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新・戦場スレ Part1

160 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/06(水) 00:48:33 ID:Mg1ilEHk
>>159
「あうっ!」
バシタキがジツを解いたのか、ケット・シーは粘着樹脂の拘束から解放され、地表に落下した。
そしてアニーシャへと突きつけられる勧告。
「なっ…なにいってるの…!? そんなことできるわけ…!」
地に這いつくばったままでデイドリームを見上げて、アニーシャは困窮極まった声を上げた。
「…っく…ダメです! アニーシャちゃん!」
無様に宙吊りにされた態勢ながら、ツバサは毅然と彼女を叱咤する。
「こんなヒモ、私たち自身で解いて…ッ…んあッ、はひッ…!!」
そんな反抗的な態度を嗜めるかのように、ローパー・ハンドがぎゅうっとシルキーに食い込む。
「あ、アニーシャぁ…!」
ミレニアの声は殆んど涙声に近かった。
「お嬢…!」
実際、彼女は恥辱と苦悶、更には進退極まった状況の只中で、今にも泣き出してしまいそうな顔をしている。
「ダメよ…! オーダーなんかに頼ってはダメ…! こッ、こんな醜態を見られた上に助けられるなんてッ…!!」
「じゃ、じゃあ、どうしたら…!?」
「国防軍に…国防軍に応援を要請するのよ! わ、わたくしの名前を出せば、オービタルから救援部隊が…」
「……」
アニーシャは力なく首を横に振った。もはや自分達は生殺与奪を目の前のニンジャに握られているというのに、そんな真似をすれば只では済まされないだろう。
「うっ…ぅっ…」
死にたくない。ツバサとミレニアも見殺しになんかしたくない。
気が付けばアニーシャは絶望に震え上がりながら、ぽろぽろと大粒の涙を溢していた。
「アニーシャ…アニーシャ…! …っひッ…早くッ…応援を…ッ!」
「アニーシャちゃん…」
ツバサはその姿を沈痛な面持ちで見詰めると、数秒の間目を伏せ――そして大きく息を吸い込んだ。
「……いやぁぁぁぁっ!! 死にたくないよぉぉっ!!」
「!?」
突然の大声に、アニーシャとミレニアが驚愕の表情を浮かべる。
「ミレニアお嬢様には耐えられても、私はこんな仕打ち耐えられないっ!! 助けて、アニーシャちゃん! 今すぐオーダーの皆さんを呼んできてぇっ!!」
「…ツバサ…あ、あなた…」
「…つ…ツバサちゃん…!」
ミレニアもアニーシャも、彼女の意図は十分に理解できた。
ツバサは一人で汚名を被ろうとしている。こうして無様に捕らえられたことも、オーダーにすがりつくことも、全て自らの招いた醜態とすることで、ミレニアの誇りと名誉、アニーシャの悲願達成への道のりを守ろうとしているのだ。
「…く…っ…!」
ミレニアはそれっきり何も言わなかった。
アニーシャは涙を拭うと、デイドリームをキッと睨み付け、それからツバサへと、真摯な顔つきで言葉を残す。
「ぜったい…ぜったい助ける! ツバサちゃんを助けに、ぜったい戻ってくるから!」
ケット・シーはデイドリームに背を向け、脱出口へ向けて走り出した。
アニーシャは悔し涙を何度も拭いながらコロニー外へ出ると、すぐさま母艦へと通信を入れる。

そして、ドナールよりオーダーに下記の旨が伝えられた。

ツバサ・ウィークリッドの失態により、メイヴ・シルキーは拘留。身柄の返還のため、敵はフェアリー・フォースのデータ引き渡し、ならびにオーダーとの対決を要求している。
国防軍に支援を要請することも可能だが、ツバサが危険な状態であり、これ以上持ちそうにない。
遺憾ながら敵の要求を飲み、オーダーの出撃を要請する。

「なお、これは国防軍による公的な要請ではなく…私個人からの依頼という形を取らせてもらう。…くれぐれも、内密に事を運ぶように…」
ドナールは訝しげに口元をもごもごさせた後、ミックに対して会釈程度だが、初めて頭を下げた。
「…そのように、お願いする…」

(あいつ…あのヘンタイニンジャだけは…)
接近してくる母艦の照灯を目にしながら、アニーシャは決意を固めていた。
(やっつけてやる…! あたしと、ツバサちゃんで!)


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