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新・戦場スレ Part1

139 ◆h9Hr5c.eFE:2016/07/02(土) 04:07:49 ID:HbS1t6aE
>>138
「こちらフェアリー・リーダー。聞こえて? オーダー」
騎士団が機体と共に半ば隔離・軟禁されているブロックへと通信が入る。声の主は先の戦闘で醜態を晒したばかりのミレニアだった。
「近隣の廃コロニーより発せられている救難信号をキャッチしました。我々は識別コードよりこの発信源を防衛艦隊旗艦、ハルマッタンと推定。事実確認および救助のために出撃するわ」
ミック達にしてみれば頭の痛くなる話だったろう。地面から顔を出している地雷をむざむざ踏みに行くようなものだ。
ミレニアはただでさえ思慮が浅い所へ加え、焦っているのだ。晴れ舞台となるはずだった初陣で失態を演じ、嫌悪しているオーダーに救われる形となった。このまま本拠地に帰還したとあっては国防軍復権の象徴、フェアリー・フォースとして名折れもいいところである。
「なお、本ミッションに対してオーダーの介入は一切許可しません。ハルマッタンとの通信も全て機密回線にて行います…我々が本艦を誘導するまで、そこで大人しくしていなさい」
つまるところ、彼女は実績という手土産を欲しているのだ。あわよくば基地指令に恩を売り、この活躍を大々的に取り沙汰してもらえる。そんな青写真も描いているのかもしれない。
「あ、あの……」
新たにウィンドウがワイプし、ツバサが会話に加わる。
「万が一に備えて、ちゃんとした装備で臨みますので、皆さんご心配はなさらないでください。
何事もなく救助対象の方々を保護できればいいなって、思ってますけど……」
ミレニアも彼女もT-スキンに着替えていた。すでに出撃の準備が整っているということになる。
ツバサはどうやら嫌な予感を覚えているらしかったが、口にしている言葉は紛れもなく本心なのだろう。善意は美徳であると同時に危うくもあるということか、ミックの評した「戦いに向いていない」という人物表は実際に的を射ていた。
「ね、ねぇお嬢…ほんとに行くの…?」
アニーシャの声だ。明らかに気の進まない様子が伺える。
「ならあなたは、有りもしないリスクに怯えて基地指令をむざむざ見捨てて帰るというの? 救難信号は暗号化パターンまで含めて間違いなくハルマッタンのもの。何を不安がることがあるの?」
「そ、それはそうだけどさぁ…」
「…フェアリー・フォースは共和国の救世主になる部隊よ。怯えや戸惑いは恥と知りなさい、アニーシャ」
ミックが制止の声をかけても、もはや聞き入れる耳は持たないだろう。
無能極まりない指揮官に率いられた少女らは、どのみちそう遠くない未来、オーダーの預かり知らぬ場所でひっそりと全滅の運命を辿るだろう。
ここで見捨てたところで、さしたる影響はないのかもしれない。


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