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番外編投下用スレ

32ガザーヴァのバレンタインの巻・3 ◆POYO/UwNZg:2023/02/14(火) 09:38:26
「ね、ガザーヴァ。
 あなたは、どうして明神さんにバレンタインのチョコレートをあげたいって思ったの?」

「そりゃぁ……」

ストレートななゆたの問いに、ガザーヴァが視線を逸らす。
しばらく逡巡しつつも、ややあってもにょもにょと、

「……よ、喜んでほしい……から」

と、蚊の鳴くような声で呟いた。

「だよね。なら、気持ちを。心を。想いを込めなくっちゃ」
 
「気持ち……心……?」

「そうだよ。バレンタインはね、ただチョコレートを贈るだけの行事じゃないんだ。
 自分の心を、好きって気持ちを贈るイベントなの。
 チョコレートはそれを形にした、橋渡し。だから……たっぷり日頃から抱いてる想いを込めなくっちゃ!」

気持ちは、想いは、形のないもの。目には見えず、触れられないもの。
それをチョコレートというお菓子で代用して伝える、それがバレンタインデー。
だとしたら――

「年に一度のバレンタインデーだよ? 明神さんのことが大好きっていうガザーヴァの想いを、愛情を、
 これでもかってくらい伝えるチャンスなんだから!
 魔法でチャッチャッと作ってハイおしまいじゃ、勿体ないし……寂しいよ」

手間暇や時間の多寡が必ずしも愛情の程度を左右するとは言わないが、
それでも想い人には手の込んだものをプレゼントしたいと思う。
ガザーヴァにも好きな人に自分の手料理を食べてもらう、その喜びと嬉しさを知ってほしいとなゆたは思った。

「別に、そんなの――」

カンケーないじゃんか、と反論しかけるも、ガザーヴァはすんでのところでそれを呑み込んだ。
魔法ですんなり完成させてしまった、残りのガトーショコラへ一瞥を向ける。
ガザーヴァは少しだけ黙考したが、味見した以外はほとんど残っているガトーショコラのホールを持ち上げると、
マゴットへ突き出した。

「マゴット、食べていーぞ」

『グフォ……!?』

四本の手でガトーショコラを掴みむしゃぶりつくマゴットをよそに、ガザーヴァはなゆたの顔を見た。

「……もしか。もしか、ボクがちゃんと一から手作りしたチョコレートをプレゼントしたら。
 明神、魔法で作ったヤツをあげるより喜んでくれるかな……?」

「もちろん。ガザーヴァの気持ちも、絶対明神さんに伝わるはずだよ!」

「そっか」

ガザーヴァは意を決したように頷く。

「じゃあ……モンキン、ボクにバレンタインのお菓子の作り方、教えてくれる……?」

「オッケー! 明神さんのために、最高のスイーツを作っちゃおう! レッツ・ブレーイブッ!!」

なゆたは嬉しそうに、大きく天井に右腕を突き上げた。


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