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番外編投下用スレ
23
:
intermission 1/2
:2021/05/14(金) 20:45:56
どこまでも蒼く昏い氷原を、冷たい風が吹き抜けてゆく。
魂さえも凍り付く、ニヴルヘイム第七圏『氷獄』。
あたかも時間という概念を忘れ去ってしまったかのように凍り付いた世界の果て、天を穿って聳え立つ大氷峰モンスゲリダの中腹に、
氷と雹によって築かれた神殿――氷結神殿がある。
そして、その神殿の奥深くには死と吹雪を統べ、万物を凍結させる恐るべき魔神が君臨していた。
曰く、蒼く輝く異貌を有する氷獄の絶対者。
曰く、吹き荒ぶ雪華の女王。
曰く、氷結ストロング(グレープフルーツ味)。
「おい! 最後、なんか缶チューハイみたいになっとるぞ!? 誰が糖類ゼロ、プリン体ゼロじゃたわけが!」
「健康にいいですね」
「いいわけあるか! アル中まっしぐらじゃ!」
氷結神殿の大広間の最奥で、玉座に腰掛けた妙齢の女性が視界の先で傅いている大柄なデーモンに対して怒鳴り散らしている。
足許までありそうな蒼いストレートの長髪に、サファイアブルーの双眸。
透けるような――という形容がこの上なく当て嵌まる白い膚の肢体を、
胸の上半分や右の太股が露になったきわどいデザインの菫色のドレスに包んだ、
匂い立つような美女である。年齢は外見で推察するに20代の半ば程度であろうか――ただし、人ではない。
その側頭部には、根元からへし折られたとおぼしき一対の角の痕が見える。
女は魔族、それもかつては魔神と称された強大なモンスターの一柱であった。
――であった。
「やかましい! 二度も言うな! 傷つくわ!」
――大事なことなので。
「傷口に塩すり込んでくるのはやめよ!?」
「コキュートス様、気軽に第四の壁を突破するのはお控えください」
玉座の前に跪いている巨漢、屈強な全裸の躯体に牡牛めいた頭部の一対の角と背中の翼、尻尾を有する、
ザ・悪魔と言わんばかりの外貌をした腹心ステクスが諌言する。
女、コキュートスはハッと我に返ると、ゴホンと一度空咳を打った。
『氷獄の』コキュートス。
アルフヘイムの住人から地獄とも称される、ニヴルヘイム第七圏『氷獄』の主である。
気を取り直すと、コキュートスは徐に悪辣な表情を浮かべて嗤い始めた。
「ふっふっふっふっ……ふっはっはっはっ……!!」
「は―――――っはっはっはっはっは―――――――――!!!!!」
「京ォォォォ!! ……ってうるさいわ! 勝手に儂の笑いの後を引き継ぐな!」
「炎がコキュートス様を呼んでいましたもので」
「それ儂の致命的弱点なんじゃが!?」
ここ氷獄ぞ!? とコキュートスがツッコむ。
ステクスは無表情を保ったまま(元々表情が読み取りづらい顔ではあるが)、あはい、と雑に応えた。
「で、コキュートス様、ずいぶんご機嫌なようですが何かございましたか?」
「ふっふっふっ、それ聞いちゃう? 聞いちゃう? しょうがないのう〜、ならば教えてやろうぞ!
な、ななんと! 儂はつい先ほど、アルフヘイムであやつらが活動しておるとの情報を掴んだのじゃ!」
腹心の問いに対して、コキュートスは嬉しそうに玉座に座ったまま両脚をぱたぱたさせた。
そして両手の拳を口許に寄せ、くふふと嗤う。
ステクスは顔を顰めた。
「ご自分のお歳を考えて下さい、コキュートス様」
「え、なにが」
「なんでもありません。それで、あやつら……とは?」
「決まっておろうが! この儂の大切な角をへし折りおった、不倶戴天の小娘ども!
あの! デスティネイトスターズよ!!」
「……あー」
「うわぁー興味ない感じ」
「ええ、またかぁーって感じです」
「……儂、そなたの主ぞ? もうちょっとオブラートに包んで? そういうの? ねぇ?」
コキュートスは泣きそうになった。実際に目には涙が浮かんでいる。
「どうせ、今度こそ彼女たちをコテンパンにやっつけて、角を取り戻してやる! とかそういう感じでしょ?」
「ふーはーはーはーはー! その通り! あの生意気な小娘どもがブレモン本編に登場したのなら、
その宿命のライバルであるところの儂も当然出るべき! いや、出ねばならぬ!
これ前の周回からの取り決めじゃから!」
復讐の焔――もとい氷を背景に散らしながら、コキュートスは口の端を歪めて凶悪そうな笑みを浮かべてみせた。
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