したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

新・戦場スレ Part1

1 ◆tb48vtZPvI:2016/05/07(土) 11:08:38 ID:MYeZc9GQ
ということで心機一転立てました

101 ◆HU7XfvOYA2:2016/06/12(日) 03:00:39 ID:vpVs35Ps
>>92
「それほどでも、此方は後から追い掛けるから…先にあの二人の支援をお願いします。」
身体に掛かるGの負荷でひきつった表情になりながらもエミリーに応えるディラン、先程の基地内のやり取りで印象は最悪であろう二人を助けに行くエミリーの心境は良くないものの筈、故にディランは頭を下げてエミリーにお願いをする、先程の事は水に流して助けて上げて欲しいと。

102 ◆tb48vtZPvI:2016/06/12(日) 17:34:13 ID:yakZ1zPs
>>99
「そのヒトガタのしゅつりょくじゃあジ・オーガにはかなわんでよ!」
ブグは更にアックスを押し込もうとして、やめた。機体ごとアックスを引いたのだ。つんのめるメイヴ。がら空きになるボディ!
「フホホホホホホ! そいやぁ!」
空いている方の腕でパンチ! パンチ! パンチ! 更にパンチ! なぶるような連打!


マシンガン射撃を物ともせずモーターオニ肉迫! 更にマチェーテを揮う! ヒットかミスか、射程内か射程外か無関係に何度も揮う!
「いい子にしてろよ、すぐに終わるからよ…」
場末の未成年オイランにするような猫撫で声でパイロットはアニーシャの神経を逆撫でした。
逃げるケット・シー! 追うモーターオニ!

103 ◆h9Hr5c.eFE:2016/06/12(日) 18:27:00 ID:2K47SSCI
>>102
「ひっ……あお゛ぅッ!?」
ジ・オーガの拳が、軟質カバーに覆われたメイヴの腹部に叩き込まれる。
「お゛ぅッ!! あぉ゛ッ!? う゛んッ、 あぇ゛ッ…!?」
繰り返し撃ち込まれる拳打が、ミレニアに圧感と電流の責め苦を与える。
T-スキンの自壊現象が発生しないギリギリのレベルのダメージが幾度となく彼女の腹部を突き抜ける。
「…ちょ、調子にッ……あん゛ッ!?」
腰から辛うじて引き抜いたレーザー・ダガーを取り落とし、更にはその腕を拘束され、なおも殴打を受ける。
無様に身をくずおれさせ、目に涙を浮かべたミレニアの口腔からは舌が突き出し、唾液が糸を引いて伝い落ちている。
「おやめ、なさっ、あ゛ぅッ!! ぅッ、や、やぁッ…やめ゛ぇッ…!! かんにんしてぇ゛ッ…!」
メイヴは大した損傷を受けていないが、パイロットの戦意はあと一歩で容易く折れてしまうだろう。

「ひゃあぅッ!? ひにゃあ゛ぁぁぅッ!?」
マチェーテの刃はケット・シーの機体を幾度となく掠め、美しい機体表面をなます切りにしていった。
「ひッ、ひィンッ、ひィンッ!? 」
その度に過剰なダメージフィードバックがアニーシャの体を走り抜け、ぱちぃん! ぶちゃっ! と、切り刻まれた箇所のスキンが液化して飛び散る。
モニター内のアニーシャは撃感とマチェーテの衝撃に翻弄され、滑稽にくるくると舞い踊りながら着衣を切り刻まれ、粘液にまみれていく。
「こッ、こんな、ヤツにッ…! いいように、されるもんかぁッ!」
ボロボロになったパーカーの裾から最後のチャクラム・ソーサーを射出、尻尾の先端にひっかけ、眉間目掛けて前宙で叩きつけるようにして必死の反撃に出る。
「うあぁあぁぁぁーーッ!!」

104 ◆tb48vtZPvI:2016/06/12(日) 19:24:28 ID:yakZ1zPs
>>103
「フホ! いいはんのうでねえか! あのセレニアンっこみてえだ!」
先程までの退屈もどこへ行ったものやら、ブグはすっかり目の前の獲物を甚振ることに夢中だ!
「セレニアンっこもええが、ふつうのヒューマンもオイランによしエサによしだ! フホホホ!」

チャクラム射出直前に一気に距離を詰めるモーターオニ! 密着状態! これでは十分な威力を出せない!
「いい子だ…いい子だ…フィヒヒヒヒヒヒ!!」
抱擁する形になって興奮するモーターオニパイロット! もう少しでなんかが達しそうだ!
「決して離さねえぞ俺の理想のロリータアアアアアアアア!!」

105 ◆HU7XfvOYA2:2016/06/12(日) 21:09:21 ID:vpVs35Ps
>>104
「クッ……まだ着かないのか…ッ!?」
モニター越しに響く二人の悲鳴に焦りを見せるディランのコックピットに鳴り響くアラート、エンジンが加速の負荷に耐えきれず破損し航行不能になった事を知らせ歯軋りをする。
「ふざけるな!……あの娘達が泣いているんだ!諦めてたまるか!」
必死にコンソールを叩き手を打とうとするが無情にもアラートは鳴り続け、やがてエンジンが停止し行動不能に陥るガン・ビートル。憎々しげにコンソールに拳を叩きつけ、呻くディラン。その右腕に装着されたブレスレットのクリスタルが青く光輝き出す。
「私に力が有るなら……あの二人を護る力が有るなら!」
段々と光が強さを増し、輝きが激しくなりコックピットを光が満たす!
「巨人よッ!力を貸してくれッ!!」

ディランが叫ぶとガン・ビートルは光に包まれ、光が消えるとガン・ビートルは宇宙空間に停止したままで中のコックピットは無人となっていた。
瞬間、突如戦闘空域に巨大な赤い光の球体が現れ、ミレニアに襲い掛かるジ・オーガ目掛けて突撃!一撃で弾き飛ばし距離を取らせると、そのままアニーシャに襲い掛かるモーターオニへ突進!ジ・オーガ同様に吹き飛ばし距離を取らせると丁度ミレニアとアニーシャの前に光の球体が留まり、やがて球体が消えると其処に現れたのは白色の眼を光らせた赤色の巨人。二人の前に巨木のように静かに佇み、ジ・オーガとモーターオニに向き直ると二人を護るように両手を握りファイティングポーズを構え、少女達に執拗な攻撃を加えた悪漢達に立ち塞がった。
「……デュア!」

106 ◆h9Hr5c.eFE:2016/06/12(日) 21:27:51 ID:YK9KirRg
>>104
「ひぃ゛ッ!? あぅ゛ッ、あう゛ッ…!!」
執拗に殴打を受け続けるメイヴ。顔を真っ赤に上気させ、息も絶え絶えといった様子で悶え苦しむミレニア。
「た、たひゅ、け…!」
瞳孔の縮まりきった瞳が、今にも白目を剥こうとしている。

「ぃやああぁぁぁぁぁぁッ!!」
モーターオニの抱擁に包まれ、アニーシャは泣き叫んだ。小悪魔風の雰囲気作りを意識している彼女だが、大の男が特機を伴って情欲をぶつけてくるのは恐ろしくてたまらないようだった。
「やぁだぁぁっ!? 離してぇぇぇぇッ!!」

>>105
その時だった。
二人を責め立てていた二機が、不意に何者かによって蹴散らされた。
「…え…?」
「へっ…?」
涙を溜めた二人の目に写ったのは、特機クラスの巨体を誇るロボット――いや、ロボットと認識するより先に、二人の脳裏には同じ単語が浮かんでいた。
「きょ、巨人…?」
そう形容するのが最適な姿だった。
まるで自分達を守るかのごとく佇む赤き巨人を、二人は放り出されたままの体勢でぽかんと眺めている。
当然、その巨人はアニーシャのセッティングした中継映像のにも、ワイプの枠内に朧げに映り込んでいた。

107エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/06/12(日) 21:44:32 ID:Ir0u9RYc
>>101
「解ってるよ、ディラン。
モニターで見たけど、あの帝国兵…アイツは女の敵!もう許さない!」
あの嬲る様な戦い方…ツバサの初陣に現れた奴と同じ奴…
恐らくユウセイが言ってたガバノイドだ。
セレニアンの敵なんて云われてたけど、年頃の女のコ相手に…!

>>103
「聞こえてる?遅くなったわね。よく頑張ったね。」
私はあの機体に通信を送って居るけど、あんな状態で返ってくるかどうか…
だけど、あの二人の事だ。強がって通信を返す筈だ。
あんな二人でも、助けないと…!
コズミックオーダーとして…!
同じ女性として…!

>>104
「このガバ野郎!女の敵!もう許さない!
このエミリー・ホワイトが成敗してあげる!」
私は現地に到着するなり、敵機に通信を送る。
そして、機体に装備されたライフルを撃ち放つ。

>>105
「ディラン!?」
ガンビートルの反応が消えた!?
コクピットは無人状態…
機体を破棄したのか…
燃料切れか…仕方無い…
だけど、ディランは一体何処へ…!

「あれは…!?」
現れたのは見たことの無い…あれは特機…
いや、あれは機体と言うより巨人…!
コズミックオーダーには様々な神話が語り継がれている。
恐らくあれも…
だけど、あの巨人は突然現れたのか、誰かが召喚したのか…それが解らない…
召喚したとしたら、一体誰が…!

108 ◆h9Hr5c.eFE:2016/06/12(日) 22:14:37 ID:YK9KirRg
「お願いします! ホロニック・スフィア!!」
フェアリー両機のスピーカーを通して聞こえてきたのは、ミレニアとアニーシャが散々に扱き下ろしたセレニアンの少女の声だった。
「なっ!? つ、ツバサ…!」
直後、二機の脇をすり抜けるようにして、緑色の光球が3つ、モーターオニ目掛けて飛翔し、その巨体を取り囲む。
「サンダー・クラウド・フォーメーションです! そこっ!!」
どこかで聞いたような、それでいて少なくともDRESS/Mのマニュアルではお目にかかったことのない謎のフォーメーション名が発されるや、光球は眩く光り、破裂すると共に三基の間に高圧電流を迸らせ、モーターオニを攻撃する。
ミレニアとアニーシャが振り返ると、そこにはロッドをぶんぶん元気に振り回しているシルキー/Mの姿があった。
「あ、あなた、何をやっているの!?」
色々な意味で困惑したミレニアが叫びをあげる。
「スフィアの皆さんに攻撃指示です!」
「そうじゃなくて…! シルキーは輸送機共々、オービタルに直行のはずでは…」
そこまで言いかけて、ミレニアはぐっと口をつぐんだ。
シルキーと共に戦列を為すオーダーの機体が目に入ったからだ。

>>107
「…よ、余計なお世話です! …あ…あそこから、巻き返す所だったというのに…!」
「た…たすかったぁぁ…」
虚勢を張るミレニアと、目に涙を溜めたまま粘液まみれでへなへなと脱力するアニーシャ。当然その情けない姿も、オーダーの勇姿共々避難民に筒抜けである。
「アニーシャ! もう結構よ! 映像配信を止めなさい!」
ミレニアが口煩く命令する。正しく顔真っ赤という状態である。

109 ◆tb48vtZPvI:2016/06/12(日) 22:20:25 ID:yakZ1zPs
>>105-106
おお、ブッダ! 寝ているのですか! 欲望の猛りをぶつけるが如く暴れ狂う二頭の人喰い鬼!
確かに彼女らには慢心があった。増長があった。しかし…ここまでされる言われはない!
このまま少女たちは妖精の羽をむしりとられオイランとされてしまうのか!? …その時!
「グワーッ!」「グワーッ奇襲!?」
吹き飛ばされる人喰い鬼たち! パイロットは位置情報を確認…自機は弾き飛ばされ、フェアリーは掻っ攫われ、彼我の距離は相当に離れてしまっている!
怒りを込めて睨み据える方向、そこに堂々とファイティングポーズを構えるのは赤い特機…否、巨人! おお、巨人だ!!

『デュア!』

怒りに燃える超自然の声はエテルを震わせ、飢狼たちの耳にも届いた。
無論、遅れて戦域に到達せんとするミックにも。
「あれがガイア・セイヴァー…ディラン=サンの特機…」
ミックは事前に情報を得ていたが、あらゆる項目にUNKNOWNが記されたデータを鵜呑みにすることはできなかった。
しかし今ニンジャ感覚が告げるところでは、ガイアのパワーはアーチ・ニンジャが駆るニンジャ・フレームにも匹敵しよう。いや、それ以上でも何らおかしくはない。
「まさかあれは…コジキ・バイブルにも記された光の巨人なのでは…?」
そんなバカな。ミックは自らの思いつきを強引に振り払い、目の前のイクサに再び集中した。

110 ◆tb48vtZPvI:2016/06/12(日) 23:31:11 ID:yakZ1zPs
「ぐぬぬぬぬぬううううう…!」
ガバノイドは唸りを上げた。目の前の巨人は明らかに憎悪すべき敵だ。一方、ニューロン内部で本能が全力で警告を叫んでいる。逃走せよと。
(こいつはマジでクッソやべえ奴だ…)
ガバ語で思考するとともに、改めて冷や汗が湧き出る。
こいつの存在自体が不快だ。しかし、戦力的に…ジ・オーガのスペックで敵う相手では…
「てめえクソデカブツがあああああああああああああああああああああああああああ!!」
モーターオニパイロットが絶叫した。ノイズ混じりの叫びがコクピットに反響し、ブグは閉口した。

>>107
ブグが状況を打開せんと努めていると銃撃!「グワーッ!」肩部装甲被弾! 被害中度!
「おんどりゃあ!」敵機…スノウローズを発見するとともにガトリング・スマッシャーで反撃!

>>109
「クソカスファッキン共が…グワーッ!?」ホロニック・スフィア直撃! 胸部装甲被害中度!

ダメージの大きいメイヴとケット・シーを後方に控え、ライフルを掲げるスノウローズ、ロッドを振り回すシルキー、油断なくファイティングポーズを構えたままのガイア・セイヴァー、そこに到着するシバラク・カスタム。明らかな形勢逆転構図だ!

「…おめえ、じょうきょうがわかってねえな」砂を噛むようにブグが言った。
兵力は質・数共に不利。撤退して然るべき状況だろうが、モーターオニパイロットは血が巡りすぎて判断出来ないのだ。
「知るかクソガバ。俺の飢えがてめえにわかるかよ」味方の悪態にまた並行するブグ。
そこへちょうど帝国援軍到着! 二隻の艦艇からヒトガタが次々と吐き出される!
…それでもブグは、嫌な感覚が拭えなかった。

「フム、まだオカワリがあったか」
泰然たる態度でミックは腕組みした。そこには一切の油断慢心、衒いの陰もない。
「だが諸君。今更敵が数の優位を誇ろうとしても、士気横溢した今の我らに太刀打ちすべくもない。キルマークを増やす機会だ、各自奮励努力を期待する」
ミックは告げる。コズミック・オーダー部隊指揮官のみに許された力ある言葉を。

「――コズミック・オーダー、アッセンブル!!」

111 ◆HU7XfvOYA2:2016/06/13(月) 00:05:24 ID:groot4tE
「ダァッ!」
ミックの言葉にガイアは頷く仕草を見せて、艦艇から現れるサイクロプス達に気付くと右手を伸ばし指先からスラッシュショットを連射、そしてエミリーにジ・オーガを任せ自らはモーターオニへとファイティングポーズを構え、デブリを足場に跳躍し巨体には不釣り合いなほど軽やかな動きで宇宙空間を駆け抜けモーターオニへ体重を乗せた急降下キックをボディ目掛けて放ち。

112エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/06/13(月) 19:53:15 ID:W7Q.T/1A
>>108
「あの機体は…ツバサ!?」
増援に現れた機体…
特徴は前に見た時と少し違うけど、あれは間違い無くツバサの愛機だ。
恐らくはパーツの組み換え…
ツバサは難なくそれを使いこなしている。
あのコ…セレニアンはガバノイドに強烈なトラウマを植え付けられている。長年に渡って…
セレニアンの呪われた歴史…もしかすると、ツバサなら…!

「これは失礼…ミレニアお嬢様。」
返して来たか…
思った通り、ミレニアお嬢様は強がったセリフを返して来た。思った通りだ…
それに引き換え、アニーシャは意外と素直だ。

>>110
「チッ…」
敵機、あの指揮官用の機体に載ってるのがガバ野郎か…
ダメージこそは与えたけど、流石は帝国の戦闘民族。
私の機体を直ぐに探して当てて来たか…
だけど、そこで棒立ちする私じゃ無い。
横に移動し、回避行動を取る事で被害を最小限に抑える。

「一点集中!」
私はスノウローズに装備させたランスを構え、槍の先をガバ野郎の機体に向ける。
そしてランスの先にエネルギーを溜め込み…

「フォトンランチャー!」
ランスに溜め込んだエネルギーを放出。
放出されたエネルギーはビームとなり、あのガバ野郎の機体へと走る!

113 ◆tb48vtZPvI:2016/06/13(月) 22:43:39 ID:7jtml50c

>>111
出鼻をくじくスラッシュショット掃射! 襲われたサイクロプス隊被弾!「「「グワーッ!!」」」うち一機大破!
「アイエエエ! 巨人!? 巨人ナンデ!?」「巨人の…騎士!?」「なんか俺ら…タイガー・テイルでも踏んでねえか!?」
共和国軍を蹂躙し、満足していた彼らにとってこの展開はサンダー・イン・ブルースカイだったに違いない。楽な仕事が一転、生きていれば儲け物というハードモードに!

「何をしている! 増えたからといって敵はまだまだ少数だぞ! ヤッチ・マイナー!」
ジ・オーガに乗った指揮官が叱咤! 流石に歴戦の戦士である飢狼隊はフォーメーションを組む!
…そこに、色付きの風が吹いた。死をもたらす蒼き鉄の風、シバラク・カスタムが両手にアサルトナイフを握って切り込む!
「イヤーッ!」2本の刃が翻り、肩口からX字に切り裂かれるサイクロプス! 致命的ではないものダメージ甚大!「グワーッ!」

>>112
白い騎士ヒトガタ…スノウローズから睨みつけるようなアトモスフィアを感じブグは自機に回避運動を取らせたが「…グワーッ!」ボディへの直撃は避けたものの左脚部にフォトンランチャーがヒット消滅!
「おどれぁ! しねやぁい!」ブグの頭に流石に血が上る! 肉薄するスノウローズへアックスを振りかざし肉迫!
…それでもブグは常に心の何処かで逃走するチャンスを測っていた。

114 ◆tb48vtZPvI:2016/06/13(月) 22:54:40 ID:7jtml50c
>>111
「目障りなんだよてめえらあああああああああああ!!」
日頃の鬱憤を晴らすのを妨げられ、モーターオニパイロットは完全に逆上! カラテ戦士めいて構えるガイアへ大口径バルカンとアサルトキャノンの弾丸をばら撒きつつ接近!
「クソッタレがああああああああああああああああ!!」
モーターマチェーテを大上段より振りかぶり、射程に入ったと見るやフルブーストの勢いを借りてガイアへ叩きつける!

115 ◆HU7XfvOYA2:2016/06/13(月) 23:19:18 ID:groot4tE
>>114「デュア!」
後ろのフェアリー・フォースの機体達に届かないように掌から円形のバリアを発生させ大口径バルカンとアサルトキャノンモーターの弾幕を全て受け止めると、オニの大上段の構えから解き放たれたモーターマチェーテが唸りを上げてガイアに襲い掛かる!次の瞬間!見よ!モーターマチェーテを真剣白羽取りで受け止める光の巨人の姿を!そのまま左右の掌からから力を込めてマチェーテを破壊しに掛かるガイアの瞳には気迫が滾っていた。

116 ◆tb48vtZPvI:2016/06/13(月) 23:40:17 ID:7jtml50c
>>115
ガイアの規格外のパワーの前に耐えかね、折れ砕けるマチェーテ!
しかし敵も然る者、大刀がガイアに受け止められた時には既にグリップから手を離している。
「くたばれッ!」至近距離よりアサルトキャノン発射! しかも一度や二度ではない! 砲身が焼き付くまで撃つ構えあり!

117 ◆HU7XfvOYA2:2016/06/13(月) 23:57:03 ID:groot4tE
>>116
「グゥアッ!?」
然しものガイアもキャノンの一撃ならば耐え凌ぐが、二度三度、否それ以上の連撃には耐え切れず大きく後退、然し射撃を受けながらも腕を×字に構え防御の姿勢を取るとそのままアサルトキャノンの弾幕を全て受け切り、尚も巨体は揺るがず再びファイティングポーズを取り。
「デュア!」
掛け声と共にモーターオニまで宇宙空間を真っ直ぐに進み、そのまま右腕を後ろに引き絞り渾身の力を込めたストレートパンチをモーターオニの胸部へ放つ!更にそのまま左ストレート!続けて右ストレート!

118 ◆tb48vtZPvI:2016/06/14(火) 01:41:36 ID:f/WT8B4c
>>117
「グワーッ! グワーッ! グワーッ!」3発のストレートを喰らい胸部装甲が大きく陥没!更に衝撃によりパイロットもグロッキー状態に近い!
「クソ…クソ…クソ…」ブラックアウトしかける視界と意識。悔しいが、こいつに通用する武器はもはやない。
「クソ…クソクソクソ…!」故に、彼はガイアに組み付かんと再度フルブースト。自爆スイッチに手を伸ばして。

119 ◆HU7XfvOYA2:2016/06/14(火) 08:15:24 ID:oOyoebdo
「……デュア!」
破れかぶれかフルブーストで此方に突貫するモーターオニの挙動にガイアは威風堂々と見据え右腕をゆっくりと後ろに引き絞るとガイアブレスからエネルギーが生まれ光輝き、正拳突きを放つようにモーターオニへ右腕を突き出すと拳から巨大なエネルギーの奔流がモーターオニ目掛けて一直線に伸び襲い掛かる!

120エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/06/14(火) 20:05:35 ID:daqNXbrg
>>113
「外した…!?」
当たりはしたけど、ヒットしたのはボディでは無く左脚部。
私の気配を察知したのか、咄嗟に回避行動を取っている。
かなりの経験を積んでると見える。
それに…

「チッ…!」
あのガバ野郎…突っ込んで来た。
避けられない…さっきのフォトンランチャーで隙が出来た。
私はスノウローズの右腕部分を使い、アックスを受け止める。
ダメージが大きい、千切れはしなかったけどコクピット内の警告表示が鬱陶しい。
そして…

「汚らわしい!」
私は逆の手に持っていたランスを振り、打撃と熱によるダメージを狙う。
小振りだから大きなダメージは期待できないけど、出来ればコイツを振り払いたい…!

121 ◆tb48vtZPvI:2016/06/14(火) 23:16:12 ID:f/WT8B4c
>>119
朦朧とするモーターオニパイロットがこの世で最後に見た光景、それは眩い光の奔流だった。「グワーッ!」彼の物理肉体は機体共々光に呑まれ、原子の塵に還った。

>>120
ガキンッ! ランスとアックスがぶつかり合って火花を散らす!
コロニー内での戦闘といい、この白いヒトガタはしつこくブグを狙ってくる。またややこしい時にややこしい相手に睨まれたものだ。逃げたとしても執念深く追ってくるだろう。さて、こいつをどうやって撒くか…

122エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/06/15(水) 18:58:13 ID:lwreGp.c
>>121
「ガバ野郎め…」
手強い…
アックスを辛うじて受け止めているけど…
相手は状況的に不利。撤退のチャンスを伺っている筈だ。
女の敵として、コイツだけはと思っていたが…
え?女の敵…!?
そうだ…

「………!!」
私は後方に下がり、相手との間合いを取る。
コイツを倒すのは私で良いのか?
私が倒せば、コイツから辱めを受けたフェアリー・フォースの立場はどうなる。
それに…

「少佐…私の相手、ガバノイドはセレニアンの天敵です。
ユウセイの話では、セレニアンであるツバサはガバノイドの恐怖に耐えられなかったそうです。
あのガバノイドは執拗にツバサを狙うでしょう。
ですが、我々が守った事でツバサの成長はあるでしょうか。
セレニアンはガバノイドの呪われた歴史から解放されるでしょうか。
彼女に英雄になれとは言いません。
ですが、ツバサがガバノイドの恐怖を克服する事で、セレニアンがガバノイドの恐怖から解放される第一歩になるかも知れません。
私情を挟む様ですが、此処は敢えて、ガバノイドを撤退させるべきかと。」
私は敢えてガバノイドに撤退の機会を与える事を、通信で少佐に伝える。

123 ◆tb48vtZPvI:2016/06/18(土) 23:37:19 ID:Eldohxuc
「おのれ!」ジ・オーガはアサルトライフルを交代しつつ射撃。それをデブリに隠れ、あるいは盾にして距離を縮めるミック。シバラク・カスタムの装甲は最低限のものしかなく、小口径弾でさえ当たれば致命傷になり得る。ウカツな接近は出来ない。
しかしミックは追い詰めているという確信を深めていた。あるポイントに差し掛かった隊長機の動きが、完全に止まった。「…アババババーッ!」機体に、そしてコクピットにまで流れる電流! 
そこは放置されていたEMPトラップを張り巡らせてあるポイントだ! ナムサン! しかし機体のヒューズを焼き切るまでには至らない!
トラップにハリツケ状態のジ・オーガを照準し、ミックは未射出のスラッシュ・リッパーを手で取り出し、手で展開した。それを握るとシバラク・カスタムはカメラアイをジ・オーガに向けたまま、可動域ギリギリまで腰を後ろに回す。
読者の中にニンジャ戦闘術について知識のある方もおられよう。そう、これこそ「ニンジャCQC」13の超S級ヒサツ・ワザ「メガ・スリケン」のムーブだ!
無論、サイクロプスはニンジャが駆るニンジャ・フレームではない。これは熟練サイクロプス乗りの間で伝わる裏技…リミッター解除関節による「超電導スイング」を用いた、言わば擬似メガ・スリケンである。
シバラク・カスタムは大型スリケンめいてスラッシュ・リッパーを電磁投射! 超高速回転飛来殺戮ギロチンめいて通常の三倍を大きく上回る速度のリッパーが、ジ・オーガの胴体を真っ二つに切り裂く!
「……アバーッ!」爆発四散!
直後、間欠泉めいて右腕関節部から噴き出るオイル。内部診断をするまでもなく、右腕のギアの一つが砕け、内部機構の一部から蛇の舌めいて電弧が踊る。どうやらこのあたりが限界らしい。

124 ◆tb48vtZPvI:2016/06/18(土) 23:55:30 ID:Eldohxuc
>>122
そしてエミリーからの通信。
「その判断を許可しない。いいかエミリー=サン、オヌシはガバノイドを侮り過ぎている」
ミックはそう断じた。
共和国でのガバノイドは一切の区別なく死刑相当以上の重犯罪者の扱いであり、その人権はないに等しい。それだけ彼らが好き勝手のロウゼキを繰り返したからでもある。
騎士団は惑星セレニア解放作戦に参戦し大きく貢献したが、その一連の記録はガバノイドの悪辣さについて余すことなく書き記している。
その一部に曰く、「ガバノイドを見逃してはいけない。彼らは報復の際、より一層邪悪に、より一層凶暴になるからだ」と書いてあることもミックは記憶している。

一方、ブグは敵機の動きがおかしいことにうっすらと気づいた
(ようやくチャンスが見えてきたぜ…)
死を覚悟していたブグだが、こうなれば生存可能性に賭けてみたくもある。虎の子のフラッシュグレネードとチャフ・マインを同時点火する。
…ザリザリザリザザザッ! オーダーのレーダーに一瞬激しいノイズが走る! ブグはジ・オーガの背部スラスターにありったけの推進剤を突っ込み、一目散に逃走!
(逃げるが勝ちってコトワザもあるもんな…あばよセレニアン娘、縁があったら俺専用のオイランにしてやるぜ)

125 ◆HU7XfvOYA2:2016/06/19(日) 07:37:48 ID:fOZMPQTk
「グゥアッ!?」
ブグ機から放たれるフラッシュグレネードとチャフに視界が阻まれ、動きを止めるガイア。その間に逃走するブグ機、直ぐ様追いかけようとするが胸のクリスタルが赤く点滅し、動きを止めてしまう。先程の戦闘のダメージと大技を放った為にエネルギーを消費し過ぎたようだ。

126エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/06/20(月) 20:02:58 ID:.qa31f52
>>124
「ですが少佐!!」
頑固者め…
確かにガバノイドは重犯罪者だ…
此処で逃せばアイツは凶暴になって帰ってくるだろう。
だけど…セレニアンであるツバサがアイツを倒す事が出来れば…!!

「………」
ガバノイド、やはり逃げたか…
問題無い…私はフェアリーフォースが…ツバサがアイツを倒すと信じてるからね…!

127 ◆tb48vtZPvI:2016/06/20(月) 22:31:26 ID:KPPxyduQ
猛烈な勢いで逃走するジ・オーガをミックは追おうとした。が、脚部関節各所に異常検出。舌打ちしつつ、追撃を断念する。
「…悪運の強い奴め」
ミックはレーダーで反応を検索した。残存敵数は少ない。
内一機が背後から斬りかかってきたのでミックは後ろ回し蹴りで反撃。「イヤーッ!」「グワーッ!」そのままサイクロプスは機能停止。
「各位に通達。敵機に降伏の意志はなし。掃討に移る。フェアリーも行けるな? それとディラン=サン、応答せよ」
損傷は激しいがまだ作戦続行可能と見られるフェアリーと、胸部のクリスタルを点滅させたまま動かないガイア・セイヴァーへ応答を求める。

128 ◆h9Hr5c.eFE:2016/06/21(火) 00:00:42 ID:ma8H665.
>>127
「はいっ! いけます!」
シルキーは掌から新たなスフィアをアウトプットし、敵群目掛けて投射する。
「くっ、誰にモノを言って……」
ロングボウを引き絞るモーションを取り、敵機に狙いを付けるメイヴ。が――
(…照準が…定まらない…?)
フェアリー・フレームの高度な射撃管制システムをもってさえ、ロックオンが不能なほどに照準がブレる。原因は単純、ミレニアの手がガタガタと震えているからだ。
「…っ…! アニーシャ!! なにを呆けているの!!」
「ふぇっ…? ご、ごめん! アニーもやる!」
ツインマシンガンで援護射撃を行うケット・シー。イニシアチブがオーダーにあることを認めたかのような、控えめなアクションだった。
「お嬢さ……隊長! お怪我はありませんか?」
ツバサからの通信だ。余裕さえ感じさせる穏やかな声音は、ミレニアに後ろめたさと苛立ちを喚起させた。
「…ふん…見ればわかるでしょう。私語を挟む余裕があるなら、すみやかに敵を掃討なさい」
「はいっ、隊長!」
ミレニアは痺れを切らした化のように、震える手でロングボウを放った。レーザーの矢は標的のサイクロプスを捉えることなく、宇宙の闇に消えていった。

129エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/06/21(火) 20:50:20 ID:fg6xjx3Y
>>127
「了解です、ミック少佐。」
ガバノイドが載ってる指揮官機は消えた。
だけど、残りの敵は降伏する気は無いようだ。
ミック少佐に追撃を仕掛けて返り討ちにあってる奴がいる。
ミック少佐相手にそんな攻撃が通用するはずが無い…

「これより、残存敵の帰討に入ります。」
指揮官機は逃したが、残りの敵を逃がすつもりは無い。
私はスノウローズに装備されたライフルを構え、残った敵に撃ち放つ。

>>128
「フェアリー・フォースのミレニアお嬢様。
その程度だったのですか?」
やっぱりお嬢様か…
放った矢が標的と全く違う場所に飛んでいる。
ミレニアお嬢様の機体は金持ちチームの機体。
その機体が照準性に欠けるとは思えない。
外した理由は恐らく、パイロット。
手ブレが激しいのだろう。
シミュレーションと実戦の違いを知ったのか…
あのガバノイドへの恐怖心か…
私は敢えて挑発とも思える通信を送ったが、お嬢様の事だ…
私からの励ましで効果があるとは思えない…

「ツバサちゃんはフェアリー・フォースのエースだね!期待してるよ!」
ツバサはミック少佐の通信に対して、直ぐに行動を取っている。
あのコはあのコロニー内での戦闘が初陣だった筈。
あのコ…ツバサはもう、民間人パイロットとしての域を超えて居るのかも知れない!
あのコを軍人と見て良いだろう…!
因みに、ツバサに送った通信はミレニアお嬢様とアニーシャにも同時に送っている。
基地内でツバサをバカにした態度に対する仕返しをして無かったからね…

130 ◆HU7XfvOYA2:2016/06/22(水) 12:01:46 ID:XPm1zBQo
「ミック少佐……」
僅かに残ったエネルギーを振り絞りハンドスラッシュを放ち残敵を処理しつつミックの呼び掛けに巨人は応じるように向き直り、巨人は言葉をミックに返し。

131 ◆tb48vtZPvI:2016/06/22(水) 22:29:04 ID:O7VKIXE6
>>128
強敵にサンドバッグ同様の扱いを受けたミレニアとアニーシャはすっかり怖気づいてしまったらしい。
一方、彼女らが撃ち漏らした敵機をツバサのシルキーが確実に仕留めていく。
エミリーもフォローに回ったことだし、もう自分が前に出ずとも問題無いだろう。

>>130
ガタが来た機体を庇い後方へ下がろうとしたとき、ガイア・セイヴァーからの通信。
「どうした、ディラン=サン? あとで訊きたいことはいくらでもあるのだがな」
例えば、胸部赤色クリスタルが点滅する意味などだ。ミックはディランからの返答を待った。

132 ◆HU7XfvOYA2:2016/06/23(木) 20:46:24 ID:WvTSOiXU
「ええ、此方も伝えたい事が有ります。」
ミックの返答に応えるディラン、まだ不明な点も多い為に出来る限り相手の疑問に応えるつもりだが、応えれないものも有る。そう付け加え、ミックに返答して。

133 ◆tb48vtZPvI:2016/06/23(木) 21:12:41 ID:4czz632k
「了解したディラン=サン」

撃破報告が止んだ。ミックは念の為にレーダーを最大反応にして走査。反応無し。
「こちらジン・ミック。敵機完全沈黙を確認」
通信の直後、シバラク・カスタムのレーダーに共和国共通信号が新たに映る。ドナール准将が用意してくれた艦艇だ。
「ちょうどお迎えが来てくれた。総員、オツカレサマだ。帰投後24時間は自由時間とするが、その間にレポートを私に提出せよ」
ミックは断固として言い足した。「なお、フェアリー・フォースも例外ではない。いいな?」
これに関しては一切の反論は許さないつもりだ。本来彼にミレニアたちに対して何の権限もないが、堂々と命令違反をされればミックとて立場がなくなる。ミックの感覚としては譲歩に譲歩を重ねた末の、罰とも言えぬ罰だった。

134エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/06/24(金) 21:47:54 ID:UC3YuEME
>>133
「了解です。お疲れ様でした。」
艦艇が迎えに来たようだ。
ミック少佐は帰投後の24時間をフリーとしているが、その間にレポートを提出しろと言っている。
レポート…私が書くべきはやはり、ガバノイドが載っていた指揮官機を逃した事だろう。
私はこの事に関して、いつかフェアリー・フォースがあのガバノイドを倒す事、セレニアンであるツバサがアイツを倒して、セレニアンがガバノイドの恐怖から解放される第一歩になると信じている事、これを書いてミック少佐に提出するつもりだ。
これだけは譲れない。
それにしても…

「ミック少佐…ディランは一体何処へ…
それに、あの巨人の様な特機…あれは一体…」
ディランが載っていた支援機が燃料切れを起こした時、コクピットにはディランの姿は無かった。
一体何処へ消えたんだ…
そして、急に現れた謎の巨人…
恐らく神話に伝わる巨人か何かだろう…
だとしたら一体何故…
何かに反応したのか…一体何に…?
それとも誰かが呼んだのか…それなら一体誰が…?
まるで解らない…

135 ◆h9Hr5c.eFE:2016/06/25(土) 00:54:38 ID:I.Wb8E6E
>>129
「おっ…お黙りなさい! …センサーの不調…いいえ、手が滑っただけよ!」
ミレニアが吐き捨てるように返事をする。国防軍最新鋭機の威信と自身のプライドを天秤にかけ、前者を取ったらしい。
「え、エースだなんてそんな…とんでもないです! オーダーのみなさんのおかげですし、私なんかより二人きりで戦ったお嬢様とアニーシャちゃんの方が立派ですし……」
両掌を振って狼狽するシルキーの姿からは、謙遜するツバサの表情が容易く想像できた。照れ隠しというよりは、単純にびっくりして、困惑している様子である。

>>133
「お、終わった…けど…うぅ…」
アニーシャは肩を落としながらも、悔しげだった。絶好のプロモーションの機会が台無しになったばかりか、むしろ恥とフェアリー・フォースへの不審を拡散するような結果になってしまった。
しかし、彼女はまだそれを深刻な過失とは考えていなかった。醜態を晒したのはたかが100人足らずの避難民に対してのみ。今回は失敗したが、あわよくばいずれまた、もっと大きな舞台で――そんな風に考えているようだった。
「くっ……まあいいでしょう。今回は特別にあなた方の流儀に従ってあげるわ」
ミレニアはミックの命令に露骨に不服な表情を浮かべた。ドナールからも失態を追求される恐れがあったが、それは強気に出てしまえば丸め込めることだ。
ミレニアは苛立っていた。こんな惨めな結果など認められるはずがない。
震える手で固く拳を作り、小声で呟く。
(次はこうはいかないわ。次こそは…覚えていなさい…)
憎悪の矛先はあのガバノイドと同時に、オーダーにも向けられているようだった。

136 ◆HU7XfvOYA2:2016/06/25(土) 09:50:17 ID:RDLAZgHg
「デュワッ!」
巨人は一声発すると光の玉となり、一瞬の瞬きの後に宇宙空間から消え失せ、新たに現れた艦艇の格納庫にディランが出現し、床に大の字になって倒れ伏せて。
「……疲れた」

137エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/06/25(土) 19:57:07 ID:MD7dqg6E
>>136
「ディラン!!」
格納庫に戻ると、そこにはディランの姿があった。
私は急いでディランの下へ駆けつけ…

「何処行ってたのよ!!心配したじゃない!!」
ディランが支援機から消えて、何処に行ったのかも解らなかった。
でも…疲れたって事は、何かやってたんだ。
こんな所に倒れ伏せて…

「ごめん…私がフェアリー・フォースへの援護にもっと早く到着していれば…」
ディランは支援機を使い、急いでフェアリー・フォースの下へ向かっていた。
飛ばした分、燃費も悪くなる筈。
私がもっと早く到着してれば、もう少し余裕が出来たかもしれない…

138 ◆tb48vtZPvI:2016/07/01(金) 23:32:03 ID:1gUPJj7s
輸送艇。艦長と副長。そしてミック。航路図を見ながら会話。
ミック「救難信号?」
副長「ええ。船籍はサイラス3防衛艦隊旗艦のそれと一致します。それが、廃コロニーに避難中ということで」
艦長「どう考えても怪しすぎるだろうそれは」
ミック「私も艦長と同意見だ。現状、割ける戦力もない。部下たちは疲れ切っている」
副長「無視する、ということでよろしいでしょうか?」
首肯二つ。話はそれで終わり…そのはずだった。

139 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/02(土) 04:07:49 ID:HbS1t6aE
>>138
「こちらフェアリー・リーダー。聞こえて? オーダー」
騎士団が機体と共に半ば隔離・軟禁されているブロックへと通信が入る。声の主は先の戦闘で醜態を晒したばかりのミレニアだった。
「近隣の廃コロニーより発せられている救難信号をキャッチしました。我々は識別コードよりこの発信源を防衛艦隊旗艦、ハルマッタンと推定。事実確認および救助のために出撃するわ」
ミック達にしてみれば頭の痛くなる話だったろう。地面から顔を出している地雷をむざむざ踏みに行くようなものだ。
ミレニアはただでさえ思慮が浅い所へ加え、焦っているのだ。晴れ舞台となるはずだった初陣で失態を演じ、嫌悪しているオーダーに救われる形となった。このまま本拠地に帰還したとあっては国防軍復権の象徴、フェアリー・フォースとして名折れもいいところである。
「なお、本ミッションに対してオーダーの介入は一切許可しません。ハルマッタンとの通信も全て機密回線にて行います…我々が本艦を誘導するまで、そこで大人しくしていなさい」
つまるところ、彼女は実績という手土産を欲しているのだ。あわよくば基地指令に恩を売り、この活躍を大々的に取り沙汰してもらえる。そんな青写真も描いているのかもしれない。
「あ、あの……」
新たにウィンドウがワイプし、ツバサが会話に加わる。
「万が一に備えて、ちゃんとした装備で臨みますので、皆さんご心配はなさらないでください。
何事もなく救助対象の方々を保護できればいいなって、思ってますけど……」
ミレニアも彼女もT-スキンに着替えていた。すでに出撃の準備が整っているということになる。
ツバサはどうやら嫌な予感を覚えているらしかったが、口にしている言葉は紛れもなく本心なのだろう。善意は美徳であると同時に危うくもあるということか、ミックの評した「戦いに向いていない」という人物表は実際に的を射ていた。
「ね、ねぇお嬢…ほんとに行くの…?」
アニーシャの声だ。明らかに気の進まない様子が伺える。
「ならあなたは、有りもしないリスクに怯えて基地指令をむざむざ見捨てて帰るというの? 救難信号は暗号化パターンまで含めて間違いなくハルマッタンのもの。何を不安がることがあるの?」
「そ、それはそうだけどさぁ…」
「…フェアリー・フォースは共和国の救世主になる部隊よ。怯えや戸惑いは恥と知りなさい、アニーシャ」
ミックが制止の声をかけても、もはや聞き入れる耳は持たないだろう。
無能極まりない指揮官に率いられた少女らは、どのみちそう遠くない未来、オーダーの預かり知らぬ場所でひっそりと全滅の運命を辿るだろう。
ここで見捨てたところで、さしたる影響はないのかもしれない。

140 ◆HU7XfvOYA2:2016/07/02(土) 20:32:16 ID:SyaqPWwQ
>>137
「ゴメン…ちょっと色々あってね。」
エミリーから怒りと心配が入り交じった声にディランは弾かれるように上体を起こして反応し、すまなさそうに頭を下げて謝罪すると謝る相手に疲れた表情を笑顔に変えてサムズアップして見せて。
「大丈夫、それに彼女達を守れたんだからさ。謝る事はないさ。」

141 ◆tb48vtZPvI:2016/07/03(日) 01:38:01 ID:IE8T1x.Y
>>139
ミレニアの通信に無表情・無言を貫いたミックは、何事もなかったかのように中断していた作業に戻った。即ち、シバラク・カスタムの修復及び再調整である。
幸いというべきかサイクロプスの予備パーツは腐るほど回収してある。保存しておいたパラメータを適用すればいいだけだった。
ミレニアという娘が簡単に反省したりしないことは予想通りだった。
彼女たちにかけられた期待と、それによる重責。そこにミレニアの自意識が掛け合わされれば、功績に逸るのは自然な感情だろう。まさか喉元も過ぎない内に抜け駆けを繰り返そうなどとは流石に思っていなかったが…
要するに、ミックにも言いたいことや思うことはあった。

142 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/03(日) 03:20:15 ID:D8KDvF.6
出撃から20分の後、フェアリー・フォースは朽ち果てたコロニーへと足を踏み入れた。
救難信号の発信源はこの居住エリアで間違いないようだが、据え付けられた太陽灯は当然機能しておらず、真っ暗闇の廃墟の中を進んでいく形になる。
「な…なんかさぁ…敵とかよりも、もっと出ちゃいけないのが出てきそうじゃない…?」
フェンサー装備に換装したケット・シーがおずおずと周囲を見渡す。赤外線センサーを通して見る街並みは荒涼としており、目につく高層ビルの大半は崩れ落ちて瓦礫の山に変わり果てている。
「で、出てきちゃいけないものって…た、たとえば…何のことでしょう…?」
「そ、それはほら、言っちゃえばオバ…」
「お、お、おやめなさい! 何を非科学的な!」
フェアリーは三機ともヴァルキリー、フェンサーからなる近接戦闘仕様の装備であった。万が一施設内で戦闘が発生した場合、メイジは過剰な火力が危惧されるし、ガンナーは前衛あってこその後方支援タイプであるため、用途に適さない。
唯一近接射撃戦に特化したケット・シーのガンナー装備は、モーターオニから受けた損傷を修復中である。あと一時間も猶予があれば扱いなれたDRESSで出撃できたことをと思うと、アニーシャはいっそうブルーな心境になった。
「指定ポイントに到達。機密暗号通信を開始します。フェアリー2、フェアリー3は周囲警戒・厳。いいわね」
「りょ、了解っ!」
「了解です!」
メイヴが機密通信用の帯域を使い、暗号化されたメッセージを送信する。

<フェアリー・フォース、救援に到着せり。応答を求む>

143 ◆tb48vtZPvI:2016/07/03(日) 18:15:24 ID:IE8T1x.Y
>>142
ハルマッタンは暗号通信で応答。所在ポイントとその経路をフェアリーへ伝える。

ところでこの廃コロニーの元の名はHLM-5500。共和国の造船コロニーであったが、帝国軍の大規模攻勢時にやむなく放棄された。
取り残された資材は宇宙海賊やジャンク屋、スカヴェンジャーなどに荒らし尽くされ、今やガランドウの無数の区画が名残として見受けられるのみである。
それでもオニールタイプの巨体は0.8G程度の重力を途切れることなく生み出しており、恐らく半永久的に自転し続けるだろう。

フェアリーたちが歩を進めると、ノイズ混じりの動画がスクリーンへ大写しになった。年の頃は12、3歳、金髪紅顔の美少年だ。恐らく司令官の侍従だろう。国防軍では幼年学校で優秀な生徒を研修生として側に置く風習がある。
本来艷やかであろう金髪は油染みており、顔面は蒼白。大きな目は涙目に揺れている。余程恐ろしい目を見たのだろう…
『こ、こちらハルマッタン。司令官閣下以下、僕も含めて生存者10名です』
フェアリーのカメラに横たわるハルマッタンの巨体が映る。あちこち装甲板が大きくえぐれ、砲塔の殆どがもぎ取られ、至る箇所に弾痕が穿たれている。まさに満身創痍、キールブロックが損傷していないのが奇跡だ…
『救援を要請します。早く、助けてください…お願いします…』
少年の目に涙が浮かぶ。これを見れば、冷徹極まりないあのネズミのニンジャ騎士でさえ哀れを催しただろう…

144 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/03(日) 21:02:24 ID:D8KDvF.6
>>143
「隊長!」
生存者の姿を目にして、真っ先に目を輝かせたのはツバサだった。
「ほら、ご覧なさい。あなたの杞憂だったのよ、アニーシャ」
「……」
得意満面といった顔で髪をかき上げるミレニアに対して、アニーシャは怪訝な表情を崩さなかった。
「年端もいかない子が、あんなに心細そうにして……すぐに助けにいってあげましょう」
「もちろんよ。指定座標まで直ちに移動。いいわね?」
スラスターをホバーモードで点火し、移動速度を上げるメイヴ。続くシルキー。
「ね、ねぇ、待ってよ二人とも!」
それを追いかけながら、アニーシャは彼女には珍しい真剣な様子で呼び掛ける。
「どうしたんですか、アニーシャちゃん?」
「この期に及んで、見苦しくてよ? アニーシャ」
「あ、あの…アニー、戦艦のこととかよくわからないけど、ハルマッタンって、ものすごく大きな艦なんでしょ? たぶんパイロットやブリッジの人達以外にも大勢が乗ってたよね? その中に10人だけ人が残るなんてこと、有り得るのかな…?」
不安げな声を受けて、ツバサもふと考えを巡らせる。このコロニーへの不時着自体は、たとえ生存者が僅かであったとしてもオートナビゲーションで行えないことはない。
しかし、3桁台のクルーに加え、基地の要人、軍関係者を多数乗せて逃走を図ったはずのハルマッタンが、乗員10名の状態にまで追いやられる状況とはいかなるものだろうか?
「……隊長、さっきの通信…脱出艇のひとつとかじゃなく、ハルマッタンそのものから送られてきた映像でしたよね?」
「そうね。それが何か?」
「私もアニーシャちゃんの言葉を聞いて、変じゃないかなって思いました。あの戦いから離脱に成功して、ここに不時着できるぐらいの損傷レベルなのに、10人しか生き残っていないなんてやっぱりおかしいんじゃ…」
「ハルマッタンには脱出艇が多数搭載されていたわ。おそらく司令官閣下がご自身を省みず、優先的に他のクルーを逃がしたのでしょう」
「じゃ、じゃあその司令官さんはどうして自分で通信をよこさないの? どうして大人の人じゃなくて、あんな男の子が応答してるの?」
「それは…きっと閣下が通信に応じられないほどのお怪我を…」
「お嬢、おかしいよ! さっきから言ってることに全然根拠が無いじゃんっ!」
ケット・シーがミレニアへの不信を訴えるかのように急停止する。
慌ててツバサのシルキーも、忌々しげにメイヴも足を止める。
「…あなた、さっきから何様のつもりなの? わたくしがまんまと罠に嵌められているとでも言いたいの?」
そしてメイヴは振り返るや、つかつかとケット・シーの目前まで歩み寄り、威圧するように見下ろす。
「…取り立ててやった恩を忘れたのかしら? 賎民の分際で」
その声音にぞっとするような感覚を覚えて、ツバサはアニーシャのウィンドウに視線を送った。
アニーシャはショックに目を潤ませながら、口をぐっと硬く結んでミレニアを睨み付けている。
「これはフェアリー・フォースの面目躍如のための大切なミッションなの。降りたければ一人で降りなさい。メンバーの座が惜しくないのならね。特異体質だか何だか知らないけれど、あなたの代わりなんて探せばいくらでも出てくるのよ?」
「お、お嬢様、そんな言い方は……」
「名を上げて、母親の居所を突き止めたいのでしょう? せっかくそのための好機を与えてあげているというのに、どうしてそうも反抗的に噛みついてくるのかしら。可愛くないわね」
「……前々から思ってたけど…サイッテーの性格してるよね、お嬢って…」
一触即発といった空気に、ツバサは狼狽えるばかりだった。
事ここに至って内部分裂を起こしかけるフェアリー・フォース。周囲の変化に気を配る余裕のある者は誰もいなかった。

145 ◆tb48vtZPvI:2016/07/03(日) 22:02:11 ID:IE8T1x.Y
>>144
ハルマッタンがフェアリーたちの目鼻の先に迫った、その時だった。『…皆さん! 僕達に構わず逃げてください! ここは…罠です!』少年が絶叫した。
舌打ち一つ。『…困るんですよ、そういうアドリブは』
ブシュブシュブシュブシュ! フェアリーの進路と退路が塞がれた!
それは鉄のフェンスめいて見えた。しかし金属ではない。樹脂だ。高速噴出されたジェル状樹脂が瞬時にして硬化し、ヒトガタの装甲にも匹敵する強度のフェンスと化したのだ! その数は100や200では効かず、中には樹脂の粘性を保ったものも存在する…
そして、ラプトルやサイクロプス! 数は50機、およそ大隊規模のヒトガタがわらわらと暗がりから姿を現す!


そして、フェアリー・フォースのレーダーに単機ヒトガタ感あり。Mサイズ、つまり全高20M前後、それがハルマッタンの上方…天井にコウモリめいて逆さに立っていた。
『ドーモ、はじめまして、フェアリー・フォース=サン。オニロク・バシタキです。このニンジャ・フレームはデイドリーム』
パイロットがガスマスク型メンポ(面頬)ならば、機体もガスマスク型フェイス。とんだ道化じみた組み合わせは、しかし異常な威圧アトモスフィアでフェアリーたちを呑み込んだ。
『要件はわかりますね?  あなた方をイチモ・ダジーン(一網打尽)しにきました』』

146 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/04(月) 01:21:13 ID:IJrmb6Uw
>>145
ツバサにとって、ミレニアが口にしたアニーシャの事情は意外だった。出逢ってまだ日は浅いが、もっと華やかな、明るい世界を生きている少女だと思っていた。
それだけに、ミレニアの辛辣な言葉がいっそう酷薄なものに思えて、これ以上二人が言い争う様は見ていられなかった。
「お、お二人とも、今は作戦中ですし、喧嘩してはダメ……」

そう言いかけた時、周囲の状況が一変した。
液体の飛沫のようなものが方々から大量に吹き上がったと思うや、それは林立する分厚い障壁へと姿を変え、フェアリーフォースを取り囲んでいた。
「なっ……何!?」
メイヴが驚愕も顕に辺りを見渡す。対するアニーシャは無言でレーザー・ツインダガーを抜き放ち、構える。
「…引き返すにはもう遅いみたいだよ、お嬢」
「そんな…な、なんで…? 格好のチャンスのはずだったのに…」
レーダーに突如現れた機影は、まさに無数だった。相次いで罠に陥れられたことで、フェアリー・フレームのセンサーが帝国飢狼部隊の前に無力であることは、これではっきりと証明されたといえる。
「お嬢様…いえ、隊長! 応戦しましょう! 指示をお願いします!」
レーザー・レイピアを手にシルキーがメイヴの右後ろに付く。隣にはケット・シーが並ぶ。演習で繰り返しシミュレートした陣形だ。
「えっ? え…あ…」
メイヴが震える手でフルーレを抜く。ミレニアの脳裏には失意と同時に、先の戦いで受けた苦痛がフラッシュバックしており、半ば頭が真っ白という状態だった。
「ど…」
「はい!」
「どうすれば…いいんですの…?」
「え…えぇっ?」
その憔悴ぶりには、さすがのツバサも失望を感じずにいられなかった。
「もういい。そんなやつ、そこで震えさせておけばいいのよ…ツバサちゃん、やるよ! 生き残るために、あいつをやっつける!」
ケット・シーが指差したのは、頭上高くに逆さまに立つ得体の知れない機動兵器。
アニーシャのバッサリとした物言いと、『あたし』という一人称に戸惑いながらも、ツバサは「はい!」と返事を返した。周辺を取り囲む機体は無人機。それに対して、頭上の機体が何かしらの干渉を行っているという情報が、センサーの測定値からはっきりわかったからだ。
「お嬢様は無理をなさらず、身を守ることに専念してください! 私とアニーシャちゃんで何とかして見せます!」
「で、でも……」
間もなく、ターゲットから奇妙な通信が送られてくる。ジン・ミック少佐の発したアイサツと似た調子だが、彼の縁者か同類なのだろうか?
「一網打尽? 嘗めないでよね! と、飛んで火に入る夏の虫なんだからっ!」
発言は強気だが、アニーシャも手の震えを抑えきれていなかった。先の戦いで恐怖を植え付けられたのは彼女も同じなのだ。
「いっくぞぉぉぉっ!」
その迷いを振りきるかのように、ケット・シーが弾丸の如く疾走し、最寄りの無人機複数機の首元へと、次々にツインダガーを走らせる。
「援護します! レーザー・クロスボウ、ラピッドモード!」
デイドリームなる機体へ至る道を切り開くべく、シルキーがその後ろを追いながら援護射撃を加える。
勇猛果敢に攻勢に出たフェアリー・フォースだが、すでにそれが意味を為さない抵抗であることを、じきに彼女らは思い知ることになる。

147 ◆tb48vtZPvI:2016/07/04(月) 03:01:07 ID:7.ZUvi4o
KBAMKBAMKBAM! 光の矢が無人機を穿ち、ダガーが切り裂く! フルーレが貫く! 一呼吸に3機撃破!

『あなた方のフェアリー・フレームと我らのニンジャ・フレームは共通点が多い。モーションリンクシステム…これなどは最たる例でしょう。まあ、パイロットのスーツにまでダメージが及ぶのは趣味的ではありますが』
バシタキの声が広域通信でフェアリーに届く。その声は耳障り、数を減らしてゆく無人機を横目に声音は平静そのもので微塵の焦りも窺えない。
『しかしあなたがたは実に教本通り、面白みのないカラテです。これでは人質の意味が無い』
デイドリームは樹脂のロープを以ってさかしまのまま天井から地表方向へ降りて行った。
『ここまで来てみなさい。来れるものならば』
デイドリームは挑発的にその身を反らしてみせた。
もちろん、そこまで届くには無人機が立ちはだかっていることも忘れてはならない。露骨な愚弄だ!

148 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/04(月) 04:17:48 ID:IJrmb6Uw
>>147
「言われなくたってぇっ!」
ケット・シーがラプトルの頭部に垂直にダガーを突き立てつつ、その両肩を踏み台にして跳躍する。
「殺っちゃえ! チャクラム・ソーサー!」
ひねり前宙で無人機らの頭上に躍り出たケット・シーの尻尾の基部から3基のチャクラムが射出され、猛スピードで飛び交いながら眼下の敵群を切り刻んでいく。
「エリアルダガー、お願いします!」
シルキーが交差させた両手を振り払い、両の手から計4基のレーザーダガーが投擲され、縦横無尽に宙を舞う。それらはチャクラムで損傷を被った敵機を着実に仕留めると共に、ミレニアに襲いかかろうとしていたサイクロプスの胸部を貫き、動きを止めさせた。
「つ、ツバサ…」
「勝てますよ、お嬢様! この無人機さんたち、大した強さじゃありません!」
「そ、そう…そうよね…! フェアリー・フレームの性能に比べれば、こんな連中…!」
メイヴがフルーレを振るい、サイクロプスを切り裂く。無人機の動作は実際緩慢であり、その手応えを得たことでメイヴも徐々に動きを良くしていく。
「やれる…わたくしならやれる…!」
「ふん…ま、お嬢もせいぜい、殺されないよう頑張るといーよ」
「だっ…誰が殺されるものですか! あなた、なんて口の効き方を…きゃあっ!?」
死角から不意に飛びかかってきたラプトル。しかしその機体はシルキーのレイピアに横合いから貫かれ、メイヴに触れることはなかった。
「アニーシャちゃん! こっちは任せてください!」
「オッケー! 本命はいただいちゃうよっ!」
八艘跳びの如く無人機を踏みしだいて跳躍を繰り返した末、ケット・シーは落下の勢いに乗せ、デイドリームの間近に位置するサイクロプスの頭部を右手のダガーで刺し貫く。更に左腕部に固定されたレーザー・ショートボウを損傷部に向けて零距離で連射。爆散する機体から華麗に離脱し、着陸。見事デイドリームと相対する。
「アニーシャちゃん、すごい…!」
「ふふーん、これくらいどーってことないない!」
実際、アニーシャとケット・シーの運動能力、速攻能力はフェアリー・フォースの中でも郡を抜いていた。こうした乱戦においてこそ、その力は最大限に発揮されるのかもしれない。
「どぉ、オジサン? これでもアニーの戦いがつまんないとか言っちゃうわけ?」
「ていうか、こんなザコキャラを寄せ集めてけしかけるしか能のないオジサンの方が、よっぽどつまんないんじゃないのかなっ?」
アニーシャも戦闘の中で自信を取り戻してきたのだろう。いつもの不適かつ小悪魔的な口調で、オニロクを挑発しつつダガーを突きつける。
「あーあ、こういう時こそカメラが欲しかったなー。これからオジサンをギッタギタのメッタメタにやっつけるかっこいいケット・シーとアニーの姿を、みんなに見てもらえないのがとーっても残念っ」

149 ◆tb48vtZPvI:2016/07/04(月) 20:39:14 ID:7.ZUvi4o
>>148
「カメラならば私の手元にもありますよ…並のTV局では及びのつかない解像度のものがね…」
突きつけられたダガーを意にも介さず、バシタキはほくそ笑んだ。
「そうそう、アニーシャ=サン、あなたのあの…イメージヴィデオ…拝見させていただきましたよ。もちろんツバサ=サンもね…なかなか良き物をお持ちでいらっしゃる。ミレニア=サンもかなりの美貌です」
デイドリームは後方跳躍、右腕部のギミックガントレットからスリケン連続射出!
「軍人でおられるより、転身なされてはどうです?」
主語を不明瞭にした、しかし明らかな嘲弄だ! 賛意もこもっているからなおのこと腹立たしい!

150 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/04(月) 22:09:38 ID:IJrmb6Uw
>>149
シルキーとメイヴは順調に敵の数を減らしている。うまくすれば無人機の攻撃が途絶えた隙をつき、3対1に持ち込めるかもしれない。
「!」
バシタキの言葉に、一瞬肩をびくっと反応させるツバサ。いくら彼女でも、侮辱されているとはっきりわかる物言いだった。
アニーシャも、ふんっ、と軽蔑するような笑いをこぼす。
「誉められちゃったぁ〜。アニーうれしいなっ☆…って言いたいとこだけどっ!」
放たれたスリケンを、至近距離にも関わらず側宙で回避するケット・シー。着地までの一瞬の間に、左腕のショートボウからレーザーを連射し、牽制する
「こないだのヘンタイやオジサンみたいなファンは、ちょっとNGなんだよねっ!」
すかさず懐に踏み込みながら、左右のダガーを振るってデイドリームに攻撃を加える。

151 ◆tb48vtZPvI:2016/07/04(月) 23:11:49 ID:7.ZUvi4o
「これは心外なり!」
デイドリームはケット・シーの連続攻撃をブリッジ回避!
更に下から上へのケリ・モーションから倒立に繋げ、後退しながら体勢を立て直してみせた! なんたる柔軟な機体関節か!
「オニロク・ニンジャクランはアーティストのクラン! オチャノマでオイラン・ポルノを見て悦に入る程度の次元の低い変態どもと同じにしないで頂きたいッ!!」
突如興奮するシバタキ!
同時に左腕部が卑猥に蠕動したと見るや、「お受けなさい! イヤーッ!」
おお、これはまさしくニンジャ・シャウト! 触手の…ニンジャ!
「マシンテンタクラー!」ニンジャ・フレームの左腕樹脂状人工筋肉が軟鞭めいてフェアリーたちを一斉に薙ぎ払う!

152 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/04(月) 23:26:40 ID:IJrmb6Uw
>>151
「!?」
デイドリームの反応速度と柔軟性はケット・シーを凌駕していた。中身からしてニンジャと戦闘訓練を多少施された少女であり、実力差はアニーシャが思う以上に埋めがたいレベルであった。
「くぁぅんっ!!」
蹴り上げをまともにくらい、吹き飛ばされるケット・シー。帯電体質の代償としてアニーシャの体をダメージ電流が走り抜け、硬直させる。
「あぅっ、ひ…!!」
「アニーシャちゃん!」
シルキーがそれに駆け寄る。アシストに加わる気なのだ。
「お嬢様も、援護をお願いします!」
「え、ええ! わかっ……」
その時だった。
デイドリームの左腕が生々しく蠢いたかと思うや、それはたちどころに鞭状に伸び、3機をまとめて薙ぎ払った!
「ひゃあ゛ぁぁぁッ!?」
「きゃああぁッ!?」
「ぅはぁぅッ!?」
3機のフェアリーは軽々と弾き飛ばされ、散り散りにされた。

153 ◆tb48vtZPvI:2016/07/04(月) 23:40:09 ID:7.ZUvi4o
>>152
「フムゥーン…意外や意外、フェアリー・フォースとは国防軍の新たなハタガシラたる部隊と聞いて、実際今日の日を楽しみにしていたのですが…」
ニンジャは程度の差こそあれ、本能で強者とのイクサを求める。バシタキはあらゆるテレーン・テクダ、あらゆるフーリン・カザーンを尽くし、敵の強みを封じた上で勝利を収めるタイプだが、それでも失望を隠さなかった。
「正直、国防軍一般兵よりオケケの生えた程度だとは思いませんでしたよ」溜息をつく。
その間にも無人機の誘導は忘れない。ラプトルが、サイクロプスが、得物の銃口をフェアリーたちに向ける。
「フェアリー=サン、まだ立てますよね?」

154 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/05(火) 00:05:51 ID:zxDOphsw
>>153
「あぅ、うう…!」
シルキーが立ち上がる。
「ま、まだです…諦めません!」
次いでケット・シーがヨロヨロと起き上がるが、アニーシャの息は荒い。
「っ…嘗めない、でよね…こんなの痛くも痒くもないんだからっ…」
メイヴは尻餅をついたまま、呆然とデイドリームを凝視していた。
「あ、あり得ない…物理的にあり得ない…なんなんですの、あの機体…!?」
「お嬢様、しっかり!」
「お嬢のヘタレ! もうこうなったら、フェアリー・フォーメーションでいくっきゃないんだから、しっかりしなさいよ!」
二機に促されるようにして、ようやくメイヴが立つ。
散り散りに弾き飛ばされたことで、奇しくも3機はデイドリームを包囲する配置となっていた。
「ふぉ、フォーメーション…そ、そうね、あれなら…! やるわよ! 二人とも…!」
「いつでもいけます!」
「散々言ってくれちゃって…アニーたちがそこらのボンクラとは一味も二味も違うってとこ、見せてあげるんだから!」
3機がそれぞれの射撃武器で無人機を牽制しつつ、スターティングポジションに着く。
「フェアリー・フォーメーションB! レディ!」
ミレニアの声に応じて、シルキーとケットシーが火器をリロード。メイヴは両腕部の電撃アンカー、ショック・ハーケンを起動させる。
「せーぜーご自慢のカメラにでも焼き付けることねっ!」
「……ゴーッ!!」
シルキーとケット・シーがそれぞれのレーザーボウを猛連射し、デイドリームを挟撃。回避運動を誘う。
「お嬢様!」
「ショック・ハーケン!! いきなさいっ!!」
追い立てられたかに見えるデイドリームへと、両前腕からハーケンを放つメイヴ。同時にシルキーとケット・シー
が抜刀し、左右からデイドリームへと急接近。ショック・ハーケンの電撃により動きを止めた所へ、レーザー刀剣による追撃を加える手はずだ。
「くらえぇぇぇーーっ!!」
ケット・シーが勢いよく跳躍し、レーザー・ツインダガーを振りかぶる!

155 ◆tb48vtZPvI:2016/07/05(火) 00:50:00 ID:1Gobrs5Q
>>154
「ムムッ…そのフォーメーション、データにはなかったか」
バシタキのニューロンが高速で思考を巡らせる!
2機のレーザーボウによる猛射はブラフ。本命はメイヴの攻撃、使うとすれば恐らくショックハーケン。そこから繋がるのはフィニッシュムーブ、まともに受ければ爆発四散は免れないだろう…
「しかし…そうはトンヤが卸さない!」
ブシュブシュブシュ! 足元から吹き出す樹脂フェンス! 更に壁になるように無人機を動員! 無人機を盾にしたバリケードだ!
「スパイダートラップ発動!」
ブシュブシュブシュブシュ!!樹脂フェンスから枝めいて噴き出す樹脂!
木というよりはアミダクジに近い様相だ! 接触してしまえば粘性で捕らえられてしまうぞ!

156 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/05(火) 01:08:42 ID:zxDOphsw
>>155
射撃による牽制と崩しは万全だった。ショック・ハーケン命中、そしてダガーとレイピアによる斬撃。それによって勝負を決することができると、敵機に肉薄したアニーシャは確信した。しかし……
「なっ…? うああっ!?」
突如として噴出したスパイダー・トラップ。ケット・シーはその粘着性ネットに頭から突っ込んでしまい、勢い余って逆さまに貼り付けにされてしまう。
「なっ、なにこれっ!? ネバネバして…っ! くぅぅっ!」
辛うじて動く手首で、ネットにレーザー・ツインダガーの刃を押し付けるが、その程度では切断できそうにない頑強さだった。
「きゃああっ!」
シルキーはネットに足を取られ、デイドリームの目前で転倒。
「アニーシャちゃん! 大丈夫ですか!?」
レーザー・ロングボウでケット・シーを捕らえる樹脂フェンスを破壊するべく、何発かの射撃を見舞ったが、焼け石に水だった。
「くっ…お嬢様! アニーシャちゃんを!」
「わ…わかったわ!」
無人機のバリケードにショック・ハーケンを弾かれ、狼狽えていたメイヴがケット・シーの救助に向かう。
レーザー・フルーレをフェンスに突き立てるが、容易く切り裂くことはできそうにない。
フォーメーションが崩壊し、デイドリームへの攻撃の手は完全に止まってしまった。

157 ◆tb48vtZPvI:2016/07/05(火) 02:21:15 ID:1Gobrs5Q
>>155
ピシリ! ピシリ! デイドリームは左腕鞭で床を叩く!
「ホホホッ…では、オニロク・ニンジャクランのオニロク・ニンジャクランたる所以をお見せしましょう!」
ローパーハンドを掲げると一本のロープに縒り合わさる! 意思を持つように蠢く! 走る! 狙うは…シルキーだ!
「シバリ・ジツ奥義! タートル・バインド!」
おお…おお…ゴウランガ! 人工筋肉縄は複雑な軌道を描いたと見るや、シルキーを絡め取る! その複雑な縛りは魔術文様めいて美しくも妖しくシルキーを彩る、まさにアーティストのワザマエだ!

ニンジャ暗黒史の泰斗トダギ・ザイゼン氏の名著「ブラックヒストリー・オブ・ニンジャ」ではかなりのページを割いて暗黒街に潜ったニンジャへの言及がなされている。
それによればロープ一本を以ってオイランを飾り立てることに血道を上げたニンジャクランが存在したという。まさしくそれがオニロク・ニンジャクラン!

「ミレニア=サン、あなたもだ!」もう一本ロープが蛇めいて走った!

158 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/05(火) 03:11:14 ID:zxDOphsw
>>157
「う、うぁぁっ!?」
ローパーハンドがまるで生き物のように、シルキーの機体を這いずり回り絡み付いていく。
「な、何ですかこれ!? 何が起こって…あぐぅンッ!!」
ギチィッ! と音を立てて、縄がシルキーを圧迫し、『縛り』を完成させる。亀の甲羅の紋様のごとく縦横に走るローパーハンドの圧力は、ツバサのT-スキンにもトレースされ、彼女の体に幾何学的な紋様となって食い込み、肉感的な肢体を飾り立てると共に一切の自由を奪ってしまう。
「くっ…くる、しっ…んあぁぁぁ…!」
「ツバサちゃん!!」
粘着糸に拘束されたままのケット・シーに続きシルキーも、そして更にメイヴまでもがローパー・ハンドの餌食となる。
「ひっ…!? 嫌ぁぁぁぁぁっ!?」
瞬く間に絡め取られ、豊満な肢体をギチギチと締め上げられながら地に転がされるミレニア。
「しっ…縛り上げるだなんて…こんな辱しめを…こ、こ、このわたくしにっ!?」
憤慨と恐怖が入り交じり、裏返った悲鳴を上げるミレニア。シルキーと共にのた打つようにして抵抗するが、戒めは緩むばかりかますます深く食い込んでいく。
「はぁッ…ぁ、あぁンッ…!」
「ほどきなさいッ! くぅン…うぅッ!」
その光景を見て、アニーシャは悟った。この男は自分達を殺すより先に、徹底的に辱しめるつもりなのだと。
「こ、こいつっ…! チャクラム・ソーサー! いけぇぇっ!」
逆さ吊りの態勢からできる唯一の抵抗、自由を保っていた尻尾を使い、3基のチャクラムを投擲する。狙いはローパーハンドの切断である。

159 ◆tb48vtZPvI:2016/07/05(火) 23:48:09 ID:1Gobrs5Q
「ホホホッ! やはり私の眼に狂いはなかった!! あなた方はシバリ・ジツにおいて実際素晴らしい素質をお持ちだッ! ホホホホホホッ!」
デイドリームのモニタには吊り上げられる機体と仮想の縄目を刻まれ横たわるフェアリーたちの姿が映されている。自らの手で生み出した「作品」の見事さにバシタキの口から思わず哄笑が溢れた。
「ホホホッ…女体は花束、美しく飾って差し上げる必要があります。あなた方の身柄は、フェアリー・フレームと共に我らが御大将の元へ送り届けます。生命については保証しましょう」
ニンジャが傲慢に告げる。そこには人権や人格は考慮されない、無慈悲で身勝手な論理だけが存在していた。どうやらブッダは昼寝でもしているらしい。
そこへアニーシャがソーサー投射! 不意を突かれた形の反撃に、対応するのはニンジャ反射神経! 
KILLING! KILLING! ソーサーの直撃を防いだのは…メイヴのフルーレだ!
(今のはちょっとアブナイでした…)
ニューロンの奥底でバシタキは呟く。シバリ・ジツは束縛のためのジツ、身体操作は本来能力の範囲ではない。操作はかなりアバウトになる。
(これでアニーシャ=サンを捕縛し、御大将に差し出せばミッションコンプリート…フムゥーン…)
バシタキはしばし考慮する。非戦闘系ニンジャとして、彼は今まで御大将のために功績を上げてきた。
御大将は真に美しい物を愛でる。バシタキはその優れた感性に敬服していたし、御大将の感性に叶うニンジャでありたいと思い続けてきた。
御大将はお褒めの言葉を頂けるだろう。だが…
(バシタキ=サン、日々進歩あれ、だ。常に良き敵を求めよ。かくしてニンジャは成長する)
御大将の言葉がニューロンをよぎる。そう…斯様な生ぬるいミッションではニンジャとして進歩も成長もは望めない!
「アニーシャ=サン、あなたをメッセンジャーにしましょう」
バシタキは決めた。
「フェアリー・フレームの全データを持ってコズミック・オーダーをここへ連れて戻っておいでなさい。来なければ…それでも構いません。12時間後にはここを発つまでです」
成功…メイヴとシルキー…ミレニアとツバサを持ち帰れれば御大将の不興も買うまい。
大成功…フェアリー・フレーム3機とパイロット3名に全データ、そしてコズミック・オーダーの首。それはとてつもない大戦果に違いない!
では失敗は? 己の命一つで贖えばいいだけのこと…シバタキはソロバン勘定を即座に行い、どう転んでも自分の絶対的不利益には成り得ないと踏んだ。

160 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/06(水) 00:48:33 ID:Mg1ilEHk
>>159
「あうっ!」
バシタキがジツを解いたのか、ケット・シーは粘着樹脂の拘束から解放され、地表に落下した。
そしてアニーシャへと突きつけられる勧告。
「なっ…なにいってるの…!? そんなことできるわけ…!」
地に這いつくばったままでデイドリームを見上げて、アニーシャは困窮極まった声を上げた。
「…っく…ダメです! アニーシャちゃん!」
無様に宙吊りにされた態勢ながら、ツバサは毅然と彼女を叱咤する。
「こんなヒモ、私たち自身で解いて…ッ…んあッ、はひッ…!!」
そんな反抗的な態度を嗜めるかのように、ローパー・ハンドがぎゅうっとシルキーに食い込む。
「あ、アニーシャぁ…!」
ミレニアの声は殆んど涙声に近かった。
「お嬢…!」
実際、彼女は恥辱と苦悶、更には進退極まった状況の只中で、今にも泣き出してしまいそうな顔をしている。
「ダメよ…! オーダーなんかに頼ってはダメ…! こッ、こんな醜態を見られた上に助けられるなんてッ…!!」
「じゃ、じゃあ、どうしたら…!?」
「国防軍に…国防軍に応援を要請するのよ! わ、わたくしの名前を出せば、オービタルから救援部隊が…」
「……」
アニーシャは力なく首を横に振った。もはや自分達は生殺与奪を目の前のニンジャに握られているというのに、そんな真似をすれば只では済まされないだろう。
「うっ…ぅっ…」
死にたくない。ツバサとミレニアも見殺しになんかしたくない。
気が付けばアニーシャは絶望に震え上がりながら、ぽろぽろと大粒の涙を溢していた。
「アニーシャ…アニーシャ…! …っひッ…早くッ…応援を…ッ!」
「アニーシャちゃん…」
ツバサはその姿を沈痛な面持ちで見詰めると、数秒の間目を伏せ――そして大きく息を吸い込んだ。
「……いやぁぁぁぁっ!! 死にたくないよぉぉっ!!」
「!?」
突然の大声に、アニーシャとミレニアが驚愕の表情を浮かべる。
「ミレニアお嬢様には耐えられても、私はこんな仕打ち耐えられないっ!! 助けて、アニーシャちゃん! 今すぐオーダーの皆さんを呼んできてぇっ!!」
「…ツバサ…あ、あなた…」
「…つ…ツバサちゃん…!」
ミレニアもアニーシャも、彼女の意図は十分に理解できた。
ツバサは一人で汚名を被ろうとしている。こうして無様に捕らえられたことも、オーダーにすがりつくことも、全て自らの招いた醜態とすることで、ミレニアの誇りと名誉、アニーシャの悲願達成への道のりを守ろうとしているのだ。
「…く…っ…!」
ミレニアはそれっきり何も言わなかった。
アニーシャは涙を拭うと、デイドリームをキッと睨み付け、それからツバサへと、真摯な顔つきで言葉を残す。
「ぜったい…ぜったい助ける! ツバサちゃんを助けに、ぜったい戻ってくるから!」
ケット・シーはデイドリームに背を向け、脱出口へ向けて走り出した。
アニーシャは悔し涙を何度も拭いながらコロニー外へ出ると、すぐさま母艦へと通信を入れる。

そして、ドナールよりオーダーに下記の旨が伝えられた。

ツバサ・ウィークリッドの失態により、メイヴ・シルキーは拘留。身柄の返還のため、敵はフェアリー・フォースのデータ引き渡し、ならびにオーダーとの対決を要求している。
国防軍に支援を要請することも可能だが、ツバサが危険な状態であり、これ以上持ちそうにない。
遺憾ながら敵の要求を飲み、オーダーの出撃を要請する。

「なお、これは国防軍による公的な要請ではなく…私個人からの依頼という形を取らせてもらう。…くれぐれも、内密に事を運ぶように…」
ドナールは訝しげに口元をもごもごさせた後、ミックに対して会釈程度だが、初めて頭を下げた。
「…そのように、お願いする…」

(あいつ…あのヘンタイニンジャだけは…)
接近してくる母艦の照灯を目にしながら、アニーシャは決意を固めていた。
(やっつけてやる…! あたしと、ツバサちゃんで!)

161 ◆tb48vtZPvI:2016/07/06(水) 02:33:40 ID:B5gc5UY6
>>160
ブリーフィング中のミックの端末がノーティス音を鳴らす。リードオンリーのテキストによる呼び出し。室内から中座し、通信室へ。そこにはニガムシを1000匹ほど噛み潰して飲み下したような表情のガナルド・ドナールの顔が大写しになっていた。
ドナールの命令…否、依頼は敵に捕縛されたフェアリー・フォース隊員の救出であった。ドナールからすれば苦渋の決断なのは明らかだ。自らの好悪感情と、機体及び隊員の奪取を秤にかけて常識的な判断を下しただけという話ではあったが……。
「了解しました。フェアリーフォース隊員二名は必ずや大事なく救出して見せます」
ミックはもう一人、ミッションに加えるべき人員を伴ってブリーフィングルームに戻った。アニーシャである。彼は追加ミッション発生と概要をオーダー・アプレンティスに告げた。
「第一目的はシルキーとメイヴ、乃至そのパイロット両名の救出。第二目的は敵脅威の排除。…敵はニンジャだ、くれぐれも油断するな」
ミックは語気強く告げ、話を続けた。
「なお今回はアニーシャ=サンおよびケット・シーも作戦実行時の人員に加える。…大丈夫だな?」
アニーシャが頷いた。それを確認してから、ミックは電子パネルボードに眼を落とす。
「アニーシャ=サンが持ち帰ったデータには目を通してある。ハルマッタンのクルーは…恐らく全て殺されていよう」そういう言い方をした。
アニーシャには(またツバサとミレニアには)残酷だが告げねばならぬことだった。そしてミック自身も直視せねばならぬ現実だった。
ハルマッタンのクルーを直接手に掛けたのは帝国軍であり、オニロク・バシタキというニンジャである。しかし彼らの死に対して、結果的に手を貸してしまっていることには違いない。

「ところで、奴との戦闘で気づいたことはあったか?」
自然に教官が教え子へ問いかける口調になる。
ミックはアニーシャを慰めるような言葉はかけなかった。部下や教え子に対してそのような言葉はかけた覚えもないし、これからもないだろう。
代わりに与えるのは問いである。ニンジャは強力ではあるが、無敵ではない。攻略の糸口はどこかにあるはずなのだ。

162エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/07/06(水) 20:36:17 ID:PHGz5WNQ
「ツバサちゃん…」
ドナール准将の通達を見て、私は一気に酔いが醒めた。
ユウセイの宣言した通り、オーダーに出撃要請が出た。
オーダーを指名して来るとは…
そしてもう一つ…フェアリーフォースの機体データ…?
何故だ…?フェアリーフォースは結成後、二度出撃を経験しているが、お世辞にも大した実績があるとは言い難い。
私と同じ、パイロットの未知なる可能性を見たのか…?
それじゃあ、どうしてパイロットのデータでは無く、機体データを…?
あの機体に何か秘密が…?

「ミック少佐…」
通達を見て、ブリーフィングルームから出て行った少佐が戻って来た。
ドナール准将と通信を行ってたのだろう。
私達にミッションを告げてきた。
シルキーとメイヴ…そしてそのパイロットの救出。
ツバサとミレニアお嬢様…
それにしても敵はニンジャか…
ミック少佐と同じ技を使うのか…

「ところで、アニーシャちゃん。
聞きたい事があるの…」
通達についてだ。通達の内容…

「正直に答えて…ツバサちゃんの失態って本当?」
私達はツバサの失態でメイヴとシルキーが捕まってるって通達を受けている。
確かに、ツバサもパイロットとしてはまだまだ未熟だ…
だけど、初陣と比べれば大きく成長している。
それに、フェアリーフォースは3機全て出撃している。
通達の内容でパイロットの名前が出ているのはツバサ個人の名前だけだ。
単にツバサがミスったって思えば自然なのかもしれない。
だけど、ツバサには優しさがある。
通達に関して虚偽があったからって、私はアニーシャに何かをするつもりは無い。
だけど、アニーシャには聞いておきたかった。
私はその質問をする際に、真剣な表情でアニーシャの目を見て話してみせる。

163 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/06(水) 22:36:33 ID:Mg1ilEHk
>>161
「……うん。何となく、そうだと思ってた。あんな大きな艦で生存者が10人なんて、本当だとしたら乗り込まれて、制圧されたんじゃないかって思ったんだ」
アニーシャは固形の携帯食料をかじりながらブリーフィングに臨んでいた。人前でこんな姿を見せるような子ではなかったはずだが、どうやら彼女も腰を据えて作戦にあたる覚悟を決めているらしい。
ミックからの問いかけに、アニーシャは少し思案してから答えた。
「…あいつ、動きや反応はすごく速かったけど、あたしたちの攻撃の全てを捌けるわけじゃなさそうだった。挟み撃ちにされた時とかは、トラップや無人機を盾にして何とか凌いでるって感じだったよ」

>>162
「…それは…」
思わず目を泳がせるアニーシャ。返答がどうあれ、すでにその態度が真相を物語っていた。
きょろきょろと周囲を見渡し、国防軍の人間がいないことを確認すると、小声で打ち明ける。
「…嘘なの。あたしたちは全員で罠に引っ掛かって、正面から戦って負けただけ。
ツバサちゃんがお嬢とあたしを庇って、そういう形を装ってくれてるだけ…」
アニーシャの表情は悔しげだった。彼女の真剣さの理由はここにあると見て間違いないだろう。
「だからあたしはぜったい、ツバサちゃんを助け出して…あのニンジャをやっつける!」
T-スキンの手首に取り付けられた端末にメッセージが届く。それはケット・シーがガンナー装備への換装を終えたという報告だった。
アニーシャは携帯食料の残りを一気に口に放り込むと、噛み砕いて嚥下した。

164ユウセイ ◆JryQG.Os1Y:2016/07/06(水) 23:39:25 ID:dBN4Ziws
「やはりか...」
通達と、ミッションを聞いて指名したことに少し驚いたが、ユウセイの想定内だった
「オーダーを潰すことと、同時にフェアリーシリーズを回収するか…いささか強欲だな舐めているのか?」
自身の所属している処に態々喧嘩をひっかけてきたのだ
あの廃コロニーは帝国の機体が何度か目撃されていた
だが、何故サイラス3の戦闘時に参戦しなかったか…
やはりフェアリーシリーズを無傷で回収したかっただろうか
(まさかとは思うが、少佐はこれを解った上で、出撃させアニーシャを囮にする気じゃ)
そのことは少しだけ留意しておこうとそう考えた
>>163
「つまり、相手は前線に出るタイプじゃないってことか…攻略は楽そうだが、戦艦と数が厄介だな」
帝国様はよほどフェアリーシリーズにご執着のようだ
態々戦艦を制圧そして圧倒的に数で優っている
そして何よりも、セレニアンの怨敵ガバノイドを持ってきた次はニンジャか
よほど、フェアリーシリーズに関心があるようだ或いは…

165 ◆tb48vtZPvI:2016/07/07(木) 00:30:59 ID:nVEds.ZM
>>163>>164
アニーシャの解答にミックはうなずいた。
「そうだ。戦闘ログを見る限り、奴はカラテ…即ち近接白兵戦闘術を重点していない。恐らくさほど自信がないのだろう。
だからと言って奴が弱敵であるということを意味するわけではない。むしろ自分の強みや弱みをわきまえた難敵と言える」
自分に有利な状況を生み出し、そこに敵を待ち構え、あるいは引きずり込む。通称「フーリン・カザーン」のメソッドはニンジャにとっては基礎的なものだ。
「奴のフーリン・カザーンを支えるのが樹脂触手だ」
ニンジャの異能…「ジツ」にはいくつかの系統譜が存在する。
体質。技術。あるいはサイキックめいた異能力…オニロク・ニンジャクランのシバリ・ジツは技能由来のジツ。それをハイ・テックを用いてニンジャ・フレームで再現しているのなら、どこかに技術的限界があるはずだ。
「…ユウセイ=サンの言うように、奴はヨクバリで自信過剰だ。そこにこそ付け入る隙はある」

(それはそうと…)
アニーシャがつい先刻までコンビめいて行動していたミレニアの名を口にしていないことに、ミックは気づいた。既にして彼女に見切りをつけている様子だ。そういった部隊長の今後は決して明るいものではない。
(生き延びてからが大変だぞ、ミレニア=サン…)

166 ◆HU7XfvOYA2:2016/07/07(木) 16:15:49 ID:ivOgydD.
「まぁまぁ、先ずは肩の力を抜いて。落ち着きましょう?」
いつの間に淹れてきたのか、両手に暖かい緑茶が入った湯飲みを手にしてアニーシャの隣に移動すると、にっこりと笑って湯飲みを差し出して。

「ふぅむ……困りましたね。」
今回のミッションは中々面倒である、人質の救出及び敵機の殲滅。言葉にすれば簡単だが、人質に手を出されないようにしつつ奪還、尚且つ殲滅となると手札が厳しい。湯飲みの茶を啜りつつアニーシャの表情を伺うディラン、アニーシャの瞳には決意の灯火が宿るのが見えるが技量が伴うかは不明だ。
敵のニンジャは手ぐすねを引いて待っているだろう、自ら火中の栗を拾うのは吝かではないが、人質に対する危険が大きい。

167エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/07/07(木) 21:29:29 ID:kO.ha3Bw
>>163
「そう…話してくれてありがとう…!」
通達にはやはり虚偽があった。
罠に掛かったのはフェアリー・フォース全員。
しかも、押し付けられたんじゃ無い…
ツバサはお嬢様とアニーシャを庇って…!

「アニーシャちゃんも、ツバサちゃんと同じで未だ未だ強くなる様な気がするよ!
一緒にツバサちゃんを助け出して、ニンジャを倒しに行こうね!」
アニーシャ…アイドルを気取っただけのパイロットだと思ってたけど…
アニーシャの言葉に嘘は無い…!
ツバサを助け出したいと言う気持ちと、
ニンジャを倒しに行くと言う決意が心で感じ取れる。
彼女は真剣だ…
だけどそれ故に気になる事が…
助けに行くと言って、アニーシャの言葉から出て来たのがツバサの名前だけだ。
“お嬢”って言葉が出ていない…
思い過ごしなら良いけど…

168 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/08(金) 02:43:46 ID:PrEKbA8M
>>166
「あ、ありがと…」
ちょうどボソボソしたレーションを詰め込んで、水分が欲しかったところだった。
猫舌を自覚しているアニーシャは、湯飲みの中のお茶をふーふー冷ましながら少しずつ飲んだ。心なしか、自然と気持ちが落ち着いていく気がした。

>>167
「もちろん! あたしもツバサちゃんも、まだまだこんな所で終わらないんだから!」
ツバサには大きな借りがある。そしてアニーシャには目的がある。
何となく角のある態度で接しあっていたエミリーだが、結果的に打ち解けることができたようだった。
(ま、お嬢はいつまで持つかわかんないけどね…)
言わぬが花、と言葉を飲み込むと、アニーシャは作戦の準備についた。

169 ◆tb48vtZPvI:2016/07/08(金) 22:19:48 ID:JLkPci9o
作戦概要は次のようになる。
目的は第一にツバサとミレニアの救出。第二にシルキーとメイヴの確保。第三にオニロク・バシタキの撃破。特に第一目的は実行部隊を犠牲にしても遂行せよ。
正面から本隊、即ちミック、エミリー、アニーシャがバシタキ駆るデイドリームと多数の無人機を相手に取る。
その間、ユウセイとディランの別働隊が同タイプコロニーから推測される別のルートから潜入し、第一・第二目的を遂行する。
「オニロク・バシタキは切り札を持っていると睨むべきだろう。別働隊の付随目的として、それを見つけ出せ。合流はそれからで構わん。質問は?」

170エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/07/11(月) 21:32:45 ID:m63c6uPI
>>169
「相手はニンジャか…」
本隊に選ばれたのは私と少佐と…アニーシャか…
私達に課せられたのはニンジャの撃破…
ニンジャはコズミック・オーダーに喧嘩を売って来ている。
私が直々にぶっ飛ばしてやりたいけど…
その気持ちはアニーシャだって同じの筈。
ニンジャの相手はアニーシャに任せたい…
だけど、少佐と同じ技や戦術を使ってくる以上は油断は出来ない。
アニーシャにニンジャの相手を任せるのは…
いや…!

「無人機…!」
そうだ…アニーシャ曰く、フェアリー・フォースの挟撃を多数の無人機を駆使して凌いでいたらしい。
あれの数を少しでも減らす事が出来れば…!
それだけじゃ無い…!

「少佐…このエミリー・ホワイト、アニーシャと“共闘”させて頂きます。」
相手は対した自信を持っているらしい。
私達に喧嘩を売って来たって事は私達に勝てる確証があるんだろう…
私達の事を調べたのかも知れない。
だとしたら、国防軍が私達を嫌ってる事も…!
だったら逆手に取って私とアニーシャが連携を取る…
フェアリー・フォースとコズミック・オーダーの“共闘”は予測してない筈…!
ちょっと前まで喧嘩寸前だったし、必ず取れると言った根拠はない…
だけど、今の私とアニーシャだったら…!

171 ◆HU7XfvOYA2:2016/07/12(火) 20:32:37 ID:1MQxH/c.
「特に、質問はありませんね。」
ミックの言葉にディランは気負った様子もなく普段と変わらぬ態度で応じて、その場で軽い屈伸を行い身体を解し、隠密任務用にポケットの中を確認して準備を行い。

172ユウセイ ◆JryQG.Os1Y:2016/07/12(火) 21:15:01 ID:/PohfC6Q
「こちらもありません。」
ミックの言葉に冷静さを保ちながら、ミックには溢れる殺気というものが見えただろう
護身用の刀と投げナイフを持ち、指示を待つ

173 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/13(水) 01:35:19 ID:ByYeS50.
>>169
「あたしも無いよ。大丈夫」
ケット・シーが二挺のマシンガンを抜き、臨戦態勢を取る。
「相当悪知恵とカラテに自信のある奴みたいだから、ディランとユウセイも気を付けて」
念のため、バシタキが生身で別動隊の元へ現れる懸念も頭に入れつつ、アニーシャは行動を開始する。
ミックやエミリーら大人に囲まれても彼女が萎縮しないのは、馴れているからである。
母親と離れ離れになって以降、アニーシャは児童擁護施設に入れられ、奨学金を受け取りながら勉学に励みつつも、多数のアルバイトを掛け持ちして収入を得ていた。
それはいつでも施設を離れられるように、そして母の居場所を突き止め、最悪の場合「買い戻せるように」という、彼女なりの考えあってのことだった。
(…今は回想に浸ってる場合じゃないよね。ツバサちゃんを早く見つけ出さないと……)

174 ◆tb48vtZPvI:2016/07/14(木) 23:33:54 ID:mY5D2rEw
「随分とお早いお着きで」
廃コロニー内。デイドリームに乗ったオニロク・バシタキは、戦艦ハルマッタンの甲板上から3機のヒトガタを見下ろした。
即ちミックのシバラク・カスタム。エミリーのスノウローズ。アニーシャのケット・シー。
その背後には無人機。半分がスクラップとして横たわり、半分が稼働可能を示して動いている。
「ドーモ、はじめまして。コズミック・オーダーの皆さん。オニロク・バシタキです」
「ドーモ、はじめまして。シバラク・ニンジャです」
バシタキのアイサツにニンジャネームを名乗って応えるミック。「オヌシに逃げられては困るからな」
「信用しては頂けませんでしたか?」
「あの二人の資産的価値は文字通り桁が違う。常識的に判断を下すならば、確保した時点で逃走を考えるものだ」
ミックが見るに、ツバサは純血のセレニアン。闇ではその身柄は文字通り惑星一個分の価値がある
ミレニアはノルヴァの子女。父親と祖父の愛情の多寡はともかく、人質としての需要は帝国・共和国共に計り知れない。
彼女ら二人の持つプラスアルファに比べれば、アニーシャの価値など将来有望というだけに過ぎない。バシタキがツバサとミレニアを手元に残したのも、いざという時の保険だ。
「私もあなた方オーダーが現れなければそうするつもりでしたよ、二重の意味でね」
「では、飢狼軍のサイラス3攻撃もオヌシが糸を引いたのか?」
「流石にそこまでは出来ません。ただそこに居合わせることが出来たのは幸運でしたよ」
「…その戦艦の搭乗員は、あの少年含めて全員殺したのだな?」
「ええ。あの少年、台本通りやれと言ったのに」
バシタキはそう言って心底残念そうな顔をし、あるVTRを流した。ハルマッタン内部だ。
血みどろの死体がそこかしこに散らばっていた。この時点で大部分が殺されているらしい。
そのうち逃げ回っている士官が見えた。銃を持って追っているのは…司令官だった。
銃火が閃いた。後ろから頭を撃ち抜かれ、士官が倒れこんだ。
「…貴様がやらせたのか?」
「あの司令官ですか? ええそうです。彼ったら部下が殺されようとも平然たるものでしたが、侍童の天使みたいな少年が人質にされたら、それはそれは血相を変えましたよ。
自分であの忠実なる部下たちを率先して殺していったのですからね。私が思うに、恋仲だったのでしょう。まぁ今頃はアノヨでチンチン・カモカモ・パッション重点とでも…」
「もう黙れ」
ミックはバシタキの言葉を打ち切った。
「部下も待ちくたびれていることだし、質疑応答はこのあたりにしておこう」シバラク・カスタムがゆるりとヤワラの構えを取る。
「オヌシをコクピットから引きずり下ろし、痛めつけてのインタビュー。しかるのち貴様は殺す」
「おやおや、あなたは夢見がちで大層な自信家のようですな。そんなニンジャ・フレームもどきでこのデイドリームを倒そうなどとはね!」
ブシュブシュブシュ! ヤリめいて足元から生える樹脂触手をミックは回避!
そこへ群がり来る無人機! まずは連中をどうにかすべきだ!

175エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/07/15(金) 21:53:59 ID:1QfmqCx.
>>174
「あれが…ニンジャの機体…!」
デイドリーム…ニンジャが操る機体…
ニンジャ・フレームって言うのか。
あのパイロット…ミック少佐の機体をニンジャ・フレームもどきと呼んでいた。
確かにミック少佐の機体は元々あったサイクロプスをカスタマイズした物…
対してバシタキって奴が載ってる機体はニンジャ用に造られた機体…!

「無人機…!」
やはり来たか…しかも背後から…!
先ずはそれをどうするか…!

「喰らえ!フォトンバスター!」
私の機体はランスと呼ばれる槍を構え、
槍の先を無人機の群れに向ける。
そして槍の先から放たれるのは広範囲の粒子砲。
アニーシャやミック少佐なら巻き込まれずに回避してくれるだろう…!
ミック少佐は勿論…私はアニーシャを信じる…!
それに、無人機を全滅させられなくても良い…
少しでも数を減らす事が出来れば…!

176 ◆HU7XfvOYA2:2016/07/18(月) 20:30:27 ID:zvlcZahw
「さて、囚われのお姫様達はどちらかな?」
一方その頃、手に入れた情報から正面の部隊とは違うルートからコロニーに潜入し、とある通路の一つにディランが何事もなく現れて。蛇のように物音を立てずにするりと先へ先へと進み、警備の兵士達を1人また1人と背後からヘッドロックで頸動脈を絞めて昏倒させつつ、ツバサとミレニアが捕らえられていると思われる場所に静かに歩みを進めて。

177 ◆JryQG.Os1Y:2016/07/18(月) 22:08:43 ID:sycNmfRc
「少し厄介だが、美人の顔を拝めるならえんやこらってね」
本隊とは別ルートで行きなおかつ、ディランとは別れとある道
「…監視室はどこかなっと…」
適当にドアを開け、見つけた敵は報告する前に昏倒させるか、首にナイフを突き刺す。
「さて、そろそろ当たりを引きたい所だが」
開くと、そこには幾つものモニターとサボっている監視員
【ガバガバじゃねーか】
そう思い、いつもの通りに鞘ありの刀で殴り、昏倒させ拘束する
【さて、いるかな…】
幾つかのモニターと手に入れた情報を参照し、機体のありかと2人の場所を特定する。
そして、またユウセイも姫君が捕らえられている場に足を進める

178 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/18(月) 23:25:58 ID:gllDkSRE
>>174
「…直々に出向いてきてくれるなんて、気前いいじゃない、変態ニンジャさん」
デイドリームの姿を目にしただけでも、抑えがたい怒りと屈辱感が込み上げてくるが、アニーシャは冷静を装い、ミックの手筈通りに動くよう努める。
ツバサとミレニアには、バシタキの一存では容易に手に掛けられないだけの値打ちがある。
残虐極まりない男だが、要求されたデータの引き渡しに応じなかったとしても、見せしめに殺害されるなどということは無いはずだ。
彼が引き連れている無人機の群れは、オーダーと雌雄を決するための軍勢であろう。本来ならばアニーシャに期待されているのはデータを渡し、両雄激突の場からそそくさと逃げ帰ることなのだろうが、そのつもりは毛頭なかった。
「今度は負けない…! ツバサちゃん達の居場所はすぐに吐かせてやる!」

>>175
スノウローズのフォトンバスターが開戦の狼煙となった。
アニーシャは呼吸を合わせて跳躍し、上空に逃れてそれを回避する。
「雑魚メカが、どれだけいたってっ!!」
尻尾のスタビライザーで巧みに姿勢を制御し、ケット・シーが上空から弾丸の雨を降らせつつ、無人機の群れへと飛び込んでいく。

179 ◆tb48vtZPvI:2016/07/22(金) 18:50:31 ID:RcYqH/rk
ビームが迸る! 群れが散開、6機がまとめて機能停止に追い込まれるが、散開することで大部分は直撃を免れた。
そこに降り注ぐのはケット・シーの弾幕! 当たりどころの悪かった5機が機能停止!
「イヤーッ!」デイドリーム跳躍! 落下速度の勢いも借りたマシンテンタクラーを振り下ろす! 狙いは空中のケット・シーだ!
「WASSHOI!!」シバラク・カスタムもまた跳躍! 片手にラプトルの残骸を掴み、サイクロプスを足場にして跳ぶ!
「イヤーッ!」残骸を投げる! マシンテンタクラーが残骸を捉え、打ち据えられたラプトルはそのまま破壊されるが攻撃がケット・シーから紙一重で逸らされた!
「ヌウーッ!」着地するバシタキ。柔軟な新型人工筋肉関節が衝撃を分散吸収するのをミックは見て取る。
敵の着地位置は遠い。シバラク・ニンジャは駆け出すも、無人機の壁がそれを阻む。
「イヤーッ!」ミックはアサルトナイフを抜き放ち、突きつけられた機銃を切断! 返す刃でラプトルの細い胴を切り払い真っ二つ!
更に転がった上半身をラグビーボールめいて群れに蹴りこみ、誘爆で4機撃破!
ブシュブシュブシュ! アンブッシュめいて噴き出す樹脂のタケヤリ! 辛うじて跳びのくも、シバラク・カスタムの爪先が破損! アブナイ!
(このトラップは絶対ではない)被撃しながらもミックは確信を深めていた。
バシタキはこのコロニーに事前に入り込み、トラップを仕掛けていたのだ。相当に大がかりなシコミだったに違いない。
(ならば、そのための設備があるはずだ)
それが奴の切り札だろう。通信傍受可能性によりオフラインにしてあるが、彼らならば気づくだろう。
無人機を蹴散らしながら確実にデイドリームへと近づいてゆく。
その時、レーダーが反応! 出現した機影がフルブーストでチャージアタックを仕掛けてきた! 特機級、モーターオニだ!
「チィーッ!」ミックは後退! 右手から左手へ通り過ぎる機影が大刀を揮う!
これを避けるも、今度は左手からの時間差チャージ! もちろんこれもモーターオニ!
更なる後退は…出来ない! 壁際に追い込まれた! 近づく巨体!
ミックは即座に決断、壁蹴りのトライリープ・ジャンプ回避!
「イヤーッ!」落下速度を借りてのアサルトナイフ斬撃! モーターオニの頭部損傷! しかし行動に支障なし!
モーターオニの肩を蹴って衝撃を殺し、着地するシバラク・カスタム。今のは実際アブナイなところではあった。
「フムゥーン…流石はシバラク・ニンジャの名跡を継ぐ御仁だけありますね」
感心するようにバシタキが言う。
「貴様の手札はこれで終わりか? だとすれば拍子抜けだぞ」
ミックは余裕の無さを隠すように挑発する。ニンジャ・フレームがあれば、という思いはニューロンの奥底に封印していた。
実戦に身を投じている以上、敗北すればどんな言い訳も無意味であることをミックは知っている。
ましてやジン・ミックはコズミック・オーダーの正騎士なのだ。

180エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/07/23(土) 23:38:28 ID:2jLBEdfA
>>179
「チッ…!」
ある程度の無人機は撃退したけど、散開されて大部分が直撃を間逃れてる。
撃墜したのは6機か…
だけど問題は無い…

「上手い…!」
アニーシャが5機の撃墜に成功している。
しかも私の放ったビームを回避して…!
私はアニーシャに通信指示を送っていない。
期待通り…アニーシャはパイロットとして確実に成長している。

「トラップ…!?」
飛び出してきたのは槍…あれは樹脂か…
読んでいたが、反応しきれず機体の肩に当たる。
幸い、大きなダメージは受けていないが…
だけど…

「あれは…!」
現れたのは帝国の特機…
あれは確か、モーターオニ…!
ゴールドモンキー・エンタープライズとか言う企業の機体だ…
あの企業の総帥は帝国の軍団である“ブッダハンド・シンジゲート”の軍団長だった筈だ…
だとしたら、あのニンジャ…バシタキとか言う奴は飢狼軍とは無関係なのか…?
飢狼軍以外の軍団が動いていると言う事か?
考えるのは後だ…今はあのモーターオニを…!
私はランスを構え、モーターオニの動きを伺う。

181 ◆HU7XfvOYA2:2016/08/03(水) 08:29:55 ID:lDJyG8NE
「ふぅ…然し、面倒な仕掛けが多かったなぁ。」
道中、幾多のトラップに防衛用ドロイドが多数配置されており、時には破壊し、時にはすり抜け ルートをひたすら辿って行くディラン。ただ、引っ掛かるのは人間が配置されて居なかった事に不審を覚えつつも漸く人質が捕らえられていると思われる工作艇の前までたどり着き。

182 ◆JryQG.Os1Y:2016/08/03(水) 21:35:43 ID:Pdm7Nqa2
「人とタレット多すぎだろ…」
道中、赤外線式のタレットと重装兵の監視網をくぐり抜けたり、食い破ったりしてひたすらに、進んできた。
…(おそらくこの先に…だが)
想定されるトラップを警戒しつつユウセイも工作艇の前にスタンバイする

183 ◆h9Hr5c.eFE:2016/08/09(火) 00:18:12 ID:BTBtFydY
>>179
「……っ!?」
突如頭上から振り下ろされるマシン・テンタクラー。やはりニンジャ・フレームの機動性は尋常ならぬものがあった。
本来ならばこの一撃でアニーシャは敗北していたかもしれない。しかしそこへミックのシバラク・カスタムが割って入り、壮絶な攻防を展開する。
(すごい……!)
ミックが迎え撃った無人機の中には、前回アニーシャが惨敗を喫したモーター・オニ2体も含まれていた。反応速度に劣る無人機とはいえ、その挟撃をかいくぐるミックの戦いぶりにはアニーシャも舌を巻いた。
だが、乗機のスペックが十分でないのだろう。ミックにこの布陣を単独で相手取る余裕が無いことはアニーシャにも直感的に理解できた。
「ミック! エミリー! デカブツの一体はこっちで引き受けるわ!」
エミリーがランスを構える様を目にし、もう一方の、頭部にナイフ傷を受けたモーター・オニに向けて飛び込んでいくケット・シー。
「行けっ、チャクラム!!」
前宙と共にオニの胸部目掛けてチャクラム・ソーサーを投擲。派手なアクションだが、これは牽制だ。
「本命は…こっちっ!!」
着地の勢いのまま、前方へとスライディングするケット・シー。巨大な敵機の股下をくぐり抜けながら、仰角をつけて構えたツイン・マシンガンを連射し、下方からの股関節の破壊を試みる。

184 ◆tb48vtZPvI:2016/08/11(木) 00:49:29 ID:8qedLsgc
工作艇の一劃に、手錠を後ろ手にかけられた少女たちが放り込まれていた。言うまでもなくツバサとミレニアだ。
ユウセイとディランは解放するために室内へ入り込もうとしたが、すんでのところで足を止めた。生身の視線!
「イヤーッ!」ニンジャ・シャウト! トビゲリを二人は危うげなく回避!
「ドーモ、はじめまして。オニロク・ヨジロです」アンブッシュに失敗しながらも二人に向き直り、鼠色ニンジャ装束のニンジャがアイサツした。
「やはりコズミック・オーダーもモスキート・イントゥ・ベイルファイアの例えめいてここへやってきたか。好都合、好都合。ヒトガタ戦には参戦出来なんだが、俺も一稼ぎ出来るというもの」
ヨジロはガントレットのスリットからクローを音立てて飛び出させ、舌なめずりめいた素振りを見せた。「さあ、楽しませてくれよ…!」

185 ◆tb48vtZPvI:2016/08/11(木) 01:12:14 ID:8qedLsgc
>>180>>183
「プガーッ!」ケットシーへ殺到する無人機の群れ! そこへモーターオニを動向を観察していたスノウローズがインターセプト!
ランスに薙ぎ払われる無人機! 合わせて股関節へマシンガン射撃!
「ピガーッ!」完全破壊には至らない! そこそこ頑丈なのだ! だがモーターオニの歩みが遅滞する!

無防備にも見えるケット・シーへ足を向けていたデイドリームを、シバラク・カスタムが遮る。
「この状況下で、しかもそんな機体で、私に一対一を挑もうと? 意味深なコメディだ」
「何、貴様はカラテ殺す。それだけだ」
「あなたはやはりユーモアがおありのようだ。ブラックユーモアの類ではありますが」
ミックの周囲は無人機が幾重にも取り巻いている。ドヒョー・リングめいて二人は外界と隔離されてはいるが、そこで行われるのはスモトリの神聖かつ公正な決闘ではない。ニンジャの殺し合いだ。
正攻法でデイドリームを突破することは、この機体では恐らく不可能に近いだろう。カラテを仕掛けるにせよ、関節が先に焼け付いてしまう。
今出来るのは時間稼ぎ。
「イヤーッ!」ミックがニンジャ・シャウトと共に疾走、シバラク・カスタムはデイドリームとの間合いを詰める!

186エミリー ◆jclrQ5ykSY:2016/08/13(土) 20:38:34 ID:lWIKst46
>>185
「逃がさない!!」
モーターオニの動きが鈍くなった。
アニーシャの攻撃のおかげだ!
私はそれを見逃さず、ランスで追撃を狙う!

187ユウセイ ◆JryQG.Os1Y:2016/08/22(月) 00:40:39 ID:MVINvfB6
>>184
「伏兵…少しは頭がいいかと思ったが、獲物に対しその舌なめずりただの三流か」
挨拶を完全にスルーし、むしろ挑発する。
最初から術を使ってこない以上ジツよりはカラテに頼っているらしい
だが、その方が寧ろ居合を得意とするユウセイには好都合だ。
相手としてはスゴクシツレイというものに値するのではあろうが、ユウセイにとっては知ったことではない
「ニンジャといえどその程度であれば!」
自分が持っている居合刀から刀を抜き出し念を収束させる
「発式…飛円椿」
相手の方向に、発剣を投擲する
その刃は緑色に輝きながら、高速回転しヨジロに襲い掛かる!!!

188 ◆HU7XfvOYA2:2016/08/25(木) 19:42:27 ID:z9vUzazA
>>184
「悪いが、楽しませる義理は無いんだ。すまない、最初から加減はしない。…ガイア!」

アンブッシュを危なげ無く回避して、腕に装着されたブレスに手を掛け、一言叫ぶ。その瞬間、身体は光に包まれ眩い光が辺りを覆う、光が収まるとディランの身体はガイアに変わり、人と同じサイズのままのガイアは静かに構えて、気合いを発する。

「デュア!」

189 ◆tb48vtZPvI:2016/08/25(木) 19:54:35 ID:71xY5q/o
>>187>>188
「何ッ!?」
驚愕に眼を剥きながらヨジロは左にジャンプ、念動刃を回避する。
「オーダーにニンジャは1人だけじゃなかったのか!?」
ヨジロは声を上ずらせる。ニンジャと生身で戦えるノーマルなどいない、いるとすればそれはニンジャ。それがヨジロの常識だった。
「クソッ、イヤーッ!」ヨジロはシャウトと共にハンディ・スリケンシューターでスリケンをファニング射出した。

190ユウセイ ◆JryQG.Os1Y:2016/08/25(木) 21:53:06 ID:mFBlPlIw
>>188
「なんだ、変身できるじゃん変に危機的じゃなくても」
情報とは違い、通常状態でも変身できるらしい
(だが、サイズが違うな…やはり、ディランと密接に)
ガイアというものにさらに疑問点が増えたユウセイだった。
>>189
「あら、ご存じない?念動力者」
ファニング射出されたスリケンを余裕そうにキャッチするそれも、指と指の間にだ。
そして、
「まぁ、もうお前は死ぬから…知る必要もないがな!」
先ほどはなった抜刀がツバサとエレミアが捉えられている檻の扉を薙ぎながら
再度ヨシロの背後に襲い掛かる

191 ◆HU7XfvOYA2:2016/08/30(火) 16:27:06 ID:OE26.Tx6
>>189
「デュアッ!」
此方目掛けて放たれたスリケンをガイアはガイアブレスから発生させたエネルギーの刃、フォトン・ソードで足元へ払い落とし、そのまま真正面からヨジロに向かって走りだし、ヨジロの背後から斬りかかるユウセイに合わせてフォトン・ソードを振りかざし、ヨジロ目掛けて×字にソードを振るい。

>>190
「今は『覚悟』が出来たんだ、だから…変身に問題は無い。」
ユウセイの言葉に、自らの心をハッキリと決めた事により変身を行う事は出来ると言葉を返して。

192 ◆tb48vtZPvI:2016/09/24(土) 03:23:40 ID:fEXmyKPw
>>190>>191
「グワーッ!!」
前後から斬撃を受けたヨジロは致命ダメージに絶叫! その場で奇妙なステップを踏み、
「…サヨナラ!!」爆発四散!

捉えられない。バシタキは次第に苛立ちと焦りを覚えて始めてきた。
幾度となく攻撃を重ねた。打撃は何度も装甲を掠めた。しかし、有効打が一向に与えられない。
機体性能はこちらが上。フーリン・カザーンも手の内にある。それなのに、何故このサイクロプスの改善機を捉えられない?
「チョコマカと…うるさいですね…む?」
バシタキはヨジロのバイタルサインが消失していることに気づいた。
「まさか? ありえないこと…」
そのありえないことが起こっている。バシタキは、今己が敵している相手がコズミック・オーダーであったことを思い出した。

193 ◆h9Hr5c.eFE:2019/04/01(月) 20:26:33 ID:H2L3TqcI
けたたましい警報と階下の騒音に、ジードは予てより醜い顔をさらに大仰に歪めた。
「おい、何だァ? 何の騒ぎだァ…」
ここはアステロイドベルトの中に隠された、人身売買組織『ソドム』の支部基地の一つ。今日も一時間後に、拘留している質のいいセレニアンを2人、帝国領へとワープ搬送する予定だった。
「か、頭ぁ!」
「このザマはどうした? オーダーの連中にでも尾行されやがったのか!」
「違うんだぁ、『あいつ』がとうとう、ウチにも来やがっただぁ…!」
ジードは納得したのか、豚のような鼻を鳴らしてうなった。
「ヘッ…この前グドンの野郎の所に出たばかりと聞いたが、忙しいこった。人騒がせな小娘だよなァ…」
面倒そうに吐き捨てながらも、その顔には邪悪な、嗜虐的な笑みが浮かんでいる。
「おい、予定より少し早ェが『アレ』を始めるぞ。記録・通信系のチェック! 暗号化万全にしとけ!」

194 ◆h9Hr5c.eFE:2019/04/01(月) 20:27:12 ID:H2L3TqcI
「ぐげぁぁ!?」
安物のサブマシンガンを手にしたサイクロプスが、横一文字に真っ二つにされて爆散した。格納庫は大型機動兵器の運用に十分な広さと強度を有していたが、さすがに内部でのドンパチまでは想定されておらず、辺りには設備とサイクロプス3機の残骸が混ざりあって散乱し、雑然とした様相を呈していた。
「こんのォ、くそガキャあばばばばっ!?」
躍りかかろうとしたサイクロプスの顔面をバルカン・ファランクスの斉射が襲い、単眼のセンサーを粉砕する。
「でぇぇやぁぁぁっ!!」
よろめく機体に大上段から降り下ろされる、刃渡り12mの巨剣。それはけたたましい金属音と共に、重装型サイクロプスを脳天からいとも容易く両断した。
炸裂する爆炎をマントを翻してかわすと、襲撃者は足元に転がってきた頭部の残骸を、ハイヒール型の客部でぞんざいに踏みつけた。
「 ハッ…雑魚が何匹沸いてこようが同じってこと」
迎撃に現れたソドムの構成員を次々に葬った剛剣の主は、得物とは不釣り合いの少女のような可憐なシルエットを持っていた。しかし、黒いマントに覆い隠された装甲には無数の傷跡を思わせる修復跡があり、満身創痍のような痛々しい雰囲気と、くぐりぬけてきた戦歴の熾烈さを感じさせた。
「…この区画でもない…ったく、どこにいんのよ、拉致られた子達は…」
「このジード様に可愛がられに来たかァ! セレニアンの小娘ェ!」
基地内に聞き苦しいダミ声が木霊する。
「!」
大剣を背負った華奢な機体の中で、ブロンドのツインテールを揺らしながら、パイロットの少女がチッと舌打ちする。
「…生憎、汚ならしいブタを可愛がったり可愛がられたりするような趣味はないのよね。屠殺してあげるから、さっさと出てきなさいよ」

195 ◆h9Hr5c.eFE:2019/04/01(月) 20:28:01 ID:H2L3TqcI
「ぐへへへ…」
格納庫の奥の闇から、巨大な影がぬっと姿を現す。黒ずんだ合金の地が剥き出しの重装甲の隙間から、有機的な筋繊維が覗く異様な風体の機動兵器。
暗黒惑星ガバに生息する、冒涜的生態を持つ巨獣を素体とする半生体ロボット『ギガント』だった。
コックピットに鎮座するジードは自らの顔を大映しにした映像通信を送りつけ、見せつけるように舌なめずりをする。
少女の一挙手一投足をトレースしていた機体が、びくっと小さく肩を跳ねさせたのを見ると、ジードはあからさまに上機嫌になった。
「ひひひ…どうだ、俺様のご尊顔を拝んだ気分は? 自慢じゃねえがグドンの奴より余程ひでえツラだろう?」
「…揃いも揃ってグロ画像みたいな顔した連中相手に、見分けなんか付くわけないでしょ? 気色悪いもん見せびらかしてんじゃないわよ」
「それにしても、見ろよ、俺様の『ベヘモット』をよ。恐ろしい姿だよなぁギガントってのは。特にお前らセレニアンにとっては尚更だよなぁ?」
かつて惑星セレニアへの侵略に投入され、星と住人、そして主力兵器たる『マシンディーヴァ』を蹂躙し尽くした悪魔の機動兵器。
その巨体は見るものに戦慄を、殊更セレニアンには生理的嫌悪と絶望すら覚えさせるだろう。
「恐ろしいのはこの巨体よりもむしろ…っと…こいつだろォ?」
ギガントの顔が落花生の殻のように左右に割れ、その中から現れたぬめりを帯びた触手がうじゃうじゃと蠢く。
「スンゴかったらしいよなぁ、グドンの奴がコレで嬲ってやった時にはよォ」
ジードの身体は無数の針とチューブでコクピットの内壁――脳死状態の『蟲』の体組織へと有機的に繋がれており、それはギガントもまた、マシンディーヴァのような神経接続コントロールを採用した兵器であることの証左である。
顔面から溢れだした触手の一本一本までも自在に操ることができるばかりか、ガバノイドの肉体には存在しない部位にも関わらず、特殊なチューンによって感覚のフィードバックさえ万全である。
「……」
少女は殺意も露な表情で、歯ぎしりしながらその言葉を聞いている。
斬り込む隙を伺いながらも、挑発に心乱されているのは明白だった。
「…能書きタレてんじゃないわよ、ブタ野郎。このあたしがあんたらごときクソブタに辱しめられた? 冗談も大概に……」
『え゛ひぃィィィィ〜〜ッ!!』
「…!!?」

196 ◆h9Hr5c.eFE:2019/04/01(月) 20:29:52 ID:H2L3TqcI
モニターに送り付けられてきたのは、コクピット内で破裂した「ホーリークロス」の粘液にまみれ、豊満な肉体をくねらせて悶える、金髪ツインテールの美少女――1ヶ月前に別の基地への襲撃を図った際の、他ならぬ彼女自身の姿を記録した映像だった。
『 ぇぃい゛ィィィィンッ!! あンッ!! あ゛ンッ!! ゃあ゛ンッ!? そん、らぁぁぁ゛ッ!? だめッ、だうぇッ!! やッ、にゅるにゅる、しないれッ…ひ、ぁ、ぁ゛あ゛あぁああぁぁあ゛あぁ〜〜ッッ!!!』
「…〜〜っ!!? な、なっ!? なんで、なんでこんなもん記録してんのッ!!?」
少女の顔が、尖った耳の先までかぁっと赤く染まった。
『オラッ! どうしたァ!? 余裕で耐えてみせてくれんじゃなかったのかよォ!? ガバノイドハンターのマヤ・ランベリーちゃんよォォ!!』
『こんらッ、むッむりッ、無理ィィィィッ!! たえ゛られるわげない゛ィィィィィィィィッ!? やめぇぇ゛…!!』
『アホが! まだ始まったばかりなんだよォ!! 一本ずつ追加してってやるぜェ!! オラ! オラッ!!』
『やらッ!! やぁらッ!! んあひィ゛ィィィッ!? ゆるひッ、ゆるッ、ゆるひひぇェェェェェ〜ッ!!』
「…けっ…消せっ!!消せ!! すぐに消せ!! この腐れブタ野郎ッ!!」
足元のサイクロプスの頭部をサッカーボールの如く蹴り飛ばす。
ゴンッ、と鈍い音を立ててガバニウム鋼に弾かれ、地面に転がったそれを、ベヘモットは生卵のように容易く踏み砕きながら前進した。
「もう遅ェよォ。グドンの野郎がコピーしてあちこちにバラ撒いちまってんだ」
「バラ撒いた!? なっ、何のために…!」
「いわゆるプレゼンテーションって奴よ。お前を『商品』として売り込むためのなァ」
その言葉を受けて、赤らんでいた少女の顔にカッと怒りの相が浮かんだ。
「くぅぅ…ッ!! ブッ殺してやるッ!! お前も、グドンの奴もッ!!」
ガバノイドハンターのマヤ・ランベリー……そう呼ばれた少女は、コクピット内で剣を振りかぶるモーションを取る。
愛機ヴェスタが同様の体勢をトレースするや、身の丈を超える大剣の嶺から、5基のスラスターが一挙に火を吹いた。
「でぇぇぇぇやあああああああーーーーッ!!」

197 ◆h9Hr5c.eFE:2019/04/01(月) 20:30:44 ID:H2L3TqcI
超高速の踏み込みによる真っ正面からの袈裟斬り。しかしそれは、ジードが挑発によって狙い、誘った通りの行動だった。
「甘ェんだよォ!! セレニアンのメスガキ風情がッ!!」
ギガントは上体を傾けるや、巨大な左手で剣の根元、それを支える両腕を掌握し、ガッチリと動きを止める。共に神経接続コントロールによって操られる機体ゆえに、錬度の違いが明暗を分かった。
「っ!?」
そして次の瞬間、フックパンチの軌道で、右腕の巨大質量が容赦なくヴェスタの脇腹に叩き込まれていた。
「ぁはあ゛ぁぁぁぁぁッ!?」
ヴェスタは錐揉み回転しながら吹き飛び、無惨にも基地の内壁に叩き付けられた。安価なカーボナイト装甲の大半はその衝撃でひび割れ、関節部が火花を散らす。
次の瞬間、ベヘモットは背部のスラスターで機体を転換させつつ、巨体に見合わぬ突進力で、更なる追撃のショルダータックルを見舞っていた。
「オォラァァッ!!」
「うあ゛あぁあ゛ンッ!!?」
基地の内壁がけたたましい金属音を上げて陥没し、ヴェスタは猛烈な衝撃に襲われると共に機体の背面を壁へと押し付けられる。砕けた装甲の破片がマントの下からボロボロとこぼれ落ち、大剣が床に転がる。
「ッく、ぅぅッ、あ゛うッ、こ、のっ…」
「ヒャッハハッ、!! オラ、オラ、オラオラオラオラオラァッ!!」
怒濤のごとき拳打のラッシュが開始された。壁に縫い止められたまま、ヴェスタはその全身の装甲を余すところなく砕かれていく。
「うああはぁあ゛ぁあッ!? んあ゛ぁはあ゛ッ!? あ゛ぅあ゛ぅあ゛ぅあ゛はぅあ゛ぅあ゛ぅあ゛ぅンあ゛ぅンッ!? あ゛ンあ゛んあ゛ンあ゛ンあ゛ンあ゛ンあ゛ンッ!! 」
猛り狂う両の拳がマヤを容赦なく攻め立てる。打撃に晒されるがままガクガクと彼女の全身が揺れ、Gカップのバストが無茶苦茶に跳ね回って目まぐるしく変形する。その度にダメージ電流がホーリークロスを駆け巡り、やがてそのフレームが帯電・振動し始める。
パヂヂ、ヂヂヂヂッ!!
「あひィ゛ンッ!? やッ! だッ!! め、ぇ゛ッ…!?」
拳打を受け続けるにつれ、臨界点を超えたダメージがクロスを粘液と化し、びちゃびちゃと八方に飛び散らせ始める。
その衝撃とフレームを走る電流とが筆舌しがたい激感となり、マヤの肉体を鞭打つ。
ドガガガガッ!! びちゃ、ぶちゅっ! パヂヂヂヂヂッ!!
「うあ゛ッあ゛ッ、ひ!! あひぃィ゛ィィィ〜ッ!? ひィ゛ンひィ゛ンひィ゛ィィィンッ!? ひひィィ゛ィィ〜〜ッ!!」
「ひひひひ! そォらトドメだ!!」
ベヘモットの顔面がバクンと開くや、槍のような極太の突起物が飛び出し、ヴェスタの鳩尾へと突き立てられた。
「ひはあ゛ぁぁぁぁぁッ!?」
それは頭部に内蔵された触手状器官が螺旋状に束を為した肉のドリルであった。
ぎゅるぎゅるとそれが回転を始めるや、激しい放電が開始され、ヴェスタに高圧電流が注ぎ込まれる。
「あはぁ゛あああぁ゛ンッ!? あ゛ぁン!! はぁあ゛あぁぁあンッ!! ぁひあ゛ぁ、あ゛、あ゛ッ……!? えひゅぁあ゛ぁぁあああああぁ〜ッ!!?」
ヴェスタは昆虫標本のごとく壁に固定されたまま、手足を狂ったようにバタつかせて悶絶する。
そうして十数秒にも及んだ責め苦が終わり、ドリル触手が引き抜かれると、陥没した壁面から力なくずり落ち、うつ伏せに倒れ伏す。
「ん、ぁん゛ッ…ぁ゛…ふぅ゛うん…ふぁあ゛ぁ…」
帯電したフレームのまたがる尻を突き出したような体勢で震えるマヤ。その顔は真っ赤に上気し、目元からは涙が溢れだしている。体表からは衝撃の余韻で液化したスーツがびゅっ、びゅっと断続的に飛び散る。ヴェスタの外装はすでにボロボロに砕け、か細い内部フレームがあちこちから顔を覗かせていた。

198 ◆h9Hr5c.eFE:2019/04/01(月) 20:31:23 ID:H2L3TqcI
ガバノイドハンターを名乗る少女は、一瞬で標的のはずのガバノイドに返り討ちにされてしまった。何かの間違いのような光景だが、彼女が無謀な戦いを始めて以来これが常なのだ。
「ひゅゥー…まだ失神しちゃいねぇよな? ここからが本番なんだ。お寝んねしてもらっちゃ困るぜェ?」
ヴェスタの頭部をつまみ上げるようにして、機体を顔の前へと運ぶギガント。触手がみちみちと音を立ててうねっている。
「っ…本…番…?」
「『オークション』だよォ」
「!?」
驚愕に眼を見張るマヤをよそに、ベヘモットはヴェスタを掌で軽々と弄び、羽交い締めの体勢を取った。
「おい! バイヤーへの配信始めるぞ! 準備できてんだろうな!?」
「へぇ! 頭! 入札希望者数も5000超えてますぜ!」
「ぐへへ…こりゃあいい競りになるだなぁ」
これから彼らの行おうとしていることを漠然と察し、マヤは一瞬頭が真っ白になった。
彼女自身も純血のセレニアンである。敗北し、捕らわれればどんな末路を辿るかは火を見るより明らかである。常に覚悟は持っていたつもりだが、しかし、よもやこんなにも唐突に『商品』として扱われるなどとは思っても見なかった。
『やめでッ!! やめでェェェェ〜ッ!! おかひぐなるゥッ!! ひゃひィィひひィィ゛ィィィィ!?』
モニターの中の惨劇もまた、一層苛烈な展開を迎えていた。心身へのダメージで朦朧とする視界で、マヤはモニターに映る、涙と涎と粘液にまみれ、恍惚と絶望、相反する狂乱に侵された自らの無様な顔を見た。
「言っとくが俺様の『ベヘモット』はAクラスだ。グドンなんぞのカスギガントとは『素体』からして比べ物にならねぇからなァ…」
ぺたぺたとヴェスタの頬を叩くベヘモットの触手の感触を受け、マヤは自らの顔が絶望に強張っていることに気付いた。そしてそれを否定すべく、歯を食い縛って懸命に怒りの炎を燃やした。
『もぉゆるひでェェェェ!! ゆるひでッ!! ゆるひでッ!! ゆるひでくだひゃッ…ひィィィィィィィィッ!!! ひぎゅううううううゥゥゥゥゥ〜〜ッ!!!』
羞恥心など軽く通り越し、モニターの中の惨めな己に対して焼け焦げるような憎悪がこみ上げる。
忘れてはならない。ガバノイドは親友たちを奪った仇だ。同族を弄ぶ悪魔だ。不倶戴天の敵だ。こんな無様な嬌声など二度と上げるものか。どんな辱しめを受けても絶対に耐え抜いてやる!
マヤはそう心に硬く誓いを立てる。
「やってみろ、ブタ野郎…!! あたしは…あたしはもう…絶対に負けない…ッ!!」
「へへ、いいツラだ。今のうちに気丈にしといてくれた方が、商品価値が吊り上がるってもんよォ…」
「入札開始だあ! クローズドで始めっぞお!!」
ベヘモットの触手がボロボロのマントを首元から引きちぎり、剥ぎ取ると、痛々しくも艷かしい、ヴェスタの曲線的なフォルムが露となる。
「…!!」
「フーンク!!」「フーンク!!」
ガバ達の号令と共に、拘束されたヴェスタを目掛け、ギガントの口吻から無数の触手が伸び……

199 ◆h9Hr5c.eFE:2019/04/01(月) 20:32:18 ID:H2L3TqcI
3分後、アーマーとスカート型のクロス・ユニットをむしり取られたヴェスタは、全身に無数の触手を這わされ、さらに背・腰双方のターミナルへとその先端を突き込まれながら、猛烈な電流を流し込まれていた。
「あう゛ぁ゛ぅあ゛ゅ゛ぅあう゛ひゃふぁあああああ゛ぁぁああ゛〜ッ!! ふゃ゛ああ゛あああ゛ぁ〜ッ!?」
両腕を頭上に触手で縛り上げられた上、ベヘモットの両掌を膝裏に回されて拘束され、放尿を促される子供のような体勢で、ヴェスタは損傷だらけの上体を激しく波打たせていた。
(こッ!? こんらッ!? こんらの、ありえにゃ゛ッ!? ひィィィッ!!?)
「ヒヒッ! どうしたァ!絶対負けねえんだろォ!? そら頑張れ頑張れ!! ヒャハハハッ!!」
「ひあぅぅぐ、ぐんぅくッ、くんんんんッ…!!」
愛機と同じ姿勢で全身を強張らせ、必死で激感に耐えんとするマヤ。その努力の程は、全身からにじみ出ている汗の量を見れば明らかだった。
「くぅンッ、まっ、まけなッ…ま゛けなひッ…こんら、ものぉぉぉ゛〜…ッ…!」
言葉とは裏腹に、今にも白眼を剥きそうな両目からは止めどなく涙が流れ落ち、震える唇からはだらしなく唾液が滴っている。
「こんなモノ…? こんなものだァ?」
「そッ、ッ、そぉよッ…ぁんッ…! こ、こんらのッ、ぜんぜん、大したことなぃんらからぁぁあ゛…ぁ゛ぁンッ…!」
「ほォ?」
「…え、Aランクだか何だかいうくせに、ンッ!! み、み、惨めッたら、なぃわね…ッ! しょせんガバなんて、ンんッ! ぶ、ブタ、以下の…」
「ったく贅沢な小娘だぜ…ならもう1段階上にシフトアップだなァ」
「はぇ…ッ!?」
バチバチバリィッ!!
「んあ゛ぁぁぁあ゛ぁああ゛あぁッ!!?」
ヴェスタを拘束する触手の一本が根本から帯電し、機体内に電流を注ぎ込んだ。
「やあ゛ぁぁあッ!? や゛ッ!? んぃィィィィィィィイ゛ッ!!?」
「なんだ、まァだ足りねェのかァ? 強欲なメスガキだぜ! オラ、オラ、オラッ!」
ジードの声に応じて、触手が更に一本、また一本と激しい放電を開始する。
「違ぁッ!? いぎぅぎッ、イィぎィィィィィィッ!? ひぎィィィィィィいいいッ!!?」
口元を必死に食い縛り、マヤは身をよじって激感に抗おうとする。
(たッ、たえッ、たえるのッ!! はんげき、はンげきッ! はンッ……)
グリッッ!!
「くお゛ォォォ〜〜ンッッ!!?」
しかし、その責めは到底耐え凌げるものではなかった。頓狂な声と共にヴェスタの細い腰が折れんばかりの海老反りになる。
「くォ゛ォうンッ!? くほォ゛ォォォォお…!!?」
「ギャハハハハハ!!」

200 ◆h9Hr5c.eFE:2019/04/01(月) 20:33:27 ID:H2L3TqcI
「おっ!? おいおい、すげェことになってんぞマヤァ…ほれ見ろォ!」
「…!!?」
ヴェスタのモニターに二つのウィンドウが投影される『7,598』。『93,659,850,000』。何かのカウンターと思われる数値。特に後者の異様な桁数の値が、尋常でない勢いで跳ね上がるように更新されていく様を――
「っぁ…あ゛…!?」
そしてその横に並ぶ文字が『通貨記号』であることを、マヤは認識してしまった。
「これだけ出してでもお前が欲しいとさァ! 喜べ! 今お前が見せてんのはメスセレニアンの中でも上の上の媚態ってことだからなァ!」
ゴズン! と電撃触手が思いきりヴェスタの深奥を衝いた。その衝撃と共に、マヤの胸中で何かがポッキリと折れてしまった。
「あ゛ひいィイやぁぁあ゛あぁぁぁッ!!? だああ゛めぇ゛えええ゛ぇぇ〜〜ッ!!!!??」
「あァ!? この額でもまだダメだってぇのか? ええ?」
「ちがぁうッ!! らめえ゛ぇえぇぇ゛ッ!? も゛ッ、もぉ゛らめなのッ!! らえ゛ッ!? やめてえええ゛ぇぇぇッ!!?」
「こォんないいとこで止められっかよォ!! オラ負けんな! 絶対負けんな!! 吊り上げんだよォォ!!」
「まけぢゃっ、負けぢゃう゛からッ!! まけちゃ゛ゅのぉッ!! もぉ、これッ! やめでぇぇええッ! ゃあ゛あぁああああッ!?」
緩急をつけて送り込まれる刺激が、マヤの体の芯に食い込んだ紐状フレームを帯電させ、スーツを沸騰させては破裂させる。
パヂヂヂヂヂヂ!! びゅぐるぶびゅぶぢゅっ!!
「あ゛ーッ!! あィ゛ッ!! あィ゛ッ!! あィ゛ッ!! あィ゛ッ!!あィ゛ィィィィ゛ィィィィ〜ッ!! 」
喉元を仰け反らせたマヤの顔は上気しきり、口腔から舌を突き出した、先刻再生された映像と寸分違わぬものになっていた。
「やめてほしけりゃ負け犬らしく請えよォ!! 惨めな奴隷種族がッ!!」
「そっ、そッ、そんらッ! そんらッ…!?」
挿入されている以外の触手が、高圧電流を帯びたまま鞭のようにヴェスタを打ち据える。バシィッ!
「ひィ゛ンッ!?」
ホーリークロスのフレームにビリィッ! と電流が駆け抜けるたび、コクピットに白濁した液体が飛び散る。
ビシッ! ぶぢゅっ! バシッ、ビシィッ!
「オラッ! オラッ!」
「はひィッ!? きゃひきゃひきゃひきゃひィィィンッ!? きゃィィンッ!? 」
右に、左に、鞭打たれるたびに悪霊に憑かれたかのようにガクガクと踊るヴェスタ。
「請うんだよォ! 許しをォ!! 売り物風情が偉そうにしやがってッ!! あァ!?」
ビシッ! ビシィッ! ズバビシィッ! ぶちゅるる!!
「きゃ゛ィィンッ!? ゃひ、あお゛ッお゛ッ!? …ゆッ……ゆるひッ!? ゆるひでッ、ゆるひッ、ゆるひィ゛ィィィィッ!?」
「お許しください、だろォがッ!!」
バシィィィンッ!! ぶっぢゅるるっ!!
「きゃィィィィイ゛ンッ!?」
顔面に叩きつけられる多量の粘液が被虐者の本能を否応なく燃え上がらせる。マヤは震える唇と呂律の回らない舌で、反射的に服従の言葉を紡いでしまう。
「 お゛ッ、おゆるひくだひゃィ゛ッ!! お゛ゆるひくだひゃィ゛ィィィィッ!! ひィ゛ィィッ!? じーどひゃまぁあ゛ぁぁぁぁぁ〜ッッ!!」
「グヒャヒャーッ!!嫌だねッ! 許すわけねぇだろォ〜ッ!!」
「そッ、そんらあ゛ぁぁぁぁぁああッ!? そんらぁあぁぁああ゛ッ!!?」
無慈悲な宣告の直後、ターミナル内を放電しながらかき回していた触手の束が、突如として螺旋状に絡まりあい、ドリルのように回転し始める。
ギュルルルルルルルゥッ!! ギュイイイイイイインッ!!
「ぇひィ゛ィィィーーーッ!!? あひぇひあひあ゛ひィィィィゅ゛ゥ゛ゥゥゥ〜ッ!!らにこれ゛えぇェッ!? これらめえ゛ェェェェェッ!? えひゃああ゛ぁああぁあ〜ッ!? ひえぇぇあ゛ぁぁああ゛ぁぁあ〜〜ッ!!?」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板