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化学・薬品産業総合スレッド

1荷主研究者:2003/12/07(日) 23:23
これまで「石油・LNGなど=エネルギー総合スレ=」で扱ってきた化学系のネタを独立させます。

社団法人日本化学工業協会
http://www.nikkakyo.org/

石油化学工業協会
http://www.jpca.or.jp/

化学工業日報
http://www.chemicaldaily.co.jp/

石油化学データベース
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/new.htm

1650荷主研究者:2016/04/24(日) 17:18:38

http://toyokeizai.net/articles/-/113049
2016年04月11日 東洋経済
住友化学の好業績、ニワトリが支えていた!世界で脚光浴びる「メチオニン」とは?

渡辺 清治:東洋経済 記者

 メチオニンは鶏の成育には欠かせない必須アミノ酸の一種。飼料添加物として需要が伸びている。写真はマレーシアにある住友化学のメチオニン研究施設内

 総合化学の大手、住友化学のある事業が「収益性」と「成長性」の両面でにわかに注目を集めている。同社の前2016年3月期の連結業績は営業利益が1550億円と前の期より2割強増え、過去最高を更新した模様。その原動力となったのが、これまであまり話題になることがなかった“メチオニン”事業だ。

 メチオニンは鶏や豚、牛など家畜の成長に不可欠な栄養素。リジンやスレオニンなどと並ぶ必須アミノ酸の一種で、主に鶏用の飼料添加物として使用されている。飼料に少量混ぜて与えることで鶏の生育が早まるほか、鶏肉や卵の品質向上、さらには糞と一緒に排出される有害な窒素が減る環境対策効果もある。

需要旺盛で市況高、原料安も追い風

 中国やアジアなど新興国を中心に鶏肉の消費が拡大し、飼料用メチオニンの需要は急拡大している。これまで鶏用の飼料添加物には、同成分を多く含むイワシなどの魚粉が多く使用されてきたが、漁獲量の減少や中国の食用魚需要などで魚粉の価格が高騰。このため、石油由来のメチオニンに切り替える動きが広がり、市場規模はこの1、2年で年間100万トンの大台を突破した。

 住友化学は1950年代に医薬品用途でメチオニンの製造を開始し、1960年代から飼料用途へと進出した。世界シェアは1割強と4位で、現在の生産能力は年間14万トン。全量を愛媛工場(新居浜市)で生産し、その大半は中国、東南アジアなど海外の飼料メーカーに輸出している。

 「足元の事業・収益環境は非常にいい。でき過ぎと言ってもいいくらい」。健康・農業関連分野を統括する西本麗・専務執行役員はこう話す。好調な需要を背景にメチオニン市況は1キロ=4ドル前後と高値で安定推移しているうえ、昨今の原油相場下落によって、原料コストは大幅に下がっているからだ。

 そうした追い風に乗り、同社のメチオニン事業は前2016年3月期に過去最高の収益を記録。事業売上高は600億円規模と前の期から2ケタ伸び、売上高営業利益率で3割超、金額にして200億円前後の営業利益を稼ぎ出した模様だ。

プロピレンなどを化学合成して生産される石油由来のメチオニン。需要は年率6%以上の伸びが続く

 プロピレンやメタノールなどを化学合成して作るメチオニンは化学メーカーの事業領域だが、今のところは世界を見渡してもプレーヤーの数は限られる。

 世界シェアの4割超を握る独エボニックを筆頭に、米ノーバス、中国藍星集団、そして住友化学と、4社で総需要のほとんどを担う。

 設備投資負担が大きいうえ、製造過程で硫化水素などの危険物を取り扱うほか、排水・廃液の処理に手間が掛かる点などが参入障壁になっている。

 ちなみに、世界2位のノーバスは米国企業だが、株主は三井物産と日本曹達。1991年に2社が共同で米国のバイオ化学大手、モンサント社から事業を買収した経緯があり、三井物産が全株式の65%、日本曹達が35%を保有する。そのノーバス社も業績は絶好調で、前2016年3月期に同社は過去最高となる300億円前後の純利益を稼ぎ、日系2社の連結業績に大きく貢献した。

1651荷主研究者:2016/04/24(日) 17:19:16
>>1650-1651 続き

年率6%超の成長、能力倍増投資を検討

 メチオニンが注目を集めるのは、足元の稼ぎっぷりに加え、今後も市場の成長が続くことが確実視されているからだ。新興国の生活水準が上がって食肉需要は年々増えているが、宗教的な制約が少ない鶏肉は特に消費量の伸び率が高い。国連食糧農業機関の統計によると、鳥肉(七面鳥など鶏以外も含む)の生産量は今後10年間で2割以上増え、現在もっとも生産量の多い豚肉を数年内に抜く見通しだ。

 当然、鶏の飼育頭数が増えれば、その餌に使用されるメチオニンの需要も増えていく。魚粉からの切り換えもさらに進む見込みで、住友化学によると、石油由来のメチオニンの需要は年率6%以上の長期的な成長が予想されるという。

 旺盛な需要を受け、愛媛にある同社のメチオニン工場は超がつく繁忙状態にある。「中国の飼料メーカーを中心に引き合いが非常に強い。文字通りのフル操業を続けているが、それでも生産が追い付かない状況」(西本専務執行役員)だ。このため、緊急対策として既存設備を改良・変更し、今2016年内に生産能力を14万トンから1割以上引き上げる。

 焦点は、その後の供給体制をどうするか。同社はメチオニン事業を今後の戦略強化分野の1つと位置づけ、2020年をメドに世界シェア2割奪取を目標に掲げる。目標実現には、最低でも年産10万トン超の新たな大型プラントを立ち上げ、生産能力を現状の倍近くにまで引き上げることが不可欠。そのために必要な設備投資は400億〜500億円規模に上る見込みで、巨額投資に踏み切るかどうかを社内で議論している最中だ。

 「メチオニンの需要はこれから先も間違いなく増えていく。供給能力の拡大は大きな課題で、最低でも(年産)10万トン級、できればそれ以上の製造設備を新たに作りたい」と西本専務執行役員。ただ、意欲は満々だが、まだ最終決定には至っていない。「投資金額が大きいだけに、さまざまなリスクを考えながら、慎重にタイミングを見極めている」のだという。

ライバルが相次ぎ増産、需給悪化懸念も

 不安材料はライバルの動向だ。最大手の独エボニックは昨年末、シンガポール第2工場(年産能力19万トン、2019年稼働予定)の建設を決定。同社は2014年秋に新工場をシンガポールで立ち上げたばかりだが、早くも次の大型投資に踏み切る。2位の米ノーバスも2020年までに年産能力を10万トン以上拡大する方向で検討している。

 また、新たなライバルも出現した。韓国のCJ第一製糖が化学メーカーの仏アルケマと手を組み、メチオンニン市場に参入。独自の醗酵法による生産工場を昨年稼働させ、今後の事業拡大に強い意欲を見せている。

 成長市場ゆえに、各社がシェア拡大へと競って能力増強に走るのは当然のこと。その結果、業界全体の供給能力が短期間に膨れ上がれば、成長市場といえども需給が悪化して市況が大きく崩れる可能性がある。住友化学が投資決定を持ち越しているのも、そうしたライバル増産による市況悪化リスクを危惧しているからだ。

 ただし、今のままでは供給能力拡大に走る上位勢との差が開き、シェア2割の目標実現どころか、市場における住友化学の存在感が薄れてしまう。しかも、メチオニンは装置産業だけに、生産規模の差はコスト競争力の差にも直結する。

 新プラント立ち上げには4年以上かかるため、目標に掲げる「2020年のシェア2割実現」のためには、早急に投資を決断する必要がある。成長市場のメチオニンで世界大手の一角に残るために投資へと踏み切るか、それとも回収リスクを恐れて大型投資はひとまず棚上げするか。住友化学にとって、難しい判断となりそうだ。


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