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仮投下スレ

1偽ひろゆき★:2012/09/25(火) 02:28:45 ID:???0
仮投下スレです
ちょっと不安……とか冒険しました! なSSは一度ここに通しておくといいかもしれません。

70 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/03(土) 19:20:33 ID:izItCrm20
加賀、やらない夫仮投下します

71 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/03(土) 19:21:03 ID:izItCrm20


 真っ暗で何も見えない。
 感じるのは、さっきからゴウゴウ唸っている風だけだ。
 この風は何なんだ?
 何で俺はここにいるんだ?
 俺は、どうなってしまうんだ?
 こんな、何処かも分からねぇような場所で、死ぬのか?
 ……いいや、そう言う訳にはいかないだろ――――常識的に考えて。
 俺は、死ぬ訳にはいかねえ……。
 だが、自分から進んで、人殺しになる気も、ない……。

「――――ない夫、どうしたんだお? 顔色が悪いお」
「え?」
「もしかして風邪かお? ない夫が風邪引くなんて、珍しいこともあるもんだおwww」
「わ、笑ってんじゃねえよ!」

 おいおい、何で急にこいつが出てくるんだよ。
 こいつも近くにいたのか?
 ――――風は、今も強く吹いている。
 俺を、吹き飛ばしてしまえ……そんな、意思が宿っているかの様に。
 一体、この風は何なんだよ。

「ない夫…………お前は、どうするつもりなんだお…………」
「おい、何言ってるんだ」

 風に吹き飛ばされる塵のように、やる夫の体が消えて行く。
 おい、勝手に行くなよ……!行かないでくれよ!!

「ま、待て、やる夫! 待ってくれ――――っ!!」





「うああぁぁぁっ!?」

72 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/03(土) 19:21:16 ID:izItCrm20

 急に、意識が現実に引き戻される。
 地面が、揺れた。そのお陰で、俺は現実に引き戻されたようだ。
 と言う事は……あれは、夢だったのか。
 夢で、良かった。
 心底、ホッとする。
 ホッとしたのもつかの間、ここはどこなんだ、と言う真っ当な疑問が浮かぶ。
 ……陸地のような気もするが、何だかおかしい。
 波の音が、聞こえてくる。
 と言う事は、ここは海の近くなのか。
 だったら、何で地面は鉄で出来てるんだ。
 砂か、あってもコンクリだろ。常識的に考えて……。

「こうも暗くちゃどうしようもねぇな。確か、支給品とやらがあったはずだ……」

 目を凝らしながら、鞄からランタンを取り出す。これで、明るくなった。
 しかし、明るくなったところで、結局ここがどこなのか良く分から……。




(ちょっと……)




 ――――。何だ、今のは。
 声が、聞こえた?
 いや、聞こえたと言うより、頭の中に直接……。

「誰だ!?」
(何で、あなた……私の上に、勝手に乗ってるんですか!!)
「は?」

 上に乗ってる?
 どういう意味か、さっぱり分からん。
 一応足元を見てみたが、誰もいない。
 だが、あの声は間違い無く、俺の頭の中に響いてきた。
 気のせいとかじゃない、はずだ。

73 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/03(土) 19:21:44 ID:izItCrm20

「お、お前は何処にいるんだ!」
(だから、あなたの下ですよ……別に、痛いとかそう言う訳じゃないんですけど……)
「下って言っても、俺の足元には地面しかないぞ」
(わたしは航空母艦・加賀です。あなた今、わたしの飛行甲板部分にいるんですよ)
「……??」

 良く分からん。
 航空母艦?飛行甲板?……お前は何を言っているんだ。母艦の知識なんて、俺には無い。
 そんな事いきなり言われても、分かる訳ないだろ……常識的に考えて。
 ……そもそも、こいつは何で喋る事が出来るんだ。
 まさか、人工知能搭載のハイテク母艦!?……な訳ないか。ゲームや漫画の世界じゃあるまいし。

「お前、何で喋れるんだ……?」
(そんなの、わたしが聞きたいくらいです……。気が付いたら喋れるようになってましたからね。
 ――――と言っても、あなたのように言葉を発することはできないようですが)
「……どうなってんだ」

 しょっぱなから、常識とかけ離れてやがる……。
 いや、そもそも殺し合いなんて時点で、常識はぶっ壊れてたのか?
 ……まあ、それを今考えてもどうしようも無い。

(どうなってるのか、わたしも知りたいですよ。何か、知っている事があれば、教えていただけませんか……?
 ……えっと、お名前は?)
「俺か。俺は……まあ、やらない夫とでも呼んでくれ」
(そうですか。よろしくお願いしますね、やらない夫さん。……さて、知っていることを教えて下さい)
「いや、そう言ってもな。ここに来て、最初に出会ったのがお前だったからな。特に何もないぞ。
 まぁ……俺の友達のことなら、話せるが」
(お友達、ですか?)
「あぁ……やる夫って言ってな……多分、あいつもここに連れてこられてる、と思う」
(……どうしてです)

「…………まぁ、まだいるって決まった訳じゃ無いが。とりあえず、あいつはアレだ。馬鹿だ。
 馬鹿だけど、命に関わるような馬鹿はしないはずだ。……この殺し合いに、乗るとかな。
 もしくは、こんな異常事態の中で、ふざけ回るとか……。流石に常識はあると、俺は信じてるよ」

74 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/03(土) 19:22:04 ID:izItCrm20

 何で、俺はこうも熱く語ってんだ?
 ま、あいつの事が心配じゃない訳じゃないが。
 ……流石に、まだ殺されちゃいないよな?

(そうですか。話を聞く限り、かなり親しい仲のようですね)
「親友だしな」
(……他にも、何か?)
「他は……特にないな……さっきも言ったが、最初に会ったのがお前なんだ。他の奴の事は知らない」
(どうも、ありがとうございました……お返しに、わたしも情報を話したい所ですが……わたしも、特に
 何か知っている訳じゃないんで、申し訳ないですが……)

 ま、俺も大した事を話した訳じゃないから、別にいか。
 ……しかし、改めて辺りを見回してみると、マジで広いな。
 母艦ってのは、こんなに大きいのか。
 ……待てよ?こいつがいれば、ひろゆきを倒すのなんて、簡単じゃないか?
 これだけ大きけりゃ、流石に武装してるだろう。

「おい、この船には、武装はあるのか?」
(ええ。20cm単装砲、12.7cm連装高角砲、25mm連装機銃がある……にはあるんですが……。
 何故か、全て弾切れしてるんです。確かに、装填されていたはずなんですが……。それと、
 12.7cm連装高角砲が、使えないようです)
「本当か?」
(ええ。わたしの体の事ですから、分かります。何なら、全部チェックしますか)
「いいや、やめておこう。……使えないってのは、どういう意味でなんだ」
(どうやら、何者かの手によって外されているようです)









 さっきのやり取りから数分。
 俺は、その間に鞄を調べておいた。
 ……加賀に、鞄の事を聞いてみたが、よくわからないらしい。
 もしかしたら船内のどこかにあるかも、とか言っていたが……この広さじゃ、探す気になれない。

75 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/03(土) 19:22:23 ID:izItCrm20

(そう言えば、あなたは武装しなくていいんですか)
「今の所は必要ない。お前に乗っている間はな……」
(それはどういう意味です?)
「変な意味じゃない。これ、見てみろ」

 PDAの『オーナー情報』を開く。
 俺の忍法帳レベル――――当然の事だが、0だ。
 そして、隅に記載されている現在地。

「D-6……これが、俺達のいる場所だろう。地図と合わせて見れば……完全に、海の上じゃないか。
 ……とにかく、陸地に行かないとダメだ。こんな海の上じゃ、誰も来ないだろ」
(じゃあ、陸地に向かいましょうか)
「単純に向かうってだけじゃダメだ……。何処に向かうか、はっきりしないとな」

 一体、何処に向かうのがいいか?
 常識的に考えるなら……俺が、陸地に降りる事の出来る様な場所。
 船着場か何かに行きたいが……。
 もし向かったとして、加賀のこの巨体が入るかどうか。
 ……最悪、ギリギリまで近づいて、俺が海に飛び降りる、って事も……出来る訳ねえだろ。
 こんなとこから飛び降りたら、下が海とは言え無事じゃ済まない。
 船から飛び降りて、打ち所が悪くて死ぬ……なんて事態は、絶対に避けたいからな。

「……不安要素はあるが、船着場に向かおう」
(どうやら、船着場は3箇所あるようですよ? どこに向かいます?)
「そうだな……」

 船着場の場所は、B-5、C-6、そしてF-6。
 ……C-6はないな。大して、何かある訳でもなさそうだしな。
 余裕があるなら、行ってもいいが……そんな余裕があるかどうか。
 次は、F-6だ。
 近くに、温泉があるようだが……。
 それ以外は、特に何もない。まあ、ここも余裕があれば行く事にしよう。
 残りは、B-5だ。
 ……前の2つが「保留」なら、必然的にここしかないじゃないか。
 だが、ここは悪くないぞ。ここに行けば、陸地の大部分に向かえるじゃないか。
 ……向かうとなれば、加賀を置いて行く事になるが。
 いくら喋れるとはいえ、陸を進む事はできないだろ?

「……よし、加賀。B-5に向かってくれ。どれくらいかかるか、分かるか?」
(ちょっと時間がかかりますね……何だか、航行スピードも落ちてるようなんです)
「そうか……まあ、辿り着けるならいいさ」

 これからどうなるのか。俺は、どうなるのか。その答えは、果たして見つかるのか。
 まだ、何も分からない……。
 だが、いつかは……辿り着ける、かもしれない。

76 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/03(土) 19:22:41 ID:izItCrm20


【D-6/1日目・深夜】
【やらない夫@ニュー速VIP】
[状態]:健康、常識的
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品(確認済み)×0〜3
[思考・状況]
基本:殺し合う気なんてないだろ、常識的に考えて……
1:とりあえず、加賀に乗って今はB-5の船着場へ
2:やる夫が心配

【加賀@軍事】
[状態]:損傷無し、燃料満タン
[装備]:20cm単射砲(0/1)×10、25mm連装機銃(0/15)×10
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗る気はないけれど……
1:やらない夫さんと共に、B-5に向かう
2:どこかで弾薬を補給できれば……
※制限により、全ての弾薬と12.7cm連装高角砲が没収され、航行速度が低下しています
※他にも制限があるかは不明です


≪支給品紹介≫
【20cm単射砲@現実】
加賀のメイン装備。
射程約30000mと言うとんでも無い射程を誇る。

【25mm連装機銃@現実】
加賀のサブ装備。
こちらも射程が広い(約5500m)。

---
仮投下終了です

77 ◆M8nvkr9BM6:2012/11/03(土) 19:26:28 ID:pwxf97WMO
仮投下します

78 ◆M8nvkr9BM6:2012/11/03(土) 19:28:34 ID:pwxf97WMO
( ^ω^)「どうなってるんだお……」

内藤ホライゾンこと通称ブーンは、思わず呟く。

SSの収録中、突然目眩に襲われた彼は、気が付いたら2ちゃんねるの管理人ひろゆきが主催する殺し合いに参加させられて居たのだ!!

( ^ω^)(マジの殺し合いに参加させられるとかwwwwww)

静かに夜空を見上げ、ブーンは自嘲気味に臭い溜め息をついた。

( ^ω^)「…ブヒュー、とりあえず荷物の確認でも−−−!?」

しよう。としたその時。何処かから助けを求める女性の叫び声が聞こえた。

(;^ω^)「な、なんだお!?」

その悲鳴は次第に大きくなり、声の主がこの場に近付いて来てるのだと、ブーンは解った。

そして予想通り一人の女性が、直ぐにブーンの前に現れた。

彼女は、息を切らしており 本来美しい筈の顔は、涙と汗と鼻水で汚れていた。

「た…助けて…。助け―−−−ッ!」

だがそんな顔をブーンが、網膜に焼き付けるより早く
その顔はブーンの視界から離れ 鮮血と共に宙を舞っていた

   ∩___∩
   | ノ      ヽ
  /  ●   ● | クマ──!!
  |    ( _●_)  ミ
 彡、   |∪|  、`\
/ __  ヽノ /´>  )
(___)   / (_/
 |       /
 |  /\ \
 | /    )  )
 ∪    (  \
       \_)

79 ◆M8nvkr9BM6:2012/11/03(土) 19:29:51 ID:pwxf97WMO

突如現れたの巨大なクマ(推定2.5メートルの筋肉モリモリのマッチョベア)。
そいつは女の首を軽く撥ね飛ばし、あろうことか、その亡骸を食い始めたのだ。

(;゚ω゚)「ファッ!?」

ブーンは、目の前で繰り広げられる野生の営み。弱肉強食の実演に恐怖し、手に持っていた荷物を地面に落としてしまう。

(;゚ω゚)「ふざけんなおーーーッ!?通るか!!こんな無茶苦茶ーーーーーッ!!!?」

力の限り叫び 背を向け 全力で逃走を開始した。

         /⌒ヽ
  ⊂二二二(;゚ω゚)二⊃
        |    /  
         ( ヽノ
         ノ>ノ 
     三  レレ



【D-1路上/一日目・深夜】

【内藤ホライゾン@AA】
[状態]:健康、クマーに対する強い恐怖、全力で逃走中
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考・状況]
基本:とりあえず目の前の熊から逃げる
1:(;゚ω゚)「逃げるんだおォ!」
※数多くのSSに参加した経験が有ります
※荷物を全て落としました
※どの方角逃げたか次の書き手さんにお任せします


【クマー@AA】
[状態]:健康、エルメス捕食中
[装備]:鍛えぬかれた肉体
[道具]:無し
[思考・状況]
基本:野生の本能に従うクマー
1:ク
2:マ
3:|

※クマーとエルメスの荷物はD-はの何処かに落ちて居ます

【エルメス@独身男性 死亡】

80 ◆M8nvkr9BM6:2012/11/03(土) 19:38:48 ID:pwxf97WMO
短いですが以上で仮投下を終わります

問題が無いようでしたら何方か代理投下をお願いします。何故か投下出来ないので……

タイトルは、( ^ω^)と嵐を呼ぶクマーのようです

81ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/11/03(土) 20:13:28 ID:z3vX3D6E0
お二人共、仮投下乙です
…あれ、エルメスさん?えっえっ…えーっ…!?勿体無…

いえ、特に問題はないと思います

82 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/03(土) 21:29:19 ID:izItCrm20
どうもありがとうございました
投下いたしました

83 ◆m8iVFhkTec:2012/11/04(日) 11:29:26 ID:bmfHlM2Q0
夜神月、ダディクール、A-10神を仮投下します
仮タイトルは「バカとノートと機関銃」です

84 ◆m8iVFhkTec:2012/11/04(日) 11:30:18 ID:bmfHlM2Q0
  "Everything that can possibly go wrong will go wrong."
「不都合を生じる可能性があるものは、いずれ必ず不都合を生じる」

1990年代前半に広く流行した経験則「マーフィーの法則」における表現の一つである
物事がうまくいかなくなる可能性は常にあり、それは重要なタイミングに限って起きやすいものだという事
簡潔な例を挙げれば、
「高価なカーペットを敷いてる時に限って、トーストを落とした時にバターが塗った面が下に落ちる」
と言えば理解していただけるはずだ
もっとも、これはただ単にそのような不運に見舞われた印象が強く残るだけであり、実際の確率に左右される訳ではないのだけれども

だが、正直今の僕の状況はまさにその法則に当てはまってしまったようだ
かつて僕は、これほどまでに計画倒れしたことがあっただろうか?
いいや、ここまでひどい結果になる事はなかった。しかも最悪のタイミングで…
では、ここまでの僕の経緯を順を追って説明しようか




僕の名前は夜神月…、数年前に死神のノートと出会い、
この力を使い、「キラ」として善良な心を持つ人々だけが住む世界を創ろうとしていた
かつて幾多の危機に陥ったが、自身の知力と計算を駆使して乗り越えてきた
そしてついに、僕の考えを悪と決めつけ、反逆を行った探偵「L」を葬った
そう、敵を殲滅させた今、これから本当の新世界を創り上げるという、まさに『これからがいい所』だった


そんな時に僕は、どこぞのキチガイによって「殺し合い」に巻き込まれてしまった


「…リューク、いないのか?」

死神の名前を呼ぶが、返事がない。デスノートも持っていない。主催者に奪われたのだろう
言わば今の僕は普通の一般人と同じ状態。他の人間と全く対等な条件にされているようだ

無論、僕の信念はこの程度の不都合で挫折する程脆くはない
このような自体になった時、自身がどうすべきなのかは既にわかっている

―――この『殺し合いからの脱出を図る』。これに尽きるだろう

まず、僕のような一般人がまともに人を殺して回ったとしても、戦闘のプロと鉢合わせたらそこで敗北するのは必然
単体で負けるのならば数を集めればいい。同じ考えを持つ者同士で固まれば、少数派にならざるを得ない殺人鬼相手に優位に立てるのだ
ではそのチームの目的は何か? 主催者打倒? いいや、首輪がかけられている以上、そのような余計な反抗心は自らの命を縮めるだけだ
それを踏まえ、並外れた知力、そしてカリスマ性のある僕が「脱出」の目的を掲げ、それに賛同する参加者を味方につければ安全性を確保することが出来る
中には無理やり主催者に立ち向かおうとする無謀物や、低脳がゆえで足を引っ張る役立たずも出てくるだろう
そういう輩を排除し、同じ考えを持ち尚且つ有能なメンバーのみで構成すればチームの生存率は飛躍的に上昇する
そして脱出に関してだが、主催者とて完璧な人間ではない、これだけ大がかりな舞台を使うからには必ずどこかに穴が生じるはずだ
僕ならばそれを探しだし、網の目を抜けることも不可能ではないだろう…、いいや、可能にしてみせる!


ここは病室、いくつものカーテンで仕切られたベッド、シックな間取り、窓の景色からせいぜい3階程度だろう
まずは自分に支給された武器を確認することにした
拳銃や鈍器など、経験のない僕でも扱えるような武器が入っているのならば申し分ない
仮に扱えないような武器―――例えば技術が必要なライフル銃、重量がある鉄球など―――は、他の参加者と交換すればよい
どのような複雑な武器であろうと使い道はあるし、持ってて困るような事は無いだろう
そして僕はデイバックの中身を探った









「なるほど、僕に支給された道具は、ファービー、バカに付ける薬、そしてPDAに収録されているzip画像ファイルか…」
僕はそう呟くとデイバックの口を閉めた


―――クソッ!!やられた!!


武器の使い道がどうのこうのとか、それ以前の問題だ!
こんなジョークグッズなんか、交換取引すらお断りなレベルじゃないか!

「ボクネムーイ、オナカスイター、アーアーアーーーー」

デイバックの中からファービーの声がする。…コイツ電源は切れないのか…?
隠れていてもこいつに騒がれたら敵に位置がばれる。持ってるだけで不都合だ。最悪

85 ◆m8iVFhkTec:2012/11/04(日) 11:30:36 ID:bmfHlM2Q0
月が頭を抱えていると、コツコツと廊下の方から歩く音が聞こえてきた
丸腰のため相手が殺し合いに乗っていたらアウト。だがファービーがいるためおちおち身を潜める事もかなわない
不注意なことに病室の扉も全開。もはや接触以外に選択肢は残されていなかった。慎重さが足りなかったか…

「あの、すみません…あなたもこんな殺し合いに巻き込まれたんですよね?」
「ナデナデシテー」

相手を刺激しないよう、声量を絞り、なおかついかにも善良そうな口調で話しかける
僕の存在に気づいた相手は足を止め、ゆっくりと振り向いてきた
妙に腹の立つすまし顔に、猫耳の生えた変な人型生物だった

「オー、エクスキューズミー、クールボーイ」

全身から「クールなアメリカ人」みたいな雰囲気を醸しつつ、英語で答えてきた
悪いが発音が完全に日本語だ。日本語使え

「あの、普通に話していただいて大丈夫ですよ」
「ワーオ、リアリ?」
「ナデナデシテー、ナデナデシロヨー」

なんだコイツ…まともに会話する気が無いのか?
いい加減な態度に苛立った月は、自分も英語で答えてみた
「Participant too? I am against killing. If you are not willing,please help me. I'm nervous because I have not a self-defense tool.
(訳:あんたも参加者?僕は殺し合い反対派ね。あんたも乗ってないんならちょっと助けてくんない?護身武器がないから不安なんだわさ。)」
「…見栄張ってごめん、英語出来ないんだ」
「でしょうね…」
「でも、クールだったでしょう?」
「いえ別に…」
「そう…」

月は深くため息をついた。コイツ、こういう状況だと言うのにあまりにも緊張感が無い…
こういうモチベーションの違う相手と会話するとなると少々面倒だな…


彼はダディクールという名前だそうだ。お父さんなのか?
はたしてそれが本当に名前なのかは不明だが、面倒なのでそれで納得することにした

自己紹介が済んだところで、月は本題を切り出す

「支給品が全てハズレだったので、良ければ何か武器になるものを分けていただけませんか?」

ダディクールはうなずくと、デイバックからスタンガンを取り出した
月は礼を言いながら手を伸ばそうとすると、その手を制し首を横に振った
どうやら、何かと交換することが条件のようだ。そんな雰囲気を醸している

「しかし、僕の支給品はこんなのしかありませんが…」
「オロシテ!オロシテ!オロ…オオゥ、オケー」

ファービーとバカに付ける薬を取り出して並べる
zipファイルに関しては譲渡が不可能なので伏せておいた

しばし、ダディクールは二つの支給品を見つめていたが、やがて彼の右手がスッと薬を指差した

86 ◆m8iVFhkTec:2012/11/04(日) 11:30:47 ID:bmfHlM2Q0
#aa(){{{
                                  /\___/ヽ
    (.`ヽ(`> 、                      /''''''    '''''':::::\
     `'<`ゝr'フ\.                 +  |(●),   、(●)、.:| +
  ⊂コ二Lフ^´  ノ, /⌒)                 |  ,,,ノ(、_, )ヽ、,, .:::::|   「バカにつける薬をいただこうか」
  ⊂l二L7_ / -ゝ-')´                .+ |   `-=ニ=- ' .:::::::| + .
       \_  、__,.イ\           +     \   `ニニ´  .:::/    +
        (T__ノ   Tヽ        , -r'⌒! ̄ `":::7ヽ.`- 、   ./|  .
         ヽ¬.   / ノ`ー-、ヘ<ー1´|  ヽ | :::::::::::::ト、 \ (  ./ヽ


                 _,、r'´:::‐、`ヾ‐、`丶、
                /:::::l、:{⌒ヾヽ::ト、:ヽ:::::ヽ
               //!:::i:l:!::ヾ、::::::ヾ::!`ヽ:ヽ:::::ヽ
              〃:!:l::::l!:ト、::::liヽ、:::リ:!::i:::ヽ:ヽ::::i
              i:!::!i::i::::i::!:i:ヾ!:i::::!:、:::!:::l:i:!:ヽヽ:l:!
              l!::!:!:iト:::!:i:j/代トト、l:ハ::升ト!:l::!:!lj
              li::l::N{:ヾVヘ「 ̄` lハ ソr‐テハ!:l/
              !:l!:ト、l::l{`         !  j川/   「どうぞ」
              ヾト辷N!      ‐ノ  !:l/
                 Yl:ト、    ヾ==r  ノ/
                iN \.  ` ニ′/}'
                 礀   丶、  /
              ノ ̄´"''‐ 、   `¨´釗
           _rく    /癶V⌒!=| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
      __,、=T下、``ヽ  /‐''"_, -ヘ|      |
     /「 ̄´  ヽヽ \ ヽ/   ´  _,,厶ヘ       ∧=、、
     |八 \      __/      _,)ヽ___/  ヽ ``=、、
    ‖ \ ! V´ ̄:::::/      _,ノk>、`T!::::::":::\_   ‖
}}}

87 ◆m8iVFhkTec:2012/11/04(日) 11:31:15 ID:bmfHlM2Q0
こうして、互いに満足の行く取引がここに成立したのであった
なんというか、思ったよりもちょろかった
ダディクールはさっそく、バカに付ける薬を飲み始めた。手遅れだろうな

さて…と



―――僕もさっそくスタンガンを使って、このバカに眠っててもらおうかな―――



役に立ちそうもないバカは足を引っ張るだけ
つまり、他の有能な生き残れる可能性を減らす原因になる
コイツの他の支給品も、僕の方がまともに使えるだろうしね

僕はスタンガンを構え、ダディクールの隙を伺った



だがその時、廊下側の方の窓から突然荒々しい怒号が響いた

(あの女みてぇな唇のクソッタレ野郎め!!オカマ野郎のF-16の20㍉にでもファックされちまえ!!)

吐き捨てるように、聞き捨てならないような悪態がぶちまけられている
流石に無視できないため、月はスタンガンをしまい、声する方を覗いてみた

なんと、そこには一台の戦闘機が駐車場のスペースいっぱいにドンと置かれていた
あろうことかその怒号は、戦闘機から響いていた
中で誰かが大声で叫んでいるのか? いや、だとしたら外にこれほど明瞭に聞こえるはずがないのだが…
まるで脳内に直接響いているような感覚…骨伝導のようなそれに近いものだった…

戦闘機は声だけに留まらず、舌打ちをしたり、前輪を地面に叩き付けたりしていた
まるでそれは、戦闘機が意志を持って言葉を話し、地を蹴りつけているかのようだった

月が呆気に取られていると、外に出ていたファービーがあろうことか「ファッキューファッキュー!ウェハハハハ!」と鳴き出した

(あぁん! 貴様、それは俺に対して言っているのか!?)
「ばっ…このフクロウがっ!」

僕は咄嗟に3階の窓からファービーをぶん投げた
ファービーは落下中に「ドゥーウェーイ!ターノシ…ウオオォォォォ!?」などと悲鳴が聞こえた

(誰に対してファッキューと言ったんだと聞いてるんだ! 答えろこのもやし野郎!)
「ご、誤解です!それは今僕が投げたおもちゃの鳴き声で…」
「Oh!miss spell」

そこへ突然、ダディクールが割り込んできた
何がミススペルなのかわからないが、発音が流暢になっている
バカに付ける薬が効いたのだろうか…?
ダディクールは窓から顔を出して、小さく深呼吸をした
そして真っ直ぐな瞳で戦闘機を見つめ、ただ一言

「Fuck you」

それは実に完璧な発音だったといえよう
彼はファービーと戦闘機の間違った発音に対して、クールにお手本を示したのだ

直後、バラララララッと音と共に戦闘機から機銃が放たれ、ダディクールに襲いかかった
ダディークールはすかさず両手を前に伸ばし、飛んでくる銃弾を見極める…ッ!そして…

#aa(){{{
 __l__  /\ l |    /   ─‐┬‐┐ ___ __
 ┌┴┐  ‐┬‐ | |  ┌┴─┐  、 |  |  |_| ヽ /  l   |
  |三三|  | ̄| ̄|  |  |____.|   ×  |  |_|  X   |   |
 ───   ̄| ̄   |  |    |  ./  ` | __|_|  / ヽ  ヽ  |
 /  \ /\ ヽ、l  └──┘    ヽノ    l ´   `   、ノ


       /\___/ヽ        _.,.,_      
 ・    /::::::''''''   ''''''\      ///;ト,
  ∴∵・|:.,(●), ● 、(●)|     ////゙l゙l
 ・   |:::::.  ,,ノ( ,_,)ヽ、,,, |     l   .i .! |
     |:::::::. `-=ニ=- '  |     |    | .| 
     \:::.  `ニニ´  /     {   .,).,) 
      |ヽ    、 -´/7:::゛`  ̄!/   / |
     /゙i.  ) / ,.イ::::::::::::: | /   人  \
}}}

彼の無謀な健闘も虚しく、銃弾の一発が彼の眉間に命中した

(ははっ、ざまぁみやがれ!!)

戦闘機はそう言って機体を揺らして喜びを表現していた

88 ◆m8iVFhkTec:2012/11/04(日) 11:31:38 ID:bmfHlM2Q0



何がなんだかわからない…









「…という訳で、この全部このおもちゃの仕業だったんですよ」
「\フヒヒ、クスグッタイヨ!/」
(そうだったのか。ならば先程俺を怒らせた処遇については不問に処そう)

こちらを狙撃しておいてよくもここまで上から目線で言えたもんだな
だがなんとか誤解が解けた。友好的な態度で自己紹介をする
どうやたこの戦闘機は「A-10神」と呼ばれているそうだ。アメリカ空軍の信仰対象らしい
何故乗り物が言葉をしゃべるのかがよくわからない、最先端のAIでも搭載されているのかもしれない

軍人気質な性で荒っぽいが、戦闘機が味方についてくれればこれほど心強いことはないだろう
無差別に誰かを殺すという気は無いみたいだし、僕は交渉をすることにした

「単刀直入に言います。僕と協力して、この殺し合いから共に脱出しようとは思いませんか?」
(ふん…そいつは名案だな。脱出手段はあるに越したことはなかろう。だがな貧弱もやし、俺はあのクソッタレにケツを向けて逃げる気なんざねぇ!
あのクソッタレタラコめ…この俺から兵装を全て奪い取りやがった! ゴミどもを吹っ飛ばす術を奪い取って、何が殺し合いだ!
兵装のねぇ戦闘機など鉄クズだ! つまりこれは恥辱であり、俺に対する宣戦布告なのだ! 決して生かしておかん!)
「はぁ…。え、でもさっきダディクールを殺した機銃はあなたの装備ではないんですか?」
(舐めてんじゃねぇ! 俺の本来の装備なら、間違いなくさっきの男は首ごと持ってかれてるはずだぜ?
あれは俺に支給されたマシンガンだ!こんな玩具同然の武器じゃ、虫も殺せねぇ!)

そう言って窓際にいる月に座席が見えるように車体を傾けた
なるほど、そこにはマシンガンが設置されていた。出来ればどうやって撃ったのか、原理も説明してもらえないだろうか
それにしても…もしコイツが兵器を積んでたら、躊躇いなく全参加者をなぎ払ってただろう…ある意味、制限に感謝すべきだったかもしれない

(そんなわけで俺はクソ主催者を跡形もなく吹っ飛ばすつもりだ!)
「でも、そんな事企てたら主催者に首吹っ飛ばされるんじゃ…」
(一にも二にもクソ度胸だ!そんなのにビビって戦ってられるか!
一応貴様に聞いておこう。あの主催の野郎をぶっ飛ばすのに協力するよな?)

そう言ってマシンガンをこちらに向けてきた。おい待て、最初に協力するかの話を持ちかけたのは僕じゃなかったか?
だがスタンガン一丁の僕に、異を唱えるという選択肢はもはや存在しなかった

「わかりました…共に主催者を倒しましょう…」
(いい返事だぞ貧弱もやし!まずは俺の兵装となり得る道具を探してくるんだ。アヴェンジャーならなおよし
道が狭く、滑走路もない…つまり俺は身動きが取れない。だから貴様ら二人の活躍に期待している!)
「え、二人って…僕以外に誰が…?」

振り向くとそこには元気にビシッと親指を立てるダディクールの姿が!
額には絆創膏が貼られている、どこからか調達してきたのだろう

「馬鹿なっ!? さっきA-10神に撃たれて死んだはずじゃ…!」
「ギリギリ急所を外していたため、なんとか一命を取り留めました」

そうクールに言い放った。待て、眉間って急所に入らないのか?
いったいどういう生命力をしているんだ…イラっとする笑顔がなんか得体の知れないものにも見えてくる

(はははっ、流石にあんなヘボい銃弾一発でくたばる程ヤワじゃねぇようだな!気に入ったぜ!クールガイ!)

いや、普通の人はあんたらみたいに銃弾食らって平気でいられませんから
あとダディクール、褒められて嬉しそうな顔してこっち見んな、腹立つ



そんなわけで、僕が理想としていた状況とは全く正反対の立場に立つ羽目になってしまった
リーダーはA-10神…荒っぽい強引な指揮しか取れないんじゃないか?
そして主催者打倒派、この考えで賛同してくれる参加者は限られるだろう。まず僕自身が賛同できないんだが
さらに切り捨てるべき役立たずは生命力が異常に高く、排除することが非常に困難…

89 ◆m8iVFhkTec:2012/11/04(日) 11:31:53 ID:bmfHlM2Q0
なんでこういう時に限って、ここまで不都合な展開になるのだろうか
このままコイツの言うとおりに突き進んでも、少なくとも僕は生き残れる自信はない
幸い、コイツから離れて行動出来るのは救いだった。他の参加者に助けを求め、願わくば邪魔なA-10を破壊してもらえれば楽になるだろう
きっとダディークールも、僕の考えに賛同してくれるは…ず…?

「頑張ろうな」
「フォオオォォォ!フォオオォォ!」

ダディークールは僕の肩をポンと叩いて、いい笑顔でそう言った
乗り気かコイツ。しかも厄介なことにファービーを拾って来てた、お前何も考えてないだろ


…あぁ、今日の僕はどこまでもツイていないようだ。運悪く死なければいいんだがね…



【C-3 病院付近/一日目・深夜】

【夜神月@AA(DEATH NOTE)】
[状態]:健康、A-10神のパシリ
[装備]:スタンガン@現実
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、zip画像ファイル@画像も張らずにスレ立てとな
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
1:脱出目的を持つ参加者orA-10神を倒せる善良な参加者を探す
2:一応、ダディクールと共にA-10神が使える兵器を探す
3:出来ればダディクールを排除したい

【ダディクール@AA】
[状態]:眉間に銃痕(絆創膏で処置)、A-10神のパシリ
[装備]:
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0〜2、ファービー@現実
[思考・状況]
基本:クールに行くぜ
1:A-10神が装備できる兵器を探す
2:常にクールなダディでいく

※バカに付ける薬@コピペを消費しました
※何故か生命力が異常
※二人は工場方面に向かいました


【C-3 病院 駐車場/一日目・深夜】

【A-10神@軍事】
[状態]:損傷無し、燃料満タン、
[装備]:マシンガン188/200@現実、アヴェンジャー0/1350@現実
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:「敵」は全て殲滅する
1:月、ダディに兵器を探させる間、病院駐車場で待機する
2:兵装を奪った主催者は殺す
3:兵器が手に入ったら、存分に暴れる




【ファービー@現実】
みなさんご存知おしゃべりな鳥のおもちゃ。本ロワでは何故か割と自由に喋り、無駄に頑丈のようだ
かわいいペットロボットだが、2chにおいては、時おりキモがられて処刑される(チョップされる、レンジでチンされる、頭から落とされるなど)
無茶な遊び方をしなくても、勝手にイカれる時もある(自分のまつげを目の裏に巻き込む、奇声を無限ループするなど)
イカれてなくても、夜中に突然「ア゛ーーーーーー!!!」と騒いだりするためタチが悪い

【バカにつける薬@コピペ】
バカにつける薬を買ってきたwwwwwwというスレにおいて、すでに3本も飲んだという発言に対し「つける薬なのに、飲んじゃったのかよ…」と返された
どのような効果があるのかは説明書にも記載されていない。ダディクールがクール過ぎるあまり、効果が出てるのか出てないのか、どんな効果なのかよくわからない

【zip画像ファイル@画像も張らずにスレ立てとな】
麻呂だけでなく、男なら誰でも求めるロマンが詰まっている画像ファイル
PDAのデータフォルダに収録されている。データの受け渡しは出来ないようだ

【スタンガン@現実】
携帯型護身具。高電圧を与えて相手の動きを一時的に不能にする
気絶させたり、感電死させる効果は持っていないが、ショックによる心肺停止とかはある

【アヴェンジャー@現実】
A-10サンダーボルトの固定武装。30mmガトリングガンの威力は、T-72神すらをも蜂の巣にする程
射程は6500m、命中精度的には1000m〜2000mか。8秒間の射撃につき、1分間の風速冷却が必要。装弾数は1350発。

【マシンガン@現実】
装弾数200発の自動小銃。A-10神の座席あたりに取り付けて装備しており、フロントガラスをすり抜けて発射される
A-10神がどうやってそこに装備したのか、どうやって引き金を引いているのか? その辺の原理についてはお察しください

90 ◆m8iVFhkTec:2012/11/04(日) 11:38:59 ID:bmfHlM2Q0
以上です
設定がいつも以上にブッ飛んでます
修正点、問題点があればご意見お願いします

91 ◆M8nvkr9BM6:2012/11/04(日) 19:22:17 ID:Yp7FJTvQO
代理投下ありがとうございます

92ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/11/04(日) 22:45:34 ID:vHJ7ifRkC
仮投下乙です

細かいですが銃火器の残数に括弧を付けた方が良いかと
それ以外は問題ないと思います

93 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/08(木) 20:35:53 ID:sEJRlJBU0
カーチャン仮投下します

94 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/08(木) 20:36:10 ID:sEJRlJBU0


「…………」

 重い足取りで、路上を歩く。
 …………今でも、あの感触が、手に生々しく残っている。
 肉を貫く感触。
 骨を砕く感触。
 皮膚を切り裂く感触。
 全て、残っている。
 一生消えないんじゃないかと思える程、生々しく。
 ――――全て、夢だったなら。
 こんな殺し合いも、私があの人を殺したことも、全て夢なら。
 どれだけ、良かっただろうか。
 だけど、これは現実……。間違い無く、現実……。

(……母ちゃん、間違ってるのかな)

 いいや、そんな事はない。
 子を持つ親なら、誰だって思うだろう。
 ――――何が何でも、自分の子供を守りたい。
 こんな、いつ、誰に襲われるか分からないような状況なら、なおさら……。

「…………」

 どちらにしろ、もう、後には引けない。
 ……殺す気でやったんじゃないけれど……1人、殺してしまったのだから。

「…………あら」

 突然の風が、鼻を刺激する。
 ……潮風だ。
 どうやら、近くに海があるらしい。……そこから少し歩くと、開けた場所に出た。
 暗くてはっきりとは分からないものの、船がいろいろ停めてある。

(港……かしら)

95 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/08(木) 20:36:23 ID:sEJRlJBU0

 近くに、誰か、いるんだろうか。
 そう思って、少し辺りを見回した時だった。
 ……煌々と光を放つその一点に、私の目は引き付けられた。
 船だ。
 明かりが煌々と灯る船が、港に停泊している。
 その近くに、文字の書かれたパネルが立ててある。
 それには……。



『渡し船乗り場はこちら →
 利用は自由です。運賃はいりません。定期的に出発し、定期的に帰ってきます。
 大体30分もあれば、次の船着場に着くでしょう。
 中にある物は、自由に使っても構いません。
 詳細は、船内に置いてあるマニュアルを参照してください。
 それでは、よい船旅を。          ひろゆき

 運航ルート:F-6(イマココ) → C-6 → B-5 ┬→ C-5
                   └→ F-6

 B-5でのみ、C-5へ向かう船とF-6へ向かう船の2つが出ます。望む場所に向かう船に、お乗換下さい。
 地名等は、各自に支給された地図を参照してください。』



 と、書いてあった。

「渡し船……」

 どうやら、ここは……F-6らしい。
 慌てて地図を取り出し、確認してみると。
 ……随分、端にいるようだ。しかも、かなり狭い。
 このままじゃいけない……。でも、丁度良かった。
 これに乗れば、ここから出られる。
 この地図の大部分を占める陸地は、海を渡った向こう側にある……。

「……行かなきゃ。これを逃したら、タイムロスになっちゃう……」







96 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/08(木) 20:36:38 ID:sEJRlJBU0





 少しして、船は出港した。
 船は、小さなフェリーのような感じで、船内には大部屋が1つと、ソファーの並ぶホールがあった。
 船外にも、椅子が多く備え付けられているお陰で、ゆっくりくつろげる。
 船内には小さな売店が、船外には、2つ自動販売機が備え付けられていた。
 ……一応、中を見て回ってみたものの、誰もいなかった。

「……あまり、ゆっくりしてはいられないね」

 売店から、オレンジジュースを失敬する。
 ……さっきから、少し喉が乾いていたから、丁度良かった。
 ただ飲むだけなら、水があったけれど……あまり、飲みたくはなかった。
 このバッグには……あの人の、支給品も入っている。
 それと一緒に入っている水。あまり、良い気分はしない……。
 そんな事を考えながら、グイッと一気にジュースをあおった。

(……そう言えば、私の支給品、まだ確認してなかったわ……)

 もっと、強い武器が欲しい。
 殺し合いに乗った人を倒すためにも。
 もっと、強い武器が……。
 でも、あの人の支給品に、この刃物以外に、武器は無かった。
 なら、他に武器があるとすれば、私の支給品だけ……。

(……やっぱり、こういうのは見てみないと分からないわよね)

 意を決して、私の支給品を取り出す。


 ……。
 …………。
 ………………。

97 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/08(木) 20:36:58 ID:sEJRlJBU0


「銃に、服に……チラシ?」

 銃……名前は、「ベレッタM92」と言う名前らしい。
 どんな名前であれ、銃があればやりやすい。
 こっちの服は……「防弾ベスト」と言うらしい。
 着ると、銃弾を防ぐことが出来る、そんな感じの優れものだ。
 これは……タケシに、着せてあげよう。これがあれば、銃から身を守れるはずだから。
 こっちのチラシは……何だか、変だ。
 一応、文面に目を通すと……。



#aa(){{{
★壁殴り代行始めました★
ムカついたけど壁を殴る筋肉が無い、壁を殴りたいけど殴る壁が無い、そんなときに!
壁殴りで鍛えたスタッフたちが一生懸命あなたの代わりに壁を殴ってくれます!
モチロン壁を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くの家の壁を無差別に殴りまくります!
1時間\1200〜 24時間営業 年中無休!
                ,.. --‐'"ヽ、
         ,.∠´,,.. -‐/ヾ_\
      ,,..-'"  _,,..===,`'  ,-、゙ヽ.
     /,   ,.. -‐<__,{  ,(´  `ヽ、
    (´ォi ゙r-‐''"´ ̄ { ,/´' ,   ', ゙i
    'ミーぅ∪'      ∨   ヽ. リ  リ
    `ー'′       人、,.-、..ヽ,∧_∧   壁殴り代行では同時にスタッフも募集しています
                / ,'   { r,( ´・ω・)   筋肉に自身のあるそこのアナタ!一緒にお仕事してみませんか?
             /'     !∨/:`ニニ´/ ̄ヽ  壁を殴るだけの簡単なお仕事です!
               i ゙i       /`ヽ、_,,. `ヽ´ ヽ
           .ハヽ   ノ__,.-、  `Y´ `ヽ   ',
               !. {  `,r-{´、 ,..ーヽ ヽ{. ,,..- 、:_   リ
             /!ゝ、  ゝ_ヘ‐'_,..-'"ヽ、._/´_,,. _ ゙ヽ_,ハ
            / ハ.(`},、   `ヽ.-‐''',.ハ _ ̄ 、.  ヽ、,リ
          /', ヽ、゙i、ヽ.   },`=彡ヾ、 、.  、  ∨
       / ヽヽ、 } ヽ}゙¨`)ヒニ彡>、   `` 、.ヽィノ
      /:  ヽ.  ヽ. イ /´'''7´  \.ヽ `ヽ、_ノ
}}}



 ……チラシには、筋肉モリモリの人が、堂々と写っていた。

98 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/08(木) 20:37:18 ID:sEJRlJBU0
「……これは、役に立ちそうにないわね」

 とりあえず、今必要無い物……防弾ベストとチラシを仕舞う。
 ……これで、準備は整った。
 後は、やるだけ。
 でも、私はもしかしたら。
 ――――取り返しのつかないことを、しようとしているのかもしれない。
 でも、今更後悔した所で、時間は戻らない。私は、もう決心したのだから。

(タケシ……)

 何処にいるのかも分からない。
 でも、探さなければならない。
 ……タケシを、何としてでも守るために。
 その為にも、一刻も早く、向こうに渡ってしまわなくては……。
 私は、船が到着するのを……ただ、待った。


【F-5・海上・渡し船船内/1日目・深夜】
【カーチャン@ニュー速VIP】
[状態]:健康
[装備]:アロハ調館内着@現地調達、匕首@現実、ベレッタM92(15/15)@現実
[道具]:基本支給品一式×2、PDA(忍法帖【Lv=01】)、不明支給品(武器無し)×1〜2、防弾ベスト@現実、壁殴り代行のチラシ@ニュー速VIP
[思考・状況]
基本:タケシを生き残らせる
1:海を渡って、タケシを探す
2:タケシの害になりそうな参加者を排除する
3:2の為なら自分の命も厭わない


≪支給品紹介≫
【ベレッタM92@現実】
装弾数15+1発、使用弾薬9mm×19弾。
信頼度、知名度共に高い拳銃らしい。

【防弾ベスト@現実】
身に付けることで、身に付けた部分を銃弾から守ることができる。
ただし、銃弾の衝撃までは防ぎ切れず、また重いために行動が阻害される可能性もある。
後、全ての銃弾を防げる訳ではないので、過信は禁物。

【壁殴り代行のチラシ@ニュー速VIP】
内容は本文を参照。
その名の通り、壁殴り代行のサービス内容が書かれているチラシ。数十枚単位で入っていた。
何の役に立つかは、よく分からない。

99 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/08(木) 20:37:33 ID:sEJRlJBU0
仮投下終了です
指摘点や問題等があったらご意見をお願いいたします

100ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/11/08(木) 21:05:35 ID:lp.6QH/60
仮投下乙です
内容は問題ないと思いますよ

あ、でも運行ルートの図がもしかするとズレているかもしれません

101 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/08(木) 21:31:40 ID:sEJRlJBU0
指摘ありがとうございます
確かにズレていました…ズレを修正して投下いたしました

102 ◆m8iVFhkTec:2012/11/10(土) 10:54:05 ID:3DDzZOLo0
マウンテンバイク、川越達也、キバヤシを仮投下します
タイトルは「かなりヤバイ資料見つけました」です

103 ◆m8iVFhkTec:2012/11/10(土) 10:54:19 ID:3DDzZOLo0
レストランには依然として、香ばしい匂いが漂っていた
皿洗いを済ませたマウンテンバイクは席について一息をついた
ふと窓の外に目をやると、ラーメン屋二郎の看板が目に入る

…そういえば、まだこの辺りの地理を把握していなかったなぁ
確か支給品に地図があったはずだ、少し周囲を確認してみるか…

紙の地図を取り出して「レストラン」の文字を探してみるが…見当たらない
百貨店や工場など、大規模なもの以外はほとんど明記されていないようだ

「川越さん、ちょっとこの辺りを探索しませんか?周辺の状況を知っておいた方が、いざという時のためになりますし…」

「まぁ、それもそうだね。それじゃ、少し待ってて」

ちょうど食物の後始末を済ませた川越は、自分のデイバックから紙とペンを取り出した
そうして、紙にさらさらと何かを書くと、それを店の前に張り付けておいたのだった

「これなら僕がいないときに人が来ても、ここで待っててもらえるはずさ」

『ただ今、シェフは場を離れております
  料理をお求めの参加者の方は、どうぞお席についてお待ちください
                       TATSUYA KAWAGOE』
と書かれていた

「…これは危険ではありませんか?僕達がここに戻る事を悟られて、待ち伏せされて襲撃されるかもしれませんよ?」
「はは、大丈夫さ。君をそうそう危険な目に合わせたりしないからさ」

僕が不安そうに尋ねると、川越さんは包丁を手の中でくるりと一回転させた
やたら楽天的だけど、それだけ自信があるのかなぁ? それとも何か策を用意してるのか…
多少不安は残るけど、ここは川越さんを信用することにした

そうして僕達はレストランを後にする
この辺りの地域は下町の商店街といった感じだった
先ほどは恐怖と不安のせいか不気味としかいなかったが、落ち着いて眺めてみるとノスタルジックな感じだった
ラーメン屋以外には文房具店や電気屋、パチンコ店、そして小規模なスーパーなどが並んでいる
店内の明かりは全て点いておらず、街灯だけが照らしていた
ただ、どの店も寂れており、例え電気が点いていても活気が無さそうな、そんな町並みだった
でも僕は、個人的にこういう哀愁が漂った雰囲気は結構好きだ
確かにデパート一つあれば全て事足りるけど、こんな風にどこか懐かしさを感じる場所は他には無いだろう
こういう旧市街の景色というのは残しておくべきだな
そんなことを考えながら数分ほど歩いていた

ふと、街角に建てられたこじんまりとした図書館が目に留まった
大抵の図書館には、その地域に関する資料が纏められている事が多い
もしかすると、バトルロワイヤルの会場であるこの街についての情報が得られるかもしれない
それは上手くいけば殺し合いからの脱出する方法を見つけることにも繋がるはずだ
川越さんにその意を伝えて、僕たちは図書館を調べることにした






館内の明かりは点いておらず、真っ暗で何も見えない
ランタンを取り出して、おぼろ気な光を頼りに奥へと入っていった
地域に関する事柄は、『郷土史』の棚に纏められている…はずだが…
棚の様子を見てバイクはがっかりした
そこに置かれているのは漫画本の束であった
『黒騎士物語』『ジョジョの奇妙な冒険』『デスノート』『ロケットでつきぬけろ!』
どれも名作揃いだが、残念ながらこの場所についてのヒントは得られそうにない

「参加者に余計な詮索をされないように、主催者が全てすり替えたのかな…」
「川越さんもそう思いますか?…ということは、ここには資料が無いんでしょうかね…」

と、僕がため息混じりに呟いた時だった

「資料ならここにある」

突然第三者の声が館内に響き、司書室の方から眼鏡をかけた凛々しい男が姿を現した

「君たちの様子は隠れて伺わせてもらったが、どうやらこの殺し合いについて調べに来たのだろう?」
「そうなんですけれども…あなたは?」
「申し遅れた。私は週刊少年マガジン編集部兼MMRのメンバー、キバヤシと言う者です。もちろん殺し合いには乗っていない」
「僕は…本名を思い出せないのですが、マウンテンバイクと呼んでください。僕も殺し合い反対です」
「僕は料理をやらせていただいてます、川越達也と申します。この殺し合いを、僕の料理で止めて見せるつもりです」
「へぇ、料理で殺し合いを止める、と…」
「そうです。後でレストランに来てください。あなたにも美味しい料理を振る舞いますよ」

川越さんは独特な笑みを浮かべてそう言った
だが、キバヤシさんは首を横に振り、一言「いえ、俺は結構です」と答えた
川越さんの顔からスッと一瞬で笑顔が消えた

104 ◆m8iVFhkTec:2012/11/10(土) 10:54:41 ID:3DDzZOLo0
「何故です?きっとあなたのお口に合うものを作れると思いますが」
「いいえ、味の話ではありません。この状況に置いて他人の作った料理を軽々しく口にするのが危険だと思ってるからですよ」
「…なんですか?僕が料理に毒でも入れると思ってるんですか?」
「あぁ、申し訳ないが、その可能性も疑うほど慎重に行くのが俺のスタンスなものでね…」
「ふーん………あぁそう」

二人の間に険悪な空気が流れる
キバヤシさんの言い分はもっともだろう
この状況において、よほどの信用の足りない相手に対し慎重になるのは正解と言える
だが、彼の言葉は川越さんのプライドに傷を付けるようなものだった
このままでは仲違いしてしまうかもしれない
僕は話を逸らそうと、キバヤシさんに問いかけた

「…さ、さっき言っていた、資料について詳しく聞かせてくれませんか?」
「ん?あぁ、そうだった…」

キバヤシさんは睨みを効かせている川越さんを気にも止めず、デイバックから真新しいクリアファイルを取り出した
『鮫島事件』と書かれた紙が何枚か入っている

「これは司書室で見つけた資料だ。君は『鮫島事件』について知っているか?」
「一応、2ちゃんねるで有名なネタですからね…。存在しない事件を、みんなしてタブーのように話して、初見の人を釣るって感じの…」
「あぁ、一般的にはそういう認知だろう。だが、その事件の内容についての諸説はおそらく知らないな?」
「いいえ…、内容に触れようとすると『おっと、誰か来たようだ』ですからね…」
「実は、この資料にその諸説が詳しく書かれているんだ。読んでみて欲しい」

まさか鮫島事件に内容が存在しているとは思わなかった
それほど信用があるとは思えないが興味はある
そうして、僕はキバヤシさんから紙を受け取り、開いてみた

#aa(){{{
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『鮫島事件』

2000年(平成12年)11月、5人の青年たちが鹿児島県沖鮫島において死亡しているのが発見された事件である

彼らは2000年5月、インターネット掲示板「2ちゃんねる」において知り合い、共に鮫島へ遊びに来ていた
だが、ある時5人とも忽然と行方を晦まし、不審に思った家族の方によって通報された
すぐさま鮫島周辺を調査するも、結局彼ら5人の姿はどこにも発見できなかったという

それから半年が経過した2000年11月、ついに5人のうち4人の白骨死体が発見されたのである
死因は不明。そして最後の一人(公安関係者の身内)の死体だけは見つからなかった
しかし、4人の遺骨がそれぞれの遺族のもとに届けられた翌日、2ちゃんねるにおいてある書き込みがなされた

『俺は今、鮫島にいる』

おそらく最後の一人による書き込みだと思われていたが、当時2ちゃんねるには投稿者のIPを記録するシステムが
実装されておらず、本人による書き込みかどうかを判断することができなかった

そしてそれから数日後、改めて鮫島を調査したところ、新たな遺体が発見された
死体の損傷は非常に激しく、動物により食い荒らされていたが、おそらく最後の一人だと思われる
司法解剖による調査によると、中には人間のものと思われる歯型や、頸部を圧迫したような痕跡が残されていたという

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
}}}

読み終わって、僕は一息をついた
妙にリアリティーのある書き方だが、なんと言うか、普通の猟奇事件とも思える
あれだけ語ってはいけない流れがあるわりには、拍子抜けする内容だと思った

「この事件とバトルロワイヤルが何の関係があるんですか?」

川越さんはそう疑問の声をあげた。それについては僕も感じていた
するとキバヤシさんは真に迫った表情で言う

「まだ気が付かないのか…!?似ているとは思わないのか?この殺し合いと…」

そう言って彼は語りだした

「鮫島事件とバトルロワイヤルの相似点を挙げていこう
まず、どちらも『社会と断絶された空間』で起きている…もちろん、鮫島事件の方は彼ら自身で赴いているという違いがあるが…
次に『一人だけが生き残っている』。おそらく5人で殺し合い、最後に生き残った一人が書き込みをしたのだろう
そして書き込みをしたことによって情報が漏れるのを恐れた誰かに殺された…そう考えられないか?
そして『2ちゃんねるとの関係が深い』。奇遇なことにバトルロワイヤルの主催者は管理人ひろゆきじゃないか…!

―――俺の仮説が正しければ、おそろしい事実が浮かび上がることになる…!それは…」

105 ◆m8iVFhkTec:2012/11/10(土) 10:55:38 ID:3DDzZOLo0
#aa(){{{

    ,ィィr--  ..__、j
   ル! {       `ヽ,       ∧
  N { l `    ,、   i _|\/ ∨ ∨
  ゝヽ   _,,ィjjハ、   | \鮫島事件とは
  `ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ   >バトルロワイヤルの
     {___,リ ヽ二´ノ  }ソ ∠前段階として行われた
    '、 `,-_-ュ  u /|   ∠ものだったんだよ!!!
      ヽ`┴ ' //l\  |/\∧  /
--─‐ァ'| `ニ--‐'´ /  |`ー ..__   `´
    く__レ1;';';';>、  / __ |  ,=、 ___
   「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))
   |  |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,|  , -,
    ! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | |   | | .l / 〃 ))
    l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj  7
    | |:.:.:.:.l;'/.:.:.:.:.:.! ヽ:::\::  ::::|  ::l /
}}}

「「な、なんだってーーーー!!!!!」」

106 ◆m8iVFhkTec:2012/11/10(土) 10:55:52 ID:3DDzZOLo0
全く関係のないと思われていた事柄が、見事に一つに繋がってしまった
もしもこの仮説が正しいものであるとすれば、国によって隠蔽されているのも頷ける
こんな狂った殺し合いが国ぐるみで行われていることが暴かれたら大変なことになる
鮫島事件で生き残り、書き込みをした人は口封じに殺された…そう考えられる
現状は絶望的…勝っても負けても未来が残されていない…

僕の頭の中は混乱状態だっただろう
キバヤシさんも絶望的な表情を浮かべていた
その時、川越さんが冷静な声でキバヤシさんに言った

「それで、この会場から脱出する術は見つかってるんですか」
「…いや、まだ調査中だ…。だがもう何もかも遅すぎたんだ…俺たちは…」
「…そう…それでは僕はレストランに戻ります」
「何を言っているんだ!こうなったからにはわずか48時間以内に全参加者は死亡する…もう無駄なんだ!!」
「だったら、そうやって腐っていればいいですよ。あくまで仮説程度でそんなになるなら、動かない方がマシでしょうね
 あなたが何と言おうと僕は止めませんよ。僕は決めたんです、料理で殺し合いを止めるって。
 僕は僕に出来ることをするだけです。…バイク君、先に行ってるよ」

そう言って川越はデイバックを背負い、図書館から出て行った
その言葉は辛口だったが、希望を捨てておらず、彼の熱い気持ちが込められていたものであった
キバヤシは目が覚めたような表情を浮かべて立ち上がる

「俺は何を弱気になっていたんだろう…あきらめない!!それがオレたちに出来る唯一の闘い方なんだ!!」

マウンテンバイクも我に返った。あくまで仮説じゃないか…勢いに押されて真に受けてしまった
この人、ナチュラルに不安を煽ってしまうタイプなのかもしれない…もっと冷静になるべきだったな

「君はバイク、と言ったか? 俺はもっと調査(リサーチ)を続ける。君も手伝ってくれないか?」
「えっ、でもレストランで川越さんが待ってるんですが…」
「ならば一度戻って彼に伝えてくればいい。この図書館には真相が隠されているはずだ!」

キバヤシさんは両手で僕の肩をそう言ってきた
川越さんの手伝って他の参加者に呼びかけをするか、キバヤシさんを手伝って情報を探すか…

さてどうしよう…僕に出来ることは一体なんだろう…? 少しだけ考えたほうがよさそうだ…


【D-3 図書館/一日目 深夜】

【マウンテンバイク@オカルト】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品×1〜3
[思考・状況]
基本:殺し合う気はない
1:どちらの手伝いをしよう?僕に出来ることは…
2:鮫島事件との関係は…あくまで仮説だよね?

【キバヤシ@AA(MMR マガジンミステリー調査班)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:バトルロワイヤルの謎を解明する
1:調査再開だ!!
2:バイクにも手伝ってほしい
3:バトロワは鮫島事件と何か関係があるはず…

【D-3 商店街道中/一日目 深夜】

【川越達也@ニュー速VIP】
[状態]:健康
[装備]:包丁@現実
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=01】)、不明支給品×1〜3
[思考・状況]
基本:僕の料理の力で、殺し合いを止める
1:レストランへ戻り、もっと料理を作る
2:キバヤシはあまり気に食わない


≪解説≫
【鮫島事件】
2ch界最大のタブー。映画「2ちゃんねるの呪い」の題材にもなったので、多分バトロワで持ち上げたくらいでは消されない…と思う…
事件について尋ねると誰もが「それを言ったら消される…!」と口を揃えて言う
一般的にはそういうネタだと知られているが、実際に証拠が抹消されている可能性も否めない
「歴史の節目において情報操作は必ず行われているんだよ!!」byキバヤシ
概要についても諸説が多く存在し、「鮫島」という人物が殺される内容や、今回のように鮫島で起きた事件という内容など様々

107 ◆m8iVFhkTec:2012/11/10(土) 10:58:12 ID:3DDzZOLo0
以上です
問題点、修正点などがあれば指摘お願いします
D-3を商店街設定にしました

108ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/11/10(土) 21:43:34 ID:1VvEynM.0
仮投下乙です
特に問題はないと思われます

109 ◆m8iVFhkTec:2012/11/18(日) 10:56:19 ID:9/kA3fW.0
髪の子ファヌソ、竹安佐和記を仮投下します
仮タイトル「【髪は】バトロワでした悪行を懺悔する絵師【言っている】」

110 ◆m8iVFhkTec:2012/11/18(日) 10:56:55 ID:9/kA3fW.0
月明かりだけが照らす近鉄百貨店の屋上、一人の男が立ちつくしていた
名前は竹安佐和記。株式会社crimの代表取締役として活躍するイラストレイターだ
彼は今、あまりにも唐突に、そして突飛な状況に放り込まれ茫然自失となっていた

…殺し合い? 何故、俺がそんな不可解な事を強いられているんだ…?
どうして一市民でしかない俺が、こんな理不尽な目にあってるんだ…?
世界に何億、何十億と人間がいる。その中で、何故俺が選ばれたのか…?

そりゃあ誰だって事故に巻き込まれる可能性はある
飛行機事故とか、拉致とか、それで運悪く被害に遭う人は必ずいるだろう

でも、自分がそんな不運な事故に遭う確率なんて1%もないじゃないか…!
まさか、自分がそれに巻き込まれるなんて思いもしない
今までそんなの、ニュースの中だけの出来事だと思っていたんだから…
こんなの何かの間違いだ…自分がこんな理不尽に巻き込まれるなんて有り得ない…!

彼は現実を受け止められなかった。突然拐われてお前ら殺し合え、だなんてフィクションの世界の事だと思っていたからだ
何よりも、先刻に彼が見た惨状が、現実ということを拒否していたのだ
脳裏に浮かび上がるのは自分の目の前で、首を跳ね飛ばされた少女の姿…
なすすべもなく、一瞬で、あっけなく一つの命が吹き飛んだのだ
血飛沫が飛び散り、首を失った胴体がドタリと倒れる様…
唖然としてその無残な姿から目を背ける。すると男の罵声が聞こえ、またしてもパァンと言う破裂音
無謀にも主催に歯向かい、首と泣き別れをする男の胴体、足元へ転がってきた黒く焦げた男の頭部…

信じられるわけがない。こんな無茶苦茶な惨殺が現実に、ましてや俺の目の前で起きるなんて信じられるわけがないだろ…!


―――夢だ、俺は悪夢を見ているだけなんだ……


ごく普通の一般人の俺が、こんな非現実的な悲劇に遭うわけがないじゃないか
もう嫌だ!早く目を覚ませ!いつもの仕事尽くしの日常に帰してくれ…!

腕をつねったり、頭を殴ったりする…残念ながら、相応の痛みを感じる…
徐々に恐怖と不安が佐和記を支配していった
自分もあんな風に無残に殺されるのか?訳のわからない世界で、何も分からずに殺されるのか?

ターン…

少し離れたところから銃声が響く
続けて必死に名前を呼びかける悲痛な叫び声…


殺し合いが始まっている?
たった今、新たに誰かが死んだ?
次に殺されるのは………


その瞬間、彼の中で何かが弾けた

…こんなの、現実で起きるわけがないじゃないか
これはちょっとリアルな夢なんだ。そうに違いない
さっさと目覚めたい。こんな悪夢、もうまっぴらだ!
…そうだ、この屋上から跳んでみれば流石に目が覚めるんじゃないか?
地面に激突するその瞬間に、いつものベッドから飛び起きるはずだ

佐和記は屋上の柵を飛び越え、淵際に立つ
恐怖から逃れたい一心で、最悪の手段を選択した

冷たい風が吹き付け、新たに恐怖が湧き上がる
もし、これが現実だったらどうする?この高さなら確実に…

―――いや……

…これは僕が見ている悪夢なんだ…こっから一歩足を踏み出せばそれで目が覚めるんだ…
そう、目が覚めるだけなんだ…大丈夫だ、問題無い…

我を見失っていた彼は、自分に言い聞かせる…これは現実ではないと…
それは『自己暗示』の領域に達していた
さもなくては気が狂ってしまいそうだ
こんな残酷な現実を受け入れるくらいなら…



そして彼は




―――足元に広がる闇の中へ体を投げ出した

111 ◆m8iVFhkTec:2012/11/18(日) 10:57:36 ID:9/kA3fW.0




☆彡 ☆ミ ☆彡 ☆ミ ☆彡 ☆ミ ☆彡




白い法衣をまとった神々しい男の姿があった
彼の名前は髪の子ファヌソ
ゲーム内で罪を犯した哀れな子羊たちに裁きを与える神々の一人である
その神々しく穏やかな顔付きとは裏腹に、内心穏やかではなかった

「ひろゆきめ…
 よくもこのようなくだらぬ遊戯に、この私を強制参加させましたね…
 許しません、地獄へ落ちなさい。
 もとい落ちてしまえばいいのに!」

普段ならば直接手を下すところだが、今の彼にはそれが出来ないのだ
それこそ、数分前の彼は
「子羊たちの殺し合いなんて、神である私が無双して終わりじゃないですか。
 GTAでチートコードフルに使って暴れるようなものです。」
などと余裕を吐いていたものの、いざ神通力を使ったところで、自身の異変に気づいたのだった


原因は首輪にあった。彼の首に嵌められた首輪は彼の力を大幅に制限していたのだ
ひろゆきの目の前に直接降臨することや、首輪の制限を解くことを封じられていたのだ

つまりこれがある限り、私は哀れなタラコ羊の手の内で遊ばれることを余儀なくされるわけだ。
子羊にもて遊ばれるなど、神としての尊厳に関わる話だ。殺意が沸いてきた。

「ふん、まぁいいでしょう。
 幸いな事にその他の神通力ならばだいたい使うことはできるようです。
 少し位はいわゆる『最悪の椅子取りゲーム』で遊んで見るのも悪くないかもしれません。」

不本意ではあるが、現状をそうやって飲み込むことにした
それに多少歯応えがある方がオタゲーマーの血が騒ぐものだ
まずはデイバックを開いて中を確認する
パサッと支給品説明書が出てきた。表紙に「ドラえもんシリーズ」と書いてある

『お医者さんカバン:患者を診断して、それに合ったクスリを出してくれる。五回使えます。』
『ヘリコプター:大空を自由に飛びたい、そんなあなたに』
『WASABI:あっそ、踏んじゃえ!』

ヘリコプター…どうやってこのデイバックに入っているんですか? 質量保存の法則を知っていますか
というか、ドラえもんほとんど関係ないじゃないですか。支給品準備した人は○×問題のテストで0点を取ってしまいなさい
…それはともかく、わさびを除けば支給品としてはかなり有効ではあるだろう
肝心の武器になるものが入っていないが、ファヌソにとってはそれほど問題ではない
自身の神通力を行使すれば、相手を地獄へ堕とすのは容易いことであるからだ

支給品の確認が済んだので、とりあえず路地を適当に歩き出す
頭の中ではひろゆきにどんな制裁を与えるかを考えていた
ピコハンマー一丁でモンスターハウスの真ん中に飛ばすのはどうだろう?
それとも神話の住民や歴史上の英雄と聖杯を巡って戦わせ…

とその時、少し離れたところから銃声が聞こえてきた
何か起きてるんですかね。こっそり行ってみることにしますか…




★彡 ★彡 ★ミ ★彡 ★ミ ★彡 ★ミ




全く痛くない。地面に叩きつけられたのに何も感じない
なんだ。ほら、やっぱり夢だったじゃないか

ただ、ちょっと嘔吐感があるし、体に違和感を感じる…
いや、これはきっと風邪気味なだけだろうな、だから大したことはない…

これは 夢の 世界なんだ…



…目が… 覚め ればき… っと……

112 ◆m8iVFhkTec:2012/11/18(日) 10:58:09 ID:9/kA3fW.0





彼の意識が消える、最後の瞬間
脳内に、誰かが語りかける声が聞こえた
はっきりとしたその声は、どこか聞き覚えのあるものだった
そう、自分が手掛けた、あのゲームに、そんな言葉が…








―――神は言っている ここで死ぬ運命ではない と…―――








佐和記は飛び起きた
全身に嫌な汗がべっとりと服に張り付いている…息が切れてるし、動悸も激しい…でも…

…ほ、ほら、やっぱりさっきのは夢だったのさ…!
飛び降り自殺を図ったのに、体に何の異変も無い…
殺し合いなんて意味不明な事は存在しない…いつもの日常…
そうだ、今日は仕事が溜まってるんだ、早く片付けないと…

「目覚めたようですね、迷える子羊よ。」
「え…?」

俺の目の前には真っ白な服に銀髪をなびかせた、神々しい若い男の姿があった

「汝、自らの罪をここに懺悔しなさい。
 罪を償わずに自殺するのは違反ですよ。違反切符を切られます。」

そこで、自分が路上に横たわっていることに初めて気がついた
そして汗だと思っていたのは…血だ
大量の血がワイシャツを真っ赤に染めている
でも、外傷はどこにも見当たらなかった
となると自分は…いったい…?

頭がショートしそうだった
何が起きてるのか、目の前の男は何なのか…全くわからない…

周りをキョロキョロしながら茫然とする様子を見つつも、髪の子ファヌソは言葉を続けた

「あなたの事は知っていますよ、竹安佐和記さん。
 汝の描くイラストには、トレースの疑いがかけられていますね。
 では、あなた自身、それについての弁論はありますか?」

ファヌソは穏やかな声で問いかける
だが今の佐和記の頭には、ファヌソの言葉は入ってこなかった
彼の頭の中では、ただただ自身に何が起きているのか、という懸念しかなかった

そのため、しばしの沈黙が続いた
やがて、佐和記が答えない様子を見てファヌソは不敵な笑みを浮かべながら口を開いた

「沈黙ということは、罪を認めるというのですね。
 ならば汝には私から直々に裁きを与えてあげます。」
「へっ!?いや、待って!今裁きって…?」
「もう遅いです。観念して罰を受け入れなさい…!」

突如飛び出した「裁き」の言葉に、ハッとする佐和記
後ずさりしようとする佐和記を捕まえ、ファヌソは神通力を行使する
目も開けられないほどの眩い閃光が走った…

やがて、ファヌソの声が聞こえる

「自らが手がけたゲームの主人公のマネをしなさい。
 神は言っている、『全てを救えと』。そしてそのまま長い旅を始めるのです。
 セリフやドヤ顔なんかもトレースすれば尚良し。
 クリア出来たら無罪、敗北したら地獄行きです。」
「えっ?えっ…?」

佐和記が目を開くと、自身の服が真っ白な鎧に変化していることに気づいた
それは、佐和記が手がけたゲーム「エルシャダイ」のイーノックそのものだった
なんで? さっきまで俺が着ていたワイシャツはどこへ…?

「そんな装備で大丈夫か?」
「えっ? えーっ…、だ、大丈夫だ…問題…」
「大丈夫ならよろしい。それでは私はもう行きます。」
「は…?」

113 ◆m8iVFhkTec:2012/11/18(日) 10:58:41 ID:9/kA3fW.0
ファヌソがバックをひっくり返すと、中からズドォ…ンと音を立ててヘリコプターが出てきた
彼は中に乗り込み、説明書を片手に適当に弄ると、プロペラが回転し、そのまま浮き上がった

「それではせいぜい頑張るように。またね。」

それだけを言うとそのまま、暗闇の中へさっさと飛び去っていった
結局最後まで何がなんだかわからなかった

数分間唖然としたまま佐和記は立ち尽くしていた
やがて我に返り、彼の中で結論が出た

「あぁ、ここはまだ夢の中なんだな…ハハ…」





☆彡 ★ミ ☆彡 ★ミ ☆彡 ★ミ ☆彡






「…フッ…クク…あっははははははは!!
 いやぁ、やっぱり裁きを与えるのは何よりも快感です。」

闇空の中を飛びながら、ファヌソは先刻の転末を思い出して吹き出した
銃声が響いたと思い、そこへ向かう最中にちょうど飛び降りの現場に出くわしたのだ
形容し難いほど悲惨な状態になった男、ファヌソはその顔に見覚えがあった
エルシャダイのインタビュー動画か何かで見た…確か竹安佐和記氏と言ったか
まさかこんな人までバトルロワイヤルに参加させられているとは意外なものだ

ご冥福をお祈り…と思ったところで、彼はうめき声を漏らした。まだかろうじて息があるようだった
ならば、とファヌソはお医者さんカバンを早速試してみることにしたのだ
ゲーム界の逸材をここで死なすのは勿体無いし、何よりもカバンの効果がどれほどかも把握しておきたかったのだ
聴診器を当てるとカバンの中からクスリが飛び出す。それをバシャッと適当に振りかけてみた
…効果は抜群。どうみても助からないような負傷が一瞬のうちに塞がった
さっすが僕らのドラえもん、と感心せざるを得ない

さて、せっかくの機会だ。なにか裁きを与えてやりたい
しばし考える。やはりエルシャダイ関係がいいか? ではどのようにするか…

「そうだ、この男に無理やり、対主催を命じてみましょう。」

どうせ私が助けなければここで朽ち果てていた命…ならばせめて有効活用してもらおうではないか
憎きひろゆきに一矢報いて貰えれば、参加者みんな気味がいいし、ひろゆきへの嫌がらせにもなる
これは一石二鳥です。さすが私です

そうして佐和記が目覚めたあと、あのように神様オーラ全開で無茶ぶりをしたのだ
なんとなく、村の若者を「勇者」と呼んで、無理やり魔王退治に行かせる王様の心境になった
正直、佐和記氏がこの後どうなるかはファヌソにはどうでもよかった

「バトルロワイヤルでも、いつも通り好き勝手やらしてもらいましょう。
 哀れな子羊の懺悔を聞き、片っ端から裁いてやるのです。
 普通のシリアスな殺し合いが台無しになるでしょう。
 ひろゆきは、私をこんな面倒事に巻き込んだことを後悔するが良い。」

もはや彼は『椅子取りゲーム』を通常プレイで楽しむつもりはなかった
ひろゆきの創り出した箱庭を、ごちゃごちゃに引っ掻き回すつもりだった
嫌がらせ? いいえ、これは私なりの裁きの一環ですよ

このままお空を飛んでいても仕方ない。ファヌソは適当なスペースを見つけ地上に降りたつ
そうしてヘリコプターにデイバックをかぶせると見事に中に吸い込まれていった
バックを背負い、神々しいゲームの神はコツコツと薄暗い路地を歩き出した
どんな迷える子羊に出会うのか、そしてどんな裁きを下せるのか、期待を抱きながら…




【B-4/路上/一日目・深夜】

【髪の子ファヌソ@ゲームサロン】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、お医者さんカバン(4/5)@ドラえもん、ヘリコプター@現実、わさび@オラサイト
[思考・状況]
基本:気まぐれに行動する
1:子羊から懺悔を聞き、裁きを与える
2:ひろゆきも地獄へ落とします
※神通力が制限されています。さじ加減はそれぞれの書き手の方にお任せします



【B-4/近鉄百貨店前/一日目・深夜】

【竹安佐和記@ゲームサロン】
[状態]:健康、混乱
[装備]:一番いい装備@エルシャダイ
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品(1〜3)
[思考・状況]
基本:???
1:これは悪夢なんだよな…
2:どうすればいいのか分からない
3:さっきの男はいったい…?

114 ◆m8iVFhkTec:2012/11/18(日) 11:00:07 ID:9/kA3fW.0
《支給品紹介》
【お医者さんカバン@ドラえもん】
患者に聴診器のような端末を当てると、症状に見合ったクスリが出てくる道具
現代医学では到底治せないような重症でもたちどころに回復する。かがくのちからってすげー!

【ヘリコプター@現実】
空を自由に飛びたいという願いを叶える乗り物
免許がなくても、説明書があれば運転できるようだ

【わさび@オラサイト】
ごく普通のワサビ。鼻にツンとくる辛さが特徴の調味料
出典元はFLASH「おびたとわさび」のび太くんみたいな少年が「わさびー」と叫ぶシュールなフラッシュ
元ネタはバドワイザーのCMのパロディ。ちなみに現在のドラえもんの声優さんも、わさびさんである

【一番いい装備@エルシャダイ】
ゲーム「エルシャダイ」において、主人公イーノックが装備していた鎧
佐和記のワイシャツを神通力で変化させた。攻撃を受けると砕ける



――――――――――――――――――――――――
以上です
問題点、修正点、ご意見がありましたらご指摘お願いします

115ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/11/18(日) 16:00:41 ID:9fDeQzhsC
仮投下乙です
問題ないと思いますよ

116 ◆m8iVFhkTec:2012/11/23(金) 23:23:41 ID:1TD2r2ww0
ミルコ・クロコップ、ウラーを仮投下します

117 ◆m8iVFhkTec:2012/11/23(金) 23:24:25 ID:1TD2r2ww0
「…さっきの奴はもう追ってきていないようだな…」

ミルコクロコップは振り向き、化け猫の姿が無いのを確認し、足を止めた
…まったく、こんな殺し合いに本気で乗る奴がいるとはな…
そういう連中は願いを叶えるために、本当に何十人と殺す覚悟が出来ているのだろうか?
あぁ、他人の考えなんてわかったもんじゃないな…

ミルコは側のガードレールに寄り掛かり、背負っていたデイバックを下ろした
アイツに接触する前に中身は確認していたんだが、あまり当たりとは言えない
赤いスニーカーにロープ、そしてダンボール箱…
運の悪いことに、武器と呼べるものは何一つ入っていなかった
拳銃の一つでも入っていればアイツは死なずに済んだかもしれなかったというのに…
そう思いながら、ミルコは夜空を見上げてため息をついた

不意に後ろから、ガサッと言う音と共に、パタパタと足音が聞こえた
振り向くとそこには、でかい剣を振り上げた猫男が目の前に迫っていた

「ウラーーーーー!!!」

思いきり振り下ろされる大剣
ミルコはほとんど反射的に身をそらしてかわした

ガンッと、強烈な音が響き、ガードレールが大きくへこんだ
…チッ、またしても化け猫か…!
しかもコイツも殺し合いに乗ってやがる…!?

猫男は大剣を持ち上げると、柄を両手で掴み遠心力をかけて振り回した
ミルコは冷静にバックステップで距離を取る
大剣のリーチは長いが、一度離れてしまえばそんなもの当たらない

…すると今度は、あろうことか大剣を持つ手を離しハンマー投げの要領で投げてきたではないか

しかし、素人がハンマー投げをしたところで狙ったところに飛ぶはずがない
勢いのつけられた大剣は明後日の方向へ飛び、付近の塀にひびを入れた

丸腰となった今、大きな隙が出来ている。今がチャンスだ!
すかさずミルコは猫男の眼前へと距離をつめる
そして猫男が反応するより早く、左足を高く上げてハイキックを放つ…!

「ウラッ!?」

一撃必殺! 加減こそしていたものの、側頭部にクリーンヒットしたハイキックによって猫男はそのまま倒れた
ミルコはデイバックからロープを取りだすと、猫男の両腕を縛り上げた

「…ったく、危険な奴だ…」


○ ● ○ ● ○ ● ○ ●


「放せええぇぇ!!放せウラーーーッ!!死にたくないウラー!!」
「落ち着け、話を聞くだけだ。落ち着け!」

縛られたウラーはさっきから泣きながら暴れていた
パニックになってるな…仕方ない、若干手荒だが頭を冷やしてもらおう…
ミルコはデイバックから水を取りだし、ウラーの顔にパシャッとかけた
ウラーは驚き、喚き声が途切れた

「落ち着け。俺は殺し合うつもりはないし、お前を殺すつもりもない。
 だからまず、お前の話を聞かせてくれ」

ミルコの言葉がやっと耳に届いたのか、ウラーは大人しくなった

「まず、お前は殺し合いに乗ってるのか」
「…何を言うウラ、乗るしかないじゃないかウラ!」
「何故だ? 多くの人を殺してまで叶えたい願いがあるのか?
 本当にそんな覚悟があるのか?俺にはわからないな…」
「…そんなこと言うのは自殺発言ウラ! 死んでも知らないウラ!」
「自殺発言? …お前は何を言ってるん? 殺し合いに乗らないことが自殺と何の関係が…」
「アンタも聞いたらだろウラ! 殺し合いに不都合な事をしたら首輪を爆破するって!
 だから、乗らないとひろゆきに殺されるウラ! だからもう、嫌でも殺し合うしかないんだウラー!」

そう叫んでウラーはまた涙を溢した

…そうか、俺は少し考えが浅かったようだ…
殺し合いに乗る奴は皆、賞品に目が眩んでるもんだと思っていた
だが、最初の怯えていたアイツと同じように、ただ死にたくないと怯える奴がいる
そんな奴が死の恐怖のあまりに、殺し合いに乗る可能性があるということか…
まったく、本当にクソッタレなシステムだ…

ミルコはウラーを縛っていたロープをほどいた
ウラーは脳震盪を起こしたのか、やけにフラフラとしながら立ち上がり、大剣を拾いに行った

「俺はこれから、首輪を外す方法を探すつもりだ。よければお前もついてこないか?
 確かに首輪を爆破されるリスクは高いが、どちらにせよ俺は殺し合いには乗らないと決めている。
 …お前はどうする? 少なくとも、単独行動よりは危険も減るはずだが」

逃げようとしたウラーはピタリと足を止めた
…どうしよう…、このままこの男についていけば、ひろゆきに殺されるかもしれない…
でも、ただでさえ体が不調なのに、またこの男みたいな強い参加者に会ったら間違いなく負ける…

118 ◆m8iVFhkTec:2012/11/23(金) 23:25:31 ID:1TD2r2ww0
「俺は…いったいどうすれば…」
「お前もそんなこと言うのか…。他人に選択肢を委ねて、それを貫けるのか?
 自分がどう行動するか、それはお前自身が決めることだ」

しばしの沈黙が続く
ウラーは悩みに悩んだ
死にたくない、ただそれだけの願いなのに…
どちらの選択もその願いを叶えてくれそうにない…!
何故こんなに、葛藤に悩まされなくてはいけないんだ…

数分後、沈黙が破られる
ウラーは涙をこぼしながら口を開いた
#aa(){{{
A_A    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( TAT)つ  < ついて行くウラ…!だから…だから…
(つ  )    | 俺を、俺を生きて帰らせてくれウラァ…!
と_)_)    \_________
}}}

「わかった。保証は出来ないが、お互いベストを尽くそう
 …俺の名前はミルコ・クロコップだ」

ミルコはあっさりとそう言って手をさしのべた

…出来ることなら、アイツのような犠牲者はもう出したくない
なるべく多くの弱き者を救ってやりたい
それが元警察官であり、格闘家としての責務だからだ

誇りを胸に宿した彼は決意を新たに、目の前の猫男と握手を交わしたのであった


【ミルコ・クロコップ@AA】
[状態]:健康、後悔
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、キック力増強シューズ@名探偵コナン、ロープ@現実、工具セット@現実
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗らない
1:首輪を外す術を探す
2:ウラーと行動する
3:化け猫(お断りします)を警戒
4:‥‥‥すまなかった



表向きでは和解しているものの、ウラーはまだ死に対して強い恐怖感を抱いている
そしてショボーンと違い、自分が生きるために「誰かを殺す」という選択肢を選ぶことが出来るタイプである
そんな、ある意味では危険な人物と呼べるような相手と同行することになったミルコ・クロコップ
これは彼の慢心によるものだが…はたして、この安易な判断が今後どのような結果へとつながるのだろうか…



【ウラー@AA】
[状態]:死に対する恐怖、脳震盪(軽度)
[装備]:バスタードソード@FF7
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品(0〜2)
[思考・状況]
基本:生存最優先
1:ミルコ・クロコップについて行く
2:とにかく死にたくない…

119 ◆m8iVFhkTec:2012/11/23(金) 23:28:29 ID:1TD2r2ww0
以上です。今回は短めです
修正店などがあればご指摘お願いします

120 ◆m8iVFhkTec:2012/11/24(土) 10:25:42 ID:QEkkNHNg0
位置情報と支給品情報も追加で


【B-1/路地/一日目・深夜】


《支給品紹介》
【キック力増強シューズ@少年漫画(名探偵コナン)】
コナン君がいつも履いてる赤いスニーカー。側面のスイッチを入れるとキック力が高まる
原作ではサッカーボールを蹴り上げ、犯人にぶつけて気絶させたりする等に使われる
VIP では時おり蘭のケツを蹴り上げ、「しんいちーッ」の悲鳴を聞くために使われる

【ロープ@現実】
ごく普通のロープ。数十メートルくらいのが束ねられている
高いところから降りる時や敵を縛り上げる時、首を吊る時などに便利

【工具セット@現実】
ペンチやスパナ、ドライバーなど、様々な工具が入っている
車板では、こだわりの工具について語られている

【バスタードソード@FF&ドラクエ(FF7)】
FF7の主人公クラウド・ストライフの愛用武器
かなり巨大なサイズの大剣だが、クラウドは軽々と振り回している
クラウドさんの私物だと思われる

121ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/11/24(土) 20:21:08 ID:gVHJHdVs0
仮投下乙です
特に問題は無いと思われます

122 ◆6LQfwU/9.M:2012/11/24(土) 21:27:22 ID:gVHJHdVs0
日本鬼子、鬼女、モララー仮投下します

123 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:27:38 ID:gVHJHdVs0
トリップ間違えました…

124 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:28:15 ID:gVHJHdVs0



 あの妙な奴らを襲った後。
 路地裏を少し走って退いた後、物陰に隠れて奴らが追いかけて来てないかを確認してみた。
 だが、奴らは追いかけてこなかった。……正直、有難かった。
 流石に、初っ端からあんなのとやりあっていたら、まず危険な目に遭っていただろう。
 その点では、追いかけられなかったのは幸運だった、かもしれない。
 どちらにしろ、奴らはもう近くにはいないだろう。
 あの中年はどこかへ逃げて行ったし、変な髪形をした奴も、どこかへ行った。
 その後、路地裏を抜け表通りに出た俺は、近くのビルに入る事にした。
 ……近鉄百貨店。確か、そんな名前だった。
 ――――幸い、中を調査する時間は、たっぷりあった。
 中に、何か役に立つ物があるのか。誰か、潜んでいるのか。
 それらを調べる時間は、俺にはたっぷりあった。
 ビル横の駐車場、地下1階の店舗プラス地下駐車場、1階から4階、全ての店舗……。
 時間はある。ゆっくり行こうじゃないか……。
 
 
 
 
 
 
 
 ――――結論から言えば、特に大した収穫は無かった。
 何処にも人は潜んでいなかったし、俺の興味を引く物も、特になかった。
 一応屋上も調べようとは思ったが……扉は施錠されており、いじられた痕跡も無かったので放置しておいた。
 ……これだけの事を調べるのに、1時間近くもかかるとは。
 まあ、いろいろ調べたから、これくらいかかっても仕方無いか。
 そうして、今俺はここ……3階のベンチの1つに、俺は腰かけていた。

125 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:28:35 ID:gVHJHdVs0

「……時間のムダだったからな!」

 ふてくされて、ベンチに寝転がり、ジーッと天井を見つめる。

「……だーれも来やしない……」

 これだけの時間をもてあますくらいなら、何か有意義な事に使えればいいのだが。
 ……いろいろ、考えてみるのもいいな。そう――――さっきの、妙な音についてとか。
 そう、丁度2階辺りを調べてた時だったかな。
 ドサッ、と言った感じの音に、何か、ヘリコプターのような大きな音が聞こえた。
 見つからないように外を伺ってみたら、ヘリコプターが、音を立ててどこかへ向かっていた。
 暗さのせいで、誰が乗っているのか良く分からなかったが。
 結局、特に気にする事もなく、探索を続行したのだった。

「…………」

 喋る事なんて何もない。ここには1人しかしないんだし。
 相手もいないのに、話す事などない。
 わざわざ口に出さずとも、頭の中で考えれば事足りる。

(…………)

 偉そうにそう考えちゃあいるが、別段考えなきゃいけないこともなかった。
 ……はぁ。拍子抜けだなあ。
 そろそろここを出ようかな?






126 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:29:00 ID:gVHJHdVs0




「……随分大きな建物ですね」
「どうやら、近鉄百貨店のようね。……ああ、百貨店って言うのは、まあ、色んな物がある場所ね。
 ……もしかしたら、その物資目当てに誰かがいるかもしれないわね。調べてみましょう」
「はい、分かりました! ……って、あそこにあるのって……」

 鬼子ちゃんの指差す方向を見ると……何かが、月明かりに照らされている。
 それは、地面にべったりと広がって、赤い色をしていて……。
 この真っ赤な液体は、もしかして?

「血……!?」

 思わず、息を呑む。
 急に、寒気と恐ろしさが、私に襲い掛かってくる。
 ……ここで、誰かが襲われたのだろうか?そして……殺されたのだろうか?
 でも、ここに残っているのは、この大量の血の痕だけ。
 ――――遺体は、どこにもない。

「どうして、こんなところに?」
「……私にも、分からないです」

 2人とも、ここに来てからほんの少ししか経っていない。
 そんな状態なのに、分かる訳ない。

「……とりあえず、これは後から調べませんか? 先に、中の方を調べましょう」

 コクリ、と小さく頷いて答える。
 入り口に歩を進めると、小さな音を立てて自動ドアが開く。
 ……中は真っ暗なくせに、こんなところには電気が通ってるんだね。
 ここに電気通すんなら、ついでに中の明かりもつけてくれればいいのに。
 最悪の店ね…………って、今はそんなこと言ってる場合じゃなかった。
 とにかく、店内は真っ暗だった。
 明かりと言えば、ショーケースの中の明かりと、非常口の緑の光くらいのものだ。
 足元くらいは照らせるが、あくまでその程度しか照らせない。
 結局、主な明かりは自分たちの持つランタンくらいだ。

(……無気味なくらい静かね)

127 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:29:27 ID:gVHJHdVs0

 辺りに響くのは、私たちの足音だけ。
 それ以外は……まるっきり静かだ。シーン、と静まり返っている。
 そんな静寂を、鬼子ちゃんの声が打ち破った。

「鬼女さんは、何も持たなくても大丈夫なんですか? 確か、鞄の中に……」
「……大丈夫よ。必要な時に出すわ」
「でも、もし急に襲い掛かられでもしたら……!」
「――――大丈夫。きっと、ね」

 根拠なんてない。
 でも、そう信じていないとやってられない。
 少しでも、後ろ向きに物事を考えてしまうと、それに思考が引きずられそうで、怖くて。
 私、この状況を、まだ現実じゃないと、心の中で、思ってたのかもしれない。
 今まで、誰かに襲われることもなかったし、命の危機に晒された事もなかった。
 そんな状況じゃ、やっぱりぼんやりとした「現実」しか見る事はできない。
 そんな所に、さっきの血の痕だ。それで、私は一気に現実まで引きずられた。
 いや、ようやく目が覚めたと言った方がいいのかな……。

「まあ、何があるか分からないから……一応、持っておくわ。心配してくれてありがとう」
「どういたしまして……」

 道端に鞄を置き、片膝立ちで鞄を開ける。
 そして、中から……細長い円筒状の物体を取り出す。私の鞄を調べた時に見つけた、唯一の武器。
 ――――閃光手榴弾。

(いくら殺傷力がないからって……いざ持って見れば、あまりいい気分じゃないわね……)

 とりあえず、1つポケットに仕舞っておこう……。

「……待たせちゃったわね。さあ、行きましょう」

 探索に戻る……とはいえ、特に変わった事なんてない。
 依然として静かだし、誰かの足音が聞こえてくる訳でもない。

(……この辺りは贈呈品ばかりね。のりだったり、ハムだったり……変わり映えしないものばかりね)

 ふと、ある疑問が浮かぶ。
 ……ひろゆきは、一体どうやって「ここ」を用意したんだろうか?
 こんな建物1つ用意するだけでも、かなりの額のお金が必要だろうに。
 どこから、そんなお金を用意したのだろうか。
 ……と言うか、こんなことをお金だけでできるのだろうか?
 「禁止エリア」なる場所に入ると爆発する首輪。鞄に入っている武器。この街や、建物。
 どれも、ただお金を用意したからと言って、出来る事じゃない。
 技術力、科学力……その他もろもろの力がないと、こんなこと……。
 そもそも、「記憶を消す」って時点でとんでもないじゃない。
 そんな権力を、ひろゆきは持ってるって言うの?
 ……私が思ってる以上に、敵は強大だ。だけど、これくらいで挫ける私じゃない。

128 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:29:38 ID:gVHJHdVs0

(相手が強大であればあるほど、晒し上げた時にダメージが大きい……! 今からワクワクして来ちゃうわ!!)

 ……しかし、それをするためにはまだまだ準備が足りない。今は、もっと仲間を集めないと。
 細かい作戦を立てるのは、仲間を集めてから……。
 そうでないと、ダメだ。

「…………どうか、しましたか?」
「えっ?」
「いえ、随分悩んでいたようなので……」
「あ、ああ……ごめんなさい。少し、考え事……」

 どうやら、顔に出ていたようだ。
 ……いけないいけない。
 こんな所で、熟考は良くない。

「……少し休みましょう。歩き通しで、少し疲れたわ。……鬼子ちゃんは大丈夫?」
「私は大丈夫です」
「そう。体力あるのね……羨ましいわ」

 確かに、鬼子ちゃんの顔には疲労は見られない。
 多分、私の顔は散々な事になってるんだろうな。
 元々、そこまで綺麗って訳でもないけれど。というか、自分を綺麗と言うほど自惚れてはない。
 ……そんなこと、どうでもいい。
 こうやってゆっくり座っているんだから、さっきの続きでも……。



「ふうん、こんな所に人がいたんだ」






129 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:30:01 ID:gVHJHdVs0




「ふうん、こんな所に人がいたんだ」

 壁に寄り掛かりながら喋る。

「さっきはいなかったはずなのに……」

 スッ、と刃を呼びだす。
 2人との間合いは、まだまだ離れている。
 この距離では駄目だ。

「何よ、あの剣……一体、どこから……!」

 片方の女……結構歳食ってるみたいだ。どうでもいいけどね。
 とにかく、そいつは俺のを見て驚いている。
 そりゃそうだ、何も無い所から突然現れれば、誰だって驚くだろうよ。
 ……でも、もう片方の奴……和服の女か。
 そいつは、特に驚いた様子はない。

「鬼女さんは、安全な場所に隠れていて下さい」
「え、でも……」
「大丈夫です、私も後で行きますから」

 ふうん、俺を倒す自信があるのかな。
 あんな剣を軽々と持っているくらいだ、結構な使い手かもね。

「……へえ、一人で戦うつもり?」
「貴方なんて1人で十分です。それに、鬼女さんを危ない目に遭わせる訳にもいかない……っ!」
「その自信……すぐに、へし折ってやるからな!!」

 地面を蹴り、一気に間合いを詰める!
 その勢いのまま、脳天目掛けて刃を振り下ろす!
 …………が、相手も黙って受ける様なバカじゃなかった。
 手に持つ剣で、しっかりと俺の攻撃を受け止めている。

「……一撃で死ななかった事を後悔させてやるからな」
「そちらこそ、こんな殺し合いに乗ってしまったことを後悔させてあげます!」

130 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:30:20 ID:gVHJHdVs0

 お互い一度距離を取り、再度ぶつかり合う。
 ――――辺りに響く金属音。触れあう刃。一瞬も、気が抜けない。
 何度も何度も、不規則な金属音が響く。
 どの斬撃も、有効な一撃を入れるには至らない。
 巧みに防御し、手痛い一撃を食らわないように、攻撃を凌いでいる。
 お互い、一歩も引かない。いや、引いてしまえば、その隙に付けこまれる……!
 ……この勝負、長くは続かないだろうな。あれほどの剣を振るっているんだ、普通ならかなり体力を消耗する。
 しかし、それはこちらも同じ事。早く、決着をつけないとマズい。
 ――――その焦りが、俺の心に一瞬のスキを産んでしまったようだ。
 一瞬力の緩んだ手から、剣が弾き飛ばされる。

「くっ……!」

 吹き飛ばされた剣は回転した後、天井に突き刺さって消えた。
 グズグズしてる暇はない。
 すかさず、もう一度剣を呼びだす。

「……まだ負ける訳にはいかないんだからな!」

 さっきは上から。なら、今度は下から攻める!
 大きく踏みこみ、一気に振り上げる!
 しかし、これもまた防御される。
 さっきと違って、今度は、静かに鍔迫り合い……。

「……」

 ギリギリと、刃同士が擦れあい、音を立てる。
 汗が額から頬を伝い、地面へ落ちて行く。
 いつまでこれが続くだろうか……そう思っていた時だった。
 ――――何かが、こっちに飛んでくる。

「鬼子ちゃん、こっちへ!」

 その声に応えるように、相手は俺の剣を押し返し、一歩引く。
 ――――撤退するつもりか?
 そうはさせない、逃げれば背中ががら空きになるじゃないか!
 ……しかし、追撃は出来なかった。

131 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:30:31 ID:gVHJHdVs0

「――――!!」

 目の前が真っ白になるほどの、眩い光。
 これには流石の俺も、怯むしかない。
 ……視界は真っ白、何も見えない。
 それと同時に、奴らの足音が遠ざかっていく。

(……追いかけようにも、見えないんじゃどうしようもないからな)

 それから少し経って。
 視力が元に戻り、普通に見えるようになったころには、もう奴らはいなかった。
 ……くそっ。
 もう少しやりあっていれば、もしかしたら、殺せたかもしれないってのに。

「……ちぇっ」

 ……足跡も何も残っちゃいない。
 こんな状態じゃ、追いかけられやしない。

(……今度会った時は、ただじゃおかないからな!)

 ビシッ、と誰もいない方向にポーズをとった。
 ……はぁ。前途多難だなぁ。




【B-4・近鉄百貨店1階/1日目・黎明】
【モララー@AA(FLASH「Nightmare City」)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=01】)、ランダム支給品0〜2、モシン・ナガンM28(4/5)@現実
[思考・状況]
基本:優勝狙い
1:今度会ったら、タダじゃおかないからな!
2:殺し合いに乗る、強者はなるべく後回し
【備考】
※出典元により、自在に赤い刃を作り出す能力を持っています
※日本鬼子、鬼女の姿のみ覚えました。

132 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:31:00 ID:gVHJHdVs0




 久しぶりの全力疾走だった。
 いきなり走ったもんだから、心臓はバクバク、息は上がり過ぎてふらつくくらいだ。
 ……やっぱり、体力ないわね、私。

「あ、ありがとうございました。あのままじゃ、私……確実に押し負けてました」
「いいのよ、別に……鬼子ちゃんが助かってよかったわ」

 ブロック塀に手をつき、深呼吸。
 ……うん、少し落ち着いてきた。
 心臓の鼓動も、だんだん落ち着いてくる。
 ――――本当に、助かってよかった。
 もし、あそこで鬼子ちゃんが殺されでもしたら、私……。

「――――ああっ、鬼女さん、涙が……」

 気がつけば、涙がこぼれていた。
 もしかしてうれし涙?鬼子ちゃんの命が、助かったから、つい涙を。
 ……グイッと、掌で涙を拭う。

「行きましょう。もしかしたら、アイツが追いかけてくるかもしれないし」
「そうですね……さっきは鬼女さんのお陰で助かりましたが、今度は……」
「……そうね。さっきは偶然上手く決まったけど、今度は分からない……」

 そう。
 次は、上手く行くか分からない。
 今回は、たまたま上手く行っただけで、今度こんなことがあったら、どうなるか。

(とにかく……今は動くしかない。動いて、協力者を集めなきゃ……)

 闇の中を、手探りで進むような気分で、私たちは歩き出した。

133 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/24(土) 21:31:17 ID:gVHJHdVs0



【B-4・近鉄百貨店付近/1日目・黎明】
【日本鬼子@創作発表】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:グラットンソード@FF11
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ミキプルーンの苗木@ミキプルーンコピペ
[思考・状況]
基本:殺し合いを打破する
1:鬼女さんと協力する
2:とりあえず、ここから離れる

【鬼女@既婚女性】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0〜2、閃光手榴弾@現実×3
[思考・状況]
基本:殺し合いを打破する
1:鬼子を信頼、協力する。……とりあえず、ここから離れないとね
2:殺し合い打倒派の協力者を集める
※自分の本名がわからないため、仮名として『鬼女(おにめ)』と名乗ることにしました


≪支給品紹介≫
【閃光手榴弾@現実】
ピンを抜いてから5秒ほどで爆発し、目が眩むような閃光を出す。
それを利用して敵から逃れることも、相手にスキを作ることも可能。


---
仮投下終了です

134ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/11/24(土) 23:40:52 ID:OiVRwK1UO
仮投下お疲れさまです
特に問題点などはないと思います

135 ◆i7XcZU0oTM:2012/11/25(日) 21:30:02 ID:iXtDNj8w0
投下いたしました。
どうも、ありがとうございました

136 ◆m8iVFhkTec:2012/12/03(月) 08:03:10 ID:DTB9iB7E0
T-72神、ドクオ、801の姐さん、照英、麦茶ばあちゃんを仮投下します

137 ◆m8iVFhkTec:2012/12/03(月) 08:03:59 ID:DTB9iB7E0
(あれは確か、イスラエルがレバノンへ進行してきた時だったか…、我々はその時シリア軍の下で戦っていて…)
「ちなみにさー、ドク君は受けの方が好み?」
「まだ言うかお前!…というか、なんだそのドク君って…」
(愚かなる敵軍のショット戦車たちを次から次へと撃ち抜き、結果奴らは撤退していってだな…)
「えっ、んじゃあ話を変えるよ…。えーっと、どっちかと言うと攻める方が…」
「話変わってねぇじゃねぇか!」

夜の集合住宅街を騒ぎながら歩く、二人と一台の姿があった
一人は不健康そうな色白の肌、ダルさと眠さの両立したような表情の独身ヒキニート、ドクオ
もう一人はルーズな服装にキツめの度が入ったメガネをかけた腐女子、801の姐さん
そして最後の一台は、黒光りする装甲と輝く砲身、カリスマ全開のソビエト軍主力戦車の神、T-72神
この統一感の欠片もない3人組(2人と1台)は、「ひろゆきを粛清する」という崇高な目的を掲げる、勇ましいグループ なのだ!!



……まぁ、俺は正直それほど乗り気じゃないんだがね…

さっきはT-72神の威厳と凄みに押されて力強く賛同したものの、時間が経つにつれて冷めてきた。正直マンドクセー…
一応は表向きではそんな目標で行動するものの、結局はT-72神が一人で引っ張ってる感じだ
姐さんはさっきから俺の臀部に向けて野獣の如き眼光を注いでくる。あきらめてねぇだろコイツ
おかげで俺は警戒態勢を続けざるを得ない。つまり、このグループは全く統制が取れてない
こんなグダグダなグループで大丈夫なのか? いいや、ダメな予感しかしない…

(時に諸君、君たちは既に自身の支給品は確認しておいたか?)

先程から一人で武勇伝を語っていたT-72神が、ふと思いついたように問いかけてきた

「もちろん。ここに来た時点で真っ先に確認したよ」
「あー…俺はまだだ」
「遅いよー。さっさと中身見とかなきゃダメだよ」
「ハァ? おめーが追っかけてこなきゃ、とっくに確認してたわ!!」
(801の姐さんの言う通りだ。いつ襲われるかわからない、故に武器は迅速に確認すべきだ。もっと注意せよ)

クソー、おまいら言いたい放題言いやがって…
不服こそあるが、まぁ確認するに越したことは無い。どうせ正論ですよ
しぶしぶと足を止めてデイバックを開く。俺にも拳銃とかが入っていれば心強いのだが…



…アイスピックとうまい棒が入っていた。ふざけんなチクショウ
百歩譲ってアイスピックはまだ許そう。姐さんの拳銃に比べて圧倒的に心細いが、凶器には成りうる
うまい棒? 何を考えてうまい棒が? しかもめんたい味。こんなん支給するな
他に何か無いのか…? 他に何か…

………無かった

ほかは食料、水、地図、ランタン、PDAしか入っていない
流石に落ち込まざるを得ない。なんでこう俺にはいつも不平等が回ってくるんだ

「ドク君元気だしなよ。ほら、うまい棒にも穴はあるじゃん。ね!」
「うるせぇよなんだその悲しい慰め方は! 拳銃持ってる奴に言われたくねぇ」
(そう気を落とすことはありません。わたしも弾を全部奪われているので丸腰ですよ)
「アンタの場合、キャタピラーで踏んづけるだけで十分やれるじゃねえかぁ!」

ダメだもうやってられん…余計に気分が沈んだ…
せっかくPDAがあるし、もう2ちゃんでも見るとするか…

ドクオはPDAの電源を入れ、インターネットに接続しようとした
だが、801の姐さんは画面を見て横槍を入れてきた

「ちょい待って、今メニュー画面になんか無かった?」
「お前平然と横から画面覗いてんじゃねー!」
「いやだから、あたしの方には無かったアプリがあったんだってば」

言われるがままにメニューに戻ると、『参加者位置探知機能』なるアプリケーションがあった
試しに起動させてみると、中央にマーカーらしきものが3つ置かれた簡易な地図が表示された
名前の通りだとすれば、他の参加者の位置を見ることができる機能なのだろう
おそらく、この3つ分は俺らを表している

「それがメインの支給品なんだよ、きっと。いいのを当てたじゃん〜」
(なるほど…敵が近づいてきたら隠れて様子を伺うことが出来ますね…)

いや、アンタのサイズじゃ隠れられねぇだろ…
内心でそう思いながらも、面倒なのであえて口には出さないでおいた
画面に目を戻して機能を見てみると、画面下の縮尺バーをいじることで範囲を広げられることがわかった
縮尺を半径500メートルに広げたところで、2つのマーカーが目に付いた

138 ◆m8iVFhkTec:2012/12/03(月) 08:04:18 ID:DTB9iB7E0
「おい、さっそく少し離れたところに二人ほどいるようだぞ」
(ほう、でしたら積極的に接触しましょう)

…たった今、様子を伺うって言わなかったっけ? いや、別に構わないけれども…





団地区域の路地を歩く二つの人影が見えてきた
ドクオと801の姐さんは息を潜めて様子を見た
なお、T-72神は少し離れた場所で待機している
曰く(いきなりわたしが行くと、相手を刺激する恐れがある)だそうだ

やがてはっきりと姿が見えてきた
一人は体格のいい男性、もう一人はごく普通のお婆さんと言った感じだ
長年引きニートやってたせいでコミュ力はあまり無いが、どちらも善良そうに見てるし大丈夫だろう…

「ねぇドク君…あれ、照英さんだよね?タレントの」
「何!?…本当だ。まさか芸能人まで巻き込まれてるとは…」
「照英さんって、結婚してたよね?既婚男性だったよね?」
「あぁ、確かな…ってお前何を考えて…」

と言ったところでドクオはゾクリと異様な殺気を感じた
殺気の発生源はもちろん801の姐さんだった
照英とドクオの姿を交互に見ると、目をギラリと光らせた

「喪男オンリーもいいけど、こっちもより『禁断の恋』って感じしない?」
「は…?いや、あの、こっちって何ですかねぇ…はは…まさかお前…」

ドクオの想像通り、801の姐さんの脳内ではカップリングのシナリオが完成していた


【毒男攻め×気団受け】

照英『や、やめるんだドクオ君!僕には妻と二人の子供がいるんだ!あぁっ!』
ドクオ『フッ、口ではそんなこと言っても、体は正直なようだな…』
照英『うあっ、そっ、そこだけは…』
ドクオ『ほらほら、俺のようなヒキニートに襲われる気持ちはどうだ?ん?どうなんだ?』



―――テ ラ モ エ ス !!―――



「ちょっ…てめぇ止め(ry ふげぇっ!?」
801の姐さんはドクオを掴み、ダンッ!と地を蹴って、照英へと飛び掛かった
照英と老婆が気付いて振り替える頃にはもう既に目の前に…!
そのまま、逃げようもがくドクオを照英へとぶん投げた
「うぐっ!?」
「ぐええぇぇ!!」

重なりあう体…まさに、既婚男性と独身男性の衝撃的な出逢い…
今、二人の顔はほんの数センチの距離…それはまるで互いの息遣いすらが聞こえるような…

「さぁ!このまま勢いでガッチュンするのだ!さぁ!」
興奮しながら嬉々として叫ぶ801の姐さん
もちろん男性陣二人は抗議の声をあげる

「ゴルァこの変態女!いきなりなんてことすんだ!!」
「い、いったいなんなんだ君らは!?」
「シチュエーション的に照英さんは受けね!よしドク君攻めるんだ!せーのっ!」

ダメだこいつ…まったく耳に入ってねぇ…
こんなときに暴走しやがって、最悪な接触になっちまった…

今度は飛んできた何かがカツーンと頭に当たった
な、なんだ…?と飛んでくる方を見ると、照英と一緒にいた婆さんが麻雀牌を俺と姐さんに投げつけてきた

「こ…これ! 照英殿から離れるのじゃ!」

痛い。地味に痛い。早く誤解を解かないとこじれる一方だ
そこで、そんなごった返した状況を沈める一喝が響いた


(落ち着きなさい!人の子たちよ!!)

139 ◆m8iVFhkTec:2012/12/03(月) 08:04:41 ID:DTB9iB7E0

\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\


(さぁ、出会い頭に暴走したことを恥じて、彼らに許しを請いなさい)
「はぁい、すみませんでした」
(私の同志が非礼を行い、申し訳ありません)

騒ぎを聞きつけてかけつけたT-72神のおかげで、その場はなんとか収まることができた
流石神だ、頼りになる。こいつになら掘られても…いや、姐さんの前でそんな冗談考えるのは止めよう…

「あっ、僕は別に大丈夫ですよ。悪気があった訳では無いようですし」

照英は親しみのある笑顔で許した。…まぁ、悪気は無くはないとは思うがな…姐さんは…
お婆さんの方は仏頂面しているが…やはりさっきのは心臓にも悪いだろうしな…
一段落着いたところで、T-72神はオホンと咳払いをして話しだした

(本題に入る。照英、そしてご婦人よ。私と共に憎きひろゆきを粛清しに行かないだろうか?
 このようなふざけた殺し合いは破壊しなくてはいけない! 共に戦おうではないか!)

威厳全開で頼もしさに溢れた口調でそう言った
だが照英はT-72神の言葉に即答はせず、少し考えてから口を開いた

「えっと、僕も君たちと一緒に行動したい。…でも、僕にはひろゆきを粛清するのは無理だと思うんだ
 ただのモデルである自分が武器を持って闘うなんて…やっていける自信が無いんだ
 腕力はそれなりにあるけど、兵隊のような訓練はしてないし…何よりも、正直戦うのが怖いんだ…」

ため息をつきながら彼はポツリと自らの心情を明かした
T-72神はそれに対し、丁寧に、慈愛のこもった言葉で返す

(構わない。わたしは戦いを望まない者に、戦いを強制するような事はしない。
 来て下さい。わたしは進んで斥候に立ち、平和を望むもの達のために戦うのだから)
「ありがとう。僕なんかが役に立つかはわからないけど…出来る限り力になりたい
 …あっ、お婆さんの意見を聞いてなかったけど…大丈夫ですか?」
「…異論はない。多くの人で集まっいた方がより安全じゃからな」

照英と婆ちゃんは賛同し、彼らも粛正組の3人と共に行動をすることとなった
T-72神は、まるで同志たちの姿を見回すかのように砲身を動かすと、力強く宣言した

(決まりだ。諸君、改めてよろしく頼む。わたしたちは協力し、この殺し合いを打破して見せるのだ!)


【A-3・B-3との狭間付近の公団住宅街/1日目・黎明】


【T-72神@軍事】
[状態]:損傷無し、燃料満タン、カリスマ全開
[装備]:125ミリ2A46M滑空砲(0/45)、12.7ミリNSVT重機関銃(0/50)
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品(1〜3)
[思考・状況]
基本:人民の敵たるひろゆきを粛清し、殺し合いを粉砕する
1:801の姐さん、ドクオ、照英、麦茶ばあちゃんと共に行動。照英と婆ちゃんは保護の対象
2:弾が欲しい…。

※制限により、主砲の威力と装甲の防御力が通常のT-72と同レベルにまで下がっています。
※制限により、砲弾及び銃弾は没収されました。


【照英@ニュー速VIP】
[状態]:健康、不安
[装備]:金属バット@現実
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、冷蔵庫とスク水@ニュー速VIP、サーフボード@寺生まれのTさん
[思考・状況]
基本:殺し合う気は無い。皆で生きて帰る
1:T-72神達について行く
2:いざ闘うとなると、やっていける自信がない…
3:きっと、誰も死なないで済むんだ……


【麦茶ばあちゃん@ニュー速VIP】
[状態]:健康、不安
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、麻雀牌@現実、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本:殺し合う気なんぞ無い
1:T-72神達について行く。
2:全く、脅かしおって…

140 ◆m8iVFhkTec:2012/12/03(月) 08:04:57 ID:DTB9iB7E0
「…何よりも、正直戦うのが怖いんだ…」


照英が自分たちに打ち明けた弱音…それがドクオの心に突き刺さっていた
………安易に「俺も闘う!」なんて言ってた俺がバカみたいじゃねえか………
照英さんも、婆さんも、さっきまでの俺らみたいなテンションとは全く違っていた
こいつらは「殺し合い」を悲しい事態として真摯に考えて、受け止めてる感じだ
…俺は深く考えることから逃げていた。自分に直面している「死」について考えることを避けていた
照英さんは違う。体格がよく、家族に恵まれた立派な男は、恐怖と向き合って答えを出しているんだ

なんか、人間としての格の違いを見せられた様な気がした
自分は彼に比べて、なんていい加減な人間なんだと痛感した

あぁ…マンドクセー…マンドクセーマンドクセーマンドクセー…
立派な人間を見ると、自分の惨めさが浮き彫りになる気がして、気分が沈む

「ドク君、せっかくいい感じの人が来たのに顔が暗くない? 気分でも悪いの?」
「うるせぇな。ほっておいてくれよ」
「あ、でもなんかその目、レイプ目みたいでそそるね…イイヨイイヨ」

うぜぇ…ホントこいつ人生楽しそうだな…
ドクオはニヤニヤする801の姐さんを冷めた目で一瞥して、ため息をついた


【ドクオ@AA】
[状態]:軽いウツ状態
[装備]:アイスピック@現実
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】、参加者位置探知機能搭載)、うまい棒@現実、
[思考・状況]
基本:死にたくない。童貞と処女は死守する
1:T-72神、801の姐さんたちと行動する。
2:俺なんてどうせ…
3:801の姐さんを警戒。(貞操的な意味で)


【801の姐さん@801】
[状態]:健康
[装備]:グロック17(16/17)
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品(0〜2)
[思考・状況]
基本:生き残って同人誌を描く
1:T-72神、ドクオたちと行動。
2:機会があればドクオにホモセッ○スさせる(ドクオ×照英なんて良さそう)

141 ◆m8iVFhkTec:2012/12/03(月) 08:14:49 ID:DTB9iB7E0
以上です
仮タイトルは「8→0→1 完成でスーパー戦隊のブルーとピンクタイム」
長いかな

修正点、問題点などがあればご指摘お願いします

142ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/12/04(火) 20:30:50 ID:tQtiBz/AC
仮投下乙です
問題ないと思います

143 ◆m8iVFhkTec:2012/12/09(日) 08:26:03 ID:2kPLYxN60
やる夫、エルメェス、原住民を仮投下します

144 ◆m8iVFhkTec:2012/12/09(日) 08:26:22 ID:2kPLYxN60
#aa(){{{
      / ̄ ̄ ̄\
    / _, 、_ \
   /  (●)  (●)  \
   |    (__人__)    |
   \    ` ⌒´    /さっぱりおんにゃのこに会わないお…どうなってるんだお…
}}}

やる夫はトボトボと歩いていた
先ほどの長身の女性を見かけて以降、おんにゃのこどころか人っ子一人見かけなかった
やがて歩いているうちに彼のメタボ気味なボディーを支える足に疲労が溜まってきた

「もう疲れたお…一歩も歩けないお…」

やる夫はだらしなく道端でへたりこむ
水でも飲むかとデイバックを開けようとした、…その時視界にあるものが映った
………ハイヒールだ!
少し先に電灯に照らされている片足のハイヒールを発見した

―――おんにゃのこの予感…!

足の疲れなど即座に吹き飛んだ
彼は立ち上がってハイヒールへ全力疾走、ビーチフラッグの要領で飛び付く
そして、顔の前に構えると鼻で思いきり深呼吸、その魅惑の香りを堪能した
なんともご満悦な表情。非常に見苦しい。親が見たら泣かざるを得ないだろう

「きっと近くに持ち主がいるはずだお!」

ハイヒールを片手に走り出す
まだ見ぬおんにゃのことの出会いを求めて

殺し合いに一人放り出されて恐怖にうち震える女の子
そこへ通りかかったやる夫は荒々しく獣のように襲いかかる…
最初は嫌ぁ嫌ぁと抵抗するものの、やる夫☆テクニックによって徐々に快楽に呑まれ…

妄想は止まらない、心臓は期待と興奮で大きく高鳴っている…!

もう片方のハイヒールを発見!近い、近いぞ!
やる夫は走った。風のように走った
しばらくは特に曲がり角もなく、ひたすら真っ直ぐな道が続いていた
やがて突き当たりの角を曲がった所で、何かにつまずいて転んだ

「うわっ!」

ちょうど倒れた位置は、そのハイヒールの持ち主の胸の上だった
なんとも言えぬ温かく、柔らかな感触…
おんにゃのこに会えたよ、やったねやるちゃん!





さて、ここで問題です
このハイヒールの持ち主の女性はいったい誰でしょうか?
(ヒント:『エルメ』から始まる)

























正解は………エルメスでした!

145 ◆m8iVFhkTec:2012/12/09(日) 08:28:04 ID:2kPLYxN60
「ぐちゃっ…」とした妙に柔らかな感触を感じ、なんだろう?と体を起こして周りを見回した
道路から周囲の外壁にかけて大量の血液がぶちまけられており、強烈な血の臭いが嗅覚を刺激した
肉体は無惨に食い千切られており、臓器の黒やピンク、砕かれた骨の白が血の赤とマッチして毒々しい色合いを見せている
そして、自分がさっきつまずいた原因は、側にゴロンと転がっている彼女の半分潰れた頭部
もはや生前の美しかった時の原型をとどめておらず、それでもなお恐怖に歪んだ表情だけはひと目で伺うことが出来た

#aa(){{{
       ____
   /::::::─三三─\
 /:::::::: (   )三(  )\
 |::::::::::::::::::::(__人__)::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
 |:::::::::::::::::::::: |ililililil|:::::  |
  \:::::::::   |r┬-|  ,/
  ノ::::::::   `ー'´  \
}}}

「ンギャアアアアアアア!!!」

彼の悲鳴は町中にこだました



¶¶¶¶¶¶



「なんだ…?今悲鳴のようなモンが…?
 おい、誰かいるのかーッ!」

エルメェス・コステロの脳内は大混乱していた
普通の混乱ではなく、大混乱

彼女は先刻、グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所の中で目が覚めた
そして突如手に表れたシールの効果に気付き、訳がわからないと言った様子で収容所を出た直後だった
本来ならそこには廊下が広がっているはず…
しかし自分は何故か大部屋にいて、妙な東洋人に『殺し合いをしろ』と言われたのだった

普通ならこんな現象有り得ない…頭でも打って記憶が飛んでるのか…?
1492年、新大陸発見、コロンブス…
#著作権の関係で削除# の誕生日は11月18日…間違いないはずだ…

シール以外にもう一つ、ここへ飛ばされてから自身の身に異変を感じていた
先ほどから髪の中から何かがボロボロと落ちているのだ
と言っても、別に髪の毛が抜け落ちているわけではない
毛の量は一向に減らないし、何より形状が¶と実に奇妙なものになっている

#aa(){{{
    △△△△△△△
  ¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶
¶¶¶¶¶¶¶""""""¶¶¶¶¶¶¶¶""
000◯◯0 _,,,,, ▼,,,≡0◯
¶¶¶¶ ¶ ¶ 〃 _\ /≡≡|¶ ¶
¶¶¶¶ ¶ ¶   〈 (・)》 ((・)〉|¶ ¶
¶¶¶¶ ¶ ¶  "" ̄≡|≡≡|¶ ¶    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
¶¶¶¶ ¶ ¶≡ / ... |||≡≡|¶ ¶   <いったいあたしの身に何が起こっているんだ…?
¶¶¶¶ ¶ ¶ 《    .ヽ 〉 ≡|¶ ¶     \___________________
¶¶¶¶ ¶ ¶  ゛ γ⌒〜≡¶ ¶|
¶¶¶¶ ¶ ¶    ..L_」≡/¶ ¶
 ¶¶¶ ¶ |   .┗━┛ ¶ ¶
 ¶¶¶ ¶ \   ┃≡/ ¶ ¶
 ¶¶ ¶   ̄ ̄ ̄ ̄
}}}

手からはシール、頭からは¶が出てきて、挙げ句バトルロワイヤルだなんて、冷静で居られる訳がない

とにかく、近くで悲鳴が聞こえた
何はともあれ、誰かに会って話をしないといけない
ましてや悲鳴が聞こえるんだ、行くだけの価値はあるだろう
その方角へ向けて、エルメェスは駆け出した
彼女の通った道にはまるでエノキのように大量の¶が生えていた



¶¶¶¶¶¶¶¶¶

146 ◆m8iVFhkTec:2012/12/09(日) 08:28:20 ID:2kPLYxN60
目の前の惨状は完全にトラウマものである
やる夫は目を白黒させながら恐怖にうち震えた
転んだはずみで閉め忘れていたデイバックから何かがカンカララと落ちたようだが、そんなことには気が回らなかった

「は、早くここから離れるお」

とにかく赤黒い光景を視界から追いやりたかった
腰を抜かしており、うまく立ち上がれず、四つん這いで惨状に背を向ける
そのまま立ち去ろうとしたのもつかの間、先ほどの死体の感触を思いだして嘔吐してしまう
オォエーッ…
吐き気を抑えようと深呼吸する。血の臭いがひどいので、なるべくハーハーと口だけで呼吸する
#aa(){{{
__
_/___ヽ
(´・ω・`)
(     )
`u-u'
}}}

ふと、顔を上げると誰かの足が視界に入った
そこにいたのは、なんとも哀愁を漂わせた表情の小柄な少年だった
少年はやる夫の姿とエルメスの亡骸を見て、表情を変えぬまま尋ねた

「これ、君がやったの?」
「ち、違うお!知らないお!」
「でも、君の体は血だらけだし、凶器のチェーンソーも落ちてるし…」
「えっ、チェーンソーって、何の…?」

転んで接触したせいでやる夫の体には血がべったりと付いていた
さらに少年が死体のそばを指差す
恐る恐る振り返ると(なるべく死体をまともに見ないように)デイバックから落ちた支給品チェーンソーが、
ちょうど真っ赤な水溜まりに転がり、刃の箇所を絶妙な具合に染めていた
やる夫は生々しい凶器にぎょっとした。というか今まで確認していなかった。間抜けにもほどがある
少年はやる夫がやたらきょとんとしていることに違和感を覚えたが、まさか支給品を未確認だとは夢にも思わない

「ここまでやる必要は無かったんじゃない?ぐう畜だなぁ…」
「違うお! やる夫はただ通りかかっただけで…」
「じゃあそれまで何をしていたんだい?」
「そりゃあ、死ぬ前にどうせならレイプしようと…」

パニックのあまり、本音を漏らしてしまう。しかもこの表現では誤解は免れない
あわてて口を押さえたが、相手の目は既に完全に疑いから確信へと変わっていた

「そうかそうか、つまり君はそんな奴なんだな」

表情を変えずに淡々と言われたこの言葉には、明らかに軽蔑や侮蔑の感情が込められていた
それはかつて、2chで言われたどんな暴言よりも、深々とやる夫の心に傷を付けた
怖い、怖い、見るな、…そんな目で俺を見ないでくれっ!!

「ウワアアアァァァン!」

やる夫は無理やり立ち上がり、少年にぶつかり突き飛ばして逃走した
#aa(){{{
        ____
      /      \
  o ○ o´  _ノ  ヽ、_ `o ○ o
.。゚   / o゚/⌒)  ((<))゚o\   ゚ 。なんなんだお!みんな怖い人ばっかりだお!
    | 0 / /(__人__)'  0 |    やる夫はただ、死ぬ前におんにゃのことウフフアハハしたいだけなのに!
    \ / /  `― '     /
}}}

被害者面をして、泣きながら路地を走っていった

147 ◆m8iVFhkTec:2012/12/09(日) 08:28:34 ID:2kPLYxN60

¶¶¶¶¶¶¶



「まったく、危険な人もいるもんだ…」

なんでも実況Jの原住民は落ち着きを保ったまま、パッパッと体を払った
さっきの奴にぶつかった時に、べたりと血を付けられた。迷惑だなぁ
原住民は悲惨な死体を見ても、殺人鬼を見ても、一切恐いとは思わなかった
何故なら以前に、もっと恐ろしい光景を見たことがあったから

数年前のなんJ大虐殺…
多くの仲間達が、侵略者たちによって虐殺されてしまった
バットで殴られ、踏み潰され、縛り上げられサンドバッグにされ、ファックされ、火で焼かれ、ロードローラーで引き潰され…
…みんなみんな、いなくなった…

今はやきうを教えてくれたりして、お兄ちゃんたちとも上手くやっているけれど…
…だけど、彼らがやったことは僕は一生忘れない
いつか必ず僕たちの秘密基地を取り返すんだ…

原住民はとりあえずチェーンソーを拾い上げた
これも一応使わせてもらおうかな
積極的に誰かを殺す訳じゃないけど、身を守る武器にはなるし…

その時、ザッと言う音がした。誰か来たのだ
顔を上げるとそこにはラテン系の女性が立っていた

「…これ、お前がやったのか?」

女性は驚愕した表情で訪ねてくる

「違うよ。さっきここにいた変な男がやったんだ」
「嘘だ! だったらお前が手に持ってるソイツはなんだ!?」

そう、今自分は血の付いた服に、チェーンソーを持って死体のそばに立っている「明らかに怪しいヤツ」だった


…あぁ、面倒なことになったなぁ…



【D-1 /1日目・黎明】

【やる夫@ニュー速VIP】
[状態]:中傷、陰部丸出し、血が付着
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0〜2(未確認)、ハイヒール一足@現実
[思考・状況]
基本:性欲のまま行動する
1:おまいら怖いお!
2:おんにゃのこを探す
※やる夫の悲鳴が周囲に響きました
※チェーンソーを落としました


【エルメェス@少年漫画】
[状態]:健康、エルメェス菌散布
[装備]:なし、スタンド『シール』
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本:まずは誰かと接触
1:目の前の少年を問い詰める
※エルメェス菌が髪の毛から散布しています。触れると感染します
※エルメェス菌の感染症状などについては次の書き手の方にお任せします


【原住民@なんでも実況J】
[状態]:健康、血が付着
[装備]:チェーンソー@現実
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本:????
1:誤解を解かないと…なんかダメそうな気がする…
2:やる夫(名前未確認)を警戒

148 ◆m8iVFhkTec:2012/12/09(日) 08:29:04 ID:2kPLYxN60
以上です
問題点、修正点などがあればご指摘お願いします

149ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/12/10(月) 18:08:02 ID:xDoJoCEwC
乙です
特に問題ないかと

150 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/18(火) 20:47:47 ID:2ToxNb.60
夜神月、ダディクール仮投下します

151 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/18(火) 20:48:06 ID:2ToxNb.60



(はぁ……どうして、こんなことに……)

 ……まさか、あんな奴の言いなりにならなければならないなんて。
 屈辱ではあるが、あれ――――A-10神を破壊する術が現時点では何も無い以上、どうしようもなかった。
 あれを破壊しうる力を持つ武器……対戦車砲でもあれば、グダグダ言われる前に破壊していただろう。
 でも、そんな物はなかった。結局、従うしかない。
 こんな物で立ち向かっても、ダディクールみたいに頭を撃たれて死ぬだけだ(こいつは死ななかったが)。
 どっちにしろ、今は……表面上だけ、A-10神に従っておこう。
 そう思い、僕は病院を離れたのだが……。

「工場はこっちの道で合っているのだろうか? 標識も何も出てないが……」
「ええ、そうですね……」

 離れたら離れたで、今度はこいつがついてくる事になった。
 僕の少し前を、テクテクと歩いている奴……ダディクール。
 妙にイラッと来る笑顔と、何とも言えない空気感のおかげで、ただ歩くだけより、余計に疲れる。
 邪魔な奴だ……。全く、どうにかできないものか……。
 ――――待てよ。
 さっきは、たまたま妨害が入ったから上手く行かなかったけれど、今ならいいんじゃないか?
 丁度いい事に、辺りには誰もいない。
 ここならうまく行く……。そう思った時。

「そうだ、ライト君だったか? ちょっと、これを見てくれないか」

 急に振り返り、地図を指差し何やら僕に尋ねて来た。
 ……チッ、もう少しだったのに。
 まあ、当の本人は僕の行動に全く気が点いていないようだったが。

「……どっちがいいと思う?」
「何がです」
「工場に行くと決めたはいいが、工場は2つあるようなんだ。どちらに行こうか迷ってしまってね」

 確かに、地図には工場が2つ載っている。
 ……砂糖工場と、ただ「工場」と記されているだけの工場。
 何故、こんな所に砂糖工場が……。

「……武装を探すのなら、こっちの……E-4の工場に行くべきですね」
「そうか。……だが、こちらの砂糖工場も調べてみないかい」
「どうしてです? 砂糖工場なんか調べても……」
「もしかしたら、役に立つ物があるかもしれないだろう? 地図によれば、砂糖工場の方が近いし。
 念の為に、行ってみようじゃないか」
「…………分かりました。一応、行くだけ行ってみましょう」

152 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/18(火) 20:48:23 ID:2ToxNb.60

 まあ、もしかしたら、この状況を打開出来る何かがあるかもしれない……。
 それを考えると、調べるのも悪くはない。……A-10神を倒すほどの物が、ないとは言い切れないし。
 それに、あまりA-10神の武装になるものを、早く見つけられても、それはそれで困る。
 武装を見つければ、間違い無くダディクールがA-10神に持って行こうとするだろうし。
 ……とにかく、今は行ってみることにするか。









「よいしょ……っと……」

 門を乗り越え、砂糖工場の敷地内に侵入する。
 最初は、門が施錠されていたせいで、何らかの警備システムがあるのではないかと疑っていたが……。
 ダディクールが全く警戒せずに門を乗り越えて、何も無かった事から、特に何かある訳では無いと悟った。
 ……地味に、始めてこいつが役に立った瞬間だった。

「どうした、もう疲れたのかい? 若いのに体力無いんだな」

 悪いが、僕はお前と違って慎重なんだよ。
 考えも無しに突っ込むほど、愚かじゃない。

「さあ行こう。工場内を調べるんだ」

 ……いつからお前が主導権を。
 まあいいさ……今は、従っておこう――――演じるんだ。従順な男を。
 有能なメンバーを、集めるまでは。

「どうした、行かないのかい」
「……今行きますよ」

 そう言って、僕らは工場の入り口へ近づく。
 ……しかし、ダディクールは扉を開けようとしない。何故だ。
 そう思っていると、奴は僕に、何かを期待するような目で見て来た。
 まさか、僕が代わりに開けろって言いたいのか?何で僕がそんなことを。
 こうやって見ただけでは分からないが、もしかしたら……殺し合う気のある奴が、いるかもしれない。
 そのリスクがあるのに、碌に武器もないこの状況で、僕にやれと言いたいのか。
 ……眉間を撃たれても死なないような、お前が行けばいいんじゃないのか?

「…………僕が開けるんですか?」
「そういう訳じゃない。ただ、俺が開けるってのが、ちょっと躊躇われるだけさ」

153 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/18(火) 20:49:04 ID:2ToxNb.60

 それって、結局の所「やりたくない」って事じゃないか……。

「だから、頼むよ」
「……」

 どうしようもないな、こいつは。

「分かりました、僕が開けますよ……」
「助かるよ」

 くそっ……。
 出来る事なら、舌打ちでもしたいくらいの、最悪な気分だ。
 しかし、言ってしまったものはどうしようもない。
 スタンガンを手に、できるだけ警戒してドアノブを捻り、ドアを押し開ける。

「…………」

 ……中はひんやりとした空気で満たされている。
 誰も、いないのか?いや、それはまだ分からない。
 どうやら、ここは倉庫だったようだ。
 コンテナやら何やらが大量に置かれている。

「……誰もいないようです。ダディクールさん、先に行って下さい」
「ああ、分かった」

 何者かに襲い掛かられてもいいように、ダディクールを先に行かせる。
 ……何で、こういうのは普通にやるんだ。
 ただ扉を開けるより、こっちの方が危険なはずだろう。
 ……まあ、こいつならちょっとやそっとじゃ死ななそうだが。
 そうこうしている内に、バタバタとダディクールは中に入っていく。
 少しは警戒しろよ……。

「…………誰もいないな」

 そんなこと分かってる。
 お前みたいにバタバタと入っていけば、そうなるだろう。
 命を狙う誰かがいたなら、その時点で襲われるだろうし。
 とにかく、今の所人はいないようだ。……また、こいつが役に立ったな。
 それでも、一応身構えて倉庫に入る。
 入った後に、後ろ手で扉を閉めて、ついでに施錠しておく。
 建物はこれだけじゃない。他にも入り口はありそうだが、とりあえずはこれでここからの侵入を阻止出来る。
 もちろん、力ずくで壊されてはどうしようも無いが。
 この扉は鉄製のようだし、そう簡単には破られはしないだろうけれど。
 ……A-10神みたいな化け物が来なければの話だが。

「さて、ここからは二手に分かれてここを調べよう」
「えっ、二手に別れる? ……それは、同意しかねますね」

154 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/18(火) 20:49:29 ID:2ToxNb.60

 流石に、これには異を唱える。
 こんな状況で、単独行動なんて出来るはずがない。
 特に、ろくな武器も持たない現段階では。

「どうしてだい。二手に分かれて調べた方が、早く調べられるだろう」
「何でって……こんな状況で、1人で行動するなんて危険すぎるでしょう」
「大丈夫だ。この分だと、ここに人はいなさそうだしな」

 そう言って、グッと親指を立てる。
 こいつのこの自信はどこから沸いてくるんだ。

「そんなこと、まだ分からないじゃないですか」
「…………仕方無いな。そこまで言うなら、一緒に調べよう」
「……」

 これじゃ、まるで僕が駄々をこねてるみたいじゃないか。
 僕は間違ってないって言うのに。
 ……全く、何なんだ、こいつは。

#aa(){{{
    /\___/ヽ
   /''''''   '''''':::::::\
  . |(●),   、(●)、.:| +
  |   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::| 
.   |   `-=ニ=- ' .:::::::| +  <さあ行こう。時間は有効に使いたいからね。
   \  `ニニ´  .:::::/     +
,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、.
:   |  '; \_____ ノ.| ヽ i
    |  \/゙(__)\,|  i |
    >   ヽ. ハ  |   ||
}}}
「……はい」

 ……。
 我慢だ、我慢しろ。
 ――――でも、そろそろどうにかしないとな。

155 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/18(火) 20:50:28 ID:2ToxNb.60


【D-4・砂糖工場・倉庫/一日目・黎明】
【夜神月@AA(DEATH NOTE)】
[状態]:健康、ダディクールにイライラ
[装備]:スタンガン@現実
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、zip画像ファイル@画像も張らずにスレ立てとな
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
1:出来ればダディクールを排除したい……早い内に
2:脱出目的を持つ参加者か、A-10神を倒せる善良な参加者を探す
3:一応、ダディクールと共にA-10神が使える兵器を探す

【ダディクール@AA】
[状態]:眉間に銃痕(絆創膏で処置)、クール
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ランダム支給品0〜2、ファービー@現実
[思考・状況]
基本:クールに行くぜ
1:砂糖工場を探して、A-10神が装備できる兵器を見つける
2:常にクールなダディを貫く
※バカに付ける薬@コピペを消費しました
※何故か生命力が異常に高いです。決して不死身ではありません

---
仮投下終了です
問題点等あれば、ご指摘お願いします

156ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/12/18(火) 21:30:19 ID:iGt5N90c0
仮投下乙です
特に問題ないと思います

157 ◆i7XcZU0oTM:2012/12/19(水) 23:07:51 ID:Q1ncQvuw0
投下いたしました

158 ◆m8iVFhkTec:2012/12/27(木) 12:24:07 ID:YW3ObjZ60
やらない夫、加賀を投下します

159 ◆m8iVFhkTec:2012/12/27(木) 12:26:12 ID:YW3ObjZ60
ぼーっと甲板で横になり、夜空を見上げる
漆黒の空間に星々が強く輝き、月が冷たく照らしている
都会で見えるような、紫がかった空とは大違いだな…

って、俺はなんだ? ポエマー気取りかよ
やらない夫はため息をつく
まぁ…不安な時に限って妙に冷静になるものだし…

やる夫…あいつはどうしてるんだろうな…
まさか気が触れた奴に襲われて、早々にあぼーんなんてことは無いだろうな?
あいつのことだ、こういう事態じゃ、怯えて隠れてるに違いないだろうな、常識的に考えて…

勿論やらない夫はこの時、やる夫がハイヒール片手に妄想しながら走り回ってるとは知る由もない

何度目かのため息を着いたところで、加賀の声が聞こえた

(目的地が見えてきましたよ)
「何っ、もう着くのか?」
(これでも普通よりもだいぶ遅いですよ、3ノット程度ですかね)
「…すまん、そういう単位とか詳しくないからわからないな…」
(1ノットは1時間で1海里進む早さ…1852mですね。わかりやすく言えば3ノットは時速5.5kmくらいです)
「なるほど、把握した。1時間もあれば流石に着くわけだな」
(距離的には1時間かかりませんけどね。方向を変えるのが大変なんですよ、船は)

やらない夫は身を起こして、陸地を眺めた
街頭の白い明かりが水面に反射してキラキラと光っている
だが、建物等の灯りは点いていないようで何が建っているのかはよく見えない
さっさと夜明けが来ないだろうか…こう暗いと物騒で仕方がない

ようやくたどり着く…と思った時だった
ンガガガガガッ!!!と鋭い音が響き、船が大きく揺れた

「な、なんだ…!? 今の…」
(………座礁してしまいました…これでは動けません…)
「マジかよ! どうにかならないのか?」
(私自身の力ではどうにも…あぁ、パラオ港以来ですよ、座礁なんて…)

緊急事態じゃないか…これでは陸地にたどり着けないぞ…
海に飛び降りるとしても、結構な高さだぞこれ…
飛び込みなんてやったことないし、長い間泳ぎなんてしてないし…どうするよ

「この船にボートとか付いてたり…」
(してませんね…空母ですから本来ならば航空機なんかも置かれているんですが…
 完全に空っぽです。スカスカ過ぎて淋しいくらいです)

マズイな…このままじゃ二人共動けねぇぞ…
なにか打開する策はないのか…?ロープか何かあれば…

…そうだ、支給品! 支給品をうまく使えば…

やらない夫はデイバックの中身を思い出す…
薙刀、「ZUNビール」と書かれたビール瓶、プレイステーション3だったかな…

「…ってダメだわ…使えそうなものがない…」
(わたしのデイバックには何か入ってませんかね)
「…探さないとダメだよな…」
(そうですね。船内は閑散としてるので、すぐ見つかるんじゃないでしょうか)

まぁ…な。と思いつつもやらない夫は周囲を見渡してげんなりする
やれやれ、結局このだだっ広い船を探索することになるのか…
全長は200mくらい…階数は未知数…こいつは相当骨が折れるな…

「よし、さっさと探してくる」

そう言ってやらない夫はランニングで船内へと向かっていった

160 ◆m8iVFhkTec:2012/12/27(木) 12:26:38 ID:YW3ObjZ60
#aa(){{{
    ―― [] []
   | l ̄ | |     / ̄ ̄\
   |_| 匚. |   /   _ノ  \
      | |   |    ( ●)(●)
       |_|   |     (__人__)
           |     ` ⌒´ノ
 [] [] ,-,     |         }
   //     ヽ        }
 匚/    / ̄ヽヽ     ノ      ,.r-、
       /           ⌒\  P{三)
      /ヽ/^y       /\  \/\ノ
     (、、J /       /  ヽ /  /
        /      /    \___/
从从    (       /
Σ  ヽ、 __へ     \
Σ  /  ̄   \    \
Σ_ノ \、__ / \    ヽ
            \    〉
            /   /
            /   /
           /  /
           \二フ
}}}

―――30分後…
#aa(){{{

          /  ̄ ̄ ヽ
          /  _ノ:::::::ヽ\
          l  ( ○) (○)l
            l li|il::(__人__)::i
            l :::::u /   /:::::i
           i     `⌒´   }
         /⌒ヽ      ノ
       /      \ ー‐ / `i
    /    , ⌒ヽ ヽ  / /
   r´    /    \ ヽ /
   {    < :       (__ノノ
  .;i  /\ ヽ ;      | |
 ;/ /;  \ i :.    | |
  (_ )   (_ヽ.     | |
}}}

「ハァ…ハァ…見つけてきた…」
(だいぶ時間かかりましたね)
「かかりました…広すぎる…ハァ…」

やらない夫は加賀のデイバックからヒョイと支給品を取り出す
一つはいわゆる手榴弾が3つ程、もう一つは錨を模したペンダントだった

【手榴弾】
 お馴染みの手投げ用の爆弾です。ピンを抜いてぶん投げましょう。
 コンカッションですので、中規模の爆発で攻撃します。
 

【擬人化アンカー】
 人外の物が身につけることで人が他の姿に変身できます。
 変身後は外すことで元の姿に戻ることができます。

「クソッ、爆弾とアクセサリーじゃどうしようもないな…」
(えっ!? いや、そのペンダントで変身ができるんじゃないですか?)
「変身? そんな摩訶不思議なことあるわけないだろ常識的に考えて…」
(やってみなきゃわかりませんよ。大体、わたしが話せること自体常識はずれですし…)

それじゃあ…と、やらない夫は擬人化アンカーを甲板の上に置いた
流石に本当に効果があるわけ無…おや?
置いた瞬間、どこからか煙がモクモクと噴き出したではないか
#aa(){{{

        γ ⌒ ⌒ `ヘ
        イ ""  ⌒  ヾ ヾ
      / (   ⌒    ヽ  )ヽ
      (      、 ,     ヾ )
      ゞ (.    .  ノ. .ノ .ノ
        ゝ、、ゝ   ノ  ノソ
          ゝ、、ゝノ ,, ノ
        _          _
        | ∟,¨ __ └┘/7
        |_厂  | 匚] |  <ノ
}}}

161 ◆m8iVFhkTec:2012/12/27(木) 12:26:54 ID:YW3ObjZ60
やけに拍子抜けする音がして、やらない夫は気がつけば海に放り出されていた
生ぬるい水へバシャンと落ちた。頭がくらくらする
まさか本当に効果があるとは驚きだな…ついでに無事に着水が出来た…だが…

「でも…もう体力がねえよ…」

30分にも及ぶランニングによってやらない夫の体力は限界だ
ここから近くの陸地まで泳ぐのは酷だ…オワタ、ここで溺れ死ぬ…

「大成功ですよ、やらない夫さん。」

加賀の声が聞こえた。先ほどのように脳内に直接ではない、鼓膜を通してはっきりと聞こえる
目の前にいるのは軍服を着た少女だった

「良かったな…だが俺はここまでのようだ…」
「…疲れで投げやりにならないでください。陸まで送りましょう」

そう言うと加賀少女はやらない夫とデイバック二つを背負って泳ぎだした
さすが元が船だけあって、華奢な体に似合わず、その泳ぐ速度は相当なものだった
距離にして100m程度、波打つ海面をものの数分足らずでたどり着いた
テトラポッドを登って海辺へと上がる

「ハァ…ハァ…助かったよ…」
「この程度でくたびれていたら、戦争は生き残れませんよ
 回復したら、次に向かう場所や行動方針などを決めていきますよ」
「わかった…」

やらない夫は息を付きながら地面に倒れこんだ
とりあえず、陸地でも加賀と行動出来ることになったのは心強い事だ
数々の戦争を乗り越えてきた戦艦だし、俺よりもこういう事態には強いはずだ

ふと、うす明るくなってきた空に親友の姿が思い描かれた
…やる夫、お前は大丈夫か? どうにか生き延びていてくれよ…
普段は蹴飛ばしたりしてるが、こういう事態だとやっぱ気になって仕方ないな…

―――ない夫! なんでやる夫を差し置いておにゃのこと行動してるんだお!! ひどいお!

想像上のやる夫が突然怒ってそんなこと言ってきた
知るか。というかそんな呑気なこと言ってる場合か。常識的に考えて…

女…ねぇ…。なんとなく加賀の姿をじっと見てみる
船体のカラーである灰色と赤がモチーフの軍服、細い体にあどけない顔…女学生にしか見えん

「って、そういやお前女性に変身してるが、もともと女だったって事か?」
「さぁ…? 空母ですから正直わかりません」
「…まぁ、そういうものか…」

…ん、なんだこの感情は…
おい待て、俺は一体何を残念がっているんだよ…!?
別に女性じゃなくても関係ないだろ、今の状況でそんなこと考えてる場合じゃ…(ry



【B-5 船着場/1日目・黎明】

【やらない夫@ニュー速VIP】
[状態]:健康、常識的
[装備]:薙刀@現実
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、ZUNビール@現実、PS3@ゲームハード
[思考・状況]
基本:殺し合う気なんてないだろ、常識的に考えて……
1:休憩したら行動方針を決める
2:やる夫が心配

【加賀@軍事】
[状態]:擬人化、健康
[装備]:20cm単射砲(0/1)×10、25mm連装機銃(0/15)×10 擬人化アンカー@安価スレ
[道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、手榴弾(3/3)@軍事
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗る気はないけれど……
1:やらない夫さんが回復したら今後の方針を決める
2:すごい支給品ですね
3:どこかで弾薬を補給できれば……
※制限により、全ての弾薬と12.7cm連装高角砲が没収され、航行速度が低下しています
※他にも制限があるかは不明です
※身長1.6m程の軍服少女へ擬人化しました。装甲がなくなりますが、陸上でも機動可能。


《支給品紹介》
【薙刀@現実】
長い柄の先に刃がついた武器。日本鬼子の得意武器でもある

【ZUNビール@現実】
ニコニコ超会議というイベント時に、ZUNがプロデュースしたビール
原料にみかんが使われているため、香りが爽やか
ビール瓶に入ってるため、勿体無いが鈍器として使用するのもアリ

【PS3@ゲームハード】
レベル男が買い求めた夢のハード。物売るってレベルじゃない
かなりの重量感がある。これで殴ったらシャレにならない

【手榴弾@軍事】
手投げ爆弾。爆発による破片を飛散させるのをフラグ、爆風で直接攻撃するのをコンカッションと呼ぶそうだ
これはコンカッションです。筆者は詳しくないのでこれ以上は語りません

【擬人化アンカー@安価スレ】
いかり(アンカー)を模したペンダントの付いたネックレス。安価とアンカーを掛けたネーミング
身につけることで人の姿になれる画期的な支給品。首から外れると元の姿に戻る

162 ◆m8iVFhkTec:2012/12/27(木) 12:28:09 ID:YW3ObjZ60
以上で仮投下終了です
修正点、ご意見などがありましたらご指摘お願いします

163ちょww和田がNANASHIに!?ww:2012/12/27(木) 20:35:07 ID:Oj43sKvUC
仮投下乙です
問題ないと思います

164ちょww和田がNANASHIに!?ww:2013/01/13(日) 21:50:30 ID:mDpuemQE0
ギコ猫、しぃ、いわっち、クタタンを仮投下いたします

165 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:51:03 ID:mDpuemQE0
しぃはいわっちに抱き抱えられながら夜道を移動していた
夜の風は少し冷たいけど、いわっちの腕の中は暖かくて安心出来る

ふと、しぃの頭の中で疑問が浮かんだ

「いわっちサン、テレビ局ってこっちナノ?」
「いいえ。まずは協力者を探す必要がありますので、寄り道をするところですよ」
「そっか」

しぃはすぐに納得した

横断歩道に差し掛かる。ちょうど信号は青になっていた
車が一台も通らない道路で、淡々と仕事をこなす信号機の姿は何とも虚しいものだ

「寄り道…いい言葉だと思いませんか? わくわくしますよね」

いわっちは呟く
しぃはその言葉について少し考え、すぐに首をかしげる

「うーん…チョットわからない」
「はは。まぁ、しぃさんはお若いですから、そういうものかもしれません
 私にとって、少年時代はだいぶ昔の話なんですよね。だからこそ、あの頃を連想する言葉に魅力を感じてしまうんです」

そう話すいわっちの目は輝いていた
子供の頃に楽しいと感じたこと、それを今でも鮮やかに想像出来る
だからこそ、多くの人を虜にするゲームを作れるのかもしれない

相変わらず暗い空の下、街灯に照らされる街道を歩いていると、ふと目につく看板が見えた

『森林公園』

柵で囲われた敷地沿いの真ん中辺り、柵の無いところ、すなわち入り口

「せっかくです、中に入ってみましょうか」
「ウン」

静まり返った世界に、コツコツとした足音だけが聞こえている





夜の公園には、ひんやりとした空気が漂っていた
昼間の太陽の光をたっぷりと浴びた広葉樹たちは、夜は静かに風になびかれて身を休めている
中央に設置されている噴水は街灯の光を乱反射して白い輝きで瞬いている
舗装された散歩道は幾人もの靴を受け入れた結果、土でまぶされて、周りの自然と一体化しているようだ
その落ち着いた雰囲気は人々の悩みや沈んだ気持ちを受け入れてくれることだろう


「また森林公園に来ちまったのか…俺ってやつは…」

ギコ猫は目の前の光景を見て沈んだ気持ちになった
この光景は二回目である。数時間前に彼が目が覚めた場所、まさにここであった
散々逃げ回ったあげく、道に迷い、ふりだしに戻るとは…そろそろ方向音痴の称号が貰えるかもしれない

不名誉だな…と思いながら、ギコは近くの茂みへ潜り込んだ
開始早々からずっと走りっぱなしだった。いくら俊敏な猫と言えどもそろそろ限界である
肉食動物って基本的に持久力が無いからな。人間と違ってな
今後生き残るためにも、なるべく体力を温存しなくては…



そうしてギコが一息つこうとしたのも束の間、一人の男が歩いてきた
質の良さそうなスーツを見にまとった初老の男
彼は道の端に備え付けられたベンチに腰をかけて一息をついた
偶然にもギコがいる茂みのすぐそば

ギコはイライラした

「(なんでよりによってコイツは…)」

休息しようと思ったらこれだよ、面倒なことになった
どうせこいつも俺を見つけたら、問答無用で襲いかかるに違いない
そろそろいい加減にして欲しい。今はガチで疲れているんだ
とりあえず、見つからないうちにここから離れてしまおう
無視して休んでいて、うっかりクシャミでもしたらアウトだしな

166 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:51:41 ID:mDpuemQE0
男はデイバックから水を取りだして口に含んでいる
全く気付いていないな…、この隙にずらかるしかあるまい

茂み…腰の高さ程の葉がもっさりと生い茂った小さい木、俺はその下に隠れている
地面には音を立てるような落ち葉は無い、そして頭部と胴体を一切触れずに抜け出す隙間有り…これなら無音で行ける!
イライラ棒の如く、慎重に茂みの小枝の間から頭を出す…

―――ガサッ…

バカ。ご自慢の鍵尻尾の存在を忘れていた。葉を掠めて小さな物音を立ててしまった

いや、大丈夫だ、まだ気がついてないようだ。まだ巻き返せる
さすがに、この程度の物音では警戒されることは無かったようだ

尻尾を引っ込め、頭に続いて胴体、そして後ろ足ゆっくりと出す…
これでよし!あとは歩いて離れれば
ギコは勝利(?)を確信し、物音を立てないようにこっそりと茂みから
「ちくわ大明神」
離れようとする
よし、落ち着け…息を潜めて、一歩ずつ進…

「ちくわ…?」

誰だ今の。なんか意味不明な言葉が聞こえ…


…しまったああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


流石に男にも聞かれてしまったようで、即座に反応し立ち上がって身構えた

「…これはこれは…そこに誰か居たようですね…」

ひどい、今のは反則だろ! とりあえず、走って逃げれば…

「おっと、驚かないで結構です。それより少しだけ私の話相手をしませんか?」

どうする…?
ギコ猫は思考する

男は何か野球ボール程度の大きさの球体を取り出して手の中で弄っている
あれは爆弾だろうか…? だとしたら下手に逃げると刺激しかねん…
流石に体力のない状態では『華麗に回避』なんて出来ない気がする
相手が話を持ちかけている間は少なくとも攻撃はしないとは思うが…

まぁ、まだこの男が殺し合いに乗ったやつとは限らないが…
摩呂、お断り野郎、そしてモッピー…俺が出会った参加者はいずれも好戦的なやつだった
すなわちこの男も乗っていてもおかしくない、むしろ乗ってる可能性の方が高いんじゃないか?

「ちくわ大明神」

またしても変な声が聞こえる
全く、いったい誰が言っているんだ?
俺以外には男しかいないようだが…こいつじゃないみたいだ…

目の前のスーツの男は、一口だけ水を口にすると話を始めた

「私たちは突然拐われて、ひろゆきと名乗る男に殺し合いを強いられました
 そして訳がわからないままこの街中に飛ばされた…本当に理不尽な話です」

凛とした口調で語る

「ここに飛ばされた直後、私はまず落ち着くことが大事だと思いました
 まずは支給品を調べて、そして自分はこれからどうするべきか、それを考えました
 行動指針も何も考えずにただ『優勝したい』、『死にたくない』、
 または『脱出したい』、だなんて曖昧な思考では生き残るのは難しいでしょう」
「(うっ…俺のことじゃねえかそれ…)」

予想外に痛いところを突かれ、ギコ猫は苦い顔をした
本能的に生きていたい、それは最も自然な思考であり、思考していないことと同じ
…別にいいじゃないか、とは思うが

167 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:52:21 ID:mDpuemQE0
「我々が、この殺し合いに参加する意義について考えました」

さらに続きを語る

「自分が生き残りたいがため、または自分の『願いを叶える』報酬を得るため…
 そんなくだらないことで唯一無二の大切な命を奪い合うなんて間違っている…
 あなたもそうは思いませんか?」
「ま、まぁな…」

ギコは小声で答える

「私利私欲のために何人も人を殺して、願いを叶えてもらう…バカバカしい事だ
 私たちは協力するべきなのです。ひろゆきから与えられた支給品の力を有効に活用せねばならない」
「…それはつまり、参加者で一致団結して、ひろゆきをぶっ殺そうぜ!ってことか」

   √ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
 / ̄          |
/   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\|
|   / ',. へ 二二,.へ |
|  /  ,.-=\ / =-、 |
| /  、__,,,ノ( 、_, )。、_,|
(6    |l`'ー=ニ=-イ|  |
|     ヾr‐-r‐-、ソ  :|
|       `ニニ´    |
| _\____//
´ ̄\ ̄\ ◇、/ ̄|\

男はそれを聞き、はっはっは、と乾いた声で笑った
水をまた一口飲む。それをデイバックに仕舞い、今度は白っぽい棒のようなものを取り出した

「それはステレオタイプの考え方です。まずはこれを見てくださいよ、私に支給されたちくわを。
 材質、形状、中身、何を取っても完璧にちくわです。…しかし」
「ちくわ大明神」
「言葉を語るんです。なんの変鉄もない食材が、我々の日常に『驚き』と『笑い』というファクターを投げ入れる…
 これはある意味では、エンターテイメントを突き詰めた究極のカタチ、技術の結晶だとは思いませんか?」

ギコ猫はこの時、「何言ってるんだ」と思った
というか、さっきの変な声の正体はそれか
そりゃあ、ちくわに言葉を喋らせる技術はすごいかもしれないが、それが今の話と何の関係があるのか?

すると男は手に持っていたボールを後ろに放り投げた

「そして…」

ポンッ!っと子気味のよい音を立てて球体…もといカプセルが口を開いた


「グオオオオォォォォン!!」


赤い光と共に黒い影が飛び出し、その力強い咆哮が公園の中に響き渡る

「この禍々しい生き物の姿を見てください。最も洗練された、美しい姿だとは思いませんか? でもこれ、実は造られた生き物なんだよね
 ひろゆきにはこんな『力の結晶』と呼べる生き物を作り出し、それをコンパクトに持ち運ぶ技術を持っているのです」

徐々に男の口調に熱がこもっていた
ギコ猫はおそるおそる、茂みの葉と葉の隙間からその生き物の姿を見る

街灯の光をバックに見えるその生き物は、ただの獣ではなく、『悪魔』…そう形容するのがふさわしい姿をしていた
虚無を思わせるような漆黒の体毛は、ソレが日の当たる世界から来たものではないと一目で理解出来るだろう
鼻先から闇空へと真っ直ぐに伸びるツノは血のように赤く、闇に溶け込む体から一際目立っていた
鋭く、鈍く輝くキバと強靭なアゴはまさに『捕食者』と冠するのに恥じないものだった
これを『洗練された美しい姿』だと? おかしい。この男の言ってることはさっきからおかしい…!

「ひろゆきには世界を動かすだけの技術を持っている。そして彼は言った。『我々の願いを叶える』と
 ならば私はその力を使って、世界をより美しいものへ創り上げて見せましょう!
 あなたも私の考えに賛同するのであれば、私にその命を預けなさい!!」
「…それは要は、てめぇの優勝のために死ねと言っているのか!?」

168 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:52:59 ID:mDpuemQE0
ギコは語調を強めて問い返した

「私がやらなくては、誰がやるというのでしょう?この願いは私利私欲ではない
 ゲームを楽しむユーザーたち、SCEを叩く2ちゃんねるの人達、全ての人々をより高みへと進化させるためのものだ!
 これは世界を動かす最も大きな『仕事』、そして『ゲーム』なのです! 私が作りたかったプレイステーションの世界が目の前にあるのです!」

男は―――もといクタタンは、酔いしれたような表情を浮かべてそう叫んだ

逃げられない…!とギコは直感した
あの獣から放たれる威圧感、そして殺意…
その目が俺という獲物を捉えたら最後、確実に逃さないことを予感させた

「ネメア、アイアンヘッド」

クタタンは指先を茂みに向けて、彼の『武器』へと指示を下した
命令に反応し、ネメアは大地を蹴り、そのツノを茂みへと叩き付けた

打撃音が響き、土埃を巻き上げ、植木が宙を舞う













          トv'Z -‐z__ノ!_
        . ,.'ニ.V _,-─ ,==、、く`
      ,. /ァ'┴' ゞ !,.-`ニヽ、トl、:. ,
    rュ. .:{_ '' ヾ 、_カ-‐'¨ ̄フヽ`'|:::  ,.、
    、  ,ェr<`iァ'^´ 〃 lヽ   ミ ∧!::: .´
      ゞ'-''ス. ゛=、、、、 " _/ノf::::  ~
    r_;.   ::Y ''/_, ゝァナ=ニ、 メノ::: ` ;. ←コロちゃん
       _  ::\,!ィ'TV =ー-、_メ::::  r、
       ゙ ::,ィl l. レト,ミ _/L `ヽ:::  ._´
       ;.   :ゞLレ':: \ `ー’,ィァト.::  ,.
       ~ ,.  ,:ュ. `ヽニj/l |/::
          _  .. ,、 :l !レ'::: ,. "

「…人形…?」

ネメアの攻撃で出来た小さなクレーター、そこにあったのは無残にも綿が飛び出し、首が千切れたクマのぬいぐるみ『コロちゃん』
ギコの姿はいなかった
はたして、それが意味するのは…



―――ギコねこに かわって みがわりが こうげきを うけた!
「逝ってよし!!」

ギコ猫はサバイバルナイフを構え、クタタンの首筋へ迫る
キラリと光る両刃のナイフは、その柔い肉を容易く切り裂いた…!

「ぐっ…!!」

だが、間一髪で気付いたクタタンは腕で防御をした
深々と肉をえぐり、彼の右腕から血がほとばしる

「クソッ!」
「ネメア、悪の波動!」

ネメアが咆哮する
禍々しい肉体からブラックライトのような色の『波動』をギコ猫に向けて放つ

ギコ猫は困惑した。彼はこんな攻撃の挙動を、かつて一度も見たことがなかったからだ
例えば、生まれて始めて「自分に飛んでくるボール」を目の当たりにした時、それを反射的に避けることが可能だろうか?
ほとんどの場合それは不可能である。何故ならばどう対処するかを思考する必要があるからだ

かくして、悪の波動はギコ猫に命中する

「グハアッ!!」

衝撃で吹っ飛ばされ、地面に叩き付けられた
腹部の皮膚がただれ、血がにじみ出ている
倒れているギコ猫にクタタンは歩み寄る

169 ◆m8iVFhkTec:2013/01/13(日) 21:53:17 ID:mDpuemQE0
「もっと大人しく協力してくれれば良かったのです」

そう言ってクタタンはギコ猫の頭を鷲掴みにする
ネメアは掴まれたギコ猫を見て、息を荒くしていた
まるで、飼い主から餌を与えられるのを待つ動物のようだった

「は、放せっ…!やめ…ろ…!」
「弱肉強食。君ならそれはよくわかっているでしょ。黒猫君?」

嘘だろ…? …心が絶望に染まり、ギコの意識は遠くへ落ちていった…

そしてクタタンは、ボロボロの黒猫をそのままネメアへと放り投げる














「待ちなさい!!」

公園内に響く第三者の声
ギコ猫を投げようとした腕がピタリと止まった

その声の主を、クタタンはよく知っている
彼と同じ、ゲームを作る同業者であり、最大の競合者…

「おや、これはどうも、いわっちさんじゃないですか。あなたも殺し合いに巻き込まれていたとは…」
「ええ、クタタンさん。本当に奇遇なものです…。それよりまず、その猫を放しなさい」

いわっちの手には街灯の光を反射し、黒光りする大きな銃が握られていた
その銃口はクタタンの方へ向けられている

「その猫はこちらのしぃさんのお友達です。ここであなたに殺させるわけにはいきません
 もし、放さないのであればこの散弾銃の引き金を引かせていただきます」
「わたしはあくまでゲームのルールに乗っ取っているだけです
 あなたにわたしを止める権利はありませんよ?」
「放しなさい」

いわっちは静かに、それでいて突き付けるように言った

今、クタタンの命は握られている状態だ
散弾銃…いくらいわっちが素人といえども、約15mの距離から散開発射される銃弾を外すことはないだろう
ネメアに命令を下す時間もない。いわっちの指示に従わなければ、ヘタをすればここでゲームオーバー
フッ、と鼻で笑い、クタタンはギコ猫を持つ手を緩め、地面に置く

「ネメアをボールに戻してください。そうすればあなたを見逃します」

クタタンは無表情でその指示に従った
散弾銃は向けられたままだ
クタタンは両手を挙げた状態で、いわっちに言った

「…いわっちさん、わたしと手を組む気はありませんか?
 あなたが協力してくれれば、きっと全てうまくいくと思うんですがね」
「お断りします」

いわっちは言い切った

「…どうせ、そう答えると思ってましたよ」

やれやれ、という調子でため息をつくと、クタタンはそのまま立ち去った


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