[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。
●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●
1
:
tun
:2011/08/11(木) 01:48:49 ID:???
プロバイダー規制や本スレの空気などでSSを投下できない人が、
本スレの代わりにこっちでSSを投下するスレ。
sageるとIDが???になるので恥ずかしい人にはお勧め。
488
:
3/8
:2012/04/30(月) 22:11:36 ID:???
タカシの声に、振り向いて私は文句を言った。
「すごい待った。どんだけ待たせれば気が済むのよって言うくらい」
「だって、テレビ見終わってからでいいって言ったじゃん。それから速攻準備したんだ
ぜ? むしろお前の方が早く来過ぎだろ」
言い返されて、私はカチンと来てタカシを睨み付けた。
「しょうがないでしょっ!! こっちは居ても立ってもいられなかったんだから。のん
気なアンタとは違うのよっ!!」
「は?」
キョトンとするタカシに、私は自分が余計な事を口走ったのに気付く。
「な……何でもないわよっ!! 今のは忘れてくれていいから」
慌てて打ち消してから、私は顔を背けてうつむいた。腹立たしいけど、私の悩みなん
て理解出来る方がおかしいのだから。
「で、用事って何? 結構急ぎの事なんか?」
私の発言から、どうやらタカシは私が焦っているらしいと感じたようだった。確かに
焦っているといえばそうだけど、多分タカシが思っている事とは若干違うだろう。その
誤解を解く為に、私は一つ前置きする。
「……べ、別に焦ってる訳じゃないわよ。ただその……今日中に一つ、確かめておきた
い事があるってだけで……」
「確かめたい事? 俺に?」
鸚鵡返しに聞くタカシに、私は頷く。ドキドキする左胸に手を置いて、乳房の下の肉
をグッと鷲づかみに強く掴んで気持ちを落ち着かせようとする。そして、一つ深呼吸し
てから、私はしっかりとタカシを見て、口を開いた。
「……あのさ。今日の放課後……アンタといちゃついてた子、いたでしょ? その……
あの子と、どういう関係なのかなって……」
最後まで言い切ってから、私は急に臆病心に負けてうつむいてしまった。こんな質問
をしてしまって、タカシにどう思われるのだろうか? それを考えるだけで怖くて堪らない。
「放課後いちゃついてたって……誰と?」
何か分かってない風な返事に、私は思わず気が殺がれてガクッとなってしまう。それ
でも顔を上げることは出来ずに怒鳴った。
489
:
4/8
:2012/04/30(月) 22:11:56 ID:???
「や、やってたじゃない!! 誰だかなんて私の方こそ知らないわよ!! そ、その教
室から腕掴まれて引っ張られて、その後仲良さそうに腕組んじゃってたじゃない。知ら
ないとは言わせないわよ!!」
「ああ。天江さんか。あれはその、いちゃついてたって訳じゃなくて、むしろ連行され
たというか、まあ、単にそんな感じなんだけど」
「それにしては、随分仲良さげだったじゃない。まるで恋人同士みたいでさ」
自分が嫉妬してるのが露わになるような事を口走ってしまい、また恥ずかしさが増す
が、実際そうなんだから仕方が無い。
「そんな感じだったのかなぁ……? てか、お前見てたのか」
タカシの言葉に、私は不満そうな態度で顔を逸らした。
「……たまたま居合わせただけよ。まるで覗いてたみたいに言わないでよね」
「いや。そんなつもりで言ったわけじゃないけどさ。うーん……何て言うか……まあ、いいや」
困ったように答えるタカシの態度が気になって、私はチラリとタカシを見る。うん。
確かに何だか気まずそうだ。
「何よ。何か後ろ暗いことでもあるの?」
そう聞くと、タカシは慌てて両手でそれを否定した。
「ち、違うってば。天江さんとは単に席が隣りってだけだし」
「ふーん。席が隣同士なだけで、あんなに仲良くなるんだ?」
ジロリ、と半目で睨み付ける。すると今度は、タカシが顔を逸らして頭を掻いた。
「ま、まあその……彼女、明るくておしゃべりで、男女とか区別なく話しかけて来てさ。
俺とも話し合ったから、まあその……仲の良いクラスメートってくらいにはなったけど、
それ以上ではないし」
「ただのクラスメートってだけで、あんな風に男子とベタベタ出来るのなんて、あたし
的には信じられないんだけど」
まるで浮気を咎める嫁みたいな態度で、私はタカシと天江さんの仲を追及した。もっ
とも嫁どころか今のところは恋人ですらない、ただの幼馴染なわけでしかないのだけれど。
「本人曰く、スキンシップは好きだし全然抵抗ないんだってさ。女子に対してだと抱き
ついたりしてるし。むしろ俺に対してこういうのって苦手なの?って聞いて来てさ。そ
したらその……俺だって強がってみせるしかないじゃん」
ちょっと自棄になったような言葉でタカシが返す。それに私は、苛立たしげに鼻を鳴らした。
490
:
5/8
:2012/04/30(月) 22:12:20 ID:???
「フン。強がってるとか言って、ホントは嬉しいんじゃないの? あんな可愛い子にベ
タベタされてさ」
私の問いに、タカシが顔をしかめた。それを肯定と受け止めて、私は文句をぶちまけた。
「ほら、みなさい。スケベ。どうせ、胸の感触とか意識して、鼻の下伸ばしてたに決まっ
てんだから」
もっとも、私には本来、非難する資格なんてありはしないのだけど。そもそも、私は
一度だってタカシに甘えたり擦り寄ったりしたことあっただろうか? もちろん、した
いと思ったことはあるけど、せいぜい手を繋いだぐらいだったような気しかしない。
「うるせーな。女の子から親しげな態度取られたら、男なんて多少はドキッとするもん
なんだよ。女だって、イケメン男子に声掛けられたらドキドキするだろ? それと一緒だって」
いい加減苛立って来たのか、タカシの語気が多少荒くなる。しかし私も引っ込みが付
かなくなっているので、けんか腰でやり返した。
「あ、ほら。逆ギレした。やっぱり後ろ暗いところがあるから、怒るんじゃないの?」
「別に後ろ暗くなんて全然ないけどな。たかがゲーセンに遊びに行くのに引っ張られた
だけの事だし。つか、お前が確認したいってのは、その事か? 俺と天江さんが付き合
い始めたのかどうかっていう」
唐突に核心に触れられて、私は今までの怒りが一瞬で吹き飛んだ。ドキッと心臓が跳
ね上がり、体温が一気に上昇する。しかし、バツが悪かったので私は、わざと不機嫌な
態度のままで小さく頷いた。
「……そうよ。わ、悪い?」
強気な態度の私を、タカシが睨み返す。それから、フンと一つ荒く鼻息をついて、視
線を逸らした。
「別に悪かねーけど。ただ、何だってそんな事を気にするのかと思ってさ」
「……だって、ヤダもん」
咄嗟に出た言葉に、言った私自身が驚く。思わず口を押さえてどうやって弁解しよう
かと頭を巡らせる。だけど、そんな言葉は何も思いつかなかった。むしろ、本音の方ば
かりが、どんどんと溢れ出てきて、ついに私は我慢し切れなくなって、口から出してしまう。
「……タカシが、もしその子と付き合い出したりしたら……もう、こうやって会ってく
れなくなっちゃうでしょ? メールだって、今までみたいにくれなくなっちゃうでしょ?」
491
:
6/8
:2012/04/30(月) 22:13:06 ID:???
不安が、口を突いて出て来る。一度言葉を切って、私はタカシからの返事を待つ。タ
カシは、ちょっと考えてから、小さく肩をすくめて答えた。
「そんな事はないけどな。誰と付き合い出したって、かなみは昔からの幼馴染なんだし、
メールだって会うのだって、拒否はしないけど」
「でも、一番じゃないんでしょ?」
タカシの答えは予想の範疇内だった。だから私は即座に次の質問をぶつける。
「だって、やっぱり付き合い出したら、彼女の事が優先順位は一番になっちゃうでしょ?
会うのだって、彼女の方を優先するし、メールだって、彼女からのを先に返信して、私
のは他の友達同様に、後回しにするんでしょ?」
立て続けに聞く私を、タカシはちょっと呆気に取られた顔で見つめていた。言葉を切っ
て荒く息をつきながら、タカシの答えを待つ。ややあって、タカシは頷いた。
「……そりゃあまあ、彼女が出来たらそうなるだろうな。やっぱり、一番好きな子を最
優先にしたいし、そうでなきゃ彼女にも失礼になるだろうから」
「でも、私はヤなの!!」
タカシの返事に、私は感情を爆発させた。
「私が一番でなきゃイヤなの!! メールも、会うのだって……私だって、タカシが一
番なのに……だから、タカシも私の事を一番にしてくれなきゃ……イヤなの……」
感情が昂ぶりすぎて、目から涙が零れ落ちた。泣いてる暇なんてないのに。そう思っ
て、手で目を拭い、潤んだ瞳でタカシを睨み付ける。
「だから……もう一番じゃなくなったらイヤだったから……だからそれで……知りたかっ
たんだもん…… タカシがどう思ってるのかって……」
ここまで言い切ってから、私は顔を伏せた。目をギュッて閉じ、涙が溢れそうになる
のを必死で堪える。こんな所で泣いたら、泣き落としみたいになる。そんなのフェアじゃ
ない。そんなみっともない事したくない。拳をギュッと握り、肩を震わせ、私はただひ
たすらに我慢していた。
「……なら、付き合うか?」
「え?」
タカシの言葉に、驚いて顔を上げた。溜まっていた涙がまた一筋零れ落ちるが、そん
なの気にならないくらい、私の心はタカシの言葉に支配されていた。
「付き合うって……その……私が?」
492
:
7/8
:2012/04/30(月) 22:13:32 ID:???
「ああ」
顔を逸らしたまま、タカシは頷いた。何気ない風を装った口調ながら、タカシも恥ず
かしいらしい。もっとも、その時の私に、そんな事気付く余裕すらなかったが。
「俺は、女の子だったら最優先にするのはやっぱり彼女になると思う。だから、その……
かなみが、俺に自分を一番にして欲しいって思ってるんだったら……俺の彼女になれば、
自然にそうなるから……」
心臓がドッキンバックンとハードな鼓動を鳴らし続ける。体がヒートアップし過ぎて
いて、何だか思考が上手く定まらなかった。
「……っと、その……アンタは……いいの? あたしを、その……彼女認定なんかして……」
熱に浮かされたような私の問いに、タカシは頷く。
「そりゃまあ……嫌だったら、そんな提案しないし。もう十年来の付き合いだろ? 別
に、一歩先の関係になったって、どっちかっつったら、遅いくらいだし」
タカシの言葉をぼんやりと考える。つまり、タカシは前から私と付き合いたいと思っ
ていたのだろうか? 私がいっつも罵ってばかりで、全然甘える所を見せなかったから、
そういう関係になるのを躊躇っていたのだろうか?
「で、かなみはどうなんだよ? まあ、その……交換条件みたいで申し訳ないけどさ。
けれど、付き合ってくれないならやっぱりその……他に彼女見つけるしかないし、そう
なったらかなみを一番って訳にはいかなくなるけど……」
「そんなのはヤだ」
タカシの問いに、キッパリと私は答えた。そして、強く首を横に振る。
「タカシに、他の彼女が出来るなんて許せない。私が……ずっとタカシの一番でいたい
んだから……」
タカシが好きだ。失いたくない。ずっと一緒にいたい。ずっと傍にいて、ずっとおしゃ
べりして、くっ付いていたい。しかし、これだけタカシの事が好きで好きで堪らないの
に、私はやはり、意地っ張りだった。
「……だから、ずっと一番にしてくれるって言うなら……付き合ってあげても……いい……」
ほとんど私から告ったようなものなのに、肝心な所をタカシに言って貰って、しかも
それを渋々承諾したように言うなんて、全く持ってみっともない。だけどタカシは、小
さく笑って優しく言ってくれた。
「全く…… まあ、とにかく、今からはかなみは俺の彼女ってことで、公言していいんだよな?」
493
:
8/8
:2012/04/30(月) 22:14:07 ID:???
「それはダメ!!」
慌てて拒絶すると、タカシは首を傾げた。
「何でだよ? 今、付き合ってもいいって言ったじゃん。晴れて、カップルとして成立
したんじゃないの?」
「そ、それでも……公言されるのは恥ずかしいし…… だからその、必要に応じてって
事で……」
「つまり、俺にベタベタしてくるような子がいたら、そう言ってお断りしろってか」
正確に私の意をタカシが伝えてくる。無言で小さく頷くと、タカシが呆れた声を上げた。
「全くしょーがねーな。このヤキモチ焼きが」
「う……うるさいっ!! 仕方ないでしょこのバカ!!」
悔しくて罵りながら、私はタカシにしがみ付いた。
「お、おい? どうしたんだよ?」
動揺するタカシを抱き締めながら、初めて私は、小さく甘えた声を出した。
「……私だって……タカシに、スキンシップ……されたいんだから……」
「はいはい」
クスリと笑って、タカシが私の背に腕を回してしっかりと抱き締めてくれる。これで
ようやく、私は心から安堵して、タカシに身を委ねる事が出来たのだった。
終わり
かなみさんはヤキモチ焼き
494
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/01(火) 01:45:46 ID:???
おい!ニヤニヤが治らないぞどうしてくれる!!
かなみさんかわいすぎんだろチクショウ!
495
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/01(火) 07:36:36 ID:???
>>493
良過ぎ GJ!
496
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/01(火) 08:33:26 ID:???
やべー可愛いわーああ!あああ!!
497
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/02(水) 00:14:10 ID:???
・ツンデレと戯れにつつきあいをしたら
男「うーむ……」
女「なに見てんだよ、タカシ」
男「いや……あのさ。なんかお前、太ってないか?」
女「はぁ? 俺のどこが太っただって? 舐めてんのかてめぇ」
男「ほら、腹のこの辺の肉が前よりぷにぷにと」ツンツン
女「ひゃうっ……! 脇腹弱いんだから気安く触んな!」
男「悪い、けど他意はないんだ。ただ勿体ないなと思うだけで」ツンツン
女「そういうのを余計なお世話っつんだよ、バカ」
男「このままでは、かつみの美腹筋がヤバいことになりかねんな」ツンツン、ツンツン
女「ひっ……だ、だからつつくの止めろってば!!」
男「女だから脂肪がつくのは仕方ないのかなぁ……あと、つつく度に体ビクビクさせて可愛いぞ」
女「てめっ……! 止めろっつってんのが分かんねーのか!」ビスッ
男「ぎゃ!!」
女「ふんっ、これでつつかれる方の気持ちが分かったかよ!」
男「目玉つつくのは反則だろ……」
女「自業自得だ、死ねバカタカシ」
498
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/02(水) 00:21:17 ID:???
・ツンデレと戯れにつつきあいをしたら
男「うーむ……」
女「なに見てんだよ、タカシ」
男「いや……あのさ。なんかお前、太ってないか?」
女「はぁ? 俺のどこが太っただって? 舐めてんのかてめぇ」
男「ほら、腹のこの辺の肉が前よりぷにぷにと」ツンツン
女「ひゃうっ……! 脇腹弱いんだから気安く触んな!」
男「悪い、けど他意はないんだ。ただ勿体ないなと思うだけで」
女「そういうのを余計なお世話っつんだよ、バカ」
男「このままでは、かつみの美腹筋がヤバいことになりかねんな」ツンツン、ツンツン
女「ひっ……だ、だからつつくの止めろってば!!」
男「女だから脂肪がつくのは仕方ないのかなぁ……あと、つつく度に体ビクビクさせて可愛いぞ」
女「てめっ……! 止めろっつってんのが分かんねーのか!」ビスッ
男「ぎゃ!!」
女「ふんっ、これでつつかれる方の気持ちが分かったかよ!」
男「目玉つつくのは反則だろ……」
女「自業自得だ、死ねバカタカシ」
499
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/02(水) 00:21:51 ID:???
間違って連投しちまったスマヌ
500
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/02(水) 01:18:02 ID:???
かつみんカワユス
501
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/04(金) 00:29:21 ID:???
最近はこっちも賑わってていい感じだ
まとめてだけどGJ
502
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/05(土) 14:51:49 ID:???
>>421-425
,449-454の続き投下
4月になったら本気出すと言いつつ、5月にまたいでしまった
もうインフルの時期なんぞ遥か遠い昔なのに……
503
:
1/8
:2012/05/05(土) 14:52:36 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その3
『いいわ。適当に座ってくれる』
点けっ放しだったテレビを切り、私はソファに腰を下ろす。少し離れて、別府君が腰
を下ろした。
「えっと……その、本当にゴメン。委員長が迷惑だってのは分かってたけどさ……」
『いいわよ。強引に押し切ったのは母なんだもの。もっとも、キッパリ断わり切れない
貴方もどうかとは思うけどね』
別府君が悪くないのは百も承知だけど、それでも嫌味の一つや二つも言わないと、とっ
ても腹の虫が収まりそうになかった。
「いや、その……あの場じゃあれ以上断わりようがなかったし……つか、出来る限り長
居しないようにするからさ」
『当たり前でしょ? 病人の家に長居するなんて、常識で考えられるわけないじゃない』
情け容赦なく彼の言葉を切り捨てていくと、別府君がますます小さく体をちぢこませ
た。さすがに、これ以上いじめ過ぎるのも申し訳ないので、何か話題を変えようと、そ
う思った時だった。
「しつれーしまーす」
大輝がお盆に菓子を持った皿を乗せてリビングに入って来た。
「かーちゃ……おかーさんが先にこれ、持ってけって」
『分かったわよ。そこに置いといて』
テーブルを指して、さっさと出て行くように手で合図する。しかし大輝は、別府君の
前に立つと、ペコリとお辞儀をして挨拶した。
「初めまして。俺、弟の大輝って言います。ねーちゃんが、いつもお世話になってます」
「あ、どうも。こちらこそ初めまして。静野さんのクラスメートの別府タカシと言います」
挨拶を返す別府君を見つつ、私はきな臭い物を感じていた。大輝があんな風に礼儀正
しく挨拶をするなんて、何か腹に一物持っているような気がしてならない。すると案の
定、大輝は別府君に突っ込んだ質問をし始めた。
「あの、一つ聞きたいんですけど、別府さんってねーちゃんとどういう関係なんですか?
彼氏とか?」
『ちょっと大輝っ!!』
504
:
2/8
:2012/05/05(土) 14:52:58 ID:???
思わず大声で制止してしまってから、私はハッと我に返って別府君を見る。学校では
決して出さないような声に、別府君がちょっと驚いて私を見たのに気付き、私は素知ら
ぬ態度で、何事も無かったかのような態度を取って大輝を睨み付けた。
『全然違うわよ。ただのクラスメートで、友達でもないわ。それだけよ』
危うい所で、地が出てしまうところだった。別府君の前でみっともない所なんて絶対
に見せられないのに。
「へー。友達でもないのに、女子の家に届け物とかするかなぁ。俺なら絶対ゴメンだけ
ど。色々とめんどくせーし」
「仲立(なかだて)に……っと、静野さんと仲が良い女子に頼まれたからさ。どうして
も行けないから届けてよって。どーせ暇だから良いでしょとか言われてさ。断わるのも
面倒じゃん」
「ああ。何かやたらと用事押し付けて来るよな。女子って。あーいうの、超ウゼーよな」
納得したように頷く大輝に、別府君は愛想笑いを浮かべて返す。変に意気投合されて、
普段の私の事とかペラペラしゃべられると困るので、私は大輝に向けて鬱陶しそうに手
を払ってみせる。
『もういいでしょう? お客さんが来てるんだから、あなたはとっととあっちに行って
なさいよね』
しかし、大輝はそう簡単には引き下がらなかった。
「もうちっといいじゃん。ねえ、別府さん。ねーちゃんてさ。学校だとどんな感じなの?
やっぱおっかない?」
『余計な事聞かないのっ!!』
大輝の際どい質問に、つい声を荒げてしまい、私は慌てて口を押さえる。別府君がそ
れに、困ったような笑顔を浮かべつつ、手で私を制してから大輝の方を見て頷く。
「静野さんは……そうだね。大人しくて清楚な感じかな? 物静かで真面目でさ。さす
がは委員長っていう」
別府君の私に対する評価に、つい私は嬉しくなってしまう。そうか。別府君は私の事
をそういう風に見てくれていたのかと。それから、すぐに思い直した。弟の前での話な
んだから、社交辞令込みに決まっていると。
「へー。何かねーちゃんって、家と全然違うんだな。家だとこうもっと――あイテッ!!」
505
:
3/8
:2012/05/05(土) 14:53:20 ID:???
大輝に家での私の様子をバラされそうになって、慌てて私はチョコを一つ取って大輝
の顔に向かってぶつけた。頬を押さえた大輝が、私を睨み付ける。
「何すんだよ、ねーちゃん」
『あっちに行きなさいって言ってるでしょう? いい加減鬱陶しいのよ。分かる?』
澄ました顔でそう言うと、私はソファに落ちたチョコを拾って包みを開け、口に放り
込む。正直、今はまだ何とかなっているが、いつまで平静を装い続けられるのかは自分
でも自信が無かった。しかも、さらに大輝が追い打ちを掛ける。
「ふうん。初めて男を家に呼んだのに邪魔されたくないってか」
茶化すような笑顔を見せる大輝に、思わず手が出そうになるのを懸命に私は抑える。
そして大輝を無視すると、別府君に向けてそれを否定しておく。
『横で何か変な事を言ってるのがいるけど、気にしないで。間違いなく有り得ない事だから』
「へー。どうだかねえ。別府さんから見ても分かるでしょ? ねーちゃんってすっげー
奥手そうだからさ」
私はキッと大輝を睨み付けた。しかし、一向に平気そうな弟の顔に、これは何を言っ
ても無駄だと悟った。これはもう、多少のリスクは込みでも実力行使に出るしかない。
そう思って立ち上がった時だった。
『ちょっと大輝。いい加減にしなさい。あんまりお姉ちゃんの邪魔しないの』
キッチンから、呆れたように母が注意するのが聞こえた。
「ちぇっ。はーい」
意外と素直に、大輝は引き下がってダイニングルームへと姿を消す。私はホッとため
息をついてソファに腰を下ろす。正直、別府君の前で大立ち回りなんてしたくなかった
から、ここは母に感謝だ。
「委員長の弟さんって、よくしゃべるんだね」
別府君が、苦笑して肩をすくめる。それに私は、厳しい目付きで返した。
『何かおかしい? 私と正反対の性格で』
「いや、別におかしいって訳じゃないけどさ。ちょっと意外だなって思っただけで。そ
ういえば、お母さんもあまり人見知りしなさそうな感じだし」
『悪かったわね。私ばかり暗い性格で』
揚げ足を取るように言って、私はちょっと拗ねてみせた。それに別府君が慌てて弁解
しようとする。
506
:
4/8
:2012/05/05(土) 14:53:41 ID:???
「いや、別にそんな事を言うつもりじゃ――」
しかし、彼の言葉はお盆を持って入って来た母によって遮られた。
『ゴメンなさい、お待たせしちゃって。ちょっと電話入っちゃってね』
そう断わりを入れつつ、リビングボードの傍にしゃがみ込んで、お盆に乗ったティー
カップを別府君の前に置き、次に私のティーカップを置く。しかし、私の前に出された
のが、可愛らしい猫の形をしたマイカップだったので、私は思わず母に抗議する。
『お母さん。何で私のカップがこれなのよ』
『あら? だってあなたのカップってこれじゃない。何か不満?』
『だって、人が来てるんだから……』
こんな、子供向けみたいなカップは恥ずかしい、という言葉はグッと口の中に飲み込
んだ。そこまで言ってしまうと、却って余計に恥ずかしくなると気付いたからだ。
『何言ってるのよ。別に恥ずかしがるほどの事じゃないでしょう? それに、別府君が
来る前から準備してたんだもの。今更変えるのも面倒じゃない』
『……分かったわよ。もういいから、下がってよね』
諦めたように言いつつ、私はチラリと別府君を一瞥する。予想通りの微笑ましそうな
顔つきに、何だか酷く居心地が悪い気がする。
『はいはい。それじゃあ別府君。是非、ゆっくりしていってちょうだいね』
「あ、はい。ありがとうございます」
ソファに浅く腰掛けていた別府君が、そのまま頭を下げる。それに笑顔で軽く頭を下
げて応えつつ母が出て行くと、私は別府君に不満気な顔を向けて呟く。
『……何よ……』
「え? 何が?」
わざとなのか天然なのか、そのまま聞き返す別府君に、私はため息をついた。
『気付いてないの? さっきからニヤニヤ笑ってること。何か、気持ち悪いんだけど』
恥ずかしさを押し隠そうと毒を吐くも、全然役に立たない。そして、別府君の返事も、
予想通りだった。
「いや。何か委員長のカップが可愛いなって。あんまり学校でも可愛らしいグッズとか
使ってないからさ。何か意外だなって」
『悪い? 私だって女子だもの。可愛いものの一つや二つ持ってるわよ。ただ、お金掛
けて集めるほど執着はないってだけで、別にこだわりがあって使ってない訳じゃないわ』
507
:
5/8
:2012/05/05(土) 14:54:01 ID:???
いささか自棄になって、私は答える。これで一つ、別府君に対する私のイメージが崩
れてしまった。
「いや。別に悪いとか思ってないし。学校だと、そういう所が見えないからさ。意外だ
なとは思ったけど、でもいいと思うよ。うん」
『……何か、バカにしてない?』
「してないってば。むしろ委員長に似合ってて良いと思うよ。そのカップ」
『……フン……』
褒められて物凄く気恥ずかしくなり、私は鼻息も荒く紅茶に口を付ける。そして、砂
糖を入れてないことに気付き、思わず顔をしかめてしまった。
「どうかした?」
『何でもないわよ』
こんな風に動揺しているなんて悟られたら、さらに私のイメージが下がってしまう。
別府君の問いを軽く流すと、私は何事も無かったかのように、グラニュー糖を紅茶に入
れると軽くスプーンでかき混ぜる。
『で、学校はどうなの? 私の他にインフルエンザに罹った人とかいない?』
とりあえず当たり障りのない方向に持って行こうと、違う話題を振ると、別府君が頷
いて答えてくれた。
「ああ、それは大丈夫。クラスはいつも通り……というか、委員長がいないから、休み
時間の声が1.5倍くらい大きいかなって」
その状況を想像して、私はため息をつく。
『ハァ……やっぱりね。いくら休み時間だからって、騒ぎ過ぎないようにって言ってる
のに、私が見てないとすぐそうなるんだから。どうせ、ホームルームの前とかも全然私
語が止まないんでしょう?』
「正解。先生が教卓をバンバン叩かないと収まらないって感じかな。それでも、委員長
の一喝には敵わないかな」
普段は物静かな印象の私だけに、ごくたまに、どうしようもない時に出す一喝はそれ
だけで教室を静まり返らせる。今のクラスでは、一年間で二回ほどしか使っていない。
『あれはあれで、結構勇気がいるのよ。もっとも、大抵一度使えば、みんな気を遣って
そこまでの騒ぎにはならないから、まだ助かってるけど』
「だって、あれはビックリするもんな。委員長もあんな大きな声出せるのかって」
508
:
6/8
:2012/05/05(土) 14:54:21 ID:???
『別に好きでやった訳じゃないわよ。みんなが全然おしゃべりを止めようとしないから
仕方なくやっただけで。物凄く緊張するし、体力だって使うんだから……』
本当は、単にイライラし過ぎて地が出てしまっただけの話である。今言った事は、そ
の後でいろいろ聞かれた時に取り繕った答えを、そのまま繰り返しただけの話だ。
「いや、分かってるって。だから、ほら。他の女子どもも気を遣って、委員長に協力し
てんだろうし」
『で、私がいないものだから、たがが外れてやかましくなってると。ホント、どうしよ
うもないわね。大体、さっきから偉そうなこと言ってるけど、大体いちばんうるさいの
って別府君じゃない。いつも、先頭に立って騒いでるんだから』
私の指摘に、別府君は苦笑しつつ頭を下げた。
「いやー、申し訳ない。別にそんなつもりはないんだけどさ。何かしゃべってるとつい
つい盛り上がっちまうんだよなあ」
『言い訳なんてしてる時点で、大して反省してないじゃない。どうせ私がいないからっ
て、ここぞとばかりにはしゃいでたんじゃないの?』
「いやいやいや。そんな事ないってば。えーと……まあ、いつもと同じって感じかな?」
『ほら、やっぱり』
呆れて嘆息すると、別府君は頭を掻いて、もう一度軽く頭を下げる。紅茶を啜りなが
ら、そんな彼の姿を見て私は思う。別府君のそういう、気が付くと周囲も巻き込んでし
まうような明るさが、私の惹かれる所でもあるんだけどねと。
「ところで、本当にもう具合の方は大丈夫なのか? 見た感じはいつもと変わらなく思えるけど」
別府君が話題を変えてきた。本当に心配しているのか、それともこれ以上のお説教に
嫌気が差したのか。まあ、恐らくは半々くらいなんだろうなと思いつつ、私は頷く。
『見ての通りよ。熱ももう平熱だし、咳も落ち着いたわ』
「そっか。じゃあ、もう明日からは学校来れるのか?」
別府君の問い掛けに、小さく頷く。
『ええ。お医者さんから、今日一日様子を見て、問題ないようだったら明日からは普通
に登校していいって診断貰ってるから、あなたのお相手してぶり返す事がなければ大丈夫』
ちょっと意地悪に言うと、別府君が慌てて腰を浮かしかける。
「そうだよな。あまり無理させちゃいけないし、俺、早めに帰ったほうがいいよな?」
509
:
7/8
:2012/05/05(土) 14:54:42 ID:???
『冗談よ。この程度でぶり返すくらいだったら完治してないって事だし、お茶飲み終わ
るまでくらい、別にいてくれたって問題ないわ』
平静を装いつつ、内心少し慌てて私は答える。実は、こうして別府君と差し向かいで
お茶を飲んでいる事を、何気に楽しみ始めていたのだ。何故なら健康であれば、絶対に
こんな機会はなかっただろうから。
「悪いね。何かこう、無理やり居座るみたいな形になっちまったってのに」
『どちらかと言うと、無理やり居座らされたと言った方が正しいわね。うちのお母さん。
結構頑固だから言い出したら聞かないもの。本当に、困った人だわ』
申し訳無さそうな別府君を前に、私は軽く肩をすくめてみせる。その姿に気持ちが解
れたのか、別府君が笑顔を見せた。
「確かに。でも、委員長のお母さんって明るくって良さそうな人だよな。それに美人だ
し。何か羨ましいよ」
『……もしかして、別府君って熟女好き……とか?』
母の事を褒めたりするので、嫉妬も相まって私は胡乱げな視線を別府君に送る。する
と別府君は慌てて両手を振って、それを否定した。
「いやいやいや。客観的な目線で見てって感じで。さすがに俺は同世代くらいの子の方
がいいし。ただまあ、ウチの親なんて普通のおばちゃんだからさ。やっぱり毎日会う顔
なら、キレイな方がいいじゃん」
『そうかしら? 自分の親なんて特に容姿なんて意識しないもの。それに、明るくて良
さそうだなんて、そんなの外面に決まってるじゃない。ごく普通の、口うるさい当たり
前の親だわ』
「そうかなあ? まあ、隣の芝生は青く見えるって言うしな。そういうものかな」
『そういうものよ。私が別府君のお母さんにお会いしても、きっと良さそうなお母さん
だなって思うわよ』
「うちのお袋があ? いや、そりゃないと思うけどな。うーん……」
別府君が、唸り声を上げて考え込む。それを見て、私は内心微笑ましく思った。親な
んて多少煩わしく思える方が、きっといい親なんだろうと密かに思っていたから。もち
ろん、友達のように仲が良くてもそれはそれでいいのかも知れないが、口うるさく注意
してくれる親を煩わしいと思っても、同時に感謝もしているのだ。もっとも、おせっか
いなところはいただけないが。
510
:
8/8
:2012/05/05(土) 14:55:50 ID:???
「そういやさ。委員長って、弟さんがいたんだな。さっき会ったとき、ちょっと意外な
感じがした」
別府君の声が、私の物思いを破る。
『意外? 何が?』
咄嗟に聞き返すと、別府君は慌てて、何かを否定するように手を振った。
「ああ、いやその、変な意味じゃなくてさ。ただ、学校の印象だと一人っ子っぽいイメ
ージだったから。それに、普段あまり家の話とかしなくね? つっても、まあ、女子の
会話とか知らないから、俺のイメージが間違ってたら申し訳ないけどさ」
そう言ってちょっと照れたように頭を掻く彼に、私は頷いてみせた。
『確かに、あんまり家族の話はしないわね。別に自慢出来るような話もないし、むしろ
弟の話なんて、愚痴ばかりになっちゃうもの。そういうの好きじゃないから』
というか、弟の話をすると、自分のダメな面も引き出してしまいそうなので、避けて
いたのだ。せっかく大人しくて真面目で優秀なクラス委員長というイメージで定着して
いるのを、自分から壊すような真似は余りしたくない。
「もしかして、委員長って弟さんとそんなに仲良くないの?」
何だか探るような調子で聞いて来る別府君に、私は頷く。
『姉弟なんてそんなものでしょう? 大体、だらしないしやかましいしワガママばかり
だしで鬱陶しいだけだわ。弟なんて。ほら、やっぱり愚痴になっちゃった』
自らツッコんで、肩をすくめる。それに別府君が小さく笑った時、出し抜けに弟が声
を掛けて来た。
「何だよ、ねーちゃん。俺がどうしたって?」
続く
投下しようと思えば出来たのに、忙しさに紛れて放置してしまった。
511
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/07(月) 19:44:56 ID:???
おっつーん
委員長頑張れ
512
:
1/4
:2012/05/10(木) 18:43:12 ID:???
【ちなみは俺の嫁】
「……おい。起きろ。……起きろ」
「ん、うあ……ん、ん?」
ぺちぺちと頬を叩かれ、目を開ける。視界に映るはちなみのどアップ。
「うわあっ!?」
ものすっごい覗き込まれてた。超びっくりした。
「……人の顔を見て驚くとは許しがたい」
「あ、はい、ごめんなさい。ていうかなんでいるの?」
「……嫁だから」
「あ、あー」
そうだった。結婚したんだった。超寝ぼけてた。それにしても、学生だってのに結婚するとは……我ながらすごいな!
「…………」
寝ぼけた頭を起動させていると、何やら目の前のちっこい娘さんの顔が不機嫌そうなものへシフトしていた。
「どした、ちなみ?」
「……おはようのちゅーがない。……早くも倦怠期?」
「…………」
「……え、本当に? ……よもや、これほど早く裸ランドセルの出番が訪れようとは」
「ちげー! それの出番は今後な……あ、いや、ないとは言い切れないけど」
「……流石はタカシ、嫁への強制コスプレの最初が裸ランドセルとは。変態レベルがとても高い」
「おまいは結婚しても相変わらず毒舌なのな。ちょっとは甘々な感じになると思ったのだけれども」
「……つまりは、こんな感じ?」(猫耳を素早く装着)
「いみがわかりません」
「ふにゃふにゃ」
「いみがわかった! かわいい!」
513
:
2/4
:2012/05/10(木) 18:43:40 ID:???
「……ネコミミをつけることにより、甘えんぼうな子猫へと変貌を遂げる私の特殊能力に心胆寒からしめられるといい」
「可愛いなあ俺の嫁は可愛いなあ」(なでなで)
「おおおおお。おお。おおお。おおー」
「まあそれはそれとして学校に行かないとね」
「……あれだけ人の頭をなでておいて放置とは。……新手の焦らしプレイ?」
「焦れているのか」
「……実を言うと、焦れていない。ただ、未だちゅーがないのが納得いっていない」
「なるほど。んじゃ、おいで」
来い来いとやったら、素直に近寄ってきたので、ちゅー。そのまま頭もなでなで。
「……ちゅ、ん。……うーん、弱った」
「何が」
「……ハミガキがまだなので臭い」
「その辺りは愛の力でどうにかしてください」
「無理。……早く歯を磨く」
「俺の嫁はシビアだなあ」
洗面所へ向かい、シャコシャコ歯を磨く。ちなみとお揃いの歯ブラシで、バカップルっぽくて気に入っている。
「ぐしゅぐしゅぐしゅ……ぺっ。ふぅ、スッキリした」
「……本当にしっかり磨けているか、実験」
「お?」
ぐいーっと髪を引っ張られ、乱雑にキスされた。
「ちゅ、んちゅ……ちゅ。……ふむ、ミント味」
「歯の裏まで舐めないでください」
「……うーむ、朝から二度もちゅーをしたせいで、興奮してきた。……これも調教された身体故の悩みか」
「まだ調教してませんよ?」
514
:
3/4
:2012/05/10(木) 18:44:04 ID:???
「……結婚する前もしてからもいっぱいちゅーしておいて、調教などしたことねえとタカシはのたまう。貧乳は勝手に自分を慰めてろ、とタカシは言う」
「本当におまいは結婚しようがしまいが変わらないな」
「……そんなことはない。肩書きが可愛い学生から、可愛いお嫁さんになった。初めまして、新妻です」
「これはご丁寧に、……いかん、新妻に値する男性の呼称が分からない」
「やーいばーかばーか。おたーんちーん」
「ご注意ください。小学生の罵声にしか聞こえませんが、俺の嫁の発言です」
「……自慢の嫁。……照れ照れ」
「褒めてねえ。そんなことより、お腹が空きました」
「あ、ご飯はできてる。作った。……偉い?」
「ああ偉い偉い。いつもありがとうな」(なでなで)
「……これは、子作りフラグが立った?」
「立ってねえ! 卒業するまでは自重してるの!」
「……その割にはガンガンしてるよね?」
「ご、ゴム使ってるからいいの。妊娠しない分には大丈夫なの」
「……中出しが大好きなタカシにとって、それはまさに拷問と呼んで差し支えない行動だった。彼が廃人になるのも時間の問題だと言えよう」
「人の性癖を捏造するな」
「……おかしい。……タカシのパソコンには、嫌がってるちっちゃい女の子に注ぎ込んでる画像が大量にあったのに」
「セキュリティクリアランスUVを破っただと!?」
「ZAPZAPZAP。……はっ、まさか、嫌がっているのかポイントか? ……おなかくるしいからもう出さないでぇ?」(棒読み)
「そろそろ泣きますよ」
「……そういうプレイが好きだと思ったのに」
「フィクションだからいいんですよ。本当に泣かれたら萎えちゃいますよ。あと、棒読みに過ぎる」
「……まあ、そんなのはどうでもいい。早く飯を食え。湯気が消える」
「了解。今日のご飯は何ですか?」
ダイニングへ向かう途中、ネコミミの揺れる頭に問いかける。
515
:
4/4
:2012/05/10(木) 18:44:25 ID:???
「……白飯、味噌汁、目玉焼き。さらに海苔まで追加という豪華仕様」
「おお。THE・朝食って感じだな!」
「……じゃあ、今から裸エプロンの準備をするので、その間ご飯食べてて」
「結構です」
「……全裸? 春とはいえ流石に寒いけど、旦那の頼みだ。頑張ろう」
「違う。違うっての! 脱ぐな!」
「はぷしゅ。……寒い」
「ええい、鼻を垂らすな! 全く、ネタのためにそこまで頑張る必要ねーだろ」
「ふがふが」
袖でちなみの鼻を拭ってやる。
「むぅ。せっかく肌を露わにしてやったのに、ちっとも興奮してない。……飽きた?」
「飽きてねぇ。ずっと好きだよ」
「う。……た、タカシはずるいよね、そういうことを照れもせずに言うから」
「ただの事実だ」
「……む、むぅ。……わ、私も、そ、その。……好き、だったり?」
ちょこちょこっとこちらに寄ってきて、ちなみは頬を染めながらぼそぼそっとつぶやいた。それはいい。大変に可愛いし。ただ。
「いい加減服を着ろ。目に毒だ」
「……道理で寒いと思った」
「俺の嫁は少し頭が悪いかもしれないね」
「……失礼な。ふが」
またしても鼻を垂らす嫁の顔を拭う羽目になりました。でも可愛いからいいや!
516
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/10(木) 22:06:21 ID:???
いつ俺の日常を盗み見したんだ
GJ!
517
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/10(木) 22:35:02 ID:???
>>515
嫁ちなみんおバカで可愛いwwwww
518
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/11(金) 03:08:16 ID:???
>>515
新妻ちなみん可愛すぎるやろー!
519
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/11(金) 05:03:31 ID:???
>>515
GJ!
倦怠期の解消方法が裸ランドセルとかどんなww
520
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/11(金) 21:23:18 ID:???
>>515
これはバカかわいい嫁ちなみんwww
しかしせっかくなら裸ランドセルより裸ワイシャツの方が(ゲフンゲフン
521
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/12(土) 17:35:22 ID:???
>>502-511
の続き
522
:
1/7
:2012/05/12(土) 17:35:58 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その4
驚いて体をビクッと震わせてしまうが、何とか取り乱さずに私は弟に向き直った。
『何でこっちに顔出してくるの? 大人しく向こうにいなさいってば』
「だって、お菓子なくなっちゃったからさ。お母さんに聞いたら、ねーちゃんに断わっ
て、少し分けて貰って来なさいって」
私は、呆れてため息をつく。全く、母もこういう時くらい気を遣って大輝を寄り付か
せないようにしてくれればいいのに何で真逆な事をするんだろうと。
「あ、いいよ。好きなだけ持って行っても」
別府君がお菓子の盛ってある皿を差し出すと、珍しく大輝が礼儀正しく頭を下げた。
「あ、すみません。それじゃあ、ちょっと貰います」
大輝がチョコやらクッキーやらおかきやらを適当に自分が持って来た皿に取る。それ
を見つつ、私は小さく愚痴った。
『……大体、二人にしてはお菓子の量が多過ぎなのよ。お母さんってば何を張り切って
るんだか……ホント、バカみたいなんだから……』
どうせ男の子が初めて家に来たもんだから、テンション上がったに決まっている。本
当にそういう所は困った親だ。
「ん? ねーちゃん、今何か言った?」
どうやら、大輝に聞こえてしまったらしい。私は澄ました顔で首を横に振った。
『別に、何でもないわ。いいから、用が済んだらとっとと向こう行きなさいよね』
しかし大輝はリビングから出て行こうとはせず、私を無視して別府君に向き直った。
「あのさ、別府さん。ちょっと聞きたいんだけど」
『ちょっと、大輝』
何やら好奇心満々な大輝を制しようと、私は厳しい声を出す。しかし大輝はうっとう
しそうな顔で私の方を向くと、口を尖らせた。
「いーじゃんかよ。俺にもちょっと話させてくれたって。ね、いいでしょ? 別府さん」
「え? ああ。俺は構わないけど」
別府君がそう答えてから、私に向かって少し我慢していてくれというように頷いてみ
せる。私としては、大輝が何か余計な事を言い出しかねなくて嫌だったが、別府君にそ
う諭されては、黙るしかなかった。
523
:
2/7
:2012/05/12(土) 17:36:19 ID:???
「あのさ。ねーちゃんって、普段学校ではどんな感じなんですか?」
『ちょ、ちょっと、大輝』
質問の内容に、私はまた、慌てて止めようとした。学校での私を家族に知られるのも
嫌だったし、家での私を別府君に知られたくも無い。しかし大輝は私を全く無視して、
ワクワクした顔で別府君を見ていた。
「うーん…… 大人しくて、真面目で……友達と話してる時も、はしゃいだりする事は
なくて、休み時間も本とか読んでる方が多くて、イメージで言えば物静かな感じってと
ころかな?」
別府君が語る私のイメージに、私自身もついつい真剣に聞き入ってしまった。別府君
が見ていた私のイメージが、私がそうありたいと願っていた姿に近かったのでホッとす
る。しかし、次の大輝の一声が、またも私を慌てさせた。
「へーっ? ねーちゃんが、物静か……ねえ?」
「あれ? 何か意外だった?」
キョトンとする別府君に頷き、大輝が何故か得意そうな顔で答え始める。
「だって、物静かって…… ねーちゃんてさ。家では……」
恐れていた事態に、私は即座にチョコを一つ手に取ると、抜く手も見せずに大輝の顔
に向かって投げつけた。それは的確に大輝のおでこを捉える。
「あいてっ!!」
咄嗟におでこを押さえ、大輝が私に向き直った。
「何すんだよ、ねーちゃんっ!!」
『余計な事言わないの。人様に身内の恥を晒してどうするつもりなのよ。貴方は』
てっきり、まだ言い返してくるかと思ったのに、大輝はいきなりプッと吹き出した。
「……貴方……だって……普段ぜってーそんなこと……って……やっべ……超おもしれー……」
決めた。別府君が帰ったら、大輝は絶対にシメる。もうただでさえパジャマ姿での応
対で十分恥を晒しているのに、この上家での私をあれこれバラされたら、もう別府君の
顔をまともに見ることすら出来なくなってしまう。女の子の恥を、しかも密かに想って
いる人にバラそうとしたらどういう事になるか、大輝にはきっちり教育しなければ。
『勝手に笑ってなさい。いっそそのまま笑い死ねばいいわ』
そう吐き捨ててから、別府君を見ると彼は興味津々な様子で私達を見ていた。
『何? 私のことジッと見て。何かあるの?』
524
:
3/7
:2012/05/12(土) 17:36:45 ID:???
何か嫌な予感に駆られつつ聞くと、別府君はハッとした顔になり、それから慌てて答える。
「いやその……委員長がさ。何かこう……弟さんと絡むのって、何か意外な感じだな」
そう感想を漏らす別府君に、私はワザとらしく呆れたため息をついた。
『確かに、弟がいるなんて言った事はないけどね。でも別に全然意外でもないと思うけ
ど。というか、弟がいて何か悪い?』
厳しい言い方で相手の意見を封じ、同時に興味も殺ごうとした。別府君は急いで弁解する。
「ああ、ゴメン。気に触ったかな……? 今まで、委員長と弟っていうイメージが無かっ
たからさ。しかも、性格真逆で、快活な感じだし」
『真逆で快活って……じゃあ私は暗いってこと?』
揚げ足を取ってみせると、別府君は慌てて否定する。
「いや。暗いとはちょっと雰囲気が違うと思うんだけど……笑う時も絶対大笑いとかし
ないしさ。上手く言えないけど……」
その時、またしても大輝が口を挟んでくる。
「へーっ。姉ちゃんってさ。家だと普通にしゃべるんだけどな。ていうか、どっちかっ
てと怒ってばっかだけど。あ、あとお笑いの――」
調子に乗ってしゃべる大輝に、私は慌てて立ち上がって背後に回ると、手で口を押さ
えて封じた。もがこうとする大輝を押さえつけ、耳元に口を近付けると、別府君に聞こ
えないよう小声で脅した。
『アンタね。これ以上余計な事言ったら、絶対許さないから。後で死ぬほど酷い目に遭
わせるけど、いい?』
弟と姉とはいえ、大輝はまだ中学生でしかもすばしっこいが背も小さく力もそんなに
強い訳ではない。まだ、知恵を使えば色々と逆襲は出来るし、力技以外でも、弟を酷い
目に合わせる方法はいくらでもある。
『全く…… 病み上がりなのに余計な運動させないでよ』
大輝を放し、ソファに戻ると大輝がつまらなそうに文句を言った。
「ちぇっ。ゴメンね、別府さん。姉ちゃんの事、色々話したかったけど、言ったら殺すって」
『ちょっと、大輝っ!!』
瞬時に私は、大輝を睨み付ける。せっかく小声で言った事を一言でバラされたら、何
の意味もない。しかも、余計大げさに言ってるし。
525
:
4/7
:2012/05/12(土) 17:37:10 ID:???
「ハハハ。怖いな委員長」
冗談交じりに言って、別府君が笑う。ほら。変な印象植え付けられたじゃない、と私
は内心舌打ちする。
『もう、いい加減邪魔しないで向こう行ってなさい。いいわね?』
強い口調で大輝に命令すると、大輝は不満そうに口を尖らせた。
「何だよ。せっかく姉ちゃんの面白い話が出来ると思ったのに。つまんね」
『人をネタにして面白がるんじゃないわよ、このバカ!!』
リビングから出て行く大輝に後ろから怒鳴りつけてから、私は両肘を膝の上に乗せて
前屈みの格好でため息をついた。
「ゴメン。何か、余計な事色々話しちゃったみたいで」
済まなそうな顔で謝る別府君を見て、私は軽く首を横に振る。
『いいわよ。元々は家に上げた母と、余計な事ばかりしゃべる大輝が悪いんだから。も
っとも、それに乗った別府君にも責任ないとは言えないけどね』
それを聞いて、うぐ、と別府君が呻く。どうも私には、多少なりとも別府君のせいに
する癖が付いているようだ。これは少し、反省する余地がある。
「だからゴメンって。それより、委員長少し疲れてない?」
もう一度頭を下げてから、今度は気遣うような顔をして、別府君が私を見た。
『うーん……そうね。少しは……』
言いかけて、私ははたと迷う。ここで疲れたと言ってしまったら、別府君が帰ってし
まうのではないだろうかと。それは残念だが、しかし一方ではこのまま家にいられると、
私の本性がますます明らかになってしまう危険性も十分にある。葛藤の末に、私は決めた。
「どうしたの?」
途中で言葉を切った私を不審に思ったのか、別府君が聞いてくる。それに私は首を振っ
て言った。
『ううん。やっぱりちょっと疲れてるみたい』
口に出してしまってから、やっぱり少し後悔する。しかし、すぐに私は思い直した。
こんな状況で下手に本性を曝け出すくらいなら、今日は我慢した方がいい。これできっ
かけは出来たんだし、欲張らない方がいいと。
「そっか。やっぱり病み上がりだもんね。ちょっと、無理させちゃったかな?」
予想通り、申し訳無さそうな顔を見せる別府君に、私は首を横に振った。
526
:
5/7
:2012/05/12(土) 17:37:33 ID:???
『無理してるって思ったら、その時点で即、お帰り願ってるわよ。何で私が別府君相手
に無理して接待しなくちゃならないのよ』
「アハハ。そりゃ、確かにそーだ」
いつもと変わらぬ毒舌を吐いた私に、別府君が安心したように笑う。それから、傍に
置いてあったバッグに手を掛けて引き寄せた。
「でも、いつまでも委員長に相手させて、万が一ぶり返させたらマズイし。今日はここ
で失礼することにするよ」
『そう。なら、玄関まで送るわ』
努めて冷静に、私は頷いて立ち上がった。続いて別府君も立ち上がり、キッチンの方
に声を掛けた。
「すみません。今日はお世話になりました。お茶とお菓子ありがとうございました。美
味しかったです」
すると、母が顔を出し、笑顔を見せた。
『あら? もう帰っちゃうの。ごめんなさいね、大したおもてなしも出来なくて』
「いえ。とんでもないです。本当にご馳走になっちゃって」
ペコリと別府君が頭を下げた。普段、学校でしか見てないからか、私は意外と礼儀正
しい一面を彼が持っていることに驚くと共に感心する。
『いいええ。良かったらまた遊びに来て。涼香も喜ぶでしょうし』
「喜ばないわよ」
典型的な挨拶の言葉とはいえ、我慢出来ずに小さくツッコミを入れると、即座に母の
お叱りが飛んで来た。
『こら、涼香。そういう事は言わないのっ!!』
『知らないわよそんなの。大人の嘘に付き合ってられないわ』
ツン、とそっぽを向く私に、母が呆れた声を出した。
『全くこの子ってば、いつまで経っても子供なんだから。少しは別府君のしっかりした
態度を見習いなさい』
「あ、いえいえ。僕の方こそ委員長――涼香さんには、いつも迷惑ばかり掛けてますから」
私はチラリと横目ではにかんだ笑顔を見せる彼を見た。今ちょっと、名前で呼ばれた
事にドキリとしてしまったのは秘密だ。
『もういいでしょ。行くわよ』
527
:
6/7
:2012/05/12(土) 17:37:56 ID:???
別府君の方に手を伸ばし、手首を掴むと私は軽く引っ張って促す。
「あ、ああ。それじゃあすみません。今日はこれで失礼します」
もう一度お辞儀をする別府君に、母は微笑みながら頷いてみせた。
『ええ。じゃあまた、是非』
二人のやり取りを終えるまで待ってから、私と別府君は玄関に戻った。無言で靴を履
く別府君を、私も無言で見守る。それから立ち上がると彼は、私に向き直った。
「今日はゴメン。軽くお見舞いというか、様子窺うだけのつもりだったのに、却ってい
ろいろとお世話になっちゃって」
『……まあ、仕方ないわ。悪いと思ってるなら、私が学校に出てから、何か軽い埋め合
わせでもして。それで清算にしましょう』
無愛想な言い方をしたが、私はちょっぴり期待を込めてはいた。これでまた一つ、別
府君と繋がりが保てる。彼とこうして約束を続けていければ、少しずつ、親密度も増し
ていけるのかもしれない。
「了解。それじゃあ、委員長が気を遣わない程度のお礼を何か考えとくよ」
ニッコリと笑って頷く彼に、真顔で私も頷き返す。
『急ぐ必要はないわ。どのみちそんなに期待もしてないし』
「そんな事言わないでくれって。まあ、期待され過ぎても文句言われるから困るけど、
少しくらいは期待してくれた方が、こっちもやる気出るってもんだぜ」
『だから、そんなに、って言ったのよ。分からない?』
言い方によって受け止められ方が変わるけど、ほぼ同じ意味の事を言っていると仄め
かすと、それに気付いて別府君が頭を掻いた。
「いや、ゴメン。まあ、その……そういう事ならいいんだ。うん」
済まなそうな態度で謝る彼を見るといつも、もう少し柔らかな物言いすれば良かった
かなと反省する。しかし、いつもそれは、口に出してしまった後の事だ。軽く自己嫌悪
に陥りつつ、だから私はいつものように、それにはもう触れずに話を先に進める。
『まあ、明日からは普通に学校行けるから。もう安穏とした日々はないと思いなさいよね』
私としては冗談交じりに言ったつもりだったのだが、全くユーモアがなかったらしく、
別府君は慌てて手振りでそれを否定した。
「いやいやいや。今までもちゃんとやってたから。ホントだって。明日来れば分かるし」
528
:
7/7
:2012/05/12(土) 17:38:24 ID:???
私はフン、と鼻を鳴らす。半分はその言葉の信憑性を疑って。残りの半分は冗談が下手くそだった事に対して。
『そうね。じゃあ、明日を楽しみにしてるわ』
私の言葉に、別府君が頷く。それがキッカケになって、彼はバッグを肩に掛けて手を
軽く上げた。
「ああ。それじゃあ……また、明日な」
『ええ。また明日ね』
別府君がクルリと踵を返す。玄関のドアハンドルに手を掛け、回す。そして、私の見
ている前で、彼はゆっくりと外に出て、最後に私の方を振り返って笑顔で手を振ると、
ドアを静かに締めた。
続きます。
529
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/13(日) 01:11:15 ID:???
慌てるいいんちょは可愛いのう
GJ!!
530
:
1/3
:2012/05/20(日) 02:09:28 ID:???
【ツンデレと一緒に弁当を食べたら】
昼休み、とある人物を探して中庭をぷらぷら歩いてると、目的の人物を木陰で見つけた。
「よっす先輩」
「…………」
先輩は俺を一瞥しただけで、視線を元に戻してしまった。
小学生みたいな見た目だが、驚くべきことに年上だ。そんな先輩が足を投げ出し、芝生の上に座り込んでいる。そして、そのちんちくりんな体躯とは正反対の大きな弁当箱を広げていた。
「今日も弁当箱がでけーな。隣いいか?」
「…………」(ぷるぷる)
「許可を得たので座らせてもらおう」
先輩が『許可なんて出してない』という感じのじとーっとした視線を向けてきたが、気づかないフリをしつつ先輩の隣に腰を下ろす。
「俺も飯を食いに来たんだ。先輩、よければ少し俺の弁当と交換しないか?」
先輩はしばし逡巡すると、こっくりうなずいた。
「よし、この漬物を生贄に捧げ、先輩のハンバーグを召喚する!」
先輩が俺の手をかじりだしたので、トレードは拒否されたと見ていいだろう。この先輩は八重歯が異常に尖っており、野生動物に噛まれるが如き痛みなので噛まないで欲しい。
「あいたた……分かった、分かったよ。先輩、どれ食べたい?」
弁当箱を見せると、先輩は腕を組んでじっくりと考えだした。その隙に先輩の弁当を見る。なんか全体的に茶色い。女の子の食う弁当じゃない気がする。でも美味そうだ。コロッケをひとついただく。
「……? ……っ!!!」
ばれた。先輩は俺の口元のコロッケを見て、驚愕の表情を浮かべている。
「あ、いや、おいしそうだったので、つい。てへ、ごめりんこ☆」
「…………」
静かに先輩が涙をこぼした。
「うええっ!? ごっ、ごめん先輩! まさか泣くとは思わなくて! 俺が全面的に悪かった! だからどうか泣き止んで!」
「…………」
「えっ? 弁当全部くれたら許すって? ……いや先輩、流石にそれは……」
「…………」(涙じわーっ)
「分かった、分かったから泣かないでっ!?」
そう言うなり、先輩はニコーっと笑った。嘘泣きなのか。魔女め。
とはいえ、言ってしまったものは仕方ない。粛々と先輩の弁当箱を渡す。
「♪」
531
:
2/3
:2012/05/20(日) 02:09:49 ID:???
先輩はご機嫌な感じで俺の昼飯をもがもがと貪り出した。
「はぁ……なんてこった。折角先輩と一緒に飯を食おうと思ったのに、よもや昼抜きになろうとは……」
先輩の動きがぴたりと止まった。
「ん? どした先輩?」
「…………」
「え、わざわざ私とご飯食べに来たの、って? あー、うん、まあそのような感じ。結果はけんもほろろだけどな」
先輩はしばらく黙って何やら考えた後、俺の弁当箱を勢い良くこちらに向けた。慣性の法則により、中の漬物がどういうわけか俺の両目にうまいこと直撃、前が見えねえ。
「目が、目がぁ〜!」
「……! ……!」
痛くて目を開けられないが、何やら先輩が慌てている気配を感じる。
「大丈夫だ先輩。味は抜群だが目に入ると失明する恐れのある添加物を入れた漬物が目に当たってしまったが、大丈夫だ」
先輩の慌てっぷりが増した気配がする。
「嘘だよ、嘘。今日も先輩は騙されやすくていいなあ」ナデナデ
「…………」(がぶがぶ)
目を拭いて先輩の頭をなでたら、復讐とばかりに噛まれた。
「それにしても、よもや慣性の法則アタック(属性:漬物)をしかけてこようとは。今日も先輩は侮れないな」
ぽふりと先輩の頭に手を乗せつつうんうんうなずいてると、『そんなつもりじゃない』という呟きが耳に届いた。
「で、どしたんだ? 弁当箱をこっちに向けたりして」
「…………」
「え? 一緒に食べる? いやでも先輩、さっき俺の弁当全部よこせって」
「…………」(ぷるぷる)
「いや、ぷるぷるじゃなくて、さっき」
「…………」(ぷるぷる)
「……はぁ。言ってないのな?」
先輩は無表情にコクコクうなずいた。
「んじゃ、改めて一緒に食うか、先輩?」
先輩は小さな笑みを浮かべながら、再びコクコクうなずいた。
「相変わらずロリ心を刺激する物体だなあ、これは」ムニムニ
「……! ……!」
なんか可愛かったので先輩のほっぺを引っ張ったら怒られた。
532
:
3/3
:2012/05/20(日) 02:10:09 ID:???
「ロリ心なんて刺激するはずない? ないすぼでーなお姉さんをいじめるな? 先輩、無乳はないすぼでーではないと何度言ったら」
先輩の胸は貧乳を通り越して隆起など皆無と言っていいほどつるぺたなので、いつもこのように俺にいじられる。
「…………」(がぶがぶ)
「先輩、痛い」
そしていつものように俺の背後に回って頭をかじるので、やめてほしい。
「まったく、先輩には困ったものだ」
戻ってきた先輩の猿もかくやと思える動きで確保し、膝に乗せて抱っこ。しかるのち頭をなでなで。この一連の所作大好きです。
「…………」
「抱っこするな? そうしたいのは山々なんだが、断る」
「…………」
先輩が普通に絶句した。
「それにしても先輩は可愛いな。娘とかにしてえ」
「…………」
「娘じゃなくて彼女? いやいや、俺と先輩じゃどう見ても親子にしか見えないだろう。あ、大丈夫です、俺には娘萌えも備わっていますから!」
先輩が俺をクソ虫を見る目で見てきた。
「…………」
それどころか実際に言われた。
「なんでこの小さいのは見た目は可愛いのにこんな口が悪いかなあ」
とりあえず復讐とばかりに先輩のほっぺを引っ張る。
「…………」
「触るな変態? そう言うがな、先輩。俺はいつだって先輩を触りたいし、そして変態なのはもう諦めてください」
先輩の目と口の動きが俺をクソ虫だと言い切る。
「ええい、口の悪いちびっ子め。そんな口が悪いといたづらしないぞ!」
「……! ……」
一瞬焦った先輩だったが、好都合だったことがばれたようで、死ねと言われた。
「……分かった、俺も男だ。あと7、80年後に死ぬよ」
「…………」
「寿命禁止? なんて厳しい。とりあえず飯でも食いながら俺の死因を探さないか?」
といった感じで、今日も先輩と一緒に仲良く弁当を食ったのだった。
533
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/20(日) 10:22:02 ID:???
>>532
ロリッ娘無口先輩可愛いなあ
GJ!!
534
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/20(日) 14:56:37 ID:???
ロリっ子に腹上死しられるとか胸熱
535
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/20(日) 22:45:53 ID:???
週刊いいんちょ
>>521-528
の続きです
536
:
1/4
:2012/05/20(日) 22:46:20 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その5
『フゥ……』
緊張が一気に解け、私はその場に腰を下ろした。
『全く……生きた心地がしなかったわよ……』
何だか電池が切れたかのように疲れが襲ってくる。しかし、まだこの疲れに身を委ね
る訳には行かない。やる事がまだ残っているのだ。
『友紀に電話して、思いっきり文句言ってやらなきゃならないけど、とりあえずそっち
は後にして……と』
もう一度気力を奮い起こすと、私は立ち上がってリビングへと戻った。
『大輝っ!!』
私達が出た後で、リビングに戻ってマンガを読んでいた大輝に、私は怒鳴った。
「何だよねーちゃん、うるさいなー」
『うるさいな、じゃないっ!!』
つかつかと早足で大輝に近付くと、前屈みに睨み付けた。
『アンタね。何だってクラスの男子の前で、人のプライベートをいちいちしゃべろうと
すんのよ。デリカシーが無いにも程があるわっ!!』
「だーって、ねーちゃん面白かったんだもん」
マンガを置いて私を見上げた大輝の顔には、からかうようなニヤニヤ笑いが張り付いていた。
『面白いって何がよ?』
返答次第によってはただでは置かないと凄みを利かせるも、大輝は全く意に介す事な
く、人のモノマネをする。
「……別に。ただ面白いから面白いって答えただけよ。何か問題でもあるのかしら?」
『ぐぬぬ……』
澄ました顔で、クールな私を演技してみせる大輝に、私は思わず歯噛みした。大輝の
バカにした態度を、どうやってとっちめてやろうかと考える。
「ねーちゃんって、学校であんななんだな。お澄まししてれば美人に見えるってもんで
もねーのに」
その言葉に、ついに私の怒りは頂点に達した。
537
:
2/4
:2012/05/20(日) 22:46:42 ID:???
『この……大輝いーっ!!』
「おわっ!? な、何すんだよねーちゃん」
『何すんだじゃない!! 散々人をバカにしてっ!! 姉をバカにするとどうなるか、
思い知らせてやるわっ!!』
とにかく大輝をとっ捕まえて、痛めつけなければ気が済まない。スルリと私の腕を抜
けて逃げる大輝を、私は素早く追いかける。
「ちょっ!! ねーちゃん、まだ暴れちゃダメだろが!! 病人のクセに」
『うるさい知ったことかあっ!! そう思うんだったら大人しく捕まんなさい!!』
「冗談言うなよ。姉ちゃんてば、下手に手加減知らないんだから」
キッチンを抜けて廊下に逃げる大輝を、駆け足で追うと母の怒声が背中に飛んで来た。
『ちょっと!! 何やってんの二人とも!!』
「大輝捕まえるだけ!! すぐ済むから」
そう言葉を投げ返しつつも、私は手を伸ばして大輝を捕まえようとする。廊下の入り
口では失敗したが、玄関脇にある二階への階段を上ろうとしたところで大輝がけつまずく。
「あイタッ!!」
ぶつけた足を押さえたその瞬間を逃さず、私は大輝の服を掴む。そのまま引き寄せて
背後から抱きかかえる。
『さあ、捕まえたわよ。どうしてくれようかしら』
生意気な弟を〆るために、痛めつける方法はいくつも勉強している。その場で引き摺
り倒して私は、大輝をガッチリ捕まえる。
「離せよ、バカ。離せってば!!」
『自業自得よ。さあ、何がいい? こめかみに梅干しやってみる? それとも、顔面マッ
サージとか』
軽めに指で大輝の眉間の脇をグリグリマッサージしてやると、大輝が痛みで身をよじった。
「痛いってば、ねーちゃん!! 止めろよな」
『こんな程度で止めるわけないでしょ? クラスの男子の前で人に恥かかせるような真
似して、絶対に許さないんだからね』
「アイテテテテテ!!」
足で体をホールドしてから、背後から両手を使って顔面のツボを思いっきり押してや
る。これって自分でもやった事があるが、かなり痛いのだ。
538
:
3/4
:2012/05/20(日) 22:47:02 ID:???
『ほら。まずはキチンと謝れ。じゃないともっと痛めつけるからね』
「痛い痛い。痛いってば!!」
私に似て、大輝も結構頑固だから多少痛めつけたくらいじゃ折れないのは承知の上。
そう思って更に力を込めたところで、再び母の怒声が響き渡る。
『アンタ達いい加減になさいっ!! 玄関先で何ふざけてるの。特に涼香。アンタ病み
上がりなのよ? 分かってる?』
『分かってるってば。けど大輝が――』
言い返そうと口を開くが、途中で母の怒鳴り声にかき消される。
『けどじゃありませんっ!! 大体、玄関先でなんて、よその人に見られたら……』
母の声のトーンが急に下がり、言葉が掻き消えて行く。驚いたような母の顔に、私は
咄嗟に玄関の方に振り返り、そして凍りついた。
『あ……』
「す、すみません。あの、ベル鳴らしたんだけど……」
玄関先に立っていたのは、もうとっくに帰ったはずの、別府君だった。
『あ……あ……』
言葉が何にも出て来ない。思考が物凄い勢いでグルグルと回るが、上手く考えがまと
まらない。
「ちょっと、携帯忘れちゃって、それで……いや、あの、無断で入るつもりはなかった
んだけど……いるはずなのに、全く返事がなかったからおかしいなって……それで……」
言い訳めいた別府君の言葉も、全く私の思考に届かなかった。混乱した頭が徐々に一
つの重大な結論に辿り着く。それは――
――別府君に見られた。別府君に見られた。見られた。別府君に――
『い……やあああああああっ!!!!』
私は大輝の事なんて忘れて立ち上がると、早くこの場から消え去りたい思いで、一目
散に階段を駆け上がった。そのまま、自室まで辿り着くと、部屋のドアを開けて飛び込
み、勢いよくドアを閉めて外界を遮断してから、私はベッドに飛び込んだ。
『何で…… 何で別府君がいるのよ……信じられない……』
539
:
4/4
:2012/05/20(日) 22:47:32 ID:???
これで、クールで理知的なイメージは台無しになってしまった。別府君がみんなに言
うかどうかなんて問題じゃない。人前で話すのが苦手なのを逆手に取って、中学に入っ
た時から積み上げてきた学校での自分の姿。それをよりにもよって別府君の前で、崩壊
するような事をしてしまった。
『もうダメ……絶対変に思われる…… もし、別府君が今までの私を少しでも好きでい
てくれたとしたら、幻滅したに決まってる……』
恥ずかしくて恥ずかしくて、私は堪え切れずに悶絶した。自己嫌悪で死にたくて堪らない。
『あああああっ!! 友香にだって見せたことないのにぃ……何でバレるのが別府君な
のよ。もうヤダ……ヤダヤダヤダッ!!』
別府君の、驚いた顔を思い出す。その表情から察せられる彼の考えまでは分からない
けど、よく思うなんてないはずだ。
『うぐぅ…… 明日っから、学校行けないよ……もういっそ、このまま休み続けちゃおうかな……』
別府君の事だから、あからさまにはバカにしないだろうけど、もう彼の目の前で凛々
しい態度を取った所で、見せ掛けの演技だってのがバレバレになってしまう。それが分
かってるのに、今までのように接するなんて出来ない。
『どうしよう……それとも、いっそ転校とか……』
自分の思い付きを真剣に考えてみようと思った、その時ドアが静かにノックされた。
『うるさい。一人にして。今誰とも話したくない!!』
どうせ母親だろうと突っ撥ねたが、返って来たのは、意外な声だった。
「委員長。いい?」
その声は、別府君の声だった。
続く
540
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/21(月) 00:42:15 ID:V.joO6BI
GJ!
委員長かわいい
541
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/21(月) 00:54:59 ID:???
委員長かわゆいなあもう
542
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/05/21(月) 01:20:57 ID:???
怒った委員長もかわいいよちゅっちゅ
543
:
1/2
:2012/05/31(木) 19:30:51 ID:???
【ツンデレを後ろからなでたら】
だらりだらりと登校してると、見覚えのある頭がゆらゆらしてたので、後ろからなでてみた。
「……この手の動き、そしてこの放射される波動。タカシとみた」
「当たり」
頭がくるりと振り返る。見慣れたちなみの顔が現れた。そのままなでり続行。
「つーか、なんだ波動って」
「……タカシの手から放たれる殺人光線?」
「知らぬ間に殺人鬼に成り果てていようとは。ちなみ、俺がこれ以上罪を重ねないよう、その手で俺を止めてくれ……!」
「分かった。殺す」
「少しくらいためらいがほしいですよね」
「……うーん。よし、殺す」
「葛藤が軽い! 愛しの人を殺すのだから、もうちょっと悩んで!」
「……別に愛しくない。むしろ、タカシがいない方が世界のためだ」
「酷い言われようだ」
「……タカシがいないと、世界中のようじょがのびのび出来て幸せだ」
「別に今でものびのびすればいいのに。さんはい」
「……私はようじょではない」
「小さいのに?」
「……小さいのに」
そう言いながら、さりげに俺の足をグリグリと踏んでくる。気にしていないようで気にしているようだ。
「……中学生に間違われるのはともかく、小学生に間違われるのはありえない」グリグリ
「その怒りをここで発散しないで」
「……背か? 胸か?」
「どっちもです」
「…………」グリグリグリ
「そろそろ足の甲に穴が空きそうな具合です」
「……ヒモを通して携帯するのに便利」
「非常食扱いするのやめてください」
544
:
2/2
:2012/05/31(木) 19:31:11 ID:???
「……なら、いい加減私の頭をなでるのを止めるべき」
「ん? おお、そういえばずっとなでてたね」ナデナデ
「……無意識の領域か。今日もタカシは私が好き過ぎる。その想いが届くことなど未来永劫ありえないというのに」
「いや、別に好きではないです」
「…………」グリグリグリグリッ
「痛い痛い痛いっ! 踏むな! 百歩譲って踏んでいいとしても、踵で踏むな!」
「……私のことを好きなくせに好きじゃないフリをする。……ツンデレとでも呼んで欲しいのか」
「いや、だから別に」
「……やーいツンデレ。ばればれだっちゅーの」
「いや、古すぎるうえ、胸をよせてもお前には無理だ。0はいくらかけても0のままなんだ」
「……貧乳が好きなくせに、貧乳を貶める。……こんなところにまでツンデレの弊害が」
「お前もうツンデレって言いたいだけだろ」
「……少し」
なんでちょっと恥ずかしそうなんだ。
「まあいいや。ほれ、一緒に行こうぜ」
「……でも、一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし」
「ときメモるな。そして今は下校ではなく登校中だ」
「……じゃあ安心だ」ギュッ
「ええっ!?」
「……うるさい」
迷惑そうな顔でじろりと睨まれた。いやしかしそれどころではなくて!
「な、なんで手を握るのでせうか」
「……一緒に学校に行く場合は、友達に噂とかされないので恥ずかしくないから」
「いや、手を握ったりなんてしたら噂はされると思うのですが」
「……それは盲点だった」
「しまった、こいつ思ったより馬鹿だ!」
「……そういうこと言うと、手を離す」
「なるほど、じゃあ言わない」
「……ん」
そんなわけで、なんか知らんがおててつないで学校へ行くことになった。でもちなみの手がやわこいからいいや!
545
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/01(金) 00:16:20 ID:???
ちなみんは可愛いなあ
546
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/01(金) 23:32:49 ID:???
ふにふにのおててにぎにぎしたい
547
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/02(土) 11:39:51 ID:???
ちょっと間が空いたけど、
>>535-539
の続き
……先週投下した気でいたけど、投下準備だけして出掛けてしまった事にあとから気付いたぜと
548
:
1/5
:2012/06/02(土) 11:40:33 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その6
私はガバッと体を起こしてドアを見る。しかし、次の瞬間には再び、毛布を頭から被っ
て両耳をも覆った。
『良くない!! お願い、帰って。今、会いたくないの!!』
しかし、私に拒否されたくらいでは、別府君は諦めなかった。
「話がしたいんだ。その……何で逃げ出したのかとか、聞きたい事もあるし…… もし、
何か勘違いしてるんだとしたら、その……誤解は解いておきたいから……」
『別に誤解なんてしてないし、見ての通りよ!! もういいでしょ? 帰ってよ。ね……』
別府君の声を聞くと辛くて堪らなくなる。これ以上、傷口を広げないで欲しい。何で
学校では演技してたのかとか、事情を説明すればするだけ、自分のダメな部分を知られ
ていくだけだ。しかし、耳を澄ませても別府君が一向に立ち去る音はしなかった。
『……どうして帰らないのよ。帰ってって言ってるのに』
ドアの向こうの彼に問い質す。ややあって、別府君の答えが返って来た。
「……だってさ。このまま別れたら、明日から絶対気まずくなんじゃん。それはちょっ
とイヤだなって思って。だから、ちゃんと話しておかないと」
別府君が気にして声を掛けに来てくれたのは、それはそれで嬉しい。だからと言って、
気まずくならないなんて無理だ。彼はともかく、私の方が顔を合わせられない。だから
私は、無愛想な口調で突っ撥ねた。
『別に話す事なんて……何もないわよ。見ての通りだもの。好きに思ってくれていいわよ』
一瞬、彼の返事まで間が空く。このまま帰ってしまうのではないかとドキリとしたが、
少し経ってから、落ち着いた声で別府君の返事があった。
「……じゃあ、好きなように思っていることを話すからさ。独り言だから、委員長が聞
きたくないって言うのなら、聞かないでもいいよ」
こういう言い方ってズルイと思う、と内心私は愚痴を言う。だって、聞かなくていい
なんて言いながら、気を引く方向に持って行くんだから。しかし、私は何も言わずに黙
って次の言葉を待った。ややあって、彼が言葉を続ける。
「……委員長はさ。イメージが崩れたとか、そういうのを気にしてるんだと思う。いつ
も冷静で凛々しくて、キリッとしている女性に憧れていて、そうなりたいと思っている
から、理想から離れた、家での自分を見られたくなかったってそういう事なんだろうなって」
549
:
2/5
:2012/06/02(土) 11:40:53 ID:???
別府君の言い分は、当たらずとも遠からずという所だった。私は単に臆病な自分を隠
したかっただけで、彼の持つイメージは後から付いて来たものだ。だけど私は敢えて否
定しようとはせず、黙って彼の言葉を聞き続けた。
「けどさ。誰だって普通は、家と外では全然違う自分がいると思うんだ。もちろん俺だっ
てそうだし。だから、そんな事でおかしいとか、みっともないなんて、そんな事は全
然ないと思うよ」
『……本当に、そう思ってるの?』
私は立ち上がり、ドアの向こう側の彼に向かって聞く。少しでも動揺が声に出ている
ようなら、信用しないと決めて。しかし、彼の答えは明確だった。
「うん。思ってるよ。それに、素の自分を見られるのが恥ずかしいって言うのは、それ
も分かってるし。けれど、俺は委員長が家では弟とふざけ合ったりしてたとしても、そ
れはそれで当たり前の事だと思うし、そういう委員長も新鮮でちょっといいかなとも思ったり」
『え?』
褒められるとは想像もしていなかったので、私は驚いて聞き返した。すぐに別府君の
答えが返ってくる。
「いや。そういうギャップもいいかなって。学校ではクールで真面目な委員長が、本当
に親しい間柄の人の前では感情を表に出して笑ったり怒ったりするってのもね。それに、
根っ子の生真面目さは全然変わってないし」
最後の一言に、ちょっと笑いが含まれているのを敏感に感じ取り、私は少しムカッと
した気分になり、不機嫌そうに聞いた。
『……それって褒めてるの? それともからかっているの? どっちよ?』
すると一瞬間が空き、それから慌てたように別府君が弁解してきた。
「いやいやいや。可愛いなって褒めてるんだって。ただ、話してるうちに今日の委員長
の態度を思い出してさ。家での自分をダメだなんて思うところまで、いかにも完璧主義
の委員長らしいなって思ったら少しおかしくなっただけで」
『やっぱり、ちょっとバカにしてる。可愛いってごまかしてるけど、本当は面白いのが
正解なんじゃないの?』
可愛いと言われた気恥ずかしさから、それをつい否定して私の頭はバカにされてる方
へと転換してしまう。しかし、今度はすぐさま別府君も否定し返してきた。
550
:
3/5
:2012/06/02(土) 11:41:13 ID:???
「本当だって。今にして思えば、地を出すまいと弟さんの前で頑張ってたんだなって分
かるとさ。それも余計に可愛く思えてきて」
『嘘よ。絶対からかってるわ』
「嘘じゃないってば。ドアを開けて、俺の顔を見てくれよ。マジだって顔してるから」
その提案に、私は躊躇する。こんな状態で面と向かって別府君と相対したら、恥ずか
しくて死んでしまうかもしれない。けれど、このままじゃお互い譲れないまま、引くに
引けない状況が続くだけだ。
「大丈夫だって。俺は嘘は一言も言ってないから。せめて、俺の言う事を信用して貰え
ないと、俺もスッキリした気分で帰れないんだよ」
最後は懇願するような口調で、別府君が説得して来る。まだ心のどこかで――いや、
むしろ全てが、恥ずかしさから逃げ出したくて仕方が無いが、同じくらい別府君の顔を
見たくなっている自分もいた。少し葛藤した後、私は決意する。
『……分かったわ』
小さく、同意の言葉を口にして、私はドアに手を掛けた。恐る恐る、僅かにドアを開
け、隙間から別府君の姿を窺う。
「よう」
何だか、朝の挨拶をするような気軽な口調で、別府君が片手を上げる。
『……何それ? 今日初めて会った訳でもないのに』
「いや。何となく……」
『何となくって、意味わかんないわよ。それ』
つい、呆れたように言うと別府君は照れたように笑った。別府君も、あらたまって会
うのが恥ずかしかったのかも知れないなと思うと、何故か安堵の気持ちが湧き上がって
来る。
「ゴメン。で、どう?」
諸々省略して、いきなり答えを求めて来た彼を、私はわざと訝しげに見つめる。
『どう?って、何がよ』
すると別府君はたちまち困ったような顔になり、あたふたと周囲を見たり、頭を掻い
たりしてから、私の方を窺い見て、小さく聞いてきた。
「えっと、その……俺の事が信用出来るかどうかって話。もしかして……もう一度言わ
なきゃダメだとか?」
551
:
4/5
:2012/06/02(土) 11:41:33 ID:???
それに私は、もっともらしく頷いてみせた。
『当然でしょう? ちゃんと私の顔を見て、キチンと言ってくれなきゃ判断材料になり
はしないわよ。今のこの顔だけ見て判断しろだなんて、出来る訳ないでしょう』
我ながらちょっと意地悪いかなとは思う。しかし、あんな自分を見られてしまった後
で、こうして面と向かい合うだけでも、私にとっては相当恥ずかしいのだ。彼にだって、
同じような思いをしてもらわなきゃ、割りに合わない。
「……っと……分かったよ。じゃあ、もう一度言うからさ。ちゃんと聞いててくれよ?」
渋い顔つきで一言前置きをして、コホンと咳払いをしてから彼は顔を上げた。その顔
には、さっきまでの照れ臭そうな様子だとか冗談めかした様な様子は一切なかった。
「……少なくとも俺は、家での委員長もありだと思う。っていうか、普通だと思うし、
むしろああいう感情を表に出してる委員長も可愛いと思ってる。本当の事だし、信じて
欲しいとも思ってるよ」
全部を言い終えた後、別府君は僅かに視線を落とした。しかし、照れ臭そうに笑った
りはせず、むしろ不安げに私の様子を見守っていた。私はといえば、面と向かって可愛
いなどと言われ、恥ずかしくて全身が熱くて身悶えしたいくらいなのを、懸命に抑えていた。
「……どう? これでも、信じてくれないかな?」
私の返事が無い事に焦れたのか、別府君の方から答えを催促してくる。私はその間、
一生懸命彼の言葉を反芻し、答えを言おうと努力していたのだが、途中でふと、別の疑
問が湧き上がって来た。答えは決まっていたのだが、その前にまずそれを確かめてみよ
うと決意し、私は顔をうつむかせたまま、小さな声で言った。
『……答えを言う前に……一つ、聞いていいかしら?』
「何?」
反射的に答える彼の顔が見れないまま、私はそのまま質問に入る。
『……むしろ、普段の学校での私は……別府君にはどう思われていたのかしら?』
彼の姿を見ていないから分からないが、空いた間が、彼の動揺を窺わせた。少し経っ
て、彼の返事があった。
「えっと……でも、それはさっき弟さんがいる前でも話したと思ったけど――」
『あれはダメ!!』
強くキッパリと言い切ってから、私は顔を上げて彼を見た。
552
:
5/5
:2012/06/02(土) 11:42:08 ID:???
『だって、あんなのよそ行きの答えじゃない。今は私と二人きりでしょう? だから、
ちゃんと本音で話して。家での私を、認めてくれたみたいに』
「一応、嘘は言ってないつもり何だけどなぁ……」
困ったように、彼は頭を掻く。しかし、その言葉尻を突いて、私は更に追及した。
『嘘は言っていなくても、全部は話していないって事でしょう? なら、キチンと全部話して』
私をチラリと見て、それからまた、別府君は視線を逸らす。少しの間、迷っていたが、
やがて小さく首を振って顔を上げ、私を見つめて答えた。
「まあ、綺麗だよなって思ってた。目鼻立ちやスタイルがっていうのもあるけど、全身
にまとっていた雰囲気がさ。だけど、若干近寄り難いってのもあったかな」
近寄り難い、というのは正解だと思う。何故なら、人とのコミュニケーションが苦手
な私が、まさに身につけたかった事だから。それでも、別府君はかなりしゃべり掛けて
来た方だと思っていたのに、やはり彼でもそう感じていた事にちょっと驚く。
「まあ、そんな訳だけど…… 今日のでやっぱり、ちょっと印象変わったかな。うん」
『どういう風に?』
彼が言葉を切ったので、私が先を促す。少し間を置いてから、頷いて彼は答えた。
「昨日までより、親しみやすくなったなって。だからって、学校での付き合い方を変え
る気はないけどさ。何ていうか、こういう可愛い所もあるんだなって知ったおかげで、
気後れせずに話せるようになった気がする」
『……あんまり、可愛いとか言わないでよ。自分では似合ってないと思ってるんだから……』
不満気に文句を言うと、別府君は初めて、小さく笑った。
「ゴメン。でも、ホントだよ」
『バカ……ッ!!』
真顔でこんな事を言われて、嬉しくならない女の子なんていない。ましてや、以前か
ら気になっていた男子に言われたら余計だ。
「で、どう? 今のことも含めて、俺の言ってる事信じてくれたかな?」
もう一度彼が、今度は堂々と私の様子を窺うように聞いてくる。多分、恥ずかしい事
を言わされて却って気持ちが開き直ったのだろう。一方で私は、聞いたせいでより恥ず
かしくなってしまった。しかし、もう逃げる事は出来ない。それなのに、私はこの期に
及んで悪あがきをした。
『……答える前に、二つ……条件を付けてもいいかしら?』
続く
553
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/02(土) 15:38:21 ID:???
うへええええGJ!
554
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/02(土) 20:42:34 ID:???
いいんちょぺろぺろ
555
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/04(月) 00:52:52 ID:???
先週サボったので、今週は二回目のいいんちょ
>>547-552
の続き
556
:
1/4
:2012/06/04(月) 00:53:46 ID:???
・風邪を引いて休んだツンデレの家に男が見舞いに来たら その7
「また?」
特に嫌そうでもなく、ごく自然な感じで首を傾げる彼に、こっちの方が恥ずかしくなっ
て、私はつい憤慨してしまう。
『いいでしょう別に!! こっちだってもう十分、知られたくないこと曝け出しちゃっ
ているんだから!!』
「分かった分かった。とりあえず言ってごらんよ」
両手で私を制し、別府君がなだめてくる。とにかくも、聞いてくれると言ってくれた
ので私は矛を収め、髪を軽くかき上げてから言った。
『……一つ目は、家での私の事は、誰にも話さないで。やっぱり、あんまり人に知られ
たくない事じゃないから』
これは即答で了承されるかと思ったのに、意外と別府君が難しそうな顔をしているの
で、私の心に疑念と不安が湧いた。
『どうしたの? まさか、誰かに話すつもりだったとかじゃないでしょうね?』
すると慌てて別府君がそれを否定する。
「いやいやいや。そんなつもりは無いし、決して揶揄したり面白おかしくうわさ話を広
めたりするつもりもないから」
『じゃあ、何で答えを迷ったりしたの?』
そこを追求すると、彼は少し気恥ずかしそうに顔を背けて、小さく答えた。
「いや、その…… もし誰かがさ。委員長って冷たくて近寄り難い感じだよなって言っ
たら、そんな事はないよって。委員長ってこういう可愛らしい所もあるんだよって反論
しちゃいそうだなって思ってさ」
『そんなの、絶対にダメ!!』
私は慌てて、別府君を制する。それならまだ、バカにされた方が余程マシだ。別府君
に可愛らしさを主張なんてされたら、本当に恥ずかし過ぎて学校に二度と行けなくなってしまう。
『いい、分かった? どんな状況であれ、家での私を人に話したりしたらダメだから
ね!! 条件云々係わらず』
「わ、分かった。分かったよ!! 何とか努力してみせるからさ」
557
:
2/4
:2012/06/04(月) 00:54:23 ID:???
今にも掴みかからんばかりに詰め寄る私に、別府君はたじたじとなってニ、三歩交代
しつつ、何度も頷く。
『本当よね? 約束だからね?』
それに頷くのを確認して、ようやく私は元の落ち着きを取り戻し、彼との距離を離す。
それを見て取り、別府君がホッとため息をついた。
「で、二つ目の条件は何?」
それを聞かれ、私はドキリと心臓を高鳴らせる。これは私の人生の中で、かつて無い
ほど大胆なお願いだったからだ。一瞬、気持ちが萎えてやっぱりいいと言いそうになる。
しかし、今のチャンスを除いては、二度と私がこんなお願いをするなんて出来ないかも
しれない。そう思い直し、私は無理やりに気持ちを奮い立たせた。
『……二つ目の条件はね……』
緊張で口が上手く動かない。それをもどかしく思いつつ、私はゆっくりと、一言ずつ言葉を続けた。
『その……別府君の……家での、姿を……私に、見せてちょうだい』
「へ……?」
呆然とした顔の別府君に気付き、私は何かの糸が切れたように、言い訳を始める。
『ち、違うのよ!! 別に、別府君の家に行きたいとか貴方と二人きりになりたいとか、
そういう訳じゃなくって!! ただ、その……ズルイじゃない!! 私の事ばかり貴方
に見られて、私が素の別府君を見れないって言うのは、だから、その……釣り合いが取
れないじゃない。そんなの不公平よ!!』
怒涛の如くしゃべりまくってから、私はハアハアと荒い息をついた。もはや、普段の
取り澄ました私なんてどこにもいなくなっている事にすら気付かず。別府君はしばし、
呆然と私を見つめていたが、やがておかしそうに笑い出した。
『なっ……何がおかしいのよ!!』
恥ずかしさと怒りがない交ぜになって、私は怒鳴る。すると別府君が手を振ってそれを退けた。
「いや、ゴメン。あんまり必死だったからさ。大丈夫。変な期待とか勘違いはしないか
らさ。いいよ。いつだってウチに来ても」
『あ、当たり前でしょうそんなの!!』
いささかまだ興奮気味ながら、ようやく私は、自分を取り戻す。もっとも、もはや意
味のない演技だけれど、それも素の自分の一つになっているのだから仕方が無い。
「じゃあ、それは今度、また話をするとして。これで全部条件が整ったわけだけど?」
558
:
3/4
:2012/06/04(月) 00:54:49 ID:???
別府君に促され、私は小さく頷く。これ以上、もう何も引っ張る条件はなかった。もっ
とも、もう答えは決まっているし、ここまでくれば肝も据わった。私は彼の顔を見上げ、
もう一度、コクリと頷いて答えた。
『……信じるわよ。ここまで来て……信じないわけにはいかないもの……』
「ありがとう。嬉しいよ」
ニッコリと微笑んでくれる彼にキュンとして、同時に酷く気恥ずかしくて、私はその
感情をごまかすためについ、怒って彼を睨み上げる。
「わっ……笑わないでよ。バカ!!」
そのまま彼の胸を両の拳で叩く。彼は何も言わずにそれを受け止めた。見上げる私に
微笑み返して、頷く。
「でも、本当に嬉しいから」
そう言って、私の両肩にそっと手を置く。すると不意に、すごく甘えたくなって、私
はそのまま彼の胸に、頭を預ける。すると別府君の手が両肩から背中に回り、優しく、
しかししっかりと私を受け止めた。
『や、やだ……こんなの、恥ずかしい……』
「大丈夫。俺だって、恥ずかしいから」
私の感情を、そのまま受け止めて返してくれる。そんな優しさが嬉しくて、彼を見上
げる。別府君の私を見つめる目に吸い込まれそうになり、そのまま背伸びして顔を近付
けた。とその時、微かに、何かが軋む音がした。
『待って』
あともう数センチで私と別府君の顔がくっ付くところで、私は手の平で彼の顔を押し止めた。
「何?」
『今、何か音がしたの』
そう言って、私は別府君から体を離す。うかつだったと自分を呪う。ここは自分の家
なのだ。そして今日は家族がいた事に、今更ながらに気付かされた事を。また何か物音
がする。私は確信して階段の所まで飛ぶように駆けた。
『お母さんっ!! 大輝っ!!』
559
:
4/4
:2012/06/04(月) 00:55:34 ID:???
リビングに逃げ込もうとする二人の姿を捉え、私は叫ぶとそのまま階段を飛ぶように下りる。
『盗み聞きってどういう事よ!! ちょっと待ちなさい大輝!! 覚悟しなさいよね!!』
「違うんだってば!! おかーさんがあいてててててて」
『あら? だって娘に彼氏が出来る瞬間でしょ? 見逃すわけには行かないじゃない。ねえ』
『しれっと言わないでよ!! ああもう!! 二人とも信じられない!!』
家族に最悪のシーンを見られた恥ずかしさと怒りがない交ぜになって、私は恥も外聞
も振り捨てて絶叫したのだった。
終わり
今週は週末スレが立たなかった(´・ω・`)
560
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/04(月) 01:29:54 ID:???
委員長が可愛すぎて萌え死んだ
マジでGJ!!
561
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/04(月) 02:13:18 ID:???
(`・ω・´)GJ!そして続け!
562
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/04(月) 02:44:03 ID:V.joO6BI
すばらしい
是非とも続きをお願いしたい
563
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/05(火) 20:51:18 ID:???
おつ
後日談をば
564
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/18(月) 00:52:42 ID:O9opzTYo
唐突に湧いたけど本スレないしほのぼのは規制されてるしこっちでやる
・寝起きの歯磨きツンデレ
「ふぁ〜……おはようちなみ」
「んー…………」 シャコシャコ
「一緒に寝てたんだから、起こしてくれれば良かったのに」 シャコシャコ
「んー…………」 シャコシャコ
「ちなは朝本当に弱いなぁ」 シャコシャコ、ナデナデ
「んー……!」 ペシッ
「おっと、ゴメンゴメン」
「ん…………ん……?」 シャコシャ…
「ん? どした?」 シャコシャコ
「……おい…………その歯ブラシは……私のだ……馬鹿者……歯ブラシ交換とは……朝っぱらから……悪趣味な……変態め……」 ペチペチ
「それは俺のなんだけど? お寝ぼけさん?」
「ん……? えっ……! あ、こ……これは……!」 アタフタ
「いやー、ちなみが朝っぱらから歯ブラシ交換なんてバカップルみたいなプレイがしたいとなると今日は会社休まないといけないかもなー」 ニヤニヤ
「ぇっ…………ば、馬鹿者……タカシが……自分のと……私のを……すり替えたのだ……変態め……」
「そんなバカな、俺の方が遅く起きたんだぜ? て言うかちなみ、今、会社休むってとこに反応しただろ」
「…………っ」 ビクッ
「あーもー可愛いなぁー!」 ギュッ
「んっ……♡ …………ば、馬鹿者……まだ……口ゆすいでないっ……!」
「ゆすいでからならいいの?」
「ぅぐっ……! ……ば……ばか……」 プイッ
その日は結局仕事休んでずっと家でイチャイチャしてました
地方公務員万歳
565
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/18(月) 00:55:12 ID:O9opzTYo
おわり
寝起きのツンデレはいつもの鉄壁ガードが緩くなって簡単に落とせそう
鉄壁であって絶壁なんていってないよちなみん確かにちなみんのは絶壁だけど今は関係n(ターン
566
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/18(月) 09:14:35 ID:???
>>564
ちなみん可愛すぎて死んだ
567
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/28(木) 23:54:35 ID:1dXFnXow
>>220
「ちなー」
「……なに」
「最近なんか疲れてるよな」
「………………そんなことはない」
「嘘つけ、今の沈黙は少し長かったぞ」
「そんなことはない」
「沈黙がないときも嘘ついてる時だ」
「……むぅ……」
「つーわけで、マッサージしてやろう」
「……タカシはマッサージと称して……私にセクハラを敢行するつもり………………変態め」
「まあまあ。ほら、そこにうつ伏せになって」
「……ん」 ポスッ
「枕の臭い嗅いでもいいからないいからな」
「…………そんなことはしない……ばか」
「はいはい。んじゃ、始めっぞー」 ギュムッ
「んっ……!」
「あ、強かったか?」
「……別に……押されたから肺から……空気が出ただけ」
「そっか。じゃ、続けるからな。痛かったら言えよ」 ギュムギュム
「ん……ぅ……ふっ……」 ピクッ、ピクンッ
「なんだちなみ、お前肩は凝ってないけど腰ガッチガチだな」 ギュムギュム
「んっ……そ……そう……?」 ピクンッ
「ああ、気持ちいいだろ? さっきからピクピクしてるし」 ギュムギュム
「んっ…………そんなことない……下手く……そっ……!?」 ビクンッ
「ん? どした?」
「な、なんでもない…………(今……?)」
「そうかー?」 ギュムギュム
「んっ……ぅ……ふっ……」 ピクピク
「んー」 ギュムギュム、ムギュッ
「んっ……!?(またっ……!?)」 ビクッ
「はは、そんなに気持ちいいか?」 ムギュムギュ
「んっ……! ぁっ……! んぅ……!(っ……おしり……手……当たって……!)」 ビクッ、ビクッ!
「あんまり動くとやりずらいって。ちょっと我慢しろよー」 ムギュムギュ
「ぁっ……はっ……! ふぅっ……!(タカシの匂い……も……っ! これっ…………きも……ち……!)」
「ふんっ!」 ギュウッ
「はぁっ……! ぅんっ……! っ……ぁ!」 ビックンッ‼
「はいおわり。どうだ?俺のテクもなかなかだろ?」
「はぁ……はぁ…………うるさい……ばか……」 ビクッ、ビクッ
「ちなは素直じゃないなー」 ナデナデ
「………………ばか…… (……また今度……やってもらおう……)」
568
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/28(木) 23:55:13 ID:1dXFnXow
なんか避難所で連投規制食らったからこっちに書いた
ちなみん可愛いよちゅっちゅ
569
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/29(金) 00:14:31 ID:???
おっきっき
570
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/06/29(金) 13:07:00 ID:???
エロ――――――いッッッ!!!!!
GJぅ!!
571
:
ほのぼのの方>>426
:2012/07/29(日) 00:16:12 ID:AEPHrqiw
「ぅー……あっつぃ……」
「…………」
「……暑いー……ぅー……」
「…………」
「ぅー……」
「うーうー言うのを止めなさい!」
「……うるさい……ばか」
某うみねこの明言を突きつけたら馬鹿呼ばわりされた。くすん。
因みに、俺のベッドの上でうーうーごろごろしてるのは妖怪ちなみん。『因みに』だけに。
家主の知らぬ間に部屋に侵入し、ベッドを我が物顔で占領する妖怪だ。あといろいろ小さ「へぶっ」まくらが飛んできた。
「何をする」
「……失敬な」
日本語での会話が成立しない。さては日本の妖怪ではないな?
「……ばかの考えることなど……顔を見ればわかる」
「なんだと?」
ようし、その挑戦受けて立とう。エロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエロエエロエロエry(公共の電波には乗せられないため他の単語で代用してお送りしております)。
「……変態」
「妖怪ではなくサイキッカーだったか……」
「……そんな嫌らしい顔をしてたら……誰でも……こう言わざるを得ない…………変態」
二回も言われた。くすん。
「……そんなことより」
「ん?」
部屋の中をぐるりと見回すちなみ。
止せやい。恥ずかしいだろ?\(//∇//)\テレテレ
「……なぜこの部屋には……クーラーが無い」
「貧乏だから?」
「……今すぐ買って来い」
なん……だと……!?話が全く噛み合わないっ……!
「俺の話聞いてた?」
「……だって暑い」
ぐぬぬ。なんというお嬢様だ。
「それなら自分の巣に帰れよ。お前ん家は全室にエアコン完備だろーが」
そう、ちなみの家はお金持ち。トイレにすらエアコンがあるほどだ。そんなお金持ちと幼馴染な俺は幸運と言うべきか不運と言うべきか。
以前、長時間トイレに居座ることでお腹が冷えて腹を下し、さらに腹を下したせいで長時間トイレに篭ることになりまたお腹を冷やし……という無限ループにハマった時はもう終わりだと思った。
「……巣……?」
「そうだそうだー。巣に帰れー。この妖怪ちなみん」
「……私の巣は……」
「なんだ?ふてぶてしくもそのベッドの上が巣だとでも言うつもりか。この悪トゥめ!」
「ばっ……ばか……!」
な、なに顔真っ赤にしてんだよ!可愛いなぁ!
ちなみんは可愛いなぁ!
「ルパンダーイブ!」
「きゃっ……!?」
「ちなみんはかわゆいのぅかわゆいのぅ!」
「なっ……ば、ばか……あ、暑い……! 暑苦しいっ……! っ……離れろっ……!」
「むぎぎ」
むふふ……真っ赤な顔で抵抗しても説得力は無いも同然ですぞちなみん氏〜。
それに、オスの本能としては、獲物が抵抗するほど燃え上がると言うものっ!
「ほーれつかまえたー」
「…………暑い……ばか」
どうにか捕獲には成功したが後ろから抱えるような格好になってしまったのでこれではちなみの顔が見えない。どうしたものか。
ま、いいか。
柔らかくて小っちゃくてあったかくて抱き心地最強だし。
しかもこの体制なら
「ふー」
「にゃぁっ……!?」
ちなみの弱点である耳が責め放題だし。
「……ゃっ……!」
「あのさーちなみー」
「み……耳元でっ……しゃべっ……るなぁっ……!」
「俺も、ちなみの顔見ればなに考えてるかわかるよ」
「なんっ……の……っ……はなしっ……!」
ピクピクと痙攣するみたいに震えるちなみを抑えるように、ちょっと強めに抱きしめる。
代わりに耳元で話すのは止めて、つむじに顔をうずめて問いかける。くんくん。あーいい匂い。
「なんでだかわかる?」
「っ……?」
「わかんないなら『なんで』ってきいてみて」
「……な……なんで……?」
一拍溜めて、耳元で、止めの一言。
「ちなみのこと、好きだから」
「…………ぁ……」
耳どころか首まで真っ赤に染めて、ちなみが絞り出した台詞は
「…………あつい……ばか」
素直じゃないなぁ。
572
:
ほのぼのの方>>426
:2012/07/29(日) 00:16:33 ID:???
終わり
ちなみんもふもふ!
573
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/07/29(日) 00:24:57 ID:E9yYo4hY
もふもふ
574
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/07/29(日) 01:56:35 ID:???
これはもふもふせざるを得ないな!
もふもふ!!
575
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/07/29(日) 22:25:34 ID:???
「……最近……モールス信号にはまっている」
「ほほう。何を隠そう、俺も中二病時代散々やったから覚えてるぜ」
「……ばかのくせに……いや……ばかだからこそ……?」
「なんという言い草。なんなら確かめてみるか?」
「……よろしい……なら……今から私が信号を伝えるから……それを解読しろ」
「伝えるって、どうやって?」
「……後ろ」
「うしろ?」
「……背中をとんつーするから……後ろ向け」
「ああ、なるほど。はいよ」 クルッ
「……ん。……じゃあ……いくよ」
「んー」
「…………」 ゴクリ
「? 早くしろよ」
「……うるさい……わかってる…………いくよ」
「ん」
「…………」 ドキドキ
・・
・-・・ --- ・・・- ・
-・-- --- ・・-
「……?」
「…………」 ドキドキ
「なぁ、これってもしかして……」
「……な……なに……?」
「…………アルファベットのほう?」
「…………は?」
「俺、五十音の方は完璧なんだけどアルファベットの方はちょっと……」
「…………はぁ……所詮は……バカシ」
「くっ、だ、だけどなぁ! 五十音の方は完璧なんだ! そっちでやってくれよ!」
「……いい……もう帰る」
「ちくしょー!」
「(……期待した私が……馬鹿だった)」
576
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/07/29(日) 22:27:02 ID:???
終わり
唐突に湧き出る脳汁
577
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/07/31(火) 22:14:09 ID:???
予想はできるがちなみんはモールスでなんて送ったんだろうwwww
GJ!
578
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/03(金) 02:14:11 ID:p4rk/rBA
「…………」 ガチャッ
「zzz」
「…………」 コソコソ
「zzz……ん……」
「……っ!」 ビクッ
「…………zzz」
「…………ホッ……」
「zzz」
「…………」 ジー
「zzz」
「…………」 ペタペタ
「zzz……ん〜……」
「!!」 ビク
「ん…………ちな……み」
「!?」 アタフタ
「ペタペタ……つるぺた…………ぷにぷに………………zzz」
「…………ハァ……」
「……zzz」
「…………」
「…………す……き……」
「〜っ!?」 ビクゥッ
「……ぅきすぎ…………ブラジャー……デカイの…………買うから……だぞ……」
「…………」
「……zzz」
「…………」 チラッ
「zzz」
「…………」 フニフニ
「zzz」
「ムフー」
「zzz」
「…………」 グイッ
「zzz」
「っ」 ギュムッ
「zzz」 …フニッ
「っ……」 ピクン
「zzz」 フニフニ
「っ……んっ…………!」 ピクッ
「zzz」 フニフニ
「んぅ……っ……!」 ピクピク
「zzz」 フニフニフニフニッ、ムギュッ
「っ!? ぁ……! ん……っ……!」 ビックンッ!
「……zzz」
「っ……ハァ……ハァ……」 ピクピク
「zzz」
「…………フゥ……」
「zzz」
「…………」
「zzz」
「…………」 モゾモゾ
「zzz」
「…………お兄ちゃん……」 ギュッ
〜翌朝〜
「おはようちなみ……ファ〜……」
「おはようございます兄さん。今日もだらしないですね」
「はいはい……」
「どうせ昨夜も夜更かしして嫌らしいコトシてたんでしょう? この変態」
「今日の朝飯は?」
「ベーコンエッグとサラダとトーストです。早く食べてください。それと、今日のお弁当は唐揚げとほうれん草、サラダとアスパラの肉巻ですから。残さず食べてくださいね」
「言われなくても、美味いもんは全部食うに決まってんだろ」 モソモソ
「そ、そうですか。ま、まぁ、私が作ったんだから当然ですよね」
「そうだよ」
「っ……そ……そうですかっ……」
「……ところで」
「えっ? な、なんですか?」
「ちなみ、昨夜俺の部屋に来た?」
「」 ビクッ
「なんか、起きたらちなみの匂いがすげーしたから……」
「き、気のせいじゃないですか!? わたっ、私今日日直なので先に行きますねっ!」 ガタタンッ
「あれ、昨日も日直だったんじゃ……」
「気のせいですよ! い、行って来ますッ!」 ドタドタ
「お、おー」
「戸締りしっかりしてくださいねっ!」 バタンッ!
「はいよー…………フッ……愛い奴め」
「(大丈夫お兄ちゃんは鈍感だから絶対気づいてないはずあぁでももし気づかれてたら恥ずかしくて死ぬ!)」
「ちなみは今日も一人百面相ねー」
「そうだね友ちゃん。一枚撮っとく?」
「せっかくの百面相なんだから百枚ぐらいいっときなさい」
「」 イヤンイヤン
579
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/03(金) 02:15:21 ID:p4rk/rBA
おわり
敬語妹は秘密のおな(ゲフンゲフン)にハマって止められなくなる可愛い!
580
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/03(金) 03:48:23 ID:???
>>579
敬語妹はやはり素晴らしいのう!超GJ!!
581
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/03(金) 04:25:27 ID:???
最高です
582
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/03(金) 06:28:08 ID:???
>>578
GJ!!
583
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/05(日) 14:40:30 ID:???
・敬語妹とラーメン食べたい
「ぁつっ!」
「あーほら、猫舌なのに無理するから」
「ひてまへん!」 ウルウル
「なにいってんだ涙目じゃん」
「麦茶いれるから待ってろ」
「……ひゅみはへん」 ウルウル
「はいはい……あれ?」
「?」
「麦茶無いぞ? 全部飲んだのか?」
「!?」
「つか氷もジュースもねーし……。水道水ってわけにもいかねーし……買ってくるか」
「ま、まてまひぇん! 今すぐひちゅようなんでひゅっ!」 ウルウル
「そんなこと言っても……」
「ぅう〜」 ウルッ
「…………しょうがない。とっておきの秘策を使おう」
「な、なんでひゅか!?」
「まず、目を瞑れ」
「ひゃ、ひゃい……ほうでふか?」
「次にベロをべーってしろ」
「? ……ほれでいいでひゅか?」
「ん、じゃあいくぞ」
「? ……ひゃい」
「んむっ」 チュルッ
「っ!?」
「ん、ぢゅっ、ん」 ヂュルレロレルチュウゥッ
「んっ!? むっ!? ふむぅっ!?」 バチィンッ‼
「ぐはぁっ!?」 ドサッ!
「なっ……ななななななななななになになにをぉっ!? 何をしてるんですか兄さんっ!?」
「いでで……なにって、怪我には唾つけとけば治るっていうから……」
「それとこれとは話が別でしょう!! いまっ……! 舌っ……ベロっ……ちゅって! ぢゅるって!!」
「だから唾つけたんだよ。直接な」
「ぁぁああああありえないですっ!! この変態!!」
「でもほら、治ったろ?」
「えっ? ……ぁ……。…………いやいやいや! 問題はそこじゃないでしょう!?」
「いいじゃん別に。治ったんだから」
「良くないですよっ! だって私っ……ふぁ、ファーストキs……ゴニョゴニョ///」
「キスなんて散々やってんじゃん。昔はお前からせがんて来てたくせに」
「ぃゃぁああああ!! 止めてください! 本当に!」
「それに今のはキスじゃないって。ベロ舐めまわしただけじゃん」
「余計に卑猥ですっ! 猥褻です! この痴漢! 大体それがキスじゃなくてなんなんですか!?」
584
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/05(日) 14:40:54 ID:SpqPIeKY
「あーもーうるさいな! 治ったんだからいーじゃん!」
「よくないですよ! こんな軽いノリでキスなんかして! ……ま、まさか……他の女の子にもこんなコトを……っ!?」
「し、しねーよ! お前だけだっつーの!」
「お、お前だけだなんてそんな……///」
「なっ、なんっ……なに赤くなってんだよ!/// そもそも今のはキスじゃねーし!」
「き、キスですよ! 兄さんに無理やり唇を奪われたんですぅ!」
「舌じゃん! ベロじゃん! 唇じゃないじゃん!?」
「お、同じようなもんですよ!」
「違うね! 断じて!」
「キスについてプロフェッショナルでも無いくせに偉そうなんですよこの童貞!」
「どどどどどどどど童貞ちゃうわ! お前こそ処女のくせになに偉そうに語ってんだよ!」
「しょっ……!/// とか……女の子に向かってなんてこと言うんですか!?」
「童貞とか口にしたくせに何言ってんだ!?」
「あーもう良いですよ唇とベロオンリーでどれだけ違うか試して比べてみようじゃないですか! 」
「は、……はぁっ!? 何言ってんだ!?」
「二人ともきちんとしたキスをしたことないんだから実際ここでやって見るのが一番手っ取り早いに決まってるじゃないですか!」
「それじゃあ本末転倒だろ! キスしたかキスしてないかだろ!? ここで本当にキスしてどうすんだよ」
「きっ、キスキスって連呼しないでください変態! 通報されちゃうじゃないですか! 大体論点はキスしたかしてないかじゃないくてさっきのはキスなのかどうなのかって話なんですよ!」
「はぁ!?」
「いいから早くしてください! ほら私が目を瞑ってる間に!」
「は、はぁっ!? ちょ、なんっ……!?」
「…………///」 ドキドキ
「……くっ……!」 チュッ
「っ!」 ビクッ
「ど……どうよ……さっきのはキスじゃねーべ?」
「ちょ、ちょっとよくわかりませんね……///」
「なっ……はぁ!?」
「だ、だって一瞬だったし……///」
「か、顔赤くすんなよぉ! 反則だぞお前それ!///」
「こ、今度はちょっと長めで……///」 モジモジ
「だぁああ!! もー目ぇ瞑れ!」 ギュッ
「ひゃぁあ……/////」
「な、なんっ……か、肩つかんだだけじゃん変な声出すなよっ……!///」
「……兄さん……/////」 ドキドキ
「……んっ///」 チュゥゥッ
「んむっ……/////」 チュウッ…レルッ
「んんっ!?」 ビクッ!
「ん……ふっ……んむっ……ふぅっ……/////」 チュムッ、チュ、レルッ、レロッ、ヂュルッ
「んんっ!? ふっ……んんん〜っ!!///」
「ちゅっ……ぷはっ……ハァッ……ハァ……/////」
「はっ……なっ……ハァッ……なぁっ……!?///」
「に、兄さんに口の中を犯されて仕舞いました……/////」 ポッ
「お、犯されたのは俺の方だろ! なっ、なにしてくれてんだ!///」
「こ、こんなの……妊娠しちゃいますぅ……/////」 モジモジ
「あぁ可愛いなぁもう!!///」 ガバッ
「ひゃぁん♡/////」
「(´༎ຶ༎ຶ) (;´༎ຶД༎ຶ`)」 ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリ… (←ラーメン屋の店員&客)
585
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/05(日) 14:41:18 ID:SpqPIeKY
そんで最終的にこうなりたい
586
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/06(月) 05:30:19 ID:???
>>584
店の中で何やってんだよwwwww
587
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2012/08/07(火) 21:37:13 ID:???
>>584
通報されるだろこれww
末永く爆発しろ
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板