[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
メール
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
1001-
1101-
1201-
1301-
1401-
1501-
1601-
1701-
1801-
1901-
2001-
2101-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
Tohazugatali Economic Review
1565
:
とはずがたり
:2015/05/21(木) 19:16:56
あまり知られていないが、日本では、民間純貯蓄が政府赤字によってほとんど食い潰され、2008年度以降、国民純貯蓄はゼロ近くまで低下している。成長の継続には民間投資(資本蓄積)が不可欠だが、その投資を賄う国民純貯蓄がすでに枯渇しているのである。言うまでもなく、政府赤字の原因は社会保障費の増大にある。このため、社会保障費を削減することで、政府赤字を減らさなければならない。
もちろん、政府赤字の削減は増税でも可能だが、その場合、増大する社会保障費は増税によって賄われる。つまり、増税をしても民間純貯蓄が社会保障費に食われ、資本蓄積を賄うための国民純貯蓄が費消される状況に変りはない。正確に言うと、増税に伴い民間から政府への所得移転が生じ、政府赤字が減った分だけ民間純貯蓄も減少するため、国民純貯蓄の改善にはつながらないのである。
筆者が、アベノミクスの帰結に悲観的な理由の1つは、仮に成長戦略が劇的に成功し、潜在成長率の改善につながる収益性の高い投資プロジェクトが国内で頻出するようになっても、それを賄う貯蓄が国内では底を付いているからである。もちろん、日本は閉鎖経済ではないから、資本輸入で賄えば良いのだが、海外から資本を惹きつけるには、金利が十分上昇する必要がある。しかし、金利が上昇した際、GDPの1.6倍に達する公的純債務は持続可能であろうか。
<禁断の方策>
このように資本蓄積への悪影響を抑えるという観点からは、財政健全化の際、増税だけでなく、歳出削減で対応することも必要である。しかし、大幅な歳出削減を行うとすれば、当然にして社会保障費の削減が不可欠になるが、公的年金の支給開始年齢引き上げや医療保険のカバー率の引き下げなど、社会保障費削減の際、最低限必要と思われる政策は全く検討されていない。
増税も行わず、歳出削減も行わず、安倍首相はどうやって財政健全を達成しようとするのだろうか。昨年末から安倍首相が口にするようになったのは、PB黒字の達成だけにこだわるのではなく、むしろ公的債務のGDP比などの改善に注力すべきというものである。どうやら安倍首相は、「禁断の方策」に解を見いだした可能性がある。
前述した通り、通常の状況では、政府の資本コストは名目成長率よりも高い。その場合、一定のPB黒字が達成された後に、公的債務の対GDP比が安定的に低下していく。正確に言えば、政府の資本コストと名目成長率の差に、公的債務のGDP比を掛け合わせた数字よりも大きなPB黒字の対GDP比が確保されることで、公的債務のGDP比は安定的に低下していく。
しかし、もし政府の資本コストを名目成長率以下に安定的に抑えることができれば、どうだろう。相当に低く抑えることができれば、PBが赤字のままでも、公的債務の対GDP比を安定的に低下させることができる。
本来は、インフレ率あるいは実質成長率のいずれが上昇しても、長期金利が上昇し、政府の資本コストも上昇していく。しかし、日銀がゼロ金利政策と大量の長期国債の購入政策を継続し、長期金利の上昇を押さえ込めばどうか。名目成長率の上昇に応じて税収は増加するが、一方で政府の利払い費は抑制されたままであるため、PBが黒字化しなくても、理屈上、公的債務の対GDP比は低下し得る。
つまり、増税もせず、歳出削減もせず、それでも公的債務のGDP比の引き下げを可能とする方法が金融抑圧なのである。犠牲になるのは預金者だ。
だが、このような政策を継続することはできるのか、多くの人は持続可能性を疑うだろう。名目成長率が高まり、金利上昇圧力が高まっても、発行された長期国債のほとんどを日銀が購入する現状の金融政策を継続すれば何が生じるか。理論上、長期金利の安定とインフレ率の安定の二律背反問題に直面する。インフレ率が上昇しても、長期金利を低位で安定させると(正確には釘付けということになると思うが)、実質金利のマイナス幅が拡大し、円安が進展、それがさらなるインフレ上昇をもたらす。
もちろん、円安がもたらすインフレ加速を避けるため、長期金利上昇を容認することも、選択肢としてはあり得るが、その場合、利払い費の膨張による公的債務の発散問題に直面する。長期金利の安定とインフレ率の安定の二律背反問題は、換言すれば「財政危機回避」と「物価安定の追求」の二律背反問題であり、最終的には、財政危機を回避するため、物価安定が放棄されることになる。つまり、金融政策は財政従属に陥り、政策の目的は物価安定ではなく、財政危機回避となる。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板