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自民党政権綜合スレ
1
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:12:22
前スレに続き、政権の枠組みがはっきりしないので、
スレタイトルはシンプルに。
「政策」「政権課題」「政権人事」などの話題のこのスレで。
【民主党政権綜合スレ】
実質前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1251865116/l50
【自公保観察スレ】
自民党公明党の党内政局はこちら
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1067007932/l50
【政治とカネ】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1245815657/l50
【第46回衆議院議員総選挙(2013年?)】
2012年12月16日投開票の衆院選はこちら
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/2246/1252036284/l50
>>2
以降しばらくは、衆院選の争点関係の話で行きましょう。
2
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:13:28
http://senkyo.mainichi.jp/news/20121201ddm008010040000c.html
2012衆院選:金融政策、異例の争点化 成長戦略行き詰まり
毎日新聞 2012年12月01日 東京朝刊
衆院選の各党の選挙公約(マニフェスト)に、日銀の金融政策に関わる項目が目立ち、30日の日本記者クラブ主催の党首討論会でも金融緩和をテーマに舌戦が交わされた。「金融政策がこれほど大きな争点になるのは初めて」(エコノミスト)の異例の事態だが、有効な経済の成長戦略を見いだせない政治の行き詰まりの裏返しとも言える。【葛西大博】
最初に仕掛けたのは、自民党の安倍晋三総裁。衆院解散が確定した翌日の11月15日、東京都内での講演で「日銀と政策協調をしてインフレ目標を持ち、無制限に緩和する」などと金融政策の手法について踏み込んで発言した。30日の党首討論では「野党の立場だから、例えば、ということで手段にも言及しているが、もし首相になったら手段は申し上げない」と言及。金融政策は日銀が決めるとの考えを示し、ややトーンダウンしたが、同党の政権公約には「物価目標(2%)を設定し、大胆な金融緩和策を断行」「日銀法改正も視野に政府・日銀の連携強化の仕組みを整える」などを盛り込んだ。
日本維新の会は衆院選公約に「日銀法改正により政府と日銀の役割分担・責任の所在を明確化する」と盛り込んだ。29日に都内で会見した橋下徹代表代行は「あまりに日銀に独立性が強すぎる。(政府と日銀との関係は)地方自治体の首長と教育委員会の関係とそっくりだ」と述べ、自身が大阪で進める教育改革を例えに、日銀法改正に取り組む姿勢を示した。
民主党のマニフェストは「10月に初めて作成した共同文書に基づき、デフレ脱却に向けて政府・日銀一体で最大限の努力を行う」と控えめな表現だ。30日の党首討論で野田佳彦首相は「当面の物価上昇率の目標として1%としているが、現実的な数字だ」と間接的に自民党の公約を批判。「日銀の独立性を担保した上で、連携しながらデフレ脱却の取り組みを強化したい」と述べ、「日銀の独立性」の見直しにまで踏み込む自民党や維新の会との違いを強調した。
金融政策が争点に浮上していることについて市場関係者は「国の財政が厳しく、金融政策に頼らざるを得ないのはどの政党も同じ」(銀行幹部)と指摘する。日銀の白川方明総裁は、「(デフレ脱却は)思い切った規制緩和をはじめ、政府による成長力強化の取り組みが重要」(20日の記者会見)と、政治による金融緩和圧力をけん制する。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「成長戦略をなおざりにし、日銀に金融緩和を迫るのは政治の責任転嫁だ」と指摘する。
==============
■ことば
◇日銀法
日銀の役割や業務、組織のあり方などを定めた法律。戦時中の1942年に制定された旧日銀法を97年に改正(施行は98年)した。旧法下で政府が日銀に対して持っていた業務命令権、総裁解任権などの強い権限を全面的に見直し、日銀の政府からの独立性を高めた。ただ、デフレからの脱却が遅れていることから、法改正により日銀に対する政府の権限を再び強め、大胆な金融緩和を進めるべきだとの議論が持ち上がっている。
3
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:14:26
http://senkyo.mainichi.jp/news/20121201k0000e040188000c.html
衆院選:「女性宮家」 皇室典範改正、自民内に強い反発
毎日新聞 2012年12月01日 11時14分(最終更新 12月01日 11時23分)
女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」の創設を巡る論議の行方が、不透明になっている。民主党政権は10月に今後の議論の柱となる論点整理を発表し、来年にも皇室典範の改正法案を国会に提出する構えだったが、自民党内などに強い反発の声がある。衆院選の結果次第では議論が棚上げされる可能性があり、女性皇族も気をもんでいるという。【長谷川豊】
女性宮家問題がクローズアップされるようになったのは昨年10月。羽毛田(はけた)信吾宮内庁長官(当時)が、現在の皇室典範の規定に従うと女性皇族は結婚して次々皇室を離れ、皇族が極端に少なくなり活動に支障が出るとの危惧を野田佳彦首相に伝えたことがきっかけ。政府は今年2〜7月、12人の有識者からのヒアリングを実施した。
10月には、天皇の子と孫に当たる内親王に限定した上で(1)結婚後も皇族の身分を維持する女性宮家の創設を優先して検討する(2)結婚後も国家公務員の身分で皇室活動を支援する−−との2案を併記した論点整理を発表。実現には皇室典範の改正が必要となるため、政府は12月10日まで国民の意見を求め、来年中の国会提出を検討していた。
しかし、自民党内には保守派を中心に「女性・女系天皇容認論につながり、天皇制の根幹を揺るがす」と今回の論点整理の内容に反発する声が強い。中心となる「皇室の伝統を守る会」の会長を務めているのは自民党の安倍晋三総裁だ。
また、日本維新の会の石原慎太郎代表は東京都知事だった06年の記者会見で「(皇位継承は)女であろうと、男であろうと結構だ」と発言したことがある。ただ、今回の論点整理に対する考え方は明らかではない。
内閣官房皇室典範改正準備室によると、国民からメールやファクスで多くの意見が寄せられているが、担当者は「今後のことは全く白紙。我々も選挙の行く末を息を潜めて見守っている状態」という。衆院選で政権の枠組みが変われば、典範改正のスケジュールに影響が出るのは必至だ。
現在、未婚の女性皇族は8人おり、このうち6人は成人。皇室関係者によると、女性皇族の間で結婚などを念頭に「どうなるのでしょうね」と話題になることもあるという。
4
:
名無しさん
:2012/12/01(土) 19:14:32
連立の組み替えや中途参加があるかもしれないので自民以外の党名は省略
5
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:17:10
http://mainichi.jp/area/hokkaido/news/20121201ddlk01010183000c.html
12年末この国を選ぶ・北海道:アイヌ施策「期待持てぬ」 生活改善へ願い切実、議論は文化振興のみ /北海道
毎日新聞 2012年12月01日 地方版
09年衆院選後の政権交代には、苦悩の歴史を背負うアイヌ民族も暮らしの改善を期待した。だがこの3年で何が変わったのか。次の衆院選(4日公示、16日投票)を前に、その現実を見た。
◆ ◆
早坂ユカさん(43)は、札幌市豊平区の借家に子供2人と住んでいる。一戸建ての小さな建物。近くには豊平川が流れる。22歳から洋裁などの仕事をしながら1人で子供を育て、今は知床のホテルでアイヌ民芸品の委託販売をしている。余裕のある暮らしではない。
今春、長男駿(しゅん)さん(22)が奨学金を頼りに札幌大学を卒業した。しかし、正規の勤め口が見つからず、臨時職員として市アイヌ文化交流センター「ピリカコタン」で働いている。月収は13万円。早坂さんは「奨学金は4年間で約360万円。9月に返済を求める通知が来たが、収入が少ないので猶予してもらった。少しずつ返しても重荷。消費増税でさらに負担も増える」と不満を漏らす。
長女由似(ゆに)さん(20)も札幌大の2年。アイヌ子弟を対象にした札幌大の「ウレシパ奨学生」として学費は免除されている。だが生活費にするため、1カ月約5万円の奨学金を借りている。この返済もいつかはやってくる。
四女のさやかさん(18)が来春の大学進学を目指す札幌市東区の川上裕子さん(64)の悩みも学資。さやかさんは今春高校を卒業し、アルバイトで学資をためている。
川上さんは前回衆院選後、首相になった鳩山由紀夫氏に期待した。「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」(アイヌ議連)会長で、アイヌ問題に理解があると信じていた。「でも結局何も変わらなかった。どの政治家も、自分の首をつなぐため政党を渡り歩くばかり」と失望感でいっぱいだ。
◇ ◇
長い差別の中で生活の糧を奪われ、十分な教育も受けられなかったアイヌ。道の06年度の調査で、大学進学率は17・4%。全体の38・5%とは大きな隔たりがある。北海道大の08年の調査では、道内のアイヌの平均年収は197万円で、300万円未満が7割も占めた。期待する施策は、子供の進学や学力向上への支援が51・0%で最も多く、差別のない社会の実現、雇用対策拡充が続いた。
道は76年度からアイヌに学資給付を始めたが、82年度から無利子貸し付けに後退した。現在の上限は、国公立大生で月額5万1000円、私立大生8万2000円。卒業後、年収によって返済は最大5年間猶予されるが、猶予条件も段階的に切り下げられ、11年度の年収400万円以下から13年度に300万円以下となる。
◇ ◇
アイヌを先住民族と認めることを政府に求めた国会決議(08年7月)を基に、国はアイヌ施策の検討を本格化し、09年12月には政府のアイヌ政策推進会議が発足。アイヌ文化の復興・発展を目指す「民族共生の象徴空間」を白老町に設けることを決めたが、最も望まれている進学や就労支援はほとんど進んでいない。道外に住むアイヌも対象にしなければならず、予算もかなり必要になるからだ。
北海道アイヌ協会札幌支部で生活相談員を19年間務めた多原良子事務局次長(61)は「国会決議は期待をもたせたが、議論されるのは文化の振興ばかり」と指摘する。それはそれで大切だが、景気低迷でしわ寄せを受けるのは低所得者が多いアイヌら弱者。生活改善への願いは切実ながら、次の衆院戦に大きな期待ももてずにいる。【千々部一好】
6
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:18:21
http://mainichi.jp/select/news/20121130dde041010011000c.html
12年末・この国を選ぶ:肝炎患う35歳、遠い「正社員」 働く意欲、くむ政治を
毎日新聞 2012年11月30日 東京夕刊
◇「派遣の仕事、今月たった1日」
30日発表された10月の完全失業率は4・2%で、前月に比べ横ばいだった。厳しい雇用環境が続く中、衆院選まであと16日。千葉県柏市の無職男性(35)は「仕事がない限りこの厳しい生活が続くと思うと、暗い気持ちになる」と話す。働く意欲はあるのに、仕事が見つからない。政治に期待するしかないだけに、今回の選挙には関心を持っているという。
最低賃金の時給のパート、特殊免許が必要な仕事……。男性は業務用スーパーで購入した1袋28円の即席めんをすすりながら求人情報を眺め、深いため息をついた。11月初旬に派遣の仕事が1日入ってから、まったく仕事がなくなった。
C型肝炎に感染しているうえ、以前には白血病を患っていた。肉体労働など体力を必要とする仕事は難しい。正社員の安定した仕事を探しハローワークに通うが、仕事を検索するパソコンを使うまで2時間待ち、30台あるパソコンはいつも仕事を探す人で埋まっていた。ようやく仕事を探せるようになっても、理容師や特殊車両の運転など資格が必要な求人ばかりが多かった。
少しでも収入を得るため、今年2月から派遣で働き始めた。日給は7200円で、中国から輸入されたパソコンの部品を梱包(こんぽう)する仕事だった。仕事が入れば必ず働いた。9月末までは月に12回ほど仕事が入っていたが、10月に入ると、ぴたりと仕事の連絡がなくなった。尖閣諸島問題で日中関係が悪化する中、中国からの輸入が止まったのが原因らしい。10月に2日、11月初旬に1日働いただけだ。
生活保護を受給しているが、派遣で働いた賃金のうち5000円は毎回「収入」として認定され、保護費から差し引かれる。保護費が出ると、業務用スーパーで即席めんをまとめ買いし、寝る時は電気のブレーカーを落とすなど節約に努める。
安定した仕事があれば、生活保護に頼らなくても生活する自信はある。だが現状は厳しく、やはり政治に何とかしてほしいと思う。
男性は「政権交代で派遣法改正に期待したが、私たちのためにならない改正だった。どの政党が具体的に雇用を増やす政策を考えているのかよく見比べ、労働者のために働いてくれる政党を支持したい」と語った。【東海林智】
7
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:18:50
http://mainichi.jp/area/news/20121130ddq041010010000c.html
12年末・この国を選ぶ:中小企業、法人税率下がったけれど…赤字企業、恩恵なし 「仕事創出する政治を」
毎日新聞 2012年11月30日 中部朝刊
民主党が09年衆院選で掲げたマニフェストのうち、「中小企業の法人税率引き下げ」は実現された。しかし、売り上げ規模の小さな町工場にとって「減税の恩恵は限定的」との指摘もある。12月の衆院選を目前に、経営者らは景気底上げ政策を切望している。【高橋昌紀】
名古屋市港区の金属旋盤加工業「テクノバランス」は社員4人。できあがったばかりの長さ18ミリの金属ピンを社員が丹念にチェックする。だが、いくつかの工作機械には「休眠設備」と書かれた札がぶら下がっていた。河合玲児(れいじ)社長(47)は「受注はリーマン・ショック前の8割ぐらい」と明かす。
03年10月に独立し日産8000〜9000個。主に自動車や事務機器メーカー向けだが「本当の末端。孫請けの孫請け」と河合社長は話す。どのような製品に使われるか分からない部品もある。突然の発注を受け徹夜になることもあるが、「『できません』では次の仕事を失ってしまう」。
11年10月から1年間の利益は、なんとか100万円を超えそうだ。ただし、08年のリーマン・ショックで被った数百万円の借金がいまだにのしかかる。河合社長は「法人税減税など微々たるもの」と言う。
リーマン・ショック後、全国の倒産件数は月1000件超で高止まりしている。民主党は09年衆院選のマニフェストで、中小企業の法人税率を18%から11%に引き下げ、「小さな会社や工場を支える」とうたった。自民党も10年の参院選で、中小企業の法人税率引き下げを訴えた。
財源不足から15%への引き下げにとどまったものの、減税は今年4月から実施された。法人所得1500万円の企業なら、1年で約26万円の減税になるという。民主党議員としてマニフェスト策定に携わった中山義活氏は「道半ばだが、現場から評価する声をもらっている」と話す。
しかし、政策研究大学院大学の橋本久義特任教授は「法人税は黒字企業にしか課されない。中小企業の大半が赤字の現状では、効果は極めて限定的」とみる。中小企業の経営に詳しい元国税庁職員の高木重利税理士も「現場には何のインパクトもない」と、09年の民主党マニフェストを「看板倒れだった」と指摘する。
河合社長は今年9月、会社設立後初めて新入社員を採用した。一緒に独立してくれた古参社員が60歳を超え、技術伝承の必要を感じたからだ。人件費は増える。しかし「発注元に迷惑はかけられない。その意地がある」。機械オイルで滑りやすくなった床に踏ん張り、河合社長は力を込めて言った。
「町工場にとって、モノ作りこそすべて。たとえどんなに利幅が少なくても、どんなに小さな注文でも、仕事があれば頑張れる。政府は法人税うんぬんでなく、仕事を創出する努力をしてほしい」
8
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:20:17
http://mainichi.jp/select/news/20121128dde041010004000c.html
12年末・この国を選ぶ:東京・江戸川スーパー堤防予定地 廃止?継続?方針は
毎日新聞 2012年11月28日 東京夕刊
◇現場住民「うんざり」
完成まで400年、12兆円かかると批判された国の「スーパー堤防事業」。民主党政権は事業仕分けで「廃止」と判定したが、東日本大震災後に「縮小して継続」と方針転換した。自民党は公共事業に巨額の投資をする国土強靱(きょうじん)化基本法の制定を衆院選の公約に掲げており、選挙の結果次第で再び国の方針が変わる可能性もある。振り回されるのは、いつも現場の住民たちだ。【青島顕】
「スーパー無駄遣いとして廃止にします」。10年10月にあった政府の事業仕分け。仕分け人の民主党衆院議員が高らかに宣言した。この様子をテレビで見た東京・江戸川右岸のスーパー堤防の予定地に住む女性(51)は「バンザイした」。
女性の住む江戸川区北小岩1丁目東部地区(1・4ヘクタール、約90戸)は川とJR総武線、国道に囲まれた住宅地。区は地区全体を盛り土してスーパー堤防を造成し、その上に街を造る事業を進める。担当者は「古い家が多く、(スーパー堤防を)一歩でも進めたい」と説明する。
区は約43億円の費用を国と折半する意向で、11年度に事業決定した。まだ国と協定は結んでおらず、国の予算もついていないが、国土交通省は震災後に各地のスーパー堤防事業を「縮小して継続」とし、江戸川区内の河川を事業対象として残している。
事業が始まれば、地区は最高約7メートルの高さまで盛り土される。住民には移転費用は払われるが、いったん立ち退き、再開発後に戻ってこなければならない。この女性は「80代、90代の高齢者もいる。2度引っ越すのは無理だ」と話す。
地区内の住民11人は昨年11月、区を相手に事業取り消しを求めた裁判を起こした。その1人、高橋喜子さん(83)は「川が氾濫したことはない」と言う。
自民党は6月、10年間で200兆円を公共事業に投資する国土強靱化基本法案を国会に提出。公明党も10年間に100兆円の投資を打ち出した。
投資先は明らかではないが、女性は「仕分け後の民主にがっかり、自公にもうんざり。弱者の立場に立つ政党に入れたいが、どこか分からない」。住民の澤地俊夫さん(66)は「ここより大震災の復興にお金を回して、と言いたい」と話している。
==============
■ことば
◇スーパー堤防
200年に1度の大洪水に耐えられるよう堤防の幅を高さの30倍(200〜400メートル)に広げる事業。87年に始まり、首都圏、近畿圏の6河川の計873キロを整備する計画だったが、会計検査院の調べでは整備済みは9キロ(1・1%)。国土交通省は事業規模を120キロに縮小して進める方針だ。
9
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:24:07
http://mainichi.jp/select/news/20121127k0000m010075000c2.html
12年末この国を選ぶ:最終処分場、打開策なく
毎日新聞 2012年11月26日 22時32分(最終更新 11月26日 23時22分)
東京電力福島第1原発事故で生じた汚泥などの高濃度放射性廃棄物を巡り、最終処分場の候補地に選ばれた栃木県矢板市に、野党の衆院選立候補予定者が相次ぎ訪れている。地元との調整がないまま候補地として提示し、混乱を招いた政府・与党の「失策」を突くためだ。しかし政権交代を目指す野党側も打開策までは示せない。地元の有権者はいらだちを募らせている。
10月17日=社民▽同21日=公明▽同22日=みんな▽11月7日=自民▽同22日=再び社民。衆院解散と前後して、いずれも5〜10人の視察団が同市の農協職員、小野崎俊行さん(63)らのガイドで候補地を巡った。小野崎さんは計画の白紙撤回を求めて地元商工会など約80団体が加入する「市民同盟会」の会長を引き受けている。
横光克彦副環境相(当時)が矢板市役所を訪れ、栃木県内で発生した指定廃棄物(放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル超)の最終処分場候補地として、同市内の国有林野を示したのは9月上旬。周辺に民家が1軒しかなく、生態系への影響が少ないことなどが「適地」の理由だ。遠藤忠市長は「寝耳に水」とその場で拒否した。
候補地がある塩田(しおだ)地区では約75世帯が暮らし、近くを流れる簗目(やなめ)川にはサワガニ、ヤマメ、ドジョウが生息する。地元の小学校は自然学習の場として大切にしてきた。小野崎さんもこの地区で生まれ育った一人だ。そんな自然豊かな地区には今、赤いのぼりに「処分場候補地にノー」などと書かれたスローガンがひしめく。
「住民の生活を無視した決め方は間違っている」「環境省の選定基準はいいかげんだ」。視察には野党幹部も訪れ、テレビカメラを前に批判する。小野崎さんは「衆院選後の白紙撤回を期待しているし、ぜひそうなってほしい」と話す。ただ、今回の衆院選には多くの政党が乱立しており、処分場の行方が政権の枠組みに左右されそうなのが気がかりだ。
一方、「周辺に1軒だけ」の民家には永井士規夫さん(72)が暮らす。妻が相続した土地という。埼玉県川口市の自宅と行ったり来たりの生活だが、余生を過ごすために来春、生活の拠点をこの家に移す予定だった。処分場候補地までの距離は約300メートル。永井さんは「廃棄物を発生させた責任が誰にあるかという問題を置き去りにしたまま、処分場を押しつけようとしている。撤回してほしいが、野党も具体策を示していない」と憤る。
矢板市に続き、茨城県内の最終処分場候補地に選ばれた高萩市でも「市民同盟」が結成された。両市長は今月9日、白紙撤回を求める共同合意書に署名。矢板市では12月2日、1万人の動員を目指して野外集会を開くなど有権者の「反乱」が続く。【岩壁峻】
◇福島、汚染土問題手つかず
福島第1原発を抱え、汚染土などの処分の流れが他県と異なる福島県の事情はより複雑だ。「県内の中間貯蔵施設」で一時保管した後「県外の最終処分場」に運ぶ計画だが、ともに場所は未定。政府は7月、一時保管を「30年以内」と閣議決定したものの、県側が求めた法制化は新政権に持ち越された。地元では「なしくずしに最終処分場となるのでは」との懸念から、中間貯蔵施設の事前調査にも応じていない。
同施設の候補地として国は8月、原発がある双葉郡の大熊・双葉・楢葉3町の計12カ所を提示した。9カ所が集中する大熊町は海沿いの大半が同施設で埋め尽くされる形で、帰宅を望む住民らの反発は強い。国は今も、12カ所を選んだ理由の説明行脚などに追われ、大幅な遅れが確実な情勢だ。
矢板市のように、同じ栃木県内の汚染土さえ受け入れ場所が決まらない一方で、福島県の汚染土の行き場を県外に確保できるのか。新政権が解決できる保証はない。【泉谷由梨子】
10
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:25:12
http://mainichi.jp/area/news/20121125ddp041010008000c.html
12年末・この国を選ぶ:自民「国土強靱化」に注目 ゼネコン、期待と懸念
毎日新聞 2012年11月25日 西部朝刊
自民党が次の衆院選に掲げる「国土強靱(きょうじん)化計画」にゼネコン各社が注目しているようだ。野田佳彦首相が衆院解散を宣言した翌日の15日、各社の株価が一時急上昇。自民党が勝利すれば、業界全体が活気づくとの見方が広がったためとみられる。「自民政権になれば追い風」と待望論がある一方、防災対策などで10年間に200兆円といわれる同計画に「税金の無駄遣いにつながるのでは」と懸念の声も上がっている。【町田徳丈、三木陽介】
15日の鹿島株は前日の218円から6・42%上昇して232円となった。清水建設も前日比7・93%高の245円。日経平均株価は同1・9%上昇したが、ゼネコン各社は6〜8%高だった。その後も多くの社の株価が解散宣言前の水準を超えている。
大和証券の寺岡秀明シニアアナリストは「ゼネコン株がそろって5〜6%上昇するのは珍しい」と指摘。カブドットコム証券の山田勉マーケットアナリストも「国土強靱化計画でゼネコン株は久々の上げ潮局面になると市場が先取りをした」と分析する。業界内にも「政権が代われば公共事業が増えると投資家が考えたのでは」(準大手ゼネコン幹部)との見方がある。
複雑な胸中の業界関係者もいる。大手ゼネコン社員は「『コンクリートから人へ』の民主党から代わるならありがたい」と漏らす一方で、「本当に必要な投資をするのならいいが、選挙の人気取りで掲げるのはいかがなものか」と言う。「土建国家再来」と批判されるのを警戒している様子だ。
別の大手社員は株価上昇を「イメージ先行」と冷静にみる。大手ゼネコンの受注高のうち官公庁発注は2割前後といい「ゼネコンは公共事業で潤っている印象があるが、民間受注の方が多い」と語る。
◇公明も100兆円投資公約
次の衆院選では、公明党も防災、減災に10年間で100兆円を集中投資する公約を発表。公共事業への姿勢も問われる選挙戦になりそうだ。
◇「選挙目当て」
法政大の五十嵐敬喜教授(公共事業論)は「人口が減って使われなくなるインフラも続出する。どこが政権を取っても、今後どのような公共事業が必要か国民的議論が不可欠だ」と指摘する。
また、福岡市の印刷業の男性(64)は「今どき公共事業を前面に打ち出すのは時代錯誤で、選挙目当てのような気がする。消費増税分を回されないか心配だ」と話した。
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■ことば
◇国土強靱化計画
東日本大震災からの復興と災害に強い国づくりを提唱した自民党の政策。基本法案を速やかに成立させ、今後10年間で▽津波堤防や河川堤防の強化▽橋や公共施設、港湾岸壁の耐震化▽台風・豪雨被害防止のダム整備▽老朽化する道路橋の更新−−など多岐にわたるインフラを整備するとしている。予算規模は200兆円とされたが、自民党が発表した衆院選の政権公約では具体的な金額を示さなかった。国が多額の借金を抱える中で公共事業を増やせば、財政がさらに悪化するとの懸念もある。
11
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:25:55
http://mainichi.jp/area/news/20121124ddg041010005000c.html
12年末・この国を選ぶ:北方領土、10年で7首相が交渉 安定政権で進展を 平均年齢78歳超え、元島民「時間がない」
毎日新聞 2012年11月24日 西部夕刊
ソ連軍の侵攻で北方領土・国後(くなしり)島を追われた北海道根室市の96歳の男性が9月、腎不全で静かに息を引き取った。民主政権に領土問題の進展を期待し、最後まで希望を抱いていた一人だ。戦後67年が経過し、元島民の平均年齢は78歳を超えた。残された時間はそう多くない。次の政権は解決に向けどう取り組むのか。元島民は衆院選の論争を見つめている。【本間浩昭】
亡くなったのは、島の東側のオダイバケで生まれ育ち、漁業で生計を立てていた宮谷内(みやうち)克治さん。引き揚げ後は新天地を奥尻島に求めたが暮らしは苦しく、「少しでも故郷の近くで」と1951年、根室に移り住んだ。
長年、支部の理事も務めた根っからの自民党員。だが09年の政権交代で衆院北海道9区選出の民主党、鳩山由紀夫氏(65)が首相に就任し、「半年から1年以内に」北方領土問題の進展を図りたいと意欲を示すと、当時93歳の宮谷内さんの期待は高まった。歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)両島の引き渡しを明記した日ソ共同宣言(1956年)を結んだ鳩山一郎氏の孫の言葉だ。「俺は100まで生きる」。家族にそう話し、行く末を見守る決意をした。
だが鳩山氏は1年ももたずに退陣。メドベージェフ氏がロシア大統領として初めて国後島を訪問し、日露関係は「冷戦後最悪」と言われるまでに悪化した。今年になっても、李明博(イミョンバク)韓国大統領の竹島上陸、尖閣諸島問題にからんだ中国の態度硬化で、「最近の政府は北方領土どころではなくなっている」と元島民らには映る。
過去10年間で日本の首相は7人を数え、民主政権でも3人だ。一方、ロシアのプーチン大統領は首相時代も含め13年在任している。宮谷内さんの死後も、望郷の念を引き継ぐ長男、宮谷内亮一・千島歯舞諸島居住者連盟根室支部長(69)は「これでまともな交渉ができるはずがない」と憤る。そして、政権交代後を「失われた3年」として無念に思いながら、「安定した政権で交渉の積み上げを」と強調した。
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:27:10
http://mainichi.jp/select/news/20121123ddm041010106000c.html
12年末・この国を選ぶ:宙に浮く機密費公開 自公→消極的 民主→政権獲得で二の足?
毎日新聞 2012年11月23日 東京朝刊
◇衆院選、争点になる気配なし
09年の政権交代で期待された内閣官房報償費(官房機密費)の使途公開。自民、公明両党は消極的で、野党時代に公開を主張した民主党も、政権獲得後35億円近くを使ったのに公開に踏み切らなかった。大阪地裁は22日、市民団体が機密費の不開示決定を取り消すよう求めた訴訟の判決で3月に続き一部の決定を取り消したが、機密費公開が総選挙の争点となる気配はない。【青島顕】
官房機密費は「国政への寄与」などを名目に官房長官の判断で支出され、会計検査院に対する使途の証明が免除されている。政府によると、政権交代した09年9月〜今年11月5日に計35億2000万円が支出され、うち約3886万円が未使用で国庫に返納された。
機密費を巡っては自公政権の03年、「公開できるものは公開するか」と問われた福田康夫官房長官(当時)が「基本的にはそういうことでしょう」と答えたが、基準は作られなかった。
民主党は野党時代の01年、支払い記録書の作成を義務付け、機密性に応じて10〜25年後に公表させる機密費改革法案を提出した。政権獲得後の10年には、鳩山由紀夫首相(同)が「適当な年月を経た後、すべて公開するよう準備に取りかかっている」と発言。公開基準作りの検討を口にした藤村修官房長官は9月「うやむやにすることは絶対ない」と述べたが、実現していない。
政治資金に詳しい岩井奉信(ともあき)・日本大教授(政治学)は「25〜30年後などに公開するルールを情報公開法の枠組みの中に作るべきだ。外遊のせんべつや選挙費用といううわさもあったが、ルールができれば公開を意識して使う」と提言する。
NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は「使途の記録があるかさえ分からず、高度の政治判断で使われているとして説明もない。民主党は官邸に入って機密費の見方が変わったのだろうが、知ったからこそ説明できることもあるはず。自公政権は政権に復帰するなら、おざなりにしてきた説明責任を果たしてほしい」と話した。
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◇官房機密費の使途公開をめぐる動き
01年6月 民主党が10〜25年後の原則公表を明記した機密費改革法案を提出
02年4月 共産党が宮沢喜一内閣時代の「機密費の支出の一部書類」を公表
03年9月 福田康夫官房長官が公開に前向きな発言
09年9月 河村建夫官房長官が政権交代直前、機密費2億5000万円を支出。民主党政権誕生後、平野博文官房長官が機密費について「そんなものあるんですか」
10年3月 鳩山由紀夫首相が一定期間経過後の全面公開を表明。平野長官は鳩山首相の公開方針に否定的見解
5月 野中広務元官房長官が小渕恵三内閣時代の機密費の使途の一部を明かす
6月 菅直人首相が一定期間後の使途の公開を検討する意向を示す
12年3月 大阪地裁が支出相手が特定されない文書の一部公開を命じる判決。藤村修官房長官が秋にも公開基準とりまとめの意向示す
9月 藤村長官が公開基準とりまとめを先送り
※役職は当時
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:27:52
http://mainichi.jp/select/news/20121121dde041010003000c.html
12年末・この国を選ぶ:就活生「雇用を」 数十社応募、内定ゼロ 「選挙考える余裕ない」本音も
毎日新聞 2012年11月21日 東京夕刊
衆院選に向け立候補予定者たちが走り出す中、「就職氷河期」に直面する大学生たちは厳しい就職活動を強いられている。就活を1年以上続けている人も多く、50社、60社へのエントリーも珍しくない。各党は競い合うように景気対策を打ち出すなど選挙に向けたPRに努めるが「政治が就職難を解決してくれるのか」とあきらめの声も漏れる。【古関俊樹】
東京都新宿区のイベント会場で20日開かれた企業の合同説明会には、リクルートスーツ姿の就活生約1100人が集まった。
宮城県登米(とめ)市の男子学生(22)は就活2年目。今春、大学を卒業した後は研究生として大学に籍を置き、都内の企業説明会に通う。アルバイトでためた金を取り崩し、往復2万円を超える新幹線代やホテル代を賄っているという。
昨年は地元のIT企業など2社から内定をもらったが、いずれも取り消された。東日本大震災の影響なのかと思ったが、企業側からは「申し訳ない」と電話が1本あっただけ。今年はこれまで約30社に応募したが結果が出ない。「政治には景気を良くしてほしいが、今は選挙のことを考える余裕はありません」
金融や不動産業界への就職を目指す東京都多摩市のアルバイト、斎藤秀平さん(23)は「ハローワークでは1人の求人に100人以上が応募する。政治家にはもっと雇用を増やしてほしいが、各党が就活生のためにどんな政策を取っているのかが分からない」と訴える。大学生だった昨年は約50社に応募したが失敗。1人暮らしで就活を続けるが経済的に苦しく、「電車賃がかさむ都心の説明会に行くのに、二の足を踏む」とこぼした。
60社にエントリーし、まだ内定がもらえない埼玉県所沢市の大学4年の女子学生(22)は、来月の衆院選に投票に行こうと決めている。「たくさんの政党ができて、政治が動いているので関心を持つようになった。公約を見て、景気を良くして就活をスムーズにしてくれるような政党に投票したい」。メーカーへの就職を希望する東京都板橋区の大学4年の男子学生(22)は「投票には行くが、政治家は就職難を解決してくれない。自分で何とかするしかない」と話した。
文部科学省のまとめでは、今年3月に大学を卒業した約56万人のうち、就職も進学もしなかったり、非正規雇用などの不安定な仕事に就いたりした学生は12万8224人(約23%)に上った。
各地で企業説明会を実施している「学情」(大阪市)の瀬戸本浩司ゼネラルマネージャーは「今後も厳しい採用状況は続くとみられ、職業教育など恒久的な支援態勢作りが必要だ。政党は政局ばかりに力を入れるのでなく、若者のために協力して対策を取ってほしい」と話している。
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:28:55
http://mainichi.jp/select/news/20121119dde041010004000c.html
12年末・この国を選ぶ:浮かび消えた「最低でも県外移設」 期待、幻滅、やり場がない
毎日新聞 2012年11月19日 東京夕刊
◇「沖縄の我慢、限界」
「最低でも県外移設に向けて行動を起こす」。前回衆院選直前の09年7月、民主党代表だった鳩山由紀夫氏は米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)についてそう発言し、米軍基地に苦悩する沖縄の人々に大きな期待を抱かせた。同県嘉手納(かでな)町の行政書士、福地義広さん(51)もその一人。その後の国の迷走ぶりに幻滅し、1カ月後に控えた衆院選の選択先を決めかねている。【福永方人】
米軍の戦闘機やヘリが離着陸するたびに、ごう音が青空を切り裂く。「うるさいでしょ? 朝晩も平気で飛ぶからたまらない」
米空軍嘉手納基地のある嘉手納町。福地さんは、基地が見渡せる知人宅の屋上でため息をついた。昨年4月、夜間から早朝までの米軍機飛行差し止めなどを求める嘉手納爆音訴訟団に加わり、副団長を務める。
4年前までは那覇地裁の書記官だった。沖縄支部(沖縄市)にいた94年、同訴訟の1審判決があり、判決文を原告側の弁護士に手渡した。判決は米軍機の騒音による精神的被害を認定し、国に賠償金の支払いを命じたが、飛行差し止め請求は棄却した。「被害を認めながら差し止めないのはおかしい」と疑問を抱いた。
在日米軍基地の74%が集中する沖縄。福地さんは95年の米兵による少女暴行事件に抗議する県民大会に参加するなどしているうちに「基地に囲まれた不条理を強く意識するようになった」。自民政権が続く限り状況は変わらないと感じていた時、鳩山氏の「最低でも県外」発言を聞いた。「度肝を抜かれましたよ。半信半疑だったが、明言するからには戦略があるはずだと思った」
島に期待が広がり、福地さんも民主に1票を託した。沖縄の4選挙区で民主は大勝し、自民は全滅した。
しかし、鳩山氏は早々に県外移設を断念。「ある」と言った腹案もなかった。福地さんは「謝ったって駄目だ。沖縄の県外移設への思いはもう止まらない」と語気を強める。かといって、自民党は「県外」を打ち出すそぶりさえ見せない。
永田町が迷走を繰り返す間、地元の反対を押し切って米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが強行配備され、凶悪な米兵事件もなくならない。
「ウチナーンチュ(沖縄の人)の我慢はもう限界を超えていますよ。政治が動かない限り基地問題は進展しませんが、政治への信頼は完全になくなりました。何を信じて投票すればいいのか」
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:30:11
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121127-00000009-mailo-l02
乱:’12衆院選・争点の現場から/1 TPP 将来への不安、倍増 /青森
毎日新聞 11月27日(火)10時56分配信
◇「売れる作物、海外へ」の声も
水田が広がるつがる市の木造地区。コメ農家の菊地靖さん(52)は衆院選を前に困惑していた。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉参加が争点に急浮上したためだ。「農家は将来に不安を抱えている。TPPで不安は2倍になった」
TPP参加で関税が撤廃されれば、安価な外国産農産物が大量に流入する恐れがあるとして、全国の農家らは反対運動を展開。JAグループ青森は22日、党と候補者が共に反対であることを衆院選の推薦条件とした。菊地さんもこの条件を投票の基準にするつもりだ。
だが、県内では明確に賛成を表明する立候補予定者は少数にとどまる。大半は反対か、参加に慎重な立場だ。党本部と立候補予定者の主張が食い違う場合もあり、投票の判断を難しくしている。
県内の農家を取り巻く環境は、極めて厳しい。高齢化や後継者不足は年々深刻になっている。菊地さんの集落約30戸には、50歳未満の農家はいない。菊地さんも父(78)と2人で水田約5ヘクタールを耕作する。中高生の娘2人は農業以外の道に進むことを希望しているため後継者はいない。
人手不足を補う窮余の策として、3分の2の水田で種もみをじかまきしている。「収量は1割減るが、育苗の手間を省ける。稲刈りなどの時期だけ人を雇う」。肥料を工夫して収量を増やす努力もしているが、まだ効果は上がっていない。
農家の苦境の背景には、主食の多様化など長期的なコメ余り状況を受けた米価の下落がある。菊地さんも08年ごろ、価格の下落に転作の補助金減額が重なり、赤字寸前に追い込まれた。「就農して34年間で一番苦しい時期だった」。周囲ではコメ作りをやめる農家が相次いだ。
東日本大震災の後、米価はやや高値傾向が続いている。消費者の買いだめや卸業者の在庫拡大が原因だ。菊地さんの手元に残る金額も2倍になったが、「高値はいつまでも続かない。あぶく銭だ」。将来への不安解消にはつながっていない。
こうした中でTPPに参加すれば、農家は一気に減り“廃村化”が加速する懸念がある。「国全体の経済は良くなるかもしれないが、地方の集落はどうなるのか。格差への配慮がなければ農家の“一揆”が起きる」
一方、県内でもTPPを望む声がある。県りんご輸出協会の太田一民理事長は、将来の東南アジア諸国のTPP参加もにらみ、既にインドネシアなど各国で市場調査を実施している。
太田理事長は「国産農産物は、価格では外国産に対抗できない」と言い切る。その上で「コメ農家が多すぎるから価格が下がる。高付加価値で売れる作物を作り、海外へ打って出るべきだ」と訴える。
◇ ◇
12月4日公示、同16日投開票の衆院選は、TPPや消費増税など賛否相半ばする重要政策への有権者の判断が注目される。争点の現場で、一票に託す思いを探った。=つづく
11月27日朝刊
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:30:38
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121128-00000070-mailo-l02
乱:’12衆院選・争点の現場から/2 原子力 揺れる住民の思い /青森
毎日新聞 11月28日(水)11時55分配信
◇「推進」「脱原発」不透明に
「このまま工事がなかったら、この先どうなるんだろうと思った」
大間町で140年続く老舗旅館を経営する阿部いく子さん(61)は、大間原発の工事が東京電力福島第1原発事故で中断した影響を振り返った。
客の7割が原発の作業員だったが、事故後1週間で全員が退去。全く客の来ない日が続いた。昨年の売り上げは4割減。工事による宿泊増を見据え、6年前に借金して全館を改築したが、返済もままならないという。
工事は今年10月に再開したが、本格工事は来春からとあって作業員はあまり戻ってきていない。全燃料にプルトニウムを使う世界初の原発に対する怖さも事故後に感じるようになった。政治が不安定な状況の中、大間原発がこのまま稼働できるかも分からない。「原発がなくなるのなら、旅館をやめてもいいんじゃないか」。夫と話し合ったこともある。だが、阿部さんは工事再開に期待をかける。「福島の人のことを考えれば複雑な気持ち。でも、まず生活しないといけないから」
1年半ぶりに工事を再開した大間原発。町内に表立った反対運動はない。衆院選の翌週に投票日を迎える町長選も、計画を推進する金澤満春町長(62)の無投票3選が濃厚だ。
背景には、町財政の多くを大間原発に依存している現状がある。町が1983年度から今年度までに受け取った電源3法交付金は、町の一般会計予算の2・5倍に当たる125億円。小中学校や大間病院の運営、人件費、町道整備など、あらゆるところに充ててきた。
2014年11月(当初予定)に原発が運転を始めれば、町には交付金増額に加え、16年間で420億〜430億円の固定資産税も入る。町はこれを当て込み、函館市と結ぶフェリーの新造に昨年度、16億円を投じた。「工事が始まり安堵(あんど)している」。金澤町長は期待感を隠さない。
だが、反対を明言する町民もいる。元マグロ漁師の近江松夫さん(68)は「あんな危険なものと共存はありえない」と、70年代初めの計画時から反対してきた一人だ。
当時は何十人もの漁師が反対だった。しかし、港の埋め立てや温排水に伴う漁業補償が入ると、次第に賛成に回った。受け取ったのは1人500万〜1000万円だった。「家族が工事関係で働いていたり、補償を受け取ったりで、表立って声に出さねえだけ。町民の半分は反対だ」と言う。
近江さんは、町議会などに住民説明会や住民投票の実施を求めているが、実現の見込みはない。「事故が起きたら、どこにも逃げる場所はねえ。一巻の終わりだ」と憤る。
政府は「30年代原発ゼロ」と「核燃料サイクル継続」という矛盾した政策を立て、大間原発の建設継続を容認した。だが、衆院選で「推進」と「脱原発」が争点になり、再び不透明に。大間原発の行く末とともに、町民の思いも揺れている。=つづく
11月28日朝刊
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:31:00
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121130-00000076-mailo-l02
乱:’12衆院選・争点の現場から/3 震災復興 政治家の本気度見えず /青森
毎日新聞 11月30日(金)11時34分配信
◇「早く元の生活に戻して」
「昭和40年代までは馬が放牧されていたんです」
今月25日の午後。西日が差す八戸市東部の観光名所・種差海岸を環境省中央環境審議会の委員10人が訪れた。来年5月に予定される「三陸復興国立公園」編入にむけた視察で、一行はボランティアで海岸の清掃に取り組む「はちのへ小さな浜の会」の中里栄久寿事務局長(70)らから、天然芝生地の成り立ちや震災の被害状況などの説明を受け、美しい海岸の風景を堪能した。
審議会の竹内和彦部会長は「自然の恵みと共に脅威とも付き合う意味がある。津波の記憶を残しつつ整備できれば」と強調した。
「国立公園化でメディアの露出も増える。私たちにとって最後のチャンスだ」
種差観光協会の柳沢卓美会長(64)は歓迎する。市内随一の観光地も、昭和40年代をピークに客が減り続け、5軒あった旅館が1軒になるなど低迷に苦しむ。津波での芝生地への影響はなかったが、近くの漁港では漁船が流されるなど甚大な被害に見舞われた。柳沢さんは「長期低迷で設備投資ができない悪循環に陥っていた。やっと意欲が出てくる」と期待を寄せる。
八戸市の復興は、他の三陸沿岸地域よりも順調だ。津波で約4割が倒壊した八戸港最大の防波堤「八太郎北防波堤」は修復が進み、自力再建が難しい被災者に自治体が用意する災害公営(復興)住宅の建設も始まった。
しかし、被災した市民からは「復興を実感できない」との声も聞かれる。
「政局ばかりで、決められない政治が続いた」。八戸市湊地区の男性(64)は吐き捨てるように言った。胸の高さまで来た津波の影響で自宅は半壊。家財道具ごと水につかったが、新築はかなわず、義援金などで修復して何とか暮らしているという。経営する魚介類販売店も震災後は売り上げが減少の一途といい「一向に良くならない。政治には期待できない」と切り捨てた。
八戸市では市川地区や湊地区など沿岸部で254棟が全壊し、147棟が大規模半壊の被害に見舞われた。いまだ108世帯269人が市営住宅などでの避難生活を余儀なくされている。浸水区域では再建された真新しい住宅の合間に、無残な基礎だけをさらす家々もある。
「ハコモノだけじゃなく、被災した人たちがいち早く元の生活に戻れるようにして」。JR陸奥湊駅前の市場で働く女性(60)は訴える。「迅速な震災復興」「復興予算の使途見直し」−−。各党が掲げる公約は、被災者の思いとすれ違う。駅前で弁当を販売していた男性(58)はつぶやいた。「震災で関心が集まった去年より売り上げが落ちている。政治家の復興への本気度が見えない」=つづく
11月30日朝刊
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:31:20
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121201-00000016-mailo-l02
乱:’12衆院選・争点の現場から/4止 消費増税 「企業殺すことと同じ」 /青森
毎日新聞 12月1日(土)11時6分配信
◇税率軽減「信用できるのか」
「消費税を上げることは企業を殺すことと同じです」
陸奥湾に面した外ケ浜町平舘で、特産の「焼き干し」などを製造・販売する「外ケ浜物産」専務の福井久子さん(58)は、危機感を訴える。
地元漁師から購入したイワシやアジ、タイなどを天日干しし、炭火で焼く昔ながらの製法にこだわり、品質の高い伝統商品を地道に作っている。タコの薫製やホタテのつくだ煮なども人気商品だ。
普段は新青森駅などで委託販売しているが、イベントなどの機会を見つけては販売に乗り出している。「最近は消費者の財布のひもが固くなっている。特に震災後は、その傾向が強い」と福井さん。スーパー3店舗に出荷する、とれたての魚介類も以前の半分しか注文がない。
「消費税を上げたら消費者は財布のひもを緩めるどころか、財布をバッグから出さなくなる」と嘆く。商品への消費税転嫁をどうするかが最大の課題となるが、「そのまま転嫁したら間違いなく顧客が離れる。しかし、何%か自社負担したら、経営が苦しくなる。零細企業はどうしたらいいのか」と、行き場のない状況だ。
帝国データバンク仙台支店が東北6県の企業1276社(有効回答620社)を対象に行った消費税率引き上げの調査では、税率引き上げ分を「販売価格に転嫁できない」とした企業が43%余りに上った。
青森市本町にある創業1858(安政5)年の「武内製飴所」社長、武内喜兵衛さん(75)は「商売は良いものを適正な価格で売ることが基本。材料の砂糖を国産から輸入品の調整糖に切り替えていくしかないのかなあ」と思案する。選挙ではこれまで支持してきた政党でなく、今回に限り消費増税に反対の党に投票するつもりだ。
福井さん、武内さんともに「景気を浮揚させてから消費増税するべきで、順序が逆。増税で景気は悪化するだけだ」と異口同音に憤る。
◇ ◇
消費者はどうだろうか。青森市内に住む女性(41)は、中学生の子供1人の母親。約10年前に離婚して実家に戻り、事務の仕事で手取り約12万円の月給で生活する。育ち盛りの子供を抱え、食費や教育費を差し引けば毎月ほとんど残らない。
消費増税となれば、「普段から切り詰めているので生活費はこれ以上削りようがない。子供の高校入学などのため、毎月2万円ずつ積み立てている定期預金を半分に削らないとやっていけない」と不安げだ。
自民党は政権公約で、消費増税に伴う低所得者対策として、食料品など生活必需品の税率を下げる軽減税率の検討を盛り込んだ。他党も対策を検討しているが、「新党が乱立しているし、どの党の何を信用していいのか分からない」。=おわり
(この企画は吉田勝、高橋真志、酒造唯、神崎修一が担当しました)
12月1日朝刊
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:32:43
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121129-00000295-mailo-l17
問われるもの:’12衆院選石川の課題/上 北陸新幹線 /石川
毎日新聞 11月29日(木)16時29分配信
◇新駅構想、政権で一変
「県の姿勢が大事なんですよ。国交省もそこを見ている」−−。
今年8月19日に開かれた、自民党県連の役員らと谷本正憲知事ら県幹部との県政懇談会の席で、森喜朗元首相が向かいに座った谷本知事に厳しい口調で訴えた。JR北陸線加賀笠間駅(白山市笠間町)近くに北陸新幹線の認可駅「白山新駅」を誘致する構想の実現に向けて県が力を入れるよう、迫ったのだ。
白山新駅が実現すれば、金沢、小松、加賀温泉に続く県内四つ目の新幹線駅。当初は、主に14年度開業予定の金沢駅を終点とする列車を回送後に収容する「白山総合車両基地」(同市北安田町など)に併設する構想だった。
しかし、構想を取り巻く環境は今年6月に北陸新幹線金沢−敦賀間着工が認可され、敦賀に車両基地を置くことになって大きく変わった。敦賀の基地でも列車を収容するため、白山の基地に入る列車は減り、同時に新駅に停車する列車も減ることになった。採算が取れないとみられ、構想は頓挫した。
森元首相らはあきらめず、代替案として白山車両基地の南西約2キロにある北陸線の加賀笠間駅近くに建設する案を提唱した。白山市選出の自民党県議がその背景を解説する。「自民党が衆院選で勝ち、政権を取れば新駅が認可される可能性は高まる。『政権交代』を見越した話だ」。
一方の民主党。石川1区から出馬予定の民主前職、奥田建氏は国土交通省の副大臣として新幹線問題を担当していたが、代替案は協議されることもなく奥田氏を“素通り”して浮上した形となったという。同党県連代表の一川保夫参院議員は8月、「北陸新幹線の整備促進をしてきた各界関係者の結束を乱す」と不快感を示した。
民主県連の幹部は一川氏の発言を、「国と沿線の各自治体とで駅数を調整した結果、民主党政権が敦賀延伸を認可した。決定後に突然『石川だけ駅数を増やしてほしい』というのでは他県の反発を招く」と解説する。
課題になりそうなのが財政負担だが、白山市は整備費を50〜60億円と見積もった上で、「認可駅になると建設費は国が3分の2を負担。市と県の負担は20億円ほど」という。
しかし、より問題なのは金沢との区間の短さだろう。在来線のJR北陸線金沢−加賀笠間駅間は約14キロで、所要時間は普通列車でも15分。距離の近さでいえば東海道新幹線の東京−品川間は所要時間は約7〜8分だが、品川駅設置には、都内での乗り換えの利便性向上が見込めた。白山新駅の需要や利点について白山市は「企業の新規進出が見込める」などとするが、具体的な試算はまだ定かではない。
「金沢開業の経済効果を県内の各地に行き渡らせる」との願いにうなずく人は多いだろう。だが、公共事業に厳しい視線が注がれる中で新たな負担を抱えることや、設置の必要性について国民や沿線他県の理解を得ながら進められるのか。国政の判断力と調整力が求められる。
◇ ◇
29年ぶりに師走に行われる総選挙。“審判の時”を前に県内で問われる課題を追った。
11月29日朝刊
20
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:33:17
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121130-00000198-mailo-l17
問われるもの:’12衆院選石川の課題/中 地域活性化 /石川
毎日新聞 11月30日(金)15時11分配信
◇自分たちで、できることを
「立入禁止」−−。フランス・ベルサイユ宮殿を模したという王朝風の白い壁の建物で、警告の黄色いテープが風に揺れていた。輪島市朝市通りに建つ「イナチュウ美術館」は、運営主体の輪島塗製造販売大手「稲忠漆芸堂」が先月、金沢地裁から民事再生手続きの廃止決定を受けた影響で、営業を停止したままだ。
「美術館が閉まってから、店の売り上げは2割減った」。蕨(わらび)国子さん(68)がため息混じりに語った。朝市通り沿い、美術館から約60メートルほどの場所でレストラン「わら庄」を開く。能登牛のステーキ丼などが、美術館を訪れる観光客に好評だが、今は通りの人影もまばらで、シャッターを閉じたままの店もある。衆院選の公示が来月に迫るがテレビ画面の向こうで展開される舌戦を遠く感じてもいる。「地方のことを考える人や政党に投票したい。だけど、“どんな政権になっても何も変わらないかもしれない”と思えば関心も薄れる」
地域の活性化は民主党が「政権交代」を訴えた09年衆院選でも大きなテーマだった。マニフェストで掲げた「高速道路無料化」は、各論中の「地域主権」の項目にあった。旅行などで地方まで出かける人が増え、物流のコストも下がる、として経済効果を期待したのだ。一方、今回の衆院選で「政権奪還」を目指す自民党は、今月21日に発表した政権公約の中で「地域の再生」をうたい、高速道路など交通網整備や国内での観光旅行の促進などを掲げる。
交通網整備や、利便性の向上が、地域の経済に好影響を与える−−。北陸新幹線の金沢開業や、来年の能登有料道路無料化への期待は大きい。だが、この機会を生かせるか、別の課題がある。
稲忠の経営破綻のあおりで、キリコ祭りの巨大な灯籠(とうろう)を展示する観光施設「キリコ会館」(輪島市)は一度営業停止となり、元副館長の竹中正治さん(51)は解雇された。だが輪島商工会議所が「観光スポットが消滅する」との危機感から運営を引き継ぎ、営業を再開。竹中さんは再就職先を探す傍ら、会館の運営を手伝い、見学者を案内する。「輪島の観光存続のためなら喜んで手伝う。北陸新幹線が金沢まで開業し、有料道路無料化が始まっても、お客さんを受け入れる場所がなければ誰も来てくれなくなる」
◇ ◇
「昔はいつも夜遅くまで、通りから『カタカタ』と、お客さんが出歩くげたの音が聞こえていた。今はさっぱり」。地盤沈下の著しい加賀温泉街で、最大級の山代温泉(加賀市)。表通りに店舗を開く女性(49)がなげく。
01年には年間105万人の観光客が山代温泉を訪れたが、景気低迷で11年には86万人に激減。苦境の象徴のように9月、100年の歴史を持つ地元の老舗旅館「ホテル百万石」が経営不振で閉鎖した。女性は、「いつまでも『政治が何かをしてくれる』と待っていても仕方ない。自分たちでできることから始める」と話す。温泉街では空き店舗活用や温泉内の周遊キャンペーンなどを続ける。
今回の衆院選で、民主党のマニフェストから「高速道路無料化」の文字は消えた。12月16日の投開票日は、3年前の政権交代の“教訓”はどこにあるのか、見つめる機会でもある。
11月30日朝刊
21
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:33:45
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121201-00000230-mailo-l17
問われるもの:’12衆院選石川の課題/下 志賀原発 /石川
毎日新聞 12月1日(土)16時20分配信
◇「継続」「反対」緊要な一票
「石川に原発ってあるの?」−−。
金沢市の主婦、魚住順子さん(43)は北陸電力志賀原発(志賀町)の廃炉を求めて同市で行われたデモに参加した時、通りがかった若い女性から聞かれたことが忘れられない。「金沢は志賀町から離れているが、深刻な事故が起きたら影響がないとはいえない。今まで関心のなかった人も、よく考えて選挙で意志を示してほしい」と思う。
自らも福島第1原発の事故までは、原発についての関心は薄かったが、事故後は次々に疑問が浮かんだ。「本当に原発がなければ、電力が賄えないのだろうか」「食品は本当に安全なのだろうか」−−。2児の母で、子どもたちへの影響を考える。今年7月、ツイッターを通じ、金沢市内で反原発のデモがあると知って初めて参加した。現在も毎週金曜日、街頭で反原発を訴える取り組みに加わる。特に若い人たちには「棄権しないで、選挙に行ってほしい」と呼びかける。
「二大政党」から「第三極」が話題となり政党の数は増えた。魚住さんは「今まではそんなに真剣に考えて投票していなかった。でも今回は日本が今後『脱原発』の方向に向かうのかを決める大事な選挙」と考えている。
◇ ◇
「経済対策に政策の重点があるのはいつも通りだが、これまで正面から政治家が原発に対する考えを問われたことはなかった」
過去に志賀原発の運転差し止めなどを求めた訴訟で、原告団事務局長を務めた羽咋市の多名賀哲也さん(69)は、近づく総選挙に期待をかける。安定ヨウ素剤の備蓄など、原発事故に備えた防災活動に取り組む市民団体「命のネットワーク」代表でもある。
嘉田由紀子滋賀県知事の日本未来の党結党などで、原発問題が大きな争点になると感じる。多名賀さんは「志賀町や私の住む羽咋市など近隣では、生活や経済を原発に依存しているから、『原発をなくしたい』と思う人は多いのに表立って声を上げにくい。今回の選挙は、そんな人が意志を示すチャンスだ」と話す。
◇ ◇
総選挙が近づき、政治家の口から「脱原発」や「卒原発」という言葉を聞く機会も増えたが、志賀原発が建つ志賀町赤住の区長、坂下孝夫さん(65)はその度に「選挙目当てで聞こえのいい言葉を言っているだけ」と苦り切る。
町民はかつて志賀原発の建設への賛否で二分された。対立から親類でも顔を合わせなくなったり、「一緒にできない」と地域の祭りが中止になった。計画段階からでは約40年が過ぎ、原発のある暮らしが前提になった。「町にこれという産業はない。原発に絡んだ仕事がなくなれば、ここで暮らしていけない」
7月、原子力安全・保安院(当時)専門家会合で、志賀原発1号機敷地直下の「S−1断層」に活断層の疑いが浮上。国の指針からは「廃炉」の可能性すらあり、危機感が募る。坂下さんは「地方の原発が都市部の電力をまかなっている。軽々しく『脱原発』と言わず、エネルギー政策を具体的に考える人たちが政権を担うよう、投票に行く」と力を込めた。
◇ ◇
明日の日本を託す人たちを選ぶ時が迫る。私たちが抱えた課題は重く、すぐに解決するのは難しいかもしれない。それでも歩みを進めるために、それぞれの一票がある。=おわり(この連載は横田美晴、松井豊、丹下友紀子、宮本翔平が担当しました)
12月1日朝刊
22
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:34:29
http://www.at-s.com/news/detail/474544964.html
検証3年 民主政権の約束 (1)高速道路無料化(2012/11/26 14:16)
「復興予算に充てるために5年間凍結している。うやむやにしたわけではなく、取り下げたわけでもない」
11日、藤枝市で開かれた民主党前衆院議員の後援会総会。講師に招かれた前原誠司国家戦略担当相(50)は語気強く高速道路無料化を語った。政権交代後、最初の国土交通相として旗振り役を担っただけに強いこだわりがある。ただ、参加者の反応は鈍かった。
高速道路を原則無料化して、地域経済の活性化を図る―。前回衆院選の民主党マニフェストの目玉政策は、3年間で全国の一部区間で社会実験が行われただけ。東日本大震災後は1200億円の実験予算が復興に回った。
自民、公明両党は2011年8月、公債発行特例法案を成立させる条件として菅直人首相(当時)に「高速道路無料化、高校無償化、戸別所得補償も見直すべきだ」と迫った。利用者減で強い反発があった他の交通機関への影響も含め、社会実験の成果と課題を地方に聞くことより、国会はマニフェストをめぐる政争に明け暮れた。
結局“看板倒れ”になった無料化。身内の民主からも「全くできなかった政策」=林芳久仁県連幹事長(68)=との落胆が広がる。県の幹部は「大風呂敷を広げ過ぎた。震災がなくても、原則無料化に必要とされた1・3兆円程度の財源確保は難しかった」と指摘した。
一方、県内では無料化社会実験で手応えを実感した地域がある。東富士五湖道路の地元小山町では、観光需要の掘り起こしにつながったとの見方があり、「何とか(無料化を)復活させてほしいという要望は根強い」(町商工観光課)という。同じく実験対象だった西富士道路では、通勤客の利便性が向上した半面、一般道接続部での渋滞が問題になった。富士宮市の角入一典都市整備部長(59)は「メリット、デメリット両方あったのが率直な感想」と振り返る。
◇−−−◇−−−◇
※2009年衆院選「民主党マニフェスト」から抜粋
高速道路を原則無料化して、地域経済の活性化を図る
【政策目的】流通コストの引き下げを通じて、生活コストを引き下げる。
産地から消費地へ商品を運びやすいようにして、地域経済を活性化する。
高速道路の出入り口を増設し、今ある社会資本を有効に使って、渋滞などの経済的損失を軽減する。
【具体策】割引率の順次拡大などの社会実験を実施し、その影響を確認しながら、高速道路を無料化していく。
【所要額】1.3兆円程度
◇−−−◇−−−◇
影響、慎重に考えるべき
静岡経済研究所・中嶋寿志専務理事(60) 高速道路無料化という言葉は心地のいい響きだが、さまざまな経済的、社会的な影響をもう少し慎重に考えるべきだった。政策目的の一つに物流コストを下げることがあり、その考え方自体は一概に間違いとは言えない。ただ、これほどのデフレ経済になると効果が実感できず、余計に評価を難しくしている。高速道路網が発達している県内では実現すれば交流人口拡大などの点で一定のインパクトを与えただろうが、出て行く人が増える側面があったことも忘れてはならない。
◇−−−◇−−−◇
3年前の衆院選で民主党を大勝に導き、歴史的な政権交代を果たす原動力となったマニフェスト。国民との約束はどこまで実現されたのか。県内の現場を取材し、検証した。
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:34:47
http://www.at-s.com/news/detail/474545203.html
検証3年 民主政権の約束 (2)高校授業料無償化(2012/11/27 14:13)
「実現」で中退者減少
高校授業料無償化は「実現」―。民主党は23日に発行した機関紙で、ひときわ目立つ扱いで取り上げた。前回選で打ち出した数多くの政策の中で、「実現」は農家の戸別所得補償と2項目だけだ。
経済的な理由で高校を中退した生徒は無償化前の2008年度に全国で2208人だったが、10年度は1043人に半減。県内公立校でも08年度40人、09年度42人だった経済的理由の中退者数が10年度14人、11年度17人に大幅に減った。県教委学校教育課は「授業料無償化の影響が大きい」とみる。
「数は少ない」と条件付きながら、「民主党が実現した施策」と高く評価するのは、高校教員らでつくる県高校障害児学校教職員組合の深田祐文書記長(50)。県公立高校PTA連絡協議会の鈴木敏彦会長(55)も「どこの家計も苦しく、子育て世帯はありがたい」と話す。
ただ、教育現場では評価が割れる。無償化に費やされる予算は全国で毎年度約4000億円。巨額の財源が充てられる一方で、現場には「教育の質の向上につながっていない」との受け止めがある。
公立の授業料と同額の就学支援金が支給された私学関係者も効果に懐疑的。公立への志願者流出などの影響は少ないが、県私学協会の松村龍夫常務理事(65)は巨額予算について「教育面でも他に使うべきところがあるのではないか」と手厳しい。
「授業料の無償化は教育施策というより理念」と指摘するのは公立高校長でつくる県高校長協会の水元敏夫会長=県立静岡高校長=(58)。無償化に一定の効果は認めながらも「費用対効果で一概に評価できない。総合的に高校教育が充実したのかという視点が重要」と述べ、予算全体に占める教育費の割合にも注目すべきとの見方を示している。
◇−−−◇−−−◇
※2009年衆院選「民主党マニフェスト」から抜粋
公立高校を実質無償化し、私立高校生の学費負担を軽減する
【政策目的】家庭の状況に関わらず、全ての意志ある高校生・大学生が安心して勉学に打ち込める社会をつくる。
【具体策】公立高校生のいる世帯に対し、授業料相当額を助成し、実質的に授業料を無料とする。
私立高校生のいる世帯に対し、年額12万円(低所得世帯は24万円)の助成を行う。
大学などの学生に、希望者全員が受けられる奨学金制度を創設する。
【所要額】9000億円程度
◇−−−◇−−−◇
教育機会保障は画期的
日大文理学部教育社会学・広田照幸教授(53) 高校授業料無償化は学習者の権利を保障するという観点で画期的で、評価されて良い。多額の予算が必要な政策にしっかりと取り組んだ。高卒は就職する場合に最低限必要な「資格」で、行政が無償化を通じて高校の教育機会を保障すべきだ。世界的にも公立の高校教育は無料が主流になっている。所得制限は権利保障の理念とは別の話。事務的費用を考慮しても所得制限すべきではない。
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:35:07
http://www.at-s.com/news/detail/474545577.html
検証3年 民主政権の約束 (3)子ども手当(2012/11/28 14:49)
理念が先行 看板倒れ
民主党が看板政策に掲げ、政権交代の原動力となった子ども手当。鳩山由紀夫元首相は「子育ては社会全体が助け合い、負担する」と訴え、子どもを生み育てることに不安を抱いていた多くの世帯が期待を寄せた政策だ。
2009年衆院選のマニフェスト(政権公約)で、初年度は月額1万3千円、2年目から2万6千円を支給すると約束した。保護者の所得制限を設けず、財源は「国の総予算の全面組み替えで捻出できる」と説明した。
初年度の支給は1万3千円で10年度から始まった。財源捻出がままならない状況の中で2年目を迎え、東日本大震災が発生。11年度途中から3歳未満と第3子以降の3歳〜小学生に限って1万5千円に増額した。
1歳の長女を育てる静岡市駿河区の主婦(29)は、買い物中の商店街で「子育てには1万5千円でも本当に助かる。手当とともに幅広い支援策を続けてほしい」と歓迎した。支給対象は中学生まで拡大し、子育て世帯に政策を評価する声はある。だが、財源捻出と制度維持に窮した民主は自民、公明両党との「3党合意」で、12年度から自公政権時代の児童手当を再導入した。所得制限が復活し、「誰しもあまねく」の理念は曖昧になった。野党に譲歩を重ねた末に“降伏”した形で、金看板は瓦解(がかい)した。
民主党県連の小長井由雄政調会長(59)は「満額」支給未達成を「野党時代の情報が少ない中で公約をつくり、正確な算出が困難だったのでは」と弁明する。これに対し、自民党県連の宮沢正美政調会長(63)は「選挙目当てで裏付けも無く、有権者を買収したようなもの。破たんは目に見えていた」と手厳しい。
子育て支援策は大型選挙のたび、各党の目玉施策になる。子ども手当は支給額や支給対象が目まぐるしく変わり、地方自治体も対応に追われた。
6月現在で6万5千の支給対象世帯を持つ浜松市は計3回電算システムを改修した。子育て支援課の堀内治之課長(53)は「子育て支援には安定した制度設計が不可欠」とくぎを刺し、「どの政権になっても、これ以上の混乱はやめてほしい」と本音を漏らした。
◇−−−◇−−−◇
※2009年衆院選「民主党マニフェスト」から抜粋
年額31万2000円の「子ども手当」を創設する
【政策目的】次代の社会を担う子ども1人ひとりの育ちを社会全体で応援する。
子育ての経済的負担を軽減し、安心して出産し、子どもが育てられる社会をつくる。
【具体策】中学卒業までの子ども1人当たり年31万2000円(月額2万6000円)の「子ども手当」を創設する(2010年度は半額)。
相対的に高所得者に有利な所得控除から、中・低所得者に有利な手当などへ切り替える。
【所要額】5.3兆円程度
◇−−−◇−−−◇
長期・安定的制度確立を
浜松学院大・佐藤克昭教授(68) 「社会が育てる」との理念の下に創設したことは評価したいが、財源の検証が不十分だった。手当を生活費に使ったり、将来教育費に充てるために貯蓄に回したりする世帯も多い。「ばらまき」とも言われかねない現金給付以外の支給方法もあったのではないか。長期・安定的な制度の確立が不可欠なのに支給額や支給要件の変更を重ね、地方自治体にも混乱を招いた。手当だけで子育て世帯の生活は守れず、保育所入所を待つ待機児童や幼保一体化の問題と一体的にとらえたビジョンの中で、制度の今後を考えていく必要がある。
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:35:24
http://www.at-s.com/news/detail/474545868.html
検証3年 民主政権の約束 (4)一括交付金(2012/11/29 14:30)
裁量拡大も減額続く
県庁で11月上旬開かれた県交通基盤部道路局調整会議は、新技術導入や用地交渉の遅れで予算残となった1500万円の取り扱いを協議した。
「予算の有効活用を図り早期効果が出る事業を提案してほしい」「県道を長寿命化する舗装工事に回したい」
これまで、国の補助金を他事業に流用するには、国との事前調整や変更申請など手続きに30日以上かかった。だが、この日話し合った1500万円は、一括交付金(地域自主戦略交付金)を充てた県道整備。手続きは簡略化され、事実上、事後報告だけでいい。県道路整備課は「自治体が優先順位を付けて事業を進められ、柔軟対応が図れる」と受け止める。
地域主権改革を「1丁目1番地」に位置付けた民主党。省庁ごとに配分する補助金を再編統合し、地方が自由に使える財源を生むのが狙いだ。2011年度から一括交付金が始まり、12年度には配分対象を都道府県から政令市に広げ、対象事業も増えた。
12年度に県が交付を受けた一括交付金は132億円(国費ベース)に上る。11年度比で14億円増えた。国庫支出金のうち一括交付金の割合は10%を超え、「自由度が広がった」(財政担当者)。静岡、浜松両市も「優先的に実施したい事業に重点配分できた。地域の自主性を高める取り組みが一歩前進した」と評価する。
ただ、懸念は消えない。県や市町の財政担当者の間では、自民党の小泉政権当時に行われた「三位一体改革」で、国のひも付き補助金や税源配分の見直しが不十分なまま、地方が自由に使える地方交付税が大幅に削減された、と語り草になっている。
案の定、一括交付金の主要事業である社会資本整備費は減少を続け、11年度はピーク時の半分以下に。井ノ口秀彦県交通基盤部政策監は「一括交付金化されても、(維持管理費など)必要総額が確保できなければ工夫する余地はなく、一括化の意味はない」と断じる。
◇−−−◇−−−◇
※2009年衆院選「民主党マニフェスト」から抜粋
【政策目的】明治維新以来続いた中央集権体制を抜本的に改め、「地域主権国家」へと転換する。
中央政府は国レベルの仕事に専念し、国と地方自治体の関係を、上下・主従の関係から対等・協力の関係へ改める。地方政府が地域の実情にあった行政サービスを提供できるようにする。
【具体策】国から地方への「ひもつき補助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える「一括交付金」として交付する。義務教育・社会保障の必要額は確保する。
「一括交付金」化により、効率的に財源を活用できるようになるとともに補助金申請が不要になるため、補助金に関わる経費と人件費を削減する。
◇−−−◇−−−◇
地域主権への制度設計示せ
静岡大人文社会科学部・日詰一幸教授(57) 用途が制限されるひも付き補助金を一括交付金に変えたことで、自治体は裁量幅が広がり、自らの政策に生かす方向に動いた。中央集権型から地域主権型に国の形を変える方向にかじを切った取り組みと言える。ただ、民主政権発足時に比べて次第にトーンダウンした点は否めない。一括交付金は額や対象事業も十分ではなく、効果を検証しづらい状況にある。国の財源も厳しい中、どこまで拡大できるかが鍵だろう。自治体は一括交付金を使いこなせる政策形成力が問われる。衆院選では地域主権を進める制度設計を示すことが各党に求められる。
26
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:35:43
http://www.at-s.com/news/detail/474546193.html
検証3年 民主政権の約束 (5)完 戸別所得補償制度(2012/11/30 14:19)
農家の経営上向かず
県農業経営士協会耕種部会の太田重一部会長(58)=磐田市=は、3年前から戸別所得補償制度の補償対象となる飼料米の生産を始めた。「農家の恒常的なコスト割れを補填(ほてん)し、食料自給率を向上させる」。太田さんは制度の理念をこう評価する。
戸別所得補償は民主党が2009年総選挙で目玉政策の一つとして掲げた。米の生産調整(減反)や水田の転作などに応じることを条件に、交付金が直接支払われる。
主食用米の所得補償は作付面積10アール当たり1万5千円。ただ、デフレ経済進行や消費減による米価低迷の一方、肥料代や燃料費の高止まりが収益を圧迫する。「コメ農家は大金をもらったと言われるが、経費を差し引けば制度加入前と所得はほぼ変わらない」と太田さんは打ち明ける。
農林水産省によると、12年度の申請件数は約115万件で、5ヘクタール以上の農家では98%が制度に加入。県内は6444件と前年度比微増で推移し、3年間で制度が農家に浸透したとみられる。
専業、兼業を問わず補助金が一律交付される補償制度は「選挙の票を目的にしたばらまきだ」との批判もある。県稲作研究会の寺田隆雄会長(60)=袋井市=は「農地の規模集約や大型化を妨げる」と弊害を指摘する。
所得補償に充てた予算は12年度で6900億円。今後、交付総額が増えれば、国の財源を圧迫する。一方、食料自給率は11年度も40%を割り込み、改善の兆しは見えない。「不況で税収減となれば、制度打ち切りもある」(寺田さん)。
目まぐるしく変化してきた戦後の農業政策は、「猫の目」ともやゆされる。JA静岡中央会は「政権交代のたびに農政が変わるようでは現場が困る」とくぎを刺す。
◇−−−◇−−−◇
※2009年衆院選「民主党マニフェスト」から抜粋
戸別所得補償制度で農山漁村を再生する
【政策目的】農山漁村を6次産業化し、活性化する。主要穀物などでは完全自給を目指す。小規模経営の農家を含めて農業の継続を可能とし、農村環境を維持する。
【具体策】農畜産物の販売価格と生産費の差額を基本とする「戸別所得補償制度」を販売農家に実施する。規模、品質、環境保全、主食用米からの転作などに応じた加算を行う。畜産・酪農業、漁業に対しても、農業の仕組みを基本として、所得補償制度を導入する。
【所要額】1.4兆円程度
◇−−−◇−−−◇
明確な保護基準示せ
静岡産業大情報学部・堀川知広教授(61) 戸別所得補償は、今後の農業政策の方向性として間違っていない。米国、欧州でも農家への直接支払いによる農政に重点が置かれている。貿易自由化で安価な海外農産物が流入すれば、農業者を支える必要がある。農業者は、自然環境や景観を守る役割も果たしている。補償対象を野菜や茶、果樹まで拡充しても良い。一方で、国は重点的に保護する農家の経営像を明確に示すべき。消費者にも理解され、持続可能な所得補償の在り方が求められる。
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:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:39:39
http://www.chugoku-np.co.jp/senkyo/syuin/12/News/chugoku/Sc201211280001.html
国保、きしむ制度 TPPや原発の影、議論埋没に懸念
▽加入者 重い負担/自治体も悲鳴
国民の約4分の1が加入する国民健康保険は、制度疲労が著しい。背景には高齢化や景気低迷による財政難があり、運営する市町村が財源を確保するために保険料(税)を引き上げる例も目立つ。衆院選を前に、加入者からは「社会保障の議論を深めてほしい」との声が上がる。
「払いたくても払えない」。5日、三原市役所の地下1階会議室に「市国保制度をよくする会」のメンバー十数人の声が響いた。約8千人分の賛同署名を携えて保険税の引き下げを求めた。「これ以上高くなると無理だ」。メンバーの建設業男性(53)=三原市=はうなだれた。市は2010、12年度に保険税をそれぞれ9・7%引き上げている。
3人の子どもがいる男性は、9年前に独立。数年は順調で年収500万円を超える年もあったが、不況の影響で5年前から仕事は激減。年間約50万円の保険税が払えなくなった。貯金はない。
月二十数万円の収入から、半分近くはアパートの家賃と借金返済で消える。月約5万円の保険税の負担は重い。男性は「食費を切りつめる毎日。生活をどう守るのか、選挙ではより具体的な政策を聞きたい」と話す。
消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法は8月に成立。消費税率は14年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げる予定だ。しかし衆院選の前哨戦で、肝心の社会保障政策は原発や環太平洋連携協定(TPP)などに埋没。立候補予定者たちから具体的な主張は聞こえてこない。
一方、国保制度を担う自治体からも悲鳴が上がる。三原市は「保険税収が伸びない中で、医療費は増える。税率を上げざるを得ない『悪循環』になっている」という。広島、山口の両県内では本年度、計42市町のうち18市町が保険料(税)を上げた。
厚生労働省によると、全国の加入世帯の平均所得(課税標準額)は10年度117万円。4年前から21万円減った。保険料(税)収入は全体で前年度比2・1%(634億円)の減。半面、保険給付費は同3・2%(2741億円)増で、一般会計からの穴埋めなどを除いた収支は3900億円の赤字という。
社会保障と税の一体改革関連法で設置が決まった「社会保障制度改革国民会議」は30日初会合を開く。年金や医療などの具体的な改革案を来年8月21日までに示す予定だ。
県立広島大大学院の住居(すみい)広士教授(保健福祉学)は「社会保障制度が衆院選の目立った争点になっていないのは残念。今は国民会議に任せるだけではなく、国民的議論にする好機だ」と指摘する。(鴻池尚)
【写真説明】国保税の未納内訳書を手にする加入者の男性
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:48:07
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121127-00000213-mailo-l31
守るべきものは?:’12衆院選/1 政党乱立、争点は何? 暮らしの現場からみると… /鳥取
毎日新聞 11月27日(火)15時39分配信
「守るべきものは、守る」。昨年11月、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉に参加する方針を表明した野田佳彦首相は、国民にそう語りかけ理解を求めた。今後の日本で「守るべきもの」とは一体何なのだろうか。民主、自民の両党に「第三極」も絡み政党が乱立、明確な争点が見えないと言われる今回の衆院選。県民の暮らしの現場を歩き、私たちが「守るべきもの」を探った。【田中将隆】
前回09年の衆院選で、民主党が308議席を獲得、政権交代を果たしてから約3年3カ月がたつ。今回は、その間に県内外で起こった出来事を振り返ってみた。
◆子ども手当
09年当時、党の代表として選挙の顔だった鳩山由紀夫氏が政権交代後、首相となった。目玉政策の一つだった「子ども手当」は、財源を巡り一部を地方自治体が負担するという話が持ち上がったが、地方の大反対に遭う一幕も。結局、国庫で賄うことになったが、財源が足りず、当初予定していた月額2万6000円の半額で中学生以下の子どもを持つ保護者らに支給された。今年度からは元の「児童手当」を拡充する形に切り替わり、支給は続いている。
◆原発事故
民主党政権として2人目の首相となった菅直人氏の船出は厳しいものとなった。10年6月の就任直後に、高速道路の無料化実験をスタートしたが、翌月の参院選で大敗。国民新党を含めた与党が過半数割れし、いわゆる「ねじれ国会」に突入した。
解散総選挙を求める野党の声が大きくなったが、11年3月11日に東日本大震災が発生し事態は一変。一時的に選挙を求める声は無くなったものの、福島第1原発事故への対応について菅首相が責任を問われることになった。
県内では、原発事故を契機に、島根原発(松江市)から30キロ圏に全域が入る境港市と米子市と県の3者が中国電力と原子力安全協定の締結に向けた交渉をスタート。立地自治体並みの内容とはならなかったが、同年末に原発から10キロ圏の防災対策緊急区域(EPZ)外の自治体として全国で初めて協定を締結した。現在は、立地自治体並みの内容を求め、協定の改定協議を始めている。
◆中小企業
パナソニックによる三洋電機合併が決まったのは、政権交代前の08年。11年4月1日に完全子会社化された。一連の再編で、下請けなどの中小企業に大きな影響が出ており、県内の製造業の出荷額で5割以上を占めていた「電気機械産業」が激減している。
民主党は、09年の衆院選で中小企業の法人税率を18%から11%に引き下げることをマニフェストにうたっていたが、10、11年度と見送り、ようやく今年度から15%と引き下げ幅を少なくして実現。09年12月には、リーマンショックへの対策として金融機関が企業に借入の弁済に猶予を与える「中小企業金融円滑化法」が時限立法として施行。2度、期限が延長されたが、来年3月末で終了する見込み。
◆TPP
1年足らずで辞任に追い込まれた菅氏の後を継いだ野田佳彦首相は、11年11月にTPPの交渉参加に意欲を示した。経済界などから支持の声が寄せられた一方で、JAなどを中心に農業者から反発の声が上がった。
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チバQ
:2012/12/01(土) 19:49:03
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121128-00000283-mailo-l31
守るべきものは?:’12衆院選/2 TPP 白バラ牛乳消える? /鳥取
毎日新聞 11月28日(水)17時21分配信
◇意欲失う前に裏付けある対応策を 「この子たちの未来のため」
店頭から「白バラ牛乳」が消える? 例外規定のないまま、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加した場合、日本の農業にどのような影響を与えるか、農林水産省が2010年に試算した数字がある。それを基に、県内農業への影響を県が計算した結果、農業の生産額は年間45%(316億円)減、中でも乳業は100%減の数字がはじき出された。つまり、県内の酪農農家は無くなってしまうということだ。
白バラ牛乳は「大山乳業農業協同組合」が生産する牛乳のブランド名。同組合は、県内の全酪農家が組合員となっている全国でも珍しい組織だ。そのため県内産の牛乳は、全て同組合を通じて商品化されている。
鳥取は全国でも質の高い牛乳を生産することで知られる。乳の質や生産量を高めるため、牛群検定と呼ばれる検査に力を入れており、その実施率は全国1位の8割超えを誇る。年間生産量の約6万トンは、他の産地と比較して決して多くないものの、人口10万人当たりの数字は全国上位に入る。
「さすがに100%無くなることはないと思っているが、壊滅的な状況になることは間違いないだろう」。幅田信一郎組合長も関税が全廃された場合の未来をこう予想する。
チーズやバターなど海外産の加工品が入ってくると、現在の国産品の価格の半値以下で流通するようになる。国産品は売れなくなり、これまで加工品に使われていた北海道産の生乳がそのまま市場に出回ることに。乳業大手がひしめく北海道産の生乳は競争力が高く、結果として他都府県の生乳は市場から駆逐されてしまうという。
「これは勝てないって思いましたよ」と話すのは、一家4世代で約55頭の乳牛を飼育する「ファーム山下」(大山町)の山下敏子さん(57)。酪農関係者らと、カナダのトロントやアメリカのサンフランシスコに視察に行った時の感想だ。「小さい農場でも100頭規模。大きいと1000頭とか。国の支援もしっかりしてるみたいだし……」
敏子さんの夫で、社長の正太さん(52)からは「生産調整、BSE(牛海綿状脳症)、口蹄疫(こうていえき)と来て、ようやく終わったかと思ったらTPPですからね」とため息が漏れる。10年前、県内に300戸あった酪農農家は、今年170戸を切った。全国的に牛乳の消費が減少傾向にある中、餌の高騰なども農家に打撃を与えたからだ。TPPだけが懸案ではない。「生き物相手の仕事ということもあって、工場のように様子を見るために(生産を)止めてみようかなんてことはできないですから」
若手の組合員で作る青年部は現在70〜80人。単純計算では、今残っている農家にも半分程度しか後継者がいないことになる。長男の大介さん(30)は「(若手のみんなは)TPPについて口には出さないが、相当気に留めているはず」と話す。「県内に就職口なんて少ないし、今更、サラリーマンになんてなれないですよ」
大介さんには、6歳と4歳の娘、2歳と0歳の息子がいるが、酪農場を次世代に残せるかどうかが気に掛かる。「TPPに参加しなければ、なんとかなるとは思うんだけど」(大介さん)。敏子さんは、4世代目に当たる生後4カ月の龍星くんを見やり、「正直ね、私たちのことはいいんです。この子たちの未来のためにも……」と目を細め「しがみつくしかないんです」とつぶやいた。
幅田組合長は「TPPという問題は、これから酪農を始めようという人たちの意欲を奪ってしまう」と次世代への心配を口にする。「農業を守るというのならば、(交渉に参加して)走りながら考えるのではなく、財政的に裏付けされた対応策を明確に打ち出すのが先。そうでなければ無責任だ。このままでは、将来に禍根を残すことになる」【田中将隆】
11月28日朝刊
30
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:49:36
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121129-00000119-mailo-l31
守るべきものは?:’12衆院選/3 原発対策 「あんたたちだけ、逃げないや」 /鳥取
毎日新聞 11月29日(木)12時32分配信
◇島根原発から18キロ 具体的な避難方法、介護基準を−−境港・外江地区
「あんたたちだけ、逃げないや」
古民家を改装した境港市外江町のデイサービスセンター「とのえの家」。1日に15〜16人のお年寄りが利用し、4〜5人のスタッフで入浴や食事などの世話をしている。
センターがある外江地区は同市の北西端に位置し、島根原発(松江市)から直線距離で約18キロと県内で最も近い地区に当たる。もし原発事故が発生した場合、避難が必要となるが、利用者の平均年齢は80歳以上。足腰に不安を抱える人が多く、歩いての避難は難しい。利用者からは「動けないから、私たちはいいよ」などと諦めの声も漏れてくる。「だからって、置いていくわけにはいかないですよね」。センターの管理者、矢新(やしん)道子さん(53)は複雑な表情を浮かべる。
昨年の福島第1原発事故をきっかけに、原発事故に備えた防災対策の重点区域が従来の8〜10キロ圏から、30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に広がった。UPZ圏内に入ったセンターも、避難の方法や場所などについて具体的な検討を迫られている。
利用者には、認知症の人もいる。なぜ移動するのか、説明しても理解してもらえない可能性も高い。動きたくないと言われたら、どうすればいいのか。避難所に連れていくとして、どこまで付き添うべきなのか。家族と連絡が付かない場合は、どうするか。考え始めると切りが無いという。
矢新さんの心配は利用者のことだけではない。「自分のことより、介護を優先してしまうと思うんです」と施設のスタッフにかかる負担も不安視する。2010年末から11年にかけ、県内全域を襲った大雪の際には、スタッフ総出で利用者をおぶったり抱えたりして、大みそかの夜までに何とか自宅に送り届けた。「公共交通機関はストップ。で、私たちはどうしようかってなるわけです」。スタッフにも、家族はいる。原発事故の場合は、被ばくの心配もあり「どこまで私たちが責任を持つ必要があるのか、本当に悩む。どういう時にどうすれば良いのか、行政が細かい基準を示してくれたら動きやすいのですが……」と頭を抱える。
県の避難計画は現在、概要版がまとまった段階で、避難の際に乗用車の利用をどこまで認めるかなど、詳細は詰めきれていない。米子市も含めUPZ圏内の約7万3000人の避難を公共交通機関などを使って行う計画だが、移動手段の確保も懸案事項だ。
一方で、高齢者や要介護者など「災害時要援護者」の数は、境港、米子両市が確認中。社会福祉施設や病院の入所者など分かっているだけでも2160人に上っている。これに在宅介護の人などが加わると、数は更に増えるのは間違いない。要援護者には専用の移動手段が必要になることが考えられるが、これらの確保も見通しが立っていない。
外江地区は、地理的な要因で避難が困難との指摘もある。同地区の榧野(かやの)幹也自治連合会長(71)は同地区を「離れ小島」と表現する。同市の地形が半島のため、原発から逃げる方向は米子方面しかない。その上、津波の到来も想定している県の避難計画では、沿岸部を走る国道431号は「使えない」ことが前提となっており、米子方面に向かう道路は「確実に渋滞が起こる」(榧野会長)。米子市から一番離れた辺りに位置する同地区は、道路で渋滞が起こったら出口がふさがり、避難が最も遅れてしまう。閉じ込められてしまえば、文字通り「離れ小島」と化すというのだ。
県が考えている避難計画では、原発から15キロ圏、20キロ圏と近い場所から順に避難することになっているが、境港市の職員も「そんな悠長なことは言ってられないと思う。我先に逃げようとする人たちで、絶対にパニックになる」と不安を隠さない。
県は島根県と合同で避難の際にどの程度の渋滞が発生するかのシミュレーションを実施する計画を進めているが、開始時期や結論を出すタイミングは未定。3月までにまとめる地域防災計画にできる限り反映させる意向だが、どの程度盛り込めるかは不透明だという。【田中将隆】
11月29日朝刊
31
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:50:05
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121130-00000234-mailo-l31
守るべきものは?:’12衆院選/4 子育て支援 お金を渡せばOK? /鳥取
毎日新聞 11月30日(金)15時32分配信
◇保育施設充実など環境整えば2人目も…
◇女性の就業率と共働き世帯割合、全国6位
「お金を渡せば、『はい、OK』という話ではないですよね」。前回の09年の衆院選で民主党が目玉政策として打ち出した「子ども手当」。結婚を機に仕事を辞め、現在7カ月の娘を育てている鳥取市富安1の主婦、吉村あこさん(30)はそう語る。
「子ども1人当たり月額2万6000円を中学卒業まで支給する」と国民と約束した子ども手当だったが、財源不足から満額支給を断念。10年6月から半額の1万3000円の支給を始めた。今年度からは所得制限付きの「新児童手当」に変わり、▽3歳未満が1万5000円▽3歳〜小学生1万円(第3子以降1万5000円)▽中学生1万円−−が支給されている。
この日、吉村さんは娘とともに鳥取市の商店街にある一時預かり施設を訪れていた。買い物や所用を済ませる間、急な依頼でも子どもを預かってくれるため、お母さんたちに人気がある。吉村さんは、月額1万5000円の新児童手当を「ありがたいし、少ない額とは思わない」と言うが、「家計でやり繰りすれば捻出できるほどの額をもらうよりも、一時預かり施設の充実や高額な任意接種の助成などの方が助かる」と実感を込めて言う。
子育てを巡る課題は多岐にわたる。県子育て王国推進局が今年7月にまとめた「県の少子化の現状と子育て支援の取組」によると、11年4月1日現在で年度当初の保育所の待機児数はゼロ。10年度の人口当たりの小児科医数は全国1位▽産婦人科医数は2位−−と県内の子育てを巡る環境は充実している。1人の女性が一生の間に生む子どもの数の平均を示す「合計特殊出生率」も、県内は09年が1・46(全国平均値1・37)、10年1・54(同1・39)、11年1・58(同1・39)と3年連続で増加している。
一方で、女性の就業率と共働き世帯の割合が5割を超え、10年の国勢調査では全国6位と、働く女性が多いのも鳥取の特徴。「夫が外で働き、妻が家庭を守る」という考え方も根強く、仕事に家事にと女性にかかる負担は大きい。09年の男女共同参画意識調査の「家庭の仕事分担状況」を見ても、食事の支度や片付け、洗濯、掃除、買い物などは6割以上の家庭が女性1人でこなしている。
0歳児の母親である同市吉成の永井なつみさん(32)は育児休業中。仕事に復帰する来年度以降は保育所に子どもを預けようと第3希望までの申し込みをして、今は結果待ち。「新年度時点の待機児はゼロだが、途中編入は難しく、必ずしも希望する保育所に入れるわけじゃない。現金でもらう手当より、子どもを預ける場所が増えた方が安心して働ける」
県子育て応援課も「子育てをしながら働ける制度や男性の育児参加など、女性が働きやすい環境づくりは取り組むべき課題だ」と認める。男性従業員に対して育児休業を取得させた事業主に対し10万〜50万円の助成金を支給する制度を昨年度から開始したほか、子育て中の男性の就業時間の短縮、男性の育児休暇取得の推奨などを呼びかけている。
「男性が一緒に育児をすることでパートナーとの関係性が深まる。時間に余裕ができることで女性も仕事が続けられる」。自身の体験からそう語るのは、積極的に育児に取り組む男性「イクメン」のための講演などを企画する鳥取市のNPO法人「KiRALi」の代表理事、福井正樹さん(56)。
教員の妻と2人の娘を育てた福井さんだが、結婚した時は育児に関心は無かった。長女が生まれた27年前、「育児に協力する」と言ったところ、喜んでもらえるどころか、妻から「2人とも働いているのになんで私だけ子育てするの!」と返され大げんか。以来、子育てに対する思いを入れ替えて育児に取り組んだ。「おむつ替えなんかもできたら楽しい」。社会人となった2人の娘とは今も仲良しで、妻も仕事を続けている。
一緒に遊ぶ子どもたちに目を細めながら、吉村さんと永井さんは声を合わせる。「子どもを生んで子どもはかわいいなあと本当に思った。安心して育てられる環境さえ整えば、2人目を生みたい」【加藤結花】
11月30日朝刊
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:
とはずがたり
:2012/12/01(土) 19:50:36
スレタイをちゃんと「綜合」としてくれて感謝ヽ(´ー`)/
33
:
チバQ
:2012/12/01(土) 19:50:39
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121201-00000224-mailo-l31
守るべきものは?:’12衆院選/5止 中小企業 「仕事が来ない」 産業構成「バランス欠く」声も /鳥取
毎日新聞 12月1日(土)16時13分配信
◇「金融円滑法」は評価
「来年からは、何の仕事に就こうかなあ」。県内に事業所を構える電気機械関連企業の管理職の男性(56)は諦め顔でつぶやいた。「だって(会社に)仕事が来ない。実のところ、リストラだってしている」
同社は、旧三洋電機コンシューマエレクトロニクス(現三洋電機内のCEビジネスユニット)の取引企業。08年末に三洋電機とパナソニックの合併が決まってから、仕事はどんどん減っている。「具体的には言えないけど、来年中には仕事がなくなる」。そのため、事業所の閉鎖も視野に入っているという。
大規模事業所が少ない鳥取。県内の製造業は細かい部品などを作る中小企業が支えている。中でも電子部品や電気機械などを合わせた「電気機械関連産業」は最新のデータ(2010年)で52・1%と県内出荷額の過半数を占め、今も鳥取の主要産業のはずだった。
「とてもじゃないけど、今はそんな割合じゃないはず。3割もいかないだろう」。県内を中心に電気機械産業の企業十数社で構成する「西日本工業協同組合」の山本武幸・事務理事はそう感じている。電気機械関係の出荷額が高かったのは、県内に100社あるとも言われる三洋の関係会社によるところが大きかった。そこに仕事が無くなりつつあり、他の大手製造業も生産拠点を海外に移し始めている現在の状況は「壊滅の一歩手前。雇用対策とかでなく、根本的な改革がないと経営の維持は無理だ」と力説する。
一方で、「今があるべき姿なのかもしれない」と話すのは、県中小企業団体中央会の清水徹男・専務理事。厳しい環境に置かれた企業を気遣いながらも、電気機械関連の産業にウエートを置きすぎていた嫌いがあるとみている。事実、電気機械産業が出荷額の5割を超える都道府県は、鳥取以外にない。「一つの事業で成り立たせていると、それが傾いた時に修正が効かない。要は、バランスを欠いていたということでしょう」
◇ ◇
民主党政権は中小企業対策として何をしてきたのだろうか。09年の衆院選で掲げたマニフェストは「中小企業の法人税率を18%から11%に引き下げる」。この公約に期待感を持っていた県内の中小企業経営者は多い。長らくたなざらしになっていたものの、ようやく今年度から15%に引き下げられた。
まだ始まったばかりだが、既に「効果は限定的だ」との声も聞こえる。法人税を払うのは黒字企業のみ。全国で6割以上が赤字となっている中小企業には恩恵はないからだ。特に厳しい経営状態となっている県内企業の“特効薬”にはならないとみられる。「税率は低ければ低いほどありがたいが、(政策の)優先順位としては低い」。それが経営者たちの本音のようだ。
一方で、連立を組んでいる国民新党の亀井静香代表(当時)肝いりの法案として、リーマンショックへの対策のために09年末に施行された「中小企業金融円滑化法」は評価する声が多い。同法は金融機関に対して、企業の借入の弁済に猶予を持たせることなどが主な内容とされる。この施策によって救われた県内企業は「相当数に上る」(清水専務理事)という。
ただ、問題も出てきている。来年3月末で同法の期限が切れるが、「中小企業側に危機感が無さ過ぎる」と清水専務理事は警鐘を鳴らす。
同法は、そもそも時限立法として11年3月末には役目を終えるはずだったが、期限の延長を求める声が多く、2回にわたって延長措置を実施してきた。延長が続いたことが影響し、「地元の金融機関が何とか面倒見てくれるんだろうな」という甘い認識が県内企業に広がりつつある。
清水専務理事は「自分たちが(返済の猶予をもらわなくても)大丈夫だからと安心しきっている。でも、取引先のことまで考えれば、どう考えても影響はあるはず。県内でも2月後半から3月にかけて、トラブルが発生するのではないか」と懸念している。(おわり)【田中将隆】
12月1日朝刊
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:
チバQ
:2012/12/01(土) 20:02:33
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20121121/CK2012112102000124.html
2012衆院選ちば 貧困の現場から 社会保障 充実願ったが…
2012年11月21日
衆院解散の夜も副田さん(左)は、定例となっている貧困支援の夜回りを続け、野宿者と言葉を交わした=市川市で
「社会から貧困はなくなっていない。民主党政権の三年間で、大きな変化は感じなかった」。衆院が解散した十六日夜、市川市で活動する貧困支援のNPO法人「市川ガンバの会」の副田一朗理事長(60)は、定例の夜回りの最中につぶやいた。
副田さんは牧師だった一九八九年、北九州市の教会に在任時、貧困支援を始めた。九六年に市川市に赴任し、翌年にガンバの会を結成。路上を回り野宿者と対話し、アパートへ入居などを勧め、人知れず亡くなった野宿者を弔うこともあった。
野宿者は全国的に減少傾向で、会が把握する野宿者数も最多だった十年前の二百五十人から、近年は八十人ほどに減った。しかし、野宿者のアフターケア、若年層の貧困など新たな問題が山積し、活動の幅は広がり続けている。
長く貧困の現場に立ち続けた経験から「二〇〇九年の政権交代には期待した」。当時、年越し派遣村に象徴された非正規雇用問題と貧困の若年化に社会が揺れていた。社会保障政策の充実を願って民主党に一票を投じ、念願の政権交代が実現した。
民主党政権で会にプラスもあった。対象団体の拡大で、厚生労働省の補助金がもらえるようになり、会の収入の柱の一つとなっている。
ただ、野田政権が掲げた社会保障と税の一体改革は、「税」の部分だけが先行し「社会保障」の充実は選挙後に後回しになった。副田さんは「政権が変われば、社会保障は手つかずになる可能性だってあるでしょう。民主党は、結局最後の詰めを欠いたままだった」と危機感を募らせる。
衆院解散の直前、会の事務所に小さな子どもを連れた三十代の夫婦が二組、駆け込んできた。二組とも失業で住まいを失い、うち一組の小中学生の子ども二人は学校にも通っていなかった。
「子どもを抱えた若い夫婦を扱ったのは今回が初めて。貧困がここまで進行していたのかと驚いた」
〇九年当時、民主党は盛んに格差是正を唱えたが、最近この言葉は与野党の政争の中でかき消されている。「貧困は大きな課題のはずなのになぜ各党で議論をしないのか」。副田さんの次の一票はまだ、宙に浮いているという。 (白名正和)
◇
選挙直前に異例ともいえる離合集散を続ける与野党。県内にもその影響が波及する中、有権者は何を思い、次の一票にどんな思いを込めようとしているのか訪ねて聞いてみた。(この連載は随時掲載します)
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:
チバQ
:2012/12/01(土) 20:03:01
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20121123/CK2012112302000138.html
2012衆院選ちば 脱原発 託せるのは 「裏切らない政治望む」
2012年11月23日
野田首相の自宅周辺を歩き、脱原発を訴えるデモ参加者ら=船橋市で
「前回の衆院選では、野田さんのビラ配りを手伝ったのに、裏切られた思いだ」。衆院解散後初の日曜となった十八日、野田佳彦首相の地元・船橋市薬円台地区であった脱原発デモの群衆に、こう話す市内の男性会社員(51)の姿があった。
男性は二〇〇九年の衆院選当時、政権に就く前の野田氏を自分たちと同じ目線に立っていると感じていた。「書いていることは命がけで実行する。書かれていないことはやらない」とマニフェストの実行を約束する姿は頼もしく見え「大丈夫だと思った」と信頼した。普段は通信工事会社に勤め、政治に関わってきたわけではないが、初めてのビラ配りは「ここで政権が変わらなくては」との思いからだった。
でも今の首相は「財界とべったり」と憤りを見せる。デモは原発問題が起き、「子どものことを考え、後に悔いを残したくないという義務感から行くようになった」と言う。「市民目線の、裏切らない政治を望みたい」。男性はこう願いながら野田首相の地元事務所前などを歩いた。
この日は百人以上がプラカードやのぼり旗を掲げて行進し、太鼓やかねの音とともに気勢を上げた。「子どもを守れ」「未来を守れ」。首相の事務所や自宅前に差しかかると、叫び声がひときわ熱を帯びる。
デモは、首相が関西電力大飯原発(福井県)の再稼働を表明した直後の六月十六日に初めて行われ、七、九月に続き四回目。市民ネットワーク・ふなばしなどの呼び掛けでできた市民団体「原発さよなら千葉」が主催する。
ネットで開催を知り、都内から参加した男性(44)は一九九六年から一年半、福島第一原発で働いていた。福島県双葉町で生まれ、原発のそばで育った。「チェルノブイリの事故もあり、いつか福島も爆発を起こすのではと妻とも話していた」。震災で何人も友人が亡くなった。助かった人も強制避難を余儀なくされ、両親は鹿児島にいる。「正直、今までは選挙には行っていなかった。今回はよく考えて投票したい」
デモに参加する人はさまざまだが、脱原発でつながっている。船橋市の女性会社員(57)は「脱原発は譲れない。自民から民主になって、少しは良くなるかと思っていたが…。よりましな人を選んでいくしかない」。脱原発を掲げるのは中小政党が多く、反対の民意が生かされるか不安が残るという。 (村上一樹)
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チバQ
:2012/12/01(土) 20:03:23
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20121124/CK2012112402000114.html
2012衆院選ちば TPP、有機農家の不安 健康、守れるかどうか
2012年11月24日
落花生の収穫作業に取り組む園山さん(右)と三輪さん=八街市で
「年金を合わせても赤字の月が多い。何とかやっていけるのは借金がないから」。こう話すのは、八街市で園山農園を営む有機農家の園山満也さん(65)だ。教員から就農した異色の経歴。現役時代に土地を確保し、農機具を少しずつそろえ、退職金で完済した。
経済的な苦労をものともしない原動力は、化学物質を避けた食べ物を提供する使命感だ。だから完全無農薬、有機栽培にこだわる。
最近、家族が化学物質過敏症になったという友人の元に、米と野菜を届けている。快方に向かうことを願っているが、気掛かりは環太平洋連携協定(TPP)の参加問題だ。作物の輸出では収穫後に大量の農薬をまく。米国では日本の四倍近くもの種類の食品添加物の使用が認められているという。
「TPPで無条件に(外国作物が)入ってくるのは健康上、危ない」。関税撤廃を原則とするTPPへの参加に対し、農業団体は「日本農業は崩壊する」と反発するが、園山さんは健康を守れるのかどうかの観点から懸念する。
もちろん、外国作物とは「そもそも価格競争で太刀打ちできない」(園山さん)。そこに消費税増税が加わる。「私たちのような中小零細は販売価格に上乗せできず、身銭を切るしかない」と将来への不安は増すばかり。民主党は国民の生活が第一と唱えて政権に就いたが、「自民も民主も結局同じ」と感じるのは他の多くの有権者と同じだ。
不安も多いが、園山さんの下には農業に夢を持ち、昨年四月から住み込みで研修している若者もいる。
松戸市出身で、東京農大で都市緑化を学び、沖縄で住み込みのサトウキビ収穫も体験したという三輪拓也さん(25)だ。「人が生きていくための、これほど豊かな仕事はない。不安はあるが、会社勤めでもどうなるか分からない時代。農業で勝負したい」と話す。
ただ、働き始めて驚いたのが収入の低さという。「頑張っているのに全然もうからない。農業者の間では野菜の価格保障を求める声が強く、確かに必要と思う」「借金ありきでない就農の方法を考えてもらいたい」。今回の投票先はまだ決めていないが、政治への期待は捨てていない。 (小沢伸介)
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チバQ
:2012/12/02(日) 01:30:29
7093 名前:チバQ 投稿日: 2012/12/02(日) 01:29:57
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121127-00000029-mailo-l05
選択の視点:’12衆院選・秋田/1 TPP 農家、医師に警戒強く /秋田
毎日新聞 11月27日(火)11時15分配信
◇製造業者「生き残りに必要」
. 国民の圧倒的な支持を受けた政権交代から3年3カ月。衆院選が来月4日公示、16日に投開票される。14政党が乱立し、それぞれの政策を打ち出す中、有権者は何を基準に投票すればいいのか。低迷する農業、雇用不安、少子高齢化など秋田で特に深刻な課題を中心に、民主党が推し進めた政策の影響をたどり、今後を展望する手がかりを探る。
「TPP反対」「食の安全安心を守れ」−−。今月15日、東京の国会議員会館前で、全国の農協青年部から集まった約100人が、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加に反対して農作業着姿で座り込みをした。
参加した県農協青年部の佐々木保副委員長(39)=潟上市=は「(外国産農作物には)コストや栽培面積で太刀打ちできない。自給率向上と言いながら下がる道を選んでいる」とTPPを批判。「アジアの成長を取りこむと言うが(交渉相手に)中国は入っていない。それで輸出を伸ばせるのか」と疑問を呈する。
TPPは発効から10年以内に原則全品目の関税撤廃や医療・金融などの市場開放を目指す協定。民主党は野田佳彦首相がTPP推進を公認の条件にすると表明した。自民党も安倍晋三総裁は交渉参加に前向きな発言をしている。他党は警戒する主張が多く、今回の衆院選の争点の一つだ。
農協の政治団体、県農協政治連盟は、推薦候補選定の参考にするため各立候補予定者にアンケートを実施した。22日に大仙市で決起集会を開いたJA秋田おばこは、3区の立候補予定者を招き賛否をただした。出席した3人のうち、国民の生活が第一前職と共産新人は強く反対を主張し、喝采を浴びた。また、2区で民主前職が開いた小集会では、「慎重に対応する」などと歯切れの悪い前職に対し、出席した男性が「だから先生は賛成か反対か」と何度も食い下がる場面もあった。
農業だけではなく、医療現場からも懸念の声が上がっている。南秋田整形外科院長で県医師会常任理事の小玉弘之医師は「TPPに参加したら利益追求型の米国の病院が参入し、地方の病院がつぶされる。国民皆保険のシステムは崩壊し、患者は医療を受ける権利を奪われパニックに陥るだろう」と話す。報酬の高い病院に医師が集中し、地方の医療機関の医師不足が加速する危険も高まるという。小玉医師は「危機的な状況が迫っている」と強く懸念する。
. 一方、TPPを歓迎する声もある。「農家には悪いがTPPがなければ生き残れない。手取り足取り保護されている農業ではなく、今度は製造業にも目を向けてほしい」。湯沢市の自動車部品メーカー経営者の男性(70)はそう語る。
大手自動車メーカーの孫請けとして約20年間、ギアの部品などを製造。数年前に4000万円投資してコンピューター制御で部品を作る機械も導入した。「おたくの設備じゃ作れないでしょと思われたら命取り」のため、先手先手を打ってきた。しかし、08年のリーマン・ショック以来、大手メーカー減産のたびに注文は減った。今年は中国の反日暴動もあり、売り上げは前年同期比4割減という。
前回選挙では「弱い立場の私たちの生活を変えてくれる」と期待して民主党に投票したが「だめだった」。TPPには期待するが、「民主党は今回は遠慮したい」。真剣に製造業のことを考えてくれるところを選ぶつもりだ。=つづく
11月27日朝刊
38
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チバQ
:2012/12/02(日) 01:30:46
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121128-00000042-mailo-l05
選択の視点:’12衆院選・秋田/2 戸別所得補償制度 「経営体質強化」に疑問 /秋田
毎日新聞 11月28日(水)11時25分配信
◇「農家の大きな下支え」の評価も
「前回衆院選では、先代から自民党に投票していることを自慢しているような人も民主党に投票していた」。大潟村の農家、黒瀬正さん(68)は眉をひそめた。「民主党は戸別所得補償制度を目玉政策にし、農家の票集めに使った」
同制度では、生産調整(減反)に参加した農家に10アール当たり一律1万5000円が支払われる。さらにコメの販売価格が基準を下回った場合は値下がり分を追加で補てんする。農林水産省のまとめによると、農家に対する支払い実績は11年度は5366億円で、コメ農家の79・1%が所得補償交付金を受け取った。県内では4万2176件、226億3000万円に上る。
しかし、減反に反対してきた黒瀬さんは同制度を「産業政策になっていない。これでは生活保護のような福祉政策だ」と厳しく批判。「農家の減少は一時的に食い止められるかもしれないが、農家の意欲がなくなってしまう。農村社会の心をむしばむ政策だ」と断じ、政府は土地改良などインフラ整備に投資すべきだと指摘する。
「ばらまき」批判の一方、同村では減反に参加する農家が急増。09年度は49・5%だったのが、11年度は95・2%にまで伸びた。国の減反政策への対応を巡り、村は長らく二分されてきたが、8月の村長選では初めて無投票で村長が決まった。再選を果たした高橋浩人村長は同制度を「農家の大きな下支えとなり良かった。安定した水田経営に有効に機能している。対立軸が無くなり、同じ方向を向いて農業ができる」と評価する。
農水省によると、12年度の同制度への加入申請件数(8月31日現在)は115万7466件で、11年度の支払い実績に比べ7307件増加。農水省は来年度予算として6901億円を要求した。しかし、今月あった財務相の諮問機関、財政制度等審議会の分科会では「経営体質強化につながらない」などと制度の見直しを求める意見が大勢を占めた。
同制度は米粉用米や畑作への転作を進め、20年度までに食料自給率を50%にすることを掲げる。12年度の加入申請の内訳をみると、コメが全体の60%に上り、水田で栽培する麦や大豆、加工用米などは35%、畑作は5%にすぎない。また、10年以内に原則関税をゼロにする環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加を民主党が訴えるなど、同制度の先行きは不透明だ。
秋田市内では月1回、若手農家の有志が採れたての野菜やコメを直売する「わかくさマーケット」を開催している。テントを張り長机を並べた簡素な出店だが、市価より2〜3割安く、珍しい野菜もあるため、いつも行列ができる人気だ。
代表を務める秋田市の農業、斉藤善宣さん(31)は「正直に言うと(制度がどうあれ)日々やることは変わらない。地元でお客さんとつながり、良いものを作って食べてもらうこと。どこが政権を取ろうとやることは同じ。振り回されても仕方がない」。変遷する国の政策の動向よりも、目の前の消費者の目線を感じながら自分が求める理想の農業のあり方を模索している。=つづく
11月28日朝刊
39
:
チバQ
:2012/12/02(日) 01:31:05
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121129-00000003-mailo-l05
選択の視点:’12衆院選・秋田/3 再生可能エネルギー 買い取り制が事業後押し /秋田
毎日新聞 11月29日(木)10時29分配信
◇原発に終始する各党に不満も
原発・エネルギー政策は衆院選の大きな争点だ。27日には民主党が原発ゼロ社会の実現をうたうマニフェストを発表。滋賀県の嘉田由紀子知事は「卒原発」を掲げ新党「日本未来の党」を結成した。その実現に不可欠なのが再生可能エネルギー。秋田など東北・北海道は特に風力発電の潜在力(導入ポテンシャル)が高いとされ、発電事業に新規参入が相次いでいる。
にかほ市でガソリンスタンドやリフォーム業などを営む須藤商店社長、須藤修さん(62)は先月、知人2人と協力して「三藤エネルギー」を設立した。3人とも60代だ。同市内で風車2基の建設を計画している。「一度事故が起きたら収束できない原発はなくすべきだ。そのためには再生可能エネルギーが必要」と考え、その一翼を担おうと、風力発電事業への参画を決めた。
後押しとなったのは、7月に始まった再生可能エネルギー固定価格買い取り制度。再生エネルギー事業者が発電した電気を電力会社が一定価格で買い取ることが義務づけられ、大手企業でなくてもコスト回収に一定のめどがつくようになった。電力会社の買い取り枠に制限はあるものの「今なら誰でも発電事業を始められる」と須藤さんは言う。
日銀秋田支店の調査では、県内では108基(設備容量12万5000キロワット)の風車が稼働している。風力発電や地熱発電、太陽光発電など県内の再生可能エネルギーの発電設備容量は22万2000キロワット。今後計画されているものが稼働すれば現状の3倍弱の61万5000キロワットに拡大する。同支店は「再生可能エネルギーの導入拡大でさまざまな経済波及効果が期待できる」と評価する一方、「長期リスクを適切に判断することが重要」と安易な参入には警鐘を鳴らす。
県有地でのメガソーラー(大規模太陽光発電)事業に乗り出す潟上市の菅与組専務、菅原孝次さんは「赤字にならなければ、社会貢献の一環としてやっていこうとなった」と、もうけを度外視しての参入だったと明かす。総事業費6億円は約10年で回収できる見込みだが、利益は多くない。買い取り価格がより高く設定されれば利益は増えるが、その分は電気料金に上乗せされ利用者の負担増となるため、菅原さんは「これ以上の値上げは難しいだろう」とみる。「現在の発電をすぐに再生可能エネルギーに置き換えることはできないが、今後割合を増やしていき、その中で将来的なエネルギー政策を議論すればいいのではないか」と話す。
最大の電力消費地・東京では毎週金曜、官邸前で脱原発デモが半年以上続いている。県内では県平和センターが昨夏から3回デモを主催。脱原発の署名は7万筆超となった。ただ、同センター事務局長、佐藤信哉さん(51)は「新しく参加する人は少なくなっている」と話し、関心が薄れることを懸念する。
東日本大震災直後、須藤さんのガソリンスタンドはガソリンや灯油を求めて客が殺到した。須藤さんは二酸化炭素削減を義務づける京都議定書など、震災前から化石燃料を含むエネルギー問題に関心があり、原発を巡る議論に終始する各政党の訴えには物足りなさを感じる。「再生可能エネルギーの導入を進めるだけでなく、複合的な議論が必要ではないか」。各党の訴えを見極めるつもりだ。=つづく
11月29日朝刊
40
:
チバQ
:2012/12/02(日) 01:31:29
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121130-00000022-mailo-l05
選択の視点:’12衆院選・秋田/4 子育て支援 給付と制度、もっと議論を /秋田
毎日新聞 11月30日(金)10時50分配信
◇「手当」評価も課題多く
. 「小さい子にはそんなにお金はかからない。成長した子にも支援の手を差し伸べてほしい」。由利本荘市の会社員、鈴木八重子さん(42)と、会社の同僚、間杉沙織さん(35)はそう言ってうなずき合った。
鈴木さんは小学5、6年の娘2人、間杉さんは中学1年の長男を持つ母子家庭。子どもたちはスポーツ少年団でバレーボールや野球に励んでいるが、部費や用具代がかかる。学校の修学旅行の積立金などもある。2人は正社員としてフルタイムで働いているが「今は大丈夫でも先を考えると不安」と漏らす。
民主党は10年6月から中学生までを対象に一律月額1万3000円を支給する子ども手当を開始。その後、制度は変遷し児童手当となり、金額が変わり所得制限が設けられたが、鈴木さんと間杉さんは「何にでも使えるのですごく助かる。少額でもいいから続けてほしい」と話す。
県の「子育て環境と意識に関する調査」(10年)によると、子どもの数の理想は3人が最多(55・4%)だが、現実は2人が最多(55・6%)。その理由(複数回答)は子育てに「お金がかかる」ことが67%と最も多かった。子育ての悩みや不安(同)を尋ねる設問でも「出産、養育、教育などにお金がかかる」ことが56・3%と最多で、子育ては経済的負担が大きい。
フルタイムで働く母子家庭の母親にとっては、各種支援策に所得制限があることも悩みの一つ。子どもの医療費の自己負担額助成は対象外という間杉さんは「経済的に余裕があるわけではないのに、なぜ所得でひっかかるのか」と納得できない。「子どもは塾に行きたいと言うが、行かせられない。周囲は中3になるとみんな通っているのだが……」。鈴木さんも「頑張って働くほど支援が受けられなくなる。基準を見直してほしい」と話す。
3歳から中学1年まで4人の子どもがいる秋田市の本田正博さん(39)は、子育て支援サークル「あきたイクメンネットワーク」の代表。幼稚園に子どもを迎えに行ったり、食器洗いや洗濯、掃除など家事を妻と2人で「できる時にできる方がやる」方式で子育てにかかわる。「子ども手当は助かる」と言うものの、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と私生活の調和)が実現できるように制度をもっと変えないといけないのでは」と感じる。
. 10年度からは公立高校授業料が無償化され、私立には一定額が助成された。民主党によると、経済的理由による高校中退者は2099人(08年度)から1007人(10年度)に半減した。県教委によると、県内の公立高では08年度の3人が10年度は6人、11年度は0人になった。ただ、中退者総数は08年度323人、10年度306人、11年度258人で、経済的理由による中退者の割合は低く、無償化の効果は限定的との見方もある。
次女が高校の2年間授業料無償となった秋田市の美容師の女性(48)は「とても助かった。浮いたお金で子どもの習い事などに充てられた」と評価する一方、「目先のことだけではなく、先生の質を上げるためにお金を使ってほしい」と話す。中学生と高校生の子どもを持つ秋田市の主婦(45)は、学校のいじめ問題に触れ「いわゆる普通の子でも幸福感や自己肯定感に満たされているとは限らない」と言う。「時代は変化しているのに学校は昔のまま。もっと組織としての対応力をつけてほしい」と注文をつける。=つづく
11月30日朝刊
41
:
チバQ
:2012/12/02(日) 01:32:46
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121201-00000072-mailo-l05
選択の視点:’12衆院選・秋田/5止 雇用 TDK不振で沈む地域 /秋田
毎日新聞 12月1日(土)12時14分配信
◇「円安でもリストラ進むだけ」
. 「この1年ですっかり人が少なくなった」。にかほ市で時計店を営む遠藤強さん(54)はため息をついた。「にかほでは後継者がいなくて店じまいするところはあっても、潰れたという話はほとんど聞かなかったのに」
人口約2万7000人のにかほ市はTDK創業者の出身地。にかほ、本荘由利地区には多くの工場があり、TDK成長の恩恵に浴してきた。
しかし、TDKは昨年10月、歴史的な円高やデジタル機器の需要低迷などを受け、国内外で1万1000人を削減すると発表。さらに今年1月までに同市の象潟工場など計6工場の統廃合を決め、生産拠点再編を始めた。下請け会社には契約打ち切りを通告。ハローワーク本荘によると11月15日現在、TDK関連の解雇者は3社511人に上る。152人は再就職したが、340人は求職中だ。
市内にも影響は及ぶ。「TDKのおかげでやってきた。こういう事態は想像していなかった」と、同市で飲食店を営む60代男性は打ち明ける。TDK社員が店を接待で使うことも多かったという。
県はTDKの生産拠点再編計画を受け、2年間で総額約108億円を投じ、約5000人の雇用を創出すると発表した。誘致した「にかほコールセンター」は100人を雇用、3日に入社式がある。同市のハタハタすし製造販売、三浦米太郎商店もTDK関連の失業者を雇い入れた。三浦悦朗社長(54)は新商品の開発・PRに取り組んでおり「うちの商品を売り込み、地元の雇用にも貢献できれば」と話す。
電子部品大手7社の12年9月中間連結決算では、全社が13年3月期の通期業績予想を下方修正。ただTDKはリストラが奏功、大幅増益を達成した。工場閉鎖は象潟工場など4カ所で延期している。
製造業が苦境にある中、懸命に雇用維持を図る企業もある。「社員のクビを切ることが一番の経費節減だが、できなかった」という秋田市の通信機器メーカーの男性社長(50)は、今年4月から30〜50代の社員20人の賃金10%減のベースダウンに踏み切った。「注文が減り続けている。みんな理解してくれた」という。
. 同社は03年創業。大手電話機メーカーの2次下請けとして、1次下請けから部品を受け取り電話機を組み立てている。しかし、リーマン・ショック以降は注文が落ち込み、今は3カ月契約の仕事が断続的に入る程度。1カ月間全く仕事がないこともある。1次下請けの工場が突然のリストラで稼働停止し、部品が届かず仕事が滞ったこともあった。
全国知事会は今年7月、円高の進行は地域経済・雇用情勢を悪化させるとして、政府・日銀に対し、円高是正やデフレ経済脱却への政策を講じるよう求める決議を提出した。自民党の安倍晋三総裁は日銀に「大胆な金融緩和」を求める発言を繰り返し、市場も反応。円相場は野田佳彦首相が解散を明言した14日の1ドル=79円から同82円台まで円安が進んだ。しかし、日銀や野田首相は安倍総裁の発言を「中央銀行の独立性を損なう」と強く批判している。
男性社長は「仮に円安が進んでも労働需要が回復するとは思えない。リストラが進むだけだ。海外に拠点を移すのも、うちのような小さい会社は無理だ」と話す。いつまで解雇を避けられるか、見通しは暗い。=おわり(この企画は坂本太郎、小林洋子、仲田力行が担当しました)
12月1日朝刊
42
:
チバQ
:2012/12/02(日) 01:36:26
http://mainichi.jp/select/news/20121201ddm041010179000c.html
12年末・この国を選ぶ:政党公約、「抜け道は尽きず」 禁止できる?企業献金
毎日新聞 2012年12月01日 東京朝刊
衆院選の公約で企業・団体献金の禁止を打ち出す政党が目立つ。しかし30日公表された昨年1年間の政治資金の収支報告書(総務省所管分)によると、民主、自民の献金総額に対する企業・団体献金の依存度は、減少傾向ながらいまだに4割を超えている。仮に禁止しても「政治家が政治家のルールを決める以上は抜け道ができる」との指摘があり、抜け出すのは容易ではなさそうだ。
◇廃止年限示さず、パー券対象外も
09年衆院選マニフェストに3年後の禁止を盛った民主党は、11年の東日本大震災前日にマニフェストに沿った法案をまとめたが、提出できなかった。同党本体は企業・団体献金を自粛しているが、政治家たちが代表を務める党支部では受け取っている。
収支報告書によると、昨年の民主党の本部・支部・政治資金団体が受け取った献金計1億7883万円のうち、企業・団体献金は8195万円を占め、依存度は46%だった。自民党は14億6427万円の企業・団体献金を集め、依存度は45%だった。野田佳彦首相が代表の民主党支部が昨年集めた企業・団体献金は998万円で、自民党の安倍晋三総裁が代表の党支部は3363万円だった。
民主は今回の衆院選のマニフェストでも禁止を打ち出したが、廃止年限を示さず、企業・団体のパーティー券購入禁止も明記しなかった。同党政策班は「11年に作った法案をベースに具体策を検討し、各党と協議する」と説明している。
「禁止」と言っても各党の約束する内容はまちまちだ。日本維新の会の松井一郎幹事長は28日「内規でキャップをはめる」と述べ、一定の上限額までの献金容認を示唆。社民は「例外なく即時全面」だが、みんなは企業・団体のパーティー券購入は「対象とならない」、公明も「今後の検討」としている。
ある前衆院議員の秘書は「献金だけを禁止しても企業にパーティー券を買ってもらうようになる」。業界ぐるみの政治団体から献金を受ける方法もあり、別の元衆院議員秘書は「そもそも政党交付金を導入する時、企業・団体献金禁止をうたったのに、政治家が政党支部を通じてもらえるようにしてしまった」と嘆いた。【青島顕】
==============
◇企業・団体献金をめぐる各党の公約
民主党 企業・団体献金を禁止
自民党 政治資金のより一層の透明化。個人献金等の促進を図る
公明党 企業・団体からの政党・政治資金団体への献金を禁止
日本維新の会 個人献金を促す制度と企業・団体献金の禁止
共産党 企業・団体献金をただちに全面禁止
みんなの党 企業・団体献金の即時全面禁止
社民党 政党や政治資金団体への企業・団体献金をただちに禁止
新党改革 企業・団体献金をやめる
※日本未来の党、新党日本は公約未発表。国民新党、新党大地は公約で触れていない
43
:
名無しさん
:2012/12/02(日) 10:24:51
自民党 比例区公認42人を発表
http://www.asahi.com/senkyo/sousenkyo46/news/TKY201212010629.html
自民党は1日、衆院選の比例区単独で公認する立候補予定者42人を発表した。公認を内定したのはすべて新顔で、次の通り。(敬称略)
北海道=清水誠一(63)、勝沼栄明(38)、大越農子(42)▽東北=吉田修(65)、村上文人(62)▽北関東=新谷正義(37)、佐藤明男(60)、百武公親(50)、下田彰一(59)
▽南関東=文月涼(45)、石川英男(51)、出畑実(62)▽東京=赤枝恒雄(68)、田畑毅(40)、川松真一朗(31)、小野敬三(67)、石田計夫(69)
▽北陸信越=永山文雄(62)、助田重義(52)、渡辺智康(52)、轟好人(63)、小林孝治(57)
▽東海=川田隆(55)、佐橋靖隆(61)、山際功修(57)、杉山真(33)▽近畿=西村日出男(66)
▽中国=池田道孝(65)、木村光寿(39)、井木敏晴(47)、日野原修治(54)、秋田博紀(50)、佐伯充範(39)
▽四国=永井一郎(57)、高橋央(45)、松崎敏則(61)、篠崎令子(50)
▽九州=末吉光徳(66)、湯川一行(63)、西村忠則(63)、泉幸親(60)、川嶋潔典(30)
44
:
チバQ
:2012/12/02(日) 11:24:46
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121202/elc12120210330025-n1.htm
エネ政策、分かれる対応 各党公約ほぼ出そろう
2012.12.2 10:32
4日公示の衆院選に向け、各党の選挙公約がほぼ出そろった。消費税増税やエネルギー政策、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、外交・安全保障などを争点に、各党とも独自の主張を展開しているが、前回衆院選での民主党マニフェストの主要政策が実現できなかった教訓を踏まえ、各党の目玉公約の実現性も問われることになる。
衆院選公約で、一番の注目はエネルギー政策の在り方だ。自民党も含め各党は原発への依存を減らす方向を示しているが、目標や年限には幅がある。
民主党は「2030年代の原発ゼロ」を掲げ、原発は新増設せず、再生可能エネルギーの飛躍的普及を図ると主張。みんなの党などは「脱原発」路線を打ち出す。自民党は10年以内にエネルギー戦略を確立するとして慎重姿勢を崩さない。日本維新の会は「30年代までにフェードアウト(徐々に削減)」との表現をめぐり、党内が混乱している。
消費税増税については、社会保障・税一体改革を進めた民主、自民、公明3党に対し、日本未来の党などは「増税の前にやるべきことがある」として増税凍結を訴える。維新は税率11%と地方税化と、独自の主張を展開する。TPP対応では各党の表現はあいまいだ。
公約の中には、未来が訴える中学卒業までの子供に年31万2千円の手当を支給する案など、莫大(ばくだい)な財源が必要な政策も見られる。徹底的な行政改革などで財源を捻出するとしているが、実現への道筋は不透明だ。
45
:
チバQ
:2012/12/02(日) 11:41:45
http://senkyo.mainichi.jp/news/20121202k0000m010067000c.html
政権公約:原発ゼロ、8党が主張 手法、工程はあいまい
毎日新聞 2012年12月01日 21時11分(最終更新 12月01日 23時50分)
衆院選(4日公示、16日投開票)に向け、主要政党の政権公約・マニフェストがほぼ出そろった。原発・エネルギーでは、12政党のうち民主党、日本未来の党など8党が「原発ゼロ」を掲げたのに対し、自民党は原発比率や年限の数値目標を避け、日本維新の会も慎重姿勢を示し、違いが明白だ。ただし各党公約とも、実現に向けた具体的手法や工程はあいまいで、事後検証は難しく、マニフェスト選挙のあり方は後退している。
「ずっと立ち止まって考えるのも無責任。すぐゼロも責任ある態度と思えない」。野田佳彦首相は1日、北海道函館市の演説で、「30年代の原発稼働ゼロ」を掲げる民主が最も現実的だと訴えた。民主は40年経過した原発の運転を止めるルールを厳格適用するとマニフェストに記した。
未来は、嘉田由紀子代表が22年をめどに全原発廃炉を主張し、政策要綱で「大間原発も含めて原発の新増設禁止」などと踏み込んだ。
このほか公明党、共産党、みんなの党、社民党、新党大地、新党日本が「原発ゼロ」を掲げ、大地以外の7党は目標年限を示す。
一方、脱原発に慎重な自民は「再稼働は3年以内に結論」「10年以内に電源構成のベストミックスを確立」と結論を先送り。維新は「30年代までにフェードアウトする(消えていく)」と記したが、主体的方策は示していない。
経済・財政では、自民、維新は「3%以上」の名目成長率を目指し、規制緩和による民間活性化や、政府・日銀の政策協定(アコード)による金融緩和を掲げる。日銀に金融緩和を強く求めて景気刺激を図る考えだが、民主は日銀の独立性を尊重し、温度差がある。
消費増税や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加は、政党間で賛否が分かれる。民主党の09年マニフェストが破綻したことから、民主、公明、新党日本以外の各党は「マニフェスト」の表現を避けた。【野口武則】
46
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チバQ
:2012/12/02(日) 13:17:03
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/gifu/CK2012112702000256.html
<論点の現場から>(1) TPP
飛騨牛の子牛の世話をする女性=飛騨市河合町で
消費税増税、原発政策、憲法九条、格差社会、環太平洋連携協定(TPP)…。今回の衆院選の争点は、この国の将来に直結する重要な政治課題ばかりだ。県内の現場を歩き、次の政権の選択次第で暮らしが左右されかねない人々の思いを聞いてみた。
アイルランド出身の女性歌手エンヤのCDが、山間の牛舎に響いていた。世界的に有名な癒やしの音楽。「牛にも効くんです」。気質が落ち着き、餌をよく食べてくれる。飛騨市河合町の飛騨かわい牧場で、代表理事の森田忍さん(46)が勢いよく人工乳を飲む子牛たちを眺めた。
飛騨牛の雌二百頭と子牛百頭を飼育し、子牛を別の農家に出荷している。飛騨牛は最近、外国でも人気があるから、子牛の中には将来、輸出されるものがあるかもしれない。品質には自信がある。それでも森田さんは「イエスかノーかと言われればノー」と日本のTPP交渉参加に反対する。
餌の輸入牧草がこの夏、一キロ三十五円から四十円に値上がりした。「コストで考えたら海外には太刀打ちできん」
昨年、農協が集めるTPP反対の署名に名を連ねた。ただ、本当にそれで良いのか自信があるわけでもない。「もう少し精査しないと」と冷静に状況を見つめている。
一方、「外国から安い農産物が入ってきても対抗できる」とみるのは、美濃加茂市の農園経営者(59)だ。野球場ほどの果樹園で富有柿と梨を栽培。輸出は手掛けていないが、国産の果物が海外で高い評価なのを知っている。「TPPに参加した方が日本のために良い部分がある」と期待する。
「TPP反対」でくくられがちな農業関係者の中にもある、賛否両論。独自の販路で全国にコメを出荷している高山市の「まんま農場」の小林達樹代表(53)は「交渉参加は構わないが、協定の中身が出てみないと分からない」と指摘。情報不足に戸惑う多くの農家の思いを代弁した。
(島将之)
◆ブランド品はプラス?
TPPは、加盟国間の関税を原則撤廃する協定。米国やシンガポール、ベトナムなど九カ国が既に交渉を始め、野田首相も交渉参加の意向を表明している。
関税が撤廃されると輸出に重点を置く日本の製造業には追い風になるが、農業など内需型の産業は外国産の安い製品に押される恐れがある。交渉参加の是非は国内を二分する課題となっている。
県内では、高い関税で守られているコメや牛肉の苦戦が予想されるが、例外もある。
たとえば新興国の富裕層に人気のある飛騨牛。海外に販路が開かれた二〇〇八年度は三百万円ほどだった年間輸出額が毎年ほぼ二倍ずつ増え、一一年度に初めて一千万円を超えた。まだ輸出は生産高の0・1%に満たない規模とはいえ、販路は香港、マカオからシンガポールに広がり、今月末からタイでの販売も始まる。
「ブランド価値がある農産物は国内外問わず強い。TPP参加がプラスに働く可能性もある」と県農産物流通課。ただ、県内農業産出額の四割強を占める野菜や花への影響は限定的とみている。
(斎藤雄介)
47
:
チバQ
:2012/12/02(日) 13:17:29
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/gifu/CK2012112802000261.html
<論点の現場から>(2) 消費税増税
消費税増税が「福祉の向上につながれば」と茶畑で語る内藤武男さん=揖斐川町春日六合上ケ流で
「天空の里」を自称する山間部の揖斐川町春日六合上ケ流(かみがれ)地区。幹線道路から三キロほど山奥に入り、コミュニティバスも走らない過疎の集落だ。住民六十人余の大半が六十五歳以上の高齢者。野菜や魚、総菜を週に数回売りに訪れる移動販売車を頼みの綱にする人が多い。
「この生活が続けられるだろうか」
白い小さな花が見ごろを迎えている茶畑で、農業を営む内藤武男さん(89)が不安をこぼした。
妻と二人暮らし。四男一家も同じ敷地内の別棟で暮らしているが、自分たち夫婦の生活の支えは国民年金と農業者年金だ。ただ、畑で育てた茶の売り上げを合わせても、全国の高齢者世帯の年間平均所得三百万円には届かない。
消費税増税が必要だという政府の言い分は理解できる。欧州では消費税に似た税が20%を超える国がざらにある。「日本の税率は低い方。次世代の負担や将来的な国力を考えると、増税は時代の流れだと思う」。野田佳彦首相の言った通り、増税分がすべて社会保障にあてられるなら、なおさらだ。
それでも「日用品の税率はそのままで、ぜいたく品だけ消費税を上げる方法もあるはず。もっと研究してほしい」との思いがぬぐえない。
公的年金も来年十月から減額が始まる。「高齢者の生活は苦しくなるばっかりだ」とため息をついた。
(加藤拓)
◆低所得者層ほど重荷に
消費税率は二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%へと引き上げられる見通しだ。野田佳彦首相は八月の会見で、少子高齢化が進み、年金、介護などに関する社会保障費が毎年一兆円規模で増えていると説明。「増収分は全額、社会保障で国民に還元される」と理解を求めた。
社会保障費がのしかかるのは、県も同じだ。介護保険や後期高齢者医療制度の負担分など本年度当初予算の関連費九百億円は、九年前のほぼ二倍。年間四十億〜五十億円のペースで増加している。
現行の消費税率5%のうち1%分は、地方自治体に入る地方消費税で、都道府県と市町村が折半。岐阜県の最終的な収入は二百億円前後だが、県の試算では、税率8%なら年間八十億円、10%なら二百四十億円の増収となる。ただ、県側は、社会保障費の伸びに対応するには、制度そのものの見直しが欠かせないとの立場だ。
消費増税で課題となるのは、年収が少ない人ほど税負担が重荷になるとされる「逆進性」。みずほ総合研究所の試算では、負担額が年収に占める割合は税率10%の場合、年収一千万円以上の世帯は3・3%だが、三百万円未満は7・6%に上昇。低所得者への対策が求められる。
(藤沢有哉)
48
:
チバQ
:2012/12/02(日) 13:17:48
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/gifu/CK2012112902000264.html
<論点の現場から>(3) 対中外交
金属塊を電動ドリルで削る女性従業員=中濃地方の工場で
エプロンにマスクと腕カバー、軍手姿の女性が、漬物石大の金属塊を電動ドリルで削っていた。作業を終え、足元に散ったおがくずみたいな金属くずをほうきで払い、緑色の床をまたつるつるで清潔な状態に戻した。
中濃地方で工作機械の部品をつくる下請け工場。また、仕事が減る。かつて週六日だった稼働日は、来月から週三日に半減してしまう。
経営者(60)がぼやいた。「この二、三カ月でひどくなりました」
日本と中国の関係が悪化したせいだ。もともと欧州不況と円高で受注が低迷。そこに追い打ちを掛けたのが、中国が九月に尖閣諸島問題で日本製品の通関を厳格化したことだった。受注の落ち込みは、前年比七割減に達した。
「二〇〇八年のリーマン・ショックの時よりひどいでね」と経営者は声を荒らげる。
休業した日の従業員の給料は、国の補助金を充てている。ところが、十月から審査が厳しくなった。来年十月からは支給日数が半減とも聞いている。
「従業員の削減は考えてない」と経営者。辞めさせたら、再就職先がなかなか見つからないのが目に見えているからだ。でも、受注が無ければ、会社の持ち出しが増えるだけ。
日本政府が尖閣諸島を国有化したのと、中国側の激しすぎる反発の両方が「取り返しのつかない大失敗」と考える。
「日本の産業は海外で売れてなんぼの世界」。価格が一桁違う中国製品の質が日本製品に迫っていることも脅威だ。「努力の限界。政治が何とかしないと、ものづくりの現場は滅びてしまう」
(松崎晃子)
◆“政冷経冷”で輸出急降下
中国は二〇〇九年から、日本の最大の取引先となっている。一昨年の輸出額は十年前の四倍の十三兆円余に達した。うち1%弱の九百三十七億円が県内の製造業。特に輸送機器は五年前の三倍の百十九億円に増加した。
県内企業が中国に現地法人をつくる動きも強まっている。ジェトロ岐阜(岐阜市)の調査では、少なくとも百九十四事業所あり、この十年間で倍増した。
一方、政治は冷え切っていても、経済では手を取り合う「政冷経熱」と表現されてきた日中関係は最近、「政冷経冷」の状態。東京都による尖閣諸島の購入計画をきっかけに日中関係が悪化し、中国で日本製品の不買運動が広がった。県内分を含む名古屋税関を通じた中国向けの輸出は三月に二千五十九億円だったが、十月は千六百三十七億円まで落ち込んだ。
(多園尚樹)
49
:
チバQ
:2012/12/02(日) 13:18:05
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/gifu/CK2012113002000236.html
<論点の現場から>(4) 原子力政策
高レベル放射性廃棄物を地下で処理する研究のために掘削した地下坑道=瑞浪市明世町の瑞浪超深地層研究所で
瑞浪市西部の林に一メートル四方の看板が立っている。
「超深地層研究所はいらない」
近くに住む会社員早瀬浄文(きよふみ)さん(66)らが、十年以上前に立てた。
原子力発電の高レベル放射性廃棄物を地下深くに埋めて処分する方法を考える施設。深く穴を掘って、その影響を調べるだけで、放射性廃棄物は入れない。将来、放射性廃棄物の処分場にするわけでもない。
そんな約束があることは、早瀬さんも知っている。いつの間にか周囲の反対の声は小さくなり、看板は風雨で汚れてしまった。それでも早瀬さんの気持ちは変わらないという。
「自分の代にどうかなることはないが、子どもや孫ら若い人に少しでも原子力発電の恐ろしさを知ってもらいたいから」
同じ気持ちを抱くのは、地元の市民団体の市川千年(ちとし)さん(63)だ。団体名は「埋めてはいけない!」。
静かな街に波風を立ててはいけない、過激だと言われたこともあるけれど、3・11以来、近所の人に声を掛けられることが増えた。「原子力はやめないかんね」
ただ、この施設があるため、瑞浪市は国から「電源立地地域対策交付金」をもらっている。原発そのものがある市町村と同じ趣旨の金だ。本年度は五億二千六百万円。
既に高レベル放射性廃棄物をたくさん生み出してしまった以上、どこかで処分の方法を確立しなければならないのも事実。
瑞浪市企画政策課は「われわれの世代で処分の道筋を示さなくてはならないとの考えから、施設を受け入れている。それ以上のものを受け入れるつもりはない」と理解を求めている。(畑間香織)
◆4市2町に億単位の交付金
民主党政権は二〇三〇年代に原発稼働ゼロを目指すと表明したが、課題の一つである使用済み核燃料の処分はめどが立っていない。
特に難しい高レベル放射性廃棄物は、今のところ深さ三百メートルよりも下の地層に埋めるほか現実的な選択肢がないとされる。瑞浪市にある研究所は、その方策を探る施設だ。
日本原子力研究開発機構(旧動燃)が二〇〇二年に開設し、既に地下五百メートルまで掘削。研究者など七十人が、地下水や岩盤への影響を調べている。
旧動燃と県などは一九九五年、この施設内に放射性廃棄物を持ち込まず、処分場にもしないとの協定を交わしている。
一方、瑞浪市が受けている電源立地地域対策交付金は、周辺の土岐、恵那、可児、御嵩、八百津の三市二町も受給。施設の開設以来、年間に総額十三億〜二十億円の財源となっている。(佐久間博康)
50
:
チバQ
:2012/12/02(日) 13:18:24
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/gifu/CK2012120102000268.html
<論点の現場から>(5) 格差社会
新たな職探しのため求人票を見る男性=岐阜市内で
昼休みの事務所で一人、自宅から持ってきた食パンをかじる。レタスを一枚だけのせ、味付けは塩とこしょう。岐阜市の男性(48)が毎日の昼食代を百円以内に切り詰め、間もなく四年になる。
二〇〇九年の正月。十年間近く勤めた工作機械の工場が大手に吸収された。地元の工業高校卒。設計技術者としての腕を買われて役員にまでなった職場を、突然失った。
一千万円を超えるローンで一戸建てを新築してから、まだ二年だった。うつを抱えた妻と、アトピーを患う育ち盛りの息子二人を養わねば。気持ちは焦るが、正社員の職は見つからない。
一年後、金融関係の職場にもぐり込んだ。いわゆる非正規雇用の契約社員。しばしば顧客の罵声を浴びる窓口仕事。月の手取りは元の四分の一、十万円余まで下がった。
生命保険とテレビ、新聞は諦めた。携帯電話さえも手放した。それでも、息子のためにアトピー対策を施した自宅は譲れない。病院代も削れない。差し引くと、月五万円で光熱費と食費を賄う必要がある。
「命懸けで節約すれば、ただ生きていくことだけはできる」
実は、夕食も朝食も百円以内だ。一斤七十八円の食パンを五枚切りに。一玉十八円のうどんや一個二十円のコロッケをスーパーで手に入れる。息子たちには時々、カレーライスやハンバーグを作るけれど、自分は食べない。
あと三カ月で、現在の勤め先との契約も切れてしまう。「他人の富を食いつぶす側になれなかった。自分の力不足」。社会のせいにはしたくない、と考えている。
(中野祐紀)
◆東海4県の非正規社員、35%に上昇
正社員並みに長時間働きながら、最低限の生活に必要な収入を得られないワーキングプア(働く貧困層)。おおむね年収二百万円以下とされ、生活保護の予備軍でもある。
「契約社員や派遣社員などの非正規雇用と切り離せない問題」とみるのは、岐阜経済大の木村隆之教授(労働経済論)。「医師などよほどの専門職でない限り、非正規での二百万円越えは無理」
総務省の「労働力調査」によると、岐阜、愛知、三重、静岡の東海四県の労働者のうち、非正規の占める割合は35%。この十年間で6ポイント上がった。
背景には、「企業の国際競争力強化」を掛け声に自民党の小泉内閣(〇一〜〇六年)などが進めた雇用の規制緩和がある。政権を継いだ民主党も解決策を示せなかった。
この数値と呼応するように、県内の生活保護受給世帯も十年間で倍増。昨年度は八千七百世帯を超えた。このままだと社会保障費が膨らみ、納税者の負担はさらに重くなる。
=おわり
51
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:32:44
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121130-00000213-mailo-l18
幸せですか?:日本の岐路’12衆院選/上 農業政策 /福井
毎日新聞 11月30日(金)15時23分配信
◇家族養えるか不安 「食守る理念感じない」
. 午前7時半。そばの実を選別する作業場は肌寒かった。選別機が騒々しく動き、小石やくずが取り除かれたそばの実が紙袋に納められていく。あわら市赤尾の農家、長谷川太佑さん(33)は国の減反政策に従い、約15ヘクタールの農地でそばを栽培。10アール当たり2万円の補助金を受けている。
「国は農業に対してどういう政策をとるつもりなのか。先が見えない不安があります」
妻(31)、長男(4)、次男(3)との4人暮らし。5年前まで大阪で建築資材会社に勤務していたが、農業を営む妻の両親に頼まれ、跡を継いだ。そばの他、約30ヘクタールの水田で米を栽培し、麦も手掛ける。就農に後悔はないが、会社員の方が安定していたと振り返ることもあるという。
米の価格は低下の一途をたどる。県水田農業経営課によると、93年のコシヒカリの入札価格は1俵2万3772円だったが、その後、相場は下落。長谷川さんが今年、卸売業者に卸した価格は1俵1万5000円前後だった。今後、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に日本が参加し、外国産の安い米が市場に出回った場合の懸念が募る。
「子どももこれから大きくなる。さらに米の相場が下がったら、家族を養っていけるか不安だ。TPPで農業が打撃を受けたら、国は何らかの対策をとってくれるのだろうか」
◇ ◇
「ただでさえ自由化が進んでいるのに、TPPに参加すれば日本の農家は完全に息の根を止められてしまう」。越前市杉尾町で水稲やほうれん草、トマトなどを栽培する平沢一広さん(50)は、先細る地域の農業を鑑み、訴える。
14年前、兼業農家から専業農家になった当時、農地は2ヘクタールだった。その後、高齢となった近所の農家から田んぼを託され、現在は10ヘクタールに。93年、米の輸入の一部自由化を機に、農協に卸していた米を直売に切り替えた。有機栽培など客のニーズに合わせて米を作り、品質や味をアピールして口コミで客を広げた。現在の顧客は約50人。市場に左右されないため、TPPに参加してもすぐには影響は出ないと考えている。しかし、「農業は1人ではできない。水路の清掃、水引きの準備……。ほかの農家がだめになったらうちも続けられなくなる」と心配する。
減反政策をはじめ、自民党の農業政策に疑問を感じていた。前回選挙で、民主党に期待して票を投じた。販売価格が生産費を下回った作物の差額を補償する農業者戸別所得補償制度はマニフェストの目玉だったが、後継者不足の解消など将来を見据えた政策と思えず、支持を得るためのばらまきのようにも映った。
「自国の食料をいかに守るか、という基本理念を政治家に感じない。『農業は大切だ』と口では言いながら、士農工商の時代と同じで、実質的な農家の地位は軽んじられたままなんですよ」。次の選挙では、誰に投票しようか決めかねている。【山衛守剛】
◇
来月4日公示される衆院選は、私たちの暮らしを振り返り、政治を考える大きな機会だ。この国はどこに向かっているのか。課題の現場を訪ねた。
11月30日朝刊
52
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:33:19
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121201-00000200-mailo-l18
幸せですか?:日本の岐路’12衆院選/中 原子力政策 /福井
毎日新聞 12月1日(土)15時58分配信
◇争点にしてほしい 地元「向き合うために」
「地元やもん。やっぱり気になるのは原子力政策。だから、とにかく、もの足らん」
美浜町竹波地区。集落を歩いていた70代女性に衆院選について尋ねると、吐き捨てるように言った。1キロほど先に、円柱の原子炉建屋が三つ見える。この日は、そのうちの一つ、関西電力美浜原発1号機が運転開始から42年を迎えた28日だった。集落に人通りはほとんどなく、さみしく感じた。
今回の選挙は、福島第1原発事故後初めての総選挙だ。脱原発を掲げる新党も相次いで設立され、都市部を中心に原発が大きな争点になっている。だが、全国最多14基の原発がある福井3区では状況が異なる。立候補予定者4人のうち、共産以外の民主、自民、維新の3人は、いずれも党方針から外れない範囲で最大限、当面の原発継続や必要性を訴える。他の地域に比べ、違いが見えにくい。
背景には、地域経済を原発に強く依存し、原子力関連の仕事に就く住民が多いことがある。原発に異を唱えると、選挙で票の獲得につながらない。
女性は、息子が原発関係の仕事をしており、「地域のために原発は必要ではないか」と考えている。だが、福島の事故を見て、すぐ目の前の原発が怖いと感じているのも事実だ。思いが複雑だからこそ、「候補者には原発のこれからについて、しっかり議論をぶつけてほしい」と願っている。
滋賀県の嘉田由紀子知事が27日夕、「卒原発」を掲げる「日本未来の党」の結成を発表した。だが、同地区で家族と共に民宿を営む50代女性の反応は冷ややかだ。
「あの人たちの目線は、票の多い都市部にだけ向いていて、一番原発に近くて危険なこっちには向いていない。私たちの生活なんて関係ないんでしょう。だから興味ない」
◇ ◇
幼い子どもを持つ母親たちは特に、福島の事故をきっかけに原発について考えるようになった。3歳の息子を持つ敦賀市内の女性(33)は事故後、子どもへの放射線の影響を恐れ、テレビを一日中つけたままにし、ミネラルウオーターを買いため、いつでも避難できるように備えた。
しかし、時間とともに事故への恐怖は薄れた。さらに、夫が原発関連の仕事をしている友人たちの苦労が見えてきた。再稼働のめどがたたずに家計が苦しくなったり、夫が単身赴任したりしている。「ない方がいいけど、地域にとってすぐにはやめられないのではないか」と思っている。
付き合いのある人の多くが原発と関わり、地元で「原発のこれから」を話題にするのはためらわれる。だけど、本来は原発の近くに住む自分たちこそ、原発に向き合わないといけないと考えている。「選挙は意思を示すいい機会。原発が争点にならないとしたら、寂しい」と話した。【柳楽未来】
12月1日朝刊
53
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:33:39
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121202-00000246-mailo-l18
幸せですか?:日本の岐路’12衆院選/下 社会保障 /福井
毎日新聞 12月2日(日)15時55分配信
◇一体改革「搾取だけ」 ニーズくみ上げ定着を
鯖江市に住む女性(61)の義母(84)が、家族6人分の茶わんをテーブルに並べ始めた。午前10時ごろ。いつもの光景。だが、今は3人暮らしだ。義母は認知症を患い、6人がそろっていた過去を生きる。約2年半前にがんで他界した自分の夫の部屋へ向かい、話しかけた。「おじちゃん、ご飯食べよ」
女性は義母、夫(64)と暮らす。2人の子どもは既に独立した。7年前に義母が認知症を発症。面倒をみていた義父が亡くなり、女性は9年間勤めた会社を辞めた。
要支援2で症状は比較的軽いが、アイスクリームに肉や野菜を混ぜて「料理」をしたり、水を出しっぱなしにしたりする。目を離すと何をするか分からず、ガスコンロはロックしている。症状が悪化したら介護施設に入ってもらうしかない。女性自身もぜんそくの持病があり、将来の家計に対する不安が頭を離れない。
一家の月収は、夫が定年後に始めたごみ焼却の仕事で得る10万円足らずの給料と、夫婦2人の年金計8万円と、義母の年金9万円。今は夫に仕事があり生活に困るほどではないが、「年金だけになったら、金銭的に介護はきつい。自分たちの老後もある」。政府が社会保障の安定財源の確保をうたい文句に政策の要として掲げた「税と社会保障の一体改革」では、消費税率の引き上げだけが正式に決まった。しかし「税金は本当に正しく使われるのだろうか」と疑問に思う。社会保障の具体策は見えず、搾り取られる感覚だけが残る。
◇ ◇
高齢者や障がい者の生活支援を続けるNPO法人「ひなたぼっこ」は、01年から越前市粟田部町で地域密着型の在宅福祉サービスを提供している。有償ボランティアが、安否確認を兼ねた配食サービスを行い、体が不自由な人の自宅に出向いて部屋の掃除や草取りなどの簡単な仕事を請け負う。
理事長の松村芙美子さん(67)は元今立町(現越前市)職員で、介護保険室長も務めた。自身も認知症の義母を介護した経験がある。当時、退職も考えたが、近所の人たちが義母の様子を見に家に来てくれたり、徘徊(はいかい)している義母を送り届けてくれたりしたため、辞めずに済んだ。地元密着型のNPOを設立したのは、地域で支え合う大切さを実感したからだ。
昨年から、独立行政法人・福祉医療機構から受けている助成金を、ボランティアの人件費に使えるようになった。「福祉は『思い』だけではできない。有償ボランティアに国が目を向けるようになったことは評価できる」。ただ、国の支援は申請主義で、もっと社会のニーズをくみ上げてほしいとも思う。「国は市民の自主的な活動に甘えるのではなく、本当に必要なサービスが何かを考え制度として定着させる義務があるのではないでしょうか」【山衛守剛】
12月2日朝刊
54
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:34:31
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/nagano/CK2012112802000260.html
<選択の時>(1) TPP
収穫が終わった田を見つめる金盛さん。TPPによる農業への悪影響を心配する農家は多い=安曇野市で
すべての関税の原則撤廃を目指す環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加を前進させるのか否か−。今回の衆院選で大きな争点となりそうな政策課題の一つだ。参加国間で関税がなくなれば、海外への販路拡大を描く製造業には有利に働く。一方、海外の安価な農畜産物が大量に国内へ流入することが予想され、農家には強い不安が広がる。
精密加工産業の集積地として、かつては「東洋のスイス」と称された諏訪地域。自動車部品を製造する「小松精機工作所」(諏訪市)の小松誠社長(68)は「国内需要だけに頼っていては仕事はなくなる。グローバル化は当たり前で、TPP推進は歓迎すべき話だ」と受け止める。
小松精機工作所はエンジンに使う燃料噴射装置の部品などを米国や韓国、ブラジルなどへ月に百五十万個輸出する。関税を負担するのは現地の取引先だ。「取引先にしてみれば購入原価は安い方がいい。もし、人件費が安い地域で同じ製品を作られたら不利になる」と、TPPに乗り遅れることを心配する。
輸出産業はただでさえ歴史的な円高の影響を受け、コスト削減圧力にさらされている。小松社長は「常に技術革新をして、自社製品の強みを維持していく必要がある。競争力があるものを作らないと生き残れない」と先を見据えている。
長野県のもう一つの顔は、国内有数の農業県ということだ。
「外国米が安く国内に入ってくれば、私たちは働いても収入がなくなってしまう。多くの人が農家をやめざるを得なくなるだろう」。安曇野市穂高有明の富田地区の農家十九軒でつくる農事組合法人「富田生産組合」組合長の金盛啓展さん(75)は、危機感を募らせる。
所有する八十ヘクタールの田のうち五十ヘクタールでコメを育てる。年間平均の収穫量は三百トンと、市内では大規模な部類に入る。高価な農機具を複数農家が共有するなど効率化を進めているが、現状でも経営は厳しい。
田を所有する農家の家族たちだけで農作業をして人件費を浮かし、麦や大豆などに転作して国から支払われる年三千万円の補助金を加え、ようやく利益が出る状況だ。
食生活の多様化による消費者のコメ離れなどで、コメの出荷価格は、一俵(六十キロ)が二万円あった昭和四十年代〜六十年代の最盛期に比べ、ほぼ半分の一万円程度になった。
コメに課されている778%の関税がなくなれば、輸入米の価格は下落し、さらなる値下がりは避けられない。たとえ国の所得補償があっても、いつまで続けられるかは分からない。農家の間には補助金頼みの農業への疑問もある。
「国は農家に損はさせないと言うが、果たしてどうなるのか」。グローバル化の進展という世界経済の大きなうねりを前に、金盛さんの不安は大きい。
◇
日本の「明日」を選択する時が迫っている。経済状況が好転しない中、TPPが迫る「新たな開国」や、社会保障制度の持続的安定をうたう消費税増税には賛否両論が渦巻き、東日本大震災を契機としたエネルギー問題や防災対策は、私たちの暮らしと安全に直結する。課題山積の中で十二月四日公示、十六日投開票となる衆院選を前に、当事者たちの生の声に耳を傾ける。
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チバQ
:2012/12/02(日) 17:34:54
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/nagano/CK2012112902000252.html
<選択の時>(2) 消費増税
10%の消費税を想定して大沢屋が作った価格を二重表示するチラシのサンプル=長野市内で
消費税増税を柱とする「社会保障と税の一体改革関連法案」が八月十日に成立し、税率が現行5%の消費税は、二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%に引き上げられる。社会保障費の自然増が年間一兆円を超える今、持続可能な社会保障制度の構築は急務だ。しかし、消費税は低所得者ほど負担が重くなる「逆進性」があり、増税は生活困窮者の家計を直撃する。小売業者も、客離れを心配する。
「消費税が上がったら、食費を抑えないとね」
六十五歳以上の高齢者人口比率が37・7%(十月一日現在)と、県内の町では阿南町に次いで二番目に高い南木曽町。自宅でダイコンを漬けていた七十代女性は、作業の手を休めて話した。
四歳年上の夫と二人暮らしで、合計の年金受給額は年間約二百五十万円。「どうしても月二十万円余りはかかる。ギリギリです」。知り合いの葬儀で、香典を出す時は貯金を取り崩す。
この冬は寒さが厳しいとの長期予報を聞き、暖房の灯油代がかさむのが心配だ。隣の岐阜県中津川市内も含めて安い店を選ぼうと思うが、運搬に使うガソリン代も気になる。
「消費税増税は社会保障のためというのも分からなくはないが、議員や役所の経費で節約できるところがあると思う。何とかならんのでしょうか」とこぼす。
消費税が上がって苦しむのは商品を買う側だけではない。
「店に並ぶ商品の値段に、消費税分は転嫁できていないのが現状です」。諏訪市や岡谷市で生鮮食品店三店舗を運営する「大沢屋」(長野市)社長の坂口政広さん(40)は明かす。
売り上げの半分を占める卸売業は取引先に消費税分を請求できるが、激しい価格競争にさらされている消費者相手の小売りはそうはいかない。「他店がチラシに打ってくる値段の、さらにその下をくぐらないと」
一円でも安く売ろうとすれば、消費税分は上乗せできない。〇四年に税込み価格の店頭表示が義務付けられてからは、税金分の価格転嫁はさらに難しくなった。消費税が8%になると、非常に厳しい。
外注していたチラシを自前で作ったり、カラー印刷をモノクロにしたりする必死の経費節減を続けている。お客に値上げを理解してもらうため、本体価格と税込み価格を併記する「二重表示」の導入も検討する。値段を上げたのは国策だから仕方ないと、消費者にアピールする。「精いっぱいの抵抗だ」
消費者と国にはさまれ、苦悩する小売りの現場。政府は消費増税の増収分を社会保障制度の安定や充実のためだけに使うと繰り返す。しかし、所得税などを増税して財源に充てた東日本大震災の復興予算では、復興と無関係な事業へ流用された実態が明らかとなった。大規模な公共事業を復活させようという動きも見え隠れする。税の使い方に、有権者の不信は高まる。
坂口さんは「せめて税金は、真面目に使ってほしい」と願う。
56
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:35:11
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/nagano/CK2012113002000242.html
<選択の時>(3) 貧困と教育
ながのパーソナル・サポートセンターの面接ブース。生活に困った人たちの相談が後を絶たない=長野市で
民主党政権は二〇〇九年の前回衆院選時に示したマニフェストで、高校授業料無償化や子ども手当創設といった、次世代育成に光を当てる政策を打ち出した。中でも授業料無償化はマニフェストの中でほぼ完全に実現した政策の一つで、経済的理由による高校中退者減少には一定の効果があったとされる。
ただ、経済的支援だけでは手が届かない問題も深刻化している。貧困から子どもの教育に関心を持たない親の存在だ。こうした親のもとで育った子どもは成人後に社会へ十分に適応できず、貧困の連鎖に陥りがちだ。連鎖を断ち切るため、教育のあり方が問われている。
不登校となっていた中学二年の少女に、松本市の元学校講師太田幸子さん(39)は、寂しげな印象を受けた。
少女は母親と二人暮らしで、生活保護を受けている。母親は夜に働くため昼間は寝ていて、娘が学校に行かなくても気にしない。
太田さんは、生活保護世帯の子どもの教育をサポートする支援員でもある。松本市が二年前から始めた事業で、市からの連絡を受けて少女の自宅を訪ねた。
学校に行かせるよう母親を説得しても、心配する様子はない。少女に諭しても「はいはい」と、気のない返事が戻ってくるだけだった。
それでも粘り強く訪問を重ねるうちに、ぽつりぽつりと言葉を交わすように。やがて「学校の勉強が分からない」と気持ちを打ち明けるようになった。
太田さんは学校と相談し、少女の理解度に合わせた学習計画を立てると、少女は学校に通うようになった。
文部科学省によると、県内で二〇一一年度に生活保護を受けている世帯の高校進学率は91・4%と、全県平均よりも7・3ポイント低い。高等教育を受けなかった経済的に恵まれない家庭の子どもは、社会的な自立を果たせないまま自らが親となり、次世代に貧困が連鎖しかねない。
昨年六月に支援員になった太田さんは、現状に「ちゃんと働こうとしない子どもが増えてしまうのでは」と、やるせなさを感じている。
「貧困予備軍」とも言える新たな層も生まれつつある。
長野市中心部に事務所を構える「ながのパーソナル・サポートセンター」は、失業や多重債務などの問題を抱える人の自立を助けるため、昨年から活動を始めた。
当初想定していたのは中高年の失業者だったが、実際に相談に訪れた千三百人の四割は二、三十代の若者。その大半は引きこもりやニートといった就労経験がない人たちで、センター長の美谷島越子さん(62)は「若い人がこんなに多いとは思わなかった」と驚く。
多くは親頼みで暮らしており、親が老いて働けなくなっても、就労経験がないか、あってもわずかなため自力で生活する術を知らない。センターのスタッフが奔走して就職先を見つけても、すぐに辞めてしまう人も少なくない。
「小中学生のころから、働くことの必要性をもっと教える必要があるのでは」。美谷島さんはそう考えるが、確かな処方箋は見いだせないでいる。
57
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:35:25
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/nagano/CK2012120102000239.html
<選択の時>(4) 防災
県北部を襲った震度6強の地震で大きな被害が出た栄村(2011年3月12日撮影)
東日本大震災の翌日、栄村を襲った震度6強の県北部地震。住居を失った人のための村営住宅が、国の支援を受けて十一月に相次いで完成した。財政基盤が弱い地方は、復興に国の支えがどうしても必要だ。頻繁に自然災害に見舞われている県内は、広い地域でなお危険性が指摘される。防災や減災は古くて新しい課題と言える。
真新しい村営住宅に、家具や家電製品が次々と運ばれていく。独り暮らしの桜沢名代子さん(77)も、一年半過ごした村内の仮設住宅を後にして入居した。「地震の後は皆さんのおかげでやって来られた」と、家具や日用品の整理に追われた。
村営住宅の建設費は、三十一戸で六億八千九百万円。大半を国の交付金でまかなう。いったん大規模な災害が起きれば、自治体単独の対応には限界がある。前年度に国は村の災害復興に十四億円を費やした。震災前の村の一般会計予算は二十数億円なので、大きな投資だ。
「どこにも行かないで、住み慣れた村で暮らしたい」。そう話す桜沢さんの願いに応えるには、国の支援は欠かせない。
発生が想定される災害に、どう備えるかも問われている。
「地区全体が埋まってもおかしくない」。飯田市南信濃地区で燃油店を営む五十代男性は、十月に国土交通省が発表した「深層崩壊」の発生危険地点を見て、危機感を覚えた。深層崩壊は、山の斜面が地下深くの岩盤から崩れ落ちる現象。大量の土石流がふもとの集落を襲えば、大きな被害を起こす。
伊那谷は、南信濃地区の大部分を含む計百二十九カ所が危険地点と指摘された。燃油店の背後にも山がそびえる。男性は「いつ『山津波』が来るか分からない」と不安を抱える。
広い中山間地を抱える県内では、過去に大規模な土砂災害が多く発生している。〇六年七月に県内を襲った豪雨は、岡谷市で土石流のために八人が死亡した。
「私たちは、山の整備を怠ってきたツケを残していたと思わなくてはいけない」
被害が集中した岡谷市花岡区で、陣頭指揮を執った前区長の小口●明さん(68)は、山の荒廃が被害を大きくしたと考えている。
間伐されずに荒れた山は保水力を失い、大雨が降れば簡単に土砂崩れを起こす。〇六年の豪雨では、花岡区の近くの西山と呼ばれる山地で土石流が発生した。
土砂をせき止めるため、県は一〇年度までに諏訪地域の渓流で三十基のえん堤を建設したが、山を荒廃からよみがえらせるには、何をするべきなのかという根本的な課題は残る。
小口さんは「誰かが山を整備してくれるだろうではだめだ。住民が手を取り合って間伐や植樹、下草刈りをしないと」と話す。
今年一月、山を手入れする「西山里山の会」を設立した。区民五十四人が山を巡回し、危険な場所を見つけた際は行政に連絡して、自分たちも間伐をする。
「砂防事業などは国や県が進め、住民も山を整備し、それを自治体が支援する。そんな仕組みづくりができればいい」。行政と住民の役割分担が、防災につながると信じている。
【注】●は、サンズイに「広」の旧字
58
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:35:37
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/nagano/CK2012120202000217.html
<選択の時>(5) 再生可能エネルギー
園舎の屋根に取り付けられたソーラーパネル=飯田市の鼎みつば保育園で
電力をはじめとするエネルギーは、産業と暮らしを支えるために欠かせない存在だ。しかし、ひとたび事故を起こせば制御不能に陥り、国土すら失いかねない原発へ依存する危うさを、多くの人が東京電力福島第一原発の事故で思い知ることになった。衆院選でもエネルギー政策は重要な争点となる。県内では、豊かな自然環境を活用しようと、再生可能エネルギーを普及させる試みが始まっている。
飯田市の「鼎(かなえ)みつば保育園」は二〇〇五年に、屋根へ太陽光発電パネルを設置した。一日平均の発電量は三十キロワット時。日照条件が良い時は、園内の電気すべてを自足できるという。
保育園の初期投資はゼロだ。市内の民間企業「おひさま進歩エネルギー」が提供するファンドを利用し、設置に賛同する市民や地元企業が出資する。余った電気は中部電力へ売り、得た収入を出資者への配当に充てている。
ファンド方式は、同社の原亮弘社長(63)が「再生可能エネルギーに注目を集めよう」と〇五年に全国で初めて事業化した。
当初は認知度が低く、営業先で相手にされないことも多かったが、東日本大震災以降に風向きが変わった。月に一、二回程度だった環境団体の視察は三倍に増加。新たな出資を募ると、あっという間に資金が集まった。
飯田下伊那地域には現在、このような事業を利用して太陽光発電パネルを設置した施設が約二百二十カ所ある。原社長は「もっと多くの人に参入してほしい」と訴える。
小規模な水路を利用する小水力発電も、水資源に恵まれた信州では高い可能性を秘めている。
研究に取り組む信州大の池田敏彦名誉教授(66)は「県内の水力発電の潜在力は、県内世帯が使う電力の二倍以上という国の調査結果もある」と意気軒高だ。
既に県内を中心に十三カ所で実用化したが、普及には行政によるさまざまな規制が壁だ。河川の利用には、国や都道府県などの許可が必要で、目的や使用水量、工事計画など多岐にわたる書類を提出しなければならない。水利権を所有者の同意も必要で、計画から発電開始まで数年はかかることもざらだ。池田氏は「法的な面で緩和が必要」と訴える。
再生可能エネルギーが注目を集めるのは、発電した全量を一定期間、固定価格で電力会社が買い取る「固定価格買い取り制度」が今年七月に導入されたことが大きい。
買い取り価格案をまとめた国の有識者会議で委員長を務めた植田和弘・京大院教授は「再生可能エネルギーによる発電は、まだ全体の1%。早急な普及には高めの価格が必要だ」と説明する。
ただ、買い取り費用を電気料金へ上乗せされ、最終的には利用者が負担するため、企業の費用や家計を圧迫する恐れもある。価格は定期的に見直すため、買い取り価格が下がれば再生可能エネルギーへの期待はしぼむ可能性もある。
再生可能エネルギー先進国のスペインでは、経済危機のため今年一月、新規買い取りを凍結した。バラ色の未来ばかりとは言い切れず、普及の可否は今後の政策と技術革新がカギとなる。
原社長は「再生可能エネルギーのあり方の転換点になる」と、今回の衆院選を見守っている。
=終わり
59
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:38:31
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hiroshima/news/20121129-OYT8T01515.htm
[衆院選]争点の現場から<上>消費増税
商店街を歩く親子連れ。少子高齢化が進む中、社会保障のビジョンが問われている(29日午後、広島市中区で)=浜井孝幸撮影 広島市中区の大型スーパー。夕飯の買い物に訪れた主婦(70)は、野菜や果物などの値段を一つ一つ確かめながらカゴに入れた。
同区で1人暮らし。収入は年金が頼りだが、夫の死後、その額は「1か月で片手ほど」に減った。老後の医療費を残すため食費や生活必需品にかけるお金は毎月2万円まで、と決めている。「それを超えたら子供にごちそうになるの。『扶養家族だね』って冗談を言うこともある」
だから、消費増税を柱とした社会保障・税一体改革には不安を覚える。「高齢者はみんな裕福と思われるのがつらい。生活を切りつめなければ……」
一体改革の目的は、国の財政が悪化する中、子育てや年金、医療、介護などの財源を確保することにある。衆院選では、持続可能な社会保障の将来像と財政再建の道筋をどう描くかが争点となる。
一方で、家計への影響を試算した大和総研によると、2016年の実質可処分所得(40歳以上、片働き4人世帯)は、11年時点と比較して、年収300万円で25万円減、年収800万円で43万円減となる見通しだ。
同市の会社員の夫と小学6年の長男の3人暮らしという主婦(44)は「子供の将来のために使われるなら」と理解を示す。
生活に余裕はなく、増税されれば外食などのぜいたくは控えるつもりだ。今のうちにアルバイトも探そうと、先週も本屋の面接を受けたが、年齢のためか不採用となった。「これだけ耐えているのだから、年金制度は守ってほしい」と語気を強める。
ベビーカーの長男(2)とスーパーを訪れた主婦(29)は「本当に社会保障に使われるかどうか分からない」と政治への不信感をあらわにする。
同市中心部のマンションで夫と3人暮らし。消費税が上がる前に環境の良い場所に一戸建てを買い、マンションは他人に貸して家賃収入を得るつもりだ。「自分や子供の資産は自分で守らなければ」
消費増税の影響は、街の経済を支える中小の商店や企業にも及ぶ。
福山市船町の商店街で婦人服裏地・ボタン専門店を営む細川惇(まこと)さん(75)は「消費税が上がると、商品の仕入れ値も上がる。販売価格に上乗せするしかない」とこぼす。
夫婦で店を開いて47年になる。世代を超えて通ってくれる常連客の顔を思い浮かべると、今以上の税率アップは苦しい。「でも、国が本当にそれで良くなるのなら」と細川さんはつぶやいた。
[社会保障・税一体改革] 民主、自民、公明3党などの賛成で8月に関連法が成立。消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる内容で、消費税収(国分)は全額、社会保障に充てられる。
◇
12月4日公示、16日投開票の衆院選を前に、争点の現場で声を聞いた。
(2012年11月30日 読売新聞)
60
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:38:51
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hiroshima/news/20121130-OYT8T01335.htm
[衆院選]争点の現場から<中> 円高であえぐ製造業
シャープの離職者を対象にしたハローワーク福山の相談窓口(福山市東桜町で) 「これだけの円高でも利益の出る車です」
東京・銀座。マツダが先月20日に開いた中型車「新型アテンザ」の発表会で、山内孝社長は報道陣の前で胸を張った。
県内は古くから製造業が盛んで、なかでも自動車関連産業は、県内最多の出荷額や従業者数を誇る基幹産業だ。だが、その中核に位置するマツダは2012年3月期連結決算で、税引き後利益が4年連続の赤字に陥った。
原因は、円高によるところが大きい。国内生産比率が約7割と自動車メーカーでは突出して高く、対ドルで1円の円高になると、本業のもうけを示す営業利益は35億円も目減りする。
こうした状況下で発表されたアテンザは、国内の工場で生産するが、コスト構造の見直しや生産体制の効率化を徹底した“円高対応車”だ。
「地方の経済や雇用は守るとの思いで革新活動を続けてきた」と山内社長は強調する。が、その努力にも限界がある。
14年初めにはメキシコで新工場を稼働させるなど海外生産を拡充する方針を決めており、県内の部品メーカーの経営にも少なからず影響を与えそうだ。
国際競争が激しさを増す中、円高対策にどんな手を打つかも衆院選の大きな争点の一つだ。
円高は、雇用にも影を落としつつある。
マツダの発表と同じ日、経営再建中のシャープの工場を抱える福山、三原、東広島の3市のハローワークは、早期希望退職に応じた計519人のための特別相談窓口を設置した。
しかし、製造業はどの企業も採用を絞る。「高い技術だけでは難しい。再就職のためには給与などで妥協をお願いしなくては」とハローワーク担当者。求職者の中には、介護など異業種への再就職を考える人も出ているという。
シャープの経営問題の行方は今後、波紋を広げる恐れがある。
帝国データバンク広島支店によると、県内のシャープの下請けは280社に上る。安倍史朗・情報部長は「事業の選択と集中や、取引先の選別が始まる可能性がある」と懸念する。
県内にある大手半導体メーカーに勤務する男性(45)は「いくら企業が努力しても、この円高では全てが水の泡だ」とため息をつく。
多額の住宅ローンを抱えるが、この1年間、給与はカットされ、ボーナスも出ていない。「せめて韓国などのライバル社と競争できる水準に戻してほしい。このままでは会社も社員も生きていけない」
[製造業]県内では自動車、電機、鉄鋼などの生産拠点が集積しており、県内総生産に製造業が占める割合は最多の23・1%。経営環境が厳しさを増す自動車メーカー各社は政府に、自動車取得税(地方税)と自動車重量税(国税)の廃止を求めており、湯崎知事ら8県の知事は10月、これに同調する緊急声明を出した。
(2012年12月1日 読売新聞)
61
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:39:09
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hiroshima/news/20121201-OYT8T01059.htm
[衆院選]争点の現場から<下> TPP 農産地戦々恐々
レモンの生育具合を確かめる神川さん(尾道市瀬戸田町の高根島で) 瀬戸内海からの寒風が吹きつける尾道市瀬戸田町・高根島のレモン畑。神川清さん(66)は急斜面に立つ約50本の木々の具合を確かめていた。
ミカン農家だった父から継いだ畑でレモンの栽培を始めて約30年。今では収穫量は4トンを超える年もあるが、この2年は寒波で1トンを切った。「自然相手だから仕方ない」と話すが、今冬は、もう一つ心配事が増えた。環太平洋経済連携協定(TPP)の問題だ。「レモンの品質には自信があるが、これから何が起きるのか……」と表情を曇らせる。
野田首相が交渉参加に向けた協議入りを表明し、衆院選でも争点に浮上したTPP。県内の農業関係者からは、交渉参加への反対意見が相次ぐ。
JA広島中央会は11月20日、広島市内で開いた定期大会でTPP交渉参加に反対する特別決議を採択した。中央会は、TPP参加によって海外の安価な農作物が流入し、県内の農業総産出額の46%、約500億円が失われるとの試算を出した。
県内の農業従事者の平均年齢は70歳を超え、農地は、生産量日本一のレモンを含めて離島や山間部に集中する。同中央会の村上光雄会長は「我々はパンツ1枚になって震えている。それも脱げというのがTPPだ」と批判する。
一方で、日本の農水産物やその加工品は、食味や品質で世界的に高い評価を得るものも多い。県内からもかんきつ類やカキ、日本酒などが海外に輸出されている。
県も3月「農水産物輸出戦略プラン」を策定。香港や台湾、シンガポールを重点推進地域として、海外での販路開拓を促す。
国内屈指の酒所・東広島市西条。「賀茂泉酒造」は、米国や中国など11か国に日本酒を輸出しており、今後は東南アジアなどでの販売拡大を目指すが、高い関税がネックで進まない。
前垣寿男社長(66)は「TPPの交渉参加国がアジア諸国にも広がれば、商売のチャンスは広がる」とみる。
ただ、もろ手を挙げて賛成というわけではない。日本酒の原料は、言うまでもなくコメ。それも日本のコメでなければ世界に通用する日本酒は造れない、という揺るぎない信念がある。
TPPでアジアの活力を取り入れても、農家が倒れてしまえば元も子もない、と前垣社長は考える。公示まで2日に迫った衆院選で、各候補の訴えにじっくり耳を傾けるつもりだ。
[環太平洋経済連携協定(TPP)] アジア・太平洋地域で巨大な自由貿易圏を設ける狙いで、米国や豪州など11か国が交渉に参加。例外なき関税撤廃、知的財産の保護などのルールを作る。製造業やサービス産業は輸出増などが期待されることから、経済界は交渉参加を強く求めている。
(この連載は立花宏司、井戸田崇志、矢野彰、東直哉が担当しました)
(2012年12月2日 読売新聞)
62
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:40:19
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/okayama/feature/okayama1353937809861_02/news/20121126-OYT8T01448.htm
争論@衆院選
<1>農業とTPP
◇農産物輸出拡大に期待
宇治高原農園(高梁市)代表 牧野義広さん57
ここ数年、農業はどん底だ。高齢化、後継ぎ難だけではない。資材が高い。例えば、原油高でハウスに使うビニールの値も上がっている。段ボールの原料も輸入品なので船賃の分だけ上がる。でも、不況などのため、出荷価格は上がらない。これでは、産業として成り立たない。
この現状を打開する鍵は、輸出だろう。昨年、台湾の商社から「いくらで売ってくれるか」と電話がかかってきた。当園は1・6ヘクタールあり、ピオーネやシャインマスカット、瀬戸ジャイアンツなどブドウを栽培している。標高が300〜500メートルの冷涼な気候と良質な土を利用しており、甘みがあり質も高い。
関西や関東出身の30〜40歳代の男女6人を研修生として受け入れ、栽培技術などを教えているが、「将来、ブドウを輸出する」と意気込んでいる若者もいる。
環太平洋経済連携協定(TPP)は、何が有利で不利なのか分からない点が多い。ただ、国内の果物は外国産に比べて高い品質を誇っていて海外での人気もあり、農産物輸出の拡大につながると期待できる。
農業も製造業も産業という点では同じ。外国産に価格で勝てないと言う人がいるが、高くても安全でおいしい品なら買う人はいる。私たちは品物に自信があるから、堂々と高値で売っている。欧米の価格競争に付き合う必要はない。国は、生産者たちが海外に打って出るための経営指導や支援制度の情報発信を積極的に行ってほしい。
◇安価な米国米流入不安
たけもと自然農園(倉敷市)代表 武本章吾さん65
5ヘクタールで米とブロッコリー、ほうれん草などを栽培している。この10年は、うち1・2ヘクタールで日本農林規格(JAS)に基づく有機栽培にも取り組んでいる。しかし、周辺では高齢化が進み、コンバインなど1台200万円台はする高価な農機具の故障に伴って廃業する人もいるのが現状だ。
最近は重油なども高く、経費がかかる。その上、現在の米の出荷価格は農協を通じた一般米だと、60キロで約1万6000円。黒字を出すためには約2万円は必要だが、数年前は約1万2000円まで下がった。作るほど赤字になる。
こうした状況で、TPPへの参加は反対だ。詳細は分からないが、安価な米国産の米が大量に入ると思う。価格競争になれば大規模農業の米国に勝てず、農家はどんどん廃業するだろう。
私たちは今後の対策として、有機米のインターネット販売に乗り出した。60キロで3万円だが、「安全・安心」という面が受け入れられ、売れている。生産者は有機や、生産から加工品の企画・製造・販売までを行う6次産業化といった付加価値化を考えることが求められている。
一方で、国も補助金だけでなく、地産地消や6次産業化の支援など、地域に即した具体的な農業振興策をもっと示してほしい。
米は何千年も続く日本の主食。日本人の命を守る大本だ。食料問題は安全保障問題でもある。欧米が凶作の時どうするか。日本人の食は日本で賄えるようにしておくべきだ。
聞き手・竹上史朗
<TPP> 米国や豪州、カナダなど環太平洋の11か国が交渉している新しい経済連携の枠組み。工業製品や農産物にかかる関税撤廃などを通じ、域内のモノやサービスの流れを活性化する狙いがある。国内では製造業などが賛意を示す一方、農業団体などで反対論が根強い。
県内でも賛否が入り交じる中、石井正弘前知事が昨年11月の記者会見で、「参加する有用性の具体的説明がない。情報を国民に開示し、合意を得てほしい」と述べ、政府に注文を付けた。
(2012年11月27日 読売新聞)
63
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:40:42
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/okayama/feature/okayama1353937809861_02/news/20121127-OYT8T01453.htm
争論@衆院選
<2>日本経済と消費増税
◇社会保障の支えで必要
クレオフーガ取締役CTO(最高技術責任者)山口真央さん29
岡山大の中にある起業家育成施設に本社を構え、インターネットを活用した音楽クリエイターの発掘や、企業への楽曲提供などを手がけている。
2007年に設立した7人の小さな会社だが、自分たちが面白いと思うものを開発し、スピード感を持って実行に移せるのが強みだ。スマートフォンの広がりをビジネスチャンスととらえ、アプリで使われる曲や着信音、ゲームのBGMなどを制作する会員を募集した。会員は現在6000人を超え、企業による購入は年間500曲ある。
山口真央さん 消費者としては、確かに消費増税は痛い。私を含め、所得が少ない若い世代にとって負担が大きい。しかし、日本の財政状況を考えると、社会保障を支えるためにはどうしても必要だ。
また、経営者の立場でみると、消費増税が経営にマイナスになるとも思っていない。消費者は価値があるものに対してはお金を払うものだ。時代のニーズに合わせ、人々が欲しているもの、利用価値があるものを作っていれば、景気が悪くてもビジネスとして存続できるはずだ。
これまでも、日本の産業は新しいものを作り、時代を切り開いてきた。工夫次第で成長できる分野は、まだまだあると思う。国は既存の大企業を支えるだけでなく、中小企業や新興企業などに補助金を投入してほしい。すぐには結果は出ないかもしれないが、将来的に景気浮揚につながり、消費増税による消費の落ち込みも補っていけるのではないか。
◇買い控え小売り苦境に
岡山市表町商店街連盟理事長大開博之さん55
商売をやっている立場からすると、現状での消費増税には反対だ。デフレで値上げもできず、悪循環に陥っている非常に苦しい状況で、すでに身を削っているのが実情。さらに消費を減らすようなことはしてほしくない。増税後、消費者が買い控えをすることが予想される。中小の小売業はますます苦境に立たされるのではないか。
大開博之さん 10年前の表町商店街には約450店舗あったが、今は約360店舗。各店舗から集める組合費も、年間2300万円から750万円に減っている。人を多く呼び込むことで物が売れ、活気も出ることはわかっているのだが、予算が少ないので、集客イベントの規模も回数も限られてくる。
景気が上向かないと増税はしないというが、政府の景気対策はあてにならないし、国の商店街空き店舗対策は不十分で利用しづらい。資金力がなく、まとまった初期投資ができない個人はなかなか空き店舗に入ることが難しいので、家賃補助などの制度を充実させることを求めたい。
私たちも店舗ごとに特色を出し、お客さんと直接触れ合う商店街の良さを残すために知恵を絞るが、政府ももっと現場の声を聞いてほしい。
財源確保のために、いずれかの段階で増税が必要になるのはやむを得ないと覚悟している。ただ、増税ありきではなく、定数削減、議員報酬の減額など議員自らも身を切り、様々な歳出の無駄をなくした上で、社会保障費にだけ使われるという前提の話だ。
聞き手・末善悠太
<消費増税> 今年8月に成立した社会保障・税一体改革関連法に基づき、消費税は2014年4月に8%、15年10月に10%に段階的に引き上げられる。国は消費税率が5%上がると、国と地方に入る税収は年約13.5兆円増えると試算する。
ただし、景気が悪い場合は増税を見送ることができる「景気条項」もあり、11〜20年度の平均経済成長率の目標を名目で3%、物価の変動も考慮した実質で2%としている。このほか、所得に対して税負担が重くなる低所得者を対象に、8%に上がる時に現金を給付するとしている。
(2012年11月28日 読売新聞)
64
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:41:09
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/okayama/feature/okayama1353937809861_02/news/20121128-OYT8T01412.htm
争論@衆院選
<3>高齢者介護
◇認知症対策 定期健診を
認知症の人と家族の会県支部代表 妻井令三さん75
100歳の母が認知症で、この数年は病院に入院したままだ。徘徊(はいかい)などの症状が出たのは21年前。当時は独り暮らしで、岡山市のマンションに呼び寄せ、私、妻との3人暮らしが始まったが、専業主婦の妻は3か月で体調を崩した。母に怒りが込み上げ、叱りつけたこともあった。
支部は1998年、同じように認知症の親らがおり、苦しみを抱える人々が集まってつくった。現在の会員は約300人で、相談会や交流会などの活動をしている。
在宅で介護している会員が多いのだが、最近の大きな問題は、介護する側も高齢者である老々介護が多いことや、要介護者が限界集落などで独り暮らしをしているために行き届いた介護を受けることが難しいことだ。介護保険の運営主体は市町村のため、居住地域で介護サービスにばらつきが出る。こうした問題で地域格差が生まれないよう、国の支援が必要だ。
今後の認知症対策として、国に進めてほしいのが、高齢者対象の定期健康診断だ。早期に症状を発見すれば、進行を抑えることができる可能性がある。また、財政的にも、介護が必要になってからの経費よりかからないはずだ。
介護先進国・スウェーデンのグループホームを見学したことがある。高齢者が生活にまったく不安を抱いていないことに感心した。今の日本に、介護が必要になっても、老後を安心して暮らせる環境がどれほどあるかを国は考えてほしい。
◇個室基本の特養に疑問
県老人福祉施設協議会長 筒井恵子さん62
協議会は特別養護老人ホームや軽費老人ホーム、デイサービスセンターなど約400施設で構成し、私も岡山市南区の特養「愛光苑」の施設長として、音楽セラピーの指導にあたるなどしている。絵手紙や塗り絵など、入居者の楽しむ姿を見ることが生きがいだ。
県内に特養は約150施設ある。しかし、入居待機者は全県で約7000人、岡山市だけで約3000人もいる。施設は増えているが、待機者解消にはとても追いつかない。
特養の居室のあり方にも問題がある。国は約10年前、入居者のプライバシーを考慮し、特養を新設する場合は個室が基本という方針を出したが、入居者のためになっていない。個室の場合、毎月10万円以上の自己負担が必要なケースがある。これだけの額を支払える人がどれだけいるのか疑問だ。適切な介護を受けられない人が出てしまう。
国の方針以前から運営している愛光苑では、居室の約7割が2人部屋、4人部屋といった相部屋で、個室に入居するお年寄りから、「他の人と一緒に暮らせる相部屋に変わりたい」と要望されることが多い。国には多様な特養を認めるよう求めたい。
また、介護給付が増えない中、介護職員の給与など処遇も厳しい状況だ。過疎地の施設では、職員不足に悩むところも多い。各施設では、介護技術の研修などを通じ、職員に仕事のやりがいを持ってもらうなどの取り組みを続けており、国も効果のある処遇改善策を提示してほしい。
聞き手・辻田秀樹
<介護保険制度> 2000年4月にスタート。40歳以上の人が保険料を払い、原則65歳以上の人が介護を受ける。財源は保険料と税金で、市町村ごとに事務を行うため、居住地で保険料が異なる。
保険料は3年ごとに見直され、県内市町村の平均保険料は今年4月現在5224円で、全国平均(4972円)を上回っている。
保険料とともに、サービスの内容も見直されており、今年4月からは、看護師が24時間体制で駆けつけるなどの「定期巡回・随時対応訪問介護、看護サービス」が導入された。
(2012年11月29日 読売新聞)
65
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:41:35
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/okayama/feature/okayama1353937809861_02/news/20121129-OYT8T01524.htm
争論@衆院選
<4>少子化対策と子育て支援
◇働くママの地位上げて
手づくり表現ステージママステ (岡山市南区)代表 石川智美さん35
今年7月、子育て中の母親が手作りのインテリアや洋服を販売したり、主宰する料理教室などを紹介したりするインターネットサイトを始めた。5歳と2歳の女の子を育てている私自身も、オーダーメードで女性・子ども用の服を売っている。出品者は現在約20人で、「これまで仕事で培ってきた特技を生かして発信したい」という女性たちから問い合わせが相次いでいる。
以前はブランド服を扱うショップの店長をしていた。妊娠を機に、会社には融通の利くアルバイトとしての勤務を申請したが、難しいと言われて退職した。女性は、仕事を覚えて「これから」というところで結婚、出産が重なる。仕事を選び、子どもを諦めることを選択する女性もいる。これでは出生率の上昇は望めない。
母親同士で話をしていると、少子化の背景がよくわかる。一つは、子ども一人にお金をかけ、質の高い教育を受けさせたいという考えがあること。もう一つは、女性がキャリアを捨てられず、晩婚になることだ。
最近、あるテレビ番組で子育てママの積極採用に取り組む運送会社とテーマパークを紹介していた。翌日、母親仲間の話題はこれ一色。社会とのつながりを持ちながら子育てをしたいという女性は多い。
今後、高齢者を扶養する若い世代の負担が重くなるのに、働きたいと考えている人材を生かせないのはもったいない。再就職支援や起業助成、ベビーシッターへの補助金など子育てママの地位を上げる制度を望みたい。
◇認可外保育園も補助を
認可外保育施設チャイルド・スペース (岡山市北区)共同経営者 木村啓紀さん34
昨年9月まで、2歳から10歳まで4人の子どもを育てる「専業主夫」だった。妻(34)は看護師で、週数回、午後4時半から午前1時までの準夜勤や夜中から翌朝9時半までの夜勤で働いている。私も仕事をするために保育園を探したが、2、3か月待たされた末、入所できなかったり、見つかっても夜遅くまで預かってもらえなかった。
そこで昨年9月、認可外保育施設を友人と共同でつくった。登録者数は約100人で、1日平均約10人の生後半年〜小学5年の子どもを預かる。シングルマザーや共働きの家庭の利用が多い。私も妻が夜勤などのときは子ども4人を預ける。保育園や学童保育がフォローできない夜間中心の仕事をする親が多い。
利用料金は子ども一人で1時間400円。認可外のために公金補助がなく、ほとんど黒字は出ない。規模や資金の問題があり、現制度のままで私たちの施設が認可されることは困難。銀行からの資金調達もできず、自己資金でやりくりを続けるしかない。
しかし、「ここがなかったらとても共働きができなかった」と言った声を聞くと、施設を閉じるわけにもいかない。親たちは簡単に仕事を変えることもできない時代だから、子どもの中に鍵っ子が増えるなどし、結果として負担は子どもへと向かう。
子育て支援は将来への投資。認可制度の緩和は制度の悪用につながる危険性があるが、認可外でも実績に応じて補助する仕組みが必要だ。
聞き手・藤原慎也
<国の子育て支援> 1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」で、最低は2005年の1.26。11年には1.39と回復したが、1974年以降、人口維持に必要な「人口置換水準」(現在は2.07)を下回っている。
民主党の公約だった「子ども手当」(月額2万6000円)は、今年4月から「児童手当」(月額5000〜1万5000円)に戻り、支給の所得制限も復活。一方、民主、自民、公明の3党は、消費増税分を長時間保育が可能な「認定こども園」や保育所増設などに充てることで合意した。
おわり
66
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:42:42
http://www.chugoku-np.co.jp/senkyo/syuin/12/News/shimane/Ss201211280001.html
'12/11/28
高速道無料化 浜田道沿線、崩れた目算
▽1年間で中止、交通量元通り
前回衆院選で政権交代を成し遂げた民主党。マニフェスト(政権公約)に掲げた「高速道路無料化」は浜田自動車道など島根県内の一部区間で実現したが、東日本大震災の復興財源を確保するため、1年で打ち切られた。沿線の福祉施設や観光施設の運営にも影響が及んだ。
浜田市旭町本郷の介護老人保健施設「旭やすらぎの郷」は1998年の開所時から、通所者の送迎に浜田道を活用していた。通行料が無料だった2010年6月から1年間、毎月5万〜6万円の経費節減につながっていた。
「出費は痛い」
送迎車の利用者は1日当たり7、8人。約25キロ離れた市中心部までの一般道はカーブが多く、冬は積雪や凍結がある。このため、無料化打ち切り後も、浜田道を通って送迎する。同施設の松原芳樹・事務管理部長は「安全のための必要経費だが、無料化が続くと思っていたので出費は痛い」とこぼす。光熱水費など固定費の削減努力を続けている。
県によると、浜田道の無料化期間中の平均交通量は、1日当たり6900台。以前の3割増しになったが、有料に戻ると、交通量も従来並みの4600台に減った。
減少に歯止め
広島都市圏からの集客に力を入れる「しまね海洋館アクアス」(浜田、江津市)は、無料化のメリットを受けた。10年度の入館者数は約45万3千人で、減少傾向に歯止めがかかった。しかし、11年度は約37万4千人と、過去最低を更新した。
浜田道の金城スマートインターチェンジ(浜田市金城町)に近い乗馬施設「かなぎウエスタンライディングパーク」の入場者は10、11年度ともに2万人前後。過去の過剰な設備投資による経営悪化で、ことし3月、施設を運営する第三セクター「かなぎ」は解散に追い込まれた。
同社の瀬川幸義・元社長は「浜田や江津まで行く観光客は増えたが、途中の施設に寄る車は少なかった」とみる。無料化を好機ととらえたものの、継続的な地域振興につなげられなかった無念がにじむ。
【写真説明】浜田道を通行する送迎車に乗り込む通所者(旭やすらぎの郷)
67
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:42:58
http://www.chugoku-np.co.jp/senkyo/syuin/12/News/shimane/Ss201211300001.html
'12/11/30
人材供給源、大学も苦悩 県西部の医師不足 医師不足が深刻な島根県西部。益田赤十字病院(益田市)では昨年3月、3人いた産婦人科の常勤医師が1人に減った。3人態勢が復活した今春まで続いた分娩(ぶんべん)制限により、約60人の妊婦が遠くの病院に転院を強いられた。過酷な勤務環境の改善や、都市部に集中する医師の偏在解消への道は遠い。
午前6時40分、出雲市駅を出る特急列車で島根大医学部(出雲市)の宮崎康二教授は毎月1回、益田赤十字病院に向かう。
病院では妊婦に加え、婦人病の患者もひっきりなしに診察室に入る。「落ち着いて昼食も取れない」と宮崎教授。大学病院での仕事のため、午後2時32分に益田駅を出る特急列車に飛び乗った。
益田赤十字病院では昨春、鳥取大医学部出身の医師2人が引き揚げた。宮崎教授は「陣痛開始から1時間で出産できる環境の確保は、基本的人権」と支援を決意。常勤医師が3人になった今も、大学病院から毎月5日程度、医師が応援に入る。
地方病院への医師の供給源だった大学病院が今、人材不足にあえぐ。かつては20人を超えた島根大の産婦人科医局の人数は現在11人。宮崎教授が「国立大の産婦人科で最少では」と自嘲する。
医師減少のきっかけは、2004年からの新臨床研修制度だ。医学部卒業生が研修先を選べるようになり、症例の多い都会の病院に人気が集中した。毎年5人前後だった医師の入局が、新制度移行後は通算でわずか2人になった。
将来の地元勤務が条件の地域枠制度が入試に導入されるなど、医師不足への対応は徐々に進む。だが、衆院選を前にした社会保障論議は消費税増税に集中し、人的資源への投資は後回しになっている。
宮崎教授は「医師が一人前になるには入学から最低10年かかる。激務や訴訟リスクから敬遠される診療科ではその間、地域医療を支えられるだろうか」と憂う。
産婦人科医局は来春、3人の新人を迎える。海外の学会に派遣するなどして育てた「金の卵」だ。宮崎教授は「若い医師が夢を持てる臨床、研究、教育のレベルアップなくして、地方大学に医師は残らない。その努力の上で、危機にひんした地方病院に人材を回す仕組みを構築するべきだ」と力を込めた。(石川昌義)
68
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:43:22
http://www.chugoku-np.co.jp/senkyo/syuin/12/News/okayama/So201211250001.html
'12/11/25
公共交通網SOS 揺らぐ基盤に「対症療法」
福山市や笠岡市など広島、岡山両県の8市町で路線バスを運行していた井笠鉄道(笠岡市)の事業廃止から間もなく1カ月。関係市町は、中国バス(福山市)などに来年3月末までの代替運行を委託して急場をしのぐが、4月以降がどうなるかは未定だ。衆院解散により交通基本法案が廃案となる中、公共交通の窮状は待ったなしだ。
「日常生活に当たって(中略)交通手段の確保その他の必要な施策を講じる」―。そう交通の理念と施策の方向性を定めた基本法案が衆議院に提出されたのは、昨年3月。その後、法案を担当する国土交通相の問責決議など政局混乱の中、十分な審議はなされなかった。
▽不安な高齢者
中国バスの小嶋光信社長は憤る。「政治が機能していない。このままだと、交通のネットワークが消えてしまう」。中国地方で路線バスを運行する民間29社のうち、2012年3月期決算が赤字だったのは24社。8割以上を占める。衆院選に向けて事実上の選挙戦が繰り広げられる街で、市民生活を支える公共交通は薄氷の上を走る。
福山市東部の住宅団地に暮らす藤井トミ子さん(80)は、足の関節が痛むたび「歩けなくなったらどうしよう」と不安になる。
運転免許証はない。井笠鉄道の経営破綻で、近くの停留所に止まるバスは1日17・5往復から8往復に半減した。買い物などのため市中心部へ出掛けるのは、バスが頼り。歩いて15分かかる別の停留所も使うようになった。
笠岡市の岡山県営住宅に住む金政重晴さん(75)が使っていた停留所も、路線廃止でバスが止まらなくなった。
▽制度ほころび
福山市の担当者は「バスしか移動手段のない人の生活に配慮しなければいけない。でも、赤字を出さない効率的な運行も必要だ」とジレンマに悩む。民間路線の廃止や減便を検討する庄原市、民間に業務委託する方法を選んだ安芸高田市…。中山間地域を多く抱える中国地方の自治体の悩みは共通する。
井笠鉄道の経営破綻は、突発的なバス事業の廃止に対応できない国制度のほころびも浮き彫りにした。国は今月19日になって、貸し切りバスを対象外としていた補助金の交付要綱を改正。代替運行で貸し切りバス事業者扱いとなる中国バスへの補助を可能にした。
「今の対策は対症療法的」。米子高専の加藤博和准教授(交通論)はそう指摘する。「航路、ローカル鉄道を含む公共交通は農業、工業、商業の発展の基盤。その地域の基盤が揺らいでいる現状を、政治家は直視する必要がある」(武内宏介、谷本和久)
【写真説明】自宅近くのバス停留所で空白の目立つ時刻表を眺める藤井さん
69
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:43:39
http://www.chugoku-np.co.jp/senkyo/syuin/12/News/yamaguchi/Sy201211300001.html
'12/11/30
農事法人、将来に危機感 TPP、経済効果へ期待の声も 山々が紅葉で色づく晩秋の山口市阿東徳佐下の鍋倉地区。「一番の心配事は高齢化と環太平洋連携協定(TPP)です」。25日に公民館であった農事組合法人「なべくらの郷」の設立総会で、代表理事に就いた伊藤英毅さん(68)はつぶやいた。
組合員14人の同法人は稲作中心に16ヘクタールの水田を共同で維持管理する。来年は約200万円の田植え機も導入する予定で組合員の営農への意欲も高い。
だが、組合員は70歳代と60歳代が各5人いる。「高齢化が進み、後継者もいない。さらに外国産の安い米が流通すればここで農業が続けられるのか…」。伊藤さんは今回の衆院選の争点にも浮上するTPPの交渉参加問題に神経をとがらせる。
主食のコメは778%という高い関税率に守られている。山口県農林水産政策課は2年前、TPPに参加して関税が撤廃された場合、県内の農業産出額の48%に当たる約340億円分の県内農産物が外国産に市場を奪われると試算した。同課は「中山間地域が約7割を占める県内は、特に影響が大きい」とみる。
20日、JAグループ山口が山口市で開いたTPP交渉参加に反対する緊急集会にも約千人が集まり、「わが国の農業を壊滅させ食料の安全保障を放棄する。断じて認められない」と激しい論調の決議文を採択した。
「海外農家の規模は桁が違う」「味は自信があるが、価格は太刀打ちできん」…。その危機感は鍋倉地区の法人組合員も共有する。
しかし、仲間のTPP談議を、最年少の金子恒司さん(45)は複雑な表情で受け止める。
広島県海田町のマツダ関連の自動車部品工場に勤め、週末は地区に帰る兼業農家。収入の8割を農業以外で賄い、TPPには「賛成の気持ちの方が強い」と思いを明かす。
来年は5月から半年間、メキシコの新工場へ技術指導で出張する予定。半面、2年前まで働いていた近隣町の同社工場は来春に閉鎖予定で、国内産業の空洞化を実感する。古里が好きで農業は続けるつもりだが「関税の障壁が撤廃されれば、円高に苦しむ自動車業界には大きなプラス」。TPPによる経済効果への期待感をにじませる。
法人代表の伊藤さんも「組合員の子ども世代は都会で働き、地域には兼業農家も多い。代表としては何とも言えない」と複雑だ。
一方でTPPを経済効果だけで論じられないとの思いも強い。各党の政策論争を聞き、国土保全や洪水防止など農村の多面的機能が都市部では忘れられているようなそんな一抹の寂しさを感じるという。(金刺大五)
70
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:43:54
http://www.chugoku-np.co.jp/senkyo/syuin/12/News/yamaguchi/Sy201211290001.html
'12/11/29
しぼむ工業、揺らぐ雇用 振興への具体策見えず
「皆さんは離職を余儀なくされた。経験のない職種に転職すると賃金が下がるのは避けられない」。ハローワーク職員の言葉が重く響き、会場の空気が張りつめた。
ハローワーク山口が山口市内で20日開いた再就職支援セミナー。宇部市にある半導体製造のルネサスセミコンダクタ九州・山口の山口工場を10月末で退職した20〜50代の男女45人が参加し、ハローワークの利用方法や失業給付の申請手続きなどの説明を受けた。
山口市内の男性(34)は高校を卒業してから16年間、技術職として働いてきた。妻と就学前の子ども2人がいる。ハローワークに通うが、希望する技術系の求人は思ったほど見つからない。2社に応募したが返事はまだ来ない。
男性は「これまで培った技術を生かした仕事を見つけたい。しかし、希望がかなわなければ、給料が下がっても他の業種を探すしかないのか…」と悩む。「家族のため、年内には再就職先を決めたい」。不安と焦りをにじませた。
新興国の台頭、景気低迷、円高と逆風が吹く中、県内で半導体関連を中心に工場閉鎖が相次ぐ。各種調査でも、次の政権に取り組んでほしい政策として、雇用や景気対策が上位を占める。
ルネサスセミコンダクタ九州・山口の山口工場は社員1219人のうち711人が10月末に希望退職した。柳井市のルネサス柳井セミコンダクタでも129人のうち60人が応じた。5月末で閉鎖した半導体基板製造のシルトロニック・ジャパン光工場(光市)は約500人を解雇。約470人が働く半導体関連部品製造のエム・シー・エス(下関市)も来年3月に撤退する。「過去に例のない大規模な撤退が相次ぎ、県内は緊急事態」と山口労働局。地元自治体と連携し、従業員の再就職支援を急ぐ。
県内では基幹産業の化学メーカーが2012年度中間決算で減収減益に転じるなど苦境に立たされる。総合化学メーカーのトクヤマ(周南市)は半導体、太陽電池の市場低迷で主力製品の多結晶シリコンの販売が減少。生産体制を見直し、社員約2170人の給与削減にも踏み切った。
トクヤマ労働組合は「雇用を守るためやむを得ない」と給与カットに合意した。組合員には人員削減の心配もくすぶる。同労組の久保啓二委員長は「県内で産業衰退が続くと働く場が少なくなり、人口が減少する悪循環がさらに進む」と県内の活力減退も危ぶむ。
厳しさが増す県内産業。景気回復の見通しだけでなく、具体的な産業振興策、円高対策などの道筋は見えてこない。(岩崎秀史、滝尾明日香)
◇
自民党中心から民主党中心への歴史的な政権交代から3年余り。国全体を覆う閉塞(へいそく)感から脱却する兆しが見えないまま、新たな政権選択の時を迎えた。景気の後退や少子高齢化の進展など、衆院選(12月4日公示、16日投開票)の主要な政策課題を県内の現場から報告する。
【写真説明】再就職支援セミナーを受ける退職者たち。県内で雇用不安が渦巻く(20日、山口市内)
71
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:45:39
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagawa/news/20121129-OYT8T01456.htm
<明日への思い 衆院選・上>若者 高い正社員の壁
「このままでは結婚もできない。何より、親に心配をかけているのがつらくて……」。正社員の職を探す高松市の無職男性(26)は今秋、4社の募集に応じたが、採用はかなわなかった。ハローワーク高松に通い、パソコンで求人情報を閲覧する毎日が続く。
県内の9月の有効求人倍率は1・08倍。昨年7月以降15か月連続で1倍を超え、全国で4番目に高い水準にある。だが、正社員に限ると0・66倍。安定した働き口を見つけるのは容易ではない。
男性は香川大を卒業後、税理士を目指して2年間、アルバイトとして税理士事務所に勤めた。時給は800円で、月の手取りは10万円余り。友人たちは家庭を持ち始めるなか「もうアルバイトではやっていけない」。夢に終止符を打ち、今年9月末に転職を決めた。
経理の経験をいかそうと事務職の求人に応募。3社では面接にまでこぎつけたが、いずれも「経験不足」を理由に断られた。「香川は雇用環境がいいと言うが、現実は違う」。来春までに仕事に就きたいと願うが、新卒者の就職活動とも重なり、不安が募る。
企業側も、長引く不況にあえぐ。
「石屋をたたむまではいかなくても、人員の圧縮は進むやろうな」。高級石材として知られる庵治石の産地・高松市庵治町で、石材加工会社を営む男性社長(48)は、ため息交じりに話す。
外国産の安価な石の流入で、1950〜70年代の最盛期に約400軒あった石材業者は、半分ほどになった。男性の会社も、ここ20年で売り上げは半減し、10人いた従業員は今、5人しかいない。そこに、新たな不安の種が加わった。消費税増税だ。
8月に社会保障・税一体改革関連法案が成立。税率は、経済情勢が悪化しなければ2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げられる。庵治石を使った墓石は、1基100〜300万円。影響は大きい。
「増税前の駆け込み需要で、体が持たんぐらい忙しかった」。税率が3%から現行の5%に引き上げられた1997年のことを、社長は覚えている。
小売店が3%時代に受けた大量の注文は、税率が上がった後に仕入れた石を使わないとさばき切れず、増税分は負担するしかなかった。「長寿社会で年金制度を守るためには、増税は必要なのかも知れん。でも、今度もどんなしわ寄せがくるか……」。社長は表情を曇らせた。
今春、県中小企業家同友会が実施した消費税増税に関するアンケート。回答した120社のうち、6割が「業績に悪影響がある」とし、3割が「増税分を販売価格に転嫁できない」ことを不安視していた。
円高とデフレが続くなか、各調査機関が出す県内の景気判断にも「弱含み」「減速感」の言葉が見られ始めた。
同友会の明石光喜・代表幹事は「増税の時期を誤れば、雇用情勢も押し下げ、本末転倒になりかねない」と憂慮する。「国民に負担を求める前に政治家が身を切る覚悟を示し、中小企業の力を底上げする政策が必要だ」
◇
12月4日の公示に向け、各党が様々に日本の将来像を訴えている衆院選。暮らしの足元を見つめた。
(2012年11月30日 読売新聞)
72
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:45:54
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagawa/news/20121130-OYT8T01338.htm?from=popin
<明日への思い 衆院選・中>経済的不安 出産の壁
四国経済連合会が四国4県の子育て世代1000人を対象に実施したアンケートでは、「理想の子ども数」は2・09人だったのに対し、実際の平均は1・43人。理想通りにいかない理由は「育児や教育にお金がかかりすぎる」(70・5%)が最多で、「仕事と育児の両立が困難」(28・9%)が続いた。
同連合会は「半数の女性が出産を機に仕事を辞めている。経済的不安が、次の出産の断念につながっている」と指摘する。
こうした状況のなか、3年前、民主党は「子ども手当」や「高校無償化」を目玉政策に掲げ、「子育てを社会で支える」というメッセージを発した。
だが、子ども手当は財源確保で行き詰まり、減額された末に児童手当に戻った。「もし政権が代わっても、高校無償化は続けてくれるんでしょうか……」。会計事務所に勤めながら10歳の男の子を育てる高松市内のシングルマザー(39)は、不安を漏らす。
「無理して来なくていいから」。小学生2人を育てる高松市の女性(39)は、2人目を産んだ後の育児休暇を終え、復職しようとした矢先に勤めていた卸売り会社を解雇された。業績が低迷するなか、リストラでねらい打ちにされたとの思いが消えない。
その後、子どもを保育園に預けながら、派遣社員として職を転々とした。今は1日6時間の短時間勤務を認めてくれる職場に勤めるが「母親のキャリアを守りながら、子育てできる環境が広がれば」と願う。
少子化が止まらない。女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率(2011年)は、1・39。国の推計では、日本の人口は50年後、8600万人余りになり、うち4割が65歳以上の高齢者に。年金など社会保障制度を支える現役世代の負担は増えていく。
子育て支援への公的支出を国内総生産(GDP)と比較した経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本はわずか0・79%(07年)。11年度の子ども手当を含めた試算でも1・13%で、出生率を回復させたフランスの3%や、英国の3・27%とは隔たっている。
「国が本気で子育てを支えようとしているとは思えない数字だ」。香川大男女共同参画室の長安めぐみ特任教授は、半ばあきれ顔だ。「女性ばかりが育児と仕事の両立に悩む環境、風土を変えていかないと、本当の支援にはならない」
県や市町が保育園の「待機児童ゼロ」を誇る香川も、環境整備は十分ではない。
例年、4月1日現在では保育園の受け入れ態勢の調整で「ゼロ」だが、近くの保育園に入れるとは限らない。年度途中に復職を希望する母親もおり、10月には数十人単位の待機児童が発生している。病児・病後児保育の施設があるのは8市町のみで、高松市では5月1日現在、235人が学童保育の空きを待つ。
子育て支援に取り組むNPOわははネットの中橋恵美子代表は「子育て支援は、政策に10年、20年単位の継続性が必要。コロコロ変わっていては、子育て世代は安心できない」と憂慮している。
(2012年12月1日 読売新聞)
73
:
チバQ
:2012/12/02(日) 17:46:19
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagawa/news/20121201-OYT8T00973.htm
<明日への思い 衆院選・下>「稼ぐ農家」へ展望なく
後継者不足が深刻化する中、農家はTPP交渉参加をめぐって揺れる(三木町で) 三豊市財田町の農業生産法人代表の星川昭志さん(69)は、10年前に設立した法人を来年3月を限りに解散することにした。経営の展望が開けないという。
最盛期には、担い手を失った田畑も借りて15ヘクタールでコメや野菜を作り、県内外に直販するなどしてきた。「でもな、消費税の増税分を価格に転嫁することはできんやろ。TPP(環太平洋経済連携協定)参加まで決まれば、完全に赤字になる」
関税の原則撤廃を目指すTPP。星川さんは「海外のコメが入ると、価格は5分の1になるかもしれない。農家にとっては〈死刑宣告〉に等しい」と憤る。
農業を取り巻く環境は厳しい。四国では、サラリーマンの平均年収に近い400万円以上の農業所得がある農家は、全体の15%に過ぎない。
少子化による後継者不足も深刻だ。一定の収入がある県内農家数は、1990年の4万4000戸から、2010年には6割弱の2万5000戸にまで減少。「農業だけで食っていける人は、県内で1600人程度」(JA香川中央会)というのが現状だ。
こうしたなか、民主党政権が農業再生を目的に始めた目玉政策が、戸別所得補償制度だ。コメの場合、規模や専業・兼業の違いにかかわらず、10アールあたり1万5000円を支給。米価の変動に応じて差額を補填(ほてん)する制度もある。
全国の農家を「薄く広く」支援する仕組みだが、星川さんは「補償金は小遣い程度。一番大事な後継者育成にはつながっていない」と指摘する。
一方、国際市場に打って出ようという動きもある。
オリーブの栽培・加工品販売会社を営む土庄町の柳生好彦さん(60)は、オリーブオイルや化粧品を含めたネット販売で20万人近い利用者を抱える。国産オリーブだけでは製造が追いつかず、フランスやオーストラリアにも農園を持つ。
オリーブの実と葉を一緒に発酵させてから搾ることで、浸透力が高くビタミンなど有効成分を多く含むオイルを抽出する独自の技法を開発し、日米欧で特許を申請。小豆島産の高品質な商品を世界で販売する夢を描く。
柳生さんは「国際化の流れにあらがうことはできない。この機会を前向きにとらえ、高付加価値な商品をつくれば、農業分野でも世界と勝負ができる」と力を込めた。
TPPについては、民主党が政権公約(マニフェスト)で推進の方針を明記する一方、交渉参加には踏み込まなかった。自民党は「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」とするなど、各党で立場は様々だ。
東京大学の本間正義教授(農業経済学)は「TPPを巡る議論は、これまでの農政を見直すいいきっかけ」としたうえで、「やる気のある農家への重点支援や、企業の参入促進などで競争力を高めることが重要だ。担い手のいない田畑については、景観保全の観点から住民やボランティアの力を借りて守るなど、多様な対策が必要ではないか」と話している。
(2012年12月2日 読売新聞)
74
:
チバQ
:2012/12/03(月) 01:10:59
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nara/news/20121129-OYT8T01506.htm
[衆院選・奈良の課題]観光 1300年祭後海外から激減
観光客でにぎわうシーズンだが、外国人の姿は少ない(奈良市で) 「2年前のにぎわいがうそのようです」。奈良市の平城宮跡を望む高台に立つ奈良パークホテル。山脇通成支配人(56)はそう苦笑する。
県内の観光業界は2010年の「平城遷都1300年祭」に沸いた。前年比27%増の約4400万人が古都を訪れ、約322万人が宿泊した。
同ホテルでは35室ある客室が4〜11月の期間中、ほぼ毎日予約で満室に。川端昇社長(60)は「業界にとってまさに特需だった」と懐かしむ。
しかし、市内の宿泊施設は翌年、反動と東日本大震災の影響に苦しむことになる。宿泊客数は一転、約244万人に落ち込んだ。
国内の観光需要がしぼむ中、同ホテルは外国人観光客を取り込もうと懸命だ。全体の1割程度を占める外国人宿泊客に「もてなしの心」をアピールしようと、中国語で簡単な接客ができるよう従業員を教育。果物が好きな台湾の客向けにと、土産物コーナーに県名産の柿を並べる。
しかし、状況は厳しさを増す一方だ。
沖縄・尖閣諸島を巡る日中関係の悪化が追い打ちをかけ、今秋以降、中国からの団体客はゼロ。国内の客の伸びも期待できない中、「割引や特典付きのプランも用意してPRしていますが、企業努力にも限界がある」と、山脇支配人は危機感をにじませる。
県国際観光課によると、県内の外国人訪問客は10年は64万6000人と過去最多を記録したが、11年は23万6000人と4割弱に落ち込んだ。今年に入っても回復の兆しは見えない。
観光を、林業や商工業と並ぶ基幹産業と位置付ける県は、今年度から東南アジアやフランスで観光PRを展開する。満足度を高め、繰り返し足を運んでくれる「リピーター」を増やそうと、来年度は外国語の観光案内板の増設や、観光施設での高速インターネット環境の整備などを計画する。
ただ、県が取り組む施策にも限界がある。県国際観光課の中村昌史課長(54)は「国が外国との関係を安定させてくれなければ、業界は立ちゆかなくなるだろう」と指摘する。
(後藤静華)
<外国人観光客>
海外から日本を訪れた観光客のうち、県内を訪れた人の割合は2002年の5・2%から10年には7・5%に伸びたが、11年は3・8%に落ち込んだ。国別では韓国が約7万人と最多で、台湾3万6000人、中国2万7000人、フランス1万人が続く。
(2012年11月30日 読売新聞)
75
:
チバQ
:2012/12/03(月) 01:11:42
上 見つからず
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kochi/news/20121130-OYT8T01228.htm
[衆院選]選択<中>「巨大地震」焦る自治体
種崎地区で行われた防災懇談会。参加者からは早急な対策を望む声が相次いだ(19日、高知市の種崎地区津波避難センターで) 津波到達まで最短8分、浸水は最悪で深さ11メートル、地区住民2264人のうち1524人が避難困難――。南海トラフ巨大地震で想定される、高知市種崎地区の被害だ。「気持ちばかり焦っちゅうけど、なかなか対策は進まん」。地区の防災検討会長を務め、10年前から津波対策を模索する黒田則男さん(68)は唇をかむ。
浦戸湾に半島のように突き出す同地区は、発生から数時間、南北両方から津波が何度も押し寄せるとされる。だが、高台はなく、市が指定する津波避難ビルも2か所にとどまる。
「避難避難タワーを早く造って」「防波堤を整備するなど、津波直撃の威力を少しでも緩和する策を」。11月19日に開かれた市の防災懇談会で、参加した住民約150人から岡崎誠也市長への訴えは切実だった。
■□
国の有識者会議が8月に公表した被害想定で、県内の死者数は最大で4万9000人、全壊する建物は16万4000〜23万9000棟、10メートル以上の浸水面積は全国最大の1919ヘクタールとされた。
県は今年度、市町村が津波避難タワー、避難路などの整備を行う場合、地元負担を実質ゼロとする制度を創設した。だが、費用の70%を賄う国の緊急防災・減災事業債の活用期限は2013年度末となっており、継続されるか不透明だ。
庁舎などの浸水対策、住民の高台への集団移転など山積する課題に、沿岸自治体は「防災事業だけで、財政は破綻する」と悲鳴をあげる。県も参加する太平洋側の9県知事会議も既に7回、国に「南海トラフ巨大地震対策特別措置法(仮称)」の制定などを提言するものの、実現の見通しは立っていない。
□■
住民も手をこまねいている訳ではない。種崎地区では防災検討会が独自に、3階建て以上のマンションなど7か所を避難場所としている。さらに、県や市が津波避難タワーを建設する場合に備え、予定地になりそうな土地の所有者から借地や売買の許可を取り付けた。
「地震対策で県や市町村が迅速に動くには、国の協力な後押しが必要だ。環太平洋経済連携協定(TPP)や原発問題などで、防災を埋もれさせないでほしい」。黒田さんは訴える。
JR高知駅前で行われたある政党の街頭演説。弁士の「公共事業に頼る時代は終わった」という声に、沿岸部の男性(58)はつぶやいた。「高知市内でも防災事業が終わってないのに、巨大津波が来る地域で、そんなへごなこと言うたら、暴動が起きる」
(2012年12月1日 読売新聞)
76
:
チバQ
:2012/12/03(月) 01:11:58
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kochi/news/20121201-OYT8T01016.htm
[衆院選]選択<下>影落とす「オスプレイ」
低空飛行訓練で米軍機が横切ることのある本山保育所上空(本山町本山で) ◇米軍合意履行に不信
四万十市総務課の電話が鳴った。「上空を飛んでいるのを見た。あれは本物なのか」。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)に新型輸送機MV22オスプレイが配備されて1か月がたった11月2日。同市西土佐中半の女性は、市上空でも飛行訓練が行われているのではないか、と不安を口にした。
その1週間前。「市内を飛んでいると聞いた。本当か」という男性が市役所を訪れた。米軍の飛行訓練ルートに市は含まれていない。同基地への輸送途中、10月1、2、6日に市上空を通過している。「みんなオスプレイという“影”におびえている」。職員の1人は打ち明けた。
■□
オスプレイは、在日米軍の抑止力強化につながるとされる。一方、モロッコや米フロリダで墜落事故が発生し、機体の安全性が疑問視されている。
米軍が沖縄県に出した環境審査報告書では、オスプレイ配備後、米軍の低空飛行訓練は国内6ルートで平均21%増えるとする。墜落事故もあり、全国で飛行訓練中止を求める声が上がっている。
県内も例外ではない。本山、大豊、土佐、大川の4町村を含む嶺北地域が四国を横断する「オレンジルート」に含まれ、1994年には墜落事故も起きた。尾崎知事は9月、中国四国防衛局に配備と、米軍機の飛行訓練をともに中止するよう求める要望書を提出した。
同局は、墜落事故原因を「人的ミス」と強調。訓練では高度150メートル以上で、人口密集地や学校、病院などの上空は避けることで米軍と合意していると説明した。県危機管理・防災課は「ルートそのものが人口密集地や学校の上。高度もなし崩し的に下げられかねない」と不信感を強める。
□■
今年8月、耳をつんざく轟音(ごうおん)に、本山町保育所の子どもたちは給食を口に運ぶ手を止めた。中には泣き出す子もいる。「私たちでも怖いのに、子どもたちにとっては……」。所長の森岡美佐子さん(56)は話す。
米軍の戦闘機が頻繁に山あいを縫うように飛ぶ。訓練回数を記録する町などによると、多い時は年間113日計309回に達し、高度が100メートルを切ることもあるという。93年に町民らが嶺北平和委員会を結成。現在は約80人が加入する。
同会などは9月14日、オスプレイ配備に反対する「県民怒りの集会」を開催。森岡さんも約250人を前に「子どもたちのために、米軍機もオスプレイも飛ばせてはならない」と訴えた。
国家の安全保障と、身近な生活の安全。米軍基地から遠く離れた高知でも、同じ課題と向き合っている。
(田岡寛久、安恒勇気が担当しました)
(2012年12月2日 読売新聞)
77
:
チバQ
:2012/12/03(月) 23:24:16
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121201-00000049-mailo-l04
選択の視点:’12衆院選・宮城/上 原発 揺れる立地自治体 /宮城
毎日新聞 12月1日(土)11時48分配信
◇都市部の判断注目
「これまで『事故が起きても関係ない』と言わんばかりに54基も建ててきたのに、今さら自然エネルギーとか言うのはバカにしている。建てる時は泣く泣く賛成したのに」。東北電力女川原発がある女川町の60代の男性漁師は声を荒らげた。
東日本大震災の津波で、町内の多くの浜は家や作業場が壊滅的な被害を受け、更地になってしまった。男性は「東北電力の人は地元と協力している」と理解を示すが、「福島みたいな事故が起きたらここは全滅」との危機感はぬぐえず、原発再稼働に積極的に賛成する気にはなれない。
震災直後にライフラインが途絶えた際、東北電力は女川原発の体育館に住民を受け入れた。仮設住宅で暮らす60代の女性は「東北電力の人たちは寝ないで(原発事故などの)苦情を受け止めていた。言いたいこともあっただろうに、言わなかった。『穏やかに過ごしてほしい』と思ったのだろう」と振り返る。
しかし、女性も不安を抱く。「福島みたいになったら、ここにはいられないし、怖い。でも、原発をなくして代わりの電力はどうするのか、政治は示してくれない」と訴えた。
原発立地に伴う交付金などがあるため、女川町は財政が比較的豊かで、国からの地方交付税(普通交付税)を受けない県内唯一の不交付団体だった。しかし、女川原発の減価償却で固定資産税が減少し、来年度は交付団体に転じる見通しだ。
須田善明町長は「女川原発は補修中で、再稼働の可否について議論する段階ではない」と話すが、原発のメリットに陰りが出始め、町民は事故の不安とのはざまで揺れる。
一方、国の原子力規制委員会が先月、事故時の防災重点地域を原発の半径30キロ圏内に拡大したことから、一部が「緊急防護措置区域(UPZ)」に入ることになった美里町。佐々木功悦町長は「核兵器と異なる平和利用は大事なことと疑わなかったが、事故で初めて原発も核兵器と同じように人間と共存できないと悟り、反省した。脱原発実現に政治生命をかける」と言う。立地自治体と周辺自治体の間の温度差が鮮明になってきている。
こうした中、両町が含まれる宮城5区の立候補予定者はどう訴えるのか。民主前職の安住淳氏は「震災以降、原子力に対する国民の意識が変わった。私たちは脱原発に舵(かじ)を切る。日本の経済力を維持しながら再生エネルギーにシフトしていくべきだ」と話す。共産新人の渡辺昌明氏は「原発は直ちにストップ」と訴える。
一方、自民新人の大久保三代氏は「まだ女川が傷ついた状態なのに、再稼働の話をすること自体が不謹慎だ」と前置きしたうえで、「再稼働については住民が決めるべきだ」と話した。
県内には原発立地自治体がある一方で、大電力消費地の仙台市もある。奥山恵美子市長は11月27日の記者会見で、衆院選で争点にすべき点を問われ、「エネルギー問題の(観点からだけ)稼働、再稼働を注視していて、国民の安全をどう守っていくかという観点からの議論は不十分だ」と話した。原発政策を巡っては、都市部の有権者の判断も注目される。【須藤唯哉、小原博人、金森崇之】
◇
12月4日公示、16日投開票と目前に迫った衆院選。争点とされる問題の現状を追う。
12月1日朝刊
78
:
チバQ
:2012/12/03(月) 23:24:43
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121202-00000064-mailo-l04
選択の視点:’12衆院選・宮城/中 TPP 農業崩壊恐れる声 /宮城
毎日新聞 12月2日(日)10時59分配信
◇「政治は将来像示すべきだ」
先月19日、仙台市青葉区のホールに農業者約1000人が集まったJA宮城県大会。壇上に居並ぶ各党の県内選出の国会議員から環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加反対の発言がある度に、客席を埋めた約1000人の参加者からは「いいぞ」「がんばれ」と声がかかり、拍手が起こった。
参加に絶対反対の立場のJA。大会では、「TPP交渉に参加することは、わが国の社会経済システムや農業を崩壊させることになり、認められない」として、参加断固阻止の決議を満場一致で決めた。
県内JAでつくる政治団体「宮城農協政治連盟」。88年には参加農業者の減少や高齢化などのため、政治団体から任意団体に転換した。しかし今年7月、反TPPなどJAの主張に沿う候補支援など影響力強化を狙って再び政治団体となった。
推薦する候補者は、県内14組合の意見をとりまとめて3日に発表する予定。民主でもTPP反対ならば推薦になり、同一選挙区内の組合の推薦が割れた場合は自主投票もあるという。今野秋博事務局長は「民主を支援すべきか、自民を支援すべきか、悩ましい。(政権交代前の)3年前までは自民を支援していたが、民主ともこの1〜2年、戸別所得補償などで協力してやってきた」と話す。
美里町で農家が作った農業生産会社「イーストファームみやぎ」の社長、赤坂芳則さん(62)は「格安の輸入米で米価は暴落し、作って売れば売るほど赤字になる。国が農業補助政策をきちんとやってくれればいいが、そうでなければ農業は壊滅する」と明確に反対する。
同社は、農業の大規模化を目指して94年、3軒の農家で創業。水田35ヘクタールや綿花畑7ヘクタールなどを耕し、餅や菓子などの加工場も設けて10人を雇用している。「こういう努力が無に帰すとしたら情けない。まず小農家から倒れ、最後には当社のような比較的足腰のある経営体もアウトになる。TPPは日本農業の息の根を止める」
現政権与党の民主は、日中韓自由貿易協定(FTA)などと同時並行的に進めて政府が判断する、と交渉参加の立場。しかし、農業県・宮城では、党の方針をそのまま受け入れられない立候補予定者もいる。農業分野の専門家を自任する民主の石山敬貴氏(4区)は「TPP参加で生じる年3兆〜4兆円の農業の損失をどう補填(ほてん)するか不明だ。国益を考えて情報を開示し、国民的な議論を起こしてもみ尽くすまで、慎重に対応しないといけない」と、交渉参加に極めて慎重な姿勢を示している。
ただ、農業者も反対一辺倒ではない。無農薬無化学肥料で40ヘクタールで米を作る涌谷町の専業農家、黒澤重雄さん(65)は「見もしないでお化けを怖がる雰囲気が広がっている」と指摘する。「付加価値を付けた米を作る農家は残る。中身を国民に知らせながらしっかり交渉し、加入するかどうかを決めればよい」と賛成の立場だ。
「圧倒的に兼業が多く、後継者不足で耕作されない農地は増え、今の農業はTPPとは無関係に衰退の一途。積年の農業危機を差し置いたままTPP反対を叫ぶのは、問題のすり替え。政治は、TPPだけでなく農業の将来像を再構築して示すべきだ」と主張する。【山越峰一郎、小原博人】
12月2日朝刊
79
:
チバQ
:2012/12/03(月) 23:25:03
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121203-00000030-mailo-l04
選択の視点:’12衆院選・宮城/下 医療 震災で医師不足悪化 /宮城
毎日新聞 12月3日(月)11時7分配信
◇被災地復興に重要課題
板でふさがれた正面玄関、津波で折れ曲がったままの街灯。近くで重機が被災建物を解体する音が響く。旧北上川河口近くの石巻市南浜町にあった市立病院。地元住民の健康を支えてきた病院は、東日本大震災の発生直後で時間が止まってしまったようだ。
それまでも恵まれていたわけではなかった石巻市の医療環境は、震災で更に悪化した。地元の石巻市医師会には震災前、病院や診療所86機関と医師188人が加盟していたが、震災後は79機関と医師175人に減少。分娩(ぶんべん)できる産婦人科の開業医が4人から2人に半減するなど、医師不足は深刻だ。地元の産婦人科医は「産婦人科が増えてほしいという気持ちはあるが難しいだろう」と漏らす。
石巻市は市立病院を市中心部に移転して再建する方針だ。医療環境の改善につながることが期待され、16年の開院に向けて新たに医師14人の確保を目指している。しかし、以前勤務した医師らと接触しているが、「何人の医師が戻ってくるかは分からない」(市病院局)といい、見通しは立っていない。
石巻市医師会の舛眞一会長(64)は「今受け皿を作っている。若い医者もベテランの医者も来て石巻の医療を支えてほしい」と訴える。
県医師会(約3300人)の政治団体「県医師連盟(県医連)」は09年の前回衆院選までは自民を支援し、10年の参院選では民主を支援した。今回はどこを支援するのか。
日本医師会の政治団体「日本医師連盟(日医連)」は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)で日本の医療保険制度に影響がないよう措置することなど4項目を求めた政策協定書を作成。県医連は日医連の協定書に、被災医療機関の早急な再建と、医師不足改善のため医学部定員増などを求める項目を付け加え、協定締結を推薦の条件とした。
しかし、立候補予定者に対する推薦決定は難航した。日医連が政党ではなく立候補予定者ごとに推薦する方針を示し、調整に時間がかかったためだ。
県医連の推薦は、郡市の医師連盟からの推薦に基づく。今回は同一選挙区内で郡市によって異なる推薦者を決めた場合には、いずれも県推薦とした。
県医連は先月30日になって、ようやく推薦者を決めた。5区は民主の安住淳氏、6区は自民の小野寺五典氏と一本化できた。だが、1区は民主の郡和子氏と自民の土井亨氏、2区では自民の秋葉賢也氏と未来の斎藤恭紀氏と2人を推薦し、両区とも事実上の自主投票となった。更に3、4区では、自民の2候補への推薦は決めたものの、民主の2候補は「保留」となった。
県医連が協定書に加えた2項目は、被災地の復興にとっても重要な課題の一つとなっている。深刻な医師不足は震災前から続いてきた難題だが、それをどう解決していくのか。各党や立候補予定者の政策が問われている。【金森崇之、須藤唯哉】
12月3日朝刊
80
:
チバQ
:2012/12/03(月) 23:26:57
http://www.tokyo-np.co.jp/article/shuin2012/kanagawa/CK2012112902100006.html
かながわの現場から この3年(1) 骨抜きの派遣法改正
TOEIC815点の成績表を手にする市川さん(仮名)。派遣労働から抜け出せず、「希望が見いだせない」と嘆く=藤沢市で
「労働者派遣法を改正しても違法が横行している。もっと厳しく取り締まって」。衆議院が解散されて最初の日曜の十八日、横浜市内で開かれた民主党の政策進捗(しんちょく)報告会。出席した藤沢市の市川健さん(40)=仮名=が訴えた。
二〇〇九年八月の衆院選で、民主党はマニフェスト(政権公約)の柱の一つに、派遣社員や期間従業員ら非正規労働者の待遇改善を掲げていた。
市川さんは高卒後、メーカーの正社員として勤務。二十七歳のとき、能力を磨くために退社し、大学に進んだ。しかし、就職活動で内定はゼロ、生活のためやむなく派遣社員となった。以来、十年近く派遣先を転々としてきた。仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ登録型派遣で、契約は一カ月ごとの細切れ。ボーナスなし。不安定な派遣の職から抜け出そうと、正社員採用に応募した数は五百を超えた。
英語能力テスト(TOEIC)は九百九十点中八百十五点。それでも面接まで至ったのは一割足らず。採用された数社も、「ブラック企業」と呼ばれるような待遇の悪い会社ばかりだった。市川さんは今年二月、四社目となる派遣先で契約を打ち切られた。現在失業中。貯金を取り崩しながら職探しを続ける。「民主党の目指す方向は間違っていないと思うが、改善している実感は湧かない」と感想を漏らす。
非正規労働者は〇四年、自民党の小泉純一郎政権のとき、製造業への派遣が解禁されて急増した。
派遣全盛だった〇六年、県内で暮らす三浦慶範さん(30)は、いすゞ自動車藤沢工場で派遣社員として働き始めた。その後、期間従業員に移った。〇八年十一月、リーマン・ショックによる業績不振から突然、解雇を言い渡された。ちょうど正社員登用の話が持ち上がっていた。「まるでモノ扱い。怒りと同時に寂しさが込み上げた」と振り返る。
当時、各地で派遣切りが相次ぎ、非正規雇用への批判が噴出。野党だった民主党は、違法派遣の温床とされる登録型派遣や製造業派遣の原則禁止をうたっていた。
「政権交代すれば変わるかもしれない」。三浦さんは民主党に淡い期待を抱いた。政権交代後、その期待は一気にしぼんだ。経済界の反発もあり、民主党の改正案は、国の審議会や国会審議で骨抜きに。今年三月に成立した改正労働者派遣法には、肝心の登録型派遣や製造業派遣の原則禁止が削られた。
全労働者に占める非正規労働者の割合は、一一年に35・2%と過去最高になった。企業は派遣の規制強化を見越し、期間従業員などにシフト。企業の非正規依存は変わらず、安定雇用に結び付いていないのが実情だ。
神奈川県は、東京都に次いで非正規労働者が多い。かながわ労働センターによると、リーマン・ショック後、いったん落ち込んだ非正規労働者からの労働相談件数は、再び増えているという。
「民主党の幻影に踊らされただけの三年だった」。三浦さんのアルバイト生活は四年目に入った。 (中沢誠)
◇
国民の暮らしの充実を最優先に掲げ、税金の無駄遣いをやめることなどを公約に、政権交代を果たした民主党。改革を期待した有権者にとって、この三年間は何だったのか。衆院選を前に考える。
改正労働者派遣法 リーマン・ショックで派遣切りの問題が表面化したことを受け、派遣労働の規制強化を目的に10月から施行された。2010年4月、民主、社民、国民新党が国会に法案を提出。大幅な修正を加え、今年3月に成立した。30日以内の日雇い派遣は原則禁止となった。
81
:
チバQ
:2012/12/03(月) 23:27:17
http://www.tokyo-np.co.jp/article/shuin2012/kanagawa/CK2012113002100006.html
かながわの現場から この3年(2) 子ども手当
横須賀市の米海軍基地に隣接する総合福祉会館の一室。長女(2つ)の保育園が終わるのを待ちながら、飯村優子さん(41)は九月に生まれたばかりの長男をおもちゃであやす。
「子どもを産むまで、子ども手当はばらまきだと思ったこともある。支給後も生活は変わらない。でもやっぱりありがたいですね」
不妊治療を三年続けていた。前回の衆院選は出産前。子どもがいる家庭ばかりが優遇されている気がした。今は二人の子どもを授かり、地元で働く夫(40)と四人で暮らす。
夫婦共働きで、都内の電機メーカーに勤める。今は育児休暇中で、一家の年収は半減した。それでも、支給された子ども手当は、ほぼ全額を学資保険に積み立てている。子どもの将来に役立てたいという一心で。
民主党は政権公約に掲げた中学生以下の子ども一人あたり月二万六千円の支給を実現できなかった。制度は政治の駆け引きで揺らぎ、支給額は減少。本年度からは「新児童手当」に変わり、所得制限も導入された。
「安心して子どもを育てられない。もし手当が廃止されたら、本当にただのばらまき」。飯村さんがため息をつく。
子ども手当導入前の旧児童手当は所得制限があり、低所得世帯への経済支援の色が濃かった。子ども手当は、子育て世帯すべてへの支援を掲げた。
子ども手当制度の分析を続けている大和総研の是枝俊悟研究員は「導入前後で子育て世帯の家計を比較すると、そう大きく変わらない状態。多くは貯金に回している。年少扶養控除の廃止で家計が回らなくなることも見通したのだろう」と指摘する。
出生率上昇への期待も「影響は薄い。本気で取り組むなら、働く母親のために保育所を増やしたり、他の制度を整備するなど総合的な対策が必要だ」と話す。
飯村さんは仕事復帰を考えている。職場へは片道一時間半。子どもの預け先は自宅や最寄り駅近くで探すため、選択肢が限られる。働く母親のための環境が整っているとは言い切れない。
「でも、仕事をしないことは考えられない。生活のこともあるし。『国が手当をくれるから子どもを産もう』とは思わない。自分自身の生活力がないと」
子どもが欲しくても、かなわない夫婦もいる。不妊治療を受けた飯村さんの知人には、仕事と治療の両立が難しく子どもを諦めたり、治療に専念するため仕事を辞めたりする人もいた。
「不妊治療は他人に相談しにくい。でも、社会や政治の助けを必要としている夫婦はたくさんいる」。子育て世代を支援するというなら、不妊治療への理解と支援も欠かせない。
子どもがいる家庭をどう支え、何のために手当を支給するのか。働く母親への効果的な支援は。そして、子どもが欲しい夫婦にどう手を差し伸べるか−。政治が「子育て」にどう向き合っているのかが見えない。
是枝研究員は「次世代がいなければ現世代を支えられないと考えれば、子育て支援の政策は社会保障の一つと言える」と言う。
飯村さんは訴える。「子ども関連の制度は継続性が何より大事。子どもが自立し、社会に感謝して、やっと成果が出るのだから」 (中沢佳子)
<子ども手当(新児童手当)> 子ども手当は2010年4月に施行。額は民主党の政権公約の半額で、中学生以下1人当たり月1万3000円にとどまった。11年10月分からは財源不足を理由に中学生以下1人当たり月1万円、3歳未満と第3子以降の小学生は月1万5000円に変更。改正児童手当法の成立で新児童手当になり、今年6月分からは所得制限を設けた。
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チバQ
:2012/12/03(月) 23:27:47
http://www.tokyo-np.co.jp/article/shuin2012/kanagawa/CK2012120102000119.html
かながわの現場から この3年(3) 高校授業料無償化
晩秋の夕日を受け、期末テストを控えた生徒たちが帰宅を急ぐ。小田原市の私立旭丘高校の放課後、水野浩校長(74)が切り出した。
「授業料の無償化は評価できる。だが不徹底な面がある」
旭丘高の授業料は年三十七万二千円。就学支援金が支給されても、家庭の負担は二十五万三千二百円になる。この他、入学初年度は入学金などが四十五万円かかる。教科書や教材代、修学旅行費もばかにならない。
学費全体で見れば、初年度の負担がほとんどない公立高生に比べ、私立高生の負担は重い。旭丘高の初年度納入金の延納手続きをする新入生の割合は、約一割。この三年、ほとんど変わっていない。
「社会全体で学びを支える」と掲げ、高校授業料の実質無償化が始まって三年目。「全国的には経済的な理由での学費の滞納や中退が減少。私立高の入学者も増えた」と、全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)の山口直之書記長は話す。
全国私教連が三百三十五校(全日制の全私立高の26・0%)から回答を得た結果、今年四〜九月に経済的理由で中退した生徒は一校当たり〇・一一人で、計十三回の調査で最少。三カ月以上の滞納者も同一〇・九人で最も少なかった。私立高入学者は二〇一二年度で全体の32・0%を占め、制度導入前の〇九年度を2・2ポイント上回った。
山口書記長は「就学支援金に加え、都道府県独自の補助制度も充実した。低所得家庭の子も、進学先に私立を選べるようになった」とみる。
一方で、就学支援金の効果で滞納や中退が減ったかを尋ねると「減っていない」との回答は18・9%あった。保護者の失業や収入減、病気、離婚…。制度が救いにつながらないケースは絶えない。
「アルバイトで学費や家計の一部を賄う生徒もいる」と語るのは、旭丘高校生徒会顧問の水谷徹教諭(33)。生徒たちは自主的に子どもの教育環境について学び、生徒会を中心に私立高生の学費負担軽減を訴える活動をしている。
経済協力開発機構(OECD)の調査で、日本は先進国の中で教育への公的支出の割合が低く、家計負担が高いと指摘されていただけに、高校の無償化制度は、民主党の政権公約の中で数少ない実現した政策だ。
だが、民主党の主要政策を見直す民自公の三党合意の対象になっており、無償にする対象から高所得世帯を除くことも取り沙汰されている。「所得制限は親の状況で子どもを区分けすること。親の年収が高くても低くても、子どもの学びを保障する無償化の理念に反する」。山口書記長は憤る。
水野校長は「加算支給の基準をもっと実態に見合ったものにするべきだ」と指摘する。現行では、所得が三百五十万円より低い家庭が加算支給。だが、実際は五百万円前後の家庭も苦しい。高校の学費を払える年収の目安を正確に算出することが求められる。
「九割が高校に進学する時代。次世代の人材を税金で育てるという制度の考えに立ち返るべきだ」と、水野校長は語気を強めた。 (中沢佳子)
<高校授業料の実質無償化> 2010年4月施行の高校無償化法に基づき、公立高校では授業料を取らず、私立高の生徒には「就学支援金」を支給する。支援金は1人年11万8800円が基本で、低所得世帯の子には、所得に応じて加算支給する。法では施行3年後に施策効果などを検証すると規定。制度は文部科学省が「高校に類する課程」と認めた専修学校高等課程や外国人学校の生徒も対象。朝鮮学校については適用の判断が見送られている。
83
:
チバQ
:2012/12/03(月) 23:28:11
http://www.tokyo-np.co.jp/article/shuin2012/kanagawa/CK2012120202100004.html
かながわの現場から この3年(4) 農家戸別所得補償制度
県内一の米どころと言われる平塚市の水田(11月末撮影)
政権交代を果たした民主党が、鳴り物入りでスタートさせた農家の戸別所得補償制度。コメなどの生産調整(減反)に参加しない農家まで補助対象にした点が、自民党政権時代と大きく異なるとされる。実施から三年目、県内の農業従事者の反応は複雑なようだ。
県内最大の水田作付面積約六百ヘクタールが広がる平塚市。四十ヘクタールを持つ田村仁志さん(67)=仮名=は「水田で飼料米や大豆を作れば、減反しなくても補助金をもらえる。(コメを作らないことで補助金が出た)従来施策と違い、食料自給率の向上にも貢献できる。いい制度だ」と評価した。
一方、厚木市の約七ヘクタールの農地でコメと果物を作る高山直樹さん(47)=仮名=は「自民党のころと変わらない」と、現金支給に偏る制度に疑問を投げかける。県内のJAで制度業務を担当する男性職員は「原則全農家が対象。ばらまきに近い」と指摘した。
十アール(〇・一ヘクタール)当たり年額一万五千円などの補助金は評価されたのだろうか。
高山さんは「減反による収入の目減り分をカバーできない。戸別補償を申請する意味がない」と一蹴。制度を評価した田村さんも「農機具を購入するのに一千万円はかかるが、コメの単価は下がるばかり。現在の補助金は焼け石に水だ」と苦笑した。
事務を総括する農林水産省は、二〇一〇年のモデル事業に対するアンケートを実施。全国の農業者モニター八百九十人の約73%に当たる六百四十七人から回答を得た。
アンケートによると、評価する意見は全体の約74%。「従来の政策に比べ、コメの生産調整に参加するメリットが大きい」「生産調整に参加しなくてもムギ、大豆などを作れば交付金がもらえる」などの意見があった。
一方、評価しないとした約20%の中では、「交付額が少なく経営安定に役立たない」「経営規模の小さい農家にも交付金が出ることで、ばらまきと思われる」などが多かった。
アンケートでは、制度を評価する声が四分の三を占めたが、JA職員は「コスト削減に欠かせない農地集積、農業者の高齢化と後継者不足、など日本農業が抱える根本的課題にまで手が届いていない」と疑問を呈した。
加えて、加盟国の自由貿易を促進する環太平洋連携協定(TPP)交渉に日本が参加するかどうかの問題も、農家を悩ませている。
「TPPに加盟しても果物は味、安心安全の面で海外に負けないと思うが、コメは厳しい」と高山さん。田村さんは「コメは関税がなくなれば全滅。水田が荒廃地になる」と嘆き、「民主も自民も、考えていることがよく分からない。総選挙はどこに投票したらいいだろうか」と、眉間にしわを寄せた。 (加藤木信夫、佐久間光紀)
=おわり
<戸別所得補償制度> 農家保護のため現金を支給する民主党の目玉政策。農産物の生産調整に応じた農家に、耕地面積10アール当たり年額1万5000円などを支給する。水田で飼料米やムギなどを転作しても、食料自給率の向上に貢献したとみなされ、補助金が支給される。2010年、食用米を対象にしたモデル事業として始まり、11年から他の穀物にも枠を広げて本格実施された。
84
:
チバQ
:2012/12/03(月) 23:29:54
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/chubu/CK2012112902000240.html
見極める衆院選 青い鳥は…(1)
◆「変える」響かない 裏切られ続けた一票
目の前の新聞に主要政党の政権公約が並ぶ。「二〇二〇年までに四百万人の雇用創出」「二・八兆円の歳出削減」。ところ狭しと紙面を埋める小さな文字は、見慣れた求人誌を思い起こさせた。
名古屋駅近くで六畳一間のアパートに住む高比良(たかひら)肇(49)は、食品工場のアルバイトで生計を立てる。定職に就けず、期間工や派遣の仕事で食いつないできた。求人欄で「月給二十万円以上 寮完備」など、少しでもいい条件を探す。「実際はその通りになりませんけどね」。約束が守られないところも似ている、と笑う。
「変える」という言葉に弱い。〇五年の衆院選は自民、〇九年は民主の候補に投票した。「改革なくして成長なし」「政権交代」と希望を感じさせる言葉に期待を込め、一票を託した。だが今度は迷っている。
〇五年の時は簡単だった。自民を率いたのは郵政民営化を掲げた首相の小泉純一郎。高比良がデンソー(愛知県刈谷市)の期間工として働き始めた時期だった。郵政改革に興味はなかったが、「信念を貫く小泉なら、雇用環境を良くしてくれる」と期待した。
だが、その小泉政権の間に、専門職に限られていた派遣労働が製造業に拡大された。〇八年のリーマン・ショックで「派遣切り」も始まる。高比良は残業がなくなり、手取りが十万円近く減った。契約期間が切れる〇九年、正社員の登用試験を受けたが、採用されなかった。
工場で一緒に仕事をした正社員の言葉が忘れられない。「しょせん、期間工は使い捨てなんだよ」。将来を悲観して自殺した仲間もいた。
おれたちは擦り切れるまで働くか、自殺するしかないのか−。〇九年の衆院選を迎えたのはそう思い始めたころ。「無駄を削り、暮らしを守る」と訴える民主に魅力を感じた。一年ごとに首相が代わる自民は信用できない。新政権に望みをかけ、票を投じた。
期待はあっさり失望に変わる。首相に就いた鳩山由紀夫は「米軍の普天間基地を最低でも県外に移転する」と約束。だが翌年五月に断念した。
「何だ、口だけか」。テレビを見て思わず独りごちたその日。大阪市議補選で、大阪府知事の橋下徹が率いる「大阪維新の会」が民主、自民らの候補者を大差で破り、初陣を飾った。
「この国を変える」と訴える橋下。大阪市長に転じた後も、君が代斉唱で起立しない教員の処分や市職員の入れ墨問題で物議を醸す。その姿が、理想の「強いリーダー像」に映った。「織田信長みたいにぶれない姿勢がいい。次の選挙は、この人かな」
意中の人に見えた橋下はその後、石原慎太郎前東京都知事らと合流を決めると、脱原発や企業・団体献金禁止などの看板政策をあっさり引っ込めた。
「既成政党を打破する」。テレビの中の橋下は変わらず叫んでいるが、心には響かなくなった。「また振り出しか」。高比良はつぶやき、腕を組み直した。(文中敬称略)
◇
近年の国政選挙では、山積みの課題を一気に解決してほしいと願う有権者が、新しいタイプの政治家、政党に票を投じる傾向が強い。チルチルとミチルが「幸せの青い鳥」を追い続けた童話にちなみ「青い鳥症候群」ともいわれる。総選挙を控え、有権者は新たな青い鳥を探すのか、立ち止まって考えるのか。すれ違う政治と民意の現状を考える。
85
:
チバQ
:2012/12/03(月) 23:30:12
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/chubu/CK2012113002000205.html
見極める衆院選 青い鳥は…(2)
「ここの従業員はみんな、自民党の候補者をあこがれの目で見ていた」。元勤務先の製材工場で振り返る大岩忠夫さん=長野県木祖村小木曽で
◆「やっと自民」のはずが タカ派公約に戸惑い
かつて役員も務めた製材会社の事務所入り口に、自民党の候補予定者のポスターが張り出された。長野県木祖村の大岩忠夫(86)にとって、選挙の季節が来た合図。「自分が力を入れて、運動してたころを思い出すねえ」
中選挙区時代、木祖村を含む長野4区は三十年余にわたり、吉田茂内閣の官房長官や建設大臣を歴任した増田甲子七(かねしち)の地盤だった。「選挙と言えば自民。会社近くの広場にサイダーのケースで演台を作って、先生を出迎えた」
木曽山脈に抱かれた村はヒノキやカラマツが豊富で、かつては働き手の大半が木材の仕事に就いていた。国の営林署から木材を安く購入できる随意契約制度が、雇用を生んだ。革新勢力が「不公平」と批判した制度を推進したのが自民。会社ぐるみで応援してきた。
「村の未来は木材産業とともにある。そのためには木を運ぶ道路も必要だ」。増田が演説で約束し、三カ月後に新道が着工されたこともある。
利益誘導型の政治と言えばそれまでだが、何より増田本人に魅力があった。スーツ姿で工場を訪ねると角材を手に取って「いい仕事だ」とほめ上げる。息子ほどの従業員に頭を下げ、木屑(くず)まみれの手をぎゅっと握って回った。「尊敬の対象だが、友だちのような親しみやすさもあった」と懐かしむ。
昭和三十年代に五千人を超した村の人口はいま、三千人。木材産業も衰退し、選挙の応援どころではなくなった。二〇〇九年の衆院選では、村の得票で初めて民主候補が自民を上回った。
「政権交代で何か変わるかと思ったが、民主は混乱を生んだだけだった。もう一度、自民に頑張ってもらいたい」。慣れ親しんだ自民の返り咲きを期待する。ただ、選挙公約にどうしても気になる項目がある。
「自衛隊を国防軍と位置付けます」「集団的自衛権の行使を可能にします」
タカ派として知られる総裁の安倍晋三は「できることしか書いていない」と断言する。それは自衛隊が実際の戦闘に参加する道を開くことを意味する。「領土を守るのは大事だが、戦争は絶対に反対だ」。大岩の語気が強まる。
太平洋戦争さなかの十六歳の時、村が募集した開拓団の一員として満州国(現中国東北部)に渡った。終戦間際、ソ連軍の空襲から逃げ惑う中で見た中国人の遺体が、脳裏に焼きついている。
「日本軍がいなければ彼らが犠牲になることはなかった」。自分も、他国から奪った領土を開拓した一人。「知らず知らずのうちに、私自身が侵略の手先になっていた」。戦後三年間のシベリア抑留のつらさより、後悔の念が今も強い。
「自衛隊を戦う軍隊にするなんて、本気で考えているとは思いたくない」。今の自民は、村人の目線で暮らしを守ってくれた自民ではなくなったのか。候補者が演説に来ることも少なくなった村で、大岩は半信半疑のまま選挙戦を迎える。(文中敬称略)
86
:
チバQ
:2012/12/03(月) 23:30:38
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/chubu/CK2012120102000235.html
見極める衆院選 青い鳥は…(3)
◆漂流する票の受け皿
国会前の脱原発デモに娘の風花さん(右)と参加する紫野明日香さん。「口だけじゃない政党を選びたい」=11月23日、東京・永田町で
解散後、主のいなくなった国会議事堂に声の矢が刺さる。「うそつき国会はいらない」「脱原発議員を選ぼう」。脱原発活動の代名詞となった毎週金曜夜の抗議デモ。選挙を意識したフレーズが連呼される中、紫野(しの)明日香(44)=東京都武蔵野市=もマイクを握った。
国会前の坂を下ったところに、デモ初心者や家族連れの参加者が集まる「ファミリーゾーン」がある。司会役の紫野が壇上で穏やかに呼び掛ける。「くれぐれも無理しないで。事故やけががないように」。シャボン玉が舞い、幼い子どもたちが足元を駆け回る。
一人娘の高校一年、風花(ふうか)(16)を育てるシングルマザー。六年前に離婚後、子育てと事務の仕事に追われ、政治は遠い世界の話だった。
転機は昨年三月の福島第一原発事故。政府は放射能について「ただちに健康に影響はない」と繰り返す。シーベルトやベクレルなんて聞いたことがないが、直観的におかしいと感じた。ツイッターになにげなく「給食や、食べ物とかどうしてます?」と書き込むと、同じ不安を抱く父母が反応した。
「私だけじゃない」。昨年九月、知り合った人たちと開いた勉強会には百人以上が集まった。当たり前のものが安心して口にできない憤り。「自分たちでも何かやろう」。それまで「怖いもの」と思っていたデモへ動き始めた。
人づてに手順を聞き、警察や市役所で許可をもらった。昨年末、地元で「パパママぼくの脱原発ウオーク」と題したデモを開催。「牛乳飲みたーい」「お魚食べたーい」。政治的スローガンより、共感しやすいコールを考えた。
今年五月からは毎週、娘とともに官邸前デモにも足を運ぶように。関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働撤回を求め、人垣が数万人に膨らんだ時は「何かが変わるんじゃないか」と熱気が体を包んだ。
脱原発のデモは特定の政党と結び付かなかったから広がった。今度の衆院選も、支持を一本化する動きはない。それゆえに悩みもある。
脱原発の姿勢があいまいな民主党は信用できない。財界の後押しを受ける自民党は、脱原発を口にもしない。乱立する中小政党が結集し「日本未来の党」が生まれたが、実行力は未知数だ。
紫野自身は「規模の大小じゃなく、意見の合う党を応援したい」と思う。だが、仲間内でも「政策が良くても、議席がないと実現できない」「直接、候補者に問いただして決めたい」といろんな意見が飛び交う。
デモの声は届かず、大飯原発は再び動いた。紫野も「むなしい気持ちになった」と振り返る。それでも、「市民の声は今まで無視されてきたけど、政治の側が『気になる』ところまでは来たと思う」。投票は政治家の地位を与えることも奪うこともできる。デモ以上に、強烈に民意を示せるはずだ。「希望は捨てない。何かが変わると信じたい」。今度はむなしさを感じたくはない。(文中敬称略)
87
:
チバQ
:2012/12/03(月) 23:30:55
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/chubu/CK2012120202100017.html
見極める衆院選 青い鳥は…(4)
◆お手軽な政治、イヤ
慌ただしい雰囲気の居酒屋でビールを待ちながら考え事をする白須友子さん=名古屋市中村区で
名古屋駅に近い雑居ビルの三階に、半年前にオープンしたばかりの居酒屋。「六十分間 飲み放題、食べ放題で千五百円」が売りの店は、平日の宵の口でも満席だった。
新幹線の発車時刻を気にしながら、ビールを流し込むサラリーマン。残り時間を計算しつつ、大口で食べ物を放り込む「女子会」の集団。小さめのジョッキを手にした白須友子(30)=名古屋市中区=の目には、ビデオの早送りのようなこの光景が、今の「急流」社会の縮図に映る。
コンサルタント会社に勤務する白須の日々も、あわただしい。勤務を終えると深夜営業のドーナツ店へ向かい、行政書士の資格取得のため日付が変わるまで独学に励む。仕事が午前零時を回る日は、翌朝五時半からテキストを開く。湯船にはつからずシャワーだけ浴びる。新聞は週末の午前中、まとめて一気読み。肌荒れ防止に寝る前のコラーゲン飲料は欠かせない。
「なんでそんなにがんばるかって? そりゃ焦りでしょ」
会社での担当は、ベトナム人実習生を愛知県内の事業所に紹介する営業職。自動車部品や金属加工の工場で働く彼らは、今どきの日本人より手先が器用で、センスもよく勤勉だ。
営業先でそのメリットを力説するうちに、ふと思った。「じゃあ、自分には何があるの?」。日本には毎年十万人の外国人労働者が入ってくる。「日本人というだけで仕事がもらえる時代は、もうじき終わる」。漠とした不安が心と体をせき立てる。
最近、メディアをにぎわす衆院選の話題はいやでも耳に入る。政治に一応の関心はあるが、第三極候補の「軽さ」には目を見張る。つい先日まで政治と無縁だった人間が、党首に命じられるまま、落下傘のように降り立っていく。維新の橋下徹は「じゃんけんで決めてもいい」とまで言った。
お手軽さは、この「六十分飲み放題」の店に似ている。機械が自動的に生ビールを注ぎ、熱かんサーバーはフル稼働し、鍋も串揚げも三分で運ばれる。「有権者って、なめられてんですかねえ。これでも食っとけって」
橋下や河村たかし、渡辺喜美。威勢のいい政党の顔はもちろん知っている。「クラスにも一人ぐらいいた。どう言えば、みんなが喜ぶか天才的に分かる人。あまり好きじゃなかったけど」。そして、彼らが送り込んだ候補者の顔が見えてこない。
喧噪(けんそう)と嬌声(きょうせい)にあふれる店内で白須は思う。「政治までお手軽じゃ困りますよね」。政策や理念を熟慮し、信念ある政治家に一票を投じたい。考える時間を与えない急流社会、踏ん張らないと流される。「新聞ぐらいゆっくり読もうかな」(文中敬称略)
88
:
チバQ
:2012/12/03(月) 23:31:21
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/chubu/CK2012120302000263.html
見極める衆院選 青い鳥は…(5)
◆豊かさばかり求めない
被災者のための足湯と手のひらマッサージの施し方をメンバーに説明する小泉亮真さん=金沢市の金沢大で
学生ばかりが行き交う金沢市郊外のキャンパス近く。金沢大四年の富田亮太(21)と長谷川栞(しおり)(21)はスーツ姿の男性に声を掛けられた。「演説会のスタッフになりませんか」。手渡されたビラには、第三極をうたう政党の立候補予定者の名があった。「へえ、こんな人が出るんだ」。間近に迫る選挙を急に実感した。
これまでも、政党の党首らがテレビで訴える言葉を何となくは聞いてきた。「強い日本経済を取り戻します」「再び景気を良くします」。でも、単純に、よく分からない。「強い経済ってどんなものか、私たちは知らないから」
学部仲間の二人は、経済指標上でバブル景気が崩壊した一九九一年二月に生まれた。「右肩上がりの日本経済」という原体験がない。
富田は就職活動中、バブル期に就職した人事担当者に話を聞いた。面接に行くだけで高級料理でもてなされ、内定後は「囲い込み」の旅行。おとぎ話のようだった。
一人暮らしの富田は群馬県高崎市の実家から仕送りを受けず、携帯電話店のアルバイトで自活している。月二十万円稼ぐこともあり、生活に困ったことは一度もない。「バブルを知る人の話はうらやましいけど、今の経済状態でも十分だと思う」と冷静に話す。
「失われた二十年」とも称される時代に育ってきた富田や長谷川が、価値観が変わるほど衝撃を受けたのが、昨年三月の東日本大震災だった。富田は実家に連絡する回数が増え、長谷川は東北でボランティア活動を繰り返すようになった。そして今、政府や官僚への憤りを感じる。復興予算の流用問題だ。
「政権交代に期待したけど、最も大切な被災者支援もできないなんて」。復興増税を原資に予算を増やしてもアリがたかるように食いつぶす現状。政治家が言うように仮に「経済成長」を成し遂げたとして、それは市民の暮らしに使われるのか。「悲しいくらい、政治への興味がわかない」
二人とも就職先が内定し、じっくり考える時間はあるが、投票に行くか悩んでいる。だから、後輩で二年の小泉亮真(りょうま)(20)と話した時、真っすぐな言葉に驚いた。「投票は必ず行きます。自分一人が動いても意味がないって考えたら、何も変わらないから」
この秋成人したばかりの小泉にとって生まれて初めての選挙。とはいえ「どの党の誰に投票すれば社会が良くなるか、自信がもてない」。楽しみより不安な気持ちが強い。
小泉は公示後の七日から、岩手県陸前高田市でボランティア活動をする。被災地に入るのは六回目だが、これまでとは違う目的ができた。「東北の現状を確認して、どの党がどんな支援策を考えているか見極めたい」
既成政党への不信が叫ばれ、第三極を名乗る政党は離合集散を繰り返す。自分が思いを託せる政党はあるのだろうか。まだ日常を取り戻せない人々が住む地で、その手がかりを探したいと思う。(文中敬称略)=おわり
◇
この連載は北島忠輔、谷悠己、栗田晃、沢田千秋が担当しました。
89
:
チバQ
:2012/12/04(火) 01:10:37
http://sankei.jp.msn.com/region/news/121201/chb12120122080002-n1.htm
【衆院選2012 千葉】
現場の課題(上)TPP 「二枚舌は許さない」強硬JA、争点化避ける立候補予定者
2012.12.1 22:04 (1/3ページ)
全国3位の産出額を誇る県の農業。TPP交渉参加問題は衆院選の争点になるのか=匝瑳市内
「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加に断固反対する」
衆議院の解散に先立ち、11月7日にJA中央会が千葉市内で開いた県大会に出席した農業関係者ら約800人が声を上げた。
県内のJAグループをまとめる中央会は、平成21年の衆院選では推薦先を決めず、それぞれの自主投票とした。今回は「特定の党ではなく、TPP交渉参加阻止を表明する候補者を支援する」と打ち出し、公示に向け審査を進めている。
民主党関係者は「TPP賛成が(公認の)踏み絵になってしまった。日本未来の党へ移った候補者は、JA側から推薦をもらえるかもしれないが、うちは無理だろう」とあきらめ顔だ。
三方を海に囲まれ、温暖な気候に恵まれている千葉県。農業は全国3位の産出額(平成22年)を誇り、県内の担い手は約15万人とされる。漁業や畜産業でも多くの品目で生産量が全国上位に位置する関東随一の「食料供給地」だ。
また、農林水産業(1次産業)と加工(2次産業)、小売り(3次産業)を統合して「6次産業」とし、活性化を図ろうとの取り組みが県内各地で進められている。新たな特産品を生みだし、観光振興につなげようとの試みもある。
しかし、TPPへの参加は、安価な輸入品の流入を招き、こうした取り組みに冷や水を浴びせかねないとの強い懸念が関係者にはある。
公約にTPP参加交渉反対を掲げる日本未来の党や、長年にわたる付き合いが深い自民党の候補者などが中央会の推薦の対象になるとみられるが、中央会は「二枚舌は許さない」と強い姿勢で審査する構えだ。
しかし、複数の陣営から「全面的に反対ではない」「どのように主張を訴えるかは、まだよくわからない」と歯切れの悪い声が聞かれる。背景には、産業界などがTPP交渉参加を歓迎していることや、党によっては交渉に参加して日本に不利な枠組みができるのを防ぐべきだ、と議論されていることもあるようだ。
匝瑳市の主婦、花山京子さん(44)は「国益にかなわなければ撤退という話も聞くけれど、何が国益なのかよくわからない」と、議論が整理されないまま争点の一つとされることに首をかしげる。
山武市でイチゴ栽培に取り組む仲本清さん(59)は「新聞やテレビではよく目にするが、地元の政治家たちからTPPの話はほとんど聞いたことがない」と話し、別の農業関係者は「内容の説明もないのに何を基準に選べばよいのか」と憤る。
総選挙の争点としてクローズアップされたTPPだが、正面から向き合おうとする立候補予定者は少ない。県内のある選挙関係者は「TPPは微妙な問題。下手に話をすれば票を逃がすことになる。リスクの高い問題は中途半端に触れない方が良い」と話している。(杉侑里香)
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定) あらゆる分野での関税撤廃を原則とする多国間の経済連携協定。米国、シンガポール、ペルー、豪州などアジア太平洋地域の11カ国が交渉している。分野は農業、工業、金融サービス、知的財産など多岐にわたり、包括的な自由化を目指している。加盟した場合、国内では自動車や機械などの輸出増加を期待する声があるが、海外からの安い農産物の輸入が増加し、国内農業に影響を与えるという懸念も根強い。
◇
衆院選では、TPP交渉参加、原発、外交・安全保障などが争点となっている。千葉が抱える課題を取り上げ、政権選択の焦点を探る。
90
:
チバQ
:2012/12/04(火) 01:39:38
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/mie/CK2012113002000231.html
<見極める衆院選> (1)消費税増税
閑散とした商店街にある店で商品の手入れをする渡辺さん。消費税増税で客足への影響を心配する=津市大門で
消費税増税の行方や環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加の是非など、今回の衆院選では、重く大きな選択が有権者に委ねられている。選択の結果は、私たちの生活に直結する。選挙の争点を切実に見つめる人たちの思いから、明日の暮らしを考えてみる。
自動車部品を組み立てる作業台に「中断中」と記した紙が置かれている。「ここの人は今日は休み」。松阪市で、小さな工場を営む経営者の男性(82)がつぶやく。稼働していない作業台はこの日、場内の半数に及んだ。
九月のエコカー補助金の終了によって国内の自動車販売が低迷し、部品の受注が減少。仕事が少ない日は、従業員に連絡し、自宅待機を伝える。「消費税が上がったら車が売れなくなる。うちの仕事もなくなる」と不安が募る。社会保障を守るため消費税増税はやむを得ないと思うが「まずは景気をようしてもらわんと。今のまま消費税だけ上がったらお手上げやわな」。
津市中心部の大門商店街で半世紀にわたって時計店を営む渡辺伯男さん(81)も「消費税が上がれば、商店街で物を買わなくなる」と心配する。
一九八九年の消費税の導入、九七年の税率アップのたび、商店街には駆け込み需要もなく、ただ客足が減った。品ぞろえや安さを売りにする郊外大型店の影響も相まって、店の売り上げは二十年前の一割になった。この日の来客は、昼を過ぎてもゼロ。夫婦二人の生活は月額十三万円ほどの年金が頼りで「本業だけではとても食べていけない」と話す。
□ □
年二回ある消費税の納付時期が近づくと松阪市で部品製造会社を営む男性社長(70)は「百数十万単位の金をどう確保するか頭が痛い」という。パートを含め従業員十人を抱える工場を不況下でも稼働させるため、数千円単位の少額受注や利幅の薄い仕事も数多くこなす。そのため利益が不安定になり売上金が入っても運転資金の足しや設備維持費に回りがちで、消費税分の積み立てもままならない。
納付時期に足りないときは、金融機関からの借入金や簡保の取り崩しで何とか賄う。消費税が10%になれば納付額は単純に倍。「いざ払うとき、現金があるかどうか。経営の問題かもしれないが、どこの仕事でも引き受けるうちのような『何でも屋』が、余裕のある経営なんてできない」
一家四人の家計を預かる伊勢市二見町の小学校非常勤講師の女性(38)も「ますます厳しくなる」とため息をつく。製造業で働く夫(40)の収入が家計の柱だが、業績の低迷により、昇給やボーナスはおぼつかない。対する出費は、小学三年の長男と来春入学の次男の習い事などで今後もかさんでいくことは間違いない。外食を控え、スーパーでは安い品を吟味して食費を削り、十年近く乗り続けている車を買い替えるべきか考えている。将来のため増税の必要性は分かるが、納得できない自分もいる。「本当に目に見えて生活が良くなることにつながるのか、分からない」
<消費税増税>少子高齢化の進展を見据えた社会保障改革の一環で、安定した税収を確保するため、現在5%の税率が2014年から8%、15年に10%に引き上げられる見通し。専門家の試算によると、年収400万〜450万円の4人家族は、8%で年間6万2000円、10%で10万以上の負担増になる。
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チバQ
:2012/12/04(火) 01:40:09
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/mie/CK2012120102000273.html
<見極める衆院選> (2)TPP
農家の高齢化と消費低迷に悩む紀南地方のミカン=御浜町の選果場で
ハウスの熱気の中、緑色の果実が鈴なりになる。濃厚な甘さで知られる南国フルーツ「アテモヤ」だ。紀宝町の石本果樹園が県の指導の下、二〇〇四年から栽培している。
園ではアテモヤに加え、かんきつ類四十種を生産し、大半をネットや電話注文で販売する。中でもアテモヤは贈答品として出回るうちに魅力が広まり、一個二千円以上の高級果物ながら、今では全国から注文が殺到する。「農家の側に工夫と努力が必要」。果樹園三代目の石本慶紀さん(35)は、そう考えている。
地元のJA三重南紀では昨年から、タイへミカンの輸出を始めている。高級ミカンのブランドイメージを打ち出し、狙うはタイの富裕層。一足先に、高級果物で国内販路を開拓してきた石本さんは「貿易自由化の波は必然的。TPP(環太平洋連携協定)を恐れるのではなく、打って出る覚悟が必要だ」と期待を寄せる。
ただ、ミカン産地には疲弊もうかがえる。紀宝町に隣接し県内最大の産地の御浜町では、かんきつ栽培面積が現在七百ヘクタールと、十年前と比べ二割減少。国内のミカン消費低迷と農家の高齢化が響く。
会社を退職後、ミカン農家になった南木甫久(もとひさ)さん(76)は「老後の稼ぎにと、栽培を始めたのが間違い。年を経るごとに生活はカツカツだ」と頭をかく。
一・三ヘクタールの畑を購入したものの、ミカンが市場でだぶつくようになり、現在使用するのはほぼ半分。一方で畑の造成工事などにかけた費用の返済が、年数十万円のしかかる。TPPによって貿易の自由化が進めば、海外から安価な農産物が押し寄せることになり「この上、外国産のミカンが入ってきたら、農家は全部つぶれる」。畑を継ごうとする長男(44)の先行きに不安を募らせる。
□ □
寒暖差が大きい伊賀の盆地がはぐくんだコシヒカリ、キヌヒカリ…。小屋で一時保管する米を横目に、伊賀市下柘植の農業奥沢重久さん(64)は「安い外国産の米に消費者の目が向いてしまえば、ダメージは大きい」とこぼす。
九年前にJR西日本を辞め、父親から農地を受け継いで専業農家へ。三ヘクタールの田んぼで収穫した米は農協に出荷するほか、道の駅で販売するなど販路を工夫している。「味の差は歴然」と品質に自信を持つが、価格競争が迫られると心もとない。
山あいにある二十戸ほどの集落は、一ヘクタールに満たない土地で耕作する兼業農家が主体。先祖からの土地を大事にする土地柄もあり、大規模化によるコストダウンは難しい。「仮に集約化するにしても、限界がある」。集落の今を見つめるにつれ、TPP交渉参加には否定的な思いがこみ上げる。
<環太平洋連携協定(TPP)>原則としてすべての物品の関税をなくし、貿易や投資の促進を目指す多国間の自由貿易協定。アジア太平洋地域の米国や豪州、ベトナムなど11カ国が締結に向け、交渉に参加。日本国内では、締結によって自動車などの輸出産業の国際競争力が高まる一方、安い農産物やサービスにより農業や医療分野などで影響を被るとして、賛否が割れている。
92
:
チバQ
:2012/12/04(火) 01:40:23
http://www.chunichi.co.jp/article/shuin2012/mie/CK2012120202000227.html
<見極める衆院選> (3)雇用
ベッドの上に座り、テレビに目をやる男性=四日市市塩浜で
テレビに映る政治家は他党をあげつらい、節操ない離合集散ばかり。生活保護を受けながら、四日市市塩浜のアパートで暮らす男性(21)は選挙報道を目にするたび、政治への希望がうせていく。
半年前、派遣社員として二年間働いてきた県内の自動車部品梱包(こんぽう)工場を突然、解雇された。家賃が払えなくなってアパートを追い出され、一時、公園で寝泊まりした。幼いころ県内で一緒に暮らした両親は離婚し、ともに疎遠なまま。生活困窮者の支援団体を頼り、二十歳にして生活保護を受け始めた。
毎月の支給額は十万円ほど。一人で暮らす六畳の部屋は家賃三万三千円で、ベッドと冷蔵庫だけで部屋がいっぱいになる。残る金で食費や光熱費、日用品などを賄う。仕事に就くためハローワークに毎月通い、資格や経歴を問わない求人先に問い合わせる。
中学卒業のみの学歴に加え、車の運転免許もない。近所で見つけたコンビニのバイト募集では、面接した店長が履歴書に目をやり、「中卒だからね」と不採用を告げられた。
働きたくても働き口がなく、生活保護で食いつないでいる。「個人の力では貧困から抜け出せない人もいますよ。僕らの背中を後押ししてくれるような社会になってほしい」
□ □
鈴鹿市の自動車関連企業で契約社員として働く藤田昌弘さん(55)は、この二十年あまり、非正規雇用の仕事を転々としてきた。「いつも末端から切られる。吹けば飛ぶような身の軽さを感じた」
高校卒業後、関東の港湾関連会社で、大型クレーンを使ったコンテナの積み降ろしに従事。年に一千万円近くを稼ぐ代わりに危険も多く、作業中の足の骨折をきっかけに転職を考えた。
正社員での採用は難しく、埼玉県にある自動車関連会社の期間従業員に。契約が切れると、自動車メーカーや金属加工会社など五社を渡り歩いた。給料は港で働いたときの半分以下。一人暮らしのためなんとか生活はできたが、転職したことを悔いる日々が続いた。
仕事のあっせんを受けて来た鈴鹿市でも、かつての自分のような若い非正規労働者を目にする。「非正規労働者が増えたのは、規制緩和した国の責任。一過性の公共事業ではなく、労働者の身分保障をしてほしい」との思いを強くする。
選挙には毎回欠かさず足を運ぶが、今回の選挙は「どの政党も聞こえの良いことばかり」。藤田さんの胸に響く訴えは、まだ見つかっていない。
=終わり
(この連載は、加藤弘二、中平雄大、佐野周平、小柳悠志、戸川祐馬、久野賢太郎、宿谷紀子、安部伸吾が担当しました)
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チバQ
:2012/12/04(火) 21:55:40
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121201-00000119-mailo-l21
選択の足もとで:’12衆院選/1 雇用 なお続くリーマン禍 /岐阜
毎日新聞 12月1日(土)13時10分配信
◇失業長期化、孤立する若者
「安定した生活が送れるのなら、やっぱりいつかは結婚したい」。照れくさそうに岐阜市の男性(34)は笑った。職や住居を失った労働者を支援する同市の民間相談所「ぎふ派遣労働者サポートセンター・結」のスタッフの隣でふと本音がこぼれた。
大学卒業後、さまざまな形態で仕事を転々とした。趣味を優先させ、融通の利く短期雇用を好んだ。正社員にはいつでもなれると思っていた。
甘い考えを打ち砕いたのはリーマン・ショック。会社の倒産や雇い止め、有給休暇の欠勤扱いや求人情報との落差。さまざまな理不尽を突きつけられた。「役に立たんからクビだ」。派遣会社からは仕事を紹介されなくなり精神的に追い詰められ、8月に体調を崩した。まともに食事もできず、体重は10キロ落ちた。
大学では建築学を専攻し、専門知識があることに自信はあった。かつての同級生たちは家庭を持ち、福利厚生の整った会社でそれなりの地位を得て働いている。「おれにだって、これくらいの権利があってもいいはず。自分だけダメだと思うと惨めだ」
今後は、生活保護を申請し、資格を取りながら再就職を目指す。「企業の労働基準法順守を徹底してほしいし、生活保護以下の暮らしを強いられるようなら最低賃金を上げるべきだ。政治家にはもっと実情を見てほしい」。投票先は慎重に選ぶつもりだ。
◇ ◇
11月に岐阜労働局が発表した県内の10月の有効求人倍率は0・94倍。2カ月連続で1倍を切った。新規求職者数も増加傾向にある。「ソニーイーエムシーエス美濃加茂サイト」の閉鎖に伴い、大量に失業者が生まれると予想され、厳しい雇用情勢はまだまだ続きそうだ。
「結」によると、09年ごろの「全盛期」に比べ派遣切りの相談は少なくなったが、仕事の内容にこだわり、失業期間が長期化し、社会から孤立して引きこもる若者が増えているという。今年4月から県の事業としてに就労支援を行っている「ジョブステーション」(岐阜、多治見)を訪れたのは、10月末までに延べ約1万2700人。「就職格差」は確実に拡大しているという。担当者は「キャリアブランクを作らないことが、その後のステップアップにつながりやすい。生活環境を整えていくことも必要」と話す。
◇ ◇
大学生の就職内定率は改善傾向にあるが、例年内定率95%超を誇る朝日大(瑞穂市)でも内定まで長期化する学生が増えているという。
法学部4年の男子学生(22)は3年の年明けから就職活動を始めたが、内定が出たのは8月末。就職をあきらめかけていた。「求人は多いけど、やりたい仕事の募集は少なかった」と話す。全国大学選手権初出場を決めたラグビー部主将の石原裕介さん(21)は、夏に内定をもらったが、最近就職活動を再開させた。「ラグビーと両立させながら人の幸せにつながる仕事がしたい」ためだ。「人物重視」にシフトする企業と、やりがいを求める学生との間でミスマッチが起きている。
◇ ◇
長引く経済低迷、雇用環境の悪化、財政危機……。重たい課題の解決の道が見えてこない中で衆院選の公示が間近に迫った。日本の課題が、県内ではどんな形で表れているのか。それぞれの現場を取材した。【加藤沙波】=つづく
12月1日朝刊
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チバQ
:2012/12/04(火) 21:55:57
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121202-00000009-mailo-l21
選択の足もとで:’12衆院選/2 消費増税 「もう商売にならん」 /岐阜
毎日新聞 12月2日(日)10時24分配信
◇景気低迷に負担先行
「50年近くやっとるが、こんなに客が来ないのは初めて。正月は3日から店を開け、以前は初詣や晴れ着姿を撮影した写真の現像が100本以上あった。今やデジタル全盛時代。現像の仕事はほとんどない」。柳ケ瀬に近い岐阜市神田町の目抜き通りで写真店を営む小林正昌さん(76)は嘆く。デジタルカメラの普及に伴う構造不況に長引く不景気が重なり、業界はどん底にある。月7万〜8万円かかる現像機の電気代も重くのしかかる。来客がない日は、新品のフィルムを現像して現像液の劣化を防ぐ。デジタル化に対応してデジタルプリンターを導入したが、客足が遠のいており、稼働率は低迷している。「情けない状態ですな」
小林さんは県写真材料商組合の理事長。15年前には県内に150店以上の会員を数えたが、今では10分の1に減った。「景気が底を打っている時に消費税が上がったらもう商売にならん」
× ×
609店で組織する岐阜市商店街振興組合連合会理事長の古川洋治さん(69)も消費増税には反対している。「デフレで物が安くなっている時に消費税を上げると、値上げができない。増税分は身銭を切ることになる」と話し、「消費税ではなく、ぜいたく品に高く課税する物品税にしてほしい」と語気を強めた。
× ×
岐阜市長良友瀬に住む長縄利加子さん(33)は夫と義父母、子供3人の7人暮らし。子育てをしながら週2回、近くの高齢者福祉施設で働く。仕事の日は早朝、6歳になった双子の颯斗(はやと)君と爽斗(あきと)君を幼稚園へ送り出した後、長女の美玲ちゃん(2)を連れて自宅から自転車で10分の職場へ通う。美玲ちゃんを勤め先の託児所に預け、午前10時から入所者の昼食を作る。短大時代に保育士免許を取得。保育所で働くことも考えたが、時間の自由が利く今の職場を選んだ。
民主党の目玉政策だった子ども手当への期待は大きかった。しかし、東日本大震災の復興財源を確保するため、前回の選挙公約だった月2万6000円の満額支給は見送られた。「家計が潤うと期待したが、制度が続かなかった。無理があったんでしょうね」と残念がる。
来春から颯斗君と爽斗君は小学校に進み、2年後には美玲ちゃんも幼稚園に入る。長縄さんは、消費増税が社会保障の維持に必要なことは分かるという。「増税するならサービスとして返ってくる制度を作ってほしい。家計が苦しくなって、補償がないと先が不安」。しばらくパートで家計を助けながら、仕事と子育てを両立していくという。
× ×
消費税は14年4月から段階的に引き上げられるが、増税と一体だったはずの社会保障改革は大半が先送りに。負担先行に納得していない納税者が多い。【立松勝、梶原遊】=つづく
12月2日朝刊
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