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仮面ライダー総合@エロパロ避難所

288Solitude 10:2011/05/10(火) 03:15:53
 上空から布がふわりと落ちるように、ゆっくりと降下をするその光が触れた側から、見上げるほど大きな
岩山が塵となって消えていく。にわかには信じがたい光景に目を瞠っていると、傍らにいたナツミが突然大
きな声を上げた。
「危ない!!」
 直後、細い腕で力いっぱい突き飛ばされる。バランスを崩した士が地面に体を転がすのと、たった今いた
その場所を裂く様にして銀色の光が地面に走るのは、殆ど同時だった。
 士とは反対側に倒れていたナツミが体を起こすのが、その歪んだ銀の光の向こうに見えた。
「これは……次元の壁?」
 息を飲みその壁を見上げる海東の呟きを背に、士は苛立たしげに舌を打つと体を起こし、目の前に立ちは
だかる壁へと手を伸ばした。しかし、いつもならば容易に突き抜けることができるそのオーロラは、どうい
うわけか鋼鉄の壁のように士を拒んだ。
「下がってろ、ナツミ」
 間を隔てる壁を打ち破ろうと、士はライドブッカーをガンモードに変えトリガーを引いた。しかし、壁は
強固なまでに干渉を拒んでいるらしく、撃ち出したエネルギー弾は壁の前に尽く霧散した。
「ちっ…!おい、ナツミ!!先に元の世界に戻れ!」
 苛立ちと共に壁に拳を叩きつけそう怒鳴ると、ナツミは大きく首を振って叫んだ。
「無理です!滅びの現象で次元が歪んでて、別の世界には繋げません!!」
「滅びの現象?何だ、それは」
 首だけを捻り海東に問いかけるが、やはり何も知らないのか、海東もまた首を横に振るだけだった。直後
に地面が再び揺れ、いたるところで山や木々が消えていく。一刻の猶予もないことを察した士は、生まれて
初めて冷や汗が浮かぶような焦燥感を覚えた。
「とにかく、早くここを出るぞ!」
 世界を超える時と同じ要領で意識を集中させ、壁に掌をつく。凄まじい反発力がそこから湧き上がるのが
分かったが、士はそれを意思の力で押し返した。しかし、質は同じはずなのに全く制御できないそれに、焦
りはますます大きくなるばかりだった。
「くそっ!一体何だってんだ!!」
 どうにもこのオーロラを超えることができないと悟ったのか、地面にうずくまっていたナツミがそっと壁
に手を添え、首を小さく横に振った。同じように、どうあがいても壊せない壁を前に怒りを滾らせた士は、
膝をつき視線の高さを揃えると壁越しに掌を合わせた。
 銀色に揺らめくオーロラの向こうで、ナツミが悲しみと慈愛に満ちた笑みをゆったりと浮かべる。
「私のことは構わないで……早く元の世界へ戻って下さい」
「ふざけるな!お前は俺のモノだ、こんな場所に置いていけるか!!」
「大丈夫。私達は、またすぐに会えます」
 意味のわからないことを呟いたナツミの声は、自らの運命を全てを受け入れたかのように酷く穏やかで、
それが士は尚更気にくわなかった。何一つ自分の思い通りにならにこの事態に、無意識のうちに奥歯を噛み
しめる。
 揺れはますます酷くなり、周囲のモノは殆どが塵と化して消えようとしていた。
「もう無理だ、士!」
「離せ!」
 肩を掴んだ海東の腕を振り払い、士は思いっきり次元の壁を殴りつけた。骨まで響く振動が、これが現実
であることを否応なく証明する。怒りで拳を震わせる士を見つめ、ナツミは儚げで美しい笑みを浮かべた。


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