したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

1まるく:2014/02/16(日) 22:26:33 ID:fZg91gZ20
前スレが980を超えそうなので先立てしておきます。
SSを投降する際全部投下できるか、次のスレが立っているかどうか確認するだろう?
誰だってそーする 俺だってそーする。

埋めきるまではPAD5ですかね?

43サイバー:2014/03/02(日) 13:15:20 ID:V3ZEu/ew0
>プッチは同性愛ではなくあくまでも『尊敬する親友』としてDIOを敬愛していたようです。神を熱烈に信仰していても、それが恋慕だとは誰も思わないですし。

        _ -.、  o   +   -;'`'-      十
-    Y´  ::::\,_        ´l  ィ''"ヽ,,
     |   ::、,:::::::\  ,. -'''二二‐ 、‖ :::::;;`ヽ,   +
。   !   !ヽ  :::゙'、::::::::`/∧__,,.... _,..ヽ{   :::::\::l
 -'゙冫-.|::゙、 、 ::::`、::::::l'´∧ 〈〈 \.!ヾ :: ν  ::::::|  |
   |  .|:::ヽ   ::ゞ'、::L/ ミェ_≧_、゙l !      ::l::| _,'"゙',,,__
      |:::     :::ヽ7〈.(`<=‐'' `´〉,| ι   ::ヾ| ",, ,'"
  !  。  !::::  l    ::'y′ `""",''// !      .::::l l          私はコタツに入らなくても
_,、''.__     !::::: '' :  _゙'、ュ_ ι/ / |/゙:}    :  :::::::|   o
 'l'゙      '、::::::  :    〈ニ''' /ノ:::;;;;;;!    : ::::::::::::|          乾布摩擦をするから別に
       .ゝ:::::::. ',::  ´ ゝ=-'''´  .//;l l ::  u::::::::::::::|   l
         ゞ、:::;:lケ  ! { ::|:l;: ,//;;;lノ;} :::ヽ  :::::::::::::| -'" "-      問題はない
十       l  l;;;;/    l l::| |,,//;;/ ..::{ :::;;;ヽ ::::::::::ノ ゙'' r ’
      __''゙ ゙;__ 〉  ι  ヽ)⊥-'´'' '" ::l',:::;;;;;;ヽ :__,;;;l
       '' r'' ‖     .:,/..'"´    ::l;;',:::::::::ヾ;;;;;;;;} l         コタツにばっか入ってると
          l::、   /''´     i ..::/;;;;;::::::::::::;;;;;;;;l _,'゙',_
゚    l,,      ゝ::... ../    !   .:::::/;;;::::::::::::::::;;;;;/  ',,"        天国にいけなくなるからね
   _,“ '',_   l:::`ミ::::ヽ,    ..ン /;;:::::ν:::::;;;ィ' l
   ",, "   | ,.-‐‐-.., :::::::..,,, -‐' .彡::::::::::;;;;;/_,,'' '.,__  O
    |     .}.l .mn,、l      ...彡:::::::::;;;;:/  '' r"
__     -|- ./└l,__,」┘ヽι ...:::::/|:::::::;;/ o ___
       .__ /  |   /\ ::::::/  |__ニ=‐'''´/___
   ゚   \三二=ー'   \/         ̄   /
 -_ー─---    ヘヴン       ム ヒ  ∩ ∩ 二ニ=‐
  __> メイド・イン┌─‐┐ヽ| __|__ヽ 月 ヒ  V V  ̄=‐- __
<_    二匚二 | ニlニ、| /| 人  ノ L二lヽ O ,O -‐‐  ̄
   ヽ 、.  人  Lニニニ」  レ   `    _____ヽ
     | "´   ̄_       ,,-- ___  \
     レ-‐  ̄ \    /      ̄ ‐‐
            \/
これはホモですね、絵が(確信)

44サイバー:2014/03/02(日) 16:29:54 ID:V3ZEu/ew0
東方荒木荘、6話投下開始です!
全く持って企画が思いつかない。

45東方荒木荘 6話:2014/03/02(日) 16:30:46 ID:V3ZEu/ew0
第6話「誰だってやられたらやり返すだろ?だれだってそーする、俺だってそーする」

そのあと、吉良達とDIO達は別行動で残りの3人を探すために二手に分かれた・・・
吉良「私とヴァレンタインでまず「永遠亭」、その次に「守矢神社」に行く」
吉良「DIO達は最初に「アリス邸」、その次に「白玉桜」に行ってもらう」
吉良「異論はあるか?」
プッチ「ない」
大統領「同じく」
DIO「・・・」
吉良「それでは・・・解散ッ!」
吉良「行くぞ、ヴァレンタイン」
大統領「分かった」
プッチ「行こうか、DIO」
DIO「フン・・・」

〜15分後〜

吉良「けっこう進んだな・・・」
大統領「地図によると今は多分「迷いの竹林」にいるんだと思うぞ」
吉良「そうか・・・」

〜25分後〜

吉良「おい・・・ホントに合ってるのか?」
大統領「ああ、間違っているはずはないんだがな・・・」

〜30分後〜

吉良「もしかして・・・・これって・・・」
大統領「ああ、その通りのようだ・・・」
吉良・大統領「迷 っ た」
吉良「クソッ・・・こんな事なら妹紅に付いてきてもらえばよかった・・・」
大統領「なに?妹紅だと?」
吉良「ああ、妹紅はいっつも永遠亭の「輝夜」という奴と殺し合いをしているらしい」
大統領「!?あんな少女たちが殺し合いをしているのか?」
吉良「不死身だから死なないらしい」
大統領「不死身同士の殺し合いか・・・なんだか不毛だな・・・」
大統領「これからどうする?」
吉良「人里に一回帰るか・・・」
大統領「そして妹紅と一緒に「永遠亭」に行くと」
吉良「そうだ」
吉良「じゃあ・・・行け!「シアーハートアタック」ッ!」
大統領「ッ!?何してるッ!吉良ッ!?」
吉良「大丈夫だ・・・そんなに焦ることは無い・・・」
吉良「「シアーハートアタック」で熱を探知して人の多くあるところに行くぞ・・・」
シアハ「コッチヲミロォ〜」ギャルギャル
吉良「そっちか・・・」
大統領「なるほどな、「シアーハートアタック」は「熱」が大きい所に行く、「人里」には人が多いから
「熱」があってそれを「シアーハートアタック」で探知してそれに付いて行くのか」
大統領「頭いいな」
吉良「こういう使い方をどっかで見たから使っただけだ」
吉良「さ、「シアーハートアタック」に付いて行くぞ・・・・」

46東方荒木荘 6話:2014/03/02(日) 16:31:56 ID:V3ZEu/ew0
〜5分後〜

吉良「結構進んだな」
大統領「そうだな・・・」

〜15分後〜
吉良「これってもしかして・・・」
大統領「ああ、その感じがする・・・」
吉良・大統領「ま た 迷 っ た か ?」
吉良「「シアーハートアタック」も間違っていたのかッ!?」
大統領「それはあまりないはず・・・」ガサガサ
大統領「ん?」
大統領「(何だあいつ・・・真っ黒な服を着ていて金髪だな・・・)」
吉良「どうしたヴァレンタイn・・・・ッ!」
大統領「知っているのかッ!?」
吉良「良く知ってるよ・・・あいつのせいで・・・私はこんな傷を負ったのだからな・・・」キズグチサスサス
大統領「そうだったのか・・・」
吉良「にしてもあいつが生きているとはな・・・」
大統領「一度倒したのか?」
吉良「「第一の爆弾」で黒焦げにしてやったがまだ生きているとはな・・・」
大統領「ゴキブリ以上の生命力というわけか」

そういうと辺りはいきなり暗くなり少女の声が聞こえた!
ルーミア「久しぶりね・・・貴方達・・・」
吉良「あいつ・・・・まだ私の事に気づいていたのか・・・」
大統領「ヤバそうだな・・・」フォン
大統領「あ、明るくなった」
吉良「やはりお前か・・・」
ルーミア「久しぶりね・・・「吉良」さん・・・」
吉良「きみに「久しぶり」なんて言われたくはないよ・・・」
ルーミア「そんな硬い事言わずに・・・楽しみましょうッ!?」ズァッ!!
吉良「こいつッ・・・前よりも格段と早くなっているッ!?」
ルーミア「前の仕返しよッ!」

      .__
      |┌i }     . ┌‐┐ _
      l | j } ,ィ==┐| l^i 7「rァ 7
     .l { .{〈  〉j j.}.| |..| j.}l ,l /
     .}.l .l .l  | i 〈 {.|「 .|/ j .j 〉
     ./.j リ  { j l 〉lj | / //
     j / |{  } { } }.|| l r=´
    .j {  l }  .{ { l .||L.ノ }
    .} l  | {  .{ j .〉.〉 ̄´
    { L,,ノ「  〈 { .| |_ ,ヘ、
    └=┘  .ノ j_,,,{ ..} .{ ,、.}
         .└┐ィ‐=ミj l .{ }
          く L_   .j .L,
           `‐-ミヽ `ヽ弋、
           __   .{ .} ト、 } }
          .ノ rミヽ┘j i ト=┘
           } レ-`-´ └-`=┐
           `^ー┐}  ,、  ̄} .}
              l .} j トミ二_」
              .l |  i }
               } }_] }
                   └-┐ レ´ヽ、
                     / /7∧ \
                 〈 〈////ヘ、
                     ヽク ._,=ヘ  〉
                    <´<´_,,ィ´ ノ
                   \_r'' ̄´

47東方荒木荘 6話:2014/03/02(日) 16:32:31 ID:V3ZEu/ew0
吉良「グハァアア!!」
大統領「吉良ッ!」
吉良「どうやら・・・本気で戦わなければいけないようだな・・・」
大統領「吉良・・・お前は引っ込んでいろ・・・こいつは私が片を付ける」
大統領「私たちの大切な吉良を傷つけた罪は深いぞ・・・?」
吉良「ヴァレンタイン・・・」ジーン・・・
大統領「吉良が死んでしまったら私たちの稼ぎはディエゴだけになるからな・・・」
吉良「(やっぱだめだこいつら)」
大統領「吉良。」
吉良「何だ?」ブォァサァァ!
吉良「何だッ!これは「アメリカ国旗」ッ」!」
大統領「お前は隣の次元にでも行っておけ・・・」
ルーミア「・・・貴方が私のご飯になるの?」
大統領「喰えるものなら食えばいい・・・(こいつらは私たちの事を飯としか思っていないのか)」
大統領「冬のナマズみたいにおとなしくさせてやる・・・」
ルーミア「行くわよッ!」ドグシャア!
ルーミア「あら・・・意外とあっけないのね・・・」
ルーミア「さて・・・私に食べられなs・・・ってあれ・・・?居ない・・・」
ルーミア「どこに行ったのッ!?」
大統領「Dirty deeds done dirt cheap」
ルーミア「ッ!?」
大統領「いともたやすく行なわれるえげつない行為」
大統領「ドジャぁぁぁ〜ン」
ルーミア「どうなっているの・・・?(アイツに攻撃したのにアイツが後ろに回っていた・・・)」
大統領「D4Cッ!」
D4C「・・・!」
ルーミア「(こいつ・・・あの吉良と同じような能力を・・・)」
大統領「貴様を始末するッ!」
ルーミア「やってみなさい」
ルーミア「WRYYYY!!!」
大統領「挟んでやるッ!」
ルーミア「そんな布きれッ!」
ルーミア「破けるわッ!」ビリビリィ
ルーミア「今度はこっちの番よ!」
ルーミア「月符「ムーンライトレイ」ッ!」
大統領「何だこれはッ!レーザー状の光線かッ!」
大統領「D4C!隣りの次元に隠れるぞッ!」
D4C「・・・!」
ルーミア「喰らえエエエエエエエエ!!!」

48東方荒木荘 6話:2014/03/02(日) 16:33:02 ID:V3ZEu/ew0

        /|  l7l7
      |  |_
      |  __>
      |  |_
      |___>
          ___/|___
          \     /        |\
            | / ̄| /   _ _ __   | ./
            l/   l/    l/l// /   l/
                     ∠/   ⊿

ルーミア「これで・・・」
ルーミア「倒したのかしら・・・」
大統領「間に合わなかった・・・」
ルーミア「ふふふ・・・これであなたを・・・食べれるってわけね・・・」
大統領「誰か・・・誰か助けてッ・・・」
ルーミア「誰も助けになんて来ないわよ・・・・」
ルーミア「それじゃあ」
ルーミア「食べさせてもらうわよッ!」
大統領「誰か・・・誰か・・・」
大統領「助けて・・・」ファサァ・・・
ルーミア「こいつ・・・・布きれを被っただけで逃げだとでも思ってるのかしら〜〜?」
ルーミア「(そうだったらとしたら大マヌケね!)」
ルーミア「WRYYYY!!そんなので隠れたつもりかしらァ〜!?貴方は私にとって猿よッ!猿が人

間に追いつけるかーッ!お前はこのルーミアにとってのモンキーなのよォォォォォォ!人間ンンンーーーッ

!!」ビリビリィ!
ルーミア「そしてッ!あなたは私に食われて死ぬのよォォォォォォ!!」
ルーミア「・・・・・・・って居ない・・・!?」
ルーミア「!また後ろね!」
大統領「残念だったな、上だ」
ルーミア「!!?」
大統領「今度こそ挟んでやるッ!」
ルーミア「キャア!」

〜〜〜〜〜〜〜
ルーミア「・・・こ・・・これは・・・」
ルーミア「私がもう一人・・・」
大統領「Dirty Deeds Done Dirt Cheap 」
大統領「この隣の場所に自由に入ってこられるのは!この私の「D4C」だけだッ!」
ルーミア2「貴方は・・・誰・・・!?」
ルーミア「こっちが聞きt」バチィイイン!!!
ルーミア「うわああああアアアアアア!!!」
ルーミア「これは・・・!「私の体」がッ!!!ブロックみたいにッ!砕け散ってるッ!」ボロボロ
ルーミア「早くしないとッ!全部が砕け散って「死んじゃう」ッ!!!」
ルーミア「!!ウワァ!もう一人の方の私が死んだッ!」
ルーミア「た・・・助けてッ!」
大統領「・・・・」

49東方荒木荘 6話:2014/03/02(日) 16:34:09 ID:V3ZEu/ew0
                          / fワ /       ,ィf/
   『 Dirty deeds done         / fワ /     ,ィタ'/
     dirt cheap 』           / fワ /    /rタ /
                       / fワ /  /,rタ´ /
  “ いとも たやすく 行われる       /.fワ' / /,rタ  , '
         えげつない 行為 ”      /fワ // rタ  /
                        /fワ'/ヽ rタ /
                   __/ ,.ィ   } /
               __/ ̄__/ rm    j∧
               /::/  _〕 ト=‐‐z_rmノ、 \
                 |::::l   ヽ人 ミ  /r‐'  ∧
        ,.ィニ二アニ二ミヽ__|  ` 二、 ) ,ィ⌒ヽ
          ,L三三彡'⌒ト、ヽ\ ̄/ ./7´ /::; 、:::::::}
.        /ll\ l fツ  ヽ  ̄`フ} У ̄>、__ ;:__ノ}
.       { l|| ハメ    ,、 | ヽ ノ´ /   ,/ ‐ヽ ̄ヘ
.      | l| |l|ー<〈/_/へr'´/、  / / i_  _ | fワハ
        ∧l l | |ニミヽ ` ー|‐'  \   V´   ソ  fワ |、
.       /  ヽ V⌒ヽjリ}    l     `ー/   、 /{\__ソ'^}ォ
    ノ /⌒ト、ヽー人,ノ  /|`ヽ.__  f二つ  |、|  トイ^リ
.    /ヘ人__ノノ`T´ ̄ \ー ┴--  ノ -一{_j `|  | i  l}
   /ノ _}.     ヽ‐'  } \ー-- 〈 /づ´ ∨ヽ!  V i  |
.  / {_f´      |'⌒ヽ!  |>-イ  ノ==、/ │  ∨  |
  | ト、_う        |__,ノ-<____/ `ヽ / \.|.   |   |
.  `U.       _,ノ / l ̄ / /  l     / 、  \   '.   !
        ‘ーへ \_ヽ__l  |    \__/ \  ハ.  ト-ハ
               ̄  .// ̄/  ̄ ̄ \    ヽ ∧ |Yヽ|
                 //  /ヽ  / ∧       ∧ヽしリ
             // /  \/  ノ  ',       ∧〈{/
             ノ/_   ニニ|   _ V     ∧
.              / /   ̄`ヽ レ'´   ̄`∨\    |
           /  /     j/ |      }V  \  |
         /   /-- 、   /: | __    / ∨   \|
          /   /   \/ .: j/  ̄`V  ∨   |
.         /   ∧\__/ノ  . :. |      ト、   ∨   !

50東方荒木荘 6話:2014/03/02(日) 16:34:55 ID:V3ZEu/ew0
大統領「・・・・」
ルーミア「た・・・助けて・・・ッ!」
大統領「助けてほしいか?」
ルーミア「ええ!早くッ!早く助けてッ!」
大統領「だ が 断 る」
大統領「貴様は前に吉良を半殺しにしたようだっけな」
大統領「そうだとしたら・・・そっちも返して来たからこちらも返させてもらおう」
大統領「やられたらやり返す、倍返しだッ!」バサッ!
大統領「連れて戻ってきたッ!皆私だ!」※大統領のHHA
大統領2「オラオラッ!」バキバキッ!
大統領3「思いしれッ!」グシャア!
大統領「とどめッ!」ポイッ!
大統領・2・3「そぉい!」
ルーミア「もう・・・・もうやめて・・・」
ルーミア「もう貴方達には近づかないから・・・!」
大統領「・・・・貴様らの言う事は信用できんな。そうだろ?吉良」
吉良「ああ、もう一度「第一の爆弾」で吹き飛ばしてやろう」
ルーミア「もうやめて!お願いだからほんとにッ!・・・やめてッ!」
吉良「・・・・私たちを思う存分責めたのにお前は命乞いして逃げようと言っているのか?」
吉良「私はその時泣かなかった・・・貴様にあの時弾幕を撃たれたときに泣かなかった・・・」
吉良「だが貴様は泣いている・・・」
吉良「私を見習うんだな、そうだ・・・私を見習いたまえ・・・」ガシィ!
吉良「私 を 見 習 う ん だ よ ォ ッ !」バキィィン!
大統領「えげつない(確信)」
ルーミア「もうやめて・・・・顔の骨がもうベキベキに折れちゃってるから・・・」
ルーミア「もう助けて・・・!」
大統領「・・・・!」
大統領「おい貴様、「永遠亭」までの道はどっちに行けばいいかわかるか?」
ルーミア「それなら・・・・」
ルーミア「そっちの方向に・・・・行けばいいと思うよ」
大統領「そうか」
大統領「わかった、もうこの辺にしといてやろう」
大統領「しかし、これから私たちを見かけても絶対に話しかけるな」
大統領「いいな?」
ルーミア「わかりましたぁ・・・」
大統領「よし、戻るぞ、吉良」
吉良「わかった」バサッ

51東方荒木荘 6話:2014/03/02(日) 16:35:37 ID:V3ZEu/ew0
〜〜〜〜〜〜
吉良「さて・・・あの小娘に教えてもらった方向に行くか・・・」
大統領「そうだな」

〜5分後〜
吉良「あ、あれだ、これが「永遠亭」だ」
大統領「へえ、なかなかいい雰囲気の家じゃないか」
吉良「ちょっと呼んでみるよ」
吉良「すいませーん!誰かいますかァー!」

シーン

吉良「誰もいないみたいだな」
ヴァレンタイン「どうする?」
吉良「ちょっと勝手に上がらせてもらおうか」ガラッ

〜永遠亭〜輝夜の部屋〜
輝夜「・・・」カチャカチャ
妹紅「・・・」カチャカチャ
吉良「・・・(何をしているんだこいつら・・・)」
大統領「・・・(ゲームをしてるな・・・しかもスマブラ64・・・)」
\ファルコーン!ハァ゚ーンチ!/   チガーウ!>
妹紅「よっしゃぁ!これで6連勝だ!」
輝夜「また負けたわ・・・やっぱピカチュウじゃあ勝てないわ・・・」
妹紅「あ、吉良、来てたのか」
輝夜「?・・・・貴方達は・・・・あの号外の人達!」
輝夜「貴方達はなんのようで来たのかしら?」
妹紅「そうだぞ吉良!女の部屋にいきなり入ってくるなんて・・・非常識だッ!」
吉良「すまない・・・訳を説明する・・・」
キングクリムゾン!
輝夜「そういう事ね・・・・」
輝夜「残念だけど、貴方達の仲間はここに来ては無いわ」
吉良「!・・・そうだったのか・・・」
輝夜「すまないわね・・・」
吉良「いや、大丈夫だ、次のところに行けばいいだけだ」
吉良「邪魔したね」
輝夜「いいえ、大丈夫よ」
吉良「それでは失礼した」

52東方荒木荘 6話:2014/03/02(日) 16:36:16 ID:V3ZEu/ew0
パタン

吉良「「永遠亭」は誰もいなかったか・・・」
大統領「次は・・・「守矢神社」か・・・」
大統領「そういう所には誰もいなさそうだな」
吉良「意外といるかもしれんぞ、私はディエゴが居ると賭けるよ」
大統領「私はカーズだな」

そういうと二人は地図を頼りに守矢神社に向かっていった・・・・

53東方荒木荘 6話:2014/03/02(日) 16:40:29 ID:V3ZEu/ew0
投稿終了ゥ!
永遠亭に誰かいると思った!?残念だれも居ませんでしたー!
さて、残りのメンバーはどこにいるか予想してもらいましょう!
(一応言っておきますが、行く予定にないところにいるかもしれませんよ)

54どくたあ☆ちょこら〜た:2014/03/02(日) 22:43:00 ID:VsyUiJI.0
サイバーさん、投稿お疲れ様です。
ギャグかと思ったら普通にヴァイオレンスってのは、結構クルものがありますな。
ボスはその辺の道端で野垂れてそうですねw

55サイバー:2014/03/13(木) 22:35:40 ID:ymhieD1w0
東方荒木荘、7話投下開始ですッ!

どうでもいいど最初の頃守矢神社のこと矢守神社って言ってた

56東方荒木荘 光は剣より強し」ンッン〜名言だなこれは:2014/03/13(木) 22:36:49 ID:ymhieD1w0
            第7話「「光は剣より強し」ンッン〜名言だなこれは」

一方その頃DIOグループは・・・・

プッチ「DIO、「アリス邸」からか「白玉桜」かで先にするかとかどうかは
どちらかが先にでもいいよな?」
DIO「それは・・・・どちらからでもいいんじゃないか?」
DIO「なぜそんなことを聞くんだ?」
プッチ「ちょっとな・・・私たちは「アリス邸」に行っていると思っていたが、この地図を見ていると
私たちは「白玉桜」に行っているようだ・・・・」
DIO「・・・・道を間違えていたのか・・・・」
プッチ「そうなんだよ・・・・」
プッチ「だが、メンバー探しに支障はないと思うぞ」
DIO「まあどうでも良いんだがな」

白玉桜までキングクリムゾンッ!

プッチ「あまり遠くないな・・・・」
DIO「幻想郷自体があまり大きくは無いらしいぞ」
プッチ「だからあまり遠くは無いのか・・・」
プッチ「(それにしても三途の川の船の奴と言ったら・・・・DIOに色目使っていたな・・・DIOの
親友は私でありあんな女に勤まる訳が無い・・・)」
DIO「どうしたプッチ、ブツブツ言っていて気持ち悪いぞ」
プッチ「あ・・・ああ、すまないな」

〜白玉楼 庭園〜

DIO「ああ、聞いたことのある声が聞こえるな」
プッチ「そうだな・・・(汗)それと女の声も聞こえる」
DIO「そこの角から聞こえてくるぞ・・・・」
プッチ「壁に隠れながらどんな様子か見ようか」

57東方荒木荘 光は剣より強し」ンッン〜名言だなこれは:2014/03/13(木) 22:37:20 ID:ymhieD1w0
???「せいッ!」カキョゥイン!
???「ムゥウン!輝彩滑刀ッ!」キィイイイン!
???「ウワァッ!!」ドガシャァ!
???「やっぱりカーズさんは強いですね・・・」
カーズ「フフフ、だがお前も腕を上げていると思うぞ、「妖夢」」
妖夢「はい!ありがとうございます!」
???「やってるわねぇ・・・・」
妖夢「あ、幽々子様」
カーズ「幽々子か・・・」
幽々子「貴方達もよくやるわねぇ・・・・」
幽々子「カーズ、妖夢の稽古の師範をやってくれてて有難うね・・・」
カーズ「いや、幽々子の為、妖夢の為ならこの程度なんてことは無い」
幽々子「頼もしいわね・・・」
幽々子「あ、後貴方たちの仲間達がここに来ているわよ何処に行ったかはわからないけど」
DIO「(何ィ!このDIO達の存在を気づいていたのかッ!)」
プッチ「(あの女・・・・何か異常なオーラを感じる・・・)」
カーズ「ああ、分かっている、あいつらが来ているというこのも」
カーズ「後ろに二人ッ!両方男ッ!」ジャキン!
カーズ「そこだァ!」ザシュゥ!
DIO「WRYァ!(危ねッ!)」
プッチ「うおおおッ!」
幽々子「!」
カーズ「DIOとプッチか、貴様らが来ているというという事ももうすでに分かっていた」
カーズ「私に何の用だ?」
DIO「その事なんだが・・・」
カーズ「ちょっと待てッ!?DIO貴様太陽が出ているのに灰になっていないぞッ!??」
DIO「ああ、その事なんだが・・・(やっべ喰われるかもしれん)」

キングクリムゾンッ!

58東方荒木荘 「光は剣より強し」ンッン〜名言だなこれは:2014/03/13(木) 22:37:56 ID:WIpqBPyU0
DIO「とまあそういうわけだ」
カーズ「」
幽々子「あの吸血小娘の血を吸ったら太陽を克服したってわけね・・・」
幽々子「カーズの一生の研究はそんなことで水の泡ねww」
プッチ「そうだな・・・(この女・・・サラッとえげつない事言うな)」
プッチ「ン?カーズ?」
カーズ「アンナディオゴトキニワタシノイッショウノケンキュウガコムスメノチヲノンダダケデタイヨウヲコクフクシタ、ワタシナンテイチドウチュウニマデイッテ

デモタイヨウヲコクフクシタノニアノディオノヤツハタダタダコムスメノチヲノンダダケデ・・・ソンナナサケナイリユウヲエシディシヤワムウニキカセタラドンナ

カオヲスルダロウ・・・エイジャノセキセキハナンノタメニアルノダ・・・?ワタシノイシカメンハナンノタメニアルノダ?エイジャノセキセキハイシカメンヲサド

ウサセルタメニアル・・・・ワタシノエイジャノセキセキデウゴクイシカメンコソガタイヨウヲコクフクスルタメニアル、シカシディオハ・・・ディオハ・・・・タダ

ノキュウケツコムスメノチヲノンダダケデタイヨウヲコクフクシタ・・・・ワタシノ・・・ワタシノイッショウノケンキュウノイミハ・・・・」ブツブツブツ
プッチ「ホワイトスネイクッ!」
白蛇「ウショワッ!」ボコッ!
カーズ「ヌワァ!おのれ何をするかッ!プッチッ!」
プッチ「カーズ!お前がそこまで落ち込むことは無いだろうッ!」
プッチ「DIOが太陽を克服したのが何だッ!カーズ!お前が太陽を克服したという事には変わりはないだろうッ!」
プッチ「そんなことで落ち込んでいてどうするッ!死んだエシディシ・・・だっけ?ワムウにも
申し訳が立たないだろうッ!」
プッチ「貴様はそんなキャラじゃなだろうッ」
カーズ「そ・・・そうだなッ・・・・」
カーズ「だが・・・・頂点に立つ者は常に一人ではならないッ・・・」
カーズ「また今度どちらがDIOどちらかが強いかが戦わなければな・・・」
幽々子「こんな所で話してるのはなんだから中に入って話しましょう?」
DIO「有難いな」
プッチ「感謝しよう」
カーズ「白玉楼は良い所だぞ?」
DIO「そうなのか?」
カーズ「妖夢の飯はかなり」
プッチ「そうなのか」

59東方荒木荘 「光は剣より強し」ンッン〜名言だなこれは:2014/03/13(木) 22:38:52 ID:ymhieD1w0
〜白玉楼 茶室〜
DIO「なかなか良い臭いがする」
カーズ「な、そうだろ?」
プッチ「なんか話ずれてる気がするんだが」
プッチ「それでだな、カーズ、ここに理由はな・・・」
カーズ「この幻想郷にいるメンバーを集めたいんだろう?」
プッチ「知っているなら話は早いな」
プッチ「一度人里まで来てくれるか?
カーズ「良いだろう、しかし」
カーズ「用件が済んだらここに戻ってくるぞ」
プッチ「いや・・・・別にいいが・・・」
プッチ「何故ここに留まろうとする?前まであれほど飽きっぽかったのに・・・」
カーズ「幽々子にも妖夢の稽古をしてやってくれと頼まれてるんでな・・・妖夢も我が「輝彩滑刀」での修行も
良い稽古になっていると言っている」
カーズ「頼みごとを断るわけにはいかんだろう?」
プッチ「そうだが・・・お前はそんなキャラじゃなかっただろう」
カーズ「・・・」
カーズ「わかった、訳を話そう」

「恋」 ッ ! そ の す て き な 好 奇 心 が カ ー ズ を 行 動 さ せ た !

カーズ「初めて幽々子に会ったときから幽々子には一目惚れしたよ・・・」
カーズ「あの強さにッ!あの不老不死にッ!」
カーズ「あ の 美 し さ に ッ !」
カーズ「私は心に決めた・・・「幽々子が好きだという事」を・・・・」
プッチ「」
DIO「」
プッチ「まさか・・・・カーズが恋をするなんて・・・・ッ」
DIO「スタンドも月までブッ飛ぶこの衝撃・・・・」
DIO「まあ、カーズの自由でいいんじゃないか・・・・」
プッチ「そうだな・・・・」
プッチ「まあ、人里まで来てくれよ」
カーズ「そうだな、幽々子達に伝えてくるぞ」スッ
DIO「わかった」バタン
プッチ「にしても・・・カーズが恋をするとはな・・・・」
DIO「驚きだな・・・」
DIO「今頃吉良達は何をしているのだろうかな・・・」

60東方荒木荘 「光は剣より強し」ンッン〜名言だなこれは:2014/03/13(木) 22:39:43 ID:ymhieD1w0
〜守矢神社〜

吉良「ハアハア・・・ハアハア・・・」ゼーハゼーハー
ヴァレンタイン「ハアハア・・・・ハアハア・・・」ゼーハーゼーハー
吉良「三十代半ばの・・・・アラフォーに・・・」ゼーハーゼーハー
吉良「この階段は・・・キツイ・・・・ヒーハーゼーハー
ヴァレンタイン「そうだな・・・・」ゼーハーゼーハー
ヴァレンタイン「でも・・・・もう少しだッ・・・」ゼーハーゼーハー

       ___
     /×( ゚Д゚)
     |×( ´∀`)
    ⊂××××つ
     |××××|
     | ××× ノ
     |×| ̄|×|
      (__) (__)
     キングクリムゾン!

吉良「やっと着いた・・・・ッ!」
ヴァレンタイン「疲れたな・・・ッ」
吉良「一休みしてから行こうか・・・・」
ヴァレンタイン「そうだな・・・」
吉良「クソッ・・・こんな事ならぶどうが丘のスポーツジムの会員になっておけばよかった・・・・」
ヴァレンタイン「・・・・!」
吉良「どうした?」
ヴァレンタイン「静かにしろ」
吉良「?」

      モウイイ!オレハココヲデテイクッ!

                         チョットマッテクダサイ!マダワタシタチノヨウケンガスンデマセンヨッ!
  ウルサイッ!オマエラハオレニマトワリスギダッ!

                   マアソウオコンナヨ・・・・ホラ、ムネニトビコンデキテモイインダゾ?
   シツコイゾッ!オレハデテイクトイッテルンダ!
  
                  デテイカナイデヨォ〜マッテテバァ〜

???「うるさいぞッ!俺は出ていくと言ってるんだッ!」
???「待ってくれ!ディエゴ!お前はこれから守矢の一人のなりそうだったのに!」
ディエゴ「WRYYY!!!貴様らは俺にまとわり過ぎだッ!」
ディエゴ「布団の中に入るまではまだよかったッ!」
ディエゴ「だがッ!風呂にまで入ってくるのはあまりにも行き過ぎだッ!」
???「それはお前と速く打ち解けたくて・・・・」
ディエゴ「もうお前たちに近づく気はないッ!」
ディエゴ「ん?」
吉良「ディエゴか・・・・」
ディエゴ「吉良ッ!それにヴァレンタイン!」
ヴァレンタイン「久しいな」
ディエゴ「助けてくれッ!変態達に監禁されてるッ!」
???「なッ・・・変態じゃないぞ私たちはッ!」
???「いや、私は自覚あるよ、結構ひどいことしてたって・・・」
???「お前も喜んで布団の中に入ってたじゃないかッ!」
???「にゃ、にゃにおォォォォ!?そんなことなかったよ!」
???「二人ともケンカしないでください!ディエゴさん帰っちゃいますよ!」
???「ああ、そうだな・・・」
???「つーかあいつらはなんなの?」
???「話を聞いていたらご知り合いかと・・・・」
吉良「聞くんだが・・・・」
吉良「君たちは何者なんだ?」
???「ああ、自己紹介がまだだったな」
神奈子「私は「八坂神奈子」だ」
諏訪子「私は「洩矢諏訪子」だよ」
早苗「私は「東風谷早苗」です」
吉良「さて、少しお願いがあるんだが」
吉良「ディエゴを返してもらいたい」
吉良「もちろんすぐに返す」
ディエゴ「!?」
神奈子「・・・・」
諏訪子「どうする・・・?」
神奈子「すぐに返してくれるなら・・・・」
神奈子「しょうがない、ディエゴも嫌がってるしな」
神奈子「あの号外でも大体知ってるし」
吉良「感謝する」

そのあと二人達は人里に戻りDIO達と合流した・・・

61サイバー:2014/03/13(木) 22:43:11 ID:ymhieD1w0
投稿終了ッ!
しかし5大BB(ピチューン
紫とかは全然BBAじゃない(ピチューン
紫達は普通にお姉さんだと思いますがね

62名無しさん:2014/03/13(木) 23:57:49 ID:eNZwFQ1A0
カーズの童貞臭

63サイバー:2014/03/14(金) 03:59:11 ID:O5l734iA0
>>62

「SEX」必要なし、帝王は常に一人。

64どくたあ☆ちょこら〜た:2014/03/15(土) 00:13:12 ID:vIpb1Cdw0
投稿お疲れ様です。
アリス邸には行かず終い、残るはディアボロのみ。
幽々子とのカプですか。カーズはジョジョボスの中でも一番色恋沙汰とは縁遠いイメージがありますね。
私の中では、カーズとのカプを組むとしたら永琳かな〜、と考えておりました。研究者だしIQ高いし、食物連鎖の頂点であるカーズと『穢れ』

65どくたあ☆ちょこら〜た:2014/03/15(土) 00:15:31 ID:vIpb1Cdw0
途中送信失礼しました。

『穢れ』を嫌う月の民との価値観の差異とか、色々絡ませやすいかなと。
カーズ×幽々子、どのような進展で魅せてくれるのか、期待しております!

66まるく:2014/03/16(日) 21:42:22 ID:KXhOcsr60
白玉楼、二つの神社。命蓮寺も?階段絶対すごそう。
僅かな間の攻防だから書かれてませんが、やはり人間組は階段には勝てないのか…

SEX必要なし。ゆえに童貞。…いいのかそれでおまえ…
価値観が違うからいいのかもしれないけど。

67サイバー:2014/03/17(月) 19:54:31 ID:b6OZS.6g0
ちょこら〜たさん、まるくさん・・・返信ありがとうございます。

>研究者だしIQ高いし、食物連鎖の頂点であるカーズと『穢れ』を嫌う月の民との価値観の差異とか、色々絡ませやすいかなと。

恋に相性なんてないんですよ、すべてはカーズの意思であり、カーズの好みなんですよ、ぶっちゃけ
私が幽々子様とカーズ様が好きだからカプにしただけなんですけどね。

>僅かな間の攻防だから書かれてませんが、やはり人間組は階段には勝てないのか…

階段>>>>>>>超えれない壁>>>>人間って事です、30代のアラフォーに
階段は絶対にキツイ、俺が歳とったら絶対そうだ、皆だってそうだ。

68まるく:2014/03/24(月) 16:11:12 ID:V1cqd/cI0
>SSはよ
あったよ!ここにSSが!
でかした!

あ、なんでもないです。投稿します。

69深紅の協奏曲 ―嘘と真の三重奏 3―:2014/03/24(月) 16:12:26 ID:V1cqd/cI0
「お騒がせしました」
「まったくだよ」

 守矢神社本殿の前で、早苗は深々と頭を下げて謝罪する。
 その姿を見せられては、さすがにドッピオも何も言えない。

「あんたは普段からまじめ口調のいい子ちゃんみたいなのにすぐ暴走するんだから」
「返す言葉もありません……」
「……はは、は」

 気落ちした早苗に対して気の利いた言葉も出てこない。
 もし自身が普段と変わらない状況であるなら慰めの言葉も浮かんだのであろうが。

「……して、今日はどういったご用件で? あ、アリスさんは今朝帰られましたよ」
「いや、アリスに用はないけど」
「ん、何であの人形遣いが出るの?」
「昨日は霊夢さんの所にアリスさんを訪ねてきましたので。神社あるところにアリスさんがいる、と言うわけではないことを」
「アリスには用はないって言ってるだろ」
「あ、はい」

 それに早苗は特に気づかない。気づく素振りもないその姿をみると、今の自分の気持ちを共有させようとする心が引ける。

「私がこいつをここに連れてきたのは、早苗の話を聞かせてやりたいからだよ」

 その空気を切ったのははたてだった。
 けしてからかう空気はなく、実直に彼の為に動いていた。

「私の話……ですか? えぇ、良いですけど、何を聞きたいんです? 神奈子様の伝説?」
「早苗がここに来た時の話と、それからどれくらい経っているか。その前後を、ドッピオに聞かせてほしい」

 はたてが強く、はっきりとした口調で言い切る。
 その言葉を聞くと、早苗は明らかに体を強張らせ、目を丸くしてこちらを見やる。

「……どういう、ことです?」
「僕の一番新しい記憶では、僕が現実に……外の世界に居た頃は2001年だったはずだ。それは絶対に間違いない」

 はたてに続き、ドッピオを同じく語気を強めて話す。その言葉には、現実を強く認識し乗り越えようとする意志がある。

「早苗、君は元は外の世界の人間なんだろう? 誰かから、それこそはたてからしっかり聞いたわけじゃあないが、流れからそれは推測できる。
 ならば知っているんだろう。『今』が何年なのか。どれほどの時間が経っているのか、その答えを!」

 だんだんと語調が強くなる。息を吐ききってもまだ出るかのような感覚。
 言い切ったころには浅く、肩で息をしているその状態。
 事実を認めるのは辛くとも、それは確かにしなくてはならないという気持ちが、彼の心拍数を速めている。

「……そんなこと、あるわけないじゃないですか」

 早苗は、そんな彼に目を細め異物を見る様な視線を向ける。
 小さく漏れ出たその返答は、明らかに彼を異常と思った答えだった。

70深紅の協奏曲 ―嘘と真の三重奏 3―:2014/03/24(月) 16:13:13 ID:V1cqd/cI0
「……何だって?」
「来たのはつい最近って言っていたのに、そんな前の事……時間が歪みでもしない限り、そんなことはあり得ません」

 そこまで言うと早苗は踵を返し、本殿の中へ向かう。

「ちょっと待て、どこに行くんだ!? どういう意味だ、今のは!!」

 何も言わずに去ろうとする早苗に喰ってかかる。
 返答次第では手が出てしまう、それほどの勢いで。

「……? ありましたよね、分からないはずがない。ここだけでなく、外でも同じことがあったはずです。それで忘れているだけじゃないです?
 ……そういっても納得しないでしょう、ドッピオさん。だから、証しを見せてあげます。……しばしお待ちを。本当に心当たりがないならはたてさんにでも聞いてください」

 そんな彼を少し振り返り、目線だけやると奥へと向かっていく。
 残された二人は、向けるべき対象がいなくなってしまったことで、矛先を変えるだけ。

「どういうことだ……何が何やらわからない。何があったか、だと? それはいちばん僕が聞きたいっていうのに……!」
「……やっぱり、怒るよなぁ。けれど、説明だけなら誰でもできるが……」
「はたて、お前もだぞ! 何かあるっていうならそれをまず言うべきじゃあなかったのか!?」
「いや、それはそれでしょ! というか、まさかそれを知らないと思ってなかったし……! 第127季、今年の二月程度前の話だ、あんた本当に知らないの!?」

 本殿の前で置いて行かれた二人は、大きな声で互いに責めあう。
 ドッピオは知らないことの増加とそれを知らされていたなかったことに対する怒り、はたては知っていて当然の話を知らないことによる驚き。
 その二つの感情が、発せられる声量が二人を熱する。

「知らないね、何があったかわかりゃあしないッ! 僕が目覚めたその時から、それほど経っているだなんて思ってもいなかった! 想像もしなかった!!」
「まさかその間中ずっと眠っていたんじゃないの!? あんだけ大規模な事件、知らないはずがない! 結果的には大したことなかったけれども、どう考えたってそれはこの中だけの話!
 隔絶されているとはいえ時の流れまでは変わってはいない! 外の技術が時空間まで揺るがすような空想を実現させているとは到底思えない! だったら知ってるはずでしょ!?」
「だから、それが何かって聞いているんだッ!!」
「おーいー、あなた達何話してるの、人の寝床の前で」

 熱くなった二人の前に、大きくあくびをしながら小さな少女が現れる。
 ふわわ、と間延びした声を上げながら、けだるげな眼で二人を見据える。

「……あ」
「客人がうるさいと思ったら、早苗は早苗でどんより自室に戻ってるし……その理由はお前たちの痴話ゲンカかい? いけないなぁ、いけないなぁ」
「……何だ、ガキが仲裁に入ることは何もねえぞ」
「子供じゃないって、この方は洩矢諏訪子。ここの主神の片割れだよ」
「うす」

 その紹介を受けた少女―洩矢諏訪子―は左手を軽く挙げ、頭を同時に小さく下げる。

「神奈子は大天狗と昼間から酒盛りしてるし、早苗は人形遣いと遊んでるしで暇々だったから寝てたらさー、あんたらがちゃがちゃこんなところで……クツワムシか」
「こんなのが、神?」
「幻想郷じゃあ大体こんなものだよ、そこは突っ込まないであげて。諏訪子様は」
「いいよ別に、立てなくても。……ところで、何話していたんだい? 二度聞きになりそうだけど、私が納得できない話だったなら静かにさせてもらうよ」

71深紅の協奏曲 ―嘘と真の三重奏 3―:2014/03/24(月) 16:13:51 ID:V1cqd/cI0
 口調は柔らかいし、本当にそれをやるかどうかといえば、やれないだろう。見た目や発せられる声色は完全に幼女レベルのそれである。
 だがその自信に満ちた堂々とした物言いは確かにただの子供のそれではない……が、にわかにはやはり信じられない。
 そんな空気を感じ取ったのか、あわてて取り繕うようにはたては弁舌をふるう。

「いやいや、大したことじゃないんですよ、本当に。私たちが熱くなりすぎただけで。
 こいつ、ドッピオって言うんですけどね。外来人だけどよくわからないところがあって。それで早苗に聞いてみればわかるかなーって。
 ほら、私ら幻想郷出身の者は外の世界の年号とかあまりに興味湧かないんでほとんど知らない、けれど彼がそれと今を照らし合わせたくって。だからー、早苗さんをねー」
「……あぁ、なるほど。それで。……ふーん」

 はたての口が動くたび、諏訪子の表情が曇り、目の色が暗くなる。それは明らかに不快の印。
 その顔がふ、とドッピオの方に向けられ、すぐさまはたての方に変わる。
 ひゅ、と息を飲む声が確かにドッピオの耳に聞こえた。

「……怒られて、マス?」
「怒って、ます。以前言ったよね、早苗そのこと思い出すの辛いから触れないで欲しいって。神奈子はともかく、早苗にそんな思いをさせる奴を不快に思うって。
 わざわざ思い出したくない物を掘り出そうとする、気の触れた盗掘師の様な事、してほしくないって。言ったよね、天狗」
「えぇ、えぇ。言われましたとも。でもですね……」
「まだその口を回すのかい? 不敬とまで取ってあげようかね。それとも鼻から下を取ってあげようか」

 冷めた目で見つめられているのははたてだが、それでもその刺すような空気に巻かれるのがドッピオにも感じる。
 確かに小さな成りをしていても、なるほど神と言われれば納得できるような場数を踏んでいるだろう。
 だからといって自分の前に転がる真実を見逃すわけにいくだろうか。
 そう抗議しようと一歩を踏み出そうとするドッピオの前を、はたての手が遮る。

「不敬と取られても結構です。早苗の過去を尋ねるのも、それを嫌う者がいることも承知の上。承知の上で外来人であり出自に悩む彼を連れてきたのはこの姫海棠はたて。
 もちろん他の方法もあるでしょうが、一番彼の望む答えを待つ道はこの道のみ。早苗はまだこのことを理解せずとも道を指そうとしてくれています。それを邪魔するのであれば洩矢神であろうと」

 そこから先は言わない。まだそこまでならポーズで済むから。
 そして、そのポーズは一代の賭けとも思うほどに。
 思わずドッピオははたての表情を見やる。とても、こんなことをする者ではないはずだと思っていたから。
 諏訪子を見据えるはたての顔は、どこまでも真剣で、どこまでも強情で、そして、ドッピオにだけは優しさを感じる顔だった。

「…………」
「…………」

 数秒のにらみ合い。
 二人ともその点では固かった。
 共に譲る気の無い一点。

「諏訪子様、起きられていたのですか」

 その合間に割り入る早苗。胸に、少し擦り切れ、色褪せた本を抱いていた。

「早苗。今聞いたが、いいのかい? 私はいつだって反対だ。自分で辛いと思うのならやめればいい。前へ進むことではなく、後ろに振り返ることならば。
 もし嫌ならば、私が早苗の代わりに断ろう。早苗は嫌だと言えないタイプだ、同情とかそういう気持ちであるのなら――」
「大丈夫です」

 早苗は無表情に答える。その姿は強がり、にしか見えない。

「早苗……!」
「待たせてしまってすいません。……お話ししましょうか。さっきの事はもう聞きました?」
「あー、いや、まだだ。……それに少し時間をもらっていいかい」
「わかりました」

 二人の間に飛んでいた火花は早苗が入ったことで鎮まる。
 はたては改めてドッピオに振り向き、自分より頭一つ下にある彼の顔に高さを合わせた。

「というわけで、まずは話しておこう。既に起きた事実、幻想郷だけでなく、この宇宙を巻き込んだという事変を。
 真相は一部の大妖しかわかっていない。私もなぜ起きたか、その結果幻想郷の外はどうなっているか。それを全てはわかっていない。だから、事実だけを話そう」

72深紅の協奏曲 ―嘘と真の三重奏 3―:2014/03/24(月) 16:15:03 ID:V1cqd/cI0
 第127季、3月21日。
 時間は、始まりはいつかはわからない。大体、昼過ぎだったはずだ。
 それが始まるまでは別段何もない時間だった。普通に雲は流れて、花も蝶も風に揺られて。何も変わらない平凡な一日になるはずだった。
 だけど、「何か」をきっかけに狂い始めた。……ん、ああ。「何か」はわからない。もちろん私は後にこの「何か」について調べまわったよ。だけど、何も掴めなかった。文とか、他の天狗もね。
 私の気づきは、少し風が強くなったかな、と感じたときだった。自室で次の花果子念報の記事を執筆しているとき、窓を叩く風の音が強くなったかな? そう感じたんだよ。
 でも、最初は何も思わなかったけど、だんだん違和感を感じてきた。1分と経たず、その音がおかしいことに気付いたの。
 風が強くなり、窓を叩いて音を出すならその音と振動はだんだんと大きく強くなっていくはず。けれど、音と振動は強くならず、叩く間隔だけが早くなっていった。
 それはおかしいと思って、急いで外に出ようとしたさ。その時にあまりに急いで、書きかけの記事にインクをぶちまけてしまった。
 しまった、と思う前に起きた事実にぞっとしたよ。そのこぼしたインクは「既に乾いていた」。
 ……何を言っているのかわからないでしょう? 私もその時は何が起きたかわからなかった。久しぶりに、何百年振りに理解が追いつかない瞬間を目にしたよ。
 とにかく家から出て、山の全体を確認しようとした。そのために飛行しようと思ったんだけど、全く飛ぶことができなかった。
 恐ろしく風が強いのさ。
 他の人たちはどう飛んでるかは知らないけどさ、私たち天狗は元は鳥類。風を利用した飛行を主としてる。
 だから強風の時はだいぶ飛びづらい。……さっきも外の風が強かったから当然だろう、と思うでしょ?
 でも周りの木はそよ風に揺れる程度。全然、風の強さを受けていない。ただ、ゆらゆらと揺れているだけ。
 それでも、その揺れはすんごい小刻み。まるで高熱でぶるぶる震える子どもみたいに、ゆらゆらじゃないね、ぶるぶると、ぐらぐらと。
 頭が痛くなりそうになりながらも、大急ぎで空を飛んださ。ごうごうと吹き付ける風を何とか御しながら。
 途中で文とも出会った。状態は全く同じで、大天狗様たち……ああ、上司ね。も同じ様子みたいで。
 すわどうしたもんか、考えようとした矢先にまたおかしな事実に気付く。
 さっき昼過ぎだった、て言ったでしょ? で、この頭がどうにかなりそうな出来事、どれくらいかかってると思う?
 体感で言いたいけれど、それは私の体感だから言わないでおく。お天道様がどこにいるかで事実を伝えよう。
 さっきまで頭の上にあった太陽はすでに山の中に入ろうとしてた。私たちが見た時には半分くらいしか見えていなかった。
 そしてその太陽は、私たちの目の前でするすると沈んでいき、辺りはあっという間に暗くなった。
 もう夜になったのさ。数分と経たずにね。

73深紅の協奏曲 ―嘘と真の三重奏 3―:2014/03/24(月) 16:16:00 ID:V1cqd/cI0
 少し話は変わるが、以前にも夜を止めて月を隠すという異変があった。……ん、違うな。月を隠されたから夜を止めて〜、だったかな?
 まあそれはいいや。夜を止めて、っていうのが重要。時間を停滞させることはできないことはない。その異変の最後は停滞された夜が解放されて、圧縮された時が一気に進み、朝になった。
 パンパンに空気を詰めた袋の口を押えて、力いっぱい押してから口を放した時のように、一気に時間が過ぎていった。それがその異変の最後。
 だから、今回もそれをやった吸血鬼の仕業かな、と思ったんだよ。
 そう思ったその時には、反対側からまたお天道様が昇ってきた。
 わかる? その時の背筋の凍るような思いが。私は直感的に思ったよ。『これは幻想郷の中だけじゃない』って。
 だって、いたずらに時間を進めてどうしたい? それも、皆が困るようにするなんて。
 確かに似たような異変はもう一つ、春を集めたが故にいつまでも冬だった、なんて異変もあった。
 その時も、先の永夜異変、あ、さっきの異変ね。冬が〜、っていうのは春雪異変。とかは、どこか当然とも思えて。『幻想郷だから』というおちゃらけた様な感覚。
 だけど、この時はそうは思わなかった。幻想郷も含めたこの世界全てがこの事変に巻き込まれていると。
 なんでかわからないけどとにかくそう思ったし、隣にいた文も顔を青ざめながらそう思ったみたい。
 この時、すでに太陽は視認できるほどの速さで動いていた。間もなく正午になるような高さになった時、突然、全てが暗闇一色に染まった。
 また何か、と困惑したよ。時間がどんどん早くなっていく次は、光でも失われるのかと。
 世界が突然終わったのかと。
 全然追いつかない頭の中で、そうぽんやり思った時、暗闇が晴れたと思ったら、いつもの昼間に戻っていた。
 風が無く、嘘みたいに普通に飛べる。木々のざわめきが普通に聞こえる。パッと見、揺れを感じないほど小さく小さくゆっくり揺れている。
 しばらく私は眼をぱちぱちさせてたよ。いつの間にかくっついてる文を引っぺがそうともせず。
 それでも、何も起きない、何も変わらない。さっきまでの出来事が嘘みたいのように。
 夢じゃないか、と思って文の顔をひっぱたいてみたけど、乾いた音と共に手のひらに残る痛みは、何か起きたけど、元通りになりましたよーって言ってる。
 事変自体は、本当にその一瞬だけで終わってしまったんだ。

74深紅の協奏曲 ―嘘と真の三重奏 3―:2014/03/24(月) 16:16:46 ID:V1cqd/cI0
「……もちろん幻想郷の中にはそれくらいができる芸当の奴が何人かいる。でもそれらは一様に知らないわからないの一点。
 全てを知ってそうな八雲紫もこの件に関しては本気で口を開けようとしない。……もともと奴はそういうの喋らないし、のらりくらりとかわすけど。
 嘘の付けない半獣の賢者は、『八雲もこの件は調査中、だそうだ』と。……幻想郷の異変じゃない、外の世界の異変なの。ここは、ただ巻き込まれただけ」

 そこまで話すと、ふう、とはたては一息つく。
 すでにそれを体験した二人はともかく、とてもではないが話に追いつくことができていないドッピオ。
 ぽかんと口を半開きにして、ただそれを聞くだけだった。

「……」
「嘘だろ、と言いたげな顔だけど。それは全てが事実。この幻想郷の外で『何か』が世界、宇宙全ての時間を加速させた。
 それがどうして終わったかはわからないけど……起こす奴がいれば止めることができてもおかしくない奴が何人かいる。そいつらが何とかしてくれたのかもしれない。
 該当者に話を聞きに行っても、みんな知らない、だったけどね。明らかに箝口令にしか見えなかったけど」

 自分の耳をかりかりと掻き、最後にそれを伝える。
 それを聞き終ると、次は早苗が前に出て、ドッピオに見えるように本を見せた。
 その本には『日記 〜2005年から2008年〜』と書かれていた。

「今の話は今年の3月、今は5月なので少し前の話。私たち守矢がこの地に渡ったのは第122季。2007年の話です。……あなたの言う2001年は、6年前に過ぎています。現在からは、11年」
「…………!!」

 まるで、直接剣で身体を貫かれたような衝撃が走る。
 10年以上前、現在は10年の月日が流れている。先の絶望的な事変はその間。
 一瞬で頭に世界の全てを叩き込まれたような感覚が眩暈となって襲いかかる。

「……嘘だ」
「嘘ではありません。もしこれらが嘘だったら私たちは何も知らぬ人を精神的に追い詰めるとんだ悪人ですし、あなたが嘘と決めつけるのならそれは少なくとも私たちを否定することになります。……嘘では、ありません」

 感情を押し殺した、低く震えた声で早苗は話す。
 中ほどより後ろに定めて開き、一枚一枚探すようにページをめくる。
 あった、と小声でつぶやいたそのページの日付は2007年の9月を指している。

「ここからです。この幻想郷に移る過程を一番詳しく書き込んでいた時が。……同時に、今のあなたに関係はないでしょうが、その時の苦悩を」

 彼女の言葉通り、丸みを帯びたかわいらしい字体には似つかわしくない、八坂神奈子の提案と自分の今との執着と悩みが混同して書き込まれていた。
 信仰が薄れ消えゆく神の唯一の救いの手段。幼い早苗のあまりに厳しすぎる二者択一。
 今までの生活を取れば人間として早苗は生きていくだろう。信仰の対象を失って。心の拠り所が自分の所から立ち去って。
 今までの生活を捨てれば神として早苗は神奈子と共にあるだろう。生みの親を失って。今までの思い出の全ての形に触れることを全て捨てて。
 その悩みを書き連ねた文章は1日1日経つごとに、ある日は短く叩きつけるように。ある日は全てを吐き出したような長い言葉で。
 ……そこにあるのは嘘ではなく、確かな現実のものとして。

「あなたに同情してもらいたくて見せているわけではない、ということは理解していますよね。……これ、は」

 その日記を持つ手が震え、書かれている文字が水滴で軽くにじむ。
 ページにはいくつも似たようなにじみがあった。

「ここに書かれていることは、確かな記憶。たし、ぐず、確かな記録です。……遡ります、その前」

75深紅の協奏曲 ―嘘と真の三重奏 3―:2014/03/24(月) 16:17:23 ID:V1cqd/cI0
 涙が出そうなのをこらえて、それでも漏れ出す。
 声が今は大きく上げていたい、その感情を押し殺して早苗はドッピオに説明の言葉を続ける。

「2006年、サッカーのワールドカップがイタリアで開催されました。クラスのみんなで、それを、話していました。
 2005年、はやぶさという宇宙探査機が惑星イトカワに着陸して、そこの探索を行いました。それが戻ってくることが楽しみでした。……それらがどうなったかを知ることは、もう、できません」
「……」
「どちらも、大きく取り上げられた話題です。……知らない、のですね」

 涙にぬれながらも、ドッピオが本当にそれらを知らないという事実を憐れむような目を向ける。
 目を鼻を赤らめながらも、確かに彼を見据えた。

「まだ、話しますか? まだ必要、ですか? いいですよ、何度も、っ、……」
「……早苗、もういいだろう。お前も、知らないことを知りえた、もういいだろう!!」

 自棄になって投げやりに話す早苗を、諏訪子がかばう様に止める。
 これ以上彼女が自らの傷を広げることに耐えられなくなったのだろう。理解を求めるその視線。
 そんな諏訪子に、早苗の膝は崩れ、そのまま諏訪子の背中に顔をうずめる。

「うぅぅ、っ、うえぇ……すわこ、さまぁ……寂しいよぉ……みんなに、みんなぁ……」

 押さえていた涙が堰を切ったようにあふれ、消え入りそうな声と共に流れ出る。
 それに諏訪子は振り返り、改めて早苗の頭を胸に、優しく抱き留める。

「直接的な、お前が2001年にいた住人だという証明にはなっていないが、お前の知らぬ過程を経て、今に至る。それを知らないお前は、何の因果かここまで『飛んだ』んだ。それが事実!
 分かったなら、もう早苗を苦しめる様な事は聞かないでくれ!」

 その諏訪子の声には怒りと悲しみが混じっていた。
 ドッピオにはそれがなぜかわからない。が、それは神奈子と共に彼女を巻き込んだ原因の一つだから。

「……なんだよ、それ。なんなんだよ……」

 全てを知りえず、絶望的な事実のみを与えられたドッピオは、どうすることも、できなかった。

「そんなこと、勝手なことを、言いやがって、言うだけ言って泣いて終わりかよ! そんなに勝手に、お前らはッ! 僕は、僕は……ッ!!」
「ドッピオ」

 やり場のない感情が怒りとなって溢れ出る。その溢れた感情の表現も、あまりの大きさに制御できず、声を詰まらせて震えるのみ。
 そんな彼を、はたては優しく抱きしめる。

「出会って間もないし、あんたは私の事を嫌っているだろう。……でも、もし今の気持ちを落ち着けたいなら、胸を貸してあげる。今だけでも。落ち着いてから何だって聞いてあげるから」

 抱きしめた彼の頭を優しく撫でる。イタズラや打算などのどうでもいい感情はない、その行為は母性の表れともいえるそれだった。

「う、う……」
「誰にだって泣きたいときはある。あんたのそれは今さ。別に恥ずかしいことでもない。私で良ければ、ぶつけてよ」
「……う、あぁ……うああああああああああぁぁ!!!!」

 大きな声を上げ、あらんかぎりの力で。
 早苗の泣き声を上から塗りつぶすかのように。
 守矢神社に、二つの泣き声が混ざって鳴り響いた。

76まるく:2014/03/24(月) 16:22:53 ID:V1cqd/cI0
以上になります。
2012年3月21日、ジョジョ本編でメイドインヘブンが発動した瞬間です。
その力は全宇宙に影響する、幻想郷も当然巻き込まれます。
でも幻想郷の住人がそれに巻き込まれたら…という考えから対策が取られて云々。
ドッピオの物語とあんまり関係が…そこで誰が何をしたかは、読みたければどうぞ、って感じでハーメルンの活動報告にでも残そうと思います。
割とそういうところが多い物語なので、関係ないことを垂れ流すにはいいですね、あそこ。
1か月縛りなければもう少し書けますが、かといって縛りがないとずるずると書かない期間が増えてしまう自分への戒めもあります。夏休み残り3日で宿題全てをやるタイプです。
許してください、なんでもしますから!

僕もはたてさんにでれられたい。

77サイバー:2014/03/24(月) 17:35:41 ID:JBCxK1E60
まるくさん、投稿お疲れ様です。
やっぱり結界が張られていてもMIHの影響って受けるんですね・・・
僕の作品ではMIHは終盤の方に出そうかなとか思ってます。
流石神、幼女の体でも精神はいっちょ前ですね。

???「見た目は子供!頭脳は大人!その名は名探偵コOン!」
> 僕もはたてさんにでれられたい。

残念だったな、私は文派何だな

早く3部アニメがみたいなぁ

78サイバー:2014/03/25(火) 21:27:48 ID:wJzsmru20
東方荒木荘8話投下開始します。
何でだろう、自分のSSを読んでると皆さんの
よりも絶対早く読み終わってしまう・・・
もっとSSを綿密に描こうかな・・・

79サイバー:2014/03/25(火) 21:28:17 ID:TKfJd0cU0
東方荒木荘8話投下開始します。
何でだろう、自分のSSを読んでると皆さんの
よりも絶対早く読み終わってしまう・・・
もっとSSを綿密に描こうかな・・・

80東方荒木荘 第8話:2014/03/25(火) 21:29:29 ID:TKfJd0cU0
         第8話「ヒャッハァー!!酒だァーー!!歓迎会だァーー!!」

〜人里 寺子屋〜

吉良「帰ってたか」
DIO「ああ」
プッチ「そっちはどうだった?」
吉良「永遠亭には居なかったがディエゴが守矢神社にいたぞ」
プッチ「ディエゴか・・・・」
ディエゴ「・・・・(しかしやっぱりあの守矢よりもこっちの方が居心地が良いな・・・今は家賃に追われる

事もないし・・・)」
DIO「こっちにはカーズが居たな」
カーズ「フン」
慧音「(190ほどある人間が6人も・・・・そろそろ限界だな・・・・)」
慧音「ちょっとみんなに言いたいんだが・・・・」
一同「?」
慧音「明日に博麗神社で歓迎会があるそうだ」
吉良「歓迎会・・・・?誰のだ?・・・・」
慧音「君たちのだ」
吉良「!?・・・私たちのか・・・・?」
吉良「私は行きたくないな」
DIO「貴様はそうかもしれんがこのDIOは行きたいぞ」
カーズ「酒は美味いからな・・・」
吉良「じゃあお前らだけで行って来ればいいだろう(この人外グループが・・・)」
カーズ「それじゃあ悲しいだろう、全員で行くぞ」
吉良「・・・・平穏に暮らしたいはずのこの吉良吉影が・・・」

81名無しさん:2014/03/25(火) 21:30:04 ID:TKfJd0cU0
〜次の日ィ!〜

吉良「ここが博麗神社か・・・・」ワイワイドヤドヤ
ヴァレンタイン「ここにはワインは無いのかね?」ワイワイドヤドヤ
ディエゴ「流石に無えんじゃねえのか?ここ日本だし」ワイワイドヤドヤ
カーズ「であろうな」ワイワイドヤドヤ
カーズ「にしても騒がしいな・・・」
吉良「全くだ・・・・(早く帰りたいい・・・)」
DIO「ン、あそこで紫と霊夢が何か喋っているな」
プッチ「そうだな、何を話しているのだろうか・・・」
吉良「(個々の土地の巫女は脇を露出させるのが趣味なのか?・・・)」
霊夢「ん、あの外来人グループが来たわね」
紫「ああ、あの異人組達ね」
DIO「異人とはなんだ異人とは」
霊夢「どう見てもも異星人でしょ、主に身長と服装」
DIO「WRY!(ひどいッ!)」
カーズ「まああの服装だったらそう思われるであろうな」
吉良「お前が言うな」
霊夢「まあ今回のは「アイツ」が来ないと思うから平和な方だけどね・・・・」
カーズ「アイツとは誰の事だ・・・・」ズシーン ズシーン
霊夢「大酒豪な鬼よ・・・・って噂をすれば・・・」

82名無しさん:2014/03/25(火) 21:30:39 ID:TKfJd0cU0
勇儀「酒 を 飲 み に 来 た ぞ ー ッ ! 霊 夢 ー ッ!」
萃香「霊夢おひさー」
霊夢「よりによって一番面倒な奴が来たよ・・・やれやれだわ・・・」
霊夢「?・・・・脇に挟んでるそいつ誰?」
勇儀「ん?ああ、このカビ頭の事か?こいつは旧都にいたから拾ったんだよww」
勇儀「で、こいつたまに子供になったりするわけwwwどういう体してんだろうねwww」
???「離してくれ・・・・ッ勇儀・・・首が締まって・・・息が・・・」
勇儀「そんなこと言ってーww実は私の胸で感じてんだろ?」ヘラヘラ
???「まじにやめててっt」ゴキャッ

今日のボス 「首の骨が折れて死亡」

勇儀「あれ、また死んだ」
霊夢「またってことはそいつ良く死ぬの?」
勇儀「数秒でまた生き吹き返すけどなwwww」
勇儀「そいつらが最近来た外来人か」
霊夢「そうよ、全く持って特徴の共通点が無い」
勇儀「私は勇儀だ、よろしく頼むな」ガシッ
DIO「あ、ああ、よろs」ゴキャン
DIO「GYAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!」
霊夢「あ、言い忘れてたけどそいつ超怪力だから」
勇儀「ごめんごめんww力込めすぎちゃったww」
DIO「この女ァーッ!」
吉良「まあそう怒るな・・・・」
吉良「こっちも自己紹介しておこう、私は吉良だ(この女ヤバそうだな・・・)」
プッチ「エンリコ・プッチです」
ディエゴ「ディエゴだ」
ヴァレンタイン「ファニー・ヴァレンタインだ(でかい、主に胸が)」
カーズ「・・・・」
ボス達「つーかさ、あいつ」
ボス達「デ ィ ア ボ ロ じ ゃ ん」
ディアボロ「こいつのせいで何回死んだことか・・・ッ」
勇儀「まあ今後よろしくなッ!」
勇儀「さて」
勇儀「飲 む ぞ ッ !」
勇儀・萃香「WRYYYYYYYY!!!」
ヴァレンタイン「あ、ちょっとまって誰か缶ビール頂戴」ペンスッ
ヴァレンタイン「・・・」ベコベコプシュー
ヴァレンタイン「ウゴォ!」ドブシャァァ!
ヴァレンタイン「イエスッ!イエスッ!」
勇儀「・・・・」
ヴァレンタイン「まあこれはどうでもいい私の特技だよ、自己紹介的なね・・・」
勇儀「へー(また今度やってみよう)」
勇儀「じゃあ!気を取り直してッ!」
勇儀「飲 む ぞ ッ !」

83名無しさん:2014/03/25(火) 21:31:12 ID:TKfJd0cU0
〜30ッ分後ォ!〜
DIO「WRYYYYYYYYYY−ッ!スタンドのパワーを全開だッ!」ヨロヨロ
ディアボロ「帝王はこのディアボロだッ!以前変わりなくッ!」ヨロヨロ
カーズ「何を言っている貴様ッ!頂点は常に1人ッ!!」ヨロヨロ
勇儀「あんたらもそろそろ酔ってきてるねぇ〜」ヨロヨロ
DIO「俺はまだ酔ったりしてないッ!ザ・ワールド!酔ってない証拠に何かをぶち壊せッ!」
世界「・・・・!」ムダムダムダムダムダムダムダムダムダァーッ!
吉良「あ、鳥居折れた」
ディエゴ「これやばいんじゃない?」
プッチ「私はヤバそうだから退散しておこう」ダッ
吉良「そうだな」ダッ
ディエゴ「それなら俺の上に乗りな、60秒で着く」
吉良「有難う」

〜60ッ分後ォ!〜
DIO「まだ、まだ、まだァーッ!」ヨロヨロ
ヴァレンタイン「そろそろ無理かも・・・」ヨロヨロ
ディアボロ「ここで引いたら・・・帝王の威厳が失われる・・・ッ」ヨロヨロ
勇儀「あんたらぁ〜やるねぇ〜ヒック」ヨロヨロ

そして数時間後・・・
「WRY・・・もう無理・・・」バタン

 DIO 再起不能
ディアボロ「こいつ・・・化け物か・・・?」バタン

 ディアボロ 再起不能
勇儀「もう無理・・・」バテーン
 勇儀 再起不能
カーズ「・・・」
カーズ「頂点に立つ者はッ・・・・」
カーズ「常に人r」バタン

 カーズ 再起不能

紫「あ〜らら全員伸びちゃったわね・・・」
紫「神社の鳥居も折れてるし・・・こりゃ大参事ね・・・」
紫「人里まで連れてってやりますか・・・」スーッ

〜〜〜〜〜〜

霊夢「これは・・・どういうこと・・・?」
霊夢「飲み過ぎで寝てたけど・・・」
霊夢「鳥居が折れてるし酒は散らかり放題だし・・・」
霊夢「・・・・今度あいつらに会ったら全員で神社を直させてやる・・・」

〜〜〜〜〜〜

84東方荒木荘 第8話:2014/03/25(火) 21:33:09 ID:TKfJd0cU0
紫「結構重たいわね・・・この人たち・・・」
吉良「ん?紫か」
吉良「飲み過ぎた奴らを連れてきてくれたのか」
紫「そうよ全く・・・思いったりゃありゃしないわ・・・」
吉良「後は私たちが何とかする」
紫「頼んだわよ・・・」スーッ
吉良「消えた・・・」
吉良「さて、連れて行くか」
吉良「キラークイーン」
KQ「・・・・」ガシッ
吉良「キラークイーンを使っても結構重たいな・・・」

キングクリムゾンッ!

DIO「・・・」パチ
DIO「・・・ここは」
吉良「気が付いたか」
吉良「寺子屋だがそろそろ全員集まったから明日会議をすることになる」
吉良「だから早めに寝ておいてくれ」
DIO「わかった」

そしてDIOはすぐに寝た。

85東方荒木荘 おまけ:2014/03/25(火) 21:33:44 ID:TKfJd0cU0
おまけ
歓迎会前日
吉良「ちょっと聞きたいんだけどさ」
吉良「この幻想郷に来てから驚いたことって何かある?」
DIO「驚いたことか・・・特には無いが」
DIO「フランたちがあの外見であの年齢だったこと」
吉良「ああ・・・あれには驚いくよな・・・」※DIO探しに行った後のプッチから聞きました
カーズ「俺もあまり驚いたことはないが」
カーズ「幽々子が既に死んでいたことだな」
DIO「お前はもう死んでいるってか」
大統領「私ははだな・・・」
大統領「妻とレミリアの名前が同じだったところかな」
吉良「スカーレットさんか・・・」
DIO「圧迫祭りフェチのか」
DIO「吉良はどうなんだ?」
吉良「私か?私はな・・・・」
吉良「紫の年r」ビュンッ!
吉良「もが!?もがががががが!?」
紫「はいはいお口チャックしましょうね〜」
DIO「ゲ!やばいのが来たな・・・」
紫「吉良ァ〜?今後それ以上言わないようにしてくれるわよねェ〜〜〜?」
吉良「わ・・・わかった・・・ッ」
紫「それではよろしい」
紫「それじゃあじゃあねェ〜」スーッ
DIO「・・・」
カーズ「・・・」
吉良「・・・」
カーズ「寝るぞ」
DIO「分かった」
吉良「賛成する」

おしまい

86サイバー:2014/03/25(火) 21:40:19 ID:TKfJd0cU0
投下終了・・・
途中から名前がなくなってた・・・
何を言ってるか分からね(ry
というわけで、ディアボロは旧都に居ました。
企画応募がそろそろ終了ですな。なんだろう、1か月は
スタプラがオラオラするように早かった気がする。

87まるく:2014/03/26(水) 00:08:18 ID:k5k51nFk0
>サイバーさん
博麗結界は基本的には出入りを制限するものと考えてます。いろんな機能がクッソついてますが。
外と変わらないのは時間くらい。だから季節も同じ季節。日本国内ですし。
ですので、宇宙全体に働きかけるMIHは機能する、と解釈してます。
もうここまで来ると常識非常識の壁なんてありません。だからはたてらも「世界の終り」と感じたわけです。
冬が長引くのもや夜が止められるのもおかしいと思うのは我々側だから。幻想側はそうは思わない。
…とかなんとか。やや誇張。

文派かー。いや、はたてのその魅力は「普段生意気な女子がここぞという時に母性を出すギャップ」という意味で。
ツンがデレたからこそで。あやでもいい
諏訪子様はもう一度出番があるのだよ。

>自分のSSを読んでると皆さんのよりも絶対早く読み終わってしまう・・・
なんというか、サイバーさんのSSは漫画を文字に起こしているという感じです。
感情描写や情景描写など、漫画では絵で表現している部分を文字で起こすと割と長くなります。
その点を擬音やキャラセリフにそのまま書き込んでいる。
それによって流し読みでも情景が頭に入ってくる。だから早く読み終わることに繋がる、んじゃないでしょうか。
これは悪いことではありませんが、自分の書いているようなのとは大きな差になると思います。

例えば、サイバーさんのSS、セリフ3つごとに2行ほど文章で情景描写を入れれば自分のにだいぶ近くなると思いますので。
何度も言いますが、別に悪いことじゃないんですよ!

88どくたあ☆ちょこら〜た:2014/03/29(土) 01:05:50 ID:zkyo/X2w0
まるくさん、投稿お疲れ様です!
やはりMIHが絡んで来ましたか。ドッピオの幻想入りの原因を紐解く鍵となりうるのか。
【キング・クリムゾン】の能力を知っているドッピオなら、それがスタンドの仕業だと気付くことができるかもしれませんね。

永夜異変を解決したのはレミリア達、という世界軸。把握。

早苗の苦悩、割と『そういうキャラ』だと思っていたので、未練ある風には捉えていなかったのですが、やはり彼女も平成の浦島太郎…
「思い出の無い人間は死人と同じ」、思い出の全てを捨てて来た彼女は、一度死んでしまったのでしょう。
はたてが突然心変わりした(ように見える)のは、何か大きな理由があるんでしょうか。その辺の説明も期待。

活動報告読ませていただきました。MIHへの対策、時間系能力者をフルに使って解決したんですね。
『私の質問を実行』とは、何故はたての蹴りを喰らってドッピオが無事だったのかの説明、でOKですか?

次回も楽しみにしてます!


サイバーさん、お疲れ様です
『歓迎会』とは、早速荒木荘メンバーも受け入れられてますね。さすが幻想郷。
今後彼らは何を目的に行動していくんでしょうか…

89まるく:2014/03/29(土) 22:44:57 ID:Jw.SHwkE0
>ちょこら〜たさん
非常に大きいターニングポイントのため、やっぱりからませます。
幻想入りの理由はその1点がやはり大きいです。

求聞史紀を通りに取るなら基本的には霊夢が解決したのがいいんでしょうけど、キャラ選択が可能なんだし解決してるのは他組でもいいじゃないと思ってます。
自分の頭の中では、「紅→霊夢、妖→魔理沙、永→紅魔組、風→霊夢、地→魔理沙、星→早苗、神→妖夢」
と、それぞれ順繰りバラバラと。霊夢異変解決してなくね?
自分が作品で最初にクリアしたキャラともいいます。物語にはそれほど関係しません

早苗ももちろん苦しかったと思うんですよ。当然ですよ、思春期ですもの。
でも未練をあまり出さず、もちろん今も未練には知らなければならないほどつまらないものでもない、むしろ楽しい位。
他人に話すのではなく、身内に話すのなら楽しい思い出話で済む内容。
一度死んだという表現、素敵ですね。心に残ってると思わぬところで使ってしまうかもしれません。
はたての心変わりは…ちょっと表現不足ですね。自分の中では命蓮寺でドッピオが啖呵を切ったあたりでなびきかけ、泣き落としで大分寄った、と表したかったのですが…
結局大きな理由も後で話す雰囲気になってますし。うわあ、がんばろう

紫ひとりで解決するより、人間と妖怪と宇宙人が一緒に解決する方が素敵じゃないですか。そして、時間には境界がないからいじれないとも思っています。
質問はまさしくそれです。いや、予定ではもうこの話でスタンドの話をするつもりだったんですけど、前と今の話が予想以上に長引いてちょっと。

次回の話で、真紅の協奏曲も中盤が終わりそうな感じになります。そこで「なぜ二人はここにいるのか」をすっきりさせるつもりです。
そこからは「これからの二人はどうするか」を主軸に進めていきたいな、と思ってます。ます。
お楽しみに…

90中学三年生:2014/04/01(火) 20:51:26 ID:pFhpxiF60
ついに・・・ついに辿り着いた・・・!ここがハーメルンに転載される作品を作っているところか!
ここもたまに覗くようにしよう···。

91まるく:2014/04/02(水) 22:59:03 ID:2SkcvpNc0
いらっしゃいませ!
HNみるところ、自分の作品に感想書いてもらった方でしょうか?
自分の他にもさまざま作品が置いてあります。どうぞ楽しんでってくださいね。

92ストーム11:2014/04/03(木) 13:12:13 ID:B8sRiYyI0
ROM専の俺も通りますよっと…
ハーメルン、@wiki、そしてどくたあの動画…結構色んな所に進出していますが、原点はやはりココ!
まあその割にココの知名度は低いけど…まあいいや、サァいくか。
自分は観てるだけですけど、皆さん、これからも頑張ってください。

では、自分は世界が一巡するまでROMります…

93中学三年生:2014/04/06(日) 19:15:48 ID:assIsFF20
ひいい···もう中三なのに宿題終わってない···内申がああぁ···!




まぁ東方のss漁ってたから終わってないだけなんですけど。それにしてもR18スレはもちろん、イジメスレ(みたいなもの)
あったとは···!

94まるく:2014/04/22(火) 21:48:15 ID:TiyGEoEo0
さて、月末のそれには早いですが、一作書ききりました。
前述べ通り、深紅の協奏曲の中盤はこれでおわ…あれ、これ終わりじゃなくて始まり…?あれ…?
もうわかんなくなりました。
とりあえずいえることは「短編の方に集中しよう」
投下します。

95まるく:2014/04/22(火) 21:50:21 ID:wwR12Xww0
 長い長い数分が経ち、改めて4人は顔を合わせる。
 泣き腫らした二人の顔はどこも赤く染まり、昂った感情の大きさを物語る。
 もっとも、それ以外に『人の前で泣いたこと』が大きいことは事実だが。

「……すみませんね、みなさん。あんなに、子供のように泣いてしまって……人前に立つ身なのに、これじゃあいけませんよね」
「……いや、早苗は悪くないよ、しょうがないよ。一番悪いのはなんだかんだ理由をつけて自己保身に走ろうとするはたてだ、そういうことにしよう」
「マジっすか」
「マジです」

 同性同士だからか、受け止める側だったからか。すぐにいつも通りに話し始めているはたてと諏訪子、そしてそれは早苗の落ちた気を上げようとも見える。
 だが、その空気もドッピオには少々心苦しい。
 状況がどうであれ、人前で、女性の胸を借りて泣き喚いたことによる恥が彼の心で暴れ出す。

「…………」

 できるなら、今すぐにでも逃げ出したい。
 先に聞いた話を改めて自分の中で反芻して納得しようとする時間ももちろん欲しい。
 しかし一番大きいのはその話の前まで敵対していた、少なくとも自分はそう思っていたはたての胸の中で泣いてしまったこと。
 まだ一人で泣いていた方が、自分の精神的にも楽だったんじゃないか。

「いやまあ、しかしはたても隅に置けないね! まさかこんな子どもを手籠めにするたぁね。利己的な輩が多いという天狗なのに、どういう風の吹き回しなのやら」
「ちょ、洩矢様、何も目の前でそういうの言わなくてもいいでしょうよ、ねぇ」
「……ふぁ、そういえばそこは気になりますね」

 そんな彼に追い討ちをかけるように諏訪子は話を持ち上げる。
 早苗もそれを聞いて少し明るい声を出す。まだくぐもった声だが、諏訪子の狙いは成功している。

「……やめてくれよ……」

 もっとも、それがドッピオにとっていいことではないことも確か。
 今一番触れられたくない点に早々に食らいつく彼女らに恨みがましい感情しか湧いてこない。
 はたてがどう思っているかは知らないが、どう思っていようが、その点にドッピオは触れられたくはない。

「そっちが先に聞かれたくないことを聞いたんだからそれくらいいいだろう? 恥は掻き捨て、世は情け」
「今この状態のどこに情けがあるのさ……」
「十分有情だよ、ドッピオとやら。女を泣かせた男なんだってことを覚えておきな? それに、君は気にならないのかい?」

 そう言われてしまえば、いいえと答えたら嘘になる。ドッピオ自身も、急な彼女の心変わりが気にならないわけではない。
 だが、それを何も直後に本人の前で聞かなくてもいいだろうに、この神様は笑顔で訪ねてくる。
 その姿は、昼下がりにゴシップを見て楽しむ姿。

「いつもはくだるかくだらないかの瀬戸際新聞くらいなのに、当の本人が記事に乗っちゃいそうなことしちゃってさー」
「いやまあ、洩矢様。そのー、ねぇ。聞きます?」

 対して、割合まんざらでもない様子のはたての姿。

96まるく:2014/04/22(火) 21:51:31 ID:wwR12Xww0
「なんていうか、私と似てたんですよね。八方塞がりなところに救いの手を求めている姿。……あの時はこんなに女々しくしていたつもりはなかったんですけど、きっとあいつからしてみたらこんな顔をしていたのか、なー、なんて」

 少々の恥ずかしさを顔にだし、目線を外して頬を掻く仕草。小さな仕草は彼女の癖なのかもしれない。
 はたての回答に対して合点のいった顔をする早苗と諏訪子。そして二人は、声に出さずとも先を促している。

「あー、それに、あいつは口が悪くても何だかんだでこっちの面倒を見たりしてるし。憧憬みたいなの、ちょっと持ってたのかも。もちろんこういう男の子好みだけど……もういいでしょ?」
「えー」
「えー」

 話を打ち切ろうとするはたてに対して、二人は口をとがらせる。

「中々のインパクトもあったので、もっと聞いてみたいですね。私のいない間にどこまで仲睦まじくなったのか」
「おかんか」
「おい、それは絶対に言いふらさないでくれよ」

 これ以上三人に喋らせていては何にもならない。
 けれど、この茶化しあいは自分の心を抑える要因にもなった。別の心が浮かび上がってきているが、それはもうどうでもいい。

「せっかくの天狗の恋バナなんだから、もっと聞いておきたいじゃないですかー。幻想郷ってそういうの全然ないんですよ? ちょっとみんな自分に生き急ぎすぎてるというか」
「別に、そういった話題なら人里とか行けばあるだろうし、山の鼻高天狗とかはいつも発情、年中女募集してるけど?」
「そんな愛の無い男女関係なんていりません!!!」
「おい」

 痛くなってくる頭を押さえながらドッピオはまた声をかける。
 これ以上彼女たちの好き勝手を許してしまえば、自分の知らぬところでおもちゃにされてしまうに違いないだろう。

「そういうのはもういいからさ……気になることが」
「よくありませんよ!! ドッピオさんさっき気になるって言ったじゃないですか!!」
「言ってない! ……じゃなくって、さっきの話で気になる点があるから、それを答えてくれないか」

 むっとした表情で話す早苗は、先の悲しみが大分薄れていることを窺える。
 悲しいことがあったとしても昔の話。そこにいつまでも捕らわれていてはいけない、と考えていることがわかる。
 だが、ドッピオはそうではない。

「今から11年前って言ってたよね、2001年が。……いや、そこじゃないな。今が127季、早苗たちは122季にここに来た、と」
「そーですよ?」
「……何歳だ? あの日記の内容から垣間見るに学生だったろうけど、ここに来てから5年でその成りだとしたら随分小さいころに来たことになる。……その割には漢字も使っていたし」

 そこまで自分で話し、自分で口走った内容に違和感を感じる。
 何故イタリアでしか過ごしていなかった自分が日本語を読める? 思い返してみれば、命蓮寺でも人里でも違和感なく読み取れていた。
 今口に出している言語も、気がついてみれば日本語だ。

「……」

 そこで押し黙った彼を、鋭く見つめる諏訪子。
 それに気づいたのは、この中にはいなかった。

「とにかく、5年の歳月にしては早苗は成長しなさすぎている、と感じるんだ。それはどうなってる? まさかそれで成長期は過ぎているだなんて言わないよな?」
「い、言いますねドッピオさん……!」

 先ほどまでとは違う、それはドッピオが表に出していた恥の感情。
 その感情が早苗の顔を赤くし、胸を隠すように腕を組む。……別にそこは指摘をしていないのだが。

「あー、それは幻想郷の癖というか。長く楽しむコツというか」
「そ。永く永く楽しむという、外でできないそれがここでは行える」

97まるく:2014/04/22(火) 21:52:29 ID:wwR12Xww0
 問の回答ははたてと諏訪子から出た。

「どういうことだい、それは」
「厳密に言うと違うが、分かりやすく言ってしまえばここでは歳は取りたいときに取るのさ。妖怪は当然ながら、人間も少なからずね」

 諏訪子が答えると、はたての腰をポンとたたく。
 はたてはわかっていたかのように手帳から一枚の写真を取り出す。
 そこには蝙蝠の羽が生えた少女と髪型以外は今とほとんど変わらない巫女の姿。赤く輝く満月を背景に、二人が激しく弾幕ごっこをしている写真。

「これ、紅霧異変の頃。今から9年くらい前かな?」
「……本当に?」

 さすがに10年近くも経っていると言われて今と変わらぬ姿を取っているとなれば、理解の前に納得がいかない。

「誰だって、楽しいことはずっと楽しみたいじゃない? 妖怪がそれを願い、人間もそれを享受すれば肉体の衰えは僅かに歪む。その結果、肉体も精神もそれ相応に維持されるのさ。
 もちろん、だからといって成長しないわけじゃない。遊んでばかりの子供の時代はいつか終わる、その終焉をどちらかが理解すれば、人間は自然と周りに追いつくようになる」

 諏訪子が指を立てて解説するが、ドッピオの表情は変わらず理解に苦しんでいることを窺える。

「まだ遊びたいという『想い』が、外の世界で忘れられた『想い』がここで実っているというわけ。私たちが外に居た頃から既に友と日が暮れるまで遊んでいられるという時代ではなかった。
 子供でも、大人でも、風習や因習、慣習といった要因でその想いは踏みにじられ忘れられていった。幻想郷は、そんな『想い』も受け入れる」

 そこまで話し、諏訪子はドッピオの胸をトン、と叩く。
 その言葉と行為で、何か忘れていた物を思い出したような、そんな風が吹きとおったような感覚が身体を走る。

「誰かに教わったわけでもなく、誰かから教えられたわけでもなく、ここの皆はおのずとそれを理解している。もはや、それが常識。
 幻想の壁とは常識の壁。全てが逆になるわけではないけれど、『あるはずの無い希望』位ならあるかもしれない。……こんなところかな?」

 はたてが諏訪子に続き、話を締めくくる。
 もちろんそれに完全に納得したわけではないが、自分が雲に乗って移動する、といった彼女らの言う『あるはずの無い希望』に触れている以上、そういったものだと受け止めるしかないこともわかっている。

「……いずれ大きくなるからいいんです」

 口をとがらせながら、早苗は呟いていた。

98まるく:2014/04/22(火) 21:53:37 ID:wwR12Xww0


「さて、ドッピオとやら。ここから麓まで降りるには大分時間がかかる。悪いがここは赤色しかない神社と違って色立つことは苦手でね、男を泊めるわけにはいかない。
 さっきの話が本当ならば天狗に送らせるのも不安だから私がその役を引き受けてあげよう」
「へっ? いやいやいや、洩矢様にそのようなこと。それに、んなことするわけないでしょうよ、この私が」
 
 諏訪子が急にドッピオの手を引き、下山を促そうとする。
 確かに山の麓で椛と会ったのが正午ごろ、そこからそれなりに時間は経っている。もしそのまま下山に時間を使えば日は落ちてしまうだろう。
 ……あの時椛にはああ言ったものの、確かに妖怪の腹の中と変わらないこの中、夜闇を動くには危険かもしれない。
 先の発言があった以上、はたても何をするか、分からなくなってくる。

「天狗って若い男の子を攫って自分のものにするって聞きましたよ」

 早苗がにこやかに、ドッピオに説明するかのように話す。多分に意を含んだその言葉。

「それに、はたてにはウチの早苗を自分の我欲の為に利用した罰を与える必要があるからね。狂王の試練場クリアするまで返さないよ」
「え、勘弁してくださいよそういうのー。それになんですその珍妙な名前の物は」
「諏訪子様それ好きですよね……何周してるかわからないくらいやりこんでますし。……まあ、ドッピオさん。言うとおりさすがに夜に一人で行くのは危険ですよ。……ちょっとお泊めになるのは、その」

 にぎわう外野をよそに、確かに早苗は彼の身を案じてはいるらしい。そして、霊夢と違い『そういったこと』に抵抗があるらしい。

「さあさ、時間は待ってくれないよ。行くなら急いだ方がいい。早苗ははたてを確保しておいてくれ。逃がさん、お前だけは」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ、まだ」

 そう言うと諏訪子は強引にドッピオの手を引き神社を出ようとする。
 傍から見れば幼子の我儘に手を取られ、強引に連れまわされているようにも見える。が、ドッピオとて勝手に決められては困る。

「本当に知りたいことはここでは言えない」

 抗議の声を上げようとしたとき、それを見越したかのように、小さな声で諏訪子が呟く。
 そこから感じた印象は先までの得体の知れない神のような存在でもなく、早苗の保護者としての彼女でもない。甘言で人を堕へ突き落とす悪魔の様な。
 その先を聞けば、もう戻れなくなってしまうような囁き。まだ、何も始まっていないというのに。

「…………」

 その言葉を聞いた時、ドッピオの中で何かがざわめく。
 自分の中で抗いたい行動なのに、その何かが足を止めずに動かしている。そんな、矛盾。

「洩矢様、そんなに無理にやらないで私に任せれば、っ、がっ」
「諏訪子様の言うとおりに! ……大丈夫ですよ、諏訪子様は取って喰ったりしないですって。たぶん」

 何か鈍い音と共に早苗の大きく送り出す声が辺りに響く。おそらく、それは最初のやり取りとは逆になっているのだろう。
 ドッピオは、それに振り向くこともせずに諏訪子に手を引かれるままに足を運んで行った。

99名無しさん:2014/04/22(火) 21:54:44 ID:wwR12Xww0

「……どういうこと?」

 諏訪子に手を引かれるがまま、石段を下りて進む。
 繋いだ手から伝わる温度が運動からかじわりじわりと温かくなっていくのを感じて。

「言葉通りの意味さ。さっきのはたての話、不完全だったろう? その空いたスキマは私が知っているということさ」

 石段を降り切ったあたりで諏訪子は答える。

「肝心な所はわからない……大妖は知っているかもしれない……奴はそんなことを言っていたはずだ。そしてそれは正しい。外の者が幻想郷をも喰らい尽くす様な力を持っているとするならば、幻想は何のためにある?
 妖怪は人に恐れられる存在でなければならない。すごく簡単に言ってしまえばそれが存在理由。それよりも恐ろしい力を持つ者が外に居るとわかってしまえばこちらの世界の存在理由が危ぶまれる。
 長らくその存在を知っていながらも、誰も詳しくは知らなかった。『それ』がここまで大きな力を持つと思っていなかった」

 手を大きく広げ、仰々しい口調と身振りで演説する。その姿は、先の変貌ぶりを強調させる、支配階級の頂点に立つ者の纏う雰囲気。
 ……それを察知した瞬間、ドッピオは諏訪子に向かって駆け出し距離を詰めていた。

「わかってるじゃあないか、少年」

 と、と諏訪子が後ろに下がるように跳ねるとそれと共に先ほどまでドッピオの居た場所に多数の木々が生えてくる。何かしてくる、その予感が働きいち早く駆けだしていたからこそ、ドッピオはそれを躱すことができた。
 もし自分の予感を信じずにおとなしく聞いていたなら木々に囲まれ身動きが取れなくなっていたか貫かれていただろう。
 僅かな距離を完全に無くそうと、その離れた距離をさらに詰める。彼女に、息つく暇を与えずに。
 そんな彼を嘲るかのように、後ろに下がった諏訪子はそのまま地面に倒れこむ。

「何!?」

 そのまま彼女は地面に潜り込んでいった。まるで、水面にそのまま飛び込んだかのように吸い込まれていった。
 想像を超えた出来事に一瞬、隙が生まれてしまう。

「「ゾッとしたみたいね」」

 背後から、右後方左後方の両方から諏訪子の声が聞こえる。
 それとほぼ同時に、背後から飛び掛かるように両腕を抱え込まれ、その勢いで地面に叩きつけられる。先ほどの諏訪子とは違い、地面に潜ることはない。そこは固い固い石畳のままだった。

「がふっ!」

 身体の前面に衝撃が走り、体内の空気が吐き出される。
 冷たい石畳に這うドッピオの眼前に、ずるずると、諏訪子は這い出てくる。沼から現れる蛇のように。
 全身を浮上させると、うつぶせになっているドッピオを見下ろしながら、

「『宝永四年の赤蛙』」

100名無しさん:2014/04/22(火) 21:55:48 ID:wwR12Xww0
 そう呟くと、両腕から押さえて拘束していた二人がドッピオを仰向けにするようにひっくり返す。
 二人の諏訪子は、赤い霊体の様にうっすらと色を帯び、実際に存在しないように揺らいでいる。
 三人の諏訪子は、くすくす、くすくすと静かな笑みを湛えていた。

「……何をする気だ? 憂さ晴らしのつもりか?」
「そんな! そんな頭の悪いことをしたいわけじゃないよ。もっとも、人によってはもっと頭の悪いことと言うかもしれないけどね」

 そう言うと、本体である諏訪子がドッピオの胸に顔をうずめる。

「んっ……すぅ、んはぁ……!! んんっ、はっ……!」

 彼の服の上から、激しく、それを貪りつくすかのように香りを味わい始める。
 聞こえる吐息から、熱くなり抑えきれない劣情をありありと感じられる。
 その姿からは、外側だけ同じで中身は全くの別人であるかのように、見た目は幼い子供にしか見えないが、本質はまるで別であることを嫌でも感じさせた。

「はぁ、ぁ、久しぶりだ、長らく味わっていなかったよ。この雄の香りと、どれだけ落としても拭いきれない、染み着いた血の香り。……興奮する」

 顔を上げた彼女は、顔を紅く上気させ、求める様な上ずった声で語りかける。
 薄く開いた目、唇から出る舌は上唇をなめずり、

「だが、まだ足りない」
「!? っ、がっ」

 変貌にあっけにとられていたドッピオの首にその小さな両の手を伸ばし、へし折るかのように力を入れる。

「ぐ、あっ……!! ぎ、ぁ……ぁ!!」
「絞められて、落ちる瞬間が最も気持ちいいんだ。……知らなかったでしょう? 少しずつでいいから、頭から抜けていく気力と共に最後の抵抗を示してみなさいな」

 ぎりぎりと、容赦など全くなく。
 その細腕にどれだけの力がこもっているのかと、もし当人でなければ何の感情も抱かず考えてしまうほどに。
 今、ドッピオの両腕は変わらず赤い霊体の様な諏訪子に押さえつけられ全く動かすことができない。
 それでも、このまま、こんなところで。

「ぎ、ん、ぐぅっ!!」

 動かない両腕の代わりに、見えない何かが諏訪子の手首を掴み、そのまま握りつぶすかのように力を加える。
 視覚として存在しないにも関わらず、確かにある何かは万力の様な力で細い腕を砕こうとする。

「出したね、『スタンド』を」

 そのまま両の腕を潰されることを受け入れるかのように、諏訪子は特に何もしなかった。ただ何もせず、ドッピオの首を絞め続けていた。

「ようやく出してくれたというべきかな。……存在しえない、認知の無い。そんな外の力、幻想郷をも揺るがすことのできる……こんなものじゃないはずだ。さあ、私に見せてみてよ」
「ぐ、そぉ……っ!! が……っ!!」
「確かに感じるんだよ、でも違う。『この身体なのに人を殺した事があるのは君じゃない』。それは確かなんだ!
 さあ!! もっと! もっと!! 私は見たいんだ、君の力を、味わいたいんだ、君の身体を!! 偽りの身体なんざ捨てて、私に感じ  てちょうだい!」

 一声ごとに、諏訪子の力が強まっていく。身体もどんどんと前にのめり、自らの体重全てがその両腕に掛るように、その苦しむ顔の全てを収めようとなる。
 対して、ドッピオは視界がぼやけ、徐々にスタンドの力も薄れていく。諏訪子の両の腕に刻む腕の痕も、それに合わせて薄くなっていく。
 そして、体の力も抜けていき、意識も薄れ、やがて閉じていく。

101名無しさん:2014/04/22(火) 21:56:34 ID:wwR12Xww0


 絶頂に達しようとしていた諏訪子が気が付いた時、そこには地面に手をついている自分の姿だった。
 そしてそれは自分の分身も同じ。押さえつけていた少年の姿はどこにも存在しなかった。
 次に気が付いたことは三つ。自分を覆うような影、それにより自分の背後に誰かが立っていること。
 もう一つは、その誰かが自分の首根をがっちりと掴んでいること。先まで自分がやっていたように。
 最後の一つは、ドッピオの首を折らんばかりに握っていた両腕、その腕を砕かんばかりに掴んでいたスタンドによる痕。それに合わせて砕けた自分の腕。

「……? がぶふっ、……」

 わからないまま、自らの腹部が何かに貫かれる様。
 大量の血と臓物が前面に飛び散り、ドッピオが倒れていた地面を汚す。
 貫かれた穴から飛び散るには足らず、衝撃で顔まで逆流してきた血が口や鼻から飛び出、垂れる。
 そこまでして、分身の視界に入り、ようやく共有している感覚が自分を攻撃してきた正体を知る。
 そこにいたのは、逞しい肉体、どこまでも深い闇を見てきた暗い瞳、それでも淵から立ち上がろうと、前に進もうとする覚悟の意志。

「……キングクリムゾン」

 今までの様なふらついた足取りではない。明確な意志を持って目的の為に歩く、そのための足。
 ディアボロは、そこに立っていた。

「……なん、て……いつか、ら……」

 わずかに残る体内の空気が、諏訪子の血でかすれた声から漏れる。
 そんな明らかな重傷状態でもディアボロは全く警戒を解かずに見つめる。
 それは当然。本体である身体が傷ついてもその分身は全く傷ついていないから。ディアボロからすれば、その分身たちからいつ次の攻撃が来てもおかしくはない状態。
 だが、諏訪子からすれば『当人が何もしていない状態』で『質量をもった何かで攻撃を行った』という状態。

「このまま殺してもよかったが……おそらく人間とは違いこの程度では死なないだろう。その点においては信用する。それより、聞いておきたいことがあるからな」

 掴んでいる諏訪子ごとスタンドを手近に戻し、左手は首、右手は背中。足で腰を踏みつけて、そのまま地面に押さえつける。
 立場は完全に逆転した。

「……確か、に。神殺しには及ばないけど、このままじゃあ抵抗すらも、ぼほっ、できない、ね……」
「……想像以上に元気そうだな。恐ろしいものだ」
「あは、口だけね。……答えるのも辛い。そういった意味での抵抗はもうしない。だから、あれを戻してもいいかな? 少しは力が戻って、話しやすくはなる」
「…………許可する」

 どうも、というと二つと分身が消え失せる。そして、その力は諏訪子に戻ったのだろう。僅かだが、押さえつけている諏訪子の体が力を増したように感じる。もっとも、傷は戻っておらず確かに抵抗しきる力まではないようだ。
 ディアボロは辺りを見回す。周囲は閑散としており人気は感じないが、同時に隠れる所も見当たらず尋問をするには不向きである。
 一連の流れをもし最初から見られていたのならば――もちろんそれはディアボロが良しとするわけではないが――まだ諏訪子から仕掛けてきたと言い訳はできるがここだけを見てしまえばどうにも弁解はできない。

「……安心しなよ。ここは妖怪の山と守矢神社との領域の空間地帯だ。本当に通りすがりがない限りは誰の目にも止まらない。私と一部の天狗以外は空間の存在を知らないし、ここで何があっても咎めない。悪巧みには便利でしょ?」

 その考えを察したのか、血に濡れた顔を歪めて諏訪子が話す。
 確かにはたても同じことを言っていた。一部の天狗が既に知った顔なのも、近隣にいることを知ったことも、それはいい都合である。

102名無しさん:2014/04/22(火) 21:57:49 ID:wwR12Xww0
「聞きたいことが多すぎる。何から聞けばいいか整理する必要があるが……まず聞こう。お前は私をどこまで知っていた?」

 少なくとも命蓮寺の者たちは知っているようには見えなかったし、知っていてそれを隠しているようにも見えなかった。白蓮以外は。

「お前は『スタンド』の事を知っているようだ。だが、どうやら名前だけらしい。……私がそれを持っていることを知っているなら、他には何を知っている?」
「……答える前に聞いておきたいけど、私も君の事で聞いてみたいことがある。それは、いっ、ぎゃああああ!?」
「答えてもいいなら答えてやるが、自分は相手の事を知らないのに、相手は自分を知っている事が私は嫌いなのでな。仕返しはこれだけだ。お互い仲良くしようじゃあないか」

 諏訪子の腹の傷を踏み躙りながら、ディアボロはそれを解答とした。
 自分に対しての冷酷な瞳、手段を選ばぬ残忍な心。

「……あっ、……いい、ね、ぇ……責められるのが趣味ってわけではないけど」
「……答えるのか、答えないのか、どちらだ?」
「ぐああっ!? 答える、答えるから、足どけてよぉ!」

 諏訪子の悲鳴が辺りに響く。……確かに、聞かれてしまうのはまずいことではある。
 まだ罰を与えなければ気は済まないが、それより用件を済ますことが先ではある。

「うぅ……、あぁ……。どこから話すかな」
「時間稼ぎなどを考えるなよ。解放するのが遅れて困るのは自分自身だからな」
「解放してくれる気なのは助かるけど……そうじゃないね。……ざっくりだけど、はたての話の続きから話そうか」

 躙る程、開くごとに口から血が垂れ、辺りを塗らす。

「幻想郷の中で、ほとんどスタンドを知っている者はいない。今までに能力を持ってきた者も少なくとも私は知らない。伝聞でもね。
 そんな中、先の事変だ。……それはおそらくスタンドによるものだと考えている。……だから、そのケースを呼び込んだんだ、ここにね」
「……続けろ」
「……続けろって言っても、私が知ってるのは大体それだけ。その呼び込まれたケースだって気づいたのは実際に会ってからさ。……私は外の世界の極悪人、とだけ聞いていた。
 だからあんなちんちくりんが来たときは全く気付かなかったけど、話や素振りを見てそれに気づいた。……まだ外見しか見てないが、良い男じゃあないか」

 いっぱいに首を回し、視線を片寄らせてなんとかその顔を見ようとしている。
 倒れた状態では見えていないのだが、分身から共有したその姿と、今僅かに見える逆光で見えないディアボロの表情は彼女に十分の好奇を感じさせている。

「スタンド、については確かに私はよくわかっていない。使用者の精神に依る像、それによる特殊な力。それがベースであり君がどんな能力を持っているかは知らない。……さっき見た感じだと、知り合いと同じような能力みたいだがね。
 過去、私たちがまだ外に居た時代、早苗の生まれる前にそれを示唆した老婆が早苗の父にその力と、それを使う何かの集団に誘っていたよ。あまりの不気味さから断っていたけどね」

 説明を聞きながら、過去を顧みる。
 スタンド能力を開花させる矢。早苗が生まれる前。示唆する老婆。それがどれだけ離れていたかはわからないが、一応符号は合致しなくはない。

「そこまで正直に話してくれることには感謝するぞ。……次の質問だ。私をここに呼び込んだ者は、どこにいる? ……おそらく、ヤクモユカリ、という人物だが……いや、妖怪か」

 今までいくらか話に上がってきた、八雲紫。博麗神社で聞いた時にはアリスより力のある者、程度の認識だったがはたての話ぶりから『知っていて当然』と思えるほどの者。
 また、先の事変について『全て知ってそう』と表現していた。おそらく、その事変に類する、対抗する力を持つ者の一端であるはず。

「それについては、上手い答えを持っていない。奴はどこにも存在しているようで、どこにも存在していない。神出鬼没の妖怪だ。探そうとして会える者でないが、会いたくないときには顔を出す。……そんな奴だ。ただ」
「ただ?」
「この空よりさらに上……冥界の中、白玉楼には奴の友人、西行寺幽々子がいる。同じ程度に喰えない奴だけど……紫に近づくのであればそいつに近づくのが一番、かなぁ」
「…………冥界、まであるのか……」

 さすがに様々な出来事が起き、やや感覚が麻痺してきていると思えるほどだが、さすがに死後の世界まであるということには驚かされる。
 もっとも、ディアボロにとってそこはたどり着くことすらできない世界だったのだが。

103名無しさん:2014/04/22(火) 21:59:35 ID:wwR12Xww0
「……最後の質問にしよう。私の能力は、その紫が解除したと考えてよいのか、それとも別の者が解除したのか」

 一番知りたいこと。
 それを感付かれたくないからという心が、この質問を最後まで持ってきた。
 自分を縛り続けていた鎮魂歌の力。死ねばまた再発するのか、という疑問もあるが、そもそも死に至ることがないまま時間が過ぎている。
 人間を越えた力だが、それを超える者がいくらでも存在するこの世界。……現に今足元で転がっているのも神の一柱であるという。その力を解除したものがいるのかどうか。

「……解除? 何のこと?」

 だが、その質問に対しては諏訪子は知らなそうな素振りを見せる。
 今まで素直に答えていた態度と同じく、素直に知らないといったような態度だ。

「隠すことは許可しない」
「いや、ほんとに知らない。何が君を縛っていたのか知らないけど……もし何か、それに境界を設けられそうなものなら奴はそれを弄れるだろうね。紫は境界を操る程度の能力を持つ。
 空と海といった、物理的な境界から現と夢、そう言った概念的境界まで。幻想郷を作り出した当人だ、何ができてもおかしくはない」
「……想像以上、だな……その、ヤクモユカリの事実は」

 舐めていた、正直に。心のどこかでは、自分の力を用いればどのような事態も予測し回避できる。故の自信があった。
 もしその話をそのまま受け入れるのであれば、自分は全くの勝ち目はない。また、今までに聞いた全てのおかしな事柄には納得できる。
 言うなれば、鎮魂歌の能力は生と死の境界を操り、あやふやのままにしておいた、といったところか。言葉の壁、とも言われるほどの言語の問題もその力を使えば簡単な設問だ。……サービスのつもりだろうか?
 だからといって、それに恐れて足を止めることはないのだが。

「……お前から聞くことは、以上だな。最後に」
「……?」
「私の事は誰にも言うな。私に関する、全ての事を。今以前に知っていたことも、不用意に広めるな……できるな?」

 できなければ、今ここで殺す。
 その意図は十全に詰めた。つもりだが、元よりこの状態で生きていられる存在だ。自分に、本当に彼女を死に至らしめることができるかはわからない。
 そして、本当は消せるのであれば消し去りたいが、その先を考えると少々骨が折れる。諏訪子はドッピオと離れ、そして帰ってこない。天狗は支配下に置いてあり、並の妖怪では天狗には適わないとと椛の談。
 諏訪子に従う早苗と、まだ見ていないが同格であろう神奈子という神。それらをドッピオの状態で敵に回すことはしておきたくはない。

104名無しさん:2014/04/22(火) 22:00:05 ID:wwR12Xww0

「……してもいいよ。だけど、それは約束。脅しているつもりなら今ここで必死の抵抗をしてあげるよ?」

 それを読めたか、諏訪子は顔を歪ませて答える。その歪みは、悦楽を含んだ、敵対の意志も感じ取れる。
 こう出てくることが、ディアボロにとっては好機だ。その先を促すように、口を開かず待つ。

「抱いてよ、君を私に感じさせてよ。久しぶりなんだ、私が満足できるような男が来たのは。……ねぇ、いいだろう? それとも、私の見た目じゃ君が満足できない?」

 提案した見返りは、予想は付いていた。……本当に要求してくるとは思わなかったが。
 確かに今まで男性で力のある者は少なかった。人里であった霖之助も線が細く、この女が喜ぶような人間ではないだろう。

「……悪いが、女に対してそのようなことはしないことにしている。痛い目を見たのでな」

 諏訪子に対して、外見だけであれば何の感情も抱かないが、精神や振る舞いはおそらく一流の娼婦に劣ることはないだろう。おそらく、欲求を全て叶え自らに陥らせるくらいはできると見える。
 だが、あの忌まわしき出来事が、その過去の過ちこそが全ての原因。あの娘さえ生まれていなければ。

「……子供の心配なんてしなくていいよ? もう年中安全日だ、気に入ったら作れる」
「そういう問題じゃない」
「……じゃあさ、せめて顔を見せてよ。誰にも言わない。君を、私の心に刻んでおきたい」

 これには、少しの間を置いてからスタンドによる拘束をやめる。そして、今までほとんど動かしていなかった自身の身体で、諏訪子の身体を仰向けにする。
 その顔は血にまみれてとても見れた顔じゃないが、それでも、喜びと悦びの表情をしているのがわかる。

「……ああ、理解した。さっきの違和感。何でさっき感じ取れなかったのか。……そっちの身体が本当の身体。だから、どこか見せかけの様な感じだったんだね。
 ……自らの為ならばいくらでも他人を使い捨てられる。いくらでも手に血を染めることができる。拭い去れなくなるほどの血の匂い……ふふふっ」

 実際に相手にしなくても、『自分に気を向けていてくれている』だけで舞い上がる女もいる。
 最後に見せた諏訪子の笑みも、それに近しい物だった。

「……行きなよ。私の事は放っておいてくれてもいい。むしろその方が互いに助かると思うよ。君が欲するであろうものは私は全て出したし、私は、まあ、満足ということにしておいてあげる、から」

 見れば、腹の傷は少しずつ蠢き小さくなってきている。それでも十分すぎる大穴は空いているが、やはり殺すには足りず、殺しきれるかはわからないといったところか。
 手持ちにすることができれば、まさに最高の駒になることだろう。

「……当然だが、そこではないな……」

 ここにいるとだんだん自分も違うものになっていく気がする、とディアボロは感じた。今までの現実から乖離しすぎたそれは、やはり感覚を鈍らせてきている。
 相手は神だ。自分は人だ。神を求めようとして地に落ちる逸話は、なんであったか。
 そんな逸話では苦労して手に入れた翼を、いともたやすく自分は扱えるようになっているが、それは違う。
 違うのだ。

「見抜け」

 そんな矛盾を持ちながら、その先を向く。それは、高い山よりさらに高い、彼方空、雲の上を目指していた。

105名無しさん:2014/04/22(火) 22:01:07 ID:wwR12Xww0
------------------
「ただいまー」
「お帰りなさい、諏訪子様……どうしたんですか、その服!」
「あーうー、転んだ?」
「なんで疑問形なんです!? もう……お着替えなさってください。私、繕いますから」
「助かるねぇ。はたては?」
「サイコロ何度も振って、今のうちに強いキャラ作らないと、って頑張ってますよ。ボーナスポイント13でた、ってさっき喜んでました」
「一発振りだ」
「あ、はい。伝えておきます」
「よろしく。……ごめん、私少し寝るよ。服は本殿の前に置いておくから」
「え、また寝るんです? ……まあ、諏訪子様がそういうなら」
「うん、お休み」

 あくまで普段通りに、あくまで普通に。
 元々欺くのは得意だから、早苗もそれには気づかなかった。

 本殿の中に入り、誰もいないことを確認してから。
 腹を抱え、うずくまる。額には小さく汗が浮かび始める。

「ぐぅ、うぅ……」

 身体を苛む猛烈な痛み。肉体だけではなく精神から削られる苦痛。
 あの時、嘘を言った。もし彼がそれを知ってしまえば最悪自分の手のひらだけで収まらないだろうから。
 スタンドは、神殺しの武器に十分になりうる。神といかなくても、精神を憑代とした妖怪たちを滅ぼす退魔と十分になりうるだろう。
 精神から成り立つ像。単純な力をどれだけ持っているかを試してみたが、これほどとは。

「うぐ、ぅ……へ、へへへ……」

 笑みがこぼれる。
 神遊び、巫女との弾幕ごっこも楽しい物だった。ごっことはいえ、誰も彼もその一瞬では自分の存在を賭けて戦っているのだ。
 でも、彼の力は違う。同じだが、それはごっこ遊びではない。真剣な、命のやり取りなのだ。互いに交わしたのは一撃、けれどその一つにどれほどの存在を賭けていたか。

「どうだ、八雲の……!! 私が一番だ、唾付けたのは私だ、女狐めぇ」

 スタンド能力がどれほどの脅威を持つか。それを調べるのは彼女の役目であり、主人のそれとは違い、純粋に危惧していた。
 が、その別諏訪子と同じような劣情をディアボロに抱いているのを隠していた。同じ考えを持つ者、互いに腹に一物抱えている者だ、何かを隠そうとしていることがわかるのだ。
 諏訪子がその細腕で大樹をちぎり取れる様な力を加えても、首を折るにも至らなかった。
 生半可な攻撃では傷つかぬこの身体をも、やすやすと貫いた。
 精神性を織り交ぜた、妖力や巫力といった力を交えては効果が薄い。また、相手にはそれを破る力がある。
 ……違う、精神そのものが像となっているのだ。それが無意識に肉体を守っている。物理的な力から外れている妖怪の力では、圧倒することができない。対等に至れる。
 試していないが、精神の像同士がぶつかり合えば、そのダメージは肉体に反映される。もっとも、砕けきったこの両腕、握られているという感覚は全くなかった。感じ取れもしなかった。

「……どうでもいいや、今は」

 そう言ったことを考えるのは今を担いたがる奴らだし、それは既に行っているだろう。
 確かに幻想郷の脅威になりうる、が彼がその器足るかはわからない。
 自分の胸に手をやる。痛みとは違う甘い感覚がぴりぴりと走る。身体を治すための鼓動とは違う、もっと別の感情が体幹を駆け巡るから、鼓動も早くなっているのがわかる。

 ―――久しぶりに、一人でしようかな。

 す、とわずかに夕日が差す本殿が暗くなる。諏訪子が周りと隔絶させ、一人の空間を作り、その中で横になる。
 時間が、また経った。

106まるく:2014/04/22(火) 22:12:45 ID:wwR12Xww0
最初だけタイトル入ったが以降は名無しになってしまった。しまった。ぐぬぬ。
というわけで投下は以上になります。
……これセーフですよね?直接描写ないし。
こんなケロちゃん知らない!って言われるかもしれませんが、自分はこのような印象しか抱いてません。
ディアボロはただ戦いに強いから、というわけではなく。裏があるから強い、女性はそんなのに惹かれてしまう。というの、大役は諏訪子様。
そう言ったところでの強さのかけらを表したかったのでこのようになりました。致してませんけど。

ディアボロはワンパンマンです。原作でもおおよそそうですし。
…企画、気合、入れて、行きます!

107中学三年生:2014/04/23(水) 18:27:27 ID:rVPoQY5M0
まるくさんお疲れ様です。









諏訪子···。まぁ強い男が誰一人いないしね・・・「しょうがないね。」

108塩の杭:2014/04/24(木) 19:45:51 ID:bd/qn7G60
お疲れ様です!

こんな諏訪子様みたことねえ…実際はこんな感じなのか…?

ボスの強さはただの強さでなく、裏をもった強さ…そういうのいいですよねぇ。

109中学三年生:2014/04/24(木) 20:32:32 ID:Zlmnfg6I0
パチュリー·ノーレッジ主演、「紫モヤシは動かない」絶賛放送中(もちろん嘘)!

110まるく:2014/04/25(金) 09:43:51 ID:jUT88zgg0
感想ありがとうございます。

中学三年生さん>
雲山「チラッ」
お前は雲か。

塩の杭さん>
組織を束ねている者として、DIOと似たような感じですが(ヴァレンタインはそもそも表向きに大統領なので無しとして)
部下にまったく姿を出していない状態で長として君臨するディアボロ、むっちゃ出しまくって長としてDIO。
威圧も主でしょうけど、姿を見せることでのカリスマ性を感じさせるのもあると思います。
ディアボロはそうはしませんでしたが、それがないとは思えません。ジョジョは主人公も悪訳もモテるのだ。

諏訪子はまあ、自分も薄い本でしかこんな諏訪子見てないので実際はこうではないと思われます。
けど邪神で蛇神ですし、蛇は男性を表すそれとみられるし……関係ないか。そういった、裏で男を手玉に取って遊んでそうなイメージはあります。
神奈子とかは堂々と侍らせそうですしー。もうなんかイメージとか今更感がgg

111どくたあ☆ちょこら〜た:2014/04/25(金) 17:34:02 ID:0Q/ihTk.0
まるくさん、投稿お疲れ様です。

はたての心変わり、スタンド使いの頑強さ、歳を取らない少女らへの考察、一挙に回収されましたね。
魔力的なパワーでブーストされた妖怪や神々の攻撃は、スタンド使いの精神力に阻まれる。山をも崩す剛力が、細首一本へし折ること叶わない。
吉影vsフラン戦を書いていた時期からずっと私が悩まされていた
「ジョジョキャラ側の耐久性を上げないとバトルが成立しない」
という問題を、まるくさんは見事に解決してしまわれました。目から鱗とはこの感覚なのだと言葉でなく心で理解した!ありがとう…それしか言う言葉が見つからない……
……この設定、是非とも私の物語に取り入れたい!…本気でそう思うくらい魅力的なアイデアです!

全世界を滅ぼすような人間存在が発覚してしまえば幻想郷の滅亡に繋がる、だから紫が隠匿した。一部の大物はそれを知っていて黙っている、ディアボロはその観察サンプル、ということですね。

ドッピオはセッコの能力についてボスから聞いたり、実際に捕らえられたりしていたので、諏訪子の地中潜航にも対応できそうな。
以前仰っていた「ディアボロと組むなら小傘か諏訪子」、まさかここで回収されるとは。
祟り神vs帝王、圧巻の迫力。読んでいる最中は赤黒く染まった背景の中で、血涙流し舌舐めずりする諏訪子と陰に塗れたディアボロが欲望と殺意の焔を散らすイメージが焼き付いて、匂いまで感じ取れるほどでした。
エンヤ婆が早苗の父と接触した、というのは、今後本筋には絡んできますか?吉良親父もDIOの部下だったという裏設定が存在するので、結構夢が広がりますね。

金と恐怖でどんな相手をも屈服させられる、かつてその傲慢さがブチャラティの決定的な離反を引き起こしましたが、ディアボロもようやく弁えることを覚えたようですね。

初めての相手は女狐ではないッ! この諏訪子だッ!ーッ
荒れ狂う憎悪は劣情の裏返し、まったくこれだから乙女心はッ!

次回、ディアボロ白玉楼襲撃。【GER】の呪いがまだ効力を残しているならば、幽々子の『無敵の能力』にも対抗し得る。しかし、もし消滅しているのなら…
紫の『能力』が【GER】をも上回るのか、もしくは、【GER】は『対峙した相手の意思と能力をゼロにする』だけで、誰か他の者が『解除』しようとする意思と能力は無効果できない、ということか…どっちに転ぶかによって、大きく展開が左右される分かれ目ですね。
次回、そして短編、心待ちにしております!

112サイバー:2014/04/25(金) 19:00:58 ID:YmM.CV0o0
まるくさん、投稿お疲れです、

企画企画と言っていましたがサッパリやってませんねww(俺が言えることでは無いが)
さて・・・俺も明日には投稿しようかな・・・とか毎日思ってます、結局できないですけど
どうでもいいんですけどさっき自分ツイッター始めたんですよ、
さっぱりフォローしてくれる人がいないのって悲しいですね、まあどうでもいいんですけど

113まるく:2014/04/26(土) 00:11:36 ID:oFuj5qbE0
感想ありがとうございますん。

ちょこら〜たさん>
急いで回収しました。腰を落ち着けてこの辺り話せるのはここくらい…かも。
スタンド使いと幻想郷妖怪たちの戦いについての設定は適当に思いついたものなので、穴があっても許してくださいくらいの勢いでした。納得されていただいてるようで何より。
戦いになった以上ごっこ遊びでは絶対に済まないので、1部2部における人間を越えた相手に対抗できる力、としてこのように解釈しています。
あくまで対等まで引き上げるだけなので、当然萃香や勇儀の鬼パワーだったり吸血鬼姉妹の神話武器など喰らえばよくて重体くらいにはなるでしょう。ああは書きましたが、諏訪子は肉弾能力は低そうです。神話大戦で渡り合ってるからイメージだけで低いわけじゃないでしょうけど。
また、意外と妖怪以外の攻撃には弱いということにもなります。原作でもスタンドを介した遠隔攻撃(ピストルズなどスタンドが直接銃を使ったりするタイプ)は本体が喰らえば普通にダメージ負ってますし、スタンドで防御するシーンはあってもそれでスタンドがダメージを喰らっているシーンが確かなかったはずですし、きっと直接攻撃した方が効くことを知ってるんでしょう。
DIOが波紋対策に壁を吹っ飛ばし、その破片をジョセフはハミパで防ぎきれずに喰らう…くらいしかなかったかなーと、ハミパの防御能力が低すぎるだけかも知れませんけどね。本体叩けば早い。

ドッピオは確かに知ってますが、基本スタンドは類似した能力を持ちません(ラスボス勢に目を背け)
ので、「他に似た能力を持つ奴がいたのか」という驚きと、諏訪子のメインは後ろからの奇襲。また、急な展開にドッピオも予知を見れていない。
これらの点が対応を鈍らせてしまった理由ですね。特に、予知は『見る』というワンクッションがあるのがすごい弱点だと思います。コミックスの展開の都合か、ほとんど弱点らしく書かれてませんでしたが、メタリカがもっと攻勢強ければ見てる間に負けちゃうって。
しかし、よく自分の言ったこと覚えられてましたね。はい、諏訪子でした。そこまで読み込んでいただいて本当にありがたい…!これでも一番力を入れて書いたところです。

エンヤ婆のそれは、……どうしましょう;;
このまるく、伏線っぽいのを書いておいてそれが使えそうになったら回収するというとんでもない幼稚プレイで書いているので、本筋には、ちょっと、絡んでこないですかね…
そこで頷いたりしたif物とかなら十分に影響するでしょうけど、早苗パパもノーと言ってしまいそこで終わりです。エジプト外だからDIO以外が勧誘に回ってる、所までは考えましたがエンヤに任せるのきつくね…

あくまで仕事ですから、彼を監視するのは仕事ですから。悪いやつだから私も好きじゃないんです、悪党はこの世界に…
ああああああああのヘビカエル何してるんだああああああああ!!!!
的な。……乙女心?
傾国の美女とも謳われた九尾ですし、多少はね?

GERに対しての回答も、用意してあります。きっと、「あー、確かに」的な納得が得られると思いたい。
自分は紫の能力は最強万能と思ってますが、「こういうところで小回りが利かないのは面白いんじゃないか?」というようなところもいろいろ考えてます。幽々子も十分チートだけど、さて。
楽しみに待っててください。

サイバーさん>
明日には原稿…明日には原稿…残り5日…
同人作家さんが締切1週間前なのに原稿が白いことを自虐したのを見るたび、こういう気分なんだろうなと心が。
企画、やってるもん!ほんとだもん!
残り4日…職場に隕石でも落ちてこないかな。
ツイッター、フォローを増やすならやっぱり活動を増やすことが一番ですね。どこかに自分のプロフを乗せたり、有名どころの発言をRTしまくったり。
自分もやってますけど、フォロー自体はリアル友人とBOTくらいしかいませんしね。

114どくたあ☆ちょこら〜た:2014/04/26(土) 18:56:46 ID:B7rTLDdU0
なるほど、波紋と同じく人外への弱点攻撃、と。
スタンドで石を投げつける方が効果的な場合も多いですね。今月号でも石で殴りつけてダメージを与えていましたし。
『見る』隙が生じるという弱点は、(私事で申し訳ありませんが)前作中での慧音先生が輝之輔らに突かれてました。【エピタフ】の場合は髪に投影されるので隙は一瞬でしょうが。
ネタや伏線は拾い尽くすように読み込むことが作者様への敬意と感謝の表現と思っておりますので、今後もしつこいくらい読み込ませていただきます!

伏線ばら撒いて後からさあどうしようは私もよくやりますw もっと最悪な『後で伏線を追加する』という禁じ手までやりましたし、それができるのがネット媒体の長所、と自己弁護

紫は西行妖を手に負えなかったり、過去に本気で月に挑んで敗北したりしてるので、私の中では割と弱点のある力という解釈です。『小道』とか【遺体】のパワーに対してはどうしようもない、くらいには。あくまでも私の作中では、ですので、原作基準での強さ議論はやらかすつもりはないですが。

…き、企画、お身体にご無理の無いよう……(汗)

画像投稿場にまた懲りずに四コマを投下しましたので、よろしければどうぞ〜
今夜あたりにもう一本投下する予定です。

115名無しさん:2014/04/30(水) 19:07:31 ID:iiRLKzGk0
ディアボロとドッピオでは同じキングクリムゾンでもスタンド自体の性能はやっぱり違うのですか?
体全体と腕だけでは精密動作性は格段に違いそうですけど・・・

116まるく:2014/05/01(木) 12:32:28 ID:biTxNsAs0
えっと、それは自分の作品に対しての質問と取っていいですかね?書き込み時期的に。
自分の中では違う、というか…とにかくは違うとしています。
『スタンドは本人の精神力による』『戦う意志が強いほど強いスタンドになる』
大元にこの2つがあるとして、子供の精神であるドッピオは百戦錬磨のディアボロと比べて精神的に劣っているが故に性能は劣っているとしています。
単純に体全体と腕だけ、というのもあります。もともと貸してるだけでもありますしね。

ちょっと前の話の補足になりますが、ドッピオが諏訪子に締められているとき、まさしくその理論です。
ドッピオの状態では諏訪子の力に勝てずに力尽きかけますが、そのギリギリでディアボロと交代し、それを乗り越えようとする意志で思いっきり力を込め手を砕く→キンクリ!という流れでした。
精密動作性だけでなく、パワーも上昇してる、という考えですね。…もともと精密動作性は?でしたけど。

117名無しさん:2014/05/01(木) 17:26:16 ID:HRyUf.6A0
まるくさんへ
なるほど!わかりやすい説明ありがとうございます。質問の仕方が悪かったです。申し訳ありません。

118スルーしてくださって結構:2014/05/13(火) 17:46:30 ID:Gj/fxJm60
JOJO'S BIZARRE TOUHOU

Part1 ハクレイブラッドーHakurei Bloodー
Part2 幻想潮流ーGensou Tendencyー
Part3 スカーレットクルセイダース (英語題は解らない。内容は魔理沙vsレミリア。星繋がり。)
Part4 宮古芳香は倒れないー?ー
Part5 射名丸の風ーSyameimaru Windー
Part6 ?ー?ー
Part7 ?ー?ー





うわぁ···ナニコレ···書いてて恥ずかしくなった···それにしても7部と6部は難しい···

119中学三年生:2014/05/24(土) 16:42:28 ID:95rSisGc0
ちょこら~たさん···最新話(って言えばいいのか···)はいつ頃になりますか?

120まるく:2014/05/27(火) 21:49:30 ID:P/QX6RTw0
(sage進行で書かれてて今まで気づかなかった……)
こう、もうちょっとなんというか。作順に則ると考えやすいかもしれませんね、副題。
自分もあんまりそういったのはセンスないのでうまくは思いつきませんが。


というわけで投稿します。
今回はドッピオが出ないので番外編です。現在の時間軸から少し過去の話になります。
けれど、ドッピオはその後を見ています。そんなお話。

121BGM3 香霖堂:2014/05/27(火) 21:50:31 ID:P/QX6RTw0
 うっすらと、閉じた雨戸の僅かな隙間から日が差し込み、自分の手元を明るくする。
 同じ仕事を担当していたランプの勤務時間は、太陽が上がってきたことを指し示す光で終了の時間を告げた。
 手元の本と、自分の考察をまとめた紙が机の上に散乱している。用意していた墨入れも底が見えるほど使ってしまったようだ。
 少々時間をかけすぎてしまったかもしれない、と霖之助は一人ごちる。
 いくら魔理沙が代わりに行ってくれるとはいえ、あまり時間をかけすぎては彼女は怒るだろう。……ほとんど物で釣ったようなものだが。
 今から人里に向かえば、開店の準備の終わりくらいで到着できるだろう。魔理沙にもそのくらいに着けると説明したし、『それ位に終わるのであればなら乗ってやるぜ』と答えていた。元々遅めに着くかもしれないと思っていたので遅めの時間で話していたが、まあ結果は良好だ。
 だった。

「……それなのに、君はいつまでそれをやっているんだい」

 店の奥で書き物をしていた霖之助の近くで、薬箱の中身を整理する、一人の少女。
 外の世界で学生が使っているという、ブレザーと呼ばれる洋服を着ている少女は頭から生えているウサミミを揺らしながら返事を返す。

「あと10分から15分ってところかしら。……あなたの常備薬、型の古い物から期限切れまで……まるで小さな博物館みたいだわ。しっかりチェックしておかないと緊急時に何の役にも立たない」

 ぶつくさ言いながら少女―鈴仙・優曇華院・イナバ―は自分の荷物から出した薬と霖之助の薬箱の整理、入れ替えを行っている。

「そうは言うがね、何分妖怪とも人間とも半分同士だからあまり薬に頼らなくても大丈夫なんだ、だからそんなことしてもらわなくても――」
「でも、この常備薬点検も毎月もらっている料金の一環に入っているから。しっかりやらないとあなたの無駄になる」
「なるほど、言っていることは最もだ。確かにこちらが料金を支払ってサービスを受け取っているのだから。……だが、僕はもう出掛ける時間なんだが」

『あなたのもしもの時! 助けてくれる人はいますか? 永遠亭のまごころ巡回サービス! 薬の事から診察、回診、積めば料理や洗濯といった家事、あんなことやこんなことまでお手伝い!』
 そう書かれたいかにもいかがわしいチラシを配っていたのは今目の前にいるウサミミとはまた別のウサミミ少女。
 その時に居合わせた魔理沙が面白半分でそれに契約をしてしまった。『お試し期間で一月分は半額だ、お買い得だな』と、自分の身銭を切ることなく。
 契約を機に、確かに3日に1度のペースで鈴仙がこの店を訪ねるようになったが、店の戸を叩いて対応の声が聞こえると、

「生きてる」

 と、極めて事務的に、一言の確認をしたらさっさと行ってしまう、何とも冷たいものだった。
 いつもはそんな業務的なものであったが、今回に限って家の中まで入ってきて、勝手に薬箱の整理を始めていた。

「そう? でももうすぐ終わるから、もう少し待っててちょうだい。さすがに主のいない部屋でやるのはアレだし、鍵もかけられないし」
「君が残りをやるのを後日に回してくれればいいんじゃないか?」
「私のペースが狂ってしまうので」

 永遠亭のウサギたちも変わっているのが多いが彼女はその中でも常識的、だと聞いていたがそんなことはなかったようだ。
 職務に忠実なのはいいことなのだが、そこに相手の都合を合わせるということはしない。これはこれで営業には向いているのかもしれないが、今の霖之助には迷惑千万である。

「ごめんくださーい」

 表には営業中の看板を掛けていないにもかかわらず、来店の声が上がる。この声は聞き覚えがあり、その声の持ち主はまじめの一辺倒で聞かれることが多いはずなのだが。

「今は営業していないよ、僕はそろそろ出かけるんだ」

122BGM3 香霖堂:2014/05/27(火) 21:51:20 ID:P/QX6RTw0
 顔こそは入口の方に向けるが、一番言いたいのは前にいるウサミミに対してだ。とにかく、今は出ていってほしい。
 その思いが言葉の端に見える、冷たい口調で言葉を告げる。

「え? えーっと……、え、営業時間を知らない方が自分の都合のいい時間に来れるので……」

 その言葉に対して、戸惑いながらたどたどしく、どこかで聞き覚えのある答えを返す。
 その言葉を最初に使ったメイドはさもそれが当たり前だというように使っていたが、どうやら彼女は元々それはおかしいと思っているのだろう。だから、使用に抵抗が生じてしまう。
 はぁ、と霖之助は深くため息を吐く。鈴仙よりも遥かに扱いやすい彼女だが、結局目的の為なら意固地に付きまとうタイプでもある。さっさと欲しい物を手渡し帰ってもらうのが賢明だろう。

「……すぐに済む要件であるなら対応しよう。何だい、妖夢」

 店頭に顔を出し、言葉と同じく感情の揺れた表情をしている少女―魂魄妖夢―の相手をする。妖夢は、主人が顔を出したことにほっとして、近くの半霊をゆらゆらと揺らめかせながら話す。

「実は、今度白玉楼で懇談会があるから、それに見合うものを用意しろって幽々子様がおっしゃられたので、それっぽい物を探しているんです」
「なるほど、今度にしてくれ」

 非常に手間がかかりそうであったので、断ることにした。以前に来店した時の様に目的がはっきりしているなら良いが、今回の様な曖昧なものはとかく時間がかかる。
 それに、懇談会に見合うものなんて言われても、幽霊屋敷に似合うものが古道具店にあるはずがない。それこそ、人里の道具屋に行った方がいいだろう。そこでまた会うことになるだろうが。

「そんなあ! ダメなんです、すぐに用意しないとまた幽々子様に叱られてしまうんですよぅ!」
「それは君の事情であって、僕の事情とは擦り合わない、それだけの事。それに、別に何もここで探さなくてもいいだろう」
「でも、まだ人里の道具店は開いていないじゃないですか、すぐにって言われたからすぐに用意しなきゃいけないんです!」
「でもその懇談会? は今日やるのではないんだろう? それにあのお姫様が準備するんじゃなくて君が準備するんだから、少しくらい時間をかけても大丈夫なんじゃないか。それに、もてなすつもりならそんな急ごしらえをだすのがいいことなのかい?」
「うっ……うぅ〜」

 コロコロと表情を変えながら、はためく彼女は前と変わらず幼いままだった。前言撤回、まじめというよりは愚直だろう。

「妖夢じゃない、どうしたの?」
「鈴仙! どうしてこんなところに……まあいいや、助けてください、この人いじめる!」
「誤解を招く言い方はやめてくれ」

 呆れた声と感情を出しながら奥から鈴仙が顔を出す。

「君も用件は済んだか? 済んだなら何時までも居ないでさっさと僕を解放させてくれ。妖夢以上に急いでいるんだ」
「まだ終わってないけれど、なんか問題が起きてるみたいだから。保証期間中だし一応……」

 サービスの一環はどこまでなのか。チラシには特に書いていなかったが解釈は彼女に一任されているらしい。本当に必要としている人物には非常にありがたいサービスだろう。霖之助には完全に不必要だが。
 鈴仙は右手の親指と人差し指を伸ばして、その先に力を溜めている、明らかに武力行使の構えをしながら出てきている。もし妖夢がその得物よろしく本当の強盗であったのなら彼女は迷わず撃っていただろう。
 もちろんそんなことはなく、鈴仙も妖夢と確認すると手を下ろし力を解放する。

「……保証期間? また永遠亭は怪しいことをしているんですか?」
「構えるな、撃つと動くよ」
「どちらもここでやるなら出てってくれ、やらなくても出てってくれ」

 鈴仙の言葉に反応して自然と構える妖夢、それに合わせて再び臨戦態勢に入る鈴仙。そこに割って入り、ややも大きな声で二人を諌める霖之助。
 それは、全く進まない展開にいら立ちを隠せなくなってきている様。

「……そうね、あんまり遅れてもあれだし。妖夢も静かに見繕ってたら? 結局私の仕事の加減具合にしか左右されないし。お冠になっちゃう前に終わらせた方が得よ」
「君が言うか」
「……そうですね! というわけですいませんが見させてもらいますね。あ、今回はちゃんと小遣いもらってますから!」

 満面の笑みを浮かべながら、桜の花びらの刺繍の入ったがま口を取り出し大層自慢げに見せつける。
 その時点で、霖之助は全てを諦めた。

123BGM3 香霖堂:2014/05/27(火) 21:52:04 ID:P/QX6RTw0



「えーっと……これなんてどうだろう……」
「それは石仮面。曰く、人間をやめる程度の道具だ。被ってみてもなんともなかったが、少なくとも懇談会向けではないだろう」
「そ、そうですね。今にも動き出しそうで怖いし……これは?」
「見ての通り、矢だ。何となく気の入った装飾だが特に変わりはない物だよ。……本気で探す気はあるのかい」
「いまいち、よくわかってないんです。幽々子様の無茶ぶりはいつも頭を悩まさせられます……」

 店内を見回りながら、あれでもないこれでもないと妖夢は品物を見続ける。
 もはや二人を魔理沙や霊夢などの客ではない存在と捉え、そして同じように言っても自分が納得するまでこちらの言うことを聞かないようなタイプ。そう認識した霖之助は適当に解説を入れることにした。
 それでも、別にそこに関して手を抜くつもりはない。妖夢が見ているのはおおよそ霖之助も興味を持っていない物が多く置かれている所。久しぶりの商売らしく、買い取ってもらうのもいいかもしれないと考えていた。

「……あれ、これは?」
「……おや?」

 そう言って妖夢が取り上げたのは、さらしに包まれた細長い何か。
 もちろん霖之助はそれが何かを理解している。だが、彼は何故それがそこにあるのかがわからなかった。

「それは折れた刀の刃だ。真っ赤に赤錆びていて、とても刃物としての使い道はなかったんだが……用途がとても興味深くてね」
「刀、でしょう? 切る以外に何に使うんです?」
「その通りなんだが、能力で見たところ、どうやら『思いの物を切れる』らしい。……それがどういう意味なのかは分からないがね」

 そこまで説明すると、思案顔でそのさらしに包まれた刀を見やる。

「……しかし、あとで包丁にでも加工しようと錆取りだけして奥にしまっておいたはずなんだが……?」
「包丁にですって、もったいないですよそれは……みても、いいです?」

 刀剣と言われ、少し目を輝かせて妖夢はそれを見つめる。
 蒐集家の多い幻想郷だが、実際に武器として使っている者は数少ない。扱いに難しい、地味、可愛くないなどよく言われるが、そんな中でも使用する者の中、数少ない一人が妖夢である。
 美しい、という意味ではなくて実用的な用途を醸し出すその魅力を理解する、数少ない理解者だろう。

「ああ、構わないよ。ただし、素手で触らないでくれよ」
「そんくらいわかってますよぅ」

 そういった者であるなら、見せるのもやぶさかではない。物の価値は、理解している者同士でないと語り合えないからだ。
 はらりはらりと、少しずつ外の空気に触れさせる。それは楽しみにしていた包みを開くその瞬間に等しい。

「……わぁ」

 解かれたその刀身は、まだわずかに汚れが残っているものの、元は美しい刀剣としてあったということを感じさせる気風があった。
 まるで、冷たい水で濡れているような、静かな輝きを秘めていた。

「元はかなりの業物ですね。楼観剣と比べれば全然ですが」
「やはりわかるものだね。けれど見ての通り、刀剣として使うにはもう無理だろう」

 確かに、中本から完全に折られていて、切っ先の側が残っている。つまり、振るうための柄が無いのだ。

「その部分が存在せず、それを新たに他の者が付け加えてしまえばそれはもはや元の製作者が意図して作ったものではない、別の存在と化してしまうだろう。
 一般的な人間の倫理と道具のそれに当てはめるのは滑稽だが、相手のそれとは違う身体を他人が勝手につけて弄っているのと等しいからな」
「うーん、そうですけど……包丁には惜しいような……?」

124BGM3 香霖堂:2014/05/27(火) 21:52:46 ID:tPxg94h20
 そこまで話して、妖夢は急に辺りをきょろきょろ見回す。

「どうした?」
「今、誰かの声が聞こえたような……」

―――まさか、あの絶望の底から出られる時が来るとは……

「ほら、今確かに聞こえましたよ。誰か他にいるんです?」
「いいや、僕と君と奥のウサギだけだ」

 失礼ねー、と奥から声が飛んでくる。確かに、その3人だけだ。

「……まさか、幽霊!?」
「それは君だろう」
「私は幽霊じゃないです、半分だけです! そんな括りだと霖之助さんも妖怪になっちゃうじゃないですか」
「半分だけだよ」

―――ここは、どこか……わからない……

「また聞こえた! また聞こえた! どこだ、出てこい!」
「涙目になりながら言うものじゃないよ。それに幽霊が声を出せるはずないだろう」

―――まあいい、久しぶりの運動といくか

「……もしかして、ここから……?」

 そう言うと、妖夢は持っている折れた刃を見つめる。
 その姿は、何かに魅入られているかのような虚ろな瞳をしていた。

「……妖夢?」

 怪しげに思い、霖之助が立ち上がろうとする。

「シッッッ!!」

 それを、制する。いや、それどころではない。
 明確に霖之助に危害を加えようとした、正確な突きが妖夢から繰り出された。

「なっ……!?」

 何とか、後ろに体を反らしてそれを回避する。急に動いた体は重心を失い、そのまま後ろに倒れこんでしまう。

「久しぶりの外だ……お前には何の恨みもないが、おれの力試しのため、その命貰い受ける!!」

 折れた刃を突きつけながら、高らかに妖夢は宣言する。
 その瞳は先ほどまでの穏やかな幼い瞳と違い、相手を切ることにのみ快感を覚えている狂人の瞳をしていた。

「妖夢……? 一体、どういうことだ?」
「のんびり答えを待つ時間などお前には存在しないッ!」

 そう答えながら、その瞬刃を煌めかせる。狭い店内で、その短い刃は霖之助を捉えようと一つ、また一つと近づいていく。

「くっ!!」

 対峙する霖之助も、ただなすがまま避けているだけでない。回避しながらも対抗しうる得物の元へ近づいていく。
 再び彼を切り裂く一刃を、一振りの刃が受け止める。
 草薙の剣。外の世界の変革に共にあったと言われる剣。
 もちろん彼自身がそれを使い切れる力があると思っているわけではない。が、今対峙する刃を受け止めるに至る武器はこれしかない。
 金属と金属がぶつかり合い、火花を散らして辺りに音を響かせる。

「この刃を受け止めるか……だが、受け止めるに一杯と見た! 容易い相手だ、運動にすらならないな!」

 確かに、と霖之助は口の中でつぶやく。今の動きで息は上がり、肩で呼吸をしているようなものだ。

「しかし素晴らしいぞ、この肉体は! 幼いながら体術、技術……過去に肩を並べたものとは比べ物にならない! そしてッ!!」

 再び刃を霖之助に突きつける。霖之助もそれを受け、青眼に刀を構える。

125BGM3 香霖堂:2014/05/27(火) 21:53:50 ID:P/QX6RTw0
「お前の動きは今ので『憶えた』。絶対に」

「絶〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ対に! 負けん……!!」

 謎の振りをした時、店内に銃声が響く。それに気づいた妖夢が的確に刃を振るう。

「……どういうことだろ、これ。すごく妖夢らしいけど、だいぶ違う」
「お前もおれに斬られたいというのか」

 鈴仙の銃弾は全て斬り落とされていて、命中には至らない。
 その妖夢は、新しい相手に喜びの感情を出していた。

「その意気は良いぞ。この男は弱者とも見える。だが女、お前の攻撃には確かな殺意が込められていた! あの拳銃使いの様に! お前も戦いに身を置く者、相手に不足はない!」
「……ずいぶん正統派な剣士みたいになってる、んだけど……イメチェン、じゃないよね」
「気を付けてくれ、鈴仙……とてもじゃないが僕には抑えきれない。恐らく、妖夢は幽霊か何か、あの刀に宿る悪霊に操られているようだ」
「それは『視れば』わかる。あそこからは明らかに波長が違うもの。それに何より、ここであんな波長を示すのって、姫様とその相手くらい」

 少々矛盾はしているが、ごっこ上での明確な殺意は少女たちの遊びにはよくある話だった。
 だが、今の妖夢は違う。あの鬼の異変の時に廻り回った時もこれほどの殺気は出していなかったはず。

「下がってて。これもサービスの一つだから」

 この期に及んでサービスの一環というのも滑稽なものだが、それでも頼りにはなる一言だった。
 決して気を緩めず、少しずつに霖之助は足を下がらせる。

「見たところスタンドでの撃ち込みではないようだが……どこかに隠し持っているな? だが問題ない、今の弾丸は『憶えた』ぜ」
「そう? ならばこそ」

 鈴仙の瞳が赤く輝く。それと共に、頭痛が走るかのような音と、赤いヒビが入った様な店内がその瞳に、妖夢と霖之助の瞳にも映し出される。

「これは……!?」
「初見殺し。憶えられる前に終わらせてもらうッ!!」

 鈴仙が店内を走る。その像は、すでに二人には違うように見えてしまっている。彼女が右に走れば上に走るかのように。飛び離れれば近づいてくるかのように。
 その動きに翻弄され、困惑する妖夢に対し、八方から銃弾が撃ち込まれる。

「だが無駄だッ! その攻撃は『憶えた』と言ったろーがッ!!」

 その掛け声とともに、全ての銃弾が切り落とされる。位相によって僅かにずれたその攻撃すらも明確に。

「初見殺しだって。もっとも、あなたは私を認識していないけれど」

 その振るわれた後の刃を持った手を掴み、指だけで支えられているそれをはたきおとす。その見事な不意打ちは、持っていた本人にも気づかせないほど鮮やかだった。
 妖夢の手から刃が離れると共に、ぷつんと糸が切れたように張りつめた空気はなくなり、同時に妖夢はその場に倒れる。

「……鈴仙? 終わったのか?」
「まあ、一応。……もしあれも『憶えられた』のなら、私結構へこむかも」

 そう、鈴仙は何て事の無いように呟いた。

126BGM3 香霖堂:2014/05/27(火) 21:57:21 ID:P/QX6RTw0


 
 勝負こそ鈴仙の機略によって一瞬で終わったものの、その後は凄惨たるものだった。元々片づけられていない店内を少しでも暴れ回った中。
 辺りの物は散乱し、下敷きになったものは壊れてかけらが飛び散っている物も見られる。

「……さすがに、この状態を放っておくわけにはいかないかな」

 霖之助も目の前に倒れている妖夢ではなく、その散らばった区画を見て呟いた。

「え、この子は? 妖夢放っておくの?」

 割と大きめの目をさらに丸くし、さすがに非難するかのように鈴仙は答える。

「怪我人は医者に連れて行った方がいいだろうからな。もっとも、見たところ怪我はないと思うが」

 そこにはただ見捨てるわけではなく、専門外なので専門家に任せたいという心も見えたが、前者の放置も僅かに見える。
 ひどく呆れた顔をして、侮蔑の目で見られるが霖之助は気にしない。同じく、専門家として事態の解決をしたいだけなのだ。
 落とされた、折れた刀に近づき、触らないように注意しながら検分する。
 と言っても注視するくらいなのだが……それでも特に変わったものは見られないし、直前に妖夢が言っていた霊の言葉とやらも聞こえなかった。

「……触って調べてみたいところだが、おそらくそれが起動の合図になっているんだろうな。……箸か何かでつまめるだろうか」
「……んぅ……みゅ…………ひょあっ!?」

 ちょうど目が覚めた妖夢。不自然なほどに近い男性の顔に思わず驚き飛び退く。
 霖之助も、目が覚めたときにまだ何かあることを考え、剣を持ったままであったので、一応その構えをする。が、目が覚めた妖夢はあたふたするばかりで、特に何も起きなさそうであった。

「……何があったか覚えてはいるかい?」
「少しだけ、まあ。心を乗っ取られるなんて……さっさと斬ればよかったのに、未熟ですみません」

 自害でもするつもりか? と言いかけたか、さっきと同じく口の中に留めておいた。災いの元は無闇に出さない方が身のためだ。
 草薙の剣はもう不要になったかもしれないと思い近くに立てかけようとするが、それを妖夢が止める。

「すみませんが、また一悶着起こさせてください。……さっきの人、もう一度呼ばせてください」
「本気か? 君が冗談を言う人間ではないからそうではないと思いたいが」
「そうよ、それにもし何かあったら、あれが言ったことが本当なら私でも止められないかもしれないのよ? 通常弾だって、2回目には幻覚の中でも見切られていたし」

 二人がそれを止めようとすると、妖夢は手で二人を制し、その傍らに浮かんでいる霊体を自分の身に寄せた。
 妖夢の半霊は、すぐに妖夢と同じ姿を取る。違う点は、楼観剣と白楼剣を持っていない、の2点。
 形取ると、二人が制止する暇なく、半霊の方で刃を拾い上げた。

「…………ッ! ええ、大丈夫ッ! はい、それは、ダメですッ! ッ!!」

 半霊の方の妖夢も、現体の妖夢も共に、何かに耐えるように歯を食いしばりながら、何も聞こえぬ声に返事をする。
 概要こそはわからないものの、それの成功を見据えるしかなかった。
 二人はもしものため、霖之助は草薙の剣を構え、鈴仙は同じく手にいつでも発射できるように力を込めて。
 ……妖夢は目をつぶりながら、出てくる声は小さくなり、つぶやくような声になる。

「……そうです。おそらく、あなたの言う人物は存在しません。……はい、ありました。確かにそれは」

 そこまで言うと、二人の妖夢は何やら気の抜けたような表情となり、鈴仙と霖之助の方を向く。
 半霊の妖夢は恭しく頭を下げると、口をパクパクと動かす。

127BGM3 香霖堂:2014/05/27(火) 21:58:36 ID:P/QX6RTw0

「あ、ごめんなさい。そっちの身体は喋れないんです。私から説明します、アヌビスさん」
「何だって?」

 アヌビスと呼ばれた、半霊の妖夢は、現体のそれとは違い、鋭い目つきは変わらない。
 それが元々の彼? の性分なのか。口を開くと共に、追随して妖夢が説明を加える。

「刀に宿っている、えー、すたんど? 悪霊みたいな方で、刀を抜いた人に憑りついて操れる程度の……え、憑りついているわけじゃない? いいじゃないですか、それくらいは簡単に言わせてくれたって」
「な、なんか随分フレンドリーになってるわね。一応あなたは私たち殺そうとしていたのよ?」
「それはまあ、許してほしいし、納得いかないなら切らせてもらう、ですって。戦うのは好きみたいですよ?」
「君と思考回路はあんまり変わらないみたいだな」

 丁寧に頭を下げるアヌビス。確かに、攻撃性がなくなると紳士的な対応はできるみたいだ。

「しかし、何で今度は乗っ取られたりしないんだ? それに、あまりに急な変化だ、油断させているようにも見える」

 それでも、すぐには疑いが晴れるわけではない。霖之助が訝しげに見ると、アヌビスもそれは当然ともいえる表情を浮かべ口を開く。

「あー、はいはい。まず私の方から説明しますけど……見ての通り私には半人半霊なので、体が二つあるんです。主に使っているのは人間の方なので、そっちで持ってしまったからそっちの身体が使われてしまったんですが……
 半霊の方なら基本的には私の手足みたいなもの、身体の一部なのでそこだけなら使われても互いに干渉しあえます。相手が完全に制御できるわけではないので少し安心できます。でしょう?」
「確かに、僕ら半分の血筋とは違って半人半霊はそれそのものが種族、一つの精神と二つの身体で成されると以前聞いたが……」
「で、攻撃してこないのは、言ったとは思うが、って言ってますけど言ってました? とにかく長年使えなかった体の動かしをしたかったからですって。
 斬ることに抵抗がないのは私は良くないことだと思いますけど、真の目的意識があるなら続けるけど今はないからやめておく、ですって」
「……聞けば聞くほど、妖夢とあんまり変わらないわね、そのアヌビスさん」
「どこがですかっ!?」

 驚きの表情をする妖夢と、うんうんと合点が言ったようにうなずく霖之助。アヌビスも、それに合わせて苦笑している。
 戦いが終われば後腐れなし。その空気が、ここでも感じられるようになっていた。

128BGM3 香霖堂:2014/05/27(火) 21:59:22 ID:P/QX6RTw0



「……しまった、もうさすがに行かないと。予定の時間よりだいぶ遅れてしまっている……」
「え? ……ああ、私も次の巡回に間に合わなくなっちゃう! ここで薬の確認なんてやってられない!」 

 それほど時間が経っているわけではないが、二人ともに用事が詰まっている。その割には鈴仙はのんびりとしていたように見えるが。
 二人とも荷物をまとめると、二人の妖夢を連れて外に出ていく。

「わっ、私の用事! 私ここで刀拾うしかやってないです!」
「さすがにもう時間もない。その刀は僕には持て余すから差し上げよう。適当にお姫様への言い訳を考えておいた方がいい」

 そういって店の戸にカギをかけると、さっさと走って行ってしまう。
 鈴仙も鈴仙で、荷物をまとめると、

「彼……でいいのよね? についてまたあとでゆっくり聞きたいけど、私もちょっと外さなきゃいけないの。妖夢、アヌビスさん。いいかしら?」

 そう問いかける鈴仙に、妖夢は恐る恐る片割れを見つめる。
 その片割れは、少女の容貌に似つかぬ笑みを浮かべ、言葉は上げずとも、了承の意を示した。
 それを見ると、鈴仙も微笑みを返す。

「ありがとう。それじゃあね!」

 そう言うと、鈴仙もふわりと飛行し、森の外側へと向かう。どうやら紅魔館の方へ向かっていくようだ。

「……いったん、お屋敷に戻りましょうか。私はあなたを、わが主に紹介しなくてはなりません」

 そう言うと、アヌビスは渋い顔をし、難色を示す。

「大丈夫ですよ。幽々子様は寛大な方です。幽霊仲間として一緒に認めてくれますよ。……え、幽霊じゃない? だからぁ、そのすたんどっていうのがよくわからないんですってばぁ。
 アヌビス、じゃなくてアヌビス神が正しいって? でも、神様じゃないでしょう? ええ、いますよ。幻想郷には神様だって。あなたの所にもいたんです? 神様じゃないけど、それに近い吸血鬼……
 うーん、吸血鬼……いえ、確かに怖いんですけど……幻想郷にもいますけど、どこか間が抜けてるんですよね、あの人たち。いや、あなたの所の方を馬鹿にしたわけじゃなく! あー、転びますよ!」

 興奮したアヌビスは、人間の身体とは違う霊体の身体に慣れないのか、思うように動かずに体勢を崩す。
 それを支えながらも、妖夢は一旦の家路に着く。

「外の世界の事も、あなたの事もいろいろ聞いてみたいです。貴方にもいろいろ答えてあげます。ようこそ、幻想郷へ!」

129まるく:2014/05/27(火) 22:05:04 ID:P/QX6RTw0
以上になります。次回への布石編です。何綺麗に締めてるんだ感すごいですね。
あーだこーだは次回にアヌビス神本人に語ってもらいます。こう、たまの日常パーt
の後霖之助は、星のソナタで魔理沙がやっていた店番を引き継いで〜、という流れになりますね。

ナイルの河底に永久に沈むと思われていた刀は、やがて忘れられた地に流れ着く。
魂がどーのこーのとか、いろいろまた次回で俺理論展開で行く予定です。

130どくたあ☆ちょこら〜た:2014/05/28(水) 17:09:09 ID:Z202f/gQ0
まるくさん、投稿お疲れ様です。
【アヌビス神】が幻想入り。霖之助の能力でも『スタンド』であることは見抜けないんですね。
承太郎を苦戦させただけあって、やっぱりトンデモな強さですね。「今ので覚えた」が幻覚にまで通用するとは…!
戦闘が終われば後腐れ無し。人間じゃない【アヌビス神】には、幻想郷のルールが割と性に合っているのかも。
妖夢の体質を利用して【アヌビス神】を制御するとともに肉体を与えるのは巧いと思いました(小並感)
次回、ディアボロが白玉楼を来訪しますが、早速一悶着起きそうな流れ。ただでさえ周りが『敵(?)』だらけなのにジョジョ屈指の強スタンドまで敵に回ってしまったら、ディアボロの寿命がががが
次回も期待しております!

>最新話
こ、今月末には…(震え声)

131中学三年生:2014/05/28(水) 17:34:11 ID:UJqEybt20
↑待ってます

>>129まるくさん
じゃあ忘れ去られたカーズや、川の底に沈んだマジェントもあるいは···!?

132名無しさん:2014/05/28(水) 18:11:39 ID:MHwa1NUA0
もしディアボロがアヌビスを手に入れたら三重人格に・・・

133名無しさん:2014/05/28(水) 23:06:15 ID:3dizHQg60
スタンドの矢があるって事はそれをめぐりまたなにかありそうですね(笑)

134まるく:2014/05/28(水) 23:53:55 ID:I6OFuJ2g0
感想ありがとうございます!

>ちょこら〜たさん
霖之助の能力は道具の名前と用途がわかる程度、アヌビス神は刀に宿るスタンドであって道具の用途ではないので。霖之助も人間を見て何の能力を持っているのかわかるかと言ったらNOだろうと思って。
ちょっと無理があるかもしれませんが、道具のそれと、スタンドとしては別物として表現したい、ということですね。

アヌビス神の能力ならきっと弾幕シューティングは楽勝でしょう!一度見ればルナティックの弾幕だって余裕!
ポルナレフの剣針飛ばし、目潰し+死角からの跳弾を2回目で完璧に弾いたので、明らかに目で見えていなくても感覚で制圧してると取っています。よって、高度な目くらましすらも無効化できる!と考えた次第。
既に妖夢越えてるんですがこれは…ま、まあ承太郎たちとの経験もあったし…

もしDIOの命令がなければどの程度まで自分から動き出すのか、というのも想像の余地がありますが、やはり基本は忠義のイメージ。戦闘狂ではないので、戦う理由がなくなり馴染めると思いました。
元々500年も生きているので十分妖怪の類だと思います。小傘ちゃん、仲間だよ!

妖夢の種族を何か差異として使えないかなー、と思っていてこれが浮かびました。すごく動かしやすくなりますた!これでたくさん問題を起こせます!ディアボロの明日はどっちだ!

>中学三年生さん
カーズは宇宙だし、マジェントは別の平行世界だから来れないだろ!いい加減にしろ!
いや、宇宙人だって幻想郷にいるし…?
実際問題来てもおかしくはありませんが、出しても主人公を喰いかねない(物理的に)勢いなので今は出演はしないですかね。

>名無しさん132
アヌビス神は乗っ取った肉体の精神・技術を完全に使いこなす程度の能力があると考えています。
その時ドッピオかディアボロかに寄りますけど、表になっている身体の精神が乗っ取られてしまうだけで二重人格なだけ、なのかなー?どちらにしろ厄介な隣人ですがね!

>名無しさん133
起こすぜー超起こすぜー。
こんなこというとエターナるポイントが3倍くらいになりそうですが、完結後のif物語とかも頭の中にあります。
そこに使えそうな伏線、当然今の本編にも使いますが。そういうのも適宜ばらまいております。撒くだけ撒いて拾えるのだけ拾う悪いスタイル!


アヌビス神の強キャラ感を出すのに苦労したし、完全に出し切れているとは思えません。…それより普通に鈴仙がチートだと思ってますし。
とにかく、感想を元にこれからもがんばります!ありがとうございます!

135どくたあ☆ちょこら〜た:2014/05/29(木) 00:21:29 ID:9zGKTJO20
そういえば、ディアボロ&ドッピオは『一つの身体に二つの精神』で、妖夢とは真逆なんですね。
仮にドッピオが表の状態で【アヌビス神】に乗っ取られたとして、より優勢のディアボロがさらに【アヌビス神】を制圧、アバッキオ奇襲時のように半分ディアボロ状態で【キング・クリムゾン】も全身使え、【アヌビス神】も制御できるとしたら…
夢広がりますね!

完結後の続きまで構想があるのですか!期待が一層膨らみます!

鈴仙は確かにチートっすね。臆病な性格という設定が無ければ寝首かくぐらいしか対処法が無い。『波紋』なんかも制圧できるのだとしたら…(ガクブル

136中学三年生:2014/05/29(木) 07:32:57 ID:vlPnO85Q0
>>134
あ···ごめんなさい、すっかり忘れてました···(´·_·`)

137名無しさん:2014/05/29(木) 19:45:53 ID:BbOMzRnM0
レミリア「お前は私を本気で怒らせた!」
    「お前には、死んだことを後悔する時間も、与えない!!」
霊夢「戦いの覚悟はできている!」
霖之助「僕は敬意を表する!」
レミリア「このチンピラが!俺をナメてんのか!!?」

138まるく:2014/05/30(金) 16:30:18 ID:HnG.567I0
>ちょこら〜たさん
そうなんですね。それなりに対比な感じとしてのケースです。身体が二つなんてあんまり聞きませんけどね。
しかしアヌビス神の精神支配はどこまでできるんでしょうかね。DIOには強すぎるからの忠誠、と作中にありますのでDIO並の精神力なら耐え切れるのではないか、と考えていますが。
声は手に取ったものにしか聞こえないみたいだし、博物館の倉庫から引っ張り出す時は手に持つでしょうし。…誰か下人に持たせて会話したというのもありますか。ううむ。
ディアボロ状態でアヌビス神も使える状態!まるでディアボロの大冒険状態!

鈴仙は某所では6ボスを押さえて強いキャラとみなされるくらいですからね。と言ってもそこは結構ぶっ飛びなのであんまり信用にはしていませんが。
あと自分も強いと思っていますがそれ完全にこいドキの影響もあります。あれはかっこよかった…汎用性に効く能力は総じて強いので、まともに対峙したくない相手ではあります。

>中学三年生さん
いや、謝られるほどでは。いわゆるネタ返しなので〜。

139名無しさん:2014/05/31(土) 00:15:17 ID:Eigc6OrA0
神のような吸血鬼その表現すごいいですベリッシモベネ!。
いや全く本当にDIOの影響は恐ろしいですね(笑)。DIO様やエンヤ婆は妖怪や神そのような存在を知ってたんですかね?承太郎が石仮面を調べるうちにレミリアや守矢神社にたどり着いてたらなんか胸熱ですね(笑)

140どくたあ☆ちょこら〜た:2014/05/31(土) 21:17:24 ID:ueFU1mxw0
【第二部】〜Saint Babel Run〜第六話、投下開始致します

141【第二部】〜Saint Babel Run〜第六話:2014/05/31(土) 21:18:20 ID:ueFU1mxw0
◎旧作キャラ解説
・里香…『東方封魔録』一面&Exボス。戦車技師であり、『ふらわ〜戦車』『イビルアイΣ』を駆る。

・小兎姫(ことひめ)…『東方夢時空』登場。人里の警官であるが、人格破綻者。


【第二部】〜Saint Babel Run〜
第六話 暗雲と雷鳴①


「ーーーーーーー止まれ!動くななのです!
そこから一歩でも動いてみなさいっ!
この『ふらわ〜戦車』の88ミリ砲弾が!
二キロ先の民家を木っ端微塵に消し飛ばす絶大な威力でっ!
貴女たちの身体をバラバラに引き裂くであります!」
「だ〜か〜ら〜〜っ!
さっきからずっと動いてないでしょ!何度も何度もしつこいのよ人間!」
「…まあまあまあまあまあまあ、待てチルノよォ。
向こうさんだって何も俺らに嫌がらせしたくて、こんな里の外で待ちぼうけさせてるわけじゃあねーんだ。
イロイロあんのさ、人間の『組織』ってヤツにゃあよォ……」
カッとなり怒鳴り返すチルノを、馬上のホル・ホースは眼光鋭く相手を注視しつつたしなめる。
二人は現在、人里の門の手前50メートル付近、バリケードがそこかしこに設置された検問にて、足止めを食っていた。

142【第二部】〜Saint Babel Run〜第六話:2014/05/31(土) 21:18:59 ID:ueFU1mxw0

事の発端は、こうだ。
vsミスティア戦の後、二人は『霧の湖』の住処に戻り、しばしの休息と状況の整理、情報収集を行っていた。
ミスティアの所属する【敵】は、規模も目的も未知数。
さらに【遺体】の存在を知っていたこと、刺客をミスティアとリグルの二段構えで放ち、こちらの様子を伺ったことを踏まえても、明らかに只事ではない。
【敵】に先を越される前に【遺体】の回収を急ぎ、あえて派手に動いておびき寄せ尻尾を掴む、その選択肢もあった。
しかし、元来の慎重(臆病とも言う)なホル・ホースの性質、【幻想郷】という未知のフィールド環境、数多の修羅場をくぐり抜けて来た経験が培った老獪さが、その『賭け』を拒んだ結果だった。
そんな時である。
チルノが高揚した面持ちで【紅魔館】の廃棄した新聞を持ち帰って来たのは。

“新たな【スタンド使い】現る ーーー二人組の『外来人』 その能力は『治療』と『修理』”ーーーーーー
興奮を抑えられない様子でチルノが突き付けた、大きく踊るその見出し。
その日のホル・ホースの方針が、決定された瞬間だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「これは警告なのです!
その場を一歩も動くな、なのです!
さもなくば貴様らは、我が愛機『ふらわ〜戦車』の!
たとえ火の中水の中、森や山であろうともっ!
あらゆる地形を薙ぎ倒し踏破する、この無限軌道のシミと消えることになるでありますっ!」
「だあぁ〜〜っ!うっさいわねこのバカっ!
いったいどれだけ待たせるつもりなのよ
早くあたいたちを通しなさい!それか口にチャックなさい!」
というわけで、現在二人は自警団の入里許可が下りるまで、検問にて待機させられているのだ。
「チルノよォ、このくらいの待機時間なら、マダマダ全然マシだぜ。
俺が中東のとある国から出国しようとした時は、報道スパイの嫌疑で三日間軟禁されて取り調べを受けたモンだ。
最終的には処刑が決定したモンで、隙を突いて【皇帝(エンペラー)】で全滅させて無理矢理突破した…
アン時は流石に寿命が縮んだぜ…」
「はあ 三日間っ
そいつら絶対大バカでしょ!」
『仕事』の件もあり、待つことには慣れているホル・ホース。
実のところ、彼はこのような事態に陥ることを予測していたし、また、その対策も十分に用意してきていた。
退屈だと駄々をこねるチルノを紛らわせるため、巧みな話術と稀有な経験を活かし、彼のスリルに富んだ、少しだけフィクションを織り交ぜた思い出話を彼女に語って聞かせる、その予定だった。
チルノの住処の外、星空の下で焚き火を囲みながら、寝床に就くまでの刻を大妖精も交えて語らって過ごした夜は、これまでも幾度となくあったのだ。
彼の話す刺激的な物語は二人の冒険心をくすぐり、若き日の剽軽な出来事、息を呑む絶体絶命の修羅場をハッとするような機転で切り抜けるパズルめいた面白さで以って、飽きさせない面白さがあると自信たっぷりだったし、実際これまでもその通りだった。
彼の想定を超えていたのは、そこに頻繁に水を差す輩がいたことだ。
赤みがかった茶髪を二本のおさげにし、赤いマントを羽織った少女。
巨大な陰陽マークを象った戦車に乗り込み、意気揚々とこちらに主砲を向け、警告とは名ばかりの愛車自慢を繰り返している。
拡声器でがなり立てる彼女の『警告』は数十秒に一度の頻度で、チルノの神経を逆撫でするのだった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板