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【場】『 私立清月学園 ―城址学区― 』 その2

535白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】:2023/05/19(金) 21:40:47
>>534

「分からないことは。聞くのが大事です。
 千々石さんのしたことは、
 トーリは、とても正しいと思いますよ」

肯定の言葉――気持ちから出た素直な言葉を返し、
メモ帳をめくる姿を、適度に視線を動かしながら待つ。

「謝らなくて、大丈夫です。
 トーリには分かりませんが、
 千々石さんには、必要な事なのでしょう」

大抵のことはすぐに覚えられるから。
メモに何もかもを書くのはどこか奇妙に見えるが、
その『理由』を推理するほどの謎でもない。

「そう。気になって――――」

自分の行動なのに『思います』は、少しおかしな話だ。
が、あえて必要もないことを追求する趣味もない。

「確かに。ここが開いているところは見ませんね。
 トーリは、時々教材を返しに来る事がありますが、
 初めから開いていた事は、ありませんでした」

      「鍵が一つしかないので、 
       それは。当たり前ではありますね」

冗談を言った――というわけではなく、
言いながら理由に思い至り、答えまで行ってしまった。
それだけのことだ。

「それに。確かに、変わった雰囲気の部屋だと。
 トーリも、千々石さんと同じように思います。  
 十年も前の教科書。かびた、なにかの本。
 日に焼けてくすんでしまった地図。新品の地球儀。
 ここには、『歴史』が積み重なっています。
 ……それから、この『埃』も。きっと、十年以上」

今度は、冗談を言った。
なんとなく間を持たせる必要がある気がしたからだった。
指先は机の上に溜まった埃をなぞり。

     「ふう……」
              ブワ…

「掃除をすれば。さぞかし気持ちが良いでしょうね」

それを唇に近づけ、吹いて、飛ばした。勿論入口とは逆側にだ。


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