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【場】『 私立清月学園 ―城址学区― 』 その2
586
:
斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』【高2】
:2023/06/16(金) 07:04:08
>>584-585
「なァんだ、ハトコかぁ〜……期待通りじゃなくてちょっぴりガッカリって感じだが」
「斑鳩だ。よろしくグアちゃん。」
先手を取ったかいは……あったかもな。
お前、まさか本当に『はとこ』だなんて思ってないだろうな?
声をかけられた際にくるりとケゲラパニに背を向けると
そのまま雨田に話しかける。
「おっ、雨田ァ〜もちよ も・ち。ハイタッチするか?ヘイ」
「トムクルーズもびっくりのM・I・P(ミッションインポッシブル)だったが完璧成功だぜ、我らがリーダーの手でな。」
「後はしらみつぶしの時間さ。」
いま、そこの男……ケゲラパニが焦ったぞ。
ほんの一瞬だったが、確かに焦燥の色が見えた。
視線の揺れか、筋肉のこわばりか、理由は何でもいいが……俺たちにそう見えたのは重要だ。
「ところで話変わるんだけどさぁ。雨田……あの二人どう見える?」
からかい交じりの声色で、僕はニタニタしながら口元を抑える。
「はとこらしいけどさァ、あの様子じゃあやっぱりィ……妹の心配する過保護な兄貴ってトコか!?」
「アタックすんなら強敵かもなァ〜雨田?熱視線か?」
さっきから随分と、そう。つつかれたくない傷を庇っているようにも見える。
遮ってばかりなのも……迂闊に口に出させたくない『何か』を感じる。
噂ばかりで確信はなかったが……尾角は『本物』かもしれない。
この状況、アリーナ内で見た派閥であれ、エクリプスの残党であれ……。
例え多少のリスクをおってでも、自分の『眼』を送り込んでおきたくなる『スタンド使い』!
(どうにか……利用できないものかな、どうにか利用して……1回のチャンスを掴めないものか?)
(アリーナ内にも派閥がある事は、トライコーンの事で知ってる、エクリプスの残党だというラッパーもいた。)
(もし、この2人がアリーナの派閥内の人間だとして。もし、此処にいる事がある一つの派閥の暴走だったら、派閥間での裏切りだったら……)
(面白くはないだろうな、他の派閥は。同時に、暴走した派閥の力を背信の罪で解体・吸収する絶好の機会!)
(仕掛けたのが残党であれ、一派閥であれ……或いは名も無きニュービーであれ。小角という扇の要(或いは火薬庫)に手を出されて、扇そのものがぐらついてるんだからな。)
(席が限られてるなら……ぐらついてる誰かを蹴り飛ばして座るのが一番だ。)
「ま、こんくらいで此処から離れよう、調べるにも……先生の目に留まりたくないだろ。」
「休みも終わっちまうしな。」
俺の妄想ミルフィーユ妄想蜂蜜漬けって感じだな。インセプションでもされたか?
(君は全ての人間が善良だと?コマを回すか?『小角がいなくなった』という現実をまず確かめよう。)
オ マ エ
まさか、俺は人の醜悪さを憎悪し続けている。だから斑 鳩の中にいる。
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