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仮投下スレ
104
:
◆m8iVFhkTec
:2012/11/10(土) 10:54:41 ID:3DDzZOLo0
「何故です?きっとあなたのお口に合うものを作れると思いますが」
「いいえ、味の話ではありません。この状況に置いて他人の作った料理を軽々しく口にするのが危険だと思ってるからですよ」
「…なんですか?僕が料理に毒でも入れると思ってるんですか?」
「あぁ、申し訳ないが、その可能性も疑うほど慎重に行くのが俺のスタンスなものでね…」
「ふーん………あぁそう」
二人の間に険悪な空気が流れる
キバヤシさんの言い分はもっともだろう
この状況において、よほどの信用の足りない相手に対し慎重になるのは正解と言える
だが、彼の言葉は川越さんのプライドに傷を付けるようなものだった
このままでは仲違いしてしまうかもしれない
僕は話を逸らそうと、キバヤシさんに問いかけた
「…さ、さっき言っていた、資料について詳しく聞かせてくれませんか?」
「ん?あぁ、そうだった…」
キバヤシさんは睨みを効かせている川越さんを気にも止めず、デイバックから真新しいクリアファイルを取り出した
『鮫島事件』と書かれた紙が何枚か入っている
「これは司書室で見つけた資料だ。君は『鮫島事件』について知っているか?」
「一応、2ちゃんねるで有名なネタですからね…。存在しない事件を、みんなしてタブーのように話して、初見の人を釣るって感じの…」
「あぁ、一般的にはそういう認知だろう。だが、その事件の内容についての諸説はおそらく知らないな?」
「いいえ…、内容に触れようとすると『おっと、誰か来たようだ』ですからね…」
「実は、この資料にその諸説が詳しく書かれているんだ。読んでみて欲しい」
まさか鮫島事件に内容が存在しているとは思わなかった
それほど信用があるとは思えないが興味はある
そうして、僕はキバヤシさんから紙を受け取り、開いてみた
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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『鮫島事件』
2000年(平成12年)11月、5人の青年たちが鹿児島県沖鮫島において死亡しているのが発見された事件である
彼らは2000年5月、インターネット掲示板「2ちゃんねる」において知り合い、共に鮫島へ遊びに来ていた
だが、ある時5人とも忽然と行方を晦まし、不審に思った家族の方によって通報された
すぐさま鮫島周辺を調査するも、結局彼ら5人の姿はどこにも発見できなかったという
それから半年が経過した2000年11月、ついに5人のうち4人の白骨死体が発見されたのである
死因は不明。そして最後の一人(公安関係者の身内)の死体だけは見つからなかった
しかし、4人の遺骨がそれぞれの遺族のもとに届けられた翌日、2ちゃんねるにおいてある書き込みがなされた
『俺は今、鮫島にいる』
おそらく最後の一人による書き込みだと思われていたが、当時2ちゃんねるには投稿者のIPを記録するシステムが
実装されておらず、本人による書き込みかどうかを判断することができなかった
そしてそれから数日後、改めて鮫島を調査したところ、新たな遺体が発見された
死体の損傷は非常に激しく、動物により食い荒らされていたが、おそらく最後の一人だと思われる
司法解剖による調査によると、中には人間のものと思われる歯型や、頸部を圧迫したような痕跡が残されていたという
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
}}}
読み終わって、僕は一息をついた
妙にリアリティーのある書き方だが、なんと言うか、普通の猟奇事件とも思える
あれだけ語ってはいけない流れがあるわりには、拍子抜けする内容だと思った
「この事件とバトルロワイヤルが何の関係があるんですか?」
川越さんはそう疑問の声をあげた。それについては僕も感じていた
するとキバヤシさんは真に迫った表情で言う
「まだ気が付かないのか…!?似ているとは思わないのか?この殺し合いと…」
そう言って彼は語りだした
「鮫島事件とバトルロワイヤルの相似点を挙げていこう
まず、どちらも『社会と断絶された空間』で起きている…もちろん、鮫島事件の方は彼ら自身で赴いているという違いがあるが…
次に『一人だけが生き残っている』。おそらく5人で殺し合い、最後に生き残った一人が書き込みをしたのだろう
そして書き込みをしたことによって情報が漏れるのを恐れた誰かに殺された…そう考えられないか?
そして『2ちゃんねるとの関係が深い』。奇遇なことにバトルロワイヤルの主催者は管理人ひろゆきじゃないか…!
―――俺の仮説が正しければ、おそろしい事実が浮かび上がることになる…!それは…」
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