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しあんいろ

392ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/26(木) 19:34:25 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Empty heart



 わたしは昔、歌うことが大好きだった。
 ――いや、歌うことじゃなくて、わたしが歌を歌って喜んでくれる幼馴染が好きだったのかな。


 わたしには保育園のころからずっと一緒の幼馴染がいた。
 男の子で、いつもわたしのことを考えてくれてた大切な幼馴染。

 いつしか幼馴染から恋人って関係になれならな、と昔はよく思っていたものだ。
 でもその幼馴染はわたしに振り向くことなくずっと片思いしてる女の子がいて、わたしはただ応援することしかできなくて。


 「がんばってね」って言葉でさえ、言うのが辛かった。


 心の狭い人間だなと思う。
 好きな人のことなんだから素直に心から応援しなきゃって思う。

 でも、そのときのわたしは幼馴染の彼を手放すのが怖くて仕方なかった。



 ――わたしはずっと圭のこと好きだったよ。
 ――俺は、俺には優がいるから。
 ――片思いのままでいいの?
 ――そりゃ嫌だよ。
 ――じゃあわたしにしちゃいなよ。



 こんな会話をしたのを今でも覚えてる。
 よく考えてみればわたしってかなり強引だったな。


 そして最後に言われた言葉がまるで刻みつけられたように心に残った。





 ――俺さ、優と付き合ってるんだよね。





 それから圭と話したことはなかった。
 すれ違うたび、わたしの心がからっぽになっていくような気がして。


 それでも話し掛けることはできなかった。



 圭に振られたことで音楽が嫌いになったのかもしれない。
 聴いてくれた人に喜んでもらう気持ちなんて、どうでもよくなってしまったのかもしれない。





 あのとき好きって言わなければ、まだ圭の隣で微笑んでいられたのかな。



     ‐


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