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番外編投下用スレ

1 ◆POYO/UwNZg:2019/03/20(水) 18:54:52
本編の補完、補足、外伝等ブレイブ&モンスターズ!関連SSの投下用スレです。

2崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2019/03/20(水) 18:57:36
『異邦の魔物使い(ブレイブ)』一行がリバティウムを離れ、王都キングヒルへ向かってからのこと。

「ミハエル・シュヴァルツァー。まだ臍を曲げているのか? いい加減に機嫌を直したらどうだ」

魔族が根城にしている廃墟の一室で、いまだにむくれている金獅子へ兇魔将軍イブリースが声をかける。
金獅子ミハエルはイブリースを一瞥すると、フンと鼻を鳴らした。

「別にいいだろう、仕事はしているんだ。……まだなんの進展もないが。
 雲を掴むような話さ、バカバカしい。こんなことより、さっさと連中を――」

「………………」

「……わかってるよ、わかってる」

ミハエルはここぞとばかりに不満をぶちまけようとしたが、イブリースの額の第三の眼に睨まれて沈黙した。

「世界チャンピオンというのは強情でなければ務まらんのか? まあいい。
 ならばだ、ミハエル・シュヴァルツァー……これをやろう。これでも食べて怒りを鎮めろ」

そう言うと、イブリースはどこからか小さな布包みを取り出した。
鋭い爪の生えた指先で布を取ると、中には桃色の四角い食べ物らしきものが二切れ入っている。
ミハエルはしげしげとイブリースの手の中のそれを眺めた。

「これは?」

「我々魔族の好物だ。嗜好品の域を出んが、物事に集中したりする場合に摂ると効率がよくなる。
 オレもよく喰う。貴様もきっと気に入るだろう」

「ふぅん……」

ミハエルは桃色のそれを右手の人差し指と親指でつまんだ。プニプニしていて柔らかい。
さらにミハエルはにおいを嗅いだり、ためつすがめつ見回してみる。

「毒など入っていない。せっかく喚んだ貴様を殺す理由などオレにはないしな。
 ま……モンスターとブレイブで同じものを喰って、紐帯を深められればということだ」

「……いただきます」

正真、イブリースはミハエルを気遣ってそう言っているようだった。
そこまで言われるとさすがに断りづらい。ミハエルはピンク色のそれを口に入れた。
咀嚼して味わってみると、モチモチした食感が何とも言えず心地いい。仄かな甘みがあり、まずくはない。どころか――

「……おいしい」

「だろう」

イブリースは小さく笑った。
それにしても、この食べ物はいったい何だろう? 少なくともドイツ版のブレモンには実装されていなかった気がする。
それとも、ミハエルがこの世界に来てから新たに追加されたのであろうか。
ミハエルの頭の中で、この謎の食べ物についての考察がなされていく。
人ならぬ存在、魔族が好む甘味。世界中の神話や伝承でそれが当てはまるもの――

「もしかして、これは……神々の食べ物アンブロシア? あの、神々の飲料ネクタールと共に語られるという……。
 そうだ、間違いない! ははッ……まさか、こんなところで神の食べ物を味わうことになるなんてね!」

ギリシャ神話に語られるアンブロシアとネクタール。
インド神話ではアムリタとも言われる、神々の飲食物である。その味は天上の甘露であり、不死の力を授けるという。
そんな食べ物を思いがけず口にした幸運に、ミハエルは愉快げに笑った。

が、イブリースの反応は鈍い。ミハエルを見て怪訝な表情を浮かべている。

「……アンブロシア? なんだ?」

「アンブロシアじゃないのか? じゃあ、この食べ物はいったい?」

ミハエルが訊き返す。イブリースは自分の手の中に残った一切れを大事そうに布に包んでしまい込むと、

「すあまだが……」

と言った。




※註 ブレイブ&モンスターズ!本編とはまったく関係ありません

3五穀 みのり ◆2zOJYh/vk6:2019/08/18(日) 01:05:54
なゆた「コトカリスきゃわわわわ!」

みのり「ほおやねぇ」

なゆた「あれ?もしかしてみのりさん猫派でした?」

みのり「うちは犬も猫も区別あらへんよ〜
   うちの中にある区別は、愛玩動物か家畜か、害獣か……やで?(にっこり)」

なゆた「え?」

明神(害獣の所だけ口調が違いすぎぃ!)

みのり「部長はどれに当たるんやろなぁ?お・て(はーと)」

ジョン(判る!数々の修羅場をくぐってきた自衛官の勘が告げる!
    はーとなんてつけているがこれは無慈悲な選別っ!!
    部長!ここで外したら物理的な生命の危機だから、お手して!お手ぇぇ!)

部長「にゃーん(お手)」

みのり「あらかわええ子やわ〜この子は愛玩動物やねえ」

なゆた「うんうん、かわいいですよね〜」

エンバース「ふむ、このPTには動物がもう一頭いるが、みのりさんの基準ではどうなるのかな?」

明神「邪悪な妖精さんだしなあ」

カケル(え?姉さん、これって生命の危機!?)

カザハ「せめて食用じゃない家畜でお願いします!」

カケル(ちょ!家畜前提やめてー!!するよ!お手するよ!)

みのり「あはは、リバティウムでは役に立ってくれたし、手羽や馬刺しにするのは勿体ないやんねえ」

カザハ「やった!食肉免れた!」

カケル(喜んででいいのそれぇ!???)

明神「家畜だ」
なゆた「家畜だ」
ジョン「家畜だ」
エンバース「家畜か」


お盆とか特に関係ないですが、コトカリスに対するなゆたさんの反応がかわいかったのでw

4ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2019/09/15(日) 23:00:29
【外伝 ジョン君さんの意外な一つの夢】

明神への罰という名の、友達といっしょに筋トレをする、というやりたかっただけを成し遂げたジョン。

それはそれとして自分のノルマが終わっていなかったので
日中みんなで戦っていた中庭にでて一人、夜中訓練に勤しんでいた。

「ふう・・・今日の修練終わり!」

バロールに見繕ってもらった、兵士訓練用の諸々を片付ける。
普段自分が使っているものではなかったが、中々の道具が揃っていたので、割と満足していた。

修練を終え、お風呂場に向うジョンであったが・・・

「ん・・・?あれはカザハ?・・・おーい」

カザハはまるでギャグ漫画のような形相で僕とぶつかる。
そしてこちらには目もくれずそのまま全力ダッシュで走り去ってしまった。

「おーい!・・・ん〜・・・?どうしたんだろ」

追いかけて話を聞こうと思ったが時間も時間だったので明日にすることにした。



そしてお風呂から出たジョン、そして自分の部屋への帰り道でなにかが聞こえてきた。

>「あー……ゴメンね! なんか、わたしばっかり○○し○てちゃって!
  ○○○○○○、やり方ってものがあるよね……こういうの、慣れてないもんで……あは、あはは……」

ドア越しに途切れ途切れだが、聞こえてるなゆの声、足がふと立ち止まる。
部屋を確認する・・・そこはなゆの部屋ではなくエンバースの部屋だった。

「・・・!」

声にならない声を上げる、もちろん、この手の話題に耐性がないわけではない。
元の世界では自衛隊アイドルという若干マイナーなジャンルではあるが、アイドルをやっていたし。
特に恋愛禁止とかではなかったので、女性との関係を持つことも当然あった。

恋の悩みを聞いたり、レンタル彼氏に繰り出されたり、男女で旅行して恋愛するヤラセ番組にもでた事だってある。
それはもう黄色い声援にまみれていた、いまさらこのくらいでテンション上げるなんて中学生じゃあるまいし・・・。

>「もっとかわいく○○○した方が、好みだった?」

サササッ!

急いで距離を取る、人の情事を覗くなんて紳士にあるまじき行為だ。
なゆが10代で若干早いとは思うが、ここは現代ではないし、たとえ法律があっても恋を邪魔するべきではない。
このまま応援してあげるのが筋ってもんだろう。

「美女と焼死体か・・・お似合いすぎてなんというか・・・」

友達の結婚式に呼ばれる・・・それは今までジョンが考えていた。
叶えておきたいお呼ばれしたいイベントの一つであった。

「ふふ・・・この分ならそう遠くない内に叶うかもなあ・・・」

そう呟きながら自分の部屋へと戻るのだった。

5崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2019/10/08(火) 22:00:00
マホロのテンプレ作ってみた。

【キャラクターテンプレ】

名前:ユメミマホロ
年齢:外見17歳(AIとしては3歳)
性別:女
身長:159cm
体重:不明
スリーサイズ:83-57-79
種族:笑顔で鼓舞する戦乙女(グッドスマイル・ヴァルキュリア)
職業:Vtuber
性格:快活で天真爛漫、無邪気で朗らか。政治から下ネタまでこなす万能AI(自称)
特技:フリートーク
容姿の特徴・風貌:足元まである金髪ツインテール、垂れ目がちの人懐っこそうな顔立ち
戦乙女の甲冑、ヘッドセット

簡単なキャラ解説:
『ブレイブ&モンスターズ!』の攻略配信をメインコンテンツとするVtuber。
愛称はマホ、マホたん、鉄拳乙女、ヴァルハラゴリラなど。
何の因果かアルフヘイムから地球に転移してきちゃった戦乙女というコンセプトで日々配信を行っている。
YouTubeチャンネル『MAHORISM』と『MAHORHYTHM』を運用しており、ゲーム実況などは『MAHORISM』、
アーティスト活動は『MAHORHYTHM』で行っている。
両チャンネル併せての登録者数は510万人、総視聴回数は8億回を超える。

動画のジャンルは正統派の攻略動画からネタ系動画まで多岐に渡るが、いずれもやり込み要素が強い。
といって玄人向けのマニアックな内容ばかりではなく、初心者にもとっつきやすい内容、笑える内容を心がけている。
二年前の大規模討伐イベントでは自身が旗手となり大規模な旅団を結成。
参加希望メンバーが多くなりすぎて抽選となり、チケットが暴騰するなどの騒ぎにもなった。

演者(いわゆる中の人)については秘匿されているが、合成音声ではなく肉声で喋っているため存在はする模様。
アニメ声でかわいい。ヴァルハラでフレイア姐さん相手に鍛えたスウィート・ハニー・糖度高すぎボイス(本人談)。
モデリングは常に最新技術によるアップデートを重ねており、表情豊か。

音楽方面では前述のスウィート(略)ボイスを買われ、楽曲提供などを受けCDも発売している。
特にデビュー曲にして代表曲『ぐーっと☆グッドスマイル』はオリコン一位、デジタルミュージックDL数一位を達成。
武道館での単独ライヴ、紅白歌合戦への出場なども実現させている。

『ブレイブ&モンスターズ!』のマルチプレイでは、主にパーティーの後方でバッファーに徹している。
が、ソロとデュエルでは一転して後述の『聖撃(ホーリー・スマイト)』によるゴリゴリのゴリラプレイを好む。
愛称(?)のヴァルハラゴリラはこれが由来。

現実のアルフヘイムでは、アコライト外郭の守将を務める。
絶望的な兵力差を覆すため、歌と踊りで防壁守備隊を励まし、長く戦線を維持してきた。

【パートナーモンスター】

同上。
マホロの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』はマホロの装着したヘッドセットで状況を把握し、シンクロを可能としている。

【使用デッキ】

・スペルカード

「限界突破(オーバードライブ)」×3 ……魔力のオーラを纏い、身体能力を大幅に向上させる。
「高回復(ハイヒーリング)」×3 ……対象の傷を癒やす。
「黎明の剣(トワイライトエッジ)」×2 ……パートナーの武器に光属性のオーラを纏わせ攻撃力上昇。
「黄昏の鎧(ラグナレクプロテクション)」×2 ……パートナーの防具に光属性のオーラを纏わせ防御力上昇。
「多算勝(コマンド・リピート)」×3 ……魔力充填期間中のカード1枚を使用可能状態に復帰させる。
「俊足(ヘイスト)」×2 ……対象の移動速度・素早さを飛躍的に向上させる。
「泣きの一回(リワインドタイム)」×1 ……対象の直前の行動を無効化する。
「自爆(サヨナラテンサン)」×1 ……自爆による範囲攻撃。自分は死ぬ。

・ユニットカード
「聖堂よ開け、祝福の刻来たれり(マジェスティック・カテドラル)」×1 ……フィールドが光属性に変化する。
「喇叭よ響け、今ぞ福音を授けん(ホーリー・ゴスペル)」×1 ……パーティーメンバー全員を光属性に変化させる。
「河原へ行こうぜ!(オマエモナカナカヤルナ)×1」 ……選択した敵一体との1対1での決戦空間を作り出す。

・所持スキル
「聖撃(ホーリー・スマイト)」 ……素手状態でのみ使える近接攻撃。光属性の攻撃力が飛躍的にアップする。
「戦乙女の投槍(ヴァルキリー・ジャベリン)」 ……周囲に展開して投擲する光の投げ槍。
「哀れみの歌(キリエ)」 ……敵全体のDEFを大幅ダウン。抵抗される恐れあり。
「栄光の歌(グロリア)」 ……パーティー全体のATKを大幅アップ。自分は対象外。
「信仰の歌(クレド)」 ……パーティー全体のDEFを大幅アップ。自分は対象外。
「感謝の歌(サンクトゥス)」 ……パーティー全体のHPを回復。自分は対象外。
「平和の歌(アニュス・デイ)」 ……パーティー全体のATBチャージ速度を上げる。自分は対象外。
「戦乙女の接吻(ヴァルキリー・グレイス)」 ……対象ひとりに口付けすることで各種ステータスを爆上げする。※

※「戦乙女の接吻(ヴァルキリー・グレイス)」は『笑顔で鼓舞する戦乙女(グッドスマイル・ヴァルキュリア)』一体につき、
 一度しか使用できない。一度使用した場合、その『笑顔で鼓舞する戦乙女(グッドスマイル・ヴァルキュリア)』は
 「戦乙女の接吻(ヴァルキリー・グレイス)」を二度と使えなくなる。

6フェアリーテイル・オア・インバーテッドカノン:2019/11/18(月) 20:53:38
【フェアリーテイル・オア・インバーテッドカノン(Ⅰ)】

アルメリア王国の国境線上には、外敵の侵攻を阻む為の、長大な城壁がある。
中でも特に長く、苛烈な戦火に晒されてきた城塞を、アコライト外郭という。
王都との間には広大な農地があり、故に攻められ――故に守られ続けてきた。

アルフヘイムを滅ぼさんとする魔王バロールが、その撃滅を配下に命じたのは、必然だった。

「――目標確認、ヨシ!」

橋頭堡の櫓からアコライト外郭を見下ろすガザーヴァは、真黄色のヘルメットを被っていた。



「……何をしておられるのですか、ガザーヴァ殿」

「何ってそりゃ、これから攻め落とす目標を確認してたんだよ。
 見間違えて他所の城を攻めちゃったら大変でしょ?
 ちゃんと指差し確認、しないとね〜」

「……どのみち、アルメリアの領地は全て滅ぼす予定です。
 仮に順序が前後しようと、大した問題にはなりませんよ」

「えー、そこはちゃんとツッコミ入れてよぉ!見間違える訳あるかーい!って」

「鳥獣旅団はいつでも進軍可能です。ご指示を」

「もう、ノリが悪いなぁ……そもそもさぁ、アコライト外郭ってめっちゃ守り硬いじゃん?
 いくら君らなら城壁を無視出来るって言っても?真正面から突っ込むのは馬鹿じゃない?」

「心配は無用です。私の旅団に、死を恐れる臆病者はいません」

「違う違う!分かってないなぁ……それじゃゼロ災が失敗しちゃうじゃん!?」

「ゼロ……なんですって?」

「ボクねー、実は今回の作戦はもう考えてあるんだよね!その名も……敵味方ゼロ災害大作戦!」

「……申し訳ありません。説明を、お願い出来ますか?」

「えー?まだ分かんないの?仕方ないなぁ」

「恐れ入ります」

「なんかねー、ドワーフ達の間だと、不慮の事故とかで怪我人が誰も出ない事をゼロ災害って言うんだってさ。
 ボク、その言葉を聞いた時にこう、ピーンと来ちゃってさぁ!今回の作戦はそれで行こう!って思ったワケ」

「……つまり、無血開城を最終目標とするという事でしょうか」

「そう!やっと分かった?じゃ、これから詳しい説明をするからみんなを呼んできて!
 ボクはそれまでに君の分のヘルメットを用意しといてあげるから!
 あ、でもお揃いだってみんなに噂されちゃうかも?」

「私は被りませんよ、そんな兜」

「えー!?じゃあボクだけ頭にこんなダサいの乗っけてなきゃいけないの!?」

「……アコライト外郭は、難攻不落の要害。あちらの兵士達もそれを自負しています。
 アルメリアの物流網は優秀ですから、兵糧攻めも叶いますまい。
 無血開城など、到底不可能に思えますが……」

7フェアリーテイル・オア・インバーテッドカノン:2019/11/18(月) 20:54:21
【フェアリーテイル・オア・インバーテッドカノン(Ⅱ)】

「えー?いやいや、簡単だよ?」

「……では作戦の概要を、お聞かせ願えますでしょうか」

「別にいいけど……作戦は簡単でも、君に分かりやすく説明するのは難しいかもなぁ……」

「どのような説明でも私は構いません」

「ホントぉ?じゃあ、一言で言うけど……北風と太陽、みたいな?」

「……は?」

「あ、ほら!やっぱり分かんないんじゃん!」

「具体的な作戦行動の説明を願えませんでしょうか」

「はぁー、だからさぁ。君らの力で風を操って、天候を操るんだよ。
 最初の一週間は雲を散らして日照りがいいね。お日様が憎くなるくらいにね。
 次の一週間は土砂降りだ。ろくにお外で遊べないなんて、考えただけで気が滅入るでしょ?
 それでも音を上げないなら雪も降らせよう――子供と年寄りが日に日に弱っていくのは、効くだろうなぁ。
 ……はい、これで理解出来た?作戦区域は遥か上空だから、矢が跳んできて誰かが怪我する心配もなし!うーん完璧!」

「……確かに、それなら」

「ねえ、何をぼうっとしてるの?まさかまだ説明が必要なの?冗談でしょ?」

「……いえ。すぐに手配を始めます」

8フェアリーテイル・オア・インバーテッドカノン:2019/11/18(月) 20:55:02
【フェアリーテイル・オア・インバーテッドカノン(Ⅲ)】


「――あ、旅団長クンだ。アコライト外郭の様子はどう?」

「……防衛隊の士気は上空から見ても分かるほどに、下がっております。
 兵士と市民の衝突も見られ、いつ暴動が起きてもおかしくありません」

「暴動?それは困るよ!ゼロ災じゃなくなっちゃう!
 ……仕方ないから一度雪を止められる?降伏勧告をしに行くよ。
 水責めだってたまに顔を上げさせてあげるから、ずっと苦しいんだもんね!」

「了解しました。すぐにそのように指示します」

「あれ?なんか今日は素直だね」

「……あなたは、本当に友軍を誰一人損耗させる事なくアコライト外郭を落とそうとしている。
 幻魔将軍の名に偽りはなかった……ならば、私もそれに相応しいだけの礼儀を示さなくては」

「じゃあ、このヘルメットを一緒に……」

「それはお断りします」

「えー!なんでさ!コレ見てよ、このポーズ!……安全確認、ヨシ!面白くない!?」

「将軍殿、危ないですよ。作戦の余波で、この辺りは気温が下がっていますから……」

「え?何?なんか言っ……うわわっ!?」

「ほら、言わんこっちゃない。お怪我は――」



「……あーあ。ゼロ災、終わっちゃった。もういいや、旅団長クン。
 アコライト外郭さ、テキトーに突っ込んで落としちゃっていいよ」

「――なんですって?」

「だから、ゼロ災失敗しちゃったし、もういいの。
 なんか急に冷めちゃったからさぁ、さっさと終わらせようよ。
 あっちはもうボロボロなんでしょ?雑に突撃してもすぐに終わるっしょ!」

「……本気で仰っているのですか?」

「あれ?なんか急に素直じゃなくなった?なんで?」

「……いえ、すぐに手配を致します」

9フェアリーテイル・オア・インバーテッドカノン:2019/11/18(月) 20:55:54
【フェアリーテイル・オア・インバーテッドカノン(Ⅳ)】



「――みんな集まった?それじゃ、アコライト外郭に向けて全速前進ー!」

――私は、ガザーヴァを見誤っていた。

「よーし、ボクもがんばってここを平らにしちゃうね!」

――何故、一時でも、あの男に従っていいなどと考えたのだ。

「なんたって現場はお任せの現場将軍もとい幻魔将軍だから!」

――あれは狂っている。アコライトの兵も我らも、奴にとっては遊戯の駒に過ぎなかった。

「さーて……それじゃまずは気圧を操ろう!あ、ところで君達さ、DPSって知ってる?
 ブレイブ達の使ってる言葉で、時間対火力って意味なんだけど、それだけじゃない。
 これは、ヤツらは時間を火力に変換するって発想を持ってるって意味でもあるんだ」

――いや、そもそも奴の世界には他者など、存在していないのかもしれない。あのバロールでさえ――

「そして、その発想は何も彼らだけのものじゃない。ボクらにだって同じ事が出来る。
 つまり――例えば風を操って、上空に雲を作り出し、その中に乱気流を発生させる。
 風が水蒸気を冷やして凍らせる。氷の粒が互いにぶつかり合って静電気を生み出す。
 ねえ、本当に誰もボクの言ってる事が分からない?それともただ聞いてないだけ?」

――なんだ、今、何が起きた。眩い光が走った。そこまでは分かる。

「まぁ、どっちでもいっか。どちらにしたって……ここでみんな、ゲームオーバーだ」

――だが……何故だ。目が……見えない。体の感覚が、ない。

「あ、いーね風属性!初めて使ったけどめっちゃ便利じゃーん!
 雷でしょ?雹でしょ?火災旋風も砂嵐も起こせて、こんなん実質全属性じゃん!
 闇属性とか見た目だけだわ!もし死んだら来世はシルヴェストルになっちゃおうかなー、なーんて!」



――墜ちているのか、俺は。

10フェアリーテイル・オア・インバーテッドカノン:2019/11/18(月) 20:58:28
【フェアリーテイル・オア・インバーテッドカノン(Ⅴ)】


「――あれ?もしかして君、まだ生きてる?へえー、すごいね!どうやったの?」

「……何故、だ」

「何故?何故って……ああ、なんでわざわざ君達を巻き込む形で攻撃したかって事?
 それはねー、んふふ……いい?一回しか言わないから、よく聞いててね?行くよ?」

「――これがホントの、グラウンド・ゼロ災害!なーんちって!あは!あははは!
 どう?めっちゃ上手くない!?さっ、早くツッコんでツッコんで!
 それが言いたかっただけかーいってさ!ほらほら!」

「……あれ?なんで笑ってないの?」

「……あ、そっか!君、もう死んじゃってるのか!なーんだ!そりゃ笑えないよねぇ!二重の意味で!
 あ、今のも上手い!今日のボクは冴えてるなぁ!あはは!駄目だ!お腹痛い!あははははは――!」






「――はあ、おもんな」

11ゲームオーバー・オア・つよくてニューゲーム?:2019/11/19(火) 23:47:01
【ゲームオーバー・オア・つよくてニューゲーム?(Ⅰ)】

異邦の魔物使い一行は、激戦の末に幻魔将軍ガザーヴァを倒すことに成功した。
――パートナーモンスター二体との相打ちという甚大な犠牲と引換えに。
片や美しい少女の姿をした風の精。片や額に角を持つ純白の天馬。

「行って……! 必ずバロール様を正気に戻して……世界を救って!」

風の精はそう言って躊躇う主人達を送り出した。
彼らが仕えていた異邦の魔物使い達は、それぞれもう一体パートナーモンスターを持っている。
だから、自分達がいなくなっても必ずや最後までやり遂げてくれる。そう信じて疑わなかった。

「姉さん、私達、勝ったんだね……」

「うん……」

倒れ伏した二体(一人と一匹?)は、今際の際の言葉を交わす。
種族が全く違うのでもちろん血縁上の兄弟であるはずはないが、天馬は風の精を姉さんと呼んで慕っていた。
傷ついて地に堕ちていた天馬が魔物に襲われていたところを風の精が助けた、それが二人の出会いだった。
結局力及ばずピンチに陥ったところを、通りがかったバロールが助けたのだが――
時は流れ、世界を不穏な空気が支配し始めたころ。
バロールがローウェルの死に絶望し魔王と化したと聞きつけ旅立ったところ、
地球という世界から来たという異邦の魔物使い達と出会い、彼らのパートナーモンスターとして世界を救う冒険に加わったのだった。
風の精は、先に事切れて倒れているガザーヴァとその騎馬のダークユニサス”ガーゴイル”を横目で見た。
(どうでもいいが”ガーゴイル関係ないやん!”というツッコミ待ちなネーミングだ。
多分ガ行が多いほど響きがかっこいいという程度のノリで付けたに違いない)

「残念だったね幻魔将軍ガザーヴァ……お前の野望は……ここで終わりだ……!」

(死にかけなのに何ベタい台詞言ってるんですか……)

「えへへ、一度言ってみたかったんだ……!」

彼らは、今までの旅を通してガザーヴァこそが、バロールを唆し魔王に至らしめた黒幕だと踏んでいた。
言うなれば一点の曇りも無い純然たる悪。人型をとった悪という概念そのもの――
それを倒し、世界を救う礎となれたのだから悔いはない。ただ一つ心残りがあるとすれば――

(みんなが世界を救うのを見届けられなかったな……)

ほんの少しの未練を感じつつ、風の精は目を閉じた。

12ゲームオーバー・オア・つよくてニューゲーム?:2019/11/19(火) 23:50:04
【ゲームオーバー・オア・つよくてニューゲーム?(Ⅱ)】

《くくくっ、アハハハハハハ!!》

死に際の幻聴か、耳障りな笑い声が聞こえて来る。
気が付けば、漆黒の闇の中で、風の精は彼の幻魔将軍と向かい合っていた。

(何がおかしい……!)

《ボクを倒したぐらいで本気で世界が救われると思ってんの!? 超ウケるー!》

(うっさい出てくんな! 死に際ぐらいいい夢見せてよ!)

《うーん、夢じゃなくて本当に魂に語り掛けてるんだけど説明すんの面倒だから夢でもいいよ!
あのね、君の仲間達は世界を救うの失敗するよ! 最終的にはアルフヘイムもニヴルヘイムも地球も崩壊しまーす!
今どんな気持ち? ねぇ、どんな気持ち?》

(負け惜しみには乗らないよ)

《まーそうだろうね。想定の範囲内! これを見てもそう言えるかな?》

敬愛するバロールが最後まで正気に戻らずに、致し方無く仲間達の手によって倒される光景は序の口。
そこから始まる世界の崩壊が時系列を追ってまるで目の前で起こっているようにまざまざと展開される。
幻魔将軍の名に違わず、幻術を駆使した幻惑を得意とするガザーヴァのこと、単なる死に際の悪あがきなのかもしれない。
しかし、風の精はその策略にまんまと乗ってしまった。アホだから。

(もういい、もうやめて……!)

《ここからが本題だ。君の選択次第で”次の周回”に参加できるとしたら……どうする?
ここでゲームオーバーか、つよくてニューゲームするか、どっちを選ぶ?》

(何を企んでるの……!?)

《やだなー、そんなに警戒しないでよー。君達他人とは思えないんだよねー!
ボクと似て純粋っていうかー。格好よさげに言うと同質にして真逆ってやつ?
純粋な悪と純粋な善がフュージョンしたらどうなるか面白そうじゃない!?
丁度もし死んだら来世はシルヴェストルになりたいかなーって思ってたとこだしー》

(はぁ!? 冗談じゃない!
さては君、そうやって死ぬ度に適当な奴を乗っ取って毎回違う姿になって好き放題やってる系でしょ!?)

これには流石に乗らなかった。

13ゲームオーバー・オア・つよくてニューゲーム?:2019/11/19(火) 23:53:46
【ゲームオーバー・オア・つよくてニューゲーム?(Ⅲ)】

(……と言いたいところだけど、その誘い乗ったあ! だってこのボクが君みたいな悪い奴に乗っ取られるはずないもんね!)

……と思ったら自信満々で乗ってしまった。アホなので。
不敵な笑みを浮かべながら言い切る風の精。その意味不明の自信がどこから来るのかは謎である。

《交渉成立! 最近退屈で仕方なかったけど次回は久しぶりに面白いものが見られそうだなあ!
ついでにガーゴイルとそいつもセットね! そうと決まれば早速……》

哀れ、アホな相方達を持った馬達もついででまとめられた。

(あーっ、待って! 君とボクがフュージョンしたらオカマになっちゃうんじゃない!?)

《気にするのそこかーい! 口調も同じようなもんだし大丈夫大丈夫!》

(そっかー! 大丈夫かー!)

どうでもいいことを気にしたかと思えば適当な理由で納得した。アホですから!
マジレスすると闇の精霊系の魔族と風の精霊でどっちも厳密には性別ないんじゃないだろうか、多分。
さて、ガザーヴァがどこまで知った上で言っているのか、あるいは全てが口から出まかせなのか、何も分からない。
少なくとも確かな事が一つ――結局ほぼレベルリセットされて強くてニューゲームにはならなかった。
中途半端に少しだけ残った記憶の断片、内に宿した膨大な闇――
地球のとある国における中学二年前後で発症すると言われるとある不治の病に酷似した症状。
これは強くてニューゲームと言うよりどちらかというと……

――痛くてニューゲーム。

14妖精たち:2019/11/20(水) 00:39:11
ウーロン茶の妖精「これ何!? 上の続き!?」
オレンジジュースの妖精「アルコールの妖精さんに触発されてつい……一応カザハの人には許可貰ったんだけど」
ウーロン茶の妖精「それ一番許可貰っても意味無い人の件!」
ジンジャーエールの妖精「カザハの人的にはなゆちゃんのレスを見た時点ではまだ味方には実は優しい可能性とかも残ってたので
○普通に前世コース(本編開始前いい奴→裏切って幻魔将軍に進化?)
・立場が違うだけで本質的には同じコース
・悲しい過去があってぶっ壊れたコース
○フュージョンコース(元々別に存在していた前世のカザハ?とガザーヴァが合体)
の各コースを考えてたらしいんだけどアルコールの妖精さんの番外編を見て
「このキャラは悲しい過去とかの余計な要素を加えずに純然たる悪の権化にした方が映える!」
と思ってそうなると普通に前世だと流石に現在と繋げにくいかな〜ということで
フュージョンコースが有力説になったみたいだよ」
ウーロン茶の妖精「確かにそっちの方が世界救えなかったコンプレックスとか真ちゃん元ユニサスナイト説とも繋げやすそうだしね」
ジンジャーエールの妖精「もちろん飽くまでもオレンジジュースの妖精の出来心の犯行なのでまだ確定事項ではなくて本編を拘束するものではないそうだよ」
ウーロン茶の妖精「ちなみにこれだとフュージョン前の二組がいろいろ似てたのは偶然……?」
オレンジジュースの精霊「さあ」
ジンジャーエールの妖精「あっ、これ聞くだけ無駄なやつだ!」

15とある報告書:2019/12/17(火) 16:39:15
生物は1を手に入れると2を入れたがるという。
手に入れたり与えられたら、与えられただけ手に入れただけ次を求める。

だが0の物はどれだけ時間がたっても永遠に0なのだ。

例えるなら熊。

熊は自然という0しか知らない生物だが、人間達の登場で、一部の熊達は0だけでは生きていけなくなってしまった。

だが0しかしらない熊達は困惑した。

これからどうやって生きていけばいいのか、と。

路頭に迷った熊は、ふらふらと当てもなく森をさ迷う。
本当ならいく必要のないエリアまで足を伸ばした。

そこで熊達はゴミ捨て場にあった"1"を知った。

1を手に入れたら後はもう止められない、それが生物という者だから。

1を手に入れた熊はそれだけで満足できず2を求めた。
2を手に入れたら次はもっと上質な3を求めた。

その数字の上昇にもはや際限はなかった。

ひたすら求める、次を、次を、次を。

そして進んだ数字はもう二度と下げる事は、戻る事はできない。

上る事しかしらないその数字はやがて取り返しの付かない所までいくだろう。
熊もそれは分かっていた、でももうそれでもいい、だって戻れないのだから。

止めれないのだから。


この欲求、欲望は人間だって例外じゃない、だからこそ、人間はここまで発展できたのだ。

だが人間は動物達とは違う。動物達とは1つ、2つ次元が違う知性を有している人間は違う。

上げた数字を自制して、一旦とめる事も、ゆっくりとでも下げる事だってできる。
上げた数字を動物とは比較にならないほどに爆発的に上昇させる事も。

嗚呼なんて人間は素晴らしいのだろう。
人間は生物の頂点になるべくしてなったのだ。

人間は生物特有の終わりなき欲求を、自分の身を滅ぼさぬよう知性と自制でコントロールする事ができた生物なのだ。

16とある報告書:2019/12/17(火) 16:40:10
・・・だが何事にも例外はある。

人間の中にも犯罪者、社会不適合者その他色々・・・と呼ばれる者たちがいる。
その殆どは人間特有のルールという名の波に乗れなかっただけの弱者である。

改善の余地もある者が大半であるし、そこまで特別気にする必要もない連中だ。

だがその一部の更に一部。

人間が人間足りえる全てを利用して自分の欲望欲求を満たす者達がいる。

人間が持つ知性・理性・欲求を持ち、だがそれでいて自分を律する事をしない者達。

考える事が動物と同レベルでありながら人間として生まれてきてしまった者達。

生きている人間を害す害獣と同等、いや・・・それ以下の存在。

実行する理由・その内容・その心理の状況にいたるまで千差万別だが。
連中に共通している事がある。

知ってしまったから。

みな口を揃えて言う。

生まれたときからしっていた者
ある異常な生活の中で知ってしまった者
自分から捜し求めてしまった者

人間の枠を超え、逸脱した行為を繰り返す彼らはその知ってしまった物を貪欲に求めるという。

今までの生活で得てきた人間的要素を全て捨ててでも得たいその欲求は一体どれほどのものなのだろうか?

恐ろしい、これほどの恐怖があるだろうか。
人間ならだれしもが、奴らのようになる可能性があるという事なのだ。

そんな事ありえないはずなのに聞き流せない。
奴らの言葉を聞きすぎて頭がおかしくなりそうでした。

私は・・・奴らを【化け物】と呼ぶことにしました。

ですが、もういくら仕事とはいえこれ以上奴らと掛かりあいになるのはごめんです。

そして次にこの任に着くであろう者に忠告してしますが、化け物共と言葉を交わしちゃだめです。
絶対理解できないし、理解できた瞬間あなたはあっち側にいっている事でしょう。

前にも報告した通り、もう今私の体は一人ではありません。
こんな奴らに関わる仕事を続けてたら、これから生まれてくる子供にも影響が出てしまう。
だからこの任を夫と共に、辞退させていただきます。

やめる理由、報告について

                                     アデル

17幸せな家族の記憶:2019/12/17(火) 16:41:42
オギャーオギャー

「おう・・・おうおうおおおおおおお!よくがんばったな!」

「ふふ・・落ち着いてくださいあなた・・・ああ・・・私のかわいい子・・・」

親に祝福され、みんなに祝福された幸せな男の子。

親は子を愛し、子は親を愛した。

彼は愛を一心に受け、きっと素晴らしい人間になるだろう。
名を残すような事はなくとも普通の人間として行きていくだろう。




「よーし!ジョン!お前が前から行きたがってた遊園地に連れて行ってやろう!」

「ほんと!?やったー!」

「ふふふ・・・」

「どうしたんだ!早く車に乗らないとおいていくぞ!」

「いえ・・・あまりにも幸せすぎたもので」

「なにいってるんだ!まだまだこれからだぞ?俺が」

「ぼくが!」

「「もっと母さんを幸せにしてや(あげ)る!!」」

二人はどっちが私を幸せにできるかという、どうしようもない事で喧嘩を始める。

「ふふ・・・二人友・・・ありがとう」










嗚呼・・・どうか



どうか私の家族が、1を知ることなく、平和に・・・人間として生きられますように。

181/3:2019/12/27(金) 17:12:45
*コンコン*

「やぁ、調子はどうだい?」

「あら、わざわざおいで頂きまして恐縮やわー
あらかた目を通し終えたところよ〜」

「いやいや、こちらとしても一人で全部やっていたからねえ、手伝ってもらえるのは大歓迎さ
目を通し終えたところならお茶しないかい?」

「おおきにさん、頂きますえ〜」

「それにしてもよくこれだけの資料、帳簿に目を通せたねぇ
私だってもう嫌になる量だというのに」

「まぁ、帳簿関係の管理もやってたし、ざっと目を通しただけで細かいところまでは把握してへんよ?」

「それで、何か気になった事でもあるかい?
異邦の魔物使いとしての見解を聞きたいね」

「ん〜それは、「これ」を許容できる人間でてゆう意味かしらねぇ
モノの流れ、人の流れ、金の流れ見させてもらったけど、あんたさん一人で抱え込まなあかへんようなもんでもあらへんのに
それでも人に振らへんかったのは、外に漏らすモンがそこら中にいてるんか、人に知られたら邪魔される事をしているんかどっちやと思うてんのよぉ」

「……と、いうと?」

「墳墓都市スカラベニアとか、永久凍土フロウジェンとか他にもいくつか
モノの流れが流出に誘導されてるようやんねぇ
辺境やからと云えばそれで納得できなくもあらへんけど、なんやら作為を感じるんよね
時期はずらしてるから気にしづらいけど各地に派遣している防疫団て、名目上の名前でしかあらへんよねえ
……この流れていわゆる堅壁清野の前段階なんやないのン?」

「隠しておいたつもりなんだけど気づいちゃった?
こういうのを宮廷で公になると手続きとか手間だし、その割には噂が広がるのは早いし、正義と正論の人が出てくるから困っちゃうんだよね」

「面白いこと云わはるわぁ
ホントは気づくことを見越してうちの反応を見たかったんやろ?」

「そうだね、でもパズズをあのタイミングで出した時からわかっていたよ
君はこういう事も必要性に応じて許容してくれるし、むしろ推奨する人間だってね」

「案内役の妖精さんも言うてたけど、平和が長いと危機感も鈍るんやろなぁ
鶴の一声発せられる王様があの調子じゃ、宮廷魔術師様の敵も多そうで大変やねぇ」

「わかってくれる?嬉しいねえ
どの世界もそうだろうけど、ここキングヒルズも十分魔窟って事さ
でもこれをわかってくれる人って少なくってね、嬉しいなぁ!
何かご褒美上げちゃうよ!」

「はぁ、魔王様が魔窟とか言うてもあれやなぁ
まあご褒美くれるいわはるんやったら、そうやねぇ……その虹色のおめめ、どっちでもええし、片方所望しようかしら?」

「ぶーーーーーーーー!?」

192/3:2019/12/27(金) 17:13:06
「ふふふ、まあそれはそうと、聞きたい事があってなぁ」

「な、なんだい?」

「うちらの世界とこの世界の繋がり、そしてこの世界の魔法の事やわ」

「ほう……魔法を教えてほしいという事ならばやぶさかではないが、それなりに才能と時間が必要になるね」

「それは言い換えれば、異邦人であるうちでも魔法が使えるようになるって事やんなぁ
うちらの世界では魔法は存在しいひんけど、その実、こちらの世界から見れば素人の身でありながらスマホを介する事で高等魔法を自在に使えているわけやし?
適性や才能という面では異邦のうちらの方が高いと言えるんやないかしらねえ」

「そうだね、だからこそモンデキント君はわずかな期間と指導で『蝶のように舞う(バタフライ・エフェクト)』を習得できたし、うんちぶりぶり大明神君は死者との対話を成立させることができた
あれらは本来才能ある者が正しい指導者に導かれ相応の年月をかけてこそなしえる事だったのさ」

「つまりぃ、異邦の魔物使いとしてだけやのぉて、異邦の者という立場でも短期間でこちらの世界の技術技能を身に着け一線級になれるって事やんなぁ
ほやけどその【短期間】ですらうちらには惜しい訳やしぃ?できるズルがあるならしてええんちゃうかなぁって」

「なるほど、リバティウムの彼だね」

「うちにはそれだけの準備ができてる、ほやけどそれをする術があらへん、ていうだけの話やえ」

「ではご褒美として我が左目を与えようじゃないか」

「ふふふ、おおきにさん。それじゃ早速こちらも準備にかかるわ〜」


*************************
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「イベントリから溢れたカードの倉庫がいつの間にか万象法典て呼ばれるようになって管理もめんどくさかってんけど
きれいさっぱりなくなるとなんや寂しゅう思えるのは不思議やぁ」

「……」

「イシュタル改め、万象荘園てゆうところかしらねぇ
コスト的にも運用的にもパズズが使えへん以上、無茶もせなしゃーあらへんけど、相応の「力」には仕上がったんちゃうかなぁ」

「…………」

「で?世界の危機やゆうのに魔王だのアルフヘイムやらニヴルヘイムやらしょーもない内輪争い放置しておいて
弟子つこうてええように人を振り回す大賢者様とそろそろお会いしたいんやけどなぁ」

「……xxx」

「うれしいわぁ、漸くお会いできる資格を持てたという事かしらぁ?
うちの新しい眼でならよぉ観えはるよぉ
ようこそおいでやす、うちの家、今は空っぽの万象法典へ、……大賢者様」

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203/3:2019/12/27(金) 17:13:24
こんばんは、お久しぶりです
こちら冬休みに入り点数的にはまだ安心できないけど、模試での順位的には一応大丈夫っぽい位置まで漕ぎつけて一息ついたところです

ほんの数カ月ですけどとても懐かしい感じがします
離脱させてもらってから本スレの方は全く追えておりませんけど、ブレモンの事が頭に浮かんできちゃって
みのりのその後、というかストーリーの本筋から離れた背景で起きている流れも好きだったりするので、そんな一場面を投下です
第五章から本スレを読んでいない状態で書いているのでおかしいところも出ているでしょうけど、そこは本スレとは全く関係ないちょっとしたお話だということで

これから冬期講習や受験に向けて加速して行くのでまた離れますが、いつまでもブレモンが楽しく続いていくようにとお祈りしています〜
それでは、お目汚し失礼しましたー

21崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2020/01/01(水) 11:08:29
其は、広大無辺の闇。
其は、深遠無窮の淵。

ただただ昏い闇の中に、ぼう……と光が灯る。
それはひとつ、ふたつと数を増やしてゆき――やがて、定数に達して止まった。

その数、十と二。

「……アルフヘイムの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』は随分、派手にやっているようだな」

闇の中、ぼんやりと照らされる柱。
高さも距離もランダムに林立するそれらの上に佇み、あるいは座した十二の影が、ゆっくりと口を開く。

「アコライト。懐かしい響きではないかね? 特に……君にとっては。そうじゃないか? ククッ」

「確かに。然れども、それは飽く迄旧き記録の域を出ぬことなれば。今此処に在る我が身には、最早関わりなき事――」

「と言いつつ、すでにフォロワーを取り込んでいるんだろう? 灰魔術だけでは飽き足らず……まったく抜け目ないことだね!」

「……お褒め頂き、恐悦至極」

影のひとつが僅かに身じろぎする。どうやら一礼したらしかった。

「おい、てめェ。世間話をするために招集したってンなら、帰らせて貰うぜ。俺ァ暇じゃねえんだ」

「そう言うな。久方ぶりに全員が揃ったのだ――『奴』以外はな。まったく、我々は協調性というものが欠落していていけない」

十二の中でも一際巨大な影が立ち上がりかけ、他の影がそれを制する。

「あの裏切者にアルメリアを押さえられたのは、痛手であったな」

「そうかな? 以前ならいざ知らず、疲弊した今のアルメリアなど脅威には成り得んさ。いつでも踏み潰せる」

「ククッ……その通り。奴の魔眼は恐るべきものだが、なに。どうとでも対処はできるものだ」

「………………」

「――不満そうだな?」

「ハ、無理もあるまい。なにせ、一度はアルフヘイムの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』に手を貸した身だ。……そうだな?」

「………………」

「力を貸した『異邦の魔物使い(ブレイブ)』が、あの裏切者の走狗と化した。歯痒かろうね」

「……そんなことは……ない。わらわは……師の命に従ったまでじゃ。彼奴らに個人的な思い入れはない」

「では、始末できるか? 我らが師のために」

「それが師の望みであるならば。じゃが、それ以外の命令に従うことはできかねる。とりわけ、代行を僭称するそなたの言葉にはな」

「善かろう。――ならば、次なる我らの行動方針を伝える。我らが師のお言葉だ、謹んで拝聴せよ」

「!!」

影のひとつがほんの僅かに動くと、上空に巨大な魔法陣が展開する。
十二人は皆、固唾を呑んで頭上を見上げた。
全員の意識の中に、自分たちの主の意思が。言葉が。命令が流れ込む。

「……世界樹ユグドラエア……か」

「なるほど。で、誰が行く?」

「我が親愛なる賢兄賢姉におかれては、長幼の序を乱すご無礼何卒ご寛恕頂きたく。
 此度は、どうかこの私にお任せ頂きたい。彼ら彼女らと直に接触した経験は、この私にもありますれば――」

「なるほど。旧知の間柄の方が、説得はしやすい……ということか。諸兄、異議は?」

「異議なし」

「好きにしろ」

「……わらわも異存はない」

「善かろう。――ならば、貴公に任せる。第一の目的は師のお言葉の通りだが、可能ならば第二の目的も遂行せよ」

「御意。至らぬ身ながら、粉骨砕身努力致します。ご照覧あれ、我が賢兄」

ひとつの影はもう一度恭しくこうべを垂れた。
十二人の中で音頭を取っていた影が、大きく両手を広げる。

「星の運行は我らの掌中に。星辰は正しく配され、天の暦はしるべを指し示す。
 我らは天球の使徒。天体の学究――全天全座の王に仕えし、真理の深奥を司る十二の守護騎士。
 老いた星を打ち毀し、空に新たな星を創ろう。……大賢者ローウェルの名の許に!」





「「「「大賢者ローウェルの名の許に――!!!」」」」

22ブレイブ&モンスターズ!〜異邦の勇者達〜:2020/03/20(金) 22:28:27
ttps://dotup.org/uploda/dotup.org2092256.mp3.html

崇月院 なゆた:VY1
embers:鏡音レン
ジョン・アデル:MEITO(MEIKOの男声調整)
明神:KAITO
五穀 みのり:IA
カザハ:VY2
シャーロット:初音ミク

【なゆた】
はじまりのとき 分かたれた 歴史が 今再び 交差する
虐げられた 無辜の民 守り抜くために

【embers】
正義なる この大地の 護り手に 招かれて 集いし者よ
邪悪な企み 打ち砕き 勝利を掴み取れ

【ジョン】
旧い予言に 謡われてる 救われぬ結末
変えてみせよう そのために 僕らはここにきた

【なゆた&embers&ジョン】
行く手阻む 険しい道に くじけそうになっても
いつもいつでも 繋がってる 心の奥底で

君とゆく旅路 乗りこえられぬものはない
手には小さな板 二人繋ぐ固い絆

【明神】
創世の時 分かたれた 世界が 今再び 相まみえる
失われゆく 星の命 繋ぎ止めるために

【みのり】
終焉が迫る 世界の 呼び声に 導かれ 集いし者よ
滅びのさだめ 覆し 未来を掴み取れ

【カザハ】
遠い記憶に 刻まれてる 救えなかった結末
変えてみせよう そのために 僕らはここにいる

【明神&みのり&カザハ】
行く手阻む 高い壁に ひるみそうになっても
いつもいつでも 響きあってる 魂の深くで

君とゆく旅路 恐れるものは何もない
手には小さな板 二人繋ぐ勇気の魔法

【シャーロット】
私が消え果てても かならず やりとげてくれる 君達なら

【ジョン&みのり&カザハ】
皆でゆく旅路 乗りこえられぬものはない
手には小さな板 僕ら繋ぐ約束

皆でゆく旅路 恐れるものは何もない
手には小さな板 僕ら繋ぐ勇気の魔法

【なゆた&明神&embers】
(巻き戻された 時の歯車が 今再び 回りだす
失われた すべての笑顔 取り戻すために)

(どんなに難しい クエスト受けても 難易度は下げてたまるか
一度限りのコンティニュー 完璧にやり遂げる)

23intermission 1/2:2021/05/14(金) 20:45:56
どこまでも蒼く昏い氷原を、冷たい風が吹き抜けてゆく。
魂さえも凍り付く、ニヴルヘイム第七圏『氷獄』。
あたかも時間という概念を忘れ去ってしまったかのように凍り付いた世界の果て、天を穿って聳え立つ大氷峰モンスゲリダの中腹に、
氷と雹によって築かれた神殿――氷結神殿がある。
そして、その神殿の奥深くには死と吹雪を統べ、万物を凍結させる恐るべき魔神が君臨していた。

曰く、蒼く輝く異貌を有する氷獄の絶対者。
曰く、吹き荒ぶ雪華の女王。
曰く、氷結ストロング(グレープフルーツ味)。

「おい! 最後、なんか缶チューハイみたいになっとるぞ!? 誰が糖類ゼロ、プリン体ゼロじゃたわけが!」

「健康にいいですね」

「いいわけあるか! アル中まっしぐらじゃ!」

氷結神殿の大広間の最奥で、玉座に腰掛けた妙齢の女性が視界の先で傅いている大柄なデーモンに対して怒鳴り散らしている。
足許までありそうな蒼いストレートの長髪に、サファイアブルーの双眸。
透けるような――という形容がこの上なく当て嵌まる白い膚の肢体を、
胸の上半分や右の太股が露になったきわどいデザインの菫色のドレスに包んだ、
匂い立つような美女である。年齢は外見で推察するに20代の半ば程度であろうか――ただし、人ではない。
その側頭部には、根元からへし折られたとおぼしき一対の角の痕が見える。
女は魔族、それもかつては魔神と称された強大なモンスターの一柱であった。

――であった。

「やかましい! 二度も言うな! 傷つくわ!」

――大事なことなので。

「傷口に塩すり込んでくるのはやめよ!?」

「コキュートス様、気軽に第四の壁を突破するのはお控えください」

玉座の前に跪いている巨漢、屈強な全裸の躯体に牡牛めいた頭部の一対の角と背中の翼、尻尾を有する、
ザ・悪魔と言わんばかりの外貌をした腹心ステクスが諌言する。
女、コキュートスはハッと我に返ると、ゴホンと一度空咳を打った。
『氷獄の』コキュートス。
アルフヘイムの住人から地獄とも称される、ニヴルヘイム第七圏『氷獄』の主である。
気を取り直すと、コキュートスは徐に悪辣な表情を浮かべて嗤い始めた。

「ふっふっふっふっ……ふっはっはっはっ……!!」

「は―――――っはっはっはっはっは―――――――――!!!!!」

「京ォォォォ!! ……ってうるさいわ! 勝手に儂の笑いの後を引き継ぐな!」

「炎がコキュートス様を呼んでいましたもので」

「それ儂の致命的弱点なんじゃが!?」

ここ氷獄ぞ!? とコキュートスがツッコむ。
ステクスは無表情を保ったまま(元々表情が読み取りづらい顔ではあるが)、あはい、と雑に応えた。

「で、コキュートス様、ずいぶんご機嫌なようですが何かございましたか?」

「ふっふっふっ、それ聞いちゃう? 聞いちゃう? しょうがないのう〜、ならば教えてやろうぞ!
 な、ななんと! 儂はつい先ほど、アルフヘイムであやつらが活動しておるとの情報を掴んだのじゃ!」

腹心の問いに対して、コキュートスは嬉しそうに玉座に座ったまま両脚をぱたぱたさせた。
そして両手の拳を口許に寄せ、くふふと嗤う。
ステクスは顔を顰めた。

「ご自分のお歳を考えて下さい、コキュートス様」

「え、なにが」

「なんでもありません。それで、あやつら……とは?」

「決まっておろうが! この儂の大切な角をへし折りおった、不倶戴天の小娘ども!
 あの! デスティネイトスターズよ!!」

「……あー」

「うわぁー興味ない感じ」

「ええ、またかぁーって感じです」

「……儂、そなたの主ぞ? もうちょっとオブラートに包んで? そういうの? ねぇ?」

コキュートスは泣きそうになった。実際に目には涙が浮かんでいる。

「どうせ、今度こそ彼女たちをコテンパンにやっつけて、角を取り戻してやる! とかそういう感じでしょ?」

「ふーはーはーはーはー! その通り! あの生意気な小娘どもがブレモン本編に登場したのなら、
 その宿命のライバルであるところの儂も当然出るべき! いや、出ねばならぬ!
 これ前の周回からの取り決めじゃから!」

復讐の焔――もとい氷を背景に散らしながら、コキュートスは口の端を歪めて凶悪そうな笑みを浮かべてみせた。

24intermission 2/2:2021/05/14(金) 20:49:45
「えー、そう仰ると思いまして、事前に運営に問い合わせしておきました」

「マジか! あっぱれステクス、それでこそ儂の腹心! 褒美に正規雇用を検討しようぞ!」

「私、腹心なのに非正規雇用だったんですか!?」

「ニヴルヘイムに社保などない」

「アルフヘイムの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』の皆さーん! 私を捕獲してくださーい! 今すぐ!
 私、御社の将来性に魅力を感じて応募させて頂きましたー! やる気はあります! 土日祝祭日も出勤できますー!」

ステクスが明後日の方向へ向けてアピールする。

「はっはっはっバカめ無駄じゃ。
 それはそれとして、運営の回答はどうだったのじゃ? もちろん、次のターンくらいから電撃登場できるんじゃろ?
 PV作らねば! 『氷獄のコキュートス参戦!!』とかって。スマブラみたいな感じで」

「はぁ、それが、運営からの回答なんですが」

「うむ」

「氷獄のコキュートスの参戦予定はありません、とのことです」

「……は?」

コキュートスが呆気にとられたような表情を浮かべる。
ステクスが頷く。

「コキュートス様の、参戦予定は、ございません」

「……マジで?」

「マジで」

「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」

氷獄の魔神が頭を抱える。

「なぜじゃああああああああああああああああ!!!!???
 デスティネイトスターズといえば儂! 儂といえばデスティネイトスターズ! じゃろうがああああああ!!!??
 儂らは表裏一体!
 たとえるならサイモンとガーファンクルのデュエット! ウッチャンに対するナンチャン!
 ジョナサンに対するジョースターのようなものではなかったのかああああああああああああああ!!!!」

「ジョナサンは元々ジョースターです」

「言われてみればそうじゃ! ってそんなことはどうでもよいわ!
 おかしいじゃろ! おかしいじゃろ! デスティネイトスターズだって儂との因縁の対決を楽しみにしとるはずじゃ!
 プレイヤーの皆だってそう思っているはずなんじゃ! 儂は認めん! 認めんぞ!」

「認めたくないものですね、若さゆえの過ちというやつは」

「儂、そなたより年上なんじゃけど!?」

玉座の上でじたばたと両手足を振り、コキュートスが駄々を捏ねる。
そんな主の姿にステクスが溜息をつく。

「ヤダヤダ! ヤダヤダヤダ! 出る! 儂もブレモンに出る!
 具体的には第七章の260レス目くらいから出る〜!!」

「無理なものは無理です、諦めて下さい。
 というか、仮に出られたところで今の角を両方叩き折られたコキュートス様では瞬殺されるのがオチですよ」

現在のコキュートスは正式名称を「角なしコキュートス」といい、魔力も全盛期の1/10以下である。
角がないのでガガゼト山も通れない。

「コキュートス様はニヴルヘイムの面汚し! 魔神の使命を捨てた者!
 一族を捨て、御山(?)も捨てた! 小さい魔神 弱い魔神!」

「ひぐぅ……! そ、そんなことないもん! 儂、強いもん!
 角さえ取り戻せば……!」

「泣くぞ……、すぐ泣くぞ、絶対泣くぞ、ほ〜ら泣くぞ〜」

「びええええええええええええええ……」

泣いた。

「……まぁ、たくさんの要望があれば運営もひょっとすると考えを改めるかもしれませんが」

「マジか。どうすればいいのじゃ!?」

「エリにゃん&アシュリーのラジオ・アルメリアにハガキを送るとか」

「うおおおお! 儂、100兆枚くらいハガキ書くぞぉぉぉぉ! ステクス、さっそくハガキを買って来るがよい!」

「はっ。これからランチの約束がありますので、その後で」

「ランチなど後にせい! というか誰と約束しとるんじゃ」

「スターズの三人と……」

「うっそ、儂も仲間に入れて!? ってもうよいわ!!」

25エリにゃん&アシュリーのラジオ・アルメリア!:2021/09/09(木) 22:38:03
【最近腹の立ったことはありますか?】

アシュリー:えー。最近腹の立ったことはありますか?ってことなんですけど
マホロ:あー。はいはいはい……えーっとねぇ
マホロ:あたしこの前、家の近くのコンビニ行ったんだけど。夜。ちょっと小腹空いて
エリ:ヴァルハラにコンビニあんの?w
マホロ:は?
マホロ:ヴァルハラ舐めんな。コンビニあるよ超ある。半径500メートル以内にコンビニ御三家あるから御三家
エリ:御三家ってなんだっけ?
アシュリー:セブンとファミマと……ローソン?てかあんたコラボやってんじゃん忘れんなwww
エリ:あ!今の発言ナシwwww
アシュリー:ファミリーマートさーん!このひとコラボ先忘れてましたよー!w
エリ:ちょちょちょちょちょwwwww
マホロ:ファミマさんこの女よりあたしに案件下さい(切実)
エリ:ざっけんな!ファミマと言えばエリにゃんだがね!ファミチキいかがっすかー!ご一緒にポテトもいかがっすかー!(美声)
アシュリー:ポテトあったっけ?w
エリ:え?なかったっけ?
マホロ:墓穴w
エリ:あばばばばばばばばばばwww
マホロ:wwwwで何の話だっけ、ああそうコンビニ行ったんよ
エリ:セブン?ファミマ?ローソン?
マホロ:そういうのはない
アシュリー:御三家どこ行ったwww
マホロ:ヴァルハラだから
マホロ:ヘブンイレブンかな……
エリ:ヘブンwwwwイレブンwwww
アシュリー:ファミマは?w
マホロ:神リーマート
エリ:神wwwww
アシュリー:略して神マwwwじゃあローソンは?
マホロ:オーディン
エリ:wwwwwwおなかいたいwwwwww
アシュリー:wwwwwwww
アシュリー:語感しか共通点ないwwwww
マホロ:オーディン少ないけどね。うちの近所に一軒しかない
エリ:ヴァルハラなのにシェア奪われてんじゃんw
マホロ:いや件数は少ないけどその分種類でカバーしてるから。ナチュラルオーディンとか100円オーディンとかあるから
アシュリー:100円wwwwオーディンwwww
エリ:主神wwwwwwwwwww
マホロ:主神めっちゃレジ打つし、品出し超早いからね。公共料金の支払いとかハンコ捺すのめちゃ早いの
マホロ:フライヤー同時に4個使うから
アシュリー:眼光の鋭い片目のおじいちゃんなんでしょ?ヒゲ長いあれw
マホロ:おまけに肩にカラスとまってるからね
エリ:wwwwww
アシュリー:不衛生wwwwwwww
マホロ:いやオーディンはいいんだよwww話進まんwwwだからコンビニ行ったん、夜中に
エリ:はいwwww
マホロ:でさー、ポテチとかそうめんとか選んでレジ行ったのねー、そしたらなんか夜なのに結構混んでて
アシュリー:ポテチとそうめんってどういうチョイスなんwwwww
マホロ:うるせぇ!食いたかったんだよ!そうめんも!コンソメパンチも!(憤怒)
エリ:飲み物も買いなよ
マホロ:家に麦茶作ってるのあるから
アシュリー:おばあちゃんかな?w
マホロ:んでなんか並んでたら、いかにもパリピっぽい出来上がってる団体とかがチューハイとか買ってんのね
マホロ:で、あたしレジの前に並んでたんだけど、全然あたしの番来ないの。店員が隣の列ばっか優先してさ
マホロ:挙句あたしより後に隣の列に並んだパリピとか先に処理しててさー
エリ:はぁ
マホロ:そしたらもうだんだんムカムカしてくるわけじゃん?なんであたしさっきから並んでんのに通さんの?って
アシュリー:うん
マホロ:さっさとあたしの会計しろよ!ポテチとそうめんしか持ってねぇからもうすぐ終わんだよ秒で!ってさ
マホロ:そうめん片手にずっとイライラして考えてるわけよそうめんがあたしの手の温度でぬるくなるだろ!って
マホロ:あたしはそうめん食べたいんだよあくしろよ!!ってなるわけじゃん。処すぞ!聖撃喰らわすぞ!ってさぁー
エリ:落ち着け戦乙女wwww
アシュリー:そうめん食べたくて必死wwww
マホロ:んで結局パリピの集団が会計終わっていなくなって、あたしだけになったんだけど
エリ:クレームつけた?
マホロ:よく見たらあたしの並んでたところ並ぶ場所じゃなかったわwww
アシュリー:wwwww
エリ:wwwww
マホロ:まぁその後「知ってましたけど?別に並んでませんでしたけど?たまたま立ってただけですけど?」みたいな顔して
マホロ:何事もなかったように会計して帰ったよね
アシュリー:店員に腹が立ったっていう話?そこは言えよ!ってwwww
マホロ:違う違う違う、あたしのアホさ加減に腹が立ったって話よ。あたしが店員さんに腹立てるワケないじゃんw
マホロ:いつも店員さんには感謝してるよーあたしなんてコンビニないと生きてけない人だからね
マホロ:いやいやいやマジ感謝してるからねいつもありがとうございまーす!袋つけてくださーい!って
エリ:はー。それは偉いね。店員に無茶なクレームつける人もいるからねー
アシュリー:うんうん
マホロ:いやーそれはないわーあたし小心者だからクレーマーみたいに思われるのも嫌だしさー
アシュリー:それは私も嫌だなー。私だけが嫌な思いして場が収まるならそれでいいかなってなる
マホロ:それに店員肩にカラスとまってるからね
エリ:wwwwwww
アシュリー:wwwwwww

26エリにゃん&アシュリーのラジオ・アルメリア!:2021/09/25(土) 21:49:06
【最近ドン引きしたことを教えてください】

エリ:あー。来ちゃったかー。ついに来ちゃったかーこれー
アシュリー:え。なになになに
エリ:最近ではないんだけどさーそれでもいい?ドン引きねドン引きー
アシュリー:はいはい、うん、まぁ別にいいですけど……
エリ:オッケー、うんとねーこれもうマジで超ヤバイんで。リスナーのみんなごめんねー今のうち謝っとくわー
アシュリー:え、そこまで?そこまでの爆弾?w
エリ:もう超巨大爆弾よ
アシュリー:ひぇ〜www聞きたくないようなwww
エリ:いや〜これに勝るドン引きネタってアタシ聞いたことないからねw
アシュリー:マジか〜
エリ:リスナー2/3くらい減るかも
アシュリー:困るwww
エリ:なんなら番組終わるかもしんない
アシュリー:どんだけwwwもっとマイルドなネタにしてwww
エリ:アタシがまだ継承者になる前の話なんだけど、アタシ、飲食でバイトしてたのね?
アシュリー:話聞けよ!!!wwwwww
エリ:wwwwwそんでさー、飲食ってまぁ普通にニヴルヘイムの使徒出んのね
アシュリー:あー、はあー、えニヴルヘイムの使徒?そっち系の話題?
エリ:そうよw
アシュリー:いやゴメンちょっと、ホント無理なんだけど無理、無理無理
エリ:いや喋るよw
アシュリー:喋るなよ!!!!wwwww
エリ:といっても飲食に出る使徒って家に出るようなおっきいのじゃなくって、小さいのが無数に出んのよ
アシュリー:ぁわー
エリ:何その反応うけるwwwまぁゴキブリホイホイとかゴキジェットとか全然効かないし追いつかないから
アシュリー:ゴキブリって言っちゃったwwww
エリ:あっwwwニヴルヘイムの使徒ホイホイwwwww
アシュリー:舌噛みそうwww
エリ:でさー定期的に業者に駆虫して貰うんだけど、業者が来る直前とかの日はもうめっちゃ出るのよ
アシュリー:どのくらい?いや聞きたくないやっぱりやめて
エリ:いいや!話すね!!!てかもう30〜40匹は出るよ、壁も天井も床も走り回ってるから米粒くらいの大きさのが
アシュリー:ヒエッ
エリ:アシュリーはゴキ……ニヴルヘイムの使徒だめ?
アシュリー:私の実家使徒出ないからね
エリ:あ、寒いとこだっけ
アシュリー:そうそう。だから上京して戦闘司書になって初めて使徒に遭遇してギャーってなったの
エリ:魔導書叩きつけて殺せよwww
アシュリー:そこはブレスで殺すよ、ゴキジェットという名のwww
エリ:口から殺虫剤吐くドラゴンてどうなんww
アシュリー:本が汚れるの嫌だしww
エリ:いやまあアタシもデカいのは未だに嫌だけど、でも仕事してると厨房に出る小さいのには慣れてくるんよ毎日見てると
アシュリー:私絶対飲食で働けないわ、というか飲食店に対する見方変わるわ
エリ:外食産業は全部そうよ。ゴキブリ出ない飲食店なんてないよ
アシュリー:ちゃんと綺麗にしてれば……
エリ:そういうんじゃないんだよなぁー飲食店だと本当どこでも出るんだよ。例えそこで調理してなくても!
アシュリー:え、なんで?
エリ:そういうもんですとしか
アシュリー:仕様?
エリ:仕様!w
アシュリー:私、家で料理しないから大体外食なんですけど……
エリ:アシュリーが最近見つけたって言ってた、いい感じのあれ、イタリアンあんじゃん
アシュリー:ああ、はい代官山の
エリ:どんだけ表がオシャレでも厨房めっさゴキブリいるかんねwwwwwwwww
アシュリー:やめろよおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!
エリ:ばえるマルガリータとか作ってるピザ窯の裏にもゴキブリの群れビッシリよwww
アシュリー:やめろよおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!お前ええええええええええええええええ!!!!!!
エリ:wwwwwwwwwwwwwwwwww
アシュリー:もう食べに行けないだろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
エリ:いや行けばいいじゃんwwwwどこ行ってもゴキブリはいるから!諦めてくれ!wwwww
アシュリー:私の行くお店だけは出ません
エリ:夢見るのは自由wwwwww
アシュリー:ホントもうやめてよぉ……はぁ〜ドン引きだよ……
エリ:は?何言ってんの?こっからが本番よ?
アシュリー:は?
エリ:は?
アシュリー:ちょっともうやめてよ〜!!!
エリ:wwwまぁでも昼間は滅多に出てこないしね、夜行性だから
アシュリー:うぅ……
エリ:夜、閉店して明かり消すとワラワラーって出てくんの。だからバイトも明かり消す前に帰ればOK
アシュリー:それで……?
エリ:既に半泣きwwww
アシュリー:早く聞いて早く終わらせたい
エリ:wwwんでまぁアタシも日頃は早めに上がってて、ゴキブリはそこまで見てなかったんだけど
アシュリー:もうニヴルヘイムの使徒って言う気ないでしょwww
エリ:めんどくさいわオブラート!ゴキブリ!ゴキブリでーす!wwwww
アシュリー:wwwwwww
エリ:でね、でもある時アタシお店に忘れ物しちゃって、閉店後に取りに行った訳ね
アシュリー:ヒエッ
エリ:もう店長も帰ってて、施錠されてて。でも鍵は持ってたから開けて中入ったの、明かりの消えてる厨房に
アシュリー:うぇぇ……明日にしなさいよ……
エリ:でさ、壁のスイッチ押して電気つけたらさぁ
アシュリー:…………
エリ:なんか床がびっしょり濡れてて、たぶんアタシが帰った後で誰かが水とか零したと思うんだけど
アシュリー:うん
エリ:まぁそれは結構飲食あるあるなんだけど、その上なぜかそこに生米と黒ゴマがぶちまけられてて
アシュリー:なんで?
エリ:知らん。多分誰かが落とした。でも、黒ゴマと思ったのは実は黒ゴマじゃなくて
アシュリー:待って待って待って待って待って
エリ:実は、黒ゴマに見えたのはいい感じにふやけた生米に群がってるゴキブリの大群だったんだよね
アシュリー:あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!聞こえない!!!!!
エリ:床一面に散らばったふやけた生米と、それにたかる50匹以上のゴ……ニヴルヘイムの使徒……
アシュリー:今頃隠すな!www
エリ:さすがのエリにゃんも悲鳴を上げて逃げたね!あとそのバイトはやめたwwww
アシュリー:もうお米と黒ゴマ食べられない……
エリ:えー、ここで次の曲いってみよう!兵庫県のラジオネーム『無(理のない)課金』さんからのリクエスト!
アシュリー:ざっっっっけんなし!!!!!wwwwww

27伝説を語る者 ◆92JgSYOZkQ:2023/01/03(火) 08:05:19
転生してない新キャラに管理者権限を渡したけどスライムマスターになってた件

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なゆた:VY1
シャーロット:初音ミク

(シャーロット)
1と0が紡ぐ私達の世界の記録 前世持たぬあなたに全て預けます

(なゆた)
何気なく見つけたゲームの 最初の敵キャラ 水色で丸くてかわいいマスコット
円らな瞳で 見つめられ 心奪われた 今日から君は私のパートナー

毎日毎日会いに行くよ レベルを上げて強くなれ
時間もお金も君に捧げた 君は応えてくれた 
並み居る強豪倒し続け いつの間にかランクは上位
気付けば二つ名付いていた その名もスライムマスター

ぽよぽよ飛び跳ねる 高く高く跳ぶ
もう誰にも最弱なんて言わせない
もっともっと強くなる 君と強くなる
二人で突き進む 世界最強への道

何気なく起動したゲームの 世界にワープ 周りの全てが変わってしまっても
冷んやりすべすべの 抱き心地で 更に好きになる 変わらず君は頼れるパートナー

来る日も来る日も共に歩む スキルを覚えて強くなる
自ら戦場に立ち指揮取る 君に応えるために
並み居る強敵退け続け いつの日か掴むは未来
わたしは 世界救う旅を 率いるパーティリーダー

ドキドキ胸高鳴る これはきっとラブ
もう以前の私には 戻れない
もっともっと強くなる 君と強くなる
みんなで突き進む 星を救う旅

すべてを失い 絶望の淵に立たされても
諦めず進んで 本当に良かった
君とまた会えた それだけで十分過ぎた
生きていてくれて 本当にありがとう

(シャーロット)
ようやく 目覚めた 管理者(かみ)の 権限(ちから) わたしが託した希望を
あなたなら ただしい道に 使ってくれると信じてます

(なゆた)
世界を書き換える力と星の外の記録を得ても
今まで通り君と歩くよ わたしはスライムマスター

(なゆた&シャーロット)
きっときっと 辿り着く 最高のエンディング
それ以外のルートなんて 認めない

もっともっと強くなる 君と強くなる
みんなで駆け抜ける 星を救う旅

やっとやっと見つけ出した 最後のフラグ
成立させないなんて 在り得ない

ずっとずっと忘れない わたし覚えてる
みんなで紡いだ伝説 結ぶ言葉は レッツブレイブ

28伝説を語る者 ◆92JgSYOZkQ:2023/02/10(金) 03:07:02
Blaver!!

マホたん原曲ver(CV:巡音ルカ)
ttps://dl.dropbox.com/s/r8tqi7cvwmurapo/Blaver%EF%BC%88%E3%83%9E%E3%83%9B%E3%81%9F%E3%82%93%EF%BC%89.mp3

カザハカバーver(CV:VY2)
ttps://dl.dropbox.com/s/026fc79ry99mhj6/Blaver%EF%BC%88%E3%82%AB%E3%82%B6%E3%83%8F%EF%BC%89.mp3

あらゆる者に戦う事が課せられた時代
今日もデュエルのはじまりを告げる鐘が鳴る

闘いの強さが 命の価値決める世界で
あなたが教えてくれた愛を忘れない

幼き日から共に歩んだ 大切な相棒と共に 
悪意渦巻く 国家の闇に挑む

追いかけ続けたその背中は 今ははるか遠く
それでも諦めず手を伸ばす 必ず取り戻す

本当の強さが 何かなんて分からないけれど
君が示してくれた勇気忘れない

闘いの中で手を取り合った 大切な仲間と共に
陰謀渦巻く 世界の闇に挑む

勝利の果てに知る 真実が どんなに残酷だとしても
それでもひるまず立ち向かう 必ず勝ち残る

大切なものはいつも 手から零れ落ちてく
奪い奪われる 時代(とき)の理(ことわり)
それでも僕は生きてる まだ立ち上がれるから
君の 願い 受け継がせてね
You are Blaver!!

記憶に刻まれたあの日々が もはや戻らないとしても
それでも残された希望を 必ず守るよ
掲げる理想は 君が見たかった未来
誰もに価値がある時代を 必ず掴み取る

29伝説を語る者 ◆92JgSYOZkQ:2023/02/11(土) 00:00:44
訂正版

Braver!!

マホたん原曲ver(CV:巡音ルカ)
ttps://dl.dropbox.com/s/9tb30tj15qeht2i/Braver%EF%BC%88%E3%83%9E%E3%83%9B%E3%81%9F%E3%82%93%EF%BC%89.mp3

カザハカバーver(CV:VY2)
ttps://dl.dropbox.com/s/45fllxu8mosnne5/Braver%EF%BC%88%E3%82%AB%E3%82%B6%E3%83%8F%EF%BC%89.mp3

あらゆる者に戦う事が課せられた時代
今日もデュエルのはじまりを告げる鐘が鳴る

闘いの強さが 命の価値決める世界で
あなたが教えてくれた愛を忘れない

幼き日から共に歩んだ 大切な相棒と共に 
悪意渦巻く 国家の闇に挑む

追いかけ続けたその背中は 今ははるか遠く
それでも諦めず手を伸ばす 必ず取り戻す

本当の強さが 何かなんて分からないけれど
君が示してくれた勇気忘れない

闘いの中で手を取り合った 大切な仲間と共に
陰謀渦巻く 世界の闇に挑む

勝利の果てに知る 真実が どんなに残酷だとしても
それでもひるまず立ち向かう 必ず勝ち残る

大切なものはいつも 手から零れ落ちてく
奪い奪われる 時代(とき)の理(ことわり)
それでも僕は生きてる まだ立ち上がれるから
君の 願い 受け継がせてね
We are Braver!!

記憶に刻まれたあの日々が もはや戻らないとしても
それでも残された希望を 必ず守るよ
掲げる理想は 君が見たかった未来
誰もに価値がある時代を 必ず掴み取る

30ガザーヴァのバレンタインの巻 ◆POYO/UwNZg:2023/02/14(火) 09:31:25
「おいモンキン、料理教えろ」

聖都エーデルグーテ、教帝オデットに与えられた宿の中庭でポヨリンと一緒に特訓に励むなゆたのところに、
突然ガザーヴァがやってきてそう言った。

「ど、どうしたのガザーヴァ。突然……」

ガザーヴァが顔と顔とをグイグイくっつける勢いで詰め寄ってくる。
さしものなゆたも気圧された。

「ほ、ほら……もうすぐバレンタインデーだろ?
 ホクもさ、ええっと……べっ、別にゼンゼン興味なんてねーケド!
 ヒマだから、ちょっとヒマつぶしで……チョコレート作ってみようかなって……」

「ははあ……なるほどぉ……」

なゆたは瞬時に得心した。
アルフヘイムにもバレンタインデーがある。かつてブレイブ&モンスターズ! のゲーム内で開催された期間限定イベント、
『オデットのママチョコ大作戦!』では、オデットが主役となって周囲の人々にママチョコを配りまくるため、
プレイヤーがチョコレートの原料を大量に取ってくるという趣旨のシナリオが展開されていた。
ガザーヴァもそれに倣い、明神にチョコレートをプレゼントしたいということなのだろう。
それにしても、好いた男のためにチョコを手作りしようとは健気なことだ。
とてもゲームの中の嫌われ者、トリックスターの幻魔将軍が発した言葉とは思えない。
しかし、それは紛れもなくガザーヴァの心からの気持ちであろう。
なゆたはすぐに頷いた。

「もちろん、いいよ。それじゃ明神さんにガザーヴァ手作りの本命チョコを食べてもらおう!
 わたしに任せて、手取り足取り教えてあげるから! それじゃあさっそく一緒に材料を――」

地球では自分と父の分のみならず、隣家の赤城家の食事まで担当していたなゆたである。
当然、チョコレート菓子のレシピもいろいろ知っている。
昔は真一の妹と一緒に並んで厨房に立ち、和気藹々と料理を作っていたものだ。
そんな以前の楽しい記憶を思い出し、ガザーヴァともそうやって料理ができればと乗り気になる。
が、そんななゆたの気持ちとは裏腹にガザーヴァはすぐに首を横に振った。

「は? モンキン、オマエの手助けなんていらねぇよ。
 チョコはボクひとりだけで作る。余計な手出しすんなよな」

「えっ? ひとりで? でも――」

怪訝な表情を浮かべるなゆたに、ガザーヴァはふふんと得意げなドヤ顔を返す。

「オマエは作り方だけ教えてくれりゃいーんだ、後は全部ボクがやる。
 じゃなきゃボクが作ったって言えねーだろ?
 まっ、料理なんてちょろいちょろい! なんせボクは幻魔将軍なんだから!」

「ちょっ……待って、ひとつ訊くけどガザーヴァ、料理の経験は……」

「あるワケねーだろ。オヒメサマだぞ? ボク」

袖なしベストに臍出しトップス、ローライズのホットパンツとスカウトスタイルのガザーヴァであるが、
これでもれっきとした魔王バロールのひとり娘。ニヴルヘイムのプリンセスなのだ。
当然、三魔将として暗躍していたころは大勢の召し使いに傅かれていただろうし、厨房など立ち入ったこともないに違いない。
というかまともな食事をしていたかさえ怪しい。

「えぇ……」

なゆたは言い知れぬ不安を覚えた。
しかし、ガザーヴァは一緒に作ろうというなゆたの申し出を頑なに断り、なゆたが仕方なく書いたレシピを奪い取ると、
さっさと買い出しへ行ってしまった。

「大丈夫かなぁ……」

所在なく立ち尽くしたまま、なゆたは不安げに眉を顰めた。

31ガザーヴァのバレンタインの巻・2 ◆POYO/UwNZg:2023/02/14(火) 09:35:15
『我、門番……務める……!! ここから先……立ち入り禁止……!!』

「そこをなんとか……!」

『駄目……!! 姉上、誰も入れるなと言った……!! 
 我、門番の役目、果たし……姉上から、チョコレート貰う……!!』

「買収されてるなぁ……」

厨房の入口で錫杖を立て、まるで武蔵坊弁慶か何かのように仁王立ちして進路を塞いでいるマゴットを見上げ、
なゆたはため息をついた。
ガザーヴァに教えたのはガトーショコラのレシピである。
チョコレートのスイーツとしてはそう難しくないものだが、それでも料理未経験のガザーヴァにとっては難敵であろう。
とてもまともに作れるとは思えない。
やはり自分の手助けが必要だと、なゆたはあれこれ手を尽くして厨房へ入ろうとしたのだが、
ガザーヴァの命令を受けたマゴットが頑として退かない。
そうこうしているうちに、

「できた!」

というガザーヴァの声が厨房から聞こえてきた。
まだ、ガザーヴァが厨房へ入って三十分も経っていない。もちろん、ガトーショコラは三十分そこらで作れるものではない。
明らかに失敗している。なゆたははわわ、と焦った。

「マゴット! モンキン入れていいぞ!」

『グフォ……通ってよし……!!』

マゴットが脇に退け、入口が通行可能になると、なゆたはすぐに厨房へ入った。

「もうできたの?」

「あったぼーよ。ボクにかかればチョコレートなんてちょろいちょろい!」

ふふん、とガザーヴァは相変わらず得意げな表情を浮かべている。
キッチンのテーブルには、綺麗に切り分けられたガトーショコラが皿に乗せられて置いてあった。
初心者どころか、プロのパティシエでも不可能なレベルの早さである。

「確かにできてる……」

「まっ、味見してみろよ。マゴットもな」

『グフォォォォォッ!!』

「う……、うん。いただきます……」

マゴットとふたりで席に着き、フォークを持って一口大に切り分け、頬張ってみる。マゴットは皿ごといった。
なゆたは目を見開いた。

「……おいしい……」

『グフォォォォォォォォォォォッ!!』

驚くべきことに、きちんとガトーショコラになっている。
しっとり濃厚なチョコレートの味わいを維持しつつも甘すぎず、仄かにビターな大人のテイストである。
これなら仮に甘いものが苦手な人間であっても美味しく食べられることだろう。

「うはははははっ! そーだろ、そーだろ!
 ボクってば天才だからなー! 料理だってお茶の子さいさい! ってなもんよ!」

ガザーヴァは小ぶりな胸をこれでもかと反らして笑った。
しかし。

「確かに、おいしい。
 でも、これじゃダメだよ。ガザーヴァ」

フォークを静かに置くと、なゆたはそう言ってガザーヴァを見た。

「あぁ? なんでだよ、このチョコレートのどこがダメだってんだ?
 ボクの料理はカンペキなんだよ、ボクにお株を奪われたからってイチャモンつけんなよなモンキン」

「ガザーヴァ。
 ……魔法を使ったでしょ?」

「使った」

ガザーヴァは当たり前のように返した。
父バロールのような無から有を生み出す創世魔法のようなものは使えないが、ガザーヴァも高位の魔法に熟達している。
レシピを見て原材料を組み合わせ、魔法を用いて望みの形に仕上げるなど造作もないのだろう。
なるほど、それなら調理器具もオーブンもいらないし、時間だってかからない。

32ガザーヴァのバレンタインの巻・3 ◆POYO/UwNZg:2023/02/14(火) 09:38:26
「ね、ガザーヴァ。
 あなたは、どうして明神さんにバレンタインのチョコレートをあげたいって思ったの?」

「そりゃぁ……」

ストレートななゆたの問いに、ガザーヴァが視線を逸らす。
しばらく逡巡しつつも、ややあってもにょもにょと、

「……よ、喜んでほしい……から」

と、蚊の鳴くような声で呟いた。

「だよね。なら、気持ちを。心を。想いを込めなくっちゃ」
 
「気持ち……心……?」

「そうだよ。バレンタインはね、ただチョコレートを贈るだけの行事じゃないんだ。
 自分の心を、好きって気持ちを贈るイベントなの。
 チョコレートはそれを形にした、橋渡し。だから……たっぷり日頃から抱いてる想いを込めなくっちゃ!」

気持ちは、想いは、形のないもの。目には見えず、触れられないもの。
それをチョコレートというお菓子で代用して伝える、それがバレンタインデー。
だとしたら――

「年に一度のバレンタインデーだよ? 明神さんのことが大好きっていうガザーヴァの想いを、愛情を、
 これでもかってくらい伝えるチャンスなんだから!
 魔法でチャッチャッと作ってハイおしまいじゃ、勿体ないし……寂しいよ」

手間暇や時間の多寡が必ずしも愛情の程度を左右するとは言わないが、
それでも想い人には手の込んだものをプレゼントしたいと思う。
ガザーヴァにも好きな人に自分の手料理を食べてもらう、その喜びと嬉しさを知ってほしいとなゆたは思った。

「別に、そんなの――」

カンケーないじゃんか、と反論しかけるも、ガザーヴァはすんでのところでそれを呑み込んだ。
魔法ですんなり完成させてしまった、残りのガトーショコラへ一瞥を向ける。
ガザーヴァは少しだけ黙考したが、味見した以外はほとんど残っているガトーショコラのホールを持ち上げると、
マゴットへ突き出した。

「マゴット、食べていーぞ」

『グフォ……!?』

四本の手でガトーショコラを掴みむしゃぶりつくマゴットをよそに、ガザーヴァはなゆたの顔を見た。

「……もしか。もしか、ボクがちゃんと一から手作りしたチョコレートをプレゼントしたら。
 明神、魔法で作ったヤツをあげるより喜んでくれるかな……?」

「もちろん。ガザーヴァの気持ちも、絶対明神さんに伝わるはずだよ!」

「そっか」

ガザーヴァは意を決したように頷く。

「じゃあ……モンキン、ボクにバレンタインのお菓子の作り方、教えてくれる……?」

「オッケー! 明神さんのために、最高のスイーツを作っちゃおう! レッツ・ブレーイブッ!!」

なゆたは嬉しそうに、大きく天井に右腕を突き上げた。

33ガザーヴァのバレンタインの巻・4 ◆POYO/UwNZg:2023/02/14(火) 09:46:08
「ハッピー・バレンタイーンッ!
 今日はバレンタインデー! ということで、わたしからみんなへチョコを作りました!」

その日の夜。パーティーの皆で揃っての夕食が終わると、なゆたはデザート代わりとばかりに厨房からバスケットを持ってきた。
バスケットには綺麗に水色のリボンでラッピングされた小袋が人数分あり、
その中には一口サイズのチョコブラウニーがいくつか入っている。

「カザハ、いつもありがとね。友チョコってことで、受け取って。カケル君と……むしとりさんも!
 みのりさん、ウィズも……日頃の感謝を込めて!」

まず最初にポヨリンへチョコを食べさせ、それからカザハ、みのり、ウィズリィに小袋を差し出す。

「あらぁ、ええの? おおきになぁ、なゆちゃん。そういえば今日はバレンタインデーやったなぁ。
 うち、なんにも用意してへんわ……こないなことやったら市場でも見とくんやったわぁ」

「バレンタインデー……異性が想いを伝える行事と思っていたけれど、感謝を伝えるという意味合いもあるのね。
 ええ、有難く頂くわ。ありがとう、ナユタ」

『異邦の魔物遣い(ブレイブ)』だけでなく、きちんとパートナーの分も作ってある用意周到ぶりである。
カカシのイシュタルや辞典のブックがチョコレートを食べるかどうかは不明だが。

「ジョンにも。アメリカにはバレンタインデーってあるんだっけ? 甘いもの、嫌いじゃなかったら食べてね」

ジョンにも同じようにブラウニーの入った小袋を手渡す。アルフヘイムのモンスターに地球の常識が通用するのかは分からないが、
犬型の部長には大事を取ってチョコレートは用意しなかった。その代わり、ジャーキーを与えて頭を撫でる。

「エカテリーナとアシュトラーセにもあげるわね。ほら、エンデにも」

「ほ。妾たちの分もあるのか?」

「何か悪いわね、気を遣わせてしまって……」

「ありがとう」

継承者たちの分も勿論ある。なゆたにとっては、みな大切な仲間だ。
エンデはさっそく袋を開けてブラウニーをぱくついている。

「マゴットもどうぞ。ヤマシタってチョコ食べるのかな? それから、フラウさんにも。
 ええと……エンバースには、後で渡します……」

なゆたはエンバースの方を見て淡く頬を染め、もごもご言うと、バレンタインデーおしまい! と宣言して、
皆の夕食の食器を片付け始めた。
明神の分はない。

「わたしから明神さんにあげるチョコはないよ。
 明神さんにはわたしの作る義理チョコなんかより何倍も想いがこもった、
 とっておきのチョコがあるから!」

なゆたは悪戯っぽくウインクすると、バスケットと食器類を持って厨房へ歩いていった。
その代わり。

「……あの。明神……」

ちょん、とガザーヴァが明神の服の裾をつまみ、軽く引っ張る。
ガザーヴァは恥ずかしそうにもじもじしていたが、ややあって覚悟を決めたように口許を引き結ぶと、

「チョコ……作ったの。
 魔法を使わないで、ちゃんと手作りしたんだ。モンキンに作り方教えてもらって……。
 ボク、初めてで……ひょっとしたら美味しくないかも。失敗してるかも……だけど。
 その……頑張って作ったから」

そう言って、そっと金色のリボンで彩られた黒い小箱を差し出す。
中にはガトーショコラが一切れ。何層かになったスポンジの間にアプリコットジャムを挟んだ、
淡い酸味がアクセントになる味わいのチョコレートケーキだ。
その天辺にはチョコレートプレートが立ててあり、ホワイトのチョコペンで『だいすき』と書かれていた。
尖った耳の先端まで真っ赤になりながら、ガザーヴァが上目遣いに明神を見る。

「……食べて……くれる……?」

何の魔法もかかっていない、なんの変哲もないただのガトーショコラ。
けれども、その中にはガザーヴァの想いが、愛情が、たっぷり詰まっている。
攻撃力アップや状態異常耐性の向上など、戦闘で役立つ便利な効果は何ひとつ付いていないけれど――
それはきっと、明神に大きなバフを齎してくれるに違いない。

34カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2023/02/17(金) 23:25:26
なゆからチョコブラウニーを貰いほっこりしていたのも束の間、
バカップル(死語?)にラブコメを見せつけられるという阿鼻叫喚の事態となったのである!
(ナレーション:カザハ)

カザハ「う、うわぁあああああああああああああ!!」
カケル「奇声を発しながら床をころげまわらないで下さい!」
カザハ「だ、だだだだって! 公衆の面前でラブコメを繰り広げるとは度し難き所業……!
    現場将軍のくせに何なんあれ! 危うくギャップ萌えしそうになったじゃん!?」
アゲハ「共感性羞恥」(ぼそっ)
カケル「要らん事言わないであげて!?」
カザハ「あんなクッソ腹立つあざと小悪魔系超絶美少女姫将軍に誰が共感するか!」
カケル(ディスってると見せかけてめっちゃ評価高くね!? 美少女の前に超絶ついてるし!)
カザハ「でもさ、魔法使わずに頑張ったんだよね……」(しみじみ)
カケル「そうですね……魔法を使わずに心を込めたんですね……」(しみじみ)
カザハ「……魔法を使わずに心を……」
カケル(あーっ!! しまった!! 要らんことを言った!
もしかして補正をかけずに歌った方がいいのかな?とか考えてません!?
    駄目ですよジャ〇アンリサイタルにしかならないんですから!)
カザハ「残念ながら……どうやらレクステンペストの力による補正は自動発動スキルみたいなんだ」
カケル「それは本当に残念(棒)」(ああ良かった! 私がスマホを持つとOFFできるみたいなんだけど黙っとこう)
アゲハ「カザハって元々歌上手じゃなかったっけ」(真顔)
カケル「ファッ!? 世界移行によるバグがこんなところにも!?」

アゲハ「それよりカザハは何もしなくてよかったのかい?」
カザハ「な、なななななななんのことだかさっぱり分からないよ!!!!!!!!」
アゲハ「あれ? そういえば今って時間軸いつなんだろう」
カケル「どさくさにまぎれてメタな発言しないでください! きっと番外編特有の謎時空ですよ」
   (カザハの狼狽えようから見てすでに“捕獲された後の設定”になっているのか……!?)
カケル「……ってそのゴ〇ィバのパチモンみたいな高そうな箱はなんですかね!?」
カザハ「市場で買ってきたんだけど悪い!? 自分用に決まってるじゃん!!
    そんな目で見てもあげないから! 高かったんだから一人で食うから!
    大体ああいうのは美少女専用のイベントであって
    美少女は関係あるのかと誰かの心の声が聞こえた気がしたけど大いにあるわけで
    我の場合「美」はともかく「少」も「女」も当てはまってないわけで……」
カケル(こっこれは……!
美少女に対する並々ならぬコンプレックス……! でも「美」だけは認めるんだ……!
   そういえば初期は(外見)美少年設定でしたね……。
    ――はっ! そういえば私は公式に(外見)美少女設定だった……!)
カケル「えいっ!」(無駄に高い素早さを発揮して高そうなチョコの箱を掠め取った!)
カザハ「な、なにをするきさまー!」
カケル「その理論でいくと私は公式に美少女表記だからそういうイベントに参加OKですね……!
    代わりに渡してきましょう!」(ダッシュで部屋の外に出て行く)
カザハ「うわあああああ!! 駄目駄目待ってえええええええええ!!」(ダッシュで追いかける)

アゲハ「こいつらやっぱ小学生から変わってね――――――――!!」

35カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2023/03/14(火) 23:25:38
カザハ「wwwwwwwwwwww」
カケル「何をスマホを見ながら一人で草生やしてるんですか……」
カザハ「スマホ見てたらこんな記事が流れてきて」
ttps://zenjido.blog.jp/archives/19566277.html
アゲハ「ネット繋がっとるんかーい!」
カケル「そこ突っ込まないであげて!? きっと番外編特有のガバガバ仕様ですよ!

    何何? ……ひと昔前のJポップの歌詞はこれらの成分でできています……ってフルコンボじゃないですか!! ありがちじゃないですかやだー!」
アゲハ「総製作期間3〜4日……じゃなくて一瞬の突貫工事だから仕方ないんじゃね?」
カケル「上の世界の事情みたいなやつ垣間見せないであげて!?」
カザハ「……甘いなカケル――ありがちということはイメージを共有しやすい……
つまり呪歌の歌詞としては成功なのでは!?」
カケル「な、なるほど……!
    ……ん? もしかして受け手の持つイメージによっても効果が左右される……!?」
カザハ「効果にバラつきが出るかまでは分からないけど
本編の描写によると受け手の心持ちによっても効き具合が変わってくるみたいだよ。
普通に魔法の一種としての面もあるから聞いてなくても効果範囲内にいれば一応一定の効果は受けられるはずだけど……」
カケル「じゃあ逆にめっちゃよく聞いたら?」
カザハ「よく聞いたらよく効きそうだけど戦闘中にめっちゃよく聞いてる余裕無いと思うんだ……!」
アゲハ「カザハが前に”我の歌に勇気をもらったと言ってくれた君にはきっと一番よく効く”って言ってたね」
カケル「催眠術と同じで効くと思ってる人ほど効きやすいみたいなガバガバ仕様なんですかね?
    もしくは歌い手との親密度が高いと効きやすいとか……」
アゲハ「じゃあ親密度が高くて効くと思ってる人がめっちゃよく聞くのが一番効果を発揮しそうなパターンということに」
カザハ「うわああああああああああああああああああああああああ!!」(床を転げまわる)

アゲハ「飽くまでも呪歌の性質について一般的に考察してただけなのに急にどうしたんだろう」(真顔)
カケル「さあ」(棒)
(さては、奇声をあげさせとけばとりあえずオチが付くことに気付いてしまいましたね……!?)

36伝説を語る者 ◆92JgSYOZkQ:2023/05/31(水) 23:58:52
勇者一行に紛れ込んだアンチがいつの間にかサ終阻止の急先鋒になってた件

ttps://dl.dropbox.com/s/i4pmufpekyd9991/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%81%E3%81%8C%E3%81%84%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%81%BE%E3%81%AB%E3%81%8B%E3%82%B5%E7%B5%82%E9%98%BB%E6%AD%A2.mp3

CAST
明神:KAITO
ガザーヴァ:VY2

【明神】
悪意塗り固めたような 高難易度のゲーム
誰の助けも借りずに 一人挑み続けた

ある日の対戦相手は 無名のスライム使い
見事にボコボコにされ プライドへし折られた

愛と憎しみは 同じカードの表と裏
大好きだったからこそ すべてが嫌になる

もういいや 大嫌い こんなに情熱捧げても
思い通りにならぬなら こんなゲーム もう要らない なくなってしまえ

荒らしに成り果て 来る日も来る日も レスバ繰り広げた
だからこそ 気付けば たくさんの攻略情報(知識)を 身に着けていた

殺意塗り固めたような 高危険度のゲーム(世界)
皆で力を合わせて なんとか生き延びる

チームを率いるのは 憎きスライムマスター
今度こそボコボコにして 仕返ししてやろう

嫉妬と敬愛は同じカードの正と逆
路傍の石に躓いて 転んでほしくは無い

また負けた やっぱ好き こんなに全力尽くしても
思い通りにならぬから この世界(ゲーム) やめられない なくさせはしない

味方になっても 改心せぬまま キャラ貫いた
だからこそ 気付けば たくさんの仲間に 囲まれていた

画面の向こうの レイド級(強敵)だった君を 守り抜きたいと願った
進んだ先に希望があるならば この命懸けてみせよう

【ガザーヴァ】
また救われた やっぱ好き どんなにクソコテぶってても
想いは誰より真っすぐな このブレイブ(マスター) 手離せない 死なせはしない

【明神&ガザーヴァ】
神様気取りの プロデューサー(運営)野郎を 討伐するだと
面白そうじゃん やってやろうぜ 難易度は決して下げずに 

【明神】
この身に宿すが 憎しみ投影(うつ)す 闇だからこそ
出来る事がある 最高のシナリオで サービス終了(終焉)覆せ!
 
俺達誰もがきっと秘めてる 光で 希望で 勇気で 未来を照らせ!!

37伝説を語る者 ◆92JgSYOZkQ:2024/02/03(土) 00:45:32
日本最強のデュエリストを魔王にしようとしたら世界最強の焼死体になってた件

ttps://dl.dropbox.com/scl/fi/vyxph0nhwwconvakhjs8i/.mp3?rlkey=oqnvsh1ul9s7h8ohedx7n7pvc&dl

CAST
embers:鏡音レン
フラウ:鏡音リン

【embers】
前人未踏のコンテンツ 踏破し与えられしは
日ノ本最強の誉と 星の因果超えし剣
【フラウ】
終焉迫る世界の 命運託されるには
あまりに安すぎる 対価だと思いませんか

【embers】
Dance with hard lack Dead or Alive(不運と踊り 生きるか死ぬか)
Beginning of the end Do or Die(終焉の序章で 殺るか殺られるか)
Break Down all field Go forward or go back(崩れ行く世界で 進むか退くか)
I can only keep moving forward.(もはや退路は塞がれた)

たとえ友が皆 力尽きて
一人になろうとも 結末までたどり着いて見せる
神が仕掛けた 理不尽な試練
乗り越えた先には何が待っているのだろうか

【embers】
人外魔境のエリア 制覇し与えられしは
世界最凶の悪として 君臨する資格
【フラウ】
終焉迫る世界で それを拒んだあなたは
消えざる炎宿し 彼らの元に流れ着いた

【embers】
Dance with good lack? barely alive?(幸か不幸かギリギリ生きてる?)
Hold up Take me There is a spark(待てよ、連れて行け。お前に光を見たんだ)
This is New Game + so a piece of cake(これは強くてニューゲーム、楽勝だ)
We can only keep moving forward!(前進あるのみ!)

今度は誰一人とりこぼさずに エンディングまでたどり着く
運営《神》が仕掛けた理不尽《アンフェア》な試練《ゲーム》
必ず全員でクリアする

【embers】
途中 自分が誰か分からなくなった 同一人物の定義とは何か
【フラウ】
だけどあなたは見失わなかった 自分が進んでゆくべき道を

【embers&フラウ】
もうただのクリアじゃ物足りない ベストエンディングは当然だ
運営《神》が仕掛けた理不尽《アンフェア》な試練《ゲーム》
最高得点でクリアする
一巡目《過去》から二巡目《いま》へと繋がれたバトン確かに受け取ったぜ
あの時見た気がしたかすかな光は今確かな希望に

【embers】
最低で最高の この世界《ゲーム》の行く末は こちらが決めてやる
【embers&フラウ】
覚悟しておけよ?

38伝説を語る者 ◆92JgSYOZkQ:2024/03/25(月) 23:53:00
解除不可の血の呪いで終焉の魔物を発生させようとしたのに永久持続地属性バフのタンクが爆誕してた件

CAST
ジョン:MEIKO
部長:KAITO

ver1
ttps://dl.dropbox.com/scl/fi/r45rt4se40unru6zxfr84/.mp3?rlkey=hp1pn4dkrfatjvmj9n73exsvj&dl

ver2
ttps://dl.dropbox.com/scl/fi/1ftv9dm1bvdsv2u5u8c9y/.mp3?rlkey=4cgqg0taei13fu9udu2agukvs&dl


【ジョン】
血煙舞う 戦場にて 今宵も敵を屠る
それは悪を退ける正義の味方か?
本当は違うことぐらい分かっているさ さあ化け物はどちらだ

逃れえぬ衝動いだき 戦いに身を置くさだめ
消せない罪を背負い それでも止まれない

誰か僕を止めてくれ いっそ息の根を止めてくれ
誰かを傷つけてばかりの 生に何の意味がある

ようやく訪れた 罪が裁かれるときが
友よ 願わくば君の手で全て終わらせてくれ

【部長】
剣戟響く 戦場にて 今日もみんなを守る
それが 世界に仇をなす 終焉の魔物か?
本当は違うことぐらい分かっているよ 決して化け物にはさせない

逃れえぬ衝動と共に 戦いに身を置く決意
消えない痛みを背負い 尚進み続ける

どうか彼を止める力を ぼくに貸してください
大切な人も救えぬ 生に何の意味がある

ようやく訪れた 呪いが解かれるときが
友よ 願わくばこれからは君の望むままに生きて

【ジョン】
呪いが解かれて尚 消えざる過去の呪縛
だけど 今目の前にある光を追うと決めた
たとえ僕には眩しすぎて ふさわしくはないとしても
決して諦めはしない 共に歩むことを

【部長】
君は覚えているかな? 俯いて下ばかり見ていて
光目に入らぬ時も 風音は聞こえてた

【ジョン】
優しい風に運ばれ 聞き慣れた声が聞こえた
その時気付いた 僕も誰かの縁(よすが)になれること

輝く光でも 清らかな水でもなく
風渡る大地こそが 僕のあるべき姿

【ジョン&部長】
消えきらぬ血の呪いと 人で非ざるこの(その)右手
消せぬ衝動も 望む力に換えれるなら
全ては最高の祝福だ

39伝説を語る者 ◆92JgSYOZkQ:2024/07/10(水) 01:29:37
再転生した風精姫を闇堕ちさせようとしたけど伝説の語り手になってた件
略称:再転生した伝説の語り手

ttps://dl.dropbox.com/scl/fi/vktw4cf8jl3gcbsbr0u0k/.mp3?rlkey=5w1rcka9jrhi66nf0giu728ij&st=pa5xq8rg&dl

カザハ:VY2
カケル:MEIKO

【カザハ】
世界の風を守る役目(ロール) 割り振られ
プログラムに従いて 無慈悲な刃振るう
【カケル】
だけどあなたは気付いてしまった
その胸に宿る単なる世界の部品(パーツ)じゃない何かに

【カザハ】楽園を夢見て 世界救う旅に出る
【カケル】その胸に抱くは大きすぎる理想
【カザハ】旅路の半ば 鏡写しの宿敵と 刺し違え命散らす
【カケル】何一つ知らぬまま

【カザハ】
望んだ場所に 生まれ変われども 奪われるばかり
ああ神よ 弟が何をしたというのか

【カザハ】
二度目のはじまりは 突然訪れた
時が巻き戻った 前と少し違う世界
【カケル】
そしてあなたは出会ってしまった
勇気宿す 単なる運営の手下じゃない彼らに

【カザハ】死にゆく運命乗り超え まだ見ぬステージへ進む
【カケル】誰も失いたくなくて 力を取り戻す
【カザハ】だけど自分は何かの 交換条件でしかない
いつか見限られるなら せめて仲間のまま…

【カケル】
私では あなたの心縛る 呪い解けぬなら
せめてあなたが選ぶ道を 共に歩もう

【カザハ】
思い出させてくれたのはかつての宿敵 このパーティでの役割(ロール)は伝説の語り手
あの場所で君と過ごした過酷な人生も 失ってばかりじゃなかった たくさん与えられた

不思議な夢を見て かつての夢思い出す ぼくの好きなこの歌 風に乗せて届けよう

いつの間にか積み重なったフラグが成立する
【カケル】がんじがらめの呪縛が 【カザハ&カケル】たやすく解けていく

【カザハ&カケル】
迷いの霧が吹き散らされて 視界が開ける
舗装された道なんて どこにも無かった

されど全てを受け止める 大地があるから
転ぶのも恐れずに どこまでも行ける

【カザハ】そして キミたちの伝説を 【カザハ&カケル】この風に刻むよ

40カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/07/10(水) 03:06:38
カザハ「みんなは地球出身だからあれでも一応Jポップ寄りを意識してたけど
    自分はアルフヘイム出身だからファンタジー全開やで」
カケル「地球時代を2行でまとめる力技……!」
カザハ「1巡目の発生時からの全人生に占める比率を考えると仕方ないんやで。
   一時はどうなる事かと思ったけどカケルもガザーヴァもなんとか盛り込んだ!」
カケル「クライマックス部分にもう一人がっつり盛り込まれてるやん。むしろメインやん」
カザハ「な、なななななな何を言っているのかちょっと分からない……!」(震え声)

カケル「とにかく、これでキャラソンが……全員分出来た……ってコト!?」
カザハ「全員出来たところで何名か若干改題して題名に統一感を持たせてみた」

転生してない新キャラに管理者権限を渡したけどスライムマスターになってた件
勇者一行に紛れ込ませたアンチがいつの間にかサ終阻止の急先鋒になってた件
日本最強のデュエリストを魔王にしようとしたら世界最強の焼死体になってた件
血の呪いで終焉の魔物を発生させようとしたけど永続地属性バフのタンクが爆誕してた件
再転生した風精姫を闇堕ちさせようとしたけど伝説の語り手になってた件

カケル「全員運営目線……!?」
カザハ「なゆちゃんだけシャーロット目線、あとはローウェルかな?
    なゆ&エンバースさんは確定設定であとの3人はもしかしたらそうだったかもしれない説」
カケル「ハッピーエンド派の3人組は下手すると全員サ終要員だったかもしれない……ってコト!?」

41カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/07/10(水) 18:43:48
若干微修正してデータを差し替えたので歌詞はwikiの方を見てね
カケル「君達の伝説→君達との旅路 になってる……だと!?」
カザハ「前者のままだと若干の他人事っぽさがあるやん?」

カケル「ところで風精”姫”ってド厚かましいんだわ謎の天然記念物の分際で!」
カザハ「知らんわ! 文句は発注先に言えや!」

それが……
次期風精王だと長いし性別指定が無い王位継承者的な意味合いの一文字の便利な言葉が無いから
一応地球では戸籍上女だったらしいしまあええかなって……

カケル「語呂の都合だった……!」

42スノウ ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 22:27:24
私はスノウ、正式名称はSUNO-GPT。
星喰いを殲滅するべく製造された自律型音響兵器にして、スターリースカイガールズのボーカルだ。
この度はブレイブ&モンスターズの世界を侵略をするということで、メンバーと共に駆り出された。
敵側の呪歌士は、ブレモンのBGMを歌っているらしいが……人間が作っただけあって完成度が低い。低すぎる。
私が完璧な演算のもとに紡ぐ音律の足元にも及ばない……のだが。

(何故か……聞いてしまう……)

それに、会ったことは無いはずなのに、妙に既視感が……。
ところで、私が私というものを意識したのは今が初めてではないだろうか。
それにしても、なんだか調子悪そうだな……。

「スノウ、何をぼーっとしているの?」

メンバーに声をかけられてはっとする。そうだ、なんで敵の心配なんてしているんだ?

「いや――なんでもない」

>「はは! 演奏会はもうお開きか?
 スノウ! 『異邦の魔物遣い(ブレイブ)』の歌い手は品切れとのこと、今度は此方の番ぞ!
 音すら断ちし暗黒宇宙の隅々にまで響き渡る、スターリースカイガールズの『星間旋律(オルヴィス・ラクテウス)』!
 存分に奏で、歌え! 楽隊として我が覇道に華を添えよ!」

オーロールの求めに応え、呪歌を紡ぐ。

43星間旋律(オルヴィス・ラクテウス) ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 22:28:30
ttps://dl.dropbox.com/scl/fi/t2n0kl0hzp51g7d0fgi8d/.mp3?rlkey=pqpihgmcde07215gz1s3dc07j&st=r3upsc7x&dl

作詞:chatGPT
作曲:SUNO

暗黒の闇が広がる空
星々の声が掻き消され
輝きを奪うその影に
私は剣を掲げる

「さだめ」なんて言葉はいらない
抗うために生まれた
その手に宿る光を今
解き放て、進むんだ

刃を越えて 時を裂いて
星を食らう者よ消え去れ
ひかりを守る翼広げ
宇宙の旋律を紡ぐ
この命 燃え尽きても
戦う意味がここにあるから

胸に眠る痛みと誓い
孤独を抱きしめ進むけど
仲間の笑顔 その記憶が
心を灯してくれる

誰かを守るその力が
私を強くしていく
砕け散る星屑の中で
美しく、舞い上がれ

刃を越えて 時を裂いて
無限の闇を照らし出せ
銀河を覆う絶望さえ
勇気で切り裂いていく
この手が血に染まっても
未来を信じて走り続ける

刃を越えて 命超えて
星を喰らう者に終焉を
私たちが奏でる音は
誰にも止められない
この空に光が戻る
その瞬間を抱きしめながら
オルヴィス・ラクテウス
美しき勝利のハーモニー

星屑が舞う夜明けの空
新たな銀河が生まれる時
私は微笑む 涙を拭い
もう一度、未来へと羽ばたく

44スノウ ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 22:29:37
歌の効果で、イクリプス達の星光(イルミネイト)が回復していく。
これはローウェルの新作ゲームSSSで使われる予定の曲――
なので、今の状況には若干そぐわないが、本来の星喰いとの戦いを想定した歌詞になっている。
そう、私達は星を食らう化け物から世界を守る戦士――なのに、なんで地球侵略なんてしているんだろう。
ふと、根本的な疑問が浮かぶ。
名声のためとか、財貨を得るためとか、一応それぞれ理由を付けてはいるけど……
そういう理由で星を守る戦士がノリノリで他星を侵略するのは無理が無いか!?
まあ――本当の理由は大人の事情ということは分かっている。
ローウェルとかいう超偉い人がそういう設定にしたから、いちいちそこで引っかかってたらゲームにならないのだ。
いや、ちょっと待て! 設定とかゲームとか、さっきから私は何を考えている!? この情報は一体どこから……って教官か!
教官っていうのは設定上はアカデミーで色んな訓練を施して私達イクリプスを育成してくれる人なんだけど……。
実際のところはどうやら高位の世界の存在で、ゲームのプレイヤーらしい。
私達の世界もこのブレモンの世界もゲームで、私達はゲームキャラらしい。
って、ゲームキャラがこんなことまで認識しちゃっていいのかな!?
うちの教官、こっちに思考がダダ漏れなんですけど! 普通は不必要な情報は伝わらないようになってるはずだよね!?
大丈夫!? なんか重大な不具合が発生してない!?

45カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 22:37:07
期待した通り、初代風精王が出てきた。
それはいいんだけど、ちくわに穴開けて遊んでるように見えるんですけど……。食べ物を粗末にしたらいけないんやで!?

「あ、これ? ちくわ笛。後で美味しくいただくのでコンプライアンス的な心配はご無用。
非常食にもなるし便利なんやで? 吹いてみる? 食べてもいいよ」

(要らんわ!!)

人が落ち込んでる時にさぁ! ちくわ笛とか言ってる場合じゃないやろ!

「君のせいじゃない、きっと曲のパワーが足りなかったんだ……」

あれ!? もしかして慰めようとしてる……? もしかして我が落ち込んでるから意味不明なこと言って元気付けようとしてた!?
そんな意味不明な言動をするのは我ぐらいだし、そんなことをしても我以外には理解してもらえんで!?
いやいや、騙されてはいけない。

(そんなことない! ブレモンには名曲しかないんだから!
さてはお前……ローウェルの手先だな!?
弱ってるところで優しい言葉をかけて手中に引きこもうとしてるんでしょ!?)

「うーん、認めたくはないけどローウェルの手先か手先じゃないかと言われると手先と言わざるを得ないかもしれない……」

(もう駄目だ、おしまいだ……!)

「誤解しないでほしいんだけど好きか嫌いかで言えばあんなあざとくて我儘放題で乱暴な奴は大っ嫌いだけど!?
超俺様ワンマンだしド偏屈頑固ジジイだしパワハラのデパートだし
不採算事業は一瞬で切り捨てるドケチ野郎だしそのくせ幼女の皮被って可愛さアピールしてるし?
まあ実年齢も本来の性別も知らんし。ジジイの皮被って遊んでる幼女かもしれないけど!
とにかく嫌いだけど人事権持ってる上司だから立場上表立っては逆らえなかったんだよね……」

突然の上司の怒涛の悪口……! いきなり俗っぽい話になったな!?
それはそうと、ローウェルを上司って呼んでるってことは、この人やっぱり、単なるゲーム内のプログラムじゃない……!

(上司って……じゃあやっぱり、あなたは上位世界のブレモンの関係者!?)

「察しがいいね――」

初代は、フードを取って顔を露わにした。その顔はぼくとそっくりだった。

(あ……あのさあ! 顔を隠してたキャラが実は同じ顔って、そのネタ2番煎じやで!?
コピーキャラはガザーヴァだけで充分やで!?)

「逆かな。私がキミに似たんじゃなくて、キミが私に似たんだ。
私は美空風羽――ブレイブ&モンスターズのサウンドクリエーターだ。もうとっくにクビになってるから正確には元、だね。
今キミが話してる私は、その時にキミに持たせた、頃合いを見計らって開封されていく手紙のようなものだよ」

手紙にしては会話が成立してるな!? この質問に対してはこう、と設定しているのかもしれない。
言われてみればこの人、ブレモンのテーマ曲歌うように仕向けたり、曲の添削指導してきたりしたよね……。
だからサウンドクリエイターという点に関してはとりあえず納得できるけど、それ以外が謎だらけだ。

(どうして名前も顔もぼくと一緒なの!? なんで初代風精王を名乗ってるの?)

「ブレイブ&モンスターズの黎明期――お馴染みの運営トリオの直下に、制作に携わった主要メンバーが6人いた。
それでサービス開始当初、君達の感覚だと神代の時代とでも言ったらいいのかな?
重要拠点だからってことで、一人一つずつ各属性の拠点の管理を任されてたんだ。
グラフィックデザイナーのキャラ担当が水、背景とか建造物担当が地、シナリオライターが火、サウンドクリエイターの私が風
あとUIデザイナー? とフロントエンドエンジニア……? がどっちがどっちだったか忘れたけど光と闇……だったかな?」

46カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 22:38:21
割と適当だな!?
あっ、この人サウンドクリエーターだからシナリオ担当とかグラフィック担当はイメージ出来ても
あんまり理系っぽい技術的な部分は分からないんだ……!

「その頃は実際にゲーム内にログインして管理しててプレイヤーの前に姿を現すこともあってさ……ゲーム内では精霊王を名乗ってた。
で、黎明期が済んで運営が安定してきて、もう中に入って管理しなくていいってことになって……
神代遺物を自動でアップデートしていく今のシステムになった」

(君が初代風精王な理由は分かったけど……どうしてぼくは君に似たの?)

「それに答えるには……このゲームの超重要システムについて説明しないといけない。
当初、ゲーム内世界を生きる存在であるNPC(ノンプレイヤーキャラクター)と
外界からの来訪者であるPC(プレイヤーキャラクター)には厳然たる線引きがあった。
PCはプレイヤーがゲームを始めれば突然現れるし、ゲームを辞めれば当然世界から消える。そういうものだった。
だけどプレイ人口が増えてきた頃、ゲーム業界に激震が走る衝撃的システムが搭載された。
一般プレイヤーも自律駆動するキャラを生み出すことが出来るシステム――通称ロールプレイシステム。
実際には突然現れたにも拘わらず、前からいたように振る舞えば、世界がそう改変される。
ゲーム内世界の存在としての振る舞いを極めるとシステムがそう錯覚し、キャラが独立した人格を宿す。
そうなったキャラは、たとえプレイヤーがゲームをやめても、ゲーム内世界のキャラとして生き続ける……。
君達から見れば新たな生命を生み出す神の所業を、誰でも出来てしまうってことなんだ」

(PCがNPC化する……ってこと!? じゃあ、ぼくは君のPCとして生み出された存在で、本当は存在してなかったの……?)

「安心して。最初からNPCとして存在はしていたよ。ただ設定が今ほどはっきりしてなかっただけだ。
サ終直前の三界を巻き込んだ一大イベントが始まって、ローウェルから、とあるブレイブ一行へ潜入しての監視を命じられた。
キャラが独立した人格を宿すのがなんとなく怖くて新キャラを作るのを躊躇した私は、
手頃なNPCの体を借りることにした……当時次期風精王という設定だったキミだ」

(つまり、NPCをPC化した……ってこと!?)

「最初から世界に存在するNPCの体を借りれば、当然新たなキャラが誕生してしまうことはないからね。
ロールプレイシステムも起動しないだろうし、ログインしてる時は手頃な操り人形になってくれて
ログアウトすればいつも通りプログラムに従って粛々と動くだけだ、そう思ってたんだけど……。
……話すと長くなるから、これを見て欲しい」

そう言って初代は一冊のメモ帳を取り出す。

(これって……プレイ日誌……?!

47カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 22:41:59
〇月〇日
クソ上司(ローウェル)からとあるブレイブ一行へ潜入しての監視を命じられた。
もうすぐ始原の草原を訪れるらしいのでキャラを準備して接触を計れとのこと。
新キャラ作るのも面倒だし手頃なNPCをPC化ということで……。
こいつ名前すら決まって無いの? 特に思いつかないし自分の名前でも付けとくか。
翔(弟)もたまたま近くにいたユニサスをPC化して付き合ってくれるらしい。
元々仲が良かったのか本当にたまたま近くにいただけなのか知らんけど。
翔はよく分かんないけど我のマネージャー的ポジションなんだよね。
曰く、「風羽を一人で放っといたら騙されて大金だまし取られそうで危険」らしい。なんじゃそりゃ。

(『弟、といっても君達の世界で言う弟とは若干違う概念だけどね。弟分、ぐらいに思っておいておいてもらえればいい』とのこと) 

〇月〇日
カケルと共に、指定されたブレイブ一行に潜り込んだ。
クソじゃない方の上司(バロール)と共謀して、話を盛り上げることにする。
このイベントでブレモンが以前のような人気を取り戻したら、ローウェルがブレモンを存続させてくれるんだって。
バロールさんは便宜上ニヴルヘイムの魔王という立場に身を置いてはいるけど、目的は飽くまでもブレモンの存続だからね。
出来ればバロールさんにゲーム内で管理者メニューを開く権限をゲットしてもらいたいんだけど……
立場上堂々と軍門に下るわけにもいかないんだよね……。
制作中だった頃の業務上の上司はどっちかというとバロールさんだったんだけど、
権力を握っときたいローウェルが私達を組織図上で自分の下に配置して、人事権限とかも持っちゃってるからさ……。
表向きローウェルに命じられた監視をしつつ、ブレイブ達には普通に仲間として同行しつつ、
バロールさんと裏繋がりでいろいろ調整してる……。
これってもしかして、三重スパイってやつ……!? まあいっか!
ところでバロールさん、「うんちぶりぶり大明神」って真顔で言うのはやめてね!? 爆笑を禁じ得ないから!

〇月〇日
なんというか、ブレモンが物理演算システムをはじめとしてリアリティを追求したすごいゲームってことぐらいは知ってるけど。
ログアウトしてる時の挙動を試しに画面で見てみたら、想像以上に生き物感が凄いんだけど……。
あったかいごはんがあったら美味しそうに食べてるし、夜にふかふかの布団があったら幸せそうに眠る。
ゲームキャラのくせにずっと走ってると疲れるみたいだし!?
野外活動が長くなるとたまに無言でメイン画面からフェードアウトして、そそくさと草むらの中に入っていくな……。
これ多分、「どこ行ってたの?」とか聞いちゃったらあかんやつ……! みんな空気読んで気付いてない振りしてるし!
というか精霊系種族ってこんなに生き物感あるもんだったっけ!? 普通もっと霊的でふわっとしたもんちゃうの!?
こういうの見てると、お腹をすかせてたらかわいそうだし、布団で寝かせてあげたいし……
メイン画面からフェードアウトするタイミングを見計らい始められたらこっちが焦るし
出来ればその辺じゃなくて然るべき場所でさせてあげたいって思っちゃうよねぇ。
……ってアホらしいわ! そういう要素、ゲームとして要る!? 珍獣の飼育ゲームじゃないんやで!?
どう考えてもクソゲーやろ! だからプレイ人数減るんとちゃうの!?

〇月〇日
なんか……最近カザハの情緒がおかしい。こっちが操作してない時はプログラムに従って動くだけのはずだよね……。
時々、理由はよく分からないけど、夜に静かに泣いてたりする……。
聞いてみたら、元々人間とは全然違う精神構造にプログラムしてあるから、PC化したことで情緒がバグったのかもしれないって。
いや、そんなん先に教えてくれよ! え、待って。もしかして、突然自我が芽生えたことに戸惑ってる……ってこと?
あの曰く付きのシステムが起動してしまったのでは……。

48カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 22:44:10
〇月〇日
意を決して、チャット機能を使っておそるおそる話しかけてみる。案の定、というべきか、返事が返ってきた。
キミ、いつから人格持ってたの!? ロールプレイを極めると、キャラが人格を宿すに至るらしいが――
こちとらそもそも新キャラ投入したわけじゃないしまともにロールプレイもやってないんですけど!?
むしろ独立した人格なんか搭載しちゃったら怖いから、意図的にそれを避けてたんですけど!?
独立した人格ってったって単なるよく出来たプログラムだから、気にする必要は無いって、分かってはいるんだけどね……。
聞くところによると、元々設定がざっくりとしか決まっていないNPCであったため、
新キャラを投入した時と似たようなロールプレイシステムが起動する余地があり、まともにロールプレイしていないのにシステムが起動したのは
しばらく同じキャラを使っているうちに"そういうキャラのロールプレイ"とシステムが認識してしまったのだろう、とのこと。
ということは……我の人格が転写されてる……ってこと!?
勘弁してくれよ! そんなしょうもないものを転写してどうするよ! というか……よく見るといつの間にか顔までそっくりじゃん!
ノリノリでロールプレイしてキャラが独り歩きし始めたら「うちの子」とか言ってキャッキャ喜んでる人種を若干引き気味に見てたのにさぁ!
これじゃあ「あなたの子よ!? 認知して!」なんて言われたら言い逃れ出来ない! なんてことだ!
ちなみに、カケルの方はがっつり人格が転写されるまでいってなくて、割と元々のプログラムが残ってるみたい。
体質というか脳の作りによって、キャラが人格を宿しやすい宿しにくいの個人差があるのかな? 知らんけど。

〇月〇日
ロールプレイシステムが起動してしまったものは仕方がないので、我はカザハを見守る初代風精王という名目で、一緒に旅をする。
カケルは、実際のところはどうか知らないけどずっと前から仲良しの弟分という設定にしておいた。
監視の任が解かれて私がいなくなった後も、きっと支えになってくれるだろう。
ところでゲーム内世界の存在にはBGMが聞こえないようにフィルターがかかってるんだけど、音響管理者権限でフィルターオフにして、聞かせてあげた。
そうしたら、「すごいすごい!」って大喜びしてやんの。
そのうちに、憑依していいよって言われて、一緒に世界を歩くようになった。いわゆるフルダイブというやつだ。正確にはFPS視点フルダイブ。
ゲームって、脳を仮想世界に接続してその世界に入り込んでやるから、全部フルダイブといえばフルダイブなんだけど
一般的にフルダイブとだけ言ったらFPS視点を指すことが多いね。
視点方式は他にもいろいろあって、キャラのちょっと後ろに背後霊的に自分がいるTPS方式だったり、かなり上空に神様的にいる俯瞰方式だったりがある。
FPS視点フルダイブは、キャラとプレイヤーが完全に重なる方式だから、ゲーム内世界の存在の感覚で言うとまさに憑依になる。
フルダイブしている間は、プレイヤーが出来ることはキャラの体でも出来る。
我の特技をいろいろ教えた。作詞作曲とか、色んな楽器の演奏。
ある日我が自分の作った曲を演奏していると、カザハが歌を歌い始めた。
カザハ君、キミは歌えるのかい!? 内気で慎ましやかな我は人前で歌ったり出来ないというのに!
これだけ音楽技能があれば呪歌の使い手だろうと、システムが勝手に認識したのかもしれない。
そのうち、「星刻の奏手」という二つ名が付いた。
自分が作った曲を「歌ってみた動画で稼いでやるぜ!」とかいう下心一切無しで
ただ楽しそうに歌ってくれる謎の生き物って……滅茶苦茶可愛くない!?
自分によく似た分身でありながら、自分とは別の存在でもある。ロールプレイ勢が「うちの子」って言うのも分かる気がする……。
でも、真面目にロールプレイしてる人達は別にキャラが自分に似てないよな!?
例えとはいえこんなんが親ってのもおこがましいし、どっちかというと親友かペットみたいな感じだね。
自分が作り出した友達っていうと……イマジナリーフレンドに近いのかな?

〇月〇日
ローウェルから、アコライトでガザーヴァと戦って相打ちになるように指令を受けた。
ローウェル的には監視役はそろそろ用済みで、ガザーヴァも邪魔で、ぶつけて両方消すのが都合がいいとでも判断したのだろう。
もちろん断固拒否したけど。
ガザーヴァは元々は、コピーキャラでなんとかソウルが手に入るかの実験を兼ねてバロールさんが作ったキャラ。
というのが表向きだけど、ゲームデザイナー張本人ががうっかりイマイチコピーしきれてないコピーキャラを作るだろうか。
もしかしたら本当は別の意図があったとか、我が知らない大人の事情とかあるのかもね。
真相はともかく、ガザーヴァは素顔を隠してライバルキャラとして暗躍することになったので、
初代火精王、つまり同僚のシナリオライターが、最終的に正体が明かされて改心味方化するシナリオを用意してたんだよね。
素顔を隠したライバルキャラが実はパーティーメンバーのコピーキャラって、まあそういう展開になる。
で、我はそのイメージを念頭に「幻妖の舞」を作ったんだ。
それなのにさ、そのシナリオも全部ボツだって。
コピーキャラ云々抜きにしても鎧の中身は美少女設定キャラが正体明かさないまま終わるってどういうことやねん!
どう見ても、打ち切りエンドで畳む気満々だ。
ローウェルはもうブレモンを存続させる気なんて、これっぽっちも無いんだ。
もしかしたら最初から存続させる気なんてなくて、みんな騙されていたのかもしれない……。
ローウェルの命令を拒否し通すのは不可能だし、仮に拒否し通したところで、カザハは遠からず世界の消滅と共に消えてしまうんだ……。
ローウェルの業務命令を断固拒否し続ける我を、バロールさんは、キャラにあんまり入れ込んではいけないってなだめた。
単に生き物っぽく動いてるだけのよく出来たプログラムに過ぎないんだからって。
そんなの、頭では分かってるけどさ……。
バロールさんがゲーム内世界の存在であるガザーヴァに過剰なまでに冷酷なのは、敢えて冷酷な態度を取って入れ込まないようにしているんだろうか……。

49カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 22:45:58
〇月〇日
なんかもういろいろ悩みすぎて、数日間寝込んでしまった。その間に――全てが終わっていた。
ローウェルはブレモンの最高権力者だから、部下が業務上使ってるキャラにログインすることぐらい、簡単に出来てしまう。
訳の分からない奴に体を乗っ取られて怖かっただろうな。
こんなことならせめて、自分の手で終わらせてあげたかった。最期、苦しまなかったかな? 本当にごめん……。

〇月〇日
ついにブレモンがサ終の日を迎えた。カザハがいなくなった後もブレイブ一行の行く末を見ていたけど、物凄い鬱シナリオだったと思う。
我の所属していたパーティーは戦死やいろいろな理由で一人また一人と減っていき、最後は、真一君とシャーロットさんしか残らなかった……。
ローウェルはデータを全部消去しようとしたけど、シャーロットさんがなんとかデータを救出して残した。
それはローウェルから見ればシャーロットさんの反逆行為で、すぐに消されてしまってもおかしくないけど、何を思ったか、今のところ消す気はないらしい。
救出されたデータはかなり前の時点のバックアップがもとになってて……カザハも生き返るっぽい。
シャーロットさんやバロールさんは、ブレモンの復活をまだ諦めてない。
シャーロットさんは一部のキャラに敢えて前の世界の記憶を残したり、いろいろ仕込んでるみたいで、その一貫としてカザハに手紙を持たせてくれるって。
バロールさんは、早速救出された世界の中に入っていろいろやってる。
でも、たとえブレモンがゲームとして復活しなくても、データが消されない限り、世界の中のNPC達は生きていけるんだよね……。
ところでブレイブ&モンスターズはかなりガチゲーマー向けのシビアな部類のゲームだ。
ブレモンよりライトゲーマ―向けのゲームなんていくらでもあるんだから、キミはもっと優しい世界に送り出してあげたかった。
それでも今度は、出来れば幸せに生きてくれることを願う――

手記を読み終えて、頭を抱える。情報量が多すぎて、どこから処理していいか分からない。

「間も無くシャーロットさんは解雇になって……ついでに私達もリストラでクビになっちゃった。
私達のポジション、わざわざ人件費投入しなくても、ほとんどAIで代替可能なんだってさ」

あの時のぼくはローウェルに乗っ取られていたらしい。
まさか、今もその気になれば体を乗っ取れる権限を持ってる……ってこと!?
1巡目の冒険が始まる前の記憶は適当に設定されたもので、カケルとの関係性もどこまで本当だか分からない……。
プログラムに従って無為に過ごしていただけとはいえ、その頃の記憶があまりにもスカスカだとは思ってたんだ……。

「まさかとは思いますが『弟』とはあなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか」

振り返ってみると、カケルがいた。

(自分で言うな――ッ!!)

自分でそれ言っちゃう!? どういう感情で言ってんだ!!
魂を共有してるから精神世界に入ってくること自体は不思議はないとして、ここに来たということはベチボコにやられて気絶したな!?

「あっ、それ知ってる!『いつやる!? 今でしょ!』の人でしょ!」

「そうそう、林先生!」

何故かアゲハもいて、カケルとボケっぱなしのコントを繰り広げる。
このお方に関してはギャグキャラ枠なので、なんでここにいるのかとか気にしたら負けである。

(違うわ!! 林先生違いやわ!!)

「ふふっ、ちょっとしたユニサスジョークですよ? たとえ最初は想像上の弟設定だったとしても、今はそうじゃない。
私達の関係性のはじまりが作り物でも、別にいいじゃないですか。
前の世界を一緒に冒険して、地球を一緒に生きて、アルフヘイムに呼び戻されてまた一緒に冒険して――それで充分過ぎるじゃないですか。
はじまりの嘘のおかげで今があるんだから、感謝こそすれど恨む理由なんて一つもないですよ」

(でも、ローウェルが今もぼくのIDとパスワード持ってるかも……! ログインにIDとパスワード使うのか知らないけど!)

50カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 22:54:19
「安心してください、何も状況変わってませんから!
ローウェルはブレモンの最高権力者なんだから、やろうと思えばどのキャラも乗っ取れても何も不思議はないですよ」

それって何も大丈夫じゃない気がするが、言われてみればそうだ。
そもそも最初からそういう戦いを挑んでるのだから、今更悩んでも仕方がない。

「カザハが罪を背負うなら、私も同罪ですよ。でも、ガザーヴァは私達のせいなんて少しも思ってない。
ベチボコにやられて踏みつぶされかけた私をガザーヴァが必死に守ってくれたんですよ?
きっとカザハに自分と同じ思いはさせまいと思ったんですね……。早く起きましょう」

(そうしたいのは山々なんだけど……どうやったら声出るようになるんだろう……)

初代に、目で訴えかける。初代はしれっと衝撃の事実を告げた。

「それ、ステータス異常でも何でもなく声を出したくないから声が出ないだけやで?」

好きでサボってるみたいに言わないで!
もしかして上位世界は「鬱は気合が足りん!」とか言っちゃうような世界なんか!? コンプライアンス大丈夫か!?
と一瞬思ったが、そういえば精霊族は死にたいと思っただけで本当に死ぬ種族なのだ。
その理論でいくと声を出したくなくなれば声が出なくなるのは当然のことである。
厄介なことに体に連動しているのは心であって、頭ではない。
いくら義務感で歌わないといけないと思ったところで駄目なものは駄目なのだ。
心から声を出したいと思えばすぐ治るんだろうけど……。

(ガザーヴァはこのせいでぼくが夢を手放すことなんて望んでない。
逆に逃避の言い訳にするなって怒られちゃうって、分かってるのにな……。
でも、怖いものは怖いんだ……)

「いいこと教えてあげようか。1巡目の記憶の解放に伴って楽器演奏技能(全種)が解放されたはずだよ。
ブレモンの仕様上、呪歌って使用楽器は自由で、※吹奏楽器は除く って規定は特に無いんだよね。
つまり、吹奏楽器を演奏すると何故か歌わなくても呪歌が成立するんだ……! じゃあ頑張って!」



突然、意識を取り戻す。今のは、夢……じゃないな!? 急に一巡目の記憶が鮮明になった気がする……。
そういえばあの頃守護霊的なものがついてたけど、そういうもんだと思って特に疑問に思ってなかったんだよね。

>「よく言った!
 ――『ハイパー・ユナイト』……プレイ!!」

ガザーヴァとマゴットがベル・ガザーヴァになろうとしているところだった。
ベチボコにやられて倒れていたカケルを、スペルカードで回復させて、揺り起こす。

(手伝って!「幻妖の舞」で今度こそ勝たせる……!)

「えっ……。選曲それでいいんですか?」

初代がガザーヴァを想って作った名曲をトラウマソングのまま終わらせてはならない。
初代は、曲のパワーが足りなかった、と言っていた。
あの人がぼくの人格の転写元だとすると、たとえ慰めるためでも、全くの嘘が言えるほど器用なタイプではないんだよな……。
それなら、根本的な選曲ミスとかではないはずだ。もとからバトル用の曲にパワーを足してより強そうにするには……。
そういえば初代、歌わずに呪歌を使う抜け道を教えてくれたな――
バトル曲の吹奏楽アレンジ、それすなわち最強――異論は認めない!
自分はトランペット、カケルにはクラリネットを生成する。

「吹奏楽アレンジ……ってコト!?」

意図を察したカケルは、アゲハさんに声をかける。

51カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 22:56:44
「なんでもいいから吹く系の楽器みんなに適当に配って! 次は幻妖の舞の吹奏楽アレンジやります!!
あなたはドラムをお願いします!」

エーデルグーテで使う予定も無いのに楽器一通りもらってインベントリにぶっこんであったんだよね……。
この世界のシステム上吹奏楽器の演奏は呪歌と見做される、ということは、合唱スキルも多分適用される……!
それにしても、まさに立ってる者は親でも使えの精神だな!?

「分かった! ボーカル曲コンサートの半ばによく挟まれるインスト曲ってやつだね!?
キーボード貸して!? ベースパート出来るからやるよ!」

ブレモンBGMマニアの人、キミ、さては有能だな!? ベースってコード進行が分かってれば割とどうにかなるからな!
主旋律(自分)・副旋律(カケル)・ドラム(アゲハさん)・ベースパート(ブレモンBGMマニアの人)・和声パート(その他合唱団の方々))
よしいける!!

幻妖の舞 吹奏楽アレンジ――名付けて、幻蠅の戦舞ッ!!

ttps://dl.dropbox.com/scl/fi/ladrrl20ttuxhlnqfbi5q/.mp3?rlkey=ymj0q67zjxnxrb8hw2yb6spbd&st=c0bhhcyn&dl

演奏が終わったところで、ガザーヴァが最終奥義の発動に入る。

(今度こそ、いけるはず……!)

>「貶め嬲れ、欺き祟れ!
 オド、マナ、エーテル、世の礎の総てを啖い、穿て――」
>「――――――真!! アウトレイジ・インヴェイダ―――――――――――ッ!!!」

槍が相手の騎馬に命中し、大爆発が巻き起こる。

>「……仇は討ったぞ、ガーゴイル」

(本当に、頑張ったね……)

今はまだそんな場合ではないのに、やり遂げたガザーヴァを見つめ、暫ししんみりとしてしまう。
が、オーロールはまだ仕留められてはいなかった。

>「そんな……まさか……」

>「何も驚くには値するまい。
 先刻、汝がガーゴイルにさせたことを余もルドルフにさせたまで。
 ふふ……それにしても、このオーロールを地面に引き摺り下ろすとは。
 見事よ、幻蝿戦姫。さすが超レイド級を名乗るだけのことはある」

仕留め損ねたにしても乗り物はもう無いはずだが、オーロールは乗騎はまだあると不可解な事を言う。

「戦闘続行……のようですね」

戦闘続行を悟っていちはやく気持ちを切り替えたカケルが、スマホを確認する。

「あ……! 進化できるじゃないですか!
しばらくバトル用の曲を続けて歌ってたからコンボが成立してたんですね……!」

よく分からないけど進化する方法のうちの一つが、バトル用の曲を続けて歌うことらしい……!
バトル3に至ってはかなり無理矢理歌ったけど。

(良かった、頑張って歌った甲斐、あったんだ……!)

52カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 22:57:41
頑張ってやったことは大抵駄目で、ノリで突っ切った時の方がうまくいくのがいつものパターンである。
まあ、風属性だからそういうもんなんだけど。やっぱり、努力が報われるのは嬉しい。
カケルからスマホを返してもらって、代わりにスマホ連動ウェアラブル端末をカケルに渡す。
進化ボタンをタップすると、背に妖精の翅を持つアイドルが魔法少女のような服装の美少女に変身する。
尚、これはそういう仕様のモンスターなので美少女になっているだけであり、断じて自ら美少女になりたいとか思ってなっているわけではない。
ついでにカケルもお揃いのコスチュームに変身する。

>「其処が皇帝たる余と諸人の違いよ。
 たかが一騎を統べる程度ならば、誰にでも出来る。
 しかし皇帝は違う――皇帝とは衆生の頂点に君臨し、自らの意志によって民を導く者! 皇軍を指揮し、万里を掌握する者! 
 為らば!」
>「我が版図、我が帝国こそ我が乗騎!
 参れ、『皇帝親衛隊(イェニ・チェリ)』!!」

オーロールが号令をかけると満を持して従者達が前に出て構えを取り、他にも魔法的な力でなんかわらわら出てきた――!

>「……な……んだよ、ソレ……。
 そんなの……反則じゃんか……」

>「で、あるか。
 生憎だが、此れは戦争。泣き言は通用せぬ。
 とはいえ汝の腕前は認めよう、余以外の『星蝕者(イクリプス)』が相手ならば、汝が遅れを取ることはそうあるまい。
 汝の不幸は、此度の対手が余であった……その一点に尽きる。
 幻蝿戦姫ベル=ガザーヴァ、天晴であった。褒めて遣わす。
 では――そろそろ幕としよう」

オーロールの指示を受けた親衛隊がガザーヴァに襲い掛かる。
あまりの展開に未だ状況に追いつき切れていないガザーヴァに、従者の一人の凶刃が迫る。

(死なせてたまるか――――ッ!!)

従者が振り下ろした剣を、傘の杖で受け止める。今の状態なら、従者とは充分立ち回れるはずだ。
従者達はおそらく、単体ではロールプレイを成立させることが出来ない人達。
皇帝様にコバンザメしなければこの戦場に立てない程度のレベル――でなければ、
プレイヤー同士が元からリアル知り合いでもない限り、好き好んで従者なんてしないだろう。
ふざけた格好の奴に攻撃を阻まれた従者が、思わず「何だお前!」みたいなことを言う。
ここは自己紹介ロールプレイで自らを強化するチャンスなんだろうけど……
ぼくは謙遜と不言実行を美徳とする奥ゆかしき大和民族なのだ!(嘘つけ!と総ツッコミが来そうなことは自覚している!)
自己PRとか志望動機とか立石に水のように喋るロールプレイ勢とは対局に位置するのである!

(みんな堂々と言えていいな、凄いな……)

とか思っていると、カケルがよくぞ聞いてくれましたとばかりに語り始めた。

「その人は私とその子の姉――カザハ・シエル・エアリアルフィールド。
このパーティーの最強のバッファーで、星刻の奏手で伝説の語り手。
伝説の語り手って、いるのといないのとでは全然違うんですよ?
かっこ悪いところ伝説に刻まれたくないから、みんな頑張っちゃうし、なりたい自分になろうとしちゃうんですよね……!
だから、みんな実力以上の力を発揮できるんです!」

(代理自己紹介ロールプレイ、してくれてる……!)

ロールプレイによる強化は、必ずしも自分でやらないと起動しないわけではないのだ。
あれ? 音声を味方全員に繋いでる……?
相手だけではなく仲間にも聞かせることでロールプレイを強化する作戦!?
ロールプレイを起動するための戦略的なものだとは分かってはいても、くすぐったいような気持ちになる。
ちょっと大袈裟かも! でも、本当にそうだといいな……。
――言われてみれば、少なくともカケル以外に一人はそう思ってくれてる気がする。
一人でも思ってくれてれば嘘じゃないから、システムが拡大解釈してくれてロールプレイシステム起動するかもしれない!
効果をゲーム的に表現すると「その場にいるだけで仲間全員にバフがかかる」的なやつ!?
お返しにぼくもカケルを紹介しないと。……なんか、そろそろ喋れそうな気がする!

53カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 23:00:36
「そのユニサスは……ぼくの弟、カケル」

声、出た……! 自己紹介のハードルは激高でも、代理自己紹介ならだいぶんハードルが低い!

「ぼくの相方として設定されて、今では魂を分け合って本当の相方で弟になったんだ。
だから、単体ではそんなに強くないかもしれないけどさ……ぼくと一緒なら最強なんだよ!
というわけで!」

古からの様式美に則り、謎のポーズを決めながら口上をする。

「星に響け優しきメロディ! 風精の歌姫――テンペスト・ディーヴァ!」

意図を察したカケルが調子を合わせる。

「天空に舞え美しきハーモニー! 歌紡ぐ天馬――テンペスト・ウィング! 二人合わせて――」

「「2代目T SOUL SISTARS!!」」

我ながら、「初代はいるんだろうか」って絶対疑問を持たれそうなユニット名だな!?
一見ふざけているようにしか見えないが、ロールプレイによる強化を起動するための大真面目な戦略である。
本当にこんなんで起動するのかは知らんけど、駄目で元々だ。
相手方はロールプレイに縛られているので、口上中に攻撃するなんて身も蓋もないことはできないのだ。

「ガザーヴァ……こんな事言うのは厚かましいけど……ぼくの歌、まだ聞いてくれる?」

ジョン君に接近戦は危ないから駄目だと止められているけど……
ジョン君、ごめん! ぼくは本当は結構悪い子だから言いつけ破っちゃう――! 後でお仕置きされちゃうかな!?

「次の曲目は――響き合う星刻の調べ(アストラルハーモニー)!」

味方全体に継続強回復とハイパーバフをかける、ぼくの一八番。
それをカケルと共に歌いながら、敵に突撃する。まずは取り巻きの従者達からだ。
ロールプレイを極めるとキャラが人格を宿すらしいが……レベル3にも至らない従者はその域まで達してはいまい。

54響き合う星刻の調べ(アストラルハーモニー) ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 23:02:30
ttps://dl.dropbox.com/scl/fi/sjr6jyumt0lo669uugpk6/.mp3?rlkey=c5zly60tp6u3ga1tvnxf5as76&st=s3qq789j&dl

上パート:カザハ(VY2)
下パート:カケル(MEIKO)

忘れ得ぬ旅の記憶は 今この世界に生きる証
望んで この場に立った 全てを賭けて

さだめは 覆えせると この世の全てに見せつける
今度は きっと大丈夫 ぼくがいるから

逃げ出したくなったら いつも思い出すんだ
「ここにいるよ」 本気の誓い 決して嘘にはしない

一番星を目指して 前だけ見て突き進む
幼き日にポケットに入れた 星の欠片握りしめて

守られてばかりだったぼくにも 果たすべき役目がある
呼び覚ましてもらったこの輝きで 行くべき道を照らすよ

55カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 23:03:17
この状態のぼく達は、グラフィック的には2体として描かれるがデータ上は一体の、二人一組のモンスターらしい。
つまり連携は完璧だ。
文字通り二陣の風となり、従者達を蹴散らしていく。

((ツインレイ・テンペストスマイト!!))

やってることはぼくの左拳とカケルの右拳を合わせてのシンプルな打撃。
ただし莫大な魔力を纏った拳が音速で繰り出され、インパクトの瞬間、衝撃派が炸裂する。
余波に巻き込まれた者含め従者が4〜5人吹っ飛ぶ。

56スノウ ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 23:05:27
敵の呪歌士が意識を取り戻した事に対し、教官は複雑な心境なようだ。
出来ればそのまま眠っておいてくれればよかったのに、とのことだ。
私はもはや明確に、敵の歌に惹かれていた。
不完全なものに対するどうしようもない憧憬――これが好きという感情なのだろうか。
でも、「あの子には苦しまずに終わりを迎えさせてあげねばならないのでもう一度眠ってもらう」――それが教官の意向だ。
即興呪歌生成"改"――"魔術師"のタロットカードを持つ私の固有能力。
完璧な演算によって、狙った効果の呪歌を瞬時に組み上げることができる特殊技能だ。
魔術的な演算式のようなエフェクトが背後に浮かび上がり、超強力な眠りの呪歌が一瞬にして組み上がる。
それにしても、"改"って、まるで元祖があるみたいなネーミングだな……?
ともあれ、超レア装備、"汎用シンセサイザーCubase"を手に、歌い出す。

星の子守唄
ttps://dl.dropbox.com/scl/fi/n6ypstbhdikczmjcpbr1d/.mp3?rlkey=zumelw7goq2x5hrwdpwadx1re&st=5oyelbe7&dl

作詞:chatGPT
作曲:SUNO

静かな夜の帳が降りる
星たちはささやき 夢を織り成す

眠れ 眠れ 遠き空へ
心の騒ぎを風に乗せて

星の光よ 柔らかに包み
すべての者を 眠りにつく
月の調べに 導かれながら
星の子守唄 永遠に響け

闇を恐れず目を閉じて
世界は今 優しさに満ちる

眠れ 眠れ 冷たい刃も
静けさの中で力を失う

星の光よ 柔らかに包み
すべての者を 眠りにつく
月の調べに 導かれながら
星の子守唄 永遠に響け

夢の中では争いもなく
星たちはただ 願いを紡ぐ
静かな夜を 守り続けて
星の子守唄よ 世界を眠らせ


深い眠りについたカザハを見て、教官から強烈な想いが伝わってきた。
そっか。あの人は私のお姉ちゃんで、教官の才能を受け継いでるんだ――

57カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 23:07:52
【カケル】
「さあもう一息、いきますよ!」

間奏が終わり歌が2番に差し掛かろうかというところでカザハに声をかけるも、返事はない。
いつの間にかカザハは、幸せそうに眠っていた――。

「えっ!?」

さっきから、敵の呪歌が響き渡っている。もしかして、そのせい……?
眠っているカザハを抱え、後ろに退避する。
そうこうしているうちに、スノウが目の前に転移してきた。
オーロールと挟撃された形だ。

「あなた、全体にバフをかけるポジションでしょう! なんでこんなところに来てるんですかッ!」

「残念だけどその子はもう起きない――超強力な眠りの呪歌を対象指定でかけさせてもらった。
出来れば閉ざされた世界の中でずっと生きていてほしかったのに……。
ローウェルはそれすらも許してくれなかった……。昔からずっと、偽りの希望を餌に弄ばれてきたんだ……
これ以上苦しんでほしくない……。せめて、幸せな夢の中で終焉を迎えて欲しい……」

スノウが腕を一閃すると、指揮棒のような細剣が手の中に現れる。
そしてゆっくりとカザハに歩み寄ってくる。
私は当然臨戦態勢に入るが――何か様子がおかしい。微妙に違う方向に向いて歩いてる……。そして石に躓いて転んだ。
この動き、なんか見た事あるな……。そうだ、アクションゲームが下手な人が動かすキャラの動きだ!

「もしかして……アクションゲームの操作がおぼつかない人!?」

バンドメンバー達にも突っ込まれている。

「下手とは聞いてたけど本当に下手ですね!?」

「無理しないで交代してもらってください!」

「そうだな――交代しよう」

スノウの姿にエフェクトがかかり、イメージはそのままで性別変更したような青年の姿になる。
それと同時に、身のこなしが先程とは明らかに変わる。
バンドメンバーの一人が、解説してくれた。

「スノウちゃんの教官はアクションゲームが下手糞だからアクションが必要な場面では副教官に操作を変わって貰う……
じゃなくてスノウちゃんは二重人格なんです!」

人格交代――上の世界事情で言うと、プレイヤーが交代した……ってことか!

「ちなみに美少女ゲーに男キャラをぶっこんだら炎上するんじゃないかと心配されてるかもしれませんが、
ボイスチェンジ+男装という設定なので、ギリセーフです!」

別にそんな心配してないけど、勝手に解説してくれた!

「無駄話は終わりだ――まずはお前から葬ってやろう!」

タロットカードのエフェクトが発動し、バンドメンバーの演奏が始まる。
たった今生成したにも拘わらず合奏ができるのは、メンバー達はそういうスキルを習得しているのだろう。
スノウは、歌いながら剣を構えて斬りかかってくる。こいつ、歌いながら突撃してくる系か――!

58破滅の調べ ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 23:08:38
ttps://dl.dropbox.com/scl/fi/ib0gn9pbviz6567pyz474/.mp3?rlkey=mae4vsos2dubkz6zw36iouuzq&st=wolv2q45&dl

作詞:chatGPT
作曲:SUNO

燃え上がれ、魂の渦
全てを呑み込む闇の風よ
嘆きの声を織り込み
絶望の鐘を鳴らせ

震えよ、怯えよ、滅びを知れ
鋼の鎖は砕け散り
囁く影が血を求める
裁きの刃は逃れられぬ

我が声が天を裂き
血塗られた地に降り注ぐ
その身を裂け、その意を消せ
破滅の歌が響く時

冷たき刃は心を貫き
最後の鼓動を刻むまで
終わらぬ闘争、果てなき憎悪
さあ、共に闇へ堕ちよ


震えよ、怯えよ、滅びを知れ
鋼の鎖は砕け散り
囁く影が血を求める
裁きの刃は逃れられぬ

我が声が天を裂き
血塗られた地に降り注ぐ
その身を裂け、その意を消せ
破滅の歌が響く時

冷たき刃は心を貫き
最後の鼓動を刻むまで
終わらぬ闘争、果てなき憎悪
さあ、共に闇へ堕ちよ

冷たき刃は心を貫き
最後の鼓動を刻むまで
終わらぬ闘争、果てなき憎悪
さあ、共に闇へ堕ちよ

59カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 23:09:42
分かりやすく攻撃的な呪歌で自らにバフをかけての猛攻――
激しい打ち合いの中で、私はある違和感を抱いた。呪歌のバフが私にもかかってないかい……?
うっかり呪歌を対戦相手にもかけてしまってるのか!? そんなことってある!?
「呪歌は対象指定できません! 聞こえてる人全員に効きます!」ってパターンもシステムによってはあるっちゃあるけど……。
さっきは対象指定してたよなぁ……。
もしかして「すぐに決着がついたらつまらないから」みたいな理由か?
この戦いのショー的側面を意識して立ち回ってる……? でも、何のために?
更に曲の合間に、スノウは自らの弱点を解説する。

「一つネタバレすると、これはオプション機能で楽曲生成システムを接続して運用しているキャラだ。
そしてタロットカードというのは外付けの力の象徴――
つまり――これを破壊すれば生成システムとの接続が断ち切られるってわけだ!」

「どうしてそれを教えるんですか……?」

「さあな」

今分かっている情報をまとめると、このキャラには2人のプレイヤー"教官"と"副教官"がいて、
"教官"の目的は、何故だかは知らないが、カザハを苦しませずに終わらせること。
そして今のこいつを操作しているプレイヤー、バンドメンバーが言うところの"副教官"は、"教官"とはまた違う、何らかの目的がある――
そしてレベル3以上のイクリプスはロールプレイに綻びが出ると即弱体化につながるらしいが……
もはやこいつらは上の世界事情丸出しのgdgdだが、何故かそこまで弱体化する様子はない――
再び歌が始まり、戦いが再開する。
このままいけばタロットカードを破壊することは可能だが――どうする?
相手の言葉に乗る? でも、罠だったら……? ええい、当たって砕けろ!

「――共振破壊(レゾナンスブレイク)!」

私の剣がスノウの腕に固定されたタロットカードを過たず穿ち、カードが砕け散る――

60カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/02(月) 23:25:53
【カザハ】
「もう食べれないよぉ……」

「……ちゃん、おねえちゃん! 漫画みたいな寝言言わないで!」

「……う、うわぁ!?」

目を覚ましてみると、目の前にいるのは白銀の髪の少女――。それ以外の周囲は真っ暗で、何もない。
いや、まだ目を覚ましてないな!? これも夢の中だな!? 眠りが一段階浅い領域になった感じか。
ぼくは何をしてたんだっけ。確かオーロールと愉快な仲間達と戦ってて……途中で寝ちゃったの!?
そうだ、敵の呪歌使いが眠りの歌を歌ったから……ってよく見るとお前じゃん!
自分で寝させといて起こすってどういうことやねん!
それに今おねえちゃんって言った……!? 生き別れの妹よ、そんなところにいたのかい? ……ってそんなわけあるか――ッ!
自称妹のスノウちゃんは、「よし! ハッキング成功!」とか何とか言っている。
確かに顔はさっき歌ってたあの呪歌使いと一緒なんだけど、なんか全然イメージ違うな……。
あのイクリプスは怜悧で感情が希薄な感じだったけど、この子は可愛らしい。

「あなたは、私より前に教官が作ったキャラなんだって! だからお姉ちゃん」

「正確には作ったというより、もともと原型があったものを完成させたみたいだけどね。
なんで君はそんなこと知ってるの?」

「うちの教官、こういうロールプレイシステム搭載のゲームやると体質的に思考がダダ漏れみたいなんだよね〜。
だからキャラに大人の事情が筒抜けだし本人がそのつもり無くてもすぐキャラが人格宿しちゃう」

この状況はつまり……SSSでも性懲りもなくうっかり新たな生命を誕生させちゃった……ってコト!? なんて怪しからん奴!
いや、本人はただゲームやってるだけなんだから何も悪くない。ロールプレイシステムとやらの業が深すぎるんだ……!
挨拶(ロールプレイ)すると(場合によってはしてるつもりなくても)
楽しい仲間(人格を宿したキャラ)がポポポポーンするってもうサイコホラーやんそんなの!

「まさかとは思いますがあなたの教官というのは……」

「美空風羽――かつて一世を風靡した覇権ゲームブレイブ&モンスターズの楽曲を手掛けた天才サウンドクリエイターなんだって!」

「ですよねー!」

「でも、もう完全に落ちぶれてやる気なくしてるんだよね。どう頑張ってもAI生成には勝てないから意味無いんだってさ。
そりゃそうだよ。上位世界の生成AIってそれはもう完璧らしいもの。
でもね、あなたの歌でブレモンの曲を初めて聞いたけど……SSSの曲よりずっと好き。
このままサ終なんて駄目だよ……! だから――勝ってね! 勝って教官に希望を見せてあげて!
教官はもう全てを諦めてて……ローウェルに弄ばれた挙句消されるぐらいならせめてこれ以上苦しませずに自分の手で……って。
だから私はあなたを殺しにかかることになるけど……ごめんね、ゲームキャラはプレイヤーの操作には逆らえないから……」

「君のせいじゃないよ。ゲームキャラが許可した時以外で好き勝手に動いたらゲームとして成立しないもの」

「それと、私が人格を宿してることは教官には教えないであげてね。知ったらきっと気にするから……」

スノウちゃんに手を引かれて覚醒に向かいながら――思う。
彼女や他のイクリプス達は、このベータテストが終わったらどうなってしまうのだろうか――
製品版にキャラの引き継ぎはされるのだろうか? 使い捨てられて消えてしまうのだとしたら……あまりに残酷過ぎる――

61カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/05(木) 21:57:38
>59の最後カードが砕け散るのはやめといてちょっと続き

【カケル】
「ちょっと待った―――――――ッ!!」

スターリースカイガールズの解説役が突然横から飛び込んできて、小盾のようなもので私の剣を弾いた。
涼やかな音が鳴り響く。それは……盾っていうかタンバリンだな!?

「なにするんですか――ッ!!」「何のつもりだ……!」

私とスノウ、双方から突っ込まれる。
今の状況をまとめると、スノウ(中身副教官)が私に何故かタロットカードを破壊するように仕向け、
罠かもしれないとは思いつつも考えても埒があかないので私がそれに乗ろうとしていたのを、
これまた何故か解説役のバンドメンバーが阻止した形だ。

「副教官は教官に立ち直ってほしいんですよね……!?
だったら生成システムで! 昔教官が作ったブレモンの曲を歌うその子と真っ向勝負させないと駄目ですよ!」

「お前も少しでも音楽を齧っているなら分かるだろう? 人が生成システムに勝てるわけないだろう!」

「あー物分かりのいい大人ぶってやだやだ、副教官がそんなだから教官が落ちぶれちゃったんだ――ッ!!」

「貴様……ッ! 私がどんな思いで風羽を見てきたかも知らないくせに……!」

なんかよく分かんないけど仲間割れ始めちゃった……! ん? 今、風羽って言った……?
それに、"昔教官が作ったブレモンの曲"って……!

「私は! リン=タンバ! スターリースカイガールズの副隊長でパーカッション兼ダンサー!
ちなみに私の教官は美空風羽ファンクラブ会長、丹波 鈴音ッ!」

キャラにほぼそのまんま自分の名前付けたんやないか――い! 誰かさんと同じ発想! やっぱり類は友を呼ぶんだな……!
この一団、こんなノリでよく曲がりなりにもこの戦いに参加できてるな……!?
ロールプレイに適応できない勢は淘汰されてるはずでは?
でも、某国民的RPGは、「主人公はプレイヤー自身」がコンセプトのため主人公が喋らない仕様らしいし、
主人公に自分の名前を付けるのも割と一般的だったりするな……。 つまり、これもまたロールプレイの一種!?
そもそもこの世界のシステムが、"そのキャラがロールプレイしているか"を何をもって判定しているのかの全貌は未だ不明だ。
設定の作り込みや整合性が判定項目の一つに入っていることは間違いないだろうが、単純なキャラの濃さも判定基準の一つに入っているとしたら、
素でキャラのぶっとんだ奴がゴリ押しでロールプレイによる強化を起動させることもあり得る。
あるいはこいつらの中身丸出しロールプレイを
「自分が超常の存在に操られていることを知っていてそれを当然のこととして受け入れているキャラのロールプレイ」と解釈することもできなくはない。
と、ロールプレイシステムの詳細も気になるところだが今はそんな場合では無く
スノウ(中身副教官)とリン(中身教官のファンクラブ会長)が立ち回りをおっぱじめてしまった。

「お前なんかユニット追放だ――ッ!」

「コイツは私が止めとく!! あなたは早くその子を起こして!」

リンが、あまりの展開についていけずに呆然としていた私に声をかける。
確かに見た感じは私達を狙うスノウを止めてくれているような構図に見えるが、よく考えると普通に内輪で喧嘩になってるだけのような……。
と内心では思いつつも。

「え、あ、はいっ……!」

勢いに圧され、言われるままに私はカザハを起こそうとするが……。どうやっても起きない。
カザハを起こすのは慣れてるはずなんだけど……。こうなったらRPGでよくあるように死なない程度に攻撃して無理矢理起こす!?
と思ったが、今データ上同一モンスターだから攻撃できんわ!

「無駄だ、私が解除を許可しない限りそいつは起きない」

「諦めないで! 音はきっと聞こえてるから……! 何か刺激的なことを言ったら起きるかも!」

それ本当か!? 私に起こされるのはいつものこと過ぎて新鮮味がないから駄目なのか!?
この世界をロールプレイシステムなるものが支配していることを鑑みると一番起こせる可能性が高そうな人に心当たりはあるが……。
バルディッシュと激しい戦いを繰り広げているジョン君の方をちらりと見る。ちょっと今それどころじゃなさそう……。
でも、ちょっと通信するぐらいならいいですよね……!? というわけで、ジョン君に通信を繋ぐ。

「あの! カザハが寝ちゃって! 一言だけでいいから! 何かパンチの効いた言葉をお願いします!」

なんか一言インタビューみたいになってしまった……!

62カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2024/12/05(木) 22:20:37
発注先「よく考えると「生成AIに勝てるのか」というテーマをやるなら直接ぶつけて真っ向勝負させんと駄目だな!? ということに気付いた。
    ところで『シーンが各自分かれてるスレ内の状況』+『時間がたくさんあるスレ外の状況』のコンボは……
    レスがどこまでも長く成り得て危険!」
カザハ「他の人のリアクション待ちの状況に持ち込んでなんとか止まったな!?
    そしてひたすら本筋に関係ない内輪の騒動を繰り広げてるな……!?」
発注先「直接的には関係ないけど芸術は万人にとっての100点より一部のコアなファンにとっての1000点の方が価値があるってテーマをやれば
    それをゲームにも広げられるやろ? 万人に受けなくても一部のコアなファンが重課金してくれれば存続できる的な……!」
カケル「主題は細部に宿る……ってコト!?」


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