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【場】砂浜

1ZAKI:2015/01/01(木) 00:41:57

倉庫街の西、H湖の入口にほど近い砂浜地帯。
以前殺人事件が起きた『いわくつきの場所』だが、今は落ち着きを取り戻している。
シーズン中には海の家が栄え、沖では沈没船が静かに時を過ごす。
治安は悪くもなく、ランニングにやってくる一般人も多く見られるが、
『歩くスイカ』や『突然変異クラゲ』、『人を操る影』など不思議な情報も多く、
『黄金町のミステリースポット』と化しているきらいもある。


―┘          ┌┘
―┐ H湖     ┌┘   ┌┐   住  宅  街   
  │      ┌┘   .┌ ..│...      ‖
   ┐     │    ┌ ┌┘       ‖←メインストリート
   │    │   ┌  │         ‖
    ┐   │  ┌  ┌..       黄金原駅
     │  └─┘┌―      ┏ ━■■━ ━ ━
  ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛    ‖←ネオンストリート
       │      └―┐黄金港.. 繁 華 街  
       └┐   ┌――┘       倉庫街
 ─────┘   └◎―――――――――――

2門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/01/01(木) 01:50:43

                       『新年』。

今、外出している大抵の者は初詣やら繁華街での年越しイベントなどを楽しんでいるのだろう。
多くの者と楽しい時間を共有し、『交流』を深めるのは確かに素晴らしい事だ。

しかし――― あまりに混み入った場所では、一つ一つの出会いはどうしても『薄くなる』。
だから、あまり人が居ないような場所に行って、同じような感性の人物と出会い、濃密な『交流』を図る。
こういうのが、充実した『人間関係』を創る『秘訣』じゃあないのか? と、この門倉は思うわけだ。

少なくとも、今年、この場所に来たのは俺が『初めて』だ。
初めての『砂浜』。ジョリジョリとした足の感覚。悪くない。

そして、重要な事は、ここからは綺麗な『日の出』が見れるという事だ。
海から昇り上がる『初日の出』。さぞかし美しい事だろう。

そんなわけで門倉は『砂浜』で待つ。
冷え込む海辺の『寒さ』など今の彼にとって瑣末事なのだ。

3ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/01(木) 01:55:26
>>2


デーン  デン

 デーン  デン

   デンデン デンデン デンッ

 ジョーズの曲が聞こえそうな感じで  

君の元に海辺から『サメ』が迫ってきている。結構大型だ

4門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/01/01(木) 02:01:21
>>3
「へええ、『サメ』が居るのか。ここの海」

感嘆する門倉。そして、彼の常識が正しければ、
サメが『海辺』から砂浜に上がってくる事などまず無い。
何かのトラブルで打ち上げられるなどすれば別だろうが、
そんな状態のサメが自分に危害を加えられるはずも無い。

つまり、門倉が慌てる必要はまるでなく、少し『海』から離れ、
遠くからサメの動向を、手持ち無沙汰に眺めるだけだ。

「海水浴なんか来る時は注意しなきゃな。あんまり来ないけど」

5ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/01(木) 02:07:36
>>4

>サメが『海辺』から砂浜に上がってくる事などまず無い。

 チッ  チッ   チッ(人差し指振りつつ) 甘いぞ、その考えは
蜂蜜よりも 甘い

 甘い甘い。

 その『サメ』は、さも当然とばかりに何と『砂浜』のほうへと

 『跳んだ』   軽く、本当に其処が自分の居場所であるかのように

 何かを咥えた様子の一メートル半越えのサメは砂浜に到着する
君の目の鼻の先の元でだ…そして

  『よっしゃー   真珠ゲッドだー!』

 そう、サメが『喋った』 意気揚々と

6門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/01/01(木) 02:21:02
>>5

「………………」

眼前で『砂浜』に『跳躍』するサメを確認した『門倉』は、
まるで現実から目を逸らすように、サメから視線を外し、遠い目で『海』を見やる。


  ………
       ………
              ………
                    ………

夜明けまではまだ少しある為、『海』はコールタールみたいに『暗い』。
なるほど、この闇より深い闇を含んだ『海』なら、
 どんな生き物の存在をも許すのかもしれない。

「つまり、世界の不思議を俺が、この『門倉』が、
  初めて『発見』した。そういう事か………」

妙な結論に達した門倉は、改めて『サメ』を見やる。
今度はなんと『サメ』が『サメ』の分際で喋り始めていたが、
全てを悟った門倉に動揺は……無い。

「やあ やあ やあ やあ!
 君、真珠を手に入れたのかい? よかったねェ。
           そんな君の『部屋』は『竜宮城』かな、ハハハ」

動揺は無いが、話しかける内容はどこか支離滅裂だ。

7貞菜 綾女『ルーン・レイク』:2015/01/01(木) 02:33:43
>>6


シ  ュ   ゥウウ ンッ!


 『暗い』コールタールのような『海』 なるほど、幻想的であり
未知の空間は無限の空想を醸し出す幻想の世界だ。

 話しかける君のさなか、そのサメが本当に陸でも平気で話し続ける
サメならまだファンタジーで魅力溢れたのだが。

 君の前で、意気揚々とホタテ? らしき貝を咥えるサメ。

 それは『女性』に変貌する。そのグロテスクな体躯は瞬く間に
ピンク色のティーンエイジャーとも言えぬ体つき、『入れ墨』入り
臍出しルックの耳に幾つもピアスを付けた女性はホクホク顔で立っていた。

 「ラッキィ★ ハッピーニュウイアーで真珠ゲットー☆
このサイズならめちゃくちゃでかい真珠入ってるよ〜。こりゃ
かなりの良いものになるねーへへへへ…ん?」

 そう、だらしない笑みでホタテ貝に接吻してる女は
話しかけてきた君に対し今更ながら気づいたとばかりに顔を向ける。

 「…うわっ! やばっ★ 今の全部見てた感じ?!」

 そう、片手で口を抑えて君『門倉』を見るだろう。

 「うわー…結構、今見た事内緒にしてくれると助かる感じなんだけど…あはは」

 冷や汗を垂らして、女『貞菜』は君にお願いする。

8門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/01/01(木) 02:47:22
>>7

    シ  ュ   ゥウウ ンッ!

陽気に語りかける『門倉』の眼前で、サメは『女性』へと変貌する。
門倉の常識を更に飛び越えた『変化』。これは―――ー

 「に………『人魚』か? 『人魚』なのかい?」

門倉は自分の知識の中で一番近いものの名を挙げる。
冷静に考えると結構違うのだが、『伝説』というのは往々として捻じ曲がるものだ。
こういった存在が『伝承』という伝言ゲームの中で、
形を変えて人魚として伝わっているのかもしれない。

 そう! 門倉は今まさに! 『伝説の人魚』に出会ったのだッ!


     ……… ………  ………  ………


                          「そんなわけは、ないか――――」

寒さで脳みそが凍り付いていたのだろう。
『門倉』は本来、こういう超常現象の『正体』をよく知っていた。
『人間の精神』から発露する『力』。それは―――

  「もちろん内緒にするよ、君の『スタンド能力』の事はね」

『門倉』は『貞菜』に語りかける。
その口調はすでに冷静そのもの。平常運転の気取った『門倉』だ。

9貞菜 綾女『ルーン・レイク』:2015/01/01(木) 02:55:20
>>8

>「に………『人魚』か? 『人魚』なのかい?」

!!!

 貞菜 綾女はその言葉に心がざわついた。

 貞菜にとって、『人魚』とは…子供の頃からの『憧憬』なのだ。

そして、その理想に適う『力(スタンド)』を手に入れた事は天啓そのものであり
そう他者から見られると言う事はまさに『理想』であって・・・

 > 「そんなわけは、ないか――――」

「いや!! そこは思ってよ!! 人魚だと素直に思ってよぉ!!」

 一瞬にして、冷静に否定してくれやがった男子に涙目で近寄り強く言い切る。

 乙女の純情傷つけるって最低だと思わん? え、思わない? あっ、そう・・・

 まぁ、そもそも『サメ』だもんなぁ…やっぱ早く入れ墨の兄さんに頼んで
人魚になれるようにして貰いたいなぁ…って

 「えっ、あんたもそうな訳? …はぁー、この町って何?
刺青兄さんのハーレム町なの?? みんな入れ墨彫ってるハッピーな場所?」

 スタンド使いに出逢うのは、これでナッちゃん合わせて二人目だが。
秋映って場所もスタンド使いらしきの結構居るし……ブームってレベルじゃない
騒ぎで一杯いすぎじゃね?

10門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/01/01(木) 03:04:16
>>9
「『刺青』、ああ、君もあそこで『彫って』もらったんだね。
 それで、『目覚めた』、と。まるで俺と一緒だ」

『門倉』はうんうんと頷く。ちなみに『門倉』は20歳前後の男。
栗色のソフトモヒカンでスカーフ、ワインレッドのジャケットを羽織っている。

「じゃあ俺たちには深い『共通点』があるというわけだ。
 それはとても『ハッピー』な事だね。
 俺の名前は『門倉 良次(かどくら りょうじ)』、よろしく」

『門倉』は友好的に右手を差し出す。握手を求めているようだ。

「ところで、君は『人魚』って呼ばれたいの?
     そんなような事を言ってたけど……」

11貞菜 綾女『ルーン・レイク』:2015/01/01(木) 21:50:44
>>10

 「ご丁寧にどーもん。私は貞菜 綾女(さだな あやめ)
気軽にあーやんとかさーたんとか呼んでもいいよん? ふふふ」

 と、冗談っぽい笑みを浮かばせながら握手に応じる。ブンブンと擬音
をつけそうな勢いで門倉の手を上下に動かしての激しいハンドシェイクだ。

 >「ところで、君は『人魚』って呼ばれたいの?
     そんなような事を言ってたけど……」

 「え、そー言う事を初対面で聞いちゃう〜? 聞いちゃうタイプ??
結構積極的ね、門倉君ってば」

 そう、微妙にオーバーリアクションを披露しつつも・・・。

 「――『憧れ』  だからかな」

 そう、少し表情を改めて厳かな雰囲気を覗かせて呟く。

 「…長々話すと面倒だから簡潔に言えば人魚って、綺麗じゃん? 
私はまぁ…あんま清潔な人生ってのに縁がないのよね。
 だから『人魚』になりたいってわけ。
 刺青の兄さんが言うには、お金さえあれば成れるって言うらしいからねー」

 だから、絶賛金儲けの思案中なのだ。と付け加えてニヒッと
ピンクのパンクな女は告げた。

12門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/01/01(木) 22:08:50
>>11
素直に握手に応じる『貞菜』に笑顔を向ける『門倉』。
どうやらこの『貞菜』という女性、かなりフレンドリーな性格なようだ。

 「『憧れ』。―――いいね、そういうの」

正直、『人魚』がそこまで綺麗かは分からないが、『理想』があるのは素晴らしい事だ。
そしてその『変身願望』。彼女のパンキッシュな格好はその理想の代替なのだろう。
格好に似合わずロマンチスト。『部屋』は意外とメルヘン系かもしれない。

「『魚になれる』っていうのが君の能力なのかな?
 その能力を突き詰めていけばいずれ『人魚』になれる、というわけか」

あの『刺青屋』では確か『発掘』などという
『才能』の限界を伸ばすようなサービスもやっているときいた。
その為の資金が必要という事なのだろう。

「『お金』ね。少しぐらい工面してあげたいけど、
 きっとそういうイージーな『お金』じゃあ駄目なんだろうな。

 まあ、とりあえずココで会ったのも何かの縁。
  そろそろ『日の出』だから、一緒に見ていこうよ」

13貞菜 綾女『ルーン・レイク』:2015/01/01(木) 22:32:46
>>12

 「あぁ、絶対に人魚になって見せる」

 「『お金』は、そんないい〜よ、初対面の男に貢がれても
私ってばちょっとしか相手出来ないよ〜ん? なーんて」

 笑いつつ、門倉の隣に立ちつつ海辺を見る。

 「そうだね、そろそろ『日の出』だ
黄金町の『今年』が、始まるね★」

 幾多もの人間 スタンド それに付属する色々因果

 全部のその流れを泳ぎ切る事が出来た時。私はなれると思う

 「良い一年になると良いね ニヒヒ☆」

14門倉『ソウル・ダンジョン』:2015/01/01(木) 22:43:43
>>13

 「そうだね、良い一年に」

そして、『門倉』は『貞菜』と共に、
黄金町の輝かしい『日の出』を観覧する。


 パァ ァ ァ ァ ァ ア ―z______

,,,   ゙゙;;;;;           ,;;;;;゙゙     ,,.;;;;゙゙
;;;;;;    ゙゙゙、-'''"´ ̄ ̄`"''''-、゙゙゙    ,,.;;;;;;゙゙゙   ,;;;゙゙
 ゙゙゙゙;;;;;,, /           \ ,,;;;;;゙゙゙゙    ,;;;;;゙゙
;;;;;,, ゙゙゙/   ○     ○     ヾ゙゙    ,,;;;;;;゙゙゙
゙゙゙;;;;;;;;,,i     \__/      i,,,,,;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙
   ゙゙゙|      \/       |゙゙゙゙゙
从从 ̄ ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄丶 ̄~\ ̄从从从从从从从
 /  //    / |  i, 丶  \  \
   / /   /__|  i,  丶 \
 /    _/    ∧_∧   丶  \


まばゆい陽光の元、『貞菜』は決意を固め、『門倉』の一年も今、始動する。

   ………
         ………
               ………
                     ………

ところで……この場所についてずっと気になっていた事がある。
他の場所と違い、この場所はどうも、『カッコがついていない』ような気がするのだ。
これ以上はもっと上の次元の話で、『門倉』には認識出来ない話ではあるが……。

これが元で今日の活動が『初夢』にならない事を祈りながら、『門倉』はその場を後にした。

15錏葉九郎『ザ・シグマ』:2015/01/08(木) 23:22:17
  プゥ〜

煙がたなびく。

プハー

焚き火の横でタバコを吹かす筋肉が、砂浜で静かに海を眺めている。夜に。

16錏葉九郎『ザ・シグマ』:2015/01/12(月) 23:39:54
誰もいなくなった。

17薬師丸 幸『レディ・リン』:2015/01/13(火) 01:09:11

海に何か思い入れがあるでもない。

夏は、稼がせてもらった。
依頼、売り子、肝試し。

(うん、悪くなかった。今年もまたやろう。)

砂浜を歩く。
特に目的はない。

(……冬の海は寒いなあ。)

単なる散歩だ。その白い髪と赤い目は、否応なしに目立つが。

18薬師丸 幸『レディ・リン』:2015/01/14(水) 00:17:49
>>17
しばらく歩いて、帰った。

19鶴山マズル『マイクロブラインド・ハーヴェストメン』:2015/01/25(日) 00:29:57
特にすべきことは見当たらない。
何となく冬の海を見に来ることだってあるだろう。

  「………」

無愛想な長身の男がパイプを片手に海を眺めている。
ロングのトレンチコートにシルクハットの黒ずくめ。
一昔前の漫画に出てくる悪役みたいだ。

20稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/01/25(日) 02:08:45
>>19

「……」
「……寒ぅ……」

仕事帰りのご当地アイドルである。

海に来たいこともある。
理由はいろいろあるが……

「……ん……」

(なんだあれ……厨二っぽ……シルクハットておま……)

興味のある物を見つけた。
少し遠巻きに目線を向ける。

21鶴山マズル『マイクロブラインド・ハーヴェストメン』:2015/01/25(日) 02:27:33
>>20
冬にしては珍しいほど海は静かだ。
それでもやはり風は冷たく、辺りに人気(ひとけ)は無い。

 「…………」  チラ

男は恋姫を一瞥するが、特に興味は示さない。
会釈もせずにパイプをふかし続ける。

22稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/01/25(日) 08:51:27
>>21

恋姫は青い眼鏡を掛けており、その下の瞳は桜色。
そして肌は、病的に白い。

「……」

(黒づくめの男……えひ。……つーかほんと黒! だな……まじ厨二っぽい……)
(……ブーメランだ。えひ。)

それ以外のところ……つまり長い髪とか、コートとかは全部黒だ。

つまり、人の事は言えない。

「…………」
(……スルーかよ……えひ。)

会釈の無いのには……べつに怒りとかはない。
      
(……どうするかな……まじでちょうやばい奴かもだしな……)

だが、迂闊に近づける空気でも、なさそうだ。
やや遠巻きに観察しつつ、出方を伺う……

23鶴山マズル『マイクロブラインド・ハーヴェストメン』:2015/01/25(日) 17:59:18
>>22
言葉はない。
目つきは決して良くないが、睨んでいるフウでもない。
ただ目の端に捉えているだけ、という感じだ。

  「フン………」

男がつまらなそうに息を漏らすと、
パイプから立ちのぼる紫煙が恋姫の顔へと降りかかってきた。

24稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/01/25(日) 19:08:20
>>23

「…………」

         「!?……げほっ……うわ、うわっ……!」

      イラッ…


「…………」

          ザッザ

顔の前で手を動かしつつ、少し離れる。

「『わざと』……か? おまえ……信じらんねえ……」

            イライライライライライライライライライラ

「……こんなんだから嫌煙厨が増えるんだろうな……イライラする……」

怒気を込めた顔と、声だ。

25鶴山マズル『マイクロブラインド・ハーヴェストメン』:2015/01/26(月) 12:59:19
>>24

 「……」 「…………」

 「失礼………」

別に『わざと』ではないんだけど、
弁解するために口を開くのは面倒だな、という感じ。
妙な間を挟み、ぶっきらぼうに一言詫びた後、
流れる煙の動線を外すように後退する……

                    ススス

それは奇妙な事に『スライド式』だった。
直立不動のまま、足を一切動かさない、
あたかも空港の『オートウォーク』のような移動。(スC)
それにつられるように、煙がチャンバーから逃げ出す光景。

26稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/01/26(月) 23:33:12
>>25

「……えひ。」
「分かりゃいいんだ分かりゃ……」

「……」

                    ススス

「……は?」

(あ、明らかにおかしいだろ物理的に考えて……!)

思わず二度見……いや、三度見してしまう恋姫。

顔と足元で視線が行き来する。

「……」

      「何だそれ……?」

思わず疑問がそのまま口から出る。

(何のつもりだよ……ふざけた絵面しやがって……ネタかまじか……)

27鶴山マズル『マイクロブラインド・ハーヴェストメン』:2015/01/26(月) 23:47:48
>>26

 「…………」

 「……何だろうな」  プカー

恋姫の疑問に応えたようでいて、かといって独り言のように。
虚ろげな三白眼は声の主を捉えるのやめ、飽きずに煙を眺め続けている。
と、先程の妙な『スライド』でクルリと恋姫の方に向き直り――

 「………『ここ』…禁煙だったのか?」

 「…灰皿は置いてあるんだがな……」
                           スススス

物理的におかしなモーションのまま近づいていく。
恐らくは恋姫の後方にある『灰皿』を目指しているのだろう。

28稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/01/27(火) 00:06:44
>>27

「……足にホバーでも仕込んでんのかな……? それか東洋の神秘とかそういう……?」

「……」

         イラッ…

少しだけ振り向き、灰皿を確認。
すぐに振り向く。

「……別にぃ……吸うのはおまえの勝手だしぃ……」

「…………僕がイライラしてるのは……『僕の顔に煙がかかった』からだ……」

(……まあ近づいたの僕だし、あんま言うとDQNっぽいな……)

「……でも……」

「……賠償しろとか土下座しろとか言ってるんじゃなくて、僕がイライラしてるだけだから……」

……『足元』に視線を向ける。

ある『可能性』が、恋姫の中に浮かびつつある。

29鶴山マズル『マイクロブラインド・ハーヴェストメン』:2015/01/27(火) 00:20:19
>>28
 「フム……失礼したな」
              ど っ ち も
 「頼まれたトコロで『賠償も土下座も』しないが……」

新手のホバーかも知れないと踏んだが、
ホバーが砂浜でスムーズに動くのはどことなく違和感がないでもない。

 「イライラしてる時は……人に近づかないコトだな」
 「…特に……僕みたいな無愛想なヤツには…な」

パイプの中身を灰皿に捨てながらボソボソと喋る。

30稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/01/27(火) 00:36:15
>>29

「……」            
「……おう……」

(……今回は僕から吹っかけたようなもんだしな……)

これは相手の言い分が正しい、と思う恋姫であった。

謝罪もされたのだし。

「……でさ……」

再び足元に視線。

「…………仕組みは……? どっかのエージェントで、秘密の技術があるとか……?」

顔に視線を戻す。

31鶴山マズル『マイクロブラインド・ハーヴェストメン』:2015/01/27(火) 00:48:51
>>30

 「……仕組み………『コレ』か…?」
                          ススス

スライドしながら、困ったような顔(といっても殆ど変わらない)を見せる。
名も知らぬ手合いに『スタンド使い』であることを易々と告白するものではない。
別にこれといった害もないし、人と比べて警戒心が強いというわけでもないが――

 「仕組み……仕組みか………」

  「…………」

 「気合……だな…」  ドーン

少しからかうことにしたのであった。
そ知らぬ顔でウソを吐きながら、自販機の前に移動する。

32稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/01/27(火) 00:58:15
>>31

   ススス

「……」
「は?」

流石に信じていない顔だ。

(……スタンド能力かと、思ったけど……『ビジョン』が見当たらないしな……無いスタンドか……)


(それか……)
(……まじで気合い……? いやいやありえん……常識的に……)

(……スタンドって常識的か?)

「……」

「…………気合いって……どんな気合いなんだよ。どっかの仙人様に習ったとか……?」

不信半分、疑い半分といったところだろうか。そんな声色だ。

「紹介して欲しいもんだわな……えひひ。」

33鶴山マズル『マイクロブラインド・ハーヴェストメン』:2015/01/27(火) 01:14:53
>>32
                 ガチャコン

 「まァ……『こういうコト』なんだがな」

自販機から缶コーヒーを取り出しながら、
左腕を捲くって日に灼けていない生白い肌に彫られた『刺青』を見せる。
湿地の石をひっくり返した時のように『無数の昆虫』が這っている、そういう図柄だ。
その刺青に重なるように、半透明のナナフシめいた『スタンドの腕』が重なり合っているのが見えるだろう。

 「君が既に聞いた事があるかどうかは
  知らないし…全然興味もないが……」

 「弁天橋の下に…仙人みたいな刺青師がいて……
  その人の『作品』だよ………それだけだ……」

34稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/01/27(火) 02:13:44
>>33

「うわっ……」

虫は……特別苦手ではないが、好きではない。

(……きも……厨ニ病……グロ好きみたいな……? もしくは虫キングとかか……?)

正直不気味だ。恋姫は眉を顰める。
そして腕……

「……気合い……まあそれも気合いみたいなもんか……えひ。」

「精神の力……だから。」

スタンドの、腕。

「……」

「……そういうのもあんのか。えひ……痛そう……」

流れを読むなら――『刺青でスタンドを発現』した、だろうか。

そして、この『移動』はそのスタンドのたまものということ。
タネは分からないし、教えてくれるはずもなかろう――と恋姫は思う。

「……まあ……詮索は、あんましない……うん。けど……」

              『オォォォォ……』

恋姫の背後に現れる――『ペスト医師』の如き黒衣のビジョン。

「……まあ、おあいこってことでひとつ……」
「僕の仙人様は……洒落た感じだった。えひひ……えひ。」

……笑み。
ビジョンは、すぐに消えた。

35鶴山マズル『マイクロブラインド・ハーヴェストメン』:2015/01/27(火) 22:12:02
>>34

 「フン……『やはり』というカンジだが…」

 「…そのスタンドを…精神の象徴と呼ぶには…
  なかなかオゾマシイ……見た目だな…」

                ズ  ズ ズ ・ ・ ..‥

男の、顎の下辺りから引き剥がされるように発現するその全貌。
上半身は衰えた老人のような痩身、下半身は蜘蛛のような八本足。
異形めいたヴィジョンのせいか、本体である男の身体と癒着しているかのようにも見える。

 「…まァ……人のコトは言えないが…」

『ブルー・サンシャイン』の、毒気のあるヴィジョンに含み笑いながら付け足した。

36稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/01/27(火) 22:33:55
>>35

「えひ……変な奴は大体……『そうだ』ってな……」

「僕の経験上だけどな……」

そして、発現される『半人半虫』めいたスタンド――

                ズ  ズ ズ ・ ・ ..‥


「うわっ……」
「……虫仙人か……」

(……終盤ダンジョンのクソうざい敵って感じ……)

愉快な見た目ではない。少なくとも恋姫のセンスでは。

「……」
「……ホバーか、気功術のがロマンあったなぁ……えひ。」

恋姫はビジョンから視線を外す。
興味の対象から外れたのだ。

37鶴山マズル『マイクロブラインド・ハーヴェストメン』:2015/01/27(火) 23:47:03
>>36

 「虫仙人……悪くない響きだな…」

ヴィジョンは解除。小さく頷きつつ缶コーヒーをすする。
呼称は思いがけず気に入ったようだ。

 「………『飼い主に似る』というヤツか」

 「『ロマン』は人それぞれだからな……
  僕からして見れば…ひねくれてるのはお互い様という気もするが……」

先程見たヴィジョンと、少女の雰囲気を重ね合わせる。
カラスが嫌いとかではないし、どちらかといえば動物の中では好きな方だが、
そういう『スタンド』使いというのは大概ひねくれているものだったりする。

38稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/01/28(水) 00:01:58
>>37

(……虫好き……しかも刺青にするレベルの……なら、スタンドも虫になるし虫仙人も褒め言葉……)

自分のスタンドを思い浮かべる。

(……カラスマン? 嫌だな……)

「……」

「…………まあ、お互い……普通じゃあないんだろうな。えひ。」

スタンド使いは『おかしい』。


「普通じゃないからこんなもん持ってるんだろうし……」

それが正であれ負であれ、おかしい奴しかいない。
……恋姫は、そう考えている。

「……」

「……そういえば、さっき何してたんだ……? 物思い……?」

39鶴山マズル『マイクロブラインド・ハーヴェストメン』:2015/01/28(水) 00:18:15
>>38

 「お互い……似てないコトもない…か」

異形という意味で少なからず親近感を覚えないでもない。

 「さっき……?」
 「…別に…何もしてないが……
  そうだな……物思いかもしれない……」

実際何もしていない。
砂浜でタバコ吸ってただけである。

 「たまには遠くに行ってみたいというかな……
  ……こう見えて…海洋ロマンとか冒険譚みたいな物語は好きでね……」

 「君……旅とかは好きか…?
  ……いや…そんなコトはないか……」

少女はどう見てもインドア派だった。
なお、盛大なブーメランでもある。

40稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/01/28(水) 00:28:41
>>39

「……かもな、『かも』……」

さほど親近感はない。
だが、『同族』――という意識はほんの少し生まれる。

(こいつは……マイナス側……僕も同じ……あのクソ警官とか、オタサーの姫とか……クソ店員とかもこっち……)

(……レオとかは違う……あいつらは、プラス側……)

嬉しいとかそういうのはない。
カラスも蜘蛛も、暗闇の生き物。それだけだ。

「……遠くか……」
「まあお察しの通り、あんま考えた事ないな……うちでゲームしてんのが楽しいし……」

(……全国ツアーとか……無い無い……身の丈に合わない。)

見た目通りの回答だ。

「……そのナリで? えひ。」

そして、そちらの……見た目通りでない嗜好に、やや笑う。

「……えひ……南米で、虫とりに行くとか……?」

41鶴山マズル『マイクロブラインド・ハーヴェストメン』:2015/01/28(水) 00:48:38
>>40
                      そ れ
 「鋭いな……手っ取り早いのは『昆虫採集』だよ……
  だが……『虫取り』は仕事でもあるからな……」

 「ちなみに害虫専門だ……
  シロアリからスズメバチまで……」

おもむろに名刺を取り出す。
書いてあるのは『害虫研究家』というひどく曖昧な肩書き。

 「冬場は儲からないから……
  ……駆除の依頼でもあったら電話してくれ…」

缶コーヒーを飲み終え、くずかごに放り投げる。

 「ごく単純に…普段は篭りっきりだから……
  ……遠出したいってだけの話だよ…」

 「……初対面の人間に言うようなコトじゃあないが…」

自嘲気味に笑う。

42稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/01/28(水) 01:09:03
>>41

「まじかよ……虫のプロか……えひ、いいな……趣味が仕事って憧れるよ……」

名刺を受け取る。

「まあ……贔屓にするわ……」

「シロアリとかは、ないと思うけどな……多分な……」

そして、しまい込んだ。
恋姫は名刺など持ち歩いていない。

「……僕、恋姫……稗田 恋姫(ひえだ れんひめ)……」
「まあ、名前くらいは名刺のお返しったことでひとつ……」

小さく頷く。

「……で、僕もまあ、国内なら……トカイの方のデカいゲーセンとかいきたいな……」

「……普段篭ってるから……」

あくまでインドア派の笑みだ。
自嘲の意図は、鶴山よりは薄い。

「……でもって……」
「…………そろそろ、帰ろうと思うんだけど……」

別に報告することでもないのだが、なんとなく……だ。

43鶴山マズル『マイクロブラインド・ハーヴェストメン』:2015/01/28(水) 01:38:51
>>42

 「害虫対策は早めにしておくものだ……
  名前は……電話が来たときのために覚えておく…」

終始ローテンションで無表情で無愛想ではあるが、
割と本当に儲かっていないらしく、荒ぶる営業のポーズ。

 「まァ……ゲームとかは詳しくないが……
  …普段行かないトコロに足を伸ばしてみるだけでも……な」

 「おっと……僕もそろそろ失礼する……」

引き止める理由もないし、自分も帰ろうと思っていたところだ。
喫煙具を懐にしまい入れる。

 「じゃあ…また…」
                スススス

 「それと……冬はキャンペーン価格だ……」

                    ススス――――ッ
営業もしつこかった。
ともあれスライド移動しながら帰宅するのである。帰る足は早い。(スB)

44稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/01/28(水) 02:20:24
>>43

「えひ……まあ、考えとく……」

(ちょっ……なんだそのポーズ……笑える……やめろや真顔で……)

「えひひ……」
「……まあ、あんまり時間とかもないし……な。いろいろな……」

何かしら思うところはあるのか、数度ほど頷く。
そして。
                スススス

「……お、おう……」

ススス――――ッ

「…………ま、またな……えひ。」
「……」

(……なんだあの速さ……)

やや呆然とするところもあるが、とりあえず帰った。

45日向ナツ『ニンジャマン』:2015/01/30(金) 00:02:11

 「………」

防波堤の突端に立ち、
小型の双眼鏡で沖を見つめている幼女。

吹きすさぶ海風にも微動だにしない『爆発ツインテ』。

46ようこそ、名無しの世界へ…:2015/01/30(金) 00:06:37
>>45


…   !☆

  ソロ〜リ    ソロ〜リ


       パッ!

突如 日向 ナツの小型の双眼鏡を遮る影が出現する! 
   ナツの視界は真っ暗に なった!

 「二ヒヒ☆   さてさ〜て★  私が誰かわかるかニャー☆?」

  そんな声が頭上が降ってくる。どう考えても隠す気がない

47日向ナツ『ニンジャマン』:2015/01/30(金) 00:14:47
>>46

 「……」

  ギュインッ

双眼鏡の位置はそのままに、
ツインテの先で背後の相手を撫ぜるように、首を大きくそらせて声の主を見上げる。

 「『しのび』の、うしろにたつのは、きけんだよ〜」

  「『せんせー』」

48貞菜 綾女『ルーン・レイク』:2015/01/30(金) 00:23:12
>>47

 覆いかぶさるようにして日向の視界を覆っていた綾女。
「くすぐったいw くすぐぐったいww  めんごめんごw」
 そう、首部分をナツの柔らかい毛筋で撫でられ破顔して真剣でない毛色で
軽い謝罪を告げる。
 「うむ、くノ一ナツよ。わが気配を悟るとは天晴でおじゃる!」
 日向が本物の忍者たる事を受け止めてないのか、はたまた理解した上で
軽い態度を崩さず対等に付き合おうとする姿勢を突き抜けてるのか定かでないものの。
ふざけた態度を崩さずナツの頭に手を当てて撫でる。
 (ナッちゃんの髪は柔らかくて梳きがいがあるわー」

 そう、心中の声ただ漏れでナツに笑みを向けて尋ねる。

 「そんでー。ナっちゃんはこんな一人砂浜でロンリー気分で何を見てたのー?」

まぁ、半分ぐらいは予想出来てるけどねん☆ と考えつつ。ナツの行動を
教師として母性を交えて見守りたいと思い聞くのだ。

49日向ナツ『ニンジャマン』:2015/01/30(金) 00:34:34
>>48
「にひぃ」

頭をなでられ、こちらもくすぐったそうに首をすくめる。
『ノッてくれる大人』は、子供にとって大切にしたい、しなければいけない人だ。
この『先生』には、信頼がある―――とくに『ノッてくれる』ことに関しては。

  「『あれ』っ!」

沖を指差しながら、双眼鏡を綾女の顔の高さに差し出す。

50貞菜 綾女『ルーン・レイク』:2015/01/30(金) 00:40:06
>>49

沖を指差しながら、双眼鏡が差し出される。
 無論! 覗き込むさー☆  『生徒』の献身に 『先生』が応えなくてどうすんのよ? 


 「よーし、どれどれ〜?   …ぅうんっΣ!☆?」

 …可笑しいな?  何だか沖に見えるのって海賊船だが幽霊船だか。


 …んぅ?

 「あれって…本物のバイキング…?」


 ・・・す   げぇ〜〜〜〜Σ!!!?   幽霊船って実在したんだ!!??


 「うわっ!!? ナっちゃんマジぃ!? あれ船じゃん! めっちゃ船じゃない!?」

 もし私の見間違いでなければ『幽霊船』が見える。どう考えても幽霊船だ。
 ・・・そうと く れ ば ぁ☆

 「―行くかいっ!☆?」

 バサァ!!

 『投網』を颯爽と発現して、親指を立ててナツに告げる。
カジキマグロか、まぁサメにでも自分が変身すればあそこまですとっ飛びだぜぃ!!

51日向ナツ『ニンジャマン』:2015/01/30(金) 00:54:05
>>50

言葉数が少ないのは、心臓が高鳴っているから。
『船』――しかも『海賊船を思わせる中世風の。
何故かははっきりしない…でも、どうしようもなく『ワクワク』が押し寄せて止まらない。

 「……うんっ!」
              ビシッ

大きく頷き、綾女に応えるようにサムズアップ。
言葉にする前に、自分の『ワクワク』をしっかり受け止めてくれた『先生』に、精一杯の感謝をこめて。

      「いやっほぉぉぉう!!!」

綾女が準備を整えたら、『網』につかまり、一緒に『幽霊船』へと向かいたい。

52貞菜 綾女『ルーン・レイク』:2015/01/30(金) 01:07:51
>>51


―しっかり掴まってるんだよ―――!!

 サーファーのように。網を引っ張る大型の魚、そして凄く楽しそうな
笑顔と共に海平原を走る少女。

 あの『幽霊船』には何が待ち受けてるのだろう?

 胸を弾ませるような大冒険か? それともおどろおどろしい恐怖の空間なのか?

 いや、それ等を全て含めた『何か』かもしれない・・・それでも

 (  ―心配ないさ☆!

   私と私の生徒『ナっちゃん』が一緒ならね!)


 魚と少女は海を駆ける。   
                       ―To be continued…

⇒砂浜より   フェニックスへ↓
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1422111762/

53東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/02/16(月) 22:29:59
夕暮れの浜辺。くせ毛をバンダナで縛った少年が、海を見ている。

「・・・・・」

やがて小さく息を吐くと、おもむろに学生服を脱ぎ始めた。ちなみに季節は当然冬である。

54馬肥 隼『ベジタリアン・ミート』:2015/02/16(月) 23:31:48
>>53
「ん、う?」「寒中、水泳?」

おもむろに学生服を脱ぎだす現場を偶然目撃し、ふらふらと近寄って来た。
が、声をかけるでもなくその行動をぼーっと見ている。

55東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/02/16(月) 23:38:42
>>54

「・・・・・」

『コクリ』

寄ってきた少年の方を見て、頷く。どうやら呟きが聞こえたようだ。
学ランもワイシャツもカバンの上に放り、前もって用意していたらしく水着一丁になると、ゆっくりと準備運動をする。
まずはこの状態で寒さに慣れるつもりのようだ。

ふと、気付いたかのように馬肥の方を向いた。

「・・・やるか?」

56馬肥 隼『ベジタリアン・ミート』:2015/02/16(月) 23:47:08
>>55
「えっ」「……」

咄嗟にフルフルと首を振り、否定の意を示す。

「海水は、その、沁みちゃう、から。
よく、寒中、水泳、なんて、出来る、ね?」

不思議がるような、憧れのような、微妙な視線を向ける。

57東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/02/16(月) 23:56:59
>>56

「そうか」
「・・・・・沁みる?傷でもあるのか?」

馬肥に訊ねつつも、ジャブジャブと海水へと足先を浸していく。
あっという間に少年の腰から下が、海面の下に沈んだ。
深く、絞り出すように息を吐く。当然ながら、寒いようだ。

「確かに寒い・・だが心身ともに鍛えられる」「それに・・・いざ海に落ちた時に寒さで動けなくなっては・・・・・死ぬ他ないからな」

潮水を手にすくい、体にかける。そして、とうとう、首から下を海水に晒した。

「・・・ふうぅ〜〜〜」

58馬肥 隼『ベジタリアン・ミート』:2015/02/17(火) 00:11:42
>>57
「傷、というか、そういう、体質、なんです」

海に入っていく姿を見て、入ってもいないのに体を震わせている。
そして恐る恐るといった様子で海に近づき、波打ち際で海水に触れ、冷たさに手を引っ込める。

「冷たっ!」「あ、えと、海に落ちたら、って、船にでも、乗る、予定が?」

59東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/02/17(火) 00:26:59
>>58

「・・・・・体質?」
「では・・・泳げないのか。事情は分からんが・・・生まれつきならば可哀想だな」

予想外の発言に目を向け、そして海水を冷たいと言う馬肥に頷く。

「恐らく10℃前後といったところだ」
「ああ・・・時々、父親の手伝いでな。『漁師』なんだ」

そうして平泳ぎで、ゆるやかに回遊を始める。
やはり静止しているよりは寒さが薄らぐのか、少しだけ楽しそうだ。

60馬肥 隼『ベジタリアン・ミート』:2015/02/17(火) 00:44:55
>>59
「いえ、皮膚が、弱くて、塩水が、沁みる、だけで、泳ぐこと、自体は、嫌いでは、無いです」
「成長、したら、多分、大丈夫に、なると、思いますし」

波打ち際からは少し離れて泳ぎを眺めている。

「ああ、漁師。それなら、大事、ですね。僕の家、みたいに、農家では、縁のない、話、です」

61東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/02/17(火) 01:02:24
>>60

「なるほど・・・塩素は平気なのか。それならプールには入れるな」
「早く良くなることを祈ろう」

泳ぎながら、会話を続ける。その動きは手慣れたものらしい。
泳法をクロールに変え速度を増し、円を描くように水を裂く。

やがて一通り泳いで満足したらしく、波打ち際に近寄り浅瀬を踏みしめ、上がってきた。
やはりそうなるとまた寒さを感じるらしく、早々にカバンからタオルを取り出し、体を拭く。

「・・・なんだ、おまえも同じか」「オカとはいえ、第一次産業を支えとることには変わりねぇ」

農家の息子と言う馬肥に微妙なシンパシーを感じているらしく、初めて海の少年は笑顔を見せる。

「そういや名前、訊いとらんかったな」
「オレは東雲 忍(しののめ しのぶ)。高校一年生だ」

62馬肥 隼『ベジタリアン・ミート』:2015/02/17(火) 01:47:28
>>61
「ええ、良くなって、欲しい、です」

漁師の息子らしい手慣れた泳ぎを座り込んで眺めていたが、
上がってきたのに合わせて砂を払いながら立ち上がった。

「そういえば、そう、ですね」
「あ、僕は馬肥 隼(うまこやし はやぶさ)、です。高校三年、ですね」

つられたように顔に笑みを浮かべながら返答する。

63東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/02/17(火) 22:34:36
>>62

なんとなく馬肥の柔らかい雰囲気と敬語に、近い年齢を考えていたのか、
高校三年生と名乗られ、東雲は頭をガシガシと掻いた。

「あー・・・ほんなら先輩じゃったか」
「一年坊が生意気な口効いて、すまんかったの・・・です」

再び学生服を着込み、佇まいを直す。そして改めて、しっかりと馬肥に向けて頭を下げた。

64馬肥 隼『ベジタリアン・ミート』:2015/02/17(火) 23:55:52
>>63
「ん、気に、してない、よ。背も、あんまり、高く、ないし」
「というか、その、えと」

頭を下げられたことにどう対応したらいいか分からず困惑している。
どうやらこういったノリにはあまりついていけないようだ。

「あの、頭を、あげて、欲しい、です」

65東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/02/18(水) 00:11:59
>>64

「っす」「・・・・・馬肥先輩の寛大な心遣いに、感謝します」

どことなく体育会系なノリに押される馬肥に、構わず東雲はもう一度頭を軽く下げた。

「自分、この町に引っ越してきてから日が浅いもので・・・」
「少し気を抜くと、口調が汚くなってしまうんです」「次から気をつけます」

66馬肥 隼『ベジタリアン・ミート』:2015/02/18(水) 00:27:03
>>65
「そう、なの?ここは、いい町……、うん、いい町、だよ」
「なんだか、最近、色々、不穏な、感じ、だけど、ね」

何か思い返すようにしてから、軽く目を逸らし、少し濁すように言葉を漏らす。

「普通に、話してくれて、いいん、だけど」
「そうしたい、なら、無理にとは、言わない、けどさ」

67東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/02/18(水) 00:46:31
>>66

「・・・いい街・・・ですか」「まあ・・・住めば都ですかね」

馬肥の言葉に、眼を逸らしながら歯切れ悪く頷く。
東雲は、まだあまりこの街に馴染めていないのかもしれない。

「・・・・・・・・『不穏』な感じっすか?」「族やヤンキーが、イキがってるとか」
「まぁそれくらいなら大した問題じゃあねえっすが・・・」

背の低い馬肥とは対照的に、東雲の体は大きい。その物言いも、あながち虚勢だけではなさそうだ。

「いや、親父からも目上のモンには礼儀を払えとキツく教えられてるんで」
「馬肥先輩には悪いっすが、そこはキッチリとケジメをつけさせて頂きます」

相手を案じる陸の少年の言葉にも、頑なに海の少年は首を振った。そして手首の時計を見て、カバンを背負う。

「そんじゃあ、オレはこれにて失礼します」「『網』仕掛ける親父の手伝いっす」

68馬肥 隼『ベジタリアン・ミート』:2015/02/18(水) 01:09:53
>>67
「銃の、乱射が、あったとか、どこかの、屋敷が、爆破された、らしい、とか……」

どんどん語尾が弱弱しく小さくなっていく。
さっき自分で言った「いい町」という言葉に自信がなくなっているのだろうか。

「あ、えと、まぁ、それなら、しょうがない、かな。礼儀も、大切、だし」

そしてこれ幸いと露骨に話題を変えていく。

「『定置網漁』、ってやつ、かな?頑張って、ね」

鞄を背負う少年を見ると、その場で軽く手を振って見送る。

69東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/02/18(水) 01:19:08
>>68

「・・・・・とんでもなく頭オカしい連中がいるんですね、ここには」

馬肥の言葉に、あからさまに不快そうな表情をする。
もちろんその対象は馬肥ではなく、そのテロまがいの行動をした人間たちに対してだろう。

「まぁ・・・だいたい同じっすね。『刺網』っつって、魚が網に頭を突っ込ませるようにするんです」
「よかったら今度、休みの日の昼前に『湖畔』に来てください。採れたての魚、ご馳走するんで」

「ウス。先輩も、実家のお仕事、頑張ってください」

最後にもう一度、頭をさげ、東雲は砂浜を後にした。

70ココロ『RLP』:2015/02/23(月) 23:56:23

    「…………」

二月下旬。気温は低い。
今日の天気は、晴れ。

……砂浜に立って、海を眺めている少女が一人。

(私、何してるのかしら……)

ハーフアップにした髪と、緑の瞳。
容姿は端麗。スタイルも良い。背は高い。胸もある方だ。
容姿だけなら、十分『勝ち組』と言えるだろう。

……が、何がそんなに気に入らないのか、その表情はネガティブそのものだった。

「……ッ……」

身震いしたのは、寒さのせいだけではない。
おもむろにポケットを探り、音楽プレーヤーを取り出す……

      『カツン』

「あっ……」

……落ちた。

   『カツ』『コロ…』

   『ポチャン』

海に。

「……うッ……ううう……」

71高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/02/26(木) 01:24:33
>>70


  『  ポ   チ ャ    ン   ・ ・ ・  ・  ・    』


 無常にも海に落ちていく音楽プレーヤー。
 だが着水の瞬間、水のはねる音が不自然に『間延び』する。



     「せ… セーフ……?」


 間に合ったかどうか、という旨の問いだ。

   もしも自分の能力――『静止』が、音楽プレーヤーが海に沈む前に発動できていたのなら
   ココロの足元では、まるで器機が水面に触れる寸前の瞬間を切り取った静止画のように、
   プレーヤーも、水面の細波も、ぴたりと空間に固定され、止まっている。

 だが、間に合っていないかもしれない。何しろ咄嗟のことだった。
 既に海に落ちた後だった場合、いかに『静止』しても、器機の故障は免れない。

 高天原は、ココロの背後から声をかけたため、足元の様子を見られないのだ。


    「あのー… え、えっと、覚えてる? ほら前にZUTAYAで……
     …ってか今はそれどーでもいーッスね…。な、なんかあったんスか…?」


 青みがかった癖毛の、ココロよりも少しだけ背の低い、撫で肩の男。
 気を使うような声音で様子を伺う。

 (背後から見た図では、まるでココロが音楽プレーヤーを海に捨てたかのように見えたためだ。)


    「もったいないッスよ、高そうなやつなのに……」

 ココロの隣に立ち、もし間に合ったのなら、『ウィーピング・ウィロウ』で手を伸ばしてプレーヤーを拾う。

72ココロ『RLP』:2015/02/26(木) 01:51:21
>>71

「…………えっ……!?」

「え」   「な、なん……」

「……!? …………!!?」
(と、とまっ、なんで? 誰?)

あの時のココロも、たいがい挙動不審だったが……

「……ひっ……ひぃ、や、やっ……やだ、やだ……」

今日は、そんなココロにしても『異常』だった。
怯え切った表情で振り向く。


「…………あ、あな、た……は。」


高天原の顔を見て、ようやく、ほんの少し落ち着いたようだった。

信頼までは出来ない。
が……『敵』では、ない。

(……本当、に?)

(だったらなんで……それに、止まったのは、この人の……す、スタンド、能力……)

(わ……)

「あ、あ……」


(私を…………『殺しに来たんじゃあないの』……?)


「あ……や、や……っ……」

      ペタ…

プレーヤーを拾うために伸ばした腕に、尻餅をつく。

「ひぃ、ひぃ……」

……ともかく、拾うこと自体は、間に合った。
が、ココロはそれを見ていない。

おそらく、声も、まともに聞いていないのだろう。

73高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/02/26(木) 02:05:53
>>72

 (あれ、やっぱり覚えてない……?) ズーン

  ココロの反応を見て、少し落ち込む。
  とはいえ、それも仕方がないことだ。

  モデルのような美しい外見と、極度のネガティヴという強烈なキャラで、こちらからの印象は強いが…
  相手からしてみれば、ナンパしてきたヤローのうちの一人、という認識だろう。
  …と、少なくとも高天原は考えている。

 (『見ず知らずのスタンド使い』がいきなり話しかけてきたら俺もビビるわ)


  「あー、えっと……」

  異常に怯えるココロに、無条件で罪悪感を感じる。
  その原因が、急にスタンドを出して近付いてきた自分だと考えるからだ。

  「あっ、あの… 俺、秋映の高天原 咲哉っつって…
   前にちょっとナンパしただけなんスけど… ココロちゃ… や、水溜さん? だよね?」

  「まだ寒いのに、こんな海辺で何してたのかなって気になって…」
  「あー… もしかして、迷惑だった?」


  話しかけながら、スタンドを解除。
  音楽プレーヤーをイジって、故障がないことを確認する。

  「はい、これ。捨てるなんてとんでもないッスよ。不法投棄! な、なんつって、ハハ、ハ、……」

  少し冗談めかすも、怯えさせないように必死のため、どこか挙動不審だ。
  音楽プレーヤーを手渡そうと近付く。

74ココロ『RLP』:2015/02/26(木) 02:28:27
>>73



「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」

     ガタガタガタガタガタ


目に見えて分かる程怯えている。
その視線の先に高天原はいない。


「はぁーっ……はぁーっ…………ゲホッ、げほ……」


(高天原さんなのは知ってる、貴方がきっと、い、いい人なのも、知ってる、知ってる……知ってるけど、わ、私は……)


「……ひぃぃっ……!?」

差し出された『音楽プレーヤー』にすら身を竦める、が。

「……え、あ…………」
「…………」

(これ、私の、今……止まって、だから、そ、それ、って……)

「……そ、その……あ、え、ええと、その……」

「拾って、く……くれた……ん、ですか……? す、スタンド、で……」

震える手で、受け取った。
目尻にはじわりと涙。

(それなのに私、こ、殺しに来たとか、思って……?)

(……勝手に決めつけて……ひ、被害妄想、で、私……)

「あ、あ……ぅ……」

別種の震えが混ざり、またプレーヤーを取り落とす。

「…………ごめんなさい、ごめんなさい…………」

「た、高天原さんのこと、わ、私、酷い事……ごめん、なさい……迷惑なんかじゃ、ない、ないです……ごめんなさい……」

75高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/02/26(木) 02:46:02
>>74


  「そ、そう… 俺のコレ、えーと、『ウィーピング・ウィロウ』ね。
   短い間だけ、ちょっとしたものの時間を止められるんだ。
   便利だけど、パワーとか人間レベルだし、危なくはないぜ!」


 危害を加えないアピールに専心する。


   「そんな、謝んなくてもいいって…!  って、あぁ、また…」

   (な、なんだ…? やけに怯えてる…
    前にあった時よりも、ちょっと酷いぞ…)


 再び『ウィーピング・ウィロウ』を呼び出し、音楽プレーヤーを『静止』&キャッチ。
 器用なのだ(精密動作性:B)。



   「ど、どうしたの…? なんか嫌なことでもあったとか…」

   「あっいや、ごめん、ちょっとデリカシーねぇな。
    言いたくない事ならいいんだけど… 冬の海に一人って…」


 ココロにかける言葉も、いつも以上に選んでいる。
 相手が相手というのもあるが、もともとが気ぃ遣いの性質のためだ。

76ココロ『RLP』:2015/02/26(木) 03:07:42
>>75

「はあ、はあ……」
「ぅぐ……はぁ……」

「……」

「……ごめん、なさい、私……私、気を遣わせて……」
「ごめんなさい……」

アピールは成功、らしい。
多少だが、怯えが抜けて来たようにも見えた。

      「……ふぅ……ふぅ……」

それでも、その指先はがたがたと震えていた。
あの時のエアピアノのような動きとは違い、もっと乱雑な震えだった。


           「……わ、私……あ……ぁ……」

「…………」
「高天原、さん……う……私……」

何か、言いかけて、やめた。

「……違う、の、私……」
「……私なんか……」

「私なんか……が……う、あ……ごめんなさい……」

要するに――『言いたくない』『言えない』事なのだろう。

   ガクガクガクガクガクガク

僅かに震えが増したようにも、見えた。顔色も良くない。

「ごめんなさい……!」

彼氏にフられたとか、そういう類の怯えでは、ないように思えた。

77高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/02/26(木) 03:20:31
>>76

 「いっ、いいよ! 無理に言わなくても…」
 (嫌な事か…!? 無理に聞こうとして、思い出させちまったかな…)


  女子の感情の起伏には、多少なりとも耐性がある。
  浮気をされた女友達の愚痴や、月のもの前の子の不機嫌に、ひたすら付き合わされてきた。
  反論も否定もせず、ただ黙って同意し続け、夜を明かした経験も数え切れない。

  ついたあだ名は『ミスター・いいひと止まり』!
  どうだ… ダサいだろう…


 (それに比べりゃ…)


    「返事、しなくて大丈夫だから。深呼吸できる? 少し力抜こ。
     ゆーーーーっくり息吸って、ちょっと止めて、ゆーーーっくり吐くんだ」

      「遠くの方見て。別な事考えようぜ。関係ないこと」

        「落ち着いたら、ちょっと座れる場所行こう。
         海に近いと、また音楽プレーヤー落としたり、体冷やしちまうかもだしな」


  怒濤のお節介ラッシュ。
  人によってはウザったいかもしれないが、高天原なりの気遣いだ。

  ココロが落ち着いたら、近くのベンチか、海の家などがないか軽く見まわして探す。

78ココロ『RLP』:2015/02/26(木) 05:41:47
>>77


「…………ごめん、なさい……」



     「すぅーーーー」


       「……」
       (私……)


     「はぁーーーー」


       「……」
 
     「すぅーーーーーー」


揺れる瞳孔が、少しずつ一つに集束していく。
スカートの裾を握り締める。


     「…………はぁーーーーーーーーッ……」


視線は海の向こうに。

好きで錯乱してるわけではない。
それでも。


「すぅー……」「はー……」
「すぅ」「はー」

「……」
「…………ぇほッ……」

別のことを考えるというのは、中々上手くいかなかった。

         ブルッ…


「……すー……はー……」
「……」

「………………」

それでも、先ほどよりは落ち着いたようだった。

「……ごめん、なさい……」

「……ありがとう……き、気を遣わせて、しまって……」

近くにはベンチが二つほどある。
海の家もあるが、ここからは少し遠いようだ。

79高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/02/26(木) 18:10:26
>>78

 海の家は遠いようだ…
 ベンチを探し、そちらにココロを導く。


   「紅茶飲める? ストレートッスけど」

                     コポポポ・・・

 学生鞄から、勉強時用に入れてある水筒を取り出して、蓋に注ぐ。
 少し温いが、気温が低いため、湯気と香りが立つ。


   「気にせんでいーって。こう見えて慣れてんだぜー」


 どこか得意げに告げ、自分はベンチに腰掛ける。


  「……、…」


   (な、何か話題… 嫌なことを思い出さないような…
    それでいて無難で、かつ脈絡のある… うぉおおお頑張れ俺の脳細胞!)


  「あっ、音楽! 普段どーゆーの聞くの?
   やっぱクラシックとか? 上品っぽいイメージあるぜ〜」

                            「俺、和ロック。あとゲームのサントラとか」


 自身も音楽プレーヤーを取り出す。
 少し古い型で、ところどころ塗装が擦り切れている…。
 いつも首から提げている、菱の模様の入ったヘッドホンは伊達ではない。

80ココロ『RLP』:2015/02/26(木) 19:39:00
>>79

                     コポポポ・・・

「……紅茶は、好きだわ。……ありがとう。」

「……」

蓋を受け取り――

         ギシ…


所々錆びたベンチに腰掛けた。
少し震える手で、紅茶を口に運ぶ。

      ごく

「……」
「…………はー……っ……」

白い息をゆっくり吐き出しつつ、顔を上げた。

不安の色が、また、先ほどよりは和らいでいるように見えた。

「……いえ、ごめんなさい……」

(……本当に、気を遣わせているんだわ……この人は、優しい人……私は、何なの?)

(この人に、こんな……優しくしてもらう価値なんて……)


      「……えっ? あ……音楽……?」

玩具のような指輪を嵌めた、細く長い指が、首から提げたヘッドホンに触れる。

歯車があしらわれた、スチームパンク的デザインのヘッドホン。

「……え、ええ、クラシックも。ピアノの音……聞いていたら、落ち着くから……好きだわ。」

「じょ、上品だなんて……」

口元に僅かに笑み。
この話題は、正解だったらしい。

      「あ……ロック、は、あまり詳しくなくて……ご、ごめんなさい。」

「……」

俯く。

81高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/02/26(木) 20:05:08
>>80


   「あーなんか、紅茶っぽいイメージあるかも。
    上品っつーか高級っつーか、茶葉とか自分で選んでそう。
     ……なんか申し訳ないッス、安物のティーパックとかで……」

  紅茶やコーヒーが好きな人は、茶葉や豆にこだわりがありそうだ…という偏見だ。
  例えるなら、ラーメンを食べたい相手にインスタントの即席麺を無理矢理食べさせたような…
  そんな漠然とした申し訳なさ。


    (……お、)

 「へ、へー! ピアノ! 水溜さんも弾いたりするの?」
 「ヘッドホン、オシャレさんだ。俺も負けてねーけど!」

    (よ、よし! なんか分からんが良い雰囲気だぜ)


  心の中でガッツポーズしつつ、話題の継続を試みる。が、


>      「あ……ロック、は、あまり詳しくなくて……ご、ごめんなさい。」


 「あっ、いや、そんな…!
  責めるつもりとかはなくって…」 オロオロ…


  と思った矢先、ココロを俯かせせしまった…  ウカツ!!


     「あ、そ、そうだ!」
                    ガバッ


  おもむろに立ち上がり、ヘッドフォンを外して―――

  唐突に、ココロの耳にかけようとする!
  やや興奮気味だ!


     「ちょっとね、聞いてほしい曲があるッス!
      俺も最近見つけたんだけど、あ、ロックなんだけど、
      結構とっつきやすいというかロック苦手な人にも……って、」

      ・  ・  ・  ・  ・  ・  。

   「ご、ゴメン… ちょっとテンションあがりすぎた…
    フツー他人のヘッドフォンとかヤだよな…
     (特に、この子ちょっと清潔好きっぽそうなイメージだし)」


  だが、すぐに我に返る。
  オススメの曲を聞かせようとして、焦り過ぎたらしい。
  高天原も、音楽音楽した話題は好きなようだ。

82ココロ『RLP』:2015/02/26(木) 22:14:32
>>81

「い、いえ……私も、茶葉とか全然……ごめんなさい、詳しくないことばかりで……」

「だ、だから……そ、そんな、気にすることじゃ……無い……あっ……ご、ごめんなさい、なんだか、上から目線で……わ、私なんか、何も知らないのに……」

「……で、でも、そうなの。
 ……ぴ、ピアノ、は。ずっと、習ってるのよ。」

「昔から……だから、ちょ、ちょっとは弾けるわ。」

ピアノは、ココロが自信を持てる数少ないものだ。

長年の鍛錬と、幾たびか浴びた、心からの賞賛。
それを生み出した指は、紛れもなくココロにとっては宝だ。

「あ、ありがとう……こ……このヘッドホンは、お気に入りだから……」

「……」
「あっ、ご、ご……ごめん、なさい……責められたとかは、お、思ってなくて……」

(……また、気を遣わせてしまったわ。私って本当に駄目ね……)

と、再び俯いたところで――


      「ひっ……!?」

   ガタン!


高天原の動きに、ベンチから転げ落ちそうなほど怯え上がる。


「や、やっ……」


      「……」「……あ」

「…………」

「……ご、ごめんなさい、ごめんなさい……わ、私……」


が、すぐに、高天原の意図に気づいたらしく、我に返る。

それは――『手を出される』という被害妄想だった。
手を伸ばしてくると、危害を加えられる、という。

「……」

            「すーー……はーー……」

「……ごめんなさい……おかしいわ、私……」
「あ、貴方は、きっと悪い人じゃないって……お、思う、のに……それでも、こ、怖かったの……ごめんなさい……」

「……きょ、曲……おすすめの曲、聞くわ……わ、私も、ヘッドホン、あるから……」

自分のヘッドホンのコードの先を、震えつつも手にする。

83高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/02/26(木) 23:01:54
>>82

>      「ひっ……!?」

>   ガタン!

     「だ、大丈夫!? ゴメン、そんなヒかれるとは…」

 (いっ いけねェ… ちょっと気を抜くと、うっかりビビらせちまうぜ…
  せっかくちょっと打ち解けたかと思ったが、もっと慎重にならないと)


  立つのに手を差し伸べようとして… たった今の失敗を思い出し、思いとどまる。
  ココロが自分から立ち上がるのを待つ。


  「や、俺こそ… ゴメン、大丈夫? 無理にとはいわないんだけど…」

   と言いつつ、ヘッドホンのコードを受け取る。


  「でもホントに、これ良い曲なんだよ。
   嫌なことがあった時とか、元気出すために聞くんだ」

     「水溜さんに合うかなーって思ってさ」

   自分の音楽プレーヤーに、ココロのヘッドホンコードを差し込む。

84<ガオンッ>:<ガオンッ>
<ガオンッ>

85高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/02/26(木) 23:53:51

  カチ
                   ピピ!
     ジーーー……



  言葉は上手く伝わらないし

  恋はいつも争いになるし

  誰も私の名前なんて知らないし

  晴れてほしいのに雨が降る


  時間の無駄にはもうウンザリ

  でも何も楽しいことなんてないし

  名案を思いつくこともない

  立ち上がろうとしても転んでしまう


  だけど


  私は生きている 生きているんだ

  良いことと悪いことの真ん中で

  幸せを掴むために

  不幸にも抗って、眠るように死ぬの

  それが私の生きる人生!
                       』


―――――――――――――――――――――――

  ココロ『RLP』 ⇒ I'm Alive!/Becca
  ttps://www.youtube.com/watch?v=WP4GaB9hgZs

  英歌詞参照
  ttp://www.uta-net.com/song/94450/

86ココロ『RLP』:2015/02/27(金) 00:23:25
>>83-85

「ごめんなさい」

            「ごめんなさい…………」


(私のせいで、この人はきっと傷ついたわ……私、どこまで人に迷惑を掛けて生きてるの?)

(私なんて……)

端子が受け取られる。感情は底に限りなく落ちていく。

高天原の言葉も、また、ほとんど耳に入っていない様子だった。


  カチ
                   ピピ!
     ジーーー……


「……」

その耳に、音楽が飛び込んでくる。
明るい音楽。

ココロには、英詞は分からない。
それでも、この歌が――自分の心に響くのは、分かる。

(……きっと。)

高天原が言ったこと――ほとんど耳に入っていなかった言葉が、音に乗せられて、分かった。

(…………きっと、これは、励ます歌なんだわ。)

聞いたから、全ての悩みが吹き飛ぶとか、明るくなれるとか、そんなことは無いけれど。

「すー……」「はー……」

それでも、荒れ狂うような自己嫌悪は、少しだけ晴れたような、そんな気は、した。

ゆっくりと立ち上がり、崩れていた体勢を直す。

「…………」

「……あり、がとう……いい曲だわ。本当に。」

ぽつりと呟くように、言う。

87高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/02/27(金) 00:35:34
>>86

「ホント? おお… よかった」
(元気出たっぽいぜ…)

 おススメの曲を褒められたこともあり、高天原自身も少し持ち直す。
 アーティストと曲の情報を伝える。

「よかったら、また聞いてみて欲しいッス。元気ないときとか…
 そんでもしまた会ったら、今度は水溜さんのおススメの曲、教えてよ」

「いやぁ〜。まさか、ホントに叶うとは思わなかったぜ…
 あっ、水溜さん覚えてないかもしれないけど…
 前に会ったときに、『次会ったらデートしよう』って約束してたんだぜー」


  軽薄そうに、けらけらと笑う。


「ダメ元だったんだけどさァー。叶っちまった」
「ラッキィー」

 …どうやら、高天原の脳内ではこれも『デート』にカウントされているらしい。
 曲の終わりまで待って、ヘッドホンのコードを外し、ベンチから立ち上がる。

88ココロ『RLP』:2015/02/27(金) 01:01:33
>>87

ヘッドホンを降ろし、肩に提げる。
表情には強張った物こそあれ、落ち着きが戻っていた。

「……ありがとう。本当に……何から、何まで……」

「……ごめんなさい。」

謝罪も、なかば譫言のような物ではなく、明確に高天原に向けられたものだった。

「えて、きっと、また……ええ、聞いてみるわ。」
「私も、今度までに……考えて、おくから、きっと……」


「……」
「デート……? こ、これが……」

「……ふふ。」

思わず、少し、笑いが零れた。
人の軽薄さを有難く思うのは、これが初めてかもしれなかった。

「……ありがとう。」

ほんの少しだけ俯いて、そう呟いた。

89高天原 咲哉『ウィーピング・ウィロウ』:2015/02/27(金) 01:24:01
>>88

 「……あっ、おう。うん」
 (ヤベー。改めて、超美人)

 強張りの取れた笑顔に、少しの間、思わず見惚れる。
 年上の矜持とか、頼れるお兄さんっぽく振舞おうとしていたこともすっかり忘れて。


 「じゃ、じゃあ… そういうことで」

 「約束だぜ、約束。約束があれば、次も会えるからなー。
  …いや、会って嬉しいのは俺の方なんだけど、とにかく」

 研究室や連絡先を書いた名刺は…
 前にも渡していたはずだ。

 にかっ、と明朗に笑い、別れを告げる。

90ココロ『RLP』:2015/02/27(金) 01:42:58
>>89

「ええ、きっと……」

信頼できる人間が、この世界にどれだけいるだろう。

少なくとも、高天原は、その中の一人に入れてもいいようだと思った。

「……」

      「……あっ……」

ふと、気づいた。
水筒の蓋を持ったままだった。

「あっ……い、行っちゃったみたいだわ……」

(私ったら、な、なんで、こんな……泥棒じゃない、ほとんど……)

(……)

僅かに残った紅茶にうつるココロの顔には、少しだけ笑みがあった。

(…………また、会わなきゃ……)


『死神』の凶行がココロに残した爪痕は、深い。

それでも、少しずつ、癒されていく。今日のような日があるならば。

91ウィル『ヴェノム&ファイア』:2015/02/28(土) 23:20:45

「夜の海には どうにもミステリアスな美しさがあるね」

煌々と輝く月が反射する、黒い水面を眺めながらウィルが呟いた。
一夜にして伸びた髪はポニーテール状に束ね、成長した胸はベストを押し上げ、白いシャツがその下に覗いている。
その言葉の向けられている先は、今夜彼からここれと連れ出された、金髪碧眼の少女へと。

92アウレア・グラウコーピデ『ラヴ・ランゲージ』:2015/02/28(土) 23:28:25
>>91
「……そうだね」

応えるのは――『美少女』と言って差し支えない美貌の少女。
ワイシャツに赤のプリーツスカートという、どこか学生然とした姿だ。
目元に涙滴型の黄金の刺青を彫った眼で、海の方をただ眺めている。

「しっかし、こうしてるとあの『肝試し』を思い出すね」

あの『肝試し』もこの砂浜の近くだったのを覚えている。
尤も、大体のロケーションは殆ど砂浜とかは
関係なかったように思うが…………。

「……」

93ウィル『ヴェノム&ファイア』:2015/02/28(土) 23:35:14
>>92

「ーーー『コフィン・ネイル』」「恐ろしく邪悪なスタンドだった」

目を閉じて、あの夢の中での出来事を思い出す。
誰が感染しているのかも分からない、誰にも死の危険がひっそりと訪れる、悪夢のような一夜だった。
もし『フープル社』が夢の中に関係者を切り離していなければ、
彼女も自分も、こうしてここには立ってはいない。
それでも目が覚めて真っ先に彼女の姿を確認するまでは、安心できなかったが。

「しかし ぼくもそれなりにやるようになったとは思わないかい?」
「初めてのーーーとはいえ二回しか戦っていないけれどーーー『勝利』だ」

ウィルは目を開き、アウレアの方へと体を向け、両手を広げる。
常に控え目な彼にしては珍しい、謙遜せずに勝利を誇っている。

94アウレア・グラウコーピデ『ラヴ・ランゲージ』:2015/02/28(土) 23:41:46
>>93
「その通り。わたしってば、惚れ直しちゃったね」

真面目な声色だ。
実際、アウレアはあの局面で途中離脱だった。
クリアしたのは――仲間の協力はあったが――
そこにはウィルの力が少なからずあったはずだ。
      、 、、 、
「さすが、わたしの恋人、だよ!」

そう言って、両手を広げたウィルに抱き付く。
頭のあたりに――身長が縮んでいればもっと下になるが――
いつもは感じない、柔らかい感覚を感じるが……無視する。
別に男だからウィルを好きになったわけでもない。

95ウィル『ヴェノム&ファイア』:2015/02/28(土) 23:58:57
>>94

「Thanks(ありがとう)」
「きみを含めたみんなの協力があってこそだけどね」

正直に言えば今でも、争いごとは苦手だ。
誰とでも手を取り合って、平和になれるならその方がいい。
けれど、避けられぬ戦いだと判断したなら。躊躇なく相手の行動力を奪い、再起不能にすることも厭わない。
その過程にも結果にも、一切の後悔はない。守りたいものがあるからだ。

「っと」

胸の中に飛び込んできたその対象を、笑顔で抱きしめ返す。自分の身体が変わりつつ
あるとはいえ、それでもやはり柔らかく、小さい体だ。


>「さすが、わたしの恋人、だよ!」

そんなアウレアの言葉を聞いて、ふと思い出す。
彼女が以前、とても日本的な、おくゆかしい言葉で愛を表現してくれたので、
大学の友人に、同じく日本的な表現で、愛を伝える言葉はあるだろうかと訊ねたのを。

アウレアの顎に手を当て、少し体から離して上を向かせる。

「それは少し違うね アウレア」

愛する少女の顔を見て、微笑んで。



「アウレアは、ぼくの嫁」



そして、軽く互いの唇を触れ合わせる。

96アウレア・グラウコーピデ『ラヴ・ランゲージ』:2015/03/01(日) 00:17:28
>>95
「! ……ん」

やはり慣れない――とアウレアは思う。
曲がりなりにも夜の街で仕事してきたアウレアなので、
それなりに男の機嫌をとってきた経験はある――が、
それは中身の伴ったものではなかった。だから、こういうときに戸惑ってしまう。

「……ウィル、また変な言葉覚えてきて」

一応、アウレアもその言葉の意味は分かっているつもりだ。
ある意味『日本的』な愛情表現だが……少しサブカル的にすぎる。
未来の嫁としてはウィルの交友関係が少し心配になってくるところだ。
将来、二次元に浮気されるようなことになったら……多分拗ねる。

「ウィルだって、わたしの婿だもんね。
 ……婿? 夫? ………まあいいか!」

照れ隠しするように、頭を押し付ける。
ともすれば、押し倒しかねないほどの強さだ。

97ウィル『ヴェノム&ファイア』:2015/03/01(日) 00:34:47
>>96

「昔は婉曲的に伝えていたのに 最近ではこうして宣言するのが『おくゆかしい』んだってね」
「何とも不思議な感覚だね・・・・・」

友人の冗談を真に受け、感慨深く頷く。
その冗談は、時としてダイバー家中に広まってしまうのだから、
アウレアはその間違った日本感を訂正するのに骨を折っていることだろう。

「おっと」

アウレアに体を押されて、思わず尻餅を付く。当然砂浜であるから、痛くはない。
だが、もし自分が男の身体であったなら、受け止め切れていたであろう。
一瞬だけ、それに思いを馳せた沈黙が訪れる。

「・・・・・・・・それでも」
「例えどんな身体になろうとも ぼくは『男』であり続けるよ」
「きみの事を愛している一人の男としてね」

「なにせ ぼくはきみの夫だから」

今度は額と額を合わせて、至近距離で囁いた。

「だから ぼくたちで倒そう」「『ルンクス』を」

98アウレア・グラウコーピデ『ラヴ・ランゲージ』:2015/03/01(日) 00:47:26
>>97
「……ッ」

ウィルを押し倒したアウレアの身体は、震えていた。
それは――もう、論理的な推測なんかではなかった。
『ヨハネスブルグ』の能力者が『相手をただ女にする』だけで済ませるはずがないとか、
そういえばあの時の女は妙にルンクスに協力的だったとか、そういったことはまるで無関係。
言うなれば、ただの『女の勘』だ。

ルンクスの言動、そしてウィルの変化。
愛を知る『女』だからこそ、その微妙な関係性に鋭敏に反応できる。
                    、、 、、 、、
ウィルは――ルンクスのものになりつつある。

そんな、荒唐無稽な、通常であれば思い至ることさえ
困難であろう可能性にも行き着けるほど鋭敏に、反応できてしまう。

ウィルはここ数日アウレアの様子がおかしかったことに気付いているはずだ。
街に出歩き、そして戻って来る。そして『足りない』と呟く。およそまともな精神状態ではなかった。
それは、彼女が本能的にこの危機的状況を察知していたからだ。
ウィルがとられる。精神も肉体も作り替えられ、自分の傍から離れる。
その最悪の結末が想定できるがゆえに、必死に事態の打開に動いていたのだ。

「それ……信じて良いんだよね」

顔を上げる。
その表情は、こう訴えていた――『まだ足りない』。
『足りていない』のだ。アウレアの中のピースが。

「この先、どんなことがあっても……
 わたしは『今』のウィルを信じて良いんだよね」

99ウィル『ヴェノム&ファイア』:2015/03/01(日) 01:04:35
>>98

「・・・・・・・・・・」

震える彼女を、安心させるようにぎゅっと抱く。やはり、そうだったのか。
時折、どことなく何かに追い詰められているような悲壮感を漂わせていたのは。

そんな彼女を元気付けるように、こんな所へと連れ出したり、おどけるように勝利を誇ってみて。
返ってきた言葉も笑顔も、本物であるけれど、どこかおかしかった。
『自分が理解しかけていることを、彼女もまた理解しかけている』。
そういうことだったのだ。

自分は、自分だけに対しての攻撃や被害に関して、鈍い所がある。
けれどもアウレアが狙われ、逆の立場だったなら、敵意を剥き出しにしていただろう。
いや、彼女の場合はそれどころでは済んでいないのかもしれない。

>「それ……信じて良いんだよね」

>「この先、どんなことがあっても……
> わたしは『今』のウィルを信じて良いんだよね」

アウレアの縋るような問いかけに、笑みを消し、真剣な表情になる。
が、すぐに愛する人に笑顔を向けて、頷く。

「もちろんだよアウレア」「・・・ぼくを信じてくれ」

しかし言葉とは裏腹に、『スタンド能力』という超常的な力を前にして、
人間の意思がどれほど立ち向かえるのか、不安に思っている所もある。
けれど、決して『ルンクス』のものにならないという覚悟はある。
そのために、愛川たちに依頼したのだから。

100アウレア・グラウコーピデ『ラヴ・ランゲージ』:2015/03/01(日) 22:31:17
>>99
「……ありがとう」

そう言って、アウレアはまたウィルの身体に顔をうずめる。
彼女の表情は、見えない。

「それなら…………私は、立ち上がれる」

今の、その言葉が『真実』ならば。
アウレア=グラウコーピデという人間の、『足りない』ピースは。

「全部、『足りた』から」

今この時を以て埋まったも同然なのだから。

「だからウィルも、わたしを信じて」

そして、ウィルがアウレアの秘めたる思いを察していたのであれば……
『逆もまた然りである』というのも、ある種道理ではないだろうか?
つまり、ウィルの考えていることも、
『洗脳』の可能性を考え、最悪の場合は『自死』すら厭わないという決断を、
ある程度アウレアが把握しているということだが――。

「わたしは。この先何が起ころうと、どうなろうと――『今』のウィルの言葉を信じる。
 ……たとえウィルと戦うことになっても、ウィルを敵に回すことになっても」

そう言って、アウレアは立ち上がる。
その目には、既に迷いなどひとかけらも存在していなかった。
今この時を以て、アウレアの『足りない』ものは全て満たされた。

「必ず、わたしが『勝つ』」

それはつまり――彼女に弱点など一つもなくなったということだ。

「……たまにはアウレアちゃんも、頼れるトコの一つくらい
 見せないといけないから……ね!」

手を、差し伸べる。

101ウィル『ヴェノム&ファイア』:2015/03/01(日) 22:58:08
>>100

>「それなら…………私は、立ち上がれる」


「・・・・・」

強い意志を携えて、立ち上がるアウレアを見上げる。
やはりと言うべきか、彼女に隠し事などできそうもないらしい。特にこういう大事な事は。
アウレアは、自分が『洗脳』されることも、そして戦うことになるかもしれないことも、予想している。
しかしそれを知ってなお、彼女は立ち向かう覚悟も決めている。
─────本当に、強い女性だ。

「その通りだよ」「少なくとも今ここにいるぼくは 紛れもなく
 アウレア・グラウコーピデを愛する ウィリアム・ウィンストン・ダイバーだから」

こんな彼女だからこそ。

「ぼくは常にきみのことを信じているし」「頼りにもしている」
「だからアウレアがそう言ってくれるのであれば ぼくはこの先どんなことが起きようと
 またこんな場所に 2人で来られる日が来ると思っているよ」

アウレアの差し出した手を掴み、己もまた腰をあげる。
別に自分一人の力でも、この砂浜で立ち上がることなどできるだろう。
けれどこの場合は、彼女の手を借りることに意味があるのだ。

102アウレア・グラウコーピデ『ラヴ・ランゲージ』:2015/03/01(日) 23:25:05
>>101
「よっ……とと」

軽くなっているだろうとはいえ、しかしながら少女の細腕だ。
ウィルを引き上げるのにも、大分苦労する程度でしかない。
しかし、そのことに意味がある。ウィルも、アウレアも分かっている。

「『来させる』さ」

世界を動かすのは『人の意志』だ。
そしてこの世で最も強い意志とは、『愛』を置いて他にない。
アウレアは、そのことを誰よりも実感している者の一人だ。

「絶対に、わたしが、わたしとウィルが、その未来を引き寄せる。
 その為の力は――――『ある』」

拳を握りしめ、呟く。
重く、そしてしっかりと。

「……うー、さぶっ!」

照れ隠しなのか、そこまで言った後に大袈裟に身震いしてみせる。
夜の海辺は寒い。そこにこんな格好なのだから、寒いのもむべなるかな、である。

103ウィル『ヴェノム&ファイア』:2015/03/01(日) 23:50:10
>>102

アウレアの言葉に、深く頷く。
相手を塗り潰し、自分のいいように変えてしまうルンクスの能力は、決して愛などではない。
そんな風に一方的に望むものは、身勝手な醜い欲望だ。

「『ルンクス』に教えてやろう」「迂闊に近寄ろうものなら『毒の炎』がおまえを焦がし」
「本当の愛とはどういうものなのか 『愛の言語』を叩きつけてやると」

自分の首に巻きつけていた、オリエンタル模様のストールを外し、
アウレアの首に巻きつける。髪を挟まないように、そっと持ち上げながら。

「春が近づいているとはいえまだ冷えるね」「それではそろそろ帰ろうか?アウレア」

ポケットから、車のキーを取り出し訊ねる。

104アウレア・グラウコーピデ『ラヴ・ランゲージ』:2015/03/01(日) 23:58:50
>>103
「そだね。身体を冷やしたらいけないし……」

そう言って、ウィルの頬に顔を近づけ、

――そして顔を離す。

「……行こっか!」

にっこりと、無邪気な笑顔を浮かべ、ウィルの手を引く。

もう迷いはない。
『ラヴ・ランゲージ』は『愛』で強くなるスタンドだ。
そしてそれを操るアウレアの心には今、
かつてないほどに『愛』が満ち足りている。

つまり――――世界最強、ということだ。

105ウィル『ヴェノム&ファイア』:2015/03/02(月) 00:23:36
>>104

「─────」

頬に触れる、柔らかい感触。少しだけ、頬が赤くなる。
有り体に言って、キスは好きだ。お互いにとって、相手が特別であることを示しているようだから。
それが、彼女が自分の意思でしてくれたのなら、言うまでもないだろう。

手を引かれて、またその無邪気な顔に惹かれる。
本当に、今ではこの国に流されたことを幸福に思える。
例えそれが『ヨハネスブルグ』と戦うことになろうとも、
アウレア・グラウコーピデと出逢うことができたというそれだけで、他の何を差し引いても余りある。

「ああ・・・ともに行こう」

アウレアの横に並び、歩き出す。
この先は、夜の海のように暗く深い道なのかもそれない。それでも、月明かりがいずれ見える事を信じて。

106音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/03/20(金) 23:01:39
あの事件から随分と時間が経過した。
『圧倒的暴力』、『骸鎧の襲撃』、『満月の落下』――――

今のままではいけない。
己の『血統』に宿る『正義』、それを貫くためには――――


  「えっほ」
                 「えっほ」

とりあえずランニングをすることにした。
上下スパッツにTシャツ短パン、普通のランナースタイルだ。

107穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/03/20(金) 23:16:53
>>106
「オッさん何やってんの?超ウケる」

声をかけた

108音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/03/20(金) 23:21:24
>>107
「なんだ君は?

 ――――あぁ、あの時の!
 これはどうも、お久しぶりだ」

足を止めて振り向いた。

「見ての通り、ランニングだよ。
 何時、また月や何かが落ちてくるか解らないからな」

109烙『クライムウェイヴ』:2015/03/20(金) 23:21:40
>>106
走る先には敵の顔さ。

「あれっ」

何をしてるかって? 立ってるだけさ。
何をしにきたかって? 秘密。殺人鬼だからな。

110烙『クライムウェイヴ』:2015/03/20(金) 23:22:44
>>107
黒スーツで金ピアスの男が立ってるだけだよ。
別に海の向こうにマネキンっぽいものを放り投げたりはしていないよ。

111穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/03/20(金) 23:29:52
>>108-109

        パタムッ

遊んでいた携帯ゲーム機を折りたたむ。
こちらは素肌の上に着た虎柄のYシャツに細身のダウンを羽織った出で立ちだ。

「『月』…?
 ああ、この間のアレな。大変だったわ。
 気がついたら右腕チョン切れてベッドの上に寝てるわ。
 チョンパしたのは俺だから自業自得っつー話なんだが。

 入院中も右腕がひっつくまで固定されっぱだったから
 暇つぶしもできねーわセンズリもこけねーし、うぜーのが四六時中小言言うわで」

112音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/03/20(金) 23:30:51
>>109(烙)
「――――と、驚いたな」


    「月が落ちてくるとは万に一つだった。
     文字通り『杞憂』だからな」


『剣』と『盾』を発現しようとしてから、止める。
傍には別の少年がいる。何より、剣を振るうべき場面ではない。


「ハッキリ言おう。
 あの夜の過ちは『酒』に溺れて買った喧嘩。
 私の過失であり、一族の汚点だが、力づくで払拭する気はない。
 それは、私の『正義』に反する行為だからな」


    「『水に流そう』、だから私の前から消えてくれるか?
     私が去っても良いのだが、背を向けるほどの『信用』はない」


額の汗を拭い、冷静な言葉で告げる。
酒に酔いつぶれた男の面影はない。

113音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/03/20(金) 23:37:31
>>111(穂村)

     スッ・ ・ ・

穂村の前に腕を差し出し、下がるように促す。


 「それは災難だったな。
  病院はコリゴリだろう、下がった方がいい。

  目の前の男はスタンド使いだ。
  不意を打たれて襲われた、それも恐ろしいことに……」


  「何の躊躇もなく、損得の計算も感じなかった。
   私を害してラッキーな場面でもなんでもなく、襲い掛かったのだ。

   『信仰』や『欲望』で人を殺すより、よっぽどタチが悪い」

運動とは違う粘性の生ぬるい汗を流しながら、男の詳細を語り続ける。

114烙『クライムウェイヴ』:2015/03/20(金) 23:49:11
>>111
「左手じゃあダメなのか?」

    ギャン ッ     『カカカカカカ―――ッ』

『骸骨』、かなり大爆笑。
特に意味はないよ。


>>112-113
「ンンー?」

「つまり君は、酔っ払って人のクツにゲロをブチまいてだ、このへんを刺してアバラ骨を削っておいてだ、『水に流す』っていうわけだね?」

棚上げは好きさ。
出会って早々だから一言くらい挨拶を、と思ったがやっぱり止めた。
せいぜい嫌味ったらしく言ってやる。

「いやあ、実に心が広いことでオレは感激するよ。えーと、スゴいね?『正義』の『一族』?」

言葉尻もちゃんと引っ掴んでおこうな。

115穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/03/21(土) 00:00:01
>>113
「ああ、そう。
 『アゴ』のオッサンの言ってる事よくわかんねーし、
 ”あいわかった!じゃあね!”で帰れればそれはそれでラッキーなんだろーが、
 流石にそれはダサくねーか?俺の好感度ダダ下がりだろ」

              「それに」    バサッ

ゲーム機を砂浜の上に投げ捨てる。

「敵前逃亡したらウゼー奴に、ガミガミ言われちまうしな…
 逃げるのが恥ずかしいってのもあるけど正直そっちの方が面倒くせーんすわ。
 オッサン、俺のウゼー奴見たんだっけ?」
>>114
「へェ…」

烙の傍らに現れたガシャドクロを見、

「今考えるとスゲーダサいんだけどよ、
 昔そーいう『ドクロ』がデカデカとプリントされたジャージ着てたわ。
 なんか、こうホラアレよ。
 テカテカとラメ入ったコンビニの前でたむろしてる若者が着てそーな奴」

         「うわァ」

「自分で言っておいてちょっと恥ずかしいわ…」

116音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/03/21(土) 00:09:55
>>114(烙)
「ああ、その通りだ」

「『水に流す』。何故なら、『血は水よりも濃い』。
 過去の失態、過ち、後悔、そのいずれも『血』の前には些細なこと。

 この『血』が流れる限り、私は『マイナス』を恐れない」

二度の敗北は開き直りの『胆力』を作った。
嫌味ったらしい反撃を、何処吹く風とばかりに受け流す。


>>115(穂村)
「恐らく、見たようなないような。
 ――――生憎、アレは強いが『敵』ではない。
 人肉を喰ったりとか、そういう解りやすい悪事は働いていない様子。

 下手にヤブを突くのは、その“ウルサイの”も望まないだろう」

烙が発現したヴィジョンを見据え、緩く首を振る。

「向こうがやる気かもしれないが、それはそれだ」

117烙『クライムウェイヴ』:2015/03/21(土) 00:15:11
>>115
「あァ・・・うん」

なんかちょっと分かるのでテンションがちょっと下がった。

「・・・いや、でもドクロ自体はカッコいいじゃないか? こう・・・」「ラメがダメだなけで」
「ジャージと」

上げていこう。
そういえば今オレ、右目に黒い革製の眼帯してるんだけどどう? カッコいいよな。


>>116
>「ああ、その通りだ」

「マジかよ」

>「『水に流す』。何故なら、『血は水よりも濃い』。
> 過去の失態、過ち、後悔、そのいずれも『血』の前には些細なこと。

「ええ・・・」

> この『血』が流れる限り、私は『マイナス』を恐れない」

「あ・・・その、うん。そう・・・」

「わかったよ」『カカー』
「こっちも治ってるし、君見るまで忘れてたしな・・・」

「・・・」「もしかしてかなり良いとこの子・・・子って歳じゃないだろうが・・・なの?」

気になったから聞くだけである。

118穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/03/21(土) 00:28:46
>>116
「なんだ、アレか。恋人同士みてーな感じか。
 面倒くせェ」

嘆息を一つ、吐いた。

「もう1回言うけど、面倒くせェ」

>>117
「お友達によ、
 ”親父、今だから言えますけど親父が昔着てたジャージあれはないっす…”
 って言われたりな」

         ズギュンッ

傍らに龍の刺繍が入った黒色のカンフー服に身を纏った人型の像を発現。
現れるやいなや『烙』に対し構える。

                 『破ッッ!』

「こいつ『フー・シュニッケンズ』っつーんだけど、
 世間話してる最中に襲われたらたまんねーから出すだけ出しとくわ」

                『老師穂村!』

「こいつスゲーうぜーけど気にすんなよ。
 ちなみにその眼帯はちょっと格好いいなーと思うぜ」

119音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/03/21(土) 00:36:37
>>117(烙)
「有難いな、私もムダな『血』を流したくはない」

視線の強さはそのままに、安堵の息を漏らした。
烙が呆れているとは思っていない。敵対する理由がないと踏んだ、そう理解している。
遠慮がちな質問にも、眉一つ動かさずに答えてみせる。

「良いところの基準は解らんが、
 フランスの生家には『三五〇年』近い歴史がある。
 あの『革命』にも参加していたし、ナポレオンとも出会っている」

ここまで話した時点で思い直し、一旦言葉を止める。

「――――と、こういう話をしたいわけじゃあないか。
 ……そうだな、このまま別れるも無意味だろう。

 寝てたかどーだかは知らんが、この前に『月』が落ちてきた。
 何者かが人為的に落としたらしい、気をつけておけ」


>>118(穂村)
「アホか、何でも恋愛に絡めるんじゃあない!」

穂村の太腿にローキックを喰らわせる。パス精CCC

「『歴史』、『人情』、何でも陳腐にしてくれる。
 特にあれだ、目のキラキラしたヤツ!
 我が国の契機を好き勝手してくれて、腹立たしい!」

120烙『クライムウェイヴ』:2015/03/21(土) 00:46:43
>>118
「眼帯を褒めてくれてありがとう」「いいだろ」

何やら嬉しそうだ。イラスト化のためにもこういう細かいところで稼いでおかねばならない。

「あー大丈夫だよ。別にそういう気はもう無いし・・・」
「喋るの?」  『カカー』
「なんかスゲー『ナントカ拳』とか使いそうだよね」「見た感じ」


>>119
「いわゆる『名家の子息』だな」「酔っ払ってたのに」

蒸し返す。

「ああ、『月』ね」
「ふーん・・・」

気をつけたところで何をどうできるというんだろう。
町中が混乱するなら死ぬ前に一人でもたくさん殺したいタイプだ。『クライムウェイヴ』はそういうちっぽけなことが出来る。

「・・・ひょっとして忠告? 今の」
「ああ、ごめん。慣れてなくて。ありがとう」

何を考えたかはとにかく、アドバイスをくれたんなら感謝しておくのが礼儀ってものだ。

121穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/03/21(土) 00:57:25
>>119

          バシュッ

放たれたローキックを寸前の所で、
割り入った『フー・シュニッケンズ』の脚が受け止めた。

『ソノ程度ノ蹴リヲ『老師穂村』ニ向ケルナド笑止千万!
 技術ガマルデ感ラレナイ!我デ充分!』

             「な」

「こいつウゼーだろ?」

>>120
「ところがどっこい、
 本当に使うんだよその『なんとか拳』。
 あー、なんつったけどアレ、お前がいつも言ってるあのエセ拳法」

『エセ拳法デハアリマセン!”スタン道拳”!
 老師!敵対スルデアロウ人間ニ我ノ能力ヲ説明スルトハ!
 貴方トイウお方ハ一体何ヲ考エテイルノデスカ!』

             「あー、はいはい」

『ソレニ!老師!
 退院シタラキチント稽古ヲスルと約束シタノニ!
 老師トキタラ、毎日ブラブラスルカゲームをスルカで!』

「わーった。わーった」

聞き慣れているのか、スタンドの説教を軽く流す穂村。

122音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/03/21(土) 01:07:59
>>120(烙)
「『酒』は平等だ。
 誰だって酔い潰れたくなる時がある」

   「そう、忠告だ。
    憂さ晴らしをするつもりが、
    トンでもない相手に手を出すかも知れないぞ」

ヒラリと片手を上げた。
別れの挨拶というよりは、片脚をスタンドに取られたバランス取りだ。

>>121(穂村)
「と、とと、これなら心配なさそうだ」

砂でバランスを崩さないように、ケンケンでバランスを維持する。
振り払うように離してから、両足で着地する。

「意思があるスタンドとは珍しいな。
 どういう理屈か解らんが、大変そうだな」

>ALL
「とにかく、そういうことだ。
 町に何らかの危険がある、君を含めてね。

 私は、そう何度も負けるつもりはない」

クルリと踵を返すと、町の方向へと走り去っていった。

123烙『クライムウェイヴ』:2015/03/21(土) 01:18:11
>>121
「スタン道拳」

予想外の名前だったのでちょっと止まった。

「なんか」
「苦労してそうだね」「どっちも」

性格の不一致か? いや、これはこれでバランスか?

「あ」「あー、『フー・シュニッケンズ』だっけ」「敵対しないってば」

誤解は解いておこう。一応ね。


>>122
「カッコよく決めてるけど君、酔っ払いだからな?」

水に流すが根には持つ。流しきれない部分はどうしてもあるものだよ。

「ああ、トンでもないのはちょくちょくいるよね」
「負け惜しみだが、退屈だけはしなくていいさ」

顔をしかめて返し、見送る。


>>穂村
「オレもそろそろ行くけど」
「君の、『フー・シュニッケンズ』のことを教えてもらったわけだし」

   ギョ  ン    『ガ   ガ ィー〜 ン』

『甲冑』を傍らに発現、『骸骨』は相変わらずけたけた笑っている。

「オレの『クライムウェイヴ』のこともちょっとだけ教えておくよ。フェアだろ?」

つまり二体でひとつ。『鎧/骨』のスタンド。
ひとしきり笑うと、二体はしまう。

「それじゃね。『穂村老師』」「ゲームばっかりは体に悪いぞ」

からかい口調で去る。

124穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/03/21(土) 01:24:25
>>122-123
「2体いんぜ2体。
 うぃ、それじゃあまた機会があったらな」

二人の背中を見送った
携帯ゲーム機を拾い砂を払う。

「よし、そんじゃあ稽古しようぜ稽古。
スト4やろうぜスト4」   『老師!』

岐路へと付く。

125立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/03/26(木) 23:08:23
ここは砂浜にある公園。


「あいつ遅せーな」

「あ、言い忘れたわ。かっちゃん、今日来れないって」

「まじかー」


子供達がボールを蹴って遊んでいる。

126朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/26(木) 23:25:19
>>125
砂浜の公園にて…
近くのブランコに中等部の制服を着た少女が座っている。

「…あ、大丈夫だってば。
 夕飯だって自分で作って食べてるし…
 栄養バランス?そりゃ当然考えてるに決まってるでしょ」
スマホをとってゆっくりと語っている。家族への電話だ

「心配しないでよ、お母さん。
 本当に、ここはいい街なんだよ。
 友達もいっぱいできたんだ。
 そのうち紹介するよ。」
そう言って全て終えたあとに…電話を切った

「あぁー。心配性すぎるってばお母さんにお父さんってば…」
ふと、ボールを蹴って遊んでいる子どもたちに目を向ける。

(…そういえばボール遊び…
 あの時からずっとしてないかも)
7年前くらいから…なんて思いながらじっと見ている。

127立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/03/26(木) 23:29:46
>>126
「しかし2人でサッカーっつうのもな」

「3人でも微妙だと思うが」

「あ」

「おっま、どこ蹴って……ぎゃん!」


男の子が蹴ったボールが逸れ、それを取ろうとした女の子が転ぶ。
ボールは朱鷺宮の方に飛んできた。結構勢いがある。

128朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/26(木) 23:36:12
>>127
「ん…」
しばらく見ていると…自分の方へと勢い良く飛んでくるボールが…!

「このパターンは…もはや見切っている!!」
彼女は素早くスタンドを発現させた!

バシィッ!!
彼女のスタンド『フォートレス・アンダー・シージ』で弾かれたボールはそのままブランコの柵の方へ吹っ飛んでいき

「フヒヒヒ…!やはり私のスタンドは災いを払う力を…」
かっこ良く決めようと声を出したが…

カァーン!
      カァーン!
ボールは柵の中で次々と弾かれて…

       ボゴッ
「持ってい…ごあっ!?」
反射しながら、彼女の鳩尾に勢い良く突き刺さった!

「…げふっ…なんで…」
…結局彼女にぶつかったボールは跳ね返り、子どもたちの元へと戻っていく…

129立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/03/26(木) 23:41:51
>>128
「うおっ、なんだ今の」

「膝すりむいた……」


男の子が戻ってきたボールを受け止め、
女の子が涙目になりながら起き上がる。


「おい、立花、見たか今の?」

「お前は私が見てたと思うのか?
 私の目が後頭部についてたんなら見てただろうな」

「あの姉ちゃんがボールを弾き返したんだよ」

「みぞおちに食らってるように見えるが?
 いいからお前謝って来い」

130朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/26(木) 23:46:26
>>129
「うー…うー…
 まさか…私のスタンドが…
 威力を増幅させてしまうなど…」
ブツブツ言いながら軽くブランコから起き上がり、お腹を擦る。

「えっと…ボールごめんねー…
 うっかり変な方向に飛ばしそうになっちゃって…」
スタンドを解除しようか…と思いながらも子どもたちに向けて頭を下げた。
(まさか小さい子供がスタンド使いなんて…ありえないかな…)
むしろまだ災難が襲ってくるんじゃないかと警戒してしまっているようである。

131立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/03/26(木) 23:54:22
>>130
「あの姉ちゃんスタンド使いなんじゃね? どう?
 っていうか、よく聞こえなかったけど今スタンドとか言って痛ぇ」

「……もういいお前は黙ってろ」


女の子は、男の子に軽く蹴りを入れると、
小走りで朱鷺宮に向かってきた。


「いえ、ボールを蹴ったのはこっちですから悪いのはこちらです。
 本当にすいません」


女の子は頭を下げて謝る。ポニーテールをくくったネコの飾りがひょこひょこ揺れた。
子供達は小学校の高学年くらいだろうか。

132朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/27(金) 00:00:32
>>131
「スタンド…使い?」
目をまん丸くした。男の子に目線を一瞬向けた
(あの子がそうなのか…?)
少し警戒したが…
(いや、子供だから問題ないか…多分)
はぁ、と溜息をついてお腹を改めて擦った

「いえいえ…
 ちゃんと受け止められたらよかったんだけどね。
 私もまだまだ甘いわ…」
こっちも軽く頭を下げる。子供相手でもそれなりに丁寧な対応だ。

(やっぱり見えてるのかな…)
軽く男の子の方に自分のスタンドでVサインを送ってみる

133立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/03/27(金) 00:09:22
>>132
「お怪我は無い……ですよね?
 すいません、バカなので許してやってください」

「誰がバカだよ」

「お前だよ」


女の子は低姿勢で謝る。ほんの少し怯えているようにも見える。
男の子はふてくされたような雰囲気だ。
『フォートレス・アンダー・シージ』のブイサインには特に反応した様子がない。


「で、どうなんだよ」

「……」


男の子が比較的小声で話しかけると、女の子は普通に朱鷺宮に聞こえない程度の小声で何か返事をしていた。

134朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/27(金) 00:13:58
>>133
「え、まあ…
 この通り平気平気。」
そう言って冷や汗かきながらポンポン自分のみぞおちを叩く
(さすがに…強がり過ぎかな。)
ちょっとまだ痛いけど、それでも大丈夫と言ってみせる。
「いやー、むしろそれくらい元気な方が…
 私は好きだなぁー。」

「…」
ちらりと男の子を見てみたが…見えてる様子は見えない。
(気づかないふり…何てわけでもない…?
 …何の話してるんだろ)
何か小言で女の子へと話してるのを見て、不思議そうな顔をする。

135立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/03/27(金) 00:25:41
>>134
「姉を早死にしそうなタイプとか言っておいて、
 お前自身も長生きし無さそうなタイプだよな」

「うるせー」


話がまとまったらしい。
男の子は少し不機嫌そうで、女の子は呆れた様子だ。


「では、ご迷惑おかけしました」

「続きする?」

「しないし、それ以前に足を手当させてくれ」


女の子は近くのベンチに座って、すりむいて血が出た傷口から砂を取り除いている。

136朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/27(金) 00:30:24
>>135
「…何の話だったんだろ」
涙音も呆れ顔で答える。

「いやいや、大丈夫。
 迷惑とかではない。」
そう言って、女の子の様子を心配し始めた

「あーえっと…大丈夫かな?」
心配そうに擦りむいた部分を見つめる

137立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/03/27(金) 00:44:32
>>136
「あ、はい。大丈夫です」

「立花泣いてたじゃん」

「あれは……単なる肉体的な反応だ」

「つまり痛かったんだろ?」

「うるさいな」


男の子は手を頭に組んで、退屈そうに女の子をいじる。
女の子は大丈夫と言うが、砂をとるのが痛いのか、またも涙目になってきていた。

138朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/27(金) 00:48:27
>>137
「…何だか見ててこっちまで辛くなってきたよ」
そう思った彼女は、
(…こうスタンド使いっぱなしだとさすがに怒られるかな?
 まぁ…人助けだし)

「ちょっとじっとしててね。」
そう言って彼女はスタンドに女の子の身体についた砂を振り払わせる。
「ジーっとしててねー。動いたらもっと痛いよー」
普通の人間よりも丁寧で精密な作業だ。幾分か痛みも治まるかもしれない。

139立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/03/27(金) 00:54:22
>>138
「……!」


女の子は一瞬びくっとしたが、大人しく動かないでいた。
単に硬直しているだけにも見える。


「おおー、おもしれー」


男の子は砂が勝手にひょいひょい離れていくように見えるであろう風景を
興味深そうに見ている。

140朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/27(金) 00:55:44
>>139
(…今の反応は?)
女の子のビクッとした反応を見て、不思議そうな顔になる。
「ごめん…痛かった?」
とりあえず探りを入れつつも砂を払わせていく。

141朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/27(金) 00:56:42
>>140(追加)
(あっちの子は見えてないっぽいし…
 もしかして)
そう思いながらもとりあえず作業を進めていき

「はい!出来上がり」
とりあえず全部砂を払い終えた。

「どうだったかな?
 私の腕前は」

142立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/03/27(金) 01:03:43
>>140-141
「あ、はい……痛く無かったです、ありがとうございます」

「結構血垂れてるな。靴下汚れちまうぞ。洗って来いよ」

「……ああ」


女の子はお礼を言い立ち上がると、水道の方へ歩いていく。
一方、男の子はこそっと朱鷺宮に話しかけてきた。
学習したのか、さきほどとは違い、女の子に聞こえないようなレベルの小声だ。


「お姉さんってやっぱりスタンド使いってやつなのか?」

143朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/27(金) 01:06:28
>>142
「よし、よく頑張った!
 後は…とりあえず消毒だね」
そう言って水道の方へ歩いて行く女の子を見送っていく

「うーん…」
しばらくその様子を眺めていたが…
男の子から小さな声で尋ねられる。

「……君には見えてる?
 それとも…誰かから聞いたの?」
さっきまで反応がなかったのが気になるが…
一応聞いてみた。

144灰羽先里『一般人』:2015/03/27(金) 01:10:36
>>143
「俺は違うけど、うちの姉ちゃんが『スタンド使い』ってやつらしいんだけど。
 それってどうやって手に入れるもんなの?」


小声で返してきた。
男の子は身内にスタンド使いがいるらしい。
遠くで女の子が水道を流す音が聞こえる。

145朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/27(金) 01:14:59
>>144
「はぁ…あなたのお姉さんが…
 どんな人?」
ちょっと興味がわいたようで…
逆に聞き返してきた。

「どうやって…か…」
その言葉を聞いて、とたんに真剣な顔になる。

「場合によっては『死んじゃう』らしいけど…
 それでも聞きたい?」
その顔は脅しなどではない。
本気でそうだと彼に伝えている。

146灰羽先里『一般人』:2015/03/27(金) 01:21:10
>>145
「どうって、なんかアホっぽい感じ?
 中学二年生なんだけどさ。お姉さんも中学生だよな?」


朱鷺宮の真剣そうな顔でそう言うと、
男の子は遠くの女の子のほうをチラッと見る。


「まじかー。死ぬって、やっぱりそういう系なんだな。
 よくやるよな」

147朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/27(金) 01:23:58
>>146
「中学二年生…
 つまりだいたい同い年…かな?
 私とおんなじ年かも。」
なんとなく年齢を数えてから答える。

「そういう系だよ。
 その姉ちゃんを死ぬほど悲しませるくらいの覚悟がなきゃ無理だよ。きっと。」
彼が、チラリと遠くの女の子を見たのを確認する。
「あの子も…そうなの?」
核心めいたことを尋ねてみる。

148立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/03/27(金) 01:30:48
>>147
「そこまで覚悟したわりには使い方がなんかショボいっていうか、
 くだんねーっていうか、俺が知らないだけかなあ……」


女の子は手が滑ったのか、血がついていたので洗ったのか、
ぐっしょり濡れた靴下を片手に困ったように眉毛を下げながら裸足に靴を履いて
こちらに歩いてくる。


「……これは口止めされてるから秘密だけど、そうだよ。
 あいつのは実体化がどうとかで、俺も見せてもらえた」


小声であっさり秘密を漏らしてきた。小学生なんてこんなものか。


「ぐしょ濡れだ。なんかもう遊ぶ気分じゃあ無い……かっちゃんもいないし、今日はもう解散しないか?」


女の子が帰って来たので、男の子はすぐに離れる。

149朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/27(金) 01:34:03
>>148
「…ま、平和なだけじゃないからね…
 悪人なら平気で悪いことに使う。」
そう言って軽く脅しも込めてささやいた。

「実体化…見えてるスタンドってのもあるんだ…
 結構興味深いね」
普通の人にも見えるスタンド…
以外に思いながら女の子の方を見た。

「あ、ああ、そうだね。
 速くおうちに帰って、ちゃんと治療してもらったほうがいいと思うよ。」
ちょっと慌てた感じになってしまったが、気遣うように答える

150立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/03/27(金) 01:39:56
>>149
「しょうがねーな」

「すまんな。また明日、学校でな。
 お姉さんも、色々気遣ってもらってありがとうございました」


女の子は靴をカポカポいわせながら公園を去っていく。


「俺も家でゲームでもするかなー。
 じゃあなお姉さん」


男の子もボールを蹴りながら、別れを告げた。

151朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/03/27(金) 01:42:59
>>150
「ん、まぁがんばんなよ二人共。
 帰り道また転んだりしないように。」
ちょっと年上風を吹かせながら答える。

「本当に切羽詰まった時…
 その時じゃないとダメだよ、スタンドはね。」
聞こえたかは分からないが…
男の子に向けて軽く答える。

「んじゃねー。私も頑張りますカラー」
のんきな感じを見せながら見送っていった。

(…そういえば私って…
 割とそういうこと考えてなかったかなぁ)
初めて『刺青屋』に行った時のことを思い起こしながら、
涙音も帰っていった。

152太田垣良『ザ・サードマン』:2015/03/28(土) 01:15:10
「さて…参ったッスね………」

「…まず、自分は 『落とし穴』 を掘った………」
「そして友人を呼んだ……」

「でも、友人達は揃って『ゴメン俺行けねえわ』『お前の事だし落とし穴でもあるんだろ』と伝えてきた……」


「そして……ここに未使用の落とし穴が残った……」



深さ1m弱、広さ50cm強。ヤシの葉と砂でカモフラ済み。

「……参ったッスね……」
              どーするべこれ。

153ヴァイ『イエスタ・ベルリング・サーガ』:2015/03/28(土) 22:49:11
>>152
「ほっ、ほっ、ほっ」

ここで一般芋ジャージ女性外人がエントリーだ。
どうやらジョギングしているようだが、彼女がこのままいけば、君にすら関わらず素通りだろう。
掘ったきりで使われないより、誰でもいいからハメたほうが苦労も報われるのではないかな……?

154大田垣良『ザ・サードマン』:2015/03/28(土) 23:45:48
>>153
彼女をおびき寄せたい。どうしようか。なにかしら手は無いか…?


…思い…付いた…!


「うわぁぁぁああぁあぁあぁぁぁぁ!」

海に向かって走り…

「ぁぁぁああぁぁぁあぁぁッ」

バッ シャァーン

「アアアアアア溺れるゥ────ッ!」

…浅瀬で溺れたフリをする


善意の女性は自分を助けようとして一直線にこちらに向かう。
その途中に落とし穴にドボン。自分は海から上がってそれを煽る。
…完璧な作戦だ…

「たッたッ助けってェ──!」

155ヴァイ『イエスタ・ベルリング・サーガ』:2015/03/28(土) 23:59:18
>>154
なんて完璧な作戦なんだ……咄嗟の判断からその方法が出ることなんて、普通はないだろう。
これは太田垣という後世の天才策士、その才能の一端に過ぎない!
この作戦であれば確実に成功するはずだ!


もっとも、

   「むっ」   「なんだあいつ……ほい」

  『ビッカァ―――』

      ハメようとした相手が『スタンド使い』じゃなかったらの話だがなァーッ!
女性の右手が『謎の紋章』を発現しながら突如『発光』したかと思うと、
君の服が謎の『引力』によって陸に引っ張られる!

そしてッ!この引力の先はァーッ!

    『ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ』

156太田垣良『ザ・サードマン』:2015/03/29(日) 00:10:58
>>155
フフフこれこそ完璧な作戦……

「…なッ……何っ!!」


       ズル  ズル

  「ヤメローッ!ヤメローッ!」

       「助けないでェェー!」
            「この俺を助けるなァーッ!!!」


    ズササササァ―――――

                     ズボッ

     

    「………あっ…」

157ヴァイ『イエスタ・ベルリング・サーガ』:2015/03/29(日) 00:17:05
>>156

「あっ……」
         『シュン』

――太田垣は――
ケツからずっぽり落とし穴にハマった……。
『策士策に溺れる』という言葉の体現者となり、永遠に黒歴史がベッドの上で蘇り続けるのだ。

そして出たいと思ってもケツからなので、

―金髪のスポーティな外人女性は考えることをやめた。


哀れみの目を持って優しげな微笑みを太田垣に向け、近づいてくる。
『うんうん、わかってる。お姉さん、わかってるから』。
そう、その目が語りかけてくるのだ……。

158太田垣良『ザ・サードマン』:2015/03/29(日) 00:26:42
>>157

「だッ………」

「誰なんだろうナー」
 「こんな所に落とし穴仕掛けた奴はァー……」

落ち着け落ち着け、まだどうにかなる。まだ慌てるような時間じゃない。慌て、あわ、あわわわわ。


「…まったく、ヒドイ奴がいるモンッスね…」
   
  「…そう…思いますよね……?」


…可能な限り、平然とした表情を装い、女性に右手を差し出す。
 …しれっと誤魔化すのだ……何事もなかったかのように……


やべえメッチャ脇汗出て来た。服が濡れてなかったら一瞬でバレてたな……。

159ヴァイ『イエスタ・ベルリング・サーガ』:2015/03/29(日) 00:34:04
>>158

「大丈夫、大丈夫だからね」

とても柔和で穏やかな声だ。慈愛の女神というのは、こういうものを言うのかもしれない。
彼女は左手で太田垣の背後を指さしながら、もう一方の手で優しく太田垣の手をにぎる。


  「『スコップ』、1つ分しかないけど、手伝ってあげるから。
   誰にも言わないであげるから、元気だしてね」


……ヴァイ・シェリフズの2015年で人に優しくした瞬間ランキングにおいて、
この出来事は3月にして堂々の第一位となった。

160太田垣良『ザ・サードマン』:2015/03/29(日) 00:43:43
>>159

「……うううううう………」
「うう、う……違うんです……」

女性の手を借り、穴から抜け出す。

  「違うんです……」

ケツに付いた砂を払い落とす……

   「ちがっ……違うんです…」

手で砂を掴み、穴に投げ込む…

「違うんです……………」


…憐れまれてなんてない。…そして泣いてなんかいない…

「…違………うっ……ううう……」
「ううううう……」

        グスン

                「…違うん…です……」


……みっともねー男である。

161ヴァイ『イエスタ・ベルリング・サーガ』:2015/03/29(日) 00:48:10
>>160

「男の子でしょ、泣かない泣かない……」

     サスサス

女性はあくまで太田垣の味方である。
涙を流す太田垣を見ても、それをみっともないと思わない。引いたりもしない。
ただ、優しく背中をさするだけだ。彼女の手の暖かさが太田垣の背中に伝わる。

「ほら、スコップつかお?手だと時間かかるから、ね?」

……ていうか幼稚園児レベルの扱いされている。その優しさは残酷であった。

162太田垣良『ザ・サードマン』:2015/03/29(日) 01:04:23
>>161

「…はい゛……」

震える手でスコップを受け取った。穴を埋めよう…


   ポロッ

「あっ」

スコップが穴の中に落ちてしまった。


    「ううう……うう…」

 手を伸ばし、拾おうとして……

    ズルッ




「うがァァァァァァァァァァァァァっ」

 上半身から穴に落ちた。地面から足が出ている。
『犬神家の一族』で画像検索してみ?ちょうどそんな感じだから。

163ヴァイ『イエスタ・ベルリング・サーガ』:2015/03/29(日) 01:16:58
>>162

「……えぇ……」

『一人逆シンクロナイズドスイミング』を始めた太田垣に、さすがの女性もドン引きする。
不幸に不幸の上塗り……ツヴァイ不幸……。

「ど、どうしようか……」

このまま再度『イエスタ・ベルリング・サーガ』で太田垣を引っ張り上げようとしてもいいのだが、
そうすると今度は太田垣のズボンがスポーンと空中に飛び出して情けない下半身が晒されてしまうことは明白。

「……しかたない」


      「せーの!がんばれー!せーの!がんばれー!」

足の方を素直に引っ張ることにした。
なお、女性の踏ん張る際に押し出される砂が君の口に入る。パス精CCC

164太田垣良『ザ・サードマン』:2015/03/29(日) 01:35:10
>>163

うんとこしょ、どっこいしょ。それでもバカは抜けません

    「うんがアアアアアアァァっ!!!」  


〜15分後〜


抜けた。砂まみれの濡れネズミの少年が出て来た。耳たぶに蟹がぶら下がっている。痛そう。

「ハアーっ」
  「ハアーッ ハアーッ ゲホッ ゲホゲホッ」

「おエっエエ」


「……うううう…うう…」

地面に座り込んでまた泣き出してしまったぞ。
 丸まった背中が哀愁を誘う。


「……最近…… 何やってもうまくいかなくて
       悪い結果が出続けてる訳じゃないんッスよ……でも、入念にやる程『裏目』に出て……」

「ううう……自分はそういうヤツなんス……何やっても中途半端で……自分に返ってくる…」


なんか語りだした。テキトーに相槌うっときゃ黙ると思う。

165ヴァイ『イエスタ・ベルリング・サーガ』:2015/03/29(日) 01:48:33
>>164
砂と海水がその身体を汚し、哀れな姿になった少年。
それに対して親身になってやらない年長者など、誰も尊敬することは出来ないだろう。

太田垣が語り始める。彼の『人生』――

「うん、うん……(九分九厘『因果応報』だろこのガキ)」

彼の隣に座ってやり、優しく背中を撫で続ける女性。
その手が濡れようと砂にまみれようと、やめることはない。
傷ついたものを癒してやれるのは、『優しさ』なのだ。

「大丈夫だよ、そんなことないよ……
 (そもそもどんな方法でもイタズラしたら報復されるに決まってんだろアホか)」

彼女は決して太田垣に『目を合わせようとしない』が、その優しさは太田垣に届いているはずだ……。

166太田垣良『ザ・サードマン』:2015/03/29(日) 02:10:15
>>165
 ヴァイ女史の心の声のおっしゃる通り、まさしく『因果応報』である。
その辺をサッパリ分かってない所も、太田垣がバカである所以なのだ……


「ウッウッウッ」
「ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…」

「ウエーン」

もはや人目を憚ることなく泣き始めた。
ヴァイの優しさとかなんかその辺のアレはいちおう太田垣に届いてるっぽい感じがする。


年上のおねーさんに慰められながら海辺で泣く少年。横では黒衣の『人ではない何か』がスコップで穴を掘っている。
さながら青春映画のワンシーンだ。美しいね。

167ヴァイ『イエスタ・ベルリング・サーガ』:2015/03/29(日) 02:25:38
>>166
大人の皆様、すみません。子どもはバカではないのです。
失敗を通じて成長していくだけなのです……。


……そしてしばらく経ち、穴も埋められて、陽も傾いて。

「もう大丈夫?」

さすがに泣き止んでいるころだろう。
人は出会い、互いに交差し、そして別れる。
それぞれはそれぞれの世界があり、戻る場所がある。

「立てる?
 もう、こんなことはしないようにね?」

こんなイタズラ小僧を相手に、哀れみから友達になったりすれば、数ヶ月後に性懲りもなくイタズラされることは明白だ。
貴様はそのまま渇いてゆけ……。
とは言えないので、無難な方向に事態を収束させ、そそくさと帰る算段だ。
『優しい』と『現実的』は両立する。こと、女性の心理においてはな……。

168太田垣良『ザ・サードマン』:2015/03/29(日) 02:51:45
>>167

「…はい……ハイ…ありがとうございまス……」

 ゆっくり立ち上がる少年の目には、なんか希望の光とかそういうヤツが灯っているようにも感じる
『更生』したようだ。…とりあえずこの瞬間は。

 横で穴をほじくってたた謎のスタンドも、貝とか蟹とかがいっぱい獲って満足げである。食べるのだろうか。


「それじゃあ、ハイ………失礼しました……」
「…砂場で落とし穴はもう止めるッス……」

 イタズラ小僧は、夕日を背にして帰って行った……

その後、このアホは『ヴァイとジョギングコース近辺で出会う』事は無かった…

 …もしかしたら他の場所でイタズラされたかもしれないが、それは別の話である……
  …あと、この3日後に湖畔近辺で『ロープトラップ』を仕掛けた奴がいたとの事だが、それも別の話……

169朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/03(金) 23:28:46
だんだんと暖かくなってきた黄金町。
それでもまだ肌寒い潮風が軽く吹き込んでくる砂浜…

「はぁー…日も長くなってきたなぁ」
冬の時間の終わりももうすぐと、何だか寂しい気分になっていた。

「どこもかしこもピリピリしてる気がする…
 今はここでゆっくり落ち着きたいな…」
そう言って軽く砂浜の防波堤の上辺りで海の向こうを眺めている。

170嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/04(土) 23:02:16
>>169
「自殺?」

黄昏れる朱鷺宮の背後から、物騒な内容の声がかかった。
周囲に朱鷺宮の他にはいないので、問いかけている相手は朱鷺宮だろう。

「消波ブロックが折り重なっているところは海流ができていてどんどん下へ下へ引きずり込まれるみたいだから、
 自殺する手段としてはけっこう優秀よね」

振り返るなら、そこには君と同じくらいの年代の少女がいる。
笑みを浮かべてはいるが、君に近寄ろうとしていない。
『お先にどうぞ』、と遠慮しているかのようだ。

もしかしたら、同じ学年ということで知っているかもしれない。
真ん中分けの茶色のロングストレートヘアと、人当たりのいい笑顔。
身長も体つきも貧相だが、その性格から彼女の近くでは笑顔が浮かぶ。
君が彼女を知っているなら、そういう人物のはずだ。

171朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/04(土) 23:10:13
>>170
「じっ…?」
突然背後から聞こえた物騒な内容の台詞。
「いきなりなんですか…
 私はそんなつもりは…」
いきなりなんだと思って身体をのけぞらせてのぞき込む

「ん…あなたは確か…
 嵐ノ宮さんですか?
 クラスでしか会いませんからこういう所で会うのは珍しいですね。」
そう言って軽い口調で返事を返す。
彼女とは、友達とまでは行かないまでも
顔を合わせることはよくあった。

(変だなぁ、学校で見かけたときはこんな感じの台詞言ってた…っけ?)
何だか妙な気分になる。

172嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/04(土) 23:26:37
>>171
朱鷺宮の返事を聞き、小首を傾げる嵐ノ宮。
少しの間、波がぶつかって弾ける音だけが響いた後、

「朱鷺宮さんは、よくここに来るの?」

改めて朱鷺宮に質問した。妙な間だったが、会話を継続する気はあるようだ。
無難な話の入り方、とも言えるだろうか。少なくとも、先程よりかはマシのはずだ。

朱鷺宮に自殺する素振りがないと知ったからだろうか、嵐ノ宮は朱鷺宮の横に並び立つように近づいていく。
彼女の足跡を追随するように、一匹の『黒い水鳥』がひょこひょこと歩いている。

     『……「コイツも」、じゃあねェーだろうな』

『黒鳥』は濁った汚い口調で独り言を発した。
『スタンド』だ、と朱鷺宮は瞬時に理解するだろう。

173朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/04(土) 23:33:05
>>172
「んー、よく来るわけではありませんが…
 まぁ、暖かくなると時々こういう海を見たくなる時がありますから」
穏やかな口調で答える。暖かくなると言ってみたくなる場所。ということなんだろうか

(妙な間を開けてくるな…)
妙に気になったのか、様子を確認しようとすると

「…ん?」
黒い水鳥の姿を確認して、何気なくその鳥のいる場所を見つめる。

「え…あ…」
汚い口調で話し始めたその鳥…
(これ…スタンド…?)
すぐに『スタンド』だと直感した。
だが『視えている』かのように振る舞ってしまった以上…
自分も相手から気づかれる…とも思った。

174嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/04(土) 23:45:40
>>173
     『……ハァー。マジかよ』

『黒鳥』を見て反応を見せてしまった朱鷺宮に対して、『黒鳥』はため息をつくのみだった。
攻撃的な素振りを見せるわけでもない。
『そうであると知って、めんどくさいなと思った』――そういう表情だ。

「寒いと海なんか近づきたくないもんね。
 私も暖かくなってきてからここに来るようになったし」

嵐ノ宮はなんでもなさそうに話を続ける。
そうして彼女は君の隣に立ち、背筋を伸ばし始めた。
海風が彼女のロングヘアをなびかせる。もう4月だとしても、海独特の風は肌寒さを運んでくる。

175朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/04(土) 23:54:45
>>174
「え、ええ…
 冬の海はほんとに冷たいですからね…
 夏になったらここももっと人で賑わうと思いますけど…」
時折『黒鳥』を確認しながら返答を返す。

(…あれ、この鳥…
 ほんとにこの人のスタンド…?)
なんにも気にせずに会話しているのを見て、
スタンド使いなのか?と逆に疑問が浮かんでくる。

「あの…見えて…ます?」
軽く鳥のいる場所を指さしてみる。

176嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/05(日) 00:03:49
>>175
朱鷺宮は『黒鳥』を指さし、嵐ノ宮に訊いてみたが、
嵐ノ宮は特別な反応をするわけでもなく、ただ淡々と

「うん」

とだけ返した。
『黒鳥』はめんどくさそうな表情を見せ、再度ため息を吐いた。

やがて『黒鳥』も嵐ノ宮の横に陣取り、『黒鳥』自身の嘴をアスファルトに突き刺したかと思うと、
ぐるりと円を描き出した。アスファルト舗装の突き立てる様子には、アスファルト自身の抵抗は一切見られない。
『水にクチバシ突っ込んで遊んでます』なんて気軽さだ。

177朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/05(日) 00:09:00
>>176
「ああ…スタンド使いですか…」
スタンド使いであることは驚かないが、
ここまで堂々とスタンドを出していることに、涙音は驚いていた。

「ん…?これは…」
鳥のスタンドが見せるその妙な動作を確認する。
まるで水の中にクチバシを突っ込むかのように抵抗なく、アスファルトにクチバシが潜り込むのだ。

「こういう能力…?」
この動作で、何かわかるだろうか…
もう少しじっくり見てみようかと考える。

(まさかいきなり襲ってくるなんて…
 さすがにないよねぇ〜)

178嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/05(日) 00:22:09
>>177
そうして嘴が円の終端に接すると、その円の大きさの『渦』が発生し始めた。
『渦』自体の力は大きさ相応で弱々しい。
『ぞぞぞ』と音は立てているが、波の音にかき消されてしまっているのが物悲しい。

     『あらよっ』
             ポーイ

『黒鳥』は再度嘴を突き込み、『渦』の中から『空き缶』を取り出した。
それを嘴を振って空中に飛ばしたかと思うと、

「せいやっ」

嵐ノ宮の見事なローキックによって、『空き缶』が水平線に向かってすっ飛んでいく。
力強いローキックだ。もちろん『空き缶』は大した飛距離も出ずに海面へ墜落するが、嵐ノ宮はスッキリした顔をしている。
再度、『黒鳥』は嘴を『渦』の中へ突き込む……。

179朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/05(日) 00:26:14
>>178
「…目が回りそうですね…
 なるほど…渦巻きを創りだすのが…能力ですか…」
見たままの印象で彼女のスタンドを予想した。
とはいえ、涙音には彼女のスタンドの本質はわかるはずもないが…

「んん?空き缶が…」
渦の中から現れたのは空き缶…そして

「お…すごい勢いでしたね、今の…
 でもこれだと…ゴミ投棄みたいですね…」
少し残念そうに空き缶の飛んでいった先を見つめた。
渦の様子からは少しだけ目を離していたが…とりあえずもう一度確認する

(…さすがにじっと見てたら危ないかも…)
少し目が回ったのか、ちょっとだけ目を押さえる

180嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/05(日) 00:33:48
>>179
「だから?」

『ゴミ投棄』みたいですね、という朱鷺宮に対して、嵐ノ宮は問い返した。
『黒鳥』はまたも『空き缶』を取り出し、それを空中に投げ、それを嵐ノ宮が蹴って飛ばす。

「ゴミ投棄とか、環境問題とか、そういう『道徳の時間』好きなの?」

再度『黒鳥』は嘴を『渦』に突き込み、『空き缶』を取り出し、

     『そいっ……あ』

『空き缶』の狙いは逸れ、朱鷺宮へ飛んでくる。

181朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/05(日) 00:41:03
>>180
「…いえ、別にそんなつもりはありませんよ。
 まぁ、私はこれくらい気にしませんし」
そう言って普通に返す。
別にいい子ちゃんというわけではないようだ。

「まぁ、他の人に見られたらそう言われかねないですけどねえ」
ちょっと冗談めかして答えるが

ツルッと
空き缶の狙いがそれて朱鷺宮のもとへ飛んで行く。

「ん?」
どうしたのか…と顔を上げたところで

カコォンッ!
「あぐっ…」
空き缶が鳩尾にスカーンと命中した。

「ふ…う…
 とりあえず平気ですよ」
威力が思ったより低かったためか、リカバリーも早かった

182嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/05(日) 00:52:54
>>181
     『ワリーな。
      その無駄にデケー胸で弾くくらいできそうだと思ってたがよ』

『黒鳥』は全然悪びれないトーンで朱鷺宮に謝り、
バサバサと羽をはためかせる。

「それ、消波ブロックの中に落とせばいいよ。
 外した奴はそうやって捨ててるから」

『黒鳥』の足元から『渦』が消え、それにちょっと遅れて『黒鳥』も立ち消えた。
この『缶蹴り』だけが目的だったのか、嵐ノ宮は気分よさそうに身体を捻って背骨を慣らす。
口調自体もどこか柔らかく聞こえる。

183朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/05(日) 00:57:01
>>182
「うう…胸とか…
 狙いがちょっと下じゃないですかこれ。
 まぁ、そういう運命なのかもしれませんが…」
ブツブツ文句を言いながら鳩尾を撫でる。

「そうですか…
 たしかにここだとバレにくいですね。」
ふうと、ため息を付いてから、空き缶をポイっと消波ブロックの隙間に落とす。

「にしても、スタンド…
 口は悪いですけど能力はなかなかのものでしたね…」
渦の中から空き缶が出てきたこと…
さすがにこのことがどういうことなのかは涙音もわからなかったようである。

184嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/05(日) 01:17:56
>>183
「『スタンド』なんて、みんなそれぞれ特徴があるもんでしょ」

何を言ってるの、と言う嵐ノ宮。
腰に手を当て、朱鷺宮を見下ろす。

「人種、性別、趣味、嗜好、恋愛、味覚。
 そういう『多様性』のひとつだから、口が悪くてもいいの」

「例え友人が『同性愛者』だったとしても、それを汚いだとか変だとか思わず、
 しっかり受け止めて友人でいること。『多様性』ってそういうことだから」

朱鷺宮に対して『説教』をする嵐ノ宮。
説いて教える、というのは何も坊さんだけがやることではないが、
彼女の家は寺とか神社とかに縁があると朱鷺宮は聞いたことがあるだろう。

185朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/05(日) 01:22:43
>>184
「…確かに個性様々ですね」
言うまでもないことだった、と涙音自身も思い返した。

「確かに、色々と思うところがありますね…
 友達のどんな部分でも受け止めるというのは一番大事なことでしょうね…」
どこか共感すら感じる嵐ノ宮の言葉。
まるで説法を解くかのような力強さも感じられる。

「…なかなか、あなたの言葉が響くものがあります」
ふと、彼女の家についての噂を思い返した。
神社や寺に縁があるという…この近くの神社かな?
と、軽く思い返した。

186嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/05(日) 01:39:51
>>185
「学校の『道徳』よりも遥かに有意義でしょ?
 アレは見かけだけ『多様性』を認めて固定観念を押し付けてるからね」

ふん、と口元を緩ませる嵐ノ宮。

「だから、自分がどんな運命にあっても卑屈にならずに前を向いて歩くことが大切。
 足元を見て転けないように歩いていたって、突然前の方から何かが襲いかかってこないわけじゃない」

こういうものは実体験がなければ伴わないものだが、不思議と嵐ノ宮にはそれがあるように見えるだろう。
彼女はここのところ、学校を少しサボりがちだ。同じクラスなら朱鷺宮もそのことを知っているだろう。
寺などに縁がある、というのは噂話レベルだ。どこのどういうものに縁があるのかはわからないし、
真偽も定かではない。火のないところに煙は立たぬとはいうが、根も葉もないという言葉もあるのだ。

「朱鷺宮さんはそういうところあるから、ちゃんと前向いて歩きなよ」

とても気分が良さそうだ。

187朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/05(日) 01:45:52
>>186
「うーむ、道徳の授業とかは
 なかなかわかりづらいものですしね…」
これまた確かに、と答える。と言うか道徳の授業は嫌いなのかもしれない。

「卑屈にならずに…
 たしかに最近は前を向くのがいいなと思えるようになりましたよ
 …色々ありましてね」
同意するように答える。彼女の方も『サナトリウム』で5日間入院していた。
そういう話も噂で流れてくるだろう。

「あ、ありがとうございます。
 何だか、褒められた…んでしょうかね」
何だか嬉しそうだ。

そうして、噂話レベルのことを思い返していて…ふと、思い出す。
「そう言えば、最近良く学校休むみたいですが…
 何かあったんですか?」
彼女も5日間ほど休んでいた時があったのであまり人のことは言えないが…
なんとなく気になったのだろうか。質問してみる

188嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/05(日) 09:07:51
>>187
「いや、全く褒めてないし。俯きがちに歩いてるところよく見るから、そういうの危ないよってだけ」

彼女から朱鷺宮へはアドバイスをしているだけだ。
最も、彼女の言う「俯きがちに歩いてるところ」というのは、
朱鷺宮の体質のせいでそうなっているところを見られただけなのだろうが……。

「学校を休んだ日は『探偵ごっこ』をしてる。それだけ。
 卒業には問題ない範囲でしてるから、心配しなくていいよ」

「ごっこっていっても、身辺調査くらいなもんだけど」

朱鷺宮の質問に淡々と答える嵐ノ宮。
彼女の髪やスカートが海風に煽られてはためき、流される。風が出てきただろうか。
朱鷺宮はともかく、嵐ノ宮にはそれを気にする素振りはないようだ。

189朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/05(日) 09:50:41
>>188
「…うつむきがちですか…
 まぁその…落ち込んでるわけではないんですけどね…
 さっきみたいになると心配ということなので…」
ちょっと申し訳無さそうな顔で答える。
先ほどの空き缶が鳩尾にぶつかっていくように
彼女はそういう妙な体質を持っていたのである。

「そうですか。ならば心配ありませんね
 しかし…探偵ごっこですか…」
心配ない…のかは分からないがとりあえず理解できた。
(結構探偵…多いのかな?)
なんとなく、探偵が多いなぁと感じる涙音であった。

ちょっと風が出てきたので、涙音の髪の毛も顔の方に若干かかる。
「っと…身辺調査…
 誰か調べているということですか?」
プライベートな話だろうなと思いつつも、何気なく聞いてみる。
自分のスカートも翻らないように片手で押さえている。

190嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/05(日) 23:02:33
>>189
「高校生の人をちょっとね。
 朱鷺宮さんには『一切関係ない』から」

にこり、と嵐ノ宮は朱鷺宮へ笑いかけた。
なんてことない、『断絶』の提示だ。
「お前に関係はない」としか言っていないが、その口ぶりには「追求するな」とはっきり意思表示が含められていた。
朱鷺宮には朱鷺宮の事情があるように、彼女にも彼女の事情がある。そういうことだろう。

「いい?悪気なくそういうことを聞いたとしても、不快に思う人はいるの。
 プライベートのことを掘り下げようとするのは記者か探偵くらいなもの。
 当然、本人にそういったことを聞くべきじゃあない」

くるり、嵐ノ宮は朱鷺宮に背を向ける。
だが、彼女の話は続く。

「私が機嫌悪い時だったら、たぶん今あなた、私から蹴り食らって消波ブロックに落ちてたから」

楽しそうなトーンのこの一言は、先ほどと同じように……クラス内の彼女からは感じたことのない『攻撃性』が含まれていた。

191朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/05(日) 23:21:04
>>190
「あー…はい…
 わかりました。」
関係ない。まさしくその通りのことである。
それ以上の言及はさすがにまずいと、涙音も感じている。

「完全プライベートな話です…ものね。
 嫌な気分にさせてしまってすいません…」
彼女の言葉を聞いて、申し訳ない気持ちが何となく湧いてくる。
彼女の普段とだいぶ違う様子を見ても…怒ってるなと感じるものである。

「蹴りは…喰らいたくないですね。
 それ以上聞きません。」
スタンドでガードもできるが…
さすがにそういう理由で出せないとも考える。

(結構怒ってるのかな…
 クラスでこんな風になってるの見たこと無いし…)
普段と違う雰囲気を見せているのを見て
内心涙音も不思議に感じているようだ。

192嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/05(日) 23:53:24
>>191
「別に嫌な気分なんかじゃあないよ。
 もしかして、『もしかして怒ってる?』なんて思ってる?」

微かな笑い声が嵐ノ宮から漏れる。
してやったり、なんて言い出しそうな得意げなニュアンスが感じられるだろう。

「朱鷺宮さんって『単純』だよね。
 『国語』が苦手なタイプでしょ。作者の気持ち、わかる?」

朱鷺宮へのからかいは続く。
小馬鹿にしたようなことを言いながらも嵐ノ宮は朱鷺宮へ一歩近づき、
髪を梳く――いや、違う。朱鷺宮の頭を優しく撫でている。

「私は最初から、あなたに『説教』をしてるの。
 もうちょっと他人のことを考えてみて。例えどんな相手だろうと、その人にはその人の人生がある。
 『自分がこれをされたらどう思うか』とか、『こういうこと聞かれたらどう思うか』とか。
 最初はちょっとだけでもいい。そうやって少しずつ他人に気配りできるようになろう」

今度はからかいではなく、慈しむような声。
彼女と朱鷺宮に、歳の差はない。自分の感じたことや体験したことを舌先三寸でこねくり回して、
それに対して反論させないように『誘導』している。スキンシップは人を安心させる効果があるためだ。
『私は助言を施しているんですよ』という体をとりながら、実際はからかっている。
朱鷺宮がこれに対してどう思うにせよ、彼女の撫で方は心地良ということには変わりない。

193朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/06(月) 00:01:59
>>192
「ば、バレた!?」
びっくりして答える。大当たりだったらしい。

「うー…
 確かに気持ちを読み取るっていうのは苦手ですけど…
 小説とかもあまり読まないですし…」
ちょっと申し訳無さそうな様子だが…
ふと、自分の頭が撫でられているのを感じる。
ちょうど頭頂部の2本の飛び出した髪の毛も嵐ノ宮の手に触れられて揺れる。

「他人のことを読み取るのは…難しいですねえ。
 自分も…あんまりズカズカと詳しく聞かれるのは、
 よっぽどのことじゃないと無理かも…」
からかう言葉であることは間違いないのだが…
彼女の話術にはぐうの音も出ない。国語が若干弱い涙音には難しい相手だ。

「いやぁ〜。何だか勉強になってるような気がしますよ。
 気がする、だけなのかもしれないですけど」
頭の撫で方も随分とうまい。チラチラと彼女の赤いメッシュの前髪も揺れている。

194嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/06(月) 00:32:14
>>193
「ふふ、まあぶっちゃけると朱鷺宮さんはそのままでいいよ」

先ほどと言ってることが180度変わった。
くりくりと朱鷺宮の頬を指でつつき、意地悪な笑みを朱鷺宮へ向ける嵐ノ宮。

「人に優しくしたところで、だーれも優しくしてくれないし。
 みんな表面上は優しいけど、肝心なところでは冷たくなる。
 心のなかではどう思ってるかわからない。信じてる人だって、信じられないことをする」

だから、と嵐ノ宮は言葉を紡ぐ。

「だから、『折り合い』をつけていかないといけない。
 人に優しくしておけばとりあえずは周囲から『敵』とは思われないけど、だからといって無防備になったらつけこまれる。
 この辺りの『折り合い』を、ね。
 
            ス タ ン ド
 朱鷺宮さんは『自分の身を守る力』を持ってる分、それを過信してると足元から掬われるよ。
 さっき言った『前を向いて歩く』のは、ずっとじゃなくていい。『俯きながら歩く』のだって、大事なこと」

朱鷺宮へちょっかいをかけていた嵐ノ宮だが、ふうとため息をつくと同時に朱鷺宮から一歩離れる。
言いたいことを言って満足したのか、それともガスが足りなくなったのか。
朱鷺宮は嵐ノ宮ではないので、察することはできないだろう。

「あ、あと朱鷺宮さんってけっこう男子に人気だからね。
 ただ、その……あー。あの変な笑い方やめない?個性的だけど、可愛くはないから……」

これは本音のようだ。

195朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/06(月) 00:38:40
>>194
「んんん…
 そのままでいいのか…変わるのがいいのか…
 何だかドンドンとわからなくなりますね…」
すっかり彼女の手のひらの上で転がされるような気分になる。

「なるほど…部分的にってことでしょうか…
 あなたの言葉がちょっと前向きにさせてくれますね。
 ま、時折俯いてみるのもいいかも…しれませんね。」
惑わされたような気分だが、それでも彼女の言葉からは色々考えさせられることがあった。
すっかり説法を受けたかのような気分に至っている。

「へ、変…ですか?
 うー…そんなに変に笑ってるのかなあやっぱり…」
軽く頭を抱えて思い返す。

「…まぁ確かに、友達以上になる男子は一人もいませんでしたけど…
 しかも笑った途端に…」
覚えがあった。とは言え笑い声そのものに自覚がない…
改善は難しそうだ。

196嵐ノ宮 暁利『トワイライト・オペラ』:2015/04/06(月) 00:57:59
>>195
「じ、自覚ないのか……」

天然モノのフヒラー(造語)か……。
嵐ノ宮は何か関心したように、深い息を吐いた。ため息かも。

「え、えーと……あ、そうだ。
 笑うときに意識して口閉じるとか、それだけですっごく可愛くなるんじゃないかなー……みたいな」

再度のアドバイス……にしては、先のものと比べてやけに自信がない。
笑うことはいいことなのだが、笑った時点で周囲から好感度が下がるというのは、嵐ノ宮にとっても未知の領域なのである。

「私は、今日はもう帰るからー……。
 その、笑顔のトレーニング、頑張ってね」

朱鷺宮から徐々に距離を取っていく嵐ノ宮。
朱鷺宮が別れの挨拶を言った途端に逃げるように歩く構えを見せる。
嫌っているわけではない。マジものの『天然』というのは、彼女は苦手なのだった。

197朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/04/06(月) 01:02:27
>>196
「えー…まぁ…」
天然モノのフヒラーである彼女には普通の笑い方という認識だったのである。
これは難易度が高い

「ん、口を閉じながら笑う…
 なるほど、今後実践してみましょう。」
とりあえず彼女の助言を聞き入れ、素直に試してみようと考えた。

「ええっと、ハイ頑張りますよ。
 あ、じゃあまた会いましょう。」
逃げるように歩き出したのを不自然に思いながらも
とりあえず去っていくのを見て見送っていくことにした。

「フ…ヒ…
 んんん…フヒ…んん?」
彼女はそのまま練習を試みる…やはり自覚なき人間では笑い声の改善など難しかった。
…暫くの間、砂浜方面に変な笑い声が流れ、それが妙な噂につながったのは言うまでもない

198穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/04/07(火) 23:53:23


          『ホォォォ〜〜…』

『ホワタァー!』       ビシィッ

                           『アチョーッ!!』  シュバァッ

「…羨ましいなお前。暇そうで」

ジークンドーの鍛錬に励む人型――『フー・シュニッケンズ』。
そんな彼になど構いもせずにボロボロの文庫本を読んでる。

199穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/04/08(水) 10:03:00
>>198


200ダビデ『シェルフ・ライフ・アンリミテッド』:2015/04/25(土) 01:03:11


  「はーっ」

                       キィキィキィ

      ざぱーん ・・・


                「釣れねー」


  穏やかな波が打つ防波堤に、一人の少年が腰掛けている。
  髪はオレンジ、瞳は緑。肌は白く、目鼻立ちは日本人離れしている。
  というか外国人だ。


             ちゃぷちゃぷ


    「ウーン 餌が悪いのか?」


  水面に垂らした釣竿。
  その糸の先には、一昔前に流行った棒付きキャンディーが結ばれている…。

201スミシー『ザ・ウィズ』:2015/04/25(土) 01:09:45
>>200

   「そりゃあよォーー
    飴で魚はふつう、釣れねーぜ。」

そんな声がダビデの耳に聞こえるだろう。
声の主は、緑髪ツンツンヘアーで赤い眼鏡を掛けたパンクな野郎だ。

         チャプ……

そいつも、釣り糸を垂らしているぞ……

「マッ、絶対とは言わねえけどな……
 魚にも、カワリモンがいるかもだしな。」

と言って、にやりと笑った。

202ダビデ『シェルフ・ライフ・アンリミテッド』:2015/04/25(土) 01:14:21
>>201

    「マジィ?」

                   チャプッ

  眉を傾げ、釣竿を引き上げた。


     「魚の気持ちになって考えたんだけどなーッ…」
     「『もし僕が魚なら』。一発で食いつくんだけど」


        ヒョイ
            ぱくっ

   「しょっぺェーッ!」


  少しオツムの足りない少年のようだ。
  話しかけられたのをイイことに、スミシーの隣ににじり寄ってくる。


   「アンタは餌、どうしてるんだ?」

  スミシーの垂らす釣り糸の先を覗き込む…

203スミシー『ザ・ウィズ』:2015/04/25(土) 01:30:35
>>202

「確かにアメはウメェぜ。
 けどよォ――
         魚はアメなんて知らねえぜ!」


にやりと笑った。

「しかも、野郎どもは意外に警戒心強いからな〜ッ
                警戒されにくいのは……」

                      ウネ ウネ


意外ッ!それは『アオイソメ』!
気持ち悪い虫だが、魚にとってはうまそうに見えるのか?

「生きて、動いてるやつだぜッ! 食いついてくるのはよォ〜〜!!

 ……まっ、俺も『スマホ』で調べただけだけどな。
 アメよりはこっちがいいぜ、きっと。見た目はキショイが。」


そう言いつつ、キショイ虫がうねうねしている『餌箱』を差し出す。

204ダビデ『シェルフ・ライフ・アンリミテッド』:2015/04/25(土) 10:34:03
>>203

                      ウネ ウネ
    うにょうにょ


   「うげェーッ… ホントにそんなの食べるの?
    エイリアンの子どもみてーな見た目だぜ…」


  とは言いつつも、躊躇わずに一匹を引っ掴む。
  男の子らしい怖いもの知らずだ。


    「確かに魚の方の好物は調べてなかったな…
     僕がピーマン嫌いでも、ピーマン好きな人もいるもんな」

       「それと同じか」


  納得したように数度うなずき、再び海に釣竿を垂らす。


    ヒュン
                ぽちょ


    「そんでもって、アンタがくれた餌の代わりに…
     僕の餌をアンタにプレゼント・フォー・ユー!」


  スミシーに向け、棒付きのキャンディーを差し出す。
  交換っこ、ということらしい。

  海を思わせる、濃淡二色の包み紙…
  チュッペチョップスの『ホタテ味』だ。
  嫌がらせではなく、善意のつもりで差し出しているようだが…

205スミシー『ザ・ウィズ』:2015/04/25(土) 15:10:59
>>204

「けど、魚だってよく見てみたらケッコー不気味な見た目だぜ。」

「何考えてんのか分かんねえ、目とか口とかよォー……」


     ウニュ

         ウニュ

「マッ、何考えてんのかわかんねー奴らなりに、いろいろ好みもあんだろうなァー」
「エビ食うやつもいるそーだぜ。」


      ……

      ……

(中々来ねえな……いや、釣りは忍耐だぜ。耐え忍ばねえとな……)


「……ん?」
「お、サンキュ……って、な、なんだこりゃあ……!?」

(ま、まさか餌にするってんで、海の幸をチョイスしたのか? 中々考えてんだな……)

「……にしたって!  見たことも聞いたこともねえフレーバーだぜ、こいつは。」

      「……ウメェのかなァ〜ッ? ちと興味はあるぜ。」

とりあえず包装紙を開けて、食べてみようか……

206ダビデ『シェルフ・ライフ・アンリミテッド』:2015/04/25(土) 17:31:41
>>205


   「アーッ、分かる。魚もキモいぜ。僕、焼き魚がダメなんだ。
    味はイケるけど、焼けた目玉がこっち見てて寒気するんだよぉ〜」

     「あと骨がジャマ」  「やっぱ肉だよなァー、時代は」


  スミシーは包装紙を剥がし、琥珀色のキャンディーを口に含んだ。


      レロレロ・・・
                レロォ〜


  ・・・・・・。

  海水を思わせる僅かな『塩気』と、貝柱の濃厚な『旨み』…
  それを凝縮したような味だ。
  舐めれば舐めるほどあふれ出てくるッ! こいつぁ酒が進むだろう。
  ……キャンディにする意味はあるのか?

     ピロン、と実績解除の音がした気がする。
      海限定のアイテムイベントだったのかもしれない。


  「普段エビを食ってるようなヤツはサァー、さすがに釣れねェよなー」
   「この辺って何が釣れるんだろ?」


  ダビデの方の竿にも、当たりの気配はピクりともない。
  ぼんやりと、揺れる糸の先を眺めながら、誰にともなく言う。

207スミシー『ザ・ウィズ』:2015/04/25(土) 19:26:14
>>206

「オレはべつにヘーキだが、気持ちはちょっとだけ分かるぜ。」

     ベロ


      「……」
      (う、ウゲ。無駄にリアルな味しやがって……)

口に広がる帆立味!
リアルにしても限度がある……ここまでとは。


      ピロン!

(まさか山とか川のバージョンもあるんじゃあ、ねえよなァ〜)

アウトドアが嫌になりそうな実績システムだ……

(いや、分かってて食えばけっこーイケる……のか?)


「さあなァー……たまには、虫食いたくなってくれりゃあいいんだが。」

   ……
      ……

         ……

「色々釣れるはず……だぜ。名前は分かんねえが。」
「お魚図鑑の一冊でも買っとくと便利なのかなァ〜」

(……ちと、眠くなってきやがったぜ。)

いまだ、糸は揺れない。

208ダビデ『シェルフ・ライフ・アンリミテッド』:2015/04/25(土) 23:50:37
>>207

  「チュッペチョップスの海鮮シリーズ、美味いは美味いけど
   しょっぱいのをずっと舐めてると、スゲー喉渇くんだよなァー」

     パキリッ!
                  グビッ  グビッ


  懐から缶ペットを取り出し、封を開け、喉を鳴らして飲む。

  彼のもう片方の手に握られているのは『いくら味』だ。
  どうやらシリーズものとして定着しているらしい…
  この分じゃあ『山の幸バージョン』も、無い話じゃあないだろう。


       ゆら・・・
                      ゆら・・・


  二人分の釣り糸が、波間に合わせて同時に動く。



   「……魚は『海の生き物』だよなー」


  ふと、ダビデがそんなことをつぶやいた。


   「そして僕たちは『陸の生き物』だ」

   「魚は陸じゃあ生きられないし、僕たちも海じゃあ生きられない」

   「でも、僕たちは『海の生き物』を食べる。
    魚も、ミミズとかそーゆー陸の虫でも食べちまう」

   「おかしな話だぜー」

   「お互い、自分が住んでいる場所の外側でも生きられるように…
    魚なら陸で、僕たちなら海で、それぞれ生きられるようになればサァー…
    もっと簡単に、食べ物が手に入るのに、って思うぜ。効率悪くない?」


  独り言のように続けるが…
  どうやら、スミシーに宛てての言葉のようだ。

  スミシーの眠気や、釣果はあまり気にしていない。
  かなり話好きの少年のようだ。釣りよりも、スミシーに話しかけたいらしい。

209スミシー『ザ・ウィズ』:2015/04/26(日) 00:10:26
>>208

「……おんなじ、ショッぺえ食べ物飴でもよォ。」
「『山』の『梅干し飴』は、けっこう自然に売ってるよな。」

         「ブランドまであったりよォ〜」


     グビ…

「何の差だろーなァ……」

逆側に置いていた、スポドリのペットボトルを取って飲む。


ゆら・・・                      ゆら・・・

        ウトウト…


              「……」


「……ン!?
      あ、ああ……まぁ、海の生き物っていや、魚だな。」

川魚とかもいるが、そーいう話じゃないのはスミシーにもわかる。


「……」
「そりゃあ……なんつーかよォ、『逆』じゃあーねえか?」

       「海のもんを食うのに、何で海で生きられねーのか、じゃなくてよぉ。
        海で生きられねーのに海のものだって食っちまうし」 
       
        スミシーは釣り糸を眺める。
        「そのための道具までよぉ……」


「みてえな。自分で言っててよくわかんねーけどさ。」

そう言って笑った。

210ダビデ『シェルフ・ライフ・アンリミテッド』:2015/04/26(日) 00:24:45
>>209


  「ああ、梅は『山』だなぁ。果物系は『山』だ。てか『森』?」

   海にいながら山の話に花を咲かせる。


    「あー……『逆』かぁ。
     外の世界にあるモン食ってる方が変だな」  「確かに」


        ウト・・・



  「……外側の世界に行くのってサー」

    「陸から海でも、母国から海外でも、地球から宇宙でも……」

       「怖くねーのかなー… 特にそこのモンを食ってさ…」


  スミシーの眠気が移ったのか、今度はダビデがうつらうつらと船を漕ぐ。


   「宇宙人って食えるのかな……」


  前髪で隠れてはいるが…
  目は半開きだ。
  手には竿がかろうじて握られているが、もう少しで離してしまいそうだ。

211スミシー『ザ・ウィズ』:2015/04/26(日) 00:58:58
>>210

「だなあ。梅とか、木に成ってるやつらは山のイメージだぜ。
 あと、キノコもな。」

          「森は……イチゴとか、小さめの果物は森かなァ?」


それでもって、たけのこは、里だ。

                           ユラァ・・・
……それにしたって、釣れやしない。
今日は駄目な日か?

「なんだって食わねーと生き残れねー。
 意味わかんねえ物でも食うしかねえ。
 ……って必死こいて食ったもんが案外うまくて、今に伝わってる
                      なんて話は聞いたことあるぜ。」


スミシーは自分のメンタリティが、そーいう『開拓者』から離れたものと知っている。
昔だったら死んでただろうか? それとも毒食わずにすんで、助かったか?

「……タコみてーなのは食えるかもな。」

        ……その時。
                                  『ピク』

動いた。わずかにだが……『ダビデの竿が動いた』ぞ……

212ダビデ『シェルフ・ライフ・アンリミテッド』:2015/04/26(日) 01:27:19
>>211

   「ムァ… ンまー キノコは『山』だな…」

  たけのこも『里』だな…


    「ふぁ……」

                                   『ピク』
      「う、うぉっ!?」


  あくびが出かかったその瞬間、揺れる釣り竿!
  ほぼ反射で手を引き、釣り針を食いこませる!


    「来たぜタダ飯ィー!」
       「ここで会ったが百年目!!」

  最近覚えた変な日本語を交えつつ…

  魚との駆け引きだ…
  糸がけっして切れないように、だが魚を逃がさないように、
  適度な緊張を保ちながら糸を引き、或いは緩め、体力を奪う!


    「そこの、えーと、ニーチャン!」 「網取って、網!」

  どうやら、手伝わせる気が満々のようだ…

213スミシー『ザ・ウィズ』:2015/04/26(日) 01:38:34
>>212

「そーいう話で行くとよォー、やっぱ毒キノコを最初に食ったやつは気の毒だったと思……」

      「ン?」

         「ぉっ!? 掛かった……のかッ!」


      ガタッ!

思わずスタンダップするスミシー!
自身の竿は一旦引き上げて、ダビデに加勢する気満々だ!

「慎重にだぜ! やはり魚ってやつは警戒心がつえー」

      「まして今まさに釣られそうってんならよォ〜ッ!」


         グォォーーーーーーン!!

魚に引かれ、振り回される糸と竿!
逆に竿に引かれて弱りゆく魚!


「網ッ! よし、網だぜ!」

         「ここで逃がしちゃあ男の名折れだぜ!」

スミシーは素早く網を取って、掬い上げる準備だ!

(……にしても、タダ飯? 適当に言ってるだけか? それとも、ウチがビンボーなのか……?)

214ダビデ『シェルフ・ライフ・アンリミテッド』:2015/04/26(日) 23:18:22
>>213


         グォォーーーーーーン!!


  「むぐッ! こ、コイツ……」

   暴れる魚!
   だがその力は徐々に弱まってゆく…

 「サンキュー! よし、仕上げだ!」

    水面に近付いてくる魚影…
    スミシーが寄せた網に近付いた瞬間、一気に引き上げる!


              ざっぱぁぁあ・・・


    「トッタドーーーー!!!」


  雄叫びを上げる… これも必要なものだ。
  ターザンする時に「アーアアー」って言うくらい必要だ。

  さて、釣れたのは…?

215スミシー『ザ・ウィズ』:2015/04/26(日) 23:40:48
>>214

              ざっぱぁぁあ・・・


   「こっ」   
                   「こいつはッ!?」

                                   ピチッ

  ピチッ
        「まさかァァ〜〜〜〜ッ」
 
                    ピチチ!

スミシーはやけに驚いているが、別にたいした魚ではない。
種類は? って言われてパッと出てくる感じでもない……

            「魚……だなぁ。
             こう、魚らしい魚っていうかよォ〜〜」
 
  ピチッ        ピチピチ
にぶい光沢をもつぬめるグレーのウロコ。
無感情そうな目。パタパタ動くひれ……たしかに『魚』ではあるが、それ以上でもそれ以下でもない。


「……食えそうでは、あるな。」

                      ピチッ……

大きさもそんないうほどでかくも小さくもない。
食べるって意味では、ちょうどいいかもしれない……?

216ダビデ『シェルフ・ライフ・アンリミテッド』:2015/04/27(月) 21:31:38
>>215


   「ト、トッタドー…」
                      ぴちぴち

 特に大物というワケではなく、がっかりするほど小物ではない。
 ダビデのリアクションも若干迷いがちだ…


   「ウーン… 大きめなら半分にして、
    手伝ってくれたニイチャンにもあげようと思ったが…」

   「これなら半分にする必要もねーぜ。ハイ」
                              「あげる」


 釣り糸を手繰り、魚をスミシーに差し出している…。

217スミシー『ザ・ウィズ』:2015/04/27(月) 23:00:02
>>216

差し出された魚に気づき、ダビデの顔と魚の間で視線を動かす。
 
「俺に? そりゃ、ちと悪ィ気がするぜ。オメーが食うんじゃねえのか?」

                「俺としては、見返りは求めてねーっつーか……よォ?」

協力はしたが、あくまで善意のつもりだったのだ。
少しばかり、受け取りをためらうが……
「だが、くれるってんなら、もらうもんだよな。
             ありがとよ、エート……」

結局、受け取ることにした。

そういえば、名前を聞いていなかった、と気づいた。
自分だって名乗ってないんだし、当然といえば当然だが。

218ダビデ『シェルフ・ライフ・アンリミテッド』:2015/04/27(月) 23:47:26
>>217


   「ダビデだぜ」 「D-a-v-i-d で、ダビデ」
                             ぴちぴち


 本来なら『デヴィッド』とも読みそうなスペルだ。


   「魚が釣れたより、ニーチャンと話してたことが面白かったからな」
   「魚はあげるよォ」 「ニーチャンの餌で釣った魚だ」

       ひゅっ

 そう言うと、ダビデは釣り糸を竿に絡ませ、踵を返した。


   「僕にはコレがあるしな」 「チュッペチョップス」

      ペリペリ

   「たこ焼き味だぜ」   レローン


 キャンディーを咥え、遠ざかる。そろそろ帰るつもりだ。

219スミシー『ザ・ウィズ』:2015/04/28(火) 00:17:06
>>218

「ダビデ……か。
           『イカす』名前だぜ。」
    
                             ぴちぴち

魚をクーラーボックスに入れた。

「自己紹介を返すが、俺の名は『喜屋武 角』」
「スミシー、って呼んでくれ。」

「俺としてもよォー、マジに楽しかったぜ。今日の釣りは。」

スミシーは歯を見せて笑う。
そして自身の釣竿に再び向かい合う。

「今度はよォ、飯でも食いながらしゃべろうぜ。
                    ……またな、ダビデ。」

ダビデの背中を見送る。もちろん……オゴるつもりだ。
押しつけとかではなく、『しゃべりの礼』として。

220ココロ『RLP』:2015/05/18(月) 23:31:58

                 ――砂浜 


  (……なんで私こんなところにいるのかしら。
          ……学校だってまともに通えない。私、本格的に駄目になってるのね……)


ココロは……再確認していた。
そしてこのままではいけないとも、思う。そう、このままではだめなのだ。


(……でも、変われるきっかけなんかないわ。
 サナトリウム……とかいうのも、結局見つからないし……)

(ま、ま、まさかあの子に騙されてる……?
      い、いいえ、そんなわけないわ。ありえないわ、騙すなんて。
                わ……私の心の汚さ並にありえないことよ……)

鬱々としたオーラを放ちながら、何をするでもなく座っている。
……あまりにも無意味な自分に気づき、演奏を始める……それだって無意味なことかもしれない。
 
 
         +.:♭*♪.♪*
       .♪*     +.:♭*♪.♪*
   :♯゚♪。            ♭*♪.♪*
*:.♪.:。.                    *:.♪.:。.*:.♪.:。.*:.♪.:。.
゚                                  +.:♭*♪.♪*

221癒美『ハーモニー』:2015/05/18(月) 23:46:40
>>220

    ザァン……
            ザァン……

波の音と、ココロの『RLP』から奏でられるピアノの音。
前者は誰にでも聞こえるが、後者は『スタンド使い』にしか聞こえない。
だが、『スタンド使い』であれば、ココロの『RLP』の『音色』と『波音』が合わさって――


     「わぁ〜、ラッキー。砂浜ライブゥ〜〜」

ココロの横、すこし離れたところからのんびりとした声が聞こえた。
さくりさくりと砂を踏みながら、彼女はココロへと近づいていく。

「ピアノ綺麗ぇ〜〜……」

にこにこと穏やかに顔を緩ませながら、一定の距離は空けつつココロへ覗き込もうとする。
ピンク色の少しパーマがかったセミロングの髪に、ガーリィな春ファッションの服を纏い、
いかにも人畜無害そうな様相の女性だ。

222ココロ『RLP』:2015/05/18(月) 23:59:59
>>221

            ビクッ……

(す、スタンド使い……だわ。何がどうあっても……
 …………別に驚くことでもないような気もしてきたわね。たくさんいるもの……)


そして、別段スタンド使い=怖いってわけでもない。
もちろんだが逆もない。

               ――ココロは演奏を続ける。
                    白く細い指の動きに伴って、淡い光を灯す 半透明の鍵盤。


   「……」
 
                   ……チラ

     (よ、よかった……平和そうな人……け、けど、人は見かけによらないというわ。
                  ……今までだって、普通そうな人が悪かったり、悪そうな人がいい人だったり……)

     (そもそも、わ、私が勝手に判断するのがおこがましいのよ。か、会話するのよ……)

  「あ、ありがとうございます……」

ココロはぱちぱちと、緑の、やや吊り上がった目を瞬かせながら、礼を言った。
……海風に揺れるハーフアップの髪は茶色。首にはスチームパンクっぽいヘッドホン。

223癒美『ハーモニー』:2015/05/19(火) 00:15:30
>>222

「えへ、お姉さん可愛いね〜〜。
 ピアノすごい上手だし、かんぺき人間?ですね〜」

ココロの隣に腰を下ろし、ココロの『RLP』を眺める彼女。
光を放つ鍵盤だとか、半透明だとか、そういったことは彼女は一切気にしたふうはなく。

「ピアノもキレイだねぇ。邪魔しちゃってごめんね〜、曲はわからなかったけどすごくよかったよぉ〜〜」

「ね。続き、聴かせてもらってもいいかな?」

へにゃっとした笑顔でココロへ催促する。
イヤミだとか、悪意だとか……そういったものはまったく持ち合わせになさそうな、
悪く言ってしまえば頭の悪そうな人種だ。だが、頭が悪い分、感情表現も素直に行う。
彼女は『ココロの演奏』を聴きたがっている。

224ココロ『RLP』:2015/05/19(火) 00:32:47
>>223

「そ、そんな……かんぺき、だなんて。
          わ、わ、私は……私なんか……違うの。」

小さく頭を横に振る。
……お世辞と受け取っているが、それでもなかなか照れる文句だ。

――なんて。不相応な。
ココロはそういう風にも、思った。
「で、でも…………ありがとう。
 ……き、聞いてくれる人がいると、なんだか、嬉しいし……邪魔なんかじゃあ、ないわ。」

ココロとしては、これは本音だった。
裏表のなさそうな人は安心だし、演奏を聴いてもらうのは、褒めてもらうのは嬉しい。

  
           「……続けるわね。」


         _,.、.-―-.、., ♪ 
       、-''´       `'-.、,_
―--:‐''^ ´   ♪
                             ♪                  _,.、.-―-.、.,
                                            、-''´       `'-.、,_ 
                                       ―--:‐''^ ´

あくまで即興で、それほど素晴らしい曲ではないが――ココロは春をイメージした。
そして、目の前の女性から、芽吹くような……暖かいイメージを。

                    (あ、あくまでイメージよイメージ。)

225癒美『ハーモニー』:2015/05/19(火) 00:57:36
>>224

波の音は変わらず響き渡る。
太陽の柔らかな光が砂浜を包み込み、辺りを穏やかな空気が漂う。

『春』をイメージした即興の演奏。女性の印象も加味して、ふんわりと奏でられる音符たち。
香る、新緑の匂い。芽吹きだす、春の訪れ。和やかに風に靡く、緑一色の草原。
音楽は時として脳裏に映像を生み出すこともある。
ココロは逆に、春のそういった要素をイメージして、演奏した。

女性はただ目を瞑って、ココロの奏でる即興曲を愉しむ。
彼女の膝から4センチほどの『小人』が飛び降り、『四つ葉のクローバー』の傘でふわりと滞空し、
砂浜へと着地した。そして『小人』が両手で砂浜を撫でると、

   ピョコッ  ピョコピョコピョコッ

砂浜のそこら中にちいさな『野花』が咲き始める。
『春紫苑』。ちいさい純白の花びらと、豊かに緑の葉を付けるのが特徴の多年草。
それらが二人を包み込むように、砂浜の一面を覆い始めた。

226ココロ『RLP』:2015/05/19(火) 01:14:40
>>225


                       (……うふふ、なんだか、可愛いスタンドだわ……)

必要以上に狼狽しないのは慣れか、音の海に心を沈めるゆえか。
ともかく、四葉の傘を持ったそれは、とてもメルヘンで、ファンシーで。

               ♭*♪.♪*
       +.:♭*♪.♪*
   :♯゚♪。        
*:.♪.:。.                
    *:.♪.:。.*:.
          ♪.:。.*:.♪.:。. 
                  +.:♭*♪.♪*  +.:♭*♪.♪*
       .                               ♪*     

   ピョコッ  ピョコピョコピョコッ


        「……あら……」

                          (お花、が――?)

ココロは――その光景に心打たれた。
春紫苑の花畑。目の前の女性の……いや、無粋だ。音に浸ればいい……

(……な、なんて。うふふ。
 そこまで出来ちゃいないわ、私……ど、どうしましょう。あっ演奏は続けるわ、あたりまえだけど……)

ちら、ちらと小人に視線。

227癒美『ハーモニー』:2015/05/19(火) 01:31:33
>>226

    ←コクリ      コクリ→


メトロノームのように、ゆったりと左右に揺れる女性。
ココロはそうではないが、彼女は音楽に浸っている様子だ。

ぴょんとジャンプしたかと思うと、『四つ葉のクローバー』の傘に上昇気流でも発生しているのか、飛行する。
そして手近な『春紫苑』の上に着地し、花びらの上に腰掛けた。
『小人』は何をするわけでもなく、ただ左右へ揺れる。
彼女が揺れる方向に合わせて、共に曲を楽しんでいる。

    ←コクリ      コクリ→
    ←コクリ      コクリ→

ココロが彼女から受け取った、『春』というイメージ……それは『正解』のようだった。

228ココロ『RLP』:2015/05/19(火) 09:14:23

>>227

こくり、こくりと左右に揺れる、二人の観客。
思わず、ココロの強張りも綻ぶ。自然な笑顔になる。

  (お花の妖精……って感じだわ。
   この人と同じで、なんというか、平和だわ。 安心……する、かも……)

改めて、演奏に集中する。
……このシチュエーションは、ココロにとって好ましかった。平和で、穏やかな演奏会。


                  ――束の間の安息。

                          . . : :♪
.                         . : ∮ :
           . . . .          . : : : :
         . . : : : : :|ヽ: . .     . : : :#: :
       . : : r‐┐ : C|: : : : . . . :c/⌒: : :
     . : : : d d : : :   : :♭: : : :
   . :c/⌒: : : :        : : :
. : :♪: : : :
 : : :


(……久しぶりかもしれないわ。こんなに、心のもやがないのって……
                 うふふ、い、いいわよね、たまには、こんな風に……)

ピアノに没頭することは――大きくも、小さくも、ココロを平静にさせてくれる。
今だけは、自責も、自己嫌悪も、悩みも、焦りも、恐怖もなく、ただ、音を奏でるココロに……

              (そうよ、今だけは……)

229癒美『ハーモニー』:2015/05/19(火) 21:19:45
>>228

砂浜の演奏会は続く。
一定のリズムで打ち寄せる波と、没頭したココロの素晴らしいピアノ演奏。
そして、弓川 癒美の『小人』によって芽吹いた春紫苑の花畑によって、
――『ハーモニー』が、今ここに生まれていた。

ココロの中から不安感が取り除かれたことによって、殊更、調和は安心感を生み出す。
安心感が生まれた結果、どうなるか。

「……すー」

ココロが隣に目を向ければ、彼女は無防備に寝ていることが窺えるだろう。
スタンドも消えている。本気の昼寝だ。

230ココロ『RLP』:2015/05/19(火) 23:05:33
>>229

音と、空間と、奏者と聴衆で、完成した『ハーモニー』……

   「……?」

                     ――に、混ざる安らかな寝息。


「あ、あら……寝てしまったのね……」


(ど、ど、どうしましょう。
 ……ね、寝てる……のを放置して帰るわけには……)

          (か、風邪ひいちゃうかもだわ……悪い人に酷い目に合わされるかも……けれど、お、起こすのも、何だか、悪いような……)

            〜〜♪
              〜〜♪♪

……子守唄代わりではないが、とりあえず穏やかに、演奏を続けておく。

(どうしましょうどうしましょう……や、やっぱり寝かしたままはマズいわ……)

鞄の中に入れているブランケット(楽譜柄だ。)を思い出したが、演奏中に手は使えない。
おそるおそる、自由な首を傾けて――

                 『こつ』

軽く頭をぶつけてみる。もしこれで起きなければ、起きるまで弾き続けるのもやむなし……

231癒美『ハーモニー』:2015/05/19(火) 23:16:21
>>230

                 『こつ』

ココロは彼女の肩に軽く頭をぶつけ、起こそうと試みる。(こころだけにね)

だが……

「ん……ふすー」
            『ことん』

……逆に、ココロの頭の上に……頭を預けてきた。
電車の中でカップルがよくやってるようなアレだ。相互に頭を預けてるような、ああいう感じ。
恐らく、ここで頭を引っこ抜こうとすると彼女はバランスを崩し……ココロの膝元に真っ逆さま、だろう。
ココロ、大ピンチ!どうする!?

232ココロ『RLP』:2015/05/19(火) 23:29:34
>>231

            『ことん』


              「えっ……!?」

     (なッ、んな、な……)

                   (こ、この状況……って……
                               は、はたから見たら、すごく恥ずかしい……
                                    ……わ、私だって電車で見かけたら、恥ずかしくなる、わ……)

                 テレテレ
 「ど、ど、どうしましょう。
       どうしましょう、どうしましょう……!?」


思わず声に出たが――どうしようもない。
自分が羞恥に耐えれば、この女性が頭をしこたま打たずに済むのだから……


   :♯゚♪。        
*:.♪.:。.                
    *:.♪.:。.*:.
          ♪.:。.*:.♪.:。. 
                  +.:♭*♪.
「…………お、お姉さん……お姉さん……(小声)」

                         :.♪.:。.*:.
                             ♪.:。.*:.♪.:。. 
                                   +.:♭*♪.

とはいえ、いつまでもこのままというわけにも。
演奏はそのまま、ひそひそ声で女性に呼びかけ続ける……

233癒美『ハーモニー』:2015/05/20(水) 00:00:33
>>232

ココロは小声で囁きつつ、演奏を続ける。
弾む旋律に、ココロのハスキーボイスが合わさり……

「ぐう……」

起きない!起きないぞ!
いや、それどころか……

        ス ・ ・ ・

ココロの腰に片手を回し、抱きついてくる!
ヤバいッ!さっきより更に恥ずかしい状況ッ!

……ココロは失念していた。
『子守唄』はどうやって歌うのかを。
ココロは気づいた。
ピアノの優しい音色と合わさって、無意識に『お姉さん』と呼ぶ声がリズムに合わせていたことを。
そして、ココロは理解するだろう。
自身のピアノが、『人を無防備にさせるほど安心できるもの』だということを。

234ココロ『RLP』:2015/05/20(水) 00:24:40
>>233

        ス ・ ・ ・

  「ひ、ひぃい……」

           (どうしましょうどうしましょうどうしましょう……!
                    わ、私、なんでこんなことになってるのかしら……!?)

まさかこんな展開になるとは……
これもまた、ロマンチックな『ハーモニー』がなせる技なのか? 自分のピアノの力もあるなら嬉しいやら何やら……
 
               さっき『電車の中のカップル』が例えに上がったが――
               気分的には『怖くて叫べない痴漢被害者』のが近い!


(そ、それはさすがに失礼すぎるわ私ったら……そ、そうよ、怖いとかじゃあないの……
                し、しあわせそうに、寝ているだけなんだし……これだって、私のせいみたいなものだし……)

そう、それほど怖いってわけじゃあない。
害はなさそうだし……だが、なんかこう、困るのだ!

しかし乱暴に叩き起こすのも気が引ける……もっとヤバ気な男とかならそうするのだが!
                                この女性、無害ゆえに――危険!

(や、やっぱり……起きるまで頑張るしかないわ……)

心を半端に許してしまっているココロがいる!
叩き起こすのはなんだかかわいそう……と思ってしまうココロが!

                                              *:.♪.:。.                
                                                 *:.♪.:。.*:.
                                                       ♪.:。.*:.♪.:。. 
        「お姉さん……お、起きて、起きてちょうだい……」

                     「……起きて……も、も、もう朝……もう終点……よ。
                                そろそろ起きなきゃだめだわ……駄目よ……」    
    
*:.♪.:。.                
    *:.♪.:。.*:.
          ♪.:。.*:.♪.:。. 

なるべく演奏からリズムを外して、体を使って軽く揺さぶりながら声をかけ続ける……

235癒美『ハーモニー』:2015/05/20(水) 00:30:30
>>234

「ん……」

ココロの工夫によって、なんとか半目を開ける女性。
もうひと押し、彼女を起こすために……

>          「……起きて……も、も、もう朝……もう終点……よ。

「終点ッ!?」
         ガ バ ァ ッ!

跳ね起きる女性。作戦成功だ。
ココロは身体を軽く揺さぶっていたおかげで、彼女が跳ね起きた時に肩で頭をガツンとかちあげられる、ということもなかった。

「えっ、今何時……あれ、砂浜?あれ、え?」

困惑する女性。寝ぼけているようだ。

236ココロ『RLP』:2015/05/20(水) 00:51:51
>>235

「……ご、ごっ、ごめんなさい。意地悪な事を言ってしまって……
 終点じゃなくて、ここは砂浜なの。じ、時間はまだお昼すぎなの……ごめんなさい。」

         「……」

             「そ、その……ごめんなさい。
                起こさない方が、よ、よ、よかった……かしら……」

とはいえ、状況が状況だったし、ココロは『起こさない方が危ない』と思う。
……だから起こしてもいい、とは限らないにせよ。


                  ザザ ー  ン

                              ザァーン

流石に――演奏は止めた。申し訳ない気持ちだし、いったん止めたのだ。
波の音だけが二人の間に響く……

        「……」

      (き、気……気まずい……けれど仕方ないことだわ……私が起こしたんだもの……
                いつも私は思い込みで行動してしまうのよ……だ、誰が起こせって言ったの?
                     そもそも、起きるまで待とうとか思ってたのは私なのに、全然待たなかったわ……)

すっかり起こして悪かった的ネガティヴ循環にとらわれつつあるココロ……

237癒美『ハーモニー』:2015/05/20(水) 01:08:22
>>236

ココロの話を聞き、ぽやっとしてた眼が徐々に定まり始める。
そして数瞬の沈黙が流れ――

    「ほんっっっっっっ
        っっっっっっとうに、ごめんなさい!!」

「せっかくピアノ弾いててくれたのに、寝ちゃってた……」

ココロがこの言葉にリアクションを返すよりも早く、しょぼくれる女性。
矢継ぎ早に、謝罪を繰り返す。

「いきなり横から聞きに来たのに、聞いてる途中に寝ちゃうとか!
 すっごい失礼だよね!?ごめんなさい!申し訳ありませんでしたー!」

「『ピアノの演奏』がすっごく良くて!なんだか気が緩んじゃって、ほら、春の陽気で!
 ほんとう、本当ごめんね?ああもうバカぁ〜〜」

頭を抱え込み、反省している様子を見せる。
彼女の中では、ココロとは逆に『寝てしまって悪かった』という気持ちでいっぱいらしい。

238ココロ『RLP』:2015/05/20(水) 01:29:43
>>237

(お、お、怒られる? あきれられる? ……し、仕方ないわよ。私が悪いんだもの……!)

             「えっ」

                    「あ、い、いいえ、そんな……」


「そんな……い、いいの、いいのよ、謝ったりしなくて。
 わ……私は、聴きに来てくれたってだけで……す、すごく、嬉しいし……」

予想外の展開に、面食らうココロだが――その言葉は。

            「……うふふ。
             よ、良かったって言ってもらえるのは、もっと、もっと嬉しいわ。ありがとう。」

とてもうれしいし、失礼なんて思わない。
そもそもさっきの演奏は、ココロの趣味のようなもので。聴衆がいるのがありがたくても、いなくて嫌ではない。

「……だ、だ、だから、謝らないで……」

まして、眠りの理由に、自分のピアノの『安心感』があるのなら――責める理由は皆無だ。
嬉しくて、ちょっと困ったけど、結果はオーライ……なのだ。

239癒美『ハーモニー』:2015/05/20(水) 01:41:04
>>238

「ううっ……完璧、完璧に良い人……」

ココロの対応に、じわじわと涙まで出てくる始末。
目をごしごしこすって涙を消しながら、改めてココロに目を向ける女性。

「ねぇ、私は『弓川 癒美(ユミカワ ユミ)』って言うの。
 『ともだち』になろ!ね!」

ココロの手を取って、笑顔を向ける。
彼女の頭上には先ほどの『小人』が立ち、うんうんと頷いている。
周囲には『春紫苑』が風に揺られ、砂浜を緑に染めている。
(先ほど彼女は「砂浜?」と言っていたが、野花がどこに生えているのか、という情報フィードバックのことだろうか)

「わたし、もっとあなたのピアノ聴きたい!
 音楽のことぜんぜんわかんないけど、いいかな?」

小首を傾げながら、ココロへとお願いする癒美。

240ココロ『RLP』:2015/05/20(水) 01:57:13
>>239

「ち、ちっ……違うわ。私は……完璧にいい人なんかじゃあないわ。
 むしろ、すごく……駄目で、自分本位な……そんな女なの……」

      「そ、それでも――」

              「それでも、とっ……友達になって……くれるの……?」

ココロは、俯きがちにそういった。
自分への自信のなさが、春の明るさに照らされ、浮彫りにされそうな――そんな気持ち。

「あっ私は……ココロ。
 水溜 意(みずたまり こころ)……よ。」

「わ、私のピアノなんて、へっ、へ、減るものでもないし……むしろ、聴いてくれる人がいたら、すごく嬉しいのよ。
 だから……ええ、音楽に詳しいかなんて、全然、関係ないことなのよ……だ、だから。」

              「……だから、私は、私は。
                       友達に……なりたいわ。」

けれど、自分の意思くらいは、ちゃんと言いたくて、言い切った。
癒美の顔を見て、反応を待つ。

241癒美『ハーモニー』:2015/05/21(木) 00:46:01
>>240

「ふふっ、じゃあ私たち友達ね!」

きゅっとココロの手を両手で覆い、花のような笑顔をココロへ見せる癒美。
ココロの手に伝わる、じんわりとした心地良いあたたかさ。

「ココロちゃん、これからよろしくね?」

一陣の風が吹き、『春紫苑』が賑やかに風に揺られる。
春は出会いの季節。友だちが増える季節なのだ。

242ココロ『RLP』:2015/05/21(木) 00:53:59
>>242

「……〜〜っ……」

           ジワ……

                   「……ええ! こちらこそ、よろしく。癒美ちゃん。」

ココロは花のように、満面の笑みで応えた。
そう、春は出会いの季節。ココロにも、よき出会いがたくさん、訪れる季節……

           (そうなれば、いいのだけれど……)

……不安は春風に乗せて、どこかに行かせてしまいたいものだ。
ともかく、今日は……いい一日だ。

243ココロ『RLP』:2015/05/23(土) 00:37:51
                          ――砂浜  

サンダル履きの足先を、寄せては返す波が濡らす。
海風が茶色の髪を揺らす。緑の瞳は海の向こうを見る。

「……ふう……」

そんなココロは今、ほんのりと上機嫌だ。

        ……もっとも他人の不機嫌とそう変わらないようなオーラだが。
           まあ、見る人が見ればわかる程度には、上機嫌なのだ。


            (……で、でも、嫌な気分よりは良い気分の方が、良いに決まってるわ。
             ……そういえば、この上機嫌を私だけで独占するのもなんだかケチだわね……)


                          . . : :♪
.                         . : ∮ :
           . . . .          . : : : :
         . . : : : : :|ヽ: . .     . : : :#: :
       . : : r‐┐ : C|: : : : . . . :c/⌒: : :
     . : : : d d : : :   : :♭: : : :
   . :c/⌒: : : :        : : :
. : :♪: : : :
 : : :

それを演奏に――RLPのメロディに乗せて、海に向けて。

244鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/23(土) 01:29:03
砂浜にもう一人人影があった。
和服に身を包んだ背の低い少年だ。
和傘で日を避け、手に風呂敷を持っている。
ざくざくと草履で砂浜を歩いている。足取りは軽い。機嫌がいいのだろう。

「暑いけど、エエ天気やし、良しとせんとねぇ。」

鈴元はどこからか綺麗なメロディが聞こえることに気付いた。
一般人には聞こえない音だが鈴元はその音を聞くことが出来る。
彼がスタンド使いだからだ。

「え?んー?ピアノ?」

音のするほうに人影がある。

(どんな人が弾いてるんやろぉ。)

見に行ってみよう。
肩まで伸びた黒い癖毛を揺らし、鈴元は演奏者へと近づいていく。

「お上手ですねぇ。」

245ココロ『RLP』:2015/05/23(土) 01:48:45
>>244

演奏者は――茶髪をハーフアップにした女性、いや、少女だった。

            鈴元より一回りか二回り、高い背丈。細身だが、女性的な体つき。
            クリーム色のサマーセーターに、もえぎ色のフレアスカート。

「……え、あ……」

彼女は――ココロは、声に振り向いた。
黒っぽい緑の瞳を灯す目が、少しつり目気味の――美人、と言って差し支えなかった。

            ……首にかけたスチームパンク調のヘッドホンは、あるいはミスマッチに映るか。
               あるいは。

「き、聞こえる……し、見、見えるのよね、私の『RLP』……が……
               ……あ、ありがとう、褒めてくれて……う、嬉しいわ。」

微笑む彼女の、その手元――色とりどりのポップな指輪に彩られた白く長い指。
それが絶え間なく叩き、音を奏でる、『鍵盤』のビジョンの方が、気になるか。

「お……お散歩? そ、それとも、釣り、とか……?
      邪魔だったらすぐどくわ、ごめんなさい……」

やけに卑屈というか、ネガティヴなオーラが、気になるか。

246鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/23(土) 02:10:25
>>245

「……」

少女の姿を確認すると、鈴元は息を呑んだ。

(べっぴんさんやぁ。)

色々あって女性と話す機会が増え、女性慣れもしてきたかと思ったが
完全というわけでも無いのかもしれない。
ヘッドホンは鈴元にとって美しさの一部になり、違和感を感じさせる物品ではなかった。

>「き、聞こえる……し、見、見えるのよね、私の『RLP』……が……
               ……あ、ありがとう、褒めてくれて……う、嬉しいわ。」

「『RLP』?そういう名前なんですかぁ。ちゅうか、お礼言われる事してへんよぉ。事実やし。」

にこりと笑って話す。
ふと、ココロの手元に鍵盤を見つけた。
光る鍵盤だろうか。

(手ぇも鍵盤も綺麗やなぁ。エエなぁ。)

>「お……お散歩? そ、それとも、釣り、とか……?
      邪魔だったらすぐどくわ、ごめんなさい……」

「まぁ、散歩?ですねぇ。あぁ邪魔やないですよ。」

やわらかくココロに話す。
相手の目を見てゆっくりと話す。

「あの、もっと聞かせてもらえへんやろか。その、素敵やから。」

247ココロ『RLP』:2015/05/23(土) 02:52:22
>>246

「じ、事実……って、う、うふふ。
      ひ、人を褒めるのが上手なのね……そ、そう、この鍵盤が『RLP』……よ。」

半透明の鍵盤……だ。
ココロの指が、それを叩くとき――淡く、やわらかい色の光を灯す。

             (べ、べた褒め……お、お世辞――とかじゃないわよね、ええ。
              私ったら、な、何も疑う理由なんて、ないのよ。意味もなく疑うのは最低だわ……)

         アセ……

 (ま、真っ直ぐな目だわ……!)

初対面にいきなり目を見られるのは少し焦るが……そう、目で見て話すのは大切なのだ。

       「すぅ……」    ハァーー

小さく息を吸い吐きする……

「……ありがとう。それじゃあ……続ける、わ。」

そして、演奏を続けるのだ。 
           ∧                                  
          γ   `ヽ
         <  ♪  >
           ゝ   _ノ  ∧
            ∨  <♪>
                 ∨
                        ∧
                      <♪>
                        ∨

先ほどよりも、アップテンポな――即興のメロディー。褒められて気分がいいのもある。
あるいは、元から気分がいいのも、多分に。

248鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/23(土) 03:18:27
>>247

「思うた事、言うただけですから。」

「『RLP』鍵盤のスタンド。綺麗やわぁ。」

(あんさんも、て言うのははずいわなぁ。)

砂浜に腰を下ろし、演奏を聴く。

演奏するココロの姿を鈴元はしっかりと見ていた。
というより見とれていたのかもしれない。目を離せなかったのだ。

(凄い集中してはるわ。)

和傘をココロの方に傾け、日陰に入れる。
別に意識したわけではない。自然とそうしていたのだ。

(やっぱり練習してんねやろなぁ。)

静かにただ曲を聴いていた。

249ココロ『RLP』:2015/05/23(土) 15:45:47
>>248

(あ、か、傘……すごく、よく気が利く人なんだわ……わ、私とは大違いね。
                 ……ここで会う人って、すごくいい人ばっかりな気がするわね……)


                          ――7分ほど、演奏は続いた。


          _,.、.-―-.、., ♪
       、-''´        `'-.、,_
―--:‐''^ ´   ♪
                             ♪                 _,.、.-―-.、.,
                                            、-''´         `'-.、,_ 
                                       ―--:‐''^ ´


               ダァーーーン  ……

                          『ピタ』


          「……ふぅ……」


――指の動きが止まって。
                 ……それから鈴元を、見て。

    「え、ええと、その……」

                 「あ、ありがとう。
                  そ、その、傘……そ、それに、ちゃんと、聴いてくれて……」

             『ニコ……』

柔らかく微笑む。どこか不安げな色こそ、しみついたように残っているが……

「すごく、嬉しい……わ。
 誰かに聴いていてもらうって、とても素晴らしいことだから……!」

静かに、最後まで……確かに自分の演奏を聞いていてくれていた。
それは、演奏者として、とても誇らしいことだった。

                   「……あ、ご、ごめんなさい、なんだか興奮して……」

すぐに、高揚感が表情から引いていった。

250鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/23(土) 22:31:52
>>249

「傘ぁ?あ。別にエエんですよぉ。素敵な演奏でしたわぁ。」

片手で傘の柄を叩き拍手の代わりをする。
風呂敷は膝の上だ。

ニコッと相手に微笑み返す。

(なんや元気ない笑顔やなぁ。)

店や家で多くの人と話すが
彼女のような笑顔をするものは見たことがなく、珍しい表情だとも思う。

「別に、気にすることやあれへんよぉ。そんだけ真剣で真摯に向き合っとる、エエ事ですぅ。」

自分が演奏のリクエストをした、というのもあるが
最高の演奏を適当な姿勢では聴く気にはなれなかったのだ。

「センセの演奏みたいやったなぁ。ピアノ、始めて長い?」

技術は時間と密度で作られる。
少なくとも鈴元はそう思っている。良い演奏は長い時間、濃い密度の練習から生まれると考える。
どちらか一方だけでも十分上手くはなる、とも思うがベストなのは長く濃い練習とも考えている。
ココロの演奏はそういう質の高さを感じたのだ。

「あ、エエ演奏聴かしてもろたし、お礼せんとなぁ。」

思い出したように風呂敷を砂浜に下ろし、片手で風呂敷を解いていく。
プラスチック製のタッパーが現れた。
上に爪楊枝が入った三つほどある。

「ウチの家、和菓子屋でねぇ。新商品出す前に試食させてもらえるんやわぁ。」

「どない?味も質も保証しますわぁ。」

251ココロ『RLP』:2015/05/23(土) 23:50:31
>>250

「あ、あ、あ……
      あ、ありがとう……」

               テレテレ
                      (べ、ベタほめ過ぎて怖いわ……う、裏があるんじゃあ……?
                       ……ほ、ほ、褒められてるのに文句なんて、私も偉くなったものね…………)


ココロという人間は面倒で、自意識過剰なのだ。
ガンガン褒められるのはいいのだが……なんともこう、むず痒い。

                          ……意識はしてないが、異性だからというのも裏を感じる一因だ。

「あ、ええ……もう、10年すこしになるかしら……
      ……ずっと、ピアノだけは……続けているの。けど、せ、先生なんて……照れるわ。」

先生――というのは事実なのだが、あえてそれを言うことはしない。
それを誇らしく思っているのも、事実だが……

       「?」

              「お、お礼――って。
                  そんな、わ、わ、悪いわ。勝手に演奏してたのに、私……」

(そ、そ……それに、食べ物だわ。し、知らない人の手作りスイーツよ……
                        ……で、でも、食べなきゃ疑ってることばれちゃうわ……)

                   (そ、そしたら、きっとひどい目にあわされるに違いないわ……こ、ここは海。
                    死体の捨て場所には、も……もってこい……ひ、ひぃ……も、妄想にしたって失礼すぎるわよ……)

「わ、和菓子……」      「な、な、何かしら……かしわもち……ご、5月だし?」

などと言いつつ、とりあえず何なのかを確認はしてみるココロ。
さすがに断るにせよ、まったく取り合わないのは失礼では――と考えたのだ。

252鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 00:09:51
>>251

「10年?へぇ。長いことやってはりますねぇ。」

(僕いつから和菓子の修行してたっけ?)

張り合うつもりは無いが自分に長い間やっていることはなにかと考える。
家のことしか出てこないことに少し残念な気持ちになった。

「エエんよぉ。ホンマにお礼の気持ちやし。
        
              ……毒とか入ってへんでぇ?」

毒の有無は彼がよく言う冗談だ。
毒など入っていようものなら彼は死ぬだろうし
犯人はその菓子を作った身内の誰かということになる。
よしんば入っていたとしても死ぬことは無いレベルだろう。

「ん?せやねぇ。開けたら分かるわぁ。」

ゆっくりとタッパーのふたを外す。

中に入っていたのは三角形のういろうであった。
白いものと緑のものが二つずつ。
その内二つ(白緑ともに一つずつ)は上に細かく切られた小豆が乗っている。

「水無月と普通のういろう。どうですぅ?毒が心配やったら僕が先食べますけど?」

ニヤリと笑い相手に聞いてみる。

253ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 00:44:06
>>252

「ええ、け、けど……長いだけで……」

             「……」

                    「い、いいえ。ごめんなさい。ええ、長いのよ……」

自虐も過ぎると嫌味になる。
ココロも、本気で『長いだけ』などと思っているわけではない……

「ど、ど、どッ……そ、そんな、そんなこと……!」

           (み、見透かされて――)

たまらなく申し訳なく――そして、いたたまれなくなった、が……

                パカッ


        「こ、これっ……」

                          「……う、ういろうっ……!」

         パアァ……!(光が差すSE。)

タッパーの中に鎮座する、四つの三角形。
ココロはそいつを知っている……『ういろう』だ! 小豆が乗ってるのは『水無月』!

(な、何で……ど、どうしましょう、どうしましょう……!?
            ど、毒……なんて入ってないわよね!? は、は、入ってたらこんなこと言わないわよね……!)

「い、いいいえっ……いただくわ。」

楊枝で緑の『ういろう』を突き刺し、左手を受け皿にして口へ運ぶ……
その目はいつになく、輝いていた。

254鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 01:13:38
>>253

(別にそんな意味でいうたんやないんやけど……)

これ以上の問答は無用と思い、口出さない。
相手の発言を遮ってまで持ち上げるのはいやらしい。

> 「……う、ういろうっ……!」

「いや、ういろう好きなん?」

顔を見れば好きかどうかは分かるが一応聞いてみる。
話の広がりがあればいいなぐらいの気持ちだ。

>「い、いいいえっ……いただくわ。」

「はい。おあがりやす。」

緑はおそらく抹茶が練りこまれているだろう。
鈴元は白の水無月を食べる。

(おいし。お兄ちゃんどんどん美味しいの作るようになるなぁ。)

兄の腕前上達を感じる。
店を継ぐのだから気合が入っているのだろう。

(そんな子供みたいな目ぇせんでも逃げへんで。)

くすりと笑ってしまう。
不快なことをしたかと相手の顔色を伺う。
水無月はまだ口の中だ。

255ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 01:30:17
>>254

             モッチャ
       
                     モッチャ

餅。ようかん。ゼリー。
違う。ういろうだ……ういろうの、独特の食感だ。歯にねばりつくような!


    モッチャ……
 
                   ゴクン

       「美味しい……」
「え、ええ……大好きなの。ういろう。」

                    「食感が……味も、好きだけれど……」

       パク

二口目をかじった。
……しばらく、無言でういろうを食べ続ける……
         
                       モチャ……

                                     「……んぐっ……!?」

(の、の、喉に……のどに詰まった……わ!!)

肩にかけたカバンから水筒を取り出そうともがく……

256鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 01:47:40
>>255

「変な感じしますよねぇ。」

食感のことだ。
他意はない。

>「……んぐっ……!?」

(どないしはったんやろ。)

(あ、喉つまらせてはる?)

こんな所で窒息死されるのはよくない。
警察の処理だとか色々面倒だし、なにより好意に甘えて死なれるのは嫌だ。

(カバンの中、に水筒とか入ってはるんやろか。)

初対面の相手のカバンを触るのは気がひけるが
人命救助のためなら許してもらえるはずだ。
もし人に見られたくないものを見てしまった場合は、責任を取ろう。

相手のカバンをまさぐり水筒を取り出せたら渡そう。

257ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 02:04:27
>>256

           ガサゴソ

カバンを漁る鈴元。

                ……水筒はすぐ見つかった。
                   ステンレスの魔法瓶で、淡い黄緑色。

「……!」  コクコク

目元に涙を溜めつつ、受け取るココロ。

          キュ  キュ ……

                     ごく   ごく    ごく

蓋を開け、喉に流し込む……あまりお上品ではないが、命の瀬戸際。

      「げほっ」

                 「げほ……っ!」


      「ごっ、ご……ごめんなさっ……」

                                「ゲホッッ」

……助かったようだ。
余計なものも、見ずに済んだ。……裁縫箱? らしきものがあったくらいだ。

「……ごめんなさい……よ、よく噛まなかったの……そ、それで……
                     う……ういろうは、何も悪くないわ、す、すごく、おいしくて……」

ういろうの弁護を始めるココロ……

258鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 02:17:03
>>257

「大丈夫ぅ?ホンマ、びっくりしたぁ。」

ういろう窒息事件で鈴眼に抗議の電話がかかることは防がれた。
そしてういろうで死ぬというなんともいえない死も防がれた。
ほっとして気が抜ける。

>ういろうの弁護

「え?あぁ、よう噛まんとねぇ……ふふっ。や、おいしい言うてもらうんは嬉しいねんけど……ふふふ。」

何を言うかと思えばういろうの弁護だ。
なんとなくシュールさを感じ、思わずふきだしてしまう。
ういろうは腹内におさまっている。口から出たりはしない。

「ういろうも、あんさんも悪ぅないやろぉ……ふふっふふふ。」

若干ツボに入ったのかもしれない。
口を押さえて静かに笑っている。

259ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 02:35:18
>>258

「ご、ごめんなさい……びっくりさせてしまって……」

                       「な、情けないわ……私……」
ばつが悪そうに俯くココロ。
                         ――水筒からは紅茶のような香りがする。


(わ、笑われているわ……あ、あたりまえよね、ええ。
 ういろうで死にかけるなんて……で、でも本当に危なかったのは事実だし……)

「……あ、ありがとう。
      ……そ、そうね、別に私も悪くはない……わね、ええ。」

                    「……あ、貴方には、迷惑をかけてしまったけれど……」

やはりばつが悪そうに、楊枝を白の水無月に刺す。
……食べるつもりのようだ。

「あ、ご、ごめんなさい。
 今度は詰めないようにするわね……」
                             (わ、笑いすぎじゃあないの……?)

260ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 02:43:38
>>259(訂正)
水無月の色:白→緑

261鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 03:01:11
>>259-260

「や、エエんよぉ。人命救助は、迷惑やないですから……ふふっ」

なかなか笑いが止まらない。
時折深呼吸しているが、なかなか収まってくれないようだ。

「すんません。あぁ、次どうぞ……」

やっと収まってきた。
大きく息を吸い、吐く。

「ホンマにすんません。なんや、あんさんがういろうの弁護するとは思わんくて。」

不快にさせたかと思い弁解する。
笑った表情が張り付いたままだが…

「なんちゅうか驚いて……ピアノ上手やしモデルさんみたいな人が、ういろうの弁護て……」

「あんさんエエなぁ。おもろいわぁ。あ、エエ意味やで?」

一応注釈しておく。
人間として面白いと純粋に思う。
魅力的といってもいいが、恥ずかしいのだろう。
食べかけだった白い水無月を手に取り口に入れた。

262ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 03:16:59
>>261

「ありがとう……い、い、いただきます……っ。」

           モチャ
                モチャ
                     モチャ……

先ほどより噛む回数を増やしたココロ。

                     (さすがに二回は笑い話にもならないわ……)


   ……ゴクン

その甲斐あって、問題なく食べ進める。

(う、ういろうの弁護……?? な、何を……あっ、さ、さっきのこと?
                    ……た、確かにういろうを弁護したわね、私……)

「も、モデルだなんて……あ、あまりほめ過ぎないでちょうだい……」

照れるが、まあ、言われたことはある。
……二口目をかじる。

                     ……モチャ モチャ

(……それにしても家が和菓子屋っていいわね……毎日ういろうが食べられるの……?
                     ……べ、べつにそういうわけではないわよね。それに毎日はさすがに飽きるし……)

263鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 03:38:58
>>262

「ほめ過ぎですかぁ?なんやすんません。」

もそもそと水無月を食べ終わる。
ういろうが残った。

「これ、貰いますねぇ。」

白いういろうを楊枝にさし、食べる。
ゆっくりと味わうようにかみ締める。

「外で和菓子食べるんもエエなぁ。普段は余りモンをもろてるし。
                 まぁ、余りモンも普通のヤツと変わらんねんけど。」

(モデルさんねぇ。あ、ミスコンに参加してもろたら盛り上がるやろか。)

部長から参加者の勧誘を頼まれていたのを思い出す。
別に目に付いた女性を全員勧誘して来いとまでは言われていない。
集めなくてもペナルティはないだろうし、急ぐこともない。
色々と考えているうちに二口三口と進んでいき
気がつけば自分の分は消えてなくなっていた。
手を合わせる。

「ごちそうさまでした。」

「どうです?美味しかったやろか?」

264ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 13:55:54
>>263

「あ、謝るようなことじゃあ、ないの……ご、ごめんなさい。」

           モチャ
                    モチャ

        ……ゴクン

「……あ、ええ。どうぞ。
 ……わ、私のじゃあないもの。ええ。」       「……そうね、なんだかピクニックみたいで……楽しいわ。」

                 (……や、やっぱり余り物をもらえるのね……け、けど、けどよ?
                  ……私がそんな立場なら、きっと食べ過ぎて太ってしまうわ……この人は自制が効くのね……)

どうでもいいことを考えるココロ……
いやココロ自身には死活問題なのか? 太ることは……

              モチャ

                モチャ

                       ゴク ゴク

水無月と水筒の中身は、順調に消費されていき……

「……ごちそうさまでした。
 ええ、すごく、すごく……おいしかったわ。ほ、本当に……よかったのかしら、こんなものをいただいて……」

自分の演奏につりあっていただろうか?
いや、決して演奏を必要以上に卑下するつもりはなく――それだけ美味しかったのだ。

265鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 14:27:39
>>264

「外で食べるとお茶会みたいやなぁ。」

うんうんと相槌をうつ。
ココロの考えに感づきもせず。和菓子をほお張る。
実に幸せそうな顔だ。本当に好きなのだろう。

>「……ごちそうさまでした。
 ええ、すごく、すごく……おいしかったわ。ほ、本当に……よかったのかしら、こんなものをいただいて……」

「きれぇな演奏聞かしてもろたし。そのお礼。エエお菓子はエエ人が食べたらエエんよぉ。」

(そのエエ人に、僕が入ってるとはおもわんけどね。)

懐から名刺サイズの紙を取り出す。
そこには彼の店について書かれている。
相手のほうから読めるようにして手渡す。

「これ、ウチんとこの店の住所。
 六月入ったらういろうも水無月も置きますから、ごひいきにぃ。」

砂浜で三つ指をついて礼をする。
彼女の演奏に、そして和菓子をほめてもらったことへの礼。
『鈴眼』という店の看板を背負う一員としての礼。

(礼儀正しい人やわぁ。育ちがエエんやろか。ピアノっていうんもお嬢様っぽい?そうでもないかな?
こういう人もミスコンに必要かなぁ。 ちょっと相談してみよかな。)

聞いてみるだけならタダだ。
参加するのもタダだが……

「ところで、モノは相談何やけどぉ。」

「ミスコンとか興味ありますぅ?」

266ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 14:55:58
>>265

(……あ、そ、そうね。お茶会の方が合ってるわね。
      ……ピ、ピクニックだなんて、気取ってると思われたかしら……)

ピクニックというには『洋』が足りないか。

「あ、え、ええ……それなら、よかったのだけれど……
          ……あっ、ありがとう。きっと今度、買いに行くわ。贔屓にするわ!」

名詞を受け取り、熱っぽく言った。
ココロが今まで愛食してきたのはDIONモールの菓子売り場の品だし、満足してたが――

              (こ……これからはもう、きっと満足できない。
                  私、ここのういろうでしか満足出来ない体にされたんだわ……!)

                             ――『鈴眼』のを食べて、味に目覚めたのだ。

「本当に……贔屓にするわ、だ、だから、そ、その……
          ……あ、あまり、そんな、か、かしこまらないでちょうだい……」

とはいえ三つ指つかれるのはさすがに恥ずかしいし、申し訳ないし、いたたまれない。
慌てて制止するココロ。

        「そ、相談? 何かしら、私にできることなら――」

                            「……み、ミスコンっ!?
                             ミスコンってあの……みんなの前で水着とかで出てくるやつ……?」

なにやら妙な理解があるようだ……

267鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 15:17:58
>>266

「よろしゅうお願いします。」

声色から相手の気持ちを感じた。
どうやら満足してくれているようだ。

「あんさんがピアノ褒めてもろたら嬉しいんと一緒ですよぉ。
               ウチらは店の味を褒めてもろたら嬉しいんですぅ。」

何代も続いた店の味に誇りがある。
自分が作ったわけではないが、自分のことのように嬉しいのだ。
美味しい菓子を出してこその和菓子屋。
味を褒められることは最高の報酬である。

>ミスコンってあの……みんなの前で水着とかで出てくるやつ……?

「み、水着ぃ?」   「着たいんやったらエエんとちゃいますぅ?スタイルええし。」

チラシ(下記)を取り出し、見せる。
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1395590726/581-582

「ウチも協賛しとってねぇ、商品券一万円分のを出してんのよぉ。」

協賛については運営への協賛希望の書類を出した事実のみ知っているので
細やかな部分は違っているかもしれないが、おおまかにはあっているだろう。

ミスコンのルールは見てのとおりだ。

「どないやろぉ?」

268ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 21:56:25
>>267

「……! そう、よね。
        自分が本気でしていることを、褒められたら……嬉しいのは、ふつうだわ。」

(……だ、だからって三つ指までつくのは普通じゃあないような……
              ……い、いいえよしましょう、私の勝手な決めつけで人を傷つけるのは良くないわ。)

多少の疑問は残しつつ、ココロは納得した。
……まあ、それはともかく――だ。

          「ち、違ッ……」

                         「き、き、着たいとかじゃあないわ。違うのよ。
                          ち、ち、チラシを読んだ方が早いわよね、ええ、読むわ、ええ。」

渡された『ミスコン』のチラシを読む……
そして、商品券1万円というのも、ずいぶんと魅力的な話だが……


          「えッ、あっ……」

          「ど、ないって……わ、私、こういうのは……そ、その……」


まず、大勢の前に出るってことが苦手だ――いや、苦手に『なった』のだ、ごく最近に。 
でなくとも、こういうイベントは何というか……

                               (……け、けど……けどよ? もし、もし断ったら……
                                            ……で、でも、この人は悪い人じゃない……みたいだし……)

揺れ動くココロの心。
あと一押し――だが、押し込む方向を間違えれば、転落するだろう。

269鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/24(日) 22:46:01
>>268

>「ど、ないって……わ、私、こういうのは……そ、その……」

「苦手、やった?」

バツが悪そうな顔で頭をかく。
そういう反応は予測できなかった、わけではない。
皆が皆ミスコン参加に能動的だとは思っていない。
最近はうまく行き過ぎていたのだ。

(まぁ、そういう時もあるわなぁ。)

「や、別に無理にとは言わんよ。僕にそんな権限ないしねぇ。」

少し沈黙して鈴元は口を開いた。
相手の目を見て、柔らかな表情で話す。
威圧せぬよう、貴重な茶器を扱うように優しく話す。

「あんさんはきれぇやし、エエとこイケるって思ったんよ。」

「ピアノ弾いてる時、ういろう食べてる時の顔も魅力的でエエ顔しとったしねぇ。」

「でも、あんさんがエエっちゅんやったら、エエんよ。」

ゆっくり、一言ずつ、確かめるように言う。
面と向かってこんなことを言っているのが恥ずかしくなってくる。
耳は赤い。じきに顔も赤くなるだろう。

「でも、でもやでぇ?もしほんのちょっとでも出てみたいって思うんやったら僕は嬉しい。」

「もしミスコンでピアノ弾いてる凛々しいあんさんがおったら
 慌ててういろうの弁護するかいらしいあんさんがおったら

 それはエエ事やなって、思ったんよ。」

そういうと、また黙り込んだ。
自分の言いたいことは言い切っただろうか、と自問する。
相手を不快にしてないか、と自問する。
はぁ、と一息ついた。波の音が二人を包んでいた。

「なんか、すんません。無理にとは言わんっちゅうたのに。まぁ、好きにしてくれたらエエよ。」

270ココロ『RLP』:2015/05/24(日) 23:45:02
>>269

                     ザザァーー

                         ……ザザ ァーーン 


        「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」


                    アセ    アセ


   「わ、わたっ」

             ワナワナ

                   「私……で、出……出る……わ。」

           「あ、貴方がそこまで言ってくれているのだもの……」

ココロは――鈴元の熱の入った文句に『ノセられ』ていた。
                         断るわけにはいかない……奇妙な使命感もあった。

                   「で、で、出るわ……ミスコンに……」

                              「わ……私が……」」
               
  (こ、この人に従う義理なんて一つもない……け、けれど、私を誘ってくれているんだわ。こんな私を。
               ……な、なにか変われるきっかけが欲しいって、思っていたのも私だわ…………!)

恐らく明日の朝には後悔で悶絶するだろう――そういう予感もないではなかったが。
とにかく、今重要なのは――ココロがOKを出したことではないだろうか。

                                 ……あるいは、錯乱しているからノーカン、というのもあるが。

271鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/25(月) 00:03:49
>>270

>「で、で、出るわ……ミスコンに……」

「ホンマにぃ?」

徐々に顔に喜びの色が現れる。
無邪気な少年の笑顔だ。
先ほどまで和菓子屋の看板を背負った礼をした男とは思えぬ
子供っぽさを感じるかもしれない。

「あぁぁ。嬉しい、ホンマに?夢やないんよなぁ?」

気分が高揚してきたのかどくどくと心臓の動きを感じる。
意味も無く笑い声を上げたくもなる。

「あ、指きりしよ。」

ずいっと右手の小指を突き出す。
白い指がココロの目の前に差し出される。

「約束。僕とあんさんの約束。ミスコン出るってここに誓って。」

「大丈夫。変なことはせんよ。ちょっと口約束するだけやから。」

もちろん、この指きりに応じる必要などない。
小指を逆に曲げるのもアリかもしれない。
自由にするといい。

272ココロ『RLP』:2015/05/25(月) 00:20:54
>>271

         「ゆ、指切り……」

(そ、それって、私が、こ、この人と……?
           そ、そんな。は、恥ずかし……がるようなことでは、ないけれど、でも……)


やけに緊張した面持ちで――小さな花の指輪を嵌めた小指を差し出す。

                  「すぅー……」

                  「はぁー……」


そして。

                      『キュ』

                           ……絡める。

「指切りげんまん。
         ……ウソついたらはりせんぼん のーます……よ、よね……」

    「こういうこと、しないと……」

                    「わ、わ、私、逃げてしまいそう、だから。」

そう言って、ココロは二度ほど頷いた。

                           水溜 意→『ミスコン』参加。

273鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/25(月) 00:40:52
>>272

(そない難儀なモンでもない思うけど、まぁエエやろぉ。)

指きりに特別な思い入れはない。
初対面の女性と指きりというのはかなり特殊シチュエーションだと思われるかもしれないが
約束以外に他意はない。

「おおきに。ホンマにおおきに。」

何度か礼をする鈴元。
もう元通りの顔とテンションだ。
クールダウンは早いのかもしれない。

「やっぱりイヤとかなったり
    ミスコンの時ピアノ使いたいとかあったら、言うてくださいね。」

「さっきの名刺に電話番号載ってますから『涼につなげ』って店にいうたら繋がりますぅ。」

冗談っぽく告げ、タッパーを片付ける。
風呂敷に全て包まれた。

「六月入ってからういろう売りますからね。他にも和菓子欲しなったら来て下さい。」

「ところで、あんさんの名前、聞いてへんかったね。
                     
 僕は鈴元 涼。あんさんは?」

名前を尋ねる、お互い名前も知らないのも何だろう。

「あ、演奏会とかしてる?」

ついでに尋ねておこう。
彼女のピアノ演奏は彼の好みだったようだ。

274ココロ『RLP』:2015/05/25(月) 00:53:13

>>273

「私は……ココロ。水溜 ココロ……よ。
         ……え、演奏会というか、発表会……コンクールとかは、たまに。」

ココロはまだ、プロではない。
将来、そうなるのか――も、分からない。

              このミスコンは、低迷・停滞するココロに、何か――影響をおよぼすだろうか。
              それはいいものだろうか。わるいものだろうか……

「それじゃ、私……そろそろ、行くわ。
 また、何かあったら……ええ、名刺、よね。連絡するわ……ええ。」

初めより、少し緊張した面持ちで、ココロはしかし笑みを浮かべた。

         「あっ、も、もちろん……ういろうも、買いに行くわ。
                         きっと、きっと買いに行くから……またね、鈴元くん。」

そう言い残して、ココロは、その場を去ることにした。
引き止めなければ、そのまま、砂浜から去っていく……

275ココロ『RLP』:2015/05/25(月) 00:53:48
>>274(メール欄)

276鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/05/25(月) 01:01:13
>>274-275

「へぇ。もしあったら言うてくださいねぇ。絶対行きますから。」

店番はどうするつもりなのか。
今の彼にとってそれはどうでもいいことなのかもしれない。
最高の演奏のほうが退屈な店番より良いのは確かなのだから。

「ごひいきに。ココロさん。」

去る彼女の背中を見送る。
会ってどれくらいたったのだろう。分からない。
幸福な時間の密度は濃い。もしかしたらこれまでのやりとりはとても短いものだったのかもしれない。

「僕もきれぇなんやろかな。」

『ザ・ギャザリング』を発現し、風呂敷を振らせる。
桜の花びらが風に乗り舞っていく。

「きれぇな人にはきれぇな花ぁ送らんとねぇ。」

けらけらと一人で笑った。
帰りたくなったら勝手に帰るだろう。
桜の花びらが潮風と踊っていた。

277葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/25(月) 01:45:18

              ――砂浜 ……厳密には、その付近の道。
     
         シャーーーーッ
 
     
  「……」

       (これは爽快…………
               ……走るのと違って、うるさいの居ないし……)

赤いロードバイクで駆け抜ける、赤髪片目隠れ少女。
後頭部のでかい黒い蝙蝠みたいなリボンが、風に揺れる……


                     ガッ

         段差に引っかかって
 
                             『ドガシャーーッ』

     「ぅぅぐぐ……」

         
         派手にこけた。
         ……だいぶ慣れては、きたのだが。

278東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/25(月) 22:10:14
>>277
> 
>                             『ドガシャーーッ』


「…なんの音じゃ?」

派手な音を耳にして、砂浜の方から学生服姿の少年が一人やってきた。
そして地面に倒れた少女を見て、次に近くにある横倒しのロードバイクを見る。
なるほど、状況は把握できた。

(やらかしたのう…)

少女の近くへと歩き出し、屈んで声をかける。

「おいあんた。大丈夫か?」

279葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/25(月) 22:45:16
>>278

黒い、マントのようにした布にくるまったその出で立ち。
……そこから覗く膝が、大きく擦り剥けていた。

            「ぃ、痛い、です……」

                   「けど」

                      「……多分、大丈夫……です……」

      『ノロ ノロ』

もごもごと言いつつ、ややもたつきながら立ち上がる。
痛みに小さく顔をしかめるが、骨とかそういう痛みではない……大丈夫だ。

 
           『ガシャ』


倒れていたロードバイクも、ゆっくりと立ち上がらせる。

「……す、すみません。
 面倒をかけてしまったようで……」

……漫画なら、汗のエフェクトが飛び出しているだろう。
恐縮そうに、少し俯く。

280東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/25(月) 23:15:56
>>279

(…ぶち変わっとるのう。都会モンは自転車漕ぐ時にこんなマントみたいなもんを羽織るんか?)

その服装をやや奇妙に思いながらも、外套の一種なのだろうと納得した。
擦り剥けた少女の膝を見て、目を細める。大事ではないが、出血はしているようだ。
応急手当てはした方がいいだろう。

「・・・・・」
「ここでじっとしてろ。今救急箱持ってきてやるから」

少女の大丈夫という言葉も、面倒をかけたという謝罪も聞かずに、それだけ言う。
そして『H湖』の方を向くと、『ザイオン・トレイン』を発現。
獣並の敏捷性でそちらへと走り、すぐに少女の視界から消え去るだろう。

(センパイは容易くスタンドを使うなと言っとったが…人助けならええじゃろう)

281葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/25(月) 23:30:16
>>280

            「あ、ぁ、いえ、そんな――」

           

      「……!!」

    (あれ、って……
          そうだ。絶対……『スタンド』……だ!!)

膝を押さえ、茫然と、獣のように――あるいは風のように去る男を見ていた。
そして、思い出したかのように……


                        『ズギュン!』

                     ≪……お嬢様、お怪我をなさったようで。
                          だから言ったのです、自転車は危ないと。≫

   「……結果論、だよ……
          ……引っ込んで。」

                     ≪……畏まりました。しかしくれぐれも――≫

傍らに現れる、傘を人型にしたような、異形のヴィジョン。
……すぐに、消えた。

東雲が戻ってくるタイミング次第では、その現場に立ち会うことになる。

282東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/25(月) 23:45:34
>>281

幸い、近くにある港に知り合いが来ていた。快く貸してもらった救急箱を持ち、来た道を帰る。
『スタンド』を使えば敏捷性は上がるが、体力までもが増えるわけではない。
少し息を切れさせながら、元の場所へと戻りーーー。

「…?」

一瞬。ほんの一瞬だが、少女の傍に人影のようなものが見えた気がする。気のせいだろうか?
いや、疑問は残るが、とりあえずは彼女に持ってきたものを渡さなければ。
ゆっくりと速度を落としつつ、『ザイオン・トレイン』を解除。

「…っふぅ………あったぞ」

救急箱を丸ごと手渡して、そして自分の額の汗を頭に巻きつけたバンダナで拭う。

283葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/25(月) 23:57:55
>>282


霞すら残さず消える――スタンドとはそういうものだから。
そこには少女が立っているだけだ。

                  ……救急箱を受け取る。

「あ、あの……ぁ、ありがとう……ございます。
           ええと……その、ほんとに……た、助かり、ます。」

            『パカ』

そして、道の端に座って、開く。
……が、穂風は無知だ。ここからどうすればよいのか。

(しょ、消毒……かな……きっと……)

                  チラ   チラ

少年に少し目配せしてから、らしいものを探してみる。
液体で、容器に入っている……ような印象だが、あるだろうか?

284東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 00:29:05
>>283

>「あ、あの……ぁ、ありがとう……ございます。
>           ええと……その、ほんとに……た、助かり、ます。」


「あぁ…勝手にやったことだ、気にすんな」「この辺はそんなに舗装されてねぇんだ、あんま飛ばすなよ」

真顔で頷く。その日に焼けた肌と、180cmほどある身長も相まって、なかなかに迫力がある。

「…ん?」

目配せをされて、眉をひそめる。必要なものがなかっただろうか?
ずかずかと歩み寄って、救急箱の中を見るーーーと。

「…あるじゃねーか、消毒液」

塗り付けるタイプのそれを手にとって、少女に見せる。

285葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 00:42:51
>>284

「は……は、はい。
      そ、その……ええとぉ……き、気を付け、ます。」

               『シュン』

その太陽の様な迫力に、湿っぽい穂風はますます俯き、もごもごとした口調で言う。
……そして。

           「あっ」

   「す、すみません。
       それ、ですよね。……あ、あの、使います。」

そう言うと、少年から消毒液を受け取り、蓋を開け――

     
         『ベチャ』

                『ベチャ』

 
      「ッッッ―――ぐぐぐ……」

              「い」

                      「ぃたぁぁ……!」

          ジタ    バタ

……思いっきり塗りたくり、痛みに悶絶する。
切り刻まれたり、刺青を入れたりしたが、ああいうのとは別種の痛みだ、これは。

286東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 00:58:31
>>285

>      「ッッッ―――ぐぐぐ……」

>              「い」

>                      「ぃたぁぁ……!」

「そういうもんだから仕方ねぇな。痛みを教訓にして次同じことをしねーよう、みんな気を付けんだ」

痛がる少女に対して、腕を組んで頷く。
少々不慣れな手つきなのが気にはなるが、無事応急手当てはできている。
まさか、一度も自分で怪我の手当てをしたことがないわけではあるまい。

「あんた、年はいくつだ?」

287葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 01:06:21
>>286

         「は、はい……」

                 「します……教訓、に……」

     『ジン   ジン』


繰り返し頷きつつ、消毒液を箱に戻す。
……次は、なんだったか。

        (……あ、ばんそうこう……だっけ。
                 それとも、ええと……)

            探そうとしたところで――

「……え?」    
  
          顔を上げて。
      
                「あ、年……ええと、15……です。
                   ええと、その、どうか……しましたか?」

15さい。実際妥当か、背丈はもう少し上に見えるくらいだ。
そのわりにはずいぶん、いろいろと、たどたどしいが……

288東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 01:24:25
>>287

「同い年か、一個下か。俺は高校一年生の16だ」
「いや、手つきがドンくさいんで見た目より子供なんじゃねーかと思ってな」

オブラートに包むことなく、ストレートに質問の理由を話す。
言った後で、内容が少し酷かったと思ったのか、弁明を加えた。

「…まぁ、ゆっくり丁寧にやるのはいい事だけどよ」

救急箱の中から、次に使うと思われるガーゼと包帯を手に取り、少女の横に置く。

「慣れてねーのか?今まであまり運動とかしたことがねーとかか?」

289葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 01:37:58
>>288

             「あ、う……」

 「す、すみません。
  ……ど、どんくさい、ですか……でも、15……なんです。」

……弁明もあって、さほど落ち込みはしなかった。
包帯を手に取り、くるくると、ゆっくり、ほどいていく……

            「あ、はい、あまり……スポーツ、とかは。
             救急箱、も……その。使ったことが、ない……です。」

その言葉を裏付けるように、かなり雑に包帯をちぎる。

         『ギュウゥゥ』

 
       ジ
          ワ
             ァ

      「……」

ガーゼを、患部に押し当てた。
……血の赤が、ゆっくりと滲み出す。穂風の髪と似た色の。

「……あの、貴方は……なにか、運動、とか……?
        その、すごく、日焼け、してる……から。」

対照的に、穂風の肌は白い。
だから、赤は良く目立つ。

290東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 01:49:30
>>289

「…スポーツをあまりやらねーってのは分かるが、救急箱も使ったことがねーってのは驚きだな」
「今までよっぽど運が良かったか、…はたまた箱入り娘だったか?」

15歳まで生きてきて、救急箱がお目にかかる機会のない人間が、はたして何人いるだろうか。
ともかく、目の前のこの少女はその貴重な中の一人ということらしい。
少女の肌の白さは、あまり日に焼ける機会のない人間のそれだ。
あるいは、よっぽどの運動嫌いか。

「運動っつーか、父親の手伝いをしている。親父が漁師なんだ」
「ちなみにその救急箱も、親父の知り合いの漁師さんが貸してくれたんだぜ」

291葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 02:10:25
>>290

             「あ、ええと……」

             「その……『箱入り』、でした。
                   でも、もう……違うんです。だから……」

穂風は自信ありげに言った。
己を守る/閉じ込めていた壁は、もうない。

「……挑戦、してるんです。
 いろんな、新しい……たのしい、こと……知りたい、から。」

そういうと、視線を赤い、ロードバイクに向ける。
これも――一つの、巣立ちの象徴。


        「『漁師さん』」

  「あの、お魚……獲る人の、漁師さん、ですか?
                  ……すごい。初めて、会いました……えへ。」


厳密には漁師の息子――なのだろうが。
「あ、あの……テレビで、見たんです。
           ……漁師さんって、お魚、船の上で……食べるって、ほんとですか?」

妙な質問をぶつけた。
その目は不必要に期待に輝いていた……

292葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 02:12:23
>>291(追記)

             ……そして、それはいいのだが、治療の手が止まっている。

           ジワ

                 ジワ

ガーゼには無意味に血が広がる。
ちぎった包帯は、片手に持ったままだ。

293東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 02:36:08
>>291-292

「…へぇ。自立したってことか。そいつは立派じゃねーか」

初めて見る、少女の自信が感じられる言葉にこちらも思わず微笑む。
かつては過保護な環境にいたようだが、自らの意思でその環境に甘んじることなく
抜け出すことを選んだ。これが立派でなくて、なんと言えよう。
いささかこの少女を過小評価していたようだ。

「何にでも挑戦するってのはいい事だな…人間は経験によって成長するって親父も言ってたぜ」

>  「あの、お魚……獲る人の、漁師さん、ですか?
>                  ……すごい。初めて、会いました……えへ。」



「…別にすごくなんかねーぞ。今まで救急箱に接することのなかったお嬢の方がよっぽど珍しい」

少しからかうような口調で言いつつ、姿勢を屈めて千切った包帯を手に取った。

「こりゃ短ぇな」

ガーゼをぎゅっと膝に押し当てつつ、巻かれた状態の包帯をぐるぐると巻きつける。
そして適度なところで長さを切ると、サージカルテープと呼ばれる道具でそれを固定した。

「船の上で飯を食うのは、主に『遠洋漁業』の連中だな。二、三ヶ月から長いと
 一年ぐらいは基本的に船の上で生活する。当然魚だけだと栄養が偏るんで、
 現代なら他のもんも食うけどな。昔はそれが原因で病気にもなったらしい」
「ウチは『沿岸漁業』っつー近場で漁をするやり方だからあんま食わねーぞ。
 漁ってきた後に、たまに港で軽く調理して食うぐらいだな」

「…こんな所か?少し動いてみろよ」

294葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 02:55:18
>>293

           「自立……」

今まで、幾人かに、その大切さを説かれた。

今。穂風には家がある。
一人で生きている。    ……足りないピースは、ひとつ。


             (お金、稼がなきゃ……自立じゃ、ないよね。)


                 「……はい。ありがとう……ございます。」

「そ、それでですね、きゅ、救急箱はっ。
      今日経験したから……もう大丈夫、です。」

からかわれたことに、少し憤慨するように。
……そして、包帯を巻かれる。

                   『ぐるぐる』

「……全然、足りなかったですね、さっきのじゃ……」

その間、漁師の話を聞く。

      「い、一年……」

                     「すごく……たいへん、なんですね。
                      テレビでは、楽しそうなだけ、だったけれど……」
遠洋と、沿岸。漁師といっても、いろいろあることを、知った。
さすがにそこまでは体験するのは難しそうだが……
      「……ありがとう、ございます。
           これなら、きっと…………よい、しょ……」

                            『ス……』

ゆっくりと、立ち上がる穂風。
痛みがまるっきり消えたなんてことはないが――心なしか、ましになった気がした。

295東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 03:07:36
>>294

「やり甲斐はあるが…まぁ楽しいだけの仕事なんてねーからな。金を稼ぐってのは楽じゃねぇよ」
「その内バイトとかするようになったら分かるかもな。今はアパートとかで一人暮らししながら、学校に通ってんのか?」

時間に余裕を持てる大学生ならともかく、高校生でそれにバイトを加えるとなると大変だろう。
流石に家出でもなければ、親とて多少の仕送りはしてくれるのだろうが。

「…大丈夫そうだな」

無事に立ち上がる少女を見て、頷く。

「気ぃ付けて帰れよ」「俺は東雲 忍(しののめ しのぶ)。あんたは?」

296葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/05/26(火) 03:36:07
>>295

「! ……そう、ですよね。
     …………はい、今は……アパートで、一人暮らし……です。」


      (そっか)

                (『学校』に……行かなきゃ……
                             ……いけないんだ。)

穂風は目の前にある課題が、思った以上に大きな積乱雲なのだと気づいた。
家出して、家を得て、次は――学校か、仕事か。


「……はい、大丈夫です。
 ええと、気を付けます。」

                   「あっ――名前、ですか。
                            私は……葉鳥 穂風(はとり ほふり)……です。」

「その、あの、いろいろ……ありがとうございました。
 ええと、救急箱、貸してくれた人、にも……お礼を、その……お、お願い出来たら。」

そういうと、穂風はロードバイクに手をかけ、押していく。
……さすがに、帰りは乗る気にはなれなかった。

「あの、ええと……また。また、どこかで……!」

そうして、穂風は、その場を去ったのだ。

297東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2015/05/26(火) 11:41:03
>>296

「律儀なヤツだな。あぁ、伝えとくぞ」「じゃあまたな、葉鳥」

軽く手を振り、ロードバイクを手で押して去っていく葉鳥の背中を見送る。
少々気弱で世間知らずのようだが、しかしそれを上回る行動力と、好奇心がある。
有り体に言って、東雲忍はそういった尊敬できる人間が好きだ。

「………」「じゃが女ん一人暮らしか…物騒なことに巻き込まれんとええんじゃが」

以前病院で会った一人の女性を思い出す。彼女もまた、何らかの事故に巻き込まれて負傷していた。
この町は一見平和なようで、その中に何が潜んでいるか分からない。
わざわざ危険な事に首を突っ込むほど愚かではないが、
少しばかり、そういった事について探ってみたい気分になった。

298灰羽『アクエリアス』:2015/06/03(水) 23:04:55

「はひぃはひぃ」


走ってるんだか歩いているんだかわからないような速度で
ヘロヘロと砂浜を少女が移動している。


『……』


後ろを特に意味もなく出しっぱなしの人型スタンドがスィーッとついていく。

299灰羽『アクエリアス』:2015/06/04(木) 00:41:06
>>298
しばらくして……砂浜に足跡だけが残っていた。

300マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/05(金) 22:57:20
ウィィィ――ン…

『モット・ザ・フープル』こと『モット君』のオートバイのライトに酷似した瞳に光が宿り、
明らかに普段とは違う音声案内めいた声色でアナウンスを発す。

       ≪マフィー様!お待たせしました!
         ガチャガチャ再開致シマスッ!≫

「やったネー!『モット君』の復活ネー!!
 『モット君』――ッ!!!『ご飯』の時間ネー!!」    『YO!!』


ムギョッ

おさいふの中からッ!
『30万円』取り出し『モット君』の口に突っ込む!!

301マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/05(金) 23:56:39
『ポン』           『ポンッ』
        『ポンッ』       『ポンッ』

札束をもしゃもしゃと食べた『モット君』が
直径4cm程の『カプセル』を吐き出した。
のでカプセルを開封しよう。

「やッたネー!!新手のスタンド使いシリーズの座木ネー!
 それに恋姫のスタンドも出たネー!」  『YO!』

「みんなもミーと一緒に『ガチャガチャ』するネー!」


シーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

302ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/06(土) 01:49:42
>>301

「あれは」

「……スタンド?」

『ポン』           『ポンッ』
        『ポンッ』       『ポンッ』

何か出た。
ゼンチは興味を持った。

(あれはカプセル?
 ……フィギュアですかね?)

     ザッザッ

「あの」

「よろしいでしょうか?」

近づいて、話しかける。

303マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/06(土) 10:37:51
>>302
「やッたネー!
 『耳入れ』と『恋姫』のスタンドの他に、
 『穴闇』と『アンテナっぽい』のと『巫女』さんと『老師ッ!』て叫びそうなスタンドと、
 『柏木』と『鉄』と『出』と『ンゴ』とかいっぱい出たネーッ!
 でもミー、誰が誰だかわかんないネーッ!」

アメリカンなちびっ子ボーイがガチャガチャに手足はやしたっぽいスタンドと共に、
手乗りサイズのフィギュア持って小躍りしてる。
もしかしたらゼンチの知り合いのフィギュアも紛れてるかもネ。

「わかんないネー!」
                 『・・・Hey?Hey?』

「わかんナーイ!」 (パン!パン!)
                 『Any More♪キミノコォート♪』

「wowwowwowwowwowwowwowwowwowwow♪』

『「BAD COMMUNICATION!!」』

「イェーイ!」『YOッ!』  パシーン!

久しぶりに『ガチャガチャ』が出来た嬉しさで
B'z初期の名曲『バッドコミュニケーション』のサビを1人と1体で熱唱ッ!
『モット君』とハイタッチだ!

「ヘイ!ちょっとよろしいネ!
 ミーはマフィー君ネ!周りからマー坊とか『マ』とか『モット君』の本体とか言われてるネ!」

振り返った。

304ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/06(土) 14:11:35
>>303

「これは――」
「『フィギュア』?」

「……ドナートさんの? はて?」

(それにこのスタンドは!
 ……『あの女』の物では?)

『巫女』――縁組の物だけなら。
あるいはファングッズか? と思う。

……しかし。
ドナート、そして『エレメント・オブ・クライム』!

「アッ。これはどうも。」

「私は善知鳥 雷(うとう らい)と申します。
 呼びづらいので、ゼンチ……とお呼びください。」

頭を下げる。

「それで、その。
 そのガチャガチャは一体……?」

なんとなく、『害するもの』には思えなかった。

305マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/06(土) 22:55:48
>>304
「ウトゥーライ」

本当に呼びづらかった。

「ヘイ、ゼンチ!『モット君』は
 なんか『フープル』の出張所らしくて、
 お金を食べると実在するスタンド使いのフィギュアを吐き出してくれるネー!
 ミーが知らないスタンド使いがいっぱい出てくるネー!
 ユーは、このフィギュアの人達と知り合いネー!?」

306ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/06(土) 23:01:49
>>305

「ふふ」

妙な発音に少し笑う。
まあ、妙な名前だ。

仕方がないことだ。

「フープル――ああ、あの。
 なるほど、あそこの商品でしたか。」

奇妙な会社。
確か肝試しもあそこが絡んでいた。

そして、最近では。

(指を治してくれた。)

「ええと、何人かは。
 具体的には――このお二人。」

「それと、このスタンドも。」

選び出したのはドナート、縁組、そして『EoC』だ。
他にも見たようなスタンドがあるが……確証が持てない。

「しかし面白そうな能力ですね。
 ……もしや、私(ワタクシ)のも?」

プライバシーも何もない。
だが――ありえる話だ。

307マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/06(土) 23:17:46
>>306
「多分あるネ!」『YOッ!』

多分。

「もしなくても、みーんなが『モット君』の口の中に
 お金を突っ込んで『栄養』を与えてくれれば『モット君』が成長して、
 ドンドンドンドンシリーズが増えてくネ!!」

ざっくばらんに説明するぜ。

「という訳でもし良かったら『ガチャガチャ』するネ!」

308ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/06(土) 23:24:29
>>307

「それはそれは。
 是非お目にかかりたいです。」

「それで――
 お値段の、ほどは?」

フープルの商品は一つ知っている。
それは『PP』だ。

揃えると似顔絵がもらえる。
そして――べらぼうに高い。

「まあ、その。
 今、あまり持っておきたくない金があるので。」

「どうせですし」
「回そうとは、思うのですが。」

一応、値段は聞いておくのだ。
100万円とかだと困るし。

309マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/06(土) 23:50:25
>>308
「1回『1万円』になりますネ!
 そして『新仕様』で『上限30万円』になりますネ!
 『フープル』の人がいなかったら『カプセル』が開かなくて中身が確認できないけど、
 家で石けん水とかで試したらあくネ!」

            『YOYO』

『マフィー君YOォォォッ。
 『手数料』ヲ忘れてるYOォォッ!』

「あ!そーネ!忘れてたネハハハ!
ミーも『店長』だかし、お金がなくて自分で『ガチャガチャ』できないと困るから、
『ガチャガチャ』1万円につき『三千円』の手数料を取っていたんだけどネッ!

でも、ミー『黄金町』来たばっかでこの土地の景気がわからないネ!
ネッ!例えば『ゼンチ』が『30万円』ガチャるとしたら、
どのくらい『手数料』取ればいいと思うネ?」

首をかしげて尋ねる。きいちゃったよ。

310ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/06(土) 23:58:59
>>309

「なるほど……妥当ですね。
 PPも確かそれくらいですし。」

「ですが」

「手数料ですか。」

これは困った。
決まってるならいいのだが。

(決めるとなると……はて。
 高すぎるのもなんですが、しかし。)

「そうですね……」

「3万円くらいでどうですか?
 一万につき1000円。分かりやすいでしょう。」

ここは値切ってみた。

「もしくは――普段は3000円で」

「30万回すときだけは」
「手数料を下げる、などというのは?」

自分のことでもないし、決めづらいのだ。

311マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/07(日) 00:06:06
>>310
「それ名案ネッ!ハッ!」

            
       |
   \  __  /
   _ (m) _ピコーン
      |ミ|
   /  .`´  \
     ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    (・∀・∩<閃いたネ!
    (つ  丿 \_________
    ⊂_ ノ
      (_)

「普段は『1万円』につき『3000円』で、
 30万円回す時に限って『5万円』ッて事でどうネ!
 ミー、ナイス閃きネ!
 オモチャに『30万円』も突っ込むような大人なら
 そんなにお金の事気にしないし、ミー天才ネ!」『YO!』

「ゼンチ、どうするネ!ガチャガチャするネ!?
 せっかく友達になった記念だし、今日は手数料なんていらないネ!
 モット君!オープンネ!」         ガバァァッ

『モット君』がお口を開いた。

312ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/07(日) 00:11:58
>>311

「名案かと。」

頷く。

「私はもちろん――
 回させていただきます。」

「せっかくの機会ですしね。」

微笑む。

「投入するのは」

        ス……

「この」  「30万」
 
    スス

「どうぞ、モットさん。
 お納めください。」

『30万』を彼の口の中へINだ。

313マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/07(日) 00:17:21
>>312

   『オウ、YOゥ』      パクゥッ

札束を丸呑みし、
充分に味を堪能。

『キタキタキタァァ――!
 産マレルYO!!』   

『ポンッ』       『ポンッ』
      『ポンッ』      『ポンッ』

口から直径4cm程の『カプセル』を卵のように吐き出したよ。

「やッたー!出たネー!
 これで次の『成長』まで多分『40万円』ネー!
 前みたいに『確立調整』したり『おまけファイル』発行したり
 色々したいネー!」

314ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/07(日) 00:21:39
>>313

『ポンッ』       『ポンッ』
      『ポンッ』      『ポンッ』


「おお、これは」
「カプセルがたくさん。」

拾い集めた。
そして。

「ああ」
「今は開かないんでしたっけ。」

「石けん水、ですよね?」

海を見る。
海水ではだめなのだろう。

「なんにせよ」
「楽しみです。ありがとうございます。」

頭を下げる。
……それにしても。

「成長、ですか。
 なるほど、面白いだけではなさそうで。」

お金をもらって成長するスタンド。
そんなものもあるとは……

315マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/07(日) 00:29:09
>>314
「『モット君』は凄いネー!
 何でもできるネー!あ、そうネ!『モット君』!」『YO』  

              ポロォッ

『モット君』に『カプセル』を吐き出させる。
んでもって開けてボフッと『おまけファイル』を取り出し、
マフィー君のフィギュアのダブリを取り出す。

「これ、ミーのフィギュアネ!
 ゼンチもお友達にミーの事話すといいネ!
 興味持ってくれたらこのミーにそっくりのミーのフィギュアをユーが、
 写真代わりに見せてくれるとベリーハッピーネ!
 『モット君』もご飯いっぱい食べれてきっと嬉しいネ!

 それとネ!それとネ!
 ミー、フィギュアいっぱい持ってるからもし欲しいのとかあったり、
 こんなん出たってのがあったらミーに連絡欲しいネ!」
ネ!ネ!ネ!

316ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/07(日) 00:34:10
>>315

              ポロォッ

「おや」
「これは――」

目の前の少年と見比べる。
そっくりだ。

「なるほど」
「名刺代わり、ですね。」

「ええ、わかりました。
 出来る限り広めてみます。」

微笑む。

「そして――
 その件も解りました。」

「ひとまず帰って、開けてみましょう。
 ……失礼、連絡先を交換させていただいても?」

スマホを取り出す。

317マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/07(日) 00:44:25
>>316
「やッたネー!」『YO!』
『「イエーイ!」』
               パチィンッ!

モット君とハイタッチだ!
そしてお母さんに持たされたスマホを取り出し、

「やったネー!
 ミーの電話番号はペラペラ、ホニャラーラのムニャムーニャで!
 メールアドレスはペラペーラペラペーラフムフーム@ヘラヘーラ!ネ!」

318ゼンチ『イースト・ミーツ・ウェスト』:2015/06/07(日) 00:47:44
>>317

「ふふ」

微笑ましい。
そして。

「ええと。
 ……はい、登録しました。」

「後で空メールを送ります。
 タイトルは『ゼンチです』で。」

さて、早速帰って開けてみよう。
自分が出るだろうか?

それとも――?

「それでは、そろそろ。
  また、連絡します。」

頭を下げ、その場を去る。
なんとも楽しさ募る邂逅だった。

319マフィー『モット・ザ・フープル』:2015/06/07(日) 00:54:21
>>318
「バイバーイネ!」

手を振って見送った。

              『YOッ!』

「じゃあ『モット君』ッ!
 新しい『モッ君のガチャガチャ天国』にレイアウトを考えるネ!
 まず、この辺にシャンデリアを――」

            『ドクペ専用冷蔵庫ヲ――』

その辺の流木を手に取り、
砂の上にまだ見ぬ新ガチャ屋の見取り図を描いたりして遊んで帰った。

320葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/13(土) 23:37:52

潮風が赤い髪を揺らす。

         《……お嬢様。そろそろお帰りになっては?》

       ザッザッザッ

 「……」

八百屋に勤め始めた穂風。
最近は働きづくめだったが、今日は休みの日になった。

                  ・ ・ ・今は、砂浜を歩いている。

「……ぁ……」

                 カラ

きれいな貝殻を見つけて、しゃがむ。
ちょっとした、ビーチコーミングってやつかもしれない。

321鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 01:12:25
>>320

ザク    ザク    ザク
   ザク    ザク    ザク

和傘を差した和服の少年が歩いている。
たしか店番の最中に会った事があったはずだ。

葉鳥が覚えているかは分からないが……

「ん?あんさん……」

少年は君に気付いたようだ。

322葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 01:30:48

>>321

         ザ
             ザ

                  ザ


「……ぁ……?」

              ≪…………≫

聴いたことのある声に、顔を上げる。
エプロンを着けていたあの時とは違い、黒いレインコートを着ていた。

「あ、ど、どうも……です。
 ……ええ、と、和菓子屋さん……の。」

手にはきれいな赤い貝。
……髪に隠れていない右目を、丸く見開く。

「……あの、ええと……」

もごもごと口を動かすが、声に出ない。

323鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 01:38:55
>>322

「鈴元、鈴元 涼やで。」

柔らかな笑みを浮かべている。
いつもの表情だ。

「カンペ、見んでもエエようなった?」

近づいていく。
ゆっくりと、ただ確実に。

「きれぇな貝やねぇ。
      そういうん集めんの、好きなん?」

相手の目を見て問う。
黒く肩まで伸びた癖毛が風に揺れた。

324葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 01:49:35
>>323

「ぁ……す、すみません。
 鈴元、さん……でした。その、ええと……こんにちは。」

まごまごとした態度。

「は、はい。
 6月のお野菜は。」

「ええと、ズッキーニ、ピーマン、きゅうり、スイートコーン……」

指を折って数えつつ、野菜の名前を並べる。
……と、すぐに『ハッ』とした顔になり。

「あっ、す、すみません。
 ……あ、い、いえ、別に……集めてるとかでは……」

「で、でも、この貝殻は。
 きれいだと……その、思います。」

鈴元に見せる。
……赤い、ぐるぐると巻いた貝。

「……あの。鈴元、さんは…………?」

何をしているんですか? と聞きたかったわけだ。

325鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 02:08:58
>>324

けらけらと笑う。

「見んでも、エエみたいやね。」

うなずいている。
相槌を打っているようにも感心しているようにも見えるかもしれない。

「ん。あぁ、きれぇやね。
      すんません。ちょっとなんの貝かは分からんけどぉ。」
        ニオウ
「あんさんに似合とるよ。」

赤い貝をじっくりと見て、そう答えた。
柔らかい笑みで、柔らかく言う。

「僕ぅ?お散歩。店番なくて暇な時は本読むか、お散歩するんよぉ。」

「なんかあるかもしれんからねぇ。」
                          オ
            「ガッコのお人さんに会うたり、新しい発見があったりね。」
               
「まぁ今日はあんさんと会えたから、散歩してよかったわぁ。」

葉鳥の方へ顔を向け、照れくさそうに微笑んでいる。

「あんさんもお散歩でエエんやろか。」

326葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 02:21:51
>>325

「は、はい……たくさん。
 たくさん、お勉強……した、ので。」

はにかむ。
事実、自宅でも、店でも、たくさん勉強をしたのだ。

「あ、う……
 に、似合う……です、か……」

貝に視線を向ける。
……穂風の髪と、似た色。滑らかな質感。

           「……」

「……お散歩、でしたか。
 そ、その。私も……です。何もないときは……」

                     ・ ・ ・ そして。

「……え、あ……わ。私、に。
        ……え、えへへ……ありがとう、ございます。」

鈴元と同じく、照れた笑いを浮かべる。

327鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 02:35:02
>>326

「せやろね。たくさん勉強しはったんや思うわぁ。」

あの時の彼女を思い出す。
見た目は変わらなくとも、中身はほんの少しだが変わっている。
それぐらいは鈴元にだって分かる。

     ワロ
「人間、笑うてるほうがエエわ。」

ふと、なにか思い出したような表情になる。

「ところで、やねんけどぉ。
      一緒におる『お人さん』は、誰やろか。」

『スタンド』に目を向けた。
彼女のそばにいる従者を見ている。

「保護者の方やろか?」

           「初めまして、ですよねぇ?」

328葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 03:11:18
>>327

「は、はい!」

頷く。

「そう、ですね……
 怒ったり、してるよりは――」

                    「……え?」

『お人さん』?
穂風は気づいた。

(…………見えて、るんだ。)

                 ・ ・ ・傍らの、傘を思わせる黒い人型のヴィジョン。
                      蝙蝠の頭骨のような頭。

いつの間にか、穂風の服装は変わっていた。
レインコートから、穂風の適正より、ややサイズの大きい黒いワンピースに。

「……勝手に。
 出てこないで……」

               ≪……申し訳ございません。お嬢様。
                 ただ――汗をかいていらっしゃったので。≫

「……お節介。」

そのスタンドは、穂風の意思に反して動く。
――半自立型。そう呼ばれている。

               ≪お初にお目にかかります。
                 私めは、『ヴァンパイア・エヴリウェア』と申します。
                          ……お嬢様の、従者で御座います。≫

「……」

『彼』は恭しく頭を下げた。

「……鈴元さんも、そう…だったんですね。」

329鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 03:22:12
>>328

「ふうん。」   「仲悪い?」

なんというか、自分の知ってる喋るスタンドというイメージとはかけ離れていた。

「ご丁寧にどうもぉ。鈴元 涼。和菓子屋『鈴眼』の店員ですぅ。」

『ヴァンパイア・エヴリウェア』に頭を下げて自己紹介をする。
人間相手にそうするように、スタンドにもそうする。

「せやで。もしかして、嫌やった?
          や、スタンド使いに嫌な思い出でもあるんかなぁって思うてねぇ。」

そう言って、自分のスタンド『ザ・ギャザリング』を出す。
彼の側に成人男性ほどの大きさを持った人型のヴィジョンが浮かび上がる。

「『ザ・ギャザリング』。桜の花びらを作れる……それ以外はまぁ、人間並み。」

「そこのお人さんみたいに、喋れはせんけどねぇ。」

330葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 03:34:33
>>329

「べつ、に……
 ……そういう、わけじゃ……」
 
                   ≪私めは従者で御座います。
                     友達ではない、ゆえに、仲の善し悪しなどは。≫

そういうことらしかった。

「嫌な思い出、とかは……
 あの、その、ただ、ビックリ……して。」

と、そこに現れた鈴元のスタンド。
――『ザ・ギャザリング』。

                ≪ほ、人型のスタンド。
                 桜とはまた、風流で御座いますな……≫


           シュン 

                ・ ・ ・入れ替わるように。
                   『ヴァンパイア』の像が消えた。

「……喋れたら、うるさい……ですよ。
 ……鈴元、さんは……喋れる方が、いい……んですか?」

穂風が解除したのだ。
……嫌いとかじゃあないが、『口うるさい』と思うときはある。

331鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 03:57:08
>>330

「スタンドは自分の分身みたいなもんやと思ってたんやけどぉ……
            まぁ、自己嫌悪とは違うんかなぁ……や、こっちの話やから気にせんといてぇ。」

それも個性でありスタンドの謎は深い、そういうことだろう。
少なくとも鈴元一人で答えを見つけられる問題ではなさそうだ。

「う、うるさい、かぁ……うん。」

(人間やしそういう事も言うわな。結構スパッと言うんやなぁ。)

まさかそんな言葉が出るとは思ってもいなかったんだろうか。

「うっとこの人が喋れたらぁ?
                     マチゴ
 …寝癖とか和菓子作ってるとき間違うてたら教えてくれたらエエかなぁ…」

「でもそんなん自己責任やし……口うるさく言われんのも、煩わしいもんなぁ。」

少し、悩む。
『ザ・ギャザリング』はただその場にいる。
喋らない。自己表現は出来ない。
ただ彼の指示に従うしか出来ないのだ。

「落ち込んだ時、励ましてくれたら嬉しいかも。」

しばらくして言った。

「なんていうか、僕を認めてくれるかもしれんねやったら、喋ってくれてもエエかも。」

「ない物ねだりやし、僕は今の『ザ・ギャザリング』が好きやから喋らんでもエエけどねぇ。」

柔らかく笑った。自分のスタンドに向かって笑いかける。
その顔を葉鳥にも向けた。

「って感じやろか。答えになっとるぅ?」

332葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 18:41:53
>>331

穂風は――『おしとやか』とか『おとなしい』とかではない。
口下手で、温厚な部類だが……意志は強い。

「……は、はい。」

              (分、身……。
               私のスタンドも、私の……)

そんな穂風には、疑問がある。
このスタンドは――自分にとって『何』なのだ?

精神の分身。
あの従者の人格は――穂風のどこかに眠っているものなのか?

              ・ ・ ・自覚は、あまりない。

「……あ、う、ええと。
 答え、に……なってると、思います。ありがとう、ございます。」

「……へんなこと、聞いてしまいましたね。
             あの、すみません。」

                         (励ます、認めて、くれる……
                               ……そういう、モノ、なのかな……)

「…………それで、その、ええと……」

……もごもごと口を動かす。
まあ、偶然会っただけだし、特に話すこともないのだが……

                  「……あ。」

「あの、すこし、お聞き……したいこと、が……
 …………あ、す、すみません、聞いてばかりで……」

333鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/14(日) 23:11:15
>>332

「答えになってるんやったらエエんやけどぉ……」

とりあえず答えを出すことが出来たことに内心胸をなでおろす。

(…なんちゅうか、はたから見たら変な会話やろなぁ……)

スタンド使いならではの話だろう。
しかし……

(会話って案外続かんもんなんよなぁ……)

偶然会っただけだし当然なのかもしれない。

(世の中には立ち話で勧誘したりとか
       ナンパで恋人作る人とおるみたいやけど
                        なんちゅう話術の持ち主なんやろか。)

(そんだけの話術あったらこんな状況にならんと会話続けられるんやろなぁ……)

(正直、女の人ってだけで緊張するんよ……)

会話技術の向上は『ザ・ギャザリング』が喋れるようになることを願うような
                                     ない物ねだりなのかもしれない。

>あの、すこし、お聞き……したいこと、が……

「あ、な、なんやろか。」

考え事をしていたためか、ちょっぴり驚く。

「答えれることやったら、なんでも答えるで……」

なんだかaskとかurlとか出そうな感じに胸を張りたいが今の彼には無理だ。

(まぁ、変な事は聞かれへんやろ…)

334葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/14(日) 23:51:57
>>333

質問には答えるし、答えられる。
その繰り返しは会話と呼んでいいだろう。

プロの『話術』とは、そこから『発展』させていくもの……かもしれない。
差支えない日常会話から、自らの望む会話へと。

ともかく。
……やや沈黙を挟んで、穂風は口を開いた。

疑問は、じつに……シンプルで、奇妙なものだ。

「……あの。その、さっき。
 ……学校、って、言ってましたよね。」
 
                 「それで」

                     「ええと」

もごもごさせて、それから。

「……あの!」

「学校って……楽しい、ですか?」

まるで捻くれた中学生みたいな質問だが――そういう意味ではない。
穂風は、知らない。学び舎の鐘の音も、学友との日々も。

             ・ ・ ・穂風の赤い目は、真剣だった。

335鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/15(月) 00:21:53
>>334

「……なんや、事情でもあるんかな。」

鈴元の顔から笑みが消えた。
怒ったわけではない。

「笑ってするお話、って感じやなさそうやねぇ。」

「目ぇ真剣やし。や、学校のことで悩んでるんかもしれんけど……」

沈黙。
まっすぐ葉鳥の目を見つめる。
烏の濡れ羽のような黒髪とよく似た黒い瞳が、相手を見つめる。

「前はたのしなかったよ。前は、ね。」

「毎日ガッコと店の往復。つまらん。作業感すらある日常やったわ。」

酷評である。

「でもな。」      
             「――――――今は楽しい。」

いつものように優しく笑った。

「今は『やりたいこと』があるし、『エエ友達』もおる。」

部活も、そこにいる人間も彼にとっては大切な存在だ。
機械的な日常をほんの少し変える、そんな機会を渡してくれたのだ。
自分が仲間なら楽しそうだと言った女性がいた。
お世辞でもなんでも、鈴元にとってはそれが嬉しかったのだ。

「つまらんことも、ツラいこともあるわ。
 でも人間生きとったらもっと酷いモンを見るし聞く」

「それにくらべたら、『たのしゅうてしょうがない』そんなとこやで。」

胸を張っていえる。鈴元は心からそう思っているのだから。

336葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/06/15(月) 00:36:23
>>335

「……」

           コクリ

……鈴元の答えを聞いて、穂風は頷いた。
それは望んでいた答え、だった。

          ・ ・ ・後押しが欲しかっただけかもしれない。
               自分の中に芽生えつつある、次の欲求への。

「ありがとう、ございます。
 ……答え、聞かせてくれて……!」

決意が籠められた声だった。
多くの言葉はいらなかった。

「……あの、私、そろそろ……行きます。
   ……鈴元、さん。その、ええと……また、お話……しましょう。」

「今日は、会えて……よかったです。えへ。」

笑顔でそう言って、その場を去る。
……そうと決めれば、『勉強』しなくては。

まずは仕事をできるようになって。そしたら……『学校に行く』。

337鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/06/15(月) 00:44:50
>>336

鈴元はただ答えることしか出来ない。
それが相手の求める答えかどうかは分からない。
少なくともウソを教えようとは思わなかった。

「あい。僕も会えてよかったわぁ。」

去る彼女の背中を見送る。

ふと、スタンドのほうを見た。

「なんやったんやろねぇ?」

『さぁ。わからんわぁ。』

「……つまらんわ。あんさん静かなほうがきれぇやね。」

スタンド会話。これは会話ではない。
独り言だ。
         オ 
「またどっかで会うたら、お話しよか。」

鈴元ももうすぐ帰るだろう。
次の出会いはあるだろうか。
たとえなくとも、彼は歩き続ける。

家に帰るために。
なにか起きないか探すために。

338紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/07/08(水) 23:54:36

夏だ!

      バァァァァ―――ン!

海だッ!!

             バァァァァァ――――ンッ!!

水着だァーッ!!!

                     バァァァァァァ―――――――ンッ!!!


……というわけで、夏の海。
ちょっと仕事で『海の家』に赴き、そこで聞き込みを行って。
とりあえず仕事が終わったし、折角『水着』に着替えたのだから軽く泳いでいこうとビーチを歩く紫である。
水着は派手な緋色のビキニ。
普段は低い位置でまとめている長髪を、今日ばかりは高い位置でまとめてポニーテールにしている。
手足はスラっと長く、全体的にスレンダーな体つきだ。
……全体的にスレンダーな体つきだ。全体的に。どこがとかは言わないけど。

「さぁて夏休みになって学生で賑わう前に、遊んでおきますかね!」


                             「とりあえず泳げるだけ泳いでオウッフ」 ズシャアァッ


…………なんか砂浜に『落とし穴』があって、いや深さは大したことなかったんだけど、転んだ。
凄く派手に……頭から、転んだ。

339穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/07/09(木) 00:05:46
>>338
「あ、ワリ」

『雲』に入る『龍』の三部袖の刺青を背中に彫った男が居た。
手にはシャベル。

「TSUTAYAで借りた『徳川埋蔵金特集』観てよ、
 思い立ったが吉日つー訳で埋蔵金探しに夢中になってたわ。
 怪我とか大丈夫?」

手を差し出す。

340紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/07/09(木) 00:14:38
>>339

「……ええ、まぁ。こちらこそ失礼しました」

むくりと顔を上げ、素直に差し出された手を掴む。
出した手には、『クエスチョンマーク』の刺青が刻まれていた。砂まみれだけど。

        「よいしょ、っと……」

で、立ち上がる。
特に怪我とかはなさそうだ。砂まみれだけど。ファック。
砂を落としつつ、男に声をかける。

  「しかし、『徳川埋蔵金』ですか。
   ……いやー流石にここには埋まってないんじゃないですかねぇ……それとも、何か根拠が?」

341穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/07/09(木) 00:26:56
>>340
「根拠。
 根拠って言ってもな。
 暇つぶし以外の何者でもねえけど」

            ズギュンッ

上半身裸でスラックスを履いた刺青男の傍らに、
深紅の広袖のカンフー服に身を包んだ人型スタンドが現れる。

『老師ッ』        「あ?」

『暇ダト言ウノナラバ、
 スコップデハナク剣ヲ振ルッテクダサイ!
 ソノヨウナ鉄キレで穴掘リヲシテモ何もエラセマセン!!』

「るっせーな。
 お前、それ全国の糸井重里さんへの冒涜だぞ。
 埋蔵金出たら、剣でも何でも握ってやるけどヨ。
 って、出てくんなよ。
 俺この娘からみたら完全に「危ないお兄さん」じゃねーか」

握っていたスコップを突き立てた。

「ってオイオイ。
 なんだそりゃ、『スミ』入ってんじゃねえか。
 ハテナマークの。お前、お母さんお父さんが悲しむぜ」

342紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/07/09(木) 00:46:59
>>341

「アッハイ」

そっかー暇つぶしかーそりゃそうですよねーって顔をする。
そりゃそうだよね。大の大人が真面目に砂浜で埋蔵金探してたらそれは非常に希少な人種だ。

……とか思ってたら。

  (……うわぁ、すごいナチュラルに出てきましたね『スタンド』。
   …………あれ、というか、喋ってる? ……自我がある?)

なんかしれっとスタンドが出てきて、困惑した。
地味に『半自立型』のスタンドとは初遭遇の紫である。

「ふぅむ…………ん、『スミ』? ああ、『これ』ですか?
 いやぁ、父母は少し前に他界しましてねぇ。まぁいても悲しんだとは思いませんが」

あっはっは、と微妙に笑えない話を笑ってしつつ。

     「というか、貴方こそもっと『派手』なの入れてるでしょうに」

  「やっぱり……貴方も『刺青屋』で入れたんですか? 橋の下の?」

343穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/07/09(木) 01:02:47
>>342
「へェ。
 俺、親父もお袋も見た事ねえしなぁ。
 オタクの歳の頃って何やってたっけ…」

         ジュポッ

『老師ッ!
 海岸デ喫煙ナド言語道断ッ!
 マナーデスヨ!マナー!』
                  シュバァッ

穂村が咥えて火を点けたタバコを、
シュニッケンズが速攻取り上げた。

「んだよ、うぜぇな。
 お前、俺ヤクザだぞ。
 マナー説く相手間違えてんだろ」

               「ああー」

「彫った彫った。すげー彫ったわ。
 周りは「大した事ない」って言ってたけど、すげー痛いのな。
 俺、むしろ彫るの遅いって言われたくらいだしな。
 それに刺青彫ったら『MRI検査』受けれなくなっちまうんだぜ。
 
 ――てか、『コイツ』見えてるの?すげーウゼーだろ」

『ウザクナイデス!!』

344紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/07/09(木) 01:19:57
>>343

   「あー、やはり『ヤクザ屋さん』でしたか。
    見るからに、という感じではありましたが」

暇つぶしに徳川埋蔵金を探して砂浜に穴を掘る『ヤクザ』。
……端的に言って、すごい状況だ。
しかも相対しているのは『名探偵』で、ヤクザの傍らにいるのは『中国武術家』っぽいスタンドだ。
…………すごい状況だ。
半ばあきれつつ、肩を竦めて。

「あれは痛かったですねぇ。
 人生でトップ3にはいる痛さでしたよ、実際。
 まーおかげで『面白いもの』は手に入りましたが……」

  「……貴方のそれは、非常に『面白い』ですね。
   『自我』があるんですか? 貴方の意志とか性格とは関係なく?」

本体と会話し、あまつさえ喧嘩(というかじゃれ合いというか)までするスタンド?
……興味深い。そういうタイプのスタンドもあるのか。

345穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/07/09(木) 01:31:57
>>344
「そうそう、暴力団員よ。
 ”秀英組直系林組組長代理”兼”秀英組直系林組内穂村組組長”の
 穂村公康君(ホムラキミヤス)よ。
 組長って言っても『黒板消し係』とか『美化委員』のノリだと思うけど」

『我ガ名ハ”フー・シュニッケンズ”。
 穂村老師ト共ニ”武”の”極ミ”ヲ目指ス探求者デス。
 以後、オ見知リ置キヲ…  』

呆れる紫とは対照的に無表情のまま淡々と抑揚のない口調で。
シュニッケンズは袖をあわせ丁寧に頭を下げた。弁天髪が揺れる。

「おー、なんか喋るわ。
 他の連中のスタンドってゆーのは普通喋らねーのな。
 誰か交換してくれねえかな。
 このバカと来たら、ちょっと気緩めたらお構いなしに出てきてヨ。
 センズリ扱く気も萎えるっつーのな」  

             『老師ッ!!』

「あ」
        『女子(オナゴ)ノ前デ、自慰ナドトッ!
         ナント破廉恥ナ!!言葉ヲ選ンデクダサイ!!』

「ヘイヘイ。
 俺の性格が反映されてる…てのは、
 コイツ見てると何となくわかるんだけど、
 まーアレだな。普通に嫌いだけど。
 オタクはどんなん持ってるの?やっぱりウザイ?」

346紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/07/09(木) 01:56:28
>>345

「おっと、これはどうもご丁寧に。私は――――」

一瞬、迷う。
……本名で名乗るべきか、偽名で名乗るべきか。
所在調査とかしてると、たまに『ヤクザ屋さん』と関わることになることがあるのだ。
まぁ滅多にない事ではあるし、そもそもそういう時は偽名を使うようにしているから――――

「…………『紫斜六(むらさき・はすむ)』です。
 『紫名探偵事務所所長』……と言っても、私一人の事務所ですがね」

結局、本名を名乗る。
職業までキッチリと。どうせ名前から調べればすぐにわかる情報だし。
流石にビキニでは名刺は携帯できないから、名乗るだけだが。

「ああ、職業柄『下の話』には耐性がありますので、お構いなく。
 ……それにしても、随分と対極ですねぇ。
 私もそう多く『スタンド使い』に会ったわけではありませんが、珍しいパターンなのではないでしょうか」

まるで『漫才』のようなやり取りに、思わず苦笑しつつ。
自分のスタンドについて問われ、自らの顎に軽く手を当てる。

    「さて、私のも喋るといえば喋るんですが……なんというか、それ以前の問題とでも言いますか」

 「まぁ見せたほうが早いですね」

そう言って、『アームチェア・トラベラーズ』を発現。
宙に浮かぶ『安楽椅子』……それを自分の背後に出現させ、腰かける。一応足は地面につけつつ。
非スタンド使いから見れば、ビキニの女が空気椅子してるように見えるだろう。シュールだ。

  「この通り、『椅子』でして。
   貴方ほどではなくとも、珍しい形状かもしれません」

347穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/07/10(金) 23:23:42
>>346
「オメー、そりゃあアレだよ。
 ッて、語るのはだせーよな。
 やめておくわ」


              「おー」

死んだ魚のような目で
安楽椅子に座る『紫』を眺める。
少し早い海水浴に眺めた人間達も怪訝な眼差しを紫に向けるだろう。

「なんだそりゃあ。
 黙ってるって点だけで俺の『コレ』と取り替えて貰いたいんだけど、
 いくら課金すりゃあ交換してくれんの?
 んで、ソレ何ができるわけ』

348紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/07/10(金) 23:37:12
>>347

「あっはっは、スタンドをお金で交換できるという話は聞いたことがありませんねぇ」

  「それに、『お気に入り』ですし。
   少なくとも私は譲るわけにはいきません」

ビーチの視線を(あんまりよくない意味で)独り占めだが、あまり気にした風でもなく。
けらけらと笑い、すっと『椅子』から降りて立つ。

「なにが出来るかと言えば、さきほどの『喋ると言えば喋る』という話と関連するのですが……」

そして紫がそう喋っている内に、『安楽椅子』は紫の前に移動し……
移動しながら、縮んでいく。手で抱えられる程度のサイズまで、縮む。
そして無人であった『安楽椅子』には、いつの間にか『インバネスコート』に『鹿撃ち帽』の小人が座っており……

     『……探偵君。特に用事が無いのなら、無暗に呼ばないでもらいたいね』

 「すみませんね、『ホームズ』。
  しかし言葉で説明するより、実際に呼び出した方が早いでしょう?」

その小人と会話する。
当然一人芝居というわけではなく、この『小人』には独立した意志があるらしい。

    「……とまぁご覧のように、『助言者』を呼び出すのが能力です。
     誰でもというわけには行きませんがね」

349穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/07/10(金) 23:46:59
>>348
「おいおい」『アノ、老師…?』

縮小した安楽椅子の上に現れた帽子を被った「いかにも」な男性。

「何このちっさいオッさん。
すげー。何?オタク、もしかして探偵なの?
やべえわ。なぁなぁ」「サインくれよ」

「『探偵』が『探偵』を呼び出すワケ?
それ、俺がヤクザを呼び出すノリだな。クールだわ。
どっかの『シュニッケンズ』さんと違って無駄にデカくねーしな」

350紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/07/11(土) 00:06:23
>>349

「厳密には『名探偵』が『名探偵』を、なのですが……まぁともかく」

         『もしかしなくとも、僕は世界で唯一の『顧問探偵(コンサルティング・ディティクティブ)』だが……
          サインだって? 僕は画家じゃないんだ。よしてくれ』

「ご覧の通り『助言』をする以外は特に何もしてくれないんです。
 気が向けば、ちょっとした頼み事ぐらいは請け負ってくれるみたいですが」

二人の『名探偵』が、肩を竦めて苦笑する。
まぁ片方は自称で、片方は世界が認める『名探偵』。
その差は天と地ほどあるが、それはともかく。

「貴方の『フー・シュニッケンズ』さんも、強そうでカッコいいと思いますけどねぇ。
 いいじゃないですか、武術家。
 私、『ブルース・リー』とか『ジャッキー・チェン』とかも好きですよ?」

351穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/07/11(土) 00:28:14
>>350
「コンサルティング・ディティクティブだってよ。
 これはちょっとした大事件ですよ元太君」


ガシィッ

『紫殿!
 ブルース・リー氏ノ良サガワカルノデスカ!
 老師ナド『ブルース・リー』ヨリ『ブルースロック』ガ好キナドト、
 訳ノワカラヌ事ヲ!!』

『フー・シュニッケンズ』が紫の手を握った。

「おまッ、
 俺お前に付き合って『死亡遊戯』何回見たと思ってんだよ。
 ジークンドーだかシークワーサーだか知らねえけど、
 熱血してんじゃねえよ」

           スッ

『シュニッケンズ』の指の隙間からタバコを取り返し、
火を点ける。

「好きじゃあねえんだよ。
 「夢を叶えるため夕日に向かって走れ!」とか、
 「目指せ最強!アチョー!」みたいなのが。
 それに俺の苦手なもん詰め込んだようなこの『バカ』が。

 そーいう熱い気持ちは勝手に胸の奥に仕舞っておけってのな。
 ああ、ちなみにそいつ。
 素手ゴロ得意そうだけど、『インチキ武器』出したりするから」

352紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/07/11(土) 00:51:44
>>351

     「あ、はい。
      好きなんですね、『死亡遊戯』」

  (予想以上にと言うか、予想通りと言うか、結構グイグイ来るタイプですねぇ、『フー・シュニッケンズ』さん)

若干引き気味に困惑しつつも、されるがままに手を握られる。
なお『ホームズ』は帰った。というか実際用があるわけでもないので『アームチェア・トラベラーズ』ごと解除した。

「……スタンドと本体の趣向が違うと、大変そうですねぇ」

紫は『名探偵』で、スタンドで出てくるのも『名探偵』だ。
細かい趣味趣向は違えど、目的意識が同じだから、そういう悩みを持ったことはない。
そもそも、呼ぶ呼ばないは紫が選択することだ。趣味が合わないなら呼ばなければいい。
だが、確かに四六時中一緒にいるスタンドと趣味が合わないとなると……これは中々、大変だろう。

  (…………あるいは、『苦手』であるからこその人格形成?
   深層心理や、過去の何らかの経験をベースにスタンドの人格が形成されている可能性……?)

     (……いずれにせよ、本人に直接聞くことでもありませんか。
      ううむ、スタンドの考察というのは中々難しそうです)

「む、『インチキ武器』?
 ……というとこう、それこそ映画でたまに見るあの『パッと見なんなのかよくわからない武器』ですか?
 どう使うのかわからない、みたいな武器がたまに出てきますが」

353穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/07/11(土) 01:05:35
>>352
「おーよ」

     「あ」

「アレ出せよアレ。
 『飴玉』」
            ズボォッ

『シュニッケンズ』が自身の纏った道義の袖口に手を突っ込み、
先端に異様な大きさの鉄塊が備わった2本1対の『短棒』を取り出す。
(ttp://www.gaopu.com/333.html)

『”飴玉”デハアリマセン!
 ”金瓜錘(キンカスイ)”デス!』

「おー、それそれ。
 まぁこんな感じな。
 俺としてはこんなインチキ武器じゃなくて、
 スマホの充電器とか凍らせたペットボトルのポカリ出してくれる方が、
 ずっとずっとありがてえんだけど」

『シュニッケンズ』から『器械』を受け取ると、
一瞥もくれずに砂浜へ放り捨てる。

「穴掘りも飽きたし、帰るわ」

354紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/07/11(土) 01:19:04
>>353

「おおー」

素直に感嘆の声をあげた。

「なるほど、武器を出す能力ですか。
 確かに、武術家である『フー・シュニッケンズ』さんらしい能力ですね。
 ……公康さんらしいかどうかは、まぁさておくとして」

なんか『八極拳は槍術のための武術ッ!』みたいな話も聞いたことがあるし、武術家らしいといえばそうなのだろう。
そりゃあ素手よりは武器を持ってる方が強いし。
しれっと馴れ馴れしく『穗村』を下の名前で呼びつつも、感心する。

「…………でも確かにそういう生活用品が出せるスタンドだったら、色々便利でしょうねぇ」

『アームチェア・トラベラーズ』も似たようなことはできるが、制限が厳しい。
携帯の充電器で戦う『名探偵』とかいたらきっと役に立つのだろうけど。
しかし紫は『ガラケー派』なので、多分今後そういう探偵が出てくることは無いだろう。

   「あ、お帰りですか」

 「では、私は当初の予定通り泳いでくることにしましょう。
  それではお二人とも、お元気で」

そう、盛大に転んだから忘れていたが、紫は泳ぎに来たのだ!
いや泳ぐために海に来たわけではないのだが、ともかく泳ぐつもりだったのだ!
となると泳がない訳にはいくまい。
そういうわけで、軽く手を振って『穗村』に別れを告げ、海へ向かう紫であった。

355穂村公康『フー・シュニッケンズ』:2015/07/11(土) 01:45:50
>>354
「公康さんっておまッ。
 そんな呼ばれ方したの初めてだわ」

               「おー」

「行くべ行くべ」『ハイッ』

海へと駆けてゆく紫の姿を見送り、
スコップ片手に砂浜を後にした。

356ココロ『RLP』:2015/07/17(金) 08:13:45

        ザ ザーン ・・・・

潮風がハーフアップの茶髪を揺らす。

「……」


朝方の砂浜。
まだ海水浴客らしき声はまばらだ。

ココロも、単に散歩に来ただけである。

         「…………あら?」

ふと、緑の瞳が、小さな『ボトル』を見つけた。
そちらに歩み寄り、しゃがみこんで、拾う。

(こ、こ、これ……ボトルメールというものじゃあないの?)

357朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/17(金) 22:38:55
【金言部のプチ活動】
【出来る人ができる時間に海岸のゴミ掃除を!】
そんなチラシが金言部の活動記録に載っていたとかいなかったとか

「ふぅー…今日は休みだから
 暇つぶしにいいかな?」
ゴミ袋を抱えた少女が、意気揚々と海岸のゴミを集めている光景が見えるかもしれない。

「ん?あの人は…
 あの人もゴミ拾いかな?」
ちょうど、ボトルを発見したのに合わせて、涙音の視線はココロの方へ向いた。

ちなみに涙音は…
迷彩柄の上下の水着を着ている。セクシーな姿であった。
…あと鳩尾の『ターゲットスコープ』の刺青が目立つだろう。

358朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/17(金) 22:39:18
>>356
へのアンカーを忘れてました。すいません。

359ココロ『RLP』:2015/07/18(土) 00:36:27
>>357-358

ココロは朱鷺宮には気づかず、拾い上げたボトルをしげしげと見ていた。
……ゴミ拾いって雰囲気じゃあない気もする。

「……」

         コト

(や、やっぱりだわ……な、中に紙が入っているわ……)

ココロの服装は水着ではない。
クリーム色のワンピースだ。

「……あら?」

      「あっ、ご、ごめんなさい。気づかなくて……お、おはよう。」

ようやく朱鷺宮に気づいたらしい。
申し訳なさそうに頭を小さく下げる。

360朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/18(土) 00:51:28
>>359
「…と思ったけど、
 これはゴミ拾いではなさそうですね。」
しばらく何をしているのかを確認して…

「あ、いえ気にしないでください。
 こっちはただ気になってたもので…
 …にしても、この時間にっていうのは珍しいですが」
見ると、涙音の方はゴミ袋を軽く引きずっている。

「…その瓶の中、
 なにか入ってますね?何でしょうか?」
そう言って今度は瓶の中身を覗いてみる。

361ココロ『RLP』:2015/07/18(土) 00:59:23
>>360

「ご、ごめんなさい、こんな時間に……」

(お、怒ってい、いるのかしら……?
 で、でもこの子ってこういう性格なだけなのかも……)

朱鷺宮の意図はともかく、ココロはそう思った。
……それにしても。

             チラ


(お、惜しげなく武器を披露してくるものね……こういうのが女子力というものかしら……)

朱鷺宮の刺激的な装いに驚く。
じろじろ見ないよう、やや視線を外しつつ……

「えっ、あ、ええ、そうね。
 何だか、紙、みたいだけれど……」

「……わ、私は……これ、い、いわゆるボトルメールなんじゃあないかと思うの。」

勘違いだったら恥ずかしいが。
しかし実際、瓶の中には折った紙が転がっている。

                   ザザーン…

362朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/18(土) 01:05:31
>>361
「いえいえ、別に謝らなくても。
 私だってそんな感じですしね。」
軽く右手を振りながら答える。
涙音のスタイルはなかなかのものだ。歳が14とは思えない。

「ボトルメール…
 つまり、瓶を流して誰かにメッセージを伝える…
 というあれですね?」
改めて、瓶の中身を見る。

「…こういうのって大概SOSのメッセージだったりするものですけど…
 中身、読んでみます?」

363ココロ『RLP』:2015/07/18(土) 01:19:29
>>362

「あ、そ、そう……?」

(よ、よかった。
 怒ったりはしていないのね……)

ちょっと安心だ。
スタイルについては、すごいが、ココロは触れない。

「そう、そういうあれだわ……
 ど、どこから流れ着いたのかしら……外国……?」

片目を閉じ、瓶越しに紙を見るが、折られていて見えない。
……コルクで栓をされている。

(……どこから来たのかしら。
 海の向こう……どんな国から……うふふ……)

「……え、SOSって……」

              ゾワ

妙な想像をしていたが、朱鷺宮により引き戻された。

    ズズズズズ

瓶が邪気を帯びている気がする……
開けていいものだろうか……駄目なのでは……

364朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/18(土) 01:23:34
>>363
「ええ、もちろん。」
取り敢えず頷いて安心させることにする。
ちなみにへそ出しなので刺青はバッチリ見えている。

「…海流とかの流れとかはよくわかりませんが、
 取り敢えず海外…まぁ国内の可能性もありますし…」
涙音の見る限り、中身の字を確認しなければ判断がつかないらしい。

「ん?よくわかりませんが、妙な感じがする…
 気がしますねこの瓶。」
改めて瓶を確認して、軽く触ってみる。

「でも手紙に書かれてる内容が気になりますね…
 どうしましょうか…」
涙音も何かを感じたのか、若干ためらいを見せているようだ。

365ココロ『RLP』:2015/07/18(土) 01:39:08
>>364

(い、刺青だわ……
 み、ミスコンでも見たけれど……私も入れているけれど……)

褒めるべきか、それとも。
見せびらかしてるんだし褒めるべきか……

「そ、そうね……」

(そ、そりゃ国内か海外に決まっているわ……
 そうじゃなかったら、こ、怖いじゃないの……)

紙はきれいに折られて、見えない。
瓶にも何も書いていない。

「みょ、妙な感じ……? そ、そうかしら……
 ……ど、ど、どうしましょう……」

……その時ふと思ったのだ。

(……え、SOSだとしたら、ますます見なきゃじゃない。
 せっかく流れ着いたのよ……む、無視なんてひどすぎるわ……
 わ、私、自分が怖いからって、また誰かのことを見捨てるつもりだったの……?)

「……や、やっぱり、見た方が良い気がするわ……」

朱鷺宮に提案する。
……が、これを開けるのは骨そうだ。

366朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/18(土) 01:51:28
>>365
「…ふむ?
 確かに、ココロさんの言うとおりです。」
彼女の言葉を聞き、直ぐに気を取り直した。

「もしこれがSOSのメッセージだったら
 さすがに見過ごせませんし…
 なにか起こった時は、…警察に任せるなり何なりしましょう。」
そう言ってビンのふたを確認。

「む、結構固そうですね…
 私のスタンドに…開けさせてみましょうか?」
涙音は、軽く自分の後ろからスタンドを出現させつつ言う。
『FUS』のパワーを持ってすれば開けるのは簡単だろう。

367ココロ『RLP』:2015/07/18(土) 02:32:09
>>366

「そ、そ、そうね、ええ……い、一大事だもの、SOSなら。
 も……もしかすると、普通にお手紙かもだわ……そ、そしたらどうしましょ……」

瓶のふたはない。
……『コルク栓』なのだ。

(参考:ttp://cache1.asset-cache.net/gc/157677829-message-in-a-bottle-gettyimages.jpg?v=1&c=IWSAsset&k=2&d=c8V0nTE01qcv534wdrLD8KNLalwKAmjvw8S7OIyxBsvuVAtCq2%2FVEiETxwcfMvrD)

             

             ギュギュ

「そ……そうね。
 わたしの手じゃ、と、とてもじゃないけれど……っ!」

ココロも開けようとする。
……固い。古くなっているのか? 単にきつくし過ぎか?

「お、お願いするわ……」

           ハァハァ

息をあがらせつつ、手渡す。

368朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/18(土) 02:35:34
>>367
「普通のお手紙でも平気ですって。
 こういうのは、不特定の誰かに見てもらいたいものですからね。
 大概は」
そう言うと、涙音のスタンドは軽く前に出る。

「よし、それじゃあお任せください…
 『フォートレス』!」
そう声を上げると、
瓶は自分が両手で持ちつつ、

「ていっやっ!!」
コルクはスタンドが力いっぱい引っ張ってみせる!
パワーBと精密さBの『FUS』ならば、壊すことなく、引きぬくことが出来るはずだ。

369ココロ『RLP』:2015/07/18(土) 02:48:33
>>>368

(へ、平気って何かしら……
 あっ、わ、私、心配していると思われたんだわ……
 ……で、でも、実際、心配も少しあるわ……)

「そ……そうよね。
 心配しなくても、いいわよね、ええ。」

「ちゃ、ちゃんとコミュニケーション出来たらいいのだけれど……」

言ったそばから心配を見せるココロ。
そして――


              ギュギュ

       ギリリ ・・・・

「ぬ、抜けそう……」

            スポンッ!!

「あっ!」
 
           「す、すごいわ、お手柄だわ……!」

見事、コルク栓が引き抜かれた。
……これで、中身を見ることが出来そうだ。

370朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/18(土) 02:53:00
>>369
「まぁ、取り敢えずは見てみましょうか…」
そこまで言ったところで…

すっぽーん!


「おっとっと…!
 力みすぎました…!」
景気良くコルクの栓は引っこ抜けた。
硬くなっていたが、スタンドのパワーでは割と容易に抜くことができた

「…さーて、ここからが本番ですが…
 なんて書いてあるかを見てみましょうか。」
そう言って軽くボトルを振って手紙を取り出す。

紙を広げて、中身の確認を行うだろう。

371ココロ『RLP』:2015/07/18(土) 03:03:13
>>370

「そ、そうね……
 な、何事も……こ、怖いことが、なければいいのだけれど……」

           コト

瓶から、紙が零れ出た。
ココロもそこに視線を向ける……

     ピラ

(ど、どうしましょ……英語ならいいけれど……
 よ、よくわからない言葉だったら……え、え、英語でも困るわ……)

             ピラ

――紙が開かれた。

            ・・・・が。

「……???」


白紙……だ。
何も書かれていない。

「……えっ……」

白紙だ。何度見ても……何も書かれていない。
せめてSOSとでも書いていれば、リアクションの取りようもあった物を……

372朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/18(土) 14:59:35
>>371
「何かあった時が私が何とかしましょう。」
そう言ってとりあえず紙を広げてみる。

「んーなになに…ん?」
と、広げてみた紙にはなんにも書かれていない。白紙なのである

「…んー?
 あぶり出し…かな?」
取り敢えず可能性を模索して見る涙音。
太陽に透かしてみたりとかしてみる。

373ココロ『RLP』:2015/07/18(土) 22:56:49
>>372

「え、ええ。ありがとう。」

(す、スタンド……使うようなことには、ならないといいけれど……
 ……じゅ、呪文が書いてあって、よくないものがよみがえるとか……な、なんて。)


太陽にすかして見るが、何もない。
あぶり出し……をするには、火が必要になる。

ココロの妄想のような事も、起こらない。

         ホッ

「何もないみたいね……
 え、ええ。あ、安全でよかったわ……」

(そ、それにしても、私、自然に守ってもらう側にいるわ。
 わ、わ、私の方が年上なのに……な、情けないわね……で、でも、そ、そんなものかしらね……)

「……い、いたずらだった、のかしらね。」

それならそれで肩の荷は下りる。
朱鷺宮からしてみれば、がっかりかもだが……

374朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/18(土) 23:07:37
>>373
「…さすがに今の状態じゃわからないか。」
首を傾げながらしばらく紙を見ていたが…

「ま、何も起こらないみたいですね。
 取り敢えず問題なしです。」
そう言って手紙を折りたたんだ。

「…いたずら…ですか。
 でも、イタズラならば、不幸の手紙的な…
 こう、相手を脅かすような文章が書いて有りそうなものですけどね…」
少しがっかりしつつも、ちょっと不思議に思った。

「明らかに…人為的に入ったものですし…
 ほんとにただのいたずらなら…いいんですけどね。」

375ココロ『RLP』:2015/07/18(土) 23:18:59
>>374

「そ……そうね……
 白紙なのは、か、かえって不気味だわ……」

             「……ふ、普通じゃあ、ないわよね。」

(そ、そうよ……いたずらにしてはおかしいわ……
 な、なに、何か……の、呪いとかかもしれないわ……)

朱鷺宮に不安をあおられるココロ。
とはいえ、白紙には違いない。

「……こ、これは……びっ、瓶に戻して……
 …………置いておいた方が良い気がするわ……」

消極的な事を言うココロ。

「……あっ、ご、ごめんなさい。
 ゴミになっちゃうわよね……い、家に持って帰って、捨てることにするわ。」

どちらにせよ、捨てる気だ。
まあ、こうなってくると、あんまり関わりたくもない。

376朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/18(土) 23:34:22
>>375
「さすがに何か異常があるってわけでもないですけど…
 むう…まぁ調べる意味はあんまりないでしょうかね」
折りたたんだ手紙は元の瓶の中へ入れる。

「…このへんに置くのはよくありませんし…
 ん?…まぁ持って行っていただけるならいいですが…」
少し心配そうな表情をする。

「では、これは私が持って行きましょうか?
 実は私、金言部の部活動の一つとしてゴミ拾いをしてるんですよ。
 全く迷惑にはなりませんよ!」
そう言って、ゴミ袋を軽く掲げて微笑みかけた。

377ココロ『RLP』:2015/07/18(土) 23:39:50
>>376

見た感じ単なる白紙以上に意味はなさそうだ。
……だが、思い込み始めるときりがない。特にココロのようなタイプは。

「え、あ、そ、そうなの……え、偉いわね。
 じゃあ……そ、そうね、じゃあ、お願いしようかしら。」

なので、瓶は朱鷺宮に任せることにしよう。
肩の荷が下りた。やや表情を緩めるココロ。

……さて。

「……それじゃあ、私、そろそろ家に帰るわ。
 な、何もないとは思うけれど……気をつけてちょうだいね。」

散歩には十分な時間歩いたし、今日は帰るのだ。

378朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/18(土) 23:47:48
>>377
「了解です。
 ここは私にお任せください。」
そう言ってゴミ袋の中にとりあえず放り込んでおいた。
…と言っても、涙音も気になるだろう。

「もちろん気をつけていきますよ。
 ココロさんも、帰り道気をつけてくださいねー。
…私は恐らく平気です!」
そう言って手を振り、見送っていった。

そしてしばらくして…
「…これは取り敢えず取っておこうかなぁ…
 部長に聞いてみたりとか…」
色々考えながら、いっぱい煮詰まったゴミ袋を抱えて、砂浜から歩いて去っていくのであった。

379イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/20(月) 01:33:39

            ザッパザッパザッパザッパ

    「ウオオオオォォォォーッ!」

                         ザッパザッパザッパザッパ

          「『海の日』だァ―――ッ!!」

  ザッパザッパザッパザッパ


海の日である。
女子大生(身長143cm)がすごいテンションでザッパザッパ泳いでたりする、ごく普通の海の日である。
連休、なおかつ学生にとっては夏休み開始ということで、今日の海は海水浴客で溢れている。
それを考えればまぁ、女子大生が海でガチ泳ぎしているのもさほど特殊な事柄ではないだろう。多分。

             「っぷはぁーッ!」
                       ザッパァ

    「いやー泳いだ泳いだ! やっぱ夏はこうじゃねーとな!
     よぉし次はかき氷でも食ってくっか!」

その女子大生(身長143cm)も、どうやら泳ぎを切り上げて海から上がってきたようだ。
生き生きした顔で、意気揚々と海の家に向かっている。そのバストは豊満であった。

380朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/20(月) 22:01:02
>>379
そんなエキサイトしている女子大生(身長143cm)が海から上がってきた辺りで

ザバアアアアアア!
「ぷはぁ〜!冷たい!!」
凄まじい勢いで浅瀬から顔を上げ、這い出してくる
女子中学生(身長156cm)の姿が見られる。

「…取り敢えず何かにぶつからなかったし…
 今日は大丈夫な日…だよね?」
何故か周囲を警戒しつつ、鳩尾をかばいながら砂浜へ上がってきている。
彼女の水着は迷彩柄の上下、ホットパンツのようなデザインが特徴的である。
それと彼女のバストも豊満であった。

381イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/20(月) 23:08:39
>>380

  「おっ」

丁度イザベルが海から上がってきたタイミングで、海から上がってきた女!
これは運命だね! 縁を感じるね!
というわけでイザベルはずんずん朱鷺宮に接近した。
遠慮とか迷いとかそれらしきものはどこにもなかった。

      Hola, Que tal amiga
   「『よっ、元気かいお友達』!」

陽気に手をあげ、声をかける。

  「いい泳ぎっぷりじゃねーか!
   なかなかに夏を満喫してんなぁオイ!」

382朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/20(月) 23:14:34
>>381
「はぁー…
 しかし、やっぱり海はいい…」
前髪に赤メッシュをつけた少女は、歩く髪の毛をたくしあげてため息を付いた…
そんなところで

「ん、あ、私…ですか?
 いや…英語…?」
急に声をかけられて驚いた表情をイザベルに向けた。

「え、た、たしかにそうですが…
 海には行ってみたいと思ってましたし…
 そんなにいい泳ぎ方でした…でしょうか?」
目をまん丸くして答える。
涙音の泳ぎはたしかにいい動きを見せていた…と思われる。

383イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/20(月) 23:29:43
>>382

彼女の発した言語はスペイン語であったが、一介の中学生に英語とスペイン語の区別をつけろというのも酷な話だろう。
いずれにせよ、イザベルは困惑気味の朱鷺宮を気にせず話しかける。

「お前じゃなかったら誰に話しかけてんだっつー話だわな!
 あれか! アタシは海にでも話しかけてんのか! ウハハハハハハ!!」

むやみにテンションが高い!
海に来ていてちょっとハイになっているのであった。
そのハイなテンションのまま、手で触れあえるぐらいの距離まで近寄る。
丁度朱鷺宮の(豊満な)胸のあたりに、頭が位置するぐらいの身長差だ。
パーマのかかった、紺色のショートカット。この身長差ならつむじだって見えるだろう。

「泳ぎのフォームもよかったけどな! よく鍛えてるっぽいしなお前!
 でもそれ以上にこう、夏を楽しんでる感じがしていいぞ! 夏はやっぱ海で泳がねーとな!」

ニッと、鋭い歯を見せて笑った。

384朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/20(月) 23:35:10
>>383
「いや、その…
 まあ確かにそうなんですけど…
 しかし、随分とテンションが…」
周囲の視線が気になりつつも、近寄ってきた(涙音から見たら)少女に
驚きの表情を向け続ける。もうちょっとで胸がクッションになりそうなくらいの距離だ。

「まぁ、夏場は海に行くのが普通ですよねー。
 日焼けは気になりますけど、私の場合あんまり焼けないもので…」
眩しそうに砂浜を見つめる。
よくよく見れば先程から右手で鳩尾をずっと隠す姿勢になっている。

「アナタもやっぱり…
 海の日だからここに来た感じですか?」

385イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/21(火) 00:22:29
>>384

「なんだ元気ねーな! 泳いでへばったか!?」

周囲の視線を気にする朱鷺宮をどう思ったのか、からかうように笑う。

「おっ、お前も日焼けしねーのか! 実はアタシもそーでよォ!
 いっつも海にいるんだけどな! 全然焼ける気配がねーのよ!
 なまっちろいまんまってのもなんかそれはそれで寂しいのよなァ。別にいいんだけどな!」

そういうイザベルの肌は、確かに白い。
が、それは不健康とか美白とかいうことではなく、健康的な白さだ。
というか、明らかに日本人の肌の色ではない。あからさまに白人である。

「アタシはなー。
 海の日じゃなくても海にいるんだけどなー。
 でもやっぱこう、今日はことさら特別っつーかさ。なんかそういうのあるだろ?
 今日の海が一番『海っぽい』っつーかよォ。
 人も多くて、活気があるしな!」

   「ところでお前さっきから腹押さえてるが、どーした? 腹冷やしたか?」

386朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/21(火) 00:29:46
>>385
「いやー、あなたが元気すぎるんですよ、
 きっと。」
そう言って少し笑ってみせる。

「焼けやすい人がいるみたいですが、
 こういう風に焼けにくい人もいるってことですねー。
 …結構眩しいのに不思議です。」
そう言って肌の色を確認。
「あなたは日本人ではなく、海外の方ですか?」
興味深そうな顔だ。

「確かに…休みだからかもしれませんが
 普段よりも人が大勢いますしねえ。
 それに…やっぱり人が多い場所のほうが、遊んでるって感じがしていいですよね。」
周囲のにぎわいを軽く確認して答え…

「ん?あ、いえ
 特に意味は無いんですけど…
 急に人が来たもので思わず」
そう言って自分の鳩尾を押さえている手を確認する。

387イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/21(火) 01:20:10
>>386

「アタシか? アタシは『エスパニョーラ』、スペイン生まれよ!
 エスパニョーラは明るいからな!
 お前ら『日本人(ハポネサ)』からすりゃあ元気すぎるか!」

……スペイン人であることを加味しても元気すぎる気はするが、ともかく。

「一人で泳ぐのもいいけどよォ。
 やっぱこうやって人が多いほうがな。
 お前の言う通り、遊んでるって感じするもんな。
 活気があるのはいいことだぜ!」

ニカっと笑ってなぜか胸を張った。揺れた。なにがとは言わないが。
今更ながらに、アンバランスなプロポーションだ。身長の割にグラマラスである。

「なんだなんだ、別に腹殴ったりしねェよッ!
 お前折角スタイルいいんだから、背筋伸ばさねーと損だぜ損! ウハハハハハハ!!」

そのまま朱鷺宮の横に回り、笑いながら背中をバシバシ叩いてくる!
攻撃が目的ではないが、遠慮が無いので結構痛いぞ。

388朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/21(火) 01:24:11
>>387
「あー、なんとなくですがわかります。
 スペイン人ってこう…
元気いっぱいなイメージがありますし」

少しその元気さに押され気味だが、なんとなく理解できたらしい。

「ええ、混み合って大変なんていう話もありますけど、
 やっぱり私はこういう人が大勢いる場所のほうが好きですねえ。」
と、改めて彼女の体格を確認。

(…私よりあるかも?)
彼女のプロポーションに思わず息を呑む…!

「ん、あはい…
 一応、あ、いたたた、背中叩くのはやめてくださいって!」
バシバシと背中を叩かれ、思わず背筋をぴーんと張る。
鳩尾から手が離れ、ちょうどそこにあるターゲットスコープの刺青があらわになるだろう。

389イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/21(火) 01:46:14
>>388

「おうさ、やっぱそーして背筋伸ばしたほうがイカしてるぜッ!」

特に悪びれた風でもなく笑っている。
でも一応背中を叩くのはやめてくれたようだ。

朱鷺宮も背筋を伸ばせば、中学生らしからぬプロポーションがビーチに曝け出される。
イザベルと合わせ、ビーチの男どもの視線は釘付けだ。イザベルはあんまり視線とか気にしてなさそうだが。
実際、イザベルのバストサイズ自体は朱鷺宮とそう変わらないか、あるいは小さいぐらいかもしれない……
しかし、低い身長がグラマラスな体型を際立たせていた。
例えスリーサイズが同じでも、その縮尺が変われば受ける印象は変わるものである。

    「ん?」

ところでイザベルは朱鷺宮の鳩尾に刻まれた刺青に気づいたようだ。

「なんだおまえ、『スミ』入れてんのか。
 いいなぁ、中々イカしてるじゃんかよォー。
 『ターゲットスコープ』ってのがいいな! タフっぽくてアタシは好きだぜ!」

390朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/21(火) 01:54:39
>>389
「まっ…確かに前のめりだったのは
 いままでのことです…!」
ちょっと痛そうに背中を擦る。

…両者ともにセクシーなボディの持ち主である。
周囲の視線が痛いくらいに刺さってくる。

「…えーと、お腹すきましたし
 近くの海の家に行きましょうか?」
さすがにこの空気に耐えかねたのか、
近くの海の家を指さして答える。

「あ、これですか?
 まぁ…一応ファッション的なもの…
 と思っていただければ…
 実際鳩尾はタフになっていまして…」
そこまで言ったところで、ハァ、とため息を付いた。

(…なにはともあれ、今日はなにか衝突するってことはなさそうですね。)
油断していた。

391イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/21(火) 02:16:40
>>390

「お、そうだな!
 そういやアタシもカキ氷かなんかでも食おうかと思ってたんだった!」

そういえば海の家に行こうとしていたことを思い出す。
むしろ今まですっかり忘れていたあたりちょっとアレである。
ともあれ海の家に行こうという朱鷺宮の誘いに同意し、サクサクと砂浜を踏みしめて歩き始める。

   「?」

「なに言ってんだ、タトゥーなんだからファッションだろ?
 ああ、それともなんかのまじないか?
 国と地方によっちゃシャーマンの手で刺青入れるのが成人の証、って話も聞くけどよ」

お国柄か、ファッションとしての刺青に特に忌諱感などはないようだ。
むしろそれ以外の意味がある刺青というほうがイメージしづらかったようである。

「しっかしほんとに今日は人がいるなァー」

ああ……なぜ、なぜ朱鷺宮は油断してしまったのだろうか!
海水浴客で溢れる砂浜……彼女を狙う『災難』は、いくらでも転がっていると言うのに!
ビーチバレーに興じる海水浴客の『ボール』か?
砂浜に打ち上げられた『流木』か?
それとも、所狭しと砂浜を駆けまわる『子供』か?

否――――『それ』はビーチを駆け抜ける子供の手中から現れた。

            ガッ
             【子供】「――――わっ」
                          スポーン

砂浜の起伏に足を取られ、転倒した子供の手に握られていた――――『水筒』だッ!
それが転んだ拍子に子供の手から離れ、一直線に朱鷺宮の『鳩尾』目掛けて射出される――――ッ!

   「!?
    おい、避け――――ッ!」

392朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/22(水) 01:13:37
>>391
「あー、そうですか…
 私も食べたいですね、かき氷!」
すっかり嬉しそうな顔になって一緒に歩き出す。

「えーっと、まぁまじないといえばそうですね…
 何というか…災難を払う力というやつです…」
と、そこまで言ったところで
「ええ、いい賑わいだと思いますよ。
 やはり夏休みは人が多くないと…」
と、微笑んだところで何かが向かってくる…!!

そう、涙音は油断していた!
   すっかり何もなかったことに安心しきっていた!

     1人の子供が転倒した表紙に水筒を手放し…
 それは涙音の鳩尾へ向けて…!!
「え、なんです…」
声を聞いた時にはもう遅い!!


   ボゴォッ!!

「ごはっっっっっっ!!!」
深々とめり込む水筒!
 そしてそのまま涙音を突き飛ばし…!

ドザァッ!!

「うげええええ!」
砂浜にきれいな姿勢の仰向けポーズで倒れこんだ!
周囲に砂煙が舞い上がっていったのであった…

393イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/22(水) 22:42:42
>>392

   「なっ―――――」

                  ニ ー ニ ャ
      「名前も知らない『お嬢ちゃん』ァァァァァ――――――ッ!」


そういえば自己紹介をしていないので、微妙にしまらない叫び声をあげた。
そのままイザベルは倒れる朱鷺宮に駆け寄り、肩をゆする。

「大丈夫か! 傷は深いぞォーッ!!」

……ぶつかったのは水筒なのだから、外傷などは特にないのだが(メチャクチャ痛いが)。
ともあれ結構純粋に心配しているようで、表情は真剣である。
転んでしまった子供が状況に気づき、そっちも駆け寄ってきた。

【子供】「お、おねえちゃん、大丈夫……?」

大丈夫そうではないが。

「バッキャロー! ビーチは人が多いんだから気ィつけろィ!」
【子供】「ご、ごめんなさい……」

394朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/22(水) 22:47:53
>>393
「わ…わたしは…ニーニャではなく…
 朱鷺宮…涙音…」
と、そこまで言ったところで

ガクッ

力尽きた…



――――――朱鷺宮涙音『フォートレス・アンダー・シージ』
                 リ タ イ ア  
                『再起不能』
なわけなくて

「あうー…油断したせいで余計にめちゃくちゃ痛いです。」
すぐさま起き上がって周囲を見渡した。

「えーっと…取り敢えず持ってるものが手から滑る可能性があるので…
 ガッチリグリップを、しておいてください…マジで…」
ちょっと不機嫌そうな顔をその子供の方へ向けた!

「…えっと…傷は、ちょっと深いです…」
まだ痛そうに鳩尾を抑えながら答える。表情は思わしくないが、
どちらかと言えばうんざりといった感じの表情だ

395イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/22(水) 23:03:28
>>394

「ルネ――――――――――ッ!!」


           「……あ、起きた」

よかった……特に理由のない災難で再起不能になるPCなんていなかったんだね!
子供はとても反省しているようで、シュンとしている。

【子供】「うん……気を付けます……」
「ほんとにな!
 鳩尾だったからまぁよかったっちゃよかったが、頭とかだともっとひでぇ怪我になるからな!」

イザベルはプリプリ怒っていた。
子供と身長があまり変わらないので、ほとんど同級生ぐらいに見える。

「まぁホントに気を付けろよ。
 んじゃ、ママのとこに戻んな。
 そもそも物持ってる時は走るんじゃねぇぞ」
【子供】「はーい……」

キツく言い含めると、子供はシュンとしながらも去っていった。

  「あー……なんつーか、『災難』だったな」

     「海の家で氷でも貰ってくるか? 具合によっちゃ冷やしたほうがいいだろ」

 「……ああそうそう。
  名乗るのが遅れちまったが、アタシの名前はイザベルだ」

396朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/22(水) 23:08:25
>>395
「ふはぁー…
 確かに頭よりはマシかもしれないですがね」
そう言って軽く汗を拭う。

「じゃ、前方には注意してくださいね。」
と、言いながら涙音は少年に手を振り見送っていく。

「やれやれ、今回のは結構キツイダメージでしたよ。
 すっかり油断してたせいかもしれませんが…
 あ…はい、氷があると嬉しいですね。氷で冷やしたほうが…いいです。」
ふう、と溜息をついて手を鳩尾から話す。
見た感じ、まさしくターゲットスコープの中心点に見事にぶち当たったようだ。

「イザベルさんですか…
 やっぱり海外の方ですね…どうもよろしくお願いします。」

397イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/22(水) 23:24:42
>>396

「……つーわりには、割と元気だな。タフだなぁおまえ」

苦しんでいることには苦しんでいるが、少なくとも動ける程度には元気なようだ。
半ば呆れながら、手を引いて歩こうと朱鷺宮の手を掴む。

「んじゃ行くか。
 ああ、歩くと痛むんならアタシ一人で取ってくっけど」

ガサツそうに見えるが、それなりに面倒見はいいらしい。
先ほどまでの乱暴なぐらいの活発さは鳴りを潜め、気遣うような表情を見せる。
特に問題がなさそうなら、このまま手を引いて海の家に向かうだろう。

「おー、こちらこそよろしくな」

「しっかし『まじない』っつってたが、むしろ災い呼び寄せてんじゃねェかそれ?
 背中に『私の尻を蹴って下さい』って書いてあるのと似たよーなもんだろ、その図柄はよ」

398朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/22(水) 23:30:09
>>397
「フヒヒ、それはその…
 鍛えられてまして…」
ちょっと意味ありげな言葉で返す。

「あーその、大丈夫です。
 手を引いていただけるなら、問題ありませんので…」
涙音はそのまま、イザベルに手を引っ張られる形で海の家に向かう。

「…いや、その…
 この図柄を彫ってもらったのは、その『災い』のせいでもあるんですよ。
 …彫る前もずっとこんな調子だったので…開き直ってやろうなんて…」
苦笑いしながら答えた。
聞く限りでは、どうやら初めてではないらしい。

399イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/22(水) 23:50:19
>>398

  「鍛えられて……?」

なんだか妙な言い回しだ。
はてと首を捻り、その先の言葉を聞いて思い当たる。

    「……まさかお前、『いつも』なのか?
     マジで? いつもそこに?」

だとしたら……それは不運というか、なんというか。

「……『タフ』だなぁ、おまえ」

再三の感想だが、万感の思いを込めてそうこぼす。
肉体強度という意味以上に、その『災い』と付き合って生きていく姿勢に、だ。

「いや、マジになかなかすげーわ。
 アタシはそーいうのねーからわかんねェけどさ。
 自分の宿命っつーの? そーいうのと向き合うっつーのはさ……大したもんだよ。
 見たとこまだ未成年だってのによ」

うんうんと感心しながら、朱鷺宮の手を引いて海の家まで移動する……

400朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/22(水) 23:58:58
>>399
「はぁ…いっつもですよいっつも…
 呪いなのか何なのかわかりませんけど…」
そう言ってめんどくさそうに頭を掻いた。

「…そうですね。
 タフ、なのかもしれません。」
軽く頭を掻きながら続ける。

「…これが起こるようになってからはずっと気持ちが沈んでたんですけど…
 この刺青のお陰で、多少前向きに生きられるようになったんですよ。
 …色々と感謝すべきことなのかもしれませんね。
 こう、宿命と向き合えるようにしてくれたこの『刺青』を彫ってくれたあの人に…」
そう言って、軽く微笑む。
これだけの辛そうな出来事がありながらも、それでも笑顔で返せる。
それだけの力が『刺青』にあるのだろうか…。

何にしろ涙音はそのまま海の家に入っていく。

401イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/23(木) 00:22:29
>>400

「かもしれませんっつーか、タフだよタフ。
 それでビクビクして怯えて暮らしたりしないおまえは、絶対に強い奴だ」

家の中に引き籠って、ベッドの中で震えていたって責められはすまい。
だが、朱鷺宮は今こうして外に出て、元気にへそを出して遊んでいる。
それは立派で尊いことだとイザベルは思うし、敬意を払うべきことだとも思った。

「ふーん、『呪い避けの刺青』ね……」

歩きながら、朱鷺宮の鳩尾に刻まれた刺青を見る。
イザベルには『守護霊』がついている。『イザベルの狩人』がついている。
今まで何度もその『守護霊』に助けられて生きてきた。
そういう不思議なことがあると分かっているから、『呪い』だの『魔除け』だのがあってもおかしくないと思っている。
……もっとも、それが自分が持つものと同じ『スタンド』だとは思っていないが。
ともあれ微笑む朱鷺宮を見て……イザベルの方もちょっと悪戯っぽく笑った。

「……もしかして、『男』か?」

   「その『恩人』つーのは……ひょっとすると『コレ』か? んん?」

……訂正。悪戯っぽいというか、ゲスく笑った。
小指を立てて、ニヤニヤしながら朱鷺宮をからかいにかかっている。

      「あっ、親父ィ。カキ氷くれ。メロンな。
       それと氷嚢欲しいんだけどさ。見繕ってくれねぇ? ……おう、ありがとよ!」

それはそれとして、しれっと海の家の店主にカキ氷と氷嚢を頼んでいた。
どうも馴染みの客のようで、店主とは親しげに話している。

402朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/23(木) 00:29:44
>>401
「フヒヒ、まぁその…
 半ばヤケクソだったんですけどね。あの時は」
恥ずかしそうな顔で答える。

「…刺青…まぁその…え?」
男か?と聞かれて、どういうことだろうかという表情を見せた。

「お、男ですけど…
 さすがにあの人はその…全身に刺青があって近寄りがたいって空気があってその…
 『ソレ』ッて感じではないですね…」
恥ずかしがったりはしないで普通に答えた。
男なのは間違いないが…別に気があるなんてわけではないらしい。

「あ、私もかき氷を…
 宇治金時で!」
そこをすかさず手を上げて注文をした!

403イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/23(木) 00:49:43
>>402

「ちぇっ、ちげーのか」

『そういうの』ではないと言われて、残念そうな顔をした。

「でも全身に刺青ってのはスゲェなァ。
 こう、自分の商売を自分の体で売り込んでんのかねェ。
 『俺はこういう刺青が彫れますよ』ってさ。
 まぁ自分の身体にゃスミは入れられねーから、関係ねーか?」

おまじないとか言ってたし、それこそシャーマン的な存在なんだろうか。
どっかの部族のシャーマンで……いや、それがわざわざ日本に来て人の刺青を彫る意味はよくわからないが。
いや、そもそも日本人なのかもしれないし、まぁともかくよくわからんということはよくわかった。

「おっ、『宇治金時』かー。渋い趣味してんなぁ」

少し待てば、カキ氷はすぐに出てくる。
もちろん、氷嚢もだ。何重かにしたビニール袋に氷を入れただけの簡易的なものではあるが。

「ありがとよ、親父っ!
 そんじゃあルネ、これ使えよな。あ、腹冷やし過ぎて腹壊すなよ?」

取りあえず貰った氷嚢を朱鷺宮に渡す。
……確かに夏の気温とはいえ、カキ氷と氷嚢のダブルパンチはお腹によくないかもしれない。

404朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/23(木) 00:53:57
>>403
「ええ…
 もしかしたらそうかもしれませんね…
 あの人の力を考えると…」
なにかぼそぼそとつぶやいていたが

「あ、いえ!なんでもないです…」
慌てて弁解するように両手を振る。
取り敢えず、ぼそぼそ声は聞こえていても不思議ではないだろう。

「ええ、結構好きなんですよ!
 あんことか抹茶とかそういう味が。」
どこか嬉しそうに答える。
そして

「あ、平気ですよ!
 自慢じゃないですけど、災難とは裏腹に
 胃腸は丈夫な方なんです!」
全然自慢にならないことを嬉しそうに言いながら、
 氷嚢を鳩尾に押し付けた。

「うひぃ…!結構ヒビキますねこの冷たさ!」
ゾクッとした表情をしている…
結構鳩尾が敏感なのかも

405イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/23(木) 01:21:02
>>404

「『力』ァ?」

   「まー『まじない』がどうこうって奴なら、なんかしら『力』があるんだろーけどよ!」

別にまるきり冗談だと思っているわけではないが、ケラケラと笑った。
変な宗教にハマってるんじゃないかと少し心配でもあるが……仮にそうだったとして、本人が救われているのなら問題はないだろうし。

「アタシは昔に抹茶のアイス食って以来、どーにも『抹茶味』ってのがダメでよォー。
 だいたいなんでアイスに抹茶なんだ? 甘いもんをわざわざ苦くしてどーすんだ?
 正直理解に苦しむね……実際その辺どうなんだ?
 それは甘いのが食いたいのか、苦いのが食いたいのか、どっちなんだ?」

イザベルの方は、抹茶が苦手らしい。
喋りながら、シャクシャクとメロン味のカキ氷を食べ進めている。

「胃腸か。まぁ毎日ポンポンぶつけてりゃあ強くもなる……のかね」

    「響くのはそんだけ痛んでる証拠だろ。ちゃんと冷やしとけよ」「あっ、やべっ、頭に来た……」

ちょっと説教っぽく言いながら、急に頭を押さえる。キーンときたようだ。
どうでもいいが、さっきから見た目の割に説教臭いというか、偉そうな喋り方だ。随分ミスマッチである。

406朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/24(金) 00:01:57
>>405
「…確かに、そのとおりです。」
割と真面目な表情で答える。
どういう力なのかは詳しく言ったりはしないが。

「んー、でも何でしょうね。
 抹茶の苦味と甘い練乳がうまく調和するとかそんな感じじゃないでしょうかね?
 詳しいところはわからないんですが…うーむ。」
だが、それでも好きらしい。

「ふう…そうですね〜。
 痛いのに慣れすぎたせいで、容態を見落としたら大変です…
 しっかり冷やしとかないと…」
ちょっと反省した表情だ。
冷たいのを我慢しつつも宇治金時を待つ。

しばらくしたら多分運ばれてくるだろう

407イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/24(金) 00:18:21
>>406
         シャクシャク
「なるほどなァ、バランスって奴か」「いつつ……」
                シャクシャク

なんとなく納得したらしい。
カキ氷由来の頭痛に苦しみつつも、しかしシャクシャクカキ氷を食べ進めている。

   シャクシャク
                  シャクシャク
「まぁ容態が落ち着いたら、今日のところはもう帰ったほうがいいと思うぜ。
 そんな状態で泳いで溺れちまったら洒落にならねェし」   シャクシャク
      シャクシャク

シャクシャク食べながら説教して、ついにはカキ氷を完食してしまった。
と同時に、朱鷺宮の『宇治金時』が配膳されてくる。丁度入れ違いだ。
……というか、頭が痛いと言いながらイザベルのカキ氷を食べる速度が速すぎる。

「ま、アタシはこの後もうひと泳ぎしてくっけどよ!」

408朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/24(金) 00:21:37
>>407
「そうですね。
 甘酸っぱいとか甘辛いみたいに甘苦いなんてのがあるのかも…」
そう言っている間に宇治金時のかき氷が運ばれてきた。

「んー、確かに…
 今の状態はおとなしく休んだほうがいいですね。
 …ゆっくりと食べます。かき氷は」
そう言って軽く宇治金時に口をつける。

「…大丈夫です、おもいっきり楽しんできてください。
 私はゆっくりと眺めてますから!」
軽く頷いて答える。涙音はその後ゆっくりと宇治金時を食べ進めるだろう。

そして、ひと泳ぎしていくであろうイザベルを優しく見送っていくはずだ。

409イザベル『アーキペラゴ』:2015/07/24(金) 00:35:43
>>408

  「おーそうしな」

    「まっ、海は逃げねーからさ。また今度遊びに来てくれや。
     まだまだ夏もなげーんだし」

そう言いながらイザベルは席を立ち、嫌味のない笑顔を朱鷺宮に向けた。

「また会ったら、今度は泳ぎの勝負でもしようや!
 アタシはメチャクチャはえーから負けねェけどな! ウハハハハ!」

    「んじゃ、またな!」

そしてそのまま会計を済ませて、海に向けて去っていく。
快活に笑いながら軽く手を振り、去っていく。

……ちなみに、しれっと朱鷺宮のカキ氷の支払いもしていたようだ。

410朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/07/24(金) 00:47:23
>>409
「そうですね。じゃあ!また」
そう言って手を振り見送っていった。

…涙音はしばらく海の家でゆっくり休んでいたらしい。

411須賀山女『クイーンズ・ネスト』:2015/07/31(金) 00:49:53
「海だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

サマーシーズン到来ッ!
夏! 弾ける汗! 躍動する肉体! 不純異性交遊!

「まぁ…大人のオンナは焦ったりしないけどね、なんていうの? 余裕? みたいな?」

海の家で借りたビーチパラソルを差し、レジャーシートに寝っ転がって海をボンヤリ見ている。
均整の取れ過ぎた肢体、大きく張り出した胸と尻、それらに合わさる腰の刺青が見事に調和し、ビーチの(遠巻きな)視線を独り占めしていた。

412須賀山女『クイーンズ・ネスト』:2015/08/02(日) 02:04:44
「なんか丸一日くらいこうしてるような気がしたけど気のせいだったわ」

焼きそばとラムネを食す。
歯に青のりがつくのが心配ね。

413須賀山女『クイーンズ・ネスト』:2015/08/05(水) 23:27:37
「暇ね」

暇だ。

414朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/05(水) 23:31:19
>>413
「…はぁー…疲れたー。
 ていうか…気持ち悪い」
砂浜の一角でビーチパラソルのした、ビーチチェアに腰掛けている少女が居ます。

「スイカ割りとかもう…やりたくない…」
見ると、近くに割った後みたいなスイカが、お皿に載って置かれている。
遠くではスイカ割りをしている同級生たちの姿が見える。

415須賀山女『クイーンズ・ネスト』:2015/08/05(水) 23:58:04
>>414
「結局…こんなところで釣ってたって、くだらない男しか釣れないのよね」

うんざりするように溜息をつく、ピアス穴がひとつふたつ増えたところできゃーきゃー言うような男は見込みがない。
このまま張っていても釣果に変わりはないだろう、もう帰ろう。

「……かわいいな、あの子」

ちょっとむさい男を見過ぎたせいで目が疲労を訴えている、潤いを与えてあげないとね。

朱鷺宮へと向けて歩き出す。

ザッザッザッザッ…

「ハァイ、キミ、具合悪そうだけど大丈夫?」

同性なのだし、気兼ねなく声をかけた。

416朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/06(木) 00:04:15
>>415
ちなみに寝転んでいた少女は迷彩柄で、ビキニタイプのトップスとホットパンツの形のアンダーの水着をしていた。
スタイルは結構いい。中学生っぽくないくらいだ。
後、鳩尾に『ターゲットスコープ』のような刺青が彫られている。

「うーん…ん?」
ふと、声のした方に顔を向ける。

「あ、えっと。だ、大丈夫です!
 さっきスイカ割りをしていただけで…」
見ると其の表情は若干目が回ってるようにみえる。

「…グルグル回ってからやってたもんで…」

417須賀山女『クイーンズ・ネスト』:2015/08/06(木) 00:13:26
>>416
「すごいわねあなた、その歳でもうタトゥー入れてるの? わたしもだけど」

ホラ、と腰を捻ると、蜘蛛のタトゥーが見える。

「軽く熱中症なのかもしれないわね、案外自分じゃわからないものよ」

なんとなく会話を続けながら、視線は一点に釘付けだ、もちろん『ターゲットスコープ』に。

「………………………」

見ている。

「………………………」

すごく見ている。

418朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/06(木) 00:17:47
>>417
「え?あ、はいそうですけど…」
タトゥーに話をふられて、少し慌てた表情を見せたが

「…たしかに…この暑さですからね…
 その、水分補給を忘れてたかもしれません。
 …一応スイカでどうにかなりますけど…」
近くにあるスイカを軽く手にとって見る。

「…ん…」
ずっと視線が自分の鳩尾に向けられている…

「あ、そういえばアナタも刺青を彫ってるんですね…
 えっと…」
ふぅ、と溜息をついて答える。

「もしかして、この刺青に興味が…?
 どこで彫ってもらったか…とか…?」
そう言って自分の鳩尾を軽く撫でる。

419須賀山女『クイーンズ・ネスト』:2015/08/06(木) 00:30:46
>>418
「さわっていい?」

朱鷺宮の鳩尾に手を伸ばす。パス精ECC

朱鷺宮はつい先ほどまで炎天下の中スイカ割りをしており、体力を消耗している。
平衡感覚も低下しており、須賀の手を素早く払いのける俊敏性に欠けると判断する。

420朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/06(木) 00:40:11
>>419
「え、それは…えっ…?!」
と、涙音は彼女が思ったとおり、とっさの動きを取ることが出来なかった。
片手にスイカを持っていたのもあって、

「ひっ…!?
 はうっ…!」
鳩尾を撫でられて、涙音は思わず悲鳴を上げる。
敏感なのかもしれない。

…ちなみにたしかに刺青が彫られているような感触がするだろう。

421須賀山女『クイーンズ・ネスト』:2015/08/06(木) 00:47:20
>>420
「うわっ 柔っ」

しばらく感触を楽しむ。

「いやいや違うの、シールかなーって思ってね? でもこれ本物ね、へー、ほー、ふーん」

フニフニ フニフニ

「こうした奇抜なタトゥー入れるのに心当たりがあってね、というか見慣れてると言ってもいいけど」

フニフニ フニフニ

「でも海とか来るときは隠したほうがいいんじゃない? まだ若いし、おかしな男にひっかかっちゃうよ」

フニフニ フニフニ

「勘違いしないで欲しいんだけど、わたしノーマルだからね、ただこう…なんだろうねこれ、初めて感じる心の動きだわ」

フニフニ フニフニ

422朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/06(木) 00:52:38
>>421
「あふっ…、い、ちお、う、シール、だっていってるん、ですけど」
フニフニされてるせいで言葉が詰まる。

「えっ、こころ、あたり、っていうと…
 たとえば、…ふぃっ!」
時々悲鳴っぽいものが上がっている。
でも痛いわけじゃないっぽい

「えっと、そ、そうでしょか…ふぃっ
 でも、あ、なた、はへいき、なんで…ひっ!」
ふにふにされてるせいでちょっと顔も赤い。

「えっ、えっと、はぁ、ふぅ、ひっ!!」
もうなんだか言葉も返せていない。

423須賀山女『クイーンズ・ネスト』:2015/08/06(木) 01:07:47
>>422
須賀山女は考える、理想の男なんていないんじゃあないのか?
ありもしない理想を追い、ここまで女子力を練り上げてきたが、それは無駄だったのではないか?
今わたしの手の上には、か弱く美しい少女がいる、それで十分なんじゃあないか?


……
………

ふざけるな、ふざけるなよ須賀山女。
今の自分が正しいかそうでないかなんてどうでもいいだろう、たった一つ許されないのは、信念に背を向けることだ。
時には逃げたくなるだろう、だが今はその時ではない。そしてその時は、きっと永久にやってこないのだ。なぜならわたしはわたしだから、須賀山女だから。

フニフニ…フニフニ…フニフニ…

「あっごめんちょっと考え事してた」

朱鷺宮を開放する。

「ごめんね、ちょっと信じられないくらい触り心地良かったから…つい」

「質問に答えてなかったわね、あなたもあの怪しげなビルでタトゥー入れてもらったんでしょ?
ならそれ以上聞くことも答えることもないわ、人のスタンドは極力知らないようにしてるの」

「あとわたしはとんでもなく強いから、ヘンな男なんて返り討ちなのよ、わかった?」

ばちこん☆

ウィンクでキメた。

424朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/06(木) 01:17:58
>>423
「えっと、あの、うう、ひぃっ、くすぐった…
 フヒ、ヒハハッ!」
さすがに限界だったのか笑いこけそうになって…

「はっ…はふぅ…
 このまんまだとちょっと危なかったです。」
ようやく開放されて、涙音は改めて呼吸を整えた。

…ずっと触っていた間に須賀山女が何を考えていたのかは、さすがにわからない。

「…やっぱりそうなんですね。
 おんなじ場所でほってもらった、スタンド使い…」
なんとなくだがわかっていた。
とはいえ、悪い人じゃなさそうだなーとのんきに構えている。

「それなら安心です…。
 そうですね、先ほどの返答で言うと、変な男が来たらって言うと…
 アナタとおんなじかも知れません。」
ちょっと安心した表情で答えた。
まだ幼さが残ってる顔立ちである。

顔立ちも整っていてかわいい

かも?

425須賀山女『クイーンズ・ネスト』:2015/08/06(木) 01:25:08
>>424
「最近わたし悩んじゃっててね、ホラわたしってセクシーでかわいくてカッコよくて強いじゃない?
そのせいか人を寄せ付けづらいオーラ出しちゃってんのかなーって思ってたんだけど、なんかどうでもよくなっちゃった」

ぐーっと伸びをする。不必要なほどに胸部が強調されていた。

「わたしは須賀っていうの、また会ったらよろしくね」

スタコラサッサとその場を離れる、通報されとるかもしれんしな…。

426朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2015/08/06(木) 01:28:43
>>425
「ん、ええ…確かにそうですね…」
自分のことをそこまで言えるなんて、とかは心の中で考える。
表には出さない。

「でも、かっこいいかもしれないです。
 色々と其の…蜘蛛の刺青…
 力強さを感じます。」
どうやら彼女はその刺青の形に興味があったらしい。
蜘蛛の刺青…蜘蛛のスタンドだろうか?
取り敢えず興味は尽きない。

「あ、そうですか…
 じゃあその…私は朱鷺宮涙音、と言います。」
去っていく姿を見て慌てて自己紹介し…

「須賀さん、ですね。
 また会えたらよろしくお願いします。」
そう言って手を振って見送る。

…涙音はまた一休みをしていた。

427久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/11(火) 01:11:28
ドッギャァ──────zンッ

「折角オーダーメイドのが届いたんですよ!?海に行かずしてどうするんですか!!」

学校も夏休み。宿題は『傀儡』を駆使して三日で終了。
残るは夏祭りの企画くらいか。

《ぬおお………暑い…》

メラッサメラッサ

名状しがたき形に歪む、『名状しがたき像』を連れて(見えないけど)、『ナパーム・ビーチ・ビキニ』に身を包み、サングラスをかけて海岸を闊歩した。

428加須善治『ペイズリー・ドリーム』:2015/08/11(火) 02:26:27
全身にペイズリー柄の刺青を入れた男が、砂浜にペイズリー模様を描いている…。

それだけだ、彼はきみらに危害を加えない。

ただし、きみらが彼に危害を加えない場合に限る。

「ウフフフフ…なんてすてきなんだ…砂のはかなきペイズリー…おお…」

429久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/11(火) 02:40:31
>>428
キラキラ
           キラキラ

その身にまとう『煌き』も、夏の日差しの中では些か薄れ気味だった。

「!?わ、っ、と、っ……!!」

砂浜に描かれたペイズリー柄を踏みそうになってジャンプ。
描いてる全身刺青の人を踏みそうになってジャンプ。

      クルクル シュタッ
                     シュピーン

そのまま空中で一回前転しつつ着地。一際閃く『煌き』。

オオオオオー!!

なんかすごいウケた。

430加須善治『ペイズリー・ドリーム』:2015/08/11(火) 02:45:53
>>429
シュタッ

降り立ったそこには…既にペイズリーが描かれていた。

「そこをどけ」

全身ペイズリー男は一言だけ、有無を言わせぬ迫力をもって言葉を発した。

431久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/11(火) 02:57:17
>>430
「あわわ…済みませんっ」

砂絵を崩さないように、そっとその場を退いた。

「………………」

ちょっとだけ離れて、『ペイズリー男』が砂浜に絵を描くさまをじーっと見つめている…。

432加須善治『ペイズリー・ドリーム』:2015/08/11(火) 03:02:29
>>431
「フン…」

ザザッ ザッ

ペイズリー描きを再開する。
動きには一切の無駄がなく、うつくしいペイズリー柄が次々と砂浜に生み出されていく。

「………………………………………………なあ」

「あんた、ペイズリー好きなのか?」

433久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/11(火) 03:07:50
>>432
《何をしておるのじゃあやつ………》
「解りません、でもこう……鬼気迫るものを感じますねっ…」

しゃがみこんで見ているので、『煌き』も今は停止中。

「えっ私ですか?
そうですね…………あまり身に着ける機会がない模様なので、正直好き嫌いを語れるほど、好きにも嫌いにもまだなっていない状態、ですねっ」

434加須善治『ペイズリー・ドリーム』:2015/08/11(火) 03:11:52
>>433
「なんでだ?」

「こんなにもゴチャゴチャしててグルグルしてて気持ちいいだろ? おい、よく見ろよ、おい」

久々宮に近づいてくる、全身ペイズリーの男が近づいてくる。

「なぁ、見ろよ、よく見ろよ、俺のペイズリーを見ろよ、すごいだろ? きれいだろ? なんとか言えよ、おい」

435久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/11(火) 07:57:59
>>434
ズズズズ…

迫りくる『ペイズリー男』に、『名状しがたき像』が、静かに臨戦態勢に入る。
まあまあ、とそれを宥めながら、『ペイズリー男』に向き直った。

「気持ちいいかはともかく、綺麗で凄いですけど…。
でもいけませんよ、それじゃ。そんな風に迫ったら、普通の人は適当なこと言って逃げちゃいます。

それとも、上辺だけ、ただ褒められたいだけなんですか?」
《こ、これ、巫女や……》

こちらからも近づいていく。
間近で向かい合うと、『ペイズリー男』の身体の刺青の縁を、直接触れずに、指でなぞった。

「違いますよね………だってこんなに、身体に彫っちゃうくらい好きなのに。
凄さや、綺麗さを見せ付ける時は、迫るよりも追わせなきゃ、ですよ。ところで……。

これ、ナンパ、と受け取っていいんですか?」


436加須善治『ペイズリー・ドリーム』:2015/08/11(火) 22:24:07
>>435
「なに言ってんだおまえ」

しゃがんでペイズリー描きを再開した。

437久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/11(火) 22:48:44
>>436
「………フラれちゃいました」
《そ……そうじゃな…ああ、うむ…………》

踏まないように気をつけて、そっと迂回して通り過ぎた。

438加須善治『ペイズリー・ドリーム』:2015/08/12(水) 00:21:59
次のペイズリーを求めて旅立った。

439久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/12(水) 23:52:47
「それにしても、世の中にはいろんな人がいますねっ」
《そ…そういう問題かのう…》

パラソルをレンタルしてシートを砂浜に敷く。
夏はまだ始まったばかりだ。

440高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/14(金) 23:52:14
>>439
…何故か砂浜にマンホールが置かれている。

明らかに砂まみれである砂浜の上にマンホールが置かれている様はなかなかにシュールである。

ガコッ
            ガコッ

…よく見れば単に置かれているわけではない。
埋め込まれているのだ。
何かが上がってくる音がマンホールの中から聞こえてくる。

441久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/15(土) 21:18:13
>>440
定期的に現れるナンパをテンプレめいた定型句で断りながら、水筒の中の氷り出しにした緑茶で喉を潤おす。

ゴクン

「…………忘れ物でしょうか。
たまに廃材の鉄板とかで、バーベキューする人もいるらし…」

ガコッ
             ガコッ

《…という訳でもなさそうじゃな》

とりあえず注意深く見守った。

442高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/15(土) 21:32:22
>>441
ガコ
     ガコ
            ガコ
だんだんとその登ってくる音は大きくなっていき…

ガコッ!

…フタが『開いた』のであった。
そこに見えるのはマンホールの穴と…

「ぷはぁ〜!
 やっとあがれたの!」
蓋を持ち上げた異形の人型と、
少女の姿であった。

「あーあ、きょうもいけなかったー、なの。」
少女はゴーグルをつけている。
後、秋映学園のスクール水着を着ていた。

443久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/15(土) 22:44:29
>>442
《………もしやこの街………いや………》

惑いと迷いを滲ませ言いよどむ『像』をよそに、ぽんと手を叩く。

「…………何かこう、見た感じがと思ったんですけど…解りました!マリオですよマリオ!!」

きっとどこかに先が繋がっているのだろう。
そう考えると『いけなかった』と言うのもなんとなく話が通じる…。
(敵が強すぎてクリアできなかった、とか)

「…………」

正直中を覗いてみたい気はあるのだが、自前の腕力ではああして蓋を開けるのは厳しいかもしれない。
…いや、開いている今がチャンス…?

バサッ

敷いていたシートの端を掴んで大きく一度翻させる。丁度マジシャンが、そうしてマントの中から何かを出すみたいに。
ただし出てきたのはリンゴでも鳩でも万国旗でもない。

「と言うわけで、お願いしますっ」
「確かに、気になりますね」

『姫カット(ただし10歳くらい)』が重々しく頷く。
水着は花柄のワンピースタイプでパレオつきのものだ。

スーッ

『姫カット』は足音を殺して、穴に近づく。
限界一歩手前まで『濃度』を薄めた『傀儡』の肉体は非常に軽く、砂浜につく足跡も浅い。
尾行や偵察にはもってこい、だった。

444高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/15(土) 23:00:37
>>443
「…んー…
 あついなのー」
傀儡の足音に気づくことなく、少女は海の方をずっと見つめている。

「んー、もしかしたらうみのなかなら?
 つづいてるのかな、なの」
そう言ってのそのそと少女はマンホールの中から這い出して

「あ、しめとかないとなの」
そう言ってスタンドにきっちりとフタを閉めさせようとしている。
一応人並みの速さが、間に合わないか?

445久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/16(日) 00:19:31
>>444
「あっ…」

開けたら閉める。穴に誰かが落ちないようにするための当然のマナーだ。
間に合いそうにないが、これはどう考えても正しい行為である。

「………」

バッバッ

所在無げにこちらを振り向く『姫カット(10歳)』に野球よろしくサインを送る。

『話カケテ仲良クナレ』

うなづく『姫カット(10歳)』が、気を取り直して当たり障りなく問いかけた。

「……何をしているのですか?」

446高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/16(日) 00:30:37
>>445
「ふー、おなかすいたの」
軽くお腹を鳴らしてから、しばらく海の様子を見ていたリルカ。

と、後ろから誰かが声をかけてきたので
「んー?」
振り向いて首を傾げる。

「こんにちはーなの。」
こくり、と頭を下げる。

「え、なにしてるのって?
 ちょっと『じごく』にいってみようとおもってたの!」
…と、少女は笑顔で姫カット(10歳)に答えた。

447久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/16(日) 00:35:47
>>446
「こんにちは」

つられて『姫カット(10歳)』も頭を下げる。

「じ……『じごく』ですか」

さあ困った。
非常にフレキシブルかつ人間的に稼動する『傀儡』であっても、困るときは困る──そう、誰もが困るような時には。

「そのう、たぶん海には無いんじゃないでしょうか。ええと…そもそもなぜ、『じごく』に?」

見た目は10歳だが、その基幹にあるのは本体と変わらない。
とりあえず当たり障り無く、会話を続けてみることにした。

448高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/16(日) 00:39:00
>>447
「えーっ、うみにはないの?
 しらなかったの。」
随分と残念そうな表情である。
そんなに切望しているのだろうか?


「えーっと、いきたいのはなんでか、なの?」
そう言って少し下を指さして答える。

「おとーさんとおかーさんがいるからなの!」
笑顔で。

449久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/16(日) 01:42:15
>>448
「ま、まあ私も行ったことはないので、正確に表現するなら『あるかどうかわからない』、ですけど。
…………と言うか、この暑さはすでに『じごく』と言ってもいいのでは」

どうしたものか。
意図を計りかねつつ、当たり障りの無い話に終始する。

「そっ…そうですか……おとうさんとおかあさんが…」

バッバッ

後ろ手でサイン。

『難シイカモ知レマセン』
『ガンバレ ガンバレ』

横目で見た背後の返答に嘆息した。

「ま、まあでも、たぶん無理して今行かなくいても、いずれ行ける、と、思いますよ…はい」

450高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/16(日) 01:49:45
>>449
「んー?あるかわからないのに、あついかどうかはわかるのー?」
不思議そうな表情で答える。


「でもたしかにあつ〜いの。
 つめたいところのほうがすきかな、なの」
リルカの顔もどこか汗だくである。水不足の危険ありだ。

「そうだねなの〜。
 いつかいってみせるの!」
そう言って軽くVサインする。

「…ずっとあつくて、なんだかくらくらするの。」
ちょっと顔を抑えながらリルカは答えた。
マンホールの中の状態も気になったところだが、
ちょっと長時間いたら危ないのかもしれない。

451久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/17(月) 00:23:42
>>450
「そうぞう図みたいなのはありますからね。本とかにかいてあります。
………だいじょうぶですか?ねっちゅう症とかだっ水しょうじょうとか…………」

ガシッ

少し迷ってから、『姫カット(10歳)』はリルカの手を握る。

「だいじょうぶでなさそうですね…。
こっちにきて休んだほうがいいですよ」

その手を引いて、リルカをビーチパラソルの下に導いた。

「はい、どうぞ」

すかさず本体が、冷たい緑茶のカップを差し出す。

452高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/17(月) 00:31:17
>>451
「そうなのお?
 …ちょっとさがしてみる、なの」
そう言って軽く頷いて、

「うー…ありがとう、なの。
 のどかわいて、しょーがないなの」
どうやら軽く熱中症気味のようだ。
そのまま導かれるままにビーチパラソルの元へと向かう。

「あ、ありがとうなの。
 いただきます。」
緑茶のカップを手に取ると、すぐにごくごくと喉を鳴らしながら飲み始める。

「うー、つめたくておいしいー、のー!
 おかわり、なの!」
あっという間に飲み干して、おかわりまで要求している。
よほど喉が渇いていたのだろうか

453久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/17(月) 01:02:14
>>452
「今年は暑いですから……特にこういう所に来る場合、飲み物は用意しておいたほうがいいですね」

二杯目を差し出した。

「次はゆっくり飲みながら、、飲んだお茶が身体に染み込んでいくのをイメージしてください。
結構、違うはずですよっ」

454高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/17(月) 01:10:15
>>453
「そっかーなの、
 こういうときはがまんじゃだめなんだなの。
 また、おしえてもらったのどぎゃくのことなのー」
不思議そうな顔をしながら二杯目を手に取る。

「んー、こんどはゆっくり…」
少し不思議に思いながら、リルカはゆっくりとお茶を口に運んでいく
そして…できるかぎり体に染みこんでいくようなイメージを自分の頭をフル活用させて想像する。

「…ふはぁー。」
どうやらいい感じのようだ。先程よりも表情がずっと穏やかである。
「おいしー・・・」

455久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/17(月) 21:02:04
>>454
「ふふふ…………良かったら、傘の下に入りませんか?」

ビーチパラソルの陰、シートの端を軽く叩く。

「鉢植えに水をやる時も、一気にやると水は鉢の底の穴から出て行ってしまいます。
けど、ゆっくり水をかけてやれば、しっかり土と根が水をキャッチしてくれる…人間の体も同じですよっ。

それはそれとして、『地獄』ですか………よかったらその辺りのお話、もう少し詳しく聞いてもいいですか?」

まるで二人の会話を全部知っているかのように問いかけた。
その時ふと、リルカは気がつく…さっきの『姫カット』の子が、どこにもいない。
本当についさっきまで、そこに居たのに。手にはまだその、握っていた感触が微かに残っているのに──

456高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/17(月) 21:19:14
>>455
「はいるの、はいるのー!」
どうやら喜んで入るつもりのようだ。

「へー…よくわからないけど、
 ゆっくりのんでたほうが、いいんだね、なの。」
またゆっくりとお茶を飲んでみる…
しばらくそうしていると。

「…あれー?さっきのひとはどこなの?
 どこにもいないの。」
急に心配そうな顔をして答える。さっきの姫カットの少女の姿は見えない。
たしかにそこに居た感触はあるのだが…

「んー?『じごく』がなんなのかきいてみたいなの?
 でも、おぢさんとおばさんに『おとーさんとおかーさんはそこにいる』ってことしかきいてないから
 よくわかんないの!」
まるで彼女は何でもないといった感じで答えている。
よく見れば少女は右目を前髪を垂らしている。
…よく見れば少女の体のあちこちに怪我のようなものがある。

457久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/17(月) 21:58:35
>>456
「彼女はちょっとその…まあ色々ありまして。
そのうちまた出てきますよ」

リルカをあやしながら話を聞く……。
どうやら思った以上に難しいお話に首を突っ込んでしまったようだ。

「……『地獄』に関して言えば、微妙に私は専門外なんですけど…。
まずそれ以前に、本当に『地獄』にお父様とお母様が居られるのかどうか、が問題ですね。
私が知ってる意味での『地獄』は基本的に、一度行ったら戻ってこれません。
行った後になって間違ってました、実は別のところに居ます、ってなってしまったら、それこそ二度と会えませんよ。

だからとりあえず、『地獄』については一度横に置いておきませんか?」

458高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/17(月) 22:04:06
>>457
「へー、そうなんだ。なの。
 じゃあまっててもだいじょうぶだね、なの。」
あっさりと、彼女が消えたことを受け入れてしまっている。
気にしてないのだろうか。

「…うーん、そうなの?
 でも、ふたりとも、なんでもしってるっていってたのになの…
 …うーん、よこにおいとく…なの?」
どうにも、妙なことを教えこまれていそうだ。
だが、縁組さんの言葉は素直に聞いて、不思議そうな顔をしながら
横に置く、という動作を考える。

「むずかしーなの…。」
ちょっとしょんぼりしているようだ。

459久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/20(木) 00:19:04
>>458
「何でも知ってることと、本当のことを言っているかどうかは別ですよ?単純に『勘違い』してる可能性もありますし」

言葉を選びながら、リルカを諭してみる。

「何せ物凄く遠いですからね…一度行ったら帰れないくらい。
そんな場所に、うっかり間違えて行っちゃったら困るんじゃないですか?

まあ、一番良いのは誰かに調べてもらう事ですけど…私の知り合いに、調べ物の得意な人は…誰がいましたっけ…………」

記憶を探る……確か、『探偵』を名乗っていた人が……居たはずだ。
名前は聞いていただろうか。顔は思い出せるが……。

「あ、よかったらお昼、一緒にどうですか?」

ランチボックスを開ける。中身はサンドイッチだ。
みりんを混ぜて甘みをつけたフレッシュマヨネーズを塗って、塩麹で軽く漬けたキュウリを挟んだサンドイッチ。
生クリームを塗って、小さく刻んだ桜桃とマンゴーのサンドイッチ。
からしマヨネーズと、焼いたベーコン、チーズ、レタスたっぷりのサンドイッチ。
三種類のサンドイッチが、ケースの中に行儀よく整列している。

460高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/20(木) 00:28:03
>>459
「むー…かんちがい…
 おとなでもわからないことってあるの?」
ちょっと納得行かなそうな顔だが、嫌というわけではないようだ。

「えー、いちどいったらかえれないの?
 …それはちょっといやだけどなの…
 うーん、どうしようかな、なの。
 …だれかにおしえてもらおうかななのー。」
ものすごく遠い、そう聞いて困った顔になったようだ。

が、そこで
「…あっ、おいしそうなの!
 じゃー、いまはごはんのほうがいいかな、なの!」
そう言ってサンドイッチを見回して
…一つ手にとって見る。桃とマンゴーのサンドイッチだ。

ぱく ぱく
「んん!?なんなのこれなの!
 すっごくおいしいの!」
今までにないくらいに驚いた表情でサンドイッチをむしゃむしゃしている。
かなり感激しているらしい。

461久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/20(木) 00:57:06
>>460
「いっぱいありますよ!?
むしろ解らないことだらけですねっ。

折角知り合ったのも何かの『縁』ですし、探偵さん探すの、手伝ってあげましょうか?」

有料で、と言い掛けて口を抑えて噤む。

「んふふ、ありがとうございます。
と言っても普通にマヨネのかわりに生クリームを…ちょっとだけクリームチーズを混ぜて塗って、挟んだだけですけど」

ランチボックスは4人前は入っていそうな量なので、リルカがパクモグしても全く問題なかった。

462高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/20(木) 01:04:35
>>461
「そうなのー?
 おとなになってもわかんないこといっぱいなんだねなのー。」

「…おねがいします、なの。
 そのたんてーさんってひとが、なんとかしてくれるならなのー。」
ペコリ、と頭を下げて答える。

「とってもとってもおいしいなのー!
 なんだか、ぜんぶたべたいくらいなの」
パクパク
       モグモグ
「あ、おみそはないのかな、なの。
 わたしねー。おみそがだいすきなの!」
ふと、手を止めて不思議そうな顔で答えた。

463久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/20(木) 01:24:18
>>462
「だから面白いんですよ。
解らないから知りたくなる、出来ないからやりたくなる、届かないから進みたい……。
人生はその繰り返し、ですねっ。

んふふ、いいんですよ。私も私で腕のいい探偵さんとはそろそろ仲良くなっておきたかったですから」

ニヤリ

「そうなると、連絡をとる手段が欲しいですね…むむむ」

考え込んでいる間に、みるみるサンドイッチは減っていくが、大して気にしていない。

「味噌ですか!?
さすがにサンドイッチに味噌を合わせるという発想は…ごめんなさい。
もし作るなら………味噌カツサンド…?ゴマと味噌と辛子で……………刻みキャベツと…」

今度は新たなレシピに没頭し始めた。

464高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/20(木) 01:28:42
>>463
「ふーん…わからないから…
 なんだかわかるなのー。
 わたしも、わからないことがどんどんわかりたいっておもってるからなのー。」
彼女の言葉に強く同調を示す。
彼女もまた何かを知りたがる人間なのだろうか。

「もぐもぐもぐ…」
彼女の考えこんでいるのを尻目に、どんどんサンドイッチを減らしていく。

「しらないなのー?おみそをつけたらなんでもおいしいの!」
ジャンキーとしか思えない話しぶりで答える。
「あたらしいのができたら、たべさせてねなのー。」

465久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/21(金) 23:55:19
>>464
「ありがとうございます。
それだけ、美味しそうに食べてもらえると、作ってよかったって思えますから…」

自分は後でどこかの海の家でラーメンでも食べよう。

「いいですよ。
私のおうちは───『御蔵神社』、と言って解りますか?」

466高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/22(土) 00:05:39
>>465
「ふー、どれもおいしかったもん、なの。
 おりょうり、てんさいなのかもしれないの!」
べた褒めである。
普段は何を食べているのか分からないが大感激である。

「…えっと、じんじゃ…
 おやまにあるところ?
 そこにいったら、たべさせてもらえるのかなの?」
ちょっと自信なさそうに答える。

467久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/22(土) 00:27:37
>>466
「いやあ、そこまで言われると流石に面映いですねっ」

照れながらもじもじした。

「湖のほとり、と言ったほうが近いでしょうか。
ここに、こんな風に……」

砂浜に指先で地図を描いて、説明をする。

468高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/22(土) 00:31:08
>>467
「えへへー、まいにちたべたいなのー。」
と、嬉しそうに答えた。よだれもたらしている。

「ふむふむ…ここは…
 なるほど〜なの。」
じっと砂浜に描かれた地図を見つめて、
納得したように頷く。

「そこのあたりはよくしってるなのー。
 たまにきてるからなの。」
どうやらある程度知っている道のようだ。
ならば迷う心配もないだろう。

469久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/22(土) 23:56:08
>>468
涎をタオルで拭いてやる。気分はお母さん。

「ちょっと遠いので、バスか何か使うといいかも知れませんねっ。
………それはそれとして」

少し、いやだいぶ……迷って、考えてから問いかける。

「その…………ええと、随分お怪我をなさってるみたいですけど…」

470高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/23(日) 00:26:10
>>469
「ばす…うーん
 どうしようかな、なの。
 ちょっとしかもってないけどなの…」
どうやらお金もあんまりないらしい。
心配気味の表情だ。

「んー?このけが?」
ふと、思い出したように体を見回す。
よく見れば彼女の両手の中指には『ドリルのような螺旋』の刺青が彫られている。

「えーっと、
 おうちでよくあったんだなのー!
 いたいのへーきになったらごほーびもらえるってなの!」
とっても笑顔で答えた。

471久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/23(日) 00:55:26
>>470
「むむむ………」

最近は物騒だ。  スタンド
どうやらこの子、『守護霊』憑きのようではあるが、それはそれで別種の災いを齎す。
簡単に誘ってよいものかどうか…。

「……………??
済みません、ちょっと良くわからないですね…『痛いの』ってなんですか?『ご褒美』は誰が?」

472高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/23(日) 00:58:13
>>471
「えーっと、こう、ばっしーんって!
 それがいたいの、だとおもうの!」
そう言って自分の右腕を大きく振って、ちょうど叩くような仕草を見せた。

「おじさんとおばさんなの。
 でもいまはじーっとしてるから、なんにもないけどなの…
 おうちにもかえってないから、いまどーなってるのかもわからないの」

473久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/23(日) 01:39:15
>>472
「……………………」

超弩級の爆弾発言に、思わず額を押さえる。
あの食欲も、ふらつき具合も得心が行った。単に不足していたのだ───何もかも。

順当に行けば、付き添って『おじさんとおばさん』のところに届けるべきだろう。
もうちょっと気を配るなら、警察に連れて行き、良い扱いを受けていないことをきちんと通報するべきだろう。
同情するのは簡単だが、犬猫やカラスやしゃべるスイカの面倒を見るのとは訳が違うのだ。

さりとて、そうなんですかー大変ですねーで済ませれないほど、『縁』は持ってしまった。どうしたものか…。

「それじゃあその…………寝るときは何時の、あのフタの中で?」

474高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/23(日) 01:52:29
>>473
「…へんなこといっちゃったかなの?」
当の本人はわかってなさそうだ。
そこがなかなか厄介だろう。

「ねるときは…
 うーん、あそこだとねるのむずかしいんだけど…
 ちょっとだけとまらせてくれるところもあるんだよなの。」
そう言って軽く微笑んだ。
多分、野宿している人向けの宿などが有るのだろうが…
それでも毎日要られるわけではない。おそらくはフタの中で寝ようと試みたことも有るのだろう。

「でも、あつくてたいへんなのー…
 どこかにいかないとなの…」

475久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/23(日) 23:37:03
>>474
「いえ、気にしないでください。大丈夫ですよ」

微苦笑する。

「大変でしたね。特にここ最近は残暑も厳しいですし…。
………もうちょっとどこかこう、快適に過ごせる場所が………あ」

ぽん、と手を叩いた。
あそこなら…可能性はあるかも知れない。
勿論これは応急処置であり、いずれ根本的な解決は別途図らなければならないだろうが。

「一つ、宛てがあります。今から私と一緒に行って、ちょっとお願いしてみませんか?」

476高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/23(日) 23:45:48
>>475
「そっかー、ならいいのー」
どうやら安心したらしい。

「そうなの…
 ごはんはおかねがあるからたべられたんだけどなの…
 ん?」
ふと、心配そうだった顔を上げて首を傾げた。

「ちょうどいいところがあるなの?
 うれしいの!いってみようなの!」
大きく頷いて答える。

477久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/23(日) 23:52:55
>>476
「決まり、ですね。
ところでまだお腹減ってますか?」

サンドイッチもあらかた食べつくしたリルカに、緑茶を注いだカップを差し出す。

「もしまだ足りないなら何か食べに行きましょう。
まあ…私の手料理より美味しいお店は、そうそうないですけどねっ」

478高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/23(日) 23:59:44
>>477
「ん?うーん…
 いまはもうおなかいっぱいだとおもう、の。」
どうやらほとんどのサンドイッチを食い尽くしてしまったらしい。
よほど飢えていたのだろうか、あるいは元から大食らいなのだろうか…

とりあえず緑茶を入れたカップを手にとってごくごくと飲み干した後
「あまいのも、おいしいのもあったから、
 ちょっとまんぞく、なのかなのー。」
とりあえずは、満足しているらしい。

479久々宮 縁組『ザ・プレイヤー』:2015/08/24(月) 00:43:53
>>478
「解りました、それじゃ………」

おもむろに立ち上がる。

「泳ぎましょう!海に来たのに遊ばないのは損ですよ!」

480高井戸リルカ『アングラガルド』:2015/08/24(月) 00:46:58
>>479
「わーい!」
リルカはすぐさま彼女の提案に乗る。

「わかったの!
 いーっぱいおよごなのー!」
そう言って彼女とともに、元気に泳ぎ出すのであった。

結構泳ぎは速かったようだ…

481イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/27(木) 00:01:39

海である。
そろそろ日も傾きはじめ、観光客は引き上げるような時間帯。
ざざん、ざざんと波が寄せては引き、海鳥の鳴き声がどこか空しく響く。

「夏もそろそろ終わりか……」

そして、少女が一人。
パーマのかかった紺色のショートカット。顔立ちからするに、外国人だろう。
童顔ではあるが、その実既に成人を果たした大学生だったりする。
そんな少女が、砂浜でどこか遠い目をしながら――――


「それにつけてもあのクソガキども人の事埋めたまま帰りやがってぜってぇ許さねぇ」


――――砂に埋まっていた。

……よくある、寝ている人の上に砂を乗せて、首だけ出して砂風呂にする奴だ。
お腹の上には砂で富士山が作られていた。無駄に気合いの入ったクオリティであった。
ともあれ、要するに砂に埋まって動けないのである。
土はパンパンに固められ、しかも結構量が多いので抜け出そうにも抜け出せない。つらい。

482イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/27(木) 23:16:43

  「ぐおおおおっ」

      「で、出れねぇ! マジで出れねぇ!」

    「だ、誰か助けてくれェーッ!!」

483鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/27(木) 23:40:12
>>481-482
      ザバァ

   ザッ
         ザッ
     ザッ




ふと、もがくイザベルの視界に影が落ち、続いてボタボタと生ぬるい液体が顔に降りかかった。

「………………」

頭上に視線を向ければ、ずぶ濡れの大男が無言で見下ろしてきているのが分かるだろう。
蓬髪の上に中折れ帽を乗せ、カーキのスーツに身を包み、無精髭は伸び放題。
そして、イザベルに向けられる、艶のない淡褐色の瞳。
青ざめた無表情で、どうにも不気味な雰囲気を醸し出している。

484イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/27(木) 23:51:32
>>483

     ジタ
   「うおおおっ」
        バタ
               ポタタッ

       「ぅえッ……な、なんだぁ?」

顔に降りかかる液体に顔をしかめ、動きを止める。
視線を上に。
陽光を遮る、スーツの大男。
……しかもなぜかずぶ濡れの。

     「…………………………」

…………沈黙。
しばし、視線が交差して。

          「………………………………」

      「………………助けてくれねェ?」

怪しさとかそういう事情より、とりあえずこの状況から抜け出したいという意志が勝った。

485鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/28(金) 00:21:20
>>484
「…………………………………」

イザベルへの返答はない。
無言のまま、帽子を手に取って、表情を隠すように顔にあてがう。



                             ブルブルブル


――――その肩は何かを堪えるように震えている。

「く、くくく、うひっ」

というか、明らかに笑い声が漏れ聞こえてきた。

     「ぶひゃはははははははははははははははははははははは!!!!」

しまいには、大口を開けて笑い転げ始める。
その姿、少なくとも先程までの不穏当な空気は払拭されているだろう。
代わりに、大の大人が助けを求める少女を笑いものにしている、最低の状況が出現しているが。

486イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/28(金) 00:35:55
>>485

「あっ、てめっ」

カチンと来た。

「何笑ってんだテメェオラァーッ!
 調子くれてんじゃねぇぞオラァーッ!
 みせもんじゃねぇぞオラァーッ! わかってんのかオラァーッ!」

首だけをジタバタと動かし、憤怒の形相で喚いている!
……が、首だけしか動かないので結局出れないし何もできない!

   「このヤロー! オラー!」

出れない。

          「……オラー!」

出れない。

             「…………おらー」

出れない。

                「……………おらぁちくしょー」

……ちょっと泣けてきた。

487鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/28(金) 00:52:46
>>486
「うひひ……いやァ、悪い悪い。
 ついさっき、あっちの方で酷い目にあってさ」

顎をしゃくって、『倉庫街』の方向を示す。

「這々の体で逃げ出した所に、こんな面白ぇオブジェがあったもんだからよ。
 一気に和んじまって……オイオイ泣いちゃった? マジごめんって」

謝罪の言葉を投げかけるが、その口角はニンマリと上がっていた。
 
「そんで、助けりゃいいのか?
 けど、これ崩しちまうの勿体無えなァ。
 立派なゲージュツじゃん」

イザベルの横に回り込み、富士山をポンポンと叩きながら、軽口も叩く。
見た目の厳つさに比べて、中身はひたすら軽く出来ているらしい。

488イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/28(金) 01:08:48
>>487

「ぐすっ……泣いてねェよおらぁ。
 笑ってんじゃねェぞおらぁー」

ちょっと泣いてた。
めちゃくちゃみじめであった。少なくとも当人的には。
まぁ当人でなくてもみじめだと思う光景だろうが。

「……まぁアタシも立派なもんだと思うけどよォー。
 でも動けねぇんだよォー。
 時間が経てば潮が満ちて、海水で砂も崩れるだろけどよォー。
 そしたらアタシはあと何時間こうしてりゃいいんだよちくしょォー!」

その場合、数時間はこのままの計算であった。

「もうなんでもいいから助けてくれよ……」

489鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/28(金) 01:29:22
>>488
「おう、任せろ!」

ドンッ、と胸を叩き、砂の富士を崩す作業に入る。
そして――――



「あー……もう無理、駄目だわ。
 腕に力入んないもん」

8合目辺りで力尽きた。
まだまだ、富士の重みはイザベルにのしかかっている……

490イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/28(金) 01:48:58
>>489

「諦めんのはえーよ!」

イザベルは突然(でもないが)キレた……。
こっちは色々必死なのだ。温度差がひどいが。

「もうちょっと頑張れや!
 つーかバカ正直に山から崩さなくてもいいだろ!?」

足とか胸とかから崩せや! とかなんとか喚きつつ。

「おら応援してやるから!
 がんばれ! がんばれ!
 やれるぞー! お前なら絶対やれるぞー!」

491鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/28(金) 02:14:20
>>490
「へへ……そこに山があったから、つい、な」

パチリとウインクが送られる。

「しかし、真面目な話、もう他の箇所から崩す体力も無いわ。
 ……だがまァ、安心しろや。
 声援に応えて、助けるのはちゃんとやっから」

言いつつ、ふらふらと、覚束ない足取りでイザベルから離れていく。

「あー、周りに人目は、無しと。
 一応警戒はしとくとして……」

忙しなく辺りを見回し、ぶつぶつと呟きながらスーツの懐を探るその姿。
控えめに言っても不審者だった。
そしてその不審者が懐を探る手に持つ物。
イザベルには、鉤葛がジャケットの陰で、銃把のような何かを握っているのが見える筈だ。

492イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/28(金) 02:37:49
>>491

「登山家か!
 ……いや登山家は山崩さねェな! バカか!」

もっとも、状況のバカさ加減的にイザベルも人の事はあんまり言えないのだが。

「どんだけ体力ねェんだテメェ。
 ああいや、なんか逃げてきたとか言ってたっけか……?

      「……あっ、おい、だいじょぶかお前フラついてんぞ」

呆れたような顔をして、しかしすぐに表情は相手の体調を慮るものに変わった。
距離を取る鉤葛に心配そうな視線を向ける。
というかそれしかできないのだがそれはそれだ。
が。

   (あ……? 人でも呼ぶのか?
    いや、あれは…………)

      (――――オイオイオイオイ、銃じゃねぇかアレ!?
       二ホンで『銃』ってなんだよ! ここはバルセロナのスラムじゃねェんだぞ!?)

  (ちげェよな! 水鉄砲とかだよな!
   あるいは拳銃型のケータイとかよ! そういう趣味の悪いもんなんだろ!? な!?)

状況がマズくなってきた気がした。
いや、そりゃ、いきなり銃把っぽいものが見えたらビビる。
しかも人気の無い状況で、自分は動けなくて。
ハラハラドキドキのスリルとサスペンス、どころの騒ぎではない。

     (でもアイツさっき『倉庫街から這う這うの体で逃げてきた』とか言ってたよなァァァーーーッ!
      もしかするともしかするんじゃねぇかこれ!?
      いやでもアタシ撃たれる理由ねェけど! なんで今銃だよ!)

493鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/28(金) 23:08:30
>>492
    『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

鉤葛が懐から引き出した、片手に収まるサイズのソレ。
イザベルにとっては一安心というべきか?
拳銃ではなく、ちょうど拳銃の銃把だけが独立したような形状だった。
『引き金』の上には銃身が存在せず、代わりに『リモコン』の発信部のようなものがついている。

「さて、いっちょ派手にやるとして……。
 ん〜、目とか口とか閉じといた方がいいかもな。
 なァに、ほんのちょっとばかし、一瞬で済むからよ」

問題は……ジョークグッズのようなソレで、この男が一体何をするつもりなのかという事だろうが。
砂山を見つめ、『リモコン』の『引き金』に指を掛けるその姿は、奇妙な自信を湛えている。

                          「それじゃ、行くぜ? サン、にぃ〜、イーチ!」

494イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/28(金) 23:27:10
>>493

  (銃…………じゃ、ねぇ!)

「……おいなんだそれ」

銃ではなくて一安心、だが、逆に意味不明でそれはそれで不安が募る。
パッと見た感じ玩具のようだが、本人はなにやらやる気だし……

「あ?
 ……まぁ別にいいけど、あんま危ねェことすんなよ……?」

とりあえず、素直に目と口を閉じる。
瞼を閉じて……ああでも不安になってきた。
派手にやるってなんだよ。
爆発か。爆発でもするのか。

    (……………あっ、まっ、まさかこいつ『メン・イン・ブラック』――――!?)

多分それは違う。

495鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/28(金) 23:49:57
>>494
「いやいや、大丈夫、大丈夫、ダイジョーブだって!」

どうにも適当な感じで詰問を流していく。
そして、


――――ドグォン!!
               「オゲエッ!?」

瞼を閉じて幾許か、不安を募らせるイザベルの耳に爆音が届く(ついでに誰かの悲鳴も)。
砂の富士山から聞こえてきたのは、間違いなく期待通りの『爆発』音だった。
同時に、パラパラと砂粒が顔に落ちる感触があり、身体にのしかかっていた重みも消えている事だろう。

496イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/29(土) 00:03:05
>>495

>――――ドグォン!!
>               「オゲエッ!?」


      「!?」


期待はしてないッ!
そりゃ『予測』とかはしたが、断じて『期待』はしてない……が、それどころじゃなくほんとに爆発した――――!?

    「―――――ッ!
     お、おい、なんか悲鳴聞こえたが、大丈夫か……!?」

爆音でダメージを受けた鼓膜を庇い、耳を押さえながら目を開けて、おぼつかない足取りでどうにか立ち上がろうとする。
身体にかかっていた重みはもうない。
さっきまでがウソみたいに、立ち上がるのは簡単で……

         「……うっ立ちくらみ」

それはそれとして立ちくらみを起こしてフラフラとしゃがみこんだ。
そりゃずっと寝そべって上に土とか乗っかってたんだから、血の巡りとか悪くなって当然なのだ。
ともあれ視線は鉤葛がいた方に向けたままで、さてどうなった……?

497鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/29(土) 00:23:06
>>496
少し離れた所で、顔面を砂まみれにしてぶっ倒れている。

「ううううう……」

うめき声を上げているので、一応無事ではあるらしい。
足元には崩れかけた砂山の一部だったものが落ちており、その塊を顔面で受け止めたようだ。
ついでに辺りを見れば、富士山があった場所。
イザベルの半径1mの砂が、爆心地のように抉り取られているのが見て取れる。

「あの砂山、随分としっかり固められてたらしいな、オイ。
 思った以上に威力が出た……作者はああいうアートの本職かよ。
 ――っと、ホレ。そっちこそ大丈夫か?」

身体についた砂を払いながら立ち上がり、しゃがみこんだイザベルに手を差し出す。

498イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/29(土) 00:47:56
>>497

「ぐおお結構大惨事じゃねぇか……?」

頭を片手で抑えながら、周囲を見渡す。
まさかのクレーター状態だ。
……なんでこれで自分が無事だったのか疑問が残る。こええよ。

「あー……クソッ、クラクラする……。
 作者はガキだったけどなァ……やたら手際よかったけどよ……」

    「っと、悪ィな」

差し出された手を掴んで、どうにか立ち上がった。
元々泳いでいて湿っていたのか、白い肌には砂が張り付いている。
立ち上がっても身長は140cmを少し超える程度で、かなり小柄と言えるだろう。
……が、スタイルはかなりいい。バストもヒップも豊満で、ウェストは華奢だ。
装いは当然の如く水着。大胆なビキニスタイルで、その柄は赤、黄色、赤のボーダー……
――――否、その豊かな右胸に燦然と輝く『国章』――――こいつ、『国旗ビキニ使い』だッ!
このビキニそのものがッ! スペインの国旗を描いているッ!

      「助かったよ、ありがとな。
       ……しかし今の……なぁお前、やっぱその……『メン・イン・ブラック』なのか?」

ともあれイザベルも体についた砂を払いつつ、どこか期待を込めたまなざしで問いかけた。

499鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/29(土) 01:08:00
>>498
「むっ……」

問いかけに反応したように、掴んだ手にギュッと力が篭もった。

  「……『メン・イン・ブラック』ぅ〜〜?
   何言ってんだいお嬢ちゃん。
   ありゃあ、映画とか、都市伝説、SFなんだよ、な?」

茶化すように否定するが、先ほどまでのニヤケ面は鳴りを潜めている。
感情の乗らない乾いた瞳が、イザベルの姿を嘗め回すように観察している……。

500イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/29(土) 01:30:32
>>499

「うっ」

一瞬、怯む。
が、持ち前の勝気さがすぐに上回ったか、悪童のように笑って。

「だけどよォ。
 じゃあお前今何したんだよ?
 『玩具の銃』じゃあねェよなぁ。それで砂山吹き飛ばしたりはできねェもんなぁ」

実際、周辺の惨状は大したものだ。
玩具の銃どころか、実銃を用いてもこうはいくまい。

「『メン・イン・ブラック』じゃねェなら、なんだ?」

  「『不可能な任務(ミッション・インポッシブル)』に挑むエージェントか?」

「殺しのライセンス持った『00ナンバーのスパイ』か?」

   「それとも――――『ただの超能力者』か?」

鋭い視線が鉤葛に向けられる。
紺色の瞳が、鉤葛の瞳を捉える。


       「…………まっ、助けてもらった義理もあらァな。
        別になんだっていいっちゃなんだっていいんだけどよォ」

……が、そこまでいってイザベルは視線を切り、肩を竦めた。

501鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/29(土) 02:04:03
>>500
「――――想像力があるのはいい事だぜ。
 そいつは、俺みたいな奴の『同類』を相手にする時にゃ、一番の武器になる」
 
   「まァ、色々察しがついてる時点で、どうやらオメーも俺と『同類』らしいがな……ひひ」

自身が『それ』である事をアッサリと認めてしまう。

だが、イザベルが視線を切っても、鉤葛の視線は変わらず注がれ続けている。
絡みつくように、執拗に、だ。
つまるところ――――


「しかし、それにしてもよォー……ふひ、ひひひひひひ!
 最近の世代ってのは発育いいなァ、おい!」

視線の意味はこういうことだった。

502イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/29(土) 02:17:52
>>501

「ハッ、そりゃどーも。
 アタシとしちゃ、『メン・イン・ブラック』だって言ってもらえたほうが夢があったけどな」

ニシシと笑う。
つまり、『そういう事』だろう。

「あ? 発育だァ?
 嫌味かそりゃ。アタシは別に背は――――」

怪訝そうな顔をして。
視線を相手の目に向けて。
相手の視線を辿って。

    「―――――――なッ」

理解。
沸騰。

      「見せモンじゃねェよボケッ!!」

情け容赦のないフックが鉤葛を襲う! パス精CCC

503鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/29(土) 02:41:25
>>502
「おごあッ!?」

乙女の怒りが篭った必殺のフック、避ける術も、耐える余裕もない。


      「うううううう……」

鉤葛は190cmに迫る長身で、それ故にイザベルの拳は顎先をぶち抜いた。
殴り飛ばされた先で、立ち上がることも出来ず、生まれたての子鹿のように跪いている。

「す、すんませんでした……なんつーか、俺もまだまだ若いもんで、男の性って奴が悪さを……!
 本当に申し訳ありませんでしたァ!!」

そんな、ほとんど土下座のような体勢から、大の男が弁解を試みる。

504イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/29(土) 02:57:21
>>503

思いのほかいい一撃が入ったァ―――ッ!

「……やべっ」

ちょっといいの入れ過ぎたかもしれない。
完全に波紋が入った音がした。嘘だ。
冷や汗をかきつつ、鉤葛を見る。
大分ダメージ受けてたが、結構余裕ありそうだった。セーフ。
内心胸を撫で下ろしながら、サクサクと砂浜の上を歩いて鉤葛の下へ。

「まぁ反省してるならよし!
 アタシも殴っちまって悪かったな!」

そして快活に笑いながら、スッと手を差し伸べた。
そう、今度はイザベルが手を差し伸べて助け起こす番なのだ。
これぞ麗しき友情……!(会った直後で友情も何もないが)

「でもお前……アレだぞ! そういうのよくねぇからな!
 そうやってジロジロ見るのはこう……バレないようにやれよな!」

バレなければいいのだろうか。イザベル的にはいいのだろう。

505鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/29(土) 03:26:18
>>504
「お、おう……ちと、優しすぎ、とも違うか……?」

ちょっぴり心配にもなる。

「とにかく許して貰えるならありがてぇ」

友情! とばかりに、イザベルの手を借りて立ち上がろう。
多少足元が覚束ないが、歩けないわけでもなし。
色々あった間に、ずぶ濡れのスーツも乾き始めている。

そろそろ帰途についてもいい頃合い……最後に一つ、残った問題が解決さえすれば。

「ところでさ――」


          「電車賃貸して貰えねえかな?」


「いや、財布とか、スマホとか、全部スリ盗られちまってんのよ、マジで!
 駅から出て、南の方をぶらぶらしてたらよォー!
 どうなってんだよこの町ッ! 取り返そうとしたら、ホームレスが徒党組んで襲ってくるし!」

何か行間でそういう目にあっていたらしい。
必死に金の無心を仕掛けてくる。

506イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/29(土) 03:45:33
>>505

「おう、アタシは寛大だからな!」

寛大なので許してくれるらしい。
これは寛大でいいのだろうか。ちょっとバカなだけなんじゃなかろうか。

で、ともあれ助け起こして、そろそろ日も沈んで……

「……お前マジか」

事情を聞いて、呆れ半分同情半分の顔をした。

「あー、お前それ『倉庫街』行ったんだろ。
 この街の倉庫街、めっちゃ治安悪いんだよなァ。
 スリで済んでラッキーだったかもしれねェぞ。たまに殺しとかあるからなあそこ」

正直なんであそこあんな治安悪いんだよほんとに二ホンかよ、とも思うが。
しかしどーもこの街の警察はやる気がないのか、倉庫街に限らず事件多めである。
にしてもホームレスが徒党を組んで襲ってくるのは恐ろしい話だ。
そのうち帽子カッター飛ばしてくる人とか出てくるんじゃないだろうか。

「んでまァ、電車賃ぐらい貸してやってもいいんだが……」

歯切れ悪く、言いよどむ。
そして両手を横に広げて、無手を示すジェスチャー。

「悪ィんだけど、今財布持ってねェんだわ。
 家に置いてきちまってよ。しまうポケットもねェしな」

507鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/29(土) 22:05:20
>>506
「殺しがたまに、ね。おっそろしいトコだ」

どうにかこうにか、そういう事件の被害者として数えられずに済んだが。
果たして、運が良かったと言っていいものか。

「うーむ、そいつは至極残念……だがまァ、気にしてくれるな。
 俺の都合で、無い袖振らせるわけにもいかんしよ。
 ……で、それはそれとして」

何やら、表情が真剣なものに切り替わる。

「嬢ちゃんさ、まさかと思うがオメー。
 そのビキニで家から直接ここまで来たのか……?」

手ぶらを示すジェスチャーをそういう風に解釈してしまったらしい。
一応、この男なりに大人の立場で、色々と心配した結果の発言ではある。

508イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/29(土) 23:07:00
>>507

「ま、災難だったな……」

殺人事件に巻き込まれなかったから幸運だったね!
……とは、流石に言えないだろう。
それが不幸中の幸いだったとしても、不幸であることには変わりないのだし。

   「ぷっ」

「『無い袖』ってか! 確かに袖はねぇな!」

確かに水着に袖は無いが、なにが面白いのか、ツボにはまったらしくゲラゲラ笑い出す。
ゲラゲラと体を上下に揺らして笑っている……ので、こう、つられて揺れた。何がとは言わないが。

    「ひーっ、ひーっ……」

ともあれ、真剣な顔でその格好でここまで来たのかと問われれば、どうにか笑いを堪えて。

「ん、ああ」

  「流石にアタシもシャツぐらい着てきたわ。
   ほれ、あそこに……」

イザベルが街の方を指し示す。
指の先にあるのは、海と陸とを隔てる段差の部分。
通行人などが砂浜に落下しないように、そこには手すりが設置されている。
そしてその手すりには、白いTシャツが雑にかけられて―――――

        カー

     「あっ」

――――カラスがTシャツを浚っていった。

    「……あそこにシャツがあったが、たった今無くなったな……」

カラスはあっという間に夕闇の空に消えていく。
イザベルはそれを茫然と見送るのであった。怒る気にもなれねぇ。

509鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/29(土) 23:43:48
>>508
「お、おう」

想定外にウケを取ってしまった時の居心地の悪さ。
まあ、今まで普通に日本語で話していたが、どうも外国人らしいし。
カルチャー・ギャップってやつなんだろう。

そうこうする内に、カラスの盗難を目撃する事になる。

「ム――!」

片手には、まだ例の『リモコン』を握ったままだ。
その引き金をちょいと引き絞れば、Tシャツを手放させるぐらいは出来ようが。

   「ええい、仕方がねえなッ! ったく」

バサリ、とイザベルの頭に生乾きの布――鉤葛の着ていたジャケット――が被さってくる。

「そいつを貸してやるから、羽織って帰れや。
 海水で洗ったばっかだ。汚かねぇだろう」

カラスの墜落死体なんぞ、少女にわざわざ見せずともいいだろう、という選択だ。
それに、カラスは法律で保護されているからな……。

510イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/30(日) 00:07:30
>>509

「…………まぁ家そんな遠いわけでもねェし――――」

別にいいさ、と言おうとして。

    「わぷっ」

鉤葛のジャケットが被さる。
視界が塞がるから、慌ててジャケットをどかして手に持って。

「こいつは……いいのか?」

それがジャケットだと確認して、上目遣いに鉤葛に問う。

「つーかお前、こっからどうすんだよ。
 帰りの金もねェんだろ? このジャケット、返すアテもねェしよ」

511鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/30(日) 00:34:34
>>510
「まァ、今の寝床は隣町……つーか、市だしな。
 何時間か気合入れて歩けば、どうにかなるだろ。
 きっと、多分、恐らく、メイビー」

かなりの希望的観測にまみれた返答だった。
そして、気にするなとばかりに手をひらひらと振りながら、イザベルに背を向ける。

「ジャケットはその内に取りに行くから、大事にしてくれよ。
 クリーニングに出すなら、ドライで頼むぜ!」

手すりを乗り越え、砂浜から陸に上った辺りで、振り向きざまに。

512イザベル『アーキペラゴ』:2015/08/30(日) 00:55:42
>>511

「そうか……ありがとなっ!
 気を付けて帰れよ! また襲われたりしねェようにな!」

去っていく鉤葛に、ニカっと笑ってブンブンと手を振る。

「おう!
 あっ、住所……えーっと、アタシはだいたい海にいるから!
 だからちゃんと取りに来いよな!」

取りに行くと言われても、そういえば住所がわからなければ取りに行くのも無理だろう、ということに気づく。
が、ここで住所を叫んでも一度で記憶できるか怪しいし……ということで、主な活動地域を伝えた。
ブンブンと手を振って、大きく叫んで鉤葛を見送る。

「『アディオス、アミーゴ(じゃあな、お友達)』!」

513鉤葛『トリガー・ザ・ブラッドシード』:2015/08/30(日) 01:09:19
>>512
「おうよ、また会おうぜ、アミーゴ!」

こちらも負けないぐらいの手振りで答える。

「ひゃははははははははははははは! ――やべーぞ、膝も笑うッ!?」

上機嫌な笑い声と、もうダメそうな叫び声をBGMに、夕日の向こうへ立ち去った。


後日、イザベルがジャケットを洗濯などしたのなら、
裏地に縫い付けられた万札を見つけるイベントが発生したとかしないとか。

514薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/03(木) 19:52:37
海を見ている。

「・・・」

特に理由は無い。海を見たくなったからここに来た。
海を見たくなった理由も特に無い。
いや、あるのかもしれないが、言いたくないか忘れたかのどっちかだ。

「ふん」

515タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/04(金) 23:39:12
>>514

     ザ
        ザァ  --ン

「こんにちは。」

声をかける。
理由とかはなく、先客だから。

「お近く、よろしいかしら。
 釣りをするのだけど――」

クラシックなメイド服を潮風に揺らす。
その手に持っているのは、つり具。

     「お邪魔なら、場所を変えますワ。」

大きな水色の目で水面を見て、言う。

516薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/06(日) 09:18:10
>>515
振り返る。
まだ涼しくなったとは言えないが、学ラン。校則ギリギリの長髪を、首の後ろで括って纏めてある。
それなりに整った顔立ちだが、彫り込まれたような眉間のシワ。険悪一歩手前の目つき。あまり人好きのする顔でもない。

「・・・釣り?」

ちょっと首を傾げ、相手の顔と持ち物と服を見て、ちらっと周辺(つまり砂浜だ)を見回し、

「その格好で?」

とりあえず一番突っ込みやすいところに突っ込んだ。

517タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/06(日) 20:00:24
>>516

「ええ。」

     ザッ

「この格好で、ですワ。
 生憎、釣りらしい服の持ち合わせがなく。」

もっとも、受容もされてはいない。
薄金から五、六歩ほど離れたところに、だ。

「手持ちで一番、動きやすい――着慣れた服を。
 それに、一番『格調高い』服でもありますワ。」

つまりどこにでも着ていける服だ。

「貴方は学校帰りということかしら?
 なにせ、もう二学期が始まっていますものね。」

準備をしつつ、話題を振る。
お互いお喋りしにきたわけでもないだろうが、雑談もまあよかろう。

518薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/06(日) 23:32:11
>>517
「ええ・・・」

そうなの? 女の人ってそういうもんなのかな・・・。

「でも絶対、針がからむとおもう」
「それに、ここからだとあんまり魚いないぜ。あっちの桟橋はいる。僕も釣りならあそこでやるんだけど」

ちょっと向こうにある桟橋を指さす。今は誰もいない。

「あとイクラはあんまり食わない。好みがあるのかな。とにかく虫団子とかそういうののほうがいい」
「サビキも最近全然食いつかないしな」

男の子は趣味の話になると饒舌になるのだ。
相手が初対面の女性でも。

519タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/06(日) 23:44:41
>>518

タタラは女だが、メイドだ。
それに、スタンド使いでもある。一般的女性ではない。

「アラ、そうなのですか。
 生憎、釣りの経験はあまりありませんで。」

桟橋をチラ、と見てから――

      「情報感謝しますワ。」

   ペコー

頭を大きく下げる。
二秒ほどしてから、上げる。

      「お詳しいんですのね、釣り。」

「サビキ釣りは初心者も安心、と聞いたのだけれど……
 季節の問題かしら? それとも、何か、こう――環境的な話?」

相手が饒舌なら、ほどほどにノろう。
釣りの知識は欲しいし、話のネタも欲しい。

520薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/06(日) 23:59:11
>>519
「季節もあるけど・・・でも今年全然だったから多分環境」
「サビキするなら倉庫街のほうにいいとこあるけど、土地柄が悪いし」

頭を下げられてなんか狼狽えかけたが、釣りの話に戻すことで平静を維持する。
確かに格好といい目の色といいなんだか一般人っぽくはないけど、女性なのは間違いないわけだ。

「それに今日は凪いでるしな・・・ここちょっと荒れてるくらいでそこそこなんだよな」
「多分あんまり、魚いないと思う」

やる前からなんだが、釣り糸を垂らすのが楽しい以外の理由で今日やる意味があんまり無いように思うので、言う。

「・・・釣ったら、晩ご飯にでもするのか?」

521タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/07(月) 00:12:51
>>520

「環境。地球温暖化とか――」

「いろいろ大変ですワね。」

難しい話は面倒だ。
少なくとも、雑談では。

     ・・・・海面を見る。

(波がないなら良く釣れるんじゃあないのね。)」

「倉庫街は、避けたいですワね。
 荒事になれば困りますもの。」

心得の有無の問題ではない。
荒事になれば、『罪』を作ることになりかねないし、怪我もするだろう。

「ええ、晩御飯にしますワ。
 焼き魚か、煮魚か……魚料理のリクエストがあったから。」

「帰りに魚屋で買って帰ろうかしらん?
 テレビドラマの釣り好きのみたく……バレるのがオチね。」

冗談かどうか分かりづらい顔で、そう言って、釣り具を拾う。
見込みがないことに長い時間をかけるわけにもいかない。

522薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/07(月) 00:51:06
>>521
「色々大変なんだろうね。魚も」

何せ食われるかどうかって話だものな。

「荒事はよくないよな。避けるべきだよ。
 そういや、ところで――」

片付け始めた(決断が早くていいな、と思った)女の人を見つつ、

「この辺でいい魚屋さんを知ってる。船で釣ってきたやつを売ってるんだけど」
「良かったら案内しようか」

せっかく来たのに、気分を折ってしまったかなという負い目もある。

523タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/07(月) 01:03:23
>>522

「漁師さんや、魚屋もですワね。」

何せ食えるかどうかの話だ。
・・・・ともかく。

「あそこ、殺人事件やらも起こってますものね。
 夜のネオンストリートがかわいく見えちゃうわ……と。」

そこで魅力的な提案を受けた。
笑顔(『模範的』だ)を見せるタタラ。

       「マア。」

(気が利くじゃない……)

「それなら、オチがつかなくて済みそうですワね。
 ええ、ぜひ。案内していただいてもよろしいかしら?」

実際これは助かる話だ。
釣ってきた魚を食わせるとは言ったが、自分がとは言ってない。

      (……嘘をつかずにすんだわ。)

524薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/07(月) 01:37:18
>>523
「・・・まあ・・・そうだね・・・」

何となく歯切れが悪くなる。
別に足を切断したからって死んだと決まったわけじゃあない。が、歯切れが悪くなる。

「近寄らない方が―――」「・・・」

仏頂面に拍車がかかる。
女の人に笑顔を向けられることに根本的に慣れていないのだ。

「まあ、誰が釣っても魚は魚だものな」
「こっちだよ」「・・・持とうか?荷物」

人として当然の気遣いだと思う。思うが、言ってから何となく気恥ずかしくなった。

525タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/07(月) 01:49:51
>>524

     「……?」

(何よ、急に。
 ……関係者?)

          (……罪人? まさかよね。)

目を細める、が――

「ええ、近づかないようにしますワ。」

……『疑わしきは罰せず』。
人吉多々良という人間の基本原理だ。

「むしろ素人仕事で釣った魚より、いいかもしれませんワ。
 餅は餅屋。家事はメイド、釣りは漁師ってとこですワね。」

そして。

     「ありがとう。」

(紳士的ね。)

紳士の申し出は断らないものだ。

「折角だし、お願いしますワ。」

  ヒョイ

荷物を渡す。
……ほどほどの重さだ。

526薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/07(月) 01:54:24
>>525
まさかだよな。
まさかこんな人相は悪いが人のいい高校生つかまえて『殺し屋』だと看破できるヤツなんていない。

「かも知れないな。やっぱり〆方が違うと、臭いが違うよ。全然生臭くないもんな」

言いつつ荷物を受け取り

「ふぐっ」

見た目よりそこそこ重かったのでちょっと声が出た。
釣り竿か何かがぐらっと落ちそうになるが・・・    ギャン!  ヒョイ   ・・・一瞬だけスタンドで支えて持ち直し、

「どういたしまして」

『スタンド使い』としては、ちょっとした隙だ。

527タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/07(月) 02:05:45
>>526

「釣った魚がウマい、って聞いて、張り切ったけれど……
 よく考えたら、それはその場で食べるから、って話なのかもですワね。」

     「達成感の味かしら。」

       コク

頷きつつ、歩き出そうと――

     ギャン!  ヒョイ


「―― ・ ・ ・・・・ええ。」

      (多いわね、スタンド使い。
        そう多いだけ……まさか、でしょ。)

特異だが……悪の要素ではない。
疑わしきは罰せず。深追いするつもりもない。

      ・・・・自分は閻魔様ではない。

「それじゃあ……
 案内お願いしますワ。」

      ニコ

重いか? などと聞くのも失礼だ。
メイドらしく、模範的な笑みを向け、出発を促す。

528薄金次郎『アヴェンジド・セヴンフォールド』:2015/09/07(月) 02:23:53
>>527
「(・・・今、見てたかな。気のせいかな・・・そうだな。うん)」

「いや、魚は釣りたてより、一日二日経った方がうまいよ」

アミノ酸とかの関係らしいが、経験則以上のことはわからない。
だから魚屋さんでも一番うまいタイミングのを売ってくれる。

「じゃあついてきて」「そこ段差キツいから」

転ぶなよと注意を促しつつ、一緒に魚屋に行くのだ。
何ごとも無く買い物は終わるし、何ごともなくおいしい夕食が待っているだろう。

529タタラ『インスタント・カルマ』:2015/09/07(月) 02:30:54
>>528

垣間見えた『影』に、タタラは何も言わない。

「ああ、いえ。それは、総いうものだけれど――
 自分で釣った魚だと、達成感が調味料になるのかな、と。」

     「そう思ったんですワ。」

科学的根拠はない。
が、あながち大間違いでもない、気がする。

       ・・・・そして。

「ええ。」

「ご忠告、感謝しますワ。」

小さめのお辞儀。
そして薄金のあとに続き、魚屋へ。

      ・…今夜の食卓には、秋魚が並ぶだろう。

530鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/17(木) 01:26:46
夏も終わり、本格的に秋に近づいていくある日。
夕暮れ時である。
砂浜に一人の少年が座り込んでいた。
和服に身を包み、肩まで黒い癖毛を伸ばしている。
膝を抱えるように座る彼はじっと海を見つめていた。

「……海きれぇやなぁ。」

ぼーっと海を眺めている。

531久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 01:37:17
>>530

  サク サク

日課のスケッチのために
わざわざ秋風のふく砂浜にやってきた墨彦。


  「あっ涼くんだ」


だったがこんなところで珍しく、見知った後ろ姿を発見だ。
そういえば、お見舞いのお礼がまだだった……(やべっ)


  ソロ〜〜〜〜


海を見つめる友人の背中に忍び足でこっそり近づく。

532鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/17(木) 01:48:17
>>531

「……ん〜」

しばらく眺めた後、伸びをした。
クマのぬいぐるみのように両足を伸ばすと
太ももの上に編みかけの編み物が乗っていた。

「続きしよかな。」

編み物を手に取り、作業を始める。
後ろから誰かが近づいているのには気付けていない。

533久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 02:00:40
>>532

「(秋の海辺で何をしているのかと思えば……)」


  意外! それは『編み物』(しかもくま)!


涼くんにそんな趣味があったとは……
分かるような……分からないような……

しかし編み物作業中となると、背中からこっそり近づいて
ワーッと驚かせる作戦ができなくなってしまったな……(中学生並の発想)


                 ⇒ ソロ〜〜〜〜


いったん離れて、適当な物陰に隠れる。
そしてスマホをスチャと取り出して、
『ショートメッセージサービス』を涼くんに送るぞ。

連絡先はお見舞いの時に交換したし、普段もやりとりしているのだ(言い切り)。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

                                    ______
                                  /         \ 
                    未読          <    やあ    |
                    05:38  PM       \______/   フーィ



                                _________
                              /             \ 
                  未読        <    今ひまかい?   |
                  05:38  PM     \_________/   フィ

534久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 02:09:00
>>533 (自レス・訂正)

てっきりクマのぬいぐるみを編んでるものと空目しましたァ……!(ごめんなさい)

535鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/17(木) 02:10:07
>>533

「……」
              「……」

編み物を続けている。
が、それは直に止められることになる。

ヴヴヴ

懐の辺りからバイブ音が響き、鈴元はスマホを取り出す。

「あ、墨彦さんやぁ。」

若干明るい声色の言葉が漏れる。

(ひまかい?やて。墨彦さん暇なんやろか。)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

                                     ______
                                   /         \ 
                    未読           │    うん    >
                    05:39  PM       \______/   

                                     ______
                                   /         \ 
                    未読           │  ひましてた   >
                    05:39  PM       \______/

536久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 02:17:40
>>535

「おっ。きたきた」

いたずらっぽい笑みが浮かぶ。
なんか適当な海の家かなんかの陰に隠れたまま、ぽちぽちスマホを打つ。

「へへ」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  <   ひましてた  |  既読            
    \______/   05:39  PM 

                                    ______
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                    未読           |    それ    >
                    05:39  PM       \______/   フーィ

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                  未読         |  誰かにあげるの?  >
                  05:39  PM     \_________/    フィ

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                  未読         |     (・∀・)ニヤニヤ   >
                  05:40  PM     \_________/    フィ

537鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/17(木) 02:23:53
>>536

「?」

(?)

 ?彼は一体何を言っているのだろうか?

(それ?ん?)

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  <   (・∀・)ニヤニヤ |  既読            
    \______/   05:40  PM 

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                    未読           |    ?      >
                    05:41  PM       \______/   フーィ

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                  未読         |  それってどれ?    >
                  05:41  PM     \_________/    フィ

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                  未読         │あ、送る相手間違えた?>
                  05:42  PM     \_________/    フィ

538久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 02:36:48
>>537

「ぷふっ」

素直なリアクションに思わず吹きだす。

「アハ……純真だなあ涼くんは」

笑いつつスマホをぽちぽち打つ。
フフフ、この文面ならどうだ?


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  < あ、送る相手間違えた? |  既読            
    \__________/   05:42  PM 

                                _____________
                              /                  \ 
                 未読          |  さーどうでしょう(・∀・)ニヤニヤ >
                 05:42  PM      \____________/   フーィ

                                 __________
                               /              \ 
                               |  そんなところで     |
                   未読         |  編み物してたら     >
                   05:42  PM     \__________/    フィ

                                  _________
                                /             \ 
                   未読          |  風邪引いちゃうよ   >
                   05:42  PM      \_________/   フィ

539鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/17(木) 02:46:31
>>538

「へ?」

編み物、と久染は言った。
確かに今編み物をしている。
しかし、なぜそれを彼が知っているのだろうか。
病院のときのようにスタンドで悪戯しているのか?
                                 __________
                               /              \ 
                               |  墨彦さん         \
                               │   どこにいるの?      >
                   未読         |                 /
                   05:42  PM     \__________/    フィ

                                  _________
                                /             \ 
                   未読          |  僕のこと覗いてる? >
                   05:42  PM      \_________/   フィ

540久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 02:56:06
>>539

「フフフ」

気づいた気づいた。

ササーっと海の家の陰に身を潜めつつ、鈴元の様子をチラっとうかがう。
目が合うかもしれないし合わないかもしれない。

へっへっへ……病院での仕返しだ!

                                 ___________
                               /              \ 
                   未読         |  え? なんのこと?   >
                   05:43  PM     \__________/    フィ



                   未読                (・3・)〜♪
                   05:43  PM                        ポン

                                  _________
                                /             \ 
                   未読          | で、誰にあげるの?  >
                   05:44  PM      \_________/   フィ

541<ガオンッ>:<ガオンッ>
<ガオンッ>

542鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/17(木) 03:08:37
「ん……とぼけてはるわ。」

きょろきょろと辺りを見回すが久染の姿には気付かない。
何度かスマホの画面と膝の上の編み物を交互に見る。
しばらくして、はぁ、と息を吐き久染に返答をする。

                                 ___________
                               /              \ 
                   未読         |     イケズ        >
                   05:44  PM     \__________/ 

                                 ___________
                                /               \ 
                   未読         |  墨彦さん用の贈り物   >
                   05:45  PM     \__________/ 

                                 ___________
                                /              \ 
                               │驚かせようと思って    │
                    未読         | 内緒にしてたのに…… >
                    05:45  PM     \__________/

543久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/17(木) 23:03:53
>>542

         「………………」


           『 ゴ  ゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ  ゴ 』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 < 墨彦さん用の贈り物  |      既読              
  \__________/       05:45  PM          

    __________   
   /                \ 
  | 驚かせようと思って    |
 <   内緒にしてたのに……  |    既読
   \___________/     05:45  PM
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


              「 な 」


     「 なんだってェェェ――――――――― っ 」



          ガ ――――――――z_______ ン !




ショック!
衝撃の文面を目の当たりにし、砂の上に膝からガクーと崩れ落ちて手をつく墨彦。


 「( ま……まさか彼が編んでいたのが
   僕へのプレゼントだったなんて!! )」


きっかけはささいなイタズラ心……
病院のお返しにチョッピリからかってやろーなんて浅はかな気持ちで……

ぼ……僕は……僕はなんてことをしてしまったんだァ!
(ウオオオオオオオオオオオ)



                  ヒョコ…

           

     海の家の陰から身を出して鈴元に姿を見せる墨彦。
     うつむき視線のまま、トボ…トボ…と鈴元のほうに申し訳なさそうな表情と足取りで近づいてくる。

     嫁さんにサプライズパーティするつもりが、
     クローゼットの中で間男との逢瀬を目撃した旦那くらいに悲しい背中だ……。


 と、鈴元のSMSに着信。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                                      ______
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                      05:46  PM       \______/   フィ

                                      ______
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                      未読           |  ほんとごまま  >
                      05:46  PM       \______/   フィ

                                      ______
                                    /         \ 
                      未読           | ほんとごめん… >
                      05:46  PM       \______/   フィ



動揺のせいか一回『誤入力』している…………。

544鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/18(金) 00:21:50
>>543

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 <  あの   |      既読              
  \__________/       05:46  PM          

    __________   
   /                \ 
 <     ほんとごまま      |    既読
   \___________/     05:46  PM

    __________   
   /                \ 
 <     ほんとごめん…    |    既読
   \___________/     05:46  PM
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「……」

鈴元の表情は変わらない。
ただ唇を少し尖らせて画面を見つめているだけだ。

(言い過ぎたやろか……)

誤送信に心が痛む。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
                                      ______
                                    /         \ 
                      未読           |     うん     >
                      05:46  PM       \______/   フィ

                                      ______
                                    /         \ 
                      未読           |  もういいよ    >
                      05:46  PM       \______/   フィ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

すこし周りを見て、こちらに寄ってくる久染をみつけた。
が、特に声はかけなかった。

545久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/18(金) 01:03:42
>>544

トボトボ歩いていたが、
着信音を受けてスマホをチラ見。


         チラ


「(うっ………

  こ、この文面!
  『もういいよ』って、
  許しているのか怒っているのかわかんない!
  いや……なんだろう……
  ちょっと『悲しみの気配』さえ感じる!)」


文章のコミュニケーションはとっても難しい……
でも墨彦はこの文面から、そんな風に鈴元の感情を読み取った。




「ごめん涼くん!」


    ズッサ――――― ッ


声をかけられる距離にまで近づいたとたん勢いよく頭を下げる。
スライディング土下座だ!

546鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/18(金) 01:17:29
>>545

鈴元は何も言わない。
ただ歩み寄る久染を見つめている。

「なにが?」

頭を下げ、謝罪をする久染に鈴元がかけた言葉はそれだった。

「ちょっとよう分からんねんけどぉ。」

首に手を沿え、頭を上げさせる。
下を向かれると目を見てお話が出来ない。
だから顔を上げていただこう。

「なんに対して謝ってるんやろか?」

547久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/18(金) 01:35:06
>>546

「………………」


顔面を砂に埋めたままの墨彦だったが、
頭上から降りそそぐ鈴元の声色からすべてを察していた。



  『あっ これは怖いときの涼くんだ』

          と……



「……………
 あ、あの…………ううッ」


いきなり顔を持ち上げさせられ、驚きの声が漏れる。
涼くんのスキンシップはたまに僕の想像を超えていることがある……
し、しかしここは……誠意を見せねば……。



「な、なんていうか………
 涼くんは僕へのプレゼントを編んでくれていたんだよね。

 それを僕は隠れてコソコソのぞき見して……
 オマケに茶化すような言い方で何度もからかったりして。

 ちょっとしたイタズラ心のつもりだったけど、
 それは涼くんの厚意を損なう行いだったと思うよ……

 本当にごめんね」


伝えるべきことは伝えたつもりだ……
ど、どうだ……?

548鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/18(金) 01:59:09
>>547

首に添えた手、その指から久染の脈を感じる。
命の鼓動。止まることなく続く鼓動。
今この瞬間を久染が生きている証だ。
触れた頚動脈から生を感じている。

「ん?僕、怒ってへんよ?」

「バレたんは残念やけど、それは僕の脇が甘かっただけの話。」

いつものように笑って久染に話しかける。

「そういえば、ちょうどエエくらいやね。」

首から手を離し、編み物を編み始める。
割と速い。慣れてるのだろうか。それともただ単に器用なだけか。

「ちょっと待ってねぇ。」

   ……
                 ……
                               ……

「はい。できた。」

十分ほどして鈴元の手から久染の手へと編み物が渡される。
ネックウォーマーだ。水色っぽい色をしている。

「これから寒なるからね。
 いらんねやったら、返してくれてかまんよぉ?」

「それと、退院おめでとう。」

549久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/18(金) 21:04:38
>>548

「んえっ……?」

あれっ 怒ってないの……?


 首元から離れていく手を追いかけて視線をあげると、
 そこにあったのは いつもの優しい涼くんの笑み。


「う、うん……」

 まだ少し当惑ぎみのまま、
 言われるままおとなしく待っていると……


   ……
                 ……
                               ……


                パサ 


      「えっ」


 手渡されたのは出来たての編み物。
 

  「これって…………」


 手の中のものの意味を飲みこむように、
 おそるおそる鈴元の顔をうかがうと……



>「これから寒なるからね。
> いらんねやったら、返してくれてかまんよぉ?」

>「それと、退院おめでとう。」



      ガ ――――――――z_______ ン !

                          (本日二回目)


             「うっ」


                「うっう」


       「あ」


   「ありがとう涼くん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」


 感動のあまり大げさなくらい喜びの声をあげ、
 そのままガバ――― っと勢いよく鈴元に抱きつく(≒タックル)墨彦。


       「大事にするよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」


 さっきまで無駄にハラハラしていたおかげで感動も二倍だあ―――――ッ

550鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/18(金) 23:57:19
>>549

「うふふ。どない?」

最近はじめたが結構上手くいったと本人は思っているらしい。
実際どうであるかは人によるが、特に問題の箇所は見当たらない。

「え?あっ。」

急に抱きつかれたために砂浜に倒れてしまう。

「墨彦さん。もう、いきなり大胆やねぇ。」

そう言いつつ久染の服の背中側を掴む。
片手で掴んでいるが、その行為は久染の行動を阻害しかねない。

「そう言えば、墨彦さんここで何してはったん?お散歩?」

551久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 00:13:57
>>550

「うんうんッ、
 すっごくよく出来てると思うよ!
 これも一つの才能だね〜〜〜〜〜 って 」 


             「あッ!

              ごめんごめん!」



 鈴元を下敷きにしていることに気づき、
 慌てて立ち上がる…………


 立ち上が……


       ガッシィ―― ン



     ………れないぞ。あれっ……



 涼くん。その手は一体どういうつもりなんだ?
 なぜ僕の背中をひっ掴んでいる?
 鈴元涼…………

 掴むのはともかく理由を言え――――ッ!



 
 という流れが一瞬頭に浮かんだがしょせん掴んでいるのは片手だったので
 頑張って振り払って墨彦は立ち上がることに成功した(言い切り)。
 ポンポン砂を払い、倒れている鈴元が立ち上がるのに手を貸す。


「ん? ああ、僕のほうは日課のスケッチさ――――っ
 (といってスケッチブックを取り出してフリフリ顔の横で振る)

 それを言う涼くんのほうこそ、なんでまたこんなところで編み物を?」

552鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/19(土) 00:30:45
>>551

「そう言ってもらえると嬉しいわぁ。」

にこにこ笑っている。
それは鈴元の平常であり通常であった。

特に抵抗をすることもなく片手を離させる。
深い意味はないのだろう。
聞けば答えるだろうが、別にいいだろう。

「へぇスケッチが日課なんやねぇ。
 僕絵ぇはあんま描かへんわぁ。すごいねぇ。」

「んー家で編みモンしてたら色々言われたから……
 まぁ、気分転換のついでやわぁ。」

553久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 00:47:30
>>552

「でへ……といっても まだまだ修行中だけどね!
 じつは僕、『マンガ家』になるのが夢なんだ……!

 だからこうやって毎日出かけては
 目に入った面白そうなものを描くことにしてるんだ〜〜〜〜っ」


デヘヘ、と後頭部を恥ずかしそうにポリポリと掻く墨彦。


「……へえ〜〜〜っ そうなんだ。 
 ……んっ? 『色々言われた』? ってどういうこと?
 家で編み物してちゃいけないの?
 外じゃ日が落ちたら寒くなるよ」


特に深い意味はなく訊ねる墨彦。

554鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/19(土) 01:12:19
>>553

「うふふ。エエねぇ。」

「『夢があって、叶えるために行動できる』っちゅんは。」

けらけら笑って久染に対してぱちぱちと拍手を送る。

「あ、じゃあ今のうちに色紙にサインとかもろとこかなぁ。」

冗談っぽい口調ではあるが、割と本気で言っているようだ。

「や、編みモンしたらアカンとかは無いんやけどぉ……
 『誰にあげるん?』とか『自分にも作って』とかやね。
 友達に上げるっちゅうたら『店つれてきた女の子?』って聞かれるし。」

「家族とかお弟子さんとか友達とか大切な人に贈るために作っとるし……
 あんま見られたくないんもあるわ。」

だからわざわざ野外を選んだらしい。

555久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 01:24:35
>>554

「ま、また涼くんはそんなこと言って…………デヘ」

鈴元の拍手とおべっかに照れ笑いが深まる。(だらしない)


「ああ、そういうこと……アハハ。
 仲いいんだね………… えっ?」


ん?
ちょっと待って今聞き捨てならない言葉を聴いた気がするよ。


「…………『店つれてきた女の子?』」


涼くん…………
い、いるのか……君……もしかして『そういう人』が……

そういえば涼くんとはそういう話をしたことがないが……
ひょっとして涼くん……
そっち方面は僕よりはるかに『オトナ』……なのか……?


    『 ド ド ド ド ド ド  ド』


「えっ……それってひょっとしてか、彼女とか……?」

556鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/19(土) 01:49:51
>>555

「そやね。仲エエんとちゃうかな。うん。」

言い切りはしなかった。
それは表向き仲良くしているとかそういう意味ではない。

「うん。店につれてきた女の子。」

復唱。
女性を店に連れてきたのは事実である。

「ん?なんで僕に彼女さんが出来んの?」

「ないない。」

手を振り否定する。
彼女がいない。それもまた事実だ。

だから心配しなくていい。
鈴元も子供だ。

557久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 02:10:37
>>556

「そ、そうなんだ。ほっ……」 (謎の安堵からくるため息)


  良かった……
  『ん? そうよ。これで七人目。前の彼女はねぇ……』
  とか続けられたらどうしようかと思ったぜ……

  涼くんはなんかそういうこと
  サラッと言ってもおかしくない妖しい雰囲気あるからな……(※偏見です)(いや偏見でもない)


もろもろ早合点が過ぎるがそこは中学三年生15才。
友達の色恋事情がたいへん気になるお年ごろなのである……


「ふう〜〜〜〜ん。
 その店につれていった女の人ってどういう人なの?」


まだまだ引き下がらないぞォ――――ッ

558鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/19(土) 02:27:25
>>557

「そうそう。」

「んぇ?変な事気にしはるね?」

(彼女さんなんかおらんのに。)

久染の言葉を理解できるが、言葉にこもった意味までは読み解けない。

「えっと、東郷さん覚えてはるよね?あの人とか。
 部長……ミスコンの司会してはった子ぉとか。」

「後は、稗田さんとかかなぁ。」

「大体ミスコン関係やね。」

指折数えてみる。
そんなに数はいない気がする。
もしかしたら『店に連れてきた女の子』は身内のイジリ的な意味のある言葉なのかもしれない。

「墨彦さんこそ女の子にちょっかいとかけてへんの?」

559久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 03:03:06
>>558

「フムフム……

 東郷さん? …………あっ、日向さんか!
 そっか、お店に呼んでたんだね〜〜〜〜。

 部長? ミスコンの司会って……ああ、あのバニーガールの人!
 よくわからないけど、ブチョー? なの? あの人……

 後は? 稗田さ…………えっ」


          「稗田さ…………えっ!?」



予想外の名前に思わず二度見ならぬ二度聞きする墨彦。
まさかここで飛び出してくるとは夢にも思わない相手だ!


          「…………えっ!?」 (三度目)



  「ひ、稗田さんって………」


「れっ…… いや、ちょ、ちょっっかいって!!
 僕のことは今はいいじゃないかァ!!」


 真っ赤になって首を振る墨彦。


   「そ、それより稗田さんって……もしかして稗田恋姫ちゃん!?
    ミスコン関係って……ど、どういうこと?」

    金言部周りをまるっと知らない墨彦であった。
    説明をもとめます!

560鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/19(土) 03:19:09
>>559

「うふふ。その反応、女の子にちょっかいかけた自覚あるみたいな感じやね。」

鈴元には自覚がない。いや、もとより女性にちょっかいなどかけていない。

「そうそう稗田恋姫さん。ウチの兄がフアンなんよね。」

それから鈴元は久染に金言部とミスコンについての解説を始めた。

其の一 金言部という富豪『銀杏羽 明日乃』を部長とする部活があること。
其の二 ミスコンは銀杏羽が色々と手を回して運営していたこと。
其の三 金言部員は銀杏羽から参加者のスカウトを頼まれ、鈴元もスカウトを行ったこと。
其の四 東郷日向など何人かスカウトしたこと。
其の五 稗田恋姫とは偶然出会ってスカウトしてみたらたまたま成功したこと。

以上である。
なお金言部は現在ミッションを開催中である。
詳しくは下記参照。
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1426951058/

「ちゅう感じ。」

「にしても墨彦さん
 エラい稗田さんのこと気にしてはるみたいやけどフアンなん?」

「それとも純粋に好きとか?」

にやりとちょっと意地悪な笑みを浮かべて聞いた。

561久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 19:37:45
>>560

>いや、もとより女性にちょっかいなどかけていない。

 ダウト


 それはともかく……



  ・      「ふむ」

  ・            「ふむ」

  ・    「ふむ……」




  「なッ なんだって―――――― っ!


   まさか涼くんが裏で
   そんなことをしていたなんて………」


 中学生にスカウトさす部活動っていいのか……?
 いやそもそも あんだけ大規模なミスコンが
 まさか『一部活の企画』で動いてたことにビックリだ。


    僕がいつも通ってる『秋映学園』で―――僕のすぐそばで、
    まさしくマンガみたいな世界観の話が展開されているってのに、
    僕は今の今までそれにまったく気づいていなかったなんて! (ショック!)


 鈴元の口から次々と飛びだす壮大なスケールの話に
 ポカーンとあっけにとられていると……突然 急角度!



>「にしても墨彦さん
> エラい稗田さんのこと気にしてはるみたいやけどフアンなん?」


      「っえ」     ドキィ――――――ッ!


>「それとも純粋に好きとか?」


          「ぉっ」    ド ド ドキィ―――――――ッ!



   「………………………」


  胸のあたりをギュッと押さえ、背を丸めて黙りこむ墨彦。
  その顔はさっきよりさらにまっかっかだ。


     「いっ……」

562鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/19(土) 21:12:15
>>561

>ダウト

いや違う。本当だ。君は何か大きな思い違いをしている。そうだろう?

ともかくとして。
鈴元は解説を終え、結果として久染は驚いた。

「参加者の朱鷺宮さんも金言部の部員なんよ。」

「部長もエラいお人さんよねぇ……」

アレだけの規模を回したのだから。
いや、銀杏羽だけの力ではないだろうが彼女が色々と手を回していただろう。

……鈴元涼は恋を知らない。
また愛についてもよく分かっていない。
しかし他人の顔色については知っている。
久染の反応を見て鈴元はにっと笑っている。

「なるほど。」

「いっ?なに?」

もうちょっと様子を見てみよう。

563久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/19(土) 23:47:35
>>562

  「いっ……」


        「…や、……」


     「その……」


 返す言葉と とるべき感情に迷っているのか、
 うつむいたまま真っ赤な顔で
 しばらく口をパクパクさせる墨彦。


    「……………」


 が、ギュ――――ッ と目を閉じて首をブンブン振る。
 何かの言葉を追い出すように、
 そうして次に顔をあげたときには、頬は赤くないし、
 もう瞳はまっすぐだ。



   「いや…………その……
    僕、そう、」


      「………『ファン』なんだ。『こいひめ』ちゃんの。
       すごく応援してる……」



 墨彦にとって 彼女との関係は、
 とても繊細で大切な何かだ。
 『そーいう言葉』で表したら 終わってしまいそうな……


     「そ……それだけ。ファンだったから、
      いきなり名前が出てちょっとビックリしただけ!」


 僕は彼女となにを約束したのか?
 自分の右手を見つめる……


              キュ

 ………少なくとも、今はまだ。



 「と、とにかく!
  すごいんだね〜〜〜〜ッ その『金言部』の部長さんっていうのは!
  なんだか活動もすごく楽しそうッ!」

 
 と、超強引に話題を変えよーとする墨彦。(オホンオホン)

564鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/20(日) 01:03:35
>>563

「ふぅん。」     
                「そう。」

鈴元は久染の瞳をじっと見つめる。
まるで中を覗き込むかのように。

「『ただのフアン』なんや。
 まぁ墨彦さんが言うんやたらそうなんやろうね。」

「墨彦さんがそう言うんやったらそうやし
 そう思うんやったらそうやわ。」

「もし違うくても言霊の力で嫌でもそうなるわ。」

追求するつもりない。
ただ久染の行動、言葉、顔、全て見て追求するつもりがなくなった。
少しイジワルな言い方になっているが、『ただのファン』なのだから気にする必要は無い。
そう、久染墨彦は『稗田恋姫の一ファン』だ。それ以上でもそれ以下でもない。
なら心に傷を負うことはない。

「そうそう。ウチの部長はすごいんよぉ。」

久染が変えたいのなら話題を変えよう。

「これからもミスコンみたいなことするんちゃうかなぁ。」

565久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/20(日) 23:59:32
>>564

>「もし違うくても言霊の力で嫌でもそうなるわ。」


     「うっ……」


            「ぐぐ……」


 突きはなすような鈴元の言い方に 一瞬、
 応じ返したい気持ちが喉元までググッと出かかるが、飲みこむ。
 自分が言い出したことだろ……! 突っかかってどーする!


       「…………」


   (でも鈴元をみる目には無意識のうちに
    少しムッとした気持ちが乗っている。)



 「ふ、ふーん……
  なんかあの人が
  すごい人だってのは伝わったよ。
  面白そーな人だね」


   そういえばミスコンのオープニングでも
   鮫を撃ち殺していたな…… (直接的すぎる表現)

   こういうマンガみたいにブッ飛んだキャラクターに
   墨彦はどーも弱いのだった。


 「でも、涼くんはどーしてそんな部活に入ろうと思ったの?
  なんかきっかけが?」

566鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/21(月) 00:42:43
>>565

久染の目の変化くらいは鈴元にもわかった。
鈴元にとって久染の反応は正直予想外のものであった。
久染は冗談っぽく、喜劇的な人間に見えるがキチンとした人間だと思っていた。
危険な状況にいざという時は自分を置ける人間だと、思っていた。
大切なことを大事に、出来ると思っていた。

(まぁ、別にエエか。喧嘩したいわけやないし。)

そもそも喧嘩は苦手だ。

「そやねぇ。オモロいお人さんやわぁ。」

案外幽霊が苦手だった気がする。

「僕は部長から入らんかっていわれたんよ。
 まぁ、いわれたから入った訳やないけど。」

「僕が入ったらオモロそうっていうてくれたんよぉ。」

「毎日店番とガッコに行くんの繰り返しで退屈しとった僕にそういうてくれた。
 僕はそれがホンマに嬉しゅうて、部長は信頼できるお人さんやって思うて……」

「やから、僕は金言部に入ったんよ。」

心の底からそう思っている。
珍しく本音を語る鈴元である。その顔は爽やかで、笑顔は晴れやかであった。

                       ソガイ
「それに、鈴元家家訓『進まぬならば背向に終わりの影あり。』」

「進めるんやったら進みたかったんよ。」

567久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/21(月) 01:33:29
>>566

 墨彦は何も言わなかった。

                                  . . .
 ことばにすることで失われてしまう 繊細な揺らめきや あわいが
 この世にはあると墨彦は思っているからだ。


  (そしてそれを ことば以外の方法で
   この世界になんとか縫い止めようとする試みが
   芸術であり描くという行動だと墨彦は信じている)


 けれど、
  . .. .. . .. . .. .. . . ... . ..
 ことばにしなかったことで失われてしまうもの というのもまた、
 この世にはあるのだろう……墨彦はそれに気づけない。
 ……さておき。



 「………
  ふんふん」



        「………」



 「…………
  そっかァ」


   「なんか……」


 なんとなく、
 なんとな〜〜〜〜くだけど、
 ちょっぴり分かった気がする…………

 金言部というのが……
 その『部長』という人が、涼くんにとってどういう存在なのか。


   「フフ。『進まぬならば』……かあ。
    いい言葉。僕も覚えておこっと」


 そういって楽しげに語る鈴元の顔を
 しばらく楽しげに眺める墨彦だったが、
 とつぜん吹いた秋の潮風を浴び、肩を抱いて身震いをする。


「うぶるるるるるる。
 な、なんかちょっと寒くなってきたかも……」

568鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/21(月) 02:21:57
>>567

鈴元涼はただ久染を見つめていた。

言葉を必要とせず、会話できるような
心のみで通じ合える、それが価値のあるものだと思っているし教えられた。

それは思いやりや心遣いであり、他人について深く知っていることであると思っている。
しかし、子供である自分には言葉にせねば分からぬことのほうが多いことも知っている。

鈴元涼と久染墨彦は違う。
同じ部分はあっても違う部分がある。
それがどういう部分なのか、鈴元は知らない。

「なんよぉ。もう。」

意味深な風に呟く久染に唇を尖らせる鈴元。

「『エエ言葉』やろ?家訓やもん。」

そういう問題ではないが鈴元の家への誇りがそういわせるのだろうか。
……そうこうしている内に久染が体を震わせる。

「あぁ、すんません。長話してもうたね。
 風邪引いたらアカンし、そろそろ帰ろか?」

そういって立ち上がろうとした瞬間、鈴元の動きが止まる。

「ねぇ。墨彦さん。もし、もしよかったらなんやけどぉ……」

「『金言部に入らへん?』」

「部長のことやしこれから色んなことする思うねん。
 そんな時、墨彦さんおってくれたらもっとオモロなる思うんよ。」

まっすぐな瞳で久染を見つめる。

「お願いできんかな?きっと損はせんと思う。漫画みたいにオモロくてすごいことが起きるはずやから。」

もしかしたら、面白い出来事も呼び起こすかもしれない。

569久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/21(月) 23:31:25
>>568

 「えっへっへっへ……………… へっくし!」  ブミャー


 唇を尖らせる鈴元に
 思わせぶりなニヤ顔でこたえる墨彦だったが、くしゃみ。


「うぶるる、かたじけない………
 なんかついつい いっぱい話しちゃったね」


 二の腕をごしごし擦りつつ
 友人が立ち上がるのを待つ。


 が、彼から返ってきたのは
 意外な誘い文句だった。
 
 

  「………」



      「………」



   「涼くんがそこまで言うんだから、
    ほんとにほんとに素敵なところなんだね――」


    その瞳がなによりの、だ。
    墨彦も正面から見かえして応える。


  「わかった。『入るよ』」



      「………………
       ………………
       って言いたいところなんだけど……


       僕 『漫研』に入っちゃってるんだよね、
       実はすでに……」


    タハハ、と申し訳なさそーな笑いを漏らして
    頬をかく墨彦。



    「えーっと……
     『掛け持ち』でもいいのかな?」

570鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/22(火) 00:21:28
>>569

「あぁ、大丈夫?寒かったらそれ使い。」

それとは先程渡したネックウォーマーだ。
まぁ暖かいだろう。

「ホンマ?」
「ホンマに?」

「おおきにぃ。」

それは満面の笑みであった。
喜色満面。今にも久染に抱きつきそうで、鈴元の心から喜びが発露しているのだ。
本心を隠し、繕われた外面と
掴めない言葉で生き続けた男の珍しく見せる本心だった。

「兼部も全然大丈夫。」

「僕らはいつでも歓迎するよぉ。」

右手を差し出した。
約束の握手だ。友情の握手だ。
仲間を歓迎している握手だ。

「墨彦さん。行こか。」

571久染 墨彦『インク・フィッシュ』:2015/09/22(火) 00:46:44
>>570

 「う、うん」


  「うん」


   「………」


 「そ、そんなに喜ばれるとこっちが
  照れちゃうなァ〜〜〜……」


 後頭部をポリポリ掻きつつ、
 デヘヘと 正直に照れ笑い。

 けれど珍しい――友人の満面の笑顔を見れて、
 今は悪くない気分だ。

  これだけ笑顔になってもらえただけでも
  YESと言った価値はある……かな?
 


 もらったばかりのプレゼントを、
 さっそく頭からかぶりつつ。


 「でへへ………
  あったかァ〜〜〜〜い」


    「超あったかいよ涼くん!」


 頬までネックウォーマーに
 うずめてホクホク顔だ。

 そして差し出された鈴元の手に、
 こちらも力強く右手を出して応じる。


 「こちらこそ。
  いつもありがとう。

  そして、これからもよろしくね、涼くん」


      ギュ


 「〜〜〜〜〜よしっ!

  せっかくだから涼くん、このままウチくる?
  ごはん食べて行きなよ――――」


 波の音を背に、墨彦は歩き出していく。
 友人とふたり、肩を並べ、同じ歩幅で――

572鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2015/09/22(火) 01:14:27
>>571

「うふふ。なんでよぉ。」

その顔は徐々に普段通りの笑顔に戻っていく。
本心を見せるのは一瞬だ。

「暖かい?よかったわぁ。」

「うん。これからもよろしゅうね。」

久染と並んで歩く。
二人の影が歩いていく。
二人の行く先には何があるのだろうか。

「ご飯かぁ。墨彦さんのご両親にご挨拶せんとねぇ。」

鈴元涼→『ネックウォーマーを渡す』

久染墨彦→『金言部 入部』

573錏葉九郎『ザ・シグマ』:2015/09/27(日) 23:09:28
「おー」

「いい流木」

薪を拾いにきた。
砂浜に打ち上げられた流木は薪に良いと何かの本で読んだのだ。
そういうわけで流木を拾っている。
小さいのも大きいのもある。運べないような

  「フン!」

    ベキ。

人の胴体ほどあるようなやつは叩き割って、細かくして、どでかいカゴに入れるのだ。

574立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/10/06(火) 22:44:24
>>573
「…………」


テトラポッドに腰掛けた小学生くらいの女の子が、
ぼうっと海を眺めていた。


「……ん……」


ふと、錏葉に気づき、流木を拾っている姿を目で追う。


        じー

575立花『リンネ・ラジオ』『XTC』:2015/10/12(月) 00:30:56
>>574
「ふあ……」


しばらく眺めていた少女であったが、
眠そうにあくびをすると、そのうち、うとうとし始め


「はっ……」


時計を見ると、慌てて帰っていった。

576黄 町 断 ル ラ イ with:2015/10/13(火) 23:25:24
秋も半ば、そろそろ冬物の衣類を準備し始める季節の某日の朝十時。

足跡も轍も無いまっさらな砂浜。

波の音だけがただ引き続けているその砂浜の真ん中に、
大きな『何か』が、ポツンとある。大きさは小型のバスほどだろうか。

『何か』と形容したのは、それには上から全体に大きな布がかぶせてあり、
詳しい形や、色などが解らない様になっているからである。


 ザザァー
                ザザァーン

577音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/10/13(火) 23:41:16
>>576
「……おい、何だこれは?」


    「クジラの死骸でも流れ着いたか?
     変な臭いとかしないだろうね、――――どれどれ」


ランニングシューズにハーフパンツ、ウィンドブレーカー。
いかにもランニング中という格好で足を止め、足元の珍物を訝しげに見下ろす。
海難物なのだろうが、それにしては周囲に人気も見えない。
周囲の様子を見るに、まるで空から落ちてきたかのようだ。


       ガシッ


布の端っこを掴み、持ち上げて捲ってみる。

578黄 町 断 ルトラ イ with:2015/10/13(火) 23:50:38
>>577
布の端を持ち上げれば、そこから現れるのは径の大きい『タイヤ』だ。
どうやらこれは『大型車』らしい。

しかし、肝心の車体の部分まで布をまくることは『できなかった』。
まるで『接着剤でくっつけられている』かの様に、布はそれ以上ピクリとも動かない。


「あー……うーん」

布の中から、唸り声のような物が聞こえた。

579音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/10/13(火) 23:59:49
>>578
「――――お、おい!?

 大丈夫か!?  クソッ、唯の『事故車』じゃあないかッ!
 せめて、私が『落とし穴』に引っかかるくらいで済んで欲しかったッ」

『横断幕』を引っ張るように砂浜を走った『ジープ』が、
砂にタイヤを取られて転倒、布を巻き込むように倒れこんだのか。
何にせよ、運転手が心配だ。この砂浜には『足跡』も『轍』もない。
――――つまり、事故が置きてから時間が経過している可能性がある。


    「だ、誰か!  誰か来てくれッ!
     人手が必要なんだァァ――――」


         「クソッ、埒が明かないぞッ!
          『ジュリエット』、救いの手となれッ!」


                           ジ ュ リ エ ッ ト
周囲に大声で助けを呼びつつも、遂には、『 両 手 剣 』を発現。
右手に発現したそれを逆手に掴み、肉厚な刃の切っ先を布に宛てて滑らせる。
『捲くる』のではなく『切り裂く』。『コの字』に裂いてから布を捲り、声の主の様子を見る。


        「しっかりしろォォ――――!!」


               「もう少しだぞォォ――――!!」

580黄金町 断 ルトラ イ with:2015/10/14(水) 00:24:01
>>579
大声で助けを呼ぶピエール。
砂浜沿いの歩道を歩いている若い男性が見える。
距離的に考えて、その声は十分に彼に届いているように思えた。
 

  「しっかりしてます。してますともォ〜」
 
  「だけど残念。そのパターンはもう『見た』んですよねえ」

         布の奥からの声。


歩道を歩いていた男性は、ピエールの声に応えることなくそのまま歩き去っていく。
一瞬視線があったような気がするが、特に大きな反応は示さなかった。

しかし、
『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』の刃は、布をコの字に切り裂いた。


「お」

「この流れは、『初めて見た』ですよ」
「なかなか貴方、『新しい』ですね」


コの字に切り裂かれた部分の布のみがめくれて、隠されていた物の一部が露わになる。

そこから現れたのは──艶のある黒髪を伸ばしたケツアゴの男性。
いや、これはピエールの顔が映っているだけだ。

布で隠れていた部分は、どうやら『鏡』になっているらしい。

581音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/10/14(水) 00:36:36
>>580
「な、なんだこりゃあ!?」

捲った先に見えたのは己自身、――――否ッ!
曇りのない鏡だ。しかし、車両の何処にそんな鏡を付ける必要がある?
鏡面ガラス窓とは考えにくいが、バックミラーにしては大き過ぎる。

>「この流れは、『初めて見た』ですよ」

>「なかなか貴方、『新しい』ですね」


        「――――や、やられたッ!

         貴様、私に『ドッキリ』を仕掛けたかッ!
         ええい、怪我人を装ってイタズラとは恥を知れッ!」


鏡には羞恥と怒気で顔を真っ赤にしたピエールが映るだろう。
『剣』を持たぬ対の手を握り、鏡に思いっきり拳をぶち込む。

582黄金町横断ウルトラクイズwith……:2015/10/14(水) 00:56:12
>>582

「ああ、そんなつもりはなかったんですよ」


鏡面の奥から声がする。
次第にはっきりと聞こえるようになったこの声の主は男性のようだ。


興奮したピエールの拳が鏡面に炸裂する。

だが、『何も起こらなかった』。

殴った鏡面には傷一つつかず、ピエールの拳にも衝撃は走らず、激突音もしない。
ただ、壁を殴った様な感触はあるが痛みも無い。



「そのパターンは、それこそ何回も『見た』んですよ」

「どんなに人気があっても、どんなに素晴らしくても」

「何回も見られたら、飽きられて、意味を持てなくなっていくのです」

「すべて、すべてが」


  ブロロロロ……


布の中から響き始めるエンジン音。
車輪が砂を弾きながら、ゆっくりと前進し始める。


「でも貴方はそこそこ新しかった」

「これで貴方が『18歳以上の女性』だったら……いえ、自称でも良いんですけれどねフフフ」



布をかぶったままのそれは、次第に加速を始める。
ここから去るつもりのようだ。

583黄金町横断ウルトラクイズwith……:2015/10/14(水) 00:58:00
安価ミス
>>582>>581です。

584音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/10/14(水) 01:05:43
>>582
「逃がすかッ!

  ――――貴様の『善悪』をハッキリさせるッ!」


『自動車』が加速を始めるよりも先に、左手に『ザ・リックス』を発現。
地面に這うと『盾』を後輪に押し当て、『移動』する『パワー』を奪う。


      「『温故知新』を知れッ!
       手始めに『人を騙す』とどうなるかってところだ!」


『ジュリエット』の柄を押し付け、『紋章』を吸収する。

585黄金町横断ウルトラクイズwith……:2015/10/14(水) 01:42:42
>>584

「……ほほう」

「凄いですね。正解は『無効化』?『吸収』?」

「正確な『解答』を出すには、時間が足りない様な気がしますね」


布に包まれた車両は動かない。否、動けない。
『ザ・リックス』が『移動するパワー』を奪っているからだ。


「とにかく『スタンド』の力ってのは凄い。奥が深い」

「誰も見た事が無い『新しい』『力』。良いですよね」

  
  ブロロロロッ!


エンジン音が強く鳴り響く。


「『善か悪か』。そんなの、どう答え立って『正答』だし、『誤答』ですよ」

「ともかく、今回は『貴方の勝ち』です。ああ、また材料を集めないと」

「それではさようなら、『挑戦者』さん。賞品はいずれお渡ししますよ」

     ブオンッ

                  ガシャッ ガシャ

              ガシャガシャガシャッ


ピエールの反対側から飛び出す大型の『オフロードバイク』。
フルフェイスのヘルメットをかぶった男の運転するそれは、
猛スピードで疾走し、瞬く間に彼方へと消えた。


                  ガシャッ ガシャ

              ガシャガシャガシャッ

      ガシャンッ!

布に包まれていた物が崩れていく。

露出されていたタイヤとホイールも瞬く間にボロボロのスクラップへと変化していく。



    ……ブオオオオン

その場に残されたのは、巨大な布に包まれた大量のスクラップ。

586音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2015/10/14(水) 01:56:20
>>585


         ギャルルルルル――――


  「(『回転』の刃でタイヤをバーストッ)」


                           「(『振動』の刃で車体を切り裂くッ!)」


     >ブオンッ

                  >ガシャッ ガシャ

              >ガシャガシャガシャッ


     「――――――ッ!?」


          「しまっ――――」         「『デコイ』ッ!」


飛び出したオフロードバイクは一陣の風のように己から遠ざかっていく。
眼前の自動車はスクラップとなって崩れ落ち、砂浜に散らばったのだ。


    「な、なんだったんだ……?」


まるで妖精に化かされたような一連の事態にポカンを大口を開けるも、
やがて、散らばったゴミ達を片付けようとパーカーを腕捲くりする。


     「全く、今日はなんて日だ!」

             「とにかく、これをどうにかしないとな……」


エッチラオッチラとスクラップを引きずって、砂浜の隅っこに置いていく。
やがて、人目に付かぬ場所へと置き去れば、ランニングコースへと戻っていった。

587荒咬『ザップ』:2015/10/18(日) 02:06:39
「ふー、季節の変わり目は寒かったり暑かったりして、調子が出ないなあ」

海を眺めながら、『ダイヤルを回す』。

※次にレスする人は、詳細を読んで荒咬が『どこに移動するか』をレスの秒数下一桁で決め、URLを指定してください。
  1レスのみで構いません。お気軽にどうぞ。

『ザップ』能力詳細
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1311712763/564

588ようこそ、名無しの世界へ…:2015/10/18(日) 02:18:41
>>587
残念。フィレンツェ行きには間に合わず――

【場】メインストリート その4
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1424962526/

589荒咬『ザップ』:2015/10/18(日) 02:21:53

            『ZAP』!

→ ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1424962526/799

590稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/27(火) 00:40:07

恋姫はもうどうしようもないし、どうしたらいいかもわからなかった。

     ザザーーン

「……」

        ゼェ   ゼェ

肩で息をして、砂浜に体育座り。
内心ドラマみたいだな、と思った。悲劇に浸りたい自分がいたのか。

「クソゲーだな……人生は。
 えひ……鬱ればいいと思ってやがるんだ……」

         《オォォォオオオオ》

己の精神の像に語りかける。
虚しい気分だ。

     《オォォォ……》  

        ボボボボ

黒衣のヴィジョンから、不完全燃焼気味に青い炎が吹く。

あったと思ったものは、無かった。
怒り、恐怖、それに……心に空いた、穴。

591トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/27(火) 01:29:49
>>590
「人生にお悩みですか?」
           『スッゲー燃エテル』
「んっふっふっふ」
        『イイノカソレ、スッゲー燃エテルケド』

後ろから声をかける。
長身、金銀マダラに染めた髪、安物のスーツ。そろそろ寒いのでコート。
そしてその傍らでひたすら『青い炎』にツッコミを入れる羊角剛健の『スタンド』。

592稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/27(火) 01:58:30
>>>591

       「ん……」

      グイッ

座ったまま、首を後ろに傾けて、その姿を見る。
金銀まだら頭。ある依頼で共犯者だった――

「……あー、ええと…………探偵か。おっすおっす」

         ボ  ボッ

「えひ……燃えてるんじゃないよ……
 こういうもんなんだ、僕の『ブルー・サンシャイン』は。」

       「……あんまじろじろ見んなよな。」

     ォォォ 
          フシュン

ヴィジョンは掻き消える。
炎を指摘されて、何だか、気恥ずかしいような――  

      ・・・・まあ、ともかく。

「……探偵ってジョブは、あれか?
 『カウンセリング』もやんの……?」   

        「僕、今自分語んのめっちゃ捗るけど……」

陰気な笑みを浮かべる恋姫。
誰かに話を聞いてもらうと、楽になるか?

         ・・・・そもそもこれは悩みなのか?
           ・・・・それとも一過性の感情なのか?

593トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/28(水) 19:48:04
>>592
「やあ、どうも」「お久しぶりです」

奇妙なことだが、知らない仲でもない。

「その節はどうも」  『ソーイウモンナノカ?』

ごく自然に上から見下ろす形になるが、気にしたふうもなく。そして『LoG』は消えた『ブルー・S』のいたところをじっと眺める。特に意味はない。

「いや、業務には入りませんが」
「そもそも芝居がかった言い方をすれば、ぼくらはいわゆる『戦友』」
「その友人が、何か知らないが相談をしようというのに、金を取るなんて真似はとても致しかねますねえ」「んっふっふ」

「何か思うところが? あのあと、何かありましたか」

すっと『稗田』の隣りへ移動するトミー。
こういう感じの話は、顔を突き合わせるのが厭なタイプの人もいるからだ。希望があれば座るし向くが、とりあえず隣りに立ち、海を見ている。

594稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/28(水) 21:56:27
>>593

「どもども……そういうもんだよ。僕のはな……」

        ・・・・

     ・・・・

消えたヴィジョンは少しの熱も残さない。

「戦友って。えひ、漫画とかでしか聞いたことないぜ……」

      (……言ったことはあるけど。
       こいつそういうキャラだったのか……)

            ニマ

陰気な、笑みを浮かべる。

悪い気はしない。
事実、的外れでもない――

「まあ……ありがとな……」

隣にトミーが来たのを察する。
向き合って話したい、とは思わない。この位置がいい。

         ・・・・海は穏やかだ。

「……僕も、あんま整理できてなくて。
 チラ裏でやれって感じも、するんだけど……」

           「あー……」

自分の心のアウトプットは案外、難しい。
頭を小さく掻いて、体育座りの膝に顔を埋める。

「……妹が出来たと思ったら……朝起きたらいなくなってた。」

      「実際んとこは……
       そういう能力を食らったっぽい……」

シンプルな――スタンド攻撃を受けた、という話だ。

595トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/28(水) 23:13:52
>>594
「ほう?」

じっと黙って聞くが、『能力を食らった』という言葉に返す。

「人がいなくなるのは簡単です。自分の足で歩けばいい。そういった可能性や、あるいは妹さんが寄りそうな場所まで考慮に入れた上で」
「『スタンド使い』である君が『いなくなった』と言うならば、なるほど、深刻だ」

あるいは『スタンド使い』『だから』。そうなのか? という疑問は口には出さず、その単語を僅かに強調する口調で問う。

596稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/28(水) 23:38:14
>>595

「……僕、一人っこなんだ。妹なんかいるわけない……
 義理のもいないし……腹違いもいない……いるわけない。」

顔を上げないままに、恋姫は言葉を紡ぐ。
事実をかみしめる。妹などいない。

「……いるわけないんだ。
 現実はゲームじゃない……
 いきなり妹が出来るなんてありえない。」
          
       「でも……昨日は妹がいたんだ。
        家族になる『能力』ってやつで……
        僕の妹に成りすましたやつが……いた。」

――稗田鈴野。
存在するはずのない妹。

「……朝起きたらそいつがいなくて……
 妹なんかいないってこと、思い出して……」

       ギュ

        「……わかんないんだ。」

膝を強く抱える。
自分の心の炉に、何が燃えているのか、分からない。

            ザザ --ン ・・・・

海は答えてくれない。
探偵は、どうだろうか。

597トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/29(木) 00:05:11
>>596
「あ、成る程」

『妹』が『スタンド能力』によって『いなくなった』のではなく
『スタンド能力』によって『妹』に『なりすました』誰かがいる、という意味だった。

「いや、これは早とちりでしたね。んっふふふ」

「要するにそれほどまで深く『思い込む』ほどの能力」
「しかし能力は解除されたようだし、君も状況はきちんと把握しているようだ。問題は」

稗田には見えないが、首を傾げつつ。
阿南トミーは探偵であり、探偵は事実を事実としてのみ取り扱う。
阿南トミーは人間であり当然、人情を充分に理解するが、既に起こった事実、それが誰かの仕業であれば、思考するのはただ二つ。
『ゆるす』か『ゆるさない』か、だけだ。

「君がどうしたいか、では? まず敵――いやいや、その相手が何を目的にしていたのか。知っているならそれは達成されたのか。ならばそれを君はゆるすのか?」
「分からない時こそ、一旦整理してみることが肝心ですよ。ご存知の通り、この世には何が埋もれているのかわからない」
「君自身に何の覚えがなくとも、誰かが君を狙うのかもしれない。その敵――ではなく相手が初対面でも、相手からしたら違うかもしれない」
「考えて、行動することだ。悲嘆にくれるのはそれからでも遅くはない。それこそ還暦過ぎてからでも遅くはないどころか適齢期なんだから」

「『わけのわからんことで心を千々に乱れさせられる』なんていうのは、一刻も早く解決するべき重大な自由の侵害なんですから」

598稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/29(木) 01:22:25
>>597

「考えて、行動する……か……」

「そう……だよな。
 理由……それか、なんかのフラグがあるはずだ……
 それこそゲームじゃないんだし、超展開はない……常識的に考えて。」

       グイ

探偵の助言を受け、恋姫は少し顔を上げた。陰気な笑みが戻る。
正体不明の妹・鈴野にも、『バックボーン』はあるのだ。

                 ・・・・あるはず。

「目的……ぽいことは言ってなかった……
 攻撃とか……物盗むとかも、されてないし……」

        「あ……」
 
            「……距離、近かったなそういや。
            それなんて百合アニメってくらいベタベタしてきた……
            やっべ変態じゃん……こわちかだな、えひ。」

     「……」

恋姫に近づくことが目的。
……そう考えるのが自然か? 

        ――お姉様。

そう呼ばれた声。表情。そして、あの『告白』の意図――
心に空いた穴のような、気持ち。

       「……探偵、人探しは本業だよな……?」

『またね』――もう一度会えば、何か分かるのか?

599トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/29(木) 23:22:45
>>589
「ぼくは何でも本業ですよ」「んっふふふふふ」

稗田の思考に水はささない。
『人探し』という単語に返す。

「少々お時間はいただくかもしれませんが」

600稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/29(木) 23:56:11
>>599

「……えひひ。
 頼もしいよな、お前って……」

恋姫は顔を上げ、トミーの方を向く。
お姫様としてじゃあない、『稗田恋姫』として――

「……鈴野、って名前で……見た目は小学生くらい……
 ほんとの年は分からないけど……髪はちょい青っぽい。目は黒……」

       「……スタンドは、『フナムシ』。
        僕が会ったのは、ZUTAYA……」

鈴野について、知ってることは話す。
見つけだす、意味があるからだ。

自分はRPGの無能な王様じゃあない。
出来ることは、する。

「……全然、知らないんだ。あいつのこと。
 お金は……払うよ。……50ゴールドなんて言わない。」

        「……頼める、か?」

恋姫は真剣な面持ちで、言った。

601トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/30(金) 00:31:23
>>600
「名前まで分かっているとは、これはけっこう」

   チャッ

鈴野。
小学生のような見た目。
黒い目。青っぽい髪。
『フナムシ』の『スタンド』。

           Pi

聞きながら、フリック。メモは重要だ。記憶力とは曖昧だからだ。

「ZUTAYA。日常的に利用しているならば、レンタルと返却で二回。んっふっふっふ」

探しやすい。

「もちろん、引き受けましょう。探して見つけたらどうします? 『目的』まで吐―――調べるべきでしょうか」
「それとも、連絡をするべきでしょうか」「おっと、後払いで結構。当然お安くしときますとも」

602稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/30(金) 00:39:16
>>601

   チャッ

           Pi

「えひ……まじで探偵なのな。
 あの仕事んときは、探偵カッコ物理だと思ってた……」

        「……ありがとな。
         受けてくれて……」

陰気な、しかし満足げな笑み。
上手くいくかは、分からないけれど――

「見つけたら……連絡でよろ。
 電話番号は、教えとくから……」

      「……悪用は禁止だかんな。
        プライスレスなレア度だぜ、僕の番号……えひひ。」

スマートフォンを取り出して、電話番号を教える。
探偵に依頼する以上、まあ当然のことだが。

            ・・・・少しは、もやが晴れた。

603トミー『ラム・オブ・ゴッド』:2015/10/30(金) 01:07:44
>>602
「わかりました」「あ、これぼくの番号です」「知らない番号には出ないって依頼人もいらっしゃいますし、一応」

電話帳登録は番号のまま。顧客のは名無しだ。個人情報だし、この程度は充分記憶力の範囲内だ。

「お礼なんて水臭い。では、見つけたら連絡しますよ」「ちょっと声に張りも出てきたようだ」

  ニカッ

笑いかけ、踵を返す。鼻歌混じりに。呼び止められないなら、このまま砂浜を去るのだ。

604稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2015/10/30(金) 01:17:07
>>603

「……登録しとくわ。
 えひ、やったね恋姫電話帳が増えたよ……っと。」

           pi
pi

番号は登録した。

「じゃ……頼むな、探偵。
 緊急クエストってわけじゃないから……」

なるはや、ってところだ。
自分でも、探そう。他にもやることはあるけど。

        「……えひ。
         んじゃ、朗報待ってる。」

            「おつー……」

     ニマ

笑い返し、小さく手を振る。

605関東 也哉子/ヤーコ『一般人』:2015/12/03(木) 23:49:05

    ザザーン

          ザザーン

夕暮れ時の砂浜。
陽も傾き、夜も近いかという時間。

   「……そろそろかなぁ」

一人の少女が、潮風を受けながら佇んでいた。
白いつば広帽子、ベージュのコート、淡いブルーのロングスカート。
黒の長髪が風で乱れぬように手で押さえ、もう片方の手には安物のデジタルカメラ。
沈む夕日を眺めながら、そんな少女が佇んでいた。

         ブ ワ ッ

           「あっ!」

と、その時、ひときわ強い潮風に煽られ、帽子がするりと外れて飛んでいってしまった。

606関東 也哉子/ヤーコ『一般人』:2015/12/05(土) 02:26:35
>>605

   「ふぅ。潮風、強いなぁ」

ざくざくと砂浜を歩き、飛んでいった帽子を拾う。
砂を払って、被り直して。

    「……よし、ピッタリ」

振り返れば、陽が沈むところ。
この風景をしばらくデジカメで撮影して……陽が沈むころには、少女は去って行った。

607葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/07(月) 03:36:39

「…………」


    ザ

       ザーン ……


穂風は砂浜を歩く。
今日は仕事もなければ、書類も届かない日。

        (あ……綺麗な、貝。)

    ザ 

しゃがみこんで、貝殻を拾った。
こうして『ビーチ・コーミング』に興じるのは、楽しい。

「……」

      ニコ-

穂風はその貝を、日に翳してみる。
あまり、意味はないけれど。

              ・・・・ひさびさに、心休まる時間。

608葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/10(木) 04:41:10
>>607(続き)

    ザ
         ザーーーン


「わっ……」

          バチャ!

         「たっ!」

(つ……冷たい。
 冬の海って、こんなに……)

寄せる波が脚を濡らす。
冬の海は、冷たい。

          ザ
             ザーー ・・・

  「……えへ、へ……」

        パチャ

       「つめたっ」

                 ≪……お嬢様。
                  お風邪をお引きになられます。≫

    「……」
                    その傍らには、スタンドの像。
                    蝙蝠傘を人型にしたような、不気味な像。

穂風はそれを、不服そうな目で見る。
そんな様子が、今砂浜にはあった。

609春夏秋 冬樹『メメント・モリ』:2015/12/10(木) 23:29:44
>>608
「――――ちょいと、嬢ちゃん」

穂風の背中に、声がかけられる。
振り向いたなら、『灰色』のコートを着た、
初老の男が目に入るだろう。
男は、右の頬に、『ウサギの手』の『刺青』を入れている。

「こんな季節にどうしたんだい・・・?
冬の海なんて眺めても、寂しいばっかりじゃないかね」
「ま、余計なお世話かも知れないが」

『人型』をちらりと見やると、そう言って煙草を吹かす。
冬の寒天に、紫煙がゆらゆらと漂う。

610葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/10(木) 23:52:14
>>609

     ピク

   …クル

「あ、う……は、はい。
 あの、私……ですよね?」

       (な、何、だろう……?
        刺青……スタンド、使い――?)

穂風は振り返る。
片目に掛かった赤い髪、蝙蝠のような大きなリボンが揺れる。

             ≪…………≫ 

             傍らの像――傘の従者は男に視線を向ける。
             見えているのだろう。ゆえに品定めするように。

         パチ

穂風は問いに、目を瞬かせて。

「あの、お散歩……しに来て。」

        モゴ

「海……砂浜を歩くの、好きなんです。
 その、綺麗な貝殻とかが、落ちているので……」

           モゴ

ややもごもごした口調でそう答える。
そして、穂風は足元に寄せる波を見て。

       ザ ザ ――― ・・・

「……冬の海は、その。
 冷たいですね。それに……」

「……それに、確かにちょっとだけ、寂しい、かも。」

穂風はそういうと、沈黙する。
波の音。
くゆる煙。

   ・・・・

        ・・・・

今日の穂風には少し、この場所が広く感じていた。
そういう事を感じる『余裕』が、心にある穂風だった。

そしてふと、気になった。

    「あの。貴方は、どうして……?」

              ・・・・ここに来たのか?という意味。

611春夏秋 冬樹『メメント・モリ』:2015/12/11(金) 00:11:51
>>610
「キヒヒ・・・他に誰もいやァしないさ」

男は笑った。風に吹かれる枯れ草のように、乾いた笑いだ。
『従者』は男を見る。男の表情は柔和だが、
瞳は、眼前の海よりも冷たく、淀んでいる。

「『貝殻』ねえ。いいね、『ロマンチック』だ。
あっしにゃ、貝ってえと『酒の肴』としか思えないが」

そう言うと、また一服。
白い空に消える煙を、何ともなしに眺める。

「あっしかい? ちょいと、気分転換にね。
しんみりしたいとき、ってのもあるのさ」
「・・・特に歳食ってくるとねえ・・・こんな季節は、
人が良く死ぬ。知り合いだったり、そうでなかったり」

どこか遠くを眺めながら、男は言う。
頬の刺青に手を当て、何かを思い出している風だ。

612葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/11(金) 00:28:57
>>611

「あ……う、で、ですよね。」

       (何だろう……
        この人の、目。なんだか――)

他に誰もいない。
穂風はそれはそうだな、と思った。     ≪……≫

                 だからこそ従者は警戒していた。
                 柔和な表情。反して、沼のような目。

「ロマンチック、ですよね。
 いろんな色で、いろんな形で……
 あ、食べるのも、美味しいですけど……えへ。」

         ザ ザ ―― 

波が返していく。穂風にはロマンチストの気があった。
食べる分にはホタテ貝とか好きだ。最近は食べてない。

       ゴソ

「これとか、その……さっき拾って。
 きれいだなって、思うんです。えへ……」

         キラ

鈍く光る、小さな巻貝。
同時にこれは食べられないだろうなと穂風は思う。

   (食べる方に意識が……
     私、お腹すいてるのかな……)

         ・・・・ともかく。

「しんみり……」

「……あ、あの、ええと。
 私、もしかしてお邪魔……でしたか……?」

      (誰か、死んだ、のかな……
       聞けないよね……そんな、こと。)

          ゴソ

貝を懐にしまいつつ、穂風は言う。
……物憂げな男は、一人になりたいのでは?と思ったから。

613春夏秋 冬樹『メメント・モリ』:2015/12/11(金) 00:40:49
>>612
「そうだねえ・・・色んな形がある。人間みたいだと思わないかい?
世の中は人で溢れてるのに、おんなじヤツは二人といない」

男は、穂風の取り出した巻貝を見ながら、そう言った。
『従者』は、彼の手の動きに気付くかもしれない。
『鋭利』な巻貝を見て――恐らく反射的に――左手が、
ス、と動いた。『防御』の構えだ。もし『突き出された』ときのことを、
考えているかのように。

「ああ、いやいや・・・邪魔なんかじゃないよ。
お邪魔したのは、あっしの方だしねえ」
「むしろ、そうさね――あんたがいてくれて良かったのかもしれない。
何となく、物寂しくってねえ」

頬の刺青をさすりながら、男は笑う。
一瞬だけ、寂しげな光が淀んだ瞳に宿り――すぐに掻き消える。

「・・・『縁』のあったヤツが、あっしの知らんところで死んじまってね」
「もう何年になるか・・・未だに、信じられんよ」
「――いや、済まない。嬢ちゃんに聞かせるような話じゃ、ないね」

614葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/11(金) 01:07:18
>>613

             ≪……?≫

             従者は怪訝そうに首を傾げる。
             動作の意図は、読み切れなかった。

「そう……かも、です。えへ……ロマンチック、ですね。」

(皆、いろいろ……違う、もんね。)

穂風はそう思った。
もっとも、深い理解とか、思想の域には達さないが――

「……そう、ですか。あの、邪魔とかじゃ、ないです
 それで……あの、ええと、じゃあ……私、ここにいますね。」

          (……この人の、目。)

         ザザ -ン

波打ち際から少し離れる。
穂風は妙な義のようなものを、持ち合わせていた。

         ・・・・そして。

「……うぇ……あの。ええと。
 すみません、なんて言ったら、いいのか……」

    モゴ モゴ

        「……すみません。」

――『死』。

穂風はまだ、それを知らない。
言葉ではなく、死というものは籠の中に無かったから。

        (死んじゃうのって、寂しいん……だ。)

615春夏秋 冬樹『メメント・モリ』:2015/12/11(金) 01:31:10
>>614
「いや・・・済まないねえ、なんか。ま、『過ぎたこと』さ」

口ごもる穂風の様子を見て、男は気まずげに頭を掻いた。
気を使わせた、と感じたのだろう。

「・・・そういや、嬢ちゃんは散歩しに来たって言ってたねえ。
しかし、市街地からもちょいと遠いし、何もなしに
ひょいと来れるような場所でもなし」

寂しさを振り切るように、男は話題を変える。

「何かきっかけがあったんじゃないかい?
ま、勝手な『憶測』だけどねえ」

616葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/11(金) 05:45:30
>>615

「あ…………」

     「は……はい。」

   シューン

穂風は、やや縮こまる。  
      
       ザ
          ザ  ァァーーーー
                      ン ・・・

(気まずい、な……
 でも……しょうがない、よね。)

別にお互い悪くはない。
が、気まずい感じになってしまった、そこに。

「……あっ、は、はい。お散歩……です。
 あの、今日は、お日様、気持ちいい日ですし……」

話題変わって、安堵する穂風。
言いながら、少し首を上げて、上を見る。晴天。

「それに、その。
  す、すごくっ……すごく『いいこと』が、あって。」

           ンフー

少し鼻息荒く、穂風は続ける。

「胸が、どきどきしてるんです。
 だから……いてもたっても、いられなくてっ!
 跳び回りたく、なるくらいで……だから、ここまでっ」

       グイッ

身を乗り出す穂風。

「……あっ。」  シュン        

すぐにはっとして、また少し小さくなる。

   「えへ……あの。それで、です。
     ほんのちょっと遠出、しようと思って……」

             ニコ                  

穂風のその表情には、喜色が混じっていた。
それは今の喜びだけではなくて、未来に向かうものだった。
 
                  ザ  ザーー ン

617春夏秋 冬樹『メメント・モリ』:2015/12/11(金) 10:13:14
>>616
「ほお、『いいこと』か。何だか分かんないけど、
そりゃあ良かったよ・・・本当にね」

明日の方向を見る穂風を見て、男は目を細めた。
黄昏時を生きる彼には、少しばかり眩しかったからだ。

「そうだねェ、良いことは、目一杯楽しむのが一番いい。
なにせ人生いつ終わるか分かんないからねえ」

うん、うんと何度も頷く。

「いや、ちょいと羨ましいよ。若いってなァ、良いもんだ」

618葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/12(土) 00:15:36
>>617

「はいっ、本当に…………」

穂風は。吸血鬼の籠で育てられた少女は、太陽のような笑みを浮かべる。

「色んな人の、おかげで。
 だから……私、最後まで、せいっぱい楽しみます。」

      「いろんなこと」

           「……めいっぱいっ!」

穂風はそう言って。
また、はしゃぐ自分を自覚し、縮こまる。

         ・・・・そして。

「あの、私。向こうの方、見てきます。
 綺麗な貝殻……もっと見つけたくて。」

「……その、貴方も。
 いっしょに、来ませんか……?」

何となく、そんな提案が口をついて出た。

            《……お嬢様。》

「…………」

穂風の中の『義』のような感情かも、しれなかった。

         ザザーーー   ン

どちらにせよ、穂風はその場に去り、波の去る音が残る。

         ――この話は、ここまで、だ。

619春夏秋 冬樹『メメント・モリ』:2015/12/12(土) 01:07:25
>>618
「最後まで・・・・・・ねえ」

明るく、どこか儚い少女のその様子に、
男は何とも言えない笑みを浮かべた。

「・・・いいや、あっしはもう少し、ここで風に当たってくよ。
せっかくのお誘いで、申し訳ないけどねえ。
ありがとうよ、嬢ちゃん」

穂風の誘いに、丁重に断りを入れる。
彼女にも、思うところがあるのだろう。
ただ、今はこれ以上、この眩しさの側にはいられない。
男は、そう感じていた。

「・・・・・・・・・・・・真っ直ぐな感情」
「真っ直ぐな言葉――――」

煙をふかす。

「はは・・・あっしは、奪う側の人間だ」
「だけどまあ、人様の幸せくらいは、祈っておくよ」
「『お仕事』が入らない限りはねえ」

自嘲気味にそう言うと、男は静かに歩み去る。
そうして、誰もいない砂浜が残された。

620小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2015/12/26(土) 00:34:53
冷たい風が吹く年の瀬。
一人の女性が海の側で立つ。

「……。」

潮風に黒髪が揺れる。
寒そうな様子は無い。

「はぁ……」

物憂げに足元に目をやる。
そこには焚き火。赤く火が燃える。
そして、側には紙袋。

「つまらないわ。」

紙袋から紙束を取り出して焚き火に放り込んでいる。

621小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2015/12/29(火) 00:07:39
>>620

「もう今年に思い残すことは無いわ。」

紙袋すら小鍛治は燃やしてしまった。
もはや燃えカスのみとなった部分に砂をかける。

「火はいいわ。何もかもを消し去ってくれる。」

622<ガオンッ>:<ガオンッ>
<ガオンッ>

623<ガオンッ>:<ガオンッ>
<ガオンッ>

624葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/31(木) 00:14:07

ロードバイクを停める穂風。
スクールバッグを肩に掛け、海の向こうの風景をながめる。

      ヒュ
 
           ォォォ

    ジャリ

小さなポケットの中の赤い貝を、指で弄ぶ。

(もうすぐ、『新年』……かあ。)

外に出て。
今年一年、いろいろあって。

         ザ  ザァーン

       (……初日の出、見てみたいな。)

               ・・・・『太陽』を、拝みたいと思った。

625イザベル『アーキペラゴ』:2015/12/31(木) 00:19:05
>>624

       ザッ


    「…………………………あー」


  「『次会う時は学校で!』……っつっちまったんだけどなァ」


……その後ろから、声をかける。
苦笑しながら。どこか恥ずかしげに頭を掻きながら。

     「よっ」

   「元気そうじゃねェか、ホフリ」

626葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/31(木) 00:32:59
>>625

   ピク

       「……」

          クル

振り返って――

「――あっ!」

    ニコ
    
        「……え、えへ。
         イザベル、さん。こんばんは。」

『アミーガ』の姿を認めて。
太陽とは言わなくても、明るい笑みを浮かべて。

「はい、元気です。
 イザベルさんも、元気そう、で……良かったです。」

そう、返す。
そして。

             ブン
                   ブン

「……えへ……
 イザベルさん、これ。」
  
         「私の、です。」

スクールバッグをぶんぶんと揺らして、ややひそめた声で。

627イザベル『アーキペラゴ』:2015/12/31(木) 00:57:06
>>626

     「おう、こんばんは」

ニカっと笑って返す。
少し気恥ずかしさはあるが、まぁ『ガラじゃない』。
目の前の少女の笑顔を思えば、馬鹿馬鹿しくてちっぽけな悩みだ。

    「まァアタシは元気さ。
     最近は流石に冷えるけどな。それでも―――――っと」

そして、目に入るスクールバッグ。
誇らしげな、真新しいそれ。
それを見ているとこちらまで嬉しくなってきてしまって、頬が吊り上がる。

      「『新学期から』、か?」

   「へへッ、よく似合ってるじゃねェか!
    いよいよお前も『学生さん』ってわけだな!」

両手を広げて、喜びを表現するジェスチャー。
そのまま抱きしめてしまいたいぐらいだが、背丈が少しばかり足りないのがネックだ。
今日ばかりは恨むぜ自分の低身長。

        「ッたく、アタシがまごついてる間にさっさと進んじまってよッ!
         ホントに良かったなァホフリよォッ!」

喜色満面に悪態をつきながら、良かったなぁと高らかに。

628葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/31(木) 01:08:51
>>627

「はいっ! 新学期から、『女子高生』……ですっ!」

                クルッ

          パシ

鞄を回して、それを手で止めて。


   「――嬉しくって!
      とっても、嬉しくって。」

        クイ

少しだけ、身をかがめて。
イザベルと視線を合わせて。

 「本当に、良かった……です。」

    「イザベル、さん。
     ありがとう……ございます。」

                 ペコー

頭を大きく、下げてみせる。

                ・・・・そして。

「イザベル、さん。私、今からっ。初日の出……見ようと、思うんです。」
 
            「あの。一緒に……
             待ちません、か? 初日の出!」

そう、切り出した。
まだ、日も変わっちゃあいない頃。

      じぃぃ ・・・

          ・・・・穂風はイザベルに、目を合わせる。

629イザベル『アーキペラゴ』:2015/12/31(木) 01:26:55
>>628

      「な、なんだよ」

一歩、後ずさる。
口元や、指先がわなわなと振るえた。

   「アタシは、なんもしてねェんだぜ。
    お前に礼なんか言われることは、なんもしてねェし」

二歩、後ずさる。
ゴクリと唾を飲みこむ音が、自分の中でいやに響いた。

          「それが」

     「おまえ」

            「おまえ――――」

そして、最後に目を下に逸らす。
振るえる身体を抑えるように、ぎゅっと拳を握りしめて。

――――だって、だって、だってッ!

             バッ

       「――――――あったりまえだろうがこのヤロウッ!」


こんなにもこみ上げてくる喜びを、我慢できるわけがないんだからッ!
下からこみ上げてくるような喜びに身を任せ、顔を上げて歓喜に震えながら、下がった一歩と二歩を取り返すように踏み込んで!
遠慮も何もなしに、両手を広げて穂風に飛びつく。思いっきり、抱きしめるために。
大丈夫。軽いから大事には至らないだろう。今日ばかりは感謝するぜ自分の低身長。

    「あーッ!」「もうッ!」

        「初日の出だってなんだって見るぞッ!
         途中で眠いなんて言いやがったら叩き起こしてやるからなこんちくしょうめッ!」

630葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/31(木) 01:39:14
>>629

             バッ

「わっ……」

      ム  ギュ

        「と」

           「と……」

           
          アミーガ
飛び込んできた『ダチ』を、受け止める。

        スト

そのまま、尻もちをつく。

       ギュ

そして、控えめに、抱き返して。

    「え、えへ……
      イザベルさん、私、嬉しい。」

          「一人で見るよりっ。
            いっしょの方が、きっと……」

一人で見る初日の出より、先に。
二人で見る初日の出が、穂風の初めての、初日の出。

「は、はいっ。絶対、起こしてくださいね!
 私、今日はちゃんと、お昼寝してきた、けどっ……」

          「もし寝ちゃったら、きっと、ですからね!」

笑顔で、そういって。
キューケツキなんかじゃないって、全身で表現するように。

     「……」

       「……あっ、ご、ごめんなさい。
         えへ、抱きしめたまま、でした。」

                  パッ

631イザベル『アーキペラゴ』:2015/12/31(木) 02:02:15
>>630

     「バッキャロー! アタシだって嬉しいに決まってんだろッ!」

   「いーやっ! むしろアタシの方が倍は嬉しいねッ!」

         ぎゅぅぅぅぅぅ……!

喜びに比例するように、思いっきり、力いっぱい抱きしめる。
ああ、ぶ厚い上着が邪魔くさいぐらいだ。今日が冬で無かったのなら!
                      アミーガ
そんなことを思いながら、かわいい『友人』を抱きしめる。
かわいいかわいい、アタシの妹分。

          愛おしいアタシの友達よ
          「『El amor, los amigas』ッ!」

               ポンポン

                   スッ

      「こっちこそ、っつーかアタシの方がわりィな! 痛かったか?」

名残惜しそうに、背中を軽く二度叩いてから抱擁を解く。
そして少しも悪びれずに満面の笑みを浮かべながら、手を差し伸べた。
転ばせてしまったし、強く抱きしめた。痛がってたら申し訳なくも思うが、それ以上に、今とても嬉しいのだ。

         「なァ、日の出がみてェのなら、良い場所知ってんだ。案内してやるよ」

だから、ちょっと悪戯っぽく笑いながら、イザベルはそう提案するのだ。

632葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/31(木) 02:28:32
>>631

               ポンポン

「えへ……」

       (なんて言ってるのかは、分からない。
         けど、きっと、嬉しい事なんだって、わかる。)

             (だって、こんなに。
               ……イザベル、さん。)

保護者でも、先生でもない。
穂風の、大切な、ともだちだから。

     ・・・・

       ・・・・


「い、いえ、痛くなかったです。
 それより、私、ほんとにっ、嬉しくて……」

     「あ……よいしょっ――」

          スック

           「っと……え。
             いい場所……ですか?」

手を引かれて、立ち上がって。
イザベルの提案に、笑顔で。

「じゃ……じゃあ、そのっ、お願いします。」
          
         コク   コク

   二回ほどうなずいて――着いて行ってみることに、した。

633イザベル『アーキペラゴ』:2015/12/31(木) 02:47:50
>>632

    「任せとけよ。海辺はアタシの庭みたいなもんだ」

ニカっと笑って、先を歩く。
数年の付き合いだが、海は毎日のように来ている。
日の出も、何度か見に来ている。そもそも、今日だって日の出を見に来たのだ。
だからそーいう知識なら備えてあって、それがなんとも誇らしい。

      ザッ
           ザッ

     「そーいえばよォー」

首を後ろに向けて、歩きながら問いかける。

          ザッ
               ザッ

       「お前さんの『後継人』だっけか。
        それってどんな奴なんだ?」

                 ザッ
                       ザッ

    「人一人の面倒見ようってんだから、大した奴なんだろーけどよ」

気になっていた、穂風の保護者のこと。
男なのか、女なのか、年老いているのか、若いのか。
そういえば、そのことについて何も聞かなかったな、と思っていたのだ。

         「そいつとはうまくやれてんのか?」

634葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/31(木) 03:02:11
>>633
 
       ガチャ

停めていたロードバイクを動かす。
一年の最後の夜、すっかり真っ暗な海を背景にして。

「はいっ。」

      (……かっこいい、なあ。)

    ト ト
            コロコロ
      ト ト

イザベルに、着いて行く。

          「……はい?」

    「あっ、ブリスさん、ですか。
      ブリスさんは、学校の先生、で。」

  ト
    ト  


「お料理が、とっても上手で。
 このスクールバッグも、プレゼントして、くれて。」

視線が少しだけ、下を向いて。
すぐにまた、上へ。

        「いつか、絶対。
          恩返し、しなきゃ、って……!」


      「……そう、思うんです。」


  トト    トト  

あまり深い情報は、穂風の口からは出なかった。
けれど、穂風は、一度決めたことは、破りたくない。恩返し、必ず――だ。

「……だから。上手く、やれてます。
 ……あ、イザベルさん。先生で、思い出したんです、けど。」

        「カガっていう先生に、私のこと、その、言ってくれたんですよね。」

次に口に出たのは、教師の名前。
実際には教師ではなく、スクールカウンセラーだけれど。

635イザベル『アーキペラゴ』:2015/12/31(木) 03:17:51
>>634

      ザッ
           ザッ

    「ほー、ブリス。
     ブリスなァ……聞いたことがあるよーな、無いよーな」

イザベルは大学部の生徒だ。
自然と知っているのは大学部の教授になるし、恐らくは知らないだろう。

      「ま、そーだな。受けた義理は返さねェと」

         ザッ
             ザッ

    「手ェ貸せることあったら、言えよ?
     そりゃお前が自分でどーにかしなきゃいけねェことだけどさ。
     人付き合いの人脈ってのも本人の力のうちだからよ。手伝いぐらいはさせろよな」

笑いながら、手をひらひら振って。
ぐだぐだ言ってるが、結局のところは。
この少女の力になってやりたいと、そう思っているだけの話。

           ザッ
               ザッ
 
        「あン?」

     「あー、あー、加賀な、加賀」

         「確かに話したな。あいつ、お前の噂聞いて気になってたみてェだったからよ。
          まァ名前と、転入したがってて目途が立ったらしいって話しただけだ。
          だから別に大したことじゃねェんだよ、ホントに」

逆を言えば、イザベルがやったことと言えば、やれたことと言えばその程度。
大見栄切っておいて、恥ずかしいぐらいだ。本当に、大したことはやってない。

      「ん、つーかアイツと話したのか?
       あいつ別に常勤講師ってわけじゃねェのに。つーか厳密には教師でもねェはずだが」

636葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/31(木) 03:46:21
>>635

「あ……ええと。
 ほんとの名前は、ブリジットさん、って。」

           「あの。小学校の、先生なんです。」

  トト ト     コロコロ

ブリジット。
女性的な名前だ――西洋圏の。

「ありがとう……ございます。
 もし、何かあったら、イザベルさんにきっと、相談します。」

      コク

穂風は、イザベルのことを信頼している。

      トトト    コロコロ

「あの。電話した時に、加賀、先生が出てくれて。
 ……それで、です。あの人にも、今度、お礼しなくちゃ。」

            「しなくていい、って。
             言われたんです、けど。」

それでも、お礼を言いたい気持ちはあるから、言うのだ。
穂風は歩いていく。

「……イザベル、さんは。
 あの、初日の出って、見たこと、あるんですか?」

        「すごく、おめでたい、って……聞きました、けど。」       

まだ、空の色は黒だった。
時間はまだまだある――穂風は、イザベルと話したい。

637イザベル『アーキペラゴ』:2015/12/31(木) 04:16:50
>>636

   「あー、小学校か。ならアタシはわかんねェなァ」

     「ま、そのうち顔拝んどくかね。
      お前の後見人なんだし、いっぺんどんな奴なのか話してみてェ」

        ザッ
             ザッ

    「ふゥん、あのセンセがなァー」

            ザッ
                 ザッ

      「ケケケ、大分ねじ曲がった性根してそーなセンセだからな。
       悪い奴じゃなさそーだけどよ。まァ存分にお礼してやれ。嫌がるぐらいに」

そう言って、意地悪く笑う。
多分あの飄々としたスクールカウンセラーは、真っ直ぐな奴と相性が悪いタイプだから。
この少女と話をすれば、なにかしら愉快なことになりそうだ、なんて思いつつ。

       「おー、もちろんあるぜ」「二ホンに来てからだけどな」

初日の出。
海外ではあまり馴染みの無い文化だが、日本ではむしろ当然のように信仰されているもの。
日本に来たばかりのころ、人に連れられて眠気眼で見に行ったものだ。

         「まァあれだ。二ホン人は『初物』ってのが好きみたいだからよ。
          『初日の出』ってのもその一環なんだろーさ」

     「『一番最初の日の出を見て、今年も一年頑張るぞ』ってなもんなんじゃねェかな」

           ザッ
                   ザッ

            「あと、単純にキレーだし」 

           ―――――ザッ

……足を止める。

          「おう、ついたぜ。ここだ」

着いたのは、海に対して突き出した、岬未満のコンクリート。
少し奥まった場所にあり、周囲に岩も多いため、昼間であっても人は少なさそうな場所。
イザベルにとっての、『とっておき』だ。

     「こっからならどこ向いても海だからよ。日の出もいいのが見れると思うぜ?」

        「日の出までまだ時間はあるけどな」

638葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/31(木) 04:49:28
>>637

「私、も……ブリスさんに。
 お友達……イザベルさんのこと、紹介したい、です。」

       ト  ト

「加賀、先生は……
 不思議な人、だった……気がします。」

      コクリ

         「お礼、した方が良いですよね、やっぱり。」

穂風は頷いて、笑みを浮かべる。
べつに嫌がらせなんかじゃあ、ない。再確認した、だけ。

「がんばる……なるほど。
 私、来年もたくさん、あの、頑張りたいですし――」

     「それに、綺麗なのも……
       見てみたいから。楽しみです。」

            ニコー

        ・・・・

           ・・・・  

                 ザ    

足を、止める。ロードバイクの車輪が止まる。

「ここ、ですか――」

      キョロ   キョロ

「こんなところ……はじめて、来ました。
  ……ほんとだ、どっちを見ても、海しか……」 

           ガチャ

ロードバイクを停めて。

             ストン

「……お天気で、よかった。
 イザベルさん……もうすぐ、新年ですね。」

その場に、座り込む。
星が綺麗だ。けれど穂風は太陽を見たい。

                 ――空は晴れていた。

639イザベル『アーキペラゴ』:2015/12/31(木) 05:33:22
>>638

    「いいとこだろ?」

     「とっておきだ。人には内緒だぜ」

人差し指を口元に当てて、秘密のジェスチャー。
ほんとは人に話したって構わない。公共の場所だ。誰も知らない訳じゃない。
でも、二人にとっては秘密にしたい。
ここはイザベルにとって、そういう場所だから。

      「だな。新年早々曇り空、なんてことになんなくてよかった」

   「あとちょっとで2016年。……家族で迎えることもありゃ、一人で迎えることもあったが」
 
                         アミーガ
        「今年はお前と二人だな、『お友達』」

2015年の最後と、2016年の最初。
イザベルと穂風と、二人で終わって、二人で始まる。この二人の世界では。
空には雲一つない。雨なんか、降りそうにもない。

           「ああ、そうだ……」

      「ホフリ、寒くねェか? 一応ココアとか持って来てんだ、アタシ」

                         「ブランケットもあるぞ」

               ゴソゴソ

肩にかけていたショルダーバッグを漁れば、中から出てくるのは魔法瓶。
準備は色々としてあったのだ。もちろん、一人分の準備ではあるが。

640葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/31(木) 21:25:05
>>639

  「……はいっ!」

     「私達の、秘密に……!」

      
      ニコ

穂風は深く、笑みを深く浮かべた。

「私……よかった、です。
 だって。始めてみる初日の出、だから――」

           「……えへ。」

たった一日何かが違えば、今日はなかった。
星空も。寒い海風も。そして、隣にいる、得難い『友達』も――

「あ……ええと。
 寒い、です、けれど……お茶は、持って来たんです。」

      ゴソ

スクールバッグから、小さなボトル。
温かいお茶――もう、ずいぶんぬるくはなっていた。

「……あの。それに。
  イザベルさんだって、寒いんじゃ……」

       ビュ オオオ  

冷たい冬風。

       「・・・・」

           「あの、すみません……
             ブランケット、貸してもらっても……」

       モゴ

もごもごと、恐縮そうに穂風は言った。

641イザベル『アーキペラゴ』:2015/12/31(木) 22:09:08
>>640

    「おう。まァ正直アタシもけっこー寒い」「にへへ」

ダウンジャケットを着て、下にはタイツも着て、大分暖かくはしているが。
それでも、寒いものは寒い。
吐く息は白いし、鼻は赤いし。

        ヒョイ

            ファサッ

      「――だからま、ちと狭いのは我慢しろよな?」

だから、すぐ隣に座りこんで、肩を寄せて、ブランケットで二人を包む。
少し狭いが、でも、その分暖かい。

        「へへっ、こうすりゃひとつで足りっからよ」

          「ほらよ、ココアも飲め飲め。アタシ一人じゃ余っちまう」

                 コポポポポ……

魔法瓶のフタを取って、そこにココアを注ぐ。
湯気が立つぐらい暖かいそれを、隣の穂風に差し出して。

      「折角入学も決まって、新しい一年が始まるんだし。
       年が明けたら、どんなことがしてみたい?
       お前ならなんだってできるさ。言ってみろよ」

642葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/31(木) 23:08:36
>>641

        ヒョイ
            ファサッ

「わっ……」

「え、へへ。そう、ですね。」

            キュ

穂風はイザベルに身を寄せて、微笑む。
籠の中じゃなくても、安心できる止まり木は、きっとある。

         ス

「ありがとうございます――」

         コク   コク

温かいココアを、喉に通して。

            「ぷ、は……
             美味しいです。」

       ・・・・

     ・・・・

「来年、は……いくらでも、したいこと、あって。」

             ス

穂風は少しだけうつむく。
頭の中には、いくらでも、思いつくことがある。

「色んな、行事、とか。したことないから。
 あと、友達、もっといっぱい欲しいし……
 おしゃれも、ちゃんと、自分でいっぱい。
 部活、も、入ってみたいんです。学校で……
 将来のこと……『夢』も。見つけられたら、なあ……」

             「……他にも、いろいろ。
              いっぱい、いっぱい、いっっぱい!」

     バ!

穂風は、空を仰ぐ。
世界は広いから。一つに絞るなんて無理なんだって穂風は思った。

          楽しいことは。
           なんでも。なんでも。


「……あの、イザベルさんは。
  イザベルさんは、その。何がしてみたいですか?」

思いついたように、穂風はイザベルに問い返す。
その顔は、瞳は、きらきらと未来を見つめていた――

643イザベル『アーキペラゴ』:2015/12/31(木) 23:24:48
>>642

     「おう……おう、おう!」

    「そうだな。いくらでも、なんでも、いっぱいだな!」

彼女の物語は、まだまだ始まったばかりだから。
彼女にとっては全てが新鮮で、全てが未体験で、全てが『やってみたいこと』だから。

      「ん、アタシか?」

翻って、自分はどうだろうか。
イザベル・ドレーク・ノルダーノは……もう、『道筋』を決めた人間だ。
だから、まぁ、決まっていると言えば決まっている。

   「アタシは……たくさん本読んで、たくさん講義受けて」

       「たくさん海行って、めざせ『海洋学者』、ってなもんだけどよ」

遠くの星を見つめながら、つらつらと『今年と同じ来年』の姿を描く。
……そして。

     「さしあたって……そうさなァ」

視線を横に向ける。
そして、笑いかける。

         ニカッ

      「日の出見終わったら、どうだ。一緒に初詣行かねェか?」

   「いつもは行かねェんだが、たまにはなっ!」

644葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2015/12/31(木) 23:58:14
>>643

「はいっ……楽しそうな事、全部っ!」

       ニコ 

そして穂風はイザベルの答えを待つ。
夢を持つひとが、友達が、何をしたいと思うのか――

 「……海洋学者。」

         「やっぱり。
          えへ。夢、ですもんね……!」

夢。大きなもの。
穂風にはまだないもの。
それは凄く眩しい物に思える。

          ・・・・そして。


「……初詣っ!!」

    パァァ ・ ・ ・!

     「わっ、私も! 私も行きたいって――
       イザベルさんと行きたいって、思ってたんですっ!」

穂風は笑顔で、そう返した。

「きっと起きてますから!
 だからきっと、いえ、絶対、いっしょに……!」

          ――それは。

             ――今年最後の、穂風の、大きな笑顔!

645イザベル『アーキペラゴ』:2016/01/01(金) 01:17:04
>>644

     「おう、アタシの夢は、もう決まってっからな」

自分の道はもう決めたから。
後は、道を進むだけ。
途中で行き止まりもあるかもしれないが、それを最初から心配するなんて馬鹿馬鹿しい。

ともあれ。
『そんなこと』よりも――――今は!

      「……ホントか?」

自分と一緒に初詣に行きたいと言ってくれる、友達だ。

        「……うへへ」「んじゃ、約束だからな」

    「日の出見て、そっから初詣だ!」

             ニッ

幸せそうに笑いながら、穂風の顔を横から見上げる。
本当に――――本当に、素敵な一年だったと。素敵なことがあった一年だったと、そう思う。

そして――――――

           「……ん」「そろそろ、かな」

ポケットから出した携帯で時間を見る。
揺れる秒針。カウントダウン。

     「3」

        「2」

           「1―――――」


      「―――――ハッピーニューイヤー、ホフリ!」


――――そして、2015年は後ろに過ぎ去ってしまって。
そして、小躍りしながら2016年がやってきて。
今年最初の言葉と、笑顔を、隣の友達に贈る。

646葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2016/01/01(金) 01:34:16
>>645

 「さんっ」

    「にぃ――」

        「……いちっ!」

        
             「ハッピー……ニューイヤー! イザベルさんっ!!」

一年最初の笑顔も、イザベルに。
去年は一昨年よりずっと。今年は去年より、もっと!

    「……えへ、へ、へ。」

「これで、ええと2016年、なんですね。
 あとは……お日様が昇るの、待つ、だけ……」

              ト

肩をイザベルにぶつける。
穂風は、眠たげに目をこすって、空を見て――

             「……お日様、まだ、かな。
               えへへ、楽しみで、眠れないくらい。」

太陽はまだまだ上ってきそうにないけれど。
穂風は少しだけ、眠くなってきた。けれど、起きていたいから。

「……イザベルさん、初もうでって、あの、神社でするん、ですよね。」

他愛のない話を、イザベルに振る。

647イザベル『アーキペラゴ』:2016/01/01(金) 01:49:26
>>646

    「ああ、2016年だ! またこっから、365日が始まってくんだなァ!」

何が楽しいのか、何が嬉しいのか。
なんだかよくわからないけど楽しくて、なんだかよくわからないけど嬉しくて。
どうしようもなく、笑ってしまう。

     「日の出は……まだまだ先だなァ」

イザベルは、夜更かしに慣れているから平気だけど。
穂風はそうでもなさそうで、少し、いやかなり眠そうだ。
少しだけ心配になって、ブランケットを二人の身体に寄せながら。

    「おう、寺でもやってるらしいけど、黄金町なら神社だな。
     アタシも真面目に行った事はねーからよく知らねェんだけどよ」

   「カミサマにお願い事するんだとよ。今のうちに考えとくか?
    こればっかりは、なんでもかんでもってわけにはいかねェしな」

648葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2016/01/01(金) 02:03:40
>>647

「そう、ですね……
 365日、何回もお日様が、、出て、沈んで……」

         「まだまだ、ですか……
           ……え、えへ、眠くないですから。」

    ふ わ 

小さくあくびをして、慌てて穂風は笑う。
夜更かしは、嫌いじゃないけど、安心してしまったか。

               ・・・・そして。

「かみさま、に。」

「かみさま……は。
 お願いごと、ちゃんと叶えて、くれるかな……」

               キュ

少しだけ、不安になった。
サンタクロースは、あんまりわかってくれなかったから。

         「お願いごと……
          どう、しよう、ううん。」

    「……ちょっと、考えてみます。」

             ウーン

頭を悩ませていれば、眠くもならない、かも――

649イザベル『アーキペラゴ』:2016/01/01(金) 02:18:25
>>648

    「……眠いならちょっと寝ても平気だぞ?
     日の出前には起こしてやるし、最悪目覚まし時計も持って来てあっからよ」

準備は万全。
他にも灯りや本も持ってきていて、ほんとは一人で本を読んで日の出までの時間をつぶすつもりだったのだ。
だから、もしも寝てしまっても平気だ。
――――もちろん、穂風は起きていたいと思うだろうし、イザベルも起きていて欲しいと思うけど。

ともあれ。

      「どーだろなー」

        「まースパッと叶えてくれるもんじゃねェ気はすっけどなァ」

なんとなく、人から聞く限りでは。
みんな、初詣に何を願ったかと聞けば、『これを頑張りたい』だの、『この目標を達成したい』だの。
どちらかといえば、自分への抱負のような印象を受けた。

   「なにをしたいか――――なんだろな、多分」

          「この一年、なにがしたいのか」

     「そいつをカミサマに伝えて、頑張りますから見守っててくださいねって、そういうもんなんじゃねェかな」


             「……まっ、アタシは二ホン人じゃねェしよくわかんねェけどな!」

無責任に笑いながら、悩む穂風を見る。
何を願うにせよ、彼女はきっと大丈夫だろうから。
強く生きていけると思うから、そこは何も心配していないのだ。

650葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2016/01/01(金) 02:31:41
>>649

「ね、ねません……眠くないですから!」

     ブン   ブン

        「お日様が出るまで……
          ……おしゃべり、してましょう。」

小さく頭を振って、冷たい風を浴びる。
穂風は、今起きていることに意味があると思うから。

              ・・・・それに、横にイザベルがいるから。

「……あ、叶えるんじゃ、ないん、ですね。
 えへ、勘違い……してました。私も、よくわからなくて。」

           「……うーん。」

穂風は、少しだけ、考えて。
それから――

「……じゃあ、ええとっ。
 『今年も、一年間、楽しいことがたくさんありますように』……」

         「……『去年よりもっと』!
             こんな感じ、でしょうか。」

欲張りでも、かみさまはきっと怒らないだろう――穂風はそう、思った。

      「イザベルさんは!
        イザベルさんは何、お願いしますか?」

              「……えへ、私、聞き返してばっかり……」

イザベルには夢がある。
だから、お願い事がなんでも、真っ直ぐ進めるんだろう。

                  ・・・・まぶしい、なあ。

651イザベル『アーキペラゴ』:2016/01/01(金) 03:01:23
>>650

      「そうか?」

   「へへ、んじゃ寝るなよな」

上機嫌に、重ねて上機嫌。
だって嬉しい話じゃないか。
お互いに、もっとおしゃべりしていたいと思ってる。

    「今年一年」「去年よりもっと」

      「楽しい事がありますように、か」

それで、彼女の『願い事』。

     「――――欲張りだなァ、ホフリはよッ!」

それはとっても欲張りな願い事で、しかしだからこそ素晴らしい。

       「ああ、ああ、そンならカミサマもノリ気になってくれるさ!」

    「なァに、こういうのはちっとばっか欲張りなぐらいがちょうどいいわな!」

カラカラと笑いながら、その願いを肯定する。
その願い事は、きっと叶うはずだ。
そうじゃなかったら、カミサマを呪ってもいいぐらいだ。

         「で、アタシか!」

     「ま、こーいうのは順番だわな」

さてこちらはどうだろう。
初詣もあんまり行かない、と先ほど言ったが。
そのぐらいだから、お願い事もあんまり考えてはいない。

      「アタシは…………」

少しだけ、考える。
そして、すぐに妙案を思いついた、という顔をして。

   「――――じゃ、『ホフリがもっともっと楽しい一年を過ごせますように』、だなッ!」

うん、それが、一番心からお願いできる事。

    「アタシにはもう『守護天使』様がついてっから、今更カミサマに助けてもらうこともねェし」

         「アタシの分はお前にやるよ」

652葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2016/01/01(金) 03:20:50
>>651

「寝ませんってばっ!」

        「……えへへ。」

寝るなんて、帰ってからすればいい。
楽しい事は、出来るうちに、いっぱい。

「だってっ! 
 もっといっぱい、楽しい事、増えて欲しいですし……」

       「欲張りくらい、しなきゃ。
         ちゃんと、かみさまに分かるように言わなきゃ。」

     ニコ

穂風は笑みを浮かべて、そう返した。
言いすぎなくらい言った方が、そういうのはいいもんだ。

         ・・・・そして。

(イザベルさんのお願い事……
 なん、だろう……やっぱり、海のこと、とか――)

        「……」

           「……えっ。」

思いがけず上がった、自分の名前。
穂風は目を丸くして、イザベルの方に、視線を向けて。

「……あ、あぅ……」

「ず、ずるい。イザベルさん、ずるい……!」

           ニコ

穂風は嬉しい。
そして。いつか感じたような、居心地の悪さはない。

       「……え、えへへ。
         ずるい、です、よ……」

             ・・・・きっと一方的な気持ちじゃ、ないから。

    ・・・・
 
        ・・・・

時間は少しずつ、過ぎていく。
穂風はややまどろんだ様子で、イザベルにもたれかかる。

                   「……寝てません、からね……」

653イザベル『アーキペラゴ』:2016/01/01(金) 03:38:33
>>652

        ニィッ

底意地の悪い、『してやった』という笑み。

   「ケケケ、アタシはホフリより少しばかしお姉さんだからなァ!」

     「その分ちょっとだけズルいんだよ、ざまーみろっ!」

ブランケットの中で、お互いに口だけの悪態をついて笑い合う。
まるで、本当に二人きりの世界になったかのように錯覚してしまう。
自分がいて、相手がいて。
見上げれば夜空があって、見渡せば水平線があって。
座っていれば冷たい風が吹いてきて、体を寄せ合えば暖かい。
それだけの、小さくて幸せな世界。

……でも、その世界は。
その世界も本物だけど、もっと大きな世界があって。
殻が破れる時は、すぐに来る。

       「ったく、おまえも強情っぱりだなァ―――――っと」


    「おい、見ろホフリ。そろそろだぞ」


          ユサ
            ユサ

象徴するように、夜の帳が消えて行く。
じきに、夜明けがくるのだ。
日が昇る。その前に、隣で眠たげにしている少女を起こさなければ。
肩を揺さぶって、水平線を指さした。

654葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2016/01/01(金) 03:55:00
>>653

「そんなの……そんなの、イザベルさんってば……」

          モゴ

              モゴ

ブランケットの中で、悪態に、もごもごと返していたが――

「ん……そろそろ、ですか……」

      グイ


身を起こす。
目は、すぐに見開かれた――水平線。

         「わ、あ……」

                「夜、が。」

明けていく――

穂風には、自分の目から流れる涙の理由が分からない。
水平線からその端を覗かせる太陽は、穂風の何かを溶かしたのかもしれない。

「……イザベルさん。
 すごいですね、初日の出。」

             言葉は少なかった。
              それ以上の物はなかった。

     ・・・・

         ・・・・

太陽が昇ってくる。
穂風は、その様子をじっと見ていた。

655イザベル『アーキペラゴ』:2016/01/01(金) 04:05:27
>>654

   「―――――ああ、綺麗だなァ」

陽が、昇る。
水平線の向こうから、ひょっこりと顔を出して。
暗闇に包まれた世界を塗り替えるように、白と青で世界を染めて行く。
こうして――――新しい一年が始まるのだ。
大仰な言い方をすれば、新しい世界が。
冷え切った大気も、少しずつ暖められていくのだろう。それが、陽が昇るということだから。

      「…………………………」

釣られてか、気を遣ってか、それともイザベルもなにか感じるものがあったのか。
黙りこくって、太陽がその姿を現すのをじっと見つめる。
水平線からやってきた太陽は、徐々に水平線から離れて行くのだ。
そうして輝きで海を照らしながら――――陽は、昇った。

        「……………………」

              ホゥ…

ひとつ、息を吐いてから。

         「………………行くか?」

首を向け、問いかける。

656葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2016/01/01(金) 04:22:37
>>655

明るくなり始めた空の下、穂風はイザベルに向き直る。

「……はい。
 …………はいっ、行きましょう。」

     グシ

目元を手で拭う。
そして、もそもそとブランケットから抜け出して。

         「ええと、神社、ですよね?
          今からで、もう、その、開いてるんですか?」

初詣は、はじめてのこと。
作法も何も分からないけど、面白そうだからやってみたい。

                   「えへ、初めてのこと、ばっかり……」

657イザベル『アーキペラゴ』:2016/01/01(金) 04:35:43
>>656

     「んー、多分開いてるんじゃねェかな」

  「こーいうのって日付変わってすぐでも色々やってるらしーし」

     「つーか基本的に開いてることにはいつでも開いてるはずだ」

出店とかがあるかどうかは、まぁともかくとして。
神社自体は24時間いつでもだれでもウェルカム……なはず。

         ゴソ
            ゴソ

そんなことを言いながら、ブランケットを畳み、魔法瓶も鞄にしまい込んで。

    「まっ、初めてなんて一回こっきりだからよ」

        「楽しんで行こうぜ、ホフリっ!」

笑いかけて、手を差し伸べる。
一緒に行こう。二人で、一緒にだ。
たくさんの人がいる、大きな世界へ。

658葉鳥 穂風『ヴァンパイア・エヴリウェア』:2016/01/01(金) 04:54:10
>>657

「そういうもの、なんですか。
  ……えへ、行ってみたら、分かりますよね。」

神社について、多くのことは知らない。
けれどきっと、楽しいはずだ。

だって。     

      「……はいっ、イザベルさん!
        私、いっぱい、楽しいこと――!」

   パシ


イザベルの手を取る。
だって、この人と一緒なら、きっと――

            「イザベルさんっ、行きましょう!」

                           →『初詣』へ。

659稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/12(火) 01:21:29

「…………」

     ザ ァーン

緩やかに波が打ち付ける。恋姫は座っている。

海岸。何となく、物思いに耽りたい時、ここに来る。
シチュエーション先行。漫画の読みすぎ、かもしれない。

   カサ

     「うおっ……」

       岩陰のフナムシに、目を留める。
       集団から、偶然はぐれたのか?

              (……探偵、上手い事やってるかな。)   

                     ・・・・思い返すのは、『妹』のこと。

660稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/01/14(木) 02:25:58
>>659(撤退)

「…………」

     スッ

空もそろそろ、暗い。
今日のところは家に変えることにしよう。

          ザッ

               ザッ

661朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/10(火) 22:58:20
砂浜をジーっと見つめながらため息を付いた。
「あつい……」
どこか不満気に朱鷺宮はつぶやく。

「春はあったかいが相場なのに…
 あついってのは……なぁー」
と言ってまたしてもため息を付いたのであった。

662山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/05/11(水) 02:04:24
>>661
「暑いなら脱ぐ、これ、人類の知恵」

スマホを片手に持った男が話しかけてきたぞ、よりにもよって俺だ。

「冗談だ、ジョークだよ、夏の暑さは人を開放的にするだろ? そんな感じだよ、春? ちいさな問題だ」

663朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/11(水) 15:24:05
>>662
「え、いや流石に脱ぐのは……」
と思って自分がブレザーを着てたのを思い出す。
「まぁ上だけならいいかもしれないですけど…」
と言いつつ、ブレザー部分をぱたぱたを動かして風を作る。

「そういえばもうすぐ夏なんですねー…
 その前にちょっとジメッとした季節が…って」
思わずみぞおちあたりを隠しながら振り返る。

「いきなりどちら様です?!」

664山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/05/12(木) 02:57:18
>>663
「俺は山手次郎、はい名刺」

朱鷺宮の手に名刺を握らせる、そこには『山手芸能プロダクション、代表・山手次郎』と書いてある。
メールアドレスや電話番号、LINEIDも書いてあるぞ。

「砂浜に女の子が一人で立っていたら声をかけるのが正常な男というもんだよ、そう思うだろ?
あっ、そのおなか隠すポーズカワイイね」

665朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/12(木) 19:09:56
>>664
「あ、これはどうも…
 芸能プロダクション…?」
頭を軽く下げながら名刺を受け取る…
が、そこに書かれていた【芸能プロダクション】の文字に目を見張る

「え、えーっと…そういうものなんですか?
 あんまり男性との関わりが深くないもんで…
 そこんとこはよくわからないんですが…」
と、一応表向きには平静を装っているようだが…


「えー…っと…そんな可愛く見えますかね…?」
お腹を隠すのは、初めて見る相手に対する
彼女の反射行動のようなものである…

そして…彼女は内心では
(…んー……芸能プロダクションの代表の人が急に話しかけてきて
 そして、ポーズ可愛いね…で…これって…)
だんだんと考えが固まっていく…

(まさか…スカウトぉ!?)
あっという間にそんな考えに至ってしまったのであった…

666<ガオンッ>:<ガオンッ>
<ガオンッ>

667山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/05/13(金) 01:32:12
>>665
「唐突ですまないが…君は今、夢中になれる何かを持っているかい?
勉強も、スポーツもそこそこできて不自由は無い、恋愛もピンとこない、
なんとなく過ごす毎日は楽しいけど、どこか満たされないものを感じる…違うかな?」

男はテンプレみたいな言葉を並べ始める。

「俺なら、君に新しい世界を見せてあげられる…どうかな、アイドルとか、興味ない?」

予想通り、スカウトだったようだ、男は真摯な表情で朱鷺宮を見つめる。

668朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/13(金) 16:16:36
>>667
「……本当に唐突ですねー…」
彼が問いかける言葉に何か妙な感覚を覚えながらも、ひとまず話を聞いていく。

(夢中になれる何かかぁ…
 今夢中なことといえば…
 次にどこから鳩尾に向けて何かが飛んで来るかってことなんだけど…)
考えているうちにふぅ、と溜息がこぼれる。

「アイドル?……まぁ、興味あるかといえばありますけどねー…
 私は、良くアイドル系の曲をダウンロードして聴いてたりしますけど…
 ん…えっと…むぅ…」
少し落ち着きなく彼の言葉に応える。
多少の予想はしていたとはいえ、突然こう言われると流石に少々動揺する。

(ミスコンとかに出場したことはあるけど…
 本当のアイドルとなると、緊張…するな)

669山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/05/15(日) 04:23:19
>>668
「多くの女の子は、自分の持つ可能性を知らない、もしくは、信じていない。
どうせ私には、そんなことできっこない、私に興味を持つ人なんて、いるわけがない、そう思っている。
それは大きな間違いだ、自分の可能性を信じ、未来へ手を伸ばす少女を、魅力的だと思わない人間なんて、いるわけがない」

大げさな身振り手振りで、朱鷺宮を説得する。

「だが、君の不安はもちろんよくわかる、ひょっとしたら、自分の生活がまるっきり変わってしまうかもしれないのだからね、わかるよ。
そこでだ、そこのホテルに部屋を取ってあるんだ、そこで軽くオーディションをしないか? 
君が、君自身の可能性を見つけるためにも、これは必要なステップだと思う、オーディションを受けて、それでダメだと思うなら、そこで帰っても構わない。
でも、可能性を試さずに、否定だけするのが正しいとは、俺は思えないな、どうかな?」

670朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/15(日) 18:50:26
>>669
「んー……はぁ……それは確かに…
 あなたの言葉はたしかに素晴らしいです…」
説得の言葉は、うっかりすればのめり込みそうになるほどうまい…

「ホテル……ですか?
 いやー…何だか…」
ホテルという言葉を聞いて、彼女はとたんに嫌な予感のようなものを感じる。

「…オーディションは確かにするべきだと思うんですけど…
 このご時世ですからねー…
 男性の方と女性の私がホテルに入るってのも…
 すごくアレな空気だと思いませんか…?」
あからさまに嫌な予感を感じさせる話に思える。
ちょっとだけ不安そうな顔をして、彼の言葉を聞く。

671山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/05/17(火) 09:37:50
>>670
「心配しなくてもいい、女性のプロデュースはあらゆる面で繊細な仕事だ。
男性では絶対にケアできない問題もある、ちゃんと女性のスタッフもいる、先に部屋で待機してもらっているんだ。
ただ直接のスカウトは俺がやりたくてね、その方がフェアだと思ったし、俺の目に狂いがなかったことを今実感できている」

男は朱鷺宮の目を見つめながら、穏やかに力強く話しかける。

「アイドルとは、『踏み出した者』のことだ、誰もがただの女の子だった。
君もテレビを見て、一度や二度思ったことがあるはずだ『これなら私の方がかわいい』とね、でも、アイドルの真価はそこではない。
日常に決別し、荒野に踏み出す『勇気』 そこに我々は心打たれ、称賛するんだ。
アイドル賛歌は勇気の賛歌!アイドルの素晴らしさは勇気の素晴らしさ! いくら可愛くとも君らは勇気を知らない。
君に本当の勇気を知って欲しいのさ、このチャンスを生かしてね」

これは詐欺か? 真実か? 饒舌な言葉が朱鷺宮の心に滑り込んでいく…。

672朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/17(火) 19:23:58
>>671
「う、むぅ……」
彼の発する言葉は実にうまい。
饒舌な言い回しはまさに手馴れていると言ってもいいだろう。

「本当の勇気ですか…
 たしかにあなたの言うとおりですねー…」
と、首を傾げている。


         シュゥン!!!

…その素晴らしい言葉の数々で
心を揺らされてしまったせいでなのか

                           ボゴァッ!!

「おぐふっ!!」
突如、道の方から飛んできたボールが、彼女の鳩尾に勢い良く突き刺さる!!

「あだっ…
 ごんな……どぎ……にィ……」
うー…とうめき声を上げながらうずくまる。

「うー……は、えっと……」
冷や汗をダラダラ流しながら、改めて彼の顔を見つめる。

673山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/05/19(木) 10:51:30
>>673
「…………イイ」

「イイぞ、きみ、美しい…百万倍も美しい…」

ズギュン!

山手の顔面に、奇妙なデザインの『潜望鏡』が発現する…『スタンド』だッ!

「創作意欲が刺激されてきたァ〜ッ!」

ガチャン! ガチャン! ガチャン!

猛烈な勢いで『潜望鏡』から『DVD』が生成されていく! それが能力! これが『パンツレス・ギャング』!

「うっ…ふぅ…ありがとう、きみのおかげでスバラらしい作品ができたよ、この出会いを神に感謝したい」

出すもの出してスッキリした山手はさわやかに朱鷺宮に手を差し伸べる。

674朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/19(木) 19:17:00
>>673
「……うぇ?」
まだ痛い痛いと唸っている涙音は、目の前で
スタンドが展開されている状況をすぐさま読み取ることができていない。

「えーっと…
 なんですかそれ…?」
と、何気なく『潜望鏡』をじっと見ながら、
とりあえず差し伸べられた手を掴んで、ゆっくり起き上がる。

「そんなに喜ばれても…
 私…こう、結構不幸でして…」
困った顔をしながらお腹を撫で回した。自分の。

675山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/05/20(金) 02:36:18
>>674
「ニヒ♪ ニヒヒヒ やっぱりだ! やっぱり『スタンド使い』だな!
俺の目に狂いはない! 『スタンド使い』は最高に俺の創作意欲を刺激する!」

    ドズッ

朱鷺宮の腹部を殴る、スナップを効かせ、抉り込むように。

「ニヒヒィーッ! もっとだ! もっとくれ! 痛みに喘ぐ表情! 冷や汗! 手足の震え! 何もかも最高だよキミィ!
そうだ! 君をウチの専属女優として雇おう! 安心してくれ、キミの同僚となるヤツらもスタンド使いで…息をするように狂ってるヤツらばかりだ!
いいアイデアだ! そうしよう! それがいい!」

狂ったように、いや、狂った笑いを撒き散らしながら、嬉しそうに朱鷺宮の腹部を殴打し続ける。

676朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/20(金) 20:07:18
>>675
「何言って…」

 ドズッ
「ごふっ」

     ドゴッ
      「じょっ」

           ボゴッ
            「ま゛っ」
                  ボフッ
                      「っで……」
何度も何度もみぞおちにパンチが打ち込まれる。

「だ」

      「が」

             「ら゛」

痛くて痛くてたまらないのだが、
段々と自身の沸点も高まっていく

「待てって言ってんだろがこらぁ!!!」

ドォン!

とっさに涙音は、スタンドを発動させて
パンチを打ち込みに行く。
スピードは速いが、大怪我しない程度のパワーなのはちょっとした優しさである。

677山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/05/22(日) 02:57:43
>>676
「ホゲェーーッ!?」

バゴォン!

怒りの鉄拳はきれいに山手の頬に突き刺さり、弾き飛ばした。

「うぐおおおお…イテ…いてえええ…や…やばいぜ、夢中になって忘れていたが、こいつはスタンド使いなんだった…!
に…逃げなければ…俺の能力の『解除方法』を知られてしまう前に早く…うぐぐ」

『パンツレス・ギャング』の創作物は、本体の気絶により全て消去されてしまう。これは絶対に知られてはいけない弱点なのだ。

「お…お助けェーッ!!」

砂に足を取られながら、ヨロヨロと走り出す。

678朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/22(日) 11:16:48
>>677
「ちっくしょう…うぐぐ…
 今度は…あんたにも…
 鳩尾に喰らわせてやる…!」
かなりキレ気味な表情で、お腹を抑えている。
何度もやられたせいで流石に堪えているらしい。

「こ、こら…まてこらぁっ…!」
涙音もヨタヨタと後を追いかけていくが、
やっぱりダメージが大きいらしく、動きがのろのろしている

679山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/05/23(月) 23:58:55
>>678
「フ…ふふ…こっちにおいでぇ〜 あはは…ウフフ…」

初夏の砂浜で追いかけ合う男女、これはほぼ性行為とみて間違いないだろう。

朱鷺宮の拳は鼻骨を破壊しており、夥しい出血が呼吸を妨げている…。

「うふふ…あはは…ゲフッ ゴホッゴホッ」

鼻呼吸ができない状態で砂浜を走るとどうなるか、みなさんもぜひやってみるといい。

「ゼー…ゼー…あぐッ」

ズシャア…

ついには力尽き、砂浜倒れ伏す山手。

「うう…ダメだ…殺される…シア、助けてくれ…」

680朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/24(火) 00:04:53
>>679
「うぐぐ…
 はぁ……や、やっと追いついた……」
最終的に追いついたのは涙音であった。
鳩尾に喰らいなれていた涙音の勝利である!

「……やっばい…」
改めて近寄ってみて、
思いのほか強烈なものを打ち込んでしまったのだと驚いた。

「ふぅ…ふぅ…
 このままというのもあれですから…」
そう言って彼女は自分のスタンドをぐっと近づけてみせる。

「ええ…その………
 先ほど…『作品』とか言ってらしたみたいですが…
 その『作品』とやらを…綺麗サッパリにしてもらえないでしょうかね。」
そう言ってからふぅ、と溜息をつく。


「病院を呼びますから…
 その間にでも……」
そう言って軽く自分のスマホを見せる。
…相手の能力は分からないが…
涙音は、もしかしたら形あるものかもしれないと考えているようだ。

681山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/05/24(火) 10:01:15
>>680
「うぐぐ…ゲホッ 鼻血が…気道に…息が…ゴボッ…吸い出し…はや…」

喉に流れ込んだ血液は気道を塞ぎ、窒息させようとしている! 大変だ!
一刻も早く吸い出さないと山手が死んでしまう! この人殺しめ!
ここには道具も何もない、口で吸いださなければいけないのだ! 君の倫理観が今一人の人間を死に追いやっているんだぞ!

682朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/24(火) 14:26:36
>>681
「うぐぐぐ……し、仕方ありません…
 し、死なせるわけには行きませんし…」
何かの熱い声を聴いたような気がした涙音は、
顔をゆっくりと近づけさせて

「いいですかー…
 動かないでくださいよー」
そう、ゆっくりと唇と重ねたのであった

「さぁ、吸い出せ!『フォートレス・アンダー・シージ』!」


――――――ズゾゾゾゾゾォ____
                        Ζ______!!!!

……『スタンド』の口で。
別に嫌だったとかいうことでは恐らく決してないのだ。
スタンドのパワーで吸いだしたほうが効果があるだろうと踏んだからだ。

多分 きっと おそらく

683山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/05/24(火) 22:13:34
>>682
「プギィーーーーッ!?」

肺から酸素を根こそぎ吸い取られ、半狂乱になって手足を振り回す。

………
……


30秒ほどするとすっかり大人しくなった。
とても静かだ、脈一つない。

684朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/24(火) 22:23:14
>>683
「……うぐぐ……やりすぎた…
 えーっとこういう時には」
そうして今度は

彼に対してスタンドを使って心臓マッサージと人工呼吸を(スタンドで)行うことにした。

「マジでシャレにならないです…
 どうにかしてくださいよ!」
もちろん手加減した威力でやっているため
うまく行けば復活させられるはずである。

685山手次郎&『  』:2016/05/25(水) 00:44:46
>>684
「本当に殺す気なんですか…」

朱鷺宮は背後から声をかけられた。
振り返って見ると、白いワンピースを着た少女がいぶかしげな顔で一連の騒動を見ていた。
ほっそりとした手足は、未成熟な性を意識させる。体中至る所に痛々しい火傷の痕があるが、少女はその醜い傷痕を隠そうともしない。

「この度は山手がたいへんご迷惑をおかけしました。
この男は頭のおかしい変質者で、獲物を求めて日夜さまよっているのです」

少女はさも当然とでも言うように、山手の顔の上に跨ると、静かに腰を下ろした。
酸素マスクのように、少女の股間は山手の顔面にピッタリとフィットする。

スー…フォー…スー…フォー…

山手は息を吹き返したようだ…青白かった肌に、赤みが差していく。

「申し訳ありませんが、私たちはしばらくここから動くことができません、席を外してはいただけないでしょうか」

686朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/26(木) 00:58:53
>>685
「うぇっ?…あの、どなたで………」
といったところで少女の姿を見る。

「えー……っと…
 もしかして……全部見てました?」
どの辺りからだ?と思いながらも少女を視線で追って…

「!?」
とてつもなく変質じみた行動に思わず両目を抑えた。
スタンドを出しっぱなしなのでよく見えている。

「あ、あわわ…
 へ、へい…
 その…ぶ、無事なようで何よりです……」
涙音は仕方なく視線をそむける。
席を外すとは言うものの…
あの変た……もとい、次郎氏のことは若干気にかかるのだ。

687山手次郎&『  』:2016/05/26(木) 02:14:38
>>686
「私はシアといいます、はい、一部始終見ていました。
見ているだけのはずだったのですが、思いのほか重症だったので、こうして」

少女はそのままの姿勢で、腰を捻ったり、体重をかけたりしている。
そのまま5分ほど経つと、山手はムックリと起き上がった。

「ええと…ああ…その…」

山手は視線を泳がせ、現状を把握しようとしているようだった。
眉間に皺を寄せ、こめかみを押さえ、言葉を探している…。

「俺と一緒に、アイドルやろうぜ!」

押し切ることにした。

688朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/26(木) 18:20:42
>>687
「へ、へー…
 モロのやつを食らわせちゃったんですけど…
 その人大丈夫ですか…?その…頭とか」
いろいろな意味を含んだ心配を彼女へ問いかける。
そして、しばらくして

「おや……
 起きたんでしょうか……?」
…ようやく事を終えたようなので
振り向いて様子を確認する。

「えーっと、何ですか?」
と、しばらく相手の様子を見ていた。

アイドルやろうぜ!

と聴いて…

「前言撤回です。
 もう2,3発必要かもしれないですね♪」
にこやかな顔でスタンドを見せびらかしている。

689山手次郎&『シア』:2016/05/27(金) 02:20:13
>>688
「OK、OKわかった、嘘ついてた、さっきまでの紳士っぽいキャラはアレ嘘、
そんでアイドルってのも嘘、俺ってAV監督なんだよね、キミ見てたらなんか反応してきたんで声かけたの。
それを踏まえた上で、AV女優、やってみない? 気持ちよくってチヤホヤされてお金までもらえる、うまいことすればマジアイドルデビューできちゃうかも!?」

スタンドにビビってるようじゃあこの黄金町で生きていけないよね。

690朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/05/27(金) 20:43:57
>>689
「はぁー……そうなんですか」
ため息が付きない。
AVの勧誘だったというのだ。
なんとも言えない。

「えー、残念ながら私は14なので
 完全に犯罪です。
 ついでに言えば私は、アイドルには興味があっても
 そういうAVとかには興味がありません…」
呆れ顔で答える。
まさかそれも承知の上だったりするんだろうかとか考える。

「AVからアイドルデビューって…
 流石にそういうルートを進むのは遠慮したいですねー。マジで。」

691山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/05/28(土) 03:08:39
>>690
「ハァ〜〜〜〜」

盛大にため息をついた。

「スタンド使いともあろうものが犯罪だの法律だの…みみっちい生き方してんじゃねーっつーの、
14歳? 一番いい時期じゃねえの、言っとくけどキミの可愛さピークよ今、後は下がるだけよ?
世間を知って賢くなって、一人で生きていける力を手に入れた頃、キミは最高の輝きを失っていたことに気付くわけだ。
今さらだけどさぁ、なんやかんやで話は聞いてくれるじゃん、まぁAVはやりすぎにしても、イメージビデオとか撮って損はないと思うな」

山手次郎はタフである。

そういえば、いつの間にか少女はどこかへ行ってしまった。
NPCは出しゃばらない方がいいのだ。

692朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/06/04(土) 14:22:24
>>691
「えー…………
 でも流石にそういう経験は…
 っていうかもう復活してるんですねあなた」
興味深そうな顔で彼の姿を見る。
さっきまで息も絶え絶えだったような覚えがある。

「んなこといったって…
 どうせなら普通のアイドルやら女優やらの道に行きたいですよ。
 AVだとか……というのはちょっと…」
そう言ってから顔を上げる。

「イメージビデオっていうのは…
 やっぱりあれなんですか?
 裸だの何だのと…」

693山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/06/06(月) 04:35:48
>>692
「優秀な助手だからな、俺のことは俺以上によく知っている」

昏倒した男性には美少女のぱんつが最も薬効が高いとされている。
疲労時や精神衰弱時にも覿面に効果を表す。マジで。

「えー、なんで、なんでさ、なんでよ、どっちも等しく男に夢を与える仕事だろ。
まぁ抵抗あるのはわかるけどさぁ…百聞は一見に如かず、ちょっと見てもらおっかな」

ズギュン! 

山手の頭部に『パンツレス・ギャング』が発現し、小さなカードのようなものを吐き出した。
スマホにそれを挿入し、動画を再生する。

「俺の『パンツレス・ギャング』は妄想を形にする。
イメージが精密であるほど、その映像はリアリティを増す、ぶっちゃけ顔だけでもできるんだが…、
そうして作った作品は、どれもイマイチ完成度が低い、見て、触れて、話して、イメージを固めると、クオリティは高まる。
ホラ、見てみろ」

山手が差し出したスマホの画面には、黄色いビキニに身を包んだ朱鷺宮が映っていた。
もちろん、こんな動画を撮った覚えなどない、が、画面の中の自分は、疑いようもなく自分だった。
朱鷺宮は夏の太陽の下で奔放に跳びはねる、ビーチボールを追いかけ、波に身体を委ね、砂にまみれてまぶしい笑顔をふりまいている。
水着は相応に露出は多いが、性的な要素はなぜか乏しい。その理由は、きっと朱鷺宮にはわからないだろう。

「どうだ、超健全だろ、これがイメージビデオってやつだ、あとはBGMつけて台詞もチョイ入れて、アングルも工夫すれば、
動画サイトでアッという間に人気者になるぜ、もうちょっと胸盛った方がよかった?」

694防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2016/06/06(月) 16:44:50
>>693
「……そうなんですか。」
去っていった助手の人の背中を追って、
軽く溜息をつく。よくもまぁ……などと思った。

「いかがわしい系は流石に無理なんです…が」
と、彼の頭のスタンドから吐き出されたカードを目で追って…
スマホに映しだされた映像を確認する。

「えーっと、あなたの能力はそれということは…
 映像が作れたのも…私をボコボコ殴ったりしたせいってわけですかね。」
そう思うと、今写っている画像に少し嫌な気分を感じるのであるが…

「まぁ…見る限りでは楽しそうな感じはしますね…
 ミスコンとあんまり変わらなそうですが…」
確かに、これだけを見れば健全である。
だが、本当にこれだけなのだろうかとも思える。

「あ、いえいえ…
 別にサイズがどうとかそういうわけでは…
 にしてもボール…ですか…」
鳩尾を抑えながらちょっと不安げな表情をする。

695山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/06/09(木) 11:06:59
>>694
「いや別に、素材だけでも作れるよ。
さっきも言ったように、被写体を深く知ることで表現に深みとリアリティが生まれるんだよ、
まぁそれはそれとして…」

ガッ と肩を掴む。

「さっきから妙にお腹気にしてるよね…俺の拳そんなに良かった?
それともそういうスタンドなのか? 腹パンをせずにはいられない能力?
なぁ、良かったんだろ? 痛いけどやめられないんだろ? コレが欲しいんだろ?」

肩を掴んだまま、拳を朱鷺宮の腹に当て、グリグリする。

696防人鶫 ◆My6NsjkSfM:2016/06/09(木) 18:28:45
>>695
「はぁ…そうなんです……か?」
と、感心したあたりで急に

ガッ
と肩を掴まれる。

「い、きなりなんです……ぬ…ううう…」
お腹をグリグリされてるせいなんだろうか。
目を閉じてちょっと苦しげである。

あと彼女の鳩尾はだいぶ固く感じそうだ。

「あー、あの、あのあのあの…
 そ、そこをあんまり…狙われると私…
 いろいろと嫌な気分…が……」
体もプルプル震えているぞ!

697山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/06/13(月) 14:50:59
>>696
「ええんか? ええのんか? ホレここがエエんじゃろう、言うてみいホレホレ」

話をよく聞いていない、荒い息と濁った眼で朱鷺宮の腹部をまさぐり続けている…。
ふと、力が抜ける、拳から手のひらへ、抉るような動きから、撫でさすり、緩く圧迫するかのような動きへ変化する。

「安心せい…おっちゃんようわかっとるでな…痛かったなぁ、苦しかったなぁ、楽になってええんやで…」

もうキャラがよくわからなくなってきている。

698朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/06/13(月) 18:08:38
>>697
「う、ぐぐぐぐ…
 ふぉっ…ふひっ」
なかなかのテクニックである。
彼は随分と手馴れているような気がする!

「えー…?
 その、なんだか、
 力が抜けそう…で」
ヘナヘナとし始める。
が、

「ふぁっ!?……あ、危ない!?」
ふと意識を一気に戻し
自分のスタンドで
次郎のほっぺたに手加減した一撃(パD)を食らわせた!

699山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/06/15(水) 07:30:05
>>698
「ヘブッ!……甘い…甘いなぁ、とろけるほど甘い」

手加減した一撃では山手を止められない! 万事休すだ!

「知っているか? 人間の身体で、感覚があるところはほとんど、性感帯になり得る。
要するに脳の受け取り方ひとつだ、君は腹部に異常な執着がある…意識が強いほど、強烈な快感となるんだよ。
苦手意識だろうとな、一度ひっくり返れば…」

朱鷺宮は自分を見つめる視線を感じる…。山手のものではない。

700朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/06/15(水) 15:32:33
>>699
「うぐぐ…
 やっぱりもう一回殴ったほうが…」
手加減攻撃などでは効果がなかった!
先ほどの強烈なやつをもう一回やるべきなのかとか
焦った顔でずっと考えている。

「ふへ…?嫌…私はただその……
 ここによく……色々ぶつかって……
 ふひぁァッ!?」
撫でられたせいでより一層敏感になった

「別にそんなつもりは…!」
でも意識しているせいで敏感というのは間違いなさそうだ。
鳩尾に色々くらい続けていたせいで
そこへの意識はどうしても抜くことは不可能だ。

「…なんか、他の人…いません?」
と、山手に対して顔をピクピクさせながら答える。
どこからの視線なのか分からないが、見られている気がするのである

701山手次郎『パンツレス・ギャング』:2016/06/18(土) 02:52:59
>>700
「結構感じてるじゃあないか…いいぞ、やっぱり声をかけて良かった。
今感じているのが快感だ…深呼吸をしてみろ…自分の腹が今どうなっているのか考え…
あ? この辺は邪魔が入らんようにシアに見張らせて…………あれ? シア?」

ベギィ!

「ゲブッ!」

いつの間にそこに居たのか、割れた板切れを持った少女が、山手の背後に立っていた。
どうやら、この板で山手の頭をブン殴ったらしい。

「…………」

少女は山手の襟首を掴むと、ズルズルと引きずっていく。

702朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/06/18(土) 23:01:11
>>701
「ううう…じ、自分のお腹は…
 ちょっと今はかなり…ん?」
シアの顔がよく見える。
どうやら戻ってきたようだ…と思ったところで

ベギィ!

「…あらら…」
強烈な一発を食らって、次郎は倒れこんでしまった。
きょとんとした顔で、シアの方に顔を向けた。

「その…
 この場合はどっちがいいんでしょうか…
 ありがとうございます…か…
 いろいろすいません…か…」
はたから見ればイチャイチャしてるようにしか見えないかも…
と思って、その顔は何だかバツが悪そうだ。

703山手&シア:2016/06/22(水) 11:48:11
>>702
ボソ ボソ

小さい声で呟いている。

「…を…れ…め…」

「…の程を知…売め…」

「…身の程を…れ淫…め…」

ズル…ズル…

山手を引きずり、ホテルの方へと歩いていった…。

704朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/06/22(水) 21:51:50
>>703
「………え、えっと……」
なにか不穏な言葉を聞いたような気がしたが…

「あーその……お大事に……」
と、手を振りながらその背中を見送っていった…


「……はぁー……とりあえず…
 AVとかに出なくて済みそうで……良かった……」
何だか疲れた様子を見せながら
涙音は家に帰ることにした。

705青田『トライブ・コールド・クエスト』:2016/07/18(月) 23:23:16
夏の砂浜、意外と人のいるそこを遠巻きに見ている青年が居る。
何かを見張っているようにも見えるし、
女性を助平根性で見ているようにも見える。

706朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/07/19(火) 00:35:53
>>705
「はぁー……暑い熱い…」
近くでパラソルの下、
疲れた様子で座っている少女がいる。

「熱中症になったら大変だわ…
 うー…」
とりあえずどこかで買ってきたと思われるドリンクをごくごく飲み始めた。

「…ん?
 …誰かに見られてる用な気が……」

707青田『トライブ・コールド・クエスト』:2016/07/19(火) 22:19:36
>>706
はた、と朱鷺昴に目を止め、歩み寄っていく。
目的は単純、現時点での『敵』のちょっかいを受けているかどうかを知る為だ。
それとなく、直接的でなく振って反応を見ると共に情報を得よう。

「よう」

まず挨拶。

708朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/07/19(火) 23:38:08
>>707
「あ、こんにちはー…
 と、青田さん…でしたっけ?」
名前を聞いていた…ような気がする。
ひとまず彼女は手を振りながら言葉を返した。

「あなたも、ここで水浴びとか…しに来ましたか?
 それともあそこの」
と言って近くの海の家を指差した。

「焼きそばとかを食べに?
 あそこのは結構美味しいんですよー。
 イカが入ってて…」
…彼女の様子は一見すれば
何かの『操作』を受けているわけではなさそうだ。

709ようこそ、名無しの世界へ…:2016/07/19(火) 23:45:57
>>708
青田普、確か金言部でサバゲーをやった時にそう名乗っていた気がする。
その時と比して、目の下に隈があるなど、はっきりとやつれているが。

「ああ、青田だ。いや、ちょっとふと思い立って聞きたい事が」

まで言って、さてどのように判別するか。極力情報を与えずに引き出したい所ではある、それこそ奴を探っている事を知られないように。
故に、極力穏当に、かつ奴の能力の影響を受けているかどうかを知るには――

「…………うん、正直な所アレだ、部内の色恋沙汰ってどうなってるか知ってる?」

『恋』。奴が能力を使えばそうなる以上、それとなく影響の有無を引き出すには所謂コイバナは有効な手段である筈だ。

710青田『トライブ・コールド・クエスト』:2016/07/19(火) 23:46:32
>>709
名前欄ミス、私です

711朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/07/20(水) 00:00:43
>>709-710
「ん、聞きたいこと?
 …それよりあなた…随分とつらそうな…」
と、心配そうな顔をして応える

「…色恋沙汰?
 んー…金言部内では」
そう言って少し考える。

「別に変わりないと思いますけどねー。
 今日もいつもの通り、部員の人たちと顔を合わせましたけど…
 そういう話は全然…聞かないです…」
どうしたのだろう。といった顔で覗き込む。

712青田『トライブ・コールド・クエスト』:2016/07/20(水) 00:05:51
>>711
「誰それに恋してるー、とかそういう浮いた話はないのかな?」

穏やかな表情で知り合いと雑談を、というようにも見える。が、目が笑っていない。
何か、具体的な何らかの理由・事情があって聞いている……ようにも見えるし、夏の大学生だ、書き物の気晴らしに外出しているだけかもしれない。

713朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/07/20(水) 00:08:40
>>712
「…恋…ですか?
 うーむ…」
何かの冗談かと思ったのだが、
青田の尋常じゃない目を見て、少し必死になって考える。

「…金言を学ぶことは多いですけどねー。
 恋…ですか…
 私が知るかぎりでは、そういったことは…」
ひとまず必死で思い出してみるが、
一応金言部内での様子は問題がなかった…と思う。

(まさか…誰かを好きになったとか…?)
彼の様子を見て、涙音は
恋愛方面の悩みなのかと考えていた

714青田『トライブ・コールド・クエスト』:2016/07/20(水) 00:16:35
>>713
目元、というか表情全体が安心したように緩む。

「いや、ならいいんだ。変な事聞いてすまなかったな」

声色も先ほどより柔らかくなっている。これはもしや……?

715朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/07/20(水) 00:31:31
>>714
「はぁ、それなら良いんですけど…
 それより私はあなたのほうが…」
と、柔らかい声になった彼を見て微笑む

「…どうしました?
 その…体調は…」
心配そうな顔で彼の様子を見る。
もし長時間炎天下の浜辺に居たのなら…

716ようこそ、名無しの世界へ…:2016/07/20(水) 00:37:40
>>715
「対した事じゃないよ、ちょっと思う所があって寝不足なだけさ」

答えを濁すようにそう答える青田を見ても、意識や思考はクリアのようだし、別段体調が悪いという訳でもないようだ。

「誰かに恋したとかじゃないよ、念のため言うけど」

717朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/07/20(水) 00:43:29
>>716
「寝不足ですか…
 何だか心配ですね…
 …たまには休んだほうがいいかも…しれませんよ」
といって、近くにあったドリンクを差し出してみる。

「ん、そうなんですか?
 私はてっきり…金言部のどなたかに好意を持って…
 それで夜も眠れない…とばかり…」
軽く笑いながら頭をかく。
自分が思うより大変ではなさそう…
と、少し呑気に考えていた。

718青田『トライブ・コールド・クエスト』:2016/07/20(水) 00:57:15
>>717
「ああ、家ではちゃんと休んでるから大丈夫さ、書き物とかで長時間PCの前に陣取ったりする事が多いだけだからね。
色恋がどうのと振ってみたのも、この後の書き物や考え事からの逃避みたいなもんさ」

そういって肩をすくめる。
無論、金言部内の者が奴に囚われている可能性を考慮して出た発言だが、それを馬鹿正直に言う事もあるまい。

719朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/07/20(水) 01:03:44
>>718
「それを聞いて安心しましたよ。
 何だか、以前見た時より不健康そうに見えたので…」
と言いながら彼の顔を見守る。

「何だか忙しいみたいですねー。
 健康には気を使ったほうがいいですよ〜。
 三食ちゃんと食べてます…かね?
 ほら、バランスよく食事を…みたいな…」
忙しいのだろう。と涙音は考える。
一応問題があるわけではない…ようだが

720青田『トライブ・コールド・クエスト』:2016/07/20(水) 22:50:26
>>719
「そうかな、それじゃちょっと何か考えてみようかなぁ。一応三食取ってるんだがほらこう、レトルトみたいな楽な方に流れがちで」

……一応、弁当や未加工の食品は購入して調理や食事は出来る。体液が入れば世に出る事は出来ないからだ。
逆に、そうでなければ、安全と確信する事は出来ない。安全でなければ食べられない。
食事の内容がレトルトや火を通しただけ、炊いただけになりがちなのはまぁ実際自炊が面倒なのもある。

721朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/07/20(水) 22:57:07
>>720
「ふーむ、レトルトの中にも健康志向のやつはありますけどねー…
 とりあえず、コンビニのサラダや…
 そうですねー、豆サラダとか、野菜を加えてみるのはどうでしょう?」
彼女は何気なくアドバイスをしてみる。
食事メニューのバランスを考える時まず思いつくのがそこだ。

「自炊するのが一番ではありますが…
 まぁまずは、野菜を食べ始めるのが良いかと思いますよ。」

722ようこそ、名無しの世界へ…:2016/07/20(水) 23:26:33
>>721
「ん、ああ、炭水化物に流れがちだしな、野菜も摂るようにしてみるよ」
(緑黄色野菜かなんか買って帰るか)

しかし、やつれて映る、というのは宜しくない。敵がいつどこに居るか解らない以上、チャンスだ、と思われないだけの健康さは不可欠だろう。
あまり安眠できない以上、見た目を良さそうにする必要があるし、襲われた時に対処するように健康維持は怠ってはいけない事でもある。
一瞬のふらつきが死を呼ぶ事もある。

723青田『トライブ・コールド・クエスト』:2016/07/20(水) 23:27:00
>>722
名前欄ミス、すまない

724朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/07/20(水) 23:32:53
>>722-723
「まぁー…それが良いですよ。
 …それより何より…」
そう言って彼の目の周りを見る。

「睡眠時間が足りてないのはやはり一番大変かもしれないですね。
 たまにはゆっくりと眠る時間を取るのも…どうでしょう?」
彼女の目はどこか心配そうだ。
彼女は毎日よく眠れているかは分からないが
少なくとも健康そうな顔には見える。

725青田『トライブ・コールド・クエスト』:2016/07/20(水) 23:53:30
>>724
「どうにも目が冴えてしまってねぇ、家でも碌に安眠できやしない。ホットミルクとかで神経を落ち着かせると良いっていうし、試してみようかな」

これは嘘だ。奴――ルンクスが死ぬまでは、家とその周辺への監視は最大限維持しなければならない。
敵が何時こちらを見つけ、襲い来るとも知れない以上、睡眠は無〜極小、再発現及び設置を効率化、そうした事を突き詰める必要がある。
アンテナの一切を消失させる睡眠はとれるタイミング、取っていい時間が狭く、短すぎる。

726朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/07/21(木) 00:10:23
>>725
「不眠症でしょうかね…
 結構つらそうです…
 まぁ、ホットミルクを飲むのはいい案です。
 …昼寝をするのも良いかもしれないですね。」
あんまり寝過ぎるとかえって辛いけれど、と付け加える。

「しかし…心配事でもあるんですか?
 目が冴えるって言うと…そういうことのようなきがするのですが…」

727青田『トライブ・コールド・クエスト』:2016/07/21(木) 21:40:52
>>726
「いや……、PCや携帯スマホの画面を寝る前に見てると中々なぁ、書き物の為に必要なんだが……」

そういう場合、目の神経が昂ってしまって中々寝付けない例が多い。
心配事、というのはまさにそうではあるのだが、一々言ってどうなる物でもないだろう。

彼らが成功し、ルンクスが斃れていたとしても、ルンクスの花嫁化が完了した花嫁への影響が残るか消えるか不明瞭、
かつ異常に『ナンパが上手い』奴であったのなら、――能力の影響がなくとも復讐を考える奴は出るだろう。
無論、ルンクスが死んだとあれば一気に楽に生活できるのは確かなのだが。少なくともまともに眠るくらいは出来るようになるだろう。

しかし、ルンクスが死んだ、と白人男性のウィルに聞くまではルンクスが死んだものと見做す事も出来ない。日本に居ないものと見做す事も出来ない。
俺に刺客を送る確率が全くないとは見做す事が出来ない。

728朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/07/21(木) 21:55:52
>>727
「あー…確かに、
 PCの画面を見てると目が冴えてきますよね。
 同時に疲れ目も…」
理解したように応える。
目が冴えてしまう理由、本当のことは知らなくとも

「…其の場合は、蒸しタオルを当てて
 少し横になるのが良いでしょうね。
 多少は楽になると思います。
 あ、蒸しタオルの作り方ですけど…」
どこか心配になったのだろうか、
彼女は目を労る方法を幾つか考えてみる。
蒸しタオル、目薬、あるいはブルーベリー
色々と案を出してひとまず一息ついた

729青田『トライブ・コールド・クエスト』:2016/07/21(木) 22:13:32
>>728
「蒸しタオルか、今度ホットミルクと一緒に試してみるよ」

そう言って、さて。向こうが一息ついた所で、

「と、話し込んで悪かったな。そろそろ行くよ」

と、言って去ろうとする。

730朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/07/21(木) 22:25:09
>>729
「それが良いですよ。
 まぁ、たまにパソコンをとめて
 横になる…という手もありますがね」
そう言ってうなずいた。
目が冴える原因がそれならば、たしかに有効だろう。
「それ」ならば

「いえいえ、私もちょっと気になって話しかけてしまいましたし…
 話し相手くらいなら喜んで出来ますよ。
 あ、それと…」
そう言って顔を上げる。

「無茶はダメですよー」
去っていこうとする背中に元気そうな声で返した。

731青田『トライブ・コールド・クエスト』:2016/07/21(木) 22:32:35
>>730
「ああ、出来る限り無茶はしないよ」

出来うる限り無茶をして、出来うる限り無茶をしない。両立させるのは意外と難しくは無い。
出来うる限り無茶をするには、それ以外の場面で無茶できる状態を作り保つ必要がある。

「また」
笑顔でそう言って、立ち去る。

732朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2016/07/21(木) 22:50:45
>>731
「それを聞いて安心です。
 では、お大事に…ってそれじゃあ病気ですね。」
フヒヒ、と笑いながらも青田を見送っていくのであった。

「…何だか、それだけでもなさそうに見えましたけど…
 気のせいかな…」
と言ってまた彼女は海に向かう。

「ふー、泳ごうっと…」


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