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しあんいろ

431ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/08/11(土) 11:22:13 HOST:EM117-55-68-141.emobile.ad.jp


   I love me .


 そうだ、わたしの知ってるゆーくんはとっくの昔に消えていってしまったんだ。
 これはわたしの大好きで、そしてわたしのことが大好きなゆーくんじゃないんだ。

 わたしは絡めていた腕をそっと放すと、笑顔でぽつりとつぶやいた。


「ごめんねゆーくん」
「俺こそごめん」
「……なんでそんなに優しいの」


 わたし、ゆーくんを避けようとしてた。
 それなのにゆーくんは優しくて、最後までわたしの頭を撫でてくれて。


「どうしてわたしのこと、好きじゃなくなっちゃったの」
「俺さ、気づいたんだ」


 今にも儚く消えてしまいそうな存在。
 ゆーくんは、一瞬だけだけどわたしの知ってるゆーくんに戻ったような気がした。
 正直で、素直で、単純で、明るくて馬鹿で、無邪気で我侭で子供っぽい、わたしの大好きなゆーくん。


「俺は莉花のことが好きだったんじゃなくて、自分のことが好きなんだって」


 ――気づいてた。


「莉花に好かれてる自分が好きで、面倒なことがなくて好かれまくる性格になりたいって思ってさ」


 ――ゆーくんの変化に気づいて。
 ――ゆーくんの思いにも気づいてた。


「誰からも愛されて、人気で憧れの存在になれた自分が好きなんだ」


 だから。
 ゆーくんは自分のことを大人っぽいって思わないわたしを嫌うんだ。
 大人っぽいゆーくんを認めて、受け入れてくれる女の子たちの傍に行きたがるんだ。
 ちやほやされる、自分が好きだから。


「……莉花は知ってたでしょ? 俺の好きな人」
「うん」
「でも今考えれば昔、本当に莉花を好きって思ったときがあったと思うんだ」


 それならその時。
 わたしがゆーくんを振り向かせられればよかった。


「ごめんゆーくん」
「莉花は悪くないよ」
「わたしが悪いの」


 涙をこぼしながら、わたしはごめんなさいと何度もつぶやいた。


「――焦ってたんだよね」


 ゆーくんが苦笑を浮かべながらポツリ。
 大人っぽくはあるけど、今はわたしの知っているゆーくんのような気がした。


「莉花はどんどん可愛くなるし、周りの男子も莉花のこと好きになりはじめてさ」
「……なにそれ」
「莉花は俺に振り向いてくれる気配ないし、それが寂しくてそれなら俺が莉花から離れていこうって思ったんだ」


 結局原因はわたしだったんじゃん。
 わたしはゆーくんから放した腕をもう一度背中に絡めて言った。


「わたしはずっとゆーくんが好きだったのに」
「じゃあ付き合ってくれるんだ?」
「へ? だってゆーくんは――」


 ゆーくんが悪戯っぽい無邪気な笑みを浮かべてから、わたしの頬にキスした。


「前言撤回。俺が好きなのは莉花だよ」


 わたしは腕にもっと力を込めて言った。


「ゆーくんだいすき」


 この幸せが、永遠につづきますように!


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