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【場】『 私立清月学園 ―城址学区― 』 その2

100隼士 賢『パンテオン・ロココ』【高2】:2021/05/28(金) 22:14:50
>>99

>オカルト』方面ならお手上げ、『宇宙人』なら管轄外だな

「なーんだ! リットもフラワーキッズ目当てか!!
俺はぜってー『宇宙人』が鈴蘭の花と何か組み合わせて製造した
人造人間ならぬ、宇宙人製造花人間に違いないと思うっショ!

オカルトぉ? あーっ! 確かにフラワーキッズはともかく
『ファムちゃん』は人間じゃねーって感じしたなぁ!
 うん? あーリットは知らねぇかもだけど、俺がUFOラブって事を
なんか現実味ない場所で訴えたらよ、その翌日位に『コレ』が
俺から生えたのよ」

 ズズッ

『パンテオン・ロココ』が隼士の傍に発現される。そして、植物図鑑をスタンドで
手に取った。リットが見えなければ、勝手に宙に浮かんだと思うと
隼士は考えての行動だ。

「ど〜〜〜ぉよぉリット! 俺が念じた事で図鑑が宙に浮いちまった!
俺には超能力が開花したっショ!! どーよ、驚いたかぁyeah!!」

101白灰『ヒップホップ・イズ・デッド』【高2】:2021/05/28(金) 22:34:44
>>100
「…………」

宙に浮いた『図鑑』を見て、白灰は言葉を失う。
驚き、衝撃、予想外――といった表情だ。

「賢、オマエ……」
 、、、、、
「こっちもかよ!」

『ヒップホップ・イズ・デッド』――スタンドが白灰の傍らに発現する。
『パンテオン・ロココ』が手にとった植物図鑑を、同じように手で取り、引っ張る。

「俺にもある――そういう『力』。
 『特別な力』ってワケじゃないんだな、コイツ」

102隼士 賢『パンテオン・ロココ』【高2】:2021/05/28(金) 22:47:36
>>101

> 、、、、、
>こっちもかよ! 『特別な力』ってワケじゃないんだな、コイツ

白灰の傍に発現される『ヒップホップ・イズ・デッド』
 それに、同じく隼士も一瞬衝撃を受けたのか顔を硬直させた。

そして

「ふ   ふhuhuhuうhuhuはhahahahaha――!!
なぁ〜〜んだ、なぁなぁなぁなぁなぁりっとりっとリットぉ!
お前も、俺の父親とか母親には見えない『力』あんのかよ!

あっ、他にもランニングガールとかバス停で待ってたガールとかも
俺の『パンテオン・ロココ』を見えてたから、てっきりガールが力を
持つの多いと思ってたけど、やっぱ男も発現するもんなんだな!」

そう爆笑しつつ饒舌に喋る。

「なぁリットリットリットぉ! この力、『おもしれー』よな!
だってよ、見えねー奴等にはぜってー見えねーもん!

なに起きてるかわからねーから、物を持ち上げたり 軽く体叩いてやっても
気の所為って思ってんのか反応うすくてさー」

 ――やっぱ、『力』無い奴等って『つまんねぇ』なー。

そう、何処か危うい空気を醸しつつ隼士は溜息と共に呟いた。

103白灰『ヒップホップ・イズ・デッド』【高2】:2021/05/28(金) 23:05:42
>>102
「あ、しかも結構いんのな……」

(ていうかコイツ、メチャクチャ関わってんな……。
 行動力の塊みたいな奴だから、良くも悪くも『引き寄せる』のか)

「確かにな。俺も気づいてから色々試したけど……気付かれないし。
 同じようなヤツに出会うのはオマエが初めてだから、
 『見えない』ヤツの方が、多分多いんだろーな。
 いや、最初は俺も何か幻覚でも見てるのかと思ったけど、
 ちゃんと物を動かせるからびっくりしたワケなんですが――」

テンションの高い隼士につられて、こちらもべらべら喋るが、
ポツリとこぼされた呟きに言葉を止める。

「…………」

「おいおい、賢、珍しくテンション下げたな。
 『つまんねぇ』ヤツラなんて気にしないのが、『オマエらしさ』じゃねーの?」

104隼士 賢『パンテオン・ロココ』【高2】:2021/05/28(金) 23:31:35
>>103(けっこー長く絡んだな……次でUFO探しの旅『〆』に出ようと思うぜぇ!)

>『つまんねぇ』ヤツラなんて気にしないのが、『オマエらしさ』じゃねーの?

「・・・あ゛っ?」

・・・・・・
オマエらしさ?

リットは何言ってんだ? 俺が何時もつまんねーと思ってる奴等。

何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時もだ
なんべん俺が自分に正直に生きても否定『殺して』してくる奴等。

UFOなんて夢見ごと   子供の空想   大人になれ
 何時までもガキ見たいな事言うな     ちょっとヤバいんじゃないの?

(あぁ うるせぇ。うるせぇうるせぇうるせぇうるせぇうるせぇうるせぇ
うぜぇうぜぇうぜぇうぜぇうぜぇうぜぇうぜぇうぜぇうぜぇうぜぇうぜぇ)

俺が気にしてないとでも? 俺が好き好んで、こんな風に笑って
つまんねー奴等に合わせるノリをしてるとリットは本気で思ってんのか??

あいつ等の吐く息と一緒の空気を吸い込んでると思うとマジ吐き気がして
けど、俺もあのつまんねー親も周りの奴等も生まれた頃から直ぐ近くにいるから
一緒の大気を吸ってるわけで、けど俺にはそんな酸素拒否する事もできなくて
苛ついてブっ殺してやりたくてブっ殺して殺して殺して殺して殺して。

>うちは人間が大好きだから、人間達と寄り添いたいから

鈴蘭パーカーから芳香が強まった気がした。

>だから生きたい、人間達と一緒に

スゥゥゥぅうううう!! ふーーーっ……!!

「…………リットぉ〜〜〜〜、俺はっショ……UFOを見つけて
早く、早く早く地球を抜けて別の銀河に飛び立ちたいんだぜぇ?
きっと、こんな地球には無い素晴らしいものが俺の小さな世界の外側に
沢山たくさーん詰まってるんだから!」

 一瞬顔に過った形相は、大きく深呼吸すると共に穏やかな顔になった。
それでも、声色は弱弱しく少し切ない。

「じゃなきゃよ……じゃなきゃ、お、俺……きっと、多分もう少しで
『取返しのつかなくなる』……あぁ゛……なんで……UFOは来ないっショ?
俺、俺、俺・・・こんなにUFOを愛して、力も貰ったってぇのに」

「り り リッ リット
UFOは……い いるっショ! そ、そうっ。まだこの街には俺や皆が
知らない不思議が目白押しっショ! そうっ……諦めるなんて
『俺らしくない』もんなぁ!!」

 笑って、リットに告げる。

105白灰『ヒップホップ・イズ・デッド』【高2】:2021/05/28(金) 23:49:51
>>104(了解! お疲れさまでした)
「……そう、だな。そのとおりだって、賢!」

(『オマエらしい』……か。
 ちっと『地雷』ふんだか……あー、まいったな)

(クラスメイトとしてそれなりに話してた、つもりだった。
 こうやって話すぐらい、には。でも……『ここまで』だったか? わかんねーな……)

「『鈴蘭』の女の子……俺も色々調べてるからな。
 この『力』も合わせて、少しはオマエの願いの役に立てるかもしれねーし」

(コイツの内に踏み込んで、何かを『背負う』のは……まだ無理だ。
 ここで、『何も気にしてない』っていう風に話すのが、多分『俺らしい』)

「クラスメイトとして、手伝ってやるよ」

笑顔で、『ヒップホップ・イズ・デッド』の拳を突き出す。

106隼士 賢『パンテオン・ロココ』【高2】:2021/05/29(土) 00:00:23
>>105(めんどくせーキャラに丁寧に付き合ってサンクス! 今後も宜しくな!)


>クラスメイトとして、手伝ってやるよ

「応ohおーっショ!! リット!!
UFOはきっと直ぐ近くで俺達の知らない間に飛行してる筈さっ!
フラワーキッズって言うなまものの証拠もあるぐらいなんだ
ぜってーぜってー何時かUFOに宇宙人と出会える筈っショ!」

『パンテオン・ロココ』の拳で、その突き出された拳に合わせるっショ!!

「それじゃー俺はそろそろ『湖畔』へ向かうぜぇ!
またなーリットぉ!!
 UFOはぜってー近くにいる筈さ! リットが手伝ってくれるってなら
100倍力だぜぇ、お前が困ってる時があったら直ぐ俺も手伝ってやるっショぉ!」

 さぁ! さぁさぁUFOUFOUFOだ!!

期待を新たに胸にチャージして図書室を走り抜け外に飛び出してUFOを
見つけてみせる!! 必ず、この街(世界)にUFOは存在する筈だから!!

107白灰『ヒップホップ・イズ・デッド』【高2】:2021/05/29(土) 00:09:52
>>106
「……ふぅ〜」

隼士が立ち去った後、一人息を吐く。

「アイツも『力』を持っているのにはびっくりしたけども……。
 大丈夫かね、アレ。UFO……いや、最早俺も完全に否定はできねーけど」

「『力』を使える他の連中が……UFOを生み出してたのかもな、なんてな」

本を片付けて、その場を後にした。

108ナカレ『サクソン』:2021/06/02(水) 22:46:01

「・・・・・・・」

清月学園中学二年生の教室の一つ
窓際の席に一人の女生徒が物思いに耽りながら窓の外を見下ろしていた

「はぁ・・・・」

ふと、ため息を一つついた
彼女の周りに他の生徒はいない
この教室の生徒の多くは、彼女の様子を遠巻きに見つめながら一定の距離を取っていた

その原因は、朝のHRにあった

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

   「あー、皆、席に着いたか? 今日は転校生を紹介する」

がやがやと騒々しさを増す教室
季節外れの転校生だ、生徒たちの好奇心は否応なく高まるだろう

ガラガラと扉を開けて、一人の女子生徒が入ってきた
年齢相応の体躯でありながら、その眼差しは年不相応に険しい
その少女はつまらないものを見るかのように教室の生徒達を見回して、自己紹介を始めた

   「赤月ナガレ、先月まで海外にいたが訳あって越してきた」

海外から来た転校生という言葉に生徒たちの無音のボルテージはさらに高まる
しかし、次の台詞を聞いた途端に、教室内に困惑の空気が流れた

   「この街に潜む『影の組織』について知っている者は私のもとに来てくれ
    私が言いたい事はそれだけだ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

   ヒソヒソ
          ヒソヒソ

(おかしいぞ・・・・何故、私は遠巻きに監視されているのだ?
『後見人』からのアドバイスで学校に通う事を決めたまではよかったはずだ
 だが、何故彼らは私に話しかけてこない? 何故、監視を続ける?)

   ヒソヒソ
          ヒソヒソ

赤月は兄の仇を追い、『アリーナ』という組織について探るためにこの街へ来た
本当は『組織』について調査する時間を作るために、学校に入学する気はなかったのだが、
『後見人』から、義務教育は受ける様にとのアドバイスを受け、この学校への転入を決めたのだ

(学校に通いつつ、『アリーナ』についても探る
 完璧な作戦だと思ったのだがな・・・・)

『後見人』にとって最大の想定外は、彼女が想像以上の『世間知らず』だった事だろう

109赤月『サクソン』【中2】:2021/06/03(木) 22:59:05
>>108

遠巻きに生暖かい目で見られる中、赤月は一日を終えた
日本の学生たちが『退屈な授業』と表現するようなものであっても、
これまで腰を落ち着けて勉強をする機会がなかった赤月にとっては物珍しく、
思いの外、充実した一日を過ごすことが出来た

「少し、疲労が溜まったな」

「本格的な調査は明日からにして、今日は一度本拠地に帰るか」

こうして、赤月の学園生活初日は幕を下ろした
現在の本拠地である学生寮に向けて歩き去って行く

110御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/06/13(日) 05:46:39

       フラッ…………

夕方――――『心理学部』の研究室を後にし、
外の風に当たろうと一人外に出る。
今日は『最悪の気分』で学校に来ていたため、
あまり体調は良くなかった。
足元が不注意だったのは、そのせいだったのだろう。

  ガッ

     ズッダァ――――――ンッ!!

                        バサバサバサァッ

普段は気にも留めないような些細な出っ張りに躓き、
勢い良く前のめりに倒れ込んだ。
見た感じ、思いっきり『顔』から行ってしまったようだった。
教授から受け取った資料が、辺りに散らばる。

111御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/06/13(日) 21:42:54
>>110

  …………ム ク リ ッ

                 サッ サッ サッ

ゆっくりと起き上がると、落ちている資料を拾い上げて、
その場を去った――――。

112赤月『サクソン』【中2】:2021/06/18(金) 21:47:02

「・・・・・・・・。」

―――昼休み
中等部の制服を適当に着崩した少女が校舎の屋上で大の字になっていた
灰色の曇り空を眺めながら、思い返すのは『あの夜』の事だ

歓楽街で突然、通り魔に襲われたあの夜・・・・
相手に殺意がなかったために運良く殺されずに済んだが、
あの出来事が起きたタイミングはいくら考えても不可解だ

(私がスタンドの訓練をするのを見計らうかのように、2人のスタンド使いに狙われた
 普通に考えれば、両者は繋がりがあると考えるのが普通だろう
『ダミーナイフ』の意味・・・・警告か? これ以上、『アリーナ』の詮索をするな、という?)

右手で目を覆う
視界が闇で満たされ、考える事に集中できる

(だが、『アリーナ』は私の事をどこで知った?
 多少は派手に動いていたとはいえ、『アリーナ』が私の事を知るには・・・・)

闇の中に一人の少女の顔が思い浮かぶ
この町に来て、初めて出来た『友達』の顔が・・・・

「違う! そんなはずはない!」

頭に浮かんだ一つの『疑念』を振り払うかのように
飛び上がるかの様に立ち上がった

113高見盛 炸盤『デイヴ・エドモンズ』【高2】:2021/06/18(金) 22:21:53
>>112

  「どんなことだってあるさ」
 
 
 ガ

          シャン
 

声を上げつつ立ち上がる『赤月』に、野太い声が掛けられる。
 
 
    ガシャ

                ガシャ
 

もしも赤月が顔を上げることがあれば、恐らくは目にすることになるだろう。
屋上に設置された『転落防止用フェンス』に『外側から』手を掛け、屋上へと登り来る男の姿を。
  
 
「こういうことも、だから勿論ある」
 
 
既に肩から上はフェンスを通して見える位置まで上がってきており、
その顔が精悍な太眉と、誠実さを感じさせる一重瞼を備えていることも、その気になれば分かることだろう。
 
「なにも違わない……さ」
 
男は更に腕を伸ばしフェンスに指を掛け、徐々に体を持ち上げつつある。
フェンスを乗り越え屋上へ入り込むのは、時間の問題だろう。

114赤月『サクソン』【中2】:2021/06/18(金) 22:41:44
>>113

>  「どんなことだってあるさ」

「・・・・・・・ッ!」

頭の中にこびりつく『疑惑』を必死に否定しようとする赤月の耳に
飛び込んできた言葉は可能性を肯定する言葉・・・・

それを聞いて、やはりそうか、と思いそうになり・・・・

「え?」

気付いた・・・・その男の存在に!
フェンスの外側から現れる『異様な男』が目の前にいる事に!

「誰だ!? まさか、この前の『連中』の仲間・・・・!?」

男の顔を見れば、実直な印象を受ける顔立ちに気が付いただろう
しかし、今の赤月にはそんな些末な事に気が付く余裕はなかった
それどころか、立ち上がった身体を半身に構えて、臨戦態勢を取った

フェンスの外側から現れる異様な男・・・・
そして、先日襲撃を受けたばかりのこの状況・・・・
目の前の男は『先日の連中』の仲間ではないか?という疑念が心を満たし、思わず声を上げた

115高見盛 炸盤『デイヴ・エドモンズ』【高2】:2021/06/18(金) 22:51:36
>>114
 
「ん……ッと」
 
左右の腕をリズミカルに軋ませながら、とうとう男はフェンスの上端へと手を掛ける。
全身を露わにしたその男は、上半身を黒色のタンクトップで鎧い、
下半身には『清月』の指定制服であるスラックスを纏っていた。
 
「『こういうこと』に、『仲間』もなにもないだろう。
 確かに俺は見ての通りの『高校生』だけれど……ンッと」
 
赤月の言葉に応じつつ、動きは些かも淀むことはない。
『苦労してどうにかこうにか』といった調子とは違った、慣れた動きがその端々から読み取れる。
 
「『部活動』ッてワケでもないのだから、『仲間』は必要ないんだ。
 これはただの、そう、『訓練』みたいなものだからね」
 
 
ガッ
 
「君はひょっとして」
 
 
   ギッ

            ギシィッ


 
    「『お昼ごはん』でも、食べていたのかな?」
 
 
アクシデントもトラブルもなければ、次の瞬間にでも、男は屋上に降り立つだろう。

116赤月『サクソン』【中2】:2021/06/18(金) 23:09:49
>>115

「『高校生』・・・・? 『訓練』・・・・?」

右手で拳を握りしめながら、臨戦態勢を継続する
下半身に履いているスラックスが指定制服である事には気が付いたが、
それなりに制服を着崩している自覚のある自分から見ても、
彼の上半身の出で立ちは明らかに異常だ

「『訓練』って・・・・君は一体、何の『訓練』をしに来たんだ?」

赤月の中には一つの仮説が浮かんでいた

先刻の『襲撃』・・・・あれがこちらの戦力を測るものだったとすれば?
その上で、赤月が『弱者』と判断され、『少年兵』の『訓練』に利用されている・・・・としたら?
『先日の襲撃』・・・・『目の前の異様な男』・・・・全てを繋げると、そんな『思惑』が浮かび上がる

(『仲間』も連れていないなんて・・・・ふざけた男だ)


>「君はひょっとして」

「・・・・・・ッ!」

男が何かを言おうとしている
『宣戦布告』か『降伏宣言』か・・・それとも

>    「『お昼ごはん』でも、食べていたのかな?」

「ああ・・・・この前、『O阪』に行ってきたものでね
 ちょうどいいから『お昼ごはん』にしていたんだよ・・・それがどうした!?」

ピリピリとした緊張感が走る・・・・!
赤月の左手には『蓬莱の肉まん』が握りしめられている・・・・
先日、『O阪』に行ってきた折に、美味しかったからお土産で買った代物だ

117高見盛 炸盤『デイヴ・エドモンズ』【高2】:2021/06/18(金) 23:26:59
>>116
 

     ダンッ!

「『自分にできること』を」
 
遂に屋上に降り立った男は、力強く地面を踏み鳴らす。
男の身長は高く、肩幅も、胸の厚みもそれなりに備わっている。
格闘技か何かで鍛えたというよりは、『よく食べよく寝たら育った』という印象を見る者に与えるスタイル。
 
「『もっと上手にやりたい』と思っているだけだよ。
 そのための『訓練』だ」
 
男は穏やかな笑みを浮かべてこそいるが、その会話はどこか噛み合わない。
 
「この程度のことに、果たして『仲間』が必要なのかな……?」
 
緩やかに両腕を広げ、緩慢な足取りで赤月へと迫る男。
単なる身振り手振りだけを見れば、そこに敵意や害意の類は見られないだろう。
しかし。 
 

「だからその、『それ』」
 
 
右手の人差指を伸ばし、赤月の左手に握られたそれを示す。

「それは、お昼に、冷めきってしまったものを食べて」
 果たして十分に、おいしいものなのかな?」
 
「俺はそれが、凄く気になる」
 
 
一風変わった『昼食トーク』と受け取ることも、ともすれば可能だったのかも知れない。
続く男の言葉を聞いて、それでも昼食トークをしたければ、きっと男は応じるだろう。
 
 
  「君は」
 
 

      「『どうやってここまで上ってきた』と、訊かないね」

 

「俺が『誰』で、俺の『仲間』や『訓練』や──フフッ!『お昼ごはん』のことを」
   
男の瞳は、ただただ黒い色をしていた。
 
 
「そこまで気にする君の事が――俺は君の『肉まん』と同じくらい、気になるんだけれどね」
 
 
男が歩みを止めることはない。
赤月の任意の距離を始点として、そこから常識的な位置までは近づいてきてしまう──のだろう。

118赤月『サクソン』【中2】:2021/06/18(金) 23:42:13
>>117

「『登ってきた方法』・・・・?」

言われてみれば盲点であった
清月学園の建物は比較的新しく、その外壁は亀裂一つ無い
にも拘わらず、まったくの無手でこの男は外壁をよじ登ってきたのだ

「来るな!」

疑問点が多すぎる
赤月の言葉と目の前の男の語る言葉は、噛み合っているとはとても思えず、
まるで何か重要な『前提条件』が間違っているかのように思える

「私に・・・・近づくな!」

だが、この話術も彼にとっては戦術の一つなのかもしれない
こちらの頭をかき乱し、戦いを有利に運ぶための戦術なのかも・・・
そう思い、赤月は男が近づく前に、その身に『サクソンのトレンチコート』を纏った

(しかし・・・・彼が何の関係もない一般人だとしたら・・・・?)

スタンドを身に纏いはしたが、赤月の胸中では常に『迷い』が渦を巻く
先制攻撃をしかけるべきか・・・・ それとも、この疑惑がただの思い過ごしなのか・・・・

迷いの中、赤月は思わず後ずさりをした

119高見盛 炸盤『デイヴ・エドモンズ』【高2】:2021/06/18(金) 23:57:54
>>118
 
「不思議だろう?」 
 
見る限り、男が『スタンド』の類を発現している様子は無い。
フェンスを掴んでよじ登ってきたのは、単なる身体能力に拠るものなのだろう。
ただ、それはフェンスを掴んでいるから可能なことであって、勿論その下の『外壁』をよじ登れた理由には成り得ない。
 
「それを不思議と思わない君の事が、俺にはどうにも不思議で、
 ――フフッ!」
 
『サクソン』を発現する赤月を見て、言葉を区切り噴き出す男の様子からすれば、
『見えている』のは間違いないのだろう。
男は不自然なほどに何気なく赤月から視線を外し、空を仰ぐ。
 
「前回の娘は、サラリーマンの脚を折っていたのだっけ」
 
「その前の娘は、自動販売機を殴りつけていたな」
  
 
顔を上げたまま、瞳だけを下ろし、再び『赤月』と『目を合わせる』。
赤月の言葉に従う気があるのか、少なくともそれ以上に接近する様子はない。
 
 
「君は君の『それ』で、一体何を始めるつもりなのかな。」
 
 
『スタンド』が見えている事を隠す気は微塵もない。
襲えば襲っただけ襲い、退けば退いただけ退く。
その程度の、どこまでも気安く身軽で等身大の、言葉であった。

120赤月『サクソン』【中2】:2021/06/19(土) 00:14:02
>>119

「そん・・・・な・・・! その程度の事が・・・・!?」

確かに、外壁をよじ登ってきた理由は気になる・・・・しかし、それは『多少』程度だ
だが、目の前の男は(その異様な風体には目を向けずに)『その疑問』こそを重視している

(いや・・・・?)

もしかして、これこそが先程から感じていた『前提条件の違い』なのでは?

(『不思議だろう?』という言葉が『不思議に思って欲しい』という意思の表れだとしたら?
 彼が外壁をよじ登ってきた理由が、『私に驚いて欲しい』のだとしたら?)

ひょっとしたら、彼は思ったよりも危険な存在ではないのでは?
と思い直し、改めて声をかけようとして・・・・

>「前回の娘は、サラリーマンの脚を折っていたのだっけ」
>「その前の娘は、自動販売機を殴りつけていたな」

「・・・・・・・・!?」

ぞわぞわとした危険を感じる
彼は『スタンド』が見えていて・・・・自分以前に何度も『スタンド使い』と遭遇している
しかも、彼の言葉を信じるならば、どれも危険な『スタンド使い』だ・・・!

「私は・・・・君と争うつもりはない」

左手に持った『肉まん』をトレンチコートの左ポケットに入れる

「何かをするつもりも・・・・・今はない
 だが、一つだけ君に聞きたいことがある」

右手の掌を男の目の前でかざす
『待った』を意味するジェスチャーだ

「君は『アリーナ』という組織を知っているだろうか?」

121高見盛 炸盤『デイヴ・エドモンズ』【高2】:2021/06/19(土) 23:32:59
>>120
 
「『どんなことだってある』んだ」
 
「誰かの『その程度』が誰かの『どの程度』か、分かる人は少ないんじゃあないのかな」

フフ、と小さく零す声に棘は無い。少なくと語調に限って言えば、それは間違いないだろう。
 
「君にとっての大事なことが誰かに『その程度』呼ばわりされる機会が、
 このさき決して無ければいいと、俺は心から祈っていたりするんだけれどね」

歩みを進める様子はない。先の『近づくな』の言葉にいまだ従っている、ということなのだろう。
だからこそ。
 
「俺は不思議だ」
 
「突然屋上まで素手で登ってくる人物がいたとして、それに驚くのは『不思議じゃない』。
 『どうやってここまで』。『なんで素手で』。どれも普通だ。何も不思議じゃない」 

『待った』のジェスチャーも働いているのだろう、男には本当に、攻撃的な振る舞いは一切見られない。
 
「ただそれよりも先に、『俺が誰の仲間であるかだとか』、『俺の訓練がなんなのかだとか』、
 それを気にするのは『不思議だ』」
 
 
「だから『質問』は『俺から』だ。
 突然に『スタンド』を向けられ、『来るな』『近づくな』と言われた俺に、
 これ以上『要求』しようってのは虫が良すぎるんじゃあないのかな」
 
「だから『俺から』訊くんだ」
 
「君は一体、『何に』」
 
 
「『何にそんなに怯えているんだ?』」
 
 
男の瞳は真昼の陽光を存分に吸い込んで、白々しいほどに黒々と濡れている。

122赤月『サクソン』【中2】:2021/06/19(土) 23:54:12
>>121

「それは・・・・!」

煙に巻くような捉え所のない言葉遣いではあるが、言っている事の意味はわかる
自分の『目的』が他の人間にとって、吹けば飛ぶような『些事』だとしたら?

(それでも・・・・私は、私を保つことが出来るのだろうか?)

>「俺は不思議だ」

  「・・・・・・!?」

一つの言葉に思い悩む間もなく、次の言葉が浴びせられる
固く握りしめられた拳の中に汗が滲む
目の前の男への緊張からか、視線をこの男から外す事が出来ない

>「『何にそんなに怯えているんだ?』」

「お、怯えてなんていない!?
 私は・・・・『お前ら』なんかに・・・・・!」

緊張を振り払うかのように大声を上げて否定する
だが・・・・その所作こそが、彼女の抱える感情を証明しているようにも見える

「怯えてなんか・・・・ ・・・・・? お前は・・・・わかって、言っているのではないのか?
 この前の『襲撃』、あれはお前ら・・・・そう、お前ら『アリーナ』がやったのだろう?」

123高見盛 炸盤『デイヴ・エドモンズ』【高2】:2021/06/21(月) 20:29:21
>>122
 
高見盛は考える。
目の前の少女は明らかに『何か』に怯えている。
だから、その『何か』が『なんなのか』を考える。
 
『この前の連中』と呼ぶ以上、相手が複数なのは間違いない。
すかさず戦闘の構えを取ったところを見るに、なにやら物騒な、『暴力』が絡む事態であることも想像に難くない。
恐らくは『スタンド』関連なのであろう。その上で。
 
その上で『アリーナ』という『組織』について問われた以上、既に答えは出ているも同然だった。
あとは片手を左右に軽く振って、『いやいや、そんなものと俺は何の関係も無いよ』と言ってしまうだけで良かった。
 
 
「不思議だな」 
 
 
そしてそれが出来るのであれば、高見盛炸盤がここまで誤解の多い人生を歩むことはなかった筈だ。
 
 
「それを訊かれて、例えば俺が素直に『そうそう。この間のアレは俺達アリーナがやったんだ』。
 『俺の仲間の能力はどうで』『何人いて』『君をどうするつもりなのか』だとかを、話すと思うのかな」
 
「『襲われる側』の君が、そんなことを正直に質問できてしまうッて事実が、俺にはすごく不思議だ」
 
不思議に思ったことを我慢できないというだけで、どこまでも失敗してしまう。
思えば祖父の目を潰した時もそうだった。『本当に痛くないのか』が、不思議で仕方なかったのだ。
 
「だから、その質問には答えられないな。
 ただ見ての通り今日の俺は一人で、君に危害を加えるつもりはない。
 『君をどうこうする』ッてのは、俺の『訓練』とは関係無いんだ。
 誓って言おう、これは本当だ」
 
胸に手を当て、害意の無さを訴える。
少なくとも本人は、徹頭徹尾に誠心誠意のつもりであった。

124赤月『サクソン』【中2】:2021/06/21(月) 21:33:07
>>123

「・・・・・・ッ!?」

しまった!と、心の中でそう思った
相手の素性がわかっていない状況で、自分の情報を曝け出すような真似をしてしまった
歓楽街で会った男はこう言っていた・・・・「慎重にやれ」と

(私はまたやってしまった・・・・ッ!)

ただ『襲われた』だけで醜く逃げ惑い、
『異様な行動』を見ただけで酷く怯え、情報を漏らしてしまった
『戦士』としても、『暗殺者』としても、下の下だとしか言いようのない醜態だ

「・・・・よくわかった
 私のこの、醜く惰弱な行動が、自分自身を追い詰めているという事が」

目の前の男の『目的』を考える・・・・

(『この男がアリーナと無関係』だという可能性は捨てた方がいいだろう
 まったく無関係の人間が突然現れ、ここまで挑発的な言動をするなんて
 楽観主義にも程がある考え方だ)

(次に考える可能性・・・・『私をどうこうするつもりはない』?
 これが本当だとすれば・・・やはり、今回の目的は『示威行為』か
『兵隊』に対する訓練として、敵対者に対して『示威行為』を行い、生きて戻る事が課題・・・・か?)

(どちらにせよ、私を殺すために彼を送り出した可能性は低いはずだ
 それならもっと容赦なく攻撃を開始しているはず・・・彼の行動は攻撃にしては悠長だ)

(『アリーナ』は私を御しきれると考えている・・・・・?)

「・・・・・わかった、君の言う事は信じよう
 君を攻撃する事もしない、君の『訓練』を邪魔する事もしない・・・・だから」

左手をトレンチコートのポケットに潜り込ませ、肉まんを握りしめる
そして、肉まんを『息討器』に変化させる・・・形状変化はさせず、機能だけが再現される

「だから、この場を見逃してほしい
 お互いに、ここでやりあうというのは『利益』がないはずだ」

赤月にとってはとても屈辱的な提案だ
自分は今、『アリーナ』の人間(だと赤月は思っている)に怯えて逃げようとしているのだ
だが・・・・精神的に有利を取られた今の状況はあまりにも不利だ

高見盛に視線を向けたまま、じりじりと後退し、出口へと向かう

125高見盛 炸盤『デイヴ・エドモンズ』【高2】:2021/06/23(水) 04:41:42
>>124

「いやいや、何もそういうわけじゃないんだ。
 君がそんな、いっそ卑屈に聞こえるような物言いをするのは、俺にしたって本意じゃあない」
 
その口調は変わらず穏やかなものであったが、しかしそこに、僅かに焦りの色が混じる。
それが高度な演技でなければ、『本意でない』という部分はまずもって事実なのだろう。
 
「ただおかげで……不思議は解消されたかな。どうして『君がそんなに素直な質問をするのか?』」
 
「『襲撃』される覚えがあって、そこに俺が現れて――フフッ!
 それでもきちんと『質問』をするのは、そう」
 
納得したように頷き、続ける。
 
「きっと君が酷く真面目で……とびきり『優しい』からなんだろうな。
 それなりのリスクはあるのだろうけど、出会った時点で俺を『どうにかこうにか』することくらい、
 きっと君にはできたはずなんだ」
 
「それをせずに、俺を『ひょっとしたら』『悪人じゃないのかもしれない』と、そう思ってくれたのだとしたら、
 それが俺にはたまらなく嬉しい」
 
『どうせ』『悪人なのだろう』と思われることの方が、ずっとずっと多かったのだ。
あの家で生きるために鈍感にならざるを得なかった炸盤ですら、そう感じる事が多かったのだ。
 
「だから『見逃してもらう』のは俺の方だ。
 俺の名前は『高見盛 炸盤(タカミサカリ サクバン)』。
 この学園の『高校二年生』だ――間違いなく籍があるから、調べてもらっても構わない。
 『スタンド』は『訓練中』で、大したことはできない……壁を登るくらいしか」
 
目の前の少女がそれを真実であると納得するかはともかく、
自らの本名と能力について告げる。これが高見盛が支払える数少ないコストだ。

「『どうか見逃してください』。
 具体的にはこの学園内で、『俺のことを悪く触れ回らないでくれ』……ると、嬉しいな」
 
「好きなコが居るんだよ」 
 
そこまで言って、高見盛はくるりと半周ターンをし、少女にまるきり背を向け両手を軽く掲げる。
 
「この通りだ。勿論俺はお願いする立場だから、『その代わりにどうこう』だとかを言う気は無いよ。
 それにきっと君は、俺が背中を見せても、きっと酷いことはしないだろう?」 
 
言いながら緩やかに脚を進め、もと来た『フェンス』へと向かう。
『下り』も『訓練』の一環なのだ、最後まで、やり切ろう。

126赤月『サクソン』【中2】:2021/06/23(水) 23:08:54
>>125

じりじりと後退する赤月に相変わらず声がかけられる
目の前の男の今までの言動には珍しく、焦りが滲んだ声だ

「・・・・・ッ! 優しくなんて・・・・ない!」

先刻の自戒も忘れて、またしても感情に任せて言葉を放ってしまう

(違う・・・私は『冷酷な暗殺者』だ・・・・!
『アリーナ』に災いを齎す『復讐者』なんだ・・・・!)

心の未熟さのためか、定義したはずの自己が揺らいでいく
見透かしたような事を言って!と、お門違いにも憤慨が心を満たしていく

「『高見盛・・・・ 炸盤』」

「クッ・・・・・! わかった・・・・君の事は特別な理由なく口外しないと誓おう
 そのふざけた理由が本当かどうかも詮索しない」

好きなコがいる、などという理由が本当かどうかは知らない
方便かもしれないし、事実を語っているだけかもしれない・・・・しかし

(しかし、この感じ・・・・私と敵対しているというのは思い違いなのでは?
 ・・・・い、いやいや! ここで情に流されるわけにはいかない!
 この『話術』こそが奴の術策なのかもしれない・・・・気を抜くな!)

「お互いに、黙っていた方が身のためという事か
 好きにするといい・・・・君は『訓練』を続けるのだろう?」

生きて帰る所までが『訓練』という事なのだろうか?と、高見盛の言葉を考察しながら、
後ろ手に出口の扉を開け、そのままこの場から去って行った


  タッタッタッタッタッ!!

「クッ・・・・ 情けない!
 先手を打って動いているつもりでも、イニシアチブは『向こう』に握られたままか!」

「何故、『向こう』に私の情報が漏れた・・・・?
 まさか・・・・ まさか・・・・ 『あの子』が・・・・・!」

昼休みももう終わる
『暗器化』を解除し、くしゃくしゃに潰れた『肉まん』を飲み込みながら教室へ戻っていった

127りん『フューネラル・リース』:2021/07/04(日) 06:44:11
「君が好きだと 叫びたい」

小学4、5年生くらいの少女が体育館で一人バスケットボールをやっている
別に何もおかしな事は無い
おかしな事があるとすれば

    頭 に 鈴 蘭 が 咲 い て い る 事 だ け だ

少女がドリブルをする度に頭の鈴蘭もブルブルと震える

128りん『フューネラル・リース』:2021/07/05(月) 09:02:42
>>127
挑戦者が
現れました

清少 翔(せいしょう しょう)「すまぬのう、麿達にはちとボールが入り用でごじゃる」
清少「素直に言うことを聞いてくれるなら、手荒なことはしないでごじゃるよ…」

りんからボールを奪い取ろうとする清少だったが、華麗なドリブルでかわされてしまう

清少「フフフ…女の腕で、勝てると思っておるかえ?」

ボールを奪おうとりんの隙を伺う清少だが

清少「此奴の構え…隙が…ある!
   否!隙があるようで隙がない…余程の使い手か!不気味な…」
清少「だが…ここは一気に!」

しかし、ここでシュートの構えに入るりん

清少「3ポイントの使い手か!」

りんの3ポイントシュートが決まる

清少「やはり凄腕か…この勝負、預けたでおじゃる!」

                  _         / ̄ ̄ ̄\
                  //            才     \
             { |           | И⌒) 七/
             ヘ |――-      \     (メ⌒)  |
          / /         \   \  __/
             |     |            )/
        /   '⌒乂___人⌒ヽ   ハ
         /  ,4芳ミ   4芳ミY  ハ
        И  {{弋_り    弋_り }}  | ハ
       八  |〃    _   〃|  .ハ八
.       〈 ∧人     ‘ー’    人 /   〉
       \ ∨〕ト  _   ,,. イ / _ イ
          〈>--</丁「  └t/  ノ 〉
          (⌒>イ   |: |    乂 _人
         〔////.厶--、|: | / ̄ ̄∨///〕
          〉― /::::::::::::::Ⅵ/:::/::::::::::|―‐く
        乂__人____\V/__/乂___ノ

    十ヽ -|-、レ |
    d⌒) /| ノ ノ

129リズ『チック・タック・フィジー』:2021/07/09(金) 23:49:50
学食。
込み合っている。

「……はぁ」

昼食時はいつもそうなのでなるべく避けるが今日はそうもいかなかった。

「……相席も覚悟しないとな……」

130朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2021/07/11(日) 00:28:24
>>129
「…混み合ってるなぁ。」
ため息を付きながら食堂に現れた少女がいる。

「とりあえずなにか適当に食べよう…」
涙音は食堂メニューを眺めたあとで注文に行く

「あっ、ちょうど開いてる席が…」
どうやら彼女は空いた席を見つけたようだ。
リズのとなりあたりに座りそうな感じがする。

131リズ『チック・タック・フィジー』:2021/07/11(日) 01:35:58
>>130

ブルネットの髪、青い瞳。
170cmの身の丈。
それが月見そばを前にしている。

「……ん」

座る、とは思いつつも椅子を引いたりはしない。
そこまでする義理はないし、座らないなら座らないでいいからだ。

(……おにぎりも買っておいてよかったな)

132朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2021/07/11(日) 01:59:20
>>131
「あ、どうもこんにちは」
軽く会釈をすると、彼女は近くの席にたつ。
どうやら彼女はカツ丼を注文したらしい。

「えーっと、こちら座っていいでしょうか?」
そう言って椅子を引く。リズの隣に座るようだ。

133リズ『チック・タック・フィジー』:2021/07/11(日) 02:14:55
>>132

「……」

息を吐く。
別にそばが熱かったわけじゃない。
ため息というものだ。

「お好きにどうぞ」

134朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2021/07/11(日) 14:53:50
>>133
「どうもありがとうございますー。」
とりあえず笑顔で会釈すると
隣にそっと座る。

「いただきます。」
そう言って彼女はカツ丼を食べ始めた。
見かけによらず随分とボリュームのあるものを食べている…

135リズ『チック・タック・フィジー』:2021/07/11(日) 15:56:05
>>134

(まったく、この国は人を詰めすぎる)

(あぁ、フードファイターか)

ずるり、と出汁ごと生卵を飲み込む。
いつもの癖だ。

(……)

別にそういう趣味じゃないが隣に視線を投げている。

136朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2021/07/11(日) 16:07:40
>>135
(ちょっと食事のタイミングずらしたほうが良かったかなー。
 結構人が多いと、なんだか暑くなるんだよねぇ…)
一応冷房はかけられているものの
ご飯や人の熱気でやや暑い。

「もぐ…ん」
視線がこっちに向いているのを見てふとリズの方を見る。

「んー、どうかしましたかー?」
少し首を傾げる。
その表情からみて別に不愉快というわけでもなさそうだ

137リズ『チック・タック・フィジー』:2021/07/11(日) 17:41:19
>>136

「あ?」

目が合って、またため息を着く。

「なんでもないが」

買っていた明太子のおにぎりの封を切りながら。

「お前こそどうかしたのか? あぁ、オレが見てるからか」

138朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2021/07/11(日) 18:37:35
>>137
「まぁそうですねー、こう…隣りにいると
 なんとなく隣の人が気になったりしますからね。」
そう言ってリズの方に目を向ける。

「なんとなく隣のご飯が美味しそうとか、そんなかんじもありますから。」
そう言って少しおにぎりのほうをながめた

139リズ『チック・タック・フィジー』:2021/07/11(日) 22:37:51
>>138

「おい」

不機嫌そうな声色だった。

「見境なしか?」

「人の飯をそんな目で見るな」

140朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2021/07/11(日) 23:00:41
>>139
「あ、いえ…すいません。」
思わず頭を下げて謝った。

「別にその、ほしいとかそういうのではなく
 なんだかつい、そう思っただけでして…」
申し訳無さそうな表情だ。

141リズ『チック・タック・フィジー』:2021/07/11(日) 23:49:45
>>140

「……」

「…………はぁ」

そう、ひと言。

「別に構わない」

「ティーンのガキにいちいちキレたりしない」

142朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2021/07/12(月) 00:16:22
>>141
「どうもありがとうございます・・・」
申し訳無さそうにしながら再び食事を始める。

「というと…あなたは大学部のお方でしょうか?」
ティーンと言われて改めて様子をうかがう。

143リズ『チック・タック・フィジー』:2021/07/12(月) 01:58:12
>>142

「大学の三年だ」

「普段ここには来ないがね」

もそもそとおにぎりを食べつつ。

「君は中学かな。小学生に見えなくもないが、日本人だからな」

144朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2021/07/12(月) 20:47:30
>>143
「そうですか。そうなるとだいぶ上の先輩になりますね。」
改めて頭を下げる。

「ええ、そのとおりです。
私は中学の二年生です。
えーっと名前は、朱鷺宮涙音といいます。」
なんとなく自己紹介を返す。

145リズ『チック・タック・フィジー』:2021/07/12(月) 22:30:06
>>144

「中二ね。なるほど」

日本人の見た目というのはよく分からない。
流石に慣れてきたが。

「とりあえず、飯を食ったらどうだ?」

146朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2021/07/12(月) 22:47:47
>>145
「んー、そういうふうに見えませんかねー。」
そういいつつも軽く微笑む。
もしかしたら印象より幼く見えるのだろうか。

「ん、あ、そうですね。
 冷めちゃうところでした。」
そう言ってカツ丼をどんどん食べる。
結構食い意地がはっているのかもしれない

147リズ『チック・タック・フィジー』:2021/07/12(月) 23:12:54
>>146

「私から見れば大体の日本人は子供顔だよ」

さっさとおにぎりを食べ終わってしまう。

「それじゃあ楽しんで」

席を立つ、そろそろ出るつもりらしい

148朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2021/07/12(月) 23:37:20
>>147
「そうなんですねー。
 確かに海外の方はたいてい皆さん大人びてますよね。」
感心するように頷いて答える。

「どうもありがとうございます。
 …えーっと…」
名前を聞いていなかったので少し困っているようだ。

149リズ『チック・タック・フィジー』:2021/07/13(火) 02:22:29
>>148

「Elizabeth McMahorn」

そうとだけ告げた

150朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2021/07/13(火) 17:55:07
>>149
「わかりました。エリザベスさん。」
結構きれいな発音を聞いて少し驚きながらも
頷いてから見送ることにした。

…以降も彼女はとりあえずご飯を完食していった。

151ネキリ『テロライザー』:2021/07/13(火) 19:28:59
  「はじめまして、柊音霧といいます。よろしくお願いします」


挨拶はうまくいった。と、思う。


     「前までは九州の学校に通ってました。え? 敬語……あっ、くせで」
  
   「ありがとう、みんな優しいね」


新しいクラスメイトもいい人ばかりだ。

急な転校ではあったし、不安だったけれども、きっと楽しくやっていける。そんな気がする。



「ね。」「『テロライザー』」



『テロライザー』は答えないが、自分自身のことだから、これは独り言みたいなものだ。
放課後の、いろいろな部活の声で騒がしい校庭を、その端っこで眺めながら、

「(『部活』。楽しそうだな。何かやってみようか…でもこんな途中から入部なんかできるのかな)」

とか考えている。

152ネキリ『テロライザー』:2021/07/15(木) 20:47:13
帰ろう。

153飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/19(月) 09:13:38
退屈な歴史の授業。
茶髪をツインテールにした少女――飯田がなにやら『ルーズリーフ』になにかを書き連ねている。
しばらく書くと満足したのか、折り紙のように長方形に折りたたみ、宛先を書いて隣へ回した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

宛先は…ちゃんと[赤月c]って書いたよね、届くかな…?
いきなりちゃん付けとか引かれないかな…?
先生に見つかりませんように…。

[赤月cへ
  お手紙ごめんね
  なんとなく最近元気なかった気がして…心配…
  時々ケガとかしてるし、大丈夫?
  今度、一緒に買い物行こうね!
  おそろいのぬいぐるみ買おう!
                   咲良]

154赤月『サクソン』【中2】:2021/07/19(月) 12:38:26
>>153

転校初日に行った宣言のせいで(>>108
しばらくの間、赤月の存在はクラスの中で浮いた存在となっていた
しかし、この1か月の振舞いを振舞いを見て赤月のクラス内での認識は
『かなり変わった所はあるけど、真面目で、悪い奴じゃない』まで落ち着いていた
(もっとも、その認識に落ち着いた要因としては飯田との付き合いのおかげもあっただろうが)

飯田の隣席の子はふふっと微笑むと、受け取った『紙片』を次に回していく
途中で何人かの男子は紙にいたずら書きをしようとしていたが、
丁度その時、教師の視線が生徒たちに向かったため慌ててやめていた

「ん・・・・・?」

そうした、幾たびかの困難を乗り越えて『紙片』は赤月の所までたどり着いた
自分の名前が書かれた表面から『何者か』からのメッセージと判断し、中を開ける

(咲良・・・・)

『あの夜』の出来事以降、二人の間には見えない何かが挟まったかのように距離が空いていた
その原因は赤月が抱いてしまった『不信感』だ
『あの事』を告白してすぐに、歓楽街での『襲撃』を受けた事から、
情報の漏洩元として飯田の存在を疑ってしまっていたのだ

(違う・・・・ きっと違う・・・・!)

『疑惑』を本人に突き付ける事は『友情を疑う』という事!
とはいえ、彼女の事を完全に信じきるには、『疑惑の芽』は無視できないくらいに大きかった
かくして、赤月は『疑惑』と『信頼』に挟まれ、悶々とした日々を送っていたのだ

(そう・・・・夕立と相談して、わかったじゃないか
 あの『襲撃』は『アリーナ』の存在とは無関係の可能性があるって)

だが、赤月もまた情報収集を続ける事で理解を深めていた

「・・・・・・・・・。」

歴史の授業は赤月にとってそれなりに面白い内容であったが
一旦そこから意識を離し、破いたノートの切れ端にメッセージを書き付ける

[咲良へ

  心配をかけてすまない
  あの後、色々な事情が重なって『トラブル』に巻き込まれてしまったんだ
  それはなんとかなった 君とのお出かけが楽しみだ]

この文面のさらに下にいくらかの『空間』が空いている
どうやら、一度何かを書こうとして、消しゴムで消した跡が残っているようだ
じっくりと観察すれば、こんなうっすらとこんな文章が書かれていたという事がわかる

[君は『アリーナ』に情報を・・・・]
  [『襲撃』に関わっていたりは・・・・]

       [『監視者』がついていないか不安・・・・]

「む・・・・・」

ところで、赤月はこのような『メッセージ』のやり取りを今までにした事がなかった
いくらかの『金』を握らせるべきだろうか、何か『符合』が必要なのだろうか、などと
見当違いの考えを働かせ・・・・

「ええい」

最終的に『サクソン』の手で直接配達する事にした
『サクソン』の『トレンチコート』に隠された物体は『一般人』の眼からも隠される
ポケットの中に上記の文章が書かれた『紙片』をいれ、トコトコと飯田の席に歩いていき・・・・
  
     さっ

ほれ、というような感じでスタンドの手から『紙片』が渡される

155飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/19(月) 13:25:27
>>154
隣の女子、男子、もひとつ男子。それから女子。
何人もの手が私の手紙を届けていくのを冷や冷やしながら眺める。
先生の目が何度か手紙のあたりに行ったときはどきっとしたけど…無事に辿りついたみたい。



退屈でよくわかんない歴史を聞き流しながら、ちらちらと赤月さんの方を見る。

……なにか、消してる?
私なら間違えたらぐしゃぐしゃーって塗りつぶしちゃったりするけど…赤月さんはしないんだ。
古風な話し方したりするし、やっぱりしっかりした子なんだ。

そうして眺めていたら、いつか見た『トレンチコート』が出てきてびっくりした。
……そっか、『スタンド』を使えば連絡に困んなかったんだ。

でも…なんだか前の時と『スタンド』…違う?
前は『トレンチコート』だけだったのに、今回は身体がある…よね?
もしかしたら私の『シスター』みたいに纏うのと纏わないのとがオンオフできるのかも。おそろい!


私は『スタンド』から届けられた手紙を読んで、
返事を書き始めようとしたところでさっき消していたらしい跡に目がいった。

……『襲撃』?『アリーナ』?『監視者』??

読み取れただけでも不穏で、本当に大変な『トラブル』だったのが…伝わってくる。

[赤月cへ
  トラブル…。大変だったんだ…
  もしなにか手伝えることとか困ったことがあったら教えてね

  買い物、どこにしよっか、今から楽しみ!

  P.S. もし不安なことがあるなら、このあとお昼休みとかに聞くよ!
             赤月cの友達 咲良]

私も同じように『シスター』を出して宅配させてみる。
ここに他に『スタンド使い』がいたら異様な光景に見えるかも。

156赤月『サクソン』【中2】:2021/07/19(月) 19:25:34
>>155

「不安・・・・」

飯田から送られてくる新たな『紙片』を目にして、そう呟く
前方では初老を迎えた教師が日本史についていくつかのエピソードを交えて解説していた
興味を引く内容であったが、こちらの方が先決とばかりに『紙片』に新たなメッセージを書こうとして・・・・

「そうだ」

途中でやめた
その代わりに、発現した『サクソン』を歩かせて飯田の席まで向かう

   ズズズズズ・・・・・・

『あ、あー・・・・聞こえる?』

『スタンド会話』だ
クラスの中に他のスタンド使いがいたら、「授業中にうっとおしいな」と思うかもしれないが、
幸いなことに二人の会話に反応した生徒は今のところ居ない

『こっちの方が楽だったから・・・・これで話をさせて欲しい』

『「トラブル」と言ってもそれ程大したことではないんだ
 ただ、ちょっと変な連中に絡まれただけでさ』

『トラブル』という言葉について、『サクソン』からはちょっとした事だ、と
軽い言葉が発せられるが・・・先ほどの『紙片』に残された跡からは強い懊悩が感じられた

『気にする必要はない・・・・ ないのだけど・・・・』

いくらかのためらいの間を空けた後、沈黙を破って次の言葉が発せられる

『・・・・・君の近くで、何か変わった事は起こらなかったか?
 例えば、誰かに見られてる気がするとか、物が動いたとか』

157飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/19(月) 19:56:30
>>156

『シスター』で届けた手紙を読んだ赤月さんがスタンドをこちらに向かわせてきたときにはなんだろう?って考えてたけど、
『スタンド会話』だって気付いて、手紙じゃなくてこうすればよかったんだってちょっとびっくりした。

『うん、聞こえてる』
『そっか、こうすれば授業中おしゃべりし放題だね!赤月さん頭いい!』

『変な人たちに絡まれて…!?』
『もしかして、お兄さんの…「仇」…とか…?』
『ごめん!もしかして私が「アリーナへの紹介状」渡しちゃったから!?』

さっきの消された文字、最近の怪我。
お兄さんを殺した『アリーナ』の人がトラブルの原因なら納得できる。できてしまう。
『アリーナ』は憂さんが言うには『乱暴』っぽいし…。

……私は、『大切な友達』を傷つけた『アリーナ』にちょっと怒ってるみたいだった。


『私の近くで変わったこと…?』
『ちょっと前に「オウム」みたいなスタンド使ってる人と会ったくらいかな?』
『あと、女の子にリンゴもらって食べたら急に気持ち悪くなって吐いちゃったとか…』
『物が勝手に動くとかはないかも』

最近の出来事を指折り数えながら思い出してみる。
たぶん見られてるとかは…ないはず。

158赤月『サクソン』【中2】:2021/07/19(月) 21:12:30
>>157

「頭いい」と言われた事に気を良くしたのか
離れた席で、授業を聞くふりをしている赤月が照れくさそうに顔を背けた
だが、話が『アリーナ』の事に戻ると慌てた様に口をはさむ

『違う! ・・・・・君のせいじゃない
「紹介状」の件がなくても、きっと変わらなかったよ』

違う、と、そう思った
今まで、ひょっとしたら彼女が情報を漏らした犯人なんじゃないかという疑いを捨てきれずにいた
だが、直接話してみて思った・・・・彼女が信じるべき人間だと

(ひょっとしたら、と、そんな考えがずっと頭を離れなかったけど
『違う』・・・咲良は信じるべき人間だ・・・・)

(良かった・・・・)

ほっと、安堵のため息を付きながら肩を落とす
長く憑き纏っていた『憑き物』が取れた様な晴れやかな気分だ

『えっ? 女の子から貰った「リンゴ」を食べて気持ち悪くなった?
 身体の調子は大丈夫なのか?』

159飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/19(月) 21:30:09
>>158

私のせいじゃない。そう言ってくれたのは正直ほっとした…けど…お兄さんの『仇』の可能性は否定されなかった…。
きっと…『アリーナ』が赤月さんになにかしたんだ…。

『……気をつけてね。
 もし、なにかあったら呼んで。
 私だって「スタンド使い」だから。手伝えるかも』

私の『シスター』は護る相手がいないと本来の力が使えない。
でも、二人なら…赤月さんを護ろうとしながらならなにかできることがあるかもしれない。


『リンゴを慌ててトイレで吐いて、病院行っていっぱい水分取ったりして…大変だったよ…』
『病院で「鈴蘭」の毒かもって言われたけど、鈴蘭なんて食べてないのにね』
『あ、でも、くれた女の子、頭に「鈴蘭」のアクセサリーつけてたかも…まさか…』

あんな親切に相談に乗ってくれた子が、毒を盛った可能性に思い当たって私は顔が青くなる。
そんな、そんなこと…ないよね…?

160赤月『サクソン』【中2】:2021/07/19(月) 22:45:31
>>159

『・・・・・・大丈夫、咲良には関係のない話だから』
『むしろ、私の方こそ、君を巻き込んでしまっているかもしれないのに・・・』

申し訳なさそうな声色が届く

『「鈴蘭」の毒を「リンゴ」に仕込む女の子・・・・
 くっ・・・・それは・・・・!?』

最悪の想像をしてしまう
もしも、『監視者』の嫌がらせが、自分ではなく周辺に及んでいたとしたら・・・・と
『襲撃者』の正体は恐らく『アリーナ』とは関係がない、とうすうす気づいてきている

しかし、『監視者』と『アリーナ』との関係はまだ疑っていた
これが『監視者』の警告による行動だとすれば・・・・

『咲良・・・・この町に来て思ったのだけど、
 この町のスタンド使いの中には訳もなく誰かを襲う者も多い
 咲良を襲ったのも、そういう連中かもしれない・・・・でも』

『でも、ひょっとしたら・・・私のせい・・・・なのかも
 私が「アリーナ」を敵に回したから・・・・だから咲良にまで被害が・・・』

スタンドから伝わってくる念話が弱弱しい気色を帯び始める
席に着いた赤月の表情も困惑したような顔になり・・・・


   教師「次、赤月、この問題を答えてみろ」

「う、あっ・・・・・はい」

「『バビロン捕囚』・・・・」

   教師「惜しいなー、今は日本史の授業だからなー
      ちなみに答えは『島原の乱』だ もう少し真面目に授業を聞きなさい」

『・・・・・すまない、変な事を言ってしまった』

161飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/19(月) 23:12:58
>>160

『巻き込まれてなんかないよ、きっと大丈夫』
『もし巻き込まれてても、いいよ』
『だって「友達」でしょう?』

申し訳なさそうな、沈んだ赤月さんの声にそう敢えて明るく返した。
友達だから助けたい。もしなにかあったら手伝いたい。
それは当たり前のことだと思うから。

『…赤月さん、たくさん怖いことがあったんだね…』
『……もしかして、何回も襲われたの…?』

『私、「アリーナ」のことは詳しくないけど…きっと「鈴蘭」の子はそんな酷い子じゃないと思うんだ』
『すこし思い出したんだけど、あの子、私が具合を悪くしたときに
 すぐに「吐いて」「病院行って」って教えてくれたから…
 だから私は今こうしていられるんだし』
『本当は傷つけたくなかったんじゃないかな』

『もし、もしもね、赤月さんが「アリーナ」を探ったから私が狙われたのなら、
 「鈴蘭」の子は「病院行って」なんて言わなかったと思う。
 病院行ってすぐ治っちゃったら赤月さんに伝わらないかもしれないし、脅しとかにならないでしょ?』
『だから、大丈夫だよ。悪い人はいないよ』

ノートに渦巻きを延々と書きながら、『スタンド会話』を続けた。
日本史ってなんでこう年号がころころ変わったり、名前が漢字ばっかりなんだろう。覚えにくい。

162赤月『サクソン』【中2】:2021/07/19(月) 23:43:05
>>161

『「友達」・・・・・』

一時期はその『友情』を疑う事もあった
大事な友達を危険に巻き込んでしまう事への『罪悪感』は今でもある

だが、今はどうだろうか・・・・
抱いているのは、彼女が傍にいて欲しいという願いだ
その『甘え』がどこかで二人に牙を剥くとしても・・・・

(この『甘え』は弱さか・・・? 『友情』は私の『殺意』を鈍らせるのか・・・・?
 わからない・・・・でも・・・・ 咲良と離れたくない・・・)

『この先・・・・危険な事に君が巻き込まれるかもしれないし
 今よりもっと、怖い目に遭わせてしまうかもしれない・・・・でも
 それでも良ければ、傍にいて欲しい・・・・「友達」として』

『覚悟』を決める
この先・・・更なる危険に彼女を巻き込んでしまった場合、その責任を取る『覚悟』を

『うん・・・・そうだ 実際に襲われたのは一回だけだけど
 その時に、油断ならない「監視者」がいた』

そう決めたのなら、これまでの事情を打ち明けるしかない

『姿も見えず、音も聞こえない、まるで闇に潜むかのような「監視者」は
 私が謎の「襲撃者」に襲われる所を、何もせずにじっと見つめていた』

『それは私のスタンド「サクソン」が暴いた事実だ
 私のスタンドにはそういう能力があるから・・・・
 そいつに怯えたせいで色々と痛い目に遭ったけど』

そう言いながら左腕を擦る
『監視者』を見つける為に増やした『傷』は完全に治癒し、薄らとした痕だけを残している

『確かにそいつらと比べると「鈴蘭の子」の挙動は違う気がする
 もしかしたら、自分でも能力を抑えられないスタンド使いなのかもしれない
 全部がその子の演技という事も考えられるけど・・・・でも、あまり悪意は感じられない』

163飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/20(火) 00:09:41
>>162

『危険なことがあったって、怖い目に巻き込まれたって一緒にいる。
 だって、「友達」だから』

私はそう返しながら『シスター』で赤月さんのスタンドの手を優しく握った。
スタンドには、自分が受けたダメージを本体にフィードバックする力がある。
赤月さんの子にそれが備わっているなら、手を握った感触が届くはず。

『襲われたの、一回だけなんだ…。たくさんじゃなくてよかった…』
『「監視者」…。何のために見てたんだろう…。
 私も気付いてなかっただけで見られてたのかもしれないよね…』

誰だかわからない相手に見られてたのは素直に恐怖だと思う。
それが襲われてた時であれば、なおさら。

『「鈴蘭」の子はそういう不気味さとはちょっと違うかも』
『……「スタンド使い」って、この町に本当にたくさんいるんだね…』

164赤月『サクソン』【中2】:2021/07/20(火) 00:27:37
>>163

『温かい・・・・』

スタンドに体温はない
にも関わらず、『シスター』に握られる手から感じるこの『熱』は
決して錯覚とは思えない

『わからない・・・・
 私は今までに「監視者」がどこかで見てはいないかと
 何度もそいつの存在を見つけようとした』

『しかし、私の事を監視していたのはその一回だけだった
 それ以外でそいつの気配を感じた事はない
 一体、何が目的で・・・・』

>『……「スタンド使い」って、この町に本当にたくさんいるんだね…』

『そうか、それかもしれない
 この町にいる「スタンド使い」の数は・・・・はっきり言って異常だ
 もしかして、そいつの目的は「スタンド使い」自体を監視しているのかも・・・・』

『とはいえ、何のためにという疑問は最後まで残るけど』

先生の目を盗んでの『秘密の会話』は続く
とはいえ、授業時間は有限だ

   キンコーン カンコーン・・・・

  教師「おっと、もう時間なったか」

『・・・・・! この話の続きはまた今度にしよう
 一緒の買い物・・・・楽しみにしているよ』

165飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/20(火) 07:43:30
>>164

よかった、赤月さんに届いた…。
この間の『オウム?』の人は本体さんが自分のスタンドを攻撃っぽいことしてもなにもなかったから…ちょっとだけ心配だった。
でも赤月さんの子はダメージを届けるらしい。

『目的…。
 もしかしたら…「たまたま」だったのかも…。
 一回だけでなにもせずに見てただけだったら、
 たまたま近くにいてたまたま見てただけの可能性も…あるかなって…。
 恐がりで襲われてるのを見て出てこれなかった…とか』

『あ、確かに!「スタンド使い」の監視もありそう…!
 私もここに越してきてそんなに経ってないけど…会ったスタンド使いは片手の指くらいはいるし…。
 ……やっぱりこの街のスタンド使いの数って…多すぎるよね…』

赤月さんと話して、たくさん知りたいことができた。
『アリーナ』のこと、『スタンド使い』のこと、『この街』のこと。
お姉ちゃんのことも気になるけど、『友達』のことも大切。
赤月さん一人で悩まないで済むように、近くにいたいって。そう思った。

   キンコーン カンコーン・・・・

『あ、チャイム!
 次は体育だっけ、早く着替えないと』
『ぬいぐるみ可愛いの買おうね!』

私はそれだけ言って『シスター』を解除して次の時間の準備に取りかかった。
早く更衣室に行かないと!

166赤月『サクソン』【中2】:2021/07/20(火) 21:50:30
>>165

『「たまたま」・・・・そうだとすれば、私も安心できるのだが・・・・』

先月の『監視者』が実は監視者でもなんでもないただの野次馬で
本当は誰も敵なんていない
そう思う事が出来ればどれだけ心安らかに過ごせるか・・・・

『いいや・・・・だとしても警戒を緩めるわけにはいかない
 この町のスタンド使いの数はやっぱり異常で、君も私も何かに巻き込まれる可能性があるのだから
 だから、いつ命の危機が訪れても不思議では・・・・・』

そう言いかけた所で、自分がむやみやたらに不安を増長させている事に気づく

『ごめん・・・・変な事を言ってしまった』

   キンコーン カンコーン・・・・

>『あ、チャイム!
> 次は体育だっけ、早く着替えないと』
>『ぬいぐるみ可愛いの買おうね!』


『・・・・! あ、ああ!』

今は気にしても仕方のない事だ、と考えを切り替える
いずれ訪れる『お出かけ』の事を考えて頬を緩ませながら、
歴史の授業を終え、更衣室へと走っていった

167天之 月夜『レンブラント』:2021/07/21(水) 09:17:24
♪〜      ♪〜      ♪〜      ♪〜

  ♪〜      ♪〜      ♪〜      ♪〜

深夜の音楽室

鳴り響くピアノソナタ『月光』

168御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/07/21(水) 17:39:15
>>167

               深夜の『学生寮』前――――。

                      ザッ

          ちょうど『出掛ける』所だった。

               ピクッ

      「――――――………………?」

だが、妙な『音』を聞いて立ち止まる。

(『調べる価値』はある…………か…………)

     スゥッ…………

『闇色の帽子と外套』――『ナハトワハト』を身に纏い、
その姿が『亡霊』のように消え失せる。
『闇の中』では『ナハトワハト』は『無敵』。
どんな能力があろうと、触れる事も認識する事も出来ない。

(『例外』は………………)

(『なくはない』………………けど………………)

確かに『例外』はある。
『サクソン』には見破られた。
もっとも、『どこかにいる』事が分かっただけで、
完璧な探知ではない。
仮に『いる』事が分かった所で『干渉』は不可能。
『闇の衣』が『無敵』である事には、何ら変わりはないのだ。

           ドヒュゥッ!!

『闇』と同化した『ナハトワハト』は高速の移動を可能とする。
超人的なスピードで廊下を駆け抜け、
一気に音楽室前まで突き進む。
『現場』に着き次第、外から室内の状況を確認する。

169天之 月夜『レンブラント』:2021/07/21(水) 18:02:46
>>168
電気のついている音楽室
中には、至る所に『懐中電灯』が灯りがついた状態で配置されていて眩しい
『ナハトワハト』を維持して入れる場所ではないだろう

中にいるのは小学6年生か、中学1年生程の少女
黒いゴスロリ衣装を着た、黒く長い髪、そして
『銀色の瞳の右目』、『金色の瞳の左目』が特徴だ
そんな少女が、無表情に、ただ一人、誰かに聴かせるわけでもなくピアノを弾いている

170御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/07/21(水) 18:36:08
>>169

            ――――――ピタァッ

    (………………『子供』?)

『光』の存在に気付いて足を止め、『闇』の中で眉を潜める。
気になる点は幾つかあった。
第一に『そこにいる人間』。
深夜の学校に子供がいて、
ピアノを弾いている事自体が妙だ。
第二に『懐中電灯』。
部屋の電気が付いているなら他の明かりは要らない。
第三に『多すぎる数』。

(………………『光』)

室内の様子を見て、心の中で舌打ちする。
あの中に踏み込んで行く事は、
『ナハトワハト』にとって『地雷原』を進むようなもの。
しかし、『見えている地雷』を踏む間抜けはいない。
ただ見るだけなら、危険を冒して接近する必要はないのだ。
決して音楽室内には立ち入らない。

(あの過剰な『光』………………)

       ドヒュッ

(………………嫌な予感がする)

少なくとも、ピアノが聞こえている最中は、
少女は音楽室にいるという事だ。
その間に、近くの教室に入る。
『窓の鍵』を開け、その窓を開け放つ。

171天之 月夜『レンブラント』:2021/07/21(水) 18:59:34
>>170
「?」

ピアノの音が鳴り止んだ
近くの教室に誰かが入った事に気付いたのだろうか?
少女は、一度演奏を止めて音楽室の戸を開け辺りを見渡す
しかし、『闇』に溶け込んだ『ナハトワハト』を纏う御影を見つける事は
彼女―――天之 月夜には不可能だ

        オンガク
「足りない」 「悲鳴が」 「もっと奏でなきゃ」


               コツン コツン

廊下の向こうから、誰かがやって来る足音がする
月夜はまた音楽室に戻り、演奏を続けた

172御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/07/21(水) 19:32:29
>>171

(………………『勘』がいい)

ピアノを弾きながら、他の音にも気を回せる。
『ナハトワハト』にとって『光』は『天敵』だが、
それだけではない。
やはり『用心』しておいて正解だ。

(『音楽』………………)

     ス ッ

(………………『それだけ』なら………………)

               フ ワ ッ

(………………気にする事もないけど)

ピアノの音が戻ったタイミングを見計らい、
開けた窓から『外』に出る。
『非実体化中』の『ナハトワハト』は『浮遊移動』が可能。
その特性を利用して、『音楽室の窓の外』に回り込み、
そこから室内の様子を窺う。
音楽室内は『光』で満たされているが、
十分な距離を取っていれば、
その脅威に晒されてしまう事はないだろう。
もし『カーテン』や『ブラインド』が引かれていたら、
お手上げだが。

173天之 月夜『レンブラント』:2021/07/21(水) 20:01:34
>>172
運の良い事に、『カーテン』も『ブラインド』も引かれていない
浮遊霊の様に、『闇』の中から音楽室を覗く御影

ガラッ

誰かが、音楽室を戸を開けた
先程の足音の主だ

少女「あの、誰かいるんですか…?」

小学生高学年くらいの子供だ
御影も月夜も知らないし、どうでもいい事だが
彼女は、夏の肝試しで友人達と夜の学校に忍び込み
途中ではぐれて一人になってしまったのだ

持っている懐中電灯を、月夜に当てる少女
その時、月夜の姿が変わった

いや、月夜自身は変わっていない
正確には月夜の『服装』が変わった
ゴスロリの服は、『仄かに輝く夜空のようなドレス』に

その瞬間、月夜を照らす『懐中電灯』と『月夜』の間に『光の帯』が敷かれる
そして―――

『光の帯』に沿って移動するように、月夜は『光の粒子』となり
一瞬で少女の前に現れた

少女「ひっ」
月夜「お前 楽器になる?」

少女に、月夜の手が伸びる

174御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/07/21(水) 21:09:33
>>173

(――――――!!)

少女の『変化』と『移動』を目の当たりにし、両目を見開く。
やたらと部屋が眩しかった理由も分かった。
『ナハトワハト』とは正反対に、
『光の中』でこそ最大限の力を発揮するという事か。

(………………『同じタイプのスタンド』)

『ナハトワハト』と同じ『身に纏うタイプ』のスタンド。
『闇色の帽子と外套』に対し『夜空を思わせるドレス』。
意匠まで似通っているにも関わらず、
『能力』が真逆なのは奇妙な暗示を感じる。

      (………………)

御影憂には『三つの顔』がある。
『心理学部の大学生』は『社会的身分』。
『組織の一員』は『裏の仕事』。
『亡霊』は『プライベート』。
それら三足の草鞋を切り替えて、『三重生活』を送っている。

      (………………)

音楽室に入った少女。
今、彼女に危険が及んでいる事は直感で分かる。
だが、御影の生活サイクルの中に、
『人助け』は含まれていない。
『スタンド使いの情報』を得るという意味でも、
ここで出て行くのは好ましくない。
行動と結果の『費用対効果』を考えると、
割に合わない行為だ。

      (………………)

怯える少女の顔。
その表情が、記憶の中にある『幼い自分』と重なる。
『今の自分』を作り上げた苦い記憶だ。

           スッ

全身を『非実体化』したまま、ゆっくりと『片足』を引く。

      ――――ブンッ!

『足』を振ると同時に、『足首から下』を『実体化』。
それにより、履いている『サンダル』を、
足から『すっぽ抜け』させ、音楽室の窓に叩き付ける。
下駄でやる『天気占い』の要領だ。
サンダルが窓にぶつかる音で、
『ドレスの少女』の注意を引きたい。
窓の外に視線を向けたなら、
片方の『足首』だけが浮いているのが見えるだろう。

175天之 月夜『レンブラント』:2021/07/22(木) 06:50:54
>>174
バンッ!

月夜の魔の手が少女の手に伸びようとしていたその時、
突然窓に何かがぶつかる音がする

月夜「?」

鳥でもぶつかって来たのか?
音の正体を確かめるべく、窓の方を見やる月夜
すると、なんと女性の『足首』が浮いているではないか!

月夜「おばけ?」
少女「あ…あああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

あまりにも非現実的出来事が重なり、発狂してしまった少女
POWが低い彼女にはSAN値直送なイベントだった

月夜「あっ、待っ」

バタン

突然、左目を抑えて倒れる月夜

176御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/07/22(木) 16:17:57
>>175

『少女の悲鳴』をバックコーラスにして、
『深夜の学校』で奏でられた『恐怖の二重奏』。
『子供の肝試し』としては、あまりにも刺激が強すぎた。
後々ちょっとした『噂』になるかもしれない。

(………………ふぅ)

それでいい。
片鱗とはいえ、
『能力』の一部まで曝して手助けしてやったのだ。
『逃げられませんでした』では、本当の意味で割に合わない。

(………………倒れた?)

状況は飲み込めないが、音楽室には入れない。
おそらく『ドレス』が少女のスタンドだ。
まだ解除されていなければ、意識が残っているという事になる。

    ――――――フッ

『足首』を『非実体化』し、窓越しに様子を見守る。
何も変化がなければ、このまま立ち去る事になるだろう。
既に『収穫』は十分だ。

177天之 月夜『レンブラント』:2021/07/22(木) 16:36:49
>>176
少女「ひぃっ」

突然倒れるドレス女
突然消える窓の外の足首

もう何が何だか分からない少女

だが勇気を振り絞って、倒れた月夜に話しかける

少女「あ…あの……大丈夫…ですか…?」

月夜の肩に触ろうとしたその時

月夜「ああああ…っ!!」

左目を抑えてのた打ち回る月夜

少女「あ、ああ…」
月夜?「早く 行きなよ」
少女「…え?…は、はい」

少し雰囲気が変わった月夜
月夜の言葉に従い、一目散に逃げ出す少女

「何で まだ邪魔をするの…?
 『朝陽』…?」

「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」

ドゴォォォォォォォォォン

月夜の慟哭に呼応するかのように落ちる雷により停電する
音楽室を照らしていた懐中電灯は、一斉に電池が切れた

全くの偶然だ、天文学的な偶然が起きて学校は闇に包まれた

178御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/07/22(木) 17:23:45
>>177

(――――――『バカ』………………!!)

少女の行動を見て、思わず叫びそうになった。
『優しさ』は認めるが、それも時と場合による。
『さっさと逃げろ』と心の中で言うが、どうにもならない。
出来るだけの事はしてやった。
これ以上は当人の責任だ。

(何………………?)

(………………『変わった』?)

同時に、落雷と共に『光』が消え、
辺りは『真の闇』に包まれた。
好都合だが、既に『いる事』は知られている。
『闇』の『ナハトワハト』は『無敵』だが、
『サクソン』の例もある。
万が一を考えて、今日の所は引き上げる事を選んだ。
『サンダルの片方』を外に残したまま、校舎から離れていく。

         フワッ

(また『ビラ』撒かなきゃ………………)

とりあえず『報告』だ。
『フラジール』と同じか、
それ以上の危険があるかもしれない。
早急に『対応』を考える必要がある。

(でも………………)

(………………『助かって良かった』)

御影憂は『影』であり『闇』だ。
優しくなんてならない。
だが、『否定しきれない気持ち』も何処かにある――――。

179天之 月夜『レンブラント』:2021/07/22(木) 18:23:41
>>178
「…『朝陽』はもう 殺した
 もう 後戻りは出来ない」

暗闇に包まれた校舎を、彷徨い歩く月夜
そんな彼女が今考えている事は

グゥ〜…

「お腹減った」

180飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/26(月) 10:17:42
茶髪を二つ結びにしている少女が『城址公園』のベンチに座って本を読んでいる。
小さな声でなにかを呟いているようだ。

ーーーーーーーーーーーーーー

「ぴゃう…ひえ……むりむりむり…」

夏にぴったりな本だからって勧められて借りたけど…『ホラー』だなんて聞いてないよ…。
しかも、本の中の日付も今日で、『幽霊の日』なの…無理だって…。

きっと今、私、めちゃくちゃ血の気が引いてる…。
私が怖がりだって知ってこの本勧めたよね、あの子…!?

181???『???』:2021/07/26(月) 18:13:15
>>180

本から顔を上げた時、『白い物』が視界に入った。
正面の植え込みの中に『何か』が落ちているようだ。
枝葉に隠れて、よく見えないが…………。

そういえば、少し前に、
『深夜の学校で幽霊を見た』という噂を聞いたかもしれない。

182飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/26(月) 18:20:57
>>181

「……あれ、なに…?」

私は本を置いてベンチから立ち上がった。
誰かの落とし物かもしれないし、その『白い物』が純粋に気になったのもある。

…でも…『お化けの話』とか聞くし、やっぱり怖いから…。『シスター』に見てきてもらおう…。

私は『シスター・ゴールデンヘアー』を発現して、その『白い物』を観察しに向かわせた。
『シスター』の行ける範囲は15m。きっと植え込みまでなら行けるはず…。

183???『???』:2021/07/26(月) 18:41:35
>>182

人型形態の『シスター・ゴールデンヘアー』は、
特別な能力を持たない。
その代わりとして、
長い射程距離と視聴覚リンクを兼ね備えている。
自らの長所を活かし、
『シスター』を使って植え込みの中を調べに向かう。

           ガサ…………

スタンドの手で枝葉を掻き分けると、
『そこにある物』が分かった。
シンプルなデザインの白い『サンダル』だ。
『女性用』らしく、サイズは少なくとも子供向けではない。
理由は分からないが、片方だけが落ちている。
そこまで汚れてはいない所を見ると、
ここに落ちたのは最近のようだ。

184飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/26(月) 18:47:50
>>183

「……サンダル…?」

『シスター』の目を通して、『白い物』がなんなのか確認した私はそれに近付いてみる。

片方だけって変…だよね…?
落とし物…なら届けてあげたいけど…。

その『サンダル』を拾い上げる。よく観察してみたらなにかわかるかも。
名前とか…は書いてないかもしれないけど…。
それにしても、学校の庭である『城址公園』に大人のサンダルは奇妙な感じ…。

185???『???』:2021/07/26(月) 18:59:00
>>184

片方だけの『サンダル』を拾い上げ、よく観察する。
使い古しではなく、比較的新しい品だ。
生憎、『名前』は書いていないが…………。

     ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

そうしている内に、記憶の片隅に『引っ掛かるもの』を感じた。
これと『同じ物』を、どこかで見たような気がする。
一度ではなく『何度か』だ。

               ――――ザッ ザッ ザッ

その時、不意に背後から足音が近付いてきた。

186飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/26(月) 19:02:52
>>185

なんか、どこかで見たことある気がするんだけど…どこだっけ…?
私が首を捻っていると、後ろから足音が聞こえてきた。

  ザッ ザッ ザッ
      「ぴゃっ!?」

お、『お化け』…?
でも、『お化け』に足は…ないよね…?

私は、そっと後ろを振り返る。
そこにいるのが『お化け』じゃないことを祈りながら…。

187御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/07/26(月) 19:13:42
>>186

『お化けに足はない』というのが、ある種の定説になっている。
足音がするなら、それはお化けではないのだろう。
また、今は『昼間』だ。
お化けが活発になる時間帯でもない。
おそるおそる振り返ると――――――。

「………………あ」

そこには異様に前髪の長い女が立っていた。
服装は、いつものロングワンピース。
『御影憂』だ。
足元は『黒いサンダル』。
『あの一件』の後で、新しく買い換えたのだった。

         ジッ

前髪の隙間から覗く片目が、『白いサンダル』に向けられる。

188飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/26(月) 19:19:03
>>187

「ひゃうっ…!?」

後ろを振り返って、それが誰か認識するまでの間に私は上擦った声をあげてた。

だってさっきまで読んでいたのは『ホラー小説』だし、最近『お化け』が出るって話を聞いてたし、
それに…憂さんは『お化け』みたいな格好が好きみたいだし…。

「う、憂さん、こんにちわ…」

話しかけてから思い出す。
このサンダル、どこかで見た気がしてたけど、憂さんが履いてたのじゃないっけ?

「もしかして……これ、憂さんの落とし物ですか??」

189御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/07/26(月) 20:18:48
>>188

「サクラ………………」

「………………『こんにちは』」

驚かれるのは気分がいい。
自分が『恐怖を与える側』である事を実感できる。
今回の場合は、特に脅かそうという意図はなかったのだが。

「………………」

無言のまま、咲良の手の中にあるサンダルを見つめる。
あの時は立ち去る事を優先したために、
それを回収できなかった。
その後は大学の方が色々と忙しく、探す暇がなかった。
ようやく纏まった時間が取れたので、
こうして探しに来てみたのだが、
既に発見されてしまっていた。
しかし、正直に『自分の物だ』という言う訳にはいかない。

「………………ううん」

        ボソッ

「………………『私の』じゃない」

それは確かに『御影憂のサンダル』だった。
咲良自身にも、御影が『同じ物』を履いていた記憶がある。
だが、御影は否定した。
たまたま『同じサンダル』が落ちていたという可能性もあるが……。
どう感じるかは咲良次第だろう。

(気に入ってたのに………………)

少々惜しかったが、『必要経費』と割り切る。
『何をしたか』がバレる事に比べれば些細な問題だ。
肝試し中の少女を助けなければ、
サンダルを捨てずに済んだのだが、
その代わりに心に『悔い』を残す事になっていただろう。

「『それ』………………」

      スッ

「………………どこで見つけたの?」

片手を上げて、『サンダル』を指差す。

190飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/26(月) 20:40:44
>>189

「憂さんのじゃなかったんですね」

私は首を傾げて手元にある『サンダル』を見る。
……見たことある気がするんだけど…勘違いかな?
憂さん、今『黒いサンダル』履いてるし、落としたならどうやって帰ったんだろうってなっty……

……も、もしかして、これ、『自殺』した人の…とか…。
『自殺』したなら…靴履いてなくてもおかしくないよね…。
普通は靴、履かないでいるなんて考えられないし…。

私は一度上を見上げて、飛び降りられるような場所がないか確認した。
青くなったり青くなったりしながら、かろうじで言葉を紡いだ。

「これは…ここの茂みに落ちてて…今拾ったんです…。
 警察に届けるほどのものでもないし、目立つように置いとこうかなって。
 そうしたらもしかしたら持ち主が拾っていくかもしれないし…」

……持ち主さんがいてほしい。本当にいてほしい。
学校のこんな近くで『自殺』に『お化け』とか…怖い…。

191御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/07/26(月) 21:11:32
>>190

確かに、履物を『片方だけ』残して帰るというのも妙な話だ。

      ――――スィッ

サンダルが落ちていた場所を見上げてみる。
真上に見えるのは『音楽室』だ。
そういえば、『例の噂』では、
『幽霊』が出たのは『音楽室』の辺りだったような…………。
目撃者によると、『窓の外にいた』という話だ。
『偶然』だろうか?

「………………そうなんだ」

「もし………………」

「『持ち主』が現れなかったら………………」

「………………どうしよう?」

後で回収してもいいが、そこを人に見られると不味い。
御影憂は『学生』と『亡霊』と『懐刀』を兼ねた、
『三重生活』を送っている。
『秘密』が明るみに出る可能性は、
常に考えておかなければならなかった。

(………………『夜中』に取りに来ようかな)

しかし、『お気に入りのサンダル』だっただけに、
『勿体ない気持ち』も残っていたのだ。

192飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/26(月) 21:28:07
>>191

『音楽室』…。
そういえば…『お化け』が出たって噂の場所って…あそこだったよね…。
私は見上げた先を見て、思い出したことを頭に浮かべる。そろそろ顔が真っ白になってそうだ。

「も、ももも…もち、持ち主が現れなかったら…」

それは、持ち主になにか不幸があったという可能性があるということで…。

「お、『お経』を上げます…!」

私は明らかに突飛なことを口走ってしまっていた。
慌てて憂さんに説明するように早口で話し始める。

「靴、かたっぽだけほったらかしにしちゃうって普通のことじゃないですし、
 あそこの『音楽室』、『お化け』が出たらしいんです…。
 もしかして、『自殺』した『お化け』の持ち物とかかも…」

そう言い切ってからまた上を見る。もしかしたらちょっと私、震えているかも。

193御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/07/26(月) 21:47:42
>>192

『片方だけのサンダル』と『幽霊の噂』。
その二つには『音楽室』という共通点がある。
『何らかの関係』があったとしても、おかしくはないだろう。

「『お経』………………」

「………………ぷっ」

あまりにも唐突な発言に、思わず吹き出してしまう。

「『お経』………………『お経』………………!」

「ふふっ………………ふっ………………!」

小さく肩を震わせながら、
込み上げてくる笑いを必死に堪える。
どうやら『ツボ』に入ってしまったようだ。
しばらくして、ようやく笑いが収まった。

「『音楽室のお化け』………………」

「『その話』………………聞いた事ある」

「もしかして………………」

       ボソッ

「持ってたら『呪われる』かも………………」

咲良とサンダルを交互に見て、縁起でもない事を呟いた。

194飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/26(月) 21:53:55
>>193

憂さんが笑ってるのを見て、私はきょとんと止まってしまった。
こ、こんなに笑ってる憂さん、初めてかも!?

「そ、そんなに笑いますー!?」

でも、憂さんの笑い声で、すこし怖いの吹っ飛んだかも。
そう思ったのは憂さんの次の言葉を聞くまでの時間だけだった。

>「持ってたら『呪われる』かも………………」
        「ぴゃあぁああああああー!?」

私は思わず、持っていたサンダルを放り出した。
『呪いのサンダル』かもしれないそれを一秒たりとも持ってたくなかった…。

195御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/07/26(月) 22:11:27
>>194

「だって………………『お経』だし………………」

「『お経』………………ふふふっ………………!」

その言葉が頭をよぎる度に、つい口元が緩んでしまう。
『一人の人間』である以上、御影憂も『笑う事』はある。
だが、その姿を人前で見せる事は滅多にない。

        ――――パシッ

まだ半分笑ったままの表情で、
放られた『サンダル』をキャッチする。

「これ………………私が『預かってあげる』………………」

         ボソッ

「もし『呪われてた』としても………………
 サクラは『大丈夫』………………」

咲良は『ホラーが苦手』だ。
前に、一緒に『映画』を見た事があるから知っている。
だから、このリアクションは想定内。
これで、疑われる事なく、
『サンダル』を回収する事が出来たという訳だ。
拾っていたのが咲良でなければ、
こう上手くはいかなかっただろう。

196飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/26(月) 22:25:42
>>195

「もうっ…!」

私は笑われて、すこしばかり拗ねたようにそう言った。
……中学生にもなって、ちょっと子供っぽすぎだかもしれない…。
すこしだけしょんぼりしてから、『呪いのサンダル』をキャッチした憂さんを見る。

「わ、私は『大丈夫』って…だめです…。
 憂さんが呪われたら…私……泣きます!」

なんてったって『呪い』なのだ。
きっとビデオから人が出てきたり、『お化け』に付け回されたり、お風呂に髪の毛が浮いたりしちゃうはずだ。

197御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/07/26(月) 23:02:43
>>196

『呪い』という言葉が付き纏うアイテムは、世の中に数多い。
このサンダルが本当に『曰くつきの品』なら、
『心霊現象』が起きても不思議はないだろう。
それを持っている『本人』の方が、
よっぽど『お化け』みたいな風貌をしているが。

「大丈夫………………」

        パッ パッ

「………………ちゃんと『供養』してもらうから」

サンダルの埃を軽く払いながら、そう言葉を返す。
もちろん実際は、そんなものは必要ない。
『咲良なら信じてくれる』だろうという考えだ。

          ザッ

踵を返しかけた時、ふと振り返る。

「あ………………そういえば………………」

「『金と銀の目の女の子』には注意した方がいいかも………………」

「その子………………『スタンド使い』なんだけど………………」

「『人を襲ってた』みたいだから………………」

「………………『知り合い』が見たって言ってた」

あの少女は『危険』だ。
実際に『現場』に立ち会った時、直感で理解した。
彼女は『学校内』に現れている。
もしかすると、今後も出てくるかもしれない。
念のために、それとなく咲良にも『忠告』しておこう。

198飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/26(月) 23:12:25
>>197

「『供養』…してもらえるんですか…。
 それなら、それなら大丈夫ですね…!」

正直、本当に『供養』してくれるところがあるかなんてわからない。
でも、憂さんが言うのだからきっと大丈夫なんだろうと、私は信じることにした。

「『金と銀の目』…?ですか?
 オッドアイの猫みたいな色合いですね…?」
「人を襲ってた…って…怖いです…。
 その『知り合い』さんも危ないところだったんですね…」

憂さん、たくさん心配してくれて、本当にいい人で…。

「いつも、気にしてくれてありがとうございます…!」

本当に感謝しかない。

199御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/07/26(月) 23:37:10
>>198

「気を付けて………………」

「見かけたら………………『連絡』して欲しい………………」

    ボソッ

「………………『情報の共有』」

自分と同じ『身に纏うタイプ』のスタンド。
外見こそ酷似しているが、その『能力』は正反対。
『ナハトワハト』は『闇』を味方にするが、
『少女の能力』は『光』を武器にする。
スタンドは『精神の象徴』。
奇妙な暗示を感じた。

「じゃあ………………また………………」

              ザッ

「今度は………………
 『私の部屋』に遊びに来てもいい………………」

                         ザッ

「新しい『映画』………………用意しとくから………………」

『新たな恐怖』を匂わせつつ、その場から立ち去っていく。

200飯田 咲良『シスター・ゴールデンヘアー』【中二】:2021/07/26(月) 23:51:05
>>199

「はい、もし見かけたら連絡しますね!」

……そういえば、目の色と女の子だってこと以外は教えてもらってないけど…。
それだけ目立つ色なら、たぶん大丈夫だよね。

「わー!またヘビさんと会えるの楽しみです!」

1000個のパイナップルのヘビさん…そう、『サウザンパインスネーク』だ。
白くて可愛いあの子にまた会えるのが楽しみでわくわくしている私を憂さんの次の言葉が揺さぶる。

「……その、お手柔らかに…お願いします…」

前回はすごく怖くて憂さんにすがりついちゃったから…。

いなくなる憂さんの背中をしばらく眺めたあと、借り物の『ホラー小説』をベンチから拾い上げて、私も寮に帰ることにした。

201赤月『サクソン』【中2】:2021/08/02(月) 20:28:38

夜の学校・・・・懐中電灯を片手に校内を歩く者の姿があった
中等部の制服を着た少女だ
忘れ物を取りに来た生徒だろうか、時折手に持った光を遠くに向けながら教室を目指す

「最中派は私達が授業中にスタンド会話をしていた事を知っていた・・・
 教室の中に部外者はいなかった事を考えると、
 クラスメイトの中に・・・あるいは先生が『アリーナ』と繋がっているという事だ」

ぶつぶつと呟きながら、机の中を調べている
前から順番に一つ一つ・・・・明らかに他人の机を漁っている

「流石にこんな場所に証拠を残しているわけはないと思うけど、
 やるべき事はやっておこう」

202???『???』:2021/08/02(月) 20:59:31
>>201

     ゴソ…………

机の中を探ると、一枚の『紙』が入っていた。
『コピー用紙』らしい。
それ自体は何の変哲もなく、別にどうという事もない代物だ。
見る限り、こちらの面には何も書かれていない。
『内容』を確かめるためには、引っくり返す必要があるだろう。

203赤月『サクソン』【中2】:2021/08/02(月) 21:04:33
>>202

「・・・・・? 忘れ物かな・・・?」

プリントが机の中に残っている事は珍しくもなく、既に何枚かそんな紙を見ていた
懐中電灯でプリントを照らしながら紙をひっくり返す

204???『???』:2021/08/02(月) 21:25:12
>>203

『用紙』を裏返す。
懐中電灯の光の中に、数行の『文字列』が浮かび上がった。
無機質なゴシック体で以下のように印刷されている。

          ○月×日△時頃
       学校近辺で傷害未遂発生
  金の左目と銀の右目を持つ少女に警戒を
     ゴシックロリータ風の服装を着用
         年齢は12〜13歳前後

他の机を確かめると、
これと『同じもの』が入っている事が分かるだろう。

205赤月『サクソン』【中2】:2021/08/02(月) 21:40:22
>>204

(なんだこのプリント・・・? 学校側から生徒への注意喚起・・・・いや!)

一見したところ、学校側が配る『プリント』のように見えるが、
赤月はこれと同じ書体の『文書』を以前見た事がある
あれは学生寮で一抹が配っていた『文書』だ・・・・歓楽街の夜に起きたあの事件の・・・

     ・・・
あの時の『監視者』でなければわからない情報が書かれた『文書』・・・・

(まさか・・・・あの夜の『監視者』がこれを・・・・?)

    ズギャンッ!

『サクソン』の『トレンチコート』を発現
手に持ったペンを『仕込み刀』へと『暗器化』し、右手に持つ

(まさか・・・・ まさか・・・・)

     プツ・・・・

ペンサイズの『仕込み刀』を震える右手で持ちながら、
左手の甲に刃先を押し当てる・・・・すぐに珠の様な血が指先から流れ始める
もしも・・・・この場にあの時の『監視者』がいれば、血は止まる事無く流れ続ける・・・

206御影憂『ナハトワハト』:2021/08/02(月) 21:56:03
>>205

(………………『危なかった』)

『闇』の中に一つの『影』が潜んでいた。
『闇の衣』――『ナハトワハト』を身に纏う御影憂だ。
時間は少し前に遡る――――――。

―――――――――――――――――――――――――

(さてと………………)

再び『深夜の学校』にやって来た。
『リーダー』が用意した『ビラ』を仕込んでおくためだった。
街中と違って、校内は情報を拡散しやすい。
当然といえば当然だが、
生徒同士が交流を持っている場合が多いからだ。
その分だけ伝達もスムーズに進むだろう。

(でも………………これ全部やるの大変………………)

何といっても規模の大きな学校なのだ。
さすがに全ての教室の全ての机に入れる訳ではないが、
それでも一人では骨が折れる。
愚痴りたい気持ちを抑えて、
黙々と『仕事』をこなしていたが…………。

        ピクッ

(………………『誰か』来る)

遠くから足音が聞こえ、『闇』の中に身を隠す。
結果的に、その判断は正解だったようだ。
まもなく教室に入ってきたのは、
『サクソン』の本体である赤月ナカレだった。

(『こんな時間』に………………)

(………………『こんな場所』で)

(『忘れ物』取りに来た訳でもなさそうだけど………………)

流れる血は止まらない。
それによって『誰かがいる』事が分かるだろう。
しかし、『あの時』と同じく、見える範囲に人影はない。

207赤月『サクソン』【中2】:2021/08/02(月) 22:19:26
>>206

「はあ・・・ はあ・・・ はあ・・・」

・・・ぽたっ

     ・・・ぽたっ

             ・・・ぽたっ

指先の出血が止まらず、痛みは切った瞬間のまま持続する
『サクソン』の持つ『回復阻害能力』が明らかに効果を発揮している
この能力が起動しているという事は・・・・この場を『誰かが見ている』という事だ

「はあ・・・! はあ・・・! はあ・・・!」

目に見えない『監視者』の存在に呼吸が荒くなり、額に汗が滲む
対策を見つけた事であの時の恐怖はいくらか薄まったものの、
存在すら認識できない『監視者』への恐れはいまだに残っていた

(わ、わからない・・・・全然気づかなかった!
 確実にこの場所に『監視者』がいるはずなのに・・・・!
 いっその事、この場から離れて逃げてしまうか・・・)

(いいや、違う!
 ここで逃げてしまっては以前と『同じ』だ!
 私は今・・・・ここで『恐怖』を克服しなければならない!)

指先の痛みに精神を集中させ、心を鎮める
そして、懐中電灯で照らしだしながら、急に振り返り、教室内を素早く確認していく

208御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/08/02(月) 22:43:37
>>207

  (『やっぱり』………………)

             スゥッ

          (………………『気付かれてる』)

『闇』の中から赤月を眺め、両の目を細める。
しかし、最初ほどの驚きは感じなかった。
『サクソン』については一部しか知らないが、
同じ場に『第三者』が存在する事で、
何らかの能力が発動するらしい事は分かっている。
大方、それを利用して『探知』しているんだろう。
しかし、この状況においては問題はない。
まだ『そこにいる』事が知られただけだ。
こちらから手出ししない限り、
『正確な位置』は掴みようがない。

       ババッ

                バッ

それでも『懐中電灯』が『脅威』である事に変わりはない。
姿勢を低くし、机を遮蔽物として使いながら『光』を避け、
速やかに教室の外に移動する。
『闇』と同化した『ナハトワハト』は高速の移動が可能であり、
常人以上の精密さも備えている。
さらに、こちらは赤月の動きが見えているが、
赤月には『こちらの動き』を把握できない。
『逃げ切る』事は困難ではないはずだ。

     ――――ドシュッ

廊下に出たら、一旦そこで全身を『実体化』。
ポケットからボールペンを取り出し、
『ビラの裏側』に何かを書き付ける。
その間も教室内には注意を払い、
『非実体化』する心構えを怠らない。

209赤月『サクソン』【中2】:2021/08/02(月) 22:58:20
>>208

(駄目だ・・・・わからない!
『監視者』がどうやって身を隠しているのか・・・・全然・・・・あ)

廊下に出て全身を実体化させたという事は、赤月から視線を外したという事
その瞬間に『回復阻害』は解除されて、指先に感じる痛みの鋭さは失われる

(私から視線を外した・・・・? 教室の外に出たのか!?
 わからない・・・・でも、私が持つ『手段』を全て試してみないと!)

黒板に置かれていたチョークを数本掴み、『トレンチコート』のポケットに放り込む
そして、『回復阻害』が解除された次の瞬間には廊下に飛び出し、周囲を光で照らしながら見回す

(どこだ・・・! どこだ・・・! どこだ・・・・!?)

210御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/08/02(月) 23:30:15
>>209

(………………!!)

『何か』を掴んだような音と一直線に進む足音で、
こちらにやって来る気配を察した。
だが、妙に『対応』が早い。
いや――明らかに『早すぎる』。

(やけに『カン』が鋭い………………)

(いや………………『違う』………………!)

自分がやった事といえば、『教室の外に出た』事だけ。
能力の射程が『教室の範囲内』だったのか?
だけど『この前』は、もっと広い場所だったはず…………。

    (チッ………………!!)

           フ ッ

                ――――ドシュゥッ!

内心で舌打ちしながら、すぐさま全身を『非実体化』。
超人的なスピードと精度を駆使して『射線』を回避しつつ、
自ら赤月に『突っ込む』。
『非実体化』中の御影は、壁や床以外の全てを透過する。
赤月の体を『すり抜けて』、そのまま教室内に舞い戻る。
さっきは、すぐに廊下に出てきた。
また同じ事になる可能性は十分にある。
赤月から視線を外さず、その動向に注意を払う。

       ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

     懐中電灯で照らした先の廊下には、
               『ビラ』が一枚残されていた。

211赤月『サクソン』【中2】:2021/08/02(月) 23:39:21
>>210

「いない・・・・いや!
『監視者』は確かに廊下に出ていた・・・・」

廊下に残された『ビラ』を見る
不自然な『ビラ』だ、罠かもしれない
しかし、何かの手掛かりが掴めるかもしれない

(もう一度、『視線』を確認するか)

ポケットから取り出した『チョーク』を再び『仕込み刀』に変化
再び左手を切ると、鋭い痛みが残存する・・・・やはり、『監視者』はまだこの場にいるようだ

「はあ・・・ はあ・・・・」

床に落ちている『ビラ』を拾い、何が書いてあるか確かめる

212御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/08/02(月) 23:54:38
>>211

その『ビラ』は、ここを通った時には見当たらなかった。
誰かが『そこにいた』証拠だ。
表側に書かれているのは、先程と同じ内容だった。
しかし、裏側には『別の文面』が綴られている。
印刷ではなく、ボールペンで書かれた文字だ。

           私の名は『夜警』。
          私は君の敵ではない。
  力のない者が力を持つ者に虐げられる事を阻止する。
           それが私の目的だ。
     君が力のない者に危害を加えない限り、
        私が君の敵に回る事はない。
    今日ここで出会ったのは不幸な偶然だった。
     申し訳ないが、これで立ち去らせてもらう。
         この一枚は君に差し上げよう。
            君も気を付けたまえ。

                (――――――………………)

          ソッ

赤月が『ビラ』を拾い上げるのを見計らい、
片手のみを『実体化』して『窓』を開ける。

213赤月『サクソン』【中2】:2021/08/03(火) 00:33:02
>>212

「――――『夜警』」

赤月が『ビラ』を拾った瞬間に、教室の『窓』が開けられる
だが、赤月は『ビラ』の文面を読むのに注意を引かれ、その動作に気が付かなかった

(『夜警』・・・・力を持たない者の守護者というわけか
 そう考えれば、これまでの奴の行動も筋が通る・・・・)

(どうする・・・? 『夜警』の言う通りにこの場は引くべきか?
 それとも、このまま無理をしてでも『追い打ち』をかけて、
『夜警』の正体を暴きだすべきか・・・・?)

(駄目だ・・・・『夜警』を燻し出す手段は・・・・ない)

今、この瞬間にも『夜警』は自身の首を掻っ切るかもしれない
『サクソン』の能力で視線を察知できるとはいえ、逆に言えば『それ』しか出来ないのだ
『夜警』の持つ能力は未知であり・・・・その選択はあまりにも無謀に思えた

「くっ・・・・・・『夜警』よ! 聞いているんだろう!」

何も見えない暗闇に向かって呼びかける

「わかった・・・・君の意志は承知した
 私は力を持たない人間に対して、みだりに力を使う事はしないと約束しよう
 君に対して、今日の所はこれ以上の詮索も行わない」

「だが! だからといって君の事を完全に信用したわけではない!
 私が約束を守ったからと言って、君の方が心変わりをしないとも限らない
 君が『夜警』として振舞う事をやめるかもしれない・・・・!」

「だから、私は今後も君への警戒を解かないし、正体を探り続ける!
 それを恐れるならば・・・・今後は私の傍でうろうろしないように注意する事だな!」

『夜警』に対する挑発とも言える一言
その言葉を言った瞬間に、鼓動が早鐘の様にがんがんと頭を打ちつける
今、この瞬間にこの首が掻っ切られるかもしれない状況で、絶対的に優位な者への宣戦布告だ
恐怖しないわけがない

それでも・・・・負けを認めてこの場をなあなあで済ませる事は
赤月の自尊心が許さなかった

まだ命が繋がっているのか確かめる様に、震える手でしきりに首や胸に手を当てる
かつてのあの夜の様に・・・・突然心臓をナイフで貫かれるかもしれないからだ

214御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2021/08/03(火) 01:06:11
>>213

(………………)

『退路』は出来た。
赤月の言葉に耳を傾けながら、窓から『飛び降りる』。
だが、その体が落下する事はない。

       フワァッ

              スィィィィィ――――…………

『浮遊』によって校舎の外に脱出し、
そのまま学校から離れていく。

(………………『そう言う』だろうと思ってた)

こちらとしても、それは同じだった。
『力を持つ者』――『スタンド使い』である以上、
『監視』の対象である事は変わらない。
ただ、赤月は『優先順位が低い』というだけだ。
もし今後『優先度』が上がれば、
『フラジール』や『あの少女』のように、
『情報拡散』の対象にならないとも限らない。
それを決めるのは自分ではないが、
そうならない事を願っている。

  (『さよなら』………………)

寮で話をした印象では、赤月は決して悪い人間ではない。
苦しむ彼女の姿に、『幼い頃の自分』を重ねた記憶がある。
『アリーナ』と『エクリプス』という、
『力ある者達』の抗争に巻き込まれ、
絶対的な『恐怖』に曝されて『心の傷』を負った日の事を。
だから、赤月が『敵』になる事は望まない。
そう感じたのだ。

         (『いや』………………)

そこまで考えて、無意識に首を振った。
『甘さ』が過ぎると『過ち』に繋がる。
深夜の音楽室にいた『例の少女』。
彼女に襲われていた生徒を助けた時も、同じ事を思った。
――――『優しくなんてならない』。

              (………………『いい夜を』)

流れていた血が止まり、痛みが消えた。
『この場にいた者』が立ち去ったのだ。
振り返ると、『教室の窓』が一つ開いているのが見えた。

215赤月『サクソン』【中2】:2021/08/03(火) 01:24:09
>>214

「痛みが引いていく・・・・『夜警』は立ち去ったか」

左手に走る痛みから鋭さが失せ、出血が次第に収まっていく
『回復阻害』が発動していた時間を考えると、
先程の宣戦布告は『夜警』の耳に届いたはずだ

「はあ・・・・ どうにか、殺されずに済んだみたいだ」

『夜警』にとって、先程の宣言は鎌を振り上げるカマキリのように滑稽に映ったかもしれない
ちっぽけな子供が反抗期を迎えて、イキっているようにも見えたかもしれない
だが、赤月にとってここで『負け』を認める事は死よりも恐ろしい・・・・

「『夜警』の目的が力のないものの守護であるなら、
 私はともかく、私の周りが襲われる事はないな・・・・安心した」

冷や汗でびっしょりになった体を夜風で冷ましながら、
学生寮へと帰って行った

216氷山『エド・サンズ』【高一】:2021/08/12(木) 21:31:55

   パラ・・・・

         パチパチパチ・・・・

―――夜の城址公園
夏休みを迎えて、学生たちが大はしゃぎする季節ではあるが
この時間帯は比較的人も少なく、遠くの喧騒が静かに聞こえてくるだけであった

その場所に、浴衣姿で線香花火をしている少女が一人いた
何故この場所で花火をしているのか、同行者は誰かいるのか?
その辺の事情は>>217が知っているんじゃあないかなぁ?

217氷山『エド・サンズ』【高一】:2021/08/15(日) 00:29:34
>>216

そう!ここで花火をしている理由は今が夏休みだからだ!
線香花火もほとんど燃え尽きたため帰って行った

218『エド・サンズ』:2021/09/07(火) 20:24:05

『ソレニシテモヨォォォ〜〜〜〜、「さんたさん」ッテノハ一体ドンナご老公ナンダ?
 あきはノヤツナラ知ッテルンダロウケドヨォ・・・・今ハ「かき氷」ニナッテヤガルカラナァ〜〜』

2学期も始まり、生徒たちが戻ってきた清月学園
その一角に存在する『図書室』の中でごそごそと音が聞こえる

『結局ハ頑張ッテ調ベルシカネェカァ〜〜〜
「さんたさん」ニ「クリスマス」ッテ奴ヲヨォォォ〜〜〜』

ここは図書室の片隅、『児童書』のコーナーだ
そこに和風の意匠を持つ人型スタンド『エド・サンズ』が立っていた
周囲には人気はなく、その存在に気付いた人間はまだいない

彼が手に持って読んでいるのは・・・・『クリスマス』に関する絵本だ

219村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/07(火) 23:09:26
>>218
ガ ララ

 「・・・早く来過ぎたか。ちいとばかし気が逸ったかな。」

そういえばどこに集まっているのかも聴いていない。
とはいえ学内にいるのは間違いないのだ。そのうち追加で連絡があるだろう。
しばらくはエアコンの効いた図書室でゆっくりさせてもらおう。
その辺の椅子に腰掛ける。

 「しかし、『夏の魔物』と来たか。『甲子園の魔物』なら聴いたことあるがね・・・」

要領を得ないが、小林がフカシをこくとも思えない。
わざわざおれに、文面から言っておれ以外にも声をかけているところを見るに、『緊急事態』なのは間違いない。

220『エド・サンズ』:2021/09/07(火) 23:20:38
>>219

『アァン?』

(アイツハ・・・・確かこの町ノデッカイやぐら(スカイモール)デ会ったヤツジャネーカ
 『夏の魔物』・・・・トカ言ってヤガラナカッタカァ〜〜?)

『クリスマス』の絵本を読んでいたが、赤い服の老爺がシカに乗っている事はわかった
だがそれ以上の事はあまりよくわからず、その辺を適当に眺めていたところだ
そこに村田が現れて、『夏の魔物』という耳に覚えのある言葉を口にした

『「夏の魔物」ニツイテ知ってるヤツカァァ〜〜〜?』

絵本を本棚に置いて、村田に近づいていく
村田がスタンド使いだとは知らないため、不用心な歩みだ

221村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/07(火) 23:33:27
>>220

 「・・・くぁ・・・。」

欠伸を一つ。顔を撫でて眠気を拭いとりながら涼をとっていると・・・

>『「夏の魔物」ニツイテ知ってるヤツカァァ〜〜〜?』

『声』が聞こえた。人の言葉にしては異質な、感覚に直接訴えかける『声』。

 「!!」

椅子を蹴り上げて『棒化』し、声のした方に構える。

 「誰だか知らねえが・・・『喋る気』があるなら姿を見せて、それ以上近づくな。」

 「さもなきゃ、ブン殴らねぇ保証はねぇ。」

瞬間的にスイッチを切り替え『戦闘態勢』。

222『エド・サンズ』:2021/09/07(火) 23:41:54
>>221

『オット、スマネェ・・・・脅カスツモリジャアナカッタンダ
 お前さんガ「見えるヤツ」ダトハ思ワナカッタカラヨォォ』

本棚の間をかき分ける様に現れたのは『人型のスタンド』だ
戦闘態勢に入った村田を見て、やれやれという感じに両手を振る

『ソノ「棒」ガお前さんノ武器カ?
 コッチハ「戦る気」ジャアネエンダカラ勘弁シテ欲シイゼェ・・・
 ・・・・コッチハ本体ガイナクナッテ、やる気ガネエンダカラヨォ』

『お前さん・・・・今、「夏の魔物」トカ言ッテタヨナァ?
 マサカ、鉄トカ七篠トカノ仲間カ何かカァ?』

223村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/07(火) 23:55:21
>>222

 「・・・『本体がいなくなった』ぁ?」

妙に人間じみた喋りをする『スタンド』を見て、『棒』の切っ先を下げる。
『喋るスタンド』は『視た』ことがある。その限りでは本体とのつながりが希薄だったり
あるいは『ゲンマ』のように振り回されているかのどちらかだったが・・・

 「『鉄』。その名前にゃ聞き覚えがある。知らない仲じゃあないな。
 そいつが『スタンド使い』だってとこまで含めてな。」

名前の挙がった男の顔を想起する。
そういえば、面倒ごとに自分から首をつっこみそうな顔をしていた。

 「だが別に、そいつから話をきいたわけじゃあない。
 おれが聞いたのは、『夏の魔物』をなんとかしねえと犠牲者が今後も増えるってことと・・・
 なんとかするためには『冬の風物詩』を催す必要があるってことだけだ。」

 「詳しい話はおれもこれから聞くところだ。
 お前、何か知ってるのか?」

224『エド・サンズ』:2021/09/08(水) 00:07:53
>>223

『ホウ・・・お前さんモナカナカノ事情通ジャアネエカ
 その通りダゼ・・・「夏の魔物」ヲ倒サネエト毎年1人カ2人ノ犠牲者ガ出続ケルッテノハ事実ダ』

『ナニセ俺ノ本体ハ「夏の魔物」ニヤラレテ「かき氷」ニサレタンダカラヨォ!』

人間の様に流暢な言葉でスタンドは語り掛ける
人間が『かき氷』になる・・・・冗談の様な事実だが、彼ははっきりとそう言い放った

『俺ノ名前ハ「エド・サンズ」、本体ノ名前ハ・・・・「氷山あきは」ッテェンダ』

そう言いながら椅子の一つを引き、その上に腰かけた
スタンドに重力は関係ないのだが、気分の問題だ

225村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/08(水) 00:22:02
>>224

 「か・・・『かき氷』ィ・・・?」

名前の挙がったそれを一気食いしたような顰め面を隠しもしない。
おおよそ理解の範疇を超えているし、切羽詰まった状況とは裏腹に、絵面がシュールすぎる。

 「ああ・・・とにかく、その『夏の魔物』の今年の被害者がお前の本体ってわけか。
 正直半信半疑だが、お前にしろ情報元にしろ、どちらも嘘をついているとは思えないし・・・
 まずは信じるほかねえな。さもなきゃ話が進まねえ。」

椅子に腰かけるスタンドを見て、ひとつ疑問が浮かぶ。
『どうしてこいつはここに居られるのか』だ。

 「本体が『かき氷』になってんのに、どうしてお前はそうしていられる?
 おれも自分を『棒』にできるが、そうなったら『スタンド』を出してはいられない。
 本体が最後の力を振り絞って・・・とかってワケか?」

226『エド・サンズ』:2021/09/08(水) 00:39:21
>>225

『最後ノ力・・・カモシレネエガ、一つダケ言エル事ガアル』

ギコギコと両手を頭の後ろに組んで椅子を揺らす

『あきはハマダ「生きている」・・・・俺ハ直感的ニそれガわかる
 ソレトマア、お前ヲココニ呼ンダ連中ニ聞イテミリャアワカル事ダケドヨォ
 ドウモ、「一抹」ッテ奴ガ身代わりニナッテ「夏の魔物」ノ洗脳ヲ受ケタモンダカラ、猶予ガ出テルラシイゼ』

『ソウダ・・・・「洗脳」ニツイテモ言ットカナキャアナラネェ
「夏の魔物」ハ気に入ったヤツヲ「洗脳」シテ「夏を楽しむ」ダケノあっぱらぱーニシチマウ
 俺モ「あきは」モソノ攻撃ヲ受ケチマッテ・・・・昔ノ仲間ニモ襲い掛カッタクライダ』

『多分、一抹ノヤツモ今ハソンナ状態ニナッテルダロウゼ・・・・
 アイツハ「戦いたがり」ダカラナァ・・・迂闊ニ近ヅクトマズイ事ニナル』

『ソンデヨォ・・・・ソノ「夏の魔物」ニ唯一対抗デキル手段が
「この町全体に冬の雰囲気をまき散らす事」ラシイゼ・・・・鉄達ハソレヲ目指シテイル』

227村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/08(水) 00:59:27
>>226

 「『洗脳』。『襲いかかる』か。随分とまぁ物騒な話になってきやがったな。
 その『一抹』ってやつが今『夏キチガイ』になって、あちこち徘徊してるってわけだ。
 殴って解決するなら話は早いが、どうもそうはいかねえようだし。」

冬の雰囲気をまき散らす。小林が『冬の風物詩』といったのはつまりそのためなのだろう。
夏の反対は冬。分かりやすい話だが、残暑厳しいこのごろに冬と言っても難しい。
天候を操作する真似などは当然不可能だ。

 「『冬の雰囲気』・・・『冬の風物詩』ねえ・・・」

冬の天候が再現できない以上、できることは限られてくる。
『冬の料理』、『冬の行事』、『冬の匂い』、『冬の音』、『冬の景色』・・・

 「・・・考えがないわけじゃないが、おれだけじゃ到底無理だな。
 当然、鉄やらお前やらが加わった程度でもまだ足りない。」

         ムーブメント
 「もっと大きな『流れ』を作らなきゃならねぇ。街そのものを動かすくらいのな。」

228『エド・サンズ』:2021/09/08(水) 15:39:56
>>227

『「流れ」、ネェ・・・・
 ソノ辺ノ大キナ流レハ「スタンド」デアル俺ニハチィット難シソウダゼ
 普通ノ人間ニ俺ノ姿ハ見エネェカラナァ・・・』

『ケドヨォ・・・』

手元にあった本を村田に見せる
『クリスマス』の童話集だ

『「クリスマス」ッテェヤツニ出テクル「サンタクロース」ナラ俺ニモ出来ソウダゼ
 「サンタクロース」ッテノハ、夜な夜な子供ニ「贈り物」ヲ配ル赤いご老公ナンダロ?』

『ソレデイテ、実際ニ物ヲ置ク姿ハ見セネェラシイナ・・・
 この町ノガキドモに「クリスマス」ノ訪レヲ知ラセルタメニ
 俺ガ「サンタクロース」ニナルッテノハドウダ?
 この町ノ家々ニ忍ビコンデ、文ヲばら撒いてヨォ』

ガタリと椅子から立ち上がり、図書室の受付から筆ペンと紙を取ってくる
そのまま、さらさらと紙に何かを書き付けていく

『コンナ風ニヨォ』

【めりぃ くりすます
 近く 本物の『さんたくろおす』が お前のもとに来る
 しばらく 待て】

229村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/08(水) 21:09:05
>>228
 「『サンタ』…なるほど『クリスマス』か。
 上手く考えたもんだ。」

『エド・サンズ』が手にする童話集に目をやりながら納得する。
それならきっと『流れ』も作りやすいだろう。
時期は少々外れているが、クリスマスが2度来て困る奴もそうはいないはずだ。
サンタ役をやるだろう世の中の父親には悪いが、今年のサンタは2度刺す、ということにしてもらおう。

 「…解釈はその通りだが…この『文面』じゃなあ。
 これについてはその道のプロに任せた方がいいだろ。
 …ちょっと『怖え』。」

半ば『脅迫状』か『犯行声明』じみた文面に眉を顰める。
こういった文章を考えるのは小林か、あるいはブンヤの黒羽あたりが得意とする所だろう。
そうでもなければ、もう少し『遊び心』のある者が担当すべき事柄だ。

 「そういえば、鉄やら他の連中はお前が『そうなってる』ことを知ってんのか?
 ここに居りゃそのうち会うことになるだろうが、話はつけとかねえと。」

230『エド・サンズ』:2021/09/08(水) 21:37:02
>>229

『イイヤ、多分アノ連中ハ俺が「コウ」ナッテル事ハ知ラネェハズダゼ?
 あきはガ「かき氷」ニナッタ後、俺が自由ニナルマデシバラクカカッタカラナァ
「独立」ニ手間取ってるウチニドッカニ行ッチマッタ』

この文面は村田には少し不評であった
首を傾げながらもう一度文面を眺めるが、どこが悪いのか見当もつかない様子だ

『マッ、アノ連中ガあきはノタメニ動イテクレテルッテノハ嬉シイ話ダゼ
 最悪ノ場合、俺ガ一人デヤロウカト思ッテタトコダカラナァ
 ダカラ、正当ナ・・・・正シイ「お祭り」ノ方ハお前さん達ニ任セルゼ』

『俺ハ横道カラ「クリスマス」ヲ広メル事ニスルカラヨォ』

『トコロデ、他ニハドンナ連中ガ来る事ニナッテンダ?』

231村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/08(水) 22:17:31
>>230

 「送られてきたメールを見るに、まずその『夏の魔物』の調査に関わった連中と・・・
 『小林』が声をかけたらしいスタンド使いが何人集まるか・・・」

 「おれも呼ばれた側だから詳しいことは分からねえが、10人にはならねえくらいじゃねえかな。
 正確に誰が来る、とまでは知らん。思いのほかハナシは大きくなってるようだからな。」

顎をさすりながら答える。

                                  ロール
 「そうだな。スタンドのお前には、お前にしかできない『役割』があるだろう。
 ・・・とはいえ、連絡が全く取れないのも面倒な話だ。」

 「『駅前』に『掲示板』があるのは知ってるか?
 もしお互いに何かあったら、そこへ一筆書くことにしよう。
 夜か早朝のうちなら人目にもつかないはずだ。
 『鉄』たちに会ったら、同じように伝えておく。」

232『エド・サンズ』:2021/09/08(水) 22:26:17
>>231

『ナルホド、確カニ情報ヲ共有スルッテ点デハ使い易いゼ(携帯持ッテネェシ)
 コノ町ノスタンド使いノ中ニハ携帯ヲ持ってナイ奴モ多イシヨォ・・・
 鉄トカ七篠トカニ会ッタラ、ソノ辺ノ事情モ伝エテクレ』

そう言うと図書室の受付から、文房具や紙をガサッと拝借する

『俺ハソロソロ行くカラヨォ
 何かアッタラ、駅前の掲示板ニ書キコンデオイテクレヨ』

そのまますたすたと図書室を出ようとする

233村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/08(水) 22:37:48
>>232

 「もちろんそうするつもりだ。
 ・・・いや、ここしばらくの間でずいぶんと『非日常』に慣れちまったもんだな。」

頭をかいてぼやく。
『幻視』のせいもあるが、『非日常』への耐性がずいぶんとついてしまった。
ほんの数か月前にはこんなことがあるということも信じすらしていなかったのにだ。

 「お前の本体のことはさっぱり知らないが、『夏の魔物』ってのが相当に危険だってのは分かった。
 そうなりゃ、おれも黙ってるわけにはいかねえ。『おれの世界』の危機だからな。」

 「それじゃあ、また会おう『エド・サンズ』。」

234『エド・サンズ』:2021/09/08(水) 22:44:58
>>233

『ジャアナ・・・・オ互イノ検討ヲ祈るゼ・・・』

そういうと『エド・サンズ』は村田と別れて足早にこの場を立ち去った
彼には・・・・この後『やるべき仕事』がいくつもあるからだ



【その夜】
特別な才能のない人間には決して見えないその身を利用して、
夜の住宅街を駆けまわる影があった
彼は時に『四方梯子』を、時に『鉤縄』を駆使して民家に侵入し
寝ている子供たちの枕元に『手紙』を置いて立ち去っていく・・・・
それを幾度も幾度も繰り返す・・・・季節外れの『クリスマス』を広める為に

【めりぃ くりすます
 近く 本物の『さんたくろおす』が お前のもとに来る
 12月を待つ必要はねぇ 残暑の『くりすます』も悪くはないだろう】

こうして、怪談めいた『怪文書』が子供たちの間に流布する事となった・・・

235七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/08(水) 22:58:23
 『寮』から『学園の校門』に向かって歩いてくる人影がある。
 焦げ茶の髪を背に流した少女――七篠だ。

――……私の部屋、血まみれだったな…。
――これまでのこと話したら一回掃除しに戻りたい…。

 七篠はすこし暗い顔で周囲をきょろきょろと誰かいないか見回している。

236小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/08(水) 23:11:01
>>235

             ――コッ コッ コッ……

『靴音』が聞こえる。

         コッ コッ コッ……

遠くの方から『黒い女』が歩いてくる。

         コッ コッ コッ……

その体を包むのは、死者を悼む『喪服』。

         コッ コッ コッ……

黒いキャペリンハットの下に見えるのは、たおやかな細面。

         コッ コッ コッ……

口元に浮かぶのは、寂しげな微笑。

    コッ……

  「――こんにちは……」

校門の前で立ち止まり、丁寧に頭を下げる。

237七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/08(水) 23:33:54
>>236

 七篠は足音に気がついたようにそちらへ向くとやってきた『喪服の女性』、小石川に頭を下げた。

「小石川さん、来てくださってありがとうございます。
 すみません、急にあんな相談をしたのに信じてくださって…。
 お手伝いいただけるなら、本当に助かります…」

 頭を上げ、そして焦ったように本題を口にする。

「小石川さんが考えてくれた『アロマディフューザー』なんですが、
 ここに来るまでにレンタルについてスマホで調べてみたんです。
 仮に一ヶ月借りても一台一万円くらいみたいで、街中でも短期間なら意外と安くなんとかなるかもしれません」
「……ここに、15万円あります。
 借りるのを手伝ってもらってもいいでしょうか…?」

 七篠は『へそくり袋』と書かれた封筒を小石川に差し出した。
 残り1.5万円のスタンド関係で入手したお金はもしもの時のために七篠自身で持っているつもりらしい。

238小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/09(木) 03:51:16
>>237

見返す表情に焦りはない。
急がなければいけない事は分かっている。
それを表に出さないのは、少女を落ち着かせるためだった。

  「……お預かりします」

        ソッ……

両手で封筒を受け取って、一旦バッグに収める。
それから、少女の瞳を見つめた。
真剣な眼差しだった。

  「七篠さん……」

    スラァァァァァ――――――z______

言葉と共に、『左手』に一振りの『ナイフ』が発現する。
『力』を持たない者には認識する事の叶わない『ヴィジョン』。
鋭利な『刃』が艶のある光沢を放っている。

  「――……お分かりになりますか?」

『スーサイド・ライフ』を見せ、少女に尋ねる。

239七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/09(木) 07:21:27
>>238

 七篠は落ち着いた様子の小石川を見て、焦りすぎていた自分に気付いたように息を吐いた。

「すみません、お願いします」
「……はい? …あっ…」

 七篠は小石川の手に現れた『ナイフのヴィジョン』に慌てたように数歩後ろに下がった。
 しかし、申し訳なさそうにすぐまた元の位置に戻ると口を開いた。

「……『心当たり』ってこのことだったんですね。
 はい、わかります」

 七篠は電話をしていたときのことを思い出した。
 小石川が『オカルティック』なことを言う自分を信じてくれたのに得心がいったようで頷きながら自身もスタンドを出した。
 『樹木の精』のような『人型のヴィジョン』が七篠の隣に寄り添う。

「私も、同じです。
 ……たまたま会って、頼った相手が同じ『スタンド使い』だなんて、
 本当に不思議な感じがします」

「……『スタンド使い』なら今回のことの詳細を話しても大丈夫、かな。
 ちょっと長くなりそうなのと、『見えない人』に聞かれるのもよくないので…」

 七篠はそう言うと周囲を見回し、腰を落ち着ける場所を探し始めた。

240小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/09(木) 12:29:33
>>239

現れた『樹木の精』を目線で追う。
本体の少女――『七篠譲葉』と出会った場所は、
この街の『植物園』だった。
これも何かの『縁』だろうか。

        クルンッ

『スーサイド・ライフ』を手の中で回す。
単純だが無駄のない所作だった。
その動作と同時に『ヴィジョン』が幻影のように霧散する。

  「ありがとうございます……」

少女の言葉に頷いて、『城址公園』に足を進める。
今は人の気配もない。
そこで話していても聞かれる心配はないだろう。

         スッ

  「……教えていただけますか?」

木陰のベンチに腰を下ろし、改めて少女に問い掛けた。

241七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/09(木) 15:01:21
>>240

 七篠も同じくベンチに腰を下ろしてから口を開いた。

「現状から説明します。
 私の友人の一抹くんと氷山さんがスタンド攻撃にあっています。
 このスタンド攻撃は被害者を『夏の風物詩』へと徐々に変化させるもので、
 氷山さんは既に『かき氷』に変化してしまっています」
「このスタンド攻撃は夏になる度に繰り返されていて、
 今までに多くの人間が『夏の風物詩』へ変えられているようです」

 七篠はそこまで話すとスマートフォンで『絵日記』の写真を小石川へと送信した。

「今送ったのが、以前の被害者の兄が書き記した情報です。
 これによるとそのスタンドは『冬』を象徴するものに弱いようで、
 小規模な『冬』をぶつけると転移をするように逃げ出すみたいです」

「今回の作戦――というには行き当たりばったりなんですが、それも『冬』を利用します。
 このスタンドが『星見町』から出られないことを利用して、
 街中を『冬』に変化させることで逃げられない状態で弱らせる予定です」
「弱ってから先は……正直どうなるかわかりません。
 複数人でスタンドを攻撃するのか、それともそのまま『冬』に負けてスタンドが退治できるのか…」

 七篠はそこまで話すと小石川の様子を窺うように言葉を止めた。

 人が『かき氷』になるというまるで冗談のようなスタンド攻撃。
 これまでに被害者が多数存在すること。街中を冬にするという大雑把な作戦。
 どれをとっても現実的とは思いにくいはずだ。

242小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/09(木) 19:55:35
>>241

少女の説明に耳を傾け、了承の意味を込めて小さく頷いた。

  「――……『状況』は分かりました」

確かに冗談のように聞こえる話であり、規模も大きい。
それを達成するのは困難だろう。
だが、『解決できる可能性』がある。

  「旅行の最中に……
   『誰も知らない街』に迷い込んだ事があります。
   乗っていたバスが霧の中に包まれて、
   気付いた時には『そこ』にいたのです」

ぽつりぽつりと、自身の経験を語り始める。

  「動けるスタンド使いは、私と『もう一人の方』だけでした。
   他の乗客達の多くは『一般の方々』でした」

  「『街』には危険な『五人のスタンド使い』がいました。
   既に『人質』も取られていました」

  「私が考えなければならなかったのは、
   『一般の方々』を無事に逃がし、『囚われた人質』を解放し、
   『五人のスタンド使い』に対処する方法を見つける事でした」

  「私は――それを果たしました」

そこまで言ってから、静かに言葉を切る。
あの時は、全てを『二人だけ』で解決しなければならなかった。
しかし、成す事が出来た。
今は、『大勢のスタンド使い』の協力を得られる。
だからこそ、『可能性』がある。

  「諦めなければ『道』は開けます」

  「――必ず」

少女を見返す瞳には、確かな力が込められている。
『敵を打ち倒す力』とは異なり、
そこにあるのは深い『慈しみ』。
だが、決して『甘くはない』。

  「もしもの時のために……」

  「……お互いの『能力』を知っておいた方がいいかもしれません」

そう言った直後、『右手』に『ナイフ』が現れる。

243七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/09(木) 20:28:26
>>242

「……旅行先で…そんなことが…」

 七篠はその状況を想像し、身を震わせながら言葉を返す。

――もし仮に、私がそんな状況になったら…。
――誰かと二人だけで、人質を取られた状態で5人もどうにかしないといけなかったら…。
――……その状況と比較すると、今の状況はきっとまだマシのはず…。

「小石川さんは…とてもお強いんですね…。
 諦めずに前に進んで、成し遂げられる人…」

 七篠に向けられる強い瞳を見つめながら、七篠は頷いた。

「私も、必ず二人を助けます」


 そう言い切ってから七篠は『リルトランク』を『木製』だったらしい『ベンチ』に触れさせた。

「……私のスタンド能力…ですね。
 私の子、『リルトランク』は『植物』や『植物製品』から『常緑広葉樹の枝』を生やすことができます。
 こんなふうに…」

 七篠と小石川の間、『ベンチシート』の中心から『ラベンダーの枝』がゆっくりと生えてくると『花』を咲かせて成長を止めた。(スD)
 周囲に『ラベンダーの香り』が広がる。

「『枝』だけじゃなくて『花』や『葉』、『実』も生やすことができますし、『匂い』も広がります。
 ただ、『広葉樹』に限るので『モミの木』みたいな『針葉樹』は生やせません。
 だから『クリスマスの匂い』を広めることは難しいです」

 そして今度はカバンから『手のひら大の付箋』を取り出し、今度は素早く『ポインセチアの枝』を生やした。(スB)

「『植物製品』でも『手のひら大』より小さなものからは枝を生やせません。
 生やせる本数は最大で5本までで、離れたり折られると消えます」

 七篠はどうやら小石川をかなり信頼しているようだった。
 今までスタンド能力を聞かれてもここまで詳細に話したことはなかった。

「えっと、これで大体です。
 小石川さんのは…『ナイフ』ですよね…?」

 他に七篠が会ったことのある小物の形をしたスタンドは関の『ペイデイ』くらいだ。
 どのような能力か想像するのも難しいのだろう、首をひねっている。

244小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/09(木) 21:33:44
>>243

  「――ありがとうございます……」

『ラベンダー』の枝と、そこに咲く花を目の当たりにして、
自然と目を細める。
自分にとっては嗅ぎ慣れた香りだったが、
スタンドによって生み出されたものは初めてだった。
今にして思えば、『植物園』で出会ったのは、
ある種の運命だったのかもしれない。

  「スタンドは『精神の象徴』だと聞きました……」

  「……『その通り』だと思える気がします」

続いて生やされた『ポインセチア』を眺める。
『植物』に関わる能力。
それは確かに、
『七篠譲葉』という少女に相応しいように感じられた。
スタンドは精神の象徴。
自分にとっても、それは当てはまる。

  「これは――『ビー・ハート』です」

その時、ちょうど一羽の蝶が飛んできた。
左手を開くと、そこに蝶が留まる。
それを見下ろしながら、右手の『ナイフ』を振るう。

  「『私以外の生物』を切り離して『操作』する……」

次の瞬間、蝶は『真っ二つ』に両断されていた。
高速かつ精密な動作。
『達人の技量』だ。
普通なら生きてはいられないだろう。
しかし、蝶は死んではいなかった。

  「『不殺の刃』……」

  「……それが『ビー・ハート』の『能力』です」

切り離された『蝶の半身』が、宙に浮かんでいる。
その半身が、掌に残された半身と『接合』された。
次の瞬間、何事もなかったかのように、
蝶は再び空へ舞い上がる。
断ち切りながらも、決して殺さない刃。
『引き出した者』の言葉を借りれば、『優しい刃』。

  「そして――」

『右手のナイフ』が消えると、『左手』に『ナイフ』が現れた。

  「これが……『スーサイド・ライフ』です」

最初に見せた『第一の刃』。
外見上は大きな違いは見えない。
しかし、その『能力』は異なっている。

245七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/09(木) 21:55:43
>>244

「『ビー・ハート』…。
 スタンドってこういうこともできるんですね…」

 七篠は蝶が翅をはためかせる姿を見ながら、脳裏に一抹のスタンド『インダルジェンス』を思い浮かべる。

――一抹くんのは、『痛みを感じない刃』だったけど、小石川さんのは『殺さない刃』…。
――同じ『刃』のスタンドで、切られたときになんでもないように動くのは同じだけど…全然違う…。

「『不殺の刃』…。
 切れてるのに死なないってとっても不思議で、なんだか神秘的ですね」

 七篠もおそらく蝶がそのまま地に伏していればその技量に怯えや恐れを抱いてただろう。
 だが、まるでなにかの物語のように元通り飛んでいく蝶を見て、どうも現実感が薄いようだった。

「『スーサイド・ライフ』…。同じ『ナイフ』じゃないんですね?
 一人に二つのスタンドなんてあるんですか…?」

 七篠は首を傾げながら問う。

246小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/09(木) 22:38:55
>>245

  「こちらが――『元々のスタンド』です」

言葉を続けながら『第一の刃』を振るい、
躊躇なく自らの『首』を掻き切る。

           フワッ……

一瞬の後に、『頭』が胴体から切り離された。
普通なら、噴水のように血が噴き出しているだろう。
しかし、出血は一切ない。
切断された生首が宙に浮かんでいるのだ。
その状態で、何ら変わりなく話し続ける。

  「私のスタンドは……『成長』しました」

まもなく、浮遊していた『首』が胴体と接合された。
傷跡もなく、完全に元通り。
今しがた蝶を切り裂いた時と同じだ。

  「『自傷の刃』――それが『スーサイド・ライフ』の『能力』です……」

再び『右手』に『ビー・ハート』を発現する。
利き手である『左手』には『スーサイド・ライフ』が握られている。
両手に二本のナイフを携え、同時に回転させる。
先程のように『高速』ではない。
しかし、『精度』は落ちていないようだった。

  「……このように『同時発現』も可能です」

回転を止めた手の中で、
『二振りのナイフ』が研ぎ澄まされた輝きを放つ。

247七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/09(木) 22:54:30
>>246

「ひっ…!?」

 七篠は悲鳴を押し殺したような声を漏らし、ベンチから腰を浮かせた。
 スタンド使いに襲われたこともある、『アリーナ』で観戦したこともある。
 だが、人の首が切断されるところなど七篠は考えたこともなかった。

「え……その、大丈夫なんですか…?
 痛かったりとか…」

 『スタンドの成長』という言葉への興味をその恐ろしげな様子が上回ったようで腰が引けながらも言葉を発する。

「『自傷』に『不殺』…。
 『スタンドは精神の象徴』って仰ってましたけど……いえ、なんでもないです…」

 七篠は『自傷』から『不殺』への心の変化やそれを追及する意味を考え、留まった。
 そして気を取り直したように小石川の『ナイフ』を見つめた。

「同時に二つのスタンドを動かせるのって、なんだかすごいです。
 小石川さんは本当にお強いんですね」

248小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/09(木) 23:34:20
>>247

少女の言葉が途切れたのを見て、思う事はあった。
スタンドが『成長』したのは、
自分自身の『決意』に変化があったからだろう。
だが、それを口にはしない。

  「……『痛み』はありません」

  「『スーサイド・ライフ』も……『ビー・ハート』も同じです」

二つの『ナイフ』を解除し、微笑する。
その姿からは、痛みを感じている様子は微塵もない。
出血もなく、本当に『無痛』で切り離せるようだ。

  「――……行きましょうか」

           スッ

少女に声を掛けながら、ベンチから腰を浮かせる。
当初の目的がある。
『アロマディフューザー』を調達する事。

  「『迷惑』になりにくい事……」

  「……それが『香り』の長所です」

悪臭でもない限り、匂いが騒ぎになる事はないはず。
そして、『モミの香り』は悪臭ではない。
『アロマディフューザー』の利点は、
音と比べて苦情が出にくい所にある。

249七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/09(木) 23:57:26
>>248

「痛くないのなら…よかったです…」

 七篠はちらっと小石川の首元を継ぎ目でもないか確認するように目をやった後、小石川の言葉に頷いて、しっかりと立ち上がった。
 『リルトランク』を解除し、この場には『ラベンダー』の残り香もなくなった。

「はい。とりあえずここに来るまでに調べていたところに行こうかなと思います。
 たぶん、高校生の私が借りたいと言っても『学祭』みたいな大義名分がなければ怪しまれると思うので…。
 本当に助かります。ありがとうございます」

 七篠は改めて小石川に頭を下げてから歩き出した。

250朱鷺宮親子:2021/09/10(金) 01:22:30
【学区内にて二人の影が見えた。】

涙「文化祭、皆さんで盛り上げましょーう」
笑「今年は一足早いクリスマス、皆さんで一緒にやりましょーう!」

見るとサンタのコスをしている二人が居るようだ。
因みにふたりとも女性なのでミニスカサンタである。
チラシを通り掛かる人に配られる。
こういう様子であるために、自然と周囲の人間の注目は集まっていく。

涙「えー、と、12月は皆さん忙しくなるでしょうからー…」
笑「今のうちにクリスマスを思い切り楽しみましょうー!」
見ると、文化祭のチラシにクリスマスツリーがデザインされているようだ。

251小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/10(金) 15:03:17
>>249-250

  「街に設置するのは『当日』になりますね……」

  「『屋外』で使える事を考えると――」

  「電源の不要な『バッテリー式』のタイプを……」

  「……オイルは『シベリアモミ』で大丈夫でしょうか?」

会話を続けながら、
『業務用アロマディフューザー』のレンタルに向かう。
その時、前方に人影が見えた。
片方には見覚えがある。

  「朱鷺宮さん――こんにちは」

二人の前で足を止め、丁寧に頭を下げて挨拶する。

  「……ありがとうございます」

彼女達も独自に、
『夏のクリスマス』を広めてくれているのだろう。

  「――『こちら』は……?」

笑美の隣に立つ少女に視線を向けた。
似ている所を見ると、家族である事は分かる。
ただ、前に会った時には、
『妹がいる』という話は聞かなかった。

252七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/10(金) 16:10:27
>>250-251

「そうですね、『バッテリー』式の方がいいかなと」
「『クリスマス』ならやっぱり『モミの木』がそれらしくていいと思います。
 『柚子』とか『ヒノキ』なんかも『冬』っぽいですけど、
 なんだか和風で『クリスマス』感は薄れちゃいますし」

 話しながら七篠は『季節外れ』の『ミニスカサンタ』姉妹?に気付き、驚いた様子で固まった。

――……確かに、まだ暑いから『ミニスカ』が涼しい季節だけど…。
――じゃなくてっ…。これはきっと鉄さんからの連絡とか、関さんからの連絡で回り回って…ってこと、だったり…?

 そして、小石川が話しかけている姉らしき方ではなく、妹らしき方に話しかける。

「あの、はじめまして。
 『文化祭のチラシ』、いただいてもいいですか…?」

――……『クリスマス』に協力してくれてるってことは、もしかしたらスタンド使いなのかな…。
――いや、もしかしたら、ほかのスタンド使いに頼まれてる一般人かもしれないし…。
――『リルトランク』を出したら視線とかでわかるかもしれないけど…。

 七篠は小石川と姉らしき方の会話を気にしながらチラシをもらおうと手を伸ばした。

253朱鷺宮親子:2021/09/10(金) 18:14:01
>>251-252

笑「あら、小石川さんこんにちはー。
  旅行の時以来ですねぇ。
  そちらはお友達さんですか?はじめましてー。」
小石川に視線を向けると丁寧に頭を下げて挨拶した。
七篠にも視線を向けて挨拶する。

涙「あ、いいですよー。どうぞよろしくおねがいしますー。」
涙音は七篠の差し出した手に向けてチラシを配る。
文化祭をクリスマスムードにするというふうな内容のようだ。

笑「いえいえ、お友達のお友達のことなら放っては置けませんよ。
  これで微力ながら力になれれば私も嬉しいです。」
涙「私も、街をクリスマスにしたいって人の話を聞いて…
  ついでにいいかなと…」
どうやら涙音は別の人から聞いたようだ。


笑「あぁ、この子ですか?
  実はですねぇ〜」
ややもったいぶろうとしていたが、即座に涙音が返事を返した。

涙「えぇ、お二人共はじめまして。
  朱鷺宮涙音です。どうやら私の『お母さん』がお世話になってるみたいですね。」

254小石川文子『スーサイド・ライフ』&ビー・ハート『』:2021/09/10(金) 19:36:16
>>252-253

  「七篠さん――こちらは『朱鷺宮笑美』さんです……。
   私達と同じ『スタンド使い』です」

  「私の方から連絡して……お手伝いをお願いしました」

七篠の方を振り向き、目の前の人物を紹介する。

  「……こちらは『七篠譲葉』さんです。
   彼女も私達と『同じ力』を持っていらっしゃいます」
 
  「私は……彼女から連絡を受けました」

また、笑美には七篠の事を説明した。
そして、『二人の関係』を知る。
意外な事実を耳にして、
驚いた表情で朱鷺宮親子を見つめた。

  「――『娘さん』……でしたか」

  「いえ――何でもありません……」

外見からは全く想像もつかない事だったが、
それも無理もない事かもしれない。

  「……私達は、
   これから『アロマディフューザー』を用意しにいく所です。
   この前に電話でお話した……」

  「街に『モミの香り』を広めて、
   『クリスマスの雰囲気作り』をするつもりです」

気を取り直し、今後の行動について話し始める。

  「……もしかすると
   協力していただく事になるかもしれません」

  「『アロマディフューザー』を設置する
   『人手』が必要になりますので……」

  「その際は……またご連絡を差し上げたいと思います」

             スッ

  「――私も『チラシ』を一枚いただけますか?」

チラシを受け取ろうと、涙音に片手を差し出す。

255七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/10(金) 20:05:32
>>253-254

「お姉さん――朱鷺宮さん、はじめまして。
 私は『七篠譲葉(ナナシノユズリハ)』といいます」
「小石川さん、他の人に頼んでくださってたんですね。
 本当に…ありがとうございます…」

 七篠は姉らしい方に頭を下げ挨拶をする。
 そして、妹らしい方に向き直り、チラシを見て『協力者』であることを確認し頭を下げる。

「チラシありがとうございます。
 やっぱり『クリスマス』…!
 実は、その、被害に遭ったのが私の友人で…。
 行動してくださってありがとうございます。本当に助かります…!」

 続く朱鷺宮たちの言葉に驚いたように二人を見比べる。
 一瞬疑うような表情を浮かべた後、『スタンド使い』だという小石川の言葉を思い出し、そういう能力なのかもしれないと納得の表情を浮かべた。

「お姉さんと妹さんだとばかり…。
 勘違いしてすみません」

 そして小石川の言葉に賛同を返す。
 

「設置した後も時々様子を見に行く必要もあると思いますし、人手は必要ですよね…。
 でも、目と足は多少『スタンド』で補えるかもしれません」
 『文化祭』で『クリスマス』されるのでしたら忙しそうですし…」

 七篠はただでさえ動いてもらってるのにと申し訳なさそうな様子で二人を見やる。

256朱鷺宮親子:2021/09/10(金) 20:34:45
>>254-255
笑「どうもよろしくおねがいします七篠さん。」
そう言って頭を下げる。

涙「どうもその友人の方、慕われてるみたいですね。
  私も知り合いという人に頼まれて、なんだか放っておけないなと」
七篠の表情を見てすこし恥ずかしそうに答える。

笑「えへへー、よく間違えられるんですよぉ。
   姉妹かな?なーんて。でも気持ちは若いつもりですよぉ。」
涙「…あんまり話が長くならないようにしてね。」
どこか嬉しそうに二人に向けて語る。
高校生の子供を持つとは思えないが、妙に大人びている部分があったのは底にあったのかもしれない。

笑「アロマの香り、いいですよねー。確かに香りは気分を高めるのに有効ですねー。」
涙「しかし、それって結構な量が必要になるかもしれませんね。大変そうです。
  私も手伝いましょうか?」
設置に対してはふたりとも協力的のようだ。

笑「私も文化祭をクリスマスイベントにしてみようとこうしてコツコツやってみてます。
  あ、もちろん先生から許可はもらってますよ。」
涙「一応、私達も設置くらいなら手伝えると思います。」
申し訳無さそうな七篠に対しても協力的な姿勢を見せた。

257小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/10(金) 20:49:54
>>255-256

  「……『設置場所』も考慮する必要があります」

  「同じような場所に置いても大きな効果は得られません……。
   効率を考えるなら……
   『被らない場所』に設置する必要があるでしょう」

  「……『街の地図』を調べておきます。
   それを見た上で――『どこに設置するか』……。
   『当日』までに計画を立てて……その上で設置しましょう」

  「――この案を出したのは私です。
   提案した人間として『責任』があります。
   私だけでも設置するつもりですが……」

  「『当日』に全てを終えるとなると……
   間に合わない可能性もあります。
   その際には、朱鷺宮さん達や烏丸さんにも、
   協力をお願いするかもしれません。
   もちろん……お手伝いしていただける範囲で結構です」

  「朱鷺宮さん――
   私の方から『烏丸さん』にも連絡しておきました。
   必要な時には手を貸して下さるかと思います……」

自身の考えを三人に告げてから、改めて七篠に視線を向ける。

  「……『烏丸香奈枝』さんは私の友人です。
   彼女も『スタンド使い』で……
   私から協力をお願いしました」

258七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/10(金) 21:13:44
>>256-257

「こちらこそ、よろしくお願いします。
 本当に姉妹みたいですから。本気で私間違えちゃいました」

 七篠は嬉しそうな様子の朱鷺宮(母)にどこかほっこりしながら朱鷺宮(娘)を観察する。
 16歳の七篠よりいくつか年下だろうか。そんな彼女と姉妹のように見える朱鷺宮(母)の年齢不詳具合に首を傾げる。

 そして小石川の方を向き、案の提案者として『責任』をと言う小石川に申し訳なさそうな表情を向ける。

「本当にたくさん考えてくださってありがとうございます。
 ……私もお願いした立場として、全力で頑張ります…!」

 そして続く知らない名と、その人がスタンド使いだということに驚きながら指折り数える。

「……一抹くんに氷山さん、鉄さんに芦田さん、関さん、小石川さん、朱鷺宮さん、烏丸さん…。
 今回のことに関わってる人……それも私が知ってる人だけでこんなにたくさん…。
 スタンド使いっていっぱいいるんですね…」

 七篠の指は8で止まっている。
 朱鷺宮(娘)がスタンド使いだとは考えていないようだ。

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260朱鷺宮親子:2021/09/10(金) 21:24:44
>>257-258
笑「かぶらないようにですかー…そうなると、他にも協力してくださる方と
  連絡を取り合えるようにしておいたほうがいいかもしれませんね。」
涙「私も、出来る限り協力します。
  きっと一人でやることにはならないと思いますよ。」
どうやらアロマの設置は大変そうだ。
ふたりとも出来る限りの協力をしたいと思っているようだ。

笑「烏丸さんも協力してくださるなら、私も頼もしいと思います。
  頑張っていきましょう。」
そう言って微笑んだ。

涙「まぁ、いい歳して若く見られたいみたいでして…」
笑「もう、何歳になっても若いって言われたいの、それが女の子よ。」
そう言って涙音を軽く撫でる笑美。多少振り払われるも、さほど嫌ではないようだ。

涙「あ、一応…私もスタンド使いです…。」
そう言って七篠に対して手を上げた。

261小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/10(金) 21:55:51
>>258-260

  「私には……これくらいの事しか出来ません」

  「――私に出来る精一杯を尽くさせていただきます」

自分は、たった一人の人間でしかない。
ほんの僅かな助力にしかならないかもしれない。
それでも何かをせずにはいられない。

  「被害者の方のためだけではなく――」

  「『その人を愛する方々』を悲しませないためにも……」

  「私は……誰も傷付いて欲しくないのです」

七篠に頷き、穏やかに微笑する。

  「……ありがとうございます。
   のちほど他の知人にも連絡を取っておきます。
   設置場所の検討が済み次第、
   朱鷺宮さん達にもご連絡させていただきたいと思います」

そこまで言ってから言葉を切る。

  「涙音さんも……」

  「――ありがとうございます」

         ニコ……

  「皆さん……出来る限り頑張りましょう」

笑美と涙音を見つめ、微笑みを返す。
親子でスタンド使い――『遺伝』なのだろうか。
そういった事もあるのかもしれない。

  「七篠さん……向かいますか?」

朱鷺宮親子と自分達。
形は違えど、お互いにすべき事がある。
この辺りで、それぞれの行動に戻るのが、
丁度いいように思えた。

262七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/10(金) 22:07:37
>>260-261

「え、あっ! 親子でスタンド使いなんですか…!
 ……そんなことって、あるんだ…」

 七篠は驚き、指を8から9、9から10へと増やした。

「私含めて10人。被害にあった二人を抜いても8人も…。
 小石川さんみたいに他の人に頼んでくれている人もいると思いますし、
 本当はもっとたくさんの人が手伝ってくれているかもしれないんですね…」

 人命がかかっていると言っても、なにか行動できる人はそういないだろう。
 募金くらいならするという人はいても、ここまで行動する人がいるというのは希有なはずだ。
 この街の人の優しさや行動力は七篠の想像を越えていたようだ。

「小石川さんみたいに、傷ついてほしくないから、悲しませたくないからで助けようって考えて、
 それを実際にできる人ってそんなにいないと思います。
 本当に、すごいことだと私は思います」

「……はい。行きましょう。
 駅前の方に企業が入ってるところがあるみたいなので」

 七篠はそう言うと朱鷺宮たちに頭を下げて小石川と『業務用アロマディフューザー』を借りに向かうことにした。

263朱鷺宮親子:2021/09/10(金) 22:19:55
>>261-262
笑「その人のためでなく、その人を愛する人のため…
  私もそれでいいと思いますよ。」
涙「たしかにそうですね。
  …それくらいの気分で、あんまり背負わずにやるのがいいかもしれません。」
小石川の考えを聞いてふたりとも同意する。
誰にも大事な人はいる。そういうのを二人はなんとなくわかっているようだ。

笑「…はい、お待ちしていますね。」
涙「いえ、こちらこそありがとうございます…
  せっかくだから、こっちもついでに広めちゃってください。」
そう言ってチラシを指差した。

笑「フヒヒ、そうみたいなんですよー。
  見た感じ、きっと涙音ちゃんが先かもしれないけどね。」
涙「…親子揃ってスタンド使いって珍しいんでしょうかね。やっぱり。」
七篠の驚く様子を見て顔を合わせる。

笑「ええ、もちろん。みんなで頑張りましょう。知らない人のためでも私はがんばりますよ。」
涙「関わったら、そのまま放っては置けませんしね。」
二人はうなずいた。

笑「お二人共、頑張ってくださいね。」
涙「こっちもチラシ配り、がんばります。」
サンタコスの二人はそう言って二人に応援をかけた。

264小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/10(金) 22:38:05
>>262-263

  「私も出来る限り宣伝させていただきます……」

受け取ったチラシを折り畳み、バッグに収める。

  「笑美さん、涙音さん……。
   本当に……ありがとうございます」

  「必要な時には、また連絡を差し上げます」

  「――それでは……」

朱鷺宮親子に深々と頭を下げ、
七篠と共に目的の場所へ向かった――。

―――――――――――――――――――――――――

  「――……『業務用アロマディフューザー』を
   レンタルさせていただけますか?」

  「『屋外』でも使えるタイプを……」

目的地に到着し、借りるための手続きを始める。

  「……名前は『小石川文子』です」

  「台数は――『100台』お願いします」

  「はい――支払いは『現金』で……」

ハンドバッグから、分厚い封筒を取り出す。
『スタンドに関わる事件』で得た貯蓄。
その中から、『レンタル代』として『100万円』を支払った。

265七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/10(金) 23:01:54
>>264

「――――!??」

 七篠は商談のために通されたスペースで、目を白黒させながらその様子を見ていた。
 『100万』。『100万』。『100万』だ。何度思い出しても小石川の喉から発せられた音は『100万』から変わることはなかった。
 高校生である七篠にとってその金額はまず持つことのない金額だ。

 七篠は申し訳なさそうに、返せるあてがあるのか考えながら、声を殺して小石川の商談が終わるのを待った。
 『子供』である自分が口を出せる規模の話ではないと認識したからだ。

 契約の期間や具体的なモデル、送付先等について話が提示される。もし問題なければ契約書にサインを、といった様子だ。
 台数が多いため、他県からも持ってくる必要があるらしく、どうにも時間がかかりそうだ。
 仮にチラシに載っていた『学園祭』の日の数日は前に到着しそうだが、具体的に冬にする日付についてはまだ話していなかった。

『あの、お金、私のも使ってください。
 たくさん使わせちゃって申し訳ないです…できるだけ返したいです…』

 七篠は小石川にスタンド会話で話しかける。

266朱鷺宮親子:2021/09/10(金) 23:04:54
>>264-265
笑「それではお二人共」
涙「またどこかで会いましょうねー。」

二人に対して手を振りながら見送っていった。

因みにその後、チラシ配りは順調に進んでいく…
果たしてこれが誰かの耳に入るのか、それはまだわからない。

267小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/10(金) 23:34:28
>>265

  「……出来るだけ早い内に届けていただけますか?」

  「お手数をお掛けしますが――どうぞよろしくお願いします」

           サラサラサラ……

契約書の内容に目を通し、自身の名前をサインする。
レンタル期間は『一ヶ月』。
屋外でも使用できる『バッテリー駆動』のタイプ。
送付先は『自宅の住所』だ。
実際に設置するまでの間、そこに置いておく事にする。
これで『100台』の『アロマディフューザー』は確保できたはず。
届くまでの間に、『設置場所』の計画を立てる事にする。

  「――……これをお返しします」

           スッ

  「他にも必要になる事があるかもしれません……」

  「……その時のために使って下さい」

契約を終えてから、預かった封筒を七篠に差し出す。

  「私には……これくらいの事しか出来ません」

  「七篠さん……」

  「私は七篠さんのためだけにしたのではありません」

  「私は――誰にも悲しんで欲しくないのです」

少女を宥めるように、ただ物静かな微笑を返す。

268七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/10(金) 23:54:20
>>267

 商談は可能な限り早く届けるということで決着が付いた。
 契約が終わったところで七篠は小さく息を吐いた。
 
「すみません…。本当にたくさんお金を…」

 七篠は自分にはこれしかできないとでも言ってるかのように何度も頭を下げた。
 そして、小石川の目を見て封筒を受け取った。

「……私も、これを誰かのために使います。
 悲しんでほしくない人たちのために使います」
「小石川さんみたいに優しい人とあの日、『植物園』で会えて、本当によかったです。
 小石川さんは…私の、憧れです」

 七篠はそう言って掻き抱くように受け取った封筒を胸元に押さえつけた。

「その、届いたら教えてください。
 なんでもやります…!」

269小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/11(土) 00:14:34
>>268

  「ええ……その時は必ずご連絡します」

これから考えるべき事は多い。
場所の選定、協力の要請、当日の設置。
ただ、ひとまず最初の段階は終えられた。

  「私も――七篠さんと出会えた事に心から感謝しています」

         ニコ……

  「一緒に『道』を開きましょう」

少女の目を見返しながら、微笑みを見せる。
やや陰がありながら穏やかな表情。
しかし、そこには少しの迷いもない。

  「……少し休憩しませんか?」

  「この近くに、おいしいラベンダーティーと、
   シフォンケーキをいただけるお店があるのですが……」

  「よろしければ――ご一緒に……」

気負うだけでは、当日までに消耗してしまう。
いざという時のためには、気持ちの切り替えも大切だ。
そう思い、少女を『馴染みのカフェ』に誘った。

270七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/11(土) 00:30:12
>>269

「はい、一緒に…すこしでも悲しむ人が少ないように『道』を…」

 小石川の穏やかだが芯のある微笑みにつられて頬を緩めながら七篠は続く言葉に頷いた。

「……助かります。
 実はずっと動きっぱなしで疲れちゃって…。甘いものが食べたいです…」

 小石川に会う前に『寮』で大神とプリンを食べた七篠だったが、疲労には勝てなかったようだ。

 氷山と森で会い、『寮』で一抹と共に氷山と戦い、三人で『おばあちゃん』の家を調べていたと思ったら一抹が『夏の魔物』にやられ、
 遅れてやってきた鉄や芦田と情報を整理し方針を決め、小石川や関に連絡を取り、『氷山』を『寮』に隠し、小石川と合流して今だ。
 緊張は続き、身体は休息を求めていた。

「小石川さんのおすすめの喫茶店、とっても楽しみです!」

 二人は美味しいケーキと共に、穏やかな時間を『共有』したようだ。

271『夏空にダイヤモンドを灯せ』:2021/09/12(日) 18:55:32

 場所   清月学園  視聴覚室

校内放送にて『夏の魔物退治イベントについて視聴覚室に集合してくれ』と
解るものには解る単語で男の声がされた。
そして、その室内ではプロジェクターで投影された『開かれたノートの画面』が
映し出されており。壁の端では、一人の学生が無心で幾つかのパンフレットや本を
読み込んでおり(※小林) 教壇には不良っぽい服装の生徒(※ヤジ)が立っていた。

ヤジ「今日は、お忙しい中集まって頂いてすまない。
単刀直入に告げる。『夏の魔物』と言う人間に取り憑くスタンド……いや、スタンドなのか
正直不明だ。だが、それは確実に間違いなく存在していて今年
『氷山』と言う此処の学園の生徒、そして其の彼女を助ける為に『一抹』と言う
俺の知り合いが夏の魔物と対峙し……氷山さんは肉体を無機物に変化され
一抹の奴は失踪した。ただ『ノート』の情報が正確なら星見町の何処かで
息を潜めてると思われる。夏の魔物が満足しきる前に、彼を助ける為にも
この街全体を『冬の風物詩』で満たす。それしか手が無い
頼む  ――協力してくれっ」

現地で調査してた『芦田』から譲られたノートの情報をスクリーンで共有しつつ
『夏の魔物を退治するのに冬の風物詩を町に満たす方法』について意見の共有を
彼は求める。そこで、読んでる本から顔を上げた青年(小林)は一言 呟いた。

小林「イベントをするとして……そうですね、大体100万程度の資金で
軽く町全体で催せると思えるものなら、どんなものでも構いません」

皆さんの意見を求めてます、と彼も丁寧に頭を下げた。

272『エド・サンズ』:2021/09/13(月) 21:56:55
>>271

『ヨォォォ〜〜〜、お前さんらガ村田ノ言ッテタ「夏の魔物」をドウニカシヨウって連中カ?』

視聴覚室の扉がガラガラと開き、一人の男の声がする
だがそこに立っていたのは『人間』ではない・・・・『スタンド』だ
氷山が従えていたスタンド『エド・サンズ』がそこに立っていた

『俺ハ「エド・サンズ」ッテ者ダ
 話ニ上ガッタ「氷山」ノ・・・・スタンドで今ハあいつカラ解キ放タレテ行動シテル』

『お前ラガ「氷山」ヲ助ケルタメニ行動スルッテェナラヨォ
 チョットシタ「良い物」ヲ持ッテキタゼェ〜〜〜!』

『エド・サンズ』が紙の束を取り出す
そこに描かれているのは福沢諭吉の肖像・・・・『万札』である

『ココニ「あきは」ノ奴ガ稼イダ金ガアル・・・・「60万円」ダ
 コイツヲ当座ノ活動資金ニシテクレ・・・・マア、自分ヲ助ケルタメニ使ワレルナラ
 あいつモ文句ハ言ワネェダロ』

と言いながら『60万円』の現ナマを教壇の上に叩きつける

『ジャアナ! 俺ニ用ガアリャア駅前の掲示板ニデモ書キ込ンデクレヤ!』

そう言うと、『エド・サンズ』はこの場を去って行った

『エド・サンズ』⇒ミッションマネー『60万円』をヤジ達に渡す

273 『夏空にダイヤモンドを灯せ』:2021/09/15(水) 00:15:12
>>272

小林「……有難うございます。きっと、貴方の大事な方も必ず助けます」

小林は、『サンズ』の姿が消えるまで誠心誠意に礼の姿勢を崩さず見送った。

ヤジ「俺は見えなかったから、口惜しいが何も言えなかったが……。
氷山って娘のスタンドが自立し手伝ってくれてるんだな? 頼もしいぜ!」

『エド・サンズ』から『60万円』を受け取った!

ヤジ「此処にいる面子で、学校以外で冬の行事で思いつく事があれば
ドシドシ意見を言ってくれ! 俺からも『アリーナ(フーヴィアン派)』に
何度か掛け合って見る。普段、街が大掛かりな災厄に見舞われない限りは
動かないが、街のスタンド使いが動いてるんだ! 鬼じゃないし、少しは
手伝ってくれると思う!」

 ヤジは、全員の意見を求めつつ『アリーナ』へ連絡を行う。
返答は、暫くしたら来るだろう。

274黒羽 灯世『インク』:2021/09/15(水) 07:44:28
>>273

「特定の行事じゃあないけれど。
 雰囲気を無理やり作っていくなら、
 『新聞』の『広告欄』を買うのはどうかしら?
 ――――確か、県の新聞の広告が、
 『100万』もせずに買えたはずなのだわ。
 町内新聞とかなら、もっと安いんじゃない?
 あとは詳しくないけど、ラジオもCM枠が安かったはずよ」

小林により部室から呼ばれてきた黒羽が、
『新聞部員』としての知見をひけらかす。

「何か冬らしいイベントを考えるのは前提だけど、
 一般人層にも広めないと、『町全体』は厳しいでしょう」

          「そして広めるならメディアよ。
           『金で買える』力としては最強だわ!」

情報の力を信奉するからこそ、金をかける先にはそこが浮かぶ。

275『夏空にダイヤモンドを灯せ』:2021/09/15(水) 09:59:30
>>274

ヤジ「なーるッ 新聞の広告……確かに町内新聞やテレビCМを行えば
町全体で冬のイベントをする雰囲気が出来上がるかも知れねぇな!」


小林「今調べました。↓
ttps://itscom.media/tvcm/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=tokyu_service_guide&utm_term=202009&utm_content=listing&yclid=YSS.EAIaIQobChMI5qubg97_8gIVTnZgCh0ivAwXEAAYAyAAEgKlI_D_BwE
ttps://www.radioad.jp/price/
確かに一番長くてテレビは一本2万四千。ラジオCMなども十万弱

新聞広告は部数によって度合いが変わりますが、それでも50万程度の予算が
あれば可能です」

ヤジ「いまエド・サンズから貰った『60万』がありゃあ……!」

小林「えぇ、私も出すので合わせて『159万』ですね」

バンカラマント風に身に着けたブレザーの膨らんだポケットに入った
厚みある茶封筒を取り出し、教壇に置かれたエド・サンズの金銭と合わせる。

ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1465476899/36

小林「ただ新聞にテレビだけでは、どうしても時間帯や年齢層によって
見聞きしない方も多いでしょう。もう、一歩何か詰めれないか……。
あ、この予算で他の案が出なければ全額投入して告知をする事にしましょう。
放送する内容の作成は、黒羽さんに任せて貰って構いませんか?
 作家の私よりも、貴方のほうが適任です。お願い致します」

小林は頭を下げ黒羽に頼む。新聞・テレビでの告知は他に良案あれば併合し
無ければ、そのまま実行する形だ。

276黒羽 灯世『インク』:2021/09/15(水) 13:10:05
>>275

「新聞やテレビを見てない層は大抵ネットは見てるはずよ。
 どんなメディアにも触れない人間なんて、どうせ誘っても動かない。
 SNSにも広告を打てば、ある程度解決するんじゃかいかしら……
 テレビや新聞と違って、星見町ローカルの場所があるかは知らないけど」

黒羽はあまりインターネットに詳しくはない。
情報収集源の一つにはしている、という程度だ。

「って、ちょっとちょっと……
 私も新聞記者であって広告屋ではないのよ?
 あることないこと膨らませるって意味では、
 作家先生の方が適任な気がするのだわ。
 ……ま、やってやれないとは思ってないけれど!」

     「どちらにせよ先に方向性でしょうね。
      冬をやります、と言うだけじゃあ、
      何をすべきなのか分からない」

そして提案は自信満々でこそあったが、
ヤジらの元々の案とは、半歩外れていた。

「学校の外で、何のイベントをするのか……
 あと、宣伝費に資金を全部投入するなら、
 どうやって人がたくさん乗れるイベントにするのか、だわ」

――――実際のところは。

既に町中を巻き込む、『夏のクリスマス』案も動き出している。
残念ながら、それをこの場に伝えられる人間がいないのが問題だった。

277村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/16(木) 00:13:20
>>275-275

バ ゴォ !

 「・・・建付けの悪ィ扉だ.
よお、見た顔がそろってやがるな。」

扉を蹴り開けて、のっそりと視聴覚室に姿を表す。

 「手短に言うぞ。『150万』使って、街中に使えるだけの『クリスマス飾り』を発注しておいた。
 じき手元に届くだろう。そのへんは連絡待ちだが・・・・」

 「まずは『寮』を、そのあとに『学校』を、最終的には街を巻き込んで『飾りつけ』をしたい。
 ・・・おれは『文化祭』をダシに何もかも巻き込んでしまうのが手っ取り早いと思ってんだが・・・
 ここの『文化祭』はいつだ?故郷のトコはこのぐらいの時期だったんだが」

278空井イエリ『ソラリス』:2021/09/16(木) 03:17:00
>>277

「……余計に、建付けの悪くなりそうな開け方だな?」

特に意見が無いので座るだけ座っていたが。

「みんな彼と知り合いなのか――――
 おれはなんというか、肩身が狭いぜ。
 小林君だけが頼りってやつだ」

突如現れた剣呑な男に視線を向け、
彼の言動や周囲の空気で、敵ではないと察した。

「『クリスマス』をやるってことなら、
 宣伝はしやすいんじゃあないかな。
 それに、乗る側も何をすればいいか分かりやすい。
 おまえさんのアイディアなんだとしたら、
 ドアだけじゃなく、閉塞的状況を開けるのも得意らしい」

『クリスマス作戦』――――
それがどれほど効果的かは不明だが、
『冬と言えばクリスマス』というのは全国共通だ。
クリスマスを知らない人間なんて、まずいない。

「――――おれは清月は大学からだから。
 文化祭はどうだったかな? 去年、やってた気はするけど」

そして『文化祭』と言えば、ハッキリとした覚えはないが、
『この時期』――――夏の終わり、秋の始まりを告げる時期。

                 ・・・その辺りだったのではないか?

279村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/16(木) 13:02:34
>>278

 「…そっちは見ねえ顔だ。
 おれは村田。覚えておいても意味はねえだろうが、名乗っておくぜ。」

開いた扉が反作用で閉まるに任せたまま、空井に名乗る。

 「文化祭をダシに使うとしても、おれたちだけでギャアギャアやってもしょうがねえ。
 ことを起こすからには『正当性』が必要だ。大勢の同意って『正当性』がな。
 街の人間の数からしたらスタンド使いなんざ砂金の粒ほど希少で、集めたって大した数にはならねえ。
 なんとかして学内の『一般人』をこの流れに乗せる必要がある。」

 「だが、乗せてしまえばあとはこっちのもんだ。人から人へ勝手に広がる。
 寮と学校から始まって、乗っかって儲けようとする商店街や歓楽街、大通りの店。
 祭りの雰囲気を察すれば、役所もそれなりに動かざるを得ないだろう。」

たかだか1人の口コミが超人気店を作ることがある。
たった1人の不道徳が大企業の信用失墜を招くこともある。
起点がごく小さいものでも、一度動き出した人の流れは止まらない。
服の流行、食のトレンド、果てには革命だってそうだ。歴史が証明している。

               ブーム
 「つまるところ、おれたちで『流行』をつくるんだ。
 夏の魔物を倒す『流行』をな。」

280『夏空にダイヤモンドを灯せ』:2021/09/16(木) 19:07:31
>>276-279

ヤジ「ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453051014/745
えぇとな……確か次の祭りは↑もう二週間ほど経ってからだな。
一応準備の期間はあるが、ギリギリってところか」

小林「村田さん、有難う御座います、本当に……町の飾り付けも
それだけの資金があれば、ある程度のストリートは問題ないと考えていいでしょう。
文化祭を行う学園や、私や親友で寮は対処しますので。あと残りは
自然公園やスカイモールなど、他の場所を一時的にでも冬の行事を
行ってくれる方々を探すのと……あぁ、肝心の文化祭を冬のテーマでしてくれるか
先生方に聞かないといけませんでしたね」

 ――ガラッ

朝山「話は聞かせてもらったっス! どーやら面白い事をやってるらしいんで
文化祭を冬テーマにするんだったら仲良しの音楽の先生。
(※『その夕立に雨傘を』よりNPC 音楽教師若草)わかわか先生に
ちょっと今から急いで頼んでみるっスよ!!
 多分音楽室か職員室にまだ居ると思うっス!」 ドタドタッ

ヤジ「……まぁ、期待は余りしねぇが手伝ってくれるなら今は猫の手だって必要だわな」

小林「猫の手……そうだ、そう言えば『ロダンさん』か……」

 話し合いをしつつ、乱入者(朝山)が一人の先生に頼んでくれるようだ。

それと、小林もどうやら一人協力者を思いついたようだ。

281空井イエリ『ソラリス』:2021/09/18(土) 01:11:57
>>279

「人の事を覚えるのに意味なんていらないさ。
 おれはイエリ……空井イエリ。
 まあ、意味もなく覚えてくれると嬉しいよ」

>>279-280

「なるほど、一理あるぜ。
 『夏のクリスマス』……一度既成事実にすれば、
 おれたちが動かなくても事態は止まらなくなる。
 メッセージ性とかそういうのも無いから、
 積極的に止めたくなる奴もまずいないだろうし」

噛み付いてくる人間はいるかもしれないが、
本格的に止める動きを作るのは難しいだろう。
勿論、一度広がれば――の話だ。

「火を付けるなら…………自然公園はともかく、
 スカイモールなんかを『巻き込む』のは、
 事態から金の匂いがしてきてからじゃないかな」

商業施設の集合体である摩天楼は、
『情』や『ノリ』で動くものではあるまい。
おそらくは多くが『チェーン店』である事も、
店員の一存で手伝うという事を妨げるだろう。

「おれは情報が弱いが、動いてるのは小林君達と、村田君だけか?
 他でなにか大規模な動きがあったりするなら、
 そことかちあわずに、上手いこと流れを一つにしたいもんだからさ」

誰か、他に発言者はいないだろうか――事態を他の角度から、知る者は。

282黒羽 灯世『インク』:2021/09/18(土) 04:21:44
>>277-281

「――――相変わらず乱暴なことをするのね!
 それに、とっても行動が鋭いのも相変わらずだわ」

      「『クリスマス』はみんな知ってる。
       だから、情報を聴いた人も、
       何のことか分からないなんて事にならない。 
       ――――『確実に伝わる情報』」

重要なのは、誰が聞いても分かる事。
そして、誰でも実行方法が分かる事。
         
「文化祭の時期は、もう近かったはずだわ。
 校内にあらかじめ『クリスマス案』を広めるなら、
 私が、クリスマスをやろうとしてる人間達を『取材』する。
 例えば小林先輩や、村田さんをね。
 それをするだけなら、先生の許可だっていらない」

実際にはある程度の検閲はある。
学校に関係の無さすぎる記事なら。だがこれは『文化祭』だ。

「校内新聞なんてちゃんと読まない人間も多いでしょうけど。
 でも、『見出しだけでも見る人間』は、廊下を通る人間の数だけ増える」

「校内に『その気』のムードが増せば……あとは、村田さんの言う通りだわ。
 そして、『ムード』の根元には、いつだってメディアがあるものよ」

                 「――――作りましょう。『流行』を」

283村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/18(土) 06:06:36
>>280-282
 「よし、ひとまず方向性は決まりだな。ここからできるだけ具体化していくぞ。」

視聴覚室の黒板前に躍り出て、大きく〇を3つ書く。

カツ !

 「まずは第一段階。飾りが届き次第、おれたちで『学生寮』の飾りつけをする。
 『生徒の自主性』とかなんとか言っておけば却下はされないだろう。
 それを『黒羽』に取材してもらって記事にして、『流布』を始める。ここが『起点』だ。」

カツ カツ!

 「次に第二段階。噂が学内に浸透したタイミングで『文化祭のクリスマス化』を提案する。
 黒羽の記事で煽ってもいいし、おれたちがそれとなくあちこちで吹き込んで回ってもいい。
 口コミや噂程度から、一気に一般人を煽って、『クリスマス気分』を膨らませる。
 騒ぎたいだけのやつはなぜクリスマスなのかを気にしないだろうし、めんどくせえと思ってるやつも一週回ってそうだろう。
 ・・・そして、大多数を占めるだろう『どっちでもいい』ってやつらはそのまま流されてくれるはずだ。
 生徒の大半がYESと言えば、教員連中もNOとは言わないだろう。
 ここまでくれば、学内での『流行』はできたも同然だ。学園は時季外れのクリスマスで溢れる。」

カッ カカッ!

 「そして最終段階。この『流行』を学外にまで浸透させる。いまのところ、この段階が具体例に欠けるな。
 とはいえだ。学内がクリスマスで染まれば、それに伴って商店街や大通りの消費傾向は変化するだろう。
 なにせこれだけデカい学園だからな。大きな変化は外からもよく分かる。
 それを市場が察すれば、少なくとも商店の雰囲気は『クリスマス』に染まる。
 そこまでいけばもう『止まらない』。人も市井も何もかも巻き込んで、『流行』は街中に浸透するはずだ。」

黒板から離れて手をはたき、元いた場所に戻り、イエリのほうへ向き直る。

 「他の連中が何をしているのかは分からん。だが、おれとしては『それでいい』ように思う。
 例え手が被っていたとしても、それはおれたちのプランを確実にするための一手になる。
 手が違っていたなら、おれたちのプランを補強する一手になる。」

 「皆一様に『クリスマスを街に溢れさせる』という『意思』は変わらない。
 その『意思』さえ同じなら、手が被って悪手になるってことはないはずだ。
 向かっている方向は同じわけだからな。」

284三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2021/09/18(土) 17:34:17
>>(全体)

「あ、あの…………」

おずおずと手を上げた生徒がいた。
『中等部』であろう事は分かる。
ただ、『制服』は着ておらず、
学校指定の『ジャージ』を着用していた。
課外活動の最中だったのかもしれない。
『性別』は――――少なくとも、
この場にいる人間は『誰も知らない』。

「中等部一年『生徒会』の三枝千草です。
 『書記』なので、大きな事は出来ないですけど……」

「えっと…………」

「見出しですけど、やっぱり、
 『学生の心を煽る内容』が良さそうな気がします。
 一緒にやりたくなるような……」

「『限られた学生生活。普通に過ごすだけじゃつまらない。
 今しか出来ない事をしよう。季節外れのクリスマス』」

「――そんな感じの雰囲気だと、
 興味を持ってもらえる気がします。
 そこに先輩方の取材記事を載せて、
 『学校中でやりたい』という言葉も付け加えて……。
 考えているだけなら自由ですから」

「『変わった事をしている人達がいる』
 くらいしか思われないかもしれません。
 でも、心の中では、みんな何となく気にするはずです」
 
「『潜在的な協力者』を作っておいて、それから、
 導火線に火を点けるのがいいんじゃないかと思います。
 『ノリのいい人』なら、きっと最初に乗ってくれます。
 そういう人から狙うのがいいと思います」

「その……『飾り付け』の事ですけど……」

「学校全部に一斉に飾り付けするのは難しそうなので、
 今からでも出来そうな場所は、
 早めにやっておいてもいいかもしれないです」

「『部室』なら、普通の教室よりハードルは低いと思います。
 顧問の先生の許可だけでいいですから。
 たとえば……『スノードームを置く』くらいでもいいと思います」

「ちょっとずつ範囲を広げていけば、
 無理なく学校中に浸透させられる気がします。
 実際にクリスマスの飾りを見た方が、
 『やろう』っていう気持ちも大きくなると思います」

「あの…………『以上』です」

       ペコリ

少しでもお手伝いが出来たら嬉しいです。
『立派な人間』になりたいですから。
誰からも尊敬されるような人になって、
『素晴らしい死に方』をしたいです。

285『夏空にダイヤモンドを灯せ』:2021/09/18(土) 20:08:01
>>281-284

小林「ふむ……空井さん、村田さん、黒羽さん、千草さん。
総合的に、今の案を纏めるとして、です。
学生寮及び学校の飾り付け。これは、今からでも出来る事ですので会議終了後に
私や親友含め、先程飛び出していった娘(※朝山)にも呼び掛けて学校が閉まる
まで出来る範囲で行いましょう。寮は夜間でも私一人で出来ますし」

ヤジ「そこは俺も手伝わせろよ。水臭いなジョーは」

小林「君は所属してる『アリーナ』に便宜を図るよう色々して貰いたいし
疲労は残さないほうがいいでしょう。そして、次です。
黒羽さんの力と共に、我々の他に学生の協力者を集ってインタビューを載せる。
今回の中核として調査に向かった方達も全員清月に通う人達のようですから
その二人や私達。他にも知り合いのコメントを載せれば結構な量です。
私達の関係性を一般の方達が知る由もない。周囲には奇妙な関連性のない
冬のイベントを希望する者達と映り、色眼鏡で見られるでしょうが
何やら面白そうだと、刺激を潜在的に求める方達を引き寄せる効果はある筈です。
――雪崩現象へと持っていきましょう。

……村田さんも告げた通り、学園外。そちらが最終関門となります
エド・サンズさんと私の資金でテレビ・ラジオ・新聞での宣伝。
学園の変化を外の方達が目に付けば僥倖。我々の知る埒外で動いて下さる方達も
色々としてくださってるとは思いますが、街全体を動かすと言うのは史上に
難しい事だと思います……それでも」

 それでも……やるしかありません。小林は何時になく硬い顔つきで呟く。

小林「……あぁ、それと我々にとって一番ある種、関わりの深い方達。
『供与者』の方達にも、協力を要請しましょうか」

ヤジ「確かに、お前らにとっちゃ一番深い関係だよな。
ジョー。飾り付けは学校のほうが終わった後、そっち(音仙)へ寄ってろよ
俺は先に寮で準備をしておくからよ」

小林「助かります」

方針は、幾らか纏まって来た。それでも、まだ不確定な部分は当然ながら存在する。

この街の供与者として、比較的邂逅が容易なのは『音仙』と……『欲の部屋』だ。

286黒羽 灯世『インク』:2021/09/18(土) 22:22:03
>>283-286

「――――あら! フフ、あなたの強みをまた一つ知れたのだわ。
 そうね、センセーショナルな見出しは絶対的に必要。
 でも、火を点けるためには『油を撒いておく』のも重要」

「新聞部の部室は……部屋自体はちょっと難しいけど、
 私の机にスノードームを置くだけならすぐでしょうね」

新聞部は他の部活に比べても『公共性』が高い。
つまり、『教師の介入度が高い』という事だ。
部屋自体をいきなり変えるのは相応に難しいが、
浸透作戦を取るなら、小さなことからでも良いだろう。

「『インタビュー』を行うに際して、
 私はこの件を『知らないというていで』取材する。
 身内のインタビューじゃあ、露骨すぎるものね。
 幸い、私と貴方達の関係を知る者は少ないのだわ。
 ――――くれぐれも、他言も無用よ?」

「町の外については学内新聞だけでは無理はあるけど、
 『城址公園』内の掲示板に記事を貼る事は十分に可能。
 あそこを散歩道にしてる人間になら、間接的に届けられるのだわ」

自分に出来る事を改めて口に出し、それから。

「…………『供与者』?
 それは、どうなのかしら。彼らはこういう物事に『手だし』してくるの?」

           「まあ、話すだけ話してもみてもいいのでしょうけど。
            私はあんまり期待できないと思ってるのだわ。
            なんとなく――――の話だけどね」

287空井イエリ『ソラリス』:2021/09/19(日) 23:07:25
>>283

「たしかに――――
 クリスマスって言うのは、相乗効果かもな。
 飾りもつけなきゃいけないし、
 サンタクロースがいなきゃいけないし、
 クリスマスソングだって、無いと盛り上がらない。
 ああ、雪も降ってた方が幻想的かもな?」

向かっている方向は同じであり、
それらのベクトルが合わさってなお、
町そのものを動かすのは至難だろう。

「たとえば『正月狙い』の人たちとか、
 そういうのもいないだろうし。
 仮にあったとしても、おれたちが動くのに変わりはないし。
 そこを考えるのはどこまでも杞憂でしかない、か」

288三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2021/09/21(火) 02:41:52
>>(全体)

「ありがとうございます」

      ペコリ

「少しでも先輩方のお役に立ちたいので…………」

黒羽先輩にお辞儀をしておきます。
季節外れのクリスマスを広める。
とても難しい事だと思います。
他には何かないでしょうか。
考えてみましょう。

「あの…………『サクラ』というのはいかがでしょうか?」

「記事を見て乗ったように見せれば、
 『何も知らない人達』を誘導できるかもしれません。
 本当は良くない事ですけど――――」

「それが『きっかけ作り』に繋がれば嬉しいです」

『最初に乗ってくれる人』が、いつ現れるかは分かりません。
それなら、『用意してしまう』のが確実だと思います。
小林先輩の言われた『雪崩』を起こすなら、『雪』だけでなく、
『崩れるきっかけ』も準備した方がいいように思いました。

289村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/22(水) 15:29:57
>>284-288

 「よし、話は大筋でまとまったな。
 あとは動くだけだ。『起点』のほうは任せておけ。
 おれが一番『手が速い』し、高いところにも手が届く。」

メモ帳を取り出して自分の連絡先を書き殴り、ページをちぎって机上へ放る。

 「あとは各々頼む。飾り付けが終わればその段階で黒羽に連絡をする。
 もし街中で似たような仕込みをしてる奴がいたら、おれたちのプランをひろめておいてくれ。
 早速おれは寮に戻って仕込みをする。また後日会おう。」

そこまで言って、足早に部屋を出て行く。時間は有限だ。

290ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2021/09/22(水) 20:07:15

         「ミャー」

いつの間にかラッコが紛れ込んでいた。
ラッコは『北の海』に生息する生き物。
何かに使えるかもしれない。
使えないかもしれない。
理解しているとは思えないが、話は聞いているようだ。

291猫『マシュメロ』+ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2021/09/22(水) 22:49:54
>>290

「にゃーん」


灰色の猫がのしのし侵入してきた。
一直線にラッコに近づいていく。


「おっ、ラッコじゃ」


猫を追いかけてきたのか、後ろには金髪の子供の姿もある。

292関 寿々芽『ペイデイ』:2021/09/23(木) 13:48:42
>全体

「あぁっユキシラさあ〜ん。 待ってくださいよう。
 猫ちゃんを追いかけてこんなところにまで……あらっ」

         「もしかして」

「お取込み中だったかしら……あっ!!」

すれ違った『村田』に会釈しつつ、
猫を追うユキシラを追って来たお団子頭の少女も入ってきた。

「あの時のラッコさん……に、ヤジさんにジョーさんに。
 もしかして、学校に集まれっていうのは、
 ここに集まってくれ、っていう事だったんでしょうか……?」

           「あのう、これって……
             『夏』に関係するお話ですよねえ」

七篠からの続報待ちで公園にいたので、
校内放送は聞いていない――――ここに来たのは偶然だった。

293『夏空にダイヤモンドを灯せ』:2021/09/23(木) 14:55:08
>>286-292

小林「あの方達(供与者)とて、この街に住む人たち……力を授けた人達は
言うなれば自分の子とは言わずも、幾らか情もあるでしょうし。自分の住まう場所を
飾り付けてくれる位はしてくれると期待しましょう」

ヤジ「千草ちゃん達の言う通り、『サクラ』は必要だわな。
俺も、学園の幾らか知ってる不良達には参加してくれるように頼むよ。
スタンド使いの知り合いは、ジョーや他に任せるって事で」

小林「出来る限り知ってる方に話は付けます。
……あぁ関さん、ようこそ。来てくれて本当に助かりました。
はい『夏の魔物を退治する為に街全体に冬の風物詩を満たす』会議で間違いないですよ」

丁寧に、彼は今来た人たちへと。これまで話し合った会議の情報
多いが、なるべく噛み砕いて来た子供達にも理解出来るよう説明する。

294ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2021/09/23(木) 19:14:33
>>291

「ミャー」

ラッコは猫を見た。
何を考えているか分からないつぶらな瞳だ。
何も考えていないだけかもしれない。

         ジッ

それから、後ろの子供に視線が移る。
前に見た事があったせいだろうか。
あの時は、主にラッコが騒動を巻き起こしていたが。

>>292

「ミャー」

湖で釣り上げられた事のあるラッコは、
少女を見て鳴き声を上げた。
挨拶かもしれない。
ただ何となく鳴いただけかもしれない。
何故ここにいるのかは誰にも分からない。
とりあえず大人しくしているようだ。

295猫『マシュメロ』+ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2021/09/23(木) 22:07:13
>>292-293

「すずめちゃんもラッコと知り合いか?
 ラッコもクリスマスを……?
 しかし会議ってあれじゃろう。皆で椅子に座って話すやつ」


ドラマを見た会議をイメージしつつ、何か話すらしいことは理解したようだ。
ちらちらと動物たちを見ながらも、関や男性たちの話に耳を傾ける。


「なにかすごい事になっておるんじゃな。
 わしもクリスマスっぽいものを調達してきたぞ。これを撒けばよいのか?」


高い金を払って機械を借りるなど、大掛かりだ。
一般企業の手を借りられないのだからこれでも本物には及ばないのかもしれないが……
ところでナイの手にあるのは『商売繁盛のお守り』だ。
色は赤で、緑の糸が使われているあたり、クリスマスカラーと言い張れなくもない……だろうか?


>>294

「ニャー」


猫はヒトの話など聞いていない。
ラッコを嗅ぎまわっている。

  シュッシュッ

そして猫ハンドでラッコをはたく!
……いや、微妙に触れていない! 空振りしている!

296ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2021/09/23(木) 22:25:56
>>295

猫に嗅ぎ回られた。
おそらく、あまり馴染みのない匂いだろう。
ラッコが猫を見たのは、多分初めてだ。

「ミャー」

客観的には似たような鳴き声だが、
『海生哺乳類』と『陸生哺乳類』の邂逅である。
ラッコは、どこか涼しそうな顔をしているように見えた。
空振り猫パンチで、微妙に風が送られているせいだろうか。

          ゴソッ

ラッコの脇には『ポケット』がある。
前足を使って器用に取り出したのは、
『新年パーティー』に現れた時にもらった、
『銀で出来た星のペンダント』だ。
『猫に小判』という言葉があるが、
それに近いような感じもする。

「ミャァ」

『星』といえば『クリスマスツリーの天辺』にあるもの。
会議に参加しているのかもしれない。
ただ何となく自慢したくなっただけかもしれない。

297黒羽 灯世『インク』:2021/09/23(木) 23:17:08
>>289-296

「ま……当たってみるだけみても、損はしないかしらね。
 あそこが町の一部かどうかは、議論が分かれそうだけど」

供与者の介入は確実性が高くないし、
場合によっては制御不能の事態を招きかねない。
黒羽の中では優先度がかなり低い案件だが、
覚えておいて一応損はしない…………だろう。

「え! な、な、何!? ラッコに猫に……………いえ。
 今は、もっと……もっと重要な取材対象があるから。
 後回しなのだわ、そう。だから『一枚撮るだけ』」

       パシャパシャ

「優れた記者は、取材対象の取捨選択も上手い物だわ!」

ラッコの写真と――――
これは念の為だが、村田の連絡先も撮っておく。

「とりあえず……
 記事を作るためにはちょっと準備もいるから。
 私は部室に戻るのだわ。
 ここにいたら違う記事ばかり書きたくなりそうだし!」

        「何かあれば連絡を頂戴!」

そして万年筆でメモ紙に連絡先を書き、
村田同様に机の上にそれを残して、この場から立ち去る。

298空井イエリ『ソラリス』:2021/09/23(木) 23:22:56
>>288(三枝)
>全体

「お嬢さん……いや、お坊ちゃんか、
 まあ、そこんところはどっちでもいいな。
 そのアイディアは実際、よく効くと思うぜ」

「特に、『人気者』がノってる事は皆気になる。
 逆に言うと……おれみたいなのがノってても、 
 また妙なことをしてるな、と思われるだけだろうけどな?」

この場にいる人間の多くは、学園の中で、
どちらかと言えば『アウトロー』寄りだろう。
そうした人間は『火付け役』には向かない。

「適当なヤツじゃボヤがせいぜい。
 できることなら、交友関係が広くて……
 人間関係の中心にいるようなヤツに、
 サクラ役を引き受けさせられれば、最高だろうな」

そんな知り合いは残念ながらいない……か、
いたとしても、頼み事をするほどの間柄ではないが。

299猫『マシュメロ』+ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2021/09/23(木) 23:24:52
>>296

   ポムス!

微動だにしないラッコに、ついに猫パンチがヒットする!
しかし体重差や毛皮を考えるとダメージは無いだろう。
毛皮に『肉球のマーク』がついたが。


「……なんじゃ? くれるのか?」


ラッコのつぶらな瞳からはその思考は読み取れない。
子供は自分の都合のいいように解釈したようだった。
星飾りを取り、代わりに『商売繁盛のお守り』を置いた。
勝手な行動だが、『ベター・ビリーブ・イット』は『交換』が成立したかどうかが分かるので、
ラッコが嫌なら『交換不成立』ということは伝わるだろう。

300関 寿々芽『ペイデイ』:2021/09/23(木) 23:44:09
>>293(小林)

「ふふ……ちょっと、友達に呼ばれて来ましてねえ!
 ただ、その子は来てないみたいなんですけど……
 後は、ええとお、風歌さん……っていう方も、
 学校に来るって聞いているんですけど……
 あのう、この中に風歌さんはいる感じでしょうか〜?」

呼ばれて来てはみたが……
どうも、それとは『別件の集まり』なのだろうか。
目的自体は同じ『夏』を終わらせる事、だが。
 
「はぁい、とりあえず方針は分かりましたよう。
 ただ……学内だと、私に手伝える事は、
 あんまり……多くなさそうですけどねえ」

寿々芽はクラスメイトという存在が無い。
登校してくるのも、月に数度だけだし、
関を含め『事情』があって通っている者が大半だ。
助け合い、というものが出来る土壌には乏しい。

(…………………………『アリーナ』の人たちや、
 家族の皆には、手伝って貰うべきじゃあないですし)

また、オープンにやる方針である以上、
『裏』を介入させるような真似は出来る限り避けたい。

「学内の飾り付けをこの後やるようでしたら、
 それの手伝いは、させていただきますよう〜。
 私を呼んだ子から連絡が来るまで……ですけど。
 待ち時間も活用するのが、経済的ですからねえ」

>>294-295(ラッコ、猫、ナイ)

「ふふふ、そうなんですよう。
 前に一度、お会いした事があって……
 ユキシラさんもお友達だったんですねえ」

ナイに微笑みかけて、
そのままラッコに視線を向けてしゃがみ込む。

「ラッコさんは会議のことは、
 あんまりよく分かってなさそうですけど……
 元気にしてるみたいで何よりです〜。
 こんなに水のないところにいて、
 大丈夫なのかは気になりますけどぉ……」

           ジッ…

「元気そうですし、大丈夫なんですかね〜?」

妙に乾燥してる感じだったりしないだろうか?
ラッコの生態には詳しくはないので、気にかかる。

「まあっ、星? もしかしてクリスマス飾りなんじゃあ……
 ううん、そこまで賢いのかはちょっと分かりませんけど〜」

>全体

「……とりあえず、クリスマスっぽい物を『手に入れたい』なら、
 私の『能力』があれば、ある程度は『買える』と思いますよう」

ラッコの手のペンダントから視線を切り、
一同を見渡しながら立ち上がって。

「『ペイデイ』」

皆に見えるように『帳簿』を発現する。

「私は……『市販してる日用品』でしたら、
 なんでも『買える』という能力を、持っていますので」
  
      「あ……一応言っておきますけど、
       この場にいない方には、
       私の能力はご内密にお願いしますねえ」

能力について『全て』を明かす気はないが、
とりあえず、『飾り物不足』に陥る可能性は低いだろう。

(ユキシラさんの能力もあれば……もっと利益がでますけど。
 ……無理矢理手伝わせるのも、なんだか悪い気がしますし〜)

ユキシラにちら、と視線を向ける。
彼女の『能力』……も、無差別に広まってほしくもない、が。

301ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2021/09/24(金) 00:21:23
>>299

     「 ミ ュ ッ 」

唐突でもない猫パンチを食らい、声を上げるラッコ。
しかし、寒冷な海で過ごすラッコは、
とても分厚い毛皮で覆われている。
衝撃は吸収され、幸いダメージを受ける事はなかった。

        ジッ

ラッコは『お守り』を見た。
しかし、『交換』は成立しないようだ。
これでも野生動物の端くれであり、
意外と取引には慎重なのかもしれない。

        「ミュゥ」

代わりに『肉球マーク』を見つめる。
お守りよりも、そちらに興味を引かれたらしい。
前足で触れてみたりしている。

>>300

ラッコは海で暮らす生き物だが、
かつては陸に近い海辺で生活していたらしい。
昔は日光浴をしている群れも珍しくなかったようだが、
無警戒が仇となり、あっという間に狩り尽くされてしまった。
その結果として、現在のような生態に至ったとされている。

        「ミャァ」

会議の内容を理解しているのかいないのか、
ラッコは猫と戯れている。
平気な顔をしている所を見ると、大丈夫なのだろう。
ラッコは海の動物ではあるが、陸に上がっても死なない。
クジラやイルカなど、他の海生哺乳類とは違う点だ。
それを差し引いても、『なぜ学校内に現れたのか』は、
依然として謎のままだが。

302猫『マシュメロ』+ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2021/09/24(金) 00:45:27
>>301

「くれるわけではないのか……
 それとも、別の物がよいのか?」


    ポスッポスッ


腕を組み考える子供を横目に、猫はさらに執拗にパンチを繰り出した。
『肉球マーク』が増える。
ラッコは短い手で『肉球マーク』を触ろうとするが、届かなかった。
四足歩行の猫のパンチと、直立したラッコの位置関係の問題だ。
まあ、触ったところで別に何があるわけでもないのだが。


>>300

「のう、すずめちゃん、ラッコって何を欲しがると思う?」


悩んでいると、ちょうど関と目が合ったので相談してみる。

303ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2021/09/24(金) 01:26:49
>>302

触ろうとしても触れないので、ラッコは触ろうとするのを止めた。

        「ミャー」

猫の好きにやらせているため、『肉球マーク』は増えていく。

         ゴソ

逆のポケットを漁り、今度は『貝殻』を取り出した。
全く冬らしくはなく、むしろ夏っぽさを感じさせる白い貝殻だ。
食べかけらしく、貝柱が残っている。

         ソッ

ラッコは、それを猫の近くに置いた。
注意が逸れるのではないかと思っているのかもしれない。
あるいは『交換』の妥協案として出したのかもしれなかった。

304三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2021/09/24(金) 18:33:12
>>298

「中等部一年の『三枝千草』です。
 『三つの枝』に『千の草』と書きます」

         ペコリ

「あの、先輩、よろしくお願いします」

先輩のお話は、その通りだと思います。
不良の方の周りに集まるのは、
どうしても『同じ種類の人達』が多くなります。
それだと、特定のグループだけで話が終わってしまいます。

「『普段は乗らなさそうな人の方が信憑性は高い』」

「――――そういう意味でしょうか?」

「先生方も納得させなければいけませんから、
 なるべく『覚えのいい人』が適任だと思います」

心の中で候補を思い浮かべます。
小林先輩、鉄先輩、斑鳩先輩、日沼先輩、
猿渡先輩、今泉先輩、成田先輩、黒羽先輩……。
先輩の知り合いが多いです。

「それでしたら、千草に『心当たり』があります。
 連絡先も知ってますから、お知らせしておきます」

スマートフォンを取り出して、メールを送ります。

305関 寿々芽『ペイデイ』:2021/09/24(金) 23:02:51
>>301 >>303(ラッコ)
>>302(ユキシラ)

「えぇっ、そうですねえ〜っ。
 ううん、ラッコと言えばやっぱり……
 私なら『ホタテ』を思い浮かべますけど」

            パラ

「ユキシラさん、ホタテは出せますか〜?
 私の能力なら買うことは出来ますけど……
 あ、皆さんに見せるのにちょうどいいのかも」

帳簿をめくり、『ホタテ貝』を頭に浮かべる。
ラッコが腹の上に乗せて叩いている印象には、
ホタテ側を主体に置いたとしてもすぐに辿り着く。

「あらっ……喧嘩してるのかしら、どうしましょう。
 二匹を引き離した方がいいんですかねえ〜、こういう場合」

ラッコを何度も叩く猫を覗きながら、
ユキシラに、のんびりとしたことを問い掛ける。
夏も魔物もあった物ではないが……

「……こうしていると、一大事が起きてるなんて想像もつきませんよう。
 だからこそ、スタンドを知らない人達を動かすのは難しいんでしょうねえ〜……」

夏も魔物も跋扈しているような状況では『ない』からこそ、
この事態を収束させるのが難しいのだ、という事を再確認出来る。

306空井イエリ『ソラリス』:2021/09/24(金) 23:10:24
>>304

「詩的で……素敵な、名前だと思うぜ。
 おれは空井(うつい)イエリ。
 空っぽの井戸、に……イエリ、はカタカナだよ。
 三枝君、こちらこそよろしく」

小さく頷く。

「いいや、逆だ……逆ってほどでもないかな?
 『人間関係の中心にいる奴』ってのは、
 『いつもいつもブームを追ってる奴ら』さ。
 そいつらに今回のブームも、追ってもらえばいい。
 そいつらを追ってる奴らがそこに連鎖するから」

皮肉げな笑みを浮かべる。
イエリは『人間関係』を疎む側面があるが、
そうした在り方を望ましいとは思っていない。

「おれの知り合いには少ないタイプだ。
 …………おまえさんの人脈を、頼らせてくれるかな」

むしろ、人間関係を上手く作れる人間は尊敬に値する。

307猫『マシュメロ』+ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2021/09/24(金) 23:27:56
>>303>>305

「ホタテ……貝ということか。持っておらんわ」


見ると、ちょうどラッコが貝を取り出したところだった。
中身は貝柱しか無いらしいが……
猫は目論見通り(?)貝を嗅いで、嫌そうに顔をブルブル振ったあと、関の足の間に絡みに行った。


「貝を催促しておる……ということか?
 しかし金は無いからの……
 これと交換とかどうじゃ?」


ナイはラッコが差し出した貝に、別の解釈をしたらしい。
糸くずを『赤い靴下のお守り』と『スズランの押し花(クリスマス風)』に変えながら、関にひっつく。
商売繁盛のお守りと比べるとクリスマス的なグッズだ。
しょっちゅう『交換』のタネに糸くずを取っているのか、Tシャツの側面がビリビリになっていた。


「あと、ほら、わしもクリスマスの手伝いとかするから」


元々クリスマスに協力する者の会議なのだが……
だがお願いを聞けばとりあえずこれでナイは関の言うことを聞くだろう。

308三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2021/09/25(土) 00:16:18
>>306

「空井先輩ですね。よろしくお願いします」

        ペコリ

「あっ、『そういう意味』でしたか」

「それだと『当てはまりません』けど……」

        ――――ポン

そこで、思い付いて両手を合わせました。

「『両方』はどうでしょうか?
 『違うタイプの人が一丸となって』というシナリオです」

「『学内の協調』にも繋がるというのは、
 後から先生方を説得するのにも役立つと思います」

「『サクラ役』はお願いしておきました。
 それから、『スカイモール』などのセレクトショップに、
 『クリスマス商品』の問い合わせを頼まれました。
 お店に『クリスマス』を取り上げてもらうためみたいです」

「出来るだけ多い方がいいそうですから、
 空井先輩達にもお願いしたいです」

        ペコリ

309関 寿々芽『ペイデイ』:2021/09/25(土) 00:44:29
>>307
 
            「あらっ……」

足の間に来た猫を挟まないように気をつけ。

     「まあ……ふふ」

ひっついてきたユキシラの視線に高さを合わせる。

「……ああっ、ええと。
 私もラッコさんの言葉は分かりませんから、
 他のが欲しいことも、あるかもしれませんけど」

特大ホタテ3枚セット――『1500円』
ttps://ux.nu/WJihT

          ・・・『購入』する。

「これくらいの出費なら……
 お駄賃としては、とっても経済的です。
 お支払いは、そのクリスマスで……って!
 ユキシラさあん、シャツがボロボロですよ〜?
 むしっちゃうなら、新しいのに変えないと……」

「せっかくですし……
 クリスマスらしい格好を着てみるのも、
 案外似合うかもしれませんねえ〜?」

ユキシラは『能力』で洋服くらい出せるはずなので、
服が劣化しているのは、ものぐさだと解釈した。

「まあ……でも。今はお先に。
 ラッコさん〜。これと交換ならどうですかあ?」

より深く姿勢を落として、『ホタテ貝3枚』を差し出してみる。

310ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2021/09/25(土) 00:46:10
>>305

見る限りでは、猫が一方的にラッコを叩いているようだった。
ラッコは何を考えているか分からない顔で猫を見ている。
とりあえず猫が離れたので、引き離す必要はなくなったらしい。

           「ミュゥ」

興味を引かれたらしく、ラッコは帳簿に視線を向けた。

>>307

やはり『交換』は起こらない。
ラッコの好みには合わなかったようだ。
猫を引き離せたので、満足しているのかもしれない。

           「ミャァ」

ラッコは関の方に視線を移している。

311空井イエリ『ソラリス』:2021/09/25(土) 00:52:29
>>308

「なるほど――よく出来た案だぜ。
 もっと広い範囲に波及させられるし、 
 そうなるとつまり、文句が出難くもなる。
 ただ、あんまり出来すぎてると……
 作為が滲みやすくなりそうではある。
 けど、それくらいのいちゃもんしか、
 おれにはつけられないな」

「――狙ってやれるかはわからないが。
 サクラ役の手腕にも期待しておこうか」

          フ…

「そして、おれも期待に応えないとな?
 いいぜ、あちこちに問い合わせを送っておこう。
 通ってる本屋とか、服屋とかにも……
 肉声だと『おれだとバレる』かもしれないから、
 メールか何かで問い合わせるのもいいかもな」

イエリの声は鈴が鳴るようで、
どちらかと言えば『特徴的』だ。
だが、文面の個性を消すことくらいは可能だ。

「もちろん迷惑にならない範囲で、ではあるが……」

               チラ

それにしてもあっちは何をしてるのだろう。
ラッコに餌をやっているが……何故?

312猫『マシュメロ』+ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2021/09/25(土) 01:03:28
>>309-310

「クリスマスらしい恰好は暑そうじゃな……
 紙とかで、何か、こう、つくるか。
 さくら? の人たちにも配って」


幼児向けの工作番組を真似てか、手をハサミのように模してちょきちょきする。
赤い紙で作った帽子など、夏に行うクリスマスの仮装としては悪くないだろう。
一般人に配るのも、もっと有用なものならば、受け取ってもらえるかもしれない。
ナイならほぼ無料で配れるのが強みだ。


「あっ、わしがやる。わしが」


関の手からホタテを一枚奪い、クリスマスグッズを押し付けて、
ラッコにグイグイとホタテを与えようとする。
親しくなったからかテンションが上がったからか、遠慮が無くなってきている。


>>311

足元にシュッとした感触。


「ナーン」


猫だ。人々の足元をすり抜けているらしい。

313ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2021/09/25(土) 01:06:48
>>309

             「ミャー」

      トトトトト

不意に現れた『特大ホタテ』を見て、ラッコが近寄ってきた。
明確な反応だ。
しかし、ラッコは何処までもラッコである。

           スクッ

          「ミャッ」

もらえると思ったのか、ラッコが後ろ足で立ち上がる。
話の内容が良く分かっていないのかもしれない。
野生のラッコとのコミュニケーションは、なかなか難しいようだ。

314関 寿々芽『ペイデイ』:2021/09/25(土) 01:11:54
>>310 >>313(ラッコ)

気になる帳簿からは『ホタテ貝』が出てきたのだった。
何かの奇跡だろうか? しかもこれはラッコのものだ。

「ふ…………本当に。可愛らしいですねぇ〜」

目を細めてラッコを見つめる関。
前にもこうして餌をやることがあったが・・・
関としても、やはり、癒やされるものはある。

(意味はあんまり分かってなさそうですけど……
 その分かってなさそうなのも、可愛いんですよねえ)

アニマルセラピー、というほどのものかは分からないが……

>>312(ユキシラ)

「ああ、それはそうですねえ……
 サンタ服はこの季節にはちょっと、ですし。
 紙のサンタ帽子に〜…………ううん。
 夏とクリスマスは、噛み合いませんねえ、どうしても」

言うだけ言ったが……
クリスマスらしい服装というのは結構難しい。
ユキシラの提案するような『紙細工』などは、
暑さ・重さの制約から解き放たれていて良いものだ。

「わっ……ふふふ。ええ、どうぞどうぞ。
 ほら、とっても欲しがってるみたいですようラッコさんも!」

関としても子供にじゃれられるのは好きなので、
ホタテ貝は、ユキシラの方から渡させてやることにした。

受け取ったクリスマスグッズ(?)は開いた帳簿の上に乗せておく。

315ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2021/09/25(土) 01:13:37
>>312

          「ミュゥ」

     グイッ

遠慮なしにホタテを押し付けられた。
ラッコはホタテの匂いを嗅いでいる。
次に取る行動は一つしかないだろう。

         ――――パクッ

ラッコはホタテを食べた。
野生の動物として当然の帰結である。
幸せそうな表情だ。

316猫『マシュメロ』+ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2021/09/25(土) 01:26:01
>>314-315

「お、食べておる。かわいいの」


石で貝を割るところが見れないのは残念だが、自分の手から食べる姿も可愛らしい。
逆の手でラッコを撫でる。
いつのまにかラッコの体から『肉球マーク』は消えていた。


「ということはこの星飾りはわしのものじゃ。
 そうじゃろう?」


ナイの主観によるとそうなるが、はたしてラッコに理解できるのか?

317ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2021/09/25(土) 01:48:16
>>316

ラッコは撫でられて気持ち良さそうにしている。

          「ミュー」

ナイの主観に反して、『交換』は起こらない。
ラッコの感覚からすると、出されたから食べただけである。
関が差し出しただけなら、そこで止まっていたかもしれない。
しかし、ナイは露骨に与えようとした。
ゆえに、ラッコは当然それを食べたのであった。

           ゴソッ

ラッコはポケットを漁り、小さな粒のようなものを取り出した。
どうやら『真珠』らしい。
そんなに大きなものではないので、
おそらく数千円くらいだろう。

            ――――ソッ

       「ミャゥ」

床に置いた所を見ると、くれるようだ。

318ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2021/09/25(土) 01:58:04
>>317

「むう……!
 こやつめ、ならばクリスマスの宣伝として働いてもらおう」


仕方ないので『銀で出来た星のペンダント』を返す。
無理矢理取り上げるのでは意味が無いのだ。
代わりに強制労働させようとするが……


「うん? なんじゃこれは。
 ……星飾りはダメじゃが、これと交換……ということか!?」


ぽん、と食べ終わった中身の無い貝を、ラッコの頭の上に置いて、
ラッコの様子をうかがいながら真珠を手に取る。

319ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2021/09/25(土) 02:13:26
>>318

         「ミャッ」

貝殻を頭に乗せられた。
ラッコは、中身のなくなった貝には興味を失っている。
『真珠』は『交換』ではなく『あげる』という事らしい。
あくまでも『交換』を要求する事も出来るだろうが、
何となく『これ以上』はない気もした。
世の中というのは、
必ずしも互いの意思が合致するとは限らないのだろう。

         「ミャー」

ましてや人とラッコだ。
ここまで通じただけでも奇跡的と言っていい。
ラッコは『銀のペンダント』をポケットに戻し、
その場で横になった。
とりあえず適当に置いておくだけでも客寄せにはなるだろう。
ラッコに強制労働の義務はないが、
よほどの事でもなければ拒む事もないかもしれない。

320ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2021/09/25(土) 02:24:17
>>319

「むう。ラッコと話せたらよいのじゃがの……」


子供というものも大概話を聞かないものだが、
大人を相手にするならともかく、
動物を相手に合意を得ようとするのは分が悪かった。


「まあ仕方がないの。
 お前をクリスマスにしてやろう」


強制労働も何も、ラッコはただそこにいるだけなのだろうが……
いや、こんなところにいるだけでありがたいと言えるか。
ラッコがサンタの恰好をしていれば、SNSでバズって一般人にもクリスマスが伝わるかもしれない。


「猫とラッコをクリスマスに……ん? 猫はどこへ行った? 猫ー?」


学内の飾りつけの準備で2匹もそういう恰好をさせるつもりなのか、
ナイは猫を探しに行った。まあ、この部屋にはいるだろう。

321関 寿々芽『ペイデイ』:2021/09/25(土) 03:14:19
>>315-320

「ふふふ……」

          ニコォ ・・・

ユキシラとラッコのやり取りを見ていた。
どうやら丸く(?)収まったようだ。

「お洋服は私じゃあ買えませんので、
 モールかどこかのペットショップ……ですかねえ」            

猫がどこに行ったのかは謎だが、
そちらはユキシラに任せておく。

「ラッコさんが着れる物があるのかは分かりませんけど。
 リボンだけでも付ければ、それらしくなりますかねえ〜?」

残り二個のうち一個のホタテをラッコの傍に置いておきつつ、
とりあえず、『会議側』にいる面々の様子も見ておこう。

322空井イエリ『ソラリス』:2021/09/25(土) 03:18:30
>>293(小林・ヤジ)
>>312(猫)

「――――さて、大方方針もまとまったんじゃないかな?
 次に何をするかも決まっていることだ。
 教師や風紀委員なんかがここに止めに来る前に――――」 

                 「っと」

       「猫が」


足元をすり抜ける猫を躱しつつ、
会議を仕切る面々に声をかける。

「まあ、猫は自由なのが仕事みたいなものだから。
 ……ラッコをどうするかは考えたこともないけど」

「いずれにしても、そろそろだぜ?
 『行動』ってやつを、始めるのも良いんじゃないかと思う」

動き出すに十分な『案』は出たようにも思える。
もちろん、さらなるすり合わせをこの場で行うのも手ではあるが……

323『夏空にダイヤモンドを灯せ』:2021/09/26(日) 01:47:31

小林「関さん……考えたんですが『クリスマスらしい服装』だからと言って
何も本格的なサンタ服は……何着かは誰かに着て貰う必要はあるかと思いますが
一般の方達も参加して貰う際は残暑の時期だと難しいです。
ですので、その方達には『クリスマス柄のシャツ』にしてみては?」

ttps://www.amazon.co.jp/%E6%9F%84%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BA%E5%8D%8A%E8%A2%96-%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%82%AF-%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E7%A7%8B%E6%9C%8D-Color/dp/B09GN3R7Z1/ref=sr_1_4?adgrpid=116691708675&dchild=1&hvadid=536068463886&hvdev=c&hvqmt=b&hvtargid=kwd-1089558899207&hydadcr=22878_13452450&jp-ad-ap=0&keywords=%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%B9%E6%9F%84%EF%BD%94%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%84&qid=1632587705&sr=8-4

↑のように、クリスマスの柄が描かれたシャツ類はアパレルショップなりで売っている。

小林「申し訳ないですが、私は広告の為に全額資金を投入しており。そちらの装飾まで
援助は出来ません」

ヤジ「なるべく、俺も小遣いで一着はクリスマス柄のシャツを買うよ。不良仲間にも
伝達して、当日には着るようにな。あとクリスマス帽子。
本格的なサンタ服を強制して着させるのは難しいが、シャツぐらいなら一日ちょいと
馬鹿騒ぎってノリで着てくれるだろうし……あぁ、てか白いシャツに
『サンタのペイント』するとか、どうよ? で、当日に一番上手く白シャツに
サンタ描いたやつ着てるのに賞品出すとか」

小林「成程っ、それなら文化祭の出し物として学生の大半が着てくれますね……!」

ヤジから『文化祭イベントとして、白いシャツにクリスマスのペイントを行い
それで一番上手と思える者に賞品を出す』と言うアイデア。

小林から『クリスマス柄シャツを当日に、街を含めた一般人に家にあるもので
構わないので着て貰う』と言うアイデアが出た。


小林「……そろそろ、動きましょうか。
今まで出し合った意見を元に……夏の魔物を全力で討つ為」

 やりましょう。そう、静かに宣戦の声が教室内に響いた……。

324ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2021/09/26(日) 21:46:06
>>320

        「ミャー」

『クリスマスに変える宣言』を出されたラッコは、
同意しているのかどうか分からない鳴き声を上げた。
成果に結び付くかは結果次第だが、利用する価値はある。
ナイや関のスマホで拡散する手もあるだろう。

>>321

      スンスン

             「ミュゥ」

                    ムグムグ

ホタテが近くに置かれると、
ラッコは匂いを嗅いでから食べ始めた。
会議の雰囲気もあったものではない。
しかし、大体の話は纏まっているようだし、
大きな問題にはならないだろう。

          「ミャウ」

『リボンを付けたラッコ』だけでは、
あまり『クリスマス感』はない。
しかし、周りがクリスマスらしくなっていれば、
リボンを付けて置いておくだけでも、
それらしくはなるはずだ。
おそらく客寄せには十分だろう。
少なくとも、ラッコには拒む様子は見られない。
単に分かっていないだけかもしれないが。

          「ミャァ」

ラッコの頭の上には、ナイが乗せた『ホタテの貝殻』がある。
『サンタの帽子』を被らせるのは良さそうだ。
リボンよりも分かりやすく『クリスマス感』を出せるだろう。
あるいは、どちらも着用させるか。
クリスマスのイメージを壊さなければ、
アイテム数が多くて困る事はなかろう。

325三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2021/09/26(日) 22:54:22
>>311

「ご協力ありがとうございます」

        ペコリ

「千草も出来るだけのお店に問い合わせをしておきます。
 たくさん聞くなら、文章が一番だと思います。
 『同じ人から』だというのは、きっとバレにくいです」

「サクラ役を頼んだ人は『鉄夕立』先輩です。
 高等部の方で、剣道をやっていらっしゃいます」

「とても真面目な方なので、
 『サクラの片棒』には打ってつけだと思います」

「――――?」

空井先輩の言葉で、そちらの様子に気付きました。
猫と何でしょうか?
もしかしたら、学校で飼育されているのかもしれません。

>>322
>>323

「宮田先輩の案も面白いと思います。
 『賞品で釣る』というのは、
 一番分かりやすい方法だと思います」

「『参加賞』を用意すれば、
 もっと人を集められるかもしれません。
 それも『クリスマスらしいもの』にしてしまえば、
 『一挙両得』に出来ないでしょうか?」

先輩方の言われるように、『動く頃合』でしょう。
千草に出来る事は多くありません。
でも、皆さんのために、出来るだけの事をしたいです。

326関 寿々芽『ペイデイ』:2021/09/27(月) 00:37:41
>>323-324

「く、クリスマス柄ですかあ〜。
 確かに……クリスマス以外には誰も着そうにないですねえ〜」    

      「私も……エプロンに、
       トナカイのアップリケでもつければ、
       お役に立てるかもしれませんねえ。
       確か100均でも売ってたような……」

『ペイデイ』で口元を隠し、目を細め、俯く――――思案の構えだった。

「……そうですねえ。
 『タイムイズマネー』とも言いますし〜、
 どんなに頑張っても、お金で時間は買えませんから」 

      (人を雇う以外では、ですけど)

「これ以上は細かいところを詰めるだけになりそうですし……
 私も、家事の合間に少しずつ、やれることを進めていきますよう」

            「……あら?」

と、そこで自分のスマホに入っているメールに気付いた。
さんざん待たされた相手ではあるが、待たせてしまった以上、お相子だろう。

「それじゃあ今日はここで解散……ですか〜?
 私はちょっと、メールをするので……お話からは、外れさせてもらいますけど」

           「ラッコさんも分かってくれた風ですし……ふふ。
             当日まで、行き場はどうしましょうねえ〜?」

やや姿勢を屈め、貝を貪るラッコに視線を向けつつ、『七篠』からの連絡へ応じる――――

327空井イエリ『ソラリス』:2021/09/27(月) 01:19:33
>>325

「なるほど、『悪ノリ』とは思われない人間。
 それは、サクラをさせるのに一番いいだろうな。
 ――――――さて、それじゃあ早速始めてみるか?」

             カタ ・・・

軽い体を椅子から持ち上げ、
スマートフォンの電源を入れる。

「『真夏のクリスマス特需』
 一生語り草になりそうな、すげー面白い話だ」

(そして――――人の命を救うってことは、
 ますます、おれの魂は重たくなれるだろうな)

あとは『目星』を付け、『問い合わせ』から始めていこう。
大きな行動ではないが――――数が集まれば、客の声は大企業を動かす。

328ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2021/09/27(月) 23:27:56
>>326

ラッコに人の言葉が理解できるとは思えないが、
同じ地球に生きる生物同士。
たとえ些細な点であったとしても、
どこかしら通じる部分はあるのかもしれない。
『食事』というのは、まさしくその『代表例』だろう。

       ムグ ムグ ムグ

目下、ラッコはホタテを食らう事に専念している。
『野生のラッコの連絡先』などあるはずもなく、
『その他の手段』で連絡を取る事も不可能。
移動方法は謎に包まれているが、このラッコは、
どこにでも現れる習性を持つため、
正確な居場所を掴む事は容易ではないだろう。

         「ミャァッ」

だが――――何となくだが、
『必要な時』には来てくれそうな気がした。

329ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2021/09/27(月) 23:33:33
>>328

あるいは――――当日までの『場所』を用意するか。
よほど悪い環境でもなければ、ラッコはそこにいるだろう。
どうするかは、ラッコを利用する人間次第だ。

330関 寿々芽『ペイデイ』:2021/09/28(火) 19:11:42
>全体
>>328

「あの〜、他の所で行動してる方から、
 『夏対策』の話が届きましたよう!」

『七篠』から来たメールを全員に見せて回る。
この人数なら読み上げるよりその方が合理的だ。

ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1456056964/471

「こっちでも出た話もありますけど〜。
 この、中学生の男の子の話は、
 今ちょうど向こうで『捕まった』ところみたいですよ」

『夏に囚われた』人間だけが、
積極的に妨害する理由を持っている。
道義で止めてくる人間もいるかもしれないが・・・

「……このあと『7日間』は邪魔は入らない。
 とりあえず、そういう風に考えてもよさそうですねえ」

情報共有を済ませ、再びラッコを見る。

「……私の家は、ちょっとラッコは置いておけないんですけどお、
 どなたかこの子を当日まで置いておける方っています〜?」

ラッコの背中の辺りに手を添えつつ、一応問いかけてみる。
確保しておかなくても大丈夫な気もしないでもないが……

331三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』【中一】:2021/09/28(火) 19:34:09
>>330
>>(全体)

     「――――――はい」

          スッ

一人の生徒が手を上げました。
中等部のようです。
制服ではなくジャージを着ているので、
『性別』は分かりません。

「一年生の『三枝千草』です。
 『三つの枝』に『千の草』と書きます」

「『寮』の方で預かるのはいかがでしょうか?
 本当はいけない事ですけど…………」

        スタ スタ スタ

「しばらくは『千草の部屋』にいてもらいます。
 ラッコの事は勉強不足ですが、
 『七日間』は何事もないように精一杯やります」

空井先輩から離れて、ラッコさん達の方に歩いていきます。

「ラッコさんに用がある方は、千草に連絡をお願いします。
 千草からラッコさんに伝えておきます」

その場の皆さんと連絡先を交換しましょう。

「千草に用事がある時でも大丈夫です」

        ズズズ…………

『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』を出して見せます。
フードを目深に被り、シャベルを肩に掛けた人型のスタンド。
『墓堀人』です。

「『墓堀人』が掘った穴は『墓穴』になります。
 そこに埋められたものは『仮死状態』になります」

「必要な時は、いつでも呼んで下さい」

332関 寿々芽『ペイデイ』:2021/09/29(水) 02:07:24
>>331
>小林・ヤジ

「まあっ、寮でですか〜?
 あそこは人がたくさんいそうですし、
 ラッコさんも寂しくなさそう、ですねえ〜っ」

            チラ

       「千草ちゃんがお世話してくださるなら、
         危ない事もないでしょうし……」

(不審者がいるのは、気になりますけど……
 動物をいじめたりするようには見えませんでしたしね)

「押し付けるようで気が引けるけれど、
 ……暫くの間、お願い出来ますか?」

  「ラッコさんもそれでいいですよねえ〜?」

毛皮を軽く撫でる。

とりあえず、ラッコの処遇は決まりそうだ。
子供に大変なことを押し付けるようだが、
自らの志願だし、お任せしても良いだろう。
ルール違反や罪悪感は、なあなあに済ませておく。

「……ああ、私の『ペイデイ』も!
 この場で宣伝させていただきますねえ〜。
 『日用品』の範疇でほしいものがあったら、
 私の連絡先まで、ご連絡お願いしますよう」

この場はもうじき『行動』に向けて解散していくのだろう。
有用な能力は共有しておく良い機会だ。『今後』にも繋がる。

「……他になにか、ここでお話しておくべきことってありますか〜?」

―――――――――――――――――――――――

★小林PLから何かなければ終了して、
  FWMスレに行動として投下いただければと思います。
  (不足などあれば、私の方からも補足入れます)

333『夏空にダイヤモンドを灯せ』:2021/09/29(水) 21:27:13
>>326-332(一先ず これで『終了』と言う形で処理し
随時、何か良案があれば自由な時間に学園でホワイトボートなどに
書置きする形で、気づいた時にそれに感想と返信をする形にする)

ヤジ「『参加賞』……全校生徒の7〜8割方に何か渡すってなると
かなりの要り用になるな……これに関しても良い意見があれば
それを採用って形にして保留だな。余り欲張っても良い事ないぜ」

視聴覚室にあるボードに、意見の一つとして書いておく。
他に自由に来る夏の魔物対策のメンバーが良案を持ってくる事に期待しよう。


小林「クリスマス的なコンテストを開催するなら。一等賞は
『5万円分の旅館の無料宿泊券』を、私は持ってるので。それを優勝者に
贈呈する形にしましょう。学生に相応のプレゼントでしょうし。

……そうですか。では一先ず 『一抹君』は無事と言う事ですね…………良かった」

小林は、静かに関の連絡に頷く。

そして、解散の流れへ自然と向かう……既に期限は僅か。
 ダイヤモンドが空に灯るかどうかは、この街の人々の宿す星(意思)の輝きが
知っているのだろう……。

334ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2021/09/30(木) 07:24:49


「ほう。これがホワイトボードか。
 ドラマで見たことがある。
 わしもなにか書いておくかの」


『ふやしたいものあれは゛、ふやします
 べたーびりーぶいっと
 でんわxxx-xxxx-xxxx』


ホワイとボードの下の方に、へたくそな字で書き残しておいた。

335三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2021/10/01(金) 18:27:55

「そこの君(>>336)、少しだけ話を聞かせてもらってもいいかな?」

うだるような残暑が続く夕暮れ時
放課後、下校途中の学生達を捕まえようと壮年の男性が声をかけている
勤め人風のスーツ姿をした男性だ。何がおかしいのか目を細めて愛想笑いを浮かべている

「最近、SNS上で『夏のクリスマス』っていう言葉がちらほらと出てきてねぇ
 何でもここの学生さんが発端になって、季節外れの『クリスマスイベント』をやるとか
 それについて何か知っている事とかあるかな?」

三刀屋がこの件に興味を持った理由は二つだ
一つは仕事の情報収集、漫画編集という職業上若者達へのアンテナは常に高く保っておかなければならない
そしてもう一つは・・・・先日、聞いていた『ラジオ番組』にある

(変な放送だったなあ・・・・『アレ』)

「ああ、ごめん、自己紹介がまだだったねぇ
 僕は三刀屋路行、民星書房という出版社で働いている会社員だよ」

336ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/02(土) 15:51:06
>>335

「ほう、わしに話を聞きたいようじゃな」


返事を返したのは、ピンクのシャツ一枚にリュックを背負った金髪の子供だった。
小学校低学年くらいだろうか。話を聞く対象として選ぶには幼いかもしれないが、
『ふゅ(『ふ』が大きすぎて『ゆ』を書くスペースが小さくなってしまったらしい――)』と書かれた『箱』を持っており、
さらには紙で作ったらしき赤い帽子を頭に乗せているのだから、『クリスマス』の事を知っていそうではある。


「うむ、これはゴテイネにどうも。
 わしの名前はない。交換屋をやっておる。
 こいつの名は知らん。野良猫じゃ」


箱の中には灰色の毛玉が入っていた。


「『夏のクリスマス』というのは、つまり、夏にクリスマスをする。ということじゃ。
 わかったか?」

337三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2021/10/02(土) 16:51:08
>>336

(声をかける相手を間違えたかもしれないな・・・・)

三刀屋が声をかけた相手は比較的低年齢の女の子だ
若い・・・・若過ぎる・・・・いくら若者に話を聞きたいとは言え、
この世代では流石に流行も何もないだろう

「ないちゃんだね、よろしく頼むよ」

とはいえ、残暑厳しく猛烈な日差しがカンカンにアスファルトを照りつける今日この頃
『クリスマス』を匂わせる様相を呈しているからには、恐らく何らかの関係者なのだろう・・・多分

「えーっと・・・・つまり夏にクリスマスをしようとしている、という事だねぇ
 ところで、僕が調べた所だととくに自治体とか企業・・・・ああ、お店屋さんとかがやろうとしてるわけじゃなくて
 君たちみたいな若者・・・学生さんとかがメインで頑張ってるみたいだけど」

「どうして夏にクリスマスをしようとしているのかな?」

あるいは、みんな『例のラジオ番組』に煽動されているのだろうか

338ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/02(土) 17:51:10
>>337

「実はな、夏オバケを退治するためなんじゃ。
 ……ん? もっといい理由があったほうがいいんじゃったか?
 ミトヤさんはどう思う? わしはオバケを退治するためでもいいと思うんじゃが」


問い返してきた。テストで点を取れなさそうな子供だ。
夏にクリスマスを行うのは、オバケを退治するためだが、
その理由だと胡散臭いので、もっとそれらしい理由が必要……ということらしい。
逆に言うと、少なくともこの子供はオバケ退治が真の理由であると思っているという事だ。


「大人のひともたくさん協力しておるが……
 やはりお店屋さんはさすがに難しいんじゃな。
 実際、夏じゃし。冬のものを売るわけにもいかんということか」


このくらいの子供から見た「大人」の年齢判断は怪しい。
20歳未満でも大人扱いは十分ありえるのだ。
たくさんというのも嘘くさい。
とりあえずこの子供の認識では大勢動いているということだ。実体との乖離はあるだろう。

339三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2021/10/02(土) 18:06:18
>>338

「え?夏オバケの退治・・・・?」

正直に言って、『その理由』がここで出てくる事は予想外であった
周囲の人々の反応を見る限り、あの『ラジオ番組』の音声はスタンド使いにしか聞こえないはず
しかし、この子供がそう認識しているという事は・・・・

「ナイちゃんって言ったかな?
 もしかして君、こういう『オバケ』が見えるのかい?」

    ズギャッ

ナイの問い返しに対して、こちらも質問で返す
こんな連中がいる教室は赤点必至な不良クラスか何かだろう
傍に『人型のスタンド』を出現させて問い返した

340ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/02(土) 18:57:13
>>339

「なにかカクカクしておるの」


『ブラック・アンド・ホワイト』のデザインを見て、そう感想を漏らした。
見えているらしい。


「でもオバケはスタンドとは違うらしいぞ。たぶん……
 いや、よくわからんが、オバケだけで動いておるらしい。
 ……ん? サンズサンも今は一人で動いておるとか聞いたような」


             「フナッ ァ〜オ……」


タイミングよく猫が伸びをして、にゅっ と箱から前脚が飛び出すと、
『ブラック・アンド・ホワイト』の足に肉球が当たり、ポンッ と肉球マークが刻まれた。


「まあ、スタンド使いなら話は早いの。
 オバケのことを新聞に書いてもよいぞ」

341三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2021/10/02(土) 19:21:42
>>340

「おっと? は、ははは・・・・なるほどねえ」

『スタンド』について語る子供と、『スタンド』に触れる事が出来る猫
間違いなくこの子達は『スタンド使い』なのだと確信する
そうなると、あの『ラジオ番組』もスタンド使いである『何者か』・・・・恐らくこの子らの仲間が忍び込んだものなのだろう
傍若無人なその振る舞いに思わず苦笑いを浮かべる

「いいや。僕は新聞記者じゃないよ?
 ついでに言えば、『ラジオパーソナリティ』とか『カメラマン』でもないねぇ
 僕は・・・・うん、そうだなぁ、漫画を作る人さ」

「もうひとつ言えば『スタンド使い』でもある
 ちょっとした事件で『夏のオバケ』の事を聞いてねぇ、面白そうだから首を突っ込んでみたんだよ」

「でも、そうだねぇ、折角だから君たちの活動を僕にも手伝わせてもらってもいいかな?」

三刀屋は決して義侠心に篤いわけでも、正義の心に満ち溢れているわけでもない
無関係の誰かが何かの事件に巻き込まれたからといって、特別熱心に救助したいというわけでもないし、
年間に1人2人が犠牲になるとはいえ、市内の交通事故者の数を考えれば無視出来る程度だろう
だが、『この件』で若者たちが多く動いているのであれば・・・・それは無視できない『ムーヴメント』だ

342ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/02(土) 22:38:30
>>341

「漫画を描く人!?
 それは……!? どんな漫画を……?」


漫画を作る人、と言ったら漫画家と考える。
編集者という職業の存在を知らないのかもしれない。


「ンナ……」

「ハッ、オホン……
 出版社さんでキキコミしているから新聞作る人かと思ったわ。
 わしは今、クリスマスグッズを集めておる。
 この箱にクリスマスグッズを入れると、このクリスマスお守りをプレゼント。
 ボキンというやつじゃな。
 何かクリスマスのものを持っておるか? それとも一緒にやるか?」


集めているのは金ではないが、帰宅する生徒を狙って寄付を募り、記念品を渡すというのは、
赤い羽根だとか緑の羽根だとかいう募金活動を真似たものだろうか。
この時期の帰宅途中の生徒がそんなものを都合よく持っているわけもなく、
子供が示すお守りが『商売繁盛』と書かれているという問題はあるが。
その証拠に、箱には猫だけがみっちりと入っている。

343三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2021/10/02(土) 23:17:47
>>342

「あ・・・・ハハ・・・いや、僕はどちらかというと漫画を・・・・受け取りに行く人かな?
 僕が直接漫画を描いているわけではないよ」

一応、釈明をしておく

「ふぅーむ・・・・なるほど
 募金活動の真似っこをして『クリスマス』をしようとしているわけだね?
 歳末助け合い活動みたいな・・・・懐かしいなぁ、僕も昔は赤い羽根をもらいに行ったなぁ」

「ごめんね、残念ながら今はちょっと手持ちのグッズを持っていないけど・・・・そうだねぇ
 ちなみに、他の人達はどんなことをしているのかな?
 君以外にも似たような活動をしている人はいるわけだろう?」

344ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/02(土) 23:39:56
>>343

「漫画を……受け取りに行く人……? 配達の人……?
 よくわからんが、絵を描くわけではないのか……」


尊敬が低下した音がした(幻聴)
元々勘違いで上昇した尊敬なので問題は無い。


「それはともかく、お前さんも持っておらんか。残念じゃな……
 中々クリスマスグッズが集まらん。
 わしはもっと木とか、ピカピカ光るやつが欲しいんじゃが」


ここで突っ立っていてクリスマスツリーが手に入る可能性はガチャでSSRを引くより低いだろう。
電飾の代わりであれば、呼び込み方次第ではなんとかなるかもしれないが。


「どうしたものか……
 ん? 他の者か?
 なにか匂いを撒くと言っておったな。シュゴーってするやつで。
 あとは、ラッコがおるんじゃが、それを宣伝に……」


そこまで言って、子供の脳裏に、ラッコを撫でる三刀屋がぼんやり浮かんだ。
初対面のように話していたが、実はこの2人、以前に会っている。
(【イ】『星の祭典』 ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1540228313/292)


「……?
 えーと、なんじゃったか」


しかしうまく思い出すことは出来なかった。
他の者の動きの把握もあまり出来ていそうにない。
(ナイは知らない事だが)ラジオで語られた『駅の掲示板』の方が情報がありそうだ。

345三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2021/10/02(土) 23:52:54
>>344

「あー・・・・ ハハハ・・・ 期待させちゃって悪かったけれど、絵は描けない・・・かな?」

SP(ソンケイ・ポイント)が凄い下がった!
それはもう一流芸能人がそっくりさんになるくらいの下がりっぷりだ!

「『ツリー』とか『電飾』とかの事かな?
 うーん・・・・実家に帰ればちょっとしたのがまだ残ってると思うけど
 流石に今から実家に帰るのは難しいな・・・・」

三刀屋の実家には、彼が子供の頃に飾っていた飾り物のツリーと電飾が残っているという
だが星見町から実家までは新幹線を使っても2時間以上はかかる

「ラッコ・・・・・? あっ!」

その時、ふっと新年会の時の思い出が蘇る
そういえば、あの時も謎のラッコ(スタンド使い)が乱入していて・・・・この子とも会った事がある

「なるほど、新年会の時にいたラッコのスタンド使い
 彼をクリスマスの宣伝に使う訳だねぇ?
 待てよ・・・・そうなると・・・・・」

346ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/03(日) 00:02:18
>>345

「木とピカピカ光るやつ、持っておるのか?
 お前さんが良いなら、今ここに持って来れるぞ。
 わしの『ベター・ビリーブ・イット』で」


以前は星見町の外には働かなかった能力だが、
成長したので町の外の物でも『交換』が出来る。


「ん? ラッコと知り合いか?」


何か思いついた様子の三刀屋の顔を覗き込む。
ナイは思い出さないようだ。
三刀屋にナイが近づいたことで、箱から猫が出てきて、三刀屋のスーツを猫パンチした。

347三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2021/10/03(日) 00:08:19
>>346

「え? 本当にそんな事が・・・・ああ、ナイちゃんはそんな感じの能力を持っているんだねぇ
 羨ましいなあ・・・僕のスタンドは10mくらいしか手が届かないから」

「ちょっと待っててくれるかな?
 いきなり、物置の物がなくなると母さんたちがびっくりするかもしれないからね
 一応、電話しておかないと」

そう言いながら、スマホを弄ってどこかに電話をかけようとする

「ああ、それとラッコについてだけど
 多分、ナイちゃんもいたと思うんだけどねぇ・・・新年会の時に・・・あっ、かかった」

そして一言二言電話で何かをやりとりする三刀屋
数分程度話をした後、スマホを耳から離し通話を切った

「オッケーだって
 それでどうやるのかな?ナイちゃん」

348ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/03(日) 00:22:52
>>347

「ん? しんねんかい……」


ナイは何かを思い出そうとした。


「良いのか? 一度持ってきたら戻すのは……出来なくも無いが……
 わしのは『交換』じゃから、結局交換するものが必要になるしの」


しかし別の話題に流され、結局思い出さなかった。
なにかの祭りに行った記憶はあっても、
それが具体的になんの会なのか覚えていなかったというのもあるだろう。


「『交換』するのは、木のセットと、このお守りでよいか?
 まあ、お家の方に送られるんじゃから、あんまり関係ないかもしれんが」


『交換』。それが『ベター・ビリーブ・イット』の能力。
所有権の交換だが、位置も入れ替える事が出来る。
つまり、三刀屋の実家の物置からクリスマスツリーセットが消えて、交通安全のお守りが現れるわけだ。
物が存在する空間は必要だが、こちらは路上だし、
三刀屋家は大きい物があったスペースに小さい物が出現するので大丈夫だろう。

  たしっ たしっ

一方、猫は執拗に三刀屋を猫パンチしていた。スーツに肉球マークが刻まれていく。

349三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2021/10/03(日) 00:36:42
>>348

「ああ、大丈夫大丈夫
 話は通しておいたからねぇ・・・最初はちょっとびっくりするかもしれないけど、泥棒だとは思わないはずだよ」

三刀屋の実家の物置に眠る『クリスマスツリーセット』
それは全長1.5m程度の子供用のツリーだ
付属品としては星や長靴の形をしたプラスチックのオーナメントやコンセントに刺して使う電飾がある

「うん? 『にゃんころ』ちゃん・・・・君も随分としつこいねぇ」

猫に視線を合わせて窘めるように見つめる
『にゃんころ』というのは三刀屋が勝手につけたあだ名だ

350ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/03(日) 00:46:01
>>349

『にゃんころ』と呼ばれた猫はスーツの裾のひらひらが気になっていたのかもしれない。
しかし、三刀屋が視線を合わせるために顔を近づけたので、
三刀屋の顔に猫パンチが繰り出された。
このままでは顔に肉球マークが刻まれてしまう!
なお、『ブラック・アンド・ホワイト』につけられた肉球マークはもう消えていた(持続3分)


「ではゆくぞ」


そんな1人と1匹をしり目に、ナイはお守りをポイッと放る。
そして特にエフェクトも発生せず、『クリスマスツリーセット』が路上に現れた。


    「うわっ、びっくりした。手品?」

              「なんだこいつら……」


生徒たちが奇妙な2人と1匹を横目に下校していく……。

351三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2021/10/03(日) 01:21:06
>>350

「うわっ!?」

彼女の能力については話を聞いていたが、いざ目の前でそれが起きると案外びっくりする
路上には長い年月が経過して色あせたツリーが置かれている

「凄いねぇ! これは確かにうちのツリーだよ!
 ほら・・・・ここに黒いシミみたいなのがあるだろう?
 ハハハ、これは僕が昔コーラを溢した時の名残でねぇ・・・・ あぷっ」

そんな事を猫の目の前で行っていたら頬に猫パンチを受けてしまった
三刀屋の顔に肉球マークがくっきりと刻まれる

「まあ・・・・情報収集はこんなところかな?
 では、ナイちゃん・・・・君も大変だろうけど、僕もちょっといくつか動かせてもらうよ」

そう言いながら、三刀屋は去って行った
これから忙しくなる・・・・まずは関連施設への電話がけとそして・・・・

352ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/03(日) 01:35:54
>>351

「おお、何をするのか知らんが、頼んだぞ」

  「ンナナ」


去っていく三刀屋を、無邪気に見送る子供と猫。
具体的な話は何も聞いていないが、きっと協力してくれるのだと信じた様子だった。
そしてこの場合は、実際そうなのだろう。


「むむ、ピカピカ光らせるには電気が必要か。
 外ではちと難しいの」

「さて、気を取り直して」

「クリスマスボキン〜 クリスマスボキン〜」


クリスマスツリーも横に置いて、注目度を上げたクリスマスグッズ集めを再開した。
なお、成果は上がらなかったという。

353甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/03(日) 07:43:53
ガンッ ガンッ ガンッ

柱に何度も何度も頭を叩き付けるあま公
あま公は定期的にこうしてキチガイゲェジを消費しないと気が狂ってしまう

354ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/03(日) 22:08:18
>>514

「くりすますぼきん〜くりすますぼき……」


「……」


「ど、どうした?
 またインターネットでいじめられておるのか?」


念仏のように文句を唱えながらうろつく、箱を抱えた金髪の子供が通りかかった。
子供が以前見たこの女子高生は、ネットの安価でモールの建物から落ちそうになっていたのだ。

355甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/04(月) 09:34:55
>>354
ガンッ! ガンッ!! ガンッ!!!

「…」

頭を打ち付けている所、
突然子供が話しかけて来る声が聞こえ自傷行為を停止
声の主へ顔を向け確認する

頭部からは大量の血を垂れ流し、辺りを鮮血で染め上げている
教室からは血の匂いが立ち込めている

「…別に
 イライラしてただけ」

ぼんやりとした、生気の無いような眼で子供を見やる
同時に「何で高等部に子供が?」という疑問の表情も浮かべている
あま公はこの子供を覚えているのかいないのか…

356ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/04(月) 10:52:13
>>355

「どうした? 前はもっと明るかった気がするがの……」


行動のわりにめちゃくちゃテンションが低そうな姿に、不思議そうに顔を傾げる。
もしかして現在時刻は早朝で、低血圧なので目覚まし代わりに……とかだったりするのだろうか?
子供は場所や時間はあまり気にせず徘徊するが
(とはいえさすがに昼間の授業中に教室へ突撃はしないが、
 その場合、生徒がまわりに沢山いる中で自傷する甘城の方がヤバいだろう)


「イライラしている、という理由でそんなに頭を……?
 夏の魔物……では無さそうじゃが、お前さんも何かにとり憑かれておるのではないか?」


自分を傷つけるという行為は、子供には難しい概念だ。
それより直近の例もあり、何かのオバケだか『スタンド攻撃』だかの方が理解しやすい。
心配そうに近づいてきて、(頭の血以外に)何か異常は無いか確認する。

357甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/04(月) 12:38:06
>>356
「…そうだった?」

自分に明るかった時なんかあったか?
思い出せない…前からこんな感じだったような気がするが
この子がそういうなら、そういう時もあったのかもしれない

現在は夕刻
部活動をしている生徒もぼちぼち下校するだろう時間
教室には今、あま公とナイしかいない

もっとも、あま公は白昼堂々とやってても何もおかしくないが

「…たまにイライラしてどうしようも無くなる時がある
 人や物に当たるより、私だけが傷付く方が良いから」

ふぅー…と、溜息を吐く
どうやら気が収まったようである
予め用意してあったバケツの水に雑巾を浸して教室に散らばった血を拭きとり始める

女子高生の自傷行為を見せられるのは子供には非常にショッキングで理解不能な事だろう
大人でも理解出来る者などそうそういないだろう

理解してもらえるとは思ってないし、してほしいとも思わない

「夏の魔物…違う
 別に何にもとり憑かれてなんかない
 これが素の私だから」

実は例の会議の時にこっそりと混じっていたのだが
何も発言しなかったため空気同然だったので誰にも気付かれなかったあま公
なので夏の魔物の話はある程度は把握している
行動する様子は今の所見受けられないが…

あま公に近付き異常は無いか確認するナイ
頭部から多量の血液を流して、その顔を赤色に汚しているが
それ以外は特に異常は無さそうだ
強いて言えば、存在している事が異常かもしれない

358ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/04(月) 13:01:30
>>357

事前に清掃具を用意しているあたり、突発的な発作ではない事がうかがえる。
冷静に準備をして頭を叩きつける方が異常度が高い気がするが……


「人を叩くのはいかんが、
 自分の頭を叩くより、物を叩いたほうがマシな気がするぞ」


まあ、程度によるだろう。
盗んだバイクで走り出し、学校の窓を割りまくるのはさすがにアウトだ。
だが叩く対象がクッションなどであれば壊れないし、頭を叩きつけるよりいいだろう。
それともそれだとあんまりスカッとしないのだろうか?


「うーん、お菓子を投げたりとか。どうじゃ?
 お前さんのはタダじゃし、すぐ消えるからいいじゃろ。
 それか……」

    「ナン」

「猫触るか? 生暖かいぞ」


箱から猫を取り出して、かがんで拭き掃除している甘城の背に乗せる。
アニマルセラピーだ。

359甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/04(月) 13:43:19
>>358
まぁ、ある程度手応えのある物でなければスカッとはしないかもしれない

「…猫?」

背に何かを乗せられた感触を覚える
何か蠢いていて、温かくて柔らかい生き物である事が分かる
背中で蠢く物体を手で掴み、正面へ持ってくる

「…猫」

学校に猫?
この子が連れて来たのだろうか?
猫を連れて来ていいのだろうか?

そう疑問を抱かないわけでもないが

「猫…」

自らの手中に収まる猫を抱き締め撫でるあま公
アニマルセラピーの効果は覿面だったようだ!

「…貴方の猫ちゃん?
 名前は何て言うの…?」

360ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/04(月) 14:29:39
>>359

   「ンナユ……」


背中から降ろしてみると、灰色で、ちょっと毛が長めの猫だった。
モフモフ度は高い。
正面に抱くと、猫はぐんにゃりと伸びた。


「わしのじゃないが、なんか最近、うちによく来る猫じゃ。
 名前……? 皆好きに呼んでおる。
 お前さんも好きに呼んだらいいんじゃないか?」


   「ンニャプス……」


撫でまわすと、猫は空気が漏れるような鳴き声をあげた。
本気で嫌がっている風ではないが、ポスポスと甘城を肉球で叩く。

361甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/04(月) 15:40:45
>>360
頭部から血液を垂れ流した女子高生が
猫を抱っこしているという異常な光景
猫はもっと嫌がってもいいんじゃないかな?

猫を撫で回しモフモフを堪能するあま公
顔つきも段々穏やかになっていく
癒し効果は相当高いようだ

「そう、じゃあ何て呼ぼうか…」

空気が漏れるような鳴き声をあげて肉球で叩く猫
猫を降ろして少し見つめる

「…貴方は『ナックラヴィー』と呼ぶ事にするわ」

その名前は一体どこから来たのだろうか?

「ナックラヴィー…」

即興で付けた名前を呼びながら猫の額を撫でる

362ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/04(月) 16:16:40
>>361

   「グルグル」


さすがに頬ずりなどされれば、血が毛皮について嫌がったかもしれないが、
すぐに猫パンチを繰り出すわりに人懐っこい猫のようで、撫でられると喉を鳴らした。


「かっこいい名前じゃな。生意気な……
 ところで頭を拭かんでよいのか?
 服に血がついてしまうぞ。
 ハンカチいるかの?」


子供が感想を漏らしながら、白いハンカチを差し出す。
『ナックラヴィ―』と呼ばれた猫は、甘城の足元をするりと抜け、バケツの方に向かった。


   「ペチャペチャ……」


そしてバケツに顔を突っ込んでいる

363甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/04(月) 16:45:09
>>362
ナイの言う通り、頭から滴る血は
服に付着し、その色を赤い色に染色する

「ありがとう」

ナイから白いハンカチを受け取ろうとするが…
これで拭いてしまって良いのか?
血は中々落ちないんだぞ
この穢れを知らない白いハンカチを…血で汚してしまって良いのか?

「気持ちだけもらっておくわ」

そう言ってナイにハンカチを返す

自分のポケットから赤いハンカチを取り出して頭を拭く
元々赤いのだから、血で汚れても問題は無い

>   「ペチャペチャ……」

バケツに顔を突っ込む猫
そのバケツは、あま公の血が入っているのだが…
この猫は吸血鬼なのだろうか?

「…汚いから駄目」

猫を抱き上げて飲むのを止めさせようとする

364ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/04(月) 17:06:45
>>363

「そうかの?」


甘城が自前のハンカチを持っているのを見て、素直にハンカチをしまった。
彼女のハンカチが赤いのは偶々なのか、血を拭くことを予定してなのか……


  「ウ゛ルァ〜」


水を舐める猫を阻止すると、不満そうな鳴き声を漏らした。
猫パンチを繰り出すが、背後から抱き上げられては当たるはずもなく、むなしく空を切る。


「お嬢ちゃんはクリスマスとか興味無いかの?
 わしは今クリスマスグッズを集めておるんじゃが、何か持っておらんか」


甘城がクリスマス会議室に居たとは知らない子供は、そんな事を聞いてきた。

365甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/04(月) 18:10:14
>>364
「クリスマス…ね」

猫を抱き抱えながらナイの話を聞く

「去年はサンタ狩りを企画してたけど失敗した」
「サンタがいなかったから…」

猫を降ろすあま公

「今すぐ出せるクリスマスグッズは
 これくらいしかない」

人型のスタンド『BSS』を傍らに出す

『BSS』がそこら中に触れると
巨大なクリスマスケーキ、アップルパイ、ブッシュ・ド・ノエル
ジンジャークッキー、シュトーレン、ガレット・デ・ロワ、クリスマスプディング等
クリスマスに食べられる様々なお菓子が作り出される

「5分で消えるけど」

366ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/04(月) 18:55:16
>>365

「サンタか……プレゼントをくれるとかいう……
 わしは貰った事ないんじゃが、お嬢ちゃんも見つけられなかったということか」

「これからやるクリスマスはサンタはいるらしいと聞いた気がするが、
 夏にやるクリスマスじゃし、偽者じゃろうから狩ってはいかんぞ」


子供はサンタにあまり良い印象は無いようだった。
しかしこれから行う夏のクリスマスを邪魔されては困るので一応釘を刺しておく。


「そうじゃったな……5分……まあ、それでも使い道はある、かの?
 少量づつ無料でふるまうとか?
 なんといっても妙に美味いし」


出てきたスイーツの山に驚く様子も見せずに考える。
甘城が以前にこの子供と会った時のことを思い出しているか、
夏のクリスマス会議室に居たところを見ているなら、それも当然だと思うかもしれないが。


「うむ、よかったら……そうじゃな、このぬいぐるみと『交換』してくれんか?
 猫のように生暖かくはないが、押すと鳴くぞ」


と、背負ったリュックを降ろし、取り出したのは、茶色い塊……
いや、甘城には理解る。あれは『キーウィ』のぬいぐるみだ。
結構デカい。子供に抱きかかえられて、「ピーィィ」という音を発している。


「あと、『交換』は1対1じゃから、
 他の菓子は、まあ、オマケとして他にも適当なもので……」


シャンプーボトル、ハンカチ、ボールペン、何かの扉の鍵、防犯ブザー、接着剤、ピンクの女児パンツ、瓶ラムネ……
子供はさらにポイポイと適当なものをリュックから取り出す。リュックの中に入る大きさを越えているが……
一方、猫はケーキを嗅いでいた。

367甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/04(月) 19:36:08
>>366
「『交換』…」

あま公は以前、この子供と会った時の事を思い出していた
そうだった、確かこの子とはアイスとラムネを交換したんだったか

「キーウィ…」

ナイが取り出した『キーウィ』のぬいぐるみを見る
キーウィはあま公の好きな動物だ
かわいいし、美味しそうだし
実質無料の物と『交換』をするには十分過ぎる物だ

「分かった、『交換』しましょう」

お菓子とぬいぐるみとの『交換』を承諾

「いいわ、全部『交換』しましょう」

全部纏めて『交換』を承諾する
どうせ全部無料なのだ、痛くも痒くも無い

しかし…

>何かの扉の鍵
一体どこの鍵なんやろなぁ…

>ピンクの女児パンツ
事案では?

>一方、猫はケーキを嗅いでいた。
いかん、危ない危ない危ない

「駄目、貴方はこっち」

『BSS』で猫用ケーキを作り出して猫に与える
本当は猫に勝手に餌付けするのは良くない事だが
人間用のケーキを食べられて体調を崩されるよりは良い

368ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/04(月) 19:55:35
>>367

女児が女児パンツを持っていて何か問題があるというのだろうか? 無い。
たった今、よく確認しないで全交換したせいで、女子高生が女児パンツを所有することになったようだが。


「これ、一度に出せる数とかあるのかの?
 すまんが、わしの方で菓子を出しておると、そっちで出せる数が減るんで、
 出せる数が減っても故障かと慌てないでくれ。
 あんまり一度に出さんようにするから」


そういう仕様らしい。
そもそも『ベター・ビリーブ・イット』について何も説明していないので、
わけがわからないかもしれないが。


    「ナ?」

  「シュワ」


猫の目の前に猫用ケーキを出すと、素直に食べだした。
普通のケーキは嗅いでいただけだったので、
食べられるかどうかを見分ける力くらいはあるのだろうか。

369甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/04(月) 20:10:15
>>368
今、交換したパンツはこの子供の物なのか
それとも、別の誰かが履いていた物なのだろうか
何れにせよ、女児用パンツを貰ってどうすればいいのだろうか?
…履けばいいのか?

「一度に出せるのは10個ね、確か
 同時に出すなんて、そうそう無いと思うから気にしないで」

ケーキを食べている猫を、そーっと撫でながら言う
食事中の獣は特に警戒心が強い
下手に触って引っ掻かれたりしないだろうか…?

370ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/04(月) 20:26:21
>>369

よく見ると女児パンツは、端が縫い付けられサイズが調整されていた。
子供っぽいデザイン(前にリボンのついた薄桃色の綿パンツ)だが、
元のサイズならば甘城にも十分履けるだろう。
N篠氏の作品である。
一応、新品……いや、子供が1度履いたくらいのほぼ新品だ。


「それならいいんじゃ。
 まあ、気が向いたらお嬢ちゃんもクリスマスに参加すると良い」


『ふゅ』と書かれた箱は空っぽのままだったが、子供は戦果に満足したようだった。


  「ンナ」

     「シュワシュワ」


猫を撫でる。毛は柔らかく、透き通ったクリアブルーの体が美しい……
2匹は猫用ケーキを食べ終わり、灰色の猫は教室の椅子、机を経由して子供の持つ箱の中に戻っていった。

371甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/04(月) 20:47:58
>>370
…やはり履くべきなのか?
履かないのは製作者のN篠氏に失礼なのか…?
いやしかし、女子高生がこのデザインのパンツを履くのは
ちょっと、どうなのか
しかも、1度は子供が履いたと思われる物を

「そうね、クリスマス楽しみにしてるわ」

>2匹は猫用ケーキを食べ終わり、灰色の猫は教室の椅子、机を経由して子供の持つ箱の中に戻っていった。

…ん?
今まで猫1匹かと思っていたが、2匹いたのか?

頭を打ち過ぎておかしくなったか?

「…猫、2匹だったっけ…?」

372ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/04(月) 21:00:11
>>371

 「シュワシュワ」


そこにいたのは、小さく、細長い猫だった。
ダックスフンドのように長い胴体は青く、透き通っている。
というか、瓶ラムネに猫の頭と足を生やしたような生き物だった。
それでいて、柔らかく、モフモフなのだ。


「うむ、それではわしはクリスマスボキンに戻る」


そう言って子供と灰色の猫は去っていく。
後に残ったのは、子供が出した様々な物、バケツと雑巾、床に少し残った血の跡、
少ししたら消えるだろうお菓子たち。


   「シュワワ」


それから、変なラムネみたいな猫だ。
青一色の体に、一ヶ所だけ肉球のマークのような模様があり、さらにその中に何か書いてある。
その文字は読めないが……
猫は液体というが、飲み物が元になった、青い水のような体は、
水妖――『ナックラヴィ―』という名前が良く似合っていた。

373甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/04(月) 21:18:51
>>372
去り行く子供と灰色の猫
そして、残ったあま公と奇妙な猫『ナックラヴィ―』

何なのだこの謎の生命体は?
正直、この子は本当に、猫なのだろうか?
身体的特徴からすれば、猫なのだろう

青く透き通る、
水のような美しいその姿にあま公は見惚れていた

あま公はその水の如き体を持つ謎の猫を触りたいと思った

無警戒に、その妖猫を抱き抱え、撫でようとする

『ナックラヴィ―』とは、
本来皮膚の無いグロテスクな姿を持つ、
常に人間を死に至らしめる強力な毒の息を吐く馬の水妖だ

この『ナックラヴィ―』は、あま公を死へと誘う魔物なのだろうか

374ナックラヴィー:2021/10/04(月) 21:37:28
>>373

   「シュワン」


不思議な鳴き声をあげながら、甘城の手の中に納まる変な猫。
顔は猫だが、細長い姿はイタチやオコジョに近い。


 「シュワワ」


大人しく撫でられる『ナックラヴィ―』
これは、子供が出した瓶ラムネだ。それを甘城が『交換』した。
つまり、『所有権』は甘城にある。
甘城が名付けた、甘城の猫なのだ。

もちろん、この不気味な生き物を、捨ててもいいだろう。
誰も文句は言わない。
奇妙だが猫なのだ。放り出しても勝手に生きていくだろう。

375甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2021/10/05(火) 09:32:56
>>374
「…」

あま公は飼っていた犬を喪ってから、
生き物を飼う勇気が無かった
あんなに辛い思いをするなら、もう生き物なんか飼いたくなかった

だが、この猫は今、自分が『所有権』を持っている事が分かる
生き物の『所有権』を持つという事はつまり、
その生き物の『命を預かる』という事だ
それを放棄する無責任な事は、あま公には出来なかった

いつか命の尽きるその時まで、責任を持って面倒を見よう

こうしてあま公と奇妙な猫との共同生活が始まるのだった


家に帰った時、頭部から大量の血液を垂れ流し
変な猫を拾って帰って来た娘を両親は大変心配した
怒られるよりも、心配される方が堪えるので反省するあま公だった

余談
ナイと交換した物のその後

シャンプーボトル編
このシャンプーを偶然飲んでしまったせいで、グルシャンに目覚めた

何かの扉の鍵編
一体何の鍵なのか気になって夜しか眠れなくなってしまい
この鍵についてあれこれ調べ周る事になる

ピンクの女児パンツ編
折角貰ったの物なので、使わないと勿体無い精神で
葛藤の末に結局履いてしまった
最初は恥ずかしかったが、意外と履き心地が良かったので定期的に履く事になる

376ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』+ネコ『マシュメロ』:2021/10/05(火) 10:02:59
>>375

get!


・ラムネ瓶猫『ナックラヴィー』

胴体がラムネ瓶な、小さく細長い猫。
猫であるため柔らかいが、同時にガラスなので固い不思議な体質。割れ物注意。
顔は猫だが、体型はイタチに似ている。
透き通った青色で、胴体にも毛は生えているので問題なくモフれる。
尻尾にフタがあり、そこからラムネジュースが飲める。
ラムネジュースは減っても、『ナックラヴィー』の飲食により補充可能。
餌は普通の猫と同じものを食うが、糞はビー玉、尿はラムネジュース。
「シュワシュワ」鳴く。鳴き声は気分によるかも。甘城氏に任せる。
胴体に『肉球の刻印』あり。さらにその中に『ナックラヴィー』と刻まれている(マシュメロ語なので人間には読めないが)
『刻印』は急所であり、削れると死ぬ。



・キーウィぬいぐるみ

甘城の好きなキーウィのぬいぐるみだが
猫とその他の物のインパクトで存在が霞んでしまった。
一応持ち帰ったはず……
殴って良し、モフって良し、クッションにして良し。

377『夏空にダイヤモンドを灯せ』:2021/10/06(水) 20:22:00

朝山「よしっ、こっちにわかった事をホワイトボートに書いておくっス!」

『ある人からの確かな情報筋っス!
当日に行うのには、みんなが決めてるクリスマスムードでクリスマスの雰囲気が
出てクリスマスに直結する物とか事柄が効果が出るみたいっス!
 逆に、クリスマスムードを壊すような事をすると夏の魔物を退治する効果が
薄れるようなんで気を付けたほうが良いっス!』

書きたい事だけ書いて、朝山は去る。数時間後に、学校で調べものをしてた
青年は作戦会議となっている其処へ訪れた。

小林「……成る程、鳥舟さんの言った通り『相殺』は正しかったか」

小林「……よし」

ホワイトボートの記述を読み終えると、頷き、彼は去っていく。

378一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/10/09(土) 00:20:28
真夜中の学校に一人の少年が現れると校門を飛び越えて校庭の隅っこに向かう。
『蚊取り線香』を焚いて『線香花火』に点火する。

「残暑も終わり冬の気配がしてきました。
 みんな楽しそうですね…」

冬のムードが徐々に強くなっているのを感じる。
この姿では何処にも受け入れられないだろう。
それも『Xデー』で『サンタ』さえ倒せば…

「『サンタ』を倒したインパクトで冬の雰囲気を破壊。
 そうですね、また彼女は来るでしょうから…」

『線香花火』のあとは階段に座ってテイクアウトした『蕎麦』を啜って後片付けをする。
そして、来た時と同じように校門を飛び越えて去る。

379桜井 憐『ワッキー・ディップ』:2021/10/11(月) 08:40:42
ある生徒の一意見

「何か色んな所でクリスマスで賑わってますよね
 それは良いんすけど…
 文化祭の内容まで変わっちゃうかもしれないんすよね…」

「うちのクラスは秋の味覚喫茶っていうのを企画してて
 きのこのグラタンや和栗のモンブランなんかを出す予定なんすよ
 けど、それを中止して急に別のに変えろって言われたら
 何か、嫌かな…」

「うちのクラスみんな、文化祭の向けて本当に頑張ってるから…」

380『チョコレートを届けに行こう』:2022/02/21(月) 19:05:49

―――今日は『バレンタインデー』である。
少なくともこの場所においては、今日が『2/14』なのだ
そんな『バレンタイン』のある日、君は同級生の女子生徒に呼び出されてとある空き教室に連れ込まれた
ただ今の時刻は『昼休み』・・・・昼食を終えて、午後の授業に備えようかというタイミングだ

「ねえ、それで一つあなたに相談があるの」

君の目の前で彼女『小豆畑 恵』は語り掛ける
鞄の中だろうか、ほんの僅かにチョコレートの香りが漂う
それをどう取るかは君の心次第だろう


※ RPをメインとしたシナリオとなります
危険度:E(〜C) 難易度D(〜C)
最大1人まで参加可能 期間は10日〜2週間程度
バトルの可能性はありますが、RPで回避可能

381大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/02/23(水) 23:25:57
>>380
それを見て、手品師じみた黄リボン付シルクハットを被った緑髪・右青目・左赤目・改造済清月学園黒制服の男装少年(16歳♀)はこう言うのだった。

「なるほど……キミはつまり、このボクに告白しようと言うわけだね?」(↓ハスキーボイス↓)

☆参考☆
ttps://wikiwiki.jp/stand0wiki0/%E5%A4%A7%E7%A5%9E%20%E6%88%96%E7%9C%9F%E3%80%8E%E3%83%8D%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97%E3%80%8F
★性別―女
★性別追記―学校などでは「女子」(クラスメイトなどにも知られている)だが、本人が何かと性別不明の格好・行動をするので、性別が紛らわしい。そういう性格・性根。

☆持ち物☆
①いつもの格好(改造制服+シルクハット+ステッキ)
②財布
③スマホ
④リュック式の学校カバン(中身:教科書、ペン・消しゴム・ハサミ・カッター・定規・コンパスなどの文房具)

☆スタンド☆
猫のフードを被ったウェアウルフのような人型。
『毛皮』を使い、嘘で覆い隠す。
……このスタンドの『毛皮』のみが真実だ。

『ネヴァー・グローイング・アップ』
破壊力:D スピード:C  射程距離:B(15m)
持続力:C 精密動作性:D 成長性:C

能力供与:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1519310970/122-123
能力詳細:ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/174-176

382『チョコレートを届けに行こう』:2022/02/24(木) 14:47:23
>>381

「えっ・・・・・?」

     ―――バッ!

君のその言葉に小豆畑は一瞬だけ呆気にとられたような表情を浮かべると、
すぐに気を取り直して教室の扉が十分に閉められている事を確認した
周囲に人の気配がない事に安堵の息をついて、君に向き直る

「勘違いしないで欲しいのだけど、
 これはあなたにあげるために作ったわけじゃないわ」

彼女は鞄の中から小さな包みを取り出す
手のひら程の大きさをした包みには可愛らしいリボンが巻かれており、
名刺大のメッセージカードが添付されている
時期を考えると『いかにも』というような包装だ

「相談というのはその・・・・『これ』を送りたい人がいて
 でも、ちょっと送るのが難しくて話を聞いて欲しいの・・・・」

どうやら、彼女は君に対して『贈り物』の相談があるらしい
しかし、物は用意しているのに今更贈り物の相談・・・・?
君は疑問に思うかもしれないが、彼女はその事情を語り始める

「本当だったら、早朝にあげたかったんだけど
 ちょっとしたトラブルが起きてしまって・・・・」

そう言いながら、鞄の中から別の物体を取り出す
それは、先程鞄の中から取り出した『贈り物』と瓜二つの物体だ
綺麗な包装、可憐なリボン、情熱的なメッセージカード・・・・そして中から滲み出るチョコレート
・・・・・・その物体は見るも無惨な形に引き裂かれていた

「予め、『スペア』を作っておいて良かったわ
 こんなトラブルが起きるなんて予想も出来なかったのだから」

383大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/02/24(木) 18:40:38
>>382
「なんだい、違うのかい。ついつい身構えてしまったよ」(↓ハスキーボイス↓)

「だが、乙女の願いを無碍に断れるようなボクではないので……」(↓ハスキーボイス↓)

「問おう……一体何があったんだい?」(↓ハスキーボイス↓)

『彼女の顔』と『傷ついた包み』と『傷ついていない包み』をジロジロと見て覚える。
いつでも『毛皮』で『スペア』を作れるようにしようというわけだ。

384『チョコレートを届けに行こう』:2022/02/24(木) 21:29:07
>>383

「・・・・・・・そう。」

ジロジロと舐めつけるように顔を見る大神に対して
若干ながら嫌そうな顔を浮かべながらも、言葉を続ける

「ありがとう」

「あれは・・・・そう・・・・早朝の出来事だったわ」

そして、彼女は語り始める
今朝の早朝に起きた『とある出来事』を・・・・

昨夜のうちに『贈り物』となるチョコレートを用意した小豆畑は
今朝の早朝、生徒たちがまだ誰も来ていないくらいの時間帯に登校した

そして、『思い人』が使っているロッカーの中に『贈り物』を入れると
自身はその場を遠く離れた所から状況を見守る事にしたという

「直接渡すのは、少し恥ずかしかったし・・・・
 確かに『あの人』にわたせたっていう確信がないと不安だしで、そうするしかなかったの
 冬の朝は寒くて、風も冷たかったけど、待つのは慣れているから」

そうしていると、案の定『思い人』が現れた
そしてそのままいつものようにロッカーを開けたのだが・・・・
ロッカーを開けた瞬間に吃驚したような表情を浮かべたという

「まあ・・・こういう事に馴れてそうな子じゃないから驚くのも無理はないけど
 問題が起きたのはその後よ」

次の瞬間、誰も手を触れていないのにロッカーの中の『贈り物』が勢いよく飛び出してきた
そのまま、空中で何かに捩じ切られるようにぐしゃぐしゃになると、
窓の外へと飛んでいったという

「まるで・・・・超能力か何かにかけられたみたいだった
 慌てて外に回収に向かったのだけど・・・・既にこのザマ・・・・」

「用心してスペアを作って来てたから、
 あの人に『贈り物』を送る『チャンス』はもう一回あるけど・・・・
 これに失敗したらもう・・・・・後が無くて・・・・・」

「それで大神さんに相談する事にしたの」

385大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/02/25(金) 08:14:10
>>384
「ふむ、それは不思議な出来事だね……」

「もう少し詳しく聞いていいかい?
主にそのチョコが潰れて飛んだ怪現象について、だ」

「そうだね、気になったのは……

①その怪現象に心当たりはある?(What)
②その怪現象の犯人に心当たりはある?例えばキミや想い人は誰かに恨まれている?(動機のWhy)
③その怪現象が起きた時、周囲に他の誰かはいた?(Who)
④その怪現象を見て、『想い人』はどういう行動を取った? 飛んだチョコに驚いた? 飛んだチョコを追った? 飛んだチョコの行方を気にしていた? その他?(想い人は犯人か否か)
⑤その怪現象が起こったロッカーってどんな場所だい?位置と見取り図分かる?(Where)

⑥『想い人』ってどんな人?
⑦その飛ばされた本命チョコはどうするつもりだい?」

「⑧ところで、こいつは『スペアのスペア』さ」

『シルクハット』から出すような素振りをしつつ、
『偽の毛皮』により『スペア』の姿となった『消しゴム』を小豆畑の眼前に取り出す。

「ああ、もちろん『魔法(マジック)』だぜ?

キミも、ボクが『魔術師(マジシャン)』ってのを知った上で、相談しに来たんだろう?」

☆質問
①小豆畑さんと大神さんはどんな関係ですか?
②学内の休み時間という状況ですが、大神さんはバッグ等を持っている、ということでいいですか?
(学内の休み時間に通学カバンを持ち歩くのも妙な気がするのですが、カバンにお弁当でも入っていたのかも知れないね……)

386『チョコレートを届けに行こう』:2022/02/25(金) 22:54:38
>>385

①小豆畑さんと大神さんはどんな関係ですか?
同じクラスのクラスメイトです
どの程度の仲かは、希望があればそのようになります

②学内の休み時間という状況ですが、大神さんはバッグ等を持っている、ということでいいですか?
クラスメイトからの突然の相談に大神さんは何らかの備えをしてきたかもしれません
学校に持ち歩いて不自然でないものであれば自由に道具を持ってきて構いません


「そうね・・・・ひとつずつ答えていくわ」

>⑤その怪現象が起こったロッカーってどんな場所だい?位置と見取り図分かる?(Where)

「教室の前・・・・廊下に並んでいるロッカーよ」

教室側の壁に接するように学生用のロッカーが置かれています
詳細な見取り図はさほど重要ではないため、割愛いたします

>③その怪現象が起きた時、周囲に他の誰かはいた?(Who)

「よく・・・・わからない
 あの時間帯は登校した生徒たちがまばらにいたけど・・・・
 突然の出来事だったから、私以外に反応した人はいなかったわ」

>⑦その飛ばされた本命チョコはどうするつもりだい?

「こうなったからにはもう食べられないから・・・
 折を見てどこかに捨てるつもりだけど」

>①その怪現象に心当たりはある?(What)
>④その怪現象を見て、『想い人』はどういう行動を取った? 飛んだチョコに驚いた? 飛んだチョコを追った?
 飛んだチョコの行方を気にしていた? その他?(想い人は犯人か否か)

「う・・・・それは・・・・。
 正直に言うと・・・・『あの人』の周りではこういう不思議な出来事の噂がいくつもあるの
 それに、飛んでいったチョコを見送る『あの人』の視線・・・・
 何かを警戒していたような・・・・」

>②その怪現象の犯人に心当たりはある?例えばキミや想い人は誰かに恨まれている?(動機のWhy)

「これも・・・・さっきの質問と関わるのだけど・・・・」

「・・・・・・・『アリーナ』」

「そう・・・・『アリーナ』っていう組織をあなたは知っている?
『あの人』は『アリーナ』っていう人達の事を何か・・・・警戒していたみたい
 ひょっとしたらそれで誰かに恨まれていたのかも」

>⑧ところで、こいつは『スペアのスペア』さ

「・・・・・・!?
 驚いた。でも・・・・そんなあなただからこそ、この『トラブル』の謎がわかるかもしれない」

>⑥『想い人』ってどんな人?

「この人を・・・・知っている・・・・?」

ほんの少し躊躇するような素振りを見せるも、観念するようにスマホの画面を見せる
隠し撮りをした写真なのだろうか? 画面の向こうには誰かと話をする『女子中学生』の姿が写っている
黒髪に数房の『赤いメッシュ』、中学生にしては比較的高い身長をした少女だ・・・・・


   ゴゴ ゴ ゴ  ゴ ・ ・ ・


君はこの『少女』の事を知っている!
先日の事故、君の部屋で起きた『練炭事故』の時に来ていた子だ!
彼女の名前は・・・・・・・

「『赤月ナカレ』・・・・中学2年生の子よ・・・・」

視線を下に逸らせながら、恥ずかしそうに小豆畑は答える


⇒NEXT!! 【ミ】『むべ山風を嵐といふらむ』
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1600335547/

387大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/03/14(月) 19:27:23
大神さんは休み時間に>>388とカードゲームをしています。

それは、
ポーカーかもしれないし、
七並べかもしれないし、
大富豪かもしれないし、
ババ抜きかもしれないし、
ウノかもしれないし、
花札かもしれないし、
マジック・ザ・ギャザリングかもしれないし、
遊戯王かもしれないし、
ポケモンカードゲームかもしれないし、
ウミガメのスープかもしれないし、
>>388が適当に決めてもいいかもしれないし、
>>388が適当に決めなくてもいいのかもしれない。

 ※適当に合わせます

388小翠『タキシードムーン』【小5】:2022/03/20(日) 17:56:24
>>387

「いくぜ、おねえさん! 俺のターン!」

大神或真がカードゲームをしている相手
それは、休み時間を利用してこの教室にやってきた小翠(小学5年生)であった!
二人はどんな関係なのだろう・・・・よくわからない
きっと>>389で二人の関係性が明らかになるだろう!

「俺は『ゴールデンギラリティックドラゴン』を召喚するぜ!
 うわー!凄いぞ!かっこいいぞー!」

さて、少年が召喚しようとしているこのモンスターだが・・・・
最近発売された『最新パック』で登場した新カードだ
レアリティは上から3番目・・・キラキラ光るイラストがカッコイイドラゴンカードである
攻撃力も強く、攻撃が敵のプレイヤーに直撃したら強力な効果が発動する

「わははははー!」

だが、その代わりにコストが重く・・・・そして、これは重大な情報だが『破壊・打消し耐性が一切ない』
典型的な『決まれば強いカード(まあ決まらないけど)』であり、
事前情報の時点でプレイヤー達から『カスレア』扱いを受けている代物である

「同じクラスの田中君から『穴掘りモグラ』と交換してもらったんだー!」

・・・・・ちなみに、『穴堀りモグラ』は『ゴールデンギラリティックドラゴン』と同じレアリティではあるが、
汎用性が非常に高く、環境入りしているデッキであれば複数積みが基本のカード
『GGD』とはショップ価格にして10倍以上の価格差がつけられている

389大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/03/21(月) 18:51:04
>>388
関係:近所のおねーさん(男装)

「うわー ゴールデンギラリティックドラゴンだー」(棒)
大神さんは驚きの声(棒)をあげました。

(クククッ……
どんなコンテンツでも初心者が入らないと廃れていく……
初心者は大切にして沼に沈めねえとなぁ!)

大神さんはバンデットキースのようなことを考えているようです。

「くっ……そんな……
『ゴールデンギラリティックドラゴン』だなんて……

今、ボクの場にある
『ブラックマジシャンの妹の夫の妻の兄の弟子のビデオレターを撮ったチャラ男』と
『ブラックマジシャンの勤務先の常務の妻の連れ子が通う学習塾の女教師』と
『ブラックマジシャンの隣家に住むネグレクト少女の現在のペットのタコクリピー』では
『ゴールデンギラリティックドラゴン』の『あの攻撃』には耐えられないかもしれない……!」

対する大神さんが使うのは『ブラックマジシャンデッキ』のようです。
多彩な『魔法』カードが売りなようですが、今の所使ってくる気配がないので、
大神さん的には『男子小学生相手にマジになっちゃってどうするの』状態なのかもしれません。

ちなみに『ゴールデンギラリティックドラゴン』を召喚したところ、ということはおそらくまだそちらのターンです!『宣言』どうぞ!

390小翠『タキシードムーン』【小5】:2022/03/21(月) 19:58:34
>>389

「へへへへ・・・・!
 コイツが俺の新しいエースモンスターだぜ!」

大神の場には『ブラックマジシャン』テーマのモンスターがずらりと並んでいる
それに対してこちらの場には・・・・

『サムライ・キング』
『玄冬の死季 虎落笛』
『デストロイ・デンジャー・デビル』

『サムライ』『死季』『デストロイ』テーマからモンスターを集めたハイランダーデッキなのか・・・・?


い、いや・・・・ハイランダーなどとは烏滸がましい・・・・どう見ても、何のシナジーもない
これは・・・・・寄せ集めの紙束デッキだ!
スリーブもしていないし・・・・カードの間に砂埃が入り込んでじゃりじゃりしている

       ガキA「や、やったぜ!『GGD』の攻撃が通ればこの勝負、小翠の勝ちだ!」

       ガキB「ふっ・・・既に勝負は見えましたね。僕の計算によれば、彼の勝率は95%・・・・ッ!」

小翠の友人なのか、ガキ二人も沸いてきて盛り上がりは(少なくとも小学生sの中では)最高潮だ!
小翠は満足そうにうんうんと頷くと、高らかに攻撃を宣言する!

「行くぜ!バトルだ!
 炎雷風水・・・・光と闇のレイクエム! 混沌の大地を抜けて敵をほろぼせー!
 いっけー!『小翠ファイアー』!!」

余談だが、最新ガイドブックに記載された『GGD』の必殺技名は『ライン・インパクト』である
小翠はこの口上を作るため、昨夜一晩布団の中で必死に考えていた(おかげで目元の隈が酷い)

391大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/03/21(月) 21:02:56
>>390
恐るべきGGDの小翠ファイヤー!
それに対して大神さんは!

「ここで罠カード『お城みたいなマジックホテル』(社会的な意味での罠)を発動!」

罠カードを発動させた!

「『ブラマジ(中略)チャラ男』と
『ブラマジ(中略)女教師』と
『ブラマジ(中略)クリピー』を
生贄融合(意味深)!」

「特殊召喚『ブラックモラルマジシャンガール』!」
『インモラルな外見の魔法少女』のカードが出てきた!

『インモラルな外見の魔法少女』のカード!
それは!
男子小学生が使うと
「○○くん、女キャラなんて使ってんの?エロなん?」
などと言われてしまって『使いづらいカード』かつ『禁断の手札』!
ゆえに戦略の外に置かれがちなカードだ!

「そして、
BMMGの『原罪の瞳』の『全体魅了』効果と……
『ブラマジ(中略)チャラ男』の『俺の最後のビデオレター』効果と……
『ブラマジ(中略)女教師』の『社会的破滅の聖職者』効果と……
『ブラマジ(中略)タコクリピー』の『さようならのハッピー』効果で……」

「こうしてこうして……」
効果カウンターがなんやらかんやら乗っていく。

「……GGDの攻撃力を0にしてBMMGで受けますね」

やることがいやらしい!

392小翠『タキシードムーン』【小5】:2022/03/21(月) 21:24:24
>>391

「えっ?」

      ガキA「あっ!」
      ガキB「・・・・・・。」

呆気に取られる小翠蒼輝
お供のガキどもはその罠カードを見るや、何やら察したような顔で教室を去って行く
ぽつんとひとり、取り残される小翠

「そ、そのカードは・・・・・!」

場に降臨してしまう『BMMG』
強力なイラストアドと強力な効果を併せ持つ強力なカードだ
小翠はそのイラストからさっと目を背けると、自分の場の『GGD』に視線を集中させる

        ソ リ テ ィ ア
そして始まる『大神或真の独壇場』!

「ご、『ゴールデンギラリティックドラゴン』は破壊されます・・・・」

しょぼんとした顔で場の『GGD』を墓地へと送る

「『GGD』の攻撃力が0になった事で俺にダメージ・・・・
 俺の負け・・・・・です・・・・・」

自慢のドラゴンが可愛い女の子モンスターに負けた事で落ち込んでいるのか
俯き加減にカードを片付けようとしている

393大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/03/21(月) 21:41:10
>>392
「また遊びましょう、ボウヤ」(BMMGの声色)
大神さんはアニメ版BMMGの勝利セリフを口にした。

「対あり……おっと
対戦ありがとうございました」(↓ハスキーボイス↓)
大神さんはカードを片付けながら小翠くんに礼を言うのでした。

「いやはや、最後のGGDは危なかったよ……
とてもじゃないが、(中略)チャラ男と(中略)女教師と(中略)タコクリピーでは受けきれなかった」(↓ハスキーボイス↓)
感想戦かな?

394小翠『タキシードムーン』【小5】:2022/03/21(月) 22:06:22
>>393

「対戦・・・・ありがとうございました・・・・」

勝負の熱が冷めてしまったのか、恥ずかしそうに小声であいさつを交わす
何故ならこの場所は大神或真の教室・・・・つまりは高校生の教室だからだ
意気揚々と友達を引き連れて勝負に乗り込んだはいいものの
友達が逃げ帰り、素に戻って初めて気が付く・・・・他の高校生たちの視線に!

「う、うん。GGDは俺の最高の相棒だから」

ちなみに、4日前まで最高の相棒は別のカードだった
だが今の相棒はGGDだ・・・・嘘は言っていない

「でもさ、おねえさん・・・・」

「おねえさん・・・・・手加減してたでしょ?」

395大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/03/21(月) 22:31:15
>>394
「ほほう」(↓ハスキーボイス↓)
その言葉に大神さんは目を細めました。

「腕を上げたようだな」(↓ブラックマジシャンパイセンの声色↓)
大神さんは真面目なように茶化すように言いました。

「という言葉がウソかホントかあいまいなボクはオオカミ少年なのだ、小翠クン」(↓ハスキーボイス↓)
はてさて、頼れないおねーさんなのか頼れるおにーさんなのか。

396小翠『タキシードムーン』【小5】:2022/03/21(月) 23:00:27
>>395

「茶化さないでよ、おねえさん
『ブラックマジシャン』を使うデッキなら魔法がもっと出て来るはずじゃん
 少なくとも、クラスの田中君はそうやってた」

田中君の上着の下には大量のテーマデッキが吊るされているという・・・・

「・・・・・そうだ。おねえさんが本気でやってくれるように次からは『賭け』をしようよ」

小翠はどうやら『賭け』の要素を持ち込もうとしているようだ
金銭を賭ける事は当然、この学校でも学則によって禁止されているが・・・・

「俺が勝ったら、おねえさんの頼みをなんでも聞く
 パシリにしたいならパシリになるし、やって欲しい事があるなら・・・・頑張る」

「・・・・俺が勝ったら、俺の事を認めてもらう
 これでどうだ!?」

397大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/03/22(火) 21:39:38
>>396
「やだ」(けんもほろろ)
大神さんはけんもほろろに返しました。

「世の中、賭けカードだってグレーなんだぜ」(↓ハスキーボイス↓)

「そしてあいにくボクにソッチの趣味はないんだ」(↓ハスキーボイス↓)

       ・・・・・・・・・・・・・・
「そういうのはもうちょっと大人になってからにしなよ」(↓ハスキーボイス↓)
集めたカードを先生に見つからないようにカバンにしまう。

「さ、そろそろ休み時間も終わりだ。教室に戻ったほうがいいんじゃないかい?」(↓ハスキーボイス↓)

※特になければ次で〆ます

398小翠『タキシードムーン』【小5】:2022/03/22(火) 22:35:15
>>397

「む、むぐ〜〜〜〜っ! 俺は大人だよ!
 そりゃあ、おねえさんに比べたら年下だし・・・カードも弱いけど・・・・
 でも、やる時はやる男だぜ! 俺は!」

それに・・・・いざとなれば大人にだって負けない『切札』もあるし、と
内心でそう思う

「あっ! しまった、もうこんな時間か!
 くっそ〜〜〜〜、また今日も勝てなかった・・・・次こそは絶対に負けないから覚えてろー!」

そう言いながら、自分の教室へと帰って行った

399大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/03/22(火) 23:45:06
>>398
「対あり(対戦ありがとう)でした」

「しかし……ボクの本気かあ」

大神さんが持つ『ブラックモラルマジシャンガール』がぐねりと姿を変えて『偽の毛皮』になりました。

「こういうのは、どこまでを『本気』と見るべきかねぇ……」
大神さんは首を傾げながら思うのでした

400御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/03/31(木) 04:42:24

心理学の講義の合間に、食堂を訪れた。
既に昼時を過ぎているせいか、残っている学生の数は疎らだ。
注文した料理を持って、適当な席に座る。

           コトッ

遅めの昼食は『ナポリタン』。
トレイの隣にはクリアファイルが置かれている。
食事のついでに、
提出する予定のレポートを見直しておきたかった。

「生理的反応………………」

「恐怖………………」

「原始的な………………」

片手でフォークを持ちながら、
空いている手でレポート用紙を持ち上げ、ブツブツと口に出す。

401リカオン『アタランテ・オーバーチュア』:2022/04/01(金) 15:05:18
>>400

「生物生産学・生物資源学って言うのは、どうにも堅苦しい感じのが多くて
適わないな」はぁ

今日の食事は、うどん、温玉、サラダだ。
レポートは教室に置いてきた。幸い数日の余裕があるし、後で資料を
家のパソコンなり本屋で適当なのを買う事にしよう。

新聞を広げる。東京大学で培養肉の成功が載せられている。

「これって、私が食べても問題ないのかな?」

狩りの流儀として、生きる命を得るには正当な理由が無いなら
その所業を犯す必要性が無い。

ただ培養肉となると定義が難しいんだな。肉の細胞を増やしてる訳だから
厳密には生きた命と言う訳でもないのだし。

「まぁ大豆肉だって今は凄く美味しいんだし、わざわざ
手に付ける事もだいろうけどさ」

御影の近くには座ってるかも知れないが、知り合いでは無いので
声をわざわざかける事はない。尾月 李下は心理学をとってないのだ。

402御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/04/01(金) 15:52:26
>>401

『生物生産学』に『生物資源学』。
どちらも『心理学専攻』の御影には縁がなく、
当然ながら『尾月』とも面識はなかった。
フォークを置き、『タバスコ』を手に取る。

      ダバダバダバダバダバ

見る見る内に真っ赤に染まっていくナポリタン。
御影憂は極度の『辛党』だった。
やがて、容器の中身を全て出し尽くしてしまう。

「………………あ………………」

中身がなくなった事に気付き、空っぽの容器を置く。

         ガタッ

「『それ』………………」

         スッ

「………………もらっていい?」

椅子から立ち上がり、
リカオンの近くにある『タバスコ』を指差した。
それを取って欲しいらしい。
誰が見ても『掛け過ぎ』に思えるが、まだ足りないようだ。

403リカオン『アタランテ・オーバーチュア』【大学二年】:2022/04/01(金) 16:17:49
>>402

「  」ヒクッ

「え はい……どうぞ」

口の端を引きつらせつつ、一瞬だけ間が空いた後に
タバスコを素直にそちらへ渡す。

(嘘だろ……此処の食堂のタバスコって普通に辛かったよね?)

普段、あまり掛ける事はない。どちらかと言えば自然そのままの
食事が昔から山育ちの為にマヨネーズだとか醤油だとかより
塩ぐらいの素朴な味付けを嗜んできたので、辛党でも甘党でも無い。

いま食べてるうどんも、山椒をちょっとかける程度だ。

「えっと、ちょっと聞かせて貰って良い?」

「その……コツとかあるの? 辛いものでも平然と食べれるようになるとか」

(けど、何だか面白そうな子だな)

普段一緒に食べるグループの子などが居ないので、こう言う少々
変わった同年代の娘と親しくなれるなら損は無い。

こう言う機会に、大学生活を少しでも明るくする為に
学科は違っても学友は広めるべきだろう……青春は短いのだし。

404御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/04/01(金) 16:42:43
>>403

見た目の雰囲気から、
『同じくらいの学年らしい』という事は察した。
それだけでも何となく親近感が湧くものだ。
だからといって、趣味が合うかどうかは別問題だが。

「………………どーも………………」

    ダバダバダバ

タバスコを受け取り、ナポリタンに上乗せする。

            ズズズ…………

再びフォークを手に取り、ナポリタンを口に運んだ。

「うん………………」

「………………『丁度いい』」

やはり、これくらいの刺激がないと物足りない。
長い前髪が顔面を覆っており、
その表情は窺い知れなかった。
だが、声の感じからすると満足したようだ。

「………………食べます?」

もはやタバスコの権化となったナポリタンを勧める。
『食べてみれば分かる』と言いたいのだろうか。
まぁ、食べてみても分からない可能性の方が高いだろう。

405リカオン『アタランテ・オーバーチュア』【大学二年】:2022/04/02(土) 00:49:56
>>404(レス遅れ申し訳ありません)

(凄い人だな……)

リカオンは狩りの中ならば、月の輪熊に出会おうとも精神の一片も乱れない
心持ちを抱いてるが、こう言う平和なやりとりでの突出した出来事には
普通に喜怒哀楽を露わにする。
 御影の壊れてるんじゃないか? と言う既にナポリタンのトマト成分とかより
タバスコの比率が多くなってるのを見てとって戦慄が走った。

>食べます?

「ぇ゛ あー、いやー、えーっと……」

(嫌がらせ、する意味ないよね、初対面だし。
普通に有難迷惑なご厚意って事かー……きっついなー……)

「あー……はい……それじゃあ……ちょっとだけ」

(端っこの、あんまり掛かってないところなら……)

学食の割箸を貰って、それでナポリタンのタバスコが掛かった麺の
端っこ部分を数本だけ慎重に取ろうとしようとする。

406御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/04/02(土) 11:51:15
>>405

無理に勧めている風でもないので、
普通に断っても良かったかもしれない。

「………………どーぞ………………」

         ソッ…………

しかし、相手が取ろうとしているので、
それに合わせて皿を差し出した。
パッと見、全体に掛かっているように見えるが、
あんまり掛かっていないところもある。
これくらいなら、かなりマシなはずだ。
それでも辛さに慣れていなければ『相当くる』だろう。
飲み物は用意してあるだろうか?

「………………『御影憂』………………」

            ボソリ

「………………『心理学部二年』………………」

            ジッ

自己紹介を交えつつ、尾月の手元にある新聞を見やる。

「………………『培養肉』………………」

『もどき料理』という料理ジャンルがある。
『おから』を使った『ポテトサラダもどき』とか、
『エノキダケの根元』を使った『ホタテソテーもどき』とか。
似て非なるものといったところか。

「『車麩』を揚げ焼きしたら………………
 『豚の角煮もどき』が作れる………………」

「言わずに出したら………………
 結構気付かない………………」

「………………『理系』の人?」

『培養肉』に関する記事を見ていたからといって、
必ずしも『理系』という事にはならない。
単なる思い付きだ。
話のきっかけにはいいだろう。

407リカオン『アタランテ・オーバーチュア』【大学二年】:2022/04/02(土) 23:15:17
>>406

ずずー……  っう゛ ごふっ゛ えふっ

(や、やっぱり きつい)

比較的かかってない部分を数本味わって見たが
やっぱり厳しかった。軽く咽つつ、涙目で水を勢いよく飲みつつ
御影の質問に答える。

「えふっ ふー、少し収まった……え? あぁ
生物生産学はとってるから、理系では合ってるよ。
学芸員の資格とろうと思ってるから」

尾月 李下は、狩人としての生き方を生業としてるが、それだけで
現代社会に半ば馴染むのに山だけの暮らしだと家族などに要らぬ
心配をかけたりするのは理解してるので、一定の職に就くのは
仕方がないと理解してる。祖父の生き方を、両親は良い顔をしてないので
動物園など、そう言った生き物と触れ合える場所に近しい所で働ける学問を
習っている。
 動物が好きなら獣医などでは? と思うかも知れないが、私の心の芯は
『狩人』なのだ。治す技術は幾らか必要だが、手に職にする気は低い。

「あ、私は尾月 李下
リカオンって親しい人からは呼ばれてるから、そう呼んでね」

まだ舌は軽く痺れるが、微笑を浮かべて挨拶した。

408御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/04/03(日) 03:56:45
>>407

「――――――………………」

涙目で『タバスコナポリタン』を食す姿を眺める。

(………………『デスソース』じゃなくて良かった)

以前、『赤月』に食わせた事があるが、
その時は危うく『ショック症状』を引き起こしそうになった。
いや、『引き起こした』のか。
やっぱり簡単に勧めるものではない。

      ズズズズズ…………

その後、フォークにナポリタンを巻き付け、自分も口に運ぶ。
特に『タバスコまみれ』になっている部分だ。
リカオンとは対照的に、至って平然とした表情だった。
顔の大部分が前髪で覆われているので分かりづらい。
しかし、普通に美味しそうに食べているように見える。

「………………『リカオン』………………」

『イヌ科』の名前だという事は知っている。
もっとも、『動物』には詳しくないので、それくらいだが。
ニックネームが動物の名前というのは面白い。
どちらかというと、御影は『人間』が専門だ。
日夜、人間に『恐怖』を与える方法を研究している。

「私………………『文系』だから………………」

多くの大学で『心理学』は『文系』に属し、
ここ『清月学園』も例外ではない。

「リカオン………………『動物好き』………………?」

        ボソッ

「………………『リカオンだけに』」

湿っぽい声で『ジョーク』を呟く。

409リカオン『アタランテ・オーバーチュア』【大学二年】:2022/04/03(日) 17:28:35
>>408

>『動物好き』

「うん 好きだよ」

その返答は、淡々としていたが淀みなかった。

「と言うより、生き物全般。私は好きだよ
嫌う理由もないからね。
祖父からの受け売りだけど、この世界で如何なる生き物も
何かの成り立ちに至っている。無駄なものは何一つない
だから敬意を小虫一匹に至るまで常に抱け」

「……なーんて、そんな御大層な事を抱いてるけど。
藪蚊とか蠅が行き成り顔の周りを飛べば反射的に叩くし。
釈迦見たいな生き方は、到底出来はしないけどね。
 精々、普段は魚肉類を率先して食べないのが関の山かな」

そう笑いつつ、動物好きに対し回答した。

「御影さんは、動物の中で一番好きなのはいるの? 犬とか猫とかより
もっと結構マイナーな生き物とか?」

410御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/04/04(月) 05:52:36
>>409

「………………ふーん………………」

「おじいちゃん………………偉いんだ………………」

自分には出来そうもない生き方だ。
他の動物にとって全く害のない生物なんて、
ほぼいないだろう。
プランクトンくらいか?
それだって大量に増えたりしたら問題になる。
どんな生き物でも、
潜在的に何かしらの問題を抱えているのかもしれない。

「動物だって………………
 お腹が空いてたら『人間』食べそうだし………………」

「………………『お互い様』って事で………………」

           ゴソ

置いてあった鞄からスマホを取り出して、画面を見せる。

「………………『これ』………………」

表示されているのは『蛇の写真』だった。
『寮の自室』で撮ったものらしい。
両手で抱えられるサイズの大きな白い蛇。

「………………『サウザンパインスネーク』………………」

「輸出が制限されてる………………」

「神秘的で………………綺麗で………………」

「鱗の表側はザラザラしてるけど………………
 お腹はセラミックみたいにツルツルして………………」

「………………触り心地が抜群………………」

「ご飯は『冷凍マウス』………………」

「解凍して………………
 『一週間に一回』あげる………………」

『蛇の愛好家』らしく、ブツブツと饒舌に語り始めた。
蛇が苦手な人間が多い理由は、
恐竜絶滅後に生き延びた蛇が、
『小型哺乳類』を捕食していたからという説がある。
遺伝子に刻まれた恐怖だ。
だから御影は蛇を好んでいるのかもしれない。
同じ『根源的な恐怖』を宿す者として。

「………………いいでしょ………………」

           ボソッ

よく見ると、写真の後ろの方に何か写っている。
壁に立てかけてあるようだが、これは『サーベル』らしい。
現代では明らかに『銃刀法違反』の代物なので、
普通に考えれば『本物』の訳はないだろう。

411リカオン『アタランテ・オーバーチュア』【大学二年】:2022/04/04(月) 22:29:50
>>410

「そうそうっ『お互い様』の精神って事だね。簡単に言うと」

たまに自論を理解されない事も多い。綺麗事だと両断される事も。

建前であれ、少なからず理解を示してくれる人が居る事にリカオンは喜ぶ。

「へーっ! 可愛いじゃないっ。
私も蛇は好きだよ。最近だと60cmぐらいのシマヘビを
山で会ったかな」

リカオンの場合、その好きと言うのは食用と言う意味合いが比率として強いが
まぁ、愛玩として好きを共有も一応出来る。

「うん? 後ろのサーベル?
御影さん、そう言うのが好きなの?」

リカオンも(人には告げないが)マチェテやナガサなどの
山刀をアタランテの力で振るう事が出来る。
 剣士ではないし、狩りの腕では銃のほうが重視されるが
蛇の首を切ったり、弾丸で瀕死の獣の命を絶つ場合は山刀の腕も
必須なので、御影が剣を持ってる事に何処となくシンパシーを感じた。

412御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/04/04(月) 23:08:52
>>411

「………………『渋い』………………」

シマヘビは日本の固有種であり、馴染み深い蛇ではあるが、
気難しいために飼育は簡単ではなく、実はマニア向けだ。
だからこそ、心が通じた時の喜びは大きい。
また『店』を覗きに行きたくなった。

「――――――………………」

指摘された事で、初めて『サーベル』が写っていた気付いた。
写真を撮った時、ペットしか目に入ってなかった。
我ながら迂闊だった。

「………………ネットで買った………………」

「………………『レプリカ』………………」

「………………そこそこ『いい値段』した」

別にこれを手に入れるために色々やった訳ではない。
だが、それなりに手間を掛けて入手したものだ。
まさか実物がポンと置いてあるとは思われないだろう。
それはこちらも同じ。
目の前の相手が、
プライベートで『山刀』を振り回しているなどとは考えていない。

「………………『連絡先』交換する?」

           ボソッ

「………………気が合いそうだし………………」

哺乳類と比べて、爬虫類好きのコミュニティは広くない。
『イエリ』のように『理解のある同士』は貴重である。
リカオンは動物全般らしいが、まぁ一応『仲間』だ。

413リカオン『アタランテ・オーバーチュア』【大学二年】:2022/04/04(月) 23:24:45
>>412(了解です、有難うございました)

>連絡先』交換する?

「! うんっ するする!
へへっ 御影ちゃんのアドレ貰っちゃった」

少しは仲良くなれればと思ってたし、連絡先も出来ればと
自分から誘おうと思ったが、御影さんから先に申し出るのは
不意打ちだった。釣りで、思わぬ大物が引き具合に反して
飛び出したような、そんな喜びと驚き。

「それじゃあ、またね御影さん。
 今度出来れば『サウザンパインスネーク』ちゃん
直接紹介してくれる機会があれば、是非招待してよ」

休憩時間も良い頃合いだ。腕に巻いた時計のアラームが
語り合いの終了を呼びかけ、教材の入った鞄を提げて
笑顔で次回の未定の約束を取り付ける。

(『サウザンパインスネーク』かぁ……)

リカオンは、全ての生物を拒む事なく受け入れてる。
 あらゆる命は、自身の糧である。

(あー、駄目だな。『狩りの欲』が少し疼く)

友達になったばかりの彼女の愛玩動物にさえ、狩猟の本能が
囁きかけるのは、余りに業が深い。

また近い内に山へ行こう。この心の刃を鎮める為に……。

414御影憂『ナハトワハト』:2022/04/05(火) 07:42:49
>>413

「また今度………………紹介する………………」

風貌こそ不気味だが、御影憂も昼間は普通の大学生。
学校とバイトに行って、休みの日はペットと戯れて過ごす。
日常生活においては、
一般的な二十歳と違わない部分も少なくない。

「………………バイバイ………………」

連絡先の交換を済ませ、リカオンを見送る。

「――――――………………」

         ピッ

そして、『白蛇の写真』を削除。

(………………いいアングルで撮れたのに………………)

人によっては、さらに突っ込まれてもおかしくなかった。
惜しいが、疑われかねない要因だ。
残してはおけない。

         ガタッ

食事も済ませたし、次の講義に出よう。
レポートも提出しないといけない。
『昼』があるから『夜』があるのだ。

415仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/06(水) 22:22:40
放課後、やや人通りの少ない階段に、
ローファーの柔らかい靴音。

トン
    ……トン

         ……トン
  
「……いったん深呼吸」

高等部の制服の女子が階段を降りているようだ。
とてもリズミカルとは言い難いテンポの遅さ。

「うぅ〜〜〜怖あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」

416ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/08(金) 22:09:56
>>415

  ぺたぺたぺたぺた

       ぺたぺたぺたぺた


静かな放課後、折り返し階段の向こうから、小さな、しかし奇妙な音が仁宇櫻子の耳に届いた。
足音……体重は軽く、妙にぺとつくような……それなりに早い。


「ぬわ!?」


そして踊り場をくるっと回って、すぐに仁宇のいる階段に姿を現したのは、
だぼっとした服装をした金髪の子供だった。
年齢は小学校低学年くらいだろうか。髪は長いので女の子か――
あまり前を見ていなかったらしく、突如現れた(のは子供の方だが)人影にびっくりしてバランスを崩した。
位置的に階段を落ちても、すぐ踊り場なので大したことはないだろうが。

417仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/09(土) 15:54:09
>>416
両手を広げ、階段を降りようとしていた、細身で少し背の高めな女子高生。
まるで不安定な足場をバランスをとりながら歩くかのような姿勢だ。

「わっ」「うわわわわ」

急な接近にビックリしたのは仁宇も同じで、
両手をグルグル回してなんとかバランスを取った。

 「あ、あぶなぁ〜〜〜」
            「…………」   ジーーーーー

バランスを崩したチビっ娘を、手を差し伸べるでもなくただ凝視している。
死にかけの昆虫でも見る子供のような、冷たさと好奇心が入り混じった目線。

418ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/09(土) 16:54:46
>>417

「ぬわわ、わわわわ」


冷たい視線を投げかけられるが、それに気づく余裕もない。
数瞬耐えたが、ゆっくりと倒れこんでいく。


「グワー!」


べしゃりと踊り場に転がる子供。
ひっくり返って投げ出された足は裸足だった。
これがぺたぺたという足音の理由だろう。

419仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/09(土) 21:22:40
>>418
「わぁ〜〜〜かあわいそぉ〜〜〜〜  ケガしたぁ?」
「……? 上履きとかはいてないの? はだしで走っても大丈夫なものなの?」
「骨折?骨折したかな  ホネだいじょうぶ?」

心配するような口ぶりだが、好奇心満々な様子。

「あぶないよね〜〜〜 階段は気を付けないと」
「……えい いまそっち行くね」

両手で階段の手すりを掴み、転げ落ちたチビッ子のもとに歩く。
老人やケガ人のようなスローな足どり。

420ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/09(土) 21:57:35
>>419


「むう……大丈夫じゃ。
 骨も……大丈夫じゃ。
 そろそろ暑いかと思ったが、多めに着てたからの」


大人物の服を着込んでだぼだぼだったおかげ、らしい。
どの程度衝撃吸収に寄与したかは不明だが、素肌をぶつけるよりマシだろう。
ひっくり返って大丈夫なのは子供の柔軟性のおかげかもしれないが。


「うむう……」


そうは言ってもノーダメージではないらしい。
くらくらするのか、上半身を起こしてかぶりを振る。


「……」

「……遅いの」


仁宇がこっちに来るというので、そのまま座って待っていたが、
中々来ないのでそのナマケモノのような動きに感想を漏らす。

421仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/10(日) 15:25:11
>>420 
「折れてない?そっかぁ〜 ざんねん」
 「……じゃなかった 無事でよかったね!」

すっとろすぎる動作で迫ってきた。

 「あははぁ〜  ゆっくり降りないとそんなふうに転んじゃうから」

「それぇ  誰の服? なんで靴はいてないの?名札は?
 ここはコーコーセーの使う階段だよ〜
 先生は? おとうさんおかあさんは? どこから来たのぉ?」

動きはノロォ〜〜〜〜っとしたナマケモノだが、
矢継ぎ早に質問してくるその様は『獲物を見定めている』雰囲気に見えなくもない。

422ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/10(日) 16:05:50
>>421


「なるほど?」


と言いつつ、首を傾ける。
転ばないように慎重に動く。理解はできるが、それにしたって慎重すぎる。
そう思うのは普通だろう。


「これはわしの服じゃ……いや、本当はジジイのじゃが……まあジジイは死んだしの。
 ナフダ? ……? 持っておらんな。
 靴……は、脱いできたぞ。建物の中じゃからの。
 センセイ……先生? おとう……どこからというと……ええと」


質問には素直に答えていた子供だが、
あんまり立て続けに聞かれるもので、パンクしてしまったようだ。


「いいじゃろ別に。わしがどこに居ても……
 お前さんこそここで何をしているというんじゃ?」


場違いなのはこの子供であり、高校生である仁宇がここにいることは別段何の不思議もないが、
たくさん質問されてやり返したくなったのか、答えるのをやめてそんな事を言ってくる。

423仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/10(日) 22:14:26
>>420
「何って……階段を降りてただけ」
「こう…… 危ないでしょ 階段って 
 練習…じゃないけど なんかこう…苦手意識を克服?しようかなって」
「たまには手すりを使わずに降りてみようかなって…
 いや〜 むずかしいね」

へたり込むように、チビッ子の前に座り込む。
『階段は危ない』という意識が、他の人間にくらべ強いのだろうか。

「あし…… (ナイの足を覗き込む) 
 うわ〜〜〜〜 真っ黒  靴下まで脱ぐことなかったんじゃない?」

チビッ子の足元をまじまじ見つめながら
拭くやついる?…と呟きながら鞄からウェットティッシュの袋を取り出し差し出す。

424ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/11(月) 07:06:47
>>423

「難しいか?
 手すりを使った方が歩きづらいと思うがの」


それは身長が低すぎて手すりの位置が合わないからだろう。
子供らしくまだまだ他人の視点で考える能力が低いらしい。


「靴下は最初から履いておらん。
 ジジイのはさすがにサイズが合わんしな……」


言われて、自分の足の裏を覗き込み、またも転げるが、すぐに起き上がる。
起き上がりこぼしのようだ。


「なにかくれるのかの? ティッシュ?
 じゃあ代わりにお菓子いるか?
 駄菓子……あー、いや、こっちかの」


取り出したのは『おいしくてつよくなりそうなビスケット』。
箱に描かれた坊やの笑顔が放課後の夕暮れにマッチして不気味だ。

425仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/12(火) 22:02:13
>>424
「ええ〜〜簡単だよ 持つだけだよ」
「ま、ちっちゃい子にはわからないよね〜 
 オトナになればわかるってやつだよ」

「?くれるの? これ」

受けとってみる。
真っ赤な包装のなかで瞼をパッチリ開いたガキの生首と目が合う。
なんかムカつくなこいつ。
ウェットティッシュは袋ごとくれてやる。ヒアルロン酸配合。敏感肌にも使えるやつ。

  バリバリ

「………よし 強くなるぞ!強く!」

   ムシャアッ

袋を破ってビスケットを放り込むや否や、
チビッ子はほったらかして階段をノシノシ歩き出す。

426ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/13(水) 12:54:47
>>425

「むっ」


からかうような言葉をかけると、子供はムッとした表情を見せた。


「このテッシュ……濡れておる!」


足を拭く子供の驚きの声を無視して、階段を降りる仁宇。
さっきまでかたつむりのような動きをしたが、本当にノシノシ歩けているのだろうか?
ビスケット効果か?


「ん? どこへ行った?」

              ぺたぺた


しばらくして子供の声と足音が背後から聞こえた。
聞こえ具合は距離によるだろう。
仁宇が本当にノシノシ歩いたなら子供から逃げ切れる(?)か。
それともやっぱりスローであれば、補足される可能性もある。

427仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/14(木) 00:06:30
>>426
ノシノシ、力強く、転ぶまいと段差を踏みしめている。河を歩く象みたいな動きだ。
つまり相変わらずスロ〜〜〜〜〜リィ。
ぺたぺた歩きで簡単に追い付けた。

 「……ウェットティッシュは濡れてるティッシュだよ」
  ちゃんと蓋を閉めないと乾いたティッシュになっちゃうから気を付けてね」

  「まだなんか用事? 
   お互いアブないよ あなたの事突き落としちゃうよ」 

仁宇は足を止め、一瞬ナイのほうを振り返るが、
すぐに目線を戻しゆっくり階段を下り出す。

428ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/14(木) 01:14:32
>>427

「もしかして……ウェットって……濡れてるって意味か!?」


仁宇の言葉にエウレカした。
足は拭いたようだが、ここで綺麗にしてもまた汚れてしまうだろう。
靴を履くときに拭くべきだった。


「用事? 特に無いが……
 ぶつからないように離れるかの」


ちょっと離れつつも、ちょろちょろと周囲をうろつく。


「いつもそんなにゆっくり歩いておるのか?
 学校っていうのは毎日あるんじゃろ?
 帰るの大変そうじゃな……。
 いや……帰るのは時間かけてもいいが、のぼる時はどうしてるんじゃ?
 遅刻とか……あるんじゃろ? アニメで見たが」

429仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/14(木) 21:04:29
>>428
「ちなみに『ソフト』が『柔らかい』 
 だから『ソフト&ウェット』は柔らかくそして濡れてるって意味」

テキトーに英単語を教えてやる。

「いつも?いつもだよ」
「べつに… 遅刻しても怒られないし? 
 骨折とか車いすの時とかはセンセ―とかが付き添ってくれるもん」

「送り迎えとかもあるし」
「それに救急車とか実質わたしのタクシーだよ いひひ」

この子、学校来てない系児童っぽいよね…
ここで突き落として大けがさせちゃってもノー問題かなぁ、と考えてみたりする仁宇だったが、
それよりも自分が下手に転んだら大惨事なので、歩行に集中する。
階段をようやく半分くらい降りた。

430ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/15(金) 10:51:16
>>429

「ほう、なるほど」

「……」

「なぜ急にソフトの話を……?」


メタ事情ゆえに仕方なし。
お約束なのだ。


「怒られないのか? 特別扱いというやつじゃな。
 骨折……車椅子、救急車?
 ……もしかして特別弱いのかの。
 あれじゃな。あの……発酵の女」


仁宇を追い抜かして、暇そうに階段の下から眺めてくる。
本当に特に用事は無いのだろう。
特に理由は無いが、蟻の行列をじっと眺めてる時くらい感じだ。

431仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/16(土) 15:22:28
>>430
「そうだよ〜わたし人よりソフトな女の子だから」
「宝石よりも砕けやすいお年頃ってかんじ?」

もたもた降りてくる。
正面に回ってみると、足元を眺める仁宇の表情もよく見て取れた。
筋力がないから辛い、というよりも、転倒を恐れすぎている顔つき。
……あと2段。

「……………よっし! 飛び降りてみよっと」
「5〜〜〜〜〜  よ〜〜〜ん  さ〜〜〜ん」

「踏みつぶしちゃうよ〜〜〜」

チビッ子の真ん前に陣取り、カウントダウン開始。

432ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/17(日) 00:41:13
>>431

「何!? なぜそこで急に冒険を?
 じゃが……わしにはこれがある!」


足元に『ベター・ビリーブ・イット』のミニチュア『屋敷』を発現!
『庭プール付き豪邸』だ!
跳んだ女子高生を内部に『転送』しミニチュア化、プールにドボンと着水させるのだ。
女子高生は濡れ濡れ女子高生になるが衝撃は殺せるだろう。

というかよく考えたら、2段とかショボすぎるし、ちょっと移動すれば踏みつぶされる心配も無いのだが……
単なる冗談でかもしれないし。その場合『屋敷』は出しただけで終わるが。

433ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/17(日) 00:44:58
>>432(追記)

『転送』は拒否可能なので、なんだか理解していなくてもとっさに拒否ることもできるぞ!

434仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/17(日) 18:09:37
>>432
「2〜〜〜〜〜   い〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ち」

『カウントダウンとかしたら避けるでしょ』って考えてたが、
チビッ子は避けない。じゃあもう傷害していいってことじゃん!

「んっ」

仁宇は呼吸を止めることで、『スタンド能力』が発動!
細身な体が空気を入れたかのように膨れ上がり、
その歪なシルエットは、さながら『悪趣味にしたミシュランマン』!

    シュバ

そして階段からジャンプ!
身寄りが怪しい児童の肉体を破壊してやろうという、仁宇の明確な悪意!!

と、宙に躍り出た瞬間。

「……!?!?!?!?!?!?!?!」

突然、真下が『プール』にッ!!!
内心めちゃくちゃパニックに陥りながら着水ッ!!!
 
  ザ  バ アッ


     …………プカァ〜〜〜〜〜〜〜


  醜悪なミシュランマン系女子がピクリとも動かず、
  プールに仰向けで浮上している。
  仁宇はここからどうすればいいかわからない。

435ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/18(月) 11:08:43
>>434

「なんじゃ!?」


ギアサードか!? と思ったかどうかは置いておいて、
驚いているうちに元女子高生現ミシュランマンはちっちゃくなって『屋敷』に『転送』された。


「……なんじゃあ〜?」


なんだこれ。と双方思っているだろう。


「し、死んだか?
 そういえば溺れて死ぬと膨れ上がると聞いたことがある気がするの……」


動かない……まさか死んだか? ちっちゃいのでよくわからないが呼吸もしていない……
子供はミシュランマンを覗き込み、つついてみる。
シルバニアファミリー状態の仁宇からすると、巨人に弄られているように感じるだろう。
奇妙だが重さやパワーは変わらないので、プールに浮いていても指でついた程度では押されないが。

436仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/20(水) 21:21:54
>>435
空気を入れた風船人形のようにプールに浮かぶ女子高生の体は、
触り心地まで風船人形そっくりだった。ものすごく玩具っぽい。

「………」

仁宇は口を真一文字に結んでいて、
確かに呼吸はしていないのだが、
『息の根が止まった』というより『息を止めている』ように見える。

  パチ パチ

あっ まばたきした。『えっ何これなにがおきてるの!?』って表情だ。

    パチャパチャパチャ

 今度はちっこい手足をブンブン振っている。プールから出たがってるみたい。
 ずっと呼吸していない様子なので、息とか苦しいんじゃないだろうか。

437ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/21(木) 03:57:56
>>436

「ぷよぷよしておる……
 お、動いた」


生きてはいるらしい。
子供はほっとした様子を見せた。


「どうした?」


出たいなら出ればいい。『屋敷』からはともかく、プールからは。
それとも泳げないのだろうか。
息を止めて膨れた状態を維持しないと沈んでしまうのか。


「ふむ」


まあ、出さない理由も無い。
仁宇を外に『転送』すると、すぐそば(学校の廊下)に出現する。
残念ながらびしょ濡れのままだが……(仕様なのだ)


「大丈夫か?」

438仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/21(木) 19:37:51
>>437
「ぷはぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ」

水揚げされたとたん、空気が抜けたように萎み人間に戻るJK。

「ぜェ   ゼェ」

ケガや異変は見当たらないが、
濡れた服が体に張り付いて、痩せぎすな体の輪郭が浮かび、
息は絶え絶え、髪のツインテールもシンナリしており、
まるで『ふわふわの犬を風呂に入れてみたら貧相になった』時みてーな印象。

「はァ〜〜 『スタンド使い』 うわ〜〜……」

「プールに『飛び込み』……始めてだったんだけど…
 …ひょっとしてころす気ですか…」
「……」

階段を飛び降りるのも冒険!な女子には刺激が強かったようだ。
ナイを見てすごく警戒している目つき。
そんな態度もあって、ますます『風呂に入れた犬』感ただよう。

439ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/22(金) 02:11:47
>>438

「なんじゃお前さんも『スタンド使い』ということか。
 てっきりわしは溺れて……どらえもん? になったのかと思った」


『ドラえもん』……『ネコドラ君』のパロディキャラクターかなにかだったか
確かにダルマのような体型的にミシュランマンと似ていなくも……ない?


「いや急に膨れるから一瞬死んだかと思ったが殺す気はなかったんじゃ。 
 殺すなら暖炉とかに突っ込んでおる。
 わしはただ、お前さんが急に飛び降りるとかいうから……
 プールなら衝撃が吸収されるかと……」


善意でやったと主張するが、目の前の死にかけの濡れた犬のような生き物を見ると、
罪悪感が湧くのか、気まずそうにする。


「まあ……悪かったの。
 水がお前さんのものなら『交換』で一瞬で乾かせるんじゃが、
 わしの『屋敷』のプールの水じゃからなぁ。
 あー、ホットココアとか、飲むか?」


どう見てもポケットに入らないサイズの『無地の布』を引っ張り出し、仁宇を拭こうとする。
ココアは……今の季節がいつなのかは故あって微妙なところだが、
まだちょっと肌寒いんじゃないか? そんな気がする。
濡れてたら寒いだろうし……

440仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/22(金) 20:42:19
>>439
「『ドラえもん』?なんでぇ?」
「なに? 傷つけるつもりはなかったっていうわけ〜?」
「………ぐあ〜〜〜ムカつく」

数レス前に>傷害していいってことじゃん! とか内心のたまってた女子だが
他人のそれについてはムカつくらしい。

「ムカつくけど……でも暖炉に放り込まれたら困るし」
「わたし今生殺与奪の権を握られた状態だから…
 仕方なぁ〜〜〜〜く許す!」

「ココア?牛乳入り?いる」

結構ムカついてるようだが、抵抗はしない。なされるがまま。

「ガラス細工を掃除するかのようにぃ〜やさしく拭いてねェ〜」
「あんまり強く触るとあなた傷害罪でしょっぴかれる事になるから」
「いやぁ〜楽しみだなぁ〜傷害罪と慰謝料」

441ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/23(土) 12:37:42
>>440

生殺与奪の権と言うが、
拒否できる感覚があったので、いきなり暖炉に放り込まれることは無いだろう。


「そんなに怒るな。お前さんも悪いんじゃぞ」


あんまり偉そうなので文句を言ってきた。
とはいえ、一生懸命拭いてはいる。
拭いてはいるが、あんまり器用ではないようで、やさぁ〜しくはなかった。
擬音にすると『わしゃわしゃ』だろうか。
髪の毛の仕上がりは『ぐしゃぐしゃ』になるだろう。


「牛乳? わからんが、ほれ」


寝転がった仁宇の額に、どこからか取り出されたココア缶が置かれる。


   ジュッ


ファッキンホットだ。

442仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2022/04/23(土) 15:20:00
>>441
「へたくそ…」
「わたしが悪いといえば悪い それはそう」
「それはそうと本当に初めてだったんだ
 水場に飛び込むの びっくりしちゃったよね」

ジュッ

「わぎゃっっ 熱ッ!!!!!!!」

急な熱されたココア缶にビックリしたのか、
殺虫剤を浴びた虫のようにビクビク地面で暴れる仁宇。

「…あっっっっついんですけど 暖炉であたためてました?」

起き上がり、転げ落ちた缶を拾う。
缶をポケットにネジ込み、鞄を肩にかけ直し、
そろそろどっか行きそうな雰囲気。

443ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/04/24(日) 00:58:30
>>442

「いいや? 自販機で買った時の温度じゃが」


少々大げさだったか。アチアチだがさすがに火傷するほどではない。
ちなみに子供自身は布ごしに持って渡したのでノーダメージだ。
その悪意の無さそうな顔を見るに、熱さを理解していて配慮が無いのは、単に思慮が足りないのか。


「帰るのか?
 わしはもうちょっと探検するかの」


ミニチュアの『屋敷』を解除すると、子供は出入口とは別方向に歩き出す。


「そうじゃ」


と、振り返って一言。


「わしは『交換屋』をやっておる。
 再度会う事があれば、また『交換』をよろしくの」


そう言い残し、テテテと廊下の角を曲がって消えていった。

444雨田 月人『インサニティ』:2022/08/24(水) 21:18:07

「今月も厳しいな」

雨田は机の上に広げた雑誌に、指を滑らす。
 今は昼休みだ。違法な本では無い。ゲームswitc〇のレビューが
記載されてる内容だ。

「スマ〇ラもゼ〇ダやマ〇オシリーズも大体やり込んだし。
ps4は、5の本体が出来上がるまで待つし……うーん、〇moriだっけ?
このゲームでも買おうかな。でも、そうなると次の小テスト
叔父さんが満足する位には良い点数とらないと」

教室にはまばらに人が居る。
 この座席は好きだ。真ん中より少し窓側で、教師に余り名指しされない位の
丁度良い位置。次の席替えが無い事を願う位には良い席だ。

「……良い天気だねぇ」

445大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/08/24(水) 22:08:04
>>444
「そういう時はトランプだろう」(↓ハスキーボイス↓)
黄リボン付シルクハットを被った緑髪・右青目・左赤目・改造済清月学園黒制服の男装少年(16歳 女子)が、いつの間にやら目の前の椅子に座っていました。

「陰謀論者が大好きなアイツのことじゃないぞ」(↓ハスキーボイス↓)
大神少年は手慣れた風にトランプカードを切っています。

   シャッシャッシャッ……

だれこいつ…
学年違う気もするな…
勝手に教室に入り込んだのかな…
昼休みだしな…

446雨田 月人『インサニティ』:2022/08/24(水) 22:21:54
>>445
(貴方の耳の形状、色合い。ピアスをしている、またはピアス痕が
あるかの情報の記載を、出来ればお願いします)

「……」

糸目の男子高生は、大神へと窓から顔を戻して視線を向ける。
 とは言え、糸目な為に何処を注視しているか不明なものの
少しだけ耳部分に強い視線を感じるような気がしないでもない。

「あぁ」

「いいね。トランプ」

「二人だけじゃ大富豪とかは味気ないから。
 順当にいくとポーカーかな」

「僕は七並べでも豚の尻尾でも、ババやジジ抜きでも構わないけど」

「あの大統領は、もうそろそろ引退したほうが今後の自分の為にも
良いと思うよ。政治生命の前に、身の危険のほうが高まってると思うけど」

初対面ながら、雨田は君の詮索をする気はなく。目の前のゲームと
陰謀論大好きな彼の大統領について軽く相槌の声を掛けつつ対応する。

447大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/08/24(水) 22:51:29
>>446
>耳の形状、色合い。ピアスをしている、またはピアス痕があるかの情報
少年の耳を見る。
少年は屋内でもシルクハットを被った珍妙な風体ではあるが、緑髪のベリーショートカットは無防備に少年の耳をさらけ出している……

 形状:きれい(ショーマンなのでお手入れしてる)
 色合い:色白(インドア派)
 ピアスの有無:なし。痕すらなし(痛そうだもんな)

どうやら、大神少年は『マジックの舞台で顔を見られることに慣れてる』『奇異の目で見られることに慣れてる』せいか、自分の耳に注がれるおかしな視線に気付かないようです。
この少年、アクティブなのはいいのですが、もうちょっと警戒心を持ったほうがいいのかもしれません。

「『ゲーム』もいいけど『占い』なんてどうだい」(↓ハスキーボイス↓)

  ピシッ

少年は手慣れた様子で切り終えました。

「キミ、なんだか悩んでるみたいだったし、
ここは一つ、休み時間に教室に入ってきた、通りすがりの天の神さま(おおかみさま)に、トランプカードでお問い合わせしてみちゃどうだい?
とぅるるるるんるん」(↓ハスキーボイス↓)

☆選択!
→ ①よし!占いだ!
  ②いいや!トランプ勝負だ!(勝負するゲームを提示してください)
  ③うおー!ミミー!ミミー!③③ー!③③ー! (そういえば『3』は『耳の形』だな…)
  ④その他

448雨田 月人『インサニティ』:2022/08/25(木) 13:23:17
>>447(レス遅れ申し訳ない)


「『占い』? あぁ、そう言うのが好きな感じ」

「僕、朝はニュース軽く見た後に星座占いも目を通すよ。気が合うね」

雨田は、君(大神)の耳を記憶に焼き付けると。にこっ では無い。
にこぉ〜っ と言う感じの笑みを作って返答する。

なお、雨田は好きな耳の形は覚えるが、それ以外の耳に関心は無い。
例を挙げるとピアスをしたりする耳はワースト一位で、天然で綺麗な耳が
ベストに入る。健康的な肌色がやはり良いが、余り陽に当たらない
乙女のような耳もストライクゾーンには十分入る。
 要約すると、雨田は君の第一印象がとても良い。 やったね!

「『悩み』か。小さなものから大きなものもあるけど……そうだな」

「僕には『夢』があるんだ。とっても大好きな相手が居たんだけど
色々あって、居なくなって……もう一度再会出来るかなって」

どうかな? そう、糸目の顔を傾げて尋ねる。

表情から余り感情は読み取れないが、言葉はかなり本気を感じる。
 真剣な悩みなようだ……。

449大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/08/25(木) 14:50:37
>>448
>要約すると、雨田は君の第一印象がとても良い。 やったね!
やったー!

>「『悩み』か。小さなものから大きなものもあるけど……そうだな」
>「僕には『夢』があるんだ。とっても大好きな相手が居たんだけど色々あって、居なくなって……もう一度再会出来るかなって」

「あ、ちょっと待った」(↓ハスキーボイス↓)
大神少年(♀)は話の途中で『待った!』を入れました。逆転裁判みたいな演出で。

「初めに言っとくけどボクの名前は大神(オオカミ)さんだけど、モノホンの神様じゃあない。
この『占い』だって『ボクはカードを通じて天の神様にお伺いするだけ』さ。
その結果は、運勢・運命・確率・天のジョブス様・天のビルゲイツ様・天の神様・天の上位存在さま次第。

だから、もしもキミが『ボクに聞かせたくないほどの重い悩み』を占いたいのなら……
『ボクは帽子を深く被って、キミの声が聞こえないようにしてもいい』ぜ?
『カードの占い』だから、極論『ボクの耳が聞こえなくても、カードを操作できれば占える』んだよね」(↓ハスキーボイス↓)

   嗚呼、なんということでしょう!
   悪気はないのですが、大神少年(♀)はよりにもよって『耳を隠そうか?』という提案をしています!
   その『少々大きめなシルクハット』で耳が!耳が!

「それに周りの誰が聞いてるか、わからないから……」(↓雨田の耳に口を近付けてひそひそ↓ 男装少年♀ひそひそ声AMSRみたいに!)

大神少年(♀)は雨田さんにひそひそしながら、あたりを見回しました。
 (※行動意図:周囲の生徒の状況を、再度そちらが決めてくれていいよ)

「あと、もしキミが悩みを心に秘めたまま『恋愛について占ってほしい』って言うなら、ボクは『そういう占い』をするぜ?」(↓ハスキーボイス↓)

「たとえば、その場合……

 ①ボクは占いのルールに沿ってカードを操作する、
 ②キミは思いを心に秘めたままカードを選ぶ、
 ③ボクはキミが選んだカードを見て、『そのカードの解説』をする、
 ④キミは『その解説』をうまく心の中で『解釈』して、『キミの心の中の悩み』に『方針』を立てる、

みたいな流れになるかな」(↓ハスキーボイス↓)
大神少年はそんなことを言っています。

-----
まとめ

☆選択A
 ①聞いてほしくない悩みだから耳を隠してほしい!隠れた耳もいいよね!
 ②聞いてほしい悩みだ!耳を隠すなんてとんでもない!
 ③その他

★選択B
 教室状況の再設定をする?
 ①する!(自由に設定してええよ)
 ②しない!(現状の>>444『生徒がまばらにいる感じ』になるのかな)

☆選択C (選択Aで何を選ぶかにもよる)
 ①『心に秘めたままの占い』がいいな!
 ②『はっきりと口に出しての占い』がいいな!
 ③その他

って感じかな。

450雨田 月人『インサニティ』:2022/08/25(木) 18:52:02
>>449

A②それ『ミミ』を隠すなんて、とんでもない!

B②別に人がまばらでも……いいんじゃないかなぁー

Cは……。

「うん、大神君。せっかくだから、僕のありのままの本音で
占わせてもらうよ。だって、その方が神様の心情も良い気がするだろ?」

「僕には大切な相手が居て。もう一度会いたい
 それが早いか遅いのか、それとも無理なのか……たかが占いと一笑して
良いかも知れないけど、僕はこう言うのは願掛けに近いとも思ってるしね。
どう言う結果でも、前向きに捉えるから大丈夫だよ」

そう、にこやかな顔で雨田は告げる……。

451大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/08/25(木) 19:56:19
>>450
>;別に人がまばらでも……いいんじゃないかなぁー
うむ、考えてみたら、『操作権がそちらにあるNPC一般人モブ』に聞かれても特に困らないな…
むしろ外野モブの反応とかも操作できるし…
しかし、『男装少年♀ひそひそ声AMSR』に惑わされないとは、やるなオヌシ…


>そう、にこやかな顔で雨田は告げる……。
「わかったよ」 (↓ ハスキーボイス ↓)

大神少年(♀)もまた、ショービジネス用の営業スマイル(\0)を浮かべました。

「では、『運命』の『トランプ占い』を始めようか」 (↓ ハスキーボイス ↓)

「でも、ね。

 『運命全般』を本格的に占いたい場合は、複数枚を並べたりもするのだけど…

 『今回の占いは、占いたいテーマが1つでとてもはっきりしている』 から、そんなに手間は必要ないんだ」 (↓ ハスキーボイス ↓)

    シャラララララッ  !

大神少年(♀)の手で雨田の机に、ズラッと『54枚の伏せられたカード』が並ぶ!

「この中から、君の手で『1枚』選んでくれ。それだけで済む。

 選んだカードに基づいて、ボクが『天の神様のお言葉』をお告げするよ。 『天の神様(おおかみさま)の言う通り』、さ」 (↓ ハスキーボイス ↓)

なにやらカッコつけています。どうも『こういうヤツ』なようです。


☆選択
 ・この54枚のどれを選ぶ…?

----------
 ※ちなみに裏で『トランプ占い・タロット占いのサイト』を現在進行系で見てるので、お気軽にどうぞ〜。 ホントにポチッと操作するだけです…。

452大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/08/25(木) 19:59:52
>>451
間違えてsageってる!age!

453雨田 月人『インサニティ』:2022/08/26(金) 18:14:59
>>451(レス遅れ失礼しました)

『ミミ』は愛してるよ。
ただ、初対面の全く良くも知らない男装少女とも理解してない僕が
AMSRで何か感情を露わにするのって難しくないかな?
 別に今は特段、好きな声とかそう言うのはそこまでないなーって
感じだからね。人の悲鳴を聞くのに興奮するとかでも無いし。

母さんも焼け死んだ時は、もう一酸化炭素中毒で焼ける頃には意識
失ってたから、何か叫んだりとかそう言うのも聞こえなかったし。
気絶してるなら、傷物になったけど『ミミ』を自分の手で保管しとくべきだったかな
とは、少し名残惜しくも其の時思ったけど。
 やっぱり、それすると後で警察とかから怪しまれるじゃない?
それにピアスを開けられた時点で、僕の好きだった『ミミ』は永遠に消えたからね。
だから、母さんと一緒に火葬されたのも、仕方がないんだ。

まぁ、僕の心の独白はさておきだ。


「うーん、そうだな」

「じゃあ、『一番左端の、三番目のカード』とかで」

「どうかな? 結果は?」

454大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/08/26(金) 20:48:20
>>453
>ただ、初対面の全く良くも知らない男装少女とも理解してない僕がAMSRで何か感情を露わにするのって難しくないかな?
いわれてみればそうである(画像略)

>「じゃあ、『一番左端の、三番目のカード』とかで」
>「どうかな? 結果は?」
「うん? 『キミの運命のカード』をボクがめくっちゃっていいのかい?」(↓ハスキーボイス↓)

「まぁ、返答を聞かずにめくっちゃうボクなんだけどね」(↓ハスキーボイス↓)
大神少年はそのカードをめくりました。

   ぺろり…

出たカードは……『ハートのK(キング 13)』。

「ほぅ…これは…」(↓↑少しだけ上ずったハスキーボイス↑↓)
さすがの大神さんも少しビックリしています。
大神さんはビックリしながらも、そのカードを雨田くんの前に差し出しました。

「かなり『強力な運命』を引いたものだね…。

『解説不要なくらいに強力なカード』だと思うけど……
まぁ、天の神様(おおかみさま)の託宣を告げるとしよう…。

『ハート』は『心』にして『愛』の象徴。

比較として、他のスートを説明すると…
『スペード』は『剣』にして『戦い・障害』の象徴、
『ダイヤ』は『貨幣』にして『金・富』の象徴、
『クラブ』は『棍棒』にして『仕事・知恵』の象徴、
その中の『ハート』だ。
この時点でちょっとビックリだろう?

しかも、『キング』は『ほぼ最上位』の『運命力』だ。
『エース』を最上位とするか、『キング』を最上位とするか、諸説あるというレベルで、だ。
まぁ、ハートだと『クイーン・オブ・ハート』とかが『その特殊性』で重宝されたりもするけどね」(↓↑興奮気味のハスキーボイス↑↓)

 先程まで余裕ぶっていた大神少年が、どこか興奮した様子で解説口調になっています。
 それほどの『引き』なのでしょうか?
 でも、案外この子はオオカミ少年だから『こういうコトを熱く語れる友達がいない』のかもしれません。
 さてはて?

「さてはて…その上で『キミの出したテーマ:大切な相手にもう一度会いたい』について
このカード『ハートのK(キング 13)』が
『何を言わんとしているか?』と言うとだね…

端的には『最上位クラスの強力な運命が、キミの愛・心を後押しするだろう』ということだ。
『動くなら今』とも言える。

なので、もう少し言葉を付け加えるなら…
『巨大な運命のうねりがキミの心を後押しする。
だから、今自らの心と対話し、その心の向く先を今定め、今行動し、今変わり、今成長せよ』
と言ったところかな…。

なにせ『ハートのキング』だ、『滅多に来ない運命力の波の頂点が今まさに迫って来ている』と見ていいだろう。

……とは言え、これは『カードがそう言ってるだけ』だ。
つまるところ、これをどう感じてどう動くか?は、やはり『キミ次第』だよ」(↓そろそろ落ち着いてきたハスキーボイス↓)

と、言ったところで大神少年(♀)は言葉を切りました。
雨田くんの反応を待っているようです。

455大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/08/26(金) 20:52:52
↑分かりにくいかもだが、テーマに沿って言い換えると『キミがその人に会おうとするなら運命はそれを大きく後押しするだろう。 どう行動するにせよ、なにかしらの大きな運命の力が働き、これから大きな変化があるだろう』みたいなニュアンスだな。

456雨田 月人『インサニティ』:2022/08/27(土) 23:40:50
>>454(レス遅れ申し訳ない。宜しければ、次レスぐらいで〆に入りたいかと思います)

  ハートのK(キング 13)

興奮する大神と違い、へーっと淡々とした声を雨田は上げる。
 とは言え、君の占いを真剣に受け止めてないとかでは無い。
雨田は、今まで心から衝動を起こす程の衝撃が『ミミ』関連で殆ど無いのだ。
 
「うーん、と言う事は」

「近い内に僕が動くも動かないに関わらず、大きな運命が
僕の願いを後押ししてくれるって事なんだ?」
 
 少しだけ思案した顔を浮かべ。
良いね、それ。と口の弧を軽く上げて賛同の頷きを返す。

「あー、けどね」

「タロットって『正位置』とか『逆位置』って確かあったよね?」

「もし、このカードが逆の意味だとして。
それだと、僕は大きな運命に振り回されるって事になるのかな?」

雨田には、その捲ったカードの視点が。自分から見て正位置か
それとも大神からの正位置なのか分からなかった。

だから、聞く。これは正位置なのだろうか?

457大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/08/28(日) 00:43:26
>(レス遅れ申し訳ない。宜しければ、次レスぐらいで〆に入りたいかと思います)
りょ

>「タロットって『正位置』とか『逆位置』って確かあったよね?」
>「もし、このカードが逆の意味だとして。
それだと、僕は大きな運命に振り回されるって事になるのかな?」
「うん、いいところに気付いたね。そう『タロット』ならば正逆がある」(↓落ち着いてきたハスキーボイス↓)
大神少年(♀)はニマリと笑みを浮かべましました。

「結論から言うと『このトランプ占いに正逆はない』。
実は『タロット占いを模したトランプ占いの場合』は『正逆を示すために、あらかじめトランプの上下にマークを入れる』んだ。
でも『このトランプ占い』は『その形式を取らなかった』。
だから、『このトランプ占い』でわかるのは『運命力の方向性と強弱のみ』なんだ。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   ゆえに、そこに『是非』や『善悪』はない。

キミにとって善いことになるか、悪いことになるかは分からないんだ。
さっき『運命のうねり』『運命力の波』と表現したけど、そういうことなんだ。

 ・・・・・・・・・・
『キング・オブ・ハート』を冠する『愛・心に関する最上位の運命力の波』が君に迫ってきている。

キミが『動くなら今』なのは確かだろう。
『この最上位の波』は人生で数回しか訪れないから。

しかし『キミがその波にうまく乗れるか、その波に振り回されるかまでは、分からない』。

『平凡な日常を根本から変えてしまうほどの大きな運命のパワーだけど、それで起こる変化が善いか悪いかは、分からない』。

それほどまでに『強力な運命力』(パワー・オブ・フェイト)なんだ、コレは。

だから『君の意志でもって自ら、波に乗ろうとしないと波に呑まれるだけで終わってしまう』と思う。

逆に『君の意志で願い、進み、波を利用し、そして波を乗りこなした時、君の願いは叶う』とも思う。

かなり『人力』任せな運命論だけど、この『キング・オブ・ハートの意味』はそういうことなんだ。」

という所で大神さんは話を…

    キーンコーンカーンコーン

 …おっとそろそろ『昼休みの終わり時間』ですね。アレは『昼休み終了10分前の鐘』だった気がします。

「おっと、そろそろボクは教室に戻らなきゃな」
大神少年は、ササッと机に広げた『トランプカード』をまとめしました。……『ある1枚』を残して。

「お守り代わりに、この『キング・オブ・ハートのカード』をキミにあげようか?

なに。『おみくじの紙みたいなもん』さ。
『ボクのトランプコレクション』からすれば1枚くらいどうってことない」

大神少年は、雨田の机に『キング・オブ・ハート』(ハートのキング13)のカードを残しています。
くれるみたいです。

☆選択
 占い記念に『キング・オブ・ハート(ハートのキング13)のカード』(価値1円くらい)いる?
  ①いる!
  ②いらない!

458雨田 月人『インサニティ』:2022/08/28(日) 22:36:20
>>457

>キーンコーンカーンコーン

「あ、もうこんな時間か。楽しかった時間って直ぐ過ぎちゃうね」

言外に、この時間は有意義だったと伝える。

「あ、貰えるの? 有難う。
僕、病気や怪我とか悪縁以外なら何でも貰って嬉しい性質だから」

そう言ってトランプのキング13を丁寧に財布の中にでも治めるだろう。

「僕は雨田 月人。いつでも教室にいるから、また何か有益な話や占いが
あったら気軽に来てよ」

 ――『ミミ』の良い人は好きだからね。

心の中で、その呟きを唱えつつ見送る。

「……大きな運命、か」

「『初恋の存在』に、巡り逢えるかなぁ」

『ミミ』……僕だけの『ミミ』と。

 少し、遠い目をしつつ。雨田は窓を見やる。その心中を伺えるのは
神と、彼以外知る由は無いのだろう。

459大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』【高1】:2022/08/29(月) 05:40:38
>>458
「あまた つきとさんっていうのかい。
いい名前だ。風情を感じるよ。秋の夜長みたいな情景が思い起こされる。

ああ。ボクは『大神 或真』(おおがみ あるま)。
この学園の『高等部一年』さ。

部活は『手品部』。
まだまだ『ヒヨッコ手品師』だから、経験のため路上で『ストリートパフォーマンス』(大道芸)をやってたりする」(↓ハスキーボイス↓)

「うん、その『キング・オブ・ハート』のカードはあげるよ。
良くも悪くも、そいつがキミを後押ししてるのさ。
だから、キミなりにやってみるといい」(↓ハスキーボイス↓)

「それじゃまたね、ボクはここらで退場〜」(↓ハスキーボイス↓)

  ペコッ…トコトコトコ…ガシャッ…ペコッ…トコトコトコ…………

大神少年(♀)は、シルクハットを取って深々とおじぎをしたかと思うと、
大脱出をするわけでもなく、徒歩でトコトコ帰っていくのでした……。

460朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2022/09/09(金) 21:58:07
学校構内を何気なく歩いている涙音。

「小林さんかー…なにか話題になってないかな…」
何気なしに高等部の棟の方に足を運んでいた。

はたして例の『夏の魔物』の一件以降、ここでなにか行方不明者などの話題がないかと
あたりを軽く調べているようだ。

461御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/09/12(月) 19:37:09
>>460

       ――――――ぬっ………………

「………………『あ』………………」

角を曲がった直後に、
『ジャパニーズホラー風の女』と鉢合わせしてしまった。
亡霊を思わせる白いロングワンピースと、
顔の大部分を覆い隠す長い前髪。
見るからに恐ろしげで不気味な風貌だ。

    …………『どこか』で出会ったような気がする。

(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1586906856/267-287)

462朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2022/09/12(月) 20:37:06
>>461
考え事をしながら歩いていると、ふと角を曲がった直後に
「ふぉあっ!?」
目の前に急に気味の悪い女性が現れて素っ頓狂な声を上げた。

「びっくりしたぁ!?誰…と」
その見た目から彼女は即座に思い出した

「もしかして、以前あった…ティッシュ配りの人?」
多少ビビりつつも声をかけた

463御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/09/12(月) 21:19:04
>>462

『朱鷺宮涙音』と出会った時、
『御影憂』は『ポケットティッシュ』を配っていた。
それには『バイト先の広告』が入っていた。
『ホラー』をテーマにした『飲み屋』の広告だった。

          …………ジィッ

「もしかして………………」

前髪の隙間から相手の様子を窺い、こちらも思い出す。

「………………『ビー玉』持ってた人………………?」

           ボソッ

「『ラッキーアイテム』がどうとか………………。
 『せっかくの幸運』がどうとか………………」

確か『バイトの終わり際』に会ったはずだ。
あの時は、『恐怖に対する反応』を色々と試して、
散々ビビらせた記憶がある。
また会う事になるとは思わなかった。

「………………『同じ学校』だったんだ………………」

            ニヤァ

口元を歪めて、不気味に笑う。
この少女は『いいリアクション』をしてくれる。
学校が同じなら、これからも『楽しめそうだ』。

464朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2022/09/12(月) 22:27:26
>>463
「あーその…」
相変わらずの異様な風体に思わずたじろぎする涙音。
「ええ、ビー玉持ってましたね…
 あれはあの時のラッキーアイテム…でしたね。」
今は持っていない。今日のラッキーアイテムとは違うからである。

「やっぱり同じ街に住んでいると同じ学校にいることってあるんですねー…」
そう言って微笑んでみせた。
なんだか相手も不気味に笑ってるように見えたため若干引き気味であるが

465御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/09/12(月) 22:48:18
>>464

「………………『偶然』だね………………」

           ニヤッ

たじろぐ姿を見て、涙音とは対照的に、
満足げな笑みを浮かべる。

「………………『御影憂』………………」

           ボソリ

そして、唐突に『自分の名前』を告げた。

「大学部二年………………」

「………………『心理学』を専攻してる………………」

前に会った時も、別れ際に『心理学専攻』だと教えたはずだ。

「………………『何年生』?」

お互いに『自己紹介をしよう』という事らしい。
どうやら『興味』を持たれてしまったようだ。
教えるかどうかは自由だが…………どうする?

466朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2022/09/12(月) 23:04:03
>>465
「確かに…」
そう言ってから少し頭をかいた。
なんとなくカノジョに対しては苦手意識を持ってしまっているのだ。

「御影さん…というんですね。
 そういえば心理学専攻っていってましたねー。
 そういうのって大学でやることですし」

「えーっと、私は朱鷺宮涙音といいます。
 私の方は中学二年ですね…」
相手が先に学年まで質問してきたため
涙音も割りとすぐに学年について答えた。

「しかし、大学の人も…このあたりに用があるのですねー。」
このあたりは高校の敷地であるため、お互いに目立ちそうである。

467御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/09/12(月) 23:35:11
>>466

実際、目立っていた。
涙音はともかく、大学生の御影は『私服』なので、
特に浮いている。
とはいえ、この辺りは生徒もまばらなので、
あまりジロジロ見られてもいない。

「………………よろしく………………」

こちら側には苦手意識はなかった。
それどころか、好ましい存在だと思っている。
恐がってくれる人間は『研究しがい』があるからだ。

「久しぶりに………………
 高等部の先生に挨拶しようと思って………………」

「『里帰り』みたいな………………」

「………………別に大した用じゃないんだけど」

少し前までは、自分も『制服』を着て登校していた。
ずいぶん昔の事のように感じる。
ちょっとしたノスタルジーというやつだ。

「朱鷺宮さんは………………
 進級前の『下見』とか………………?」

涙音の目的は知らない。
ただ、中等部の生徒が高等部を訪れるのは、
そこまで珍しい事ではなさそうに思えた。
兄弟の忘れ物を届けに来るとか、そういう場合もあるだろう。

468朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2022/09/12(月) 23:47:31
>>467
「里帰りですか…
 ああ、高等部の人とまた挨拶をしに来たと」
彼女の言葉を聞いて少し緊張が和らいだ。

(見かけによらず…人間味を感じる…)
「高等部の先生には割りとお世話になった感じでしょうか。」
せっかくなのでちょっと話を聞いてみようと思った。

「え?私ですか?
 えー、まぁ…そんな…ところかな」
少しよそ見しながら返事を返す。

(うーん…行方不明者の話はあんまり他の人に話すべきじゃないかも…)

469御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/09/13(火) 09:56:21
>>468

「………………ふぅん………………」

涙音の返答に、軽く首を傾げた。
ちょっと引っ掛かるものを感じたようだが、
それ以上の追及はしてこない。
高等部の廊下に並ぶ教室を眺めつつ、質問に応じる。

「………………『臨床心理士』って知ってる?」

「『カウンセラー』って言った方が分かりやすいかな………………」

「将来そういう仕事をしたいから………………」

「………………高等部の時には相談に乗ってもらった」

『心理学を専攻している』というのも、
それと関係があるのだろう。
ただし、実際はそれだけではない。
『人間の恐怖を研究したいから』というのが、
一番大きな動機だった。

「………………今日も持ってる?」

涙音の手元やポケットに視線を向ける。

「………………『ラッキーアイテム』………………」

今はどんな品物を持ち歩いているのか、
少し興味が湧いたようだ。

470朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2022/09/13(火) 20:20:18
>>469
「カウンセラー…ええまぁ知ってます。
 私はそういうののお世話になったことは…まあなくはないですね…」
その昔スタンド使いのお医者さんのところに入院したことがある。
その時のことを何気なく思い出していた。

「ふーぅん。その先生はそういうのが専門だったりしたんでしょうか?」
なんとなく興味が惹かれる話である。
この人のいわば『恩師』のような間柄だろうか。

「ラッキーアイテム…ですか?
 えーっと…」
果たしてビー玉のときのようなことにならないだろうかと心配しつつも
なんとなくゴソゴソとポケットを探る

「…今日はこんなものが…」
取り出したのは小さな鈴。色は青色で二つついている。
ポケットの中にあったからかさっきまで音がなっていなかったようだ。

471御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/09/13(火) 21:06:09
>>470

「その先生は………………
 カウンセラーになる勉強をしてたけど………………」

           ボソリ

「それにならずに………………
 教師になったんだって………………」

「だから………………話を聞いた………………」

御影が相談した教師は、
かつては『同じ道』に進もうとしていた人物らしい。
人の一生において『恩師』と呼べる人間は何人かいる。
『その一人』という事なのだろう。

「――――――へぇ………………」

出てきた『鈴』を、まじまじと見下ろす。

(『これ』を取り上げてみたい気もするけど………………)

前回は涙音の方から手放してくれたが、
さすがに同じミスは期待できない。
やるとしたら、どうにかして隙を作る必要がある。
そのためには、何かで注意を逸らすのが良さそうだ。

「私も………………『持ってる』………………」

            ゴソッ

取り出したのは、『藁人形』をモチーフにしたキーホルダー。
頭には『釘』が突き刺さっていた。
見るからに不気味なデザインではあるが、
どことなく哀愁を帯びた愛嬌が感じられる。

       ………………かもしれない。

472朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2022/09/13(火) 21:34:58
>>471
「へぇー…カウンセラーを目指してたんですね、その人は。
 なんで教師になろうと思ったんでしょうねー。」
経歴を聞いていると少し気になってくる。
教師になろうとしたきっかけがあるのだろうか。

「あの…今回は渡しませんから。」
流石に前回の一件があって簡単に手放す雰囲気ではない。
警戒感を見せているようだ。

「へぇ、あなたもラッキーアイテムを…?」
興味深そうにじっと見つめてみると、出てきたのは

「わら、人形…?」
目が丸くなっているのがはっきりと分かるだろう。
どうやら驚いているようだ。

「えーっと…ラッキーアイテム…ですよね?」
呪いのアイテムに見えなくもないそれを見て、ちょっと戸惑っているようだ。

473御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/09/13(火) 22:13:17
>>472

「その先生が言うには………………
 『人には色々ある』んだって………………」

「私にも………………『色々ある』………………」

教師も御影に全てを語ってはいないのかもしれない。
御影も敢えて聞かなかったのかもしれない。
そうだったとしても『世話になった』事は確かなのだろう。

「この藁人形には………………『秘密』がある………………」

予想した通り、今回は『ガード』が固い。
作戦なしで突破する事は不可能だろう。
しかし、御影憂には『策』があった。

「『持ち主』には『ラッキーアイテム』だけど………………」

        ――――――ポイッ

「………………『他の人』が触ると『呪われる』」

    (………………なーんちゃって)

『言葉』で動揺を誘うと同時に、
涙音に向かって藁人形を『放り投げる』!
あくまでも軽く投げるだけだが、
藁人形に対して戸惑いを見せたのなら、
これで隙が出来る可能性は十分に有り得るだろう。
その瞬間がチャンス!

            ス ッ

すかさずもう片方の手を伸ばし、
涙音の注意が逸れている間に、鈴を掠め取ろうとする!

474朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2022/09/13(火) 22:30:05
>>473
「人には色々ある…かぁ。
 それはたしかにそうかも知れませんね。
 私も以前そういうのは感じました。
 …こう、人をびっくりさせたりするのにも理由が?」
ふと思い返すのは夏の魔物の一件で出会った色んな人のこと。

「えー…やっぱり呪いのアイテムなんじゃあ…それって…」
少しその藁人形を見て触らないように気をつけているようだ。

が、その時突然藁人形がこちらに放り投げられた!

「ふぉわっ!?は!」
びっくりした涙音は思わず手を引っ込めて下がろうとしたところで
鈴が手のひらからこぼれ落ちた!

「あーそれは!!」
そして御影憂の手元へと鈴が飛ぶ!

475御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/09/13(火) 23:06:08
>>474

(………………『作戦通り』………………)

            ニヤァ

薄暗く湿っぽい笑みを浮かべながら、
手の中から零れ落ちた鈴をキャッチする。

「フフ………………『心理学』の応用………………」

         コロ…………

             コロ…………

「まぁ………………初歩的なヤツだけど………………」

見せびらかすように、手の平で鈴を転がす。

「何の話をしてたっけ………………」

「そうそう………………
 人を脅かすのは『ライフワーク』みたいなものかな………………。
 『恐怖に対する反応』を研究テーマにしてるから………………」

「私にも………………『聞きたい事』があるんだけど………………」

「こっちの質問に答えてくれたら………………返してあげる………………」

鈴を摘み上げ、顔の高さに持ち上げる。

「………………『ラッキーアイテム』にこだわる理由………………」

476朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2022/09/13(火) 23:48:45
>>475
「なんてことを…
 まんまと盗られるなんて…
 うぅ…このままでは…不幸が…」
ラッキーアイテムを手放した途端すっかり涙音は落ち着きがなくなってきた。

「恐怖、恐怖?まさか…
 最初からそれが目的で話しかけてきたと?」
憂の姿を見て尋ねる。
実際はたまたまだったのだろうが…

「質問ですか…
 別に、それなら良いですけど…」
そう言ってから少し考える。

「そりゃあ、ラッキーアイテムに拘る理由なんて一つですよ。
 私は生まれつきよくわからない不幸が続いているんです。」
そう言ってため息を付いた。

477御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/09/14(水) 00:10:48
>>476

「フフ………………その通り………………」

「ここで起きた事の全ては………………
 『恐怖』を与えるために仕組んだ罠………………」

さらに不安を煽るような言葉を告げていく。

「………………って言いたいところだけど………………」

        リンッ

鈴を軽く揺らし、小さな音を鳴らす。

「話しかけてきたのは………………
 そっちじゃあなかったっけ………………」

鉢合わせしたのは同時だったが、
先に声を掛けたのは涙音だった。
それを忘れるくらい慌てているという事だろうか。
どうやら、よほど大事なものらしいと気付く。

「つまり………………『不幸体質』って事………………?」

『生まれつき』というくらいだから、
おそらく相当なものなのだろう。

「それで………………『お守り』が必要だと………………」

                スッ

やがて、おもむろに涙音に鈴を差し出す。

「………………今度は盗られないようにね………………」

「――――――フフフ………………」

約束通り返してくれるようだ。
もう罠の気配はない。
取っても大丈夫だろう。

478朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2022/09/14(水) 20:15:33
>>477
「うおお、やっぱりそうだったんですかぁー…」

「む…考えてみれば私のほうが話しかけてたんでした…」
今になって思い出した。
かなりテンパっていたことは間違いないだろう。

「…まぁ、そういう感じです。
 常に何かがぶつかってくるんです!みぞおちに!」
かなり必死そうな表情で答える。どうやら嘘を言っているようには見えない。

「あー…そうです。お守りは私にとって正しく守りなんです。
 ですからぜひ…」
そう言って手を差し出すと、鈴を差し出してきた。

「えーっと…もう、次はないですよね?」
不安そうに鈴を取ろうとする。

479御影憂『ナハトワハト』【大学二年】:2022/09/14(水) 20:40:58
>>478

「………………『みぞおち』………………?」

不意に飛び出してきた不可解なワード。
それを聞いて、思わず鸚鵡返しに繰り返してしまった。
『みぞおち限定の不運』というのは、また随分と極端な話だ。

「もしかして………………誰かに呪われてたりして………………」

             ボソッ

「『丑の刻参り』で………………みぞおちに『釘』を刺されてるとか……」

涙音が鈴を取ろうとした時、不吉な言葉で追い討ちを掛ける。
しかし、取る事を邪魔する気はないようだ。
鈴は御影の手を離れ、無事に涙音の元に戻った。

「私………………そろそろ行くね………………」

             スゥッ

「フフ………………『また』………………」

不気味に笑いつつ、放り投げた藁人形を拾い上げ、
涙音の横を通り過ぎていく。

「………………『暗い夜道』には気を付けて………………」

            ボソリ

すれ違う瞬間、不穏な一言を言い残して、
その場を立ち去るのだった。

(やっぱり………………『恐がらせ甲斐』がある………………)

(『朱鷺宮涙音』………………『愉しみ』が増えた………………)

どうやら――――『目を付けられてしまった』のかもしれない…………。

480朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』【中二】:2022/09/14(水) 21:58:01
>>479
「呪われてる…?
 まっさかー…そんな悪いしたこと無い…はずなんですけど…
 それにこの辺にそんな、藁人形だの丑の刻参りだののスポットなんてあるわけが…」
正直自身はない。
恨みを思わぬところで買うことだってあるのだから…

「…ああ、他の場所に行くんですね。
 どうも…」
少し不安そうに頭を下げるが…

ボソリと投げかけられた言葉に
「えっ…」
思わずゾッとする。

「…夜道になにかあるんですかー!?」
去りゆく彼女へ思わず声をかけたが
すでに遠くに行っていた。

「…なーんか、とても嫌な予感がする」
御影憂に狙いを定められたことを彼女は気づいてはいない。

だが、なんとなく危ないのだということは理解できていたようだ。

「まぁ…とりあえず探っておくか…」
不安を覚えつつも、彼女はまた歩き出した。

481夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』&『チェシャ』:2022/11/02(水) 13:42:26

『清月学園』の近くにある喫茶店。
その一隅に腰を下ろし、『待ち合わせ』をしていた。
既に注文したらしく、テーブルの上には、
『抹茶ラテ』と『ほうじ茶プリン』が置かれている。
『和洋折衷メニュー』のようだ。
運ばれてきたばかりなので、まだ手はつけていない。

「『チェシャ』――――きょうはナニしてたの??」

        (・ω・)「フミフミ」

頭の上には、『ハーリキンチェック』の『ハンカチ』が乗っている。
ただの布切れではなく、『スタンド生物』の『チェシャ』だ。
厚みのないペラペラの体ゆえに、
風に舞って飛ぶように移動し、狭い隙間にも入り込める。
『チェシャ猫』を思わせる神出鬼没さで、
夢見ヶ崎の周囲に現れる存在。
今日も特に呼んでなかったのだが、
ここに来る途中で出くわして、そのままついてきたのだった。

482夢見ヶ崎『ドクター・アリス』&『チェシャ』:2022/11/04(金) 17:59:15
>>481

ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1665841153/33へ移動

483リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/02/06(月) 18:27:02

『清月学園』の裏手方面――普段あまり人の通らない場所に、
古めかしい『西洋人形』が置かれている。
赤いドレスとボンネットを身に着けた青い目の人形。
誰が残していったのかは分からないが、こんな所にあるのは『奇妙』だ。

     ……………… ……………… ………………

人形の視線の先では、数人の学生達が行き来している。
だが、透き通った硝子製の眼球は、
どこか遠くを見つめているように感じられた。
まるで『失われた過去』を懐かしんでいるかのような…………。

484リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2023/02/08(水) 18:13:33
>>483

こうしていると、昔を思い出す。
『親善大使』として、この国にやって来た時の事を。
同じ使命を与えられた『姉妹達』と共に、大きな船に乗って港に辿り着いた。
大勢に歓迎されたメリーは、ある学校に寄贈され、子供達の遊び相手になった。
誰もがメリーを愛し、メリーも皆が大好きだった。

(本当に楽しかったわ)

(でも、人間は変わってしまう)

しかし、幸せな日々は長く続かなかった。
やがて戦争が始まると、メリー達は『敵国の人形』として、『憎しみの対象』に変わっていく。
手足をもぎ取られ、頭を砕かれて、火の中に投げ込まれる『姉妹』。
だが、メリーは破壊を免れた。
壊してしまう事を哀れんだ一部の人間によって救われたのだ。

          (人間が好き)

    (人間が嫌い)

今、メリーの中には相反する感情が存在する。
人間に対する『愛着』と『憎悪』。
それが『メリー・バッドエンド』の源なのかもしれない。

         コトッ

独りでに立ち上がり、西洋人形は歩いていく。

  「青い目をしたお人形は、アメリカ生まれのセルロイド」

     「日本の港に着いた時、いっぱい涙を浮かべてた」

         「わたしは言葉が分からない、迷子になったらなんとしよう」

             「優しい日本の嬢ちゃんよ、仲良く遊んでやっとくれ」

童謡『青い眼の人形』を口ずさむ後ろ姿が、徐々に小さくなっていき、
いつの間にか見えなくなった――――。

485赤月『サクソン』:2023/02/26(日) 17:21:27

──清月学園、図書館。
小中高大一貫のこのマンモス校を支える知の貯蔵庫たるこの施設には
児童書から研究レベルの専門書まで幅広いジャンルの書籍が揃えられている

「ん・・・・」

共有スペースの一画に中等部の制服を着た少女が座っていた
肩まで伸ばした黒髪の一部は赤く染められており、姿勢を正して本を読んでいる
机の上には人の身長と同じくらいに高く積まれた本の山

「徳川、家康。戦国乱世を生き延びた後、鯛のてんぷらに当たって死亡・・・・」

『戦国史』『ローマ帝国の興亡』『なぜなに偉人伝』
『騎士たちの生涯』『イラストでわかる三国志』『ぎしわじんでん』
『古田家・吉田家・田淵家の書簡から見る美濃史』『武士の誉れ』・・・・

積まれた本の表題はどれも歴史や人物に関わるもののようだ
それらの本をひとつ、またひとつと丁寧に読み込んでいる

だが、あまりにも高く積まれた本の山は今にも崩れそうな程に危ういバランスを保っていた

486烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/02/27(月) 21:29:44
>>485
「特撮の本とか…ないかなー。」
図書館の中を歩いているものが一人いた。
自分の趣味に合う本がないかと探し回っていたのである。

「このあたりはないかな…」
と、ひょっこり顔をのぞかせた場所には無数の本の山があった。
その中には別の生徒の姿。

「勉強熱心だなー…って」
ふと、崩れそうな本の山を見る。

「どうしよう…このままじゃ崩れそう…」
彼女はそれを見て、心配そうな表情を見せた。

487赤月『サクソン』【中二】:2023/02/27(月) 21:37:53
>>486

「む、むむむ・・・・」

山と積まれた本の間から漏れる唸り声
どうやら、彼女は読書に集中するあまりに烏丸の視線に気付いていないようだ
そして、次の本に移ろうと先ほどまで読んでいたハードカバーを新たに山の上に置き・・・・

 グラ
   ァ
    ア
    リ
   !!

山が・・・・・ 斜めに傾いていく・・・・!!
その事に気付いているのか、気付いていないのか・・・・!?

488烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/02/27(月) 21:51:16
>>487
「あっ…」
グラリと本の山が傾き始めた。
それを見たレイは…当然放ってなど置けない!!

(人助けもまたヒーローの資質!)
そう思うと即座に

「グレゴール・ザムザ…!」
『変身』を行った!!

ギュゥン!!

その体は常人を超えたスピードで倒れそうになった本の山を

「ハッ!!」
即座にキャッチし、崩れ落ちるのを防いだ!
今の彼女はまるで特撮のヒーローのような見た目になっている。
明らかに違和感を生じる見た目だ。

489赤月『サクソン』【中二】:2023/02/27(月) 21:58:16
>>488

「はっ!!」

烏丸レイが『グレゴール・ザムザ』を纏いこちらに向かう・・・!
その瞬間、読書をしていた少女は顔を上げて、ようやく倒れそうになっていた本に気が付いた

「『サクソン』ッ!!」

    ズギャッ!!

そして・・・・彼女もまた発現した・・・・! トレンチコートを纏った己のスタンドを!
倒れ崩れる本の山を支える烏丸と交差するように人型のスタンドが動く

    パッシィィッ!!

二人のスタンドの腕が本の山を両側から支えた!
危うく大惨事(図書委員からこっぴどく叱られる)になるところだった惨劇は未然に防がれたのであった

「君は・・・・!?」

特撮ヒーローの様な烏丸の姿を、少女が見上げる

490烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/02/27(月) 22:18:08
>>489
「!?それは…!」
レイは思わずそのスタンドを見た。
彼女、赤月から生じたスタンドの動きを目で追った。
そして赤月の方にも

「あー、はじめまして…」
思わず会釈する見た感じヒーローの少女。
声で明らかに同年代くらいとわかるだろう。

「その、大丈夫ですかー?
 今にも倒れそうに…なってましたが」
そう言いつつも本を支え続ける。

「まぁ大丈夫そうで…よかった。」
何事もなかったように話を続けようとするレイ。
だが赤月には自分のスタンドを『見た』彼女の顔の動きがわかっただろう。

491赤月『サクソン』【中二】:2023/02/27(月) 22:25:02
>>490

「・・・・・・。」

目の前に突然出現した変身ヒーロー
そんな彼女(声で女性と判断した)が己の『サクソン』に視線を移した事を察する

「すまない・・・・熱中しすぎて気が付かなかったようだ」

よいしょ、という声が似合うような動きで本を持ち上げる
いくつかの山に分けて机に並べ、高さを崩していく

「こんなになってしまっていたとは・・・・
 もう少し早く気が付けばよかった」

「ありがとう。君が支えてくれなかったら、私はぺしゃんこになっていたところだ」

そう言って、自分のスタンドを解除する
特撮ヒーローのようなその姿に面食らった様子だが、
何かを察しているのか大仰に驚く様子はないようだ

492烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/02/27(月) 22:33:18
>>491
「いえいえ、無事だったらそれでいいんです。
 私はその、通りすがりのヒーローみたいな…感じで」
そう言ってどこか気まずそうに手を振る。

「それでそのー…
 これはまぁコスプレみたいな感じで…はい」
おそらくコレでごまかせるだろうと考えた。
(ところでコレって普通の人に見えるのかな…)

「にしても、随分といっぱい読んでますね。
 コレって、歴史の本…ですね。好きなんですか?」
そう言って積み上げられた本を見る。
いろいろな本があるとレイは思った。

493赤月『サクソン』【中二】:2023/02/27(月) 22:45:32
>>492

「コス・・・・プレ・・・・?
『戦士』の姿を仮装する事をそう呼ぶのか・・・・?
 日曜日の朝にテレビで見るような恰好だと思ったけど」

興味深そうに烏丸の事を見つめている
だが、不審がる様子やその姿を笑ったりする様子は一切ない
純粋にコスプレという言葉が気になっているようだ

「あ、ああ・・・・少しだけ、気になる事があって」

烏丸はここで、並べられた本の選定について気が付くかもしれない
これらの本だが・・・・歴史書の中でも『偉人や武将の死』に関わる内容が多い事に

「そうだ。『戦士』の姿をした君であれば、少し意見を聞いてみたい」

494烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/02/27(月) 22:56:37
>>493
「ああ、そうそう。
 私はそういう番組の大ファンなんです。
 だからこうしてたまにね。こういう格好をするわけなんです。」
なんで学校で?みたいなツッコミが入りそうな話だが
とりあえず当人的にはごまかしてるつもりらしい。

「気になること?
 …まぁ、勉強とかの話なら
 一応聞いても大丈夫、ですけど…?」
そう言ってじっとその顔を見る。
勉強ならある程度出来るつもりだ。
教えるくらいなら造作もない。

495赤月『サクソン』【中二】:2023/02/27(月) 23:05:46
>>494

>私はそういう番組の大ファンなんです。

「そうか・・・・」

>だからこうしてたまにね。こういう格好をするわけなんです。

「そうか・・・・!!」

うんうんと嬉しそうに頷きながら答える
どうやら、彼女自身もその感情には共感の念を抱いているようだ

「ありがとう。ここ数日、その事が気になって思い悩んでいたんだ
 ん・・・・そうだな、聞きたい内容は・・・・」

「『戦士の終わり』について、だ」

ずらりと並べられた本を手の平で指し示す

「『戦士』が、その戦いを終えて『終わり』を迎える時とはいつなのだろうか?
 ある者は戦いの最中に命を落とし、ある者は平和な時代を迎えた後、つまらない事で命を落とした
 戦いを次の世代に繋げるために命を差し出した者もいれば、明確な終わりが記載されていない者もいる」

僅かに、目を伏せる

「そして・・・・命を終えてなお戦い続ける者に、私は遭った」

「『戦士』の終わりとはなんだ?
 『戦い』を終えてなお、『戦士』であり続ける者に終わりはあるのか・・・・?」

496烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/02/27(月) 23:32:09
>>495
「お、もしかして貴方もそう言うのに興味が?
 それならDVDを…」
といった所でふと、彼女の質問を効く。

「戦士の終わり…ですか?
 そりゃまた随分とコアな話をする…」
もしかして彼女はディープな特撮ファンなのか?
レイは何処かで食い違いが起こってることに気づいていないようだ。

「戦士の戦いが終りを迎える時…
 まさにそれはヒーローにとって永遠の命題…
 悪の組織を滅ぼしたら終わるのか…いや、
 たとえ悪を滅ぼしても新たな悪が現れ、戦いが永遠に続くこともまたありうる…」
どこか熱がこもった雰囲気となっている。

「でも、少なくともわかることは一つありますね。」
そう言って指差す。

「戦いの終わりを決めることが出来るのはその人しか居ません!
 途中で降りるのも、成し遂げてゆっくり休むのも…
 あるいはそのまま戦い続けるのも!決めるのはその人しか居ないでしょう!
 多分歴史上の人物も自分で選んで終わりを迎えたんですそうに違いありません!」


「って答えになってないかな…」
彼女の問に答えられてるのかと急に気になってきた。

497赤月『サクソン』【中二】:2023/02/27(月) 23:51:45
>>496

「ん・・・・・(『戦士』の生き方に)興味がある」

どこか、決定的な食い違いがある事に気付いていないまま同意を示す

「ふむ・・・・ ふむ・・・・ やはりな
 例え一つの『組織』を滅ぼそうとも、戦いがなくなるわけではない
 それであれば、『戦士』にとっての終わりとは永遠に・・・・・」

>「でも、少なくともわかることは一つありますね。」

「ん・・・・?」

永遠の戦いという言葉に諦観のようなものを見せていた彼女であったが、
言葉とともにピンと立てられた指に興味を向けるように、視線がそちらへ行く

「戦いの終わりを決めるのは『戦士』自身・・・・
 そうか・・・それもそうだ・・・・戦う事を決め、その道に身を投じたのも己ならば
 それをどこで止めるかも己自身の意思で決めるべき事・・・・」

もっとも、そんな風に終わり方を自分で決められる者は少ない
戦いの場に赴く以上、予期せぬ所で戦えなくなる者も数多く存在する・・・・だが

(だけど・・・・己の心が、意志が、そう望むのならば・・・・
 宿命とか、運命とか、そういうものに縛られるのではなく、
 己自身が『戦士』である事を止められる・・・・止めてもいい・・・・のか?)

あの時、戦いの後で小石川文子は言った・・・・『人は、自分以外の者にはなれない』と
その言葉を赤月は『戦士である事を止める事なんて出来ない』と受け取った
だが・・・・目の前の彼女は言う、『戦いを止める者は戦士自身である』と

(いや・・・・・)

心の中で、強張っていたものが僅かに解けていくのを感じる
己自身を自ら縛っていたものが解けていくのを・・・・

(『彼』も、そうだったのだろうか・・・・?
 そうだと、いいな・・・・)

「ありがとう・・・・参考になったよ
 どうやら、君と私は近しい感性の持ち主だったようだ」

『戦士』についての価値観、という意味で赤月は言う

498烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/02/28(火) 00:10:53
>>497
「ほうほう、参考になりましたか。
 私も薄々感じてましたよ。近しい感性(特撮ファン)だということに!」
彼女の葛藤などは知る由もなく、
何気なく思いついた言葉が彼女を動かしたことにはレイは気づいていなかった。

「私も色々見てきたからなんとなーく、ヒーローの葛藤やらも見てきましたからねー。
 参考になりますよ、そういう人の生きざま?っていうのは。
 みんなかっこよかったなー…」
ふと、色々見てきた特撮に思いを馳せる。

「あー、ところで…
 今のはその、参考になったりするのかな…?
 授業とかに…」
歴史について調べていると思ったレイは
いまのが彼女のためになったのだろうかと改めて疑問に思った。

(特撮の受け売りばっかりだから
 歴史を調べる参考にはならなそうだけどなぁ…)

499赤月『サクソン』【中二】:2023/02/28(火) 00:21:15
>>498

「とても参考になったよ
 その眼差し・・・・まるで幾人もの『戦士』の生き様を見送ってきたかのようだ
 やはり・・・・君は『その道』の専門家だったりするのだろうか」

年季の入った特撮ファンは時に熟達の戦士の精神にも相当する・・・・

などという事はないのだろうが、烏丸のその眼差しに何かを感じ取ったのか
感心したように彼女を見つめていた

「・・・・赤月ナカレという。中等部の2年生だ」

本の山を整理し、元の場所に戻す準備をしながら言う
どうやら、烏丸にとっては一つ下の学年のようだ

「よければ、またどこかでその知識を聞かせて欲しい
 いや・・・・『戦士』について、またどこかで話をさせてくれ」

すっ、と右手を差し出す
握手を求めているようだ

500烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/02/28(火) 20:20:31
>>499
「そりゃもう、その道の専門家ですよー。
 でも貴方も見る限りそういうのをよく見てそうですね。
 どういうのが好みか気になりますよ。」
自分のような女の子は特撮の話題にはハマりにくいものだ。
だいたい可愛い系だったり魔法少女系だったりとそういうのが女の子は好み。
故に『同年代の特撮ファン』(じゃないけど)と出会えたことにレイは喜びを感じていた。

「あー、えっと赤月…さん…
 ってひとつ下なのか…
 敬語のままのほうがいいのかなー…」
少し気になりつつも、レイも挨拶を返す。

「こんな格好で失礼…
 私は烏丸レイ、同じ中等部の3年生だよ」
そう言って手を差し出した。

「もちろんお話なら日が暮れるまでやれる自信はあるよ!」
レイは握手に応じた。なんとなくヒーローが握手をしている気分である…。

「気に入ってくれる人がいると嬉しいなー。
 私が見てるヒーローの中に…」
果たして彼女はどの特撮のファンで
特に誰が好きなんだろう。そんなワクワクがレイの中に渦巻いていた。

501赤月『サクソン』【中二】:2023/02/28(火) 21:49:41
>>500

「烏丸レイ・・・・よろしく頼む!」

窓から差し込む夕焼けがバックを照らす中、二人の少女がガシッと力強く握手を交わす
鍛えているのか、年齢相応の柔らかい手の感触の下に筋肉の圧が感じられる

敬語かタメ語か切り替えを迷う烏丸とは対照的にこちらはタメ語のままだ

   ヒーロー
「『英雄的戦士』の話か・・・・興味深い」

そう言って、烏丸の話に耳を傾けていく・・・・
烏丸が話す『ヒーロー』の話と、赤月の語る『戦士』の話
両者は微妙に食い違いながらも、ギリギリの噛み合いを見せてここまで話が繋がっていた

では・・・・このまま話を続けてしまったら、お互いに気まずい雰囲気になってしまうのか・・・・?

――――《1時間後》

「う、うむ・・・・・やはり凄いなその『赤の戦士』は・・・・!
 私としては、ニヒルな『黒の戦士』も捨てがたいが
 友の裏切りに遭いながらも、その友を見捨てない心意気は・・・・私も好きだ!」

意外!! ・・・・・ともいえないが
意外な事に気まずい事になる事もなく・・・・話に馴染んでいた!
どうやら、特撮ヒーローの深み・・・・ヒーロー沼に片足を突っ込む事になりそうだ・・・・

二人はヒーローについて語り合いながら、
日が暮れるまで図書館でお喋りをしていた、という・・・・
とある冬の日の、そんなお話

502烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/02/28(火) 22:18:01
>>501
「こちらこそー!」
そう言って握手を交わす手からは
力強さを感じた。

(この子、鍛えてるんだな。
 スポーツ選手を目指してるのかも?)
レイはあくまでスタンドによる肉体強化。
なので彼女自身はあくまで人並みである。
どこか感心した様子だ。

「せっかくだから一気に語っちゃうかな!
 いきなりだとびっくりしそうだからまずは…」
そう言って彼女はヒーローの話を始めた。
果たして赤月との食い違いのゆくえは…

で、一時間後…

「そうそうみんなを導くレッド!
 色んなキャラが居るけどみんな勇敢で
 おまけにブラックはかっこいいんだよ!
 私が知ってるブラックは酒と煙草が大好きでも…」

「それに新しく加入する人もいてね
 色々ぶつかり合いもあって成長していくんだよ!」
いつの間にやらふたりとも熱中に熱中を重ねていった。

「じゃあ実際に映像も見てみない?
 BOXでもってるんだけど!」
そんなこんなで二人はたいそう盛り上がったそうである。

503カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/03/17(金) 16:36:16

『公衆電話』には『設置基準』が定められている。
人の多い市街地なら、最低でも『1km四方』に『一台』は置かなくてはならない。
学生達が通る『通学路』にも、『電話ボックス』が設置されていた。
昔は重宝されていたのだろうが、
子供がスマホを持つのも珍しくない現代においては、そうそう出番はない。
しかし、『誘拐事件の被害者』が『通報』を行った例もあり、
普段は使わずとも、緊急時には必要とされる存在だ。

      ジリリリリリリ………………

それは『奇妙な現象』だった。
何の前触れもなく、『呼び出し音』が鳴り響く。
ボックス内の電話機が『着信』している。

          ジリリリリリリ………………

誰かが受話器を持ち上げてくれるのを待つかのように、電話は鳴り続ける。

504大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/18(土) 08:56:27
>>503
受話器を取る。
受話器を取ったのは、黄リボン付シルクハットを被った緑髪・右青目・左赤目・改造済清月学園黒制服の男装少年(16歳 女子)のオオカミ少年の大神さんだ。

「ヘイ、ラッシャイ! こちらラーメン大好き珍々亭でござい!」 ←頑固一徹こだわり親父の声真似
イタズラ電話で答えた。

505カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/03/18(土) 10:57:08
>>504

『メゾネットタイプ』の『1LDK』。
室内のインテリアは、無機質な『アーバンモダン』で統一されており、
目に見える生活感が少ない。
二階部分の寝室には『シンセサイザー』が置かれている。
このマンションが『美作くるみ』の住居だ。
今この瞬間は『カナリア』である美作は、大いにリラックスした下着姿で、
スマホを手にしてベッドに腰を下ろしていた。

「へぇ、いつから『電話ボックス』が『ラーメン屋』に設置されるようになったのかしら?」

受話器から聞こえるのは、若い女の声だった。
ただし、その声色は普段よりも『低い』。
『カナリア』は『歌のプロ』であり『喋りのプロ』。
長年の『ボイストレーニング』で、様々な音程の声を使い分ける事が出来る。
『知り合い』に勘付かれる事を察して、咄嗟に声を変えたのだ。

「あぁ、もしかしたら『電話番号』を間違えちゃったのかも。
 お忙しいところゴメンなさい。
 ええと――珍々亭さん?」

相手に合わせているが、もちろん本気ではない。

506大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/18(土) 13:14:20
>>505
「ご名答。ラーメン屋珍々亭とは世を忍ぶ仮の姿……」
イタズラ電話を続ける。

「……用件を聞こうか」(ゴルゴ13のような静かな口調)

「ちなみに映画『ダイ・ハード3』では、
ブルース・ウィリス演じる主人公の刑事相手に、『サイモン』と名乗る謎のテロリストが電話越しに『謎解き』を仕掛け、主人公に街中を駆け回らせる。
その際のギミックに用いられたのが『公衆電話』だ。
撮影当時はまだスマホが普及していなかったからね。

主人公は、街中で突然かかってくる『公衆電話』から出される無理難題を解き、街中を駆け回り、また公衆電話を取って『サイモン』と勝負していく。
電話越しのサイモンから『サイモン・セッズ』("Simon says":英語圏の遊び言葉)の言葉とともに告げられる事件予告、その凶行を止めるために主人公はニューヨークの街を駆ける。
はたして不可視のテロリスト『サイモン』とは何者なのか……?」

「……さて、用件を聞こうか」

ちなみに大神は『そういう能力者ではない』のでカナリアの正体にはさっぱり気付いていない。
『単なるイタズラ電話の相手』という感じである。

507カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/03/18(土) 14:01:48
>>506

「あら、そうなの?
 せっかくだから『デリバリー』を頼もうかと思ったんだけど」

     スッ

立ち上がり、全身が映る『姿見』の前に立つ。
そこに映るのは、シェイプアップされたスポーティーなプロポーション。
日頃からスタイルの維持には気を遣っていた。

「まずは自己紹介しておきましょうか。
 私は『カナリア』。
 『忘れられた歌鳥の囀り』を響かせる『メッセンジャー』」

        グッ

モデルのようにポーズを取りながら、全体的なシルエットをチェックする。

「『囀り』に気付いてくれた誰かさんと『お喋り』する事。
 それが私の用件よ」

          クルリ

背中越しに鏡を観察し、後ろ姿の確認も怠らない。

「ところで、そこは『清月学園』の近くでしょう?
 あの学校は大きいわよね。
 遠くから見ても、よく目立つわ」

基本的に通話するだけの公衆電話に、スマホのような機能はない。
しかし、受話器を取った相手の『位置』は分かる。
単純に『移動する事がない』からだ。

508大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/18(土) 17:07:21
>>507
「ククク……自己紹介どうもありがとう」

「『ラーメン屋:珍々亭』は世を忍ぶ仮の姿……。
俺の名は『ウルフ』……とでも名乗っておこう。
『ロンリーウルフの一匹狼』(同じ意味の言葉の繰り返し)だぜ」
自己紹介されたので自己紹介しかえす大神さんだ。

「ククク…学園の近くだからどうした?
学園に爆破予告でもするのかい、『小鳥ちゃん』?」
『ウルフ』のロールをしつつ、ノリノリでおしゃべりする大神さんだ。

509カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/03/18(土) 18:51:21
>>508

    トン トン トン トン トン

階段を下り、リビングに降りていく。
ガラスのコーヒーテーブルに、
それを囲むように配置された一人掛けのソファー、
ダクトレールに取り付けられたシーリングライトなど、
都会的な雰囲気の家具が揃っている。

「フフ、実は少し前に『ウサギさん』とお喋りしたの。
 その次が『ウルフさん』だなんて面白い偶然ね」

『動物に例えた名前』で会話を交わす。
『ラジオネーム』に通じる部分もあるし、アイディアとしては悪くない。
今後の『セルフプロデュース案』に含める事も検討しよう。

「あはははは…………そんな怖い事なんて、私はしないわよ。
 もし『出来た』としてもね」

『プラン9・チャンネル7』は、直接的な戦闘力が皆無だが、そんな事は些細な問題だ。
カナリアこと美作は人一倍『モラル』が高い。
『能力』を活かせず、フラストレーションを溜め込んでいたのも、
それが最大の理由なのだから。

  「でも、私には『あなたの居場所』が分かってる…………」

       「『振り返ったら後ろに』!」

           「――――なぁ〜んて事はないんだけどねぇ」

しかし、『モラリスト』である事は、堅苦しさを意味しない。

「もし『ウルフさん』が学生さんなら、
 ひょっとして『ウサギさん』と出会った事があるかも?」

まさか本当に『顔を合わせている』とは、この時は知る由もなかった。

510大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/18(土) 19:33:46
>>509
>「フフ、実は少し前に『ウサギさん』とお喋りしたの。その次が『ウルフさん』だなんて面白い偶然ね」
>「もし『ウルフさん』が学生さんなら、ひょっとして『ウサギさん』と出会った事があるかも?」

「ククク……オレを舐めるなよ……
あいにくオレはウサギさんに出会うどころか、エサを食らわせ撫でてきたところでな……」
こう見えて大神さんは意外と常識人(&動物好き)、
そのため、大神さんは『カナリアの言うウサギさん』を人名と思わなかった……。

なので大神さんは『ウサギさん』≒『学園のウサギ小屋で飼われているウサギ』(偶然にも大神さんは今朝ウサギにエサをやり、撫でてきたところであった)と勘違いしたまま話が進んで行く……。

そしてそれはすなわち大神さんはカナリアのことを『ウサギ(動物)とお話しする趣味がある、なんかさびしい人物なのだろうな……』と勘違いしたまま話が進んで行くということである……。

511カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/03/18(土) 20:48:47
>>510

かくして微妙な『勘違い』が生まれかけていたが、『カナリア』には通用しない。
何故なら、本業は『パーソナリティー』。
会話の中に隠された『機微』を読み取るのは『得意分野』だ。

「ねぇ――――今、私を『寂しい人』だと思ってない?」

       コポポ…………

コーヒーメーカーで淹れたコーヒーを、カップに注いでいく。

「一応言っておくけど、『ウサギ』は『ニックネーム』よ。
 『ウルフさん』と『近い世代』のような気がしたの。
 だから、もしかしたら『同じ学校に通ってるんじゃないか』ってね」

「『電話で話しただけ』だから、ハッキリとは分からないんだけど」

           ズズ…………

熱いコーヒーを啜りつつ、キッチリと『訂正』を入れておいた。

               ピンポォ――――――ン

その時、寛ぎの時間を遮る音が響く。
『宅配便』が届いたのだ。
時間指定してあった事を、すっかり忘れてしまっていた。
一瞬出て行こうとした直後、『今の姿』に気付いて立ち止まる。
いくら自宅とはいえ、人を出迎えられる格好ではないのは言うまでもない。

512大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/18(土) 22:29:04
>>511
「……」
ちょっとだけ間が空く。

「ククク……すまない。勘違いした」
ちゃんと謝る大神さんだ。

「とりあえず、もう少し情報がないことに『ウサギさんと名乗る人』についてはなんとも言えんな。
なぜ、そんなことを知りたがる?」

「……そしてアナタが『さみしい人』というのは『あながち間違いではない』と思うがね」

「なぜかというと、だ。
『普通』に考えたら『さみしくない人』は、
『公衆電話に電話などかけない』、
『突然電話に出たウルフなどという怪しいやつとお喋りしない』、
『もっと近くにいるリアルの誰かを頼る』ものさ」

「そして、そこから推測されることとして……

『何か事情のある人』、『特殊な趣味の人』、
『その行動で心の何かを埋めたい人』、
『近くにいる誰かでは埋められない何かを持つ人』、
『人の声恋しさに電話をする人』……

……といった『人物像』がぼんやりと浮かんでくる」

「そして『それら』を総じて『さみしい人』と『こちらが名付ける』のは『あながち間違いではない』と思うがねぇ……」

「ちなみに『ウルフさんのマメ知識』……『ウサギはさびしいと死んじゃう、というのはウソ』らしいぞ」

513カナリア『プラン9・チャンネル7』:2023/03/19(日) 06:16:09
>>512

「あぁ、気にしないで。深い理由はないから」

前半部分については、サラリと流された。
実際、会話の取っ掛かりという以上の意味はなかったのだ。
『ウサギ』を名乗った向こう側が、どう思っているかまでは知らないが。

「フフフ――『着信する公衆電話』に、
 『ラーメン屋さんのマネ』をして出るっていうのも、
 なかなか出来ない発想と行動よね」

    「――――って」

           「…………ヤバ」

                  バタバタバタバタバタ

「ええと――――何ていうか『お客さん』が来ちゃったみたい…………」

              バタバタバタバタバタ

      「お喋りできて楽しかったわ!
       それじゃ、ごきげんよう!」

    ツー ツー ツー

何やら慌ただしい足音が聞こえ、別れの挨拶と共に通話が切られた。
後半部分の分析は『いい所』を突いていたのかもしれない。
しかし、タイミングが悪かったようだ。

「ちょっ、ちょっと待っ…………!」

急いでスタジャンを羽織り、前を閉じる。
それからジーンズに脚を通すが、歩きながらでは無理があった。
途中で『裾』を踏んづけてしまい、ゆっくりと姿勢が崩れていく――――。

           ド タ ァ ン ッ !

     ――――その後、『荷物』は無事に受け取ったらしい。

514大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/19(日) 13:24:28
>>513
>「フフフ――『着信する公衆電話』に、『ラーメン屋さんのマネ』をして出るっていうのも、なかなか出来ない発想と行動よね」

「ククク……そのあたりはオレも『ロンリーウルフの一匹狼』。

「おたがい『変わり者』の『のけもの』
(・除け者(社会不適合者)
 ・野のケモノ(法に縛られない、スタンド能力で自由の野を駆ける一匹のケモノ))
というわけだ、『小鳥さん』」

「おやおや、お客さんかね。
電話をする時は『心と時間に余裕を持って』という教訓だねぇ。」

「それじゃあ、な。ごきげんよう。」 チンッ ←電話を置く音
そういうと大神さんは電話を置きました。

「しかし、はてさて、これはこれは……
この街にはおかしなやつが多いモノだな……」
カナリアの正体を知ってか知らずか、大神さんはそうつぶやきます。

「とりあえずボクとしては、また明日もウサギにエサをやっておくか……
『マトモな』『日常的な』というのはそういうモノだから……」
そんな独り言を言いながら、大神さんは電話ボックスを出ていきましたとさ。

  ガチャ……サザッ……キィィ……バタン  ←電話ボックスの扉の開閉音

おしまい。 めでたしめでたし。 どっとはらい。

515ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2023/04/06(木) 17:07:45

《明日は全国的に雲の多い天気で、広い範囲に雨が降るでしょう。
 その影響を受けて、花粉の飛散量は減少する見込みです。
 ヒノキ花粉のピークは四月中旬までと予想されており、そろそろ終盤と言えそうですね》

『ラジオ』からアナウンサーの語りが流れている。
ステレオスピーカーとロッドアンテナを備えたレトロな『ラジカセ風』のデザイン。
それは『スタンド使いだけに聞こえるラジオ』だ。

      「ミャー」

『城址公園』の片隅に『ラッコ』がいた。
眠っている間に流されてしまい、気付けば星見町に漂着していた海獣も、
町の景観の一部となりつつある。
今のようにノンビリ過ごしている姿も、たまに目撃されるらしい。

516ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2023/04/09(日) 11:30:35
>>515

        〜〜〜〜〜〜♪

しばらくして『ラジオ』からは、60年代に流行ったポップスが流れ始めた。
『コニー・フランシス』の『バケーション』。
『オールディーズ』専門番組のようだ。

        ムシャムシャ

              ムシャムシャ

往年の名曲に耳を傾けながら、
地面に寝転んだラッコは、大きな『アワビ』を齧っている。

          「ミャッ」

ある日のラッコの午後は、こうして過ぎていくのだった――――――。

517白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/05/06(土) 21:26:06

学食。夕方。混雑はしていない。
大学部の生徒達が主に利用する時間だが、
授業を終えた高等部の生徒も、少しいる。

ミルクティー色の長い髪、深青を湛える切れ長の目――
『白岸・ノエル・トーリ』は高等部の三年生だ。

「あなたの『オススメ』は、どれですか?」

と、声をかけた。

その相手が>>518だ――当然意思疎通は出来る相手だ。

518斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/05/07(日) 11:49:09
>>517

 「『ディープブルー』……知性という題材を絡めた終盤の展開含めて、名作の一言に尽きます。」

赤いメッシュの入った黒髪をかきあげると、持て余した指先で
襟元のスカーフを弄りながら、学食のメニュー一覧を眺める。

今日は残念な事に祖母の弁当がなかった、全てがうまくいかないのが人生だ。
 
 「『シャークネード』はアサイラム(理解しがたいサメ映画を作るいかれた制作会社)だし
 『エクソシスト・シャーク』は、Z級の下弦超えて流石に笑えない方のクソ映画なんで。勧めるのは人の心がない……んで。」

白身魚のフライ、小鉢、酢の物。うん、これにしよう。
妥協してB定食のセットに心を決めると膝を伸ばす。

 「ところで白岸パイセン。それってサメ映画の話ですよね?」

519白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/05/07(日) 19:24:18
>>518

「――――はあ、トーリは驚きました。
 そういうメニューが、ここに新しく出来たのかと。
 斑鳩君は冗談を好むのですね」

           スッ

斑鳩の後に続くようにして、席を立った。
羽織っていた白いカーディガンは、背もたれに残したまま。

「斑鳩君は。映画が好きなのですか?
 トーリはあまり見ませんので、話題を合わせられるか不安ですが」

ほとんど並ぶことなく、注文は済ませられるだろう。
注文を決めるのに悩むでもなく、会話を続ける。

「『ディープブルー』
 次の休みに見てみましょう。
 斑鳩君のおすすめのようですから」

「それで――――メニューでは。何がおすすめですか?」

520斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/05/08(月) 02:45:59
>>519

 「現実よりは好きです、ばかばかしいので。」

最近は随分と気温があがって、冬はもう過ぎ去ったのだと解るが
途端に夏服が恋しく思えてくるも現金だと思える。

 「人間の文化の極みですよ、アレは、そうじゃなきゃ馬鹿みたいな金をかけて
 馬鹿な事を、毎年1年中やっていることになります。でも……」

靴音をたわいのない会話に溶け込ませながら、学食のおばさん前までゆき、B定食を頼む。
向けるのは張り付けた笑みにどろりとした影のような瞳、我ながら毎度やる事は変わりがない。
こんなのでも元の造形がいいので様になるのが不思議だ。
 
 「合わせる事はないと思いますよ。」

注文を待つ間に、脚を止めて振り返る。
……最初の記憶は両親に連れられて行ったひとつの映画だったと思う
内容は思い出せないが、両親が笑顔だったのでつられて僕も笑ったのだ。

 「アレは大皿で鮮明な映像を共有する、話題そのものですから……
 口に合わないなら別の皿を選べばいいのです。『ディープブルー』お勧めですが
 万人の舌にあうとは思ってませんからね。」

だから、今喋っているのは割と本心で……
そのうえで、心に恥を塗っている。何かを隠すように頬を掻いた

 「そのうえで言うならB定食ですね、今日は魚の気分なので。
 白岸パイセンはアジフライ、お好きですか?」

521白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/05/09(火) 01:14:52
>>520

「そう。ですか。
 斑鳩君がそう言うなら、そうなのでしょうね。
 確かに――映画は演技と。音楽と。演出と。広告と。
 いくつもの文化で作られた、集大成。
 斑鳩君の言う事を。トーリは受け入れられます」

   「せっかくオススメいただいたので。
    『ディープブルー』は見る事にします。
    舌に合うかどうかも、話題ですよね。
    それから――――」

          スッ

沈黙や、間には、何も口を挟まない。
『してほしいこと』は『わかる』からだ。

「アジフライ。好きです。
 トーリも『B定食』を、お願いします」

斑鳩と入れ替わりで、注文を済ませた。
模様の小さな財布から紙幣を出し、渡す。

「『A定食』は、豚の生姜焼きだったみたいです。
 それと、日替わりのデザートは『レモンムース』
 ……料理も、一つの文化の極みではないかと。トーリは思います」

席に戻りながら、珍しく、自分から話題を振った。
それも一から考えたものではなかったが、それなりの努力はあった。

522斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/05/09(火) 21:30:34
>>521

 「舌に合えば幸いです。」

料金を支払い、先輩……白岸の後を追って席に着く。
我ながら……そこらの半グレを転がすよりもよくない事をしている、と思う。

腰を下ろすと、椅子が僅かに軋んだ。

 「……。」

待つのは好きじゃなかった。
夢を叶えるのに散々待たされている身としては、今更だが猶更だし
なにより僕はどうやら、沈黙が耐えられないものらしい。

 「昔、自分が食べたものがどう作られるのか、ふと気になったんです。
 インスタントのコンソメスープだったんですけどね。」

なので適当にしゃべりながら待つことにした、
頬杖を突きながら、空いた方の袖の中で『鎖』を弄る。
どうせ見えもせず、聞こえもしない代物だ。

 「調べ方が家にあった古い料理本だったもんで……
 作り方、一瞬冗談かと思えたんですよ。なにせ無駄にする素材が多すぎる。
 ようはダシになってるんで、完全には無駄じゃないんですけど。」

呼ばれたら先輩の分も取りに行こうか
そんな事を考えながら他愛ない話を続ける。

 「なんというか、黄金のスープを作るのにも映画を作るのにも
 随分と無駄というか……文化の極みってそういう贅沢からしか生まれないんでしょうね。」

苦笑と呆れ交じりにぼやく。

 「レモンムースもいいけど、今は長靴一杯に食べたいな……」

523白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/05/10(水) 09:36:32
>>522

「楽しみです。合わなければ、ソースを多めに掛けましょう」

戻る席は決まっているので、苦労はない。
学食メニューの多くは作り置きだが、
揚げ物は時々、揚げたての事もあった。
もちろん、盛り付けるのにも時間がかかる。
少しだけ、話しながら待つことになるのだろう。

「『コンソメスープ』は。
 一度だけ、一から作った事がありました。
 斑鳩君の読んだレシピとは違うかもしれませんが」

頼まれて――だった。

「牛すね肉と、骨。にんじん。セロリに玉ねぎ。
 ハーブをいくつか。確か……ローリエとタイム。
 にんにくや塩胡椒も入れたかもしれません。
 覚えていろとは言われなかったので、忘れました。
 なにしろ……冗談みたいに、多かったので」

      「……」

少し上を向いて材料を誦じて、それから。
――机の下から聞こえた『鎖音』に僅かに目を向け。

「もちろん。顆粒より味の良いスープになりましたが、
 トーリは、それほど大きく変わるとは思いません」

視線を戻して、話を続けた。
『斑鳩』ならその視線を追い、今を解せるだろう。

「映画は。ずっと人を楽しませ続けます。
 コンソメスープは……飲めば終わりですが、
 コンソメスープという『文化』は残り、
 今では誰もが簡単に作れるようになっていますね」

      「気が遠くなるような贅沢でも、
       そうした歩みは……尊いと思います」

特段の感嘆を込めるでもなく、何気なく紡いだ言葉だ。

「レモンムースは小皿にほんの少しでしたね。
 トーリも。もう少し量が多いデザートの方が嬉しいです」

    「……確かそれも。映画のセリフでしたか?」

あまり映画は見ないが、戯れに見せられた事はある。
子供に見せたがりそうな、アニメ映画だった。

524斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/05/10(水) 21:25:31
>>523

 「ああ、それは……」

少し、目を見開く
戸惑うというより面食らうの方が近いかもしれない
そういう考え方は自分にはなかったからだ。

 「それはとても素敵で、幸福な考え方だ。」

心からそう思える。
誰か一人にでもそう思わせられるのなら、
悲しい事ではないのかもしれないと。

そうして僅かに頷く。

 「白岸パイセンも、子供のころに?どれだけ疎くあろうとしても、
 あそこ(ジブリ)の作品は、何度もテレビで流されますからね。」

誰かが呼ぶ声がする
僕は席を立った。

 「お陰でテストに出る英単語より先に覚えてしまって。
  ……あ、先輩のも取ってきましょうか?料理。」

……今は、あまり考えたくないが
目の前の先輩は僕の手元の音を視線で追った気がした。
たとえそれが砂漠の中で砂金粒を探す確率だとしても、
ありえなくは……ない。

 「いや、いや……」

右手を口元にあてて、背を向ける
『それ』が僕の両肩を掴んで、耳元で囁く。
自分の右腕に、銀色の蛇が絡みつく音が聞こえる。
考えたらダメだ。考えるな。吐き気がする。

 「デザート…………レモンムース……
 すぐ持ってきます。」

ここを離れたい、出来る限り胃に詰め込んで
デザートは先輩に渡そう、それがいい。だから前に歩け、顔を相手に見せるな。
今の俺は酷い顔をしている。あと……2秒欲しい。

525白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/05/10(水) 22:44:32
>>524

「そう。でしょうか。
 トーリには分かりませんが、
 考え方を褒められて悪い気はしません」

       ・・・

「あれは――――――10年ほど前に見ました。
 人並みに、ああしたものも、見た方がいい、と」

また、少しだけ上を見て。

           「……そうですね。
            取ってきてくれますか?
            その間に。手の空いたトーリが、
            斑鳩君の分も水を汲んできます」

答えに少し、考える必要があった。
つまり、『いったん距離を置く』答えに。
理由は分からないが――――『話を続けたくない』のだろう、と思った。
白岸・ノエル・トーリにも、考える時間が必要だった。

「……」

「ソースも。給水機の方が近いですから、トーリが持って来ます。
 トレイに載せると、バランスを崩してしまいますから」

自分で考えるのは難しい。
それでも、誰かの意図を導になら歩けなくはない。

(旅人が見上げる星のように。
 仰げば導いてくれるものは、失われてしまった――――)

伸びた背筋で、粛々と、二人分の水を汲み、
座席で使うために置かれたソースのボトルを器用に取り、席に戻って、待つ。

526斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/05/11(木) 10:21:59
>>525

人間の中身は、生まれついたものが7割を決定するという
残りの3割は……とても、受け入れがたいものだったが

(7割くらい、まともなもので有りたかったと考えるのは贅沢だろうか……
 こんな奇跡にたよらないで、済むような……)

トレーを手に席に戻る、スタンドも今は落ち着いている、
今だけは考えるのを止めたい、自分自身と言う地獄からは逃げられないとしても。

(迂闊にあの人に気にかけさせるわけにもいかない。)

トレーをテーブルに置き、なんとか席に着く
表情は既に整えている、笑顔は変わらない筈だ。

陽光が窓の形に切り抜かれ、自分に影を落としていた。

527白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/05/11(木) 13:42:13
>>526

「ありがとうございます、斑鳩君」

           ス

「『B定食』――いただきます」

自分の分のトレーを自分側に寄せて、
ちょうど、中間の位置に『ソース』を置いた。

「ところで。トーリは。
 アジフライにはレモンを絞りますが、
 斑鳩君は、どうでしょうか」

差し込む陽光は、白岸・ノエル・トーリを照らし出す。
フライに添えられたくし切りのレモンを手に取って、
フォークを果肉に突き刺し、皮を持ってねじる。

やり方を知っている事は絶対に確実に効率的に出来る。

「付け合わせのキャベツには――
 トーリはドレッシングではなく、ソースを掛けます」

      「斑鳩君は。何か掛けますか?」

そして。取り止めのない会話の必要の為、ゆっくりと切り出す。
考えなくてはならないことは、決して全くどうしても確実ではない。

528斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/05/12(金) 04:47:07
>>527

 「大丈夫ですよ……いただきます。」

子気味いい音と共に割り箸を奇麗に分割する(精密動作:B)と
食事に手を付け始める。

 「成程、パイセンは『レモン派』ですか……僕は、
 レモンの爽やかさも捨てがたいと思いつつ」

赤い蓋の小瓶に手を伸ばす。

 「醤油の香ばしさも気に入っています。」

他愛もない会話を続けながら
アジフライをなるべく急ぎ気味に堪能する。

 (偶には悪くないな……侮りがたし、学食)

しかし、胸中にある物を咀嚼しながら
目の前の料理も堪能するという行為は、例え身体が2つあっても
困難な行為だったらしい、自分で試して今解る。スゴクキツイ。
『プラン9・フロム・アウタースペース』とはいかずとも『実写版デビルマン』くらいキツイ
前者よりは後者の方がまだツッコミどころが多々ある分、マシかもしれないが。

 「ごちそうさまでした。……あ、それとよろしければ此方のデザートはお譲りします
 もうお腹一杯なのですが、残すよりは求める人の手に渡るべきだと思うので。」

食べ終わり、箸を置くと席を立つ。

 「それでは白岸パイセン、また機会があれば。」

529白岸・ノエル・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/05/12(金) 19:49:12
>>528

「トーリはレモンと。ソースも掛けます。
 アジフライでも。エビフライでも。
 ソースは、『タルタルソース』が好みですが」

        「濃口ソースも、好きな方です」

話しながら、食べ進めていく。
食事中の会話として、メニューの内容はこの上ない。
自分と相手のことを話すより、ずっと簡単だ。

「斑鳩君。……そうですね。
 それは、いただきましょう、お互いのために。
 トーリはレモンムースも、好きな方ですので」

     スッ

「この曜日。この時間、トーリはよくここにいます。
 機会があるかは、斑鳩君。『お任せします』」

望まれているにせよ、望まれていないにせよ、
主導権を渡すことは、望むところで、得意な事だ。

「……」

斑鳩が去った後、少しだけその方向を見ていたが、すぐにデザートに戻った。

530斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/05/13(土) 00:41:04
>>529

背中越しの言葉に、振り返らずに手を振る
今の僕には、思い出すべき事が多々ある


鎖の使い方、影が自分にへばりついている理由
3人目の存在……

それでも、一時でも事を忘れた
忘れてしまった……。

 (僕を許さないのは、誰だろうな)

次の目的地へ向かうために、僅かばかりの幸福感と共に
彼は夕日の最中へ歩みを進めた。

531白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/05/17(水) 15:33:50

教師に頼まれ、『地歴準備室』に教材を返しに来た。
清掃員も入り込まず、普段鍵のかかった部屋は、
少し埃くさく、灯りにも関わらず薄暗い雰囲気がある。

「…………」

        ゴト ン

所定の台の上に、地図帳や小さめの地球儀など、
地理の授業で用いた教材の箱を返した。

それから、なんとなく部屋の入り口の方を見た。
物音がしたような気がしたからかもしれないし、
あるいは、誰かに声を掛けられたのかもしれない。

532乃々『ポリシネル』【中二】:2023/05/19(金) 16:50:44
>>531

入口に立つのは中等部の生徒らしかった――――。

左右で長さの違うアシメショート。
透ける程に薄いシアーレースのカーディガン。
首と手首と足首に巻かれたリボン。

――――何かを忘れたような表情で、そこに立ち尽くしている。

「……?」

手の中には筒型の『ピルケース』。

「あ……」

室内のトーリに気付き、軽く会釈した。

「あの――失礼なんですけど……どこかでお会いしませんでしたか……?」

ここにいた理由は覚えていない。
記録を見れば分かる。
でも、まずは確認しておこうと思った。

533白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/05/19(金) 20:13:08
>>532

「――――――?」

身体ごと振り返ると、ミルクティー色の長い髪がなびく。
入り口に立つ少女に向ける切れ長の目は、深い青を宿す。
とはいえどんな印象であれ、『覚えてはいない』だろう。

                 ペコリ

「こんにちは」

小さく会釈を返す。

「どこかで。ですか。
 ――――トーリは。即答できません。
 ただ。面と向かって話すのは、
 きっと、初めてでしょうね」

     ノエル
「『白岸・N・トーリ』といいます。はじめまして」

学校生活の中では幾度も知らない誰かとすれ違うし、
何かしらの活動をすれば、学年の違う生徒と会う事もある。

「何か……お探し、でしょうか。手伝える事は。ありますか?」

『ピルケース』に僅かに視線を向けたが、
そういう物が必要な人間は別に珍しくもない。すぐに顔をじっと見る。

534乃々『ポリシネル』【中二】:2023/05/19(金) 21:18:10
>>533

「……そうでしたか」

「『もしかしたら』と思ったので……。
 私ったら……いきなり変な事を聞いちゃって……」

安心と同時に、少しばかりの気まずさを感じ、語調は次第に弱まっていく。

「『千々石乃々(ちぢわのの)』です。はじめまして」

だから、トーリの挨拶には大いに助けられた。

       ゴソ

ピルケースをしまい、代わりに小さな手帳を取り出し、頁をめくり始める。
中身は几帳面な筆跡で埋まっていた。
乃々自身が『何処で誰と何をしたか』の記録だった。

     (えっと……)

          パラ パラ パラ

『白岸・ノエル・トーリ』――その特徴的な名前は、どこの頁にも書かれていなかった。
やはり『初対面』だと改めて理解する。
迷惑を掛けていなくて良かったと思う。

「――あ……すみません……」

手帳から顔を上げ、トーリに視線を戻す。
『地歴準備室』の前にいた理由についても、これといった記述がない。
重要な事柄は全て残してあるので、書いていないという事は、
きっと何の気なしに歩いていたのだろう。

「いえ……探し物がある訳じゃないんです。
 普段は閉まってる場所が開いてたので……」

記録にない事は『予想する』しかない。

「だから、少し気になって、それで覗いてみたんだと思います」

自分の性格と状況から、今に至った行動を『推理』した。

「……何だかちょっと特別な雰囲気のある部屋ですね」

間を持たせようとして、室内を見回す。
全く興味がないと言えば、それはウソになる。
入った事はない――筈だった。

535白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/05/19(金) 21:40:47
>>534

「分からないことは。聞くのが大事です。
 千々石さんのしたことは、
 トーリは、とても正しいと思いますよ」

肯定の言葉――気持ちから出た素直な言葉を返し、
メモ帳をめくる姿を、適度に視線を動かしながら待つ。

「謝らなくて、大丈夫です。
 トーリには分かりませんが、
 千々石さんには、必要な事なのでしょう」

大抵のことはすぐに覚えられるから。
メモに何もかもを書くのはどこか奇妙に見えるが、
その『理由』を推理するほどの謎でもない。

「そう。気になって――――」

自分の行動なのに『思います』は、少しおかしな話だ。
が、あえて必要もないことを追求する趣味もない。

「確かに。ここが開いているところは見ませんね。
 トーリは、時々教材を返しに来る事がありますが、
 初めから開いていた事は、ありませんでした」

      「鍵が一つしかないので、 
       それは。当たり前ではありますね」

冗談を言った――というわけではなく、
言いながら理由に思い至り、答えまで行ってしまった。
それだけのことだ。

「それに。確かに、変わった雰囲気の部屋だと。
 トーリも、千々石さんと同じように思います。  
 十年も前の教科書。かびた、なにかの本。
 日に焼けてくすんでしまった地図。新品の地球儀。
 ここには、『歴史』が積み重なっています。
 ……それから、この『埃』も。きっと、十年以上」

今度は、冗談を言った。
なんとなく間を持たせる必要がある気がしたからだった。
指先は机の上に溜まった埃をなぞり。

     「ふう……」
              ブワ…

「掃除をすれば。さぞかし気持ちが良いでしょうね」

それを唇に近づけ、吹いて、飛ばした。勿論入口とは逆側にだ。

536白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/05/19(金) 21:42:20
>>534

「分からないことは。聞くのが大事です。
 千々石さんのしたことは、
 トーリは、とても正しいと思いますよ」

肯定の言葉――気持ちから出た素直な言葉を返し、
メモ帳をめくる姿を、適度に視線を動かしながら待つ。

「謝らなくて、大丈夫です。
 トーリには分かりませんが、
 千々石さんには、必要な事なのでしょう」

大抵のことはすぐに覚えられるから。
メモに何もかもを書くのはどこか奇妙に見えるが、
その『理由』を推理するほどの謎でもない。

「そう。気になって――――」

自分の行動なのに『思います』は、少しおかしな話だ。
が、あえて必要もないことを追求する趣味もない。

「確かに。ここが開いているところは見ませんね。
 トーリは、時々教材を返しに来る事がありますが、
 初めから開いていた事は、ありませんでした」

      「鍵が一つしかないので、 
       それは。当たり前ではありますね」

冗談を言った――というわけではなく、
言いながら理由に思い至り、答えまで行ってしまった。
それだけのことだ。

「それに。確かに、変わった雰囲気の部屋だと。
 トーリも、千々石さんと同じように思います。  
 十年も前の教科書。かびた、なにかの本。
 日に焼けてくすんでしまった地図。新品の地球儀。
 ここには、『歴史』が積み重なっています。
 ……それから、この『埃』も。きっと、十年以上」

今度は、冗談を言った。
なんとなく間を持たせる必要がある気がしたからだった。
指先は机の上に溜まった埃をなぞり。

     「ふう……」
              ブワ…

「掃除をすれば。さぞかし気持ちが良いでしょうね」

それを唇に近づけ、吹いて、飛ばした。勿論入口とは逆側にだ。

537乃々『ポリシネル』【中二】:2023/05/19(金) 22:40:16
>>536

  「『鍵は一つしかない』……」

              「あは……本当ですね」

笑うべきか迷ったけれど、うっすらと笑った。
身に着けた『シアーレース』にも似た幽かな微笑み。
消え入りそうではあるものの、それでも笑顔は保たれている。

     「『歴史』」

冗談だったのかもしれないと思う。
だけど、心の奥に響く部分があった。
自分にはないものだからだろう。
いや、正確に言えばある。
それが『自分の中にない』というだけで。

「あの――よかったら私……あとで『掃除』しましょうか?」

ほんの少し躊躇ってから、勇気を出して申し出る。

「今日は放課後に予定も入っていないので……」

『この部屋の歴史』に触れてみたくなった。
そうする事で何かが大きく変わる訳じゃないとしても。
それに、部屋が綺麗になるのは悪い事じゃない。

「……もしかしたら、この中から『宝物』が見つかるかもしれません」

        クスッ

雑多に置かれた品々を見ながら、冗談交じりに笑う。
トーリに合わせたというのもあるが、それだけではなかった。
『歴史』というのは、自分にとっては何よりも価値のある『宝物』だから。

538白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/05/19(金) 23:04:02
>>537

「はい。職員室で、見ましたから」

冗談ではないので、大真面目な顔で、頷いて返した。
そして口元にあった指をこめかみに添え、
『千々石』の提案に、少しだけ上を向き、思案する。

「掃除は。先生から、頼まれてはいませんが。
 ですが…………自分から良いことをするのは、
 トーリには、とても尊いことのように思えます」

         コクリ

そして、首を下げた。

「無断になるのは。良くありませんから。
 トーリから、先生に話を通して、
 そしてトーリも、その掃除を手伝う事にします」

『千々石』に合わせたというのが主な理由だが、
それだけで放課後をふいにするほどは酔狂でもない。

「思い出作りも。学生の本分と、教わりましたので。
 多くの同級生は……この部屋に来た事が無いまま、
 きっと、この学舎を去るでしょうから」

      「トーリと。千々石さんは、
       その点、『より良い』事になります。
       これがまず、一つ目の『宝物』ですね」

もう一度。小さく頷く。
『言われたことをする』のは得意だし、安心する事だから。
それに実際問題として……普段起きない事を楽しむ情緒も、ある。

539乃々『ポリシネル』【中二】:2023/05/19(金) 23:38:46
>>538

「――あ……そうですね……」

「白岸先輩、お願いします」

誰も見ていない間に『妖精』がやった事にする訳にもいかない。 
きちんと許可を取るべきだ。
そして、その役目は自分よりも彼女が適任だと分かる。

「……『思い出』の一つ」

ぽつりと小さな声で呟いた。
自分の記憶は『消える』。
全てを『記録』に残したとしても、それは『記憶』じゃない。
けれど、もし自分が何もかも忘れてしまったとしても、
出会った相手が覚えていてくれたなら、それも『思い出の形』だ。
日々の出会いを積み重ねていく事が『千々石乃々の歴史』になってくれる。

「ここで先輩と私が知り合えた事が……『二つ目』」

トーリの後を繋ぐように言葉を紡げば、アシンメトリーの髪が軽く揺れる。

「――そう思っても……いいですか?」

        ソッ

さりげなく首のリボンに触れながら、深い青色の目に問い掛けた。

540白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/05/20(土) 00:04:27
>>539

「……」

首元にある手をゆっくりと下ろし、視線を合わせる。


「それは。良い考えだと、トーリは思います。
 千々石さんとトーリが、
 仲良くなれるかどうかは、これからですが」

    「少なくとも。この広い校内で、
     トーリが会釈をする相手は増えます。
     トーリにとっては、好ましい事です」

「知り合う事には、それだけで。意味がありますね」

『千々石』の事情は知らないし、知る由もない。
何かあるのだろう――とは思っていても、
深く掘り下げ、問題を切り開くことはしない。
だから、少しでも、互いに望ましい答えを。
それは白岸・ノエル・トーリの望みゆえにだ。

「そうと決まれば。先生に伝える必要があります。
 トーリはここの鍵を返しに行きますから、
 その時に、合わせて伝えておきましょう」

「千々石さんは、先に。
 教室に戻っていていただいて、構いませんよ」

今は、この部屋に長居する用はない。
千々石のいる出入り口に、つかつかと近づいていく。

「ここは埃っぽいですから。制服が汚れてしまいます」

541乃々『ポリシネル』【中二】:2023/05/20(土) 00:38:28
>>540

トーリが歩いてくるのを見て、出入口から廊下に出た。
そこにいては邪魔になってしまう。
それから、改めて会釈をして――――。

「……私も白岸先輩と知り合えて嬉しいです」

「もし私を見かけたら、遠慮なく声を掛けて下さい」

その時には忘れてしまっていたとしても、
『今日ここで出会った』という事実は変わらない。
そして、一緒に『地歴準備室の掃除をした事』も。
乃々の記憶から消えたとしても、トーリの記憶には残るだろう。

    「それじゃ……」

            スッ

もう一度お辞儀をしてから、自分の教室に戻っていく。

     スタ

           スタ

                 スタ

『白岸・ノエル・トーリ』との出会いは、
大切な『記録』の一部として、手帳に綴られる事になる。

542白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/05/20(土) 01:39:48
>>541

「千々石さんがそう言うなら――トーリはそうします」

         コクリ

「それでは、また。
 放課後に、ここでお会いしましょう。
 もちろん、単なる口約束ですから、
 本当にお会いするかは……『お任せします』」

      「トーリは、お待ちしてますね」

   ツカ
      ツカ


そう言い残して、『職員室』の方に歩き去った。

『学校生活を楽しむ』。
与えられた指針に従って行なっていることだが、
その中で生まれる感情や、情動は自分自身のものだ。

543小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/05/21(日) 23:46:22

『H城』に近い『城址公園』を歩く『黒い女』。
その身を包んでいるのは死者を悼む『喪服』だ。
同色の『キャペリンハット』を被っている。

       モゾ…………

風もないのに『帽子』が動いたように見えたのは、
ただの気のせいだろうか?

544小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/05/24(水) 16:29:19
>>543

帽子に軽く手を添えながら、清月学園に視線を向けた。
一日の授業が終わる頃合いらしく、制服姿の生徒達が何人か見え始める。
それを確認してから、しばらく公園内を歩き続け、やがて立ち去っていった。

545『晴れ……時々』:2023/05/27(土) 15:22:17

 キーンコーンカーンコーン

 『昼休み』だ。清月学園の廊下では、購買に行こうとしたり仲の良い友達と
別の所へ移動する学生達も多く見える。

 ――小角っチ〜! 何処っスか――っ!
      どたっ どたっ どたっ

……騒がしい声が、少し先の廊下の突き当りより、>>545の者は聞こえる事だろう。
 少女の声で、誰かを探してるようだ。元気な走る足音も聞こえる。

廊下を走るなと注意したり、様子を見て厄介そうなら関わらず壁から伺う事も出来るだろう。

546『照光が灼き焦がす』:2023/05/27(土) 18:30:31
>>545

「お嬢さん、廊下を走ってはいけませんヨ」

そのような声が――廊下の先から聞こえてくる。

「ルールは守ルべきです。
 『お天道様は見てイル』
 横紙破りをするのは……
 その時に罰されずとも、
 いずレ、天運に見放されまス」

朗々と話すイントネーションはやや独特だ。

「人探しでシたら、手伝えるかもしれませんが。
 小うるサい男と顔を合わせたくなケれば、
 そのまま来た道を引き返してもかマいません」

おそらくだが――――『留学生』か何かだろう。
ここで来た道を戻れば、『平穏な探す時間』は続けられる。

547『晴れ……時々』:2023/05/27(土) 20:12:46
>>546(少々、特殊な事由の場スレですが、そのまま進ませて頂きます。
乱入等も歓迎させて頂きます。また、本日はこの投下でtobeです)

「ん! あっ、ごめんなさいっス!
自分、『朝山』って言いますっス!
 ちょっと人を探してるっス! 友達なんっス。
けどちょっと行方がわからないっス」

 元気な少女の声が廊下に響く。
朝山と名乗る少女に、その声を掛けた人がどう対応しても良いし。
 別の第三者が、その会話に挟み込むのも問題ないであろう。

少女は『人探し』をしているようだ……。

548『照光が灼き焦がす』[:2023/05/27(土) 21:18:41
>>547(朝山)

「イエイエ、謝るのは良イ事でス。
 『御免で済むなら警察イラない』
 そんな言葉もありまスが、
 警察沙汰ではあリませんからネ」

      ニッ!

「すグに謝る。私の好キな『スタイル』です」

曲がり角から歩み出て来るのは、
恐らく――――『大学部』の生徒だろう。
俳優を思わせるハッキリした目鼻立ちに、
引き締まった長躯に纏うのは、健康的な浅黒い肌。

「自己紹介遅くナり、『スミマセン』
 『アサヤマ』さん、初めマして。
 私の名前は、『ケゲラパニ』デす!」

                スッ!

握手の手を差し出しながら、彼は話を続ける。

「それデ。そノ『行方』ト言うのは、
 ――――『今日見てナい』でスか?
 そうじゃないナら、『警察』だト思いまスが」

『人探し』をするのであれば、
『どう対応するか』は『朝山』の方だ。どうするべきか――――?

549『晴れ……時々』:2023/05/29(月) 15:26:12
>>548(昨日はレス返信出来ずに、申し訳ありません)

「おぉ、『ケゲラパニ』さん!
私は『朝山 佐生』っス!」 ガシィ!

宜しくぅ! と言う元気なハンドコミュニケーション!
 パワフルに朝山は『ケゲラパニ』の手を握ってぶんぶん上下に揺らすぞ!


(初めて見る人っス。なんか芸能人見たいっス!
あっ! 芸能人なら、もしかしたらの、もしかしてで
クァンカンさんの知り合いかも知れないっスね)

「んーっとスね。『小角』って言う娘が、私と同学年で
友達なんっス。外で出会ったら楽しくお喋りもするし
何か困った事があったら一緒に解決する仲なんスけど
不思議と学校じゃ余り話せないんっスよね」

 身振り手振り、体も使って小角と仲良しで事をアピールしつつ話し続ける。

「私の友達には、年上のお姉さんも居て、その小角っちと
友達なんスけど。ちょっと連絡しようとしたら連絡が取れないって
言うから心配なんで。今日会って、お姉さんが心配してたよ!
 って事を伝えようとしてたんスけど。どーも、絶賛会えない最中なんっスよ。
昼休み中に会えなかったら、別の休み時間中に先生にでも
聞いてみようかなーって思ってるっス」


そう、どうにも会えないのが不思議だ、不思議だと言わんばかりに
最後は真顔になって告げた。
 確かに、同級生ならば大きな学園と言えども
クラスをずらっと、不審者ならまだしも、こんな明け透けな彼女が
特定の一人に呼びかければ、何かしら反応あって可笑しくないものだが……。

550『照光が灼き焦がす』:2023/05/29(月) 17:09:23
>>549(朝山)

「ハハハ! 元気がよくて良いデすね!」

      ググッ

         ・・・ ジッ

決して強い力で握られているわけではないが、
上下に振り回そうとしてもその体幹はブレない。

「なるホド、それは少し心配デすね!
 ですガ、仲良しなのであれば、
 彼女、『小角サン』のクラスに行クのは?」

・・・・・
そもそも論だが、『小角 宝梦』という少女について、
『朝山』は本当に実情を把握出来ているのだろうか?

  彼女との共闘の事実は『ほとんど無い』し、
  彼女から身の上話をしてきた覚えも『無い』。
  何か事情があってそうなのではなく、
  単純に『小角』と『朝山』に然程の関係が無い。
  会えないのは『不思議』でもないかもしれない。

「そしタら会えなくても知り合いは見つカるし、
 もし今日がお休ミでも、それが分かるでショウ」

        ニッ


「他のクラスを訪ネルのが不安でシたら、
 私も一緒に行きまスか?
 年上のお姉サンより頼れるかは分かりまセンが!」

気の良い笑みを浮かべる『ケゲラパニ』。
彼は――『善意』で声をかけて来ているのだろうか。
――漆黒の視線に滲む値踏みの色を、『朝山』なら感じ取れる。

551『晴れ……時々』:2023/05/29(月) 18:56:15
>>550

>他のクラスを訪ネルのが不安でシたら、
 私も一緒に行きまスか?
 年上のお姉サンより頼れるかは分かりまセンが!

「いやいやいや! ケゲラパニさんは、この悪の首領にも
物怖じする事なくパワフルコミュニケーションが可能なんっス!
 それならば! この朝山とケゲラパニさんの異国タッグによる
コンビネーションにて、小角ちゃんに対する情報も
ドーンの! バーンっ!! と!!!
 きっと簡単に見つかる筈っス!
こちらこそご協力に感謝するっス! お礼に後で
うちゅーとーいつ部の、のりさんのお菓子を振舞うっスよ!」

悪の首領など、不思議な事を明朗に語る変わった少女だが
君の親切にすっかり気を許してるようだ。諸手を挙げて手伝いに喜んでる。
 値踏みの色に対しても、彼女の真っすぐな気性だと。
それに疑念を覚える程に精神が成熟してないなのか、生来から人をそんなに
疑う事が無いようで、全く気にした様子はない。

「それじゃあ、さっそく行くっス! 早くしないと
昼休みも終わっちゃうっス!!」

 そう、跳ねて彼女は急かす…彼女、朝山が行き当たりばったりで
別のクラスに突撃するのを、大人な君なら幾らかコントロール出来る。

……それに『別の出逢い』も、もしかすればあるかも知れない。

552『照光が灼き焦がす』:2023/05/29(月) 19:19:40
>>551(朝山)

「ハハ! 朝山サンのドコが悪いのデすか!
 廊下を走ったのは悪いデすが、
 いわゆる、『喉元過ぎれば熱さを忘れる』
 ンー? これは少シ違いましたカね?」

       ザッ

「トモカク、エエ! それデは行きまショウ!
 私はもちろん教室を知りませんカら、
 朝山サン、エスコートはしマすが、案内は任セます!」

手綱を取る様子も特になく、
『朝山』の後ろをついて歩く『ケゲラパニ』。
彼はあくまで『小角探しの手伝い』であり、
行動の主導権は『動く側』――『朝山』を尊重する。

「それニしても、その『お姉さん』ハ、
 一体『小角サン』ニどんな用事なんでショウね?
 ご家族ニでも連絡すレば、話も早い気がしますガ」

        「あくまで歳の離れた友人デ、
         家族ぐるみの付き合いはナイ?」

歩きながら、彼は『朝山』に問いかけて来た。

「私モ、インターネットで知り合っタ友達、
 そんナ感じではありますケドネ! ハハハ!」

深刻な問いかけではない――のだろう。
勿論、どの程度答えるかは『朝山』次第。
それで動く何かも、あるかもしれないが――先は読めない。

553斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/05/30(火) 05:57:02
>>551‐552

勢いよく扉を閉め、生徒会室を出ると廊下を曲がる。

 (…………。)

黒炭の黒髪に赤いメッシュ、常に薄く笑みをたたえた表情に浮かぶ瞳は、決して笑っていない
何時も通りの自分が、昼休みの学生の最中を歩いていく。

目的は『小角 宝梦(おづの ほうむ)』及び、彼女のいるであろう筈の教室だ。
故に、偶然ではあるが必然だったかもしれない。

教室へ向かう道中にて、恐らくは大学部の生徒の隣で、
やたら元気な声と共に、黒いショートヘアが揺れる姿を視界に納めるのは。

(『朝山 佐生』(あさやま さお)……小角と同い年だったな、確か。)

人探しに関して『俺』は役立たずだ、なら多少なりとも縁のある、ついでに同学年であろう人物に話を聞いておく
悪くない選択肢だと翔は考えた。速足で二人に近づくと、気軽に声をかける。

 「こんにちは、廊下の真ん中でなにしてるんだ?」

554『晴れ……時々 雨』:2023/05/30(火) 17:48:32
>>552
>>553

>それニしても、その『お姉さん』ハ、
 一体『小角サン』ニどんな用事なんでショウね?

朝山「うーんっと。小角っチは【探し物が得意】なんっスよ!
多分、【小石川】おねーさんの用事も、何か探し物があってだと思うっス」

朝山は、隠しごとが正直出来ないタイプだ。
 絶対に秘密にして! 等と言われれば。スタンドの事など漏らす事ないが
大体言っても良いだろうと言える程度の事は無意識に話してしまう。

>こんにちは、廊下の真ん中でなにしてるんだ?

朝山「あ! いかるん先輩っス! なーんか随分久しぶりな気がするっス!
この前の、焼肉は美味しかったっスね!
 ケゲラパニさん、この人。私の友達で、いかるん先輩っス!
いかるん先輩! ケゲラパニは私と一緒に小角っちを探す手伝いしてくれてるっス!」

朝山の隣には長身の男性が居る。朝山は元気に紹介をしつつ
クラスまで歩いていく……そうすると、他のクラスの出入り口にいて
一人の高等部の生徒が居た。恐らく、斑鳩 翔なら少なからず面識が
あるかも知れない。(※知り合い、もし望むなら親交が深くても良い)

?「それじゃあ、『小角』さんって数日前から欠席なんだ?」

モブ女子生徒「うん……恐らくインフルエンザとかだと思うけど」

?「残念だけど、休んでるなら仕方がないよね。あっ、用事は全然
何時でも問題ないから、学校に来た時にでも自分で言うよ!
 時間取らせて御免ねー」 くるっ

?「あれ? もしかして、君達も小角って言う娘に頼み事あって
来た感じ? 残念ながら、彼女、お休み中だよ」

 「――僕 雨田 月人」

……糸目の、男だった。制服を軽く気崩して、温和な笑顔を浮かべて
君達に、自己紹介をする。

 朝山は、えー? 小角っチは欠席っスかーっ。と大袈裟に
残念だーっと両手を上げて倒れそうなポーズで感情を表現している。

雨田「残念だよね。僕も探して欲しい人がいて
何でも、このクラスの小角さんって探し物が大得意だって軽く耳にしてさ。
宛てにしてたんだけど、居ないってなると……どうしようかな」

雨田も、肩を竦めて小角の不在に対して軽い落胆を覚えてるようだ。

小角は、いま現在学校には居ない……さて、どうするだろう?
 君達全員、彼女の住んでる家でも把握していれば赴く事も可能だろうが。

555『照光が灼き焦がす』:2023/05/30(火) 18:50:16
>>553(斑鳩)

「こんにチは! 少シ人探しを手伝っていまシた。
 おっト! 自己紹介を先に。
 私は『ケゲラパニ』……『大学部』デ、
 今年から『国際人文学』を学んデいまス!」

       ニッ

「どうゾ、よろシク!」

留学生風の男からは、簡潔な挨拶が返ってきた。
その『要件』は、『朝山』が詳しく話してくれている。

>>554(朝山)

「なるホド。小角サンに、『小石川サン』が、
 『探し物』ヲ依頼しようとしてイル…………」

          ジ…

「それダケ、彼女ハ探し物が得意なのデスね!
 中学生ナのに、『大人』からモ頼られル」
  
       「――尊敬に値しマス」

一瞬――細まった目には感情の色が燃えたが、
『雨田』らとのやり取りを聞く頃には沈静化している。

「彼女ヲ頼る人ハ、とテも多いのでスね!」

「ですがインフルエンザなら、お見舞いはゴ法度でス。
 他の病気デモ、押しかケルのは迷惑でショウ」

特段断定する調子ではない。
『朝山』と『斑鳩』次第で、『ケゲラパニ』の動きは変わる。

556斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/05/30(火) 21:12:04
>>554

 「今度はカラオケでも行くかい?朝山コーハイ……ま、今は人探しが優先だけどな。ついてくよ。」

祖父は何時もこういっていた『偶然が続くのは2度まで、3度続くならイカサマを警戒しろ』
今朝、通学途中に偶然見かけたあの喪服姿に、話を聞いておけばよかったかもしれない……
自分にとっては都合がいいが、僕は何か妙な胸騒ぎを感じていた。
 
 「雨田ァ?君もか……」
 「ま、探し人しようにも当人がいないなら仕方ねぇよな。気ぃ落とすなよ。」

心配するなと雨田に優しく肩を叩く
残念ながら家を把握してない以上は、此処にいる誰も確認できないのだから。

 (もし病気なら……ケゲラパニ先輩の対応は正しい、正しくないのは此方の事情だけだ。)

仮に誰も家を把握してないなら……
いや……把握していても、言い出すのは躊躇われた、自分が生徒会役員という理由は有るが
偶々偶然『小角 宝梦』の住所まで知っている等というのは無用な警戒心を引き出しかねないと考えたからだ。

 「……今のケゲラパニパイセンの台詞で気が付いたんだが、病気なら教師に連絡がいってる筈だよな?乗り掛かった舟だし、聞きに行ってみるか。」


>>555

 「よろしく、ケゲラパニ……パイセン 留学生かな?そうだとしたら日本語も随分堪能だ。」 

軽く握手を交わし、これ幸いとばかりに同行する。

 (もしそうなら上澄みってところだな……しかし、こんな人大学部に居たのか?)

生徒会室の学生リストをそれとなく思い返した。
もし生徒会で聞いたことが事実なら……警戒しすぎるなどという事はない。

557『晴れ……時々 雨』:2023/05/31(水) 10:28:30
>>555-556

>ま、探し人しようにも当人がいないなら仕方ねぇよな。気ぃ落とすなよ

            ポンッ

雨田「……んっ……そーだねー」 ヘラァ

? ……一瞬、斑鳩は『両耳』に強い視線のようなものを感じ取れた。
 だが、その違和感めいたものを察する前に視線は消失する。
雨田の方角のようにも感じ取れたが。此処は、廊下。
 人通りは少なからずあるので、彼が発したものなのかは少々判断つかなかった。

>彼女ヲ頼る人ハ、とテも多いのでスね!

方針としては、妥当な手段はやはり『小角のクラスの担任に事情を聞く』と
言うのが、安牌であり常套手段だ。

教師が居るだろう職員室へ移動する傍ら、歩きつつ雨田が
緩慢ながら、聞き逃さない程の声量で君達に語り掛けた。
それは上記のケゲラパニの言葉に反応してのものだ。

雨田「そう言えば、不思議だよね。偶然だとは思うけど
君達三人、僕も含めると四人。一斉に四人も、一人の女の子の
探し物の力を頼って集めるってさ」

偶然にしても、ちょっと有りえないレベルだよね。と、糸目の彼は
温和な口調と、笑みを崩さないままに話し続ける。

雨田「それだけ彼女の力が凄いって事なのかな。
探し物って、『占いの力』で?」

朝山「え?? なんで知っ……むぐぐ」

雨田「あれ? やっぱり、そうなんだ。
へー。いや、大神君って言う後輩が居てさ。彼、占いが得意だから
もしかして小角ちゃんって子もそーなのかもって思ったから」

朝山の反応に、雨田はやっぱり当たりか。と邪気なく笑う。

どうやら、朝山は『小角の力』を知ってるようだ。
雨田の鎌かけに、思わず反応してしまったらしいが。少々バツが悪い
と言う表情を朝山は浮かべてる。これ以上根掘り葉掘りは
その事に聞き出す事は難しそうだ。

558『照光は灼き焦がす』:2023/05/31(水) 12:09:24
>>556(斑鳩)

「昔カラ、何度か日本に来てマしたから!
 それデも、日本語勉強するために頑張りましタよ」

      ニッ!

「二つホド『年上』になっテしまいまシたけどネ!」

『生徒会』だからなんでも知れるわけではないが、
『ケゲラパニ』は留学生という目立つ立場なのもあり、
極めて『偶然』学生名簿に名前があったのを思い出す。

    ――『学生を偽った何者か』では無いようだ。

>>557(朝山)

「私は『探シ物』ではありませんケどね!
 とはいえ、当たル占い師というノは、
 時に『為政者』にナルほど頼りたいのが人のサガ」

      「『納得』はシます。
       『賛同』はシませんが!ハハ!」

『ケゲラパニの笑みも崩れない』。 
ニコニコと笑いながら、一同のやり取りを見ている。

   「『太陽』の光ハ闇を照らす『恵ミ』
    デスが、過ぎれば『灼け焦げる』」

そして、ゆっくりと、そう付け加えた。

「教師ニ連絡なク休むことはないでショウね。
 朝山サン、彼女の『担任』はどなたなのデすか?」

小角のクラス担任は『佐川』という男性の数学教師だ。
『朝山』であれば、知っていて不思議はないだろう。

「乗り掛かっタ船。私モこの人探シ、最後まで乗りまスよ!」

559斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/05/31(水) 21:10:14
>>557-558

 「いやぁ大先輩だねぇケゲラパニパイセンは!尊敬すべき勤勉さだ!」

事は何時始めてもよい……等と、僕は口が裂けても言えないが
それは他人にも等しく適用される事ではあるまい。

 「おーっと、学年を超えてアベンジャーズが結成されちまったな。」
 「結成に2人くらい足りないが行くかァ4人で!アベンジャーズ・アッセンブル!因みにホークアイポジ希望だ!」

何か両耳に感じた気もするが、まぁ気のせいだろう。斑鳩翔はこの学校内では適当(適切に当たる)である。
雨田も含めてクラスメート全員とはそこそこの気のいい距離を築いてきた、その為の人格だからだ。
それと、『俺』の知る限り……ケゲラパニという学生はいた筈だ。

ただ、もしこの事態が『誰か』に引き起こされた場合……

 (彼女を見張っていた人間が学内にいると考えるのは、おかしくないよな……)
 (噂通りなら、例の『占い』はそれだけ……強力だ。)

それを見張っていたであろう人間がこの中に紛れてるの可能性は(注:悪の首領を除く、彼女にそんな腹芸は出来ないだろうから)
想像に難くない。生徒にここまで広がっているあたり、彼女自身もそこまで隠していなかったのだろう。

 (ただ、見張りがいるとした場合……まだここにいて、後続で探し始めた人を確認するか)
 (僕なら真っ先に彼女の安否を探すが……他にも何処の誰が狙ってるかは気にならないわけじゃない、むしろいい機会だ)
 (全員あぶりだして当面の安全を確保する……かもな、考えすぎかもしれないが。)

560『晴れ……時々 雨』:2023/06/02(金) 10:41:59
>>558-559(レス遅れ失礼しました。
また、NPCの佐川については、こちらで性格など決めて使用して問題ないでしょうか?)

朝山は、小角と同学年だ。誰にでも気さくに話し掛ける彼女は
以前学校でも別クラスであろうと堂々と小角を見かけたら近づいた事もある。
 だから、当然。担任が『佐川』である事も知ってる。

佐川先生っスねー。と、三人へ返事しつつ先頭を歩く。
 問題など、早々学校の廊下で起きる筈もなく。直ぐ職員室に着く筈だ。

雨田「一応、まともな『理由』を作っておくべきだよね」

入る前に、雨田は糸のような目の上の眉を微かに形を悩むように変えて呟く。

雨田「朝山ちゃん……ちゃん付けて良いよね? あー、有難う。
朝山ちゃんなら、まー、友達だから今日の欠席理由を知りたいですって
言ったら相手も素直に答えてくれるだろうけど。
 僕ら三人。いや、ケゲラパニ先輩は別に小角ちゃんって娘に用事ないけど
僕に斑鳩君って接点彼女と殆ど無いじゃない?」

簡略的に言えば、多勢で押しかけても。正当な理由なければ
異色のメンバーに対し担任も休んでる生徒の事情を説明も渋るだろうと言う事だ。

雨田「行き当たりばったりでも良いけどね。
 僕、別に此処で待機して。後で朝山ちゃんに理由聞くだけでも構わないし」

そう、話の最後で彼はそう嘯いた。

561『照光が灼き焦がす』:2023/06/02(金) 13:27:05
>>559(斑鳩)
>>560(朝山)

「私は『ブラックパンサー』がいいデす! ハハ!
 あまリ詳しクないのデ、イメージですけド!」

――『斑鳩』の巡らせる想像は『ありそうな話』だ。

『彼女の能力』を『もし知っているなら』、
そこにまつわる『パワーゲーム』の存在は予想出来る。
もっとも、彼女は――少なくともここ暫くについて、
自ら『力』を持つなどと喧伝する事は無かったが。

「今どキ、『クラスメート』でも、
 勝手ニ住所を教えテしまうのカ分かりまセんよ。
 個人情報の流出、日本の人みんナ気にしてまス。 
 まア、『朝山サン』なら悪用はしないでショウけど」

        「マ、後は先生の性格次第でスね!」

この『ケゲラパニ』という青年が、
どのような真意を秘めているかは謎だし、
『小角宝梦』が『今どういう状況か』も謎。

『数学教師』の佐川は――『朝山』が知る限り神経質そうな男だ。
一方的に友人と主張する『朝山』に、果たして素直に情報をくれるか?
『小角宝梦』は『学内で常に1人』といったポジションの女子ではなく、
『朝山』以外に『見舞』を任せる事は出来るし、その必要があるのか自体分からない。
『斑鳩』も信頼のおける生徒会とはいえ接点が無い。言わんやケゲラパニをや、だ。

           ・・・『職員室』はもう目の前だが、『どう動く』?

(※ 『小角宝梦』は当方のPCであり、
  現在の状況は全て『確定』しています。
  それを『必要性』に応じて捜索するというのは、
  『フィールドワークミッション』級の状況であり、
  即ち、関連NPCは当方がマスタリングします)

562斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/06/02(金) 23:27:36
>>561
>>560

3人の後に首元のスカーフをなびかせながら続く
事は新しい仲間を加え順調に行くかに思えた、しかしどうやら……避けがたい問題があるようだ。

 「雨田の指摘はもっともだなぁ……正当性もなけりゃ接点もない」
 「それでも朝山リーダー1人で聞けば行けるかもしれないが……佐川先生ねぇ。」

しんけい‐しつ【神経質】

1 情緒的に不安定で、わずかなことにも過敏に反応して自分を病的な状態だと思い込む気質。
2 これからトドメをさす相手の靴下が裏返ってる事を気にして、ちゃんと履かせてからトドメをさそうとする気質。

佐川の名前にすこしうんざりした様子で、真っ赤なスカーフを弄りながらブラックパンサーの隣で考える。
ボロボロでもいいから策を練らないといけないらしい、僕は考えるのは苦手なんだけど。

(普通にやっても追い返される、大多数では駄目、必要なのは……えーと?住所だっけ?)
(疑い深く、思慮深く、心配症で、細かい事に拘る……下手な嘘では意味がないが、逆に……この気質を利用できないか?)

 「うーん……。」

(……説得する必要は無い、単に不安そうに『彼女は学校に来てませんか?朝から姿が見えないんですけど』と言えば、神経質な先生自体が気にして家に『電話をかける』)
(学校に登録されてるなら家への『固定電話』だろう……固定電話なら、番号さえわかればそこから『住所』まで割り出せる。家に行けば彼女が今どんな状況かもおのずと知れる。)

 「……うーん。」

(ただ、既に電話をかけてる可能性はもちろんあるわけで)
(そうなるとくたびれ損だ、事前に『もう電話をかけましたか?』とかで探りを入れて……あーいや、えーっと神経質なら何度でも電話するか?相手に寄るな)

 「雨田はアイアンマンとして……朝山リーダーは……やはりキャップ……!」

(不確定な予想よりは相手が思い通りに動かなかった時用のプランBを考えて……いやそもそも住所じゃなくて事情を聞くんだったかな?)
(事情の有りそうな人間を仲間に引き入れる、先生の個人情報の後ろ暗い事で脅す、僕以外が騒動を起こして先生の注意を引くうちに机から情報を手にいれ……いや、ブラックな手段は首領がいるのでやめといて。)
(誰でもよくないなら個人間の事情だよな、その上で大人というか、教師という人間が神経質につつきたくなくなる……ノート貸してて、彼女の欠席で自分の成績が落ちるのは看過できないとか…他には…ちょっと品がないアイデアだな、使いたくない。)
(とりあえず案を聞かれたら、聞かれた時に答えるとして……)

むにゃむにゃと唸りながら考えてるうちに、職員室の前まで来てしまった。
策は……策は有る、でも先にみんなの意見を聞くべきかもしれない。

 「……あれ、僕たち今何が目的なんだっけ?事情聴取?気になる彼女の住所探し?キャップの盾拾い?」

キャプテンアメリカは盾が本体だからな。

563『晴れ……時々 雨』:2023/06/03(土) 11:05:12
>>561(了解いたしました。回答有難うございます)
>>562

>僕たち今何が目的なんだっけ?事情聴取?気になる彼女の住所探し?キャップの盾拾い?

雨田「うーん。僕はスパイダーマンの新しいスーツのデザイン考案でも良いけど」

朝山「何を言ってるっスか! 盾も蜘蛛も今は必要ないっス!
そりゃー、小石川おねーさんには。小角っチから連絡が取れないって心配してたし。
最近、自分も小角っチとは話してないから。まずは佐川先生に小角っチの住所を
聞き出すっス!」

雨田「住所探しか。その娘がボッチとかじゃなければ同級生から聞き出すのも
手だけど。一番確実なのは、職員室で答えて貰えれば確実だよね。
 生徒の住所だって、先生なら一覧の書類持ってるだろうし」

と言った感じで、まず教師に住所を聞き出す形になりそうだ……。

朝山「悩んでも仕方がないっス! ノックして、もしも〜しっス!」

 コン コン!

朝山「失礼しまーっス! 佐川先生に話があるっス!!」 ガラッ

考えるよりも、体で動くタイプなのだろう。朝山は皆と相談するより
当たってから成り行き次第で臨機応変に対応するんだ! と無策で
職員室の扉を開いた。

 雨田は、少し面白そうな顔をしつつも止める様子はない。

暴走する悪の首領のストッパーとして、他二人が数学教師の佐川に対し
援護射撃をするか。彼女が当たって砕けてから、アプローチを変えて
攻めるのも一つの手だろう……。

564『照光が灼き焦がす』:2023/06/03(土) 13:46:50
>>562(斑鳩)
>>563(朝山)

『小角』は銀の髪など個性的な見た目を持ち、
言動も『朝山』とさほど変わらないような奇矯さだが、
その『朝山』に信頼できる友がいるように――
彼女が何名かの女子とよくつるんでいるのを、
『朝山』は、記憶の彼方に覚えているかもしれない。

「ワオ。朝山サンは矢張り、行動力の塊デすね!
 神経質な人、意外ト素直に来られルのに弱いデすし、
 私はこのまま様子を見ておきマす」

様々な可能性と対策を考える『斑鳩』に対し、
『朝山』の行動はまさしく『即断即決』。

「キャップがマズそうなら、助けニ入りまショウ」

『ケゲラパニ』もどうやら『見守る』ようだ。
よほどの事になればフォローもするかもしれないが、
本質的にこの人探しで彼は『付き添い』。
基本は『朝山』と、『斑鳩』にかかっているのだろう。

            そして職員室内では・・・

「……『朝山』君か。こんにちは」

数学教師『佐川』が顔を上げた。
センター分けにした髪にはほんの僅かに白髪が混ざり、
眼鏡の奥の眼光は、常にどこか探るような色がある。

「……何かな? 『授業』で何か分からない点でも?
 『偉い人』になるには……『数字』は必須だからね」

手元のパソコンは…………何かの『リスト』だろうか?
この位置からしっかり見えるようなものでは無い。

先生は特に何か忙しそうにしているだとか、
他にも生徒が来ていて大変そうだとか、
そういった事はなく…………『話す余裕』はありそうだ。

565斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/06/03(土) 17:04:26
>>563
>>564

 「ンッンー『住所』ね了解……探すのは通話履歴でも住所一覧でもいいわけだな。」
 
 (もし通話してるなら……ここ最近の数件の内の筈だ、失敗の場合は隙を見て……ってうん?)
 (コイシカワ?…小石川ってあの喪服の……誰か待ってんのかなと思ってスルーしたけど、やっぱ話聞いとくべきだったかもしれない。)

そんな事を考えてるうちに……
首領は僕がうんうん唸ってる間に突っ込んでいった、まるで疾風だ!Need for Speed!

 (『俺』の能力じゃこういう時には役に立たねぇしな……)
 (スマホの録画機能ONにして掌に鎖巻いて固定しておくか?機会さえあれば何か録画できるかもしれねぇ。)
 (いやでも目敏く見つかったらそれこそチャンス0になりかねないし……この面子の前で使っていいものか……。)
 (こういうときムラタがいたらなー……こう、自撮り棒みたいな感じでにゅーんと録画が。にゅーんと。)
 
・・・・・・。 

 「まぁ――――いいだろう!なんだかんだ朝山キャップがうまくやるかもしれないしな!」 

まぁそれはそれとして……3人が職員室内に入る前にそっと離れて人目がない事を確認し、ないなら……
職員室のもう一つの扉に細工を仕掛けておく

おもちゃ箱の中にボールを詰め込むと、枠の中に詰め込まれた『圧力』でお互いを押し合ってボールが外れなくなったりする
アレの応用だ。

鎖を接続した塊で足場を作り、
『鎖』の塊をちょっと、扉の上窓の『枠』に伸ばして敷き詰め、圧力で固定して置いておくだけだが……
もしダメな時には使えるかもしれない。

 (ま、バレそうならやめるけど……予備の予備くらいはいいだろ。)

566『晴れ……時々 雨』:2023/06/04(日) 17:04:43
>>564-565

朝山「佐川せんせー! おはよーございますっス!
 実は小角ちゃんの休んでる理由が聞きたくて職員室に来たっス。
何時もなら昼休みにでも教室で一緒にお喋りできた筈なのに
今日は居ないっス! クラスの子にも、お休みだよーって言われたし。
 もし風邪とかなら、お見舞いに行くし。なんか家の都合で休んだとかなら
学校に戻るまで待つっスけど」

ちょっと心配だから、先生に事情を聞きに来たっス! と朝山は
佐川教師に、そこで言葉を区切って返答を待つだろう。

 行き成り、小角っチが心配だから家の場所教えて! と尋ねて
答えてくれるとは朝山も思ってない。
 それに画面を行き成り覗き込む事もしない。大事な仕事だったら
邪魔しちゃ悪いと、普通の常識を今は働かせてる。

その少し後ろで、雨田は糸のような目で軽く微笑しつつ待機してる。
 さり気なく気配を消してるが、人並みなので佐川教師の意識に留まる可能性も
あるにはある。偶然か故意か不明だが、斑鳩の細工よりも前に居る位置だから
細工が他にはばれない可能性は高いだろう。

567『照光が灼き焦がす』:2023/06/04(日) 18:50:57
>>565(斑鳩)
>>566(朝山)

「『おはようございます』は既に敬語だから、
 『ッス』は要らない。……というのは現文の範囲か」

『佐川』から神経質な指摘が飛んできた。
もっとも、怒ってる風ではないが。

「小角君か……『インフルエンザ』だよ。
 だから、見舞は行かないでくれるかな。
 『仲良くお喋り』して感染されても困るし、
 授業の『プリント』は家が近い子に頼んで、
 郵便受けに投函してもらっているからね……」

『真っ当な回答』だ。
ほとんど取り付く島がない、と言ってもいいだろう。
ここからどうやって『住所を聞き出す』かは、
恐らく…………想定される以上に『難しい』はずだ。

「他に、何か話はあるかな?」

もちろん、ここで引き下がる『必要』は無いが。

「ふウむ、でしタら復帰を待つしかないでショウね!
 ハハ! 待つヒマあれバ、自分の脚で探してモ良いデすが!」

ケゲラパニはそうとだけ付け加えた。
それもごくごく真っ当な意見と言える。

一方の『斑鳩』は一人、室外にて『仕掛け』を始める。
幸い、今の廊下には他に人も見当たらない。無事完了出来る。

568斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/06/04(日) 20:42:15
>>567
>>566

仕掛けは終わった、終わってしまった。

 (遠隔操作ならこんな苦労しないんだけどな……ないものねだりしても仕方ない。)

鎖の塊が落ちてこないのを確認すると、仕掛けを施してない方の扉の前に立つ。

 (中の朝山首領キャップリーダーがうまくいってる事を祈りたいが……)
 (いや、最悪を想定して動くべきなんだろうな。)

予備の、予備の予備の予備までは使いたくない。
できれば……これも役に立ってほしくないが。

 (今から職員室内に同じ目的で入っても、同じ行動しかできない。)
 (それよりはもう少し職員室内を動ける立ち位置が欲しい……となれば。)
 (『鍵を返却する』……そう珍しい行動でもないし、ある程度経路は自由にとれる。)
 (後は隙を作って確認するだけ、相手の性格に期待するのは避けたいが……)

考えた策の内数個はもはや取れない択だ。
最悪、『絡まってもらうしかない』のは我ながら業腹だが。

 (多少でも注意を逸らせば、何方には機会がある筈だと考えるしかないな。)

『自宅の鍵』を内ポケットに移動させる
ノックを2回、許可を貰えたら室内に入ろう。

569『晴れ……時々 雨』:2023/06/06(火) 16:32:28
>>567-568(レス遅れ失礼いたしました)

朝山「インフルエンザっスか! それじゃー、結構休むかも知れないっスね」

うーん、と少し考える顔を朝山は浮かべる。

怪我したとか、そう言うのでないのなら一安心だ。
 でも、小石川おねーさんも、用事が急いでるなら早めに小角っチに
連絡出来るようにした方が良いっスよねー。と思考する。

そして、ピコーン☆ と思いついた顔を浮かべ得心する。

朝山「それじゃ! 『お手紙』書くっス!
 お見舞い出来ないなら、早く良くなってね! って言う手紙に
小角っチが居ない間に、こう言う事あったよって書いてあげるっス!
 きっと家で一人で退屈だろうし、お手紙を読んだら少しは退屈凌ぎになるっス!
だから、佐川せんせー! 小角っちの住所教えてくださいっス!
 早速お手紙を今日書いてポストに送るっス!」

雨田も、後ろで。へーっと多少は感心した表情を浮かべる。

お見舞いの『手紙』。住所を知るのなら、確かに打って付けと思える……。

570『照光が灼き焦がす』:2023/06/06(火) 17:13:57
>>568(斑鳩)

『仕掛け』を終えた『斑鳩』は次なる知略に入る。
なるほど、鍵を返すというのは良い口実だろう。
まさかそこで嘘をつく生徒など想像しづらいし、
それが『生徒会』の一員であれば、なおさらだ。

       コン コン

「どうぞ〜」

若い女性教師の声が聞こえた。入って良さそうだ。
そして……入ってみれば、話は進んでいるらしい。

         ・・・あまり芳しくは無さそうだ。

>>569(朝山)

「て、手紙……………………?
 それは……メールやラインじゃあダメなのかな」

至極真っ当な突っ込みが入った。

「……いきなり見舞のお手紙が届いても、
 『小角』君は困ってしまうんじゃないか?
 いや、絶対にするな、とは言わないけどね。
 ただ……病気で寝込んでいるんだから、 
 あまりいつもと変わったことはせずに、
 待っていてあげるのも優しさじゃあないかな」

『朝山』が『小角』と大した知り合いではなく、
連絡先すら知らない間柄である……と思われれば、
ますますこの神経質な教師は懸念を深めるだろう。

          ・・・ザッ

後ろの方で『斑鳩』が入室してきたのが分かる。
成り行きを見ているケゲラパニや雨田とは違い、
彼は、何かしらの助けを差し出してくれるだろうか……?

571斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/06/06(火) 19:43:57
>>569-570

まず誓っていおう、失念していたわけじゃない、わけじゃないが……
他の教師がいる場合僕の策は著しく成功率が下がる。そして今聞いたのは女性の声だ。

(2人以上いる……いや、まだ大丈夫だ、女性教師の机が扉に近くなければ!)
(そして1人だけなら僕が会話して足止めしに行けばいい……他にいなければ用事の最中でも神経質な教師なら自分で行く……筈だッ!)

 「失礼します、借りてた鍵のォ……返却に来ましたァ」

上着の中で『自宅の鍵』をひと鳴らしして移動する。
見せなくても音で伝えるだけでよい、遠目で見ても判別は難しいだろうが……余計な判断材料を与える必要はない。
 
 (さーて、我らがリーダーは……どうか?)

職員室内をざっと見る
我らがリーダーの旗色はよくは……なさそうだ。

 (開けてみるしかないらしいな、チョコレートの箱を。)

今から僕は、入ってきた扉から鍵の返却位置までのルートで、朝山達と佐山先生の横を通り、かつ自然なルートを選択しなければならない。
更にその際、『ロスト・アイデンティティ』の発現させた頭部による『スタンド会話』で朝山リーダーに伝える事がある。
ついでにモニター見るくらいも許される……だろう、自分に重なるように発現するスタンドの頭部は、口と、独自の視聴覚と、脳は有しているから。

 『今からドアがノックされる、先生が机から離れたら、痕跡の残らない範囲で住所か、電話から今朝がたの電話の通話記録からかけてきた番号を探してくれ』

佐川先生がスタンド使いじゃない事を祈ろう。もし病欠の電話なら、それは登校前の連絡になる筈だ。
固定電話からの番号なら、番号の初めで更に判断基準を増やせる……数個に限定できれば後は虱潰しでいい。

鍵の返却場所に来たら、適当なカギと位置を入れ替えて……『マスターキー』か『放送室』の鍵を手に入れる。
最悪は先生を適当な場所に放送室で呼び出して、その間に『職員室で堂々と盗みを働く』ために。

ノックの方法は……『鎖の塊』を使う。
接続は僕が触れる必要があるが、触れていなくても、分離は出来る。
そして鎖の塊は……元から折りたたまれた網のような形状に分離すれば、能力関係なしに当然の帰結として鎖はそういう風に広がる。

鎖の塊の一部を『渦を巻いて束ねられた先端に重りのついたロープ状』に分離すれば、
鎖の塊から伸びた部分は重力に引っ張られて下に降り……『ドアを叩く』扉越しには『誰かがノックした』ように聞こえるだろう。
後は品のない学生のように、何個かで『盛大にノック』してやれば……。

 (佐川先生、『指導の時間』だぜ……『神経質な教師』なら『注意すべき生徒』は見逃せない筈だよなァ〜……!)

我ながら『筈』ばっかりなのは嫌になるが……後は佐山先生の移動距離とドアに手をかける瞬間に『予備の予備の予備』を使うかどうかだ。

572『晴れ……時々 雨』:2023/06/09(金) 10:20:45
>>570-571(レス遅れ大変失礼しました)

>手紙……………………? それは……メールやラインじゃあダメなのかな

朝山「ちっちっち! っス! 甘いっ! 甘ぁ〜い!! っスよ佐川せんせー!
手紙には真心が込められるっス! それに、メールやライン以外の
ちょーー---っと別に届けたい秘密のサプライズ菓子を渡すとか
色々出来る事があるっスよ!」

「それに、佐川せんせーは大事な事を忘れてるっス……そう、重大な事っス!!

――中学生は、学校に携帯なんて持ってきちゃいけないっス!!
 だから、いまスマホとかで小角っちの住所を出すのは難しいから
佐川せんせー、教えてっス!」 ドーンッ☆
 
 悪のパワフル熱論で朝山は畳みかけようとする! 後ろで雨田は
微笑ましそうに口の弧を軽く上げ見守ってる。

>『今からドアがノックされる、先生が机から離れたら、
痕跡の残らない範囲で住所か、電話から今朝がたの電話の通話記録からかけてきた番号を探してくれ』

 コクッ

朝山は、斑鳩へと軽く首を縦に振って了解の意思を示した……。

573『照光が灼き焦がす』:2023/06/09(金) 10:55:15
>>571(斑鳩)

「あぁ、鍵ね〜。はいはい、こっちこっち」

女性教師はどちらかと言えば扉に近い位置だったが、
斑鳩が入室してくると立ち上がって近づいて来た。

「一応、間違ったところに返したりとか、
 いろいろあるから……見とく事になっててねえ」

『鍵の返却』――このばかでかい学校となると、
それをするにもある程度のケアは必要ということか、
単に、この女教師が教師らしい節介焼きの気質なのか。

とはいえ――スタンド使いでもなんでもない教師だし、
『斑鳩』のプランとして『足止め』をするのと理屈は同じだ。
ルート選定も、『斑鳩』の能力と知性なら何ら難しくはなかった。
職員室のルールを超えるような警戒はこの部屋の中に何も無いのだ。

            
          ドドドド ドォーーーン


「あらっ、すごいノック……」

――――『朝山』にスタンド会話で意図は伝えられた。
そして、『佐川先生』は難しい顔で『ノック』を見に行ってくれた。
とりあえず『朝山をフリーにする』目的の方は無事に達成だ!

「……佐川センセが行ってくれたし、
 私達は気にしなくてよさそうねえ?
 さ、鍵箱開けたげるから、ちゃんと返しておいてね」

問題は…………鍵の返却が、ゆるいとは言え監視されている事だろう。
『鍵箱にも鍵がある』ような物いいだし、こうなると中身も検められていそうだ。

『鍵の入れ替え』作戦は……どうする? 実行するかどうかは、まだ決められる。

>>572(朝山)

『真心』と『スマホ禁止』を持ち出した『朝山』。
前者には一瞬、『佐川』の仏頂面が緩んだ気がした。
生徒のやさしさを一概に否定はしない教師らしい。
しかし……後者を口にすると、彼の眉根に皺が寄る。

「……あ、朝山君。そんなルールはウチには無いよ。
 昨日見たドラマか何かと混同していないか?
 君が個人的に持ってきていないという意味なら、
 それはまあ…………学生として正しいとは思うけど」

2020年7月以降、文科省はスマホ禁止を解禁し、
学校でのスマホは『条件付き容認』となっている。
そして繰り返すようだが『自由な校風』の清月では、
少なくとも……全面的なスマホの禁止などしていない。
これまで学園で綴られてきた多くの交流の中で――
ごくごく真面目な生徒達も『スマホ』を持ち出して、
連絡先の交換をする一幕があったのは、確かな事実だ。
 
「そもそも。小角君のお見舞いに行くという子は、
 彼女と同じ部活の生徒だけでもう何人かいるんだ。
 それだって本当はどうかと思うが……ともかく。
 君の『優しさ』は十分に伝わっているけど……
 住所も連絡先も知らない間柄の君が来たとして、
 病床の彼女には、負担になってしまうと思うんだ」

        「……お話はそれだけかな?」

ほとんど子供を諭すような口調で『佐川』は返す。
この神経質な教師にパワフル理論は響かない。
あるいは理屈を持ち出さず『若さ』だけで行けば、
少なくとも絆される可能性くらいは『あった』か?
           
          ドドドド ドォーーーン

重い空気を引き裂くのは『ドアの激しいノック音』

            ――『斑鳩』の作戦だ!

「……全く。
 朝山君。私は少し様子を見てくるが……
 用事が他にあるならそこで待っていてくれるかな」

狙い通り、『佐川』が立ち上がってそちらに向かった。
他の教師より率先して動くあたり、
神経質さもある種『熱意』による物なのかもしれない。

「……『見らレますよ』」「『画面』」

        ボソ

朝山にだけ聞こえる声で『ケゲラパニ』が声を掛けた。
その声色はやはり感情が読めないが……事実を伝えていた。

574斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/06/09(金) 19:10:53
>>573-572
 (スタンド会話……『ケゲラパニ』の前で使いたくないが、使わざるをえなかった、な)

女教師と一緒に鍵箱の前まで行く、そして『ロスト・アイデンティティ』の影が視界が席を離れて
扉の前まで行く佐川先生を捉えた。

 (よし、これで佐川先生はいった!……後は朝山首領がうまくやってくれるかって所だ。)
 (佐川先生をすぐ戻らせない策もあるが、できれば使いたくない……頼むぜキャプテン!)

ノックした鎖の部分は消滅させる、これで佐山先生の視界に『鎖』は入らない、いらない警戒もさせない。
扉を開けて一歩でも出れば……必然的に先生の頭上に『鎖の塊』がある事になる。
あとは根元を少し削って落とせばいい…先生の頭上に、『塊を網状に分離させた鎖』を。

 (実行しようと思えば、更に十数秒はこれで時間を稼げる。遠隔操作じゃあ〜、少しできない事だ……そして此方はもう『失敗してもいい』)
 (元はと言えば時間稼ぎが目的、たとえ説教食らってもいいが……。)

鍵箱の手前で、女教師が自前の鍵で開けようとしている。
箱は鍵付き、教師が開けようとしてるのを止める事はできない……理由もない。
もし鍵箱の中に、鍵が全部そろってるか、鍵が何一つない……なんてことはないと思うが。

 (監視付き……入れ替え作戦は『中止』せざるをえないが、これでリーダーの方は完全に死角になった。)
 (『何秒』だ?10秒か…20秒か……この女の目も塞がなくては。『下』に向けさせなくては。)

目の前の女が……箱を開けた瞬間だ、鍵箱を開けた瞬間。
ロスト・アイデンティティは佐山先生を目で追っている……タイミングは、そこだけだ。
女が、鍵箱を開けて、中をのぞく直前……。
 
 「あっ!先生!!」

胴体の鎖を切り離して落とす、床に落ちた鎖は音を出す、鍵が落ちた時と同じような金属音を。
そして瞬時に落とした鎖は消滅させる。これで『鍵が下に落ちた』という嘘だけが残る。

 「待ってください先生……『返却する鍵』……落としてしまって、先生も探してくれませんか?」
 「見あたらないんです、もしかして先生の足元とかに蹴っちまったかも、すいません先生!」

女の視界が下にいった瞬間……
『ロスト・アイデンティティ』の腕で、鍵箱から適当な鍵を取り出す。
後はゆっ……くりと時間をかけながら探してる途中で、やっと見つけたとこれ見よがしに手のひらから鍵を出してやればいい。という予定だ。

575『晴れ……時々 雨:2023/06/09(金) 20:27:54
>>573-574

(よし! それじゃー、雨田先輩、いかるん先輩!
ケゲラパニ先輩も佐川せんせーの足止めをお願いするっス!)パクパクッ!

パワフルに、彼女は口パクで伝達し。いかるんもとい、斑鳩のメッセージ通りに
『電話』を調べ、履歴から小角の電話番号を探るっ。
それにケゲラパニの言葉から、先程まで佐川先生が居た為に
ちゃんと見れなかった画面のリストもずらっと見る。
 特にこちらに関係ないようなら、直ぐ目を離すだろうが。

>待ってください先生……『返却する鍵』……落としてしまって、先生も探してくれませんか?

雨田「あら、そりゃ大変だ。いま、こっちの机の下に何か小さな影が
走った気がするし。僕も手伝いますよ」

 朝山の言葉を受けて、雨田も佐川が振り返っても丁度朝山が見えない
位置取りへと場所を移しつつ、朝山が見えない方角に影が滑ったと言う
出鱈目を言いつつ時間を稼ごうとする。

雨田「

576『照光が灼き焦がす』:2023/06/10(土) 14:20:30
>>574(斑鳩)

佐川は扉を開けて外に少し顔を出している様子だ。鎖はもう無い以上、何も問題は無い。
少なくともこの程度のイタズラは彼の眉根に皺を増やす程度で、重大なことではない。

            カチャン

「まあ、もう。しっかりしてよね〜。
 それじゃあ一緒に探しましょ……あら、あなたも手伝ってくれるの?」

……なぜか『雨田』もこちらに来て鍵の捜索を手伝い始めたようだが、
『ケゲラパニ』が外に向かってるあたり、そこで何かしらの分担があったか。

「何の鍵だったの? 一応目印とかあるからさ〜。何かの準備室とかあ?」

女教師が床を探しながら問いかけて来るが、
『斑鳩』は鍵箱の中を漁ることに成功している。いくつかの鍵はないが、
少なくとも作戦に支障が出るような……一本もないとか全部ある、とかは無い。

……『攻撃的な仕掛け』も用意してはいるが、とりあえず『朝山』は情報を漁れていそうだ。
彼女の予測不能さを考えると、あらかじめ指示をしておいたのは大いに意味があっただろう。

>>575(朝山)

ここは『現実』だ。口パクでの指示など、当然伝わる筈はないが――――

(ハハぁー、仰セのまマに。必要な事ですかラ、ね)

          スッ

同じように口パクで返し、『ケゲラパニ』は職員室の外に出ていった。
彼が、『外に向かった』佐川を足止めしてくれる『かもしれない』。

電話機を見てみるが…………とりあえず、受信記録に携帯番号が『四つ』ほどあった。
確かめる手段はやはり虱潰しになるが、これで目的には一歩近づいた。

パソコンの画面に表示されている物は複数あった。
一番表は、佐川が顧問の『男子バトミントン部』の所属生徒が載ったスプレッドシート。
生徒の名前はハイパーリンクになっているようで、より深い個人情報を漁れる可能性はある。
他のリンク箇所から遡り、他の部活や同好会の生徒を探す事も出来そうだが……
小角が『何部』なのか知らないなら、当たりをつけるのは困難だろう。

他にはオンラインでの教員向けの研修ページや、何かしらの報告書らしきファイル、
いわゆる『校務分掌』であろう資料など……あまり『小角』に繋がる物では無さそうだ。

         『価値のある情報』があれば、『当然』盗んでも良いが・・・

このまま行くと、どう長く見積もっても『2分』もせずに佐川は戻って来るだろう。

>>575(雨田)

「影? やだあ、虫とかじゃないといいんだけど」

『斑鳩』の言葉によって『落とした鍵』を探しているのは別の女教師だ。
もっとも『佐川の足止め』は『ケゲラパニ』が向かったようなので、
こちらに回ったのはそれほど間違いでも無い……『かもしれない』

探すフリをして時間を稼ぐ以上、突っ立っているわけにもいかないはずだ。
とりあえず、『偶然鍵が落ちている』ようなことは無さそうだ、が。

               《…………》

         シルルルル……


窓から差し込む日光に照らされた、教員デスクの机の下の、『それ』と目が合った。

『大蛇の顔』…………の、『ヴィジョン』だ。
床から『すり抜ける』ように…………『いる』
いや、ただの蛇ではない。どこか『龍』の意匠もある。

           ちなみに『耳』は無い。


    《危害ハ 加エナイ》

          《話ス ツモリモ ナイ》


やや独特なイントネーションで、そのスタンドはそう告げてきた。

『雨田』は『斑鳩』とも『朝山』とも少し離れた位置にいる。
この『スタンド』の声は、間違いなく『雨田』以外には聞こえない。

577斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/06/10(土) 23:17:45
>>576-575

斑鳩翔の心を埋めていたのは1つ。
『あと何秒で佐山先生は戻ってくる?』
という事だけだ。

目の前のすべてはそれに比べて大した事ではないかのように思えた。
佐山先生を害する事なく妨害できるのは……さっきのノックが最後だからだ。

(鎖の網……網とはいえ実態は『金属塊』だ、頭上に落として無傷という訳にはいかない)
(目的は足止めだ、害する事じゃあないとはいえ……現実的に危害なく足止めできる手段は……)

もうない。再ノックという考え方もあるが、そもそも職員室内に振り返られたらアウトの可能性は高い。
首領の調べ物が終わらず、先生が振り返ろうとしたら……。

 (…………一人の負傷と一人の行方不明、どちらを優先するべきかは、解る。『俺たち』の目的だ。)

鍵箱から鍵を一つ取り出し、掌に隠し持つ。

 「勘弁してくださいよセンセ、先生の前で失敗して……僕は恥ずかしさで頭真っ白ですよォ。」
 「畜生、どこかなァー……。」

床に頭をこすりつけて探す、見つけるのはもう少し後だ……。

578 『晴れ……時々 雨』:2023/06/12(月) 17:29:58
>>576-577(レス遅れ失礼しました)

基本的に『悪の首領』を謳う朝山ではあるが、盗みをする事はない。
ちゃっかり、人のおやつをつまみ食いする事はあるが、職員室にある
人の物を勝手に盗ると言う思考まで至らない。

(あっ! 電話番号っス! これで小角っチの事がわかるかも知れないっス!)

 ヴンッ!

『ザ・ハイヤー』を発現し、朝山は持ってるなら自分の手帳などで。
(※無ければ、机にありそうな紙など拝借する)
急いで番号をザ・ハイヤーにもペンを持たせ記入するだろう。
佐川先生は神経質だ。それでいて、電話機があるなら大事な用件で学校に
連絡があった場合、すぐメモしないといけない時に近くに筆記用具がないと大変だ。
だから、当然近くにペンがあると思うので、それを一時拝借する。



そして……『雨田』だ。

 彼は、机の下の『スタンド』と目が合って、そいつが『自分を認識してる』と
理解した瞬間に、二つの選択肢が脳内に出来た。

一つは有無言わさず、自分の操る幽霊(インサイ二ティ)で抹消させる。

(人は周りに居る……そして、あの時の『ゲーム』から考えるに……だ)

雨田は、少し前に現在自室として利用させて貰ってる叔母の家で『ゲーム』をした。

そこで得た三つの出逢い『ミミ』
 粗野と風土の異なる異世界の三つの素敵な相手。それに勝るものは無かったが
どうも画面越しで話した他の相手は、自分と同じ幽霊の素質を担うらしかった。

(勘だけど、斑鳩君とか朝山ちゃんとか。僕の幽霊見えそうな人、この
学園に居そうなんだよなぁ)

今は、雨田は動く気は無い。幾らか満たされ、運命の出会いまで
大きく事を動かそうとしない。だから『龍』か大蛇らしい幽霊に対して
傍目無関心な様子で、しゃがんで鍵を探す振りを続けた。

雨田「最近は、虫多いですからねー。僕の家にも結構湧くんで大変ですよ」

女教師に、微笑みを崩さず返答しつつ。大蛇について思いめぐらす。

ミミと縁のない存在。故に、執着まではしないが自分だけに『話しかけた』
 さも当然とばかりに幽霊と会話出来るだろうと見当付けたのは
少々、余り良いとは言えない感情が雨田の胸中には過っていた。

(まっ、面白そうではあるけどね。これが大神君の、大きな運命の波に
関係あるかもだし)

 そう、気分は前向きだ。雨田は、今は満たされている。そう、今は……。

579『照光が灼き焦がす』[:2023/06/12(月) 18:45:12
>>577(斑鳩)

『行方不明者』を見つけるためには、『傷つく人間』くらい。出していい。
『他に手段はあるかもしれないが』――――『仕方ない事だ』
『できる手段を、つかわない』のは、きっと、怠慢に他ならないのだから。

               カチャ ・・・

鍵箱から取り出した鍵にはプラ製のキーホルダーがついており、
それは『中等部等準備室②』の鍵との事だ。

            「……」

             「全く―――――」

『佐川』の声が聞こえる。

まだ職員室の外だ。振り返ってはいない。だが『ノック犯に見切りをつけた』

                     ヴン!

その間に『朝山』が己のスタンドを発現して、
机からペンを拝借して、紙に何かを書きこんでいる――――『間に合った』か。

「ん〜〜〜どこにもないわねえ、棚の下とかに入っちゃったかしら」

女教師がゆっくりと体を起こすが、既に鍵箱での『事』は成している。問題はあるまい。

>>578(朝山)             

『朝山』自身も手帳を持ち歩いていても不思議は無いし、
その読み通り、『佐川』は机の上のメモを切らすようなタイプでは無かった。
ペンも、即座に使える鉛筆が見つかったし、ボールペンもインクは潤沢だ。

                      サラサラサラサラサラ

さささっと電話番号を書き写した。
『小角宝梦の現状を把握する』事は、これで『きっと出来るだろう』――――――

>>578(雨田)

謎の存在を排除する選択肢は頭の中から排除した『雨田』
恐らく――――それは正解だっただろう。
この存在は恐らく『反応してもされなくてもいい』と考えていた。
つまり、『目の前の人間が気分を害そうがどうとでもなる』という意味だ。

            ≪……≫

                   シュルルン

『職員室内』の様子を見ていた『蛇竜』はやがて床に潜って消えた。

「湿気もすごくてェ、どこからかずっとハエが入ってきたりするわよねえ」

何だったのかは分からないが、今はまだ『雨田』は微笑んでいられる。きっと、これからも。

580斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/06/13(火) 02:31:53
>>578-589

視界の端に朝山首領が何かを書き込んでいる姿が映った時は安堵した。
やると事を決めたとはいえ、必要ないならそれに越したことはない。

(鎖は解除しておくか、必要ない以上は誰かに見られたら事だ。)

 「おっと、ようやく見つけましたよセンセ!あー……」

いや、雨田に言及する必要は無い、些細な違和感とはいえ
名前を知っている事に無駄に言い訳を重ねる事もない。
ようやく見つけたよというばつの悪い笑顔を作って、鍵箱に戻そう。
視線を首領に向けさせない所作でもある。

 「梅雨入りですもんね。ホント、お騒がせしました……それじゃ。」

鍵を返してしまえば、後は長居する理由もない。
女教師に一礼して踵を返そう。

 (ん?ブラックパン……いや、ケゲラパニは何処に行った?)

581『晴れ……時々 雨』:2023/06/14(水) 12:29:09
>>579-580

(よしっ! これで後は四つの番号を後で調べるだけっス!)

朝山は、本当に今は携帯を持ってない。多分、何かのドラマか何かが
影響受けたのか。うっかりかは不明だが、学園にスマホは持ってきちゃ
いけないだろうと思って家に置いている。

佐川先生が戻って来るまで、大人しく待つだろう。
 斑鳩や雨田が自分の代わりに小角の何か手掛かりを見つけるかも
知れないと思ってるし。それに、小角の担任なら、こう伝言して貰いたいと
朝山は考えてるからだ。

朝山「それじゃあ、佐川せんせー。今日は失礼するっス。
小角ちゃんが学校に戻ってくるのが遅くなるんだったら。私からも
お見舞いの品を送りたいから、もしそうなるようだったら私も
そっちのクラスをちょくちょく覗きに来るけど、報せてくれたら助かるっス。
私の話に付き合ってくれて有難うございましたっス」

 そう礼を告げてから立ち去るだろう。悪の首領は、ちゃんと学園では礼儀を
重んじるのだ!!



雨田「夏場ですからねぇ。仕方がないですけど」

(消えた)

外部? それとも学園の教職員が担う幽霊?

手掛かりは外見だけ。目的も動向も不明だ。別に僕の敵と言う訳では無いけど……。

(うーん……消化不良なのは、ちょっと苛々するよね?)

雨田は満たされている。だが、それとは別の事柄だ。
今、この時に起きた『蛇竜』との邂逅は。それでいて、ミミが付いてない
存在と言うのも癪に障って来る。

(けど、今は胸に収めるしかないな)

自分が、幽霊(インサニティ)を遣える事は、いずれ誰かしらに
知られる機会はあるかも知れない。あの時のゲームの管理者であるだろう
人物には知られてる訳だし。

(まぁ、いいさ)

 漠然な不安とは言えぬものの、不発弾が先の何処かで埋まっているような
予感はしている。
 だが、それがいずれミミとの出逢いに繋がるかも知れないし。

雨田は、先行きに憂いは持たない。彼にとっての中核は愛する存在(ミミ)との
事柄に詰め込まれている。蛇竜は、それには該当しないのだから。

582『照光が灼き焦がす』:2023/06/14(水) 13:17:04
>>580(斑鳩)

『暴力』など振るわないに越した事はない。
パワーの『朝山』と、智謀の『斑鳩』が揃ったことで、
作戦は無事に終えることができた。

「あぁ、よかったよかった。ええ、それじゃあ。
 あ。生徒会活動がんばってねえ」

女教師に見送られ、職員室から出る。
何事も問題はない。何事も――――

>>581(朝山)

『小角の電話番号が含まれていない』可能性もゼロという事はない。
しかし、それは流石に心配するほど『ありそう』な可能性ではあるまい。

「……あぁ、ちゃんと待っててくれたのか。
 ……そうだね、君の優しさを無碍にするのも悪い。
 お見舞いに行けない分、帰って来てから、
 しっかりと見舞ってあげればいいだろうし。
 休みが長引くなら、その事は教えるよ」

『欺いた』相手と約束を取り付け、『朝山』は職員室を出る・・・

>斑鳩・朝山

「……」

『ケゲラパニ』は職員室外の廊下に立っていたが、
『斑鳩』そして『朝山』が出てくると、視線を上げた。

「『ケゲラパニ』…………アイツらが、話ノ?」

その隣に、『もう一人』
いつの間にか、彼と同じく色黒の少女が立っている。
髪は金に染めており、丸く大きな目を向けて来る。
学生服からするに、『中等部』の生徒のようだ。

「エエ! 私の仲間、アベンジャーズでス。ハハハ!」

『笑み』を浮かべる『ケゲラパニ』

「とはいえ、仲間失格かモしれまセん。
 『友人』に呼び止めらレ、先生の足止メを失敗しましタから!」

『佐川』の足止めをした様子がなかったのは、この少女と話していたかららしいが……?

>>581(雨田)

例えるなら――ゲームのキャラクターとして取り込まれると言うより、
大きな『盤面』がいつの間にか敷かれ、その上を踊る駒にされるような。

           得体の知れない何かが、何かの為に動いている。
           そうした性質の、『不安』は生じ得る。


「本当にねぇ〜」


相槌を打つ女教師。『斑鳩』の用は済んだようだ。
いずれにせよ『雨田』の満足はここに転がってはいまい。

特に何かすることがないなら、職員室を出てしまってよかろう。

583斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/06/14(水) 14:40:49
>>582-581

「…………。」

職員室から教師が出てこない事を確認すると、
大きく息を吐く。そして朝山の方に向き直り

 「やったな朝山キャプテン!うまいこといったッ!!」

ハイタッチ、ガッツポーズ(職員室に響かないよう小声で)
お好きな方で喜びを表現する。

「『コマが回り続けない事を確認したい』くらいだ!いやー……なんとかなってよかっ……」

周囲を見渡して足りない1人を探す、俺の予想に反して
お目当ての人物はすぐに見つかった、だが隣の人は面識がない筈だ。
知り合いか……?何故ここにいて
何の話をしていたのだ?ケゲラパニにとっても、住所の件は重要だと思っていたが……

「あッ!ケゲラパニパイセンがイカした女の子引っ掛けてるッ!!アイアンマンの役だろそれ!」

この警戒は表に出さない方がいいかもしれない
或いは関係なくなるかもしれないが……

「やるねパイセン、我らが朝山キャプテンと同じく隅におけない人というわけだ。で、どちら様?ひょっとしてもうそういう関係〜?」

手首を数回振ってゼンマイを巻くと
話を聞こうと身を乗り出す。

……俺にとっては屈辱だが
時には下に見られるべき時がある。
油断させれば先手を取れる場合もある。

584『晴れ……時々 雨』:2023/06/15(木) 13:46:09
>>582-583(たびたびレス遅れ申し訳ない)

 「そうっスね! 悪の小角っチ、番号ゲット大作戦は大成功っス!(小声)」

同じく、朝山も斑鳩に対しハイタッチをする。そして、!ケゲラパニの隣に
居る少女に遅れて気づくと、物怖じせずに近寄って挨拶するだろう。

 「こんちわーっス! ケゲラパニ先輩の友達っスか?
自分は朝山 佐生っス! うちゅーとーいつ部の部長もしてるんっスよ!」

宜しくっス! と握手の手を差し出す。




 「それじゃあ、僕も用事終えたんで失礼します。また何かあったら
宜しくねー、先生」

 雨田も、職員室から少し遅れて出てくる。

「朝山ちゃん、斑鳩君ー。どう? バッチし成功した?」

そして、糸目を僅かに片方開いてケゲラパニと見知らぬ女性に視点を移動させる。

(……『蛇竜』……謎の幽霊が消えた後に、謎の女の子、か)

 偶然か? または、これは符号が合っているのか……。

雨田は、先程起きた未知なる遭遇と、未知なる女性の繋がりも一瞬考えたが。
 それ以上に気になったのは、色黒の女性の『ミミ』だった。

ケゲラパニのミミに対しても関心は抱いてる。愛する存在(ミミ)に対して
性別や人種の境界など無いのだから。

585『照光が灼き焦がす』:2023/06/15(木) 19:12:23
>>583(斑鳩)

『ケゲラパニ』はそもそもは『人探しの手伝い』での付き添いだ。
それは『彼固有の事情』より優先されないのかもしれない。
『斑鳩』は……その少女を『見た』覚えはあまりなかったが、
この広い学園の中、そのような生徒がいる事に不思議は無い。

「……」

少女が何かを言いかける前に――

「華のあル話なラ私もよかっタですガ、
 ハハ、たダの『イトコ』デすよ!
 一緒に留学しテきた、ワタシの『イトコ』」

       「彼女、『グア』と言いマす。
        少し『人見知リ』ですガ」

『ケゲラパニ』から説明があるが、
『斑鳩』はそこに『違和感』を感じ取れる。
余裕綽々の好青年の顔に、一瞬の焦りが生じていた。

「…………『グア』ダ。よろシク」

        ペコリ

『グア』の目は友好や歓迎の色を持たない。『人見知り』――

>>584(朝山・雨田)

「『グア』ダ。………………………よろシク」

『朝山』の握手の手は取られない。

「『ケゲラパニ』……コイツは」

「おお、『グア』!
 もっと愛想よクしないトいけまセんよ」
             「私のようニ!」

             ニッ!

『グア』が何かを言いかけたが、
『ケゲラパニ』は制するように言葉を重ね、
明るく、笑みを浮かべた。

異邦の二人の耳はただそこにある。『愛する』気持ちは届かない。
『雨田を警戒している』――――或いは、もっと『広い』のか?

586斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/06/16(金) 07:04:08
>>584-585

 「なァんだ、ハトコかぁ〜……期待通りじゃなくてちょっぴりガッカリって感じだが」
 「斑鳩だ。よろしくグアちゃん。」

先手を取ったかいは……あったかもな。
お前、まさか本当に『はとこ』だなんて思ってないだろうな?

声をかけられた際にくるりとケゲラパニに背を向けると
そのまま雨田に話しかける。

 「おっ、雨田ァ〜もちよ も・ち。ハイタッチするか?ヘイ」
 「トムクルーズもびっくりのM・I・P(ミッションインポッシブル)だったが完璧成功だぜ、我らがリーダーの手でな。」
 「後はしらみつぶしの時間さ。」

いま、そこの男……ケゲラパニが焦ったぞ。
ほんの一瞬だったが、確かに焦燥の色が見えた。
視線の揺れか、筋肉のこわばりか、理由は何でもいいが……俺たちにそう見えたのは重要だ。

 「ところで話変わるんだけどさぁ。雨田……あの二人どう見える?」

からかい交じりの声色で、僕はニタニタしながら口元を抑える。

 「はとこらしいけどさァ、あの様子じゃあやっぱりィ……妹の心配する過保護な兄貴ってトコか!?」
 「アタックすんなら強敵かもなァ〜雨田?熱視線か?」

さっきから随分と、そう。つつかれたくない傷を庇っているようにも見える。
遮ってばかりなのも……迂闊に口に出させたくない『何か』を感じる。

噂ばかりで確信はなかったが……尾角は『本物』かもしれない。
この状況、アリーナ内で見た派閥であれ、エクリプスの残党であれ……。

例え多少のリスクをおってでも、自分の『眼』を送り込んでおきたくなる『スタンド使い』!

 (どうにか……利用できないものかな、どうにか利用して……1回のチャンスを掴めないものか?)

(アリーナ内にも派閥がある事は、トライコーンの事で知ってる、エクリプスの残党だというラッパーもいた。)
(もし、この2人がアリーナの派閥内の人間だとして。もし、此処にいる事がある一つの派閥の暴走だったら、派閥間での裏切りだったら……)
(面白くはないだろうな、他の派閥は。同時に、暴走した派閥の力を背信の罪で解体・吸収する絶好の機会!)
(仕掛けたのが残党であれ、一派閥であれ……或いは名も無きニュービーであれ。小角という扇の要(或いは火薬庫)に手を出されて、扇そのものがぐらついてるんだからな。)
(席が限られてるなら……ぐらついてる誰かを蹴り飛ばして座るのが一番だ。)

 「ま、こんくらいで此処から離れよう、調べるにも……先生の目に留まりたくないだろ。」
 「休みも終わっちまうしな。」

俺の妄想ミルフィーユ妄想蜂蜜漬けって感じだな。インセプションでもされたか?

(君は全ての人間が善良だと?コマを回すか?『小角がいなくなった』という現実をまず確かめよう。)

                        オ マ エ
まさか、俺は人の醜悪さを憎悪し続けている。だから斑 鳩の中にいる。

587『晴れ……時々 雨』:2023/06/16(金) 20:32:38
>>585-586

 朝山は『グア』が握手しなかったことに対し、不思議そうに首を傾げたが
ケゲラパニが『人見知り』だと告げると直ぐ笑顔を浮かべ。

 ガシッ  ぶんぶんッ!

「はい、宜しくっス! これで、グアちゃんと私は友達っス!!」

そう、パワフルに勝手にグアの片手に自分の両手を重ねてブンブン振って
友達の握手を行おうとするであろう。




雨田「……うーん、いや斑鳩君。恋愛方面じゃなくってさ」

斑鳩の熱視線と言う言葉に、変わらない糸目と笑顔を浮かべつつ。

雨田「――何か僕達と違って、小角って娘に確かな用事ないのに関わらず
積極的に動いてくれてるなって。それが今更凄く不思議に思っただけだよ」

 朝山は、知り合いであり年上の友人からも連絡あって人を探してた。

 自分もまた、運命の相手『ミミ』に出逢いたいので。その助言として
軽く学園内で頼りになるらしいと言う。ほぼ願掛けで正直そこまで
期待してなかったが、その朝山と同じ人間を探してた。

 なら。斑鳩にケゲラパニ……善意で、あそこまで職員室で
行動を起こそうとするのだろうか?

 『剃刀』のように、決して毒は吐かないものの鋭く切り込んでいた。

単純な善意。そう言う理由で協力する事だって偶にはあり得るのかも知れない。

然し呉越同舟でないものの、全く関連性ない四人が一緒に同じ人間を
探す確率なんて決して高い訳がない。なら、これは偶然でなく『必然』なのだろう。

(俄然……興味湧いてきたなぁ、
小角ちゃん、かぁ)

          ――その娘『ミミ』を、一度直接見てみたいなぁ。

588『照光が灼き焦がす』:2023/06/16(金) 21:23:25
>>586(斑鳩)

無数に層を為す思考は、層であるがゆえ、一層下の『斑鳩』自身の考えが論拠。
内心で自嘲する通り『妄想』に過ぎない可能性は極めて高いにせよ、
しかし…………根底、最下の層、『ケゲラパニ』への違和感は、
決して『確信のない考え』と言い切れるような物ではないだろう。

「ハハハ!! カらかいすギですヨ〜『斑鳩』サン!
 私は嫌いジャありませんガ、『グア』はそういうの嫌ですネ?」

「……言ウマデもアるカ?」

『グア』は『斑鳩』の軽薄な口振に冷たい……口振に、か?
あるいは『より深い部分』に、反応している可能性もある。
この少女は底冷えする程に冷たいが、故に『底が見えそうな気はする』

「オォ、そうでス、そロそロお休み時間終わってしまいまスね!
 『グア』……私タチも、退散すルといたしまショウか!」

まだ見ぬ『悪』が動いているのか?
あるいは。『欲』が動いているのか?

――――或いはそれよりずっと激しく根付く、『正義』の逆鱗か?

いずれにせよこの場で答えを出すのはかなり難しいだろうし、
この場から退散するのは正解に思える。もう、いい時間だ。

>>587(朝山・雨田)

『朝山』の笑みに、返ってくるのは『ケゲラパニ』の笑みだけ。

「…………触るナ。『友好』ハおマエの匙加減ではナイ。
 ……どうシテモやりタイなラ、ソコノ『イトコ』とヤレ」

・・・ネイルで彩られた『グア』の手は掴めない。
パワフルな手は、ただ空振る。何も掴めない。
勿論、望んでもない手を掴み振り回すよりは良いことだ。

「アァー、すみまセン『朝山』サン!
 『グア』は今日ハ、実ハ、とてモ御機嫌斜メなんでス」

          「いヤ、いつモかもしれませんガ! ハハ!」

……そして『ケゲラパニ』は横から『フォロー』する。
気難しい少女と、その従兄。不自然過ぎるほどではない。

「……? 『困った誰かのタメ』に動く。何か不思議ですカ?
 あなタ、とてモクールな人みたいでス!
 『朝山』サンの半分くらイ、パワフルになるトいいでスね!」

『雨田』の疑問には、ごくごく当然だろ?とばかりの返答。
だが、これは『そう』かもしれない。『そういう人間』はいる。
鋭い刃を振るった先は煙。あるいは何もないただの空気だ。
心の刃は、果たして、ただの『空振り』で終わるのか――?

「…………チッ。『ケゲラパニ』……おマエの暇潰シに、
 ワタシまデ付キアウ理由はナイ。…………先に行クゾ」

『グア』は冷え切った目で『朝山』を、『雨田』を見た後、
『斑鳩』に少しだけ視線を止め、それから踵を返し去る。

「アァ! ハハ……スミマセぇん、気難しい『身内』でしてネ!」

『ケゲラパニ』もすぐに後を追いかけそうな雰囲気だ。
何か言っておくことやする事があるなら今のうちだろう。

589斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/06/17(土) 05:43:14
>>587-588

 (…………。)

再び顔を向ける前に表情を整える。
目元を緩めれば印象は穏やかなものに
口元に笑みを湛えろ、眉をもう少しなだらかに、OK鏡の前で練習したとおりだ。
身体をケゲラパニ達の方へ向ける。
 
 「いや、悪い悪い……初対面相手に失礼だったな。美人さんの前だとどうにもあがっちゃって。」
 「お詫びに今度おきにの映画でも紹介するよ。」

さも悪かったというように罪悪感を交えた声色を。
僕の底まで見させてやる義理はない……が。

 (嘘は下手そうだが、それ故に気づかれそうだな……あまり話さない方が良い。)
 (まぁ……普通なら二度と会う事もない筈だが。)

朝山首領は相変わらず猪突友情(誤字に非ず)している
多分どこぞの空手家の如く後退のネジを外してあるに違いない。

 「なんだ知らなかったのか雨田?世の中には『イイ奴』の方が多いんだよ。」
 「朝山キャップ見ればわかるだろ?」

交友関係は広く浅く、僕も雨田の事はそんなに知らない
偶に人見る時、何か視線ずれてない?という気はするけど。

 「じゃーねケゲラパニパイセン!ハトコと仲良くね!」

去っていく二人に手を振る。
僕にはできなかったからね、それに、これ以外喋ることもない。

幸福に生きるだけなら、剃刀のように斬りこんだり、氷の瞳で覗き込む必要は無い
1.過去を忘れた無知な馬鹿でいればいい、2.妄執にまみれても幸せにはなれない。

3.ただ、私は過去で出来た人間で、時が来れば決着を付けたいだけだ。

590『晴れ……時々 雨』:2023/06/17(土) 19:52:11
>>588

>触るナ。『友好』ハおマエの匙加減ではナイ

>『グア』は今日ハ、実ハ、とてモ御機嫌斜メなんでス

朝山「ん〜〜〜そうなんっスか? それじゃー、また今度一緒に
時間があって、気が向いたら私のクラスに遊びに来て欲しいっス!!
 今日も放課後、うちゅーとーいつ部の恒例作戦会議で
パンケーキ作りするつもりなんっス!」

少し、冷たい返答に口をタコのように突き出して落胆めいた表情を浮かべるものの
直ぐに良いことを思いついたと言わんばかりの笑みで、そう饒舌に告げる。
 グアちゃんも、気が向いたら来るっス! と満面の笑顔で
そう相手の意思を理解しない招待をするだろう。



そんな彼女を横目に、斑鳩へ対して『雨田』は返答する。

「まー、朝山ちゃんは……ちょっと見ない感じの子だから
あんまり参考例にはならないんじゃない?」

朝山と言う人(ミミ)は、眩しい程に煌めきあるものの……正直
食指が動く程ではない。疵はなく、もし手に入るなら欲しい程度の
欲求はあるものの。雨田にも好みがある。その好みから少々外れてると言う点で
彼女は、自分の中では正直深く踏み来ないし、踏み込まれるのも気が引ける。

 「さて、と。それきゃあ用事も終わったようだし。
小角ちゃんと何とか連絡出来そうなんでしょ?」

この辺が、自分の『潮時』だろうと。雨田も結論付ける。

「もし、連絡出来て。会うようなら、僕も出来れば誘ってよ
一つ、その娘に占ってほしい事があってさ。
 運命の相手について、見たいな。
はは、僕もそう言う事柄には意外と関心あるんだよ」

 それじゃあね、と雨田は最初から変わらず糸目と微笑みを引っ提げて
朝山と斑鳩に、ケゲラパニとグアに対しても軽い別れの挨拶を
向けたのと同様の掛け声で彼は立ち去る。

……雨田も、去っていった。これで、朝山と斑鳩。
『小角』へ接触を試みようと残ってるのは、二人のみだ。

591『照光が灼き焦がす』:2023/06/17(土) 20:32:00
>>589(斑鳩)

『グア』は『斑鳩』の詫びに鼻を鳴らすと、
それ以上は特に何も返しては来なかった。

「ハハ! どうモ、ありがとうネ。
 『斑鳩』サンも良い友達と過ごシてくだサい!」

『ケゲラパニ』と『グア』……
二人が『何』なのかは今は『わからない』
世の中には『わからない』事がたくさんあるし、

       その大半はずっと、そのままだ。

無理に光を当てたとて、灼けつくだけかもしれない。

      ……いずれにしても。
        これで、『朝山』と二人、残される。

>>590(朝山・雨田)

『グア』は『朝山』の態度にも一切の軟化を見せず、
無言でそのまま立ち去ってしまった。

「私モ――『占い』ニハ、興味ありマす。
 ですガ、この後はとても忙シい。
 また今度……何か『わかっタなら』教えて下サイ」

           ニッ


      「それデはね!
       皆サん、また会いまショウ〜」

そうして『ケゲラパニ』も笑みを残して立ち去り、
残されたのは――『小角の能力』目当ての二人だけという事になる。

592斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】:2023/06/17(土) 23:52:40
>>590

さて、この後どう動くべきか?授業を受けて放課後に探すのが一番波風が立たないが。
音信不通の女の子を探すなら急いだ方が良いだろう、単なる『インフルエンザ』だと連絡はされたそうだが。
……もし『嘘』だった場合、彼女の家の中に誰がいるのだろうか?

 「ん〜……」

授業の単位とくだらない夢
どちらが僕にとって大事なのか?

 「フケるか。」

住所を数軒回るなら脚がいる、まぁ僕はアレがあるとして……
朝山首領をチラリとみる。

 「首領、バイク乗れたっけ?」

593白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/06/22(木) 17:26:22

「…………」

昼休み――学内のカフェスペースは、
高等部以上の生徒が多い印象がある。

ミルクティーのような色の長い髪と、深い青の瞳。
『白岸・ノエル・トーリ』も、高等部の三年生だ。

        コト

この時間は、混雑している。

相席になった相手――>>594に会釈して、席に着く。

594白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/06/26(月) 10:48:52
>>593(撤退)

相席したクラスメイトとしばし談笑した後、席を立った。

595白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/07/29(土) 23:30:19

学園敷地内を歩いていた時、
トーリの手元に一枚の『紙』が飛んできた。
猛暑日を和らげる風が、それを運んできたのだ。

「……」

『夏季制服』に汗の雫を落としながら、
ゆっくりと、それを拾い上げて周囲を見渡す。

それが何の紙かはまだ見ていない――どこから来たのだろう?

596熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/07/30(日) 10:16:32
>>595

『紙』を手に取る白岸
『紙』には手書きで何かの文字が書かれているようだ
薄らと透けて見える中身にはどこかの地名が書かれているようだが・・・・

「ごめんなさい。こちらにゴミが飛んできませんでした?」

周囲を見渡す白岸の背中に若い女性の声がかけられる
この『紙』の落とし主だろうか?

「メモ書きが飛んで行ってしまって」

597白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/07/30(日) 10:56:30
>>596

「……はい。トーリがそれを、拾いました」

声にほんのわずかに背が跳ね、
ミルクティーのような色をした髪が揺れる。
すぐに『探している相手』と理解し、返答した。

「中身は。見ておりません」

『ゴミ』という言い方からして、
見て問題があるとは思えないが、
念のため、その点には触れておく。

「一度、地面に落ちてしまったから……
 少しだけ、汚れてしまっていますが」

      「良かったです。
       水溜まりに落ちなくて」

そしてゆっくりと振り返り、声の主の姿を確かめる。

598熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/07/30(日) 11:29:34
>>597

振り返って声の相手を見てみると、そこには一人の女性が立っていた
ふわりとしたヘアメイクに穏やかな白を基調としたブラウス
比較的若年層ながら私服姿のその女性は大学部の学生であろうか

「水溜りに落ちていたら手が汚れてしまうものね
 良かったわ」

目を細め、敵意のない笑みを浮かべながら接近する

       ちらっ

「あなたは高等部の学生さん?」

女性は白岸の制服に一瞬だけ視線を落とすと
『紙』を受け取るために手を伸ばしながら話しかける

599白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/07/30(日) 12:04:29
>>598

「お気遣い。ありがとうございます。
 トーリの手は……汚れてもかまいませんが、
 汚れた手で差し出さずに済んで、良かったです」

青色の双眸を手元に落とす。
紙についたわずかな砂埃を払い、差し出した。

「はい。『高等部』の三年生です。
 ……あなたは、大学部の方ですか?」

高等部までの生徒は概ね制服だ。
改造でもはや原型を留めていないとしても、
どこかに『制服らしさ』が残っている。

「大学部の方と話すのは初めてです。
 あまり、交友が広くないので……」

そして、素朴な感想を述べた。
『学校生活』を楽しむ上で、何か良い機会にも思えた。

600熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/07/30(日) 12:17:05
>>599

「ええ。去年まではあなたと同じように制服を着て学校に通っていたの」

言外に『大学一年生』である事を示す
浪人の可能性は少したりとも考慮していない

受け取った『紙』は・・・・ルーズリーフであるが、
それは折り畳まれたまま受け渡される
何かの調べごとのような雰囲気だ

「三年生だと色々と大変でしょう?
 受験勉強もこの時期には夏期講習とかもあるし」

601白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/07/30(日) 14:37:03
>>600

「そう、なのですね。
 とても。大人びて見えるので、驚きました。
 トーリも……来年には、そうありたいです」

『老けている』という意味ではないし、
その点は解してもらえる相手だろう。

「はい。勉強時間が増えました。
 内部進学をさせていただく予定ですが、
 だからこそ、勉学に手は抜けませんね」

     「多少……息抜きはしますから、
      大変なだけでは、ありませんけど」

『エスカレーター式』とも揶揄される制度だが、
広いとはいえ『門』はあるし……無かったとして、
基礎的な教養を身に着けておかない理由もない。

「それは。大学の、課題か何かでしょうか?
 ……あくまで、興味本位の質問ですが」

勉強の話から繋げる形で、『それ』に視線を向けた。

602熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/07/30(日) 15:07:27
>>601

「うん。長丁場になるから息抜きは大事だよね」

笑みを浮かべながら答える
とはいえ、相手は自身よりもよっぽどしっかりとしているようだ

「ああ、これ?」

「別に課題の為の資料ではないわ
 一言で言うと・・・・」

と、話題の対象が先ほど拾ってもらった『紙』へと移る
少し恥ずかしそうに目を伏せて、折りたたまれた中身を外に出す

「・・・・ちょっとした、『興味の対象』
 ・・・・って事になるのかな?」

紙面に書かれていたのはいくつかの『地名』
『旧■■トンネル』、『〇〇地区』、『〇×ビル』、『鈴蘭畑』・・・・

噂話や都市伝説に詳しい者であれば、それらの地名が
星見町内で不審な事故や事件が起きたとされる奇妙な噂の舞台である事がわかるだろうが・・・・

603白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/07/30(日) 15:42:23
>>602

「はあ。なるほど……」

紙面に並ぶ地名の共通点を、トーリは『知らない』

「見せていただいて、ありがとうございます」

      ペコリ

だが、それでも『逆説的に』感じる部分はある。

「……推理をするようで、不躾ですが。
 『肝試し』の会場には。合った場所が多そうですね。
 廃墟に近づく是非は置いておけば、ですが」

鈴蘭畑にはさほどイメージが無いが、
他の地域はどれも『治安の悪いイメージ』があった。
鈴蘭畑も、『鈴蘭』という花の持つニュアンスが、
そこはかとなく『不気味さ』を醸し出す。

「『ホラー』が。お好きなのですか?」

それを興味の対象とするあたり、『ホラー趣味』なのだろうか?

604熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/07/30(日) 16:01:28
>>603

「ふふっ・・・・」

「大学生にもなって、こんな事に興味があるだなんて
 ・・・・それも自分よりも年下の子に言うのはちょっと恥ずかしい気分ね」

照れ臭そうに答えるその姿からは
白岸の推測が『正解』である事が暗に感じられる

>「『ホラー』が。お好きなのですか?」

「・・・・・・。」

「ええ。大好きなの。こういうの」

少しの間をおいてそう答える
当たらずとも遠からず、という事だろうか

「あなたは・・・・ああ、ごめんなさい」

ふと、互いに相手の名前を知らない事に気が付いた

「私の名前は『熊野 風鈴』
 清月大学の経済学部、一年生」

「あなたのお名前も教えてもらってもいいかしら?」

605白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/07/30(日) 16:33:03
>>604

「トーリは……理解の浅いジャンルですが、
 『趣味』に。貴賤は無いのではないかと、思います」

他人を害さない限りは、だが。
『まさかそんな事をする人間には見えない』し、
そこをあえて触れる理由もない。

「ああ……そう、でしたね。
 名乗るのが遅れ、申し訳ありません」

       スッ

顔を上げてまっすぐと、目線を合わせる。

 シラキシ
「白岸・ノエル・トーリと、申します。
 大学で何を学ぶかは、まだ、決められていません。
 それから……趣味は、お菓子を作る事です」

「熊野さん。よろしくお願いいたします」

それから、やはりまっすぐと頭を下げた。

「『経済学』……『政治・経済』の時間に、少しだけ習いました。
 お金を扱う、大切な学問だと。それも、トーリの知らない世界です」

「……なぜ、その学部を選んだのですか? 良ければ、参考にしたくて」

606熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/07/30(日) 17:09:09
>>605

「ありがとう。白岸さん
 あなたの趣味も素敵だと思うわ」

『趣味』について語り合う二人
現代においては個として自立した人間が何を趣味にしていようと人それぞれだろう
・・・・・無論、それは誰かを害す事がないというのを前提としているが

>「……なぜ、その学部を選んだのですか? 良ければ、参考にしたくて」

「・・・・・ごめんなさい」

白岸から投げられる些細な質問
それに対する答えは回答ではなく謝罪の言葉であった

「期待に応えられるような理由はないの
 夢があるわけでも、目的があるわけでもなくて」

「・・・・・お父様に」

「将来的にある程度の学歴がある方が『安心』だと言われて
 言われるがままに進路を選んだだけ」

「高校生のあなたに夢がない話をしちゃってごめんなさい」

607白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/07/30(日) 19:15:46
>>606

「ありがとうございます。
 お菓子は。作り方が決まっているのが安心します。
 安心するための趣味……『ホラー』とは逆ですが」

「どちらも素敵で間違いないと、思います」

頷き、『学部選びの理由』にゆっくり相槌を打つ。

「そう……なのですね」

(うらやましい。……強い指針があることが)

思いはするが、口に出さない。
自由の価値は理解している。

「いえ。私こそ、無遠慮な質問でした。すみません」

        スッ

首を横に振る。

「よかったら。大学の事をまた教えてくれませんか?
 学部選びもですが、大学生活をトーリは知りません」

そろそろチャイムが鳴る時間だ。
言外にこの場での別れを伝えつつ、問いかけた。

608熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2023/07/30(日) 20:20:27
>>607

「いいえ。私の方はそんなに気にしてはいないもの
 それにお父様の言う事は正しいわ
 将来目指すものが決まっていないなら、選択肢が多く取れる方がいいもの」

(本当に、正しい事だわ・・・・)

(正し過ぎて嫌になるくらいに)

            フッ・・・・・・

ゆっくりと頷きを返す

「ええ。勿論
 私なんかの話で良ければいくらでも
 ふふっ・・・・ ちょっとしたオープンキャンパスの気分ね」

スマホを取り出し、連絡先の交換を申し出る
断られたら無理強いはしない

「それでは、白岸さん
 時間が空いた時にでもまたお話しましょうね」

そう言って熊野はこの場を離れていった

609白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/07/31(月) 02:28:48
>>608

「……そう、ですか。そうなのですね」

確たる指針を与えてくれる親がいること。
率直に言えば…………やはり羨ましい。

だがそれを口にしない良識と、
顔に出さない性質がトーリにはあった。

「ありがとうございます、熊野さん。
 今度は……時間がある時にお話ししましょう」

           「それでは……また」

       スタスタ

背中を少しだけ見送ってから、トーリもその場を去った。

610御子神『イン・ジャスティス』:2023/07/31(月) 15:06:15

夏休み期間中の清月学園
出入りする人間はまばらであり、閑散としている
遠く、練習中の吹奏楽部の演奏と運動部の掛け声が聞こえる

「・・・・・・・・・・・むぅ」

そんな炎天下の日中
黒いマントを羽織った偉丈夫が校門の前に佇んでいた
かれこれ1時間になるだろうか。その間、スマホを弄る事もなく、じっと門を見つめている

男の髪は白く、厳めしいその肌にはじわりと汗が滲んでいた

611真白『ユキカゼ』:2023/07/31(月) 22:15:53
>>610
(うわぁ〜・・・・・・)

学校備え付けのトレーニングルームを借りようと登校して来たが、校門に黒マントの男の姿を見つけた。
口に咥えた紙パックジュースのストローを噛みながら、思案する。

(明らかに不審者! なんだけど・・・・・・。
 う〜ん。誰かの保護者かもだし。初手『斬る』は論外。
                  ハジメノ カンモン
 ・・・少し話を聞いてみて、『バカな風紀委員』辺りにブン投げてみるか〜)

 ジュル  ジュル ・ ・ ・

「ぷはっ・・・え〜っと、そこのオジサン?」

ジュースを吸いきって、恐る恐る、声をかけてみる。

612御子神『イン・ジャスティス』:2023/07/31(月) 22:45:41
>>611

「ほう・・・・小娘か」

男はギロリと真白に向けて視線を向けると
荒々しい口調でそう口にした

「己(おれ)に話しかけてくるとはなかなかに『勇気』があるな
 うむ・・・・良い機会だ。ひとつ貴様に聞きたい事がある」

ククク・・・・と、機嫌が良さそうなくぐもった笑い声
ギラギラとした瞳が真白の全身を値踏みする様にねめつける


「この学校に、白髪の子供はいるか?」

613真白『ユキカゼ』:2023/07/31(月) 22:58:26
>>612
(話しかけるのに『勇気』が必要だと思うなら、
 校門に陣取るの止めたほうが良いでしょ・・・・・・・)

と、ツッコミを入れたくなったが、グッと堪える。
只者ではない雰囲気が強い。


「白髪――って。
 ・・・・・・私?」

髪を一房、無意識に撫でる。
はて、人探しをされるような事に心当たりは――無くはない、が。

614御子神『イン・ジャスティス』:2023/07/31(月) 23:09:09
>>613

「『白髪』・・・・・・」

見れば話しかけてきた少女の髪も一房だけ白い
視線が一瞬だけそちらに向き・・・・

「そんな『紛い物の白』ではない」

『紛い物』扱いした

「己が求めているのは完全なる『白』
 クククク・・・・・ちょうどこの己のようにな」

襟足の長い白髪が太陽光の下で薄く光を通す
それ程の高齢には見えないが、老人のような白だ

「そして、年齢も違う
 貴様よりも年若く・・・・そうだな、12歳といったところか」

615真白『ユキカゼ』:2023/07/31(月) 23:23:14
>>614
「んなっ! 『紛い物』だとぉ!」

ファッションではないし、
自分だってオシャレを追求してる訳ではない。
が、年頃としては多少自慢の髪を『紛い物』扱いされるのは憤慨だ。

「本気で失礼なオジサンだなっ。
 人に物を尋ねる態度を知らないの?」

「まぁ・・・私は心当たりないけど。
 年下はなあ」

この学園も広い。
同級生でもよく知らないのに、下級生となると手が回らない。

616御子神『イン・ジャスティス』:2023/07/31(月) 23:36:52
>>615

「何ぃ・・・・・?」

     ズズイっ!

紛糾する真白の言葉を無視するように、彼女の顔に己の顔を近づける
・・・・・いや、正確に言えば真白の持つ一房の白髪に顔を近づけているのだ

              すっ・・・・

抵抗を受けなければ右手で彼女の白髪を軽く掬おうとする

「染めているのではないな」

「これは・・・・地毛か・・・・・」

                     クククク・・・・・

「己は・・・・『間違えて』いたようだな・・・・く、ククク・・・
 ぐ、ぐ、うっ・・・・! おぉっ・・・・・・・・・!!」

       瞬間!

              全身を稲妻に撃たれたかの様に男は仰け反り!

    地面を・・・・・・転がり回るッ!!

617真白『ユキカゼ』:2023/07/31(月) 23:59:05
>>616
「むっ・・・」

髪を触られるのに抵抗がないとは言わないが、
どうも悪意とか嫌らしい感じはしない。軽く触るぐらいなら見逃そう。
マジマジと見られるのは、少し恥ずかしいが。

「そう。地毛! 理由は・・・・・・私にも良く分かんないけどね。
 こんな私でも、ここのケアには多少・・・気を・・・使って・・・・・・?」

誤解が解消したのを良いことに、自慢をぶつけようとした矢先。
眼の前で、男が悶え苦しみ始めた。突然の事に、全く理解が追いつかない。

「何、何何!? なんなのこの人!? ・・・いや、救急車!?」

慌てながらも、カバンからスマホを取り出す。
どう見ても尋常ではない様子だからだ。

618御子神『イン・ジャスティス』:2023/08/01(火) 00:04:15
>>617

       「待て・・・・!」

  はぁーっ! はぁーっ! と息を荒げながら
   119をCallする真白の動きを手で制する

「その必要はない
 己は『間違い』に対してアレルギーな体質でな」

    「じきに治まる」

相手の動きを制する様に掌を真白に向けたまま立ち上がる
息はまだ荒いが、深呼吸を繰り返してゆっくりと調息しているようだ

「『紛い物』と言ってしまった事は謝罪しよう
 よく見てみれば、手入れの整った・・・・ああ、良い髪だ・・・・」




             「もっとも、己の妻ほどではないがな」

619真白『ユキカゼ』:2023/08/01(火) 00:18:43
>>618
「いや、『間違い』アレルギーって・・・」

つくにしても、もう少しマシな嘘というものがあろう。
それほどまでに隠したい何かを、この男は抱えているのか。
頭の中で、様々な言葉が飛び交う・・・・・・。

炎天下でも黒いマント・・・
    体温調整に不具合・・・
         歳の割に白髪・・・
             突然の発作・・・
             支離滅裂な会話・・・

(ま、まさか・・・!?)

学校でも口を酸っぱくして言われる『アレ』に思い至る。
具体的に名前を出すとやばそうな『アレ』。『ディアボロの資金源』だ。
まさか――星見町に蔓延しつつある?
これはもしや『9』を『0』にすべきか?
だが、そんな思考は男の褒め言葉によって遮られる。

「い、いや・・・出来れば一目で気付いて欲しいけどね。
 分かってくれれば良いんだけど・・・」

そうだ、そんな事があるはずはない。
本当に『間違い』アレルギーなのだ。
それで自分の『髪』に気付いたのだから良しとしよう――。

「いやそこは素直に褒めようよ! なんだよこのオジサン!」

真白はキレた。

620御子神『イン・ジャスティス』:2023/08/01(火) 00:33:56
>>619

「・・・・確かに、貴様の髪は良く手入れが行き届いており美しい
 それは素直に認めよう」

「だが・・・・己自身に嘘をつく事は出来ぬ・・・・!」

炎天下に出会った奇妙な風体の男
危ない『アレ』による影響を考える真白であったが、その口振りは極めて理論的だ

「妻の白髪の方が、美しさは・・・・・上だ
 その事実を・・・・歪める事は己には出来ない・・・・!」

『のろけ』・・・・なのだろうか?
キレる真白に真っ向からそんな事を言い始める

621真白『ユキカゼ』:2023/08/01(火) 19:39:39
>>620
「はぁ〜ン・・・?」

偶然出会った見ず知らずの少女に、唐突に『のろけ』をする。
その理不尽さ、本当に『間違い』アレルギーならば『ありえる』のだろうか?
より美しい妻がいるのに、他人を褒めるのは『間違い』だと分かっているから言えない・・・・・・。

「・・・・・・はぁ。分かったよ。
 貴方の奥さんの方が美しいっていうの、
 別に私がムキになって否定する事じゃあないしね」

「また路上で苦しまれても困るし」

一先ず、そこで納得する。
『アレ』云々も思い込みすぎだという事にしておこう。

「・・・・・・とはいえ。私以外が『納得』するかどうかは分からないから。
 一つ言っておくけど、めちゃくちゃ不審者だからね」

姿格好、あまつさえ、『子供』の情報を欲しがるのは、怪しすぎる。

622御子神『イン・ジャスティス』:2023/08/01(火) 21:08:23
>>621

「助かる」

真白の内心でどんな『納得』がなされたのか
それに思いを馳せる事はないが、彼女の大人な対応にはひとまず感謝の念を捧げた

「思い出の中の妻の姿はいつでも美しい
 あれから12年か・・・・」

「・・・・・・・む?」

独り言のように呟いていたところで、自身が『不審者』扱いされている事に気付く

「己のどこが不審だと言うのだ?」

623真白『ユキカゼ』:2023/08/01(火) 21:27:27
>>622
「どこが――って。何もかも、だけど」

マジで分かってないのかな・・・という風に、頭を掻く。

「一番はその格好!
 よりにもよって学校の前で、その『黒マント』は不味いでしょ。
 それこそオジサンのいう『間違い』。ファッションが場所にあってないよ」

恐らく学校の周辺でなくとも、奇異な目で見られること間違いなしである。
学校の周辺なら尚更だ。逆によく今まで通報されなかったな!

624御子神『イン・ジャスティス』:2023/08/01(火) 22:06:55
>>623

「いいや・・・・小娘よ」

     バサバサバサバサ・・・・・

炎天下の日光を浴びながら、強風を浴びてマントがはためく
黒一色のように見えたその布地は、所々に異なる色合いが重なり合っていた

「己のこの『装束』は仲間たちとの絆の証だ
 そう簡単に脱ぎ捨てるわけにはいかない」

   赤茶色の染み・・・・
    あれは【血】の色だろうか・・・・

「小娘。貴様にもあるだろう
 二十に満たない年月しか生きてなかろうと、仲間との強き想いが」

625真白『ユキカゼ』:2023/08/02(水) 21:03:22
>>624
「・・・その色、まさか」

自分の推測が正しければ、あれは『血』で染められた色だ。
かなりの『修羅場』をくぐっている・・・。

「・・・ごめんなさい、って言っとくよ。
 『想い』の大切さっていうのは、理解できるからね。
 軽々しく『脱げ』なんて言うものじゃない・・・・・・」

「でもやっぱり怪しいから、『対策』は考えたほうが良いと思うよ?」

そこはそれだ。
重ねた『想い』が強くても、多くの人には伝わらない・・・残念だが。

626御子神『イン・ジャスティス』:2023/08/02(水) 21:24:02
>>625

「理解してくれてありがとう
『辺石町』を出てからは、誤解のせいでトラブルが起きた事もあるからな・・・・」

    バサバサバサ・・・

彼女らの心配もよそに黒衣ははためく
染みの色は完全に布地に沈着している
十何年も昔のものだ。無理はない

「『対策』か・・・・・」

「除菌消臭剤を試してみるか・・・・・」

そう言いながらくるりと背後を振り返ると
そのまま脇目も振らずにこの場を立ち去っていく

「娘よ。質問に答えてくれて感謝する
 貴様の善意が、優しさが、この先も続く事を祈っているぞ!」

627真白『ユキカゼ』:2023/08/02(水) 21:43:19
>>626
「あー、うん。
 オジサンも・・・探してる子が見つかるといいね!」

黒マントの男に、声をかけて見送る。
友達には・・・『悪い人じゃないと思うけど、近寄らないように』と言っておこう。

628夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/08/16(水) 01:46:42

「わたし『ミネラルウォーター』のシュルイあてるのトクイだって、
 はなしたコトあったっけ??」

空き教室の一室で、一緒にいる相手に話し掛ける。

      「『カワのミズ』」

          コトッ

      「『イケのミズ』」

          コトッ

     「『ミズウミのミズ』」

          コトッ

三本の『ペットボトル』を机の上に並べていく。
中身は『鵺鳴川の水』と『烏兎ヶ池の水』と『湖畔の水』だ。
当然『煮沸消毒』はしていない。

「いや〜〜フトおもったんだよね〜〜!!
 こういう『シゼンのミズ』って、どんな『アジ』するのかなって!!」

        クルクルクルクルクル

「ナツの『ジユウケンキュウ』として、
 イマから『テイスティング』しようとおもうんだけど、どう??」

片手に持った『ストロー』を回しながら、サングラス越しに目を輝かせる。

629功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/08/16(水) 02:11:45
>>628

『保健室登校』の常連である『功刀』だが、
『同級生』との面識はさすがにある。


         コトッ

            「『汚水』」

         コトッ

            「『汚水』」

         コトッ

            「……『汚水』」

学生服の上に羽織った『羽織り』の袖を口元に添えて。

「聞いた気はするけれど……バッカじゃないのかしらぁ?」

露骨に眉をひそめて『ボトル』から顔を離すようなしぐさをする。

「悪いことは言わない。やめておきなさいな。
 この虎穴にいるのは『虎児』じゃあなくて、
 得体のしれない虫だの菌だの……気色悪い物だけ」

          「けほっ」

「病院で過ごす夏休みはつまんないわよぉ」

丸眼鏡越しの視線に輝きはなく、辟易の色を織り成していた。

630夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/08/16(水) 04:17:26
>>629

傍から見れば、夏休みの残りを棒に振る『命知らずの行為』であり、
『それだけ』で済んだら、むしろ『ラッキー』だろう。

「いやいやいや、そういうワケにはいかんのだよ。
 なんてったって、わたしは『アリス』だからな!!
 イッカイきになりだしたらキチンとカクニンしとかないとヒルネもできないって、
 わたしのナカの『コウキシンさん』がいってるぞ!!」

      クルクルクルクルクル

「フフフフフ――――『アマチュア』にはオススメできないけど、
 アリスは『セミプロ』だからヘーキだ!!
 フユに『スズラン』も『アジミ』したコトあるし!!
 なんか…………こう『ピリッ』として『スリリングなフレーバー』だった!!」

        ――――――ピタッ

『ストロー』を回していた手が止まる。

     ズ ギ ュ ン ッ

そして、『人型スタンド』が現れた。
輝く『金髪』が緩やかに靡き、全身に纏うのはカラフルな『光のリボン』。
両目を覆う『青いリボン』は『サングラス』と同色だ。
鋭利な切っ先を有する『爪』は、『ネイルアート』を思わせる。
そのヴィジョンは総じて、『本体自身の姿』に似ていた。

「よし!!『カワのミズ』からいってみるか!!
 たぶんコレがイチバン『わかりやすい』とおもうんだよね〜〜。
 ほら、『ナガレ』があるからさぁ」

ペットボトルの栓を開け、迷いなくストローを差し込む。
もちろん『超人的味覚』は『移植済み』。
ちなみに『スタンド使いである事』は教えてなかったが、本人は忘れてしまっていた。

631功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/08/17(木) 00:36:21
>>630

「どんな穴にでも飛び込まないと気が済まないの?
 虎児のいない穴にはウサギもいない。
 『墓穴』の底まですってんころり……そんなのつまんないわ」

          ヒュルン

「まっ…………好奇心の価値は否定しないけれど。
 せっかくならもう少し、面白いものを楽しんだらぁ?」

『純白の小太刀』……それを『手に発現』させ、
『峰』の側でこつん、と『ペットボトル』を打つ。

もう片手は口元に残している――――表情を気取られにくいように。

「身近に『使い手』がいるのは驚いたわ。
 『そ・れ』…………私の知っているのとは、随分違うのねぇ」

        ツイッ

刃を持つ手を返し、手の甲で『ヴィジョン』を指し示す。

「なかなか『見目麗しい』じゃない」

『夢見ヶ崎』に酷似するその姿は『初雪』の知る常識とは違っている。

632夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/08/17(木) 01:51:27
>>631

「もしかしたら『トラ』と『ウサギ』が『おちゃかい』してるかもしれないじゃん??
 あとから『キリン』もきたらどうしよう??
 なるべく『テンジョウ』たかくしとかないと!!
 『ふきぬけ』にして『アカリとりよう』の『マド』もほしい!!」

            ピクッ

    「ほうほう??『ユキちゃん』よぉ〜〜〜〜」

                 ジッ

          「『ソレ』は――――――『アレ』だ!!」

思わず興味を引かれ、反射的に『小太刀』を見る。
詳しくないので、分かるのは『小さい刀』という事くらいだ。
この手の形は初めてではないが、なかなか珍しいタイプだった。

「そういや『カタナ』のヤツ、まえドッカでみたな…………。
 『ブラック・ムーン』だっけ??『くろいカタナ』だった」

以前に戦った相手。
その中に『刀』を使うヤツがいた。
だからどうだという訳でもないが、何となく思い出したのだ。

「でもさぁ、コレは『しろいカタナ』だよねぇ〜〜。
 しっくりくるカンジがグッド!!」

「そしてアリスは、またあたらしい『ウサギ』をみつけてしまった!!」

        つまり………………『ユキウサギ』か!!

     「う〜〜〜〜〜〜ん」

ストローに指先で触れながら、目を閉じて小首を傾げた。

「たとえるなら『にちようびのコウサテン』。
 『ヒトがザツゼンとながれてる』みたいなカンジ。
 さすがに『シゼンのミズ』は『フジュンブツ』がおおいな!!」

『超人的四感』の一つ――――『超味覚』によって、ストロー越しに『味』を感知する。
やはりというか『雑味』が強い。
『ビョーインでナツやすみ』がイヤなコはマジでマネするなよ!!

633功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/08/17(木) 05:04:47
>>632

「あなた……前からそこまでぶッ飛んでたかしらぁ?
 イカれてるのは帽子屋だけで結構っ。正気は10シリングじゃあ買い戻せないわ」

小さく鼻を鳴らす。

「ともかく、語彙も経験も豊富でお羨ましいこと…………けほっ」

        「とはいえ、褒められて悪い気はしないわ。
         『美術品』や『舞台道具』ではないにせよ、
         理想は『羊頭羊肉』
         見た目の優美さも、また『質』なのだから」

言葉の奥から読み取れたのは『刃物は珍しい』ということだ。
もしいくらでもいるなら、『1つの例』を挙げるとは考えにくい。

「……そうすれば『飲まなくてもわかる』 の?  
 さしずめ、あなたの言うところの『窓』を作る能力ということかしら。
 好奇心が人の形をしたあなたらしいといえば、らしいけれどぉ」

『正体』は知らないが――――便利そうな能力だ、と思う。

「これは『戦う』ためにある力だと思っていたわ。
 結局、千の思考も一見に如かず……勉強にはなるわね」

自分の能力も大いに役立つものだが、『毛色』が違う。
『戦闘の役に立つ』ものばかりが『スタンド』だと思っていたが――――存外奥が深い。

「将来は『ゲテモノ美食家』としてひと財産築けるんじゃあない?
 あなたになら鬼子母神の柘榴が、代用食足りえたのかも分かるのでしょうし」

汚水の食レポに眉を顰めつつ、こうなったのであれば、それを続けることを止めはしない。

634夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/08/17(木) 07:58:48
>>633

「『アリスのアリス』は、なんでもわかっちゃうんだよなぁ〜〜。
 だって『アリス』だし。フハハッ!!」

誇張は混ざっているが、決してデタラメではない。
こうして『出してるだけ』で、多種多様な『最新情報』が手に入るのだから。
今だって、生徒同士の噂話や教師の世間話が、遠くの方から自然と耳に入ってくる。

    「『ドクター・アリス』ってナマエだから、
     ユキちゃんもおぼえてかえってほしいな!!」

           シ ャ ラ ァ ン

『光』のように輝く『金髪』をかきあげる『人型』。

「ちなみに『こういうカタチしたの』がイチバンおおいっぽい。
 アタマがあってウデがあってアシがあってってヤツ!!
 わたしより『ゴージャス』なのは、みたコトないけどさぁ」

一旦ストローを抜いて、『湖畔の水』のチェックに取り掛かる。

  「おん??やっぱチョットちがうな??」

      「コッチは『ヒコージョーのロビー』。
       ヒトはイッパイだけど、それなりにまとまりがある。
       で、たまにうるさい」

             「――――そんなトコ!!」

『水質の分析』を終え、初雪に向き直る。

「いつだったか、トモダチに『ジャーナリスト』が『テンショク』だっていわれた。
 ショージキわるくないな!!
 アリスのユメは『セカイのゼンブをみるコト』だから!!」

「そのコは『ケーサツカン』になるんだって。
 ユキちゃんは、そういうのあったりする??」

         スッ

眉を顰める顔を横目で見つつ、最後のペットボトルに手を伸ばす。

635功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/08/17(木) 20:39:27
>>634

「『アリス』は『迷い歩く』イメージだけれど――――」

 アリス
『夢見ヶ崎』の能力としては、妥当なのだろう。

「――――『ドクター』を名乗らせるからには、
 それはも〜、なんでもご存じなんでしょうねぇ」

緩やかに刀身を解除し、ごく当然のことを言った。
『湖畔の水』には、もちろん興味を惹かれてはいない。

「味の喩えを『目』でするのは――あなたらしい、のかしら?
 まっ、少なくとも。美味しそうには聞こえないわね」

        フン

「飛行場になんて、ろくに行ったことも無いけれど……」

が、通り一遍ではない程度に、返答はする。

       「『将来の夢』……」
       「けほっ」

                ス…

「……さぁ? 考えたこともないわぁ。
 『多岐亡羊』……やれることが多すぎるというのも、考え物だわ」

口元は大きな袖で隠したまま、『最後のボトル』に視線を落とす。

「『ジャーナリスト』は『後ろ暗い』ことも多い仕事と聞くわ。
 『前向きで明るい』あなたに、果たして向いているのやらねぇ」

そして、揶揄うような声色に話をそらした。

636夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/08/17(木) 23:53:41
>>635

初雪が口にした感想は、さりげなく的を得ていた。
元々は『視力を持たない本体』を補助する為に目覚めた能力だ。
『光あふれる世界』という名の『不思議の国』に来る前の『アリス』。

「『ドクター』っていうくらいだからな!!
 『カラダのつかれぐあい』から『ココロにためこんでるストレス』まで、
 なんでもかんでもイロイロわかっちゃうね〜〜〜〜。
『ツボおしマッサージ』もトクイだぞ」

『人間の匂い』は『心身のコンディション』によって、様々に推移するものだ。
『疲労』が蓄積した人間からは『アンモニア臭』がするし、
『ストレス』を抱えていれば『硫黄臭』が漂う。
『ドクター・アリス』の『超人的嗅覚』は、それを『見抜ける』。
『超人的触覚』と『超人的精度』が合わされば、
『按摩』のような『ツボ押し』だってお手の物。
まぁ、コッチにかんしては、マダマダおおいに『ケンキュウのよち』があるな!!

  「ふむふむ、ユキちゃんもやるなぁ」

          「でも、『ドクター・ブラインド』…………」

     「――――じゃなくて『ドクター・アリス』も『タキボーヨー』だぜ??」

『長い付き合い』だった。
今でも、たまに間違える事がある。
『ドクター』の部分を説明するなら、『前の方』が分かりやすかったかもしれない。

「で、『タキボーヨー』ってナニ??
 『しにせオンセンりょかん』のナマエとか??
 『ウミのサチ』と『ヤマのサチ』でまよっちゃうってコトだ!!
 こんどはソッチのレポートやるか!!」

           ――――――ストン

最後のペットボトル――――『烏兎ヶ池の水』にストローを差す。
これだけは形が違う。
『専用のボトル』だ。

「コレ、『ジンジャのミズ』でさぁ。
 しってる??『カラス』と『ウサギ』の。『300エン』だった」

「『ヌエ』ってヤツがおちたとかナンとか…………。
 ベツに『ミズがひかってる』とかはなかったけど、『パワースポット』なんだって。
 こんどイッショにいかない??」

『烏兎ヶ池』は『霊池』だ。
もちろん飲用の際は『煮沸推奨』。
そのまま飲んで入院する無謀な輩も世の中にはいるだろうが、
夢見ヶ崎明日美は『毒味』をしても無事でいられる。

「ほかにも『コウホ』があるから、ホントに『なる』かどうかはわかんないかなぁ〜〜。
 でも、わたしは『ゼンブ』しりたいから、
 『オモテ』も『ウラ』も『ウラのウラ』もバッチリみとどけないと!!
 『オモテのオモテ』もわすれずに!!」

            キラリ

   「ユキちゃんさぁ――――『カンがするどい』っていわれない??
    あ、ソレも『タキボーヨー』??」

繊細な手付きでストローを玩びながら、
『光のリボン』で隠された『ドクター・アリス』の『眼』が初雪を見つめる。

637功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/08/18(金) 00:48:26
>>636

「『疲労』や『ストレス』を感じた動物は味が落ちるそうだものね。
 猟師が獣を一撃で斃すのは自然への敬意だけじゃあなくて、
 商品価値のためもあるんだとか…………けほ」

『ドクター・アリス』の能力は『当てづらい』。
味覚が鋭いだけ、ということもないのだろう――――とは考えているが。

「『多岐亡羊』」
「目標も可能性も多ければ多いほどいいとは限らない……という意味よ」

   「あなたには当てはまらなさそうな……つまんない考え方かしら?」

『故事成語』はこの世の真理では無い。
『初雪』自身、それは己を飾り立てる鎧の一つに過ぎないのだから。

「……『烏兎ヶ池神社』の『霊水』。それだけは『知ってる』。
 効能は……『病気平癒』。……全く、いい商売してるわぁ。
 煮沸しないと飲めやしない……獣が漬かったドブ水で、何の病気が治るのかしらね」

                フン

         「餅は餅屋。薬は薬屋。『薬剤師』は『国家資格』」

「ま……藁にも縋りたい気持ちまでは、否定する程子供でもなし。
 …………池の周りの散歩くらいだったら、付き合ってあげても構わないけれど?」

『飲んだことがある』から、ますます興味はない。
もっとも、当然、それは『煮沸』されたものだったように思うが。

「……けほ、『勘』? どちらかといえば、『理論』のほうが好きなのだけれど。鈍いとは思ってないわ。
 そういう言い方をするあたり、あなたの『鵺的』な部分をなにか暴いてしまったかしら?」

638夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/08/18(金) 02:10:14
>>637

大抵のスタンドには『動き』がある。
それがない『ドクター・アリス』は、他人からは何をしているのか分からない。
『視覚』を得た今は尚更そうだろう。

「ユキちゃん、『モノシリ』だな!!
 アリスとしては、『ウサギのあしあと』はおおいほうが、
 『ウサギ』をみつけやすくなってイイかなって!!
 でも、ちゃんと『カイセツ』してくれるとスゲーたすかる」

      「ま、そんな『ウマいハナシ』はナカナカないよね〜〜」

『同級生』だから『身体が弱い』のは知っている。
『霊水』に対して思う事も、おぼろげながら察せるが、深くは言わない。
ただ、『一定の理解』を示した。

    「ほうほう――――」

           「ふむふむ――――」

                  「なるほどなるほど――――」

「『ちょうどイマごろのトショシツ』ってカンジ。
 レイボウがきいてるから、すずみにきてるヒトがワリといる。
 フダンよりハナシゴエはするけど、ヨソよりシズカ」

「よし!!これにて『レビュー』かんりょう!!
 めぼしい『めいがら』を『せいは』したぞ!!」

    スッ

      「ゴチソーさまでした」

                  ポイッ

使い終えたストローをゴミ箱に落とす。
『おいしかった??』ってきかれると、おいしくはないな!!
のむんだったら『エビアン』とか『ボルヴィック』にしとけ。

「あ〜〜〜〜なんかノドかわいたな〜〜〜〜」

        グビグビグビィ

『4本目のボトル』を取り出して口をつける。
自販機で買った『ミネラルウォーター』だ。
何て事のない普通の商品だが、『超味覚』を通して味わうと、
『未処理の水』とは比較にならない程に『クリア』な飲み心地だった。

「――――――うまい!!
 だいいっかい『ウォーター・オブ・ザ・デイ』をジュショウしたのは、
 『とびいりさんか』の『きたアルプスてんねんすい』!!
 カンペキにゴボウぬきのブッちぎりだ!!」

未処理の水を飲み続けていると『ミネラルウォーターの美味しさ』が良く分かる。
あたりまえにある『ミズのたいせつさ』をリカイするイベント。
それが『W・O・T・D』のシュシなのだ。

「『ヌエ』??イケにおちたってヤツ??
 あ、ソイツ『ネイルアート』がシュミとか??」

本体とスタンドが共に小首を傾げ、同じような仕草でカラフルな『爪』を眺めた。
とぼけている訳ではない。
しかし、ある意味『鵺に触れた』のも事実ではある。

639功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/08/18(金) 21:47:57
>>638

「……人のこと言えない自覚はあるけれど、
 あなたのユーモアは少しわかりにくいわ」

        「もっと素直な方が好み」

   ツイ

明確な返答になるような言葉は使わず、視線を窓のほうに向けた。
外ではセミすら静まる猛暑が渦巻いている。

「……ふ。鵺の趣味は『身体改造』でしょう。
 舌を蛇みたいにする人間はいるけれど、
 しっぽ代わりに蛇をつけるセンスにはかなわないわね」

「……」

          スッ

カバンから自分の水筒を出し、
緩やかにコップをひねって、白褐色の液体を注いだ。

「『正午の紅茶・ロイヤルミルクティー』……
 どんな純粋なお水よりも、結局これが一番美味しいわ」

          グイ

甘い。
奥行きのない、健康でもない甘さ。

「……『池』。行くなら、夏が終わってからがいいかしらね」

窓の外を見たまま、そうこぼした。
空き教室の夏の日は、そのようにして流れていくのだろう――――

640烏丸レイ?『???』:2023/09/27(水) 15:31:54

休日の城址公園――――――

  「 セイギノ シシャ 『レイヴン・ゼロ』 ココニ サンジョウ! 」

         「 テヤッ! トォッ! 」

       「 レイヴン ストラァァァァァァイク!! 」

ヒーローっぽい姿の何かがポーズを決めたり、
高速でパンチやキックを繰り出したり、様々なアクションを行っている。

641烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/09/28(木) 00:20:33
>>640
「……」
こっそりとその様子を見ていたのは…
レイヴンゼロの中の人こと、烏丸レイである。

「なんでこんなところに…?」
驚いた表情でじっと見ている。
謎のレイヴンゼロ、そのデザインは自分の考えたものと似ている

642烏丸レイ?『???』:2023/09/28(木) 08:05:07
>>641

レイが見ている前で『レイヴンストライク』を放つ謎のヒーロー。
本来は飛び蹴りの筈だが、こちらは跳躍からの踵落としだった。
独自にアレンジを加えているようだ。

    「 コノワタシ 『レイヴン・ゼロ』ガ イルカギリ 」

            ス ゥ ッ

       「 アクノ サカエル タメシハ ナシ 」

着地した状態から静かに立ち上がる姿は、
『レイヴン・ゼロ』に酷似しており、体格までレイと一致している。
しかし、微妙にデザインが違う。
偽者なのだろうか?

643烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/09/28(木) 21:09:02
>>642
「ちょっと待ったぁ!そこの人!」
ざっと偽物の前にレイは姿を見せる。
ぐっと両手を組んだ状態でポーズを決めている。

「何を勝手にレイヴン・ゼロを名乗っているんです!
 本物はもうちょっとこう…飛び蹴りなんです必殺技は!」
どこかこだわりがあるようだ。

644烏丸レイ?『???』:2023/09/28(木) 22:31:39
>>643

『レイヴン・ゼロ(本物)』こと烏丸レイに気付き、
そちらを振り返る『レイヴン・ゼロ(偽者)』。

        ポ ン ッ !

その直後、『偽者のヒーロースーツ』が消え去り、『変身』が解除された。
仮面の下から『赤茶色のショートヘア』が現れる。
少々ハネた前髪には『稲妻の髪留め』があり、瞳は『グルグル模様の黒』。
真紅とオレンジのコントラストがあしらわれた『炎のようなマフラー』が風に靡く。
その姿は、レイ自身が一番よく知っている筈だ。

「ちょっと待ったぁ!そこの人!」

「何を勝手にレイヴン・ゼロを名乗っているんです!
 本物はもうちょっとこう…飛び蹴りなんです必殺技は!」

レイの目の前で『全く同じセリフ』を口にしているのは…………『烏丸レイ』だ!
完全に『同一人物』!
まるで『鏡』を見ているかのように見分けがつかない!

645烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/09/28(木) 23:22:13
>>644
「なっ!?」
まさかの自分と全く同じ声、同じ姿。
まるで録音したかのように一緒だ。
一体どういうことか!

「…偽物現るってところでしょうかね…?
 だけど私が本物なんだから!」
そういいつつもじっとみるが
やっぱり自分にしか見えない。

「ちょっと失礼」
そう言って触ってみる
「まさか幽霊…なんてことは」

646ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2023/09/28(木) 23:46:10
>>645

触れてみると、意外にも普通に触れた。
少なくとも幽霊の類ではないらしい。
もしやドッペルゲンガーか何かだろうか…………?

        ポ ン ッ !

次の瞬間、レイの前に立つ『烏丸レイ』が再び姿を変える。

    「こんにちは、烏丸レイさん」

代わりに現れたのは、『古代ギリシャ風』の装束を身に纏う女だった。
背中に翼を備えた『鳥人』のような姿。
以前、ヒーローショーで共演した『ハーピー』だ。

「失礼いたしましてございます」

       ス ッ

羽毛に覆われた両腕を広げ、恭しく頭を下げる。

647烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/09/29(金) 00:12:59
>>646
「幽霊じゃない…
 一体何モノ!」
と、声を上げたところで
ポンッ
「うわっ…!」

突然姿を変える何者か

目を開けるとそこにいたのは
「あ、あなたは!
 ハーピーさん!」
驚いた表情で彼女を見つめる。
あの時、ヒーローショーを一緒に行った時以来だ

「またあいましたねー!
 あの時のヒーローショー、とても良かったですよ!
 …しかし私の変装をするなんて何故…」
と考えてから

「というか、このあたりは校内だったような…?」
もしかしたらある程度自由に入れるエリアかもしれないが
学校にいたのも気になるようだ。

648ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2023/09/29(金) 00:56:37
>>647

思い返してみれば、先程の『踵落とし』にも見覚えがあるだろう。
『アリーナ』で行われた試合のクライマックスに、ハーピーが披露した技。
それと同じモーションだった。

「この近辺は『公園』でもありますので、
 『ニンゲン以外』も立ち入る事の出来るエリアとなっております」

「一般に『公園』とは『公共の場』であり、
 公共の場では『不特定の存在』が出入りを許されているそうでして」

正確に言うと、ここは『城址公園内(>>640)』。
つまり、学校関係者でなくとも入れる範囲だ。
それを考えると、さほどおかしい話ではないが…………。

「実を言いますと、私の『能力』は『変身』なのでございます。
 その力は、たった今ご覧になったかと思いますが」

自らの『スタンド能力』を明かしたのは、今日が初めてだった。
もちろん『正体』は絶対に秘密だ。
いつの日か、この星の『空』を支配する時までは。

「つまり、これを取り入れたヒーローショーを開催すれば、
 また多くの集客が望めるのではないかと」

「題して、『レイヴン・ゼロ』対『偽レイヴン・ゼロ』」

「と――――まぁ、このような趣向はいかがでございましょう?」

あのヒーローショーは、お互いにとって有益なイベントだった。
総合的に見て、レイは中々の『ビジネスパートナー』だ。
機会があれば、また新たな舞台を作るのもいい。

649烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/09/29(金) 22:59:43
>>648
「…今になって思えばあのかかと落としは
 アリーナで見たことがあるかも…
 あそこで気づけたかもね…そうなると。」
そう言ってじっとその顔を見る。

「あー、たしかに。
 このあたりであれば普通に入れますね。
 ならまあ普通かな…」
この場所が城址公園であることを思い出して
なるほどとうなずいた。


「変身のうりょく…つまり私と同じタイプの能力ってことですか!
 なんだか気が合う気がしますね。」
変身という言葉を聞いてどこか共感するような様子を見せている。
おそらくは、レイの考えている自分自身のような変身能力とはなにか違うかもしれないが

「へー!面白そうな話じゃないですか!
 本物対偽物の戦い…うーん、特撮ならよくあるけどなかなか燃える展開だなー!」
どうやら彼女はかなり乗り気らしい。
特撮大好きな彼女としては、ぜひともやってみたいようである。

650ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2023/09/29(金) 23:52:21
>>649

『グレゴール・ザムザ』と『ハロー・ストレンジャー』。
どちらも『変身』というキーワードが共通している。
そういう意味では『近い能力』と言えるだろう。

「大方そのようなモノです。
 『レイヴン・ゼロ』に関しては、
 ヒーローショーで良い『データ』が取れましたものでして」

「喜んでいただけたのであれば何よりかと。
 ワタクシ、『ニンゲン』については色々と勉強しております」

        ソッ

言いながら、顎に片手を添える。

「『ニンゲンの世界』では『鉄は熱い内に打て』と申します。
 少しばかり『リハーサル』をしてみますか?」

       ポ ン ッ !

「 コノ ワタシガ イルカギリ ソラノ ジユウハ ワタサナイ 」

『過去に聞いたセリフ』を発すると同時に、
再び『レイヴン・ゼロ』に変身する。
『リアルタイム再現』ではないので精度は低下しており、
やはりヒーロースーツのデザインは微妙に違う。
しかし、『偽者』を演じるなら丁度いいだろう。

          ――――――ザッ

軽く構えを取り、いつでも『アクション』に移れる態勢を整える。

651烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/09/30(土) 00:26:40
>>650
「あの時のショーで一緒にやったからこそ 
 あれくらいの変身ができたんですねー。
 結構完璧な再現でしたよ」
どこか嬉しそうな様子である。

「人間観察が趣味、みたいな?」
ニンゲンの勉強と聞いて、何気なく理由を考えてみる。

「リハーサル…良さそう!
 ぜひぜひやらせていただきます!」
そう言ってスッとレイを構える。

「フフフ、偽物相手の戦いというのは楽しそうですね。
 燃えてきた!」
そう言ってぐっとポーズを取る。

「『グレゴール・ザムザ』!変身!」
変身ポーズを取るとともにからだが光り輝き、ヒーローの姿に変身した。

「『レイヴン・ゼロ』見参!
 覚悟しろ、偽物め!!」
そう言ってビシッと偽レイヴンゼロを指さして声を上げる。
強い力を感じさせる姿である!

652ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2023/09/30(土) 00:56:13
>>651

             ヒュォォォ………………

二人の間に吹く風が、それぞれのマフラーを揺らす。
『変身』を完了させた『二人のレイヴン・ゼロ』の対峙。
まさしくヒーローの戦いを思わせる光景だ。

         スッ

おもむろに片手を上げた偽者が、同じように本物を指差した。

  「 カナラズ オマエヲ タオス 」

              バ ッ !

『宣言』と共に素早く踏み込んで距離を詰め――――

                  「 テ ヤ ッ ! 」

レイの正面から、小細工なしのストレートパンチ(スB)を放つ!
もちろん演技なので『寸止め』するつもりだが、
『グレゴール・ザムザ』なら十分に避けられるだろう。
今、戦いの火蓋(ヒーローショー)が切って落とされた!

653烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/09/30(土) 19:15:43
>>652
「ふっ、いざ参る!」
そう言って腕をぐっと組んだ。
同時に偽物の踏み込みに対して
素早く構え直す


「ふっ!」
寸止めであろうが、そのストレートパンチを速やかに横へと回避した。
そして踏み込んだ相手の動きに合わせて

「とぉっ!!」
寸止め狙いでのローキックを放つ(スB)
もし寸止めでなければ防御姿勢を取らないといけない攻撃である

654ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2023/09/30(土) 19:45:11
>>653

『偽レイヴン・ゼロ』の拳は空を切り、『レイヴン・ゼロ』の蹴りが放たれる!

  「 ナニヲ ! マダマダ ! 」

      ダ ン ッ !

その場で垂直に跳躍し、ローキックの軌道から逃れる。

       「 トウッ !! 」

           バ ッ !

続けざまに空中から、『踵落とし』が繰り出された!
ヒーローショーというのは、やはり派手な技の方がウケがいい。
微妙に『縦軸』がズレており、
脚を振り下ろしても命中しないように配慮されているが、
一般の子供達からは激しい戦いが展開されているように見える事だろう。

    ――――――どうする『レイヴン・ゼロ』!?

655烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/09/30(土) 22:18:52
>>654
「これくらいでは倒せないか…!」
ぐっと拳を握って再び地面に足をつける。
そして空中から放たれる踵落とし!

「まだまだ…!
 この程度の攻撃など!」
そう言って両手を組んで力を込める!
どうやら受け止める体制のようだ。

パワー的には拮抗しているため
受け止めることは十分に可能だろう

656ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2023/09/30(土) 23:03:05
>>655

高速で振り下ろされる踵落としは、恐るべきギロチンのように迫ってくる!
しかし、『レイヴン・ゼロ』は逃げずに立ち向かう!
何故なら、彼女は『ヒーロー』なのだ!

「 ワタシハ コノテイド デハ マケナイ !」

        ガ シ ィ ッ

見事に踵落としを受け止める『レイヴン・ゼロ』!
パワーは『グレゴール・ザムザ』が上回っている為、問題なくガードに成功した。
大技を防がれた事で、『偽レイヴン・ゼロ』は一瞬の隙を見せている。

             ――――――『反撃』のチャンスだ!

657烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/09/30(土) 23:50:22
>>656
「フッ!たとえパワーもスピードも同じでも
 貴様には足りないものが一つある!」
そう言って構えを取る!

「正義の心までは真似られないってことさ!」
レイヴンゼロは踵落としを弾くと同時に
パンチの連打!このまま偽物を追い込んでいくのだ!

「レイヴン・テンペスト!!!」
どうやらこれが必殺技の名前のようだ。

658ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2023/10/01(日) 00:21:42
>>657

   バババババババババッ!!

              「 ウ ウワー 」

                     ドッゴォ――――――――ン!!

まさしく嵐を思わせるラッシュを食らい、派手に吹っ飛ぶ『偽レイヴン・ゼロ』!
実際には自分から吹き飛んでいるのは言うまでもない。
『ハロー・ストレンジャー』にはダメージフィードバックがないので、
もし本当に当たったとしても全く問題はないのだ。

     ザ ッ

『偽レイヴン・ゼロ』は、なおも立ち上がる。
まだ観念していないようだ。
いや、この『構え』は………………?

  「 コレデ オワリニ スル 」

       ダダダダダダダダダダダダダッ

『レイヴン・ゼロ』めがけて一気にダッシュ!

         「 レ イ ヴ ン 」

           ダ ン ッ !

勢い良く飛び上がり…………!!

    「 ス ト ラ ァ ァ ァ ァ ァ イ ク ! ! 」

最強の必殺技『イーヴィル・レイヴン・ストライク』が放たれる!!
これに対抗するには『レイヴン・ストライク』しかないだろう。
『正義の心』があれば、『悪のレイヴン・ストライク』を撃ち破れる筈だ!!

659烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/10/01(日) 00:38:37
>>658
「どうだ!これが正義の力!」
そう言ってガッツポーズを決めるレイヴンゼロ!
しかし相手が見覚えのある構えを見せた。

「一気に決めに行くつもりか!
 だが私も負ける訳にはいかない!」
そう言ってレイヴンゼロも構えを取り

「見せてやろう!
 本当の必殺技!」
そう言って勢いよくダッシュし、飛び上がる!

「レイヴン…」
そして飛び上がってから勢いよく足を突き出す

「ストラァァァァイク!!」
裂帛の気合とともに放たれる飛び蹴り
これこそが真の『レイヴン・ストライク』だ!

660ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2023/10/01(日) 00:56:09
>>659

       カ ッ ! !

二人の『レイヴン・ゼロ』が空中ですれ違い、
正義と悪の『レイヴン・ストライク』が交差する!

    ――――――スタッ

着地し、立ち上がろうとするが…………

            グ ラ ッ

「バ、バカな…………!」

『変身』が解除され、『偽レイヴン・ゼロ』の姿が変わっていく。
その正体は『レイヴン・ゼロ』に敗れた『鳥人ハーピー』だ!
『レイヴン・ゼロ』と同じ力を得て逆襲を試みたハーピーだったが、
『正義の心』の前に再び敗れ去る事になった…………!

「一度ならず二度までも…………!
 おのれ…………おのれ『レイヴン・ゼロ』…………!!」

            バ タ ッ

激闘の末に『悪のレイヴン・ゼロ』は滅びた…………。
しかし、『レイヴン・ゼロ』の戦いはこれからも続く!
さぁ、子供達に向けて最後のメッセージだ!!

661烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/10/01(日) 15:00:23
>>660
「ふっ…!」
華麗な飛び蹴りを決めたレイヴンゼロは
そのままくるりと空中で回転し、地面に着地した。
必殺技の締めといえばまさにこれであろう。

「悪の栄えた試しなし!
 レイヴンゼロが全ての悪を打ち倒す!」
そう言ってぐっと天を指さした。


「この空も大地も私がすべて守る!
 それがレイヴンゼロだ!」
そう言って決めポーズを見せた。
子供へのメッセージを見事に伝えてみせたようである。

662ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2023/10/01(日) 15:42:22
>>661

ヒーローに相応しい名乗りとポーズで凛々しく決める!!
ここがステージの上なら、子供達の拍手や歓声が聞こえてきた事だろう。
今は練習中なので、観客はいないが…………。

     パチ パチ パチ パチ パチ

レイの耳に拍手の音が聞こえる。
そちらを見ると、いつの間にか起き上がったハーピーが両手を叩いていた。
軽く埃を払い、歩み寄っていく。

「リハーサルとしては『上々の出来栄え』と呼んで差し支えないかと。
 本番は未定ですが、良い『データ』が取れましたもので」

「――――結構なお手前でした」

「そういえば、レイさんとは『戦ってみる約束』がありましたね。
 図らずも『それを果たせた』といった所でしょうか」

『アリーナ』の試合を観戦した後に、控え室で交わした約束。
レイとハーピーで『野試合』を行うという話だった。
少々違う形ではあるが、半分くらいは叶った事になるだろうか。

    マ ジ  ヤ         ガ チ
「もし『本気』で戦りたい時は、私も『全力』でお相手いたしますが」

『グレゴール・ザムザ』は強い。
『進化の秘密』を手に入れる為には、
『強いニンゲン』の力を調査する事も必要だ。
しかし――――今日の所は、ひとまず『お開き』になるだろう。

663烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/10/01(日) 17:32:34
>>662
「ふぅ、まるで本物の拍手が聞こえたかのようで…ん?」
ふと振り返ると、そこから実際に拍手の音が聞こえた。
先程の状態から変身を解除したハーピーが拍手をしていた。

「どうもありがとうございます。
 いいリハーサルになったのならこっちとしても…とても嬉しいです。」
そう言って頭を下げ、同時に変身を解除した。
いつも通りの少女の格好に戻る。

「そうですね、これはまぁリハみたいなものでしたけど
 でもやってて楽しかったですよ。」

「うーん、全力での戦いは…
 少なくともここでは無理でしょうね。
 アリーナは…まだよくわからないですね。」
今のところ、まだアリーナで戦う予定はなさそうだ。
だが、今回のことで多少は興味を得ただろう。

「あ、もうすぐ休み時間が終わりそうですね。
 そろそろ戻らないと…」

664ブリタニカ『ハロー・ストレンジャー』:2023/10/01(日) 19:19:57
>>663

「おや、お戻りですか。
 ではワタクシも『ビジネス』を再開するといたしまして」

           ――――――パチン

   バ サ サ サ サ サ サ サ サ サ サ サ サ サ サ サ ァ

ハーピーが指を鳴らすと、どこからか多くの『野鳥』が集まってきた。
その種類は様々だが、見事に統率された芸術的な飛行を披露している。
以前のヒーローショーでも見せた『鳥を操る技術』だ。
これも『スタンド能力』の一部なのだろうか?
詳細は謎だ…………。

「チャンスがあれば、また同じステージに立ちましょう」

         バササッ

「それではサヨウナラ、『レイヴン・ゼロ』」

              「カァー」

『レイヴン・ゼロ』に合わせるように、肩に一羽の『カラス』を留まらせ、
立ち去っていくレイを見送る。

665烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』【中三】:2023/10/01(日) 19:56:36
>>664
「まぁ、ちょっと名残惜しいけども
 そろそろもどらないとなので」
そう言うと、突然ハーピーの周りに野鳥が集まってくる。


「すごい、集まってますね!!
 これもサーカスの芸の一つですか?」
とても楽しそうな顔でじっと見ている。

「…もちろん、またレイヴンゼロとして
 頑張りますよ!次はまた、楽しくヒーローショーとかしましょう!」
そう言ってハーピーの姿を見送っていった。

「…もっと頑張ってやるぞー!」
大声で言いながら、レイは急いで学校の方へ戻っていった

666円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2023/10/23(月) 02:55:48

装いは冬に近づく。
冬服なのはもちろん、羽織るパーカーも厚手。
被っているパンダキャップだけがいつもと同じだった。

「〜〜〜〜♪」

特に何をするでもなく校庭を歩いていた。
セララが『一人で、しかも何もしていない時間』は貴重だ。
そして今も、その貴重な時間は終わろうとしている。

       ――――前から>>667が来るからだ。

667御影憂『ナハトワハト』:2023/10/23(月) 06:51:09
>>666

前方から歩いてきたのは、白いロングワンピースを着た人影だった。
長く伸びた前髪で、顔の大部分が覆い隠されている。
その異様な風貌たるや、まさしく『ジャパニーズホラー』の体現と言えよう。

        ザッ ザッ ザッ

スタイルアップと歩きやすさを兼ねた、
厚みのあるウェッジソールサンダルの足音が次第に近付き――――――

         ピ タ ッ

何かに気付いたように立ち止まると――――――

          クルリ

迷いなく身体を反転させて、そのまま引き返す方向に歩き出そうとする。

668円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2023/10/23(月) 12:49:02
>>667

『ジャパニーズホラー』の大半は薄暗い空間や照明で行われる。
『太陽』に照らされた『貞子』は、番宣や始球式をするくらいの存在だ。

「わーっ、ウレイさんだ!
 ウレイさんウレイさーん! どこ行くんですかー?」

       トトトト

当然のように駆け寄る。
自分から離れようとしたのを理解していないのか、
理解したうえで何ら気にしていないのか――――

「ねえねえウレイさーん。もしかして今ヒマ?
 ヒマだったらあたしウレイさんと遊びたいでーす」

満面の笑みを浮かべて軽やかに追走しながら、
セララはある種の人種にとっての悪夢のような誘い方をし始める。

669御影憂『ナハトワハト』【大2】:2023/10/23(月) 16:53:16
>>668

江戸から明治にかけて描かれた『幽霊画』からも分かるように、
『白い衣装に長い黒髪』は由緒正しき『象徴的正装』である。
しかし、今は『幽霊の時間帯』ではなく、
御影が化けて出るのは『夜の帳が下りた頃合』だ。
まだ明るい内は『学生』をやらなければならなかった。

(………………セララが………………『一人』………………)

        ザッ ザッ ザッ

(………………『誰か』………………見つけないと………………)

        ザッ ザッ ザッ

今日の講義に出席し、レポートを纏めた御影は、一段落ついて休憩に入った。
いつかの『異世界列車』で一緒に尽力する結果になったが、
しばらくはセララから遠ざかり、平和な日々が続いていたように思える。
だが、遂に平穏が破られる時が訪れてしまったようだ。

  (………………誰か………………)

           ザッ ザッ ザッ

              (………………『いない』………………)

相手をするのはハッキリ言って気が進まないが、
どこかに押し付けようにも『人がいない』。
ほんの一瞬だけ、全力疾走で離脱する事も考えたものの、
それは『円谷世良楽を苦手としている』と認めるも同然。
御影憂は『恐怖を与える者』であり、
何かを恐れる事など断じてあってはならないのだ。
邪魔な『弱み』は捨て去らねば。
今日この場で。

      ――――――ザッ

決意を秘めて立ち止まり、改めてセララと向き合う。

「………………今………………『忙しい』………………」

       ボソリ

葛藤の末に結局『逃げ』を選んでしまったのは、
やはり『苦手意識』によるものだったのかもしれない。
実際は『かなり暇』だ。
そうでなければ、のんびり歩いてこなかったし、
客観的にも忙しそうには見えなかっただろう。

670円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2023/10/23(月) 18:11:41
>>689

『列車』の一件以来しばらく遭遇していなかったのは、
二人の行動範囲があまり近くないせいもあるだろうが、
あるいは――――この日のための『タメ』だったのかもしれない。
怪物が出る前には、被害者たちの日常が描かれるように。

「えーっ!? 忙しいんだー!? 
 ふーん、そっかー。だったらしょーがないですネ。
 ウレイさんといっしょに怖い話の動画とか見たかったのになー!」

        「最近また流行ってるよねー怖いの!」

どう考えてもオバケを怖がるつもりで見ようとはしていない。
ロクな鑑賞体験にならなそうだ。

「まあいいや! やっぱり大学のなんか課題とかですかー?」

暇じゃないと知ってもしつこく誘うようなら、
セララに今ほどの友人の数はいないだろう。

「あたしも今日けっこう宿題多めだったんだよね。あはーっめんどくさーい!」

が、『実際忙しそうにしてない』ので、話しかけちゃダメとは思っていない。

671御影憂『ナハトワハト』【大2】:2023/10/23(月) 19:07:33
>>670

セララの性格は知っているので、こうなる事は半ば予想していた。
おそらく『期待値』は非常に低いだろうと。
もっといい返しを思い付かなかった事は悔やまれるが、それも今更な話だ。

「………………まぁ………………ちょっと………………」

「………………『考え事』………………してるっていうか………………」

何か適当に『忙しい理由』をでっち上げようと頭を働かせたのだが、
だいぶ『歯切れの悪いもの』になってしまった。
これでは信憑性に欠ける。
『久々』という事も手伝って、やはりセララが近くにいると、
どうしてもペースを乱されてしまうのは否定できない。

「………………『変な列車』………………覚えてる………………?」

「………………いつ乗ったか………………分からない………………」

とりあえず誤魔化す為に、『あの話』でも振っておこう。
その行為が『忙しくなさそうな裏付け』となってしまう事を、
この時の本人は見落としていた。
痛恨のミスだ。

672円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2023/10/23(月) 22:21:42
>>671

「えーなになに? あたしも一緒に考えてあげますよ! あはーっ」

猫の手も借りたいという言葉もある。
勿論セララは自分の手が猫並みとは思っていないが。

「あー、あったよネ。
 みんな元気にしてるかなー。あ! そうだ思い出した!
 ウレイさーん、ヒマなときプラネタ連れてってくれるって言ってましたよネ。
 あたし最近あんまりヒマじゃなかったんだけど、今ヒマだなー!」

『列車』の一件はいろいろあったが、一番に思い出したのはそれだ。
最近のセララは友達とばかり遊んでいて一人でいる事が少なかったが、
ちょうど今、『このまま行くと予定のなさそうな日』が少しだけあった。

「考え事終わったらウレイさんもヒマですよねーっ!
 でもでも、確かにいつ乗ったんだっけ? あたしも覚えてないなー!」

御影の内心など知る由もなく、セララは話を勝手に進めようとする。

673御影憂『ナハトワハト』【大2】:2023/10/23(月) 23:30:56
>>672

思い返してみても理不尽な出来事だった。
持っていた覚えがない切符が盗まれたせいで、それを探し回る羽目になったのだ。
何よりも首謀者が野放し状態なのが癪に障る。

「………………『原因不明』だから………………また『誘拐』されるかも………………」

こんな話でビビるようなセララではないだろうが、ささやかな嫌がらせだ。

     「………………あ………………」

そういえば、そんな約束をしていた気がする。
せっかく忘れていたのに思い出してしまった。
いや、この話題を振らなければ、セララも忘れていたのではないか?

(………………『しくじった』………………)

心の中で舌打ちするが、もう遅い。

「………………暇………………『かも』………………」

「………………『考え事』………………終わったら………………」

この時点における最大の考え事は、『いかにしてセララを回避するか』であった。
回避が限りなく不可能に近付いた今、確かに考え事は終わりそうだ。
その必要がなくなるのなら。

「………………ウレイさんは………………『スタンド』の事………………もっと知りたい………………」

「………………『スタンド使いの友達』………………紹介してくれない………………?」

だが、転んでもタダでは起きない。
セララと顔を合わせたなら、それを利用するくらいは考えなければ。
昼の『学生』と夜の『幽霊』の他にも、
御影には『密偵』としての役割もあるのだから。

「………………『プラネタリウム』は………………連れてく………………」

自分から言った以上、約束も果たさなければならないのが辛い所だ。

674円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2023/10/24(火) 00:07:59
>>673

「うわーっほんとだーっ、こわーい! ウレイさんも気を付けてネ。
 まー、ウレイさんもあたしくらい強そうだし大丈夫かな!あはーっ」

案の定、あんまり効かなかった。
あるいはこれでもビビっているのかもしれない。

「やったやったー! あはーっ、プラネタ行くの久しぶりー。寝ないようにしよーっと。
 ウレイさんウレイさーん、暗いからって怖い話しないでくださいねー?」

実際セララはこのことを覚えていたのだろうか?
覚えていたならしつこく電話くらいしてきそうなものではある。

「あー、そういえば、あれも『スタンド』みたいなものでしたもんねーっ!
 ウレイさんなら良い人だし、紹介してもいーですけど」

            クイッ

考えるように少し首をかしげる。

「あーっでもでも、『スタンド使い』なのってあんまり言いふらさないかー。
 あたしも友達の子がスタンド使いなの、あとから知ったりとかしますし!」

         「あんまりたっくさん知ってるわけでもないしなーっ」

が、『紹介』はあまり気乗りしていないようだ。
セララの脳裏に浮かぶのは『天音ちゃん』や『ユズちゃん』だが――――

「うーんうーん、それにウレイさん、あたしの友達にいないタイプですもんねーっ、
 あたしの友達と気とか合うかなー!? うーん、合うかも? 数学より難しーっ」

『友達付き合い』という事柄において、セララはそれほど適当ではなかった。が、悪感触でもない。
加えて言えば、この言い方。自分と御影は気が合うと思っているのは、以前も言っていた通りだ。

「あ! ウレイさんもスタンド使いの友達とかいるの? あたし以外で!
 いるんだったら、ウレイさんの友達も併せてみんなで遊びに行くのもいーかもですネ」

675御影憂『ナハトワハト』【大2】:2023/10/24(火) 16:12:11
>>674

セララの言う通り、スタンドを持っている事は不用意に口外しない。
他ならぬ御影自身も、基本的に秘匿しているのだから。
スタンド使いを紹介してもらうのは大きなリターンが見込める反面、
『御影憂がスタンド使いである事実』を、
セララを通して知られてしまうリスクを抱えている。

(………………でも………………『一人で調べる』よりは………………効率がいい………………)

御影に『スタンド使いの知り合い』は少ない。
『一方的に知っている』というケースが大抵だからだ。
こちらから『スタンド使いである事を明かす』のは、限られた相手だけだった。

「………………『飯田咲良』………………とか……………」

「………………『学生寮』に住んでる………………『中等部』の………………」

数少ない一人の名前を挙げる。
『ヴィジョン』まで見せたのは、彼女とセララくらいなものだ。
当然ながら『能力』を教えた事はない。

「………………他には………………特に………………」

「………………別に………………『友達がいない』………………訳じゃあない………………」

念を押すように付け加えたが、
セララとは違って『普通の友達』も多くないのが実情である。

(………………氷山………………フラジール………………赤月………………斑鳩………………)

どれも『一方的にスタンド使いである事を知っている人間達』だった。
友達に仕立て上げられそうなのは『赤月』だが、ここで出すのは都合が悪い。
向こうは『御影がスタンド使いだ』と知らないからだ。

(………………いや………………)

発想を変えよう。

「………………スタンド使いじゃないけど………………」

「………………『赤月ナカレ』とか………………」

あくまで『普通の友達』として紹介してしまえばいい。
そして、セララに探りを入れさせる。
プラネタリウムの件を考えると、あまりアテにはならなそうだが、
『保険の保険』程度にはなるだろう。

「………………『焼き菓子の缶』………………もらった………………」

「………………セララにも………………あげたっけ………………」

「………………『クッキー缶』………………」

さらに遡り、『遊園地騒動』を思い出す。
どうでもいい事だが、あの時セララは『また感想を言う』と言っていた。
まぁ『お土産品』だし、不味くはなかった筈だ。

676円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2023/10/25(水) 04:46:32
>>675

「へーっ、あたし中等部の友達ってあんまりいないかも!
 ウレイさんって意外と顔ひろーい。
 アカツキさんって子もあたし知らないなー。寮に住んでる子?
 でもでもスタンド使いじゃないなら、スタンドの話するのはNGですネ」

友達の少なさを殊更に弄ったりはしないが、『意外』は本音のトーンだった。

『御影の狙い』はともかく、セララはスタンドの話を大っぴらにこそしないが、
『既に知っている同士』であれば、隠すことにそれほど拘泥してはいない。
なんなら友達相手なら自分から明かしたこともある。『こだわり』とは無縁だった。

「あたしはどうしよっかなー! うーん、勝手に教えてよさそうな子いないかも。
 ウレイさんと気が合いそうな子いるし、今度会ったとき聞いてみまーす」

               「楽しみにしててネ」

これは『甘城天音』のことだ。
セララの友人はだいたい『明るい』とか『素直』な性格が多く、
御影や甘城はどちらかといえば例外的と言える。

御影が名前を出して紹介しているのだから、
そこは合わせるのが筋のような気もするが・・・
セララは『相手に合わせる』とかそういうのはそれほどしない。

「あーあれ! なんでしたっけ、チョコはいってたやつ?
 パパとママと一緒に食べましたよー。甘くて美味しかったでーす。
 あたし嬉しかったなーっ、ウレイさんがお土産くれて」

焼き菓子缶への感想も簡素なものだ。
感謝は本当だろうし、完全に忘れたわけではないのだろう。

「てゆーかなんかウレイさんとあたしって、
 たまに面白いこと巻き込まれますよねーっ。あはーっ!
 
    ・・・あ、でも遊園地はオチがつまんなかったかも。前話したっけ?」

677御影憂『ナハトワハト』【大2】:2023/10/25(水) 09:16:16
>>676

実際に接触したのは御影ではなく『度会一生』だが、
甘城には既に遭遇しており、『能力の一部』を含めて情報を得ていた。
クリスマスの夜、信じられないくらい強烈な辛さの、
『ジンジャークッキー(ブート・ジョロキア入り)』を味わったのだ。
もっとも、これは『本人の手作り』であり、
スタンドとは何ら関係がない(余ったクッキーは御影が食べた)。
口直しに『アップルパイ』を渡されたものの、こちらは警戒して食べなかった。
それが途中で消失した為に『スタンドの産物』だと分かり、
度会は『菓子類に関する能力』だと推測したのである。
無論、セララが何を考えているかなど予想できる筈もない。
御影としては『待つだけ』なのだが、
むしろセララが『思ったよりは秘密を守れるらしい』と知れた事の方が、
今回の収穫としては大きかったと言えるだろう。

「………………赤月も………………『寮生』………………」

「………………中等部で………………赤いメッシュ入れてる………………」

御影自身も『学生寮住まい』なのだが、セララには言ってない。
理由は『言わずもがな』。
以前たまたま出くわしてしまった時は、
ドライヤーが壊れて前髪を上げていたので、
『別人のフリ』をしてやり過ごしたのだが。

「………………『オチ』………………」

その言葉で一つ思い出した事があった。

「………………そういえば………………」

「………………『あの後』………………何かあった………………?」

セララと別れた御影は、そのまま『ほしみland』を去った。
『エクリプス』絡みの騒ぎであり、『アリーナ』が関与した事も把握しているが、
犯人の処遇を含めた結末については認知していない。
セララは『アリーナのスタンド使い』と行動していたフシがあるし、
そこにも立ち会った可能性がある。

678円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2023/10/25(水) 20:14:04
>>677

「へー、ウレイさん中等部の寮の子たちと仲いいんだーっ。
 あはーっ、もしかして怪談お姉さんみたいなことしてるの?」

『怪談』どころじゃない怖がらせ方をしているわけだが、
そんなことは知る由もない。
それを知るものの数こそ、御影の手腕だろう。

「あたしもたまに寮遊びに行くから、見かけたら声かけてみまーす」

『も』というあたり、御影も遊びに行ってる認識らしい。

「はーい、お土産もらったからお土産話返しまーす。
 あの後さー、あたし犯人の人? 名前忘れたけど、
 あの人を、アリーナの何とかって人たちと一緒にジンモンしたんですよねーっ!」

         「まー、普通に話聞くだけだったけどネ」

普通じゃない方がよかったかのような言い草だが、
特段の悪意や害意は声色に含まれない。

「星のナントカって人にやったらご褒美あげるって言われたからやったっていってたっけ。
 でも役に立たないから捨てられたーって。あはーっ、ちょっとかわいそうですよねーっ」

         「でも、もっとかわいそうだったんだよね。
           ウレイさーん、あたしヤな話しちゃうけどいいですかー?」

いつもの話は嫌ではない前提だが、『そういうこと』をセララが言い出すのは珍しくはある。

679御影憂『ナハトワハト』【大2】:2023/10/25(水) 21:33:48
>>678

御影にとって、『恐怖』は生きる為になくてはならない『糧』だ。
相手が怯えれば怯える程に、心の奥底が満たされていく。
特に、実際に『ナハトワハト』と対峙した経験のある赤月には、
相応の爪痕を残しているだろう。
一応その後でフォローしたものの、
『納涼祭』で行った『肝試し』で再び恐怖に陥れている。
御影にとって赤月は中々いいオモチャだった。
しかし、セララはビビらない。
だから何となく避けてしまうのだ。

  「………………暇な時とかに………………
   ちょっと………………話してるくらいだけど………………」

寮内でセララに出くわす事があったら、
偶然そこにいたように装おうと心に決めた。
他の寮生が通りかかったりしなければ問題ない。
もし通りかかった時は――――――『口封じ』しておこう。
無論、危害を加えるという意味ではない。
適当に口裏を合わせてもらうのだ。

「………………うん………………『可哀想だと思う………………」

これっぽっちも思っていない。
どんな餌で釣られたのか知らないが、話を聞く限りだと、
おそらく最初から切られる予定だったのだろう。
見え透いた甘言も看破できない間抜けには、惨めな結末が良くお似合いだ。

    「………………?………………」

        「………………いいけど………………」

勿体ぶった前置きに首を傾げる。
こういう配慮をするのは、セララにしては珍しい。
もしかすると『よほどの何か』が起きたのか。

680円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2023/10/27(金) 12:59:48
>>679

セララの口ぶりも明らかにかわいそうだと思っていない――――
というより、思ってはいるがどうでもいいと思っているのだろう。

だからこそ、口が重くなったのもよくわかりやすい。

「ありがと! それがさー、その人、いきなり殺されちゃったんだよね」

『死ぬ』のはどうでもよくないのだ。

「『エクリプス』って人たちのことを喋ろうとしてたんだったかな。
 あたしが止めてあげたらよかったんだけど、急に殺されて無理だったんですよ」

         「わー、思い出してもショックー。
          友達にはなれない人だけど、
           流石にかわいそうだったなー」

珍しく口調が暗いともいえるが、
まあ、話題からして当然ではある。

「あーあ、ウレイさんミント食べる?
 あたしは落ち込んだから食べまーす」

               ヒョイ

ポケットからミントタブレットの小さな箱を取り出し、それを食べて口を閉じた。

681御影憂『ナハトワハト』【大2】:2023/10/27(金) 14:04:09
>>680

どんな話が来るのか『予想』はしていた。

「………………そう………………」

セララの口から事の顛末を聞き、ぽつりと呟く。

     ――――――グッ

その両手が無意識に握られる。
決して『義憤』などではない。
自分の欲望の為に多くの人々を傷付けたのだから、そんな奴は死んで当然だ。
しかし、それを陰で見ながら笑っている人間がいる。
そういう奴らは許せない。

「………………本当に………………『嫌な話』だった………………」

心の奥底に宿る『幼少期の記憶』と共に、
『黒い感情』が這い上がってくるのを感じた。

   ス ゥ ゥ ゥ ゥ ・ ・ ・ ・ ・ ・

深呼吸して気持ちを落ち着かせ、握っていた手を開く。

「………………ちょうだい………………」

       ソッ

ミントタブレットを受け取るべく、片手を差し出した。

682円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2023/10/27(金) 23:14:40
>>681

              カリ

すぐに噛んでしまってから――――

  「はーい、落とさないでくださいねーっ」

カコッ カコッ

箱を振って小さな粒を御影の手の上に落とす。

「ごめんネ嫌な話聞かせて!
 殺した人、どこかでやっつけられてたらいいなー」

       スッ

     「あたしたちでやっつけてもいーですけど」

またそれをポケットにしまいつつ、くるりと踵を返した。

「ウレイさーん、あたし気晴らししたくなったなー!
 『考え事』 もう終わっちゃいました?」

それから笑った顔だけで振り返って、『この後の予定』を促した。

683御影憂『ナハトワハト』【大2】:2023/10/27(金) 23:59:16
>>682

無言でミントタブレットを受け取り、そのまま口に運ぶ。

       ガリ

今の話を思い返し、心持ち強めに歯を立てた。
御影は『アリーナ』と『エクリプス』が嫌いだが、
自分から積極的に何かを仕掛ける気はない。
それ以上に心を惹きつけて止まない関心事があるからだ。
すなわち『恐怖』。
『心理学部の学生』として『恐怖を与える術』を日々研究し、
『夜の街を跋扈する亡霊』として実地で『研究成果』を検証し、
『恐怖を与える者』として在り続ける事こそが御影憂の『ライフワーク』。

だが、『アリーナ』にしろ『エクリプス』にしろ、目の前にいたなら目障りだ。
もし邪魔になるようなら――――『二度と邪魔できなくする』。
その時が来たら、事件の裏で笑う奴らも、御影に出会った事を後悔するだろう。

        いや、『させてやる』。

「………………場所は………………『天文台』………………」

         ボソッ

「………………『嫌な話』だったし………………」

         ボソリ

「………………『キレイなもの』………………見に行こ………………」

          ――――――ザッ

セララの求めに応じるようにして歩き出す。
行き先は『プラネタリウム』だ。
『口直し』ついでに『約束』を果たしておく事にしよう。

684円谷 世良楽『リトル・スウィング』【高1】:2023/10/28(土) 00:31:52
>>683

「あはーっ、やったー! それじゃー行きましょ行きましょ!」

御影に続いて歩き出す。

「プラネタ今何やってるのかなー!
 あたし普通のヤツしか見たことないんですよねーっ」

セララの嫌な気持ちは既にほとんど吹き飛んでいた。

結局のところ死んだのは他人だし、
友達になれそうな相手でもなかった。

それでも――――話せば嫌な気分になるものはある。
それを意図的に増やすものがいるのであれば、容赦はしないだろう。

「ウレイさんの案内付きで見るの楽しみー。
 やっぱり、持つべきものは友達ですネ」

          『嫌なひと』がどうなっても、どうでもいいのだから。

685ジョン・スミス『デッド・カン・ダンス』:2023/11/15(水) 21:00:17
『歓楽街』(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1659501857/266-299)にて、
あらゆる『ニンゲン』に化けれる『謎の骸骨』と遭遇した『アリス』は、
行方不明の『コバヤシ タケル』青年の手掛かりを探るべく、『コバヤシ』に扮して町をウロつけと頼み込む。
『顔見知り』が多い『学校』は止めておけと忠告を受ける『骸骨』だったが―――


「『清月学園』・・・・・・小中高一貫のマンモス校で在学生徒は『4000人』・・・・・・
『サークル』も活動的で『星見イースターフェス』は町おこしにも貢献・・・・・・」

「ゲェーッ! マジかよ!」 
                  「日本も土地が狭いってのにご苦労なこって・・・」

そんなもの、馬の前にニンジンをぶら下げるようなもの!
『ダチョウ倶楽部』に『押すなよ』というぐらい『無意味』なことであった!

     バァア―――z___ンッ

「・・・・・・っつゥーことで、早速潜入してみたワケだがァ・・・・・・」

(オレの『変装』も『永続』じゃあねェ―――ッ
ちょっくら『職員室』辺りにでも顔出して、『オレ』の情報でも抜き取るかよ・・・)

  「え〜っとォ・・・・・・『職員室』は・・・・・・っと」

『バンカラ帽』を被った『琥珀色』の瞳を持つ青年――『小林 丈』の姿で堂々と校舎へ潜入。
トレンチコートに身を包み、片手には学校見学向けのパンフレット持ち
最短ルートで進行しつつ(逃走できるよう)入り組んだ通路を選びながら徘徊している。

686ジョン・スミス『デッド・カン・ダンス』:2023/11/26(日) 13:00:31
>>685
「着いたぜ、『職員室』。
さあ〜〜て・・・・・・そんじゃ気合い入れ」

               ドロォ
                      「アッ」 「やべ」

    『ぎゃああああああッ!?』
                       『人が溶けたァー!?』

   ワーッ ワアーッ!

  「・・・・・・・・・」  「Ohォ・・・」
                    「my」
                         「God」

『職員室』に潜入する直前、『時間切れ』で『変装』が解けた。
情報収集とかそれ所ではなくなったので、大慌てで学校を後にした。
幸い『目撃者』は少数だったが―――もしかしたら『骸骨』が出たという噂が校内に流れたかもしれないし、流れなかったかもしれない。

ジョン・スミス『デッド・カン・ダンス』――→『収穫なし』『再起可能』

687美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2024/01/08(月) 07:15:11

清月学園敷地内にある『屋外拡声器』。
『防災行政無線』の発信用に設置されている『音響機器』だ。
拡声器から『120m』離れた物陰に、
カナリアイエローの『ベスパ』が停まっていた。
シートに座るのは『アメカジファッションの女』。
『美作くるみ』だ。

     「ん…………」

          「――――『アレ』ね」

周囲を注意深く観察し、『プラン9・チャンネル7』を発現。
そして、対象を視界内に収める。
ただそれだけで『ロックオン』は完了した。

  《『1001-111(イチゼロゼロイチ・イチイチイチ)』》

     《『1001-111(ナイン・セブン)』》

突如として拡声器から響く『スタンド音声』。
『半径300m以内のスタンド使い達』は、この『奇妙な放送』に気付けるだろう。
だが、その時には既に『発信者』は現場から消えている。

「『広域情報発信』が『プラン9』の『真骨頂』」

一人の『スタンド使い』として一皮剥ける為には、
何かしら『画期的な閃き』が必要になると前から考えていた。
そして、遂に美作は『それ』を掴んだ。
今なら確信できる。
自分は『もっと上に行ける』と。
目標を実現する足掛かりとして、こうして『事前情報』を街中に伝播させ、
『イベントの宣伝活動』を行っているのだ。

    バァァァァァァァァァ――――――――――ッ

軽快なエンジン音を奏でながら、
美作は愛車と共に『次の場所』に向かって走り去る。

688夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』【高一】:2024/01/14(日) 04:51:29

『夢見ヶ崎明日美』は『アリス』だ。
アリスは『ウサギを追う者』。
今日も今日とて『ウサギ』を――――すなわち『好奇心の対象』を追い求めていた。

「ねぇねぇねぇねぇねぇ〜〜〜〜〜〜。
 『ウサギっぽいオンナのコをみかけたらシアワセになれる!!』ってハナシしってる??」

現在の時間帯は『放課後』。
学園内を歩き回り、目についた生徒に話し掛ける。
相手は知り合いかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

「『アリスとウサギがそろってるトコをみたら2ばいハッピーになる!!』んだって!!」

その傍らには『金髪の人型スタンド』がいる。
ウサギを追う為には、日々の情報収集は欠かせない。
今も『超人的聴覚』を駆使して、学園内の噂話を集めている最中なのだ。

689夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』【高一】:2024/01/20(土) 06:59:51
>>688

  「むむっ――――」

          ク ル ッ

   「このカンカクは『あらたなフシギのケハイ』…………!!」

              タッ タッ タッ

                   「――――ゆかねば!!」

690リゼ『サクラメント』:2024/02/02(金) 21:33:20
学生が帰路につく時間帯、正門から少し離れた自販機の傍に、
髪も服も肌も不健康な程に白い女がしゃがみ込み、通行人の姿を見上げている。

植え込みの陰になって通行人からは見えていないが、自販機に近づいたものはその姿を認めて、ぎょっとして足早に離れていく。

691リゼ『サクラメント』:2024/02/03(土) 23:25:14
>>690
日が沈み生徒の数がまばらになってくると、
溜息をついて立ち上がり、どこかへと消えた。

692コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/02/11(日) 14:30:08

「わおわおわお、お城の麓におっきい学校〜」

         スッ

スーツケースは駅のロッカーに預けて、
『鬼柳』に教わったスポットの一つに来ていた。

            ウロウロウロウロ

     「この角度の方がカワイイかなあ〜」

  ウロウロウロウロ

             「お城と校舎どっちも……」


『Vlog』用のコンパクトカメラを片手に歩き回る姿は、
狐耳ヘッドホンの特徴的なシルエットもあって、実に目立つ。

なんなら、不審者か何かと思われても不思議はないだろう。

693コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/02/14(水) 07:51:41
>>692(待ち継続)

        パシャー

              パシャー


今は『自撮り写真』を撮っているようだ。

写り込みはしないように周りに気を配ってるから、
迷惑にはならないだろうけれど――
何にしたって、目立つ様子なのは確かだ。

逆に、目立つから話し掛けづらいって事もあるのかもしれないが……

694コヤシキコヤネ『サイレント・ライト』:2024/02/16(金) 22:23:41
>>693
しばらくすると満足したのか、そこにもういなかった。


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