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【場】『 私立清月学園 ―城址学区― 』 その2
540
:
白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』【高3】
:2023/05/20(土) 00:04:27
>>539
「……」
首元にある手をゆっくりと下ろし、視線を合わせる。
「それは。良い考えだと、トーリは思います。
千々石さんとトーリが、
仲良くなれるかどうかは、これからですが」
「少なくとも。この広い校内で、
トーリが会釈をする相手は増えます。
トーリにとっては、好ましい事です」
「知り合う事には、それだけで。意味がありますね」
『千々石』の事情は知らないし、知る由もない。
何かあるのだろう――とは思っていても、
深く掘り下げ、問題を切り開くことはしない。
だから、少しでも、互いに望ましい答えを。
それは白岸・ノエル・トーリの望みゆえにだ。
「そうと決まれば。先生に伝える必要があります。
トーリはここの鍵を返しに行きますから、
その時に、合わせて伝えておきましょう」
「千々石さんは、先に。
教室に戻っていていただいて、構いませんよ」
今は、この部屋に長居する用はない。
千々石のいる出入り口に、つかつかと近づいていく。
「ここは埃っぽいですから。制服が汚れてしまいます」
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