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しあんいろ

413ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/07/16(月) 20:53:14 HOST:w0109-49-135-30-21.uqwimax.jp



「ユリ!」


 泣き叫ぶアタシの名前を、レンは一生懸命呼んだ。
 アタシは突然名前を呼ばれて思わず黙り込む。


「俺、ユリのこと何も覚えてない……けど、事故の前、あの楽しい思い出のなかにいた子がユリだとしたら――俺はユリをまた好きになるよ」


 レンはとっても一途で、アタシを大事にしてくれて。
 オマケに他の人にも優しくて、でもアタシにはもっともっとすっごく優しくて。
 大好きな人なのに。


「もっともっと、好きになっちゃうよぉ……」


 これ以上好きになっても苦しいだけじゃん。
 辛いし、アタシもう泣きたくないのに。


「もっと好きになっていいよ。俺も、それに負けないくらいユリのこと好きになるから」


 うれしいはずなのに。
 アタシの心には、なぜか迷いがあった。

 もし、レンの記憶がなくなったとしたら――
 他の女の子に恋をしていたかもしれない。
 もっと違う人生を歩んでいて、アタシとは一切関わらなくて済むかもしれない。

 実際レンはアタシのせいで事故に遭ったんだ。
 だからもう、アタシなんかといちゃいけないよ。


「いいよレン……レンはレンの道を歩んで」


 必死につくった、作り笑顔。
 でも、どうしても笑えない――泣きそうになる。
 そんなアタシを、レンはそっと抱きしめてくれた。


「笑え、ないの?」
「レンが、事故に遭ったときから――」
「じゃあさ、俺がまた笑わせてあげるよ」


 ふっと笑みをうかべたレン。
 アタシはうれしくて、笑顔になれた、ような気がする。


 その瞬間、レンが苦しそうに俯き始めた。


「ッ!!!」
「レン?!」


 ねえ、どうしたのレン?
 またアタシの前から、いなくならないで――





「ユ、リ……?」


 レンが、アタシを見つめて不思議そうに言った。
 なんとなく、感覚的に、だけど……


「記憶が戻った……?」


 どうして?
 アタシが笑ったから?


「ユリ、怪我しなかった?!」


 びくん。
 急に肩を掴んでブンブン揺すぶられた。


「だ、だいじょうぶだよ……?」


 よかった。
 涙があふれだす。


「ユリ、泣かないでよ……」
「だって、うれしくてっ」
「嬉しい?」
「レン、アタシの記憶なくしてっ……」


 でも、アタシ、笑い方わかったよ。



「アタシね、レンが傍にいなきゃ笑えないみたい」
「俺も、ユリが傍にいなきゃ楽しくないよ」


「「大好きだよ」」


     ‐


 お久し振りです!
 勝手ながらしあんいろの連載を終了させていただく予定だったのですが、急遽更新してしまいました。
 いやなんか書きたくなって。

 笑い方を忘れたっていう歌詞の曲が流れてきたので、ポンッと浮かんだ作品。
 ユリナってのは元々決まってて、レンはなんか合ってたからつけました←
 まあ、しあんいろ復帰小説的な感じでね!
 またかなり下がったときに書きたくなると思うんで、そのときに書きます!


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