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新・戦場スレ Part1
144
:
◆h9Hr5c.eFE
:2016/07/03(日) 21:02:24 ID:D8KDvF.6
>>143
「隊長!」
生存者の姿を目にして、真っ先に目を輝かせたのはツバサだった。
「ほら、ご覧なさい。あなたの杞憂だったのよ、アニーシャ」
「……」
得意満面といった顔で髪をかき上げるミレニアに対して、アニーシャは怪訝な表情を崩さなかった。
「年端もいかない子が、あんなに心細そうにして……すぐに助けにいってあげましょう」
「もちろんよ。指定座標まで直ちに移動。いいわね?」
スラスターをホバーモードで点火し、移動速度を上げるメイヴ。続くシルキー。
「ね、ねぇ、待ってよ二人とも!」
それを追いかけながら、アニーシャは彼女には珍しい真剣な様子で呼び掛ける。
「どうしたんですか、アニーシャちゃん?」
「この期に及んで、見苦しくてよ? アニーシャ」
「あ、あの…アニー、戦艦のこととかよくわからないけど、ハルマッタンって、ものすごく大きな艦なんでしょ? たぶんパイロットやブリッジの人達以外にも大勢が乗ってたよね? その中に10人だけ人が残るなんてこと、有り得るのかな…?」
不安げな声を受けて、ツバサもふと考えを巡らせる。このコロニーへの不時着自体は、たとえ生存者が僅かであったとしてもオートナビゲーションで行えないことはない。
しかし、3桁台のクルーに加え、基地の要人、軍関係者を多数乗せて逃走を図ったはずのハルマッタンが、乗員10名の状態にまで追いやられる状況とはいかなるものだろうか?
「……隊長、さっきの通信…脱出艇のひとつとかじゃなく、ハルマッタンそのものから送られてきた映像でしたよね?」
「そうね。それが何か?」
「私もアニーシャちゃんの言葉を聞いて、変じゃないかなって思いました。あの戦いから離脱に成功して、ここに不時着できるぐらいの損傷レベルなのに、10人しか生き残っていないなんてやっぱりおかしいんじゃ…」
「ハルマッタンには脱出艇が多数搭載されていたわ。おそらく司令官閣下がご自身を省みず、優先的に他のクルーを逃がしたのでしょう」
「じゃ、じゃあその司令官さんはどうして自分で通信をよこさないの? どうして大人の人じゃなくて、あんな男の子が応答してるの?」
「それは…きっと閣下が通信に応じられないほどのお怪我を…」
「お嬢、おかしいよ! さっきから言ってることに全然根拠が無いじゃんっ!」
ケット・シーがミレニアへの不信を訴えるかのように急停止する。
慌ててツバサのシルキーも、忌々しげにメイヴも足を止める。
「…あなた、さっきから何様のつもりなの? わたくしがまんまと罠に嵌められているとでも言いたいの?」
そしてメイヴは振り返るや、つかつかとケット・シーの目前まで歩み寄り、威圧するように見下ろす。
「…取り立ててやった恩を忘れたのかしら? 賎民の分際で」
その声音にぞっとするような感覚を覚えて、ツバサはアニーシャのウィンドウに視線を送った。
アニーシャはショックに目を潤ませながら、口をぐっと硬く結んでミレニアを睨み付けている。
「これはフェアリー・フォースの面目躍如のための大切なミッションなの。降りたければ一人で降りなさい。メンバーの座が惜しくないのならね。特異体質だか何だか知らないけれど、あなたの代わりなんて探せばいくらでも出てくるのよ?」
「お、お嬢様、そんな言い方は……」
「名を上げて、母親の居所を突き止めたいのでしょう? せっかくそのための好機を与えてあげているというのに、どうしてそうも反抗的に噛みついてくるのかしら。可愛くないわね」
「……前々から思ってたけど…サイッテーの性格してるよね、お嬢って…」
一触即発といった空気に、ツバサは狼狽えるばかりだった。
事ここに至って内部分裂を起こしかけるフェアリー・フォース。周囲の変化に気を配る余裕のある者は誰もいなかった。
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