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Tohazugatali Economic Review

1■とはずがたり:2003/02/24(月) 18:56
経済(学)スレです。個別ネタは各スレッドでしますが一般スレが無いので立てます。
景気やマクロ動向なども。

1524とはずがたり:2014/09/26(金) 22:13:40
理論経済学者の宇沢弘文さん死去 環境問題でも積極発言
http://www.asahi.com/articles/ASG9V316KG9VULFA005.html
2014年9月26日10時35分

 世界的に知られた理論経済学者で、公害や地球環境問題にも積極的な発言を続けた東京大名誉教授の宇沢弘文(うざわ・ひろふみ)さんが18日、脳梗塞(こうそく)のため、東京都内で死去していたことがわかった。86歳だった。葬儀は近親者で営まれた。喪主は妻浩子さん。

 鳥取県生まれ。東京大理学部数学科を卒業後、経済専攻に転じた。1956年に渡米し、スタンフォード大準教授やシカゴ大教授などを歴任。市場に任せる新古典派の成長理論をベースにした数理経済学者として活躍した。消費財と投資財をつくる部門がそれぞれどのような過程を経て資本蓄積がなされるかを考察した「2部門経済成長モデル」などの研究で評価された。

 ベトナム戦争に深入りする米国への批判から、68年に帰国。翌年、東大経済学部教授に就いた。74年に都市開発や環境問題への疑問を提起した「自動車の社会的費用」を発表。環境や医療、福祉、教育などで構成する「社会的共通資本」の整備の必要性を説いた。

 東大を定年退職後は新潟大、中央大を経て同志社大社会的共通資本研究センター長に。ノーベル賞受賞者らが名を連ねる国際学会エコノメトリック・ソサエティーの会長や、理論・計量経済学会(現・日本経済学会)の会長も務めた。83年に文化功労者、97年に文化勲章を受章した。ノーベル経済学賞の候補としても長年、名前が挙がり続けた。

 地球環境問題の啓発に力を注いだほか、93年に設立された「成田空港問題円卓会議」のメンバーとして国と農家の調停役を引き受けた。2000年代前半には「脱ダム」政策を掲げた田中康夫・長野県知事(当時)の諮問委員会に参加。環境税や旧住宅金融専門会社(住専)問題、教育、医療制度のあり方でも積極的に発言した。

 「近代経済学の転換」「地球温暖化の経済学」など多数の著書がある。

1527とはずがたり:2014/09/26(金) 22:15:26
<訃報>宇沢弘文さん86歳=経済学者、消費社会を批判
毎日新聞 9月26日(金)2時31分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140926-00000005-mai-soci

 東大名誉教授で世界的な経済学者である宇沢弘文(うざわ・ひろふみ)さんが18日、肺炎のため死去した。86歳だった。葬儀は親族で営んだ。喪主は妻浩子(ひろこ)さん。

 1951年東大理学部数学科卒。経済学に転じ、56年に渡米、58年に米スタンフォード大経済学部助手となり、のち助教授、准教授。カリフォルニア大経済学部助教授、シカゴ大教授を経て、69年から東大経済学部教授。80〜82年に学部長を務める。83年に文化功労者、97年に文化勲章受章。数理経済学の分野で多くの実績を上げ、新古典派経済学の発展に大きな影響を与えた。

 しかし、70年代以降は市場原理優先の新古典派理論を批判する立場に転換。環境保全への視点から生産、消費優先の先進国の在り方に疑問を呈してきた。二酸化炭素の排出に対し、国民所得に比例した「炭素税」を各国に課すことも提案。東大教授時代は、電車や車を使わず、自宅からジョギングで通っていた。

 一時は、ノーベル経済学賞に最も近い日本人学者といわれた。

 東日本大震災直後の2011年3月21日、脳梗塞(こうそく)で倒れ、その後、自宅などでリハビリを続けていた。

 主要著書に「近代経済学の再検討」「自動車の社会的費用」「地球温暖化の経済学」「社会的共通資本」などがある。

1528とはずがたり:2014/09/26(金) 22:17:12
もう3年も療養してたのか。自動車を批判して以来,ウォーク派で白ヒゲの老人の頭に,若々しい身体だったそうだけどそのせいで頑健でいらっしゃったんでしょうなぁ。

経済学者の宇沢弘文さん 死去
9月26日 10時42分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140926/k10014886591000.html

日本を代表する経済学者で、公害などの社会問題の解決にも尽力した東京大学名誉教授の宇沢弘文さんが今月18日、肺炎のため東京都内で亡くなっていたことが分かりました。
86歳でした。

宇沢さんは鳥取県の出身で、東京大学理学部数学科を卒業後、経済学の研究を始め、アメリカに渡りシカゴ大学の教授などを歴任しました。
経済成長や消費者の行動を数学的な方法で分析する数理経済学の研究を進め、安定した経済成長のための必要な条件を、「消費」と「投資」の2つに分けて示した「2部門経済成長モデル」で注目を集めました。
昭和44年に東京大学の教授に就任したあとは公害問題などにも取り組み、自動車による交通事故や大気汚染などの影響を経済学的な視点で分析して、対策に必要な費用を利用者も負担して問題の解決につなげるべきだと指摘しました。
水俣病にも目を向け、自然環境や教育、医療など文化的で豊かな生活をするうえで欠かすことのできないものを「社会的共通資本」と位置づけ、効率や経済利潤から守るべきだと提唱しました。
その後、成田空港問題の平和的な解決に尽力したほか、地球温暖化の問題では、二酸化炭素を排出する企業などにコストを負担させる「炭素税」を導入するよう求めるなど社会的な提言を続けました。
こうした功績で平成9年に文化勲章を受章し、平成21年には環境問題の解決に尽くした研究者などに贈られる「ブループラネット賞」を受賞しました。
宇沢さんは3年前に体調を崩し、自宅で療養を続けていたということです。

1529とはずがたり:2014/12/10(水) 12:39:34
中国:海外買収の軸足、石油・ガスから半導体に移る
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NG1ETW6K50XW01.html

  12月4日(ブルームバーグ):国内経済を支えるため海外での石油・ガス事業の買収を積極的に促してきた中国政府は今、別の分野に照準を定めている。多くの人がポケットに入れて持ち運ぶ製品に組み込まれている部品、半導体だ。
ブルームバーグがまとめたデータによれば、中国企業はここ1年半での5つの半導体関連の主要な買収案件で約50億ドル(約6000億円)を投じた。その大半が公的な資金調達を活用している。巨大な携帯電話市場を抱える中国は国内半導体産業の強化を図っており、台湾や米国、韓国からの輸入依存度を小さくしている。
JPモルガン・チェースで中国テクノロジー投資銀行業務を統括するミシェル・チェン氏は、「中国は誰にも依存したくないと考えている。自国の知的財産を築き上げ、製品の深みと幅を増すという強い願望がある。必要なら知的財産と生産能力を買収したいという考えだ」と指摘した。
コンサルティング会社マッキンゼーの推計によると、中国政府は国内市場拡大に加え、企業の国内外での買収を支援するため、今後5−10年で最大1兆元(約19兆5000億円)の資金調達を支える。
中国の半導体検査会社、江蘇長電科技は11月、赤字となっているシンガポールのスタッツチップパック を7億8000万ドルで買収する計画を提示。北京に本社を置くプラーベートエクイティ (PE、未公開株)投資会社、ホア・キャピタル・マネジメントは米オムニビジョン・テクノロジーズ を17億ドルで買収する計画で、公的機関を通じた資金調達を利用している。オムニビジョンのカメラセンサーは米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」に搭載されている。

1530とはずがたり:2015/01/03(土) 18:44:05

山崎覚次郎
https://www.google.co.jp/search?q=%E5%B1%B1%E5%B4%8E%E8%A6%9A%E6%AC%A1%E9%83%8E&oq=%E5%B1%B1%E5%B4%8E%E8%A6%9A%E6%AC%A1%E9%83%8E&aqs=chrome..69i57j69i60.1611j0j4&sourceid=chrome&es_sm=122&ie=UTF-8

1531とはずがたり:2015/01/08(木) 18:26:41

池田信夫
原油暴落でアベノミクスは死んだが日本経済は生き返る
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2014/12/post-894.php
2014年12月03日(水)18時19分

 原油価格が暴落している。特に11月27日のOPEC(石油輸出国機構)総会で減産が見送られたあと、1バレル60ドル台になり、ここ半年で106ドル台から約40%下がった。この動きは次の図のように、日銀の指標にしているコアCPI(生鮮食品を除く総合物価指数)上昇率の動きとかなり重なる。

 日銀の黒田総裁は10月末に「原油価格の下落が物価の下押し要因となっている」として追加緩和を決めたが、市場では「原油価格の値下がりを止めるなら、日銀が原油先物を買ったほうがいい」と笑い物になった。コアCPIが量的緩和で上がったようにみえるのは錯覚で、上の図でもわかるように、そのほとんどはエネルギー価格(特に原油)の上昇によるものだ。エネルギー価格を除くコアコアCPIは、ほとんど変化していない。

 ところが追加緩和には、9人の政策委員のうち正副総裁以外に、宮尾龍蔵氏(神戸大学名誉教授)と白井さゆり氏(慶応大学教授)が賛成して5対4の多数決になった。宮尾氏は、記者会見で賛成の理由を「原油価格の下落の影響だ」と説明し、記者に「今まで原油価格のことは何もいわなかったのに、10月末に突然いい出したのはなぜか」と質問されて、言葉に詰まってしまった。

 白井さゆり氏は記者会見で「予想物価上昇率が下がっている時に、金融政策運営者としては放置できない。それはマネタイゼーションへの懸念を越えて重要な問題だ」と述べて、大きな話題を呼んだ。マネタイゼーションとは、日銀が実質的に国債を引き受けて財政の穴埋めをする「財政ファイナンス」のことだ。

 これは周知の事実だが、政策委員が公の場でマネタイゼーションを肯定したのは初めてだ。そして安倍首相は、財政への懸念が深まるのをよそに、消費税の増税を先送りし、野党もそれにまったく反対しない。これを受けて大手格付け会社ムーディーズは、日本国債の格付けを1段階下げた。

 要するに、お札を印刷すればインフレになって景気がよくなるというアベノミクスとは逆に、日銀が史上最大の量的緩和をしたのに、インフレ率は下がったのだ。上の図で見ると、コアCPI上昇率が前年比0.9%になった10月末の原油価格は、まだ80ドル台だった。原油価格は絶対的に下落しているので、来年はデフレに戻る可能性もある。

 しかし問題は、インフレかデフレかではない。エネルギーの96%を輸入している日本経済にとって、原油暴落は朗報だ。不況の最大の原因は3%の消費増税ではなく、2年で40%以上の大幅な円安である。原油価格が40%も下がったのに、円安(ドル高)がそれを打ち消してしまった。政府は「これ以上の円安を止める」という方針を発表し、日銀も量的緩和を手じまうべきだ。

 原油安のメリットは半年から1年ぐらい遅れて出てくるので、来年後半にはコアCPIはゼロに近づくが、景気が回復するだろう。特に原発を止められたまま大赤字を抱えている電力会社の経営が好転し、電気代の上昇が抑えられる。

 物価は実体経済の変化を反映して動くのであって、その逆ではない。鏡を曲げて実物を曲げることはできないのだ。混乱した金融政策が続く原因は、エネルギー価格を含むコアCPIというゆがんだ鏡にある。世界の中央銀行では、エネルギー価格を除外した物価を基準にするのが普通だ。日銀はゆがんだ鏡をやめ、コアコアCPIを基準にして金融政策を運営すべきである。

1532とはずがたり:2015/01/14(水) 10:45:32
日本は低生産性の部門に人を貼り付け過ぎてるのかねぇ・・。
効率悪くても別に良いけど,効率悪い部門が過大な要求していて自民党がそれを認めちゃってるのが日本の諸悪の根源である。勿論必要なものはあるけどそういう要求は自民党は利権が絡まないと認めないしね。。

日本の生産性、20年連続で「最下位」OECD主要先進7カ国中
http://economic.jp/?p=45290
2015年01月10日 17:51

 日本生産性本部がまとめた「日本の生産性の動向2014年版」によると、13年度の日本の名目労働生産性水準は764万円で、リーマン・ショック後の2010年から4年連続で改善した。しかし、依然として直近のピーク水準(798万円、2007年度)を下回り、日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、OECD加盟34カ国中では22位、主要先進7カ国中では最下位と低迷している。

 「労働生産性」とは、労働者がどれだけ効率的に成果を生み出したかを定量的に数値化したもの。労働者の能力向上や、効率改善に向けた努力、経営効率の改善などによって上昇する。高齢化によって就業率が低下しても、労働生産性がそれ以上にアップすれば、国民1人当たりGDPは上昇し、経済的な豊かさをもたらすといわれている。

 日本の労働生産性上昇率(実質ベース)は+1.4%と、前年度(+1.1%)を0.3ポイント上回り、4年連続でプラスとなった。一方、2014年度に入ってからは4〜6月期が−3.1%、7〜9月期が−0.4%とマイナスに転じ、上昇基調にあった昨年度の状況から変調をきたしている。

 国際比較でみると、2013年(暦年ベース)の日本の労働生産性は7万3270ドル(758万円/購買力平価換算)だった。前年度からは2%上昇したが、順位はOECD加盟34カ国中、22位で前年と変わらず、主要先進7カ国では1994年から20年連続で最下位にとどまった。OECD加盟諸国中、最も労働生産性が高いのはルクセンブルク、次いでノルウェー、米国がトップ3を占めている。日本はニュージーランド(6万8559ドル)や韓国(6万6393ドル)などを上回ったが、3位の米国(11万5613ドル)と比べると約3分の2の水準にとどまっている。

 日本生産性本部によると、労働生産性が最も高いルクセンブルクは鉄鋼業のほか、ヨーロッパでも有数の金融センターがあることで知られる。同国ではGDPの半分近くが金融業や不動産業、鉄鋼業などによって生み出されており、こうした生産性の高い産業分野に就業者の3割近くが集中していることから、労働生産性が非常に高い。法人税率などを低く抑えることで多くのグローバル企業の誘致に成功しており、長年にわたってトップを維持している。(編集担当:北条かや)

1533とはずがたり:2015/01/26(月) 11:39:56
なんと。。

マルチタスクは作業効率だけでなくIQも低下させる:実験結果
http://news.goo.ne.jp/article/lifehacker/bizskills/lifehacker_41873.html
ライフハッカー[日本版]2015年1月25日(日)18:11

一部の人々には、マルチタスクが可能な特別な才能が備わっているのでしょうか? この疑問を検証するために、スタンフォード大学の研究者は、マルチタスクを行う傾向と、それが作業能率向上につながると信じているかどうかに基づいて被験者をグループ分けし、比較しました。

その結果、マルチタスクを頻繁に行い、それが仕事の能率を高めると思っている人々のグループは、実際には一度にひとずつ作業を進める人々よりもむしろマルチタスクが苦手であることが明らかになりました。マルチタスクを頻繁に行う人の作業能率が低かった理由は、考えを整理し無関係な情報を排除することに苦労したことと、ある作業から別の作業へと移るのが遅かったからです。

研究者はすべての被験者のマルチタスクを行う際の能率について計測し、ひとつずつ仕事をしていくよりも生産性が低いことを突きとめました。さらに驚くことに、マルチタスクを行う人は、ひとつずつ作業を終わらせていく人のように「注意を払うこと」「情報を思い出すこと」「ひとつの仕事から別の作業へ移行すること」ができないことも明らかになりました。

マルチタスクが作業の質や能率を落とすのは、私たちの脳が一度にひとつの物事に集中するようにできているからです。2つの物事を一度に行おうとすると、脳は単純に、どちらもうまくこなすことができなくなってしまいます。

マルチタスクでIQが下がる


研究では、マルチタスクによって作業スピードだけでなく、IQも低下することが明らかになっています。ロンドン大学で行われた研究では、認知課題に取り組んでいる最中にマルチタスクを行った被験者について、マリファナを吸ったり徹夜したりした場合に予想される状態と同じようなIQスコアの低下が見られました。マルチタスクを行う男性被験者群では、IQが15ポイント低下し、8歳児の平均値と同様にまで落ち込みました。

したがって、もし次回あなたが会議中に上司へのメールを書く際には、あなたの認知能力が8歳児にメールを書かせているようなレベルに低下しているということを思い出してください。

マルチタスクによる脳へのダメージ

マルチタスクによる認知機能障害は一時的なものだと長く信じられてきました。ですが、新しい研究では反対のことが示唆されています。イギリスにあるサセックス大学の研究者たちは、テレビを見ながらメッセージを打つといった、被験者が複数の情報デバイスに使う時間を脳のMRIスキャンと併用して比較しました。その結果、マルチタスクをよく行う人ほど、共感、認知や感情の制御を司る前帯状皮質という脳の一部の密度が低いことが分かりました。

マルチタスクが実際に身体的なダメージを脳に与えているのか(もしくは元々の脳の損傷からこの傾向が生じるのか)、判断するにはさらなる研究が必要ですが、マルチタスクに負の作用があることは明らかです。研究の主執筆者で神経科学者のケプ・キー・ロー氏はこの関係について以下のように説明しました。

「情報デバイスの用い方が私たちの考え方に影響を与えているかもしれません。そしてこの影響は脳の構造レベルで起きているものかもしれません。こういったことを世間に周知することは重要だと思います」

「心の知能指数」EQまで低下させないために

もしマルチタスクをしがちなのであれば、その癖はやめた方が良いでしょう。作業スピードが明らかに落ちますし、仕事の質も低下します。脳に損傷を与えないとしても、マルチタスクを行うことは集中力や情報整理、細部への注意力に関して既に抱えている問題を悪化させることでしょう。

会議中やその他の社会の中の場面でマルチタスクを行うことは、自己の自覚、そして社会的自覚という、仕事上の成功に不可欠なEQ(心の知能指数)の2つの技能が低いことを意味します。TalentSmart(EQテストを実施する会社)はこれまで100万人以上をテストし、優れた業績を残している人の9割が、高いEQを持っていることを突きとめました。

最近の研究が示唆しているように、マルチタスクがEQと密接に関連する前帯状皮質に実際に害を及ぼすとすると、その過程でEQも低下させることになります。

ですから、マルチタスクを行う度に、その時々のパフォーマンスを低下させるだけではなく、将来の仕事上の成功に不可欠な脳の領域にまで害を及ぼしているようなものなのです。

The Real Harm in Multitasking|Inc.com

Travis Bradberry(訳:Conyac)

1534とはずがたり:2015/01/30(金) 14:42:55
>公共事業は、民間投資に対するクラウディングアウト(押しのけ)効果という負の副作用が強くなっているのが実態です。

公共事業頼りの景気維持は続かないばかりか副作用を生んでいる
http://www.insightnow.jp/article/8202
日沖 博道 パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
42014年9月10日 17:57

アベノミクス第二の矢、公共事業による景気刺激政策は費用対効果でみると既に正当化できないばかりか、民間投資の「クラウディングアウト」を生んでいる。公共投資はむしろ抑制し、民間国内投資を促す「第三の矢」への重点シフトを急ぐべき。
第二次安倍内閣への支持率がぐんと跳ね上がって首相の御機嫌はよいのでしょうが、アベノミクスと称される経済政策には誤算が多々生じてきています。

第一の矢、大胆な金融緩和がもたらした「一層の金利低下」は確かに、株価持ち直しにより富裕層の懐を潤わせ、景気転換のきっかけをもたらしました。でも直接の目標であった「円安誘導」には成功しながらも、本来の狙いだったはずの「輸出主導の景気盛り上げ」にはつながっていません。長年の円高に懲りた大手輸出企業が生産施設を海外に移転し終わったタイミングでの円安転換だったため、輸出数量が意外なほど伸びないためです。反面、その円安は原燃料の輸入価格急騰を確実に生じさせ、日本経済に多大な負荷をもたらしていることは周知の通りです。

第二の矢、公共インフラ建設投資による景気刺激政策はもっと期待外れです。確かに当初は、第一の矢がもたらした資産効果と相まって、景気回復期待を高めました。「景気は気から」と言いますが、「この先、景気がよくなりそう」と大衆と企業の心理を転換させた貢献は高かったと思います。しかしその後、実態としての景気刺激のカンフル効果は次世代への財政負担押し付けを正当化できるほど大きくならないまま、むしろ今では逆に人手不足を通じての、民間投資に対するクラウディングアウト(押しのけ)効果という負の副作用が強くなっているのが実態です。

少々説明が必要ですね。そもそもなぜ公共インフラ建設投資が政府による景気刺激政策の代表的事業となっているのでしょう。これには経済学でいうところの「乗数効果」という概念が鍵となります。政府の公共支出額が次々と人々の懐具合を刺激し、最終的にどれだけの額の需要創出=人々にとっての総所得をもたらすかの増幅度合いを指しています。この需要刺激効果浸透の過程で、仕事を受けた人々が収入のうちなるべく多くの割合を早めに支出するほど、乗数効果は高くなります。簡単に言うと、「宵越しの金を持たずに、ぱーっと使う」江戸っ子ばかりだと乗数効果は非常に高く、「世の中の金回り」=景気を一挙によくすることができるのです。
公共インフラ建設に関わる肉体労働者の多くは、もらった給金の多くを飲み食いなどですぐに散財してくれる、その意味で理想的な労働者でした。そしてその金を受け取る飲食業や旅館業の人たちも、すぐに仕入れに回してくれます。彼らから金を受け取る漁師や農家の人たちも同様です。特に経済的に余裕のない人々ほど、飲食はもちろん、衣服や家屋の修繕など先送りしていた支出にすぐ回してくれるので(貯蓄に回す余裕がないので)、公共投資の金の行き先として望ましいといえます。少なくとも高度成長期にはこの歯車が絶妙に速く廻り、世の中が潤ったのです。インフラ建設投資が公共投資の模範的事業とされた所以です。

ところが低成長期になり人々が高齢化に向かうと、将来に不安を抱く人々は消費に慎重になり、しかも当面の生活が何とか廻ると、収入から貯蓄に回す割合を可能な限り増やします。着実に市場縮小に向かっていた当時の公共事業に関わる建設業の親方は、業態変換や廃業を念頭に置いて自らの取り分を増やし、内部留保に励みました。中高年になってきた建設・運輸業の労働者は「いつまでも働けるわけじゃない」と将来のために貯蓄の割合を増やしました。その他の業種の人々も同様です。こうして日本の公共事業投資の乗数効果はどんどん下がっていきました。そのため政府の借金が膨れ上がる一方で、公共事業のカンフル効果は情けないほど失われてしまったのです。

1535とはずがたり:2015/01/30(金) 14:44:05
>>1534-1535
こうした状況は前回、自民党が世間の支持を失い下野する主因の一つになったものですから、憶えている方も多いと思います。今回、当面の景気が回復しても、建設および関連業界の人々の将来に向けての不安の構造は基本的には変っておらず、乗数効果が低いままなのは驚きではありません。つまり元来、公共事業投資というものは、たとえ工事が着実に進捗したとしても、今の日本では景気の持続的拡大にそれほど効果的とは言えないのです。
さらに問題なのが、その公共工事の進捗自体がまったく着実ではなく、原燃料高と人手不足からくる費用高騰により入札不調を繰り返していることです。その度に見積費用が上積みされて少しずつ工事が実施されていますが、当初計画からすると格段にペースが遅れ、しかも総額がどんどん高くなっているのです。結果として地方と国家財政への負担(つまり次世代への負担)が膨れ上がりながら、喫緊に必要なインフラ再整備や補修は大いに遅れ、社会としての生産性改善にもなかなか結びついていないのです。このあたり、小生は以前から指摘してきましたが、残念ながらその危惧の通りになりつつあります。
道路インフラを考える(1)新設はせず、維持管理を優先せよ
http://www.insightnow.jp/article/8059
五輪向け整備と震災復興の両立には規制緩和が必須
http://www.insightnow.jp/article/7900
つまり、アベノミクス第二の矢、公共事業投資は景気拡大を誘導する効果にもともと疑問があるばかりでなく、実際の進捗も遅れ気味のため、政府が主張するほど景気拡大に役立っていないのです。膨張する財政負担を次世代に先送りする側面を直視するならば、その費用対効果は正当化できない水準にまで低下しているといって過言ではありません。

それに加え、公共事業投資が引き起こした建設業での人手不足は、隣接業界である物流業界をはじめとして、同様に体力を要求される飲食・小売業界などにどんどん波及しており、そのせいで出店などの事業計画を見直すことを余儀なくされる民間企業が続出しています。これは新しい「クラウディングアウト効果」です。
ここで「新しい」というのは、伝統的なクラウディングアウト効果は政府支出の増加が利子率を上昇させて、民間の投資を減少させてしまう現象をいうのですが、今の利子率はむしろ低下気味なのに、人手という希少な資源を取り合う格好で民間国内投資を抑制する効果となっているからです。
政府・自民党は、今4月の消費増税後の景気の足踏み状態を解消するため、そして来年の2次増税の際の景気下支えのために一層の公共投資を画策しているとの話も聞こえてきます。しかしこれは見当違いも甚だしい政策です。これ以上、民間投資を抑制するクラウディングアウト効果を強めてはなりません。

政府がこの分野ですべきこと、できることは3つだけです。
1.政策的効果の薄くなった公共事業投資を再選別して全体として抑制し、民間に人手を返すこと。2.別ルートでのクラウディングアウトを生む「在宅介護を重視する介護制度」を見直すこと(別稿にて論じます)。3.不足する人手を補う民間の努力(女性・ニート・中高年者・外国人の活用、ロボット活用)を支援すべく、規制を緩和すること、および特区などでの実験の場を提供すること。先の2つは政府が民間の足を引っ張らないように政策を修正することであり、最後の項目がいわゆる第三の矢=成長戦略の本筋だと考えます。

1536とはずがたり:2015/01/30(金) 14:44:26

>本田悦朗内閣官房参与 「公共事業は効果がない」

GDP3.8%以下なら消費増税は「問題外」=本田内閣官房参与
2014年 11月 12日 13:40 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0IW07E20141112

[東京 12日 ロイター] - 本田悦朗内閣官房参与は12日午前、都内で開かれた自民党議員の会合で講演し、7─9月期国内総生産(GDP)が年率3.8%以下なら消費税再増税は問題外だと述べた。

また講演終了後記者団に対し、消費増税延期決断を機に国民に信を問うことは大義として十分に成り立つと話した。

本田氏は講演で、来年10月に消費税率を10%に引き上げることは「極めて危険」とし、あらためて2017年4月まで先送りするよう主張した。消費税再増税によって実質賃金がさらに低下し消費の落ち込みやインフレ予想形成が失敗する可能性があるとし、1年半延期すれば、それまでに日銀が掲げる2%程度のインフレ目標が実現し、実質賃金がほぼプラスを確保できるとの見通しを示した。

安倍首相は消費税再増税の是非を判断するうえで、7─9月期のGDPを重視する意向を示しているが、本田氏は同期の実質GDPが年率でプラス3.8%以下になれば、今年4月の消費増税による駆け込み需要とその反動を均した1─6月期に比べてマイナス成長になると指摘。「そうなれば、次の消費増税は問題外だ」と語った。

民間調査機関の予測では、17日の公表される同期の実質GDP1次速報は年率プラス2%程度にとどまるとみられている。

また、本田氏は消費増税後の景気回復がもたつく中、「次回の増税の有無にかかわらず、経済対策は必要」と主張。公共事業は効果がないとし、「大規模なものではなく、2─2.5兆円規模で、ターゲットを絞った低所得者に対する所得補てんが必要な対策だ」と語った。そのうえで、日銀が実施した追加金融緩和、所得補てん型の景気対策、消費税再増税の延期で「アベノミクスは生き返る」と述べた。

日銀が10月31日に実施した追加金融緩和は「消費税再増税をやりやすくするために打ったのではない」とし、今年4月の消費税再増税による経済へのマイナス効果を克服するための手段との見方を示した。

安倍首相が消費税再増税の見送りを決断し、年内の衆院解散・総選挙に踏み切るとの観測が広がっていることについては「わからない」としたが、仮に首相が増税延期を決断する場合は「消費税は国民生活に大きな影響を与える。この機会に国民に信を問うことは、大義名分として十分に成り立つ」と語った。

(伊藤純夫 編集:田中志保)

1537とはずがたり:2015/02/02(月) 12:49:32
>北京大学光華管理学院のマイケル・ペティス教授は、中国の経験は1960年代のブラジル、70年代のソ連、80年代の日本と共通すると指摘する。…全てのケースにおいて一般世帯を金融面で抑圧することで発展を加速させたとエコノミストらはみている。預金金利規制に伴い家計貯蓄は主に銀行口座に流れ込み、銀行各行はその資金を低金利で企業に貸し出し、工場建設や輸出が刺激された。

>中国ではこうした政策が並外れて機能した。経済は急成長し、貯蓄で得るリターンが小さいことや共産党による一党支配が気にならないほど消費者の所得が伸びた。
日本でもこうした政策が並外れて機能した。経済は急成長し,貯蓄で得るリターンが小さいことや自民党による一党支配が気にならないほど消費者の所得が伸びた,と云えよう。
日本の奇跡はオイルショックで終焉を迎えたが中国はどうかな?

中国の「奇跡」このまましぼんでいくのか 前例ない債務バブル危機
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/150128/mcb1501280500022-n1.htm
2015.1.28 10:01

 1970年代後半に改革・開放路線を敷き、その後の高成長を実現させたトウ小平氏ほど尊敬されている中国の指導者はほとんどいない。大規模な改革を目指す習近平国家主席は97年に死去したトウ氏をよく引き合いに出す。

 習氏は2012年、共産党総書記に就く直前、自らが掲げる自由化政策を、トウ氏が1992年に広東省を訪れ経済改革を訴えた「南方講話」になぞらえた。

 昨年8月、習氏はトウ氏生誕から110年を記念する演説で、前任者同様、トウ時代のスローガン「中国の特色を備えた社会主義」をあらためて表明した。

 1980〜2012年に年平均10%という記録的な高成長を実現したことこそ、現代中国の設計図を描いたトウ氏の功績だ。

 習氏が中国トップとなって引き継いだ中国経済は、成長が鈍化しつつある。2014年の成長率は7.4%と、1990年以来の低水準となった。国際通貨基金(IMF)は今年の中国成長率が6.8%に低下し、2016年には6.3%になるとの見通しを示した。

 このため中国経済がなし得た急成長という「奇跡」はこのままずっとしぼんでいくのか、との数年前には考えられなかった疑問が浮上している。

 北京大学光華管理学院のマイケル・ペティス教授は、中国の経験は1960年代のブラジル、70年代のソ連、80年代の日本と共通すると指摘する。

 全てのケースにおいて一般世帯を金融面で抑圧することで発展を加速させたとエコノミストらはみている。預金金利規制に伴い家計貯蓄は主に銀行口座に流れ込み、銀行各行はその資金を低金利で企業に貸し出し、工場建設や輸出が刺激された。

 中国ではこうした政策が並外れて機能した。経済は急成長し、貯蓄で得るリターンが小さいことや共産党による一党支配が気にならないほど消費者の所得が伸びた。

 だが残念なことにペティス教授の調査によれば、「投資が牽引(けんいん)した過去100年の成長の奇跡は全て崩壊している」のだという。

 オートノマス・リサーチ・アジアの香港在勤パートナーでクレジットアナリストの朱夏蓮(シャーリーン・チュー)氏は中国経済について、世界で前例のない最大規模の債務バブルが発生していると指摘する。

 キャピタル・エコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏は、中国ほどの規模の投資ブームとなった国で何らかの銀行危機に陥らなかった国はほとんどないと話している。(ブルームバーグ Brian Bremner)

1538とはずがたり:2015/02/03(火) 19:55:43
>>1518

“異例の”経団連次期会長人事、内定までの混迷の舞台裏〜なぜ有力候補が続々消滅?
2014.01.09
http://biz-journal.jp/2014/01/post_3822.html

 米倉弘昌・経団連会長が窮地に陥った。米倉氏は5月末に経団連会長の任期満了を迎えるが、1月8日、最有力の後継候補だった川村隆・日立製作所会長の線が消えてしまったからだ。
 日立はCEO(最高経営責任者)、COO(最高執行役責任者)を新設、4月1日付で中西宏明社長が会長兼CEOに就任し、川村氏は3月31日付で会長を退任。6月の株主総会で取締役も外れ相談役になる。経団連会長に就任する条件として、「現役の会長・社長」という不文律があるため、川村氏の会長就任という可能性は消えた。加えて川村氏は、「日立にとって経済界や対政府の活動は大切だ。活動の多くは新会長にお願いする。私が相談役になる頃には経団連副会長の任期を終了するので、経団連の活動を終える」と明言した。

「ポスト米倉」の有力候補が次々と消えていくという異常事態が続いている。川村氏の会長退任発表が年始早々に行われたのは、財界関係者の思惑をはっきりと打ち消す意味合いがあったのかもしれない。

 同様の動きはちょうど1年前にも見られた。昨年1月、坂根正弘・コマツ会長(当時)が4月1日付で取締役相談役に退き、6月下旬の株主総会で取締役も退任し、相談役・特別顧問になることが発表された。坂根氏は大胆な構造改革でコマツを世界第2位の建設機械メーカーに育て、安倍晋三政権で成長戦略づくりを担う産業競争力会議の民間議員としても存在感を高め、有力な経団連会長候補だった。「コマツという会社の規模から(経団連会長)はあり得ない。交代は既定の路線です」と当時、コマツ関係者は語っていたが、「経団連の人事競争に巻き込まれるのを避けるために(坂根氏は)会長を辞任した」という見方も強かった。

 一連の経緯ではっきりしてきたことは、「経団連の会長がそんなに魅力のあるポストではなくなった」(経団連の元副会長)ということだ。

●影落とす東芝のトップ人事

 米倉会長から奥田碩氏など経団連会長経験者への相談は、昨年中はなかったといわれるが、人事決定に向けた今後の動きは次のようになる。

 経団連には、旧・経団連または日経連(02年に旧・経団連が日経連を統合して、現在の経団連が発足)の会長を務めた名誉会長が5人いる。豊田章一郎氏、今井敬氏、根本二郎氏、奥田碩氏、御手洗冨士夫氏の5人だ。米倉会長はこの5人に次期会長を誰にするかを伝えることになっている。

 経団連内部では「米倉会長の意中の人物は、佐々木則夫・東芝副会長」という見方が強い。安倍首相周辺で佐々木氏の評価が上がっていることも見逃せない。佐々木氏は民間議員として、政府の経済財政諮問会議で法人税関連などさまざまのアイデアを出している。

 佐々木就任に影を落とすのは、昨年春に起こった東芝社内におけるトップ人事をめぐる混乱だ。西田厚聰会長は当時「来年、(自分が辞めて)佐々木を会長にすることはない」と周囲に漏らしていたが、佐々木氏が副会長のままで経団連会長になれるのかどうか、疑問を呈する向きもある。だが、昨年秋に日商会頭を退いた東芝の岡村正相談役が米倉会長への仲介役を務め、佐々木氏を経団連会長に内定してしまえば、西田氏も佐々木氏を切れなくなり、佐々木氏が東芝会長に昇格する可能性も出てくる。佐々木氏は64歳と若いことも魅力だ。

 そのほかに、米倉氏が副会長の中で評価しているといわれているのが三菱重工業の大宮英明会長だ。しかし、三菱重工幹部は「うちは(経団連会長を)やらない」と早くから明言していて、大宮氏本人も受ける気はない。三菱重工は三菱グループ御三家の1社だが、「軍需関連事業を手掛ける企業出身者でいいのか」と懸念する声があることを同社は気にしているためだ。

 昨年副会長に就任した新日鐵住金の友野宏社長も候補者として名前が挙がるが、同社OBの三村明夫相談役が昨年11月に日本商工会議所の会頭に就任したばかりであり、同一企業の出身者が経済3団体のトップに同時に就くことは好ましくないとする暗黙のルールがある。三菱商事の小島順彦会長も経団連会長就任に意欲を示しているが、米倉会長は「(次期会長は)メーカーの中から」と示唆している。

1539とはずがたり:2015/02/03(火) 19:56:15
>>1538-1539
●OB、2期連続化学メーカー出身…異例の人事が内定

 そんな中、1月9日、日本経済新聞電子版が経団連次期会長として「東レ会長の榊原定征氏で調整」と報じた。榊原氏は現役の経団連副会長ではなくOBであり、もし実現すれば「現役の中から選ぶ」というルールが破られることになり、“異例の人事”となる。

 榊原氏は東レの炭素繊維事業を主力事業に育てたことで知られ、政府の産業競争力会議の民間議員を務めている。製造業である東レの会長であれば、「モノづくり重視の姿勢を示すことができる」との考えも働いたためとみられる。

 東レからの経団連会長起用は初めて。住友化学の米倉会長から東レにバトンタッチされれば、2代続いて化学メーカーからの選出ということになる。東レクラスの規模(連結売上高:約1兆6000億円)の企業出身者が経団連会長に就任するのも異例なことであり、米倉会長は川村氏に断られたため、やむなく榊原氏の起用に動いたとの見方が広がっている。

 1月14日に経団連内で開かれる正副会長会議で次期会長が内定される段取りだが、これだけ難航した会長選びであるため、予断を許さない状況が続く。
(文=編集部)

1540とはずがたり:2015/02/04(水) 19:11:31

「文明の衝突」で有名なハンチントンの『文明の衝突と21世紀の日本』を読む。
それ程,大した内容に思われないのはハンチントン氏の説が常識的になってしまったからなのか?
とはいえ幾つか気になる点はあったので抜きだしておく。

文明
日本文明を中国文明とは違う物だとして併置するのには違和感があった。
西欧文明と東方正教会文明を分けるように行くのかね?

日本は文明論的に孤立国家として規定されている様だ。

また現状はアメリカを唯一の超大国とする一極・多極体制で21世紀に真の多極体制が成立するまで10年か20年掛かるであろうと云っている。もう15年経ったから後5年でそんなんが来るのかな?

イスラム世界の挑戦。
経済成長によるものではなく人口爆発によるもの。15〜25才が人口の20%を占めると社会は不安定になり好戦的になる。(←この辺は印象論なのか,統計的裏付けの取れたものなのか気になる。また今でもイスラム社会の人口爆発は続いているのか?経済成長の直前に人口爆発があると云う命題があるが,今後イスラム社会に経済成長が訪れるかどうか?)結局,ハンチントンは文明に寄る類型論であり,発展段階論の立場を取らず類型論に立った渡辺先生と似てくるのかも知れない。

アメリカのことを排他的な超大国と指摘しているが,これは俺の大学学部時代の恩師渡辺尚先生がもう20年以上前に云ってた事だ。あれは文明の衝突よりも前に云ってたのかな?
アメリカとウクライナの同盟を指摘しているけど今にしてみれば,その後それ程強固な者にはならなかったようだ。
また中国が覇権に挑む様に成るということは実現している。日本が中国と提携するという予想も立てているが今のところはそれは実現していない。
日本は日英同盟や日米安保の様に超大国に対して追随型の同盟を志向してきたとしているが,中国が超大国となったときに何らかのフリクションを経てそれが実現する事があるかもしれない。現在の中国見てると考えにくいけどハンチントンも難しいだろうけどとは云っている。

1541とはずがたり:2015/02/06(金) 14:28:23
俺も読んでいる。狭すぎると切って棄てるのはフェアじゃ無い気がする,というか保守系のウェッジの読者には資本だけ格差の責任にされて資本課税増やされたらたまらんと云う気分の代弁をしているとしか思えないw

大流行の「格差論」をどう読むか ピケティの議論は狭すぎる
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4506
2014年12月10日(Wed)  原田 泰 (早稲田大学政治経済学部教授・東京財団上席研究員)

トマ・ピケティというフランス人の左派のスターが現れた。2014年3月に発刊された、698頁もある彼の著書 『21世紀の資本』“CapitalintheTwenty-FirstCentury”(Harvard University Press)が米国でベストセラーになっている。ニューヨークタイムズで特集が組まれ、辛辣なクルーグマンが「彼の知性が羨ましい」とまで賞賛している。マンキューやロゴフなど、共和党寄りの経済学者もその分析を評価している。

 余波は当然日本にも及び、この夏には、多くの経済誌が特集を組んだ。渋いフランスの書籍を出版してきたみすず書房が翻訳権を獲得し、山形浩生氏が英語版から大至急で翻訳し、先日12月8日、出版された。

 ピケティ教授のメッセージは単純で、それゆえに力強い。格差が拡大している。なぜかというと、資本の収益率がGDPの成長率よりも高いからだという。賃金はせいぜいGDPと同じ率でしか伸びていかない。資本の収益率が賃金の上昇率よりも高ければ、資本から得られる所得は労働から得られる所得よりも早く成長する。初期の資本の分配状況は所得よりも不平等だから、長期的には不平等度が高まっていくというのである。

 世界的に資本の取り分が多くなり、富の格差が拡大する。大きな所得格差の下では、民主主義を機能させるのが難しい。資産に対する世界的な累進課税で、この格差を縮小することが必要だと主張している。だから、左派の人々に支持される訳だ。

 ただし、なぜか、フランスでは米国ほど話題になっていないようである。私は14年の5月、イタリア、ミラノの国際会議でも、ピケティについての議論を聞いた。ミラノに限らずヨーロッパにいれば、ピケティの議論は当たり前という気がしてしまうのではないだろうか。

 石造りの壮麗な建物や豪華な調度品に囲まれたエリートと何も持っていない人々がいる。ミラノは楽しいが、何もかもが高い。短い滞在で結構散財してしまったが、これを恒常的に、かつ家族で楽しめる人々と、そうはできない人々に社会が分断されているのを感じる。フランスで(おそらく他のヨーロッパでも)、それほど話題にならなかったのは、そんなことは当たり前で新味がないと感じられたからなのかもしれない。

 ただし、ピケティの主張は、ノーベル経済学賞を受賞したサイモン・クズネッツの「経済発展の初期には所得不平等度は拡大するが、やがて平等化する」という、よく知られた議論とは反対である。ピケティは、それは戦後から1980年代まで続いた偶然にすぎないとする。図はCapital in the Twenty-First Centuryから引用したものだが、米国の所得上位10%層の全所得に占める比率は戦前の状況に戻っている。ピケティは、平等化が進んだ時代は戦後から80年代までに限られているという。

 ただし、資本が蓄積されていくらでも大きくなり、かつその収益率が低下しないという主張には疑義がある。資本が大きくなり、その収益率が下がらないなら、GDPに占める資本の取り分(収益率×資本)はいくらでも上昇する。しかし、取り分の比率である以上、100%が最大値である。労働者の取り分は必要だから、どこかに限界があるはずだ。すると、どこかで収益率が低下しなければならない。実際に、多くの経済分析では、資本の取り分を一定としている。資本の取り分が一定であれば、資本が蓄積されていけば、収益率は、いつかは低下しなければならない。

1542とはずがたり:2015/02/06(金) 14:28:52
>>1541-1542
 さて、ピケティの議論をどのように考えたらよいのだろうか。私は、格差の原因を限定しすぎているのではないかと思う。上位の人々の所得の全所得に占める比率ばかりではなく、下位の人々の所得、あるいは、中間層の所得がどうなっているかが、より大きな問題ではないだろうか。それを考えるためには、ピケティ教授がまったく考慮していないというわけではないが、格差を生み出す様々な要因についても考える必要がある。

格差の原因と対応は多様

 所得格差の原因として日本または先進国で議論されていることは、高齢化、グローバル化、不況、スーパースター論、教育格差、男女雇用機会均等法格差の6点である。

 高齢化とは、高齢者ほど所得格差が大きいので、高齢化すれば、自動的に格差が拡大していくことである。これは、日本の格差で指摘されていることであり、データの裏付けもある。

 グローバル化とは、所得の低い国の人々が低賃金で働くがゆえに、所得の高い国の賃金の低い人の賃金がなおさら抑えられ、格差が拡大するというものだ。日本で喧伝されるが、実証的証拠には乏しい。現在、アベノミクスによる景気回復で、非正規の賃金が上昇している。不況が格差を拡大した効果は、大きかったのではないだろうか。

 スーパースター論とは、次のようなものである。レコードもCDもない時代には、音楽を聴くには演奏してもらうしかなかった。すると、技能がそれほど高くなくても、音楽で所得を得られる人はたくさんいた。ところが、録音で音楽を簡単に聴けるようになると、人々は、最高の音楽家の録音だけを求める。かくして、スーパースターの所得だけが急騰し、他の音楽家は職を失ってしまうというのである。衛星放送で授業をする予備校教師や、様々な企業をCEOとして渡り歩く専門的経営者の存在を見れば、格差の要因の一つだと認識できるだろう。

 教育格差は、高い教育を受けた人とそうでない人との格差である。米国ではもっとも重要な要因とされているが、日本ではむしろ、親の所得格差が教育格差を生むという逆の文脈で議論されることが多い。

 均等法格差とは、より高い所得の人々同士が結婚をして共働きをし、格差が広がるというものだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長の夫は、ノーベル賞経済学者のジョージ・アカロフ教授である。昔であればこれほどのスーパーカップルは考えにくい。女性の輝く社会は、均等法格差の生まれる社会でもある。

 とすると、高齢者の所得からも年金と合算して税金を取ること、景気を良くして人手不足状態が生まれるようにすること、親の所得に依らず教育を受ける機会が確保されること、高所得カップルからコストに見合う保育料を取ることなどが考えられる。資本だけに焦点を当てた議論では、考えるべき政策課題を限定しすぎるのではないか。

1543とはずがたり:2015/02/07(土) 20:28:00
>>1540
最期迄読んだ。
覇権国家に対する外交戦略ばバンドワゴン(悪く云えば迎合・事大主義)とバランシング(均衡・対抗戦略)があって,ハンチントンは日本は日英同盟や日米安保を挙げて,また日独伊三国同盟をも,その時々の最強国家と組むバンドワゴン戦略だと指摘していた。
個人的には日独伊がバンドワゴンってのは明らかに云えない様に思える。日本外交が安定できてたのはバンドワゴンの時だとは思うけど。

で,中国の台頭で民主がバンドワゴンで安倍がバランシングなのかもしれないけど,中国はまだ世界に対して覇権取ってる訳ではないからな。中米の構図の中で鳩山はバランシングしてた心算なのかも知れない。

で,最後の方でいきなりアメリカの多文化主義批判となってなんじゃこりゃって感じになった。クリントンの推進したリベラルな多文化主義はアメリカの西欧文明圏としての地位を解体するものという主張のようで急に議論のレベルが泥臭い低級な感じになったよな。。

で,解題に保守の中西が解説してたけど,中西は日本文明が中国文明と違うとおだてられたのによろこんでいて,ハンチントンの政治的立ち位置をアメリカの文明的アイデンティティを棄てることはアメリカの解体に繋がるという指摘なんだとしているけど,そういう戦略的な本なら日本文明を中国文明とは違うという指摘も日本に対するヨイショとアメリカに繋ぎ止める為の主張なんちゃうのと読み取れないあたり中西も単細胞なんかもしれない。

1544とはずがたり:2015/02/08(日) 11:18:17
>>1540,>>1543-1544
印欧語族と,ユダヤ-キリスト-イスラーム教からなるインドから地中海世界,西欧,東欧,アメリカを記述するには面白いけど,東アジアを記述するには失敗している感じも出てくるなぁ。。

1545とはずがたり:2015/02/10(火) 13:12:43
資本課税は企業の力を削いで成長=長期の我々の豊かさを規定する源泉を弱めると云うのが教科書的理解。

しかし永久に成長するとあらゆる数値が無限大に発散する。
明らかに矛盾である。で,ピケティは人口や成長の定常状態(ゼロ成長)への低下か少なくとも今よりも十分に低い超長期の成長率を想定して色々提言しているように見える。(その辺は未だ読んでいない)

ピケティが指摘するアベノミクスの弱点
いま世界が最も注目する経済学者の肉声
http://toyokeizai.net/articles/-/58906
野村 明弘 :週刊東洋経済 副編集長 2015年01月26日

いま世界で最も刺激的、かつ注目される経済学者トマ・ピケティが、フランスからやってくる。弱冠43歳のパリ経済大学教授だ。彼の新著『21世紀の資本』の英語版は700ページを超す学術書にもかかわらず、たちまちアマゾンの総合売り上げランキング1位に躍り出た。現在までに世界十数か国で累計100万部を突破。昨年末に発売された日本語版も13万部に迫っている。

ピケティは1月29日に初来日

そのピケティがいよいよ今週1月29日(木)に初来日を果たす。異例のベストセラーを背景にNHK番組『パリ白熱教室』などメディアへの露出は過熱しており、日本での講演はすべて予約満席の状態だ。はたして彼が日本で何を語るかを注目する人も多いだろう。

東洋経済は2014年夏、パリ経済学校にある彼の研究室で単独インタビューを実施し、その模様は週刊東洋経済2014年7月26日号に大きく掲載した。一方、日本経済について語った部分については紙幅の制限からすべてを掲載しきれなかった。

そこで、日本最大の課題である政府債務問題についてピケティが語った部分をここで再現する。ピケティはアベノミクスについて批判的な姿勢を明確にしている。それではやり取りをお届けしよう。

――日本は政府債務残高がGDP(国内総生産)の200%を超え、先進国で最悪の財政状況です。

ピケティ 確かに日本の国家のバランスシートは資産と負債がほぼ同量になるまで悪化した。ただ、日本は公的資本(純資産)の減少分よりも、民間資本(純資産)の増加分がずっと大きい。これはどちらかと言えば、よいニュースだ。日本は欧州と同じで、政府は貧しいが、民間資本によって国全体の資本はかつてないほど豊かになっている。

国民所得に比べて民間資本がこれほど大きい国で解決策は何になるだろうか。私は日本も欧州と同様に、資本への課税を増やすことを提言する。国民の大半にとって労働所得は停滞している。一方で不動産、資産の高度な資本化が進んでいる。労働所得に対して減税、資本に対して増税するのは自然な解決策だろう。これはバブルを防ぐことにも役立つ。

イギリスと同じ轍を踏んではいけない

――反対に、すべきでないことは?

ピケティ たとえば公的債務の危機は過去にもあった。イギリスは19世紀に、今の日本と同様、GDPの200%の水準になったことがある。19世紀のイギリスは、歳出削減によって予算を黒字化させて公的債務を減らすという、オーソドックスなやり方でこの危機を乗り越えた。

だが問題は、非常に時間がかかったということだ。解決には1世紀を要した。その間、イギリスは毎年GDPの1〜2%の黒字を蓄積していき、自国の金利生活者にカネを返し続けた。結果、イギリスは教育への投資を減らしてしまった。これは、今の日本や欧州が「同じ轍を踏まないように」と考えさせる重要な教訓だと思う。


1月26日発売の週刊東洋経済2015年1月31日号の特集は『ピケティで始める経済学』です。格差が広がり続ける未来を予見したベストセラー『21世紀の資本』を最も簡単かつ徹底的に解説。最先端の経済学も併せて全50ページで追いました。購入はこちら。
――日本はどちらかと言えば金融政策に頼りがちです。アベノミクスは資産バブルを誘発しています。

ピケティ (アベノミクスのやり方)間違いだ。われわれは税務政策に比べ、金融政策に対してあまりに高い期待を持っている。日本にとっては、欧州や米国と同じように、金融政策は魅力的だろう。何十億円もの紙幣を印刷するのは簡単だからだ。

税制を変えるとなると、計算表を作る作業が膨大で、富裕層の反対も受けるし、事態はより複雑になる。だが、税務対策が最も透明性が高い。紙幣を印刷しても、何らかの利子率を下げたりすると、特定のセクターがバブル化したり、必ずしも富ませるべきでない人を富ませることになったりする危険がある。

1546とはずがたり:2015/02/13(金) 10:16:50
>「過労死は自己責任」発言の女社長、今度は「働かない若者には公園掃除などの労役」と提言
若いのに生活保護とか受けてぶらぶらしている連中にはいいんちゃうか。
竹中は節操なく時流に阿っているだけだと思うけど,宮内は解ってるし奥谷も今回に関しては的は外していないんちゃうか。

「過労死は自己責任」発言の女社長、今度は「働かない若者には公園掃除などの労役」と提言
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20150213/Bizjournal_mixi201502_post-2530.html
ビジネスジャーナル 2015年2月13日 06時04分 (2015年2月13日 08時50分 更新)

 経済誌3誌が揃ってピケティ特集を組んだ。「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/1月31日号)は『世界的ベストセラーが20分でわかる ピケティ完全理解』、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/2月14日号)は『決定版 そうだったのか! ピケティ』、「週刊エコノミスト」(毎日新聞社/2月17日号)は『ピケティにもの申す! 私はこう読んだ』だ。

 世はまさにピケティブームとなっている。43歳のパリ経済学校教授トマ・ピケティが歴史的なデータ収集などに約15年の歳月をかけた『21世紀の資本』の英語版は昨年4月に公刊。700ページを超える学術書にもかかわらず、アマゾンの総合売上ランキング1位となり、現在までに十数カ国で累計100万部を突破し、昨年末にみすず書房から発売された日本語版も13万部に迫っている。

「ダイヤモンド」の池上彰氏の解説『やっとわかった! ピケティ』によれば、「ピケティさんは世界各国の膨大なデータを分析し、『富める者はますます富み、そうでない者との格差が開いていく』ことを資本主義そのものが抱える問題として明らかにした」という。格差がなぜ広がるのかを説明するメカニズムとして、「資本収益率(r)>経済成長率(g)」という極めてわかりやすい不等式で表している。「資本収益率とは、株や不動産などあらゆる資本から生み出された平均収益率。18世紀以降はおおよそ4〜5%で推移してきました。一方、国民所得の伸びを示す経済成長率は長期的には1〜2%にとどまる。資本によって得られる収益は、働く人の賃金の伸びを上回り、格差が自然と広がっていくことを明らかにした」と説明されている。

「従来の経済学者なら、なぜそうなるか、精緻な理論を組み立てようとするでしょう。それに対してピケティさんは『r>gを論理的に説明できるが、その理由はわからない』という素っ気ない」対応なのだ。

●竹中元大臣もピケティ支持派

「東洋経済」の記事『ピケティとは何者か』によれば、この資本主義が抱える問題は「二つの世界大戦と累進課税の導入によっていったんは縮小した格差だが、80年代以降に再び拡大し始め、放っておけば、今世紀中には18〜19世紀の欧州のように相続財産が人生を左右する世襲型の超格差社会に戻るという」。この処方箋としては富裕層課税として、「資本に対する国際的な累進課税」を提唱している。

 しかし、一方で、ピケティの理論的裏付けには問題があると批判する経済学者も多く、富裕層課税への反発も含め、ますます今後、議論を呼びそうだ。「エコノミスト」と「ダイヤモンド」では、日本の識者の声を紹介している。各氏とも日本の格差にひきつけて議論をしているが、ピケティを全面的に支持しているのは水野和夫日本大学教授だ。

1547とはずがたり:2015/02/13(金) 10:18:00
>>1546-1547
「現代では再び、フランス革命前のアンシャンレジーム期に戻りつつある。近代社会の欺瞞性を暴いた点で、ピケティの著書を全面的に支持します。小泉改革やアベノミクスは、新自由主義者による『アンシャンレジーム』党ですね。(略)企業も非正規社員を合法的に奴隷化している。正社員をなくしても、99%の『第三身分』が出てくるだけです」(「ダイヤモンド」記事『もっと知りたい!ピケティ』より)

 今回、注目したいのは、小泉政権時代に規制緩和を推進してきた人々もインタビューに答えている点だ。まずは、小泉内閣で経済財政相、金融相、総務相などを歴任した慶応義塾大学教授でパソナグループ取締役会長の竹中平蔵氏は「歴史的な実証研究から、今、世界が解決すべき重要な問題提起をしたわけです。その点で、支持率は70%。そのぐらい支持しますよ」と高く評価している。竹中氏は格差を認めた上で、30代の格差を問題視する。

「今、非正規の割合が年々増加している。これは競争ではなく、制度によって生まれた格差です。だから正規も非正規も同一条件にすればいい」と語り、さらなる労働規制の緩和を呼び掛ける。同氏は正社員も非正規並みの待遇にすれば格差はなくなるといいたいようだが、そうなれば経営者や資産家など「富める者はますます富み、そうでない者との格差が開いていく」というピケティが危惧する状況が加速するだけではないだろうか。

●過激な批判派

 しかし、竹中氏の意見はまだ現実を理解しているからマシかもしれない。ザ・アール社長の奥谷禮子氏はピケティをあまり支持しておらず、若者批判を展開する。奥谷氏といえば2002年、小泉内閣に製造業での派遣労働解禁などを提言した諮問機関、総合規制改革会議(宮内義彦議長)の委員の一人で、その後07年に「過労死は自己責任」発言をして波紋を呼んだ人物だ。「過労死は自己責任」発言は「東洋経済」の誌上だったが、今回は「ダイヤモンド」で、「働かない若者に労役を課しては」と提言している。

「なぜ格差の固定化が進んだのか。世の中のタガが緩んでいるからではないですか。若者は学校を出ても自由とか個性といった意識が先に出て、社会に対する責任感が薄れています。律令時代の『租・庸・調』のように、働かず税金を納めない若者には、公園の掃除などの労役を課すぐらいのことはすべきです」

 なお、ザ・アールは人材派遣会社で、竹中氏が会長を務めるパソナグループも人材派遣会社だ。ピケティが危惧する「働く人の賃金」が伸びない理由の一つが、人材派遣会社の賃金の中抜きにあるのではないかと追及したいところだ。

 小泉政権時の総合規制改革会議の議長である宮内義彦氏(現・オリックス・シニア・チェアマン)は、「エコノミスト」のインタビューに対し、「今までの経済学が生産の側から見ていたのに対し、ピケティ氏は社会的な分配の視点から見ており、興味深い」と一定の評価をする。ただし、ピケティが提示した「格差の拡大と富の再分配というテーマは、21世紀の大きな問題」としたうえで、「社会保障は財政負担を拡大させるため、国全体の活力を損なわないよう配慮すべきだ。それぞれの国でいわば“心地よい格差”があるのではないか。どのような状態が公正でどこからが不平等と考えるかは、社会によって違うだろうから、国ごとに深く議論するしかない」と持論を展開している。

 ぜひ宮内氏に、ピケティと“心地よい格差”論をめぐって対談してほしかった。
(文=松井克明/CFP)

1548とはずがたり:2015/02/17(火) 16:05:25
経営学論集分離して立ち上げた方がいいかもな。

2015.1.16 20:11
「三菱商事出身者」なぜモテる?人材輩出力の秘密
http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/150116/ecn15011620110036-n1.html

 産業界で外部人材を登用する動きが加速する中、三菱商事の“人材輩出力”が注目されている。日本ケンタッキー・フライド・チキンや日本ケアサプライなど連結子会社にトップを送り込んでいるのはもちろん、食品スーパー大手のライフコーポレーションは仕事で知り合った三菱商事社員にほれ込み、トップに迎え入れたいと三菱商事首脳に直談判したほどだ。資本関係がなくてもサントリーホールディングス(HD)が三菱商事出身でローソン前社長の新浪剛史氏を社長に招聘(しょうへい)するなど、活躍の舞台は広がっている。「40歳前後で経営を任せられる」独自の人材育成に取り組んでいる成果といえ、特に小売りや食品業界では抜きんでた存在だ。人材を送ってほしいという“ラブコール”も相次いでいるという。三菱商事の“人材道場”の秘訣(ひけつ)を探った。

 ■財務や企業統治に明るい商社マン

 小売りや食品業界などでこのところ外部人材の登用が目立つのは、海外戦略やビジネスモデルを変えないと合従連衡が進む業界で生き残れないとの危機感が背景にある。若いころから財務や企業統治のイロハをたたき込まれる商社マンを迎えることで、組織強化や変革を期待する面もありそうだ。

 後継者難という事情も重なる。一代で日本最大の食品スーパーチェーンを築いたライフコーポレーションの清水信次会長もそのひとり。

 現在の社長、岩崎高治氏との出会いは1994年にさかのぼる。当時20代後半だった岩崎氏は三菱商事から子会社の英食品メーカー、プリンセスに出向し、冷静な決断や粘り強い交渉力が求められる企業買収に奮闘していた。そこに英国視察でリバプールを訪れた清水氏は若いが、英国の流通業界に精通する岩崎氏にほれこむ。その後、三菱商事首脳に直談判し、岩崎氏を1999年に取締役で迎え入れ、2006年に社長に就任した。

■人材道場は修羅場での経験?

 その岩崎氏の経営哲学のひとつが「経営リスクをどこまで減らせるか」。その原点は最初の配属先の果汁チームでの失敗にある。大手飲料メーカーから依頼された炭酸飲料の桃果汁の原料調達を一手に任され、その夏の大ヒット商品の舞台裏を支えた。その勢いに乗じ翌年分を調達したが、その年は商品が売れずじまい。膨大な在庫をかかえた。

 それでも上司は次の修業先のプリンセスへと送り出した。その時の「反省と若い自分に仕事を任せてくれた上司への感謝の念」が「英国時代の企業買収でいかにリスクを減らすかの工夫につながった」と岩崎氏は振り返る。修羅場の経験が今のリーダーシップをはぐくんだに違いない。

1549とはずがたり:2015/02/17(火) 16:06:00
>>1548-1549
 福祉用具のレンタル卸で全国89カ所の営業所を切り盛りする、日本ケアサプライの金子博臣社長は、一泊して派遣社員や営業社員との意見交換する全国行脚が信条だ。派遣社員も入れると社員数は700人近くにのぼるが、営業所は5人から10人規模の小所帯で8割は地元出身だ。

 それだけに「モチベーションをどうあげるかが経営者の最大の仕事だ」と話し、ひざ詰めで悩み相談に応じることもある。

 その出発点は20代後半のアフリカのザンビア事務所長時代の経験だ。日本人一人に現地スタッフという境遇の中、今まで見えなかった本社とのやりとりに気づいた。「大変だけど頑張って」と励ましもあれば「こんなこともできないのか」と上から目線もある。この時の経験が、逆の立場に立った今「やる気になるメッセージの出し方や部下への接し方につながっている」という。

■経営人材育成にあの手この手

 三菱商事が経営人材の育成に力を入れる背景には、収益構造がこの10年で貿易から事業投資へ大きく変化したことがある。

 かつてはメーカーの輸出代行で口銭を稼ぐのが仕事だったが、メーカーの海外進出で出番は減った。資源や海外の事業へ直接投資し、約600社の連結子会社の収益や配当収入が屋台骨を支える。

 「資金だけではなく人も送り込み経営を支えるのが投資銀行との最大の違い」。三菱商事の小林健社長は、売り逃げる投資銀行と一線を画すのは「人財」だと断言する。

 小売りや食品を担当する生活産業グループには、後継者人材を送ってほしいという要請が強くなっており、実際に中国事業を拡大する平和堂や食品スーパー業界第2位のアークスにも経営幹部を送り込む。

 同グループの経営人材育成プログラムはこうだ。最初の5年は取引実務やチーム力、人間力をたたき込む。次の5年間は経営人材の概念を入れ込み10年目以降は出向などで実践を積む。「30代後半から40代前半でどこの会社でも経営が任せられる」(小川広通生活産業グループCEOオフィス室長)のが目標だ。

 日本ケアサプライの金子社長は人材育成のカギは「経営学や財務諸表の読み方よりも、実務で利害が一致しない、板挟みの環境で切磋琢磨(せっさたくま)する環境」だと話す。利害が違う相手と交渉すれば、信頼関係を持ちながらも落としどころを探る工夫が自然と身につく。

 全社をあげた研修も余念がない。入社8年目までに全員を海外に出し、ビジネススクールと提携し、日本人と外国人の幹部候補生の合同研修も実施する。

 経営力のある人材の育成は、少子高齢化を迎えた日本にとって喫緊の課題のひとつといえる。三菱商事の取り組みは中長期的に日本力を高めることにつながるとの期待も大きい。

1550とはずがたり:2015/02/17(火) 16:09:27

生産性向上の起爆剤 フレックスタイム促進の動き
http://economic.jp/?p=40248
2014年09月17日 08:38

日本生産性本部によると、2012年の日本の労働生産性は経済協力開発機構 (OECD)加盟34ヶ国中21位。主要7ヶ国の中では19年連続で最下位という低水準であることが分かった。労働力人口は減少を続けており、内閣府の調査では30年には現在の6,577万人より900万人少ない、5,683万人になると予測している。

 日本生産性本部によると、2012年の日本の労働生産性は経済協力開発機構 (OECD)加盟34ヶ国中21位。主要7ヶ国の中では19年連続で最下位という低水準であることが分かった。現在、日本の労働力人口は減少を続けており、内閣府の調査では30年には現在の6,577万人より900万人少ない、5,683万人になると予測している。限られた労働力でどれだけ高い付加価値を提供できるかが、今後の日本経済の存亡を握っていると言っても過言でない。 

 その中、ホワイトカラーエグゼンプション導入の議論も過熱している。07年に厚生労働省が、ホワイトカラーの生産性を高める狙いで、時間ではなく成果に応じて給与を支払うホワイトカラーエグゼンプション導入の法案成立を目指したが廃案となった。しかし16年の法案化を目指し、現在再び議論の俎上に乗っており、いくつかの企業では先行して導入することも検討されている。

 しかし成果主義導入の失敗もあるように、成果を図る方法が不確かで、公平な査定が可能であるかどうか疑問は残る。また企業が、成果が出るまで労働者を長時間働かせ、実質的に安い賃金で使うことも懸念される。このような企業側に都合の良い法案であることが、ホワイトカラーエグゼンプション導入に労働者が賛成できない点だ。

 一方で政府は、フレックスタイム促進の法改正を検討している。現在の導入5%から拡大させ、柔軟性のある働き方を目指す。フレックスタイム制とは、一定の枠内で始業・終業の時間を働く人が自由に決めることができる仕組みである。必ず出社しなければいけないコアタイムを設け、企業が労働者の労働力を調整をすることも可能だ。労働者の側にとっては、仕事の調整や提供する労働力を自己管理でき、主体性をもった働き方はできるようになる。介護や子育て中の人も労働時間の調整がしやすくなり、女性の労働参加を促すことにもなるだろう。

 いまだに付き合い残業や、長時間働くことが美徳される風潮のある日本。労働力の生産性を高めるために、まずは労働者の自由な裁量を増やし、その能力を適切に発揮させる環境を整備するのが先決ではないだろうか。その第一歩に、フレックスタイム制の促進がある。(編集担当:久保田雄城)

1551とはずがたり:2015/02/18(水) 18:55:53
>>1504
韓国経済「実感なき成長」…GDP0・9%増・読売14/4/24
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1060165061/659
韓国は4-5年後に1人当たり所得で日本を抜く IMFやムーディーズの予測に潜むカラクリ・j-cast/2014/6/14
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1117295937/7058
韓国の「破綻」指標が急騰…11カ月ぶりの高水準・産経15/2/7

2015.1.29 20:30
韓国に「2033年国家破産」説 朴政権が歴代最多借金を抱えるとの予測も…
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/150129/wor15012920300052-n1.html

 韓国経済は借金に沈むのか。韓国国会の財政専門機関が「福祉費用が雪だるま式に増え、2033年には『国家破産』状態に陥りかねない」と分析したと報じられた。高齢化や税収減といった問題に加え、朴(パク・クネ)政権の5年間で増える借金の額は歴代政権で最大との予想も。「借金女王」ぶりが財政悪化に拍車をかけている。

 財政破綻の懸念を示したのは国会の予算審議をサポートし、研究・分析する専門機関、国会予算政策処が作成した14〜60年までの「長期財政見通し」に関する報告書。

 朝鮮日報によると、政府の総支出の増加に総収入の増加が追いつかず、21年に国の財政収支が対国内総生産(GDP)比で赤字に転落。33年からは国債を発行しても支出に耐えられなくなり、「最終的には09年のPIGS(ポルトガル・イタリア・ギリシャ・スペイン)のように、韓国が破産に至る可能性がある」と分析した。そして60年にはGDP比マイナス11・4%まで赤字が拡大すると見込んでいる。

 基礎年金などの福祉分野の支出が拡大するほか、国民年金の資金も53年に枯渇、一方で税収も減るとみている。

 背景にあるのが高齢化だ。週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏はこう指摘する。

 「韓国の少子高齢化は日本を上回るスピードで進行しており、人口動態から見て深刻な事態に入り込んでいる。このままでは韓国経済の立て直しはきわめて困難だ」

 こうした構造的問題に加え、朴政権自体が借金依存度を高めている。韓国メディアは、朴政権の5年間で国の借金が216兆3000億ウォン(約23兆6000億円)増えると分析した韓国議会の資料について報じた。増加額は金大中(キム・デジュン)政権での73兆5000億ウォン(約8兆円)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の165兆4000億ウォン(約18兆円)、李明博(イ・ミョンバク)政権の143兆9000億ウォン(約15兆7000億円)を大きく上回る。

 韓国の場合、深刻なのは国の借金だけではない。家計の負債は昨年9月末で1060兆3000億ウォン(約115兆7000億円)で、負債の増加するスピードも加速している。

 さらに財閥30大グループの負債額は13年末で624兆3000億ウォン(約68兆1000億円)、国内の公共企業の負債は523兆2000億ウォン(約57兆1000億円)にのぼる。

 借金が増えれば増えるほど、朴政権の支持率も下がる。前出の勝又氏は「国民生活を豊かにできない大統領を国民がいつまでも温かい支持をするはずがない」と断じた。

1552名無しさん:2015/02/19(木) 00:21:15
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2015021800615
安倍首相、「新自由主義」を否定=地方・労働者にも配慮

 「われわれは新自由主義的に政策を進めていく考えはない」。安倍晋三首相は18日午後の参院本会議で、自らの経済政策に関し、市場原理最優先の「新自由主義」ではないと訴えた。
 民主党の柳沢光美氏が、「首相は強い者しか生き残れない『新自由主義』の米国のような国に日本をしたいのか」と問いただしたのに対し、答えた。
 答弁で首相は、「安倍内閣が目指すのは、経済の好循環の実現、地方経済の底上げだ。このため、政労使による賃上げ、地方創生に取り組んでいる」などと説明。昨今の格差論争も念頭に「全体の底上げをしっかりと行っていく」と反論した。 (2015/02/18-16:14)

1553とはずがたり:2015/02/21(土) 09:46:34

>つまり事業を起こして産業発展を通じて経済を成長させていく行為へのリターンよりも、彼らに資本を提供してキャピタルゲインや配当、利子を搾取していく行為へのリターンのほうが、歴史を通じて常に高いというのである。

どうやら「起業は割に合わない」は本当らしい?9割の普通の人が富裕層になる唯一の方法
http://news.livedoor.com/article/detail/9808750/
2015年2月21日 6時0分
ビジネスジャーナル

 仏経済学者トマ・ピケティがブームである。昨年後半から今年にかけて多くの経済紙がピケティの『21世紀の資本』(みすず書房)を特集し、NHKの『白熱教室』にも登場した。

 ピケティは過去200年間の世界中の税務統計を集めて、その結果「r>g」という大発見を世の中に提示した。過去200年間、世界全体で資本収益率(r)は常に経済成長率(g)を上回っていたと結論付けた。そのメカニズムによって、資産を持つ富裕層に富が集積していくことになる。そこでピケティは全世界的に富裕層へ課税をして、富の偏在を解消していくべきだと説く。これが現在巻き起こっているピケティブームの一番主要な論点である。

 さて、本連載は常に世の中をウラ読みするコラムなので、本稿では世の中で議論されている正調のピケティ議論ではない、もうひとつの読み方について考えていきたい。

●事業を立ち上げるのは割に合わない?

 ピケティの「r>g」を前提に考えると、事業を立ち上げるのは割に合わないかもしれないのだ。いや筆者もなんとなく、これまでもそんな気がしていた。連続テレビドラマ『半沢直樹』(TBS系)を観たり漫画『ナニワ金融道』(講談社)を読んでいても、実際にいろいろな企業家の相談に乗っていても、なんとなく資本家や銀行家のほうが企業家よりも割がいいような気がしていたのだ。

 企業家の中でも自分で会社を立ち上げた起業家は、お付き合いしていると、人物としては非常に魅力的であることが多い。チャレンジャーで創意工夫に富んでいて、いつも何か面白いことを考えている。ただ儲かっている人もいるのだが、あまり儲かっていない人もいる。時流に乗って非常に儲かっている起業家は、筆者にもよくしてくれるし、周囲にも気前よくお金をばらまいてくれる。

 しかし、そういった調子のよい時期はいつまでも続くことはなく、10〜20年の期間でみると、どちらかといえば苦労して経営している時期のほうが長いように見える。

 一方で資本家や銀行家はというと、人間的にはそれほど魅力も感じないし、堅いというか派手さはない。だが、長い目で見ると、お金はこういった人たちに還流しているように感じていた。

 起業家は結局、事業が傾くと財産をすべて奪われて夜逃げをする。一方で資本家や銀行家は、その前に貸したお金をきっちりと回収している気がしていた。

 そしてここが重要な点なのだが、経営学の理論を学んだ筆者は、そのような感覚は理論的には間違っていると思い込んでいたが、勘違いだったようなのだ。従来の経営学の理論では、同じ投資家でもリスク投資をした資本家は、起業家が失敗すれば株式が無になることで起業家と同様に資産を失う。融資というかたちで資金を供給した銀行家は、元本は安全だが、金利以上の儲けは手にすることができない。だからリスクを取った者がビジネスの成功を手にするし、リスクを取らない金貸しは金利しか手にすることができない。リスクを取ったのであれば、投資家も起業家も同じ船に乗った者同士である。そうだとすると「r=g」というかたちで資本家も起業家も同じ成果を手にできるはずだから、資本家や銀行家が有利だというようなことはない、とこれまでは考えられてきた。

1554とはずがたり:2015/02/21(土) 09:47:12
>>1553-1554
 しかし、ピケティが発見したことは過去200年の歴史を通じて常に資本収益率は経済成長率よりも高い、つまり事実は「r>g」なのだ。第二次世界大戦後から現代までの期間が歴史上もっともこの両者の格差が狭くなった時期ではあるのだが、それでもr(資本収益率)は一貫して4〜5%の間、そしてg(経済成長率)は3〜4%の間にあって、常にrのほうが大きい。

 つまり事業を起こして産業発展を通じて経済を成長させていく行為へのリターンよりも、彼らに資本を提供してキャピタルゲインや配当、利子を搾取していく行為へのリターンのほうが、歴史を通じて常に高いというのである。

 これが事実であれば、起業家になるよりも資本家になるほうが、得られる期待値は高いというわけだ。そしてピケティが過去200年間のデータを集積した結果、どうやらそれが事実であるらしいということで、今、ピケティをめぐった大騒動が起きているのである。

 どうやら現実は、これまでなんとなく筆者がそう思ってきた通りで、中小企業の社長になるよりも、株主や銀行の立場になるほうが割がよいということが、ピケティの努力の結果、統計的にはっきりしたということだ。就職活動が近い自分の子どもには、小説『下町ロケット』を読ませるよりも、『半沢直樹』を見せておいたほうがよさそうだ。

●10%の富裕層でない人たちにとっての選択肢

 さて、「だったらみんな最初から資本家になったほうがいい」というわけではない。なぜなら、資産を持っていなければ資本家にはなれないからだ。その資産はというと、人口の10%が世の中全体の60〜70%の資産を所有している。ここで再びピケティの論点の本筋に議論が合流することになる。

 もともと割のいい立場は、長い歴史を通じて、ごく一部の人たちの手に握られたままなのである。そこでそのような10%の富裕層でない人たちにとっての選択肢は、起業家になって一攫千金を狙うか、そうではない第三の選択肢、それは同時にほとんどの人が選ぶ選択肢でもあるが、サラリーマンになって経済成長よりもさらに低い上昇率の給料をもらいながら、その中で勝ち残って大企業経営者という「フローでの」富裕層を目指す道を選ぶかなのである。

 突き詰めて考えると、起業をするということも、サラリーマンから社長を目指すということも、経済成長以上に成功して自分が儲かる立場になるというわずかな可能性に賭けることである。少ない確率ではあるが、そうなった人は富裕層の仲間入りをすることができる。

 しかし当然ながら、経済成長率以下のペースでしか資産を増やせない普通の人になる可能性のほうが大きい。そしてそのような人たちは、資本家や銀行家たちに利潤の大きな部分を搾取されていくことになる。一攫千金の夢を追って起業して20年間がんばったけど、最後は銀行に家屋敷をとられてしまっておしまいということになる人も少なくない。なにしろ200年間を通じて常に「r>g」なのだ。

 とはいえ、ピケティが提唱するような世界規模で富裕層への増税が実現する現実的な方法は、当面は発見されないだろう。とすれば富裕層ではない90%の読者のみなさんにとってできることは、確率的な期待値ではなく、ボラティリティ(変動率)に賭けるしか富裕層の仲間入りをする方法はないということなのだ。

 ピケティが「チャレンジは結局、割に合わない」という事実を発見してくれたけれども、とれる選択肢は相変わらず「チャレンジするほかに方法はない」ということだったわけだ。
(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)

1555とはずがたり:2015/02/21(土) 09:56:09
>>1553
>企業家の中でも自分で会社を立ち上げた起業家は、お付き合いしていると、人物としては非常に魅力的であることが多い。チャレンジャーで創意工夫に富んでいて、いつも何か面白いことを考えている。ただ儲かっている人もいるのだが、あまり儲かっていない人もいる。時流に乗って非常に儲かっている起業家は、筆者にもよくしてくれるし、周囲にも気前よくお金をばらまいてくれる。
>しかし、そういった調子のよい時期はいつまでも続くことはなく、10〜20年の期間でみると、どちらかといえば苦労して経営している時期のほうが長いように見える。
>一方で資本家や銀行家はというと、人間的にはそれほど魅力も感じないし、堅いというか派手さはない。だが、長い目で見ると、お金はこういった人たちに還流しているように感じていた。
> 起業家は結局、事業が傾くと財産をすべて奪われて夜逃げをする。一方で資本家や銀行家は、その前に貸したお金をきっちりと回収している気がしていた。

お金(収益)だけ考えるとそうなのかもしれない。ただ人間は幸か不幸かお金以外の価値基準持ってて起業は大好きだけど銀行家なんてやってられないって人がゐる訳だけど,それって先天的な人間の適性や才能ではなく後天的な生まれ育ち等の環境に影響される部分が大きそうで,そうなると適性あるのに企業家選ばずに銀行家なんかやって窓際コースもゐる筈で,それが経済損失に繋がるならその辺の体験教育?が大事になるねー。

消費税20%ぐらいにして国民にベーシックインカム配るだけじゃなくて若い内に起業体験を一回できる選択肢とか出来ないもんかね?

1556とはずがたり:2015/02/23(月) 01:55:49

世界の富 人口の1%が半分保有2015年1月20日(火) 14時54分掲載
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6146623

(CNN) 世界の人口の1%の富裕層がもつ資産の総額は来年までに、残る99%の人口の資産を合わせた額と同程度になるという推計を、国際支援団体のオックスファムが19日に発表した。また、世界の富裕層上位80人の資産総額は、貧困層35億人の資産総額に匹敵するという。(CNN.co.jp)

1557とはずがたり:2015/03/04(水) 17:56:28

実質賃金、19カ月連続減少 下げ幅は縮小
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/business/ASH3333WDH33ULFA006.html
朝日新聞2015年3月3日(火)14:38

 厚生労働省が3日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報)で、働き手1人平均の現金給与総額は前年同月より1・3%多い27万2779円だった。物価の伸びを加味した実質賃金指数は同1・5%減と19カ月続けてマイナスだったが、下げ幅は前月より縮小した。

 現金給与総額が上がったのは、賃上げする企業が増えていることに加え、ボーナスなどが前年同月比で10・8%、残業代なども同2・6%、それぞれ増えたことが大きい。早出や残業時間は、建設業やサービス業、製造業など幅広い産業で増えている。

 パートタイムの労働者に限ると、現金給与総額は同0・1%減の9万3075円で3カ月続けてマイナスだった。総労働時間が同1・3%減っており、短時間で働く人が増えるなどして1人平均で働く時間が減り、給与の減少につながったとみられる。

1558とはずがたり:2015/03/15(日) 20:12:39

「21世紀は再び米国の世紀」 米国衰退論に対する強烈な反論
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1071749960/2298-2299n
Wedge 3月4日(水)12時10分配信


 元米陸軍大将で前米CIA長官のぺトレイアスと米ブルッキングス研究所上席研究員のオハンロンが、21世紀は再び米国の世紀であり、将来はかつてないほど明るいとの楽観論を、1月30日付の米ワシントン・ポスト紙で述べています。

 すなわち、最近の米国経済は、失業率の低下、成長率の改善、財政赤字の削減など好調だが、多くの者は、これはうわべだけのものであり、米国は衰退していて、米国のみならず西側世界は後退している、と悲観している。

 しかし、このような見方は、米国と北米に関する限り根拠がない。最近の好指標は、米国が享受できる将来を示している。特に政治指導者が重要な問題につき、いくつかの賢明で、それほど困難でない妥協をすれば将来は明るい。

 事実米国は、今後20〜30年、そしておそらくその後も、他のいかなる国よりもいい位置にいる。米国はまたカナダ、メキシコとともに、地政学、人口動態、エネルギーと天然資源、製造業の競争力、そしてなかんずく革新と技術で、競争上の優位を相互に補強する。20世紀が米国の世紀であったなら、21世紀は北米の世紀となりうる。

・米国は今や世界最大の石油、天然ガスの生産国で、カナダとメキシコはエネルギー分野で重要なプレイヤーである。

・米国の製造業は過去2年で何十万という雇用を創出し、メキシコは多くの産業分野で中国や他のアジアの製造拠点国と完全に競争できる。

・米国の連邦財政赤字はまだ高すぎるがGDPの3%を切り、公的債務はGDPの75%前後で安定している。

・米国の犯罪率はここ20年で最低である。

・米国の人口は年1%で着実に増加しており、他の先進国、ロシア、中国、インドに比べ、はるかに健全である。

・米国の軍部は、イラクとアフガニスタンでの戦争の重荷のみならず、過去5年間の予算削減の圧力を乗り越えた。

1559とはずがたり:2015/04/17(金) 18:26:01

最近話題の「ボリュームゾーン不況」って何?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150417-00000003-wordleaf-bus_all
THE PAGE 4月17日(金)11時0分配信

 このところボリュームゾーン不況という言葉が話題になっています。商品のライフサイクルが極端に短くなるという現象が、ボリュームゾーンと呼ばれるもっとも売れる価格帯の商品を直撃しているというものです。これにはどのような背景があるのでしょうか。

 一般的にボリュームゾーンの商品というものは、安価なものを大量に供給するという考え方が基本です。ひとたび人気が出れば、それは定番商品となり、長期にわたって企業に利益をもたらします。どの企業もボリュームゾーンのロングヒットを狙って、商品やサービスの開発を行ってきたわけです。

 しかし、最近この傾向に変化が見られるようになってきました。人気商品が出ても、そのブームはすぐに終焉してしまい、なかなかロングヒットにつながりません。マス向けに大量の商品を販売するイオンのような小売店は苦戦が続いていますし、コンビニでは新商品の導入頻度が年々上昇しているといわれます。商品の頻繁な入れ替えは手間になるのでできるだけ抑えたいところですが、次々と新しい商品を出していかないと消費者に飽きられてしまいます。日本マクドナルドも、こうした消費者の嗜好の変化に合わせ、次々と新商品を投入していきましたが、最後は顧客にソッポを向かれてしまいました。

 ボリュームゾーン不況という言葉が目新しいせいか、何か特殊な事態が市場に起こっているというイメージがありますが、実はそうではありません。消費者のニーズが多様化し、マス向けの商品やサービスが売れにくいという状況は、20年ほど前から進行していました。日本はすでに成熟国家ですから、皆がモノを欲しがっているわけではありません。琴線に触れる商品やサービスを提供しないと、消費者はなかなか財布のヒモを緩めないのです。インターネットが普及し、マス向けの宣伝効果が落ちていることもこれに拍車をかけていると思われます。

 ではなぜ、このタイミングでボリュームゾーン不況というキーワードが注目されているのでしょうか。それは、日本の消費者の購買力が限界に達していることと大きく関係しているかもしれません。

 日本経済はここ20年ずっと横ばいが続いています。日本だけを見れば横ばいなのですが、その間、日本以外の先進国はGDPの規模を1.5倍から2倍に拡大させています。グローバル時代における経済は相対的なものですから、日本人の購買力は大幅に低下してしまったわけです。

 日本の家計における貯蓄率は年々低下しており、2013年度にはとうとうマイナスに転じてしまいました。これは決して贅沢をしているからではなく、日本人の実質的な稼ぎが減少していることが主な原因です。懐が寂しいですから、消費者はあらゆるものの購入に対して慎重になります。よほど話題になるものでなければ、簡単に飛びつきませんし、そのブームも長続きせずに終わってしまいます。

 消費者のニーズ多様化に企業が追い付く努力を続けることは重要ですが、日本経済のパイが拡大しなければ、根本的な解決にはならないでしょう。
(The Capital Tribune Japan)

1560とはずがたり:2015/05/04(月) 18:53:47
>企業の利益は何段階かにわけて計算するが、売上から原価を差し引いたものが売上高総利益(うりあげだかそうりえき、いわゆる粗利)、そこから販管費を差し引いたものが営業利益(本業の利益)となる。勘違いした指摘の多くは、人件費は例外無く販管費であって原価ではないという思い込みによるものだ。

ステーキけんの社長も間違える、マクドナルドの原価96.1%について。(中嶋よしふみ SCOL編集長)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150501-00010000-scafe-bus_all
シェアーズカフェ・オンライン 5月1日(金)4時46分配信

ハンバーガーの「原価」とは?

マクドナルドの原価率は96.1%、つまり粗利(あらり)はたったの3.9%……。

先日「マクドナルドの『原価』を調べてみた」という記事ではこのように書いた。こんなに原価が高いければ利益は出ないだろう、と多数の反響をいただいた一方で、原価の計算がおかしい、原価に人件費や家賃は含まない、などいくつかの指摘もあった。

その中には飲食チェーンのステーキけんを経営するエムグランドフードサービス社長・井戸実氏のコメントもあり、ツイッターでは以下のように手厳しいコメントを頂いた。

「馬鹿な記事をよく公然と書けるもんだなぁ。恥ずかしく無いのかね。原価が90%?んな訳ねーじゃん。」 
井戸実氏のツイッターアカウントより 2014/04/28 

さて、これらの指摘は正しいのだろうか。結論から言えば100%間違っている。マクドナルドの決算書では「製造原価明細書」として、材料費以外に労務費(人件費)、その他(家賃・光熱費など)も記載されている。つまり店舗でハンバーガーの調理に携わる人の給料も家賃も原価として計算しているという事になる。

飲食業の常識では原価=材料費という事になるのだろうが、会計ルールはそれほど単純ではない。「マクドナルドの原価を調べてみた」を書いた動機は、企業経営を語るなら最低限、原価の構造くらいは見てから議論してほしいと思ったからだ。しかし原価の定義が人によって曖昧で、飲食店経営者ですら正確に理解していないのであれば、さらにさかのぼって説明する必要があるだろう。

■原価とは何か?
「原価」と聞いて想定する範囲は人によって異なると思うが、企業会計では以下のように決められている。

「売上原価は、売上高に対応する商品等の仕入原価又は製造原価(中略)」
企業会計原則より。

原価とは仕入原価か製造原価である、と書いてあるがこれも説明が必要だろう。一番わかりやすい原価は小売業などで用いる仕入原価で、仕入代金がそのまま原価となる。

一方、製造業であればもう少し複雑だ。何かを製造する際には「材料費」以外に、モノを作る人の「人件費」、工場や設備とそれらを動かす電気代などの経費も必要となり、これらが原価=製造原価となる。

※かなり簡略化して説明しているので、詳細は専門書・専門家等に確認されたい。

■飲食業は製造業+小売業。
ではマクドナルドのような飲食店は小売業と製造業、どちらなのだろうか。店舗で料理を作るという面では製造業の要素があり、作ったものを店舗で売っている面を見れば小売業でもある。

会計処理は企業によってまちまちで、原価に人件費を計上している企業もあればしていない企業もある。企業によって扱いが異なる点について、4大監査法人の一つである新日本有限責任監査法人では以下のように説明している。

1561とはずがたり:2015/05/04(月) 18:54:14
>>1560-1561
「店舗で発生する人件費を、売上高と直接対応させて売上原価(製造原価)として捉えるか、売上と直接対応しない費用として販売費として捉えるかといった違いによるものと考えられます。」
外食産業における営業業務 新日本有限責任監査法人 HPより

つまり、モノ作りのコストとして原価に計上している企業もあれば、原価ではなく販売管理費(販管費)として計上している企業もある、という事だ。販売管理費には通常、人件費や家賃、宣伝広告費などが計上される。

■粗利と営業利益の違い。
企業の利益は何段階かにわけて計算するが、売上から原価を差し引いたものが売上高総利益(うりあげだかそうりえき、いわゆる粗利)、そこから販管費を差し引いたものが営業利益(本業の利益)となる。勘違いした指摘の多くは、人件費は例外無く販管費であって原価ではないという思い込みによるものだ。すでに説明したように製造業として原価計算するのであれば人件費も原価に含む事になる。

企業は人件費をどのように判断をしているのかというと、以下のようになる。

「店舗やセントラルキッチンで料理人が調理を行う場合と、食材加工のほぼすべてを納入業者が行い、店舗ではアルバイトがそれを温めるのみといった場合では、店舗での調理を主要業務と捉えるか販売のための付随的な業務と捉えるかによって、人件費の捉え方に違いが生じることになります。」
外食産業における営業業務 新日本有限責任監査法人 HPより

店舗は「工場」と「お店」のどちらなのか?という事だ。これは企業によって異なるだろう。つまり実態に即して計算していれば正しいという事になり、人件費や家賃を原価に含む事は間違い、という指摘の方が不正確だと言える。

■製造業と飲食業の違い。
製造業では原価に人件費を計上するため、工場で働く社員に払った人件費が、倉庫に在庫の形で眠っていることは普通に起こりうる。そして給料を払ったのが今年でも商品の売れた時期が翌年であれば、在庫に含まれた人件費が費用として計上されるのも翌年という事になる。

これは費用と売上は対応させる、つまり売上を得るために使った金額しか費用は計上できないという会計ルールがあるからだ。まだ売れていない商品に関わる人件費を計上してしまえば、結果として正しい利益は計算できない(払った給料が費用として計上されない、つまり現金の動きと利益の計算は異なるという点はキャッシュフローの話になるが、本筋から外れるので省略する)。

飲食業の原価計算が小売業と製造業のどちらの方式でも許されている理由は、今年作ったものを来年売るといったタイミングのずれが基本的に起こらないからだと思われる。売上と費用が対応していれば、計上する項目が原価でも販管費でも最終的な利益の額は変わらない。

各飲食業の「製造原価明細書」を見ると、マックのように原価に占める材料費の割合が3割程度の企業もあれば、サイゼリヤは71.8%、王将は93.2%となっている(いずれも有価証券報告書より)。一番調理に手間がかかっていそうな餃子の王将が材料費だけで原価9割を超えている理由は、店舗の人件費をほとんど原価として計上していないから、という事になる。

■マクドナルドが人件費を原価に含める理由は?
マックが店舗の人件費と家賃を原価とする理由は、店舗のコストと本社のコストをできるだけ分離することで利益の計算を整理することも目的の一つではないかと思われる。同じ家賃や人件費でも、性質が異なるものは原価と販間費で分けて計上したほうがより正確に利益を計算できる場合もある、という事だ。

原価というシンプルな言葉一つとっても誤解や勘違いはある。恥ずかしい議論をしないためにも最低限の知識は身に着けておきたい。

中嶋よしふみ シェアーズカフェ・オンライン編集長 ファイナンシャルプランナー

1562とはずがたり:2015/05/13(水) 15:18:12

「貧困不良少年」が経済学のスターになった!
規格外経済学者、フライヤー教授の快進撃
倉沢 美左 :東洋経済オンライン編集部 記者
2015年05月13日
http://toyokeizai.net/articles/-/69327?utm_source=excite&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

Roland G. Fryer●1977年生まれ。2012年に優秀な若手社会科学者に授与されるカルヴォ・アルメンゴル国際賞も受賞している。「経済学会、黒人社会のライジングスター」との呼び名も

アフリカ系アメリカ人として初めてノーベル経済学賞を手にする日もそう遠くないかも知れない。

ハーバード大学経済学部教授のローランド・フライヤー氏が4月下旬、アメリカ経済学会が授与している「ジョン・ベイツ・クラーク賞」を受賞した。同賞の対象は、経済学での功績が認められた40歳以下の米国人で、過去にはポール・サミュエルソン氏やジョセフ・スティグリッツ氏、ポール・クルーグマン氏などが受賞している。受賞者の多くがその後、ノーベル賞を授与されているため、米国では「ノーベル賞に最も近い経済学賞」とも言われる。
経済学との出会いで人生が激変

37歳のフライヤー氏は、経済学者としてのキャリアの大半を、人種と教育格差や経済格差の研究に費やしてきており、今回は一連の研究が評価された。

少年時代にはこんな華々しい未来が訪れるとは思いもよらなかっただろう。生まれはテキサス州。シングルファーザー家庭に育った。父親は酒飲みで職に就いても長続きしないうえ、フライヤー氏が中学生の頃、性犯罪で捕まってしまう。極度の貧困と先の見えない日々。フライヤー氏自身も銃を持ち歩くような生活を送っていた。

15歳のとき、転機が訪れる。街でドラッグディーラーに間違われ警察の尋問を受けたことで、生活を見直すようになったと過去のインタビューで告白している。その後、バスケットボール選手として奨学金を得てテキサス州立大学に進学。ここでの経済学との出会いが2度目の転機となった。

それからの活躍はアメリカンドリームそのものだ。同大を2年半で卒業すると、ペンシルベニア州立大学大学院に進み経済学の博士号を取得。25歳でハーバード大の研究職を得る。フライヤー氏にラブコールを送ったのは当時学長だったローレンス・サマーズ氏だとされる。

そして今から約7年前、30歳のときに、ハーバード大のアフリカ系アメリカ人教授としては最も若くして経済学部の終身教授に就いた。

その後も同氏の活躍は続き、2008年には英「エコノミスト」誌が10年に1度掲載する「世界の若手エコノミスト8人」に選出された。2007年〜2008年にはニューヨーク市のChief Equality Officer(最高平等責任者)を務めるなど、研究以外にも活動の幅を広げている。

近年、米国では人種間の緊張が高まっており、先月にもメリーランド州ボルティモアで白人警察官による拘束時の影響から黒人男性が死亡したことに対する激しい抗議活動が全米各地で起こっている。

こうした中、経済学の観点から人種間格差是正に取り組んでいるフライヤー氏の研究が評価された意義は大きい。そこで、今回は2014年11月1日号の「週刊東洋経済」に掲載された同氏のインタビューを再掲したい。
アメリカンドリームは廃れつつある

──非常に厳しい幼少時代を過ごしたと聞いていますが、過去の経験は現在の研究にどのように影響しましたか。

私が育った社会は米国における最下層だ。子どもの頃から自分の周りには才能のある知人がたくさんいるにもかかわらず、いろいろな理由からその才能を生かせないでいると感じていた。

米国では子どもの頃育った地域の平均収入と、大人になって暮らす地域の平均収入に大きな相関性がある。この相関性は強まるばかりで、出身や宗教、人種にかかわらず努力すればいい暮らしを得られるというアメリカンドリームは廃れつつある。格差は開いているだけでなく、あらゆる側面で現れ始めている。

自分の育ちを考えれば、ハーバード大の教授になれたことは幸運としか言いようがない。格差の両極を経験しているわけだ。私の最終的なゴールは、育った場所と将来暮らす場所の相関性を弱めることだ。

ただしやみくもに格差をなくせばいいわけでもない。格差を縮めながら、起業家精神や必死に働くというモチベーションを養う方策が必要だ。単に格差をなくすのならば、同じ額の給与を全員に与えればいい。だが、それではスティーブ・ジョブズになるインセンティブも生まれない。経済成長を続けるには彼のような存在が欠かせない。

1563とはずがたり:2015/05/13(水) 15:18:40
>>1562-1563

──米国には建国来、特に人種を中心とした格差がありました。それがなぜ今になって格差があると叫ばれるようになったのでしょう。

米国では、景気後退とは近所の人が仕事をなくすこと、不況は自分が仕事をなくすことだといわれる。自分に同じ災難が降りかからないかぎり他人の状況は理解できない、という意味だ。今や米国には、建国来初めて子ども世代が親世代より裕福な生活を送れないかもしれないという認識が広がっている。

これは米国民にはとてつもなく恐ろしい事態だ。人種格差は多くの人にとって近所の人の問題だった。が、自分が仕事を失ったり、子どもが大学を出ても職を得られず家に戻ってきたりして初めて、格差問題がマイノリティではなく自分の問題として突き付けられるようになったわけだ。いい地域に育ち、いい学校を出て普通に暮らした人たちにとって経験したことのない恐怖感だ。
スキルレベルの差が雇用格差につながっている

──足元では米景気は回復し、失業率も下がり続けています。それでも格差への関心は膨らんでいる。

確かに数字上ではそうなっている。が、スキルレベルに焦点を合わせ雇用状況を見てみると、違う絵が浮かび上がるはずだ。

格差には二つの見方がある。一つは同じスキルレベルを持つ人同士の格差。もう一つは、スキルレベルが異なる人同士の格差だ。現在の米国における失業や雇用上の不平等は、スキルレベルが低い人に起こりやすい状況にある。

これが、育った地域と将来格差について私が研究している理由だ。今の米国ではどの学校に行ったかでその後の将来が決定づけられやすい。格差は子どもの頃から始まっている。雇用政策だけで雇用の質を改善するのは不可能で、雇用格差をなくすにはスキルレベルの差をなくすことを始めないといけない。雇用主だってスキルのない従業員は雇いたくないだろう。

トマ・ピケティは富裕層に対する課税強化を提案しているが、これには根本的に反対だ。最も重要なのはトップへのアプローチではなく、ボトムを教育し、チャンスを与えることだ。

──具体的に必要なことは。

公立学校のシステムをドラスチックにテコ入れすることが必要だ。教師の質を向上させ、生徒が学校にいる時間を延長する。そして、どの地域にいる生徒に対しても期待値を高く設定することだ。最初から期待値が低ければそのレベルにも達さなくなってしまう。だが、残念なことに政治家の多くが教育改革は必要だと知りながら実際は動かない。
格差が広がれば米国は競争力を失う

──政治家に教育改革を働きかけることはないのですか。

もちろんやっているが一筋縄ではいかない。まず政治家にとって教育改革は手間がかかる割に得票につながりにくい。教員組合や各種業界団体など反対勢力も多い。たとえば、テキサス州の学校で登校期間を延長する取り組みを行ったとき、州の観光協会から猛烈な反発を受けた。子どもが学校にいる時間が長くなると、バケーションに行く時間が減るからという理由だ。

──格差が広がり続けた場合、米経済にどう影響しますか。

ローマ帝国のように米国もいつかは競争上の優位性を失うだろう。問題は、米国は自ら改革し、こうした課題を解決し続けられるかだが、現時点ではその兆候は見えない。

──アメリカンドリームは消えうせたのでしょうか。

そうとは考えたくないが、夢を実現するには努力するだけでなく、就職しやすい大学に入るなどスマートさが必要になったのは確かだろう。つまり、アメリカンドリームも変わり始めているということだ。

ただ、私のような例は米国でしか起こらない。6月にオバマ大統領に会った際、「私のような男が大統領に会えるのはこの国だけだと思います」と伝えたら、「私のような男が大統領になれるのもこの国だけだ」と答えてくれた。これが米国でも例外中の例外ということになれば、私たちは本当に岐路に立たされていることになる。

1564とはずがたり:2015/05/21(木) 19:16:24
>あまり知られていないが、日本では、民間純貯蓄が政府赤字によってほとんど食い潰され、2008年度以降、国民純貯蓄はゼロ近くまで低下している。成長の継続には民間投資(資本蓄積)が不可欠だが、その投資を賄う国民純貯蓄がすでに枯渇しているのである。言うまでもなく、政府赤字の原因は社会保障費の増大にある。

>仮に成長戦略が劇的に成功し、潜在成長率の改善につながる収益性の高い投資プロジェクトが国内で頻出するようになっても、それを賄う貯蓄が国内では底を付いているからである。もちろん、日本は閉鎖経済ではないから、資本輸入で賄えば良いのだが、海外から資本を惹きつけるには、金利が十分上昇する必要がある。しかし、金利が上昇した際、GDPの1.6倍に達する公的純債務は持続可能であろうか。

コラム:金融抑圧が招く「バブル」への道=河野龍太郎氏
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0O00KJ20150515?sp=true
2015年 05月 15日 18:34 JST

[東京 15日] - 日経平均株価が上昇し、例えば2万円などの節目に達すると、筆者に弱気コメントを求めるメディアからの連絡が増える。バランスを取るために必要なのだろうか。筆者がアベノミクスの帰結に対して悲観的であることを多くの人が認識しているのだ。

極端な金融緩和や追加財政など第1の矢、第2の矢で景気を持ち上げることが一時的にできても、第3の矢である成長戦略の効果は劇的に現れるものではない。

それゆえ、アベノミクスの最終的な帰結は、1)インフレが上昇するだけで、ゼロ近傍まで低下した潜在成長率はほとんど改善しないままに終わり、2)膨張する公的債務に歯止めをかけることもできないため、財政への配慮から、インフレ上昇後も、日銀はゼロ金利政策や大量の長期国債購入政策を停止することができなくなる。確かに、こうした悲観シナリオをアベノミクスの開始直後から筆者は掲げている。

しかし、同時に、筆者は、アベノミクスのスタート時点から、日本株については相当に強気できた。多くの人は誤解しているが、株価が上昇するのは、必ずしも潜在成長率の上昇を反映するケースだけではない。反対に、中長期的に見て問題含みの政策が採用される場合も、株価は大幅に上昇し得る。もちろん、最終的にはファンダメンタルズへ回帰することになり、大幅な調整は不可避であろうが、長い期間にわたって上昇が続く可能性もある。

では、中長期の日本経済に悲観的な筆者が、なぜ日本株に強気なのか。結論を一言で言えば、金融抑圧が継続されるからである。

<2%成長継続でも、16%の消費税率が必要>
これまでも論じている通り、政府が掲げる2020年度までの基礎的財政収支(プライマリーバランス、以下PB)黒字化目標の達成は、かなり絶望的である。経済財政諮問会議、自民党の財政再建特命委員会、財務省・財政制度等審議会がそれぞれ様々な検討をしてはいる。しかし、内閣府の最新の推計(今年2月)では、アベノミクスが成功し、2%成長、2%インフレが達成される経済再生ケースでも(名目成長率は3%)、2020年度のPBは対国内総生産(GDP)比で1.6%の赤字にとどまる。

公的純債務がGDPの1.6倍に達しているから、政府の資本コストと名目成長率の間に1%程度のかい離があることを前提にすると、公的債務の対GDP比を安定的に低下させるには、GDP比で1.6%程度のPB黒字が必要である。この3.2ポイントの改善には、消費税で換算して6ポイントの税率引き上げが必要となる。内閣府の試算は、2017年4月の10%への消費増税を前提にしているため、16%程度まで税率を引き上げなければならないということである。

継続的な2%成長というのは、潜在成長率が0.3%まで低下している日本には非現実な目標と言うほかない。1人当たり成長率は2.6%程度ということになり、過去30年間でそうした高成長が観測されたのは、1990年代初頭のバブル期だけである。

内閣府は、名目1%成長という、より現実的なベースライン・ケースも用意しているが、その場合、2020年度のPBは対GDP比で3.0%の赤字となる。公的債務の対GDP比を安定的に低下させるには、PBの4.6ポイントの改善、消費税率に換算して9ポイントの引き上げが必要となる。つまり、現実的な成長見通しを前提にすると、19%の消費税率を甘受しなければならない、ということである。

しかし、安倍首相は、2017年4月に10%に引き上げた後の消費増税は検討しないと明言している。もちろん、財政健全化を行う場合、増税だけで対応する必要はない。むしろ、潜在成長率を大きく左右する資本蓄積の観点から見れば、財政健全化は増税だけでなく、歳出削減での対応も望まれる。

1565とはずがたり:2015/05/21(木) 19:16:56

あまり知られていないが、日本では、民間純貯蓄が政府赤字によってほとんど食い潰され、2008年度以降、国民純貯蓄はゼロ近くまで低下している。成長の継続には民間投資(資本蓄積)が不可欠だが、その投資を賄う国民純貯蓄がすでに枯渇しているのである。言うまでもなく、政府赤字の原因は社会保障費の増大にある。このため、社会保障費を削減することで、政府赤字を減らさなければならない。

もちろん、政府赤字の削減は増税でも可能だが、その場合、増大する社会保障費は増税によって賄われる。つまり、増税をしても民間純貯蓄が社会保障費に食われ、資本蓄積を賄うための国民純貯蓄が費消される状況に変りはない。正確に言うと、増税に伴い民間から政府への所得移転が生じ、政府赤字が減った分だけ民間純貯蓄も減少するため、国民純貯蓄の改善にはつながらないのである。

筆者が、アベノミクスの帰結に悲観的な理由の1つは、仮に成長戦略が劇的に成功し、潜在成長率の改善につながる収益性の高い投資プロジェクトが国内で頻出するようになっても、それを賄う貯蓄が国内では底を付いているからである。もちろん、日本は閉鎖経済ではないから、資本輸入で賄えば良いのだが、海外から資本を惹きつけるには、金利が十分上昇する必要がある。しかし、金利が上昇した際、GDPの1.6倍に達する公的純債務は持続可能であろうか。

<禁断の方策>
このように資本蓄積への悪影響を抑えるという観点からは、財政健全化の際、増税だけでなく、歳出削減で対応することも必要である。しかし、大幅な歳出削減を行うとすれば、当然にして社会保障費の削減が不可欠になるが、公的年金の支給開始年齢引き上げや医療保険のカバー率の引き下げなど、社会保障費削減の際、最低限必要と思われる政策は全く検討されていない。

増税も行わず、歳出削減も行わず、安倍首相はどうやって財政健全を達成しようとするのだろうか。昨年末から安倍首相が口にするようになったのは、PB黒字の達成だけにこだわるのではなく、むしろ公的債務のGDP比などの改善に注力すべきというものである。どうやら安倍首相は、「禁断の方策」に解を見いだした可能性がある。

前述した通り、通常の状況では、政府の資本コストは名目成長率よりも高い。その場合、一定のPB黒字が達成された後に、公的債務の対GDP比が安定的に低下していく。正確に言えば、政府の資本コストと名目成長率の差に、公的債務のGDP比を掛け合わせた数字よりも大きなPB黒字の対GDP比が確保されることで、公的債務のGDP比は安定的に低下していく。

しかし、もし政府の資本コストを名目成長率以下に安定的に抑えることができれば、どうだろう。相当に低く抑えることができれば、PBが赤字のままでも、公的債務の対GDP比を安定的に低下させることができる。

本来は、インフレ率あるいは実質成長率のいずれが上昇しても、長期金利が上昇し、政府の資本コストも上昇していく。しかし、日銀がゼロ金利政策と大量の長期国債の購入政策を継続し、長期金利の上昇を押さえ込めばどうか。名目成長率の上昇に応じて税収は増加するが、一方で政府の利払い費は抑制されたままであるため、PBが黒字化しなくても、理屈上、公的債務の対GDP比は低下し得る。

つまり、増税もせず、歳出削減もせず、それでも公的債務のGDP比の引き下げを可能とする方法が金融抑圧なのである。犠牲になるのは預金者だ。

だが、このような政策を継続することはできるのか、多くの人は持続可能性を疑うだろう。名目成長率が高まり、金利上昇圧力が高まっても、発行された長期国債のほとんどを日銀が購入する現状の金融政策を継続すれば何が生じるか。理論上、長期金利の安定とインフレ率の安定の二律背反問題に直面する。インフレ率が上昇しても、長期金利を低位で安定させると(正確には釘付けということになると思うが)、実質金利のマイナス幅が拡大し、円安が進展、それがさらなるインフレ上昇をもたらす。

もちろん、円安がもたらすインフレ加速を避けるため、長期金利上昇を容認することも、選択肢としてはあり得るが、その場合、利払い費の膨張による公的債務の発散問題に直面する。長期金利の安定とインフレ率の安定の二律背反問題は、換言すれば「財政危機回避」と「物価安定の追求」の二律背反問題であり、最終的には、財政危機を回避するため、物価安定が放棄されることになる。つまり、金融政策は財政従属に陥り、政策の目的は物価安定ではなく、財政危機回避となる。

1566とはずがたり:2015/05/21(木) 19:17:30
>>1564-1566
インフレの上昇も当初はモデレートなもので、名目成長率の改善で税収が増え、一方でゼロ金利政策の継続によって利払い費が抑えられるため、公的債務の対GDP比が改善することを多くの人は手放しで歓迎するだろう。増税なし、歳出削減なしで公的債務の対GDP比が低下することを、アベノミクスの成功の証と褒めたたえる人も増えるだろう。ただ、結局のところ、この政策の本質は、インフレタックスである。インフレが加速した後に、それが単に預金者から政府へのインフレを通じた所得移転であり、資源配分を歪めるコストの大きい政策であることに多くの人が気付く。

<QQE2で本格的な金融抑圧が始まった>
常々論じている通り、公的債務の対GDP比の安定的な低下には、理論的にも歴史的にも2つの方法しか存在しない。2つの方法とは、財政調整(増税、歳出削減)とインフレタックスである。財政調整が選択されなければ、意図するかしないかにかかわらず、残る選択肢はインフレタックスとなる。

資源配分の歪みを考えると、財政調整の総コストの方が小さいのだが、多くの場合、当初は意図せずしてインフレタックスが選択され、潜在成長率への悪影響など、その深刻さに気が付いた後に、財政調整が選択される。戦後の英国は、20年近い高率のインフレに苦しんだ末に、マーガレット・サッチャーを首相に戴き、財政調整に着手した。

実質成長率が上昇すれば問題は解決できると安易に考える人がいるかもしれない。まさにそう考える人が少なくないから、財政調整ではなく、結果的にインフレタックスが選択されるのだが、一時的に高い成長が可能だとしても、潜在成長率は劇的には改善しないため、それは解決策にはなり得ない。

そもそも、2%の潜在成長率を前提とする内閣府の経済再生ケースにおいても、PBは赤字のままで公的債務の対GDP比は膨張が続いていた。2%の潜在成長率そのものも非現実的だが、そこからさらに高い成長を求めようというのか。それは、1990年前後のバブル期よりも高い1人当たり潜在成長率を目指すということである。もし可能と言うのなら、ブードゥー・エコノミクスの類に他ならない。

問題は、今後、ブードゥー・エコノミクスの信者が増えてくる可能性が高いことである。名目成長率を下回る水準に長期金利を抑制すると、潜在成長率が劇的に改善しなくても、株価や不動産価格が上昇を続け、ユーフォリアが広がる。つまり、バブルが膨らむ。長期金利が名目成長率よりも低い状況が続くということは、それは平均的な経済主体が借入れをし、投資をすると高い超過リターンが得られることを意味する。現実には、そのような収益性の高い実物投資の機会は限られるから、超過リターンはバブルによってのみ可能となる。資産価格が上昇するから、インカム・ゲインが限られていても、借入れコストを上回る超過リターンが獲得できる。

もちろん、最終的にバブルが弾けた時、周り中がバブルの残骸だらけということが明らかになるだろう。上昇する資産価格によって惹きつけられた資金は、結局、収益性の低い投資プロジェクトにつぎ込まれていたということである。しかし、バブル膨張の最中には、名目成長率も高まり、一方で財政も改善し、全てが上手く行っているように見える。

実際、政府の資本コストが継続的に名目成長率を下回っていた1988―90年には、財政状況が一時的に改善するとともに、大規模な株式バブル、不動産バブルが醸成されていた。また、2013年度、2014年度は、政府の資本コストが名目成長率を下回っているが、そのことと最近の株高は無関係とは言えないだろう。

筆者がアベノミクスの開始段階で、大幅な株高を予想したのは、まさにアグレッシブな金融緩和が金融抑圧につながり、それがバブルを醸成させると予想したからに他ならない。昨年10月末の日銀による追加緩和(QQE2)によって、本格的な金融抑圧が始まり、株高に弾みが付いた。

残念ながら、われわれはすでに、かつて話題になった映画「バブルへGO!!」の世界に足を踏み入れてしまったようである。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

1567とはずがたり:2015/05/25(月) 13:36:46
なんと。。未だご存命だったのか。

ジョン・ナッシュ氏が事故死…ゲーム理論確立
http://www.yomiuri.co.jp/world/20150525-OYT1T50002.html?from=yartcl_blist
2015年05月25日 00時27分

 【ニューヨーク=広瀬英治】米ABCニュースによると、米数学者ジョン・ナッシュ氏(86)が23日、米ニュージャージー州でタクシー乗車中に事故に遭い、同乗していた妻(82)とともに死亡した。

 ナッシュ氏は「ナッシュ均衡」と呼ばれるゲーム理論を確立し、経済学への応用で1994年にノーベル経済学賞を受賞した。

 米アカデミー賞の作品賞などを受賞した映画「ビューティフル・マインド」の主人公の天才数学者はナッシュ氏がモデルとなった。

2015年05月25日 00時27分

1568名無しさん:2015/06/14(日) 21:42:12
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150607-00015324-president-bus_all
硬骨の経済学者、「アベノミクス」四本の矢をへし折る!
プレジデント 6月7日(日)18時15分配信

■「アベノミクス」を真っ向から批判

 アベノミクスなる言葉が、巷間取りざたされるようになって久しい。日経平均が15年ぶりに2万円台を回復。円相場の円高から円安への修正についても、アベノミクスの成果だとする論調が少なくなからず見受けられる。

 本書は、京都大学名誉教授の著者が真っ向からアベノミクスに対する批判を展開したもの。安倍晋三首相が掲げる3本の矢について、一つひとつデータと史実に基づいた反証を挙げながら否定していく。

 第一の矢とされる、黒田東彦日銀総裁が就任以来継続している金融緩和政策は、景気の浮揚をもたらすのか。著者は20世紀の経済学の大家J.K.ガルブレイスの「紐のたとえ」を引用して手厳しく批判する。

 いわく、「紐を引っ張ると同様に中央銀行の緊縮政策によって銀行貸出量を減らし、それによって貨幣供給量の増加を押しとどめ、減らすことはできる。しかし、紐を押しても効果がないのと同様に、銀行貸出及び貨幣供給量を増やすことはできない。安倍・黒田氏は紐を押しているにすぎない。戯画以外の何ものでもない」と。

 要するに、金融政策はインフレ対策としては有効だが、不況対策にはなりえないということだ。マネタリストの経済学者たちは不況対策のために思い切った金融緩和の必要性を主張する。しかし、不況期には通貨量の増加や金利の低下とは関係なく、企業はリスク回避のため投資を抑制するのが合理的な行動なのである。ガルブレイスの紐のたとえを日本流に言いかえると、さだめし「暖簾に腕押し」ということか。

 そして、アベノミクスの効果と言われる株高・円安について、民主党政権から自公政権に交代する前の時点ですでに始まっていたと指摘する。

■成熟社会にふさわしい政策への転換

 リーマン・ショック後にとられた金融緩和政策によって、欧米株式市場は2012年前半にリーマン・ショック以前の水準を回復した。その一方で、低迷し続けていたのが日本の株式市場だった。国際分散投資を基本スタンスとする海外の投資ファンドは、出遅れ感の著しい日本市場への投資に乗り出すことになる。こうして、日本の株式市場は海外投資家主導で、政権交代前の12年11月13日の8661円をボトムに上昇トレンドに転じていった。同様に、円相場についても政権交代前から、大規模な為替介入の効果で円安に流れが変わっていたと結論づける。

 著者はこうして第1の矢を折り、第2、第3の矢を否定していく。さらに、安倍政権が弓につがえようとしている第4の矢、すなわち現政権の極右路線の危うさを指摘する。

 現象面を見る限り、株価は上昇し、為替円安に伴い大手輸出企業の業績が改善している。しかし、その先がトリクルダウン(富める者が富めば、貧しい者に富が滴り落ちるとする理論)頼みとなれば、単に富の偏在化が促進されたに過ぎない。

 非正規労働者の増加、生産年齢人口の減少等を背景に、消費社会を支えてきた中間層が確実に厚みを失いつつある。こうした状況を踏まえ、著者は成長願望型ではなく、成熟社会に見合った政策への転換の必要性を訴える。

 昨年7月の発行で、すでに第7刷。この種の書籍としては異例とも言うべき版を重ねているが、今日までに本書が指摘する課題の数々に何ら変わりはない。今年米寿を迎える著者は、リハビリを行いながら一部口述速記で本書を完成させた。硬骨の経済学者による文字通りの労作である。

ジャーナリスト 山口邦夫=文

1569とはずがたり:2015/06/30(火) 21:02:36
2015.06.16
企業・業界 企業・業界
86歳で会長就任、34年も社長に君臨…いつまでも居座る“老人”経営者の異常な多さ
http://biz-journal.jp/2015/06/post_10352_2.html
文=編集部

1570とはずがたり:2015/07/02(木) 11:57:27
オリックス・宮内元会長に功労金44億円
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150625-OYT1T50143.html?from=y10
2015年06月25日 19時03分

 オリックスの経営トップを30年以上務めた同社シニア・チェアマンで元会長の宮内義彦氏(79)に対し、44億6900万円の功労金が支払われたことがわかった。

 2014年度の宮内氏の役員報酬は、功労金と役員退任時に支払われる株式報酬などを合わせて計54億7000万円となり、異例の高額だった。

 同社が25日に提出した有価証券報告書で判明した。宮内氏は1980年からグループの最高経営責任者(CEO)を務め、昨年6月に経営の第一線から退いた。オリックスの事業をリース業だけではなく、不動産や保険、エネルギーなど多様な分野に広げたことが高く評価されたとみられる。

 同社は、功労金は「特に功績が著しい者に対して、退任時に支給する」と位置づけている。

1571とはずがたり:2015/07/02(木) 12:48:53
「目玉人事」トヨタに教訓…ハンプ容疑者辞任
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150702-OYT1T50026.html?from=yartcl_popin
2015年07月02日 09時00分

 警視庁に麻薬取締法違反(輸入)容疑で逮捕されたトヨタ自動車常務役員で米国人のジュリー・ハンプ容疑者(55)が6月30日付で辞任し、「トヨタ初の女性役員」は、わずか3か月でその座を去った。

 事件は、日本のトップ企業・トヨタの危機管理や人材登用に大きな教訓を残している。

 トヨタは1日、ハンプ容疑者の辞任について「世間をお騒がせすることになり、改めておわび申し上げます」と文書で謝罪した。

 ハンプ容疑者の起用については「日本国籍ではない役員が日本に常駐するという(トヨタには)初めての経験であり、大きな決断でもあった」と説明した。

 ハンプ容疑者は今年4月の新体制の目玉人事だった。渉外・広報本部副本部長を務める「企業の顔」として、トヨタの広報戦略の一翼を担った。

 北米トヨタでの勤務ぶりを豊田章男社長が評価し、抜てきしたとされる。逮捕翌日の6月19日の記者会見で豊田社長は「ハンプ氏はトヨタにとってかけがえのない仲間だ」とかばう姿勢も示していた。それだけに、今後の事件の展開によっては、トヨタは危機管理の対応でも批判を受ける可能性がある。

1572荷主研究者:2015/07/04(土) 22:55:21

http://www.sankeibiz.jp/business/news/150609/bsc1506090500005-n1.htm
2015.6.9 06:23 Fuji Sankei Business i.
製造業、国内工場の「マザー化」推進 業績回復受け積極的に設備投資

 業績の回復を受けて、製造業が国内工場を増強する動きが相次いでいる。最新の生産技術を確立して海外に移す「マザー工場」化の推進や、老朽化した工場の設備更新に投資するケースが目立つ。最新ロボットを導入し生産の自動化技術の開発や工場の省エネ化にも力を入れている。

 スマートフォン向けの電子部品を製造するTDKは約250億円を投じ、秋田県内の2工場に新棟を建設する。ここで生産の自動化技術を開発し、海外拠点にも広げる。内視鏡を製造するオリンパスは今年度の設備投資額を前年度比4割強増やす。青森工場に新棟を建設しマザー工場の機能を持たせるという。

 このほか、住友重機械工業やケーヒン、オークマ、クボタも国内既存工場への投資を増やしマザー工場の機能を強化する。

 産業用ロボットを製造・販売する川崎重工業の橋本康彦ロボットビジネスセンター長は「国内での引き合いが多く、特に製造ラインの省人化でコストを削減する動きが目立つ」と指摘する。業績回復に自信を持てなかった企業が国内工場に投資する環境が整ってきたようだ。

 製造業の設備投資額は確かに増加傾向にある。財務省が1日発表した2015年1〜3月期の法人企業統計調査でも設備投資額は8四半期連続のプラス。これを受け、内閣府が8日発表した同期の国内総生産(GDP)も設備投資が大きく伸びた。

 ただ設備投資の中身をみると新工場建設の動きは乏しく、新たな雇用の受け皿にはなりにくい。むしろロボット導入で省人化を目指す企業の方が多い。

 設備投資の増加は経済の好循環にプラスの影響を与えているのは間違いない。しかし雇用創出の動きは限定的で、政府が掲げる地方創生を後押しできるのか、不透明感が漂う。

1573とはずがたり:2015/07/09(木) 08:32:38
これだけ第三次産業化が進んでるのに政府の対策は後手後手であるね。。

コラム:動き出した非製造業のエンジン、景気拡大の主役に
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0P60EA20150626?sp=true
2015年 06月 26日 14:28 JST
田巻 一彦

[東京 26日 ロイター] - インターネット通販の急成長や訪日外国人客の増加で、日本の非製造業が「活性化」し、経済のエンジンになりうる動きを見せている。また、人手不足の中で配送部門などへの女性の起用が、家計調査での収入増というかたちで表れ出した。日本の国内総生産(GDP)に占める製造業の割合は18%に過ぎず、非製造業の盛り上がりは、日本経済の再浮上に決定的な役割を果たすと強調したい。

<配偶者の収入増>

総務省が26日に発表した5月家計調査では、全世帯の実質消費支出が前年比プラス4.8%になったことに注目が集まったが、実は勤労者世帯の収入で興味深い現象が明らかになった。

世帯主の収入は34万9201円と実質で前年比マイナス0.7%だったが、配偶者の収入が同プラス5.3%の5万8101円、他の世帯員収入が同プラス23.2%の7560円だった。

ここで考えられることは、世帯主の男性の収入は伸び悩んでいるが、妻や同居の親族(世帯主の親や子ども)がパートに出て、その収入が増えている姿だ。

このパート収入の増加に関し、かなり貢献していると思われるのが、宅配サービスの動向だ。トラック運転手の人手不足は深刻さを増しているが、その一方でインターネット通販が急増。末端の各戸に物品を手渡すプロセスに女性のパートスタッフを起用するケースが増えているという。

<動き出した設備投資>

また、インターネット通販の増加は、設備投資にも影響を与えている。ニトリホールディングス(9843.T: 株価, ニュース, レポート)は、ネット販売拡大や多様化する商品に対応した物流効率化を目指し、今年下期に神戸市内で新物流センターを着工、埼玉県幸手市でも同社最大規模の新物流センターを建設する。ファーストリテイリング(9983.T: 株価, ニュース, レポート)は大和ハウス工業(1925.T: 株価, ニュース, レポート)と組んで、有明地区に大型物流センターを建設する。

一方、訪日観光客の増加も、予想を超える影響が日本経済に出始めている。5月は164万人と単月として最高記録を更新。1─5月累計では750万人を突破し、年率換算で1800万人程度と、20年に2000万人という政府の長期目標に迫る勢い。

<観光関連の賃金上昇>

その結果、観光関連の人手不足が目立ち始め、4月の現金給与総額(30人以上の事業所)は、調査産業全体で前年比プラス0.7%だったのに対し、宿泊業は同7%と高い伸びになった。

賃金が上がり出せば、消費に底堅さが強まり、堅調な非製造業の設備投資とあいまって、内需が主導する景気回復のシナリオ実現性を高めることになる。

日本では、伝統的に製造業の動向に関心が集まりやすい。政府・日銀は鉱工業生産の動向を注視し、全国紙を筆頭に国内メディアは自動車や電機、鉄鋼、化学など製造業のリーディングカンパニーに脚光を当てる。

<早急な対応が必要な政府のデータ整備>

だが、その比重はGDPの18%前後に低下している。農業などの1次産業の比重が1%内外であることを考えれば、政府系のサービスを除いた民間部門の非製造業の比重は7割を超えている。そこの生産性上昇と新しいビジネスの発生が、日本経済の将来を左右するはずなのに、大きな関心が向いて来なかった。

例えば、インターネット通販の成長は目覚ましいが、その全容は統計的に明らかにされていない。今年1月分から、総務省がネットショッピングによる消費の実態の詳細な調査を始めたが、日本全体のインターネット販売の実額を把握するデータは、ないに等しい。

政府はビッグデータの手法を駆使し、インターネット販売の実像把握が可能なデータの構築を始め、GDPの推計に役立てるべきだ。

また、政府・日銀は非製造業で今、起きている現象を詳細に分析し、国民に対して具体的な情報をもっと提供する必要がある。非製造業の活性化が、日本経済の成長力増強につながると確信している。

1574とはずがたり:2015/07/10(金) 23:50:14
ちょっと読んでみたい本メモ

社会的選択理論への招待  投票と多数決の科学
http://www.nippyo.co.jp/book/6371.html
坂井 豊貴 著

多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書) 新書 ? 2015/4/22
http://www.amazon.co.jp/dp/4004315417
坂井 豊貴 (著)

なぜ金融危機は起こるのか 
http://store.toyokeizai.net/books/9784492654491/
櫻川 昌哉編/福田 慎一編

1577とはずがたり:2015/07/17(金) 18:41:40

2015.7.17 11:44
スタンフォード大名誉教授の青木昌彦氏が死去 理論経済学で新分野開く、ノーベル賞候補
http://www.sankei.com/economy/news/150717/ecn1507170014-n1.html

 理論経済学の比較制度分析で新分野を切り開いた米スタンフォード大名誉教授の青木昌彦(あおき・まさひこ)氏が15日(米国時間)、肺の疾患のため米カリフォルニア州パロアルトの病院で死去した。大学が明らかにした。77歳。名古屋市出身。

 日本人で初のノーベル経済学賞の有力候補とされた。1962年東大経済学部卒。京大や米スタンフォード大教授などを歴任し、97年に旧通商産業省(現経済産業省)のシンクタンク通商産業研究所の所長を兼務。経済産業研究所に移行後の2004年まで務めた。

 比較制度分析論は90年代以降、青木氏を中心に提唱した理論経済学の新分野で、欧米でも高く評価された。一国の経済制度は「明文化された法」だけでなく、人々の思考能力、慣習の集まりで成り立つと指摘。旧社会主義国が市場経済へと移行する中で、従来の経済学では説明できなかった社会現象を読み解く手法を切り開いた。

1578とはずがたり:2015/08/06(木) 21:19:56
経済波及効果を計算してみましょう(平成23年産業連関表(確報)(統合大分類(37部門)))
http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/data/io/hakyu.htm

1579とはずがたり:2015/08/07(金) 18:08:25
寧ろ苦労の割りにはお金浮かない事に気付くのでわ?3万が半額の1万5千円にしかならないなんて
ディスカウントショップで40円のコーヒー買う方が安いし手軽だ。

「マイ水筒を持たない人」が貧乏になりやすい理由
All About 2015年8月1日 07時45分 (2015年8月1日 09時40分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20150801/Allabout_20150801_2.html

1580とはずがたり:2015/08/18(火) 09:45:54
お飾りポストがちゃんと責任も取らされるように成ってきてるってのはいいこんだね。天下りの元官僚もちゃんと責任取らされることがあれば天下りも実質的な仕事してると評価されて全部ダメだという風潮は止むだろうし税金の無駄なんかあれば返金させよう。

元エリート日銀マンの転落人生 過剰な自信崩壊、悪徳企業に騙され巨額賠償請求裁判も
http://news.goo.ne.jp/article/bizjournal/business/bizjournal-bj-15138.html
08月16日 06:11Business Journal

 政府がコーポレートガバナンス強化を掲げる中で関心が集まる「社外取締役」をめぐる議論に、一石を投じる裁判が進行中である。

 2010年に経営破綻した日本振興銀行から損害賠償請求権を譲り受けた整理回収機構が、木村剛元会長ら旧経営陣7人に50億円の賠償を求めた裁判で、社外取締役だった作家の江上剛(本名・小畠晴喜)氏ら3人の和解が7月16日、東京地裁で成立した。

 ほかに和解したのは、自民党の平将明衆院議員と公認会計士の森重榮氏。3人は社外取締役としての責任遂行が不十分だったことを認め、連帯して6000万円を支払うことになった。元取締役2人はすでに訴訟が終結しており、木村氏ら2人は係争中だ。

 2010年9月10日、振興銀は経営破綻を金融庁に申し立てた。申請を受けて金融庁は国内初となるペイオフ(一定額の預金を払い戻す制度)を発動し、預金保険機構が金融整理管財人となった。同日、振興銀は東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。

 振興銀が経営破綻したのは商工ローン大手、SFCGから回収の見込みが低い多額の債権を買い取ったのが原因だといわれている。その額は1705億円に達した。SFCGは資金調達のためにローン債権を重複して譲渡していた。二重売りした総額は700億円に上り、ダブルブッキング(二重売り)を振興銀は受けた。「日銀出身で『金融のエリート』といわれていた木村氏が、裏街道を歩いてきたSFCG元会長の大島健伸氏にババをつかまされた」(経済記者)という構図である。

 整理回収機構は11年8月23日、木村氏ら元役員7人に対して50億円の損害賠償を求める訴えを起こした。買取り債権の内容悪化とSFCGに返済能力がないことが明らかになっていた08年10月28日の取締役会における290億円の債権買取り承認、および同年11月17日の取締役会における170億円の債権買取り承認、決済した取締役の連帯責任を問うものだ。同機構は記者会見で、「金融機関の役員として当時、SFCGが危険だと知らなかったでは済まされない。なぜそうなったのかを裁判の過程で明らかにしたい」と述べた。

1581とはずがたり:2015/08/18(火) 09:46:13
>>1580-1581
●機能しなかった社外取締役

 木村氏は自著『金融維新』(アスコム)の中で社外取締役の役割についてこう記している。

「社外取締役なんてお飾りでしょう――という醒めた指摘があるかも知れない。しかし、日本振興銀行だけは別である。(中略)執行部はアクセルを噴かし、外部取締役はブレーキを利かせる。そういった牽制体制を名実ともに作り上げることによって、日本振興銀行は、アクセル部門とブレーキ部門を完全に分離した、日本一厳しいガバナンスを実現する」

 社外取締役は、経営陣に対してブレーキを掛ける権限を有しているというが、新興銀ではアクセルを踏みっぱなしの木村氏に対し、社外取締役がブレーキを掛けた形跡はなく、その職責は全うされていなかった。整理回収機構はその点を問題にして、社外取締役の責任を問う訴訟を起こした。

 今回和解が成立した江上氏は、元銀行マンとして知られている。1997年の第一勧業銀行(現みずほ銀行)総会屋事件の折りには、広報部次長だった。総会屋と決別する銀行改革に立ち上がった「4人組」の1人として名前を知られるようになる。後に高杉良の小説『金融腐蝕列島』のモデルにもなり、03年3月に銀行を去り作家となった。デビュー作の『非情銀行』は退職の前年に発表されている。

 江上氏が振興銀の社外取締役に就任したのは04年6月。4月に開業した直後の株主総会で選任された。その後、取締役会議長を務めた。木村氏を支えた社外取締役は5人いた。江上氏のほか、東京青年会議所元理事長で創業メンバーの平氏。公認会計士協会元副会長の森重榮氏。弁護士の赤坂俊哉氏、経済評論家の三原淳雄氏。赤坂氏は自宅で首吊り自殺をし、その真相はいまだ不明である。

●コーポレートガバナンスの議論に影響も

 振興銀事件では、社外取締役をめぐる米国と日本の認識の違いが浮き彫りになった。振興銀がその経営モデルとした米国企業では、社外取締役会が経営の中枢で、株主の代表で構成される。社外取締役会が会長、社長、CEO(最高経営責任者)などの執行役を任命する。したがって、経営の失敗は社外取締役会の責任とみなされる。一方の日本では、社長らが社外取締役を任命するため、社外取締役が社長の経営に口を挟むのがはばかられるのは当然である。

 振興銀では奇妙なことが起きた。経営陣が逮捕されたことを受けて、社外取締役である取締役会議長の江上氏が社長に就任。本来であれば、木村氏と江上氏は共同で責任を問われるべきだったが、社外取締役には実質的な責任や権限がなかったと見なし、社外取締役から新しい社長が選出された。しかし、その社外取締役の責任に切り込んだのが整理回収機構だ。債権買取りを決裁した3人の社外取締役の責任を追及し、3人の社外取締役は責任遂行が不十分だったことを認め6000万円を支払うことで和解した。

 東京証券取引所が6月から適用を始めたコーポレートガバナンス・コードは、上場企業に対して社外取締役の複数選任を求めている。そのため、社外取締役の就任ラッシュが起きているが、新興銀をめぐる今回の裁判結果は、こうした動きに大きな影響を及ぼす可能性もある。
(文=編集部)

1582とはずがたり:2015/08/21(金) 10:28:46
上場しない巨大ベンチャー急増 シリコンバレーの新流儀
http://www.asahi.com/articles/ASH8H10S5H8GUHBI033.html?iref=com_alist_6_02
ニューヨーク=畑中徹2015年8月21日10時07分

 創業から10年もたたずに企業価値が10億ドル(約1240億円)を超える巨大な非上場ベンチャー企業が、米国シリコンバレーで続々と生まれている。「上場せずに非上場のままで企業の成長をめざす」というのがシリコンバレーの新しい流儀になっている。

 全米ベンチャーキャピタル(VC)協会などによると、2014年にVCが支援した新興企業の新規株式公開(IPO)は約120件。15年ほど前のITバブル期に比べると半分以下だ。ただ、起業の成功例が減っているわけではない。非上場のまま成長を続け、統計にあらわれない有力企業が数多くある。伝説の生き物になぞらえ「ユニコーン企業」と呼ばれる。

 上場企業のように株式時価総額がない非上場企業の場合、企業価値は投資家が企業に投じた資金などを集計して算出される。

 配車アプリ大手「ウーバーテクノロジーズ」の企業価値は400億ドル(約5兆円)を超え、ソニー(約4兆1千億円)をも上回った。2009年の創業で、自家用車のドライバーが空き時間を利用してタクシーのように客を運ぶサービスを仲介する事業を世界各国で展開する。自宅の空き部屋を貸す人と旅行者をネットで仲介するサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」は、サービス開始から7年足らずで企業価値が200億ドルに達した。

 米調査会社のCBインサイツによると、11〜14年に企業価値が10億ドルを突破し、ユニコーン企業に分類された新興企業の数は世界で79社。米国内だけで51社にのぼる。米国では、11年より前に成長した新興企業を含めると現在は70社前後あるとみられている。14年は25社がユニコーン企業の「仲間入り」をした。

 これまで、新興企業がまとまった事業資金を調達するには、IPOが一般的な手段とされた。ところが、米連邦準備制度理事会(FRB)の緩和マネー流入で投資家からお金が集めやすくなると、手続きの手間や費用がかかる上場を避ける経営者も増えた。シリコンバレーのある起業家は「資金の調達に困らないうえ、放っておいても企業価値が上がっていくからIPOを焦る必要がなくなった」と語る。

1583とはずがたり:2015/08/27(木) 00:12:09

「今、誰が世界一の金持ちなのか」日替わり更新サイト、やはり24日に荒れていた
http://www.excite.co.jp/News/it_g/20150826/Gizmodo_201508_post_18117.html
ギズモード・ジャパン 2015年8月26日 14時50分 (2015年8月27日 00時00分 更新)

1584とはずがたり:2015/09/01(火) 21:22:07
おお,ご冥福をお祈りします。というかまだご存命だったのね。

元一橋大学長、塩野谷祐一氏が死去
http://news.goo.ne.jp/topstories/business/354/055a243f4db591594f8d2bbb41041fab.html
(産経新聞) 19:57

 塩野谷祐一氏(しおのや・ゆういち=元一橋大学学長、経済哲学、経済思想)8月25日、肺がんのため死去、83歳。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻、美穂子(みほこ)さん。

 一橋大学学長や国立社会保障・人口問題研究所所長を歴任。平成14年に文化功労者、17年に瑞宝重光章を受けた。

1585とはずがたり:2015/09/07(月) 15:14:58
>>1574
こいつの本を買ったら都道3・2・8号線に関する小平市住民投票の事が載っていたが,こいつめ,328号線とかと誤認してるしやたら批判的で所沢府中線の重要性を全く理解しとらんヽ(`Д´)ノ

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1101930771/3526
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1101930771/3533
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1101930771/3549
http://tohazugatali.iza-yoi.net/TOKYO/TAMA/nambokudoro3/tama30.html#koda

1586とはずがたり:2015/09/07(月) 15:37:02
東芝と云うより会計だからこちらへ。

2015年 08月 7日 10:12 JST
焦点:東芝の不正会計、高まる新日本監査法人の責任論
http://jp.reuters.com/article/2015/08/07/analysis-toshiba-idJPKCN0QC02C20150807?sp=true

[東京 7日 ロイター] - 東芝(6502.T)による不正会計の実態が明らかになる中、企業統治や会計監査の専門家からは、同社の会計監査人である新日本監査法人の責任を精査すべきだとの声が高まっている。

総額1500億円を超える利益操作に走った過去の社長3人と経営幹部は引責辞任したものの、それを未然に防ぐべき監査人がなぜ不正に気付かなかったのか、その究明がまだ不十分との議論だ。

不正会計問題の解明を進めてきた東芝第三者委員会(委員長・上田広一元東京高検検事長)は、7月下旬に公表した報告書の中で、同社に対する監査手続きや監査判断に問題があったか否かは調査目的ではないとし、新日本監査法人の対応が適正だったか否かには言及しなかった。

その一方で、報告書は新日本による東芝への統制が「十分に機能していなかった」と数回にわたって指摘、監査の不徹底が不正会計の常態化を許した一因であることを示唆している。

企業統治や会計監査の専門家の間にも、東芝の経営陣だけの責任と受け止める見方は少ない。コンプライアンス問題に詳しく、オリンパス (7733.T)問題で会計監査の実態を検証する監査検証委員会の委員をつとめた郷原信郎弁護士は、東芝の不正会計について監査法人の責任は「ある程度、あると思う」と話す。

東芝問題の広がりを受け、新日本も自ら今回の東芝の監査体制が適正だったかについえて内部調査に着手した。さらに公認会計士協会も状況の把握を進めており、金融庁も調査を始める見通しだ。

<ウエスチングハウス工事費でせめぎあい>

東芝に対する監査のあり方について、焦点のひとつとなりそうなのが、米原子力事業子会社、ウエスチングハウス(WH)関連の工事費用のやりとりだ。第三者委報告によると、この工事費用の見積もりの計上について、東芝と新日本の間でせめぎ合いがあった。

それによると、2014年1月28日、東芝の田中久雄社長(当時)はWH関連の工事で計上する見積もりが想定より増えて396億円になると「大変なことになる」と、WH担当役員に発言。13年度第3四半期の決算末が近づく中で、久保誠CFO(当時)が新日本とその取扱いについて協議を重ねていた。

1587とはずがたり:2015/09/07(月) 15:37:24
>>1586-1587
工事費を高く見積もるべきと主張する新日本に対し、東芝側は低めの想定に固執。両者が主張する数字には1.07億ドル(約100億円)の開きがあった。その溝を埋めるため、同年度末までに工事原価の増額を抑えるとの条件で、「特例として」100億円程度を「未修正の虚偽表示」として処理することを新日本は許容した、と久保氏は第三者委の調査に説明している。しかし、新日本は発言を「明確に否定」したという。

「未修正の虚偽表示」は、会計監査人と会社との間で認識が一致しない数字が発生した際に、一定の範囲(重要性の基準値)内で決算書には織り込まずに処理する方法。一般には公表されないが、会計ルールで認められている。

ただし、「重要性の基準値」として、どの程度の金額が妥当かは監査法人が判断する。東芝が処理した100億円の規模について「やや大きいのではないか」と、複数の会計の専門家らはみる。同期の東芝の税引き前利益は391億円で、未修正の虚偽表示は、その4分の1の規模にあたる。

日比谷パーク法律事務所の久保利英明弁護士は、第三者委の報告書では詳細はわからないと前置きしたうえで、「会計監査人は会社に説得されてしまった可能性が強い」と述べ、監査人が果たすべき役割を全うしていたか、詳細に調べるべきとみている。

<隠ぺいとみられる行動>

第三者委の調査報告書は、東芝が新日本の指摘を受けないようにするために、事実と異なる話を組み立てた資料をみせて説明するなど、「組織的な隠ぺいを図っているとみられる行動をしていた」とも指摘。その一例として、パソコン事業の部品取引の会計監査における、東芝と新日本とのやりとりを挙げている。

一方で、新日本がその期の決算に適正意見を出し了承したことで、監査法人としての責任を果たしているとの見方もある。

日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークの理事長でもある牛島信弁護士は、東芝と新日本の間でどのようなやりとりが行われたとしても、「未修正の虚偽表示」の存在などについて「新日本が事態を理解して決算報告を通した。私の立場からおかしいと直ちに言う根拠はない」と述べる。

悪質な損失隠しなどの不正会計事件を起こしたオリンパス問題については、会計監査人の新日本監査法人と、その前任のあずさ監査法人(当時)に、適正な監査体制を行う体制を整えるため、金融庁が業務改善命令を発令した。しかし、東芝問題について、金融庁が最終的に監査法人にどのような処分を行うかは未知数だ。

東芝の広報担当者は、今回の新日本とのやりとりについてロイターに対し、「個別の事案についてコメントは差し控える」と述べ、久保前CFOも東芝を通じ、辞任したためコメントを差し控えるとしている。

(江本恵美、ネイサン・レイン、編集:北松克朗)

1588とはずがたり:2015/09/08(火) 12:07:55
2015年09月07日(月) 週刊現代
ノーベル賞経済学者・クルーグマン「中国崩壊と世界同時不況 私はこう見ている」
チャイナ・ショック! 世界経済の「明日」を読む【第1部】
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45102

世界第2位の経済大国・中国で、株価が暴落した。その巨大なくしゃみによって、日米欧で同時に株安が進行。「世界不況」への門が、不気味な音を立てて開き始めた。混迷の時代がまた始まるのか。

失速と崩壊はまだこれから

「チャイナ・ショック」以外の何物でもない株の急落だった。昨年末から上昇し始めた上海株式市場の総合指数は、6月、5000ポイントの大台に乗せていたが、8月末、一気に下落。25日には、節目の3000を一時割り込み、ピークから4割超下げた。中国バブルは完全に弾け、崩壊した。

日本でも、8月半ばには2万1000円近くまで値を上げていた日経平均が、8月25日、半年ぶりに、1万8000円を割り込んだ。大損を出す投資家が続出。市場は阿鼻叫喚の地獄と化した。

各国で懸念が増し、「世界同時不況」が現実味を帯びるなか、20人の経済のプロたちに徹底取材。世界と日本の経済の今後を読み解いた(全7部)。

巻頭提言をするのは、'08年にノーベル経済学賞を受賞した、プリンストン大教授のポール・クルーグマン氏だ。安倍晋三総理にも影響を与える同氏に、不透明な世界経済の今後を聞いた。

【独占インタビュー】ポール・クルーグマン

いま、中国はバブル崩壊の真っただ中にあります。それを否定する人は、アメリカの経済界を見渡しても、誰ひとりいません。

情勢は、'90年代の日本のバブル崩壊と近い。しかも中国は、これから、さらなる失速を経験することになる。中国には、この国特有の問題がいくつもあるからです。

中国について話す前に、まずは世界経済全体の現状について俯瞰してみましょう。いま世界で起きているのは、シンプルに言えば、金融緩和で各国が発行した過剰なマネーが、行き場を失っているということです。

世界全体の経済が失速するなか、これまで有力な投資先と目されていた、中国をはじめとする新興国の成長が懸念され、一気に資金が引き上げられつつあります。

こうしたリスクを避けようと、マネーが安全資産に逃げてしまっている。その結果、株安が起きたのです。

不安定な状況の中心にいるのが、中国です。

中国は'08年のリーマンショック後、ただでさえ多かった投資を、政府主導でテコ入れし、無理矢理に増やしました。それまでは投資がGDPの40%強を占め、これでも異常な水準でしたが、そこからさらに50%近くまで持ち上げたのです。

その結果、投資が異様なまでに過熱してしまった。一方で消費はわずか30%ほどに過ぎません。アメリカでは逆に消費の割合が70%を超えている。

こうした投資による旺盛な成長を見込んで、各国のマネーが流れ込んでいたのですが、無理矢理の投資が長続きするはずがありません。成長が鈍化するなかで、それが一気に逆流している。

同時に、国内の投資家は投資を回収できず、不良債権問題が深刻化している。不良債権は今年の6月末で約2899億2000万ドル(約348・6兆円)あるとされ、前年から3割超も増えている。まさにバブル崩壊の様相です。

1589とはずがたり:2015/09/08(火) 12:08:13
>>1588-1589
中国は信用できない

中国の焦りが見えたのが、人民元の切り下げでした。8月11日に基準値を2%、翌日に1・6%切り下げた。

輸出競争力を強化したりすることで、経済を刺激したいという意図の現れです。これが「最初のひと噛み」となって、これからさらに切り下げが行われていくと思う。でも日本は'12年から約50%も円安が進んでいます。それを考えればこの程度の切り下げをしても効果は薄いでしょう。

本来ならば、本当に中国が実現すべきなのは、完全変動相場制への移行です。しかし、その場合、元はドルに対して、いまより大幅安になり、アメリカとの経済摩擦は増します。中国の指導者に、その準備があるとは思えません。

中国経済でさらに問題なのは、その影響の大きさがどれほどかを正確に測れないということ。

まず、中国の共産党が発表する数字が、信じられない。今年、アジア金融フォーラムに参加した際、中国の政府の代表は、「成長率は、7・3%」と言っていましたが、その数字がどうやって出てきたのか説明はなかった。一部では、実態は3~4%だと言われています。

また、中国で不動産投資をする場合の借り入れは、「影の銀行システム」で行われることが多い。

これは、通常の銀行ではなく、投資銀行、証券会社やヘッジファンド、「理財商品」という金融商品を売る運用会社などの総称のことで、この実態は把握されていない。

「影の銀行」の貸出残高は、'13年末の時点で、約48・7兆ドル(587兆円)に達しているとされます。これが、不良債権の影響で、連鎖的に破綻する危機にあると言われる。世界経済に与える影響は計り知れません。

他国に目を転じても、様々な懸念材料がある。

アメリカは、景気は悪くないですが、重大な判断を迫られています。FRB(米連邦準備制度理事会)が、利上げをするか否かの決断です。

ヘタをすれば、「1937年の悪夢」が再来する。

1929年の世界恐慌で株価が暴落し、大打撃を受けたアメリカは、金融緩和政策やニューディール政策で回復を図った。'33年から'36年の間に、GNPが560億ドルから820億ドルにまで回復したところで、'37年、FRBは、インフレを懸念して、利上げをしたのです。しかし、これが間違いでした。景気は冷え込んで'37年の1年間で失業率は20%にも達し、工業生産は32%、GNPは10%も落ち込みました。

今年7月、ジャネット・イエレンFRB議長は、米下院議会で、「利上げを早めにしたほうがいい」と発言し、9月の利上げがささやかれましたが、まだ状況は不安定。'37年の再来を防ぐため、利上げはしないと思います。

私は、働く意欲を持つ人がすべて雇用される「完全雇用」が明白に実現し、間違いなくインフレになったと言えるまでは、利上げは待つべきだと思う。現状、インフレ率はまだかなり低い。

欧州では、8月19日、ESM(欧州安定メカニズム)が、ギリシャへの最大860億ユーロ(約11兆8000億円)の金融支援を承認し、ギリシャはデフォルトを避けることができました。最悪のシナリオは回避できた。

しかし、9月20日にギリシャの選挙がある。そこで、政権が代わるなど、政治的な混乱が起きれば、それが経済に波及していく可能性が高い。まだまだ安心はできません。

グローバル経済が減速しているなかで、日本が絶対に行ってはならないのは、消費税増税です。1度目は完全に失敗でした。2度目の増税をすれば、アベノミクスは完全に墜落してしまう。世界経済が衰退するなか、日本には力強く頑張ってもらわなくてはなりません。

1590とはずがたり:2015/09/12(土) 17:27:57
会計でも中国の覇権が,少なくとも米中の二重覇権が明瞭に。

中国が監査で覇権掌握、日本なすすべなし?
じわり増すビジネスリスク、米国も屈した
http://toyokeizai.net/articles/-/83880
伊藤 歩 :金融ジャーナリスト 2015年09月12日

日本企業に、じわりじわりと中国子会社への懸念が広がっている。買収した独グローエに、もれなく付いてきた中国水栓メーカー・ジョウユウが破綻し、660億円もの損失処理を余儀なくされたLIXIL。純資産225億円の江守グループホールディングスは、中国子会社の破綻で550億円の損失が発生。北陸を代表する超優良企業が瞬く間に倒産に追い込まれた。企業の財務状態が適切に公表されているかどうかを評価する監査に、なすすべはないのだろうか。

同国に子会社を持つ日本の上場会社は多い。「中国経済が減速する中、本社側の経営者が中国子会社の内情に不安を抱くケースが増えている」(中国に進出している日系企業の相談業務を手掛ける鈴木幹太弁護士)という。

実際、「中国子会社で不正が起きていても本社側で把握することは難しい。最近は販売や製造だけでなく、財務の責任者も現地に送り込むケースが増えているが、それでも隣の席に座っている現地採用の営業担当者が何をしているのかが把握できない。取引の相手方が現地スタッフの親族企業であるとか、その親族企業との間で循環取引が行われているといったことは、他のスタッフからの内部告発によって初めて発覚するケースがほとんど」(同)。

日本本社の報酬体系を海外子会社に持ち込むことで、不正を誘発している面もある様だ。「中国では報酬やポストがすぐに得られなければ、基本的にはさっさと他社へ移る。だが、中にはその会社から回収しようとする人も出てくる。加えて一族の繁栄が最優先という価値観があり、かつ親族企業を潤す取引自体が不公正な利益供与に該当する可能性が高く問題だ、という感覚は希薄。ただ、取引実態の発覚を防ぐため、書類は完璧に整えているのが普通」(同)。

監査任せではなく、企業が主導すべき

それでは監査法人なら把握可能なのかと言えばそれも違う。上場会社の監査に従事している公認会計士は、「最近、漠然と中国子会社をよく見てほしいと言ってくる経営者が増えているが、不正を働く従業員は巧妙に書類を整える。社内でもわからないことを、部外者であり強制調査権もない会計士に解明できる余地はほとんどない。不安ならまず本社側が内部調査をし、そこで把握した証拠に基づいて一定の権限を会計士に与え、監査報酬の追加発生も覚悟すべき」と強調する。

本体の監査を担当する公認会計士は、子会社も含めた連結全体の監査の品質に全責任を負っている。ただ実務上、言語や法令理解の問題があるため、海外監査は基本的に現地の会計事務所に委託するのが一般的。「なんとなくイヤな感じがする」というだけで、追加報酬の発生と相手方の抵抗が予想される手続を、現地事務所に依頼することは難しい。だからこそ、本社経営陣による強力なバックアップが必要になる。

海外の監査を依頼する相手が他人であるという点は、世界4大会計事務所(通称Big4=EY、デロイト トウシュ トーマツ、KPMG、PwC)と提携関係にある、日本の4大監査法人(新日本、トーマツ、あずさ、PwCあらた)も例外ではない。Big4に次ぐ規模のBDOやグラントソントンと提携しているBDO三優、太陽ASGも同様だ。

これら日本の監査法人は基本的に、提携先の現地会計事務所に海外子会社の監査を依頼する。江守の場合も、日本本社をKPMG系のあずさが監査していたので、中国子会社はKPMG上海が担当していた。

世間一般にはあまり理解されていないが、Big4のネットワーク間には資本関係も指示命令系統も存在しない。提携先である各国会計事務所は、本部に対価を支払って同じブランドを使用する者同士というだけ。人事交流は行われているが、それ以上でも以下でもない。従って「ちょっとお願い」程度のレベルで「より突っ込んだ監査」を依頼できる間柄ではない。

では、日本の監査法人は現地会計事務所を盲目的に信用し、業務を丸投げできるかといえば、そんなことは許されていない。

1591とはずがたり:2015/09/12(土) 17:28:12

委託先の監査にも責任を負う

グループ会社の監査手続きについては公認会計士協会(JICPA)が監査基準委員会報書告600(以下、報告書600)で定めており、どこの監査法人もこれに従って手続きを行っている。この報告書600は、国際監査・保証基準審議会(IAASB)が策定している監査基準に準拠した、いわば世界標準でもある。

本体の監査人は委託先の選定責任も負っており、報告書600は委託先の能力や独立性、実績などについて、一定のチェックを行うよう求めている。親会社の監査人の求めに応じて監査証拠を出すことはもちろん、子会社の監査業務に直接関与することも認める会計事務所でなければ委託すべきではない、としている。監督官庁である金融庁の公認会計士・監査審査会も、監査法人に対する検査では、報告書600に従った手続がとられているかを見る。

実際の業務では、海外子会社から上がってきた決算書類を見て、親会社の監査人が委託先に、気になる部分や集中的にチェックしてほしいポイントを列挙した監査指示書を出す。納得できる回答が出なかったり、監査証拠の提出を拒まれたりした場合は契約を解除し、別の会計事務所に依頼し直さなければならなくなる。


中国子会社の不正会計を受け、緊急記者会見したLIXILの藤森義明社長(6月撮影:大澤 誠)
もっとも、Big4などには統一マニュアルが存在し、同一ブランドを使用する上で必要な品質チェックも本部から定期的に入る。それでもLIXILや江守のような事態が起きると、本部のチェック機能とはどの程度のものなのか疑いたくなる。LIXILのケースでは、問題の買収子会社ジョウユウはフランクフルト証券取引所に上場していた会社であり、その監査はグラントソントンが担当していた。

さらに近年、報告書600に代表される、世界標準のグループ監査ルールを形骸化させかねない法整備が、中国で着々と進められている。

米国と対峙した中国Big4

実は今年2月、中国の法制度が米国市場のルールに挑み、事実上中国が寄り切り勝ちする事態が起きた。

日本ではあまり話題にならなかったが、そもそもの発端は2010〜11年に、米国の証券市場に上場する中国企業の不正会計が相次いで発覚したことだった。2012年2〜4月にかけ、米国SEC(証券取引委員会)が、調査対象の中国企業の監査を担当していた中国Big4とBDO系の大華、合計5つの会計事務所に対し、正当な権限に基づいて監査資料の提出を求めた。

だが、5事務所はこれを拒絶、その理由が「監査資料の提出が中国の国内法規に抵触する」というものだった。根拠は2009年10月に中国証券監督管理委員会が公布した「国外における証券発行と上場に関連する機密と書類管理業務に関する規定」である。

この規定では、国外で上場している中国企業の監査資料を、上場先の国の監督機関等に提出する場合は、資料が国家機密に該当するかどうか、事前に機密行政管理部門の判断をあおがなければならないとされている。この規定、監査資料がどの程度の範囲のものを指すのかも明確にされておらず、運用も中国政府の腹一つなのだ。

このため、この問題は米中間の外交交渉マターとなったが、交渉は決裂。そのためSECは5事務所に聴聞会への召喚と、質問回答状の提出を命令し、行政審判手続きが始まった。第一次審決が出たのは2014年1月で、5事務所のうち中国Big4に6カ月間の業務停止命令が下る。中国Big4はSEC調査対象外の中国企業の監査も行っているため、米国で上場している数十社の中国企業が、とばっちりで上場廃止の危機に瀕する可能性もあった。

この第一次審決に中国Big4が不服を申し立て、最終的に決着がついたのが今年2月。一つの事務所につき50万ドルを支払った上で、SECからの書類提出要請に応えられるよう、今後4年間で具体的な対策を講じることを約束して和解が成立した。

1592とはずがたり:2015/09/12(土) 17:28:38
>>1590-1592

米国発の報道は、SECが中国に対し、国内法規の一部変更もしくは例外規定の設置を約束させたも同然というトーンだったが、「会計士の受け止め方は逆。SECが求めた監査資料のうち、一部は提出が始まった様だが、業務停止は撤回させた。今後、改善努力の進展が思わしくなければ再び業務停止処分が発動できる和解内容ではある。とはいえ、影響が甚大であるだけに果たして実行可能かどうか。その上、中国企業はSECの権限を脅かすことが証明されたにもかかわらず、昨年9月、米国はアリババの上場を認めた。アリババ上場が米国にもたらす利益を優先したのだろうが、米国は中国に屈したも同然」(海外監査に詳しい公認会計士)。

確かに、和解した相手は中国政府ではなく民間企業でしかない。実際にどの程度改善が可能なのか疑問だ。

さらに強まっていく規制

中国では2011年3月に「国外会計士事務所の中国内地における臨時監査業務実施暫定規定」も制定されている。この規定は中国国外の会計事務所が中国の会社を監査する場合、臨時監査許可証を必要とする、というもの。しかもその有効期限は香港、マカオの会計事務所は5年、台湾は1年だが、それ以外の国はわずか半年。継続的に監査を行うには、半年ごとに更新手続きをとらなければならない。

さらに許可を受けた場合でも、中国国内の会計事務所との共同監査を推奨している。その上で、中国国内の事務所に対しては、国外事務所との共同監査で作成した資料のうち、国外事務所に提供することが不適当だと中国政府が判断したものについて、共同監査の相手方である国外事務所への提供を禁止している。ここでも禁止対象になる監査資料の範囲は中国政府の腹一つ。この規定は、日本企業の中国子会社の監査も適用対象だ。

また、今年7月には「会計事務所が従事する中国内地企業国外上場監査業務暫定規定」が誕生した。この規定では、国外上場の中国企業を監査する海外会計事務所には、先ほどの許可の取得に加え、中国国内の会計事務所との合同監査が義務付けられた。つまり、国外事務所による単独監査を禁止したのである。

この新規定誕生で、既存規定の運用が強化される可能性を懸念し、PwCあらたでは「臨時許可の取得も視野に入れた対応を検討している」という。顧客の中国子会社の監査は、現地PwCのスタッフに委託しているとはいえ、日本の会計士がいっしょに現地工場を回り、質問をすればそれが監査業務だと言われる可能性が否定できないからだ。ちなみに、日本の4大監査法人のうち、問題意識を持ち、「対策の必要性を認識している」と筆者に明確に回答したのはPwCあらただけだった。

金融庁は「コメントできない」

現在、中国では新たに国内会計事務所に対し、対外的な監査書類の提供を原則禁止する「会計事務所監査管理暫定弁法」の制定も予定されている。8月15日にパブリックコメントの募集が終了しており、これから制定作業に入る。最終的にどうなるのかは不明だが、「規制強化の流れが反転する可能性はほぼない」(前出の海外監査に詳しい公認会計士)。

すでに、中国の会計事務所が日本の監査法人と共同で作成した資料を日本の監査法人が入手するには、中国政府の許可が事実上必要になっている。そこへ、中国の会計事務所単独で監査した場合にも網をかけようとしていることになる。中国子会社で突如巨額の損失が発生しても、事実の解明すらできなくなる可能性をもはらむ。


金融庁の態度はなんとも煮え切らず(kpw/PIXTA)
中国の法規制は、国内企業に海外上場のメリットを享受させる一方で、市場参加者が果たすべき義務の履行を回避させる効果を持つ。世界は中国企業の海外上場がもたらす恩恵を無視できない。中国企業にのみ特例を認めれば、世界中の資本市場の秩序は崩壊する。

公認会計士・監査審査会に対策を聞いたが、「外国の法規制のことでもあり、コメント出来る立場にない」という回答だった。だが日本の監査制度に甚大な影響を与えるかもしれない今回の事態。コトは民間組織でしかない会計事務所や企業の次元を超えている。各国当局との連携も含めた対応が必要なはずだ。

1593とはずがたり:2015/09/18(金) 15:37:58
コーポレートガバナンスは何処かなぁ。。

ソニー凋落を招いた「親衛隊」 赤字垂れ流し、責任取らず多額報酬得る
http://www.msn.com/ja-jp/news/other/%E3%82%BD%E3%83%8B%E3%83%BC%E5%87%8B%E8%90%BD%E3%82%92%E6%8B%9B%E3%81%84%E3%81%9F%E3%80%8C%E8%A6%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E3%80%8D-%E8%B5%A4%E5%AD%97%E5%9E%82%E3%82%8C%E6%B5%81%E3%81%97%E3%80%81%E8%B2%AC%E4%BB%BB%E5%8F%96%E3%82%89%E3%81%9A%E5%A4%9A%E9%A1%8D%E5%A0%B1%E9%85%AC%E5%BE%97%E3%82%8B/ar-AAe5aCZ#page=2
ビジネスジャーナル 2015/09/08

 東京証券取引所と金融庁が策定したコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が6月から適用開始となり、日本でも資本活用の効率化や株主への還元策、社外取締役の活用に注目が集まっている。

 そんな「企業統治元年」に冷や水を浴びせたのが東芝だ。利益水増しの不正会計問題では4人の社外取締役が経営のチェック機能を十分に果たせていなかったが、東芝が例外ではない。

 たとえば粉飾決算で信頼を失ったオリンパスには2人の社外取締役がいたが、経営の専門家とはいえない彼らは粉飾決算を見抜けなかった。また、ソニーはハワード・ストリンガー会長兼社長の時代には15人の取締役のうち13人が社外取締役だった。赤字を垂れ流し続けたのに、ストリンガー氏は経営責任を問われることはなかった。

「社外取締役はストリンガー氏を護衛する“親衛隊”となっていた。彼らはソニー凋落の共犯といっていいが、かなり高額な役員報酬を手にしていた。ソニーに限らず、社外取締役は経営陣のお友達でお飾り、役に立っていないというのが、これまでの常識だった」(金融筋)

●株式持ち合いの解消

 三菱UFJフィナンシャル・グループは6月の定時株主総会で承認を得て、委員会設置会社に移行した。取締役会の下に、指名委員会、報酬委員会、監査委員会と任意のリスク委員会を設けた。リスク委員会はグループ全体のリスク管理に関する重要事項を審議する。独立性が高い社外取締役によって、業務執行に対する監督権限を強化する体制を整えた。

 社外取締役は川本裕子・早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授、松山遙・日比谷パーク法律事務所パートナー、岡本圀衛・日本生命保険会長、奥田務・J.フロント リテイリング相談役(元社長)、川上博・中部国際空港前社長(元トヨタ自動車専務)、佐藤行弘・三菱電機社友(元副社長)、山手章・公認会計士(元あらた監査法人代表社員)の7人。指名・ガバナンス委員会委員長に奥田氏、報酬委員会委員長に岡本氏、監査委員会委員長に山手氏、リスク委員会委員長に川本氏が就任した。

 FSB(金融安定理事会)は、G-SIFIs(国際金融システム上重要な金融機関)と認定されている世界の大手金融機関に対して、経営の監督機能の強化などガバナンスの向上策を強く求めている。三菱UFJは海外の金融当局の要請に応えた。

 国内大手行で委員会設置会社に移行したのは、2003年に実質国有化されたりそなホールディングスと、暴力団向け融資をきっかけにカバナンス改革に踏み出したみずほフィナンシャルグループに続き、三菱UFJが3例目だ。

1594とはずがたり:2015/09/18(金) 15:38:15
>>1593-1594
 コーポレートガバナンス・コードに基づき、上場企業の持ち合い株式の売却がはじまった。株式の持ち合いは、海外の投資家から日本企業の悪しき慣習と強く批判されてきた。大手銀行グループは持ち合い株式削減の方針を打ち出したが、メガバンク3行の決意表明には、かなり温度差がある。三菱UFJは残高削減が基本方針で、三井住友フィナンシャルグループは原則保有しないとし、みずほは保有しないことを基本方針とした。

 メガバンクで持ち合い株式の解消を最初に打ち出したのは、みずほだ。背中を押したのは2人の社外取締役だった。

「『他の投資に振り向けるより資本効率が高くなければ、持つ意味はない』。元経済財政相で取締役会議長を務める大田弘子が取締役会でこう口火を切った。日立製作所相談役の川村隆も呼応した。『2兆円の株の含み益を今こそ有効に使うべきだ』」(8月4日付日本経済新聞より)

 コーポレートガバナンス・コードのお墨付きを得て、株主主権を担う社外取締役は出番を迎えたようだ。だが、銀行にとって持ち合い株式の解消は、取引企業から「ウチはその程度の評価なのか」といった反発を招く副作用がつきまとう。個別事情をどこまで勘案するか、経営陣と営業現場とのせめぎ合いが激しさを増すことになる。

●バフェット基準
 ジャーナリストの牧野洋氏は、2015年8月3日付現代ビジネス記事の中で、社外取締役に「バフェット基準」を取り入れるよう提唱している。バフェット基準とは、「投資の神様」といわれる米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が掲げるコーポレートガバナンス基準のことだ。

「法的には、取締役会は株主利益を守る立場にある。ここでのポイントは株主との利害の一致であり、そのためには社外取締役は相当数の自社株を保有しなければならない。そうすることによって、株主利益を守ろうとの意欲が湧いてくる」

 みずほ銀行は、企業役員などが自社株を購入するのを支援するサービスを始めた。みずほ銀行が購入のための資金を融資する。購入資金は、みずほ銀が企業と提携し、通常より低い金利で貸し付ける。

 委員会設置会社制度は米国企業をモデルに、業務執行と監督権の分離を明確にした。組織上は米国企業の相似形が出来上がったが、多くの日本企業は社外取締役が意欲をかきたてるような役割を与えてこなかった。多くの企業で導入が進む社外取締役は、果たしてその機能を十分に果たすことができるのか。日本企業全体のコーポレートガバナンス強化に向けた試金石になるといえよう。
(文=編集部)

1595とはずがたり:2015/10/07(水) 14:53:34
たくさん貯金したいなら、この「常識」を知れ
ボーナスが残らない人に共通する特性
山口 京子 :ファイナンシャルプランナー
http://toyokeizai.net/articles/-/72325

「貯金でおカネを殖やす」は無理

まずは、大事なおカネを預ける預貯金の常識です。なんとなく、給与振込口座におカネを入れっぱなしという人は多いでしょう。バブル期なら、定期預金や養老保険におカネを預ければ、どんどん増えました。

当時は、ほぼ元本保証で、年利が7%くらいの商品がたくさんあったのです。どれくらいおカネが増えたのでしょうか。「72」という数字を使ってみましょう。72を金利で割ると、おカネが何年で2倍になるかがわかるのです。

72÷7≒10年

およそ10年で2倍です。バブル期なら、子どもが生まれたときにもらったお祝いを定期預金に入れておけば、小学校5年生のときには2倍になりました。ところが、今の金利は普通預金が0.02%、10年の定期預金が0.1%です。今、10年の定期預金に預けると

72÷0.1=720年!!

2倍になるのに、720年かかります。720年前といえば、時は鎌倉時代。蒙古襲来のころに預けたおカネが、やっと今年、2倍になったのと同じことです。また、「定期預金も普通預金も変わらないから」と、そのまま給与振込口座におカネを入れっぱなしの人もいます。普通預金の金利は0.02%ですから

72÷0.02=3600年!

2倍になるのに、なんと3600年もかかるのです。紀元前1600年、黄河流域で、亀の甲羅に文字を入れて占いをしていたころに、もし貯金を始めたとしたら、いまごろやっと2倍になる計算です。

つまり、今は元本保証で安心な「預貯金」だと、おカネが増えるのにどえらい(とてつもなく長く)時間がかかるということです。ATMの時間外手数料やコンビニの手数料を払ってしまうと、100万円の普通預金の利息が、一瞬で飛んで行くことになるのを覚えておきましょう。

貯金の利息はそのままもらえない

では、100万円貯金すると、利息はどれくらいでしょうか?

100万円×0.02%=200円

たった200円です。

1億円の預貯金があったとしても、1年間の利息は2万円です。新幹線で東京と名古屋を往復したら、足が出ます。ホームで「きしめんを食べるおカネもない」とがっかりするのは、まだ早い。この200円や2万円が、まるまる私たちの口座に入ってくるわけではありません。

ここからさらに、税金が引かれるのです。それも20%も!

消費税が3%上がるだけでドキドキしましたが、その前に、利息から20%も税金引かれていることに多くの人が気づいていません。正確には0.315%の復興税がありますので、国税の15.315%と地方税の5%と合わせて、20.315%です。

100万円を貯金してもらえる利息は、159円です。1億円あっても1万5900円。3億円の宝くじが当たったとしても、利息だけでは暮らせません。この20.315%も引かれる税金のことを、知らない人が多いのです。なんと金融機関にお勤めでも、窓口担当でなければ知らない人もいるぐらいです。

引かれるのは預貯金だけではありません。投資をした運用益からも、引かれます。100万円儲かると、20万3150円。10万円儲かったら、2万円ちょっと!利息に比べると、とても大きいですね。大きな税金が引かれていることを、知っておきましょう。

1596とはずがたり:2015/10/24(土) 21:29:12
>354兆円という内部留保の数字は、企業が設立されてからずっと積み上げてきた数字だ。それと毎年の設備投資額を比較する事に一体どんな意味があるのだろうか。

>利益剰余金、いわゆる内部留保はそのように計算しない。内部留保が減る時は、赤字が発生した時や利益を上回る配当を行った時だ。

>設備投資は内部留保だけから行うわけではなく、必要であれば出資や借金でも行う。内部留保が多いから設備投資を行え、という話は因果関係が何もつながっていない。結局、こういったトンチンカンな話は元をたどると「内部留保=現金」という勘違いに必ずたどり着く。

>現預金残高約168兆円のうち約101兆円は資本金1億円未満の企業に属するものであり、1社あたりで計算すると、数千万円にしかならない。

経済
日本企業は内部留保の1.6倍も設備投資を行っている。
http://agora-web.jp/archives/1658684.html
中嶋 よしふみ

先日16日、安倍総理は政府と経済会の代表が出席した「未来投資に向けた官民対話」という会合で、企業に対して投資を積極的に行うように要望したと報じられた。

甘利経済再生相は「過去最高の原資があるのに、投資しないのは重大な経営判断の誤り」とまで言及したという。内部留保を過剰に貯め込むな、という話のようだ。

これには二つの間違いがある。一つは「内部留保」という名目の現金があると思い込んでいること、もう一つは日本企業はすでに内部留保の1.6倍も設備投資を行っているという間違いのない事実だ。
■内部留保は現金ではない。
内部留保=現金、という勘違いはそろそろ卒業してほしいと思うが、問題は企業が積極的な設備投資を行っているにも関わらず、それを政府が理解していない事だ。
投資要請 背景に企業の内部留保354兆円 NHKニュース 2015/10/16

財務省の統計によりますと、昨年度・平成26年度の国内企業の「経常利益」は、64兆円にのぼり、過去最高の利益をあげています。
また政府が、いわゆる企業の内部留保とみている「利益剰余金(りえきじょうよきん)」の額は354兆円にのぼり、企業が主に国内で行った「設備投資」の額は、40兆8373億円でした。
これを今から10年前の平成17年度と比較しますと、「利益剰余金」は152兆円余り、率にして75%も増えましたが、逆に「設備投資」の額は、9兆9103億円、率にして19%減っています。

この説明だけを見ると、企業がお金を貯め込んでいる、と誤解をしてしまいそうだ。また同じ記事で麻生副総理は企業の内部留保増加を批判し、甘利経済再生相も今こそ大胆な投資を、と呼びかけていると報じられている。

これらの認識は正しいのだろうか。これは考え方の違いとか内部留保=現金という勘違いを差し引いても、明らかに間違った認識だ。企業はすでに内部留保を大幅に上回る額の設備投資を行っている。

■設備投資額は内部留保の1.6倍も行われている。
具体的な数字を見てみたい。記事では平成26年の経常利益が64兆円とあるが、これは特別損益や法人税が考慮される前の数字だ。64兆円に対して40兆円の設備投資は十分に大きい。設備投資の拡大を求める根拠となっている一次資料をみれば、よりおかしな点に気づく(法人企業統計調査結果・平成26年度・財務省 2015年9月公表)。

資料によれば日本企業の税引き後純利益は、平成26年度で約41・3兆円となっている。これは設備投資額とほぼ同じだ。しかもこのうち約16・8兆円を配当に回している。利益の4割が配当として支払われ、差額の内部留保は約24・4兆円となる。つまり、平成26年は内部留保が約24兆円に対して設備投資額は約40兆円と、1.6倍もの額を投じている。

簿記の知識が無い人は、内部留保が24兆で設備投資が40兆なら差し引きで内部留保はマイナスになって減るのでは?と思うかもしれないが、利益剰余金、いわゆる内部留保はそのように計算しない。内部留保が減る時は、赤字が発生した時や利益を上回る配当を行った時だ。

1597とはずがたり:2015/10/24(土) 21:29:27

■内部留保354兆円に対して設備投資40兆円は少ないのか?
安倍総理や麻生副総理、甘利大臣は日本企業全体の内部留保額に対して毎年の設備投資が少ないと文句を言っているようだが、これは正しいのだろうか。そもそも企業の設備投資額に国が口出ししている時点でおかしいが、それを横においても認識が明らかにズレている。

354兆円という内部留保の数字は、企業が設立されてからずっと積み上げてきた数字だ。それと毎年の設備投資額を比較する事に一体どんな意味があるのだろうか。例えば任天堂が何十年も前に花札を売っていた頃から積み上げた利益剰余金、あるいはトヨタ自動車が糸を生産する紡織機械を作っていた頃から積み上げてきた利益剰余金と、今現在の1年間の設備投資額にどんな関連性があるというのか。

これはストックとフローをごちゃまぜにした滅茶苦茶な議論で、少なくとも自分には何か関連性を求める事に意味があるとは全く思えない。

また、設備投資は内部留保だけから行うわけではなく、必要であれば出資や借金でも行う。内部留保が多いから設備投資を行え、という話は因果関係が何もつながっていない。結局、こういったトンチンカンな話は元をたどると「内部留保=現金」という勘違いに必ずたどり着く。

■内部留保は「資金の調達方法」である。
会社にお金が入ってくるルートは売上・借金・出資の3つだけだ。

俗に内部留保と呼ばれる利益剰余金は、売り上げから費用を差し引いた利益の額から計算するので、売上のルートとして考えていいだろう。同時に、会社の利益は株主のものなので、出資としての要素もある。

そして発生した利益は本来全て株主に配当として支払うところを、翌年のビジネスに使ってより利益を増やしてくれた方が良い、と株主が納得すれば全額を配当金に回す必要はない。配当を受け取って再投資する手間を省いているという事だ。

つまり内部留保は資金調達の話であり、現金は調達したお金をどのように保有・活用しているか、という全く種類の異なる話だ。繰り返すが「資金調達の手段」と「調達したお金の保有・使い道」は全く違う。

身近な例に置き換えるなら、消費者金融で借りた100万円を、飲み代に使おうと病気の治療費に使おうと車を買おうと、借金で100万円を調達したという事実には何ら影響しない。これは複式簿記(ふくしきぼき)といって、簿記の教科書の3ページ目くらいに書かれているような初歩的な話であり、商業高校の生徒でも理解している。

■240兆円の現金は株主のものである。
こういった話をすると必ず企業は現金を貯め込んでいるじゃないか、といった批判が来る。その分を賃上げにまわせという人もいる。2015年現在、企業は240兆円にのぼる多額の現金を積み上げていることは間違いないが、これは株主や債権者のものであり、配当や設備投資、あるいは借金の返済に回す事はあっても賃上げにまわす性質のお金ではない。

資金が余っているからといって給料を増やして利益を減らす、あるいは赤字にする経営者がいれば、株主総会でクビにされるだけだろう。内部留保を取り崩して賃金アップを!と声高に主張する人には腹立たしい話だろうが、法律でそうなってますので、としか説明のしようがない。

当然の事ながら将来発生するであろう利益(利益剰余金)については、それだけ儲かっているのならもっと給料を増やすべき、という交渉の余地はいくらでもあるだろうが、過去に積み上げた現金は給料を払った後のものであり、それを原資にさらに給料を払え、という話は全く理屈が通らない。シンプルに給料を上げてくれ、毎年これだけ利益が出ているならもっと払えるはずだ、と要求すべきところを内部留保がウンヌンと余計な話を持ち出すからややこしくなっているという事だ。

設備投資に至っては経営判断に株主でも経営者でもない人間が口をはさむ話ではない。これは法律ウンヌンの話ではなく常識レベルの話だ。多忙を極める中、そんな話に付き合わされた経済界の重鎮の方々には同情するばかりだ。

■企業の保有する現金は、実は少ない。
加えて、総額として240兆円は確かに大きい額だが、先に例にあげた任天堂やトヨタ自動車などの大手企業を別にすれば1社当たりの金額は決して多くは無い。
・混乱しやすい内部留保に関する議論 大和総研グループ 太田珠美 2013年10月29日

1598とはずがたり:2015/10/24(土) 21:29:48
>>1596-1598
そもそも、現預金であったとしても、その中には運転資金に充てるための現預金も含まれている。純粋な余剰資金ではないのである。なお、現預金残高約168兆円のうち約101兆円は資本金1億円未満の企業に属するものであり、1社あたりで計算すると、数千万円にしかならない。内部留保や現預金残高の水準のみを以て、ステークホルダーへの還元云々、という議論することは必ずしも適切ではない。

※上記引用記事は少し前の記事なので、現金の額は現在より少ない。

結局、政府は企業に向かって設備投資にお金をつかえ、賃金を上げろ、と命令する前に、なぜ企業は必要以上に手元の現金を貯め込むのか?と考えるべきだ。企業は営利を追求するために存在している以上、利益になるのであればいくらでも設備投資を増やし雇用も賃金を増やす。

設備投資が増えれば景気が良くなるだろう、だから無理にでもお金を使わせよう、という考えは原因と結果を取り違えており、正しくは景気が良くなれば設備投資が増える、という順番だ。

■なぜ国は企業の活動に口をはさむのか?
先日は携帯料金が高すぎるとして政府の値下げ要請が話題となった。これも大手3社の寡占状態が高額な料金を生み出しているだけの話で、より高い価格で利益を増やすのは企業にとっては当然の戦略だ。

携帯電話各社が公共の電波を利用して必要以上に儲けている事が問題ならば、新規事業者が参入できるようにすればいい。電波の利用は国が管理しており、値下げ要請などしなくともいくらでも間接的なコントロール、つまり新規事業者の参入による競争の促進は十分可能だ。

新たな携帯事業者が生まれればそのインパクトは計り知れない。競争の促進で利用価格は下がり、基地局等の設備投資、大規模な雇用の創出など、現在の大手3社に匹敵する企業が生まれればどれだけ経済効果が大きいかは言うまでもないだろう。

こういった事をせずに既存の企業に価格を下げろと命じ、すでに多額の設備投資を行っている企業に対してさらにお金を出せと余計な口出しをする。戦後の何が足りなくて何をやればいいか分かっていた時代は、国が主導でインフラを整備し、優先順位の高い産業の成長を促す傾斜配分が上手くいった時期もあったが、今は全く状況が違う。経済・産業政策についてズレた話が多すぎると感じているのは自分だけではないだろう。

内部留保・会計関連は以下の記事も参考にされたい。
■女子大生でも分かる、内部留保と現金の違い。
http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/30345738.html
■大学で簿記3級を教える事は正しい。
http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/40986750.html
■年収1100万円なのに貯金が出来ませんという男性に、本気でアドバイスをしてみた。
http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/44746902.html
■262億円の大赤字を叩きだしたマクドナルド・カサノバ社長に、一読を勧めたいマンガについて。
http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/45414636.html
■1億円の借金で賃貸アパートを建てた老夫婦の苦悩。
http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/44769829.html

知人からは、政治家の経済オンチは昔からの話で、現金と内部留保の違いもろくに教えられないブレーンしか身近にいない方がよっぽど問題ではないか、という指摘を受けた。確かに、最も深刻な事はこの部分であることは間違いない。そしてさらに絶望的な事はそんな政府・自民党にボロ負けしている野党のだらしなさ、という事になる。

中嶋よしふみ
シェアーズカフェ・店長 ファイナンシャルプランナー
シェアーズカフェ・オンライン 編集長
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1599とはずがたり:2015/10/24(土) 21:39:36
解りやすいなー。
>「預金を1000万円持ってる人がそれを全額頭金にして、銀行から3000万円を借りて、4000万円のマンションを買ったとする。で、友人から事業を始めるので100万円貸して欲しい、と借金を申し込まれたとする。なんて答える?」
>「頭金で全部使っちゃったから貸すのは無理ですよね」
>「それに対して『頭金を1000万円も払ったなら、当然手元に預金が1000万円あるってことでしょ?100万円位貸してくれても良いのに。ケチ!』って言われたら?」
>「……? 意味が分からないですよね。全部頭金に使ったって言ってるのに」
>「まあそうなるよね。内部留保から給料を払え、って話はそれと同じ位ワケの分からない話って事」

女子大生でも分かる、内部留保と現金の違い。
http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/30345738.html
2013年08月05日 07:39
中嶋よしふみ シェアーズカフェ・オンライン編集長 シェアーズカフェ株式会社・代表取締役社長 ファイナンシャルプランナー

「城さんのブログ読みましたか? 内部留保から給料は払えないって書いてありましたけど、そうなんですか?」

先日、知人の女子大生からこんなメールが届いた。城さんとは「若者はなぜ3年で辞めるのか?」の著書で有名な城繁幸氏の事だ。

■女子大生が城繁幸氏のブログを読むと……。
彼女は以前も城氏の記事を読んでメールを送ってきた大学生だ。それ以来、城氏の記事を読むようになったようで「筆者が『日本の弱者はとても可哀想だ』と思うワケ」を読んで、何かモヤモヤしたものを感じたようだ。

この記事では「企業は内部留保(ないぶりゅうほ)を取り崩して給料を増やせ」というよくある大企業批判について、いかに間違っているかが説明されている。

日本は失われた10年とか20年と言われる不景気が続いていながら「金余り」の状態だ。一見するとおかしな状況に見えるが、消費にも設備投資にも使われないお金が行き場を失っているという事だ。日銀の資金循環統計によれば、昨年度末の企業の現金・預金残高は225兆円と過去最高を更新したという。使い道の無い膨大な資金が積み上がっており、それを使って給料を増やせ、雇用を増やせという話だ。その際に言われるのが「内部留保を取り崩せ」というものだ。

これは城氏の記事で指摘されている通り、「そもそも、他人がとやかく言えるお金ではない(なぜなら株主のお金だから)」「そもそも、会社の金庫の中に現ナマが貯まっているわけではない(企業の利益は再投資されて設備や在庫になっているから)」という事で議論の余地も無く決着がついている話なのだが、まだ社会人ではない大学生には分かりにくいのだろう。一部の政治家や経済学者まで同じような事を言っているので、正しい意見だと思っている人も少なく無い。

■「内部留保」という言葉は無い。
この話を正確に考えるには、まず内部留保という言葉の定義を知る必要があると思うが、実は内部留保は正確な言葉ではない。トヨタでもグリーでもソフトバンクでもどこでもいいので、上場企業の公表する決算書を確認してみて欲しい。「内部留保」という項目はどこにも載っていない。これは当然の話で、企業会計では内部留保などという言葉は一切使わないからだ。

一般的に内部留保は「過去の利益を溜め込んだもの」という漠然としたイメージで認識されている。だからそれを取り崩せば給料を増やせる、雇用を増やせると思われているわけだが、これは簿記3級レベルの知識でも間違いだとわかる話だ。少し丁寧に説明してみよう。

■頭金と預金。
メールを送ってきた女子大生は簿記の知識が無く、納得いかない様子だ。

「会計士の試験勉強をしてる友達も城さんの言うとおりで法律上は株主のモノだ、って言ってました。でも会社のお金って社員が頑張った結果じゃないんですか?」

法的にはそういうもの、という説明では納得いかないようなので、基礎の基礎から説明する事にした。会計知識の無い人に内部留保の定義を説明してもややこしくなるだけなので、もうちょっと分かりやすく住宅ローンに例えて説明した。

1600とはずがたり:2015/10/24(土) 21:40:31
>>1599-1600
「預金を1000万円持ってる人がそれを全額頭金にして、銀行から3000万円を借りて、4000万円のマンションを買ったとする。で、友人から事業を始めるので100万円貸して欲しい、と借金を申し込まれたとする。なんて答える?」
「頭金で全部使っちゃったから貸すのは無理ですよね」
「それに対して『頭金を1000万円も払ったなら、当然手元に預金が1000万円あるってことでしょ?100万円位貸してくれても良いのに。ケチ!』って言われたら?」
「……? 意味が分からないですよね。全部頭金に使ったって言ってるのに」
「まあそうなるよね。内部留保から給料を払え、って話はそれと同じ位ワケの分からない話って事」

図1は今の話を企業会計で使われるバランスシートの形に直したものだ。右側の住宅ローンと頭金は「お金の調達方法」を、左側の家は「調達したお金をどのような形で持っているか」を、それぞれ現している。家はあるけど預金は無い、という事がこの図でも簡単に分かるだろう。会話に出てきたように、頭金と預金を勘違いする人はいない。

■内部留保とは何か?
97図2は決算書を簡単に表現したものだが、今の話と全く同じ事が企業会計にも言える。企業会計ではお金が入ってくるルートは大きく分けて三つしかない。売上が発生する、借金をする、株を発行する、の3通りだ。それぞれ収益、負債、純資産の項目が対応する。損益計算書とバランスシートのいずれも右側が「お金の調達方法」だ。そして「調達したお金をどのように持っているか(もしくは使ったか)」が左側の資産と費用だ。

過去の利益は右側の純資産の部に記録されている。専門用語で言うと利益剰余金(りえきじょうよきん)や利益準備金(りえきじゅんびきん)となる。これは決算書にも書いてある用語だが、内部留保は一般的にはここを指す。つまり、内部留保は借金や株の発行と並んで、資金の調達方法を意味しているという事だ(元々は売り上げなので、売り上げによる調達といっても間違いではないだろう)。一方、現金・預金は左側の資産の部に記録されている。

利益が株主のものならば本来は配当金で全て株主に支払うのがスジだ。しかし会社が得た利益を再び仕入や設備投資にまわせば、もっと成長して沢山の利益をもたらしてくれるかもしれない。それならば株主が利益を受け取らない方がいい場合もある(急激に成長している企業は配当を出さない事も多い)。だから配当で会社の外に出さずに利益を溜めておく、という事で内部留保と呼ぶ。実質的には既存の株主から株の発行で資金調達をした状態と同じだ(配当をすると税金が掛かるのでダイレクトに再投資した方がトク)。

城氏が内部留保は株主のものなのだから給料には使えない、と指摘したのはこういう仕組みになっているからだ。費用を株の発行(出資)でまかなうのは、今は赤字でも将来の黒字転換が見込めるベンチャー投資など、限られたケースだ。現在は多額の現金が企業に積み上がっているが、負債と相殺した手元現金は実際にはもっと少ない(最終的には株主の資金だから勝手に使ったら経営者が株主代表訴訟で訴えられてアウト、という事になる)。

■政治家や経済学者に簿記・会計の知識はいらないのか?
これまでの説明である程度分かってもらえたと思うが、内部留保は株の発行や借金と同じく資金の調達方法を意味する言葉であって、現金とは全く意味が違う。「内部留保」というお金は無いし、内部留保を取り崩して給料に使うという表現は意味をなさない。最初の例に戻るなら「頭金を友達に貸す」という位ワケの分からない表現だからだ。

以前、政治バラエティ(?)のTVタックルで与野党の政治家が企業の賃金について話をしていた時、皆が内部留保、内部留保と連呼しているのだが、何の話をしているのかさっぱり意味が分からない。よくよく聞いてみると、すべて「現金」と言い換えれば意味が通じる。そう、現金と内部留保を混同しているわけだ。

バランスシートの右と左の違いも分からないような政治家が国を動かしていると思うと怖くなった。これは一部の経済学者も同様だ。簿記3級は小学生でも取得する資格だ。つまりバランスシートの左右の見分けもつかない政治家・経済学者は小学生にも負けるということだ。

1601とはずがたり:2015/10/30(金) 16:14:54
ミクロ経済分析 (経済と経済学の明日 4)
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%83%AD%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%88%86%E6%9E%90-%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%81%A8%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6%E3%81%AE%E6%98%8E%E6%97%A5-4-%E3%83%8F%E3%83%AB-R-%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3/dp/4326548452

入門ミクロ経済学 [原著第9版] 単行本 ? 2015/8/29
ハル ヴァリアン (著), Hal R. Varian (原著), 佐藤 隆三 (翻訳)
http://www.amazon.co.jp/%E5%85%A5%E9%96%80%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%83%AD%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-%E5%8E%9F%E8%91%97%E7%AC%AC9%E7%89%88-%E3%83%8F%E3%83%AB-%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3/dp/432695132X/ref=pd_cp_14_1?ie=UTF8&refRID=10ERF6NVJMPEBBQRH4FJ

1602とはずがたり:2015/11/04(水) 08:50:02
複式簿記
http://www.moge.org/okabe/temp/balance.pdf
岡部 洋一
放送大学教授 (東京大学名誉教授)
2015 年 7 月 12 日
起草: 2000 年 4 月 1 日

1603とはずがたり:2015/11/16(月) 14:12:13
『市場発生のダイナミクス 移行期の中国経済』丸川知雄 アジア経済研究所1999を読む。

1章ではテレビ産業が取り上げられている。
中国は計画経済とは云いながら国と省の関係,国営企業(実質的に省有企業)と省の関係などを通じてやりたい放題である事が解る。
中ソ対立の煽りで権限が省に移され,北京が潰滅しても省毎に経済活動を継続しソ連との戦争を継続出来るようにしたのが始まりだそうで,もともと国単位の独占企業が1社だけのソ連型とは全く違う分権的な計画経済だったようである。
また現代の中国にも通じるものがあるが,規制が無視されたり,密輸などで無効化されるなどやりたい放題の中国の自由化はソ連・東欧が失敗したような急進的な画一的なものではなく広汎なものであり,中国政府が意図した漸進主義を民間(というか国営企業)が独力で突き崩すタイプのものだったようである。

基本的に計画・統制が機能しなくなるのは物不足では無くモノ余りの状況であった。ソ連・東欧型の計画経済を「不足経済」と指摘したのはハンガリーの経済学者のコルナイだそうだが,丸川氏はロシア・東欧のサックス等の急進改革を需要抑制による改革と指摘し,中国のは供給刺戟的な政策の結果,市場経済化が突き動かされたと指摘している。ロシア・東欧が困難に陥った時にIMFや世銀が急進改革を十分支援出来なかったというイースタリーの『エコノミスト南の貧困と闘う』内でのコメントよりも進んだ観察であると云えよう。

2章は自動車である。
ソ連から導入した縦割り型(部品などを全部内製する不効率な)の生産システムであったそうな。その再編の過程で集団が形成され,一部資本の論理よりは行政の論理で拡大していたようであった。
東風汽車@武漢に移転や第一汽車@長春は今も中国三大自動車メーカー(残りは上海,Big5だとこれに長安・奇瑞@安徽省を加える)として健在のようである。

3章は繊維産業と対外開放である。
90年代の中国は80年代の韓国や60年代の日本よりも開放的だそうな。
1978年末に対外開放を決定して技術をもった企業の進出を受け容れるようにしたが進出は少なく1986年から軌道修正を行い,輸出拡大に資する場合は自由化した。
同時に人民元のレートを大幅に切り下げ輸出を容易にした。
その結果集積が進んだのが衣料,特に日本向けだそうな。欧米は少なくとも当時は数量制限が残っていたそうな。

4章は流通について。
計画の歪みが強く出るのが此処のようだ。此処に関して中国政府は徐々に計画経済の比率を下げてきている様だ。

5章は市場経済と労働市場について
鞍山鋼鉄の例が載っている。ふくれあがって学校や病院なども抱える20万人企業になっていたそうな。
農村と都市だけでなく都市同士でも労働市場は分断されていて産業構造の転換時に失業者が滞留する一方で人手不足の町もあるなどの不効率が発生してたようだ。都市と農村の分断は今も大きな問題だし,中国が飛躍するに必要な自由化策だと思われるがこの16年で何処迄進んだのかな?

1604とはずがたり:2015/11/16(月) 14:22:56
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1046080617/1603
20万を超えてた鞍山鋼鉄の从業員は2004年には15万人を切ったようだ。


市場経済移行期における中国鉄鋼業の分析:鞍山鋼鉄集団公司を例として --国有企業改革の進展:リストラクチャリングの視点から--
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/151284/1/kronso_182_2_220.pdf
韓, 光燦
經濟論叢 (2008), 182(2): 220-238

1985年時点の鞍鋼の年間粗鋼生産量は,約726万トンであったが,それに対して,従業員数が,約22万人という膨大な数になっている。
>当時の中国の固有企業の目的関数6) ii"競争的市場経済環境で企業が一般的にとる新古典派的な利潤極大化よりも,雇用の維持と拡大にあることを示唆しているともいえよう。これは,又,従来の社会主義の計画経済において,よくみられる Kornai[1980](>>1603)のソフト予算制約の一環ともいえよう。

2004年になると, 14万人台に削減され, 1985年の約 6割に当たる。単純に数字的にみても,従業員全体の約 4割が削減されたという非常に大規模なリストラが行われたことを示している。しかし,そのかかった期間を考慮すれば,その削減ベースは,全体的には,比較的緩やかであったともいえよう。

全民従業員の全体
数に占めるレイオフの割合は 1999年の3.64%から2004年には22.23%にまで上り,全民従業員の全体の約 2割以上がレイオフ状態にあることを示している。

レイオフ人員の中でも在宅休息の賃金はかなり高く,現役従業員の約48%に当る。しかしながら,在宅休息の年間賃金(約8700元)は,鞍山地域の消費水準を考えると,基本的な生活ができるレベルである O これは, レイオフ人員の中でも在宅休息は,大きな役割を果たしている可能性を示唆している。その一方 レイオフ人員の賃金コスト負担は重く,鞍鋼の全体賃金額の約10.35%を占めている。これは,又,鞍鋼の人員削減のコストは高く,一種の社会保障的役割を果たしていることを示唆している。

1605とはずがたり:2015/11/19(木) 15:03:35
Research Papers Published by CAO 対日直接投資に関する調査報告書
http://www.invest-japan.go.jp/fdidb/files/h15-2.html
Invest Japan

巻末補論 日本の製造業において全要素生産性上昇率はなぜ低迷しているのか (PDF形式:190KB)
http://www.invest-japan.go.jp/pdf/jp/fdidb/h15-2_6.pdf

1606とはずがたり:2015/11/26(木) 13:21:48
経済理論に於いてはもう50年以上も前に,控えめに云っても25年程前には主役ではなくなっている。

>たとえば3億円の資金を持つ人であれば、債券や株式に投資することによって、年間で1000万〜1800万円程度の収入を得ることが可能だ(一般的な債券の期待リターンは3・5%、株式の期待リターンは6%程度といわれる)。
てことは3000千万で100万〜180万,1000万で30万〜60万は稼げる筈なんだな。3億ぐらい資産欲しいなぁ(;´Д`)

其れは兎も角,儲かるんなら貧乏人だって資産運用すれば良いだけで得られるのにやらないだけの癖に文句を云うな,なんだけど小口にすると手数料が高くて実質リターンが低下するんだな。この辺は不平等かもしれないけど,貧困層向けに投資手数料に補助金入れるとか政策的に無理そうだなぁ。。(;´Д`)

ピケティ理論はやがて成立しなくなる
『21世紀の資本』が明らかにした「資本」の持つ圧倒的なパワーが、相対的に低下する時代がやって来る
http://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2015/11/post-4156.php
2015年11月25日(水)19時02分

 「楽天はすでにオールドエコノミー」と、本誌ウェブコラム「経済ニュースの文脈を読む」でお馴染みの評論家であり、億単位の資産を運用する個人投資家でもある加谷珪一氏は言う。インターネット環境の急激な進展により、新しい資本の時代が動き始めており、そこでは稼ぎ方も働き方も、すべてが変わるのだという。

 楽天は設立が1997年で、株式店頭上場が2000年。わずか3年で上場している。今では1万2000人以上(連結)の従業員を抱え、売上高は6000億円弱(2014年)という日本を代表するネット企業だ。これのどこがオールドエコノミーなのか。

 加谷氏によれば、最近では「設立からわずか数か月で企業を売却し、上場することなく巨額の富を生み出すケースが続出している」という。オフィスなどなく、自宅で始めたビジネスというのも珍しくない。もはや会社の体裁を整え、社会的な信用を得る必要さえないのだ。加谷氏が「新しい資本の時代」と呼ぶゆえんである。

 これまでは、お金持ちになれる人は、起業家か投資家と相場が決まっていた。これからの時代には、新しい「富のルール」を知り、情報を制する者だけがお金持ちになれる、と説く加谷氏。11月27日発売の新刊『これからのお金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)では、10年後の未来を前提に、どうすればお金持ちになれるかを分析・解説している。

 ここでは、本書の「第4章 これからの『富のルール』を知る」から一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。初回は「ピケティ理論はやがて成立しなくなる」。

『これからのお金持ちの教科書』
 加谷珪一 著
 CCCメディアハウス

◇ ◇ ◇

「資本」の持つパワーを歴史的視点で明らかにしたのが、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏である。世界中でベストセラーとなった『21世紀の資本』を読むと、資本が持つパワーの大きさがよく理解できる。

ピケティ理論を実際に検証してみると
『21世紀の資本』がこれほどの話題になったのは、ピケティが膨大な歴史データを駆使して、富を持つ人とそうでない人との格差が拡大しているという事実を明らかにしたからである。

 ピケティ理論のエッセンスとなっているのは、r>gの法則と呼ばれているものである。

 ピケティ氏によると、歴史的にいつの時代も、資産の収益率(r)が所得の伸び(g)を上回っており、これによって富を持つ人とそうでない人の格差が拡大しているという。彼は、今後、世界経済の成長率鈍化により、格差拡大がさらに顕著になると予想している。ピケティ氏が説明する通り、資産を持っている人は、その資産を運用することでさらに富を増やすことができる。

 たとえば3億円の資金を持つ人であれば、債券や株式に投資することによって、年間で1000万〜1800万円程度の収入を得ることが可能だ(一般的な債券の期待リターンは3・5%、株式の期待リターンは6%程度といわれる)。

 これは、世間でいうところの不労所得であり、自身が働いて得た収入とは別のものである。資産の保有者は、お金を減らすことなく、毎年、資産が生み出すお金で資産を増やせる仕組みになっている。これはストックから毎年得られるフローの収入ということになる。

1607とはずがたり:2015/11/26(木) 13:22:09
>>1606-1607
 これに対して、一般的なビジネマンは、基本的に自分が働いて給料をもらうしかお金を稼ぐ方法がない。

 長期的に見れば、労働者が受け取る所得の増加は経済成長率とほぼ比例しており、経済成長率を大きく超えて増えることはない。資産運用から得られる利回りが、所得の増加率を上回っている場合には、資産家とそうでない人の格差が拡大するという理屈が成立することになる。

 働いた対価として得られる給料は、まさにフローの典型である。フローという形で大きな富を得られないのは、いつの時代も同じことのようである。

 ピケティ氏はマクロ経済のデータから資産の収益率を計算しているが、筆者も独自に、過去100年間に日本における株式や債券の利回りや値上がり率などから簡易的に資産の収益率を計算してみた。

 得られた結論はピケティと同じで、いつの時代においても、所得の伸びを資産の収益率が上回っており、唯一の例外はバブル崩壊後の失われた20年だけであった。デフレ下の日本は、幸か不幸かそれほど格差が拡大しなかった時代だったということがわかる(現在、日本で進んでいる格差拡大は、貧困率の上昇に代表されるように、どちらかというと下方向への拡大である)。だが今後、資産価格がさらに上昇すれば、資産を持つ人とそうでない人の格差は一気に広がっていくはずだ。

 資産を持つ人が株式や債券を通じて投資した資金は、金融機関などを通じて、最終的には、事業資金として活用される。先ほど、従来型社会ではビジネスを立ち上げるために多額の資金が必要であると述べた。それは大規模な工場や鉄道といったインフラだけにとどまるものではなく、ラーメン店や焼き肉店のオープン、ECサイトの構築も同じである。

 資本家が提供した資金があってはじめて起業家も事業を立ち上げることができる。そして、厳しい条件をくぐり抜け、成功した起業家だけが、次の世代の資本家として資金を出す側に回ることができる。これが従来型資本主義の冷徹なルールであった。

シェアリングエコノミーで資本が不要に
 ところが新しい資本の時代においては、「お金」の果たす役割が相対的に低下してくる。

 最近の起業家が、新しい事業をスタートするにあたって必要とする初期投資額は、おそらく20年前の数十分の一になっている可能性が高い。ほとんどのビジネスリソースがネットを使って安価に調達できるため、起業家は初期投資額を最小限に抑えることが可能となっているからだ。

 これは大規模なシステムを使ったスケールの大きいビジネスでも同じである。このところ情報システムの世界では、自社内にサーバーを設置せず、アマゾンが提供するクラウドサービスに、システムを丸ごと移管するケースが急増している。

 こうしたクラウドサービスは、システムが必要とする処理能力を、即時に、そして柔軟に設定できる。たとえば、最初は安い金額で従来のサーバー1台分の処理能力を購入し、テスト的にウェブサイトを立ち上げてみる。もし急激にサイトの人気が上昇し、アクセスが殺到する状況になれば、すぐに追加料金を払って、サーバー50台分の能力まで増強するといったことが可能となっているのだ。

 最近は大企業においても、小規模な新しいサービスを無数に立ち上げ、生き残ったものだけを継続させるというやり方が当たり前になっている。こうした時代においては、お金と時間をかけて、自社専用のシステムを作るという行為はコスト的に割が合わないのだ。

 そうなってくると、システムに対する投資はアマゾンのような事業者に集中することになるため、投資効率が圧倒的に高くなる。経済全体において必要される初期投資額は大幅に減ってくるだろう。

 こうした動きは、情報システムのようなバーチャルな世界だけにとどまらない。最近は、あらゆるモノやサービスを共有する、シェアリングエコノミーが急成長している。多額の初期投資が必要であった工場や車両、建物などに至っても、必要に応じて調達することが可能となるだろう。

 ITを使って、世の中に必要なものを、究極的なレベルまでシェアすることになれば、従来、必要と思われていたインフラ投資の過半数が無駄なものになってしまうかもしれない。さらに言えば、多くのビジネスで初期投資が不要ということになれば、これまで資本家が持っていたパワーすら変化する可能性がある。

 資本主義の主役であり、市場の中で圧倒的なパワーを持っていた資本の持つ力が、相対的に低下するのである。これは、資本主義が登場してから、初めての現象となるかもしれない。

1608とはずがたり:2015/11/26(木) 18:59:39
>>1515-1517

「里山資本主義」は可能? バイオマス発電の虚実
田中淳夫 | 森林ジャーナリスト
2013年11月26日 10時45分配信
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakaatsuo/20131126-00030091/

『里山資本主義〜日本経済は「安心の原理」で動く』(執筆・藻谷浩介+NHK広島取材班 角川oneテーマ21)が売れているらしい。

本が売れるのは羨ましいかぎりだが、さて内容はどうだろう。

本書で主張されているのは、マネー資本主義の現代社会にサブシステムをつくろう、という提案である。マネー(金融)を拒否するのではなく、エネルギーや食料の一部を自給(地産地消)することで資金が地域を循環し、貨幣価値でない生活価値が高まる……そこに里山を象徴とする田舎社会の知恵を取り上げる。行き詰まった先進国のバックアップシステムにするという発想だ。

これらの提言に関して、私は概ね賛同する。その上でだが、本書を読んで少し感じた違和感に触れたい。
総論賛成でも各論に、甘い部分が目立つからだ。田舎暮らしを理想的な生活のように持ち上げるところも鼻につくが、ヨーロッパの大規模機械化林業を見本とするような取り上げ方は疑問がある。とくにバイオマスエネルギーは大いに問題ありだ。

たとえは薪ストーブなどを個人のエネルギー自給として紹介するうちはいいのだが、バイオマス発電や木質ペレット燃料に移ると「これは、里山の資本か? 本当にサブシステムか?」と疑問符が噴出する。

ここで紹介されるバイオマス発電とは、木材を燃やして行う発電である。たとえば製材廃材や建築廃材、そして山に捨てられている未利用木材を燃料にするものだ。そして幾度も例に上がるのは、岡山県真庭市で主に集成材を製造している銘建工業。ここのバイオマス(木屑)発電は、私も取材している。集成材の製造では、だいたい原木の5割以上を捨てる。板に加工する過程や、張り合わせる工程の鉋掛けで木屑にしてしまうのだ。そんな木質廃棄物を燃やして行うのがバイオマス発電だ。

問題は、ここで作られる集成材の材料は、ほとんど外材なのである。つまり燃料になる木屑も大半が外材だということだ。

1609とはずがたり:2015/11/26(木) 18:59:55
>>1608-1609
外材を利用してはダメだというのではない。ただ里山(近隣地域)の産物とは言えないし、地産地消でもないということだ。そして集成材が全国(主に都会)で大量に売れるから出る「副産物」である。それを無駄にせずエネルギーに利用することは企業努力としては大切なことだが、里山資本主義の範疇に入るのか?

そもそも発電は、非常に効率の悪いエネルギーの使い方だ。最大でも3割程度しか電力に変換できない。
本書でもバイオマスエネルギー利用の事例として登場するオーストリアを始めとしたヨーロッパ諸国の施設は、発電だけでなく熱利用も進めている。むしろ熱利用が主体と言ってよいだろう。温水を供給して地域暖房を行っているのだ。いわゆる熱電併給(コジェネレーション)だ。おかげでエネルギー効率は8割近くまで達する。つまり熱利用を抜きに、バイオマスエネルギーを持ち上げても意味がない。

しかも、肝心のヨーロッパのバイオマス発電所の経営は、上手くいっていないのだ。
まるで理想的に展開しているかのように紹介されているが、実はドイツやオーストリアのバイオマス発電所が、次々に破綻したり経営不振にあえぐ事実を隠している。政治的に多くの税金を投入して建設された施設だけに、国民の間でも批判が高まっているという。

加えて発電のために燃焼させる木材量は莫大で、エネルギー用の低質材が不足し始めた。そのため低質材市場では、近年は価格が異常に高騰(2005年比で約1,9倍)し、製紙用やパーティクルボートなど建材に使われていた木材が燃料用に回されたり、外国(主に旧東欧諸国)からの輸入が増えている。そうした国では森林法の整備が遅れているため、大面積皆伐が行われたり過伐が進んで森林が荒れ始めている。

もちろん、上手く運営している施設もある。たとえば廃棄物処理を主体とするところ(ゴミ焼却炉による発電)や廃材を利用するなどした施設(製材所などに付属する発電所。日本の銘建工業もその範疇)では成功しているそうだ。しかし、決して経済にも環境にもよいバラ色のエネルギー施策ではなかったのである。

同じことは木質ペレットにも言える。木質ペレットは、木屑を細かな粉にして、再び高温高圧で固めた代物だ。製造には大きなエネルキーが必要だ。木質の持つエネルギーは石油などの半分以下だが、これでは製造エネルギーに大半を消費してしまうことになる。
本書では銘建工業の木質ペレットは韓国にも輸出されていることを誇らしげに記すが、輸送に費やすエネルギーを考えると本末転倒である。そもそも製造した木質ペレットを地元、いや国内でも消費しきれないから輸出するのだろう。逆に日本がカナダなどから木質ペレットを輸入している事実もある。これも里山的発想ではなく、グローバル経営と言うべきではないか。

薪で煮炊きするような生活も、週末に楽しみで行うバーベキュー程度ならいいが、日常的に推奨できるだろうか。それを楽しいと感じるかどうかは人によるだろう。それに近頃は田舎でも、焚火をして煙が上がったら怒鳴り込まれる。

あまり『里山資本主義』をくさすと、自分の本が売れない僻みだと思われるかねないから、これくらいにするが、次は日本で現実に推進されているバイオマス発電の問題点についても考えたいと思う。

1610とはずがたり:2015/11/27(金) 12:54:09
コブダグラス生産函数批判の部分は一寸ずれてる感があるけど,生産技術なのか労使間の交渉なのかは確かに論点で議論ではある。

また国民の生産量を見るには現行指標のGDPが良いけど,国民所得を見るには昔使ってたGNP,これは三面等価の法則よりGNIに等しい,を見た方が良い,更にGNIでは海外からの投資収益などにより労働分配率が下がる筈との指摘は興味深い。

世界的にみないとコブダグラス函数が成立しているかどうかなかなか見えにくいし世界的に見ても色々な要素があって分配率一定は見えにくいかも。

日本で貧富の格差が拡大してきた本当の原因 アトキンソン「21世紀の不平等」から考える
東洋経済オンライン 東洋経済オンライン
櫨 浩一
4日前
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A7%E8%B2%A7%E5%AF%8C%E3%81%AE%E6%A0%BC%E5%B7%AE%E3%81%8C%E6%8B%A1%E5%A4%A7%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%9F%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0-%E3%82%A2%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3%EF%BD%A221%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%81%AE%E4%B8%8D%E5%B9%B3%E7%AD%89%EF%BD%A3%E3%81%8B%E3%82%89%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B/ar-BBnjUQU#page=1

 『21世紀の資本』で話題になったトマ・ピケティ(1971-)の師でもある不平等問題の大家、アンソニー・アトキンソン(1944-)は、世界的に第二次世界大戦後に不平等が縮小し、その後1980年代以降格差が再び拡大した原因の一つに、労働分配率の動きがあると指摘している。

 1950年代から1970年代にかけて多くの国で労働分配率は上昇したが、その後2000年代にかけては資本の取り分が上昇(労働分配率は低下)した。日本は例外的に2000年代にかけても労働分配率の上昇が続いたと述べている(Anthony B. Atkinson, “Inequality: What Can Be Done?”, Harvard University Press 2015)。

 しかし、日本の労働分配率の動きをると、欧米諸国に遅れて1990年代がピークになっているが、その後は労働分配率が低下傾向に転じているように見える。

 経済が発展していく原動力は、資本の蓄積と人口の増加、そして技術進歩だ。一見、経済が発展してビルや工場の設備などの資本が増えていくと国民所得から資本への分配が増えてしまい賃金が圧迫されそうにみえる。しかし、ニコラス・カルドア(1908-1986)は経済成長について長期的に観察される事実として、国民所得の労働と資本に対する分配率はほぼ一定だということを指摘している。

 教科書で習うコブ・ダグラス型の生産関数では、市場原理が働けば、資本の蓄積が進むと資本収益率が低下して労働分配率は一定に保たれる。技術進歩があれば、労働の取り分も資本の取り分も拡大することが可能になる。

 しかし、現実の経済がこのように都合のよい生産関数の形をしているとは限らないし、不完全競争の世界では企業と労働者が共有する余剰の分配は交渉力次第ということもある。現在の社会は資本家と労働者という二つの階級に分裂しているわけではないが、それでも労働分配率が上昇すれば所得格差は縮小するということは変わらない。

 逆に労働分配率が低下していくと、資産家は大きな財産所得を得るので速いスピードでさらに資産を増やして行くのに対して、元々資産が少なく勤労所得だけが主な収入源となっている人達は資産の蓄積速度が遅くなる。資産格差と所得格差の相互作用で格差は雪だるま式に拡大してしまう恐れがある。

1611とはずがたり:2015/11/27(金) 12:54:33

 日本銀行の資金循環統計では2014年度末の家計部門の金融資産残高は約1700兆円だから、世帯数を約5000万世帯とすると一世帯当たりの金融資産は3000万円以上にもなる。しかし、家計調査での平均貯蓄額は1798万円に過ぎず、資金循環統計から求めた平均貯蓄額とは大きな差がある。(とは註:http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1143711594/1136に寄ると、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(2人以上世帯)によると金融資産の平均保有額は1209万円で、昨年(1182万円)よりも27万円増加で中央値は400万円でこれは、1年前と変わっておらず,また『貯蓄がない』と答えた世帯は30.9%と、前年と比較して0.5ポイント増加,一方、金融資産を保有している世帯だけで見ると、平均額は前年より66万円増え1819万円となったとのこと。なんか随分違うんだが。。)

 これは資金循環統計には個人企業の金融資産などが含まれているということだけではなく、家計調査の調査対象サンプルに含まれたかった著しい大金持ちが少数だがいるからだ。

 さらに言えば、家計調査による貯蓄保有額の中央値(貯蓄額の順に並べたときにちょうど真ん中の世帯の保有額)は1052万円に過ぎず、分布はかなり偏っている。

 政府債務が拡大していくことが、所得格差に及ぼす影響も懸念される。国債の残高が増えるとそれだけ家計の金融資産も増えることになるが、富裕層ほど多くの金融資産を増加させることになるからだ。

 財政破たんのリスクが高まれば、国債の金利は高くなるはずで、税で吸い上げられた所得が相対的に多くの国債を保有している富裕層により多く利子所得として分配されることになる。累進的な所得税制度がある財政には所得再分配機能があるはずだが、格差を抑制する効果は弱まってしまうのではないか。

 子、孫と子孫が遺産を分割していくので大金持ちの資産は分散して行き、貧しい人達も資産を蓄積して豊かになって、両者ともに平均に回帰すると期待したい。しかし親の成功の結果は普通に考えられているよりも長く子孫に受け継がれているようだ。グレゴリー・クラーク(1957-)が各国の長期に渡る苗字と職業や所得との関係を研究したところでは、社会階層間の移動は意外に遅いという(Gregory Clark, ”The Son Also Rises: Surnames and the History of Social Mobility”、Princeton University Press 2014)。

 例えば社会の流動性が高いと考えられているスウェーデンですら、医者や法曹界などで特定の姓が人口中の比率よりも長期にわたって高い比率を維持しているという。

 相続などを通じて世代を超えて格差が固定化されて、どこかで限界を超え、大きな社会的な混乱を引き起こしてしまうのではないだろうか。

 対外資産の蓄積が進んだことも、労働分配率の低下を引き起こしている原因のひとつと考えられている。

 日本では1980年頃から経常収支の黒字基調が定着した。これが毎年の金融収支の黒字となって海外に保有する資産の増加につながるので、長年、対外純資産残高の増加傾向が続いてきた。

 日本の対外純資産は名目GDP比でみても1967年末には0.7%の債務超過だったが、2014年末には純資産が77.3%にも達する規模に拡大している。こうした対外資産から得られる所得も増加しており、2014年度には海外との間の利子や配当の受払などの海外からの所得は名目GDP比で4.3%の黒字に拡大している。

1612とはずがたり:2015/11/27(金) 12:54:55
>>1610-1612

 かつては経済活動を見る指標としては、GDP(国内総生産)ではなくGNP(国民総生産)が用いられていたが、三面等価の原理からGNPとGNI(国民総所得)は等しい。GDPは国内の経済活動水準を示す指標としては適切だが、消費や投資に使える所得を考える場合には海外からの利子・配当などの所得を含めたGNI(GNP)を見る方が良い。これは、資産家の世帯を考えれば働いて得る所得がほとんどなくても、財産所得が大きければ豊かだということと同じことだ。

 日本社会が豊かになったのかどうかという指標としてはGNIを見るべきなのだから、名目GDP比で8割近くにも達する対外純資産の収益性を高めることには大きな意味がある。

経済政策の方向としてもGDPの動向だけではくGNIの拡大にもっと注意を払うべきだというのは確かで、安倍内閣が2013年に策定した「日本再興戦略」では一人当たりGNIを10年後には150万円以上増やすという目標を示していることは、「所得150万円増加って、どういうこと?」でも述べた通りだ。

 海外への投資取引を考慮していないことも、資本と労働の間の分配率が一定となるという結果が得られる理由である。だから、近年の世界経済のように海外への投資が活発になっている状況では、労働分配率が一定になるとは期待できない。なぜなら、所得が賃金と資本に分配されると考えるのは、所得を得るためには労働と資本の両方が必要だからだ。

 しかし、海外から得られる財産所得は国内の労働を必要としない。例えば海外子会社から得られる配当が、日本にある本社で海外戦略を担っているような部門で働く人達の賃金に反映されることはあるだろうが、国内の工場などで働く人達の賃金にも分配されるとは考え難い。

 今後対外投資を拡大することで海外からの所得が増え、日本全体としては所得の増え方が速くなるはずだ。しかし、対外資産から得た所得が普通の労働者に賃金として分配されるとは考えにくく、国民所得の伸びを賃金の伸びが下回って、国民所得の中で賃金に分配される比率である労働分配率は低下していく可能性が高いだろう。

 大幅な経常収支黒字を続けているドイツや韓国を除けば、先進国の多くはそれほど大きな経常収支黒字を出しているわけではない。とくに米国は経常収支の赤字が続いていて、対外債務が対外資産を上回る純債務国になっているにもかかわらず、第一次所得収支は黒字が続いている。

 日本以外の先進諸国でも経済活動のグローバル化によって拡大した海外からの所得の分配が労働分配率の低下に関わっている可能性があり、高齢化が進んで日本の経常収支が赤字化しても労働分配率の低下が続く恐れもあるだろう。

 第二次世界大戦後の各種の改革で資産の再分配がおこなわれたこと、さらに遡れば明治維新のような大きな社会変化があったことは、日本の資産格差を比較的小さなものにしてきた原因の一つかも知れない。

 格差が小さかったということは、必ずしも日本社会の固有の特徴ではないとすれば、日本でも資産の格差が所得の格差を生み、それがまた資産格差を拡大させるという、格差の拡大再生産が起こる可能性は否定できない。

 全く格差のない社会が理想的でないことは明らかだが、余りに格差が大きく固定的な社会も望ましくない。これまでは格差が小さい国だったということに安心していないで、日本でも許容範囲を超えて格差が拡大しないような方策を十分検討する必要があるのではないだろうか。

1613とはずがたり:2015/11/27(金) 14:59:45
>成長につながる新技術は既に誕生しているが、我々が十分適応できていない。産業革命の際も効果の発現には30年近い月日を要した。汎用技術には補完的イノベーションも必要で、古い技能を持つ労働者が引退する頃に新技術が広く普及する。

>実は肉体労働でも非定型なものは置き換え困難で、たとえばコックや庭師、大工、修理、介護などは機械で対応できない。ただ仕事を失った人が殺到するため高賃金は期待できない

>本書の有力な提言の一つは教育の充実だ。あまりに当たり前で拍子抜けする人も多いだろうが、新技術に教育が追いついていないことが最大の問題で、時間がかかろうとも正攻法で行くべきだ。

問題はこの教育を受ければ将来に亘って平穏な生活を送れるという保証を現代社会が無くしてしまっていると云う事である。詰まりインセンティブに反応する人間に反応させにくく成っているのだ。

>もう一つはベーシックインカムの給付だ

荒唐無稽と思ってた(嫌いな康夫ちゃんもゆうてたし(;´Д`))ベーシックインカムだけど存外良いかもと思うようになってきた。財源確保に外形標準課税拡大したり消費税の益税なんかも無くして零細企業からも税金ちゃんと取り立てる代わりにベーシックインカム有るから最低賃金とかも撤廃して自由競争させるのである。

世界各国の成長率は、なぜ低迷しているのか
成長に繋がる新技術に対応できていない?
http://toyokeizai.net/articles/-/82235?utm_source=msn&utm_medium=http&utm_campaign=link_back
河野 龍太郎 :BNPパリバ証券経済調査本部長 2015年09月05日

給付つき税額控除と教育の充実で対処可能

なぜ各国の成長率が低迷しているのか。仮説の一つは、少子高齢化で労働力が以前のようには増えないからというものだ。日本のみならず欧州や米国、そして新興国でも出生率低下で労働力が鈍化している。

評者はこの立場を取るが、最近気になる仮説は次のようなものだ。成長につながる新技術は既に誕生しているが、我々が十分適応できていない。産業革命の際も効果の発現には30年近い月日を要した。汎用技術には補完的イノベーションも必要で、古い技能を持つ労働者が引退する頃に新技術が広く普及する。

しかし、ここにきて画像認識や完全無人車の走行などコンピュータでは不可能とされていた技術が実現化している。本書はデジタル技術の高度化で社会がついに変曲点を超え、第二次機械時代に突入しつつあると論じる。指数関数的な高性能化や情報のデジタル化が18世紀後半の第一次機械時代より大きなインパクトをもたらすという。

ならば未来はバラ色か。いや必ずしもそうならない。定型的労働の多くは機械に置き換えられ、少なくとも転換期には多くの職が失われるという。10年前に米国のコールセンター業務がインドなどに移転したが、定型的業務だったから移転が容易だった。今度は機械に置き換わる。

実は肉体労働でも非定型なものは置き換え困難で、たとえばコックや庭師、大工、修理、介護などは機械で対応できない。ただ仕事を失った人が殺到するため高賃金は期待できない。近年の格差拡大は高スキルを持つ人に有利な技術革新が続いているためで、普通の能力しか持たない人には苦しい時代が続く。

どう対処すべきか。新技術で底辺の人の生活水準も上がるなら格差拡大は問題ないという意見もあるが、米国でも社会的流動性は低下しており、極端な格差拡大は成長を阻害する。もちろん機械打ち壊し運動で技術進歩を止めるのは本末転倒だ。

本書の有力な提言の一つは教育の充実だ。あまりに当たり前で拍子抜けする人も多いだろうが、新技術に教育が追いついていないことが最大の問題で、時間がかかろうとも正攻法で行くべきだ。ネット授業など自己学習環境を作ることが容易になっているが、他産業に比べ教育分野でのデジタル技術の普及は相当に遅れている。

もう一つはベーシックインカムの給付だ。本来、生産性上昇が続けば実質賃金も上昇するはずだが、スキル偏向型の技術革新が続けばそうはならない可能性がある。支出性向の低い高所得者の所得しか増えなければ、総需要が回復せず悪循環に陥る。具体的には、給付つき税額控除として実施可能だろう。

著者
エリック・ブリニョルフソン(Erik Brynjolfsson)
米マサチューセッツ工科大学スローンスクール経営学教授。著書に『機械との競争』『インタンジブル・アセット』『デジタルエコノミーを制する知恵』など。
アンドリュー・マカフィー(Andrew McAfee)
米マサチューセッツ工科大学スローンスクール・デジタルビジネス研究センター主任研究員。著書に『Enterprise2.0』、共著書に『機械との競争』など。

1614とはずがたり:2015/11/30(月) 10:55:49
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1036413767/1578
>東芝の連結決算に計上されている3400億円規模のWHの「のれん代」の評価は「適正」とあらためて強調。ただ、記者会見した室町正志社長は、今後、減損で株主資本がき損するリスクに言及し、半導体の分社化・IPO(株式公開)を検討していることも明らかにした。
>連結決算を減損しなかったことについて、志賀副社長は「減損テストは適切に評価されている。ルールに従っているので意図的な結果ではない」と述べた

高くついた買収?コスト超過? ─ 減損テストの意味(前編)
http://nichigopress.jp/account/taxacc/49252/

10年の間にはさまざまなことが起こり得ます。わずか数年前は魅力的に思えた取引が、今では魅力的でなくなった例が多くあります。現在、コスト増、コモディティー価格の低下、通貨高、低迷した経済需要など多くの要因により、利益の縮小が予想より長引いています。資本プロジェクト実施の遅れとコスト超過は、ほぼ世界的な現象であり、鉱業・金属企業では急上昇する資本コストのインフレとプロジェクト遂行に伴う課題に直面しています。 プロジェクトのコスト超過や、前年度の買収事業が期待外れの結果になっていることが、経営者の説明責任に対する要求が高まる一因となっています。鉱業・金属企業がこの点を踏まえて、適切な事業価値管理の一貫として、包括的な減損評価を実施して、利害関係者に透明性の高い情報をタイムリーに伝達することが、未だかつてないほど重要になっています。 今月号では、鉱山プロセスに関する減損テストについて見てみましょう。
第8回【IFRS解説】資産の減損(IAS第36号)
http://www.primal-inc.com/column/2009/08/28-000038.php?page=all

減損の兆候の有無の判定 期末毎に、資産が減損している可能性を示す兆候の有無を評価する。
回収可能価額の見積り 減損の兆候があると判定された資産について、回収可能額を測定し、帳簿価額と比較する。(減損テスト)
減損損失の認識及び測定 回収可能額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能額まで減額する。
減損損失の戻入れ 減損損失が存在しない又は回復している可能性を示す兆候があると判定された資産について、回収可能額を測定し、回収可能額が帳簿価額を上回った場合はその範囲で減損を戻し入れる。

1615とはずがたり:2015/12/07(月) 15:11:45

格差が拡大した原因は、「資産」だけではない
東洋経済オンライン 12月5日(土)6時5分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151205-00094894-toyo-soci&pos=4

『21世紀の不平等』の読みどころとは?
ピケティ現象を覚えているだろうか。欧米を中心に富と所得の歴史的な変動を分析し、資産を持つ人と持たない人の格差が広がり続けると結論づけたピケティ『21世紀の資本』は、世界的ベストセラーとなった。そのピケティの師であるアンソニー・アトキンソン氏の著書『21世紀の不平等』が12月11日に刊行される。2人の書を翻訳した訳者のひとりである山形浩生氏は、ピケティ『21世紀の資本』と本書『21世紀の不平等』の読みどころや日本人が本書から得られる示唆などを「訳者はしがき」で解説している。今回、東洋経済オンラインでは「訳者はしがき」をほぼ全文掲載する。

■ 不平等研究の長老アトキンソン

 本書の題名を見れば、格差・不平等の問題を扱って2014年に世界的な大流行となったトマ・ピケティ『21世紀の資本』(邦訳みすず書房)が当然ながら連想されるだろう。

 本書が刊行されたのも、おそらくはこのピケティの大ヒットがあればこそだし、また本書の原型となったのも、ピケティの本に対してアトキンソンが発表した、不平等解消のための提言(本書で提案されているもの)の論文でもある。

 著者アトキンソンについては、ピケティによる序文(『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』に2015年6月25日に発表された書評を転用したもの)に詳しい。不平等研究においては大長老であり、ピケティの師匠格と言ってもいい存在となる。2015年のノーベル経済学賞はアンガス・ディートンが受賞したが、一部ではアトキンソンも同時受賞するのではないかという下馬評も見られたほどだ。

 ただし経済学者の中ではもちろん知らぬ者のない人物ながら、一般には決して名が売れているわけではない。そもそも格差・不平等研究自体がこれまではかなり地味な分野だったことは、本書の中でも述べられている。英語でも、著書は専門的なものが多く、必ずしも一般向けとは言えない。邦訳は『アトキンソン教授の福祉国家論』(晃洋書房)があるが、上下巻のうち下巻は結局出ないままとなったようだ。ピケティ『21世紀の資本』の功績は、この地味な格差論に注目を集め、アトキンソンがこのような一般向けの本を出せるようにしたという点にもある。

■ ピケティ『21世紀の資本』と本書

 ピケティ『21世紀の資本』の魅力は、ある意味で非常に大胆な単純化だった。格差の原因はr>g(資本収益率>経済成長率)というたった一つの式であらわされる。

 そしてその解決策は、rを引き下げるため、資本にグローバル累進課税してr<gにしよう、というわけ。もちろん、よく読めばもう少し詳しい解説はあるし、そんな単純なものではないこともわかるのだが、600ページ超の本を「よく読む」人はなかなかいない。

 そして、この単純な図式を浮き彫りにするため、他の原因や解決策についてかなり否定的な書き方になっている(ように読める)部分が多々ある。技術進歩や教育といった要因は軽い扱いとなり、対策としても累進課税の強化や再分配の強化といった標準的なものは、「グローバル累進課税よりは劣る」と、つれない扱いを受けている。

 これはピケティに対する批判の一つの原因でもある。特にアメリカでは、技術進歩により不平等拡大が生じた、という見方が強い。それをあまり重視しないピケティの見方は一面的だとの批判があちこちで見られる。また対策についても、「グローバル累進資本課税?  無理!  よってピケティなんかダメ!」という単細胞な反応を招く結果となっている。

 本書は、ある意味でピケティ『21世紀の資本』に見られたそのような単純な図式をたしなめるものでもある。格差・不平等が拡大してきた原因は様々だ。多面的な現象なんだから、それを一つの原因だけに帰して、たった一つの解決策でそれが片付くかのような印象を与えるのは、あまり望ましくない。もっと多面的な見方が必要だ、とアトキンソンは告げる。

■ 不平等への多面的な取り組み

 その多面的な取り組みをいくつか挙げてみよう。累進課税が弱まったことで不平等が強まったのなら、それを復活させようじゃないか。資本所有の差が不平等につながるなら、資本をみんなにあげるような仕組みを考えようじゃないか。ピケティは、公的な資本所有がなくなったというのを問題視していた。

 だったら、ソヴリン・ウェルス・ファンドのような公的資本所有を真面目にやろうじゃないか。格差があるんだから、貧困家庭を特に児童手当を通じて支援するような仕組みを創って底上げしようじゃないか。社会として、不平等を解決しようと思うのであれば、あらゆる面から取り組むべきじゃないか?

1616とはずがたり:2015/12/07(月) 15:12:06

 特に興味深いのは、一般にはどうしようもないと思われている技術進歩の方向にまで、格差を考えた取り組みをしようと提案している点だ。今後、技術発展により人間の労働者がどんどん不要になる、という議論がある。自動運転の導入で、運転手はすべて不要になる。人工知能の発達で、定型事務職は不要になる。ディープラーニングを通じて、これまで人間の知恵を必要としてきた各種の作業も自動化されてしまう、という議論だ。そして世間の多くの議論は、これが当然起こるものとしたうえで、その是非を考えてみたり、人間すべてに与えるベーシック・インカムの必要性を論じてみたりする。

 確かにそうしたセーフティネットは重要だ。でもその前に、とアトキンソンは指摘する。技術は、自然に動くものじゃない。みんなが発展させようと思う方向に(ある程度は)発展する。なぜかといえば、技術発展というのは、ある程度は実際の経験値に応じて起こるものだからだ。だったら、政府調達などを通じて、技術の方向性も左右すべきだ。自動運転だと運転手がクビになるのでまずいと思うのであれば、政府は調達において、運転手がクビにならない、人間の役割を残した技術を優先的に調達すればいい。そうすれば、完全自動の技術に比べ、そうした有人技術のほうが経験値も高まる。よって、技術はそちらの方向に発展する! 

 おそらく、テクノロジストの多く(訳者も片足くらいはここに入る)は、このやり方の有効性を疑問視することだろう。その一方で、インターネットを含め政府の動きが技術の方向性を決めてきた面もある。こうした見すごされがちな視点をていねいに指摘してくれるのが、本書の魅力となる。また、日本では正規雇用/非正規雇用の問題が、不平等拡大の大きな要因として指摘される。それ自体はおそらく正しい。そしてこの対策としては、非正規雇用をなんとか正規雇用に押し込むべきだ、という主張が定番となる。基本的には、なるべく昔の状態に戻せ、というわけだ。

 しかしその一方で、それがどこまで現実的か、というのはある。本来であれば、一般に非正規雇用と呼ばれるものは、労働者の側にも自由度を与えるものであり、一概に否定すべきものではなかったはずだ。もちろん、これはしばしば非正規雇用拡大によるコスト削減の口実に使われる議論ではあるため、警戒は必要だ。それでも、完全に昔通りに戻ることも、おそらくは考えにくい。そしてまた、非正規雇用が劣悪な状態となるのは、各種の社会保障制度が終身雇用を前提としたものとなっていて、非正規雇用を含む多様な働き方を無視しているせいでもある。

 だからアトキンソンは、むしろ多様な働き方が登場しつつあるという現実をふまえて、社会保障制度のほうを変えようと主張する。多様な働き方でも、実際になんらかの形で社会参加して貢献していることを前提に、基本的な生活は保証できるようにしよう。そのために、参加型所得(PI)などの仕組みも本書では提案されている。これまた、非常に興味深い。

 また手法面での提案もある。給付金の受給資格を審査するための資力調査や所得調査をやめて、児童手当などはとにかく児童のいる世帯全員に配り、課税対象にすることで金持ちからはそのまま所得税として回収すれば手間がはぶける、といった具合だ。

 このように、本書の提案は実に多岐にわたるし、そのすべてが理論面だけでなく、ある程度の財源的な担保も持っている。そして、ありがちな批判に対しての反論も用意されている。21世紀の新しい労働環境に向けて社会保障制度を再構築し、福祉国家を立て直すための総合的な提案が本書となる。

1617とはずがたり:2015/12/07(月) 15:12:18
>>1615-1617
■ 日本への示唆のために

 もちろん、この総合性が裏目に出る面はある。何かたった一つ、決定的な提案があるわけではない。あれもこれも、と提案されているために、全体的な印象がぼやけてしまうかもしれない。またこうした提案が、すべてイギリスを具体例として提示されているために、わかりにくい部分もある。読者の全員が既存のイギリスの社会保障制度に詳しいわけではない。その部分をこうしてああして、と言われてもピンとこない部分もあるだろう。これは、提案の具体性を増すためには仕方ないこととはいえ、本書の弱い部分ではある。

 が、細かい政策提案の背景を考えれば、そのすべてはいまの日本(またはそれ以外)にとっても示唆的なものとなる。これまで指摘したように、技術の進歩による不平等にはどう対応すべきか?  非正規労働の増大にはどう対応すべきか?  こうした問題に対する対応方針は、どれも日本にとっても有益だ。

 そこに登場する問題はすべて、日本社会にも大きく作用しているものだからだ。個人的には特に本書で、社会保障制度の強化を、児童手当を中心に行うよう提言している部分は、日本にも重要だろう。日本は少子化が問題だと言いつつ、出産も子育ても支援体制は決してよくない。貧困児童の問題も大きい。子供手当と称してたまに提供されるものは、数万円というスズメの涙ほどの一回限り。本書で提案されているように、それを中心として社会保障給付を組み直すくらいの取り組みがないと、少子化は解決せず、結果として年金問題も生産性の問題も数十年単位で見ればジリ貧にならざるを得ないのではないだろうか。

 もちろん、読者それぞれ重視したい点は違うだろう。でもどんな視点を採るにしても、本書には必ずそれに対応した分析と提言が含まれているはずだ。これが少しでも日本の将来的な社会保障と、不平等の改善につながることを期待したい。

山形 浩生

1618とはずがたり:2015/12/11(金) 11:04:56
怒りを示すことが苦手な俺は随分損してきた気がするが,怒りんぼだった弟も今のところそんなに出世している訳でも無い。昨夜テレビに出たようだが。

感じが悪い人は、なぜ感じが悪いか
プレジデントオンライン 2015年12月9日 09時15分 (2015年12月11日 10時51分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20151209/President_16767.html

■出世する人間は例外なく感じが悪い
「愛されるより、恐れられよ」。この真実は、マキャヴェリの時代から変わることがない。日本でもベストセラーとなった私の著書『「権力」を握る人の法則』では、どうすればあなたも権力を握ることができるのか、なぜ権力を握る人たちが必ずしもいい人とは限らないのかを解析している。
洋の東西を問わず、家庭や学校教育の問題は、「世の中はかくあるべき」、あるいは「人間はこうであるべき」という理想論を掲げるだけで、「実際の世の中の仕組み」「実世界における人間の正体」を教えていないことにある。
会社で出世する人間は例外なく感じが悪い。私は権力を握るための術として、日本のみなさんに3つの行いをご紹介したい。

1つ目は「怒りを示す」ことだ。ただし、1つ付け加えておきたい。「怒りを示す」と「本当に怒る」は違うということだ。本当に怒ってしまうと、戦略的に考え、反応する力がなくなってしまう。あくまで、怒るふりをすることが大切なのだ。大多数の人間は争いごとを避けたがるので、あなたが怒りを示した時点で引き下がるものだ。
もっとも、あなたが周囲の注目を集め、存在を認められる存在ならわざわざ怒る必要はない。あなたの訴えや主張を相手に真剣に考えさせたいときこそ怒りを示すのだ。

2つ目は「相手の話をさえぎる」ことだ。会話の最中に相手の話をさえぎるのは、まったく礼を失した行為であるが、それでも相手に自分の力を感じさせ、力関係を自分に有利に導けるのは間違いない。多くの研究者が会話分析と呼ばれる手法でこの点を実証している。いつさえぎるべきかについては、時と場合によるとしか言いようがないが、1つだけ確かなのは、決して誰にもあなたの話をさえぎらせてはならないということだ。話をさえぎられるということは、あなたに力がない証しだ。
3つ目は「前提条件に疑問をつける」こと。ビジネスの場を例に考えてみよう。多くの企業では、市場原理は当然の前提とされている。こうした前提に異議を唱えれば、力を誇示することができる。当社の競争戦略はこれでいいのか、成功の尺度はこれでいいのか。当社の本当のライバルはどこなのか――。それまで常識とされてきたことを疑ってかかり、大前提の再検討を促す人物は注意を引き、それが妥当であれば一目置かれるようになるのだ。

誰もが暗黙のうちに了解していることとして、権力者は怒り、他人の話をさえぎることが許され、規則を破ることや一般常識から外れることも許されるというものがある。ということは逆もまた真で、あなたが怒りを示し、他人の話をさえぎり、前提条件に疑問をつきつけて自分に都合のよい基準をつくり、社会的規範を破れば周囲はあなたを権力者と見なし、従うようになるということだ。

こういった上昇を目指す者にとって一番注意すべきは世間に出回るリーダーシップ本だ。ジャック・ウェルチにせよ、ルドルフ・ジュリアーニにせよ、「リーダーはかくあるべし」という世間の思い込みに基づき物語をつくり上げ、権力を握るまでの過程における駆け引きや汚い手口には触れていない。そしてジム・コリンズの「ビジョナリー・カンパニー」シリーズもマユツバだ。考えてみてほしい。『ビジョナリー・カンパニー2』の物語はすべて登場人物がCEOまで上り詰めた時点から始まっているではないか。私が知る限り、そういった裏の側面を正直に語ったリーダーというのは、1人も見たことがない。

1619とはずがたり:2015/12/11(金) 11:05:18
>>1618-1619
私はスタンフォード大学において、様々な国々から集まった学生を指導してきた。そして、組織内政治に暗すぎたために職を失った人、失脚した人たちを数多く見てきた。こういった人たちは、先ほども強調したように学校などで人間の本来の正体を教えられておらず、感覚が麻痺しているときにいきなり汚い手を使ってきた相手に驚かされ、対応できないのだ。そんな人たちのために、私は『「権力」を握る人の法則』について、本を書き下ろすことにしたのだ。

さて、こうした話をすると、必ず「そんなのが通用するのは米国だけだ」「西洋のやり方は日本(あるいはアジア)では使えない」といった反応が出てくる。実際に、私が中国で講演したときにも「あなたが言っていることは東洋の儒教社会では通じない」「権威や年功序列を重んじる文明では使えない」という声があった。日本と中国が大きく違うことは私も重々承知しているが、反応は確かに似ている。そこで、日本での実例を考えてみたい。

■本田宗一郎と盛田昭夫の共通点は
日本には「出る杭は打たれる」という言葉があると聞いたが、では本田宗一郎はどうか。生前の本田は、決して礼儀正しく誰にでも優しい人物ではなかった。ホンダを世界的自動車ブランドにすることのみに集中し、それを達成した。ソニーの盛田昭夫も同じだ。『「NO」と言える日本』という極めて刺激的で反米的ともいえる本を出してベストセラーにしながら、一方では時代を先取りして子供を米国に留学させ、自身も非常に目立つタイプだった。この2人を見ただけでも、日本においてさえ目立たない壁の花でいることは決して良策ではないことがよくわかる。
権力を握るうえでもう1つ欠かせないのが「弱いつながり」である。いつも家族や親友とばかり一緒にいると知り合いも重なり、いつも同じことを繰り返すばかりになるので発展がない。だからこそ、自分とは全く違う種類の人間や完全に別のサークルで動く人たちとつながっておくことにより、いざというときに必要な情報や連絡先を手にすることもあるのだ。
こういったつながりを手にしようと思うなら、誰一人として知り合いがいないような集まり、普段は関心がない分野の会合などに顔を出すことだ。日本には仕事の後に同僚と飲みに行く風習があると聞いているが、それを社外の人との飲みに切り替えるだけで大きく変わる。新しい出会いの中にこそ新しい学びやネットワークがあるのだ。
最後に、あなたが得意先で「感じが悪い権力者」と向かい合ったときのことを話しておきたい。相手との関係をつくることは大切だが、決して圧倒されてはならない。そもそも、なぜ相手のほうが力を持っていると思うのか? 先に触れたような振る舞いを相手がするからではないか? それなら、あなたのほうが力があるかのような言動をすればよいのだ。権限があるかのように振る舞っていれば、多くの場合その通りになる。英語でFake it'til you make it(できるまでできるふりをしろ)という諺があるが、間違いなく真実である。ぜひ試してみてほしい。
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Jeffrey Pfeffer(ジェフリー・フェファー)

専門は組織行動学。1979年よりスタンフォード大学で教鞭をとる。ハーバード大学ビジネススクール、ロンドン・ビジネススクールなどでも客員教授や講師を務め、世界中で経営幹部向けのセミナーも行っている。主な著書に『影響力のマネジメント』『「権力」を握る人の法則』などがある。
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タカ大丸=構成

1620とはずがたり:2015/12/11(金) 14:51:47
自己評価が高いけど自己評価に見合うべく努力してる人間もゐるぞ。

頭の悪い人ほど自己評価が高いのはなぜか
職場の摩訶不思議10篇
http://president.jp/articles/-/8654
PRESIDENT 2012年6月4日号
著者
心理学者・立正大学特任講師 内藤誼人 構成=大塚常好

そもそも人の自己評価は、客観評価よりも高くなるものです。「あなたの自動車の運転能力は?」「クラスであなたの人気は何位?」。そんな問いに、多くの人が自分は平均より上だと答えます。

この現象を心理学用語では「平均以上効果」といい、ほとんどの人に共通して見られます。主観と客観の評価のギャップはおよそ20%といわれています。周囲の評価よりも「若干高め」に見積もり、小さな優越感によって自分を下支えしているところがあります。

もちろん、人がプライドや自信を持つことは悪いことではありません。むしろ、持つべきです。問題は、自己評価が高すぎる場合。

自己礼賛は負のスパイラル

わかりやすい話、勉強の成績や仕事のパフォーマンスがいまひとつ(客観評価)なのに、なぜかいつでも「俺ってグレート」状態(自己評価)では、周囲は「何様のつもりだ」と不快に感じるでしょう。

もともと日本人は世界の中でも「平均以下効果」(過小評価)の人が多いのですが、女性よりも男性のほうに「平均以上」が目立ちます。

自己評価と他者評価には20%の誤差がある

なぜ自分を過大評価し、「俺様」状態と化すのか。その心理を読み解くと……まず、パフォーマンスがいまひとつという厳しい現実は動かせないから本人は内心面白くありません。そしてそんな不振が続けば滅入ってしまい、果ては自我崩壊に陥る可能性もある。それを防ぐためには自分が秀でた点を探し出しては、ことさら自画自賛したり虚勢を張ったりして、自尊心を上げ底するしかありません。もしくは、自分を正当化するため、周囲をこき下ろすしかない。

1621とはずがたり:2015/12/11(金) 14:52:01
>>1620-1621
極論してしまえば、頭の悪い人、能力のない人、嫌われる人ほど、平均以上効果のレベルをアップさせるのです(結果的に自己評価と客観評価の乖離が大きくなる)。

残念に思うのは、そうした超過大評価の人々がしばしば努力を怠ってしまうようになること。他人よりも優れているといった勝手な思い込みがあり、慢心がある。だから仕事でも何でも成長が止まってしまい、自己と周囲との評価にさらなるギャップが生じます。そして、それを補おうと再び平均以上効果を駆使しては自己礼賛に走る。負のスパイラルです。

会社にもこうした手合いが少なからずいます。部署でいえば、個人の業績が明確な営業部なら客観評価が何よりものを言いますが、評価基準があやふやな総務など事務系では超過大評価の人が多いかもしれません。

最近勢力を増している彼らの共通点のひとつが、コミュニケーションの総量が不足しているということ。1人っ子や、パソコン・ゲームなどにどっぷり浸かる人が増え、人と接して話す時間が激減しているのです。他人こそ自分の鏡。「自分は人からこう思われているのか」という気づきを得たり、自己評価をより客観評価に近づけたりするためには、生身の人とのやりとりが不可欠です。ある意味、デジタル偏重で1人殻に閉じこもる傾向が、超過大評価人間を量産しているのかもしれません。

一方、こうした超過大評価の人とは対照的に、努力を惜しまない人とはどんな人か。思うに、いわゆる「成功者」の人はこういうタイプと言えるでしょう。彼らは総じて過度な平均以上効果を持つことなく、逆に平均以下効果であることさえもある。常に謙虚で、腰が低い。自分に欠けた部分を冷静に見極め、研鑽を積みます。

エステサロンの常連客に案外、スリムな女性が多いのは、彼女たちが自分の現状を直視したうえで、修正点を洗い出し、さらに磨きをかけようとしているから。こうした飽くなき成長欲求を持つ人はフィットネスジムにも見られます。今回のテーマに即して言うなら、頭のいい人は自己評価が低いということになるでしょう。

とはいえ、例外もあります。ソフトバンク社長の孫正義さんは、20代前半、起業したばかりなのに数名の社員の前で、「将来は会社の規模を売り上げ100億円、500億円にする」と大風呂敷を広げたと言います。きっと、かなり自惚れが強く、過度な平均以上効果の持ち主だと思われます。しかし、彼は口だけではなく、猛勉強したことはつとに有名。努力をともなっていたからこそ、自己評価が異常なほどに高くても、逆にそれをバネに成功したのです。

心理学者・立正大学特任講師 内藤誼人
ビジネスシーンでの心理学の実践的な活用法に定評あり。『権力のつかみ方-人の心を虜にするJFK式「心理操作の魔術」』『なぜ、タモリさんは「人の懐」に入るのが上手いのか?』など著書多数。

1622とはずがたり:2015/12/11(金) 14:54:24
>>1618-1619と対比的で面白い。>>1618-1619の方が説得力あるかもw

なぜ「できる人」より「好かれる人」が出世するのか
なぜ一流のリーダーは『孫子』を愛読するのか?【6】
http://president.jp/articles/-/13856
PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS

『実践版 孫子の兵法』鈴木博毅著(プレジデント社)
最高峰の戦略書として世界に知られる孫子は、現代人にとって多くの名言を残した存在でもあります。「兵は拙速を重んじる」なども有名ですが、「はじめは処女のごとく」で始まる言葉も、私たちの教養的な知識といってよいでしょう。

この言葉は勿論、処女の演技を推奨するものではなく、相手の隙を作り上げる作戦の効果と重要性を指摘したものです。例えばダッシュするウサギのような突撃力を持っていても、相手があなたの攻撃を十二分に警戒し、守りを鉄壁のように固めていれば威力は半減してしまいます。逆に相手が無防備であるほど、あなたの攻撃の威力は倍増するのです。

「要するに、最初は処女のように振る舞って敵の油断を誘うことだ。そこを脱兎のごとき勢いで攻めたてれば、敵はどう頑張っても防ぎきることはできない」(引用『孫子・呉子』守屋洋・守屋淳?プレジデント社より)

この言葉を考える時、ビジネスパーソンへの教訓として「純粋に能力が高いことより、嫌われないことのほうが重要」とよく言われる理由がわかります。何らかの学歴や肩書、能力を鼻にかけて相手に嫌われるような態度を取れば、結果としてこちらの提案や商品、メッセージを相手が受け入れなくなるからです。

別の視点で考えるなら「嫌われないこと」「好かれること」自体、ビジネスで効果を発揮する一つの才能ともいえるでしょう。相手が心を開いてくれるなら、あなたの提案はより心に響きやすくなるのは当然のことです。上司であれば、部下があなたの指示を素直に聞き入れて行動する人間関係を作り上げておくことです。それは時に、優れた指示能力以上に必要な行為といってよいでしょう。

仕事にできる人は周囲の警戒や反発を避ける

優れたカウンセラーは、相談者の話しの中で相手への回答がすぐにわかっても、相手が話しを終えるまで静かに待つものです。理由は相手が心を開き「この人は自分の話しを親身に聞いてくれる人だ」と理解を得ることで、カウンセラーのアドバイスがよりスムーズに相手に浸透することになるからです。

社内でも、具体的な成果以外のところで目立ちすぎるのは考えものです。常に注目を浴びていれば、ライバル視する人たちや妬みがやがて生まれるからです。それが特に自分の上司や肩書で上の人たちも含まれると、問題はやっかいになります。自分を追い越す存在だと思われたら、回してくれるはずのチャンスもあなたに巡ってこなくなるからです。

1623とはずがたり:2015/12/11(金) 14:54:42
>>1622-1623

孫子を活用して仕事のできる人は、自分の武器を無用に振り回して周囲の警戒や反発を招くのではなく、感情の摩擦からくる損を正しく避けることができる人です。お互いを受け入れて、相手の長所を引出し、こちらを有効活用してもらう。足を引っ張らずに協力して勝利を目指すならば、チームの力を何倍にも高めることが可能です。逆に高飛車に出たり相手の感情をむやみに逆なでする人は、本来なかった障害を、自分の前にいくつも持ってきてしまう損な道を歩むことになります。

「打つ手打つ手すべてが勝利に結びつき、万に一つの失敗もない。なぜなら、戦う前から負けている相手を敵として戦うからだ」(引用『孫子・呉子』守屋洋・守屋淳?プレジデント社より)

「勝つ」とは相手を打ち負かすだけでなく、好意的に受け入れてもらうことも意味します。敵意や警戒ではなく、周囲があなたに親近感と好意を抱いていればそれだけで仕事の成功に大きく近づきます。多くの仕事を成し遂げて社会的に高い地位にある人達が、一様に丁寧で腰が低いのは、幾多の経験から成功する要素を持ち合わせて発揮しているからだといえるでしょう。あなたのプランなら必ず受け入れ実行すると周囲が考えているならば、打つ手打つ手は必ず勝利に結びつきます。お客様であれば、あなたの提案する商品なら間違いないと喜んで購入頂ける関係こそ、孫子の兵法が真に目指すところなのです。

常に目に見えない力が勝者を支えている

実は、相手の油断を誘う「はじめは処女のごとく」の言葉と、有名な「兵は拙速を重んじる」は効果としては同じものを求めています。相手にこちらの攻撃への準備・防備をさせないということです。ビジネスにおいて速さというのは、競合他社が準備を整える前に勝つことを意味します。

概算見積りの提出が、常に他社より早ければ「検討されないで負ける」ことはありえず、しかも他社の提案を見る前に受注できる可能性も高まります。早い見積りを評価する顧客は、納期の早さや手間のかからなさを喜ぶ傾向があるからです。

企業変革において、新しいリーダーの取るべき道は2つあります。一つは、どんなことが始まるかと警戒している社員をまず安心させること。もう一つは、大きな方向転換を阻止しようとする古株の社員が抵抗の態勢を固める前に、断固とした方針を示して行動を開始することです。さらにリーダーは、社員が驚いている期間に一定以上の成果を生み出すことができれば最高です。自然と新リーダーに、皆が従う流れが形成されるからです。

孫子の指摘を振り返ると、何か成果を上げるためにとにかく「能力が高い」だけではなく、隠された別の道があることがわかります。テストの点数や資格取得などと違い、人に好かれて嫌われない能力(社交的な人柄や優れた人間性)や、ずば抜けて速い実行力などは測ることや点数化が難しい能力です。しかしそのような能力こそ、実社会での勝者を支えている力なのです。

不思議にスルスルと出世階段を登っていける人、ふわふわした雰囲気で仕事をしているのになぜか顧客に好かれて信頼が厚く、大口の売り上げをいつも獲得している人など。

一見なんの脅威とも思えない能力が、実は自信満々の人間にはできない成功を成し遂げる力となる。孫子の指摘は、勝利への道はいくつも分かれており、正解は一つと思い込む視野の狭さこそが、勝者になれず負け続ける側の隠れた共通項だと示唆しているのです。


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