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しあんいろ

406ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/06/11(月) 17:18:09 HOST:w0109-49-135-24-13.uqwimax.jp

   上のつづきです!

 それはある秋の終わりかけた時期のこと。
 十月の始め、十月一日の出来事だ。

 この日は大好きな迅の誕生日で――誕生花であるチョコレートコスモスをプレゼントした。


「迅は男の子だから花なんかいらないかなって思ったんだけど、何が欲しいかわからなくて」
「いや、花にもらえるなら何でもうれしいし! ――でもこれ、俺枯らせちゃいそうで不安だな」
「ふっふっふ」
「な、なに?」


 よくぞ聞いてくれました! とでも言うかのようにわたしが目をキラキラさせて言った。


「これはねっ、花の愛が詰まってるから枯れないんだよー!」
「マジで?! やった」
「ふふーん」


 迅といると楽しい。
 それを改めて感じたわたしはふふっと微笑んで言った。


「お花、大事にしてね」
「うん、絶対大事にする」


 ぎゅっとそのお花を抱きしめる迅。
 なんだか自分が抱きしめられているような気分になった。


 チョコレートコスモスの香りと同じように、すごく甘い一日を過ごしたのだった。


     ×


 そしてそれから数日後。
 なんだか最近――いや、あの花を渡してからかな。
 急に迅が冷たくなった。

 廊下ですれ違っても何にも言ってくれないし、部活のあともいっしょに帰ってくれない。


 でも今日はめずらしく迅が家に呼んでくれて、わくわくした気分だった。



「……今日はさ、花に渡したいものがあるんだ」
「な、なあに?」



 迅ににこりと微笑みながら渡されたのは黄色い薔薇の花。
 迅の笑顔がいつもより寂しそうな笑顔だったなんてことは忘れて思いっきりはしゃいだ。


「く、くれるの? ほんとに?」
「うん、花にプレゼント」
「ありがとう! うれしい!」


 なあんだ。
 迅が冷たかったのは気のせいだったんじゃん。

 帰りにいっしょに帰ってくれなかったのもこの花を買うためか。


 すっかりもやもやの晴れたわたしはるんるん気分で家に帰っていった。
 お部屋にその薔薇を飾ったのは言うまでもないだろう。


     ×


 その次の日。
 部活が終わったあと迅がいるであろう体育館に行ったら、予想通りバスケ部の部員たちがそこにいた。

 ちょうど終わったみたいで、迅が驚いてわたしに駆け寄る。


「なんでいんの?!」
「ひどっ、いっしょに帰るからに決まってんじゃんもー……」
「え? もういっしょに帰れないって前言ったよね……?」
「……え、でも……薔薇、くれたじゃん」
「いや、それは……」


 迅が気まずそうにポツリと言った。


「黄色い薔薇の花言葉、調べてみて」


     × またきるー!


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