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仮面ライダー総合@エロパロ避難所

97超電黄色ネタ1:2010/09/20(月) 10:28:22
「ただいまー……」
問題も解決して2008年から戻り、光写真館に入ってきた海東は、四人に当たり前のように言ってソファーにドサリと座った。
「あ、おかえりー。海東」
「いや、待て!何でお前が当たり前な顔でここに帰ってくるんだ!!早く自分の世界に帰れ!!」
あの騒動のあと海東は、最初こそは大人しくしていたが、慣れてきたらまるで自分の家のように光写真館に入り浸っていた。
そんな海東を、何の疑問もなく受け入れるユウスケと、ガタン!!と音を立てて立ち上がり、眉間にシワを寄せて言う士。なんとも正反対で笑えてしまう。
「ええっ?酷いな士、折角帰ってきてあげたのに。それに僕、疲れてるんだからさ、もう少し労いたまえ」
「誰もお前なんか待ってねえ!!てか、労うか!!」
デンライナーから盗んできた、良太郎専用のコーヒーカップを手の平で弄び、コトンとテーブルに置いて呆れた顔で言う海東に、士は再び叫ぶ。余程、海東の顔が見たくないらしい。
まあ、当たり前と言えば当たり前だ。
「そんなことないさ、ねえ、夏海」
そんな士を尻目に、ゆったりめに腰をかけたまま、まだ何も言わない海東の大事なお宝、夏海に声をかけた。もちろん、極上の笑顔も忘れずに。
「帰ってきたよ。待たせて悪かったね」
「………………」
しかし、夏海はやはり、海東の言葉には何も答えずに、そのまま立ち上がり部屋を出てしまった。
「夏海……?」
流石に不穏なものを感じて、眉間にシワを寄せてドアのほうを見る海東。
「夏海ちゃん……最近元気なかったんだよね……海東が帰ってきたから元気になると思ったんだけど……」
「そうなのかい……?」
ユウスケの言葉に、少し申し訳なさそうな顔の海東に、士は鼻で笑いながら海東の肩をポンと叩いた。
「すっかり嫌われたな海東。まあ、気にするな。この俺が!なつみかんを慰めてやる」
だいたい、俺のモノだったんだしな。と、付け加え、勝ち誇った笑顔を見せる。
だが。
「僕が居ない間でも、夏海の心を取り戻せなかった君には無理じゃないのかな?夏海の所には、ちゃんと僕が行くから余計な手出しはよしたまえ」
しつこい男は余計に嫌われるよ?と、海東は厭味たっぷりな笑顔を見せ、士の手を払いのけて立ち上がる。
「それに、あのお宝は僕にこそ相応しい。君では役者不足だよ?」
「……ただのコソ泥野郎が偉そうに………って、テメェ!!無視すんな!!!」
そんな士をすり抜けて、部屋を出る海東。その後をつけようとした士の肩をユウスケが掴んで首を振った。
「士……それ以上はホントにみっともないからよしとけって」
「〜〜……!!くそっ!!」
苛立ちを隠せないままに、士は乱暴に椅子に座った。








「おーい、夏海ー?」
夏海の部屋の前、海東はノックをしてから声をかける。しかし、中にいるはずの夏海からは返事がない。
「夏海……?怒ってるのかい……?おーい、なーつーみー」
しかし、それくらいでは引き下がれない。しつこいくらいにドアをノックする海東。先程、士にしつこい男は嫌われると言っていた男とは思えない姿だ。
「夏海ー、なつ………」
何度、夏海の名前を呼んだかわからなくなってきた頃に、やっとドアノブが動く。姿を見せた夏海に、顔には出さなかったが、内心ほっとした海東だった。
「なつみ………?」
しかし、部屋に入り、覗き込んだその顔は、明かに怒っている。

あぁ………やっぱり心配させてしまったのか……?

士には強気でいけるが、やはり惚れた女には情けない。そんなところは、あの海東でも他の男と一緒のようだ。
「大樹さん………」
「は………はい!」
「私………大樹さんのなんなのでしょうか……?」
「……え……?」
いきなりの質問に首を傾げる海東。
「なにって、勿論僕の………」
お宝だよ。と、言うはずだったのに、夏海からキッと睨まれて言葉を飲み込んでしまった。
「私、いつも蔑ろなんですけど………」
むぅ……と、頬を膨らまして言う夏海。その姿も愛らしい……とか思っている海東は取り返しがつかない末期だ。
「他のものなんかいらないって言ったのはどこの誰でしたっけ……?」
その言葉にギクリとする。
そう、確かに、彼は夏海と初めて心も一緒に結ばれた時、夏海にそう言った。彼自身もそう思っていたはずなのに、宝の噂を聞き付けるとやはり怪盗の血が騒いてしまうのか、ふらりと姿を消してしまうのだ。そして、宝を手に入れてから、やはりふらりと夏海の元へやってくる。まあ、無傷ならまだそれで良いのだが、時には傷だらけで帰ってくるときもあった。
夏海は、そんな彼をいつも待っていたのだ。

98超電黄色ネタ2:2010/09/20(月) 10:33:42
「それは、ホントにごめん。でもほら、やっぱり、いろんな世界にまだお宝が眠ってると思うといても立ってもいられなくて……今回のお宝も素晴らしかったよ……!」
そう言う海東の目は、まるで子供のようにキラキラ輝いてる。
しかし、ジッと見ている夏海の視線にハッとして。
「あ、いや、でも!!一番の宝物は間違いなく夏海だよ?だから、ここに帰ってくるんだし。帰ってきたら一番に夏海の顔が見たいんだ。本当だよ?信じてよ?好きだよ、夏海」
必死に夏海に言い訳する海東。時間警察の牢獄で見せた芝居とは違い、まるで余裕がない。いつものスタイルも口調もすべて崩れ去ってしまっている。これではクールな怪盗も形無しだ。
そんな必死な姿に心揺れてしまう夏海。結局はいつもほだされてしまう。

やはり自分はダメな男を好きになる宿命らしい。

夏海はふぅ……と、ため息をついた。
「それは、別に良いんです。こうなる予感は何となくしてました。でも、私が怒ってるのはそれじゃありません」
そうは言ったが、いつもいつも恋人から放っとかれて全く怒ってないわけではない。少しは、いや、もっと構って欲しいと言う、ごく普通の女性が抱く想いだってちゃんとある。
まあ、一緒の時は凄く優しくしてくれるのだが。

だから、そのことは許しても良いんだけど、これは……

夏海は、無言でレイジから撃たれた方の腕をぎゅっと掴んだ。
「……っ!!」
しかもそこは、偶然にも調度撃たれた場所で。
「〜〜〜っ!!△◎◇※☆〇!!」
急所は外れ命は免れたが、それでも掴まれてはもちろん痛い。相手が夏海だから怒るに怒れず、海東は声にならない悲鳴を上げて踞まった。
「やっぱり!!凄く顔色悪かったから怪我したんだろうなって思ってたんです!!」
見せてください!!と、ジャケットをシャツを無理矢理脱がす夏海。夏海の気迫に負けて、海東は抵抗も出来なかった。
「…………!!」
上半身裸になった大樹の腕と肩にかけて、包帯がグルグルに巻かれていた。しかも、まだ血が滲んでいる。手当はされているが、酷い怪我をしたと言うことは伺える。
それを見て、夏海は息を飲んだ。大樹の前にしゃがみ込む。
「酷い怪我………!大樹さん、どうして隠してたんですか?」
「いや、どうして……って……」
そんなの、心配させたくないからに決まってる。生身の姿の時に、銃で数発撃たれた。なんて、言えるはずがない。
「今更、心配させたくないから……なんて言わないでくださいよ……?今まで、どれだけ怪我の手当してきたと思ってるんですか?」
「うっ………!」
やはり図星だ。
夏海は再び溜息をついた。
「大樹さん、隠してたつもりだったかもしれませんけど、怪我していた所、庇ってましたし、さっきも言いましたけど、顔色も悪かったです」
「……………」
「士くんや、ユウスケには知られたくないかもしれませんけど………隠されるのが一番嫌です」
どうせ、すぐわかっちゃうんですから………と、やや顔を赤くして付け加える夏海。
何故わかるのか……?まあ、あれだ、大人の情……いや、事情があるのだ。
「それに、私、いつも大樹さんの顔見るまで心配してます。帰ってこれなくなったんじゃないか……って。今回だって……」
だから、元気がなかったのだ。
「心配させたくないなら、ずっとここにいてください」
「夏海………」
「なんて、そんなの無理なのもわかってます!ちょっと言ってみただけです!!」
だって、海東の本当の一番のお宝は「自由」なのだから。だから、いつでもふらりと姿を消すし、反対にいつでも夏海に逢いにくる。
歯痒いけど、傍にいるときは、誰よりも深く愛してくれる。それが海東なのだから、もう仕方がない。

あー、もう!!ホントにダメな女です!!私……

「ごめんね……夏海」
「でも!!」
「えっ?」
「これだけは約束してください」
「………?」
「必ず……ここに帰ってきてください。もう、士くんの時のような事は嫌です………」
そうだ。
ずっと士を待っていたのに、再会した時は人が変わってて……
あんな、悲しい思いはもうたくさんだ。
「うん、わかったよ……必ず帰ってくる」
海東は、夏海に優しく口付けて、抱きしめた。
「大樹さん……」
夏海も海東の背中に腕を回す。
……が。

もぞ……

もぞもぞ………

夏海の背中に回した腕が、蠢いてビクンと細い身体が震える。

やん……
なんか……こう……
少し、触り方が…………
厭らしい。

「だ………大樹……さんっ……」
「えっ……?なにかな?」
「なんか………手が………ぁんっ……!」
細いが筋張った男の手は夏海の腰を撫で上げて、そのままインナーの中に……
凄く良いムードだったのに、なんて不埒な手。

99超電黄色ネタ3:2010/09/20(月) 10:37:20
夏海は、海東から身体を離して首を傾げて口を開いた。
「あ……あの……その……大樹さん………?……シたい………の……?」
「うん……久しぶりに夏海を抱きたい……」
ダメかい?と、首を傾げて見つめる海東。
多分、誰にも見せたことがないであろう、子犬のようなこの顔に夏海は滅法弱い。全部許してしまいそうになる。
結局、夏海も末期なのだ。
「でも……怪我が……」
「夏海が僕の上で頑張ってくれたら、全然問題ないよ?」
「……………大樹さんのえっち……」
かぁっと頬を赤くして言うが、嫌だ、とは言わない。夏海だって女だ。海東の怪我がないなら多分そのまま………
もう……と、呆れたように呟いた。
「じゃあ………大樹さんの世界に……連れてってください」
「あぁ」
夏海の言葉に「YES☆」と、ガッツポーズをして、怪我人とは思えないほど元気に立ち上がり、手を翳してオーロラを出現させる。
「さぁ……行こうか。夏海」
「はい……」
海東が差し出した手を取って夏海も立ち上がり、二人でオーロラの向こう側に足を運んだ。

相変わらず何もないあの海東の部屋で、夏海がリードしたのかどうかは二人しか知らない。



※※※※※※※※※※※



今度こそ終わりです。
実はこっちが先に出来上がっていたとか言う謎ww

夏海が海東の上で頑張ったかどうかは皆様のご想像にお任せするw

てか、エロパロなんだからそこをメインで書けよ!!
ですね。
すみません。

100名無しさんが妄想します:2010/09/20(月) 20:53:41
末期なのは筆者(褒め言葉)。

朝ごはんシーン>>92がラブラブすぎてまぶしい。
夏海の味噌汁は美味しいので(出典:てれびくん全員サービスDVD)
今後とも作ってもらうべき

101名無しさんが妄想します:2010/09/20(月) 21:54:59
>>100

お褒めいただき有難うございます。まあ、自覚症状はありますからww

ほう……夏海の味噌汁は美味しいのですね!!
それは是非毎日作ってもらわなければ!!ですね!

102名無しさんが妄想します:2010/09/21(火) 00:40:59
つくづく、海夏スキーなんだなぁ
この二人への熱情が溢れんばかりじゃないか

乙とGJだ
ようやく完結したか、長くかかったな…感慨深いだろう
面白かったぜ
俺は好きだ

103名無しさんが妄想します:2010/09/21(火) 09:40:43
長編の最初のうちは
エロゲーでいう鬼畜凌辱BADルート感覚で読んでたけど、
和解&熱愛ENDになったとはなー。
>>94 >拳でその胸をトンと叩くユウスケ
が映像で見えた。

>>101落ち着けw 自分語りや、もらった感想へのレスは
ウザくなりがちだから控えめに、な!

104名無しさんが妄想します:2010/09/21(火) 19:09:25
海夏長編完結乙!&GJ!
いやー、長かったけど面白かった
士夏もいいが海夏も好きになったよ
GJでした!

105名無しさんが妄想します:2010/09/22(水) 23:50:53
海夏長編乙でした〜!
最初の方の海東は切なかったね
思わず中の人のブログを見に行ってしまった
ハッピーエンドでよかった!
GJです!



さて、さくっと、照井×亜樹子 SS投下させてください

舞台はフィリップ帰還後しばらくしてから。
いろいろ矛盾点があったらご勘弁

照井さん変身後が絡んできます
甘さ控えめ、なのに長め


苦手な方は、スルーもしくはNGでよろしくお願いいたします
タイトルは《以心変身》

106照亜樹 《以心変身》:2010/09/22(水) 23:55:02
「!」
照井が亜樹子の胸から唇を離して顔をあげると、亜樹子ははっとしたように口許に手を遣った。
「今…なにを…」
亜樹子の視線は照井を通り越して、この、彼の部屋の天井に固定されている。
今、亜樹子が発した名前によって、照井がこの半年ほど感じていた違和感の正体が解りそうだった。
「ち、ちがうの、竜くん!あの、あのね、聞いて!」
照井は亜樹子から身体を離すと、ベッドから足を下ろして腰掛けた。
「…ちょっと待ってくれ」
非常に混乱していた。



亜樹子とそういう関係になったのは、フィリップが消えてしばらくしてからだ。
照井は前と同じように、しばしば探偵事務所に顔を出すようにしていた。
左はなんとかして仕事をこなし、空元気にふるまっていたが、なにかと一人になりたがった。
亜樹子は左のために、安くてもよいからと、多くの仕事を探してきた。
犬猫探しはもちろん、ともすると便利屋がするような、引っ越し後の粗大ごみの片付けなど、身体を動かすものばかりを。
「翔太郎くんもさ、動いてれば、いろんなこと考えないで済むと思うんだ。疲れれば、夜だって早く眠れるだろうしね」
亜樹子はそんな仕事を一緒にしながら、左と以前のように馬鹿を言い合ってはいたが、その時間は圧倒的に少なくなっていた。
逆に照井との時間が増え、二人で過ごす時間が当たり前になり、やがては触れ合うのが当たり前になっていった。

107照亜樹 《以心変身》:2010/09/22(水) 23:57:39
風都にはまだドーパントがいた。
照井が現場に駆け付けるとき、大抵はジョーカーが先に来ていた。
既にメモリブレイクしている場合もあれば、照井の変身が必要な場合もあった。
戦いが終わり、変身解除する。
その瞬間の亜樹子の様子がどうもおかしいと気づいたのが、最初だった。
「どうした、所長」
「え!いや、いやいやなんでもない」
「泣いているのか?」
「ううん、違うよ!」
「目が充血している」
「んんっ?そう?そんなことないよ!そうかな?いや、そんなことないよ!」

時折、物思いに耽る亜樹子もいた。
初めは、激しい戦いに巻き込まれたことや、フィリップがいなくなったことなどにショックを受けているのかとも思った。
しかし、フィリップが戻ってからも度々、いや、却ってそんな時間が増えたようだった。

最近は、キスや行為の間も、目を閉じていることが多い。
照井はなんの疑問もなく、そんな彼女を抱いていたが、それも、先程の出来事から簡単に類推できる意味があったのだ。

以前、コーヒーを飲みながら、聞いたことがある。
「君は左のことが好きなのか」
亜樹子は特に慌てるでもなく、こう答えた。
「うーん、好きか嫌いかと言ったらスキ。でも、翔太郎くんは、家族なんだよ。それにさ。」
ちょっと微笑んで、続けた。
「なーんか、照れ臭くって。今さらね」
その気持ちは、とても不安定だ。
コーヒーから立ち上る湯気のように、いつその姿を変えてもおかしくない。
それでもいいと、照井は思っていた。
亜樹子が望むなら、そばにいよう。
亜樹子が求めた時に、手を伸ばせば届くところに、亜樹子を守れる距離にいる、それだけでいい。
そう思っていた。
……しかし、まさかこんな意外な伏兵が潜んでいたとは……
照井は顔を手で覆ったまま、「アクセルとは…どういうことだ説明してくれ、所長」

108照亜樹 《以心変身》:2010/09/23(木) 00:03:09
アクセル、それが亜樹子が呼んだ名前だった。
ああ、やっちゃった!油断した…
照井は背中を向けているが、亜樹子は慌てて、枕を抱えて正座した。
「は、ははいッ!実は…アクセルを…思い浮かべて…いました…」

最初にときめいたのは、アクセルに抱きしめられた時だ。
亜樹子は以前、オールドドーパントに襲われたことがある。
その攻撃に耐えられる照井は、アクセルの姿で亜樹子を守った。
「あの事件が終わって一息ついたらね、ああ、アクセル素敵だったなぁって…」
ひんやりした硬い腕。
表情のないはずの顔から読み取れる感情。
好みの低い声は照井のものだが。
「でも、あれから、いろいろあったじゃない、ひどいことがいろいろ…フィリップくんもいなくなって…」
亜樹子の声が曇る。
「それどころじゃなくなって…。」
照井の背中に残る火傷の跡を見つめながら、亜樹子は一生懸命に看護した日々を思いかえした。
「みんなで竜くんの全快祝いをした日、覚えてるよね?」
初めて身体を重ねた夜。
幸せで、泣いてばかりいた。
「あのあとから、竜くんがアクセルにならなきゃいけないのが、すごくイヤになったの。またひどい怪我をしたらどうしよう、死んじゃいそうで怖くて。だから、」
亜樹子は息を吸って
「変身に立ち会うたび、あたし、命が縮まる思いがしてた」
こんなこと竜くんには言えない。風都のために戦っているのに。
「変身解除すると、いつも、ああ無事に終わった、ってほっとして泣けちゃって」
いつか、照井に指摘されたことがあった。
「それがね、フィリップくんが帰ってからかな、変身解除を見るとドキドキするようになってね…」
――アクセルが歩いて来る。
フワッと装甲がひび割れ、微かな風を起こしながらはらはらと破片が散る中に照井の姿が現れる…
それはスーツ姿の男の人がネクタイを外す仕草にも似ているようで――
「それからね、夢にアクセルが出てきたの」
アクセルは荒々しかった。
声は照井だが、まるで別人だった。
亜樹子をベッドに放り投げ、剥ぎ取るように衣服を脱がし、亜樹子の意向などお構い無しに、どこをどうされたかよくわからないのだが何度もイッてしまって…
いつの間にか、照井が振りかえって横目で見ていた。
「…顔が赤い」
「ととととにかく!そういうことなの。アクセルは竜くんで、竜くんはアクセルだけど、やっぱダメだよね。最中に他のこと考えてるなんていやだよね。神聖な仮面ライダーで妄想はよくないしね。もう大丈夫、目が覚めたから。」
照井はふぅとため息をついてまた背中を向けてしまった。
「ごめんね、そんな気分じゃなくなっちゃったね、コーヒー入れるわ」
亜樹子は照井のTシャツを羽織ると、キッチンへ向かった。
ティファールに水をセットしてスイッチを入れていると、照井が着替える気配がした。
ああ、やっぱり今日はおあずけだ。仕方ない。
でも、アクセルに惚れるというのは、浮気になるのかな?中身は竜くんなんだけど。
ポンッと、お湯が沸いた音がした。
きっと、アクセルそのものではなくて、アクセルになった竜くんが、強くて、せつなげで、激しくて、グッと来るんだ。
竜くんのエッチはいつもトロトロのふわふわで、眠さと紙一重の春風に吹かれているように優しいけど、たぶんあたし、嵐のようにめちゃくちゃな竜くんも求めている。
…でも、言えないよ、そんなコト…
「竜くん、コーヒー入った…あれれ」
カチッ《アクセル!》
いつものレザーを着た照井が立っている。
「折角だが、冷めてしまうな…そのコーヒーは…」
ドライバーを取り出した。

109照亜樹 《以心変身》:2010/09/23(木) 00:08:37
「変………身ッ!」ブオンブオン
アクセルが現れる。
「えええ!?」
アクセルは、あわあわしている亜樹子を壁に押しやると、両手を頭の上にまとめて押さえた。
エンジンブレードが、Tシャツの裾から侵入してくる。
ひやりとした感覚に、亜樹子は息をつめた。
「や…ちょっと…待って」
声がかすれた。
アクセルの右手はブレードをサッと翻し、シャツを切り裂きながら上ってきた。
「ちょっ、Tシャツもったいな…」
「余計なことを考えるんじゃない」
刃先が顎に触れそうになって、亜樹子は顔をあげた。
「…覚えておけ、」
アクセルのマスクが目の前に迫っていた。
「お前を悦ばせるためなら、俺はなんだってする」
プチッと音がして、胸がはだけた感覚があった。
「俺は、お前に追いかけられていたはずだが」
アクセルは右手でエンジンブレードを構え直した。
「今では俺がお前を追っている」
亜樹子はアクセルのマスクを覗いたが、照井が怒っているのかどうかはわからなかった。
ガシャガシャン《エンジン!》《エレクトリック!》
瞬間、乳首にビリッと電流が走った。
「んあッ!痛ッ!」
甘い刺激を伴った痛み。
「…痛いだけか?」
今度は長く、刺激される。
「ん!ぁあ、あ…あんッ、や、や、いいっ」
痛みは先程より少なくて、赤く固くなった部分は刺激を受けて敏感さが増す。
「…いい?なにが」
「ゃ、ん、いいっ、気持ちいっ、ふぁあん」
亜樹子は抑えきれない声を漏らしながら、ともすると閉じたがるまぶたをあげると、アクセルがそこにいる。
目を閉じていれば声は照井だが、いつもの照井とは違う。
いつもは、愛してる、かわいい、好きだ、きれいだ、とくすぐったくなるような言葉しか言わないのに。

エンジンブレードが乳首に向けられているのが見える。
微弱な電流に混じって、時折バチッと音がするほどの刺激が与えられる。
腕は拘束され、身体を被うものは切り裂かれたTシャツだけ。
「ごめん…なさい、竜くん、もぅ、やめて」
亜樹子は、敢えて照井の名前を強調した。
アクセルはブレードを下げた。
「…壊してやる、さっきまでのお前を」

110照亜樹 《以心変身》:2010/09/23(木) 00:13:21
手首の拘束が解かれて、アクセルの冷たい左手が、立ったままの亜樹子の脚の間に分け入って来る。
「ぁ、」
ごつごつした指が強引にこじ開け、茂みに到達する。
「…鼓動が早いな」
「わかるの…?」
「アクセルは聴覚が鋭い。嗅覚も」
そう言っていきなり、指をずぶっと亜樹子の中に沈めると
「や、んはっ、ぅ」
耳元で、
「…濡れている匂いがしていた」
ざらついた太い指は、ゆっくりと出し入れされる度に粘液がからまって、ちょうどよく亜樹子の中を刺激した。
「あ、んはッ、ん、んあ」
指は亜樹子の腹の方へ折り曲げられ、小刻みに震えた。
「ぁぁああぅ、いい、いや、や、アンッ、いい、気持ちいい」
「言ってみろ、どこが」
「んッ、やだ、はッ、はずかしいよっ」
指は激しく中を掻き回し、亜樹子の耳にも、ぐちょっ、くちゅっ、と水音が響いてくる。
「…どこが?」
さらに烈しくなる。
膝がガクガクして立っていられない。
「ちょっ、や、ゃん、××××いい!ぁあぅあああん、もぅダメ、いく、いっちゃう!!」
耳元で囁かれる。
「…いってしまえ」
アクセルの熱い指が突き抜けて、身体の隅々にゆきわたるのを感じたまま、真っ白になった。

身体がふわりと持ち上げられる感覚で、意識が引き戻される。
立ったままのアクセルの腰の辺りに跨がされる。
「えっ?ちょっ、なに」
さっき濡れそぼった辺りに、なにかがあたっている。
それがドライバーだと気づいたときには、既に始まっていた。
アクセルの右手がドライバーを捻る。
ブオンブオンという音と共に、アイドリングのバイブレーションが亜樹子の花芯を捉える。
「ぁ、あ、あ、や、やん、ぃや、ダメっ!あんッ!」「…だめなのか?やめるか?」
「や、ぃや、や…め、なぃ、で、もっと…」
「自分で動くんだ、感じるところに」
亜樹子は少し腰を突き出すようにずらして、かすかに揺らした。
「んんンッ、あぅ、あ、あ…いくぅ…ッ…」
のけ反る身体をアクセルの左手が支える。
右手は、亜樹子に合わせるように緩急をつけてドライバーを捻っている。
「…どうする?お前ので、べとべとだ」
溢れる愛液はアクセルの脚を伝い、あるいは床にぽたぽたと落ち、
「い…じわ…るぅ…、あん、も、だめ、んぅ」
頬を上気させ、口許はだらしなく、視線の定まらない顔をあげて、アクセルの顔を見た。
竜くん…見てる?…あたし…やらしい…
「アンッ、また、いきそう、ぁああああいくぅッ…」
アクセルは亜樹子が尽きるのを待たず、そのままベッドに下ろした。
ヒュウンと音がして、照井の姿が現れた。
「…すまん、限界だ」
照井は亜樹子に倒れ込むようにして、顔を近づけた。
貪るようなキス。
衣服を脱ぎ捨てるのももどかしく、唇を重ねる。
お互いを探す舌が唇を飛び出して絡み合うと、皮膚がぴりぴりと反応する。
遠距離恋愛でやっと会えた恋人のように、そのやわらかい体温と、絡み付く舌と、汗ばんだ肌を感じる。
照井はやっと唇を解放して
「…キスが、したかった」
声がかすれる。
「あたしも…ちゃんと顔を見せて?」

111照亜樹 《以心変身》:2010/09/23(木) 00:21:39
亜樹子は、照井の顔にかかった髪を掻き分けた。
大きな瞳を潤ませて、困った少年のような顔をしていた。
両手で頬を包み、顔を近づけて唇を舐める。
照井は亜樹子に応えながら汗ばんだ身体を抱き寄せ、転がった。
「ごめんね。あたし、してほしいこと、ちゃんと言えてなかった、今まで。」
照井は亜樹子を見つめた。
「…何もかもを言う必要はない。でも俺は、もっと君のことを理解したい」
「竜くん…」
亜樹子は恥ずかしそうに笑って、照井の胸におでこをつけた。
「じゃあ…言うね、あたし、上に乗ってみたい!」
言うが早いか、照井に跨がった。
「!!!」
「どうしたらいいの?」
「…もう少し後ろに…」
「こう?…あ…ンッ…あ…入っちゃった」
「…動いてごらん」
照井が亜樹子の腰に手を添えて導く。
亜樹子の髪が胸の膨らみを隠すように揺れている。
少し開いた唇からは吐息が漏れ、丸い瞳は挑発するように濡れて、照井をみている。
「…綺麗だ」
亜樹子は頬を赤くして微笑む。
「竜くん、いつもそればっかり」
柔らかで、温かで、強くて、まっすぐで、敵わない。
「…愛してる」
亜樹子の瞳から雫がこぼれる。
「いつも、そればっかり…ん、ぅ、あ、あ、」
達しようとする動きに照井も合わせる。
「愛してる」
「竜くん…一緒に…来て…」
差し出された掌に、自分の掌を重ねて照井は思う。

所長、君は、俺が死ぬのが怖いと言った
まだ君には言っていない
あの初めての夜から、変身の度に、君を想っていることを
変身の掛け声をかけるたびに、君の白い肌を思い出す
絶対に生きて帰って、君とキスをするんだ
微笑みあうんだ
絡み合って眠るんだ
だから、俺は、死なない

言わなければならない
言っておかなければならない
毎日でも
呆れられても
「愛してる」と
明日死んでしまっても
君を愛していたことだけ遺るように



二人は果てた後、繋がったまま眠り込んでしまっている。
そのうち明日がやってくる。
それは、また少しだけ近づいた二人が迎える朝になる。




おわり

112照亜樹 《以心変身》:2010/09/23(木) 00:26:38
以上です。

変身解除ってなんだかエロス。
ってところから始まって

Wにやらせようとしたけど、初エロの自分には、あのメンツで3Pはムリだった
アクセルはなかなかいいツールをお持ちだったので、ご登場願った

亜樹ちゃんはアクセルに向かっても「竜くん」呼びなんだよね。
だからこの設定は無理があったかな


お目汚し失礼しました…

113名無しさんが妄想します:2010/09/23(木) 01:22:44
>>112 GJ!
こういうパターン(変身後での行為)は自分は初めて読んだので
非常に新鮮で良かった
変身解除にエロスかぁ……いろいろだなぁ 視点が違うんだなぁ

互いに積極的な二人が微笑まエロくて良かった

114名無しさんが妄想します:2010/09/23(木) 04:05:32
>>112
GJGJGJありがとう最高だ!!
良かった そして最後は泣けた!
おまけに3P想像してワラタ

115名無しさんが妄想します:2010/09/23(木) 20:53:20
>>112
GJGJGJ!
これで初エロとかすごい。
一気に読んで、3Pの下りで噴いたwww

次回作も正座して待ってる

116名無しさんが妄想します:2010/09/23(木) 22:27:59
>>112
本スレもうすぐ埋まりそうだから次スレに転載する?

117112:2010/09/23(木) 23:19:29
GJ有難うございます
うれしい
精進しまつ


転載、お願いしちゃおうかな。
まだ、他の方の未転載のもあるんだよね。
それが終わって、かつ、お手すきのときに、よろしくお願いします。

118名無しさんが妄想します:2010/09/24(金) 00:38:33
>>112
照亜樹GJでした!
まだまだ熱いなW。

新スレが立ったので翔レイの代理投下挑戦してきますー。

119118:2010/09/24(金) 00:56:36
翔レイの代理投下終わりました。

…すみません職人さん、今さらなんですが。
>>36の最初の一文字がないみたいですが、これって
「あの男が〜」で大丈夫でしたか?

120名無しさんが妄想します:2010/09/24(金) 01:02:36
>あのメンツで3P

\サイクロン!/\ジョーカー!/
  「「変身!」」
キーカー『エクストリーム!』

「亜樹ちゃんの全てを閲覧したよ、翔太郎」
「ようしフィリップ、どうやって責めるか」
「『大人のおもちゃ』だよ、君は知っているかい?国道沿いにあるオンボロ小屋が夜になると明るくなるのさ」
「夜まで裸だなんて私聞いてない!」
「左、所長の方を借りていくぞ」
「待てよ照井!!」


…なわけだなw

121名無しさんが妄想します:2010/09/24(金) 16:16:23
照亜樹GJ!
エロくて甘くて切ないなんて良い作品をありがとう

しかしアクセルさんエロ装備満載だな
開発段階で自分を慰めつつ出力確認してるシュラウドさんが頭から離れんw

12230 ◆Z2ooh/uJqs:2010/09/25(土) 04:32:59
>>119さん 翔レイカの本スレ転載ありがとうございました
>>36の「あ」抜け)修正もありがとうございました。お恥ずかしい。。。

それから自分、ようやくPC規制が明けました!いやはや今回は長かった
他の方の転載協力いたします
とりあえず順番的には海夏からですが、作者の人(>71さん)、転載は
どうしますか

12371:2010/09/25(土) 09:59:42
>>122
転載の件ですが、結構前に止まっちゃったし、知らない人がみたらいきなり途中から始まって「???」だろうから遠慮しておきます。
まぁ、一人でも見てくれる人が居たらいいなぁ……と、思って落としたので。
そんな訳で、最後の超電黄色のエピソードまでまるっとスルーでお願いします。


そして、GJくれた人達ありがとう!!

124名無しさんが妄想します:2010/09/25(土) 23:34:30
>>123 了解〜。楽しみにしてるので新作できたらまたお願いします。

では>105-112さんの照亜樹、代理投下いってきます

125名無しさんが妄想します:2010/09/25(土) 23:53:16
代理投下(>124)終了しました


では腕だけアンクが比奈をいじくりまわす話を書く作業に戻ります

126名無しさんが妄想します:2010/09/26(日) 00:33:34
>>119です。

>>30=>>122様、規制解除おめでとうございます。
残っていた翔亜樹も代理投下を、と思っておりましたがそちらはもう
大丈夫ですね。

>>36の投下途中で気づいて「あ」を足させてもらったものの、確認の前に
勝手にやってしまったので気になっていました。よかったです。

127112:2010/09/26(日) 00:50:02
>>125さん
本スレ投下、ありがとうございました
お手間とらせました

楽しみに待ってます!>腕だけアンク

128122,125:2010/09/27(月) 23:57:05
>126 翔亜樹の方はエロ無しだし多分にチラシの裏な内容ですから
    本スレ転載はやめておきます
    ここを覗いてくれてる方々が読んでくれたから充分ですわ

>127 転載ミスが無かったようで安心しました
    腕だけアンクの話はまだアンクと比奈の口調とか会話のノリとかが
    判んないまま勢いと妄想で書いたテキトーな話です
    これもチラシの裏だなぁ

129名無しさんが妄想します:2010/09/29(水) 21:17:55
なるほど…>腕だけアンク

自分は妄想力に乏しいので、今の時点でアイディアが出てくる職人さんをほんとに尊敬する!
後になって、「最初の頃いろんな妄想があって面白かったよね」みたいな回想もできるから、チラシだなどとおっしゃらず、本スレ投下もアリなのではないかと
個人的には思います。

もちろん、ご本人のお気持ちが一番ではありますが


そんな自分は、いまだにWで萌え(エロ薄)を煮込みつつ、あのオーズな流れでは、やっぱ投げるとしたら避難所で転不要だよな、などと考えるのです
が、それもまた楽しかったりする。

130名無しさんが妄想します:2010/09/30(木) 01:06:12
何だかんだ言いつつ、腕だけアンクと比奈の話は本スレに投下しちゃいましたが

あの話はまだ、特に比奈のキャラがよく判んないから比奈そのものではなく
比奈を「女の子」の代名詞に使って、男視点で見た女の子のかわいらしさ、
触った時のやわらかさ、不思議さセクシーさとかの魅力をアンクに延々と
語らせるという形を取った、言わば苦肉の策でした

自分は>50で書いた翔亜樹的フィリップ以降、Wネタはもう思い浮かびません
なので>129さんの煮込み完了を心待ちにいたします

131名無しさんが妄想します:2010/09/30(木) 17:41:51
創作系スレではSSこそ正義ではないかな?
空気読むのは大事だけど、Wのエロ薄でも前書き付けて本スレでいいと思う。


ここは規制時の投下先だろ?

132名無しさんが妄想します:2010/09/30(木) 19:55:20
本スレがオーズに染まりそうな中、今だにDCDの作品を投下します。
士夏が多い中、海夏です。
タイトルは思い付かなかったので「海夏」で。

海夏無理な方はスルーしてください。

では、次からです。

133海夏1:2010/09/30(木) 19:59:40
あの人の事が気になりだしたのは、士くんが大ショッカーの大首領だとわかった時に、襲い掛かる怪人達から私を守ってくれた時から。
でも、あの人はきっと私の事なんか気にもとめていないはず。

だって、彼は……


「ん……美味しい……」
ある、のどかな昼下がり。
いつも賑やかな家の中だけど、今日は珍しく私一人。ユウスケも士くんも、それにおじいちゃんも出掛けてて、私はお留守番。
自分で煎れたコーヒーなんか飲んで、久しぶりにのんびりしてます。
「そう言えば、こんなにゆっくりしたのは久しぶりかも……」
思わず独り言。
それにしても。
あぁ、なんだかすごくいい天気。
こんなに天気がいいと私もどこかに行きたいなぁ……なんて。
でも、家に居たいんですよね。
多分、今日も来ると思うから。彼が。



私が待っているのは、いつもふらりと現れて色々掻き回してしまう彼、海東大樹。
私達の旅の邪魔をするかと思えば、遠回しだけど助けたりして、本当に何を考えているかわからない人。まさに、神出鬼没でミステリアス。
迷惑ばかりかけられているのに、気になって仕方がないんです。
大樹さんが守ってくれたあの時から。
士くんからも、ユウスケからも、守られることなんて、今までも何度もあったのに。
何故か、大樹さんにはドキドキしてしまって……
一度、ユウスケにそれとなく相談してみたら、「それって……海東の事が好きってことだよね?俺は、夏海ちゃんは士が好きかと思ってた」と、意外な顔をされてしまいました。
確かに、士くんは大事な人です。同じ世界を巡る旅を続けた仲間ですし。
単純に、士くんが好きか嫌いかで言うなら「好き」です。でも、士くんに対するそれは、恋人のような愛じゃなくて。どちらかと言うと、家族に対する愛のような感じ。
だって、士くんと恋人みたいにデートしたりとか、キスしたりとか、それ以上……
と……とにかく!そんな事、一度も思ったことありませんし。
でも、なんか、士くんて、放っておけないというか……
ユウスケにも言われたことありますけど、なんだか、目を離せない兄弟というか……お母さんみたいな感じになるんですよね。
なんて……母親になったことありませんけど。

でも、大樹さんに対する気持ちはまたそういう感じじゃなくて。
大樹さんの声を聞いたり、その姿を見るだけで、ドキドキしたり。彼がいるだけで嬉しくなってしまう。
やっぱり………これって、好き……って、事……ですよね……
でも、大樹さんはいつもいつも士くんの事ばかり。
いつでもどこでも、士。士。士。つかさ。つかさ。
あんまり考えたくないけど、大樹さんはきっと……
やだやだやだやだ、本気で考えたくない。
でも、そうとしか思えない。
恋のライバルが男の人だなんて……有り得ません!
「はぁ…………」
でも、それでも、大樹さんを待ってる私は間違いなく馬鹿ですね。思わず、大きな溜息が出ちゃいます。
「やあ、こんにちは」
そんなことを考えていた傍から大樹さんが現れた。
「あ、大樹さん。いらっしゃい」
「士は、いる?」
…………やっぱり。
大樹さんってきっと、士くんしか見えてないんでしょうね。他はどうでもいいって感じですから。
私なんか、一度大樹さんのせいで死にかけましたし。
それでも好きだなんて、自分でもおかしいって思います。
「士くんなら、ユウスケと出掛けましたよ?」
「ふーん、そっかぁ」
少しつまらなそうに言って、私が座ってるテーブルに近づく大樹さん。
「まぁ、いいや。夏メロン、僕にもコーヒーくれる?」
了承も受けずに私の向かいにの椅子に座り、笑顔を見せてくる。

どきんっ……

そんな、笑顔にドキドキしてしまう。
「私は夏みか……夏海です!」
ドキドキ、ドキドキ。
ああ、もう、煩い!私の心臓!!
内心はかなり焦りながら、カップにコーヒーを注ぐ。
私が煎れたコーヒー。大樹さん、美味しいって言ってくれるかな……?
「どうぞ」
「ありがと、夏メロン」
「夏海、です」
名前の訂正をしながら椅子に座る。ちゃんと名前、呼んでほしいな……
あの時、助けてくれた時みたいに「夏海」って。
そんな事を考えていたら、大樹さんはカップを手にして口に運ぶ。
あ……大樹さんって、指、細くて綺麗。
男の人なのに、睫毛も長いんだ……?
ぽぉっと見とれていたら、カチン……と、カップを置く音でハッとした。
あ、やだ、恥ずかしい。
でも、気付かれてはないみたい。
「うん、美味しい」
凄い笑顔。
う……どうしましょう………
嬉しい。
たかがそんな事で喜んでるとか、本当に私、馬鹿みたいです。
「あ……ありがとうございます」
思わず声が上擦ってしまった。

134海夏2:2010/09/30(木) 20:00:56
落ち着け、落ち着け。私!!
そんな私の内情なんか、知りもしない大樹さんはまた笑顔。
そして、沈黙。

……少し、気まずいです。

でも、大樹さんはあまり気にしてないみたい。


それにしても、大樹さんって……
無駄なお肉付いてなさそうで、スタイルいいし足も長い。顔だって、端整。
絶対、女の人が放っておかないタイプって気がします。
……多少……ううん、多々性格に難ありですけど!
そう言えば、似たような人をもう一人知ってます。
まあ……それは良いとして。
大樹さんって、今まで誰かと付き合ったこと……あるんでしょうか?(今は好きなのは士くんかもしれませんけど!!取り合えず、女の人設定で考えます!!)
こんな風に一緒に過ごしたり、たまにデートしたり。
それに、抱きしめたり……あとは、キス……とか……え……えっち……したりしたこと……あるのかな……?

あ……!なんだか、考えただけでイライラしてきました。

やだ……!すごくやだ!!

「あ、そうだ。夏メロン」
「えっ……あっ……は……いや、夏海です」
そんなことを考えていたら、いきなり声をかけられてすごく驚いてしまった。あぁ……もぅ、何度も恥ずかしい思いしたくないのに。でも、やっぱり大樹さんは私の事なんか気にもとめないみたいです。
「そう言えば、あの時のお宝。まだ貰ってないよ」
「えっ……?」
「世界を救う代わりにお宝。頂戴って言っただろ?」
……そうでした。
その後、問答無用で笑いのツボ押したんですよね、私……
「もしかして、あの笑いのツボ?だっけ?あれがお宝な訳無いよね?」
「でも、私……お宝なんて……持ってません」
困りました、どうしましょう。私、本当に宝物なんて持ってません。
それは、大事にしているものはありますけど、それを大樹さんが欲しがるとは思えません。
「じゃあ、さ……」
どうしましょう……
どうしましょう……
そう、考えていたら、いつの間にか大樹さんは私の隣に来て。
「君、が欲しいな」
って……

どきんっ!!

今までに無いくらい跳ね上がった私の心臓。
「ど……う……して……?」
ドキドキドキドキドキドキド……
ああぁぁあ……!!本当に煩い!!私の心臓!!
まるで、壊れたのかってくらいドキドキしてる。
これって……大樹さんも私を……?
「士が一番大切にしてるお宝が君だから。あいつから君を奪った時の顔を見てみたい」

やっぱり……

結局は士くん……なんだ。
大樹さんにとって、お宝以外のすべてが士くんの気を引くためのただの道具で。
私なんか、どうでもいいんだ……
考えてみたら、そう、ですよね……
そうじゃないなら、私、死にかけたりしてないはずですし……
あ、もう……泣きそう。

でも、それでもいい。

「わかりました」
「えっ……?」
「大樹さんの……モノになります」
だったらもう、一度だけでもいい。大樹さんのモノになりたい。
私は、戸惑いを浮かべてる大樹さんの首に腕を回し引き寄せて、唇を重ねた。
これが、私のファーストキス。





「ん……ぁ……ふぁ……」
「感じ易いね、君は……キス、気持ちいい?」
長くて深いキスの後、大樹さんは嬉しそうに微笑んで、また口付けてくる。
「んっ……」
私の唇を吸うようにしたあと、舌を入れてくる大樹さん。次第にちゅ……ちゅって、凄くいやらしい音が聞こえる。

恋人同士って、こんなキスするんだ……

キスの途中、大樹さんの舌が入ってきて、初めはなんだか気持ち悪いって思いました。だけど、舌を絡ませられて口の中を探るように動かれるうちに、ワフワするような、変な気分になってきた。
もっと……
もっとシてほしい。
いつの間にか、自分からも舌を絡めていた。
「はぁっ……」
しばらくしてからちゅっ……と、音を立てて大樹さんの唇が離れる。
やだ、もっとキスして欲しい。
でも、大樹さんは私の腰に触れてそのまま撫で上げてくる。そして……その……私の…………胸……を……
「きゃっ……」
「結構、大きいね」
大樹さんの大きな手で触れられて、今まで感じたことのない感覚が駆け巡った。
「だ……いきさぁん……」
自分でもびっくりするほど、甘ったるい声を出してしまった。
やだ……こんな声、恥ずかしい……
「可愛いね……士にもそんな声、聞かせてるのかい……?」
「……えっ……?」
大樹さん、もしかして、私と士くんがこういう関係だって思ってるんですか……?
あまりにも驚いて、何も言えなかったのを大樹さんは勘違いしたみたいで、楽しげにクスッと笑った。

135海夏3:2010/09/30(木) 20:04:54
「言えないんだ……?恥ずかしい?それにしても、律儀だね。断られると思ったのに……士にバレたら怒られるんじゃない……?」
「いいから……早く……してください」
どうして大樹さんがそう言うふうに思うのかわからなかったけど、自分から催促してしまった。
はしたないって思われたかも……
「じゃあ、君の部屋に行こうか?」
「えっ……?」
「冷たい床の上で抱かれるのがお好みなら、そうするけど?」
私、今から大樹さんから抱かれるんだ……
改めてそう思いながら、コクンと頷いた。


「あ……あのっ……わたしっ……自分で脱ぎますっ……」
「ダーメ。僕のお宝をどうしようと僕の勝手だろ?」
私の部屋のベッドの上。
大樹さんは私のブラウスのボタンを外していく。あまりに恥ずかしくてそう言ったら、きっぱりと拒否されてしまいました。
「お宝の中身もちゃんと確認したいしね」
そう言って、大樹さんはブラウスのボタンを外し、ブラウスとキャミを脱がせ、ブラのホックを外して………
あっと言う間に上半身裸にされてしまった。
「うん……やっぱり思った通り……綺麗な身体だ」
じっくりと見つめて満足げに言う大樹さん。初めて男の人に裸を見られて、凄く恥ずかしい。けど、褒められたから嬉しい。
でも、大樹さん。やっぱり……って言うか……
なんか、凄く慣れてるって感じがします。

大樹さん、初めてじゃないんですね……
以前、こうやって誰かを抱いたこと……

そんな事を考えている間に、大樹さんは私をベッドに横たわらせる。そして、キスをしてから唇を徐々に肌に落としていく。
髪を撫でる指が、肌に触れる唇が、凄く優しいけどそれと同じくらい熱くて、触れるたびにビクンと身体が揺れた。
「ぁっ……あん………やぁ……ん……」
「可愛い声だ……」
感じるところを、触れられ、揉まれて、舐め上げられて、凄く恥ずかしい。それなのに甘えた声が上がる。

だって、気持ちイイの……
もっと、シて欲しいの。大樹さん。

大樹さんの愛撫に翻弄されてるうちに、いつの間にかショートパンツも下着も脱がされて、本当に裸になってしまった。
「綺麗だよ」
大樹さんは、私の足の間に身体を割り入れて、一番恥ずかしいところに触れようとする。反射的に逃げようとしてしまう私。
「やっ……大樹さんっ……!」
「駄目だよ。今、君は僕のモノなんだから、反抗は許さないよ」
「…………」
そう言われるてしまうと、逃げられなくなってしまう。私はコクンと頷いた。
「いい子だね」
大樹さんは微笑んで、私の足を開かせる。私自身、何度かしか触れたことのないそこを指で開かれて、まじまじと近くで見られた。
………凄く、恥ずかしいです……
「うん……ここも……凄く綺麗だ」
と、つーっとなぞるように触れてくる。
「きゃっ!」
「凄いね……ほら、いっぱい蜜が溢れてたよ」
大樹さんの指が、入口で淫らに泳ぐ。まるで、どこをどう触れば私が気持ち良くなるのかわかるかのように。そんな、細くて綺麗な指に反応して、そこが熱く濡れてるのが自分でもわかった。
「あんっ!!あっ……!やぁん!!」
誰にも触られた事のないとこに触れられて、こんな声まであげて。
やだぁ……恥ずかしいです……
でも、それより気持ち良いのが強くて。もっと感じたくて自然に腰が揺れてしまう。いやらしいってわかっていたけど、もう止められない!!
「凄い……いやらしいね……可愛いよ、夏海」
夏海。
夏海って呼んでくれた……!!
嬉しい!!
「だいき……さぁん……もっと……」
もっと名前、呼んでください。可愛いって、好きだって、嘘でも良いから言って……?
私の言葉を聞いた大樹さんは、きっと勘違いしてる。「あぁ……」と、嬉しげに微笑んで、私の一番敏感な部分を集中的に攻めはじめた。
「きゃぁんっ!!」
ビクン……!!
身体が大きく跳ね上がり、今までよりもっと強い快感が、電流のように体中を駆け巡る。

やだぁ……凄く気持ちイイ!!
イイっ……!!イイのっ……大樹さんっ!!

「ぁっ……はぁっ……んっ……だいき………さん………」
「一回、イこうか……夏海」
そう言って、大樹さんが指の動きを早くする。濡れた、いやらしい音に合わせる様に、感覚が高まってきた。

もう少し……もう少しなの……大樹さんっ!!
もう少しで、わたしっ……!!

「だいきさ……だいきっ……わたっ……わた……しっ………ひぁん!!らめっ……らめぇっ!!あっ、あっ、やぁ……ふぁ……あっ……あああーーっ!!!!」
快感だけを追い掛けていたら、強い快楽が私を襲い、悲鳴じみた声を上げて頭が真っ白になった。

136海夏4:2010/09/30(木) 20:07:19
「イったね……可愛かったよ、夏海」
「……ぁんっ………」
耳元で囁かれて、それだけで感じてしまう。
私……大樹さんの指でイっちゃったんだ……
こんなこと、恥ずかしいけど……自分でするのとは……全然……違ってて……
その……凄く……気持ち良かった……
「今度は……僕の番だよ?夏海」
まだ、ぽぉっとしてる私にそう言って、全部服を脱ぐ大樹さん。凄く細いのに、ちゃんと筋肉質。思わず見とれてしまう。
「僕も……もう、こんなだよ……」
少し、余裕がない声で、大樹さん自身を私に見せてくる。興奮で膨張したそれは、赤黒くて少しグロテスク。初めて見る男の人のそれに、息を飲んでしまった。

そんなのが、私の中に本当に挿るの………?

ハジメテは凄く痛いって言うし……
やだ……どうしよう……少し、怖い。
でも、今更止めたいなんて言えない。
考えてる間に大樹さんは、もう一回私の足の間に来て、私のそこに大樹さん自身を添えた。
「挿れるよ……?」
怖かったけど頷くと、ゆっくりと大樹さんが入ってきた。
「やっ…!!いたぁ…い…!!」
まるで中を裂かれるような、鋭い痛みが走る。

やっ!!やだ!!
痛い痛い痛い痛い!!
こんなの無理!!

想像以上に痛くて、思わず涙が出てきた。
「や……だぁ……痛い……だいきさんっ!」
「痛いって、そんな。まるで初めて……えっ……?」
泣いて言う私に、困ったような表情を浮かべそう言ってる途中で顔色が変わる大樹さん。きっと、そこからは血が出てるんだと思う。
「君は………」
大樹さんは、はぁ……と溜息をついて、ゆっくりと腰を引いてくれた。
「だぃ……き……さん……」
大樹さんが私から出てくれて、正直ホッとしました。
でも、腰の奥はまだ凄くズキズキしてる。
「まさか、君が初めてだなんて……どうして言わなかったんだい……?」
「大樹さんが……かってに……勘違いしてた……だけです」
「それは……そうだけど……なら、どうして、こんな無茶を……」
参った、と言うふうに頭を掻く大樹さん。訳がわからないって顔してる。
「私、わ……たし……」
やだ、もう止められない。
「大樹さんが……好き……なの。だから………」
「…………!!」
「大樹さんが士くんの事、好きでも……ただの興味本位でも良いんです……一度で……良いから……だいき……さん……に……」
やだ、また涙が溢れてきた。でも、違うんです。振られるのが悲しいからじゃなくて……
そう!痛いから。痛いから涙が出てるんです!
「夏海……」
大樹さんは、そんな私の涙を拭って唇をそっと、重ねてきた。
それは、凄く凄く優しいキス。
やだ……もう、勘違いさせないで……
「だいきさん……」
「君は……士の事が好きだと思っていた」
「え…………?」
「好きだ」
「えっ……?」
「好きだ。夏海」
「う……そ………」
「君が士のモノでも良い。卑怯だけど、一度で良いから欲しかった……」
「だ……いき……さん……」
嘘……!
まさか、大樹さんも同じ気持ちだったなんて……
なんだか……今度は嬉しすぎて泣きそう。
「でも」
「えっ?」
「まさか、僕が士を好きだって思われてるなんてね……」
と、苦笑する大樹さん。とんでもない勘違いをしていたことが、今更恥ずかしくなってきた。
「だって……大樹さん、いつも士くんの事ばかりですから……」
「……まぁ、勘違いされても仕方ないかな………?」
苦笑する大樹さんに、私も笑う。
あぁ、なんだか幸せです。ハジメテは微妙でしたけど、同じ気持ちってわかったから。私って現金なんでしょうか……?
でも、もう一度、愛されてるって実感しながら抱かれたい……な。痛いの我慢するから。
だけど、今更ですけど、女の方からお願いするなんて、はしたない……ですよね。
でも……
「あ…あの……大樹さん……」
「ん……?」
「もう一度、私のハジメテ……貰って……ください」
「あぁ……今度は優しくするよ」
私の言葉に、大樹さんは驚いた顔をしたあと微笑んで、さっきと同じ優しいキスをしてくれた。

137海夏5:2010/09/30(木) 20:10:53
「んっ……んぁ……やぁ……ん……」
大樹さんの熱い舌が、私の大事なところを舐め回してる。
きっと、恥ずかしい蜜が溢れ出てる私のそこを指で開いて見つめる。そして、その奥に届くとこまで舌を入れて。多分、流れていた血も、全部舐め取られてしまった。
「凄い……次々溢れてくる………」
「や……言わないでくださいっ……」
わかっているから余計に恥ずかしい。
「僕は嬉しいよ……?僕で気持ち良くなってくれてるって事だから」
思わず顔が熱くなる。きっと、真っ赤になってる。
嬉しいの……?はしたないって、いやらしいって思わない……?
わたし……もっと、感じてもいいの……?
「もう……大丈夫かな……?」
唇を離した大樹さんはそう言って、指を一本ゆっくりと入れてきた。
「あんっ……!!」
舌より少し硬い肉の感じに背中がしなる。
でも、変な感じだけど痛くはない。私の反応を注意深く見てから大樹さんは中で小さく指を動かしてくる。探るように、くにくに動かされていくうちに、身体の芯がジンジン熱くなってくるみたいな感じになってきた。
「ぁ……ん……ふっ……」
「大丈夫………?」
コクンと頷くと、次第に大胆になっていく指の動き。それと一緒に、胸にキスされて、親指は私の中心を優しく擦って―――
「あっ……んぁっ……はぁんっ……」
また、私の感覚が高まっていく。それを察したかのように指はますます敏感なところを探り当てて刺激していく。
そして、いつの間にか、中の指は増やされていた。ゆっくりと、指を出し入れしはじめる大樹さん。
「はっ……ふぁ……ん……やぁっ……」
やだ、大樹さんの指が出し入れされるたびに、くちゅくちゅって音が聞こえてきます。
「痛い……?」
「ううん……」
平気。違和感はあるけど、全然痛くない。
……て、言うか……
恥ずかしいけど……すごく……気持ちイイ…………

さっき、大樹さんの指でイっちゃった時みたいに、いつのまにか腰が淫らに動いていた。
「そろそろ……いい……かな……?」
そう言って、大樹さんは指を優しく引き抜く。
「あっ………」
思わず、物足りなさげな声を出してしまった私。

やっ……私の馬鹿っ……!!

でも、大樹さんはそんな私をからかう事もなく、優しく髪を撫でて、また私の中心に大樹さん自身を添えた。
「いくよ……?」
「は……い……」
ゆっくりと、確実に、私の中に大樹さんが入ってくる。
「んっ……あぁっ……!!」
さっきと比べると、スムーズに大樹さんを受け入れてる。
だけど、やっぱり、指と違ってまだ痛い。指よりずっと大きいんです。大樹さんの。
私は、痛みを堪えるためにシーツをきつく握り締めて、唇を噛んだ。
「夏海、痛い?大丈夫かい……?」
「へ……い、き……」
大樹さんを安心させたくて言ったけど、上手く笑えなかった。
泣きたくないのに涙が滲んでくる。
「平気な顔していないよ。やっぱり、やめよう」
「いやっ!!」
腰を引いて離れようとする大樹さんを、離さないようにしがみついた。
「夏海?」
「我慢します!私、我慢するから!!」
ここまできて止めるなんて嫌!!
ちゃんと、抱かれて大樹さんのモノになりたい。
「夏海……無理しなくていい」
「やっ……!」
ブンブンと首を振ると、大樹さん、困った顔してる。
でも、嫌なの。
一つになりたいの。
だから、離さないで……!!
「……………じゃあ……夏海が痛くなくなるまでこうしてるから……」
「は……い……」
それからずいぶん長い間、大樹さんは動かないでいてくれた。私の気が紛れるように髪を撫でて、肌に触れて、何度もキスをしてくれて……

優しい、大樹さん………大好き………

でも……

大樹さんの方が辛そうな顔してる。

138海夏6:2010/09/30(木) 20:12:41
「だいき……さん……」
そっと、その頬に触れた。
「わたし……もう、へいき……だから……」
「ホントに……?」
「はい……………」
これは、本当。最初と比べると随分楽になってきてる。
「だぃ……じょ……ぶ……です……」
きて……?大樹さん……
欲しいの……
「じゃあ………動くよ……?」
ゆっくりと、私の奥の中に来て、入口まで腰を引く。
「んんっ……!!」
動かれると、やっぱりまだ痛い。
「夏海………」
「へいき……続けて……?この痛みも、しあわせだから………」
ホントなの。幸せ、だから。
「わかった……」
大樹さん……切羽詰まった顔をしてる。ずっと中で我慢してたんですね……
そのまま、緩く奥を突かれるたびに、痛みと一緒に、少しずつ奥のほうが気持ち良くなってきてるのがわかる。
「あ……あんっ……だいき……さん……」
「よくなってきた……?」
大樹さんの言葉にコクコクと頷く。大樹は嬉しそうに微笑んだあと、深く口付けてくれた。まるで、それがきっかけのようにますます気持ち良くなってくる。
「んっ……ふっ………んぅ………!」
堪え切れずに重ねた唇の隙間から漏れる声。さっき、痛かったのが嘘みたい。

気持ち良いの……!大樹さんっ……!
もっと……
もっと……!!

大樹さんの背中に腕を回して、しっかりとしがみつく。それに応えるかのように大樹さんの動きが早くなってきた。
「夏海……夏海っ……!!なつみ!!だめだ……もぅっ!!」
大樹さんに激しく中を掻き回されるけど、もう、全然痛くない。
「ごめ……ごめんね……!なつみ!!」
「いいの!!だいきさん!!きてぇ!!!」
私の最奥を貫いた時、大樹さんが中で弾けて、どくんどくんと注がれてるのがわかった。
「ふぁ……あん……」
大樹さんのが……中に……いっぱい……
わたし……訳がわからなくなって、あんな事言っちゃったけど……
……もしかしたら、赤ちゃん……出来ちゃうの……かな……?
そうしたら、どうなるんでしょう……?
わからない……
少し……怖い……
けど。
今、すごく幸せ……
「だいき……さん…………すき……」
大樹さんの腕の中で、私は意識を手放してしまう。薄れていく意識の中、唇に優しい温もりを感じた。







……………………………

これで終わりです。

本スレに落とす勇気がなかったのでこちらに。

それでは、書き逃げします。

139名無しさんが妄想します:2010/09/30(木) 21:49:55
GJ。
だけど、規制中でもないのにここへ投下するのはやめた方がいいんじゃないかな。

>131も言ってるけれど、このままだと本スレが先細りになってしまう
自信が無いと、ここを逃げ場にするのはよくない事だと思うよ。

140名無しさんが妄想します:2010/09/30(木) 22:35:41
129です

>>132、ごめんよ
たしかに、>>131>>139の言うとおりだ。
ここは避難所だよな。


>>131
>SSが正義
カッコよすぎで全俺の股間から汁出た
Wでも薄エロでも、書けたら向こうに投下するよ

141132:2010/09/30(木) 23:27:14
なんだか、凄く空気読めてなくてすみません。

あまりパソ立ち上げる方ではないし、ちょい前に規制くらってしまったけど今は確認してない。ちなみに、小説は携帯書きなので携帯から投下がお手軽なんだけど、本スレは何故だか携帯から書き込めない。
てな、わけで、携帯からからでも書き込めるこっちに落としたんですが……

まあ、ドマイナー&前々作のネタってのがこわいってのもありましたが……


パソの方確認してあっちに落とせばよかったです。


すみませんでした。

では、ROMに戻ります。

142名無しさんが妄想します:2010/10/01(金) 02:04:11
なぜここが「避難所」なのかといえば、ここは2ちゃんねるとpinkとは
全く関係ないところが運営してるから。
向こうで規制されててもこっちに落とせるのはそういうことです、>>132さん。
そもそもここって規制ないんじゃないのかな。

特撮作品の中でもライダー(と戦隊)は毎年新作が作られて、一つの作品が終わって
次が始まるとそちらのほうがより盛り上がるもの。
でも旧作が受け入れられないわけじゃないし、>>131さんや>>139さんの言うとおり、
規制されていないのなら本スレに落としたほうがいいと思う。

143131:2010/10/01(金) 09:48:06
>>141
ROMに戻る必要はないだろう?
書き上げたものを読んで欲しいから投下するのは書き手としてあたりまえなんだし
そこに遠慮は必要ない。「SSこそ正義」だよ。

時間に余裕があるときにでも、本家エロパロの「SS書きの控え室」
リンクから修行場を読んでみて欲しい。
本スレに海夏を投下したとき、なぜ住人の反応が冷たかったのか
答えがそこにあるから。

144名無しさんが妄想します:2010/10/01(金) 22:00:33
書いた勢いで投下するのは結構だけど(有難いが)
ちょっと冷静になってからにした方がいい。何にしろ。

145ガラスのラビリンス 0/3:2010/11/23(火) 19:41:43
規制中なのでこちらに投下します。

アンク×比奈というか、比奈→信吾というか。
キスしかしてません。エロがなくてすみません。
タイトルは谷山浩子さんの曲から拝借。

特板のアンクスレにあった、お兄ちゃん昏睡状態に関するレスに非常に萌えて書いたんだが
もしあれ書いた人が此処を見てたら本当にごめんなさい。

本スレへ転載は、気に入ってくれた方がいらしたらお手すきの時にでもお願いします。

146ガラスのラビリンス 1/3:2010/11/23(火) 19:43:25
 クスクシエの建物から赤い何かが飛び出していくのが見えた。
 一見鳥の姿に似ていたが、あれはアンクの本体だ。
 グリードかヤミーが何処かに現れたのだろう。
 映司のことが気になったが、それとは別の事実が比奈の心を奪った。
 今、アンクは兄の肉体から離れている。
 瞬時にそう悟った比奈は急いで店の中に駆け込み、映司とアンクが寝泊りしている屋根裏部屋へと急いだ。
 今なら信吾を取り戻せる――そう信じて。
 鍵の掛かっていないドアを開けると、果たしてそこに兄の姿があった。
 アンクがねぐらにしているシーツの上で、ぐったりとその身を投げ出している信吾の髪は比奈がよく見知った
ライトブラウンに戻っている。
「お兄ちゃん!!」
 比奈は信吾の腕を掴み、その躯をそっと床に降ろした。
「お兄ちゃん! 起きて、お兄ちゃん!!」
 名を呼び、頬を軽く叩いてみるが反応はない。
 目蓋は深く閉じられたままだ。
 乗っていた車を怪物に襲われ、重傷を負ったのだと言う映司の話を改めて思い出す。
 背筋に冷たいものが走るのを感じながら、比奈は救急車を呼ぶ為に携帯電話を手に取った。
 ボタンを押そうとして、少し躊躇う。
 兄の躯を使えなくなったら、アンクはどうするだろう。そして、映司は。
 信吾という器を失ったアンクが映司と袂を分かつようなことになれば、映司はオーズに変身することが
出来なくなる。
 目の前の誰かを助ける為の、怪物と戦う手段を失ってしまう。
 そればかりか、逆上したアンクが敵に回る可能性もあるのだ。
 比奈は震える手で携帯電話を握り締める。
 自分の行動ひとつで、映司や他の大勢の人たちを危険に晒してしまうかもしれない。
 それでも――。
 世界を壊すことになっても、自分自身の命を落とすことになっても、兄を取り戻したい。
 それが比奈の、偽りのない願いだった。
 自分勝手だと判っていても、どうしても譲れない欲望。
 ――映司くん、ごめんなさい。
 心の中で映司に詫びながら、通話ボタンを押す。
 勇気を奮い立たせようと信吾の顔を見た比奈は、兄の顔色の変化に気づいてその手を止めた。
 信吾の肌が、最初に見た時よりも青ざめてきている。
「……え?」
 比奈は慌てて兄の頬に触れた。
 冷たい。
 さっきよりも明らかに体温が低下している。
「……嘘……っ! どうして……っ?」
 呟く比奈の顔からも血の気が引く。
 比奈は電話を放り出し、信吾の両肩に手を掛け激しく揺さぶった。
「起きて! お願いだから起きて! お兄ちゃん、お願い、起きてよ!!」
 力を込めてどんなに揺すっても、信吾が目覚める気配はない。
「やだ、お兄ちゃん、やだ……! 目を開けてよ……お兄ちゃん……!!」
 たまらず、比奈は信吾の口に自分の口唇を重ねた。
 正しい人工呼吸の手順を踏む余裕などある筈もなく、自らの命を分け与えようとするかのように息を吹き込む。

147ガラスのラビリンス 2/3:2010/11/23(火) 19:45:40
 だが、そうやって触れた口唇さえ冷たく、ただ比奈を絶望させるだけだった。
 ぼたぼたと、信吾の顔に比奈の涙が落ちる。
「……どうして……」
 冷たくなっていくばかりの兄の姿を、比奈は呆然と見つめた。
 信吾の肉体はこんなにも傷ついていたのか――。
 今までアンクがいるから気づきもしなかった。
 アンクが憑いている兄の躯は、ちゃんとあたたかかったのだ。
 比奈は恐る恐る兄の手を取り、両手でそっと握り締めた。
 救急車を呼ぼうという気持ちはすっかり消え失せていた。
 そんなものが兄を救ってくれるとは思えない。
 今、兄の命を繋ぐものがあるとすればそれはアンクの存在だけだ。
 人を人とも思わない、メダルを集めることしか頭にないあの怪物だけが。
 信吾の躯に命を灯し続ける為には、兄の肉体をアンクに委ねるより他にない。
 ――……いいの?
 誰かが比奈に問う。
 ――あんな人に、頼っていいの?
 比奈の心の中から、別の比奈が問う。
 ――お兄ちゃんが、そんなことを望むと思う……?
 自分自身に問われ、比奈は考える。
 信吾は正義感に溢れた人間だった。
 念願だった刑事になってからは殆ど休みも取らずに走り回り、帰宅出来ない日も増えたが、どんなに
疲れていても弱音を吐くことなど一度もなかった。
 怪物に襲われて瀕死の状態になっても、まだ怪物に立ち向かおうとしていたと映司が言っていた。
 意識を失う最後の瞬間まで戦い続けていた兄が、その躯を怪物に支配されてまで生き永らえたいと願うだろうか。
 比奈の瞳からまた新たな涙が溢れた。
 信吾なら、化物の力を借りてまで生き延びることを良しとせず、潔く自ら死を選ぶかもしれない。
 けれど、比奈の為に、ただひとりの妹の為に、汚れても尚生きたいと願ってはくれないだろうか。
 兄の願いと自分の願い、葛藤が、比奈にどちらの答えも選ばせない。
 信吾の手を握り締めたまま、泣きながら自問自答を繰り返してどのくらい経っただろう。
 実際にはそれ程長い時間ではなかったかもしれない。
 開け放したままの窓から、赤い腕が飛び込んできた。
 アンクは信吾の傍らに比奈の姿を見つけると、躊躇したように空中で停止する。
 比奈は虚ろな目でアンクを見た。
 兄の躯に戻れとも、戻るなとも言えずに、赤い異形をただ見つめる。
「なんだ。言いたいことがあるならさっさと言え」
 アンクが苛立った声を上げるが、比奈は何も言えなかった。
 口を開けば、自分が何を言い出すか判らない。
 アンクは業を煮やしたように舌打ちし、比奈の横をすり抜けて信吾の右腕に舞い戻った。
 比奈の目の前で信吾の髪が鮮やかな金髪へと変化し、その肌に赤みが差す。
 即座に目を開けたアンクは素早く起き上がると、穏やかな兄の顔つきとは似ても似つかぬ表情で、
憎々しげに比奈を見下ろした。
「残念だったな。大好きな兄貴を取り戻せなくて」
 比奈が握り締めた信吾の手にもぬくもりが戻る。
 アンクは比奈に手を掴まれていることに気づくと、鼻を鳴らして比奈の手を乱暴に振り払った。
 鋭い目つき、皮肉げに歪んだ口許、冷ややかな表情、全てが信吾とは違う。

148ガラスのラビリンス 3/3:2010/11/23(火) 19:50:14
 だが生きている。
 生きて、動いている。
 刹那、比奈は自分が真に願うものを知った。
 それがすべてだと心が叫ぶ。
 比奈はアンクに向かって手を伸ばした。
 警戒して身構えるアンクの頬に手のひらを押し当て、そのぬくもりを確かめる。
 比奈の意図を量り兼ねてか、アンクは様子を窺うように不審げな目を比奈に向けるだけで特に動こうとはしない。
 比奈は身を乗り出し、ゆっくりと顔を近づけてアンクにくちづけた。
 触れた口唇にも確かなぬくもりを感じ、それが嬉しくも哀しい。
「……何の真似だ?」
 不機嫌に顔をしかめてアンクが問う。
「……好き」
 比奈はアンクを見つめてうっすらと微笑んだ。
 こんなにも堂々と嘘の吐ける自分に驚き、呆れながら。
「何?」
「あなたが好き。だから……そばにいて……」
 比奈はアンクの首に両腕を絡め、男の胸許にその身を摺り寄せる。
 肌に感じるぬくもりが比奈にとって世界のすべてで、決心は一瞬だった。
 生きていて欲しいのだ。
 兄の心が此処になくとも、兄の望みが此処になくとも、本当の意味でそれを生きているとは呼べなくとも。
 それが、信吾自身の想いを踏み躙ることになるのだとしても。
 なんて醜い。
 なんて愚かで、おぞましく身勝手な欲望だろう。
 心の何処かが悲鳴を上げる。
 お兄ちゃん、ごめんなさいと、兄への謝罪を幾度となく繰り返す。
 それでも自分の決断に後悔はなかった。
 兄のぬくもりが、その命が、その存在がこの世界から消えてしまうことが何よりもつらい。
 触れて感じたぬくもりを守る為なら、目の前の男に縋りつくことすら厭うまい。
 得体の知れない化物に自ら媚びることも、我が身を投げ出すことも、信吾を失う痛みに比べればなんでもないことだ。
 信吾の肉体が回復し、意識を取り戻す時が来ると奇跡をただ信じて――。
「女狐が」
 アンクが忍び笑いを漏らした。
 比奈の肩を掴んで胸許から引き剥がし、心を見透かすような目をして比奈の顔を覗き込む。
「欲望の匂いがするぞ。随分と旨そうな、いい匂いだ」
 嘲笑を浮かべた男の瞳は獲物を前にした肉食獣のそれに似て、比奈は自分の選択が正しくはないことを
今更のように思い知る。
 だが退くまい。決して逃げまい。
 いつの日か、兄が目覚めるその時まで、この男の人智を越えた力が必要なのだ。
 赤い指先が比奈の顎を捕らえる。
「何を企んでいるかは知らんが……乗ってみるのも一興か」
 愉しげに目を細め、アンクが比奈の口唇をくちづけで塞いだ。
 感情のない、咬みつくようなくちづけを受けながら、比奈はアンクの腕をきつく握り締める。
 信吾の身が無事であるなら、他には何もいらない。
 たとえ信吾がそれを望まなくとも――。
 己の心の浅ましさに吐き気すら覚えながら、それでも比奈は縋りついた男のぬくもりに安堵した。

149名無しさんが妄想します:2010/11/23(火) 20:28:41
本スレの士夏←海にコメしようかとしたら規制中だったんで、こっちにきたらリアルタイムに遭遇!!!

何と言うGj!!

150名無しさんが妄想します:2010/11/24(水) 00:28:52
>>145 本スレ転載、やってみます

151名無しさんが妄想します:2010/11/24(水) 12:17:45
昨日はちょうどリアルタイムに遭遇したし、ここで言うことでもないと思ったから、書かなかったけど、やはり書かずにはいられない。

本スレ>359GJ!!
海東頑張った!!

しかし、海東はここではレイパーだったり病んでたり報われなかったり当て馬だったりして、本編では中の人と視聴者からHOMO扱いとか散々だなww
誰か、海東を幸せにしてやってくれww

荒らしてすまん。
でも、どうしても言いたかった。

152名無しさんが妄想します:2010/11/24(水) 17:13:57
>>145&転載人さん乙!

>>151おっと過去ログの海夏ラブラブSSとかも忘れないでもらおうか

153名無しさんが妄想します:2010/11/24(水) 19:28:37
>>152

えっ?
そんなのあったっけ??

154名無しさんが妄想します:2010/11/24(水) 20:16:37
145です。

>>150
転載ありがとうございます。
お手数お掛けしてすみません。

>>1
避難所があって本当に助かりました。
今更ですがありがとうございます。

155133:2010/11/27(土) 02:13:28
どうも、133です。
前回は、規制中でもないのにこちらに落としてしまい、すみませんでした。
今回、今更ながら133の続きが浮かんだので、>>151さんが言うように海東を幸せにすべく、自分で133から転載して今回のも投下しようと思っていたのですが、規制中でした。
ROMに戻るとか言いながら投下するのもどうかと思いましたが……


とにかく、注意書き。

133の続きで海東視点。
エロはなしですが、ややBL要素あり。

海夏とBL要素が嫌いな方はスルーでお願いします。

あと、転載のほうは、どなたか気に入ってくださった方がお手すきの時にしてくださると嬉しく思います。
あくまでも、気に入ってくださって尚且つお暇なときに、で結構です。

それでは、次からいきます。

156海夏(続き)1:2010/11/27(土) 02:15:59
「大樹さんの……モノになります」

そう言われて、夏海の方からキスしてきた時、自分に何が起こったのかわからなかった。
絶対、拒否されたうえに軽蔑される。そう思っていたから、そうなったら無理やりにでも奪うつもりだった。
それで、士の怒りを買って殺されようとも構わない。どうせ、夏海とは二度と顔を合わせる事なんかできないだろうから。
もう、それでも良い。自分でも最低な男だと思うけど、夏海達にどう思われようが一度だけでも彼女が欲しかった。




旅をしながら彼等を見ていたけど、僕は夏海と士はお互いに強く想い合っているとずっと思っていた。
あの二人の信頼関係は普通じゃない。信じ信じられ、時には命を投げ出しても互いを守って。
だからきっと、誰よりも深く愛し合っているんだ、と。そう、思っていた。
そうじゃないなら、自分の命を危険に晒してまで士を庇うことなんてできないし、士も自分の命を分け与えるなんて、そんな事できないはずだ。
それなのに、まさか、夏海が僕の事を好きだなんて。
しかも、僕が士を………なんて。まあ、それはあながち間違いでもないけど……ね。

前は……だけど。

だから、最初は士が大事にしているあの娘が凄く邪魔で、疎ましくて、消えて欲しいとさえ思っていたんだ。
今思うと、僕は何を血迷っていたんだろうと思う。
もう、そんな事、考えられない。





何事もきっかけなんて単純なもので、夏海を好きになったのは、大ショッカーの攻撃から助けた時だった。
敵の攻撃から彼女を庇うために咄嗟に抱いた、その細い肩に驚き、自分を真っすぐに見つめる瞳に一瞬にして惹かれた。
本当は、この娘を助けておいて士に借りを作るのも良いかもしれない……って。そんな、ほんの気まぐれだったはずなのに。
いや、本当は気になっていたのかもしれない。わからないけど。
でも、士への想いもまだ抱いてたし、無理やり夏海への気持ちを押さえこんでいたのかもしれない。
とにかく、自分の気持ちに気付いたのはあの時だ。

157海夏(続き)2:2010/11/27(土) 02:19:38

「だいき……さん」
「ん……?」
夏海に呼ばれ、起きたのかと思ったけど、まだ夏海は寝息を立てていて。
「僕の夢、見てくれてるのかい……?」
夏海の乱れた長い髪を掻き上げて、その寝顔を見ると、気持ち幸せそうにも見える。

夢の中での僕は、君になんて言ってるのだろう。それに対して、君はそんな幸せそうな顔でなにを……?

そこまで考えて、ハッとする。
たかだか夢(しかも相手は多分僕)に嫉妬なんかしてどうする。情けないな、僕。
「わたしも………すき……」
「……っ……!」
ぎゅっと、胸を締め付けられるってこう言うことを言うのかな………?
凄く嬉しそうな顔で、確かにそう呟いた夏海。その言葉だけでこんなにも幸せになれる。
今、確信した。間違いなく夏海は僕の、最高のお宝。
「ありがとう、夏海」
僕は、幸せそうな寝顔を浮かべている夏海の頬に触れて、そっと唇に口付けた。



※※※※※※※※※※

終わりです。

ものすごく今更感が溢れてますし、ROMとか言いながら自分でもよく投下できるなと思いましたが、ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
それでは。

158名無しさんが妄想します:2010/11/27(土) 02:44:43
おっとしまった こっちに投下きてたのか

転載する時は前書きは>155で、>133-138,156-157 の順番でいいのかな

自分はついさっき本スレに投げてきちゃったところなので、明日以降で
(急な規制が入らなければ)転載やってみますがよろしいか

159157:2010/11/27(土) 06:46:14
>>158

えっと、その順番で大丈夫です。
まさか、投下してくださる方がいらっしゃるとは…!!
よろしくお願いします。

160158:2010/11/28(日) 00:56:47
>>159

転載開始しようと思ったのですが、どうもこちらのスレに投下された分の
1レスの行数が多すぎるようです
本スレ(エロパロ板)は1レスMAX60行らしく、>134の「海夏2」で
100行あり、その他も70行を超過しているレスがあります

60行を超過しても投下できるのか練習用スレッド等で試してはいませんが、
いかがいたしましょうか。
こちらで勝手に分割するのも何なので、「こうして欲しい」等の希望があれば
教えてください

161159:2010/11/28(日) 04:40:26
>>160

それでは、海夏1は「そんなことを考えていた傍から大樹さんが現れた」2は「あ、もう………泣きそう」で、半分にわけて、3は「いい子だね」から分けて残りは4に、4は「やっ!!やだ!!」から半分に、5は「泣きたくないのに涙が滲んで来る」から残りは6に、6は「わかった」から半分にしていただいて、9スレにしていただいてよろしいでしょうか?
これで、行数も大丈夫だと思います。
もし、それでもオーバーした時はキリのいいところで分割をお願いしてもよろしいでしょうか?


なんだか色々とお手数かけてしまい、申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

162158&160:2010/11/30(火) 00:46:06
転載を開始します
指定の通りだと行数を超過するレスがあるようなので、すみませんが
こちらの判断にて分割し、全11レスとさせていただきます
※1レスの行数を揃えたりすれば9レス程度にはなるかもしれませんが
 あまり手を加えすぎるのも失礼かと思うので

163158&160:2010/11/30(火) 01:02:27
転載終了しました
一応確認はしたつもりですが、ミスなどあったらすいません

さて自分はエロ店長とヘタレアンクの話を書く作業に戻ります

164161:2010/11/30(火) 12:41:20
>>163

色々お手数かけましたが、転載ありがとうございました。


エロ店長×ヘタレアンクをwktkしながら待ってます。

165アンク+比奈 0/2:2010/12/06(月) 21:28:00
規制中なのでお世話になります。

アンクと比奈でエロなし小ネタ。
いちゃつく二人が無性に書きたくなったので。

166アンク+比奈 1/2:2010/12/06(月) 21:29:44
 大きな木の上の枝に腰掛け、アンクはぼんやりと視界に映る景色を眺めていた。
 間近には住宅街、少し離れたところには空を貫かんとそびえる高層ビルが立ち並ぶ。
 封印されている間に世界はその姿を大きく変えた。
 昔の面影を残す空と海でさえ、記憶にある風景よりくすみ澱んで見える。
 進化と引き換えに人間が奪い、壊したもの。
 欲望に満たされた世界――目の前に広がる光景がすべてメダルの源だと思えば、
それは少なからずアンクの心を湧き躍らせた。
「ねぇ」
 澄んだ声が、下からアンクに話しかける。
「そんなところで何してるの?」
「別に。人間の世界を見物してるだけだ」
「悪巧みしてるんじゃないでしょうね?」
 アンクを見上げながら、比奈が軽く幹に手をついた。
「考えるくらいいいだろうが! おい、揺らすなよ?」
 万が一に備え、アンクは枝をしっかりと掴む。
 今のところ、比奈が木を揺らす気配はない。
「高いところが好きなの?」
「まぁな」
「……煙となんとか」
 比奈がぼそりと、暗号のような言葉を呟く。
「なんだ? それは」
「なんでも」
 そう言って、比奈はアンクを見上げて小さく笑った。
 よく判らないまま、アンクも同じような笑みを比奈に返す。
「何かいいものが見える?」
「さぁな。知りたいなら、おまえも上がってくるか?」
 アンクは戯れに右手を差し出し、比奈を誘った。
 スカート姿の比奈が木登りなど出来ないことは百も承知の上だ。
 拗ねて頬を膨らませる比奈を見て笑ってやろうと思ったのに、比奈はアンクの予想を裏切って嬉しそうに笑った。
「いいの?」
「ん?」
 比奈は両手で木の幹を抱くように掴み、くぼみに足を掛けて木を上り始める。
「おい、寄せ! 危ないだろうがっ」
「へい、き……っ」
 一飛びで枝に降り立つアンクと比べ、比奈の木登りは見ていて危なっかしいことこの上ない。
 今更やめろと言っても聞く筈のない比奈を見下ろし、アンクはいつでも右腕だけで動けるようにと構える。
 やがて比奈の手がアンクがいる枝に辿り着くと、アンクは比奈の腕を掴んで一息に枝の上まで引き上げた。
 比奈の躯を腕の中にしっかりと抱え込み、アンクは盛大にため息を吐く。
「この馬鹿……!」
 背中から抱きしめた比奈の肩に額をぶつけ、アンクは唸るように怒鳴った。
「少しは考えて行動しろ! 怪我でもしたらどうするつもりだ」
「あなたが来いって言ったんじゃないの」
 ゆったりとアンクの胸許に背中を預けた比奈が、拗ねたように頬を膨らませてアンクを顧みる。
 その顔を見ても笑うだけの余裕がアンクにはなかった。

167アンク+比奈 2/2:2010/12/06(月) 21:32:03
 人間の娘に振り回される自分に腹が立ち、強烈な自己嫌悪に襲われる。
「それに」
 恨めしげに顔を上げるアンクの右腕を、比奈が両手でそっと抱いた。
「もし私が落ちたら、ちゃんと助けてくれるでしょ?」
「おまえは……」
 はにかむように微笑む比奈に、アンクは仕方なく苦笑いを浮かべる。
 その通りなのだからどうしようもない。
 アンクは比奈の頬に軽くキスをし、反対側の頬に手を添えて振り向かせた比奈の口唇にもくちづけた。
 比奈が落ちないよう、広げた足の間に座らせ、両腕を腰に回して比奈の躯を支える。
「何かいいものが見えるか?」
 アンクの腕の中で安心したようにくつろぐ比奈に問いかける。
「んー……家とか、ビルとか……空とか海とか」
「大していいものなんか何もないだろう」
「でも、楽しいよ。こんな場所から見たことないもの。なんだか、違う街を見てるみたい」
「そんなものか」
 アンクには判らない。
 何処から見ようが、世界は皆同じだ。
「嬉しい」
 比奈が呟く。
「ん?」
「あなたと同じ場所で、同じ景色を見てるのが……嬉しい」
 さらりとそんなことを言われて、アンクは返す言葉に詰まった。
 好きだとストレートに告げられるよりも気恥ずかしく、ぐっと腹の底を掴まれるような、喉の奥を締めつけられるような、
不思議な感覚がせり上げる。
 アンクは右腕を持ち上げ、比奈の頬にそろりと触れた。
 指先で軽く摘んでむに、と引っ張る。
「やだ、何するの」
 痛くはないからか、比奈はくすくすと笑いながら首を振ってアンクの指から逃げた。
 アンクの肩にこつんと頭を預け、比奈が上目遣いでアンクを見上げる。
「照れてるの?」
「うるさい」
「照れてる」
「うるさい。黙れ」
 アンクは楽しげに笑う比奈の頬をもう一度摘んだ。
 そしてその手を広げ、小さな頭を抱きしめるようにして比奈の頬にぺったりと押し当てる。
 そのやわらかなぬくもりが心地よい。
 比奈の首筋に顔を埋め、アンクは静かに眼を閉じる。
 同じ場所から同じ景色を見ていても、グリードであるアンクと人間である比奈の目に映る世界が同じである筈がない。
 それは恐らく比奈も知っているだろう。
 この穏やかな時間が永遠に続くものではないことも。
 それでも今は二人、こうして誰よりも近くにいる。
 それが嬉しいと比奈が言うのなら、この世界が比奈の生きる場所であり、彼女の目に少しでも美しく映ると言うのなら、
メダルを集めるそのついでにもうしばらくはこのまま、映司が平和とやらを守るのに力を貸してやろうと――
誓うように密やかに、アンクは思った。

168アンク+比奈 3/2:2010/12/06(月) 21:35:18
帰りはアンクが比奈を姫抱っこして飛び降りればいい。
更にアンクがスカートの裾を気遣ってやったりしたら個人的に超萌える。


転載してくださる方がいらしたらよろしくお願いします。
投下ありのアナウンスだけでも構いません。

169名無しさんが妄想します:2010/12/06(月) 21:40:08
GJ!!!
物理的にも近い二人の距離に萌えた!
ちょっと今から転載ちゃれんじしてきます。

170165:2010/12/06(月) 22:12:50
>>169
転載ありがとうございます。
お手数をお掛けしました。

レスもありがとうございます。
嬉しいです。励みになります。

171名無しさんが妄想します:2010/12/08(水) 12:50:58
まだまだ規制中なんでオーズの流れを逆に突っ走って呟いてみる。

海東×ネガみかんとか思い付いたんだが、需要あるのか……?

まあ、あってもなくてもいつか書くんだろうがww

172名無しさんが妄想します:2010/12/08(水) 12:51:48
まだまだ規制中なんでオーズの流れを逆に突っ走って呟いてみる。

海東×ネガみかんとか思い付いたんだが、需要あるのか……?

まあ、あってもなくてもいつか書くんだろうがww

173名無しさんが妄想します:2010/12/08(水) 17:43:19
悩むより行動じゃないかな。スレの為に何ができるかを考えなさい

174名無しさんが妄想します:2010/12/09(木) 18:55:33
パスワードは聞いちゃいけない・聞かれても答えちゃいけない
って大前提があるけどさー、

「保管庫は2010/06/09から更新休止している」
「入力するのはテンプレ参照+保管庫参照で計8文字」
ってことがノーヒントで
現スレ読んだくらいじゃ解読困難なのは問題だよな

175兄妹中毒 0/4:2010/12/12(日) 17:14:52
またまたお世話になります。
規制解除はいつですかorz


バカップル兄妹と、気の毒なメダル怪人の話。
軽い小ネタギャグのつもりが4レス程度の長さになっちゃいました。
エロと程遠い内容ですみません。

176兄妹中毒 1/4:2010/12/12(日) 17:17:24
「助けろっ!!」
「は?」
 比奈の両肩を掴み必死の形相で迫るアンクを、比奈は怪訝な顔で見返す。
 一体どうしたと言うのか。
 いつもは比奈を避けるようにしているアンクが、比奈の休憩時間を待ちかねたように声を掛け、この屋根裏部屋まで
引っ張るようにして連れてきたのだ。
 お互いにいい感情を持っていない比奈に助けを求めるくらいだから、余程切羽詰っているのだろう。
 アンクの肉体は大事な兄のものである以上、自分が力になれるならと比奈はアンクを見上げて訊ねる。
「助けるって、どうやって?」
「触らせ」
 比奈は皆まで言わせず、アンクの両の頬を掴むと渾身の力で捻り上げた。
「このセクハラ怪人……!!」
「いでぇ!! 離せ、痛い痛い痛い!!」
「お兄ちゃんの躯で痴漢なんてやめてよね! 前科がついたらどうしてくれるの!?」
「違う!! 俺じゃない、こいつだ!」
 比奈の手をはがそうともがきながらアンクが叫ぶ。
 立てた親指で自らを指し示し、 
「こいつがおまえに触りたがってるんだよ!!」
 悲痛な、それでいて何処か滑稽なアンクの絶叫が屋根裏部屋に響いた。
 思い掛けないアンクの告白に比奈は絶句し、その両手から力が抜ける。
「……お兄ちゃんが……?」
「おかしいぞ、おまえら兄妹!」
 赤く腫れた頬を押さえ、涙目のアンクが比奈を睨みつけた。
「何がよ」
「自覚がないのか。サイアクだな!!」
 アンクは信吾の顔を不快げに歪ませ、赤い腕を振りかざしながらうろうろと落ち着かなく歩き回る。
 ちらちらと比奈に視線を向けては、嫌なものを見るように目を逸らすということを数回繰り返し、やがて
堪えきれなくなった様子で比奈に向き直った。
「いいから、とにかく触らせろ!」
「きゃあっ!」
 素早い動きで伸びてきた腕が比奈を捉える。
 次の瞬間にはアンクの胸の中にしっかりと抱きしめられ、比奈は悲鳴を上げた。
「離して! ほんとに締めるよ、その腕!!」
「こっちも好きでやってるわけじゃない! あとで好きなだけ殴らせてやるから、大人しくしてろ」
 比奈を抱きしめ、アンクがぜぇぜぇと苦しそうな息を吐く。
「ちょっと……大丈夫?」
 どうやら本当に具合が悪そうで、比奈はアンクの背中に手を回してその背をさすった。
 しばらくして、アンクがぼそりと吐き捨てる。
「……禁断症状だ」

177兄妹中毒 1/4:2010/12/12(日) 17:20:17
「なんの?」
「言っただろ、こいつがおまえに触りたがってるって」
「うん。……って、あなたが私に触らないから、そんなになってるって……こと?」
「そうだ! 眠れないし、イライラするし、動悸息切れ目眩諸々って、おかしいだろ、こいつ! 
どれだけ妹が好きなんだよ!」
 アンクに低く怒鳴られ、比奈は赤面した。
 確かに兄妹でのスキンシップは多い方だと思う。
 しかし、触れ合いが減ったからといって体調に異変を起こすなんて聞いたこともない。
 アンクの言うことが本当だとして、逆に言えば今までは禁断症状が出る暇もない程触れ合っていたと
言うことかもしれないが。
「兄妹なんだからいいじゃない。お兄ちゃんが私を好きだって。私だってお兄ちゃんが好きだもの。
あなたに文句言われるようなことじゃないわよ!」
「限度ってものがあるだろう。自覚がないようだから教えてやるが、おまえら本当に変だぞ!?」
 比奈を抱きしめたことで禁断症状とやらか薄れたのか、アンクが憎々しげに声を荒げる。
 アンクの背に両手を回したまま、比奈も負けじと怒鳴り返した。
「さっきからおかしいとか変とか! 何がよ!」
「大体べたべたとくっつき過ぎなんだよ。何かと言えば抱き合うわ、出掛けるとなればしっかり腕は組むわ! 
変だろう、兄妹で!」
「別に普通でしょ、兄妹なんだから。それくらい誰だって」
「普通!? 普通で、『あーん』とか言いながら餌を食わせ合ったりするか!?」
「それは半分こしたりする時で、それにその方が美味しいし」
「おはようのキスに、いってらっしゃいのキスに、おかえりなさいのキスに、おやすみなさいのキスが普通か!?」
「誤解招くような言い方しないでよ! ほっぺたとおでこだけよ! あいさつじゃないの!」
「ガキじゃあるまいし、一緒のベッドで寝る兄妹の何処が普通だ!?」
「あれはお兄ちゃんが酔った時とか、しばらく帰れない日が続いた時とか……ってどうしてあなたが
そんなこと知ってるのよ!?」
「見えるんだよ、こいつの記憶は全部お見通しだ!」
 自慢げに唸るアンクに、比奈の躯が怒りと羞恥でかっと熱くなる。
「……プライバシーの侵害よ! 勝手に人の躯間借りしてる上に覗きまでするなんて最低!!」
「うるさい! 勝手に流れて来るんだよ! こいつのシスコンに俺がどれだけ迷惑してると思ってる!」
「見ないでよ! 目も耳も塞いでて!」
 抱き合いながら激しく怒鳴りあう二人の姿は他人の目にどう映ることだろう。
 幸い、屋根裏部屋のこの騒動は階下にまでは届いてないらしく、ギャラリーが現れる気配はない。
 いい加減喉と耳の両方が痛くなってきて、二人はどちらからともなく言葉を切った。
 なんだか酷くくだらないことで言い争っているようで、黙り込んだ途端どっと疲れが押し寄せて来る。
 比奈とアンクはお互いに睨みあったまま、大きくため息をついて肩を落とした。
 そうして落ち着いてみれば、密着した男の躯からふと兄の匂いがする。
 比奈はアンクの顔を見つめ、赤く腫れた頬にそっと手を伸ばした。

178兄妹中毒 3/4:2010/12/12(日) 17:23:19
 躯は兄だと判っているが、アンクが相手だと思うとどうしても手加減が出来ない。
 痛みに顔をしかめるアンクの頬を指先で撫で、口唇で触れる。
 宥めるようにもう一方の頬にもキスをして、比奈はアンクの胸許に顔を摺り寄せた。
 比奈にとってもずっと触れたくて我慢していた兄のぬくもりに、ほっとして目を閉じる。
「……おまえら、絶対におかしいからな」
 声のトーンを落としながら、アンクは自分の主張をまだ曲げない。
「そうかなぁ……」
「こいつの頭の中、おまえのことばっかりだぞ。メシは取ってるかとかちゃんと寝てるかとか学校の成績はどうだの、
変な虫がついてないかだの、躯の具合は大丈夫かとか泣いてないかとか」
「ちょっと黙って」
 比奈はアンクの口を手のひらで塞いだ。
 兄が自分を大事に思っていてくれることは知っているが、それを他人から赤裸々に暴露されるのは
気恥ずかしくて聞くに堪えない。
 出来ればアンクの記憶からも消し去ってしまいたい程だ。
 頬に朱を昇らせながら、比奈は兄との穏やかでやさしい日々を想う。
 自然と言葉がこぼれた。
「ずっと、二人きりだったの。お父さんとお母さんが突然いなくなってからずっと」
 その分、お互いの中で相手の存在が占める割合が大きいのは確かだ。
 大好きで、大切で、ぬくもりを確かめずにはいられないのだと、アンクに理解して貰えるとは思えないまま、
比奈は自分達兄妹の過去を言葉で辿る。
 信吾の記憶が見えるというアンクには今更の話かもしれない。
「お兄ちゃんもまだ若くて大変だろうからって、私だけ親戚の家にお世話になる話もあったの。でもお兄ちゃん、
私の面倒は自分が見るからって。大丈夫だって、頑張ってくれて、すごくすごく頑張ってくれて……それで、
ずっと二人で暮らしてこれたの。お兄ちゃんがいてくれるから、私、二人だけでも淋しくなくて……」
 兄のぬくもりに包まれて、何も憂うことなく過ごしていたあの幸福が、もう随分昔のことのように思えた。
 兄に甘え、頼るだけの無力な子供だった自分は、どれだけ兄の負担になっていたのだろう。
 縋るばかりでは駄目だと決意したあの時から、今まで見ない振りをしてきたその事実が比奈に重くのしかかる。
 比奈の前ではいつも笑っていた兄への申し訳なさで胸が痛い。
「でも、もし私がいなかったら、そしたらお兄ちゃん、もっと自由で、もっと楽でいられたのかなって……」
 ごめんなさい。
 お兄ちゃん、ごめんなさい。
 声にならない想いが心にあふれる。
 どうしてアンクにこんなことを話しているのだろう。
 まるで懺悔のようだ。
 どうせ、この男には何も届きはしないのに。
「違う」
 不意にやさしい声が比奈の耳に落ちた。
 アンクの口調とは違う、穏やかで甘い、懐かしい声が。
「俺だって、比奈がいるから、頑張れるんだよ」
 いつもの笑顔が目に浮かぶ、そんな兄の声だった。

179兄妹中毒 4/4:2010/12/12(日) 17:25:27
 比奈は驚いて顔を上げる。
「お兄ちゃん……?」
「あぁ?」
 だが、そこにあるのはやはり冷たい眼差しをしたアンクの姿だった。
 それでも確かに、今聞こえた声は信吾のものに間違いない。
 比奈は大きく目を見開いてアンクを見つめる。
 そこにいるの?
 私のそばに、今もずっといてくれるの?
「お兄ちゃ……」
 呼びかける比奈をアンクが不思議そうに見返す。
 その首が突然がくんとうなだれ、アンクの躯は比奈にもたれかかるようにしてずるずると沈み始めた。
 アンクの躯を抱えながら比奈は膝を折って一緒に座り込む。
「ちょっと、アンク!? 何よ、どうしたの?」
「……むい」
「え?」
「眠らせろ。しばらく、ろくに寝、て……な……い」
 呂律が怪しくなったかと思うと、アンクは電池が切れたように動かなくなってしまった。
「やだ、ほんとに寝ちゃったの? ねぇ?」
 軽く揺すってみるがアンクの答えはない。
 無防備に比奈に躯を預け、規則正しい寝息を立てている。
「……子供みたい」
 比奈は小さく笑いながら呟いた。
「普段はあーんなに威張ってるのにね」
 アンクの髪に指を絡ませ、頭を撫でていると安らいだ気持ちが広がる。
 比奈はアンクを抱えてゆったりと座り直した。
 アンクをベッドに移すのは簡単だが、そうしようとは思わない。
 比奈は膝の上のアンクの顔をいとおしげに見つめた。
 アンクの鋭い瞳が隠れると、その顔には兄の面影が色濃く表れる。
「兄離れしようと思ってたんだけどなぁ……」
 いいのかな。
 もう少しの間はこのまま、甘えていていいのかな。
 愛されていて、いいのかな。
 いつか、兄が目を覚ました時には甘えるだけじゃない、ちゃんと兄を支えられる一人前の人間になっていたい。
 兄を守れるくらい強くなって、兄を驚かせたい。
 でも今は。
 比奈が比奈でいるだけで、兄の支えになっているというのなら、もう少しだけ小さな子供の比奈でいても
いいのかもしれない。
「お兄ちゃん」
 あどけない笑みを浮かべ、身をかがめて信吾の顔を覗き込む。
「お兄ちゃん。大好き」
 甘えるように囁いて、比奈は眠る男の額にくちづけを落とした。

180名無しさんが妄想します:2010/12/12(日) 17:27:14
ナンバリング間違えました。
177は「2/4」です。

181名無しさんが妄想します:2010/12/14(火) 23:09:15
>>180
乙!素晴らしいィー!

182名無しさんが妄想します:2010/12/15(水) 10:38:42
>>175GJ!いい話なのに
振り回されたり痛い目に合うアンクさんで笑っちまうw

183名無しさんが妄想します:2010/12/15(水) 20:50:11
>>175
アンクに流れるお兄ちゃんの記憶がバカップルどころかアツアツな新婚のレベルとしか思えないw
二人がハグりながら喧嘩してる映像は脳内でしっかり再生された
特にアンクのお前らおかしいと喚いてるあたりなんかは声まではっきりとw
転載できないのがもどかしい
GJ

184名無しさんが妄想します:2010/12/15(水) 21:12:46
>>175
GJ!

本スレのほうもまたーりしてるし
燃料補給のためにもいっちょ転載に挑んでくる

185184:2010/12/15(水) 21:17:48
転載完了しますた
それにしてもこの規制の嵐はどうにかならないのか……

186175:2010/12/15(水) 22:07:01
>>185
転載ありがとうございます。
お手数お掛けしました。

>>181-183
ありがとうございます。
少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。

187アンク×比奈 0/2:2010/12/19(日) 19:27:58
甘さ控えめエロ薄め。

「……ありがと」に激しく萌えて、可愛い話を書いてたつもりなのにおかしいなorz
今日は二度もアンクが比奈を庇ってて非常に幸せでございました。

188アンク×比奈 1/2:2010/12/19(日) 19:30:10
 悲鳴に似た嬌声が男の耳を打つ。
 何処かにあどけなさを残したその声は悲痛としか言いようがなく、アンクは声を立てて笑い出したくなるのを堪えた。
 傲慢で冷酷な笑みを浮かべ、組み敷き貫いた娘を見下ろす。
 乱れて顔に貼りついた黒い髪、そこから覗く紅潮した頬、そして涙に濡れた大きな瞳。
 日頃の生意気な態度からは想像もつかない、耐えるようにただ弱々しくその身を投げ出した比奈の姿は、
アンクの鬱憤を晴らし、その欲望だけが渦巻く心を満足させるのに充分だった。
 比奈の気の強さも、人並みはずれた腕力も、信吾という盾の前では恐れるに足りない。
 そうやってアンクは比奈の躯を手に入れた。
 別に比奈が欲しかったわけではなく、比奈にとって最も屈辱と苦痛を覚えるだろう行為として選んだだけだ。
 殺してはいないし、肉体も最初を除いて傷つけてはいないのだから、映司に文句を言われる筋合いもない。
 卑怯者と力ない声で罵る比奈の言葉さえ心地よく、昼間の比奈の暴力すら可愛いものだと思える。
 なんて楽しい。
 なんて愉快なのだろう。
 速い呼吸に合わせて上下する乳房にくちづけて、その頂点を口に含んでもてあそぶと、紅を刷いた白い躯が
震えるようにびくりと跳ねる。
 すらりと伸びた足がもどかしげにベッドを蹴り、シーツの上に艶やかな波を描いた。
 赤く濡れた口唇からは切なげな喘ぎと吐息がとめどなくこぼれている。
「比奈」
 アンクは努めて低い声で名を呼び、比奈の注意を自分に向けさせてその顔を覗き込んだ。
 潤んだ双眸にアンクの姿が映る。
 アンクの目に映る比奈の姿は、彼女の瞳に、そして心にどう見えることだろう。
 兄の仇と憎む怪物に抱かれ、乱され、快楽に溺れる比奈自身の姿は。
 大切な兄を守る為に、比奈は怪物にその身を差し出しただけでなく、兄妹で愛し合うという罪を犯し、
自らがアンクに加担する恰好で信吾にも同じ罪を背負わせた。
 その苦悩と葛藤がどれ程のものか、人ならぬアンクは知る由もない。
 ただ、自らの行為に苛まれ苦しむ比奈の姿はそれだけで酷くアンクを酔わせた。
 絶望と希望の間を揺れ動くその心が、傷ついて涙に濡れるその顔が、世界に見捨てられたように頼りなく、
兄の躯を持つアンクに縋りつくしかないその姿こそがアンクの快楽だった。

189アンク×比奈 2/2:2010/12/19(日) 19:32:01
 だからアンクは、時に比奈を手酷く扱い、時に信吾を真似てやさしく振舞ってみせる。
 穏やかな声で比奈の名を呼び、大きな手のひらで頭を撫で、羽根のような愛撫で快楽を与える。
 比奈にとってはアンクから与えられる快感が同時に苦痛であることを知って尚、比奈の心を惑わせ、
その躯がアンクから離れられなくなるように。
 アンクは、何かから逃れるようにシーツを固く掴んだ比奈の手を取り、自分の首にしっかりと絡ませてから
激しく腰を揺すった。
 耳許で比奈が声を上げる。
 熱い吐息が掛かる。
 もっと啼いてみせろと心の中で命じながら、何度も腰を打ちつけて比奈の中の欲望を煽った。
「あ……アン、ク……っ」
 比奈がアンクの名を呼ぶ。
 そうするようにとアンクが言い聞かせたからだ。
 比奈の口から他の男の名は聞きたくない。
 比奈に他の男の名を呼ばせたくない。
 信吾は勿論、例えばそう、映司の名も。
 アンクの脳裏を、映司のまっすぐな眼差しがよぎる。
 比奈と信吾を守る、と映司は言う。
 その言葉と想いが本気で、本物だということは知っている。
 だからこそ面倒で厄介なのだ。
 だが――と、アンクは映司の必死な表情を思い出し、鼻で嗤った。
 だが、どうやって守る?
 既に比奈はこの手に堕ちているというのに。
 俺の勝ちだとほくそ笑むアンクだが、しかしその端から或いはという疑念が湧き上がる。
 或いは映司なら、アンクから比奈を救い出し、宣言通りに守り抜くこともやってのけるのではないかと――。
「比奈……」
 奇妙な焦燥感に駆られ、アンクは比奈を抱く腕に力を込めた。
 声には出さず呟く。
 映司などに守らせるものか。
 比奈は俺のものだ。
 俺だけのものだ――。
「アンク……っ、ア……ン、ク……アン……」
 譫言のように繰り返される比奈の声がアンクの興奮を加速させる。
 流れる涙ごと比奈の頬に喰いつくようなキスをして、アンクは自らの欲望を解き放った。

190名無しさんが妄想します:2010/12/19(日) 21:34:00
>>187 おつ!転載いってくる

191190:2010/12/19(日) 21:37:56
>>187転載終了!>>188の6行目が好きです

192187:2010/12/19(日) 22:06:21
>>191
早々の転載ありがとうございます。
お手数お掛けしました。

好きと言って頂けて嬉しいです。
照れますな。

193名無しさんが妄想します:2010/12/24(金) 23:36:23
メリクリ。
今だ規制中の俺です。
本スレのクリスマスネタに便乗してしつこくDCD海夏で即興で書いてみました。

まあ、長編海夏の延長な感じで読んでくださると嬉しいです。
いつもの如く海夏嫌いな方はスルーでよろ。
では、次から。

194クリスマス(海夏)2/1:2010/12/24(金) 23:38:14
今日はクリスマスイブ。
最近、顔を出してない彼は、来てくれるのかな………?
聖夜なんだから、今日くらいは来てくれますよね……?





はぁ…………

12月24日。聖夜の光写真館。
いつものメンバーで開いたクリスマスパーティーが終わり、片付けをしながら彼女は一人、溜息をついた。
「やっぱり………来ませんでした……」
ソファーで酔い潰れている士とユウスケに毛布をかけて、また溜息。

「ごめん、今回はしばらく帰れそうにないんだ。でも、イブにパーティーするんだよね?それまでには帰ってくるよ」
一ヶ月前そう言って、家を出たのに。
「パーティー、終わってしまいました……大樹さん……」
カチャ………
静まり返った部屋に、食器を重ねる音が響く。
「大樹さんの馬鹿………」
そんなに放っておいたら、私、浮気しちゃいますよ……
むぅ……と、口を尖らせて呟いたその時。

「それは、困るな」

空間が歪んで、聞き間違えるはずのない男の声が聞こえた。

ドキンッ……!

「夏海は僕の大事なお宝なんだから、他の誰にも渡さないよ」
「大樹さん!」
「間に合っては………ないみたいだね……ごめん、遅くなって」
オーロラから姿を見せた海東が、バツが悪そうに苦笑しながら言った。
「遅すぎです。ケーキも御馳走も、ぜーんぶなくなりました!」
ぷいっ……と、そっぽを向いて冷たく言い放つ夏海。
「ごめんね。許してよ、なーつーみ」
「知りません!」
ツーン!!
すっかり機嫌を損ねてしまったお姫様を、どうすれば笑顔に出来るか。


王子様なら知ってますよね……?


「夏海、ごめん。今まで帰って来れなかった訳を話すから、ついて来てくれないかい?」
「………………」
「お願いだよ」
ね?
と、必死に言ってくる海東に、「べつに……良いですけど……」と、仕方がないふうに夏海が折れた。

195クリスマス(海夏)2/2:2010/12/24(金) 23:39:38
「はい、もう良いよ夏海。目、開けて……?」
海東に頼み込まれて、違う世界にきた夏海。
「僕が良いって言うまでは、目を開けたらダメだよ?」
と、言われて素直に瞳を閉じたまま、海東に連れてこられた場所は……

「凄い………綺麗です……!!」
夏海は綺麗に飾られた部屋に連れてこられていた。いや、それにも驚いたがそれより。
「凄いだろう?どうしてもクリスマスイブに、この景色を夏海に見せたかったんだ」
その、部屋の大きな窓から覗く夜景が声も出ないくらいに美しかった。
夜空に煌めく星と、街灯。そして、一際輝いているクリスマスツリー。
「じゃあ、ここって……?」
「そう、僕の世界」
夏海の言葉に、海東が笑顔を見せた。
「ここ、兄さんの家なんだ」
「えっ……?」
「前にここに来た時、この部屋使わせてもらったんだけどさ、夜景がすごく綺麗だったんだ。だから……」
「そうなんですか」

でも

「だからって、どうしてこんなに……?」
帰って来れなかったのか。まだその答えが結び付かなくて不思議な顔を見せた。
「………に…………兄さんの仕事を手伝ってた」
「えっ……?」
「兄さんに一日この部屋を使いたいって頼んだらさ、俺の仕事を手伝ったら部屋を好きなように使わせてやる……って」
どうにも言いにくそうに伝える海東。
以前、この世界で平和を守るために14に仕えていた事が災いした。
純一の仕事の補佐や、海東が昔作った教育プログラムの改善。揚句に新人の指導まで。
ここぞとばかりに海東に仕事を言い付ける純一。おかげで、やることは次から次にあった。
「まったく……教育プログラムなんて今確認してみると、理想ばかりでさ………」
頭を掻きながら、少し愚痴を零している海東に、夏海が尋ねる。
「だから、帰ってこられなかったんですね」
「うん……まぁ……」
「なんだか意外です。大樹さんがお仕事なんて」
「酷いな」
海東はそう言うが、嫌な気はしていなかった。何故なら、夏海が振り返って海東に見せたその顔が、零れんばかりの幸せそうな笑顔だったから。
「ありがとうございます。大樹さん。こんな素敵なクリスマスプレゼント貰えるなんて……」
よかった。機嫌がなおって………
その笑顔を見て胸を撫で下ろす海東。どうやら王子様の魔法はちゃんとお姫様を幸せに出来たらしい。
「喜んでもらってよかったよ。じゃあ……僕も、クリスマスプレゼント……貰うよ……?」
窓に手を添え、夜景を見つめてる夏海の髪を撫でる。
「えっ?でも、私、プレゼントなんて……」
「僕にとって最高のプレゼントは―――」
綺麗な髪を耳にかけて、そのまま頬に手を添えて。
「君だよ……夏海……」
その唇が、ゆっくりと静かに重なった。



※※※※※※※※※※※
即興で書いたんで山無し意味なしオチ無し……

しかも、エロくもなくてごめんなさい。

転載は遠慮します。ではでは!

196名無しさんが妄想します:2010/12/25(土) 11:41:19
>>193さんは最高です!もう長編海東は
自分の世界に定住して夏海を嫁にすればいいのに…
…お宝大好きだから無理か……

あと>>194の名前欄は2/1じゃなくて1/2な!

197名無しさんが妄想します:2010/12/25(土) 21:15:44
>>196
よく聞こえないな。もっとはっきり言いなさい(753か)


夏海を嫁に〜
のとこを読んでいたら、海東はきっと夏海が妊娠でもしないかぎりケコーンはしないだろうなぁとか思ったww
と、言うか、そんなのが書きたくなったじゃないか、どうしてくれるww

198名無しさんが妄想します:2010/12/25(土) 23:10:27
>>197さんは最高です!妊娠結婚編を全裸待機してます!!」

199名無しさんが妄想します:2010/12/29(水) 11:46:10
ども、規制どころか、ネット環境が携帯しかなくなった、通りすがりの海夏書きです(言い切った!!)

海夏妊娠話に萌えて書いてみました。
相変わらずエロ無しでダラダラ長いです。
流石に即興では書けませんでした。

では、相変わらず海夏嫌いな方はスルーでお願いします。

200海夏妊娠話1:2010/12/29(水) 11:48:59
どうしよう……………

洗面所の前で、夏海が何かを手に不安げな表情を浮かべて呟く。

大樹さんには言えない……こんなこと……
でも、どうすればいいの……私……

いくら考えても答えは出ない。
夏海はため息をついて、それをごみ箱に捨てる。
彼女が持っていたそれは妊娠検査薬。
それに示されていた結果は―――

陽性。







それから数日経ったある日。
「夏海ちゃん、最近元気ないね?どうしたの?」
「えっ?そんなことありませんよ?」
士も栄二郎もいない時、夏海の様子がおかしいと感じたユウスケが、夏海に尋ねる。夏海は、内心ドキンとしたが、笑顔で答えた。
「最近あいつ来ないもんね。やっぱり海東がいないと寂しい?」
少し、からかうつもりで言ったのに、その夏海は海東の名を出した途端、泣きそうな顔になった。
やはり、海東の名前を出されると弱ってしまう。
「………夏海ちゃん……?」
いつもなら、「そんなことありません!」とムキになるのに。いつもと違う夏海の様子に、ユウスケは怪訝な顔をした。
「おい、夏みかん。お前が元気がない原因はこれか?」
と、そこに士がやって来て、夏海が使った検査薬を取り出した。
「士くん!!どうしてそれを!!」
「知られたくないなら、こんなモン普通に捨ててんじゃねぇよ」
呆れたように溜息をつきそう言う士に、夏海は黙ってしまった。





「妊娠四ヶ月?」
「はい……」
ユウスケの言葉に返事をして、視線を落とす夏海。
先日、自分で検査をしたが、やはりそれだけでは不安で、病院で調べてもらおうと思った夏海。でも、祖父に一緒に来てほしいなんて言えるはずがない。いや、妊娠したかもなんて事が言えるはずかない。色々考えた末、すごく勇気がいったが一人で病院に行った。
「おかしいな……って、思ってたんです……その………ずっと………なかったし………」
自分のそういうことを話すのは、やはり恥ずかしいのだろう。俯き、耳まで赤くして言う夏海。流石に二人とも、何が?と、そんな野暮なことは聞かなかった。
「夏海ちゃん。それ、海東に言わなきゃ……!」
夏海は首を振る。
「どうして?だって、その子は海東の……!」
「駄目です!!絶対に駄目!!赤ちゃんができた……なんて……」
そんなことを伝えたら、きっと海東を困らせてしまう。それに、こんなことで自由な彼を縛り付けたくはないから。
だから。
「大樹さんには何も言わないでください」
「言わないで……って、夏海ちゃん!!どうするの!!」
ユウスケが眉を寄せて夏海に尋ねるが、彼女は何も答えずに立ち上がった。
「病院……行ってきます……」
「病院って………まさか……夏海ちゃん!!!」
嫌な予感がしてユウスケは夏海の後を追う。
「夏海ちゃん!!待って!!夏海ちゃん!!」
次第にユウスケの声が小さくなり、そこには士が一人残された。
夏海は海東には秘密にしておいてくれと言っているが、そのまま放っておけば、否応なしに海東にわかってしまう。
と、言う事は。

きっと、夏海は………

「納得いかねぇ………!!」
一人考え、苛立ちを含み呟く。その床には、夏海が今向かっているだろう産婦人科の診察券が落ちていた。

201海夏妊娠話2:2010/12/29(水) 11:49:36
二人が出てからしばらくして。

「やあ、こんにちは」
何も知らない海東が、笑顔でやってきた。
「あれ?士だけ……?」
きょろきょろと、部屋を見渡して言う。
「あぁ……」
ぶっきらぼうに答える士。
「またお宝か……?」
「あぁ、今回も素晴らしいお宝が手に入ったよ」
士の問いに笑顔で言う海東。
「………………」
海東は知らないから仕方ないのだが、その笑顔に次第に腹が立ってきて、士はガタンと立ち上がった。


夏海があんなに悩んでいるのに、いつもこいつはお宝、お宝。一体何をしてんだ!!


「おい、海東!ちょっと来い!!」
乱暴に海東の腕を掴み、引っ張る士。いきなりの事に海東は怪訝な顔をした。
「ちょっと、なんだい士!離したまえ!!」
「るせえ!!いいから来い!!」
海東の抗議を無視して、彼を外まで引っ張り出す士。
「……っの、馬鹿野郎が!!」
バキィッ!!!と、派手な音が響き、海東が勢いよく倒れる。
手加減無しの本気のパンチだ。
「いきなり……何を!!」
海東の口の端から血が流れていた。いきなり殴られて訳がわからないふうだ。
「るせえ!!夏みかんの事、いつまでもフラフラしてんな!!」
「夏海の……?」
流れた血を拭い、首を傾げる。
「おまえ、あいつが今どんな思いでいるか、一人でどれだけ悩んでるか、わからねぇだろ」
「……?何の事だ…………?」
「自分で夏海に聞いてみろ。これ以上、あいつ放っておいたらお前がしたみたいに掻っ攫うぞ」
士はポイと、海東に何かを投げつけた。
「…………?」
眉を寄せて、士が投げたそれを不思議そうな顔で手に取って見る。それが何か、認識できた途端、ガバリと身体を起こした。
「今、夏海はっ?」
「病院だ。随分思い詰めた顔してたぞ」
「有難う、士!行ってくる!!」
立ち上がり、走り出す。
「お前っ!どこの病院か知ってんのか?」
「産院片っ端から叩く!!」
くるりと振り返りいつものように指鉄砲を撃つ仕種を見せて、走っていった。
途中、足をもつれさせ、倒れそうになっている。
「ったく、馬ー鹿……」
夏海が忘れていった診察券をヒラヒラさせて、海東の背中を見送る。
まあ、尋ねられても元から教える気なんかなかったが。

あいつ、あんな焦るくらいは想っているのか……

「喜べよ、夏みかん……」
海東はお前が思ってるより、ちゃんとお前の事愛してるよ。
「あーあ……何やってんだかな、俺……」
士は嘲笑を浮かべて呟いた。

202海夏妊娠話3:2010/12/29(水) 11:51:37
ユウスケは夏海の後を追い、そのまま産婦人科まで来ていた。
ここに来る途中も、ユウスケは何度も夏海を説得したが、彼女は黙ったままだった。結局は、受付を済ませてそのまま診察を待っている。
それにしても、男の身で産婦人科に来るのはかなり肩身が狭い。お腹の子の父親でもないから余計に。
それでも、夏海を放っておくわけにはいかない。
「ねえ、夏海ちゃん。赤ちゃん、どうすりつもりなんだ?」
「………………」
「ねぇ、夏海ちゃん……もしかしてさ………」
ユウスケが言わんとする事を察したのか、夏海はスカートをギュッと握りしめた。
「今日……予約しようと思います」
「駄目だよ!!!!!」
ユウスケはガタンッと立ち上がり声をあげる。しかし、周りから一斉に睨みつけられて、慌てて座った。
「駄目だよ、夏海ちゃん。これは夏海ちゃんだけの問題じゃないよ?一度で良いから海東に話さないと」
相変わらず首を横にする夏海。
「大樹さんに……迷惑がかかるから………」
そして、震えた声で言う。
「大樹さん……自由な人だから……私に赤ちゃんが出来たなんて知ったら……邪魔になるじゃないですか……」
「夏海ちゃん………」
「そんなの……駄目……大樹さんの重荷になるの……嫌だから………だから、こうするのが……一番良いんです……」
だから、堕胎する………と、そう言う夏海の表情は、今にも泣きそうで。本心ではない事が伺える。
確かに、海東は今でも自由奔放で、相変わらずイマイチ掴み所がない。いつもの表情の裏側にある、その本心は滅多に見せない。
だけど。
夏海の前だとそのスタイルは全部崩れ去る。
と、言うことは、それくらい夏海の事を想っていると言うことで、赤ちゃんが出来たからって迷惑がることなんてない。と、そう思うのに。
「そんなことないと思うよ?夏海ちゃんが思うより海東は………」
「光さん、光夏海さん」
その時、看護士が夏海の名前を呼ぶ。
「はい」
「夏海ちゃん待って」
ユウスケの声を無視して、夏海は診察室に入った。





「夏海ちゃん……」
待合室でユウスケは一人、そわそわしながら夏海を待っていた。本当なら、無理やり夏海を家まで連れて帰りたいくらいだ。しかし、仲間ではあるが、夏海の妊娠とは無関係な自分が口を出す問題ではない。
いっそ、漫画みたいに海東が駆け付けてくればいいのに……と、都合のよい考えがよぎったその時。
男が一人、病院に駆け込んできた。
「……………?」
必死な形相で入ってきたのは海東だった。彼は、息を整える隙もなく、受付に尋ねる。
「すみませ……こちらに光なつみ……」
漫画みたいなことが起こった!!
一体どれだけ走ったのか、息を切りながら尋ねている海東にユウスケが呼び掛けた。
「海東!!」
その声に海東が振り返る。
「小野寺くん!じゃ、ここに夏海も?」
「ああ!今、ちょうど診察受けてるけど、夏海ちゃん、とんでもないこと考えてる!」
「まさか……!」
ユウスケの言葉の意味を察して、険しい表情を見せる海東。「うん」と頷くユウスケ。
「お前が止めてくれ!!」
「うん」
海東は慌てて診察室に向かった。

203海夏妊娠話4:2010/12/29(水) 11:54:43
「どう?悪阻とか始まった……?」
診察室では、先生が見ていたカルテを置いて夏海に尋ねていた。優しそうな、雰囲気の良い女医だった。
「いいえ、まだ……」
「そう。じゃ、エコー見てみましょうか?そっちに寝てくれる?」
「はい」
夏海は、言われたとおりにベッドに横になる。
「失礼します」
看護士が夏海のお腹を出すと、女医はエコーを当てて、赤ちゃんの様子を見る。夏海も一緒に、ふよふよと浮き動いている赤ちゃんを見て、心音も聞いた。
「………うん、赤ちゃんは元気に育っているわ」
「そうですか……」
「……で、この前は迷っていたけど、結局どうするの?」
「………………」
自分の中で懸命に動く小さな姿を見て、正直、涙が出るほど愛おしさが込み上げた。
愛する海東との子供だ、産みたくないはずがない。
でも、考えを変えるわけにもいかないのだ。
「まだ、結婚はしてないのよね……子供のお父さんには相談したの……?」
「……………いいえ……」
「言えないような人なの……?」
また、俯き黙ってしまう。溜息をつく女医。
夏海は、一度深呼吸して顔をあげた。
「あの……先生……!私…………堕ろそ……」
「ちょっと待って!夏海!!」
ガラッと勢いよくドアが開き、海東が夏海の言葉を遮った。
「大樹さん!!」
「もしかして、あなたが赤ちゃんのお父さん?」
「そうです!僕が、赤ちゃんの……父親……です!」
「………!!」
突然の、海東の出現に言葉が出ない夏海。いや、それだけではなく、自分が父親だと女医にはっきりと告げたことにも驚いた。
海東は、ハァハァと肩で大きく息をしていて、走ってきたのだとわかる。彼は病院を知らないから、きっと、いろいろ探し回ったのだろう。
「夏海っ!!ど……どうして、僕にっ……何も言わないんだ!!」
夏海の肩を掴んで言う。まだ、息が乱れていてしっかり話すことが出来ない。
「大樹さん……だって……」
「だってじゃない!!僕に……内緒で……赤ちゃん堕ろすなんて、絶対……許さないからな!!!」
「大樹さん……」
海東は女医に向かい、まっすぐ見つめた。
「先生!!赤ちゃん……産みます!ぜっ……絶対産みますから!!いいよね、夏海!」
「だい……き……さん……」
思いがけない海東の言葉に、夏海は涙ぐんで、こくんと頷いた。



※※※※※※※※※※

ごめんなさい、また続きます。
次の投下で終わりますのでしばしお待ちを。

204海夏妊娠話5:2010/12/31(金) 22:16:23
大晦日にこんばんは。
夏海妊娠話しが書き終えたので投下します。
海夏エロ無しです。嫌いな方はスルーで。


※※※※※※※※※※※※



「夏海……」
「……はい……」
「僕、まだ怒ってるからね……?」
「…………」
産院から三人で帰ってきてから、海東と夏海は二人きりで部屋にいた。
夏海はソファーに座り、その向かい合わせに海東が跪いた恰好で彼女を見つめている。
「夏海……?どうして僕に何も言ってくれなかったんだい?」
そのまま尋ねる海東に、夏海は黙ってしまった。
「……………」
今まで夏海を抱くときは、避妊をしたことがなかったから、いつかはできるだろうと思っていた。
それくらいは覚悟していたのに、夏海は違ったのだろうか……?
「赤ちゃん、いらなかったの……?僕との赤ちゃんは迷惑だった……?」
夏海は首を横に振る。
折角できた、一番好きな人との赤ちゃんを、産みたくないはずがない。
「じゃあ……どうして?」
「……………」
「夏海……?」
海東は夏海の手を握り、まっすぐ見つめてくる。
「……………だって…………」
夏海は、重々しく口を開いた。





あの後、夏海を連れて診察室を出ようとした海東だったが、「折角来たんだから」と、女医が海東にエコーで赤ちゃんを見せてくれた。
「……………っ…!!」
まだ全然目立たないお腹の中で、懸命に動いている小さな赤ちゃん。夏海の胎内に確実に息づいている小さな命を見て、海東は感動して思わず涙を流した。
「じゃあ今度は、何もなかったら一ヶ月後に来て?あ、もう母子手帳も貰える時期だから貰いに行ってね」
「はい。ありがとうございました」
どこか嬉しそうにそう言う女医に海東は頭を下げて、夏海を連れて診察室から出た。
「夏海ちゃん、海東!」
相変わらずそわそわしながら二人を待っていたユウスケだったが、診察室から出てきた夏海はとても幸せそうで、良い方向に落ち着いたのだ胸を撫で下ろした。だが、反対に、目が赤くなっている海東を見て、不思議な顔をした。
暫くの間海東は、それをネタにされ笑われる羽目になる。





「大樹さんに……迷惑がかかるから……」
「…………?」
「初めてわかった時は……嬉しかったの……」
そうだ。嫌なはずがない。
士との時もそうだったが、できても良いと思って海東に抱かれていた。
好きな人との子供だから、困る事はない、と。
だけど、良く考えたら。
「でも……私、どうしようって……大樹さんには言わないほうが良い……って……」
「どうして……?」
「大樹さん、いつも言ってるじゃないですか……自由を奪われるのが一番嫌だ……って……」
「……っ!!」
目を見開く海東。
「赤ちゃんができたなんて言ったら……大樹さんを縛ることになるから……きっと……私の事、重荷になる……」
夏海の言葉に、何も言えなくなる。重荷だなんて、そんな風に思ったことなどない。例え夏海に赤ちゃんができたとしても。
「そんなの嫌だから……」
「………………」
「だから……わた……し……」
そう言う声が、涙で震える。
「夏海………」
「わた……し………あかちゃんを………」
堕ろそうとした。そう言う前に、耐え切れなくなったのか、涙がポロポロと零れ落ちた。

205海夏妊娠話6:2010/12/31(金) 22:17:03
「……………」
そんな姿を見ていたら、怒っていた自分が情けなくなってきた。以前、夏海から自分はダメな男を好きになる、と、言われたが、そこまでダメな男だと思われていたとは……
しかし、夏海を責めるわけにはいかない。いや、そう思われても仕方ないことばかりしてきた。
士の言う通りに、いつもフラフラして夏海を一人放っているのは事実。でも、離れていても心は強く結ばれていると思っていた。だが、それは、自分勝手な思い込みで、本当は夏海をこんなにも不安にさせていたのだ。
赤ちゃんが出来たのに、誰にも相談できずに一人で悲しい決断をして、どれだけ辛かったか……
「なつみ………」
海東は立ち上がり、泣いている夏海の頬をその手で包み、胸に抱き寄せた。
「ごめんね……夏海……」
「だい……き……さん……」
夏海は震える手で大樹にしがみついて、嗚咽を漏らした。
夏海の背中を宥めるように撫でながら、今までの事を思い返す海東。
宝を捜し当て、写真館に戻るといつも笑顔を見せてくれていた夏海。今まで、少し拗ねられたことはあったが、宝を探しに旅に出るのを引き止められた事も、本気で責められた事もなかったから。
だから。
「夏海は、僕がどんなに長い間いなくなってもいつも優しかったから、僕の事わかってくれてるって、思ってたんだ……僕、ずっと夏海の優しさに甘えてた。寂しかったね……ごめんね……」
「だいき……さ………」
「馬鹿だ……僕。そんなふうに夏海を苦しませて、本当に……ごめんね。夏海」
申し訳ない、と切に思った。
「僕達の赤ちゃん……産んで……くれるよね……?」
細いの肩に手を置き身体を離して、今だ涙を流している夏海に尋ねる。産院でも夏海に聞いたけど、もう一度、確認。
「はい……」
「ありがとう、夏海」
海東は、夏海の涙を拭いキスをして、強く抱きしめた。
その時、海東にある決意が浮かび上がる。それは、今までも考えたことはあるが、まだずっと先の事だと思っていた。
でも、僕達の子供なんて、これ以上ないお宝が手に入る今、迷うことはない。
今度こそ、トレジャーハンターは廃業だ。
「夏海」
「はい……」
次に発する海東の言葉に、やっと落ち着いた夏海は号泣することになる。




「結婚しよう……結婚、してください。夏海」

206海夏妊娠話7:2010/12/31(金) 22:18:49
夏海が海東の求婚を受けて一ヶ月が経った。
「夏海、大丈夫?ゼリー作ったけど、食べられるかい?」
「平気……ありがとう……」
海東は、ベッドに横になっている夏海の身体を起こして器を渡す。夏海は悪阻が始まり、食べたらすぐに吐いてしまいほぼ一日中気分が悪くなっているため、殆どの物が食べられなくなっていた。
「どう……?」
「美味しいです。これなら食べれそう」
ゼリーを一口食べてから、ありがとう。と、青白い顔で微笑む。
この時夏海は、妊娠五ヶ月に入っていた。
あの時、結婚を決めた二人だったが、実はまだ結婚式を挙げてはいなかった。本当は、夏海のお腹が目立つ前に、式を挙げようと思っていたのだが、先の騒動から数日して夏海の悪阻が始まり、それどころではなくなった。
結局は、入籍だけ済ませて、赤ちゃんを産み、落ち着いてから式を挙げようと言うことになった。
違う世界に住む二人が、本来入籍できるはずがないのだが、海東が結婚を決め、兄純一に二人で報告に行った所、純一の方から話しを持ちかけてきたのだ。夏海の戸籍を手に入れる、その条件として純一が言ったのが、海東が自分の世界に定住し、純一の補佐になることだった。
それを聞いていた夏海も、良い話しだとは思った。しかし、それは栄次郎と離れることになる。だから、夏海は少し迷い、すぐに答えを出せなかった。だが、住む世界は別になるけど永遠に逢えなくなるわけじゃないから、と、栄次郎に背中を押されて純一の話しを受け入れた。
だから、今、夏海は海東の世界の人間となっている。
あれから海東はと言うと、本当にぱったりと他の世界に行くことはなくなった。夏海は、一度だけ海東に聞いたことがある。本当に旅に出なくていいのか?と。
すると海東は、「ここに夏海っていう大事なお宝があって、あともう一つ、どこに行っても手に入らないお宝が手に入るのに、どうして旅に出なくちゃいけないんだい?」と不思議な顔をして、反対に尋ねてきた。それからは、一度もその質問をしたことはない。
今、海東は、光写真館に夏海を残し、兄の仕事を覚えるべく純一の手伝いをしている。
そう、二人はまだ光写真館で生活をしている。だが、子供を産み、落ち着いたら海東の世界に移り住む予定だ。






そして、出産予定日より三日が過ぎた日。とうとう、夏海に陣痛が始まった。
産院に着き、分娩室で陣痛の間隔が縮まるのを待つ夏海。最初は弱かった痛みも時間が進むにつれ次第に強くなってくる。今まで体験したことのない痛みに、苦しい、早く抜け出したい。そんな思いばかり頭に浮かんでいた。
「頑張って!夏海」
そんな夏海の手を、海東は強く握り締めた。



その瞬間は、海東と夏海、若い夫婦にとっては待ち遠しい事だっただろう。悪阻は酷かったが、出産自体は特に問題無く、夏海は元気な赤ちゃんが産んだ。それはそれは、夏海によく似た可愛らしい女の子だった。
名前は、生まれる前から決めていた。二人の名前から取って「夏樹」と。
二人は、手探りながらも精一杯の愛情を注いで夏樹を育てた。
特に、海東が夏樹を可愛がりすぎな感があり、それはもう夏海が妬くのではないかと言うほどの溺愛ぶりで、正直、周りは少し引いていた。

207海夏妊娠話8:2010/12/31(金) 22:25:19
そして、夏海の出産から一年後―――


ある晴れた日。街中の小さなチャペルで、一組のカップルが結婚式を挙げる。
そこには、もう数人の招待された人達が座っていた。その中には、懐かしい顔も見られた。

その、控室。

今日の主役である新婦が既に着替えを終えて、椅子に座っている。上品なレースがあしらわれたシンプルなデザインのウェディングドレスとベール。
それは、美しい花嫁姿の夏海だった。
コンコンと、控室のドアがノックされる。
「夏海、海東くんとユウスケくんが来たよ」
「はい、おじいちゃん」
返事をすると、まず栄次郎が入ってきた。
これより前に、栄次郎と二人きりの時、挨拶をした夏海。栄次郎は今さら、と笑ったが、本当は今までの事が思い出されて、二人とも少し泣きそうになっていた。
「夏海……」
そして海東とユウスケが入ってくる。
「大樹さん……」
「綺麗だよ、夏海」
「……ありがとう」
少し恥ずかしげに頬を染めながら言う夏海。彼女も、初めて見る海東の正装に、実はときめいていた。
「ホントに綺麗だよ、夏海ちゃん」
「……ありがとうございます。ユウスケ」
「夏樹ちゃんも可愛いね」
夏海の傍で立っている、可愛らしいピンク色のドレスに身を包んだ夏樹を見て、ユウスケが頭を撫でる。夏樹は嬉しそうに笑っていたが。
「小野寺くん!僕達のお宝に気安く触らないでくれないか」
海東がユウスケの腕を掴んで言った。いまだ溺愛ぶりは健在である。
「大樹さん、止めてください!」
「夏海、だって小野寺くんが」
「だって、じゃありません!いい加減に、そんなみっともない事するの止めてください!」
「………………」
夏海に言われては何も言えなくなり、海東はふて腐れた。そんな海東に、ユウスケが耳打ちする。
「お前、意外と尻に敷かれてんのな」
「煩いよ、小野寺くん」
吐き捨てるように言い、ふい、そっぽを向いた。
その時。
「馬子にも衣装ってホントだな」
控室のドアが開き、男の声が聞こえた。
「士くん!!」
「よう」
それは、士だった。
彼の姿を見て、そこにいる四人はホッとした。士に招待状を渡した時、「俺は絶対行かねえ!」と、言っていたからだ。
「士くん、ありがとう」
「勘違いするなよ。俺はただ、緊張してガチガチになってるあの馬鹿を、笑ってやりに来ただけだ」
海東を指差しぶっきらぼうにそう言う姿を見て、照れ屋な士らしいと夏海は微笑む。
純白のウェディングドレスを身に纏った夏海を見つめ、士は素直に綺麗だ、と思った。
正直、自分ではない男の隣に、その姿で夏海が立つとは思ってもいなかったが。
「まぁ……あれだ……」

おめでとう

士が小さく呟き、少しだけ、二人の時間が止まる。
見つめ合う二人を、ユウスケと海東はただ黙って見ていた。
「おい、海東」
「何かな?士」
「テメェ、一発殴らせろ」
士が海東に向かい合い、乱暴に胸倉を掴んで言う。周りの空気が一瞬固まった。
「ベタ過ぎるね。だが断る」
しかし海東は、笑顔で士の腕を掴んで振り払った。
「それは普通父親の台詞だ。それに、君にはもう、二年前に思いっきり殴られたからね」
「馬鹿か、あれはあれだ」
「でも、あれで目が覚めたよ。ありがとう、士」
「別に、お前のためにしたんじゃねぇよ」
やはり、ぶっきらぼうに言う。そして、夏海を見た。
「おい、夏みかん」
「はい……?」
「海東に飽きたらいつでも戻ってこいよ。夏樹も一緒に面倒見てやる」
「なっ……!何を馬鹿な……」
「わかりました」
「えぇっ!!ちょっと、夏海!!」
思ってもいなかった夏海の言葉に、海東が夏海に詰め寄る。
「大樹さんに飽きたら……ですよ」
クスクス笑いながら、海東に言う夏海。
「飽きさせないようにしないとなぁ、海東」
「あ……当たり前だ!おかしなことを言わないでくれたまえ!」
ポンとその肩を叩いて言うユウスケの手を振り払い、ムキになって言い返す海東。その様子が可笑しくて、皆が笑っている中、栄次郎に抱かれていた夏樹も一緒になって笑っていた。

コンコン

「海東さん、そろそろはじまります」
「はい」


さあ、そろそろ式が始まる。

208海夏妊娠話9:2010/12/31(金) 22:27:20
教会のドアの前。入場を待つ夏海と栄次郎。夏海は栄次郎の腕に、自分の腕を絡める。
「おじいちゃん………」
「ん……?なんだい、夏海……?」
もう、こんなふうに栄次郎と一緒にいることはできない。少し寂しいけど、これからは新しい世界で、新しい家族との、新しい生活が始まるのだ。
「んーん、なんでもありません」
夏海は首を振った。
「では、入場してください」
大きく教会のドアが開いた。
「さぁ、いくよ、夏海」
「はい。おじいちゃん」
パイプオルガンの曲が響く中、二人は一歩を踏み出した。
その曲に合わせて二人がゆっくりと歩く。祝福してくれるのは、古い友達と、今まで旅をした、色んな世界で知り合った人達。

そして。

一歩一歩、中央通路を二人で歩を進ませ、夏海が見つめるその先には――――


「夏海」
祭壇の前で、正装した海東が夏海を見つめている。
海東との距離が縮まり、二人は海東と向かい合う。
「じゃあ、夏海を頼みましたよ海東くん」
「はい」
海東は、栄次郎に深く頭を下げて夏海の傍に寄り添った。そして、祭壇の前に立つ二人。
賛美歌の後、誓いの言葉を交わし、指輪を交換する。
「それでは、誓いのキスを」
神父の言葉に、海東がベールを上げると夏海は瞳を閉じる。その肩に手を添えて、静かにゆっくりと唇を重ねた。
それはとても神聖で、美しい口付けだった。
式が滞りなく終わり、皆から祝福の言葉を受けながら退場する二人。その間、二人はずっと手を繋いでいた。





最初は、理解不可能な人だと思ってた。周りを掻き回して、結局はその笑顔で何でも煙に巻いて。
しかも、一番最低な方法で、私を愛していた人から無理矢理引き剥がした貴方。一時期は憎んでいたときもあった。
でも本当は、凄く寂しがり屋で優しい人。その心に触れた時、愛しさが込み上げた。
だけど貴方は、私が思っていたよりも、ずっとずっと私を愛してくれていた。

だから。

貴方に誓います。




お宝以外、何もなかった僕が初めて愛した君。
でも、愛し方がわからない僕は、散々君を傷付けて、許し難い罪を犯した。
それでも君は、僕を選んでくれた。こんな最低な僕を。
それなのに、想いが繋がっても尚、好き勝手してきた僕を、見捨てもせずにずっと愛してくれていた。

だから。

僕は誓おう、君と夏樹に。





変わらない、永遠の愛を。




※※※※※※※※※※※※※
これで終わりです。
年を越す前に書き終えてよかったです。
それでは、よいお年を。

209名無しさんが妄想します:2011/01/01(土) 11:50:16
>>199&>204
完結おつかれ!良いお年玉だ、感動的だな
純一兄さんも平穏そうでなにより

210名無しさんが妄想します:2011/01/01(土) 23:39:06
>>208 乙〜完結待ってたよ!

211名無しさんが妄想します:2011/01/14(金) 22:21:30
エロパロ板の694さん乙!

212名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 08:29:36
本スレが書き込めんかった
容量オーバーか
次スレはテンプレどうすっかね

213名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 09:28:20
自分も気づいて今立てようかとしてたとこ。
オーズで考えてみたけど、話し合ってからの方がいいかな?

214名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 10:23:23
現行だしオーズでいいんじじゃないの?

215名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 13:07:31
んじゃスレ立て行ってくる。
不備があったらフォローよろしく。

216名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 13:30:47
立ててきた。

仮面ライダー総合エロパロスレ13
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1295151571/

217名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 13:37:03
>>216 乙!!
しかし、容量オーバーはやいな。
まあ、それだけ投下が多いということで、喜ばしいことだな。うん。

218名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 13:42:26
>>216乙!クスクシエの破廉恥なフェア自重w
規制中なのでこっちで、以下補足と訂正


*ねたバレは前書き警告+空白改行を入れる
*カップリング説明や注意書きは前書きか名前欄に明記推奨

保管庫のパスはsage、プラス保管庫参照。
「現行」とは2010年6月当時の現行TV作品のこと。
環境により閲覧できないことがあります。

219名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 21:12:34
>>218
補足ありがとうございます。
本スレに転記しました。

220名無しさんが妄想します:2011/01/16(日) 21:14:10
>>218
補足乙!
転載してきた

221220:2011/01/16(日) 21:16:23
二重転載しちまった orz
5103に一発バズーカでも打ち込んでもらってくる

222名無しさんが妄想します:2011/01/18(火) 11:33:47
以下エロパロ板の>24宛て


エロパロ板>16と、(年月日じゃなく)月日を合計した『半角8文字がパス』。

パソコン推奨だが、2chDAT落ちスレミラー変換機ver.12
ttp://mirrorhenkan.g.ribbon.to/
とかに過去スレURLを入力して直接読む方法もあるよ。

223規制中なので:2011/01/21(金) 19:04:19
ダブルファイナルステージ&トークショーDVD
個人的見どころ(要約)



・冴子と3人の男達による修羅場!!俺が得した!
 冴子さんエロいよ冴子さん流石です。
・冴子と若菜がムキになってキャットファイト。
・「橋で電話越しに会話するフィリ若」を切なく再現コーナー。
・「橋で電話越しに会話するフィリ若」をなぜか照亜樹で甘酸っぱく再現、
 駆け落ちの相談がプロポーズみたいで燃える。
・「ジーン編ラストで振り切りすぎるキス魔照井」再現でてんやわんや。
・ライアー編で照井が「所長には無理だ」と男役変装させた件、
 所長の安全の為だった旨を説明し和解。
・照井の中の人の撮影思い出話「女性との絡みもありましたし〜etc.」
 亜樹子の中の人「わたしのことですか?!」
 「リリィです」「(´・ω・`)ショボーン」

だめだ、照亜樹の熱愛にばかり注目してしまう

224携帯でエロパロスレに書き込めないのでこちらで:2011/02/08(火) 12:51:16
バレンタインネタに海夏で便乗しようかと思ったら


「〜〜♪」(←チョコ作り中)

「なーつみ、なにしてんだい?」
「あ、大樹さん。チョコ作ってるんです」

「僕の……?」

「はい(真っ赤)」

「嬉しいな…あっ!!」

「え?何ですか?」

「そんな温度上げちゃ駄目だよ!テンパリングは60度くらいか………あー!!いきなり冷やしたら駄目だ!!チョコが分離する!!だからね、夏海。チョコは…………云々」

と、背中からわんわん文句を言ってきて、挙げ句キレた夏海から笑いのツボをくらい笑い倒れる海東が浮かんだ俺………
でも、ちゃんとと完食して夏メロンもいただきます。

よし、後で海夏VDネタでエロ書く!!!

225名無しさんが妄想します:2011/02/08(火) 15:14:49
>>224 海東空気読めwだがそれがいい


海夏DVネタ、と空目して
ヤンデレかと勘違いしたのは俺だけでいい

226名無しさんが妄想します:2011/02/08(火) 20:35:13
>>225
多分、勘違いする人がいると思ったw>DV


まぁ、士→←夏前提で海夏凌辱もネタだけは浮かんでいるがw

227名無しさんが妄想します:2011/02/23(水) 23:10:49
む………なんか、カキコミ出来ないっぽい……

だ……誰か……新しくスレを……!!

228名無しさんが妄想します:2011/02/24(木) 00:41:20
>>227
本スレの話だよね?
板全体が移転したんだよ。

229名無しさんが妄想します:2011/03/01(火) 18:41:54
オンリーで亜樹子本買えてウハウハですよー

そういやエロパロ板>1&>16のテンプレに
「投下終了したら『おわり』だと分かるようにする」旨が書いてないな。
ここで終わりなのか・まだ投下中なのか、状況が分からなくて
感想レス付けられないことあるし、次スレで書き足すか

230名無しさんが妄想します:2011/03/08(火) 23:53:37
また規制くらった……前回は半年だったけど今度はどれくらいだろう orz

>>199
別スレに解凍蜜柑を投げてるのはお前でいいんだよな?
頼む、供養なら本スレかここでしてくれ
あそこじゃレスが入れにくすぎる……

231名無しさんが妄想します:2011/03/09(水) 19:44:12
>>230のおかげで作品投下に気付いた、トンクス

232名無しさんが妄想します:2011/03/10(木) 05:23:37
解凍蜜柑て、上手いこと言うな。てか、美味そうだなww

233名無しさんが妄想します:2011/03/10(木) 23:05:24
結局あっちに投げたみたいだな<海夏

234名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 04:05:27
本スレに投下しない理由がよくわからんな

235名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 12:49:36
未完だからじゃねーの?

236名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 19:46:15
未完にする理由もわからん。
終わりまで考えてるって、書きたいなら書けばいいのに。

237名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 20:55:42
自分もしがない二次SS書きだが、お蔵入りの書きかけブツなら山ほど持ってる
頭の中、もしくはメモ帳にプロットが完全に出来上がっていても
文章力がついていかなかったりして最後まで書き上げられないことは多々あるものなんだよ…… orz


だが、>>199
見ているならせめてあの後のあらすじだけでも教えてくれ!!

238名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 21:32:27
愚痴スレ、裏話スレであれこれ叫んでたよ
住人のアドバイスも要望も無視だし、ひたすら痛いとしか思わんけど

>>237みたいに書けない、書き上げられないってのは判る。お蔵入りさせて一番悔しいのは本人だろうし
でも投げるつもりで他スレ投下は勝手だけど、その前に本スレで需要がマイナーがと誘い受け、
折角興味持ってくれた人がいるのに他スレ投下報告もなしってのはマナーとしてどうかと思う

239名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 21:38:05
投げに投下したのは>>199氏じゃないと思われ(推理)。
根拠はメール欄、199氏は普段なにも書かない

240名無しさんが妄想します:2011/03/11(金) 21:52:20
いや、多分同じ人物だと思う…
文体がまるっきり同じだし

241名無しさんが妄想します:2011/03/12(土) 00:55:13
もうそっとしといたれ

242名無しさんが妄想します:2011/03/12(土) 02:24:01
いくら匿名掲示板でもマナーは大切だよね・・・

243199:2011/03/12(土) 06:19:33
色んな所で騒ぎ立ててしまいすみません。

>>230さん
あの話しの続きの粗筋のほう、別スレに落としてきました。
あれで粗筋と言えるのかどうか、わかりませんが…

今さらですが、230さんのコメ見たとき嬉しかったです。でも、レスしていいのか、書きかけのあれを落としてもいいものか、バカみたいにあちこち書き込んだ揚句、結局どうしたら良いのかわからなくて「あーーーーっ!」ってなってました
正直な所、今書いているこれですら、書いても良いのか駄目なのかわからない有様です
いつまで経ってもこんな調子なら、ここ離れたほうが良いかな思った次第です

最後まで板の皆様に迷惑かけてしまい、どうもすみませんでした

244230:2011/03/13(日) 08:11:42
>>199
トン
細かいレスはそっちに入れとく

245名無しさんが妄想します:2011/03/13(日) 19:46:56
別スレがどこかわかんないよ…

246名無しさんが妄想します:2011/03/13(日) 20:25:48
裏話だ

247名無しさんが妄想します:2011/04/03(日) 20:38:30
とらのあなでメズールとガメル(人間体)の同人誌見つけた

248名無しさんが妄想します:2011/04/07(木) 01:26:34
本スレが士夏祭りで賑わってるうちに自分は規制中なのでここに投げます。
ひじょーにくだらない映司と比奈です。エロなしキスまで。
転載はどっちでも良いです。つまんないと思ったらスルーしといてください。
6スレほど消費。

249映司と比奈:"Love Scene" 1/6:2011/04/07(木) 01:29:05
ショッカーに改造されるシーンの撮影を終えた映司がパンツ一枚の姿でやれやれと伸びを
していると、大幹部役の奇怪なメイクと衣装に着替えた店長が声をかけてきた。

「映司くーん、比奈ちゃん呼んできてくれる?奥の部屋でDVD観てるから」
「DVD、ですか?」
「比奈ちゃんったらライダーのDVDをいっぱい借りてきたのよー、もう何枚も」
クスクスと意味ありげに笑う店長が肘で彼をつつく。
「ライダーの恋人役の勉強したいんだって。映司君もちゃんとラブシーンの練習しなきゃダメよ。
比奈ちゃんも張り切ってるんだから」
「え!?ラブシーン!!??」
驚愕する映司の肩を、後ろから近づいてきた伊達がバシン、と叩いた。
「頼んだぞ火野っ!シーン18!主人公とヒロインのラァーブ・シィーン!」
「なっ!?」
「子供を映画に連れてきたお父さんお母さん達、そして大きなお友達のハートをがっちり掴む
重要なシーンだ!改造される前の主人公とヒロインが熱烈に愛し合うシーンを入れることで
洗脳が解けるシーンが盛り上がる!それにこのシーンが有ると無いとじゃ観客の食いつきが
まるで違うからな!萌えだ、萌えだよ火野!」
伊達はぽかんとしている映司の頭を丸めた台本でポコポコ叩きながら大興奮している。
「しっかり気合入れてけよ!パパとママ達を悶えさせろ!大きなお友達をハァハァさせてやれ!
ハァハァだ!判るか?ハァハァ!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ!ラブシーンなんてそんな俺、無理ですっ!」
「伊達さーん。お父さんへのサービスなら私の衣装、もうちょっと露出を増やしましょ。ほらこの
胸の谷間んとことか脚とか!何なら私がラブシーンやってもいいわよ〜。私、芸術のためなら
脱ぐわ!すごいのぜんぶ見せちゃうわ!ね?」
「え。いや〜それは。良い子のお友達のライダー映画が18才未満おことわりってのはちょっと」
「それは非常に興味深いお話ですね。相手役はお決まりですか?」
いきなりずい、と顔を出してきた真木が二人の会話に割り込んでくる。

映司にはかまわず三人は何だかんだと議論しながら離れていく。青ざめた顔の映司はそんな
彼らの背中を呆然としながら見送った。

「なによ。ライダーにラブシーンなんか無いじゃない」
ショッカー戦闘員姿の比奈は口を尖らせながらリモコンの停止ボタンを押した。
いくつものDVDを早送りしながら観たが、参考になりそうな場面はまるで無かった。
唯一、数字の名前が付いた黄色い目のライダー映画で仮面舞踏会のような場面がありそこは
うっとりと気に入った。だが求めるラブシーンは見当たらない。
子供番組だから当然と言えば当然だが。しかし子供番組ならではの男女の恋愛の見せ方や
演技の範囲が知りたいのだ。普通のラブシーンなら大人向けのドラマを観れば済む。
「困っちゃったなぁ」
まだ借りてないDVDが山ほどあったはず。誰かどのライダーが恋愛描写が多いのか教えて
くれないかな、などと考えていた時。部屋のドアを誰かが遠慮がちにトントン、とノックした。

「はい?」
「あ、あー。比奈ちゃん、いい、かな?」
「あ、映司君。どうぞ」
恐る恐る、といった様子で映司が覗き込んでくる。
「どうしたの映司君。って、やぁん!映司君っ!服くらい着てください!何でパンツのままなの!」
「あの、知世子さんが比奈ちゃん呼んでて。休憩終わったら次のシーンみたいで」
「はーい……あ、映司君」
「えっ、何?」
「どうしよう、あのシーン。わたし、わかんなくて。どんな感じでやればいいのかな」

250映司と比奈:"Love Scene" 2/6:2011/04/07(木) 01:29:52
「あ、あのシーンって、あ、まさか」
「ラブシーン。DVD観たけどぜんぜん参考にならないんです」
ふぅ、と溜め息をつく比奈。
だが照れたり恥ずかしがっている様子はない。映司よりもまるで落ち着いている。
「あ、あの。俺、俺まだ台本読んでなくて。あ、その」
「もー、映司君っ。大事なシーンなんだからっ。ちゃんと準備しましょうよ!」
むくれ顔でテレビの電源を切り、比奈は立ち上がる。
「じゃ、今からちょっと練習しましょ?」

え!?練習!?いま?ここで?えぇぇっ!と映司はパニックになる。
「あー、比奈ちゃんっ、その」
「なに?」
「その、比奈ちゃんは……平気、なの?」
「何がですか?」
「え、だって。その。ラブシーン、だし」
「やだぁ、映司君。ラブシーンって言ってもキスだけじゃないですか」
「えっ!?」
「もう映司君、エッチ。仮面ライダーでそんな。ベッドシーンとかじゃないんですよ。敵と戦いに行く
映司君をわたしが引き止めるシーンで、キスするだけです!」
「え。あぁー。キス、ね。キスか。そっか」
「やだもう映司君ったら」
クスクス笑う比奈に映司は力が抜けた。そうかキスか。キスだけか、良かった。
って、良かったのか?キスはキスだよなぁ。それにしても比奈ちゃん冷静だなぁ。

「確か、カメラはこっちの角度から撮るはずなんですよね。私達の後ろ」
そう言いながら比奈はいきなり映司の側に近寄り、その腰に腕をまわしてきた。
映司はパンツ姿だが見慣れたのか、今はそれよりキスシーンのことで頭がいっぱいのようだ。
「真横からじゃなくて私か映司君の後ろからカメラが、キスしてるとこ撮る感じ。あ、じゃぁ映司君、
わたしが胸にすがって顔を上げますから。わたしが目を閉じたタイミングで来てくれますか」
「来て?」
「だからキスですってば!」
「はっ、はいっ!」

比奈は映司の胸にすがりいやいやと首を振り「行かないで!」と泣き真似をした。
「で、ここでわたしが顔を上げます。二人が見つめ合うんです」
「はぁ」
「5秒くらい見つめ合って、それでわたしが目を閉じますから来てください」
比奈は目を閉じ、「ん」とあごを上げた。
うわ。ほんとに?ど、どうしよう。いいのかなぁ。あぁでも比奈ちゃん来いって言ってるしなぁ。
うわうわうわ。あーっ!俺どうしよう!
迷いつつも覚悟を決め、ゴクリ、と喉を鳴らし。
破裂せんばかりに高鳴る心臓と共に、彼は言われるがままに比奈にキスをした。

「きゃぁぁぁぁっ!!」
どごんっ!と映司は突き飛ばされた。その勢いでドア近くまで数メートル吹っ飛ばされる。
「だぁぁっ!いたたたっ!」
「ほほほほほ、ほんとにっ、したぁ!!えええぇぇぇぇ!?」
「えっ!なに!?何かマズかった!!??」
「映司君っ!ち、ちがう!キスじゃないっ!これはキスじゃなくてキス・シーン!!」
「え?えっ!?なに、違うの?なにっ!?」
「ほんとにしなくていいのー!真似だけっ!真似だけだよぅ!あぁぁぁ」
「真似?え、真似?」
「カメラ後ろだからっ!映らないから!ほっぺくっつけるくらいでいいのっ!!」
「え、あ。あーーーーーっ!!!」

251映司と比奈:"Love Scene" 3/6:2011/04/07(木) 01:30:29
ようやく理解した映司と、その場にぺたんと座り込み真っ赤になっている比奈。
「ひっ、比奈ちゃんっ!ごめん!」
「ほんとにした。映司君キスした。わたしキスされた。あぁ。映司君とキス。あぁぁ」
しばらく遠い目で呆然と、あるいはうっとりとした陶然とした表情を浮かべていた比奈だったが
急に意識が戻ったようにぶる、と頭を振った。
「映司君っ!!」
「すすす、すいませんっ!」
んーっ!と真っ赤な顔でぷるぷる震えていた比奈の肩が、溜め息と共にすとんと落ちた。
「不意打ちなんて、ずるいです」
「え?」
「なっ!なんでもありませんっ!」

再び立ち上がり、ふくれっつらで比奈は映司を睨む。
「今のは無しです。もう一回、いきますよ。今度はちゃんと。ちゃんとお願いします!」
「はい……」
「こほん。えーっと、わたしが映司君の胸にすがって行かないでって言ってー、顔あげてー、
見つめあってー、はい、ここから」
比奈はまたあごを上げて目を閉じる。だが今度は用心のためか薄目だ。
今度は映司も間違わず、比奈の口元に自分のあごを添えた。
「ん。そんな感じです」

そのまま二人は抱き合い、寄り添う。
「あの、比奈ちゃん。どれくらいこうしてればいいのかな」
「伊達さんがカットって言ってくれるまでだけど、10秒……20秒くらいかな?」
「あぁ、俺、緊張するなぁ!ちゃんとできるかなぁ」
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」
「だってさっき伊達さんがさ、このシーンはお父さんお母さん達のための重要なシーンだから
気合入れろとかって、プレッシャーかけるし!」
「んー、そうなんですか。じゃ、子供だましじゃダメ、ですね」
「え?」
「映司君、もうちょっと、強く抱いてくれますか?ほら、ちゃんとしないと。大人が見てもちゃんと
主人公とヒロインが愛し合ってるってわかるように」
「え。あぁ……こんな感じ?」
「あん」
「比奈ちゃん?」
「……それでいいです。うん。ぎゅ、って。これ、いい」

きつく抱きしめたことで比奈の身体が押しつけられる。
しかも今の彼女は身体にぴったりとした戦闘員のタイツ姿だ。そのやわらかく盛り上がる胸が
映司の裸の体と挟まれてむにゅ、と潰れる。
その感触。すべすべしたタイツの手触り。甘い吐息。伝わる彼女のぬくもり。
腰と背中にまわされ、ぴと、と肌に直接触れてくる比奈の手のひら。
いくら映司と言えどもこれで反応するなというのは酷と言うものだ。

「うっ」
「……どうしたんですか」
「い、いや。何でもないっ!あ、そろそろ。いやもうとっくに!20秒くらい経ったよね!」
「だめ。まだ離れちゃだめ。もっと。練習。れんしゅう……」
比奈は何故かとろんとした瞳と口調で、強く映司の体を抱き返してくる。
極薄のタイツ一枚。彼女にとっては彼にほぼ裸で抱かれているに等しい。
先程の彼との初めてのキス。事故のようなものだったがキスはキスだ。唇に残るそのキスの
感触と薄布一枚だけの身体を、裸の彼に優しく強く抱きしめられているこの状況。
いくら比奈と言えどもこれでとろけるなというのは酷と言うものだ。

252映司と比奈:"Love Scene" 4/6:2011/04/07(木) 01:31:50
「あふ……ん」
「あぁ比奈ちゃんっ!そんな声だしたらっ!お、俺っ!まずいって!」
「何が?」
妙にぎこちなく腰を引いている映司の様子に、比奈も何がまずいのか気づいた。
「……あぁ!や、やだ。映司君ったら。まさか!?」
「いや、いやいやいや!あの!」
わっわっ!やぁん!などと言いながら。だが比奈は彼を抱きしめたまま離さない。

「も、もうもうもう映司君!ベッドシーンは無いって言ったじゃないですかっ!」
「わ、判ってるけど、比奈ちゃんがこんなそばにいたら俺だって!」
「わたしのせい?」
「いや比奈ちゃんのせいって言うかおかげって言うか!あれ?違うな。い、いやだから、俺だって
比奈ちゃんをこんなふうに抱きしめてたら、そりゃ!」
「わたしのせい……」
彼が。あの映司君が。こんなふうになってる。
興奮、してる。そうしたのはわたし。彼をそうさせちゃったのは、わたし。
あぁん。

「ねぇ、映司君」
「はいっ!?」
「やっぱり、その。お父さんお母さん達は、大人の目は。こんな嘘の演技とかただの真似だけじゃ
誤魔化せないと思うんです」
「へ?」
「だからその。もっとキスシーンも、リアルにした方が」

比奈は彼から顔を離し、もう一度その顔を見上げ、また照れくさそうに目を伏せた。
「あの。……最初のキスの方が、リアルでした」
「いやあれは!俺、ほんとに勘違いしてて!」
「もう映司君!大事なシーンだから気合入れなきゃ!伊達さんに怒られちゃいます!」
「そりゃそうだけど!そうなんだけど、でも!」
「映司君」

囁くようにそう彼の名を呼ぶと、比奈は再び顔を上げ、彼を見つめた。
「すてきなキスシーンに、してください」
そして目を閉じる。あごを上げ、微かな期待に震えるその唇を薄く開いて。
「ね?」

映司、ラブラブコンボ発動。
ヒナ!キス!クチビル!などとメダルスキャン時のような絶叫がファンファーレと共に彼の頭の
中に響き渡る。久しぶりのラブラブコンボに彼はあっと言う間に我を失う。こうなった時の彼を
止める手段は皆無だ。彼は人類史上最も危険なコンボ、幾多の人々の道を踏み外させ判断を
誤らせ歴史の転換の原因ともなっためくるめく愛と陶酔の荒れ狂う嵐の中に、命綱なしで自ら
全速力でダイブした。
「ひ、比奈ちゃぁんっ!!」
彼は比奈の体をさらに強く抱き、先程までは引いていた腰を今度はぐりぐりと押しつけまくった。
「あぁ……映司君の……当たってる。あん、映司君、ちがう、ベッド・シーンじゃ、ない……」
「あぁ比奈ちゃんっ!比奈ちゃん比奈ちゃん比奈ちゃんっ!」
「映司君、だめ。キス・シーンだから。キスだけ、ね?いい子だから我慢して。キス、だけ……」

がふう、などと獣じみた息を吐き出しながら彼は比奈のタイツをビリビリ破りたい毟り取りたい、
という欲望を死に物狂いで抑えつけ耐える。そして目の前にあるかわいらしい唇を凝視した。
「い、いくよ。比奈ちゃん!」
「ん。映司、くん……」

253映司と比奈:"Love Scene" 5/6:2011/04/07(木) 01:32:37
「ちょっと比奈ちゃんもうそろそろ撮影始まるわよっ……って。わぁ」
いきなりドアが開き店長が入ってきた。彼女は目の前で抱き合って今まさに唇を重ね合おうと
している二人を見て、嬉しそうに声を上げた。
「あら練習してたの。えらいわね二人とも。でももう次のショッカー大集合のシーンが始まるから、
続きはリハーサルの時になさいね」
「えぁ!ち、知世子さんっ!ちょ、ちょっと待ってください!!」
「やぁん!だって、だってまだ!あぁ映司君、映司くんっ!!」
店長に腕を掴まれて引きずられていく比奈を眺めながら、映司は行き場を失った愛と欲望と
共にその場にへなへなと座り込んだ。

「それじゃリハーサルッ!!いってみよーっ!シーン18主人公とヒロインのラブシーン!」
頼んだぞヒノヒナコンビ!と叫びながら伊達が「スタート!」の声をかけた。

だが今の映司と比奈の二人にはその伊達の声すら聞こえていない。
二人の目に映るのは先程あと少しで届かなかった互いの唇だけだ。
映司はいまだラブラブコンボの中にある。比奈も同様である。二人の激しい愛とキスへの想いは
途中で邪魔が入って寸断されたため、既に暴発寸前にまで高まっている。
二人の間に流れる凄まじい緊張感に、現場はしん、と静まり返った。
本来は比奈が映司に駆け寄って「行かないで!」と抱きつく場面だ。だがぴくりとも動こうとしない
二人に「こらっ!」と叫ぼうとしたが、伊達は今のこの二人を止めるのが惜しくなった。
おぉ!二人ともすげぇ気合いだ。これは屈指の名シーンになる!萌えだ。萌えだっ!ハァハァだ!

映司が声は出さず唇の動きだけで「比奈ちゃん」と呟いた。
比奈も声もなく「映司君」と応える。
二人は動いた。ゆらり、と動き。そして。文字通り互いに相手に、飛びかかった。
ガバ!と抱き合った二人は、互いの唇をぶつけ合うようにそれはそれは激しいキスを開始した。
演技でも真似でもなく、子供番組どころか深夜だろうがテレビの電波に乗ることはまずあり得ない
放送禁止確実の濃厚極まりない熱いキス。いやもうこれは既にキスではない。前戯だ。
二人の口からは「んぐ」「あふぅ」などと生々しい声が漏れ、その手は互いの体を弄りあっている。
比奈は映司を「絶対離さないもん!」とばかりにふんにゅうと抱きしめ、映司は比奈のお尻を撫でる
どころか掴んで揉んで揉んで揉みまくっている。
ここに至ってようやく、見物していた他のメンバーは二人のただならぬ気配を感じ始めた。

「チッ!……まったくあいつら!いったいどういうつもりだ!」
「火野め。演技とは言え、やりたい放題だな」
「舌が入ってますね。演技指導をされたのは姉さ……いやゴホン、店長ですか?」
「あたしじゃないわよー。あーん、でもうらやましい。伊達さーん、あたしにもあんなシーン、追加で
入れてくれないかしら。相手は真木さんでもいいわよ!」
その言葉に失神した真木の横で二人の壮絶な様子に呆気に取られていた伊達が、いくら何でも
これ以上は危険と判断し「カット!カットカット!カットぉ!!」の声をかけるまで。
それでも比奈の唇に食らいつき一向に離れようとしない映司を右から後藤がハリセンで、左から
アンクが飛び蹴りで「いい加減にしろ!」とどつき倒すまで。
映司と比奈は実に6分42秒にわたって熱烈なキスシーンを演じ続けた。

254映司と比奈:"Love Scene" 6/6:2011/04/07(木) 01:33:35
結局、そのライダー映画にあるまじき濃厚なキスシーンは全面カットとなった。
「映司君、ごめんね。わたしの演技がいけなかったのかな……」
「そんなことないって!俺だよ。俺がもうちょっとちゃんとできてたら!」
撮影が終わり誰もいなくなった店の中で二人は並んでしょんぼりと肩を落とす。
だがしばらくすると比奈が映司の服の袖をきゅっとつまみ、うつむいたまま恥ずかしそうに呟いた。
「ねぇ、映司君」
「ん?」
「わたし達、もっと、その。練習が……必要ですよね?」
「え?だってもう、あのシーン無くなったし」
きょとんとしている映司の顔を、顔を上げた比奈はじっと見つめる。
そしてかわいらしく小首を傾げて、その唇に悪戯っぽく笑みを浮かべた。
「ね?」

映司、ラブラブコンボ再始動。
リハーサル時を遥かに超える熱いそのキスシーンはやがて、台本にはまったくないさらに熱烈な
ラブシーンへと変わる。濃厚にして甘ったるくて見てられないそのシナリオの無い即興劇を誰に
頼まれたわけでもないのに狂乱と共に繰り広げ始めた二人を、残念ながら、そして幸いなことに。
不粋な「カット!」の声で引き離す者は誰もいなかった。


映司と比奈:"Love Scene" ─終


以上です。いろいろお世話になりました。

255名無しさんが妄想します:2011/04/07(木) 21:14:12
>>248いってくる

256255:2011/04/07(木) 21:32:14
終了!

スラップスティックで笑いつつ萌えた
伊達さんのセリフがフルボイスで聞こえてきそうだw

257名無しさんが妄想します:2011/04/07(木) 22:40:54
規制で本スレ書き込めないのでこっちに

職人さんも転載さんもGJ!!

欲望に流されちゃってる映比奈いいよ〜
伊達さんと知世子さんのはっちゃけぶりがたまらんw
ドクターと知世子さんも何気にいい感じ
ホントに台詞が聞こえてくるw

ごちそうさまでした!

258248:2011/04/08(金) 01:16:26
>>255さん代理投下ありがとうございました
読んでいただいた方もありがとうございました
お世話になりました では

259名無しさんが妄想します:2011/04/14(木) 20:54:38
本スレの容量って、何KBまでおk?

260名無しさんが妄想します:2011/04/15(金) 14:35:56
>>259
いまエロパロ板>626までで405kb
次スレを立てる目安が480kb
書き込み限界が512kb

1レスにこんなふうに↓60行びっしり書くと
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1285355756/21
4kbらしいから、まだ大丈夫ですよ

261260:2011/04/15(金) 14:42:51
ごめん>>260の計算違った

262259:2011/04/16(土) 08:37:59
>>260
トン
たまに1000スレいかずに沈没してたけど
目安が分かってなかったから助かる

263名無しさんが妄想します:2011/04/21(木) 20:06:05
映画見てきた
映司は別の時間軸の比奈ちゃんと一緒に、
孤児達の親代わりになればいいよ
それでゆくゆくは本当に家族をですね

本編だと旅立ちエンドしか思い描けないんだけど、
映画だと一緒になる妄想がすんなりできたのは何でだ

264名無しさんが妄想します:2011/04/21(木) 20:54:22
>>263
>>1

265名無しさんが妄想します:2011/04/30(土) 23:56:33
しかしさ、DCDの人って士夏支持者しかいねーの?

266名無しさんが妄想します:2011/05/01(日) 00:09:48
俺は士夏も海夏もユ夏もユ八もシンジ×玲子さんもイブキ×あきらも美味しく頂くよ!
個人的にはアポロガイスト×夏海とか見てみたいがないだろうなw

リアルタイムだと結構士夏以外も多かったよな?
どっちかっていうとアギトの翔一×真魚とかいないの?とか気になる

267名無しさんが妄想します:2011/05/01(日) 01:22:33
>>266に追加で、士夏信者じゃなくて士夏書く職人さんが多いから多いように見えるだけなんじゃないか?
投下があったらそれに関して色々話したりするし。実際このスレだと海夏投下後は海夏話してたよな。
嫌なら>>265が士夏以外のカプ投下すればいいんじゃないかな。

268名無しさんが妄想します:2011/05/01(日) 12:05:52
士夏以外ってユ夏とかユ八とかならいたよな?
なんか、過去ログとか保管庫見てみても士夏が断然多い気がするんだが

俺の気のせいか……?

まあ、取り敢えず>>267には同意

269名無しさんが妄想します:2011/05/01(日) 18:06:08
最近ここを知ったので、亀だけどどうしても言いたくて。
>>106さん、生まれて初めてのどストライクでした。全てが。
特に照井。またぜひ投稿してください!

270名無しさんが妄想します:2011/05/01(日) 19:32:16
職人の人数と筆の早さもあるし、なんともいえんな
さしあたり、自分も>>267には同意

>>266
同志ハケーンてか、太陽×夏みかんの需要あったのかw
ヒロピンとどっちがいいか悩んで、結局そのままお蔵入りさせたよ

271名無しさんが妄想します:2011/05/01(日) 19:43:05
>>270
太陽×蜜柑………!!
かなり興味があるんだが!!


とか、言うのは反則だよな。スマン

272規制なのでこっちにage:2011/05/05(木) 17:37:06
エロパロ板>>744いいね!あと擬人化スレが落ちたのと、
スレ立てが難しくなった&480KBのほうが早かったりするんで
「基本的に980踏んだ人が立てる」を消してみた。
 URLがh抜きなのは
したらばNGワードだからです(>>9参照)、エロパロ板では抜かなくておk。


「仮面ライダーのエロパロが読みたいだと? なんだ、ここの連中の欲望は!」
「ふぅん、純愛、陵辱、萌えに燃え、か。面白いね」
「素敵じゃない。その哀しいまでの欲望……解放なさい」
「おれ、sageる〜」
「いいか、ネタバレには前置きを忘れるな! 注意書きも状況に応じて使え」
「規制で困った時は避難所の利用もあり、ってね」
「つまらないことで争うのは哀しいことよ。いい子ね、みんな」
「おれ、まもる〜」

「過去の作品を読みたいと言うおまえには感心した。パスのヒントを教えてやろう。
俺がこの手に掴んできたのはsageだけじゃなくてな。
保管庫の更新は2010年6月で止まってるってことだ」
「色んなとこ回ってきたけど、楽して読めるエロパロがないのはどこも一緒だな!」


*避難所・保管庫・過去ログは>>2
*不快な書き込みや好きでない話題はスルー、あくまでも大人の為のスレです
*ねたバレは前書き警告+空白改行をする
*属性注意書きやカップリングは前書きか名前欄に明記推奨
*他の人の作品投下後、数レスまたは半日待ってからの
 作品投下をお願いします(作品が流れるのを防止するためetc.)
*次スレは>980か容量480KB、作品投下も同じタイミングで中断して次スレへ
前スレ 仮面ライダー総合エロパロスレ13
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1295151571/


仮面ライダー総合@エロパロ避難所(規制時の投下もこちら)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/2964/1283698635/

保管庫
ttp://maskedriderero.blog53.fc2.com/
*パスはsage、と保管庫参照
「現行」とは2010年6月当時の現行TV作品のこと
環境により閲覧できないことがあります

(過去スレの羅列略)

273名無しさんが妄想します:2011/05/05(木) 20:03:42
テンプレネタ修正

「仮面ライダーのエロパロが読みたいだと? なんだ、ここの連中の欲望は!」
「ふぅん、純愛、陵辱、萌えに燃え、か。面白いね」
「素敵じゃない。その哀しいまでの欲望……解放なさい」
「おれ、sageる〜」
「いいか、ネタバレには前置きを忘れるな! 注意書きも状況に応じて使え」
「規制で困った時は避難所の利用もあり、ってね」
「つまらないことで争うなんて哀しいことよ。スルーして」
「おれ、まもる〜」
「チッ」
「ふぅ」
「いい子ね、みんな」
「いいこ〜」

274規制中:2011/05/05(木) 20:49:57
もしスレ住人にスレ立て可能な人が見当たらなかったら
エロパロ板質問スレで代行依頼をしてください。
ホント最近の規制はキツいな。

275名無しさんが妄想します:2011/05/06(金) 00:39:37
>>274
立てた
→仮面ライダー総合エロパロスレ 14
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1304609532/

276274:2011/05/06(金) 01:21:49
>>275おつです
スレ立て時はsageでも一番上になるのが仕様だから問題ない

277名無しさんが妄想します:2011/05/10(火) 02:41:39
投下中にこんなメッセージ出た orz

>>投稿量大杉:もちつけ(3)
やっちまったなぁ(-Lv10)


……連投規制とも違うし、忍法帳になってからよくわからん
時間を置いて、もう一度挑戦してみるわ

278名無しさんが妄想します:2011/05/10(火) 03:12:19
調べてみたら、どうやら忍法帳のLvがダウンして長文投下が出来なくなったらしい
途中で豚切りは気分が悪いので、こっちにあらためて投下させてもらいます



以下、注意書きです
・DCD士(大首領)×夏海で過去捏造パラレル
・エロ少なめ
・続き物4話目(順番:他スレ→前スレ>>538>>674
・NGワードは「Solitude」でお願いします

尚、1話にあたる話は「専用スレに投下できない〜」に投げましたが
BLネタ完全アウトの方は読まないほうがいいかもしれません

279Solitude 1:2011/05/10(火) 03:13:02
 ある日突然、幸運が舞い込んだ。

 なんてことはない、ごく普通の女の姿をしたその幸運は、原因が解明できなかったカードのブランク化
を解除し、次元移動によるドライバーのエラーを解消した。おかげで滞っていた大ショッカーの世界征服
計画は、一気に駒を進めることになった。
「お疲れ様です、士さん」
 バックルの稼働実験を終えた士がオーロラを潜り城へ戻ると、月影が深々と頭を下げて出迎えた。その
後ろで待つ科学者達を一瞥し、士は通りすがりにバックルとカードを一人の研究員に渡した。その胸にあ
るスタッフタグには、『結城』と書かれている。
「カードの解放に問題は?」
 素早く手にしたカードを広げた結城が尋ねると、士は鼻で軽く笑った。
「9枚のカード全部にカメンライドできたし、今回は一度も暴走しなかったぞ?よかったな、問題が片付
いて」
 雁首そろえて今まで何をしてたのか。士が言外にそう嘲ると、プライドの高い研究員たちが僅かに頬を
引きつらせた。その様子を冷やかに横目で見た士は、興味など微塵もないと敷き詰められた赤い絨毯の上
を歩きだした。
「士さん!精密検査がまだ」
「なんともねぇよ、今回はな」
 そんな面倒は御免だと、士は耳の横のあたりで軽く指を振り、さっさと絨毯を進んだ。そのまま玉座へ
と戻ると、誰もいない部屋の中で一人階段に腰を下ろしていた海東が、手にしたノートパソコンから顔を
上げる。
「やあ、士。思ったよりも早かったね」
「ただの稼働実験に、今まで時間がかかりすぎただけだ」
「言ってくれるね。あれでも、ラボのスタッフは寸暇を惜しんでプログラミングしてるんだけど?」
「頭数だけ揃ってても、結果が出ないんじゃ意味はねぇ」
「だろうね。君には結果が全てだ」
 作業をしていたウィンドウを閉じたのか、海東は膝の上のノートパソコンを閉じた。その前に立った士
は、腕を組んだまま海東の顔を見下ろすと、無表情のまま尋ねた。
「それで?」
「君はいつも言葉が足りないね。全く、主語ぐらい入れてくれないと、何を答えたらいいのか分からない
じゃないか」
 そう言いながらも、海東は何枚かの紙がクリップされたボードを士へと差し出した。
「結果はオールクリア。彼女は別にオルフェノクでもなければファンガイアでもない、正真正銘の人間だ」
「だろうな。ま、赤い血のワームかアンデッドでもいりゃ、話は変わってくるだろうけどな」
「遺伝子も隅々まで調べたが、何から何まで普通の人間だったよ。尤も、潜在的な能力のほうはラボに連
れて行かないと分からないけどね」
「はっ!あいつらに事の真相を言ってみろ。あっという間にバラバラにされて、脳細胞の一つまで、残ら
ず標本にされるのがオチだ」

280Solitude 2:2011/05/10(火) 03:13:18
 狂気にも近い研究心を持つ部下の行動を予測し、士は冷たく言い放った。それを聞いた海東が、僅かに
片方の眉を動かす。が、あえて何も言わず、士は行き詰っていた事態を好転させた女のことを思い返した。
 ディケイドを知っていた、自分と同じように世界を渡る力を持つ謎の女。数日前にこの部屋に突然現れ、
見ず知らずの赤の他人を助ける為に体を開いたその馬鹿な女は、何故か触れただけでカードにカメンライ
ドの力を与えた。しかしどれだけ問い詰めても、女はその素性を一言も言おうとはしなかった。
 快楽という名の暴力で徹底的に追い詰めて得られた収穫は、『ツカサ』という、自分と同じ名を持つ恋
人がいるということだけ。
 他の男の名を呼び、そいつに貰ったモノらしきペンダントを握り締めながら何度も体の下で果てる姿に、
無性に腹が立った。だから、気を失っている間にそのペンダントを引きちぎり、二度と男のところへ戻れ
ないように白い肌にDCDの刻印を刻んだ。
 何の目的でここへ来たのか、来歴は何一つ分からないままだが、今のところ手放すつもりは毛頭ない。
「あれは俺のモノだ。ラボの連中にくれてやる気はねぇ」
「君が一人の人間に執着するなんて珍しいね、士。僕はずっと、君は小夜くん以外の人間はどうでもいいん
だとばかり思っていたよ」
 海東の言葉は静かだが、どこか棘がある。その気配を察した士は、にぃ、と冷酷な瞳を細めた。
「何だ、妬いてるのか?かまってほしきゃ、混ぜてやっても構わないぞ」
「君のそう言う所が嫌いだと言っている。いつまでも僕が君の言うことを聞いていると思ったら、大間違い
だ」
 ぎり、と音がしそうな激しさで睨みつけてくる海東の視線に、士は何故か楽しそうに唇を歪めた。その余
裕癪癪な態度が余計に気に入らなかったのか、海東は左手を右腕の上腕部へ当てると、服の上から爪を立て
た。
「覚えておきたまえ!僕は絶対に、君の思い通りにはならない」
「その意気だ、と言いたいところが、その印がある限りあいつもお前も俺のモノだ」
「たかが刺青を一つ入れたぐらいで、支配者ぶらないでくれたまえ!」
「寝首を掻きたきゃ、いつでも来いよ。もちろん、返り討ちにしてやるけどな」
 咽喉の奥で低く嗤う士の姿を、海東は憎悪の眼差しで見つめた。その冷たい炎のような視線を背に受けな
がら、士は私室へと繋がる螺旋階段に足をかけた。
「そういえば、あいつに関して何か分かったのか?」
「……相変わらず、ナツミと言う名前以外は何も話さないし、分からないままだよ。脅してもすかしても宥
めても、頑として口を割らなかった」
 あんな頑固な女は初めてだとぼやく海東の言葉に、士は密かに苛立ちを覚えた。奈津美なのか夏美なのか
は知らないが、別に個体を識別する記号は『ナツミ』という単語が一つあればそれで足りる。だが、できれ
ばそのツカサという男の方は潰しておきたかったが、大ショッカーの情報網でも分からないのでは仕方ない。
 まあ、あの体ではもう二度と前の男の元に戻ることはできないだろうと、士は早々に意識を切り替えると、
神経質そうに爪を軽く噛む海東の姿を見やった。
「で、お前もそろそろ気が済んだか?」
「何がだい?」
「とぼけるなよ。何が気に入らないのか知らねぇが、お前、あいつのこと目の仇にしてたろ?」
 冷静を装った海東の瞳に、一瞬だけ動揺が走ったのを士は見逃さなかった。しかし他人の、それもお気に
入りの玩具にすぎない側近の心情など知ったことではないと、士は軽く鼻先で笑った。
「お前があいつに何をしたのかなんて、俺は別に興味ねぇからな。だが、尋問程度なら味見もいいが、壊す
のはナシだ。わかったな?」

281Solitude 3:2011/05/10(火) 03:13:42
 憎々しげな瞳を向ける海東に釘を刺し、ステップに足を乗せる。動揺を顔に出したのは一瞬で、海東は即
座にいつものポーカーフェイスを取り戻すと、深い溜息を吐きだした。そして、階段を上る士の背に向かい、
冷静な声を投げつける。
「待ちたまえ。現時点での各世界への侵略状況や世界を繋ぐ橋の維持について、まだ報告が残っている」
「そんなもの、月影にしろ。俺は知ったこっちゃねぇ」
「まったく、アバウトにも程があるね。これじゃ、どっちが組織のトップだかわからないよ?」
 先ほどまでのものとは全く違った意味で冷たく言い放つ海東の言葉には耳を貸さず、士はさっさと階上に
あるプライベートフロアへと移動した。基本的に、このフロアには執事でもある月影と、玩具兼側近である
海東以外は、大幹部ですら立ち入ることは許していない。あとは精々メイドが入るぐらいだが、メイド達は
基本的に戦闘員と同じ存在であり、個々の意思はない。その為、士は戦闘員やメイド達のことを、路傍の石
程度の認識しかしていなかった。
 当然ながら、遊びで抱く相手を連れこんだことなど一度もない。
 しかし今、その完全なるプライベート空間である部屋の中には、一羽の小鳥が閉じ込めてある。偶然手に
入れた幸運の小鳥だが、捕えてからそろそろ1週間近くなる。同じ相手を何度も抱くことは今までなかった
が、何故かナツミに関しては未だに飽きる気配を感じなかった。
 尤も、海東という例外的な先例があるのだから、固執すること自体は珍しくないのかもしれないと、士は
珍しく興味が長続きしている自分をそう分析した。
 生体認証でロックされた扉を開け、中へと踏み込むと、一人掛けのソファに体を沈めたナツミが、物憂げ
な眼差しで窓の外を見つめていた。すでにその胸にDCDの印を刻んではあるが、逃走を防ぐためにも服を
着ることは許してはいない。質のよい下着類と、寒さ避けのガウンだけを与えたナツミの姿は、高級娼婦の
それに近かった。
「待たせたな」
 扉の開く気配に気付き、視線をあげたナツミの側に近付いた士は、細い顎を掴んで引き寄せると無遠慮に
唇を割った。もはや逃げることを諦めたのか、ナツミはさしたる抵抗を示すこともなく、されるがままにな
っている。
 素直に口づけに応じるナツミを見下ろし、士は唇の端を吊り上げた。
「なんだ、今日は随分と大人しいじゃないか」
「他の世界へ実験に行ったって、だ…海東さんに聞きました。他のライダー達と、戦ってきたんですか?」
「血の匂いは嫌いか?」
 意地の悪い言葉で返答を誤魔化すと、何故かナツミは酷く悲しげな目をした。非難というよりは、むしろ
心配するようなその視線に居た堪れなくなり、士は軽く息をつくとナツミの体を離した。
「ただのカードとバックルの性能テストだ。まだ実践レベルじゃねぇよ」
「え?」
「確かにディケイドに変身はできるが、まだ安定はしてねぇ。世界を移動しただけで、あっというまにエラ
ーの連発だ。お前がカードに触ったおかげで、ようやくまともに動くレベルになったっていう、お粗末な代
物だ」
「そう、なんですか?」
「そういうこった。分かったらさっさと風呂入れろ」
 そう言って顎をしゃくると、ナツミはどこか安心したように小さく微笑み、言われた通りに浴室の準備を
始めた。

282Solitude 4:2011/05/10(火) 03:14:00
 隷属はしないくせに、要求は飲む。全くもって妙な女だと、訝しみながら軽く溜息をついた拍子に、全身
のいたるところに不自然な痛みが走る。カードのブランク化が解除されてからこっち、連日のように長時間
の稼働実験を続けているせいで、さすがに体が鉛のように重くなっている。
 暴走はしなくなったとはいえ、まだまだディケイドのシステムは改良の余地がある。だが、見方を変えれ
ばまだまだ伸び代があるということでもある。士はそこかしこに残っているであろう青痣を確認することも
せず、疲労と寝不足からくる欠伸を一つ噛み殺すと、無言で立ち上がり身に着けていたものを脱ぎ捨てた。
 熱いシャワーを浴びて、一発ぐらい抜けば頭もすっきりするだろう。
 ナツミが出てきたところを捕え、もう一度浴室へと押し戻す。まだ下着を着たままだったが、構わずにシ
ャワーのコックを捻ると、あっという間に二人とも濡れ鼠になった。
「早くしろ」
 短く命令すると、ナツミは慣れた手つきでボディーソープを泡立て、丁寧に士の体を洗い始めた。この部
屋に監禁した翌日あたりに気まぐれで命じてみたところ、それが思いのほか心地よかったため、以来ここで
シャワーを浴びる時はナツミに体を洗わせている。こんなことをさせたのも、やはりナツミが初めてだが、
どうしてそんな気分になったのかは自分でもわからなかった。
 正面に回ったナツミが、そこらじゅうにある痣の一つを指でそっとなぞる。
「なかなか消えませんね……」
「あれだけ不安定なモノを使ってるんだ。消えるわけねぇだろ」
「ディケイドの変身って、そんなに体に負担がかかるものなんですか?」
「言っただろ、ようやくマシになったレベルだって。暴走なんざ日常茶飯事だ」
「それなら、せめてもう少し改良できるまで待てないんですか?」
 気遣う気配を隠そうともせず、ナツミが真っ直ぐに士の顔を見上げる。その視線の居心地の悪さに耐えき
れず、士は誤魔化すようにナツミの体を浴室の壁に押しつけた。すっかり濡れてしまった下着の隙間から、
するりと指を忍び込ませる。
 そこに伝わる感触を確認し、士はわざと人の悪い笑みを浮かべた。
「一人でちゃんと出来てるな」
「………っっ!!」
 途端に、心配に顔を曇らせていた夏海の頬が赤く染まる。羞恥心から顔を背けるナツミの横顔を堪能しな
がら、士は貼りついていた下着を落とし隠すもののなくなったそこを手で包みこんだ。
「こんな格好、もう他の野郎には見せらんねぇよなぁ?」
「やっ……つか、さ」
「いい眺めだぜ?」
 つるりとした感触を指先に伝えてくる柔らかい丘には、本来あるべき茂みがない。コトの最中に前の男の
名を呼んだ罰として、士が全て剃り落としたのだ。恥辱に涙を滲ませるナツミを組み敷き、以後二度と他の
名を呼ぶなと体だけでなく心までをもねじ伏せた。
 そして、自分のことは『士』と呼ぶように命じ、ナツミはその命令に大人しく従っている。
「どうして…?」
 どうして、嗜虐的な行為を強いるのか。どうして、自分を選んだのか。たった一言とはいえ、そこに込め
られた疑問は多々たるだろうが、そのどれにも応える意思のない士は、鼻先で軽く笑うとナツミの言葉を聞
き流した。
「さあな」
「あっ……!?」

283Solitude 5:2011/05/10(火) 03:14:18
 まだ泡が残っている体を密着させ、すっかり勃ち上がったモノを白い脚の間へ押しこむ。泡と湯で濡れた
花弁に自身を擦りつけ、擬似的な行為で羞恥心を煽ると、予想通りナツミは耳の縁まで真っ赤に染めた。し
かし、与える刺激に女の部分は敏感に反応を示しているらしく、だんだんと滑りが良くなってくる。
 僅かに呼吸が乱れてきたナツミの片脚を抱え大きく開かせると、蜜を湛え始めていたそこはいとも簡単に
猛った欲望を飲み込んだ。
「ふぁっ……あ、ああっ」
 前戯など何一つ施さぬまま、滾る欲望のままに白い体を貪る。冷たい壁に爪を立て、必死に律動に耐える
ナツミの態度とは反対に、その体は貪欲なまでに快楽を貪ろうとしているらしく、士自身へといやらしく吸
いついてくる。その心地よさに、無意識のうちに唇の端に笑みが浮かんだが、同時に不可解な苛立ちも生ま
れる。
 最初こそ激しく抵抗したものの、今ではすっかり従順になったナツミの瞳は、どこか暗く沈んだままだっ
た。だが、自分の意思と言うものを放棄しているわけでもなく、さりとて海東のように、大人しく命令に従
う素ぶりの影で憎しみを募らせているという様子でもない。そのくせ、過剰なまでの心配や気遣いはしてく
るのだから、隷属や屈服というよりは自ら望んで側にいるとしか思えない。
 あるいは、心理学でいう所のストックホルム症候群ってやつか。
「くそっ……」
 この苛立ちは、単に疲労からきてるものだ。
 士はそう自分を納得させると、ひたすらその行為に没頭した。甘く濡れた声を上げる体を思うままに蹂躙
し、仰け反る咽喉に軽く歯を立てるようにして唇を這わせると、獰猛な快楽に精神が高揚する。愛撫など施
さなくても、ナツミのそこは十分な潤いを湛えて士を咥え込んでいる。淫らに吸いついてくる奥へと誘われ
るまま、士は昂ぶる気持ちをぶちまけた。
 崩れ落ちかけた体を反転させ、浴槽に縋らせた所をすかさず背後から貫く。
「あっ……あん!あふ……っ、くぅ、んんっ!!」
 浴槽の縁におしつけるように、細い肩を押さえこむ。もう片方の手で腰を確りと引き寄せ、一切の抵抗を
封じた士は、ただ欲望のままにナツミの体を突き上げた。
 逃げるはずがないと分かっていても、これはもう癖のようなものだった。
「はっ…」
 荒く早い呼吸の合間に、短い声が混じり、ナツミの甘い声と絡まって浴室の中に響き渡る。しかし快楽に
蕩けきった瞳で喘ぐナツミの顔は、やはり酷く悲しげなままだった。どれだけ抱こうとも、決定的な何かが
手に入らないもどかしさに、士はナツミの腕を掴んで上体を大きく逸らさせた。
「痛っ…!やっ、士……」
 苦痛を訴えるナツミの声に、士はようやく慣れ親しんだ感覚を取り戻した気がした。そう、セックスは雄
の本能を満たすゲームにすぎない。獲物を力で手に入れてこそ、その快感はより大きいものになるのだ。
 士は拘束を解くことを懇願する唇に指を押しこみ、口腔を荒く嬲った。
「甘えたことぬかしてんじゃねぇよ。お前はただ、そうやって大人しく脚を開いてればいいんだ」
「ぅんっ、ん!ふぁ……あ、ああ!!」
 暴力にも等しい行為で濡れた内部を抉り、一方的に快楽を貪り食う。蹂躙される苦痛からか、ナツミの瞳
にうっすらと涙が浮かぶのを見て、士は何故か胸のあたりが苦しくなった。その苦痛を排除しようとしてい
るのか、常よりも加虐的な衝動がこみ上げてくる。
「イク、ぞ………っっ!!」
「あ……っっ!?」

284Solitude 6:2011/05/10(火) 03:14:36
 まだナツミが達していないのを承知で、自分だけ快楽を極める。背筋を駆けあがった欲望が迸る寸前に自
身を引き抜き、物足りなそうな声を上げたナツミの顔へ向け精を吐き出した。まさかそんな仕打ちを受ける
とは思ってもいなかったのか、反射的に硬く結ばれたナツミの瞳から一筋の涙が零れおちる。その口元へと
欲と愛液に濡れたモノを押しつけ、綺麗に舐め取ることを強制すると、夏海は涙を含んだ睫毛を薄く持ち上
げ素直に舌を這わせた。
 白濁した欲に穢れた白い肌で事後の奉仕をする姿に、歪んだ征服欲が満たされたのはほんの一瞬のことで、
士は全身を覆い始めた虚無感から無言でナツミに背を向けた。
 バスローブを引っかけペットボトルの水を一本開けると、体だけは単純な解放感で若干軽くなった気がし
た。しかしそれとは逆に、頭の芯はどこか痺れたように麻痺していて、鈍い痛みがこめかみの辺りを締め付
ける。だが、じわじわと感情を蝕んでいく不快感の正体を突き詰めることは、士のプライドが許さなかった。
 空になったボトルをゴミ箱へと放り投げ、ベッドの上に転がっていると、顔と髪を洗い終えて出てきたナ
ツミが乾いたタオルで水滴を拭い始めた。
 あれほどの仕打ちをした相手に、何でここまで世話をやけるのか。士にはナツミの行動がさっぱり理解で
きなかったが、振り払うのも面倒になり好きなようにさせていた。
 今までの相手は、コトが終わった後は側に気配を感じるのも鬱陶しかったが、そう言った意味でもナツミ
はイレギュラーだった。
「酷い顔してます。少し休んだほうがいいですよ?」
「そんな暇はねぇ」
「ダメです。1時間……いえ、せめて30分でもいいから寝て下さい。目の下がクマで真っ黒です」
「煩ぇな、お前は俺の母親か?つけ上げんじゃねぇぞ」
 本気で苛立ちを覚えて凄んでみたが、それ以上にナツミの目は真剣だった。組織の人間の上辺だけの心配
とも、小夜の縋るような心配とも違うその目に、士は何故かおぼろげとなっている母親の面影を思い出した。
 なにがどうなったのかは分からないが、ナツミが心の底から自分を案じていることは疑いようもない。今
まで死んだ両親以外にそんな態度を取られたことがない士は、どう対処していいかわからなくなり、結局咽
喉まで出かかった怒声を飲み込み視線を外すことで逃げた。
「………30分だけだからな」
 ごろりと背を向け、目を閉じて寝たフリをする。どうせ他人がいる場所で眠れるはずがないのだから、た
だ転がってるだけでこの居心地の悪いやり取りを終わりにできるなら、それに越したことはない。
 何故かはわからないが、ナツミが相手だと調子が狂って仕方がない。気まぐれで囲っただけの相手に翻弄
されている事実が気に食わず、士は深々と溜息を吐きだした。


 やがて意識がふつりと途切れ、深い闇の中に薄れかけた遠い日の思い出がいくつも浮かんでは、儚く消え
ていった。


 今では思い出すことすらしなくなった記憶が、何故脳裏をよぎったのか。その疑問とともに目を開けると、
いつの間にか周囲は斜陽によって仄かに赤く染まっていた。
「!?」
 時間の経過感覚がおかしいことに気づき、弾かれたように体を起こすと、その拍子に体の上にかけられて
いた布団がバサリと音を立てた。

285Solitude 7:2011/05/10(火) 03:14:55
「あ、目が覚めました?」
 驚きに跳ね起きた士とは対照的に、ソファで本を読んでいたナツミはゆったりとした動きで顔を上げ、何
事もなかったかのように穏やかな声をかけた。
 シャワーを浴び、ベッドの上に転がったのは、確か昼を回って間もない頃の筈だった。しかし今の光線の
具合から考えれば、時刻は夕方へさしかかっていることは疑いようもない。いくら疲れていたとはい、まさ
か自分が他人の前で熟睡するなど考えてもみなかった士は、すっかり乾いてしまった髪をぐしゃりと握り潰
した。
 誰かが部屋の扉を開けただけでもすぐに目が覚めるのに、何故ナツミがいるこの部屋で眠れたのか。全く
もってあり得ない事態に士が静かに混乱している間も、ナツミはワゴンに乗せられた電子ケトルを傾け、ご
く自然な動きでコーヒーを入れている。やがて目の前に出されたマグカップを、士は混乱のまま素直に受け
取り口へと運んだ。
 これもまた不思議なことに、何も言っていないにも関わらずちゃんと士の好みに合わせた甘さになってい
る。
「確かに疲れてる時は、甘いものをとったほうがいいですけど……でも、お砂糖はもう少し減らしたほうが
いいですよ?」
 そう言うナツミのほうは、どうやらブラック派らしく、ミクルも何も入れていない。思ったよりも、コー
ヒーを入れるのは上手いらしいが、そもそもどうして自分がコーヒー党であることを知っていたのか。たま
たまナツミ自身がコーヒー好きなだけかもしれないが、それにしても何から何まで誂えたような出来である。
 流石にその日はすぐに屋敷へと帰ったものの、士はこの異変を甘んじて受けている自分に腹の底から疑問
を覚えた。ナツミに関しては、本当に一から十まで異例尽くしである。
 しかし、と士は確実に動揺を見せる自分の感情を叱咤し、大首領としての己に意識を集中させた。
 バックルとカードの安定化が図られたのであれば、その次の段階である強化態の開発も飛躍的に進む。先
月まではまだ構想段階だったコンプリートフォームの研究開発は、すでに基本プログラムを組み上げるとこ
ろまで来ているのだから、たかが女一人にかまけている場合ではない。そうは思うのだが、何故か足は自然
とナツミの居る部屋へと向いてしまう。
 昼は開発と実験とトレーニングにあけくれ、夜が更けてからはナツミの体を弄ぶような日々を繰り返すう
ちに、士はますます自分自身が分からなくなった。
 快楽という力で追い詰め啼き声を上げさせていると、何かを探すようにいつもナツミの腕が宙を彷徨う。
今までそうしてきたように、その手首を掴んでシーツに縫い止めるのだが、そうすると一瞬だけ深い悲しみ
がその瞳に浮かぶのが謎だった。その謎を残したまま体を重ねる度に、より強くナツミが欲しくなる自分の
感情が理解できず、その苛立ちを衝動へすり替えさらに激しく凌辱する。
 気がつけば、今までのように目に付いた行きずりの誰かを抱こうという気分は、欠片もなくなっていた。
「くっそ……何だってんだ」
 いつものように欲望のまま白い肌を蹂躙した後、シャワーを浴びながら士は鋭く舌を打った。
 今まで何人もの相手を抱いてきた。その中にはナツミよりももっと見目のいい女もいたし、男女を問わず
ソコの具合の良さだけは極上の相手だって何人もいた。容姿は確かに平均以上ではあるものの、ずば抜けて
いいというわけでもないはずなのに、何故こうも一人の女に気を取られるのか。今まで自分の中に不可視な
感情などなかっただけに、余計に士はこの状況が納得いかなかった。
 バスローブを羽織りベッドに戻った士は、絶頂の果てに意識を手放したナツミの姿を見下ろし、冷酷な眼
差しを浮かべた。
 不要な奴は、排除すればいい。

286Solitude 8:2011/05/10(火) 03:15:12
 自分にしては結構な時間興味が持ったほうだが、そろそろ潮時なのかもしれない。これ以上自分のペース
を乱されるのは御免だと、士は無言で腕を伸ばし、無防備に晒されたナツミの細い咽喉に掌を当てた。
 士にとって、小夜と自分以外の全ての人間は全て他人であり、使い捨ての道具にすぎない。そして、道具
はあくまでも使うものであって、決して振り回されてはいけないのだ。
 組織を裏切った者や、抵抗する者に対し制裁を加える時と同じように、なんの感慨も浮かべない氷の表情
でゆっくりと咽喉を握る指に力を込めていく。肌にかけられる圧力によって血流を遮られ、掌に伝わる拍動
が回数を増やすはずだった。

 しかし、力を込めた指先に感じたのは、今にも消えそうなほどに弱々しい脈拍だった。

「おい……ナツミ?」
 思わず咽喉にかけていた手を離し、むき出しの肩を掴んで体を揺さぶる。しかし、ついさっきまで欲に染
まり熱を帯びていたその肌は、すっかり冷え切っていた。
 今しがたまで自らの手で殺そうとしていたことなど忘れ、士は思わずその体を抱き上げると大きく揺さぶ
った。
「起きろ、ナツミ!聞こえるか?」
 しかしいくら体を揺らし、何度も頬を叩いても、ナツミの瞼はピクリともしない。それどころか、その肌
は一秒ごとに色を失い、鼓動はさらに弱くなっていく。桜色から紫色に変わり始めた唇が震え、そこから溜
息と共に小さな声が零れたのを、すかさず耳を寄せて聞き取る。
「待って…いかない、で……」
 すう、と眦から涙が一つ滑り落ち、みるみるうちにその体から力が失われる。抱きしめた体から、急速に
命の気配が失われていく感覚に、士の意識は冷たく冴え渡った。このままでは、間違いなくナツミは死ぬ。
自分の手の中からお気に入りの道具が奪い取られる感覚に、逆に士の中で怒りが迸った。
 絶対に死なせはしないと、そう心の中で決めた士は、薄い上掛けをかけただけのナツミの体を抱きあげた。
医療スタッフと研究所の連中を全員叩き起こしてでも、こいつの命を繋ぎ止めさせる。そう思いナツミを強
く抱きしめた瞬間、不意に自らの心臓が大きく胸を打った。
「……っっ!」
 痛いぐらいの強さで脈を打つ心臓に、一瞬息だけが詰まる。すると、何故かナツミと自分を包みこむよう
にして、何かが温かく満ちていく気配を感じた。
「何だ……?」
 訳も分からないまま、思わず周囲を見渡してみるが、室内には誰もいるはずがない。一体何が起こったの
かと腕の中のナツミを見下ろすと、さっきまで紙のように白かった肌に赤味が戻りはじめていた。恐る恐る
その首に指を当ててみると、トクン、と肌を打つ感覚がある。
 ゆっくりと、穏やかながらも力強く打つその拍動は、士自身の心臓の動きと全く同じ速度で脈打っており、
士はまるでナツミと自分が一つの命を分けあっているような、なんとも言えない不思議な感覚を覚えた。
「おい……」
 困惑を隠そうともせず、いつになく弱々しい声で士が呼びかけると、それまで硬く閉ざされていた薄い瞼
がふるりと震えた。

287Solitude 9:2011/05/10(火) 03:15:29
「……士?」
 ぼんやりとした瞳が士の姿を捕え、確かめるように名を呼ぶ。そして、今にも泣きだしそうな瞳に笑みを
浮かべたナツミは、そのまま士の背に両腕を回すと、安心したように再び眠りに落ちていった。今まで妹以
外の誰かが、こんな風に自分の側で安堵して穏やかに眠ることなどあるはずもないと思っていた士は、呆然
とした面持ちのままナツミを抱きしめた。
 その日を境に、士はナツミに行動の自由を許した。
 奪い取ったペンダントの代わりに、DCDのロゴの入ったペンダントをかけさせ、胸元に覗く刺青と共に
所有権を主張しておく。首周りを隠す長い髪を切るのはもったいなかったので、一つにまとめさせた。さら
に丈の短いレザージャケットとショートパンツに、マゼンタのニーハイソックスを合わせた姿は、一目で士
の囲う女だと分かるようになっており、必然的に組織内での行動権が確立される。突然大首領の横に現れた
ナツミの姿に、組織の幹部達は軽く眉を顰めただけで何も言おうとはしなかった。もちろん、その内の一人
が小さな声で『色狂いのガキ』と嘲ったことに気付かないわけではなかったが、
それに関しては寛大な心で見逃してやった。
 そして逃げ出そうと思えばいつでも逃げ出せる状況だというのに、ナツミは何故か士の与えたあの部屋へ
と必ず戻った。
 海東とナツミと、お気に入りの側付きを侍らせた士の時間は、さらに加速度を増していく。ディケイドの
システムは飛躍的に改良され、強化態の開発はついに試作段階へと突入した。各世界を繋ぐ橋を安定させ、
同時に組織に属する者以外は使用できないようにもした。順風満帆という言葉がこれ以上ないほど似合う状
況に、士はいつになく満足していた。
 ただ一つ、ナツミの顔から憂いが消えないことを除いて。
「新しい世界を見つけたぞ」
 ある日、士は海東とナツミを連れ、新しく橋をかけた世界へと渡った。オーロラの向こうで、部下達が必
死になって橋を維持しようと動き回っていたが、構わずに見つけたばかりの世界を見下ろす。岩肌がむき出
しになった山に囲まれてはいるが、地面には青草が生い茂り、遠くを流れるせせらぎと野鳥の声だけが響く
なんとも穏やかな場所だった。
「ここは何の世界だい、士?」
 データの解析をするかのように周囲を見渡した海東の問いに、士は軽く首をかしげた。
「さあな。今のところライダーはいないみたいだが、これから生まれるのか、それともとっくに死んだか」
「前者ならともかく、後者だとしたら別に君が出る必要はないだろう?」
「ライダーの力がどこかに残ってたら面倒だ。確実に芽は潰しとかねぇとな」
 海東と征服の計画を話し合う横で、ナツミはやはり物憂げな眼差しで周囲を見渡していた。しかし、何か
に気付いたのか僅かにその顔色が変わる。
 間違いなく怯えの色を浮かべたその表情に気づき、士は眉を顰めた。
「どうした、ナツミ?」
「また、ここ……?どうして…」
 カタカタと肩を震わせ、慄く様に呟いたナツミの呟きを、士だけでなく海東も訝しむ。すると、それとな
く周囲を警戒していた三人の脚元が、突然大きく震えた。
「士、あれを見ろっ!」
 大きな揺れに立っていられず、それぞれが地面に手や膝をつく。驚きの声と共に前方を指差した海東につ
られ士が顔を上げると、世界を超える時に浮かぶオーロラと似た銀白色の光が揺らめいていた。
「何だ……山が、消える?」

288Solitude 10:2011/05/10(火) 03:15:53
 上空から布がふわりと落ちるように、ゆっくりと降下をするその光が触れた側から、見上げるほど大きな
岩山が塵となって消えていく。にわかには信じがたい光景に目を瞠っていると、傍らにいたナツミが突然大
きな声を上げた。
「危ない!!」
 直後、細い腕で力いっぱい突き飛ばされる。バランスを崩した士が地面に体を転がすのと、たった今いた
その場所を裂く様にして銀色の光が地面に走るのは、殆ど同時だった。
 士とは反対側に倒れていたナツミが体を起こすのが、その歪んだ銀の光の向こうに見えた。
「これは……次元の壁?」
 息を飲みその壁を見上げる海東の呟きを背に、士は苛立たしげに舌を打つと体を起こし、目の前に立ちは
だかる壁へと手を伸ばした。しかし、いつもならば容易に突き抜けることができるそのオーロラは、どうい
うわけか鋼鉄の壁のように士を拒んだ。
「下がってろ、ナツミ」
 間を隔てる壁を打ち破ろうと、士はライドブッカーをガンモードに変えトリガーを引いた。しかし、壁は
強固なまでに干渉を拒んでいるらしく、撃ち出したエネルギー弾は壁の前に尽く霧散した。
「ちっ…!おい、ナツミ!!先に元の世界に戻れ!」
 苛立ちと共に壁に拳を叩きつけそう怒鳴ると、ナツミは大きく首を振って叫んだ。
「無理です!滅びの現象で次元が歪んでて、別の世界には繋げません!!」
「滅びの現象?何だ、それは」
 首だけを捻り海東に問いかけるが、やはり何も知らないのか、海東もまた首を横に振るだけだった。直後
に地面が再び揺れ、いたるところで山や木々が消えていく。一刻の猶予もないことを察した士は、生まれて
初めて冷や汗が浮かぶような焦燥感を覚えた。
「とにかく、早くここを出るぞ!」
 世界を超える時と同じ要領で意識を集中させ、壁に掌をつく。凄まじい反発力がそこから湧き上がるのが
分かったが、士はそれを意思の力で押し返した。しかし、質は同じはずなのに全く制御できないそれに、焦
りはますます大きくなるばかりだった。
「くそっ!一体何だってんだ!!」
 どうにもこのオーロラを超えることができないと悟ったのか、地面にうずくまっていたナツミがそっと壁
に手を添え、首を小さく横に振った。同じように、どうあがいても壊せない壁を前に怒りを滾らせた士は、
膝をつき視線の高さを揃えると壁越しに掌を合わせた。
 銀色に揺らめくオーロラの向こうで、ナツミが悲しみと慈愛に満ちた笑みをゆったりと浮かべる。
「私のことは構わないで……早く元の世界へ戻って下さい」
「ふざけるな!お前は俺のモノだ、こんな場所に置いていけるか!!」
「大丈夫。私達は、またすぐに会えます」
 意味のわからないことを呟いたナツミの声は、自らの運命を全てを受け入れたかのように酷く穏やかで、
それが士は尚更気にくわなかった。何一つ自分の思い通りにならにこの事態に、無意識のうちに奥歯を噛み
しめる。
 揺れはますます酷くなり、周囲のモノは殆どが塵と化して消えようとしていた。
「もう無理だ、士!」
「離せ!」
 肩を掴んだ海東の腕を振り払い、士は思いっきり次元の壁を殴りつけた。骨まで響く振動が、これが現実
であることを否応なく証明する。怒りで拳を震わせる士を見つめ、ナツミは儚げで美しい笑みを浮かべた。

289Solitude 11:2011/05/10(火) 03:16:12
「あなたがこれから出る旅は、とても辛くて長いものになります。だけど、決して諦めないで下さい」
「何の話だ?」
「どうか、世界を救って下さい……お願いします」
 ナツミの願いに、士は思わず言葉を失った。世界を救ってやる。内心に秘めてきたその思いは、今まで誰
にも言ったことはない。
 ライダーの存在があるが故に、世界は滅びへと向かっていると知り、全てのライダーの頂点に立つ為ディ
ケイドへ変身することを選んだ。いずれ用が済めば組織から放逐されることを薄々と感じつつ、あえて大首
領という地位についたのも、消滅するよりは支配の方が遥かにマシだと思ったからだ。
 それこそ小夜や月影にすら話したことはないというのに、何故ナツミはそんなことを言うのだろうか。
「俺は、世界を支配する悪魔だ。征服はしても、救うつもりなんてねぇ」
「いいえ、私は信じています。あなたは悪魔なんかじゃありません」
 わざと悪ぶって言いきった士の言葉を、ナツミははっきりと否定し、初めて見るようなとびっきりの笑顔
を見せた。その姿をただ茫然と見つめる士の前で、半透明だった次元の壁が一瞬にして不透明なモノへと変
わる。姿はおろか、声すらも聞こえなくなったその場所を何度も叩き、士は腹の底から絶叫した。
「ナツミ……駄目だナツミ!!戻れ!」
「来るんだ、士!」
 半狂乱に近い声でナツミを呼ぶ士を強引に引き寄せ、海東が壊れかけた橋を通り元の世界へ戻った瞬間、
一つの世界が消滅した。


 それが、大ショッカーが初めて確認した『世界の終わり』だった。


「………以上のことから、それぞれの世界が引き合い消滅すると言う、最悪の事態が起こってしまったも
のと思われます」
 淡々とした月影の報告を玉座で黙って聞いていた士は、感情の動きを一切見せない瞳で階段の下に並ぶ
幹部達の姿を見渡した。
「大体わかった。つまり、ライダーの存在が互いの世界を引き寄せ衝突すると、あの滅びの現象とやらが
起きてそれぞれの世界が消滅するということか」
「御意」
「なら、話は早い。さっさとライダー共を潰して、全ての世界を征服する。手に入れる前に消えられちゃ、
かなわないからな」
「恐れながら、ディケイドライバーとライドブッカーに関しては、完成したと言っても宜しいかと存じま
す。強化態であるコンプリートフォームの開発も、最終段階へと入っておりますれば……」
「細かいことはどうでもいい。さっさと仕上げろ」
 後の報告はもういいと、地獄大使の言葉を遮り軽く腕を振って人を払う。粛々と去ってゆく幹部達の背
を無言で見下ろしていた士は、ただ一人残った海東へと声をかけた。
「それで?」
「だから、何時になったら君は主語というものをつけてくれるんだい?」
 いつかと同じようなやり取りに溜息をついた海東が、階段下から士を見上げた。
「あの世界は完全に消滅したし、僕と君以外あの世界から橋を渡って出た人間はいない。君の言いつけの
とおり、大ショッカーの渡れる世界はくまなく探したが、何処にも彼女の姿はなかったよ」
 いい加減に諦めろと言外に突きつける海東の言葉に、士は無表情のまま肘かけを掴んだ指に力を込めた。
暗く思いつめた瞳を上げ、次元の狭間で揺れ動く数多の世界を睨む士に、海東もまた軽く肩を竦めると広
間を後にする。
 がらんとした玉座の間に一人残った士は、ゆっくりと、しかし確実に距離を縮め続ける世界の姿を見つ
めながら、ナツミが残した言葉を思い返した。
「いいだろう……世界は必ず、俺が救ってやる。それが、俺とお前とのたった一つの約束だ」
 ナツミ、と小さくその名を口の中で呼んだ士の目から、一粒の涙が零れおちた。

290名無しさんが妄想します:2011/05/10(火) 03:21:08
以上ですが、ここで終わらせると自分が鬱になるので続きます
読んでくれた人、ありがとう

あと、当初の予定だった「破壊者激情態 vs 大首領」は、展開に行き詰ったため途中で没にしました
忍法帳が回復したらこっそり供養しておきます……

291名無しさんが妄想します:2011/05/10(火) 06:03:39
>>290
続きktkr!!!!エロもさることながら、話しが面白い!!!GJ!!
続き、wktkしながら待ってる!!

292名無しさんが妄想します:2011/05/10(火) 18:28:10
>>278おつ!エロパロ板へ残り(>>285-290)を代理投下してきます
連投規制回避のためゆっくり投下するのでしばらくお待ちください

293名無しさんが妄想します:2011/05/10(火) 18:30:16
本編よりいいねーいいよー

294292:2011/05/10(火) 18:51:12
代理投下終了!!

面白かった〜。エロパロとして、マイ解釈考察として、2度楽しめる

295290:2011/05/11(水) 01:42:00
没ネタは細切れにして供養してきました
レベルダウンって意外と面倒 orz

>>292
転載ありがとうございます
忍法帳のしくみがよくわかってませんでしたので助かります
以後、規制にひっかからないように気をつけます……

296名無しさんが妄想します:2011/05/29(日) 15:49:58
忍法帖のレベルが全員下がったようなので
長文&連投時はご注意ください

297名無しさんが妄想します:2011/05/29(日) 21:25:45
夏士カプの話はいつも長文だねー。

298名無しさんが妄想します:2011/06/05(日) 20:27:28
本スレの無断リレーは荒しか?
sageない、投下間隔無視で1の注意書きは読まないわ人の注意は聞かないわ
キャラの口調も適当で本当に電王見てたのかと問い詰めたい
あんなんが電王ファンだと思われたら大迷惑だ

それから元ネタの人、設定が勝手に使われて黙っていられなかったことは同情するが
書き手の自分語りは嫌われたりスレが荒れる元になるから注意した方がいい
……って定期的に注意レス入ってるんだけどな


ついでに書き手が去っていくのは、書き手置いてけぼりのつまらん議論だの
投下直後に別カプの話題振るような書き手への悪意あるレスの所為だと思う

299名無しさんが妄想します:2011/06/06(月) 12:43:03
そもそも見てたらいろんな時間の良太郎に変身してもらうなんて話にはならないと思うぞ?

あの展開からどうやってエロい方へ持っていくか楽しみにしてたんだが
せめて事前に一言あればまだ…ねぇ……

300名無しさんが妄想します:2011/06/18(土) 13:29:03
なんか、今日は本スレに入れないんだが……うちだけか?

301名無しさんが妄想します:2011/06/18(土) 19:48:44
>>300
俺は入れたぞ

しかし、最近は忍法帖とやらのせいか、萌えが無いのか投下少ないね………

302名無しさんが妄想します:2011/06/19(日) 20:47:03
>>301
本スレと同じ人?
だって雑談してる方が楽しそうなんだもん。投下が来たら邪魔すんなって怒り出しそうな雰囲気


つーのは極端だけど、ここ何スレかの間に無言で或いは宣言して去っていく職人がいるのは
規制のせいばかりじゃないと思う。投下したければここがあるんだし

書き手なんて繊細で単純な生き物なんだよ。リクに対して都合よくSSを落とす萌え製造機じゃない
スルーされれば奈落の底まで落ち込むし、少しでもおだてられたら調子に乗って踊りまくる
○○好きだと叫ぶ代わりに或いは人のレスに萌えて、萌えを貰った感謝を込めて書いたりする

つまらん、合わないと思うものに無理してレスしろなんて言わないけど
大抵の職人は投下後丸一日レスがつかなきゃ、それが答えだって判るだろうから
投下直後の他カプ話や雑談はちょっと控えて貰えればなんて、たまに投下する身としてぶっちゃけてみる
これは自分個人の感覚だし、正直雑談でさっさと流して貰った方が有難ったりもするけど

投下のタイミング計るとか自分語り自重とか書き手にも注意する点はあると思ってる
ネタ貰うこともあるし普段は楽しんで参加してるし、雑談すんなってわけじゃないので念のため

303名無しさんが妄想します:2011/06/19(日) 20:56:13
自分は単純に書き上がんないだけだよー
書き上がったら投下する予定
ここしか書いて吐き出せる場所ないんだし、レスはもらえたら嬉しいけどもらえなくてもまあしょうがないかぐらいだよ
サイトとか持ってる奴の話きいたら話1本書いても何も言われないことのほう多いっていうしね

304名無しさんが妄想します:2011/06/20(月) 13:51:18
忍法帖と書けないのと、自分はどっちも当てはまるかな?
過去カプばっかで現行カプのネタが出ないから、どうしても投下をためらってしまう
ついでに職人さんが減ってくると自分のターンが続いたりして、なお投下しづらくなるという罠

>>303
投下されるまで、全裸で待機してます
自分もサイト持ちだが、常連さんでもいない限り書いた話にコメがつくほうが珍しいよ
せいぜいアクセス数で判断するしかないと思って、完璧な自己満足で妄想を晒してる
長編なんて書いた日には、誰か一人でも付き合ってくれれば恩の字だww

305名無しさんが妄想します:2011/06/20(月) 18:44:38
仮面ライダーに限らないけど
エロパロ板控え室スレの職人談義は勉強になるなー

306名無しさんが妄想します:2011/06/20(月) 19:08:26
結構職人さんっているんだなー

俺は雑談だけ楽しく混ざらせてもらうとしよう

307名無しさんが妄想します:2011/06/21(火) 21:47:55
また士夏か・・・

308名無しさんが妄想します:2011/06/21(火) 23:00:00
>>307
士夏嫌いな人か?
じゃあ、どんなカプが好きなんだ?

いや、だからなんだと言われたらなんもないんだが、ただ聞いてみた

309名無しさんが妄想します:2011/06/21(火) 23:10:26
>>308
そういうのにかまうな。居つかれたら困る。

310名無しさんが妄想します:2011/06/21(火) 23:17:44
>>265=>>297=>>307

311名無しさんが妄想します:2011/06/21(火) 23:28:56
しかし、マジな話今何人ぐらい職人残ってる?
少なくとも>>302>>303>>304の3人は現役職人確定だろうが
最近あまりにも投下率少なくて点呼をとりたい気分になる

312名無しさんが妄想します:2011/06/21(火) 23:53:25
宣言して消えてったのが二人いるしな。
しかし、現行作品の投下が少ないとかどうなんだ

313名無しさんが妄想します:2011/06/22(水) 00:02:32
そんな状況で古くて申し訳ないんだけれど、アギトの北條×小沢で会話してるだけエロなし。
本当は本スレが誰も投下なしなら書いてこようかと思ってたんだけど
規制解除待ってたらあちらは投下してくれた人がいたのでこちらに。


「なんで私があなたなんかとこんなところで食事しなきゃいけないの」
「ご不満ですか」
「不満に決まってるでしょ。いったいなにを企んでるの? こんな高そうな店に連れてきて」
「企んではいませんよ。あなたとここで食事がしたかったから、ではいけませんか」
「いいわけないでしょ。あなたがそんなまともなこと言う筈ないわ」
「ひどい評価ですね」
「日頃の行いが悪いからよ」
「それが旦那に対する言葉ですか」
「旦那だろうとなんだろうと思ったことははっきり言うわよ。そんなのあなたが一番よく知ってるでしょ」
「嫌というほど知っていますが。たまには一緒に外食をしたいというのは我儘ですか」
「ええ我儘ね。そんなに私の作った料理は食べたくないっての?」
「……たまにはワインが飲みたいんですよ」
「生ビールで我慢しなさい」
「本当に女王サマですね、澄子さん。そういうところも好きですが」
「あなたほどの自信は持ち合わせていないけどね、透くん」

314名無しさんが妄想します:2011/06/22(水) 13:24:50
>>313いまファミリー劇場で絶賛見返し中の俺狂喜
あとでエロパロ板へ転載はしますか?


このあと
せっかく高いワイン注文したんだから全部飲まないともったいない、と
飲み過ぎて「女房酔わせてどうするつもり」「ご想像のとおりです」
コースですか分かりません

315名無しさんが妄想します:2011/06/22(水) 20:20:38
てす

316名無しさんが妄想します:2011/06/22(水) 22:46:23
>>313
この二人大好きな俺歓喜
GJです!

317名無しさんが妄想します:2011/06/28(火) 20:24:25
自分は好きな組み合わせでしか話し書けない人なんだが、今好きな組み合わせは過去作品だし本編でなんの絡みもない二人なんでここに落とせるような話しが浮かばない

なんでもオケとか言うけど、今までの流れ見るとマイナーはスレストするみたいだしなぁ……

結局余所でこっそりアップしてるしかないんだ

318名無しさんが妄想します:2011/06/28(火) 21:50:12
いいんじゃないか?
絡みがなくてもそれを納得させるような話かければ問題ないと思うよ

319名無しさんが妄想します:2011/06/28(火) 23:02:09
>>318
それが書けないから>>317は悩んでるんじゃないのか?

320名無しさんが妄想します:2011/06/29(水) 18:44:36
>>317書き上げて公開してくれるだけでありがたいです。公開場所は
アプロダでも・外部サイトでも・エロパロ板の他のスレでも
どこだっていい。

321名無しさんが妄想します:2011/06/30(木) 15:16:02
書き込めないのでここに投下
伊達さんと里中さんが会話してるだけ。でも後里と言い張る。
後藤復帰後の話。

「おっ里中ちゃんどうしたの」
「…後藤さんにどんな調教したんですか」
「調教って、…人聞きの悪い」
「全然前と違いますよ、彼。」
「(他人のことなんて気にしない性格だと思ったけど…里中ちゃん行動的だねぇ)
何、ごとーちゃんのこと、気になる?」
「…いえ別にそういう訳では」
「ふうん。…俺の経験上、ごとーちゃんみたいなタイプは、そういうカッコいい格好よりカワイイのが好みだな」
「そんなこと聞いてませんから。…もういいです。失礼しました」

そう言いながら、本屋でロリファッション誌を購読する里中であった。

くっだらない話ですいません

322名無しさんが妄想します:2011/06/30(木) 18:08:41
>>321GJ
伊達さんお茶目w

323名無しさんが妄想します:2011/07/01(金) 16:40:55
>>321です。できたら、あとでエロパロ板へ転載します。

324名無しさんが妄想します:2011/07/06(水) 00:59:41
書き込めないのでこちらに失礼します。
キバを完走し、音也×ゆりの悲恋カプが好き過ぎるあまり淋しくて書いてしまった。
音也死後のゆりの独白です。


「もうすぐ、雨は止む」。
それが、あの男があたしに残してくれた最後の言葉だった。

お前は笑顔が一番よく似合ってる、だなんて白々しいにも程がある。散々怒らせて泣かせたのは何処のバカだ、バカバカ、音也のバカ。浮気者!
――なんてな。
本当は分かってるんだ。あれは「浮気」じゃなく、一世一代の「本気」だったんだってこと。

とても好きだった。
もし行くなと、絶対に別れないと言ったら、恐らくあいつはあたしの傍にいてくれたような気がする。
真夜に心を留め、ブラッディー・ローズを哀しく鳴らしながらも、あたしに微笑みかけてくれる筈。
だからこそ、幸せを願うしかなかった。
でもあたしは自分の意志で手を離し、あいつを見送ることが出来た。
それは誇りだし、良かったと思ってる。今までずっと、一度も後悔をしたことなんかない。

人が聞いたら笑うだろう、バカはお前だって。
或いは偽善者と罵られるかも知れない。身を引いたところで、苦しみが減る訳ではないのだから。
実際、未来から来たって言うあいつの息子にも焚きつけられたし。まったく、天然で無神経なところは親子そっくりで呆れてしまう。
でもあたしには、しがみついて諦める運命より、焼き付くような痛みを抱くことの方が大事だった。
音也のくれるものなら、どんなものだってそれが一番素敵だと思ったんだ。

「音也、」
ありがとう。あたしと出会ってくれて。
この世で見つけて、器用なふりして不器用に、苦しいくらい迷いなく愛してくれて。

「あったかかったよ…」
最後の瞬間まで、大切なものの守り方を、愛する術を教えてもらった。
あんたを、更には、ここから先を生きて行くあたし自身のことを。

もしいつか、ここではない世界で再び出会うことがあったら、訊いてみたいことがある。

豪雨。降り注ぐ痛いほどの雨粒。
軽やかなステップと共に、木々に紛れた赤い傘の向こう。

音也。

あの時、虹は見えていた?


<終>

325324:2011/07/06(水) 01:02:58
すみません、「幸せを願うしかなかった」の後の「でも」はスルーして下さい…チェックミスった

326名無しさんが妄想します:2011/07/06(水) 09:06:09
>>325
GJ!!!!!!!!
切なくて本気で涙が出てきた………
やっぱいい女だよ、ゆり

あとで本スレに転載しにいこうと思ってるんだけど、訂正かけたほうがいいのかな?

327324:2011/07/06(水) 17:24:24
>>326
お気遣いありがとうございます。
お言葉に甘えまして、訂正頂けますと助かります。お手数おかけしてすみません。

328326:2011/07/06(水) 20:35:17
>>324
了解です。
削除する文章は
「でもあたしは自分の意志で手を離し、あいつを見送ることが出来た。
 それは誇りだし、良かったと思ってる。今までずっと、一度も後悔をしたことなんかない。」
の二行であってますか?

329324:2011/07/06(水) 20:44:43
>>328
お世話になります。
すみません、削除対象はその文脈の頭の「でも」の二文字のみで、「あたしは」以降は残して頂けますと幸いです。
分かりにくくて申し訳ありません。
お手数おかけしますがどうぞよろしくお願い申し上げます。

330326:2011/07/06(水) 21:08:43
>>324
わかりました
では「でも」の二文字だけ抜いた文章を転載してきます

331326:2011/07/06(水) 21:15:36
無事転載できましたので、ご報告します。
忍法帖のレベル、ちゃんと上がっててよかった………

332名無しさんが妄想します:2011/07/06(水) 22:57:43
>>324投下おつかれです。
音也とゆりが最終的に結ばれないことは原作序盤から遠回しに示されてても
別れるのはキツかったなぁ……。

>>331代理おつ!

333324:2011/07/07(木) 13:42:23
>>326
遅くなりすみません、投下本当にありがとうございました。
訂正のお心遣いにも改めて感謝します。お手数おかけしてすみませんでした。

334名無しさんが妄想します:2011/09/11(日) 13:26:25
オーズでテンプレネタ。

「仮面ライダーのエロパロが読みたい! それは立派な欲望だ、実に素晴らしい!!」
「純愛、陵辱、萌えに萌え……どれも読みたいって思ってたろ?」
「一緒にsageてください……変身!」
「ネタバレには前置きを。注意書きも適切に使用しなければ美しい終末は迎えられません」
「規制で困った時は避難所もありますよ。あ、定時なので私はこれで」
「相変わらずクールだねぇ……素敵っ!」
「見たまえ、新しいSSの誕生だよ!! ハピパスディッ!!!」


「映司! これ使え!」
「sageと、2010年6月当時の放送作品……。
判ってる……おまえがやれって言うなら、おまえが、本当にやりたいことなんだよな」
「アンク……ありがとう」

今まで出てない人を、と頑張ってみたけど、伊達とお兄ちゃんが残念な感じにorz

335名無しさんが妄想します:2011/09/11(日) 13:51:12
確かに、まだフォーゼでテンプレ作るのは難しいかもね
「エロSSキター!」くらいしか思いつかないw

336名無しさんが妄想します:2011/09/11(日) 15:51:44
今のペースでいけば次スレも数ヶ月で埋まるだろうし、それまでにはフォーゼでネタも
できそうだし、テンプレもできるだろうし、オーズでいいと思う。
SS投下してると、容量埋まるの早いしね。
>>334のテンプレ、鴻上会長の声が聞こえるみたいでワラタwww

337名無しさんが妄想します:2011/09/11(日) 16:48:04
>>334だけど、見返したらテンプレ二行目、「萌えに萌え」になってた
正しくは「萌えに燃え」です。使って貰えるなら修正お願いします

>>336
ありがと。脳内でも会長はうるさいw

338名無しさんが妄想します:2011/09/11(日) 19:00:58
>>334
修正してみた
これでよければ次スレ立ててみようか?






「仮面ライダーのエロパロが読みたい! それは立派な欲望だ、実に素晴らしい!!」
「純愛、陵辱、萌えに燃え……どれも読みたいって思ってたろ?」
「一緒にsageてください……変身!」
「ネタバレには前置きを。注意書きも適切に使用しなければ美しい終末は迎えられません」
「規制で困った時は避難所もありますよ。あ、定時なので私はこれで」
「相変わらずクールだねぇ……素敵っ!」
「見たまえ、新しいSSの誕生だよ!! ハピパスディッ!!!」


「映司! これ使え!」
「sageと、2010年6月当時の放送作品……。
判ってる……おまえがやれって言うなら、おまえが、本当にやりたいことなんだよな」
「アンク……ありがとう」


*避難所・保管庫・過去ログは>>2
*不快な書き込みや好きでない話題はスルー、あくまでも大人の為のスレです
*ねたバレは前書き警告+空白改行をする
*属性注意書きやカップリングは前書きか名前欄に明記推奨
*他の人の作品投下後、数レスまたは半日待ってからの
 作品投下をお願いします(作品が流れるのを防止するためetc.)
*次スレは>980か容量480KB、作品投下も同じタイミングで中断して次スレへ

前スレ 仮面ライダー総合エロパロスレ14
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1304609532/

339名無しさんが妄想します:2011/09/11(日) 19:45:55
>>338
良いと思います。
本スレも容量限界っぽいし、次スレ立てられるのならよろしくお願いします。

340338:2011/09/11(日) 20:12:01
んじゃ、ちょっくら挑戦してくる

341338:2011/09/11(日) 20:20:43
立てた


仮面ライダー総合エロパロスレ15
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1315739597/

342名無しさんが妄想します:2011/09/11(日) 20:24:10
>>341スレ立て乙!素敵っ!

テンプレ>2は擬人化スレが落ちた&
ミラー変換機↓を書いておこうかと思ったけど次の機会でいいか。

過去ログはここにURLを入れると無料で探せます
2chDAT落ちスレミラー変換機ver.12
ttp://mirrorhenkan.g.ribbon.to/

343名無しさんが妄想します:2011/09/11(日) 20:44:05
>>341
スレ立て乙!

テンプレ使ってくれてありがとう。

344名無しさんが妄想します:2011/10/25(火) 14:40:11
お試し●でログインしてるのに、書き込もうとすると「忍法帖を作成します」なメッセージが出る。
初投下のうえに555ネタ(しかもチーム・オルフェノク)なので、こちらへ書き込みます。

・海堂×結花
・海堂が襲われた喫茶店に独自設定あり
・マンションの間取りも勝手な解釈あり
・結花がわりと明るいキャラかも?ついでに海堂を美化しすぎ
・エロになりきれず終了

345海堂×結花:2011/10/25(火) 14:41:01
「まだ起きてこないね。」
木場さんが紅茶を飲み干してから目線を上に投げかけた。
「きっと疲れているんだと思います。」
わたしもロフトの方に目を向けた。
「しょうがない奴だな…長田さんも、アイツをベッドに寝かせなくてもいいのに。」
「いえ、いつもわたしだけ上で寝かせてもらってて申し訳ないですから。」
「海堂が帰ってくるまでずっと待ってたんだ?」
「…はい。」
「あんまり海堂のワガママに付き合ってたら疲れるよ?」
「ありがとうございます。でも大丈夫です、わたし。」
「まぁほどほどにね。」
木場さんはいつもわたしに優しく接してくれる。

昨日は木場さんから「晩くなります。先に休んでてください。」というメールをもらっていた。
誰もいない部屋は一人で過ごすには広すぎるのに、なぜか息苦しく感じた。
外出する気分でもなく、一人でぼんやり海堂さんの帰りを待ってたら深夜になっていた。
「それで、その…昨夜は…。」
木場さんが言いにくそうに口ごもった。
「ご心配なく。海堂さんは横になった途端、すぐ寝入ってしまいました。
まさかわたしが隣で寝ているなんて、全然気が付いてないと思います。」
「そうなんだ…。いや、帰ったら二人とも上で眠ってるからビックリしちゃって。」
「だってわたしがソファを使ってしまったら、木場さんが床で寝ることになると思って。」
「うん、そう言われると、さすがに俺は海堂と一緒のベッドで寝るのはごめんだな。」

346海堂×結花:2011/10/25(火) 14:41:48
本当に…なにもなかった。
帰るなり海堂さんは無言でベッドにダイブして、そのままぐっすり。
わたしはおそるおそる近づいてみたけど、起きる気配なし。
うつぶせになって、こちら側に顔を向けて寝息を立てている。
顔が良く見えるよう、わたしは床に座り込んだ。
いつまでもこの寝顔を見ていたい。
戦いも苦悩もなにもない、安らげるひととき。
わたしはそっと海堂さんの髪をなでた。
 −あなたを支えたい 人間として一緒に生きて行きたい−
そして、手袋をはめたままの左手に自分の手のひらを静かに重ねた。
と、同時に海堂さんが寝返りを打った。
ビックリして手を引っ込めたけど、やはり起きることはなかった。
「…隣で寝てもいいですか?」
小さく呟いて、わたしはベッドに横たわった。
海堂さんの背中を眺めながら、ゆっくりと眠りにさしかかった。
 −素敵な夢の中に連れて行ってください−
でも、寝相の悪い海堂さんの足や手が当たってそのたびに飛び起きた。
そうこうしているうちにとうとう朝がきてしまい、ちょっと寝不足気味。

「今日はこれからどうするの?」
「特に何も…それよりも海堂さんが起きてくるのを待っ…」
「ほら、ほどほどにって言ったそばから!」
「…あ。」
ヤレヤレという表情で木場さんは笑い、わたしもこんな自分がおかしくて笑った。
「じゃ、俺は出かけるから…そうだな、夕方ぐらいにまた連絡するよ。」
「わかりました。いってらっしゃい。」

347海堂×結花:2011/10/25(火) 14:43:06
午前10時。
車のキーを持って、木場さんが玄関を出て行った。
わたしは木場さんのカップを片付けて、今度はコーヒーを淹れる用意をした。
昨日買ったばかりの豆をコーヒーメーカーに入れ、スイッチオン!
あたりに香ばしい挽きたての豆のいい香りが漂う。
海堂さんには以前行きつけのお店があって、気さくなマスターと自慢のコーヒーがお気に入りだったらしい。
悲しいことに、そのお店は…。
そういうわけで、わたしはできるだけ海堂さんに美味しいコーヒーを飲ませてあげたいと思っている。
海堂さん専用にちょっと値が張る豆を購入していることは、木場さんには内緒。
だって木場さんが知ったらまた笑われてしまうもの。
「きみは海堂のことばかり考えてるんだね」って。

348海堂×結花:2011/10/25(火) 14:43:43
「ふぁ〜〜〜…あ〜寝た!寝た!」
あ、やっと起きたみたい。
「お、おはようございます。」
「おう。今何時だ?」
「10時35分です。」
「ふーん。」
海堂さんは頭をガシガシと掻きながらゆっくりと階段を降り、3人掛けのソファにドスンと横になって目を閉じた。
「あの…コーヒーどうぞ。」
「んー?ああ。」
片目を開けた海堂さんがおもむろに起き上がり、コーヒーカップを掴む。
すぅっと一息吸い込んでからまた目を閉じ、しばらく芳香を楽しむ。
一口飲んでニッと口元を緩ませ「…うまいな」と呟いた。
「木場は?」
「少し前に出かけました。夕方にまた連絡するって言ってました。」
「まーたバッティングセンターかよ。暇な野郎だな。」
「そんな…海堂さんこそ昨夜は晩くまでどこ行ってたんですか?」
「うるせっ!俺様はいろいろと忙しいんだよ!ちゅーかさ、なんか食うもんある?」
「サンドウィッチ、作りますね。」

わたしはいそいそとキッチンに向かった。
木場さんには申し訳ないけど、滅多にないこの時間をわたしはとても楽しみにしている。
海堂さんと二人きり、勝手に恋人気分を味わえる時間。
海堂さんのためなら、コーヒーを淹れるのも食事を作るのも気分が高まる。
彼の喜ぶ顔が見たい、美味しいものを食べてもらいたい。
そう考えるだけでテンションがどんどん上がる。
わたし、本当に海堂さんのことが好き。なんでもしてあげたい。
彼への愛がある限り、わたしは普通の人間の女の子でいられる。

「できました。」
今日は張り切って、ハートの型抜きハムサンドを作った。
お皿に敷いてるペーパーナプキンもハート柄。
海堂さんへの気持ちが溢れてるな〜、なんて。
「なんだこれ?」
お皿を持ち上げて海堂さんが変な顔をした。
「ご、ごめんなさい。たまにはこういうのもいいかと思って…。」
あぁ、失敗したかも。機嫌が悪くなったらどうしよう!?
「ちゅーか、こんなの作るの面倒くさくねーのか?ったく、女ってよー。」
そう言いつつパクッとかじりついたと思ったら、あっという間に全部たいらげてしまった。
「はい、ごちそうさん!」
「お…お粗末様でした。」
嬉しい、全部食べてくれた。よかった。たとえハートの意味をわかっていなくてもいい。
食器を片付けながら、わたしは小さな幸せを噛みしめた。

349海堂×結花:2011/10/25(火) 14:45:14
「おい結花。」
「はい、なんですか?」
「俺のシャツのボタンが取れてんだよ。」
「え?どこ…?」
「ここ、ここ。」
子どもみたいにボタンが取れた個所を引っ張って見せる海堂さん…かわいい。
「裁縫セット取ってきます。」
「わりーな。」
素直に「縫ってほしい」と言えない、「ありがとう」と言えないけど、ちゃんと気遣ってくれてる。
ちょっとした会話の中に海堂さんらしさが見え隠れして楽しい。

裁縫セットを持って戻ると、海堂さんがシャツを脱いでいた。
今からボタンをつけるから当たり前といえば当たり前だけど…上半身裸は少し照れる。
なるべく見ないようにはしたけど、やっぱりちょっとは見てしまう。
腕立て伏せは下手だったのに意外と筋肉質なんだ…とか考えてたら恥ずかしくなって
急いでシャツを受け取ってからわざと一人用のソファに腰を下ろした。
「なんだ?なんでそっち行くんだ?」
海堂さんが何の疑問もなく、3人掛けの一番端までズリズリとこちらに向かって座りなおしてきた。
「はー、よくこんな細けぇことできるよな。」
わたしの手元にぐっと顔を近づけ、ボタンつけひとつにえらく感心している。
海堂さんの息遣いが聞こえるようで、緊張する…手が震えそうになるのを必死で堪える。

…………
…………

海堂さんは相変わらずじっとこっちを見ている。
沈黙に耐えられず、チクチクと針を動かしながら話しかけた。
「このシャツ、今日お洗濯どうしますか?」
「洗濯?ああ…3日か4日ぐらい着てっかな、それ。」
「ええ?じゃあそろそろ洗わないと…。」
「なんで?」
「なんでって…臭くなっちゃいますよ〜。」
「ちゅーかさ、俺様のハイパー嗅覚ではなんともないけどな?」
「それは自分のニオイだからわからないんですよ。」
「オマエも木場もクサイとか言わねーし。」
「クスッ…そんなこと言えるわけないじゃないですか〜。」
「そういや木場の野郎、いつもいいニオイさせてんな。香水かなんかつけてんのか?」
「木場さんは身だしなみに気を使ってるみたいですから。」
「なんだそれ?俺がなーんも気にしてねーみたいじゃんかよー。」
「そんな…木場さんは、その…えっと…。」
「はいはい。さらさらヘアーで爽やかさ全開の木場勇治くんには敵いませんよ、っと。」
そう言って海堂さんはソファの背もたれにバフッと体を預けた。
もう、すぐそうやって拗ねるんだから。
あれ?さっきからわたし一度も怒られてない…よね。
「…終わりました。新しいシャツ、取ってきましょうか?」
「いンや、シャワー入るわ。オマエがくせーくせー言うからよぉ。」
海堂さんは笑いながらそう言うと立ち上がり、リビングを後にした。
こんなに海堂さんと会話を重ねたのは久しぶりかも。
なんだか今日はいい日だな。

350海堂×結花:2011/10/25(火) 14:46:00
なんとなくシャツを両手で広げてまじまじと見た。
これ、この前千円で買ったって自慢してたシャツだよね。
ふふ…柄物が好きなんだなぁ。チェックの派手派手シャツ。
こっそり自分に当ててみた。…メンズのLサイズだから大っきい〜。
その時、ふと海堂さんの香りがしてハッとした。
いつか食べたであろうファストフードやさっきのコーヒーの残り香に混じってはいるけれど
わたしにはわかる、海堂さんの香り。
なんだろう…切ない気持ちで胸がいっぱいになる。
わたしだけが知っている、海堂さんにしかない香りにうっとりした。
 −結花、愛してるよ−
耳元で囁かれてぎゅっと抱きしめられるのを想像する。
 −あぁ、わたしもです 海堂さんを愛してます−
厚い胸板に顔をうずめ、そっと目を閉じるわたし。
 −結花−
ゆっくりと海堂さんの唇が近づいてくる。
その途端、下腹部がじん、と甘く痺れるのがわかった。

351海堂×結花:2011/10/25(火) 14:47:52
「……かぁ!!…ゆかぁ!!」
「は、はーい?」
びっくりして一瞬声が裏返ってしまった。
海堂さんがわたしを呼んでいる。
妄想を振り切って、シャツを抱えたまま小走りでバスルームへ向かった。
「どうしたんですか?」
「おう、シャンプーがもうねーんだわ。」
シャワーのザァザァという音の中から声がする。
今朝バスルームを掃除した時、海堂さんのシャンプーが空だと気づいていたのに…うっかりしてた!
「ごめんなさい、まだ用意してませんでした。」
「んー、頼む。」
擦りガラスのドアが少し開いて、湯気とともにシャンプーボトルを差し出す手がニュッと現れた。
急いで新しいものを用意し、ドアをコンコンとノックした。
「あの、どうぞ。」
またドアが少し開いて、中から手が伸びてきたかと思うと
その手はいきなりわたしの手首を掴んできた。
エッ?と思った瞬間、危うくシャンプーボトルを落としそうになった。
ドアがさっきよりまた少し開いて、海堂さんがひょいと顔を出して言った。
「結花も入るか?一緒に。」
思わず息を飲んだ。
うそ、そんな…
擦りガラス越しに、裸体がぼんやりと浮かんでいる。
濡れた黒髪、きりりとした眉、長い睫毛とともにわたしを見つめる目。
海堂さんの雰囲気がいつもと違う。よくわからないけど、確かに違う。
自分の顔がみるみる赤くなるのかわかった。
突然の状況に「あの、あの…」と慌てふためくわたしを見て、海堂さんが吹き出した。
「ちゅーかオマエさぁ、マジになるなよ。」
え?え?わたしはかなり判断力が低下していた。
そのままシャンプーボトルは奪われ、静かにドアが閉められた。

我に返って手首に目をやると、石鹸の泡が少しついていてそこがやけに熱く感じられた。
シャワーの音に紛れて、中から鼻歌が聞こえてくる。
「もう!海堂さんったら!!」
怒ってみせたものの、心のどこかでひどく落胆していることに気づいた。
わたしは一体どうしたいんだろう?

 −海堂さん、わたし今…自分を抑えられるかどうか自信ありません−

352344:2011/10/25(火) 14:56:51
以上です。
保管庫はオルフェノク編がなかったので書きました。
結花は海堂だったり啓太郎だったりでどうかとも思ったけど
こういう幸せな時間が少しぐらいあったらいいなぁ、という希望を込めました。
文章が拙いのと、思いのほか長くなってしまったのは申し訳ないです。
読んでくださった方、ありがとうございました。

353名無しさんが妄想します:2011/10/25(火) 18:14:21
>>344投下GJ!素朴な生活感に萌えた
これはいずれ、ついカッとなって押し倒しちゃうだろうな……

354名無しさんが妄想します:2011/10/26(水) 23:39:37
投下おつ!どうしよう…海堂にキュンとなったんだが…

355名無しさんが妄想します:2011/10/31(月) 01:43:31
>>344->>352を投下した者です。
お試し●で書き込めるところと忍法帖を作らされるところがあるのはなぜなんだ?

萌えキュンしていただいて光栄です。
チーム・オルフェノク編を再び投下します。
これ以降、古すぎるネタは自重します。

・海堂×結花
・小説版からの設定(波動云々)あり
・エロなし

356海堂×結花 2:2011/10/31(月) 01:44:50
ここ最近同じ夢を見る。
なぜかわたしは子猫。
どこまで歩いてもひとりぼっちで誰もいない。
冬の夜空、雪がちらつく中で必死に誰かを探して鳴いている。
ミャァ…ミャァ…
さびしいよ、さむいよ、たすけてよ…
だれかわたしをみつけて…
震えながらうずくまるわたしを、突然暖かい手が包む。
その手で抱き上げられた子猫のわたしは、その人の腕の中でようやく安らぎを得る。
そしてすぐ上の方から優しい声が聞こえた。
 −大丈夫だ 心配ない−


+++++++++++++++++++++++


「気が付いたようだね」
木場さんの安堵した顔がぼんやりと目に入った。
「あ、あの、わたし…?」
「キッチンで急に倒れてさ。びっくりしたよ」
そういえば、キッチンで洗い物をしてたような気がする。
突然視野が狭くなったかと思うやいなや、体中の力が抜けてしまいもうそれ以上は覚えていない。
「お皿…洗わなきゃ」
思わず起き上がったら、額から濡れタオルが落ちた。
「ダメだよ、まだ起きちゃ」
木場さんが止めるのも聞かず、身を乗り出して階下を見た。
ソファに座って雑誌を見ている海堂さんと目が合った。
「ったく、人騒がせだな」
「なんだよ、その言い方はないだろう?」
「ご、ごめんなさい。わたし…」
「長田さんが謝ることはないよ」」
「いいんです、わたしが悪いんです」
「なんだか熱があるみたいだよ。顔が赤い」
木場さんが心配そうにわたしの顔を覗き込む。
確かに朝から調子が悪かった。
寒気がしたのでカーディガンをはおったけど、寒さは収まらなかった。
「熱、測った方がいいよ」
木場さんが体温計を渡してくれた。
…………ピピッピピッ
「さ、38度です」
「うーん、まだ上がりそうだなぁ。俺、ちょっと薬買ってくるよ」
「いいんです、大丈夫ですから」
「そうはいかないよ。長田さんは今日一日休んでて」
「でも…」
「薬買いに行くついでに買い物もして、クリーニングも受け取っておくから」
「木場さん…本当にありがとうございます」
「気にしないで。それから、体調が悪かったらちゃんと言わなきゃダメだよ?」
「そうですね…これから気をつけます。」
「海堂、俺が帰るまで長田さんについててあげてくれないか?」
「なんで俺様が?」
「頼めるのはきみしかいないじゃないか」
「ちゅーか、おめぇ、いつも楽なのばっか取りやがってよ!」
「いいから、とにかく頼んだよ!」
そう言い残して、木場さんは足早に玄関を出て行った。
「おい、木場ぁ!!」
玄関のドアに向かって海堂さんが大声を張り上げたが、もう遅い。
イライラしたのか、海堂さんは乱暴にソファに座ると、テーブルに足を投げ出した。
「ご、ごめんなさい。わたしのせいで…」
海堂さんはこちらを一瞥したが、すぐにプイッと向こうを向いてしまった。
わたしは泣きたくなった。
なんで熱なんか出したんだろう。
みんなに迷惑かけて、わたしはバカだ。

357海堂×結花 2:2011/10/31(月) 01:46:32
海堂さんは黙って、ずっと右手の爪先を親指にこすり合わせるようなしぐさをしている。
たまに天井を見上げてまた目線を爪先に戻す、を繰り返す。
「…何見てんだよ?」
「いえ、なんでもないです」
「寝てろ。木場にそう言われたろ?」
「はい…」
わたしはまた横になると、なぜかあの夢を思い出した。
暖かい手、腕の中に抱きかかえられた安心感。
なんとも心地よく、ふわふわした気持ちになる。
もしこれが本当ならどんなにいいか…自然と涙が出そうになった。

「おい、もっかい熱測っとけ」
急に声がしたので見ると、海堂さんが体温計を持って立っていた。
「あ、はい」
海堂さんはポンと体温計を放り投げ、またリビングに下りていった。
…………ピピッピピッ
38度5分…木場さんの言うとおり、熱が上がってきた。
さっきまで寒かったのに、今度は体中が熱い。
また海堂さんに怒られる…そう思うと悲しい気持ちでいっぱいになった。
とその時、階下で冷蔵庫を開けてゴソゴソと中を探る音がした。
引き出しを開ける音…何をしてるのだろう?
起き上がって見たいのを抑えて、怒られないようわたしはずっと横になっていた。
階段とトントンと上がる音…海堂さんがこっちに来る。
わたしは少し身を硬くしたが、姿が見えた途端に拍子抜けした。
海堂さんがアイスクリームを食べながら近づいてきた。
「ちゅーかオマエさ、こんなのこっそり買ってんじゃねーよ」
それは、いつかデザートに出そうと思って買っておいたカップアイスだった。
バニラとチョコとストロベリーの3種。
海堂さんはストロベリーアイスをおいしそうに食べている。
「うめーな、これ」
「よかったです、気に入ってもらえて」
海堂さんの機嫌が直って、わたしはホッとした。
「熱、まだあんだろ?」
海堂さんがベッドに腰を下ろした。
「はい、ちょっとまだ下がりそうになくて…ごめんなさい」
「食うか?」
「え?」
「顔真っ赤で涙目になってんぞ。冷たいの、食え」
そう言うと、海堂さんはストロベリーアイスにスプーンを差し、ひとさじすくった。
「ほれ」
「え、あ、あの…」
冗談なのか本気なのかわからずにいると、熱でほてった唇に冷たいスプーンが押し当てられた。
おそるおそる口を開けると、スプーンがゆっくりと口中に押し込まれた。
「…ん…」
わたしは目を閉じた。
アイスのなめらかな舌触りと甘酸っぱい苺の味が同時にとろけた。
「な?うめーだろ?」
海堂さんは子どものような笑顔を見せると、次のひとさじは自分の口に入れた。
口をモグモグさせならがまたひとさじすくったかと思うと、今度はわたしの口に入れた。
「よし!これで終わり!後は俺のだから!」
海堂さんはスプーンを口に咥えて機嫌良くリビングに下りていった。
わたしは少し混乱した。
おいしかったけど、そういう問題じゃない…。
口の中はひんやりとしているのに、頬はますます熱っぽくなってきた気がする。
甘い苺の香りに包まれて、さっきとは逆に熱が出たことにちょっぴり感謝した。


+++++++++++++++++++++++


ソファに座って雑誌をめくっていた勇治がいきなり立ち上がった。
キッチンの冷蔵庫の前にいた直也がほぼ同時に身構えた。
「長田さん!?」
「結花!?」

オルフェノクの特性故か、結花の意識が遠退いたのを二人は瞬時に感じ取ったのだ。
名前を呼ぶが早いか、直也は結花に駆け寄り寸でのところで彼女を受け止めた。
「あっぶねー」
「気絶…してるのか?」
「だな。なんか熱っぽいニオイがする」
「俺、濡れタオルを作ってくるから、きみはそのまま長田さんをベッドまで運んでくれないか?」
「おいおい、力仕事は俺かよ!」
「仕方ないだろ。さぁ早く!」
「チッ!しょうがねぇな……っこらせっと!」
直也は結花を抱きかかえると、注意深く階段を上っていった。
ゆっくりとベッドに結花の体をおろし、彼女の額に手を当てて直也は呟いた。
「大丈夫だ。心配ない」

「どう?様子は?」
勇治が洗面器に氷水とタオルを入れて持ってきた。
「あぁ、別にたいしたことねーな」
「そうだね。変な波動は感じられないし、このまま寝かせて様子を見よう」
「そんじゃ、俺様はイチ抜けたっと!」
「海堂〜…」
「ちゅーか俺、オマエみたいに暇じゃねーからよぉ!」
そう言うと直也は、階段の途中から一気に飛び下りてソファの真ん中に陣取り、さっき勇治が読んでいた雑誌を手に取った。

358355:2011/10/31(月) 01:56:10
以上です。
2レスに収まって良かった!
海堂は結花のことをちゃんと気に掛けてるんだ、と信じたい気持ちで書きました。
木場さんはいつも都合よくいなくなりますがw
本スレの作品を参考に、もっとうまく書きたいものです。
読んでくださった方、ありがとうございました。

359名無しさんが妄想します:2011/10/31(月) 17:25:01
おつ!俺が得するから自重しなくてもいいんだぞ
あと、運用情報板のテンプレ↓
ttp://qb5.2ch.net/test/read.cgi/operate/1316784252/1-4

360名無しさんが妄想します:2011/11/01(火) 01:22:40
GJです

361名無しさんが妄想します:2011/12/18(日) 20:42:54
避難所書き込むの初めてなので良く分からないので、誰か頼む。

保管庫管理人さんより、以下

2011/12/18
 お久しぶりです。保管庫管理人です。
 まず、私事により保管作業を放置しましたこと、この場をお借りして謝罪いたします。苦情や意見は甘んじて受ける所存です。
 規制のため、スレ自体に書込みが出来ませんので、どなたかこの文をお読みになった方で転載が可能な方がいらっしゃいましたら、転載のご協力をお願いいたします。
 以前お話しましたブログ形式からサイト形式への移行ですが、現在サイトのベースの構築を進めているところでして、このブログに保管した作品(作者様からの要望により削除希望の作品を除く)を移植しだい、サイトアドレスをご案内したいと思っております。
 その際、このブログ保管庫の方は一定期間(一ヶ月の予定です)を経た後、削除をするつもりです。
 サイト移行の際には、HP作成初心者のために様々なトラブルが発生するとは思いますが、皆様のご意見等々を私の方までお寄せいただけたら幸いです。
 長々となりましたが、この辺で失礼いたします。
            友人とフォーゼが、ボラ●ノールかおにぎりかでちょっとしたケンカになる管理人より

とのことです。
自分も本スレ書き込めないから頼む。

362名無しさんが妄想します:2011/12/18(日) 23:24:01
管理人さん生きてたんだな……
胸熱だ!!

しかし、本スレが803から動かないんだが、もしや容量こえたのか……?
それとも803が本気でカキコミしながら投下しようとしてるのか……?

363名無しさんが妄想します:2011/12/18(日) 23:37:07
>>361
保管庫管理人様、保管及び移行作業お疲れ様です。
大変感謝いたしております、ありがとうございます。

現在保管対象となっていない直近数スレにて何作か投下させて頂きましたが、
それらの作品について保管庫への転載を希望しないという選択は可能でしょうか。

お手数をおかけしまして申し訳ございませんが、可能な場合はどのように
対象作品をお伝えすれば良いかお知らせ頂けますと幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

364保管庫管理人:2011/12/19(月) 17:34:08
>>363
こちらこそ作品の投下ありがとうございます。
職人さんあっての私でありますので…。

保管庫への転載の件ですが、可能です。
現在ブログの方で本スレ9までは保管していますが、
10スレ以降の作品で保管しないで欲しいとの作品をブログのコメントから
いただいている作品が何点かあります。

とりあえずHPへの移行を済ませてから、という形にはなりますが、該当作品を
現段階ではブログのコメント機能で(はじめにという記事タイトルにあると思いますが)
「管理人のみ」というチェックボックスに印の上、コメントしていただければ届くと思います。

出来れば本年度中には移行を済ませたいと思っていますので、ご連絡が早ければ
それだけ早く対処はさせていただけたらと思います。

365 ◆Z2ooh/uJqs:2011/12/21(水) 01:38:51
>>364

保管庫管理人様
いつもお世話になっております。

先程、保管庫の方にコメントさせていただきました。
よろしくお願いいたします。

366名無しさんが妄想します:2011/12/25(日) 18:24:24
次スレ立ててきます
ミスったらごめん

367名無しさんが妄想します:2012/03/21(水) 04:16:19
規制中なのでこちらにキバなごめぐSS投下させて下さい。
名護さんちはお母さんも亡くなっているという捏造前提、エロなし(朝チュン程度)ほのぼのです。

368キバなごめぐ「もってる、まってる、まもってる。」:2012/03/21(水) 04:17:23
たった独りで生きて来た。
いや、そのつもりでいた。

家族と死に別れ、あっという間に消え失せたまやかしの幸せ。
そのせいか否か、名護啓介は端正な顔立ちとすらりと高い身長、長い手足と女受けする容姿の持ち主にも関わらず、幼く独り善がりで強固な正義感に凝り固まった偏屈な人物だった。
パートナーである麻生恵が女だてらに特訓を重ね、母の仇を討たんと奮闘する姿にも共鳴をしないばかりか、気持ちに理解も示さず鼻で嗤い、未熟だと皮肉を振り撒いて去って行く。
典型的な男尊女卑と冷徹さ。
基本的に思いやり深い性格の恵に、生まれて初めて「人を嫌う」という感情を教えたのは、他ならぬ名護だったのだ。

だが、どれだけ疎み合っても皮肉な運命は彼らを切り離さず、常に一番近くに居続けることを求めた。
結果、訪れたのはまさに世紀のどんでん返し。
ファンガイアせん滅と同時に二人が愛し合うことになるなんて、一体誰が想像出来ただろうか。

共に過ごす時間が増えたある日、家に遊びに来ない?と恵に誘われた。
名護は驚きを隠しつつ、うん、ともあぁ、ともつかない声で承諾する。
バウンティハンターとモデル。いわばどちらも自由業なので、予定さえ入っていなければ週末など待たなくても会えるのが利点。
約束は数日のうちに果たされ、揃って恵のアパートのリビングで午後を過ごすことになった。

とはいえ、まだ手を繋ぐくらいのことしかしていない二人には、こういう場面での勝手がまるで分からない。
お互いの間に見えない壁でもあるかのようで息苦しく、距離が近い分もどかしさと切なさを煽られていた。

「えっと、お昼ご飯作って来るね」
恵がソファーを立ち、名護は大きく息を吐いて全身を弛緩させる。
傍らには、最近彼女が載ったという雑誌。ぱらぱらとめくってみて、いつもと違うよそゆき顔を不思議な気持ちで見つめた。

今日の恵の服装はざっくりしたニットとチェックのパンツ。髪はアップにしているが巻いてはおらず、地毛はストレートなのだと初めて知った。
部屋着のラフさは、また違った魅力を伝えて来る。
あの服は果たして簡単に脱がせられるものなのか…ふと過るヨコシマな考えを慌てて打ち消すが、似たような妄想が何度となく名護の思考を乱しにかかった。
家具も壁の飾りも匂いも、全て恵が作ったこの空間の中では、所詮一元である自分の理性なんてないに等しいものなのかも知れない。

369キバなごめぐ「もってる、まってる、まもってる。」:2012/03/21(水) 04:17:48
「お待たせー」
ややあって、プレートを掲げて恵が戻って来る。二つの皿の上には、サラダとオムライスとミートボールが色良く盛り付けられていた。
「嫌いなものないよね?有り合わせで悪いけど」
それはつまり、所謂残り物か。いや、それでここまで作れるのならむしろ素晴らしいことではないか。
「出来るんだな、料理」
「適当に何でもやれるようになるわよ、母親いないもの」
照れくさいせいか素っ気なく答え、いっただきまーす!とわざと大きく手を合わせて食べ始める。そんな横顔に唇の端で笑ってから、名護もスプーンを取った。

「…、」
口にした瞬間、何とも言えない郷愁が胸を浚う。
「どうかした?」
不安げな恵をよそに、もう一口、更に一口とオムライスを崩して行った。
「懐かしい…」
「え?」
「昔、食べたことのある味だ」
そもそもオムライスなんて子供じみたものは近年さっぱり口にしていなかったから、これが標準なのか特化した出来なのかは分からない。
だが、それを抜きにしてもとても美味しい。
懐かしさだけじゃない歓びを感じるのは、きっと心が込もっているせいだろう。

「名護くんがご飯食べるとこ、見たことなかったのよね。あたし」
サラダを食みスープに手を伸ばし、夢中で食べ尽くしてしまうと、恵がぽつりと言った。
「だろうな」
正直に認める。元々食に執着がなかったし、知り合いの前では努めて物を口にしないでいたから。
名護は誰かと食事をすること、食べている場面を見られることを殊更嫌っていた。理由は分からないが、それだけ相手に隙を見せる行為のような気がして。

「食べてくれるか、実はちょっと不安だったの。嶋さんとの食事会だって、殆どまともに食べないでお皿返しちゃってたじゃない?」
「そこまで酷くはない。第一、君は食事に夢中になって他を見ていないだろう」
「だって嶋さんが連れて行ってくれるお店、何処もおいっしーんだもん!」
興奮気味の恵に同調出来ないくらい味の記憶がないのは、結局いくらも食べていなかった証拠だろうか。
改めて、舐めたようにきれいになっている皿に気恥ずかしさが募るが、恵は嬉しそうに頬を弛ませている。

370キバなごめぐ「もってる、まってる、まもってる。」:2012/03/21(水) 04:18:12
「これは、…美味かった」
小さく呟くと、
「また作っていい?」
すかさず訊かれたが、正直名護にも分からない。次もこうして食べられるかどうか。
もしかすると食事風景を見られることの嫌悪感が甦ってしまうかも知れないし、別のマイナス感情に邪魔されるかも知れない。

「…まぁ、」
程々に、と言うか、適当に、と言うか。駄目だとも言い切れずに言葉を濁すと、不意に恵の手が眼前に迫って来て硬直した。
「付いてた」
唇の端からケチャップを掬い取り、指先をぺろりと舐めて照れくさそうに笑う。
付いたままだった事実、行動の大胆さへの衝撃が混ざり合って名護は赤面。それこそケチャップのようになった頬を反らした。

「無理しないで、いいと思う」
冷えたお茶を煽ると、恵が呟く。
「名護くんさ、実は色々いっぱい抱え過ぎてるんだよ、自分じゃ気付いてないかも知れないけど。捨てるのは難しいだろうけど…少しでも小さくしたり、一緒に持つことは出来るよ、あたしにも」
意志の強さを感じさせる眼差しと、呆けたような自分の視線が絡み合った。
「これでも結構力持ちだから、大丈夫。もし名護くんがキレて全部捨てちゃったとしても、ちゃんと拾って持っててあげる」
「……。」
否定出来ない可能性に、名護は返す言葉を失う。『全部捨て』る中には彼女自身も含まれていることに、恵はきっと気付いているんだろうに。

「なーんて、名護くんの荷物を担保にして一生離れない作戦。ずるいなー、あたし」
わざと笑い飛ばして核心を突く、その不器用さが心に刺さった。
腕を伸ばし、胸の中に恵を閉じ込める。強くしっかりと、解けないようにロックして。
「馬鹿だな」
「…迷惑だって思ってるんでしょ?」
「迷惑なら、そもそもこんな関係にならない」

371キバなごめぐ「もってる、まってる、まもってる。」:2012/03/21(水) 04:18:32
恵が人を放っておけない、それこそ相手の世界に踏み込んでまで世話を焼く性格だと知っている以上、いずれ自分のフィールドに入り込まれることは明らかだったのだ。
大切なのは、それを嫌だとは思わなかったこと。
並の恋心程度では無理かも知れないが、一緒に絶望の直中に立ち、手を取って数ミリの淵を歩き出そうと導いてくれた彼女には、どれだけ嘘をついても意地を張ってもきっと無駄だ。

「こんな関係って、どんな関係?」
「え、」
突如、緊迫する空気に面喰らった。
「だって…確かなものが何にもないじゃない。今だって、どんなつもりでぎゅってしてくれてるのか分かんないもの」
可愛さときわどさが半々の表現に、気持ちが高まる。
「名護くんは、もっと欲しくならないの?あたしはどうしたらあなたが手に入るかって、そればっかり考え…」
遮る勇気。やり方も分からぬまま悶々としていた時間を吹き飛ばすように、名護は恵に口づけた。

捉えどころのない柔らかさ。弾力の隙間に絡む吐息と、それによって熱い湿り気を帯びる唇の甘さに全身が溶け出すのを感じる。
ぐずぐずに潰れてしまいそうな心地好さと、ぴりぴりと背中に走る期待感を漂いながら繰り返すと、恵の手が名護のシャツを掴んで手前に引っ張った。
「もっと…」
指先が襟を潜り、首を直接撫でられる。髪をかき上げながら耳を摘み、触れたいと肌を探し回る気配。

引き倒されるままに恵にのし掛かり、名護は口づけを繰り返しながらそっと身体に触れてみた。
「ん…!」
肩、腰、背中。特に問題はなさそうな所から徐々に中心部に向けて手のひらを這わせ、胸の頂に至るとさすがに困惑気味な声を上げはしたが、嫌がる素振りは見せなかった。

「…いいのか?」
「嫌なの?」
質問で返されて、思わず笑ってしまいながら首を振る。
「――したい」
抱きたい。内側まで、隅々まで、恵を自分のものにしてしまいたい。
あたしも、と微笑みながら返す恵に、愛しさが溢れ出した。

372キバなごめぐ「もってる、まってる、まもってる。」:2012/03/21(水) 04:18:57
* * * * *

背後から髪を梳く。
いつものふわふわした感触も好ましいが、指の間を滑って行くこんな繊細さも悪くなかった。
「ん。あ…ごめん、寝ちゃってた」
「いや…俺も今、起きた」

さすがにソファーでは狭いからと、慌ただしく移動したベッドルーム。
すっかり暮れた空の下、唯一の光源であるスタンド程度では、無我夢中で脱ぎ散らかした服が何処にあるのかさっぱり分からない。
肌寒さと独特の気だるさも手伝って、二人は小鳥のように身を寄せ合ったまま動けずにいた。

小さなシングルベッドは縦の長さが名護の身長に満たず、足先が出てしまう。
それを避ける為に膝を折ると恵を蹴ってしまうので、身体を内側に導いて重なり合うことでどうにかはみ出ずに布団に留まっていた。
互いが命綱のような状態だが、愛情は不自由さの中でこそ深まる。
見事な仕掛けだな、と訳もなく運命に感嘆した。

「ねぇ、」
「ん」
「後悔してる?」
「……。」
行動の一つ一つを、言葉で確かめる。恵は大胆なようで、実は臆病なのだと改めて知らされた。
「していると言ったら、どうするんだ?」
だが、名護としては無条件に信じて欲しい。ここまで晒け出し合って、今更何を怖がることがあるのかとすら思ってしまう。
だから意地悪もしたくなる、これは本能みたいなものだから仕方がない。
「そうね…自由をあげる、かな。あたしは後悔してないから、胸を張っていればいいもの」
「らしくないな、あっさり諦めるなんて」
「違うってば。好きにさせてあげるだけ」
取り戻す為にね、と付け足され、どんな歪んだプライドなのかと苦笑する。
離れないように努力するより、離れたものを再び引き寄せる方が何倍も大変ではないか。

「大した自信だ」
「だから言ったでしょ、名護くんの荷物をいっぱい持って担保にするんだって」
「…なるほど」
そういうことだったか。
さっき話したばかりなのに、もう随分前のことのような気がする。
考えてみれば、ほんの数時間前まで恵のあんな表情や声、身体の特徴も何も知らなかったのだ。
何だかじわじわと感慨深いものがある、男として。

373キバなごめぐ「もってる、まってる、まもってる。」:2012/03/21(水) 04:19:16
と、小さな身体がくるりと返り、こちらを向いた。名護の胸に額が付き、腕を背中に伸ばされて密着する。
「気持ちいいよね、…裸って。変なの」
「こんな不道徳なことがいいだなんて、」
「ちょっと、またそういうこと言うー」
ぷぅと膨らむ頬に唇を落とし、追いかけっこのように顔中に繰り返して唇の上でゴールの音を鳴らした。
恵の笑い声はゆるやかに甘さを纏い、鼻に抜ける吐息に名護は新たな高まりを覚える。

「君は、こんな男でいいのか?」
「何?随分急ね」
ぼんやりとした表情で彼女は顔を上げた。
「何でそんなこと訊くの。今なら引き返せるとでも言う気?無理でしょ?駄目なら最初からこんなことしない、超痛いし恥ずかしいし」
ずるい、と噛みつく勢いでキスを返された。
あぁそうだ、確かにずるい。名護は納得する。
恵が絶対認めないことを分かってて、その土壌が確かなのを知った上でしかこんなことを訊かないのだから。
だが、狡猾と言うより単に臆病なのだ。だから受け止めてもらえるのだろうとも思う。

自分が未熟で、最低な人間だと分かっていた。
発展途上を認められるようになった。
だから、いつ何時嫌気が差して全てを放り出したくなるか分からない。そんな種類の危うさを持っていることも知っている。

だが、絶対に捨てられないものが出来た。
それを抱き続けるには努力が必要で、常に成長して行かねばならないのだから、何より自分自身になど負けてはいられない。

「豚汁が食べたい」
ぽつり、口にした。
「え、」
「作って、くれるか?恵」
それもまた、亡き母の得意料理。かつて家族で囲んだ味だった。

恐れることなどない、一歩ずつ進めばいい。
大丈夫だ。心の空白を満たしてくれるものは、愛する者の優しい想いなのだから。

「おっけ、じゃあ夕飯それね。あ、でももう一品おかず作った方がいい?どうしようかなー」
張り切って起き上がろうとする身体を引き戻す。
「その前に、」
こうしてここにいることを、もう一度感じたい。

名護は恵を抱きしめた。


<終>

374キバなごめぐ「もってる、まってる、まもってる。」:2012/03/21(水) 04:19:44
以上です、お目汚し失礼しました。

375名無しさんが妄想します:2012/03/21(水) 15:48:11
>>367
投下おつ!男前なめぐみんならきっと名護さんを幸せにしてくれる!

376名無しさんが妄想します:2012/03/22(木) 01:29:05
>>367
素敵ななごめぐ乙!
二人のぎこちなさと求め合う気持ちに、胸が熱くなるな。

377名無しさんが妄想します:2012/06/12(火) 01:23:43
本スレが規制喰らってるのでこっちで吐き出し

ものすごく久々にフォーゼ見たら弦ユウのナチュラルぴったり感に完全に持ってかれた…
何だあの爽やか高校生カップルは!

お互いを幼なじみ〜仲間くらいにしか思ってなかったのに、部内ではすっかり出来あがってるものと
思われて 囃したてられてテレながら二人して「違う!」と否定した途端に意識し出してしまい、
けれどもう友達宣言しちゃったから今更好きだなんて言えない…とベタにモンモンとする初々しい二人を妄想して一人悶えたw

378名無しさんが妄想します:2012/06/23(土) 01:39:26
規制中につき、弦ちゃん天高制服編を受けての弦ユウ投下。
久々に文章書いたので色々拙いですがすみません。

NGは4z弦ユウ「First taste of Love」でお願いします。

3794z弦ユウ「First taste of Love」:2012/06/23(土) 01:40:31
「もー!納得いかないぃー!」
珍しく平和な放課後。
天高の制服に身を包んだ弦太朗の傍らで、ユウキは何度目かの嘆きを口にした。

「まぁそう怒んなってユウキ。俺だって戸惑ったけどよ、もう慣れたっつーか」
単なるファッションの乱れと決めつけられるのは甚だ不本意だったが、自分以上に憤る他人を見れば宥めてしまうのもまた人情。
「ダメだよ弦ちゃん、そんなこと言っちゃ!だって弦ちゃんは気合いを込めて短ランリーゼントだったんでしょ?不真面目な訳じゃないのに」
「ま、そりゃそーだけど」
参ったな、と鼻の頭を掻く弦太朗の目前で、ユウキは頬を膨らませたまま見上げて来た。
(おっと、…可愛い、ぞ?)
それは幼い頃見覚えのある表情でありながら、弦太朗に新たな想いを呼び起こさせる。

「――決めた!」
叫ぶなり、ユウキは陶然としかけていた弦太朗の手を取って歩き出した。
「お、おいおい何だよ、何処行く気だ?」
つっかえ気味な歩みは止まることなく、やがて行き着く先はユウキの家。昔より小さく見える建物に、不思議としみじみしてしまう。
「こんちはー。って、おばさんは?」
「弦ちゃん、あたしの部屋覚えてるよね?先に行ってて」
ユウキは真っ直ぐキッチンに向かい、すぐに冷蔵庫の扉やガラスの触れ合う音が響き始めた。
誰もいないと言うことだと理解し、弦太朗はうーす、と返事をして何年振りかの城島家の廊下を辿った。

「うはー、こんなだったか?」
おぼろげな記憶で居室を探し当て、一歩踏み込んでぐるりと見回す。
タンスやラグ、カーテンの色には覚えがあるようなないような。
(なーんか、いい匂いしやがるし)
既に「子供」のそれではない、甘く切ないような香りに眩暈を覚え、弦太朗は気恥ずかしさに思わずベッドに座り込んだ。

「久し振りだね、家来るの」
「おっ、カルピスカルピス!初恋の味ってヤツか?」
照れくささが極まり、殊更大きな声を出してユウキの持っていた盆の上からグラスを引ったくる。思った以上に喉が渇いていたのか、一気に中身を飲み干してしまった。
「弦ちゃん」
「ん、」
ベッドをゆるく軋ませ、隣に座るユウキ。
「ホントに、このまま真面目になっちゃうの?」
「んっだそれ、俺すげーいい加減みてぇじゃ、」
「違うよ」
そうじゃないから、とユウキは言葉を重ねて身を接近させて来た。

「あ、あーその…何だ、し、宿題でもすっか?」
昔みたいに、と言いかけた時、彼女の手が不自然なほど折り目正しい弦太朗の制服の裾を掴んだ。
「な、何を」
「脱いで?」
「あぁ!?」
解かれるタイ、シャツのボタンにかかる指先。思わず見惚れ、頭と身体がリンクし切れていないのを感じた。

3804z弦ユウ「First taste of Love」:2012/06/23(土) 01:41:05
「ちょ、待て待て待てユウキ!」
「待たないっ」
キッと強い瞳で見上げられ、叱られてすらいるような感覚に怯む。
「だって弦ちゃんは優しいもん、素敵だもん!何も分かってないのに、一方的に『正せ』なんて酷いよ」
だから忌わしきこの衣を脱げと、そういうことか。

ユウキがそんなことを口にするとは思わなかったが、改めて聞かさせると悪い気はしなかった。
正直叫び出したいくらい嬉しい、好きな女の子に褒められればきっと誰だってそうに違いない。
「なぁ、ユウキ」
だからこそ、何処まで許されるのかを知りたくなる。それも哀しきオトコのサガ。

「例えばよ、今ここでこれ脱ぐとするだろ?そしたら、その後どうすんだ?」
弦太朗の問いに、ユウキは動きを止める。
「…好きにすれば、いいんじゃないかな」
頬を真っ赤に染め、やがて小さな声でそう言った。

今にもニヤけそうなのを抑え、弦太朗は懸命に唇を結びながら俯いたままのつむじを見つめる。
あぁ、指先が笑えるくらい震えている。必死の思いでユウキの頬に触れ、顔を上げさせた。
「して、い?」
敢えて主語を省いたが、意図は伝わったらしい。
返事の代わりに伏せられた睫毛。頬は赤いのに瞼は蒼白い。
普段元気印の彼女からは考えられない緊張感としおらしさに胸を射抜かれ、弦太朗は自身に喝を入れながら首を傾けて唇同士をくっつけてみた。

びっくりするような柔らかさ。互いに驚いて離し、怖がりながらも再び重ねる。
そのまま固まるが、果たしてこういうものは何分くらいしているのが正しいのか。そもそも呼吸はいつすればいいのか。
分からないことだらけで頭が回り出した瞬間、ユウキの腕が首の後ろに触れたのが分かった。
「――。」
少しずつ角度を変えて啄むうちに、呼吸の合わせ方を理解する。
ユウキ唇のぬくもり、腕に篭った力の強さ。
より深く唇が絡み合う位置を見付けると、血液が苦しさとも違う焦燥を伴って体内を高速回転し始めた。

「っ…弦、ちゃ…」
いつもと違う顔、違う声。
どうしたって抜け出せない罠に囚われた弦太朗は、欲求のままユウキの髪に指を通す。
ずっと触れたかったもの全てを確かめるように手を滑らせ、背中を撫でて肩を包み込んだ。
「悪ィ…俺、ヤバい」
自嘲気味に宣言すると、うん、と頷いてユウキはブレザーを握る。
「…脱いで?」

望みが叶うまで、そう時間はかからなかった。

3814z弦ユウ「First taste of Love」:2012/06/23(土) 01:41:26
「ユウ、キ…」
「ふ、ぁ…はずかしぃ、よ…!」
具体的に何をどうしたのか定かではないが、互いに協力し合ってどうにか制服を取り去ることに成功した。
だが、ユウキは胸元を隠しながらうつ伏せになってしまう。弦太朗はめげずに、と言うかむしろ燃えながら髪を梳いて背中に唇を這わせた。
「女の背中って、すげーキレーなんだな」
「や、ぁんっ…」
シミ一つない、真っ白でキメの細かい肌。
すっと伸びた背骨を舌で辿り、肩甲骨に歯を立てれば、ユウキはくすぐったそうな声を上げながらシーツを掴んだ。

「そろそろこっち向いてくんねぇ?」
淋しいぞ、と唇を尖らせて拗ねてみせると、おそるおそる身を起こす隙間に手を突っ込み、柔らかな胸に触れた。
「ひゃあ!」
単に男子特有の戯れのつもりだったその行動こそ魔性、或いは命取り。
むにゅりと頼りない、だが押し返すような弾力を兼ね備えた乳房は、忽ち弦太朗を虜にしてしまった。
「ん、あっ…や、弦、ちゃ…!」
笑い声を含む嬌声に気持ちが昂り、素早くユウキの身を反転させてふくらみの頂点を口に含んだ。
湿ったぬくもりを与えられ、跳ねる手足をそっと押さえ付けながら舌を動かし、時折赤ん坊のように口を窄めて吸う。

知識は「ないこともない」程度。
テクニックだって当然覚束ないが、何をすべきかは不思議と分かる。
これが男の本能なのかと感じながら、弦太朗は空いている方の胸の突起を軽く摘むように刺激した。
「う、ぅんんっ」
「すげ、かわいー…」
何処からともなく噴き出して来る汗。拭う代わりに首を振ると、ユウキは恥ずかしそうに閉じていた目を開いた。

「弦ちゃんも…かっこいい、よ?」
伸ばした両手で前髪をかき上げ、撫で付けられる。いつもの髪型を再現するかのように。
「リーゼントしてねぇ俺は嫌なんだろ?」
思わず問うと、ユウキはぶんぶんと首を振った。
「好き。どんな弦ちゃんも」
ニコッと笑う、濁りも淀みもない顔。
子供の頃から見ていた、弦太朗にとってはそれが何よりの自慢。

「好きだぜ、ユウキ」
初めて言えた想いを封じるように、どちらからともなく唇を重ねた。
舌を差し入れ、受け止めて絡め合い、響く水音は妖艶そのもの。

3824z弦ユウ「First taste of Love」:2012/06/23(土) 01:41:44
弦太朗の指はユウキの脇腹を掠め、腿を撫でる。健康的ななめらかさと弾力に感動しながら、勇気を込めて内腿に触れた。
肩を抱きしめながら夢中で口腔を愛撫し、柔らかな茂みをそっと撫でる。
「ッ!!」
衝撃はユウキの喉に留まるが、咄嗟に強く足に篭るこの力をどうして弛めさせたものか。
「触りてぇ。ダメか?」
初めての体験ばかりで今にもパンクしそうな頭で出した結論は、情けなくも真摯に頼み込むことだった。

「出来る限り…その、優しくすっからよ」
「…、」
蒼かったユウキの瞼、その淵はいつの間にかほんのりと色っぽい赤みを湛えている。
「へ、変でも、笑わない?」
「変な訳あるか。お前はキレーで眩しくて…キラキラで、まともに見えねーって言うか」
あぁそうか。さっきからユウキが薄絹の向こうにいるように感じられたのは、自分が興奮して挙動不審なばかりじゃない。彼女が美し過ぎるせいだったのだ。

「あたしのこと、あんまり見たくない?」
「そうじゃねぇ。いや、何つーかよ…」
好き過ぎて緊張してる、それは必死で集めた本音。
「そっか、弦ちゃんもそうなんだ」
笑い、返されたキスが深まる。その肩や背中から力が抜け落ちて行くのを手のひらで悟った弦太朗は、ゆっくりと腿を開かせながら指先で探り始めた。
「んっ、く…!」
恥ずかしい思いを必死で堪えながら、眉根を寄せて唇を噛むユウキを少しでも夢中にさせてやりたい。

指を埋めた途端、甘く絡み付いて来る蜜。おぉ、と思わず感嘆の声を漏らしながら更に動かすと、熱く熟れた蕾を探り当てた。
「ひゃ!」
瞬間、電流に撃たれたように弾けるユウキの身体。
弦太朗は素早く腿をこじ開け、そこを見下ろした。

(マジやべぇ、エロ過ぎる…)
健康な男子らしく抱いて来た関心と興味が満たされ、喜びで浅く荒くなる呼吸。
夢中であちこちに触れ、膨らみを増す蕾を揺らして転がした。
その度にユウキは手の甲を口に当てて喘ぎ、ふるりと揺れる胸と溢れ出す蜜。はぁはぁと興奮の吐息を漏らしながら、弦太朗は人差し指を彼女の中心に挿し入れた。
「痛ッ!」
「あ、」
悪い、と謝る間もなく、熱に浮かされた状態で身を屈める。

「え!?げ、弦ちゃん、なに…きゃ、あぁ!」
「痛いってーから、」
舐めてやる、とばかりに舌を覗かせ、ユウキの秘所へと這わせた。
蕾を集中的に攻め、時折腿や周囲を舐め上げてやると、ユウキは弦太朗の頭を退かそうと手を伸ばす。
片手でそれを掴んで排除しながら、蕾に口を付けて小刻みに舌を動かした。

3834z弦ユウ「First taste of Love」:2012/06/23(土) 01:42:02
「あ、は…!やだやだ、弦ちゃんっ…そこ、だめ…!」
「気持ちいーんだな?」
べろべろと傍若無人に、本能の赴くままに愛撫を続けながら再び内側へと指を忍ばせる。
先程より更にしっとりと濡れたそこは、弦太朗の指を異物と認識しながらも徐々に深い侵入を許していた。
現にユウキも痛みを告げることなく、ひたすらにぽっかりと喘いでいる。
軽く指を回して、くちゅくちゅと水音を響かせながらスライドさせて、「解す」とはこんな要領か。

「ユウキ」
弦太朗は背を伸ばし、胸の上に頬を乗せた。
「挿れてぇ…」
胸の突起を弄びながら懇願すると、
「…いいよ」
小さな許しの声に、俄然活気付く現金さ。

「あ、でも待って!ちょっとだけ、ごめん」
ユウキは身を起こし、すーはーと二〜三度深呼吸する。
「…はいっ、どうぞ!」
再び横になり、ぎゅっと目を閉じた。
その姿が何ともいじらしくて、弦太朗は微笑みながらキスを落とす。

「なんか、熱い」
不意に手を伸ばし、ユウキは弦太朗のものに触れて来た。
「えへ、」
だが、悪戯っぽく向けられた笑顔はやや引きつって見える。
「何か、可哀想んなって来るな」
「そんなことない!」
思わず呟くと、瞬時に否定されて驚いた。

「可哀想なんかじゃないよ!弦ちゃんのこと好きだから…一つになれたら、あたし嬉しいもん」
気丈に、元気に。
まるで励ますような言い方に、弦太朗は実感する。
この笑顔があったから、自分はこれまで多少無茶なことも、上手く行かない苦しみも乗り越えられたのだと。
「…行くぜ、ユウキ」
話でしか知らないが、女にとっては相当の苦痛を伴う行為。
身一つで惚れた相手を傷付けてしまう男の不甲斐なさを生涯背負う覚悟で、弦太朗はユウキの奥を目指し始めた。

「く…っふ、…った、痛……いた、いッ…!」
口元に手を当てて懸命に堪えようとするが、抑えられず漏れ出る呻き声。
ユウキの痛みと圧迫感は弦太朗にも嫌と言うほど感じられるが、徐々に胎内に呑み込まれて行く自身を前にやめることなど到底出来そうになかった。
「ごめん、…ごめんな、ユウキ」
はぁっと大きく息をつき、全身びっしょりになりながらうわ言のような謝罪を繰り返す。
指を絡めて強く握り、下唇を軽く噛むようなキスを与えて腰を進めた。

3844z弦ユウ「First taste of Love」:2012/06/23(土) 01:42:35
「ひっ、あ、あぁ!」
瞬間、より狭い部分を通り抜けたような確かな手ごたえを得る。
「ん、っ…く、るし……ッ!」
「だ、大丈夫か!?」
息を詰めて咳込むユウキを覗き込み、慌てて抱きしめた。
「ん…へいき。あたし、今弦ちゃんでいっぱいで…ちょっと、苦しくなっちゃった」
罪深い真実は、何とも言えない殺し文句でもある。
「――。」
弦太朗は貪るようなキスを重ね、ゆっくりと腰を動かしてみた。
「う、ん…んっ」
心の中で何度も詫びるが、走り出してしまった欲望はもう止められない。
呼吸ごと奪い去るような口づけを交わしながら貫き、押しては引いて。

だが、快楽に耐性のない身体に、限界は突然訪れた。
――まずい!
慌てて身を起こしてモノを引き抜くが、中との温度差までもが刺激となり、ユウキの腹の上に欲望を吐き出してしまう。

「――!は…、ッ……!」
ぶるぶると全身を震わせ、終わらぬ吐精が何とも恥ずかしくて情けない。
ユウキは無邪気にそれを掬い上げ、不思議そうに指先で擦り合せた。
「よせって、汚れんぞ」
「ちょっとピンク色?」
それはお前の出血と混ざっているからだと言う気力はなく、弦太朗は枕元にあったティッシュケースを掴んだ。
吐き出したものを全て拭ってやり、背を向けて自分の処理をする。

ユウキの視線が気まずくてたまらないが、このままクールに離れてしまうような下衆な男にはなりたくなかった。
「隣、いいか」
真横に身を沿わせると、胸にぴったりと頬を付けて来るユウキ。
「すごい、心臓がごぅごぅ言ってる」
「おぉ、100メートル全力疾走した気分だぜ」
実際の負担はそれ以上だろう、身も心も。
それだけ必死だった。随分身勝手なこともしたが、結構頑張った。その証拠に、ひどく疲れてはいるが気だるさはなかなか心地好いものだから。

「ね、気持ち良かった?」
「すっげー良かった」
「弦ちゃん謝ってばっかりだったから…あたしだとだめなのかなって、心配だった」
「んな訳ねぇだろ、つか俺謝ってたか?」
ほとんど記憶にない。そのくらいユウキに、ユウキの身体に溺れていたらしい。
ありがとな、と瞼に唇を落とすと、ぎゅっと抱きつかれて愛しさが募った。

「ところでユウキ、親何時に帰って来んだ?こんなカッコしてたらヤバくねぇか」
「あ、そっか」
起き上がり、二人して制服を着込む。何もなかったように。
周到な秘密と嘘の成就に、どちらからともなく弾ける笑い声。

健全さを極めるべく宿題を取り出してから、すっかり氷が溶けて薄まってしまったカルピスを同じストローで分け合って飲んだ。
初恋の味。甘酸っぱくて切ない、忘れ得ぬ思い出の時。
(でも、俺の初恋はずっと終わらねぇけどな)

「なー、ユウキ?」
「ねー、弦ちゃんっ」
意味など分かる筈のない問いにも、疑いなく相槌を打つユウキを膝の上に座らせ、弦太朗はちゅっと音を立てて額にキスをする。
「ん!きゃ、あはは…っ!」
くすぐったがって逃げようとするのを阻み、耳にも頬にも繰り返しながら笑った。


<終>

3854z弦ユウ「First taste of Love」:2012/06/23(土) 01:43:29
以上です、失礼しました。
転載はどなたか可能でしたらお願いいたします。

386名無しさんが妄想します:2012/10/28(日) 23:54:44
てす

387名無しさんが妄想します:2013/06/15(土) 11:54:33
てすと

388名無しさんが妄想します:2013/08/17(土) 15:20:03
本スレ…?

389名無しさんが妄想します:2014/04/21(月) 19:49:38
てすと

390名無しさんが妄想します:2014/05/06(火) 05:50:25
弦ちゃんと美羽のみたいかと

391名無しさんが妄想します:2014/08/11(月) 23:57:13
新スレの鎧武版のテンプレ考えられる職人さんいる?

スレ建てようとしてくれる人はいるんだが皆思いつかないようで。

392名無しさんが妄想します:2014/08/12(火) 00:44:37

「ここからは【仮面ライダー総合エロパロ】ステージだ!」
「【純愛】、【陵辱】、【萌え】、【燃え】……。私の趣味だ。いいだろう?」
「もう紘汰!書き込みする前にメ欄に【sage】入れなきゃ駄目でしょ?」
「何? 住民がネタバレの前置きもせずに書き込みをしている? そんな馬鹿な話があるか、仕事に戻れ」

「どうして規制は、僕の思う通りに投下させてくれないんだ……」
「お前、避難所に投下するか?」

「自分なりのカップリングを貫くために、自分なりのSSを投下するのよ!」
「自分の手は汚さずスレを荒らす……。俺の敵は自ら行動を起こさない卑劣な荒らしだ!」
「さぁ始めますわよ!SS投下と萌え談義のパジェントを!」

「【sage】に【2010年6月】……私はこの保管庫に選ばれた」




*避難所・過去の作品の保管庫・過去ログは>>2
*不快な書き込みや好きでない話題はスルー、あくまでも大人の為のスレです
*ネタバレは必ず前書きで警告+空白改行をする
*属性注意書きやカップリングは前書きか名前欄に明記推奨
*他の人の作品投下後、数レスまたは半日待ってからの
 作品投下をお願いします(作品が流れるのを防止するためetc.)
*次スレは>980か容量480KB、作品投下も同じタイミングで中断して次スレへ

393名無しさんが妄想します:2014/08/12(火) 00:46:08
これでいいかな?
どなたか新スレ建てお願いしますね。

394名無しさんが妄想します:2014/08/12(火) 19:30:24
立ててくる。間違えたらすまぬ

395名無しさんが妄想します:2014/08/12(火) 19:37:01
ごめん俺携からやったんだけどエラー出て駄目だった。誰か宜しくorz

396名無しさんが妄想します:2014/08/12(火) 19:38:12
【携帯】から、だった、何度もごめん

397名無しさんが妄想します:2014/09/09(火) 19:35:51
やっとこさスレ立て完了。
鎧武版のテンプレ考えてくれた職人さん、本当にありがとう!

398名無しさんが妄想します:2014/09/12(金) 00:22:40
>>397
乙です!
よければ誘導して頂いてもよろしいでしょうか
url貼って頂けると有難いです

399名無しさんが妄想します:2014/09/12(金) 06:55:59
立ててくれた人は俺じゃないけど

仮面ライダー総合エロパロスレ20
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1410251223/

400名無しさんが妄想します:2014/09/12(金) 14:29:12
>>399
ありがとうございます!

401名無しさんが妄想します:2015/06/04(木) 22:53:12
最近本スレへの書き込みが全く出来ないのだが・・・
戦隊の方は普通に書き込めるのに・・・


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