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しあんいろ

421ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/07/23(月) 12:31:02 HOST:w0109-49-135-27-123.uqwimax.jp


   透きとおった音 ※レズの微エロ的な。


「だれと、いつ」


 なんだろう。
 すっごくもやもやする。
 アタシは思わず詩音の肩を力強く掴んでしまっていた。
 詩音の表情が、歪む。


「っ、別に百花に関係ない」
「男子でしょ?いつも詩音を囲んでる」
「関係ないってば」
「俊弥(しゅんや)でしょ!メアドも交換してたし」


 俊弥は、アタシが好きだった人だ。
 誰にでも優しくて面白くて、ノリの良い人。
 ここ最近詩音といっつも話していたけど、人気者で誰からも好かれちゃうような俊弥から女子に近寄るなんて滅多にないもん。


「百花はいいじゃんっ」
「詩音は俊弥が好きなの?!」
「わかんない」
「アタシのこと好きって言ったじゃん!」


 でも、アタシは気づいてた。
 あったかくて抱きしめたくなる感情が、必ずしも好きってわけではないってことに。


「俊弥にドキドキすんの?!」
「……うん」


 詩音はびくんと肩を揺らしながら、それでも頷いた。
 頷いた詩音にもやもやが増えて、不意打ちでキスする。

 さっきみたいな優しいキスじゃなくて、激しくて強引なキス。
 息を求めて詩音が口を開いた瞬間に、アタシが舌をいれる。
 詩音の口内をアタシの舌がめぐった。


 舌と舌が触れ合う。
 アタシは嫌がる詩音を押さえつけて、無理矢理舌を絡めた。
 お互いの吐息を吸って、息をする。


「や、め……」


 アタシは理性が戻って、やっと詩音を放した。
 その頃にはもう詩音は怯えてしまっていて――

 詩音は、息を荒くしながらアタシを不安そうな視線で見つめていた。


「ごめん、なさい……」


 詩音がちいさな声で謝る。
 謝らなきゃいけないのはアタシなのに。


 よろけながらもアタシの目の前から走り去る詩音の華奢で細い背中。
 アタシはそれを見つめながら、ただ立っていることしかできなかった。


     ‐


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