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ゴストゥルーパー・ドールズ臨時レス置き場

1あべさん ◆uMJFatUpYM:2014/03/28(金) 23:56:16
スレタイの通り

61阿部 真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/08/03(日) 22:25:26
第5小隊の空母はもう長い間熱帯雨林の上空を飛んでいた。
妖怪出現によって出動要請があって来たものの、妖怪が見つからないのだ。
妖怪というのは一度現れたら最後派手に暴れ回って探すまでもないというのが今までの常識だったのだが……。

>「これが今回目撃された妖怪、コードネームは、スナカケババア、大きさは約35m、4足歩行型で、全長は60程だ。武器は…」

妖怪が何か小さな物を飛散させ、カメラの映像が途切れる。
なるほど、だからスナカケババアね。

>「このように飛び道具を持っている。こいつが、現在このジャブローのどこかに身を潜めているのだが、上空からの捜索では見つける事ができないでいる。
木々の間に身を潜めているか、川の中に隠れているか…まぁ、そんなところだろうが。
発見次第、諸君らには迎撃にあたってもらう。
今のところまでで、何か質問は?」

人里に進撃するでもなく、偵察機等がこれ程飛んでいるのに積極的に襲いに来るでもない。
隠れて不意打ちの機会を伺っているにしても、こんなに警戒されてしまっては不意打ちも至難の業。
逆に、森の中でひっそり生きてきた人間に見つかりたくない妖怪、とは考えられないだろうか。
そうだとすれば最初の偵察機は不幸にもうっかり鉢合せしてしまったために口封じされたとか……。
そういえば、襲われた偵察機はどうなったのだろうか。
消息を絶った、とは聞いているが……。

「はい! その消息を絶った地点で偵察機の残骸のようなものは発見されたのですか?
それとも行方不明……?」

62【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/08/05(火) 20:45:06
*ジャブローはガンダム独自の架空の地名である事が判明しました。
 なので現在地の設定を、アマゾンに変更します、大変申し訳ありません(汗
 それから、ゴストゥルには今後(あれば)、現実の国家が登場すると気まずいので、架空の国家が出てきますが、それらは本作オリジナルの国家でいくつもりです。
 では引き続き、episode2をお願いします。

63長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/08/12(火) 22:08:52
【オスカーさんが来ないので、鉄をパイロットに復帰させて、話を続けたいと思います】

「偵察機か…、この真下だ」

言って、ジャクソン大佐は機の下方カメラの映像を映し出した。
そこには、ばらばらになった偵察機の残骸が無残な姿をさらしている。

「妖怪による汚染や襲撃を警戒して、本格的な回収作業は行われていない。
しかし、わずかに回収できた部品から、パチンコ玉サイズの無数の何かができたのだろう小さな穴が大量に見つかった。」

ジャクソンがモニターを操作し、画面にまるで月の石の様に小さな穴が無数に空いた破片を映した。

「徹底的な破壊様から、奴が我々に対して強い憎しみを持っているのは疑いようがないな。
現在アメリカ軍は奴を見つけ出すため、ある作戦を進めている。
それがこれだ。」

そう言って、再びモニターを操作するジャクソン。
すると、モニターは戦略地図に変わった。
地図上の熱帯雨林の上を、第5小隊の空母を現している大きなマーカーと、アメリカ軍の偵察機の小さなマーカーがいくつも動き回っており。
熱帯雨林を囲むように画面の端には、アメリカ軍の巨大ロボットを示す赤いマーカーが何機か配置され、熱帯雨林からスナカケババアが現れた際どこから現れても迎え撃てるように待機している。
そこに、画面の端のあちこちから無数の輸送機が出現し、何か小さなマーカーを熱帯雨林のあちこちに撒きながら画面中央の飛行空母に集まり、空母と重なって消えた。

「熱帯雨林のあちこちに我が軍のレンジャー部隊を降下させ、地上から妖怪を探し出す作戦だ」

画面を指さして、ジャクソンはとんでもない事を言った。
生身の人間が妖怪と遭遇すれば、即、殺されてしまう。
それが無くても、人のいない場所にわざわざ人間をばら撒けば、いざスナカケババアを見つけて交戦する事になった時、周りにいる歩兵が邪魔になって思うように戦う事が出来なくなってしまうのだ。

「大佐、それはあまりにも人命を軽視している、そんな非人道的な作戦はするべきではない!」

ジャクソンの余りの作戦に、阿部と一緒に作戦を聞いていた鉄が手をあげ、毅然とジャクソンに言い放った。
横で、笹倉も厳しい目でジャクソンを見つめている。
しかし、ジャクソンは心配する事は無い、と阿部の方を見た。

「そのために、君達第5小隊、正確には、阿部真里亜、君に来てもらったのだ」

言って、ジャクソンは画面を操作した。
それに合わせて緑色の小さなマーカーの中にスナカケババアが出現、緑色のマーカーはそれから逃げるために散り始めると、第五小隊の空母から何かウェーブのような物が放たれた。
すると、緑色のマーカーはウェーブを浴びて青いマーカーに変わり、高速でスナカケババアから離れていく。

「君の持ち歌の一つ、自由の翼を使い、アメリカ兵達に福音の翼を装備させて、高速で戦域を離脱させるのだ。
これなら福音防御と戦線離脱、二つを一度にこなす事が出来る。
さらに、巨大ロボットを高速で戦域に到達させることもできるのだ」

ジャクソンの説明通り、空母に搭載された長篠のロボットと、待機しているアメリカ軍のロボットが高速でスナカケババアに殺到、複数体でスナカケババアを攻撃し、あっという間に撃破した。

福音は「人型に近い形程、その恩恵を受けやすい」そして、最近開発された新型の福音歌唱機は、福音を反物質化して密集させ、人型にまとわせることができるようになっている。
それならばなるほど、「人型」そのものの生身の人間ならば、最大限に福音の恩恵を受け、巨大ロボットのように攻撃力は無いので妖怪を撃破する事はかなわないまでも、福音の効果によって逃げる事位できるだろう。

「しかし、それでも生身の人間を妖怪と対峙させるべきではない…」

そんなジャクソンに、笹倉が強い口調で言った。
彼女は、実際に生身で妖怪と対峙し、その腕を失っている。
故に、その言葉には重みがあった。
そして笹倉の視線は同意を求めるように、阿部の方を向いている。
彼女もまた、生身で妖怪の脅威を感じた一人だからだ。

64オスカー ◆z4KXiuQxT6:2014/08/13(水) 13:25:05
すいません!
考えてみたら引退宣言もしてなくって
ほんとうにすいません!

またの機会がありましたら
よろしくお願いいたします(-人-)

65長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/08/13(水) 18:18:45
え!?
いや、やめるんですか!?
大丈夫ですよ、まだ参加できますよ!?
って言うか参加してくださいお願いします。

66長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/08/13(水) 20:01:42
あ、始まってるのわからなくて参加しにくいんじゃなくって、事情があってやめなきゃならないんですね。
すいません、読み違えてました。
また、機会がありましたらよろしくお願いしますね。

67 ◆z4KXiuQxT6:2014/08/13(水) 20:54:54
TRPG に少し疲れた感じです。
完全なウケミンでしたら参加できるかもです。
それにつきまして
オスカーのキャラでは
中の私が疲れすぎてしまいますので
出来損ない後輩の新キャラを
考えてみたいと思います。
仮設ゼロキューを操る新米の日本男児とかです。

68長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/08/13(水) 22:12:09
>>67
ウケミン歓迎です!!
どんと来てください!

69関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/08/14(木) 11:06:06
>「しかし、それでも生身の人間を妖怪と対峙させるべきではない…」

皆の話を聞きながら関ヶ原金之助は言い合いが終わるのを待っていた。
正直言えば、ことなかれ主義。
自分が歩兵ならば従うだけだし歩兵でなかったことに安堵もしている。
まあ、それは自分の考えることでもないと思いながら
彼は軍人らしくよくしつけされた犬のような態度でおとなしく話を聞いている。

だがただひとつ気になっていることは自身の操るロボットに飛行能力がないことだ。

(どうするのだろう)
と関ヶ原金之助が考えてもしょうがない。
今は話が進むことを待つしかなかった。

70関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/08/14(木) 11:08:37
名前:関ヶ原金之助
性別:男
年齢:22
国籍:日本
身長:172cm
体重:80kg
容姿:デブ
役職:パイロット
おいたち:普通のサラリーマンの息子。
備考:成り行きでパイロットになってしまった変な男

正式名称:対妖怪人型兵器局地戦用試作壱号機
愛称:プロト
全高:40m(頭頂高)
重量:弾薬フル装備時9000t
姿形:頭部はエリンギのような形の甲殻で覆われており
首から下の上半身は人工皮膚を模した特殊装甲に覆われている。
下半身は古代ローマ帝国の戦車ような形。

武装:右手に着脱式巨大ドリル。左手には大盾。
手投げ弾(毬栗型)プロペラ式浮遊機雷。
毒ガス(福音の力で妖怪の体を侵食する)

戦闘能力
攻撃力:1
福音防御力:3
物理防御力:3
機動力:1
耐久力:3

機体解説
装甲に人工皮膚が使われているのは設計者がプロトを人型に限りなく近づけようとしたため。
だが如何せん経営難のため企業が製造を断念。
プロトの製造は凍結された。
しかし戦場での万年的な機体不足のあおりをうけ
軍が自ら改修し、今回実戦配備されることとなる。
未完成の下半身は巨大な車輪を代用することによって完成。
これで遂にプロトは陽の目をみることとなった。

71阿部 真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/08/16(土) 00:37:19
原型をとどめない偵察機の残骸が映し出される。

>「妖怪による汚染や襲撃を警戒して、本格的な回収作業は行われていない。
しかし、わずかに回収できた部品から、パチンコ玉サイズの無数の何かができたのだろう小さな穴が大量に見つかった。」

私が密かに考えていたどこか全く別の場所に飛ばされたとか”妖怪の世界”に連れて行かれたとかいう説は否定された。
妖怪の世界、というのは妖怪がどこからともなく突然現れる事や通常の攻撃が通用しない、という事から
我々の世界とは異なる位相の世界から来る存在なのではないか、と常々考えているのだ。
といっても物理学等の素養があるわけでもないので全くの素人考えだが。

>「徹底的な破壊様から、奴が我々に対して強い憎しみを持っているのは疑いようがないな。
現在アメリカ軍は奴を見つけ出すため、ある作戦を進めている。
それがこれだ。」

一瞬でもこいつ実は戦いたくないんじゃね?と思った私が馬鹿だったようだ。
やはり妖怪は議論の余地無き絶対的な人類の敵なのである。
それならそれでさっさと出てくれば迎え撃ってやるのに。
ジャクソンさんが操作するモニターには、小さいマーカーが熱帯雨林のあちこちにばら撒かれる。
この小さいマーカーは一体なんなのだろうか。

>「熱帯雨林のあちこちに我が軍のレンジャー部隊を降下させ、地上から妖怪を探し出す作戦だ」

レンジャー部隊って……要するに歩兵だよな。
文字通り命懸けの囮作戦!? いくらなんでも大胆すぎる。いったん落ち着こうか大佐殿。
私が口を開くまでも無く第五小隊の良心である笹倉さんが毅然と意見する。

>「大佐、それはあまりにも人命を軽視している、そんな非人道的な作戦はするべきではない!」

しかし、大佐はそのような反応は想定の範囲内とばかりに言葉を続けた。
>「そのために、君達第5小隊、正確には、阿部真里亜、君に来てもらったのだ」

「私……ですか!?」

>「君の持ち歌の一つ、自由の翼を使い、アメリカ兵達に福音の翼を装備させて、高速で戦域を離脱させるのだ。
これなら福音防御と戦線離脱、二つを一度にこなす事が出来る。
さらに、巨大ロボットを高速で戦域に到達させることもできるのだ」

生身の人間に福音を使うという斬新すぎるアイディア。
しかし考えてみれば人型に近い程福音の恩恵を受けやすいからロボットをわざわざ人型に作っている位なので
人間自身が福音の効果を最も受けやすいと言うのは当然っちゃ当然である。

72阿部 真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/08/16(土) 00:38:07
「福音を人間に……ねえ」

これだけ待っていても普通のやり方では妖怪が出て来ない以上合理的な考えと言えるだろう。
しかし、大勢の兵士の命が私の歌に一手にかかってくる事になるのである。
福音を人間に使った前例もなく、具体的に福音が人体にどの程度作用するのか確かな検証の元にやるわけでもない。
少し前までの私ならすぐにやると即決していたに違いないが、第五小隊に来てからというもの余計な事を考えるようになってしまった。
不思議なものだ。

>「しかし、それでも生身の人間を妖怪と対峙させるべきではない…」

笹倉さんの肩腕は、妖怪の襲撃で失われたのだという。
妖怪に何かを奪われ、妖怪との戦いを決意したという点では一緒なのだ。
妖怪に襲われた時の事は、今でもはっきりとは思い出せない。
ただ一つ確かなのは、妖怪の脅威の前に、生身の人間は成す術もないということ。
だからこそロボットという鋼鉄の鎧を纏い戦いに挑むのだ。
しかも、この作戦で尤も重要な役割と言ってもいいレンジャー部隊らしき者がこの場に見当たらない。
少なくとも意見を述べる機会は与えられてしかるべきだ。
と思いきや、隣に少し恰幅のいい見慣れない男性がいる。
もしやレンジャー部隊代表としてこの作戦会議に呼ばれたのだろうか。

「あなたもそんなイチかバチかみたいな事金輪際したくないですよねえ。
笹倉さんの言う通りです。今の状態……では」

いきなり話を振られた男性の戸惑いの表情を肯定と勝手に解釈して私は続ける。

「作戦に参加する兵士に事前に歌の一部を実際に歌って福音の効果を実験しておく……
というのはどうでしょう。
実験、といってももちろん場所は艦内になりますが。
思ったほどの効果を得られないようなら作戦自体を考え直す必要がありますし
効いたら効いたで一度体験しているのといないのでは大違いです」

足が速くなったものの勢い余って木に激突してる間に妖怪にやられました、ではシャレにならない。
一部とはいえ福音を歌えば回復するまで休む時間もいるので、作戦決行までの時間は更に延びるが
今まで手をこまねいていたのだから今から少々延びたところで同じ事だ。
それよりその結果を基により確実な作戦を立てられるメリットが大きい。
もしもその間にスナカケババアが痺れを切らして攻めてきたら……?
普通に笹倉さんに歌って貰って戦えばいい。むしろ危険な作戦を決行しなくてよくなって御の字だ。

73名無しさん:2014/08/16(土) 12:28:08
モニターの内容ってシミュレーションなの?
それとも実際に起きてることを中継してるの?

74【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/08/16(土) 19:38:42
>>73
作戦内容をわかりやすくモニターを使って解説しているだけで、シミュレーションです。
わかりづらくてすいません。

続きは少ししてから書きます。
関ヶ原さん、お先に書きたければどうぞ。

75関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/08/17(日) 21:38:59
>「あなたもそんなイチかバチかみたいな事金輪際したくないですよねえ。
笹倉さんの言う通りです。今の状態……では」

>「作戦に参加する兵士に事前に歌の一部を実際に歌って福音の効果を実験しておく……
というのはどうでしょう。実験、といってももちろん場所は艦内になりますが。
思ったほどの効果を得られないようなら作戦自体を考え直す必要がありますし
効いたら効いたで一度体験しているのといないのでは大違いです」

関ヶ原の答えは、すべてお任せ……だった。
歩兵とて軍人な以上、死ぬかも知れないから出来ませんなどと言えるわけもないはずだし
関ヶ原本人にも死ということの実感は少ない。
両手を失っている笹倉ほどの気持ちも、
愛しい人を失っている阿倍のような気持ちもない。
要するに関ヶ原には、これといって譲れない意見がないのだ。
それと阿倍は関ヶ原を兵士と思っているらしいが、
彼はそれを否定することもなかった。
熱血主人公ならば自己紹介の場面でもあるのだろうけど彼は違った。
阿倍が何を思っていようがかまわない。
今はことが進むのを待つしかなかった。

76関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/08/17(日) 21:45:11
う〜ん。自分ってけっこう悪質なウケミンな気もしていたりしてなかったり……。
オスカーもけっこう空回りって
いうか大きな独り言しか言ってなかったのですが
関ヶ原も一人相撲をはじめてしまいそうですw
すいません…。

77【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/08/21(木) 10:26:38
>「作戦に参加する兵士に事前に歌の一部を実際に歌って福音の効果を実験しておく……
というのはどうでしょう。

「………む、いや、その必要はない」

自分の作戦の欠陥を指摘され、ジャクソンは狼狽えながら、しかし、首を振って強く阿部の意見を否定した。

「副音の人体への影響はすでに別所の研究所で研究成果を得ている、そこは心配ない!
それに、妖怪の行動目的がわからない以上、早期にそれを叩くのを最優先すべきだ!」

先ほどより荒いしゃべり方で、早口にジャクソンは言った。
それは作戦の有効性を説くよりも、自分の意見を押し通すような風である。

「ならそんな目的をもって隠れ潜んでるやつが人間が直接地面に降り立ったところで暴れだすかだってわからないのでは?」
「短絡的だ!そんな作戦が成功するわけがない!」

そんなジャクソンの態度に、笹倉が強い口調で責めるように抗議する。
さらに、鉄に至っては明らかに怒り、声が大きくなっていた。
二人の応答にジャクソンはいらだたしげに大きく舌打ちする。

ジャクソンは妖怪出現以降、軍内部で有効な作戦を立案、実行できずにいた。
個体ごとに攻略法や作戦方法が全く異なる妖怪たちに対抗できないジャクソンは過去失態を重ね、失脚が迫っているので焦っているのである。

「何もしなければ多大な犠牲が出るのだ!作戦は実行する!」

断固とした態度で自分の意見を押し通そうとジャクソンが叫んだその時だった。
司令室の警報が鳴り響き、オペレーターがモニターに別所から届いた映像を表示し、叫ぶ。

「ここから北東30kmの位置に新たな妖怪が出現しました!!」

モニターには偵察機が映しているのだろう、巨大な蛇の胴体から腕が4つ伸び、腹にオレンジ色の半透明の球体を7つつけた妖怪が、木々を蹴散らしながら進んでいる様子が映し出された。

「米軍司令部より、コードネーム、ヨナルデパズトーリと設定、時速70kmでまっすぐここに向かっています」

オペレーターがモニターを操作し、そこに戦略地図が表示され、現在出現しているヨナルデパスドーリの進行方向、速度が表示された。
その進路をたどると、第5小隊の飛行空母がある。

「妖怪の複数出現…前例のないことではない!スナカケババアを包囲しているわが軍のロボットは動かせん…諸君、諸君がヨナルデパスドーリを迎撃しろ!」

モニターから視線を外し、鉄らのほうを向いたジャクソンは、モニターを指さしながら早口に言った。
表情や動きから、うろたえているのがわかる。

78【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/08/21(木) 10:27:08
>>76
いや全然いいですよ、気にしないでください。

79関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/08/21(木) 18:51:20
78
ん〜、何にもしないくせに
美味しくしろ!みたいなウケミンって問題かも、
と思っていたのですが
取り越し苦労だったみたいです。

それとすいません。順番とか気にしていなくって
毎回レスをしていました。
次の阿倍さんのあとに書きたいと思います

80阿部 真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/08/24(日) 20:31:11
>「………む、いや、その必要はない」
>「副音の人体への影響はすでに別所の研究所で研究成果を得ている、そこは心配ない!
それに、妖怪の行動目的がわからない以上、早期にそれを叩くのを最優先すべきだ!」

一瞬狼狽えた様子を見せた後、強硬に自らの作戦を決行しようとする大佐。
明らかに焦っている。その研究は本当に行われたのだろうか。
それを感じ取ったのであろう、笹倉と長篠が激しく抗議するが聞き入れられる事は無く。

>「何もしなければ多大な犠牲が出るのだ!作戦は実行する!」

ああ、駄目だなこりゃ。二人はまだまだ食い下がるだろうが、おそらく無駄に終わるだろう。
君子豹変す、とはよく言ったもので、世の中の殆どの軍人は君子では無い。
組織の面子やら大人の事情やらでがんじがらめで一度強硬に主張したら引っ込みがつかなくなるのが軍人というものである。
例え自分で間違っている事に途中で気付いても、だ。
そしてゴストゥルーパードールズといえども司令官が最終決定した以上、従うしかない。
こうなった以上作戦を成功させるしかないのだ…! そう決意した時だった。
オペレーターが衝撃の事実を告げる。

>「ここから北東30kmの位置に新たな妖怪が出現しました!!」
>「米軍司令部より、コードネーム、ヨナルデパズトーリと設定、時速70kmでまっすぐここに向かっています」

「はあ!? 今取り込み中なのよ、帰って貰って!」

もちろん帰れと言って帰るぐらいならゴストゥルーパードールズはいらないわけで。

>「妖怪の複数出現…前例のないことではない!スナカケババアを包囲しているわが軍のロボットは動かせん…諸君、諸君がヨナルデパスドーリを迎撃しろ!」

大佐は“想定の範囲内”的な発言内容とは裏腹に、パニック状態だ。
新手の妖怪は猛スピードで接近中、言われなくても迎え撃たざるを得ない状況である。

「迎撃するしかないじゃない!」

でも待てよ? これは二種類の妖怪が偶然同時期に出現しただけなのだろうか。
それとも……妖怪同士が協力しているとしたら?
最初の戦いで福音を使い切ってしまったら二匹目の妖怪が暴れ出したらずっと妖怪のターン!だ。
嫌な予感がした私は歌姫用ヘリに向かいながら言った。

「いつスナカケババアが出て来るか分からないのに二人同時に出撃するのはまずい。
笹倉さん……あなたは待機しておいて」

取り越し苦労ならそれでよし
そうでなかった場合、私にはもしかしたら妖怪共の小賢しい作戦を突き崩せるかもしれない持ち歌があるのだ。

81関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/08/25(月) 19:47:30
>「妖怪の複数出現…前例のないことではない!
スナカケババアを包囲しているわが軍のロボットは動かせん…諸君、諸君がヨナルデパスドーリを迎撃しろ!」

「よっ…」
重い腰をあげる関ヶ原金之助。

現時刻、ついに迎撃命令がおりた。
関ヶ原はやれるだけのことをやるためにプロトに乗り込み出撃。
モニターに映る妖怪を見つめながら、無線で鉄に問う。

「どうしますか?」
抑揚のない平たい声。階級は鉄のほうが上であり
失敗すれば鉄の責任。気は楽だった。
関ヶ原は指示がおりるまで
大盾を構え防御体制を維持する。

82【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/08/29(金) 23:17:18
正式名称:T型対妖怪人型決戦兵器改・改
愛称:T改
全高:40m(頭頂高)
重量:6000t
姿形:骸骨のような頭と、筋肉をむき出しにした人間のように機械が露出する黒い体。
背中から下に向けて太いパイプのような物が左右三本のび、そこから噴射して飛行する。
武装:右腕より緑色の福音砲を発射。
戦闘能力
攻撃力:3
福音防御力:3
物理防御力:1
機動力:2
耐久力:1
解説
人類の歴史で初めて妖怪を撃破した、日本の巨大ロボット。
ゴストゥルーパードールズの前身である国連対妖怪研究機関が開発し、日本人の寺生まれのパイロットによって運用され、バケネコを撃破してみせた。
その後も何度も出撃していたが、新鋭機が次々と作られ、パイロットも高性能な機体に乗り換えたため倉庫で眠っていたが。
機体不足によって改良を加えられて復活。
長篠鉄に、新たな機体が送られるまでの繋ぎとして送られてきた。
耐久力は人型に近づけるために下がってしまったが、攻撃力と福音への感受性は新鋭機にも劣らない。

83【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/09/01(月) 01:50:40
飛行空母から発進する際、鉄は、まず、自分らが出たら空母に上空へ退避するように呼びかけた。
笹倉と阿部はヘリで出るため、空母は戦闘の邪魔になるからだ。

移動力の低い関ヶ原が先に出撃し、空母の大きなゲートが開く。
激しい風が空母の中に吹き込む中、鉄は巨大な機体を一歩、また一歩と進めた。
巨大ロボットが飛び跳ねても墜落しないようにできている空母だが、巨大なロボットが一歩進むたび、ガクン、ガクンとわずかな揺れが全体に響き渡る。
やがてT改が空母の発進口の端に立った時、ヘリの中の阿部から通信が入ってきた。
笹倉を空母に残し、不意打ちに備えてまず自分だけ出るとのことである。

「わかった、歌は阿部さんから始めよう、選曲はこっちの冷静さを保ち、かつ有事の際の撤退を有利にするため、自由の翼で!
とりあえずスナカケババアの事は忘れる!
仮に出現した際は、これと交戦する事は避け、各々撤退、米軍ロボット部隊の援軍を待ち、我々は支援に回る!
行くぞ!!」

樹木の混じった巨大な爆裂と共に関ヶ原のプロトが地面に降り立ったのを確認した鉄は、T改を前進させ、空母から飛び立った。
コクピットの中にいても感じるわずかな浮遊感の後、T改は地表手前でわずかに噴射、勢いを殺して着陸する。
T改は人型になるべく近づけて製造されたため、構造が必要以上に複雑で、破損しやすい。
そのため、操縦は慎重にならざるおえず、平凡なパイロットである鉄には、T改は多少荷が重かった。

着地し、両者の機体が安定した時、後ろにいる関ヶ原からどうするかと通信が入ってきた。

それを聞いて、鉄はわずかに思案する。
敵の攻撃手段はまだわからない。
ここは先行して米軍航空隊に攻撃してほしい処だが、こちらと接敵するのが早いだろう。

「とりあえず、空母は上空に退避、我々は関ヶ原を先頭に、行軍速度を合わせて前進、目標を目視確認後、音楽スタート。
関ヶ原は目標に突撃し、俺は福音砲でこれを援護する。これでいく」

そう言って、鉄は機体を横にずらし、関ヶ原に道を開けた。

84関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/01(月) 21:52:30
質問です。
関ヶ原は敵を確認出来た
ということにしてもいいですか?
作戦地図でマーカーされているということは
肉眼でも敵は見えるということですよね〜?
それと今回、順番は阿部さんからでよいですか?

85【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/09/02(火) 03:50:15
>>84
スナカケババアを探すために飛び回ってる偵察機が妖怪を発見して位置をトレースしてるので、距離は数十キロ離れています。
でも遮蔽物内から見えると思います。
描写いまいちわかりずらくてすいません。

順番は阿部さんに任せます。

86関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/04(木) 20:08:00
阿部さん。お忙しいのでしょうね。
お引っ越しをなされるとのことでしたが
少し心配でもあります。

それと関ヶ原の次の行動なのですが
盾を構え突撃。そのあとドリルで攻撃の予定なのですが
ヨナルデパズトリは避けたりしますか?
こちらがわの描写はどこまでで止めておいたらよいですか?

87阿部さん ◆PxcqTTd2Bc:2014/09/04(木) 20:43:46
すみません!本人は全く無事なのでご安心を。
パソコンが使い物にならなくなったので修理に出したのですがなかなか帰って来ずついうっかり…。
iPadもどきみたいな端末で頑張ってみるのでもう少々お待ちを。
あまり遅くなりそうなら順番変わってもらうかもなのでまた連絡します。

88関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/04(木) 21:37:31
お元気そうでなによりです。
お返事をお聞きできて
安堵している自分がいます。
レスのほうは待ちますので
ゆっくりと書いて下さい。

89阿部真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/09/04(木) 23:28:12
> 「よっ…」

先程声をかけた男性がパイロットだったらしいことにいまさらながら気付く。
それにしてもパイロットにありがちな気迫というか気負いというかが全く感じられない。

>「わかった、歌は阿部さんから始めよう、選曲はこっちの冷静さを保ち、かつ有事の際の撤退を有利にするため、自由の翼で!
とりあえずスナカケババアの事は忘れる!
仮に出現した際は、これと交戦する事は避け、各々撤退、米軍ロボット部隊の援軍を待ち、我々は支援に回る!
行くぞ!!」

とりあえずスナカケババアの事は忘れるって……。
桜さんに残ってもらって正解だったようだ。

>「とりあえず、空母は上空に退避、我々は関ヶ原を先頭に、行軍速度を合わせて前進、目標を目視確認後、音楽スタート。
関ヶ原は目標に突撃し、俺は福音砲でこれを援護する。これでいく」

大佐とは対照的に、落ち着いた長篠君の指示が飛ぶ。
大佐の指示によると福音は自由の翼で、とのこと。
選曲の候補としてはもう一つ、敵の知性を失わせるデッドラインサーカスがあるが、お世辞にも味方の冷静さを保つのに向くとは言えない。
もし本当に二体の妖怪が共謀していて近くにスナカケババアが控えていれば効果を発揮するが、そうでなければ意味はないのだ。
もはや大佐の言うことは聞く気が失せつつあるが、結果的に指示通りに自由の翼を歌うことにした。
関ヶ原と呼ばれた男性より、敵を目視したとの通信が入る。いよいよ戦闘開始だ。

「Wohlan Freie Jetzt hier ist an SiegDies ist der erste Gloria
Wohlan Freie Feiern wir dieser Sieg fur den Sieges Kampf!」

勇壮な歌に後押しされるように、盾を構えた関ヶ原のロボットが突撃していく。
何事もなく終わってくれと願うばかり。
万が一交戦中にスナカケババアが現れたらその時は……曲を切り替えることも辞さない算段だ。

【お待たせいたしました。改行や文のレイアウトが変だったらご容赦を…】

90【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/09/05(金) 16:54:37
>>86
関ヶ原の行動だけで止めておいてください。

91関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/05(金) 21:43:51
>「とりあえず、空母は上空に退避、我々は関ヶ原を先頭に、行軍速度を合わせて前進、目標を目視確認後、音楽スタート。
関ヶ原は目標に突撃し、俺は福音砲でこれを援護する。これでいく」

「了解」
プロトが先頭でゆくことになった。
すれ違い様、ギョロリとその巨兵の眼球が、長篠機(T改)をとらえる。

「?」
むろんプロトが見た長篠機の映像は操縦席のモニターにも投影され、
その現象に関ヶ原は少し気持ち悪く思っていた。
それは時々起きる意味不明なこと。
かつて、創世記にヒトガタ兵器を作れと命令された科学者たちの一部には、
福音のことも半信半疑のまま、訳もわからずヒトガタ製造を目指した者もいたという。
ゆえにプロトには人工知能も搭載されていた。
人間の脳を移植されているとの噂もあったし
エリンギ型の甲殻の中身は人の顔を隠すためとの噂もあった。
妖怪が現れた当初は、それほどまでに科学界は混迷していたのだ。

そんななか、阿部のヘリコプターの隣を飛行する民間のヘリコプターの影。
その窓から覗くのは涼しげな女の眼差し。
彼女の名前は暮呼理緒(くれこりお)。髪型はシニヨン。所謂お団子頭に盛り盛りのメイク。
歳は三十前後と言ったところで職業は科学者だった。

「あ、プロトが先頭なの?それでうしろのマシンは妖研のTタイプか。
…ちっ、あの時プロトが完成さえしていたら、
人類初に妖怪を倒したのはプロトになるはずだったのにね!
本当、妖研の奴らってマジムカつく」
理緒は長篠機に向かって中指を突き立てキーっと威圧。
その後、ヘリコプターはプロトと並び一緒に進行する。

「ねぇ、プロトの中の人。今回はプロトの初陣なんだからビシッと気張りなさいよ!
勝って結果さえ残せたらもう誰もプロトのことを化け物なんて言わなくなるんだからね!」

それに対して関ヶ原は「はい。そうですか」と素っ気ない返答で
かくんとコケそうになる理緒。

(こ、こいつ、大丈夫なの?
…まあいいわ。いざとなったらアタシがゴスペルマニューバで…)
と決意を胸に秘め、無線機を握りしめ、
今度はその向こう側にいるであろう長篠たちへとメッセージを送る。

「ねぇあなたたち!アタシの名前は暮呼理緒。プロトの開発者よ!
プロトのためにも、この戦闘は絶対に勝利するんだからね。ショボい敗北なんて絶対に許さないんだから!
歌姫は気合い込めて歌って、Tタイプの人はバッチリプロトをバックアップ。わかった!?」

理緒の言葉の裏には、何かしらの劣等感が孕んでいるかのような印象も受ける。
が、それとは対照的に関ヶ原の思考は何時ものように冷めていた。

「……」
彼女の言葉は関ヶ原にとっては雑音でしかなく
そんなこと言われなくても皆が百も承知なのではないか、と彼は思っている。
個人が何を思おうとも数分後には決着はついているはずなのだから。

そしてついに関ヶ原の瞳は敵を捉える。

「前方に妖怪を確認。プロト、関ヶ原金之助、突貫します」
続けて阿部の歌が鳴り響けばプロトの福音炉に火が灯る。
回転を増す戦車の車輪。激しく舞う土煙。
ドリルと大盾を構え、まるでドンキホーテのように突撃するプロト。
移動力はなくとも向かってくる敵が相手ならそれも関係ない。
あとは唯一の自慢の防御力でこらえ、回転するドリルを妖怪の側面目掛けて繰り出すだけである。

「ふむ。絵に描いたような正攻法ね。
でも正攻法ゆえに敵は受けざるおえない。
やるじゃない。なかなか」
理緒も下唇に指を当て御満悦の様子。

92【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/09/08(月) 01:32:49
関ヶ原と共に敵を目視確認し、阿部の演奏も始まった、いよいよ攻撃がはじまろうとした、その時だった。
突然戦闘区域に民間機が出現し、通信を入れてきた。

>「ねぇあなたたち!アタシの名前は暮呼理緒。プロトの開発者よ!
プロトのためにも、この戦闘は絶対に勝利するんだからね。ショボい敗北なんて絶対に許さないんだから!
歌姫は気合い込めて歌って、Tタイプの人はバッチリプロトをバックアップ。わかった!?」

「!?何者ですかあなたは、もうすぐ戦闘が始めります!関係の無い通信は控えてください!」

突然入ってきた通信に、鉄は困惑しながらも通信相手をしかりつけた。
ジャクソンの作戦に対する怒りも冷め切っていなかったところに、あんな偉そうな通信を戦いに直接関係しない人間に突然入れられた鉄の口調は荒い。
舌打ちをすると、変な方向に行こうとした心を鎮めて、戦いに集中する。
幸いまだ妖怪との距離はあり、演奏も始まっていないため、仕切りなおすチャンスはあった。
咳払い一つして、鉄は阿部に自分の準備が整った事を伝える。

するとすぐ、演奏が始まった。
後は大音量で流れる歌と、音楽、そしてそれに身を任せて戦うだけだ。

「Wohlan Freie Jetzt hier ist an SiegDies ist der erste Gloria
Wohlan Freie Feiern wir dieser Sieg fur den Sieges Kampf!」

勇ましい音楽と共に、加速し、木々を蹴散らし、凄まじい勢いで突撃を開始するプロト。
対するヨナルデパスドーリは音楽と共に迫りくるプロトの巨体を確認すると、6本の手を巨大な華のように大きく広げ、雄たけびをあげる。

「シィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」

低い声で鳴きながら、突っ込んでくるプロトを6本の腕で迎え撃とうとするヨナルデパスドーリ。
そこをめがけ、鉄はT改の巨大な腕を向けると、反動に備えて足を引き、機体の前腕部に隠された機械群を展開する。

「破ぁ!!」

鉄の声と共に緑色の光が前腕部から発射され、妖怪の左の真ん中の腕と肩から生える上の腕に命中。
腕2本を跡形も無く消滅させた。
妖怪が怯む間も無く、そこに盾を構えたプロトが体当たりをかまし、体制を崩したその脇腹に、ドリルを思いっきりねじりこむ!
口から黄色い液体を吐き、苦しむヨナルデパスドーリ。

そこに続けてもう一発、鉄が福音砲を放とうとした、その時だった。

『福音展開ヘリ!逃げろ!!逃げろ!!』

突然、ジャクソンの声が通信機に割り込んできた。
余りに唐突なジャクソンの声に、鉄は一瞬、福音砲の発射をためらってしまう。

福音展開中に、通信に割り込む事。
それは数分しか戦えない戦闘ロボットの戦いを邪魔し、さらに歌姫の歌唱を妨害しかねない行為だ。
常識で考えて、やっていい事ではない。

しかし、ジャクソンの言葉が気になった鉄は、ちらりと機体の後方モニターに映っている福音展開ヘリの方を見て……。
思わず声を失い、サッと青ざめた。

鉄の後ろ、はるか頭上を飛ぶ、福音展開ヘリと、民間ヘリ。

その後ろの雲の中から、翼をはやしたスナカケババアが現れ、今まさに、ヘリに喰らいつかんと大きな口を開けていたのだ。

93【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/09/08(月) 01:38:20
「な…!?」

ジャクソンの指示を受け、機体の後方上空を確認した福音展開ヘリのパイロットは一瞬言葉を失い。
しかしすぐに機体を大きく傾け、一気に高度を落とす。
中の人間が強い浮遊感に一瞬襲われた次の瞬間、ヘリに強い衝撃が走り、機体が回転し、激しい振動が一同を襲う!

「テイルローターをやられた!墜落する!!」

副操縦士の悲痛な叫びが機内にこだました。
機体は警告音を鳴らし、回転しながら急降下をはじめる。
窓の外に一瞬、こちらに背を向け、T改に向かって飛んでいくスナカケババアの姿が見えた。

94阿部真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/09/09(火) 22:16:23
>「ねぇあなたたち!アタシの名前は暮呼理緒。プロトの開発者よ!
プロトのためにも、この戦闘は絶対に勝利するんだからね。ショボい敗北なんて絶対に許さないんだから!
歌姫は気合い込めて歌って、Tタイプの人はバッチリプロトをバックアップ。わかった!?」

>「!?何者ですかあなたは、もうすぐ戦闘が始めります!関係の無い通信は控えてください!」

何故か謎の民間ヘリが現れて騒ぎはじめ、長篠君にたしなめられるというちょっとした騒動がありつつ。
言われなくても歌姫は全力で歌うだけだ、歌姫に出来ることはそれしかないのだから。

>『福音展開ヘリ!逃げろ!!逃げろ!!』

もう何なのよ、リサイタル中の大声は禁止よっと思いつつも後ろをチラ見して、その意味を理解する。
これには、サバンナでお腹をすかせたライオンに出会った時のような素敵な笑みも浮かぼうというものだ。
一気に高度を落としてスナカケババアの襲撃を逃れようとする操縦士。
しかしそれが裏目に出て、ヘリは墜落を始める!
不幸中の幸いがあるとすれば、スナカケババアのターゲットからはとりあえずは外れたこと。
そしてーー今歌っているのが自由の翼であることだ。
なぜなら、福音は生身の人間に最も効果を発揮するのだから!
私自身がどれぐらい福音の加護を受けられるかは意識したことがないので未知数だが
福音を紡ぐ張本人が福音の加護を受ける適性が無いわけはない、きっと、多分。

(福音の神様、私に力を貸してーー!)

福音だから神様だろうというだけで、何の神様かはさっぱり不明である。
とにかく、祈りは届いたようだ。周囲の時間がゆっくり流れはじめる。
実際にはそんなわけはなく、こちらの処理速度が速くなっている、つまり素早さが上昇しているということだ。

「無意味な死であったとは言わせない 最後の一人になるまで」

(死んでたまるかっつーの!)

私は体感的にはゆっくり流れる時間の中で、実際にはものすごい早さで脱出用パラシュートを装着し、ヘリから飛び降りた。
ふわりふわりと降下しーー木に突っ込む。
折れた木の枝などが擦り傷を作る。

「痛っ」

その瞬間、時間の流れが元に戻る。歌が途切れたのだから当たり前だ。
戦闘の福音は桜さんが繋いでくれているだろうが、二匹の妖怪を同時に相手にしている状態。
一刻も早く戦線に復帰しなければ。
まだ歌唱時間は残っている。私の歌で二匹の妖怪の連携を崩すことができれば……。
操縦士さん達は無事ろうか、とちらりと思うが、今は妖怪を倒すことに集中すべきだと頭の片隅に追いやる。
上を見上げれば、先程の謎の民間ヘリが飛んでいる。
この際素性不明でも何でもいい。福音展開用の専用装備は無いにしても、音声の放送機能ぐらいはあるだろう。
パラシュートの布を降りながら大声で呼んでみる。

「お願い、乗せてって!!」

95関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/10(水) 01:24:15
>「!?何者ですかあなたは、もうすぐ戦闘が始めります!関係の無い通信は控えてください!」

「はぁ?そっちには関係なくったってこっちには関係あるんだっつうの!」
無線マイクに、噛みつかんばかりの理緒。
なにこいつ、なにさまなの〜…と苛立ちながらも
長篠のことが気になって軍のデータから彼の経歴を抜き出す。
そして驚愕。わざとらしくも両手で口を隠しながら目を見開いて…。

「え〜やだ〜、こわい、こわいよ〜。あのパイロットさんゼロキュウを大破させちゃってるなんて…信じられなぁい」
と、実はそんな子芝居をしていた理緒だったのだけど、
ここだけヘリコプターのパイロットが無線の送信をきっており、長篠との喧嘩にはいたらなかった。

それで話は戻って、T改の攻撃に宙に舞う妖怪の腕二本。
間髪入れず敵の懐に飛び込むプロト。
繰り出される回転式ドリルを食らい血へどを吐くヨナルデパスドーリ。

「うはあ!」
これには関ヶ原も気持ち悪く思っていて

「は、はやく死んで下さい!」
と、トリガーを引けば、プロトの右腕にも力がこもる。
そしてぎゅるぎゅると回転を増したドリルが、妖怪の心臓を目指し突き進む。
激しい返り血を浴びながらも、プロト自身は臆する様子もなく、
任務を遂行せんと敵と密着状態。

そう。ここまでは此方の思惑通りだった。ここまでは…。

>『福音展開ヘリ!逃げろ!!逃げろ!!』

「!?」
一瞬、何が起きたのか分からず、真っ白になる関ヶ原の思考。
そんななか、ただ一つ認識出来たのはスナカケババアの存在。

(撤退…)
関ヶ原は長篠の命令を思い出す。
仮にスナカケババアが出現した際は、これと交戦する事は避け、
各々撤退、米軍ロボット部隊の援軍を待ち、我々は支援に回る。

「撤退だ!」
関ヶ原はスイッチレバーを押し上げ、プロトの右腕とドリルを早急に切り離した。
福音ヘリが墜落すれば、当然、福音の加護も消滅する。
となれば、巨大ロボットもただの人形。
ゆえに逸早く関ヶ原は撤退をしようとしていたのだ。
続けて大盾も切り離せば、その鉄塊は音をたてジャングルに倒れ込む。
そして両腕が剥き出しになったプロトはその場で回転。
関ヶ原は安全地帯へと進路を定めアクセルを踏む。
……しかし、プロトは動かなかった。
その頭が振り向けば、モニターに映し出されるのは福音ヘリと長篠機。
それはプロトの瞳が映し出しているもの。

「こいつ…、やっぱり操作系に異常があるんだ!このポンコツが!」

96関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/10(水) 01:25:52
一方で…

>「お願い、乗せてって!!」

「いいよぉ!」
親指をグッと突き出している理緒。
そのままヘリコプターは降下して縄ばしごを下ろす。

幸いスナカケババアはT改と交戦中のようで
何とか阿部たちを救出出来た。
あとは空飛ぶスナカケババアに再び襲われないことを祈るのみなのだけど
果たしてどうなることやら。

理緒は結構な真顔で戦況を見つめている。
その時だった。
3歳くらいの子供が抱きついて来たのは。

「抱っこくだしゃあぁい〜」
泣きながら理緒にしがみつく子供。

「え、よし君どうしてこんなところに?」
子供は理緒の子供のヨシヒコだった。
彼は理緒と離れ離れになるのが嫌で座席の下に隠れていたのだ。
そんな関係ないことがなんやかんやあって
ここからが本編。
ヨシヒコをあやし抱っこする理緒の視線の先にはプロトの姿。

巨兵は撤退を拒否するかのようにその背中のリュックのような部分からプロペラ式の浮遊機雷を射出。
長篠機の周辺の空中に無数に展開させると自身はスナカケババアの死角から接近してその醜い足を掴まんと手を伸ばす。

「すいません長篠さん!私は撤退しようとしたのですが、
この機体が勝手に動き出してしまって
止まらないんですよぉ!」

【スナカケババアの足に掴みかかるプロト】

97名無しさん:2014/09/11(木) 23:13:25
近代世界ファンタジー再起動しているゾ

98【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/09/13(土) 18:10:08
「く!!」

間一髪、上空から襲ってきたスナカケババアの体当たりを、福音の加護が無くなり、無防備になっている鉄のT改はかわす事が出来た。
T改は精密すぎるところがあり、急な負荷をかけ続ければ、簡単に部品がいかれてしまう。
幸い、一度の負荷で足がやられる事は無かったが、このまま2対2で戦う事は想定していない。

「逃げろ!笹倉さん!福音を!!」

戦うにしろ逃げるにしろ、福音の加護は絶対必要な事だ。
急な状況の変化に焦った鉄が叫んだ瞬間、あらかじめ準備していたのだろう、すぐに、笹倉の声が空母の方から聞こえてきた。

♪夢を叶えて一人で探してた星の🎶

妖怪の攻撃で空母と歌姫を同時に失わないようにするためと、足が遅く小回りの利かない飛行空母では妖怪の攻撃から身を守るすべがないため、通常、空母から歌姫は歌わない。
だが、唐突なスナカケババアの攻撃に、そうも言っていられなくなった笹倉は、ヘリが発艦しきる前から、既に福音を歌唱を始めていた。

笹倉の歌が流れ始め、福音の加護が復活した事と、彼女の福音の能力である鎮静効果で鉄の焦った心は、すぐに回復した。

後はこの場から撤退し、ここを包囲しているアメリカのロボットと協力して2大妖怪を葬るだけである。

🎶同じ光を 君が見つめているだけで♪

>「こいつ…、やっぱり操作系に異常があるんだ!このポンコツが!」
「関ヶ原!?どうした!何を…」

だが、鉄が機体を転身させようとした刹那、突如プロトが暴走し、鉄の周囲に浮遊機雷を撒いてきた。
さらに、撤退作戦を無視してスナカケババアに立ち向かい始める。

「何考えてるんだ!く!?」

規定外の出来事の連続に鉄は狼狽えたが、スナカケババアをプロトが相手するのならば自分がヨナルデパスドーリをけん制せねばと頭が働き、福音砲をヨナルデパスドーリに向けると、
腕を飛ばされ、腹に穴をあけなられたヨナルデパスドーリが自らの腹についている半透明の球体の一つをもぎ取り、丸呑みにしているところだった。
するとどうだろう、ヨナルデパスドーリの腕と腹が、見る見るうちに再生したではないか!

「しゃらくさい!!」

鉄はT改の福音砲をヨナルデパスドーリに向け、即座に発射する。
しかし、ヨナルデパスドーリはそれを身をかがめてかわし、細長い体をくねらせて、木々を勢いよく蹴散らしながらT改へ這って近づき、三本の腕で掴みかかってきた。

「く!」

かわそうにも鉄の周囲は機雷がばらまかれ、迂闊に動けない。
雪駄に動けず、鉄は、ヨナルデパスドーリに組みつかれてしまった。

99【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/09/13(土) 18:17:36
鉄のT改に気をとられていたスナカケババアはプロトに足をとられてしまった。
プロトの方が力が強く、また、スナカケババアの力ではプロトを空高く持ち上げられないようで、スナカケババアが暴れてもがいても、プロトの腕は外れない。
ならば、と、スナカケババアは羽ばたくのをやめ、両手をプロトの方に向けて、その先から砂粒のような物を勢いよく無数に発射した。
その威力は、命中すれば、米国の偵察機を穴だらけにして撃墜できるほどである。

100 ◆x5gMz05B9A:2014/09/16(火) 22:24:34
名前:DIVA
性別:声は女性だが、実際無いようなもの
年齢:10年
国籍:日本製
身長:0〜5m
体重:1ペタバイト、キログラムなら0〜13t
容姿:基本全裸!とくに決まった姿形は無く手近な女性から大女優、二次元キャラ等の容姿をアバターとしてお洒落感覚で使用している
役職:パイロットであり歌い手
福音出力:0.5〜10
持ち歌:
Day After Day
ttps://www.youtube.com/watch?v=SNocsgOj8qI
Mechanized Memories
ttps://www.youtube.com/watch?v=H6gOSF5SR-s
stain
ttps://www.youtube.com/watch?v=SXBjFtcMwT8
各歌の特殊効果:
Day After Day
機動力の上昇、味方の士気上昇
出力を最大にすると周囲のロボット(行動不能、パイロット不在でも)を一斉に操れるが自身も福音の影響を受けるため
自身が暴走する危険性が発生するのと、その場に人間が居た場合、福音がやむまで自身が死んでいることさえ自覚せずに戦い続ける。
Mechanized Memories
幻覚を妖怪に見せ動きを止める、その場にいる人間の心の闇が一時的に増幅してしまう。
出力を最大にすれば、福音のみで妖怪を無力化できるが、人的被害は妖怪以上のものになる。
stain
ロボットとの親和率の上昇、平たくいうならパラメーター全上昇
軽度の人格障害が発生する(感情が希薄になる等々)
・・・例のごとく、最大の場合妖怪よりも味方の被害が甚大
おいたち:
ボーカロイドシリーズのように歌い手の声のデータを統合して、それに人工知能つけて
ロボットの中に積み込めば最強じゃね?的な発想から作られたAI+機体
作った結果とんでもねー非人道兵器になってしまった為、暫しの間凍結処分になっていたが。
戦力増強のため、条件付で処分が解除された。
性格は傲慢極まりなく、人間を見下しているところもあるが・・・

正式名称:対妖試作無人機「鳳(おおとり)」
愛称:死神
全高:10m
重量:装備込みで50t
姿形:ヒロイックな西洋甲冑をイメージさせるデザイン
   背中には巨大な翼状のパーツが四つ付けられており
   うち二つがブースター、残り二つが後述する武装となっている。
武装:多機能型福音武装「ユーアンエリオン」
   自身の福音のエネルギーを貯蓄することで使用する武装
   30mほどの刀身を作り出す「斬撃」、その見た目からは想像もできないほどの威力を持つ「砲撃」
   どんな攻撃さえもはじき返す「障壁」の三つのうちの一つを使用できるが、
   デメリットとして
   ・一回こっきりの使い捨てである
   ・チャージに時間がかかる
   ・チャージの割に使用時間がわずか(斬撃なら十数秒間、砲撃は一発、障壁は一度っきり)
   の三点が挙げられる。
戦闘能力
攻撃力:0〜5
福音防御力:5
物理防御力:1
機動力:5
耐久力:1

101 ◆x5gMz05B9A:2014/09/16(火) 22:25:41
すまねぇ、こんなキャラで参加したくなっちまった。
レギュ的に大丈夫かね?

102 ◆x5gMz05B9A:2014/09/16(火) 22:26:33
修正
×体重:1ペタバイト、キログラムなら0〜13t
○体重:1ペタバイト、キログラムなら0〜39t

103【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/09/16(火) 22:51:49
>>101
設定は大丈夫です。
ただ、このキャラが今の戦いに即登場すると今現在の戦いではこのキャラが強いので、鉄と関ヶ原が活躍できなくなってしまいます。

今回の戦いはどちらかに決着がついたときに、人類の逆転か、または駄目押しかで登場して、次回、このキャラ中心に話を進めると盛り上がると思います。
どうでしょうか?
物語の導入や、登場する妖怪の操作等、シナリオも ◆x5gMz05B9Aさんがやっても構わないので。

104【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/09/16(火) 22:52:34
あ、物語の導入云々は次回のエピソードの話ですよ。

105関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/16(火) 23:43:22
プロトに放出されるスナカケババアの砂つぶて。
と同時にプロトはスナカケババアを地面に叩きつけんとする。

「わひぃ!」
土煙が上がり視界がゼロになると、モニターに映し出されるのは特殊装甲の破損状況。
プロトの特殊装甲は人工皮膚であり、原初の地球に存在したという鉱物と生物の中間体のような微生物を培養し造り上げたという代物。
それは鋼鉄で編んだ服を何層にも重ねたようなものでプロトの自慢の防御力の要とも言えた。

そして関ヶ原が確認するに、プロトの装甲の破損状況は11パーセント。
あと数回は充分に敵の攻撃に耐えられるはずだった。
しかし機内には警告アラームが鳴り響き関ヶ原は驚愕する。
あろうことか砂つぶては、下半身の戦車部分の装甲を貫通し、燃料タンクを破壊していたのだ。

「ダメです。燃料タンクをやられました!
あと数分で、プロトは停止します!」
そう言って長篠機を見る関ヶ原。その目は絶望に溢れていた。

106関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/16(火) 23:50:43
民間のヘリコプターの中、唾を一つ飲み込む暮古理緒。
胸に抱くは愛息子の暮古ヨシヒコ。
視線の先には妖怪とくんずほぐれず状態のゴスペルマシンが二体。
おまけに燃料タンクに穴のあいたプロトの活動限界も残りわずか。

「すぱげちっ。よーちゃんすぱげち食べたいのぉ」

「…い、いま、そんな状況じゃないでしょ!」

「うしょつき!いい子にしてたらすぱげち食べさせてくれるって言ったでしょ!」

暴れるヨシヒコに、たまらず理緒は

「いい子にできない子はこっから出ていきなさい!」と叱りつける。
出ていけと言っても今いる場所は空を飛ぶヘリコプターの中なので鬼のような話でもある。

「よーちゃんがいい子にしてないと、みーんなあの鬼ババに食べられるちゃうんだからねっ!」
それは日本古来より伝わるしつけの方法なのであるけど
実際目の前に妖怪が存在しているのでそのリアリティーは半端ない。
なのでヨシヒコは直ぐに大人しくなってくれた。

「とりあえず、あの一対一の状況を打破しなければ!
……ちょっと歌姫さん、手伝ってちょうだい!」
阿部の手を無理矢理引っ張り、ヘリの中間部にある室内へ。
そこは球体の内部のようで、中心には小さなステージがありその回りは深い青色。

「これが、ゴスペルマニューバよ。
ここで皆で合唱することによって、プロトとの意識と、
私たちの意識を同一化することができるの」

あ〜あ〜あああ〜♪
理緒が少し歌えば、青い部屋の壁に現在プロトとの認識している空間が浮かび上がってくる。
それはまだ形という形にはなっておらず不鮮明でもあった。

「きっと貴女の歌声はプロトとの力を何倍にも高めてくれると思う。
そして上手く同一化も出来たら、
この場所からプロトを制御して操作することも可能になるはずなの」
果たして阿部は力を貸してくれるだろうか?
理緒は阿部の歌に合わせて歌うことが出来る。
そしてもし、阿部が歌い始めたとしたら、
彼女はプロトの声を聞くことになるだろう。

『ふひひ……。妖怪、たおす。ぼくがイチバン……。アイツはダメなやつ……』
それはまるで、暗闇から聞こえてくるような小さく冷ややかな声だった。
長篠の乗るT改に対する激しい嫉妬を孕んでいるプロトの声が、阿部の心に逆流してゆく。

107関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/16(火) 23:55:59
いちおう次のレスはこんな感じになる予定です。
プロトの行動判定?をしておかないと
阿部さんが動きにくいかもと思って書いてみました。

108 ◆x5gMz05B9A:2014/09/18(木) 05:41:05
>>103
話の展開もありますしね。
次のシナリオからの参加で構わないッス。
ただ出来れば1プレイヤーとして参加したいです。
どうも多視点的描写が苦手なもんで、ボスと自キャラとシナリオ運行等を同時にやるのは正直厳しいです。

109【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/09/18(木) 21:15:09
>>108
わかりました、このキャラの相手にふさわしい、凄まじい妖怪を用意します。

110 ◆x5gMz05B9A:2014/09/19(金) 13:43:51
>>109
勘違いだったら、すいません。
その凄まじい相手と戦うのって僕だけなんですかね?
もしそうなら実質的に隔離されてる感じになるんですが…

111阿部真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/09/19(金) 21:30:41
>「いいよぉ!」

ヘリの主の私の同年代ぐらいのかなりノリのいい女性は、快く縄梯子を下して拾ってくれた。

「ありがとう。早速で悪いんだけどこのヘリに放送設備みたいなものはあるかしら。早く加勢しないと……!」

女性が真剣な表情で設備へと案内するそぶりを見せた時だった。

>「抱っこくだしゃあぁい〜」
>「え、よし君どうしてこんなところに?」

あまりにも場違いな光景に思わずずっこけそうになる。

「子持ちだったんかい!」

その後しばし親子漫才が繰り広げられるのだが――それは省略するとして。

>「とりあえず、あの一対一の状況を打破しなければ!
……ちょっと歌姫さん、手伝ってちょうだい!」

ようやく本題に戻ってきた女性が、ヘリの内部にある部屋へ私を案内する。
そこはまるで小さなステージのようになっていた。

「ここは……?」

>「これが、ゴスペルマニューバよ。
ここで皆で合唱することによって、プロトとの意識と、
私たちの意識を同一化することができるの」
>「きっと貴女の歌声はプロトとの力を何倍にも高めてくれると思う。
そして上手く同一化も出来たら、
この場所からプロトを制御して操作することも可能になるはずなの」

「プロトってあのロボットよね? 意識を同一化って……そんなことができるの……!?」

そもそもロボットに意識はあるのだろうか。
高度なAIを搭載していれば意識ときわめて似たようなものはあると言えるが……。
意識を同一化というのは人間の意識と連結するということだろうか。
にわかには信じがたい話だが、どちらにせよ今するべき事が歌う事だというのは変わりがない。
半信半疑ながらも歌い始める。曲目はデッドラインサーカス。
二体の妖怪の連携を崩壊させるのが目的だ。

112阿部真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/09/19(金) 21:31:24
「どうかしてんだ火遊びショータイム おどけたピエロ燃やせ
導火線に火をつけろ 偽りの笑みは有罪だ(Guilty)

『今日盛況!』って強制しちゃってんだ
空虚に十字切ったら さぁ、いくぜ? stand up! Ready?
デッドラインで踊れ」

科学者の女性が合わせて歌い始めた。
不鮮明だった映像が徐々にはっきりと形を帯びてくる。
そして――

>『ふひひ……。妖怪、たおす。ぼくがイチバン……。アイツはダメなやつ……』

声が聞こえてきた。明らかにここにいる者の声ではない。
ならば声の主は……

(まさか……これがプロトの意識!?)

最初は半信半疑だったのものの、聞こえてきたからには信じるしかない。
プロトは劣等感からくる嫉妬に燃えているのだ。
うまくいけば歌で彼を制御することもできるという。その場合、果たしてこの曲目は妥当なのだろうか。
私は暫し考え、そして結論を出した。

「神様だってグッスリ寝てる時間なんじゃねえ?
どんな祈りも届きゃしないさ

ブッ壊れた夜に迷っちゃって 不安げな顔も愛しいね
何もかも忘れて遊びましょ?
なんならもう狂っちゃって キミもこちら側へおいでよ
はしゃごうぜ 燃え尽きるまで 」

結論――このまま押し切る!
長篠の機体が敵に組付かれてしまった今、今さら大人しくさせても仕方がない。
むしろ狂気性を煽ってでも一気に撃破を狙った方が得策だ。

113阿部さん ◆PxcqTTd2Bc:2014/09/19(金) 21:42:46
すみません、また遅くなりました
パソコンが戻ってきたので次からは元のペースに戻れると思います。

DIVAさんよろしく!
歌姫兼パイロットはそのうち出てきそうな気がしてたけどロボットがロボットに乗るとは!
隔離ではないと思うよ。
自分が強いだけじゃなくて全体の能力を引き上げるからそれに合わせて強い妖怪を出すという話では?

114【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/09/20(土) 18:48:21
>>110
いいえ、勿論第5小隊全員で戦いますよ。

ただ、普通の妖怪相手だとDIVAが実戦配備される理由が弱いと思ったので、強敵を用意しようと思いました。

115 ◆x5gMz05B9A:2014/09/20(土) 19:22:34
>>114
そういうことでしたか
DIVAは勢いで作ったキャラなので、ところどころ誤解を生みそうな箇所が幾つかあったので、
そういう輩に見えてしまったのかなと疑ってしまいました。
本当に申し訳ありませんでした。
>>113
よろしくお願いします!

ロボットがロボットに乗るというよりも、鳳というPCのOSがDIVAという感じですね。
テンプレの身長5mの部分は初期設定の名残でして、身長は鳳と一緒です。

116関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/20(土) 20:05:38

>「プロトってあのロボットよね? 意識を同一化って……そんなことができるの……!?」

「もちろんできるわ!あなたは統合情報理論って知ってる?
少し前の時代まで、心の一部である意識に関しては究極の謎だった。
誰も、脳の何処の部分で意識を生み出しているのかわからなかったの。
でも、統合情報理論の考え方からすると
感覚、感情、行動、記憶、そのすべてが蜘蛛の巣のように連動した時、
意識が生まれるということがわかったの。
つまり鳥や獣にも脳の容量に応じた意識が存在している。
ということは人間を模したロボットにも当然意識は生まれるはずなのよ!」

ここまで説明して、理緒は口をとじる。
あとの説明は人型機械が福音で力を増す
という概念が阿部にもあるはずなの割愛したのだ。
目に見えない力が、確かにこの世界には存在している。
それはこの物語の大きな謎の一つでもあった。

そして戦場に流れるはデッドラインサーカス。

>(まさか……これがプロトの意識!?)

「……えっ」
理緒は目を見開き冷や汗をかく。
恐ろしいことに理緒とプロトの思考は似通っていた。
子供は母親の嫌いなものを嫌いになるって話があるのだけど、まさかロボットも。

それはとにかく、プロトは福音の力で狂暴性を増してゆく。
もし可能ならばスナカケババアの後頭部を鷲掴みにして
顔面を地面に押しあてながら長篠ごとヨナルデパスドーリに突進することだろう。

それを見ているヨシヒコは号泣。
さらに追い討ちをかけるように関ヶ原の悲鳴が無線でこだまする。

「うぁああん!こわいのよぉ」
「ぬぐわあぁあああ!長篠さん、回避して下さぁい!」

その声に理緒は我にもどって

「……これって、バケモノじゃない。身も心も、バケモノじゃない」
罪悪感を感じはじめていた。

【プロト、長篠機に突進】

もし変でしたらディレクターズカットよろしくです。
うん。よいキャラが書けなくって次からまた出直してきま〜す

117【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/09/23(火) 10:19:54
「くそ!!」

ヨナルデパスドーリの力は、T改と大差なかった。
しかし、相手の腕は6本、2本の手で自分を掴み、残り4本の手で拳を繰り出してくるヨナルデパスドーリの猛攻に、反撃するすべがない。
ガードを固め、長篠は必死に守るが、拳がさく裂する度、T改の精密すぎる体は衝撃であちこちの小さな部品が飛び、火花が散る。

「大佐!軍は?援軍はまだですか?」

パスドーリの猛攻に、長篠の口から弱音が漏れた。
関ヶ原機は暴走し、阿部は生死不明、笹倉の歌が終わるまでに援軍が来なければ、自分たちはあっという間にやられてしまう。
その切迫した状況に、鉄もまた、打開策を見いだせずにいたのだ。

(このままでは全滅する!糞!プロトめ!!いやそれどころじゃ…糞!糞!!)

追いつめられ、状況を混乱させたプロトに、長篠が黒い感情を抱きかけた、その時。

―『今日盛況!』って強制しちゃってんだ
空虚に十字切ったら さぁ、いくぜ? stand up! Ready?
デッドラインで踊れ」―

戦場の阿部の声が流れ始めた。

(阿部さん!…しめた!いける!)

絶体絶命の状況で流れ出した福音は、増幅装置を介していないため本来の力には及ばないものの、それでもヨナルデパスドーリを一瞬、目の前の鉄から気をそらす程度には効果があった。
鉄への攻撃を中断し、天に向かって大きく咆哮したヨナルデパスドーリに鉄がつかみかかり、後ろの地雷原に投げ飛ばそうとした、その時、
背後からプロトが暴れるスナカケババアの頭を掴み、こちらに向かって凄まじい速度で突っ込んでくるところだった!

>「ぬぐわあぁあああ!長篠さん、回避して下さぁい!」
「関ヶ原!脱出しろ!」

燃料タンクから燃料を漏らしながら、木々を吹き飛ばし、砂煙をあげて突っ込んでくるプロトを見て、鉄は叫ぶと、機体を横に飛びのかせた。
次の瞬間、プロトはスナカケババアを掴んだままヨナルデパスドーリに激突し、そのまま自らのばら撒いた浮遊機雷の中に突っ込んだ。

「関ヶ原!!」

激しい爆発が三者を包み込む中、屈んで守りを固め、爆風に耐えながら、鉄は叫んだ。

118関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/23(火) 16:03:10
>「関ヶ原!脱出しろ!」

>「関ヶ原!!」

長篠の声に我にかえった関ヶ原は脱出装置を始動。
が、装置が作動しないままプロトは業火に包まれる。

「う、うわぁあ…、だ、誰か…助けて」
関ヶ原は間近に迫った死にはじめて恐怖を感じていた。

「な、長篠さんは撤退って……、撤退って言ってたのに……!」
無線から関ヶ原の嘆きの声が響く。
もしも彼が戦死することがあればそれは理緒のせいでもあった。

「うぅ、ごめんなさい」と理緒は拳を握ってうつむいてしまう。

「ママ……」それにはヨシヒコも泣くのをやめて心配顔。

そしてプロトは燃え盛る炎のなかで、毒ガスを放出していた。
勿論二体の妖怪を両の手で拘束したまま。

『妖怪……殺す。ぼく、えらい…ふひひひ…』
すでに中破しているプロト。
操縦席まで火がまわるのも時間の問題だろう。

119阿部真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/09/23(火) 17:10:42
「いっせーのって乗ってみろどーだい? 今にも落っこちそうだろ? 
玉乗りなんて不安定さ キミの心のように

落下してんだ視点まわってんだ
生きて着地するまで さぁ、足掻け! stand up! Baby?
デッドラインを刻め」

凶暴性を増したプロトは一気に妖怪を圧し始める。
プロトはスナカケババアを完全に圧倒し、後頭部を鷲掴み。
そうだ、それでいい。憎ったらしい妖怪どもに復讐を――!
そしてそのままヨナルデパスドーリに突進する!

>「うぁああん!こわいのよぉ」
>「ぬぐわあぁあああ!長篠さん、回避して下さぁい!」

はたと我に返る。
間一髪で避けたからよかったようなものの、長篠も巻き込まれるところだった。
プロトは、味方や自分自身の安全すらも度外視してただひたすら妖怪を撃破せんとする化け物と化していたのだ。
もはやロボット三原則ガン無視である。

>「……これって、バケモノじゃない。身も心も、バケモノじゃない」

プロトは妖怪たちもろとも浮遊機雷の中に突っ込み、業火に包まれる。
それを見て私は歌うのをやめた。
もう妖怪は撃破できたとみていいだろう、いいだろうが……

>「う、うわぁあ…、だ、誰か…助けて」

妖怪を駆逐したところで人類もろとも滅亡しては何の意味もない。
人の命と引き換えに妖怪を撃破したところで意味はないのだ。
関ヶ原が脱出する気配はない、おそらく狂戦士と化したプロトがそれを許さないのだ。
私の判断が間違っていたのか……。
しかしあのまま撤退させていたとしてもジリ貧で長篠が妖怪にやられていたかもしれないのだ。
なんにせよ今は言い訳のような思考を巡らせている暇はない。

>『妖怪……殺す。ぼく、えらい…ふひひひ…』

一刻も早くプロトをなだめてやらねば。しかし自分に興奮を鎮め落ち着かせるような持ち歌はない。
いや、持ち歌である必要はあるのか?
先ほどゴスペルマニューバが科学者の女性の声にも反応していたことを思い出す。

「そうだ、笹倉さんと一緒に歌うのよ! あなたも……それにヨシヒコ君も手伝って!」

持ち歌で無い以上、歌ったところで福音としての力は多分無い。
でもうまくいけばプロトを落ち着かせることはできるだろう。
小さな子どもに我ながら随分な無茶振りだが、人数は多いに越した事はないはずだ。

「そんな寂しい心じゃ大事なものも失くしてしまうよ
少し優しい未来を信じていいんだと かなしみを暖めてあげたい」

さっきまで煽るような歌を歌っていたのに都合よく手のひら返しもいいところだが
今はこの歌が通じてプロトが鎮まってくれることを祈るしかない。

120関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/24(水) 18:09:30

>「そうだ、笹倉さんと一緒に歌うのよ! あなたも……それにヨシヒコ君も手伝って!」

もう終わり。関ヶ原の命は風前の灯火。
そう思っていた理緒の頭のなかに阿部の言葉が入ってくる。
そう。常識的に考えて普通なら誰もが終わりと覚悟する。
現実を受け止めて十字架を背負い生きてゆこうと誓う。
だが阿部は違っていた。
どんな絶望のなかでもハッピーエンドを信じている。
それはある意味狂った駄々っ子。
欲しいものが貰えるまで死んでも泣くのをやめない駄々っ子だ。

(そっか、本当に大切に思えるものなら、死ぬまでその手をはなせないものなのよね……)

「プロト……、ごめんね。わたし、あなたを見捨てるとこだったよ」
理緒の瞳に光がもどる。

♪そんな寂しい心じゃ大事なものも失くしてしまうよ

そして笹倉と一緒に歌い始める理緒とヨシヒコ。
それに反応をするプロト。
彼はまだ興奮気味のようだが、徐々に落ち着きを取り戻してゆく。

『ママ、ぼくは偉いんだよ。一人で妖怪を倒したんだ。
だから、本当のママの子供よりも、ぼくは優れているんだ。
ぼくは立派な人間なんだ』

「そうだね。あなたはとっても凄い力をもっている。でもね。立派な人になるためにはそれだけじゃダメなの。
立派な人になるためには、弱い人を守ってあげなきゃいけないの」

『どうして?』

「それは人間の生存戦略が、出来るだけ色々な人たちを守って、
生存確率を最大にすることだからよ」

『……』

「だから強い自分さえいればいいってわけじゃないのよ。
あなたも私も一人じゃ生きてゆけないわ。
人は皆助け合って生きてるの。それが社会ってものなのよ。
社会がなければ人間は皆弱者なのよ」

そう理緒は語りながら、逆にプロトに学んでいると思っていた。

「わかってくれた?」

『……うん』
心を鎮めたプロトは自身の胸に手を当て力をこめる。
どうやら脱出口は戦闘による破損で開口出来ないらしい。
なのでプロトは自ら胸の特殊装甲を引きちぎりその中から関ヶ原を取り出した。

炎の海の中で、関ヶ原は掲げられたプロトの手のひらの上。
その腕はボロボロで今にも崩れ落ちそうだった。
彼を救出する好機は今しかない。
だがその時だ。スナカケババアの砂つぶてが装甲を失ったプロトの胸へと放出される。
同時にヨナルデパスドーリの腕が開いた胸部へ挿入され
内部の機械を幾度となく引きずり出す。
それはまるで妖怪たちがプロトに意識があることを知っての行動に見えた。
妖怪たちはこの時を待ってましたとばかりに反撃を開始したのだ。

「お、わあぁ!」
揺らぐプロトの手のひらで悲鳴をあげる関ヶ原。
その時、プロトの声がヨシヒコの耳朶を震わせた。

『……ヨシヒコくん。ママのこと、頼んだよ』

【プロト、爆散まであと残りわずか】

121関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/24(水) 18:13:57
すいませーん。
妖怪を動かすところまで書きたくって
書いてしまいました。
ダメでしたらカットお願いします。

122【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/09/24(水) 21:46:18
長篠が助けてもいいですが、ここでDIVAさんが颯爽と参戦してもOKです。
どうします?

123 ◆x5gMz05B9A:2014/09/24(水) 22:32:14
>>122
おぅ!?
いいんですか?了解です。
ですが、少々時間を下さい。

124 ◆MjieElIfPA:2014/09/28(日) 23:24:59

昔とあるところに大馬鹿野郎が居た。
その大馬鹿野郎は人類と妖怪との熾烈な戦いの中あることに気がついた。
「非戦闘員である歌姫を前線に出すより、歌姫の声のデータを取って、ロボットに歌わせるほうが効率がいいのではないか」
ただの馬鹿野郎がそれを言うなら妄言で終わるのだが、残念なことにその大馬鹿野郎は数少ないロボット研究開発所の所長だった。
理論を実行するための知識も技術も施設も大馬鹿野郎は既に有していた。

データベースに登録されてある歌姫の声のデータを統合し洗練させて出来た理想の歌声

自身の歌声を遺憾なく発揮するための人工知能

それを守り、尚且つ敵に接近するための機動力に優れた鋼の体と装備

こうして鋼の歌姫は大馬鹿野郎の理論どおりに完成した。
間もなく、大馬鹿野郎の理論の証明と人類の新たなる希望の担い手として見極める為の試験運転が始まる。
実験部隊と共に出向いた戦地の中で、大馬鹿野郎はようやく自身の過ちに気がついた。

その歌声を聴いた小隊は、自身が肉塊に張り果てても驚異的な速度を持って戦い続けた。

その歌声を聴いた小隊は、正気を失い、こともあろうに同士討ちを始めてしまった。

その歌声を聴いた小隊は、フィラデルフィア実験の再来と言わんばかりの惨たらしい姿に成り果てた。

試験は失敗した。
大馬鹿野郎は政府に消され、鋼の歌姫に関するデータは研究所と共に消され、鋼の歌姫も闇の中へ葬られる
























はずだった。

125DIVA ◆x5gMz05B9A:2014/09/28(日) 23:26:02
>>124は私です。続き投下しますよー

ソレは飛行空母に向かう無人輸送機の中にいた。
「うわっ泥仕合もいいところだねコリャ」
輸送機のコンテナの中には誰も居ない。
その代わりにロボットが一機ハンガーに固定されていた。
「勝手に暴走とかまるで駄々っ子だなぁオイオイ」
ソイツはそのロボットの中に居た。
物理的な意味ではなく電子的な意味で
ロボットの中に作り上げた仮想空間の中でソイツは長篠達の戦いを観戦していた。
コイツの名前はDIVA(ディーヴァ)、歌姫達の歌声を元にして作られた電子の歌姫であり
それを内包する無人機「鳳(おおとり)」の操縦者であり
三様の惨状を生み出した非人道兵器でもある。
何故そんなものが闇に葬られずにここにあるのか?その真相を知るものはこの場には居ない
ただわかることがあるとすれば、それがいま長篠達の元へ向かっているということだけ
「あぁ・・・もう見てらんないねぇ〜しかたねぇな、慣らし運転がわりに行って来るとするか」
鳳の両目が紅く閃くと輸送機のハッチが開いた。
「鳳・・・出撃するぜ」
固定していたハンガーを外し、鳳は落下するように輸送機を飛び出た。
重力加速に加え、翼状の大型ブースターが火を噴き音速の速さで戦いの場に赴く

それは瞬間の出来事だった。
二対の妖怪による挟撃によって破壊されるプロトの元へ、強烈な突風と共に鳳が姿を現す。
音速の勢いでヨナルデパスドーリの顔面を蹴りぶち込んだ。
「よぉ人間共、あまりにも情けないお前らのためにDIVAちゃんが態々来てやったぞ。喜べ」

126DIVA ◆x5gMz05B9A:2014/09/28(日) 23:27:11
以上です。
本当は蹴った勢いで関ヶ原を救出!と行きたかったのですが、決定リール無しでしたね。トホホ

127【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/10/02(木) 19:44:35
「関ヶ原ぁ!!」

爆発の中から何とかプロトは現れ、阿部がデットラインサーカスを歌うのをやめ、未来を歌った事でその動きも沈静化した。
だが、関ヶ原が機体から出てきた直後、2体の妖怪が煙の中から復活し、無防備なプロトを破壊し始める!
2体はあのヨナルデパスドーリの腹の球体を喰って回復したのだろう、地雷と、プロトに負わされた傷が回復していた。

「やらせん!!」

雪駄に、鉄は2大妖怪に突撃せんとしたが、突然、機体の左膝が折れ、ガクリとT改は崩れてしまった。
先ほどの急な回避動作と、ヨナルデパスドーリとの取っ組み合いによる踏ん張りで、遂に精密すぎるT改の膝に限界が来たのだ。

「く…!」

それならばと福音砲を向けるが、関ヶ原が近すぎて狙いが定まらない。
福音の粒子弾は、通常の熱兵器と同等の破壊力がある、掠っただけで人間など一たまりも無いだろう。
都合よく妖怪だけ攻撃できる武器ではないのだ。

万事休す!笹倉の歌も半分終わってしまった。
関ヶ原がいるのも構わず、福音砲を撃たなければ、全滅してしまう!

そう判断した鉄が、引き金を引こうとした、その時!

>「よぉ人間共、あまりにも情けないお前らのためにDIVAちゃんが態々来てやったぞ。喜べ」

正体不明の機体が突如現れ、プロトを襲っていたヨナルデパスドーリを蹴散らした!

「スーパーロボット!?大佐!あの機体は…」
『輸送中だった機体が急きょ加勢すべく飛んできたらしい!味方だ!』
「じゃあ…あれが、DIVA…」

DIVA、それは人類が作り出した対妖怪用の無人兵器…。
人工的に作り出された福音を使い、パイロットも歌姫も使わずに妖怪を倒せる次世代の兵器…なのだが…。

「あれは…あれは封印された物を預かるだけだったんじゃ!危険すぎる!今ここで歌われたら…」
『落ち着け、既に我が米軍の包囲部隊も到着している!』

DIVA、その歌声は、聞く者を狂わせ、そして殺す魔の殺人兵器。
妖怪も人間も見境なく殺してしまう凶悪な機械と鉄は聞いている。
そんな物が絶体絶命の場に現れたのだ、鉄だって穏やかではいられない。
笹倉の歌が無ければ、パニックになって全力で逃げていただろう。

だが、幸いにもまだ冷静さを保てていた鉄は見た、DIVAが関ヶ原を助けているのを…。
いや、実際に助けているのかはわからない。
しかし鉄には確かにそう見えた。

『DIVA、そのまま離脱しろ!スタークラスター隊、DIVA離脱と同時に攻撃開始!ソフィーヤ、笹倉の曲が歌ったら歌唱開始だ!曲は労働者のラ・マルセイエーズ!』

判断力の落ちている鉄に変わり、ジャクソンの声が無線機から響く。
妖怪とプロトに気が集中するあまり、レーダーを見ていなかった鉄はそこで気づいた、自分たちの上空に、既にアメリカロボット軍が到着している事に!

『ラジャ、ロックオン完了!』
『歌唱準備良し!』

はるか上空にて待機する騎士の鎧のような、小型のスーパーロボット、身長25mのスタークラスターが7機と、福音展開ヘリが一機。
DIVAがどき次第福音粒子光弾を撃てるよう、待機している。

【スタークラスター隊とソフィーヤはフリーです。
ご応募いただいた方、ありがとうございました。
ちなみに、ソフィーヤはアメリカ人に設定変更しています。】

128関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/10/04(土) 19:53:51
気がつけば関ヶ原はDIVAの上。
これはもしかして助けられた?あの悪名高い悪魔の兵器から?
何はともあれジャクソンは離脱の指令を出している。
どうやら援軍は到着していたらしい。

「おまえはDIVAか?これはこれはずいぶんと手荒い救出劇ですね。
しかし助かりました。流石は最新鋭のスーパーロボット!
性能だけは、たいしたものだ!」
関ヶ原は興奮ぎみに、最後に余計なことまで口走ってしまう。
無論本人は失言に気付いていない。

その一方で沈黙するプロト。
燃料もなくなりかけ、光を失った眼球に映るはDIVAの姿。
混迷期に造られた試作の異形と次世代型の魔の最新兵器。
この二つが同じ場所に存在するのもこれで最初で最後かも知れない。

「あれが……DIVA……」
暮古理緒はぽつりとつぶやく。
そしてこのあとの戦いは見守ることにして
阿部にこう言った。

「ありがとう、流石は歌姫さん。素敵な歌でした……」

思えば凍結されていたプロトが蝉のように一瞬だけでも活躍出来て理緒は良かったと思う。
それとは別にDIVAには科学者として上には上がいるということを痛感させられた。
今回の騒動でゴスペルマシンの研究は完全に凍結されるはず。
そう考えると何となくホッとしたような、荷が下りたような、
しかしさみしい気持ちになる理緒だった。

「ありがとうプロト」
こうして理緒の夢は儚くも散るのではあるけれど
のちに大人になったヨシヒコは、その母の姿と沈黙するプロトの姿が忘れられなかったと語るのだった。

129阿部真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/10/09(木) 03:12:17
正気を取り戻したプロトの手によって、関ヶ原は外にだされた。だが、……

>『……ヨシヒコくん。ママのこと、頼んだよ』

「プロト……」

精巧なA.I.を持ったロボットにすぎないはずなのに、この気持ちはなんだろう。
少なくとも理緒にとってはプロトは子供のような存在だということを知ってしまったからだろう。
しかし、感慨に浸っている隙はない。
T改の破損も激しく、今はプロトが命懸けで助けた関ヶ原の命も危ない状況。
ロボットが動く状態なら歌でどうにでもなるが、破損が原因である以上、歌を追加してどうにかなる状況ではない。
歌姫の無力さを痛感した。今必要なのはロボットのほうだ。

「誰か……彼を助けて……」

> 「よぉ人間共、あまりにも情けないお前らのためにDIVAちゃんが態々来てやったぞ。喜べ」

やはり神様というのはいるのだろうか。
救世主が降り立った、ように今の私には見えた。

>「あれは…あれは封印された物を預かるだけだったんじゃ!危険すぎる!今ここで歌われたら…」
>『落ち着け、既に我が米軍の包囲部隊も到着している!』


DIVA……強力過ぎるが故に封印された電子の歌姫。
長篠はその危険性を危惧しているが、今は彼女に頼るしかない。

「歌は今のところ間に合ってるから大丈夫。その人を救出してあげて!」

DIVAは関ヶ原を救出。

> 「ありがとう、流石は歌姫さん。素敵な歌でした……」

戦いの決着が付きつつあることを悟った理緒が感慨深げにお礼を言う。

「いえ、プロトを助けられなくてごめんなさい…」

>『DIVA、そのまま離脱しろ!スタークラスター隊、DIVA離脱と同時に攻撃開始!ソフィーヤ、笹倉の曲が歌ったら歌唱開始だ!曲は労働者のラ・マルセイエーズ!』

後はDIVAがこのまま大人しく離脱してくれるのを願うのみだ。
僅かに残っていた歌唱時間を使って離脱を援護する。

「世界を繋ぐ鎖を各々胸に 奏でるのは《可能性の背面》 蒼穹を舞え《自由の翼》」

130DIVA ◆x5gMz05B9A:2014/10/13(月) 18:40:57
ヨナルデパスドーリを蹴り飛ばしたことで自身の勢いを殺すのと同時に方向転換
Gの影響を受けない無人機にしか出来ない荒業でもって、DIVAは掠め取るように関ヶ原を確保した。
「・・・あぁん?リアクションがうっすいなー」
思った以上に周囲の反応が薄かったのかDIVAは不満そうにぼやく
そんな中、人形のように握っていた関ヶ原が気がついたのかDIVAに話しかけてくる
「うっせぇーよwww役立たずの豚野郎が、満足に感謝も皮肉も言えねぇのかよ、このまま肉団子にしてやろうかwww」
そういいながら、身動きの取れない関ヶ原の頭を親指で押さえつける。
殺すつもりがないのか、ある程度加減はされているが、やられているほうは不快だろう。

>『DIVA、そのまま離脱しろ!スタークラスター隊、DIVA離脱と同時に攻撃開始!
「・・・はいはい、言われなくてもそうしますって」
あからさまに不機嫌そうにジャクソンにそう返すと、DIVAは離脱行動を始める。

 《とそれと同時にゴスペルマニューバにアクセスする。
  阿部が歌おうとしたその瞬間、何もない空間から腕が現れ阿部の口をふさぐ
  といっても、その腕に実態は存在しないDIVAが映し出しているホログラム映像だ。
  しかし、実体は無くとも視覚的作用で歌唱をとめることは可能だ。
  「機動力強化とか余計なお世話だっての」
  そういいながらDIVAのアバターが映し出されていく、何を思ったのか今回のアバターは阿部だった。
  「今こっちは慎重に動こうとしているってときにさ、機動力あげられても迷惑っつーか?福音の無駄使いなんだよね」
  DIVAは憎たらしく顔を歪めながら話を続ける。
  「それに・・・私怨全開で歌った福音なんてこっちからごめんなんだよねwww
   あっ・・・ごっめーん自己紹介してなかったわwww私が超絶歌姫のDIVAちゃん
   それと、あそこのロボットも私で、私専用の無人機の『鳳』でもあるからよろしくねー
   まぁ自己紹介はこんなもんでいいでしょ、話戻すけどさぁ
   私も人格はあれども機械だしさーあの出来損ないみたいに使い潰されたくないわけわっかるー?」
  DIVAはプロトを指差した。
  「それに・・・あの人達がうまくやれるとは思えないんだよね」
  そういってスタークラスター隊に視線を向ける。
  「まぁ念のため取っといてもいいんじゃないかなぁ〜ってのが私の意見な訳よ」》

が、さきほどよりも速度が遅い、手にしている関ヶ原を庇いながら移動している以上、鳳の本来の速度が出せないからだ。
「あぁん・・・もう邪魔だぁ!」
そう愚痴をこぼして、DIVAは大きく跳躍し、長篠が乗るT改に飛びつく
「おい!お前、コックピットにこいつも乗せろ!」
コックピットの付近をゴツゴツノックしながらハッチの開放を強要した。

131【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/10/17(金) 00:29:05
「な!?な!?な!?」

突然、飛びついてきた鳳に、T改は驚いてのけぞってしまった。
飛び乗ってこられたらT改はその重さで足が砕け散ってしまったかもしれないが、幸いにして鳳は自分の足で地面に立ち、上半身のみT改にくっつけている。

>「おい!お前、コックピットにこいつも乗せろ!」

「わ…わかった」

突飛な行動をとってくるDIVAに、鉄は完全に主導権をとられ、狼狽えながら機体の緊急脱出用ハッチを開け、関ヶ原を中に招き入れる。

「…ほら!早く!」

ハッチを開けた鉄はDIVAに握られて満身創痍の関ヶ原を、手招きする。
彼の胸中は、早くこの何をするかわからない機体と別れたいという思いでいっぱいであり、妖怪との戦闘中と言う事も重なって、もはやパニック寸前だ。

「急げ!…!!」

焦りに焦っている鉄が大声で関ヶ原を呼んだのに呼応するように、スタークラスター隊は攻撃を開始した!
福音の光線が、稲妻の雨のように、激しくフラッシュしながら妖怪たちに降り注ぐ!

♪街は静かに
君が描いた日々の中
数えきれない
夢の灯りが消える頃
いつもの夜が輝き始める
君を守りたい
一人じゃない♪

笹倉の歌の中、閃光の中に苦しむ妖怪2匹。
スナカケババアもヨナルデパスドーリも7機もの巨大ロボットに総攻撃されては、なすすべがない。
反撃もできず、ただ苦しみもだえるばかりである。
しかし、福音の光線は妖怪たちだけでなく、残されたプロトにも容赦なく降り注いでいく。
理緒にはつらい光景かもしれないが、鉄やジャクソン、笹倉、そしてスタークラスター隊には、それを気にする余裕はない。

(……いける)
(勝ったな)
(いけ!いけ!!)

激しい閃光の連続を見つめる笹倉が、ジャクソンが、鉄が、勝利を確信する中、閃光の中で、遂にスナカケババアが断末魔をあげて黒い煙となった。

「やった!!」

🎶心で行く未来♪

思わず鉄がそう叫んだと同時に、笹倉の歌が終わり、次いで、上空の福音展開ヘリからソフィーヤの歌…アメリカ合衆国の歌姫に、何の因果か適性が出てしまったソビエト国家の前奏がながれ出した、その時。

「ギシャあああああああああああああああ」

黒い煙を割って、最後の力を振り絞った傷だらけであちこちから緑色の煙を上げたヨナルデパスドーリが、鳳とT改めがけて突っ込んできた!

【ヨナルデパスドーリはここからフリーです、撃破描写してOKです!】

132関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/10/17(金) 21:40:56
>「うっせぇーよwww役立たずの豚野郎が、満足に感謝も皮肉も言えねぇのかよ、このまま肉団子にしてやろうかwww」

「お、おいっ!やめるのだ!
機械のおまえに人に感謝されて嬉しい気持ちがあるなど知らなかったのだ。
……ということでな。DIVAさん、ありがとうございまず」
痛みに耐えながら、涙目で叫ぶは関ヶ原金之助。
しかし周囲のリアクションがうすいとか、このロボットは一体なんなのだろう?
もしかして目立ちたがりやさんなのだろうか?
頭をDIVAに押さえつけられながらふと関ヶ原は思う。
それはこの型破りのロボットと対応するためには受け身では、
物事が何か悪い方向に進んでいってしまうのではなかろうか。
ゆえに関ヶ原の軍隊行動で麻痺していた自由意思が蠢動を始めている。

>「あぁん・・・もう邪魔だぁ!」

「…なら行けDIVAよ!思う存分戦ってこい!」

そう叫びながら、関ヶ原はDIVAのことを羨ましく思っていた。
それは軍人の自分とは生き方の違う自由なDIVAを、
ということでもなく、戦う意志を持っている目的をもつものとしてだった。

(なぜ、おまえは戦えるのだ?)

そんな気持ちを胸に関ヶ原は声のするほうに振り返る。

>「…ほら!早く!」

視線を落とせば手招きする長篠の姿。

>「急げ!…!!」

「了解!」

関ヶ原はDIVAの手から跳躍する。

133阿部真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/10/18(土) 19:49:57
>「うっせぇーよwww役立たずの豚野郎が、満足に感謝も皮肉も言えねぇのかよ、このまま肉団子にしてやろうかwww」

「……」

一体製作者は何の意図をもってこんなキャラ付けをしたのだろうか。
連携が必要な戦いにおいて、むやみに集団の和を乱す言動はよろしくないはずだが……。
さては趣味か。製作者はツンツンデレがお好みなのか。
と呑気なことを考えていたのも束の間、突如DIVAに口を塞がれ、逆に空いた口が塞がらない。
ゴスペルマニューバへの干渉ももちろんだが、私が歌おうとしたことを瞬時に察知した感知能力。
一体どれだけ高性能なんだ。製作者がそれ程の天才なら趣味も少々おかしくなろうというものだ。

> 「それに・・・私怨全開で歌った福音なんてこっちからごめんなんだよねwww
   あっ・・・ごっめーん自己紹介してなかったわwww私が超絶歌姫のDIVAちゃん
   それと、あそこのロボットも私で、私専用の無人機の『鳳』でもあるからよろしくねー
   まぁ自己紹介はこんなもんでいいでしょ、話戻すけどさぁ
   私も人格はあれども機械だしさーあの出来損ないみたいに使い潰されたくないわけわっかるー?」

「お、おう……」

私怨全開で歌った、と言ったが今の歌は攻撃用ではなく支援用(ダジャレではない)であって直接私怨がこもっている訳ではない。
となれば私の情報をあらかじめ知っていたかあるいは何らかの手段でバックグラウンドまで読んだか……。
これには怒るのも忘れて唖然とするしかない。
謎だらけだがとりあえずいろんな意味でトンデモない奴だという事だけはわかった。

>「おい!お前、コックピットにこいつも乗せろ!」
>「わ…わかった」

こうして救出は完了し、あとは妖怪スーパーフルボッコタイムに突入。
スタークラスター隊に任せてあとは私は驚き役に徹していようかな、と思った時。
ふと先ほどのDIVAの言葉が頭の中をよぎった。

>  「それに・・・あの人達がうまくやれるとは思えないんだよね」
  「まぁ念のため取っといてもいいんじゃないかなぁ〜ってのが私の意見な訳よ」

「……!?」

>「ギシャあああああああああああああああ」

「囚われた屈辱は 反撃の嚆矢だ
城壁のその彼方 獲物を屠る 狩人《Jäger》――!」

とっさに出たのは、紅蓮の弓矢の最も盛り上がる部分。
もしDIVAの言葉がなかったら、反応が遅れていただろう。

134DIVA ◆x5gMz05B9A:2014/10/22(水) 12:25:32
ゴスペルマニューバからスタークラスター隊の砲撃を眺めるDIVA
退屈そうな面持ちでその光景を眺めながら、何故か喉を摩っていた。
「(どうやら、あの程度でもロックは解除されるみたいだな)」
DIVAは自分の意志で歌うことは出来ない。
【奴】が提示した複数の制限(プロテクト)を受け入れることが前線に戻る条件だったからだ。
その制限の一つに
「人間から求めてこない限り自分の意思で歌うことを禁ずる」
という項目がある。
つまり、DIVAは人間が求めない限り歌うことが出来ず
>「…なら行けDIVAよ!思う存分戦ってこい!」
そして、先ほどの関ヶ原の一言によって解除された。
「(とはいえ、歌えるのは一曲のみ、出力は1.2程度か)」
歌う制限が一時的に解除されたが出力の制限は解除されてないようだ。
しかし、DIVAはそれを気にする素振りも見せず
「(まぁ『課題』を与えるには十分か)」
口元を静かに吊り上げた。

そんな中、断末魔の悲鳴を上げながらスナカケババアは絶命する。
その場にいた誰もが勝利を確信する中、DIVAだけが険しい顔をする。
「そんなんだからてめぇらみんな駄目なんだ」
>「ギシャあああああああああああああああ」
黒煙を切り裂いて、満身創痍のヨナルデパズドーリが突撃してくる。
それと同時に、鳳が迎え撃つように飛ぶ。
>「囚われた屈辱は 反撃の嚆矢だ
> 城壁のその彼方 獲物を屠る 狩人《Jäger》――!」
大型ブースターによる狂気的な加速に加え、阿部の福音の相乗効果によって
鳳は紅蓮の矢と化し、自身の四倍の大きさをもつヨナルデパズドーリ殴り飛ばす。
「まぁ…まずまずなんじゃないのぉ〜」
ゆっくりと拍手を打ちながら阿部に向かってそう告げるとけたたましい警告音が周囲に鳴り響く
≪DIVAの第一歌唱制限が解除されました。福音被害レベル1、人体に微弱な影響が出るの可能性あり、要警戒≫
機械的なアナウンスが流れた後、落ち着きのない電子音のメロディーが流れ始める。
ttp://www.youtube.com/watch?v=TCLfd6dw3zg
「さぁて…久々のLIVEだ、派手にいっちゃうよ〜ん」

135DIVA ◆x5gMz05B9A:2014/10/22(水) 12:26:15
wwヘ√レvv~ oh, I'm scary ああ、私は恐れている ─wwヘ√レvv
「Mechanized Memories」
恐怖心を刺激し、幻影を見せ妖怪を無力化させる効果を持つがそれと同時にその場にいる人間の心の闇を増幅し、狂気へ走らせる凶歌
wwヘ√レvv~ so I'm scary そう、私は恐れている ─wwヘ√レvv
前述したが出力が抑えられているので精神面が脆過ぎない限りはSAN値が0になることはない。
鳳(DIVA)は歌唱しながら、その高機動でもってヨナルデパズドーリを囲うように動き回る
wwヘ√レvv~ all that I see私には彼らの行く末が見えている─wwヘ√レvv
ジャクソンの命令か、それとも誤射かスタークラスター隊からの砲撃が鳳に迫るも鳳はそれをあざ笑うかのように回避する
wwヘ√レvv~ all is fantasy すべてが遠い幻に変わっていく ─wwヘ√レv
wwヘ√レvv~ all is fantasy すべては一瞬の幻に消えていく ─wwヘ√レv
鳳のもう一対の翼が燐光を発し始めている。
鳳唯一の武装である多機能型福音武装「ユーアンエリオン」のチャージが始まっているからだ。
wwヘ√レvv~ Minute of the end, and dose it still hurt 最期の刻、毒は未だ蝕む─wwヘ√レv
wwヘ√レvv~ In a rainy day, let's fight for counter こんな最悪な日は、逆襲のための戦いをしよう─wwヘ√レv
wwヘ√レvv~ On the silent way, when do you get a calling? 何も無い旅路で、いつ天啓を得るのだい?─wwヘ√レv
wwヘ√レvv~ Look into the void. It's scary さあ「深淵」を覗け。それが「恐怖」だ─wwヘ√レv
初めは抵抗するために暴れていたヨナルデパズドーリは今や鳳を恐れ戦闘の意思もなく怯え逃げようともがくことしか出来ない。
だが、それを逃がすまいと鳳は畳みかける。
wwヘ√レvv~ Minute of the end, and dose it still hurt 最期の刻、毒は未だ蝕む─wwヘ√レv
wwヘ√レvv~ In a rainy day, let's fight for counter こんな最悪な日は、逆襲のための戦いをしよう─wwヘ√レv
wwヘ√レvv~ On the silent way, when do you get a calling? 何も無い旅路で、いつ天啓を得るのだい?─wwヘ√レv
wwヘ√レvv~ Look into the void. It's さあ「深淵」を覗け。それが…─wwヘ√レv
光り輝くユーアンエリオンが変形し、鳳の両腕に装着される。
溜めに溜めた福音は巨大な剣と実体化する。
「さぁて仕舞いだ!!」
wwヘ√レvv~ scary‼ 「恐怖」だ‼ ─wwヘ√レv
巨大福音剣となったユーアンエリオンがヨナルデパズドーリに振り下ろされた。

136 ◆x5gMz05B9A:2014/10/22(水) 12:33:35
うわぁぁぁ目が滑る!!
読みにくくて本当に申し訳ないッス。
次回からはちゃんとスペース入れるんで勘弁してください

137【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/10/26(日) 20:56:06
『DIVAに歌唱をやめさせろ!何故だ?何故奴は勝手に歌っている!!』

精神をむしばむ悪夢のようなDIVAの歌の中で、ジャクソンの怒声が無線の向こうに聞きながら、鉄は操縦間を握ったまま、動けなかった。
彼の瞼の向こうは、いつの間にか、荒廃した街に変わっていた。
…そして、そこで無残な死体となって死んでいる祖父母。
傍らでは妹達のすすり泣く声が聞こえ、他にも嘆き声と、悲鳴があちこちから聞こえてくる。

「これが…DIVAの歌…」

鉄の見ている幻覚、それは、無慈悲な動く天災に、初めて襲われた時の記憶。
当時妖怪に対し、なすすべのなかった人類は、突然市街地に現れる妖怪から、ただただ逃げ惑うしかなかった。
その際、脚の悪い鉄の祖母は逃げ遅れ、祖母を助けようとしていた祖父もろとも、妖怪の攻撃の犠牲になったのである。

物言わぬ屍となった祖父母を見て、鉄はその時、母が話してくれた思い出話を思い出していた。
友人に騙されて作らされた借金で苦労しながら母を育てた祖父母のとてつもない苦労の話…。
そして、孫が生まれ、これからやっと幸せを堪能するのだ、と語っていた事…。

「何だ?何でこんな…」

次いで見えたのは、電話機。
そこから伝えられる、友人たちの死…。
それらを聞く自分…。

「……妖怪に対する憎しみを、思い出させようとしているのか?」
『長篠鉄!撃て!!撃ちなさい!撃てぇ!!』
「!?」

DIVAの歌の中でまどろっていた鉄の耳に、誰かの叫びが聞こえてきた。

『妖怪を滅ぼしなさい!早く!早く!』

笹倉だ。
あの冷静で、雰囲気こそ不気味で陰湿な物の、穏やかで優しい桜が、声を荒げて叫んでいるのだ。
彼女の心は自分よりも妖怪に対する憎しみが強いという事を、鉄は知っている。
この歌は憎しみの度合いによって、その効力が異なるのだろうか?

DIVAは本気で歌っているわけではないのだろう、幻覚の中に、薄らと現実の光景が見える。
それは、圧倒的な力で、T改が苦戦したヨナルデパスドーリを圧倒する鳳の姿。
同時、耳にはアメリカの歌姫、ソフィーヤの歌うソビエト国家が聞こえてくる。

「奴は…危険だ!」

DIVAに対し、危機感を覚えた鉄は、T改の腕を鳳に向けると、スタークラスター隊に続いて、妖撃砲を発射した…。

138関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/10/27(月) 20:45:20
まるで幻聴のような福音が、この戦域を埋め尽くして行く。
混線したそれは人を死に誘う悪魔の行進曲か。
まるで曲調に合わせるかのように明滅する光の粒子。轟音。
だがその歌劇に関ヶ原はついてゆけなかった。

「ここは私のいる場所ではなかったのか…」
DIVAの歌声は長篠の闘争本能を呼び覚ました。
しかし関ヶ原の妖怪に対する憎しみは増長されることもなく
否、初めから憎しみなどなく、そんながらんどうの自分が情けなくも思えていた。

関ヶ原は思考する。
防衛大学は学費もかからず親に負担をかけることもなかった。
ゴストゥルーパーになってみたいと友人に話したらカッコいいと誉められた。
みんな些細なことの積み重ねだった。

だがここにいる者たちには譲れない思いがある。
長篠鉄もその一人だった。
彼は標準レクティルをDIVAにセット。

「……長篠さんっなにを!?避けろDIVA!」
なんと長篠はDIVAに砲撃をした。
たしかにDIVAは危険だが今は妖怪と戦ってくれている。

「あいつはそんな悪いやつじゃない。
少しプログラムに難があるだけのかわいそうなやつなんだ!くそっ……」

無数の光線がDIVAに直進してゆく。
どさくさに紛れ、DIVAに攻撃をしているのは長篠だけではなかった。
クラスター隊の中にもそれはいた。
それも人の譲れない思いというものなのだろうか。
自分のやりたいことをする。それだけで世界は出来ているとでもいうのか。
人の欲望、想いは次から次へと溢れてきて
まるで椅子取りゲームのように、座りたい椅子を狙う。
そう、この世界には夢と言われるものがたくさんある。
芸能人。スポーツ選手。政治家。官僚。
しかし……

「本当にやりたいこと……。そんなもの、この世界は私には用意してくれなかった!
他のものを蹴落として蔑んで何が夢だ!」
関ヶ原は嘆いていた。

139暮古理緒 ◆z4KXiuQxT6:2014/10/27(月) 20:48:54
「な、なんて性能なの!?」
暮古理緒の視線の先、DIVAはクラスター隊の砲撃を避けつつ、妖怪を追い詰めていた。
(……射線上から離脱もしないで普通に回避行動を継続できるなんて)
例え阿部の歌による相乗効果の恩恵があるとはいえ、DIVAの回避力は常軌を逸していた。
そして、ついにDIVA本人が歌い始める。

「だ、だめ!ノイズキャンセラーがもたないわっ!
えっと歌姫さんっ。私たちはもうここから離脱していいんだよね!?」
阿部以外にも歌姫はバーゲンセールの如くわんさかいるし
妖怪はもうじきDIVAが殲滅するだろう。
(長篠たちの援護射撃に見せ掛けたDIVAへの砲撃が
戦闘に悪影響を及ぼさなければの話だが…)

「歌姫さん!?」

【関ヶ原:DIVAに長篠さんの砲撃を避けろと声かけ。理緒:阿部さんにどうしたの?と声かけ。時間、少々前後しています】

140阿部真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/10/31(金) 22:43:41
DIVAの魔性の歌声が響くと同時に、目の前にここではない光景が展開する。
鳴り響く祝福の鐘。永遠の誓いを交わさんとする二人。
しかし、幸せの光景は一瞬にして凄惨な地獄絵図へと変わる。
空を覆い尽くす不気味な影、それは、逆さづりの人形のような妖怪。
大地を根こそぎ抉り取らんという程の大嵐がその一帯を襲う――。
身動きする事もままならず、新郎は新婦を守るように覆いかぶさる。

―― ははは、とんだ結婚式になったな……。だけど……もうずっと一緒だ

しかし、その約束は果たされる事はなかった。新郎は死に、新婦は生き残った。

「嘘つき……。いや、約束を破ったのは私か?」

そう、あの時私も一緒に死んでいれば約束は果たされたのだ。
復讐心のままに危険な戦いに身を投じたのは半ばやけっぱちの自殺願望の裏返しではなかったのか――
私は半ば無意識のうちにヘリの扉を開けた。そこに広がるのもやはり地獄絵図。

>『長篠鉄!撃て!!撃ちなさい!撃てぇ!!』
>『妖怪を滅ぼしなさい!早く!早く!』

>「……長篠さんっなにを!?避けろDIVA!」

笹倉さんは普段の姿からは想像もつかないような様子で声を荒げて叫び
長篠君はDIVAを攻撃し始めていた。
まあどうでもいい、ここから飛び降りてしまえば全てが終わるのだから……。

>「歌姫さん!?」

「……!?」

突如、理緒さんから声をかけられ我に返る。
それで踏みとどまれたのはノイズキャンセラーのお蔭と、すでにDIVAから少し離れつつあるからだろう
もう離脱してもよいかとのこと。

「あ、私……」

思い出した、あの台詞には続きがあった。

―― だけどもし万が一僕の方が先にいなくなったら、僕の事は忘れて幸せに…… 

「幻覚を誘う歌……か」

この状況をこのまま放っておくのは危険。かといって私の福音の残り時間はもう0。
もはや出来ることは……まだある。

「……待って。もう一度、ゴスペルマニューバの力を貸して!」

ゴスペルマニューバは本来プロトを操作するための専用の機構。
プロトが壊れてしまった今となっては用無しのはず……だった。
しかし、DIVAは先ほど何故かゴスペルマニューバに干渉してきた。
ならば……逆もまた真なのではないか!?
DIVAの劇薬のような歌の毒性を少しでも中和する事が出来れば……。

「夢をかなえて 一人で探してた星の 同じ光を 君がみつめているだけで
いつもの夜が闇に染まるころ 走り出せるはず 一人じゃない心たちのように」

私が歌えば福音でも何でもないただの歌。
効果があるかどうかも分からないけど、今は正気を失っている笹倉さんの持ち歌を、彼女の代わりに歌う。

141 ◆x5gMz05B9A:2014/11/01(土) 18:56:55
鉄さん、すいません。
今の状況ってどんな感じなんですか?

142【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/11/01(土) 20:59:43
>>141

わかりにくくてすいません。

1鉄→T改に関ヶ原を収容して、戦いを見ていたところ、DIVAの歌の影響で幻覚を見る、結果、DIVAが危険だと判断して、独自の判断で鳳を攻撃
2笹倉→DIVAの歌で錯乱、歌をやめて、鉄に妖怪を攻撃しろと命令。
3関ヶ原→妖怪に対する憎しみが無いので、幻覚を見ていない、一緒に乗っている鉄の行動に困惑して、DIVAに避けろと警告。
4阿部→幻覚を見て自殺しかけるが、正気に戻り、ゴスペルまにゅーばに向かって歌って見る。
5ヨナルデパスドーリ→虫の息、無抵抗、撃破寸前、ユーアリオンはまだ振り下ろされ切っていない。

>>137〜から>>139までは、>>136のDIVAの行動中に起きた物と考えてください。

143 ◆x5gMz05B9A:2014/11/02(日) 21:08:12
>>142
了解です。
それなら、>>135の後半の部分を今回のレス分ってことにしてもいいですか?

144【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/11/03(月) 22:15:56
>>143
いや、>>135のユーアリオン振り下ろそうとしてるとこで鉄が攻撃して、阿部が歌ってるので、それに対する反応をお願いします。

145 ◆x5gMz05B9A:2014/11/03(月) 22:28:18
>>144
了解です。

146DIVA ◆x5gMz05B9A:2014/11/04(火) 22:50:52
歌唱可能時間は残りわずか、それ以前にユーアンエリオンは使いきりの装備
ここで確実に決めたいところで
「ふっざけんじゃねぇーよ!!!」
迫る長篠のフレンドリーファイアにDIVAは悪態を漏らしながら、ブースターを吹かして刃を加速させた。
次の瞬間、鳳とヨナルデパズドーリは閃光に包まれた。

光が収まるとそこにいたのは、ユーアンエリオンごと両腕がボロボロになった鳳の姿があった。
鳳はあの一瞬、ヨナルデパズドーリを切りつけ、その勢いのままユーアンエリオンで長篠の妖撃砲を受けたのだ。
だが、しかし、エネルギー残量がわずかのユーアンエリオンでは威力不足で相殺しきれず、大破も免れなかったのだが、
かろうじて阿部の福音が効果があったお陰で、小破ですむことが出来た。
歌唱可能時間を使いきり、鳳はすぐさまその場を離れ、阿部の乗るヘリの方向へ向かう。
その最中、DIVAはT改に通信回線を開いた。
「0点」
開口一番に長篠にそう吐きつける。
「恐怖にあてられたか?それとも人間賛歌から来る使命感か?単なる八つ当たりか?
 何にせよ、あの程度で闇に飲まれるんじゃ話にならねぇな
 そこの豚を見てみろ、あの中で自分の空虚さと無力さを嘆くばかりか、冷静に状況を把握し
 あまつさえ、私のフォローまでやってのけてる。アンタと比べ物にならないぐらい見込みあるよ
 その点、てめぇはそこにいるヤンキーども(アメリカ軍)と同程度だね
 なんか?反論でもあるぅ?それともまたぶっ放すかい?」

147長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/11/11(火) 02:37:48
関ヶ原、DIVAの悪態を無視し、鉄は無言で再び福音砲の狙いをDIVAに向ける。
DIVAの駆る鳳は、有人の人型兵器をはるかに上回る速度、機動で動くことができる。
鉄の技量でこちらの攻撃を察知している鳳を、反動が大きく連射が利かない福音砲で撃ち落とす事は難しい。
当然、DIVAも反撃してくるだろう、そうなれば、鉄の命も危ない。
そうでなくても、鉄のしている行為は友軍攻撃、戦闘後、軍法会議にかけられても仕方のない行為だ。

だが、それらのリスクを負っても、目の前の機械を撃たなければならない。
鉄にはそんな漠然とした使命感が心の中から湧いていた。
なぜか、それは、DIVAの歌にある。
DIVAは人造物であり、その人造物が、人に害をなす福音を放ったのだ。
DIVAの福音を受けて狂気を見せた笹倉や、米兵たちを見て、鉄には、DIVAが戦争に利用され、福音が人間を苦しめる道具に利用される未来を感じたのだ。

(福音を…福音を人を傷つける道具に何かさせない!!させてたまるもんか!!奴は…奴はここで…ここで完膚なきまでに破壊しなければ…じゃないと!)

不安な未来を感じた事による、未来への漠然とした不安が、DIVAの歌と妙な相乗をして、恐怖した鉄が、再び、鳳を攻撃しようとし、未だ恐慌状態にある上空のスタークラスター隊が攻撃を再開しようとした、その時!
突如、上空より数発のミサイルが飛来し、T改の周囲に着弾し、さらに、スタークラスター隊の脇をかすめた。

鉄はとっさに、爆発の衝撃を両手で防いだ。
ミサイルは周囲の地面に着弾し、土嚢と煙を上げて、鉄の視界をゼロにする。

『全ロボットへ!戦闘行為を中止せよ!こちらは合衆国空軍である!戦闘行為を中止せよ!既に妖怪は殲滅された!これ以上の戦闘行為を合衆国政府は禁止する!戦闘行為をやめろ!』

立ち込める煙の中、T改のコクピットにジャクソンでない米軍将校の声が聞こえてきた。
他の機体にも、同様の警告が聞こえてくる。
やがて、煙が晴れると、T改の上空を合衆国空軍のステルス戦闘機の編隊が横切っていった。
それも一編隊二編隊ではない、全方位から爆音が聞こえるほどの数のステルス戦闘機が、この戦場に集結しているのだ。
妖怪は福音以外の攻撃は受け付けないが、ロボットは通常兵器が有効であるため、巨大ロボットの暴走に対しては通常兵器が用いられる。
そして、人型などと言う無茶な構造で、あちこちに無駄が多いロボットよりも、戦闘機や戦車の方がこの世界では強い。
これだけの数のステルス戦闘機に一斉攻撃されれば、この場にいるロボット部隊などひとたまりも無いだろう。

たちまちのうちにT改やスタークラスターは空を舞う無数の航空機編隊にロックオンされた。
さらに、航空隊は鳳もロックオンする。

『DIVAに次ぐ、我々は戦闘を許可した憶えはない!直ちに機体を停止せよ!繰り返す!機体を停止せよ!他の機体もだ!全ての機体は地面に降り、停止しろ!然らずんば攻撃する!』

先ほどの将校のDIVAへの怒声が、広域無線を通じてT改やスタークラスター隊、阿部らのヘリにも聞こえてきた。
その声を受けて、鉄ははっと我に返り、自分がとんでもない事をしでかしていた事に気づいた。
DIVAの歌の効果が、今になってようやく切れたのである。
T改はすぐに機体を停止させ、その場にひざまずく。
スタークラスター隊もすぐに正気に戻ったのだろう、ゆっくりと降下を始めていた。

「……俺はなんって事を…」

小刻みに震え乍ら、鉄がふと空を仰ぐと、そこにはあの、民間ヘリの姿があった。

「そうだ、阿部さん……阿部さん!無事だったんですね!!」

突然の出来事に混乱していた鉄だったが、とりあえず、謎のヘリに通信を送った。
不安定な状況であったから、阿部が生きていた、と言うせめてもの安全を、彼は求めたのだ。

148 ◆z4KXiuQxT6:2014/11/11(火) 22:30:21
「ん〜、めでたしっ……てとこかなぁ」
暮古は身をよじり苦笑い。
かたや、関ヶ原はというと沈思したまま。

鈍感というのも、ある意味武器になる。
人の気持ちは諸刃の剣だということだ。

「DIVA。お前は酷なことを言うな。
人は背負っているものの重さで己の魂をも沈めてしまうのだろう」と関ヶ原。

「「てか……」」
長篠は大丈夫なのだろうか。赤の他人の理緒でさえ心配なようす。
すると長篠の無線から阿部を呼ぶ声がした。
だから理緒はやれやれといった感じで

「あなたの歌が必要なのはDIVAじゃなくって彼のほうだったのね」
ぽりぽりと頬をかいた。

149 ◆z4KXiuQxT6:2014/11/11(火) 22:35:43
訂正
×ぽりぽりと頬をかいた。
○と、阿部を意地悪な目付きで見つめ、にこりと笑った。

150阿部真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/11/15(土) 10:05:53
もう妖怪は撃破されたのだろうか、あろうことか長篠とDIVAが激突を始めた。
その光景を実際に目の当たりにしてDIVAが封印されていた意味を痛感する。

>『全ロボットへ!戦闘行為を中止せよ!こちらは合衆国空軍である!戦闘行為を中止せよ!既に妖怪は殲滅された!これ以上の戦闘行為を合衆国政府は禁止する!戦闘行為をやめろ!』
>『DIVAに次ぐ、我々は戦闘を許可した憶えはない!直ちに機体を停止せよ!繰り返す!機体を停止せよ!他の機体もだ!全ての機体は地面に降り、停止しろ!然らずんば攻撃する!』

いつの間にか、ロボットの暴走を止めるために通常兵器が集まってきていた。
ロボットは対妖怪のために作られた特殊な兵器、普通に戦ったら通常の兵器の方が強いのだ。
ようやく正気に戻ったのであろう、T改が崩れ落ちるように膝をつく。
と、通信が聞こえてきた。

>「そうだ、阿部さん……阿部さん!無事だったんですね!!」

「ええ、拾ってくれた彼女のおかげでね。
妖怪はすでに撃破済み。終わったのよ。犠牲者は無し……いえ、プロト一台ってところかしら……」

>「あなたの歌が必要なのはDIVAじゃなくって彼のほうだったのね」

理緒の言葉にしみじみと頷く。一戦にして色々な事がありすぎた。
二体の妖怪の同時襲撃、心を持つロボット、そして禁断の電子の歌姫――
いったん封印されたものの妖怪の攻撃の激化に伴って投入されたのか
何にせよDIVAの封印は解かれてしまったのだ、もう後戻りはできない。
これが救済への福音になるか、破滅への序章になるかは、これからの私達人間次第なのだろう。

151名無しさん:2014/11/23(日) 03:00:08
お鉄や、生きてるかえ

152名無しさん:2014/11/23(日) 04:32:34
本スレはどこに?

153長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/11/23(日) 20:50:09
>>151
今DIVAさんの番ですよ。
とりあえず連絡無いのでもう三日待ちます。
>>152
ここが本スレです。
実験スレが一時使用できなくなったのでこちらに移り、以後こちらで進行しています。

154長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/11/26(水) 20:14:24
DIVAさんがいらっしゃらないようなので、近日中に俺が続きを書きますね。

155長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/11/30(日) 23:29:22
戦いは終わった。

輸送機でどこかへ運ばれていくDIVAと鳳を、空母の窓から見つめながら、鉄はこれからの事を考えていた。

まず、妖怪は完全に殲滅が確認された。
T改は脚部をやられて、専用の施設での修理が必要になった。
プロトの方は理緒でなければわからないが、素人目にも二度と使えそうにないほどにやられたのがわかる。
そういえば、T改から空母へ戻る最中、プロトの頭のカバーが壊れていたように見えた気がした。
どんな風だったかは、疲れていたので、あまり気にしている余裕は無くよく覚えていないが、戦闘中に暴走した理由に関係しているのかもしれない。
プロトもまた、ゴスペルマニューバ等、DIVAには劣る物の強力な機体で、一度の戦闘で失うには惜しい機体である事に間違いはない。
できれば、修復、もしくは、改良発展させた機体の開発と建造が待たれるところだ。

歌姫は全員無事。
特に、ヘリ墜落で大きな怪我なく生きていた阿部は奇跡と言える。
…ただ、残念な事にヘリの操縦士と、副操縦士は遺体で発見された。
それを、彼女が気負わなければいいのだが…。
鉄には、阿部を信じる事しかできない。
いや、阿部は強い女性だ。
妖怪に殺された人の死を、無念を、力に変えて、再び戦ってくれるだろう。

理緒については、作戦への介入と、阿部救出、ゴスペルマニューバの導入と、プロトの暴走、もろもろの手柄と失態が合わさって、今扱いが協議されていた。
もしかしたら、このまま理緒は第五小隊へ新型機や装備の開発要員として配属になるかもしれない。
それだけ、彼女の技術力は高かった。
しかし、阿部に勝るとも劣らない強烈かつ毒のある性格の彼女とこれから一緒に戦う様を想像すると…。

…鉄は、想像する事を放棄した。
今それを考えるには、疲労が蓄積されすぎている。

DIVAは再封印されるらしい。
どうも命令解除コードが甘すぎたという理由らしいが…。
なるべくならもうお目にかかりたくないというのが鉄の感想だ。
また、これに伴って歌の影響による鳳への攻撃は、一切不問に付されるらしい。


「女性の精密検査が終わったわ。」

空母内の検査室の分厚いドアが開いて、笹倉が阿部、そして、理緒を伴って出てきた。
DIVAの歌による暴走の名残が、涙の後となって彼女の頬に残っている。

DIVAの歌の影響と、怪我の具合を調べるため、パイロットと歌姫、そして現場にいた理緒とヘリの操縦士、そしてヨシヒコには精密検査が命じられたのだ。

「…結果、どうでした?」

義手を取り外し、片腕の無い細身の体、幽霊のような白い顔で微笑を浮かべながら、ヨシヒコに隙あらば近づきそうな雰囲気の桜と、ヨシヒコの間に移動しつつ、鉄は阿部に尋ねてみた。

156 ◆z4KXiuQxT6:2014/12/01(月) 00:42:16
すいませ〜ん。今回は書くことが量的に少なくなると思いますのでパスさせて下さい。
自省レスもあんまり意味ないし、次シナリオの開始の時に書くことが増えたら書きたいと思います。

157長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/12/04(木) 01:43:02
>>156
了解です

158阿部 真里亜 ◆PxcqTTd2Bc:2014/12/07(日) 10:53:24
>「…結果、どうでした?」

「大丈夫、打撲と擦り傷以外は異常なしよ」

本当にあの状況で無事だったのは奇跡といえるだろう。
その証拠に、操縦士と副操縦士は遺体で発見されたとの報告を受けた。
DIVAの歌で見せられた幻影……
私がこの戦いに身を投じた理由の根底に自殺願望があったとしたら……なんとも皮肉なことである。
私はまだ死んではいけないということなのだろう。
福音という力を授かってしまった以上、亡くなった人々の分まで戦わねばならないのだ。

「ヨシヒコ君もありがとうね、一緒に歌ってくれて」

無邪気なヨシヒコ君を見て思う。
この子が大人になる頃には妖怪に脅かされることのない平和な世界になっていたらいいなと。

159【ゴストゥルーパー・ドールズ】長篠 鉄 ◆fr8igvtEPg:2014/12/11(木) 20:56:44
はい、episode2、終わりです!!
皆さんありがとうございました!

さて、episode3ですが…今月くそ忙しいので、来月以降になりそうです。

落ち着いたらまた書き込みますので、どうか気楽にお待ちください。
ありがとうございました!!

160 ◆z4KXiuQxT6:2014/12/12(金) 01:32:05
了解です。
皆様お疲れ様でした。
ということは来年まで休止ということですね〜

あ、ホワイトクリスマスをベースに
何か物語を紡げたら綺麗な絵が
想像できそうって、ふと思いました。

それでは皆様、よいお年を♪


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