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番外編投下用スレ

1 ◆POYO/UwNZg:2019/03/20(水) 18:54:52
本編の補完、補足、外伝等ブレイブ&モンスターズ!関連SSの投下用スレです。

76カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2025/05/22(木) 00:35:48
>「この感じ…なんだか…懐かしい感じがする…」

カザハ「なるほど、常に体を張った芸を繰り広げていたのか……」
カケル「お笑い芸人じゃないですからね!? 常に体を張ってたのは合ってますけど!」

(何をどこまで覚えているかは人によってかなりばらつきがあるらしい!
カザハ→結構忘れてる カケル→割と覚えてるけど言ったらカザハが奇声を発しながら転げ回りそうなので(?)言わない)

>「……見た目はネタっぽいけど、結構便利そうだな。その虫よけスプレー。
 特定の種族への特攻と高い範囲火力。両方兼ね備えているからレイドボスにもモブ狩りにも使える」
>「しかもそのスプレーは俺にとってもお誂え向きだ。いや……俺達にとっても、だな。
 速度に優れたカザハがガスを散布し、小器用な明神さんがそれを起爆。
 ジョンの耐久能力なら仮に巻き添えになっても大したダメージは受けないし――」
>「発生した爆炎は俺のダインスレイブのエネルギーとして再利用出来る。
 1ターン目から手軽にダインスレイブを高出力モードに出来ちまうんだ。
 ミズガルズのブレイブPT、特に俺をアタッカーに使いたいなら必須級のアイテムだ。課金圧を感じるな?」

(一見一発ネタの案件らしき殺虫剤、まさかの予想外に有能そうだった!)

>「――そろそろ列車の時間だ」

列車(どっこいしょー!)←掛け声はイメージです

(ローウェルが減らず口を叩きまくっていると、到着した列車が容赦なくローウェルを轢いた!!)

カザハ「踏切内で動けない人を見つけたら非常停止ボタン!」
カケル「いやもう轢かれてるしここ踏切じゃないし!」

カケル(今度は踏切の安全啓発的な案件か……!? 2巡目の時はポリコレ枠ぽかったけど今度は案件受注枠か!?)

>「じゃ、またなローウェル。ゲームはまだ始まったばかりだ……次はもっと楽しませてくれよ」

(列車に乗り込む一同。列車内には、記憶を失ったボノがいた)

>「……なあボノ、思い出せないか?王都が襲われて、侵食に呑まれた時の事だ。
 お前はボロボロになりながらも逃げ延びてきてくれた」

>『――ああ、ああ!そうでしタ。思い出しましタ。あれほど恐ろしい思いをしたのは製造以来初めてでしタ。
 もう終わった事とは言エ、今でも思い出すだけで身震いが止まりませン』

(記憶の思い出させ方、意外と普通だった!)

77カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2025/05/22(木) 00:36:54
>『そして今は快速シナリオの収録中、でしたネ。分かりましタ。
 王都行きは取りやめに致しまス。魔法機関車の運行権は皆様方ニ。どこへ向かいましょウ?』

>「そう。それなんだよ。俺達がもう一度管理者メニューを開くには幾つかのステップを踏む必要がある。
 移動手段とか、属性魔力要員の確保とかな。
 逆にRTAを目的とするなら無視してもいいチャプターもある。ガンダラとか何の為に寄ったんだこれ?」

カザハ「マッチョバニーと戯れるため……?」
カケル「自分と無関係な部分の無駄知識は無駄に覚えてるこの人……!」

>「けど……正直ガチガチにチャート組んでRTAするのって俺達がする必要ないんだよな。
 どうせこのシナリオが解禁されたらプレイヤー達がこぞって壁に向かって
 ローリングしたり移動スキル連打して魔王城直行ルートを見つける筈だし
>「そもそもこのシナリオを遊ぶプレイヤーも本当の本当はそんなガチRTAなんて求めてないだろうしな。
 明神さん、カザハ、ジョン。このメンツで走るRTAに求められているのは――
 どう考えたってクソバカドタバタガバガバオリチャーRTAだろ」

カケル(「このシナリオを遊ぶプレイヤー」……そう、この世界がゲームならプレイヤーなる上位存在がいるのは当然の理!
    俯瞰してノベルゲームのように楽しむ方式か各キャラにログインする方式かは分かりませんが……。
    カザハ……1巡目の時はサウンドクリエーターの人にログインされてましたけど、
    今度は資金調達班の誰かにログインされてるんじゃないですかね?)

>「という訳でそれを踏まえた上で聞くんだが――――みんなどこ行きたい?」

カザハ「このシナリオが単なるタイムアタックではなく今後のブレモンの資金調達も兼ねていると仮定して考えると……
    ガチRTAは得策ではないのは大前提として、二つ方向性が考えられるんだよね。
    多分どっちのルートでもクリアは出来るように組んであると思うんだ」

(この世界がゲームだということを最大限に考慮したメタな手法で推理し始めた!)

カザハ「まず一つは2巡目に沿ったパロディ。それでいくなら目的地は自ずとガンダラになる。
    もう一つは……敢えて2巡目とは全く違うルートでいく路線。
    本編でいかにも行きそうで結局行かなかったところって、いかにも番外編用のフィールドっぽいじゃん。
    つまりそういうところにいくとシナリオが進む可能性が高い……!」

カケル「例えば……?」

カザハ「ヒノデとか?」

カケル「島国ですよ!? いけないじゃ――ん!!」

(早速盛大に本筋から脱線しようとしている!)

78明神 ◆9EasXbvg42:2025/05/25(日) 19:37:03
スプレーのガスに引火した聖杖の火が、暗い荒野を真昼のように照らす。

>「明神!なにふざけてるんだ!…雄鶏源泉(コトカリス・フンスイ)!!」

見かねたジョンがスプリンクラーみてぇなスペルで水をばら撒き、あわや山火事の発生は食い止められた。
ついでに何故かジョンは燻った火種に部長の羽ばたきで風を送り、燃え上がる火を自分の身体で受け止める。

>「この感じ…なんだか…懐かしい感じがする…」

>「火だるまになりながらちょっと遠い記憶に浸ってるような表情してるのも意味が分からん……。
 マジでなんでだ?ブレモンってわりと男キャラも多めだしこういうカットにも需要があるのか……?
 いや、だとしてもなんでその需要を率先して満たしに行こうとしてるんだよ……」

「クソっこいつ俺のセリフ全部持っていきやがった!今回はお前がツッコミ役ってことなのか!?
 二巡目ん時は廃人特有のゲーマー天然ボケでこの俺をツッコミ過労死寸前まで追い込んだお前が!」

なんだよ今回めっちゃ楽できちゃうってことじゃーん!
しょうがねえなあ!じゃあ欠けたボケを補うために俺がちょっとだけ馬鹿になるわ……
とまぁそんなことを言ってる間に、爆発を魔剣で吸収したエンバースがベルゼブブシンにトドメを刺す。

>「発生した爆炎は俺のダインスレイブのエネルギーとして再利用出来る。
 1ターン目から手軽にダインスレイブを高出力モードに出来ちまうんだ。
 ミズガルズのブレイブPT、特に俺をアタッカーに使いたいなら必須級のアイテムだ。課金圧を感じるな?」

「出・た・よ!廃人お得意の自作自演カウンター!公式企画でこういうの紹介していいのかなぁ……?」

モンハンのRTAで死ぬほど見たわこういうの。自爆ダメージにカウンターとって強化状態に入るやつ。
そのうちこいつ背水だの火事場だの起動するためにHP調整とかやり始めるぞ。

「ジョンの既視感の正体がわかったわ。アヤコちゃんの『炎君』バフだろそれ。
 ……えっ、このさきずっとこいつ燃えたままRTA走ってくの?」

身体が燃えっぱなしのやつが2人もいるパーティってなんだよ。一人でも意味わかんねえのに!

>「あーあ!あのハイバラがまるでゲームが進んでちょっと難易度の高いボスが出てきたら
 「出し得モーションばっか」とか「敵だけ楽しそう」とか言い出す
 にわかストリーマーみたいな粋がり方して、このローウェルはがっかりなのです』

「うるせえぞクソ運営。プレイヤーが超火力出せるコンボ編み出したらすーぐ『想定された運用ではないので……』とか言って
 ナーフしやがって。ゲーム作んのはじめてなのか……??」

ワイキャイ言ってるうちにローウェルは列車に轢かれて死んだ。スイーツ()。
そこそこ溜飲を下して列車に乗り込むと、応対したボノに向かってエンバースが何やら試し始める。
二度目の試行で見事にパスワードロックが解除され、ボノが記憶を取り戻した。
良いのかなこれ……大体のNPCのイベントこれでスキップできない……?
行き先を取り消したボノが問うのは、このRTAにおける俺達の行き先。

>「そう。それなんだよ。俺達がもう一度管理者メニューを開くには幾つかのステップを踏む必要がある。
 移動手段とか、属性魔力要員の確保とかな。
 逆にRTAを目的とするなら無視してもいいチャプターもある。ガンダラとか何の為に寄ったんだこれ?」

「えーっとぉ……まぁ目的としては色々あったんだけどぉ……」

>「マッチョバニーと戯れるため……?」

「いちばん本筋と関係ねえとこじゃねえか!」

79明神 ◆9EasXbvg42:2025/05/25(日) 19:38:20
カザハ君には俺達の歴史を刻む者として、合流前のおおまかないきさつを伝えてある。
まぁ確かにね……記憶に残るインパクトとしてはマスターが間違いなくトップだけどさぁ……。

>「そもそもこのシナリオを遊ぶプレイヤーも本当の本当はそんなガチRTAなんて求めてないだろうしな。
 明神さん、カザハ、ジョン。このメンツで走るRTAに求められているのは――
 どう考えたってクソバカドタバタガバガバオリチャーRTAだろ」

「何さらっと自分を省いてんだオメー!王都でウキウキエンバーミングしてたの忘れてねえかんな俺は」

エンバースの提案を受けて、カザハ君が想定されるルートを並べていく。

>「まず一つは2巡目に沿ったパロディ。それでいくなら目的地は自ずとガンダラになる。
 もう一つは……敢えて2巡目とは全く違うルートでいく路線。
 本編でいかにも行きそうで結局行かなかったところって、いかにも番外編用のフィールドっぽいじゃん。
 つまりそういうところにいくとシナリオが進む可能性が高い……!」

「んーまぁ確かに……二巡目で行ったとこは二巡目プレイすりゃ良いって説もある。
 この広大なアルフヘイムで、大量に用意されたサブクエを踏まないってのも宣伝的には勿体ねえよな。
 とりあえず二巡目のメインクエを洗い出してみるか。そんで省けそうなとこを考えてみよう」

俺はインベントリから羊皮紙とペンを出して、アルフヘイム編終了までの二巡目の記憶を書き出していく。
これまでの旅路の中で、特に本筋に関わるものを整理する。
なんだかんだ今のパーティで初期も初期から参加してんの俺だけだしな。

▽荒野:チュートリアル、魔法機関車の乗車権入手←イマココ
▽ガンダラ:機関車燃料補充のためのクエスト。マルグリットとの邂逅、ローウェルの指環入手。
▽リバティウム:人魚の泪入手。エカテリーナ、ミハエルとの邂逅。エンバース、カザハ君の加入。
▽キングヒル:バロールとの邂逅、世界の真実(大本営発表)の開陳、クーデター。ジョン加入。
▽アコライト:ユメミマホロ、帝龍との邂逅。超レイド級の初撃破。
▽デリンドブルグ:マルグリットとの再開、親衛隊との邂逅
▽アイアントラス:ロイ・フリントとの邂逅
▽レプリケイトアニマ:アラミガとの邂逅、ヴィゾフニール入手
▽始原の草原:フタミコ、グランダイト、マリスエリス、ロスタラガム、スターズとの邂逅。覇王軍との同盟締結
▽エーデルグーテ:オデット、アシュトラーセ、エンデとの邂逅。『銀の魔術師モード』解禁、プネウマ勢力との同盟

ほんで世界の真実(ガチ)が解禁されて、シナリオはニヴルヘイムに移る……って感じだったはずだ。

「とりあえずガンダラは省けるな。燃料は今んとこ十分ある。マル公もシナリオどおりなら向こうから接触してくる……。
 直近で必要なのは『人魚の泪』だな。現物だけじゃなくて、力を開放するにはマリーディア周りのイベント達成が条件だ」

超レイド級ミズガルズオルムの召喚キーアイテム、『人魚の泪』。
人魚の女王マリーディアが結婚詐欺に引っかかってガチギレした時の怒りと悲しみパワーの結晶体だ。
アルフヘイムに眠るミドやんを従えるには、マリーディアの抱える問題を解決する必要がある。

そして、ミドやんを仲間にできるのなら――管理権限を開くための6属性の一端を担わせることもできる。
ガンダラは……マスターに会いたい気持ちはあるけれども。
まぁそれはRTAでやるこっちゃねえわ。どうせ普段はおれガンダラでBOTと一緒にグダ巻いてるしな。

「このままリバティウムへ行こうぜ。アイテムの取りこぼしが出るようなら鉄道でガンダラにもすぐ戻れるからよ」

80明神 ◆9EasXbvg42:2025/05/25(日) 19:39:59
【リバティウム】

海都リバティウム。アルメリア王国第二の都市であり、経済と交易の中心地。
陸路と海路の交わる結節点として、今日もとんでもない額のルピが動いている。

「あとは……カジノがめっちゃ有名。だからまぁ大体ラスベガスだよこの街は」

リバティウム初見さん(ジョンとか)に向けて俺は雑に解説した。

「ここでやるべきことは人魚の泪入手のためのクエストだな。
 ライフエイクっていうヤクザの元締めの邪悪なおっさんと交渉する。
 確か、デュエラーズなんちゃらトーナメントっていう天下一武道会みてえな大会の優勝賞品だったはずだ」

交渉が済んだらトーナメント開催までしばらく街で自由行動でも良いだろう。
RTAの本筋からは外れるけどガバガバオリチャーの範疇としてご容赦願いたい。
そんなわけで、駅からまっすぐライフエイクの居るカジノ『ぱらだいす☆ろすと』まで来たわけだけど……

「あれ……?なんかカジノのデザイン違わない……?」

自慢じゃないが俺はリバティウムのマップなんか目を瞑ったって歩ける。
『失楽園(パラダイス・ロスト)』は間違いなくここにあったはずだ。
だが眼の前に建っている構造物は、カジノというよりも……酒場。

看板にはアルメリアの文字で『魔銀の兎娘(ミスリルバニー)亭』と書いてあった。
それは鉱山都市ガンダラの、クエスト起点となるロケーションの名前だ。

「やべぇ……やべえやべえぞこれは!まさか!!」

ドアをぶち破らん勢いで開ける。土地の大きさに合わせてなのか、酒場にしてはえらく広いホールを駆ける。
ビリヤードやらポーカーテーブル、果てはスロットマシンまで存在する、酒場とカジノがごった煮になったエリアを抜けて。
分厚いVIPルームの扉を開いた。そこには――

「あら、随分と元気の良いお客さんねン」

品の良いタキシードを着込んだ、筋骨隆々の大男――頭部にはピンと立ったウサギ耳が生えている。
『雄々しき兎耳の漢女(マッシブバニーガイ)』、ガンダラの酒場のマスターだ。

「ま、混ざってるーーーーっ!?」

――俺達は本来、二巡目のシナリオ再走のために荒野からガンダラへ向かうはずだった。
だがボノの記憶を叩き起こし、省略可能と判断したクエストをスキップしてリバティウムへ直行した。
その結果、クエストフラグがめちゃくちゃになって――ゲームがバグった。

この企画はプロデューサーのローウェルがワンオペでやっている。
デザイナーの不在で敵のデザインが使いまわしになったように……本来バグ修正を行うはずのプログラマーも居ない。
バグったゲームのRTAをやるってことかよ……!?

「ギャンブルの結果に納得できず直談判……ってところかしら。
 でもダメよ。ここの賭けはすべてこのガブリエッラが責任もって公平に管理してるし、誰か一人を特別扱いなんてしない。
 ……ウフフ。せっかくVIPルームまでお越しいただいたんだもの、アタシが手づから接待してあげちゃう」

ガブリエッラ――そういやマスターってそんな名前だっけ――が立ち上がり、パンパンに張ったタキシードを脱ぎ捨てる。
白日の下に現れたのは、当たり前のように……バニースーツだった。

「またのご来店をお待ちしているわ、お客様」

爆発したみたいに膨れ上がった太腿が推進力を生み出して、バニー姿の大男が両手を開いて突進してきた。
シンプルなタックル……軽自動車くらいなら轢き潰せそうだ。

【クエストスキップの影響でバグる。ライフエイクとガンダラのマスターが混ざる】

81ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/05/31(土) 22:16:42
「もう少し…もう少しで思い出せそうなんだ…!」

僕は火炎に飲まれながらそんな事を考えていた。
マジメに頑張ろうかなとも思ったけどこうなったら好きにやっても。

>カザハ「なるほど、常に体を張った芸を繰り広げていたのか……」
>カケル「お笑い芸人じゃないですからね!? 常に体を張ってたのは合ってますけど!」

>「ジョンの既視感の正体がわかったわ。アヤコちゃんの『炎君』バフだろそれ。
 ……えっ、このさきずっとこいつ燃えたままRTA走ってくの?」

明神がふと思い出したようにある女性の名前を挙げる。
その記憶の奥底からその瞬間記憶が…蘇ってくる事はなかった。

「クッ…なぜだ…僕の何が足りないんだ…!」

そういえばボス戦中だった気もする。
僕は一度記憶を思い出すのを中止してボスの方に振り向くが…。

>「……さて、これでチャプタークリアな訳だが。お前はいつまでそこで突っ立ってるんだ?」

僕が明神の言う【アヤコ】という恐らく女性を思い出そうと必死に唸ってる間にボス戦は終了していた。
いや展開早いな…この週からして普通じゃないからそりゃそうか…

>「あーあ!あのハイバラがまるでゲームが進んでちょっと難易度の高いボスが出てきたら
 「出し得モーションばっか」とか「敵だけ楽しそう」とか言い出す
 にわかストリーマーみたいな粋がり方して、このローウェルはがっかりなのです』
>「うぐっ!や、やめろ!共感性羞恥が……じゃなくて!不特定多数のユーザーを殴るんじゃない!
 ていうか俺の本名出してよかったのかよ!ネタバレとか――」

「喧嘩は同レベルでしか発生しない…と。」

時間があるうちにカザハと情報共有でもしているか…
積もる話も一杯あるしな…時間が許す限りカザハと喋るべきだろう。

決して僕がしゃべりたいだけじゃないぞ…本当だよ?

「カザハ〜〜!!」
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!

僕の声はけたたましい音を発する汽車の音で全てかき消される。

>「――そろそろ列車の時間だ」

「……………」

言いたい事は多くあったが言ってもキリがないので大人しく列車に乗る事にした。

「おっと…体の火は消さないと…」

記憶はないが、どうすればいいかはなんとなくわかっていた。

「沈まれ…!俺の右目…!」

ソンジョソコラノ!チンプナ!チュウニビョウト!イッショニスルナデスワー!!
アッハハハハ!!
チョ!ワラワナイデクダサイヨバルサン!!

そう唱えるとどこからともなく叫び声と笑い声が聞こえた………気がした。
それと同時に火も収まった。

82ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/05/31(土) 22:16:54
>『そして今は快速シナリオの収録中、でしたネ。分かりましタ。
 王都行きは取りやめに致しまス。魔法機関車の運行権は皆様方ニ。どこへ向かいましょウ?』

>「そう。それなんだよ。俺達がもう一度管理者メニューを開くには幾つかのステップを踏む必要がある。
 移動手段とか、属性魔力要員の確保とかな。
 逆にRTAを目的とするなら無視してもいいチャプターもある。ガンダラとか何の為に寄ったんだこれ?」


「僕はなゆの旅は話でしか知らない…でもせっかく経験できるならしてみたいな…
よく前の週の最後の方は覚えてないけど…それでもまたみんなで集まって旅できるなんて…夢みたいだから…」

僕のしたことを考えれば贖罪の道が待っていたはずだった。
けど今またみんなで…楽しく世界を回っている。

純度100%の楽しい…楽しむためだけの旅。
僕には勿体ない幸運だと思う

>「そもそもこのシナリオを遊ぶプレイヤーも本当の本当はそんなガチRTAなんて求めてないだろうしな。
 明神さん、カザハ、ジョン。このメンツで走るRTAに求められているのは――
 どう考えたってクソバカドタバタガバガバオリチャーRTAだろ」

「そうだろうね。自分で言うのもなんだけど僕なんてどう考えても面白外人枠だし…
…なんならカザハが人気キャラだからついでに選ばれた可能性も…」

自分で言ってて悲しくなってきた。
そんな僕を察したのかカザハがヨシヨシしてくれている。

>「という訳でそれを踏まえた上で聞くんだが――――みんなどこ行きたい?」

正直みんなと一緒ならどこにでもいきたい。

>「このままリバティウムへ行こうぜ。アイテムの取りこぼしが出るようなら鉄道でガンダラにもすぐ戻れるからよ」

明神は旅の過程・なんでその場所に寄ったのか。最終目的はなんだったのかをメモを僕達全員に手渡ししてきた。
意外と几帳面なんだよな明神って…人を馬鹿にするために相手を知る必要があるからだろうか。

83ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/05/31(土) 22:17:06
というわけで海都リバティウムにやってきたのだが

>「ここでやるべきことは人魚の泪入手のためのクエストだな。
 ライフエイクっていうヤクザの元締めの邪悪なおっさんと交渉する。
 確か、デュエラーズなんちゃらトーナメントっていう天下一武道会みてえな大会の優勝賞品だったはずだ」

「ふむふむ」

完全にバスツアーのガイドさんになった明神とその一行は案内されるがまま、酒場の前にやってきた…あれ?カジノだったはずでは?

>「あら、随分と元気の良いお客さんねン」
>「ま、混ざってるーーーーっ!?」

筋骨隆々の大男がうふっとハートマークを飛ばしている。
明神の顔を見る必要もなくわかる。異常事態だと。

>「またのご来店をお待ちしているわ、お客様」

店内で混乱し、叫び声をあげた明神を敵だと認識したのか
外装を投げ捨て、バニスーツ姿となった酒場の店主が明神に突っ込む。あ、突っ込むって変な意味じゃないですよ

ドゴオオオオオオオオン!

「確かに今のは明神が悪かった!!!だが!!僕じゃなかったら死んでるぞ!」

明神と大男の間にタックルで割って入ると
ぶつかった衝撃でVIPルームの人や物が勢いよく吹き飛ばされる。
僕達が通ってきた一般の遊び場からは一体なんの騒ぎだと野次馬の声も聞こえだす。

「あら……あなた案外やるのね?」

「僕達は…ただ…えっと…人魚!人魚のなんとかが…!なんとかするってきいて…!」

確かにいきなり押し入って大騒ぎした僕達が悪い。
なので事情を説明し、理解を求めれば穏便に済ませられるはずだ。
交渉事はエンバースと明神に任せよっと!この場所よく知らないしね。

「ふむふむなるほど…事情把握したわ…けど…【誠意】が足りないんじゃないかしら?…んふぅゥウ!!!」

マスターが急にマッスルポーズを取るとマスターの筋肉に滴る汗…ではなくピンク色の魔法のような波動がマスターから放たれる。
他のみんなは何らかの回避手段を使ったり、驚いてモロ食らいしたりした…僕は後者で…そしてその魔法はフローラルな香りがした。

「うぇ!?…ん?なんだこれ…服が…!」

魔法を浴びた僕は気づいたらマスターと同じバニーガールの姿に着替えさせられていた。
元の服は足元に丁寧に畳まれて置いてある。

「ここは『魔銀の兎娘(ミスリルバニー)亭』…それもそのVIPルームよ?ならあるがままの…バニー姿で話すべきよ!そうでしょ?」

ズドン!!!

僕は力なく地面に大の字に倒れ込んだ。

「誰か僕を殺してくれ…」

アヤコザイゼンジヲ!チュウニアツカイシタ!バツダバーーーカ!!!!
プリントスクリーンレンダハ,チョットキモイヨ

という記憶にない声が聞こえた気がした。

84embers ◆5WH73DXszU:2025/06/07(土) 22:46:16
『このシナリオが単なるタイムアタックではなく今後のブレモンの資金調達も兼ねていると仮定して考えると……
    ガチRTAは得策ではないのは大前提として、二つ方向性が考えられるんだよね。
    多分どっちのルートでもクリアは出来るように組んであると思うんだ』

「確かに?アドベンチャーゲームってルートやエンディングが多彩な方が楽しいしな」

『まず一つは2巡目に沿ったパロディ。それでいくなら目的地は自ずとガンダラになる。
    もう一つは……敢えて2巡目とは全く違うルートでいく路線。
    本編でいかにも行きそうで結局行かなかったところって、いかにも番外編用のフィールドっぽいじゃん。
    つまりそういうところにいくとシナリオが進む可能性が高い……!』

「いつになく冴えているじゃないか。続けてくれ」

『例えば……?』
『ヒノデとか?』

「……ん゛っ」

実際のところ、エンバースはニ巡目の旅でヒノデを訪れている――なゆたと二人きりで。
別に隠すような事でもない――が、さりとて明け透けに放言するような事でもない。
隠すのはちょっとダサい気がするが正直に話しても絶対居心地の悪い事になる。

『島国ですよ!? いけないじゃ――ん!!』

結局――エンバースはだんまりを決め込んだ。
今の自分が事の真相を知っているプレイヤーからどう見えているかについては――考えない事にした。

『んーまぁ確かに……二巡目で行ったとこは二巡目プレイすりゃ良いって説もある。
 この広大なアルフヘイムで、大量に用意されたサブクエを踏まないってのも宣伝的には勿体ねえよな。
 とりあえず二巡目のメインクエを洗い出してみるか。そんで省けそうなとこを考えてみよう』

『とりあえずガンダラは省けるな。燃料は今んとこ十分ある。マル公もシナリオどおりなら向こうから接触してくる……。
 直近で必要なのは『人魚の泪』だな。現物だけじゃなくて、力を開放するにはマリーディア周りのイベント達成が条件だ』

「カザハ、今回はアレ持ってないのか?攻略本。細かいシナリオの流れとか確認したいんだ。
 ガンダラに行った事を何故か知ってた辺り、ニ巡目のシナリオの記憶はあるにはあるんだろうけど。
 なんで知ってるか分からない記憶って……こう、モヤモヤしててやり難いんだよな」

みんなもうろ覚えな部分があったら読んどけよな、とエンバース。
これで全員が自分がいなかった土地や場面についての記憶を完備していても何もおかしくなくなった。

『このままリバティウムへ行こうぜ。アイテムの取りこぼしが出るようなら鉄道でガンダラにもすぐ戻れるからよ』

「そうしよう。けど、あまり楽しい時間は過ごせそうにないぜ。
 改めてシナリオと設定を確認したけど……攻略までそう大してかからなさそうだ――」




『あれ……?なんかカジノのデザイン違わない……?』

「――よし、前言撤回だ。なんだか雲行きが怪しくなってきた」

『やべぇ……やべえやべえぞこれは!まさか!!』
『あら、随分と元気の良いお客さんねン』
『ま、混ざってるーーーーっ!?』

「なんだ、どうなってる?……バグってるのか?ガンダラをクリアせずにスキップしたから?」

85embers ◆5WH73DXszU:2025/06/07(土) 22:47:44
『ギャンブルの結果に納得できず直談判……ってところかしら。
 でもダメよ。ここの賭けはすべてこのガブリエッラが責任もって公平に管理してるし、誰か一人を特別扱いなんてしない。
 ……ウフフ。せっかくVIPルームまでお越しいただいたんだもの、アタシが手づから接待してあげちゃう』

「――おいちょっと待て。思い出してみてくれ…………いや、ダメだ!
 俺あんまりマスターとイイ感じの思い出がないぞ!それ自体は幸運な事かもしれないけどさ!」

『またのご来店をお待ちしているわ、お客様』

「――来るぞ!」

直後に響く激突音/放射状に爆ぜる衝撃波/蹂躙される内装。
ジョンがマスターのタックルを食い止めていた。

「……これはこれで需要がありそうな絵面……なのか?」

『確かに今のは明神が悪かった!!!だが!!僕じゃなかったら死んでるぞ!』
『あら……あなた案外やるのね?』
『僕達は…ただ…えっと…人魚!人魚のなんとかが…!なんとかするってきいて…!』

「さっき攻略本読んどけって言ったろ!?なんだ?カザハに読み聞かせしてもらわなきゃご本も読めないのか!?」

『ふむふむなるほど…事情把握したわ…けど…【誠意】が足りないんじゃないかしら?…んふぅゥウ!!!』

マスター=ラブリーかつマッシブなポーズ/そこから放たれる桃色の魔法。
エンバースはダインスレイブをそれを吸収――

『うぇ!?…ん?なんだこれ…服が…!』

瞬間、ダインスレイブが黒いシックなリボンとレースでデコレーションされた。
見れば魔法の直撃を受けたジョンは全身バニーコーデにされている。

『ここは『魔銀の兎娘(ミスリルバニー)亭』…それもそのVIPルームよ?ならあるがままの…バニー姿で話すべきよ!そうでしょ?』
『誰か僕を殺してくれ…』

「なんだこのクソ魔法……こんなん新規実装してる暇あったらバグ取りしろよアホバロール。
 ……いや、逆にバグフィックスを優先してないって事は、バグ利用も前提のRTAをしろって事なのか?」

エンバースが暫し考え込む。
ふと抗議の声めいた共鳴音=ダインスレイブ(バニースキン)が震えている。
どうやらコーディネートが不満らしい。エンバースは再び数秒考え込んで――

「とうっ」

先ほど吸収した桃色魔力を明神に向けて解放した。
フローラルな香りと桃色の煙が一瞬弾けて、バニー姿の明神が爆誕した。

「あは、あはははははは!いいぞ、ピックアップ募集だ!なあ聞こえてるか!
 バニー明神とバニージョンでピックアップ募集しようぜバロール!」

ひとしきり笑った後、エンバースはマスターへと向き直る。

86embers ◆5WH73DXszU:2025/06/07(土) 22:47:57
「はー、おもしろ……さて。さっきは前言撤回って言ったが、やっぱりそれも撤回するよ。
 想定外のバグはあったが、結局のところこのチャプターのクリア条件は極めてシンプルだ」

ダインスレイブが一閃――マスターのバニースーツのみを精密には切り裂く/はだけさせる。
野太い悲鳴/身体を両腕で隠してしゃがみ込む巨漢。
隠し切れない地肌――そして無数の縫い目/複数の魔物の体組織。

「よし、ちゃんとそこにいるんだな。なら話は早い。さあ思い出せ。お前の望みと結末についてだ。
 正直、お前の所業を考えれば、最後に一目会えただけでも過ぎた幸運だったと思うけどさ。
 このバグったシナリオの中でなら、もっといいエンディングに辿り着けるかもしれないぞ」

ニ巡目の記憶を刺激。
マスターの顔グラフィック、その左半分がぼやける――ライフエイクへと変貌する。
ムサラマ・レイルブレードを召喚/ダインスレイブを納刀=魔力を急速チャージ。

「闘技大会を開くのはマリーディアを召喚する魔力を確保する為……。
 だが今の、三巡目の俺なら……それくらいのエネルギーは一人で発揮出来る。さあ、門を開け」

鞘に設置されたインジゲータランプが赤く点灯。
居合の構え=見せつけるように大仰に。

「さもないと――危ないぞ」

ライフエイクが右手を突き出す/境界門が開く。
そこに打ち込まれる電磁抜刀ダインスレイブ。
超高密度の魔力刃が門に組み込まれた召喚術式へと充填。
人魚の女王、マリーディアを現世へと呼び戻した。

「よしよし、これでめでたく感動の再会――」

そして再び現世へと舞い戻ったマリーディアが最初に目にしたのは――



――かつての恋人の顔半分がオカマっぽくなっていて、ついでにおはだけバニースーツを着ている姿だった。
響く絶叫。マリーディアはブチギレた。

「あー…………こういう感じか」

カジノの外からミドガルズオルムの咆哮が聞こえる。そちらも心なしか不機嫌そうだ。

「けど……同じ超レイド級のタイラントをイクリプスの小隊がぼちぼち倒せる事を考えると……
 今の俺達なら普通に倒せるだろ……まあ、俺は炎属性だし今回は後衛に回るけど……」

87カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2025/06/13(金) 21:53:02
>「そうだろうね。自分で言うのもなんだけど僕なんてどう考えても面白外人枠だし…
…なんならカザハが人気キャラだからついでに選ばれた可能性も…」

カザハ「あれ? むしろ自分、他の人気キャラの引換券さんとか色違いバージョンとか
    逆に「全く似てないやん!」とかネタにされてそうな枠だったような……。
    でも……そんなキャラいないよな……」

(とか言いながらナチュラルにジョン君をよしよしする)

>「とりあえずガンダラは省けるな。燃料は今んとこ十分ある。マル公もシナリオどおりなら向こうから接触してくる……。
 直近で必要なのは『人魚の泪』だな。現物だけじゃなくて、力を開放するにはマリーディア周りのイベント達成が条件だ」

(ガンダラで散々な目に遭った明神さん的にはそりゃ当然省きたいだろう!
何はともあれ、次の目的地は決まった!)

>「あれ……?なんかカジノのデザイン違わない……?」
>「やべぇ……やべえやべえぞこれは!まさか!!」
>「あら、随分と元気の良いお客さんねン」
>「ま、混ざってるーーーーっ!?」

カザハ「なんてこった! マッチョバニーからは逃れられない仕様なのか――ッ!」
カケル「明らかに喜んでますよね!?」

>「ギャンブルの結果に納得できず直談判……ってところかしら。
 でもダメよ。ここの賭けはすべてこのガブリエッラが責任もって公平に管理してるし、誰か一人を特別扱いなんてしない。
 ……ウフフ。せっかくVIPルームまでお越しいただいたんだもの、アタシが手づから接待してあげちゃう」
>「またのご来店をお待ちしているわ、お客様」

(突進してきたマスターと、割って入ったジョン君が激突する!)

>「確かに今のは明神が悪かった!!!だが!!僕じゃなかったら死んでるぞ!」
>「僕達は…ただ…えっと…人魚!人魚のなんとかが…!なんとかするってきいて…!」

>「ふむふむなるほど…事情把握したわ…けど…【誠意】が足りないんじゃないかしら?…んふぅゥウ!!!」
>「うぇ!?…ん?なんだこれ…服が…!」
>「ここは『魔銀の兎娘(ミスリルバニー)亭』…それもそのVIPルームよ?ならあるがままの…バニー姿で話すべきよ!そうでしょ?」

(マスターの謎スキルが炸裂し、ジョン君はバニー姿になった!)

>「誰か僕を殺してくれ…」

カザハ「だ、大丈夫だよ、それも似合ってるから……!」(←慰めてるつもり)
カケル「余計落ち込みますよ!?」

>「なんだこのクソ魔法……こんなん新規実装してる暇あったらバグ取りしろよアホバロール。
 ……いや、逆にバグフィックスを優先してないって事は、バグ利用も前提のRTAをしろって事なのか?」
>「とうっ」

(エンバースさんの攻撃(!?)により、明神さんもバニー姿になった!)

>「あは、あはははははは!いいぞ、ピックアップ募集だ!なあ聞こえてるか!
 バニー明神とバニージョンでピックアップ募集しようぜバロール!」

88カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2025/06/13(金) 21:53:53
カザハ「た、確かに……一部の層には大ウケしそう……!」
カケル「あなた、明らかにその大ウケする層のうちの一人ですよね!?」

(他人事のような顔をしているカザハだが、ヘッドギアからウサ耳が生えている!
胴体は無事だったが、頭だけ攻撃を防ぎ損ねて掠ったと思われる!)

カケル(面白いから黙っとこう……)

(真顔に戻ったエンバースさんが話をサクサク進める)

>「はー、おもしろ……さて。さっきは前言撤回って言ったが、やっぱりそれも撤回するよ。
 想定外のバグはあったが、結局のところこのチャプターのクリア条件は極めてシンプルだ」
>「よし、ちゃんとそこにいるんだな。なら話は早い。さあ思い出せ。お前の望みと結末についてだ。
 正直、お前の所業を考えれば、最後に一目会えただけでも過ぎた幸運だったと思うけどさ。
 このバグったシナリオの中でなら、もっといいエンディングに辿り着けるかもしれないぞ」
>「闘技大会を開くのはマリーディアを召喚する魔力を確保する為……。
 だが今の、三巡目の俺なら……それくらいのエネルギーは一人で発揮出来る。さあ、門を開け」
>「さもないと――危ないぞ」
>「よしよし、これでめでたく感動の再会――」

(半分オカマバニーを目撃したマリーディア、ブチギレた!)

>「あー…………こういう感じか」

(ブチギレたミドガルズオルムが召喚された!)

>「けど……同じ超レイド級のタイラントをイクリプスの小隊がぼちぼち倒せる事を考えると……
 今の俺達なら普通に倒せるだろ……まあ、俺は炎属性だし今回は後衛に回るけど……」

(外に出てみると、海に巨大なミドガルズオルムが出現している!
過程はいろいろ酷かったが、ここは二巡目と同じ流れだ! でも何かがおかしい)

カザハ「なんかさ……グラフィックが、雑じゃね!? ニ〇テンドウ64か初代PS初期みたいになってるよ!?」

(3Dグラフィック黎明期の、大きめのパーツ繋ぎ合わせたような感じのやつになってる)

カザハ「きっと、ああいうでかいのうねうね動かすの大変だから、予算削られちゃったんだ!
    みのりさんいないしどうやって倒そう。流石にでかすぎてスプレー引火作戦は使えなさそうだし……。
    確かあの時……明神さん達はライフエイクのほうと戦ってたんだよね。
    飛行系キャラじゃないと立ち回り厳しいかもだからとりあえず行ってみるね」

(馬型になったカケルにまたがって、とりあえず突撃する。
 シナリオの雰囲気に合わせてノリも初期の突撃バカ寄りに戻されているらしい!)

カザハ「パーツ繋ぎ合わせたように見える……ということはもしかして……エアリアルウェポン!」

(巨大なハンマーを生成する。それをパーツの一つにむかって振るうと、スコーン!とだるま落としのようにパーツが吹っ飛んだ!)

カザハ「あっ、そういう感じ!?」(調子に乗って次々パーツを吹っ飛ばす)「あれ……?」

(ふと気付くと、吹っ飛んだパーツ(円柱形)が、タイヤのように高速回転しながら一行のほうへ突っ込んでいってる!
タコとかイカって切った足がしばらく動いてるけど、多分そんな感じのやつ!)

カザハ「ぎゃああああああああ!! 避けてええええええええええ!!」

89明神 ◆9EasXbvg42:2025/06/16(月) 00:57:28
マスターの砲弾じみたタックルが俺を狙う。
そこへジョンのカバーが間に合った。筋肉同士の激突する音が臓腑を揺るがす。

>「確かに今のは明神が悪かった!!!だが!!僕じゃなかったら死んでるぞ!」

「むしろなんで生きてんだよお前はよ……」

いや生きてて良かったんだけどさぁ!トラックの玉突き事故みてえな音がしましたよ今!?
こいつもうトラックに轢かれても異世界転生は出来ねえな。異世界来てっけど今。

>「……これはこれで需要がありそうな絵面……なのか?」

隣でエンバースが信じられないくらい雑なコメントを漏らす。
ビビるわお前……全肯定Botかなんかなの?

>「僕達は…ただ…えっと…人魚!人魚のなんとかが…!なんとかするってきいて…!」

ジョンがびっくりするくらい要領を得ない説明をする。
マスターはそれを聞いて合点がいったようだった。なんで……?

>「ふむふむなるほど…事情把握したわ…けど…【誠意】が足りないんじゃないかしら?…んふぅゥウ!!!」

瞬間、マスターから放たれるピンク色のビーム!
回避(軽装ローリング)に成功した俺と違い、ジョンはそれをまともに食らった!

>「ここは『魔銀の兎娘(ミスリルバニー)亭』…それもそのVIPルームよ?
  ならあるがままの…バニー姿で話すべきよ!そうでしょ?」
>「誰か僕を殺してくれ…」

五体を投げ出して倒れ込むジョン。
そしてその均整の取れた肉体美には――ぴっちりしたバニースーツを纏っていた。

「う、うわっ、うわああああ!バニーが伝染ったぁ!?」

やべえ。早くも状況がカオスに飲み込まれてきた!
誰が得するんだよこの光景!視聴者諸兄の困惑が画面越しに伝わってくるようだ。
企画倒れの匂いがプンプンするぜェーッ!

>「だ、大丈夫だよ、それも似合ってるから……!」

クソっ2体目の全肯定Botが出現しやがった!しょうがねえ俺もちょっとだけ肯定するわ……。

「イケメンマッチョバニーには需要が存在するはず!
 ジョン君にはバニーVerとしてこの先の人生を歩んでもらう他あるまい!」

>「なんだこのクソ魔法……こんなん新規実装してる暇あったらバグ取りしろよアホバロール。
 ……いや、逆にバグフィックスを優先してないって事は、バグ利用も前提のRTAをしろって事なのか?」

エンバースが何事か思案げに呟く。その手にはキレイにラッピングされた魔剣があった。
あっこいつ!魔剣に吸わせて難を逃れてやがる。

「発動後の魔法も吸えるんだねそれ……。ジョンのバニーも吸ってやれよ。ディスペルディスペル」

と、ここで俺はついエンバースに話しかけてしまった愚を悟った。
ダインスレイヴが吸った魔法はそのまま手元で滞留を続けている。
どこかにそれを捨てる必要があって……エンバースの視線が俺に向いた。

90明神 ◆9EasXbvg42:2025/06/16(月) 00:58:06
>「とうっ」

「ぐあああああああ!!??」

エンバースがぺいっとほっぽり出した魔法が直撃した。
地球から持ち込んだ背広が爆散し、代わりにラバーめいた光沢のあるバニースーツが身体を包む。
とうっ。じゃねンだわ!お前そんな元気の良いキャラじゃなかっただろ!?

>「あは、あはははははは!いいぞ、ピックアップ募集だ!なあ聞こえてるか!
 バニー明神とバニージョンでピックアップ募集しようぜバロール!」

「酔っ払ってんのかオメーはああああ!!
 ブレモンRTAが15禁のちょっとエッチなゲームになっちまうじゃねえか!」

俺達の露出度上げてどうすんだよ!
本編のクールでニヒルないけ好かねえ陰キャのエンバースはどこ行った!

「おいやべえぞこいつが一番ハメ外してんじゃねえか。
 エンバース(陽キャVer)実装でトリプルピックアップでもする気か!?」

>「た、確かに……一部の層には大ウケしそう……!」

「逆に平常運転でこんだけイキイキしてるカザハ君はなんなんだよ……」

曲がりなりにも生物学上おそらく女キャラであろうこいつがバニー回避してんのおかしいだろ。
若干回避出来てねえけど。うさ耳がちょっといい感じデザインにまとまってるしよぉ。

>「はー、おもしろ……さて。さっきは前言撤回って言ったが、やっぱりそれも撤回するよ。
 想定外のバグはあったが、結局のところこのチャプターのクリア条件は極めてシンプルだ」

で、凄まじく長い余談の果てに話が本筋に戻る。
エンバースがマスターのおべべをひん剥くと(やべーぞ!)、その素肌には色んな魔物が縫い合わされていた。
――『縫合者(スーチャー)』。ライフエイクの魔物としての個体名。
バグった関係でごちゃごちゃ混ざっちゃいるが、奴は確かにマスターの中に存在した。

エンバースの指示のもとライフエイクが門を開く。
そこにダインスレイブの一撃を叩き込み、晴れてマリーディアとのご対面となった。
結婚詐欺師との再会にウキウキでやってきたマリーディア。
そこにいたのはマスターと融合してブラクラみてえになったライフエイクだった。

マリーディアはいきなりキレた。

>「あー…………こういう感じか」

「そりゃそうだろ過ぎる……」

そんなこんなで結局俺達はキレ散らかしたミドやんを鎮めるべくレイドバトルに挑むハメとなった。

>「けど……同じ超レイド級のタイラントをイクリプスの小隊がぼちぼち倒せる事を考えると……
 今の俺達なら普通に倒せるだろ……まあ、俺は炎属性だし今回は後衛に回るけど……」

「こいつ……引っ掻き回すだけ引っ掻き回した挙げ句引っ込みやがって……」

91明神 ◆9EasXbvg42:2025/06/16(月) 00:58:26
>「なんかさ……グラフィックが、雑じゃね!? ニ〇テンドウ64か初代PS初期みたいになってるよ!?」

「うわぁ……ローポリミドやんだぁ……カスみてえなスペックのグラボ使ってんじゃねえだろうな」

おしまいだよォ!デザインの使い回しどころかまともに描画も出来てねえじゃねえか!
よくこんな開発体制で企画スタートできたな!?見切り発車にも程があるだろ。

カザハ君がカケル君といっしょにミドガルズオルム(低スペVer)へ突撃する。
生成したハンマーでぶん殴ると、動くヘビのおもちゃみたいにカクカクのパーツが一個吹っ飛んだ。
脱落したパーツはまだ生きていて、ウネウネのたうちながら高速でこっちに飛んできた。

>「ぎゃああああああああ!! 避けてええええええええええ!!」

「うおわあああああ!?」

「ぬぅン☆」

身を竦ませる俺の隣から太い腕が伸びて、小岩のような拳がローポリの断片をぶん殴る。
ミドやんのパーツが明後日の方向へすっ飛んでいった。

「ま、マスター!身体の主導権を取り戻したのか!」

「やぁね。人の顔を見るなり発狂するなんて、あの人魚姫……ちょっと傷ついたわ。ちょっとだけね」

さっきまで『表』に出てたライフエイクは身体の一部に戻り、今はマスターが顔を出している。
こいつらがどういう経緯で縫合者として混ざりあったのかは知らんが、多分そういう背景設定みたいなのは特にないんだろう。
バグで生まれたモンスターだしな……。

「……ていうかマスターすげえ格好だな!?ごめんねウチの子が服刻んじゃって」

エンバースにひん剥かれたマスターは半裸の状態だった。
上半身は完全に露出し、下半身は刻まれたバニースーツを巻き付けるように保持している。
うさ耳の、筋骨隆々の、黒いフンドシ一丁のおっさんがそこに居た。

「でもなんだか懐かしい、この感じ……。アタシはカジノの経営者。夢追う者を奈落へ誘う非道の仕事。
 なのに今、この身体は……あの子の悲しみに寄り添おうとしてる」

いくつもの魂が混ざりあった『縫合者』。主体となってるのはライフエイク、そのはずだ。
だが今、俺の眼の前に居るのは――ガンダラで俺に寄り添ってくれた、あの姿。
客の吐き出した悲しみを受け止め、一杯の酒で洗い流す、マスターの姿だ。

「お酒はね、傷の消毒にも使えるの。心の傷だって、きっとお酒で洗えるはずよ。
 荒ぶり続けるあの子の悲しみが何もかもを壊してしまう前に……アタシが洗ってみせるわ」

やることは決まった。
低スペミドやんのパーツ全部ぶっこ抜いて、本体をもう一度引きずり出す。
ミドガルズオルムをボッコボコにぶん殴って、大人しくさせるんだ。


【キレ散らかしてるマリーディアにマスターの人生相談をぶつける→ミドやんのパーツ全部ぶっこ抜いて本体を露出させよう】

92ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/06/22(日) 03:52:08
>「だ、大丈夫だよ、それも似合ってるから……!」

カザハが倒れ伏した僕にフォローを入れる。
似合ってるかどうかじゃないんだよ…本当に嫌なんだこの恰好…

「どんなに頑張っても脱げないしさぁ!」

僕は魂の叫びをよそに、物語は進んでいく。

>「ぐあああああああ!!??」

>「あは、あはははははは!いいぞ、ピックアップ募集だ!なあ聞こえてるか!
 バニー明神とバニージョンでピックアップ募集しようぜバロール!」

「僕達の性が大安売りだな明神…ハハハ」

半ばあきらめの境地に達していた。

>「よし、ちゃんとそこにいるんだな。なら話は早い。さあ思い出せ。お前の望みと結末についてだ。
 正直、お前の所業を考えれば、最後に一目会えただけでも過ぎた幸運だったと思うけどさ。
 このバグったシナリオの中でなら、もっといいエンディングに辿り着けるかもしれないぞ」

正直説明を受けても尚…ストーリーの進行は僕にはよくわからないが…
そこはエンバースと明神に任せておこう…とにかく僕が今したいのは…

「頼む…誰が殴らせてくれ…!!」

ヒッ

バロールの息をのむ音が聞こえた気がしたが、どうせお前無敵なんだろ…!!

>「よしよし、これでめでたく感動の再会――」
>「あー…………こういう感じか」

僕が服を引きちぎろうとしたその時外から巨大な叫び声が聞こえてくる。
どうやらエンバースが必要な事を必要なだけやったようだ

「どうせ万事何事も解決とは思ってないさ…それで…殴っていいのはどれだ?」

ビキビキデクサ~!

くそムカツク声が聞こえた気がしたが無視をして外に出る。

93ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/06/22(日) 03:52:22
>「なんかさ……グラフィックが、雑じゃね!? ニ〇テンドウ64か初代PS初期みたいになってるよ!?」

なんていうか…図形を組み合わせたような姿の巨大な蛇(?)が海にいた。

>「きっと、ああいうでかいのうねうね動かすの大変だから、予算削られちゃったんだ!
    みのりさんいないしどうやって倒そう。流石にでかすぎてスプレー引火作戦は使えなさそうだし……。
    確かあの時……明神さん達はライフエイクのほうと戦ってたんだよね。
    飛行系キャラじゃないと立ち回り厳しいかもだからとりあえず行ってみるね」

「ちょっと待てカザハ!一人じゃ危ないぞ!」

静止を振り切りカザハが一人でミドガルズオルム?に突撃する。
カザハの攻撃は調子よく図形のようなパーツを剥がすが…。

>「ぎゃああああああああ!! 避けてええええええええええ!!」

悲鳴が聞こえるよりも先に、カザハの攻撃よって飛ばされたパーツがこちらに目掛けて飛び込んでくる。
まずい…このままじゃ街に被害が…そう思ってた時

>「うおわあああああ!?」
>「ぬぅン☆」
>「ま、マスター!身体の主導権を取り戻したのか!」
>「やぁね。人の顔を見るなり発狂するなんて、あの人魚姫……ちょっと傷ついたわ。ちょっとだけね」

フンドシ…いやいやなんか感動的な話してるっぽいし…目の前に危険は迫ってるしで気にしてる余裕はない。

しかしあんな巨大な蛇にどうやって有効打を入れるか…
部長で突進してもいいが大量の欠片が飛び散るのは街に被害が出てしまうので理想的ではない…となれば

「ううーーーむ………あっ!」

これは我ながら名案かもしれない!
僕は部長の背に乗り!欠片の問題をどうするか迷っているカザハに近寄る

「カザハ!引きはがした欠片こっち向かって飛ばせるか!?多少雑でもいい!」

僕の声に反応したカザハはハンマーで欠片を僕に向かって飛ばす。

「生物に向かってどんでいく性質は…こちらには好都合!雷刀!プレイ!」

僕は空を飛ぶ部長の背で仁王立ちすると…雷刀をバットのように持ち、そして野球選手のように構えた。

「男の勝負はストレート一直線!!!!」

雷刀の面の部分を力が一番伝わりそうな部分に当て、そして僕の全身全霊の力で降りぬく!

カキイイイイイイイン!

小気味というには凄い巨大な音と衝撃波を発生させながら巨大モンスターの欠片(?)は元の持ち主へと吹っ飛んでいく。

「同じ質量を衝突させればいい…」

僕のフルスイングから弾き返された欠片は元の持ち主の別の部位に命中し、命中した部位ともども粉々に砕け散る。
流石に人間の小指にも満たない小さい欠片では攻撃機能を維持できないのか…海にポトポトと落ちていく。

完璧な作戦だと胸を張ったその刹那

巨大な蛇(?)ミドガルズオルムはその巨大からは想像もできない軽快さで空中に跳ぶ
いくら巨体で俊敏とは言え…攻撃そのものは回避できる…だが…ミドガルズオルムがいる場所は…海だ。

着地すると共に巨大な水しぶきと共に…水(?)が人間に向かって飛んでくる

「この巨体で…まずい!!………ん?これ本当に水か?」

ミドガルズよりもひどく、表面だけのハリボテ…それに海のテクスチャが貼り付けてあり…表面上は津波に見えるがその実は薄っぺらい紙のようだった
ゲームにはコスト削減の為に水の表現は削られがちという裏事情をゲームに詳しくない僕は知る由もなかった…。

「…?ハリボテ?」

水というにはあまりにもお粗末なそれに…僕は手を伸ばす

「なんだよこのハリボテ!やる気ないの…オボボボボボボ!!」

ハリボテの津波のような絵に触れた瞬間僕にはまるで津波に飲まれたようなダメージを受けた。

94embers ◆5WH73DXszU:2025/07/01(火) 20:48:03
『なんかさ……グラフィックが、雑じゃね!? ニ〇テンドウ64か初代PS初期みたいになってるよ!?』
『うわぁ……ローポリミドやんだぁ……カスみてえなスペックのグラボ使ってんじゃねえだろうな』

「なんだ……?ネタが古いぞ!こんなゲーム開発者かオッサンしか盛り上がれないネタ!正気か!?」

不意に迫るローポリミドやんの輪切り肉。
それを殴り飛ばすガンダラのマスター。

『ま、マスター!身体の主導権を取り戻したのか!』
『やぁね。人の顔を見るなり発狂するなんて、あの人魚姫……ちょっと傷ついたわ。ちょっとだけね』

「無茶言うなよ。アンタ今すごい――」

『……ていうかマスターすげえ格好だな!?ごめんねウチの子が服刻んじゃって』

「――すごいイカした格好してるからな。明神さんはオッサンだから知らないだろうが、
 これは、あー……ええと……そうだ。因幡の白バニーって言って今流行りのスタイルなんだぜ。
 多分そのうちガチャでも実装されるんだろうな……明神さん(逆バニー)とかが」

何故明神なのかと言えば、女性キャラクターでこれをやったら流石にアウトだからだ。

『でもなんだか懐かしい、この感じ……。アタシはカジノの経営者。夢追う者を奈落へ誘う非道の仕事。
 なのに今、この身体は……あの子の悲しみに寄り添おうとしてる』

「なんだ、どうした?……ガンダラ編のクエスト主導役としての機能が働こうとしているのか?」

『お酒はね、傷の消毒にも使えるの。心の傷だって、きっとお酒で洗えるはずよ。
 荒ぶり続けるあの子の悲しみが何もかもを壊してしまう前に……アタシが洗ってみせるわ』

「……いや、今のはちょっと野暮だったな――オーケイ、マスター。力を貸してくれ」

『カザハ!引きはがした欠片こっち向かって飛ばせるか!?多少雑でもいい!』

「ああ。力を貸してくれってのは勿論アドベンチャーパートの事だ。バトルの方は――」

『生物に向かってどんでいく性質は…こちらには好都合!雷刀!プレイ!』
『男の勝負はストレート一直線!!!!』

「――もうすぐ終わる」

『なんだよこのハリボテ!やる気ないの…オボボボボボボ!!』

「……ったく。何遊んでんだよ、ジョン。カザハと連携するならもっと上手いやり方があるだろ?」

エンバースがダインスレイブを掲げる。
戦場に満ちる激流が指向性を得て魔剣へと吸い寄せられていく。
そこにエンバース自身の聖火が混ざる/猛烈な勢いで水蒸気が爆ぜる。

そしてその蒸気の爆風もダインスレイブの支配下にある。
蒸気と熱気を帯びた爆風は渦を巻きながら上空へと拡大していく。
更にジョンの雷刀から稲妻を巻き上げて――ジョン自身をも空高くへと打ち上げる。

95embers ◆5WH73DXszU:2025/07/01(火) 20:49:10
「カザハ、上手い事コントロールしてやれよ。でないとジョンは海の彼方だ」

暴風と稲妻がミドガルズオルムを飲み込んで、その巨体を封じる檻と化した。

「そう。これが一番効率の良いやり方だ。ダルマ落としを最速でクリアするなら――真上から叩けばいい。
 吹っ飛ばされたダルマ?肉片?もハリケーンの中で反射するから街への被害も最小だ。多分これが一番早いと思います」

この場合、ハンマーに相当するのは当然――上空に打ち上げられたジョンになる。
さておき使命を果たしたジョンは遠心力によって竜巻から放り出された。
それから更に暫くすると竜巻が徐々に勢いを失って――風のカーテンが取り払われると、そこにはマリーディアがいた。
煙幕とかで視線が遮られてると具体的にどんな感じに出てきたのかを省略出てきて本当に便利だ。

「よし、出番だマスター」

エンバースがスマホを操作。インベントリからアイテムを召喚。
キンキンに冷えたフロウジェン・ロックを二瓶――マスターに投げ渡す。

「悪いがこっちはRTAの最中でな。湿っぽいムービーはスキップさせてくれ」

空いた右手にダインスレイブを再び装備。

「いや、本当は俺も言葉を尽くしてアドベンチャーパートを堪能したいと思ってるんだぜ。けどなぁ――」

そして振り返る。獲物を前にお預けを食らった猛獣のような――濃密な強敵の気配に。

「『まだこのチャプターのボスを倒せていない』んだ」

霧散した竜巻の残滓を受けて揺らめく金髪――エンバースが牙を剥くように笑う。

「のんびり遊んでる暇はない。さあ、やろうぜ」

その笑みの先に【金獅子】ミハエル・シュバルツァーが。
それとなんか津波に巻き込まれたのか濡れ鼠状態のローウェルがいた。

『へ……へくちっ!なのです〜!こーのバカタレどもー!
 RTAの最中に水遊びなんかしてんじゃねーなのです!』

「へへ、みんな正直に言おうぜ。忘れてただろ、コイツらの事。困るな。
 水属性の超レイド級、ミドガルズオルムは確かに重要なオブジェクトだが――」

エンバースの双眸が紅く燃える。バトルマニアの狂気の色。

「ミハエル・シュバルツァーが鍛え上げた堕天使と……それに何よりイブリースだ。
 アイツは『門』が使える。RTAをするならまず門の使い手を確保しないと話にならない。だろ?」

形成位階・門(イェツィラー・トーア)。
飛空艇なんて比べ物にならない移動手段。ニヴルヘイム産の傑作魔法。

「問題は――」

『――おい、ハイバラ。これ以上僕を待たせるな。苛つかせるな。失望させるな。
 あの日、世界大会に君は来なかった。あれから二年。
 やっと僕の前に姿を見せたかと思えば……そんな無様なナリでよくヘラヘラしていられるな」

エンバースが深く溜息を吐く。

「オイオイオイオイ何してる、バカタレはお前だローウェル。
 なんでソイツの記憶を戻さなかった?今の俺とこの時点のソイツが勝負になるかよ」

『うるせー!んなこた分かってるのです!けど記憶を戻したってお前らが仲良くデュエルして終わるだけに決まってるのです!
 そもそも最近じゃ月一で日本に遊びに行ってるアホタレがどのツラ下げてこのシナリオに敵役で出演しやがったのです!』

96embers ◆5WH73DXszU:2025/07/01(火) 20:52:03
『待て、何を言ってる?記憶を戻す?仲良くデュエル?……月一で日本に?
 何の話をしているんだ。まさか僕の事を言っているのか?
 からかうのはよせ、ローウェル……僕は誰とも馴れ合わない』

「いや、朧げだけど思い出せるぞ。お前さあ、こっち来る時荷物になるからって
 マジでタブレットとパスポートと財布しか持ってこないのやめろってば。部屋着が無限に増えてるんだよ。
 なんでウチのゲーミングハウスにお前専用のクローゼットが設置されようとしてるんだよ。プレミア付けて売れないかなアレ」

『部屋着が……?はっ、まるで僕が他人と生活スペースを共有しているかのような口ぶりだな。あり得ないね』

「こないだは「二度とマックは食べない。モスバーガーならギリギリ我慢してやる」とか言い出すし」

『モス……?ふざけるなよ。マンガやアニメのお嬢様じゃないんだ。あんなジャンクフードを僕が口にするものか』

「ホラもう比喩表現がちょっと日本寄りになってるじゃねーか」

ところでアルフヘイムのブレイブ各位が抱くミハエルへの忌避感は
ワールドマーケットセンターの時よりは希薄になっているものとする。
覚えてないけど多分あの後命を賭して道を切り開いたりされたせいで憎むに憎めない感じになってしまったんだと思う。

そういう感じだ。仕方ないだろ。ゆるーくギャグやってくのが主体のこのシナリオで
過去の因縁とかそういうのはノイズになるし雑に流しておこうぜ。

『ええい!もういい!これ以上君の戯言に付き合うつもりはない――』

ミハエルがタブレットを操作。

『――やってしまえ、イブリース!』

そして召喚されたのは――黒く染まった天使の翼と蝙蝠のような魔族の翼。
荘厳な冠を思わせる漆黒の天使の輪。
イブリースと――堕天使を混ぜ合わせたかのような新種のモンスター。

「なんだ、ソイツ……イブリースなのか?またバグってんのか?
 ……いや、分かったぞ。『超融合(ハイパー・ユナイト)』か。
 このバグ自体がアレをより普遍的なカードとしてゲームに導入する為のテストなんだな」

ちなみに超強そうな感じで出てきた新形態のイブリースだが、その真価をここで発揮する事はない。
結局マスターがクソほど慢心してるこの時点のミハエルなので普通にこの後ボコられる事になる。
ミハエル/イブリースをボコる事にそこまで興味がない場合はエンバースがスキップしたムービーの方をフォーカスしてもいい。

「さておき、これで『門』は確保出来たな。ここからはRTAが加速するぞ。明神さん、次はどこ行く?
 スキップしたチャプターのステージとアクターを融合させられるなら、
 ある程度狙ってこのバグを起こしていくのも面白そうだけど――」

『――この僕を前にして!余裕ぶってるんじゃあないぞッ!いいだろう!
 そのくたびれたオッサンがやられた後でもその態度を保てるか試してみようじゃないか――――ッ!!』

イブリース・メタトロン(仮)がスペック任せの雑な攻撃で明神を襲う――!

97カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2025/07/07(月) 23:15:24
>「カザハ!引きはがした欠片こっち向かって飛ばせるか!?多少雑でもいい!」

カザハ「うん!やってみる!」

(ミドガルズオルムのパーツを見事に打ち返すジョン君)

>「この巨体で…まずい!!………ん?これ本当に水か?」
>「…?ハリボテ?」
>「なんだよこのハリボテ!やる気ないの…オボボボボボボ!!」

(ジョン君がローポリな水しぶきに飲まれた!
エンバースさんが、ジョン君を空高く打ち上げる)

>「カザハ、上手い事コントロールしてやれよ。でないとジョンは海の彼方だ」
>「そう。これが一番効率の良いやり方だ。ダルマ落としを最速でクリアするなら――真上から叩けばいい。
 吹っ飛ばされたダルマ?肉片?もハリケーンの中で反射するから街への被害も最小だ。多分これが一番早いと思います」

カザハ「えっ!? 上から全部くずすのってダルマ落としって言わなくない!?
   うまいことコントロールって言われたって……」

カケル(手を取り合って一緒にダイブすればいいんじゃないですかね? ……あっ、駄目か……)

(残念、今のジョン君はバニーだ! 全く絵にならない! 大宇宙の法則によりラブコメ演出が阻止された!)

(尚、男キャラばかりバニーになっている理由としては
曲がりなりにも女キャラ?がバニーになると、令和の時代においてはコンプラ的に問題があるからかと思われる。
ちなみに精霊が、性別以前に生物の定義に該当するかという点は議論の余地があるが、
ぱっと見イメージ的に生き物っぽいので「生物の定義を更新しなければならないのではないか」とか生物学会に激震が走っているとかいないとか)

カザハ「そうだ! カケルが背中に乗せて突撃すればいいんじゃない!? 白馬に乗った王子様的な! マリーディアって女王様だし丁度いいじゃん!」

(スチャッとカケルから降りてジョン君を代わりに乗せる)

カケル(えっあっ……)

(ミドガルズオルムのパーツを弾き飛ばしながら垂直落下するジョン君onカケル。それを浮遊しながら観察するカザハ。
ミドガルズオルムが弾き飛ばされると、そこにはドン引きで放心状態のマリーディアがいた!)

98カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2025/07/07(月) 23:16:21
カザハ「ステータス異常放心! チャンスだ!」

(カケルは、放心状態のマリーディアを乗せてマスターのもとまで連れて行く)

>「悪いがこっちはRTAの最中でな。湿っぽいムービーはスキップさせてくれ」

(マリーディアは、フロウジェンロックを抱えたマスターに強制連行されていった!
尚、このイベントは本来男性キャラ限定であったが、今はそんな細かい制限は吹っ飛んでいるようだ。
そもそも単に各種デバフが付与されるまで酒に付き合わされて語り明かすだけのイベントなので、女性キャラが対象になったところで何の問題もない)

>「いや、本当は俺も言葉を尽くしてアドベンチャーパートを堪能したいと思ってるんだぜ。けどなぁ――」
>「『まだこのチャプターのボスを倒せていない』んだ」
>「のんびり遊んでる暇はない。さあ、やろうぜ」

(エンバースさんとミハエルとローウェルの三つ巴のコント(?)の後、イブリースと堕天使が混ざったようなモンスターが現れた!)

>『――やってしまえ、イブリース!』

>「なんだ、ソイツ……イブリースなのか?またバグってんのか?
 ……いや、分かったぞ。『超融合(ハイパー・ユナイト)』か。
 このバグ自体がアレをより普遍的なカードとしてゲームに導入する為のテストなんだな」

>「さておき、これで『門』は確保出来たな。ここからはRTAが加速するぞ。明神さん、次はどこ行く?
 スキップしたチャプターのステージとアクターを融合させられるなら、
 ある程度狙ってこのバグを起こしていくのも面白そうだけど――」

>『――この僕を前にして!余裕ぶってるんじゃあないぞッ!いいだろう!
 そのくたびれたオッサンがやられた後でもその態度を保てるか試してみようじゃないか――――ッ!!』

(ミハエルの雑な攻撃を明神さんは難なくいなしたとおもわれる)

カザハ「日本語の豆知識を教えてあげよう。
    本人を前にした時はどれぐらい年上かに関わらずお兄さん、お姉さんと呼んだ方が無用な争いを防げるんだよ。
    それと、スペック任せの雑な攻撃って敵役の専売特許やねん」

カケル「ミハエル君って外国人だから、さっきのオッサンは自動翻訳のような気がする……!」

ミハエル「貴様は何を言っているんだ。
     令和ファンタジーの代表格である葬〇のフリーレンは、せせこましい小細工をかましてくる敵達を
     主人公パーティー側が問答無用の高スペックで押し切るスタイル――!
     日本人のくせにそんなことも知らないのか!?」

カザハ「はい語るに落ちた――ッ! めーっちゃ日本のアニメ語っとるやんけ――!」

ミハエル「いや、今僕は何を……!? 知らないぞ! モンスターを調理しながらダンジョン踏破するアニメなんて知らないぞ!」

カケル「そういえば、以前馬刺しにされる危機感を感じたことがありましたが、時代の最先端だったんですね……」

ミハエル「やかましい! お前美少女の成りしてるけどどうせ元オッサンだろ! ユニサス令嬢転生おじさんだろ!」

(記憶が戻りかけている……!?)

99明神 ◆9EasXbvg42:2025/07/21(月) 20:07:06
低スペミドやんをボッコボコにする方針が決まったところで、じゃあ実際どうやんのよって話。
フンドシ一丁のおっさんと一緒に頭捻っていると、バニー姿のジョンがピコンと閃いた。

>「カザハ!引きはがした欠片こっち向かって飛ばせるか!?多少雑でもいい!」

「ジョン!!?何するつもりだよお前!?」

振り向けばジョンが刀を手に、何故かバッティングフォームをとっていた。
片足を掲げる一本足打法がサマになっている……が!

「バニースーツで野球すんのってなんか……企画モノみたいだぁ……」

ジョン君は一体どこへ向かおうとしているのだろうか。

>「男の勝負はストレート一直線!!!!」

カザハ君がピッチングしたポリゴンの欠片が飛来する。
それをジョンは刀で打球した。真芯をとらえた音がした。
うおおおお!伸びる!伸びる!フェンス直撃!!ツーベースヒットだ!!!
打ち返された欠片はミドやん本体に着弾し、ウロコとおぼしきポリゴンが散っていく。

「この光景……見たことある!敵の攻撃を弾き返して当てるとダメージ入るタイプのギミックボスだ!」

HPを削られたミドやんがのたうち、海面でバチャバチャ跳ねる。
巨体で行われたその仕草は大海嘯を引き起こし、波濤が俺達のもとへ殺到した!
なんかペラいぞこの水!紙みてえだ。

>「なんだよこのハリボテ!やる気ないの…オボボボボボボ!!」

「がぼぼぼぼ!?」

ペラッペラの水ポリゴンを被って俺とジョンは溺れた。
紙みたいなのは見た目だけで、触れると普通に『水没』のデバフがつくらしい。
と、水没は長く続かなかった。エンバースが魔剣で水流を吸い上げていく。

「なんでも吸えるじゃんその魔剣……もうダインスレイブじゃなくてダイソンだろそれ」

ダイソンの10万円くらいする掃除機ってこぼした飲み物とかそのまま吸えちゃうのよ。
絨毯とか汚しても洗剤ぶち撒けてダイソンで吸えば洗濯いらずなのよ。
世の中高けりゃ良いモノばかりじゃないとは言うけれど、家電に関しちゃ値段と快適性は比例関係だな。

>「そう。これが一番効率の良いやり方だ。ダルマ落としを最速でクリアするなら――真上から叩けばいい。
 吹っ飛ばされたダルマ?肉片?もハリケーンの中で反射するから街への被害も最小だ。多分これが一番早いと思います」

ダインスレイブが巻き上げた水流がエンバースに熱せられて蒸気となり、サイクロン掃除機よろしく渦を形成する。
その渦中に、なぜかジョンも巻き込まれて宙へと舞い上がった。

>「えっ!? 上から全部くずすのってダルマ落としって言わなくない!?」

カザハ君から至極常識的なツッコミが入った。言われてみればそうである。
頭のネジが一本どっか行ったのかはっちゃけ続けるエンバースはどこ吹く風でダルマ潰しを敢行する。
真上からぶっ叩く……ハンマーになったのはジョンと、それから――

>「そうだ! カケルが背中に乗せて突撃すればいいんじゃない!? 
  白馬に乗った王子様的な! マリーディアって女王様だし丁度いいじゃん!」

空中でそれをキャッチしたカケル君だった。唐突な突撃命令にカケル君も困惑気味である。

100明神 ◆9EasXbvg42:2025/07/21(月) 20:07:43
「弟の扱いが雑過ぎるだろお姉ちゃん……」

姉弟ってこういうもんなの?うち男兄弟だからわかんねえわ。
とか言ってるうちにミドやんが崩壊し、中からマリーディアが吐き出された。

>「よし、出番だマスター」

エンバースが酒の瓶を二本放る。受け取ったマスターは既に栓抜きを用意していた。

「任せなさい」

マスターの体から黒い領域のようなものが生み出され、マリーディアを包みこんでいく。
それは結界のように滞留し、他者の侵入と窃視を防ぐ。

「暗転エフェクト……決まったッ!肛門裂傷デバフだ!マリーディアの野郎、明日から一回り太いウンチが出るぜッ!」

まぁ実際は単なる二日酔いデバフがつくまで酒を飲まされるだけの技だけども。
マリーディアがどんな愚痴吐くのかちょっと興味はあるが、わざわざ覗き見することもあるまい。

>「悪いがこっちはRTAの最中でな。湿っぽいムービーはスキップさせてくれ」

そういう感じだ。
で、マリーディアのお悩みを解決したところでクエスト終了とはいかないらしい。
そりゃそうだ。リバティウム編のボスはミドやんじゃない。
なんか急にちょっかいかけてきた奴がいたはずだ。つまり俺達は――

>「『まだこのチャプターのボスを倒せていない』んだ」

そういう感じだ(2回め)。
こんだけシナリオめちゃくちゃになってもちゃんと来るんだなアイツ……。

>「ミハエル・シュバルツァーが鍛え上げた堕天使と……それに何よりイブリースだ。
 アイツは『門』が使える。RTAをするならまず門の使い手を確保しないと話にならない。だろ?」

「それはマジでそう……機関車も馬車も余裕で一月とか使うもんなアレ」

オープンワールドじゃファストトラベルなんか標準実装されてるもんだが、『門』はそれらとも比較にならない利便性を持つ。
なんてったって、『行ったことない場所にもファストトラベルできる』のだ。
ゲームがぶっ壊れるぅ〜〜〜!!

>『――おい、ハイバラ。これ以上僕を待たせるな。苛つかせるな。失望させるな。
 あの日、世界大会に君は来なかった。あれから二年。
 やっと僕の前に姿を見せたかと思えば……そんな無様なナリでよくヘラヘラしていられるな」

「あっ?なになにミハエル君初登場時の記憶のまんまなの?」

じゃあまぁ……馴れ合っても良いことにするか……。
本編で色々やらかす前の、これはIFルートみてえなもんなんだろう。
今後の関わり方によっては人格をまっとうに育て直すこともできるかもしれん。
それはそうと、ローウェルが言うには本編終了後のミハエルはエンバースとなんかよろしくやってるらしい。

101明神 ◆9EasXbvg42:2025/07/21(月) 20:08:50
>「いや、朧げだけど思い出せるぞ。お前さあ、こっち来る時荷物になるからって
 マジでタブレットとパスポートと財布しか持ってこないのやめろってば。部屋着が無限に増えてるんだよ。
 なんでウチのゲーミングハウスにお前専用のクローゼットが設置されようとしてるんだよ。プレミア付けて売れないかなアレ」
>『部屋着が……?はっ、まるで僕が他人と生活スペースを共有しているかのような口ぶりだな。あり得ないね』

「……仲良すぎじゃない?月一パジャマパーティー開いてんの?二人だけで?野郎同士で?」
 部屋に私物置いてるのってもう匂わせだろそれ……誰に対してアピールしてんだよ」

男同士、密室、月一回……何も起きないはずはなく。
まぁ実際なんか起こってはいるんだろう。徹夜でスマブラ大会とかな。
ミハエルが月一で投稿するSNSにいつも同じ他人の部屋が写っていてあっちのファンは阿鼻叫喚かもしれない。

「……ん?ちょっと待って、『ゲーミングハウス』……?
 ゲーム部屋のこと気取ってゲーミングルームとか言うならわかるけど、ハウスってお前」

知らねえ文化だ……もしかしたら世界レベルのゲーマーはゲーム専用家屋を必要としているのか?
俺の問いに、首を傾げたのはミハエルだった。

「なんだその反応。ゲーミングハウスは日本では一般的じゃないのか?
 防音仕様の一軒家なしに、どうやってゲームで蓄積した怒りと向き合うんだ。
 隣人の迷惑を何だと思っているんだ……あり得ないだろ……」

「あり得ないのはお前の情緒だよ」

イライラゲージの開放用だったかぁ……。
ミハエルはそれ以上雑談に付き合うつもりはないらしく、スマホを手繰る。

>『――やってしまえ、イブリース!』

出てきたのはイブリースと堕天使が半々で混ざった感じのキメラだった。
まぁ予想の範囲内ではある。ぐちゃぐちゃになったイベントフラグはまだ治ってないらしい。
じゃあもうミハエルとイブリースも合体させていいんじゃね?

>「さておき、これで『門』は確保出来たな。ここからはRTAが加速するぞ。明神さん、次はどこ行く?
 スキップしたチャプターのステージとアクターを融合させられるなら、
 ある程度狙ってこのバグを起こしていくのも面白そうだけど――」

「んーキングヒルはぶっちゃけ行く必要ねえなあ。バロール居ねえし。クーデターもする相手居ねえし。
 となると順当に行きゃ次はアコライトだけど……なんかマホたんと帝龍が混ざりそうで怖くね?」

なんでも良いけどエンバースお前、せっかく来てくれたお友達スルーしっぱなしで良いのぉ?
俺はもうひと仕事終えた感があるので、インベントリからカップと熱々のコーヒーを取り出して注いだ。

>「――この僕を前にして!余裕ぶってるんじゃあないぞッ!」

「おーキレてるキレてる。大変だねあんたら」

完全に他人事なので俺は心穏やかにコーヒーを啜った。

>「いいだろう!そのくたびれたオッサンがやられた後でもその態度を保てるか試してみようじゃないか――――ッ!!』

「ぶぶーーっ!?」

特に理由のない暴力が俺を襲う――!

まったく予想だにしない方向からタゲが向いて俺はコーヒーを吹き出した。
なんでだよ!俺ほとんど会話に加わってなかったじゃん!
そこで俺は気付いた。エンバースの巧みなヘイトコントロールに――

102明神 ◆9EasXbvg42:2025/07/21(月) 20:09:19
>『ここからはRTAが加速するぞ。明神さん、次はどこ行く?』

この問いかけにより、ミハエルの中で俺の扱いが変わった。
『その辺にいるモブ』から『自分を差し置いてハイバラが喋りかけた相手』へ……!
なんで俺なんだよ!壁役なら適任がいるだろうが!

「じょ、ジョン!タンク!はやくしてやくめでしょ!!」

サっとジョンの影に隠れる。その横からカザハ君の鋭い突っ込みが入った。

>「日本語の豆知識を教えてあげよう。
 本人を前にした時はどれぐらい年上かに関わらずお兄さん、お姉さんと呼んだ方が無用な争いを防げるんだよ」

「ぼくまだおっさんって齢じゃないよ……?にじゅうごちゃい!」

いや自虐気味に自分のことおっさん呼ばわりしてたこともあったけども!
ミハエルの野郎、素で俺をおっさん扱いしやがって!

>「それと、スペック任せの雑な攻撃って敵役の専売特許やねん」
>「令和ファンタジーの代表格である葬〇のフリーレンは、せせこましい小細工をかましてくる敵達を
 主人公パーティー側が問答無用の高スペックで押し切るスタイル――!
 日本人のくせにそんなことも知らないのか!?」
>「はい語るに落ちた――ッ! めーっちゃ日本のアニメ語っとるやんけ――!」

「さっきから何の話してんだお前ら!?」

ミハエルが日本のアニメに詳しいのは……まぁ多分入れ知恵した馬鹿がいるんだろう。
ハイバラ君さぁ……パジャマパーティーで上映する作品ちょっと偏ってるんじゃない?

んー。
んーーーーーーー……。
よし!真面目に戦うの、やめよう!

「ミハエル君よぉ、ずっとお前に聞きたかったことがあんだけど」

適当に魔法無効の壁ユニットとか出して、その影から声を投げる。

「喋るなっ!noobと話していると僕のゲームIQが下がる!!」

その発言が既にIQ最低値なんだよなぁ……。

「フリードリヒ・ニーチェっているじゃん。お前の大好きなニーチェ大先生だよ。
 ――ソシャゲに実装されるとしたら、どんなキャラになると思う?」

イブメタ(仮)の苛烈な攻撃がピタリと止んだ。
あるいはそれは、もっと大火力の魔法を放つ溜めの瞬間なのかもしれなかった。

103明神 ◆9EasXbvg42:2025/07/21(月) 20:09:55
ミハエルもコアゲーマーである以上、この手の話題は一度は考えたことがあるはずだ。
織田信長とかジャンヌ・ダルクとか知ってるだけで2桁のソシャゲに出演してるし、
ニーチェくらいメジャーな偉人ならいつ実装されてもおかしくない。
一方で、ミハエルはリアルで語録を恥ずかしげもなく放つくらいの気合入ったニーチェ信者だ。
冒涜極まりない話題に、ノータイムで俺を殺しにかかる可能性もある。

乗るか、反るか。
伏せたカードの絵柄が今、捲られる――。

「……美少女化してか?しないでか?」

ミハエルはそう答えた。
乗った――!!

「実在の人物を好き放題するのは色々問題あるからな。俺達の世界と似たような歴史を辿った別の星って世界設定で、
 19世紀の"ドイツっぽい国"で活躍した、たまたまニーチェと同じ名前の哲学者(美少女)――ということにしよう。
 まず属性はどうする?やっぱ『神は死んだ』とか言ってるから闇属性か?」

「浅いんだよ読み込みが……!哲学エアプレイなのか……?僕の解釈では、『神の死』はむしろ前向きな啓蒙だ。
 神という超越者に導かれなくとも、人間は自分で道徳を規定し、よき人間であろうと努力することができる。
 『神は死んだ』は光属性のバフスキル――!味方全体に固有スタックの『力への意思』を付与する!」

「な、なるほど……じゃあ次は
「さらに!」
「はい……」

「さらに、敵一体へ『ルサンチマン』を付与し、これを攻撃することで味方が『超人』バフを獲得する!
永劫回帰の要素も入れたいな……同一の行動を繰り返すごとにスタックが溜まっていって、
 消費することでより強力なスキルが使えるようになるのはどうだろうか。
 想定コンテンツとしてはやはり大型レイドボス戦かな。おっと!だからって安易に神への特効キャラとするのは良くない!
 ニーチェが否定したのは『神への依存』であって神そのものではないからね……!」

「どんどん出てくるじゃん……」

おっと!じゃねンだわ。お前そんな早口でイキイキしゃべるタイプのキャラだったかなぁ……?
バトルの方はまぁエンバースが居りゃどうとでもなる。
どうせこの先ダラダラ馴れ合うことになるんだ。ミハエル君には存分にキャラを立てていただこう。


【ソシャゲ談義】

104ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/07/27(日) 02:04:15
「おぼぼぼぼ!!!」

一度巨大な津波に巻き込まれてしまってた人間には成すすべがない

>「……ったく。何遊んでんだよ、ジョン。カザハと連携するならもっと上手いやり方があるだろ?」

水に飲まれている僕にはその声は聞こえようがなかったが…長い付き合いになったせいか
どうせ相変わらず皮肉の利いたかっこいい言い回しをしているのだろう。

そんな事を溺れながら考えていた瞬間

「オボッ…うわぁぁぁぁあ!!!」
「にゃああああああああ!」

体が空中に舞い上がる…いやそんな優しい感じじゃない…上空に向かって放り投げられている…!
流石の部長も物凄い衝撃に僕と同時に吹っ飛ばされていく。

地面ならともかくここは何も捕まるところない空中だ…部長はその内体勢を立て直せるだろうが…僕は…つまり………死んだじゃないの〜?

>「カザハ、上手い事コントロールしてやれよ。でないとジョンは海の彼方だ」

「海の彼方どころか宇宙の塵になりそうな勢いなんだけど!!!」

>「そうだ! カケルが背中に乗せて突撃すればいいんじゃない!? 白馬に乗った王子様的な! マリーディアって女王様だし丁度いいじゃん!」

カザハが風をコントロールし、僕はカケルの背中へと乗せられるように着地する。
偶々目があったカケルの顔には明らかな困惑の表情が浮かんでいた。

>「弟の扱いが雑過ぎるだろお姉ちゃん……」

「いや僕の扱いも雑じゃないかこれ…?」

そしてエンバースの作戦通り僕達は急降下し…

「ま…でも気にしないで粉砕できるってのは…気が楽でいいね?」

上空から急降下した僕とカケルはミドガルズオルムを粉砕した。
やっぱり筋肉は全てを解決するってワケ

105ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/07/27(日) 02:04:32
当然急降下した僕達は敵を粉砕したが同時に海に落ちてしまった。
部長がいたので回収はされたが…みんな海に落ちた僕とカケルの事忘れてないよね…?大丈夫だよね…まさかね?

>「へへ、みんな正直に言おうぜ。忘れてただろ、コイツらの事。困るな。
 水属性の超レイド級、ミドガルズオルムは確かに重要なオブジェクトだが――」

なんかもう話が進んでる!本気で忘れたわけじゃないよね!?信じてるからね!?

>「ミハエル・シュバルツァーが鍛え上げた堕天使と……それに何よりイブリースだ。
 アイツは『門』が使える。RTAをするならまず門の使い手を確保しないと話にならない。だろ?」

ミハエル…聞き覚えがある。戦ったはずだ…いや僕が直接戦ったわけじゃないけど…
確か僕はその戦いで勇者の剣を…

「ウッ」

頭が一瞬痛くなる。

無理に思い出そうとすると頭が痛くなる。
イブリースの事は思い出せるのに…他の事は今の状況と関係がないと思い出せないのか?

>「オイオイオイオイ何してる、バカタレはお前だローウェル。
 なんでソイツの記憶を戻さなかった?今の俺とこの時点のソイツが勝負になるかよ」

>『うるせー!んなこた分かってるのです!けど記憶を戻したってお前らが仲良くデュエルして終わるだけに決まってるのです!
 そもそも最近じゃ月一で日本に遊びに行ってるアホタレがどのツラ下げてこのシナリオに敵役で出演しやがったのです!』

記憶があろうとなかろうと仲良くデュエルして終わりそうな気もするけど…
野暮な事は言うのはやめておくか、RTAするのに関係なさそうだし。

>『モス……?ふざけるなよ。マンガやアニメのお嬢様じゃないんだ。あんなジャンクフードを僕が口にするものか』

>「ホラもう比喩表現がちょっと日本寄りになってるじゃねーか」

逆に考えればしがらみが変にない分今のほうが仲良くなることができるんじゃないだろうか。
仲間の為とかそんなんじゃなく気に入らない奴をぶっ飛ばす…その方が仲良くなれる気がする。

>「んーキングヒルはぶっちゃけ行く必要ねえなあ。バロール居ねえし。クーデターもする相手居ねえし。
 となると順当に行きゃ次はアコライトだけど……なんかマホたんと帝龍が混ざりそうで怖くね?」

昔の漫画では殴り合ったら友達みたいな表現よくあったし。

>『ええい!もういい!これ以上君の戯言に付き合うつもりはない――』
>『――やってしまえ、イブリース!』

「エンバース…君も大変だね」

>『――この僕を前にして!余裕ぶってるんじゃあないぞッ!いいだろう!
 そのくたびれたオッサンがやられた後でもその態度を保てるか試してみようじゃないか――――ッ!!』

しかしエンバースの巧みな話術で怒りの矛先は明神に向かう!

>「じょ、ジョン!タンク!はやくしてやくめでしょ!!」

そしてその明神は僕の後ろに隠れる。
攻撃の矛先は最終的に僕に向かって飛んできた。

「…ふぅ〜〜〜…なんでそうなるんだッ!!!」

僕は攻撃を受け止めながら叫んだ。

106ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/07/27(日) 02:04:53
「イブリース…また喋れない…理性のない君と殴り合う事になるなんてな…」

雰囲気だけは似てるイブリースと名付けられたモンスターと殴りありながら…
僕はあの日…自分を代償に同胞全てを救おうとしたイブリースの姿が重なって見えた。

あの時と違う事があるとするなら…僕は今バニー姿で殴り合っており
純粋な暴力で殴り合ってる僕らは全くいないような振舞いで回りは大騒ぎしている。

>「貴様は何を言っているんだ。
令和ファンタジーの代表格である葬〇のフリーレンは、せせこましい小細工をかましてくる敵達を
主人公パーティー側が問答無用の高スペックで押し切るスタイル――!
日本人のくせにそんなことも知らないのか!?」

>「はい語るに落ちた――ッ! めーっちゃ日本のアニメ語っとるやんけ――!」

>「……美少女化してか?しないでか?」

>「実在の人物を好き放題するのは色々問題あるからな。俺達の世界と似たような歴史を辿った別の星って世界設定で、
 19世紀の"ドイツっぽい国"で活躍した、たまたまニーチェと同じ名前の哲学者(美少女)――ということにしよう。
 まず属性はどうする?やっぱ『神は死んだ』とか言ってるから闇属性か?」
>「浅いんだよ読み込みが……!哲学エアプレイなのか……?僕の解釈では、『神の死』はむしろ前向きな啓蒙だ。
 神という超越者に導かれなくとも、人間は自分で道徳を規定し、よき人間であろうと努力することができる。
 『神は死んだ』は光属性のバフスキル――!味方全体に固有スタックの『力への意思』を付与する!」

煽り続けるカザハ
何かだか僕にはよく分からない会話を続ける明神

そしてここからではよく見えないし聞こえないが
恐らくRTAの準備をしながらかっこいい言い回しとポーズを決めながらクックックと笑っているエンバース。

「ごめんイブリース…一旦ストップで」

見た目の変わったイブリースにそう伝えると意思が伝わったのかイブリースが動きを止める。

「ローウェル」

「?…ヒッ」

「僕の姿を戻すアイテム…だして?」

お前の権限ならできるよな?と圧力をかける

「断ったら…あぁ…そういえば物理的には無敵なんだったか?…だが精神面は無敵かどうか試してみるか?
バニー姿の大男が迫ってきたら気分悪いだろうなぁ?ん?渾身の腰フリダンスでも見せてやろうか?ん?」

「みんなの意識がこっちに向いてない内に僕の姿を早く戻したいんだ…答え…もちろん分かるよな?」

2m近い筋肉ムキムキバニー大男が真顔で迫ってきたら誰でも頷くだろう。

…そしてローウェルも例にもれず頷いた。

「これでよし…さて姿も戻ったことだし…殴り合いを再開しようか!…ん?いやまて!…おーいエンバース?これ以上僕達殴り合う必要あるのか?」

脅すのに必死で話が聞き取れなかったのでお伺いを立ててみた。
ローウェルは仲良くデュエルして終わりは嫌だと言っていたが…もう既に仲良く会話して解散の流れになってしまっている気がするんだよな

「バニー姿じゃなくなったし力を振るう事はやぶさかではないんだが」

そんな事を一人愚痴るのだった。

107embers ◆5WH73DXszU:2025/08/04(月) 05:56:33
『おっと!だからって安易に神への特効キャラとするのは良くない!
 ニーチェが否定したのは『神への依存』であって神そのものではないからね……!』
『どんどん出てくるじゃん……』

「ちょっと待て。確かニーチェが神を否定したのは栄養学とか医学への重要視の裏返しだって言ってたよな。
 だとすれば――それらの要素も組み込むべきじゃないか?バフの媒体、スキルの演出としてさ!
 分かるか?まだニーチェちゃんの得意料理が決まってないって話をしてるんだぜ?」

混ぜっ返すエンバース。
ちなみにニーチェ知識の出処は当然ミハエルだ。

『これでよし…さて姿も戻ったことだし…殴り合いを再開しようか!…ん?いやまて!…おーいエンバース?これ以上僕達殴り合う必要あるのか?』
『バニー姿じゃなくなったし力を振るう事はやぶさかではないんだが』

「ん?なに?殴り合う必要?ああ、勿論ないぜ――でも、ないけどあるんだ」

ジョンの問いかけ。
エンバースが振り返る。回りくどい回答――不敵な笑み。

「だって――ちゃんと、とことんバトった方がジョンが楽しいだろ?」

バトルマニア流のズレた気配り。
そしてエンバースはミハエルへと向き直る。

「なあ?そろそろ記憶は戻ったか?今週の戦績は58勝57敗3分。このバトルで勝ち越させてもらうぜ」

『――とぼけるなよ。58勝は僕の方だろう』

「あれ?そうだったっけ?まあ気にするなよ――」

ダインスレイブを鞘に収めるエンバース/ミハエルがグングニールを召喚。
双方が睨み合い――――同時に踏み込む。すれ違いざま瞬く剣閃。
そして――膝を突くミハエル・シュバルツァー。

『クソ……』

「――これで俺も58勝だ。今週は引き分けで終わりそうだな」

『は?RTAなんだろう?こんなクソシナリオさっさと終わらせてもう一戦すればいいじゃないか』

「いや……でも見てみたくないか?」

『何がだ、言ってみろ。それはこの僕とのデュエルより興味深いものなんだろうね』

「もうお前も気づいているだろうが、このイベントには融合バグが実装されている。
 で、俺達はこの後アコライト外郭に行くんだけど、マホたんと任意のユニットが融合されたらどうなると思う?
 例えば外郭防衛隊のオタク君と融合したとしよう――」

『なに?なんて?外郭防衛隊のオタク?本当に何の話――』

「もしかしたら――ユメミマホロ・陰キャオタクダウナースタイルが見られるかもしれない」

『――堕天使!イブリース!何をやっている!さっさとその筋肉ダルマを片付けろ!』

108embers ◆5WH73DXszU:2025/08/04(月) 05:56:49
 


――時系列を少し遡り、エンバースが
「だって――ちゃんと、とことんバトった方がジョンが楽しいだろ?」
とかカッコつけてた辺りの事。

イブリースがジョンの両手を鷲掴みにする。力比べの形。

『――おい。おい……!落ち着け。俺の話を聞け……!』

その最中――狂暴化していたかに見えたイブリースがジョンにそう囁いた。

『俺は正気だ。だがまともな神経でこの状況に混ざるのは危険過ぎる……!
 分かるだろう?ヤツらのおふざけには際限がない……巻き込まれればどうなるか予測不可能だ。
 突然、港湾都市にちなんで際どい水着でビーチフラッグ対決(ポロリは反則負け)が始まったって不思議じゃない……!』

既にかなりギャグ時空の侵食を受けているイブリースだが、
往々にしておかしくなってしまった張本人は自分のおかしさに気付けないものだ。

『だから理性を失ったふりをしていたのだ。お前もこのまま時間を稼げ……!
 ヤツらの話が落ち着いた頃合いで、丁度決着がついたような形に――』

『――堕天使!イブリース!何をやっている!さっさとその筋肉ダルマを片付けろ!』
「おーい、ジョン。そっちの調子はどうだ?」

『バオオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!』

スマホのスピーカー程度では音割れしそうなレベルの咆哮、そして打撃音。
正気である事を隠そうと咄嗟に放った頭突きがジョンの顔面にクリーンヒットした。

『す、すまん……!だが向こうの話もきりが付いたようだ。このまま――』

『おっと、かなりイイのが入ったようだぞ。所詮は素人か。あの分ならすぐに終わりそうだな』
「けど、なんだか手ぬるいな。デモンズシードオーバードーズしてた時のイブリースはもっとヤバかったような」

『ジガアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!』

タブレットのスピーカー程度では音割れしそうなレベルの咆哮、そして衝撃音。
正気である事を隠そうと咄嗟に放った投げによってジョンは強かに地面に叩きつけられた。

『クスクス……おや、まただ。決着の時は近そうだね?』
「ククク……いやあ、どうかな。なーんかイブリースの攻撃がまだ手ぬるい気がするけどなあ〜」

ちなみにエンバース/ミハエルはインベントリからビーチチェア(ハウジング用)とソーダとグラサンを召喚して観戦体勢を取っている。

「ほら、カザハと明神さんも使っていいぜ。折角だしどっちが勝つか賭けでもしないか?
 俺は……ジョンに賭けてやりたいけど既に二発もクリティカルヒットを貰ってるし、どうしようかな〜」

109embers ◆5WH73DXszU:2025/08/04(月) 06:03:27
 
 

「――で?そっちの話は終わったのか?」

ジョンとイブリースのバトルが終わった後、エンバースがマリーディアらの方を振り返る。

『――胸元を手で隠しちゃダメ!私達、もう隠し事はなしって決めたでしょ!』
『た、確かにそうは言ったが……しかしこの格好は、余りにも……!』

バニースーツ姿で恥じらうライフエイクと、それを水魔法によって写し取るマリーディア。
その様子を腕組みしながら眺めて深々と頷くマスターがいた。

『ミドガルズオルムの召喚に全ての力を使い果たした私はそのまま消える筈だった。
 けどあなたのあられもない姿を見た時、私の中から新たな力が湧いてくるのを感じたの!』

『私が言えた事ではないが、その力は間違いなくよくないものだ!呑まれてはいけない!』

「……マスターにメイド服でも預けて、次のチャプターに進むか?」




――茶番が一段落した後、ブレイブ一行は『門』を通ってアコライト外郭へ飛んだ。

「さーて、マホたんは誰と融合してるんだろうな。マホたんが融合ってなんか不穏なワードだけど。
 正直キングヒル、アコライト編からの選出だし候補は多くないんだよな。
 オタク君とか、煌帝龍とか……融合バグって事は登場したモンスターも候補に入るのかな」

エンバースは呑気にそんな事を言っている。
そうして相変わらずマホたん色にデコられた城郭の門を超えるとそこには――

アルメリア兵士と融合したソルジャーマホたんがいた。
『水晶の乙女』(キングヒル編のメイドさん)と融合したクリスタマホたんがいた。
リザードマンやバジリスク等(アコライト編、モブ敵)と融合したレプティマホたんがいっぱいいた。
陰キャオタクダウナースタイルっぽいマホたんがいた。
ロイヤルガード(煌帝龍の護衛)の面影を残したビキニアーマホたんがいた。
とにかくそこら中にマホたんがいて、歌って踊ってのパフォーマンスをしている。

「なんかいっぱ――――危なかった。危うくカザハや明神さんが得意とするガビーンって感じのリアクションを取るとこだった……。
 なるほど、確かにアコライト編じゃマホたんの幻影を量産したし、マホたん自身も二人目がいた。
 そして「マホたんは一人じゃない」事は確定していても「マホたんは三人以上いない」事は未確定……なら、こういう事も――」

『あ、ようこそいらっしゃい〜アルフヘイムのブレイブさ〜ん。お待ちしていましたよ〜』

ヒュドラと融合した15メートル級のメデューサマホたんが兵舎の上から顔を覗かせた。

「うおおでけえ――――――――――――――――――!!!!」

エンバースがガビーンって感じのリアクションをしていると、城塞の奥から誰かが歩いてきた。
ピンクゴールドのたてがみのようなロングヘア。絢爛華麗な王族めいた衣装。
女性的でありながらも屈強な戦士の風格を兼ね備えた体格。

『よう!お前らが援軍か!よく来てくれたな!』

アルメリアの国王、鬣(たてがみ)の王と融合したマホたんがそこにいた。

『話はもう聞いてるよな!?このアコライト外郭は今、深刻な問題を抱えている……それは戦力不足だ!』

「この状況で?煌帝龍がアジ・ダハーカと融合でもしてんのか?」

『ガハハ!だったら良かったんだけどな――まあ、見てみりゃ分かるさ。そろそろ正午だ。ヤツが来るぜ』

110embers ◆5WH73DXszU:2025/08/04(月) 06:05:13
その発言をフラグにして、城門の外からにわかに地響きめいた音が聞こえてくる。
聞き覚えのある音だ。煌帝龍が召喚した爬虫類族の軍勢の足音だ。
たてがみ以外のマホたん達が城壁に登っていく。エンバースもそれに倣う。
かくして城門の外には――

『たてがみのユメミマホロ――――――ッ!今日こそ我が伴侶となってもらうアルよ――――――――!』

ズタボロのカンフースーツに身を包んだ、傷だらけの煌帝龍が叫んでいた。

「あ……?誰だ、アイツ……煌帝龍か?」

『煌帝龍?初めて聞く名前だな。君が覚えているって事は見どころのあるプレイヤーなのか?』

「……それ、冗談で言ってるんだよな?あ、マジ……?アイツもぼちぼち出来る方ではあるんだけどな……」

流石にエンバースが煌帝龍を憐れんでいると、たてがみのマホたん――キングマホたんが城壁に登ってきた。
そのまま本編を思い出させるようなアクロバットで煌帝龍の前へと降り立つ。
そして――不敵で獰猛な笑みと共に手招きをした。

瞬間、何十体ものモンスターが一斉にキングマホたんへ飛びかかる。
キングマホたんの姿が見えなくなって――直後、大量の鮮血が爆ぜる。
だがエンバースには見えていた。飛び散る血肉をブラインドに、キングマホたんの懐へ飛び込む影が。

「キエエェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ――――――――――――――――ッ!!!」

そして煌帝龍が叫ぶ――否、吼える。

「おお……?」

エンバースが思わず目を見張るスピードの徒手空拳。
だがキングマホたんはそれら全てを容易く手刀で捌いてのける。そして――

『ちったあ練り上げてきたなッ!だが――まだまだ脆弱いッ!!』

俊敏、かつ唸るような剛腕による【聖撃(ホーリー・スマイト)】。
その直撃を受けた煌帝龍が血を吐きながら吹っ飛んで地に転がる。
煌帝龍はどうにか立ち上がろうとするが――立ち上がれない。
キングマホたんが城壁上のブレイブ達を振り返る。

『な?見ての通りだ。戦力が足りてねえんだよ』

両腕を広げて、煌帝龍の有り様を見せつけるような仕草。
その直後――エンバースの後ろ襟を何かが後ろから掴んだ。
スキュラと融合したビッグメデューサマホたんだ。
他のメンバーも巨大な手と大蛇状の髪で体を拘束されている。
ジョンの力でも振りほどけない。「イベント」による強制力だ。
そして――全員揃って城郭の外へと放り投げられた。

「うおおおおおおおおおおおおお――――――――――――!?」

エンバースはなんとか煌帝龍の傍に着地。
一体何事かとキングマホたんを見やる。

111embers ◆5WH73DXszU:2025/08/04(月) 06:05:36
『ソイツは何度ブチのめしてもアタシに結婚してくれって挑んできやがる。
 それ自体はまあ、おもしれえからいいんだが――いかんせん弱くてなあ。
 ちょっと飽きてきちまった。アンタらかなりの腕利きだろ?一つ鍛えてやってくれよ』

キングマホたんはそう言うと城壁の向こうへ一足に飛び去ってしまった。

「……鍛えるって、俺達が、コイツを?」

荒野に取り残されたエンバースが呆然と呟く。

「おーい、そりゃ無茶だろ!コイツが俺達の話を大人しく聞く訳ない。
 はあ……まあいいさ。カザハが『幻影』持ってたよな?最悪コイツはふんじばって、
 俺があのムキムキマホたんを倒しちまえば手っ取り早くチャプタークリア出来るだろ……」

エンバースは愚痴りながらもとりあえずインベントリから手当たり次第にハウジングアイテムを放り出している。
その背後で煌帝龍が立ち上がった。

「いや、その前にコイツをいっぺんやっつけとくのが先か?
 マホたんカーニバルは名残惜しいが、チャプタークリアだけならその方が――」

エンバースがそちらへ振り返ると――煌帝龍は黙したまま深々と頭を下げていた。
さしものエンバースも言葉を失って、困ったように頭を掻いた。

「……ていうかお前、なんだよその格好。そもそもなんであのムキムキマホたんを名指しなんだ?
 素手ゴロなんかしないでアジ・ダハーカもアポリオンも使って攻め込めば選び放題だろ?」

煌帝龍は黙ったままだ。
彼の気性からしてこうして頭を下げただけでも相当な決心が必要だった事はエンバースにも分かる。
この上、根掘り葉掘り聞かれて素直に答えられるほど煌帝龍のプライドは安くないのだろう。
勿論、エンバースには「だんまりを決め込むなら頼むを聞く義理はない」と煌帝龍の頼みを突っぱねる事も出来る。
出来るが――

「――それで、どうする?みんな。このままチャプタークリアしても味気ないし……やってみるか?」

エンバースはこういう時、結局甘さを隠せないのだ。

112カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2025/08/12(火) 03:35:42
>「ほら、カザハと明神さんも使っていいぜ。折角だしどっちが勝つか賭けでもしないか?
 俺は……ジョンに賭けてやりたいけど既に二発もクリティカルヒットを貰ってるし、どうしようかな〜」

カザハ「瀕死からの一発逆転がジョン君のお家芸だから……。前この状況からどうやって勝ったっけ」

カケル「はいこれ」(歌詞ノートを見せる。しかし上位世界の大人の事情により記憶にブロックがかかっている!)

カザハ「こんなん歌うわけないじゃん!?」(その路線の呪歌、使用不可!!)

(なんだかんだでジョンVSイブリースのバトル(※八百長)終了)

>「――で?そっちの話は終わったのか?」

>『――胸元を手で隠しちゃダメ!私達、もう隠し事はなしって決めたでしょ!』
>『た、確かにそうは言ったが……しかしこの格好は、余りにも……!』

カザハ「マリーディアさん、最初は真面目にキレてたのにすっかりギャグ時空に適応しちゃった……!」
カケル「適応しないとやってられなかったんでしょう」

>「……マスターにメイド服でも預けて、次のチャプターに進むか?」

【アコライト外郭】

>「さーて、マホたんは誰と融合してるんだろうな。マホたんが融合ってなんか不穏なワードだけど。
 正直キングヒル、アコライト編からの選出だし候補は多くないんだよな。
 オタク君とか、煌帝龍とか……融合バグって事は登場したモンスターも候補に入るのかな」

>「なんかいっぱ――――危なかった。危うくカザハや明神さんが得意とするガビーンって感じのリアクションを取るとこだった……。

カケル「分かる分かる! ギャグ漫画だったらコマの端でめっちゃ口開けてるやつ――! ほらああいうふうに!」

(カケルの視線の先では、カザハがまさにそのリアクションをしていた!)

>「なるほど、確かにアコライト編じゃマホたんの幻影を量産したし、マホたん自身も二人目がいた。
 そして「マホたんは一人じゃない」事は確定していても「マホたんは三人以上いない」事は未確定……なら、こういう事も――」

カケル「よく見ると他キャラと融合してなさそうなプレーンマホたんもいますね」

プレーンマホたんの一人「あなたと合体したい!」

カザハ「えぇっ!? 合体したい!? じゃあこうかな!?」

(カザハがプレーンマホたんとフュージョンのポーズをとっている!)

カケル「……って何やってるんですか――ッ!!」

(ぽわっと謎の煙が発生し、カザハとマホたんが合成された!)

カザハマホたん「みんな――ッ! ノってる――!?」

カケル「そういえばカザハ、マホたんの曲、カバーしてましたもんね……」

野生のプレーンマホたん「隙あり!」カケル「アッー!」(謎の煙合成)

カケルマホたん「皆さん気を付けてください。
        この面では油断しているとこのようにあらゆるキャラがマホたんと融合してしまうようです……!」

113カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2025/08/12(火) 03:36:26
>『あ、ようこそいらっしゃい〜アルフヘイムのブレイブさ〜ん。お待ちしていましたよ〜』
>『よう!お前らが援軍か!よく来てくれたな!』

(何事もないかのように話は進む)

>『たてがみのユメミマホロ――――――ッ!今日こそ我が伴侶となってもらうアルよ――――――――!』

(キングマホたんにのされる煌帝龍)

カザハマホたん「あの人、自らカンフーアクションするようなキャラだったっけ……」

>『な?見ての通りだ。戦力が足りてねえんだよ』

カケルマホたん「戦力ってそっちの戦力!?」

>『ソイツは何度ブチのめしてもアタシに結婚してくれって挑んできやがる。
 それ自体はまあ、おもしれえからいいんだが――いかんせん弱くてなあ。
 ちょっと飽きてきちまった。アンタらかなりの腕利きだろ?一つ鍛えてやってくれよ』

カザハマホたん「そんな無茶な!」

(煌帝龍が頭を下げてきた!)

>「……ていうかお前、なんだよその格好。そもそもなんであのムキムキマホたんを名指しなんだ?
 素手ゴロなんかしないでアジ・ダハーカもアポリオンも使って攻め込めば選び放題だろ?」

カケルマホたん「マホたんならなんでもいいわけじゃなくムキムキマホたんじゃないと駄目ってことでしょうか……」

>「――それで、どうする?みんな。このままチャプタークリアしても味気ないし……やってみるか?」

(カザハマホたんとカケルマホたんが煌帝龍を挟んで左右にスタンバイ)

カザハマホたん「マホたんファンならぐーっと☆グッドスマイルはマスターしないと!」

(すぐに振付完璧でぐーっと☆グッドスマイルが歌えるようになった煌帝龍。
 ゲームにありがちな演出で過程が省略されたらしい!)

カザハマホたん「地獄の歌唱訓練合格! 次は明神さんによるレスバ特訓だよ!」

(なんの特訓してるんだっけ!)

114明神 ◆9EasXbvg42:2025/08/17(日) 22:22:08
ミハエルのニーチェ談義にいい加減ついていけなくなり始めた頃、エンバースがやおら口を挟んできた。

>「ちょっと待て。確かニーチェが神を否定したのは栄養学とか医学への重要視の裏返しだって言ってたよな。
 だとすれば――それらの要素も組み込むべきじゃないか?バフの媒体、スキルの演出としてさ!
 分かるか?まだニーチェちゃんの得意料理が決まってないって話をしてるんだぜ?」

「確かに……!!」

ミハエルは蒙を啓かれたのごとく手を打つ。

「おいやめろ馬鹿、追加の燃料投入すんな」

「ニーチェと言えば特にチョコレートを好んだというのが有名だね。
 その辺のコンビニで売ってるような菓子じゃないぞ。発酵させたカカオ豆を磨り潰して湯で練った飲料だ。
 これは本来、滋養強壮薬としてヨーロッパに伝来したと言われている。
 ニーチェもチョコレートの栄養効果に着目したに違いない」

「普通に味が好きだったんじゃねえの……?」

「つまり!ニーチェ(バレンタインVer)実装の伏線――!!
 学者の神経を研ぎ澄ませ、深い瞑想へと没入させる秘薬……それを求めてニーチェと共に冒険するイベントの完成だ。
 シナリオを完遂する頃にはユーザーの購買意欲も天を突いているだろうな!」

小賢しいなコイツ……。
なんかだんだん酒の席のオタクのしょうもない与太話になってる気がするぜ。
そんな感じでグダグダぐだ巻きながらジョンとイブリースのがっぷり四つを眺める。
知らん間にエンバースとミハエルはくつろぎセット用意して呑気に観戦モードだ。

>「ほら、カザハと明神さんも使っていいぜ。折角だしどっちが勝つか賭けでもしないか?
 俺は……ジョンに賭けてやりたいけど既に二発もクリティカルヒットを貰ってるし、どうしようかな〜」

「おやおや?最強ブレイブのハイバラ君ともあろう方が戦況見てベット決めるんですか??
 ギャンブルの楽しみ方ってもんがなっちゃいねえな。
 賭けた方が不利になったら……精一杯応援すんだよ。そういうもんだろ、なあカザハ君!」

>「瀕死からの一発逆転がジョン君のお家芸だから……。前この状況からどうやって勝ったっけ」

言うまでもなく俺はジョンに賭けている。
そして俺達には、応援をバフに変えてくれる勝利の女神がいる!
やっちまってくださいよカザハ先生!無敵のハイパーバフでよぉ!

>「こんなん歌うわけないじゃん!?」

カザハ先生!?お歌はどうした?やくめでしょ!!??
とまぁそんなこんなでイブリースとジョンは旧交を温め終わり、
バックグラウンドで進行していたマリーディアのお悩み相談も終わったっぽい。
知らん間にジョンはバニースーツを脱いで、何故か代わりにライフエイクがバニー姿になっていた。

「……えっジョンのやつそのまま着たの?それって間接……」

耳ざとく聞きつけたマリーディアの興奮ボルテージが一段階上がった。
なんだかとてつもない風評被害を招きそうだったので俺は考えるのをやめた。

 ◆ ◆ ◆

115明神 ◆9EasXbvg42:2025/08/17(日) 22:22:39
所変わってアコライト。
普通にキングヒル通過したけど特になんもなかったわ。
そして経験上、これまでなんもなかったってことはこれからなんか起こるってことで――

>「さーて、マホたんは誰と融合してるんだろうな。マホたんが融合ってなんか不穏なワードだけど。
 正直キングヒル、アコライト編からの選出だし候補は多くないんだよな。
 オタク君とか、煌帝龍とか……融合バグって事は登場したモンスターも候補に入るのかな」

「なんか融合すること前提みてーになってっけどバグってない可能性も普通にあるんだよな。
 そうだよな?これ以上カオスに飲み込まれたら俺はどうすりゃいいんだよ。
 ……いやしかし、仮に帝龍と融合してるとしたら、チャイナコスマホたんか。
 それは"アリ"だ」

などと意味不明な供述をしながら城門をくぐると、そこには。
大量の――いや、超大量のマホたんがいた。
しかもいろんな成分の混じった多岐にわたる種類のマホたんがいた。

>「なんかいっぱ――――危なかった。
 危うくカザハや明神さんが得意とするガビーンって感じのリアクションを取るとこだった……」

「ヘイヘイ日和ってんじゃねえよエンバース!仕方ねえ俺がちょっとだけガビーンって感じになるか。
 それでは皆さん、ご唱和ください。
 ――なんかいっぱいいるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!???」

>「なるほど、確かにアコライト編じゃマホたんの幻影を量産したし、マホたん自身も二人目がいた。
 そして「マホたんは一人じゃない」事は確定していても「マホたんは三人以上いない」事は未確定……なら、こういう事も――」

「クソっ、なんかこのRTA(バグVer)のレギュレーションが分かって来ちまったぞ。
 本編の描写を引用するなら何やったっていいってことじゃねえか!」

原作原理主義者が助走付けてぶん殴ってきそうな状況だ。
まぁこのRTA自体がアニメオリジナルエピソードみてえなもんだし多少はね……。
で、結局エンバースがガビーンって感じになったり、カザハ君がマホたんと融合したりして時間を潰してると、
今回のメインキャラが出てきた。

>『よう!お前らが援軍か!よく来てくれたな!』

鬣の王……本編じゃなんかしょぼくれたお年寄りって感じだったけど、
マホたんと融合したことで若さを手に入れたらしい。

>『話はもう聞いてるよな!?このアコライト外郭は今、深刻な問題を抱えている……それは戦力不足だ!』

キングマホたんは居並んだ俺達ウジ虫にそう呼びかける。
聞くところによれば、アコライトには毎日帝国に帝龍が攻めてきてるらしい。
この辺は原作通り……ってわけでもなかった。

>「ちったあ練り上げてきたなッ!だが――まだまだ脆弱いッ!!」

なぜかカンフー姿でスデゴロを挑む帝龍。それを迎え撃つキングマホたん。
ワンパンでのされた帝龍は吹っ飛んで転がっていった。

>『ソイツは何度ブチのめしてもアタシに結婚してくれって挑んできやがる。
 それ自体はまあ、おもしれえからいいんだが――いかんせん弱くてなあ。
 ちょっと飽きてきちまった。アンタらかなりの腕利きだろ?一つ鍛えてやってくれよ』

「なんなんだこの展開……キングヒルとアコライトのエピソードをどう混ぜたらこれが出力されるんだ」

116明神 ◆9EasXbvg42:2025/08/17(日) 22:23:55
ただ、ちょっとおもしろそうではある。
本編じゃ色々あったが、正直俺は帝龍のことは嫌いになれない。
こいつはニヴルヘイム側の将としてしっかり責務を果たしていた。
その上で、ガチ恋勢としてユメミマホロを手に入れるために力を尽くしていた。

アルフヘイムに肩入れした俺達と、ニヴルヘイムに加担した帝龍。そこに違いはそんなにない。
同じマホたんのファンとして、愛情表現に良いも悪いも言うつもりはない。
アコライトにおける戦争の終わりを一度経験した今、こいつの在り様を尊敬してすらいる。

>「――それで、どうする?みんな。このままチャプタークリアしても味気ないし……やってみるか?」

「俺はやるぜ。そこの色ボケCEOをキングに勝たせりゃ良いってこったろ。
 しかもガチンコ、正々堂々正面きってのスデゴロで。……クソ難易度コンテンツだ。最高だな。
 まぁ実際の格闘指導なんかはジョンアデル氏におまかせするとして」

>「マホたんファンならぐーっと☆グッドスマイルはマスターしないと!」

既にトレーナーを開始したカザハ君とカケル君が、帝龍に振り付けと歌唱を叩き込む。
帝龍はすんなりそれをマスターした。

「ぜってーコソ練してたろこいつ……わかるぜ。"グッスマ"はファンの必修科目だからな」

>「地獄の歌唱訓練合格! 次は明神さんによるレスバ特訓だよ!」

「レスバの練習ったってよぉ……好き好んでしょうもねえ口喧嘩鍛えようとする奴がいたらそれは間違いなくやべえ奴だぜ。
 まぁ一個だけアドバイスするなら、そうだな。相手の痛いとこ突くにはまず痛いとこ知らなきゃならん。
 的はずれなこと言ったってなんも響かねえし、反撃のチャンスをくれてやることになる」

俺がフォーラムにおいて蛇蝎のごとく嫌われていた最大の理由。
それは、元ガチ勢の反転アンチとして信者共の一番突かれたくない部分を熟知してたからだ。

「こんな平原のど真ん中で修行なんか100年やったってレスバは上手くならねえよ。
 敵を知り己を知ればなんとやらってな。これはレスバに限らずスデゴロバトルにも言えることだ。
 ガチでやるなら、まずはアコライトに潜り込もうぜ」

アコライトで無数のマホたん達と生活を共にし、キングの弱点を探る。
その過程でキング以外のマホたん達を味方につけられれば最上だ。
最終的にガチンコで戦うにしたって、応援はほしいもんな。
応援が比類なき力をもたらすってのは俺達のよく知るところだ。

「アコライトに潜入する。アテは……ある。
 俺達がここに着いて、シナリオが動いた。そろそろイベントが発生するはずだぜ」

城門の方からひとつの人影が飛んできた。そいつは当然のごとくマホたんだった。
見た目はプレーンなユメミマホロ。だが表情に覇気はなく、常に半眼で、うっすらと隈すらある。

「来ると思ってたぜ。絶対君主がバリバリ元気なら……こういう奴も、居ると思ってた」

ジト目マホたん(仮)は、芝居がかった仕草で応えた。

「ケヒヒッ、なんのことでございやしょう……あっしはただのケチな戦乙女でさぁ。
 そちらの帝龍のダンナをお迎えに上がりやした。アコライト外郭へお招きいたしやしょう」

――キングヒルで俺達がスキップしたイベントはみっつ。
ひとつは鬣の王との謁見。そしてバロールからの世界の真実の開陳。
最後のひとつは――

「……あの傲慢な王を、打倒していただく為にね」

――クーデターだ。

【三下マホたん出現】

117ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/08/24(日) 00:32:00
>「ん?なに?殴り合う必要?ああ、勿論ないぜ――でも、ないけどあるんだ」

エンバースがかっこいいポーズを取りながら振り返る――
大抵の場合…この雰囲気の時のエンバースの言う事は…禄でもない事だと…直感で分かった。

>「だって――ちゃんと、とことんバトった方がジョンが楽しいだろ?」

「いや…意識のないイブリースと殴り合ってどうしろと…?」

別に戦いは嫌いじゃない。だが…
自分の意志がない変異したイブリースと殴り合うのは…気分が乘らない。

「仕方ない一撃で…」
>『――おい。おい……!落ち着け。俺の話を聞け……!』

と僕が力を籠めようとしたその瞬間イブリースから声が聞こえた。

「お前」
>『俺は正気だ。だがまともな神経でこの状況に混ざるのは危険過ぎる……!
 分かるだろう?ヤツらのおふざけには際限がない……巻き込まれればどうなるか予測不可能だ。
 突然、港湾都市にちなんで際どい水着でビーチフラッグ対決(ポロリは反則負け)が始まったって不思議じゃない……!』

確かに。納得しそうな僕がいた。

>『――堕天使!イブリース!何をやっている!さっさとその筋肉ダルマを片付けろ!』
>「おーい、ジョン。そっちの調子はどうだ?」

外野をチラリとみる。確かに今僕が変に騒げばイブリースの懸念が現実になる可能性がある。

ならば僕の取るべき行動は…

>『バオオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!』
「ぐ、ぐわ〜〜〜!」

イブリースの演技に付き合う事になった。

>「おやおや?最強ブレイブのハイバラ君ともあろう方が戦況見てベット決めるんですか??
 ギャンブルの楽しみ方ってもんがなっちゃいねえな。
 賭けた方が不利になったら……精一杯応援すんだよ。そういうもんだろ、なあカザハ君!」
>「瀕死からの一発逆転がジョン君のお家芸だから……。前この状況からどうやって勝ったっけ」

省略しているが僕とイブリースは手を抜いているとは言え僕達以外なら余裕で死ぬほどの戦いを繰り広げている。

>『クスクス……おや、まただ。決着の時は近そうだね?』
>「ククク……いやあ、どうかな。なーんかイブリースの攻撃がまだ手ぬるい気がするけどなあ〜」

>『ジガアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!』
「う…うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

僕達は一体何をやってるんだろう…。
そして全身血まみれになった僕とイブリースはみんなが飽きたのを見計らって戦いをやめた。

118ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/08/24(日) 00:32:16
ハア…ハア…なんで僕だけこんなガチ勝負やらされてるんだ?」

>「……マスターにメイド服でも預けて、次のチャプターに進むか?」

「ちょっとまって…さっきまで戦ってて話きいてな…ねぇ!話!僕の話も聞いて〜〜〜!!!」

「俺の出番はこれで終わりか?…本当に良かった…!」

イブリースお前そんなキャラだったか?許さんぞまじで!
ところでさっきまで来てなかった奴がバニー服を着てる気がするんだけど…あれ僕のじゃないよね?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

というわけでアコライト外郭にやってきたわけなんだが…

「…で結局僕達は何するわけ?」

イブリースに殴られすぎたせいで記憶が飛んだのかもしれない。
とりあえずカザハに説明を受けていながら歩いていると…

>「なんかいっぱ――――危なかった。危うくカザハや明神さんが得意とするガビーンって感じのリアクションを取るとこだった……。
 なるほど、確かにアコライト編じゃマホたんの幻影を量産したし、マホたん自身も二人目がいた。
 そして「マホたんは一人じゃない」事は確定していても「マホたんは三人以上いない」事は未確定……なら、こういう事も――」

>「ヘイヘイ日和ってんじゃねえよエンバース!仕方ねえ俺がちょっとだけガビーンって感じになるか。
 それでは皆さん、ご唱和ください。
 ――なんかいっぱいいるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!???」

>「よく見ると他キャラと融合してなさそうなプレーンマホたんもいますね」

「…カザハ…君はなんでそんな平常運転なんだ…?」

さっきまでのメンツとは違ってユメミマホロは知っている仲間なので心の中で相当驚いたのだが…
周りがそれ以上に慌てているために僕は至って冷静にならざるを得なかった。

>『あ、ようこそいらっしゃい〜アルフヘイムのブレイブさ〜ん。お待ちしていましたよ〜』
>「うおおでけえ――――――――――――――――――!!!!」

…冷静じゃない人を見ると冷静になるっていうが本当だったんだな。

巨大マホたんを見ても我の心清流のようなり…なんか違うけどそういう感じだ。

>『話はもう聞いてるよな!?このアコライト外郭は今、深刻な問題を抱えている……それは戦力不足だ!』

「話のまとめ方が手っ取り早くて助かる〜」

いや実は僕も冷静じゃないのかもしれない。

119ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/08/24(日) 00:32:30
>『たてがみのユメミマホロ――――――ッ!今日こそ我が伴侶となってもらうアルよ――――――――!』

そしてそこに聞いた事のある声…なんとか龍帝…違うな…なんだっけか…
記憶にあるはずなのに覚えてない…改ざん…?いや…単に覚えてないだけのような気もする

>「あ……?誰だ、アイツ……煌帝龍か?」

「あぁ!そうそう煌帝龍だよ!」

>「……それ、冗談で言ってるんだよな?あ、マジ……?アイツもぼちぼち出来る方ではあるんだけどな……」

やっぱり忘れてただけだった。仕方ないじゃん名前難しいのがよくないよ

>「キエエェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ――――――――――――――――ッ!!!」
>『ちったあ練り上げてきたなッ!だが――まだまだ脆弱いッ!!』

聖撃(ホーリー・スマイト)

僕もよく知るユメミマホロの技の一つ。しかも…僕が知る聖撃より…技のキレが進化しているッ!

>『な?見ての通りだ。戦力が足りてねえんだよ』

その瞬間パーカーのフード部分を掴まれる

「!?気配すら感じなかった!?」

>「うおおおおおおおおおおおおお――――――――――――!?」

僕達はスキュラマホたんにぶん投げられ地面にキスする。
不意を突かれた上に、僕が力で抵抗できないなんて…!

>『ソイツは何度ブチのめしてもアタシに結婚してくれって挑んできやがる。
 それ自体はまあ、おもしれえからいいんだが――いかんせん弱くてなあ。
 ちょっと飽きてきちまった。アンタらかなりの腕利きだろ?一つ鍛えてやってくれよ』

こっちの様子など何も気にしてなさそうなキングマホたんが話を進める。

マホたんとは思えないオーラに…僕達はただ頷く事しかできない

>「――それで、どうする?みんな。このままチャプタークリアしても味気ないし……やってみるか?」

「拒否権ないだろ…な」

威圧レベル100(暫定)を習得したマホたんに成すすべなく僕達は煌帝龍育成パートに入るのだった

120ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/08/24(日) 00:32:40
>カザハマホたん「地獄の歌唱訓練合格! 次は明神さんによるレスバ特訓だよ!」

「あれ!?なんか既に混ざってる!?」

元々ユメミマホロとの相性がいいのかカザハマホたんが完成していた。
そして歌唱力に表現力とアイドル力が加算されスーパーカザハになっていた。

>「こんな平原のど真ん中で修行なんか100年やったってレスバは上手くならねえよ。
 敵を知り己を知ればなんとやらってな。これはレスバに限らずスデゴロバトルにも言えることだ。
 ガチでやるなら、まずはアコライトに潜り込もうぜ」

>「アコライトに潜入する。アテは……ある。
 俺達がここに着いて、シナリオが動いた。そろそろイベントが発生するはずだぜ」

明神の言う通り気配を感じる。良かった〜即日で効く筋トレとかないからね。
僕に体を鍛える以外に教える事はできないし…だがさっきのマホたんとの闘いを見るに筋は悪くなさそうだ。

>「来ると思ってたぜ。絶対君主がバリバリ元気なら……こういう奴も、居ると思ってた」
>「ケヒヒッ、なんのことでございやしょう……あっしはただのケチな戦乙女でさぁ。
 そちらの帝龍のダンナをお迎えに上がりやした。アコライト外郭へお招きいたしやしょう」

「ふーむ…ユメミマホロのバーゲンセールだな」

手をスリスリと胡麻をする三下マホたんはケヒヒッっと摩訶不思議な笑い声を出しながら僕達を招待する

次のRTAの舞台に

>「……あの傲慢な王を、打倒していただく為にね」

煌帝龍を勝たせるんだっけ?…よく見ると本人はやる気があるみたいだが虚勢でしかない。
表面は取り繕っているし、技術も悪くない…だがその内面には…敗北者の魂を感じる。

その敗北の心は成功体験のなさが原因だろう。
負け続け、無意識の内に勝てないと悟っているのだ…先ほどの攻防を見るに、技術やセンスはある…足りないのは向上心と自尊心だ。

ならば…与えてやればいい…プライドなど命の奪いにはなんの価値もないが、ハッピーエンドには必要な条件のはずだ
それに…時間が無くて成功体験は与えられなくても…褒めて自尊心を取り戻す手伝いはできる。

「煌帝龍だっけ?君は筋がいい…才能を感じる…前の時は卑怯な手ばっか使ってた気がするけどなんてもったいないんだ!
磨けば輝く宝石になれる…!…1時間…いや10分僕に筋肉の動かし方をレクチャーさせてくれないか」

ズンズン
僕の気迫に煌帝龍は下がる事しかできない。

「素質があるのにそんな雑な筋肉の使い方じゃ筋肉が可愛そうだ…」

ズンズン

「キングマホたんは僕達にお前を鍛えてくれといった!才能を感じるからこそ!その才能磨いてくれと頼んだのだ!」

イブリースとの茶番劇のせいで僕の茶番のステータスが大幅に上昇したのかもしれない…何事も経験しておくものだな…と心の中でつぶやく。
恐らく負け犬根性で成長がストップしてるだけで才能はあるのは確かなので、何も全部嘘というわけではないのだが。

ズンズン

「君には才能がある…間違いない!もしかしたらあのアコライトにいる全部のマホたんを惚れさせる事も出来るかもしれない!!」

10分で教えられる事などたかが知れている…いや…何かしらの不意打ちなら教える事はできるだろうが…そんな陳腐な勝ち方じゃ満足してもらえないかもしれない…
となれば正攻法の技術の強化だが…せめて月単位の修行ならともかく、短時間では効果も見込めないだろう…だが、負け犬根性を治すには十分なはずだ。

「さぁ!では行こう帝龍!アコライトに!」


【帝龍を褒めちぎり口八丁で煌帝龍を鼓舞する】

121embers ◆5WH73DXszU:2025/09/02(火) 04:51:07
「『拒否権ないだろ…な』

「んなこたないけど……でも、多分やってみた方がジョンも楽しいぜ」

『俺はやるぜ。そこの色ボケCEOをキングに勝たせりゃ良いってこったろ。
 しかもガチンコ、正々堂々正面きってのスデゴロで。……クソ難易度コンテンツだ。最高だな。
 まぁ実際の格闘指導なんかはジョンアデル氏におまかせするとして』

「ほら見ろよ、明神さんなんか何事にも斜に構えて一言余計な事言わないと気が済まないくせに
 最終的にはノリノリで参加してくるんだぜ。ああいうのでいいんだよ、ああいうので」

『マホたんファンならぐーっと☆グッドスマイルはマスターしないと!』

「そうそう。そういうので……ああ?ちょっと待て。どうしてそうなる。
 確かにこの世界はゲームだがアイドル育成ゲームじゃないんだぞ」

練習が終わった!
煌帝龍のダンス力と歌唱力が上がった!
体力が減った!

「おいざけんなバロール。期間限定のミニゲームで仮組みのシステムを試そうとしてんじゃねえ。
 感触良かったら本実装するつもりか?そんなの……意外と面白そうだな。
 ジョンにカザハに明神さん、マル様。わりと駒も沢山あるし……」

『地獄の歌唱訓練合格! 次は明神さんによるレスバ特訓だよ!』

「……短いアイドル路線だったな。いや、独自要素としてアリなのか?SNSでオタクとレスバするアイドル育成ゲーム」

『レスバの練習ったってよぉ……好き好んでしょうもねえ口喧嘩鍛えようとする奴がいたらそれは間違いなくやべえ奴だぜ。
 まぁ一個だけアドバイスするなら、そうだな。相手の痛いとこ突くにはまず痛いとこ知らなきゃならん。
 的はずれなこと言ったってなんも響かねえし、反撃のチャンスをくれてやることになる』

「けど根も葉もない事をまるでホントみたいに言われるとムカつかないか?
 最近フォーラムに俺を野試合で三回はケチョンケチョンにボコったって言い張るヤツが
 頻出しててクッソムカつくんだよな。なんか知らないか?なあ明神さん」

『こんな平原のど真ん中で修行なんか100年やったってレスバは上手くならねえよ。
 敵を知り己を知ればなんとやらってな。これはレスバに限らずスデゴロバトルにも言えることだ。
 ガチでやるなら、まずはアコライトに潜り込もうぜ』

「潜り込む?簡単に言うけどあそこは一応城塞だぜ?」

『アコライトに潜入する。アテは……ある。
 俺達がここに着いて、シナリオが動いた。そろそろイベントが発生するはずだぜ』

明神が城壁の方を見やる。現れたのは――半目で覇気のないマホたん。

『来ると思ってたぜ。絶対君主がバリバリ元気なら……こういう奴も、居ると思ってた』

『ケヒヒッ、なんのことでございやしょう……あっしはただのケチな戦乙女でさぁ。
 そちらの帝龍のダンナをお迎えに上がりやした。アコライト外郭へお招きいたしやしょう』
『……あの傲慢な王を、打倒していただく為にね』

「なんだなんだ、急にダークソウルが始まったぞ。戦乙女の誘いに乗って敵の懐に飛び込めって?それって……かなり不吉じゃないか?」

エンバース=口ぶりとは裏腹に楽しげな笑み。

122embers ◆5WH73DXszU:2025/09/02(火) 04:51:20
『煌帝龍だっけ?君は筋がいい…才能を感じる…前の時は卑怯な手ばっか使ってた気がするけどなんてもったいないんだ!
 磨けば輝く宝石になれる…!…1時間…いや10分僕に筋肉の動かし方をレクチャーさせてくれないか』
『素質があるのにそんな雑な筋肉の使い方じゃ筋肉が可愛そうだ…』
『キングマホたんは僕達にお前を鍛えてくれといった!才能を感じるからこそ!その才能磨いてくれと頼んだのだ!』

「なんだなんだ、急に……何が始まったんだこれ?茶番か?茶番だな……。
 けど、ジョンがそこまで言うなんて珍しいぜ。試してみろよ、帝龍」

『君には才能がある…間違いない!もしかしたらあのアコライトにいる全部のマホたんを惚れさせる事も出来るかもしれない!!』

暫くジョンと煌帝龍による荒野の汗だくトレーニングをお楽しみ下さい。

『さぁ!では行こう帝龍!アコライトに!』

ジト目マホたんの案内に従って一行はアコライト外郭へ潜入した。
勿論特に変装とかはしていない。主人公はたとえ指名手配されたっていつもの格好を崩さないのだ。

ところでさっきから煌帝龍が全く喋っていないがお使いのモニターは正常である。
元が高慢なエリート気質だったが故に気安く会話に応じる事が出来ず、
さりとて現在進行形で世話になっている相手に平時の――横柄な態度を取る事も出来ない。
そこから導き出されたのが黙々と指示に従うというスタイルなのだ。察してやろう。

「とは言え、レスバの材料集めって何するんだよ。ていうか冷静に考えたらレスバに強くなってどうするんだよ……」

『――ねえ、ぶっちゃけ煌帝龍ってさ、どう思う?』

「お?」

相変わらずのマホたんカーニバルの中、気になる話題が聞こえた。
振り返ってみるとなんだかギャルっぽいマホたんが数人でたむろっている。

『正直ちょっとウザくない?』

「おいおいヤバいぞカメラ止めろ!マホたんのこんなとこ見られたら今度こそサ終ものの炎上――」

『――ホンットにそれ!何回挑んでも律儀に戦ってくれてる時点で脈アリだってフツー分かるじゃんね!?
 手段なんか選んでないでさっさとボコボコにしてあげなきゃレオたんいつまでも生殺しじゃん!』

「……流れ変わったな」

『やー、でもアレはレオたんも悪いよ。脆弱いとか飽きちまったとか言って好き避けしちゃってさ〜。
 ロンちゃんどー見たって戦乙女心とか分かるタイプじゃないし』

『てかそもそもウチら戦乙女なんだから負かしたらそのまま昇天れ帰っちゃえばよくない?
 最終的に負かして欲しいにしてもヴァルハラでやった方が効率的じゃん』

「……また流れ変わったな。帝龍お前ヤバいんじゃないか」

『えー?お臨終ち帰りは流石にちょっと重いよ〜。ヴァイキング時代じゃないんだからさ〜』

「……戦乙女心か。さっぱり分からん……そもそも心っていうか生態じゃないか?」

ぼやくエンバース――ふと視線を感じて振り向く。
ジト目マホたんがじっとり加減を強めた視線でブレイブ一行を見ていた。

『乙女の密談を盗み聞きたあなかなかいい趣味でいらっしゃる……お気が済みやしたらどうぞこちらへ』

更に案内された先は――外郭の隅にある屋外練兵場。
そこにはキングマホたんがいた。ぐーっと☆グッドスマイルを踊っている。
ただし両手に身の丈ほどもある戦斧を握りながら。

辞書のような分厚さの戦斧が踊り子のヴェールさながらに揺らめく。
踊りは緩急を付けながら、しかし次第に加速していく。
ただの舞踊が、次第に武術の型稽古めいた威容を帯びていく。

そして――――不意に強烈な薙ぎ払いを伴って、キングマホたんが振り返った。
斧を突きつけ睨む先には――咄嗟に物陰に身を隠したブレイブ一行。

「そこにいるんだろ。出てきな」

123embers ◆5WH73DXszU:2025/09/02(火) 04:52:06
観念したかのように物陰から歩み出る――ジト目マホたん。
後ろ手でしっしとブレイブ一行を追い払う仕草。

『ケヒヒッ、お気に障りましたならどうかご容赦を。あんまりにも見事な舞だもんだから、つい……』

『なんだ、手前か。別にいいぜ。盗み見くらい気にすんなよ……それより、丁度いいや。そっちの調子はどうだ?』

『……調子、ですかい?一体何の――』

『どうせまた裏でセコセコやってんだろ?頼むぜ、今度は楽しませてくれよ』

『……へ、へへ、一体何の事だか。すいやせんが、あっしはそろそろお暇させて頂きやさあ』





『クキィ〜〜〜〜〜! ご、ご覧になりやしたか!?お聞きになったでしょう!あの憎ったらしい……!
 「そっちの調子はどうだ」「今度は楽しませてくれよ」ですってよ!
 男一人意のままにも出来やしねえ戦乙女がなーにを偉そうに!』

ブレイブ一行と合流するや否や、ジト目マホたんは顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。
そうして明神に縋り付く。

『あ、あっしは、あっしは悔しいんですよ!
 あの王様気取りの唐変木の顔を真っ赤にさせて泣きを見せてやらねえと気が済まねえんです!
 頼んます、頼んますよ旦那方!どうかあの傲慢な王を――ケチョンケチョンに負かしてやって下せえ!』

エンバースが気まずそうに頭を掻く。

「……まあ、とりあえず次のトレーニングに進むか?とは言え……
 俺からお前に教えてやれる事なんてあんまりないんだよな。
 ホラ、俺達って天才だしさ……テクニックなんて今更共有するまでも……」

エンバースは暫く考え込むと――

「……まあ、結局ゲームが上手くなる方法なんて決まってるんだよな」

そう呟いた。

『やっとその結論に辿り着いたのかい?僕はもう待ちくたびれたよ。ホラ、さっさと行こう』

ミハエルがやれやれと伸びをして歩き出す。

『ム……その、ミ……ミハエル……この先は……』

向かう先は――先ほどの練兵場。
思わず煌帝龍も難色を示す。

『君……ヘイローだっけ?いつも正午に勝負を挑んでるんだろ?
 ならレオたんも明日に響くようなハードトレーニングはしない。
 とっくにいなくなってるよ。それくらい分かるだろ?』

有無を言わせぬミハエル――練兵場に到着。
キングマホたんはいない。

『効率よく上達するには座学やコーチングも大事だけどさ。結局のところゲームが上手くなるには――』

エンバースが不意に煌帝龍の背中を蹴飛ばした。
体勢を崩した煌帝龍は何歩か前につんのめって、それから急速に振り返った。
その表情には流石に怒りが見える。

『何を――!』

だが次の瞬間には言葉を失った。
喉元にダインスレイヴが突きつけられていた。

「――ゲームをやり込まないとな。新しく覚えたテクニックは実戦で噛み砕いて自分のモノにしないと意味がないぞ!ってな」

エンバースはそう言って不敵に笑うとダインスレイヴを収める。身を翻す。

「まっ、まずは俺の一勝と。それじゃ、次は誰が相手する?
 ジョン?明神さん?一旦カザハに自信付けさせてもらってもいいぜ?」

124カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2025/09/05(金) 23:37:45
 そちらの帝龍のダンナをお迎えに上がりやした。アコライト外郭へお招きいたしやしょう」
「……あの傲慢な王を、打倒していただく為にね」

(三下マホたんが現れた!)

カザハマホたん「マホたんも一枚岩じゃないってことか……」
カケルマホたん「だってこの章では私達もマホたんらしいですし……」

>「君には才能がある…間違いない!もしかしたらあのアコライトにいる全部のマホたんを惚れさせる事も出来るかもしれない!!」

カザハマホたん「なんかジョン君のスイッチが入ってる……」

(あっという間に10分経った! 帝龍の格闘技能がレベルアップした! さっきと同じ、ゲーム特有の描写スキップである!)

>「さぁ!では行こう帝龍!アコライトに!」

(帝龍の台詞がないのは、ゲームの容量節約のためとかいう大人の事情ではない。多分。
道中では、マホたんたちが甘酸っぱい、もとい物騒な会話をしていた!)

>『乙女の密談を盗み聞きたあなかなかいい趣味でいらっしゃる……お気が済みやしたらどうぞこちらへ』

(キングマホたんは戦斧をぶん回しながらぐーっと☆グッドスマイルを踊っていた!
ジト目マホたんとキングマホたんがいかにもな会話を繰り広げる)

>『クキィ〜〜〜〜〜! ご、ご覧になりやしたか!?お聞きになったでしょう!あの憎ったらしい……!
 「そっちの調子はどうだ」「今度は楽しませてくれよ」ですってよ!
 男一人意のままにも出来やしねえ戦乙女がなーにを偉そうに!』

(なんやかんやで練兵場で鍛錬することに)

>「まっ、まずは俺の一勝と。それじゃ、次は誰が相手する?
 ジョン?明神さん?一旦カザハに自信付けさせてもらってもいいぜ?」

(帝龍は、「えっ、そんなこというてもこいつBGM専門じゃないの?」という顔をしている!)

「いいからいいから。試しにきてみて」

ttps://dl.dropbox.com/s/45fllxu8mosnne5/Braver%EF%BC%88%E3%82%AB%E3%82%B6%E3%83%8F%EF%BC%89.mp3

(「Braver!!」を歌いながらロマン戦法で応戦するカザハ。絶妙にラブコメ要素を排除した選曲だ!)

(帝龍は「ブレモンってそんなことできるん!?」っていう顔をしている)

125カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2025/09/05(金) 23:38:44
カザハマホたん「シ〇フォギア戦法、もしくはプ〇ンセッションオーケストラ戦法っていうやつ!(適当)
        本編のマホたんは自分の歌は自分には効かない仕様……つまりこの戦法は取れなかったはず。
        でも、さっき戦斧ぶん回しながら歌ってたところ見るに……
        ここでは細かい設定は気にせず繰り出してくる可能性が高い!
        対抗するには君もこの戦法で応戦するしかない!
        キングマホたんへの思いの丈を歌にするんだ!」

(帝龍は「そんなこと言われてもワイ作曲作詞の技能ないし……」という顔をしている)

カザハマホたん「そういうことなら仕方がない……! ちょっとスマホ貸してね」

(カザハマホたんは帝龍のスマホにAI作曲アプリをダウンロードした! その名も「音響の魔術師」!)

バトルは恋のはじまり!

ttps://dl.dropbox.com/scl/fi/lcg3t82sipi3broe3055f/.mp3?rlkey=s971t0zxf384oloweuwr5fpi1&st=71hs7das&dl

「また来たの?」って君が笑うたび
胸のHPゴリゴリ削れてく
わざと勝負ふっかけるけど
ほんとはね…好きなんだよバカ!

勝ちたいだけじゃない 本気で負けてもいい
だけど君が誰かと 笑ってると悔しい!

恋はバトルだ! 好きすぎてまた挑む!
「しょうがないな」って受けてくれる君が
ずるいんだよ やさしすぎるんだよ
勝っても負けても また好きが増えてく

「しょうがないな」って受けてくれる君が
ずるいんだよ やさしすぎるんだよ
勝っても負けても また好きが増えてく

恋はバトルだ! 好きすぎてまた挑む!
「しょうがないな」って受けてくれる君が
ずるいんだよ やさしすぎるんだよ
勝っても負けても また好きが増えてく

(曲ができたので早速シ〇フォギア戦法を実践しようとする帝龍)

カザハマホたん「あっ、それは本番にとっておこう!
        いかにも「今即興で考えました!」ってていで歌えば完璧!」

(ベタベタラブコメソングを炸裂されるのを阻止した!)

カザハマホたん「ちなみに基本料金無料だけど有料会員になると曲の調整が出来るようになるみたい」

(作曲アプリの案件だった!)


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