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しあんいろ
1
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2011/05/21(土) 05:21:40 HOST:221x248x191x126.ap221.ftth.ucom.ne.jp
初めましての方も、そうでない方にももう一度自己紹介を。
どうも、ねここです。
「しあんいろ」では主に短編集を書かせて頂きます*
何となく、ながーい小説より簡単そうだな、と思ったので←
暇なときは一日に何回も更新しますが、
忙しいときは一日に一回も更新できないときもあると思うので…
そのときは、「ああ、コイツ馬鹿なんだな」と見逃して頂けると光栄ですorz
それでは、つまらないかもしれない短編集を読んで感想を一言くださi……(´;ω;`)しくしく
よろしくお願いします←
383
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/04/14(土) 14:17:58 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
>ピーチ
そっかあ!
てか慣れるってすごいなw
>いちごみるくさん
お久し振りです!
あわわ、ありがとうございます!
384
:
ピーチ
:2012/04/14(土) 16:47:46 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
ラブレターの方での返事もかねてこっちでまとめさせて頂きますww←てきとーでゴメン((汗
慣れなんだよねー・・・塾でも男子が二人いるんだけどさ、殆ど女子と話してるしww
「しあんいろ」、「ラブレター」共に更新頑張ってね〜!♪
385
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/04/16(月) 16:37:31 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
「しあんいろ」一周年記念 / 髪フェチ 男の子ver.
「好きだよ、ゆいのこと」
夕暮れに染まった教室が、俺たちを包み込むような暖かさになった。
ずっと心に秘めてきた思いを伝えるなら、今かなって思う。
「わたしも好きだよ、翔太!」
そう言って無邪気に微笑む君は。
そう言って楽しそうに俺を見つめる君は。
俺の思いなんか全然受け取ってくれなくて。
「……嘘吐き」
思わず呟いた一言に本当だよ、と冗談っぽく笑うゆいの笑顔が俺には眩しすぎた。
俺は恋愛感情でゆいが大好きで、幼馴染とか友達なんかじゃなくずっと女の子としてゆいを見てきたのに。
「ゆいが鈍感なのはわかるけど、やっぱりちょっとむかつく」
ゆいが冗談っぽく笑って俺の気持ちを冗談にして誤魔化そうとするなら。
俺は冗談だって思えないくらい最低なことでもしてやろうかな。
ぐいっと、二人っきりの教室の中でゆいを押し倒した。
驚いている様子を見せたゆいだけど、まだへらりと笑ってる。
「……むかつくんだよ」
ぐっと、ゆいの腕を押さえつける。
流石のゆいも不思議そうに首をかしげてきた。
「わ、わたし……翔太になんかやった? 嫌なことしてたら謝るよ、ごめんね」
そういう素直なところも。
素直を通り過ぎて鈍感すぎるところも。
全部全部、俺は愛してるのに。
「俺、恋愛感情でゆいが好きなんだよ」
大好きなゆいに怖い思いさせたくない。
嫌われたくないって気持ちが、俺の体を勝手に動かしたような気がした。
「わたしのどこがいいの?」
「ぜんぶ」
「ぐ、具体的に教えてよおっ!」
顔を真っ赤にして戸惑うところ、とか。
なんて冗談っぽく言ったところでゆいは怒るだけだから、真剣に答えた。
「可愛くて無邪気な笑顔も素直で優しいところも、ちょっと鈍感でドジなところも、嘘なんて吐けない真っ直ぐな目も」
俺がゆいの好きなところを述べていくあいだ、ずっとゆいが硬直していたような気がした。
動揺しているんだろうなって思いながら俺もいつものゆいに負けないくらいの笑顔を浮かべて言った。
「あと一番、茶色くてさらさらでふわふわした髪の毛が好き」
「…………ごちそうさまでした」
ゆいの言葉にふっとまた笑みをこぼす。
そして真っ赤な顔で俺に言ったゆいの言葉に思わず俺も顔を赤くさせた。
「わたしもずっと、翔太のこと好きだったよ! その、男の子として」
抱きしめてやりたくなった。
顔が真っ赤になるくらい思いっ切りぎゅってして、俺の大好きな髪の毛をくしゃりと撫でたりもしたかった。
でもそれは、今度のお楽しみ、かな。
-
なんかもう髪フェチじゃないね、ごめんね!←
いっつも女の子verだったけど今回は男の子の視点で書いてみたよー
手フェチ(
>>379
)←old next→ぬいぐるみフェチ
386
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/04/16(月) 16:39:06 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
>ピーチ
適当じゃないよ!大丈夫だよ(`・ω・´)!←
ていうかピーチ塾行ってるんだ!
いやなんか変なところ突っ込んじゃったね、ごめんね!w←
うん、がんばる!
387
:
ピーチ
:2012/04/16(月) 21:47:46 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
あははっ♪うん、塾行ってるよ〜ww←あくまでバカww
でもねここは塾とか行かなくても良さそーだよねーww
頭いーでしょ?ねここって←地味に失礼な物言い
あたしもせめて人並みにできればなぁ・・・
388
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/04/16(月) 22:14:41 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
>ピーチ
頭よさそうなイメージがあった!
そそそそんなことないよ(´・ω・`)!馬鹿なのに勉強してないだけだよ((
389
:
ピーチ
:2012/04/18(水) 21:46:25 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
・・・嘘!!?ね、ねここー!わざわざ嘘吐く必要ないんだよ?←何のためだ!
だって頭よくないとそこまでの小説書けないよー!!
390
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/04/20(金) 19:57:35 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Empty heart
わたしの心は「 」気持ちでいっぱいだ。
――ぼんやりと、その言葉を眺めていた。
まだ新品の教科書には「」の中の言葉を埋めなさいなんて命令口調の黒字が書かれている。
相変わらずの命令口調に何も思うことはなかった。
友達はいい加減命令口調やめてほしい、飽きてきたと愚痴を吐いてきたけれどわたしにとってはどうでもいいことだし。
ていうか、高校生にもなってこんな問題を出すか?
そう半ば呆れながら、それでもその空欄にどんな言葉が入るのかと真面目に考え出した。
わかった人から手挙げて発表してー、なんて中学生や小学生っぽいことをやらせる国語の先生を溜め息混じりに見つめた。
こんなのわたしにはわからない、と心の中で諦めたけれど、周りをよくよく見てみるとほぼ全員手を挙げている。
その生徒たちの瞳はまるで先生に馬鹿にしてんじゃねえよ、と言っているようだった。
「じゃー……空」
まだクラスの人の名前をよく覚えられてない先生は席順ではない出席番号順の名簿を手に、ふいにわたしの名前を呼ぶ。
わたしはえ、あ、と何も言えなくなって戸惑ったあと、冷静にびしりと言い放った。
「わたし手挙げてませんけど」
「ああ、名簿席順じゃないからよくわからなくてねー」
ごめんごめん、と苦笑する先生に何とか逃れられただろうかと思う。
そんなことを思ったわたしが馬鹿だったのかな。
「でもこれは答えられるんじゃないの? 空、答えてね」
無理無理!、と両手を胸の前で振ったけれどもう逃れられそうにはなくて、溜め息を吐いたあと言った。
「わかりません」
「……マジで?」
少し間をあけたあと、まさかと言ったような目で先生がわたしを見つめた。
それに反抗して呆れた表情で見つめ返す。
「わからないし答えたくもありません、代わりに誰かどうぞ」
「ん、んー……納得しちゃいけないような気もするけど、まあいいや……じゃあ綾、答えてー」
綾はわたしがそう思っていいのかわからないけど友達で、代わりにさされて大丈夫かな、と思った。
「はい、わたしの心は幸せな気持ちでいっぱいだ、です」
綾も戸惑い恥ずかしさ紛れではあったけれどハッキリと自分の考えを述べていた。
これが正しいとわかっていながら、それでもわたしには無理だと諦める。
「はいはい、その心は?」
国語の先生はよくわからないけどその心を問い掛けていて、綾はにこりと可愛らしい笑みを浮かべてからわたしを見つめ言った。
「大好きな友達と学校生活を送れていることが幸せで、感謝しても感謝しきれないくらい幸せだーって気持ちでいっぱいなんです」
綾がわたしのことをこんな風に思ってくれてるなんて思わなかった。
でもわたしの心は幸せな気持ちでいっぱいになるっていうのは、ちょっと違うような気がする。
違うというか、わたしはそういう感情になったりはしない。
「……幸せってなんだろうね」
ペンケースについている綾と御揃いの兎のストラップを見つめながら、そう独り言を呟いた。
‐
つづきます!
一周年記念の息抜きと思いましたがこれも一周年記念です←
ていうかもうぜんぶ一周年きねn((
391
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/04/24(火) 18:10:17 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Empty heart
「――ら、そら、そーらっ!」
綾の声が聞こえてきた。
確か国語の授業だったはずじゃ、と周りを見回すけれど、教室にはもうぽつりぽつりと数人の人しか残っていない。
「次、移動教室だよー?」
「え、あー……わたしいいや」
綾の言葉に驚きながら小さめの黒板に書かれた時間割を見た。
チョークで書かれた音楽の字は綾の綺麗ででも可愛い系の字だ。
でも今から移動したって遅れるだけだし、と思いながら諦めるように言う。
「いいやって空……音楽好きじゃなかったっけ?」
綾の問いに心の中で「昔はね」と答えた。
でもあまり思い出したくない過去だったから、ううんと首を横に振って誤魔化す。
「ほら綾、遅れちゃうよ?」
「……う、うん」
綾は戸惑いながら、それでも遅れないようにと走っていった。
わたしは走るの遅いけど、綾は体育得意で走るの凄い速いからきっと間に合うよ、と思いながらその背中を見つめる。
わたし、音楽すっごい大好きだったのになあ……
‐
意味深ですね!
つづけるかどうか迷ったけど、前のお話でつづきます宣言しちゃったからつづき。
意味深なまま終わるとあれなのでつづくかもですもっきゅきゅ!
392
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/04/26(木) 19:34:25 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
Empty heart
わたしは昔、歌うことが大好きだった。
――いや、歌うことじゃなくて、わたしが歌を歌って喜んでくれる幼馴染が好きだったのかな。
わたしには保育園のころからずっと一緒の幼馴染がいた。
男の子で、いつもわたしのことを考えてくれてた大切な幼馴染。
いつしか幼馴染から恋人って関係になれならな、と昔はよく思っていたものだ。
でもその幼馴染はわたしに振り向くことなくずっと片思いしてる女の子がいて、わたしはただ応援することしかできなくて。
「がんばってね」って言葉でさえ、言うのが辛かった。
心の狭い人間だなと思う。
好きな人のことなんだから素直に心から応援しなきゃって思う。
でも、そのときのわたしは幼馴染の彼を手放すのが怖くて仕方なかった。
――わたしはずっと圭のこと好きだったよ。
――俺は、俺には優がいるから。
――片思いのままでいいの?
――そりゃ嫌だよ。
――じゃあわたしにしちゃいなよ。
こんな会話をしたのを今でも覚えてる。
よく考えてみればわたしってかなり強引だったな。
そして最後に言われた言葉がまるで刻みつけられたように心に残った。
――俺さ、優と付き合ってるんだよね。
それから圭と話したことはなかった。
すれ違うたび、わたしの心がからっぽになっていくような気がして。
それでも話し掛けることはできなかった。
圭に振られたことで音楽が嫌いになったのかもしれない。
聴いてくれた人に喜んでもらう気持ちなんて、どうでもよくなってしまったのかもしれない。
あのとき好きって言わなければ、まだ圭の隣で微笑んでいられたのかな。
‐
393
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/01(火) 22:15:23 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
あいらぶゆう!
――アンタ、遊のこと好きなんでしょ?
つい先日友人に言われた言葉がふいに頭をよぎった。
そのときは吃驚して別に好きなんかじゃないよ、と誤魔化してみたけど実際どうなんだろう。嫌いではないしなあ。
遊はとっても明るくて元気でやんちゃで、でもさりげなく優しくて格好よくて。
何だかんだで好かれやすいしバレンタインデーのチョコレートの数なんて毎年数えきれないほどの量だし。
そんな遊を見てるのが楽しかったのに、急に好きなのかなんて聞かれてもわからないよ。
ていうかわたしに好きって言葉を持ちかけること自体どうかと思う。
だってわたしは初恋でさえまだだし、好きって気持ちをよく理解してないし第一わたしが恋愛なんてできるはずないって思ってるんだもん。
あ、何だか自分で考えといて悲しくなってきた。
でもわたしが思うことは。
遊は人気者なわけで、告白したってごめんとかありがとうで流されちゃうしバレンタインだって大量のチョコの中の一つになっちゃうから。
遊に告白したってどうせ無駄な努力で終わるんじゃないのってことだ。
わたしの心の中で思っていることを全部吐き出した瞬間あっさりと現実に戻された。
なぜだろう、おでこが痛い。
声にならない悲鳴をあげておでこを抑えるとパラパラと白い粉が舞った。
「〜〜〜〜っ」
「お前、アタシの授業で寝るなんて良い度胸してんな」
「寝てたのは反省してますけどチョーク投げるのはないですよ先生」
やってしまった。
スパルタと体罰とチョークで有名な有希先生の授業で寝てしまうとは。
「……先生、いっそ心臓に当てて殺してくれればよかったのに」
「一発で殺すよりじわじわと痛めつけながら焦らし殺す方がいいでしょ?」
ふふん、と何故か得意気な有希先生に何ですかそれ、と呆れた表情を浮かべた。
友人も言うけれどわたしと有希先生は何かと気が合うらしく、それなりに話しが弾む。
でもおでこが痛いのは変わらなくて、その後数時間チョークが命中したおでこが痛みつづけるのだった。
×
「あ、遊だ」
「おお、桜じゃん」
学校の帰り道、ぼーっとしながら見慣れた町を歩いているとバッタリ遊と遭遇した。
一人でいるのめずらしー、と適当なことを考えながらへらりと微笑む。
「なんか久し振りー」
「だなー! 前はあんなに二人で遊んでたのにどうしてだろうな?」
遊の率直な質問にわたしも率直な答えを返してあげた。
「それは遊が女たらしで女の子と遊びまくるからでしょ」
「ありゃ」
俺女たらしじゃねえもん、と微笑みながら言う遊にまったく、と呆れてみせたりした。
でもでも、どうして遊が此処にいるんだろう? 家も正反対のはずだし。
「……なんかあったの?」
「何でわかんの?」
「え、いや……なんか」
ぽつりとつぶやいてみたことがまさか図星だったなんて、と思いながらそれでも少し不安になった。
「頼りないかもだけど、わたしでよければ聞くよ?」
思わず言った言葉に遊が自信の無さそうな目でわたしを見つめてきた。
どきん、と。
遊の綺麗な目に胸が揺れる。
「……俺、好きな人できたんだよね」
「だ、だれ?」
「言うわけねーだろ」
「あ、そっか」
びっくりしたびっくりしたびっくりした。
好きな人できたって遊が言ったとき、わたしのことすっごい見つめてきたんだよ。
きっと自意識過剰なだけかもしれないけどドキドキしたのは事実だ。
応援してあげたいけどなぜか痛む胸に疑問を感じた。
「……相談、乗ってくれる?」
そんな上目遣いでわたしのこと見ないでよ。
そう思いながらそれでもわたしは頷くことしかできなかった。
「う、ん……」
わたしに恋愛の相談なんてきっと無理だよ、遊。
‐
タイトルのあいらぶゆう!には意味があります
とりあえず主人公、桜(さくら)と遊(ゆう)ね!
短連載の予定
394
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/04(金) 17:36:13 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
あいらぶゆう!
「その、遊の好きな人ってだれ?」
「うわあ、積極的だね」
思わず好きな人を聞いてみたけれど、遊は素直には答えてくれず呆れたような表情でわたしをからかった。
違う!、とあわてて否定してみたりもしたけどやっぱり遊は好きな人の名前は教えてくれなかった。
「ヒント! すっげえ鈍感な子だよ」
「ゆ、遊……鈍感な子が好きなの?」
わたしもさっきの恨みを晴らすように呆れたような目線で見つめてみたけどやっぱり遊には効かないようで、しかも笑ってるように思えた。
「も、もっとヒントないの?」
話しを逸らすようにわたしが聞くと、遊は案外あっさりと教えてくれた。
「お人好しで自分のことより相手のこと優先しちゃう奴で――多分俺のこと好きじゃないと思う」
だんだんと曇る遊の表情にわたしもどう反応していいか戸惑った。
だって自分の好きな子が自分のこと嫌いかもしれないんだよ?
でも、遊に限ってそれはないと思った。
「……多分それは遊の思い込みだよ! 遊嫌われるような人じゃないし、女たらしではあるけど」
「ほらあ、俺女たらしだと思われてんだよー!」
ますます自信を無くす遊を何とか元気づけられないかとわたしは思わず大きな声で言った。
「ほ、ほら! その子が遊のこと好きじゃなくてもわたしは遊のこと好きだからさ!」
「……そ、れって……恋愛で?」
遊の顔が真っ赤なのがわかった。
ああどうしよ、わたしの顔も真っ赤だ。
「……え、と……もうなんなの! よくわかんないよっ、遊のこと好きなのかもしれないっ」
こんな自分ヘンだよ、と思いながら遊に言った。
そして遊がわたしに告げる。
「俺の好きな子の名前、教えてあげる」
「え?」
「桜っていう子だよ! 可愛くて優しくてお人好しで鈍感で、俺がずっと大好きな子」
わたし、だったの?
ずっと羨ましいなあなんて思ってた遊の好きな子って、わたしのことなの?
「わたし、も……遊だいすき」
ねえ、遊
女たらしってね、本心じゃないんだよ。
きっと大勢の中の一人でもいいから遊の傍にいたくて言っちゃったんだと思う。
「あいらぶ遊!」
これからはずっとわたしの傍にいてね!
‐
タイトルもあいらぶゆう!っていうか、漢字にするとあいらぶ遊です!
遊って名前にしたのはあいらぶ遊って言わせるためだったんだけどあんまり強くでなかったねorz
本当はもっと長くするつもりだったんだー!
長くして長くして桜を嫉妬させるつもりだったんだー!
でもしあんいろの更新率下がるからさ、早めに終わらせたかったんだよーorz
ではではぐっばい!←
あれ?終わりがおかしいか、まあいいやぐっばい。
395
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/13(日) 20:11:35 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
たくさんの「すき」を詰め込んで。
うたうのが、すき。
透き通った歌声が部屋に響くのが心地よく感じられて、だいすき。
おんがくが、すき。
ヘッドフォンから大音量でながれる曲は何もかもわすれられるようで、だいすき。
まんがが、すき。
幸せな展開で終わる主人公を見るのが、だいすき。
ともだちが、すき。
いっしょにいたらつまらないことなんてなくておもしろくてたまらなくて、だいすき。
ぶんしょうが、すき。
小説を書いたりするのが、だいすき。
いじるのが、すき。
ちょっとした悪戯心で振り回したり意地悪したりするのが、すき。
きみが、すき。
友達と楽しそうに微笑むきみが、大好き。
いつか、幸せになれればなって思う。
――きっとそれは、不可能なことだと思うけど。
-
お久し振りです!
Loveletterのほうには存在していましたがさがりっぱなしのしあんいろも投稿してみました、どうも。
これは全部ねここの好きを詰め込んだものです。
最初ははずかしがりやな女の子の好きなことを詰め込む予定だったのですが、ちょっといろいろあってこうなった。どうなった。
それで本当に好きな人はいるんだけれども本当に不可能だからうわあorz
てな感じでじゃあまたいつか更新します(´・ω・)!
396
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/19(土) 21:05:41 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
友達以上恋人未満
「さつき、好きだよ」
「わたしも好きだよ、ゆーくん」
さつきは嘘つきだ。
そう思いながら、俺の告白を掻き消すように微笑むさつきを見つめた。
「なあ、そういう意味じゃなくて」
「他にどんな意味があるの? ゆーくん可笑しいね」
さつきの肩を強めの力で掴んでも、さつきはくすくす笑うだけだった。
きっとさつきは気づいている。
俺の気持ちに。
俺の好きの意味に。
――やっぱり俺、嫌われてんのかな。
「さつきは俺のこと嫌い?」
「へ? 嫌いじゃないよ?」
「じゃあなんでっ」
「……嫌いじゃないよ、安心して?」
じゃあ何でちゃんと返事してくれないの?
そう言おうと思ったけど、さつきは誤魔化すように優しく言った。
「……気づいてるだろ?」
「何に?」
「俺がさつきのこと好きなこと」
「……友達として、でしょ?」
ちがうよ。
俺がそういうことを言わないように、言えないように。
さつきは力強い真っ直ぐな瞳で俺を見つめてきた。
「……どうしてもだめなのかよ」
消えるようなかすれた声でそうつぶやくと、さつきが可愛らしい笑みを浮かべて言った。
俺の大好きな笑顔。
愛おしくて見惚れてしまうほどの笑顔。
とても綺麗で、残酷な。
「友達以上恋人未満――わたしたちはこれ以上にも以下にもならないよ」
さつきがちいさな声で繰り返すように「なれないよ」とつぶやく
以上にも以下にもならない、なれない――
「ならせめて今だけ幸せにさせて?」
そう言って、不意打ちでさつきにキスをする。
さつきは驚いたような表情をしていたけれど、そのとき一瞬でもさつきの顔が赤くなったのがわかって思わず笑みをこぼす。
「これからも友達以上恋人未満の存在でいてくれる?」
「……もう、ばか」
やっぱり俺たちには。
一番これが心地良いのかもしれない。
-
さつきはあのさつきだったりちがかったり。
以上未満シリーズを書きたかった。
気がむいたらまた書くかもね!
てかそろそろしあんいろ一周年な件。
一周年のときはパアっと盛り上がりたかったぜ!
397
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/20(日) 12:45:07 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
前レス友達以上恋人未満のつづき!
今回はさつき視点です(´・ω・)
友達以上恋人未満(ばーか) sideさつき
「なんなのほんとに……」
今でも思い浮かべてしまう。
ゆーくんの顔が近づいて、急に不意打ちでキスされたあの感覚。
キスされて吃驚してつい走って帰ってきてしまったけれど、ゆーくんを傷つけてしまってないだろうか。
ゆーくんとは幼稚園の頃から高校生の今までずっと一緒で家も隣同士で。
学校だってずっと一緒に行ってるし二人で遊んだりすることだって少なくない。
――そんなゆーくんと恋人みたいな関係なんて、今までの無邪気な楽しさがなくなりそうで嫌だよ。
わたしだってゆーくんを恋愛感情で好きなのかもしれない。
恋人同士になったらすっごく幸せで嬉しいのかもしれないけど、どうしても今の関係を崩したくないのに。
あんな風にキスされたら、崩したくなくても崩しちゃいそうになっちゃうよ。
「……ばか、ゆーくんのばか」
自室のベッドにぼふんとダイブしながらそう言った瞬間、突然自室のドアが開いた。
「だーれが馬鹿だって?」
「ゆ、ゆーくん!」
え? ちょ、なんでゆーくんが此処に?
あたふたと動揺しながら、それでもゆーくんの唇ばかり見つめてしまう。
「だってさつきチャイム鳴らしてんのに全然気づかねえんだもん、鍵かかってなかったから勝手に入っちゃった」
「か、勝手に入っちゃったってそれ犯罪じゃん! 不法しんにゅ、ん」
不法侵入だよ、と言いかけたところで突然口が塞がった。
驚いて目を見開くとまたゆーくんにキスされてて――
「〜っ、どうして」
「だってさつきが俺の唇ばっか見てっから、キスしてほしいのかなって」
どうしてそんなことするの?、と訊くまでもなく、ゆーくんが微笑んで言う。
悪戯っぽい笑顔を浮かべるゆーくんにちいさな声で訊いた。
「……本当に好きなの?」
「うん」
即答するゆーくんにふざけないでよ、と言おうとしたけれど、ゆーくんの目は真剣で真っ直ぐにこっちを向いていて思わず俯いてしまった。
「さっきゆーくんとは友達以上恋人未満って言ったけど」
そう言いかけてから、わたしから不意打ちでゆーくんにキスする。
さっきまで自分からキスしてにこにこしてたくせに、わたしからキスしたら顔が赤くなっちゃってるゆーくんに悪戯っぽく言ってみせた。
「こーいう関係もいいかもね」
遠回しに、ゆーくんの好きっていう言葉の返事をする。
その瞬間、ゆーくんが突然わたしを抱きしめてきた。
「大好きだよ、さつき」
「わたしもゆーくん大好き」
これからもずっと一緒だよ。
-
案外さっぱりと終わってしまった(´・ω・)
これはもうLoveletterのさつきじゃないかもです。
あ、でも転校前のさつきの設定でもいいかも!とか思ったんだけどね。
よくよく考えればさつきにはレオがいるじゃんみたいな←
でもレオは未花なんだよなあってことで
超ネタバレですがゆーくんLoveletterに登場するかもです。
いえーい!
398
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/05/23(水) 22:29:44 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp
▼「しあんいろ」一周年突破!
本当は5/21にもう一周年突破してた!
気づかなかったんです(´;ω;`)
でも無事一年迎えられたのでよかったです(`・ω・´)
なんだかぐだぐだと色々書いていますが、これからもよろしくお願いします!
後で(今度)、詳しく語ったりしようかなとか思ってますので!
そのときはぜひ付き合ってやってください←
-
399
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/05(火) 20:15:30 HOST:w0109-49-135-38-28.uqwimax.jp
enjoy!
「受験前なのに男女で街に行くって、どんだけ余裕なんだよって感じだよね」
「そ、そっかな?」
「そうだよもー、遥未(はるみ)はほんっと勉強嫌いだよね」
「うん、だいっきらーい!」
だって面倒臭いし、とつぶやきながら友人の花乃(はなの)と話していた。
今日の放課後わたしと花乃を含む男女六人で遊びに行くことになったからだ。
午前の授業でお腹が空いたからかあっというまにお弁当を食べ終わったわたしたちは、今日のことについて計画を立てていた。
「まずゲーセン行くでしょー? そしてー、ユーフォーキャッチャーでゆーまに何かとってもらってー」
「遥未、遊真(ゆうま)好きだねえ」
「そんなことないもんっ」
わたしがゆーまって呼んでる遊真っていうやつは、わたしの幼馴染。
二人でゲーセンに行くこともすくなくはないし、みんなの都合が合わないときも二人でよく遊んでいる。
受験勉強に向けて部活を引退してもう放課後フリーになった途端、わたしと遊真は勉強もろくにせずに遊び始めたのだ。
最近よく先生に呼び出されたりもするけど、楽しいし。
でも複雑なのは遊真は頭がいいってところで、勉強しないで困るのはわたしだけってことだ。
「……勉強なんてするだけムダだよね」
「遥未高校どこ受けんの?」
「花乃とか、遊真と同じとこ」
「えっ」
認めたくないけど花乃は頭がいい。
遊真には敵わないけど、遊真たちが行く学校のレベルは優に超えている。
今日遊ぶ他のメンバーの百合(ゆり)と海(かい)と迅(しゅん)も同じ高校だが、みんな普通に勉強ができるから余裕でその高校に入れるのだ。
――つまり、馬鹿はわたしだけってこと。
「どうしよおおおおお」
「どうしたの? 遥ちゃん」
おおお、この可愛い声でわたしのことを唯一はるちゃんと呼ぶ声は。
思わず勢い良く振り向くと、そこには可愛らしい百合の姿があった。噂をすればってやつかな。
「いやあああちょっとね! おべんきょしなきゃなって!」
「まず勉強のことをおべんきょって言ってること自体頭悪そうに見えるよ」
馬鹿花乃が突っ込んできた。
別にそんなことないもんっ、と顔をそらすけれど、正直言ってその通りだと思った。
「じゃあ、今日は遊ばないで百合の家で勉強会する?」
百合の可愛くて優しい提案に、それでもわたしは拒否した。
「ごめん、勉強ならわたし帰る……」
「大丈夫っ! 花ちゃんもいるし海くんも迅くんも遊くんもいるよっ」
「う、じゃあ……お願いします」
百合の可愛さに押されて、今日は勉強会に変更することになった。
×
「全くわからーんっ!」
百合が馬鹿なわたしのために用意してくれたプリントを見つめたあと数秒後、思いっきり叫んでみた。
隣にいた花乃と海から苦情がくる。
「もー、なんでわかんないかな」
「うっせーよ馬鹿遥!」
「馬鹿とはなんだ!」
抗議のしようがないのに抗議するわたしは本当に馬鹿だと思う。
ちらりと目線を外したときに目にうつったのは、百合とゆーまだった。
ゆーまが百合に優しく教えてるところ。
そうだよね、この二人付き合ってんだもんね。
去年あのゆーまから百合に告白して、両思いってことがわかったんだ。
優しい百合のことだから、わたしが百合にゆーまと付き合わないでほしいって事前に言っとけば振ってたんだろうなあ。
――って、だめだめ!
百合の優しさにつけこんじゃだめだよ。
それにわたしはゆーまのこと好きなんて思ってな……
思って、るかも。
「パンクしそう」
「何で?!」
勉強もむずかしいけど、恋ってもっともっとむずかしいね。
-
つーづく!
400
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/06(水) 20:53:18 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
400レスありがとうございます!
enjoy!
「複雑すぎる……」
「だから何が?! どの問題がわかんないんだよもー」
面倒臭そうにそれでもわたしに教えてくれようとしてる花乃。
ええい、もう優しさにつけこんでしまえ!
「花乃おぉぉおぉ……」
「なっ、何っ? やめてよね、変なことするの!」
無意識のうちに手が花乃の胸にいっていた、なぜだ。
まあ花乃に余裕でひかれたし、花乃のことが好きな海はわたしを睨んできた。
「おい馬鹿遥、花乃に何やってんだよ」
「うるせー馬鹿海、この片思い野郎」
「はあ?! 何だよ馬鹿って!」
「あ、片思いは否定しないんだー」
「……お前マジうざい!」
わたしと海が話し出すと止められる人は滅多にいなくて、でも今回は何とか花乃が止めた。
「二人ともうるさい! 勉強会なんだからケンカしないの!」
「はぁーい……」
「ご、ごめん……」
海もさ、花乃鈍感なの知ってんだから早く告白すればいいのに。
そんな風に思いながら、空回りばっかりしている海を哀れな目で見つめた。
そういうわたしも、哀れなんだけどさ。
「あの、遥ちゃんがいいのなら……勉強やめよっか?」
「え、マジで? いいの?」
「うんっ、勉強も結構したし」
百合は可愛い。
髪はサラサラだし、二つに結んでるのとか超似合うしすごく綺麗な栗色だし、目も綺麗で髪と同じ栗色で大きくて顔小さくて……えーとえーと、細くて華奢なのがまた可愛いし優しいし。
本当に女の子って感じの子だ。なのにノリ良くて性格良いとかずるいよね。
「……あそぶ」
「やったぁ」
百合が喜んでくれてなんかうれしかった。
でも喜ぶってことは本当は勉強したくないのに付き合ってくれたんだよね。
「ごめんねみんな……わたしが馬鹿なせいで勉強につき合せちゃって」
しゅんと落ち込んでいると、ゆーまがくしゃっとわたしの髪を乱暴に撫でた。
百合も微笑んで言う。
「らしくねーなー。俺たちどれだけ仲良いと思ってんの? 今更謝られても困るし」
「百合はすこしでも遥ちゃんが勉強できる機会があってよかったって思ってくれたなら、それだけでうれしいよ」
花乃と海と迅も、微笑みながらわたしに言った。
「こんなことで謝るくらいの仲じゃないでしょわたしたち!」
「遥未はうるさいけど、にぎやかで楽しいよ。できれば花乃と話すときは入ってこないでほしいけどさ」
「謝られると逆にビビるし!」
わたしはまだ中学生で、そろそろ高校生になるけどなったとしてもまだ高校生って感じで。
なのにもう、こんなに優しくて頼もしくて一部可愛い仲間がいるんだ。
やっぱり恋は難しくて複雑だけど、この関係は崩したくない。
「ありがとみんなー!」
なんか思わず目の前にいたゆーまに抱きついてみたけど、百合がいるからもう我慢しよう。
この気持ちはしまいこんでこのメンバーでずっといっしょにいたいな。
-
百合ちゃん美化設定←
百合可愛すぎて辛いおおおおう……(´・ω・)
遥未はお馬鹿キャラです。
あはって感じです。
それ以外みんな頭良いです。ずるいね。
401
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/06(水) 23:11:50 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
enjoy!
「か、か、か……」
爆発しそう。
つか萌え死にしそうだ。
「かわいいいいぃぃいいいいいぃいいっ!」
「そ、そんな可愛くないってばっ」
隣で赤面するメイド姿の百合。
超可愛い!
――わたしたちは今勉強そっちのけで街へ来ていて、コスプリ(コスプレプリ)撮ろうよってなって今こうして萌え死にしてるわけだ。
照れながら微笑む百合の姿を見た瞬間わたしは爆発しそうでした。てかしていい?
「ねえゆーまっ! 百合超可愛くない?!」
思わずゆーまに振ってしまった。
ゆーまが執事服(わたしと海と迅が無理矢理着せた)を着心地悪そうに着崩しながら振り向く。
その瞬間、ゆーまが驚いたのがわかった。あの悪戯好きで意地悪なゆーまが。
「……超可愛い」
「ほ、ほんと?」
「俺嘘つかないし」
百合がゆーまには否定することなく本当かどうか確認していた。
意地悪だけどゆーまは嘘つかないんだから、本当に決まってんじゃんっていう若干皮肉めいた気持ちになったわたしはバカップルをよそに花乃の元にいく。
「花乃様わたしを殺してください」
「ああ、わたしもちょうど殺そうと思ってたとこ――どうせなら百合に撲殺されたい?」
「えちょ、殴り殺すんですかていうかマジかよ!」
焦らしプレイの撲殺は嫌だ!
自分で言い出したことだけどマジかよとか言ってみた、フフン。
「アンタが遊真のこと好きなことくらいわたしも海も迅も知ってるわよ」
「ええええ? マジ?」
「ああうん、マジ」
「だって遥未わかりやすすぎだし」
思わず海と迅に確認してみたら二人とも迷いなく頷きやがった。こんちくしょうめ。
でも、と付け足すように海と迅が話し出す。
「百合の邪魔すんなよ、アイツ傷つきやすいんだから」
「遥未のことだから百合の優しさにつけこんでみたいな行動するんだろうけど奪おうとしてたら俺らは遥未の邪魔するからなー」
にっこにこのスマイルが憎たらしいねこんちくしょう☆
ていうかどんだけ信用ないのよわたし☆
「……ああ、うん……はい」
「まあ、落ち込むなよ」
大人しく頷くと花乃に適当臭く慰められた。
でもわたしはゆーまが好きって気持ちは引っ込めるって決めたんだし、ねえ?
「あの、えと……」
え、なんだろう可愛い声が聞こえてきたどうしよう。
「ゆゆゆ百合ちゃん? 聞いてたかな今までのはなし?」
「……ご、ごめんなさいっ」
「別にいいよぉ、わたしあの人のこと好きじゃないから!」
「で、でも……」
百合の優しさ、好きだよ。
でも、そんなに優しくして甘く見たりしないでよ。
「そんなに迷うなら、わたしゆーまもらっちゃうよ?! いいの?」
ああもう前言撤回だ!
わたし、ゆーまを諦めない!
「百合だって人間なんだから、嫌いなものは嫌いでいいんだよ! 苦手なものは苦手でいいし、譲りたくないものはあげなくていいの!」
「……遥ちゃん、百合ね」
百合が微笑みながら話し出した。
「遊くんのこと、遥ちゃんに譲れないくらい大好きなの――でもね」
百合の顔から、笑顔が消えた。
ていうか、必死に笑おうとしてるけど涙があふれだしちゃってる。
「遥、ちゃんがっ……もっともっとだいすきで……」
百合は可愛すぎる。
そういうところがずるいんだ。
「……あーもう、百合には敵わないなぁ」
「え……?」
「しゃーないから今日はここまでにしといてあげる! それまでに心の準備しておきなよー」
潔く撤退するわたしってかっこいいかも、優しいかも強いかも頼もしいかもー!
やーばいっ、ヒロインみたーい!
「……わたしが」
うん、もともとはね。
「わたしがゆーまを好きにならなければこんなに悩まなかったのに、ゆーまの馬鹿」
ゆーまが悪いんだよ。
-
402
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/09(土) 18:40:02 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
enjoy!
「馬鹿って、お前陰でコソコソ俺のこと馬鹿にしてんじゃねーよ」
「ああああれっ? ゆーま、何でここに……つうか聞かれた!」
聞きなれた声と偉そうな言葉に振り向くと、そこには今最も会いたくなかった人――ゆーまがいた。
なんでいんの?! 百合といっしょじゃなかったの? てかユーフォーキャッチャーしに行ったんじゃなかったの?!
たくさんの疑問が思い浮かぶ中、わたしはゆーまに恐る恐る訊いた。
「その、いろいろアレな話は聞いてないよね……?」
「アレってなんだよ。つーか俺馬鹿って言われたのしか聞いてねーし」
「よ、よかったああああああ!」
「なんだよそれ」
無愛想でぶっきらぼうなゆーま。
なんでコイツなんかのこと好きになったんだろ。
なんか自分で自分が意味わかんなくなってきた。わたしのこと理解できるのってわたし以外にいないんだろうけど。
「……つか、百合はいいの?」
「ああ、百合は花乃とプリ撮ってくるって」
「なにそれ! わたしも撮りたい!」
「お前誘われなかったんだから行くなよ」
「そ、そんなああああああ!」
酷いよ!
いくら好きな人が同じだからって百合、酷すぎる!
わたしの中でもわもわした何かが破裂して、思わず百合といっしょにいるであろう花乃に電話してみてしまった。
「あっ、もしもし花乃!」
『うざい』
プツッと残酷な音が聞こえたような気がする。
どうしてうざいの一言できるんだ!
ヤケクソで百合にも電話してみた。
「百合いいいいぃいいいい!」
『遥ちゃんっ。ごめんね、誘ったんだけど遥ちゃん固まっちゃってたから先行っちゃった……』
「わたしもいっしょにいたい!」
『じゃあ今からそっち行くね――って、え? 花ちゃん?』
「え、なになになに」
百合の可愛い声が聞こえなくなった。
なになに? 何が起こったの?
『おい遥未――ガールズトークしてるから来ないでねー』
「え? ちょ、花乃?!」
百合と花乃が代わったみたいだ。
ガラの悪いその声にげ、と声を漏らす。
『アンタは遊真と戯れてれば?』
え、なんだろ。
さっきうざいできられたときはプツッて音だったのに今回ブツッて音が聞こえたんだけど。
ツー、ツー、ツー……と虚しくわたしの耳に入る音。
数秒固まったあと、ずっと見守ってくれてたゆーまに情けなく愚痴る。
「ひどいよね……花乃」
「いや、正しい判断だと思うけど」
「そんなあっ、ゆーま酷い!」
「……酷いっつうんならコレあげなくていいよなー」
403
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/09(土) 18:40:56 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
enjoy!
ゆーまの目つきがかわった。
そうそう、この目つきのときが好き。
悪戯っぽくてかっこよくてかわいーの。
そんなゆーまの手には可愛いくまのぬいぐるみがあった。
ユーフォーキャッチャーでわたしが千円かけても取れなかったやつだ。コイツ軽々と取りやがって。
「べべべ別に酷いなんて言ってないよ?」
「ふうん……じゃあなんて言ったのかなあ?」
「す、素晴らしいゆーま様って言った」
「そんな長くなかったような気がするんだけどなぁ」
「そ、そんなことないよー」
「まあ、んなこと言わなくてもあげるけど」
ぽいっとぶっきらぼうに渡されたぬいぐるみ。
ぎゅうっと抱きしめてみた。
ゲーセンだからタバコの匂いがするのかと思ったけど、なぜかゆーまの良い香りがしてた。
もっとぎゅうぎゅうもふもふしてみる。
くんくんくんっ
「んな匂い堪能すんなよ!」
「ははははいっ」
楽しい。
これがもっとつづけばいいのに――と思ったところで、もう一つ薄いピンク色をした可愛いくまのぬいぐるみがあるのに気づいた。
「それは?」
「これは百合にあげようと思って」
うわ。
訊かなきゃよかった。
わたしのは茶色で百合はピンクか。
しかも百合のくまは赤いハートのクッションをもってて、そこに白の刺繍でLOVEってかいてあるし。
「……」
「なんだよ、訊いといて反応なしかよ」
「べっつにぃ」
「意味わかんねー」
そう言って頬を掻くゆーまはなんだか嬉しそうだった。
やっぱり百合が大好きなのかな。
なんだか妬ましいような皮肉めいた気持ちになったわたしは思いっきりゆーまの手を握ってみた。
「なんだよ」
「いいじゃんいいじゃん、わたしだって寂しいんだよー」
「彼氏いなくて?」
「うん、まあそんな感じ」
「俺で充電すんなよっ、俺には百合が――?!」
ゆーまが悪いんだからね。
多分わたし顔真っ赤だと思う。
だって思わずゆーまにキスしちゃったから。
「……なん、で」
ゆーまが動揺しているのを見て、なんだか嬉しくなった。
ドキッてしてくれたのかな。
顔が赤いゆーまの様子を見てみると、どうやらドキッとしてくれたようだ。
「なんでもなーいっ」
この流れで「好きだよ」とか「振り向いてよ」とか言えればいいんだけど、ヘタレで弱気なわたしはふいっと顔をそらして誤魔化してしまった。
まあ、一歩進展できたのかな。……いや、遠ざかったか?
-
404
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/11(月) 17:15:23 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
Flower Meaning
言葉じゃ伝わらないくらい、君を愛しています。
わたしは臆病だから思うように言葉にすることができなかったっていうのもあるけど。
でも、伝えられなかったのは事実。
わたしの分も、たくさん幸せになってね。
×
「花(はな)!」
「ははははいっ」
教室に先生の怒鳴り声が響いた。
周りの生徒たちがくすくすとこっちを見て笑っているのがわかる。
「おいお前――俺の授業で寝るとは良い度胸してんなぁ?」
「おおおお褒めいただいて光栄です!」
「……授業が終わったあと外周十周! そのあと部活に来い!」
「えええええっ」
「えええじゃない! 寝てるお前が悪い」
ったく……、とため息をつきながら教卓へ戻る先生の後ろ姿を見つめながらポツリとつぶやいた。
「外周楽しみだなー」
だって、彼氏の宇宙(そら)に会えるから。
宇宙はバスケ部のエースで――とにかくかっこいい。
バスケ部の外周に混ざっちゃえばこっちのものだよね。
あ、外周したあと二人で抜け出すのもいいかも!
いろんな空想をめぐらせたわたしは、授業中当てられたのに気づけなくてまた怒られてしまった。
でもそんなの耳に入ってないのは言うまでもないだろう。
×
「しゅーんっ! いっしょ走ろー」
「あれ? 花も外周? 花吹奏楽部だよな」
「うん、そうなんだけどー……顧問の八木(やぎ)の授業で寝ちゃってー」
「あー、あれ眠いよな」
「地理だったもんでつい……ね」
二人でわいわいきゃっきゃしながら外に出た。
クラスは別々だけど今でもこんなに仲が良いんだ。
何せ小さい頃からずっといっしょの幼馴染でもあるし。
「わ、ここ久し振りに走る」
さすが、毎日外周してるだけあるなと思った。
あっというまに半周してるし。
――でも。
「つ、つかれた……」
このペースで行ったらわたしは途中で死んじゃいそうだ。
よろりとよろけながら走るけど、そんなわたしを迅が気遣ってくれてやる気がアップした。
「大丈夫か?」
「うんっ、へーき! つかがんばる」
「がんばれー! 辛くなったらおんぶしてあげるから、とか――」
「マジで?! おんぶして!」
――おんぶしてもらった。
迅はそのつもりで言ったんじゃないってわたしも気づいてるけど。
なんか無性に甘えたくなっちゃって。
「はふー、お疲れ迅!」
「楽しかったなー」
わたしをおんぶして五周以上走ったのに、なんでこんなに力有り余ってるんだろ。
なんだか急に迅が強くて頼もしく見えてきたわたしは思わず迅に抱きついてしまった。
「?! どうした花、具合悪いのか?」
「ううんー、なんか抱きつきたくなった」
えへ、と微笑んで見せる。
やっぱり迅が大好きだなー!って、改めて実感した。
×
405
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/11(月) 17:17:00 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
上はミスです(^ω^;)
修正版投稿!
Flower Meaning
言葉じゃ伝わらないくらい、君を愛しています。
わたしは臆病だから思うように言葉にすることができなかったっていうのもあるけど。
でも、伝えられなかったのは事実。
わたしの分も、たくさん幸せになってね。
×
「花(はな)!」
「ははははいっ」
教室に先生の怒鳴り声が響いた。
周りの生徒たちがくすくすとこっちを見て笑っているのがわかる。
「おいお前――俺の授業で寝るとは良い度胸してんなぁ?」
「おおおお褒めいただいて光栄です!」
「……授業が終わったあと外周十周! そのあと部活に来い!」
「えええええっ」
「えええじゃない! 寝てるお前が悪い」
ったく……、とため息をつきながら教卓へ戻る先生の後ろ姿を見つめながらポツリとつぶやいた。
「外周楽しみだなー」
だって、彼氏の迅(しゅん)に会えるから。
迅はバスケ部のエースで――とにかくかっこいい。
バスケ部の外周に混ざっちゃえばこっちのものだよね。
あ、外周したあと二人で抜け出すのもいいかも!
いろんな空想をめぐらせたわたしは、授業中当てられたのに気づけなくてまた怒られてしまった。
でもそんなの耳に入ってないのは言うまでもないだろう。
×
「しゅーんっ! いっしょ走ろー」
「あれ? 花も外周? 花吹奏楽部だよな」
「うん、そうなんだけどー……顧問の八木(やぎ)の授業で寝ちゃってー」
「あー、あれ眠いよな」
「地理だったもんでつい……ね」
二人でわいわいきゃっきゃしながら外に出た。
クラスは別々だけど今でもこんなに仲が良いんだ。
何せ小さい頃からずっといっしょの幼馴染でもあるし。
「わ、ここ久し振りに走る」
さすが、毎日外周してるだけあるなと思った。
あっというまに半周してるし。
――でも。
「つ、つかれた……」
このペースで行ったらわたしは途中で死んじゃいそうだ。
よろりとよろけながら走るけど、そんなわたしを迅が気遣ってくれてやる気がアップした。
「大丈夫か?」
「うんっ、へーき! つかがんばる」
「がんばれー! 辛くなったらおんぶしてあげるから、とか――」
「マジで?! おんぶして!」
――おんぶしてもらった。
迅はそのつもりで言ったんじゃないってわたしも気づいてるけど。
なんか無性に甘えたくなっちゃって。
「はふー、お疲れ迅!」
「楽しかったなー」
わたしをおんぶして五周以上走ったのに、なんでこんなに力有り余ってるんだろ。
なんだか急に迅が強くて頼もしく見えてきたわたしは思わず迅に抱きついてしまった。
「?! どうした花、具合悪いのか?」
「ううんー、なんか抱きつきたくなった」
えへ、と微笑んで見せる。
やっぱり迅が大好きだなー!って、改めて実感した。
× きりまーす
406
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/11(月) 17:18:09 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
上のつづきです!
それはある秋の終わりかけた時期のこと。
十月の始め、十月一日の出来事だ。
この日は大好きな迅の誕生日で――誕生花であるチョコレートコスモスをプレゼントした。
「迅は男の子だから花なんかいらないかなって思ったんだけど、何が欲しいかわからなくて」
「いや、花にもらえるなら何でもうれしいし! ――でもこれ、俺枯らせちゃいそうで不安だな」
「ふっふっふ」
「な、なに?」
よくぞ聞いてくれました! とでも言うかのようにわたしが目をキラキラさせて言った。
「これはねっ、花の愛が詰まってるから枯れないんだよー!」
「マジで?! やった」
「ふふーん」
迅といると楽しい。
それを改めて感じたわたしはふふっと微笑んで言った。
「お花、大事にしてね」
「うん、絶対大事にする」
ぎゅっとそのお花を抱きしめる迅。
なんだか自分が抱きしめられているような気分になった。
チョコレートコスモスの香りと同じように、すごく甘い一日を過ごしたのだった。
×
そしてそれから数日後。
なんだか最近――いや、あの花を渡してからかな。
急に迅が冷たくなった。
廊下ですれ違っても何にも言ってくれないし、部活のあともいっしょに帰ってくれない。
でも今日はめずらしく迅が家に呼んでくれて、わくわくした気分だった。
「……今日はさ、花に渡したいものがあるんだ」
「な、なあに?」
迅ににこりと微笑みながら渡されたのは黄色い薔薇の花。
迅の笑顔がいつもより寂しそうな笑顔だったなんてことは忘れて思いっきりはしゃいだ。
「く、くれるの? ほんとに?」
「うん、花にプレゼント」
「ありがとう! うれしい!」
なあんだ。
迅が冷たかったのは気のせいだったんじゃん。
帰りにいっしょに帰ってくれなかったのもこの花を買うためか。
すっかりもやもやの晴れたわたしはるんるん気分で家に帰っていった。
お部屋にその薔薇を飾ったのは言うまでもないだろう。
×
その次の日。
部活が終わったあと迅がいるであろう体育館に行ったら、予想通りバスケ部の部員たちがそこにいた。
ちょうど終わったみたいで、迅が驚いてわたしに駆け寄る。
「なんでいんの?!」
「ひどっ、いっしょに帰るからに決まってんじゃんもー……」
「え? もういっしょに帰れないって前言ったよね……?」
「……え、でも……薔薇、くれたじゃん」
「いや、それは……」
迅が気まずそうにポツリと言った。
「黄色い薔薇の花言葉、調べてみて」
× またきるー!
407
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/11(月) 17:19:28 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp
つーづきー
Flower Meaningは最終話です(´・ω・)
あのあと一人で家に帰ったわたしは迅に言われた通り黄色い薔薇の花言葉を検索していた。
あなたを恋します、友情、……
薄らぐ愛、恋に飽きた、嫉妬、誠意がない、不貞――
「別れよう」
たくさんの花言葉があったけど、迅が言いたいのはきっとコレだ。
別れようって意味……?
どうしてだろう。
でもわたしにも、思い浮かぶことが一つだけあった。
チョコレートコスモスの花言葉。
調べてみると、予想通りのような言葉が載っていた。
「恋の終わり――」
他にも恋の思い出とかがあったけど、迅が言ってるのはきっとコレのことか。
どうしよう、と思ったけど今更言い出せなかった。
でも、いやだ。
伝えたい――このままじゃだめだ。
いそいで家を飛び出して迅が歩く帰り道を走る。
「迅っ!」
「花っ?!」
言葉でなんか、伝えられない。
伝わらないくらい大好きなのに。
わたしは携帯につけていた迅からもらったチューリップの花のストラップを外して迅に渡す。
「……信じて」
それだけポツリと言い残した瞬間――
迅にぎゅっと抱きしめられた。
「疑ってごめんな」
「ううん、いいの――言葉じゃ伝わらないくらい愛してるから」
愛の告白、永遠の愛――
-
チョコレートコスモスの花言葉:恋の終わり、恋の思い出、移り変わらぬ気持ち
黄色いバラの花言葉:あなたを恋します、友情、薄らぐ愛、恋に飽きた、嫉妬、誠意がない、不貞、別れよう
チューリップの花言葉:愛の告白、永遠の愛
って感じです!
タイトルは花言葉って意味。
最初の趣旨とちがうってのは気にしないで←
久し振りに完結した作品でしたー
他のも書かなきゃなー(^ω^)
408
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/14(木) 11:45:28 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
enjoy!
「花ちゃん――」
「どうしたの? 百合」
「――百合実はね、遊くんと付き合ってなんかないの」
照れ隠しでゆーまの傍から離れ、ドッキリ的な感じで花乃と百合がプリ撮ってるところに忍び込もうと思っていたところ。
なぜか、百合が花乃にありえない話をしていた。
いや冗談だろと思ったけど、その声はどこかさみしそうで――不安そうな声。
「百合ね、遊くんに告白して振られたの――」
「え……?」
「ずっと隠してて、嘘ついててごめんなさいっ」
ハテナだらけなわたしの頭の中。
でもどこかで黒いわたしが微笑んでいるような気もして――
「どうしてそんな嘘」
「……遊くんが、遊くんが優しかったから。振られて泣いたわたしを見て、可哀想だと思って付き合ってるふりをしてくれてただけなの」
花乃の声を聞く限りめずらしく動揺しているようだ。
「遊くん本当は、遥ちゃんが好きだったんだよ」
そんな、こと。
そんなこと聞いて、わたしはどうすればいいんだろう。
あ、でも百合は実際わたしに言ってるんじゃなくて花乃に言ってたのか。
「何で今そんな話するの?」
「……遊くんに、もう恋人ごっこはやめようって――百合は強くなったからもう俺はいらないだろって、振られちゃった」
百合は泣いているようだった。
きっと、ごっこでもなんでもゆーまと付き合えてうれしかったんだろう。
……どうしても、ゆーまじゃなきゃダメだったんだろう。
わたしはもう二人の会話を、泣いている百合の声を聞いているのが辛くなって、その場を走り去ってしまった。
でもわたしだけ何も動かないっていうのは卑怯な気がして――ゆーまの元へ向かった。
-
409
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/14(木) 11:59:21 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
enjoy!
「ゆーまの馬鹿、何やってんだ」
「はぁ? 何の話だよ――つうかお前、さっきのなんだったんだよ」
あ、ちょっとタイムタイム。
今のわたしとゆーまの仲を考えてみたら、わたしゆーまにこんな堂々と百合のこと話せる立場じゃなくない?
わたしゆーまのこと好きだし、さっき思わずキスしちゃったわけだし、百合の話を聞けばゆーまもわたしのこと好きだったみたいだし。
その好きだったがもし現在進行系だったらわたし、好きな人と両思いなのにそんな相手に違う女のところ行けって言ってることになっちゃうよね。
――でも。
わたしはゆーまより、百合のほうが好きなのかもしれない。
恋愛より友情のほうが大事なのかな。
「……百合と、別れないであげて」
「なんで遥未がそのこと――」
「さっき花乃と百合が話してんの聞いたの!」
なんなのわたし。
ムキになっちゃって、馬鹿みたい。
「百合、泣いてた! 百合はどうしても、ぜったいにゆーまじゃなきゃダメだったの!」
「……俺の好きな人、誰か知ってる?」
「――――わた、し……だったけど、今は百合でしょ?」
百合であってほしい。
なのに、ゆーまは微笑みながら残酷なことを言い放った。
「今も前も、ずっと遥未だよ」
それは、とてもうれしくて泣きそうなほど舞い上がっちゃうようなこと。
それは、とても残酷で泣きそうなほど悲しいようなこと。
百合をとるか、わたしをとるか。
どうしたらいいんだろう。
「俺は遥未に振られたところで百合と付き合うなんてことはしないよ」
もう百合は、泣くしかないんだと思う。
それならわたしも、泣いて終わろうか――
「ごめ――」
「待って!」
-
410
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/06/17(日) 15:20:07 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
enjoy!
「ゆ、り……?」
走ってわたしを探してくれたのだろうか。
息は荒く、額に汗の玉が浮かんでいた。
「遥ちゃん、百合に教えてくれたじゃん!」
「え……?」
こんなに必死な百合初めて見た。
こんなに強気で、遠慮をしない百合を。
「譲りたくないものは譲らなくていいって、嫌いなものは嫌いでいいし苦手なものは苦手でいいって言ってたじゃんっ」
そうだ、わたし。
百合にそんなこと言える立場じゃなかったんじゃん。
この言葉は結局自分にそう言い聞かせたかっただけだったのだろうか。
――いや、これは。
百合にゆーまを諦めてほしくなくて。
ゆーまに幸せになってほしかったから言ったもので。
「……わたしは、ゆーまに幸せになってほしい」
「なら、百合じゃ無理だよ。遥ちゃんしか遊くんを幸せにはできないの!」
今度は百合が教えてあげるね、と前置きしてから百合が言った。
その笑顔はとても可愛くて綺麗で、わたしには眩しすぎるものだったけれど――
この眩しい笑顔より、わたしを選んだんだ。
それならわたしもこの笑顔以上に輝きつづけてゆーまを幸せにする役目があるんだから。
「ゆーま、好きだよ」
「俺も、ずっと好きだった」
やっと伝えられた。
ライバルだと思ってた百合にも助けられちゃったし。
「ありがと百合」
「言ったでしょ、百合。遊くんより遥ちゃんが大好きって」
わたしはきっと、色んな人に助けられてるんだろうな。
こうして人生を楽しめることに、突然すごく感謝したくなってきた。
「わたしもみんなだいすきだーっ」
ちょっと意地悪な花乃も、馬鹿迅もうざキャラな海も優しくて可愛い百合も、かっこよくて悪戯好きなゆーまも。
わたしにとってはみんなみんな宝物です。
-
enjoyはここから高校編に突入したいところなんです。
こんな長く連載するつもりなかったのでよくわかんないけど。
とりあえず中学生編は一旦おわり。
ここからつづくのかどうか、それはねここの気分次第です←
411
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/16(月) 20:51:43 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
君の隣の笑顔
――笑い方を忘れた。
お笑い番組を見ても友達に面白いギャグを言ってもらっても、何も感じない。
いつ頃からだろう。
多分、君が――レンが交通事故に遭ってからだと思う。
そのときはレンとデートしてて、アタシもレンの隣ですごく楽しそうに笑っていた記憶がある。
でも、あの時――信号無視したトラックにアタシが轢かれそうになったとき。
レンはアタシを庇って――
「いやあぁっ!」
思い出したくない。
あの日から、あれからレンが倒れて救急車で運ばれてから、涙しかながれない。
目が腫れてるのがわかる。
アタシ、レンが隣にいなきゃ笑うなんてことできないよ。
そのとき、コンコン、とアタシの部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「ユリナ、レンくんのお見舞いに行くけど……」
「手術、は」
レンはたしか手術をしなきゃいけなくて、対面なんてまだ先のはずじゃ――
「それがね、手術は一昨日終わってて、すっかり体調も良くなったんだって」
レンに会いたい。
ポンッと浮かんだその思いに答えるように、アタシはすぐ部屋を飛び出て準備した。
早く行かなきゃ、きっとレンもアタシを待ってる。
×
「失礼、します……」
恐る恐る、レンがいるであろう病室に入るとそこにはレン独特の金色の髪の毛があった。
「レンッ!」
アタシのこと、待っててくれたかな。
なんだか不思議そうな表情をするレンの傍に駆け寄った瞬間――
「アンタ誰?」
レンの口から、ありえない言葉が出てきた。
アタシは必死にレンに説明する。
「アタシだよ、ユリナ」
「ユリ、ナ?」
「レンの彼女だよ」
アタシがそう言った瞬間、レンが一瞬固まるのがわかった。
辛そうに頭を押さえたあと、申し訳なさそうにポツリ。
「ごめん、覚えてない、みたい」
途切れ途切れに言ったレンの言葉は。
グサリと、深くアタシの胸に刺さったみたいだ。
「どう、して?」
「事故……までは覚えてる――そのとき、誰かといっしょにいた」
「だれ、と? 女の子だよ、ね?」
「ああ、多分……で、その子が、轢かれそうに、なって」
「う、ん……」
思い出して、もっと。
お願いだから、記憶を辿ってアタシにもう一回レンの笑顔を見せてよ。
笑い方、教えてよ。
「ッ!」
「レン?!」
やだ、レン。
ねえ、思い出せないの?
アタシたちで一生懸命つくった思い出、レンは全部忘れちゃったの?
「ごめ、ん……」
「事故の前の、楽しい思い出とか、ないの?」
「誰かといっしょにいて、すごい、楽しくて――俺、ずっと笑ってた」
「そう、だよぉ……」
なんで、アタシのこと。
アタシは思わず、泣き出してしまった。
「なんで?! アタシ、レンが大好きでっ……今、だって! レンの手術が終わってッ、うれしかったのにっ」
「ユリナ、だっけ」
「名前もッ! レン、アタシのことユリって、呼んで、くれたっ」
レンのばか。
また笑って、ユリって呼んでよ。
きります
412
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/16(月) 20:52:31 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
君の隣の笑顔
――笑い方を忘れた。
お笑い番組を見ても友達に面白いギャグを言ってもらっても、何も感じない。
いつ頃からだろう。
多分、君が――レンが交通事故に遭ってからだと思う。
そのときはレンとデートしてて、アタシもレンの隣ですごく楽しそうに笑っていた記憶がある。
でも、あの時――信号無視したトラックにアタシが轢かれそうになったとき。
レンはアタシを庇って――
「いやあぁっ!」
思い出したくない。
あの日から、あれからレンが倒れて救急車で運ばれてから、涙しかながれない。
目が腫れてるのがわかる。
アタシ、レンが隣にいなきゃ笑うなんてことできないよ。
そのとき、コンコン、とアタシの部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「ユリナ、レンくんのお見舞いに行くけど……」
「手術、は」
レンはたしか手術をしなきゃいけなくて、対面なんてまだ先のはずじゃ――
「それがね、手術は一昨日終わってて、すっかり体調も良くなったんだって」
レンに会いたい。
ポンッと浮かんだその思いに答えるように、アタシはすぐ部屋を飛び出て準備した。
早く行かなきゃ、きっとレンもアタシを待ってる。
×
「失礼、します……」
恐る恐る、レンがいるであろう病室に入るとそこにはレン独特の金色の髪の毛があった。
「レンッ!」
アタシのこと、待っててくれたかな。
なんだか不思議そうな表情をするレンの傍に駆け寄った瞬間――
「アンタ誰?」
レンの口から、ありえない言葉が出てきた。
アタシは必死にレンに説明する。
「アタシだよ、ユリナ」
「ユリ、ナ?」
「レンの彼女だよ」
アタシがそう言った瞬間、レンが一瞬固まるのがわかった。
辛そうに頭を押さえたあと、申し訳なさそうにポツリ。
「ごめん、覚えてない、みたい」
途切れ途切れに言ったレンの言葉は。
グサリと、深くアタシの胸に刺さったみたいだ。
「どう、して?」
「事故……までは覚えてる――そのとき、誰かといっしょにいた」
「だれ、と? 女の子だよ、ね?」
「ああ、多分……で、その子が、轢かれそうに、なって」
「う、ん……」
思い出して、もっと。
お願いだから、記憶を辿ってアタシにもう一回レンの笑顔を見せてよ。
笑い方、教えてよ。
「ッ!」
「レン?!」
やだ、レン。
ねえ、思い出せないの?
アタシたちで一生懸命つくった思い出、レンは全部忘れちゃったの?
「ごめ、ん……」
「事故の前の、楽しい思い出とか、ないの?」
「誰かといっしょにいて、すごい、楽しくて――俺、ずっと笑ってた」
「そう、だよぉ……」
なんで、アタシのこと。
アタシは思わず、泣き出してしまった。
「なんで?! アタシ、レンが大好きでっ……今、だって! レンの手術が終わってッ、うれしかったのにっ」
「ユリナ、だっけ」
「名前もッ! レン、アタシのことユリって、呼んで、くれたっ」
レンのばか。
また笑って、ユリって呼んでよ。
きります
413
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/16(月) 20:53:14 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp
「ユリ!」
泣き叫ぶアタシの名前を、レンは一生懸命呼んだ。
アタシは突然名前を呼ばれて思わず黙り込む。
「俺、ユリのこと何も覚えてない……けど、事故の前、あの楽しい思い出のなかにいた子がユリだとしたら――俺はユリをまた好きになるよ」
レンはとっても一途で、アタシを大事にしてくれて。
オマケに他の人にも優しくて、でもアタシにはもっともっとすっごく優しくて。
大好きな人なのに。
「もっともっと、好きになっちゃうよぉ……」
これ以上好きになっても苦しいだけじゃん。
辛いし、アタシもう泣きたくないのに。
「もっと好きになっていいよ。俺も、それに負けないくらいユリのこと好きになるから」
うれしいはずなのに。
アタシの心には、なぜか迷いがあった。
もし、レンの記憶がなくなったとしたら――
他の女の子に恋をしていたかもしれない。
もっと違う人生を歩んでいて、アタシとは一切関わらなくて済むかもしれない。
実際レンはアタシのせいで事故に遭ったんだ。
だからもう、アタシなんかといちゃいけないよ。
「いいよレン……レンはレンの道を歩んで」
必死につくった、作り笑顔。
でも、どうしても笑えない――泣きそうになる。
そんなアタシを、レンはそっと抱きしめてくれた。
「笑え、ないの?」
「レンが、事故に遭ったときから――」
「じゃあさ、俺がまた笑わせてあげるよ」
ふっと笑みをうかべたレン。
アタシはうれしくて、笑顔になれた、ような気がする。
その瞬間、レンが苦しそうに俯き始めた。
「ッ!!!」
「レン?!」
ねえ、どうしたのレン?
またアタシの前から、いなくならないで――
「ユ、リ……?」
レンが、アタシを見つめて不思議そうに言った。
なんとなく、感覚的に、だけど……
「記憶が戻った……?」
どうして?
アタシが笑ったから?
「ユリ、怪我しなかった?!」
びくん。
急に肩を掴んでブンブン揺すぶられた。
「だ、だいじょうぶだよ……?」
よかった。
涙があふれだす。
「ユリ、泣かないでよ……」
「だって、うれしくてっ」
「嬉しい?」
「レン、アタシの記憶なくしてっ……」
でも、アタシ、笑い方わかったよ。
「アタシね、レンが傍にいなきゃ笑えないみたい」
「俺も、ユリが傍にいなきゃ楽しくないよ」
「「大好きだよ」」
‐
お久し振りです!
勝手ながらしあんいろの連載を終了させていただく予定だったのですが、急遽更新してしまいました。
いやなんか書きたくなって。
笑い方を忘れたっていう歌詞の曲が流れてきたので、ポンッと浮かんだ作品。
ユリナってのは元々決まってて、レンはなんか合ってたからつけました←
まあ、しあんいろ復帰小説的な感じでね!
またかなり下がったときに書きたくなると思うんで、そのときに書きます!
414
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/20(金) 19:30:07 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
enjoy!!
「佐藤遥未」
人混みのなかでクラスが書いてある表をじっと見つめながら、あたしはその文字を探した。
周りの人は「どう?見つかったー?」「まだ、つかあたし合格したっけ」「やった!今年もまた同じクラスだね!」「高校でも彼女と同じクラスになれるなんて……」と、それぞれが思い思いにしゃべっている。
今更合格したっけかという疑問を持ってもしょうがないのだけれど、あたしはなんとなく自分の名前がクラス表にないことに不安を感じていた。
たしかにあたしは、花乃やゆーまたちと同じ音羽高校に入学したはずなのだんなだけどな。
「百合いぃ!」
「ど、どーしたの遥ちゃん」
「あたしの、あたしの名前がないよおぉ!!!」
みんなの視線が一斉に集まるのがわかる。
さっきまで思い思いにしゃべっていた人も、まだしゃべりつづけながらもコチラをちらりと見ているようだ。
「うそ、あるはずだよ」
「うぅ……あ、百合たちは何組だったの?」
「わたしと遊くんは1−Aで海くんと迅くんと花ちゃんは1−Bだよ」
「ふええぇ、じゃああたしそこ調べればいるかも」
あたしはもう一度、人混みの中のクラス表に目を通す。
すると、どこからともなく「遥ちゃん、あったよ!」という声がきこえて、あたしはぐるんと振り向き声がきこえた方向へ向かった。
「どこどこ?!」
「Cクラスの11番」
「C……」
Cっていえば、あたしだけ仲間はずれじゃないか。
はあとため息をつきながら、あたしは苦笑して励ましてくれた百合に哀れそうにつぶやいた。
「合格しても馬鹿は仲間はずれのままなんだねー……」
「そんなことないよっ、元気出して?」
「うん、ありがと百合……」
あたしはあたしなりにがんばるしかない……のか。
‐
enjoy!の高校生verです(`・ω・´)
つづくかもとかほざいといて実はもうつづけるつもりなんてなかったのですが、最近しあんいろを読み返して文面はともかくenjoy!って結構いい話じゃねってことで続編いきました。
enjoyのビックリマークが二つになってます。
まさかの高校生になった瞬間遥未ぼっち計画が立てられかけてますがだいじょうぶです←
それでは、今時しあんいろを見てくれている人はいないと思いますが、ねここは書き続けます。
だれかの目に入ることを願って!!!←
415
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/21(土) 16:32:12 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
訂正ばん!
enjoy!!
「佐藤遥未」
人混みのなかでクラスが書いてある表をじっと見つめながら、あたしはその文字を探した。
周りの人は「どう?見つかったー?」「まだ、つかあたし合格したっけ」「やった!今年もまた同じクラスだね!」「高校でも彼女と同じクラスになれるなんて……」と、それぞれが思い思いにしゃべっている。
今更合格したっけかという疑問を持ってもしょうがないのだけれど、あたしはなんとなく自分の名前がクラス表にないことに不安を感じていた。
たしかにあたしは、花乃やゆーまたちと同じ音羽高校に入学したはずなんだけどな。
「百合いぃ!」
「ど、どーしたの遥ちゃん」
「あたしの、あたしの名前がないよおぉ!!!」
みんなの視線が一斉に集まるのがわかる。
さっきまで思い思いにしゃべっていた人も、まだしゃべりつづけながらもコチラをちらりと見ているようだ。
「うそ、あるはずだよ」
「うぅ……あ、百合たちは何組だったの?」
「わたしと遊くんは1−Aで海くんと迅くんと花ちゃんは1−Bだよ」
「ふええぇ、じゃああたしそこ調べればいるかも」
あたしはもう一度、人混みの中のクラス表に目を通す。
すると、どこからともなく「遥ちゃん、あったよ!」という声がきこえて、あたしはぐるんと振り向き声がきこえた方向へ向かった。
「どこどこ?!」
「Cクラスの11番」
「C……」
Cっていえば、あたしだけ仲間はずれじゃないか。
はあとため息をつきながら、あたしは苦笑して励ましてくれた百合に哀れそうにつぶやいた。
「合格しても馬鹿は仲間はずれのままなんだねー……」
「そんなことないよっ、元気出して?」
「うん、ありがと百合……」
あたしはあたしなりにがんばるしかない……のか。
‐
enjoy!の高校生verです(`・ω・´)
つづくかもとかほざいといて実はもうつづけるつもりなんてなかったのですが、最近しあんいろを読み返して文面はともかくenjoy!って結構いい話じゃねってことで続編いきました。
enjoyのビックリマークが二つになってます。
まさかの高校生になった瞬間遥未ぼっち計画が立てられかけてますがだいじょうぶです←
それでは、今時しあんいろを見てくれている人はいないと思いますが、ねここは書き続けます。
だれかの目に入ることを願って!!!←
416
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/21(土) 16:33:26 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
enjoy!!
「……あ、あのっ」
「なあに?」
後ろの席の、ちょっとふわっとした可愛い女の子。
その子に、あたしは思いきって話しかけてみた。
(だってひとりぼっちとか嫌だし、百合たちがいないんだから自力でどうにかするしかないんだもん!)
心の叫びを声に出さないようにしながら、その子のつまらなさそうな反応を見てちいさな声で言った。
「あたし、佐藤遥未っていって……友達全然いなくて、その」
「あっ、もしかしてあの遥未ちゃん?」
「あの? あのってなになに?」
意外にも名前に興味を持ったその子にあたしはん?と思った。
「あの遥未」って、あたし有名人なの?
「男子でね、早速可愛い子ランキングつくったんだって」
「ほへぇ、そりゃつまらんことを」
「それでね、一位が百合ちゃんで二位が花乃ちゃんで三位が遥未ちゃんだったのー!」
「え」
百合が一位なのはわかる。
花乃が二位、なのも……認めたくないけどわかるよ。
なのになんであたし三位?!
あたし可愛くないし!ブスだしキモイし!
「なんか可愛いなって思ったら、遥未ちゃんだったんだね」
「可愛くないよ!えと、その……名前」
「あ、わたし?わたしは桜(さくら)ってゆーの。よろしくねー」
「よろしく、桜!」
早速呼び捨てっていう。
とにかく、気の合いそうな友達ができてよかった!
×
「遥遥遥」
「なになになに」
「ねね、あの百合ちゃんって子の隣にいる男子イケメンじゃない?」
「あれって」
ゆーまじゃん!
あたしの彼氏だし。
ていうか百合とゆーまいっしょに購買行ってるんかい!
別になんとも思わないけどさあ。
「なんかお似合いー」
「ですよね……」
――やっぱり。
あたしとか花乃にはない可愛さというか魅力とかが百合にはあるというか。
そして海や迅にないかっこよさとか魅力をゆーまは持ち合わせていて。
そんなふたりがくっついたら、やっぱりお似合いなんだろうな。
「お、遥未じゃん」
「げっ、くんのかよ」
「なになに?知り合いっ?!」
何も知らずに近寄るゆーま。
手振ってきてくれる百合は可愛いけど、あたしは思わず本音を漏らしてしまった。
そしてそれに興味深そうに反応する桜。
「友達できてよかったなー」
「ちょっと!子供扱いしないでよもー」
「ああ、つか帰りさ、百合も海も迅も忙しいから先帰れだと」
「マジか」
「だからふたりでマックでも寄ってこーぜ」
「い、いいけど……」
こんな人混みのところでわざと大声で言ってるなゆーま!
あたしたちじろじろ見られてるような気がするんだけど、気のせいかな自意識過剰かなあ?!
「あ、あのっ」
「ん?ああ、遥未の友達?」
「はい、わたし桜っていーます」
「苗字は?」
「高梨(たかなし)です」
「――高梨ね」
うっわあああああぁあぁ……
ゆーますっごい態度悪い。
つか教えてもらってまで苗字呼びするか?ふつー。
「桜って呼んでくれないんですか?」
「ああ――桜がいいの?」
「う、うんっ」
ぶんぶんと、大きく頷く桜。
そんな桜に、ゆーまは悪戯っぽい笑顔をみせてから耳元で囁いた。
「桜」
どうやらゆーまは。
あたしの受験勉強でおあずけをくらっていた分、しっかりと仕返しを考えているようです。
‐
417
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/21(土) 20:48:08 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
透きとおった音
彼女が最期の力を振り絞って言った言葉が、
今でも鮮明に思い出せる。
×
「猫みたい」
「そうかな」
アタシたちの初めての会話。
ちょうど次が音楽の時間で、みんな早々と移動して教室にはアタシと彼女しかいなくなったときのことだ。
他の子みたいに女の子同士仲良くとか、彼氏がどうとか好きな人がどうとかお構いなしに己の道を歩んでる印象だった彼女に、アタシは思わず言ったのだ。「猫みたい」と。
彼女は不思議そうに、それでもとくに気にしていなさそうな表情でちょっと考えていたが、近くで見てみると本当に猫のようだ。
さらりとした茶色い毛並み――いや、髪の毛も、綺麗に透きとおった茶色い瞳も。
マイペースな動きや大人しそうに見える仕草一つ一つが綺麗で、触れたら壊れてしまいそうなほど儚い印象。
「君さ、女子の関係とか嫌いでしょ」
「嫌いっていうか、めんどくさい」
「アタシも面倒臭い女子の一部に入っちゃってる?」
「あなたは――わたしに話しかけてくる時点で変」
――酷いなあ。
アタシは心の中でポツリとつぶやいてみたが、正直彼女との会話が楽しかった、と思う。
このときの記憶はあまりなくて、ただ彼女のその綺麗さや独特の動きに見惚れていたような気がする。
「話してみたかったんだけど、ダメだった?」
「だめとか、そういうのめんどくさい」
「――じゃあ変えよう。話しかけられて面倒臭い?」
「別に。コミュニケーションとるの苦手なだけで、そっちがリードしてくれるなら問題ない」
見た目は可愛いのに、言葉だけは可愛気ないヤツ。
アタシは心でそう思いながら、手に持っていた音楽の教科書を抱きしめて彼女に微笑みかけた。
「あのさ、君のこと詩音(しおん)って呼んでいい?」
「いいよ」
「じゃあ――詩音はアタシのこと、百花(ももか)って呼んで!」
アタシが自分を指差しながら言った。
その瞬間、彼女の――詩音の頬が、ポッと桜色に染まるのがわかった。
「もも、か……」
はずかしそうにアタシの名前を呼んだ詩音の姿こそ、一番鮮明に思い出せる記憶かもしれない。
×
「しーおんしおん」
「なに、なんなの」
「もー、懐いてくんないんだから」
「わたし猫じゃないし、あんたに懐きたくないし」
あれから、あの日アタシたちが初めて会話してからしばらく経ち、アタシたちの仲はとても良くなっていったと思う。
それに詩音も、コミュニケーションを取るのが上手くなってきて最近は男子からも囲まれちゃうほどのモテモテで人気者だ。
「好きな子とかできたの?あんな毎日囲まれててさあ」
「好きってなに」
「んー、あったかくて抱きしめたくなるような感情とか、あとちゅーしたりぎゅってしたくなったりドキドキしちゃう気持ちのこと」
「よくわかんない」
詩音はそう無愛想につぶやくと、アタシの傍を離れてしまった。
アタシは何故か不安になって――
「しおん」
「なに」
「や、その……さ」
いつもアタシが言葉に詰まると早くしてよと文句を言ってくる詩音だが、今日は何も言わなかった。
そっと、さみしそうな愛おしそうな目でどこかを見つめながらアタシが話始めるのを待つ。
「何があっても、詩音はアタシの友達、だよね」
詩音は、
その言葉をきいた刹那、とても綺麗で残酷な微笑を見せて。
「そうだね」
儚く舞い散る桜のように、ふわりと駆け出してしまった。
‐
しりあす系。
とにかく詩音ちゃんが大好きです←
418
:
ピーチ
:2012/07/22(日) 10:45:41 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
シリアス読んだよー!!
詩音ちゃん凄い!
あたしもそーゆータイプ書きたいけどなぁ…←文才がないというw
419
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/23(月) 08:52:01 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
>ピーチ
詩音はお気に入りなのだ←
てかシリアスじゃなくてGLモノになるかも←
ピーチ文才あるじゃないかw
420
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/23(月) 08:52:25 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
透きとおった音 ※レズ有りです、キスまでしますのでご注意ください(´・ω・)
そうだねと言って頷いた詩音の顔が頭から離れない。
そしてなぜか、詩音といつまでも友達という関係でいたくないと思っている自分がいた。
「……なんで」
詩音に、傍に居てほしい。
アタシはそんな思いから、詩音が向かった方向へ走り出した。
×
「詩音っ、しおん!」
がむしゃらに走りつづけてたどり着いたのは近くの海。
よく、アタシと詩音で来ていた場所だ。
詩音は海が嫌いだったけれど、浜辺で遊ぶのだけは好きだった。
だから必死に浜辺を見渡したのだけれど、詩音独特の茶色い髪の毛は見当たらない。
「しおーんっ!!!」
海に向かって、一叫び。
その瞬間、後ろから詩音の鈴のような声がきこえてきた。
「大声出したら迷惑だよ、馬鹿」
「ご、ごめん!でも詩音っ!」
「なんなの、わたしの気持ちもわからないくせに」
「ごめんってば!でもアタシ、どうすればいいのかわかんないの」
「馬鹿だからだよ」
詩音のさみしそうな顔。
それが、なんだか無性に愛くるしく感じて――
「もしかしてアタシ、詩音のこと好き、かも……」
思わず言ってしまったのだ。
でも、詩音といると妙に顔が熱くて、アタシには昔初恋で両思いだった男の子がいるのだけれどその子といっしょにいたとき以上にドキドキしてしまう。
詩音が、ゆるく二つに結んだ茶色い髪を風で靡(なび)かせながら、ちいさく口を動かした。
「あったかくて抱きしめたくなる感情が好きって気持ちなら」
詩音が、はずかしそうにうつむいた。
「わたしも、百花のこと好きかも」
あ、ちょっと無理。
限界を感じたアタシは思わず詩音に抱きついてしまった。
「百花」
「ごめん……好き」
「――わたしも」
アタシはこの恋愛が間違っていることだと知って。
詩音の唇を、アタシのそれと重ねた。
たった一瞬だけだったけれど、ふにゃっと唇に当たった柔らかい感覚。
「今の」
「キスっていうんだよ」
詩音は純粋なのか、不思議とキスやハグという言葉までもを知らなかった。
好きっていう感情さえも、なにもわからない子。
アタシはそんな詩音の魅力に惹かれていったんだろうけど。
「キス、はじめてじゃない」
詩音はポツリとつぶやいた。
‐
レズレズ!
421
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/23(月) 12:31:02 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
透きとおった音 ※レズの微エロ的な。
「だれと、いつ」
なんだろう。
すっごくもやもやする。
アタシは思わず詩音の肩を力強く掴んでしまっていた。
詩音の表情が、歪む。
「っ、別に百花に関係ない」
「男子でしょ?いつも詩音を囲んでる」
「関係ないってば」
「俊弥(しゅんや)でしょ!メアドも交換してたし」
俊弥は、アタシが好きだった人だ。
誰にでも優しくて面白くて、ノリの良い人。
ここ最近詩音といっつも話していたけど、人気者で誰からも好かれちゃうような俊弥から女子に近寄るなんて滅多にないもん。
「百花はいいじゃんっ」
「詩音は俊弥が好きなの?!」
「わかんない」
「アタシのこと好きって言ったじゃん!」
でも、アタシは気づいてた。
あったかくて抱きしめたくなる感情が、必ずしも好きってわけではないってことに。
「俊弥にドキドキすんの?!」
「……うん」
詩音はびくんと肩を揺らしながら、それでも頷いた。
頷いた詩音にもやもやが増えて、不意打ちでキスする。
さっきみたいな優しいキスじゃなくて、激しくて強引なキス。
息を求めて詩音が口を開いた瞬間に、アタシが舌をいれる。
詩音の口内をアタシの舌がめぐった。
舌と舌が触れ合う。
アタシは嫌がる詩音を押さえつけて、無理矢理舌を絡めた。
お互いの吐息を吸って、息をする。
「や、め……」
アタシは理性が戻って、やっと詩音を放した。
その頃にはもう詩音は怯えてしまっていて――
詩音は、息を荒くしながらアタシを不安そうな視線で見つめていた。
「ごめん、なさい……」
詩音がちいさな声で謝る。
謝らなきゃいけないのはアタシなのに。
よろけながらもアタシの目の前から走り去る詩音の華奢で細い背中。
アタシはそれを見つめながら、ただ立っていることしかできなかった。
‐
422
:
ピーチ
:2012/07/23(月) 16:29:24 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
うわあぁぁ!!それはちょっと…
うん、あたしには良く分からん!←キッパリ過ぎだw
423
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/23(月) 16:56:25 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
>ピーチ
なんか最近甘々系書きすぎて溶けそうだからシリアスにしたかっただけです←
透きとおった音は基本見ないほうがいいことしか書いてないね(´・ω・)
424
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/23(月) 17:21:26 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
太陽と野良猫さん
「うたうのがすき」
陽が暖かい。
あたしの上で眩しく輝く太陽が、自分は燃えているんだということを主張していた。
そんな、燃えた星の下。
あたしは気まぐれにそうつぶやいて、屋上のフェンスを越えたところの僅かなコンクリートに座る。
「じゃあいっしょに歌おうよ」
あたしに話しかけるなんて、変なやつ。
くるりと振り向くと、そこには案の定阿保っぽい顔をした女の子がいた。
あたしはめんどくさいのが嫌いだ。
断るのも悪くないけど、いっしょに歌ってあげよう。
「いいよ」
「せーのっ」
せーのの合図で彼女は一人で歌いだしてしまった。
あたしの存在無視かよ、と思いながらそれでもあたしがそれに重ねて歌う。
あたしにソプラノを歌わせたかったのだろうか。
彼女は最初はユニゾンだったというのに突然アルトパートを歌いだす。
ふたりで歌っていると、屋上なんて敷地が無限に広がっていくように感じた。
「楽しかったねえ」
歌い終わると同時に微笑みだす彼女。
あたしはそれを不思議そうにみつめたあと、いつもの無愛想な調子で訊いた。
「名前、なに」
「ん? あたし?」
「あんた以外にだれがいんの」
阿保は話が進まないから嫌いだ。
「んとね、あたしは陽花(はるか)! 君は?」
「あたしは鈴(りん)」
陽花か。
あたしは陽花の名前を何度も頭の中で繰り返しながら太陽をみつめた。
そしてそのあと、陽花をじっとみてみる。
「陽花、太陽みたいな子」
がむしゃらに燃えつづける阿保みたいな太陽。
でも、みんなを照らしてくれる太陽。
「えへ、よく言われる」
「そう」
「花音はさ、猫みたいだよね」
「そうかな」
猫みたい?
あたしが?
正直納得できなかったのだが、別に猫というのも悪くない。
「そーだよ。髪の毛さらさらだし、目もくりっとしてて可愛いし、なんか気まぐれマイペースだし、高い所好きみたいだし」
「高い所好きなのは陽花もいっしょでしょ」
屋上のフェンスを越えたコンクリートなんて、ほんの僅かなところに座れるの。
それって多分滅多にいないと思う。
「高い所が好きなんじゃなくて、花音が好きなの」
「なにそれ」
「いっつもね、独り言つぶやいて気まぐれに過ごしてる花音をみてた」
「……視線を感じると思ったら」
陽花はえへー、と笑ったが、それってストーカーとかの犯罪行為に入るんじゃないか。
まあ、めんどくさいのは嫌いだからそれは無視無視。
「あたし高い所すっごく苦手だったから、花音と同じ土台に立てるようにって一生懸命克服したんだよー」
他人のために一生懸命になるとか。
「そういうのうざい」
「えっ」
「時間の無駄じゃん」
「そんなことないよ!」
どこがだよ。
「そのお陰でこうやって花音と話せてる! ずっと陰であこがれてた子と話せてるんだよ?!」
嗚呼、太陽があつい。
めらめらと燃えながら、自分は存在しているんだということを主張している。
陽花もこうして、自分は間違ってないと主張してる。
「やっぱ阿保」
「ほえっ」
あたし、あんたと話してあげなくもないよ。
ちいさな声でつぶやいてから、あたしは屋上のフェンスを飛び越えてみんながいるであろう教室に戻ろうとした。
「6時限目、数学1だからまたここくるけど」
「あたしも行くっ」
「つか授業いいの?」
「いーよ、もう終わってるし。花音はいいの?」
「だって数学できるし、つかできない教科とかないから」
これがあたしたちの出会い、なのかもしれない。
‐
425
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/23(月) 18:07:09 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
太陽と野良猫さんでの訂正。
最初花音の名前が鈴になってますがそこは花音(かのん)に直してください!
426
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/23(月) 18:16:00 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
太陽と野良猫さん
「ふんふ〜ん」
カチャリ、と屋上の扉を開くと、その鼻歌がハッキリと聴こえてきた。
フェンスを越えたコンクリートに、彼女の、陽花の姿があった。
「あー、花音ちゃん」
「馬鹿、アスファルトなんだから素足で立ったらあついよ」
「心配御無用! あたしあついの大丈夫な人だからー」
大丈夫とかじゃなくて、とあたしはフェンスの向こうにいる陽花を馬鹿だなあという瞳でみつめた。
その瞬間、がくっと陽花の膝が折れる。なんで?
ていうか危ないし。
「あわわわわ、バランス崩した! 落ちる!」
「ちょっと馬鹿」
あたしはあわててフェンスを飛び越えて陽花の腕を掴んだ。
「落ちないでね」
「ん、がんばるぜ」
無理矢理引っ張って、陽花が屋上に戻ってきた。
「あんたまじ最悪ふざけんな」
「ごめんよー」
「もういいっ」
「ごめんって」
こういうめんどくさいのも。
べつにいいかもしれない。
「……もう落ちたりしないでね」
「うん、わかった」
「落ちても助けてあげないから」
「え、ひどうい」
あたし、陽花といるの嫌じゃないかも。
「明日もさ、朝から放課後まで話そうね」
陽花が微笑みながら言う。
あたしもそれに釣られて微笑んで言った。
「当たり前じゃん」
太陽と野良猫さんは、
明日も楽しく歌うのです。
‐
適当さ満載ですみません。
透きとおった音の詩音みたいな子の話を書きたかったんだけど、詩音っぽい子の目線だとものすごい書きづらい…
これは陽花目線にすればよかったんだね!
ってことで何回かチャレンジするかしないかわからない←
427
:
ピーチ
:2012/07/23(月) 21:58:15 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>
おぉっ!!題名自体が可愛いっ!!花音ちゃんって確かにネコ連想させるわーww
あたしも思いっきり文才ある人間に生まれたかった…((泣
428
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/07/25(水) 16:52:23 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp
隣歌
「あの、すみません」
「なに」
「す、数学のプリント……提出期限とっくに過ぎてるんだけどさ」
「――ここ」
「ほえっ?」
「この問題から全部間違ってる」
「マ、マジか」
「隣、座って。教えるから」
「ありがと……てか、え? 教えてくれるの?」
「間違ってる場合はまた返ってくるから」
「そ、そか……それは嫌だ」
「うん、だから座って」
今思えば、これがあたしたちの初めての会話だったのかもしれない。
×
高一、初夏。
蒸し暑い教室でみんなしてノートを扇ぐ、恐らく猛暑日と呼ばれる今日。
そこにあたしたちの姿はなかった。
「みんな暑そうだねえ」
「鈴花(りんか)、あんま乗り出したら落ちるよ」
「そんなことないよー」
彼女、莉乃(りの)とは数学のプリントを教えてもらったときからすっかり意気投合(ていうか一方的にあたしが引っ張っただけなんだけど)してしまい、今ではいつもいっしょにいるいわゆる「イツメン」というものになってしまった。
高校一年生ということで、あたしたちは受験も終わり青春真っ盛りのはずなのだが……
「やっぱ合唱だよね」
あたしの中では青春=恋愛じゃなくて、青春=部活なのだ。
あたしは合唱部に入っていて、莉乃も同じ部活(ていうか一方的にあたしが引っ張っただけry)だから毎日が楽しい。
まあ莉乃はモテるから、部長に告られて付き合ってるんだけどさ。
「うたいたい」
莉乃がポツリとつぶやいた。
きっと、部長の姿を思い浮かべているんだろう。
あたしはちょっと悔しくなって、莉乃の腕をぐいっと引っ張った。
「じゃあ歌おう! せーの!」
ちょっと強引だったかも。
莉乃は驚いている様子で、それでもあたしといっしょに歌ってくれた。
莉乃がつくった曲「隣歌」を、ふたりで合唱する。
あたしはアルトで莉乃がソプラノを歌っていたのだが、支えとなるバスやソプラノを引っ張ってゆくテノールがいなくてそれは間抜けなハーモニーになっていた。
あたしたちは笑いながら歌う。
この曲には、大切な人の隣で歌いつづけるという意味が込められているらしい。
きっと部長を思ってつくった曲なんだろうなあ。
あたしは自分で考えててちょっと恨めしい気持ちになったから考えるのをやめた。
それにしても。
綺麗に透きとおったソプラノ。
莉乃の声は本当に綺麗だ。
あたしが一方的に引っ張って入部させただけだというのに、莉乃はいつのまにかあたしより上手くなって、先輩たちにも好かれて。
「……莉乃はさ」
「隣歌」を歌い終わったあと、あたしは弱気な声で言った。
こんなのあたしらしくないってわかってるけど、なんだかあたしらしくできない。
「やっぱり部長のことが好き?」
「好きっていうか」
戸惑う莉乃。
なんなの、もう。
「こういうときハッキリ好きって言ってくんなきゃ、諦めらんないじゃん!」
諦めるって、すごく難しい。
「鈴花は遥斗(はると)が好きなの?」
莉乃はすこし驚いたような様子をみせて、あたしに訊いてきた。
遥斗っていうのは部長のことだ。
「それは、その……好きっていうかさ」
「ほら、鈴花も言葉濁らせた」
くすりと笑う、莉乃。
「あたしね、隣歌って曲、鈴花を思ってつくったんだよ」
「え……?」
「なんかみんなとなりうたって呼んでるんだけど、本当はりんかって曲なの」
そういえば。
となりうたってみんなが言ったとき、莉乃がちょっとあわてていたような気がする。
「鈴花の隣で歌えますようにって気持ちを込めてつくったの」
そういって微笑む莉乃が可愛くて。
なんか、すごいあったかい気持ちになった。
「あとね、遥斗のことは好きなんだけど、その……好きっていうか、鈴花のほうが好きっていうかなんかもういいや」
「えええっ」
あたしもね、だれよりも莉乃のこと、大好きだよ。
‐
429
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/08/11(土) 11:20:34 HOST:EM117-55-68-141.emobile.ad.jp
お久しぶりですねここですどうも!←
おしらせなのですが、なんだか最近長編を完結させるということができなくなったというかできる自信がなくなった((
ような気がするので、長編の更新をおやすみして短編に力をいれたいと思っていますorz
大変自分勝手な決断なのですが、許してっていうかなんかもう本当にすみません!←
一瞬新しい短編作るかとかも考えたので
もしそうなったらよろしくお願いしますorz
430
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/08/11(土) 11:21:44 HOST:EM117-55-68-141.emobile.ad.jp
I love me .
「ゆーくんだいすき」
「はは、ありがと」
同い年だというのに周りに比べて大人びた雰囲気をただよわせて大人っぽい口調でしゃべるゆーくん。
みんなその大人っぽいところが好きって言うけど、わたしはゆーくんはそれほど大人っぽくないと思ってる。
「ゆーくんってばまたみんなに大人っぽく見せようとしてるでしょ」
「別にそんなつもりはないよ」
「えー、うそだあ」
「ていうか莉花、周りの目もあるから離れよっか」
やだやだ、とわたしはゆーくんの背中に回した腕にぎゅっと力をいれた。
だってこの腕を放すとゆーくんは自分を受け入れてくれる女の子のほうに言っちゃう。
そこに行くと、ゆーくんの好きな人に会えるから。
「ゆーくんは大人だから周りの目なんて気にしないでしょ」
「逆、大人ではないけど周りの目を気にしてるんだよ」
変なの。
わたしは心の中でぽつんとつぶやいて、ゆーくんに絡めた腕によりいっそう力をいれる。
「莉花、苦しい」
「だって昔のゆーくんと違うんだもん」
「今と昔じゃ違うに決まってるよ」
「わたしの知ってるゆーくんじゃない」
わたしの知ってるゆーくんは、もっと子供っぽくて、無邪気で。
わたしのことが大好きなゆーくんなのに。
ゆーくんは何言ってんの、と小声でつぶやいて、笑いながらわたしの頭を撫でた。
まるで、わたしを子供扱いするみたいに。
自分も子供のくせに。
「莉花の知ってる「ゆーくん」はもういないんだよ」
×
431
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/08/11(土) 11:22:13 HOST:EM117-55-68-141.emobile.ad.jp
I love me .
そうだ、わたしの知ってるゆーくんはとっくの昔に消えていってしまったんだ。
これはわたしの大好きで、そしてわたしのことが大好きなゆーくんじゃないんだ。
わたしは絡めていた腕をそっと放すと、笑顔でぽつりとつぶやいた。
「ごめんねゆーくん」
「俺こそごめん」
「……なんでそんなに優しいの」
わたし、ゆーくんを避けようとしてた。
それなのにゆーくんは優しくて、最後までわたしの頭を撫でてくれて。
「どうしてわたしのこと、好きじゃなくなっちゃったの」
「俺さ、気づいたんだ」
今にも儚く消えてしまいそうな存在。
ゆーくんは、一瞬だけだけどわたしの知ってるゆーくんに戻ったような気がした。
正直で、素直で、単純で、明るくて馬鹿で、無邪気で我侭で子供っぽい、わたしの大好きなゆーくん。
「俺は莉花のことが好きだったんじゃなくて、自分のことが好きなんだって」
――気づいてた。
「莉花に好かれてる自分が好きで、面倒なことがなくて好かれまくる性格になりたいって思ってさ」
――ゆーくんの変化に気づいて。
――ゆーくんの思いにも気づいてた。
「誰からも愛されて、人気で憧れの存在になれた自分が好きなんだ」
だから。
ゆーくんは自分のことを大人っぽいって思わないわたしを嫌うんだ。
大人っぽいゆーくんを認めて、受け入れてくれる女の子たちの傍に行きたがるんだ。
ちやほやされる、自分が好きだから。
「……莉花は知ってたでしょ? 俺の好きな人」
「うん」
「でも今考えれば昔、本当に莉花を好きって思ったときがあったと思うんだ」
それならその時。
わたしがゆーくんを振り向かせられればよかった。
「ごめんゆーくん」
「莉花は悪くないよ」
「わたしが悪いの」
涙をこぼしながら、わたしはごめんなさいと何度もつぶやいた。
「――焦ってたんだよね」
ゆーくんが苦笑を浮かべながらポツリ。
大人っぽくはあるけど、今はわたしの知っているゆーくんのような気がした。
「莉花はどんどん可愛くなるし、周りの男子も莉花のこと好きになりはじめてさ」
「……なにそれ」
「莉花は俺に振り向いてくれる気配ないし、それが寂しくてそれなら俺が莉花から離れていこうって思ったんだ」
結局原因はわたしだったんじゃん。
わたしはゆーくんから放した腕をもう一度背中に絡めて言った。
「わたしはずっとゆーくんが好きだったのに」
「じゃあ付き合ってくれるんだ?」
「へ? だってゆーくんは――」
ゆーくんが悪戯っぽい無邪気な笑みを浮かべてから、わたしの頬にキスした。
「前言撤回。俺が好きなのは莉花だよ」
わたしは腕にもっと力を込めて言った。
「ゆーくんだいすき」
この幸せが、永遠につづきますように!
−
432
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/08/11(土) 11:26:47 HOST:EM117-55-68-141.emobile.ad.jp
▼I love me . のあとがきと言い訳←
いやなんかほら……
自分のことが大好きな男の子を書きたくて書いただけなんです←
だって自分がもしみんなに愛されて、かっこいいとかかわいいって言われてて人気者だったらやっぱり自分大好きになりませんか?!←
ちょっともう本当に痛い子なんですけどごめんなさい。
でも周りにちやほやされて自分かっこいいんじゃね?みたいに思わない人は少ないと思いますorz
莉花の気持ちとしては
どんどん自分の知ってるゆーくんじゃなくなるのを恐れていたわけであーだこーだなったんです
とりあえず
すれ違い的な?★←
はい、言い訳を終わりますすみませんでした。
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