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ゴストゥルーパー・ドールズ臨時レス置き場

120関ヶ原金之助 ◆z4KXiuQxT6:2014/09/24(水) 18:09:30

>「そうだ、笹倉さんと一緒に歌うのよ! あなたも……それにヨシヒコ君も手伝って!」

もう終わり。関ヶ原の命は風前の灯火。
そう思っていた理緒の頭のなかに阿部の言葉が入ってくる。
そう。常識的に考えて普通なら誰もが終わりと覚悟する。
現実を受け止めて十字架を背負い生きてゆこうと誓う。
だが阿部は違っていた。
どんな絶望のなかでもハッピーエンドを信じている。
それはある意味狂った駄々っ子。
欲しいものが貰えるまで死んでも泣くのをやめない駄々っ子だ。

(そっか、本当に大切に思えるものなら、死ぬまでその手をはなせないものなのよね……)

「プロト……、ごめんね。わたし、あなたを見捨てるとこだったよ」
理緒の瞳に光がもどる。

♪そんな寂しい心じゃ大事なものも失くしてしまうよ

そして笹倉と一緒に歌い始める理緒とヨシヒコ。
それに反応をするプロト。
彼はまだ興奮気味のようだが、徐々に落ち着きを取り戻してゆく。

『ママ、ぼくは偉いんだよ。一人で妖怪を倒したんだ。
だから、本当のママの子供よりも、ぼくは優れているんだ。
ぼくは立派な人間なんだ』

「そうだね。あなたはとっても凄い力をもっている。でもね。立派な人になるためにはそれだけじゃダメなの。
立派な人になるためには、弱い人を守ってあげなきゃいけないの」

『どうして?』

「それは人間の生存戦略が、出来るだけ色々な人たちを守って、
生存確率を最大にすることだからよ」

『……』

「だから強い自分さえいればいいってわけじゃないのよ。
あなたも私も一人じゃ生きてゆけないわ。
人は皆助け合って生きてるの。それが社会ってものなのよ。
社会がなければ人間は皆弱者なのよ」

そう理緒は語りながら、逆にプロトに学んでいると思っていた。

「わかってくれた?」

『……うん』
心を鎮めたプロトは自身の胸に手を当て力をこめる。
どうやら脱出口は戦闘による破損で開口出来ないらしい。
なのでプロトは自ら胸の特殊装甲を引きちぎりその中から関ヶ原を取り出した。

炎の海の中で、関ヶ原は掲げられたプロトの手のひらの上。
その腕はボロボロで今にも崩れ落ちそうだった。
彼を救出する好機は今しかない。
だがその時だ。スナカケババアの砂つぶてが装甲を失ったプロトの胸へと放出される。
同時にヨナルデパスドーリの腕が開いた胸部へ挿入され
内部の機械を幾度となく引きずり出す。
それはまるで妖怪たちがプロトに意識があることを知っての行動に見えた。
妖怪たちはこの時を待ってましたとばかりに反撃を開始したのだ。

「お、わあぁ!」
揺らぐプロトの手のひらで悲鳴をあげる関ヶ原。
その時、プロトの声がヨシヒコの耳朶を震わせた。

『……ヨシヒコくん。ママのこと、頼んだよ』

【プロト、爆散まであと残りわずか】


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