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ジョジョの奇妙な東方Project.PAD6

126BGM3 香霖堂:2014/05/27(火) 21:57:21 ID:P/QX6RTw0


 
 勝負こそ鈴仙の機略によって一瞬で終わったものの、その後は凄惨たるものだった。元々片づけられていない店内を少しでも暴れ回った中。
 辺りの物は散乱し、下敷きになったものは壊れてかけらが飛び散っている物も見られる。

「……さすがに、この状態を放っておくわけにはいかないかな」

 霖之助も目の前に倒れている妖夢ではなく、その散らばった区画を見て呟いた。

「え、この子は? 妖夢放っておくの?」

 割と大きめの目をさらに丸くし、さすがに非難するかのように鈴仙は答える。

「怪我人は医者に連れて行った方がいいだろうからな。もっとも、見たところ怪我はないと思うが」

 そこにはただ見捨てるわけではなく、専門外なので専門家に任せたいという心も見えたが、前者の放置も僅かに見える。
 ひどく呆れた顔をして、侮蔑の目で見られるが霖之助は気にしない。同じく、専門家として事態の解決をしたいだけなのだ。
 落とされた、折れた刀に近づき、触らないように注意しながら検分する。
 と言っても注視するくらいなのだが……それでも特に変わったものは見られないし、直前に妖夢が言っていた霊の言葉とやらも聞こえなかった。

「……触って調べてみたいところだが、おそらくそれが起動の合図になっているんだろうな。……箸か何かでつまめるだろうか」
「……んぅ……みゅ…………ひょあっ!?」

 ちょうど目が覚めた妖夢。不自然なほどに近い男性の顔に思わず驚き飛び退く。
 霖之助も、目が覚めたときにまだ何かあることを考え、剣を持ったままであったので、一応その構えをする。が、目が覚めた妖夢はあたふたするばかりで、特に何も起きなさそうであった。

「……何があったか覚えてはいるかい?」
「少しだけ、まあ。心を乗っ取られるなんて……さっさと斬ればよかったのに、未熟ですみません」

 自害でもするつもりか? と言いかけたか、さっきと同じく口の中に留めておいた。災いの元は無闇に出さない方が身のためだ。
 草薙の剣はもう不要になったかもしれないと思い近くに立てかけようとするが、それを妖夢が止める。

「すみませんが、また一悶着起こさせてください。……さっきの人、もう一度呼ばせてください」
「本気か? 君が冗談を言う人間ではないからそうではないと思いたいが」
「そうよ、それにもし何かあったら、あれが言ったことが本当なら私でも止められないかもしれないのよ? 通常弾だって、2回目には幻覚の中でも見切られていたし」

 二人がそれを止めようとすると、妖夢は手で二人を制し、その傍らに浮かんでいる霊体を自分の身に寄せた。
 妖夢の半霊は、すぐに妖夢と同じ姿を取る。違う点は、楼観剣と白楼剣を持っていない、の2点。
 形取ると、二人が制止する暇なく、半霊の方で刃を拾い上げた。

「…………ッ! ええ、大丈夫ッ! はい、それは、ダメですッ! ッ!!」

 半霊の方の妖夢も、現体の妖夢も共に、何かに耐えるように歯を食いしばりながら、何も聞こえぬ声に返事をする。
 概要こそはわからないものの、それの成功を見据えるしかなかった。
 二人はもしものため、霖之助は草薙の剣を構え、鈴仙は同じく手にいつでも発射できるように力を込めて。
 ……妖夢は目をつぶりながら、出てくる声は小さくなり、つぶやくような声になる。

「……そうです。おそらく、あなたの言う人物は存在しません。……はい、ありました。確かにそれは」

 そこまで言うと、二人の妖夢は何やら気の抜けたような表情となり、鈴仙と霖之助の方を向く。
 半霊の妖夢は恭しく頭を下げると、口をパクパクと動かす。


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