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化学・薬品産業総合スレッド

1荷主研究者:2003/12/07(日) 23:23
これまで「石油・LNGなど=エネルギー総合スレ=」で扱ってきた化学系のネタを独立させます。

社団法人日本化学工業協会
http://www.nikkakyo.org/

石油化学工業協会
http://www.jpca.or.jp/

化学工業日報
http://www.chemicaldaily.co.jp/

石油化学データベース
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/new.htm

1575荷主研究者:2015/12/12(土) 23:16:50

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/18-22582.html
2015年11月18日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 昭和電工 大橋光夫最高顧問 《上》

 「とにかく苦難の歴史だった。本当に」。昭和電工の大橋光夫最高顧問(元会長・社長)は「危機感以外に何も財産が残っていなかった」という同社の歴史上で最も厳しい時代に社長に就任し、会社再建にまい進した。累積欠損金を一掃し、有利子負債を削減するため、人員削減、給与カット、事業売却といった苦渋の決断を積み重ねた。

 一方で大橋氏の昭和電工再建は「個性派化学」の名の下、競争優位事業に経営資源を集中させる事業スタイルを確立させ、総花的で横並び体質だった日本の化学業界に新たな企業形態を示した。汎用樹脂事業の再構築では、ポリスチレン事業からの撤退や主力製品であるポリエチレン事業の主導権を合弁相手に渡すなど、対等合併にこだわる業界の常識を打ち破る施策を断行。バブル崩壊以後に進む日本の化学業界再編の演出役ともなった。

 「苦難の歴史は、いまだに続いているともいえる」。そう語る大橋氏の視線の先には何があるのか。自らが実践した、あるいは実践せざるを得なかった「戦略的縮小」に終止符を打ち、大きく成長していく昭和電工の未来の姿であるに違いない。

▼本社の外で育った

 大橋氏が「ものづくりの方が性分に合う」と三井銀行から昭和電工に入社したのは1961年末だった。当時、アルミニウム業界では、昭和電工グループなど既存企業の新増設計画と、新規参入組による新設計画が入り乱れていた。こうしたなか大橋氏は、64年に設立されるスカイアルミニウム(昭和電工グループ、八幡製鉄<現新日鉄住金>グループ、米カイザー・アルミナムの合弁。現UACJ)の準備などのため、62年に米カイザー社に駐在することになった。「この駐在により、アメリカ企業の合理的な経営を学んだ」ことがその後の仕事で大いに役立ったという。

 帰国すると、今度はスカイアルミニウムへ転籍となった。「転籍は出向とは異なり、原則戻れないということだ。しかし覚悟を決めたことで、昭和電工の何が問題かを冷静に観察することができたのも事実だ」。外からみた昭和電工は「残念ながら、一人ひとりが自分の責任と判断で仕事をしていなかった。『上がこう言っているからやっているだけ』『潰れはしないだろう』という空気が広がっていた。事業戦略以前の問題があると感じた」。

▼昭和電工発展の歴史

 昭和電工の源流である森コンツェルンは、森矗昶(もりのぶてる)が創業した新興財閥で、千葉県におけるヨード事業を振り出しに水力発電、肥料、アルミニウムへと事業を拡大した。その間、1931年には昭和肥料が硫安を、34年には日本電気工業がアルミニウムを、いずれも初めて国産化したことが特筆される。基礎素材の国産化により国家へ貢献したいという森の情熱が成し遂げた偉業といえる。

 昭和電工は、その社名が示すようにこの昭和肥料と日本電気工業が合併し、39年に設立された森コンツェルンの中核企業だった。戦後の財閥解体後は、富士銀行(現みずほ銀行)を中心とする芙蓉グループに属し、同グループの中核化学企業として発展していく。その成長の歴史について大橋氏は「経営トップのバイタリティは凄かった。事業拡大のためには多額の資金が必要であり、大手財閥に対抗するためには、いかにして銀行から融資を引き出せるかが勝負だった」と振り返る。

 「森矗昶が『担保はこれだ』と言って(水力発電用の)川の水を指差したという逸話が、その当時の当社の体質を象徴している。アルミは戦前から行っていた事業だが、戦後になると千葉の第5次計画まで含めて猪突猛進して拡大した。石油化学は最後発で大分にエチレンセンターを建設した。しかしエチレンの1号機設備が動き出したのは1969年。先発企業に対しグラウンドを1周も2周も遅れていた」。バイタリティに任せた事業拡大の結果、財務体質は悪化し、後年には大きな課題となった。「D/Eレシオ(負債の資本倍率)は最大7まで拡大した」。

1576荷主研究者:2015/12/12(土) 23:17:27
>>1575 続き

▼危機のなかで社長就任

 1980年代の終わりから90年代にかけて、大橋氏の前任だった村田一社長時代に昭和電工を最大の危機が襲った。同社が製造した必須アミノ酸のLトリプトファンを含む健康食品による健康被害が米国で発覚したのだ。健康被害と昭和電工の製造したLトリプトファンとの因果関係は、現在も証明されていない。しかし製造物責任(PL)法への対応や訴訟費用などにより、結果的に昭和電工は90年代に2000億円を超える資金を費やさざるを得なかった。

 村田社長は、PL問題の処理に一応のめどを付けた97年、後任社長として大橋氏を指名した。最有力候補の順当な社長就任に見えたが「私自身、自分が社長になるかどうかを考える余裕すらなかった」という。その一方で「私がもし何時か昭和電工の社長になるとしたら、一番ふさわしい時期に村田さんが任せてくれた。業績が好調な時であったなら、私のやりたいことが社内で理解されなかったと思う」と述懐する。つまりピンチは最大のチャンスなのだ。

 PL問題の処理により、昭和電工の資産は大きく毀損していた。「危機感以外に財産が無くなったと言ったが、それは何も大げさに言ったのではない。先輩たちが築いた財産を、キャッシュだけでなく資産も含めて全て売却してしまった。本当のスッテンテンだった」。昭和電工は破たんするかも知れない、との噂が飛び交った。

▼チータ・プロジェクト

 社長に就任した当初、大橋氏は結果を出せずに苦しんだ。「最初の2年間くらいは成果が全く出なかった」。しかし会長の村田氏は静かに見守った。「(村田社長とは)随分違うこともやったし、結果が出なかった最初の2年は、雑音が社内外にあったはず。それでも一言も何も言わず、全てを任せてくれたことに今でも感謝している」。

 1998年から、大橋氏は昭和電工の再生計画となる中期経営計画の策定作業に入った。そして「総合化学から個性派化学へ」をスローガンとする中期経営計画「チータ・プロジェクト」を2000年にスタートさせた。関係会社の統合、事業売却、人員削減、エチレン設備の一部廃棄、有利子負債削減...。これらの改善策を動物のチータのような素早さを持って3年間で仕上げるという計画だった。

(つづく)

1577荷主研究者:2015/12/12(土) 23:18:23

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/19-22583.html
2015年11月19日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 昭和電工 大橋光夫最高顧問 《下》

▼スピード違反

 2000年にスタートしたチータ・プロジェクトは「飛躍のための戦略的縮小」と銘打った実質的なリストラ計画だ。危機から脱出するにはスピードが重要で、そのためには全社員が危機感を共有する必要があった。「危機の事実を私は隠さなかった。社長が本当の意味での危機感を出さずに、隠ぺいしているように見えたら『もたない』と思った。だから全部話した」。危機感だけが財産だと訴えた。「それで会社を去った人もいたが、社長がそこまで話すなら付いていこうという人達がいて、今がある」。

 当初、3年間で2500人としていた人員削減は、最終年の02年には5000人規模に達した。役員はもちろん、管理職から組合員に至るまでの給与カットも実施した。事業構造改革では、昭和アルミニウムの合併やエチレンの1号機設備の廃棄と2号機設備への統合のほか、事業ポートフォリオ管理により、コア事業から外れた関連会社や事業を次々と売却した。「アナリストには『ここまでやって大丈夫? これ以上やったらスピード違反で捕まっちゃうよ』と言われた。そのくらいのスピードで実行した」。

▼チータを予定通り完遂

 チータ・プロジェクトの3年計画の2年が終了した時点で、財務体質や収益改善の成果が見え始め、無機・アルミと有機化学の技術を併せ持つ「個性派化学」の事業構造も明確化してきた。最終年がスタートした02年1月、大橋社長は年頭の訓示で「私の改革への思いは、昭和電工グループの末端まで伝わっていると強く感じている。しかし改革に終わりはない。社員一人ひとりが変化を求めて自己改革していくことを強く求める」と述べた。

 周囲も驚くスピードで改革を実現させた大橋社長。歯を食いしばりながらの3年を経て、02年末に昭和電工はチータ・プロジェクトを完遂させた。「少なくとも、昭和電工が存亡の危機から脱出したと市場は理解してくれた」。改革が成功したのは、改革の先頭に立つリーダーの下、全社で危機感を共有したからだ。「苦難をともにし最後まで勤めてくれた人達に対する思いは強い。今でも皆の顔が浮かぶ」。

▼HD事業の転機

 チータ・プロジェクトを推進中の02年10月、昭和電工は「三菱化学グループからハードディスク(HD)事業を買収する」と発表した。HD事業は現在、昭和電工のコア中のコア事業だが、この事業買収が飛躍への転機となった。

 「三菱化学は、当時の当社との信頼関係のなかで、シンガポールのHD事業を昭和電工に任せようと決断してくれた。これが非常に大きな財産になった。人材も一緒に来てくれた。自分たちは会社の名前の下ではなく、HD事業で生きるんだと。そういうスピリットを持った人達だった」。

 HD事業は、アルミなどの基盤技術や、表面処理・成膜技術など、技術のバック・グラウンドこそあれ「従来の当社の企業文化とは全く異質な事業」だった。「昼夜を問わず、真夜中でも顧客の要求に対応するような事業だ。技術開発も、他社に1日でも遅れたらそれで終わり。HDは、そういう厳しい環境で働く覚悟があって初めて生き残れる事業だ」。かつて大橋氏が嘆いた昭和電工の文化。HDの事業文化がその改革に大きな役割を担った。

1578荷主研究者:2015/12/12(土) 23:18:53
>>1577 続き

▼汎用樹脂事業の再編

 大橋氏は、汎用樹脂事業においても、業界の常識を覆す大胆な構造改善を実施した。スカイアルミニウムから昭和電工へ異例の再採用をされた大橋氏は、アルミニウム製錬事業末期、本体から切り離された昭和軽金属の営業を経て、1981年に本社の石油化学部門に異動した。高度経済成長の終焉とオイルショックを背景に、石油化学は政府から構造不況業種に指定され、縮小均衡の嵐が起きた。しかし「私がアルミから石油化学に移ったときの人達は皆、過去の栄光から脱しきれないでいた。飲めや歌えを続けている感じだった」。最盛期に石油化学を担当していない大橋氏には、そうした業界の体質に大きな違和感があった。

 その石油化学は、90年のバブル崩壊を経て、再び再編期に突入した。中心事業であるポリオレフィンは、各社が事業を本体から切り離し、専業の合弁会社を設立するかたちで再編が進展した。先行したのは昭和電工だった。94年に旭化成とポリプロピレン(PP)の合弁会社日本ポリプロを設立する一方、ポリスチレン(PS)事業の営業権を旭化成に譲渡したのだ。この動きは事実上、昭和電工と旭化成によるPPとPSの事業交換であった。

 続く95年には昭和電工65%、日本石油化学(現JXエネルギー)35%出資のポリオレフィン合弁会社「日本ポリオレフィン」を設立した。「業界再編の先鞭をつけることができた」と語る大橋氏は93年まで取締役総合企画部長として、93年以降は石化事業担当の常務、その後は専務として一連の再編劇を指揮した。大橋氏の思い切った選択と集中の決断は業界に伝播。各社が汎用樹脂事業で合弁設立に動いた。社長に就任した大橋氏はさらに、2000年代に入りポリエチレンはHD事業を譲り受けた三菱化学に、PPは外資のモンテル(現ライオンデル・バセル)に主導権を渡す再編を決断する。

 「若い頃から折半出資の合弁会社を見てきた。そのなかでマジョリティを握る者のいない合弁事業ではダメだという信念を持った。事業を売るなら任せる。買うなら主導権を取る。合弁なら、どちらが最終的に経営責任を持つか決めることが重要だ」。

▼遠くを見て今を決める

 危機を脱した昭和電工は03年から、チータ・プロジェクトの後編として個性派化学の確立を進めつつ、成長路線への転換を目指す新たな中期経営計画「プロジェクト・スプラウト」をスタートさせた。そして次期社長に新たな経営計画の策定を任せるため、進行中の計画を1年残した04年11月に高橋恭平氏への社長交代を発表した。その後、大橋氏は05年1月に会長、10年に相談役、14年に最高顧問となった。経営の一線からは退いたが、日本の化学産業への思いは現役時代と変わらない。

 「経営者は、遠く未来をみつめること。遠くを見ながら、そのために今、すべきことを考え実行する。それが大事だ」と語る。しかし「最近は長くても四半期、極端にいえば毎月、パフォーマンスを市場から監視されている。このため経営者が萎縮して、短期思考でしかモノを考えられない傾向がある」と危惧する。

 そのうえで今の日本の化学企業には、さらなる大胆な合併や事業交換といった経営のダイナミズムが必要だと語る。「欧米勢に規模で劣る日本の化学メーカーは、研究開発に投入する経営資源に限界がある。これを乗り越えるのは大変な苦労だ。10年後を考えれば、さらなる統合再編が絶対に必要だ」。現役ではないから言えるけれど、と付け加えるが、その眼光は今も鋭い。

(毎週、御一方ずつ掲載予定)

1580とはずがたり:2015/12/13(日) 20:32:27
騙して売上伸ばしたノバルティスとVWは許せんがファイザーはまあいいじゃないか。

>以前は、日本市場に参入するために日本企業を買収するという意義があったが、今やほとんどの外資系は日本法人を持っている。解雇による合理化ができないことも、買収を阻む要因だ
解雇法制が必要かなぁ。。

>国内製薬業界の大型再編は、2005年のアステラス製薬(山之内製薬と藤沢薬品工業)、第一三共(三共と第一製薬)の発足以来、10年間途絶えたまま
そろそろ欲しいね。。

ファイザー、19兆円の巨額買収に透ける苦境 製薬首位の座を奪還も、冷めた見方広がる
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%BC%EF%BD%A419%E5%85%86%E5%86%86%E3%81%AE%E5%B7%A8%E9%A1%8D%E8%B2%B7%E5%8F%8E%E3%81%AB%E9%80%8F%E3%81%91%E3%82%8B%E8%8B%A6%E5%A2%83-%E8%A3%BD%E8%96%AC%E9%A6%96%E4%BD%8D%E3%81%AE%E5%BA%A7%E3%82%92%E5%A5%AA%E9%82%84%E3%82%82%EF%BD%A4%E5%86%B7%E3%82%81%E3%81%9F%E8%A6%8B%E6%96%B9%E5%BA%83%E3%81%8C%E3%82%8B/ar-BBnumeX#page=2
東洋経済オンライン
長谷川 愛
7 時間前

 超巨額買収による世界最大の製薬企業誕生という一報に、冷めた見方が広がっている。自力成長が限界に達したメガファーマ(大手製薬企業)の厳しい状況が透けて見えるためだ。

 米製薬大手のファイザーは11月23日、アイルランドの同業アラガンとの合併に合意した。買収総額は何と1600億ドル(約19兆7000億円)に上り、製薬業界のM&A案件では最大規模である。

 ファイザーはピーク時に世界で年間100億ドル超を売り上げた、高脂血症薬「リピトール」が2011年に特許切れを迎えて以降、減収が続いていた。今回の買収により、シワ取り薬「ボトックス」などの製品群を獲得。2014年にスイスのノバルティスに奪われた業界首位の座を奪還する見通しだ。

 同社が現在のポジションを築いたのは、M&Aによるところが大きい。2000年には米ワーナー・ランバート、2003年には米ファルマシア、2009年には米ワイスを次々と買収。今年9月には後発医薬品大手の米ホスピーラを買ったばかり。破談に終わったものの、2014年は英アストラゼネカに統合提案を持ちかけた。

 製薬業界では1990年代後半から、国境を超えたM&Aが活発化。売上高数兆円規模のメガファーマは、大型再編の結果生まれている。

 当初は、規模拡大による研究開発費の確保という、前向きな狙いが重視されていた。創薬の成功確率は約3万分の1ともいわれ、一つの薬の完成までには、一般的に10年以上の歳月と1000億円前後の費用がかかる。研究開発費が多いほど、このわずかなチャンスをつかみやすくなる。ファイザーやノバルティスなどは年間1兆円を超える研究開発費を投じている。

 各社は巨額の研究開発費を回収するため、生活習慣病薬の開発に力を入れた。生活習慣病の患者は長年薬を飲み続けるため、開発に成功すれば大きなリターンを得ることができたからだ。しかし、生活習慣病薬はほぼ開発し尽くされ、2010年前後に相次いで特許切れを迎えた。

 現在、薬のニーズがあるのは、がんや認知症など開発の難易度が高い疾患や、患者数の少ない希少疾病ばかり。売上高ランキングで上位を占めるのは、化学合成の低分子薬に比べ、研究開発費も生産設備投資も一段とかさむバイオ医薬品が多い。

1581とはずがたり:2015/12/13(日) 20:33:01
>>1580-1581
 後発医薬品の台頭も逆風だ。世界的な医療費抑制の動きで、各国は後発薬の利用を推進。日本政府も、2020年までに後発薬の数量シェアを現時点の約50%から80%にする、という目標を掲げた。米国ではすでに、後発薬のシェアが90%程度に達しており、特許が切れた薬は売り上げがほぼ期待できなくなる。

 こうした環境の中、買収は有望な新薬候補を手に入れることに加え、別の大きな目的=“節税”が意識されるようになった。

 ファイザーがアラガンに目をつけたのも、その本社が法人税率の低いアイルランドにあることと、深くかかわっている。ファイザーは今回の買収を機に、本社を、米国からアイルランドに移転することを計画。実効税率を2014年度の25.5%から、合併初年度に17〜18%程度へと低下させることをもくろむ。

 これに米政府は、M&Aによる租税回避に対する規制強化を打ち出している。2016年の米大統領選挙に出馬するヒラリー・クリントン氏が、「この合併で米国の納税者が貧乏くじを引かされる」とファイザーを非難するなど、政界からの反発は強い。

 2016年後半に予定している買収手続きを完了させるには、欧米の規制当局の承認を得る必要がある。アラガンの株価は12月2日時点で317ドルと、買収価格の363.63ドルよりも低水準で停滞。株式市場は買収完了を完全に織り込んではおらず、今後は紆余曲折を経る可能性もある。

 ひるがえって、日本の製薬企業はM&A市場で蚊帳の外に置かれ、存在感に乏しい。国内最大手の武田薬品工業も、世界では17位(2014年)にとどまっている。

 バークレイズ証券の関篤史アナリストは、国内企業がメガファーマによる買収の標的になる可能性は低いと見る。「以前は、日本市場に参入するために日本企業を買収するという意義があったが、今やほとんどの外資系は日本法人を持っている。解雇による合理化ができないことも、買収を阻む要因だ」(関氏)。

 国も危機感を抱く。厚生労働省は9月4日に発表した「医薬品産業強化総合戦略」の中で、「医薬品の研究開発コストの増加やグローバルでの事業展開を考慮すると、日本の製薬メーカーもM&A等による事業規模の拡大も視野に入れるべきではないか」と、踏み込んだ記載をした。

 英調査会社のエバリュエートファーマによると、世界の医療用医薬品売上高は、新興国市場の拡大などで、2020年に2014年の約1.3倍となる1兆ドル程度に拡大する見通しだ。ただ、制度が未整備な新興国の開拓は一筋縄ではいかず、欧米のメガファーマとの厳しい競争も待ち構える。

 国内製薬業界の大型再編は、2005年のアステラス製薬(山之内製薬と藤沢薬品工業)、第一三共(三共と第一製薬)の発足以来、10年間途絶えたまま。生き残りを懸けた次の一手はありうるか。

1582とはずがたり:2015/12/13(日) 20:38:46

大村さんに続け…熱帯病治療、日本の製薬各社が支援強化
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E5%A4%A7%E6%9D%91%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AB%E7%B6%9A%E3%81%91%E2%80%A6%E7%86%B1%E5%B8%AF%E7%97%85%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%80%81%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%A3%BD%E8%96%AC%E5%90%84%E7%A4%BE%E3%81%8C%E6%94%AF%E6%8F%B4%E5%BC%B7%E5%8C%96/ar-BBns6u3
朝日新聞デジタル
1日前

 10日(日本時間11日)にノーベル医学生理学賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授は、「顧みられない熱帯病」の患者への貢献で脚光を浴びた。ただ、まだ根本的な治療薬がない熱帯病もある。エーザイなど日本の製薬大手は近年、この分野で支援を強めている。

 こうした熱帯病は、アジアやアフリカをはじめ世界で10億人以上が感染しているとされる。貧しい人が多く、巨額を投じても買ってもらいにくいため、薬の開発が進みにくい病気だ。世界保健機関(WHO)はデング熱や狂犬病など17種類を指定している。

 大村氏が携わった薬「イベルメクチン」は、アフリカや中南米で流行し、患者の2割が失明する恐れがあるとされる「オンコセルカ症(河川盲目症)」の治療で年3億人に使う。

1583とはずがたり:2015/12/14(月) 10:46:12

新連載【毒薬の手帳】〜あなたの知らない毒のソコノトコロ〜
【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の
http://tocana.jp/2015/12/post_8039_entry.html
2015.12.01
【ヘルドクター・クラレの毒薬の手帳 第1回、青酸カリ】 

 突然ですが、始まりました本連載。

 最近真面目な仕事をしすぎた反動で、「たまには毒々しい話をしたいよ!!」という筆者の勝手な話から決まったのですが、毒々しい話をしようと思ったら、毒の話をすることになっていた…というポルナレフもびっくりな展開でスタートすることになりましたっ。

 Anyway! 毒物に関しては生理学を一通りやった上で、アレな実験をだいたいやり、いろんな毒物も実際に味見をし、そして全国で有害図書指定を受けつつも、シリーズを通し15万部を越えた文部省不認可教科書こと、『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス)まで上梓した身としては、毒の話…といっても、ググってすぐに出てくるようなことをまとめるようなことはしませんので、多少ご期待してくれてもいいのよ…!

 というわけで、さっそくいってみましょう! 第1回目のお題は「青酸カリ」。ミステリーには定番のこの毒ですが、その実体はどんなものなのでしょう? ついでに味なんかについても触れてみようと思います。

■青酸カリの歴史

 まずは、青酸カリというのは俗称で、化学の世界では「シアン化カリウム」(KCN)と表記されます。

 青酸カリという字面から、ドラマなどでは青っぽい粉で表現されることがありますが、実際は面白みのない白い粉で、舐めるとメタリックな苦扁桃フレーバーが…といっても伝わりにくいでしょう。端的にいえばアルミホイルと甘味のない杏仁豆腐を口にいれたような味、とすれば想像しやすいでしょうか。

 この青酸という言葉は、もともと顔料として15世紀あたりから使われていたプルシアンブルー(のちにいくつかの青色顔料に分類される)が由来となります。

 ゆえに、印刷のCMYKの青はシアンと呼ばれるわけです。

 これは組成式を見ると FeK[Fe(CN)6] や Fe(NH4)[Fe(CN)6] といったモノです。一昔前は腐らせた牛の血を錆びた鉄鍋で灰と一緒に混ぜ、ときおり鍋を叩きながら煮詰めるという方法で作られていました。生成に必要な鉄分は錆びた鉄鍋を叩くことで、酸化鉄が中に入り込み反応していったという、こんな方法どうやって思いついたのかは時代のみが知るといったところでしょうか。そして、水酸化ナトリウムなどの強塩基とプルシアンブルーを混合すると、水酸化鉄(III)とシアン化合物イオンが得られ、そこから蒸留などを経て、シアン酸こと青酸が作られるのです。

 ちなみにプルシアンブルーは、セシウムイオンを吸着する不思議な性質を持っており、福島第一原子力発電所が爆発して、放射性セシウムが日本中にばらまかれた時に話題になりました。

 話は戻って、この化合物プルシアンブルーのCNという部分こそ、青酸カリのCN部分なわけです。青酸の状態では反応性が高すぎて不安定なため、カリウム塩やナトリウム塩にしたものが、青酸カリウム(シアン化カリウム)、青酸ソーダ(シアン化ナトリウム)となります。

■青酸カリは身近な毒だった?

 話は近代になり、シアン化合物は多くの化学工業の分野で活躍していくのですが、戦後は町中にメッキ工場などがあちこちにあり、今とは考え物にならないくらい薬品がズボラに管理されていました。そのため、くすねて持ち帰ることが可能だったので、「身近な毒」となったのです。故にミステリーにも採用されていたわけですネ。

 それが時代を経て、青酸カリの毒性だけが一人歩きして、ミステリー小説や漫画の中で、入手方法は不明だけど悪い奴が使う毒というよくわからない状況になってしまったといえます。もちろん現在、メッキ工場はなかなか町中にありませんし、あっても薬品の管理は厳重で、簡単に忍び込んで盗む…なんてことは非現実的です。

 そしてなにより青酸カリは毒殺に向いていないという最大の問題が立ちはだかります。

1584とはずがたり:2015/12/14(月) 10:46:34

■実は毒殺に向いてない青酸カリ

Agatha_Christie_plaque_-Torre_Abbey.jpg
画像は、アガサ・クリスティ「Wikipedia」より
 青酸カリは実は毒殺に向いていない。

 そんな馬鹿な、アガサ・クリスティのミステリー小説はもちろん、多くの推理サスペンスでも大活躍し、その上、実際にルイ14世の時代には青酸を使ったであろう毒殺事例が多数確認できます。それだけのバックボーンがありながら毒殺に向いていないとはどういうことなのでしょうか? 

 まず、青酸ガスは非常に致死性の高い猛毒ですが、反応性の高いガスでもあるので、しばらくすると空気中のアンモニアやその他有機物なんかと反応して毒性を失ってしまいます。

 アガサ・クリスティのミステリーの中では、ラジオの中に封印された青酸ガスが、音楽のハイライトで共振して割れ、青酸ガスが部屋に充満して死ぬというトリックが出てきます。

 まず人を殺すくらいの分量は小さなアンプルに1気圧で封印できる程度の少量では無理で、青酸ガスの致死濃度である300ppm(部屋の空気に0.03%混合しなくてはいけない)に達するためには、仮に6畳くらいの部屋を想定しても十数グラムの液化ガスを封入しなくてはいけないことになり、ラジオの中に搭載するのは、相当な技術というか金がかかります(笑)。

 しかもとんでもない圧力がかかったアンプルがラジオの音楽の共鳴で割れ、それ以外では割れないようにしなければいけないんで、これは現代のテクノロジーをもってしても厳しいと言わざるを得ず、まさにフィクションと言わざるを得ないわけです。

 いや、だからこそフィクションなんですが(笑)

■じゃあ飲ませる方向で

 いやいや、もっと古典的な青酸カリを毒として食べ物や飲み物に混ぜればいいじゃん……という声が聞こえてきますが、これもまた難儀です。

 前回お伝えしたように、青酸化合物は独特のフレーバーがあり、無味無臭なんてのはウソ、お世辞にも美味しいとはいえません。杏仁豆腐のような風味とメタリックな味は誤魔化しきれるには結構きついものがあります。

 またシアン化化合物は非常に分解しやすく、空気中の二酸化炭素を吸収して反応、無毒な炭酸カリウムへとどんどん変わっていきます。故に、実験用試薬でも結構な生もの扱いで、開封後は早めに使うことが推奨されています。

 毒殺犯が、紙に包んだ青酸カリを隠し持ってサラサラと入れているシーンなんかが、ミステリーに登場しますが、紙包みなんてして毒殺のチャンスを伺いずっと携帯してたら、気が付けば無害なんてこともあり得るわけです。

 加えて致死量も問題です。

 猛毒かと思われていますが、その致死量(LD50)はおよそ5mg/kgとされています。なんだたった5mgで死ぬじゃん……! とか早合点してはいけません。

 5mg/kgつまり体重が60Kgの成人男性なら5mg×60kgで300mgとなります。300mgといえば指先にこんもりあるくらいの分量です。

 しかもこの数字は、LD50(半数致死量)というもので、10人中5人は死ぬかも……という数値であり、つまり死亡率は50%。では確殺には倍量でいいのかというとさにあらず、しかもこのLD50の値はラットでの数値であり、人間に対して確実ともいえないわけです。

1585とはずがたり:2015/12/14(月) 10:46:58
>>1583-1585
 そうなってくると、

さらに10倍は盛らないと確殺とはいきません。

 その分量なんと3g(笑)

 1円玉3枚分です。小さじ一杯満載あります。しかも一切の分解されていない新鮮な状態であるという但し書き付きです。

 そんな分量をいれれば飲み物でも一口で怪しい味になりますし、それだけのものを飲ませることができるなら、そもそも別の猛毒がぜんぜん選択肢として出てくるわけです。

■未解決帝銀事件と青酸

teigin.jpg
画像は、「毎日新聞/昭和毎日」より引用。帝銀事件を報じた記事
 さて、そんなダメだしばかりの青酸カリですが、もう少し別のシアンを持つ化合物だと、いっきに殺しに特化することができます。

 その最たる例が、帝銀事件で使われた毒。

 昭和23年に東京都豊島区の帝国銀行に、赤痢感染者が来店したので、予防薬を飲んでくれと、役所から来たと言う男の指示のもと、署員が薬を服用。薬として配られたのは非常に飲みにくい1液と、少し苦い2液。このふたつの液体が合わさると初めて毒性を持つという青酸バイナリーなわけです。

 数分後、飲んだ職員はすべて死亡し、犯人は悠々自適に金をもって逃げた……という、戦後の未解決事件の1つです。

 ここで使われたと言われているのが、シアノヒドリンの1つであるアセトンシアノヒドリンという物質。2液にはおそらく重曹のような弱塩基が含まれていたのではないかといわれています。

 粉末の青酸カリに比べて液体で保存性が高く、胃の中で即毒性を発揮する(胃酸と反応して青酸ガスが出る)青酸カリより安定性が高く、複数人に飲ませても、2液目を飲ませて初めて胃の中で青酸を発生させて殺すことができるというトリックが仕組めるというものです。

 この方法を用いれば、複数人に飲ませても最後の人にのませ終わるまでに最初に飲ませた人が倒れ出して怪しまれることが避けられる……というものです。

 ただこの物質も凄まじいマズさで、薬と偽って飲まされたからこそ、服用に至ったわけで、現代ではまったく通じないといえます。

 なにより青酸系毒物の所見は極めて分かりやすい状況証拠を残し、そこから毒物の鑑定が行われ、犯人の絞り込みがなされると、法医学と捜査科学が発達した現代では、やはり無理難題の産物であるといえます。

 まぁ、毒を使った犯罪というのは、非常に足の付きやすい犯罪であるといえます。

 というわけで、現実と虚構のミステリーの毒を紐解きながら、しばし、いろいろな毒物について言及していきたいと思います。
(文=くられ/シリーズまとめ読みはコチラ)

1586とはずがたり:2015/12/14(月) 10:48:05
4種混合ワクチン
化血研の出荷自粛要請を解除 厚労省
http://mainichi.jp/articles/20151127/k00/00m/040/081000c
毎日新聞2015年11月26日 20時30分(最終更新 11月26日 20時30分)

 厚生労働省は26日、国の承認と異なる方法で製造され出荷が止まっている化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)の4種混合ワクチンの出荷自粛要請を解除した。製造法の違いが「品質や安全性に重大な影響を及ぼさない」とした。

 化血研は「できるだけ速やかに出荷の準備を進める」としている。化血研製ワクチンの出荷自粛要請解除は、10月のインフルエンザワクチンに続き2例目。

 厚労省は今月2日「当面、全国的な不足は生じない」とする見解を都道府県などに伝えていたが、実際には11月中にも不足する恐れがあった。一部の医療機関では接種の予約ができなくなっているという。

 厚労省は、製造工程の効率化のため「ヘパリン」という血液を固まりにくくする物質を添加していた点など、承認されていない2項目を精査。ヘパリンが国の基準を満たしていることなどを確認し、重大な影響がある可能性は低いと判断した。

 4種混合ワクチンは百日ぜき、ジフテリア、破傷風、ポリオ(小児まひ)を予防する。昨年、化血研と阪大微生物病研究会(大阪府)の2社で約370万本を出荷し、化血研製が約64%を占めていた。今年12月からは北里第一三共ワクチン(埼玉県)も発売する。(共同)

血液製剤など10製品出荷止まったまま 製薬会社不正
http://www.asahi.com/articles/ASHCM129BHCLULBJ01H.html
竹野内崇宏2015年11月27日20時30分

 血液製剤やワクチンの国内有力メーカー「化学及血清療法研究所」(化血研、熊本市)が、20年以上にわたって不正な方法で製品をつくっていたことが判明し、現在も10製品が出荷できないでいる。化血研は近く、第三者委員会による調査の結果を発表する。

血液製剤を不正製造、記録も偽装 化血研、20年以上
 厚生労働省は、流通中や出荷予定の化血研製の血液製剤12種類とワクチン10種類、その他7種類の計29種類について、9月までに出荷自粛を要請。安全性が確認された製品や緊急性の高い製品を順次解除しているが、まだ血液製剤7種類とワクチン3種類は出荷が止まっている。

 B型肝炎ワクチンは国内シェアが8割。宇都宮市内のある診療所は在庫がなくなり、予約の受け付けを中止した。インフルエンザワクチンと4種混合(百日ぜき、ポリオなど)ワクチンは解除されたものの、一部の医療機関では予約延期などの影響が出た。

 血友病患者に必要な血液製剤も条件付きで解除された。ただ荻窪病院(東京)の花房秀次医師によると、「本当に安全か」と不安を訴える患者もいるという。

 不正な製造は、承認内容と異なるつくり方をしていたこと。化血研によると、1989年ごろから、血液製剤の製造効率を高める目的で、添加剤を入れていた。発覚を免れようと記録を偽造し、国の定期検査で示していた。ワクチンでも同様の不正な製造や、書類の誤記が見つかった。

 化血研は9月、元裁判官らによる第三者委を設置、原因を調べ始めた。厚労省は第三者委の報告書をもとに行政処分を検討する。

 化血研は旧熊本医科大(熊本大医学部)の研究所が母体。薬害HIV訴訟の被告企業の一つで96年に和解した。大阪原告団の花井十伍代表は「訴訟のさなかにも不正行為を続けていたことになる。不正を見逃してきた国もこれまでの対応を検証すべきだ」と話す。(竹野内崇宏)

■出荷が止まっている主な製品
()内のパーセントは国内シェア

【ワクチン】
・日本脳炎(36%)
・A型肝炎(100%)
・B型肝炎(80%)

【血液製剤】
・重症の感染症などに使う「献血グロブリン」
・出血性ショックなどに使う「献血アルブミン」
※インフルエンザワクチン、4種混合(百日ぜき、ジフテリア、破傷風、ポリオ)ワクチンは出荷を再開

1587とはずがたり:2015/12/14(月) 10:49:00

未承認血液製剤
化血研が隠蔽工作か 国が立ち入り検査へ
http://mainichi.jp/articles/20151202/k00/00e/040/243000c
毎日新聞2015年12月2日 13時02分(最終更新 12月2日 13時02分)

 熊本市の化学及血清療法研究所(化血研)が、国が承認していない方法で血液製剤を製造していた問題で、化血研が国の調査を擦り抜けようと、偽の書類に紫外線を浴びせて変色させ、作成時期を古く見せかけていたことが2日、分かった。調査で求められた過去の書類がなかったため隠蔽(いんぺい)工作を図ったとみられる。

 化血研は先月下旬、不正調査で設置した第三者委員会から最終報告書を受け取り、厚生労働省に提出。歴代の理事長らが、不正に関与していた可能性があると指摘している。2日午後に開かれる厚労省の専門家委員会で内容が報告される。

 最終報告書を受け、厚労省は近く化血研に立ち入り検査をした上で、行政処分を下す方針。

化血研不正「常軌を逸した隠蔽体質」…第三者委
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151202-OYT1T50166.html
2015年12月02日 22時59分
 国内のインフルエンザワクチンの3割を製造する一般財団法人・化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)が、血液製剤やワクチンを国の未承認の方法で製造していた問題で、化血研が設置した第三者委員会(委員長=吉戒よしかい修一・元東京高裁長官)は2日、調査報告を公表した。化血研が40年前から未承認の製法で血液製剤の製造を始め、発覚を免れるために虚偽の製造記録などの作成を続けていたとし、「重大な違法行為で、常軌を逸した隠蔽体質」と指摘した。厚生労働省は、医薬品医療機器法(旧薬事法)違反で行政処分を科す方針で、業務改善命令などを検討している。


 調査結果は同日開かれた同省の専門家部会で報告された。化血研の宮本誠二理事長(65)は部会の場で、同日付で自身が辞任するほか、理事全員が辞任か降格処分になると明らかにした。

2015年12月02日 22時59分

1588とはずがたり:2015/12/14(月) 10:50:39
化血研
40年以上、不正製造…非承認方法で血液製剤
http://mainichi.jp/articles/20151203/k00/00m/040/054000c
毎日新聞2015年12月2日 20時22分(最終更新 12月3日 02時39分)

厚労省、処分へ

 血液製剤やワクチンの国内有数のメーカーである一般財団法人「化学及血清療法研究所」(化血研、熊本市)が、国が承認していない方法で血液製剤を製造した問題で、化血研は2日、製造記録を偽造するなど隠蔽(いんぺい)工作をしながら、40年以上にわたり国の承認書と異なる不正製造を続けていたとの調査結果を明らかにした。厚生労働省は化血研を行政処分する方針。【古関俊樹】

「常軌を逸した隠蔽体質」

 化血研は、宮本誠二理事長が2日付で辞任したと発表した。他の全理事も同日付で辞任や降格などの処分とした。

 化血研が2日にあった厚労省の専門家委員会に第三者委の調査結果を報告した。報告書によると、化血研は遅くとも1974年には一部の製剤について加温工程を変更し、国の承認書と異なる方法で製造していた。90年ごろには幹部の指示によって、血液製剤を作る際に血液を固まりにくくする添加物を使用する不正製造を始めた。製造効率を上げるためだったという。ワクチンでは同様の不正行為は確認されなかった。

 医薬品メーカーは法令に基づき、国の承認書に従って製造し、記録を残す義務がある。国は定期的に記録を確認しているが、化血研は95年ごろから承認書通りに製造したと虚偽の記録を作り、検査をクリアしていた。記録用紙に紫外線を浴びせて変色させ、古い書類だと見せかける工作もしていた。

 こうした不正行為はトップである理事長も認識しており、第三者委は「常軌を逸した隠蔽体質が根付いていた」「研究者としてのおごりが不整合(不正)や隠蔽の原因となった」と指摘した。

 厚労省は今年5月に化血研を立ち入り調査し、血液製剤の製造で不正を確認。6月に血液製剤の出荷を差し止め、他のワクチンなどについても調査。化血研も9月に第三者委員会を設置し、調査を進めていた。これまでに健康被害は確認されていないという。

 化血研は旧熊本医科大が前身で、45年の設立。薬害エイズ訴訟の被告企業の一つ。

「風土として対応できず」…理事長謝罪

 化血研の宮本誠二理事長は2日夜、厚生労働省で記者会見し、「深くおわびします」と謝罪した。自身も長年にわたり不正を認識していたことを明らかにし、「化血研の風土として積極的に対応できなかった。私もその一人だ」と苦渋の表情で語った。「理事長に就任した時になぜ改善しなかったのか」と記者から問われると、宮本理事長は「改革すると血液製剤の供給がストップしてしまうことを懸念した」と明かした。

 会見に先立ち、薬害エイズ訴訟原告団の代表らが「和解した私たちに対する裏切りだ」とする抗議書を宮本理事長に手渡した。【内橋寿明】

接種予約、中止の動き

 厚生労働省は化血研に対し、血液製剤の出荷差し止めに続き、ワクチンの出荷自粛を要請している。化血研のシェアが高く代替品の確保が難しい日本脳炎とA型肝炎、B型肝炎のワクチンが不足し、東京や千葉など各地で接種の予約を中止する病院が出始めている。ワクチンを販売しているアステラス製薬によると、出荷が再開されなければ、日本脳炎は来年1月下旬、B型肝炎は来年1月中旬〜下旬に市場の在庫がなくなる可能性がある(11月27日現在)という。

 厚労省によると、日本脳炎ワクチンは2013年度に延べ429万2409人が接種。A型肝炎、B型肝炎は任意接種のため接種人数の統計がないという。厚労省は「製剤ごとに優先順位を付けて調査しており、終了後に出荷自粛の要請を解除する」と説明するが、解除の時期は未定。

 化血研が未承認製法で血液製剤を出荷していたことで、厚労省は他の製剤についても製法の実態調査を化血研に指示した。化血研は報告したが、厚労省は報告に不備があるとして、9月までに29製品の出荷自粛を要請。安全性が確認できたり、緊急性が高かったりする製剤は出荷できるようになったが、現在もワクチン3種類、血液製剤7種類は出荷できない。【古関俊樹】

1589とはずがたり:2015/12/14(月) 10:51:55
>製造効率を高める目的で、承認書にはない添加剤を入れたり、添加剤の量や加熱方法を勝手に変更したりしていた。本来は製造方法の一部変更の承認を得る必要があったが、その手続きをとっていなかった。不正製造は、遅くとも1974年ごろから始まり、多くは80年代から90年代前半に実施するようになった。

血液製剤不正、40年以上前から 幹部ら見て見ぬふり
http://www.asahi.com/articles/ASHD251RLHD2ULBJ00K.html
2015年12月3日06時26分

 血液製剤やワクチンの国内有力メーカー「化学及(および)血清療法研究所」(化血研、熊本市)が国の承認と異なる方法で製品をつくっていた問題があり、化血研は2日、第三者委員会の報告書を公表した。報告書は、不正は40年以上前から始まり、血液製剤12製品すべてで行われ、虚偽の製造記録を作成するなどして組織的に発覚を免れていたと認定。「常軌を逸した隠蔽(いんぺい)体質」と批判した。

薬害HIV原告団「決定的裏切り」抗議書 血液製剤不正
 第三者委は、重大な副作用は報告されておらず、安全性には大きな問題はないとしている。

 厚生労働省は近く化血研を行政処分する方針。化血研は2日、宮本誠二理事長はじめ理事9人全員の辞任・辞職を発表した。

 化血研が設置した第三者委は、元東京高裁長官の吉戒(よしかい)修一氏を委員長に元検事や専門家ら計6人で構成。

 報告書によると、不正製造は、血液製剤12製品の31工程であった。製造効率を高める目的で、承認書にはない添加剤を入れたり、添加剤の量や加熱方法を勝手に変更したりしていた。本来は製造方法の一部変更の承認を得る必要があったが、その手続きをとっていなかった。不正製造は、遅くとも1974年ごろから始まり、多くは80年代から90年代前半に実施するようになった。

 不正が起きた背景として、薬害エイズ問題によって国内での加熱製剤の生産増強が要請され、早期の製品化や安定供給を最優先に開発・製造を急いでいたことを挙げた。さらに、「自分たちは専門家であり、当局よりもよく知っている」「製造方法を改善しているのだから、当局を少々ごまかしても、大きな問題はない」という研究者のおごりがあったと指摘した。

 前理事長や現理事長らは、不正な製造や隠蔽を認識していながら放置してきた。品質管理部門や品質保証部門の一部管理職は、不正な製造や隠蔽を認識しながら、故意にその事実を明らかにしなかったとした。

 報告書では、製薬会社としてはあってはならない重大な違法行為と認定。化血研の役員たちは「先人たちの違法行為に呪縛されて、自らも違法行為を行うという悪循環に陥っていた」と指摘した。

 また、薬害HIV訴訟の和解のころに経営陣が不正製造の報告を受けていたとし、「和解における誓約がうわべだけのものに過ぎなかったと非難されてもやむを得ない」と批判した。

 一方、ワクチンについては、重大な不正や隠蔽を認める証拠は存在しないとした。

 宮本理事長は2日夜、厚労省で会見し、「患者の皆さま、医療関係の皆さま、国民の皆さまにご迷惑をおかけしておりますことを、深くおわび申し上げます」と頭を下げた。隠蔽工作を続けたことについては「コンプライアンス意識が低かった。研究者意識で技術的な面が先行し、対応が遅れていった」と語った。

 薬害HIV訴訟の原告団らに対しても「大変申し訳ないことをした」と謝罪した。

■悪質な隠蔽工作

 国の調査・査察で不正製造が発覚しないように、化血研は計画的に隠蔽工作を繰り返していた。

 報告書によると、隠蔽工作が本格化したのは97年ごろ。ある製造チームでは、査察で見せるための偽の製造記録はゴシック体で、実際の製造記録は明朝体で書類を二重に作成し、区別できるようにしていた。別のチームでは、不正製造による記録のページ数には「2・5」などと小数を加え、査察の時にはそのページを抜き取っていた。当時の部長は「このままでは見せられん。査察対応のものをもう一つ作らざるを得ない」と指示していた。

1590とはずがたり:2015/12/14(月) 10:52:20
>>1589-1590
 偽の製造記録などは過去の分も書き直し、かつての上司の承認欄には筆跡が似ている社員にサインをさせたり、紙に紫外線をあてて変色させ古くみせかけたりもしていた。

 調査に備え、国の承認書に沿った想定問答集をつくり予行演習もしていたという。
     ◇
 〈化学及血清療法研究所(化血研)〉 旧熊本医科大(熊本大医学部)の研究所が母体で1945年12月に設立された。薬害HIV訴訟の被告の一つで96年に和解が成立した。ワクチンや血液製剤の老舗で、抗がん剤や動物用の薬も製造している。ワクチンではインフルエンザは国内の約3割、百日ぜきやポリオなどを予防する子ども向けの4種混合は約6割のシェアを持つ。A型肝炎や狂犬病などは100%のシェアを占める。

化血研、歴代理事長ら不正隠蔽 第三者委報告「常軌逸した体質」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015120302000124.html
2015年12月3日 朝刊

 熊本県の一般財団法人「化学及(および)血清療法研究所」(化血研)が国の承認と異なる方法で血液製剤やワクチンを製造していた問題で、化血研の第三者委員会は二日、歴代理事長ら幹部が不正な製造を認識し、隠蔽(いんぺい)にも関与してきたとする報告書を公表した。承認外の製造は一九七四年ごろから行われ、多くは八〇年代以降続けられていたとも指摘。二日の厚生労働省血液事業部会に提出した。
 国の査察で発覚を防ぐため幹部の指示や承認の下、虚偽の製造記録を作成するなどしており、医薬品医療機器法(旧薬事法)に違反する悪質な行為と認定。「組織の閉鎖性、独善性が最大の原因」「常軌を逸した隠蔽体質が根付いており、研究者のおごりも根幹にある」と分析した。厚労省は近く、同法に基づき立ち入り検査をした上で業務改善命令などの行政処分を出す。化血研は、宮本誠二理事長が二日付で辞任したと発表。他の全理事も同日付で辞任や降格などの処分とした。
 報告書によると、化血研は血液製剤の早期の製品化や安定供給を最優先する中で、血液が固まるのを防ぐヘパリンなどの物質を添加するなど、三十一の工程で承認書と異なる製造法をとっていた。
 国の定期査察の際には、承認通りの製法で作ったとする偽の記録を用意。国に求められた過去の書類がなかったため、紫外線を浴びせることで変色させて作成時期を古く見せかけたほか、虚偽の出納記録も作成していた。製造工程変更の際に必要な国への申請もしておらず、これらの方針は理事長を含む幹部が決定し引き継いでいたという。
 不正があった製品はいずれも出荷前の国の検定には合格しており、重大な副作用などは確認されていないという。一方、報告書は、ワクチンに関しては承認外製造の隠蔽を図ったとまでは認定できないとした。
 今年五月、匿名の情報提供が厚労省にあり不正が発覚。同省は六月に血友病患者らに使われる血液製剤十二製品の出荷差し止めを指導した。九月にはワクチンでも国の承認と製造法が異なることが判明し、ワクチン十製品などの出荷自粛を要請。一部出荷が認められたが、インフルエンザワクチンなどの供給不足が懸念される事態となった。
 化血研は血液製剤の売上高が国内二位で、インフルエンザワクチンも国内シェアの約三割を製造する医薬品メーカー。

◆薬害エイズ訴訟中も
 化血研は八九年、血友病患者らがエイズウイルスに汚染された輸入非加熱血液製剤を投与され、感染した事件で血友病患者らから提訴された。九六年に和解したが、今回の不正は訴訟の最中にも続けられていたことになる。
 第三者委はこうした経緯を踏まえ「患者を軽視し企業の利益を優先させる姿勢が強くうかがえる」と批判。大阪HIV薬害訴訟原告団の代表の花井十伍さん(53)は「薬害エイズ事件を反省していないと言われても仕方がない」とし、「長年、不正を見抜けなかった国にも責任がある」と語った。

 化血研などによると、製造の効率化で、国の承認書に書かれていない血液が固まるのを防ぐ物質を添加していた。製造方法を調べる国の調査には、承認された製法で作ったとする偽の記録や書類を用意し、見せていた。問題発覚後、化血研の第三者委が従業員らに聞き取り調査を行っていた。

 製造工程を変更する場合は、国に申請して承認書を変更する必要があるが、報告書は、理事長を含む幹部が変更しない方針を決め、その後も引き継いでいたと認定した。

 化血研はインフルエンザワクチンの製造で国内シェア約3割を握る。厚労省は今回の問題でインフルエンザワクチンについても出荷自粛を要請。その後、10月下旬に「品質や安全性に重大な影響を及ぼさない」として出荷を認めた。(共同)

1591とはずがたり:2015/12/14(月) 10:52:37
製薬工程を抜き打ち検査へ…化血研の隠蔽受け
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151203-OYT1T50224.html?from=yrank_ycont
2015年12月04日 07時27分

 国内の血液製剤の約3割を製造する一般財団法人・化学及および血清療法研究所(化血研、熊本市)が40年前から国の未承認の方法で製造していた問題を受け、厚生労働省は、血液製剤とワクチンのメーカーに対し、製造工程の検査(査察)の一部を抜き打ちで行う方針を固めた。

 これまでの定期的な検査は、日時や内容などをメーカー側に事前に通告していた。今後、処方箋が必要な医薬品を製造する全企業(約280社)も、抜き打ちの対象とする方向で検討する。

 検査は医薬品医療機器法に基づき、国が医薬品医療機器総合機構(PMDA)に委託して実施している。各社は約2年に1回のペースで検査を受けてきたが、国側は数日間で効率的に検査を進めるために事前通告し、企業側に必要な書類を用意させてきた。

 しかし、2日公表された化血研の第三者委員会の調査報告によると、化血研は国の検査前に、実際の製造記録から不正に関するページを抜き取り、国の承認内容に沿って製造したように装ったほか、想定問答集を作成して予行演習を行うなどの隠蔽工作も行った。翌日の検査の連絡を受け、所内で対応を協議した事実も認定された。
2015年12月04日 07時27分

1592とはずがたり:2015/12/14(月) 10:52:49
>血液製剤やワクチンをめぐっては、これまでも製造企業による不正が繰り返され、厚労省の対策が遅れたために被害を広げてきた歴史がある。89年に阪大微生物病研究会が未承認の方法で製造したおたふくかぜワクチンでは1800人に副作用被害が生じ、5人が死亡した。厚労省が使用中止にしたのは在庫がなくなった93年のことだ。
>数少ない国内メーカーに厚労省OBが天下りするなどして安定供給できる生産体制を急いできたことが背景にある。

社説
化血研の不正 腐敗体質にメス入れよ
http://mainichi.jp/articles/20151204/k00/00m/070/118000c
毎日新聞2015年12月4日 02時35分(最終更新 12月4日 02時35分)

 まさに常軌を逸した隠蔽(いんぺい)体質である。40年以上前から未承認の製法で血液製剤を生産していた化学及血清療法研究所(化血研)の不正は厳しく断罪されねばならない。

 第三者委員会の報告書によると、化血研は不正の発覚を免れるため虚偽の製造記録を作成し、国の定期検査でも隠蔽工作を繰り返してきた。記録用紙に紫外線を浴びせて変色させ、古い書類に見せかけるなど悪質さは際立っている。

 化血研は薬害エイズ訴訟の被告だ。1996年の和解時には「悲惨な被害を再び発生させないよう最大の努力を重ねる」との確認書を原告団と交わした。その最中にも不正と隠蔽工作を繰り返し、経営陣に不正製造の報告をしていた。薬害の被害者ばかりでなく国民全体への裏切り行為だ。

 厚生労働省は化血研を行政処分する方針だが、通常の業務改善命令で隠蔽体質が改善されるとは思えない。この際、刑事責任の有無を含め徹底してメスを入れるべきだ。

 今のところ健康被害は報告されていないというが、血液を原料とする製剤には感染リスクがつきまとう。国が認めた承認書通りに製造することが厳格に定められているのはそのためだ。異なる方法で作られた製剤が本当に安全なのか、専門家も疑問を投げかける。

 血液製剤やワクチンをめぐっては、これまでも製造企業による不正が繰り返され、厚労省の対策が遅れたために被害を広げてきた歴史がある。89年に阪大微生物病研究会が未承認の方法で製造したおたふくかぜワクチンでは1800人に副作用被害が生じ、5人が死亡した。厚労省が使用中止にしたのは在庫がなくなった93年のことだ。

 数少ない国内メーカーに厚労省OBが天下りするなどして安定供給できる生産体制を急いできたことが背景にある。薬害エイズが問題になった80年代、厚労省は汚染された輸入製品から国内生産に切り替える方針を示した。これに乗った化血研が製品化を急ぐ中で、未承認の方法を使ったことから不正行為が広まったとされる。官民癒着と甘い検査・指導が不正を許してきたともいえる。

 インフルエンザワクチンでも化血研は未承認の製造方法を用いていたことが発覚し、一時出荷自粛に追い込まれた。化血研は国内のインフルエンザワクチンの3割を供給している。本格的な流行期を前にワクチン不足の懸念をもたらし、安全性を揺るがせた責任は重い。

 必要な医薬品の確保は厚労省の責務だ。それとともに長年不正を見抜けなかった自らの監督責任も含め、厳正な処分や再発防止策が必要だ。

1593とはずがたり:2015/12/14(月) 10:54:02

化血研の不正 見抜く仕組みを整えよ
http://www.shinmai.co.jp/news/20151207/KT151204ETI090006000.php
12月07日(月)
 命や健康に深く関わる仕事に携わっているとの意識はあったのだろうか。倫理観の欠如が目に余る。

 熊本県の一般財団法人「化学及血清療法研究所」(化血研)だ。

 約40年前から国の承認と異なる方法で血液製剤やワクチンを製造していた。しかも、国の査察で発覚を防ぐために虚偽の製造記録まで作成していたという。

 歴代理事長ら幹部も不正を認識し、隠蔽(いんぺい)に関わっていた。

 一連の問題を調査した第三者委員会は、報告書で医薬品医療機器法に違反する悪質な行為と認定。「常軌を逸した隠蔽体質が根付いている」と断じた。

 不正があった製品は国の検定に合格し、重大な副作用は確認されていないという。が、影響の大きさを考えると行政処分で幕引きとするわけにはいかない。刑事責任があるかどうかも含め、責任の所在と不正の背景をより明確にする必要がある。

 化血研は血液製剤の売上高が国内2位、インフルエンザワクチンも国内シェアの約3割を製造する医薬品メーカーだ。

 1989年、血友病患者らがエイズウイルスに汚染された輸入非加熱血液製剤によって感染した事件で提訴された。96年に和解したけれど、不正は訴訟の間も続けていたとみられる。

 手口は悪質だ。報告書によると血液製剤の早期製品化や供給を最優先とし、国の承認書に記載がない物質を加えたり、記載と異なる量を使用していた。

 国の査察に際しては承認通りの製法で作ったとする偽の記録を用意した。国に求められた過去の書類がなかったときには、紙を変色させて古いものに見せかけることまでやっている。

 医療事故につながる可能性も否定できない。営利優先で患者を二の次にしてきたといっていい。

 今回の不正の影響で、インフルエンザワクチンの供給不足が懸念される事態も招いている。第三者委が「常軌を逸した」と表現したのも納得がいく。

 国にも責任がある。定期査察は日時や内容をメーカー側に事前に通告してから行っている。こんな甘いやり方が、長年の不正を許した一因ではないのか。

 塩崎恭久厚生労働相は「不正を効果的にどう発見するかをしっかり検討していく」とした。化血研のような不正が二度と起きぬよう、現在の査察を見直し、再発防止につながる新たな対策を早急に講じなくてはならない。

化血研、動物ワクチンも不正製法…農水省調査
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151208-OYT1T50225.html
2015年12月09日 03時00分

 一般財団法人・化学及および血清療法研究所(化血研、熊本市)が血液製剤などを国の未承認の方法で製造していた問題で、化血研が家畜などに使われる動物用のワクチンも未承認の方法で製造していたことが、農林水産省の調査でわかった。

 化血研はこれらの一部の出荷を自粛している。不正製造は継続的に行われていたとみられ、同省は今後、医薬品医療機器法違反の疑いで化血研を立ち入り検査する方針。

 虚偽の製造記録を作成するなどの隠蔽工作は現時点で確認されていないが、医薬品製造に対する国のチェックを軽視する姿勢が、化血研の各部門に広がっていた可能性が出てきた。

 同省によると、今年2月、化血研から、一部の製品を国から承認された手順と異なる方法で製造していたという報告があり、同省が調べたところ、化血研が製造する動物用のワクチンなど約50種類のうち、約30種類に上った。豚や牛などの家畜に下痢や流産などを引き起こす感染症を防ぐためのワクチンや診断薬などが含まれる。

2015年12月09日 03時00分

1594とはずがたり:2015/12/14(月) 10:56:11
>>1586-1594
化血研が熊本にあるのは旧6医専の一つである熊大発祥だかららしい。

競争が無い…厚労省の天下り確保の為に,競争を抑制の結果化血研のシェアは高く代えが効かない状況にある。競争的にすべきである。

もたれ合い…事前通告式の立ち入り調査で不正を事後的に抑止出来なかったもたれ合いの構図がある。今回も密告があって初めて明るみに出た。これは今後改善されるようである。

規制…ヘパリンの混入など緊急で検査するとOKが出るように厚労省が過剰に規制していた面もある。勿論,なにか有った場合に厚労省も矢面に立つので過剰に検査を厳しくするのだけど,最終的に厚生官僚は国民と企業の間では企業側に立っているし硬軟の付け所が間違ってゐる可能性も高いのではないか?

1596荷主研究者:2015/12/19(土) 20:29:13
>>1595
http://www.sankeibiz.jp/business/news/151202/bsc1512020500009-n1.htm
2015.12.2 05:00 Fuji Sankei Business i.
住友化学が愛媛の工場増強

 住友化学は1日、愛媛県新居浜市の工場の設備を増強し、家畜の飼料用添加物の生産能力を2016年末に現状から10%超増やす方針を明らかにした。牛や鶏などの家畜の生産量が、イスラム圏などの経済成長や人口増加を背景に世界全体で増えていることに対応する。

 設備増強で生産能力を約15万トンにする。投資額は明らかにしていない。生産する添加物はアミノ酸の一種で、家畜の成長を促すという。

1597荷主研究者:2015/12/19(土) 20:29:39

http://www.sankeibiz.jp/business/news/151125/bsc1511251806006-n1.htm
2015.11.25 18:06 Fuji Sankei Business i.
ダイキン、大阪に開発拠点 部門またぎ産学連携も

ダイキン工業が380億円を投じて設立したテクノロジー・イノベーションセンター=25日、大阪府摂津市(織田淳嗣撮影)【拡大】

 ダイキン工業は25日、最先端の空調技術などを開発する「テクノロジー・イノベーションセンター」を大阪府摂津市に開設した。国内の技術者の3分の1にあたる約700人を集め、事業部門をまたいだ研究に取り組む。大学や他社との連携も強化する。

 ダイキンの淀川製作所内に開設した。6階建てで、投資額は約380億円。機械(堺市)、電気(滋賀県草津市)、フッ素化学(摂津市)と部門ごとに分かれている技術者の一部をまとめた。将来的には国内の研究開発機能を全て集約することも検討する。

 京都大や新日鉄住金などとの共同研究も進める。ノーベル化学賞を受賞した根岸英一・米パデュー大特別教授ら著名な研究者に滞在してもらい技術指導を受けることも想定している。

 ダイキンの十河政則社長は記者会見で「垣根をできるだけ低くし、世界最先端と誇れる技術をここで磨き上げる」と意気込んだ。

1600チバQ:2015/12/23(水) 02:18:19
>>1569-1570
http://mainichi.jp/articles/20151212/k00/00m/020/165000c
ダウ・ケミカルとデュポン対等合併発表

毎日新聞2015年12月11日 23時06分(最終更新 12月12日 00時50分)
 【ワシントン清水憲司】米化学大手ダウ・ケミカルと米同業大手デュポンは11日、来年後半をめどに対等合併すると発表した。ドイツのBASFを抜き、世界最大手グループになる見通し。化学業界は世界経済の低迷に加え、中国など新興国勢の成長で競争が激化しており、両社は統合によるコスト削減で、競争力強化を狙う。

 発表によると、新社名は「ダウ・デュポン」で、取締役会には両社からそれぞれ8人を出す。デュポンのブリーン最高経営責任者(CEO)が合併会社のCEOに、ダウのリバリスCEOが会長に就任する。

 対等合併後、事業ごとの特性を生かした経営をするため、1年半から2年をかけ、両社の事業を「農業」「素材」「特殊化学品」の3社に再編する。両社によると、3社はそれぞれの業界で世界大手となる見通し。ブリーン氏は「補完関係が強い両社が統合し、(事業の)焦点を絞った3社を設立することで、長期にわたり持続的な株主価値を実現できる」との声明を出した。ただ、合併で市場シェアが高まるため、各国当局から独占禁止法に抵触しないか審査を受ける必要があるとみられる。

 2014年の売上高は、ダウが580億ドル(約7兆円)、デュポンが350億ドル(約4.2兆円)。統合すれば、世界最大手の独BASFの740億ユーロ(約9.8兆円)を上回り、世界最大の化学メーカーグループになるとみられる。

 農業事業では、ダウは除草剤、デュポンは遺伝子組み換えのトウモロコシ種子に強みがある。素材や化学品では、両社とも自動車向けプラスチック製品、太陽光パネル向け素材を製造している。両社によると、重複事業の統合や投資の効率化などを通じて、30億ドル(約3600億円)のコスト削減効果と、10億ドル(約1200億円)の成長効果を見込めるという。両社とも世界的な化学メーカーだが、ドル高や中国勢の台頭などで販売が伸び悩む中、「物言う株主」から、成長分野への集中など経営改革を迫られていた。

 ダウは1897年、デュポンは1802年創業で、ともに100年以上の歴史を持つ米国を代表する老舗企業。

 日本の化学業界最大手、三菱ケミカルホールディングスの売上高は約3兆6000億円(2015年3月期)。

1601荷主研究者:2015/12/26(土) 21:17:16

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/26-22654.html
2015年11月26日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 三菱化学 三浦昭特別顧問 《上》

★鹿島1号機の停止★

 2014年5月、三菱化学・鹿島事業所の1号機エチレン設備は稼働停止し、1970年から続いたその歴史に幕を下ろした。鹿島セントラルホテルで開催された「お別れの会合」に出席した三浦昭特別顧問は、立ち上げ当時の苦労を想い起こしていた。「建設中は緊張の日々。とくに原料投入後の試運転の時期は、交代で夜勤の工場長の役割も務めた」。あれから45年。「時代の流れだね」と語る三浦氏の口調に感傷の響きはない。石油化学の発展に貢献した過去。しかし、時は流れ世界は変わった。そして化学産業には新たな、そして大きな使命が待っているからだ。

★池田亀三郎の誘い★

 「君、今度こういう会社(三菱油化)を創る。同じ三菱グループだし、こっちに移らないか」。三菱石油(現JXホールディングス)に入社して程ない三浦氏に声をかけたのは、三菱油化の初代社長、池田亀三郎氏だった。「池田さんは山形県酒田市の出身。私はその近くの庄内町の出身。就職が決まったとき、東京原宿のご自宅に挨拶にいった」という。故郷の大先輩の誘いは断れない。だが、入社したばかりの会社にも迷惑はかけられない。思いが交錯した。

 三菱グループは1956年、石油化学への事業進出にあたり三菱化成工業、三菱レイヨン、旭硝子、三菱商事、三菱金属鉱業(現三菱マテリアル)、三菱銀行(現三菱東京UFJ)などが出資し、三菱油化を設立する。旧三菱化成工業の初代社長も歴任した池田氏は、終戦を機に一線から退き、日本化学工業協会の副会長の職にあった。その池田氏が、新生三菱油化の社長として現場復帰することになった。

 池田氏は悩む三浦氏を「僕が話しをつけてやる」と説得した。三浦氏は、学生時代から石油化学に興味があり、「大学では石油化学の分野で著名であった徳久教授の研究室で修士論文の指導を受けた」。三菱石油では川崎製油所に配属され、「現場が肌にあう。プラントを建設してみたい」とも考えていた。運命が動いた。

 「入社してみると、発足したばかりの三菱油化の本社には30人しかいなかった」。しかし三浦氏はこの後、石化産業の急成長を目の当たりにすることになる。

★国産化―四日市計画★

 日本の石化産業は、1958年4月の三井石油化学工業・岩国および住友化学工業・新居浜、59年5月の三菱油化・四日市および日本石油化学(現JXエネルギー)・川崎の先発4社(第1期計画)のエチレン操業開始が本格化の号砲だった。四日市計画は、年産2万2000トンのエチレンと、誘導品のポリエチレン、スチレンモノマーを中核とコンビナートだった。

 「この時期、何をしていたかといえば導入技術の選定だった」。日本は、製造プロセスを海外からの導入技術に頼っていた。エチレンの技術は、条件が有利な米ストーン&ウェブスター(S&W)社を選択した。「米ケロッグ社やルーマス社もあったが、他の先発3社もS&W社だった」。

 導入技術が決まると、イギリスのシェルに石油化学プラントの運転実習に派遣された。先行する2社を追いかける突貫工事も大変だったが、設備完成後も苦労した。「エチレンとダウンストリーム(川下誘導品)が順調に一斉に立ち上がらないと困る。エチレンは高圧容器に保管する必要があり、建設費がかかるのでストレージを多くは持てない。貴重な経験になった」。

 試運転にあたっては、三菱化成からベテラン運転員が応援に駆け付ける一方で「新卒や別業種の経験者もオペレーターに採用し、危険物や高圧ガスの扱いなどを訓練した」。エチレンの第1期設備は、59年5月に念願の商業運転入りを果たした。その直後に伊勢湾台風が四日市を襲う不幸に見舞われるが、工場は短期間で再開することができた。

 その後、四日市では増設に次ぐ増設が実施された。高度経済成長が始まり、石化製品は作れば売れる売り手市場だった。「62年完成の第2期でエチレン年産6万トン。65年完成の第3期でエチレン年産?万トンを建設した。さらに68年には年産20万トンの第4期エチレンが完成した。すごいスピードだった」。

1602荷主研究者:2015/12/26(土) 21:17:52
>>1601-1602 続き

★30万トン時代―鹿島計画★

 10年にわたる四日市での拡大投資を経験した三浦氏を待っていたのは、鹿島コンビナート計画だった。三菱油化は、四日市の敷地がいずれ限界を迎えることを見越し、60年代前半から第2立地での建設構想に入っていた。最終的に候補地に浮上したのが鹿島だった。

 当時の岩上茨城県知事の農工両全の開発方針に基づき、インフラの構築から関与する鹿島計画は、三菱油化が第2の創業期と位置付ける大プロジェクトとなった。当初、エチレン年産10万トンとしていた計画を同20万トンに上方修正したが、さらに通産省(現経済産業省)の指導により同30万トンに拡大修正された。「エチレン30万トン時代」の幕開けだった。三浦氏は東京本社に設置された鹿島開発本部に異動し「コンビナート全体のレイアウトやインフラの整備を立案した」。

 石油精製拠点も大型港もない地区に18社が進出する鹿島計画は、石油精製会社(鹿島石油)の設立や、世界最深の水深を持つ掘り込み式の人工港の建設などをともなう一大プロジェクトとなった。一方で、共同火力発電所などの共同ユーティリティーセンターの設立や、コンビナート全体の最適配置と計画的なパイプライン網の整備のほか、安全対策、公害対策などを含め、それまで日本では例をみない効率的なコンビナートを追求した。

 効率化の鍵を握るのが、初期のレイアウト作りだった。「原料のタンクヤードから川下誘導品に至るパイプライン網や、参加企業全体のレイアウトを決めていった。パイプライン設置では、参加企業全体が一定の比率で用地を出し合い、共通の配管用地を確保した」。

 正式決定から7年後となる71年、鹿島コンビナートは前年からの試運転を経て本格操業を開始した。しかしこの年、石油化学産業はそれまで経験したことのない困難に直面した。高度経済成長が終焉したのだ。

1603荷主研究者:2015/12/26(土) 21:18:32

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/27-22655.html
2015年11月27日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 三菱化学 三浦昭特別顧問 《下》

★原料立地へ―サウジ石化計画★

 鹿島コンビナートのエチレン設備が稼動した頃、水面下で新たな動きがあった。1971年8月、三菱商事がサウジアラビア政府に対し、石油化学プロジェクトの共同事業化調査(FS)を提案、85年に操業開始する日本とサウジ基礎産業公社(SABIC)との合弁石化プロジェクト(SHARQ)が胎動したのだ。

 三浦氏は、79年に設立された日本側の投資会社「SPDC」に出向し、「アル・ジュベールでプラントが稼働するまでの約5年間、同プロジェクトの企画、調整業務に携わった」。SHARQの石化計画は、1970年代のオイルショックを契機に国家プロジェクトと位置付けられ、SPDCには政府が45%出資したほか、三菱商事、三菱化成、三菱油化のほか化学企業、鉄鋼企業、自動車会社など約50社が参画した。「関係官庁はじめ、株主各社には本当によく協力していただいた」。

 中東地域ではこの時期、三井グループなどによるイラン計画も推進されていた。計画の進捗はイラン計画が先行していた。しかし、プラント完成直後にイラン革命が勃発する悲運から、日本企業が撤退する事態となった。こうした経緯から「サウジ計画についても半信半疑のところがあった」。

 しかし、エネルギー安全保障やサウジアラビアとの友好関係など、当時の政治経済情勢からSHARQ計画には大きな期待がかけられていた。こうしたなかで、「三菱商事の山田敬三郎さん(SPDC初代社長、三菱商事元副社長)、田子勉さん(SPDC第2代社長、三菱商事元常務)らの情熱があって成功した」。

★新規事業と鹿島2期計画★

 アル・ジュベールでSHARQの石化プラントが操業を開始した85年、日本の石油化学は不況のどん底にあり、ついに産業構造改善臨時措置法(産構法)のもと政府主導による不況カルテルの結成と共同設備廃棄、共同販売会社の設立が実施された。過当競争による大幅な設備過剰、オイルショック、円高などを背景に、自力での再建が困難という状況に立たされていた。

 創業以来の危機に直面した三菱油化は、石油化学以外の新事業を育成することで生き残りを図る方針を決めた。こうしたなかでサウジ計画から本社に復帰した三浦氏は、新規事業本部に配属された。「三菱油化薬品の製薬、三菱油化メディカルサイエンスの検査薬のほか、農薬、電子材料などの高付加価値事業を育成した」。

 その一方で、81年に社長に就任した吉田正樹氏は、鹿島における第2期エチレン計画の実現に意欲を持っていた。構造不況に喘いでいた石油化学が1980年代後半のバブル経済で一時的に息を吹き返すと、吉田社長は2期計画を実行に移した。「石油化学は産業構造改善の対象であり、国外でやるという機運が出ていた頃だった。それに反する鹿島2期計画は批判の対象となった。辛い時期だった」。

★最後と最初の社長★

 バブル崩壊後の不況が日本を覆う92年6月、鹿島では年産40万トンの第2期エチレン設備が稼働を開始した。各方面からの批判を押しのけ実現した鹿島2期は「吉田さんの執念。当時はみなそう言っていた」。吉田社長は鹿島2期の完成と前後して体調を崩した。「吉田さんはこのこの頃、順天堂大学の病院へ入退院を繰り返していた」。翌93年、吉田社長は想いを遂げたように逝去した。

 同年2月、三浦氏は吉田氏の後を受け、三菱油化の第5代にして最後の社長に就任した。三浦氏が直面したのは「とりわけ構造問題が深刻なポリオレフィン事業をいかに構造改善するかだった」。ポリオレフィン事業を立て直すには単独では難しい。93年になり、一つの決断を下した。ポリオレフィン事業統合に向け、三菱化成の古川昌彦社長との話し合いに入ったのだ。そしてこの話し合いが、最終的には両社合併の結論を引き出していく。

 三菱油化と三菱化成の合併は、化学業界では実現しそうで困難な話しとされ、永遠の話題とも言われていた。しかし、「三菱油化は、設立当初からたくさんの人材が三菱化成から来ている。そして、(当時の)鈴木精二社長と吉田さんとは交流があった。そうしたなかで、合併の話しもみんなにアクセプトされる雰囲気がだんだん出てきた」という。また、三菱銀行も「資金調達面から、グループのなかに化学企業が2つあるより、合併で1社になる方がリーゾナブルとの認識だった」。

 93年12月24日、年末年始の休日入りムードが高まるなかで、三菱油化の三浦社長と三菱化成の古川社長は記者会見に臨み、両社が94年10月に合併することで合意したことを電撃発表した。そして、合併会社である三菱化学の初代社長に三浦氏が、会長には古川氏が就任した。

1604荷主研究者:2015/12/26(土) 21:19:08
>>1603-1604 続き

★カンパニー制導入★

 三菱化学の社長として三浦氏が直面したのは「当座の業績回復もあったが、構造問題を抱えていた」。バブル崩壊から4年を経ても、日本経済は不況から立ち直っていなかった。コスト構造を見直し、収益を回復させる手立てが必要だった。「このため、カンパニー制を導入した。利益を上げるには、各カンパニーにセルフスタンドしなさいと」。

 事業別では高付加価値型事業、とくに医薬部門の拡大成長に注力した。そして合併を機に導入したカンパニー制度は、後の医薬部門の分社化と東京田辺製薬との合併につながるなど、三菱化学を新たな成長へと導いていった。

★化学の新たな使命★

 振り返れば、三浦氏の経歴は、石化産業が勃興して以来の化学産業の歴史そのものだ。石化事業では国産化、大型化、海外進出という節目の全てに関わった。そして情報電子材料、ライフサイエンスといった高付加価値事業の育成に取り組んだ。合併の当事者として、化学業界の再編も実施した。その三浦氏はこう語る。「今、本当に世の中は大きく変化している。企業としてもインダストリーとしても、化学は従来のカテゴリーからだんだん離れていくことになる。化学製品の提供から、化学のテクノロジーでいかに価値を生み出すか、という時代に入ってきた。新たな使命が、化学の新たな歴史となっていく」。

(毎週、御一方ずつ掲載予定)

1609荷主研究者:2015/12/29(火) 22:41:15

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/12/01-22725.html
2015年12月01日 化学工業日報
【中間製品 動向を探る】 無水フタル酸<上>

 ▲新日鉄住金化学・九州製造所はグループ企業であるのシーケム向けに生産している。

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 無水フタル酸の用途の7割以上を占める国内可塑剤業界は、再編が進んだものの稼働は低水準にとどまっている。これらを背景にフタル酸メーカーは可塑剤再編も視野に入れ、事業基盤の強化策に知恵を絞っている。
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 無水フタル酸は、可塑剤のほか塗料、不飽和ポリエステル(UPR)などの原料として用いられる。オルソキシレン(OX)を原料とする石油系と、鉄鋼生産プロセスで生じるタールを蒸留して使うナフタリン由来の石炭系に大別される。石油系は三菱ガス化学と川崎化成工業、石炭系は新日鉄住金化学グループのシーケムとJFEケミカルが事業化している。

*主力の可塑剤低迷*

 国内では、用途の7割強を占める可塑剤は低迷が続いている。フタル酸ジオクチル(DOP)やフタル酸ジイソノニル(DINP)などのフタル酸系可塑剤の国内生産量は2010年に23万3377トンあったのに対し、14年は20万958トンまで減少した。これを受け無水フタル酸の国内需要は10年の11万7819トンから14年に10万6450トンと漸減している。

 そうしたなかで、可塑剤メーカーをグループに持たない石炭系2社は、縮小する国内市場への供給から、輸出へと軸足を移す事業構造に転換を図っている。

 九州事業所で手掛けるシーケム(現在、製造は新日鉄住金化学九州製造所に委託)は、「00年頃から海外向けへ舵を切った」(同社)。事業環境が厳しくなれば国内可塑剤向けの供給を継続することが難しくなるとの危機感が背景にあった。

 東南アジア地域へのアクセスに有利な九州に拠点を構える立地的優位性を生かして輸出を強化し、現在、輸出比率は約7割にまで達しているという。また、国内出荷分の内訳でも可塑剤は割合が小さく、塗料や特殊樹脂用途が過半を占めている。

 東南アジア地域の無水フタル酸の伸びは年率3―5%とみている。実際に同地域の需要家から供給増量の要請は強く、今後も輸出を中心に事業展開する方針。

 JFEケミカルも、同様に輸出を強化しほぼフル稼働で推移している。ただ、同社は無水フタル酸事業で中国に進出していることもあり、国内拠点の千葉工場(年産能力4万トン)からの輸出比率は3割程度で、主にインドネシアをはじめ東南アジア地域へ出荷している。インドネシアではUPR向けが主力となっている。

*中国の動向が懸念*

 シーケムとJFEケミカルは、主に東南アジア向けの輸出で収益を確保する狙い。ただ、懸念されるのが中国の可塑剤市場の動きだ。環境規制の強化などから、中国では非フタル酸系可塑剤の生産を拡大する傾向がみられる。それにより中国内の無水フタル酸がはじき出されて、アジアなど周辺国に流出し脅威となる恐れがある。両社はタールから、ナフタリン、無水フタル酸に誘導するチェーン展開を強みに事業を展開していく構え。

(不定期掲載。<下>は2日付を予定)

1610荷主研究者:2015/12/29(火) 22:43:43

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/12/02-22743.html
2015年12月02日 化学工業日報
【中間製品 動向を探る】 無水フタル酸<下>

 無水フタル酸の主力用途である可塑剤の国内市場が減少するなかで、輸出に力を入れている石炭系のJFEケミカルと新日鉄住金化学グループのシーケム。一方で、石油系の三菱ガス化学と川崎化成工業は可塑剤メーカーとのつながりが強く、国内供給がメインとなっている。

 三菱ガス化学は、グループ会社の可塑剤メーカー、シージーエスター(JNCとの合弁)と水島でオルソキシレン(OX)―無水フタル酸―可塑剤までのチェーンを展開する。同社はかつて無水フタル酸の国内最大手で、水島に年産能力4万トンと同6万トン程度の2系列を有する設備を持っていた。可塑剤の低迷を受け2005年に1系列を停止し4万トン体制に縮小した。

 それ以降、グループ会社への自消用に特化、外販はほぼ行っていない。ただ、足元、可塑剤の稼働は低い状況にあり、無水フタル酸は西日本地区の可塑剤向けでシェアを取り込み稼働率向上を目指す。さらにスワップ拡大などの施策で物流費などコスト削減を狙う。

*コスト減で競争力*

 一方、川崎化成工業は可塑剤メーカー、ジェイプラスを固定顧客とする。三菱化学のグループ会社であった同社は、今年6月の株式公開買付(TOB)によって、エア・ウォーターの連結子会社となった。エア・ウォーターは持分法適用会社にシーケムを持つことから、川崎化成はエア・ウォーターグループで連携して事業を強化する。

 川崎化成とシーケムを合わせた生産能力は合計年9万トンとなる。中川淳一会長(エア・ウォーター専務取締役)は「両社あわせて生産規模で日本トップとなる。一体運営によってシナジーを最大限発揮して競争力を向上させ、業界内で存在感を一段と高めていく」と語る。

 川崎化成が川崎工場に構える年産能力4万5000トンの設備は、かつての三菱化学の子会社時代の流れから、現状、ジェイプラスに依存する部分が大きい。ただ将来的には、特定の顧客に頼らず事業構造の転換を図る方針。

*業界再編の可能性*

 無水フタル酸メーカーは、輸出の拡大や、グループ連携などで事業維持に尽力する。その一方で、供給先の国内可塑剤業界を注視し「再編が起こるだろう」との声が相次いで聞かれる。

 国内可塑剤メーカーはジェイプラス、シージーエスター、新日本理化の3社に絞られている。それでも可塑剤メーカーをグループに持つ企業の経営陣は「現在、直接的な動きはないが、稼働率が50%程度という厳しい状況のなかで再編は必要」との共通認識で一致している。

 無水フタル酸の用途の7割以上を可塑剤が占めるだけに、国内市場の先行きは可塑剤の動きと強く結びつく。いずれの業界も再編や生産最適化を繰り返してきたものの、内需が徐々に縮小し、輸出環境も不透明感をぬぐえないなか、設備の余剰は当面の課題。生き残りに向けて連鎖的に再編に発展する可能性もありそうだ。

(この項、おわり)

1611荷主研究者:2015/12/29(火) 23:00:21

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00368551?isReadConfirmed=true
2015年12月18日 日刊工業新聞
三井化学、紙おむつ原料を20年度までに3割増の12万4000トンに

 三井化学は高級紙おむつなどに使う高機能不織布の年産能力を2020年度までに現状比3割増の12万4000トンに高める検討を始めた。17年度下期に三重県四日市市にあるグループ会社の年産能力増強を内定したが、生活の質を求めるようになった中国や東南アジアでの高級紙おむつ需要の増加を背景に19年には生産が追いつかなくなる見通し。さらなる増強で紙おむつメーカーへの供給強化に備える。

 現状の年産能力は9万4000トン。四日市(年産能力4万9000トン)、タイ(同3万トン)、中国・天津(同1万5000トン)の3拠点で生産している。柔軟性や収縮性に優れた高級紙おむつ用高機能不織布でアジアシェア約5割を持つ。

 訪日外国人による乳児用高級紙おむつ需要増に対応するため、四日市の年産能力を18年3月までに現状比1万5000トン増の6万4000トンに高める方針を決めた。

 さらに20年度までに3拠点のいずれかで年産能力を1万5000トン高める検討に入った。双方の増強が実現すれば投資額は120億円程度となる見通し。

 日本衛生材料工業連合会によると、14年の乳幼児用紙おむつ生産は前年比12%増の約120億枚。

 15年は訪日外国人の大量購入が続き、同20%近い伸びが見込まれている。

 円安が続けばこの需要増が当面続くほか、中国でも紙おむつの輸入関税を7・5%から2%に引き下げたことで日本製の紙おむつ需要増が見込める。生活の質向上が続く中国や東南アジアをけん引役にアジアの紙おむつ需要は20年までに年率8%伸びる見通し。肌触りが良い高級紙おむつ市場も同10%弱伸びる見込みだ。

(2015年12月18日 素材・ヘルスケア・環境)

1612荷主研究者:2015/12/30(水) 13:01:03

http://www.sankeibiz.jp/business/news/151221/bsc1512211208009-n1.htm
2015.12.21 12:08 Fuji Sankei Business i.
三菱ケミカルHD、持ち合い株1000億円売却

 三菱ケミカルホールディングスが、時価1千億円相当の持ち合い株を2〜3年かけて売却することが21日、分かった。売却で得た資金を炭素繊維など成長事業への投資に充てる。大手銀行が持ち合い株の売却を本格化する中、事業会社も持ち合い株解消に動き始めた。

 三菱ケミカルは現在、約2400億円相当の持ち合い株を保有し、うち4割強を手放す方針。主力取引銀行の三菱UFJフィナンシャル・グループなど金融機関11銘柄や傘下の事業子会社の取引先を中心に保有している。

 銘柄ごとに株式の保有が事業に好影響を与える度合いを精査。取引実態に応じた水準まで保有株数を段階的に減らす方向だ。今後、保有先と合意できた銘柄から売る。

 三菱ケミカルは平成28年度から始まる5年間の中期経営計画で、M&A(企業の合併・買収)や設備投資、研究開発に1兆7千億円を充てる。

1613荷主研究者:2015/12/30(水) 13:24:24

http://www.sankeibiz.jp/business/news/151224/bsc1512240500003-n1.htm
2015.12.24 05:00 Fuji Sankei Business i.
ペットボトル、環境に優しく 化学ベンチャーと三井物産、普及狙う

アバンティウムの素材で作られたペットボトル(ブルームバーグ)

 現在はまだそれほど普及していないペットボトルの容器に入ったビール。2020年の東京五輪開催時には、片手に持ちながら観戦を楽しむのが一般的な光景になっているかもしれない。

 仕掛けるのは総合商社の三井物産。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから分社化した化学ベンチャー、アバンティウムと提携した。同社は、ペットボトルや包装材などの原材料となる化学品を糖から製造する独自技術を開発しており、石油化学原料を使わず植物由来のバイオマス原料だけで製造が可能。三井物産が今月、日本を含むアジア地域でアバンティウム製品を販売する覚書を結んだ。

 ◆バイオマス原料で

 石油製品を使わず、二酸化炭素(CO2)の排出抑制にもつながるなど環境に優しいバイオマス原料。日本バイオプラスチック協会(東京都中央区)によると、バイオマス原料を用いたペットボトルは一部で使用されているが、バイオマス原料の比率は質量ベースで最大約30%にとどまる。100%バイオマス原料の製品は世界でもまだない。

 アバンティウムが開発した製品は、現在のペットボトル素材として使われる高純度テレフタル酸(PTA)の代替となるもの。これまでの素材と比べ、気体遮断性を高めたのが特徴の一つで、酸素では10倍の遮断性を持つ。飲食物の容器に使用すれば、酸素透過率が低いため酸化しにくく、賞味期限を延ばすことが可能となる。ビールは酸化で風味が劣化しやすいことなどから、ペットボトルでの販売はこれまで普及してこなかった。

 アバンティウムのトム・ファン・アーケン最高経営責任者(CEO)は10日、都内で記者会見し、「幅広いネットワークを持つ三井物産との提携で、日本とアジア市場で新技術を使った新しい製品用途の開発につながる」と述べた。

 同社はペットボトルやアルミ缶、ガラス瓶などに置き換わる容器向けの需要などを想定している。現在は、小規模の実証プラントでの生産だが、16年3月までに商業生産に向けた新設工場の詳細を決定し、19年の生産開始を目指す。同社ディレクターのネイサン・ケメリング氏は「東京五輪で新たな素材で作られたボトルに入ったビールをスタジアムで皆さまに飲んでいただくことが目標」と語った。

 ◆3兆円の市場

 三井物産・バイオケミカル事業室の亘理実チームリーダーによると、気体遮断性が高いことや、100%バイオマス由来原料を使うことから、顧客の関心は「大変高い」。ボトル容器向けには消費量の多いビールやワインメーカーに販売していくほか、包装フィルムや医薬品向けなどにも販売する予定。現在のPTAの世界市場は約3兆円とみており、その代替需要を狙う。

 アバンティウムは00年設立。社員数は140人。ペットボトルを使用する清涼飲料最大手の米コカ・コーラや「エビアン」「ボルヴィック」などのミネラルウオーター事業を持つ仏ダノンなどが戦略的パートナーとして資本参加している。

 ビールでのペットボトル容器の使用は、キリンビールが家庭用の宅配向け商品で8月に開始した。酸素の遮断性を通常の10倍に高めた三菱樹脂製素材が選ばれた。軽くて廃棄しやすいなどの利便性や、ビールに使用する技術的問題が克服されたことなどからペットボトルを採用しており、3〜5年後をめどに約5万世帯への販売を目標としている。(ブルームバーグ Ichiro Suzuki、Stephen Stapczynski)

1614とはずがたり:2015/12/31(木) 20:49:37

2015年 11月 2日 13:43 JST
中国:ファイザーの大連工場に問題多数=米FDA/注目トピックス 経済総合
http://jp.reuters.com/article/idJP00093300_20151102_00620151102?rpc=223

米ファイザーの中国子会社に対し、先ごろ米食品医薬品局(FDA)が「使用期限切れ原材料の使用」などを指摘していたことが分かった。大連工場(大連経済技術開発区)で生産され米国に到着した薬品から品質問題が見つかっている。生産過程の記録資料が合わず、検査が通過していない。合格するまで、FDAは検査を続ける方針という。中国青年網が1日付で伝えた。
すでに米FDAは今年4月、同大連工場で立ち入り検査を実施。生産記録を捜したところ、工場関係者が書類の大部分を故意に隠したため、必要な情報を得ることができなかった。期限切れ、または期限間近の原材料が使われたとみている。工場のトイレが1カ所に限られていた点も懸念。手洗い設備がみられなかったことや、無菌室との距離が45メートルしかなかったことを問題視した。
このほかFDAは今年に入り、米企業向け出荷が多い浙江海翔薬業公司、浙江海正薬業公司をそれぞれ調査。複数の工場を検査した。生産過程に複数の問題が確認されている。うち浙江海翔薬業は、米ファイザー傘下の医薬メーカーに対し、20年契約で抗生物質を供給している。

【亜州IR】

1615荷主研究者:2016/01/16(土) 15:22:42

http://toyokeizai.net/articles/-/98411
2016年01月11日 東洋経済
化学にメガ再編の潮流、日本勢は戦えるか
米国の化学大手の統合が塗り変える業界地図

藤尾 明彦:東洋経済 記者

国内の化学コンビナート。再編で業界の効率化を進め、世界の大手と渡り合えるか(撮影:大澤誠)

 ビールや医薬品などで世界的に大型M&Aが相次いだ2015年。その最後を飾ったのは、総合化学の名門企業である米ダウ・ケミカルと米デュポンだった。

 2015年12月11日に、両社は折半出資で新会社「ダウ・デュポン」を設立して、2016年後半をメドに経営統合を完了させると発表した。

 単純合計で売上高は11兆円を超え、独BASFを上回り、業界トップに躍り出る。新会社は統合から2年以内に、「農業」「素材」「特殊製品」の事業別に3社に分割し、上場させる計画だ。

物言う株主の圧力が統合を後押しか

 今回の統合の背景には、近年の業績停滞がある。ダウの売上高は、直近ピークである2011年度を一度も上回っていない。デュポンも2014年度売上高は2013年度から減少した。

 そのため、両社とも、物言う株主(アクティビスト)から目をつけられていた。

 日本企業にも積極的に投資している米サード・ポイントは、ダウに対して、競争の厳しい汎用化学品の分離を要求。デュポンも2015年前半に、役員の選任をめぐって、別のアクティビストと委任状の争奪戦を展開した。

 外圧が強まる中で、両社は経営統合を選択。短期的には、重複事業の統合などで、約3600億円のコスト削減を見込んでいる。さらに、統合後の成長によって、約1200億円の利益創出を見込む。

 統合後に2.3兆円規模となる農業事業は、農薬や遺伝子組み換え種子といった分野で高い競争力を誇る。ただ、穀物価格はブラジルなどの供給過多で、足元は軟調に推移。大豆は2012年の1ブッシェル当たり17ドル台から、8ドル台まで下落しており、早期の市況回復は望めそうもない。

 苦境を打破すべく、農業業界では、再編の機運が高まっている。農業専業で種子最大手の米モンサントは2015年夏、農薬最大手のシンジェンタ(スイス)に買収を提案した。結局まとまらなかったものの、ダウとデュポンの統合をきっかけに、さらなる合従連衡が進む可能性がある。

日本勢は買収の対象外

://tohazugatali.web.fc2.com/industry/20160111toyo01.JPG

 一方で、今回のメガ再編劇が日本の総合化学メーカーへ与える影響は、軽微にとどまりそうだ。

 SMBC日興証券の竹内忍シニアアナリストは「日本メーカーは買収対象として魅力に乏しい」と分析する。

 日本の化学メーカーも大手2強に集約が進むとはいえ、規模では海外の競合に遠く及ばない。さらに総合化学メーカーは事業内容が多岐にわたるため、M&Aでは不要な事業の切り放しが必須となるが、日本企業のリストラは簡単ではない。

 国内勢が世界の巨人に対抗するには、「価格競争が厳しい汎用品を切り出して統合・再編し、自動車向け材料など高機能製品を独自で展開していく道が現実的」(竹内氏)。

 国内最大手の三菱ケミカルホールディングスは、原油安により採算が改善。円安にも助けられ、業績は2012年度を底に回復傾向にある。一息ついた今こそ、攻めの一手を打つ必要があるはずだ。

(「週刊東洋経済」2016年1月9日号<4日発売>「核心リポート07」を転載)

1616荷主研究者:2016/01/31(日) 13:24:03

http://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20160121000174
2016年01月21日 20時47分 京都新聞
滋賀・守山工場に不織布設備 チッソ子会社

 チッソの事業を引き継いだ子会社のJNC(東京)は21日、グループ会社であるJNCファイバーズの守山工場(滋賀県守山市)に、紙おむつや生理用品などに使われる「スルーエア不織布」の生産設備を新設すると発表した。

 投資額は約18億円で、年間生産能力は約3600トン。今月着工し、2017年5月に稼働を始める予定だ。

 スルーエア不織布は柔らかく、接着剤を使わないため肌に優しいという。新興国の経済成長や先進国の高齢化に伴って需要が増大している。現在は中国とタイで生産しているが、訪日外国人観光客による「インバウンド消費」を取り込むため、国内でも生産する。

1617荷主研究者:2016/02/07(日) 11:01:59

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00371830?isReadConfirmed=true
2016年1月21日 日刊工業新聞
三菱ガス化学、東北大などと量産技術 LiBH4系固体電解質

 三菱ガス化学は20日、東北大学の原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)および金属材料研究所の折茂慎一教授らの研究グループと、柔軟で電極層と密着しやすい水素化ホウ素リチウム(LiBH4)系固体電解質の量産化技術を開発したと発表した。

 現在、主流であるリチウムイオン二次電池(LIB)に続く次世代電池として開発が進む全固体電池の材料として、車載用電池メーカーにサンプル提供していく。

 リチウムとホウ素の化合物であるLiBH4系の固体電解質は東北大が開発していたが、従来の製法は量産が困難だった。今回、有機溶媒を用いた溶媒法により量産を可能にした。

(2016年1月21日 素材・ヘルスケア・環境)

1618荷主研究者:2016/02/07(日) 11:02:45

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00372023?isReadConfirmed=true
2016年1月22日 日刊工業新聞
宇部興産、アノン生産設備を新設 ナイロン原料、製法転換で採算改善

 宇部興産は21日、採算が悪化したナイロン原料カプロラクタム(CPL)の収益改善策として中間原料であるアノンの製法をフェノール由来に変えると発表した。宇部ケミカル工場(山口県宇部市)にフェノール法を用いたアノン生産設備(年産能力8万トン)を建設、2017年11月に完成させる。投資額は60億円。

 シクロヘキサノンを使った従来製法に比べて工程や敷地面積を半減。アノンの収率も10%以上高まり、スチームと電力の使用量も10分の1以下になる。

 製法転換に伴い、宇部ケミカル工場の1,6ヘキサンジオール、1,5ペンタンジオール生産設備(合計年産能力6000トン)を停止するが、タイ子会社からの輸入販売で供給を継続する。

 CPLは中国メーカーの供給過剰で15年12月のアジア契約価格が6年11カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。宇部興産は製法転換のほかCPL自社消費率を70%超に高めるなど採算改善策を打ち出していた。

(2016年1月22日 素材・ヘルスケア・環境)

1619荷主研究者:2016/02/07(日) 11:11:32
>>1618
http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/01/22-23302.html
2016年01月22日 化学工業日報
宇部興産 シクロヘキサノンの製法転換 宇部に年8万トン新工場

 宇部興産は21日、宇部ケミカル工場(山口県)で生産するカプロラクタム(CPL)中間原料、シクロヘキサノン(アノン)の製法転換を行うと発表した。シクロヘキサンを酸化する現製法に比べてコスト競争力の高いフェノール法に切り換えるもので、2017年11月の完成をめどに年産8万トンの新工場を建設する。新製法により工程数削減やエネルギー使用量の大幅低減が可能となる。フェノール法アノンへの製法転換により、ナイロン6原料としてのCPLのコスト競争力を強化し、ナイロン6事業の拡大を目指す。

1621荷主研究者:2016/02/11(木) 14:33:05

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00373309?isReadConfirmed=true
2016年2月3日 日刊工業新聞
旭化成、水島製造所で月内にエチレン設備を停止

 旭化成は水島製造所(岡山県倉敷市)のエチレン生産設備(年産能力44万3000トン)を月内に止める。4月に三菱化学と水島コンビナートのエチレン生産の統合を決めており、2月中旬からの定期修理に合わせて同設備を止めることにした。これにより国内のエチレン生産設備は12基と13年比3基減となる。

 エチレン生産設備はナフサ(粗製ガソリン)を熱分解してエチレンなどの石油化学品を生産する石化コンビナートの中核設備。水島コンビナートでは1972年に稼働した旭化成のほか、三菱化学も年産能力43万1000トンのエチレン生産設備を持つ。

 13年8月に両社のエチレン生産統合を決定。旭化成のエチレン生産設備を止めて三菱化学の同設備に集約し、4月に設立する両社の折半出資会社「三菱化学旭化成エチレン」(東京都千代田区)を通じて運営することで合意している。

 三菱化学のエチレン生産設備に旭化成の誘導品(エチレンから作る化学品)生産設備を配管でつなぐ作業は2月中旬の定期修理で完成させ、4月から原料供給を受けられるようにする。

 国内エチレン生産設備は14年に三菱化学鹿島事業所(茨城県神栖市)が2基から1基に減り、15年に住友化学千葉工場(千葉県市原市)で同設備を止めるなど再編が進んだ。17年以降、北米のシェールガス、中国の石炭由来の安い化学品生産が本格化する見通しで国内エチレン生産はさらに減少が見込まれ、エチレン生産設備を持つ企業間での次なる再編に注目が集まる。

(2016年2月3日 総合1)

1622とはずがたり:2016/02/13(土) 23:08:44
本社の伊丹移転はどうなったんかな??

東洋ゴム、大阪から伊丹に本社移転 2015年8月に
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1063434930/2014
2013.4.23 12:02

現在大阪市にある本社を2015年8月に兵庫県伊丹市に移すと発表した。

<東洋ゴム>新たに164億円の特別損失計上
>>1526
2015/8/10 11:35毎日新聞

東洋ゴムが赤字転落へ…本社ビル売却を検討
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160212-OYT1T50186.html?from=y10
2016年02月13日 08時23分

 東洋ゴム工業が、免震ゴムの性能偽装問題で追加の損失処理をすることで、2015年12月期連結決算の税引き後利益が赤字となる見通しとなった。

 赤字転落は3月期決算だったリーマン・ショック直後の08年度以来となる。製品の交換や補償金の支払いなどに充てる資金を確保するため、自動車部品事業や本社ビル(大阪市西区)を売却する検討に入った。

 東洋ゴムは昨年3月に免震ゴムの不正が発覚して以降、交換や補償費用の支払いがかさんでいる。損失の増加により、昨年11月時点で50億円の黒字を見込んでいた税引き後利益は赤字になる見通しだ。自動車向け部品事業や本社ビルの土地・建物は今春以降、売却に向けた手続きに入る。

1623とはずがたり:2016/02/16(火) 09:13:21

石油化学=1月18〜22日:エチレンが続落、域外品流入で需給に緩み
https://www.rim-intelligence.co.jp/news/select/article/598678
2016/01/25 07:00

【アロマティクス】
 北東アジアの芳香族製品相場は総じて軟調。原料コスト指標となる原油やナフサの下げに引きずられた。ただ、域内で設備の不具合が発生しているとの噂が複数出ており、これら原料コストの下げと比べると、下げ幅は限られた。これら不具合のうち、中国の寧波中金石化(Ningbo Zhongjin PC)は年初から芳香族設備の停止が続いているが、これにより中国需要家はベンゼンの輸入品の買い付けに動いているようだ。

【オレフィン】
アジアのエチレン相場は需給の緩和に引きずられ、下落した。供給面では、域内品および欧州、アルゼンチンなど域外品が市場に見えている。売り物が漸増している一方、中国景気状況への不透明感、このところの原油とナフサ相場の軟化により、買い手の心理が弱まっている。このなか、エチレン相場は下げ圧力に晒されていた。東南アジアでは、ロッテ・ケミカル・タイタンが21日締めで実施した入札を通じて、2月後半着の3,000〜4,000トンを東南アジア着市況リンクで購入した。


アジアのプロピレン相場は,北東アジア着は弱含んだが、東南アジア着および韓国積みは強含んだ。北東アジア着では、中国需要家から買い気が後退しており、相場が押し下げられた。中国では、旧正月に近づき、ポリプロピレンメーカーなど多くの誘導品工場が旧正月連休入りムードが強い。また、為替市場でのドル高、人民元安が続いているなか、国内相場に割安感がある。さらに原油市況が依然として軟調に推移していることもあり、中国需要家から輸入品に対する買い気が強くない。韓国積みでは、東南アジア着相場が堅調に推移するなか、トレーダーからの買い気が強い。こうした状況下、現代オイルが入札を通し、2月後半積み1,500トンを570ドルFOBで販売した。東南アジア市場では、シェルシンガポールのナフサクラッカーが稼働停止していることを受け、同社からプロピレン供給を受けている誘導品メーカーが不足分をスポット市場で買い付けているもよう。ただし、東南アジア域内ではスポット玉が見当たらず、トレーダーが北東アジアメーカーから仕入れていると聞かれる。


北東アジアのブタジエン取引は静かな展開となった。原油、ナフサ安や誘導品市場の低迷から需要家は新たなカーゴの買付けには消極的。ただ、アジア域内では11月末から続くシンガポールのブタジエン設備停止や、今後は春季の定修が控えているため供給はタイトで、売り手は唱えを引き下げない。このなか、週前半には3月末から4月初め着の欧州品7,500トンのうち一部が、台湾向けに760ドル、残りが中国向けに790ドルで成約されたようだ。

1624とはずがたり:2016/02/16(火) 09:17:20
>>1125-1127>>1131>>1140-1142>>1232-1233
後は何処に削減余地有るのかなぁ・・
京葉の出光と三井,川崎の東燃とJXかなぁ。。それぞれ半減させて80万トン削減出来ると600→520万トンと結構実需に近づく。

水島製造所のエチレン設備停止 事業統合完了で旭化成ケミカルズ
http://www.sanyonews.jp/article/300259

 旭化成ケミカルズは15日、三菱化学と進める水島コンビナートでのエチレン事業統合に向け、水島製造所(倉敷市潮通)のエチレン製造設備を停止。40年以上にわたって操業してきたプラントの歴史に一区切りをつけ ...

[ 化学・金属・繊維 ]
旭化成、水島製造所で月内にエチレン設備を停止
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00373309
(2016年2月3日 総合1)

http://tohazugatali.we b.fc2.com/industryimg1_file56b0690343bf0.jpg

旭化成は水島製造所(岡山県倉敷市)のエチレン生産設備(年産能力44万3000トン)を月内に止める。4月に三菱化学と水島コンビナートのエチレン生産の統合を決めており、2月中旬からの定期修理に合わせて同設備を止めることにした。これにより国内のエチレン生産設備は12基と13年比3基減となる。

エチレン生産設備はナフサ(粗製ガソリン)を熱分解してエチレンなどの石油化学品を生産する石化コンビナートの中核設備。水島コンビナートでは1972年に稼働した旭化成のほか、三菱化学も年産能力43万1000トンのエチレン生産設備を持つ。

13年8月に両社のエチレン生産統合を決定。旭化成のエチレン生産設備を止めて三菱化学の同設備に集約し、4月に設立する両社の折半出資会社「三菱化学旭化成エチレン」(東京都千代田区)を通じて運営することで合意している。

三菱化学のエチレン生産設備に旭化成の誘導品(エチレンから作る...

(2016年2月3日 総合1

1625とはずがたり:2016/02/16(火) 09:22:23
>>1624
>京葉の出光と三井,川崎の東燃とJXかなぁ。。それぞれ半減させて80万トン削減出来ると600→520万トンと結構実需に近づく。
今朝の朝日新聞朝刊によると国内の生産能力は720万トンから600万トンに削減される一方,国内需要はピーク時の600万トンから500万トンとなっているとのこと。

また跡地利用が問題で,旭化成は石炭火力も検討したが採算性から実現せずとの事。

1626とはずがたり:2016/02/21(日) 19:18:05
「正露丸」の大幸薬品が”家電”に進出した理由
空間除菌「クレベリン」は信頼を取り戻せるか
http://toyokeizai.net/articles/-/100037?page=3
長谷川 愛 :東洋経済 記者 2016年01月11日

1627荷主研究者:2016/02/21(日) 21:03:24

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00373850?isReadConfirmed=true
2016年2月8日 日刊工業新聞
化学各社、相次ぎ生産調整 中国メーカー供給過剰で合繊原料、採算悪化長引く

 中国メーカーの供給過剰で合成繊維原料の採算悪化が長期化している。このため、三菱ケミカルホールディングス(HD)は海外のポリエステル繊維原料生産設備の減損損失を計上。宇部興産と住友化学はナイロン原料、旭化成はアクリル繊維原料の生産調整を行った。中国メーカーの生産増強は今後も続く。早期の採算改善が見込めず、傷が深くなる前の抜本的な構造改革が求められそうだ。

 三菱ケミカルHDは海外4カ所にあるポリエステル繊維原料の高純度テレフタル酸(PTA)生産設備のうち、インド(年産能力127万トン)、中国(同60万トン)で減損損失計628億円を計上した。韓国(同180万トン)も4系列ある生産設備の2系列を休止している。

 PTAは中国で需要を大幅に上回る生産増強が続き、15年の平均稼働率は64%に減った。採算を示す直近のスプレッド(原料との値差)は1トン=70ドルと11年の3分の1以下に落ち込んだ。

 今後も三菱ケミ全体のPTA年産能力(430万トン)を上回る年500万トン以上の生産能力増強が中国を中心に続く。当面、スプレッドが100ドル超になる可能性は低く「16年度中にPTA事業をどうするか決める」(小酒井健吉専務)。

 また、ナイロン原料のカプロラクタム(CPL)は、15年12月のアジア契約価格が6年11カ月ぶりの安値となった。このため、住友化学の10―12月期の平均稼働率は9割弱にとどまった。宇部興産も宇部ケミカル工場(山口県宇部市)とタイで若干の生産調整を行った。旭化成もアクリル繊維原料のアクリロニトリル(AN)生産設備の平均稼働率が85%となった。

 このほか、光学部材原料のフェノールも中国メーカーの生産増強を受け需給バランスが崩れたため、三井化学は1―3月期の生産設備の平均稼働率が約80%にとどまるとした。

 いずれも中国の生産増強は今後も続く見通し。各社とも国内生産再編などの採算改善策を打ったが、円安や原油安の恩恵で業績が好調なうちに、さらなる構造改革を行う必要がある。

(2016年2月8日 素材・ヘルスケア・環境)

1628荷主研究者:2016/02/21(日) 21:03:48

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00374056?isReadConfirmed=true
2016年2月9日 日刊工業新聞
昭和電工、高純度三塩化ホウ素を増産

 昭和電工は液晶パネルや半導体の製造工程で使われる高純度三塩化ホウ素の年産能力を、従来比50%増の250トンに引き上げる。川崎事業所(川崎市川崎区)の生産設備を改良し、3月から稼働する。投資額は非公表だが、1億円弱とみられる。足元で拡大している有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルや低温ポリシリコン液晶パネル向けの需要を取り込む。

 高純度三塩化ホウ素はアルミ配線の微細加工に使う特殊ガス。昭和電工の世界シェアは宇部興産などに次ぎ約25%にとどまる。中小型パネルの需要増を受け、小幅な増強を継続。2020年までの5カ年中期経営計画でも、電子材料用高純度ガスや機能化学品、リチウムイオン二次電池(LIB)材料など高付加価値品を重点的に伸ばす方針を掲げる。

(2016年2月9日 素材・ヘルスケア・環境)

1629とはずがたり:2016/02/23(火) 15:42:56
旭化成・社長引責辞任で崩れた集団経営体制
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E6%97%AD%E5%8C%96%E6%88%90%E3%83%BB%E7%A4%BE%E9%95%B7%E5%BC%95%E8%B2%AC%E8%BE%9E%E4%BB%BB%E3%81%A7%E5%B4%A9%E3%82%8C%E3%81%9F%E9%9B%86%E5%9B%A3%E7%B5%8C%E5%96%B6%E4%BD%93%E5%88%B6/ar-BBpQ01O#page=2
ダイヤモンド・オンライン
週刊ダイヤモンド編集部
7 時間前

「新生・旭化成」の旗振り役が、「杭問題」の幕引き役に転じた。

 旭化成は2月9日、ついに社長交代を発表した。子会社である旭化成建材の杭工事の施工データ改ざん問題を受けて、浅野敏雄社長が引責辞任し、4月1日付で小堀秀毅専務が新社長に就任する。

 旭化成にとって、4月1日はもともと、新しい中期経営計画をスタートさせる特別な日だった。同社は浅野氏が社長に就任した2014年、同氏や小堀専務を含む4人の代表取締役による集団経営体制に移行。この船出に向けて、着々と準備を進めてきた。

 重要なのは、この新体制には30年続いた会長による“院政経営”から卒業する意味が込められていたことだ。実権を握ってきた伊藤一郎会長は、新しい時代に対応するべく自分の代で院政に終止符を打つと宣言。新生・旭化成に向け浅野社長を抜てきした経緯がある。

 浅野社長は入社して以来、一貫してヘルスケア畑を歩んでおり、問題が起こった当時に建材事業の経営を執行していたわけではない。おまけに同社が次の成長の柱に据えるヘルスケア事業領域の担当役員としても社の要だ。

 小堀専務が「経営責任を取って退任する必要はない」と慰留したというのも無理からぬことだった。

 もっとも、問題発覚後、一部の首脳は代取4人総辞任の覚悟を漏らしていた。「でも、それをしちゃうと『やっぱり上が杭データの流用を指示したんじゃないか』って勘繰られかねない」と同社役員。結局、「旭化成の信頼回復に少しでも役立つなら」と、浅野社長が自らの首を差し出した。

集団経営体制が崩壊
 後任に就く小堀専務は、2600億円で買収した電池の主要部材大手、米ポリポア・インターナショナルといったエレクトロニクス事業領域を担当するとともに、経営戦略室や財務部を所管。全事業に精通している点が買われた。

 同じく代取で、中核の化学・繊維事業領域を担当する小林友二専務は強いリーダーシップで鳴らす。こちらの社長昇格もあり得たが、「会社を心配して社内やOBにいろいろ言ってくる人がいる今、話を聞いて事態を収拾できるバランス感覚の強い小堀さんが適任」(同社首脳)だとみられている。

 住宅・建材事業領域担当の平居正仁副社長の退任も決まり、新生・旭化成を担うはずだった4人衆は2人を残すのみ。集団経営体制はすっかり崩れてしまった。

 浅野社長がけじめをつけたとはいえ、杭問題は未解決。一方でポリポアの買収成果を挙げるなど、成長戦略を実行せねばならない。

 かつては大きな課題に直面すれば、カリスマ会長が解決に動いた。だからといって創業90余年の中で最大といえる危機を前に“脱院政”の看板を外すことになれば、「新生」の看板も同時に外れる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

1630とはずがたり:2016/03/06(日) 14:06:37

独BASF:米デュポンへの対抗買収案検討で銀行と協力-関係者 (1)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3JAIUSYF01Y01.html
2016/03/05 14:58 JST

    (ブルームバーグ):ドイツの化学メーカー、BASFは同業の米デュポンに買収案を提示した場合の利点を検討するため、助言会社や銀行と協力していると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。デュポンは昨年12月にダウ・ケミカルとの合併で合意している。
情報が非公開であることを理由に匿名で話した関係者によると、BASFはまだ買収案提示の決定には至っていない。デュポンへの正式な打診は行われていないという。
関係者によれば、BASFはデュポンがダウ・ケミカルと合併合意する前にデュポンと協議を重ねたが、一連の話し合いは前進しなかった。
ブルームバーグの集計データによると、BASFは除草剤や殺虫剤などの製造でシンジェンタとバイエルに次ぐ世界3位。デュポンを買収すれば、農薬部門を強化することができ、遺伝子組み換えトウモロコシなど作物種子で2位のメーカーを手に入れることになる。種子最大手は米モンサント。
BASFとデュポンの担当者はいずれもコメントを控えた。デュポンの株価は4日の引け後の時間外取引で5.3%上昇した。

1631荷主研究者:2016/03/07(月) 22:26:49

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/02/15-23587.html
2016年02月15日 化学工業日報
広栄化学 生産体制の再編加速 大阪プラントを千葉に完全移管

 広栄化学工業は生産体制の再編を加速する。1年以内に大阪プラント(大阪市城東区)を閉鎖し、イオン液体の生産を千葉プラント(袖ヶ浦市)にすべて移す。これにともない約30億円を投じて千葉にマルチプラントを1基増設。さらに約20億円を投じてマルチプラント以外の製造施設にも手を加える。製造停止を決めたペンタエリスリトール類の設備は廃棄する。生産体制再構築を通じて、次期中核事業に位置付けるイオン液体と金属触媒関連製品の拡大に拍車をかける。

【写真】千葉プラントではイオン液体や触媒関連以外の設備についても効率向上などを実施する。

1637荷主研究者:2016/03/13(日) 12:08:41

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160303/bsc1603030500006-n1.htm
2016.3.3 05:00 Fuji Sankei Business i.
サカタインクス、滋賀工場の能力増強

 サカタインクスは2日、書籍用インキの生産能力の多くが関東に偏在する現状を見直し、滋賀工場(滋賀県米原市)の能力を増強する方針を明らかにした。災害リスクに備え生産を分散させる。森田耕太郎社長は記者会見で「滋賀を最新設備に入れ替えながら競争力もつけたい」と話した。滋賀工場で15億円を投じて新設備を導入し、来年夏の稼働を目指す。

 サカタインクスは書籍用インキの国内シェアが約10%で、業界3位。滋賀工場のほか埼玉県羽生市、千葉県野田市と兵庫県伊丹市に工場を持ち、生産能力の約8割は埼玉と千葉に集中している。

1639とはずがたり:2016/04/08(金) 08:45:25
化血研、アステラスに事業譲渡で交渉 ワクチン製造など
http://news.goo.ne.jp/topstories/business/337/a81cdad0b8bdca9cb09521d979f612aa.html
(朝日新聞) 00:06

 血液製剤を不正製造していたとして、厚生労働省から110日間の業務停止処分を受けている化学及(および)血清療法研究所(化血研、熊本市)が、製薬大手のアステラス製薬(東京)にワクチンや血液製剤の製造部門を事業譲渡する方向で交渉に入っていることが関係者への取材で7日、分かった。

 現在、売却の条件などをめぐり調整が続いている。業務停止期間が終わる5月上旬ごろまでに合意を目指したいという。アステラスは現在、化血研が製造するワクチンと血液製剤の多くの販売を担当している。

 化血研は血液製剤やワクチンの国内有力メーカー。血液製剤の不正製造で1月から業務停止となっている。塩崎恭久厚労相は、化血研について「本来は医薬品製造販売業の許可の取り消し処分とすべき事案」とし、事業譲渡も含めた組織の見直しを求めていた。

1640とはずがたり:2016/04/09(土) 18:04:41

「サロンパス」が海外で好調 久光製薬、売上高また最高
http://news.goo.ne.jp/topstories/business/164/48ecf5a62027903834a3058c774deeca.html
(朝日新聞) 12:34

 久光製薬(佐賀県鳥栖市)が8日発表した2016年2月期決算は、売上高が前期比3・3%増の1618億円と、15年連続で過去最高を更新した。更年期障害の治療薬などと並ぶ立役者は、主力の一般用湿布薬「サロンパス」。北米など海外で人気で、日本でも外国人観光客の「爆買い」の対象になっている。

 昨年には、従来のサロンパスよりサイズが大きく、はがれにくい新商品を日米で売り出した。今期のサロンパスは、前期と比べると国内で17%、海外では11%も販売額が増えた。同様の湿布薬では、米国内でのシェア(市場占有率)首位を獲得している。

 営業利益は前期比35・1%増の277億円。ただ円高の影響で、純利益は同5・3%減の177億円だった。(湯地正裕)

1641荷主研究者:2016/04/09(土) 21:22:33
>>1637
http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/03/03-23823.html
2016年03月03日 化学工業日報
サカタインクス オフセットインキ 滋賀で生産能力5割増

 サカタインクスは出版・商業印刷に使うオフセット(平版)インキの国内生産体制を再編する。滋賀工場(滋賀県米原市)で生産能力を現状比5割増やし、千葉や埼玉の工場から西日本向けに供給する製品を移管する。東日本では両工場の拠点集約も視野に合理化策を講じる計画だ。東西に拠点を構え災害リスクを分散させると同時に、高効率設備の導入などで競争力を高めることで、国内需要が頭打ちにあるオフセットインキのシェア拡大を狙う。

1642荷主研究者:2016/04/09(土) 21:46:20

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160318/bsc1603180500005-n1.htm
2016.3.18 07:20 Fuji Sankei Business i.
鉄鋼に続き…化学業界でも中国リスク 価格競争強いられ採算悪化

宇部興産はカプロラクタムの内部利用を加速させる方針だ=山口県宇部市の宇部ケミカル工場【拡大】

 原油安による原料価格の下落で利ざやが拡大し、好業績を謳歌(おうか)する化学メーカーが、一部製品では採算悪化に苦しんでいる。中国の景気悪化や、中国勢の相次ぐ生産増強で、需要が供給を大幅に下回っているためだ。

 中国を震源地とする価格競争に巻き込まれ、業績が悪化する鉄鋼業界と同じ構図が化学にも及んでいる。品質面で差別化しにくい製品ほど価格下落は著しく、こうした製品に生産品目を絞り込んできたメーカーは、生産集約などの抜本的な対応を余儀なくされつつある。

 市況悪化にさらされている化学品の代表が、ナイロン原料のカプロラクタムだ。

 国内最大手の宇部興産によると、ナイロンは衣料や食品パッケージなど幅広い分野で使われるのに対し、カプロラクタムは「製品にグレードが存在せず、差別化が難しい」という。

 そのアジア価格は2011年時点で1トン3150ドルと高水準だったが、中国勢が相次ぎ市場参入した翌年から低下。最近の景気悪化でさらに値下がりが進み、直近の今年2月には過去10年で最安となる1175ドルまで下落した。

差別化しにくく

 鉄と違ってまだ中国国外にはあふれ出ていないが、同社を含む海外メーカーの製品が押し出されているという。

 このため同社は、14年に堺工場(堺市西区)での生産を停止し、宇部ケミカル工場(山口県宇部市)に国内生産を集約したのに続き、今後は工程を簡素化できる製法への転換を図る方針。一方で、自社生産するナイロンへの内部利用も進め、足元で5割の「自消率」を20年以降に8割まで引き上げる考えだ。

 カプロラクタムは、住友化学も昨年9月に愛媛工場(愛媛県新居浜市)の生産設備の1ラインを止めた。十倉雅和社長は「(中国の供給は)明らかに過剰。日本への流入は円安もあってほぼないが、社内では安心するなと言っている」と危機感を募らせる。

 一方、ポリエステル繊維の原料であるテレフタル酸も採算悪化に歯止めがかかっていない。

 三菱ケミカルホールディングスは、16年3月期に中国とインドのテレフタル酸事業に関して628億円の減損損失を計上する。両国の工場については「現在の状況が続けば16年度中に抜本的な対策を断行する」としており、閉鎖に踏み切る可能性も捨てきれない。韓国の関連子会社、三南石油化学でも生産能力の6分の1に当たる設備を休止中で、追加の削減を視野に入れている。

設備休止や削減

 このほか、アクリル繊維やABS樹脂の原料で、旭化成などが生産するアクリロニトリルも市況が低迷。大手の旭化成は、14年8月に川崎製造所(川崎市川崎区)での生産を停止したにもかかわらず、「足元の採算は低下している」と話す。

 化学品の基礎原料であるエチレンの国内プラントは高稼働を続けており、石油化学工業協会が17日に発表した2月の稼働率は、94.3%と採算ラインとされる9割を上回っている。もっとも、中国の状況や為替動向次第では化学品全般に影響が及ぶ可能性もある。化学各社は以前から競争力のある高付加価値品へのシフトを進めてきたが、「中国リスク」はそうした動きをさらに後押しすることになりそうだ。(井田通人)

1644荷主研究者:2016/04/09(土) 22:10:36

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00379614?isReadConfirmed=true
2016年3月25日 日刊工業新聞
住友理工、産業用ホースを移管

 住友理工は24日、産業用ホース事業を100%出資子会社のTRI京都(京都府綾部市)に、10月1日付で移管すると発表した。経営資源を集約し、意思決定の迅速化や事業の効率化につなげる。事業移管に合わせてTRI京都は「住理工ホーステックス」に社名変更する予定。住友理工の産業用ホース事業は2015年3月期に売上高100億円。13年12月に設立したTRI京都は同3億円だった。

(2016年3月25日 総合3)

1645荷主研究者:2016/04/09(土) 22:17:17

http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20121120/news20121120676.html
2012年11月20日(火)愛媛新聞
新居浜・住友化学工場 増設プラント完成

【写真】住友化学愛媛工場菊本地区に増設された高純度アルミナの新プラント。奥が従来の設備=19日午後、新居浜市菊本町2丁目

 住友化学(東京)が急増する需要に対応し新居浜市の愛媛工場菊本地区に増設していた高純度アルミナ(HPA)新プラントが完成し19日、現地で竣工(しゅんこう)式があった。月内にも本格稼働を始める。

 HPAは、発光ダイオード(LED)の基板材料などに使われ、愛媛工場は同社の国内唯一の生産拠点。約100億円をかけた新プラント稼働で、生産能力は現行の年間1600トンから3200トンに、年間売上高は50億円から100億円に倍増する。世界首位のシェアは40%から50%超に伸びるという。

 新プラントは従来の製造工場に隣接し、合成棟(延べ床面積4830平方メートル)と焼成棟(同1万4200平方メートル)の2棟。新規に約50人を雇用する。

1646とはずがたり:2016/04/12(火) 07:37:04
うがい薬カバくん「仲直り」 デザイン巡り明治など和解
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/business/ASJ3S61JLJ3SULFA02Z.html
03月24日 21:07朝日新聞

うがい薬カバくん「仲直り」 デザイン巡り明治など和解
明治が4月1日に発売する「明治うがい薬」
(朝日新聞)
 カバのデザインのうがい薬のパッケージをめぐり、食品大手の明治と米系製薬のムンディファーマが互いにデザインを使わないよう求める仮処分申請を東京地裁に申し立てていた問題で、両社は24日、和解が成立したと明らかにした。

 和解は18日付だが、具体的な内容は明らかにしていない。関係者によると、両社は4月からそれぞれカバのデザインのパッケージのついたうがい薬を販売予定だが、その時点ではデザイン案は変えない。ただし、時期は未定だがその後、ムンディファーマがデザインを変更するという。

 明治はうがい薬のパッケージにカバのキャラクター「カバくん」を載せている。これまで「イソジン」として販売してきたが、国内でつくって売る権利を失うため、4月からは別の商品名で販売する。一方、ムンディファーマが4月から「イソジン」の名前で新たにうがい薬を売り出す。

イソジン、「カバ」キャラを変更へ 8月末、後継は未定
http://news.goo.ne.jp/topstories/business/337/6e77fe226f31750dc489b6dec8e7ae68.html
(朝日新聞) 04月05日 17:20

 米系製薬会社のムンディファーマは5日、うがい薬「イソジン」のパッケージに使うカバ風のキャラクターを8月末までに変えると明らかにした。後継キャラクターは未定。イソジンのキャラクターは食品大手の明治が販売していた頃の「カバくん」が親しまれてきた。4月からイソジンの販売権を得たムンディは、別のカバ風のキャラクターデザインで、塩野義製薬に販売してもらっている。

 一方、明治は4月以降、別のうがい薬を「カバくん」のキャラクターで販売。ムンディなどはキャラクターが似ていると差し止めを求めたが、3月に和解した。両社の商品のメーカー希望小売価格は、120ミリリットルがともに税抜き1080円。

1648荷主研究者:2016/04/24(日) 17:02:06

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/03/31-24159.html
2016年03月31日 化学工業日報
【石化中間製品 動向を探る】 酢酸<上>

 中国を中心に供給過剰が続いている酢酸。景気の先行き不透明感などを受けて2015年末から各用途ともに荷動きが鈍っており、市況は下落。当面厳しい水準で推移するとみられる。そうしたなかで大手酢酸メーカーは、誘導品の拡大による自消比率の向上で事業基盤を強化しようとしている。

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 酢酸は、酢酸ビニルモノマー、酢酸エステル、無水酢酸のほか、高純度テレフタル酸(PTA)などの原料として用いられる。メタノールと一酸化炭素から合成するメタノール法や、アセトアルデヒド法で製造される。

 酢酸の世界需要は拡大基調にあり、15年には約1400万トンに達したと推定される。とくに、PTA設備などが立ち上がるインドが成長のけん引役となっている。

*市場の成長率鈍化*

 一方で、供給は中国で設備過剰となっている。00年代後半から中国勢が台頭、10、11年には設備の新設が相次ぎ市況も悪化した。14年夏ごろは中国の設備トラブルや定修が重なり市況は上昇し、15年前半も好調に推移したが、その後は中国景気の減速感や、PTAや酢酸エチル向けなどの需要の低迷で、価格は低水準に推移している。

 世界需要は、アジアを中心に引き続き伸びるとみられる。ただ、00年代後半まで5%強だった伸び率は鈍化し、今後は2―3%の成長で推移すると見込まれる。供給面では17年まで大型プラントの立ち上げ計画は少ないが、供給過剰の構造は解消しておらず、中国メーカーの稼働率は60―70%で推移しているとみられる。

 こうした事業環境のなか、主要各社は誘導品を含めた展開を強めている。

 世界トップメーカーの一つ、セラニーズは、原料メタノールから誘導品までを統合したバリューチェーンと先端的技術を強みに持つ。世界に供給網を整備し、米国、シンガポール、中国、中東などに生産拠点を構える。

 生産の合理化のほか、効率的なユーティリティ関連のインフラづくりなどにも着手。「15年の生産コストは12年に対して17%削減し、その間の累積削減金額は1億5000万ドルを超える」(パット・クアールズ氏)といい、絶えず競争力向上の施策を実行している。

*原料コストも抑制*

 原料メタノールに関しても、15年10月に三井物産との合弁によりテキサス州クリアレイクで年産130万トンプラントが完成。低コストな米国の天然ガスを原料にメタノールを生産し、酢酸の原料コストを抑制できる体制を構築した。

 国内では、ダイセル、三菱ガス化学など4社が共同出資する協同酢酸の1社が製造している。ダイセル姫路製造所網干工場敷地内でメタノール法により製造し、各出資会社に販売している。年産能力は45万トン。

 日本は酢酸の輸入ポジションにあり、内需に対する輸入品の比率が1割強を占めている。ダイセルは、国内に軸足を置き安定供給で内需を確実に取り込んでいく構え。協同酢酸の高稼働を安定的に継続することでコスト削減にもつなげていく。また海外品と比較して、拠点のメリットを生かし物流面での優位性も発揮していく。

(不定期掲載。<下>は4月1日付予定)

1649荷主研究者:2016/04/24(日) 17:02:26

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/04/01-24160.html
2016年04月01日 化学工業日報
【石化中間製品 動向を探る】 酢酸<下>

*誘導品展開を強化*

 セラニーズは規模の拡大を通じ、グローバルに展開する強みをさらに追求する。この一環として、クリアレイクの酢酸プラントのボトルネックを解消、現在の年産135万トンから、2016年中に同150万トン以上に生産能力を増強する。酢酸ビニルモノマー(VAM)も同45万トンまで生産能力を高め、18年に増強を完了させる予定。

 シンガポールでは、酢酸ビニルエチレン(VAE)エマルジョンの新工場をジュロン島に建設中。16年半ばの商業生産開始を予定しており、東南アジアやインド、オセアニア市場への供給体制を強化する。完成すると、中国・南京に続くVAEエマルジョンプラントになる。

 ジュロン島では00年にメタノール法による酢酸設備を立ち上げ、VAMや酢酸エステルと合わせアセチルチェーンを展開している。VAEエマルジョン設備の新設により、チェーン全体の付加価値を高め競争力の底上げを図る。

 今後も「コスト競争力の強化、新規ユーザーの獲得、川下展開、相乗性からM&Aも狙っていく」(パット・クアールズ氏)。既存拠点の拡大策と合わせ、18年まで2ケタ利益増を継続し市場トップの競争力を確固たるものにする。

 台湾・長春グループもアジアでアセチルチェーンを強化している。11年には台湾・麦寮において同60万トンの酢酸工場を新設。拡張を経て、現在は年70万トン規模で生産を行っている。同工場は「各プラントから排出される二酸化炭素(CO2)を利用して一酸化炭素を製造し、メタノールと合成して酢酸を安定生産できる」(長春グループ)ことを強みとしている。

 その酢酸を主な原料に、シンガポールでは13年にジュロン島テンブス地区にVAM設備(年35万トン)を新設。さらにその誘導品として今年内をめどにVAEエマルジョン同9万トン、パウダー同3万トンの事業化を進めている。

 長春グループは「生産する酢酸の大半をVAMおよび誘導品の自家消費分に使用している」(同)。とりわけグループ全体で100万トン体制となったVAMを軸としたチェーンは戦略事業の一つだ。この数年間でも、シンガポールに加えて、中国・常熟のポリビニルアルコール(PVA)増強、麦寮でのエチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)増強といった川下事業での新規投資も進めている。

*自消率高め強靱に*

 国内唯一のメーカーである協同酢酸では、内需を確実に取り込むとともに、ダイセルグループの誘導品を拡充し自消比率を高めることで、外部要因に左右されない強固な体質を構築する。もともと自消比率は高く「酢酸ベースで50%以上はあるが、今後もこれをいかに上げていくかが課題」(ダイセルの上野谷将也有機合成カンパニー化学品マーケティング第1部マネージャー)。

 ダイセルグループの誘導品展開では、無水酢酸、酢酸セルロース、酢酸エステルなどを有する。なかでも酢酸セルロースと、それを繊維状に加工したアセテート・トゥについては、ともに姫路製造所網干工場(兵庫県姫路市)と大竹工場(広島県大竹市)の2拠点で一貫生産体制を構築している。また酢酸エステル類では、主に酢酸とバイオエタノールを原料とする酢酸エチルを大竹工場で生産している。

 「国内の顧客との関係をしっかりと構築しながら、自社で酢酸の加工度を上げてバリューチェーン展開を加速する」ことで、輸出に頼らない事業構造へのシフトを図る。

 セラニーズ、ダイセル、長春グループともコスト競争力の強化と並行して、市況変動の影響を受けない事業展開を狙っている。生産能力余剰の問題は続くとみられるが、バリューチェーンによる高付加価値化が酢酸メーカー生き残りの明暗を分けそうだ。

1650荷主研究者:2016/04/24(日) 17:18:38

http://toyokeizai.net/articles/-/113049
2016年04月11日 東洋経済
住友化学の好業績、ニワトリが支えていた!世界で脚光浴びる「メチオニン」とは?

渡辺 清治:東洋経済 記者

 メチオニンは鶏の成育には欠かせない必須アミノ酸の一種。飼料添加物として需要が伸びている。写真はマレーシアにある住友化学のメチオニン研究施設内

 総合化学の大手、住友化学のある事業が「収益性」と「成長性」の両面でにわかに注目を集めている。同社の前2016年3月期の連結業績は営業利益が1550億円と前の期より2割強増え、過去最高を更新した模様。その原動力となったのが、これまであまり話題になることがなかった“メチオニン”事業だ。

 メチオニンは鶏や豚、牛など家畜の成長に不可欠な栄養素。リジンやスレオニンなどと並ぶ必須アミノ酸の一種で、主に鶏用の飼料添加物として使用されている。飼料に少量混ぜて与えることで鶏の生育が早まるほか、鶏肉や卵の品質向上、さらには糞と一緒に排出される有害な窒素が減る環境対策効果もある。

需要旺盛で市況高、原料安も追い風

 中国やアジアなど新興国を中心に鶏肉の消費が拡大し、飼料用メチオニンの需要は急拡大している。これまで鶏用の飼料添加物には、同成分を多く含むイワシなどの魚粉が多く使用されてきたが、漁獲量の減少や中国の食用魚需要などで魚粉の価格が高騰。このため、石油由来のメチオニンに切り替える動きが広がり、市場規模はこの1、2年で年間100万トンの大台を突破した。

 住友化学は1950年代に医薬品用途でメチオニンの製造を開始し、1960年代から飼料用途へと進出した。世界シェアは1割強と4位で、現在の生産能力は年間14万トン。全量を愛媛工場(新居浜市)で生産し、その大半は中国、東南アジアなど海外の飼料メーカーに輸出している。

 「足元の事業・収益環境は非常にいい。でき過ぎと言ってもいいくらい」。健康・農業関連分野を統括する西本麗・専務執行役員はこう話す。好調な需要を背景にメチオニン市況は1キロ=4ドル前後と高値で安定推移しているうえ、昨今の原油相場下落によって、原料コストは大幅に下がっているからだ。

 そうした追い風に乗り、同社のメチオニン事業は前2016年3月期に過去最高の収益を記録。事業売上高は600億円規模と前の期から2ケタ伸び、売上高営業利益率で3割超、金額にして200億円前後の営業利益を稼ぎ出した模様だ。

プロピレンなどを化学合成して生産される石油由来のメチオニン。需要は年率6%以上の伸びが続く

 プロピレンやメタノールなどを化学合成して作るメチオニンは化学メーカーの事業領域だが、今のところは世界を見渡してもプレーヤーの数は限られる。

 世界シェアの4割超を握る独エボニックを筆頭に、米ノーバス、中国藍星集団、そして住友化学と、4社で総需要のほとんどを担う。

 設備投資負担が大きいうえ、製造過程で硫化水素などの危険物を取り扱うほか、排水・廃液の処理に手間が掛かる点などが参入障壁になっている。

 ちなみに、世界2位のノーバスは米国企業だが、株主は三井物産と日本曹達。1991年に2社が共同で米国のバイオ化学大手、モンサント社から事業を買収した経緯があり、三井物産が全株式の65%、日本曹達が35%を保有する。そのノーバス社も業績は絶好調で、前2016年3月期に同社は過去最高となる300億円前後の純利益を稼ぎ、日系2社の連結業績に大きく貢献した。

1651荷主研究者:2016/04/24(日) 17:19:16
>>1650-1651 続き

年率6%超の成長、能力倍増投資を検討

 メチオニンが注目を集めるのは、足元の稼ぎっぷりに加え、今後も市場の成長が続くことが確実視されているからだ。新興国の生活水準が上がって食肉需要は年々増えているが、宗教的な制約が少ない鶏肉は特に消費量の伸び率が高い。国連食糧農業機関の統計によると、鳥肉(七面鳥など鶏以外も含む)の生産量は今後10年間で2割以上増え、現在もっとも生産量の多い豚肉を数年内に抜く見通しだ。

 当然、鶏の飼育頭数が増えれば、その餌に使用されるメチオニンの需要も増えていく。魚粉からの切り換えもさらに進む見込みで、住友化学によると、石油由来のメチオニンの需要は年率6%以上の長期的な成長が予想されるという。

 旺盛な需要を受け、愛媛にある同社のメチオニン工場は超がつく繁忙状態にある。「中国の飼料メーカーを中心に引き合いが非常に強い。文字通りのフル操業を続けているが、それでも生産が追い付かない状況」(西本専務執行役員)だ。このため、緊急対策として既存設備を改良・変更し、今2016年内に生産能力を14万トンから1割以上引き上げる。

 焦点は、その後の供給体制をどうするか。同社はメチオニン事業を今後の戦略強化分野の1つと位置づけ、2020年をメドに世界シェア2割奪取を目標に掲げる。目標実現には、最低でも年産10万トン超の新たな大型プラントを立ち上げ、生産能力を現状の倍近くにまで引き上げることが不可欠。そのために必要な設備投資は400億〜500億円規模に上る見込みで、巨額投資に踏み切るかどうかを社内で議論している最中だ。

 「メチオニンの需要はこれから先も間違いなく増えていく。供給能力の拡大は大きな課題で、最低でも(年産)10万トン級、できればそれ以上の製造設備を新たに作りたい」と西本専務執行役員。ただ、意欲は満々だが、まだ最終決定には至っていない。「投資金額が大きいだけに、さまざまなリスクを考えながら、慎重にタイミングを見極めている」のだという。

ライバルが相次ぎ増産、需給悪化懸念も

 不安材料はライバルの動向だ。最大手の独エボニックは昨年末、シンガポール第2工場(年産能力19万トン、2019年稼働予定)の建設を決定。同社は2014年秋に新工場をシンガポールで立ち上げたばかりだが、早くも次の大型投資に踏み切る。2位の米ノーバスも2020年までに年産能力を10万トン以上拡大する方向で検討している。

 また、新たなライバルも出現した。韓国のCJ第一製糖が化学メーカーの仏アルケマと手を組み、メチオンニン市場に参入。独自の醗酵法による生産工場を昨年稼働させ、今後の事業拡大に強い意欲を見せている。

 成長市場ゆえに、各社がシェア拡大へと競って能力増強に走るのは当然のこと。その結果、業界全体の供給能力が短期間に膨れ上がれば、成長市場といえども需給が悪化して市況が大きく崩れる可能性がある。住友化学が投資決定を持ち越しているのも、そうしたライバル増産による市況悪化リスクを危惧しているからだ。

 ただし、今のままでは供給能力拡大に走る上位勢との差が開き、シェア2割の目標実現どころか、市場における住友化学の存在感が薄れてしまう。しかも、メチオニンは装置産業だけに、生産規模の差はコスト競争力の差にも直結する。

 新プラント立ち上げには4年以上かかるため、目標に掲げる「2020年のシェア2割実現」のためには、早急に投資を決断する必要がある。成長市場のメチオニンで世界大手の一角に残るために投資へと踏み切るか、それとも回収リスクを恐れて大型投資はひとまず棚上げするか。住友化学にとって、難しい判断となりそうだ。

1654荷主研究者:2016/05/04(水) 12:59:04

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00382605?isReadConfirmed=true
2016年4月20日 日刊工業新聞
東ソー、難燃剤生産を12月末で停止 国際条約で規制対象

 東ソーは19日、南陽事業所(山口県周南市)で行っている難燃剤「デカブロモジフェニルエーテル(DBDE)」の生産を12月末に停止すると発表した。建築材料や繊維向けのDBDEが2015年に、残留性有機汚染物質を規制するストックホルム条約上の廃絶対象物質に追加されることが確実となったため。商品名は「フレームカット110R」。販売終了時期は17年3月末の予定。今回、停止する製造設備の生産能力は年1200トン。

 国内でDBDEを製造していたのは同社のみだという。

(2016年4月20日 素材・ヘルスケア・環境)

1658荷主研究者:2016/05/04(水) 13:33:34

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00383083?isReadConfirmed=true
2016年4月25日 日刊工業新聞
DIC、産総研東北拠点に研究室

 DICは産業技術総合研究所の東北センター(仙台市宮城野区)に「DIC・産総研化学ものづくり連携研究室」を開いた。産総研が持つ化学プロセス技術や新機能材料などを活用し、まずは今後3年間で電子材料やパッケージ向け材料、ヘルスケア、低炭素化といった分野の製品開発を加速する。東北センターは「技術の橋渡し」を掲げて企業との連携を充実させており、同研究室はその一環。

(2016年4月25日 素材・ヘルスケア・環境)

1659荷主研究者:2016/05/04(水) 13:33:57

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00383250?isReadConfirmed=true
2016年4月26日 日刊工業新聞
三菱ガス化学、車向け塗料原料の生産倍増-新潟でライン増設

 三菱ガス化学は25日、新潟工場(新潟市北区)において自動車のトップコート塗料などに用いるメタクリル酸グリシジル(GMA)の生産能力を現状比2倍の年6800トンに増強すると発表した。製造ラインを1本増設する。2017年1月に着工して、同9月に完成する予定。投資額は明らかにしていない。

 世界の自動車生産の拡大に伴い、耐酸性雨性や耐擦り傷性に優れるGMAを原料にした塗料の需要が伸びているという。

 GMAは自動車向け塗料だけでなく、エンジニアリングプラスチック改質剤や接着剤などにも使用されている。

(2016年4月26日 素材・ヘルスケア・環境)

1660荷主研究者:2016/05/22(日) 20:19:28

http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20160428/CK2016042802000029.html
2016年4月28日 中日新聞
中外医薬生産が新工場 伊賀、雇用促進で地域経済に貢献へ

中外医薬生産の新工場完成予想図

 伊賀市ゆめが丘の製薬会社「中外医薬生産」(田山雅敏社長)は、敷地内に医薬品製造工場を新たに増設する。高齢化社会に伴う医薬品需要拡大とともに普及が進められている後発医薬品に対応するため。稼働は十二月を予定。地元出身者を中心に稼働後三年で二十人程度の採用を見込む。担当者は「雇用促進により、地域経済の貢献を図りたい」と話す。

 同社によると、新工場の生産は一般用と医療用の医薬品。錠剤は年間六億錠、顆粒(かりゅう)剤は年間六千万包、坐剤は年間二千五百万個、水虫やかゆみ止めなどの外用液は年間六百万本の生産が可能という。三年後に年間二十二億円程度の売り上げを目標にしている。採用は、研究開発部門と生産部門に稼働一年後で十人程度、三年後で合わせて二十人程度を予定している。

 同社は、痔(じ)の薬や滋養強壮剤を中心に全国のドラッグストアへ製品を供給している。大手製薬メーカー先ブランドによる生産(OEM)もしており、新工場では胃腸薬や抗アレルギー薬、風邪薬など多種類の製造受託を目指す。

 新工場は、同社最大規模の鉄骨三階建て延べ床面積約三千五百平方メートル。最新の品質保証水準を満たし、少量でも製造から包装までを一貫ラインで行う。

 総事業費は約十二億円を予定。生産能力は現在と比べ錠剤は五倍、坐剤は二倍、外用液は四倍、顆粒剤は新規となる。三月に現工場の隣に着工した。同社は一九一九年の創業。従業員八十五人。新工場で創業百年を目指し飛躍を図る。

 (沢田一朗)

1663荷主研究者:2016/06/06(月) 23:07:35

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/05/19-24735.html
2016年05月19日 化学工業日報
大明化学工業 18年ぶりに国内工場 上下水・工場排水処理薬剤で

 水処理薬剤大手の大明化学工業(長野県南箕輪村、福島士郎社長)は、18年ぶりに国内工場を新設する。宮城県に上下水や工場排水処理に使う薬剤の工場を設け、2016年6月に本格稼働を始める。人口減や企業の海外進出で薬剤の国内需要が減少傾向にあるなか、需要地での生産に切り替えて東北地区の事業基盤を強化する。他の工場と災害リスクを分散し、水道水をつくるのに欠かせない薬剤の安定供給体制を整える狙いもある。

1664荷主研究者:2016/06/06(月) 23:16:53

http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201605/0009113569.shtml
2016/5/23 21:15神戸新聞NEXT
タテホ化学 北九州に酸化マグネシウムの新工場

 発電所設備などに使われる酸化マグネシウムで世界シェア40%のトップメーカー、タテホ化学工業(兵庫県赤穂市)は23日、北九州市に新工場を建設した、と発表した。中国や新興国の電力消費拡大に伴う発電所の増設で需要の拡大を見込む。赤穂の本社工場との2工場となり、生産能力は1・8倍に増強。総投資額は約35億円で、10月の稼働を目指す。

 新工場は、親会社の産業用ガス大手エア・ウォーター(大阪市)が保有する北九州市響灘臨海工業団地に建設。一部2階建て延べ床面積8300平方メートル。酸化マグネシウムを製造する本社工場では原材料のにがりを製塩会社から調達しているが、新工場は海水から直接、酸化マグネシウムを生産できる設備を新たに導入した。従業員は約20人で、新たに雇用する。

 酸化マグネシウムは変圧器の電磁鋼鈑製鉄芯の被膜材として使われ、電気エネルギーの交換ロスが低減できる。新工場の酸化マグネシウムは、欧米や中国の鋼板メーカーに販売する。タテホ化学の2016年3月期の売上高は約100億円。(西井由比子)

1667荷主研究者:2016/06/19(日) 12:06:18

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160525/bsc1605250500008-n1.htm
2016.5.25 06:24 Fuji Sankei Business i.
化学2社、成長投資強化へかじ 東ソーと三井化学 機能商品へ資源集中

生産能力の増強を予定する三井化学のPPコンパウンド工場=米オハイオ州【拡大】

 東ソーは24日、30年ぶりとなる3カ年の中期経営計画を発表し、成長投資を倍増させる方針を明らかにした。この日は三井化学も経営説明会を行い、最終年度に入った中計について、成長投資を230億円積み増す方針を示した。原油安による原料価格の低下で業績が上向くなか、両社とも積極投資にかじを切り、収益性の高い機能商品に経営資源を集中投入する構えだ。

 東ソーは、中計最終年度となる2018年度の連結営業利益を、850億円と15年度実績に比べて150億円程度増やす。売上高については、円高や原料価格の下落に伴う販売価格の落ち込みもあり、7500億円とほぼ横ばいに設定した。

 期間中に直近3年間の約2倍となる1600億円を投資し、うち300億円をM&A(企業の合併・買収)に振り向ける。自動車の排ガス触媒に使う「ハイシリカゼオライト」や、歯科材料「ジルコニア」の生産能力を増強。「汎用(はんよう)品と機能商品をうまくバランスさせる」(山本寿宜社長)考えだ。このほか、研究開発では「ライフサイエンス」と「電子材料」「環境・エネルギー」の3つを重点分野に掲げた。

 一方、三井化学は現行の中期経営計画で16年度に600億円の営業利益を目指していたが、1年前倒しで達成したため700億円に増額。期間中の成長投資は880億円と当初計画より230億円増やす。今後は変化の早い経営環境を踏まえ、毎年計画を見直す方式に改めた上で18年度に900億円の営業利益を目指す。

 4月1日付で「モビリティ」「ヘルスケア」「フード&パッケージング」の3事業本部を中心とする体制に移行し、それぞれで機能商品に経営資源を集中投入。自動車に使う「PP(ポリプロピレン)コンパウンド」では米国とメキシコ、インドで生産ラインを増やし、17年度に足元より5万トン多い年間105万トンの生産体制を構築する。また、紙おむつなどに使う不織布は4月に名古屋工場(名古屋市南区)の増強を決めたばかりだが、「高機能品は完全に供給不足」(淡輪敏社長)として近く追加増強を判断する。

 このほか、社外取締役の割合を9人中2人から8人中3人に高め、6月の株主総会後にJFEホールディングスの馬田一元社長らが就任することも明らかにした。

1668荷主研究者:2016/06/19(日) 12:08:27

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00386852?isReadConfirmed=true
2016年5月27日 日刊工業新聞
コスモエネ・丸善・荒川化学、紙おむつ原料設備を新設

 コスモエネルギーホールディングスと丸善石油化学(東京都中央区)、荒川化学工業は26日、水素化石油樹脂の製造、販売を共同で事業化する検討に入ったと発表した。紙おむつなどに用いるホットメルト接着剤原料である水素化石油樹脂の需要増大をにらみ、一貫生産設備の新設や共同出資会社の設立について事業化可能性調査(FS)を行う。

 新設を検討するのは、粗C9油から水素化石油樹脂を一貫生産する設備。コスモ石油千葉製油所、丸善石油化学千葉工場内に2019年稼働を予定。生産能力は年約2万トン。

(2016年5月27日 総合4/国際)

1670荷主研究者:2016/06/19(日) 12:20:51

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160530/bsc1605300500003-n1.htm
2016.5.30 06:40 Fuji Sankei Business i.
化学大手各社、「機能商品」の育成強化 原油安に黄信号、再編活発化も

三菱ケミカルHDと旭化成が4月から一体運営するエチレン設備=岡山県倉敷市

 化学大手各社は、他社との差別化が容易で収益性も高い「機能商品」の育成を強化する。原油安の下で主力の石油化学事業の採算が改善。好業績を続けてきたが、先週、米国産標準油種(WTI)が一時1バレル=50ドルを突破したのに加え、国際的な業界再編も活発化し安穏としていられない。不安要素をはねのけようと、各社が先週までにまとめた中期経営計画には、得意とする機能商品推進が重点方針として盛り込まれた。

「低空飛行だったのが変わってきた」

 東ソーが24日に開いた31年ぶりとなる中期計画の発表会。山本寿宣社長は、収益改善が着実に進んでいると強調した。

 同社は2008年のリーマン・ショックや、11年に山口県の南陽事業所で起きた爆発火災事故の影響で業績が低迷したものの、15年度は営業利益が694億円と、10年ぶりに過去最高を更新。新中期計画では、最終年度の18年度に850億円まで増やす目標を掲げた。

 今期は三菱ケミカルホールディングス、住友化学、旭化成、三井化学、宇部興産、東ソーの大手6社のうち、3カ年計画の3年目に入った三井化学を除く全社が新中期計画を始動。うち宇部興産を除く4社が、最終年度に過去最高の営業利益を目指す方針だ。

 各社は、原油安を背景に好業績を謳歌(おうか)している。基礎原料のナフサ(粗成ガソリン)価格が下落し、製品価格との差が開いたためだ。

 人口減などによる国内市場の縮小を見越し、コスト削減や生産集約に取り組んできたことも業績好調に寄与している。

隠れた供給過剰

 ナフサから作る代表的な石化製品で、さまざまな製品の元となるエチレンは、国内需要が1997年の596万トンをピークに減少。直近では500万トンを割り込んでいる。このため、14年に三菱ケミカルHDが鹿島コンビナート(茨城県)の設備1基を停止。昨年は、住友化学が千葉コンビナートの設備をやめて国内生産から撤退した。今年4月にも、三菱ケミカルHDと旭化成が岡山県の水島コンビナートにおけるエチレン設備の運営を統合し、2基から1基に減らしたばかりだ。

 そのかいあって、国内エチレン設備はフル稼働状態を維持。石油化学工業協会(石化協)が26日に発表した4月の稼働率は96.7%と、採算ラインとされる90%を29カ月連続で上回った。石化協の淡輪敏会長代行(三井化学社長)は「需給は17年途中まで緩まないのでは」と話し、高稼働が当面続くと予測する。

 だが、それ以降となると楽観はできない。足元の高稼働は、円安による輸出の増加が支えてきた側面もある。集約が進んだとはいえ、国内設備の能力は合計で約681万トンに達し、輸出を除けば単純計算で200万トン近い能力が余る計算だ。円高が進むなどして輸出がしぼめば、余剰は一気に表面化する。

 業界は、数年前から外資との合弁を含めた中東メーカーの攻勢にさらされてきた。さらに18年には、米国のシェールガスを原料にした安価なエチレンが出回り始める見通しだ。前後して中国内陸部でも安い石炭ベースのエチレン生産が本格化するとみられ、日本メーカーの競争力は一段と低下しかねない。

 原油相場の上昇も、不安要素の一つ。石化協の淡輪会長代行は「急激な価格変動が一番きつい」と不安要素を挙げる。

1671荷主研究者:2016/06/19(日) 12:21:25
>>1670-1671 続き

生き残りへ集中投資

 こうした中で、重要性を増してきたのが機能商品事業だ。

 「シェールガスと汎用品で戦っていては生き残れない。機能商品を育てないと」。東ソーの山本社長は、自らに言い聞かせるように話す。同社が機能商品として思い描くのは、排ガス触媒素材の「ハイシリカゼオライト」や、歯科材料などに使う「ジルコニア」だ。

 新中期計画では、東ソー以外にも旭化成が電池材料のセパレーター、住友化学が飼料原料のメチオニンや有機エレクトロルミネッセンス(EL)向け部材といった具合に、それぞれが需要拡大の見込める得意商品に経営資源を重点投入する。環境・エネルギーや医薬品を含むヘルスケア、電子材料などの分野を中心に動きが活発化しそうだ。

 投資積み増しの動きも目立つ。三菱ケミカルHDは20年度までの5カ年計画で総額1兆円の設備投資を盛り込んだほか、5000億円のM&A(企業の合併・買収)を含む戦略投資枠を設定。その前の5カ年計画に比べて2600億円多く、多くを炭素繊維や高機能フィルムといった収益性の高い商品に充てる方針だ。三井化学は現行中期計画について、24日に3年間合計の成長投資を230億円増やす方針を明らかにしたほか、需要が逼迫(ひっぱく)し、4月に名古屋工場の増強を決めた紙おむつ用不織布について、追加増強を視野に入れる。

 農薬を含む化学業界では、世界的な大再編が始まっている。昨年末に米大手のデュポンとダウ・ケミカルが経営統合を決めたほか、今年2月には中国化工集団が農薬世界最大手のシンジェンタ(スイス)を買収すると発表。最近も拒否されたとはいえ、医薬・化学大手の独バイエルが種子・農薬大手の米モンサントに買収提案を行ったばかりだ。規模や汎用品の競争力で劣る以上、日本メーカーはこうした巨大企業と競合しない事業構造に転換するしかない。

 機能商品の育成を怠れば、好業績が「つかの間の春」に終わるだけでなく、生き残りすらおぼつかなくなるだけに、楽観ムードはない。(井田通人)

                   ◇

■化学各社の連結営業利益
 (2015年度実績/18年度目標)

 三菱ケミカルHD 2800/3400
 住友化学 1644/2000
 旭化成 1652/1800
 三井化学 709/900
 東ソー 694/850
 宇部興産 414/500

 ※単位・億円、三菱ケミカルHDの目標は20年度


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