥になる恐れがある。対して後手は飛車を引いてぶつければ、飛車交換で激しい展開に持ち込める。これが村山七段の描いていたシナリオだった。

この進行は相横歩取りでは古い定跡にあたり、先手が損をしているとされ廃れた順でもある。「飛車角総交換になるような激しい順では、勝率も悪くなかった」とは、記者会見での村山七段の言葉だ。先手が選びにくいはずの定跡に飛び込んでくれるのだから、これを利用しない手はない。村山七段が対策を相横歩取りに絞った理由もうなずける。ところが、この期待は最悪の形で裏切られる。

○村山七段の不運

ponanzaは図3で飛車を取らずに▲3六飛と引いた。これが「練習ではほぼ飛車を取ってきていた」という村山七段の予定を狂わせた一着。方針は飛車を取る手とは反対で、落ち着いた流れにしようとしている。「ほとんど指されたことがなく、研究していない形になってしまった」と村山七段。ponanzaの選択は結果的に相手の研究を外して「好判断」になったというわけだ。山本氏は局後、「ゆっくりした展開になってホッとした」と述べている。

村山七段にとってはこの時点で事前研究のアドバンテージが消え、うまみのない状況になってしまった。練習でほとんど指されない展開を本番で引いたことは不運と言えるし、そこが一発勝負の怖さなのだとも言える。

307名無しさん:2015/05/10(日) 20:33:12
>>306

●相横歩取り対策のサンプルとして提示しても申し分のない序盤
○ponanzaが示す可能性

序盤ではponanzaが興味深い指し回しを披露した。
図4は飛車の頭を押さえられ、先手がどこに飛車を逃げるかという場面。横歩取りでは飛車の横利きが重要な要素になるため、四段目をキープして戦うことが多い。人間の第一感は穴の開いている8筋に回る▲8六飛だ。しかしponanzaは▲5六飛△4二銀▲8六飛(図5)と不可解な手順を経て8筋に移動させた。5筋に途中下車しているので、手の損得で見れば純粋な1手損である。これを見て控室に詰めていた棋士は口々に「ありがたい」とつぶやいた。途中下車の間に後手は陣形整備が進んだ。見返りのない手損に思えたからだ。山本氏も「単なる手損のようで、不安になった」とこのときの心境を振り返っている。

ところがあとで検討すると、ponanzaは微妙な損得勘定のうえで手順を選んでいたことがわかった。△4二銀と銀を上がった形は後手玉の側面が開いており、たとえば飛車を持ったときに王手で打ち込む筋が生じる。図4と図5の後手陣を比較すると、図5がまさるのではなく、どちらも一長一短ある。これがponanzaの主張だった。

コンピュータは先入観にとらわれない自由な発想で、これまで人間が思いもよらなかった局面で定跡を動かしてきた。2013年、名人戦という大舞台で登場したponanza新手は、戦場となった矢倉だけでなく、相居飛車全体の勢力図を塗り替えるきっかけになるほどの影響力があった。このときは人間の盲点をコンピュータが指摘した格好で「組み合わせの妙味」が注目されたが、今回のponanzaの途中下車は、手の損得と形の良し悪しを天秤にかけ、既存の価値観に疑問を投げかけ新たな可能性を提示するものだ。これはプロ間でも最近になって深められるようになったテーマでもある。図4から図5に至る手順の意味を理解して、ponanzaに創造性の萌芽を感じた。

○参考になる駒組み

村山七段の研究は不発に終わったが、ponanzaが分の悪い定跡に挑んでいるという事実は残っていた。少なくとも対局中は、である。だがponanzaはその前提をひっくり返してしまう。

ponanzaは▲5六角成(図6)と強力な馬を作り、確かなポイントをあげた。ponanzaは中央に据えた馬でにらみを利かせながら、自然な駒組みでリードを保つ。先手がバランスよく陣形を発展させることができたのに対し、後手は駒組みが難しい。コンピュータ将棋は攻め重視の棋風であることが多く、ponanzaも途中で馬を切り飛ばして猛攻をかける順を読んでいたという。それを踏みとどまった結果のじっくりした試合運びは堂々たるもので、強者の風格を感じさせた。

分が悪いとされる選択から駒組みを進め、気づけば十分な態勢。相横歩取り対策のサンプルとして提示しても申し分のない序盤だったように思う。

●長い間「序盤に穴がある」と言われてきたコンピュータ将棋の進歩
○コンピュータの進歩

夕方になり、村山七段が顔をしかめる場面が増えてきた。うつむき首を振る姿は苦しげだ。控室や大盤解説会の見解はponanzaの態勢勝ち。後手は黙っていても押しつぶされてしまうので、村山七段も角を打って(図7)局面を動かしにかかった。自玉に近い場所から攻める諸刃の剣。旗色が悪いことは承知のうえでの勝負である。しかしponanzaの対応は冷静で、最後もコンピュータらしい紙一重の見切りで勝った。

今回何よりも悔やまれるのは、村山七段が用意した研究が見られなかったこと。勝ち負けは別にして、プロ棋士が時間をかけて準備した対策からどう展開するのか、見てみたかった思いは今でも消えない。

逆にponanzaが、偶然とはいえ過去に道が途絶えた定跡に可能性を示してくれたのは実りあることだった。プロ間でも過去の実戦から手を掘り返し、温故知新で前に進むというケースはこれまで何度も繰り返されている。こうした役目を担うのは、プロ棋士の中でも職人気質の人間であることが多い。

本局でponanzaが見せた構想も、そうした職人がもたらす気づきや再発見と同一線状にあることは間違いないのではないか。長い間「序盤に穴がある」と言われてきたコンピュータがそうした役を担いうるという事実に、コンピュータ将棋の進歩を改めて実感せずにはいられなかった。

(鈴岡圭)

308名無しさん:2015/05/10(日) 20:33:49
http://textview.jp/post/hobby/6331
室田伊緒女流初段が気づいた囲碁界と将棋界の違い
2013.07.18

『NHKテレビテキスト 将棋講座』誌上で連載中の、女流棋士がリレー形式でエッセイを綴る「さんぽみち」。今月の書き手は囲碁棋士の井山裕太棋聖と昨年結婚し、囲碁界に関わることが増えたという室田伊緒(むろた・いお)女流初段だ。対局や研究会のシステムなど、自分の生きる将棋界との様々な違いに日々気づかされているとか……。

* * *

昨年大学卒業と結婚を機に愛知から大阪へ引っ越しました。囲碁棋士の旦那さんと結婚して早一年。大きな喧嘩(けんか)も片手半分ほどしましたが、後腐れなく穏やかな生活を送っています。お互いに勝負師ですので、悪いことは寝たら忘れるようです。

将棋の世界に入って13年目になります。プロ入りしてからは8年が経たちました。初めは指すときのマナーも女流棋士という存在も何も知らず、将棋界での“当たり前”を徐々に覚えていき、今ではそれが基本となって久しいです。

お隣の囲碁界と関わることが増えてから自分の世界を改めて振り返ることが多くなりました。それまでは何の疑問もなく自然に受け入れていたものも、外から見ると珍しいのだなあ、と思ったりして。

例えば対局日などは、こちらの予定と相手の予定を手合い課に連絡し調整してもらうのが基本だと思っていました。それが囲碁界では原則木曜日と決まっています。同じことを将棋界でもしてみたらと想像すると、棋院はどれだけ広いのだろうかという結論になりました。

研究会も全く違います。こちらでは相手探しといつが空いていますか、から始まります。定期的に開催されるものは相手探しを省略。あちらでは手合い(こちらでいう対局)同様、何曜日と決まっています。そして基本誰が参加しても良い。なんて面白いシステムなのだろうと感心しましたが、これはお隣の世界の当たり前です。

極めつけは椅子対局。タイトル戦でも椅子で打っている光景は将棋ファンからは違和感しかありません。この制度に変わるときはやはり反対意見もたくさんあったようですが、今では楽な椅子対局が大人気となっているようです。

秒読み中のトイレに時間を止めてもらえる制度はこちらでも是非。

ほかにも、引退制度がないとか、女流棋士という概念はないけれど女流棋戦はあるだとか(女性なら10冠も夢ではない)、日本以外にもプロ団体があって今ではとても強いとか、将棋界に染まっている側からすると新しい発見が尽きません。それは囲碁界側からしても同じようで、時々思い出したようにお互いの違って良いところを話し合ったりしています。

当たり前すぎて気が付かなかったことも、今ではそれも魅力になり得るのかもと思うようになりました。小さなことでも人が見たら大きなことというのはよくある話で、将棋のほんの些細(ささい)な一面に惹(ひ)かれる人が増えるように、まずはその小さな魅力たちを見つけて発信していきたい、そう考えるようになりました。

そしてその一歩は毎月ここ、「さんぽみち」で。

※次回は室谷由紀女流初段です。

■ 『NHK将棋講座』2013年7月号より

309とはずがたり:2015/05/13(水) 13:51:55

ゲーム開発のイメージエポックが破産
http://www.excite.co.jp/News/it_g/20150513/Itmedia_nl_20150513039.html
ねとらぼ 2015年5月13日 13時08分 (2015年5月13日 13時25分 更新)

イメージエポック JRPG公式アカウント(@JRPG_PR)の更新は昨年10月で止まっている
 ゲーム開発のイメージエポックと関係会社スマイルオンラインゲームが5月7日に東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。帝国データバンクが13日に伝えた。負債は2社合計で約11億300万円。

 「時と永遠〜トキトワ〜」「セブンスドラゴン」「ブラック★ロックシューター THE GAME」などのゲームを開発。2011年9月期の年収入高は約17億5100万円だったが、ゲーム開発の資金負担と、計画通りに売り上げを確保できなかったことから2013年9月期には年収入高が約4億1000万円に減少。2014年11月までには実質的な活動を停止していたという。

 先月には、アイディアファクトリーが公式Twitterアカウントで、イメージエポックの御影良衛社長と連絡が取れなくなっているとして連絡が取りたいと呼びかけていた。イメージエポックについてはそのころから、公式サイトがアクセスできない状態が続くなどして不安視する声が挙がっていた。

310名無しさん:2015/05/16(土) 21:51:04
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150409-00000001-hatenan-life
「プログラマーは将棋ソフトの思考を把握していない」 真鍋大度と山本一成がアップルストア銀座で語る
はてなニュース 4月9日(木)15時29分配信

日本将棋連盟が主催するトークイベント「トッププログラマーが語る人工知能:真鍋大度 & 山本一成」が、4月2日(木)に東京のアップルストア銀座で開催されました。アートと将棋それぞれの分野で活躍している2人のプログラマーが、人間と人工知能の未来について語りました。司会は、ニコニコ生放送の将棋番組などでおなじみのプロ棋士、遠山雄亮五段。この記事では、1時間のイベントの様子をレポートします。

▽ 4/2(木)アップルストア銀座でトークイベント開催! | イベント|お知らせ・イベント情報:日本将棋連盟

▽ 「トッププログラマーが語る人工知能:真鍋大度 & 山本一成」トークイベントの模様 | イベント|お知らせ・イベント情報:日本将棋連盟

「最強の将棋ソフト」開発者の素顔
イベントは、真鍋大度さんと山本一成さんの紹介から始まりました。真鍋大度さんは、1976年生まれのアーティスト・プログラマーです。サカナクションの楽曲からリスナーの好みを学習しつつ無数のリミックスを生成する「SYMPHONY」や、Perfumeの楽曲の再生数や聞かれている位置の情報を取得して視覚化するアプリ「Perfume Music Player」などのプロジェクトで知られます。真鍋さんは、「自分はアーティストかつプログラマーであり、データを集めて表現に使っているが、『人工知能』と呼べるところまで活用するのはこれからだと思う」と語りました。

山本一成さんは、1985年生まれのプログラマーで、将棋ソフト「Ponanza」を下山晃さんと2人で開発しています。「Ponanza」は2013年3月、将棋ソフトとして初めて現役のプロ棋士に公の場で勝利しました。2014年に行われた「第3回電王戦」では、屋敷伸之九段を熱戦の末に破りコンピューターの4勝1敗という結果に寄与しています。現在、チェスではコンピューターが完全に人間を上回っていますが、将棋では人間と人工知能が切磋琢磨(せっさたくま)しています。「最強の将棋ソフト」開発者の山本さんに注目が集まりますが、会場では自宅でくつろぐキュートな写真が披露されました。

Ponanza開発者の山本一成さん

どちらもビッグデータと機械学習を活用
真鍋さんと山本さんは、どちらもビッグデータと機械学習を活用している、という共通点があります。トークでは、同じアプローチでも真鍋さんの場合はアート表現なので「雰囲気が伝わればいい」のですが、山本さんは将棋なので「勝ち負けがハッキリする、そこに違いがある」というやり取りがありました。そこで司会の遠山さんから「将棋ソフトでもデータを視覚化できないか」という提案がありました。山本さんは「プログラマーは将棋ソフトの思考を把握していない。当たり前だが、開発者に理解できる手を指していたらプロ棋士には勝てない。しかし、どうしてコンピューターがそういう手を指したかという理由付けが欲しい。そのためには、思考ログの視覚化がキーになる」と語りました。

これから試してみたいプロジェクトとして、真鍋さんは「人工知能にDJをやらせてみたい」と述べました。世界中のDJがかけた音楽のプレイリストのデータから「この曲の次はこの曲がかかりやすい」などの情報を取得します。さらに、オーディエンスの好きな楽曲や心拍数、体の揺れ、視線、バーのお酒の売れ行きといった変数を組み合わせて、ダンスフロアを盛り上げたいとのことでした。山本さんは、人間がやっていたことをコンピューターが代替する状況で、逆に「人間とはどういうものか、ありありと見えてくる」と語りました。また、将棋においてもコンピューターが人間の上に立った後、人間が「どういう物語を作っていくのか」が重要であると述べました。

311名無しさん:2015/05/16(土) 21:51:36
>>310

コンピューターが打った点を、線にするのが人間
1時間のイベントはあっという間でしたが、最後に聴衆からの質問を受け付けました。「コンピューターに定跡は作れますか」という質問に対し、山本さんは「コンピューターは新手を指すことができるが、一連の流れとして体系づけるのが得意ではない。今、そういう取り組みもしている」としました。遠山さんは「コンピューターが打った点を、線にするのが人間」と付け加えました。また「コンピューターに『将棋の盤面の美しさ』は分かりますか」という質問に対し、山本さんは「美しさという観念は、人間にとっても時代によって変わる」と答えました。「プログラミングの初心者にどう教えればいいですか」というプログラマーからの質問も上がりました。山本さんは「作りたい物があるのが一番いい。現代のプログラミングは分野として巨大になっていて、全部を理解するのは難しい。プログラムを書いている時の意識はいくつかのレベルがあり、高速化に取り組んでいる時は、コンピューターの気持ちになっているかも」と語りました。真鍋さんは「プログラミングは、自分の予想していない物が出てきた時が面白い」と語りました。

遠山雄亮さん、山本一成さん、真鍋大度さん

人工知能をどこまで信用すればいいか
「人工知能をどこまで信用すればいいか」という質問で、今回のトークは締めくくられました。山本さんは「プロ棋士が角を成らなかったら、将棋ソフトがフリーズしたことがある。一応それっぽく動いているだけで、なんにでもバグはある。グーグルの自動運転車は、鹿が飛び出してきたら避けられるのか。また、人間なら安心なのか、という問題もある。どちらにせよ、ミスはあると思って、うまく社会と合意を取っていくのが大事」と答えました。真鍋さんは、「想像力が必要だと思う。ドローンを使っている作品は、ドローンが誤作動したら壊れたり、人間にけがをさせたりすることがある。プログラムを100%信用することはない」と語りました。

2日後に奈良の薬師寺で「電王戦FINAL」の対局を控えているにもかかわらず、終始リラックスして受け答えする山本さんが印象的でした(結果は97手で「Ponanza」が村山慈明七段に勝利)。このイベントの様子は、4月中にアップルがポッドキャストで配信します。配信後は、iTunes Storeの検索窓で「apple イベント」と入力すると、これまでの配信コンテンツ一覧に表示されます。ぜひチェックしてみてください。

新野漸

312名無しさん:2015/05/16(土) 21:53:40
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150401-00000093-it_nlab-sci
将棋電王戦FINAL 第4局――「次元の違う強さ」「もはや怪物」 Ponanza VS. 村山慈明七段の見どころは
ねとらぼ 4月1日(水)20時11分配信

 将棋のプロ棋士とコンピュータソフトが5対5の団体戦形式でしのぎを削る「将棋電王戦FINAL」。棋士側の連勝で幕を開けた戦いは、先週の第3局でコンピュータ側がついに1勝を返し、ここまで棋士側の2勝1敗という成績に。

 戦いも佳境に入る第4局に登場するのは、コンピュータソフト「Ponanza」(ポナンザ、開発者:山本一成)と、棋士の村山慈明(むらやま・やすあき)七段だ。今回も対局者のプロフィールと見どころをお届けしよう。

●次元が違う強さ。目指すは「人類最高の知性」への挑戦

 「私、相当負けず嫌いですよ。たぶんちょっと病気だと思います(笑)」

 そう語る山本一成(やまもと・いっせい)さんは、現在のコンピュータ将棋界におけるアイコン的存在だ。新聞やテレビ番組、各種イベントなどに登場することも多く、普段は陽の当たることの少ない将棋ソフト開発者の中でも、例外的に世間に名が知られている。

 その理由は、Ponanzaが「公の場で現役プロ棋士に初めて勝利したソフト」だから。そして、何よりも圧倒的に、強いから。

 「Ponanzaは全然ね、次元が違うんですよ。強さの次元も違う上に、感覚の次元が違い過ぎて着いていけないんですよ」(対戦相手である村山慈明七段)。電王戦には過去に2度出場しており、プロ棋士相手にいずれも勝利。今回のFINALの舞台をもって、唯一の3年連続出場ソフトとなる。

 そんな山本さんとPonanzaだが、ここまで順風満帆に進んできたわけではない。東大に入学してから目標を失っていた山本さんが、コンピュータ将棋開発を始めたのは7年前。以来、ひたすらに改良を続け、ここ数年は文字通り寝る間も惜しんで開発を進めてきた。駒をルール通り動かすことすらままならなかったソフトは成長を続け、プロ棋士をも凌駕する実力を備えるに至ったが、それでもまだ手にしていないものがある。

 優勝の最有力候補に挙げられながら、これまであと一歩のところで逃してきた世界コンピュータ将棋選手権。最強のライバルである「AWAKE」との頂上決戦に敗れた第2回電王トーナメント。Ponanzaの「敗者としての歴史」が、山本さんを一日10時間以上にも及ぶ開発へと駆り立てた。

 そして、ソフト間における“絶対王者”の地位を確立したその先に見据えるのは、山本さん自身が「人類最高の知性」と呼ぶ羽生善治名人との戦いだ。

 「私はポナンザが人類最高の知性と戦うところを見てみたい。ポナンザに戦う舞台を用意してあげたい。そのためにもっとポナンザを強くしよう。細かい改良も大事だが、やはりリスクを取った大きな改良を目指そう。そして何より楽しんで作ろう。今日も私はプログラムを書く。」(日本経済新聞「第62期王座戦第5局観戦記」より)

 山本さんは「人生で5つ、何か自分にとって誇れることをしたい。それも、できれば人類のためになることを」と言う。コンピュータ将棋開発(人工知能開発)がその1つ目になればいい、と考えている。

 「人生の残り時間を考えると、1つにつき10年しか掛けられないんです。でもまだ最初の1個も達成できていない。コンピュータ将棋開発は、あと3年でちょうど10年。時間はあまりない」

 諦めないこと、すべての可能性を探し続けることを、コンピュータ将棋ソフトの“無機質な”振る舞いの中に見出す。

コンピュータは諦めない、決して諦めない。あらゆる人間の精神よりも強く諦めない。どれほど悪くてもすべての可能性を調べ上げようとする。相手玉に王手をかけ、自身の負けを自身の探索の水平線へと追いやり、可能性を探し続ける。

(山本一成――Twitterにて。電王戦FINAL第1局、Aperyがコンピュータ将棋特有の「敗勢からの王手ラッシュ」を見せる中)

313名無しさん:2015/05/16(土) 21:53:57
>>312

●2勝1敗の第4局。巡ってきた理想の舞台で

 村山慈明七段は1984年生まれ、東京出身の30歳。本名は「やすあき」だが、棋士仲間やファンからは名前を音読みして「じめい」の愛称で呼ばれる。トップ棋士である渡辺明棋王とは同い年で親交が深く、昨年行われた自身の結婚式では2次会の司会を任せたほど(タイトルホルダーが司会を! と一部で話題になった)。渡辺棋王のブログにもたびたび登場しており、二人で絶妙な掛け合いをよく見せている。

 一方で、羽生名人とは同じ八王子将棋クラブ出身の先輩後輩関係に当たり、研究会の一員でもあるなど、若手ながら羽生・渡辺の両巨頭から深い信頼を受ける稀有な棋士と言えるかもしれない。

 電王戦では第2局に登場した永瀬六段と同じく、攻めよりも受けを重視する棋風で知られ、その緻密な序盤戦術から「序盤は村山に聞け」(※)の言葉も。2007年度、トップ棋士の登竜門である新人王戦で優勝し、現在は順位戦で上から2番目のクラスであるB級1組に所属する実力派だ。

※高い終盤力で知られた故・村山聖九段が「終盤は村山に聞け」と呼ばれたことにあやかったもの。

 今回の電王戦への出場は立候補によるもので、真っ先に手を挙げた。コンピュータ対策のために莫大な時間を取られ、敗れれば失うものもあるリスクの大きな戦いに、立候補によって出場する棋士は決して多くない。

 「(コンピュータ将棋との対決は)自分で言うのも変ですけど、向いているのかなと思いますね」(村山七段)。電王戦への出場が決まる以前から、自宅PCにソフトを入れて自身の将棋の検討などを行っており、コンピュータ将棋への造詣は深い。また、良いと思えば手段を選ばず勝ちにいく旨を宣言するなど、“FINAL”にふさわしい極めて実戦的な感覚を備えた棋士であるとも言える。

 「棋士って勉強して研究していくタイプと、ある程度感覚とかセンスとかで勝負するタイプとに分かれると思うんですけど、僕は明らかに事前研究していくタイプ。その代表みたいな感じなので」(村山七段)

 このように、自他ともに認める理論家、研究家であり、現実主義者とも評される村山七段だが、本番対局を前にしてその胸のうちは。先週行われた第3局のラストで、次局の展望を聞かれた深浦康市九段が明かしたエピソードが印象的だ。

 「プライベートな話だったんですが、村山さんにずばり『何勝何敗で第4局を迎えたいのか』と聞いたことがありまして。彼ははっきり、『2勝1敗で迎えたい』と言い切りました」(深浦九段)

 自分が勝てば、団体戦としての勝利を決められる。3勝0敗での消化試合でもなく、1勝2敗から次につなげるのでもなく、2勝1敗ならば。「勝ったら良いこと尽くめですよね。ヒーローになれるんじゃないかと思ってます」

 くしくも勝敗はその通り回ってきた。求める結果は一つしかない。

ほとんどのファンも、Ponanzaの方が有利だと見ている人が当然多いと思うんですけど。勝つのが難しいと思われている方が勝つのが勝負の醍醐味ですからね。

(村山慈明――「電王戦FINALへの道 #51」より)

314名無しさん:2015/05/16(土) 21:54:07
>>313

●第3局の見どころは

 戦いの行方を占う上でまず確認しておきたいことは、今回村山七段が後手番だということだ。第2局の見どころ記事でも触れたことだが、一般に将棋では後手番の勝率が悪い。人間のプロ同士の対局であれば、後手番での勝率は平均して47〜48%程度となる。

 ところが、その後手番をもって初めて電王戦で勝利した永瀬六段が、後日戦いを振り返って恐るべき発言をしている。人間同士では数パーセントに過ぎない先手後手の勝率の差が、対コンピュータ戦では「体感で3割違う」というのだ。いわく、「練習では後手番で勝率1割未満だったが、先手番なら4割は残せたのでは」。人間でも、対局者のレベルが上がれば上がるほど先手有利の傾向が顕著に勝率に表れるようになるが、対コンピュータ戦ではその比にならないほど勝率差が開いてしまう可能性がある。

 また、Ponanzaが人間の棋譜からの学習に頼らない独自の定跡生成を行っている点も、村山七段にとっての難しさとなる。昨年の2014年版Ponanzaには互角以上の戦いを見せていたという村山七段だが、バージョンアップした2015年版は「やってくる作戦が(2014年版とは)全然違う。プロの公式戦では出ないような形がさらに多くなっている」とのこと。

 他のソフトと同様、Ponanzaにも(棋士の事前研究にはまらないように)指し手のランダム性を高めるための工夫がされており、(1)評価関数に正規分布の乱数を入れる、(2)定跡があったとしても20%の確率で自分で考える、といった、対策する側からしたら厄介なことこの上ない仕様となっている。

 これまでに公開されている情報を総合すると、戦型として最も有力なのは横歩取りだろう。昨年の豊島七段-YSS戦のように序盤から一気に乱戦に持ち込み、Ponanzaの「一方的な、暴力的な攻め」を封じつつ、斬り合いに勝負を賭ける。攻め将棋のPonanza VS. 受け将棋の村山七段、というパブリックイメージ通りの展開がじりじりと続くようでは、おそらく人間側が勝機を見出すことは難しい。

 プロ棋士側がここで勝負を決めるか、あるいはコンピュータ側が2勝2敗の五分に戻して、最終局にすべてを委ねるか。将棋電王戦FINAL第4局は4月4日、奈良・薬師寺にて対局が行われる。

315名無しさん:2015/05/16(土) 22:01:28
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33819
山崎元「ニュースの深層」
衰退か? 盛り返すか? 頭脳の格闘技「将棋」をビジネスとして考える
2012年10月17日(水) 山崎 元

羽生善治氏の前人未踏の偉業

 将棋棋士の羽生善治氏が今年7月、第83期「棋聖戦」で防衛を果たし、タイトル獲得回数が81回となって、歴代単独トップに躍り出た。かつてよりもタイトル戦の数が増えているとはいえ、69歳まで現役の第一線で戦い続けた大山康晴15世名人の記録を41歳で破ったのだから、文句なしの偉業だ(大山名人が最後の、つまり80回目のタイトルを獲得したのは59歳の時)。そして、羽生氏はその後もタイトル戦での勝利を積み重ねている。

アマチュアの一将棋ファンに過ぎない筆者が両者の記録を内容的に評価することはできないが、私見では、羽生氏の時代の方が大山名人の時代よりも、ライバルの数が多く、かつ強かったのではないかという印象を持っている。世界的に見ても、「頭脳の格闘技」のプレーヤーとして、突出した実績だ。なお、羽生氏は、趣味のチェスにおいても日本のトッププレーヤーである。

周知のように羽生氏は、1996年に7大タイトルを全て制覇する前人未踏の「七冠王」を達成し、広く世間に向けて将棋ブームを巻き起こした。この時期に、将棋界はファンの裾野を拡げ、ビジネスとしても潤ったように見えた。

しかし、近年、プロを巡る将棋ビジネス、主として日本将棋連盟のビジネスは、必ずしも順調に伸びていないように見える。

有利な要素はあるのに「成長の止まった中小企業」状態

 日本将棋連盟のホームページを見ると、平成23年度(3月末決算)の経常収入実績は約27億900万円だが、翌年度の収支予算書の同項目は約26億6700万円と減少している。本年度の初めの時点で、将棋連盟の正会員名簿には220名の棋士が名前を連ねている。端的に言って、成長の止まった中小企業に見える。

将棋という全国的にポピュラーなゲームをコンテンツとして擁し、その構成員の一人一人が天才、あるいは少なくとも元天才レベルの頭脳のアスリートであることを考えると、「現在の収入は、もう少し多くてもいいのではないか」という思いを禁じ得ない。

ちなみに、東日本を主なテリトリーとする囲碁の日本棋院の年間経常収入はざっと38億円だ(昨年度)。囲碁を趣味とする人には資産家や高額所得者が多い、というファン層の傾向の違いがあるとしても、「ルールを知っていて、自分でもゲームに参加できる」という人口は将棋の方が多いはずだ。なのに、将棋連盟は日本棋院に収入で差をつけられている。

どうやら、将棋連盟はビジネスが下手だ。

316名無しさん:2015/05/16(土) 22:02:07
>>315
 棋士の収入は、対局料と賞金、及び将棋連盟からの給与所得だけではなく、棋士が個人的に行う稽古、道場、スクール、著述業収入などを含むので、「プロ将棋経済圏」の総体は連盟の収入よりも大きなものになる。だが、それらを考えても、もっと成長の余地はないものか。

商品として「将棋」というゲームを評価すると、①知名度は抜群でルールも広く普及しており、②アマチュアのプレーヤーに加えて、テレビ棋戦やネット中継などの“観戦ファン”も多く、③今後の日本社会が高齢化するとしても、高齢者に対する親和性が高く、④PCやゲーム機、スマートフォンなどでプレーできるゲームでもある、といった有利な要素を持っている。

需要の掘り起こしが、もっと期待できるのではないか。

「新聞の衰退」「コンピューターの進化」「スターの高齢化」という問題

 他方、厳しい要素もある。

プロの将棋の主なスポンサーは、新聞社や放送局のようなメディアだ。NHKを除くと、彼らは、将棋による読者や視聴者の獲得と広告効果に期待して、タイトル戦の契約料という形で(大きなタイトル戦だと年間数億円の)お金を払ってくれる。

しかし、新聞の実質購読数は落ち込んでおり、同時に、広告獲得でも苦戦を強いられている。今後、タイトル戦が打ち切りになったり、契約額の引き下げ交渉をスポンサー側から持ちかけられたり、といった逆風が生じる公算は小さくない。

また、コンピューターのハード、ソフト両面の発達により、プロ棋士がコンピューターに勝てなくなる時代が目前に迫っている。

先般、現役の棋士ではないとはいえ、往年の一流棋士だった米長邦雄・日本将棋連盟会長が、コンピューター将棋ソフト「ボンクラーズ」と対局して敗北した。走るのが自動車よりも遅いからといって、陸上競技のスターの価値が落ちるわけではないが、コンテンツとしてのプロの将棋対局のブランド価値をどう守るかということは、考えなければならない課題の一つだ。

加えて、スター棋士たちの「年齢問題」がある。最大のスターである羽生善治氏、あるいは羽生氏の同世代のライバルたちを含む通称「羽生世代」のスター棋士たちが、加齢を背景に勝率を落とすような時期にさしかかった時に、コンテンツとしてのプロの将棋対局の価値が保たれるか否かについては、少なからぬリスクがある。紙メディアの雑誌の多くが、読者の平均年齢の高齢化と共に部数を減らしている現象を見ると、羽生氏の「七冠フィーバー」の頃のファンが、徐々に将棋から離れていく可能性が大いにある。

広く一般向けの人気面でも将棋界を牽引できるような若手スターは、まだ十分に育っているとは言い難い。

317名無しさん:2015/05/16(土) 22:02:44
>>316
また、ネットの発達がもたらす影響についても、不透明な要素がある。現在、コアな将棋ファンの多くは、タイトル戦などプロの将棋の大きな対局を、ネット中継で無料、ないし無料に近いコストで観戦している。

プロの将棋のリアルタイムでのネット観戦は、刺激的で魅力的なコンテンツだが、例えば将棋ファンの多くが既存の新聞の購読を止めて、プロ対局のネット観戦にシフトしたら、どんな状況が訪れるだろうか。将棋連盟は現在、その場合の対策となる有効なビジネスモデルを持っていないのではないか。

将棋はどこまで「フリー」がいいのか

 マーケティングの一般論として考えると、デジタルで表現されてネットに乗り「フリー(無料)」になったコンテンツの収入減少をカバーするには、ないしは「フリー」で顧客を集めて収入を増やすには、「フリーの顧客」の中でもとりわけ熱心な、「私はお金を払ってもいい」という顧客から収入を得る方法を考えなければならない(近年、こうした収入を「フリー」と「プレミアム」を混ぜて「フリーミアム」と呼ぶ)。

将棋界は、プロの対局という主力コンテンツから十分なフリーミアムを得る方法を、未だに開発していない。ネットビジネスにたとえると、少数の大手法人顧客(新聞社など)数社の棋戦契約料に頼った、「広告モデル」に近いビジネスである。広告主の行動や盛衰の影響を大きく受ける、脆弱なビジネス構造と言える。

 たとえば、音楽のデジタル配信が増えて、プロの音楽アーティストは、CDの売り上げの減少に直面している。一方、彼らは、お金と時間をかけてコンサートに来るような熱心なファンを対象に、コンサート・チケットの値段を上げる、コンサートの際にグッズの販売などで副収入を得る、ダイレクトにチケットを販売してチケット販売の利益率を上げる(顧客データベースの活用を含む)……といったビジネス上の工夫をして、収入を得ている。「近年、コンサートのチケットが高い」と感じている読者は多いのではないか。

一将棋ファンのサンプルとして、筆者自身について考えてみよう。筆者は学生時代に将棋部に在籍し、現在の棋力はアマ四段程度だ。プロの将棋は、主なタイトル戦や順位戦(名人戦の予選であると同時に、棋士の格付けに大きく影響する棋戦)の多くをネットで観戦している。敢えて自分で言うが、将棋連盟としては、「有望な見込み客」だ。

318名無しさん:2015/05/16(土) 22:03:11
>>317
しかし、筆者が将棋に定期的に支払っているお金は、直接的には、順位戦をネット中継で観戦するための月間500円(@niftyのサービスによる)と、雑誌「将棋世界」の毎月の購読料750円程度にすぎない。年間で、たった1万5000千円だ。これを、顧客である筆者の満足度の向上を伴いながら、できれば10倍、せめて5倍くらいまで高めることができないか。

ちなみに、別の趣味である競馬では、馬券収支の差し引きで1ヵ月に2万円くらい負けることを「普通だ」と許容している(この費用の、心の会計上の分類は「教養娯楽費」だ)。ほどよい時間で十分楽しめるなら、筆者は、将棋にもこれくらい払ってもいいと思っている(競馬もやめるつもりはないが)。

ちなみに、筆者の息子は1年前から、将棋連盟で開催されている子供将棋スクールに通うようになり、月間6000円の月謝(年間7万2000円)を払うようになったが、これは、たまたま息子が将棋に興味を持ち、彼の母親が連盟の子供将棋スクールを見つけたからで、将棋連盟が筆者から稼いでいるものではない。

健全だが、消極的とも言える経営

 ところで将棋教室は、将棋の家元(的)ビジネスを営む将棋連盟にとって重要な収入源だが、一つだけ改善を望む点を指摘すると、現在、千駄ヶ谷にある将棋連盟の本部の建物(将棋会館)は、キャパシティが不足している。教室を開く部屋の数も足りないと思うし、子供が教室にいる間に親が待つ場所が極めて不自由だ。

筆者は、娘が日本棋院の囲碁教室に通う際に同行したことがあるが、子供のための教室の数とスペース、親が待てる待合室などの設備は、東日本の囲碁の総本山である日本棋院の方が圧倒的に良い。

熱心な将棋ファンからの収入を「深掘り」していくことが重要だとする仮説に従うなら、将棋会館は、そのための場としても重要だ。

将棋連盟は、もっと大きな本部を作るか、移転する必要があるのではないだろうか。熱心な将棋ファンに対して、今後さまざまな「プレミアム感」のあるサービスを提供するにも、もう少し大きくて綺麗な「箱」が要る。

319名無しさん:2015/05/16(土) 22:03:40
>>318
一方で、年間売上高が二十数億円の一中小企業であるという将棋連盟の経済実態を考えると、不動産への投資には慎重でなければならないという事情はある。しかし、将棋連盟のバランスシートを見ると、総資産約21億円に対して、流動負債は3億2600万円で、その大半が未払い金と前受金であり、固定負債に至っては、退職給付引当金が1億3500万円あるだけで、要は大きな借り入れがない。これは、健全経営ともいえるが、企業としては、ずいぶん消極的な経営である。

コンピューターに勝てなくなった時の、人間の強みとは

 さて、将棋産業のメインコンテンツであるプロ棋士どうしの対局は、現在のままでいいのか。あるいは、ビジネス上、もっと工夫の余地はないのか。
将棋というゲームは、観戦している第三者にとって勝敗がわかりやすく、見ていて実にスリリングなゲームだ。負けると本当に悔しいゲームなので、勝敗がつくまでの過程には「頭脳の格闘技」の趣がある。

一方で、一局の将棋の観戦には、持ち時間の短い棋戦でも数時間を要し、観戦者にとっては時間のコスト負担が大きい。これが、商品としての将棋対局の大きな難点だ。

名人戦や順位戦の上級クラス(A級とB級1組くらいまで)では、伝統の継承という意味でも、持ち時間の長い将棋があってもいいと思うが、「見せる」ことを考えると、全般に持ち時間を短縮してスピードアップを図るべきだ。

また、対局の映像(格闘技において、戦う人間の動画映像は必須だ)を編集して一局をスピードアップして見せるような仕掛けを考え出せば、現在棋譜が世に出ていない対局も含めて、多くの観戦者を集められるのではないか。棋士はプロフェッショナルである以上、対局あるいは棋譜を観る顧客がいて、初めて報酬(対局料)に見合う仕事をしていると言えるのだと思う。

なお、B級2組以下の順位戦は、対局数が少ない一方で(各組とも1人10局)、戦う相手の組み合わせによる有利・不利の違いがあまりにも大きい(B級2組の棋士は24人、C級1組は34人、C級2組は46人もいる)。実力に近い結果を得るためにも、持ち時間を短縮して、もっと対局数を増やすべきではないか。

また、早指しで一日あるいは二日で優勝者が決まるような、進行の早い「興業」があってもいい。アマチュアや女流棋士にも参加枠を与えて賑やかにやれば、集客力のあるイベントになりそうだ。

 持ち時間の短縮された早指し戦を増やしすぎると、将棋の内容が荒れる可能性はあるが、棋士の事前研究が進んでいる今日であれば、内容が酷く荒れることはないと想像する。

後の話題とも関係するが、生身の棋士がコンピューターに勝てなくなった時、価値の源泉となる「プロの凄さ」は、「一定の時間の制約の中でいかに頭脳と精神の力を発揮するかに」移行せざるを得ない。もちろん、ビジネスとしても、観戦者の立場で見た「時間」と、その時間を前提とした「見せ方」を考える必要があろう。

他方、名人戦のような戦いをじっくり味わいたいファンに対しては、入場料が安い大盤解説会だけでなく、プロ棋士による検討・解説付きで、食事付きといった密度の高い「もてなし」を伴った、プレミアム料金(数万円?)の観戦を用意してもいいだろう。そのためにも、もっと大きくて整備された「箱」が必要だ。

320名無しさん:2015/05/16(土) 22:04:09
>>319
 将棋連盟の事業ではないが、現在A級に在籍している橋本崇載八段は、東京・池袋で、将棋とバーを組み合わせた店を出しているとのことだ(一度お邪魔してみたい!)。現在の経営状況は存じ上げないが、これはビジネスモデルの方向性として、案外オーソドックスな試みと言える。

コンピューターとプロ棋士を「混ぜた」時の面白さ

 コンピューターと人間(プロ棋士)との戦いは、当面、関心を呼ぶ話題になるだろうが、前述のように、いずれは人間が勝ちにくくなる状況が予想される。コンピューターの将棋は、ハード、ソフト両面から今後も強くなるだろう。

特に、持ち時間が短くなる戦いでは、遠からぬ将来、普通のノートパソコンにインストールされた商用将棋ソフトに、プロ棋士がどんどん負けるような状況になってもおかしくないと思う(少なくとも、そうなることのビジネス・リスクは想定しておくべきだ)。

将棋において人間が最強ではなくなった時、あらためて、限界を抱えた人間同士の頭脳の格闘技としての将棋の「魅力」やその「見せ方」を考えなければなるまい。

さらに、ここで視点を変えるなら、コンピューターを積極的に使った将棋の戦い方を考えたい。

 たとえば、「プロ棋士同士が、実力を一定レベルに揃えたコンピューターを使っても構わない」として戦うと、どうなるのだろうか。

また、棋士が、コンピューターに与える判断条件や戦い方の選好などの設定を変えて、自分の棋風にチューニングしたプログラムを作り、プログラム同志を戦わせるとどうなるだろうか。このやり方なら、アマチュアも相当程度、プロと互角に近い戦いを挑むことができるだろう。将棋ソフトをプラットフォームとしたアマ・プロ戦も楽しい。

仮に、将棋ソフトの手を読むエンジン部分を共通にして、局面の評価や作戦などを選ぶ部分をチューニングできるようにすると、似たレベルの強さの下で個性の豊かなプログラムを作ることができるだろう。プログラム同志の選手権争奪戦も興業として可能だし、棋士の個性が反映されたプログラムを商品化して、棋士と将棋連盟がライセンス料を取るようなこともできるだろう。

321名無しさん:2015/05/16(土) 22:05:35
>>320
 将棋ソフトに人間(棋士)の個性を加えたり、あるいは人間が将棋ソフトを使いながら将棋を指したりするスタイルは、将棋の教育にも使えるのではないか。たとえば、オンラインの道場を作り、先生側が生徒のレベルや個性にチューニングしたプログラムを使って、ときどき人間の指し手を交えながら生徒の相手をし、トレーニングと共に棋力認定を行う、といったサービスが考えられる。将棋ソフトを効果的に使うと、教える側の人数が少なくても、多くの生徒の相手ができるはずだ。

生徒側はスマートフォンを使ってもいいだろう。棋力認定の対局を毎月2局くらい無料にして集客し、多くの対局や指導を望む顧客に課金する、というビジネスモデルはどうだろうか。

将棋が強く、経営者としても優秀な「奇特な天才」

 また、プログラムを相手に将棋を指したとしても、後の講評を人間(レッスンプロ)が、スカイプのようなサービスを通して動画と肉声でやってくれるなら、かなりプレミアム感のある(つまり、お金を取ることができる)サービスになりそうだ。講評する際にも将棋ソフトが役に立つことは間違いないが、内容、声、言葉、映像などで生身の人間を「混ぜる」と、一段と良いサービスになるのではないか。

思うに、相手の映像(動画)あるいは肉声は、オンラインの対局でもあるといい。将棋の指し手だけをやりとりするのではない、相手の姿が見えるオンライン将棋道場を作ると楽しいのではないか。快適な環境を作ることができれば、課金も可能だろうし、ローコストでの提供が可能になれば、基本的サービスは無料化して、トレーニング、棋力認定、講評などを有料オプション化する形で行けるかもしれない。

あれこれ考えてみたが、コンピューター・プログラムやネットを積極的に使った将棋の競技、教育、オンラインも含めたゲームなどには、面白い可能性が十分にありそうに思う。ビジネス主体としての将棋連盟は、この分野の研究・開発に投資すべきではないだろうか。

 コンピューターとプロ棋士を小出しに戦わせても、話題が保つ時間はたかが知れている。むしろ、その間、コンピューターと共存する将棋ビジネスの展開が遅れることがもったいない。プロ将棋界は、コンピューターとネットワークの積極的な取り込みを図るべきではないか。

322名無しさん:2015/05/16(土) 22:10:28
>>321
将棋連盟の経営の現状は詳しく存じ上げないが、将棋をビジネスとして考えることのできる、競争力のある「経営陣」(一人の「経営者」では無理だろう)が必要に思える。ただし、一人一人が「天才」だという自意識を持ち、一家言も持った一国一城の主であるプロ棋士約200人の組織を経営するというのは、想像するだけで悪夢に近い仕事だ。

棋士に文句を言わせないくらい将棋が強く、同時にビジネスにも熱中する「奇特な天才」が将棋界にいてくれるといいが、これは難しいかもしれない。

さりとて、ゲーム会社、マネジメント会社、企画会社、コンサルタントのような外部の主体にビジネスとしての将棋の展開を大きく委ねる方式を成功させるのも大変だろう。将棋ファンとしても心配だ。

盤上のゲームとしての将棋も難しいが、ビジネスとしての将棋も大いに考えるに値する大きなゲームである。

323名無しさん:2015/05/22(金) 23:32:15
http://www.hozo.biz/shogi/
https://www.google.com/webhp?sourceid=chrome-instant&ion=1&espv=2&ie=UTF-8#q=%E5%B0%86%E6%A3%8B
http://matome.naver.jp/odai/2141571824016867801?page=2
http://www14.big.or.jp/~ken1/application/shogi.html

324名無しさん:2015/05/24(日) 18:09:44
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150516-00000077-spnannex-ent
将棋界の藤川球児に…今泉健司氏 41歳遅咲き男の夢への挑戦
スポニチアネックス 5月16日(土)9時15分配信

 将棋のプロ編入試験に合格して先月1日、戦後最年長の41歳でプロ棋士となった今泉健司四段。3月末に上梓した著書「介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど晩成しました」(講談社)でつづった夢を追い続ける姿勢が、将棋ファンはもちろんそれ以外の読者の共感を集めている。遅咲きのルーキー。根っからの阪神ファンだけに、かつての守護神・藤川球児投手(34=現レンジャーズ)の名を挙げ「苦労した末に抑えに転向してブレーク。そういう姿が思い浮かびます。ただ、私はまだ咲いてませんが…」と自身と重ねて快活に笑う。

 夢をかなえるまでの長い道のり。プロ棋士養成機関「奨励会」に入ったが、年齢制限の26歳までにプロになれず退会。その後2度目の入会がかなったものの、やはり結果を出せず2度目の退会を余儀なくされた。著書の中では「甘かった」と記し、「負けるのは自業自得。ただ、当時は“勝って当然、負けたら心外”とふて腐れ、自分が悪いということを真摯に認める力がなかった」と振り返る。

 2度目の退会時ですでに35歳。さすがに「プロになるのは無理」とあきらめかけたが、元奨励会員の立場から特例でプロ編入試験を受けて合格した瀬川晶司五段の存在が、再び自身のプロ入りへの夢に灯をともす。そして、自身の心境に最も変化を与えたのが、その後経験した介護士としての日々だった。

 認知症の人たちに感謝の言葉をもらううちに、自然と感謝の気持ちがわいてきたという。「ありがとうがありがとうを呼び、感謝が感謝を呼ぶんですね」。また人の死と接することで悔いのない生き方を強く意識するように。「将棋しか知らなかった人間が将棋以外のことで信頼や自信を得て、それが大きく将棋に生きた気がします」と力を込めた。

 プロになって約1カ月半。10年以内に昇級しなければ即引退と、依然過酷な戦いは続く。それでも夢は「タイトル戦に出て活躍すること」ときっぱり。「アマチュア時代にには描けなかった夢を今は描ける。道は険しいけどゼロじゃない。去年の今頃にはこんな思いさえ抱けなかったのですから、こんな幸せなことはないです」。

 生粋の虎党。「藤浪(晋太郎投手)よ、しっかりせい!持ってるものが違うから余計に今の成績では歯がゆい…」など、阪神の話になったら止まらない。そこで“阪神”と“遅咲き”の2つの言葉で水を向けると「思い浮かぶのは藤川選手でしょうか。先発で投げて苦労して“いつクビになるか分からない”と思いながら、それでも抑えに転向して日の目をみた。松坂世代で一番遅れてきた選手。25歳という選手としては剣ヶ峰のところで開花した…そういう姿が思い浮かびます」。また「これから咲こうという選手」として上本博紀内野手の名も。「選手会長にもなられたし、咲いてくれることを期待して」と自身に言い聞かせるかのようにエールを送った。

 13日のプロ初戦を白星で飾る絶好の滑り出し。「立派でもない、こんな自分でも夢をかなえることができる。それを伝えたい。将棋を通じてでも、そうでなくても“またこいつに会いたい”と思ってもらえる。そんな人間になっていきたいですね」。オールドルーキーの新たな人生が動き出した。

 ◆「介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど晩成しました」(講談社刊) プロ棋士になるべく中学2年生で奨励会に入会したものの、2度の退会を経験。それでも自身の努力と周囲の支えを受けて復活した今泉健司四段の生い立ちから、挫折、そして夢をかなえるまでをつづった。「可能性に蓋をしなければ、年齢なんて関係ない」。今泉氏の名言も満載。

325名無しさん:2015/05/24(日) 18:33:52
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150404-00000000-isd-game
【オールゲームニッポン】日本の新しいもの好き、進取の精神(第17回)
インサイド 4月4日(土)0時0分配信

毎週土曜日0時からお届けしている「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」。第17回目は、前回から続いて「三つ良し」の話題からスタート。そして話は日本人のロボット好きへと展開していきます。



平林 前回、日本が切り開くかもしれない新しい資本主義のかたち。「公益資本主義」の話題になりました。そこで、昔からの日本の商人の教え「三つ良し」の例を紹介しました。
安田 「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」。売り手が欲望を満たすだけではなく、買い手、さらに世間のためになるようにしなさいという教えですね。
平林 はい。ところで、この話。「けっして日本オリジナルではないんじゃないか」と突っ込まれるんじゃないか。内心、ハラハラしていたんです。日本語で言えば「買い手よし」だけど英語で言えばカスタマーサティスファクション(CS=customer satisfaction)ではないか。世間良しだって、企業の社会的責任(CSR=corporate social responsibility)のような用語もあるわけでして。
安田 確かにありますよね。
平林 似たような用語を見つけることができるのですが、何かが違うと思います。この違いについていろいろ考えまして……日本は「道の精神」とでも言うのでしょうか。商道という言葉もあるくらいで、欲望に対して抑制的なのかなと思いました。
土本 「道の精神」ですか?
平林 制約の中で競う。カタチを重んじる。花をいっぱい生けて「ドヤ、きれいだろ」というのはナシ。流儀を重んじて美を競って、その工夫の成果を「華道」という、こうした精神ですね。
安田 抑制的というのは、日本人の商売を語るうえでのキーワードになるかもしれませんね。住友家の家訓にも「浮利を追わず」というのがあるじゃないですか。社会的な価値がない一時の利益を求めるな、という戒めです。
平林 それに比べて……と言っては語弊があるかもしれませんが、アメリカ型の経営学の基本は「利益の最大化」。最大化を常に念頭に置いたうえで顧客満足度を計算しているイメージがあります。
安田 あと、やはり日本人は進歩的なんじゃないでしょうか。俗っぽく言うと新しいもの好きということですが。
平林 新しいもの好き?
安田 はい。単純な話ですが、西洋で近代経営学が生まれる以前から「三方良し」とか「浮利を追わず」とか、当時の価値観から見たら斬新なことを唱えていたと思うんです。
平林 確かに。住友家の教えは400年続いていると聞いたことがあります。チラシの配布や顧客の好みに合わせたバイヤーの育成、返品可能な販売方法など。マーケティング活動の原型は、1683年に開業した越後屋(今の三越)が生んだとも言われてますよね。
安田 これは僕の主観が交じりますが、ヨーロッパの企業哲学というのは保守的だと思っています。歴史・伝統を大切にして新しいものには、飛びつかない。
平林 ゲームでいうと、アナログのボードゲームを好む感じでしょうか?
安田 近いかもしれませんね。ぶっ飛んだことを考えるところから着手するのではなくて、歴史や伝統を重んじた態度で企業経営をする。こうした考え方の根底には、ドイツ語でゲマインシャフトとも言いますが、地縁・血縁で結ばれた共同体を大切にしてきたこと。そして、おそらくこれはキリスト教的な倫理観とつながっているとも思うんですよ。
平林 キリスト教と保守的。そうなんですよね。天動説と地動説の対立からもわかるように、中世のキリスト教って、科学の進歩を戒めていたところが多々あります。このコーナーでは以前に、絵の話、色の話になって。キリスト教は混色を禁じていたという話も出ましたが、人が神様以上の知識や能力を持ってはいけないという考え方が、ヨーロッパでは浸透しているように思えます。
安田 対比すると、日本にも「神をも恐れぬ」という価値観は当然あるわけですけれども、技術の進歩を神への冒涜とはあまり考えません。むしろ神道的な考えでいえば、新しいものは清浄なものととらえることが多いくらいです。
平林 唐突ですが、日本人のロボット好きは異常じゃないですか?
安田 みんな好きですね、ロボット。

326名無しさん:2015/05/24(日) 18:34:04
>>325

平林 またまた将棋電王戦の話をしてしまいますが、チェスでも人間対コンピュータの戦いはあります。ですが、将棋電王戦はぶっ飛んでいて、駒を持って盤上で動かすロボットまでつくってしまって。しかも、このロボットが異常なまでに進化してるんです。
安田 どこかの大手メーカーさんがつくったんでしたっけ?
平林 デンソーです。高級・高価な将棋の駒を吸盤でつけるのは邪道なので、指でそっとつまみ上げる機能がついています。従来はこのロボットに「電王手くん」という名がついていましたが、くんづけするのは忍びないということで、今年のモデルから「電王手さん」とさんづけすることになりました(笑)。


デンソーが開発したロボットアーム「電王手さん」
安田 さすが、新しいもの好き、日本(笑)。
平林 ロボットというのは、とらえようによっては人間の身体や生命に近い存在です。キリスト教的に考えると、こういうものをつくってしまうのは抵抗感があるはずです。ところが日本人的な感性からすると、工作好きの高校生も一級のエンジニアも、つくるのがおもしろくて仕方ないのがロボットなんですよね。
安田 新宿でしたか。外国人観光客の方たちが集まるロボットのレストランがありますが、現代におけるロボットは新しいもの好き日本の象徴なのかもしれませんね。
平林 子供の頃、神棚と仏壇を毎日拝んでいる祖父母を見てきたせいでしょうか。日本的なもの=古いものと捉えてました。中学生の頃になると洋楽とかを聞いて、西洋的なもの=新しいもののイメージができるわけです。ところが、宗教や歴史を学んでいくと日本の新しいもの好き、進取の精神に気づくことになります。そのいっぽうで、キリスト教や西洋の保守的な面にも気づきます。このイメージの置き換え作業は、年月を重ねてできるようになったという感覚があります。

(つづく)

327名無しさん:2015/05/24(日) 18:35:00
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150330-00000062-it_nlab-sci
将棋電王戦FINAL第3局は「やねうら王」がソフト側初勝利 人間有利の前評判を覆したのはまさかの「電王手さん」
ねとらぼ 3月30日(月)16時50分配信

 3月28日、プロ棋士と将棋ソフトが戦う5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」の第3局、稲葉陽七段対やねうら王の対局が行われました。

 第1局、第2局を連勝したプロ棋士側は、ここで勝って電王戦史上初の勝ち越しを決めたい状況。また、稲葉七段は今回出場する5人の中で最も勝てる可能性が高いのではという前評判がありました。その根拠となるのが稲葉七段が事前の研究で発見した「門を開けて待つ作戦」。あえて自陣に隙を作り、相手の飛車をおびき寄せてから取ってしまうというもので、開発者の磯崎元洋さんも「回避できなければワンサイドで負ける可能性が高い」とその作戦が極めて有力であることを認めていました。

 人間側が連勝していることもあってか、ニコニコ生放送の解説陣の雰囲気も明るめ。以前も無茶振りでおやつ食レポをさせられた糸谷哲郎竜王は、結び目のない不思議なネクタイの結び方で登場するという妙手を披露して案の定視聴者にツッコまれたり、「好きな女流棋士は誰ですか?」と質問されてたじたじになるなど、すっかりいじられキャラとして定着してしまいました。また、電王戦の「天の声」を担当している声優の岡本信彦さんもゲストで登場。アマチュア三段の実力を持ち一時はプロ棋士を目指していたという岡本さんは、深浦康市九段と息の合った解説を行ってその「ガチ勢」っぷりを見せつけたり、本人が舞台にいるのに岡本さんのナレーション(録音)が会場で流れるユニークな光景に、コメントも「腹話術上手いな」などと盛り上がっていました。

 序盤は稲葉七段が事前の宣言通り、やねうら王を「横歩取り△3三桂戦法」の形に誘導。やねうら王の癖を知り尽くしているかのような頼もしい指し回しを見せます。ところが稲葉七段は途中、「門を開けて待つ作戦」を決行しない形に方針を転換。やねうら王を誘導しているかに見えた稲葉七段でしたが、終局後の会見によると、実は事前練習ではほとんど登場していない危険な変化がある局面に誘導されてしまっていたそうです。

 稲葉七段はなんとか優位に立とうと強く攻めに踏み込みますが、逆に自分の形勢を損ねてしまう展開に。1000点以上の差がついたら逆転は難しいと言われるソフトの評価値でも、5000点以上の差が開いてしまいます。コンピュータの弱点とされる「入玉(自分の玉が相手陣に進入した状態)」を狙いに懸命の粘りを見せましたが、やねうら王が稲葉七段の読みを上回る好手でそれを許さず、116手にて投了となりました。

 稲葉七段はやねうら王を「対策の立てやすいソフト」と分析しており、練習では5割弱の勝率を誇っていたそうです。ソフト側はプロの事前研究を避けるため指し手や考慮時間にランダム性を加えるなどの工夫が施されている場合がありますが、やねうら王は棋力が大きく下がってしまうという理由から研究対策をしていなかったため、稲葉七段の誘導にハマりやすかったことがこの理由。

 ところが、本番では指し手の入力や代指しロボット「電王手さん」が動作する間に数十秒のタイムラグが生まれます。磯崎さんによると、このわずかな考慮時間の間にやねうら王の読みが深まり、稲葉七段が練習対局をしていたときとは指し手が変化したとのではないかとのこと。やねうら王公式サイトでも勝因について詳しく分析しています。また、稲葉七段も「楽に勝ちたいという心の隙が出てしまった」と自分のミスを悔やんでいました。

 第1局では指し手をランダムに選ぶAperyのプロ棋士対策が本番で緩手につながり、第2局では「角成らず」をSeleneが認識できないなどコンピュータ将棋ならではの展開が続いている今回の電王戦。第3局ではまさかの「電王手さん」が勝負を分ける結果となりました。

328名無しさん:2015/05/24(日) 18:35:57
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150412-00000014-it_nlab-sci
電王戦最終局、異例の「21手投了」に至ったAWAKEの真意は 「一番悪い手を引き出して勝っても意味ない」
ねとらぼ 4月11日(土)20時4分配信

 既報の通り、阿久津主税八段が勝利を収め、プロ棋士側が3勝2敗で勝ち越した「将棋電王戦FINAL」。4月11日に行われた最終局では、AWAKE側がわずか21手で投了を宣言し物議をかもしましたが、対局後の記者会見でもやはり、AWAKEの「21手投了」という決断に質問が集中しました。

 AWAKEは以前、「電王『AWAKE』に勝てたら100万円!」という企画でアマチュアと対戦した際、「自陣にあえて隙を作ることで、AWAKE側に持ち駒の角を打たせて捕獲してしまうことができる」という、ある種の「ハメ手」が見つかっていました。今回、阿久津八段もこの指し方を採用し、AWAKEの角を自陣へ誘導することに成功。この直後、AWAKE開発者・巨瀬亮一さんが投了を宣言し、AWAKE側の負けが決まりました。このまま続行してもAWAKE側にとって相当に不利な状態だったことは確かですが、それでもかなり早い段階での投了宣言に、会場は一時ピリピリとした空気に包まれました。

 記者会見で投了の意図を問われた巨瀬さんは、「ハメられる形の中でもかなり損している局面。あのまま指し進めても勝ち目はなかった」と説明。また阿久津八段の指し手に対しては、「すでにアマチュアが指して知られているハメ手をプロが指してしまうのは、プロの存在意義を脅かすことになるのでは」「一番悪い手を引き出して勝つというのは、何の意味もないソフトの使い方」と厳しいコメントを寄せました。

 一方、試合前には「(ハメ手について)人間相手にはやらない作戦のため葛藤もあった」と述べていた阿久津八段でしたが、どういう心境でこの手に至ったか記者から問われると、「事前にソフトを貸し出していただくというルールの中で、自分にできる最善ということでこの作戦を選びました」と回答。ニコニコ生放送のコメントでも「勝つために最善を尽くすのがプロである」という意見と、「勝つだけでなく面白い勝負をするのがプロ」という意見どちらも見られ、あらためて「電王戦」という特殊なルールにおける対局の難しさをうかがわせました。

※当初「阿久津八段が角を取った」といった書き方をしていましたが、実際は取る直前の状態でAWAKE側がすでに投了を宣言していました。お詫びして訂正したします

329名無しさん:2015/05/24(日) 18:45:01
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150326-00000051-it_nlab-cul
将棋電王戦FINAL 第3局――人類初の“勝ち越し”をかけて 稲葉陽七段 VS. やねうら王の見どころは
ねとらぼ 3月26日(木)20時40分配信

 こんな結末、誰が予想できたというのか。そう言いたくなるような対局だった。先週行われた将棋電王戦FINAL 第2局は、過去の電王戦対局史上最も衝撃的とも言える幕切れとなった。数十万人がリアルタイムで戦況を見つめる中、この結果をわずかなりとも想像できていたのは、まぎれもなく永瀬六段ただ一人だけであったはずだ。

 人間のプロ棋士とコンピュータ将棋ソフトの5番勝負「電王戦FINAL」、これで戦績は棋士側の開幕2連勝。過去2回の団体戦ではそれぞれ1勝ずつしか挙げられなかった棋士側は、今週末の第3局で勝利を挙げれば、団体戦として初の勝ち越しを早々に決めることとなる。

 この重要な局面で舞台に登場するのは、稲葉陽(いなば・あきら)七段とやねうら王。今回も対局者のプロフィールと見どころを紹介していく。

●「10年くらい怒ってない」 超マイペースな“第3の刺客”

 稲葉陽七段は兵庫県西宮市出身の26歳。のちにアマチュア強豪として活躍することとなる兄とともに将棋を覚え、兄に遅れること1年、12歳でプロ棋士養成機関である奨励会に入会した。当初は思ったように成績が伸びず、「僕の見込み違いだったんかな、みたいなね」(師匠の井上慶太九段)。

 しかし、同じ井上門下生だった兄が奨励会を退会した頃から徐々に流れは変わり始める。「(兄の退会を見て)心境が変わったのか、取り組み方が変わったのか。本当にがらっと将棋の内容も変わった」(井上九段)。三級から三段までは一気に昇級昇段を重ね、気づけば他の兄弟子も追い抜いて19歳でプロ棋士デビューを果たした。

 プロ入り後すぐの棋聖戦では上位者を次々と破る快進撃を見せ、羽生善治棋聖への挑戦にあと一歩のところまで迫る。その後も竜王戦6組の優勝、順位戦での昇級など着実に結果を残し、2013年の銀河戦ではついに全棋士参加の棋戦で優勝。七段に昇段する。

 同じ井上門下には、第2回電王戦に出場した船江恒平五段と、第3回電王戦に出場した菅井竜也六段がいる。3人とも歳が近く、月に2度は一緒に食事(焼肉が多いとのこと)に行くなど、結束は固い。「少しずつ性格が違う3兄弟のようなものですね。焼肉のときは将棋の話が中心になるので、皆ウーロン茶です」(船江五段)

 船江、菅井とは違って「師匠から怒られた記憶はあまりない。忘れてるだけかもしれないけど」(稲葉)。また、自分が怒ったことも「ここ10年くらいはない」とのことで、トップ棋士に必要不可欠な安定したメンタル面(?)を持っているとも言えるだろう。

 今回の電王戦には「井上門下第三の刺客」として臨む。それぞれに熱戦を演じながらも、苦杯をなめた2人の“兄弟”の仇を討つべく、内なる青い炎を燃やす。

>身近な人(兄弟弟子)が相当な努力をして、ある程度の実力もあった上で努力をして、結果が出せなかったというのがあって。やっぱり(コンピュータソフトは)すごい相手なんだなと思いましたけど。

>普通にやってて勝てないなと思ったら、まあプライドを捨てることをしないといけないな、という覚悟は多少持ってましたけど。現状はそういう感じでもないのかな、と思います。

(稲葉陽――「電王戦FINALへの道」より)

330名無しさん:2015/05/24(日) 18:45:15
>>329

●ケレン味たっぷり 天才流の「おもてなし」なるか

 ソフト側の3番手として登場するのは、磯崎元洋(いそざき・もとひろ)さん、通称やねうらおさんが開発した「やねうら王」。コンピュータ将棋にそれほど詳しくない人でも、昨年の電王戦について少しでも知っている人なら、このソフト名に聞き覚えがあるかもしれない。

 あるいは、電王戦についてまったく知らなくても、「やねうらお」の名前だけは知っている――そんな人もいることだろう。1998年ころにWeb上で多くの人を夢中にさせた音楽ゲーム「BM98」の作者として、だ。

 やねうらおさんがプログラミングを始めたのは5歳のとき。NECのマイコン「TK-80」を使って、数字をモグラに見立てたモグラたたきを作るなどして遊んだ。高校まではゲームの解析を趣味とするなど「プログラミング三昧」の日々を送っていたが、大学卒業後はプログラミングとは関係のない梯子メーカーに就職する。

 ここでの退屈な日々の中で、BM98は生まれた(この時の経緯は、ドワンゴ川上会長との対談記事に詳しい)。その後、もともと興味を持っていたコンピュータ将棋開発に乗り出すが一旦は頓挫し、再挑戦の末に出場した第1回電王トーナメントではいきなりの入賞。第3回電王戦への出場権を獲得した。

 が、本番前に大きなトラブルが勃発する。やむをえない事情で行ったというバグ修正によってソフトの棋力が大きく上昇し、修正を行ったやねうらおさんとそれを認めたドワンゴに強い非難の声が寄せられたのだ。結局対局は修正前のソフトで行われ、勝利はしたものの後味の悪さは多くの人の胸のうちに残った。

 そんな中、今年も電王トーナメントを勝ち抜いたやねうら王が新たに搭載するのは「やねうらおもてなし定跡」。ネガティブな意図を込めて「ソフトのデバッグ作業」などとも呼ばれるプロ棋士の対ソフト向け研究を、対人戦にも実りあるものとするために搭載した機能だという。

 どうしても、その突飛すぎるエピソードや特徴的な言動ばかりが目立ちがちなやねうらおさんだが、プログラマーとしての実力を疑う声は聞いたことがない。自他ともに認めるその“天才性”が正しく理解されれば、これ以上電王戦を盛り上げてくれる役者もいないだろう。

>やねうら王は人間が考えだしたいかなる定跡も搭載しない。

>やねうら王は人間が生み出したいかなる棋譜も参考にしない。

>やねうら王は従来のいかなる将棋ソフトの流れも汲まない。

(やねうらお――「第2回電王トーナメント アピール文書」より)

331名無しさん:2015/05/24(日) 18:45:27
>>330

●第3局の見どころは――稲葉が飛車を切り飛ばすとき

 記事冒頭にも記した通り、本局は団体戦形式の電王戦が始まってから3年目にして、初めてプロ棋士側の勝ち越しがかかった一局となる。

 ニコニコ動画で毎日公開されていた「電王戦FINALへの道」を最初から最後まで見通した方ならきっと同意してもらえると思うが、稲葉七段は今回の5人の出場棋士中、最も“自信”があるような振る舞いを見せている。棋士側としては「ここで決めておきたい」と考えるのは当然のこと。

 この後に控えるソフト側の副将・Ponanzaと大将・AWAKEは強い。電王戦出場ソフトに弱いソフトなど一つもないが、これら2つはさらに異次元なまでに、強い。

 第3局の具体的な作戦としては、横歩取りからのとある進行が挙げられる。角を端に出てわざと自陣に隙を作ることで、相手の飛車を侵入させ(成らせ)、その上で角を戻して閉じ込めてしまう、という方法だ。稲葉七段自身が「門を開けて待つ」と表現した進行である。

 この進行についてはやねうらおさんも言及しており、「回避できなければワンサイドで負ける可能性が高い」「そういう意味では開始早々1時間以内に明暗分かれます」とのこと。さらに「回避できる確率はおそらく30%ぐらい」とも記している。一方の稲葉七段は、練習対局時には「(こう進む確率は)4割から5割くらいかもしれない」としており、感覚値に多少の差はあるようだが、いずれにせよ低くない確率でこうした局面が出現する可能性があると見ておいてよいだろう。

 また、それ以外にも「いくつかの戦型を想定しているんですけど、それぞれにこうなったら勝てるかなというのが想定できているのがほとんどなので。勝てるイメージというのがある程度具体的になってきているのかな」と頼もしい発言も出ている。

 一方で、「これだけやって、最初の20手以内とかで全然知らないことやられたら動揺するでしょうね」との声も。これまでの電王戦を観戦していても、対ソフト戦では必ずどこかで予想外の一着が出てくることを覚悟しておくべきだが、その一手(あるいは数手)がどのタイミングで出てくるか。

 「コンピュータが一番苦手なのは終盤の入り口あたり。そこでギアチェンジというか一気に激しくするような展開にするために、大駒を切り飛ばすというのが大事なポイントになると思うので、そのときに飛車を切り飛ばして勝てたらいいなと思います」

 稲葉が飛車を切り飛ばすとき、人類チーム初の勝利が見えてくるか――。電王戦FINAL 第3局は3月28日、北海道・五稜郭で対局が開始される。

※やねうらおさんの発表を受けて、稲葉七段の作戦について一部追記しました(3月27日午後8時)

332とはずがたり:2015/05/24(日) 18:55:10
任天堂の“重課金”転換に懸念の声 「いくらなんでもこれはひどい…」
http://www.sankeibiz.jp/business/news/150523/bsj1505231718001-n1.htm
2015.5.23 17:18

 任天堂がソーシャルゲーム大手のディー・エヌ・エー(DeNA)と資本業務提携し、スマートフォン向けゲームに参入する。発表後に株価は上昇し、投資家の評価は悪くない。一方、スマホ向けはゲーム本来のおもしろさよりも「いかに課金させるか」に重点が置かれがちで、熱中した人が1カ月に数十万円請求されるなど社会問題化したことがある。そんな中、任天堂はゲーム専用機で“課金的”な追加費用が必要なソフトを発売する予定で、任天堂が「重課金」に舵を切るのではと懸念が高まっている。(藤原直樹)

 全て遊ぶと9千円超

 「いくらなんでもこれはひどい…」

 任天堂が6月25日に発売予定の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」向けゲームソフト「ファイアーエムブレムif」がファンの間で波紋を広げている。

 このゲームは途中でストーリーが分岐するが、それぞれ「白夜王国」「暗夜王国」として別のゲームとして発売する。両方のストーリーを楽しむためには、2本のソフトを購入するか、インターネットを通していずれかを追加でダウンロードしなければならない。

 さらに3本目のストーリーのネット配信も予定しているという。価格はソフトがそれぞれ1本5076円、ネット配信がそれぞれ2千円で、すべてのストーリーを遊ぶためには最低でも9076円が必要な計算になる。これは、5千円以下のソフトが多い3DS向けとしては高額だ。

 すべてのストーリーをセットにした上で特製アートブックなどの特典がついた限定版(9990円)も発売される。こちらは予約だけで予定の数量を上回り、発売前にもかかわらずネットオークションで高値で取引されている。

 こういった追加のストーリーなどをネットで有料配信する手法は「ダウンロードコンテンツ」と呼ばれ、現在では多くのゲームで普通に行われている。

 任天堂もこの流れに沿ったものといえるが、子供に人気の高い任天堂だけに反響は大きく、課金ビジネスへの転換と見る向きも多い。

おもしろさより課金?

 任天堂が参入するスマホ向けゲームの世界はさらに課金が徹底している。… 任天堂はスマホ参入発表後に株価が大幅に上昇した。ゲーム専用機でも特に据え置き型ゲーム機「WiiU(ウィー・ユー)」が不振を極める中、スマホ参入はもともと投資家からの要望が強かった。これまで否定的だった任天堂の方針転換は株式市場からひとまず信任された格好だ。

 ゲーム業界に詳しいアナリストは「任天堂のゲーム開発力はいまだに世界屈指のレベル。マリオなどキャラクターの人気も高く、スマホで旋風を起こす実力はある」と分析する。

任天堂のスマホでの展開に期待が高まっているが、ゲーム本来のおもしろさで子供から大人までに愛される任天堂が安易な課金に走ればファン離れにつながることは間違いない。岩田聡社長も「子供向けにふさわしくないことをやるつもりはない」と発言している。… 任天堂が課金を重視した戦略をとれば短期的には大きな収益をあげるとみられるが、「ゲーム専用機とソフトを販売して収益を上げる」というこれまでのビジネスモデルの否定にもつながる。

 任天堂は手軽なスマホ向けでゲームに親しんでもらった上で、より本格的な専用機への移行促進を目指すが、逆に専用機離れが進むのではとの懸念もある。任天堂の今後の戦略転換の成否に注目が高まっている。

333名無しさん:2015/05/24(日) 19:59:57
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150321-00000023-it_nlab-sci
将棋電王戦FINAL第2局で衝撃の結末 Seleneが永瀬六段の異例の指し手「角成らず」を認識できず反則負けに
ねとらぼ 3月21日(土)20時26分配信

 3月21日、プロ棋士と将棋ソフトによる5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」の第2局・永瀬拓矢六段対Seleneの対局が行われ、Seleneがプログラム上の問題で「角成らず」を認識できず反則負けになるという異例の結末を迎えました。

 将棋は一進一退の攻防が続きましたが、終盤、永瀬六段が王手で「2七角不成」という手を指したことで解説陣やニコニコ生放送の視聴者から大きなどよめきが。成ることで明らかに駒が強力になる「飛車・角・歩」は、「打ち歩詰め」という反則を避けたいというごく一部の例外を除き、実戦ではまず登場しない異例の手。そのためSeleneにはこの3駒の「成らず」がプログラムされておらず、別の指し手を入力してしまったため、「王手放置」で反則負けと判断したとのことです。

 コンピュータ将棋ソフトは無駄な手を読むことを省略することでより深く手を読めるため、一部の駒の「成らず」を認識する機能を搭載しないソフトもあるそうです。永瀬六段はこの問題を事前の研究段階で認識しており、この手を指した直後に「角不成りを認識できないと思います」「放っておくと投了するのでは」と指摘。ただし、「勝敗に直結するので本番では修正されているかもと思っていた」ためこの局面で選択したとのこと。普通に指した場合でも永瀬六段の勝ちは有力だという局面で、終局後には大盤解説会場で詰みへの読み筋なども披露していました。

334名無しさん:2015/05/24(日) 20:01:05
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150315-00000007-it_nlab-sci
将棋電王戦FINAL第1局は人間側が勝利 21歳のイケメン棋士・斎藤慎太郎五段がAperyを真っ向勝負で撃破
ねとらぼ 3月15日(日)0時4分配信

 3月14日、プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトによる5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」の第1局が行われ、ニコニコ生放送で中継されました。

 団体戦形式での開催は今回が最後となる将棋電王戦。これまで負け越しているプロ側は若手を中心に、徹底的にコンピュータ将棋ソフトを研究して勝ちに行く布陣で挑みます。人間側の先鋒は真っ直ぐな将棋と人柄、そして甘いマスクで「西の新王子」とも呼ばれる人気の若手棋士・斎藤慎太郎五段。コンピュータ側は前回の世界コンピュータ将棋選手権で優勝も飾った実力ソフト「Apery」が登場しました。

 対局会場となったのは世界遺産・二条城で、実際にかつてお城の給仕が行われていた二の丸御殿の「台所」に対局場を設置。斎藤五段の登場シーンは入場ならぬ「入城」になるというユニークな光景になりました。将棋ソフトの指し手を盤上に再現する代指しロボット「電王手くん」も一新され、名前を「電王手さん」とあらためて初登場。さらに進化したスムーズな動きで駒を操り、恒例となった対局開始時の「おじぎ」も披露してくれました。

 戦型は斎藤五段の居飛車対Aperyの振り飛車という対抗型に。Aperyが飛車を四筋に構える「四間飛車」を選択すると、斎藤五段が「いやー」と頭を抱える場面がありました。その後も何度か動揺したような仕草が見られた斎藤五段ですが、対局後のコメントによると「考えていた形のひとつではあるが、本命の将棋ではなかった」とのこと。

 過去の棋譜や定跡と同じ場面でも自力での思考を行うソフトであるAperyは、序盤から1手ごとに長考。それに対して、斎藤五段はほとんど時間を使わず指し手を進め、残りの持ち時間に早くも1時間以上の差が開きます。このあたりは過去の電王戦でも見られた展開で、事前研究や定跡に長けた人間にとって有利な点のひとつ。解説の鈴木大介八段は「人間は中盤が難しいけど、コンピュータには手の広い序盤のほうが難しいのでは」と分析しました。

 将棋は当初、お互いが玉をがっちりと固めあう「相穴熊」模様に進行しますが、途中でAperyが玉を囲いきらないまま攻撃に転じます。相手の飛車を成らせて自陣の守りの金を捨てても攻撃の手を選択するなど、Aperyがいかにも「コンピュータ将棋らしい手」を見せました。斎藤五段がそれに冷静に対処していくと、多くのプロ棋士が「斎藤五段有利ではないか」と見る展開に。しかし、そこからの粘り強さがコンピュータ将棋の真骨頂であることは、過去の電王戦で多くの棋士やファンが痛いほど経験済みです。無数の変化の中から、たった一つ読みを外しただけで取り返しがつかなくなるのが対コンピュータ戦。ここからは斎藤五段が一転して長考に沈みます。

335名無しさん:2015/05/24(日) 20:01:22
>>334

 ニコニコ生放送ではニコファーレでの大盤解説のほか、現地控え室や対局場近くで開催された解説会からも中継が行われました。将棋ソフトの評価値や予想手を表示できるシステムを搭載したタブレット「Surface」を使った解説や、将棋用語に特化した音声認識システムを使って現地控え室にいる棋士の声をニコ生コメントに表示するなど、電王戦らしいテクノロジーと将棋の融合の数々も披露されました。

 夕食休憩後、いよいよ局面は終盤戦に突入。斎藤五段はミスなく指し手を進め、とうとう素人目にも「必勝」と呼べる展開に持ち込みます。一方、Aperyは持ち時間を使い切り、電王戦史上初めてコンピュータ側が1手1分の「1分将棋」に突入。次第に時間稼ぎのような無意味な手が目立つようになります。人間同士なら投了する局面ではありましたが、Apery開発者・平岡拓也さんの「せっかく棋譜が残るのだから、コンピュータの特徴的な手を残したい」「最後の1手まで指します」という事前の宣言どおり対局を続行。斎藤五段も最後まで気を抜かず、115手にて斉藤五段がAperyを詰ませての完勝となりました。

 斎藤五段は事前に数百局の練習を重ね、20〜30パターンほど有力と思われる局面を用意していたそうですが、本番では「まさかここまで一気の勝負になるとは思っていなかった」と驚いたとのこと。これまで電王戦で勝利した棋士は事前準備どおりの展開にソフトを誘導して勝つパターンが多かったですが、結果として真っ向勝負で見事に強豪ソフトを撃破した形になりました。平岡さんも「こちらの読みに無い手を指されるたびにAperyの評価値が下がっていった。今回の将棋は完全に力負けでした」と斎藤五段の実力を賞賛。斎藤五段が「普段対局していたときの強さはやや影を潜めていた」と語るように、プロの事前研究を避けるため評価値としての最善手以外の手をランダムで選択するAperyの思考が裏目に出た部分もあったようですが、完璧な指し手で相手の隙を逃さなかった斎藤五段が、プロ側にとって大きな1勝目をあげました。

336名無しさん:2015/05/24(日) 20:02:30
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150319-00000109-it_nlab-sci
将棋電王戦FINAL 第2局――人間側の連勝なるか Selene VS. 永瀬拓矢六段の見どころは
ねとらぼ 3月19日(木)20時7分配信

 プロの将棋棋士とコンピュータソフトが5対5の団体戦形式で対決する「将棋電王戦 FINAL」。3月14日に行われた第1局は、人間側の先勝という結果に終わった。

 内容は非常に見ごたえのあるものであり、終盤には電王戦ならではの、見ている者の価値観を揺さぶるような展開もあったのだが、各局の振り返りについては稿を改めて考えてみたい。本記事では、続いて今週末に行われる第2局、Selene(セレネ) VS. 永瀬拓矢(ながせ・たくや)六段戦の見どころについて紹介する。

 なお、第1局では人間側が先手番、コンピュータ側が後手番を持って戦ったが、第2局以降は毎回先後を逆にして(第2局・第4局はコンピュータ側が先手)、対局が行われる。

●Selene――“人間のように学ぶ”ことを目指し作られた月の女神

 昨年、六本木ニコファーレで行われた「電王戦FINALに関する記者発表会」でのこと。今回の電王戦に出場するプロ棋士とソフト開発者の全員が初めて顔を合わせ、静かな緊張感が張りつめていたこの場で、ほんの数秒間だけ会場中が笑いに包まれたシーンがあった。

 「あのー、これまでSeleneが人間と指したのって、今まで娘と私くらいしかいないので……初めて指していただける外の方が、永瀬先生ということで……」

 第2局に登場する将棋ソフト「Selene」の開発者である、西海枝昌彦(さいかいし・まさひこ)さんの発言だ。電王戦出場のモチベーションを問われ、「やはり棋士の方と対局させていただけることですかね」と答えたあとに、そう続けた。

 開発者本人、家族(それも娘さん)、と来て次がいきなりプロ。「いくらなんでもレベル上がり過ぎだろ!」ということと、西海枝さんの朴訥とした語り口に、他の開発者も、対戦相手の棋士たちも思わず笑みを漏らしてしまったのだった。

 西海枝さんは銀行や保険会社のシステム開発を手掛けるシステムエンジニアで、4年ほど前から将棋ソフトの開発を始めた。初めて世界コンピュータ将棋選手権に出場したのは2012年のこと。電王戦FINALで第1局に登場したAperyと、第5局に登場するAWAKEとは“同期”だ。

 Seleneの特徴は、常に「アプローチが異なる複数種類を並列的に、というか気が向いた順に」開発を進めている点。そのため、出場する大会ごとに毎回かなり毛色の違うソフトが出来上がる。同一のソフトを少しずつ改良し、その延長線上で高みを目指す――というアプローチは取らない。

 コンピュータ将棋に精通する書き手・松本博文氏の取材(電王戦ファンは必読)からも、西海枝さんのオリジナリティに対する強いこだわりが伺える。過去にはそのこだわりを「封印開放度」というユニークな指標で説明していたこともあり、西海枝さんの「できれば楽な道(=人間の棋譜や定跡に頼ること)は選びたくない……でも弱くなるのも悲しいし……しかしやっぱり……」という(半分楽しみながらの)葛藤が聞こえてくるようだ。

 ソフト名の由来はギリシャ神話に登場する月の女神から。人間にたとえると「イメージはエビちゃんですね。蛯原友里さん」とのこと。

>例えば穴熊の場合、いったいどこまで対局を続けたら発見できるのか? などと考えると人間の創意工夫や構想能力がどれだけすごいか思い知る展開に。
>目標は、人間のように学習して、人間のように探索したい! ということです。

(西海枝昌彦――第23回世界コンピュータ将棋選手権アピール文書)

337名無しさん:2015/05/24(日) 20:02:47
>>336

●永瀬拓矢――将棋しかない、ケタはずれの“努力できる才能”

 「あなたにとって将棋とは?」という、あまり新鮮味があるとも思えない質問に、この22歳は「……ありきたりかもしれませんが」とわざわざ前置きしてからこう答えた。「生きる目的をくれているもの」

 人間側の次鋒、永瀬拓矢六段は1992年生まれ。第1局でソフトに完勝した斎藤慎太郎五段(18歳でプロ入り)よりもさらに早い、17歳と0カ月でプロの世界に足を踏み入れた。20歳時には、トッププロを目指す棋士の登竜門とも言える棋戦「新人王戦」で優勝。早くから頭角を現す。

 当初は独特な棋風の振り飛車党として知られ、先手番でも千日手(※)をいとわないことで有名だったが、後に居飛車党に転向してからはそうした傾向も目立たなくなった。それ以上に永瀬の名を知らしめたのは、第39期棋王戦本選における、羽生善治現名人との戦績「2戦2勝」である。若手が棋界の頂点である羽生相手に連勝したという事実は、ファンのみならず同業の棋士間にも強いインパクトをもたらした。

(※)1回の対局中に同じ局面が4回現れると引き分けになり、先手番と後手番を入れ替えて指し直すルール。将棋はプロ間ではわずかながら先手番の勝率の方が高いため、通常は「先手番での千日手」を避ける棋士が多い

 将棋以外の趣味をたずねられると口ごもってしまう。「永瀬くんは放っておいてもずっと指し続けるんじゃないですかね」(西尾明六段)、「将棋95%というタイプじゃないですか」(戸辺誠六段)、「将棋以外がない」(阿部光瑠五段)。ひと月のうち20日以上を研究会(複数人の棋士で将棋の勉強をすること)に費やす。

 そんな棋士が、ソフト対策のために普段の研究会を「ほぼゼロ」にして臨む。「将棋というのは、努力ですべて決まると思っているので。将棋には才能なんか一切いらないんです。逆に負けるというのは努力が足りなかっただけなので」

>プロを目指したのは12歳。普通に暮らして普通に勉強して普通に遊びたかったなあとは思いましたけど、やはり人にとって普通というのはそもそも違うので、>それに気付けた自分は幸せかなあと思いました。今自分に頑張れることがあるというのが人生で幸せなことかなあと思います。
>今の人生に悔いはありません。

(永瀬拓矢――電王戦FINALへの道#26)

338名無しさん:2015/05/24(日) 20:03:00
>>337

●第2局の見どころは

 ニコニコ動画上で公開されている練習対局の結果では、1分将棋(永瀬六段勝利)と30分切れ負け(Selene勝利)とで1勝1敗の成績。ただし、30分切れ負けでのSeleneは「鬼殺し」と呼ばれる有名な奇襲戦法(相手に正しく対応されれば自分が不利となる)を用い、早々に駒損をしたにも関わらず、そのまま剛腕で攻めつぶすという衝撃的な勝ち方をしている。

 記事冒頭で述べた通り、今回は人間側が後手番だということも考慮する必要がある。先週の斎藤五段がお手本のように示して見せた、「序盤はできるだけ時間を使わずに事前の想定局面へと誘い込み、相手にミスが出たらすかさず踏み込んで終盤に突入する」という戦い方が、後手番では難しくなるからだ。

 それを踏まえ永瀬六段は、事前インタビューで「個人の戦いではなく団体戦で、絶対に負けられないので、負けないように戦いたいなと思っています。将棋というゲームには勝ち負けではない方法もありますので、それも視野に入れて研究はしています」と発言している。

 「負けない戦い」「勝ち負けではない方法」とは、入玉による持将棋(※)含みか、それこそ彼が過去に得意とした千日手も辞さず、という方針かとも想像できるが、いずれも最初から狙ってその局面に誘導するのは困難という見方もある。

(※)お互いの王様が敵陣に侵入し、決着がつかなくなった場合に、駒を点数として数えて勝敗を決める特別ルール。双方の点数次第では引き分けとなることもある

 見どころとしては、まずは序盤の駒組み、戦型選択がどのように進むか。Seleneが早い段階で定跡を外してきた場合、永瀬六段の想定局面に進まない可能性は十分にある。もう一つは、永瀬六段自身の言う「負けない戦い方」について――だろうか。

 西海枝さんは過去に、まだ叶えられていないSeleneの目標として「人間のように学習して、人間のように探索したい」と書き、第2局のPVの中でも「人間の方が全然すごいっていうのが、やればやるほど分かっていくんですけれども」と述べている。

 一方の永瀬六段は、前述の羽生現名人を倒して勝ち進んだ棋王戦挑戦者決定戦・三浦弘行九段戦で、局面を検討していた棋士から「こういう手はコンピュータなら指すけど、人間には指しにくいかもしれませんね。あ、でも永瀬さんならもしかして……」と指摘されたその手をまさにそのまま指して見せたことがある。

 人間から学ぶのではなく、「人間のように学ぶ」ことを目指し生み出されたソフトと、「ソフトのような手を指す」ことをいとわない人間。電王戦FINAL第2局は、3月21日午前10時、高知城・追手門で対局が開始される。

339名無しさん:2015/05/31(日) 19:39:03
http://www.asahi.com/articles/ASH5Y2QQ5H5YUCVL001.html
羽生、名人防衛 将棋名人戦第5局2日目
2015年5月30日00時05分

■羽生名人「苦しい展開が続いた」

 【午後11時】名人位を防衛した羽生名人の記者会見が行われた。やりとりは以下の通り。

――防衛の実感は

「感想戦もやり、終わったんだなという気がしている」

――今シリーズ、競った内容が多かった

「特に2局目以降はずっと苦しい展開というか、作戦的なところから押されている状況が続いた。かなり厳しいんじゃないかなという気持ちを持ちながら指していた」

――逆転する秘訣(ひけつ)みたいなものは

「持ち時間9時間あるので、できるだけのことは頑張ろうという気持ちはありましたが。それが秘訣につながるかはわからないですけど、気持ちの面では折れないように指せたらいいなというつもりだった」

――苦しい局面で、どういう心境だったのか。例えば第4局は大変そうに見えたが、そういう時の気の持ちようは

「時間が長いと不利な局面を見ている時間も長くて、だんだん嫌になってくる(笑)。1手指して急に良くなるわけではないが、その状況の中でできる限りのことをやろうとは考えていた。4局目は、もうちょっと違う手を指されていたらすぐに投了、という場面もあった」

――七番勝負の5局の中で印象に残る将棋は

「今日の将棋は一番印象に残っている。入玉模様になってからごちゃごちゃと。こっちが入玉して、相手が来るのを止めて。駒数がどうなるのかという意味で。意外と手数が短くてびっくりした。自分としては200手ぐらい指したのではないかと。非常に考えがいのある面白い将棋でした」

――今日は入玉将棋だった

「入玉を目指した時は捕まらないように、ということを考えていたが、(敵陣に)入った時は駒数勝負になるんじゃないかと思っていたので、それを気にしていた。3、4点ぐらい駒数が足りない状況だったので、攻める筋も見せながら、持将棋になれば御の字かなと思って指していた」

――最近はコンピューターが強くなっている。今回の七番勝負において、人間対人間の勝負をどう表現できたと思うか

「見ていただいている人たちがどう評価するかだと思う。ただ、多かれ少なかれ、コンピューターの影響みたいなものが続いていくかなと思う。技術的なところでも影響がかなりあるのではないかと思う」

――これでタイトル獲得91期。100期が視野に入ってきているのでは

「もう来週、次のタイトル戦がある。あまりのんびりはしていられない。1回のチャンス、機会を大事にしていきたい。強い若手もたくさん出てきているので、大変だとは思っている。そういうこと(=100期)も一つの目標にして前に進んでいけたら」

――今シリーズの5局とも、自分の手番で休憩に入っていた。わかりやすい局面でも封じ手にすることあった。時間の使い方は意識しているか

「封じ手は、もう1手指して相手に指された時にやる手が決まっていないと困ることがある。盤上とは別のことで考えることはある。2日目の夕食休みのところは時間が少なくなっているので、手番のことはほとんど考えていない。今回はたまたまそうなっている」

――行方挑戦者は踏み込んでくることが多い、と話していた。普段の番勝負とどう違うかということをもう少し教えていただきたい

「攻撃的に踏み込んで攻めてくることが多い。しかし、一転して受けてくる、粘ってくることがある。一本調子で終わることなく、その先があることが多い。どんな場面でも気を引き締めてという言い方は変かもしれないがが、そういう気持ちで指していた。(行方挑戦者が)今期A級で長い将棋を2局勝たれていたので、あまり良くない展開になったかなと思っていたが、避けられなくなってしまったので」

――羽生名人の将棋としては珍しい入玉将棋になった。入玉の時、心がけていることは

「玉を詰ますということとは全然違う。駒の数が大事なので、局面を直線的にとらえないという考え方をよくやっている。特殊な将棋なので、普段とは違う発想で指している」

――入玉将棋は得意か

「割合としてはそんなにやっていないと思う。得意ではないと思うが、そういう将棋になってしまったのでしょうがないと思っていた」

340名無しさん:2015/05/31(日) 19:52:13
>>339

■羽生、名人防衛

 【午後9時40分】行方八段が投了。170手までで羽生名人が勝ち、名人位を防衛した。

■名人が勝勢

 【午後8時30分】後手の羽生名人が入玉を果たした。もう後手玉は寄らない。先手の行方挑戦者の玉が入玉できるかどうかがポイントだが、後手の駒が待ち構えており、難しそうだ。羽生名人の勝利、そして防衛が近づいている。(村瀬信也)

■名人の玉、上部に脱出

 【午後7時20分】行方挑戦者の猛攻に対し、羽生名人は2三の玉を2四→3五→2六と3手連続でスルスルと上部に脱出させた。周囲に自分の守りの駒が少ないだけに怖い受け方で、控室ではあまり有力視されていなかった。ムードは「名人よし」だが、挑戦者の攻めを途切れさせるのも簡単ではない。副立会人の佐藤天彦八段は「難解です」。

 いよいよ大詰め。両対局者とも、前傾姿勢になって考えている。(村瀬信也)

■対局再開

 【午後6時30分】対局が再開した。羽生名人はすぐに△3九飛を着手。先手玉の薄さを突く一着だ。ずっと受けに回っていた名人、反撃開始か。(深松真司)

■最後の休憩に

 【午後6時】30分間の休憩に入った。両対局者には軽食が出される。再開後は、最後まで休みなく対局が続けられる。依然として、行方挑戦者の攻めが続くか、羽生名人がうまくしのぐかがポイントとなっている。(村瀬信也)

■挑戦者、猛攻を開始

 【午後4時25分】行方挑戦者が▲2三同銀成と猛攻を開始した。先手の銀損にはなったが、後手の羽生玉の守りは薄い。

 副立会人で解説を務める佐藤天彦八段は「受けている羽生名人は、自信があるというより『しょうがない』と考えて指しているのでは。ただ、先手にとっても攻めが途切れるかもしれないという不安があります。先手の攻めが続くかどうかが焦点です」と話す。(村瀬信也)

■プロの卵の見解は?

 【午後3時30分】別会場で開かれている大盤解説会に出演するため、検討室から棋士がいなくなった。モニターの前には2人の奨励会員が座って、戦いを見守っている。

 藤田彰一三段(23)は福岡県柳川市出身。27日に福岡県飯塚市であった女流王位戦の記録係を務め、勉強のため名人戦の見学にやって来た。現局面について「先手(行方挑戦者)は2筋の歩を突き捨てたからにはガンガン攻めていきたい、1歩得している後手(羽生名人)はまったりした展開にしたい。どちらかといえば、後手を持ってみたい。受ける方が好きなので」と語った。

 もう一人は、福岡市在住の中学2年、古賀悠聖(ゆうせい)初段(14)。大盤解説担当の中田功七段門下で、中田七段が「いま、一番伸びるとき。頑張ってほしい」と期待する有望株。古賀初段は「後手の7三銀が取り残された感じ。先手の1五銀との働きの違いが大きく、先手の攻めがつながりそう。ただ攻め間違うと一気に逆転してしまう恐れもあるので、慎重に攻めたい」との見解だ。(深松真司)

■内藤九段、大盤解説会に

 【午後3時】福岡市中央区の電気ビル共創館では大盤解説会が開かれている。

 この日は、3月末に現役を引退した内藤國雄九段が特別ゲストとして登場。会場は拍手に包まれ、カメラを向ける将棋ファンの姿もあった。内藤九段は壇上でマイクを握り、軽妙なトークで場をわかせた。

 「年を取ってから不思議に思うことが増えている」と言い、「将棋というのは敵味方20枚ずつ、全く同じ能力の駒を与えられて、必ず1手交代なんです。棋士の能力も才能もほとんど同じなのに、これで何で勝負がつくんか。そんなことを考えているんですね」と感慨深そうに話した。

 壇上で花束を渡されるサプライズもあり、会場は和やかなムードに包まれた。解説会は終局まで続く。(山崎聡)

341名無しさん:2015/05/31(日) 19:52:23
>>340

■挑戦者、5回目のジンジャーエール

 【午後3時】両対局者におやつが運ばれた。羽生名人は「旬のフルーツ盛り合わせ(メロン、アメリカンチェリー、オレンジ、ビワ、デラウェア、サクランボ、リンゴのシナモン煮)」とホットレモンティー。行方挑戦者は「和風抹茶白玉のバニラアイス添え」と、自家製ジンジャーエール。挑戦者のジンジャーエール注文は、なんと5回目。(深松真司)

■対局再開

 【午後1時30分】記録係の渡辺和史三段が「時間になりました」と告げ、対局が再開した。羽生名人はほどなくして△7五歩を着手。行方挑戦者は1時37分ごろ姿を見せた。「昼はゆっくり」がいつものペースだ。(村瀬信也)

■昼食休憩に

 【午後0時30分】昼食休憩に入った。羽生名人は「博多一番鶏のから揚げと刺し身定食」と100%グレープフルーツジュース、行方挑戦者は「地鶏スープ仕立てのうどん(天ぷらつき)」と自家製ジンジャーエールを注文した。自家製ジンジャーエールは高知産のショウガをすりおろして作っている。行方挑戦者は気に入ったようで、これで4回目の注文だ。

 対局は午後1時30分に再開する。(村瀬信也)

■福岡出身の師弟

 【午前9時50分】副立会人の佐藤天彦八段(27)と、大盤解説を務める中田功七段(47)が控室で局面を検討している。佐藤八段は中田七段の弟子。共に福岡出身で、前夜祭では地元の人たちから喝采を浴びていた。

 佐藤八段は福岡市内にある「六本松将棋道場」に通い、力をつけた。8歳の頃からこの道場で中田七段に指導を受け、その後に中田門下として奨励会に入った。佐藤八段は「道場に通っていた頃から知っている人たちが、(順位戦の)A級昇級の祝福の言葉をかけてくれた。師匠と一緒に地元で仕事ができるので、地元の人たちにも喜んでいただければ」と話す。

 封じ手の△7三銀は、受けに回る意思を示した手。「先手の攻める態勢ができてきた。先手を持ってみたい」と佐藤八段は話す。(村瀬信也)

■封じ手は△7三銀、2日目始まる

 【午前9時】羽生善治名人(44)に行方尚史八段(41)が挑戦している第73期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第5局が福岡市の「アゴーラ福岡山の上ホテル&スパ」で再開され、2日目に入った。

 1日目の指し手が並べ直され、立会人の深浦康市九段が封じ手を開封した。前日夕に羽生名人が封じていた46手目は△7三銀。8四の銀を引いて、45手目▲6三角の当たりになっていた7四の歩を守った。検討陣の予想にあった手の一つで、解説の佐藤天彦八段は「△7五歩ほど激しくはありませんが、局面は動きます。行方挑戦者が攻める展開になりそうです」と話す。

 持ち時間は各9時間で、1日目の消費時間は挑戦者が3時間49分(残り5時間11分)、名人が4時間17分(残り4時間43分)。

 ここまで3勝1敗の羽生名人が勝って防衛を決めるか、行方挑戦者が踏みとどまって次局以降へ望みをつなぐか。大一番は本日夜までに終局する見込み。(深松真司)

342名無しさん:2015/05/31(日) 21:30:19
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140414-00010000-biz_plus-nb
“にわか将棋ファン”を拡大させる物語の力 コンピュータと人の共存は可能か?
ビジネス+IT 2014/4/14 12:18 フューチャー・デザイン・ラボ 後藤洋平

プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトが対局を行う「将棋電王戦」をきっかけにして、将棋及びコンピュータ将棋は急速にメジャー化しつつある。「にわかファン」が、将棋の奥深さを充分に理解できるようになるまでには時間がかかるものだが、「棋譜」そのものが読めなくとも、棋士の人柄や物語に触れることで、面白さを感じることができるものである。ただしそこにはブランド世界の物語を語り継ぐ、語り部としての古参ファン、すなわち「ブランドナビゲーター」とも言うべき存在が不可欠であり、彼等の無償の行為がこれを支えている。

「理解しがたい技術」を楽しめる、物語の力
 2012年、故米長邦雄前日本将棋連盟会長が第1回電王戦を戦った当時は、コンピュータは本当に強くなったのか、プロを超える可能性はあるのか、という問題提起がメインテーマであった。思えば当時、「プロ棋士の尊厳がコンピュータ将棋ソフトによって傷つけられるか?」というトピックはマニアックなものだった。

 が、第2回は48万人の視聴者獲得、第3回は60万人超えという結果を受けて、「コンピュータ将棋が今後も進化を続ける中で、興行としてのプロ将棋は今後いかに理解されていくのか、プロ棋士の尊厳とはいかなるものになるのか」、という問題に、多くの人が関心を持ち始めている。

 思えばこの数年間で、「将棋ソフトの開発者」という言葉ほど、世間からの認知度が急上昇した言葉はあまりない。

 電王戦以前、「将棋ソフトを開発している人」に対する世間的な認知度は、極小であった。「部外者にはまったく理解できない専門用語を使って、閉鎖的なコミュニティで楽しそうに語らう人々」、悪く言えば「コンピュータおたく」「SFかぶれ」ということで、多くの人にとって理解の外にある存在だった。

 「プロ棋士」という職業に関しても、通にとっては大きな権威だったとはいえ、一般的な認知度はあまり高くなかった。例えば第1回電王戦が開催された当時は、筆者自身、「将棋といえば羽生さん」程度の認識しか持っておらず、まさかそれを職業として生活をするプロ選手が100人単位で存在するなど、考えたこともなかった。

 それが今となっては、開発者もプロ棋士も、「情報化社会の行く末を占う、最先端で超知的な先覚者」に近い扱いを受けている。

 状況を一変させたきっかけは電王戦であるが、その本質は、「物語の力」である。

 「プロ棋士も、自分と同じようにそれぞれの人生を歩んでおり、その歩みや言葉にヒントを見出すことができる」

 「将棋ソフトの開発者が、その情熱を燃やすのには理由があり、自分と専門性は違えど、高い目標に向かって研鑽を積み、挑戦をする姿には共感ができる」

 たったこれだけの補助線によって、「部外者にはまったく理解できない専門用語で語らう人々」が一変して、「自分の人生にヒントや勇気を与えてくれるヒーロー的存在」となったわけである。

 しかし、電王戦という番組単体のおかげで、人々の理解がここまで進んだのかといえば、そうではない。ビギナーをその世界の核心部へいざなう「ブランドナビゲーター」の存在こそが、この現象を支えているのである。

343名無しさん:2015/05/31(日) 21:30:40
>>342

ファンを拡大させた最大の立役者
 これまで全く将棋に触れてこなかった大人が、突如として新規のライトユーザーとして棋士のファンとなる、これは驚くべき現象である。現在、相当な数の人々がそのような変化を体験しているわけだが、将棋史上、おそらく未曾有の事であろう。

 とりわけ注目すべきは、これが一過性のブームというわけでもなく、ライトユーザーを脱皮してディープなファンになる人々が増加しているという点だ。

 これは驚くべき事態である。なにしろ、将棋の楽しみ方とは、そう簡単にはわからないものだ。そのゲームとしての難しさや面白さは、自分で指してみて初めて、体感できる。一局の重みは、様々な棋士の人生物語に触れて初めて、腑に落ちる。

 ピアノが自由に弾けたら素敵だな、と思っても、バイエルで多くの人が挫折するのと一緒で、そこへ至る道は、一種の修行である。ちょっと興味を持ったビギナーがいきなり「将棋世界」を読もうとしても、あまりにも将棋の世界は難解で、とっつきにくい。

 そこで存在感を増しつつあるのが、ネットのなかのナビゲーターである。

 例えば将棋をテーマとする個人ブログがその代表格だが、ブログだけではない。将棋ビギナーのために、対局情報や棋士のブログ、twitterアカウントがまとめてある「wiki」の制作者もいれば、某巨大掲示板のスレッドから、最新の対局に関するコアなファンの声を集める「まとめブログ」の管理人、様々なアプローチで様々なサイトが構築され、人々の理解の役に立っている。

 彼等の発信する情報は雑多だが、その裏腹に確かな情熱が感じられる。芋づる式に情報を手繰り寄せている間に、気づけば自分も棋士の名前を覚え、ちょっとしたエピソードや知識が頭の中にインプットされていくのである。

 これは、高度に専門化、(悪く言えばタコツボ化)してしまった専門誌には、なかなか果たしにくい役割だ。

 ニコニコ動画で棋士の存在を知り、ブログやSNSで情報を追いかけ、iPhoneアプリでプレイしてみて、ようやく最後にたどり着いたその場所が、「毎週日曜のNHK杯が楽しめる程度には将棋に詳しくなった」という、この「ネットからテレビへ」という流れは一体どういう錯誤的状況なのかとも思うが、あながちそれは荒唐無稽でもない。

 しかし、これは本当に将棋の世界が望む結末なのであろうか?

 考えてみれば、昔からのファンにとっては、コンピュータソフトも電王戦きっかけの「にわかファン」も、正直に言えば、忌々しい存在ではないだろうか。

 プロ棋士という、長年敬愛してきたその才能を冒涜せんとするコンピュータソフト、それに乗っかってああだこうだと勝手な意見をのたまう新米ファン。

 神聖なるものを土足で踏み荒らす行為、これは日本文化における最大級のタブーである。そこに感情的な摩擦がないほうがおかしいというものだ。「昔ながらの町家が立ち並ぶ美しい地域に、高層マンションが建設されて、核家族が続々と引っ越しをしてきた」という光景を連想するのであった。

344名無しさん:2015/05/31(日) 21:31:24
>>343

人間の「美的感覚」は正しい?
 ソフト開発者にしても、プロ棋士にしても、その中心部、最先端でしのぎを削る人々が取り組んでいることは、到底素人には理解の及ばない世界である。

 実は、ファッションや家電におけるブランドも、同じ話である。パリ・コレで発表される作品は極めて突飛であり、デザイナーの意図を正確に理解できる一般人は、そんなにいない。しかし、ファッションや家電とは、最終的には身につけたり、生活に役立てるものなので、そういった接点があるがゆえの「とっかかりやすさ」があるのだ。

 幸か不幸か、将棋はそういった意味での実用性とは全く無縁である。機能性を極めた家電は、「使いやすくて、すごく便利」という、実感に則した理解が得られるのに対して、美しさを極めた棋譜があったとしても、審美眼を持たない人にはその価値は全く感じられない。

 逆に言えば、だからこそ将棋とは、素養を持ち、鍛錬を積んだ人にのみ許された、特権的で、高尚な趣味だったのである。

 「観る将棋ファン」とは口当たりのいい言葉だが、これは実は大いなる矛盾をはらんだ概念だ。にもかかわらず、ニコニコ動画とナビゲーター達は、「ズブの素人であっても、その背後にある物語を知ることで、それを消費することができる」という荒業でこれを成立させてしまった。

 問題は、プロの将棋指しという世界が、今後いかなる物語を紡いでいくかということだ。

 コンピュータ将棋は、対局というものさしだけに着目すれば、確かにプロ棋士に優る結果を残した。しかし、本質はそこではない。プロ棋士が直面しているのは、「指し手の性質や思考のアルゴリズムがあまりにも人間と異質である」ということだ。

 将棋というゲームは、その指し手の広さから、広大な海や宇宙に例えられる。その広い空間を一手一手さし進めるという行為は極めて茫洋としており、ハイレベルなゲームであればあるほど、局面には「わからなさ」が宿る。一寸不思議なようだが、このわからなさはプロ棋士にとってネガティブなものではない。むしろ、局面が難解であればあるほど、検討室の温度が上がっていくものである。

 「たった40枚、81マスの狭い中なのに、海の真ん中のような視界の開けた所で、あー広いな、人間て存在はちっちゃいな、とそういうことを感じる。人間では全然わからないなと」とは、羽生善治三冠の言葉である。

 様々なトップ棋士のインタビューから類推すると、茫洋とした局面で、棋士は「合理性のある指し手のなかには、強さと美しさが同時に宿る」という、ある種の「美的感覚」を拠り所にしている。もしそれが棋士にとって最大の拠り所なのだとしたら、コンピュータ将棋の主張する「美しさと強さには関係がない」という思想は極めて厄介である。

 最終局の中継にゲスト出演した渡辺明二冠はぶっきらぼうで、不機嫌そうに見えたが、その理由はここにあるのではないだろうか。

 開幕時の記者会見で、菅井竜也五段は「十年後には、プロ棋士が勝っている可能性もある」と発言した。確かに将棋ソフトを活用し、より強力な研究が行われた結果、そのような事が起きても不思議はない。

 そこで紡ぎだされる棋譜に美しさは宿るのだろうか、宿るとしたら、それはどのような言葉で語られ得るのだろうか。

 これはアカデミックな世界においても極めて重要な問題を投げかけるテーマだ。個人的には、そのような領域へと挑戦をする将棋の物語を見たいと思う。

345名無しさん:2015/05/31(日) 21:32:00
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140210-00000004-wordleaf-game
小沢一郎氏も挑む囲碁電王戦、その見どころは?
THE PAGE 2014年2月10日(月)11時0分配信

 コンピューターと人間の頭脳が対決したら、いったいどちらか勝つのだろうか? ドワンゴは2月11日と16日の両日、囲碁のプロ棋士と世界最強の囲碁ソフト「ZEN」が対決する「第1回囲碁電王戦」を開催する。プロ棋士の張豊猷(ちょうりゆう)八段、平田智也三段、そして小沢一郎氏も参戦するが、その見どころは?

急激に力を伸ばすコンピューター囲碁
 囲碁ソフトの実力は現在、アマチュア6段〜7段程度と言われており、プロ棋士と対等に戦うにはかなりの差がある。囲碁では、プロとアマの段の基準が違うので、一概に比較はできないが、仮にプロの段をアマチュアの段に換算してみると、10段〜11段くらいと言われている。4段分。囲碁のルールで言えばハンデの置石4つ分の差にあたる。だがこの差がとても大きいのだ。

 2000年代後半にはアマチュアの3〜4段程度であったコンピューター囲碁の実力は、モンテカルロ法という新しい方式により、急激に力を伸ばした。ならばこのペースでいけばいつかはコンピューターが人間の頭脳を抜くのでは、と思ってしまうが、そう簡単ではないようだ。

  プロ棋士が正式な対局で使う「19路盤」(縦横19本の線が引かれている碁盤)には、361か所の交点がある。この着手の選択肢の多さが、コンピューターに最善手を判断させるのを阻むのだという。

小沢一郎氏の棋風は?
 そこで今回の電王戦では「ZEN」は、「9路盤」(縦横9本の線が引かれている碁盤)でプロ棋士と対戦し、「13路盤」(縦横13本の線が引かれている碁盤)で、アマチュア日本一と対戦。さらに「19路盤」では政治家でアマチュア高段者でもある小沢一郎氏と対戦することになった。それぞれの大きさの碁盤で、現在の「ZEN」の実力に最も近いと思われる相手を考慮した結果、このような対戦になった。

 さて対戦者の中で最も注目されるのは、政治家の小沢一郎氏だ。囲碁は盤上の棋風(打ち方)に性格が表れやすいと言われているゲームだが、小沢氏の棋風を最も良く知る、棋士の依田紀基(よだのりもと)九段によると「小沢さんはセオリーに捉われず、実戦的な碁を打ちます」という。

346名無しさん:2015/05/31(日) 21:32:37
>>345

 囲碁には定石や序盤の作戦など、ある程度のセオリーがあるのだが、小沢氏はそれに捉われることなく自分の世界を広げ、自分の土壌で戦うタイプなのだ。さらに勝負の行方について尋ねると、「ZENは読みの分野がとても優れているので、戦いになって石を取る、取られるような展開になると、正確に先を読まなくてはならず、小沢さんが大変かもしれません。ただZENは、石を効率よく働かせて打つのが苦手なようなので、その分野で小沢さんがリードできれば…。いずれにしても好勝負になると思います」(依田九段)。逆境になってからの勝負強さにも定評がある小沢氏。最強のコンピューターを相手に、どんな盤上の世界を広げていくのか。

張豊猷八段、平田智也三段とZENとの戦い
 またZENがプロに最も近い実力を持つと言われる9路盤では、プロ棋士の張豊猷八段(33)と平田智也三段(19)が対戦する。

 9路盤は選択肢が少ない分、石が接近しやすく、戦いが起こりやすい。まるで狭い檻の中に、肉食動物が放たれたような、激しい戦いが予想される。張八段は、攻められる石があったら全力で攻めるという、とにかく戦う棋風のファイターだ。

 一方の平田三段は「相手の強いところで戦って、苦しい中で活路を見出すのが好きです。変な棋風なんです」(平田三段)と本人も語る個性的な棋風の持ち主。年齢も棋風も対照的な2人が、9路盤という戦場でどんな戦いを見せてくれるだろうか。

(ライター 王真有子)

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第1回囲碁電王戦 概要

1日目:2月11日
午前10時〜「9路盤三番勝負 張豊猷八段・平田智也三段 vs Zen」

2日目:2月16日
午前9時〜「13路盤三番勝負 江村棋弘アマ日本代表 vs Zen」
午後5時〜「19路盤一番勝負 小沢一郎氏 vs Zen」

いずれも「ニコニコ生放送」で生中継。両日ともニコファーレで大盤解説会が開かれる(参加無料)。

347名無しさん:2015/05/31(日) 21:41:16
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150321-00000016-it_nlab-cul
将棋の羽生名人と元チェス世界王者カスパロフのチェス対局をEテレで放送
ねとらぼ 3月21日(土)16時5分配信

 昨年11月28日、将棋電王戦FINALの振り駒役としてサプライズ出演した元チェス世界チャンピオンのガルリ・カスパロフさんと将棋棋士・羽生善治名人とのチェス対局のようすが3月21日午後11時からNHK Eテレで放送されます。

 「激突!東西の天才 将棋名人 羽生善治 伝説のチェスチャンピオン ガルリ・カスパロフ」が番組名。電王戦特別企画としてニコニコ生放送で中継されたもので、15年間トップの座を守り続けた伝説のチェス元世界チャンピオンと、優勝回数・タイトル獲得歴代1位で将棋界で20年もの間トップを走り続ける天才棋士がチェスで相対します。

 カスパロフさんは最強の人類代表として1997年にチェス専用コンピュータ「ディープ・ブルー」と戦い敗北。コンピュータとプロ棋士が戦う「将棋電王戦」を語る上でも欠かせない人物です。対する羽生名人はチェスでも日本ランキング1位の実績を持つ実力者。対局は意外な展開に……。

 対局後の対談では、「天才をどう育てればいいのか」「天才は老いをどう受け止めるのか」「人工知能が人間の力を越えるほどまでに発達しようとする中、人間と人工知能はどうつきあっていけばいいのか」などが語られます。

 再放送は3月28日午前0時に予定しています。

348名無しさん:2015/05/31(日) 21:41:50
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150308-00000005-pseven-life
羽生善治「コンピュータ将棋により人間が培った美意識変わる」
NEWS ポストセブン 3月8日(日)7時6分配信

 2012年から始まったプロ棋士とコンピュータ将棋ソフトの棋戦、電王戦。2014年の第三回大会では、1勝4敗でプロ棋士がコンピュータ将棋に敗れ、2年連続で人間側が惨敗した。コンピュータ将棋の進化は将棋をどう変えるか。羽生善治4冠に、ルポライターの高川武将氏が聞いた。

──将棋に今、大きな転換点が訪れています。コンピュータ将棋の進化です。

「この2、3年で一番大きな変化ですね。コンピュータが強くなるのはわかっていたことですが、今、実際に様々な影響を起こし始めている。伝統的な世界でコンピュータとどう対峙していくかが問われているのは、非常に特殊な状況だと思います」

──昨年の電王戦で出た人間には違和感があって指せない斬新な手がその後、棋士に流行したり、計算力だけでなく創造性や独創性も発揮し始め、人間が学び始めている。
 
「なぜその手を指したのか、コンピュータの思考プロセスまではわからない。1秒間に百万手も読める莫大な計算力のあるコンピュータと同じ思考を、人間が持つことはできません。でも今後、一手一手を研究する中で、その過程が少しわかるようになるかも知れない。

 それは逆に、死角や盲点と言われる手をなぜ思いつかなかったのか、人間の思考プロセスが鮮明にされることにもなる。思考の幅やアイディアが広がり、将棋の可能性を指し示すことになるでしょう」
 
──より将棋を深められると。いいことばかりですか。
 
「いや、どうしても相容れられない部分もあると思います。人間の思考の一番の特長は、読みの省略です。無駄と思われる膨大な手を感覚的に捨てることで、短時間に最善手を見出していく。その中で死角や盲点が生まれるのは、人間が培ってきた美的センスに合わないからですが、コンピュータ的思考を取り入れていくと、その美意識が崩れていくことになる。それが本当にいいことなのかどうか。全く間違った方向に導かれてしまう危険性も孕んでいます」
 
──長い年月をかけて醸成されてきた日本人の美意識が問われている。
 
「変わっていくと思います。今まではこの形が綺麗だとか歪だと思われていた感覚が、変わっていく……」
 
 少しぞっとする話だが、羽生はどこか「ワクワク感」にも満ちていて、コンピュータという巨大な黒船の来航を楽しんでいるかのようだ。

●撮影/太田真三

※SAPIO2015年4月号

349名無しさん:2015/05/31(日) 21:42:26
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150305-00000066-it_nlab-sci
デンソーがまた才能の無駄遣いした! 将棋電王戦FINALの代指しロボ「電王手くん」が超進化しすぎて「電王手さん」に名称変更
ねとらぼ 3月5日(木)15時43分配信

 3月14日より開幕する、プロ棋士と将棋ソフトによる5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」。この対局会場が世界遺産2カ所を含む全国5カ所になることと、超進化した代指しロボット「電王手さん」が登場することが発表されました。で、電王手くんがさん付けになってる……!

 「電王手さん」は将棋ソフトの指し手を盤上に再現するために、デンソーウェーブが開発した将棋対局専用ロボットアーム。昨年の「第3回将棋電王戦」にも同様のロボットが登場しましたが、今回さらに進化を遂げて再登場。前回は駒を吸いつけて動かすタイプだったため、駒を裏返して「成る」動作は一度専用の台に置いて持ち直す必要がありましたが、今回は駒と駒の隙間を認識することでより繊細な「挟む」動作を実現し、直接「成駒」を作ることが可能になりました。

 ボディも滅菌環境の医療現場などで使用されるシルバーの表面処理を施したものに変更。将棋を指すためだけにわざわざ医療用ロボット「VS-050S2」をベースに開発したというまさに「才能の無駄遣い」な代物です。前回は対局時におじぎをするなど「かわいい」と評判になった「電王手くん」ですが、その超進化っぷりに敬意を表して名称も「電王手さん」とあらためられました。

 また、対局会場も将棋の歴史……というか日本の歴史に関係する全国の名所に決定。第1局は、将棋名人戦の父・徳川家康の将軍宣下によって江戸幕府が始まり、徳川慶喜の大政奉還によって675年の歴史に幕を閉じた世界遺産「二条城(京都府)」。第2局以降も「高知城(高知県)」、「五稜郭(北海道)」、「薬師寺(奈良県)」など、歴史的な戦いを象徴する名所で行われ、最後の第5局は人類将棋界の最後の砦である「東京将棋会館」で行われます。

 将棋電王戦FINALは3月14日より毎週土曜日朝10時対局開始で全5局。全対局の模様はニコニコ生放送で中継され、ニコファーレと対局会場付近のホールにて大盤解説会も開催されます。

350名無しさん:2015/05/31(日) 21:42:57
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150304-00000074-it_nlab-sci
まさにぷよぷよ界の「電王戦」? ぷよぷよ人類トッププレイヤーと最強AIの対決がアツい
ねとらぼ 3月4日(水)18時6分配信

 誰もが気軽に楽しめるシンプルなルールながら、奥の深すぎる頭脳ゲームとしての一面も持つ落ち物パズルゲーム「ぷよぷよ」。トッププレイヤーたちは大連鎖や小連鎖を高速で組み上げながら、相手の画面を見て瞬時に複数の対応パターンを切り替えるといった人智を超えた技術を持っているのですが、近年コンピュータプログラムによる「ぷよぷよ最強AI」と呼ばれる存在が登場。人類トップクラスのプレイヤーとコンピュータによる「将棋電王戦」のようなアツい戦いが繰り広げられています。

 ぷよぷよ界に激震が走ったのは2012年5月に行われた「第1回 人類VS最強AI ぷよぷよ通対戦」。ぷよぷよでは有志によるリーグ戦によって「A級」「S級」といった格付けが行われているのですが、全国レベルのA級プレイヤーたちがtestさんの開発したAI「niina」にダブルスコアで大敗するという事件が起こりました。トップレベルの対戦では、連鎖を組む技術はもちろん相手のフィールド状況やネクストぷよを見て小連鎖で牽制を入れるなどさまざまな戦術・駆け引きが重要になるのですが、niinaはそれぞれの対応に特化した3パターンのプログラムを用意して、その実力を広く知らしめます。

 その後、2013年8月についにS級プレイヤーの1人かめさんが「ぷよぷよ電脳戦」としてniina最新型などのプログラムと100本先取の対戦を実施。こちらも熱戦を繰り広げたものの71対100で敗れてしまいます。

 ただし、当時はまだ実機上でAIを動かす術が開発されておらず、これらの対決で使用されたのはぷよぷよ通クローンのクライアントソフトを使用したプログラム。ほとんど理論上最速レベルでぷよを操作する上位プレイヤーの間では、使用する実機やモニターの描画速度など極めてシビアな環境の違いも不利に働いてしまうため、まだ対等な条件での実力は人間側が上なのではないかという見方も強く残っていました。

 しかしその後、エンジニアでありぷよぷよプレイヤーでもあるmayahさんが、AIを実機上で動かす技術を開発。Wii版のVCAぷよ通で動作するAIに続き、2015年2月にはとうとう人間のトッププレイヤーが最も得意とするゲームセンターのアーケード筐体で対戦可能なAIが誕生します。

 アーケード版最強AI展示会の様子はニコ生で中継され、その脅威の強さに多くのぷよらーが震撼。mayahさんはさらに人間に近い連鎖と戦術を選択するという新たな最強AI「mayah」も開発しており、「2015年中に人類を終わらせる」とまで公言しています。一方、ぷよぷよS級リーグでは近年「人類最強」と称されていたプレイヤーmomokenさんが格付けリーグ戦からの引退を表明するといった騒動も起こっており、人類対最強AIによるぷよぷよ決戦の行方に多くの注目が集まってきています。

351名無しさん:2015/05/31(日) 21:43:47
http://bylines.news.yahoo.co.jp/hirabayashihisakazu/20130414-00024395/
コンピュータと人。頭脳の対決。名勝負が続く将棋・電王戦
平林久和 | 株式会社インターラクト代表取締役/ゲームアナリスト
2013年4月14日 10時57分

涙の引き分け
プロ棋士とコンピュータの対決。将棋・電王戦。
4月13日、第4局が東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われた。
今シリーズの対戦成績はプロ棋士が1勝、コンピュータが2勝。
塚田泰明九段が負ければ、団体戦五番勝負トータルでもプロ棋士側の敗北が決まってしまう。歴史的大一番だった。塚田九段の対戦相手は、昨年、故・米長邦雄将棋連盟会長に勝った「ボンクラーズ」の強化版、「Puella α(プエラアルファ)」。富士通研究所に所属する伊藤英紀氏が開発した。第21回世界コンピュータ将棋選手権で優勝したソフトだ。
対局開始から塚田九段に勝機は訪れなかった。悪手は一手も指していない。にもかかわらず、コンピュータ有利の局面が続いた。終盤には塚田九段が必敗の大勢になったが、粘りに粘って引き分けに持ち込んだ。王が敵陣まで進みあって、お互いに勝ちがない状態、持将棋となった。
230手の激しい戦いが終わり、観戦記者から「途中で投了を考えましたか?」と聞かれた瞬間に塚田九段は言葉を失った。身体の動きも固まった。「いいえ、自分からは‥‥(投了したくなかった)」と言うのが精一杯で、目を赤くして落涙した。コンピュータに負けてはならない。並大抵ではないプレッシャーが塚田九段を襲っていたのだ。
現時点でプロ棋士に勝ち越している。天才と言われた現役九段が、引き分けに持ち込んで男泣きするほど強くなった。いったいコンピュータ将棋に何が起きているのか? この進歩は何によってもたらされているのか?

機械学習と評価関数
将棋というゲームは前半と後半で性格が異なる。前半は価値基準が抽象的だ。芸術のようだ。プロ棋士や将棋ファンたちは「形がいい」「筋がいい」「駒が働いている」「陣形が美しい」といった言葉によって前半戦を語る。たいして後半の価値基準は具体的だ。計算がすべてである。敵よりも早く王を詰ませるための最善手だけを追究していく。
当然ながらコンピュータは後半に強く、前半に弱かった。90年代の市販将棋ソフトでも終盤戦は思考がしっかりとしていたが、前半はすきだらけだったのである。ところが近年、コンピュータは苦手を克服した。思考のためのプログラムが格段と向上したのだ。
第一の要因は機械学習である。データベースから膨大な数のサンプルを解析。その解析をもとに有用な規則、判断基準などを抽出してアルゴリズム(算出方法)を発展させることができるようになった。コンピュータは局面だけを見て「形がいい」の判断ができない。だが、同じ局面を何度も見ていくうちに、どの手順で指せば、良い結果が出る確率が高いか。記録を蓄積して学習するのである。
第二の要因は評価関数である。将棋は勝負事の鉄則通りで、形勢有利のときと不利のときでは判断基準が違う。有利ならば安全策で逃げ切りを狙う。不利ならば逆転を狙った積極策に打って出なくてはいけない。形勢を正しく数値化することによって、有利不利の判断をする。その基準値となるのが評価関数だ。電王戦第2局で、佐藤慎一四段に勝った「Ponanza(ポナンザ)」の開発者、山本一成氏は自身のブログで評価値の一部を公開している。
また山本氏は 「チェスの指し手の選択肢は10の120乗、将棋の指し手の選択肢は10の220乗とすると、計算すべき数が多い将棋は開発するのが大変ではないのか?」の質問に対して、次のように語っている。
「選択肢の数ですべてが決まるわけではありません。チェスの駒は大きく動くので、置き場所によって評価に差がつきやすい。ですが、将棋の駒の動きは小さいので局面理解が難しい。たとえば1枚の歩がどこにあるのか。小さな位置情報を評価値に変えることがチェスと比べると難しいのです」。
ちなみに「Ponanza」は一秒間で3000万〜4500万手を読めるそうだ。まさに桁外れの計算能力だ。コンピュータは膨大な選択肢を計算することは苦にしない。それよりもどの手が最善手なのか。評価する基準づくりが最終的な強さにかかわってくる。

352名無しさん:2015/05/31(日) 21:43:59
>>351

最終局は頂上決戦
この数年で劇的に強くなったコンピュータ将棋。2010年には清水市代女流王将、2012年には故・米長邦雄・将棋連盟会長(永世棋聖)に勝った。そしてついに2013年4月、現役の男性棋士に連勝したのである。大きな節目を迎えた。人工知能の専門用語でいえば「シンギュラリティ──技術的特異点を迎えた」といえるだろう。
電王戦第5局(最終局)は現役プロ棋士の中でも最上位「A級」に属す三浦弘行八段が登場する。三浦八段は、かつて羽生善治七冠王から一冠(棋聖位)を奪ったこともある。
対戦するコンピュータは、東京大学大学院総合文化研究科の教員・学生が開発した「GPS将棋」である。昨年開催された第22回世界コンピュータ将棋選手権で優勝している。「GPS将棋」は、汎用PCを大量につなげた演算処理、クラスタリングと呼ばれる技術を使っている。今回の対局にむけて、東京大学は学内にある700台以上のPCを「GPS将棋」に提供することを特別に許可した。
1秒間に約2億8000万手を読むとも言われる「GPS将棋」と、A級棋士・三浦弘行八段の戦い。「GPS将棋」が勝てばコンピュータの3勝、1敗、1引き分け。三浦弘行八段が勝てば2勝、2敗、1引き分けとなる。第5局は4月20日に行われる。

平林久和
株式会社インターラクト代表取締役/ゲームアナリスト
1962年神奈川県出身。青山学院大学卒。ゲーム産業の黎明期に専門誌の創刊編集者として出版社勤務。1991年に起業。現在に至る。著書、『ゲームの大學(共著)』『ゲームの時事問題』など。デジタルコンテンツ白書編集委員。2012年にゲーム的発想(Gamification)を企業に提供する合同会社ヘルプボタンを小霜和也、戸練直木両名と設立、同社代表を兼任。俯瞰的であること、本質を探ることをポリシーとする。

353名無しさん:2015/05/31(日) 21:45:18
http://bylines.news.yahoo.co.jp/hirabayashihisakazu/20130421-00024503/
日本的美徳がファンを魅了した。将棋・電王戦
平林久和 | 株式会社インターラクト代表取締役/ゲームアナリスト
2013年4月21日 10時37分

将棋というゲームに審判はいない。
敗者が自ら負けを認めたときにゲームは終了する。

「負けました」とはっきりと声に出して言う。朝から夜まで目の前に座っていた対局者に聞こえるように言う。大きな棋戦ならば、立会人にも聞こえるように負けを宣言することが、古くから続く将棋の作法だ。声を出すと同時に、右手を駒台に置く。この所作もまた、敗北を宣言するときに欠かせない作法のひとつである。

勝者は平静を保たなくてはいけない。ガッツポーズなどはもってのほかで、笑うことさえも許されない。勝敗が決まった瞬間に勝者がするべきことは、ただひとつ。「ありがとうございました」と敗者に向かって礼を述べることである。

第2回・将棋電王戦が終わった。最終局、第5局はコンピュータ側の勝ちだった。第22回世界コンピュータ将棋選手権で優勝した「GPS将棋」は強かった。プロ棋士の最高クラスA級に属す三浦弘行八段に「(自分の指し手の)どこが悪かったのかが、わからない」「(GPS将棋には)つけいるすきがない」と言わせるほどの完勝だった。これで全5戦の通算成績はコンピュータの3勝1敗1引き分けとなった。

コンピュータと人間が対局する電王戦は大いに盛り上がった。「他のタイトル戦よりもはるかに多くの報道陣が将棋会館に来ている」と語ったのは、第4局で解説者をつとめた木村一基八段だ。電王戦の主催者、株式会社ドワンゴの川上量生(かわかみのぶお)代表取締役会長は、同社が運営する「ニコニコ動画での電王戦、総視聴者数は190万人」と語った。将棋人口は減っているにもかかわらず、電王戦がこれほどまで世間の注目を集めたのは、そこに上質な人間ドラマがあったからだろう。

電王戦の対局で、プロ棋士の前に正座するのは人である。奨励会と呼ばれるプロ棋士養成機関に所属する若手が、コンピュータが選んだ指し手にしたがって駒を動かす。勝負が終わると、奨励会員と席をかわってソフトウェアの開発者が将棋盤の前に座る。そして終局の挨拶を行うのだが、このとき、開発者たちは皆、居住まいを正して深々と頭を下げた。対局後には記者会見を行う。会見場でソフトウェアの開発者たちは口々に、プロ棋士との対戦が実現できたことへの感謝の言葉を述べた。

コンピュータというと、ともすれば冷たい印象を受けるが、電王戦に出場した開発者たちは他者への思いやりに満ちていた。対局中、記者会見、休憩中、終局後、どんな時でもプロ棋士への敬意を全身で示す。ゆえに将棋ファンたちは、コンピュータを憎い敵とは思わない。ただの機械とも思わない。血の通った好敵手とみなして、この棋戦に夢中になったのだ。

354名無しさん:2015/05/31(日) 21:45:28
>>353

じつは、電王戦開始まえからコンピュータが強いことはわかっていた。コンピュータ同士の戦いで、実力を十分に示す棋譜を残していた。一部のソフトウェアは棋士に貸し出され、練習の段階でプロ棋士を何度となく負かしていた。今のコンピュータは強い。だが、弱かった昔の記憶があるために、プロ棋士はコンピュータに勝って当たり前のムードが漂っている。電王戦に出場することは勇気のいることだ。それでもなお臆せずに、プロ棋士は果敢に挑戦した。通常の棋戦以上の意気込みで対局をした。その姿にファンは感動した。言ってみれば、コンピュータと対局することにより、プロ棋士をいっそうプロ棋士らしくさせた電王戦だった。

第5局、「GPS将棋」は東京大学内にある670台以上のPCをネットワーク接続して指し手を計算していた。1秒間で2億5千万通りを計算できる設定だった。対局終了後、観戦していた記者の何人かが「大量のコンピュータを接続していたから負けた」、言い訳を聞き出すような質問をしたが、三浦八段はこの誘導尋問にひっかからなかった。「GPS将棋はコンピュータの台数が1台でも強い」と潔く負けを認めた。勝負には負けたが、相手の強さをたたえる態度はプロ棋士らしかった。

同じ会場で「GPS将棋」の開発者、金子知適(かねこともゆき)氏は、記者からもはやコンピュータは人間に負けない、という趣旨の無敵宣言を引き出すかのような質問をされた。しかし、金子氏は「コンピュータの将棋は出来不出来が激しいものです。一局で強さを申し上げることはできません」と答えた。

コンピュータと人間が対戦することで注目された電王戦。終わってみれば、敵味方に関係なく、人間たちが将棋というゲームに挑む姿が見る者に感動を与えた。

コンピュータを強くさせたのは、おもしろいことに今回の敵だ。コンピュータの中のデータベースには、プロ棋士たちが20年以上かけて残した膨大な棋譜が格納されている。これからコンピュータの進化を支えるのも、プロ棋士となる。瀧澤武信・コンピュータ将棋協会会長は「開発者がわからないプログラムの弱点を、プロ棋士の先生が解明してくださっている」と語った。

同じことはプロ棋士にもいえて、コンピュータは人間の限界を超えてくれる存在である。第3局でツツカナに負けた船江恒平五段は「コンピュータは私の強いところと弱いところを自覚させてくれた」。谷川浩司・日本将棋連盟会長は「不利になってもあきらめない精神力の大切さをコンピュータから学べる」と語った。「GPS将棋」は三浦八段戦でプロ棋士同士では実戦例のない新手を発見して勝利している。

プロ棋士も。コンピュータの開発者も。
勝っておごらず、負けて悪びれず。戦う相手には最大限の敬意を払って、礼節を重んじる。日本人的美徳を浮き上がらせて、第2回・将棋電王戦は幕を閉じた。

◇ ◇ ◇
既出原稿

コンピュータと人。頭脳の対決。名勝負が続く将棋・電王戦

平林久和
株式会社インターラクト代表取締役/ゲームアナリスト
1962年神奈川県出身。青山学院大学卒。ゲーム産業の黎明期に専門誌の創刊編集者として出版社勤務。1991年に起業。現在に至る。著書、『ゲームの大學(共著)』『ゲームの時事問題』など。デジタルコンテンツ白書編集委員。2012年にゲーム的発想(Gamification)を企業に提供する合同会社ヘルプボタンを小霜和也、戸練直木両名と設立、同社代表を兼任。俯瞰的であること、本質を探ることをポリシーとする。

355名無しさん:2015/05/31(日) 21:46:07
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131022-00000008-wordleaf-soci
羽生防衛の王座戦も盛況 ニコ生の意外な人気コンテンツ「将棋中継」
THE PAGE 2013年10月22日(火)15時41分配信

 「アニメ」「政治」そして「将棋」。あまり関連性のなさそうなこの3つの言葉を聞いてどんな共通点を思いつきますか?

 実はこれインターネットの動画サービス「ニコニコ生放送」の三大コンテンツだそうなのです。アニメや選挙特番は何となくイメージができるけど将棋中継?と思うかもしれませんが、「ニコ生」での将棋のタイトル戦生中継は今や平均20〜30万人の来場者が見込める人気ぶり。配信を手がけるドワンゴによると、人気の秘密は視聴者が好きな時に来場し、気軽にコメントできる「縁台将棋感覚」だそうなのです。

羽生vs.中村の王座戦も中継
 10月21日は注目の対局が行われていました。第61期王座戦第五局。羽生善治王座(三冠)と挑戦者の中村太地六段の対戦は2勝2敗で最終局を迎えていたのです。

 人気トップの羽生に25歳の若手のホープ中村が挑む王座戦は、羽生有利の下馬評を覆し、第三局を終えて中村が2勝1敗とリード、注目度がアップしました。羽生はそれまで通算20期王座を獲得し、同タイトル戦では圧倒的な成績を誇りますが、早稲田大卒で、激しい将棋を指す若手人気棋士、中村が先に王手をかけただけに、ネット界でも奪取に期待感が高まったのです。第4局(羽生勝利)は中村有望とみられた局面もあり、来場者数は30万人超。コメントも約20万と盛り上がりました。第5局は羽生快勝で終わり結果は羽生王座の逆転防衛となりましたが、それでも22万人弱の来場者がありました。昨年末の衆院選生放送開票特番の来場者数約48万人と比較してもヒケをとらない実績です。

 ニコニコ生放送の将棋中継は7大タイトル戦のうち王位戦を除く6タイトル戦で行われており、対局開始から終了まで、ノーカット・完全生中継するのがウリで、公式戦中継は2011年から始まりました。ちなみに王座戦第4局は千日手という引き分けが一度あり、当日続けて指し直し局が行われたため、中継終了は午後11時45分にまで及びました。また、プロ棋士とコンピューターソフトが対戦する団体戦「電王戦」の生中継も人気で、今春に行われた第二回ではプロがコンピューターに負け越した衝撃の展開になったことから、全5局で200万人を超す人が見たといいます。

356名無しさん:2015/05/31(日) 21:46:25
>>355

「縁台将棋」のイメージ
 生中継は単に盤面や対局者の表情を映すだけではなく、ゲストのプロ棋士が「ニコ生」専任の解説者となり、大きな将棋盤で一手一手の説明や次の手の予想を解説します。さらに視聴者が書き込むコメントも見ながら解説するため、リアルタイムで見ている人と解説者が交流するのが特徴。最近の棋界の話題や各対局者の人柄紹介などくだけた話題も出ます。10月17日に開幕した第26期竜王戦第1局(渡辺明竜王対森内俊之名人)では対局者が食べていたおやつが生中継の解説者にも差し入れられ、おやつの解説までするユニークぶりでした。

 意外な人気ぶりについてドワンゴは「特にタイトル戦は進行がゆるやかで長時間にもおよび、棋士が一手指すまでに数分かかることが多いのですが、その間にコメント機能を使って次の手の予想を書き込むなどユーザー同士が交流できる点は ニコニコ生放送と相性が良いみたいです。 羽生三冠がかつての縁台将棋の現代版ですね、と評されましたが その通りだと思います」と話しています。縁台将棋は昭和30〜40年代に夏の夕涼みを兼ねて道端や空き地に縁台を出して将棋を指した風景のこと。ビールを手に野次馬がワイワイ指摘するのが当たり前でした。インターネットを通じて来場者がコメントでつっこみを入れている「ニコ生」の構図と重なります。

息づく米長永世棋聖の精神
 日本将棋連盟が生放送に踏み切ったのは、昨年12月に亡くなった米長邦雄・永世棋聖が連盟会長当時、「インターネットこそ切り拓くべき分野」と積極的に取り組んだことにあります。現在の谷川浩司会長(十七世名人資格者)体制でもこの精神を受け継いでいます。ちなみに中村六段は米長前会長の弟子であることも何かの因縁を感じさせます。

 将棋連盟は「生中継を通じて将棋をスポーツ中継のように見て楽しむファンが増えているようだ。こうしたニーズを大事にしたい」と話しています。前回プロが負け越した電王戦も、第三回を来年3月から4月にかけて実施することが決定。将棋連盟は「ランク上位のプロを送り込む」としていて、今後も将棋の生中継は「ニコ生」のキラーコンテンツになりそうです。

357名無しさん:2015/05/31(日) 21:47:30
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140523-00000029-wordleaf-sci
電王戦「連敗」 将棋界はコンピューターとどう向き合うべきか
THE PAGE 2014年5月23日(金)17時21分配信

 プロ棋士(人間)とコンピューターソフトが激突する将棋の団体戦「電王戦」は2年連続で人間側が敗北を喫したことで話題になりました。チェスやオセロに続き、「将棋もコンピューターが近々人間を追い越す」という声も強まっています。将棋界とコンピューターは今後どのような関係を作っていくべきなのか。コンピューター将棋に詳しい大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員の古作登氏(元週刊将棋編集長)に聞きました。

 ――過去2年の電王戦を見てコンピューターの現在の実力をどう見ますか

「ソフトから見て7勝2敗1持将棋ですから、客観的に見てもすでにトップクラスの棋士(平均的なプロ棋士に対し7割以上の勝率)に並んだと言ってもいいのではないか。ただ部分的にみるとコンピューターの実力もあれと思わせる面もまだある。対決といった面で今が一番面白い時期だと思う」

 ――印象に残った対局は

「一般的にコンピューターソフトは形勢判断を強気に設定し、思い切った踏みこみをするのが強みだ。だが第四戦のツツカナ対森下卓九段で見せたツツカナの戦いぶりは、人間が指しているような手厚い負けにくい指し回しで、どちらが森下さんかわからない感じで驚かされた。この指し方がやや優勢とみられた森下九段を戸惑わせ、逆転されてしまった印象がある」

 ――次回電王戦が行われる場合、連敗したプロ側はタイトル保持者の投入が求められそうですが

「今年の棋士メンバーはタイトル保持経験者の屋敷伸之九段もいたが、順位戦のランキングからいえば5人全員がトップ20に入っているわけではなく、ベストメンバーだったとはいえない。次回やるとすれば現役タイトル保持者1人、トップ10クラス1人、残り3人はコンピューターと対戦する感覚に慣れている若手強豪棋士といった構成が求められるのではないか。ただプロ棋士にとってコンピューターに敗れることは選手生命の危機ととらえられる可能性もあり、プロボクシングの興行のようなうまいマッチメークをしないといけない。先手、後手各三回ずつの六番勝負といった形式もあるのではないか」

 ――将来コンピューターソフトがプロ棋士の公式戦に参加すべきだと考えますか

「人間同士の対局は疲れや勘違いによって逆転する。不利な状況で勝負手を繰り出し相手を動揺させるといった勝負の楽しみがある。スポーツでもミスをしない選手はいない。間違いは恥ではなく逆に面白さを与え、棋譜に味ができるともいえる。だから既存の棋戦にコンピューターが出るのはなじまないのでは。やるなら別の棋戦を作った方がよい」

358名無しさん:2015/05/31(日) 21:47:52
>>357

――将棋界は今後、コンピューター将棋とどう向き合うべきと考えますか

「携帯電話やパソコンでネット対局ができ、タイトル戦も動画サイトで中継され人気になっているようにwebと将棋は相性がよく、将棋界の幅が広がるいい傾向にあると思う。電王戦も『黒船襲来』のようにとらえず、プラスに活用することが大切だ。私は以前から自分が指した将棋の棋譜をコンピューターに解析することをやっているが、それによって自分が陥りやすいくせ、ミスが出やすい状況がかなりわかった。現在51歳だが、近年もアマチュア大会で上位入賞できたのはコンピューターを使った取り組みの効果があったと思う。自分がまったく考えない手も提示してくれるし、コンピューターは人間を補助するものとして大変有用なのは間違いない」

――人工知能研究の世界ではコンピューターの進化はさらに加速し、2045年ごろには人工知能が人類の知能を超えてしまうと予測する「2045年問題」という議論も出ています

「以前はコンピューターの将棋を見ると、これはコンピューターが指しているとわかることが多かったが、最近はコンピューターに人格があるような錯覚を覚えることがある。例えば局面評価の設定を強気からネガティブに見るように変えた場合、負けるのを怖がるコンピューターが出てくるのかといった疑問も生まれる。映画・2001年宇宙の旅では、意思を持つコンピューターが出てくるが、コンピューター将棋もそのような事態が起きるのか。興味はあるが、怖い気持ちもあります」

359名無しさん:2015/05/31(日) 21:48:52
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140912-00000034-wordleaf-soci
将棋「電王戦」は来春終了へ 新しく始まる「タッグマッチ」とは?
THE PAGE 2014年9月12日(金)20時0分配信

 プロ棋士とコンピューターソフトが対戦することで大きな話題を集めた「将棋電王戦」。主催のドワンゴと日本将棋連盟は、団体戦形式の電王戦は2015年春でいったんファイナルとし、これに代わって2016年からは棋士とソフトがペアを組んで対戦する新棋戦「電王戦タッグマッチ」を行うと発表しました。新棋戦の賞金は名人戦、竜王戦に次ぐ規模になることも公表されており、これに先立ち9月20日からタッグマッチのエキシビション戦「タッグマッチ2014」も開幕します。いわば人間とコンピューターの共闘スタイルとなるタッグマッチですが、一方でこれまでの電王戦のような対決の構図とは大きく様相が異なる形になり、ファンがどのような反応を見せるか注目されます。

プロ棋士とソフトがペア組んで戦う
 タッグマッチはプロ棋士がソフトを傍らに置き、ソフトの示す手を参考にしながら自分の指し手を決めていく対局方式。間もなく始まる「タッグマッチ2014」には、プロ棋士12人が参加し、過去の電王戦に出場した「ponanza、ツツカナ、YSS、やねうら王、習甦」の5ソフトのひとつと組んでトーナメントを戦います。棋士とソフトの組み合わせは事前に決定しており、例えばシードの久保利明九段は習甦と、人気棋士の加藤一二三九段はやねうら王と組むことが決まっています。

 タッグマッチはすでに2013年に開催しており、ドワンゴの川上量生会長は「大変な好評をいただき、大きな可能性を感じている」と成功に自信を見せました。習甦と組む中村太地六段は「自分の力とソフトの力の両方を出し切り、最高の棋譜を残せたら」と抱負を語っています。2016年の新棋戦について将棋連盟は公式戦としては位置付けないとしていますが、かなり高額の賞金棋戦となる以上、優勝者は名人、竜王戦並みの格になるともいえます。

 チェスの世界では現在、ソフトの発達が進み、既にノートパソコンでも人間のチャンピオンクラスに勝つレベルになっています。また、人間側がコンピューターで指し手を調べる「アドバンスドチェス」というチェス版タッグマッチも定着しています。

 アドバンスドチェスという試みは、1996年にIBMのコンピューターであるDeep Blueとの対戦で敗れた世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフ氏が提唱しました。人間とコンピューターの互いの弱点を補い合って、より高みの対戦を実現することを求めて始められています。電王戦のタッグマッチはこれに倣ったものと考えられます。

360名無しさん:2015/05/31(日) 21:49:45
>>359

「人類だけでは作りえない高み」へ
 昨年3月、この対戦の意義を見出して「アドバンスド将棋」として、「人間とソフトの連合軍」対「ソフト」という対局を主催した工学博士の伊藤毅志氏 (電気通信大学情報工学科助教)は、電王戦タッグマッチについて「自然な展開」としながらも、「人類だけでは作りえない高みへの挑戦となるイベントになることを期待します。単なる興味深い”お祭り”で終わってほしくない」と語ります。

 伊藤氏は「チェスではハードウエアの統一やソフトウエアの利用方法について厳密な規程があり、意義ある対戦になっています。将棋でもレギュレーションを整えて、きちんとした棋戦に成長して欲しい。チェスの分野では、最近はさらに進んでいて、ハードウエアや参加する人間の制限もなくしたフリースタイルチェスと呼ばれるチーム戦のイベントが行われるようになり、あまり強くないプレイヤーでもコンピューターを使いこなすことで、グランドマスター(名人)クラスのプレイヤーに勝つ事例も起こっています。コンピューターの性質を熟知したアマチュアプレイヤーも 参加できるイベントに発展して欲しい」と話しています。

 アドバンスド将棋に対局者として参加した元「週刊将棋」編集長の古作登氏(大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員)はコンピューターと組む効果について、「ポカの防止や、直観で選んだ手の善悪を確かめられること、詰みに近い局面でのソフトの絶対的な信頼度など、私レベルの棋力なら大いにプラスの効果がある」と指摘します。一方で、タイトル保持者などトップ棋士がソフトを使って棋力向上につながるかどうかは「わからない」としています。

 さらに「私は人間が不安や恐怖、ミスによって生じた逆境を乗り越え、棋譜を作っていくことに感動を覚えますので、ミスも含めて作品としての価値が生まれると思う。したがってアドバンスドを用いたミスがない対局が素晴らしい内容の将棋とは必ずしも思わない」と話します。

361名無しさん:2015/05/31(日) 21:50:55
>>360

「電王戦」はどうなる?
 プロ棋士対ソフトの団体戦だった「電王戦」はその独特の対決感やソフトが人間を追い越す日が来るのかという観点から大きな注目を集め、第三回の第五局、ponanzaが屋敷伸之九段を破った対局のニコニコ生放送の来場者数は70万人超と過去最高を記録する人気コンテンツです。団体戦最後とされる2015年の対局者はまだ発表されていませんが、コンピューター将棋の研究の行き届いた若手中心になる見通し。しかしプロ側は過去の団体戦で2勝7敗1分けと苦戦しており、タイトル保持者出場へのファンの期待は当然ともいえます。川上会長も2015年以後も続ける可能性を否定はしていません。タッグマッチだけでは「ファンの支持は得られない。今後、超トップ棋士とソフトとの番勝負といった隠し玉が発表されても不思議ではない」(古作氏)という見方も出ています。

 社会的な話題ともなった「電王戦」。タッグマッチも含め今後の方向性がどうなるか注目されます。


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