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【場】『 私立清月学園 ―城址学区― 』 その2

576『照光が灼き焦がす』:2023/06/10(土) 14:20:30
>>574(斑鳩)

佐川は扉を開けて外に少し顔を出している様子だ。鎖はもう無い以上、何も問題は無い。
少なくともこの程度のイタズラは彼の眉根に皺を増やす程度で、重大なことではない。

            カチャン

「まあ、もう。しっかりしてよね〜。
 それじゃあ一緒に探しましょ……あら、あなたも手伝ってくれるの?」

……なぜか『雨田』もこちらに来て鍵の捜索を手伝い始めたようだが、
『ケゲラパニ』が外に向かってるあたり、そこで何かしらの分担があったか。

「何の鍵だったの? 一応目印とかあるからさ〜。何かの準備室とかあ?」

女教師が床を探しながら問いかけて来るが、
『斑鳩』は鍵箱の中を漁ることに成功している。いくつかの鍵はないが、
少なくとも作戦に支障が出るような……一本もないとか全部ある、とかは無い。

……『攻撃的な仕掛け』も用意してはいるが、とりあえず『朝山』は情報を漁れていそうだ。
彼女の予測不能さを考えると、あらかじめ指示をしておいたのは大いに意味があっただろう。

>>575(朝山)

ここは『現実』だ。口パクでの指示など、当然伝わる筈はないが――――

(ハハぁー、仰セのまマに。必要な事ですかラ、ね)

          スッ

同じように口パクで返し、『ケゲラパニ』は職員室の外に出ていった。
彼が、『外に向かった』佐川を足止めしてくれる『かもしれない』。

電話機を見てみるが…………とりあえず、受信記録に携帯番号が『四つ』ほどあった。
確かめる手段はやはり虱潰しになるが、これで目的には一歩近づいた。

パソコンの画面に表示されている物は複数あった。
一番表は、佐川が顧問の『男子バトミントン部』の所属生徒が載ったスプレッドシート。
生徒の名前はハイパーリンクになっているようで、より深い個人情報を漁れる可能性はある。
他のリンク箇所から遡り、他の部活や同好会の生徒を探す事も出来そうだが……
小角が『何部』なのか知らないなら、当たりをつけるのは困難だろう。

他にはオンラインでの教員向けの研修ページや、何かしらの報告書らしきファイル、
いわゆる『校務分掌』であろう資料など……あまり『小角』に繋がる物では無さそうだ。

         『価値のある情報』があれば、『当然』盗んでも良いが・・・

このまま行くと、どう長く見積もっても『2分』もせずに佐川は戻って来るだろう。

>>575(雨田)

「影? やだあ、虫とかじゃないといいんだけど」

『斑鳩』の言葉によって『落とした鍵』を探しているのは別の女教師だ。
もっとも『佐川の足止め』は『ケゲラパニ』が向かったようなので、
こちらに回ったのはそれほど間違いでも無い……『かもしれない』

探すフリをして時間を稼ぐ以上、突っ立っているわけにもいかないはずだ。
とりあえず、『偶然鍵が落ちている』ようなことは無さそうだ、が。

               《…………》

         シルルルル……


窓から差し込む日光に照らされた、教員デスクの机の下の、『それ』と目が合った。

『大蛇の顔』…………の、『ヴィジョン』だ。
床から『すり抜ける』ように…………『いる』
いや、ただの蛇ではない。どこか『龍』の意匠もある。

           ちなみに『耳』は無い。


    《危害ハ 加エナイ》

          《話ス ツモリモ ナイ》


やや独特なイントネーションで、そのスタンドはそう告げてきた。

『雨田』は『斑鳩』とも『朝山』とも少し離れた位置にいる。
この『スタンド』の声は、間違いなく『雨田』以外には聞こえない。


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