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これを魔女の九九というようです

1名も無きAAのようです:2015/04/28(火) 09:59:57 ID:SOhsxYKs0







汝、会得せよ。









.

218名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 12:51:44 ID:vdSRrPRY0
( 、 *川「…………」

(´・_ゝ・`)「僕はなるべく人に好かれる努力をしてきた。誰のことも傷つけない良い人であろうとした」

( 、 *川「…………」

(´・_ゝ・`)「その結果を、君はよく知っているよね。可愛がっていたつもりの部下に殺された。皮肉なものだね」

( 、 *川「…………」

(´・_ゝ・`)「あんなの優しいとはいえなかったんだ。僕は自分の気にいるように相手に優しく接してきただけだったんだ」

( 、 *川「…………」

(´・_ゝ・`)「その事に気付けたのは、君と出会えたからなんだ」

( 、 *川「…………」

(´・_ゝ・`)「君は、傷つける勇気を持てずに透明であろうとした僕を見つけてくれた。それでも僕は透明で在り続けたけど、君は色んなものを僕に見せてくれた」

( 、 *川「…………」

(´・_ゝ・`)「僕は君が羨ましかったんだ。透明にされてもそれに抗って、自分の目標を貫き通そうとした」

( 、 *川「…………、」

(´・_ゝ・`)「君は、誰よりも特別な存在だよ」

( 、 *川「…………」

219名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 12:52:25 ID:vdSRrPRY0
(´・_ゝ・`)「僕は君に生きていて欲しい。それも本当のことを全部背負って、ね」

( 、 *川「…………」

(´・_ゝ・`)「酷い我儘を言っているのはわかっているんだ。だけどお師匠さんの思想に共感できなかった」

( 、 *川「……、……」

(´・_ゝ・`)「ごめんよ、僕はどうも君のお師匠さんとは相性が悪いみたいで」

( 、 *川「……、  」

(´・_ゝ・`)「……え?」

微かに、唇が動いた。
すぅっと頭の中の霧が晴れて、僕は彼女の頬に手を伸ばした。

(´・_ゝ・`)「ペニサスくん……?」

( 、 *川「…………わたしが、」

(´・_ゝ・`)「うん、」

( 、 *川「…………わたしが、しんだら、あなたもしんじゃうんだよ?」

なのにどうして、こんなことを?
そんな意味を含んでいるような気がした。
僕は少し考えて、こう答えた。

(´・_ゝ・`)「うまく言えないけど、君が僕を求めてくれたから僕も君を求めているんだと思う」

220名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 12:58:45 ID:vdSRrPRY0
( 、 *川「じゃあ、わたし、もうデミタスのこと、みはなすわ」

(´・_ゝ・`)「見放してもいいよ。それで僕が死んでしまっても、君が生きてくれるならそれでいいし、君が死ぬなら僕も死ぬよ」

( 、 *川「…………そんなの、だめよ」

涙交じりの声でそう言った。

( 、 *川「わたしは、死んでもいいけど。でもデミタスは生きなくちゃ」

(´・_ゝ・`)「死んでもいい奴なんているもんか。それに僕には君が必要なんだよ」

( 、 *川「…………、」

(´・_ゝ・`)「もっと色々なものを君と見たい。なにより君の夢が叶うところが見たいんだ」

沈黙が再びあたりを包み込む。
それからどれくらいの時間が経っただろうか。
結構長いことお互い黙っていたような気もするし、そうでもないような気もした。
とにかく、彼女はこう言った。

( 、 *川「……じゃあ、今度からは、使い魔らしくなってくれる?」

(´・_ゝ・`)「たとえば?」

('、`*川「わたしに敬意を払って、様付けにするとか」

緩く瞼が開く。
その目には光が宿っていて。

(´・_ゝ・`)「ペニサスくん……!」

221名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:00:01 ID:vdSRrPRY0
とても嬉しくて、だけどそれを素直に出すのがなんとなく嫌で。

(´・_ゝ・`)「……君に、様付けは似合わないよ」

僕は、唇が緩まないように我慢をした。

('、`*川「使い魔のくせに、わたしに歯向かうの?」

僕の手の甲に、彼女の手が重なる。
ペニサスは笑いながら爪を立てた。

(´・_ゝ・`)「痛いよ、ペニサスくん」

('、`*川「痛くしてるのよ」

そのうち手は振り払われて、ペニサスは仰向けになった。
僕もそれにならって、空を見上げた。

('、`*川「すっごく痛かった」

(´・_ゝ・`)「ごめん」

('、`*川「それに怖かった」

(´・_ゝ・`)「うん」

('、`*川「自分がバラバラになりそうだった」

(´・_ゝ・`)「…………」

222名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:00:53 ID:vdSRrPRY0
('、`*川「それでもずっと名前を呼んでてくれた、そばにいてくれた」

(´・_ゝ・`)「……うん」

('、`*川「一人じゃないって思ったら、心強かった」

日はすっかり暮れていて、空の端に藍色の菫が微かに咲いていた。

('、`*川「そばにいてくれてありがとう」

(´・_ゝ・`)「……僕は何もしてないよ、君が頑張ったんだ」

('、`*川「それでもわたし一人じゃここまで出来なかったもん」

ずいぶん手荒な手段だったけどね、とペニサスは恨めしそうに言った。

('、`*川「……死んでたんだね、わたし」

(´・_ゝ・`)「……そうだね」

('、`*川「自分の体を動かすので精一杯だったのにデミタスも生かそうとしたからスクライングする余裕もなくなっちゃったのね、きっと」

僕の犯人探しが不発に終わったことを思い出したのだろう。
ペニサスはとても悔しそうな顔をした。
僕は少し気まずく思い、話を反らすことにした。

(´・_ゝ・`)「昔、ニュースで見かけたことがあったよ」

('、`*川「ニュース?」

(´・_ゝ・`)「君の事を熱心に探していたんだよ」

223名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:01:50 ID:vdSRrPRY0
誰も君のことを見つけられなかったんだけど、という言葉は飲み込む事にした。

('、`*川「……生きてたら二十七歳かぁ」

しみじみと噛みしめるようにペニサスは呟いた。

('、`*川「ね、二十七歳の女の子ってどんな感じなの?」

(´・_ゝ・`)「どんな感じって言われてもなぁ……」

少し考えて、あまり変わらないよ、と僕は返した。
気の合うもの同士グループを作り、派閥も出来る。
昼休みになると食堂の一角に集まってきゃあきゃあと騒ぐし、大体恋やファッションの流行や嫌いな人の話題で盛り上がる。
そう教えると、

('、`*川「そっか」

と満足そうに呟いた。

('、`*川「師匠、怒ってるかなぁ」

(´・_ゝ・`)「心配はしているかもしれない」

('、`*川「家に帰りたくないね」

(´・_ゝ・`)「今日は帰らなくてもいいだろうよ」

身を起こして僕は鞄を取りに行った。
そしてその中から使い捨てのおしぼりとチョコチップクッキーを取り出した。

224名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:10:40 ID:vdSRrPRY0
(´・_ゝ・`)「食べるかい?」

ビニール袋に入ったそれを見せると、ペニサスは体を起こした。

('、`*川「買ったの?」

差し出したおしぼりで手を拭きながら、ペニサスは問う。
僕は目を合わせずにこう言った。

(´・_ゝ・`)「いや、キッチンに置いてあった瓶からくすねてきた」

('、`*川「酷い人ね、きっとこれデレさんが師匠のために焼いたのよ?」

とは言いながらも、ペニサスはクッキーに手を伸ばした。

ざくざくとした食感、ココアの苦い風味。
荒く刻まれたチョコレートが舌に当たると、緩やかに溶けていった。
それがまた食欲を刺激し、僕たちは黙々とそれらを消費していった。
もう一枚、あと一枚だけ。
なんて思っていたらあっという間に袋は軽くなってしまった。

('、`*川「あ」

(´・_ゝ・`)「あ」

とうとう最後の一枚になり、二人とも思わず声を上げてしまった。

(´・_ゝ・`)「どうぞ」

('、`*川「いいわよ、いっぱい食べたから」

225名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:12:36 ID:vdSRrPRY0
(´・_ゝ・`)「僕だって食べたよ」

('、`*川「でも」

(´・_ゝ・`)「今日一番頑張ったのは君なんだから、君が食べなよ」

ペニサスは少し考えて、それから遠慮がちに袋の中へと手を伸ばした。
そしてクッキーを半分に割り、僕に差し出した。

('、`*川「はい」

(´・_ゝ・`)「……いいのに」

なるべくつっけんどんに言ったつもりだったが、頬が少し緩んでしまった。
それがなんだか情けなくて、僕は慌ててクッキーを口の中に放り込んだ。

(´・_ゝ・`)「こうしてまた、君とお菓子が食べられてよかったよ」

('、`*川「……あっそ」

ペニサスはそっぽを向いてそう言った。
僕はそれを見て、なんとなく微笑ましい気持ちになった。
が、代わりに気になることがあった。

(´・_ゝ・`)「……ペニサスくん」

('、`*川「んー?」

(´・_ゝ・`)「どうして僕たちは死んでも意識を保っていたんだろうね」

ペニサスはちらりと僕を見て、それから向き合った。

226名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:14:54 ID:vdSRrPRY0
('、`*川「人も魔女も、死ぬと『透明な澱』に呑み込まれるの」

(´・_ゝ・`)「とうめいな、よどみ」

透明な澱とは、人間であった頃の姿を忘れた者だけが行く場所なのだという。
人間が老いや病気などで自己と他者の境界線を見失うとそこに行き、何もかもを忘れて透明になるのだという。
そのかわり自己を忘れなければ、つまり未練を残している場合にはその澱に取りこまれることもないのだという。
しかし肉体が滅んで自意識だけが残っても、誰にも見つけてもらえなければいずれ透明な澱へ導かれるのだという。
蘇生されず、そのまま現世に留まり続けた自意識。
これが所謂幽霊なのだと魔女たちの間に伝わっているのだそうだ。

さて、ペニサス曰く魔女には三通りの死があるという。
一つ目は人としての死。
魔女よりも普通の人間として過ごす時間が長い者が迎える死だそうだ。
二つ目は魔女としての死。
これは一つ目の逆パターンだ。
好きなことを追求し続けている魔女は老いることも病気になることもない。
怪我をしても魔法で治せてしまうし、悦楽と刺激を受けている限り彼らに寿命は訪れない。
しかし何事にも終わりはある。
何をしても退屈で仕方がなくなった時、彼らは人生をこう締めくくるのだという。

('、`*川「『時よ止まれ、君は何よりも美しい』、ってね。でもこの呪文って、この世のありとあらゆるものの存在を感じ取っていないと発動しないのよ」

(´・_ゝ・`)「つまり今の君じゃ無理だと」

('、`*川「そうそう。それにこの死を迎えられた魔女なんて、五人にも満たないらしいし」

(´・_ゝ・`)「ふむ……」

('、`*川「ほとんどの魔女が人として生を終えてるんですって」

227名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:16:30 ID:vdSRrPRY0
ペニサスは欠伸を一つして、黙った。
僕はそのまま話の続きを待った。

('、`*川「……三つ目の死は、透明な死」

魔女としての死は、至上の死として語られているらしい。
それを目指して魔法を極め、世界を旅している魔女がいるくらいだという。
しかし自分が何のために魔女になったのか、何故こんな困難に身を置いているのかが分からなくなる者がほとんどなのだという。
人間の自分と魔女の自分。
その境界線を見失い、突如として掻き消えてしまう。
何もこの世に結果を残せず、誰の心にも残らなかった情けない敗者。

('、`*川「それが、透明な死」

(´・_ゝ・`)「……誰もその死を関知しないんだね」

('、`*川「一応魔女の死を目指す者同士で協会を組んで、連絡が取れなくなったら死んでしまったものとして記録するらしいけど」

(´・_ゝ・`)「遠くで誰かが死んでも何とも思わないしなぁ。しかもいつ居なくなったとわかるわけでもないし」

('、`*川「透明になるって、そういうことなんだと思う」

そう考えると、なんて寂しい死なのだろうと僕は悲しくなった。

(´・_ゝ・`)「どうして僕たちは透明にならなかったのだろうね」

('、`*川「わからないわ、でも」

誰かに見つけて欲しかったから、透明にならなかったのかも。
睡魔によってとろけた声で、彼女はそう言った。

228名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:18:23 ID:vdSRrPRY0
(´・_ゝ・`)「……そうかもしれないね」

僕の呟きに、返事は返ってこなかった。
かわりにすうすうと寝息だけが聞こえてきた。
明日はどうなるのだろう。
もしかしたらペニサスがいなくなってるかもしれない。
目覚めたら自分の部屋にいて、全てを忘れて会社に行っているのかもしれない。
そもそも目覚めることもないのかもしれない。
そう考えると心配は尽きなかったが、やがて僕も眠りへと落ちていった。


「…………ヤッアヒータ パッサチーマ フィーラ フィーラ」


何処かで聞いた歌を耳にしながら。

229名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:19:23 ID:vdSRrPRY0
目が覚め他頃にはすっかり日は高くなっていた。
今日は風が強かった。
ぼーっと空を眺めていると、灰色の雲が猛スピードで動いているのがわかった。
今は晴れているが、もしかすると雨が降るのかもしれない。
起き上がり、僕は辺りを見回した。
教会内にペニサスの姿はない。

(´・_ゝ・`)「……ペニサスくん?」

ゆっくりと出入り口へと向かう。
みし、ぎし、と呻く床が僕の不安を煽る。
もしかしたら、僕が寝ている間に連れ去られたのでは。

(´・_ゝ・`)「うわっ」

顔に蜘蛛の巣が引っかかり、僕は手を振るった。
その拍子に、床から伸びていた植物と手がぶつかった。
はて、昨日はこんなにこの草は伸びていただろうか?
少し気にかかったものの、それより先にペニサスがどこにいるのかを知るのが先だった。

ようやく出入り口に辿り着いた。
すると、見覚えのある後ろ姿が自転車のそばに立っていた。

(´・_ゝ・`)「ペニサスくん!」

呼ぶと、彼女は振り向いた。

('、`*川「デミタス」

少し驚いたような表情を浮かべる彼女の右腕は、ショッキングピンクの袋が抱えられていた。

230名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:20:39 ID:vdSRrPRY0
('、`*川「ごめん、着替えようと思ってこれを取りに来たの」

(´・_ゝ・`)「ああ……」

少し脱力しながら僕は答える。
そうだった。
昨日僕がめちゃくちゃに刺したせいで服がとんでもないことになっていたんだった。

(´・_ゝ・`)「悪かったね、そこまで気が回ってなかったよ」

('、`*川「気にしないで」

そう言ってペニサスは中へと戻っていった。

('、`*川「覗かないでよね」

(´・_ゝ・`)「覗くわけないじゃないか」

目の前に広がる光景を見つめながら、僕はそう答えた。
ペニサスは気付いているのだろうか。
今まで草の生い茂っていた場所に、ぼこぼこと穴が開いていることを。
その茶褐色の斑をよく見ると、深海色の泡が微かに残っていた。
その泡によってそこに生えていた草が跡形もなく消失してしまったらしい。
剥き出しになった土を見てそう考えた。
とりあえずあの泡には触れないほうがいいだろう。

「お待たせ」

背後から声をかけられ、僕は振り向いた。

231名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:23:59 ID:vdSRrPRY0
レース付きの白いブラウスに闇色のワンピース。
ふんわりと広がる裾は膝下まで覆っていたが、不思議と軽やかな印象を与えた。

('、`*川「変じゃないかな?」

胸元を編み上げているリボンをいじりながら、ペニサスは問う。

(´・_ゝ・`)「全然」

('、`*川「なら良かった」

ほっとしたようにそう言って、しかしその表情はすぐ真剣なものへと変わった。

('、`*川「連れてってほしいところがあるの」

(´・_ゝ・`)「どこに行きたいんだい?」

('、`*川「わたしの、家」

もしかしたら引っ越してしまっているかもしれない。
違う人が住んでいるのかもしれない。
もし以前と同じように住んでいたとしても、会いに行くことはできない。
しかしそれでも、一目見ることができたなら。

(´・_ゝ・`)「……案内はしっかり頼むよ」

そう言って、僕は自転車を起こしに行った。

232名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:25:06 ID:vdSRrPRY0
ペニサスの家までの道程は非常に順調であった。
返り血の付いた服を着た中年の男が少女を連れていたら職務質問も待った無しだとびくびくしていたのだが、誰にも会わなかったのだ。
それどころか生活音もせず、街はしんと静まり返っていた。
まるで誰かに加護を受けているようだと思う一方で、不気味にもなった。

('、`*川「止まって」

軋む鉄の音を響かせ、自転車を止めた。

('、`*川「この奥なの」

塀と塀の隙間にある道を見つめ、ペニサスはそう言った。

(´・_ゝ・`)「ずいぶん細いな」

人一人がやっと通れる道幅だ。
自転車に乗りながらでも入れなくはないが、いかんせん砂利道である。
転んでしまったらひとたまりもないだろうと踏んで、僕は自転車を降りた。

('、`*川「秘密基地みたいってよく友達に言われたわ。車は近くの駐車場を借りてたわね、そういえば」

思い出話を紡ぎながら、ペニサスは先陣を切って歩く。
相槌をうちながら僕はその後に続いた。

生まれる前は男の子だと思われていたこと。
だから服やベビーバスを水色に揃えられてしまったこと。
生まれてみたら女の子で、お父さんが少し残念がっていたこと。
夜泣きをしないであんまりお母さんの手を煩わせなかったこと。
だけど他の子よりも乳離れや寝返りを打つのが遅くてお母さんがノイローゼになったこと。
歩いて勝手にドアをいじって指を大怪我したこと。
初めて公園に行った時に鯉を捕まえようとして池に落ちたこと。

233名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:26:05 ID:vdSRrPRY0
僕の知らないペニサスが、次々と現れては記憶の片隅へと引き込まれていく。
それがなんだか楽しくて、僕は夢中になって聞いていた。

('、`*川「……着いた」

四方を塀に囲まれながらも開けた場所に出た。
しかし一目見てそこに誰もいないことは明白であった。
かつては白かった壁のペンキは剥がれ落ちていて、雨樋が外れてしまっていた。
サンデッキのガラスは割れ、巨大な蜘蛛の巣が出来上がっている。
窓は厳雨戸が閉められているが、すっかり錆び付いて涙跡のようにも見えた。
とにかく、荒みに荒んでいた。

ペニサスはなにも言わずに、玄関へと向かった。
庇の下には水色のベビーバスが置かれていた。

('、`*川「なつかしー……」

(´・_ゝ・`)「これがさっきの?」

('、`*川「そうそう。わたしが幼稚園の時にメダカ飼いたいってねだって、お父さんが買ってくれたの。そうしたらこのベビーバスを水槽にするって言ってて。それからずーっと育ててね……」

(´・_ゝ・`)「へえ……」

ベビーバスの中には、雨水が溜まり緑藻が覆い尽くしていた。
僕には想像できないが、彼女の目には当時の光景が写っているのだろう。

('、`*川「……引っ越す時に、メダカも捨てちゃったのかな」

寂しげなその声に、僕はなんとも返せなかった。

('、`*川「……中、まだ入れるかな」

234名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:29:48 ID:vdSRrPRY0
ペニサスの視線がベビーバスから玄関へと移ったその時だった。

('、`*川「……あれ?」

いつの間にか扉が開いていたのだ。
中は真っ暗で、いくら覗き込んでもその先を見通すことはできなかった。
冷たいペニサスの手が僕にぶつかった。
探るようなその手つきを捕まえて、僕はしっかりと握りしめた。

怖いのだろう、不安なのだろう。
ペニサスほどではないが、僕もそう感じていた。
だけど僕たちは一人ではなかった。
僕とペニサスは言葉を交わさずに、中へと引き込まれていった。

……歩いてどれくらい経ったのかは定かではないが、やがて飴色の灯が見えてきた。
灯の真下には小さなテーブルがあり、その奥に男が一人佇んでいた。

(//‰ ゚)「…………」

右目以外を包帯で覆い、顔の一部からは虹色の光が溢れて出していた。

(//‰ ゚)「いらっしゃい」

穏やかなその声に、僕は聞き覚えがあった。
姿形は違えども、彼はあのサバトで会った魔女であった。

('、`*川「あなたは……」

(//‰ ゚)「しぃっ。それよりお嬢ちゃん、僕は君に改めて問うことがある」

包帯の隙間から漏れる玻璃の輝きが一層強くなった。
石の魔女は、優しくペニサスに問いかける。

235名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:30:40 ID:vdSRrPRY0
(//‰ ゚)「君は、魔女になりたいかね」

('、`*川「はい」

(//‰ ゚)「険しい道だ。それに自分を見失えば」

('、`*川「透明な澱に囚われる」

(//‰ ゚)「それでも君は、魔女になる道を選ぶのかね」

('、`*川「なりたいです。魔女になって、わたしは師匠と話がしたいんです」

石の魔女は、その言葉を噛みしめるように目を細めた。
そして何処からともなく小さなマッチ箱を二つ取り出した。

(//‰ ゚)「持ってお行き。この先で彼女が待っている」

(´・_ゝ・`)「彼女?」

(//‰ ゚)「行けばわかるさ。そいつが入場券の代わりになる」

「幻影追想劇団 柘榴座」
金の縁取りのついた深紅色で、箱にそう印刷されていた。

('、`*川「デミタス」

(´・_ゝ・`)「ああ、すまないね」

思わず箱に見惚れていた僕を、ペニサスは呆れたように見ていた。

236名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:32:20 ID:vdSRrPRY0
('、`*川「彼女って誰なんでしょうね」

(´・_ゝ・`)「さあ、だけど進めばわかるんだろうよ」

ほんの少し振り返って、僕はそう言った。

じぃじく、じぃじくとノイズがかった飴色の灯。
その下にいたあの魔女は、もう何処かへと去ってしまったようだった。

そのまま暗がりを進んでいくと、赤と緑の混ざりあった絵画が見えてきた。
瑞々しい葉と、赤い彼岸花。
あり得ない光景だ。

(´・_ゝ・`)「……これ、何かおかしくないか?」

('、`*川「そうね。これ、絵じゃなくて緞帳なんだわ」

(´・_ゝ・`)「え?」

ペニサスの指摘で、僕はようやく気が付いた。
ということはこの先にあるのは舞台だ。
いったい何が始まるのだろう。

「いらっしゃい、二人とも」

明るい女の声が、背後から聞こえた。

从 ゚∀从「さあさ、席に座っておくれ。時間は限られているんだ」

躑躅の魔女が二脚の椅子に手を掛けながらそう言った。

237名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:33:12 ID:vdSRrPRY0
さっきまでそんなものはなかったはずだった。
目紛しく変わっていく状況に、僕は車酔いした気分になった。

ペニサスは夢遊病者のような足取りで、椅子に向かった。
僕はその背を追いかけた。

青い布が張られた椅子に座ると同時に、緞帳は静かに開いていった。

舞台の上手には青々とした葉が茂り、その下には真鍮色の四角い石が置かれていた。

('、`*川「あれ、何かしら?」

(´・_ゝ・`)「黄鉄鉱だね。火打石として使われていたと聞いたことがある」

('、`*川「ふーん」

かたり、と石が動く。
それは舞台の始まりを告げるものだった。

かた、かたり、かた、かたり。

立方体は軽い音を立てながら人型へと姿を変えていった。

238名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:34:15 ID:vdSRrPRY0
从 ∀从「むかしむかし、ある所に彼岸花の葉から生まれた王子様がおりました」

(//‰ )「王子様は困っている人がいると放っておけないたちでありました」

(*;∀;)『えーん、えーん』

/ ゚、。 /『どうしたんだい、お嬢さん』

(*;∀;)『ころんでけがをしたの、とってもいたいの』

/ ゚、。 /『それなら僕がその怪我の手当てをしてあげよう。さあ傷を見せてごらん、』

(*;∀;)『えーん、えーん、いたいよう』

/ ゚、。 /『大丈夫、僕がいるよ。さあ血が止まったよ』

(*゚∀゚)『本当だ! ありがとう、王子様!』

从 ∀从「王子様はとっても優しくて、いい人でありました。しかし……」

ミセ*;ー;)リ『えーん、えーん! さみしいよう!」

/ ゚、。 /『……』

(*゚∀゚)『王子様?』

ミセ*;ー;)リ『うえーん、どうして誰もそばにいてくれないの! えーん、えーん!』

/ ゚、。 /『さよなら、僕行かなくちゃ』

(*゚∀゚)『えっ?』

239名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:35:33 ID:vdSRrPRY0
/ ゚、。 /『どうしたんだい、お嬢さん』

ミセ*;ー;)リ『誰もわたしのことを愛してくれないの』

/ ゚、。 /『それはつらかったね。だけど僕が君のことを愛してあげるよ』

(//‰ )「王子様は、あまりにも優しすぎたのです」

(*゚∀゚)『あ、ぁあ……』

ミセ*゚ー゚)リ『ありがとう、王子様! わたしとってもあなたのことが好きよ』

/ ゚、。 /『僕も君のことが大好きだよ』

ミセ*゚ー゚)リ『ずっとそばにいてくれる?』

/ ゚、。 /『そばにいてあげるよ』

(-_-)『ああ、どうして僕の心は満たされないのだろう。こんなに飢えているならいっそ死んでしまいたいよ』

/ ゚、。 /『……』

ミセ*゚ー゚)リ『王子様?』

/ ゚、。 /『さよなら、僕行かなくちゃ』

ミセ*゚ー゚)リ『えっ……?』

从 ∀从「優しい王子様の心は純金ではなく、黄鉄鉱で出来ておりました」

240名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:36:16 ID:vdSRrPRY0
/ ゚、。 /『どうしたんだい、お兄さん』

(-_-)『理由はわからないけど僕はとっても不幸なんです。僕一人いなくなったところでみんな誰も困りはしないし、死んでもいいかなって』

/ ゚、。 /『そんなのダメだよ、僕が君を幸せにしてあげるよ』

(-_-) 『本当に?』

/ ゚、。 /『本当さ、僕には君が必要なんだ』

(//‰ )「彼はどこまでもどこまでも他人に心を許すものですから、彼に優しくされた者はみんなその火花に触れて跡形もなく燃えてしまいました」

(* ∀ )『熱いよう、痛いよう。どうして優しくしてくれたのに、すぐにどこかへ行ってしまうの」

ミセ* ー )リ『身も心も焼き尽くされてしまう、あの人の心はとても危険だわ』

( _ )『こんな事になるなら優しくされなかった方がよかった、最初から裏切られるくらいなら、いっそ……』

从 ∀从「数多の人の心を焼き尽くしながら、王子様は世界中を旅していました」

(//‰ )「彼はこの世からすべての不幸を摘み取ろうとしていたのです」

从 ∀从「ある日、王子様は海底で大きな水槽を見つけました」

(//‰ )「その中はチューリップの花が咲き乱れておりました」

/ ゚、。 /『! 人がいる!』

ξ゚⊿゚)ξ『……あなたはだあれ? お母様以外の人に会うなんて初めてだわ』

241名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:37:10 ID:vdSRrPRY0
从 ∀从「水槽は檻のようでもあり、棺のようでもありました」

/ ゚、。 /『君はここで何をしているんだい?』

ξ゚⊿゚)ξ『お母様から外に出ては行けないと言われているの。外に出たらわたしはわたしでなくなってしまうから』

/ ゚、。 /『そんなことないよ、ここから出ても君は君のままだよ』

ξ゚⊿゚)ξ『いいえ、わたしが水槽から出てしまったら、わたしはお母様でなくなるし、お母様はわたしでなくなるわ』

/ ゚、。 /『君は君のお母さんではないよ。君は他の誰でもない人間なんだ、自由になっていいんだよ』

ξ゚⊿゚)ξ『水槽から出たら、きっとお母様は怒るわ』

/ ゚、。 /『そうしたら僕が君のお母さんを怒るよ。こんな暗くて寂しい場所に、女の子を置いておくだなんてどうかしてるよ。君は外に出たくないのかい?』

ξ゚⊿゚)ξ『……出たいわ、だけど外に行くのは怖いの』

/ ゚、。 /『じゃあ僕が守ってあげるよ』

(//‰ )「そう言って、王子様は水槽を壊しました」

/ ゚、。 /『さあ行こう、君はもう何処にでも行けるんだ』

ξ゚⊿゚)ξ『ありがとう、王子様。お礼にわたしはあなたに付いていきますわ』

从 ∀从「チューリップの娘は、どこまでも王子様について行きました」

(//‰ )「王子様が誰を愛そうとも、好こうとも、時間を重ねようとも、チューリップの娘は尽くし続けました」

从 ∀从「王子様の心に踏み込み火花を浴びようとも、彼女の心が焼け焦げることはありませんでした」

242名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:38:13 ID:vdSRrPRY0
(//‰ )「なぜなら彼女の心は今まで深い海に囚われ続けていたせいで、すっかり凍ってしまっていたのでした」

ξ゚⊿゚)ξ『大好きよ、王子様』

/ ゚、。 /『僕も君のことは好きだけども、ずっと僕なんかのそばに居なくたっていいんだよ』

ξ゚⊿゚)ξ『報われなくてもいいの、ただわたしはあなたに幸せでいてほしいの』

/ ゚、。 /『……』

ξ゚⊿゚)ξ『だからわたしは、あなたがわたしの元から去っても浅ましく求めたりしないわ。わたしはあなたが焼き尽くしてしまった人たちとは違うんだもの』

/ ゚、。 /『僕も君に幸せでいてほしいけど、君はどうやったら幸せになるんだい?』

ξ゚⊿゚)ξ『あなたの幸せがわたしの幸せよ。だからわたしもあなたのように少しずつ、この世から不幸を摘み取ろうと思います』

/ ゚、。 /『……』

ξ゚⊿゚)ξ『そうすれば、王子様は幸せになれるのでしょう?』

/ ゚、。 /『……そうだよ。君は、優しいんだね』

ξ゚⊿゚)ξ『王子様が優しくしてくれたから、わたしも優しくなれたんです』

从 ∀从「こうしてチューリップの娘は、王子様の幸せを願って自らも世界を飛び回ることになりました」

243名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:39:05 ID:vdSRrPRY0
(//‰ )「さてそれから数十年の月日が流れました」

从 ∀从「王子様は、とある山へと向かっていました」

/ ゚、。 /『声が聞こえたのはこの辺りだな』

(//‰ )「狂ったように猛り咲く彼岸花を眺めて言いました」

/ ゚、。 /『僕を呼んだのは、君かな?』

lw´ _ ノv『はい。わたしはここで嬲られ生きたまま焼かれて死にました。とても苦しくて怖くて寂しくて、だけど誰にも見つけてもらえなくて』

/ ゚、。 /『つらかったね、かわいそうに……』

lw´ _ ノv『もっとずっと生きていたかった……、ここから出たいんです……』

/ ゚、。 /『今助けてあげるよ。さあ、手を伸ばして』

从 ∀从「王子様は彼岸花の少女の手を取りました」

/ ゚、。 /『さあおいで、君を幸せにしてあげよう』

(//‰ )「山を下り、王子様は自分のお城へと連れて帰りました」

/ ゚、。 /『ご両親を探して、君を家に帰さなきゃね。でもその前にお茶を淹れてあげよう』

从 ∀从「そう言って王子様はコンロの火をつけました」

(//‰ )「ヂヂヂ、と青い炎が灯りました」

244名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:40:46 ID:vdSRrPRY0
lw´‐ _‐ノv『……いや』

/ ゚、。 /『え?』

lw´‐ _‐ノv『やめて、ひどいことしないで』

/ ゚、。 /『お嬢さん?』

lw´ _ ノv『もう痛いのはいや! いやー!!!!!』

从 ∀从「彼岸花の娘には、この世に存在する全てのものが凶器に見えてしまいました」

(//‰ )「何もかもが恐ろしい悪意を孕み、自分を殺そうとしているように思えたのです」

/ ゚、。 /『大丈夫、大丈夫だよ。僕はお茶を沸かそうとしただけなんだ』

lw´ _ ノv『あ、ぁ……。ご、ごめんなさい……』

/ ゚、。 /『謝らなくていいんだよ。それよりとっても辛そうだね』

lw´‐ _‐ノv『辛いけど、大丈夫です……』

/ ゚、。 /『大丈夫なんかじゃないよ、辛いなら今までのことを忘れてしまった方がいいと思うんだ』

lw´‐ _‐ノv『忘れる……?』

/ ゚、。 /『そう、忘れるんだ。そしてまた新しく生きればいい』

lw´‐ _‐ノv『……たしかに辛いです、何もかも怖いです。だけどわたしは両親や友達の事も、辛かった事も忘れたくないです』

/ ゚、。 /『どうして?』

lw´‐ _‐ノv『忘れてしまったら、今までの自分の全てを捨ててしまうことになるじゃないですか』

/ ゚、。 /『……』

245名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:41:58 ID:vdSRrPRY0
lw´‐ _‐ノv『だから、ご迷惑を掛けてしまうかもしれませんが、わたしは全てを受け入れて生きたいんです』

/ ゚、。 /『……そうか』

从 ∀从「けれども優しい王子様は、彼岸花の娘の記憶を全部封じてしまいました」

(//‰ )「王子様には、そのほうが彼女のためになるのだと思ったからでした」

从 ∀从「自分が死んだことも忘れた彼岸花の娘は、ただ毎日王子様の帰りを待つこととなりました」

(//‰ )「王子様のいない間、お城の手入れをするのが彼女の役目となったのです」

从 ∀从「しかし日に日に自分の役割に疑問を持つようになりました」

lw´‐ _‐ノv『ただ待っているだけではなく、王子様のためにもっと役に立つようなことは出来ないのだろうか』

(//‰ )「心の底から王子様を信用していたからこそ、そういった欲が出てきたのです」

从 ∀从「しかし王子様はそれを認めてくれませんでした」

/ ゚、。 /『君はここにいてくれるだけでいいんだよ』

lw´‐ _‐ノv『だけどわたし、王子様に恩返しをしたいんです』

/ ゚、。 /『そんなこと、しなくていいんだ!』

lw´ _ ノv『っ……!』

/ ゚、。 /『どうしてそんなことを言うんだい。君は、ただ生きているだけでいいのに』

lw´ _ ノv『……ご迷惑、なんでしょうか。わたしがいること自体』

246名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:43:30 ID:vdSRrPRY0
/ ゚、。 /『違う。ここにいていいんだよ』

lw´ _ ノv『…………』

/ ゚、。 /『すまない、大きな声なんか出して……。だけど、僕はここに君がいるだけでいいんだ。いてほしいんだ』

(//‰ )「それが僕の望みなんだ」

从 ∀从「王子様はそう言って、彼岸花の娘をお城に捕え続けようとしました」

(//‰ )「しかし彼岸花の娘は、お城からこっそりと抜け出すことがしばしばありました」

从 ∀从「いつまでも王子様に守られてばかりなんて、そんなのは嫌だったのです」

(//‰ )「そして彼女は樅の木棺に囚われた男を見つけ、」






––––その時、泡の爆ぜる音がした。







.

247名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:45:33 ID:vdSRrPRY0
「楽しそうな劇ね」

「ちょいとばかし脚色が強すぎるけどな」

一気に意識が現実へ引き戻された。
舞台上の役者たちは動きを止め、間もなく石や花束に変わってしまった。
舞台袖から二人の魔女が飛び出した。

从; ゚∀从「クソッタレが……!」

押し寄せる泡の波に向かって、躑躅の魔女は無数の蔓を伸ばした。
しかしその波に触れた途端、その蔓は跡形もなくどろりと溶け去った。

(//‰ ゚)「駄目だ、あいつらの力が強すぎる」

泡に飲み込まれながらも放たれたその言葉に、躑躅の魔女は歯がゆそうな顔をした。

从; ゚∀从「ほんとロクなことしねえなあの魔女どもは!」

その声を最後に、彼女も泡へと溶けていった。

('、`*川「デミタス」

僕の腕を掴み、ペニサスはこう言った。

('、`*川「師匠と話す時が来たのね、きっと」

泡が、僕らを溶かしていく。

(´・_ゝ・`)「なんと言われようが、僕は君の味方をするよ」

248名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:46:34 ID:vdSRrPRY0
足の感覚が失せていく。
立つことがままならなくなり、僕は崩れ落ちた。

('、`*川「当たり前でしょう、だってあなたはわたしの」

使い魔なんだから。
同時に呟いたその言葉に、僕とペニサスは笑った。






腕が、千切れて



意識が、霧散し



僕たちは、千々になった。


.

249名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:47:50 ID:vdSRrPRY0








かく魔女は説く、かくて成さん 了








.

250名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:48:55 ID:vdSRrPRY0
幻影追想劇団「柘榴座」キャスト

彼岸花の葉から生まれた王子様役
/ ゚、。 / 黄鉄鉱

水槽に囚われた娘役
ξ゚⊿゚)ξ 色とりどりのチューリップ

生き返った娘役
lw´‐ _‐ノv 真っ赤な彼岸花

焼かれた人々
(*゚∀゚) タンポボ
ミセ*゚ー゚)リ 蛍石
(-_-) ホトケノザ

樅の木棺に囚われた男
??? 樅の木の枝

資料提供、美術、語り、演出、脚本、監督
躑躅の魔女と石の魔女

251名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:50:22 ID:vdSRrPRY0
登場人物紹介

(´・_ゝ・`) 盛岡デミタス
棺を出た人

('、`*川 伊藤ペニサス
花は葉を惟ひ

从 ゚∀从 躑躅の魔女
努力家

(//‰ ゚) 石の魔女
金剛石

ζ(゚ー゚*ζ デレ
赤、白、黄色

(´・ω・`) ショボン
葉は花を惟ふ

チョコチップクッキー
ショボン見捨てられないかどうかが気になって眠れなくなったデレが手慰みに作ったもの。買い物から帰ってきたらこれをショボンにあげてもう一度謝ろうとしていた

252名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 13:55:08 ID:vdSRrPRY0
>>208
支援絵ありがとうございます!
とっても素敵でうれしい限りです
あとマシュマロコーヒーの再現度にびっくりです



ちなみに次回で最終話となります

253名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 14:07:13 ID:0TC/EBzk0
とうとう最終回か…楽しみだなぁ
乙乙!

254名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 15:03:25 ID:8KkXbXXQ0
乙乙!

255名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 15:39:48 ID:MaDgrEuk0
乙!次回最終回か…
寂しくなるけど楽しみだ

256名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 16:25:28 ID:WtwDyqIo0
乙!!
最終回がとても楽しみ

257名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 16:27:22 ID:17Un0xh.0
おつ
次回で終わりかー
楽しみだ!!

258名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 16:39:51 ID:xxWDtkzQ0
おつおつ
楽しみにしてるよ

259名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 20:41:39 ID:hruGl9GI0

文章がきれい

260名も無きAAのようです:2015/06/20(土) 20:54:40 ID:5L/nIEkQ0
次で最終回か…
こんぐらいコンパクトなのもいいなぁ…


261名も無きAAのようです:2015/06/21(日) 17:57:56 ID:cH6EMdY60
乙乙!
毎話出てくる食べ物に胃袋刺激されまくりだ
最終話楽しみにしてます

262名も無きAAのようです:2015/06/21(日) 21:57:18 ID:juiasaS20
ディエスイレと彼岸花(或いはみとり曲)を扱うそのセンス、グッドだね
「幻影追想劇団」って名前もすごい好きだわ
話の着地点が見えないけどどうやって決着つけるか楽しみ

263名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:12:49 ID:Um.BtjGM0






すなわち九は一にして、十は無なり






.

264名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:13:26 ID:0rEC8Y0I0
ktkr

265名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:14:26 ID:Um.BtjGM0
ピッ……、ピッ……、ピッ……、ピッ……。
と、電子音が、聞こえる。
一定の、間隔だ。
早くもなく、遅くもなく、狂うこともない。
非常に落ち着く音。
心地よくて、眠ってしまいそうだ。
だけどどこか、懐かしい、この音は……。

「デミタス」

……?

「デミタス、デミタス」

名前だ。
僕の名前だ。
たくさんの人が、僕を呼んでいた。

「デミタス、起きて」

「いつまで寝ているんだ、デミタス」

「起きてくださいよ、デミタス先輩!」

「デミタス!」

「デミタスくん」

「はやく、おきて、デミタスさん」

はいはい、起きますよ、と僕は言おうとした。

(´・_ゝ・`)「…………ぅ、」

266名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:16:03 ID:J.4lYJko0
来た! 支援

267名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:29:51 ID:Um.BtjGM0
しかし掠れた呻き声が飛び出すだけで、一向に喋ることは出来なかった。
仕方がないので、重い瞼を開くことにした。
こちらもなかなかに難航した。
いくら開けようとしても細かく痙攣するだけで、なかなか動かなかったのだ。
それでも続けていると、ようやくそれは動いた。
目がしばしばと痛む。
泣きすぎたり、プールの中で目を開けてしまった時のような痛みだ。
自然と涙が溢れて、僕は目を瞬かせた。

|゚ノ ^∀^)「! あなた! デミタスが……!」

( ´ー`)「! デミタス!」

(´・_ゝ・`)「……かあさん、とうさん?」

驚いたような表情で覗き込む二人を見て、僕はようやく言葉を発した。

( ´ー`)「先生を呼んでくる!」

父は嬉しそうにそう言って、部屋から飛び出していった。

|゚ノ ^∀^)「ああ、神様……。息子を助けていただいて本当にありがとうございます……!」

ベッドに倒れ伏した母は、涙声でそう言った。
僕は状況が飲み込めず、あたりを見渡した。

緑色の人工呼吸器。
青色の患者衣。
一定の間隔で鳴り続ける心電図。
てんてんと雫を落とす点滴。
体のあちこちから伸びるコード。
人情味のない真っ白な部屋。

268名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:31:07 ID:Um.BtjGM0
(´・_ゝ・`)「……病院?」

思わず漏らした言葉に、母が顔を上げた。

|゚ノ ^∀^)「あなた、車に轢かれたのよ。それで一ヶ月もずっと意識がなくて……」

(´・_ゝ・`)「一ヶ月……」

ばたばたと廊下から騒がしい音が聞こえてきた。

( ´ー`)「先生、こっちです」

父親に連れて来られた小柄な医師が、僕の顔を覗き込む。

(-@∀@)「ご気分はどうですか?」

(´・_ゝ・`)「悪くはないです、ただ少しぼーっとしていて」

(-@∀@)「今までずっと眠られていましたからね」

(´・_ゝ・`)「……なにかを忘れている気がするんです」

(-@∀@)「……なにかですか」

(´・_ゝ・`)「ずっと夢を見ていた気がして」

と、口に出して気付く。

269名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:32:05 ID:Um.BtjGM0
僕は、とある少女といたはずだった。
非日常的で受け入れがたい出来事が次々に起きていた。
だけどそれは確かにあった出来事なのだと僕は確信していた。
病院にいるというこの状況こそが夢であるような気がしてならなかった。

|゚ノ ^∀^)「デミタスは、大丈夫なんでしょうか……」

(-@∀@)「少々混乱しているのかもしれませんね。昏睡されていても夢を見ることはありますから」

夢。
夢、だったんだろうか。

(,,゚Д゚)「!! せ、先輩!!!」

廊下からひょこっと顔をのぞかせた男が素っ頓狂な声をあげた。

(,,゚Д゚)「先輩! 意識が戻ったんすね!!」

(-@∀@)「君、病院のなかでは静かに」

(,,゚Д゚)「す、すいません……」

(´・_ゝ・`)「ギコくん……?」

(,,゚Д゚)「なんでちょっと疑問系なんすか」

(´・_ゝ・`)「いや……、ちょっと意外な気がして」

270名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:35:19 ID:Um.BtjGM0
|゚ノ ^∀^)「ギコさんは仕事の合間を縫ってよくお見舞いに来てくれたのよ」

(´・_ゝ・`)「……そうなのか?」

(,,゚Д゚)「そうっすよ。心配で仕方なかったんすよ……」

(´・_ゝ・`)「そうか……。それは、ありがとう」

照れくさくなり、僕は頰に手を当てたくなった。
が、繋がっている管やらコードやらが邪魔で実現しなかった。
まるで拘束具のようだ。
ぼんやりとそんなことを思った。

(,,゚Д゚)「いやぁーよかったっす。先輩がいなくてみんな寂しがってるんですよ、早く元気になってくださいよ」

(´・_ゝ・`)「ははは……」

思わず視線を下に逸らす。
僕は、そんなに皆から必要とされている人間だったのか。

……本当に、そうだったのだろうか?

僕は忘れている。

|゚ノ ^∀^)「デミタス?」

なにを忘れている?

( ´ー`)「デミタス」

271名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:36:04 ID:Um.BtjGM0
僕は、僕は……。

(-@∀@)「盛岡さん」

(´・_ゝ・`)「僕は……!」

(,,゚Д゚)「先輩?」

ギコの言葉で僕は確信した。

(´・_ゝ・`)「違う、君はギコくんじゃない」

(,,゚Д゚)「……なーに言ってんすか、先輩!」

( ´ー`)「失礼なこと言うんじゃないよ、デミタス」

(-@∀@)「まあまあ皆さん、落ち着いてください。きっと彼は疲れて……」

(´・_ゝ・`)「君が入社した時、僕は部長に昇進したばかりだった」

病室に沈黙が訪れる。
父も母も医者もギコも皆僕を見つめた。
無機質な、黒い穴のような瞳で。

(´・_ゝ・`)「ギコくんは最初から、僕を先輩とは呼ばなかった」

それきり、誰一人として動くことはなかった。
僕は人工呼吸器を外した。
その次に点滴の針を取ると、もぞりと肉が動いてその穴がふさがった。

272名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:37:20 ID:Um.BtjGM0
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。

コードを体から毟っても、心電図は狂ったように一定のリズムを奏でた。
何もかもが嘘で出来ていた。
そのまま騙されていた方が幸せだったのかもしれない。
だけどあまりにも都合が良すぎるし、何よりあの子を探さなくてはいけなかった。
いつの間にか手の中に収まっていたマッチ箱を握りしめ、僕は病室を飛び出した。
一歩、また一歩と進むうちに殺伐とした白が色褪せていった。
患者衣はいつの間にか返り血のついたシャツへ変わっていた。
それでいい。

(´・_ゝ・`)「僕は特別なんかじゃない」

万人から好かれるような大した人間じゃない。
そんなものは望んでいない。
僕は、僕が愛するものに愛されていればそれで満足なのだ。

(´・_ゝ・`)「!」

足ががくりと抜ける。
ゆっくりと左足を伸ばす。
形はないが、階段があるらしい。
僕は少しずつその階段を下りていった。
どこへ行き着くのだろう。
全く想像ができない。
上るのであれば処刑台や屋上といったイメージが出てくるのだが。
下りるというのは、よくわからない。
ただとにかく僕は進むこととあの子の事だけを考える事にした。
名前が思い出せない、魔女の事を。

273名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:38:14 ID:Um.BtjGM0
無限回廊ならぬ無限階段の終わりはなかなか見えない。
息が切れる。
座り込みそうになったが流石にそれはやめた。
少しだけだ、少しだけ休もう。
膝に手をあてて息を整える。
あとどれ程歩けばあの子に会えるのだろう。
会えばあの子の名前を思い出せるのだろうか。
そもそもあの子は僕のことを覚えているのだろうか。
僕のように、忘れてしまっているとしたら。

「デミタス」

声が、後ろから聞こえる。
振り向くと一段上に両親とギコが立っていた。

( ´ー`)「どこに行こうとしているんだい」

(´・_ゝ・`)「会わなきゃいけない人がいるんです」

(,,゚Д゚)「会ってどうするんすか?」

(´・_ゝ・`)「会ってあの子の夢を叶えるんだ」

|゚ノ ^∀^)「その子なら大丈夫、デミタスがほっといても夢を叶えるわよ」

(´・_ゝ・`)「叶うところを見届けなきゃ意味がないんだ!」

叫んだその瞬間、一陣の風が吹いた。
思わず体勢が崩れる。
その拍子に、手からマッチ箱が落ちた。

274名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:39:24 ID:Um.BtjGM0
(´・_ゝ・`)「あっ……!」

小さな箱はこてんと弾み、階段の横へ落ちていった。
みるみるうちにそれは下へと消えていく。
僕はそのあとを追って階段から飛び降りた。

「デミタス!!」

遥か遠くから、悲鳴が聞こえた。
後先考えずにこんな事をしたが、死にはしないだろう。
こんなにも死にたくないと願っているのだから。

(´・_ゝ・`)「くっ……!」

手を伸ばす。
マッチ箱の端に指先が届く。
ほんの少し中の箱がずれ、中身がこぼれた。
その中に入っていたのは、黄鉄鉱の細石であった。
立方体、八面体、十二面体。
大小様々な形のそれが互いにぶつかり合い、火花を散らした。
瞬間、世界が焼け焦げた。
ぢりぢりと空間が焼けていく。
焼け跡の向こうには暗闇が広がっていた。
例えるなら、あれだ。
きれいな包装紙を破いても、まだ中身に到達しなかった時の暗黒だ。
炎は勢いを増していく。
落下している僕よりも早く空間を焼き進める彼らは、ある一点でその動きを止めた。
ちらちらと揺らめく輪の中を通って、僕は地面へ着地した。

275名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:40:46 ID:Um.BtjGM0
そこは、公園だった。
上を見上げれば、あの炎の輪はいつのまにか橙色の光を放つ太陽となっていた。
あの光がなかったらここは真っ暗闇だったのかもしれない。
箱を拾い、僕は百合が咲き誇る遊歩道を走った。
甘い匂いが僕を開けた場所へと導いてくれた。
そこには陶器で出来た噴水がぽつりと存在していた。
かなりの年代物だ。
かつて白かったであろうそれは黒い黴や気色悪い垢に侵されている。
それでも噴水は役目を果たしていた。

(´・_ゝ・`)「!」

揺れる水面に、あの子がいた。
ショボンとデレもいる。
あの子は二人に責め立てられているようだった。
どんな会話をしているのだろう。
その内容は分からないが、あの二人の事だ。
あまりよくない言葉を吹きかけているのだろう。
それでも彼女は、強い意志の宿った瞳で二人を見返していた。

(´・_ゝ・`)「あぁ、」

脳がくすぐったい。
口がもどかしい。
喉奥で単語が暴れていた。
覚えているのに、覚えていない。
今すぐあの子のそばに行きたいのに!

(´・_ゝ・`)「名前を……」

276名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:44:03 ID:Um.BtjGM0
脳裏に、一枚のポスターがちらつく。
サバトに行く道すがら、あるいはショボンに見せられたものだ。
制服を着て、幼い笑みを浮かべるあの子の姿。

(´・_ゝ・`)「君は、」

噴き上げる水がことさら強くなる。
水面が掻き乱され、ペニサスの姿が失せかける。
君の、名前は。









––––伊藤ペニサスさんを探しています!!








.

277名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:45:59 ID:Um.BtjGM0
(´・_ゝ・`)「ペニサス!」

その瞬間、噴水の水は凍ってしまった。
いや、凍ったのではない。
鏡に変化したのだ。
噴水の皹が鏡にも伝染していく。
細かく黒い線が張り巡らされ、やがて鏡はバラバラと割れた。
同時に僕のいた公園の空も音を立てて割れ出した。

(´・_ゝ・`)「ペニサス」

思い出したその名前を、僕はもう一度唱えた。
もう忘れることのないように、見失うことのないように。

そして。

(´・ω・`)「……君のしつこさには舌を巻くね」

全てが崩れ去った時、僕は広間に立っていた。

('、`*川「デミタス!」

ペニサスは檻の中に囚われていた。

ζ(゚ー゚*ζ「…………」

デレはショボンと共に高台にある席から僕たちを見下ろしていた。

ぐるりと広間を囲う席には灰色の人影たちが押し寄せている。
ヒソヒソと聞こえる声の内容は分からないが、不愉快な内容に違いなかった。
どうやらここは法廷らしいと僕は感じ取った。

278名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:47:04 ID:Um.BtjGM0
しかしここには弁護人も検事もいない。
あるのは責める人と責められる人、そして侮辱する人だけだ。

(´・_ゝ・`)「なんの話をしていたのですか」

ペニサスが閉じ込められている檻に近付いた。
ショボンは静かにそれを見送る。
感情の読み取れない瞳が、僕を貫く。

ζ(゚ー゚*ζ「ペニサスちゃんの今後についての話し合いよ」

(´・_ゝ・`)「話し合いだって?」

(´・ω・`)「そう、どういう選択をとればペニサスにとって一番幸せになれるのかを教えていたんだよ」

(´・_ゝ・`)「そんなもの、ペニサスの勝手じゃないか。他人が決める事でもない」

(´・ω・`)「ペニサスは庇護されるべき存在だよ。僕がいなければ生きていけない、定期的に支えてあげなくちゃ」

(´・_ゝ・`)「別にあなたがいなくたって彼女は生きていけますよ」

(´・ω・`)「無理だね、彼女は弱いんだから」

('、`*川「……わたし、弱くなんかないわ」

ようやく口を開いたペニサスに、二人の目は見開かれた。
外野の声は一層大きくなり、僕は怒鳴った。

(´・_ゝ・`)「うるさい! 君らには関係ないだろう!!!」

しかしざわめきが止むことはなかった。

279名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:54:12 ID:Um.BtjGM0
(´・ω・`)「……ペニサス、君の夢は僕のようになることなんだろう?」

('、`*川「前まではそうでした。でも」

ペニサスは言い淀む。
うまく言葉に出来ないのだろう。
ショボンは、その言葉が放たれる瞬間を恐れているようだった。

ζ(゚ー゚*ζ「ペニサスちゃん、思い出すのは怖かったでしょう」

唐突にデレが声をかける。
穏やかな、しかし後ろ手に刃物を持っているような油断のならない声。

('、`*川「怖かったしすごく苦痛でしたよ」

ζ(゚ー゚*ζ「だったら、」

('、`*川「でもそこから逃げても、わたしが殺された事実はなくならないし」

ζ(゚ー゚*ζ「…………」

('、`*川「いつかは嫌でも向き合わなきゃいけなかったんだと思います」

ζ(゚ー゚*ζ「…………」

('、`*川「それが、わたしの望みでもありました」

(´・ω・`)「……ペニサス」

('、`*川「師匠、わたしはたしかに師匠のことが好きでした。尊敬していました、慕っていました」

280名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:55:16 ID:Um.BtjGM0
青白い唇を噛み締めながらショボンはペニサスを見つめた。
浅く息をしながらペニサスは言葉を紡ぐ。

('、`*川「だけど、気付いたんです。わたしは師匠のような人になりたかったんじゃないって」

(´・ω・`)「ペニサス」

('、`*川「わたしは、あなたと対等に話がしたかったんです」

ζ(゚ー゚*ζ「何言ってるの、ペニサスちゃん」

苛立ちと甘く爛れた優しさが混ざり合ったような語気で、デレは畳み掛ける。

ζ(゚ー゚*ζ「いつだってショボンはあなたのことを、大事にしてくれていたじゃない。彼はあなたの幸せを誰よりも考えているし願っているのよ? そんなこともわからないなんてあなたおかしいわ」

('、`*川「本当にそうなんでしょうか」

ショボンと視線を合わせ、ペニサスは問う。

('、`*川「わたしの幸せを願っているわりには、師匠とあなたはその邪魔をするばかりな気がして」

ζ(゚ー゚*ζ「そんなわけないでしょう」

('、`*川「だってわたしのしたいことを何一つとして叶えてくれなかったじゃないですか、生き返りたいという願い以外は」

ζ(゚ー゚*ζ「ペニサスちゃん」

('、`*川「記憶を保持することも魔女になるという夢も、全部取り上げようとしたのは師匠たちのほうですよ」

ζ(゚ー゚*ζ「黙りなさい」

281名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 12:59:07 ID:Um.BtjGM0
('、`*川「っ……」

(´・_ゝ・`)「理屈じゃなく威圧をぶつけてくるとは、随分痛いところを突かれたようですね」

ζ(゚ー゚*ζ「外野は黙ってなさい」

(´・_ゝ・`)「僕は当事者ですよ。それよか外野っていうのはああいう灰色の陰惨な連中を指すんじゃないんですか?」

ζ(゚ー゚*ζ「お前は……っ!」

(´・ω・`)「やめなさい、デレ」

ショボンに諌められ、デレは不服そうに口を閉じた。

(´・ω・`)「……ペニサス、君は僕が間違ったことをしたと思っているのかい?」

('、`*川「……それは、」

(´・ω・`)「僕の選択は、間違っていたのかな?」

ずるい男だ。
論点をすり替えられるとペニサスはすぐそちらの話題に流される。
今まで話した事が全部無駄になる事を、こいつは知り尽くしているのだ。

('、`*川「間違って、なかったんだと思います」

まずいと思った。
満足そうに笑うショボンの顔が疎ましくて仕方がなかった。

('、`*川「わたしは、師匠の選択を否定する事はできません」

282名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:00:17 ID:Um.BtjGM0
(´・ω・`)「だったら、」

('、`*川「でも、どうしてこんな事をとか、なんでこんな目にとか色々今でも思います」

(´・ω・`)「ペニサス、」

('、`*川「だけどそれがなかったら今のわたしがなかったというのも事実なんです。何もかも忘れて、魔女を目指していなかったら、わたしはデミタスに出会えなかった」

(´・ω・`)「…………」

('、`*川「彼に会わなかったらわたしはずっと記憶を取り戻さなかったかもしれないし、師匠を盲目的に慕ったままだったかもしれない」

(´・_ゝ・`)「ペニサス……」

('、`*川「わたしは、わたしのために、全てを受け入れます。その道を作ったのは、師匠やデレさん、デミタスのお陰なんです。だから、わたしは師匠の選択を否定しません」

しぃん、と広間に静寂が訪れた。
灰色の人影たちは掻き消えてしまった。
それどころか広間の陰影や境界があやふやに滲んできた。
檻が激しく軋み、急激に錆びた。
高さが崩壊していく。
世界には緩やかに皹が入り、そして。

(´ ω `)「……僕は、」

('、`*川「師匠?」

(´・ω・`)「僕は、そんな風に君を救いたかったわけじゃない!!!」

283名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:01:04 ID:Um.BtjGM0
慟哭にも似たその叫びは、エゴ以外の何物でもなかった。
与えられた玩具が気に入らなくて壁に投げつけている三歳児となんら変わりのない、幼稚な発言。
デレの瞳は黒に近い青色に染まっていた。
驚いたからだろうか、それとも幻滅したからなのか。
僕には分からなかったが、彼女は今にも泣きそうな顔をしていた。

(´・ω・`)「あ…………」

ショボンは、軽く笑みを浮かべた。

(´・ω・`)「ごめんよ、ペニサス。急に怒鳴ったりして」

/ ゚、。 /『すまない、大きな声なんか出して……』

あの台詞が脳裏によぎる。
その後に続いた言葉は……。

(´・ω・`)「……違う」

('、`*川「……師匠?」

ペニサスが歩み寄る。
ショボンはよろめきながら、退歩する。

(´・ω・`)「ちがう、僕がしたかったのは人助けだ」

ζ(゚ー゚;*ζ「そうよ、あなたは世界中の不幸を摘み取ろうとしているのよ」

がくがくと震えるその体を、デレが支える。
ショボンは縋るようにデレを見つめた。

284名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:02:53 ID:Um.BtjGM0
(´・ω・`)「それもちがう」

ζ(゚ー゚;*ζ「え……」

(´・ω・`)「僕は、僕は何をしようとしていたんだ……?」

(´・_ゝ・`)「!」

なにかがやってくる。
人も魔女も太刀打ちの出来ない、巨大な理の一部を持ったなにかだ。
その予感を肌で感じ、僕はペニサスの手を取った。

('、`*川「師匠!」

ペニサスは叫ぶ。

('、`*川「師匠は、自分の居場所が欲しかったんでしょう!?」

(´ ω `)「…………」

ショボンは、答えない。

('、`*川「師匠! 認めて! 認めないと透明な澱が……!」

(´ ω `)「認める……」

ショボンの左手が、上がりかけた。

ζ(゚ー゚;*ζ「ああだめ、ショボン。早くペニサスちゃんの言う事を聞いて……!」

ざわざわと、ぞわぞわと確実に透明な澱は近付いてきていた。
時間がない。

285名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:03:54 ID:Um.BtjGM0
(´・_ゝ・`)「僕もあなたと同じだった! 僕も特別な存在になりたくて、なろうとして、なれなかった! だけど、それでもあなたは一人じゃない!」

('、`*川「そうよ、師匠! わたしもデレさんもいるわ! 師匠は一人じゃない、だから認めて!!」

ζ(゚ー゚;*ζ「ショボン……!!」

(´・ω・`)「……ペニサス、デレ、デミタス」

ショボンは、伸ばしかけていた手を下ろした。

(´・ω・`)「無理だよ、変われない」

目を細め、

(´・_ゝ・`)「……!」

(´・ω・`)「救済は、強者の特権なんだ、」

口角を攣り上げて、

('、`*川「師匠……?」

(´・ω・`)「強い人が弱い人に手を差し伸べるから、それが成り立つんだよ」

それが笑顔だとわかるまで、時間がかかった。

ζ(゚ー゚;*ζ「だめ、ショボン……!」

(´・ω・`)「僕は、どうしても強くありたいんだ」

286名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:06:28 ID:Um.BtjGM0
(´・_ゝ・`)「ショボン……っ!」

それは、急にやってきた。

('、`*川「師匠っ!」

猛烈な風が吹いている。
ショボンの表情は伺えない。

('、`*川「師匠! だめ!」

(´ ω `)「    」

('、`;*川「消えちゃだめ!!!!」

知覚できないそれは瞬きをするよりも早く、ショボンを呑み込んだ。

ζ(゚ー゚*ζ「…………………………………………ぁ?」

支えを失い倒れ伏せたデレは小さく声を上げた。

('、`*川「……師匠」

(´・_ゝ・`)「…………」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、ぁ……。あぁ……!!」

小さな豆電球が灯る物置部屋に、悲鳴じみた嗚咽が響き渡った。

287名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:12:13 ID:Um.BtjGM0
透明な澱が過ぎ去ってから一ヶ月。
梅雨に入り、青い空を見る機会が随分減った。
それを考慮してもこの家に流れる空気はあまりにも沈みきっていた。
仕方のない事だ、と僕はため息まじりに納得しようとした。
それでも胸に滞る靄をなくす事は出来なかった。

ペニサスは書庫に籠るようになった。
毎日遅くまで魔法について勉強をし、一人で考え込む事が多くなった。
僕は彼女の散らかした本を整理したり、下手ながらも料理に精を出したりしていた。
今はやっと半熟の目玉焼きが作れるようになった。
毎日失敗作を食べさせられてうんざりするペニサスを見ることはないだろう。
目玉焼きに関しては、だが。

デレはあれ以降憔悴しきってしまい、部屋から出てこなくなった。
食事を運んでも全く手をつけないこともある。
が、時折すすり泣く声が聞こえるので生きてはいるのだろう。
部屋に立ち入ることができないので、なんとも言えないのだが。

ドクオはその世話に勤しんだ。
彼は僕たちに何も事情を聞いてこなかった。
興味がないのかもしれないし、そもそもそういう思考がないのかもしれない。
分からないが、とにかく彼はごくごく普通に僕たちに接した。

288名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:13:31 ID:Um.BtjGM0
('A`)「どゥすルノ」

ある日、ドクオはそう問うた。

('、`*川「どうって?」

ペニサスは戸惑いながら読んでいた本をテーブルに置いた。

('A`)「コのあトノこと」

つまり僕たちがこの家に留まるのかどうかを聞いているのだろう。
ペニサスが僕を見る。
その瞳には躊躇いが見えた。

(´・_ゝ・`)「君のすきなようにしなよ」

コーヒーを啜りながら僕は返す。
マシュマロ抜きのただのコーヒーだ。
やはり苦い方が好みである。

('、`*川「……旅に出ようと思ってるの」

('A`)「どコヘ?」

('、`*川「どこかは決まってないけど、師匠を助けられる方法を探そうって」

(´・_ゝ・`)「助けられるのかい?」

('、`*川「もしかしたら、だけど」

289名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:14:41 ID:Um.BtjGM0
あまり自信がない口調で彼女はこう言った。

('、`*川「今までわたしって記憶がなかったでしょう」

(´・_ゝ・`)「そうだね」

('、`*川「それってつまり人間としての自分をかなり失っていた状態で、魔女としての力がすごく不安定だったの」

認識しなければ、いないも一緒。
それは自分の記憶にも適応されるのだろう。

('、`*川「だけど記憶を取り戻したことでその境界線がはっきりしたことでわたしは本来の力を手に入れることができた」

ペニサスがコーヒーに手を伸ばす。
口に含むと、彼女の眉間に皺が寄った。
そういえば僕が淹れたから、彼女の分も砂糖が入っていないんだった。
しかしペニサスはもう一口飲み進めた。

('、`*川「……師匠が消える前に、わたしは無意識に祈っていたの」

('、`;*川『消えちゃだめ!!!!』

透明な澱に抗うように叫ぶその声が、脳裏によぎる。
ああ、もしかして。

('、`*川「わたしが祈りをそのまま口に出したことで、師匠は呪いにかかってしまったんだと思う」

(´・_ゝ・`)「だから透明な死を迎えたのに僕たちの記憶に残っているのか」

僕の質問に彼女は頷いた。

290名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:15:24 ID:Um.BtjGM0
('、`*川「師匠との日々をなかったことにすればこの呪いは解けるんだろうけど、したくないの」

わたしは諦めない。

いつぞやかの決意が、新しい意味を含んだ。
きっとそれは、彼女を至上の死へ導くだろう。
ふとそんなことを思っていた。

('、`*川「デミタス、一緒に来てくれる?」

(´・_ゝ・`)「聞くまでもないよね、それ」

妙に格好つけた言い方になり、少し恥ずかしくなった。
素直に行くって言った方がまだマシだったのかもしれない。
けれどペニサスは気付かずに、一瞬微笑んだ。
その表情はすぐに曇ってしまったが。

('、`*川「……ただ、デレさんのことが心配なんだよね」

(´・_ゝ・`)「ああ……」

('A`)「だいじょぅぶ」

軽やかにそう返したドクオは、こう続けた。

('A`)「ぉれ、が、ずっとソバにイル」

291名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:17:02 ID:Um.BtjGM0
朝から降っていた雨はいつのまにか止んでいた。
幸先は良さそうだ。
なんとなくそう思いながら僕は折り畳み傘を鞄にしまった。
湿気を含んだ空気の中、僕たちは歩く。
その弾みで、足元の雑草が抱き抱えていた雫が解放されていった。

(´・_ゝ・`)「旅に出るとは言ったけどさ、まずどこに行くんだい」

門扉を開けながら問いかける。

('、`*川「とりあえずサバトで会った魔女に弟子入りしようかなぁって……」

(´・_ゝ・`)「で、君はその魔女の居場所を知ってるわけ?」

階段を降りる。

('、`*川「もらったマッチ箱に住所らしきものが書いてあったの」

路上には大きな水溜りが出来ていた。
旅に出て早々服を汚したくないので僕は思い切って飛び越えた。
振り返るとペニサスは、家に視線を送っていた。

(´・_ゝ・`)「ペニサスくん?」

('、`*川「……ううん、またそのうち帰ってこれるかなって」

(´・_ゝ・`)「帰れるさ、帰りたいと思えばいつだって」

('、`*川「……そっか」

292名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:20:25 ID:Um.BtjGM0
ふわりと彼女も空を飛ぶ。
金色と銀色の靴がきらりと光る。
その動作がとても美しく、僕は見惚れていた。

('、`*川「行きましょ」

(´・_ゝ・`)「ああ、うん。ところで場所わかってるの?」

ペニサスはぴたりと動きを止め、僕を見た。

('、`*川「……西比利亜市ってこっちよね?」

(´・_ゝ・`)「そっちじゃないよ。というか僕が住所見た方が早いんじゃないかな」

差し出した手にマッチ箱が乗せられる。
やたら重みがある箱を開けてみる。

(´・_ゝ・`)「!」

('、`*川「どうしたの?」

何も言わず、僕はペニサスにその中身を見せた。

('、`*川「あれ、こんなの入ってなかったのに」

つまみ上げられたそれは、氷砂糖であった。
白い塊はそのままペニサスの口の中へと消えていった。
からころと音が鳴り、僕もそれに倣うことにした。
氷砂糖なんて、子供の時に食べたきりじゃなかろうか。

293名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:21:40 ID:Um.BtjGM0
(´・_ゝ・`)「んー……西比利亜市、都所、か」

頭の中に地図を描きながら、僕は歩き始めた。
その後ろを、ペニサスがついてくる。

('、`*川「どれくらいかかりそう?」

(´・_ゝ・`)「半日くらいかな」

('、`*川「遠いのね」

(´・_ゝ・`)「少しだけね」

そんな他愛のない会話をしながら、僕は考える。
いつかは、彼女が僕を導くようになるだろう。
彼女が僕の先を歩くのだろう。
それを寂しく思うけれども、透き通った真っ直ぐな甘味が僕の背中を後押しする。

ペニサスが自分の夢を叶えられますように、それをずっと見守っていられますように、と。
ささやかな祈りが、口の中で溶けていった。

294名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:23:34 ID:Um.BtjGM0






すなわち九は一にして、十は無なり 了






.

295名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:25:15 ID:Um.BtjGM0
登場人物紹介

(´・_ゝ・`) 盛岡デミタス

('、`*川 伊藤ペニサス

ζ(゚ー゚*ζ デレ

('A`) ドクオ

(´・ω・`) ショボン

|゚ノ ^∀^)/( ´ー`)/(-@∀@) ショボンの生み出した幻影たち

从 ゚∀从 躑躅の魔女

(*゚∀゚)/(-_-)/ξ゚⊿゚)ξ/lw´‐ _‐ノv 躑躅の魔女の財産たち

(//‰ ゚)/〈::゚-゚〉 石の魔女

/ ゚、。 //ミセ*゚ー゚)リ 石の魔女の財産たち

(,,゚Д゚) ギコ

氷砂糖
なんの変哲もないショ糖の塊だが幸せの結晶である

296名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:27:05 ID:Um.BtjGM0
汝、会得せよ

一を十と成せ

二を去るにまかせよ

三をただちに作れ、しからば汝は富まん

四を捨てよ

五と六より、七と八を生め

かく魔女は説く、かくて成さん

すなわち九は一にして、十は無なり

これを魔女の九九という

297名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:28:11 ID:Um.BtjGM0
………………

………………

……………………

…………………………………………

…………

………………………………

……………………………………

…………………………………………

…………………………

298名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:29:13 ID:Um.BtjGM0
……………………………………

………………………………

…………………………

……………………

………………

…………

……

.

299名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:30:40 ID:Um.BtjGM0













「見つけた!」













.

300名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:31:48 ID:Um.BtjGM0






これを魔女の九九というようです 了






.

301名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:32:28 ID:Um.BtjGM0
参考にした作品
ファウスト
幾原作品

参考にした楽曲
輪舞-revolution
TERRITORY
葉は華を惟ひ、華は葉を惟ふ
愛妻家の朝食
時が暴走する

消化したお題
不思議な飴
オーバードーズ
ギリギリ

銀と金
教会
ポワレ
肥料
ハッピーバースデー
畑違い
リラックマ


蜘蛛

未消化のお題
ハッピーバースデー
ポワレ


本編はここで終わりですが補完的なお話があと一つだけあります
もう少しだけお付き合いお願いいたします
質問がありましたらお答えします

302名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 13:52:19 ID:0rEC8Y0I0
なんとも不思議な作品だった
お疲れ様でした

303名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 14:06:08 ID:2xs6OFmc0
おつ面白かった

304名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 14:20:09 ID:0TEy97Js0
盛大な乙を!!素晴らしい作品だった!!

305名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 14:20:34 ID:mvhIudbg0
不思議な気分だ
おつ

306名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 14:27:23 ID:wmzgNwq20
おつ
面白かった
しかもお題消化とは…素晴らしいのう

307名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 16:12:49 ID:J.4lYJko0
乙乙!! お題あったのか
とても面白かった。補完も楽しみ

308名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 22:50:15 ID:T3Mz440.0
おつ!
すげえおもしろかった!
ショボンってデミタスと似てたんだね。
ショボンは力があったからエゴな人助けができたけど、デミタスはない分身近なものにしか手を伸ばさなかったんだろうなー
補完も楽しみにしてる

309名も無きAAのようです:2015/06/27(土) 23:35:14 ID:tYq1/n2E0
「見つけた!」の真意がわからん……
それとも補完で明確になるのか

310名も無きAAのようです:2015/06/28(日) 00:11:58 ID:07sRsRZA0
ショボンの事だろ

311名も無きAAのようです:2015/06/28(日) 00:13:35 ID:SYRS99i20
>>309
しょぼんを見つけたのかそれとも方法を見つけたのか

312名も無きAAのようです:2015/06/28(日) 02:02:07 ID:2lvHYm/I0
乙。面白かった

ただ、読んでて>>276の八行目(空白抜きで六行目)でペニサスの名前が出てきちゃってるのに違和感がちょっとあったなぁ
ここデミタスの一人称で、この直後に思い出すまでペニサスの名前忘れてた状態だし
なんか盛り上がる部分で肩透かしを食らわされた感があったかな
そこまてまの盛り上げ方がよかった分、個人的にはそれが目についた感じ

なんか重箱のスミをつつくような不粋な感想すまぬ

313名も無きAAのようです:2015/06/28(日) 04:10:33 ID:BdrafelI0
それは俺も感じたわ
名前は出さないほうがな

314名も無きAAのようです:2015/06/28(日) 05:19:24 ID:uu7pNauw0
>>312>>313
うわ本当ですね
これはうっかりやってしまったなー悔しい
以下に一応差し替え置いときますもう遅いけど

315>>276訂正版:2015/06/28(日) 05:21:39 ID:uu7pNauw0
脳裏に、一枚のポスターがちらつく。
サバトに行く道すがら、あるいはショボンに見せられたものだ。
制服を着て、幼い笑みを浮かべるあの子の姿。

(´・_ゝ・`)「君は、」

噴き上げる水がことさら強くなる。
水面が掻き乱され、その姿が失せかける。
君の、名前は。









––––伊藤ペニサスさんを探しています!!








.

316名も無きAAのようです:2015/06/28(日) 08:00:33 ID:07sRsRZA0
やっと思い出せた名前がペニスって悲しくなるな

317名も無きAAのようです:2015/06/28(日) 23:24:12 ID:Z8MAIW.Y0
乙乙
お題消化てこんな作品を書けるのか…


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